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1972-05-30 第68回国会 参議院 運輸委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年五月三十日(火曜日)    午前十時四十一分開会     —————————————    委員異動  五月二十六日     辞任         補欠選任      藤田  進君     矢山 有作君  五月三十日     辞任         補欠選任      若林 正武君     初村瀧一郎君      稲嶺 一郎君     高橋 邦雄君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         木村 睦男君     理 事                 鬼丸 勝之君                 江藤  智君                 佐田 一郎君                 森中 守義君     委 員                 岩本 政一君                 岡本  悟君                 菅野 儀作君                 高橋 邦雄君                 橘  直治君                 初村瀧一郎君                 山崎 竜男君                 伊部  真君                 小柳  勇君                 瀬谷 英行君                 矢山 有作君                 田代富士男君                 三木 忠雄君                 田渕 哲也君                 山田  勇君    国務大臣        運 輸 大 臣  丹羽喬四郎君        国 務 大 臣  江崎 真澄君    政府委員        人事院事務総局        職員局長     島 四男雄君        防衛庁防衛局長  久保 卓也君        運輸政務次官   佐藤 孝行君        運輸大臣官房長  高林 康一君        運輸大臣官房審        議官       見坊 力男君        運輸省港湾局長  栗栖 義明君        運輸省鉄道監督        局長       山口 真弘君        運輸省自動車局        長        野村 一彦君        運輸省航空局長  内村 信行君        運輸省航空局技        術部長      金井  洋君        海上保安庁長官  手塚 良成君        海上保安庁次長  須賀貞之助君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田善次郎君    説明員        警察庁交通局交        通指導課長    池田 速雄君        防衛庁防衛局運        用課長      福田 勝一君        通商産業省公害        保安局工業保安        課長       箕輪  哲君        運輸省自動車局        整備部長     隅田  豊君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○運輸事情等に関する調査  (新潟港におけるしゆんせつ船爆発事故に関  する件)  (高圧ガス運搬車ガス爆発事故等に関する件) ○道路運送車両法の一部を改正する法律案内閣  提出、衆議院送付) ○国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進  特別措置法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付)     —————————————
  2. 木村睦男

    委員長木村睦男君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る二十六日、藤田進君が委員辞任され、その補欠として矢山有作君が選任されました。  また、本日、若林正武君が委員辞任され、その補欠として初村瀧一郎君が選任されました。
  3. 木村睦男

    委員長木村睦男君) 運輸事情等に関する調査を議題といたし、質疑を行ないます。御質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 伊部真

    伊部真君 先般の委員会で要求しておりました西部バスの一連の事件について、内容をひとつ報告を願います。
  5. 野村一彦

    政府委員野村一彦君) 西部バスチャージ問題でございますが、斉藤さんの問題は、四十六年十一月二十七日発生した経緯につきまして、会社側から事実関係を聴取いたしましたところによれば、次のとおりでございます。  第一に、調査方法でございますが、当日、路線巡視を行なっていました西武バス職員三名が、大宮市の西遊馬折り返し所において、運転手器具を用いて料金箱をこじあけて、チャージをしているという現場を確認したものであります。  当時の状況は、巡視員折り返し所付近修理工場の二階を借りて待機していたということは、そのとおりでございますが、その工場からバスまでの距離は約十五メーターということで、これは双眼鏡を使ったというようなことはございません。そういう近距離の問題で、目で目撃したんだということを会社側は申しております。  それから解雇でございますが、会社事件当日、本社で会議を開いて、就業規則の第五十三条に該当するものとして、同じく就業規則第五十四条の規定により、解雇する場合は三十日前の予告によって解雇をするという規定がございますので、懲戒解雇とすることを決定して、本人に口頭で申し渡したわけでございます。その五十三条によりますと、「従業員が次の各号の一に該当したときは懲戒処分する。」とありまして、幾つかの項目があります。その中の第七項目として「社品又は他人の私有物を盗んだりその他犯罪行為をしたとき」、こういう条項に該当したという判断であります。それから五十四条は、「懲戒はその程度に依り譴責、減給、格下、出勤停止昇給停止解雇に分ける。」、解雇は、「懲戒解雇は三十日前に予告するか又は予告しないで所轄監督署長の認定を経て即日解雇する。」、こういう規定によって三十日の予告解雇をしたんだという、こういう会社側説明でございます。  それから自殺の問題でございますが、この斉藤さんは、警察側調査によりますと——これは会社がこういうことを申し立てておるわけでございますが、その調査をしたのは、警察調査によるというコメントがついております。それによりますと、十一月三十日、これは推定でございます。アパート自分の部屋で炭火をおこし、一酸化炭素中毒により自殺をしたものと見られている。この点先生のほうの御調査で、自動車の中で自殺をされたというお話と食い違っております。これ以上のことは現時点ではわかりません。  それで、こういう事実関係について、私どもどういうことをしたかと申しますと、二十五日でございましたか、この問題の性質は、一つは、警察関係刑事事件として、司直の手によって結論が出さるべき性格のものでありまして、これは、運輸行政の立場からその当否を論ずるという問題ではないのではないか。しかし、こういうことが原因となって労使間に紛糾が生じまして、五月十九日、二十日の両日にわたって運行ダイヤが乱れ、旅客輸送に相当の影響を及ぼしたということは、運輸行政を所管している運輸省として、まことに残念なことでございます。それで運輸省といたしましては、当委員会審議の趣旨に沿いまして、五月二十五日、ここで先生の御質問になっております日でございますが、私どものほうの業務部長が、西武バス専務とそれから常務を呼びまして、いま申し上げましたような事情を十分聴取いたしますとともに、今後かかる事態の生ずることのないよう、次の事項について善処方を強く指示し、会社側もこれを了承したわけでございます。  その一つは、現在労使間で話し合いが行なわれている検査方法改善、これについて早急に結論を出すとともに、そのような社内問題で利用者に迷惑をかけて、公共輸送機関としての使命を遂行できないようなことになってはいけないということについて、十分注意をして善処すること、それから第二は、ワンマンバス料金を収受する機器の改善でございます。これについて、所持品検査等の必要がなくなるような対策を検討し、将来においてもその利用者に不便をかけることのないよう、抜本的な対策を講ずることというようなことを、いわば説諭をいたしまして、また、二十七日でございましたか、土曜日の日、私も専務を呼びまして同様なことを確認をしたわけでございます。  したがいまして、これは道路運送法あるいは道路運送車両法の違反というような問題ではございませんが、それ以前のと申しますか、事は人権の問題であり、また労使間のそういう問題でございますので、運輸省としては、両責任者に懇々と説諭をして、今後の善処十分約束をさせた、こういうことでございます。  御報告いたします。
  6. 伊部真

    伊部真君 大要、私が申し上げた点と相違はないようでありますけれども、そこで私は、一つは、昨年の十一月の斉藤さんの事件があって、その後、今月に入ってこういうまたしても調査やり方で紛争が起きるということ、その結びつきを私は問題にしているわけですね。一つ一つを取り上げますと、その時点では間違いのない処理かもわからないけれども、しかし、少なくとも人一人の命を失ったという、この反省の上に立ちますと、やはり単に乗客から電話があったというだけで疑いをかけて、その調査をする。しかもその調査方法が問題なんです。ここは、斉藤さんの場合でも、あるいはこの次の、今月の田口さんでしたかの場合も、問題になるのはやっぱり調べ方ですね。この点がまだ具体的に明らかでないようです。したがって、その点お聞きになりましたか。たとえば斉藤さんの場合はどういう調べ方をしたのかということ。それからもう一つは、斉藤氏を伴って警察へ出頭したということを言われておるが、そのことが事実かどうか。それからもう一つは、その次の五月十七日の滝山営業所事件のときに、上半身を裸にしたということが言われておるけれども、その事実はあるのかどうか。その点はどうですか。
  7. 野村一彦

    政府委員野村一彦君) ただいまの問題ですが、斉藤さんを、会社の人が一緒警察に行ったということはそのとおりでございます。つまり、斉藤さんと一緒に、会社の人が付き添って警察に出頭したということのようでございます。  それから五月十七日の件でございますが、これは会社側の言うことと、それから先生の御調査になったこととかなり違いますので、これはどちらが真相かということは、若干時日を経て詳細に調べないとわからないことでございますが、会社側申し立ては、こういうことを言っております。乗客から通報があったので、同人の運転するバスが帰庫してきた際、門のところで営業所次長が待っていて、人目につかないようにバス修理工場まで誘導し、営業所長バスの中で同人に事実関係について聞き始めたところ、同人は非常に興奮をして、みずから衣類などを脱いだ。営業所長はその行為を制止しょうとした。つまり会社側申し立てでは、衆人環視の中で会社側のほうが無理やりに、何といいますか、上着を脱いで裸にさしたということではなくて、修理工場の中に車をつれていって、車の中で取り調べをしようとしたところが、その人が非常に興奮して自分上着を脱いで裸になったんだという申し立てで、この辺は両者の言い分が違うわけでございます。そういう事情がございます。  いずれにしろ私、もちろん先生のおっしゃるように、単にこれは外部から電話通報があったということより以前に、労使間の信頼関係の問題であると思います。これは、こういう事件があったあとでございますし、なかなか私はこの労使間の信頼関係回復ということはむかずしい点があるかと思いますけれども、これはバス運送事業の基本として、労使間の信頼関係ということを一日も早く確立していきませんと、結局、そのバスとしての、公共輸送機関としての使命を十分果たせないということになるわけでございますから、私どもそういう点から、その労使間の信頼関係回復ということを、今後早く労使が協力してやっていくということに最も重点を置いて会社指導していきたい、かように考えております。
  8. 伊部真

    伊部真君 このチャージ問題というのは、前にもかなり事件がありまして、これは女の子の問題なんかでたいへん問題になった時期がありました。したがって、これは会社としても、いわゆる企業側としても、あるいは指導すべき運輸省側としても、かなりこれは神経を使うべき性質のものだと思うのです。そういう意味では、ほかのバス企業比較をして、就業規則の点で非常に大ざっぱなところがあったのではないかというふうな気がいたします。というのは、ほかの企業では、たとえば労働協約の中で、チャージの場合の検査方法というものを具体的に申し合わせをしているようです。たとえば、からだをさわってはいけないとか、調査というものについては人権侵害にならない程度に、やはりルールというものを労使間できめているというのが普通のようであります。西武の場合は、どうもその点が不十分であったというふうに言わざるを得ない。  そこで私は、そのことは別にいたしましても、どうしても理解ができないのは、これは協約上の問題であるし、かつまた運輸行政の問題以前の問題だとは言いながら、しかし具体的な、ワンマンだとかあるいは運行についての指導をやっているのは運輸省ですから、その点については私は責任は免れないと思うのです。そこで、私は大ざっぱに申し上げますけれども、七百十円のチャージの問題で、そうして二階から調べて、そして、つかまえて直ちに解雇予告を通告をし、警察へ持っていくというやり方、このやり方は、私はどうしても常識的に見てもひど過ぎるのではないか。そのことが、結局やっぱり本人自殺ということになってきたのではないか。車の中でなくなったか、あるいはアパートの中だったか、そんなことはたいした問題じゃない。いずれにしても、子供や女房を実家に帰し、自分自殺をせんならぬというところへ追い込んだというのは、その道筋が問題だと思うのです。私はこの点はやはりバス業務全体に対して、こういう事件に対しての指導というものを、もっと運輸省としてもこまかくすべきではなかったか、指導すべきてはないか、再びこういうことの起きないように。そういうふうに、少なくとも何かの基準なり指導方針というものを明らかにすべきではないかというふうに思いますが、この点はひとつ大臣にお答えをしていただきたいと思う。
  9. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) 企業の円満な遂行は、もとより労使関係の正常な関係の確立にあることは申すまでもないことでありまして、そのもとは、やはり労使相互人間信頼ということが、やはりもとでなくてはならないと思う次第でございます。  そういう点につきまして、先ほど来御指摘がございました今回の事件は、まことに遺憾であると私は思っておる次第でございますが、しかしながら一面におきまして、不正をそのままに看過するというわけにまいらぬ次第であります。不正はあくまでも追及する。不正は追及するが、その取り扱い方におきまして、やはり人間性を失ってはいかぬという私は問題がある、こういうふうに思う次第であります。その取り扱いが、ただいまお話がございましたように七百数十円ということで警察へ送ったことがどうか、こういう問題でございますが、これが機械の操作によりまして、七百数十円というのが一回だったか二回だったか、いろいろの見方もあろうかと思う次第でございますが、ともかく結果論といたしまして、その方のとうとい人命を失わせたということは、やはり反省すべき点が非常にあると私は考えておる次第でございます。  何と申しましても、会社経営の根本というものは、労使お互い人間性の尊重、対人信頼関係を重視するということがやはり私は一番もとであろう。人を見れば罪人と思えというようなことではいけないのではないか、こういうふうに思う次第でございまして、そういう点は、これはただに運輸行政だけじゃございません。いろいろのこれからの仕事におきまして、いろいろの企業経営する上におきまして、一番大切なのはお互い信頼感、それの取り扱い当否によりまして非常にまた悲惨の事態も招くということがある次第であります。今回のこと、そういう点につきまして自動車局長から十分首脳部に申しつけさせた次第でございますが、将来とも十分、そういうことの再び起こらないように、私のほうも運輸行政上、企業の運営上におきましても注意すべき点は十分注意してまいりたい、こういうように思う次第でございます。
  10. 伊部真

    伊部真君 私は、なくなった方に責任がいくようなことはしたくないのでありますけれども、この問題は、確かに斉藤さん自身にも問題がありましょう。しかし一面では、私は、これがワンマンであったから起きたのではなかったか、双方二人乗っておって牽制するような事態であれば、それは起きなかったのではなかろうか、七百十円で命を落とすようなことに斉藤さんはならなかったのではないか。ワンマンという、省力化というものがこういう事態をひき起こした原因ではないのか。あるいは、ほかのほうの機械比較をして、西武機械はかなりずさんだと私は聞いております。ほかの、たとえば具体的な名前をあげてもよろしいですが、あの収受する機械についてはほかの企業よりも節約をして、そんなところに原因があったとするならば、一切を運転者の責にしてしまうということは私は酷だと思うのです。  したがって私は、そういうワンマンあり方の問題について、さらに機械の、器具の選定の問題について、やはりこれは指導を強めなければいかぬのではないか。特に、私はずっと前の委員会でも申し上げたのですが、いまの機械取り扱いについては、よほど考えないといかぬ問題が多くあるのではないか。たとえばお客さんの場合でも、前から乗ったりうしろから乗ったり、あるいは料金の収受の場合でも、両がえがあったり、つり銭の制度になっておったり、ほんとうにお客さんの利便というものは考えられておるのかということになりますと、この問題でも私は早急に指導方針というものを明らかにしてもらわなければならぬ。かつまた、このワンマンあり方についても、ひとつもう一ぺん検討する必要があるのではないか。私はそういう意味で、今度の事件についてはこれ以上申し上げるつもりはありませんけれども、これを契機にして、少なくともこの機械の問題にしても、あるいは調査のしかたの問題にしても、それからワンマン路線指定の問題にしても、あらためて全業者に対して指導基準を明らかにし、そうして指導を強めるということが必要だと思うのでありますが、その点はいかがですか。
  11. 野村一彦

    政府委員野村一彦君) まず、ワンマンバス指定の問題でございますが、これはワンマン制度が取り入れられまして、昭和二十七年から取り入れられたわけでございますが、その後、道路事情の改良、あるいは各会社運行管理体制整備、そういうことに伴って、逐次このワンマンバスが普及をしていることは御承知のとおりでございます。そこで具体的には、このワンマンバス指定基準というものは、地方の陸運局長が省令に基づいて、現地の実情、道路事情、それから車両の状態を調べてこれをやるわけでございますが、従来全国について、必ずしも同じような取り扱いでなかったというきらいがありましたので、ことしの三月に、同じ基準でございますが、これの運用について特にその調整をはかる、各局相互間が同じような取り扱いをするという方針もとに、新しい通牒を出したわけでございます。これによってワンマンバスの安全と、それから乗客利便をそこなわないように、しかも企業合理化ということから、ワンマンバスの円滑なる実施を考えるための通牒を出したわけでございます。  今後の問題といたしましては、もちろん私どもは、交通の安全とそれから利用者利便ということを、二つの大きな柱としてこのワンマンバスをやるわけでございますが、このワンマン化自体というものは、これはやはり私どもは、こういう労働集約度の高いバス事業において、その経営合理化という点からこれは引き続き進めるべき問題だと考えております。要は、その安全性と、それから乗客利便というものがそこなわれないような方向でいかに進めるかということについては、さらに検討していきたいと思っております。  それから、ワンマン料金箱の問題でございますが、これは先生指摘のとおり、私どもも、まあ西武バスに限ったわけではございませんが、現在の料金箱あり方については、相当改善すべき余地があると考えております。したがいまして、昨年運輸政策審議会で、大都市におけるバス、タクシーの答申がありました際も、いわゆる料金の収受問題ということが論議されたわけでございますが、やはりなるべく早い機会に料金箱の規格といいますか、そういうものを統一をして、現在のような、あるいは両がえ機械、まず両がえをしてバラ銭にして出す、あるいはそのまま、たとえば百円玉を出せば所要の額が納まって、あとはつりが出るというような方式等を統一いたしますとともに、ここにありますように、器具を用いてこじあけたというようなことがないように、その料金箱構造そのものも変える必要があるのではないかと思います。  それからまた、これに関連してでございますが、たとえばいまのような現金を払う、あるいは切符を買うというようなことではなくて、それよりもっと根本的に、たとえば外国でやっておりますような、トークンといいますか、現金バスに乗らないで、メダルを使って、そのメダルで支払いをするというような方法も、運転者労働を軽減する意味におきましても、あるいはこういう不祥事を未然に防止する意味においても効果があるし、また、乗車の能率という点からも効果がある。そういうことについては、現在私ども検討しておるわけでございます。いずれ近い将来に、そういうことはぜひ実現をしたいと考えております。  いずれにいたしましても、このワンマンバス管理運行という問題につきましては、労使信頼感に立った運営ということが、安全のためにも、利用者利便のためにも最も必要なことでございますので、ただいまの先生の御指摘を踏まえまして、私どもかねて研究をしておりますことをさらに早く推進をするように、一西武バスの問題ではございませんので、これは今後とも十分意を用いて努力をしていきたい、かように考えております。
  12. 伊部真

    伊部真君 一つ私は回答をいただきたいのは、私は、この斉藤さんの事件とこのあとのチャーリのときの事件と、一貫して、一つ間違えるとたいへんな人権問題になると思うのです。その取り扱いについては、これは所管がどうだとかいう問題ではなしに、やはり人権侵害にならないような細心の注意は当然払わなければいかぬし、そのことについてある程度労使間の申し合わせといいますか、ルールというものがなければいかぬことだと思うのですよ。私らはその衝に入っていないものだから言うのかわかりませんが、七百十円のやつを二階から見つけてつかまえて、そうしてどんな調べ方をしたか知らぬが、警察へまで連れて行って、解雇予告をすぐにやってというやり方は、決して私はいいことではないと思います。これは常識からいって、私はこれで人権問題で問題がないとは言い切れない。しかも、その後も再び電話があったからといって、そうして人を疑ってそれを調査をするというやり方については、これは一貫して、労働者に対する接し方としては、企業に私は大きな責任があると思う。そういう流れについてひとつ指導してもらいたいと思うのでありますが、その点はいかがですか。
  13. 野村一彦

    政府委員野村一彦君) その点、先般来先生からの、いろいろの御質問の核心はそこにあったと思います。したがいまして、まず私が本席に出ておりましたときにすぐ連絡をして、業務部長が、専務とそれから労務を担当しております常務を呼んで詳細な事情を聴取して、また説諭と申しますか、そういう趣旨の指導をしたわけでございます。同時にまた、土曜日の日でございましたか、私も専務を呼びまして、同じように事情聴取をして、そこでこれは根本的にはやはり人間の信頼感の問題でございますし、企業の姿勢の問題でございますので、これはよく会社としても反省すべき点は反省をして、そういう再び人権問題等が起こって、トラブルを起こすことのないようにという要望といいますか、説諭といいますか、そういうことは私ども十分やったつもりでございます。  なお、これは一西武の問題ではございませんので、何べんも申し上げますように、これはやはり労使間の人間的な信頼関係というものが回復されない限り、この公共輸送機関としてのバス使命というものはなかなか遂行できないと思います。そういう意味の重要性といいますか、これは私ども重ねて機会あるごとに、たとえばバス協会の会合等を通じましても、機会あるごとにこれを強調をして、今後再びこういう不幸な事件が起こらないようにしたいと、こういうことでございまして、その点は西武バス首脳部も十分了解をいたしました。従来、西武バス西武鉄道の子会社でございまして、重役陣等についても兼務があったわけでございますが、最近ほとんど専任の、常勤の重役は社長以下専任をいたしまして、そういうことで経営体制も一部責任体制が明確になったこともありますので、この機会に、特にそれをもっと突っ込んで検討し実施するようにという要請をいたしたわけでございます。そういう線で今後ともさらに指導していきたいと、かように考えております。
  14. 伊部真

    伊部真君 もう一点私が申し上げておったのは、ワンマン関係ですね。ワンマンとこの問題についての関連というものを私は感ぜざるを得ないのでありますけれども、いずれにしても、いまのお答えの中に、ワンマン経営合理化という意味ではやむを得ないと、こういう話です。私はその前提として、大前提がなければいかぬと思うのは、やっぱり後段に言われた安全性ですね、それから乗客利便というものがそこなわれないという範囲内においてこれがなされなければいかぬと思うのです。経営合理化が前面に出て、あとについて行くようではいかぬと思う。そういう意味で、私は、最近どうも労働力の確保という点に問題があるということに籍口して、ワンマン化がどんどん進められているような気がしてなりません。  特に私はどうも理解できないのは、三月の十五日、局長名で「ワンマンバス指定事務処理の改善について」という依命通達を出された。これは表題としては「事務処理の改善」でありますけれども内容的にはかなりいままで、先ほど局長のあれでいきますと、地方自治体が権限を持っておったものを、第一次的には事業者にゆだねるというようなことにしてあるわけですね。それは「指定基準」の(イ)というところに出ております。おもなところを読みますと、「天災その他の事由によって状態が変化する路肩、路面、転落危険個所等に係る運転上の危険の有無の判断については、これを第一次的には事業者に委ねることとするので、指定に際してはその旨を指示すること。」と書いてある。私は、何のために事業者のほうにゆだねなければならぬのか。少なくとも企業にとっては、やはり安全というよりも、むしろそれは合理化企業の採算ということを考える。それは私は必然性はあると思うのです。その事業者に、なぜこれはゆだねなければならぬのか。これは事務処理の改善ではありませんよ。内容的に、私は路線についてのワンマンカーに対する指定基準を緩和しておるんじゃないかと思う。こういう考え方は、私はいいのか悪いのか非常に疑問があります。したがって、これを出された真意についてお答えをいただきたい。
  15. 野村一彦

    政府委員野村一彦君) 三月十五日の「ワンマンバス指定事務処理の改善について」という通達でございますが、これは先ほども申し上げましたように、自動車運送事業等運輸規則、つまり省令に基づきまして、指定をするのは地方の陸運局長でございます。ただ、地方の陸運局長指定というものが、地方によって必ずしも斉合性がなかったというような実情も、なきにしもあらずということでございますので、私どもいろいろ部内の会議の席上、そういう話が出てきました。それで、これを斉合性のあるものとするということと、それからもう一つは、指定基準というものが抽象的に過ぎて、事業者あるいはその他の、企業に働く人たちから見ても、必ずしも客観的に明瞭でない部分があるのではないかという意見もありましたので、まず事務処理を、第一の方針に、指定基準は明確に定めて公開するという原則をうたっておるわけでございます。こういう場合にワンマンバス指定をするんだということでございます。  それを、たとえば車両の構造等について、こういうような条件、こういうような状態だという具体的な基準、それからあるいは通行する道路の経路、こういう道路を通ってこの地点からこの地点に行く場合とか、そういうふうな具体的な経路等について、あるいはたとえば道路の幅とか、あるいは何といいますか、道路の屈曲の状態とか、あるいは山間等におきましては路肩の状態、そういうようなことについて十分客観的に、事前に公示をして、そしてそれの基準にのっとって事業者が判断をする場合に、自分のところのこの路線はワンマンバス化に適合するという判断を、まず企業者がしてもらって、そしてその上で陸運局のほうで審査をする、こういう意味でございます。あくまでも、ワンマンバス指定をするということは、これはこの基準もとに、この通達のもと陸運局長がやるわけでございまして、業者におまかせをする、ゆだねるというわけではございません。そういう意味から、第一次的に事業者にゆだねるという表現は、あるいは適当でないかもわかりませんが、そういう公開された客観的な基準というものに基づいて事業者が判断をして、そしてその判断を陸運局で審査をして指定をする、こういうことでございます。  ただ仰せのように、私どもワンマンバス指定をする場合に、一番基本は、やはりその車両の安全、運行の安全ということと、利用者利便と、それからさらには運転手等の労働状態に与える影響等も考えなければなりませんが、何といっても安全、利便というものが大きな問題でございますので、この大きなねらいを踏みはずすことのないように、これは私ども十分いままでも注意しておったつもりでございますが、注意しなければならないと思います。  それから、先ほどの斉藤さんの問題でございますが、これがワンマンバスであったから起こったりかどうかという判断は、私は非常に微妙だと思いますが、結局ツーマン時代におきましても、あるいは現に地方のツーマンの路線におきましても、やはりその問題がある個所もあるやに聞いておりますので、まあワンマン化が直接の原因であるとは、私ども斎藤さんの件に関しても考えたくはございませんが、いずれにいたしましても、何へんも申し上げておりますように、労使間の信頼の回復ということが第一でございます。したがいまして、労働問題もございましょう、それからあるいは人権問題もございましょうが、道路運送法に基づいてバス事業を監督している運輸省といたしましては、あくまでも人間関係信頼感の確立というものを基本にして、円滑な事業の運営ができるように指導していきたい、そういう実情でございます。
  16. 伊部真

    伊部真君 私はこの文書の中でやっぱり気になるのは「第一次」ということばなんでありますが、どうしても、そうなりますと事実上はそこで終わってしまうという私は心配を、形式上は別ですけれども、そういう気がいたします。この問題についての取り扱いついては、十分ひとつ緩和にならぬように、あまりワンマンは当然のことだということになりますと、これは出発当時の私たちの心配が大きくなってまいります。その点は十分配慮を願わなければならぬと思います。この問題についてはまたあらためて、このワンマンの規制の内容については機会を求めたいと思います。  もう一つ問題になりますのは、ワンマンの場合にやはりもう一ぺん見直していかなきゃいかぬのじゃないかという気がいたします。これはいまのチャージの問題もそうでありますが、あるいは仙台の爆発事故なんかを見ても、あの場合にやはり一人でよかったのかどうかという問題も提起されると思う。二人であったら必ずしも防げるとは言い切れないかもわかりませんけれども、やはりこの問題は見直されなきゃいかぬことだと思います。  それからもう一つは、ワンマンにする場合には、その路線や状況を一番よく把握しているのは運転者じゃないかと思う。したがって、私が感じられることは、道路交通法の七十条の関係から見ても、運転者は安全に対する義務があるわけですね。運転者が直接の義務を負うているわけです。したがって、ワンマンの路線を決定する場合に は、やはり運転者の意見というものを聴取するということが必要ではないのか。そうでないと、やはり運転についての安全義務を負っている運転者に対して、その起きたことだけを責任を負わすということは酷なのではないか。そういう意味で、運転者もしくは運転者の集団である組合との協議というものがやはり必要ではなかろうか、私はそう思います。したがって、ワンマンの路線の決定の場合には、そういう関係者との協議というものを前提にすべきではなかろうかと思うのでありますが、その点、いかがですか。
  17. 野村一彦

    政府委員野村一彦君) この点につきまして、会社内でまず運行管理の責任を負いますのは運行管理者、直接のその現場の責任を負う者はもちろん運転手でございますが、その運転手指導的立場にある者として運行管理者というものがあるわけでございます。したがいまして私どもは、まず会社の中におきまして、そういう問題についてはそれぞれの持ち腸持ち場の人々が十分論議をして、そして会社の意見というものを思想統一をして、私どもに意見を述べていただきたいというふうに思います。でないと、会社の意見と運転者側の意見とが二元的になりまして、意見がまとまらないということになりますと、私どもこれは判断をするのに非常にむずかしい問題があるわけでございますから、できるだけ会社の内部においては、現にそういうことで運行管理者と、それから運転者のグループと、それから会社側というものが相談をして、そして意見の一致を見て話を持ってきておられるケースが多うございますので、これは十分そういうふうに会社の意見としてまとまって、部内でそういう意見も十分聞いた上で申請があることが望ましいし、そういうふうに私ども指導していきたいと考えております。
  18. 伊部真

    伊部真君 私もそう思うのです。ですから申請の場合に、その条件として、そのような関係者の意見を付して出してくるということになれば一番いいと思いますね。したがって申請の中に、会社だけの意見ではなしに、そういう場合に運転者の意見というものが付されていくということが、一番理想的だと思う。そういう問題についてもひとつ、私はいまここで回答を求めようとは思いませんけれども、検討いただきたいと思います。  いずれにいたしましても、私はこの西武バスの問題を見まして、やはり一番問題なのは、形で指導ができているとか規制ができているということで、私はものごとを処理してはならぬと思います。中身を内容的に指導し、心が入っているのかどうかというところに問題があろうかと思います。したがって私は、第一は企業責任ではありますけれども、やはりこういう問題が、少なくとも人の命を失ったというような問題がありましたときは、やはりそれをひとつ大きな転機にして、もう一ぺんいまのやり方がいいのかどうかということは、企業も反省しなきゃいかぬし、そして指導の中身もやっぱり点検するという姿勢がなければいかぬと思うんです。そういう意味で、私はこの問題を契機にして、ぜひひとつワンマンの問題、それから調査方法の問題については厳重に検討いただきたいというふうに思います。そのことを申し上げ、要請をして質問をきょうは終わります。
  19. 小柳勇

    ○小柳勇君 私は、去る五月の二十六日に新潟港で機雷によって爆破されました、しゅんせつ船海麟丸の事故について質問いたします。この事故について関係者から報告を求めます。
  20. 栗栖義明

    政府委員(栗栖義明君) お手元に「ドラグサクション浚渫船海麟丸の新潟港における爆発事故について」という概要報告書を差し上げてございますので、これをごらんいただきながら御聴取いただきたいと思います。  まず、御報告申し上げます前に、これは私どもの直轄部隊の第一線で働いている船でございますけれども、今回の事故によりまして……。
  21. 木村睦男

    委員長木村睦男君) 栗栖君、もう少し声を大きくしてください。
  22. 栗栖義明

    政府委員(栗栖義明君) 今回の事故によりまして死亡者も出ましたし、重傷者も出ましたし、多数の負傷者も出しまして、この席をかりまして、そういう方々に対しまして、心から申しわけないというふうに存じておる次第でございます。  事故の概要につきまして申し上げます。お手元の資料のまず一番末尾に沈没位置図という図面がついてございますので、それをごらんいただきたいと思います。  事故が発生いたしましたのは、一ページに書いてございますように、本年の五月二十六日の十一時五十八分ごろでございます。  沈没した場所は、この図面でごらんいただきますと、ここに表示してございますように、新潟港は御承知のように信濃川の河口でございます。当時は、一番左側にハッチしてございますようなところを作業してございまして——なお海麟丸というのは特殊な作業船でございまして、走りながらどろを吸っていくという船でございます。これは、信濃川から流れてくるどろによって港が埋まりますので、これを一定の水深に維持するというために、過去七年間作業に従事してまいった船でございます。で、お手元にあります一番左側のハッチした区域の作業を終わりまして、ここにもございますように、三番目に「事故発生の状況」というふうに書いてございますが、一応作業が終わりましたので、海面から十二メートル五十まで下がっておりましたドラグアームを十メートルに上げまして、もう作業はやめた状態で港内に向かって走っておったということでございます。普通なら、作業が終わりますと、大体この防波堤の付近で回頭してまいるわけでございますけれども、前方に漁船が来たのを認めましたのでそのまま直進しておりましたところが、左舷のドラグアームに、「接触時」というふうに書いてございますが、これは接地時というふうに御理解願いたいと思います。地面にくっつけて走ってまいりますので、そういうふうな、何かさわったというような異常を感じまして、引き揚げようとしたところが、指示をしたところが、衝撃が起こって沈没したというふうに報告を聞いております。なお、船内における火災は発してございません。  なお、沈没しております個所は、その位置図にございますような、東突堤の先端部から二百六十メートルぐらい入った場所でございます。なお、航路の、海に向かいまして右側の端から防波堤に寄ったところにかかって擱坐しておるという状態でございます。  被害の内容につきましては、二ページにございますけれども、次席船長——御承知のようにドラグサクションでございますので三交代で作業してございまして、船長が三人おるわけでございますが、次席船長の須貝さんが船内のサロンでなくなられましたが、二十六日の十七時ころ発見されております。それからなお司厨次長の井崎さんにつきましては、まだ行くえがわかりませんので、船内はできるだけくまなくさがしたつもりでございますが、なお捜索してございますし、あるいは港の中、あるいは外側までも漁船、潜水夫を動員いたしまして鋭意さがしているわけでございますが、いまだ発見できないという状況でございます。  それからなお負傷者につきましては、現在入院加療中の方が十五名ございます。それから軽傷で手当てをして、一応現在のところ動けるという方が二十九名、それからなお、当時乗っていた方は全部で四十六名でございますが、大部分の方が大なり小なり傷を負っているというのが実態でございます。  それから物的被害でございますが、船の被害状況は、船体の左舷の中央部に大きな穴があいているということが一点。それからもう一つは、先ほど申し上、げましたように腕を出して、約二十七メートルの長さの腕を出して海底を引っぱりながら吸っていく、これをドラグアームと言っておりますが、これが半分以上吹っ飛んでいるというのが実態でございます。  事故の原因につきましては、ここに書いてございますように、爆発地点と思われます海底から磁気機雷用のコイルが見つかった。あるいは船体の左舷の外板のこわれた口が、内側にめくれ込んでおる。あるいは三番目に、左舷ドラグアームの大部分がなくなっておる。それから四番目に、目撃者が相当高い水柱が上がるのを見ておる。あるいは爆発音を聞いておる。それからブリッジの前面のガラスから火薬の反応が認められたというふうなことから、機雷の爆発によるものというふうに現在判定されております。  次に、事故が起こりましたあとの、港内の一般の船舶の運航状況でございますが、この沈没位置図でごらんのように、たまたま航路の端っこで事故が起こったということで、不幸中の幸いでございますけれども、現在は百五十メートルの航路幅を持っておりますが、一般の船舶の通行には支障を起こしておらないというのが実情でございます。  それからなお七番目に、海麟丸の所属、要目等が書いてございますが、これは私どもの出先の、第一港湾建設局の新潟港工事事務所に所属してございまして、総トン数が二千百四十二トン。これは昭和四十年の三月に石川島播磨重工で建造されまして、以来、この港で同じ作業に従事している船でございます。昨年の十一月に定期修理を終えて、まだ半年くらいしかたっていないという状態でございます。  なお、つけ加えますと、事故が起こりましてから、現地に第一港湾建設局という出先がございますので、そこに事故対策本部をつくりまして、私ども本省から技術参事官外一名を急行させまして、いろんな事後処理あるいは当時の情報の収集ということにつとめた次第でございます。  非常に概要でございますが、以上でございます。
  23. 小柳勇

