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1972-05-26 第68回国会 参議院 科学技術振興対策特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年五月二十六日(金曜日)    午後一時四十三分開会     —————————————    委員異動  五月十二日     辞任         補欠選任      中村 利次君     向井 長年君  五月十三日     辞任         補欠選任      向井 長年君     中村 利次君  五月十九日     辞任         補欠選任      平島 敏夫君     鹿島 俊雄君  五月二十日     辞任         補欠選任      鹿島 俊雄君     平島 敏夫君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         渋谷 邦彦君     理 事                 長田 裕二君                 津島 文治君                 辻  一彦君                 矢追 秀彦君     委 員                 源田  実君                 永野 鎮雄君                 西田 信一君                 沢田 政治君                 星野  力君    国務大臣        国 務 大 臣  木内 四郎君    政府委員        科学技術庁長官        官房長      井上  保君        科学技術庁原子        力局長      成田 壽治君        環境庁自然保護        局長       首尾木 一君    事務局側        常任委員会専門        員        菊地  拓君    説明員        原子力委員会委        員長代理     有澤 廣巳君        原子力委員会委        員        山田太三郎君        通商産業省公益        事業局原子力発        電課長      武田  康君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○科学技術振興対策樹立に関する調査原子力の  開発及び原子力発電安全性等に関する件)     —————————————
  2. 渋谷邦彦

    委員長渋谷邦彦君) ただいまから科学技術振興対策特別委員会を開会いたします。  委員異動に伴い、本委員会理事が一名欠員になっておりますので、この際、理事補欠選任を行ないたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 渋谷邦彦

    委員長渋谷邦彦君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事長田裕二君を指名いたします。     —————————————
  4. 渋谷邦彦

    委員長渋谷邦彦君) 科学技術振興対策樹立に関する調査を議題といたします。  この際、木内科学技術庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。木内長官
  5. 木内四郎

    国務大臣木内四郎君) 先般の委員会におきまして、公聴会の問題について、私から考えを述べるようにという御発言がありましたので、この機会に述べさしていただきたいと思います。  今後、原子力発電所審査にあたりましては、原子炉大型化集中化等、必要と認められる場合におきましては、地元関係者意見を聴取するため、公聴会開催について前向きに検討いたしてまいりたいと考えておる次第でございます。  公聴会開催の場合及び方法等具体的な事項につきましては、原子力委員会で審議することにいたしたいと、かように考えております。
  6. 渋谷邦彦

    委員長渋谷邦彦君) 本調査について質疑のある方は順次御発言を願います。
  7. 辻一彦

    辻一彦君 私は質問の時間をとっておいたのでありますが、いまの長官公聴会の件について質疑に入れば、またストップする可能性がありますので、これについては若干の意見を申し上げて、あとに回すようにいたしたいと思います。  いま、公聴会開催について、先回の三月二十四日以来実は二カ月間たっております。その間に、三月二十四日、四月十四日、四月二十一日、五月十二日、五月十九日と、委員会もしくは理事懇を開いて、この問題をかなり何回も論議をしました。しかし、そこで大体申し上げた理事会あるいは理事懇内容から言えば、私は、長官のこの公聴会についての発言内容は、かなり距離があると思います。論議に入れば、いろいろと問題があろうと思いますので、この問題については私は質問を留保して、あとに回すようにいたしたいと思います。
  8. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 私は、やはり同じ原発の問題について、お伺いしたいと思います。  初めに、和歌山県の那智勝浦町に、現在、関西電力原子力発電所を設置しようということで、いろいろな動きを見せておりますが、現在のところは、どのような状況になっておりますか。
  9. 成田壽治

    政府委員成田壽治君) 関西電力和歌山県の勝浦地区原子力発電所を設置する計画につきましてはまだ電調審あるいは規制法による科学技術庁への申請等が出ておりませんので、具体的な計画は、政府としては承知しておらないのであります。ただ、あそこは国立公園でありまして、環境庁に対して、いろいろな基礎的なボーリングをやるための——環境関係法律との関連で、景観との関連で、そういう基礎ボーリングをやることについての許可申請が出されておると聞いております。これに対しまして、環境庁としては、国立公園としての景観との関係で慎重にいろいろ検討しておって、まだ許可とも不許可ともきまっておらないというふうに聞いております。
  10. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 先日、長官が衆議院の科学技術特別委員会におきまして、原子力発電所から排出される温排水などによる自然環境破壊は、環境問題でもあるので、科学技術庁よりはむしろ環境庁チェック、監視する体制がいいと、そういう見解をお述べになったと承知しておりますが、その考え方はいまも変わりないのかどうか、この点、お伺いします。
  11. 木内四郎

    国務大臣木内四郎君) 環境庁所管法律規定等から見まして、私はさように考えております。
  12. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 もし環境庁がそういうチェックをするとなりますと、片方においては科学技術庁のほう、あるいは通産省としては発電所が必要だと、環境庁としては環境破壊があるのでできない、こういう対立が起こる可能性が十分考えられると思いますが、その場合は、それでもなお環境庁意見にそのまま従っていかれるのか、協議機関等考えておられるのか、その点はいかがですか。
  13. 木内四郎

    国務大臣木内四郎君) 環境庁所管でありまするけれども、互いに緊密な連絡をとっておりまするので、対立の問題は、私は心配する必要はないと、かように考えております。
  14. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 環境庁がまだ来ないので、ちょっと困るんですけれども、それでは、ちょっと質問を飛ばして、いまの国立公園につくるという問題でありますけれども環境庁考え方環境庁がお見えになってから聞こうと思いますが、科学技術庁としては、国立公園であろうがどこであろうが、要するに、現在の立地条件の一応の基準のようなものができておりますが、それにかなうところであれば、つくるという方向考えてよろしいんですか。
  15. 成田壽治

    政府委員成田壽治君) 景観との関係につきましては環境庁法体系で当然規制されますので、そちらで決定することになると思いますが、ただ、科学技術庁でやっておりますところの立地指針は放射能の面から見ました安全審査基準でありまして、環境、特に景観との関係等の問題は含まれておらないのでありまして、そういう意味におきましては、どこでも発電所をつくっていいという考え安全審査に合格すればいいという考えではなくて、やはり、地元住民との協力と理解がないといけませんし、また、その地域開発との調和というのが必要でありますので、実際の問題としては、十分地元民了解がとられ、また、そういう国立公園等における景観を不当にこわさないような形で設立されることが理想だというふうに考えておりまして、この問題等におきましても、いま、原子力委員会環境安全専門部会等でも、環境の問題としてどういう考え方をしていくかという点で今後取り上げることになるのではないかというふうに考えております。
  16. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 いま原子力委員会お話が出ましたので、幸い会長がお見えでありますから、いまの点について、もう少し具体的に、今後どういう方向委員会としてはお考えになっておりますか、お伺いします。
  17. 木内四郎

    国務大臣木内四郎君) ちょっと御質問の御趣旨がはっきりつかみかねている……、すみませんけれども
  18. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 いまの成田局長答弁の中で環境問題というのが出ましたけれども、それについて委員会としてはどういう方向で検討されるか。
  19. 有澤廣巳

    説明員有澤廣巳君) 環境問題につきましては、いま局長が答えましたように、一つ環境汚染の問題がございますが、これは最も私どもの注意しなければならない点だと、こういうふうに考えまして、放射線の問題、それから施設の安全性の問題、これについては、一方では、それぞれ基準もあることでございますから、その基準以下に押えるというふうにやっております。また、安全性につきましても一定限度、たとえば温度なら炉内の温度をこれこれというふうに一定限度がありますが、その限度以下に温度を押える、こういう形で安全性を確保するようにつとめております。他方、いま局長が申しましたように、国立公園なんかのようなところにおきましては景観というふうな問題もあろうと思います。景観を阻害するというか、そういうふうなことは避けなければならないのみならず、むしろ、もし国立公園に設立するような場合におきましては、たとえばアメリカにおいても行なわれておりますように、景観をよくすると申しますか、景観に関する十分の配慮を行なった発電所建設する、こういうことになろうと私ども考えております。それで、いま局長が申しましたように、環境安全の問題につきましての部会ができておりまして、そこで今後一そうそれらの対策につきまして研究を進めることにいたしております。
  20. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 いまの答弁の中で、環境をそこなわない、あるいはそれをきちんとできればいいんだというふうな御趣旨の御発言でありましたけれども、これから審査される方向としては、やはり国立公園の中にはつくらないという方向ではなくて、いまアメリカの例を引かれましたが、たとえ国立公園の中であっても全体的にそこなわなければよいと、こういうお考えで進められるのか、この点、はっきりしてください。
  21. 有澤廣巳

