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1972-05-16 第68回国会 参議院 運輸委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年五月十六日(火曜日)    午前十時三十八分開会     —————————————    委員の異動  五月十二日     辞任         補欠選任      初村滝一郎君     岩本 政一君      高橋 邦雄君     稲嶺 一郎君      菅野 儀作君     重宗 雄三君      瀬谷 英行君     鶴園 哲夫君  五月十三日     辞任         補欠選任      重宗 雄三君     菅野 儀作君      鶴園 哲夫君     瀬谷 英行君  五月十五日     辞任         補欠選任      田代富士男君     二宮 文造君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         木村 睦男君     理 事                 鬼丸 勝之君                 佐田 一郎君                 山崎 竜男君                 森中 守義君     委 員                 岩本 政一君                 江藤  智君                 岡本  悟君                 菅野 儀作君                 平島 敏夫君                 伊部  真君                 小柳  勇君                 瀬谷 英行君                 三木 忠雄君                 田渕 哲也君                 山田  勇君    国務大臣        運 輸 大 臣  丹羽喬四郎君    政府委員        運輸政務次官   佐藤 孝行君        運輸大臣官房長  高林 康一君        運輸大臣官房審        議官       見坊 力男君        運輸省海運局長  鈴木 珊吉君        運輸省鉄道監督        局長       山口 真弘君        運輸省鉄道監督        局民営鉄道部長  中村 大造君        運輸省自動車局        長        野村 一彦君        運輸省航空局長  内村 信行君        運輸省航空局技        術部長      金井  洋君        労働省労働基準        局長       渡邊 健二君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田善次郎君    説明員        警察庁交通局交        通指導課長    池田 速雄君        労働省労政局労        働法規課長    岸  良明君        日本国有鉄道理        事        長浜 正雄君    参考人        日本鉄道建設公        団総裁      篠原 武司君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○日本鉄道建設公団法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○運輸事情等に関する調査  (貨物輸送に関する件)  (青森県小湊地区国鉄用地払下げ問題に関す  る件)  (航空機事故に関する件)  (航空機の運賃、料金問題等に関する件)     —————————————
  2. 木村睦男

    委員長木村睦男君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  日本鉄道建設公団法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。丹羽運輸大臣
  3. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) ただいま議題となりました日本鉄道建設公団法の一部を改正する法律案提案理由につきまして御説明申し上げます。  大都市における大規模住宅団地建設に伴う輸送手段確保及び通勤通学輸送需要激増に伴う混雑緩和をはかることは、現下の大都市交通におきまして緊急に解決すべき課題であります。  しかるに車両増備等中心とする従来の私鉄輸送力増強対策はほぼ限界に達しており、今後の輸送力増強については、大規模住宅団地関連鉄道新線建設複々線化のための線路増設都心乗り入れ新線建設等を大幅に促進する必要がありますが、これらは本来、先行性の強い投資であるのみならず、巨額の資金を要するものであり、私鉄の努力のみでは、これらの施設整備を促進することは困難であります。  したがいまして、これらの施設整備日本鉄道建設公団に行なわせることにより、大都市圏鉄道網の緊急な整備をはかり、もって大都市機能の維持及び増進に資することとするのが本法案提出趣旨でございます。  次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。  第一に、日本鉄道建設公団業務として、地方鉄道にかかわる鉄道施設等大都市圏に存するものの建設及び大改良を行ない、完成後、同施設地方鉄道業者等に対し譲渡する業務追加するものであります。  第二に、これらの施設建設または大改良につきましては、地方鉄道業者等申し出に基づいて運輸大臣工事実施計画を定め、これを日本鉄道建設公団指示することとするものであります。  第三に、工事実施計画指示があったときは、日本鉄道建設公団当該建設または大改良を行なうものとし、日本鉄道建設公団及び地方鉄道業者等は、当該建設または大改良実施方法等について協議することとするものであります。  第四に、日本鉄道建設公団業務追加に伴い、役員に関する条項を整備する等、所要の改正を行なうものであります。  以上が、この法律を提案する理由であります。  なお、この法律は、昭和四十七年四月一日から施行することといたしておりましたが、衆議院において「公布の日」と修正されております。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますようお願いを申し上げます。     —————————————
  4. 木村睦男

    委員長木村睦男君) この際、参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  日本鉄道建設公団法の一部を改正する法律案審査のため、必要に応じ日本鉄道建設公団役職員参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 木村睦男