    ○小柳勇君 大臣に見解を聞きたいんですが、私は、去る昭和四十五年の九月十一日と十一月の十六日、二回、参議院の交通対策特別委員会で、米軍投下による機雷爆発事件について問題を取り上げました。それは、昭和四十五年の五月九日に関門海峡でしゅんせつ作業中機雷が爆発した、及びその過去にも二、三回ありましたから、たいへんなことだということでこの問題を取り上げました。  そのときに閣僚から、政府の方針として次のようなことが発表されました。まず、しゅんせつ作業など港湾の作業をやるときには、必ず投下爆雷があるかないかを十分探査して安全に作業する、そういう確約があるわけです。詳細はまたあと質問いたしますけれども。したがいまして、今回の事故は、そのような新潟港全部を探査をして、一切もう投下機雷はないということが確認をされてやられたならば、このような事故は発生しなかったと思います。一名の死亡と、おそらく行方不明の方も死亡ではないかと思います。これだけの犠牲を払っていることは、当局者の怠慢ではないかと思うんです。いろいろ具体的にも質問いたしますが、まず大臣の、この事件に対する見解を冒頭にお聞きしたいと思います。
  24. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) まずお答えをする前に、こういった事故によりまして、とうとい人命を失いました。また、お一人はまだ極力捜索中でございますが、まだそういった生死が確定いたしておりません。御家族にとりましては、いかばかりかと思っている次第でございます。極力捜索を進めさしている次第でございますが、それとともに、負傷者、乗り組み員に非常に不安を与えまして、まことに遺憾に存ずる次第でございます。  実は先般来、いろいろ航空機の事故、新幹線の事故等が起こりました際に、一般のそういった輸送機関に、企業に従事する方、また現業の方に注意を喚起いたしますとともに、異例の、運輸省職員に対しまして私から大臣の訓告といたしまして、書類でございますが、書面で、十分に安全対策のためには十分気をつけるようというものを出しました。一週間前でございます。その直後に、またかかることが起きましてまことに申しわけないことだと思っている次第でございます。  いまお話がございましたが、私もこの事故を聞きまして、直ちにそういったような死者、行方不明者に対する対策を命じまして、技術参事官を直ちに現場に派遣をいたしました。また新潟管区に対策本部を設けさせまして、極力事後措置に当たらせますとともに、事後の対策につきましてただいま検討をしている次第でございます。港湾局長から話がございましたとおり、この地点は再三いままでもしゅんせつをしておりまして、そして、いままでの常識でございますると、再びあの磁気装置でございますか、によってする必要も、いままでの常識ではないといわれているところだったそうでございまして、それにもかかわりませずこういったようなことが起きましたことは、まことに残念でたまらない次第でございます。  直ちに、そのことを聞きましていま港湾局長に命じまして、すでに一回二回しゅんせつした場所にありましても、やはり念を入れて、新しいしゅんせつをすると同じような気持ちでもって、磁気その他によりまして再び捜索をしてやるべきである、こういうことを命じまして、港湾局長もその点を十分体しまして、これからそういったような方法でやりまして、かかる事故の絶滅を期するとともに、港湾関係のそれらのしゅんせつの危険の事態につきましては、あらためて総点検をいたしまして遺憾なきを期する。また一面におきまして、御承知のとおり掃海作業は、海上保安庁からただいまでは自衛隊に移っている次第でございますので、自衛隊とも十分連絡をとりまして、再びこういったような機雷、爆発物によるところの被害が絶滅をするように、十分指導あるいは諸施策を講じてまいるつもりでございます。
  25. 小柳勇

    ○小柳勇君 最近、鉄道事故とか自動車事故が頻発いたしまして、運輸省が総点検としての指令を出されたことは承知いたしております。しかし、幾ら書面を出しましても、出先機関のほう、あるいは現地のほうで実際行動しなければ事故はなくならぬのです。今回の事故にいたしましても、昭和四十五年十一月十六日の交通安全対策特別委員会で山中総理府総務長官が、政府の方針として次のことを言明いたしております。「残存機雷問題の対処方針」、「政府に、今後、残存機雷問題について、下記のより処理することとする。」一はあとで問題にいたしますが、省略いたします。二として、「港湾工事によって海底を撹はんするような工事作業が行なわれる場合には残存機雷の爆発の危険が生ずることがあるので、運輸省港湾局、海上保安庁等は、機雷が残存すると推定される海域で行なわれるこのような工事の施行については、工事の施工に当たり確実に機雷の探査を行なうよう今後とも十分の指導を行なうものとする。」、このように政府の方針を発表いたしております。したがいまして、今回のこの事故が発生いたしておりますが、この工事をする前に、この新潟港一帯、完全に残存機雷があるかないかを探査されたかどうか、その実態を御報告願います。
  26. 栗栖義明

    政府委員(栗栖義明君) ただいま先生指摘のように、港湾工事をやる場合に十分探査するというふうな方針で、現在進んでまいっておるわけでございます。ただ新潟港につきまして、その場合に新しく航路を開さくする、あるいは泊地を掘る、あるいは現在ある航路を深くするという場合は、確実に実は実施してまいったわけでございますが、新潟港のような場合は新しく拡張する場所じゃなくて、現在あります航路の水深を確保するというための、繰り返して同じ水深に掘ってまいったわけでございます。そういう点では、これは関係各省とも相談いたしまして、まずそういう心配はないであろうというふうに考えましておったところに、御指摘のように今回の事故が起こりまして私ども大いに反省しておる次第でございますし、なおこれは、まあ私どもから言いますとちょっと言いわけがましいかもしれませんけれども、新潟につきましては、一応昭和三十六年にもう掃海は終わったというふうに聞いてございまして、したがいまして、その両方をにらみ合わせまして、関係方面とも現地で相談いたしまして、あの区域は、私どものほうでは結局昭和四十五年以降、磁気探査その他の手当てはしてございません。
  27. 小柳勇

    ○小柳勇君 私は、昭和四十五年の九月十一日及び十一月十六日にここで問題を論議いたしますときに、次のようなことを発表いたしております。それは昭和四十年の十二月八日付、防衛事務次官から海上保安庁長官に対する書面によりまして、いま全国の日本の港に残存機雷が五千百二十六発残っておりますと、しかも新潟港には三百八十一発残っておりますと、数字までちゃんと書いた書面があったんです。したがいまして、このような具体的な数字をあげて問題にいたしました。その後、そのときにその論議をして後、このいま申し上げたような政府の方針はきまったはずです。したがいまして、工事をやるならば、たとえば三百八十一発というものが若干不完全にいたしましても、工事をやる場合は、あるものとして探査を十分にして工事するのが当然ではないかと思います。現在の港湾局長の答弁では、探査をしないで施業したと言われておりますが、この政府の方針に対して違反していると思いますが、いかがですか。
  28. 栗栖義明

    政府委員(栗栖義明君) 先生指摘のように、探査するという場合に、未掃海区域とあるいは既掃海区域で手順は違いますが、事務的に申しまして、いろいろと関係方面と相談いたしまして、手当てを加えて十分やるという基本的な方法で行なっておりますが、ただ、先ほども私ちょっと、反省してございますと申し上げましたのは、当時の相談申し上げた時点では、先ほども言いましたように、新しく泊地を掘るといった場合とか航路の水深を深くする、そういう場合は当然やらなければいけませんけれども、繰り返して同じ水深に維持する場合は、関係方面と相談してその場合は省略してよろしいというふうに話し合いして、実施してきたわけでございます。
  29. 小柳勇

    ○小柳勇君 さっきのこの説明図によりましても、海麟丸は、深い航路よりも浅い方向に船首を向けておりまして、とまっております。したがいまして、おそらくアームは浅いところをかいていったのじゃないか。関門の場合も、二メ一夕ーか三メーター、ヘドロの下に投下機雷は残っておるわけですね。だから、これだけ航行するなら、当然アームが下がっておって危険だということは、常識でなければならぬのではないか。しかも、これを全然やらないで、掃海区域であったとおっしゃいますが、掃海区域であったという証拠が何かございましょうか。
  30. 栗栖義明

    政府委員(栗栖義明君) 実は、機雷であるというふうに聞かされておりますが、現在その因果関係につきましては、まだ私ども調査しておる最中で不十分でございますが、ただ、一つどももわからないので、いまこれから早急に検討しなければいかぬと思っておりますのは、先ほど申し上げましたように、当時の当直の船長の話を聞きましても、海面から十二メーター五十、アームをおろしたものを、作業をやめまして十メーターの深さで走っておったわけでございます。したがいまして、十メーターのところで、何かこうさわったような感じがしたという報告があるわけでございますけれども、船長の話を聞きましても、航路内を走っておったというふうに言っておりますし、その辺、ちょっと私もよくわからないので、もう一度早急に、その前後の模様を確認いたしたいというふうに存じておるわけでございます。ただ、そういう浅いところに入ったということじゃございませんで、少なくとも水深十メーターのところを走っておったということは、実際にブリッジでアームの深さをチェックしながら常に走ってございますので、それからもう一つは、船に音響測深儀を備えておりまして、絶えず水深の、どの辺の深さのところを走っておるかということは、船長が注意しながら走っておるわけでございます。ただ図面にもございますように、爆破したあとの状態は、御指摘のように航路から船首部が浅いほうにひっかかっておる。これはショックで曲がったんだろうとしか思えないわけでございますけれども、そういう状態になったというのが事実でございます。
  31. 小柳勇

    ○小柳勇君 ほかにも地図がありますけれども、目当美いところに入っておるようです。その現地の実態はまたこれは調査でわかりましょうが、いずれにいたしましても、政府の方針として、この工事をやる場合には「工事の施行にあたり確実に機雷の探査を行なうよう今後とも十分の指導を行なう」——二人のなくなった方に対して、私は政府を追及いたしますが、運輸大臣、だれの責任でしょうか。責任者を出していただきます。
  32. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) もとより私が運輸行政責任者でございますので、私の責任でございます。
  33. 小柳勇

    ○小柳勇君 じゃ、この事故を出したことによって、辞表をお出しになりますか。
  34. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) 非常に反省をしている次第でございまして、再び事故の絶滅を期するために邁進をしたいと、こういうふうにただいま考えておる次第でございます。
  35. 小柳勇

    ○小柳勇君 いつも、事故が発生いたしまして問題になるのですけれども、事故発生いたしますと、書面を出しました、と。それでこの問題は解決しないと思うのですよ。ちゃんと私はもう二年前に、これだけ、新潟港には三百八十一残っておるそうですよと。しかもそれは、防衛事務次官から海上保安庁長官にあてた書面です。その別表に数が書いてあるでしょう。その論議の結論として、政府の方針が出されているわけです。今後こういう工事をやる場合には、必ず完全にないということを確認してやりますと書いてあるでしょう。ちゃんときまっておるでしょう。その政府の方針に違反したならば、違反した責任をはっきりしなければ問題は解決しないのじゃないでしょうかね、今後とも。したがいまして、いますぐここで辞表出しますとおっしゃれないかもわかりません、しかし私は、この問題はいまここで納得できませんから、あとずっと具体的に論議しながら、最後にまた大臣の見解をお聞きいたします。  それでは、現在この海麟丸のように、ほかにも港をしゅんせつしている作業があると思いますが、その実態を御報告願います。
  36. 栗栖義明

    政府委員(栗栖義明君) 現在、海麟丸と同じ種類のドラグサクションと申しまして、わが国で四はいございます。そのうち一ぱいは、民間の持っているしゅんせつ船でございます。残りの三ばいが国が持っておりまして、一ぱいは名古屋を基地にいたしまして作業してございます。それからもう一ぱいは関門地区にございまして、現在、門司を基地にしてあの周辺のしゅんせつをやっております。それからもう一ぱいが、今回事故を起こしました海麟丸でございますけれども、これは新潟港を基地にいたしまして、酒田、秋田、あるいは場合によりましては北海道の苫小牧港あたりの、そういうしゅんせつ作業に従事しておったわけでございます。
  37. 小柳勇

    ○小柳勇君 四はい動いておるようでありますが、たとえば周防灘あるいは関門港などにも、あの書面によりますと残存機雷はまだありますけれども、海鵬丸の作業あるいは海竜丸など、作業の前に、完全に米軍投下機雷がないということを探査して作業をやっておられるかどうか、お聞きいたします。
  38. 栗栖義明

    政府委員(栗栖義明君) 先ほどの先生の御質問にからむかと思いますけれども、繰り返して申しますけれども、新しく航路を掘る場合、これは必ずやらなければいかぬということで励行してございます。ただ各省の申し合わせ事項の中に例外規定がございまして、下が岩盤で、掃海したあと機雷がころがる心配がないところとか、あるいは、私今回の事件で反省してございますけれども、当時の常識からいきまして、同じところを何度も同じ深さで繰り返して掘るところ、そういうところは省いてもよろしいということで進めてまいったわけでございます。  で、ほかの地域につきましては、これはドラグサクションだけの問題でございませんで、新しい従来工事を行なっていなかったところに構造物をつくるとか、岸壁をつくるとか、あるいは航路をつくるという場合は、必ず一ぺんチェックしてやれという指示をしてございまして、四十五年の十二月以降に、実績を申し上げますと、四十七年、ことしの三月までに、四つの港で機雷を九個発見してございます。それから、それ以外に爆弾が十一個、砲弾が百九十二個、焼夷弾、それから機銃弾等小さなたまでございますが、千六百三十三個というものを、全体で十一港で発見しております。そういうふうに、先生が御指摘のような海域に対する掃海といいますか、事前調査というものは厳重に守ってまいりまして、こういうふうな機雷なり砲弾なりを見つけて、それを除去してもらってから作業にかかっておるというふうな実態でございます。
  39. 小柳勇

    ○小柳勇君 海上保安庁長官が十二時から所用があるそうですから早目に質問いたしますが、先般もここで発表しましたように、あと残存機雷五千百二十六発の内容をもう一回言っておきたいんです。それは、浅瀬にありました残存機雷が、船が航海する航路に流れないとは言えない。したがいまして、今後の船の航行の安全という立場からもう一回言いますと、数字は、東京湾が五十七、福岡湾が百十八、唐津湾が八十五、新潟港が三百八十一、七尾港が百五十七、敦賀港が百十八、大阪湾及び紀伊水道に四百十一、播磨灘が三百七、広島湾が三百九十二、伊予、別府、周防灘含んで百二十九、その他若干、合計五千百二十六発。ちゃんと、防衛事務次官が保安庁長官に出した書面の別表です、これは。それを二年前に私がこの委員会で発表しています。その後、どのように航行安全のためにこの機雷の探査作業及び撤去作業をやられたか、長官からお聞きいたします。
  40. 手塚良成

    政府委員(手塚良成君) まず、いま先生指摘のデータでございますが、さらにその後、海上自衛隊のほうで掃海をおやりになりまして、四十六年度末現在におきます私どもが入手いたしております資料では、総計で五千六十二発残存機雷ということになっております。
  41. 森中守義

    ○森中守義君 港別にわかっておれば……。
  42. 手塚良成

    政府委員(手塚良成君) これは、私どものほうは防衛庁からいただいておる資料でございますので、いま防衛庁の担当の方からさらにこまかい御説明をいただけると思います。  海上の安全一般につきまして私ども責任があるわけでございますが、具体的なこの機雷の処理につきましては、実は海上保安庁と自衛隊の間で  歴史的に分担が変わってまいっております。これはもうすでに先生御承知だと思いますが、昭和二十年の十二月直後におきましては第二復員省の掃海部というところがやりまして、その後二十三年の一月に、運輸省の掃海管船部というところがやるようになりました。さらに、海上保安庁が発足しました二十三年五月には、運輸省からその仕事を保安庁の掃海課というのが引き受けることになっております。二十五年六月には、掃海課というのはざらに航路啓開所という一つの大型の組織になりかわっておりますが、二十七年の八月に保安庁、現在の自衛隊が発足されました際に、この事務は、人とともに完全に自衛隊に移って、自後海上自衛隊においてこの掃海をおやりになる、こういうたてまえになっております。で、その中で海上保安庁といたしましては、いま触れましたように、海上の安全確保というきわめて総括的な任務を持っております関係上、本件については海上自衛隊と密接な連絡を保ちながら、こういった危険を排除するということをやってきておるわけでございます。  その中で、私どもがさらに具体的にやっております対策、特にいま御指摘の、四十五年におきます連続した事故の直後における関係各省連絡会議による、先ほどお読みになりました方針を順守いたしまして、私どもが現実の指導を行なっておりますやり方は、港則法三十一条によりますところの工事に対する許可というものを出しますにあたって、こういう機雷の危険性が懸念されますところについては、先ほど港湾局長からもお話がありました探査ということを十分にやるというようなことを、あるいは義務として条件とし、あるいは注意を厳重に与える等の指導によりまして、そういう危険の排除をするというようなことをずっと続けてやってまいっております。  なお掃海につきましては、掃海の済んだところと、それから未掃海のところとがなお残っておるわけであります。先ほどの五千六十二という残存数があるわけでございまして、そういったものを含みます未掃海区域につきましては、海上自衛隊におきまして極力そういう掃海を、事情の許す限り早急にやっていただくというような事務的連絡とお願いをやっておる次第でございまして、今回の事件につきましても、一応関係のところと打ち合わせをいたしました協議をもとにして、港湾局におかれても、先ほど来御説明がありましたような措置をとられたというふうに思います。
  43. 小柳勇

    ○小柳勇君 長官の答弁、ちっとも主体性が、われわれはこうやりましたという答弁がありません。他省のことを説明なされました。それでは、この新潟港のしゅんせつ作業につきまして許可を与えられるときに、残存機雷の探査についてどのような措置をされたのか。その他につきましても、海上保安庁として、この残存機雷の撤去のためにどのような行動をされたのか、御説明を伺います。
  44. 手塚良成

    政府委員(手塚良成君) 今回の新潟の海麟丸につきましては、三月十四日付で港湾局から、四十七年度の第一期工事ということで、新潟港湾工事事務所長から新潟港長あてに工事の協議がなされております。で、この協議を受けまして新潟港長は、内容審査ということをやりました結果四十年までにしゅんせつをした水深を維持するためである、いわゆる維持しゅんせつ作業である、先ほど港湾局長から御説明のありましたようなことで、航行船舶に支障を生じないような措置を講じながらこれをやるというようなことで、端的に言いますと、従来の繰り返し、信濃川からの砂の流出で埋まってくるやつを繰り返し毎年掘り上げるという、同じ作業の繰り返しであるというようなことで、当初の安全宣言をもとにして、そういった具体的な工事に伴う船舶航行に支障を生じさせないというようなことを確認した後に、差しつかえないということを回答をいたしております。  一般的なこの除去の努力につきましては、先ほどの経緯あるいは従来の問題の起こりましたあとあとにつきまして、今日まで前後五回にわたりまして、地方の現場に対して厳重なチェックのしかたといいますか、作業のやり方といいますか、そういうものについての注意を喚起いたしております。現場におきましても十分注意はいたしておるかと思いましたが、今回のような事態がさらに起こっておるということで、今後につきまして、なお一そう具体的な検討をいたさねばならぬと考えております。
  45. 小柳勇

    ○小柳勇君 それでは退席時間もう近いですから、もう一問。さっき関門港の残存機雷を言いませんでしたが、約二千発、関門港は。これらの私が申し上げましたような、いま五千六十二とおっしゃいましたが、この残存機雷の数をお認めになりまして、これから一体どういう作業をやって危険を除去しようとされるか。長官の決心を聞いておきたいのです。
  46. 手塚良成

    政府委員(手塚良成君) 一応現在までのところ、再三の海上自衛隊との御相談によりますと、機雷の感応機能というものは、すでにこれは完全になくなっておるということでございますので、一般船舶の航行そのものについては、まず危険がないというふうに言われております。私どももそれを信頼いたしておりますが、問題は、そういったところでもやはり、今回もおそらくそうであろうと推定されますけれども、海底を撹拌する、あるいはこれに大きな何かショックを与えるようなもの、主として港湾のしゅんせつその他の作業、工事ということに伴っての危険は、今回の事故の例に徴しましてもあるかと考えられます。そういう観点で、そういう作業につきましては、先ほど先生もお読みになりましたとおり、従来の連絡会議できめられました探査ということを厳重にやるように、さらに指導を強化をいたしたい、かように考えます。  それから未掃海区域につきましては、さらに海上自衛隊にお願いをいたして、そういった部分についての掃海の進捗をお願いをしたいというふうに考えます。さらに、今回の例にかんがみて、既掃海の場所は、一般航行船舶には一応危険がないとされておりますけれども、なおそれを再調査をいたしまして、何がしか、そういうものが感ぜられるところにつきましては、海上自衛隊なり関係方面とよく相談をいたしまして、その処理なりあるいは航行のしかたなりというものを検討をいたしたい、かように考えます。
  47. 小柳勇

    ○小柳勇君 じゃあ防衛庁に質問いたしますが、いま長官は探査いたしますとおっしゃいました。探査能力は一体どのくらいあるのか。これから一年間一生懸命やるといたしまして、私が申し上げました数字、五千百二十六発、海上保安庁長官は五千六十二発とおっしゃいましたが、各この日本全国の港を探査するとして、一年間に一体どのくらい探査ができますか。
  48. 福田勝一

    説明員(福田勝一君) 最近二年間におきます実績でございますけれども、すでに九三%の、危険海域について掃海が完了しておったわけでございますが、二年間におきまして三十平方キロメートル、機雷の処分数にいたしまして二十二個ということでございます。  これは、先生先ほど仰せになりました四十五年の九月に特別委員会で御質問になられた際にも、たしか申し上げた記憶があるのでございますが、いま海上自衛隊におきますところの掃海の能力、機能的な能力と申しますのは、海上における機雷その他の爆発性の危険物、こういったものを探知する能力、すなわち、これにつきましては音響探査の能力が中心でございまして、土砂の中に埋まってしまった機雷につきましては、現在の能力におきましてはとても探査しきれない、こういうことでございます。しかし、そうは申しましても未掃海海域が約七%、すなわち広さにいたしまして約二千三百平方キロメートルございます。これにつきましては、前回の委員会の際にも申し上げたのでございますけれども、ほとんどが四、五メートルを中心にいたしました非常に浅い海域でございまして、いけすその世海産物の施設がすでにつくられておりまして、漁業関係者との話し合いをしながら、小型掃海艇を入れて掃海をするということでございますが、その話し合いが必ずしもスムーズにいかないというような面もございまして、先ほど申し上げましたように、二年間の実績として三十平方キロメートルしかできなかった、こういう状況でございます。
  49. 小柳勇

    ○小柳勇君 運輸大臣、お聞きのように、いま未掃海で、ぜひ掃海しなければならぬ区域が二千四百二十三キロ平米、私の調査では残っているわけです。にもかかわりませず、いま防衛庁の報告は、二ヵ年間であれだけの数字しか探査できません。一体、どうしますかね。残存機雷の数も、大体長官も五千六十二発はお認めになりました。しかも未掃海区域、二千四百二十三キロ平米あります。これをやらなければまた事故が起こるでしょう。二名のとうとい犠牲が、おなくなりになりました。あるいはまた関門で起こるかもしれません。あるいは大阪湾で起こるかもわかりません。  なぜ、こういう方向に予算をとって、あるいは掃海艇あるいは探査の機器をつくって早急にやろうとされないのか、二年前に私は声を大にして山中長官に言った。きょう、ぜひここにきてもらいたかった。衆議院の内閣でどうしてもはずせないという。また日を改めてやりますが、これだけ政府が言明をしまして、はっきり政府の方針として発表されております。それをやらないでいて、だれがやりましょうか。掃海の能力がないとおっしゃるでしょう。運輸省、どうしますか。船の航行を停止しなければならぬ。あるいは港湾建設局の作業を、当分探査能力ができるまで一切中止しなければならぬ。聞くところによりますと、第四港建では、いまこの話がつくまで、安全対策かつくまで作業をやめておるようです。私も言っておきました。あした問題が出るから、ちゃんと安全対策が出るまで作業はやめるべきであるかもしれぬ。きのう、その職員の代表の申し入れの中に、最後にそう書いてあります。私ども不安ですから話がつくまで作業を中止したい、そのくらいの切迫したものを、現場第一線の人は持っております。命がけですね。掃海しなければならない。それはもう二年前に、予算をとりなさいといってある。探査能力をつけなさいと。  そのころの話では、いまは完全に探査できるのは、民間の会社一社しかないとおっしゃった。それでは防衛庁のほうでも予算をとってやらないかと言ったら、それは防衛にはあまり戦略上必要がないそうですという、そういうべらぼうな答弁もありました。これは山中長官の答弁ですから、きょうはそれも確めたかった。そのころは中曽根防衛庁長官ですから、中曽根君と話したら、どうも戦略上そんな探査までは必要ないようだという、こう速記録に載っておりますよ。そういうでたらめことで、とうとい人命がしゅんせつ作業に捧げられるということでは、これは黙視することはできません。これからどういたしますか。これから早急にこれだけの探査をしなければならぬのですが、大臣の見解をお聞きいたします。
  50. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) 今回の事件、先ごろ起こりまして引き続きまた起こりまして、先ほども私、意見を表明した次第でございますが、実に遺憾に存ずる次第でございますが、まだ残り五千個も機雷がある。しかもその後掃海が、浅瀬が多くて、あるいはそういったような船艇が掃海するに構造が適していない、あるいはまた漁業との関係ということで、いま防衛庁から答弁がございましたように遅々としておくれておりまして、まことに残念に思っている次第でございます。  港湾につきましては私ども責任を持ちまして、港湾のしゅんせつにあたりましては再びこういうような事故を絶対に起こさないという態度で、再びしゅんせつする場所につきましても、新しい場所をしゅんせつをするのと同じように、いろいろの機雷捜知機その他の器具を用いまして、そうして十分周到なことをしてやるということを事故発生とともに決定をいたしまして、これを各地に十分周知徹底をいたしまして、そうして、これによりまして再びの事故の起こさないようにするということを決心をしている次第でございますとともに、いま御指摘がございました掃海業務につきましては、ただいま、御承知のとおり航行につきましては、いわゆる死機雷でありまして航行上は差しつかえないということでございますが、やはりこの未掃海区域が相当多いということは非常に不安もございますので、防衛庁に折衝いたしまして、防衛庁をして対策が早急に樹立をするように、私もとくと防衛庁長官と話し合いをいたしまして、積極的に対策に乗り出してもらうように、私のほうから強く勧奨する次第でございます。
  51. 小柳勇

    ○小柳勇君 港湾局長に具体的に質問いたしますが、いま境港に民間のしゅんせつ船、それから海竜丸、海鵬丸、海竜丸は名古屋、海鵬丸は門司、それから新潟では海麟丸がやっておりましたが、とりあえず境、名古屋、門司ですね、しゅんせつ作業をやっているところを、とりあえずその周辺の探査をやってもらいたいと思いますが、いかがですか。
  52. 栗栖義明

    政府委員(栗栖義明君) 私のほうも、防衛庁からいただきました危険水域で、未掃海区域、既掃海区域を問わず、先ほどの維持しゅんせつに類するものはちょっと例外的な、省略したケースもございますけれども、新しく掘る場合は必ずいままでも厳重にやってこさせまして、先ほど申し上げましたように、いろいろと見つけております。そういうふうに見つかったという事実を踏まえまして、現在も、工事に着手する前は必ずやるという態勢で進んでおります。  ただ、先ほども先生指摘のように、第一線の職員のほうから、やはりかなりの不安が出ているめは事実だと思います。で、当分の間そういう意味で、現在やっている場所ももう一ぺんチェックするということは、まず早急にやらしたいということで、実は土曜日の日に、口頭でございますけれども、各地方の局長に指示いたしまして、いままでやってきた磁気探査の実態、あるいはそれが落ちこぼれがあるかないか、もう一ぺん確かめてくれ、それまではしばらく作業をやめてもよろしいというふうなことで進めておるわけでございます。なお、ドラグサクションだけではございませんで、ほかのほうの機種でしゅんせつをやっている場所もございますので、これも一様に全部チェックして、現場の職員とも十分話して、職員が納得した上で作業してくれというふうなことを早急に手配してございます。
  53. 小柳勇

    ○小柳勇君 次は補償の問題でありますが、この次席船長がなくなりました。その方の遺族年金が九十八万六千円だ、そうです、一時金ございませんで。もう一人の行くえ不明の方もおそらく殉職ではないかと思いますが、人事院から見えておると思いますが、たとえば先般のあさま山荘の警官の遺族に対する手当など、あるいはその他民間のこの種の犠牲者に対する退職金などと比較いたしまして、公務員の場合の殉職のあと始末が悪いのではないかという不満がございますが、この点についてどのように考えておられるのか。  なお、民間の人が負傷いたしております。この民間の負傷者に対する援護は一体どうされるのか、お聞きをいたしておきます。
  54. 島四男雄

    政府委員(島四男雄君) 今回の事故の詳細は、先ほど運輸省の方の御説明で承知したわけでございますが、当然、今回の事故で災害を受けた方は公務災害に該当するわけでございます。ただいま御指摘になりました須貝次席船長の、遺族補償の年金の場合でございますが、非常に少ないのではないかという御質問かと思いますが、ただいま、年金が九十八万円前後というふうなお話でございましたが、年金の額は私ども必ずしもまだ十分計算しておりませんので正確なところはわかりませんが、かりにいまお話しのように九十八万前後と仮定いたしますと、この方の奥さんの余命年数をかりに三十年といたしますと、その年金額の合計は約三千万近い額になるわけでございます。もちろんその間、中間利息がございますので、それを控除いたしたといたしましても、二千万近い額が支給されるという結果になるわけでございまして、現在の社会常識から見て、必ずしも低いものとは申せないと言えるのではないかと思います。  ただ私ども、この種の事故に対する補償が、現在国家公務員の災害補償法の補償水準は、労災、労働基準法その他の社会保険制度との均衡をはかってきめられております。したがって、そのような法律の規定がございますので、一挙にこれを私どもだけで上げる、水準を改善するというわけにはまいりませんが、ただ私ども最近聞いておりますところによりますと、民間におきましては、労働協約なりあるいは就業規則等によって労災をさらに上積みしている。労災の補償内容を若干上積みしている。いわゆる法定外給付がかなり出されておるやに聞いております。したがって私どもとしては、そういう民間の法定外給付の実態を十分調査した上で、この補償水準の改善につとめていきたい、このように思っております。  ただ、今回の事故で巻き添えになった民間の方の補償については、私どもは承知しておりません。
  55. 森中守義

    ○森中守義君 関連。  ちょっと補償の問題にいま入っているんですが、その前に防衛庁にひとつ聞いておきたい。  防衛庁から出された資料で、鹿島灘ほか三港、つまり太平洋沿岸の危険海域四千四百二十九平方キロメートル、一〇〇%掃海、間違いありませんね、にもかかわらず百六発まだ残っている。それから福岡港ほか三港、九州沿岸で三千八百五十平方キロ、掃海一〇〇%、それに三百十七発残っている。日本海沿岸で、酒田、新潟等約十港の中で六千三百九十四平方キロメートルが一〇〇%掃海、それに千三百三十三発。それから内海で一万九千六百六十平方キロに対して八七・八%、こういう掃海の状態であって、なおかつ三千三百六発残っているという、この辺の問題がどうしてもわからない。  つまり一万一千八十発でしょう、全部でね。ただし、これも米軍の証言というよりも、いわば一種の推定だと思います。ところが、掃海の率が九三%終わっておって、しかも残存数が五千六十二、約二分の一残っているわけですね。これは一体どういうような割り出しになるんですか。私はこういう数字からいけば、危険海域の見方が少し狭過ぎるのじゃないか。そう思いませんか。つまり未掃海のものは七%しか残っていないんですよ。にもかかわらず残存数は、一万一千の約二分の一残っている。こういうことになれば、危険海域として見ている範囲というものがちょっと狭過ぎる。言いかえるならば、もっともっと広範な海域にわたって危険地帯がある、こういう見方をすべきでないですか。検討したことありますか。これが割り切れない、どう考えてみてもね。
  56. 福田勝一

    説明員(福田勝一君) 先ほどもちょっとお答えした点なんでございますけれども先生の御質問が、私どもの一番の掃海についての問題点になるのではないかと思うのでございますが、海上自衛隊におきます掃海でございますが、機能的な面から申し上げますと、やはり海上における一般船舶の航行の安全という観点から、従来とも、水中にころがっているそういった機雷であるならば、音響探査器で十分探査し、それを除去し処分することができる、また、海上自衛隊としては、そういう能力を中心にして、この能力を伸ばしてきたわけでございます。したがいまして、米軍のパイロット等の報告を中心にしましてまとめました、そういった危険海域につきまして、海上自衛隊の持っておりますところのこの四十二隻、最近二隻ふえまして四十二隻になったのでございますけれども、四十二隻の掃海艇、三十六隻は大体三百トンクラスの掃海艇でございまして、これはもう外洋も十分できる、相当深いところも掃海できる船でございます。で、六隻が四十トン前後の小型掃海艇でございますが、その四十二隻の掃海艇が装備しておりますところの探知機能というのは、先ほども申し上げました音響探査能力しかないわけでございまして、したがいまして、この仰せの海域につきまして、音響探知器によりまして全部まんべんなく洗っているわけでございます。  で、そこでもって発見されるものについては、もちろん除去、処分をしているわけでございますけれども、年月がたつうちに海中で土砂に埋もれてしまったもの、あるいはそれほど沖合でなくて波寄せぎわに近いそういうところ、こういったところの残存機雷というものは、陸地からのヘドロ等の流出物であるとか、あるいは波そのものの作用によりまして、非常に土砂に埋もれやすいということが一応推定されるわけでございます。で、一たんどろに埋もれ土砂にもぐってしまいますと、海上自衛隊が装置しております音響探知器ではもうどうにもならないということでございまして、自衛隊法におきましても、海上における機雷その他の爆発性危険物の除去、処分と、こういう任務を付与されているわけでございますが、それはやはり現在の海上自衛隊の持っているそういった能力に着目してそういう規定になっておるわけでございますし、また、先ほど小柳先生からお話がございました関係各省の連絡会議におきまして、やはりこういった泥中に埋まったものについては、海上自衛隊ではもう能力がないということを前提にいたしまして、海底を撹拌するとかいうそういう工事をする際には、どうしてもやはり磁気探査能力を持っている民間の会社等に委託して、あるいはそういった会社に工事を頼んで探査をしていただく以外にないということを前提にして、一連の政府対策というものがきめられているわけでございまして、すなわち太平洋沿岸、九州沿岸、日本海沿岸、これは港湾も含めまして、私どもの持っておりますこの掃海艇を中心にする能力においては一〇〇%やっているわけでございますが、しかし、先ほど言ったような泥中のものについては、もうどうにもならない。  で、現在残っておりますのは、ほとんどが内海でございまして、大阪湾、播磨灘、安芸灘、広島湾、こういったところ、もちろん一部関門港等の近くもございますが、こういったところについては、先ほど申し上げましたように、漁業に専従していらっしゃる方のいけすその他の海産物の施設等がありまして、話し合いをしながら逐次掃海をやらしていただく。これはいずれも四、五メーターから、せいぜい十メーターぐらいのところでございます。こういったところが未掃海になっておりまして、それが全体の七%ということでございます。よろしくお願いいたします。
  57. 森中守義

    ○森中守義君 聞いたことをもう少し正確に答えてくださいよ。いまのお話からいけば、たとえば太平洋沿岸の一〇〇%掃海、にもかかわらず百六発残っておる。これはもう、じゃあ危険はない、いまの説からいけば、泥土の中にずっと沈下しているから、あぶなくないから放置するという意味ですか。要するに、掃海機能として対象にならぬ、したがって危険はないから、もう掃海率一〇〇%のところは、どのくらい数が残っておろうとも放置するという意味ですか、打ち切るという意味ですか。
  58. 福田勝一

    説明員(福田勝一君) 海上自衛隊の現有能力では、どうにもならないということでございます。ただ、いま海上自衛隊を中心にしまして、泥中の機雷等についての磁気探査という方法がございますけれども、これは先ほど小柳先生からお話がありました、民間の日本物理探鉱という会社がそういう能力を持っておるわけでございますけれども、これは非常に会社側も、そういった機械の性能については秘密にいたしておりますので、海上自衛隊におきましても、独自にそういう方向で研究開発にはいそしんでおるわけでございます。そういったものが開発されれ、ば、その時点において、こういった泥中におきますところの機雷の探査ということもやれるということになるわけでございます。ただ、私どもが申し上げておるこの一〇〇%と申しますのは、いま持っておる能力によってやったことでございますし、また一般の船舶の航行につきましては、まず安全が保証できる、こういう状態であるわけです。ひっかけますということになれば、もう話はおのずから別と、こういうことでございます。
  59. 森中守義

    ○森中守義君 そうすると、結局危険海域というのは、この資料に示されておるものがあくまでも危険海域とみなしておる、他に拡大をしてみなす必要はない、そういうことに理解していいのですね。
  60. 福田勝一

    説明員(福田勝一君) これは米軍のパイロット等からの証言、報告、そういったものを中心にしまして、危険海域は三万四千三百三十三平方キロメートルであるという、そういう報告の集計ができております。したがいまして、これで危険海域というのはまず間違いないということで押えているわけでございまして、その危険海域につきまして、海上自衛隊の持っておる能力でもって、もちろんこれは海上自衛隊が引き継ぐ以前におきましては、海上保安庁あるいは第二復員省、そういったところがやっておるわけでございますが、そういったソーナーを中心にします能力でもって掃海したのが九三%、こういうことになるわけでございます。
  61. 森中守義

    ○森中守義君 運輸大臣、いま防衛庁の説明で大体ものの考え方がはっきりしましたが、そのとおりでよろしいんですか。要するに五千六十二発残っていて、あと、これがどのくらい処理されるかということは、〇・三%しかないのです。そういうことだね。
  62. 福田勝一