    説明員有澤廣巳君) 国立公園についての管理は、それぞれの官庁がありまして、ことに環境庁におきましてはその問題を最もきびしく考えておると思います。それですから、長官がおっしゃいましたように、環境庁のほうの、まず、何といいますか、了解といいましょうか、承認と申しますか、そういうふうなことがあった上で、その上でも、なおかつ、いま私が申しましたようなことに十分の配慮を行なわなければならないと思います。ですから、環境庁との話し合いの上では、ここにこんな大きな建物を、人工的な建物を建てるのはまあよくない、しかし、それを、何といいますか、立ち木で、大きな木を植えて、外部から見えないようにするならばよろしいと——これはまあアメリカにそういう例がありますが、そういうふうな場合には国立公園においても、環境庁了解のもとに設立を考えてもいいじゃないかと、こういうふうに考えております。
  22. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 環境庁が来られてからのほうがいいんですけれども、まだ来られませんので、私がいま質問しているこの具体的な和歌山県の那智勝浦の場合に、かりに——まあ、あそこは国立公園でありますけれども、現在計画されておるのは相当大型と聞いておりますが、具体的にどのように掌握されているか、これは局長のほうから御答弁いただきたいのですが、その大きさのものであった場合、はたしてあの地域をそういう立ち木でおおうとか、そういうふうなことをして可能性があるかどうか考えますと、私は非常にむずかしいのではないか、今後国立公園の中で少なくも大型原子炉というのは、しかも二基、三基とつくるようなことは非常にむずかしくなるのじゃないか、こう思うのですけれども、その点はいかがですか。
  23. 成田壽治

    政府委員成田壽治君) 関西電力勝浦発電所の構想につきましては、先ほど言いましたように、どれだけの容量の大きさであるか、あるいはいつごろ稼働を考えておるかということが、まだ具体的にはきまっておらない。ただ、地点だけは会社考えている地点がある、具体的に考えておるようでありますが、その他、どのくらいの大型であるか、まだ会社もきまっておらないのじゃないかと思います。したがいまして、政府としてもその点は想像もできませんので、しかも、私たちも、まだ申請も出ておりませんので、どういう景観地点につくられるのかという具体的な視察もやっておりませんので、非常に申しわけないのでありますが、その点はお答えができない状態でございます。
  24. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 具体的に出てこないからお答えできないと言われますが、実際、まあかなり関電としては計画が進んでおるわけです。で、予定としては百万キロワットクラスが二基ということを聞いておるわけですけれども、その場合——ちょうど有澤さんは退席されましたが、もし百万キロワットクラスのものが二基になった場合、あの地域国立公園自然環境破壊——破壊といいますか、いま言われたような考えにかりに立ったとしても、ちょっとむずかしいのではないか、こう思うのですが、その点はいかがですか。かりに百万キロワット二つとした場合。
  25. 山田太三郎

    説明員山田太三郎君) 国立公園の問題は当然環境庁が厳重に監視しておることは明らかでありまして、国立公園の中におきましてもいろいろな地帯がございます。一種、二種、三種というような、非常に景観として大事なところとか、それに次ぐもの、あるいはさらにそれに次ぐもの、といったようなものがたぶんあるんだというふうに思っております。したがって、一種というところなどに原子力発電所をつくることはもってのほかでありまして、そんなことはあり得ないと思います。あと、二種、三種のところにつきましては、それをどのくらいにおおうことができるかというような問題であろうと思うのでありますが、これは、原子力委員会がいい悪いと言うことじゃございませんで、まず、環境庁において、国立公園としての価値をどう原子力発電所と協調できるかという点になるんではないか、これはややしろうと的な考えで申しわけないのですが、そういうふうになるんだろうと思います。したがって、国立公園ならできないとか、できるという簡単な話ではないんじゃないかというふうに考えております。
  26. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 環境庁がお見えになりましたので、質問をまた戻して恐縮ですけれども和歌山県の那智勝浦町の原子力発電所の誘致について環境庁に対してボーリング許可申請が出ておると思います。それについて現在どのようになっておりますか。
  27. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) お尋ねのように、現在、調査ボーリングにつきまして許可申請が出ておるわけでございますが、これにつきましては、実は、こちらのほうに和歌山県から進達がありましたのが、昭和四十五年の五月十六日付という進達が出てまいっております。当時、厚生省としましては、国立公園の問題は厚生省所管をいたしておりましたが、四十六年の六月に自然公園審議会管理利用部会にはかりましたところ、その部会で、その段階の一応調査ボーリングに限ってなら認めて差しつかえないというような意見が出されたのでございます。しかし、この問題が環境庁に引き継がれまして、その後、やはり現地におきまして、こういう事項についての原子力発電所建設問題に対する反対運動等が非常に意見が分かれてまいりまして、そういったような事情のもとで、調査ボーリングだけということではあったとしましても、それは、結局のところ、究極のところ、最終的な建設を認めるということではないのか、そういったような心配、危惧を与えるというようなこともありまして、そういう現地事情考えまして、これは慎重に処理をすべき問題ではないかというようなことで現在まで至っておるわけでございまして、環境庁としては、現在のところ、この問題につきましてはいまだ結論を出しておらないというような状況になっておるわけでございます。
  28. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 これはいつごろまでに結論を出されるおつもりですか。
  29. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) 私どものほうといたしましては、いつごろまでに結論をというような考えを現在のところ持っておりません。これにつきましては、御案内のように、この原子力建設をめぐりまして地元で非常に反対動きも強い、県の意向もまだ固まっておらないというような状況でこの問題について結論を出すことは適当でないというふうに判断をいたしておるわけでございます。
  30. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 いま、地元反対、あるいは県の意向が固まっていないので結論を出せない、こう言われておりますが、その問題はまあ別といたしまして、原子力発電所国立公園の中につくる場合、それに対して環境庁としてはどういうふうな考えで臨むか、その辺は、どのようにいま環境庁としては煮詰められてきておるわけですか。先ほど原子力委員のほうからは、一種の場合は、これはもう当然つくるべきではない、しかし二種、三種については可能性はあるような御発言であったわけですが、国立公園内に原発をつくることは環境庁としてはもう反対なのか、条件が整えば賛成をしていくのか、ただ地元反対があるから、いまこの問題についてはペンディングになっているけれども、要するに、考え方の基本としてはつくる方向なのか、その辺はどういう考えですか。
  31. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) 当然のことでございますが、国立公園の中におきましては、国立公園内というのは自然の環境保全をしていくという立場でございますから、一般的に、その中で大きな開発行為というものは好ましくないというのが一般原則でございます。ただし、国立公園の中にも、事前に、お話にもございましたように、特別保護地区あるいは特別地域普通地域というような差異がありまして、特別地域の中も、第一種地域、第二種地域、第三種地域といったようなものを、これを公園計画によってあらかじめ定めておるわけでございます。そうして、第一種地域の場合には、非常に自然性が高い特別保護地区に続きまして第一種地域の場合は高いということでございますから、そういう地点については強くこれを守っていくというのが方針であるわけでございます。第三種地域あたりになりますと、これは一般的に、やはり現在の国立公園地域性公園ということになっておりまして、いわゆる営造物公園でございませんで、そこの土地公園専用目的にしてはおらないわけでございますから、したがって、その地域は多目的でありますので、公園目的と背反しない限度において、そういう調整をはかっていくというようなことは、これは一般的に認めておるところでございます。したがいまして、やはり個々の具体的なケースにつきまして、自然公園上の目的を達するという観点と、それからさらに、いわゆる地域の多目的利用ということを前提といたしまして、公益との調和ということを考えなければならないわけでございます。  で、もちろん電力の確保ということは大きな公益目的でございますから、具体的な問題で、公園目的電力の需要の目的というものを個々それぞれのケースに従ってその判断をするというような、具体的に、まあその問題については結論を出すという態度をとっておるわけでございます。
  32. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 この勝浦の浦神のほうの国立公園は第何種になっておりますか。三種ですか。
  33. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) 当公園につきましては、いまだ公園計画上の一種、二種、三種区分をいたしておりませんで、これは特別地域ということの一本でやっておるわけでございます。
  34. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 いまこういう問題が出てまいりましたので、そういった点で、何種ということを早急にきめられる方向ですか。
  35. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) 現在、全国の公園の中におきまして、特別地域についてのそういう地域区分ということを進めておりますが、全部についてはまだできておらない状況でございまして、したがって、こういう問題については、なるべく早くそういう地域区分というものをやりたいと思います。しかし、ただいまの勝浦の、何と申しますか、原子力発電の問題のために、ここを一種、二種、三種というふうな分け方にするというのは、これはそういう方向ではございませんで、この問題は、やはり、ここの場所に建設することが適当であるかどうかというような具体的な判断をこの問題についてはいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  36. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 いままでのお話を聞いておりますと、もう一つ、何か抽象論ばかりで、はっきりしないのですけれども、現在、国立公園内で原子力発電所をつくろうという計画は、岡山県の鹿久居島と勝浦二つ、もう一ヵ所あるわけでして、結局、これからの原発をつくる場合、だんだん土地がなくなってきて、人がいないところというと公園だけというふうなことになりそうでありますので、この問題がはっきりしなければ、今後の問題から考えますと、非常にたいへんなんじゃないかと私は考えるんですが、地元へも行ってまいりましたが、勝浦国立公園が、たとえ一種でなくて三種になって、多目的で使うんだということになっても、その地元の人にとって考えれば、あと残すところの唯一観光資源である——たとえそのランクはどういうランクであっても、その地域の町なら町だけを考えた場合であれば、それは唯一観光資源であるというふうな場合、そこが、たとえ原発でないものにしても、何らか環境破壊されることについては非常な抵抗が出てくる、今後どこの公園もそういうような方向になるのではないか、そうなると、国立公園の中に原発をつくるということ自体が非常にむずかしい。つくるべきではないという議論のほうが私は強くなってくるんではないかと思うわけですが、その点、これからの方向考えまして、ただ、いまのケース・バイ・ケースのような、あるいは公益との調和であるとか、公園全体の目的と相反しなければいいんだとか、それぐらいの大ざっぱな話では、とうてい地元の人だって承知しないんじゃないか、たとえ賛成をしておるような人であっても納得できないのじゃないか、と思うのですが、その点、またさらに、たとえば原子力発電所のこの程度の規模、この程度公園ならいいんだとか、それに対してはどういうふうな処置をすればつくれるか、あるいは原子力発電所は絶対つくるべきではないとはっきり線を押してしまうか、それをちゃんとやらなければ、そしてやはり議論といいますか、いろんな意見も聞いていかなければならぬと思うのですが、その点はいかがですか、今後の方向として。
  37. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) 原子力発電所に限りませず、国立公園の中で、どの程度そういったような建造物等を認めるかということにつきましては、これは、おことばでございますけれども、やはり個々ケースに応じまして具体的な判断をやらなければいけないというような点が多いものでございますから、一般的ないわゆる基準というもり、明確な基準というものを、一般に通ずるものをつくるということはなかなかむずかしい、こういうような前提があるわけでございます。しかしながら、そういったような問題につきましても、これは、できるだけそういう基準に近いようなもの、そういうようなものを、なるべく、こういう個々許可のものを通じまして、つくっていきたいというようなことで今後努力をいたしたいと、かように考えておるわけでございます。
  38. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 非常にしろうと的な質問で恐縮ですが、そういう国立公園破壊というのは、どの辺からが破壊というのですか。結局、主観だと思うんですけれどもね。たとえば、きれいな建造物が松の木の間に見えたっていいじゃないかという人もあれば、そんなのは全然ないほうがいいという人もありますし、いわゆる環境そのものを保護するというのはどういうふうな考え方からなされておるのか、この建造物云々の基準をつくる場合に、一番基本となる考え方ですけれどもね、それが、たとえば特別保護地域でありますとか、あるいは一種地域といったようなものにつきましては、主として、もう現状の保存といいますか、そういったような形で、なるべくそういうふうな新しい目立つものはつくらないというのが原則として考えているところでございます。それから、二種、三種というようなものにつきましても、たとえば三種のようなものにつきましても、これははなはだしく大きな、いわゆる都市的な施設といいますか、そういったようなものができるということにつきましては、これはいわゆる自然環境としての公園地域というものと反することになりますので、そういうものについてはこれを避けてもらうということを一般的に考えているということでございます。しかし、一方において、これは公益との調整という問題がございますので、その際には、これはその公益性を持つものが他にかわるべきところがないのかどうかといったようなことを十分考えなければならないという点、それから、もしつくるといたしました際にも、できるだけそういう景観的な見地からそれを遮蔽をいたしますとか、あるいは植栽等によりまして、一方においてそういう自然的な環境を豊かにするというような配慮をいたしますとか、そういう各種の条件というものを、これを許可に付するということによりまして、そういう地域と、それから公益的なものの事業との調整をとるというようなことをやっていくほかはないということ、そういう現状でございます。
  39. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 ちょっと理解しにくいんですけれども、この原子力発電所国立公園の中につくる問題、そのほかの問題も含めて、環境庁で十分これからチェック、監督するという、科学技術庁長官のほうもそういう御意向のようでありますけれども、いま国立公園環境破壊という面で聞いてまいりましたけれども、結局、原子力発電所の場合は、先ほども少しお話が出ておりましたが、一つは放射能による汚染と、もう一つ温排水による影響と、それからいまの環境破壊と、三つ出てくるわけですけれども、いま各方面で原子力発電所がつくられる計画ができておりまして、大体どの地域も非常に反対の機運が強くなっておりまして、環境庁の動向というものが非常に大きな影響を持つわけですから、この三つの点について、環境庁としてはこれからどういうふうな体制で臨もうとされておるのか、また、その考え方はどうされるのか、あるいは、それに対する研究等はどういうふうにされていくのか、その点の基本的な考え方をお伺いしたい。
  40. 首尾木一

