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1972-03-24 第68回国会 参議院 科学技術振興対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年三月二十四日(金曜日)    午前十時三十四分開会     ―――――――――――――    委員の異動  三月二十二日     辞任         補欠選任      向井 長年君     中村 利次君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         渋谷 邦彦君     理 事                 津島 文治君                 平島 敏夫君                 辻  一彦君                 矢追 秀彦君     委 員                 江藤  智君                 大谷藤之助君                 長田 裕二君                 剱木 亨弘君                 源田  実君                 永野 鎮雄君                 鍋島 直紹君                 大矢  正君                 小林  武君                 沢田 政治君                 森 元治郎君                 星野  力君    国務大臣        国 務 大 臣  木内 四郎君    政府委員        科学技術政務次        官        粟山 ひで君        科学技術庁長官        官房長      井上  保君        科学技術庁原子        力局長      成田 壽治君    事務局側        常任委員会専門        員        菊地  拓君    説明員        環境庁水質保全        局水質規制課長  山中 正実君        水産庁調査研究        部長       松下 友成君        運輸大臣官房観        光部長      住田 俊一君    参考人        原子炉安全専門        審査会委員    宮永 一郎君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○科学技術振興対策樹立に関する調査  (原子力発電安全性に関する件)     ―――――――――――――
  2. 渋谷邦彦

    委員長渋谷邦彦君) ただいまから科学技術振興対策特別委員会を開会いたします。  まず、参考人出席要求に関する件についておはかり申し上げたいと思います。  本日、科学技術振興対策樹立に関する調査のため、原子炉安全専門審査会委員宮永一郎君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 渋谷邦彦

    委員長渋谷邦彦君) 御異議ないと認めます。  なお、手続等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 渋谷邦彦

    委員長渋谷邦彦君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  5. 渋谷邦彦

    委員長渋谷邦彦君) 科学技術振興対策樹立に関する調査を議題といたします。  この際、参考人の方に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、突然、また、たいへん御多忙のところを、原子力発電安全性に関しまして本委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございました。  なお、御意見の聴取につきましては、質疑応答の形式で行ないますので、さよう御了承願いたいと思います。  本調査について質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 辻一彦

    辻一彦君 私、原電環境温排水の問題について、二、三点質問いたしたいと思います。  なお、参考人宮永先生、急なところをありがとうございました。  きょうは、私はあまり質疑をする準備をしていなかったのでありますが、きのう、おとといの電産会議の総会に出て、そこでいろいろ聞いた内容あるいは入手した資料がありますので、一、二点だけ、大飯原電等の安全の問題について最初に触れて質問をいたしたいと思います。  第一は、大飯原電安全専門審査会で過日結論が出ておりますので、これの安全であるという結論が出ました一番大きなポイントはどれかということを、まずお尋ねしたいと思います。これ、局長からひとつ。
  7. 成田壽治

    政府委員成田壽治君) 大飯発電所につきまして、去年の一月に申請がありまして、ことしの三月六日に、安全であるという結論が出ております。その概要につきまして申し上げますと、原子炉安全審査にあたりましては、平常運転の場合、それから万が一事故があった場合、この二つについて、発電所敷地境界線での被曝評価について安全性が十分確保されるかどうか検討することになっておりまして、その点の検討が、平常運転におきましても法律に基づくところの許容基準をはるかに下回っておるし、それから事故時――想定事故として重大事故仮想事故二つ日本ではとっておりますが、その場合における被曝についても、法律に基づく基準あるいは安全審査会基準としている立地指針等も下回っておるということが実証され、確認されまして、したがって、周辺住民等安全確保には万全が期せられておる。それから、あそこは非常に最近は海水溶観光客が多い。特に夏場は海水浴の客が多い。そういう点の検討、影響も十分安全が確保されておる。それから、国民遺伝線量検討によりまして、周辺人口分布を十分考慮しまして、将来の人口増を見込んでも、平常時はもちろん、万が一想定事故の際にも問題がないということが確認されているのでございます。それから、具体的に見ますと、平常時の運転境界線における放射能被曝計算におきましては、年間の境界線における被曝線量が二・四ミリレムという、そういう計算値が出ておりまして、これは法律上の五〇〇ミリレムに比べても非常に低い。自然放射能についても一〇〇ミリレムぐらいありますので、その変動の幅に十分入るという非常に少ない値であるということが確認されております。  以上でございます。
  8. 辻一彦

    辻一彦君 私の出した資料の一番最後に、三月七日の新聞記事があります。その中ほどから下のほうに、同審査会審査によると、運転時の炉心温度は米国の基準よりも低いと、こういうように言っておるのですが、その点をちょっと確かめたいのですが、それについてお願いします。
  9. 成田壽治

    政府委員成田壽治君)お答えいたします。  炉心温度というのはECCS緊急冷却装置の問題だと思いますが、アメリカで去年ECCSの問題が起きまして、これは単なる実験の場合でございますが、蒸気が流出した場合――これは非常に少ない、十五秒ぐらいの時間だと聞いておりますが、その場合にECCSが働いて水が炉心のほうに通るかどうか、通らない場合もあるのじゃないかという懸念が出されまして、これがアメリカにおけるECCSの問題として大きく取り上げられたのでありまして、これを慎重に検討した結果、そのブローダウン中に水が炉心を通らないというふうに最悪の場合を仮定しまして、その場合でも華氏二千三百度以上に上がらないと心配ないというのが、アメリカ検討した結果、暫定基準として取り入れられておるのであります。  それで、この大飯の場合は、当初の申請は、二千二百九十くらい、二千三百を下回った申請になっておりますが、いろいろ検討しまして、アメリカで二千三百度以下ならばいいという基準を、さらに安全をとりまして、二千百五十度、最も上がった場合でもそれをこえないように、試運転その他運転上において二千百五十度以下になるような配慮がとられておりまして、その点の温度の問題も非常に安全をとって、だいじょうぶであるという結論が出ております。これは、ECCS検討会安全審査会の中に置きまして、アメリカ等にもいろいろ調査に参り、非常に慎重に検討した結果の結論でありまして、その点は問題がないというふうに考えております。
  10. 辻一彦

    辻一彦君 要するに、安全であるという結論の  一番大きなのは、事故時において、最大の仮想事故最悪の場合を予想した事故において、炉心溶融温度というものがアメリカでは暫定基準が二千三百度、日本はそれよりもさらに低くして二千百五十度Fに押えた、こういう点が一番大きなポイントですか。
  11. 成田壽治

    政府委員成田壽治君) そういうことでございますが、ただ、これは日本最初大型化の炉でありますので、アイスコンデンサーという新しい事故時の装置採用になって、日本では最初でございます。アメリカでは採用になっている炉が建設になっておりますが、そういう新しい大型化に伴う事故時の装置という点もありまして、この点につきましても、安全審査会の中に特別のグループをつくって慎重に検討して、事故時において十分機能するという実証を得て、結論が出ております。
  12. 辻一彦

    辻一彦君 第二のアイスコンデンサーはそうでありましょうが、まだアメリカでこれは実際的には動いていない装置ですね。それを、安全を見ておられるわけです。  そこで、私は、この緊急連絡装置ECCSがかりに動かなかったとしてもだいじょうぶなんだという根拠は、二千三百よりもきびしく、二千百五十にしたというところに一番大きなポイントがあるように思うのですが、これはそうなのか、もう一度確認したい。
  13. 成田壽治

    政府委員成田壽治君) ECCSブローダウン中働かないかもしれないという懸念、これはアメリカで十分検討されまして、二千三百度以下ならだいじょうぶである、したがって、一九六八年以降の新しい炉についてはだいじょうぶであるという検討が出ておりまして、そういう意味では二千三百度以下であればだいじょうぶだということは言えると思いますが、ただ、安全に安全をとって、大飯の場合は二千百五十度にしたということであります。
  14. 辻一彦

    辻一彦君 その論議は、ひとつ、これからいたしたいと思います。  そこで、山田原子力委員に見えてもらえばよかったのですが、ゆうべ私はその資料を見て、これはどうしても一応聞いておかなければいけないと、こういうことで取り上げましたので、そのことを詳しく知らしてなかったので、ちょっと準備の点もあろうと思いますが、その点、予解いただきたいと思います。  私は、AECモーリスさんの話をちょっと聞いたのですが、このモーリスさんという人はどういう人かというと、これは、アメリカAECの、日本語で原子力規制部長とか局長とかいうことをちょっと聞いたのですが、どういう方であるか、どういう責任を持っておられる方か、そういうことを伺いたいと思います。
  15. 成田壽治

  16. 辻一彦

    辻一彦君 そうすると、アメリカAECの、原子力委員会原子力規制部長と、こうなれば、まあ陣容は二百名ぐらいおるところですね、その部長だということで、原子力規制についてのアメリカの第一線における一番の責任者と、こういうふうに考えていいんですか。
  17. 成田壽治

    政府委員成田壽治君) 規制に関しては担当部長でありますので、そう考えていいと思います。
  18. 辻一彦

    辻一彦君 それでは、私は原産会議におととい行って、そしてあのときに、アメリカ原子力委員のダブさんの話を午前中は聞きました。それから、そのときにもらった資料皆さんもあると思いますが、原子力産業新聞が出している三月十六日号に、「ECCS問題その後の動き」というのがあります。これをごらんになればわかりますが、そのモーリスさんが、緊急冷却装置が非常に問題があるということで出された意見書があるんですが、それを科学技術庁のほうではもう入手されて、御検討になっておられるかどうか。これは局長にひとつ聞きたいのですが。
  19. 成田壽治

    政府委員成田壽治君) いままでのところ、局で入手しているか、ちょっとはっきりしないのでございます。
  20. 辻一彦

    辻一彦君 じゃ、こう書いてあるのですが、これは新聞皆さんもお持ちであると思いますけれども、「AEC資料公開」、こういう見出しで、「AECは、最近ECCS問題の公聴会に関連して約六十点に及ぶ内部資料を公表した。」として、「その中にはECCS暫定基準が必ずしも十分ではないのでECCSが改良されるまで発電所許可はストップすべきであるというAEC原子炉基準局システム性能部長モーリスローゼン氏とその部下のロバート・J・コルマー氏の意見書も含まれている。」と、こうありますね。そのアメリカにおける原子力委員会原子力規制についての最高の現場における責任者が、緊急冷却装置が問題があるので改良するまでは発電所許可はストップしろと、こういう意見書AECに出しておるのですが、これは私は非常に重要な問題だと思うのですが、これについて見解はどうですか。
  21. 成田壽治

    政府委員成田壽治君) 暫定基準についての公聴会等においては、いろいろな意見が出ておることは聞いておりますが、担当部長がそういう形で言っているということは聞いておらないのであります。それで、二月に安全審査会担当先生が数人アメリカへ行きまして、ECCS問題について、アメリカ担当者あるいは研究所等も訪問しまして、実地に調査してまいっておりますが、その先生方の話でも、そういうことはおっしゃっておらないので、それは確かでないというふうにわれわれは考える次第でございます。
  22. 辻一彦

    辻一彦君 そうしますと、原子力産業新聞がこれだけのスペースをとって公表している内容というのは間違いだということになりますよ。次にこう書いてありますよ。「今回公表されたAEC内部資料によるとECCSについては次の諸点で問題のあることが明らかとなった。すなわち①ECCSに関する暫定基準安全性に関して十分な余裕をみていない、②冷却水注入路の閉鎖というような事故要因が充分に解明されておらず、それに対する考慮が不足している、③今までの実験データは現在建設されている大型発電所と全く別個のものである、④冷却材喪失想定事故の結果を計算するのに使用されているコンピューターコードは非常に粗雑なもので、精細なデータを備えていない」と、これにこう書いて、いわゆるモーリスさん、原子力規制部長が出した意見書の中にあるわけなんですね。これが正しいとすれば、そこで問題は、そのあとに、モーリスローゼンさん、それからコルマー両氏が出している中には、「軽水炉安全性審査に用いられているコンピューターコード問題点を指摘し、コンピューターコードの能力と限界が明確になり軽水炉安全性に関してより正確な判断ができるようになるまで六~十二カ月間原子炉出力上昇を禁止する措置をとるように勧告した。」とありますが、現に動いておるものでも問題があるから出力を落とせと、こういう意見書原子力規制部長が、内部ですが、出している。それはいままで公開されなかったけれども、六十点に及ぶ資料AEC公開した中で明らかになったということですね。  さらに、そのあとに、問題は、こういう点があるんですが、「AEC暫定基準では被覆管最高温度華氏二千三百度となっている。安全審査採用されているコンピューターコード計算結果によるとウェスチングハウス社のインディアン・ポイント号炉華氏二千十五度、シオン炉は二千四十度、アイランド炉は千九百五十五度、アギーレ炉は千九百九十度、コンパッション・エンジニアリング社サン・オノフレ二、三号炉は千八百五十度ということになっている。これらはいずれも暫定基準の二千三百度以下であるが、ローゼンコルマー両氏によるとこれは決して原子炉安全性を保証するものではなく、不十分なモデルによるこのような計算結果は反対に正しい判断を妨げる有害なものであるということになる。」と、こういうことがこれに載っているんですよ。しかも、これは、アメリカ原子炉最高規制部長という責任者内部に出している上申書にこういうのが載っている。  しかも、皆さんが、大飯原電が、一番安全であるという二千三百度が二千百五十度だと、だからだいじょうぶだと言うけれども、もうアメリカのいまの原子炉を見るというと、千八百五十度というのがあるわけですよ、もし温度だけで言うならば。だから、いつも常に、アメリカよりも基準をきびしくして、そして安全だ安全だと言われますけれども、この二千百五十度というのは、千八百五十度というのがあれば、そういうことは私はもうたいしてあまり問題にならぬと思うのですよ。しかも、一番この責任者であるモーリスさんが、こういう意見を具して、内部で問題にされている。しかも、アメリカは、百万キロワットは、ここ最近一年ほどはほとんど許可をしていない、こういう状況を見ると、これは、環境の問題もありますが、私は、こういう安全上まだまだ解明されなくてはならないという問題から、許可を押えていいんじゃないかと思いますが、いま私が読み上げたこの内容について、まあ技術的に専門山田さんがおられれば一番いいのですが、ちょっと局長に聞くのを気の毒に思いますが、そこら、ひとつ、どうお考えか、聞かしてください。
  23. 成田壽治