    説明員(福田勝一君) 七%でございます。
  63. 森中守義

    ○森中守義君 ちょっと待った。八七・八%だな、内海はね。そういうことだな。約一二%、残余の掃海率というものは。その中に、内海の三千三百六発というものがある。どの程度処理されるかという問題が残る。それから、その余の掃海率一〇〇%のところは、さっきの防衛庁の考えからいけば、放置される、こういう計算になりますね。そこで運輸大臣、いまの探査機能ではどうにもならぬと。しかし、さしずめという意味になるのか、あるいはさっきの説明では、さらに新規に機器の開発をして可能な限りというような意味もとれるけれども、どうなんですか、内閣としては、政府としては。まずは危険がなかろうというならば、掃海率一〇〇%のところで、残存数が相当数あってもこのまま放置されるつもりですか。それとも、積極的に取り組んで、五千六十二発というものは残存数を処理されるつもりですか、どうですか。
  64. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) ただいまの御質問でございますが、もとより航海の安全が第一でございますので、できるだけ安全確率を高めることが一番の主眼でございます。政府といたしましては、その目的に向かいまして機器の開発、その他あらゆる手段を通じまして、そうして残存の機雷、その他の爆発物の除去に徹底的につとめたいと、このように思っておる次第でございます。
  65. 森中守義

    ○森中守義君 これは、いまのようなまことに抽象的政治的発言では了承できません。非常に具体的な事実問題ですしね。それと、二年前にすでに小柳君から二回ほど問題が提起されて、先ほどお話があったように今日に至っているわけですから、私はこの問題の処理については、質問を後日に譲っておきます。もう一回これはやらないとあぶなくてしようがない。
  66. 小柳勇

    ○小柳勇君 そこで、このいまの防衛庁に対する問題は、さっき政府の方針、「残存機雷問題の対処方針」の第一項に、防衛庁の責務をちゃんと書いてあるわけなんです。最後だけ読みますと、「一部に残された未掃海海域については、通常の船舶航行の安全に関してはほとんど問題ないと推定されるが、なお、地元との調整を図りつつ、防衛庁(海上自衛隊)が未掃海海域の掃海作業を行なう。」と書いてあります。したがいまして、この残りました二千四百二十三キロ平米が掃海しなきゃならぬ。しかも五千六十二発というものがあるとするならば、予算を組んで短期間に掃海作業をやることは、これは政府の方針でなければならぬと思います。だから、さっきのように、民間のほうがすぐれておりまして海上自衛隊は探査能力がないでは済まされませんから、これは後日、防側庁長官にもここに来てもらって、また問題をひとつ徹底的に究明することにいたしましょう。  さっきの私の質問の中で、民間の死傷者に対する補償の問題は、これは人事院じゃないと思いますから、運輸大臣から御答弁を求めます。
  67. 栗栖義明

    政府委員(栗栖義明君) 民間の方が、魚釣りをやっておられた先が足に負傷されたというような報告を聞いております。それは私どもの手でできるだけの、入院加療はもちろんでございますけれども、お見舞いその他十分のことは、できる範囲でさしていただきたいというふうに考えております。
  68. 小柳勇

    ○小柳勇君 魚釣りだけですか。死亡者一名、行くえ不明一名、それから入院加療十五名、軽傷二十九名ですが、魚釣りの人、民間の人が何名いるんですか。
  69. 栗栖義明

    政府委員(栗栖義明君) 先ほどの報告書の中には入ってございませんが、私ただいま承っておるところでは、一名というふうに聞いております。
  70. 小柳勇

    ○小柳勇君 いままでのところで問題は解決いたしません。したがいまして、当初に私は運輸大臣責任を迫りました。その問題も含みまして保留いたしまして、もう一回、防衛庁長官なり山中総務長官がこれだけはっきり政府にかわって言明しておりますから——当時は担当がはっきりしなかったんです、二年前は。で、彼が来ましてこういうふうに答弁したんですが、きょう出席できませんから、後日またこの問題は質問いたしたいと思います。
  71. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 関連。  ただいまの問題に関連しまして、一点だけ確認をしておきたいと思います。二十七日に、全日本海員組合のほうから運輸大臣に申し入れをしてあります。一つは再掃海を行なえということ、それからもう一つは、新潟港の安全が確認されるまでは、大型船一万トン以上のものの入港はやめさせろ、それからしゅんせつ作業は中止しろ、これを申し入れてありますけれども、掃海の件、いろいろ御答弁がありましたけれども、この大型船の入港の件についてどういう措置をとられたか、お伺いをしたいと思うんです。
  72. 須賀貞之助

    政府委員須賀貞之助君) お答え申し上げます。  一般に、新潟港に限らず、巨大船の入港につきましてはいろいろ問題の多いところでございますが、現在、産業界全般の燃料構造からいいまして、いろいろ問題が多いところでございまして、遠隔の地にCTSあるいはシーバース、そういったものの建設、あるいはそこからのパイプラインによる誘導といったようなことについて、抜本的にいろいろ考えなければならぬと、こういうふうに考えておるわけでございますが、現在、新潟港だけについて特にしているわけではございません。
  73. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 今回の問題、たまたま機雷の爆発事故が起きたわけですけれども、新潟港の底の泥の中には、まだかなりたくさんの機雷があるということが予想されております。特に新潟港の場合は比較的底が浅くて、二万トン以上の船が入る場合には、底をするケースがかなり多いということが報告されておるわけですけれども、そうすると、この大型船入港の際に、やはり機雷に触れて爆発事故を起こす危険性があるのではないか。この点の安全性が確認されるまでは、少なくとも大型船の入港は見合せるべきだと思いますけれども、この点いかがですか。
  74. 須賀貞之助

    政府委員須賀貞之助君) お答え申し上げます  一般的に申しまして、底をするような船が入るということは、もともと機雷のあるなしにかかわらず、非常に問題のあるところでございまして、これはもちろん入れるようにはなっておらぬわけでございます。そういう意味におきまして、しかし今回こういう事件が起きましたので、さらに注意して、港長においていろいろ指揮するようにということを伝達してあるわけでございます。
  75. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 しかし、現に一万トン以上の船が入っているわけでしょう、新潟港には。こういうものがやはり触雷する危険性があるから、今回の事故を契機にして、新潟港の再掃海をやるなり、安全性が確認をされるまでは、少なくとも一万トン以上の船は入港させない、こういう方針を出すべきだと思いますけれども、いかがですか。
  76. 須賀貞之助

    政府委員須賀貞之助君) そういう点についても検討していきたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。
  77. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 検討といいますけれども、そうすると、まだそのまま入港を許しておりますと、また引き続いて事故が起きる可能性もあるわけですね。少なくとも安全性が確認されるまでは即時中止すべきではないかと思いますが、いかがですか。
  78. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) ただいま、先ほどからの御指摘がございましたが、海員組合からの抗議、海上航海安全の点からもっともでございまして、早急に現地におきまして関係各省と連絡をとりまして、どの程度それができるか、そして具体的に御安心を願うということを早急にいたさせます。そうして御納得を得たい、こういうふうに思います。
  79. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 議事進行について。  いままでの質疑を聞いておりますと、防衛庁側の答弁が非常にあいまいです。つまり、小柳委員の場合は、前回の防衛庁長官の言明を引用していろいろと質問しているんですけれども、答弁は、結論的に言うと、防衛庁側、海上自衛隊のほうでは、もうこれ以上のことはできませんという言い方ですよね。それから、機雷が泥の中に埋まってしまったものはこれはしかたがないんだと、こういう言い方ですね。だから、あたかもこの沈没した船も、どろの中へ埋まっている機雷にぶつかったかのように聞こえますよ。要するに、これは運輸省の分野であって、防衛庁のほうは関係ないんだというふうに聞き取れるわけです。しかし、いままでの経緯からいうと、そうはいかないんですね。海上自衛隊の持っている船と海上保安庁の持っている船と、おのずから性能が違うと思うんです。特に掃海艇といったような、機雷を掃除をするこういう役目は、昔は海軍の仕事であって、運輸省の仕事じゃなかった。海軍の仕事ということであれば、今日でいえば海上自衛隊が当然、特に戦時中の機雷なんかは掃海をする義務があると思うんですね。  だから、この点は防衛庁長官に出席してもらって——いまの能力じゃしかたがありません。民間にまかせますなんて、こんなばかな話ないですよ。もうけ仕事でやっている民間会社に、こんな大事な仕事をまかせていいということにはならぬと思うんですよ。だから、責任の分野を明らかにする必要があると思う。これは運輸省がやる仕事なのか、海上自衛隊、防衛庁でやる仕事なのか、これをはっきりさせないでお互い責任の突っかけ持ちみたいになってしまって、また第二のこういう事故が起きないとも限らないじゃないか。その意味では、この委員会にぜひ防衛庁長官の出席を求めて、そして防衛庁としての責任の感じ方、責任のとり方、これからの対処のしかたというものを述べてもらう必要があると思う。  時間的には、もう午前の委員会は打ち切っていい時間じゃないかと思いますので、午後の委員会には、ぜひ防衛庁長官もしくは当時の責任者であった総理府長官等の出席を求めて委員会を再開をされ、この保留された問題について、さらに継続をされるように要望したいと思います。
  80. 木村睦男

    委員長木村睦男君) 本件につきましては、午前中はこの程度とし、午後は一時四十五分に再開いたします。  これにて休憩いたします。    午後零時四十二分休憩      —————・—————    午後一時五十三分開会
  81. 木村睦男

    委員長木村睦男君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、運輸事情等に関する調査を議題とし、質疑を行ないます。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  82. 小柳勇

    ○小柳勇君 防衛庁長官にお聞きをいたします。午前中、新潟のしゅんせつ船「海麟丸」の米軍の投下機雷による爆破事件について質問いたしました。私は、昭和四十五年の九月と十一月に、関門港における機雷によるしゅんせつ船の事故を契機に二回質問をしておったのでありますが、ちょうど二年たちました今日、なおこのような事件が起こりました。  そこで、問題にいたしますのは、昭和四十五年のこの事件対策として、政府は次のようなことをきめております。これは国務大臣の山中貞則君から交通安全対策特別委員会に報告された内容でありますが、「政府は、今後、残存機雷問題について、下記により対処することとする。」、この第一項の最後のほうにこう書いてあります。「一部に残された未掃海海域については、通常の船舶航行の安全に関してはほとんど問題ないと推定されるが、なお、地元との調整を図りつつ、防衛庁(海上自衛隊)が未掃海海域の掃海作業を行なう。」、このように書いてございます。午前中防衛庁の運用課長からの答弁によりますと、掃海能力というものが非常に少ない。私ども調査によります未掃海海域——この投下機雷があるにかかわらず、まだ掃海できてない海域が二千四百二十三キロ平米あります。にもかかわりませず、防衛庁の掃海能力が非常に少ない。一体どうして残存機雷五千六十二発を完全に掃海して航行の安全なりしゅんせつ作業が完全にできるようにすればよいのか、こういう問題点にぶち当たりました。で、しゅんせつ作業というのは運輸省がやるわけですけれども、機雷の掃海作業をやるのは防衛庁であります。掃海能力が小さいのを二年間放置しておいて、なおこれだけの残存機雷があって安心してしゅんせつ作業ができないような情勢であるのに、予算も取らない、しかも海上自衛隊の掃海も十分でないというような情勢では、防衛施設庁長官の怠慢ではないか、こういう結論でここへ来てもらったわけですが、まず、午前中の論議の過程、論議の内容については係官から報告があったと思いますから、これに対する長官の見解をお聞きしておきたい。
  83. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) しゅんせつ船の「海麟丸」が、二十数年を経た今日、米軍の投下した残存機雷によってああいうことになりましたことは、まことに遺憾なできごとだと思っております。御指摘の点でありまするが、確かに、防衛庁としては、これは自衛隊法九十九条によりまして、この機雷の処置並びに危険物の除去ということは重要な任務の一つになっております。しかし、これは海上に浮遊しておるもの、大体海中で確かめ得る範囲内のものをどう処理するか、こういうふうに防衛庁では受け取っておるわけであります。した、がいまして、いま手元にありまする資料を見ましても、太平洋岸、九州沿岸、日本海沿岸、たまたまこの新潟港及びその付近というものも、浮遊機雷を含む、防衛庁として手の及ぶものについては一〇〇%処理をしたと、こういうことになっております。これはきっと午前中からの審議で御存じのとおりだと思います。ところが、新潟港付近だけでもこの五千六十二の機雷数からいいまするというと三百七十七個残っておる、そしてどうしてそれが一〇〇%なのか、これは私どもも素朴にそういう疑義を持つわけでありまするので、先ほど私内閣委員会へ出ておりましたが、そのあといろいろ係の者から事情を聴取いたしました。これはどうも地下に——地下といいますか、沿岸海域、あるいは河口、今度の新潟の場合はまさにそれに類するわけでありまするが、そこで埋まっておる機雷というものがどうも処理しにくい。それから、御承知のように、内海においては九〇%、七十何%といったような地域もあるわけで、一体これはどういうことかということには、これは小柳さん前から深い関心をお持ちでありまするが、いけすがあったり、あるいはノリ採取があったりというようなことで、ここにはそんな機雷はないからやめてくれ、たぶんあるだろうというんだが、なかなかそこへは入ることが事実上許されないというようなことで、そういうものが行なわれないんだと。今度の新潟の場合は、一応自衛隊としては、届け出のあったもの、またこちらで探索をし得て爆発をさせ処理したもの、そういうものを含みますると、これはまさに一〇〇%である、こういうわけです。そこで、さっき御指摘になりました、当時の処理方針、これは山中総務長官のところでまとめられたものによりましても、その第二項におきまして、海底を撹拌するような港湾工事が行なわれる場合は残存している機雷の爆発の危険性があるので、運輸省港湾局及び海上保安庁は工事実施責任者に対しこのような工事の施行前に確実に機雷の探査を行なうよう十分の指導を行なう、こういう一項目があるわけであります。これは、防衛庁自体には、この埋没しておるものの探査能力、これが現実にはありませんので、そこで業者にこれをまかせておる、同時にそのことは運輸省の港湾局及び海上保安庁が御指導を願う、こういうことに役所同士の仕組みといいますか、任務分担はなっておるわけであります。したがいまして、こういう事態が起こったことそのものはまことに遺憾でありまするが、防衛庁としてはどうも今度の場合は手の届かないところにあったというふうに考えておるわけでありまするが、そうかといって、これは終戦処理の重要な一環でありまするので、今後二度とこういうことの繰り返しがありませんように、現在の予算措置では埋没機雷を探知するという施設は持ち合わせておりませんが、今後はこれはやはりなお総務長官等々を中心にいたしまして検討の要あり、こういうふうに考えておるような次第であります。
  84. 木村睦男

    委員長木村睦男君) この際、委員異動について御報告いたします。     —————————————  本日、稲嶺一郎君が委員辞任され、その補欠として高橋邦雄君が選任されました。
  85. 小柳勇

    ○小柳勇君 いま長官の答弁を聞きますと、非常に無責任きわまると思うんですよ。これから工事やるという港湾について運輸省が探査しなければばならぬということが書いてありますからこれはやるでしょうというようなこと。もう一つは、海上自衛隊には探査能力がない、これを認めておられるわけですね。そこに問題があるわけです。午前中にも運用課長がそう申しました。二年間の実績はこれこれでございます。そういうところに問題があるのでありまして、米軍の投下機雷の予想——まあ予想よりも、報告によってつくられた防衛事務次官から海上保安庁長官に対する書面の中に各港の残存機雷の数の端数まで書いてある。これはもう政府として認めておるはずですよ。だから、未掃海区域に機雷があるのか、掃海区域にも残っておるのか、その点に若干問題はありますけれども、たとえば新潟港については掃海いたしましたという前提があるでしょう。だから、運輸省港湾局としては、あらためて探査しないままにしゅんせつ作業に入っておる。ところが、事故が起きました。だから、掃海区域にも機雷があるかもしれない。だから、掃海、未掃海を問わずさっき私数字を申し上げましたけれども、東京湾なり、大阪湾なり、関門なり、新潟なり、港に残存機雷の数がわかっております。ならば、その海上自衛隊が、さっきの報告では、四十二隻、小さいものを含んで掃海艇を持っておると言われるけれども、もしこれで足らなければ、予算の中に組んで掃海艇をふやして、短期間にその残りました弄千六十二発のどこかにある機雷を掃海しなけれげならぬのではないか。ところが、そのことをこの前私が山中長官に質問したら、山中長官は自分の守備範囲ではないのであるから中曽根防衛庁長官に聞いたというわけです、当時の防衛庁長官に。そのときの返事が、ここに答弁として速記に残っておる。これは問題でありますから、私ちょっと読みまして、防衛庁の姿勢だと思いますから、聞いておかなければなりません。あなたのいまの答弁にも関連があります。どういうことかといいますと、「今日まで関門海峡を中心にとってまいった措置並びに現状、それから先生の御質問になりましたこと等にも関係する問題点、こういうものの話をしまして、」——これは中曽根長官に話した——「これは過去の第二次大戦のときのものであるが、しかし今後このようなことが日本の内地を撹乱するのに効果があるのだということで使われたら、」——これからの戦争ですよ、これはわれわれは戦争なんかないと思っておりますが——「使われたら、原始的な過去の戦術、これは日本においては有効だということになりはしないかということで、中曽根君もそこまで知らなかったわけであります。すぐに調査をして返事をよこすということでありました。防衛庁の局長より、それは戦術的に実は要らないのです。」ということであります。おたくのほうの防衛庁の局長が、そのような港に投下機雷で敷設するというようなこと、それを除くようなことは、戦術上必要はありませんと、そういう答弁があった。原始的なそういう戦術は使わないという意味でしょう。それが一つ。「ということは専守防衛の場合であっても、そのような形の海底の土中に半分埋没したり、ころがっていたりするようなものは、あまり現在のところは私たちのほうとしては、国の防衛なり、あるいは民間の輸送物資の船が通るとき等について、そういう心配はあまり要らないのだということを戦術的に説明しておりました。」と、もうそういうことを、埋没したやつを取り除くようなことは戦術上もう考えていないという意味でしょう。「これは私はよくわかりませんが、いま一つは、これが実は特許なのであって、いま日本の民間の企業が一社だけ持っておるというのは、たまたまその外国の特許を取得しておるということであって、これが国の名において、自衛隊だからといってすぐにわかりましたといって、」「磁気探査の能力を備えた小さな船でいいのですが、大した金額ではないにしても特許の問題があって、すぐに自分たちでかってにそれを組み入れるわけにはいかない。」と、戦術上そういうような掃海艇が要らないというのが一つと、現在日本の会社でもって探査能力があるその船というものは外国の特許を買うておるのであるから、防衛庁といえどもそんな船をたくさんつくるわけにまいらぬと、こういうのが防衛庁としての姿勢であった、そういう返事です。だから、いまから、これから先にその会社が持っているような探査能力のある船をつくって防衛庁が残っておる投下機雷を掃海するというような意思はないということをちゃんと答弁してありますよ。それを問題にしてきょうは、新潟港などでももうだいじょうぶと思ったのにあんな事故を、あんな始末でしょう。あるいは大阪湾や、あるいは瀬戸内海でも起こるかもしれませんから、いまの探査能力が非常に少ないようですから、もっと予算をふやして船をつくって、その方面にうんと力を入れたらどうかと。運輸大臣はさっき、防衛庁ともよく相談をして早急に探査をして、そしてこれで残りました残留機雷を一日も早く撤去して、安心した航行なりしゅんせつ作業をしたいと答弁されました。で、たくさんの予算を防衛庁も毎年取られますが、このように港がしゅんせつ作業すら安心してできないような情勢で置くわけにまいらぬのではないか。だから、運輸省が言おうが言うまいが、防衛施設庁としての任務であるならば、予算を取って船をつくって、ひとつ短時日の間に残留機雷を掃海してもらいたいと思うが、どうですか、そのことを聞きたいんです。
  86. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) 御質問の点は、きわめて重要であることは私どもわかります。ただ、さっき御指摘の部門につきましては、掃海艇を隻数をふやす話ではなくて、いわゆる土中に埋没しておる機雷をどう探知するか、その探知能力を防衛庁が持つか持たないかと、こういう点だと思います。そこで、いかにも役所のこれはセクトを露呈するような話を私ども政治家がする必要もありませんし、したくもありません。だから、これは早急に——四十五年に総務長官が中心になりまして運輸省や防衛庁や海上保安庁等々関係者を集めてこの統一見解を出しております。したがって、防衛庁が無責任であったとはこれ私言えないと思うんです。それはなぜかといいますと、さっきも読み上げました、もうくどくなりますから言いませんが、第二項で、海上における、何といいますか、海上を撹拌ですか、拝するような港湾工事が行なわれるときには、たとえ一社であっても機雷探知機によって十分探知しなければならぬと、今度のしゅんせつ船の場合は撹拌したわけじゃないようですが、これがしゅんせつの付属器具をそのままにしてこう曳航してきたもののようですね。それに当たったんですか——というふうに私聞いておりますが、そういうことから言いますと、今度の場面は、たまたま十分海底を撹拌する仕事であるにもかかわらず、土中に埋没しておる機雷探知が十分に行なわれていなかった。これは防衛庁の責任だと言われましても、それは民間なりしかるべき機関を通じてそういうことをやるということにきめられておるものですから。防衛庁としては何も責任を回避するつもりはありません。こんなことが起こっていいはずはありませんから、今後もそういうまた機関の横の連携を密にしまして、二度とこういうことのないように努力をしてまいりたいと思います。これは海中の魚雷ばかりでなくて、地上に残されておりますあの埋没の爆弾がございます。この爆弾の処理につきましても、御承知のとおり、これは地方公共団体が警察に申し入れる、その警察が地方公共団体との合意において、防衛庁に処理能力がありまするので、防衛庁へ委嘱される。そうすると、われわれは実費をもってそれを処理する。負担は、砲弾を掘り起こしたり、特に人家稠密のところは立ちのきをしたりなんてことになると、何百万円とこのごろ経費が要ります。したがって、これも別な委員会で議論になりまして、すみやかにひとつ山中総務長官を中心にしまして調節をはかろう、ただ地方公共団体にその経費を全部まかせていいものではなかろうということで、今日前向きに解決方途を考えることで意見を統一しておるようなわけであります。したがって、この魚雷の点におきましても、こういうことが二度三度繰り返しがないように、十分ひとつ、前回の総務長官が調整に立ったという経緯もありますので、運輸省その他関係省庁と話し合いをしまして、努力をしてまいりたい、こういうふうに思います。
  87. 小柳勇

    ○小柳勇君 いまの長官のことばでは、もう新潟港は掃海した区域であるから積極的に防衛庁で掃海する必要はなかったんだ、だから運輸省のほうで工事する前にちゃんと探査しておけばよかったんじゃないかというような気持ちのようです。ただ、おたくからもらった表でも、新潟港に落ちました感応機雷が七百八十一の中で、処分されたものが四百四、残存数が三百七十七という表が出ているんですよ。そうしますと、三百七十七の残存機雷はちゃんとやっぱり撤去するだけの熱意を持ってもらわぬと、これは掃海区域ですから知りませんでは責任のがれだと思う。だから、作業をする前に運輸省が探査することも必要です。同時に、残存数がわかっている以上は、掃海区域でも、ちゃんと掃海艇が足らなければつくって、あるいは海上自衛隊が積極的に残存機雷は掃海しますと、そういう姿勢をいまここで求めてわざわざ御出席願っているのですから、もう一回見解を聞いておきたいと思います。
  88. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) 御趣旨はよくわかります。私、運輸省が悪いと言った覚えはございません。これは、どこが悪いかということについては今後十分調査されるでしょうし、特にそういう判断はまとめ役であった山中総務長官等々が判定をされることが私は妥当であろうと思います。したがいまして、ただ過去の昭和四十五年の取りきめがこうであったということを申し上げたわけでございまするが、これは小柳委員が御指摘になりますように、それで国家の仕事というものはいいはずのものじゃありませんので、こういうことの繰り返しのありませんように、防衛庁としても十分協力して、あやまちなきを期したいと思います。
  89. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 防衛庁が持っている船ですね、この中には、先ほどの答弁では、掃海艇は四十二隻でしたか、三百トンクラスのが三十六隻と、四十トンクラスが六隻とか言いましたね。その程度では何千個という機雷の大掃除するのはたいへんだと思う。間に合わないですね。しかし、防衛庁の現有勢力、これは相当船があるわけですが、これらの船に掃海艇としての能力を設けて、そしてその機雷の掃海に極力当たらせるということはできるんじゃないかというふうに思うのですが、一体どういうものか。海上保安庁の持っている船というのは機雷を掃海するという任務にはできてないという気がするのです。いま機雷なんていうのは昔の武器だというけれども、アメリカがベトナムへまた機雷を敷設するなんということをやっているわけでしょう。だから、敷設する以上は、それを掃除をするという道具も当然なきゃならぬと思うんです。そういうことはどこが研究を担当してやるかというと、防衛庁が一番適任だろうとだれが考えたって思いますよ。だから、当然防衛庁としてもう少し積極的に、ふだんは、平和なときには用はないわけですから、こういうものをせっせと掃除をするというぐらいのことをやらなきゃいかぬと思うんです。それと、これはもとはといえばアメリカがまいた種ですから、アメリカのほうだってやはり、知らぬ顔をして、まきっぱなしにして、あとのことは日本の船が沈もうがどうしようがかまわないというのは、これは無責任だと思うんです。だから、まいたほうのアメリカのほうでおそらく掃海艇の気のきいた船も持っているんじゃないかという気がいたしますが、アメリカにも協力をさせるという折衝をしてもいいんじゃないかと思うんです。土中に埋没しちゃったものは手が下せないと言いますけれども、これは何千個もあっていつぶつかったら爆発するかわからぬというんじゃ、特に新潟の場合は港の口ですよ。人家でいえば、門の入ったすぐのところにマムシか何かいたというようなものなんで、通り道にこんなものがいたんじゃあぶなくて歩けないということになりますから、これは責任の所管を云々する以前の問題として、最も適役なのは防衛庁であるという考え方に立てば、防衛庁が現在の船の設備を改善をするなり何なりの方法を講じてでも、日本の近海のこういう物騒なものは全部一掃するということを率先してやるべきではないか。私は、政府がそういう考え方に立った場合でも、これは防衛庁が担当してやるのが妥当だというふうに考えますが、その点は長官としてどのようにお考えになりますか。
  90. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) 長い経緯がありまして、アメリカ軍もこの掃海には当たったわけです、占領中。それが、かつての旧海軍、解体までは旧海軍もこの掃海に当たったりということで、海上保安庁へ、あるいは防衛庁へと、こうだんだん移ってきたわけでありまして、防衛庁も従来政府として与えられている任務においては一〇〇%事を処してきた。いやしかしまだ五千発も残っていて何が一〇〇%か、この点ですね。まさに御指摘の点は重要だと思います。したがいまして、さっきもお答えしましたように、こういう不備がありまするので、山中総務長官を中心に関係省庁がまた再度合議をして、小柳議員が四十六年に御指摘になった、それからまたこれが出てきた、またこの次出た、そういうことの繰り返しになりませんよう、これは政府の姿勢として努力をしてまいりたい、こう思います。ただ、現有の艦艇をそれじゃ掃海艇に簡単に改造できるか、どうも私そういう専門知識がありませんから、防衛局長にどうだといって尋ねてみますと、そう簡単には変わりませんと言っております。これは小柳議員にも私さっきお答えしたように、今度の場合は、掃海艇の能力の問題じゃなくて、いわゆる土中に埋没しておる機雷の探知機を政府が一つも持ってない、こういうことだと思います。それは山中裁定によって、民間に一業者があるから、それによって土中を撹拌するようなときにはよく精査するようにと、こういうことになっておりまするから、そういうことにゆだねておったわけですが、それがこういうことを引き起こした以上は、民間会社の一機関にゆだねて政府は知らぬ顔というわけで過ごすわけにまいらぬと思いますので、これは繰り返し申し上げまするが、十分ひとつ横の連絡をとって結論づけたいというふうに考えております。
  91. 小柳勇

    ○小柳勇君 防衛庁長官、いまの問題は、これはいま答弁のように早急に手をつけてください、ひとつお願いします。
  92. 江崎真澄

    国務大臣(江崎真澄君) これは前向きによく検討いたしまして善処したいと思います。
  93. 小柳勇

    ○小柳勇君 次は 去る二十五日の午後起こりました姫路市国道二号線における水素ガスボンベ車爆発事件について質問をいたします。  警察庁からこの事件の概要について説明を求めます。
  94. 池田速雄

    説明員(池田速雄君) 先般、姫路市におきまして、高圧ガスの運搬車が関係いたします交通事故によりまして高圧ガスが爆発いたしまして、死者二名、負傷者二名、それから家屋四戸が全半焼する事故が発生いたしておりますので、その概要につきまして御報告いたします。  まず、発生いたしました日時は、五月の二十五日の午後一時三十五分ごろでございます。発生いたしました場所が、姫路市の市川橋通二丁目の、幅員がおおむね九メートル、歩車道の区別のある国道二号線上でございます。ちょうど信号がございまして、信号で停止中の数台の車がございまして、そのうしろに第三当事者でございます高圧ガスの運搬車が停車していたわけでございます。この高圧ガスの運搬車は、尼崎市にございますマルエス工運と申します運送会社所属の自動車でございまして、高圧ガスのボンベ二十二本、内容にいたしまして約千二百立方メーターの高圧ガスを積んでいたわけでございますが、そのうしろにさらに枚方市の普通乗用車一台が停車いたしておりましたところ、第一当事者でございます大型自動車が追突いたしまして大事を引き起こしたという事件でございます。この第一当事者は、東京都の中央区にございます奥山運輸株式会社という運送会社の大型トラックでございまして、ちょうどこのトラックが第二当事者でございます普通自動車に追突いたしまして、この普通自動車を押しつぶすような形で第三当事者でございます高圧ガスの運搬車に激突したということでございます。その結果、第三当事者でございます高圧ガス運搬車うしろのとびらをこわしまして、鉄製のとびらでございますが、このことによりまして、積んでおりました高圧ガスのボンベ二十二本を結んでおります——バルブと結んでおりますパイプがございますが、そのパイプの一本が破損いたしまして、そこから高圧ガスが流出いたしまして爆発を起こしたということでございます。その結果、第一当事者は追突いたしました瞬間に路上に投げ出されまして死亡する、それから第二当事者の普通自動車運転者につきましては、押しつぶされたような形で車の中で死亡されたという事故が起きております。  なお、爆発によりまして直ちに火災になったわけでございますが、ちょうど対向してまいりました第四当事者がございまして、普通自動車でございますが、その運転手の方も負傷された、それから歩道上を歩行されておりました歩行者も一人が負傷される、こういったことになりまして、同時にまた、火が近くの家屋に移りまして、左側でございます、ちょうど南側の家屋三軒ほどが燃えたわけでございますが、二戸が完全に全焼、一戸が半焼した、それから右側の、反対側でございます北側の家屋一軒がまた全焼する、こういったような事故が発生いたしたわけでございます。警察といたしましては、普通、現場に出まして、現地の整理、それからその他に当たりました後に捜査を開始いたしておりますが、捜査につきましては、まず第一当事者でございます大型貨物自動車運転手の過失あるいはそれにまつわります何かの問題があったんじゃなかろうかという点と、高圧ガス運搬車そのものに問題がなかったかという二点から捜査いたしておりまして、まだ捜査継続中でございます。いずれ早急に結論を得たいと思っておりますけれども、こういった捜査上の問題だけでなくて、同時に、こういった事故を防止いたしますために、どうしたら防止できるかということで結論を出しましたら、関係向きにも十分要望いたしまして、こういった事故の発生の絶無を期すようにしたいと、こういうふうに考えております。  なお、第三当事者でございます運搬車につきましては、ちょうど大阪から兵庫県の担保郡への運送の途中だというふうに聞いております。  以上、簡単でございますが御説明いたします。
  95. 小柳勇

    ○小柳勇君 昭和四十年の十月に、液化ガスの自動車がガス爆発を起こして、死者四名、重軽傷者二十二名出しておりますが、この種の事故、たとえば高圧ガスの爆発あるいはガソリンなどですね、車が危険物、火薬などを輸送しておって事故を起こすというような例について御報告を求めます。
  96. 池田速雄

    説明員(池田速雄君) 四十五年、四十六年に例をとりますと、高圧ガスの関係でございますと十件ほどの事故が発生いたしておりまして、死者二名、負傷者百七名という事故がございます。これは御案内の、栃木県下で塩素ガスの運搬車が、荷くずれによりまして、塩素ガスによりまして百名の方が負傷されたという事案がございますので、こういう被害者が多くなっております。なお、四十五年の消防危険物の関係につきましては、十二件で負傷者五十八人というふうに報告を私ども受けております。四十六年につきましては、高圧ガス関係が九件で負傷者が一名、消防危険物関係につきましては七件で死者四名の負傷者十七名、それから火薬類につきましてはゼロだというふうに報告を受けております。
  97. 小柳勇

    ○小柳勇君 通産省に御質問いたしますが、一般高圧ガス保安規則を読んでみまして、今回のこの事故のように水素ガスボンベが落ちて直ちに爆発を起こし火がつくというようなことは想像されないのですが、ボンベの規制などという規定はそんなに弱いものであろうかというのが一つ。そういたしましたならば、たとえば酸素ボンべなどもたくさん車で輸送いたしておりますが、道路には危険物一ぱいということになりかねないわけですね。で、タンク車もありますし、あるいはボンベ輸送車もありますが、このような危険物を規制してあるこの一般高圧ガス保安規則なるものは、これで十分であるかどうかということの疑いを持たざるを得ないんですが、通産省はどのように見解を持ってますか。
  98. 箕輪哲

    説明員(箕輪哲君) お答えいたします。  先生指摘の、一般高圧ガスの容器の安全につきましては、御承知のとおり、一般高圧ガス保安規則で定めてあるわけでございますけれども、この規則の内容を簡単に申し上げますと、まず耐圧試験、あるいは気密試験、あるいは材料試験等につきまして検査を受けたものでなければ使ってはいけないということになっております。したがいまして、この技術基準につきましてどういう問題があるかということになろうと思いますけれども先生が最初御指摘になりましたような、規制はゆるいものであるかどうかということにつきましては、非常にきびしい技術的な基準がきめられておりますということだと私は考えております。  それから二番目に御指摘の、その御指摘どおり、一般高圧ガスが路上を実はかなり大量に運搬されておるわけでございますけれども、現在のその規制で申しますと、輸送問題につきましてもいろいろ規則がございまして、簡単にボンベがはずれて路上に落ちるというようなことはしてはいかぬということになっております。必要な防護装置をつけろということになっております。先日二十五日に起きました高圧水素ガスの輸送車について見ましても、これは九Gの衝撃に耐えられるような構造になっておりまして、現実に水素ガスボンベというのは路上に散らばっておりません。したがいまして、その現在の規則で一般的に十分であるかどうかという問いに対しましては、私は、現在の基準というのは非常にきびしい基準でありますものですから、直ちに問題があるというふうには考えておりません。ただ、二十五日に起きました事故の現場を担当官に調査させましたところ、先ほど警察庁の方から事故の概要の報告がございましたけれども、乗用車の上に乗っかかった形で追突されておりますものですから、ふだん考えておりませんでした高い部分に衝撃が加わったということは事実でございます。で、そういう事故の場合というのを想定してなかったのは事実でございまして、この点は確かに改善の必要があると考えております。したがいまして、これはとりあえずの応急措置をとらしていただいたわけでございますけれども、先日事故を起こしましたような車につきましては、後方のバルブがあるあたりを保護するプロテクターにつきまして補強措置を講じない限りは使ってはならないという通達をごく最近出したばかりでございます。それから一般的に申しまして、現実に事故が起きたわけでございますから、やはりどこかに規則の上に欠陥があるのではないかという気もいたします。したがいまして、現在ございます規則を一応総点検する、欠陥があれば正していきたい、かように考えております。
  99. 小柳勇

    ○小柳勇君 いまの話で、少し高いところに衝撃が起こったという話でありますが、乗用車が一台まん中にありまして、うしろから大型トラックが来ましても、その衝撃を与えたぐらいでこのボンベが、せんが折れたか、あるいは口が折れたかわかりませんが、折れて水素ガスが出て火がついて爆発するという、それを考えてみますと、うしろの大型トラックがうんと速度が速かったというのも一つ考えられますけれども、そのくらいボンベは弱いものであろうかという懸念を持ちます。調べていただきましたところが、危険物輸送車両の現状ですね、四十六年の三月現在で、五千リットル以上のタンクローリーがいま二千二百四十九台、石油タンクローリーが二万四千九百十台、硫黄その他の危険物車両が四百八十九台、これらの車がいま道路を走っているわけです。で、大型トラックがある速度でぶち当たった場合にあのような事故が起こるといたしますと、まことに危険が  一ぱいだという気がしてならぬのでありますが、タンクローリーについては通産省、石油タンクローリーは消防庁などが取り締まっておるようですが、警察庁としてはこの取り締まりについては一体どういう措置——たとえば駐車のときは監視がおれとかなんとか取り締まりの中に書いてございますけれども、通産省及び警察庁としてその取り締まりについて一体どういうことをしておられるのか、御説明を求めます。
  100. 池田速雄