    委員長木村睦男君) 御異議ないと認めます。  なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 木村睦男

    委員長木村睦男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  7. 木村睦男

    委員長木村睦男君) これより質疑に入ります。  御質疑のある方は順次御発言を願います。
  8. 伊部真

    伊部真君 まず、公団の現在の業務内容についてお伺いいたしたいと思います。公団法十九条によりますと、測量、調査設計、試験、研究というようなことが出ておりますけれども、具体的に新線建設の場合の設計監督という業務までやっておられるのかどうか、この内容についてお伺いしたいと思います。
  9. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 日本鉄道建設公団業務でございますが、第十九条によりまして業務範囲を定めております。で、その第一が鉄道新線、これは敷設法に掲げます鉄道新線、それからなお全国新幹線鉄道整備法による新幹線鉄道でございますが、そういった鉄道新線に関するものにつきましての鉄道施設建設というのが第一点でございます。それから第二に、全国新幹線鉄道整備法の規定によりまするところの建設に関する調査でございます。そうして、さらにその二におきまして、この鉄道施設の貸し付け、譲渡を国鉄に対して行なう、さらに、この貸し付けた鉄道施設にかかわる災害復旧工事を行なう、それから各鉄道施設、いま申しましたような各業務に関する付帯的な業務を行なうというのがその内容でございまして、建設につきましては、これに関しまする調査並びに設計施工等すべていたしております。
  10. 伊部真

    伊部真君 そこで、鉄道建設に対しては、具体的に設計あるいは付帯的な工事監督業務までやられると思うんですけれども、今度新しくこの項に追加になりますですね、そうしますと、私鉄関係のいわゆる、正確に言いますと大都市及びその周辺地域内の線路建設関係が出てくるわけですが、この場合も同じような業務内容をやられるんだというふうに理解してよろしいですか。
  11. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) この法律によりまして、この法律の二十二条の二に具体的な工事やり方が書いてございます。その工事やり方は、まず第一に地方鉄道業者軌道業者等鉄道施設建設あるいは大改良申し出をいたしまして、そうして運輸大五がこの申し出を受けまして、そして、それが大都市圏における輸送力増強のために緊急の必要性を有するものであり、そして公団が行なうことが適当であるというふうに認めた場合には、工事実施計画を定めるということによりまして、これを公団指示する。そして、その工事実施計画の中身といたしましては、これは地方鉄道法工事施行認可あるいは軌道法工事施行認可との関係がございます。したがいまして、その点は国鉄の場合とちょっと違いますが、そういう地方鉄道法軌道法工事施行認可に適合するというようなものでなければならないということにいたしまして、そういう指示をいたします。それに基づきまして、第一項にございますが、公団がその建設、大改良を行なうということにするということでございます。ですから、基本的には、この公団が実際上の調査設計等をいたすわけでございますが、ただ、その設計等につきましては、いまの二十二条の二第三項にございますように、地方鉄道法軌道法工事施行認可というものが先行いたしておりまして、その工事施行認可等におきましてはかなり設計等が進んでおるわけでございますから、それに適合するという形で公団建設が行なわれる、こういうふうに考えております。
  12. 伊部真

    伊部真君 そうしますと、事実上の設計申請者であるといいますか、地方鉄道側のほうで出されて、その内容について、適合しているかどうかということについて審査をするということで、設計あるいはその工事監督責任というものは、事実上は公団が持つものではないというふうに理解してよろしいですか。
  13. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) この建設改良自体責任というのは、これは当然公団工事実施する限りにおきまして公団が持つわけでございますが、ただ実際問題は、先ほど申し上げましたように、工事実施計画というものが地方鉄道法軌道法との関係工事施行認可に適合しなきゃならぬということは、地方鉄道業者軌道業者は自分が経営しておりまする線区があるわけでございまして、その線区との調整をとらなきゃならないということがございますし、さらにその線区の一部を建設改良するということに相なるわけでございますから、その面での調整をとらなきゃならぬということが工事施行認可に適合するということになりますから、したがいまして基本的な問題についての設計等につきましては、この工事施行認可において定まってまいりまして、それの具体的な実施等につきまして公団がこれを行なう、こういう運びになるわけでございます。
  14. 伊部真