    政府委員首尾木一君) ただいま先生の仰せになりましたような各種の問題がございますので、環境庁といたしましては、本件の取り扱いにつきましても十分慎重を期しているわけでございます。これは、現在具体的な問題といたしましては、自然公園法によるボーリング許可の問題ということで具体的になっておりますが、問題は、この自然公園法だけの問題ではございませんで、全般的なそういう問題があるわけでございます。で、温水の問題につきましては、これは、環境庁といたしまして水質保全局のほうでの問題になっておりますし、全体としまして、やはり環境庁としてこの問題にどう取り組んでいくかというようなことを今後研究をすべき問題ということになっておりまして、私のほうでは、これは自然保護局ということでなくして、庁全体といたしまして、科学技術庁と十分に連絡をとり、これについてどう対処すべきかということに取り組んでまいりたいと、かような考え方でおるわけでございます。
  41. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 原子力委員にお伺いしますけれども、いままで環境庁のほうからいろいろお話がございましたけれども、たとえば勝浦に例をとった場合に、どういうふうな方向になるかわかりませんが、これからの原発の傾向はどうしても大型化、集中化になっておるわけです。これはもう現実、どう言われようと、大型化している。集中化している。それはどうしても、国立公園の中でやれば、結局、たとえ三種の中でつくったとしても、破壊されてしまうんではないか、影響が出るんではないかと思うんですよ。だから、今後は、大型化というものを避けるとなれば、小さいものとなれば、たくさんの地域に分散ということになる。結局、日本の国土は狭い、その中において原発を、いまの電力の需要に応じてつくるとなれば、これはもう大型化をせざるを得ないということで、されてきているんでしょうけれども、そうなると、今度は場所の問題で行き詰まってきている、これをどう打開していくのか。それとも、強硬に、たとえ少々反対であろうと、つくる方向でいくのか、その辺はどういうふうに考えられていますか。これからの事業計画、需給のバランスの上から考えてですよ。
  42. 山田太三郎

    説明員山田太三郎君) いま仰せがございましたが、国立公園の中につくるかどうかという問題に対しての最初の決定をされるのは環境庁でございますので、そこで得られた結果が、これは国民的美的見地からいって、国民的コンセンサスが得られたものと考えますと、それからあとは、われわれの関連する問題であろうと思うんであります。  それで、いまお話のございました、何が何でもとか、強引につくるなどということは、とうてい行なえるべきことじゃございませんで、これまた、地元のコンセンサスが得られた上でなければできないわけでありまして、その上において原子力発電所をつくっていくということになると思います。したがいまして、ゴリ押しとか、そういったようなことではあり得ないというふうにお答えしたいと思います。
  43. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 勝浦の場合は関西電力でありますが、現在の関電の受け持っている範囲内で、今後この勝浦がどうなるか。たとえば、勝浦がだめだと、かりにした場合、ほかにつくる場所はあまり出てこないんじゃないか。そういうことで、ずっと辻委員質問してこられた若狭湾への集中ということで、結局あそこへ集中してしまったと、そういうことになると思うんですけれども、結局、今後の立地場所をきめるあり方ですが、電力会社のほうが一生懸命さがしてきて、そこと折衝する。まあ勝浦のは、最初は勝浦町あたりは賛成であったわけですけれども、いざ仕事が始まり出して反対になってきた。だんだん実情がわかってきたのか、その点は私もまだまだ核心のことはよくわかりませんけれども、とにかく、いま反対のほうが町で多いわけです。そうなると、関西なら関西のエリアだけを考えた場合、特に関西地域などはむずかしくなるんじゃないか。しかし、関西の電力会社が中部方面につくるというわけにもいかぬでしょうし、そういう点をどうお考えになっておるのかですね、用地の取得という問題について。いまの方式でいかれたならば、私はとうていむずかしいんじゃないかと思うんですが、その点はいかがですか。
  44. 山田太三郎