    説明員(池田速雄君) 行政的な手続のほかに、私どもといたしましては、やはり現場で違反の注意指導、検挙といったことをやるということに重点を置いておりまして、警察のみならず、場合によりましては通産その他の関係の官庁の職員の方とも一緒になりまして、街頭での取り締まり、指導等やっているわけでございますが、四十五年に例をとりますと、高圧ガスの関係でございますと二千三百五十六件、消防法の違反の関係で二千百六十一件、四十六年では、高圧ガス取締法関係で二千四百四件、消防法違反関係で三千三百四十七件ほど指導、取り締まりをやっております。このうち特に軽微なものにつきましても、少しでも危険につながるようなものは見のがさないというようなことでございますので、警告の表示が少しあいまいなもの、そういうものも含めまして厳重にやっております。したがいまして、現実に事件、違反として送致いたしました数は非常に少ないのでございますけれども、できるだけ現場で直す、こういうことで努力しております。いままで私どもが調べました範囲では、現場でこういった対象の車両を見ますと、おおむね一〇%ないし二〇%未満の違反率があったようでございます。それを下げますためには、やはり行政監督官庁の力もかりまして事故のないように努力を重ねてまいりたいというふうに考えております。
  101. 箕輪哲

    説明員(箕輪哲君) 通産省の行政を御説明させていただきます。  容器自体につきましては、先ほど申し上げましたように、容器の強度につきましては定期検査を受けねばならないということにしてございます。それから輸送につきまして現在定めておりますことは、いろいろこまかいことが書いてございますけれども、移動監視者を乗せなければならないとか、あるいは事故が発生した場合の連絡体制あるいは応援体制を確立しておかなければならないとか、あるいは移動経路等を記載した移動計画書を通産局に提出させる、通産局はそれを受けまして、人家が多いところ、あるいは交通量の多い道路というようなところは通させないような指導措置をとっております。移動計画書が確認されました場合には、移動計画書の内容を管区の警察、都道府県及ばその消防担当課にそれぞれ連絡をさせるということにしてございます。こういうようなことでもって事前の防止措置というものは講じておるわけでございますけれども、一たん事故が起きた場合どうするかということでございます。この点につきましても、実は昨年の九月に省令を改正いたしまして、これは民間のいわゆる自主保安活動の一環として考えられておるわけでございますけれども、地域の防災協議会をつくりまして、一たん事故が起きた場合には、直ちにその防災協議会の加盟メンバーが現場に飛んで行く、そうして専門的な知識を持っている者の立場から事故の広がりを防ぐという活動をするということになっております。ほぼ全県に現在では設置が見られておる次第でございます。
  102. 小柳勇

    ○小柳勇君 この事故が発生いたしましたのは、姫路市の国道二号線なんですね。いまお話によりますと、運搬を許可する場合に、都市のどまん中などを通らないようにするというお話ですが、これは定期的な行路かどうかわかりませんけれども自動車局のほうでわかっておりますか。マルエス工運会社というのが輸送認可されて高圧水素ガスを運搬しておるのでありますが、そのときは行路の指定があるのかどうか。これはどちらかわかりませんよ、私は。通産省でやるのか自動車局でやるのかわかりませんが、行路の指定までやりまして、これ以外は通ってはならぬといって運搬許可するのかどうか、その点どちらでもいいから御説明願いたい。
  103. 箕輪哲

    説明員(箕輪哲君) 実は、制限道路というものを全国で百十六ヵ所ばかり設けてございまして、そこを通る場合には警察の了解をとらせるということにしてございます。ただ、今回事故が起きました国道二号線の姫路の市内につきましては、実はほかに適当なバイパスがないものですから、これは制限道路ということにしてございません。
  104. 小柳勇

    ○小柳勇君 その場合、制限する場合には、たとえばうしろからトラックが来てぶち当たることも予想しながら、その車がみずからの過失で事故を起こす場合と、他動的に事故を起こす場合と、そういうものを考えながら制限道路を制限して運行の許可を与える、こういうことでございますか。
  105. 箕輪哲

    説明員(箕輪哲君) 御指摘のとおりでございます。
  106. 小柳勇

    ○小柳勇君 わかりました。  それでは、あと自動車局に、大型トラックの奥山運輸ですね、これの会社の内容と、それから運転手が二十二歳の青年で、二十四日の午後三時に東京を出て二十六日に呉から東京にUターンするような行程であったようでありますが、このような若い青年運転手が、遠方、しかも何泊かしながら運送しているような実態をどう思われるか。この奥山運輸の内容と、この運転手の行程などについて御説明を願います。
  107. 野村一彦

    政府委員野村一彦君) 奥山運輸株式会社は、東京都の中央区日本橋箱崎町に本社を置きますものでございまして、私ども道路運送法の免許ではいわゆる区域トラックに属するものでございます。これはいわゆる中小企業でございまして、区域トラックの事業区域としては東京、千葉という二都県を持っておりまして、資本金は四百万円、車両十九両で、従業員が三十三名という小規模の会社でございます。で、この運転者、なくなりました真田さんという方は、五月二十四日の午後三時に鉄板コイルを積んで本社を出まして、それから東名高速を経由して京都に行くと、そうして京都に一泊をして、二十五日の十時に京都でその積み荷をおろして、そしてそこでまた京都市内に泊まって、二十六日に京都を立って呉に向かって行くという予定でございました。二十四日の午後三時に車庫を出たということは確認されております。その後の詳細な途中の経路等はわかりませんが、二十五日に十時ごろ京都で荷物を一ぺんおろして、そうしてその後、二十六日に京都を立つ予定でありましたのが、計画より一日早く二十五日に事故の現場付近を通りまして、十三時二十七分に事故を起こしたということがはっきりいたしております。したがいまして、一日予定よりは早く現場を通過しておるということでございます。その間の事情につきましては、本人がなくなっておりますのと、それから運行のいろいろの記録簿——本人の車に積んでおります記録簿等もなくなっておりますし、それから現在私どもは、現場におきましては、警察庁、検察庁等と、あるいは県の商工部等と連絡をとって、共同現場検証に参加いたしておりますが、それと同時に、本社そのものの調査については、東京陸運局からさっそく調査を開始しておる状況でございますが、何分責任者が現地に行っておりまして、まだ現在のところ本社の調査の状況は十分明らかでないと、こういう事情でございます。
  108. 小柳勇

    ○小柳勇君 この前ここでも問題にいたしましたけれども、この大型トラック運転手の年齢の問題ですね。この前の警察庁の調べでも、二十歳から二十四歳ぐらいの運転手の事故が一番多いということです。で、二十二歳のこの青年が、二泊ぐらいの行程を与えられて、一任されて運転している。新聞によりますと、居眠り運転ではないかということです。こういう事態を考えますというと、運転は、出て行きますというと、自動車運転手というのはもう一人でやらなければならぬ仕事でございますが、大型トラック運転手の年齢の問題もあらためてまた考えざるを得ないような気がいたします。なお、そのほかにこれに類似する会社で長距離運転で許可を得ながらやっているようなものがたくさんあると思うのですね、中小企業で。まあ指導もたいへんな問題でありますが、このような事故が発生いたしましたのを契機に何かチェックしなければならぬのではないかと思いますが、自動車局長から見解をお聞きしたいと思います。
  109. 野村一彦

    政府委員野村一彦君) 仰せのように、中小企業の区域トラックで、相当大型の車を運転をして、相当の距離を物資を運んでいるという例は、相当多いわけでございます。しかも、その運転者の中に、年齢的には、先生前回も御指摘になりましたように、相当若い運転者の人が多い。これは、トラック運転という業務が非常にやはり肉体的にこたえるものでありまして、どうしても人数的に元気のいい若者が必要であるし、またそういう人が従事しているのが多いという現実でございます。私ども道路運送法の立場でこのトラック事業を監督しておる者の立場から申し上げますと、やはりこういう人の健康管理、労務管理というようなことを会社が十分適切に配慮をして、そうして労働条件の改善とか、給与とか、そういう問題につきまして、あるいは運行計画の指導ということについて、これは十分配慮しなければならない問題であると思います。なお、運転者の年齢の問題等につきましては、これは前回も警察のほうから御答弁がございましたが、私どもも、客観的事実として若年の運転者が確かに多いということでございますが、この点については、さらに警察等とも、今度の調査、あるいは警察の捜査に関連して、いろいろと御意見をお聞きする機会が多いと思いますから、十分警察と協議を遂げたいと思います。要は、私どもの立場から見ますと、労務管理なり、健康管理なり、あるいは運行計画の指導というようなことをもっともっと適切にやらなければならない、かように思っておる次第でございます。
  110. 小柳勇

    ○小柳勇君 あとは要望でありますが、通産省並びに警察庁、このボンベ二十二本を束にして積んであって、うしろからの衝撃でこれだけの事故が起こるということについては、ボンベの強度なり積み方などについても若干問題を抱いておりますけれども、現地を見ておりませんからこれ以上質問いたしません。皆さん専門ですから、これに類似した事故がまた起こりませんように、ひとつ数々の御配慮なり御指導をお願いをいたします。  以上で質問を終わります。
  111. 木村睦男

    委員長木村睦男君) 他に御発言もなければ、本日の調査はこの程度にとどめておきます。
  112. 木村睦男

    委員長木村睦男君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  113. 木村睦男

    委員長木村睦男君) 速記起こして。  この際、本日、航空事故が伝えられておりますので、セスナ機の航空事故につきまして、この概要の報告について発言を求められております。これを許します。丹羽運輸大臣
  114. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) 横浜航空のセスナ機、本日北海道の紋別空港から丘珠空港に向かいまして飛行中、ただいま行くえ不明になっております。まことに残念な報告で、申しわけない次第でございます。具体的な詳細につきましては、航空局長から御報告申し上げます。
  115. 内村信行

    政府委員(内村信行君) 現在までの状況を御説明申し上げます。  まず初めの第一報は十一時二十三分ごろこちらに参ったわけでございますが、丘珠の空港事務所からの連絡がございまして、横浜航空所属のJA五一六二号が滝川——滝川というところは旭川と丘珠の中間にあるところでございます、滝川上空九時四十九分に札幌タワーとコンタクトを最後に音信なし、丘珠着予定は十時七分ということで、通信捜索を開始というふうな情報がまず第一報でございました。それから次いで十一時一分発の情・報、これは十一時二十三分にこちら受け付けております。これによりますと、十時四十四分北部方面航空隊、十時四十五分に札幌北警察署の、両機関に対して協力を要請し、通信捜索中である、こういうのが第二報でございます。それによりまして、今度は十一時四十三分に当方の技術部長から、横浜航空のJA五二八二に関する捜索救難調整本部の業務を千歳空港事務所に委任するという旨を東京、千歳、丘珠の各空港長に指示しております。  そこで、本航空機のフライトプランを申し上げますと、これは出発法が、JA五一六二、これは有視界飛行方式で行なっております。それから飛行機はセスナの四〇二、これは双発のセスナ機でございます。所属は野崎産業でございまして、野崎産業から横浜航空株式会社がリースをしておるというふうなものでございます。それから出発地は紋別でございます。紋別を九時七分に離陸、それから速度は百七十五ノット、それから八千五百フィートの高度をとるようにフライトプランには書いてあります。それから経路は、紋別空港から藻瀬狩岳、それから旭川、滝川、それから丘珠空港、こういうふうな経路になっております。丘珠到着予定が、先ほど申し上げましたように、十時七分、燃料搭載量が三時間、それから搭乗者数は、機長が一名、それから整備士一名、それから旅客が八名、運行者は横浜航空でございます。それからさらに、その後の状況といたしましては、十一時四十分現在におきまして、陸上自衛隊のバートル一機が旭川と滝川の間の両側十マイルの区域において高度千フィートで捜索中、それから次に陸上自衛隊のHUI−B一機が滝川−丘珠間の両側十マイルの高度千フィートで捜索中、それから三番目に陸上自衛隊のLM一機が滝川−丘珠間の両側十マイルの区域において高度千五百フィートで捜索中、それから十二時二十四分現在で海上保安庁のビーチクラフト一機が石狩湾を捜索中ということでございます。それからその後、先ほど入りました情報で、これはまだはっきりいたしておりませんけれども、北海道警察のほうから十三時五十五分美唄の西五マイルの地点で捜索機が機体らしいものを発見したというふうな情報が入っております。これについてはまだ未確認でございます。  以上がいままでの経過でございます。
  116. 木村睦男

    委員長木村睦男君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  117. 木村睦男

    委員長木村睦男君) 速記を起こして。
  118. 山田勇

    ○山田勇君 きのうの新聞で発表されておりました瀬戸内航空についてのヘリコプターの遭難事故が続いて二件ございます。それについてわかれば詳細に御報告願いたいのです。
  119. 内村信行

    政府委員(内村信行君) 本件につきましては、技術部長から御説明いたしたいと思いますが、その前に、先ほどの捜索に関連いたしまして、東京航空局長と本省の技術部の事故調査課長を直ちに現地に派遣するということにいたしております。では、いまの件につきましては技術部長から……。
  120. 金井洋

    政府委員(金井洋君) ただいまのヘリコプター事故ですけれども、これは瀬戸内航空という高松に本社があります使用事業の会社でございますけれども、続けて二件同じヘリコプターが事故を起こしたということで、非常に残念に思っております。これにつきましては、大阪航空局から現地に事故調査専門官を派遣しまして事故調査中でございまして、まだ詳しい報告は来ておりませんので、いま原因について申し上げることはできませんけれども一つは工事用のコンクリート——生コンを運搬中、地上にある生コントラックにヘリコプターの着陸装置、これをスキッドと申しますけれども、このスキッドが接触した事故、こういうことで、もう一機につきましてはまだ詳細にわかっておりません。
  121. 木村睦男

    委員長木村睦男君) 道路運送車両法の一部を改正する法律案を議題といたします。  前回に引き続き審査を進めます。質疑のおあり、の方は順次御発言を願います。
  122. 田代富士男

    田代富士男君 私、午前中、午後を通じまして、午前中は海の事故であります「海麟丸」の事故の問題が審議されている途中に、ただいま航空局長から報告がありました横浜航空セスナ機の行くえ不明の事故報告がございました。私はいまここで事故の問題そのものを取り上げようと思いませんけれども、この事故の原因につきましては、まだまだいまから長い期間がかかるかと思いますが、先日も羽田で日航機が出発直前におきまして、あわや——人命的には被害者は、生命に及ぼすような被害者はありませんでしたが、もしも間違っているならば大事故になっているというような大きな事故が起きております。この日航機におきましては、操縦士の、ミスとも言われておりますし、整備のミスとも言われております。このように考えてみますと、私は、今回の横浜航空のこの問題も、そういうところに一連の関係があるのじゃないかと思うわけなんです。先日の羽田空航の問題と合わして、航空局長、いかがでございますか。
  123. 内村信行

    政府委員(内村信行君) 最近二つの日航機及び国内航空の大きな事故を起こしました。それから、私どもといたしましても、何とかして航空事故がなくなるようにということで、こちらの保安施設の問題、あるいは会社におきます整備の問題と同時に、極力いろいろな努力をしたつもりでございます。しかし、残念ながら、やはり先ほど先生指摘のような事故がまだあとを断ちませんし、それから引き返しというふうな現象もまだまだ続いている状況でございます。それにつきましては、私どもも、まあ皆さまに言われるまでもなく、あるいは立ち入り検査を行ないますとか、社内体制を見るとか、いろいろな角度からそういう事故を未然に防止すべく努力はしておるつもりでございますが、その努力が至りませんで、いろいろと皆さまに御心配をおかけするような事態ができることについては、まことに申しわけなく思っております。何とかして事故というものをなくすべく、今後とも十分努力はいたしたいと思っております。
  124. 田代富士男

    田代富士男君 そこで、運輸大臣、まあ大臣になられてまことに事故連続で、大臣が直接現場にいらっしゃるわけではございませんですけれども、まあここで審議をやっている——この前の全日空機と自衛隊機との衝突のときも、ちょうど審議の最中だったと思うのです。で、この委員会の最中に、きょうもこういう事故が起きておりますが、いま航空局長が、整備等万全を期しているけれども、こういう問題が起きているということをいま申されました。それで、先日の、今度は陸上であります。新幹線の先日の静岡におけるあの事故でございますが、あれは保安上からそういう取りかえをした直後にああいう事故を起こしている。事故を未然に防ごうと思って、そういう部品の取りかえをした直後に、そういう事故が起きている。まあ日航機の場合、あるいは全日空の場合は、整備の問題で、整備が行き届いていないとか、こういう面があるのです。陸上の、新幹線の場合においては、整備を完全にするため取りかえた直後に事故が起きていると、こういう、何か知らないけれども、一貫した問題点が感づかれないわけなんです。まあそういうところで、いまもう陸海空ともに運輸省の範囲内におけるところの事故が総花的に起きているわけなんです。まあ大臣も、ほんとうに責任を痛感していると、おそらくそのように申されると思いますが、大臣としても、この問題を、先日から新聞を見ますと、大臣からいろいろ通達が出たとか、いろいろ新聞を通じて、あるいは通達を通じて知っておりますけれどもね。これは何か欠けていると思うんですけれども大臣、どうでしょうか、この問題。
  125. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) 先ほども海難事故につきまして至らざるをおわびをした次第でございますが、私、就任以来、引き続き大事故が続発をいたしましたのに続きまして、最近におきましてまた事故が続いて起こっておりまして、何とも国民の皆さまに御不安を与えまして、非常に申しわけなく思っておる次第であります。すでに御承知のとおり、私、就任以来、交通の一番の基本の問題は、何と申しましても安全輸送が第一である、あらゆる施策につきましても安全を第一にするということをあれいたしまして、たとえば航空の保安施設の整備にいたしましても、従来は五年のものを三年に短縮をしてこれをしろということを指示していまやらしている次第でございまして、四十七年度の予算におきましても、安全施策につく予算を第一にせよということでやらしている次第でございます。また今回、航空につきましては、航空庁の昇格には至りませんでしたが、次長あるいは管制部長というような航空機構の充実、また御指摘をいただきました航空事故対策調査委員会の設置というようなことも御審議を願って、専心事故対策、事故の未然防止のために、微力ではございますが努力を重ねておりまして、先般も、先ほども申しましたとおり、関係機関はもちろんでございますが、省内、また現地、運輸省全体を通じまして異例の大臣布告ともいうべき事故注意喚起安全対策のあれを——いままで大臣がそういった事故につきまして省吏一人一人にまで出すということはなかったそうでございます、そこまでいたしましてやっている次第でございますが、私の不敏のいたすところ、不徳のいたすところ、非常に国民に御不安を与えまして、何とも申しわけないと思っておる次第でございます。この際、事故の原因を早急に明らかにいたしますとともに、さらに御鞭撻をいただきまして、これらの事故絶滅のために万全の策をとりたい、こういうふうに申しまして、私の責任を果たしたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
  126. 田代富士男

    田代富士男君 私は、ただいま委員長から、きょうは車両法の審議についてということでございますから、ほんとうはこのまま調査の資料を要求いたしまして、まあ私も審議をしたいと思いましたが、きょうは車両法の法案の質問を私したいと思いますが、ここで委員長にお願いがあります。私もこの調査を、こういう交通事故、陸海空に起きている、これだけの大きな問題が連続して起きております。これはただ単に済ますわけにいきませんし、私も本来でしたらいまのまま続けたいと思いますが、そうしますと、車両法の審議もありますから、後日でけっこうでございます。私自身、この交通事牧に対する質問をしたいと思いますから、時間を与えていただきたいことをお願いしたいと思いますが。
  127. 木村睦男

    委員長木村睦男君) 理事会にはかって善処いたします。
  128. 田代富士男

    田代富士男君 じゃ、よろしくお願いいたします。
  129. 木村睦男

    委員長木村睦男君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止〕
  130. 木村睦男

    委員長木村睦男君) 速記を起こして。
  131. 田代富士男

    田代富士男君 ただいまも事故の問題につきまして申し上げましたが、この車両法の本質というものも、その安全交通のために、軽自動車の普及が膨大をした、安全性の確保及び公害の防止のために軽自動車に対して一般車と同様に検査を実施するという、こういう趣旨でこの法案がいま提出されているわけなんですが、まあこのような法案を出されましても、いま言うように、陸海空ともにこういう事故が続出しているような状況なんですが、これはほんとうに姿勢につきましても、いま大臣に申し上げましたけれども、この問題自身ももっと突っ込んで私は質問していきたいと思いますが、そこでまず、このうちの趣旨に沿いまして、私は整備制度の方面からお伺いをしたいと思いますが、まあ自動車整備士の技能テストですか、技能検査の合格者の推移について私はまずお聞きしたいと思います。それと同時に、そのように合格した人が現在現役として従事しているのはどのくらいになっているのか、まずその方面から御説明をお願いしたいと思います。
  132. 野村一彦

    政府委員野村一彦君) 自動車整備に当たっております整備士の合格件数でございますが、昭和四十三年度、これは二級整備士、三級整備士合わせまして九万九千四百七十五名でございます。四十四年度もほぼ同様九万七千八百五十名、それから四十五年度も九万六千九百四十六名、大体十万人に近い数の方が合格をしておるわけでございます。ただ、これはいわゆる資格としてこの整備士の資格を持たれた方でございまして、これが民間の整備工場等に入って、そしてどの程度に民間で仕事をしておられるかということから見ますと、大本手胎内には準常にまあ若い方が多うございまして、またその整備士を含むその工員と申しますか、この整備工場従業員の方もかなり転退職をしておられを方がございます。したがいまして、ただいま数字的にこの九万五、六千人の方がどの程度その整備工場に定着しているかということはちょっと手元でわかりかねますが、まあ整備工場に入っておる方の数はこの九万人の方に比較すればかなり少ない数である、こういうことが言えるかと思います。
  133. 田代富士男

    田代富士男君 いま局長の手元にないそうでございますが、かなり少ない数字であると言うんですが、かなりというにも、ことばの上、下がございます。それで、大体何%ぐらいになるのか。それともう一つは、新人の教育機関の修了者数はどのくらいになっているのか、それとあわせてひとつお答え願いたいと思います。
  134. 隅田豊

    説明員(隅田豊君) ただいまの定着率でございますが、整備士の合格者数というものと実は人間の数とは必ずしも同じになりません点がございますので、ちょっとこのまま数字を使うわけにはまいらないのでございますが、一応御参考になるかと思われる数字を申し上げますと、整備工場の中に大体整備士がどのくらいの率でいるかということは、大体数字でわかっております。これで申し上げますと、四十一年に大体全工員の四五%が整備士、四十二年度が四七%、四十三年度が四九%、四十四年度が五一%、四十五年度が五四%、徐々に上がってきている、こういう数字でございます。
  135. 田代富士男

    田代富士男君 新人の教育機関の修了者数はどのくらいですか。
  136. 隅田豊

    説明員(隅田豊君) 新人の養成施設の修了者数は、この養成施設には新人と再教育と両方ございますが、そのうち新人のほうの養成施設の修了者数は、四十五年度で一万六千七百二十三名です。
  137. 田代富士男

    田代富士男君 いまこちらが知りたいという数字をちょっと私受け取れなかったのですけれども、概略として申されたのが、まあ一応整備士の中で、現在従業しておる人は約半分ないしその前後じゃないか、私そのように——こまかい数字ありませんからよく理解できませんけれども、そのように私は一応理解したいと思うんですが、それで、私考えることは、いまの飛行機の事故といい、自動車の事故といい、そういう整備という目に見えない、こういうことに力を注がなければ、事故を未然に防ぐことはできないと思うんです。ところが、いま申しますとおりに、そういうせっかくの資格を得ても、その半数の人が歩どまりをするという、定着率が非常に少ないわけなんです。私は、この点は、自動車車両台数はますますふえているのに対しまして、やはりそれに見合うべきそういう整備士というものも応分の増加をしていかなければならないけれども、その線を引いた場合に反対の結果が出ているという、どうして定着率が少ないのか、こういう点についてどのようにお考えになっていらっしゃるのか。
  138. 野村一彦

    政府委員野村一彦君) 整備士の定着率が低い原因等について、私いろいろ基本的な問題があると思います。その一つは、この整備事業というものが、社会的地位と申しますか、たとえば航空機とか、船舶とか、そういうようなものの整備関係の業務に比べて、まあ必ずしも社会的地位が高くないということは、それだけにまたこの事業そのものが中小企業が非常に多くて、企業基盤というものが弱い。また、それに関連して、何といいますか、従業員に対する労働条件なり、そういうものについて、まだまだ他の産業、類似の産業に比べると低いというようなことから、やはり若い技能者にとって必ずしも魅力ある職場にはなっていない、そういうことだと思います。しかしながら、先生も御指摘のように、安全確保どいう面から見ますと、自動車整備ということは非常に重要な業務でございますから、これの、何といいますか、いま私が申し上げましたような問題点、難点を少しでも改善をして、定着率を向上させるということが、結果的には私は安全に大きく寄与する問題として、これと真剣に取り組みたい、かように考えております。
  139. 田代富士男

    田代富士男君 いまの局長お話は、私も理解できますけれども、現在の若い人の中にはこのような整備士になるというような人はなかなか少ないのじゃないか、どちらかといえば、すべての条件といい、厚生施設だとか、そういうものが整っている大企業とか、そういうものに流れがちじゃないかと思いますが、いま申されるとおりに、同じ整備の面であっても、航空、船舶の整備士よりも低い目で見られる、そういう問題点ですね、社会的な評価といいますか、労働条件といいますか、こういう福祉厚生施設の面だとか、こういう面が低い。同じ整備士同士であっても、そのような格差といいますか、そういうものがあるわけなんです。今度はもう一つ大きい立場でいきますと、これは各官庁関係でも見られることですけれども、事務系統の人と技術系統の人と見た場合には、どうしても事務系統の人が、同じ立場でありますけれども、一歩上のような感じで見られまして、技術者というのはどうしても一歩下のような感じで見られております。これは国鉄の中におきましてもそういう面が、私たちなんかよく意見を聞く場合があります。こういうところにも、整備士というあまり日の当たらないところであるけれども交通問題におきましては、安全という目的からするならば、一番大事なところじゃないかと思いますが、こういうところにこそ政治のあたたかい面を実現しなくちゃならないと思いますが、大臣、こういう点の問題はどのようにお考えになっているのか。あるいは、今後この面を、ただ単に社会的な評価や、労働条件や、そういうものを変えればよいという問題ではないと思うのですが、大臣はどのように取り組んで、根本的な目に見えない原因という面には、こういう問題は原因一つの大きなものになるのじゃないかと思うのですが、この点はいかがでございますか。
  140. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) ただいま田代先生から御指摘がございましたが、私もその点は非常に痛感をしている次第でございます。戦後、御承知のように、官庁におきましてはだいぶ人事の改革をいたしました。事務系統、技術系統を平等に取り扱うようにしていった次第でございます。もっとも戦前におきましては、むしろ初任給やなんかは、同じ学校を出ますれば、技術系統のほうを優遇したというような時代もございました。そういう点では、また今日の状態は必ずしもそうでもない、こういうような点がございました。私ども、ことに具体的な現実行政をやっている者といたしましては、そういった整備士の人々、また通信士、あらゆるそういったような技術系統の人をいかにして確保するかということが一番の大問題でございます。この方々を養成する、そうしてまたこの職分をやはり自分のほんとうの本職として長くここに持っていく、定着させるということの具体的方策をどうするかということが、これからの行政の一番大きな私は問題ではないかと思う次第でございます。そういう点におきましては、公務員といたしましては、やはりこういったような事務、技術、両系統の改革をどういうふうにするかという問題もございましょうし、また一般の方々に対しましては、そういった方々、ことに中小企業に属しているそれらの方々の、いま御指摘がございました厚生施設の面をどういうふうに持っていくかということがやはり一番の大きな問題、私は、現業を担当している運輸省といたしましては、やはりそういう点では労働省とも十分ひとつ相談をいたしまして、そういったような中小企業に従事する技術者の厚生、あるいはそれらの人の生活環境の改善というものにもつとめてまいりませんと、いまお話がございましたような、一番大切なそういう人たちの確保が非常にむずかしいのではないかということを痛感をしている次第でございます。今回の軽自動車検査を強化いたします機構をつくります場合におきましても、一番の問題は私は率直に申しましてそこにございます。いま私ども、再び問題が起こりつつありまして、申しわけない次第でございますが、交通安全の問題におきましても、あるいは管制官、あるいは通信官、またその下におきます通信上、それから気象官、その他のそういったような技術関係の人たちをいかにして確保してこれを整備するか、定員だけがふえましても現実に人がふえないという悩みを持っている次第でございます。これらが、私は、これからの私どもサービス行政の一番の問題にそこにある、こういうふうに痛感をしている次第でございます。
  141. 田代富士男

    田代富士男君 ただいま、二級、三級の整備士の合格者といいますか、そういう人たちが、四十三年、四十四年、四十五年、九万九千台、あるいは七千台、六千台と、約十万人の合格者が出ておって、この人たちで従事しておるのは約五〇%前後であるということをいまもお聞きいたしましたが、現在一級の技能検定が行なわれてない。これはどうしてそのように現在一級の技能検定が行なわれてないのか。運輸省では検討中というようなことでいままで答弁をしていらっしゃるけれども、どうしてそのように行なわれてないのか、その点ひとつ。
  142. 隅田豊

    説明員(隅田豊君) 現在までの状況を御説明申し上げます。  整備制度が発足いたしましてから、ちょうど民間の整備工場の拡大とそういうものとが非常にマッチしておりまして、底辺のほうでと申しますと、ことばが悪いようでございますが、三級整備士、二級整備士の養成のほうにどうしても重点が強く傾いたわけでございます。これは法制制度から見ましても、三級の整備士、これは一応整備管理者とか、あるいは整備工場における整備士保有率との関係とかいうことで、まず法的な基準とのかね合いがございます。二級整備士も、同じように、検査主任者、そういう意味で、法律の制度との義務づけがございます。そういう義務づけられている整備士を補充をしていくということにわれわれの努力が十分行なわれておりましたので、一級整備士をいままでに実はやる余裕がなく、検討を続けてくるだけに終ったということは事実でございます。  今後の問題といたしましては、四十五年三月に、これは自動車局長が私的に設けたのでございますが、整備制度調査会を設けまして、その際に、一級整備士のあり方というものについていろいろと議論をしていただきました。その結果、整備士の社会的地位の向上、あるいは職業的魅力を上げること、こういうようなことを考えても、法律的な裏づけは別になくても、やはり一級整備制度というものは活用すべきじゃないかという御答申がございました。いまこれを受けまして、具体的に試験としての一級整備士をどういうふうに実現するかというところを検討している段階でございまして、同じ検討中でも、前よりは一歩進んだというところでやってまいっております。
  143. 田代富士男

    田代富士男君 前よりも進んだとおっしゃるけれども、一歩前進一歩後退で、同じところを歩んでいるというようなことで、これも強いそういう声が出されておりますから、これは希望意見として、私から声を代表いたしまして申しておきますから、いま同じ検討中でも前向きであるということでございますから、ひとつよろしく御検討をお願いしたいと思います。  次に、私は、衆議院あるいは参議院段階を通じまして、もういろいろ検討し尽くされておりますけれども、あらためて私は質問関係質問いたしますが、指定整備基準につきまして簡単に御説明をお願いしたいと思います。
  144. 隅田豊

    説明員(隅田豊君) 御質問の趣旨は、新しく軽自動車の車検をやる場合の指定工場基準ということでよろしゅうございますか。
  145. 田代富士男

    田代富士男君 それと同時に、いままでの分。
  146. 隅田豊

    説明員(隅田豊君) 現在行なわれております指定整備工場の技術上の基準は、面積、それから工員の数、それから機械というもので一応きめております。それに対しまして、軽自動車につきまし新しく指定をする場合には、機械の種類等につきましては、おそらく同じ名前の機械の種類をきめざるを得ないだろうと思います。  種類を申し上げますと、検査用の機械といたしましては、ブレーキ・テスタ、ヘッドライト・テスタ、サイドスリップ・テスタ、スピードメ一ターテスタ、一酸化炭素測定器、音量計、こういうようなものでございますが、こういうようなものをやはり軽自動車指定整備工場といえども持たないわけにはまいらないと思います。ただ、実際上の機械そのものになりますと、軽専用の機械というものは、やはりある程度安いと申しましょうか、小型のものになるであろうということは予想されます。それから面積につきましては、まだ決定的な数字をきめているわけじゃございませんが、やはり車両比較的小そうでございますので、所要面積も若干は少なくていいだろうというふうに考えております。最終的な結論は、いま急いでおりますが、できるだけ早い機会に、この法案が成立いたしますれば、すぐにも出せるように、いま鋭意検討中でございます。
  147. 田代富士男

    田代富士男君 いま御説明されましたけれども指定整備基準につきましては、それぞれいろいろ定められているその範囲内で審査されておりますけれども、これも声でございますけれども、そういう現在はどちらかといえば、いま話されたような機械設備、そうい機械が設備されているのかされていないのか、この機械がそろっていないから合格できないとか、そういう点の検討というものが非常にきびしいんだ。それよりも、いまさっきから私ちょっとお尋ねしておきました、一級のどうして試験をやらないのかといった面もそういう点でございますが、整備士の腕といいますか、やはり五年、十年、十五年、二十年と経験した人のその腕というものは何ら評価の対象にされていない、判断の基準にされていない。ある面では、そちらのほうが確実な場合もあります。これは決定的なものじゃありませんですよ、その経験の上から力そういう意味におきまして、判定基準におきまして、こういう指定整備基準というものに、整備士の経験といいますか、豊富な経験というものも判定の基準に入れるべき方向にいったらどうだろうか。ただ単に、指定されたそういうもろもろの機械が設備されたならばそれでよし——しかし、その機械を操作するのも人間です。その人間自身が未熟であるか未熟でないかは、その機械の効率というものは、もう根本的に違いがあると思います。そういう意味から、ただ単なる基準基準でなくして、そういう整備士の豊富な経験というものも判断の基準にすべきじゃなかろうか、このように思いますが、いかがでございましょうか。
  148. 隅田豊

    説明員(隅田豊君) お説ごもっともでございまして、私たちも、指定整備工場指定に際しましては、整備工場の技術能力をできるだけ加味したいと考えております。現在やっております制度を申し上げますと、まず一つは、工員の中で国家試験に合格した整備士が最低三分の一はいなくてはならないというのが一つでございます。  それからもう一つは、指定整備工場といえども工場を設立いたしまして、直ちに指定をするということではなくて、一応ある程度車検を受けてまいりますので、この車検を受けに来た間の工場ごとの検査成績、これをとりまして、検査成績、結局合格率の悪い工場に対しては指定をしない、こういうような運用もやっております。
  149. 田代富士男

    田代富士男君 いま申されるとおりに、その実績でいろいろやっていらっしゃる、認証工場から、優良認定工場指定工場と、このように段階を踏んでやっていらっしゃると思いますが、それは今後も進められていかれるとは思いますけれども、ここでいま国家試験を通った人が三分の一いなくてはならない、そういう基準がございますが、それぞれその裁定の範囲内において行なわれておりますが、陸運局といたしましても、そういう指定整備工場を監督していく立場にあるわけなんです。この監督がどうでもいいというわけにはまいりません。この監督というものは一番大事じゃないかと思いますが、ここで私心配する点が一つあるわけです。というのは、監督の要員数と指定工場数の増加という関係ですね。これが、いまさっきも申しておりますとおりに、これは監督不行き届きであるというような——これは数字の面からでございますよ、こういう感を深くするわけなんです。いまさっきは、自動車車両増加数と整備士の数とのバランスというのがとれていないということを私は申し上げましたが、大臣よく聞いておいていただきたいことは、そういう傾向がこれすべての面に出ているわけです。こういう指定整備工場を監督する監督要員の年度別の推移、それから指定工場の推移というものを、私が調べた範囲内のことを申し上げますと、まず監督の要員数は、昭和四十年が十名、四十一年が十二名、四十二年が十四名、四十三年が十四名、四十四年十四名、四十五年三十三名、四十六年五十一名、四十七年八十四名、まあこのような私が調べた範囲の推移でございます。これに対しまして指定工場数が、昭和四十年で八百十二です。これを昭和四十年度で監督要員の人がどれだけ担当しなくてはならないかと端的に言いますと、八十一・二ということなんです。一人で八十一・二の指定工場を監督しなくちゃならぬ。まああくまで数字の上でございますよ。それは監督要員の能力によって違いがありますが、あくまで数字で割り切った場合、これが四十年は八十一・二でございますが、四十四年になりますと——まあ四十四年は監督要員数十四名と申しました。それで指定工場数は二千百十八です。そういたしますと、約百五十一ぐらい。百ちょっと、百五十ぐらいになりますかね。それから昭和四十六年——昨年度になりますと、要員数が五十一、指定工場数が五千八百六十九、これは百十五・七。このように監督要員数の伸びが指定工場数の伸びに比較にならないほどおくれているわけなんです。これで十分な監督ができるわけはないと思うわけなんですけれども、この点どうでございましょうか。私は端的に数字の上で割り切った数で申して、私の調べた範囲内で申し上げておりますけれども、だからいまさっきも私は整備士の数の増加と車両の増加とバランスがとれてない一面を申し上げましたが、一番大事な監督官庁の監督要員がこのように伸びてないということは、これはどういうことです。どのように対処されるのか、まずこの点をお聞きしたいと思うのですね。
  150. 野村一彦