    伊部真君 そうしますと、公団側で、いまたしか現在の業務を担当しているのが二千三百五十八名ですか、その人員との関係が出てくると思うのでありますが、具体的に設計並びに工事監督公団側がやるということになりますと、いままでのようないわゆる国鉄の新線建設と同じような体制が必要だと思いますね。そういう場合には、国鉄の場合とは公団側としては体制が違うのかどうか。それによって結局人員問題もありましょうし、それから責任問題も変わってくるだろうと思います。その点をお聞きをしているわけです。
  15. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) その点でございますが、ただいま申しましたように国鉄の場合につきましては、国鉄の新線をつくります場合におきましては公団が実際上の設計を定めまして、それを国鉄協議をいたしまして、協議がととのった場合に公団がその責任でもって行なうということになりますから、したがいまして、こまかい設計調査、すべて公団責任でまず行ないまして国鉄協議をするという形に相なります。この場合におきましては、若干それとは違うのは、先ほど申しましたような工事施行認可との関係がございまして、これには、実際にはその私鉄——地方鉄道軌道の使い方あるいは具体的な駅のあり方その他につきましてかなりこまかい内容工事施行認可できまってまいります。そうした、きまってきた工事施行認可と違った工事実施計画になりますから、その意味におきましては、公団工事設計等につきましては、そういう意味での何と申しますかワクがあるわけでございまして、そういう点では国鉄工事監督並びに施行というようなものとは若干違ってきておる、違ってくるということに相なるかと思います。したがいまして、もちろん現在の要員等でこの工事をできるものでもございませんが、しかしながら、そういう意味におきまして、これは簡素な組織、能率的な要員構成というふうにしてまいりたいというふうに考えておるわけであります。
  16. 伊部真

    伊部真君 具体的にこれがすべり出しますと、要員ではどの程度増員しなければならないというふうにお考えになりますか。
  17. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 実は、この増員等につきましては、これによるところの管理費といたしまして、コストの中に入ってくるわけでございますから、そういう意味で私どもいまなるべく少なくしようということで大蔵省ともいろいろ詰めておりますが、まだ最終的には何名というところまで煮詰まっておりません。
  18. 伊部真

    伊部真君 ただいまのお答えによって、内容的には、ほとんど私鉄のほうで設計なり、いままでの在来線との関係がありますから、当然それが尊重されていくということになりますと、実務的にはかなり薄くなってくると思うのでありますけれども、どうもちぐはぐな感じがするのは、これの担当者一名——理事が一名増員されるということ。それ以外のスタッフの内容によっては、これかほんとうに中途はんぱなものになりはせぬか。極端な話をしますと、これは工事に対する責任を持つということではなしに、いわゆる金融面を相当する、何かちぐはぐなものが在来公団業務の中にちょっとひっついた、開発銀行でやってやれるような仕事になるのではないかという感じがしますが、この構成なり運営なりでだいぶ変わってくると思うのですね。したがって、こういう形ではなしに、結局、原案にありましたときのような状態でありますと、これまた違った性格になると思うのでありますけれども、どうもそういう点があいまいな形になると思うのでありますが、したがって、その公団業務内容ということ、在来仕事と非常に違ったものでちぐはぐな形になりはしないだろうか、こんな心配があるのでありますが、この点いかがですか。
  19. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 従来の、国鉄線路公団がつくります場合のやり方というものとは非常に違ったやり方になるということは、これは認めざるを得ないと思います。設計等におきましても、主要な部分というものは、先ほど申しました工事施行認可によってきまってまいりますし、それから実際の工事やり方につきましても、ほとんどが私鉄現実線路あるいは列車運行している現実線路との関連ということになりますと、その工事しかた等もかなり公団私鉄委託をするというような形の工事のしかたにならざるを得ないと思いまして、その意味におきましては、従来の国鉄工事とはかなり違った性格のものであろうと思います。しかしながら、これは単なる金融的な性格のものではございませんで、工事自体をやることそれ自身はあくまでも公団がその責任を持ってやるわけでございまして、それによって大都市交通緩和あるいは新たな住宅団地におきますところの輸送手段確保ということを促進するわけでございますから、したがいまして、単なる金融上の問題じゃなくして、やはり公団責任を持ってやる。ただ、そのやり方については、先ほど申しましたように、従来のやり方と違ったやり方私鉄のそういう技術力等も十分に活用して、委託その他によってやっていく、こういう形に相なるわけでございます。
  20. 伊部真