    政府委員成田壽治君) 先ほど言いましたように、安全審査会日本権威者が三人ほど参って、AEC担当者とも十分話し合って、そういうことは聞いておりませんので、その新聞がはたして正しく伝わっているかどうか、十分調査して御報告したいと思います。  ただ、AEC規制部長はピーター・モーリスという方なんですが、それが同一人であるのか、私にもちょっとその点を十分確かめ得ない、はっきり申し上げられないのであります。それで、そういう実情の調査のために安全審査会専門家を二月に数週間にわたって調査に参らせたのでありまして、その新聞記事の正確さについては、もうちょっと調べてみないとわからないわけでございます。
  24. 辻一彦

    辻一彦君 それじゃ、モーリスさんの名前だけではわかりませんから……。ただ、アメリカのこの原子炉基準局システム性能部長、こういう性格というのはどういうものか、おわかりですか。
  25. 成田壽治

    政府委員成田壽治君) 基準局性能部長――AECの機構は、ちょっとはっきりわかりませんので、その点、調べた上御報告いたします。
  26. 辻一彦

    辻一彦君 じゃ、その点は一ぺん確認していただきたい。私は、こういう、モーリスさんというのは同じであっても、規制部長性能部長の役職を見れば、その差があると思いますから、その違いがあると思いますから、だから確認をしていただくことが一つと、そしてAEC性能部長責任者であるそのモーリスローゼンさんのほうはこういう内容を言っておるわけですが、この新聞に出ている内容がどういう正確さを持っているか、こういうことを調べてもらいたいと思うんですよ。  同時に、ここに出された、この公表された報告書ですから、この意見書というものは要請すれば入手できると思うんですよ。だから、これをひとつ、原文でけっこうですから、AECのほうに要求をして、これを入手していただきたい。委員会に、一部でいいから提出を願いたいと思います。その点、ちょっと確認しておきたい。
  27. 成田壽治

    政府委員成田壽治君) その報告書等については、できておったら早急に日本へもらって、委員会にお届けするようにいたします。
  28. 辻一彦

    辻一彦君 この問題は、私は早急に資料を手に入れてもらって、その上でこの問題を取り上げたいと思います。  ただ、私は、ここで指摘しておきたいのは、アメリカAEC性能責任を持つこちらのモーリスさんのほうがあげている内容ですね。日本原子力委員会が、アメリカは二千三百の暫定基準だから二千百五十度でいいんだ、これで非常に安心だ、だいじょうぶだ、緊急冷却装置が動かなくてもだいじょうぶだという根拠は、二千三百を二千百五十にしてあるから、こういうふうになっておりますね。ところが、この記事資料によると、すでに、さっと読みましたが、サン・オノフレの二、三号炉は千八百五十度と、こういうことになっているわけです。千八百五十度。だから、このことは私はよくひとつ確認をしてほしいのですよ。緊急冷却装置アメリカ実験をやって動かなくなったということがたいへんな問題になった。そこで、日本原子力委員会のほうでは、かりにそれが動かないとしても、大飯原電安全性が立証できる根拠は、アメリカの二千三百というのが二千百五十度に百五十度低く押えてあるからだいじょうぶだと、こういう根拠ですが、ところが、すでにアメリカのほうでは、まだ千八百五十度と、そういうように直されている点があるわけですから、私は、緊急冷却装置が動かなくなった場合に、その問題だけで、安全であるかどうかということは言い切れるかということは非常に問題があると思います。  それから、資料提出を待っての上でありますが、常に、アメリカのいかなる基準よりもきびしいんだ、きびしいんだということをいろいろ出されておりますが、いままで私が質疑を通して、いろんな点で、それは考え方相違であるというように、この間、有澤原子力委員は言われましたが、私は、科学考え方相違ということはなかなかないんであって、数字を並べれば、それは甘いか、きついかということはわかるわけでありますから、そういう点で、いつもきびしいと言うけれども、この問題に限っても、明らかにアメリカよりも甘い、この数字だけを見るならば。千八百五十度と二千百五十度とはどちらがその数字が多いかといえば、二千百五十度のほうが三百度高い。それだけ甘いということになりますね。だから、これは資料確認を待ってでなければ論議はできませんが、そのことを私は一つ重大な問題であるということを指摘して、次に進みたいと思います。  なお、その資料は、普通考えてどのくらいの時間で入手できるか、見通しはどうですか。
  29. 成田壽治

    政府委員成田壽治君) ちょっと具体的に当たってみないとわかりませんが、なるだけ早くお届けしたいと思います。  それから、そういう公聴会等における申し入れ書等は多少おくれるかもしれませんが、規制部長モーリス氏の証言等については、大使館等も使って極力早くお届けするようにいたします。
  30. 辻一彦

    辻一彦君 可及的すみやかに実現するように希望します。  次に、私は、きょう問題にしたがった環境温排水の問題に入りたいと思うわけです。  まず第一に――水産庁、見えておりますね。この科学技術庁のこの前の報告、それから大飯住民組織原子力委員会に対して出した公開質問状に対する――これは原子力委員会の名で出されていないということを非常に残念に思うのですが、その中身に、また、これらの報告中身もそうでありますが、大飯原電で一、二号炉が稼動すると温排水一度差は半径二千メートル、二キロの範囲である、こういうような報告があったというふうに思っております。それは間違いないか、どうですか。
  31. 成田壽治

    政府委員成田壽治君) あの返事におきましてはそう書いておりますが、ただ、たしか根拠も書いておるはずでありまして、これは一昨年の十二月に福井県の水産試験場丹生浦における実測がなされまして――これは美浜発電所排水口についての調査であります。その調査から類推をしまして、出力違い等から推測すると、摂氏一度以下となる範囲は約六平方キロメートルで、等価半径では約二キロメートル程度となります。これは計算上の値でございまして、根拠も明記しているはずでございます。大飯発電所については、まだ、もちろん、これからできる発電所でありますので、実測等はなされていない値でございます。
  32. 辻一彦

    辻一彦君 では、私は水産庁のほうに伺いたいのですが、私も福井水産試験場のほうへ行って調べて、この温排水の拡散に関する一つの式があるわけですね、そういうものによって出したものをもらったのですよ。それを見ますと、美浜一号の場合は千二百メートル、一、二号炉では二千二百、これに三号炉が加わると四千百というようになっておりますが、まず私は、大飯のほうからですが、ここに図示してもらった内容によると、一号炉半径二千九百メートル、三号炉で大体六千メートルというような図が計算上出てくるというように、ちょっと前でありますが、もらったのですが、六千メートルと二千メートルは、これは半径ですから非常に海域が違いますが、水産庁のほうには、こういう問題についていろいろな資料あるいは算定する式があるはずですが、それについてどうですか。
  33. 松下友成

    説明員(松下友成君) 温排水の拡散につきましては、物理的な式を用いまして計算しているわけでございますけれども、大飯温排水の拡散の範囲につきましては、ただいま原子力局長から答弁がございましたように、もちろん、実測できるわけではございませんので、推定いたしておるわけでございますが、大体温度差一度くらいが二千メートルくらいというように推定されております。
  34. 辻一彦

    辻一彦君 それは、あれですか、大飯原電の一、二号炉二つが動いた場合ですか。
  35. 松下友成

    説明員(松下友成君) 一基だけでございます。
  36. 辻一彦

    辻一彦君 成田局長に伺いますが、二千メーターというのは一基のことを言っておられるのですか、二基のことを言っておられるのですか。
  37. 成田壽治

    政府委員成田壽治君) うちのほうの推測の根拠は、大飯発電所が一号基と二号基、両方動いた場合の計算でございます。
  38. 辻一彦

    辻一彦君 これは、科学技術庁のほうは、計算すると二つ動いて二千メーター、水産庁のほうは一つで二千メーター。だいぶ数字根拠が違うのですが、どういう根拠でそういう計算をはじかれたか。ちょっと両方違うのですが、どうなんですか。
  39. 成田壽治

    政府委員成田壽治君) うちのほうでやりましたのは、先ほど言いました福井県の水産試験場美浜発電所排水について行なった調査、これは、それを等価半径に換算した計算を、二百二十数万キロワットの大飯発電所の一号、二号炉について計算を当てはめてやったのでございます。
  40. 辻一彦

    辻一彦君 これは、何かありますか。百十七万五千キロワットが一つですから、それで二千メーターというのと、二つになれば二百三十五万ですから、それで二千メーターというのは、これはずいぶん違うわけですよ。しかも、こういうのは大体水産庁で研究した火力発電所等の拡散の式があって、そういうものではじけば、そんな大きな違いが出るはずはないのですが、原子力委員会計算した式というのは、一体どういうのですか、その根拠になる数式は。
  41. 成田壽治

    政府委員成田壽治君) これは、委員会というより事務局でやった式でありまして、ここに式がございますが、たとえば二度Cで半径が一・三キロになりますので、一度では二キロになるという計算をやっております。こまかい計算式は、ここにございますが、ちょっと省略させていただきたいと思います。
  42. 辻一彦

    辻一彦君 これは、だいぶ数字が違うので、水産庁のほうに、これは前から伺うと、東海水試で拡散の式はある程度確立されているというふうに思っておるのですが、その式から計算すれば、何メーターになりますか。
  43. 松下友成

    説明員(松下友成君) 水産庁で推定いたしておりますのは、出力が約百万キロ程度ということでございまして、毎秒七十トン程度の排水、そういった条件を仮定いたした場合に、平均いたしまして排水口から八百ないし一千メートルで温度差二度程度、二千メーター前後で温度差一度というふうに結果は得られております。
  44. 辻一彦

    辻一彦君 これは、水産庁がいろいろ試験をされている。しかも、私の持っている、もらった資料は、これは福井県の水産試験場がはじいているのですから、水産庁の持っておられる資料に基づいて計算されていると思うのですね。それによると、このほうが一番大きいのですよ。二千九百メーターと、一度差の場合には約六千となっておりますが、そこの差はいろいろあるようですが、一基と二基と数字が同じというのでは、どういう計算でやっておられるか、私、ちょっとわからない、その点が。で、水産庁と、それから科学技術庁のほうで、温排水の拡散の計算した数式を、ひとつあとで、それぞれ出していただきたいと思うのです。そうすれば、はっきりすると思います。  そこで、もう一つは、この美浜原電についてですが、この間の私の質問で、美浜をなぜ原子力委員会は三日間で結論を出したのかと、こういう質問に対して、答えは幾つかありましたが、温排水については、一、二号炉の方向と三号炉の方向が全く方向が違うと、こういうお話であった。もう一度そのことをひとつ確認したいのですが、どうなんですか。
  45. 成田壽治

    政府委員成田壽治君) この前、有澤委員が、たしかそういう御答弁をしておりますが、一号、二号と三号と、排水口の方向が違っております。
  46. 辻一彦

    辻一彦君 どのくらい違っているというように見ておられるのですか。
  47. 成田壽治

    政府委員成田壽治君) 一、二と三の排水口の方向の違いは、約六十度ぐらいじゃないかというふうに見ております。
  48. 辻一彦

    辻一彦君 私は、三月十三日に、念のために大飯原電、高浜、美浜原電を一日かかってずっと見てまいりました。この美浜の一、二号炉排水口と、三号炉の予定されているところというのを、現地に行って建設所長の案内で見てきましたが、これはなるほど離れていますよ、七、八百メーターほど。しかし、一つの海岸線に、一、二号炉は一緒のところにあり、三号炉は離れてつける。その排水の方向を、それは一番最後は、みぞですから、この角度をある程度変えることはできるでしょう。しかし、それは、この前の御説明では、違った方向につけるということは、地形上、こっちが北を向けばこっちが東につくとか、そういう問題ではなしに、一つの海岸線の中で、出てくる水の一番あとのみぞを少し角度を変えるという程度の方向の違いのように私は考えるのですが、そうなんですか。
  49. 成田壽治