    説明員山田太三郎君) いまお話がございましたこれは、私、実績は存じません。しかし、先生のおっしゃるように、かりに関西地域に得るところが得られなければ、ほかの電力会社地域には行かないだろうというお話でございますが、そういうことは、すでに御承知のとおりに、東電の発電所が東北地方にできておりますからして……。まあしかし、それは可能であるということでありまして、電力の系統全体として考えました場合に、遠くなればなるほど電力の損失があることは明らかでございます。しかし、立地のほうが優先いたしますから、とてもそんなことは言っておれないということになりますと、必ずしも一電力会社の勢力範囲ということでなくて、広域運営も行なわれるということも当然考えられると思うんでございます。しかし、どうしても立地が得られない場合はどうなるんだということになると、これは日本が一体どうなるかという問題になるかと思います。
  45. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 まあ、日本がどうなるかということになるとややこしくなりますから、次の問題に移りますけれども、この立地に関連して、原子炉の立地審査指針というのができておりますが、これの内容を見ましても、これは私は基準としては少し大ざっぱではないかと、こう思うんですけれども、その点は、こういった基準でいいとお考えになっておるのか、あるいは、もう少し数字を詰めるとか、そういう点は検討される必要があると思われているのか、その点はいかがですか。
  46. 山田太三郎

    説明員山田太三郎君) こういう基準というものは、あまりこまかい例はほかにもございません。したがいまして、どの点をどういうふうにというお考えを伺いますれば検討する余地があるのかもしれませんけれども、現在の段階におきましては、これ自身を変えるというつもりはございません。しかしながら、これをどういうふうに運用していくかという問題につきましては、実態的にいろいろ検討していかなければならぬということは仰せのとおりだろうと思います。
  47. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 人口の問題については、前に辻委員のほうから、かなり詳しい指摘がございましたので、この問題は飛ばしまして、次に、地盤の問題ですけれども、地盤は一応建築基準法ということになっておりますが、原子炉の場合は、やはり地盤の問題については、これだけの基準の中ではなくて、やはり別に基準をつくったほうが、より住民には安心してもらえるんじゃないかと思うんですが、その点はいかがですか。
  48. 山田太三郎

    説明員山田太三郎君) 私は、地震とか地盤の問題については専門でございませんので、的確なお答えができるかどうかということについては自信がないんでございますが、現在のやっております態度は、予定された地域において予想される最大の地震といったようなものを考えまして、それが、建築基準法における値でありますけれども、それの三倍というような、これはちょっとあり得ないような大きな地震を予想いたしまして、それに対しての耐震性を検討しておりますし、さらに、普通の建築基準法におきましては、たぶん、いわゆる静的解析法と申しますか、スタティックな計算だけと思われますけれども原子力発電所の場合におきましては、さらに、いろんなパイプとか、いろんなものがございますので、それらについて動的解析、ダイナミックな解析も同時に行なうというようなことにいたしまして、この地震に対する安全性の検討を行なっております。で、これは、基準と申しましても、原子炉の施設の中にありますいろんな施設を、重要度に応じましてクラス分けをいたしまして、どういうような設計をしなければならぬというようなことがきまっております。
  49. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 次に、立地の問題にちょっとまた戻りますが、用地が非常になくなってきた場合、一つ考え方として、原子力発電所の沖合い立地の可能性ということが学問的には検討されておりますが、これについては原子力委員会としてはどういうふうなお考えなのか、また、こういうふうな考え方で進められるのか、しかし、これはまだまだ問題点があると見ておられるのか、この点はいかがですか。
  50. 山田太三郎

    説明員山田太三郎君) アメリカで、最近、沖合い立地の問題がだいぶ問題になってまいりました。日本でも、通産省におきましてそういう調査をしておった例は存じております。しかし、まだ日本におきましては具体的な例は出てまいっておりません。しかし、こういう可能性については、いい点、悪い点、全部を洗い出す必要がございますので、そういう研究は進めていきたい。しかし、これは現実の問題になっておるわけではございません。将来の問題として考えております。
  51. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 こういったことも、ひとつ、よく考えていただきたい。ただ、私は、これは確かに問題があると思いますけれども、日本の国土を考えると、やはりこういうふうな考え方も、きちっとさらに前向きに検討していただいて、コンクリートなものにしていただければいいんじゃないかと思うんです。  次の問題に入りますが、放射性物質のことで一つお伺いしておきたいんですが、最近ちょっと問題になってきておりますクリプトン八五についてでありますが、再処理工場からはどれくらい出るわけですか、毎日。
  52. 成田壽治

    政府委員成田壽治君) 再処理工場から出ますところのクリプトン八五は、パー・デーで八千キューリーというふうになっております。
  53. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 このクリプトン八五の出方は、どういう出方をいたしますか。
  54. 成田壽治

    政府委員成田壽治君) これは、気体廃棄物として煙突から排出するようなかっこうになっております。
  55. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 これは煙突から出て周囲に拡散をすると言われましたが、この拡散の状態は大体どれくらいの範囲にばらまかれるのか、もちろん、そのときの気象条件もありましょうが、一応大体どの範囲なのか。それから、このクリプトンは空気より重いですから、周辺にかなりばらまかれて下に落ちてくる、こういうふうな点については、どういうふうに見られておりますか。
  56. 成田壽治

    政府委員成田壽治君) 煙突から排出されるのでありますが、これがどのくらいの濃度、どのくらいの影響があるかという計算も安全専門部会でやっておりまして、その報告書によりますと、最も影響の大きい地点に人間が一年じゅう裸で立っておる場合の影響としまして、一年間で三十二ミリレムというような値も算出されております。
  57. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 この半減期は十年でありますから、これがいま言われた三十二ミリレムでありますと、結局、周囲の汚染のそういった試算、どういうふうな試算になっておりますか、大体十年たつとどれくらいになるか、あるいは五年たつとどうなるか。
  58. 成田壽治

    政府委員成田壽治君) クリプトン八五の半減期は十年でございますが、これは、多少風の関係等考えて調節はいたしますが、再処理工場の能力が一定であると、出る値は大体同じでありますので、半減期が十年であっても、毎日新しく出てまいりますので、その影響は変わりない、能力が同じであれば変わりないというふうに考えられると思います。
  59. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 これは最近かなり問題にされてきたのでありますが、これに対する将来の対策としてはどのようにされるおつもりですか。これの人体に対する影響はどのようなものであるのか、あるいはそれに対してどういうふうにやるのか、要するに、煙突の中で処理ができる技術開発が行なわれておるのか、その点はいかがですか。
  60. 成田壽治

    政府委員成田壽治君) クリプトン八五の影響につきましては、これは、この前の原産の大会で、外国の学者、あるいは日本の学者等も、非常に将来の問題として——いまさしあたりの原子力発電所なり、それに基づく再処理工場の程度なら、これはマクロ的に見まして、ほとんど影響がないのでありますが、ただ、二〇〇〇年ごろになりますと、かなり影響として検討しなければいかぬという影響になるということで、この環境に対する影響を最も少なくする方法はどうやってやるかというので、各国でも研究を進めている段階であります。それで、クリプトン八五の処理の技術としましては、たとえば液化して除去する技術とか、あるいは特殊の溶媒を用いまして吸着除去する方法等、いろいろな研究、技術開発が現在行なわれておりますが、ただ、この技術も、いまのところ、確立して、実用化されるというところまでは至っておらないのでありまして、そういういろいろの技術開発を各国ともやっているという状態であります。これは、今後国際的な原子力会議等においても各国の研究開発を持ち寄って、そうして進めていくというふうに、各国とも考えておりまして、そういう技術が開発になった場合は、当然、それが再処理工場等にも適用されて、クリプトン八五の将来の問題の懸念が除去されるということになると思います。
  61. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 時間の関係で、次に、ウラン燃料の確保の問題についてお伺いいたしますが、フランスやオーストラリアと、共同事業でウラン濃縮を行なう構想がある、そういうような話も聞いておりますが、具体的にどうなっておりますか。まず、そこのところをお伺いしたいと思います。
  62. 成田壽治