    伊部真君 工事の事実上の責任はどこが持つんですか。たとえば、工事遂行上騒音の問題が出たり、公害問題が出たり、いろんな住民苦情が出たりしますね。そういうものの責任公団が持つんですか。その地方鉄道申請者が持つんですか。その点はいかがですか。
  21. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 当然工事責任者公団でございます。したがいまして、実際の工事関連いたしまするその種のものは、公団責任を持って処理をすることに相なります。
  22. 伊部真

    伊部真君 そうしますと、やはりかなり現場での監督者というものが必要ですね。現在、公団のほうで業務をされておるのが五十五線ですか、新幹線を入れまして五十七線、そこへ新しく業務が覚ますと、かなり人員の点では——ただ申請者を適法かどうかということでトンネルをさすということだけじゃなしに、工事監督責任を持つということになると、公団側としてはかなりの人員が要るというふうに思うわけですが、そのように理解していいですか。
  23. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) もちろん、この法律によります新しい仕事でございますし、しかも、先ほどから申し上げましたように、従来の性格工事とだいぶ違った態様でございますから、それに対応する組織並びに人員というものを備えなければこれはやっていけない、かように私ども考えております。
  24. 伊部真

    伊部真君 それから次に、この法律案の中にあります「大都市及びその周辺地域」という、この範囲ですね。政令で定めるという内容具体的内容についてお聞かせいただきたいと思います。
  25. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) この点は、先ほど大臣提案理由で申し上げましたように、この法律目的というのは、やはり大都市におきまするところの通勤輸送混雑、その輸送需要激増に基づくところの混雑緩和するということ、さらに、最近の多摩ニュータウンで象徴されておりまするように、大きな規模団地ができましてもその足がついていかないということによるところの非常な混乱というものを解消して輸送手段確保するというようなこと、さらに、地下鉄をつくるような、都市における地下鉄との直通を考えていくというふうなところがこの法律のねらっているところでございます。したがいまして、これを行ないまする場所の場所的な範囲というものにつきましても、当然そういう目的に従ったところの範囲になるわけでございまして、「大都市」もそういうふうな考え方で私ども考えていかなければならぬと考えておりまして、現段階におきましては、人口の集中が非常に著しくて、そして鉄道輸送網の緊急な整備を必要とすると認められるところの、いま東京都それから大阪市及び名古屋市というものを現在の段階では大都市政令大都市というふうに予定をいたしております。
  26. 伊部真

    伊部真君 たまたまニュータウンの話が出ましたので、関連して質問をいたしますが、必ずしもこのことだけの問題ではありませんけれども、新線を敷いたときに、受益者開発利益をどう活用するかというのが一つ問題点だと思うのであります。これは出資というわけにもいかぬかもわかりませんが、何らかの形でやはりその開発利益を拠出していただくということでなければならぬと思うのでありますが、そういう点はどのようにお考えになりますか。
  27. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) ニュータウン等住宅団地ができました場合に、これが都市高速鉄道がなければほとんどそのおもな機能が発揮できないというようなことは、多摩ニュータウンを見てもわかるわけでございます。しかも、この都市高速鉄道整備によりまして沿線の土地所有者事業者等、非常に大きな便益を与えるということは、もうお説のとおりでございまして、したがいまして、これに対するニュータウン等につきまするところの受益者負担を当然考えなければならぬわけでございます。ただ一般的には、これはなかなか実はむずかしい問題でございまして、と申しますのは、受益範囲の確定というのが非常にむずかしいわけでございます。それから、どの程度受益しているかという受益程度等が非常にむずかしい。その範囲方法の決定、むずかしいということとともに、どういうふうな形で鉄道事業者還元をしていくかという還元方法というものにつきまして非常にむずかしい技術的な問題がございまして、一般的にはこれは十分今後検討していかなければならぬ問題だと思います。ただ、多摩ニュータウン等関連をいたしますところの住宅団地につきましての還元につきましては、若干話し合いがついておりまして、ニュータウン側が若干の負担をする、あるいは用地買収について比較的低価でこれの買収を受けるというようなしかたの開発方法考えられておるわけでございます。一般的には今後さらに検討してまいらなきゃならぬ問題でございます。
  28. 伊部真