    政府委員野村一彦君) 指定整備工場の数、それに対応する監督要員の数につきましては、先生がただいま御指摘になりましたとおりであります。私どもは、この指定整備工場ができました当初は、確かに、おっしゃるように、たとえば四十年八十一・二人、一人で八十一・二工場平均見ておった。これは私端的に言いまして、発足当時でありますし、わりに余裕があった、対象工場の数から見て余裕があったということであると思います。しかし、その後工場の数もふえますとともに、私どもも監督要員の増強について要求をいたしまして、まあこれに必ずしも満足すべき数字ではございませんが、たとえば四十五年、四十六年、四十七年という数を並べて見てみますと、一人当たりの工場数は、四十五年百二十七、四十六年百二十七、それから四十七年は百五ということで、大体横ばいでございますし、四十七年からはかなり工場数も減っております。と申しますのは、実は先年の法律改正におきまして、この指定整備工場の監督要員の定員も、あるいは人件費、物件費、これが車検特会の中に編入されたわけでございます。そういう意味で、いわゆる定員獲得の面におきましても、特別会計である車検特会に編入されますと一般会計よりは定員がやや取りやすいというようなこともありまして、私どもも、そういう業務の関係はもちろんのこと、そういう状態になっております。したがいまして、確かに当初の数とそれから途中の数と比べますとかなりの開きがありますが、私ども、現在まあ百工場をわずかこえている数でございますので、これを少しずつ下げるとともに、監督要員の質の向上をはかるということで、今後の監督体制を実質的に強化していくというようなことにつとめたいと思っておりますので、よろしく御指導をお願いいたしたいと思います。
  151. 田代富士男

    田代富士男君 いま局長は、局長の立場でお答えになったと思います。そのようにお答えになる以外にこれはしようがないじゃないかと思います、実情が実情でございますから。まあ質の向上をはかりながら、百以上の工場を担当していくには、それ以上に方法は、すぐに育つわけじゃありませんから、ないと思いますけれども、私が心配するのは、予期しないところから事故が起きてしまったら終わりなんです。きょうのセスナ機に八名の乗客が乗っていらっしゃるとわれわれはこの委員会で聞いておりますけれども、その家族の人というものはどういう気持ちだろうかと私は思うわけなんです。そういうところから、もしもそういう監督漏れから事故が生じた場合に、どこが責任を持つのか。それで私は、監督要員の仕事の内容について、あわせて、どういうことをおもに——一人で百あるいは百五十の工場を担当できるとおっしゃるんですから、どういう内容の仕事をしているのか。だから、私自身が何か仕事をする場合に、それはもう百の工場も担当できるものじゃありません。だから、どういう仕事の内容、なさっていらっしゃる内容ですね。私が一番心配するのは、監督漏れから事故が起きた場合に、その責任はどこにあるのか、その点もあわせてお聞きしたいと思います。
  152. 野村一彦

    政府委員野村一彦君) 指定整備の監督要員につきまして私が申し上げましたが、これは二つの観点からやっておると言えると思います。  一つは、まず一般の認証工場の中から従来は優良認定工場が認定されて、それを経由して指定工場陸運局長指定をするわけでございますが、その指定をするときに、指定の申請者がはたして指定の条件に合っているかどうかということをチェックするということが一つでございます。これは、陸運局の整備部におります監督要員がそういう意味でやっておるわけでございます。  それからもう一つは、陸運事務所におります者は、大体年に二回ほど現在の指定されております既指定工場の現場に行きまして、そこで法定の帳簿と、それから実際の業務と、そこの指定整備工場でやっております業務というものを監査をするということでございます。これは現場監査でございます。したがいまして、もしその現場に行きましたときに、実際にそこで車の整備をしておる、あるいは指定工場指定工場としての検査をしておるという現場にぶつかりましたならば、そこで実際の整備の模様あるいは検査の模様を実地に見るというようなことをいたします。それから、指定整備工場としての要件が、指定当時は具備されておるはずでございますが、その後いろんな情勢の変化から、いろんな人間の問題、あるいは物的施設の問題、そういうものが整備されておるかどうかというようなこと、それから整備関係指導的立場にあります管理者等が一般の自分の部下職員等に対してどのような教育をしておるかどうかというようなことについて、現場で実際にその人たちに当たって質問をし、また帳簿を見、そういうことをやりまして調査をしておる、こういう状況でございます。
  153. 田代富士男

    田代富士男君 責任の問題。
  154. 野村一彦

    政府委員野村一彦君) 失礼しました。  責任の問題でございますが、これは私非常にむずかしい問題があると思います。指定整備工場指定ということは、指定を受けた整備工場整備をした、それで事故が起こった、こういう問題について、どういう責任か、国としてのどういう立場かと申しますと、これは指定整備工場整備あるいはそれに続く検査によって起こった事故かどうかという事実の判定、これは裁判の判定が最終的に問題になると思いますが、これが一番の基礎であると思います。したがいまして、かりにその整備工場整備ないし検査責任があるということが明確になりますれば、それは当然その整備工場というものがまず責任を負うべきものだと思います。これに対して、その整備工場を監督している私たち国はその監督責任を負う。その車両事故についての直接責任というものは、その事故の被害者と申しますか、そういう方に対しては、事故の原因者となったものが負う、それに対して私どもは監督の責任を負う、こういう立場でございます。
  155. 田代富士男

    田代富士男君 これも、いろいろ私は現場の人の意見を聞きました。管理者の立場じゃありません。管理者の意見じゃありません。いま陸運局あるいは陸運事務所の担当官の人が、そういう申請がなされたときに、調査に行くとか、あるいは定期的に回るというような場合に、往々にしてなれ合い的になっている面が多々ありますと、そういう面も指摘されたわけなんです。そういうところに、なれ合いでこういうことを済まされて——いま私がどうして事故の責任はどこにあるかということをお尋ねしたかといえば、もちろん陸運局にかかってくるということはまあよほどのことがない限りはないでしょうけれども、一応は監督官庁としてそれだけの責任を持っていかなくちゃならないし、これだけの担当工場数がふえればふえるほど、どうしても監督の目の行き届かない面は出てくると思うんです。そのバランスがとれてない点を私は指摘しているわけなんです。そういう点と、なれ合いという問題点につきまして、ひとつ、これも要望でございますが、声を代表して私は申し上げておきたいと思います。そういう点、この答弁は要りませんから、私はこの程度に——責任を云々しようと思っておりません。これをやりますとまたたいへんなことになるだろうと思いますから、これは避けておきます。  それで、いま私は、一つ整備士と車両の増加の数と、いまは監督要員数と指定工場の数との比較から申し上げました。もう一つこのバランスがとれてない点を申し上げますと、今度は自動車の台数の伸びと検査要員ですね、この関係を私は申し上げたいと思うんですが、まあお聞きしていたら時間もなんでございますから、私が掌握した数をもってお尋ねいたしますと、検査要員が、四十二年には七百六十三名、四十三年には七百九十七名、四十四年には八百十二名、四十五年には八百五十九名、四十六年には九百三名、四十七年には九百五名です。で、四十二年度を一〇〇といたしまして指数にいたしますと、四十三年が一〇四、四十四年が一〇六、四十五年が一一三、四十六年が一一八、四十七年が一一九と、こういう指数になるわけなんです。これに対しまして、検査の対象となります車両検査対象車両数ですね、これが四十二年度は七百七十五万二千五百六十二、四十三年が九百四十五万五千四百六十五、四十四年になりますと一千百二十三万九十三、四十五年が一千二百九十五万六百二、四十六年が一千四百六十六万二千七百、それから四十七年は、ちょっとはっきりわかっておりませんが、推定では約一千六百万ぐらいじゃないか。そこで、同じく四十二年を一〇〇といたしまして指数を出しますと、四十三年が一二二、四十四年が一四五、四十五年が一六七、四十六年が一八九、四十七年は、千六百万と一応仮定いたしますと、約二〇〇ちょっと出たくらいの指数が出てまいります。  この指数で私お聞きしたいんですが、四十二年当時に比べまして検査要員の負担が倍近くになっております。四十七年が、検査要員の指数が一一九、そして検査対象車両が約二〇〇をこえている。このように、いまも私は陸運局の監督要員と指定工場数との問題を申し上げましたが、今度は検査要員と検査対象の車両が、四十二年当時に比べまして、このような倍の負担をしなくてはならない。これじゃ正確な検査が保証できるとは私は考えられません。  そこで、私はこれで三つ数字を具体的にあげました。このように、私の掌握した範囲内の数字でございますが、おそらく、まあ少々の違いはあるかわかりませんが、さほどの違いはないと思います。こういう点に対しまして、大臣交通問題の根本は安全ということが第一だと言われますけれども、これで私は安全を保てるというわけにはちょっといかぬじゃないかと思いますが、大臣、いかがでございましょうか。
  156. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) 申しわけない次第でございますが、率直に言いまして、御指摘のとおりの危険が非常にあると私も考えておる次第でございます。何といいましても、やはり安全のための検査、チェックにチェックを重ねまして安全を高めるということが一番そういう部面において必要である、こういうふうに私は思っている次第であります。それがために、専門的なそういう人たちの確保——私も先ほど申し上げましたが、それが一番必要である。ところが、ユーザー、また車両のふえるに従いまして、実はたいへん申しわけない次第ですが、それに追っついてこなかったというのが現実の状態じゃないかと思います。これをいかに早急に取り返すかということが一番の私は大きな問題であろうと思う次第でございます。しかしながら、これを確保するためには、先ほど申しましたとおり、ただ技術養成のいろいろの諸設備をするだけでもこと足りない、いろいろ、待遇の問題その他もございます。そういう点も関係方面とこれから十分連絡をとりまして、そしてやはりそっちのほうの整備を早急にやらなくちゃならぬと、こういうふうに考えておる次第でございます。
  157. 田代富士男

    田代富士男君 私は、この三つのデータを出しまして大臣にお願いしたいことは、ほんとうに——委員会質問に対する答弁ということじゃないと思うんですけれども——特にこの問題は痛切に感じていただきまして、対策を講じていただきたいと思うんです。ここがいろいろな問題の根本じゃないかと思いますので、この点要望としてお願いしておきます。  それで、次にお尋ねしたいことは、いまここに資料を私は持っておりますが、この資料の中から質問したいと思いますが、運輸省としては、指定整備実施率の向上、さっきも局長からちょっとそういう意味の話もうかがえますけれども、そういう意味から自動車の民間車検への移行ということが行なわれます。私の手元にありますデータでいきますと、指定整備実施率が、四十年は一二・二%、四十一年が一二・八、四十二年が一三・四、四十三年が一六・〇、四十四年が二一・二、四十五年が二八・九と、このようにずっと移行されつつあるわけなんです。こういうことから、運輸省自身の姿勢が民間車検へというような姿勢じゃなかろうかと思いますが、現状ではいろいろ問題があります民間車検については、私はもう一度再検討あるいは再点検をやる必要があるんじゃないかと思います。運輸省としては移行する姿勢ですけれども、いろいろ現状で問題があります。この点は、大臣、いかがでございましょうか。
  158. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) これは、私は、原則といたしまして民間車検に移行せざるを得ないのが現状じゃないかと、こういうふうに思っておる次第でございます。と申しますのは、これは申しわけないと言えばそういうことでございますが、国家公務員でそれだけの検査官を整備をすることはなかなか現在の実情では容易じゃございません。それからまた、一面におきまして、そういった高速機械——自動車の利用がどんどんとふえてまいります。また、一般の民間の方におきましても、そういったような技能を修得された方も非常に多くなってきております。さらにまた、官庁につとめるということでなく、事業を経営なさる、将来は事業家になるというような方で、やはり民間でそういったような技能を持っている方も相当に多い、こういう事情でございます。いま、いろいろ問題が多いという田代先生からの御指摘でございましたが、先般、茨城の行政監察局あたりの手痛い勧告もございました。いろいろ問題がございますが、やはり将来といたしましては、そういったような民間の方々も、さらにこの安全の面は、役所だけにまかしているのじゃない、自分たちでもやっぱりひとつ安全の面に協力してやろうということが起こっていただくことが、これからのやはり社会連帯責任と申しますか——決してこっちが責任回避をするわけじゃございませんが、将来そうなってまいりますると、いたずらにただ権力関係の対立というこでなくて、やはり共同の責任でやっていこうという面も漸次助長してまいるということに私はなるかと思う次第でございます。それらをやはり勘案をいたしまして、適正なる民間の方の御協力をいただくという方向に進まざるを得ないし、またそれを適正な監督指導をいたしまして、そういうふうに持っていかなくちゃならない、こういうふうに思っておる次第でございます。
  159. 田代富士男

    田代富士男君 大臣もいま申されるが、適正な監督指導と申される監督要員につきましては、いまさっき申し上げました、こういうような状況です、大臣御承知の適正な監督指導がなされるならばよろしいですけれども、一見してアンバランスの面を私は申し上げております。それで、民間車検に問題がなかったならばそれはよろしいですが、大きな問題をかかえているわけなんです。だから、そういう点について申し上げたわけなんですが、この法律案の提案の趣旨説明のときにも話されましたけれども、軽自動車が今度こういう法律にのっとるようにしていきたいということになりますと、車検の業務量が増大してくることは間違いないじゃないかと思うのですね。そして、国が行なう継続検査につきましては、これも私が調べました数字ですけれども、車検対象自動車数が約一千四百万台じゃないかと思います。それから軽車両は大体六百万台——内訳は省きまして、大体六百万台ぐらいじゃないか。そういたしますと、この法律案の趣旨どおりにいきますと、少なくとも五割近くの業務量が増加することは間違いない。そこで、今回、協会をつくって、全体としてこれをやろうじゃないかと、そういう趣旨でございますが、施設だとか、こういう設備というものは予算も取られてありますけれども、そういう予算においてこれを設置することはできるかわかりませんが、問題は人の問題じゃないかと思います。何回も申しますとおりに、それを実施運用していくのは、しょせんは人ですから、人の問題という面を——私はこの法案を何回も私なりにこれを読んでみました、私なりに読んでみましたところが、そういう面というものがあまり配慮されてない、甘過ぎるのじゃなかろうかと、私はこういう感じがするのですけれども局長どうでしょうか。
  160. 野村一彦

    政府委員野村一彦君) 人の面、これから自動車検査をやっていくにつきまして、特に軽自動車検査の対象にするにつきまして、先生が先ほど来御主張のように、人間といいますか、人間の技術なり、そういう能力なり、あるいはその人の勤労意欲というものが大きな要素であるということは、お説のとおりだと私も思います。実は、今度の法案をつくりましたときに、その配慮が足らないのではないかという先生のお説でございますが、私どもこれは発足当時におきまして中央、地方合わせまして約五百四十名ほどの人を予定をしておるわけでございますが、この中で中心となるべきいわゆる技術者は約二百四、五十名あるいは五、六十名かと思いす。その中で、いわゆる資格を持った自動車検査員、軽自動車検査員なる者は百二、三十名でございます。こういう人を採用するにあたりましては、国の公務員から希望する人の転職を期待することもありましょうし、それから一般の民間の工場出身の方で適任者があればその方をお迎えするということがありましょが、その百二、三十人程度自動車検査員をお迎えするということでございます。そして、この場合、もちろん法律には書いてございませんが、この方々の待遇につきましては、いわゆる普通の公団、公社と同じような待遇を考えまして、同じような年齢経験の公務員よりは多少いい待遇が与えられるのではなかろうかと、これはもうこの協会の予算として定められるべきものでございます。したがいまして、その方々の待遇等についての具体的なことは法律に書いてございませんが、考え方としては、そういうことで協会の計画を立て、予算を組むということになると思います。
  161. 田代富士男

    田代富士男君 まあ局長局長なりに調査をされたと思います。私は私なりに、私もあちらこちら知り合いがあります。全国と言えばおそれ多いかわりませんが、調べようと思ったら調べることはできますが、聞いてみましたら——局長も、これだけの法案をお出しになる以上は、いろいろやはりここまで積み重ねというものはずいぶんされたと思いますけれども、ちょっとまだ甘い面もあるのじゃないかと思うんですね。いま話を聞いておりますと、もうこれ予算もついたのだから、五百何十人なんというのはすぐできるんじゃないかと——そういう考えもないと思いますけれども、私はそういう受け取り方をしてしょうがないわけです。だから、いま町の指定工場では人手不足だということは、これはもう局長も、あるいは大臣も、それはもう部長も、御承知のとおりだと思うのです。そしてまた、いま小型はやっているけれども、軽自動車までは手が回らない、第一場所がないんだと、どうしてくれるのだと、しかしそれはやろうと思えばやれぬことはないけれども、今度は資金面やそういう面ではどうすることもできないんだと、人を誘おうとしても金がないとか、それはいろいろな問題があります。そして第一、指定整備工場までなったらよろしいんですけれども、ただ単に町の整備屋さんといいますか、一般に修理屋さんという実態は、どういう実態かというのです。なまの声は、修理をやり整備をしていたら経営は成り立っていかぬというのが結論です。十人のうちで八人、九人までそうでしょう。だから、どうしてそれを切り抜けているかといえば、自動車の中古車を購入して、その整備工場で部品の取りかえをやって、中古車の売買をして、そしてからくもそういう整備工場の体面を保っているというのが実情です。ほとんどの人に聞いてください。だから、その整備工場の仕事の範囲、陸運局できめられた仕事内容を十とするならば、そのうちの三分の一も力を出していませんよ。あとの三分の二は販売のほうに力を入れている。技術者であるべき人が、そういうような状況になっているんですよ。だから、この問題というものは、もっと私は実情を把握をしていただきたいと思うのですよ。  それから、いま、軽自動車の要員につきましては、国の公務員の中から、あるいは一般の民間のそこから来るならば優遇をいたしますと、このように申していらっしゃいます。そこで、軽自動車整備というのは、一級、二級、三級といろいろその階級がありますけれども、軽自動車の場合は、これはだれでもできるというのじゃないが、初歩的な人でもこれはある程度つとまるんじゃなかろうか。ここで考えなくちゃならないことは、そのエンジニア、こういう人たちの考え方、人生観というものはどういうところにあるかということ。ただ単なるエンジニアとしてあるんだからいいんじゃないかと、ここが私は誤差が生ずるもとになるんじゃないかと心配をしているのは、最初は、局長、あるいは大臣がおっしゃるように、それだけの要員がそろうでしょう、補充もしますという、それは局長おそらくそう答弁されるかわかりませんが、エンジニアの人生観というものは、私がここで指摘をするまでもなく、局長御存じだと思いますが、こういう指定工場というのは、おおむね、大体、会社の系列がありまして、三菱は三菱、日産は日産、日野は日野と、大体経営同列の会社になりまして、その方面の技術はたんのうなんですけれども、ところが、そのエンジニアというものは、それだけじゃなくして、よその会社のどういう仕事でもやりたいという、そういう気持ちがあるわけなんです。大体二年から三年で次から次にかわっていってる。それから、軽自動車を今度やりますと、軽自動車をある程度マスターした人は今度は小型へ、小型を覚えた人は普通自動車へ、普通自動車を終わった人はディーゼルヘ、次から次へと移っていく、そういうようなのがエンジニアの実態です。そういうすべてのものに移っていって自分の技術を修得しようというのが、エンジニアのそういう人生観の一つになっているわけです。だから、一番最初の軽自動車整備といいましても、初歩的な人は次から次へ補充するとおっしゃるかもしらぬけれども、定住をするということはない。そうすると、技術を向上さすということと、これはちょっと考えざるを得ないんじゃないかと思うんですね。こういう面から私は考えまして、そしていまの整備工場自身が、指定工場にしましても、整備よりもそういう販売のほうに力を注いでいる現在の問題、私はこういうところで、現在の業者の実態というものを知ってるとおっしゃるけれども、なまの声を、大臣、私はいま短い時間ですけれども申し上げたわけなんですけれども、だから運輸省としてもこういう点を知った上でもっと対処すべきじゃないかと思うんですが、大臣いかがでございましょうか。
  162. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) 私も、自分の選挙区に、後援者のうちに相当やっぱり整備工場をやっておる人がおります。いま田代先生おっしゃったような傾向も十分あることを私知っております。また、最近のエンジニアの方は、いわゆるエンジニア・セールスマンとなりまして、そのほうが利益があがるからと、こういうような傾向も私よく知っておるような次第でございます。それから、これはまあ必ずしも軽自動車に限りませんが、やはり簡単な機械より複雑な機械、そして技能も上がるし、それから自分たちの収入をよくするということを望むことは、これは人情の常でございますから、そういう点はよほどこれは勘案をいたしまして、始めましても、またその人たちの交流、また整備工場やなんかのそれらに対するところのいろいろの強化、指導ということがやはり一番必要になってくるんじゃないか。始めにそれが、整備員が充足されたからといって安心はできないと、こういうふうに私もそれは思っておる次第でございます。その点はよく自動車局長にも私は由しつけるつもりでございます。
  163. 田代富士男

    田代富士男君 そこで私は、指定整備事業者には、今後軽の車検も代行させるというような趣旨になっておるんですから、それについては、陸運当局といたしましても、いま申し上げたような実態です、これはもうほんの一部でございますから、そういう面から助成策をもっと講じていくべきじゃないかと、私はそのように思うんです。もしもそれがとれないとするならば、これはまあ車検というのは本来は国がやるべき立場のものです。現実には引き受け手も少ないんです、いま申し上げたような土地の問題、資金の問題、人手の問題、いろいろな問題から。だから、そういう本来国がやるべきだから、もう一歩考えて、これは民間にまかさずに国が責任を持ってやるべきじゃないかと、私はこのような意見も持っているんですけれども大臣どうでございますか。
  164. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) 確かに、これはやはり国のほんとうの重要なる検査事務でございますから、国がやるべきであるということは、やはり私は正論じゃないかと、こういうように思う次第でございます。しかし、先ほどから申しましたように、なかなかに公務員の人員の充足ということは、より具体的な問題になると、非常に率直な話、むずかしいことでございます。私ども、今回は、運輸省は現業関係であるからというので予算面でも相当に増員を認めていただきましたけれども、しかし私どもの期待をするだけのことは、定員の増加も全体の望んだ三分の一ぐらいに減っている。よその省よりは非常に増員になりましたけれども、そういうような傾向でございまして、したがいまして、これだけの、やはり五百数十人というものを一ぺんに確保するということはなかなか実際は容易じゃない。  それからまた、いま一応申しましたが、軽自動車に限ってやるという方針で臨んだ次第でございますので、そういう点も勘案をいたしまして、いわゆるこの認可法人——特殊法人でもない、民法上の法人でもない、しかも監督権、その検査のための国の監督が十分にきくような、特殊の、いままでもガス事業やなんか、その他の検査のほうでもやっておるようでございますが、そういった形態をとるようにしたいと考えておる次第でございます。その点はひとつ御了解を願いたいと、このように思う次第でございます。
  165. 田代富士男

    田代富士男君 そこで、大臣も、国で車検をやるのが当然の姿であると、このように申されました。まあ当然、私は、そうしていくならば、いままで以上の効果も出てくるかもわかりませんし、まあしかし、それはいますぐできるものじゃないということも承知しております。  それで、それはその程度にしておきまして、この車検制度というのが、これは一面では事故を未然に防ぐ、この趣旨にありますとおりに、「安全性の確保」あるいは「公害の防止」という、そういう面も含まれておりますけれども、車検やったから安全だと、そういうふうになっておりますが、車検の直後に事故を出している場合が非常に多いのです。何のために車検をやったのか。車検がイコール安全というわけにはいかないわけです。それで、この整備不良という、そういうものが車検合格というような場合も多々あるわけなんです。そういう面で、私は、車検という問題につきましても、車検が終わった直後に事故を起こしている。だから、安全性の確保というけれども安全性の確保じゃないんじゃないかと、車検とは何ぞやと、私はもう一度車検とは何かということを問い尋ねたいような感じがしてならないわけなんです。その点、一番車検の目的は運輸省として何に置いていらっしゃるのか、その点ちょっと聞かしていただけませんでしょうか。
  166. 野村一彦

    政府委員野村一彦君) 車検のねらい、目的は何かという端的な御質問でございますが、私ども、車検と申しますのは、この自動車の場合は、車の物理的な構造、装置から見て、検査を受けましたときにおいてその車が保安基準に合致をしておるということを国が確認をするということでございます。もちろんそういう意味の判定でございますが、たとえば車検期間が一年とか二年とかあるわけでございますが、これはその一年とか二年とかというものを国が安全を全面的に保証をするという性質のものではございません。安全は、検査に合格をしただけではなくて、やはりそのユーザーが、日常のユーザーとしての整備を適正にし、安全な運転を行なっていくということと、車の構造、装置と、この三つの柱が重なりまして初めて安全というものが保てるものでございまして、車検の目的は、その物理的な構造、装置の面から見た車の安全性を判断すると、こういうことでございます。
  167. 田代富士男

    田代富士男君 この車検制度の欠陥につきましては、衆議院の段階におきましても、私、会議録を読みまして、いろいろ車検制度の欠陥につきましても事実を指摘されておりますが、私もそのとおりだと思います。だから、車検自身も、やはりもう一度総点検するなり、これを根本的に考え直す必要が私はあるんじゃないかと思うんです。これは一番大事なことじゃないかと思うんです。しかし、今度は、車検だけではなくして、車検と同時に必要なものは、定期点検といいますか、これをあわせてやらなかったならば、いま局長おっしゃるとおりに、ユーザーに対する、日ごろからやっておりますと、まあその三本立ての一つとしてのその意味の話をされましたけれども、私はその点一番大事じゃないかと思うわけです。だから、大臣どうですか、車検とか、定期点検とか、こういう面に対してこれだけいろいろ問題が指摘されておるわけなんですけれども、いままでこうこうやってきたとおっしゃいますけれども、今後特にこれとこれとこれとやっていくという何か大臣としてのお考えがあるならば、それを示していただきたいと思いますが。
  168. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) 実は、そういったような車検の問題につきまして、最近、昨年の秋ごろでしたか、交通安全対策会議が開かれまして、そのときに民間の方から、最近中古車の事故が非常に多い、中古車の検査もやっぱりやるべきじゃないか、こういうような御意見が出ました。いろいろ数字を私そのときに述べられましたのを——ちょっと整備部長連れてまいりましたが、私ども中古車の検査もやるべきじゃないかと、こういうあれを申しましたんですが、それはなかなか事務的に非常にむずかしいというので、定期検査をちゃんとやる、定期検査でやりまして、そこでもって補充をするから、こういう話でございました。それじゃまあ定期検査をきっちりやる、これは義務づけられておりますし、これをするから、こういうことで私ども了承した次第でございますが、ただいま局長が申しておりましたように、御答弁申し上げましたように、ユーザーの操縦のしかたその他におきまして、せっかく車検を出しましても、いま出てすぐ事故を起こすのは、これは検査が悪かったかあるいはまた操縦者が悪かったかわかりませんが、操縦のしかたその他によりまして、車検から車検の間、事故がないということはこれは絶対保証できない次第でございます。定期検査をしょっちゅう、やはり義務づけられておることは十分にこれを守らしていくという習性をつけてまいりませんと、せっかくの安全を保てない、こういうふうに私は思っている次第でございます。先ほども申しましたように、私は中古車についても、初めは、これどうせ改正する場合にやったらどうかということを注意した次第でございます。そういうことでございますから、定期検査は十分これ指導していくものと、こういうふうに考えておる次第でございます。
  169. 田代富士男

    田代富士男君 それで、問題を取り上げれば切りがございませんけれども、いまこの法律の提案理由の趣旨説明のところにもありましたとおりに、軽自動車が最近はずいぶん、六百万台というふうにふえてきたと、そういうところでこの問題が取り上げられたわけなんですけれども自動車検査制度あるいは整備制度自身に問題があるという点を、その他いろいろバランスがとれてない点、そういう問題点をいま数字もあげまして指摘をいたしまして、それで私は一番心配することは、この法律の実施が四十八年の十月一日から実施をすると、このようにされてあるわけなんですけれども、これだけ大きな問題がまだ残って、未解決な問題が多々あるにもかかわらず、これは来年十月といいましても、ちょっとそれ以前の段階に非常な問題があるんですから、はたして十月一日から実施できるかどうかという点はちょっと考えざるを得ないと思うんです。だから一部の業者の人に端的に聞いてみました。十月からできますか。まあお役人のおやりになることだから、やると思えばできるかわかりませんが、われわれはできないと思いますね。われわれやらされてもできないと思います、そういう声がはね返ってくるんですから。この問題よりもそれ以前の問題を片づけてもらいたいという、そういう声がありますけれども、これに対してはいかが答えていただけましょうか。
  170. 野村一彦

    政府委員野村一彦君) ただいま先生の御指摘のように、現在の国会でこの法案をお認めいただきましても、一年数ヵ月といいますか、四十八年の十月まで一年わずかの日子しかないと、その間に協会の設立の準備、あるいはいま御指摘になりましたいろんな問題点の再検討なり改善というようなことは、相当これは無理ではないかという御懸念、私は、先生のお立場としていろいろ各方面御調査になった結果を踏まえての御質問よくわかるわけでございます。ただ、私どもとしましては、軽自動車検査というものはもう二、三年前から、これは検査をすべきであるということが委員会の御質疑等を通じて国会の論議としてもお取り上げになったことでございますし、私どもも事務的に検討して、そういう結論でやってきたわけでございます。したがいまして、これは一年の間に協会自身の人員を確保し、施設を整え、機械整備するというような準備をもちろんやらなきゃなりません。これは一年間というと長いようでありますが短いわけでございますが、私どもこれをつくりますまでには、何と申しますか、地方の整備部長会議をもうすでにいままで二回ほど招集しまして、この協会ができるまでは産婆役というふうに考えて実際の準備、調査、いろんなそういう何といいますか、土地の物色なり要員の確保のためのいろいろな問題点を検討するように指示してございますので、私は全力をあげて四十八年の十月から検査ができるようにしなければならないと思いますし、また、これはぜひ私どもやり得る体制にあると思います。ただ、民間の指定整備工場につきましては、これはいろいろの要件がございますので、指定整備になり得る工場が四十八年の十月に全部一斉に発足するということにはこれはまいらぬと思います。そういう意味で必ずしも足並みがそろわぬではないか、特に先生がお尋ねになりました、民間の方々の間からいろいろな不安があるとおっしゃるのはあるいはそういう意味かと思いますが、国にかわるべき代行機関の設置、これにつきましては、いま申し上げたようなことから極力努力をいたしまして、十月一日に必ず間に合わせるようにしたい、また、しなければならない、このように確信いたしている次第でございます。
  171. 田代富士男

    田代富士男君 そのような決意でこの法案を提出されたと思いますから、そのことに対して私はできませんよと、何とも言えないと思いますけれども、実際、業者の間からもそういう心配がされている大きな問題を含んだ法案であるということを知っていただきたいわけなんです。  それと同時に、問題は、安全性の確保ということがいわれておりますけれども、ちょうどいまから一年ぐらい前でございますか、自動車の欠陥車騒ぎがずいぶん起きました。そういうわけで軽の信頼性についても云々されておりますけれども、軽を含みまして欠陥車の問題につきまして今日どのくらい問題にあがっているのか、簡単でけっこうでございますから一応御説明願ったらと思います。
  172. 隅田豊

    説明員(隅田豊君) いわゆる欠陥車の問題と申しますのは、昭和四十四年から起きているわけでございますが、現在までの数字を申し上げますと、四十四年から現在までで二百二十件の届け出がございます。
  173. 田代富士男

    田代富士男君 年度別にお願いします。
  174. 隅田豊

    説明員(隅田豊君) 年度別に申し上げますと、四十四年度は百六十五件ございました。四十五年度は三十四件でございます。それから四十六年度は十八件、四十七年度は現在まだ三件でございます。これに対しまして軽自動車は、ただいまの中の内数でございますけれども、四十四年度に十九件、四十五年度四件、四十六年度一件、四十七年度現在ではまだ行なわれておりません。
  175. 田代富士男

    田代富士男君 いまこれはおそらく届け出の件数だと思うのですが、そうしますと、届け出の件数は、四十四年に百六十五件のうち軽関係は十九件、四十五年三十四対四、四十六年十八対一、四十七年が三と、いまこのような届け出の数を示していただきましたが、これに届け出がありましたが、それに対する対象の台数はどのくらいあるんですか。
  176. 隅田豊

    説明員(隅田豊君) 対象の台数は、四十四年全件数におきまして二百五十七万台でございます。それから、それに対しまして軽自動車十九件の台数は百十二万八千台でございます。四十五年は百四十九万七千台に対しまして八万四千六百台で、それから四十六年は七十九万六千八百台に対しまして十二万二千三百台であります。四十七年は八百四十四台に対しまして現在ゼロでございます。
  177. 田代富士男

    田代富士男君 いまお聞きいたしましたような、こういう欠陥車の数字が出ております。軽自動車の場合もいろいろあるでしょうが、小型や普通自動車のほうが軽に比べて数字の上でちょっと多いような感じを受けるわけなんです。だから軽自動車の安全確保という面もわかります。しかし、このような対象にするならば、軽も対象であるけれども、小型、普通自動車のほうをこれはよけいに対象にしなければならないじゃないかと思うわけなんですね。この点についてはいかがお考えでございましょうか。
  178. 野村一彦

    政府委員野村一彦君) 先生指摘のように、この欠陥車といわれるものの数について、ただいま数字を申し上げたわけでございますが、私ども、軽であろうと普通自動車であろうと、これの安全につきましては、すなわち構造装置の面につきましては道路運送車両法の保安基準という同じものさしでやっておるわけでございます。で、その構造装置の面からこのものさしに合わない、すなわち、これをそのまま放置すれば構造装置の欠陥のゆえに人命にかかわるような重大な事故を起こすという容疑のきわめて濃厚なものが欠陥車でございますから、そういう意味におきまして、私は軽であろうと普通車であろうと、同じようなものさしではかって、そして、それを回収すべきものは回収するということは当然やらなければなりませんし、今回これが検査に軽が対象になるにつきましては、特に軽についてその点を重要視していくということは御指摘のとおりでございます。
  179. 田代富士男

    田代富士男君 まあ、これは欠陥車となった場合には軽も小型も普通車も変わりがない、欠陥車という尺度からはかってこれと取り組んでいっているから、そういう比較対照というものは当てはまりませんと、そういう意味かもわかりませんけれども、それで私は、じゃ一つお尋ねいたしますけれども、ちょうど昨年の——一年ほど前でございましょうか、最近も私、名神なんかちょいちょい走っている場合に見受けたことがありますが、本田の軽四輪です。この一番欠陥は、私が言うまでもなく局長御承知のとおりに、前の車輪の左側の車輪がいつも飛んでいるのです、軽四輪は。これが一番の特徴になっている。名神なんかでちょいちょいそれをやっております。本田の軽四輪の特徴です。前の車輪の左側の車輪ですよ、これが本田の軽四輪の場合は、どうしてか知らぬけれども飛んでしまって、そうして転覆している。それで私は一応そういう方面の技術者の人に聞いてみました。私はエンジニアではございませんが、どうしてもこの車両法がかかっている以上は一応これを聞いてみようと思いまして。その人は、本甲の軽四輪のそれは何かフロント関係のアラインメントの欠陥じゃないか。だからこれはタイヤとスプリング、あるいはクッションしたときの角度だとかタイヤの角度、そうして精密検査をして、欠陥車としてこれは突き出された。これはちょいちょい起きている。それで整備工場の人に私聞きました、本田の車にはそういう欠陥が多いかと。本田の車というのは前の車輪の左側が飛ぶのが本出の軽四輪ですよ、これが一番欠陥です、こういうような実情を私聞きました。  それで、これは一年ほど前に——これはあらためてここで話しているのじゃないのです、この問題は。ちょうど一年ほど前に、これは自動車会社同士の争いといえば何ですが、ある会社が本田の車を購入して、それをいま言うように精密検査して、本田の軽四輪のその欠陥ということを指摘したというところで争いが始まった。そして今日まできて、本田も改良を加えたと思いますけれども、本田の軽四輪の古いのは前方左車輪が飛んでいく心配がある。しかし、これは一般に、専門家の人は内々に知っておりますが、あまりそれを公にしますと販売に影響があるから言わない。しかし名神高速なんか走っている場合に、そうなったらどうなります。私もときたま見る場合がある。だから、こういう欠陥車に対する指導というものは、いま小型も普通も何も関係ないとおっしゃるけれども、これは本田の軽四輪の欠陥に対する指導はどのようにされたのか。一年前のことでございます。お願いします。
  180. 野村一彦