    政府委員成田壽治君) 同じ海岸線でございますが、その中間がちょっと出っぱったようなかっこうになっておりまして、一号、二号の排水口と六十度ぐらい違う角度で海面に出ている三号の排水口とは、かなり違った角度の拡散等の影響は示すものではないかと考えております。
  50. 辻一彦

    辻一彦君 私、現場の所長に、一体どっちの方向を向けるのだと聞きましたら、まだきめていないと言っていました。そして、確かにそれは、みぞをつくるのですから、こっちに向けるか、こっちに向けるか、みぞを動かせば、同じ海岸線でも方向は違いますよ。だけれども、北と東というほど方向が違えば、これは拡散にうんと違った値が出ます。同じ方向を向いて、その場所の差によって角度をある程度変えるという点では、これは私は、そういうものはあまり問題がないというような結論を出すということは、技術的にいってもできないのじゃないか。だから、拡散の方向が全く違っているのならばいいけれども、あの程度の海岸線に並べてやる場合に、もっと温排水の拡散について慎重な検討をすべきではないか、そういうふうに思いますがどうなんですか。
  51. 成田壽治

    政府委員成田壽治君) まだ確定していないというお話ですが、この審査の際に図も出ておりまして、これでは六十度ぐらい離れております。ただ、これが実際一、二号の排水口の水と三号の排水口の水の拡散等の影響がどうなるか、これは今後十分実態調査をやって判断しないといけませんが、六十度――九十度近いかっこうで離れているということは言えますので、一緒にした場合とは相当な違いがあるというふうに考えておりますが、この点は、実態調査をよくやった上で、また検討したいと思います。
  52. 辻一彦

    辻一彦君 一カ所に三つやって一ぺんに流せば、その半径は長くなりますね。しかし、一号、二号と三号と分ければ、なるほど半径は短くなるんですよ。だけども、今度は、広がる海域というのは、また違った影響が出ますよ、横の広がりから言えば。だから、こういう問題は、これだけ温排水の問題ということが日本の水産業界で非常に問題になり、そういう中で少なくとも安全審査をするその過程で、これは温排水は別だという見解のようでありますが、それはあとに論ずるとして、それならば、原子力委員会がそういう認可の結論を出す前に、当然、この現地に行って、これだけ問題になっているのです、調べるのがあたりまえであって、書類を見て、どっちを向いているか見ながらやろうという、ここの現地へ行って、そういうのを一ぺん確かめて、確認をして、心配がないというような、そういう段階を踏んで原子力委員会は少なくも結論を出すべきでないか。三日で出されたということは、私はどうもふに落ちないので、現場へ行ってみると、そういう問題があります。そんな点も、ひとつ、どう考えますか。
  53. 成田壽治

    政府委員成田壽治君) 安全審査会では温排水の問題は直接の対象にはなっておりませんが、事務局からのいろいろなデータ等によって、いろいろ判断はしておるのでございます。ただ、温排水の影響につきましては、非常に地形その他海流、気候、いろんな要件によって違いますので、これはむしろ、いままでは小規模の実験から類推をした式を出してやっておりますが、実際は、実情に即して調査をやる必要があると思います。それから現地に対しては、安全審査会先生方も、これはまあ放射能主体の調査でありますが、何回か行って調査をしておるのでありまして、ただ、温排水の問題は従来安全審査会の対象になっておらない。それから、水の拡散がどうなって、それが魚族等に対してどういう影響を来たすかというのは非常に実態不明の点がありますので、実態調査をこれからやることが一番必要であって、その実態の調査の結果、プラス・マイナス――マイナスの面については、それはまたそれ相応の対策措置をとるという、そういう考え方でいままで原子力委員会はまいっておるのでございます。
  54. 辻一彦

    辻一彦君 まあ、安全審査会の中に、温排水は別であるという見解、それがいいかどうかはあとで論ずることにして、少なくも安全専門審査会温排水は別だという考えに立って審査をしてきたならば、これだけ問題になっている温排水を何で原子力委員会調査をしないのか、現場へ行ってそういう問題を確認をしないのか。私は、そういう段階というものをとって、少なくも原子力委員会は、もっと広い――安全審査会のほうが学問的な、いわゆる科学的なそれだけに限定されるならば、原子力委員会はもっと広範な問題を取り上げて検討して結論を出すというのが、原子力委員会の役割りではないかと思う。そういう点が、ずさんと言っては表現に問題がありますが、どうも慎重を欠いた、段階を踏まない、こういうふうに思うのですよ。先ほどから質疑を通しても、計算にしても、その問題を専門に扱った水産庁、試験をした水産庁と、それから技術庁の数字が非常に大きく違っている。それから美浜の現場における排水口の方向等についても問題がある。そういう点で、私は、原子力委員会はもう少し段階を踏み、必要な調査等を行なって美浜結論を出すべきであったと思いますが、この点について慎重さを欠いたと考えますが、原子力委員長、いかがですか。
  55. 木内四郎

    ○国務大臣(木内四郎君) 私は、かねがね申し上げておることですが、原子力平和利用、これは非常に大事なことでありますが、それについては何としても安全ということを第一にしていかなければならぬ。それも、科学的のことは、いま原子力局長からるる御説明申し上げましたように、最善の努力をしてやっておるつもりであります。それに対して、科学的のことだけではいかぬ、やはり私は、社会的ということばを使っていいか悪いか知りませんが、このごろ社会性ということを考慮しなくちゃならぬ。そういう意味において、地元の人あるいは影響を受ける人の理解と協力を得なくちゃならぬということ、常にその点に最大の努力を払っておるつもりでおるのですが、この温排水の問題などにつきましては、その地方の実情を最もよく知っておられるのは漁民の方、一番直接の影響を受ける漁民の方であります。そういう方々の御意向を企業者はよく伺って、そうして、プラス面もあるがマイナスの面もある。まあプラスの面は今後さらに進めていくように努力したいというふうに考えておるのですけれども、マイナスの面につきましては、企業者と漁業者との間の話し合いで大体解決すると、かように思っておりますので、そういう意味におきましても、この問題は慎重に取り扱っていきたいと思います。いまいろいろ御注意がありましたが、感謝にたえないのです。これはやはり何としても地元の方々、また諸先生方の理解と御協力を得なくちゃならぬのですが、そういう意味において、いろいろ詳細にわたって御検討を賜わっていることは非常にありがたいんであります。御示唆の点も頭に置きまして、今後遺憾なきを期してまいるように努力したいと思います。
  56. 辻一彦

    辻一彦君 長官の御答弁はいつも政治的で、あまり科学的でない点があると思うのですよ。ただ、前回のように、常識のほうがもっと優先する場合もありますから、けっこうですが、そこで、私は、そういう、少なくも原子力委員会がもう少し段階を踏んで調査もし、結論を出すべきでなかったかと、どうもその点の段階が踏まれていないので慎重さに欠けるじゃないかと、こういうことを申し上げたんですが、それについてはどうなんですか。私、助言をしているんじゃないんであって、質問をしているので、その点、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  57. 木内四郎

    ○国務大臣(木内四郎君) 原子力委員会におきましても、諸般の事情について最善の努力をしておるつもりですけれども、人間のやることですから、あるいは御指摘のように、足らぬ点もあるかもしれませんが、そういう点はいろいろ御注意を賜わって、そういうことによりまして今後できるだけの努力をさらに続けてまいりたいと、かように思います。
  58. 辻一彦

    辻一彦君 それでは、私は、足りない点があればもう一。へん検討することだっていいと思うんですよ。たとえば、原子力委員会の中に、この間、二月の下旬に環境安全専門部会とかいうのができて、二十数名の権威者が並んでいるのですが、まず、あれは一体何をするところなんですか。
  59. 成田壽治

    政府委員成田壽治君) 二月の末に原子力委員会にできました環境安全専門部会、これは、まあ最近問題になっておりますところの原子力発電に伴う環境安全等の問題をやることになっておりまして、たとえば温排水問題その他、いろんなモニタリングの問題とか、それから低レベルの人体、生命等への影響の問題とか、いろいろ検討の結果、テーマをきめて分科会等もつくって、そして今後いろいろな対策を考えていくところでありますが、ただ、その場合、温排水については、まあ非常にいろいろな問題がありますので、今後いかに実態調査をやり、またそれに対する対策を考えていくかという、そういう分科会をつくってやる方針になっております。  それで、温排水の問題は、いままでに安全専門審査会審査対象でなくて、従来、地元の問題、当事者、事業者と漁業あるいは地元民との問題として処理してまいっておったんでありますが、最近いろいろ環境問題が重要な問題になってまいりましたので、この問題も、政府としても、まず必要なのは、どれだけのマイナス面の影響があるか実態調査することが一番必要で、いままでそれは、どこも、実態がどれだけあるかというのは具体的にはつかんでおらない状態でありますので、おそらく専門部会の答申でも、実態調査のために国家としてもいろいろな財政的なことも考えろというような話も当然出てまいるんじゃないかと思います。  それから温排水については、御承知のように、環境庁の水質汚濁防止法で基準がつくられることになっておりますが、実態調査で十分把握した上で基準をつくるということになると思います。そして、その温排水基準法律によってできた場合には、当然、原子力の許可においてもそれを考慮して、取り入れてやるべき問題だと思いますが、現在のところ、その規制基準ができておらない。それから実態調査もこれからやるという段階でありますので、環境庁等とも十分よく相談をしまして、今後実態調査をどうやってやるか。その上でいろいろな措置をどう考えるかということも、まあこれは原子力だけでなくて、火力発電の場合も同様でございますが、特に原子力の面からもそういう方針でやってまいりたいという考えで、先月末に環境安全専門部会が委員会に設置されたのであります。
  60. 辻一彦

    辻一彦君 安全専門審査会でも温排水は取り上げない、原子力委員会も取り上げない、といって、そしてこのあとは、何年かあと規制がきまったらそのときに考えようという、そういうことでこの原電審査というものが行なわれて、認可されて、どんどん進んでいっていいのかどうか、非常に私疑問に思いますね。これは御存じのとおりですが、一昨日の原産会議の総会においても、あのダブさんが一時間半ほど講演をしていましたが、あの中身を聞くと、やはり環境という問題が、それから熱公害ということがいま最大の問題になっていると、かなり具体的に報告をやっていましたですね。それで、その環境レポートというか、いわゆる審査が進まない一番の原因は、環境についてのいろんな報告書がなかなか全部そろわないといいますか、準備がなかなかできないからだと、これが一番大きな原因のようになっておったと思います。そういう点で、アメリカでも環境温排水などが非常に大きな問題になって、原電審査の段階がやっぱり非常におくれている。日本の場合は、温排水安全専門審査会でも、らち外だとかいって、これは別にして、原子力委員会でもあまり配慮が十分でなかったということでありますが、これも見過ごしている。そしてあとは、これは調査をやって規制する何か基準が出たら考えましょうと、こんなことでどんどん進めていいのかどうか。温排水ということは、環境の問題ともからんで、こういうやり方でスピードを上げて全部認可をして進めていいのかどうか、非常に私は問題だと思いますが、その点、どうですか。
  61. 成田壽治

    政府委員成田壽治君) 確かに、アメリカで、昨年の七月のカルバートクリスフス原子炉の判決問題以来、環境保全というのが非常に大きな問題になった。特に温排水の問題。で、アメリカは、海岸に出しているのもありますが、内陸発電所も相当ありまして、河川とか湖沼等に出しておって、温排水の問題は、全部海洋に出している日本と違う点もありますが、日本においても、やはり温排水問題、環境問題が非常に重要になってまいっているということはわれわれも当然考えておりますが、ただ、先ほど言いましたように、実態調査が十分でない、それから法的な規制がまだ何らできてないという立場にありますので、いままでのように当事者間の問題だけにまかせてはおけないというふうには考えておりますが、これはまあ、県なり地方公共団体等にいろいろな調査の援助等もやって実態の調査をやって、そうして非常に弊害が、マイナスの影響が多い場合は、そのためのまた措置を事業者にとらせ、また法的な規制基準ができた場合には当然それに従うということ、それは今後の問題でありますが、ただ、その温排水の問題がわからぬから、影響がわからないから原子炉の設置許可をやらないというたてまえは、いまのところ、原子力委員会ではとっておらないのでありまして、ただ、実態調査をやり、基準ができた場合には当然従う、それはまあ、いろいろな工事方法の認可とか設置許可以降の規制のやり方もありますので、基準等ができた場合は当然それに従ってやると、そういう考えでおるのでありまして、ただ、先ほど言いましたように、決して原子力委員会なり政府が温排水問題を含めて環境問題をおろそかにしているということではなくて、非常に重要な問題になってまいりましたので、原子力委員会でも環境安全専門部会をつくっていろいろ対策を考えるということになっておるのでございます。
  62. 辻一彦