    伊部真君 いまの沿線なり、その地域周辺開発利益問題についてはたいへん問題が多いことでありますけれども、いま少しめどがあるようなお話でありましたが、具体的にどういう方法があるんでしょうか、聞かせていただきたい。
  29. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) ただいま私ども政府部内等でいろいろと詰めておりまするやり方につきましては、ニュータウン開発者が、たとえばニュータウン内の用地を比較的安い素地価格というようなもので提供する、あるいは施工基面以下の工事費というものの若干の負担をするというようなことで、実際の鉄道建設の費用というものを安くしていくというようなことを考えまして、いま関係省庁の間で詰めているところでございます。
  30. 伊部真

    伊部真君 次にニュータウン関係ですが、あそこに鉄道建設ができるまで、これは一ぺんにでき上がるわけじゃありませんから、たとえばタウンの中で三割できている、四割できているという状態の中で、その周辺のやはり交通というものを考えていかなきゃいかぬと思います。この間テレビでも何かかなり住民から文句が出ておったようでありますが、苦情が出ておったようでありますけれども、これは当然その周辺居住者に応じて輸送体制というものをつくっていかなきゃならぬ、バスの運行その他を。そういうことについてどのように配慮されておるのか、聞かせていただきたい。
  31. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) ニュータウンでございますが、具体的な多摩ニュータウンの例をとってみましても、これ非常に広い範囲にわたっております。そうして戸数も非常に大きな戸数でございますし、人口も将来は四十万ぐらいの人口になるというようなかなり大きな規模のものでございます。そこで、それの入居計画というものと対応して足の確保ということをしなければならぬわけでございますが、先ほど申しましたように、従来、鉄道輸送というものを考えなかったために、これが急速に問題になりまして、いまのままでは陸の孤島になってしまうじゃないかというようなことまでいわれておるわけでございますが、当然、建設が進むまではバス輸送でまかなっていくということにいたしまして、多摩ニュータウンの場合には主として京王線聖蹟桜ケ丘方面ですか、あっちの方面へのバス輸送というものを中心としてバス輸送整備をやっていくということでございますが、しかしながら、このニュータウン建設が進んでまいりますと、とうていバスでは運び切れない性格でございますから、その入居状況とにらみ合わして支障のないような鉄道建設を始めていかなきゃならぬというふうに考えております。
  32. 伊部真

    伊部真君 これ、まだ今度の国会での議論にはなっておりませんが、運輸省のほうで開発命令問題がありましたが、いわゆるニュータウン多摩に限らず、新しいニュータウンができますと採算上たいへんに問題がある。たとえば、昼間の間はやはりお客さんがいないのに、朝晩のラッシュというものに対して対応するような輸送というものをつくらなければいかぬということになりますと採算上非常に問題があるのです。それの手当てをしなければならぬということで一つの案がありましたが、同じように、この場合のバスの運行は、たいへんにタウンの完成までには問題があるような気がしますね。そうしますと、多摩ニュータウンだけじゃありませんが、その間のやはり赤字なり、そういう問題が運行上支障にならぬか。というのは、この路線を開設するのに、これはもうからぬと言うてやはり手控えをするというようなことになりはせぬか。そのために多摩ニュータウンのようなところでもやはり路線上の問題があったり、不自由が起きはしないだろうかというふうに思うわけです。そうしますと、やはりその間に、ニュータウンが完成し、鉄道が敷かれるまでの間、やはり住民が不自由のないような運行路線というものを確保していくということが必要ではないかというふうに思うのですけれども、その点はいかがですか。
  33. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) それはもうおっしゃるとおりでございます。輸送量の少ない間は当然バスによって輸送しなければならぬわけでございまして、そのバス輸送に対応するところの路線の設定というものを当然しなければならないわけでございます。それについて必要な場合には運輸省といたしまして道路運送法によるところの命令上の措置というものがございますから、そういったような措置でこれをやってまいるということに相なるわけでございます。さらに、鉄道ができた場合でも、この鉄道は当初はもう朝夕の通勤輸送だけでございますから、当然採算が合わないわけでございます。ただ、採算が合わないといいましても、一定量以上になりますと、もうこれはバスではとても物理的な限界を越えておりますから、どうしても鉄道を敷かなければならない。したがって、採算上の問題を離れて鉄道の先行的な整備というのが必要でございまして、今回この法律によりまして御審議をいただいておりますのも、そういったような場合の鉄道整備を促進しようという趣旨に基づくものでございます。
  34. 伊部真