    政府委員野村一彦君) 本田の軽自動車という具体的なものについてのお尋ねでございます。これについて、先生御案内のように、一年くらい前でございますか、訴訟事件になって、本田のN360は欠陥車であるということで告発をされまして、そして裁判所においてこれが論議をされたということでございます。その過程におきまして、裁判所のほうから東京大学の車両工学の先生に対して鑑定の依頼がございました。それから、私どものほうの交通安全公害研究所に対しても、これは地検のほうからその鑑定の依頼がございました。そして、その結果、特に東京大学の先生の鑑定をされる途中においては、その試験場において走行試験を係官の立ち会いのもとにやったということがございます。しかしながら、裁判の結果は、刑事事件としては欠陥車であるという断定ができないままになっております。ただ、民事事件といたしましては、その刑事事件に付帯する民事事件としては、損害賠償の訴えが係属して行なわれて、これが裁判所において審理をされているということでございます。私ども欠陥車という問題につきましては、やはりそれが構造装置の欠陥であるということ、つまり運転が悪いための事故ではない、あるいはその整備の状況が悪いための事故ではない。もっぱら、あるいは主としてと申しますか、その車両の構造装置の悪いのが原因であるというのが欠陥車でございますから、世間でまく欠陥車、欠陥車ということがいわれておりますけれども、はたしてそれが構造装置に起因する、物理的にそういうものに起因するかどうかという判定は、実は私は技術的に非常にむずかしいことであろうと思います。本田の車につきまして、たとえば先生がおっしゃいましたようないろんなその風評といいますか、評判があるということは私ども実は聞いているわけでございますが、それがその構造装置に起因する、そのものずばりの事故であるかどうかということについては、いままでまあ裁判的にはまだ結論が出ていないという状況でございます。ただ、私ども決してこれに、だからこのまま問題ないのだということではございませんで、これはまあ引き続き技術的にも検討していかなければならない問題だと思います。  それから、私が先ほど申し上げました、ことばが足らなかったかと思いますが、軽も普通車も同じように欠陥車としてわれわれ取り扱っていくから問題ないのだといったつもりではございませんで、扱い方について、軽であろうと普通車であろうと区別はなくて、同じその保安基準というものさしで指導していく、したがって軽だから甘く見るということもない、こういうことでございますので、その辺は御了解いただきたいと思います。欠陥車の問題については、いまお答えいたしましたような次第でございます。
  181. 田代富士男

    田代富士男君 欠陥車の問題につきましては、局長の答弁のとおりだと思いますけれども、もう私どもでも、その業者から聞きましてしろうとなりに大体説明がわかるような感じがするのですがね。それが一件や二件の——前輪車の左側だけ飛ぶというのは、あちらもこちらもと、多々例が出ております。だからもっとその点は、事故が起きてから事故対策よりも、事前のそういう指導といいますか、その点ははっきりしているわけです。いまいろいろ運転上の欠陥と整備上の欠陥、構造上の欠陥、いろいろ説明されたこともわかりますけれども、運転だけでも同じ、前の左の車輪が飛んでしまうということは、一部の業者ではそれは一つの、業者間では話題になっておりますから、こういう点は裁判で決着をつけるとか、そういうような事務的な解決よりも、いま大臣がたびたび申されますように、安全性の確保という面から言うならば、私は、監督要員の要員不足という点がこういうところにもあらわれてきて、一年たった現在も裁判に寄らなければ結論を見ないというようなふうになってくる、ここを心配するわけなんです。監督要員がはたしてまあ余裕があるというところまでいかないにしましても、その事故でもしも一命を失ったならば、ああ補償問題だ——これは金銭の問題ですけれども、そういう問題じゃないのです。いつも大臣が言われる問題を、私はその点をいまさっきから言っているわけなんです。そういう面から一人でも事故を起こしちゃならぬ、どうすれば事故を最小限度に、起こるものを起こしちゃならぬけれども、どうすれば最小限度にこれをとめることができるかということを言っているわけです。だから、局長がいまさっきの欠陥車の問題について、軽だからどうということはないとおっしゃったのは、私はどちらかといえば数字から出していくのが好きなもんですから、数字できょうも何回も出したとおりに、数字の面からいくならば、軽よりも小型と普通のほうが多いんだから、同じ車検やるにも、軽にも力入れなくちゃならぬけれども、より小型と普通の車検に力を入れ、整備に力を入れ、監督要員もふやして、すべてのそこをやっていくならば、これももっと防げたんじゃなかろうか。そういう面で現在の車検に対してもっと力を入れるならば、いま起きている事故も未然に防がれるんじゃないかと、そういう意味で私は申し上げているわけなんです。それは私も同じ精神でございますと局長あるいは大臣もお答えになるかわかりませんけれども、今回の法案の趣旨説明もそういう精神といいますか、根底にはそういうものが流れていると思うわけなんです。そういう面で私も申し上げた次第でございます。そういう意味から、その本田の軽につきましては、まだ裁判でとか、そういうことを言わずに、徹底的にこの問題をやっていただきまして、私、ちゃんとこういたしましたという報告をください。これは私もこのままにしておくわけにいきません。私自身がしろうとなりに聞きまして、どこまでどうされたかということで、どう改良したのかということをひとつお願いいたします。大臣調べてください。その点ひとつよろしくお願いいたします。  それで、次に移りますが、この法案の提案理由の説明を聞きましたが、私もまた、このあと法家そのものに対して質問をいたしますけれども、この法案に対するいろいろな声があります。声だから問題にする必要はないと言われるかわかりませんが、一つは、もう衆議院あるいは参議院の委員会を通じましても出された問題でございますが、いまさっきも、新しい協会を設置するにあたっては公務員の中からも、あるいは一般民間の方からも採用していきたいと、そういう意味局長の答弁がなされたわけなんですが、往々にしてこういう外郭団体の一つとみなされます協会というものにつきましては、天下りの問題がいつもいわれるわけなんです。だから、運輸関係の官僚の天下りになるんじゃなかろうかと、こういうような心配がされているわけなんです。だから、そういうことはありませんと答弁されるかわかりませんが、そういうような声も私は聞いております。  それからもう一つは、どういう声があるかといえば、これは業者の声でございます。業者の声を代表して申し上げますと、私がここでるる説明するまでもございませんが、普通車の場合は必ず車庫を持つか、あるいはモータープールの証明がなかったならば、これは普通車は購入できないわけなんです。ところが、軽四輪の場合は車庫証明がなくても簡単に手に入るし、月賦で簡単に手に入るから、運転さえできれば簡単にというわけで、どんどんどんどんとこの軽四輪が、いまでは家庭の主婦の間にまでも、手軽だからということで、まあかっこうよくなってきております、軽四輪も。そういうような家庭まで入り込んできているというようなことで、これは業者のほうでは小型も含めまして自動車メーカーがこういう軽四輪の進出をおそれて、こういう法案をしぼったんじゃないでしょうか。車検となりまして、だんだんとしぼっていきますと、今度は、いままででしたらば軽四輪の場合はそういう車検があるわけじゃないですから、有効期間まで、動くところまで乗れるわけです。今度車検がありますと、すぐ警官にも、道路においてこういう検察にあうというような場合もあるわけなんですから、そういうわけで軽四輪の売れ行きが少なくなるんじゃないか、これはそういう大手の自動車メーカーの圧力に屈したんじゃなかろうか——いま大臣も、局長も笑っていらっしゃいますがね。これを私は代表として申し上げておきます。こういう声がある。  それともう一つは、あとでまた私は法案の中でもその問題はお尋ねいたしますが、これは税金の一取り立ての代行機関のような機能を発効するんじゃないか。そういうような声も聞かれます。あとで各項目ごとに聞きますけれども、そういうような端的な声があります。三つともそういうことありませんと、おそらく答弁はそう返ってくると、おそらくそうだとわかっておりますが、こういう声もあるわけなんですけれども大臣どうでございますか。
  182. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) 一番先の天下りの点でございます。これは先ほどからも、これは国家機関でやるべきじゃないか、こういういろいろ議論もございました。いままでも運輸省まあ直轄でやった次第でございますけれども、今度新しくつくりましても業務内容につきましては全然国の機関と違わないような協会でございます。いわゆる天下りという意味でございますが、適任者はやはり運輸省からも、率直に申しまして出したい、こう思っておる次第でございます。ただ、これが退職者だから出すとか、そういうようないわゆる養老院的といいますか、よく非難を受けておりますそういうことは絶対にしない。ことに新しき機関の発足でございますから、ほんとうの意味のよい人でございましたらば、これも出すにやぶさかでない。こういうふうにむしろ君、行ってくれというような人を出そうかと、もし、それは適任者がございましたら。決して天下りのことは私は絶対にしないということはお約束をいたすつもりでございます。  それから第二の点でございますが、私はまあその点は非常に寡聞でございますが、そういった大手業者からの話は一つも聞いておりません。これは御承知のとおり国会におきまして、要するに軽四輪についても十分そういったような安全面についてすべきじゃないかということを再三、私が就任する前に御審議がございました。それに基づきまして、私どももそれはごもっともであるということで今回踏み切った次第でございまして、その点は私は全然聞いていない次第でございます。  第三の点は、いわゆるいま盛んにいわれております重量税の問題、御提案でございましたが、これはイコールフッティングの点からいたしましても、いろいろの輸送機関におきまして、何と申しますか——それはまあ個人が持つので非常に負担もかかるかもわかりませんが、ほかの機関と比較しまして、道路はほとんど国と地方団体で全部やりまして、レールはただである、そういうことでいまイコールフッティングの点が非常にいわれております。先般も、それゆえに、いままではトラックにかけなかった税金も、重量税もかけております。そういう意味でやはり軽自動車も一応負担を願う、こういうことでございまして、別に、それがために特別にするということではございませんので、御了解願いたい、こう申し上げておる次第でございます。
  183. 田代富士男

    田代富士男君 大臣がお答えになるとおりだろうと思います。そういうことがあっては私はならないと思いますが、いろいろな見方をすればいろいろな見方がありますけれども、そういうことにとうとうなってしまったのか、ということになってはなりませんし、そういう可能性は考えられないこともないわけなんです。いま大臣が、そういうことはありませんとおっしゃるのですから、そのままの姿勢で進んでいただきたい、私はこれは希望でとどめておきたいと思います。  それで、今度、改正法案の内容につきまして少しお尋ねしたいと思いますが、法案には若干の政令あるいは省令、委任事項が含まれておりますけれども、それらの内容につきまして、ちょっとお答えしていただきたいと思います。まあ若干と申しましても十何ヵ条ありますけれども、まず一番最初に、二ページの一行目の五十八条ですが、ここに「運輸省令で定める」とありますが、まず二ページの第五十八条から、簡単でけっこうでございます。
  184. 野村一彦

    政府委員野村一彦君) 五十八条でございますが、これは「運輸省令で定める軽自動車」、二輪の軽自動車を考えている、こういうことで二輪の軽自動車ということを省令にうたう予定にいたしております。
  185. 田代富士男

    田代富士男君 それから同じように最初ざっとお尋ねしていきますが、四ページの七十三条「「運輸省令で定める」に改め、」とありますが、この  「運輸省令」ですけれども、これにつきまして。
  186. 野村一彦

    政府委員野村一彦君) 軽自動車についてはその前面及び後面の見やすい位置、二輪の小型自動車についてはその後面の見やすい位置と、そういう位置を書くように考えております。
  187. 田代富士男

    田代富士男君 それから六ページの、七十四条の二の5、「所要の経過措置は、運輸省令で定める。」と、このようになっておりますが、この内容は何でしょうか。
  188. 野村一彦

    政府委員野村一彦君) これは天災等の事由により協会にかわって国が検査を行なう場合などの検査記録簿の引き継ぎ、そういうようなことについて所要の規定を設ける、こういう予定でございます。
  189. 田代富士男

    田代富士男君 それから九ページ、七十六条の十の2「前項の事業計画書に記載すべき事項は、運輸省令で定める。」。
  190. 野村一彦

    政府委員野村一彦君) 事業計画書の記載事項といたしましては、検査業務に関する計画、それから資金の調達方法及び使途、それから協会の組織、そういうようなものを省令で定めたいと思っております。
  191. 田代富士男

    田代富士男君 それから一八ページですが、「(業務方法書)」の中の「2」でございますが、「業務方法書に記載すべき事項は、運輸省令で定める。」とありますが、この点について。
  192. 野村一彦

    政府委員野村一彦君) 業務方法書について記載すべき事項としましては、検査業務の実施の方法、それから検査業務を行なう時間及び休日、検査業務を行なう場所、検査手数料の収納の方法、そういうことを省令で書きたいと思っております。
  193. 田代富士男

    田代富士男君 それから一九ページの、七十六条の三十の3、「検査事務規程で定めるべき事項は、運輸省令で定める。」、この点お願いします。
  194. 野村一彦

    政府委員野村一彦君) 検査事務規程で定めるべき事項として予定しておりますものは、検査申請の受理方法検査の実施方法自動車検査証などの交付に関すること、それから検査記録簿の記載方法、そういうものを考えております。
  195. 田代富士男

    田代富士男君 それから「(軽自動車検査設備)」ですが、七十六条の三十一に、「協会は、軽自動車検査事務を行なう事務所ごとに、運輸省令で定める基準に適合する」と、運輸省令……。
  196. 野村一彦

    政府委員野村一彦君) 必要な検査設備としてはサイドスリップテスター、ブレーキテスター、一酸化炭素測定器、音量計などの自動車検査器具機械を考えております。
  197. 田代富士男

    田代富士男君 それから軽自動車検査員のところですが、「軽自動車検査員は、自動車検査について運輸省令で定める一定の実務の経験その他の要件を備える者のうちから、選任しなければならない。」、運輸省令というこの内容ですが……。
  198. 野村一彦

    政府委員野村一彦君) 軽自動車検査員を指名いたします場合の要件として考えておりますことですが、第一は、いわゆる国の自動車検査官の経験を有する者、それから第二は、いわゆる普通の自動車につきまして、自動車検査員、指定整備工場検査員でございますが、その検査員の経験を有する者、それから第三は、その他自動車検査官と同等以上の知識及び経験を有すると認められる者というようなことで、具体的に検査員を任命するにあたっての知識、経験の資格といいますか、そういう資格をここで書きたいというふうに考えております。
  199. 田代富士男

    田代富士男君 それから二二ページの七十六条の三十八です。「この法律に規定するもののほか、協会の財務及び会計に関し必要な事項は、運輸省令で定める。」。
  200. 野村一彦

    政府委員野村一彦君) これは一般に認可法人等で定められていますと同じような経理の原則、それから収入、支出など予算、それから資金計画、決算報告書、そういうようなものにつきまして、いわゆる認可法人の財務及び会計に関する規則というようなものをこれで定めたいというふうに考えております。
  201. 田代富士男

    田代富士男君 それから八ぺ−ジの七十六条の七です。「協会は、政令で定めるところにより、登記しなければならない。」、登記手続の政令ですが……。
  202. 野村一彦

    政府委員野村一彦君) これは特殊法人登記令という政令が昭和三十九年政令第二十八号でございますが一その政令の中に軽自動車検査協会というものを加えるという政令の改正を予定いたしております。
  203. 田代富士男

    田代富士男君 それから一一ページ、七十六条の十四条、「理事長となるべき者は、前条第二項の規定による出資金の払込みがあつたときは、」というところですね、ずっと政令ですが……。
  204. 野村一彦

    政府委員野村一彦君) 先ほど申し上げました特殊法人登記令という政令で、同じ政令でございます。
  205. 田代富士男

    田代富士男君 二九ページ、(経過措置)の第二条の四行目、「この法律の施行の日から起算して二年をこえない範囲内において政令で定める日まで、この法律による改正後の」、ずっとあります、この政令。
  206. 野村一彦

    政府委員野村一彦君) 現在使用いたしております軽自動車、この検査を始めるにあたりまして、届け出の古い順に検査を受けるということを考えておりますが、その検査を受ける時期を規定する予定にいたしております。
  207. 田代富士男

    田代富士男君 三二ページの第四条「前二条に規定するもののほか、この法律の施行に関して必要となる経過措置は、政令で定めることができる。」、この政令ですが……。
  208. 野村一彦

    政府委員野村一彦君) これはいわゆる法律に基づいた政令でその施行に関する具体的な経過措置を考えるわけでございまして、いわば落ちこぼれのないように、念のために「政令で定めることができる。」と書いてございますが、現在のところ、特にこの政令で経過措置を設ける必要はないものと考えておりますので、現在の段階においては、これはまだ検討いたしておりません。検討いたしておりませんと申しますか、必要は特にないというふうに考えております。
  209. 田代富士男

    田代富士男君 この問題につきまして、その理由をまた明らかにしてもらいたい点をお聞きしたいと思いましたけれどもあと関係もございますから、あとにこれ譲りたいと思います。  そこで、いまもるる私質問してまいりましたけれども、今回、軽のみをわざわざ認可法人として進もうとしていらっしゃるわけなんですが、いまさっきも私はちょっと申し上げたわけなんですけれども、この車検の制度というのは、やはりいろいろ分けるよりも、一本化のほうがいいんじゃなかろうか。大臣も、本来は国でやるべきである、これが本来の姿であると、そういうような大臣お話もございましたが、今回、軽のこの法案が実施されるようになりますと、この車検制度というものが、まあ陸運局の立場で言うならば三本立て、あるいは軽を入れますと四本立てという、こういうような複雑な組織というものになるわけなんですが、こういうように、行政指導をする立場といたしまして、三本立てあるいは四本立てということは好ましくないんじゃないかと私は思いますし、大臣も、本来の姿勢は、国でやって一元化をはかるのがほんとうの姿勢じゃないかと言うのですけれども、この点についてはいかがでございましょうか。
  210. 野村一彦

    政府委員野村一彦君) 先生の御指摘のように、こまかく申し上げますと、普通自動車が国と指定整備工場、それから軽自動車がこの検査協会とそれから指定整備工場ということで、こまかくいいますと四本立てということになるかと思います。ただ、私ども考えておりますのは、この検査をやります基準といいますか、検査の合否を判定する具体的な基準となるものにつきましては、道路運送車両法の保安基準というものさしがあるわけでございます。そしてこの保安基準というものの具体的な適用につきましては、私どものほうで、国としていろいろ解釈通牒を出し、それからいろいろの業務を執行する上の基準といいますか、そういうものの統一、調整をはかっておるわけでございます。したがいまして、それを検査に当たりますところの国の検査官あるいは検査員というものが、常時その思想統一をはかって、そして同じようなものに対して同じような結果の判定を下すということが行なわれますれば、厳正公平な検査が私はできるものと思います。その点につきましては、従来から両者の連絡会議等をしばしば行なっておりますし、また検査官、検査員の養成、それから研修、教習につきましては、国としてもできるだけ力添えをして、そして協力をしております。したがいまして、同じ保安基準を適用して検査を行なうということで、できるだけその両者の意思の疎通をはかって、検査の実施が酷にならないようにつとめたいというふうに考えている次第でございます。
  211. 田代富士男

    田代富士男君 次に、いまこの法案の審議をしておりますけれども、この法案が成立したと一応仮定いたしますと、公布された場合には、これを施行するまでにいろんなスケジュールがあると思うんです。そういうスケジュールはどういう準備をされているのか。また大臣から具体的なスケジュールにつきましてまずちょっとお尋ねしたいと思います。
  212. 野村一彦

    政府委員野村一彦君) これが国会で御承認をいただけましたならば、まず私どもは、何といいますか、設立発起人の方々がその設立の計画を立てまして、そして私どものほうに申請をされるということになると思います。また国のほうといたしましては、先ほど先生から御質問がございましたような政令並びに省令を逐次制定をして、これを公布するというようなことでございます。そこで、その設立発起人から申請が出ましたならば、その申請の内容というものを私どものほう、運輸省で審査して、そしてその過程におきまして、正式にこの協会発足後、理事長となるべき者、監事となるべき者というようなものを指名して、そして、その方々が今度は具体的にこの協会の骨組みをつくっていくという準備をされる、こういうことになるわけでございます。
  213. 田代富士男

    田代富士男君 いま局長がお答えになりましかとおりに、設立発起人から陸運局へ申請が出される、そして審査をして正式に協会を発足する指名をしてと、いろいろいま経過を述べられたその一番最初の発起人のことは、この七十六条の九に、「協会を設立するには、自動車安全性の確保について学識経験を有する者七人以上が発起人となることを必要とする。」と、このように法第七十六条の九にございますが、発起人は今度はだれが選ぶのか、だれを発起人にしようとしているのか。また、いつ発起人がきまるのか。この点についていかがでしょう。
  214. 野村一彦

    政府委員野村一彦君) 発起人はだれが選ぶかという御質問でございますが、これは、こういう協会を設立したいという、この自動車安全性についての学識経験を有する方々がみずから相語らって、何といいますか七人以上の方が集まってそういう御相談をなさるということでございます。したがいまして、これがいつごろかということは、この法律が制定、公布されましたならば、そういう方々がこれに基づいて、私どもの先ほど申し上げましたような政令、省令、そういうものに基づいて相語らってその設立の準備をされる、こういうことでございます。
  215. 田代富士男

    田代富士男君 じゃあ、次の七十六条の十に、「発起人は、」と、この条文がございますが、それでいまの説明では、発起人が申請をしてとなっておりますが、まだ発起人がだれかきまっていないわけなんです、発起人は。いま局長お話のとおりに、まだ現時点ではきまっていない。それなのに設立認可を申請することを規定するというのは、ちょっとここではどうなんでしょうかね。発起人がきまってないわけなんでしょう。「設立の認可を申請しなければならない。」と、こうなっているのですけれども、発起人が。または、こういう定款とか事業計画書は——それじゃあ、今度は二項に、「事業計画書に記載すべき事項」とありますけれども、事業計画書はいつ提出するのか、この点の関係どうでしょう。
  216. 野村一彦

    政府委員野村一彦君) いま申し上げましたように、この法律が成立いたしましたならば、その学識経験者、七人以上の方が集まりて、そして、その方がいわば発起人会というようなものを組織して、その発起人会で、そこに必要があれば、その方々がその発起人の命を受けて業務に従事するような方々を選んで、そしてそういう方々が、先ほど私が申し上げましたこの法律に基づく政令、省令ができ次第、その政令、省令で規定してある定款に記載すべき事項、あるいは事業計画書に記載すべき事項、そういうものにのっとって具体的なその協会としての計画案をつくられて、そしてその発起人会の意思としてそれを運輸大臣に申請をしていく、こういう段取りでございます。
  217. 田代富士男

    田代富士男君 そうしますと、七十六条の今度は十一になりますね、七十六条の十一。いま局長も言われましたが、認可申請についてどのような基準に基づいて判断されるのか。また大臣は、学識経験者からのそういうような申請がございますが、大臣はだれに意見を求められるのか。この点はいかがですか。
  218. 野村一彦

    政府委員野村一彦君) この七十六条の十一でございますが、これは運輸大臣は、認可の申請があった場合において、申請の内容がこれこれである場合には、設立の認可をしなければならない。つまり、これは大臣というものがこの協会の設立の認可をされるということは、大臣の自由裁量行為ではなくて、この法律の要件に合致する限り、いわば規則裁量と申しますか、そういう意味大臣は、これは認可をしなければならないということで、特に諮問機関にはかるとか、そういうようなことではございませんで、大臣は普通の、運輸省の次官以下の補助スタッフを使って判断をされる、その結果、条件に合致しておれば、これは規則裁量として認可しなければならない性質のものである、こういうことを七十六条の十一はうたったものである、かように理解しております。
  219. 田代富士男

    田代富士男君 そうした場合ですね、まあいま局長が言われるように、大臣のところで許可にならない場合もあり得ると思うんです。許可だけじゃなくて、許可されない場合がある。許可されない場合はどうされるんですか。まあ却下ということもありますが、そういう場合は、これどういうふうになるんですか、七十六条の十一。
  220. 野村一彦

    政府委員野村一彦君) これはまあ法律上の問題と事実上の問題と二つの側面から考えなければならないと思います。  法律上の問題といたしましては、これは先生からお尋ねございませんでしたが、七十六条の四というところに「協会は、一を限り、設立されるもの」ということがございます。これが一つの大原則でございます。協会は全国に一つのものであるということでございます。それから七十六条の十一は、いま私が申し上げましたように、その条件に合致する場合には、運輸大臣は設立の認可をしなければならないということでございまして、この七十六条の四が大前提でございますので、たとえば複数の認可の申請がございました場合には、この七十六条の十一で審査をして、そして内容的にすぐれているほうを大臣が認可をする、したがって、すぐれてないほうはまあ却下されることになるわけでございます。そして、一つが認可されれば、七十六条の四に返りまして一つに限り設立をされるということでございますから、あとの法人は設立される余地がない、法律的にもないということでございます。  それから事実上の問題といたしましては、一つが設立されましたならば、この七十六条の五にありますように、「協会の資本金は、一億五千万円とし、政府がその全額を出資する。」と。四十七年度予算でお認めいただきました政府出資の一億五千万は、その設立を認可されたほうの法人に出資金として渡るということにもなります。そうすると、あとの者は出資金がなくなるということでございまして、法律上の面からもまた実際上の面からも、七十六条の四と七十六条の十一との関係から、ただいま私が申し上げましたようなことになっております。
  221. 田代富士男

    田代富士男君 いま局長から御丁寧にも七十六条の四のことについてお話しありましたが、これはわが党の松本議員が衆議院でお聞きしておりましたから、ダブって聞く必要はなかろうと。もしよければ私お尋ねしたいと思いましたが、こちら同僚の松本議員がこの点については質問しておりましたから私は省略をいたしまして、それでいまこちらのほうでお聞きをした次第でございますけど、まあそういうわけで、いま七十六条の十一の点はほほ理解をいたしますけれども、今度七十六の十二でございますが、ここの場合ですね、発起人が推薦する人とありますけれども、発起人が推薦する人というのは自分も含むのかどうか、この点はどうでございましょう。
  222. 野村一彦

    政府委員野村一彦君) 法律上は自分を含むものと考えられます。しかし、これは含む場合もあるかと思いますが、実際上は、これは含むことにはならないと思います、この場合は。
  223. 田代富士男

    田代富士男君 この場合は、じゃあ含まないわけなんですね。そのように理解してよろしゅうございますね。
  224. 野村一彦

    政府委員野村一彦君) 実際上はこの理事長以下の役職員は兼職禁止でございますので、これは発起人の方は発起をして、その理事長になるべき方を推薦すればもうそれで任務が終わるということになるので、含まないということになると思います。
  225. 田代富士男

    田代富士男君 次に、七十六条の二十八でございます。「(業務方法書)」のところですが、ここでは「業務の開始前に、」とありますが、業務の開始とはいつか。まあ業務方法書を定める省令は、いまさっき私、省令、政令をお聞きいたしましたけれども、この業務方法書を定める省令というのはいつごろできるのか、この点についてお答え願います。
  226. 野村一彦

    政府委員野村一彦君) 七十六条の二十八の「業務の開始前に、」という業務は、この法律に基づいて協会が協会としての正式の仕事を開始するということでございますので、四十八年の十月一日でございます。  それから、その業務方法書に記載すべき事項は、先ほど私が申し上げましたが、この協会が本来の検査業務を行なうために必要な、公団、公社等が普通定めておりますところの業務方法書、あるいは団体が定めておる業務方法書と同じように、その協会の役員、職員が業務を行なうにあたって準拠すべきいろいろのルール、そういうものをここで書いておるわけでございます。
  227. 田代富士男

    田代富士男君 次に七十六条の三十ですが、ここで検査事務規程を定める省令がありますけれども、これも、いまさっきも私聞きましたけれども、これもいつごろできるのか、いまのことと同じじゃないかと思いますけれども、大体いまの答弁と同じだと思いますけれども、ここでそういうような要綱案があるならばいま示していただきたいと思います。
  228. 野村一彦

    政府委員野村一彦君) 先ほどの御答弁に時期をちょっと申しおくれまして申しわけございません。時期は、この国会で法律をお認めいただきましたならば、できるだけすみやかにまず政令をつくり、次いで省令をつくるということで、これは夏ごろまでに、いまお尋ねの省令も、先ほどの業務方法書の省令と、その他の省令ももう一、二ヵ月のうちぐらいにつくりたいと考えております。  それから先ほど申し上げましたその省令でございます。たとえば検査事務規程では、検査申請の受理の方法、それから検査の実施はどういう実施の方法をやるか、それから自動車検査証の交付等に関すること、それから検査記録簿の記載の方法、そういうようなことを法文のていさいをもって書くというのが現在まで私どもが考えております要綱案の骨子でございます。
  229. 田代富士男

    田代富士男君 七十六条の三十七ですが、ここは退職金等の問題が述べられているところですが、給与、退職手当というのはどのように考えられているのか。役員はともかくといたしまして、職員を集めるための一つのポイントになると思います。いまさっきから大臣も、優遇をしてというようなことを言っていらっしゃいましたけれども、これに対してどういうお考えであるのか、この点をお願いします。
  230. 野村一彦

    政府委員野村一彦君) 職員等に対します給与及び退職手当の支給の基準でございますが、これは私ども、この協会と類似の他の公社、公団、あるいは既存の認可法人、そういうものとのバランスを考えて、また先ほどから大臣が言われましたように、特に技術関係の仕事の人が相当多いわけでございますから、そういう点も十分考慮をしてきめたいということで、大蔵省といろいろ折衝をしておるわけでございますが、考え方といたしましては、おおむね同じ経験あるいは年齢の国家公務員よりは多少いいというような水準になろうかと思います。
  231. 田代富士男

    田代富士男君 それはやってみなくちゃわからないことでございまして、それはそのような決意で進んでいらっしゃると思いますが、しかし、それも黒字にならなければどうなるかわかりませんし、そこで、資金計画についてお尋ねしたいと思いますけれども料金値上げをしないとする場合、単年度黒字はいつごろになるのか、あるいは累積黒字はいつごろになるのか、この点につきましてお尋ねします。
  232. 野村一彦

    政府委員野村一彦君) ただいまのところ、この四十七年と八年は準備でございまして、四十八年の十月から業務が開始されるということになります。したがいまして、当然四十七年、四十八年は単年度赤字になりまして、四十九年が平年度になって、四十九年度、単年度では収支を通じまして二億の黒字になる。また、したがいまして累積赤字は消えませんが、単年度で見ますと二億程度の黒字になるという想定でございます。
  233. 田代富士男

    田代富士男君 それから第四節の「業務」のところにいろいろ掲示されてありますが、協会の業務については法第七十六条の二十七、ここに一から六まで規定されております。それで一番の検査事務については当然だと私も思うわけなんですが、二、三、四、五、六までの事務、業務はなぜ協会がやらなくてはならないのか、ほかに方法はなかったのかと、私はこのように思うわけなんです。この問題が一つです。  それから特に二、三、四号ですが、協会が、いまさっきも私ちょっと申しましたが、軽の納税率を高めるためにというような、こういう声があるということをいま大臣に申し上げたのは、実はこのところでございます。ここは納税率を高めるための機関だというような印象を免れないわけでございますけれども、この点はいかがでございましょうか。
  234. 野村一彦

    政府委員野村一彦君) いま先生の御質問のように、七十六条の二十七の第一項の二、三、四号というものは、いわゆる国税あるいは地方税、あるいは自賠責の保険の契約、そういうものについてのチェックをすることになっております。これは、現在こういうような税金につきましては、現在の検査対象車におきまして国の陸運事務所が、それぞれ国の機関として国あるいは都道府県のそういう税の事務に協力をするという意味におきまして、陸運事務所でもこれと同様のチェックの事務をやっておるわけでございます。したがいまして、この協会が国にかわるいわば代行機関として軽自動車検査をやります場合に、現在、陸運事務所でやっておるのと同じような事務をこれはやるということが、この国及び地方の機関としての相互間の一つの業務の円滑な遂行に協力をするという意味のものでございまして、もちろんこれはあくまでも本業といいますか、ほんとうの業務は、これは第一号にあります軽自動車検査をするという、これが主体でございますので、そういう意味で、他の国の機関に、地方公共団体の機関に協力をするという協力業務でございまして、あくまでもこれは検査が主体の業務というふうに御理解をいただきたいと思います。
  235. 田代富士男

    田代富士男君 次に、第一節の「(目的)」のところですが、七十六条の二ですが、ここで検査事務と関連する事務の内容と相違点について説明をお願いしたいと思います。
  236. 野村一彦

    政府委員野村一彦君) 軽自動車検査事務といいますのは、具体的に申し上げますと、次のとおりでございます。まず新規検査をやる、それから車両番号の指定をやる、それから自動車の車検証の有効期間の短縮をやる、あるいは継続検査の実施をやる、臨時検査をやる、そういうようないわゆる広い意味検査と一口に言っておりますが、そういうような事務をやるわけでございます。それから、そのほかに軽自動車検査ファイルの管理をやるということがございます。これは軽自動車検査関係の書類を一括いたしまして、ファイリング・システムでファイルしておる。そういうようないわゆる現場、実際に機械を持って自動車検査する事務と、それから、それに付帯する関係記録の整理、保管、そういうような事務をすべて包含しておる、こういうことでございます。
  237. 田代富士男

    田代富士男君 次に七十六条の二十二です。まず第一は、「役員は、営利を目的とする団体の役員となり、又は自ら営利事業に従事してはならない。」、こうありまして、「ただし、運輸大臣の承認を受けたときは、この限りでない。」と、このように「ただし、」があるわけなんです。で、ここのことばは三字の「ただし、」ですけれども、ただし書きの内容について何を想定していらっしゃるのか、お聞きしたいわけなんです。それと次には、どのようなときに運輸大臣の認可を受けることとしているのか、この点につきましてあわせてお願いしたいと思います。
  238. 野村一彦

    政府委員野村一彦君) この団体の役員でございますが、七十六条の二十二は役員についての規定でございます。その思想の最も端的にあらわれておりますものは、七十六条の二十に、「次の各号の一に該当する者は、役員となることができない。」と書いてございまして、そして第一の「政府又は地方公共団体の職員」、これはまあ当然のことでございますが、第二号、三号に自動車関係のいわゆるメーカーとかユーザーあるいは整備業者、販売業者、そういう会社の役員、あるいはそれに関する事業者団体の役員、そういうものは役員になることができないということが書いてございます。これは検査協会が国にかわって業務を遂行するという性質から、業務の厳正、公平な執行を担保するための規定でございます。したがって、それと同じように、この七十六条の二十二は、「営利を目的とする団体の役員となり、又は自ら営利事業に従事してはならない。」、前に申し上げましたように、その関係業務の会社自動車関係の業務の会社あるいは団体の役員になってはいけない。しかしながら、なお自動車関係なくても、たとえば航空会社あるいは海運会社あるいはその他の商事会社の役員にもこれはなってはならないという規定でございます、七十六条の二十二の前段は。「ただし、」という場合は、しかしながら、その業務が自動車の業務と全く関係がない、しかも、その役員になろうとする方が非常に自動車検査等の業務につきまして学識経験の深い方で、また徳望も高い方で、いわば余人をもってかえがたいような方であれば、その方がたまたま自動車とは関係のないどこかの営利事業の役員であっても、これは特に大臣の認可を受ければ、承認を受ければやむを得ないのではないかという規定で、そういう余地を残しておこう、自動車関係のある会社あるいは団体の役員は、これはもう絶対になれないわけでございますが、自動車関係のない会社あるいは団体の役員であれば、そういう特認の道を開いておこうと、こういう趣旨の規定でございます。
  239. 田代富士男

    田代富士男君 その次が「(代表権の制限)」になっていると思いますが、七十六条の二十三ですが、「協会と理事長との利益が相反する事項については、」とあるわけなんですが、協会と理事長との利益が相反する事項とは具体的にどういうことになるでしょうか。
  240. 野村一彦