    辻一彦君 まあ、アメリカの例が出れば、内陸や湖という例が出ると思っておったんですが、一つ、これ、私ちょっとさがしたんだが、資料が向こうに置いてあるので、いますぐ読み上げるわけにはいきませんが、海岸で温排水の問題が非常に問題になって、六十億かお金をかけて、水路を変えたですね。そういう例が現実にアメリカにありますね。だから、その温排水は内陸や湖の問題であるから海岸の問題じゃないとということはないということだけは、私、はっきりしておきたいと思いますよ。いつもね、皆さん、答弁の中には、一つだけ、アメリカではそうじゃないのだという例を最初に出されて、ずっとお話が続きますが、この点だけはひとつ指摘をしておきます。  そこで、日本では温排水の問題をとらないとおっしゃるけれども、アメリカ環境問題の中で温排水、熱公害の問題が非常に大きくなって、この問題が、環境レポートがそろわない一番大きな原因になっている。言いかえるならば、環境温排水の問題が大きな問題になって、アメリカでは大型の原子炉の認可がなかなかできないということになっておるわけですね。日本はね、安全専門審査会原子力委員会もそれをとらないのだという、そういうことでは私は済まないと思うのですよ。これだけの問題になってくればね。しかも、計算の点においても、私は、それからその現場の状況を見ても、問題があるとすれば、ここに環境安全専門部会というのを原子力委員会が新しく二月に設置をしたならば、少なくも私は、美浜大飯温排水に関する問題は、そこでもう一ペん検討し直すべきであると、こう思いますね。そういう点、原子力委員長、どうですか。せっかくつくられた機関、何も――まあ何かやっておられるでしょうが、局長の答弁では温排水環境安全専門部会をつくった一番最初に出てくるねらいのようですが、いま一番大事な問題があるとすれば、少なくも私は、そこでもう一ぺんその問題を再検討すると、こういうふうにしてもらいたいと思いますが、どうですか、委員長
  63. 木内四郎

    ○国務大臣(木内四郎君) 温排水の問題、いろいろ御心配になっておる、まことにごもっともであります。この点につきましては、すでに御案内だと思うのですが、イギリスからもこの専門家が参っておりまして、イギリスは大体海のほうへ向けてやっておるものですから、温排水は自分のほうじゃ問題にならないと、こういうことで、イギリスの専門家が、原産の会議でも、あるいは座談会その他でも、述べておることは御案内のとおりだと思います。しかし、アメリカのほうでは、まあ主として河川のほうに出しておる。そこで、まあ温排水の問題が、海に直接出すものに比べて少し問題が多いことになっておる。これはまあ当然のことだと。ただいま例外の問題もありましたけれども。  そこで、問題は、さっきも私が申し上げましたように、今日までやっておらぬというのじゃなくて、これは、その事情、温排水の影響を最もよく知っておるのは、やはり地元の漁業の関係の人たち。この温排水がどういう方向に流れる、どういう影響を漁民に及ぼすというのをよく知っておるその人たちの意見を十分徴して企業者は今日まで補償の問題を大体解決しているというのが今日の現状です。  このアメリカのカルバートクリフスのこの判決において、環境の問題についても原子力委員会において考慮して、意見を、ステートメントをつけて出せと、こういう判決になっておることは御案内のとおりですけれども、このアメリカにおきましても、まあ、NEPAですか、環境保護法が出まして、それを適用して、環境の面を、原子力委員会においてもそれに対する意見を、ステートメントをつけて出すべきだと、こういうのでおくれておるというようなことだそうです。そこで、きのうアメリカ原子力委員のダブ氏が私のところに参りまして、一時間ばかり懇談をしたんです。その際、カルバートクリフスの判決のためにアメリカ原子力発電の何かが非常におくれておるということはこちらの新聞その他でよく聞いております一それは全く反対だ、こういうことをはっきり私に、明らかに言いました。そういうことは全然ないのみならず、最近は、これを促進する法律、もっと原子力発電の認可を促進すべきであるという法律がいま出されていて、しかもそれが通る望みだということまでつけ加えて、そのためにおくれておるということは全然ないということを、私、はっきり聞きました。それは、先ほど原子力局長が、アメリカ安全審査の方々が行かれて向こうでいろいろ聞かれて、これは問題ないと言われたそのところと、やや符合をしているんじゃないか、こういうふうに考えております。  しかし、わが国におきましても環境の問題というのが非常にやかましく、といいますか、重要性を持ってまいりましたので、従来におきましては、さっき私が申し上げましたような方法で解決しておりましたが、今後におきましては、環境と安全の問題にも大いに力を入れていかなきゃならない。いままでは違った方法でやっておったが、今後は、そういう点についても原子力委員会としても、いま法律はないけれども、アメリカのカルバートクリフスの判決にあったように、原子力委員会環境問題に対するステートメントをつけて出せ、こういうことを言われたその判決の趣旨と符合するような考え方で、今度、安全管理、環境の問題というものを研究する特別の部会を設けて今後研究してまいる、こういうことになっておるんですから、それはいま原子力局長から御説明申し上げたとおりであります。その点もひとつ御理解、御了解願いたいと思います。
  64. 辻一彦

    辻一彦君 私は、せっかくできた環境安全専門部会ですか、ここで、問題になっておる温排水論議もけっこうですが、美浜大飯について温排水の部面だけ、もう一ペん検討してもらいたいと思うのですよ。きょうの新聞を見ると出ていますが、イギリスのファーマーさん、この人の私は見解だと思うのですね。これは私が聞いたんじゃない、新聞に出ているシンポジウムの記録を見ると、こういうことを言っておりますよ。きわめて問題になる発言をしておる。それは、「原子力産業と他の化学産業の事故が基本的には同じだ」、こういう見解に立っているんですよ。学術会議の田島さんがすぐ反論しております。いまの御意見というのは非常におかしい、一つは、ほかの産業と原子力は同じだという点では、この路線を、この考えを進めていくと、原子力産業は他の産業並みのところまでどんどんルーズにしてもいいということになってしまう、むしろ、すべての産業が原子力のような、きびしい、そういう規制にならうべきだというふうになっていかなくてはならぬ、こういう点で原子力のこの問題は特にきびしさが要求される、こういうことをすぐ反論しておりますが、いま言われたファーマーさんの考えとは、温排水を海や川に流している、問題はない、こういうことを言われているということをさしていると思いますが、こういう考えに立つ人の考えとしては非常に問題があることが一つと、それから、ダブさんがそういう話をしたということですが、一時間半講義をした中に、はっきり言っていることは、五つの例を除いて、五つの例を除いては、あとは認可というものが進んだ、こう言っておりますよ、なるほど。しかし、五つの例がどういう問題があって認可されていないのか、こういうことを長官聞かれましたか、その点。五つというのは、海岸であるとか、環境上、温排水上そういうことが問題になって認可がずっとできないところが五つある。それを除いては進んでいる、こういうことをちゃんと言っておりますよ、このときに。私は、この五つの中に入るケースというものが非常に問題あると思うのですよ。その点は、どういうお話を一時間もされたのか、そういう問題に触れられたかどうか、ちょっと聞かしていただきたい。
  65. 木内四郎

    ○国務大臣(木内四郎君) 私が申し上げているのは、カルバートクリフスの判決におきましては、環境に対するステートメントをつけてきなさいと、環境問題も原子力委員会でやはり一応これから先は考えたほうがいいんじゃないか、こういう趣旨の判決であると私は了解しておるんです。そこで、その五つの問題についても、ステートメントがないから、そういうことでですよ、問題になったのは。そういう点がいまの問題になっておる。ほかにどういう理由があるかということは私は承知しておりませんけれども、環境の関係で、判決は環境に対するステートメントをつけてきなさいということですから、その点だけを私は申し上げたので、そのほかの問題については私は申し上げているわけではないので、その点は誤解のないように、ひとつお願いいたしたいと思います。
  66. 辻一彦

    辻一彦君 これだけやっているのですが、五つというのは、環境レポートやその他の五じゃないのですよ。五つの発電所が認可されていないというのです、問題があるから。そういうのは環境レポートがつかないから認可されてない。五つを除いて、ほかの発電所は認めて進んでいる、こういうことなんですから。その五つというのは、海岸があるとか、いろいろな問題があるということなんですよ、立地上。そういうことを五つの例の中について長官聞かれたか、こういうことを聞いている。聞かれなければ、それだけでいいのです。
  67. 木内四郎

    ○国務大臣(木内四郎君) いまお話しのように五つの問題があるいはあるかもしれません、私は聞いておりませんけれども。私が聞いたのは、カルバートクリフス判決の趣旨のことを聞いたのでありまして、それは環境に対するステートメントをつけてきなさい、こういうことであるから、それはもう自分のほうでもそういうものをつけて、そうしてこれを促進する、こういう話を私にしておった。ほかには、まあいろいろな問題があるだろう。それは環境に対するステートメントの問題とはちょっと違うのじゃないか、こういうふうに思います。
  68. 辻一彦

    辻一彦君 まあ、これは繰り返しませんが、五つというのは、五つの原子力発電が、環境レポートやそういうものがつかないというので認可されていないということなんですよ。その五つの発電所中身は、海岸だとかいろいろの問題があって、環境上特に問題があるので、環境レーポトがつかないから認可がおくれている。ほかのほうは進んでいる。そんな問題の五つをやはり聞いてほしかったということですが、それはもうやめましょう。  そこで、さっき質問した環境安全部会ですね。新しく設置する専門部会ですか、大飯美浜安全専門審査会でもとり上げなかったし、原子力委員会においても美浜の場合は素通りだった、そういう点がありますから、この原子力委員会の中における環境安全専門部会において、温排水に限って、環境問題を含めて、もう一度検討していただきたいと思うのですが、それについてのお答えをいただきたい。
  69. 成田壽治

    政府委員成田壽治君) 環境安全専門部会は、温排水を含めて環境安全上のいろいろな問題を一般的にいろいろ検討する場でありまして、個々の発電所温排水をどうするかとか、そういう場ではないのであります。したがいまして、許可になりました美浜号炉等については、今後実態調査が行なわれ、そうして、あるいは政府の基準等ができた場合には、それをいろいろな実施上の運転上の規制、建設上の規制等において反映させていく問題であるというふうに考えます。
  70. 辻一彦

    辻一彦君 私は、将来の問題よりも、今日これだけ温排水が問題になっているならば、どっかでこの問題を取り上げて問題にすべきですよ。これは、先に先に延ばして、何かの危険ができたら考えましょう、こういうことじゃなしに、だから、せっかくつくられている環境安全専門部会がそういう性格でないと言われるならば、私は、原子力委員会でもいいです、もう一度この問題があるということで取り上げてもらいたいのですが、その点、どうですか。
  71. 成田壽治

    政府委員成田壽治君) 美浜号炉温排水問題、これは排水溝が別になっておりますが、どれだけの影響があるかということは、われわれ実態的に十分検討していきたいと思って、これはまだ具体的なことを申し上げられないのでありますが、三号炉が稼動する前とそのあとの海洋の状況について、県等の水産試験場でも十分検討調査を長期的にやるような方法を考えたいというふうに、いま具体的な方法を、これは水産庁ともよく相談して、やりたいと思っております。ただ、これは先ほど言いましたように、原子炉の設置許可と直接に結ぶべき問題でなくて、いろいろまず実態調査をやり、そうして、その実態調査に基づいて規制等の措置が出れば、それに運用面において従っていくという問題だと考えておりますので、実態調査をまず進めていきたい。そのためには、国としても、予算はまだできておりませんので、何らかいい方法を考えていきたいと、そういうふうに考えております。
  72. 辻一彦

    辻一彦君 ちょっと時間が来たので、すれ違いになって、時間的に無理なようになりますが、私は、単に調査をすると、こういうことではなしに、何らかの公の場で、温排水の問題、環境の問題を、もう一ぺん美浜等についてはぜひ再検討してもらいたい。そのことをひとつ、この段階でありますから、要望いたしておきます。  そこで、環境庁にお伺いしたいんですけれども、来ておられますね。この安全専門審査会規制していないし、それから原子力委員会も、これは別の問題だということですね。あとは、環境庁の水質基準規制かなにか、それを待つような状況ですが、アメリカにおいては、さっきのNEPAによって、一番問題は、こういう環境上の規制というものがきつくなって、アメリカ環境庁のレポートがつかないと原子炉安全専門審査会を通らないと、こういうことになっているのですね。だから、環境庁の規制力というものはアメリカにおいて非常に今日強くなっているのだが、どうも大石長官にこの間伺って話を聞いても、法律的にはどうにもならぬというお話なんですが、こういう問題を一体どこが所管をして、どこが規制をするか、そういうことについて環境庁はどうお考えになっているか、お伺いしたいと思います。
  73. 山中正実

    説明員(山中正実君) お答えいたします。  現在、熱汚染の問題につきましては、水質汚濁防止法に基づきまして熱汚染は規制することができるようになっております。私どもといたしましては、現在、中央公害対策審議会の水質部会の中に温排水専門分科会を設けまして、早急に審査することに考えております。  以上でございます。
  74. 辻一彦