    伊部真君 これは具体的に出発をしますと、大体ニュータウンの場合、いまの場合は京王線と小田急線の延長のような形になるようなことを聞いておりますが、この場合、大体完成されるのは年月からいったら幾らぐらいかかりますか。
  35. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 多摩ニュータウンの場合をとってみますと、最終的には一応四十万人という計画で大体五十五年度完成ということでやっております。それで、現在すでにその中の一部の五千戸が完成をいたしまして約二万人が入居いたしておりまして、そうして、この二万人の入居者の大部分が、先ほど申しました聖蹟桜ケ丘までバス輸送でございます。それで、私ども考え方といたしましては、全部住宅が完成をする五十五年の前に、四十九年度の末ごろには、もう入居状況によっては鉄道がないと運べないというような私ども考え方を持っております。そういう考え方で、鉄道建設が必要であろうと思います。
  36. 伊部真

    伊部真君 それで、まあ大体、五十四年ということになりますと、いまから七年間ということになりますが、その間の結局バス輸送問題だと思うんですが、このバス輸送問題については、法案が新しく上程されるとつじつまが合うんですけれども、そうでないいま現在では、赤字のバス、こういうニュータウンと駅との間の赤字というのはやはり出てくると思うのでありますが、その場合に、この路線をやれということができるのかどうか。いまのところですと、赤字路線はやっぱり民間の場合は困るということになろうかと思うんです。そうすると、どうしても無理が起きるのは、やはり回数を減らして効率をよくし、採算をよくするということになってくる。そうすると、そのしわ寄せがやっぱりそこの住民にくると思うんですね。したがって、その七年の間、これは単に建設に対しての補助ということではなしに、やはり別の面での助成策というものがないと、このような大きなニュータウンの場合には、たいへんな問題が起きるのではないか。かなり建設のための期間が短い場合は、これは短期でしんぼうできるでしょうが、六年も七年もこういう状態が起きますと、バスの場合にはたいへん問題が起きやせぬかというふうに思うんです。その点、何らかの方法がなければこの問題はやはりむずかしいのではなかろうかと思うんでありますが、どうですか。
  37. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) ニュータウンバスの輸送の問題につきましては、バスは輸送単位が非常に小さいわけでございますから、したがいまして、地方の過疎地帯におきまするところのいわゆる赤字路線の問題と少し性格が違います。むしろニュータウンバス問題というのは、ラッシュ時等におきまして、どんどんふえてまいりまするニュータウン人口というものをさばき得るだけの余裕が、たとえば駅前とか途中の道路とかというようなところに場所がないために、むしろ非常にその意味で物理的な面での輸送ができなくなってくるというのが一番問題でございまして、そういう意味では、バスによって通勤の足が確保できないような状態が生ずるというようなことを非常におそれているわけでございます。そうなりますと、それこそ、ニュータウンができたけれども足がないということでございます。先生おっしゃいますように、バス路線の、まあ当初はもちろん先行的な投資でございますから当然赤字がございますけれども、その赤字についてはもちろん国としても考えなきゃいかぬわけでございますが、従来の考え方では、大都市付近におきましては、全体としてのバスの経営の維持というようなことを考えておるわけでございます。そういう意味で非常に当初はつらいわけでございますが、だんだんには輸送量はふえてまいるわけでございます。問題はやはり、その大きくなってくる輸送量自体を処理することができないような、道路の状況あるいは駅前の広場の状況というようなことで、そのニュータウンの足が確保できないというところをどう解決をするのかということが、いま私ども一番大きな問題であろうかと思います。それで、なお、ニュータウン、先ほどちょっと申しましたが、五十五年完成というのは、ニュータウン全部ができるときでございますが、それから私ども、四十九年度末と申し上げましたが、四十九年度末には、もう鉄道がなければ、バスでは全く運べないようないまの物理的な状態に立ち至るであろう、したがって、このときにはどうしても鉄道をつくらないといけないというふうに私ども考えておるわけでございます。
  38. 伊部真

    伊部真君 そうしますると、もう工事に着工して大体二年以内に、四十九年には完成させるというおつもりだと、こういうふうに理解していいわけですね。
  39. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) もちろんこれは、先ほどの法律の手続によりまして、事業者からの申し出に基づいて実際のところ始めるわけでございますけれども、私ども考えとしては、当然、多摩ニュータウンにつきましては申し出があると思いますし、それから、始める以上は、先生御指摘のように、四十九年度には何とかこれをつくらないと間に合わないということで進めてまいりたいと思います。
  40. 伊部真