    政府委員野村一彦君) これは具体的にいろいろあると思いますが、非常に極端なわかりやすい例を申し上げますと、たとえば理事長がある土地を持っておられるといたします。その土地を検査協会で買おうというような場合には、これはまさに理事長個人の利益と検査協会の立場が売買者ということになって、そこで理事長がそのままの立場で売買の相談が行なわれるということは適当でございませんので、万が一そういうことになれば、それは理事長はその代表から、その件に限ってははずすと、そういうような具体的な、理事長の個人的な、何といいますか利害と協会の立場とが全く相反する立場に立つという場合のことをいっているわけでございます。
  241. 田代富士男

    田代富士男君 次に七十六条の二十九、「(軽自動車検査事務の開始等の届出)」のところですが、ここにも規定してありますとおりに、「当該事務を開始する日」とはいつごろになるのか、また事務所の所在地はきまっているかどうか、この点はどうでしょう。
  242. 野村一彦

    政府委員野村一彦君) 協会が軽自動車検査事務を開始する日でございますが、これは四十八年の十月一日でございます。  それから、運輸大臣に届け出なければならないその場所、これは、まだもちろん協会そのものが設立しておりませんので、きまっていないわけでございます。協会が設立されましたならば、その協会の本部の所在地がここにいう「所在地」になるわけでございます。
  243. 田代富士男

    田代富士男君 次に、七十六条の三十二、「(軽自動車検査員)」のところですが、軽自動車検査員として役人から転出した場合、いまさっきも、公務員の中からもというようなお話も出ておりましたけれども、そうした場合の取り扱いについてどうされるのか、この点お願いいたします。
  244. 野村一彦

    政府委員野村一彦君) 取り扱いといいますか、本人がそういうことを希望し、また私どもも適任であると認めて、協会との間に話がついて、国の検査官が協会の検査員に転出するという場合には、これは原則は、国の公務員をやめて、そしてこの協会の職員として採用をされていくということになるはずでございます。ただ、この協会の仕事とそれから国の仕事というものは非常に密接な関係がございますし、特に発足当時におきましては、先ほど大臣も言われましたように、役員についても、公務員の中で適当な者で惜しいと思うような人でもおればむしろ出すべきではないかという御意見、これは私ども、具体的な検査官についても、たとえば国の中であれは惜しいと思うような人であっても、発足当初は、むしろ、指導の中核となるような検査員として協会に出したいというような人がおれば、出したいということも考えております。したがって、そういう者については、身分の継続、たとえば公務員は当分の間、休職にして、そうして身分をつなげておいて、また国に帰ってこれるというようなことをやりたいと思いまして、ただいま人事院その他、総理府の人事局ですか、そういうところと相談をしておりまして、まだ返答は得ておりませんけれども、私どもこの点、極力強く交渉をして、何とかこれを実現させたいといま思っている次第でございます。
  245. 田代富士男

    田代富士男君 まあ総理府ともいま検討中だとおっしゃいますが、具体的にあげますと、年金等の問題の取り扱いはどうなりますか。
  246. 野村一彦

    政府委員野村一彦君) かりに休職という制度が認められますれば、その方は、長期給付について、こちらの国家公務員の長期給付の年金のあれを納めれば通算されるということになるわけでございます。やめていった方は、これはもう年金等はもちろん通算されません。
  247. 田代富士男

    田代富士男君 じゃ、今度は逆の立場で、軽自動車検査員から公務員に登用される場合の扱いはどうなるんですか。
  248. 野村一彦

    政府委員野村一彦君) 軽自動車検査員から公務員になるというケースでございますが、これは一般的に申し上げますと、現在の国家公務員といいますのは、上級、中級、初級、いろいろございますが、それぞれの公務員の試験に合格した者でないと、原則として公務員として採用できないということになっております。ただ、非常に技術的な職、あるいはなかなかそういう一般に試験等によりがたい職については、人事院のほうと協議をして、選考任用の道も開けておるわけでございますので、かりに自動車検査員の方を検査官に登用するというようなことになりますと、選考任用と申しますか、公務員試験を受けなくても公務員になれるような処置、これを人事院と協議して定めなければならないと思います。この点につきましても、必要があればそういう道を開くようにしたい、かように考えております。
  249. 田代富士男

    田代富士男君 次に、その三項ですが、「協会は、軽自動車検査員を選任したときは、その日から十五日以内に、運輸大臣にその旨を届け出なければならない。」、このように規定してありますが、届け出の内容ですね、具体的にどういう届け出を出すのか、内容は何なのか、この点について。
  250. 野村一彦

    政府委員野村一彦君) これは、先ほど申し上げましたように、実際にその検査をする中心となるべき人物でございますので、選任をしましたならば、その人の氏名、それから経歴、それから資格と申しますか、そういうようなもの、要するに本人の氏名及び履歴というようなものを中央において把握をすると同時に、運輸大臣はこれを一定の場合に解任権を持っておりますので、そういう意味からもその人の人事を把握しておかなければならぬという意味の、そういう人事記録を含む氏名、そういうものを届け出さすということでございます。
  251. 田代富士男

    田代富士男君 それから、第七節の「(解散)」のところですが、七十六条の四十一の解散については、どのような場合に考えられるのか、この点につきましてお願いいたします。
  252. 野村一彦

    政府委員野村一彦君) これは、他の類似の法律にもこういう規定があるわけでございますが、解散について、いまこの協会について具体的に考えますのは、これはもう、この法律を改正をして軽自動車検査をやめるというようなことにならない限り、この協会は解散するということはないものと考えております。
  253. 田代富士男

    田代富士男君 大臣にもう一回、くどいようでございますけれども、いま七十六条の三十二のところでもちょっとるる聞いていきましたけれども、私はどうしても、検査員をいま公務員の場合からも一般からもというような意向がありましたけれども、いまから一年半ぐらいにちょっとこれだけの人がすぐできるだろうかと、私心配でならないわけなんですけれどもね。だから、いまさっさ大臣は、まあ何とかいろいろな方法ということをおっしゃいましたんですけれども、こう一々規定された内容でいきますと、なかなかむずかしいんじゃないかと、私はそのように感ずるんです。大臣、一年半後の四十八年十月一日からでだいじょうぶですか、延期になるようなことはないんですか。
  254. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) 先ほどもお答えを申し上げましたように、検査員が百数十名でございますけれども、これは何としても確保したい、十月一日までに。それゆえに、ほんとうはもっと早く発足をしなければいけない次第でございますか、一年半ばかりの余裕を持ったのも、御承知のとおり、それが一つの大きな原因でございます。そういうことで、ぜひともこれは確保をいたしまして、そうしてこの時期におきましては発足をさせたいと、こういうふうに思っておる次第でございます。
  255. 田代富士男

    田代富士男君 審議の時間が五時三十分までとされておりまして、ちょうど五時三十分でございますから、私、終わらなくちゃならない立場になりましたけれども、いま私あらためてるる申し上げませんけれども、いま申し上げましたとおりの、ひとつ安全の確保という点につきまして今後とも対処していただきたいと思います。私は時間を厳守いたします。以上で私の質問を終わります。
  256. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 前の質問に引き続いて質問を行ないたいと思います。  まず、検査協会の車検場の設置についてお伺いしたいと思いますけれども、全国で何ヵ所、それからコース数は幾つですか。
  257. 野村一彦

    政府委員野村一彦君) 全国で、車検場と申しますか、その支所の数は、沖繩、北海道はもちろんのこと、各府県を含めまして五十三ヵ所でございます。コースの数につきましては、東京、大阪等の、大きな需要が予想される地区は三コース、それに次ぐような都市は二コース、その他の県におきましては、一ヵ所の支所で一コースというふうに考えまして、全部で六十四コースを考えております。
  258. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 愛知は何コースですか。
  259. 隅田豊

    説明員(隅田豊君) 愛知は三コースでございます。
  260. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 そうすると、いまちょっとコース数の面で疑問の点があるわけですけれども、登録車の場合、東京では二十六コース、大阪では十四コース、それが軽自動車の場合には、それぞれ三コースということになるわけです。もちろん、登録車といいますか、軽自動車と登録車の各県別のシェアはそれぞれ違うわけですけれども、東京で調べてみますと、軽自動車で四十万台の保有台数があります。大阪では四十一万五千台、愛知では三十四万三千台。特に東京、大阪で四十万台の軽自動車の車検を三コースで消化できるかどうか、私は非常に疑問だと思いますけれども、この点いかがですか。
  261. 隅田豊

    説明員(隅田豊君) 私たちのほうの試算をもとにして御説明さしていただきたいと思います。  軽自動車で申し上げますと、この検査が始まります四十八年度の軽自動車の数を一応われわれの試算では、東京で五十万台と見当つけております。この五十万台の軽自動車に対しまして、三コースのコースをつくるといたしますと、一コース当たり三万四千両の検査をやるという一つの単位を持っておりますが、その計算でいきますと、計算上は二・八五コースあればいいということになりまして、これを切り上げまして三コースという計算になります。普通の自動車の場合、車両数は御指摘のとおりでございますが、これを四十七年度のたとえば東京の品川車検場、これを例にとつて御説明申し上げますと、品川の車検場には四十六年度末で八コースのコースがございます。これに対しまして検査件数というものは二十一万件でございます。これはまず一つの要素といたしましては、指定整備というものが相当な数になっておるのでございます。それからもう一つは、軽自動車の場合には全部有効期間が二年で一定しておりますけれども、それに対しまして普通の検査、これは二年のもの、一年のものといろいろまざっております。車両数だけで比較いたした場合に、必ずしも車両数だけで計算するわけにいかないわけでございますが、検査件数というもので計算いたしていきますと、いまの計算になるわけです。東京の品川を計算した結果を申し上げますと、品川で現在、普通の車ですと、一応一コースで二万七千件やるという計算でございます。これで申しますと、七・七九という計算になります。一応八コースでやれる、こういう計算でございます。
  262. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 そうすると、東京の場合、三コースで検査できる台数は何台になりますか。
  263. 隅田豊

    説明員(隅田豊君) 五十万両で二・八五コースという計算になりますので、五十万両、三コースということになりますと、これの約一割増し、約五十五、六万両というところじゃないですか。この場合は軽自動車でございます。
  264. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 三万四千台というのは年間の車検の台数でしょう。
  265. 隅田豊

    説明員(隅田豊君) ちょっと申しわけありません。車両数が五十万でございますので、指定整備の五〇%のまず負担率をとりまして、有効期間が二年でございますので、四十八年でまいりますのが、またその半分になります。以上でございます。
  266. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 この場合、指定整備の五〇%ということを前提にしておりますけれども、東京の場合それが可能だと思われますか。
  267. 隅田豊

    説明員(隅田豊君) 一応、現在のこれは全国的な計算をベースにして考えておりますが、東京におきましても、この現在の整備工場、これが小型を対象にしてできるものが大部分でございますが、こういうものが指定整備におきましてもたいした機械の追加をしないで軽自動車指定整備になることは可能でございます。これを一応試算をいたしました結果が五〇%というものまで可能だというふうになっております。
  268. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 この指定整備の問題につきましてはあとでも触れますけれども、次に、これだけの車検場をつくるのにどれだけの費用がかかるか、その内訳をお伺いしたいと思います。
  269. 隅田豊

    説明員(隅田豊君) 現在予定しておりますところの借り入れ金の総額が四十七年、四十八年にかけまして、四十七年で十五億、四十八年八億五千万、合わせまして約二十四億を借り入れる計画をしております。
  270. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 もう少し詳しく、たとえば一コース当たりどれくらいの土地を手当てして、どれくらいの設備がかかるとか……。
  271. 隅田豊

    説明員(隅田豊君) 現在の計画を詳細に申し上げますと、検査場といたしましては、一コースの検査場をつくるといたしますと面積が約千平米でございまして、全国的な平均単価としては一平米当たり一万五千円を計画いたしまして、それによって一コースの用地の買収価格を千五百万円という計算をしております。それから一コースの場合の検査検査場の上屋、これが百五十平米の建物を考えておりまして、この場合の金額が約五百万になります。それから事務所が必要でございますが、この場合には六十六平米の事務所を一応考えておりまして、この金額が三百十七万になります。その他付帯設備等がございまして、さらに機械設備を追加いたしますと、一コースにつきましての金額は三千百万円になります。全体で六十四コースございまして、これを全国的なトータルの数字で申し上げますと、全体で施設整備費の総額は約二十億という数字でございます。
  272. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 この場合一コース当たり千平米というふうに見ているわけですが、現在、登録車の場合、東京においては約二千平米余り、大阪では五千平米あるわけですね。軽自動車の場合には宙が小さいから若干少なくていいと思いますけれども、ところが、現在この東京の検査場というのは、もうすでに狭くて路上に一ぱい駐車をしなければならない、こういう状況だと聞いております、少なくともこの大阪ぐらいの広さがなければ十分ではない。そうすると、いかに軽自動車といっても、一コース千平米というのは少し狭過ぎるのではないか、こういう感じがしますが、いかがですか。
  273. 隅田豊

    説明員(隅田豊君) 先ほど申し上げましたとおり、東京で現在の品川の車検場がコース数といたしまして計算上七・七九コース必要というコースになっておりますが、一応われわれのほうが持っております施設基準から申しまして一ぱい一はいの広さだと、こういうふうに計算をしております。大阪のほうは確かに坪数といたしましては若干の余裕を持っておりますが、いまのところでは、路上にオーバーフローして非常に御迷惑をかけておるというところまで東京でもまだいっておりません。
  274. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 それから次に、協会の収支計画についてお伺いしたいのですけれども、この収支計画の中で、業務収入というのは四十八年度九億一千万、四十九年度十九億、こういう金額があるわけですけれども、これの試算の内訳をお伺いしたいと思います。
  275. 野村一彦

    政府委員野村一彦君) ただいま先生の御質問のように、業務収入といたしまして四十八年度九億一千万円、四十九年度、平年度で十九億という見込みを立てております。この試算の根拠といたしましては、御案内のように、四十八年度は十月一日から、つまりその年度の後半期から検査業務が開始され、収入が入ってくるわけでございます。そうしますと、大体現在六百万台と予想されておりますこの軽自動車というものが、二年の期間で検査が始まります。そうすると、大体半分の三百万台の検査が行なわれるであろうということでございまして、その三百万台の半分くらいが、この四十八年度は入るであろう。そうすると、まあ一件の検査手数料を六百円と仮定いたしますと、大体九億一千万円、四十九年度は平年度になりますから十九億という想定でございます。
  276. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 そうすると、先ほどの整備部長お話とちょっと食い違うと思うのですが、これはそうすると検査を受けるとき対象車は全部車検場でやるという計算になっているわけですね。半分、指定整備でやるとすると、検査料収入はそうならないと思いますが……。
  277. 隅田豊

    説明員(隅田豊君) こまかい計算を申し上げますと、たとえば九億一千万円の場合、新規検査に相当いたします新車が、まず収入としてございます。これが手数料が四百円でございまして、件数が四十八年度は六十六万件になります。それからあと項目だけ申しますと、中古の新規検査がございます。これが指定整備を経てくるものと一般のいきなり来るものとございます。これが四百円と六百円の手数料でそれぞれ計算をいたします。それから継続検査に来るものに、指定工場のものと一般のものがございます。これにさらに既存の車で制度の移行のために来るものがございます。これまでも一応計算に含めた結果でございます。
  278. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 いまお伺いしますと、検査料は車検をやった場合に六百円、それから新規の場合、指定整備の場合は四百円ということでありますけれども、これは現在の小型車と同じ料金ですね。軽自動車で小型車と同じ料金を取るというのは少し高過ぎるのじゃないかと思いますが、どうですか。
  279. 隅田豊

    説明員(隅田豊君) 一応この原価計算をいたしまして組み立てたわけでございますが、もちろん個々の車に合わせて、詳細に非常にこまかく手数料を分類するということは不可能でございます。六百円と四百円に分けましたもとになりましたのは、基礎的のベースになりますところの費用と申しますか、は全部一応両方に共通のものと考えまして差を求めましたところが、検査をやるということと、やらないということとによって違ってまいりますところの人件費分の相違、これを人工計算の上から出して計算したものでございまして、その差が二百円と、こういうことでございます。
  280. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 その点も私は質問したいと思っていた点ですが、いま申し上げた点は、軽自動車と小型車と全く同じ料金というのは、軽自動車のほうが高過ぎるのではないか、こういう点を申し上げたわけでございます。
  281. 隅田豊

    説明員(隅田豊君) 小型車の中にもいろいろな範囲がございますが、実際上の先ほど申し上げたような人工計算をいたします場合に、軽自動車にかかります何といいますか仕事の量と、それから小型車の中でもかなりの量を占めておりますところの、大衆車両と申しましょうか、千CC以下程度車両とは、あまり検査の業務量的にも違わない点がございますけれども、わざわざここでもう一つランクをつけるということを避けたわけでございます。
  282. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 そうすると、かりに軽自動車が六百円、四百円というふうにきまった場合でも、将来、小型を引き上げるということはないわけですね。軽自動車とは常に同じということを前提にして考えていいわけですね。
  283. 隅田豊

    説明員(隅田豊君) 現段階できめましたときには、一応、小型六百円ということが先にございまして、その上できめましたので、四百円、六百円と同じになりましたが、原則的には常に同一であるという原則が必ずしも立ったかどうかということには問題があるかと思います。しかしながら、将来われわれのほうもたぶんそんなことになるであろうと推定はしております。
  284. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 それから先ほどの点ですが、検査をやる場合と新規指定整備の場合、二百円しか違わないわけですが、これは一般経費が両方にかかるからということですけれども、たとえば、その土地の手当てにしろ、施設の手当てにしろ、全部これは検査をやる車のためのものですね、そういう経費はどうなっているわけですか。
  285. 隅田豊

    説明員(隅田豊君) その経費は一応、検査をやるという基本的な考え方から統一されるものでございますので、両方に含めて考えております。
  286. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 一般的に考えると、その新規とか指定整備の場合は、書類だけなんですね。書類がくるくると回ってくるだけで、それだけで四百円取られるのは非常に高い感じがするわけですね。片っ方は車の上から下まで見てもらって六百円というのは、四百円に比べたら安いのじゃないか。本来は、やはり検査のための設備とか土地とかいうものは、検査をする車の費用にかけるべきじゃないかと思いますが、この点がいかがですか。
  287. 隅田豊

    説明員(隅田豊君) こまかく議論いたしていきますと、もちろんそういういろいろな問題があるわけでございますが、土地の面積にいたしましても、そうなりますと、事務所の上屋の部分はどうする、あるいは駐車場の面積はどうする、いろいろな問題点が出てまいります。それから指定整備のほうにおきましても、指定整備の監督要員の問題、あるいは指定整備に伴うところのいろいろな事務経費、これも特別会計の手数料としては入ってまいります。ですから、指定整備とそれから検査というものの差を見ていく場合には、国の場合でも、どこでもって一応分けるかというのはいろいろ問題がございます。一応、検査をやるというたてまえをきめましたときに、基礎的にかかる部分というものを共通にして、その上で検査の実施の部分がある、ないというところの差を見たというのが現状でございます。
  288. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 指定整備の場合は、大体民間の指定整備事業者で検査をやっているわけです、検査をやって責任を持たしているわけです。しかも、そういうものの書類を扱わせるだけで四百円も取るというのは、ちょっと取り過ぎだと思います。やっぱり指定整備で、それだけ民間の業者で金をかけているわけですから、国がそういうものの何かかすりを取っているような気がしますけれども、これはもっと差をつけていいんじゃないかと思いますが。
  289. 隅田豊

    説明員(隅田豊君) そういう考えもあるかとも思いますが、たとえば新規検査のほうにおきましても、自動車メーカーのほうでもって型式指定自動車として新規検査を受けに来るものには現車提示の義務はございません。省略されて事務手続だけで済みます。この場合でも、小型自動車におきましては、型式指定分は、四百円に対して要するにその差を、二百円の差をつけております。大体こういう前例もございまして、それにならったということでございます。
  290. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 特に型式指定なんというのは、四百円も取るのはちょっとべらぼうだと思うのですがね。もちろん、その前の、型式指定するためのいろいろな検査のために費用がかかると思いますけれども、すべての新車について一台四百円も取るというのは、ちょっとこれ、べらぼうな気がしますが、そもそもその四百円、六百円というきめ方自体がおかしいと思いますけれども、どうですか。
  291. 野村一彦

    政府委員野村一彦君) 先ほど来、田渕先生の御質問、非常にまあ何といいますか原価計算的に、あるいはそのために要する労力その他の基礎になる積算、それを非常に精密におやりになっての御意見で、私どもその限りにおきましては、理論的に非常に同感するところが多いわけでございます。ただ、現在の検査手数料のたてまえでございますと、自動車の大小の分類、あるいは検査の態様の分類というものがわりに大きな分類になっておりまして、たとえば法定限度額も七百円というふうに、現在の法律で定められている最高限度は、すべての検査を通じて七百円というふうにきめられて、そのワク内で、いま申し上げましたような二百円とか五百円とか、あるいは四百円、六百円という区分があるわけでございますが、今度は、それをさらにもう少し整理をいたしまして、大まかにと言うと語弊があるわけでございますが、原価計算的なその根拠というものを必ずしも精密に反映してはおりませんが、四百円、六百円という二段階に分けようという、そのほうがまあ単純明快でいいという私どもの考えからやったことでございまして、確かに原価計算的には、先生のおっしゃるような、もっと細密な区分があってしかるべきではないかという御意見、私ども理論的にはそのとおりだと思いますが、そういう事情で四百円、六百円という区分をしたいと考えているわけでございますので、御理解いただきたいと思います。
  292. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 先ほど民間車検の指定整備検査協会でやる検査との比率を大体半々ということを言われたわけですけれども、これは初めから半々の比率でできるという見通しですか。
  293. 野村一彦

    政府委員野村一彦君) この点につきましては、現在の、国の検査とそれから指定整備とのそのパーセンテージにつきましていろいろ論議が行なわれました。私どもかつて、四十八年に民間を七割、国を三割にしますということを申し上げたわけでございますが、その後いろいろと検討いたしまして、この一つの努力目標としてそのパーセンテージというものを掲げてはおりますけれども、必ずしもこれに執着していないという態度でございますが、この軽自動車につきましても、平年度において国が半分をやり、それから指定整備が半分をやるということを一応のめどにしておるということでございます。ただ、四十八年十月一日に指定整備が全部一斉に指定が行なわれて、そしてフル稼働するかというと、おそらくそういうことにはならないと思いますので、フィフティ・フィフティと申し上げておりますのは、平年度になってからということで、これも必ずしも固執すべき絶対的な目標というふうにリジッドには考えておりません。
  294. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 現在、整備業で構造改善事業が進められておりまして、これが進められますと、指定整備工場がどんどんふえてくると。そうすると、この指定整備率というのが上がってくるというふうに考えられます。そうすると、軽自動車の場合も将来はやはり指定整備の率が高くなるのではないか。これは、こう考えていいわけですか。
  295. 野村一彦

    政府委員野村一彦君) 先生の御質問のように、構造改善をいま大いにやろうということでやっておりまして、私ども四十六年度においては、ほぼまあ所期の目標に近い進展をいたしておると考えております。で、その構造改善が進んだならば、将来、指定整備率がもっと上がるかという御質問でございますが、いまお答えしました五〇%よりもっと多くなるかという御趣旨とすれば、私は、結果においてあるいは多くなることもあり得るというふうに思っておりますが、必ずしもそういう指定整備率を上げることを直接、構造改善の目標にしているわけではございませんが、結果として多くなることはあり得るというふうに考えます。
  296. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 軽自動車の保有台数というのは、パーセンテージでは年々減ってきております。三十九年度で三九%、それから四十七年度では三〇%、五十一年度では推定二五%。また、絶対的な台数も、ある試算によれば、四十九年度でピークに達して七百二十五万台程度、こういうことがいわれておるわけですけれども、これと、将来、民間の指定整備工場がふえてきて指定整備率が上がってくれば、私は、その協会でやる軽自動車の車検数というものは減ってくるのではないだろうか。そうすると、この手数料収入も予想どおり入らなくなる。さらに、将来のこの軽自動車の伸びを考えますと、いままでは、免許が簡単だとか、車検がないとか、あるいは自動車税が安いとか、まあいろいろな特典があったわけですけれども、今回この車検制度の実施でだんだんメリットがなくなってきつつある。それから国民の所得が増大するに従って、軽自動車から小型車、大衆車に移りつつある。こういう点を考えますと、将来やっぱり保有台数はだんだん減ってくる可能性もある。それに、さらに指定整備率が上がってくると、検査協会というものは、せっかくつくっても無用の長物化するおそれがあるのではないか。この点はいかがですか。
  297. 野村一彦

    政府委員野村一彦君) 今後の軽自動車の伸び等につきまして、ただいまの先生お話、確かに私ども一つの貴重な御示唆だと思います。ただ、私ども考えておりますのは、指定整備率が上がっても、その指定整備率を無理に維持していくという、ある一定のパーセンテージ以上に維持していくということに現在固執する気持ちはございませんし、先ほど大臣が申し上げましたように、より厳重に監督をしながら指定整備の質を落とさないようにしていくということはなかまかむずかしいととで、構造改善の結果、そう大幅に指定整備率がぐんぐん上がって、そのために、国の代行機関である検査協会の業務がだんだん減っていくということには私は直ちにならないのではないかと思います。もちろん、この検査協会というものをつくりまして業務を遂行する以上は、これが十分の機能をするように、私ども、いろいろな予算措置その他の措置を講じなければなりません。それと相まって指定整備事業を、特に軽のような小さな車についてやる場合には、指定整備工場整備能力、検査能力の質を落とさないような配意をしてやらなければなりませんので、その点につきましては、先ほど田代先生でしたか御質問ございましたように、検査協会の検査とそれから指定整備工場検査の結果が質的に大いに差があるというようなことになってはまことに不都合なことでございますが、そういうことのないように、質、量の両方が両々相並んで成り立っていくような施策を講ずるように努力をいたしたい、かように考えております。
  298. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 次に、検査の具体的な内容についてお伺いしたいと思いますが、軽自動車の車検の具体的内容について、どのような基準に従って、どの程度検査をするのかお答えいただきたい。
  299. 隅田豊

    説明員(隅田豊君) 軽自動車といえども検査の具体的な内容については必ずしも差があるわけではございません。現在の国の車検場において行なわれております検査の実態を御説明申し上げますと、まず、入ってまいりますとスピードメーターのテストが行なわれます。それからコースによって若干手順の差がございますが、それと一緒に、次の段階でブレーキテスターにかかってブレーキの測定が行なわれます。それからサイドスリップテスターのところで前輪関係の整列——アラインメントという部分の測定が行なわれます。それからヘッドライトテスターにかかりまして、ヘッドライトの明るさ及び方向の問題がございます。その間におきまして、場所によりいろいろの場合がございますが、一酸化炭素のアイドリングの測定が行なわれます。それからピットあるいはリフトにかかりまして、検査官の手によって下まわりのいろいろな部分の検査が行なわれます。まあ、大体全部入れますと以上でございます。もちろん、車によっては特に音が大きいとかいうような問題がある場合には、音量計を持ち出して音の検査をするということもございます。こういうようなことの定性的なと申しますか、検査あり方につきましては、軽自動車といえども、普通の車といえども変わりはございません。しかし、軽自動車の場合には、先ほどからいろいろ施設等の点で御説明を申し上げておりますが、機械そのものにつきましては軽自動車専用の、若干小さいと申しますか、したがいまして扱いの簡単な機械で行なわれるために、たとえば、実際トータルの時間だとか、人工だとか、こういうものになりますと、若干やはり変わってまいるだろうと思うんです。
  300. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 排気ガスの問題について少しお伺いしたいと思いますが、現在、軽自動車の場合と一般の自動車の場合と、この排気ガスの規制の許容限度は違いますね。大気汚染防止法第十九条の一によって定められた自動車排出ガス量の許容限度という表を見ますと、軽自動車の場合には、一酸化炭素については、道路運送車両法施行規則第六十二条の三の検査の際、つまりこれは型式認定の場合ですか、その場合にフォア・モードで三%以下、アイドリングのときで四・五%以下、こういう一つの限度があるわけです。  それから、炭化水素の場合は、やはり上と同様の場合には、ここで検査されるだけで、アイドリングで〇%としますと、一般の車検のときに特にこれは検査する必要はないんじゃないかと思いますが、この点はどうですか。
  301. 隅田豊

    説明員(隅田豊君) 現在の保安基準におきましては、軽自動車は車検が行なわれておりませんので、車検の際にはかる一酸化炭素の濃度というものの規定は、現在はまだ置いてございません。しかし、四十八年十月から軽自動車車両検査を開始いたしますまでには保安基準を改正いたしまして、普通の自動車と同じような一酸化炭素のアイドリング濃度の規制をする予定でございます。
  302. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 それから、一酸化炭素の規制について現在登録車の場合ですけれども、国の規制は五・五%となっておりますね、新車の場合を除きまして。ところが、東京都の場合は条例で五%と規定しております。この場合、東京都の検査場はどっちで検査しておるのですか。
  303. 隅田豊

    説明員(隅田豊君) その前にちょっと数字を補足説明をさしていただきますが、いま先生のおっしゃいました数字は、確かにきょう現在施行されております数字ではございますが、四十七年十月からは四・五%に下げるということがすでに保安基準としては公布されております。  それから東京都との差でございますが、もちろん、東京都陸運事務所における車検場も車両法の適用を受けた車検場でございますので、当然道路運送車両法の保安基準に従った基準で行なわれております。
  304. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 ことしの十月から四・五%になるということを言われておりますが、反面、東京都ではさらに四%くらいにしようという動きもあるようです。そうすると、この東京都の基準と国の基準と違うわけで、その場合やはり都条例があるとするならば、その条例を尊重するなり、少なくとも、東京都の車検場では現在は五%ですべきじゃないかと思いますが、この点はどうなんですか。
  305. 隅田豊

    説明員(隅田豊君) 国の車検場で行ないますもの、ないし今度の協会もそういうことになると思いますが、国の法律に従いまして強権をもって行ないますところの車検場におきましては、これはやはりその法律上のルールに従ってやらざるを得ないだろうと思います。東京都の条例と申しますのは一つの勧告基準でございまして、それに合わないからといって、それに罰則を適用するというわけにはまいらない基準でございます。車両検査というものは、それに合わない場合には不合格の処分をいたさなければなりません。そういう意味ではやはり国の基準を適用せざるを得ないと思います。
  306. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 それから、この排気ガス等は車検のときに検査してもほんとうはあまり意味がないと思います。特に軽自動車の場合は、一年に一ぺんということであるならば、あんまり意味がないのではないか。したがって、この定期点検整備がどうしても必要だということになりますけれども、この定期点検整備というのが必ずしも徹底されていない、これはやはり罰則がないからではないかと思うのです。もう少し強力な強制方法というものは考えられないですか。
  307. 野村一彦

    政府委員野村一彦君) お説のように定期点検整備といいますのは、ユーザーの自主的な点検ということに非常に期待をしておるものでございまして、罰則がございません。ただ、これに罰則をつけて、これを強制するということは、私、二つの点から問題があると思いますが、一つは、法律技術的に、どういう罰則をつけるかということがなかなかむずかしいという点と、それからもう一つは、やっぱりこれはユーザーの自覚にまってやるというべき性質のものであって、事柄の性質上、そういう罰則になじまないのではないかということでございます。ただ、そういう罰則のない定期点検整備を普及徹底させるということは、これは非常にむずかしいわけでございますが、私ども非常に考えが、あるいは甘いとおっしゃられるかもわかりませんが、いま申し上げましたような理由で、罰則の裏づけでなくて、何かこれをもっと普及徹底させる方法を考えていきたいということで、ステッカー運動とか、いろんなことをやっておりますが、この軽の検査、対象車に軽がなることによりまして、従来、とかく定期点検整備においても、問題のあった軽についての普及は、私は相当進むのではないかと思っておりますので、ひとつよろしく御指導をお願いしたいと思います。
  308. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 次に、指定整備の問題で若干お尋ねしたいと思いますが、現在の指定工場の数は幾らですか。
  309. 野村一彦

    政府委員野村一彦君) 四十六年の十二月末現在で、指定整備工場は七千二百二十八でございます。
  310. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 その指定工場の中で、軽自動車の車検整備が行なえる工場というのはどれくらいありますか。
  311. 隅田豊

    説明員(隅田豊君) 現在の指定整備工場の中で、軽自動車の車検が行なわれると考えられます工場を考えてみますと、約その半分ぐらいではなかろうかと想像しております。
  312. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 先ほどのお話しのように、半分を指定整備でやるとすると、その消化能力は現状で十分あるわけですか。
  313. 隅田豊

    説明員(隅田豊君) 現在の指定整備工場が、大体、平均いたしまして年間約四百台程度しかまだやっておりませんが、これは私たちのほうのいろいろ実態調査その他から見ましても、まだ、整備能力と申しましょうか、会社のほうに合理化の余地が残っているように見ております。この残っております部分を、軽自動車の増加と、それから指定整備の一般的な増加と、両方である程度吸収していくんだろうと思いますが、そういうような面も含めまして、それに、さらに、軽自動車特有の問題ではございますが、車のメーカーのほうのディーラーの関係のほうにおきまして、現在、これから軽自動車専門の整備工場をつくっていこうという動きがございます。これがやはりある程度のものが全国的にできてまいりまして、それぞれのものを合わせますと、スタートのときに、五〇%のあれは可能であろう、こういうふうに考えております。
  314. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 軽自動車指定工場基準についこれは特に問題になるのは、面積と人員だろうと思うのです。現在、軽自動車の専門の修理工場は、ほとんどが零細企業で、五人以下のところか九割ぐらいあると言われておりますけれども、ところが、指定工場基準となれば、広さ、人員というのはどうなるわけですか。
  315. 隅田豊

    説明員(隅田豊君) いろいろ、何度もお答え申し上げておりますが、まだ、確定的な数字で申し上げる段階に至っておりませんけれども、広さにつきましては、いままでの普通の指定整備工場よりは、若干少な目の広さになるだろうと思っております。それから人工につきましても、一応七〇%ぐらいの人工で軽自動車はやれるということが存えられますけれども、同時に、採算性から申しますと、それよりも、普通の車よりは量を多くやりなきゃならぬという問題がございますので、人同につきまして、どの程度の人数になるか、これも現在検討中の段階でございます。
  316. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 それから、現在の指定工場の約半飢が、軽自動車の車検整備ができると言われましたが、こういうところでは、軽自動車専門の車検機器というものを持っているわけですか。
  317. 隅田豊

    説明員(隅田豊君) 車検機器の中に、実はいろいろございますが、現在の小型車の中でも、非常に下のほうの車と申しましょうか、その車を主として対象にしておりますところの工場等におきましては、そのままで軽自動車の車検の可能なものもあるいはあるかと存じます。それから、やはりどちらかと言えば比較的大きいほうの小型自動車を対象といたしておりますところにつきましては、これは専用の機械を入れなければならないという問題は生ずるだろうと思います。
  318. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 これは、非常にラフな調査ですからどこまで信憑性があるかわかりませんけれども、大体いまの指定工場は、たとえば軽自動車をやる場合にたちまち差しつかえるのはブレーキテスター、スピードメーター・テスター、それから排気ガステスターというふうにいわれておるわけです。それで、ブレーキテスターでも現在の指定工場の大体八割ぐらいはやはりミトンクラスのブレーキテスター、だと。軽自動車の場合はミトンクラスのブレーキテスターではちょっと無理で、やはり一トン半程度のものが必要だろうということがいわれております。そうすると、このブレーキテスターというものを新たに入れなければならない。スピードメータ一・テスターも大体同様である。それから、排気ガステスターは現在ほとんど燃焼式を使っておるわけですけれども、軽自動車の場合は炭化水素が多く出るので燃焼式では非常に不十分だと。これもかえるとするとやはり金がかかる。それから、機械だけでなくて、たとえば、ピットとかそういうものにしても、軽自動車専用のものあるいは車検場というものをつくる必要ができるかもわからない。それだけの投資をしてはたして採算に合うかどうか疑問だとすると、いまの指定工場ではやはり軽自動車整備を進んでやりたがるところは少ないのではないか、こういうこともいわれておるわけですけれども、この点はどう考えられておりますか。
  319. 隅田豊