    政府委員成田壽治君) ウラン濃縮の共同事業の話は、一昨年の夏、フランスから、フランスの技術を使って——場所ははっきりしないのでありますが、あるいはヨーロッパになるのか、豪州が入った場合には、安い電力の豪州になるのか、まだきまっておらないのでありますが、フランスの技術を使って国際共同事業をやることを検討しようじゃないかという提案がありまして、これにつきましては、いま専門家のワーキンググループをつくって、経済性の問題、あるいは技術的な問題等を、日本も入って検討しているところであります。これは、もちろん、参加するしないは検討の結果によってきまる問題で、現在はその事前検討をやっているということであります。  それから、アメリカからも、去年の秋ごろ、日本あるいはその他関心のある国が集まってアメリカのガス拡散法の技術を使って国際共同工場をつくることを検討しようじゃないかという提案もありまして、これについても、まだ具体的に進んでおりませんが、いろいろ日本も検討することになっております。
  63. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 長官にお伺いしますが、各国とも共同事業はやる方向で検討されるわけですが、やはり、いま検討されているワーキンググループの結論を見てから、やるやらないをきめる、どちらですか。
  64. 木内四郎

    国務大臣木内四郎君) この問題はなかなかむずかしい問題でして、いま原子力局長から、フランスからもそういう話があった、アメリカからも話があった、こういうわけでございますが、このウランの需給の状況、濃縮ウランの需給の状況考えてみますというと、現在はアメリカには工場が三つある。それで、大体今日の段皆によりましては、世界の需要をまかなっていくことができるということでありますけれども、しばらくしますというと、これだけでは足らない、もう少し工場をつくらなければならぬと、アメリカにおいてもそう思っているわけです。そんなような情勢のもとにおきまして、この共同開発計画というものが、アメリカから提案された。その提案されたことについては、もちろんアメリカの国内の特殊な事情があると思います、外貨の事情、その他いろいろのこともあるのですが、そういうことが提案されて、今日、フランスの共同研究、アメリカの提案に対する問題、これがあるのですけれども、さあ、それを日本が、今日のようにドルができてきた場合においても、アメリカでつくっておったものを、お前のほうでつくってくれ、おれのほうは買うだけだといっておったのでは済まない段階にだんだんなりつつあるのではないか、内外の情勢において。そういうことはありますけれども、さてしからば、この工場を日本につくるかというと、日本におきましては機密の保持というものが原子力関係においてはできませんので、そこに非常に問題がある。日本が参加するにしましても、金は出す、金は出すが、工場をどこに持っていくかというと、日本へ持ってきてこれをやるというわけにも、いまのところは私はいかないだろうと思います。そんなようなことがありまして、いろいろなことを考慮しまして、いま原子力局長が申しましたように、私のほうとしても目下検討中なんでありまして、どちらへころぶかということは、いま直ちにこの場で申し上げる段階には、まだまいっておらないのであります。
  65. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 これは昨日の新聞でありますが——通産省お見えになっておりますか、エネルギー調査会の原子力部会で、濃縮ウラン備蓄検討小委員会を設けて濃縮ウランの備蓄などの諸問題を検討する方向である、こういうようなことが新聞に出ておりましたが、これについて具体的にお伺いしたいのですが、大体どのような検討が行なわれたでしょうか。
  66. 武田康

    説明員(武田康君) ただいまの先生の御質問でございますけれども、通産省には前々から総合エネルギー調査会というものがございます。総合エネルギー調査会は幾つかの部会を持って、いろいろな角度のエネルギー問題の検討をいたしているわけでございます。その中に原子力部会というのがございます。これまた、ずっと前からある部会でございます。原子力委員会でも原子力の長期計画をおつくりになって、いろいろな将来の問題を検討なさっておりますが、エネルギー問題という角度から原子力問題を検討しているのは、その原子力部会でございます。  ところで、御案内のとおりでありますが、昨年の十二月にエネルギー調査会の原子力部会が答申を出しましたけれども、その中で、濃縮ウランの確保策というものにつきましては引き続き今後も検討しようというようなことになっていたわけでございます。  ところで、先ほどお話のございました新聞記事でございますが、現在、先ほど長官お話にもございましたけれども、将来の濃縮ウラン確保策として共同事業にどう取り組むか、これは方向がきまったわけでなくて、現在検討段階でございますが、そういったようなこと、あるいは、そのつなぎ的な価値、また、安定の度合いをさらによくするというような意味の備蓄の問題、そういったようなものをまとめまして、あるいはそういったものを含めまして、原子力部会の中にしかるべき分科会といいますか、委員会といいますか、そういったものをつくって今後検討しようではないか、こんなようなことが考えられているわけでございます。
  67. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 ということは、具体的な委員会としての動きは、まだ始まっていないのですか、小委員会ができたところまでですか。
  68. 武田康

    説明員(武田康君) 現在は、原子力部会というものだけがございまして、その中に何々委員会とか何々分科会というものができているわけではございません。そういった具体的な詰めをするにつきましてもそういったようなものが必要ではなかろうか、こういう段階でございます。
  69. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 ということは、原子力部会でも濃縮ウランの備蓄についての検討もまだされていないわけですか、これからされるわけですか。
  70. 武田康

    説明員(武田康君) 先ほどもお答え申し上げましたように、昨年十二月に出しました答申におきまして、将来の濃縮ウランの確保策というようなことで、その中では、共同事業の問題であるとか、あるいは国産技術の開発の問題であるとか、また備蓄の問題であるとか、そういった意味のおさらいは、いままでもしてきておるわけでございます。もう少し詰めたものをというようなことでいま考えているということで、その準備段階でございます。
  71. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 原子力委員会としては、この濃縮ウランの備蓄についてはどういうふうな考えをお持ちですか。
  72. 山田太三郎

    説明員山田太三郎君) この原子力発電というのは、元来、アメリカで軍事用につくられた濃縮ウラン工場三つによって、いままでやってきておったわけであります。しかしながら、一九八〇年という時点になりますと、その能力を多少増強いたしましても限界に達するということが言われておるわけでありまして、したがいまして、一九八〇年ごろというのが、この濃縮ウランについての端境期になる可能性があるわけであります。実際ならないかもしれませんけれども。と申しますのは、濃縮工場をつくりますのに、大体一般に言われておりますのは、六年間の準備期間と申しますか、建設期間を要するということになりますからして、あと一、二年のうちに決定されませんと、一九八〇年には濃縮ウランが出てこないわけであります。その段階になりますと、濃縮ウランのない原子力発電所ができ上がってしまうということになるわけであります。その意味からは非常に危機感を持っておるわけであります。  ところが、いまお話のありましたように、フランスがイニシアチブをとります濃縮ウラン工場というもの、あるいはアメリカがイニシアチブをとりまして——イニシアチブという意味が単にガス拡散技術を提供するというだけでありまして、工場を自分でつくるというわけではないのでありますけれども、そういう動き——これも、いろいろな国がたくさん入ってまいりますので、なかなか話がまとまらないであろうということが考えられます。そのほかにも、アメリカ自身でどうしてもそのころにはつくらなければならないわけですけれども、その計画はわりあいとのんびりしておりまして、これは民間につくれと言っておりますのですが、なかなか民間が出てこないわけであります。そういたしますと、一九八〇年ごろに何とかしてつくらなければならぬ、世界的にどうしても必要だという状態が起こってまいります。  が、しかし、いま申し上げましたように、話がなかなかうまくいかないと八〇年ごろには何かギャップができやしないかというような感じがありますので、そこで、最近アメリカから提案されております——提案といっても、あまり正式ではないのですが、提案されておりますのが濃縮ウランの備蓄、表現はそうでございますが、実際問題としては、濃縮ウラン工場の能力のいくらかを買えと、事前に買えと、こういうことでございます。これは、いまも申しました一九八〇年ごろの濃縮ウラン工場ができるということの不確定性に対して、ある意味では非常に大きな保証になる可能性があるというふうに考えられます。そういうような意味で、この濃縮ウランの備蓄という、非常に簡単な表現なんですけれども、実際は分離作業量を事前に買っておくということですが、そういう形のものは大いに意味があるのではないかというふうに考えております。
  73. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 その、いまの分離作業と、それから今後の国産化との関係ですけれども、結局、アメリカ考え方がどういうふうな考え方か、よく私は承知しないのですけれどもアメリカは日本にそういう濃縮ウランを、先ほど秘密の問題が出ましたが、おそらく全部はあかさないだろう、ならば、こちらで国産をしたいということになりますが、日本で濃縮ウランが日本の技術開発によってどんどんつくられることをアメリカははたして喜ぶかどうか、その辺に非常にむずかしい問題が出てくると思うのですが、その辺はどういうふうな判断をお持ちになっておりますか。
  74. 山田太三郎