    伊部真君 私は、その間もあるいはその後もバス路線が少しは残るかと思うのでありますけれども問題なのは、いまの路線のあり方はやっぱり企業採算から出発した路線網をつくるということでしょう。したがって、私は、ニュータウンの場合にはやはりここが——ここで議論するのが筋が通っているのかどうかよくわかりませんが、やはり住宅の建設状況なり、その状況に応じたやはりバス路線の設定のしかたというものについて指導をいただきたい。で、私申し上げているのは、確かに、過疎とは違いますけれども、やっぱり通勤通学の時間のラッシュというものと昼間人口との関係からいって、必ずしも私はそう楽観はできないと思います。したがって、ニュータウンバス路線については、やっぱり生活路線というものを、モデルになるようなものをひとつ考えてもらわないと、その完成までの間に問題が起きやしないかというふうに思いますので、その点お願いします。  それから、簡単なことでありますが、十二条関係の各欠格条項の問題、これを今度の場合に省かれましたですね、その理由についてお聞かせをいただきたいと思います。
  41. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 十二条を改正いたしまして、その一部でございますが、「国務大臣、国会議員、地方公共団体の議会の議員又は地方公共団体の長」というのを今度削除いたしております。それで、実はこの欠格条項の意義でございますが、この欠格条項は、当然こういうものに該当する者は役員となることができないということで書いてあるわけでございます。ただ、ここに書いてございます性格がだいぶ違います。まあ一号はいま申しましたようなことでございますし、二号、三号は、政府職員、地方公共団体の職員とか、国有鉄道役職員とか、四号が物品の製造、販売というようなことで公団関係がある者、それから五号は運輸事業を営む者で日本国有鉄道と競争関係があるものというようなことでございまして、ここに列挙してありますることが、だいぶ性格の異なったものが書いてあります。それで、その中で「国務大臣、国会議員、地方公共団体の議会の議員又は地方公共団体の長」というものと他のものとの性格がだいぶ違うようでございまして、その他の欠格条項と同列に法律上の制度的な欠格条項というのは適当ではないということで、これはやめたわけでございます。実は、そういう考え方によりまして、最近の公団法等におきます欠格条項につきましても、改正のつど、こういう国会議員だとか地方公共団体の議会の議員というのは、これを削除しておるような立法例に最近ではなってきております。
  42. 伊部真

    伊部真君 またもとへ戻るようでありますが、今度の法律改正に基づく四十七年度の具体的な計画の内容についてお聞きをしたいと思いますが、総額百二十五億というふうに聞いておりますが、その具体的な内容についてお聞かせ願いたいと思います。
  43. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 四十七年度の具体的な計画でございますが、一応、収入といたしましては百二十五億、これは財政融資の年六分五厘が五十億と、それから特別債のものが七十五億ということでございます。特別債の利率は従来七分三厘でございますが、ここのところ金融緩和によりまして、七分二厘ぐらいのものに相なります。これに対する支出でございますが、結局問題は、どこをやるかという問題に相なるわけでございます。それで、私ども、まだこれは具体的なものはきまっているわけでございませんが、まあ一つ考えておりまするのは、先ほど申しましたニュータウンに貫通するところの線路ニュータウン新線でございます。これは多摩ニュータウン中心とした線でございます。それから複々線の線増、これはどうしてもこれをやらなければ現在の輸送改善ができないというような線でございまして、その複々線の線増につきまして、具体的には、たとえば京王線の一部、小田急線の一部、あるいは京成線の一部というようなところを考えております。それから、さらに地下鉄直通という線につきましては、当然、地下鉄直通する線路は今回の対象になるわけでございますが、西武線の一部と、あるいは東急の新玉川線等について考えておるわけでございますが、これにつきましては、申し出に基づきまして、金の額とのにらみを見まして最終的には決定をするわけでございますが、まあ現在、そういったようなところを一応の対象といたしまして検討をいたしております。
  44. 伊部真