    説明員(隅田豊君) そういうようないろいろやはり一番最悪の場合で申し上げますと、確かにいま先生お話しのとおりにブレーキテスター、スピードメーター・テスター、それからCOテスターをかえなければならぬという問題が出てくるだろうと思います。しかし、現在われわれのほうとしていろいろ調査もいたしておりますけれども、かなりの工場がある程度は共用の機械を持っているということも事実でございます。たとえばCOテスターのほうにいたしましても、ある銘柄につきましてはこれは四サイクルの軽自動車をつくっておりますので、その系統につきましては問題はないというようなものもございます。その系統の車を使うところでは、大体どちらかといいますと、燃焼式でないものを入れているということがございます。それからもう一つは、われわれのほうとしては目下いろいろと開発をさせておるのでございますが、たとえば、三トン以上のものにも何らかの簡単な改良でもって軽自動車ができるようになる方法、それからCOの場合でも、活性炭を使うというようなアダプターをつけることによって炭化水素の影響を除去するというような方法、こういうことが技術的に可能性がかなりございますので目下検討中でございますが、明るい見通しを得ております。
  320. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 それから指定工場の場合、検査機器というのはたいがい備えつけなければならないわけですけれども、この検査機器の使用は、大体一工場当たり年間約四百台くらいの自動車検査するのにブレーキテスターからヘッドライトテスターから検査機器を全部据えつけなければならない、これは非常に効率が悪いわけです。したがって効率をよくするために、たとえば認証工場整備を行なったものを指定工場責任をもって検査をしてやるということは考えられないものかどうか。
  321. 隅田豊

    説明員(隅田豊君) 指定整備工場と申しましても、整備工場というのは必ずしも指定整備の仕事しかしていないわけではございません。そういう意味では指定整備が四百台程度だからブレーキテスターが遊んでおる、必ずしもそういうことではないだろうと思います。これは当然の問題でございまして、たとえばブレーキのテストなんというのは普通のユーザしさんがちょっと調べてくれと入ってきてすぐ使うわけでございます。そういう意味から申しますと、四百台であとはブレーキテスターが遊んでおるとは私たち必ずしも考えておりませんし、指導面から申しましてもなるたけそういうものは活用しろ、こういうことを積極的に進めております。四百台をどうしていいかというようなことは、そういうことで解決がつくだろうと思います。  それからもう一つ、最後の御提案のほうでございますが、現在の認証工場が共用の検査場を持ってそれでもって指定整備を行なうという方法でございますが、これはたとえば協業組合をつくるとかいうような面で、前国会での車両法の改正によりましてそういうめどもつけさせていただきましたので、その改正の線に沿えばかなりのところまでやれるだろうというように考えております。
  322. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 次に、構造改善の問題について簡単に触れたいと思いますが、構造改善による自動車分解整備事業の近代化はどのように進捗しておるかお伺いしたいと思います。
  323. 野村一彦

    政府委員野村一彦君) 構造改善につきましては、昭和四十六年度を第一年度といたしまして、現在まで一年の間、構造改善と取り組んだわけでございます。それで、現在の時点の実績を申し上げますと、まず、集約化の問題でございますが、集約化の形態といたしまして合併、それから出資、これが百二十四企業が参加して三十五グループができ上がっております。それから企業組合は一つできております。それから協業組合は八十四グループができまして、これは参加企業は八百六十五ございます。それから協同組合は百三十六、これは参加企業は五千七百五十八。それから業務提携をいたしましたのが六十六件、百三十四企業ということでございます。これはいずれもグループ化あるいは業務提携の数字でございますが、このほかに適正規模企業として単独でその構造改善に参加しておりますのが千九百十三企業でございます。そのほか転廃業——転業した企業が十、廃業した企業が五百八十七ということで、全部を合わせまして、九千三百九十二という企業が対象になっております。  それから、四十七年度の計画といたしましては、さらに合併、出資を十八グループ、それから協業組合を百グループ、協同組合を三十グループ、業務提携を九十九件というふうに想定をいたしまして、合計五千二百十六企業が、これに参加をするというふうに計画を立てておるわけでございます。
  324. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 この構造改善の大きな障害となっておるものに、特に大都会の場合に土地の問題があげられると思います。それで、東京都の場合は、公害防止条例によって、住宅地域に五十平方メートル以下の工場しかつくれない。そうすると、最低の認証工場でも五十・二五平方メートル要るわけですね、小型二輪、軽自動車の場合。だから住居地域では認証工場はできないし、当然指定整備工場の場合は最低でも六十平方メートルですか、こういうものはできないということになっているわけですね。こういうものとの関係はどうなんですか。
  325. 野村一彦

    政府委員野村一彦君) おっしゃるように、大都市におきましてそういう立地上の制限があるということでありますれば、それに従わざるを得ませんので、住宅地域では、いま先生の御指摘のような基準の土地が確保できないものはこれは場所を別に選ばなければならないという問題になってくるかと思います。
  326. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 たとえば現在は、杉並地域ですね、これはこういう住宅地域に指定されておるためにほとんどの工場が認可をもらっていない。認可をもらっていないから、構造改善の近代化設備資金も都の施設合理化資金というものももらえない、こういうことで構造改善を進めるにも進められない、こういう状態があると思うんですがね。これについてやっぱり適切な対策というものを考えていただかないといかぬと思うんですが。
  327. 隅田豊

    説明員(隅田豊君) たとえば、確かに杉並区等のような住宅密集地域に整備事業の構造改善計画を実施して大規模な工場をつくるというようなことは、おそらく最近の公害問題その他の世上の反応から見てもこれは不可能だろうと思います。自動車整備工場の分布の問題もいろいろございますけれども、やはり集約的な大きな工場というのは、ある程度住宅地域を離れてつくらざるを得ないのは、これはもう国民生活との関係だろうと思います。ただ、そういう場合に、いろいろ今度は自動車を持っているという立場の国民の利便も考えていく場合に、われわれがいろいろ指導しておりますところは、まあ窓口的なと申しましょうか、整備工場工場そのものはある程度工場地域に移転をさせましても、使用者と密着いたしますところの窓口的な業務というものはそういうところに設ける、こういうことは必ずしも認証とか、構造改善とかいうことと関係なくできるわけでございまして、営業のやり方としてこういうふうな行政指導をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  328. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 たとえば、五十平方メートルという制限があるわけですけれども、ここで五十平方メートルの工場をつくった場合ですね、これは認証がやっぱりされないわけですか。
  329. 隅田豊

    説明員(隅田豊君) 認証基準に適合しない工場を認証するわけにはまいりません。
  330. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 この整備事業の実態を見ますと、現在、四十七年三月で六万二千六百二十二企業ということになっております。しかも、その七割ぐらいが従業員五人以下の零細企業である。そして片方では整備業の近代化、構造改善を進めてグルーピングによって適正規模化するということを進められておるわけですけれども、一方ではどんどん零細企業はふえるわけですね。四十四年からの例を見ましても、年々大体三千工場くらい減っておるわけです。しかも零細工場はふえておるわけです。片方で適正規模化しながら、片方で零細企業をふやしておるというのは、これはどうも矛盾じゃないかと思いますけれども、これを改善するためにやはりふえるときにあまり零細といいますか、いかがわしいものをたくさんつくらないということが必要ではないかと思いますが、この点いかがですか。
  331. 野村一彦

    政府委員野村一彦君) 先生のただいま御指摘のように、零細の企業が多いということはそのとおりでございます。ただ、現在私どもがいわゆる  一般の認証工場の認証ということをやっておりますのは、これば免許とか、認可とかと違いまして、分解整備事業の需給調整の見地から認証ということを認可としてやっておるわけではございませんで、これは文字どおり認証という非常に珍しいことばでございますが、いわば普通で言えば登録と同じでございまして、一定の要件を具備しておるものについては、それを登録をしておるのと同じように認証をするということでございます。そういう意味で需給調整はやっておりませんので、またこの問題については、特に今後とも需給調整を一般の分解整備事業についてやるつもりはございません。ただ、構造改善等のその中で中核となるべき企業への何といいますか、企業基盤の強化の政策は、これは中小企業対策として私ども当然やらなきゃならぬと思いますが、それを認証という段階でセレクトして需給調整をするという方法によらずに中小企業対策は中小企業対策として、そういう構造改善なり、何なりを通じてやっていきたい、かように考えておるわけでございます。
  332. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 それからもう一つの、構造改善の柱に作業制度の向上という意味があげられているわけです。これは安全性あるいは公害の除去、こういう点から考えても当然だと思いますけれども、特に最近の高速化あるいは排気ガス公害、それから騒音公害、こういう面から見ましても、私は認証許可基準というものを再検討する必要があるのではないか。特にホイルバランサーとか、排気ガステスターとか、音量計とか、ヘッドライトテスターとか、こういうものは当然認証工場で備えつけなければならないと思いますが、いかがですか。
  333. 隅田豊

    説明員(隅田豊君) 確かに自動車の使用の態様がだいぶ変わってまいりましたし、また、自動車が使われることによって世の中に与える影響にも新しいものが非冨に多くふえてきております。そういう意味で、最低基準といえども認証工場の持つべき機械というものの中に公害関係機械あるいは御指摘のような高速性能、高速走行に対しての機械とかいうものを考慮していくということは、今後の問題としては十分検討に値する問題だと考えております。
  334. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 それから、現在は二級整備士をとれば検査主任者の試験を受けられるわけですね。それでその資格をもらえばすぐ事業を始められる。そうすると二級整備士をとるのには大体六年くらいでとれるわけです。これももう少し経験年数というものを上げる必要があるのではないか。先ほどから質問にも出ておりましたけれども、一級整備士は規定だけあって現実にはない、こういうものの活用も考えるべきではないかと思いますが、いかがですか。
  335. 隅田豊

    説明員(隅田豊君) 検査主任者と申しますものは、いわば主任技術者でございまして、事業を始めるということの資格要件をすべて備えて与えるべきものじゃございません、そういう意味で、やはり整備士というものの裏づけだけちょっと理論的にも裏づけることはなかなかむずかしいわけでございます。事業を始めるための資格ということになりますと、これは安全性の立場からの問題だけでなくなりまして、ちょっと現在の法域からはなかなかむずかしいのではないかと考えております。
  336. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 たとえば一級整備士というものを現実につくって、もう少し経験を積んだ者に事業を始めるようにさせると、そういうことは考えられないんですか。
  337. 隅田豊

    説明員(隅田豊君) 一級整備士をつくります場合でも、やはり一級整備士というものは整備士という中での一級でございまして、経験をもし積ませる必要があり、それが現在の検査主任者の資格として不満足ならば、一級整備士をとるかあるいは二級整備士というものの資格の中の経験を上げさせるか、これはそれぞれいろいろやり方があると思います。
  338. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 最近の零細整備工場がふえる原因としまして、六年ぐらいどこか都会の整備工場で勉強して、すぐ今度は国へ帰って二十歳余りの者が事業を始める、こういうことが非常に手軽に始められるわけですね。手軽に始められるというのは悪いことではありませんけれども、それがはたして自動車安全性とかあるいは社会性から見た場合に妥当かどうか、もう少しその基準を上げてもいいんではないか、こういう意見もかなりあるわけですけれども、そういうお考えがおありかどうか確認をしたいと思います。
  339. 隅田豊

    説明員(隅田豊君) 業界のほうにおきまして、何とか新しく出てくる事業者を押さえられないかという声があることはわれわれも十分承知をしております。われわれといたしまして一応考えておりますことは、やはり先ほど先生の御指摘にもありましたように、公害あるいは安全に対して従来よりも高度のものを整備工場の最低限度として要求する必要が出てまいれば、必ずしも需給の問題と無関係に上げる必要は考慮する必要があるだろうと考えております。
  340. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 それから最後に一点だけお聞きしたいと思いますけれども自動車重量税について「当分の間、届出軽自動車」として云々ということがあるわけですね。「当分の間」というのはいつまでを考えられておるわけですか。
  341. 野村一彦

    政府委員野村一彦君) これは現在審議をお願いしております法案を出しますときに、当然軽についての重量税のことが問題になったわけでございます。そこで、いろいろ大蔵省とも折衝し、法制局とも折衝いたしました結果、その軽を検査の対象にしても、当分の間、自動車重量税に関しては届け出自動車と同じように扱う。すなわち、重量税については七千五百円一回限りの納税でよろしいということにしたわけでございます。ここで「当分の間」ということにつきましては、実は私どもはっきりした了解というものは大蔵当局との間にはございません。もちろん、私どものほうからこの「当分の間」というものをいじるような発議をするつもりは毛頭ございませんので、私どもとしては現状をできるだけ維持していきたいというふうに考えておるわけでございます。
  342. 山田勇

    ○山田勇君 だいぶ時間も過ぎたようですし、重複するところは避けて端的にお伺いをいたしますので、よろしくお願いいたします。  今回の道路運送車両法の一部を改正するということは、軽自動車を所持する者にとっては、これまで車両検査がなく、したがって、それに要する費用と申しますか、失費がなくて済んだのが、四十八年の十月からは車両検査の義務づけでユーザーの負担がふえるという、まあ軽自動車族にとってはありがたくない法の改正でありますが、軽自動車族というと、どちらかといえば車はほしいが普通自動車は買えない、購入する余裕がないといった人々が多いのではないかと思うんですが、そういう人々にとっては少しでも出費が少ないほうがよいことは申すまでもありません。しかしながら、一方モータリゼーションの発達によるメリットに反して、そのデメリットと申しますか、交通事故や排気ガスによる公害等を考えますとき、軽自動車といえどもその車両点検を厳重にして人間の生活環境を守るということも十分に意義のあることと私は考えております。  すでに各委員と当局側との間に数々の質疑応答がなされました。ここで端的にお尋ねいたしますが、論議の中でただ一点だけ局長がお答えになっていない点があります。と申しますのは、この理事者の問題でございます。これは小柳委員が一番最初に聞いたんですが、法律的にも技術的にも背水の陣を敷かれての一つのこれは立法をなされるのですから、いろんな質疑の中で私はもう感嘆するべき答弁もありました。その中で協会の理事長となるべき者をまだ全然選考してない、人事案件は片づいてないということですが、実際に片づいてないんですか。
  343. 野村一彦

    政府委員野村一彦君) その理事長となるべき者につきましては、法律にございますように、その発起人会が推薦をするわけでございます。発起人会についても、まだあれでございますので、発起人会そのものはできておりません。したがいまして大臣も答弁されましたように、理事長以下理事の人選につきまして全く現状白紙でございます。
  344. 山田勇

    ○山田勇君 私は局長、それがおかしいと思うのですよ。少なくとも、これは民間企業にたとえたら一つ会社をつくるわけです。すでに既成の車検をやるものがあるわけですね。それを新しく小型だけをという新しい会社をつくるのですね、民間企業のレベルで言えば。その会社をつくるのにその長たる者が選任されてないということは私おかしいと思うのです。だからその点がはっきりしてない。その発起人七人、じゃ発起人七人の根拠は何ですか。
  345. 野村一彦

    政府委員野村一彦君) 発起人七人は、そこの法律に書いてございますように、「自動車安全性の確保について学識経験を有する者」ということになっております。これについてはもちろんまだ具体的にきまっておるとは聞いておりませんが、私どもが知り得た情報といたしましては、たとえば、大学の自動車工学の先生とかあるいは私ども大臣の諮問機関でありますところの運輸技術審議会の自動車部会の委員になっておられる学識経験者、そういう方々の間で、軽の自動車検査を国としてやるべし、そうして、その実施主体として軽自動車検査協会をつくってやったらどうかという動きがあるということは昨年の夏以来御存じのことでございまして、そういう方が寄り寄り、われわれが音頭をとってこういう協会の設立発起に当たらなければならないんじゃないかということを御相談になっておられるということは、私ども情報として存じておりますが、現在まあそういう状態でございます。
  346. 山田勇

    ○山田勇君 この学識経験者であると認定をする人はどなたでございますか。
  347. 野村一彦

    政府委員野村一彦君) これは、法律に「学識経験を有する者」と書いありますので、これを認定といいますか、運輸大臣がやはりこの認可をするものとして学識経験者ということを運輸大臣が一応認定をする、こういう立場であろうと思います。
  348. 山田勇

    ○山田勇君 私はこの法律の前文といいますか、前段はたいへん賛成すべき点があると思うのですが、その例の協会の問題になってきますと各委員質疑があったと思いますが、官僚の天下りだというふうなことがよく言われております。その中でこれだけの大きな法律をつくり、協会を運営するというのに、なおその理事長といいますか、その発起人七人もまだきまっていないというのは、私は常識としてちょっと考えられないのです。(「まだ上がってない」と呼ぶ者あり)ですから法案が上がってないという声もありますが、しかしこの法律をつくるまでのいままでのプロセス、いままでの質疑答弁の中で、りっぱにすべての面に何一つ漏れなく答えられるのに、最終的なものに対してないと、これは一番大きな問題だと思うのです。もちろん、技術的なことも、行政的なことも、法律的なことも大切でしょうが、何よりもこの協会を運営する理事長がきまってない、発起人の七人も全然きまってないというところに私はまずこの法律の不備があると思うのです。ですから、そういうことがはっきりきまらないからこそ、官僚の天下りの対策だとかいうふうなことを世間で言われるゆえんはそこにあると思うのです。じゃ絶対にこの発起人の七人ないし理事長となる人は運輸官僚の出でないということは言えますか。
  349. 野村一彦

    政府委員野村一彦君) この発起人の七人の方でございますが、私が先ほど申し上げましたように、大学の工学部の自動車工学の先生とか、あるいは運輸技術審議会の自動車部会の委員とか、そういうような方が十数名いらっしゃるわけでございます。そういう方々の中でこういう、われわれが発起人になってひとつやるべきではないかというお話があることは私が先ほど申し上げたわけですが、したがいまして、七人のソースとなるべき方はたくさんと申しますか、いま申し上げましたように十数人の方がおられて、そういう方が具体的にそれじゃだれとだれがなるかということ、これは法律が通って仕事が始まれば早いと思います。ただ、いま先生の御質問の中に、運輸省の官僚、OBは絶対に入らないかとおっしゃいましたが、たとえば、運輸省のOBで前の交通安全公害研究所長は、いまある大学の工学部の教授になっております。あるいはその方が発起人になられるかもわかりません。そういう意味で、OBが絶対にならないとは私は申し上げかねると思います。  それから理事長ないし理事の候補者ですね、これはもちろん、私どもが内々と申しますか、こういう方々がおるではないかというようなことをいろいろと下せんさくと申しますか、目見当をつけている方々はおるわけでございますけれども、まだ、私どもがそれを大臣にあげたり、あるいは次官にあげたりする段階ではないので、まあいろいろなそういう学識経験者の先生方の設立準備の話の中に、複数の丈の名前が出てくるとしうことはあるわけでございますが、それはまだ事務的に固まっておりませんので、それをまとめて大臣、次官にあげる段階ではないという、そういう意味で白紙でございます。
  350. 山田勇

    ○山田勇君 よくわかりました。まあ、軽自動車のこの法律というのは、安全性の確保とか、公害の防止とかという点がこの法律の趣旨だろうと思います。その点が、そういうような問題でぼけてしまわないように格段の御配慮をいただきたいと私は思います。そういうOB、学識経験者のりっぱな人がこういう協会に就任してはいけないという意味を私は言っているのじゃないのです。そういう人があってこそ、初めてこの法律も生きてくるのですが、しかし、そういう人事案件的なものははっきりとしたほうが私はすっきるするのじゃないか。これはげすの勘ぐりといわれればそれまでですが、そういうようなことが往々にしてあるということを申し述べておきたいと思います。  そこで、先ほど各委員質疑の中で、この協会の職員の定数、職種とか、身分とかいうことは、私もここで聞いておりましたのでよくわかりますが、この協会は定年制はあるわけですか。
  351. 野村一彦

    政府委員野村一彦君) これは、法律上この定年制というものはございません。しかし、まあ協会が発足いたしますれば、公団公社等で申し合わせといいますか、内規の定年があるようでございますが、そういうようなものはおそらくできるのではなかろうかと思っております。それ以上の現在具体的な定年制の考え方、法律上の定年制はもちろんございません。
  352. 山田勇

    ○山田勇君 続いて、この車検制度の全般的な問題についてお尋ねをいたしますが、この車検の終わった車は、営業車なら一年とか、普通われわれ乗ります自家用車なら二年と、また、軽自動車についても二年といったふうに、次の車検までの期間があるわけですが、この車検の意義と申しますものはどういうことでしょうか。
  353. 野村一彦

    政府委員野村一彦君) 車検の意義と申しますのは、この自動車検査をいたしました時点において、その自動車の構造装置等の物理的な面から見て、その自動車運行をしても安全であるということが認定される。つまり、その時点において物理的な構造装置の面からの安全性というものを認定をする、こういうことであろうと思います。
  354. 山田勇

    ○山田勇君 私も全くそのとおりだと思います。まあ、私なんかこの車検を済ました車に乗るときは、高速道路を走っていても安心した気持ちで車検の終わった直後は走れるわけです。これというのは、この二年間この車の安全を、国が一つ認めたと理解してよいと私は思います。また、この車検の済んだ直後にそういうふうにして安心して乗っているのにもかかわらず、車検直後、走行中に車の欠陥で事故があった場合、この責任は一体だれが負うのか、国の責任だろうと私は思います。これは、先ほど田代委員からもそういうような質疑があったと思います。重ねてお尋ねいたします。
  355. 野村一彦

    政府委員野村一彦君) この車の構造、装置のミス、つまり検査のミスに基づいて事故が起こったということが確定いたしますれば、それは当然検査を行なった協会の責任でございます。ただその場合に、国がそれに対してどう責任を負うか、たとえば国家賠償法の対象になるかどうかということについてはいろいろと問題があろうかと思いますが、一応、法制局の行政解釈といたしましては、国家賠償法にあります「国又は公共団体」というその「公共団体」の中にこの検査協会も入るものという一応の行政解釈を出しておりますが、まだ最終的には——それは政府部内の最終的な行政解釈と言えるかどうか疑問があると思いますが、一応そういう方向で検討されております。
  356. 山田勇

    ○山田勇君 そういうような事故のケースがございましたでしょうか。そして、国がその賠償に応じたというふうなケースございませんか。
  357. 隅田豊

    説明員(隅田豊君) 最近におきまして裁判中のものが二件ございます。まだ結論は出ておりません。
  358. 山田勇

    ○山田勇君 車のこの検査法は、国がみずから行なうのと民間の指定整備工場と二種類あると思います。従来の車検における国と民間の比率はどうなっておりますか。
  359. 野村一彦

    政府委員野村一彦君) 現在の検査対象車につきましては、四十六年度の時点で申し上げますと、国が六〇%を検査をし、四〇%を民間の指定整備工場検査をしておる、こういうことでございます。
  360. 山田勇

    ○山田勇君 今回の軽自動車については全部協会が検査をするんですか。
  361. 野村一彦

    政府委員野村一彦君) この軽自動車につきましても、国にかわるべき代行機関として協会が検査をいたしますとともに、四十八年十月一日以降は国で定める条件に合致したものについては民間の指定整備工場を認めるという方針でございます。したがいまして、そのパーセンテージについてはいまだ確定的なことは申し上げられませんが、平年度におきましては大体国が半分を——国といいますか、協会が半分をやり、あとの半分を民間の指定工場がやるであろうということが一応の目安になっております。
  362. 山田勇

    ○山田勇君 改正法律案のこの条文についてお尋ねをしますが、第七十四条の二の三項の「運輸大臣は、軽自動車検査協会が天災その他の事由により軽自動車検査事務を円滑に処理することが困難となった場合において」とありますが、「困難となった場合」とはどういう場合ですか。
  363. 野村一彦

    政府委員野村一彦君) これは、ここにございますように軽自動車検査協会が検査をやるわけでございますが、天災その他の事由によってその軽自動車検査事務をやれなくなった場合、これはおそらく地域的なものでありましょうが、そういうつまり地震があって軽自動車のその検査場がつぶれた、あるいはその検査コースがめちゃめちゃになって物理的に検査をできなくなったというような、そういうふうにある一定の地域におきまして検査協会が検査協会としての機能をしなくなった、営まなくなったというような場合にはこれは国が検査をするということでございまして、つまり、国が最後の担保として検査をするという余地を残しておるものでございます。
  364. 山田勇

    ○山田勇君 続いて、第七十六条の五の二項の「政府は、必要があると認めるときは、予算で定める金額の範囲内において、協会に追加して出資することができる。」とありますが、これについて少し具体例をあげて御説明をいただきたいんです。
  365. 野村一彦

    政府委員野村一彦君) この法律にございますように、「協会の資本金は、一億五千万円とし、政府がその全額を出資する。」というのが第一項にございます。この一億五千万円は、現在お認めいただきました四十七年度予算におきまして車検特会から出資をするということですでに予算が成立してございます。これが資本金になるわけでございます。しかしながら、今後この協会が業務を営むにあたりまして、なるべく資金コストの安い金を使って業務をしていくということがこの協会の合理的、能率的な運営のために必要でございますが、そういう意味におきましては、その金利のかからない政府の出資金をよけいに導入するということが望ましいわけでございます。したがいまして、四十八年度あるいは必要に応じては四十九年度におきまして、さらに、政府の出資金をふやしていく要求を私どもはしたい、かように考えておるわけでございまして、冒頭、岡本先生の御質問がございましたときに申し上げましたが、ただいまのところ四十八年度にはこの政府の出資金々三億円ほど、これは要求でございますが、私どもいまから要求したいというつもりでおります。
  366. 山田勇

    ○山田勇君 この協会設立のいわゆる競願があった場合、法案では一つしか認めないことになっておりますが、その選考はガラス張りで、国民の納得のいくような方法がとられると思うんですが、そういう場合はどういうふうな形で競願を受理するわけですか。
  367. 野村一彦

    政府委員野村一彦君) もし二つ以上の設立の申請がありました場合には、もちろん、これは運輸省として当然世間に発表してこういうものの競願の申請がある。その内容はこういうことでございまして、そして大臣の御指示のもとに私ども事務当局で審査をして、結論が出ましたならば、それはかようしかじかの理由でこちらのほうがまさっておる。したがって、これを認可することにしたということは当然これは公表をして、皆さんの御批判に耐え得るような公正な結論を出したいと、かように考えております。
  368. 山田勇

    ○山田勇君 この法案が改正の趣旨どおり、軽自動車安全性の確保と公害の防止という所期の目的を達するのに役立てばもちろん言うことありませんが、実際面の運営に至るまでは紆余曲折がまだまだあると思いますが、とにかくモータリゼーションの発達は初めに申し上げましたように、人間生活にはかり知れない利便をもたらしたと同時に交通戦争、交通地獄と呼ばれるように、一年間年間一万七、八千人の尊い犠牲者を出しております。また排気ガスによる公害は人体におそろしい影響を与えております。形式的な検査制度を幾ら整備しても、その基本になる人類の生活環境が、ひいてはこの自然を守るといった理念が失われていては、仏をつくって魂を入れずのたとえのように目的は絶対に達せられません。いろいろ役人の天下りのためだとか、税金を取りやすくするためだとか、庶民感情からこのような議論の出るのもまあお役所仕事といわれるものの制度に私は血が通ってないことに起因すると考えます。この法改正の基本的な精神を最後にもう一度大臣にお聞きしまして、私の質問を終わります。
  369. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) ただいま山田先生から御指摘がございましたとおり、役人の天下りのためにつくった機関である、あるいは税金を取るための機関であると、とかく言われている次第でございまして、もし、そういうようなことがございましたらほんとうに国民に対して申しわけない次第でございます。これはまあ御承知のとおり、先ほども先生から御指摘がございましたが、軽自動車にはいままでは検査はなかった、安く手に入る、これを検査を踏み切るかどうかということは、私ども再三その点は考えた次第でございます。ところがやはり国会の御審議におきましても、すでに六百万台にものぼるこの軽自動車をそのまま放っておいていいかどうか、やはり先ほどもお話がございましたが、構造の点におきましてやはり十分安全性を確かめる必要がある、そういうお話が非常に強く出た次第でございまして、その趣旨を踏みまして、私どもといたしましては、何と申しましても交通の安全対策、これの強化が一でございますので、その趣旨にのっとりまして今回出した次第でございまして、したがいまして、今回の協会ができました場合におきましては、理事長、理事をはじめといたしまして、またいろいろの機関、そうしてまたそれの取り扱い方につきましては安全を第一の主眼といたしまして、ほかのいろいろの機関には十分こたえられるようなりっぱなものをつくってまいりたい。こういうふうに思っておる次第でございまして、また、その間におきましてよろしく御指導をいただけますれば幸いと思う次第でございます。
  370. 木村睦男

    委員長木村睦男君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  371. 木村睦男

    委員長木村睦男君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御意見もなければ、討論はないものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  372. 木村睦男

    委員長木村睦男君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  道路運送車両法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  373. 木村睦男

    委員長木村睦男君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  374. 木村睦男

    委員長木村睦男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
  375. 森中守義

    ○森中守義君 私は、ただいま可決されました道路運送車両法の一部を改正する法律案について、自民、社会、公明、民社及び第二院クラブ共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。    道路運送車両法の一部を改正する法律案に    対する附帯決議(案)   政府は、本法による軽自動車検査制度の実  施にあたり、次の事項について積極的に措置す  べきである。  一、軽自動車の適正かつ厳正な検査を行なうため、検査員の確保等実施についての適正な措置を講ずるとともに、軽自動車検査協会に対する国の監督指導を積極的に行なうこと。  二、自動車検査制度の重要性にかんがみ、軽自動車検査協会による検査制度ば、軽自動車に限定すること。  三、車両欠かんによる自動車事故を防ぐため、自動車検査官の増加等国の検査体制を強化するとともに、指定自動車整備事業に関する監督指導を一段と強化すること。  四、軽自動車検査協会の発足にあたり、役職員の選任は特に公正妥当を期するよう配慮するととも兵検査員の選任については慎重に対処すること。  五、軽自動車検査場については、利用者利便をそこなうことのないよう充分配慮すること。   右決議する。  以上であります。
  376. 木村睦男

    委員長木村睦男君) ただいま述べられました森中君提出の附帯決議案を議題とし、採決を行ないます。  森中君提出の附帯決議案に賛成の方は挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  377. 木村睦男

    委員長木村睦男君) 全会一致と認めます。よって、森中君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいま決定いたしました附帯決議に対し、丹羽運輸大臣から発言を求められております。これを許します。丹羽運輸大臣
  378. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) ただいまは道路運送車両法の一部を改正する法律案について慎重御審議の結果御採決をいただきました。また決議をされた附帯決議の内容につきましては、その趣旨々十分尊重し、誠意をもって実施に当たる所存でございます。まことにありがとうございました。     —————————————
  379. 木村睦男

    委員長木村睦男君) 国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。丹羽運輸大臣
  380. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) ただいま議題となりました国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。  国鉄は、過去百年間国内輸送の大動脈として、国民生活の向上と国民経済の発展をささえてまいりましたが、今日その役割りは、都市間旅客輸送、大都市通勤通学輸送、中長距離大量貨物輸送寺の各分野においてますます重要性を増しており、総合交通体系確立の観点からも、将来にわたってその使命の遂行が強く期待されるところであります。  一方、国鉄財政は、経済社会の変動と輸送構造の変化に伴い、昭和三十九年度に赤字に転じて以来急速に悪化の傾向をたどり、国鉄が今後国民経済及び国民生活における使命を全うすることができなくなるおそれが生じてまいりました。このため、政府といたしましては、第六十一回国会において成立した日本国有鉄道財政再建促進特別措置法に基づき、昭和四十四年度以降十年間を再建期間として、各種の財政再建対策を鋭意推進してまいった次第であります。  しかしながら、その後の推移をみますと、自動車輸送の発達等による輸送量の伸び悩み、ベースアップ等による人件費の大幅な上昇等のため、国鉄財政は、さらに悪化し、現状のまま推移した場合には、昭和四十七年度には大幅な償却前欠損を生ずるというきわめて憂慮すべき事態に立ち至りました。  このような実情にかんがみ、政府といたしましては、現行の財政再建対策が十分にその目的を達成できなかった原因について反省し、昭和四十七年度以降十年間を新しい再建期間とする抜本的な財政再建対策をあらためて策定し、これを強力に推進する必要があると考えております。  このため、国鉄自身が増収と業務運営の合理化について最大限の努力を行ないますとともに、政府におきましても、今後十年間にわたり政府出資、工事費補助の増額、過去債務についての財政再建債及び同利子補給金の対象範囲の拡大、地方閑散線に対する補助の新設等財政措置の大幅な拡充を行なうことといたしておるところでありますが、なお、長期にわたる国鉄財政の健全化をはかり、国鉄の使命の遂行に遺憾なきを期するためには、あわせて国民各位の御理解と御協力の下に、国民生活への影響を勘案しつつ、必要最小限度の運賃改定を行なうことも真にやむを得ないものと考えた次第であります。  このような趣旨から、このたびこの法律案を提案することとした次第でありますが、これらの措置が相まって初めて、国鉄財政の再建の基礎を確立することができ、ひいては国鉄をして将来ともわが国の基幹的公共輸送機関としての使命を全うさせることができると信ずるものであります。  次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。  まず、国有鉄道運賃法の改正の内容について申し上げます。  第一に、鉄道の普通旅客運賃につきましては、その賃率が現行では営業キロ一キロメートルごとに五百キロメートルまでの部分については四円二十銭、五百キロメートルをこえる部分については二円五銭となっておりますのを、遠距離逓減制の是正をも考慮しまして、六百キロメートルまでの部分については五円十銭、六百キロメートルをこえる部分については二円五十銭に改定することといたしております。  第二に、航路の普通旅客運賃につきましては、近傍または類似の民営航路の運賃等をも勘案しながら、鉄道の普通旅客運賃とほぼ同程度の改定を行なうことといたしております。  第三に、貨物運賃につきましては、制度合理化をはかるため、車扱い貨物運賃の等級数を現行の四等級から三等級に圧縮するとともに、その賃率をおおむね二五パーセント引き上げることといたしました。  また、小量物品輸送の合理化をはかるため、小口扱い貨物を小荷物に統合するとともに、近年飛躍的な増加を続けておりますコンテナ貨物の運賃につきまして、従来は小口扱い貨物運賃の一種とされておりましたものを、新たに国有鉄道運賃法上の貨物運賃とすることといたしております。  次に、日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の改正の内容について申し上げます。  第一に、昭和四十七年度予算案作成を契機とし、今後十年間にわたり助成策の大幅な拡充をすることといたしましたこと等を勘案いたしまして、昭和四十七年度以降十年間を新たな再建期間とし、あらためて国鉄財政の再建に関する基本方針及びこれに基づく再建計画を策定することといたしております。  第二に、国鉄が今後新幹線鉄道の建設、在来主要幹線の改良工事等その輸送力の増強及び輸送方式の近代化のための工事を推進し、その体質の改善がはかられるよう、政府は、再建期間中の毎年度、国鉄に対し、工事資金の一部に相当する金額を出資するものといたしております。  第三に、過去債務の利子負担を軽減するため、財政再建債及び同利子補給金の対象を、現在の昭和四十三年度末政府管掌債務から昭和四十六年度末政府管掌債務及び政府が保証した鉄道債券にかかる債務に拡大いたすこととしております。  第四に、工事費の利子負担を軽減するため、工事費補助金の対象工事年度を昭和五十六年度まで延長し、その交付年度を昭和六十三年度まで延長することにいたしております。  以上が、この法律案を提案する理由であります。  なお、この法律は昭和四十七年度四月一日から施行することにいたしておりましたが、衆議院において公布の日から施行する。ただし、第一条及び附則第四条の規定は公布の日の翌日から施行すると修正されております。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますようお願いを申し上げます。
  381. 木村睦男

    委員長木村睦男君) 本日は、この法案に対する趣旨説明の聴取のみにとどめておきます。     —————————————
  382. 木村睦男

    委員長木村睦男君) この際、本日の航空事故について官房長から発言を求められております。これを許します。  速記をとめて。   〔速記中止〕
  383. 木村睦男

    委員長木村睦男君) 速記を起こして。  高林官房長。
  384. 高林康一

    政府委員(高林康一君) 本日のセスナ機、横浜航空の事故につきまして、先ほど、大体十七時ごろでございますけれども、現地におきまして分監山という山がございますが、それの四百五十メートルぐらいの山の中腹に当たるところでございますが、おそらくセスナ機、当該横浜航空のセスナ機と見られますところの機影が、札幌方向に向かってあるという道警からの連絡がヘリコプター調査によりましてあった次第でございます。それによりまして、道警が約五十名の警官を出しまして、その現地へいま向かいつつあるというのが先ほど、五時ぐらいの状況でございます。  なお、以後の詳細がわかりましたら、また、そのつど御報告申し上げたいというふうに考えておりますが、いまのところ機影がかなりばらばらになっておるというような状況でございます。生存者についての確認はまだされていないという状況でございます。  とりあえず御報告申し上げます。
  385. 木村睦男

    委員長木村睦男君) 本日はこれにて散会いたします。    午後七時一分散会