    説明員山田太三郎君) 日本の国産化の問題につきましては、前々から特定総合研究という名前のもとに勉強いたしております。その技術は二通りございまして、一つは、アメリカあるいは現在世界じゅうで濃縮ウランがつくられておると思われますガス拡散法でございます。しかし、もう一つの技術は、遠心分離法と申しまして、簡単に言いますと、ぐるぐる振り回すと、重いものは遠くへ飛んでいってしまって、軽いものが残るということで、ウラン二三八を外へ飛ばして二三五を残すということなのでありますが、その方法が非常に有望らしいということが世界的に言われておりますが、その遠心分離法というもの、この二つの方法についてわれわれは研究開発を進めておるわけであります。しかし、いま申し上げました、一九八〇年までには相当突貫作業をやりませんと間に合わなそうでありますけれども、しかし、それから若干あと、たとえば一九八五年というようなことになりますと、日本でもその研究が成果を得てくるのじゃないかというふうに考えております。  現在の段階におきましてのわれわれの考え方は、この遠心分離法と申しますのは、その技術的な特徴が、技術的にはまだ確立しておりませんけれども、もしうまくいくならば、電力が非常に少なくて済む、たとえばガス拡散法に比べまして五分の一から十分の一になるということであります。ガス拡散法の欠点といいますか、それしかできる方法はないのですけれども、それは、大体原価の中の半分または半分以上が電気代でありまして、したがいまして、電気の安いところでないとなかなか成り立たないというようなことと、もう一つは、その方法の性質上、非常に大型化したものでないと経済性がとれないという二つの、ガス拡散法については、遠心分離法と比較いたしますと、欠点がございます。  したがいまして、もしわれわれのいまやっております遠心分離法というものが成功いたしますと、その二つの問題がなくなってまいることになるわけであります。しかし、これは、それが必ずできるならば、それにいまから力を集中すればいいわけですけれども、技術開発でございますから、必ずできるというわけにはまいりません。したがいまして、一九八〇年代の後半になりまして、どうしても日本で濃縮ウランをつくらなきゃならぬという事態が起こるという場合を考えますと——そういう場合がどういう場合であるかはなかなかわからないのですけれども、そういう可能性があると考えますと、やはり遠心分離法につきましても、これを詰めて推進していく必要があるというふうに考えております。しかし、もう若干時間をかけますと、その両方の方法がどのくらい可能性があるかということについて確信が得られると思います。その段階になりましたならば、現在二つやっておりますけれども、あるいは一つにしぼって力を入れてやっていくということも考えておりますけれども、現在の日本の行き方はいま申し上げましたようなことが重点でございます。
  75. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 アメリカの感触についてはどうですか。
  76. 山田太三郎

    説明員山田太三郎君) アメリカの感触という意味がなかなかむずかしいのですけれどもアメリカは、結局、こういう濃縮ウランをつくる技術というものは、すでに現在アメリカが独占できているわけではないわけです。なぜアメリカがいま堂々と売っておるかといいますと、やや古い技術ではあるのですけれども、戦争目的につくったものでありまして、それは非常に昔に、一九四五年ごろからできたものもあるわけです。したがいまして、これはいわゆる減価償却というものが相当に済んでおるというものでありまして、そういう意味では、戦争の遺物について濃縮ウランの値段をきめていくことは彼らとしてもわりあいにやさしいのでありますけれども、これから新しいものをつくっていくとなりますと、今度は完ぺきに商業的なものですから、アメリカとしても、そう簡単にできない。特に、よくおわかりのように、この工場一つが大体十億ドル、まあ三千億円、それで、それに必要な電気も、やはり二百万キロワットぐらい要りますからして、これでもまた大体七、八億から十億ドル要ると、こういったような事業でありますが、そういった事業を、いまアメリカの国自体ではなかなか金の問題で苦労しておりますから、民間にやらせようというわけですが、その民間も、なかなか実際問題として食いついてくる部分があまり多くない状態であります。したがいまして、日本がやるからいやだというようなことはないわけでありまして、アメリカ自身が現在世界の濃縮ウランの供給の責任を負っておるわけですけれども、そういう責任をなるたけ軽くしていきたい気持ちは持っております。そういう意味では、この国でつくることについて非常にいやがるということはないんだろうと思います。
  77. 矢追秀彦

    矢追秀彦君 ただ、先ほど言われた一九八〇年におけるギャップというのがないように、ひとつ最善の策を講じていただきたいとともに、いま言われた、その遠心分離法と拡散法については、前から両方でいかれている、かなりこれも年月がたっていると思いますので、もうぼちぼちしぼられてもいいんじゃないか。もちろん、研究ですから、そう、いつまでにどうということはなかなかむずかしいと思いますけれども、日本の現在の予算等も考えますと、一日も早く一本にしぼっていただきたいと、こう思うわけです。  時間がありませんので、この次の問題はやめたいと思いますが、この備蓄の問題について、もしこれが民間でされるとなれば、やはり燃料物質の管理ということが、ちょっと問題であると思います。かつて私は、この委員会でも、いわゆる放射性物質がやみで横に流れた問題を追及いたしましたけれども、そういうふうなことが起こる可能性がありますので、やはり厳重なチェックの体制、監視体制が必要であろうかと思いますが、その問題についてはどういうふうにこれからお考えになっていくのか、こういうことも含めて、やはりそういう体制を考えなければいけないと思います。その点についてお伺いして、もう時間ですから、これで終わります。
  78. 成田壽治

    政府委員成田壽治君) 過去、昭和四十五年に、横流し、これはトリウム関係の横流し事件がありまして、非常に遺憾な事件がありましたが、これはまあ、いろいろ警察等でも調べましても、ちょっと出所不明の核燃料物質が横流しになったという事態で、非常に遺憾なことであると思っております。ただ、いま問題になっておりますような濃縮ウランの備蓄を行なう場合としまして、おそらく電力会社等の事業者が行なうこととなると思いますが、こういう場合は、当然、日米協定によるオーソライズド・パースンとして政府チェックを受け、また、規制法による計量管理、監督等も受けますので、そういう過去の横流し事件のような、ああいう事態は惹起されることはない、また、当然、規制法によって、厳重な管理のもとで、平和利用、安全管理等が厳重に監視されるというような形で——もちろん日本に持ってきた場合の話でありますが、そういうことでありますので、御心配の点は、この濃縮ウランの備蓄問題については考えられないというふうに考えております。
  79. 星野力

    ○星野力君 私、最初の質問木内長官にいたしたいと思います。  四月二十五日の予算委員会の第一分科会で、ここにおいでになる辻委員の御質問がもとになりまして、環境庁で、原発環境研究会議、新聞報道には「仮称」となっておりますが、そういうものを発足させるということを発表いたしておりますが、この会議の目的とすることは、一体何をしようとしているのか、この会議に対する科学技術庁としての態度はどうかということをお聞きしたいと思います。
  80. 木内四郎

    国務大臣木内四郎君) ちょっと失礼ですが、いまの御質問の御趣旨がよく捕捉できなかったんですが。環境庁に御質問じゃないですか。
  81. 星野力

    ○星野力君 いや、そうじゃないのです。科学技術庁として、これに対してどういう考えをお持ちかということです。
  82. 成田壽治

    政府委員成田壽治君) 私たちも委員会に実際立ち会ったのでなくて、はっきりわからないのでありますが、一部の新聞に、環境庁が、原子力発電関連で、何か、審議会、委員会等をつくるという報道がありましたので、うちから環境庁の事務局に対して、そういう考えがあるのか、あるいは環境庁長官がそういうお考えを持っているのかとただしましたが、事務的にはそういう構想は環境庁にはないということであります。ただ、環境庁としても、原子力発電環境問題が、温排水とか環境放射能等いろいろな問題がありますので、原子力発電所環境問題について、科学技術庁と十分連絡を密にして、お互いに検討していこうじゃないかという考えを持っておることは確かでありますが、そういう形の審議会なり協議会を持つという構想は、環境庁事務当局としては、いまないということでございます。
  83. 星野力

    ○星野力君 私は、こういうものができるということに対して大いに期待を持ったのでありますが、いまのお話だと、話があまり進んでおらないということで、失望いたしたわけであります。  ところで、原子力委員会には、ことしになって環境安全部会が設けられました。原子力委員会で、安全専門審査会ですか、あそこでこの安全審査をやる場合には、環境安全部会結論というものを取り入れて結論を出されることになるんですか。
  84. 成田壽治