    辻一彦君 その水質規制基準とか、そういうものは一体いつごろつくられる予定ですか、めどですか。
  75. 山中正実

    説明員(山中正実君) 先生も御承知のとおり、温熱排水の問題につきましては、影響の調査が非常に問題がございます。というのは、御承知のとおり、定置性といいますか、ノリとか責とかいう、そこで定着しております水産動植物につきましては比較的影響度の調査が容易なわけでございますけれども、回遊性の魚等につきましては影響度が非常にむずかしいわけでございます。そういうことで、その影響度調査ということを、来年からさらに詳しく、先ほど御紹介申し上げました分科会でやっていただく。そして、一方、熱の拡散でございますけれども、先ほども科学技術庁の式、あるいは水産庁の式と、非常に拡散の方程式もまちまちでございます。そういうことで、実際問題の影響範囲ということの決定というものは非常にむずかしゅうございます。そういうことで、私どもといたしましては、昭和四十六年度におきましては、東電の姉崎火力発電所で、飛行機を飛ばしまして、赤外線写真で一応どのくらいの温熱排水の広がりがあるかというのを検査しておりまして、ためし焼きといいますか、そういうふうな写真ができておりまして、一応、影響範囲は、たとえば姉崎火力の場合には〇・二度まで識別できるようでございますけれども、それが大体六百メートルないし八百メートルくらいだというのがわかってきております。今後、来年度は、予算が成立いたしますれば大体四カ所ぐらい、そういうふうなモデルを設定いたしまして計測いたしまして、その結果をもちまして、一応、現在水産庁等で考えられております平野式という熱汚染の拡散式がございますけれども、そういうものとどういうふうな斉合性があるかどうかというのを、あらためて検討いたしまして、そういうふうな影響がはっきりいたしますれば規制基準を考えていきたい、こういうふうに考えております。
  76. 辻一彦

    辻一彦君 温排水の問題は、時間的に、もう少し聞きたいのですが、不十分ですが、最後に、十二月の内閣委員会においても、環境庁、水産庁科学技術庁から御答弁がありましたが、冬は関東のほうの東京湾を調査をして、それから春は敦賀湾、若狭湾のほうを調査をするという御発言であったわけですね。そこで、具体的にいま非常に問題になっておりますから、若狭湾の上空、それから水産庁では水上、垂直ですね。水上関係、科学技術庁、三者でいつ具体的にどういう調査をするか、長いことかからぬでいいですから、要点だけ、時間がありませんから簡単に聞かしていただきたい。
  77. 山中正実

    説明員(山中正実君) 現在衆議院で予算を御審議いただいておりますので、その予算が成立いたしました暁には、早急に航空機を飛ばしまして調査いたしたい。ただ、原子力発電所の上でございますので、飛行機の安全性ということも若干問題がございますので、そういう面も科学技術庁とよく相談いたしまして調査いたしてまいりたい。それから水上の問題でございますけれども、これは深度別に調査いたしたいというふうに考えております。
  78. 辻一彦

    辻一彦君 それは水産庁から伺いたい。水上、垂直に……。
  79. 松下友成

    説明員(松下友成君) 敦賀の浦底湾におきましては、四十四年以降、また福島の発電所周辺におきましては四十六年度から着手しておりますが、四十七年度も引き続きこの分布拡散の調査を実施してまいりたいと考えております。
  80. 辻一彦

    辻一彦君 この前、飛行機では赤外線で上かち水平に水温の分布がはかれる、垂直に海の底をはかるのには船を出さなければいけない――船は水産庁が出すのですか、環境庁が出してはかるのか、それはどうなんですか。
  81. 山中正実

    説明員(山中正実君) 水産庁のほうも連続してやっておられますけれども、同時に測定する必要がございますので、私どものほうで船を出してやりたい、こう考えております。
  82. 辻一彦

    辻一彦君 環境庁も船を出して垂直にはかられるわけですか。
  83. 山中正実

    説明員(山中正実君) はい。
  84. 辻一彦

    辻一彦君 そのとき水産庁と一緒にやるというわけでなしに、環境庁は環境庁でやられるのですか。
  85. 山中正実

    説明員(山中正実君) いま具体的には、どういうふうにやるか、水産庁とよく協議してやりたいと考えております。
  86. 辻一彦

    辻一彦君 それじゃ、おおよそのめどはわかったのですが、せっかくやるなら、ひとつ、別々よりも、水産庁も一緒に、できることならば船を出して、海の底のほうは水産庁が詳しいのですから、ひとつ一緒にはかっていただきたいと、こういうふうに思います。科学技術庁は、それについて、どうなんですか。
  87. 成田壽治

    政府委員成田壽治君) まだ具体的にきまっておりませんが、われわれは、地元の県の水産試験場がいろいろ具体的な調査をやるのが一番必要なんじゃないか。まあ、中央官庁のやるのと並行しまして府県の水産試験場等にやってもらうのが、しかも、これはかなり長期にわたってやってもらうのが一番効果的でないかと思って、この点も、さっきの専門部会等でも検討し、あるいはやることが必要なら、これは環境庁、水産庁とよく相談しまして、実効のあがる方法を考えていきたいと思っております。
  88. 辻一彦

    辻一彦君 じゃ、せっかく三庁、環境庁、水産庁科学技術庁とあるわけですから、独自の調査も大事ですが、力を一緒に合わせてやってもらえば、もっと効果のあがる面もあると思いますから、連携をとりながら具体的にひとつ進めていただくように願いたいと思います。  そこで、私、きょうは環境問題にさらに入りたいのですが、参考人宮永先生に御出席いただいておりますので、少しお伺いいたしたいと思います。  まず第一に、高浜の――これは、宮永先生は高浜原電の一、二号炉安全専門審査会環境グループの主査ということになっておるのですが、これはそれでいいですか。
  89. 宮永一郎

    参考人宮永一郎君) たしか、高浜二号のほうの主査をやったと思います。
  90. 辻一彦

    辻一彦君 それじゃ、ひとつお伺いいたします。  三月の十日の、ここの科学委員会におきまして、前回、内田安全専門審査会の会長から、この敷地の事故における安全性の問題について質疑が行なわれて、その中で、計算上かりに低人口地帯というものが敷地の中に日本計算では入るとしても――私たちは非常に問題があると思うのですが、安全専門審査会結論はそういうふうになったということですから、入るとしても、周辺における環境を考えるのは別の問題であると、その周辺になるべく人口が多くない、稠密してない、少ないという、そういうところを考えるのは別の問題であり、それは環境の問題であると、こういうように御発言があって、記録を調べてみるとそういう趣旨の御発言がされております。そこで、計算上は、なるほど低人口地帯というものが高浜原電の敷地の中におさまったとしても、あの周辺には、御存じのように、夏に非常に海水浴のお客さんが多いわけですね。そうなれば、万一の事故、いわゆる重大事故仮想事故というのがありますが、最悪の場合といえば仮想事故が考えられなければいけない。その仮想事故が起きた場合に、あの周辺においてどのぐらい人口が分布をし、夏の土曜、日曜の最高のときにはどのくらいの海水浴客がおり、そういうときに事故が起きたならばどうなるかという、そういう点のいろんな御検討をされたと思うのですが、議事録は何かそういうグループまでは及んでいないということでありますので、直接、ひとつ、環境の主査でありました先生からお伺いいたしたいと思います。
  91. 宮永一郎

    参考人宮永一郎君) 高浜二号の審査の場合には、現実にBグループ、環境委員会審査委員会では観光客についての被曝の影響というのは直接審査はいたしません。その理由といたまましては、原子炉安全審査における被曝問題といたしましては、二つの場合を普通考えます。一つ平常時の被曝でありますし、一つ事故時の被曝でございますが、両方ともその被曝の線量が一番高い点、現実的にはほぼ敷地の境界ということになりますが、その地点における被曝線量計算評価いたします。で、高浜の場合におきまして、この敷地境界の被曝計算して評価いたしました結果は、平常被曝で、一、二号炉合算で一年間約三・三ミリレム、それから仮想事故時の被曝計算評価いたしますと、やはり敷地の境界で甲状腺に対して成人十六レム、全身四・一レムという結果が出ております。これらの数字は、もちろん、それぞれの、すなわち平常時、事故時に考えられております基準を十分下回るということでございますが、この場合の周辺の住民というのは、そこに永住していると申しますか、もっと端的に申しますと、裸でそこに立っているという人が受ける場合の線量でございます。したがいまして、その海水浴客のような短期滞在の人たちにとりましては、いまの線量でも非常に低い値でございますので、二、三日の滞在客については特に審査をする必要はないと、その時点で判断したわけでございます。しかし、最近の大飯一、二号炉及び美浜号炉原電審査にあたりましては、若狭湾全体の、これら全体の原子炉からの被曝線量を評価いたしますために、観光客の年間の総数、それから年間の総数の変動、さらに、ある一年間における月間の変動等について調査いたしまして、その推定から、実際の観光客被曝を、平常時の場合二、三日滞在と考えた場合には、距離が相当敷地境界よりもふえますけれども、その距離による減衰の効果を無視しても、ほぼ〇・一ミリレムをこえないという結果が出ております。それから、事故時につきましても、滞在期間を二、三日というふうに考慮いたしますと、先ほど申し上げました線量の十分の一を上回らないという結果が出ております。
  92. 辻一彦

    辻一彦君 この前、内田専門審査会の会長は、計算では、まあいろんな数値によって線量の計算ができるけれども、その周辺に人口が少ない、そういうことを考えるのは別の環境の問題として考えるんだと、こういうお話であったんですが、やっぱり環境のグループがお考えになっているのも、全部計算の線量だけで考えておられるのですか。もっと、そのほかに、そういう原子炉周辺になるべく人がそう多くないほうがいいと、こういうことをいろんなファクターから考えておられるのか。あくまで、数字で線量だけを計算して、その計算がだいじょうぶなら問題はないという考えに立っておられるのか。そこらはどうなんですか、環境グループとして。
  93. 宮永一郎

    参考人宮永一郎君) 一般的には、御指摘のように、幾らの人口密度あるいは幾らの人口以下のものでなければいけないという基本的な考え方は導入しておりません。最終的な評価の基準と申しますのは、事故時の集団被曝線量の積算値、すなわち国民遺伝線量というのの基準がございますものですから、それを計算して評価いたしております。それから人口は、そのようにある程度以下というふうな基準は用いておりませんけれども、小学校、病院その他の分布は社会環境というところで提出させて検討はいたしております。
  94. 辻一彦

    辻一彦君 私は、環境グループがお考えになる場合は、炉の敷地をきめたり、工学的に計算される数字と違って――それを参考にされるのはいいんですが、違って、もっと周辺における社会的環境というもの、そういうことを考慮されるのが、この環境審査グループの専門委員の大きな仕事でないかと思ったんですが、それは全然別なんですか。計算すれば、なるほど、炉の工学上の計算からいけば、敷地の境には何ミリレムということになっていいんだという計算が、それはそういう計算が、やれば出るんでしょう。しかし、そこに原子炉があって、数キロのところに土曜日や日曜日に二十数万の海水浴のお客さんがおるという、そういう環境をもう少し、数字だけじゃなしに、考えるのが、環境グループの私は大きな仕事の一つでないかと思うのですが、そのことは、もう全然環境グループというのは考えないわけなんですか。
  95. 宮永一郎

    参考人宮永一郎君) 先生がおっしゃるのは、被曝を中心にしたことだと了解いたしますが、それに関しましては、実際に一番その被曝に影響を与えます希ガスの煙突からのリリース、これは、出しますときに必ず測定いたします。それから、それらの希ガスが現実にどれだけの被曝を与えるかというのは、敷地境界をはじめ、おもな住民の皆さんがいられるところにモニタリング・ポストというのを置いて観測することになっております。実際に確かめるということもいたしております。
  96. 辻一彦

    辻一彦君 しかし、環境グループと言われるけれども、その中身は、まあ放射線の線量を計算される、そういうことが中心であって、その周辺に、もっと夏は特殊な条件があるとか、こういう場合に、それは計算でいけばそんな広がらぬという計算になるでしょう、いまの計算方法でいけばね。しかし、アメリカ等でいま原子炉がなかなか海岸線やそういうところで問題になって認可されてない一番大きな点は、いわゆる環境という、いろんな――まあ海水浴の問題、これはあまりないのですが、海岸線、魚介とか、そういう問題がありますね。そういうことを考えると、なかなかこの環境レポートがつくれなくて、それだけ審査が進まない、できないと、こういう状況なんですが、環境専門グループというのは、私はもう少し広範な、そんな問題をお考えになってもらいたいと思うのですが、そういうことはあまり論議されぬわけですか。
  97. 宮永一郎

    参考人宮永一郎君) 環境グループと名前を簡単に呼んでおりますが、われわれは環境放射線グループと申しますが、やはり先生の御指摘のように、放射線の影響、放射線の被曝を中心としたやり方が現在までの方法であったと思います。
  98. 辻一彦

    辻一彦君 そうしますと、その環境も、周辺のことを考えて、放射線がどう被曝するかということが一番最後の基礎になるわけですから、これは一番大事な点だと思いますね。しかし、安全専門審査会の中では、大昔のことは一応別にしても、人口とか、あるいは周辺に夏にどっと人が来るとか、そういうことを安全専門審査会環境グループにまかすし、環境グループは放射線のその点だけを御検討になって、社会的な周辺の人口の環境ということはあまりお考えにならないとすると、一体、安全専門審査会の中で、そういう残された問題はどこで審査というか、論議をされているのですか。
  99. 宮永一郎