    政府委員成田壽治君) ことしの二月に、原子力委員会環境安全専門部会というのをつくりまして、自後四回ほどいろいろ——これはまあ一般的なトーキングでありましたが、そういう検討を重ねてまいりまして、先月、分科会を、総合分科会、環境放射能力分科会、それから安全研究分科会、温排水分科会、低線量分科会、固体廃棄物分科会、この六つの分科会をつくって、これからいろいろ具体的な分科会のテーマに即して検討をやるということになったのでございます。それで、六月の中ごろから各分科会の活動が開始されることになっております。  それで、現在、個々発電所安全審査につきましては、安全専門審査会というのがありまして、これが個々審査をやっておるのでありまして、原子力委員会なり科学技術庁長官許可というのは、この安全専門審査会の結論が出て初めて許可されることになっておりますが、この環境安全専門部会一般的な方針を検討するところでありまして、個々発電所審査とは直接の関連はない。ただ、環境安全専門部会でいろいろ一般的な問題を検討しまして、これが安全専門審査会の審査基準に反映されるということになりますと、その面では関係を持ってまいりますが、環境安全専門部会と、ここの原子力委員会発電所審査とは直接には結びつきはないというふうに考えております。
  85. 星野力

    ○星野力君 直接の結びつきがないということで、この点でも、私、せっかくつくられたこの部会が、個々原発審査にその結果が取り入れられるという仕組みになっていないことは残念に思うのでありますが、この問題は別の機会に、またお聞きいたします。  具体的な問題でございますが、中国電力株式会社が島根県鹿島町に建設中の原子力発電所、あの発電所は現在どの段階まで進んでおるか、具体的に、どの程度まで建設が進んでおりますか、御説明願いたいと思います。
  86. 成田壽治

    政府委員成田壽治君) 中国電力の島根発電所と思いますが、これは四十六万キロワットで、島根県鹿島町のサイトに、これはすでに原子力委員会許可が出て建設に入っておりまして、来年の十一月ごろ稼働という予定になっておりますが、大体まあ計画どおり進行しておるものと思われます。
  87. 星野力

    ○星野力君 この原発建設について申請が行なわれた場合に、所要の淡水の問題について、松江鹿島広域水道から一日三百トンの供給を受けるということが含まれておったと思うんですが、そうでございますか。
  88. 成田壽治

    政府委員成田壽治君) 冷却水の取水につきましては一般的な形で入っておりまして、これが取水場所が変更になったというような事実はないというふうに聞いております。
  89. 星野力

    ○星野力君 どういうことでしょうか。この安全専門審査会からの長官に対する答申には、「使用する淡水は、約五百t/日である。この水は敷地内のけい流水により確保することとしており、敷地内に設けられたけい流水槽(容量二五、〇〇〇t)から供給される。さらに、水源の安定性を向上させるために、松江鹿島広域水道水三〇〇t/日を確保できる施設を設けることとしている。」、こう書いてあるんです。いまの御答弁でいいんですか、違うでしょう。
  90. 成田壽治

    政府委員成田壽治君) 島根発電所の冷却水の取水の場所は、淡水でパー・デー五百トン必要なんでありますが、これは敷地内の渓流から取るということになっておりまして、その後変更になっておらないのであります。それで、一部の新聞に、冷却水を松江鹿島広域水道から使用するというふうな非難をした記事が出ておったようでありますが、このような計画変更は、われわれはないというふうに聞いております。
  91. 星野力

    ○星野力君 これはどうなるんでしょうか。これは、いま申しましたように、文書で、そこに「水利」という項目で、「さらに、」云々、いま読んだ「水源の安定性」云々と、こういうことがあるわけですね。「松江鹿島広域水道水三〇〇t/日」取るということがあるんですよ、初めからある。
  92. 成田壽治

    政府委員成田壽治君) この発電所申請書には、約五百トン・パー・デーを敷地内の渓流水から取る。「さらに、水源の安定性を向上させるために、松江鹿島広域水道水三〇〇t/日を確保できる施設を設ける」というふうになっておりますが、この松江鹿島広域水道水から取るのは一般用水として取る、冷却水ではないというふうに聞いておるのであります。
  93. 星野力

    ○星野力君 どうも、そうお聞きしても、ふに落ちない。私、しろうとのせいかもしれませんですが、この取水の必要上、中国電力は、いまのあれですか、水道のほうと工事契約を取りかわしておるわけですが、途中で、その水をもらうことは中止するということを通告してきておるんです。そうしますと、それ以前の申請の文書には、「水源の安定性を向上させるために、」「三〇〇t/日」と、これを書き込んで、途中でそれをやめてしまっておる。ということになりますと、この審査文書に偽りを記載したということになるんではないでしょうか。
  94. 成田壽治

    政府委員成田壽治君) この問題の松江鹿島水道水の三百トンは、申請書には、そういう水源の安定性を向上させるために取る施設を設けると書いておりますが、これは、冷却水としてではなくて、一般用水として取るということで、この発電所申請書の重要な内容をなすところの冷却水ではないのでありますので、この一般水として施設をつくるというだけの記載でありますので、その点はあまり変わりないというふうに考えております。また、そういう一般水としてこの水道水を使うということが計画変更になったということも、まだわれわれ、事業者から聞いておりませんのでございます。
  95. 星野力

    ○星野力君 私、それがほんとうに重要なものでないのかどうか、一般水としてだけそれが使われる計画であったかどうか、私自身知らないわけです。現地にも来るように言われておって、まだ私行ってもおりませんですが、だが、そういう計画が変更になったということも監督官庁のほうには報告もないし、存じておらないということになりますと、その間に不明朗な印象を与えるものがあるわけでありますし、ことに、もしもそれが原子力発電所安全性につながる問題としたら、これはゆゆしいことだと思うのであります。これも、私、それについての簡単な報告しか現在持っておりませんので、これ以上質問する材料もないわけでありますが、別に、この問題について、私、科学技術庁原子力局に対して文句を言おうというわけじゃなしに、はたして、そういうずさんな——ずさんというのは、私が感ずるわけでありますが、ことでいいのかどうか、そういう疑問を持ったから、お聞きしたわけでございます。  それでは、ほかの問題にしまして、やはり先月の二十五日の予算委員会第四分科会でお聞きした問題のうち、けりのついておらない問題が二つほどありましたので、それをこの際お聞きしておきたいと思います。  一つは、四月十九日に東海研究所で起きた、バルブがゆるんで廃液が流れ出たという問題でありますが、あの当時におきましては、原因調査中というお話でございましたので、いずれ原因をお聞きした上でさらに質問することがあったら質問いたすということを申しておいたのでありますが、原因につきましてはどうなりましたでしょうか。
  96. 成田壽治

    政府委員成田壽治君) 前の問題でございますが、島根発電所の冷却水の問題につきましては、御指摘の御注意もありましたので、十分よく調査をして、また御報告いたしたいと思います。  それから、四月十九日の原研のホット・ラボからの廃棄物処理場へのパイプから放射性廃液が流出した事件につきましては、発見後、いろいろ原研でも原因調査をやり、また、地方の警察等も十分調査をやったのでございますが、いまのところ、どうしてバルブがゆるむことになったかという原因につきましては、十分まだ明らかにされておらないのであります。ただ、二度とこういうことのないように、このバルブにつきましても鉄製のカバーを取りつけて、担当者以外のものが自由に操作できないように措置をしております。もうこういう類似のケースで事故が起きないように、構内全部に対してそういう安全パトロールの強化等の措置を原研としてやっておりますが、ただ、問題の原因につきましては、いろんな調査でも十分まだわからないという状態でございます。
  97. 星野力

    ○星野力君 私、しろうとでございますから、実際の状況がどうなっておるのかわかりませんが、原子力に関する施設、それのバルブが簡単にゆるんでしまうということでは非常に問題ではないかと思いますし、しかも、それが、調査しても原因がつかめない、どういう経路でそういうことになったかわからないということになると、これは二重に困ったことだと思うんでありますが、まあ、バルブといえば、昨年の春でしたか、三月と五月、あの関西電力の美浜の一号炉も、たしか一次冷却水回路のバルブがゆるんだという問題があったと思うのですが、善後措置として、今後厳重にパトロールをやるとか、担当者以外触れられないように措置したと、こういうお話ですが、それで万全を期する……、あなた方よく万全を期していると、こうおっしゃる。万全を期しておってこういうことがぽんぽん起こるようなことじゃ困ると思うのですが、だいじょうぶでございますか。
  98. 成田壽治

    政府委員成田壽治君) たびたび事故がありまして、そのつど、まあ万全を期するような措置をとらしておりますが、その後また事故があって、非常にわれわれも遺憾に思っておりますが、従来以上に徹底した監督の強化をはかって、また、原研等においても十分安全教育とか総点検等の措置をとらしておりますから、まあ絶対とは言えなくても、今後こういう事態のないようになるものと考えております。
  99. 星野力