    参考人宮永一郎君) 安全専門審査会では、そういろ論議はいたしません。実際に運転が始まりました後の、たとえば人口の増加、そういう点については、われわれは少なくともフォローはいたしておりません。しかし、たとえば一号炉と二号炉、高浜の場合は非常に接近して出てまいりましたけれども、非常に時間をおいて出てまいります場合には、当然、その場合、ふえた新しい人口環境というものに対して審査を行なうことになります。
  100. 辻一彦

    辻一彦君 自分のところではやらないで、政府機関だということですが、だとすると、科学技術庁原子力委員会を設置をして、原子力委員会はそういう審査をするために安全専門審査会をつくった。その中で論議されなければ、一体政府機関のどこでこれを論議することになりますか。成田局長、いかがですか。
  101. 成田壽治

    政府委員成田壽治君) そういう問題は、事務局で当然検討して、それで資料としては審査会にも出して――厳格な意味の検討事項ではありませんが、審査会にも出して、見てもらっているわけでございます。
  102. 辻一彦

    辻一彦君 アメリカでは環境がこれだけ問題になって、原子炉認可に大きな問題になっている。日本のほうでは、事務局だけで何かつくられて、参考資料で出している。こういうことで私はいいのかどうか。なぜ安全専門審査会でその問題をやらないのか。そこでやらないなら、原子力委員会がそういう問題を扱うとか、そういう機構といいますか、体制というものが確立をされずして、安全審査がオーケー、オーケー、全部どんどん通っていく。こういう点、私は不審に思うんですが、その点、木内長官、どうですか。
  103. 木内四郎

    ○国務大臣(木内四郎君) 環境の問題というのはいろいろあると思うんですが、アメリカでも、原子力委員会は、自分のほうは、まあ放射線関係のことを調べておるけれども、一般の安全、環境の問題は自分たちのほうのやるべきことでないというので、環境に対するステートメントをつけなかったのでありますが、しかし、裁判所としては、それは安全審査環境に対するステートメントをつけたほうがいいということであった。アメリカでは、いわゆるNEPA、環境の保護の法律のことも原子力委員会でお取り扱いになっている。こういうことであります。わが国におきましては、安全、環境の問題というのは非常に広い問題だと思うんです。ところが、私ども原子力委員会のほうとしては、放射能によるところの安全、環境の問題、これを主としてやるのが原子力委員会の任務だと思うんです。環境の問題は、まだほかにもいろいろあると思うんです。しかし、いま宮永委員からもお話がありましたように、原子力の放射能の関係のことを調べれば、私は、それで科学技術庁原子力委員会としてはいいんじゃないか。そのほかのことは、環境庁というのがすでにありまして、法律で、いまもありますけれども、これからますますこれが補完されて、直されて、そして、もっといいものになるかもしれませんが、それはまたほかにそれを取り扱うものがある。原子力委員会のほうの環境専門部会は何もかもみなやるということでは私はないと思います。辻先生意見がちょっと違うかもしれませんが、いま宮永委員からお話があったように、放射能の影響というか、被曝の影響というものはない、こういうことを環境のほうの部会においてやる、そういう立場からこれを見ておる、これは当然だと思うんです。何もかもおれのほうでやるということでは、私は、むしろおかしなことになりはしないか、かように思うのです。
  104. 辻一彦

    辻一彦君 長官の答えは話がわからなくなってしまって困るのですが、アメリカはNEPAという法的裏づけがあって、アメリカ環境庁が規制に対処できる。日本の場合は法的な裏づけがないでしょう。ないとすると、ないからどこでもやらぬでもいいのだというのじゃなしに、なければ、どこでやるかということは、科学技術庁、そこに置かれる原子力委員会が考えるべきじゃないですか。それはどうお考えですか。
  105. 木内四郎

    ○国務大臣(木内四郎君) それですから、私が申し上げておる。原子力に関する環境の問題は原子力委員会でやる、また、原子力の環境安全の審査部会でもってやる、こういうことを申し上げている。
  106. 辻一彦

    辻一彦君 ところが、質問を続けていくと、やられておられないから、どこでやるかと私は聞いているわけですよ。安全審査の中でもお扱いにならないし、原子力委員会の中でもお扱いにならない。それじゃ、環境庁が法的な根拠がなければ、それも介入できない。どこかやらなければならぬ。原子力委員会は、それ、やっておられるのですか。ずっと私は前回からの質疑を通して、その点については非常にたよりないと思いますよ。
  107. 木内四郎

    ○国務大臣(木内四郎君) 先ほどからいろいろ質疑応答でおわかりになっていると思いますが、原子力委員会は、放射能環境に対する影響、これはやっておるのです。それはいま宮永委員からも、るるお述べになったとおりでありまして、それまでやらないということまで申し上げているわけじゃない。ただ、そのほかにも環境問題というのはいろいろな問題がある。それは環境庁のほうで、法律に基づいて、その所管のことをやっぱりやってもらわなければならぬ。みんな原子力委員会に何もかも仕事をよこしてしまえということは、これは行政の組織を混乱させるもので、私はそうはいかないと思います。
  108. 辻一彦

    辻一彦君 それは環境庁がやることになっておるのなら、何も言いませんよ。だけれども、アメリカのNEPAのように、国家環境政策法によって、法によって法的規制の権限が与えられていなければ、環境庁はやれないでしょう。どこかやらなければならぬとしたら、原子力に関係するものとしては、これは原子力委員会で扱ってもらうということが当然じゃないですか。行政からいったって筋じゃないですか。その点、いかがですか。
  109. 木内四郎

    ○国務大臣(木内四郎君) それですから、私どもは、原子力委員会によって扱うべきものは扱う、こういうことを申し上げておるのです。そのほかの問題は、環境庁のほうで、もし法律が整備が十分できていなければ、当然これは整備していかなければならぬ問題だと思います。
  110. 辻一彦

    辻一彦君 それはそれとして、また次にこの規制の問題等の中で論議をしたいと思います。  そこで、せっかくおいでいただいた参考人先生、もうちょっとお伺いしたいのですが、日曜、土曜日ですね、さっきのお話の中では、かなり人がたくさん来る中に仮想事故を想定して、そうしてそれに基づいてどういう放射線がどうなるかという影響ですね、被曝量、そういうことを計算されておるというふうに伺ったのですが、それはどうなんでしょう。
  111. 宮永一郎

    参考人宮永一郎君) そのとおりであります。
  112. 辻一彦

    辻一彦君 やっておられるわけですね。それじゃ、たいへん恐縮ですが、高浜、大飯、ここにおいて夏一番人がたくさん出て、そして土曜、日曜、泊まっていますね。そのときに仮想事故最悪の条件ですね、仮想事故が起きたならば、その周辺における被曝、こういうものがどういうふうになるのか、それを一ペん計算して、この委員会のほうへ出していただきたいのですが、お願いできますか。
  113. 宮永一郎

    参考人宮永一郎君) 承知いたしました。
  114. 辻一彦

    辻一彦君 じゃ、次に、私は環境に関連して、運輸省――お見えになっておりますね、にひとつ伺いたいのですが、若狭湾一帯はリアス海岸といって、非常に起伏があって、海岸としては漁業や海水浴や観光にすぐれたところだ、こういうことで、政府のほうでは、一面では、東では九十九里浜、西では若狭湾に将来観光客、そういうものが休養できる場所をつくろう、こういう構想があるわけですね。過日、若狭湾のほうに運輸省からそういう調査団が参っておるはずですが、時間もあまりありませんから、詳しくはお話は聞きませんが、将来、この若狭湾のほうに、西日本における観光基地として、どういう構想をいま考えておられるか、要点だけでけっこうですから、お願いしたい。
  115. 住田俊一

    説明員(住田俊一君) ただいまの先生の御質問にお答えいたします。  御承知のように、新全国総合開発計画がございまして、最近の爆発的な観光ブームに着目いたしまして、若狭湾につきましては、この基本計画の中に入っておるわけでございます。具体的に申し上げますと、特に京阪神の観光客のための大規模な観光レクリエーションの場をつくろう、いわゆる健全な、しかも、いろいろなレクリエーション施設を持ったものをつくる、こういうことで、一昨年、昭和四十五年度におきまして大蔵省から一千万円の調査費をいただきました。さらに、昭和四十六年度におきまして、若狭湾につきましては二千七百五十万円の予算をいただきまして、現在まで、自然条件調査あるいは経済条件調査、その他の調査を行ないまして、一応の中間報告も来ております。この計画によりますると、具体的には、若狭湾を中心といたしまして、海洋性のレクリエーション計画、すなわち海水浴場、あるいはヨットハーバー、そういったものを計画しております。  なお、現在いろいろとこの会議におきまして原子力の問題が出ておりますが、私どもといたしまして、この計画書によりますると、原子力エネルギーを観光面に活用したらどうか、具体的には、たとえば地域冷暖房への利用なり、あるいは熱エネルギーの活用によりまする植物園ですね、こういったものの計画も現在来ております。これにつきましては、私どもといたしましては、まずもって安全第一ということがポイントでございますので、この点につきましては、科学技術庁その他関係方面と十分緊密な連絡をとりまして、この安全性の確保について一段の努力を払っていきたいと、かように考えておる次第でございます。
  116. 辻一彦

    辻一彦君 それで、私は宮永先生にお伺いしたいんですが、運輸省はいま御発言のような中身で、若狭湾一帯に数年前から大規模な調査団を出して、京阪神一帯における大観光基地、しかも、海水浴等の、東の九十九里浜に匹敵する、そういう海洋性の基地をつくるというので調査を進めている。おそらく、地理的条件からいえば、普通ならば、私は、関西、名古屋のほうから大量のお客さんが集まると思います。いまでも、去年でも三百五十万余が夏来ているわけですから。そこで、こういう方向が進められるとすれば、もっと将来大量の観光客が、いま御報告ありませんでしたが、二千万とか夏に来るという、そういうたいへんな数字も私聞いておるのですが、そういうことが片方においては進められようとしておるわけですね。そこで、環境審査とかいうものは、放射能計算して、敷地のほうから計算してだいじょうぶという問題も基礎でしょうが、しかし、現在並びに将来における開発の方向を考えて、人口分布や、そういうものはどうなるか、季節的にどうなるか、こういうことを検討されるのが安全専門審査会環境グループの大事な仕事じゃないかと思うのですが、そういうことはどうもお話の中ではあまりやられていないようなんですが、やっておられたかどうか、どうお考えになるか。
  117. 宮永一郎

    参考人宮永一郎君) 先ほども少し触れましたように、観光客の数につきましては、四十三年、四十四年、四十五年という統計を出し、それから四十五年において、七月、八月、九月の三カ月にわたりまして月の変動をとっております。さらに、その平均の二倍、全体で結局約千二百万になりますが、千二百万の観光客について計算をいたしました。したがいまして、われわれの計算は、普通いつも非常に大きな安全ファクターをとるということを趣旨としておりますので、少なくとも、先ほど申し上げました数字は、すべて千二百万に対する影響を考えているということでございます。
  118. 辻一彦

    辻一彦君 将来、千二百万夏人が来るということを予想して、そこに、大衆から十分隔離すべまであるという原子炉をどんどんつくっていく、そういう論議環境審査の中でやられるときに、どういう御発想でやられているかわからない。立地指針の一番最初に、日本の場合もアメリカの場合もそうですが、三つ目に大衆から万一の場合に十分隔離をする、こういうことを出しておるんですね。それは、計算でいけば、いろいろな安全装置をずっと見ていけば、心配はないという計算が出ておるんでしょうが、将来千二百万、皆さんのほうで――これは運輸省がこう言っておるのはわかりますよ。だけれども、あなたのほうで千二百万ぐらい夏人が来るだろう、そう計算しながら、そこに大型の原子炉をどんどん集中して、そうして問題がないという、こういう論議をされているということは、私はどうしてもわからないんですけれども、それについて何か矛盾をお考えになりませんか。数字だけでいいんですか。
  119. 宮永一郎

    参考人宮永一郎君) 問題がないということよりも、先ほども申し上げましたように、もしそういう観光客が来たときに一体どのくらいの被曝線量になるか、そういうことを中心に論議していろわけでございます。先ほども申しましたように、距離の減弱を考えませんでも、二、三日の滞在ではコンマ一ミリ四、おそらくこれは相当大きな安全ファクターが入っておると思います。したがって、少なくとも平常時において観光客がその周辺にこられましても、放射線的には何ら影響はないというふうに考えます。
  120. 辻一彦