    ○星野力君 もう一つの問題。やはり同じときお聞きしたことでありますが、東海地区原子力施設地帯における都市計画に反映さるべき土地利用の基本計画、あの問題であります。あの中で、基本計画公園緑地計画になっておりますところの天神山緑地、ここを茨城交通とか日立電鉄が千五百ぐらいの住宅を建てる計画で臨んでおる。この天神山のその地域というのは、再処理工場から約一キロの地点であるということをお聞きしたのでありますが、その具体的な計画をまだ聞いておらないということでございました。この問題につきましても、おそらく住宅計画のほうは県の管轄で進められておると思うのでありますが、住民の安全を考えて策定された基本計画が、実際には変更され、守られておらないのではないかと思われる計画でありますし、科学技術庁としては、たとえ県の計画であっても監督指導する責任があると思うのでありますが、この問題、その後お調べになったでしょうか。
  100. 成田壽治

    政府委員成田壽治君) その問題につきましては、県とも連絡をとってきましたが、確かに民間企業二社が住宅団地の造成を計画中であって、そして地主と土地買収の折衝等を始めておるというのが事実のようでございます。この地域は市街化調整区域でございまして、都市計画法によって、開発行為許可を要することとなっておりますが、いまのところ、茨城県に対して許可申請はまだ行なわれていないという情勢のようでございます。それで、具体的にこの申請が出た場合に茨城県が許可をするかどうかというのは、目下検討中であって、まだ県としても最終的な態度は、申請も出ておらないので、きまっておらなくて、現在検討中であるというふうに聞いております。
  101. 星野力

    ○星野力君 この問題に対して、科学技術庁原子力局としては、どうなさるのですか。どういうふうに対しますですか。
  102. 成田壽治

    政府委員成田壽治君) これは、再処理工場からどのくらいの距離で、また、どのくらいの放射能その他の影響があるのか、実地にもうちょっと具体的に調べてみないと、はっきり申し上げられないのでありますが、その点、これは今後県と十分相談をして、科学技術庁としての態度をきめたいと思っております。
  103. 星野力

    ○星野力君 じゃ、それはまた、結論が出ましたら、また話が進展したら、報告していただくことにいたします。  四月十八日に、福井県の問題の多い町で、説明会というものが開かれたそうでありますが、あれは、どこがどういう目的で招集した集会か、どういう方法でその説明会をやられたか、説明していただきたい。
  104. 成田壽治

    政府委員成田壽治君) 福井県の大飯発電所につきましては、御承知のように、科学技術庁長官が福井県知事にあっせんを依頼しておるのでありますが、県知事が、あっせん活動の一環として、現地において説明会を催したいという提案がありまして、四月の十八日と四月の二十八日の二日にわたりまして、大飯町の中央公民館において——これは福井県と大飯町の共催、両方の主催であります、それで、大飯発電所安全性に関して安全審査内容を中心として説明会が開催されたのであります。この説明会には、内田原子炉安全専門審査会の会長、宮永審査委員原子力局の次長、担当課長等が出席して、地元からは副知事あるいは大飯町長、町会議員等が参加しまして、大体代表百六十名が参加して行なわれております。  それで、二回にわたる説明会におきましては、いろいろな安全問題、安全審査会がどうして大飯発電所が安全であるという答申を出したかという安全性に対する説明、あるいは温排水の問題、あるいは廃棄物の処理の問題、あるいは取水問題、あるいは耐用年数が過ぎた後の原子炉がどうなるかという点等、いろいろな問題について、この二回の説明会において質疑が行なわれております。それで、当初は十一人の予定で十八日一回で済ます予定であったのでありますが、非常に熱心な質疑がありまして、二回に分けて、二十八日に残りの六人の方を対象に行なわれたということであります。  それで、以上が大飯町における説明会、二回にわたる説明会でありますが、その後、さらに県からの依頼によりまして、あそこに部落が三つありますが、五月の二十三、四、五と、三つの部会に分かれまして三日にわたって部落民一般に対する説明会も、きのうまで行なわれております。これは知事のあっせんの一環として行なわれたということでございます。
  105. 星野力

    ○星野力君 大飯に隣接する小浜市のほうから私のところへ電話がかかってきたのですが、小浜市は、原電の建設予定地から八キロぐらいしか離れておらぬ、非常に関心がある、市の有権者二万三千人ほどのうちの半数に近い一万一千人がこれに反対署名をしておるのだが、その小浜市民の代表も、こういう説明会、公聴会、そういうものに参加したいという希望を表明しておったけれども拒否されたというのですが、その後、小浜のそういう人々とは話し合いの機会を持たれたのでしょうか。
  106. 成田壽治

    政府委員成田壽治君) 小浜の方が最近役所へ来て、担当課長がお会いしていろいろ話したのではないかと思いますが、私、国会等のあれがありまして、十分お話を聞く時間は持ってないのでありますが、この点、よく調べてみたいと思います。それから、周辺の方々の問題は、これはいろいろ関心もおありと思いますが、この点は県当局の判断に従ってわれわれも十分協力していきたいというふうに考えています。
  107. 星野力

    ○星野力君 三つの部落の人たちとも話されたということでございますが、四月十八日、二十八日の説明会にしましても、先ほど申されたように、町長あるいは議員、何か、長というような人たちだけを集められて、どうも一般の市民は参加できなかったという不満も聞いておりますし、それから、最も熱心に反対運動をやっておられる、と言うとおかしくなるかもしれませんが、熱心にこの問題に取り組んでおられる若狭湾共闘会議の代表の参加も拒否されたということでありますが、そういうふうに、特定の人たちの参加を拒否するというような行き方じゃなしに、問題の性質上からも、できるだけ広く、利害を持っておる人々、関心のある人々、たとえ反対運動の先頭に立っていようとも、そういう人々とも話し合うというふうなやり方が必要なんではないかと思います。真に地域住民の声を聞き、その理解を求めるという態度でなければ、原子力発電発電所をこれからたくさんつくっていくという上からも、順調な進捗を見ることはできないと思うのでありますが、長官はどうですか。原子炉設置許可にあたって公聴会を開くという——いまのは説明会でありますが、公聴会を開くということを一つの制度にする、そういうふうなお考えにはなられないかどうか。  それから、地元住民に対しての啓蒙宣伝活動、もちろん、これも必要でありましょうが、原子炉の安全とか環境問題について広く住民の意見を聞き、また科学者などの意見も聞く、そういう考えに、もっと積極的に立っていただきたいと思うし、それがまた、原子力発電建設を進めていく上でも効果があると思うのであります。そういう意味で、科学者、科学者団体などから出されておる疑問、申し入れ等に対しては、それを逃げるのじゃなしに、正面からそれに回答していく、そういうかまえをとっていただきたいと思うのです。たとえば、科学者会議が昨年八月にも原子力問題について公開質問状を出しておりますし、ことしの春にも、たしか出したと思いますが、それらに対していまだお答えにはなっておられないようでありますが、それに答えられる準備があるのかどうか、また、答えられないとしたら、なぜ答えられないか、その辺のこともあわせて一括して、ひとつお答え願いたいと思います。
  108. 木内四郎

    国務大臣木内四郎君) ただいまの御質問、まことにごもっともな御質問、貴重な御意見でありますが、私のこの公聴会に対する考え方は、本日の会議の劈頭に申し上げました。それで御了承願いたいと思っておりますが、私は、それはそれとして、従来から申し上げているように、まず、とにかく最善の努力をして、科学的に安全であるという安全性の確保に努力しなくてはならぬ、これにはあらゆる方法があると思うのです。いまお話しになったこともその一つであると思うのですが、最善の努力をして、科学的な安全性、わが国の最高の権威者を集めて、その方々にお願いしてやるようにしたい、それのみならず、今度は社会的に、ことばは熟しませんけれども地域の住民その他の方の理解を十分に得るように努力したい、これが私の基本的態度でありますので、そういう線に沿ってこれから先も進んでまいりたいと、かように思っております。
  109. 星野力

    ○星野力君 日本科学者会議の公開質問についてはどうですか。
  110. 成田壽治

    政府委員成田壽治君) 昨年の八月付で、原子力委員長あてに日本科学者会議から公開質問状が出て、原子力委員会等でも検討してまいっておりますが、まだ正式の回答という形では行なっておりませんが、その内容につきましては、国会の審議とか、あるいは各種の説明会等でもいろいろ明らかにされておるところの見解で大体明らかになっておるというふうに考えております。ただ、これは、原子力委員会でも、いろいろ学術会議等の代表の人とも話したり、これをどう扱うかというのはいま検討しておりますが、原子力委員会とこういう代表の方とお会いして口頭で話し合うことも、必要があったら考えたいという意味で、原子力委員会でも検討中でございます。
  111. 渋谷邦彦

    委員長渋谷邦彦君) 他に御発言もなければ、本件に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。  速記をとめてください。   〔速記中止〕
  112. 渋谷邦彦

    委員長渋谷邦彦君) 速記を起こして。  暫時休憩いたします。    午後三時三十一分休憩   〔休憩後開会に至らなかった〕