    辻一彦君 私は、原子炉の立地指針の基本にさかのぼってやっぱり万が一ということを考えると、大衆から必ず隔離をするというあの精神、安全は距離であるという、それはアメリカで変遷過程がありますけれども、そういうものをやっぱり私はもう一度再検討していかなければならぬと思う。千二百万も来るということに対して、一応被曝量で計算されるならば、それだけの人が夏あすこに来たときに、これだけの大規模な、しかも集中する、そういうことが安全からみても心配がないという、それは数字はそうなるかわからないけれども、これは、長官がいるけれども、社会的環境という点からいったら、私はたいへんな問題だと思うんですよ。この点、私は、皆さんのほうからそういう資料もいただき、時間の点もございますから、この問題はあらためて、また、科学技の問題として論議をいたしたいと思うわけです。  そこで、あと五、六分になったんですが、きょうは温排水環境問題について取り上げたんですが、ずいぶん私は問題点があると思うんですよ。そこで、私は住民の意見をまだまだ聞くことが大事だと思います。その点から、過日実は大飯町の住民グループから私のところには三千三百人近い署名捺印したのが届けられて、いまここにコピーがありますが、持っております。名前と住所と判が押してあります。大飯町は大人が四千人おるわけですよ。三千三百という、八十数%が工事の一時中止を要求した署名、自分の名前と住所を書いて判を押しておるわけですね、八割以上が。この事実を考えたときに、私は、住民の意見とか、そういうものを、もっともっと公の場で聞く必要があると思います。そういう点で、前回の委員会の最後に大臣答弁をいただきましたが、公聴会の開催について、具体的にどういう段取りで考えておられるか、これをひとつ局長から、まず伺いたいと思います。
  121. 成田壽治

    政府委員成田壽治君) 大臣もおられますが、前回の委員会公聴会の問題に対して大臣が、おっしゃったのは、附帯決議の趣旨を尊重して、その方向で努力する、何らかの適切な方法によって地元の理解と協力を得るように努力するというふうにおっしゃったと聞いております。それで、現在、御承知のように、大飯の町が賛成と反対に分かれて非常に深刻な問題になっておりますので、その点も含めまして、長官から知事に対して、あっせんをお願いしておりまして、現在知事のあっせん中でありますので、われわれは、知事が大飯町長及び町議会等を含めて地元のあっせんに乗り出しておりますので、その動向をよく見きわめたいと思っております。
  122. 辻一彦

    辻一彦君 まあ、あっせんの問題は一応別としまして、まず、その最初の、公聴会をやるとは言ってないというような御発言に聞こえたんですが、国会の附帯決議は、前回も言ったように、こう書いてありますよ。「大型実用原子炉安全性に対しては、資料公開公聴会の開催等の手続を経て決定すべきである。」と。それで、皆さん、その「等」のほうに非常に力を入れて解釈をされておりますが、この決議は、まず第一に公聴会の開催と、そのほかにもいろいろな方法があるということを私は意味しておると思うんですが、この国会決議を尊重してその実現に努力をすると、大臣は前回の委員会の中で――まあ、公聴会に対する私の質問がわれわれにとっては不満であると、こういうことで、皆さんから、委員からも御発言があって、議事を中断して理事会を開いて、そして御答弁をいただいた。それは記録にもありますが、たとえば、この差し上げました資料の一番最後のほうに、これは大阪朝日と大阪諸費の三月十一日にそれぞれ出ております。東京のは赤軍派のニュースでどうも切れたんですが、大阪朝日と讀賣には出ております。これは皆さんのところに渡してありますが、新聞の受けとめ方では、はっきりとして、「原発公聴会実現に努力」と、これは朝日でありますが、「原子力委員長が答弁」と。諸費のほうは、「大飯美浜の超大型原発、地元公聴会に努力」と、こういうような見出しで出ております。それから速記録を見てみますと、なるほど大臣は、その実現に努力するというように最後に言われておりますが、あれだけの論議の過程を経たあとにおいて、「その実現」とは私は公聴会をさすと、こういうように考えておりますし、また、委員長も、私はそういうような御解釈に本委員会委員長も立っておられると思いますが、そこらをひとつ明らかにしていただいて、大臣のひとつ御見解も賜わりたいと思います。
  123. 木内四郎

    ○国務大臣(木内四郎君) 私は、もうかねがね、安全という問題が非常に大事だと、その問題については、まず科学的に、これは安全かどうかということを究明しなくちゃならない、しかし、それだけじゃいかぬ、いわゆる主体性を重んじまして、地域住民の理解と協力を得るように努力しなくちゃならぬと、こういうことを申し上げておるのですが、そのためには公聴会一つの方法であるし、そのほかいろいろの方法はあると思います。私は最善の努力をこの線に向かってやっていくと、かねがね申し上げておる。そういう趣旨で、この間、私は附帯決議の趣旨は十分尊重してやっていきたいと、こういうことを申し上げておる。  そこで、先ほど原子力局長から申しましたように、いま一つのステップとして、県知事が非常に骨を折って、地域の住民の方々の理解と協力を求めるように努力をしておられる段階であります。それにまた、企業のほうにおきましても、その点について努力しておられる段階であります。それから先のことにつきましては、私はまだ、どういうふうにしてやるかということをいま考えておらないのです。そこで、これから先も考えておりませんけれども、私がいま申しましたような根本の考え方によって、これから先は、やはり地域住民の理解と協力ということに向かって最善の努力をする、こういうことを申し上げておる次第であります。
  124. 辻一彦

    辻一彦君 じゃ、その解釈は、ここに前回みなおられた委員の方もそれぞれ受けとめ方もあると思いますから、委員長からもひとつ、はっきりさしていただきたいと思いますが、大臣の答弁を見ますと、こう書いてあります。これは速記のメモですが、原子炉の安全問題については、非常に重大な問題でありますので、委員会の――これは国会の委員会でしょうが、委員会の附帯決議の御趣旨に沿いまして、これは先ほども申し上げましたが、これを十分尊重しまして、できるだけ今後その実現に努力してまいりたい、こう言っておられますね。まいりたいということをこの機会に申し上げると言って、切っておられますが、私は、「その実現」に努力をするということは、ここでは明確に公聴会をさしておると、こういうふうに私は受けとめておるんですが、それをひとつ、どうか委員長からも、はかっていただきたいと思うんです。
  125. 渋谷邦彦

    委員長渋谷邦彦君) ただいまの辻君の発言について重ねての御要求でありますので、すでに決議として決定をしております附帯決議事項について、どのように長官として受けとめられ、今後の実現に努力されるのか、あらためて御回答をいただきたいと思います。
  126. 木内四郎

    ○国務大臣(木内四郎君) お尋ね、まことにごもっともですが、これは、私は、この間申し上げましたような趣旨であります。これは十分尊重していきますけれども、私が御答弁申し上げたのは、いま知事がいろいろやってくれている段階でもあるし、それですから、いまの段階で私は直ちにこの公聴会を開くというようなことは申し上げておらないのであります。知事がやっておる、もし、いろいろやりまして、必要があると認めれば、私はもちろんこれはやっていかなければなりません。ただ、しかし、公聴会を開けばそれだけでいいというのでなくて、そのほか諸般の努力をして、そして地元の人々の理解、そして協力を得るようにしなければならぬ、かように考えておるわけです。
  127. 辻一彦

    辻一彦君 私は、それは知事があっせんに入っているんですから、その動向を見守るということは、私はそれはそれでいいと思いますよ。いいと思います。ただ、前回の大臣答弁によって、公聴会開催の件は私は明らかになっていると思うので、時期をいつにするかは、福井県の知事のあっせんの動向を見守るという点において私は了承してもいいですが、公聴会その問題について、開くということだけは、この委員会確認された以上、私ははっきりさせていただきたいと思います。
  128. 木内四郎

    ○国務大臣(木内四郎君) それですから、私はできるだけ努力をするということを申し上げたのですが、知事なり、いろいろあっせんしてくれたり、いろいろなことで、なおまた必要があるといえば、私はあえて公聴会の開催を拒否しているという意味じゃありませんから、それはそのときの情勢を見て、それからきめるべきで、いま何もかも、まず公聴会を開くというお約束をして、それで済むという問題じゃ私はないと思います。
  129. 辻一彦

    辻一彦君 いや、公聴会で全部が解決するとは私は言いませんよ。しかし、前回、あれだけ三時間論議をして、あれだけの紛糾をして最後にいま一度大臣答弁があったのは、「その実現に」努力をされるということですね。ということは、「その」というのは、もう公聴会以外にないですよ。だから、いま知事があっせんしているそれの中で、あす公聴会をやれとか、そういうことは言いません。しかし、公聴会をやはり開くという原則だけは私は確認しておきたいと思うのです。しかし、長官は、「必要があれば」と……。しかし、ここで論議をし、そういう答弁があって、これはやっぱり開くという方向で具体的な検討をして進めていくということが大事であって、自分が必要があると思ったら開くとか、私はそういうものじゃないと思うのですよ、国会の答弁というのは。それはどう考えておられるのか、お伺いしたい。
  130. 木内四郎

    ○国務大臣(木内四郎君) そこまでですね、まず第一、公聴会を開くということを、いまここで私は直ちにお約束というわけにはいきませんで、必要があれば開くというのは、これは当然だと思うのです。いまのステップにおいてどうとかいうことは、私は直ちに公聴会をすぐ開くとかいうようなことをお約束するつもりで御答弁したのじゃないです。諸般の事情を考慮して、とにかく地域住民の理解と協力を得る方法の一つとしてそれを考えていくということであることは、これは御了解願っておきたいと思います。それだけすぐやれば、それで、もうすぐに、あと原子力委員長として許可をしてもいいとかなんとかいう筋の問題じゃ私はないと思うのです。その点はひとつ御了解願っておきたいと思います。
  131. 辻一彦

    辻一彦君 まず、それでは、必要あればという、その「必要あれば」という判断基準は、どういうときにあるのか、それを一ぺんはっきりしていただきたい。  第二は、朝日にも、外国から来た科学者の原産に参加した人の座談会が出ていますね。この中に、公聴会を開き、そういうことによって大衆の参加を得るということによって理解の度を広めるということは非常に大事だということを再三アメリカあたりでは強調していますね。私は、やはり、混乱が予想される状態の中で公聴会をやるべきでないですが、しかし、平穏にいろんな意見が公に保障された場で出てくる、そういうことによって大衆が参加をし、それによって理解の輪が広がる、こういう点で、公聴会を避ける理由というものはないと思うんですよ、いまこういう段階の中で。そういう点も含めて、必要あればという、その「必要あれば」というのは一体どういうことをさしておられるのか、それを伺いたいと思うんです。
  132. 木内四郎

    ○国務大臣(木内四郎君) いまは、知事のあっせんの案を見ましても、「反対だ賛成だという運動は起こさないこと」ということが知事のあっせん案の一つの条件になっています。しかも、それは町長も、町議会も、その他も、これは了承したというので話を進めるという段階に、それと違ったような、ことに両方で反対だ賛成だという議論を私どものほうで公聴会を開いてそこで表明させるというようなことは、私はいまの段階では考えないほうがいいんではないか、差し控えておったほうがいいんじゃないか、かように考えております。
  133. 辻一彦

    辻一彦君 じゃ、どの段階になったら「必要あれば」と御判断になりますか。それをひとつ伺いたい。
  134. 木内四郎

    ○国務大臣(木内四郎君) ですから、諸般の情勢を見まして、やはり公聴会を開いたほうがいい、そのほうが一そうこれを進めることができるということになれば、これは当然やらなければならぬ。アメリカのほうは、法律でこれをきめたりなにかしている点もあり、また、アメリカとこちらとは国情が違いますけれども、それはまた当然いろいろな方法を考えなければならぬと考えております。
  135. 辻一彦

    辻一彦君 しかし、それでは、国会の附帯決議があり、前回も論議をしてそういう御答弁がありましたが、大臣がいつでも諸般の事情を考えてその判断をする、その判断だけが「必要あれば」の基準になるとすれば、これは、あなたの判断によっては開かれないということだってあるでしょう。それじゃ、国会で附帯決議をし、あるいは国会で議論をして御答弁をいただいたことが私は意味をなさなくなると思うんですよ。だから、たとえば知事のあっせんが実らない、なかなかむずかしくて難航するとか、あるいは、どういうときに少なくも公聴会を開く、それだけのことぐらいは、やはり私ははっきり、きょうは、さしていただきたいと思います。
  136. 木内四郎

    ○国務大臣(木内四郎君) それですから、私は再三申し上げておるんですけれども、いまの段階で私がそういうことを言って、知事がせっかくそういうことで両方集めて、その条件でひとつやろうと言っているのに、ここで反対だ賛成だという論議をさせるというようなことは私としては適当でない。行政を担当している者としては適当でない。これから先、いろいろな情勢を見ておりまして、そうしてこれはやったほうがいいということになればやる、それがやはり決議の趣旨だと思う。何でもかんでも公聴会を開いて、賛成と反対の論を出させておいて、それによってすぐに認可をしてもいいんだ、こういう趣旨では私はないと思う。やはり地域住民の理解と協力を得るために、できるだけのあらゆる方法を考えて努力をしろというのがあの趣旨であると私は了解しているんですよ。それで私は間違いないと思っております。
  137. 辻一彦

    辻一彦君 私は、時間が、小林先生も含めて、切れましたので、あとの方の質問もありますから、これで打ち切りたいと思いますが、最後ですが、これは、いまいろんなあっせんがあり、その中で無理に公聴会を開け、こういうふうに私も言いませんが、少なくも国会の附帯決議やこういう論議を通して、現段階でなかなかうまく進まないとか、あっせんが十分になかなか進まない、そういう場合には、少なくも公聴会を開かざる限り、大飯原電原子力委員会は認可をしないという、できないという、この点はいかがですか。私はこれをひとつ聞いておきたいと思うんです。
  138. 木内四郎

    ○国務大臣(木内四郎君) どうも、辻さんも、ほかの方々も、公聴会ということに非常に重きを置いておられる。これはよくわかるんです。しかし、公聴会を開くというような、「等」というようなことを書いてありますが、とにかくこれは目的ではなくて、手段の一つなんだということを深く理解しなければならぬ。これさえ開けばあとはかまわぬというようなことであるなら、これは非常に楽ですよ。私は科学技術庁長官として非常に楽なんです。公聴会を開いて賛否の意見を戦わして、それでこうだということでやるということなら楽ですよ。しかし、これではいけない。これは目的じゃない。手段なんですから、その点はよほどウエートの置き方を考えなければならぬ。私はかねがね申し上げているように、科学的に見て安全性を究明しなくちゃならぬ。しかも、それについて地域住民の理解と協を得るために最善の努力をしなくちゃならぬということを申し上げ、また、最善の努力をするつもりでおるのですから、そのほうが骨が折れるのですよ。その点はやはり目的と手段ということをそのときどきに応じて慎重に考えていかなければならぬ問題だろうと私は考えております。
  139. 小林武

    ○小林武君 これは委員長にも聞いていただきたいのですがね。私はいまここで、公聴会の効能がどうだとかかんだとかということを議論する必要はないと思う。少なくとも委員会の中において正式の公聴会を開くか開かないかということについて議論をしている。委員長もそういう意見に対しておはかりになる。はかった結果が、先ほど来何べんも言われているけれども、了解に達して、「公聴会の開催等」とありますその附帯決議については、これから実施しますということを言われたわけですからね。だから、そういう会議における一つのルールというものを認めませんというようなことをおっしゃるのであれば、委員会は開催する必要はない。国会の中でそういうことが堂々と行なわれるのであれば、これはいかなることをきめてもだめだということになる。私は、委員長が非常に御苦労なさっているのにそういうことを申し上げるというのは、はなはだ心苦しいですけれども、もしこのことを委員長がそのままお認めになれば、これは会議の進行というものが円満に遂行できない。しかし、私はそれを委員長責任にしてどうこうということは考えません。少なくとも、やっぱりそういうきめられたことはきちんとやるということ、そういう原則を守られないということであるならば、きょうの委員会はどんなことあったって、なんぼ時間がかかってもやらなくちゃいかぬと思う。私は、そういうやぼなことを言わずに、先ほど来辻君からもいろいろ話がありましたけれども、いま、いつ何日にやるというようなことは、これは何ももともと言っていないと思う。しかし、それに対する認可をしていよいよやらせるというような段階までには、少なくとも住民の意向を聞くところの公聴会を開かなければならないということを認めるということは、あなたはこの間約束しているのですよ。なんぼ詭弁を弄しても。その約束をいまごろになってから踏みにじるというようなことをやるつもりかどうか知らぬけれども、そんなことが許されていいとあなたも思わないでしょう。かけ出しの議員でもあるまいし、国会の中に長い間つとめられておるあなたがそういうことを言うというようなことは、私は非常にふしぎでたまらない。そういうことですか、この間の約束というのは。公聴会なんかはやらぬでもいいんだ、おれの腹一つにあるんだという、そういう御答弁ならば、それをここで言ってみてください。
  140. 木内四郎

    ○国務大臣(木内四郎君) この問題、たいへんおしかりを受けておるようですけれども、この問題は、私からお答えするまでもなく、あの附帯決議があった当時において、すでに政府の関係大臣から、御趣旨は十分にひとつ、できるだけ尊重していころという御答弁をしておるのですよ。私があらためて言うまでもなく、それだけのことはもうお答えしておる。政府としてですね。私は別に新たなものをつけ加えたわけでもなんでもないんですよ、そのときは。それから、しかし、私は開かないとかなんとか言っているわけでもないのです。諸般の事情を見て必要ありと認めれば、私は行政の担当官として、公聴会も開くし、また、いろいろなこともやる、こういうことを言っておる。いまの段階でそういうことを言って、公聴会を開くとかなんとかいっていろいろやることは、知事がすでに条件を出して、こういう条件で、ひとつ両方で賛成だ反対だということであまり論議をしないようにしてやってくれと、こういうことを言って、両方の方々がこれを納得しておられる際に、この問題についてどうお考えですかというようなことは、私は適当な時期じゃないと思うし、そういうことを言うこと自体が適当でないというふうに私は行政の担当者として考えておる、そのことを私は申し上げておるわけです。
  141. 小林武

    ○小林武君 何と言っているのか。あなたは、時期がどうだとか、行政の担当者とか、いろいろなことをおっしゃるけれども、結局、それは前に附帯決議があった、その附帯決議に盛られている内容を、今回の、いま議論されている、辻委員の議論している問題について公聴会を開くかどうかということを再度ここではかったわけです。これは、だから、あなたはその決定には従わなきゃならぬことですよ。そうでしょう。速記録に残って、その問題を取り上げて、かなりの紛糾を起こして、その結果再度集まってきめたことでしょう。大臣であろうがだれであろうが、きめられたことはやらなけりゃいかぬですよ。しかし、あなたがその開く時期というのはいつかということについては、それは話し合っていいでしょう。しかしながら、あなたの一存で開かなくてもいいなんてことは言われないんですよ。その開く時期は何かといったら、申請の出されているものに、はっきりしたあれが出て、いよいよ仕事にかかるというその間までにやらなけりゃならぬということでしょう。それはあなた、義務づけられているんですよ、この間の会議の中で。そういうことをあなた御存じないとすれば、ぼくははなはだ不思議なんです。そういうことはさまってないと思っているんですか。速記録をひとつ見たらどうですか、速記録を。
  142. 木内四郎

    ○国務大臣(木内四郎君) それだから私は申し上げているんですよ。いまはいろいろなことで、知事が、私が申し上げたような条件でよくやっているのに、私が公聴会を開くということを言うことは私は適当でないと思っているんですよ、その判断は。それは必要があれば開くようにする、私は、それだけでなく、地域住民の理解と協力を得るために最善の努力をすると、それで必要があれば公聴会も開いていこうと、こういうことで言っているんですよ。しかも、私だけじゃない、あの決議があった当時において、すでに所管大臣がそういう意思を表明している。私は別に新たなものをつけ加えたわけじゃないんです。それは私は当然なことだと。必要があればやると言っておる。それから極端なことを言えば、さっきから私が申し上げているように、公聴会を開くと言って開けばそれでいいというわけにはいかないんですよ。
  143. 小林武

    ○小林武君 どうもこれは、きょうはだめですね。委員長、これ、こういうことをいつまでもやっているということになりますと、これはちょっと、委員会というのはなかなか開かれないことになりますよ。ただ、そういうことでは、これはもう委員長にばかり何か責任を押しつけるような形になりますから、私もあきれ果てているけれども、若干言わなけりゃならぬのだが、昭和三十四年の三月の十一日、衆議院科学技術振興対策特別委員会、「原子力の研究開発を推進するためには、災害の予防とその補償が特にわが国の現実にかえりみて緊要である。従って、政府は最も速やかなる機会に左の各項の実現を期すべきである。一、原子炉に関する万一の災害に対し、その責任の所在を明確にし、民間保険の負担の限度を超える分については、国家の補償責任を明かにするため、立法その他必要な措置を講ずべきである。二、国家補償に関連して、大型実用原子炉安全性に対しては、資料公開公聴会の開催等の手続を経て決定すべきである。」、そういうふうに言われている。その条項についてあなたはどうですかと、こう、この間のあれでははかったわけです。そしてちょっといろいろなやりとりがありまして、あなた、いまと同じようなことをおっしゃった。そこで意見が食い違ったけれども、再度開いた際には、これを実施しますと、こう言っているわけです。「○国務大臣(木内四郎君) 原子炉安全性の問題につきましてたいへん御心配を願っておって、まことに恐縮であります。」――あなたここであやまっている。「御心配を願って」という、この「御心配」は、おそらく、あそこでのやりとりの問題。「また、感謝にたえない」と言っている。あやまっておいて、感謝にたえないというんだから……。「原子炉安全性の問題につきましては、これは非常に大事な問題でありまするので、委員会の附帯決議の御趣旨に沿いまして、これは先ほども申し上げたのですが、十分に尊重いたしまして、できるだけ今後その実現に努力してまいりたいということをこの機会に申し上げておきたいと思います。」と、こう言っているんですよ。一体どう見たって、この日本語の発言は、やってもやらぬでもいいというような内容ではないですよ、これは。あなたこれは絶対やらないというようなあれだということであるならば、どこかのだれか連れてきて、ひとつそれを証明してもらいたい。だから、大臣としては、そんな、がんこなことを言わずに、これを尊重するという点は認めるべきですよ。私の腹一つで、やらぬでもいいんだというようなことをいまおっしゃるということは、正常な会議の運営ということをできなくしてしまう。そんなことをわれわれ言われて、おめおめと、はいそうですかなんてことを言われますか。
  144. 木内四郎

    ○国務大臣(木内四郎君) 私は、まあ何度繰り返して申し上げても同じことだと思いますが、いまそこでお読み上げになったとおり私はお答えしました。だから、必要があればこれは開くということは私言っておるんですよ。しかし、かりに、いま県知事がやっているようなことで両方の話が進んでいる、これがまとまったらどうします。まとまって、これがいいということになれば、それは公聴会を開く必要はないでしょう。極端な例を言えばですね。それですから、私はいまはそういうことに触れないほうがいい、かように私は判断しているんですよ。しかし、根本を私は否定しているんじゃないですよ。そこのところは誤解ないようにひとつお願いしたいと思うんです。
  145. 沢田政治

    ○沢田政治君 これ以上大臣とやりとりしても、どうにもならぬと思いますよ。委員会自体が問題ですよ。私は非常に――これは委員会内容じゃない、辻君と科学技術庁とのやりとりを見て、無力感を感じますよ。情けないと思いますよ。たとえば、いまの公聴会の問題もそうですし、社会環境に与える影響、これを聞いておっても、言いっぱなし、答えっぱなしということで、何らこれは成果がないわけだ。たとえば、社会的な環境に与える影響をどこでやるんだと、これは原子炉安全専門審査会か――ここでもやっておらぬ。環境グループでもやっておらぬ。また、大臣の答弁は、科学技術庁が何でもかんでもやれるか――そんなのは知っちゃいねえと。まあそういうことばじゃないけれども、極端に言えば、知っちゃいないと、こういうことでしょう。だから、ぼくは、こういうかっこうで幾らやりとりしておってもほんとうに実りはないと思うんですよ。だから、もうこれ以上政府と話してもしようがないから、やはり国民の代表ですからね、国会は。委員会としてこれをどう処置するかということを、これを含め公聴会を含めて、理事会等で話し合ってもらいたいと思うんです。これ以上長くことばを費しても、どうにもならぬと思いますね。これは委員長に要望しておきます。これは委員長の問題じゃない、委員会の問題として考えてほしいと思うんです。
  146. 小林武

    ○小林武君 理事会でひとつやってもらう。同時に、こういう状態であれば、一つの政党として、これは私のほうの政党ならば、こういう形では、もうとにかく一切の審議はできないということ。それはストップするということを言っているんではありませんよ。こういう、一体、きめられたことが、それは委員長が違うということをおっしゃるならとにかく、委員長もそういうふうに理解されている、そういうときにこういうやり方をやられたんであっては、もうこれは私のほうではとても委員会を続行することはできないというような気持ちになっているんですよ。だから、その点もお含みいただいて、ひとつ理事会等で御相談いただきたいし、なお、そこで結論の出ない場合においては、私どもにその旨を報告していただき、少し全体的に、委員会全体の責任として、こういう問題をどう扱うかということを御決定いただきたいと、こう思います。
  147. 渋谷邦彦

    委員長渋谷邦彦君) ただいま辻君の質問を中心として、その関連の発言がありました。小林君並びに沢田君の意向を十分踏まえまして、これを理事会で検討さしていただきたいと思います。  ただ、一言申し上げておきたいことは、先ほど来の質疑応答を伺っておりますと、特に公聴会の問題等につきましては、明確に附帯決議に付されておりますその尊重するという点については、すれ違いの議論が繰り返されているような印象を受けますので、やはり附帯決議として決定された以上、当然その方向に向かって実現のための努力をしていただく、そういう結論にしていただきたかったわけでありますが、その点、木内長官に対して、委員長としても強く要望申し上げておきたい。  なお、ただいま申し上げたように、詳細については理事会において検討の上、今後の委員会の運営のしかた等を含めて結論を出したいと思います。よろしゅうございますか。  それでは、若干時間が経過いたしましたが、宮永参考人に申し上げます。  本日は、たいへんお忙しいところ、当委員会に御出席をいただきまして、たいへんありがとうございました。これで御退席いただいてけっこうでございます。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  148. 渋谷邦彦

    委員長渋谷邦彦君) 速記を起こして。  暫時休憩いたします。    午後一時一分休憩      ―――――・―――――