    伊部真君 そうしますと、このような計画は、総額としてはかなり大きな金額になると思います。したがって、四十七年度という意味は、結局その工事の計画ができたら初年度ということで、全体の計画になりますと、相当大きなものになるというふうに理解していいわけですか。
  45. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) それは先生おっしゃるとおりでございます。この計画にタッチいたしますと、当該工事公団建設をするということにきまりまして、その範囲をきめてやるわけでございますから、それに取りかかった以上は、これを完成させなければ効果がないわけでございます。したがいまして、ただいま申しましたようなところがまずスタートするとすれば、これは初年度の工事ということで、その後それが引き続いていくということでございます。
  46. 伊部真

    伊部真君 そこで、私は少し具体的なことでお聞きをするんでありますが、その線を引きますときに、特に問題になりますのは地下鉄なんかですね。地下鉄なんかは、都心の鉄道地下鉄と接続する場合に優先的にこれを考えようということでこの中に盛られているわけですけれども、この場合に、たとえば西武線なんかもしのうちの一つじゃなかろうかと思うのですけれども、どうもやっぱり地下鉄と路線との間の、いつの場合でも問題になるのは、少しあけろと、それで買いもの客がそこを通過するようにせいと、住民から、あるいは通勤客からいえばそれは当然結合されるのが便利がいいわけですけれども、私は大阪の場合でも、京阪のときに同じ京阪電車と国鉄とが上下あって、それを結んだらこれは非常に便利はいいんだけれども住民の反対があって、そこを歩かないというと、国鉄工事に対する反対が出るというところで、どうもそこら辺が問題になるようです。こういう問題は、やっぱり私は、そういう住民側の意見であっても、まずもって通勤客を便利にするということでやらないと、これはもう後世まで、そのための政治路線だとか、政治道路とかいわれることになって、私は非常に不輸快なものを残すんじゃないかと思う。こういうところは非常に強く指導すべきではないか、やはり住民側に立った接続というものはやるべきじゃないと思うのですが、その点についてのお考えを……。
  47. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) いまおっしゃいました点、まことにお説のとおりだと思います。問題は二つございます。で、一つは、まず地下鉄線ができました場合に、この地下鉄線を利用いたしまして郊外の私鉄等から直通でこれに乗り入れてまいるいその場合に直通のルートを設定をするということが一つございます。それから第二の問題は、そういう直通はいたしませんけれども、乗りかえ等によるところの連絡の施設をどうするかというのが第二の問題であろうかと思います。  そこで第一の地下鉄との直通のルートでございますが、これは先生御存じのとおり、東京におきましても、たとえば日比谷線という地下鉄路線がございますが、これが北千住におきまして東武線と直通をいたしまして、そうして東武沿線から都心まで直通運転をする、それからさらに西のほうへまいりまして、中目黒におきまして東横線と直通運転をいたしまして非常に便益な向上しているわけでございます。こういう線は、いまの日比谷線だけでなく、たとえば東西線と称しまするものが中野と、それから西船橋で国鉄線に直通をいたしておりますし、それからいわゆる九号線というのが例の綾瀬で直通をいたしておる。さらに都営線につきましても、都営の地下鉄につきましても押上で現在、京成電車と直通をし、泉岳寺で京浜と直通をするというようなことによりまして便益の向上を来たしておりまして、その向上につきましても、まあ地元の御意見は十分聞きますけれども、直通によって便益を増進するということにいたしておるわけでございます。  それから第二の問題でございますが、いまの西武とおっしゃいました点は新宿の西武のことだと思いますが、新宿の問題につきましては、実はあれは直通ではございませんで、新宿の現在の駅まで乗り入れをしようというようなことでございました。それにつきましては、実はそれの道路の計画、それから国鉄の駅の用地問題等がございまして、結局それができなくなりまして、西武鉄道がこれを取り下げたというような経緯でございます。それから京阪の問題につきましては、これはやはり直通じゃなくして乗りかえの問題でございますが、乗りかえの駅の改札口の位置というようなもので、それを便利にするにはどういう形にするかということでございます。いずれにいたしましてもこの第二の問題につきましては、結局、鉄道が連結をいたします場合に、当然、これはその連絡駅におきまするところの乗りかえを便利にするというのが基本的な考え方でございまして、私ども、具体的な工事施行認可等におきまして、駅の出入り口をどっちに持っていくかというようなことをいろいろ検討いたしまして、便利にして乗りかえの時間を少なくするというようなことをやっておるわけでございますが、先生御指摘のように、その場合に地元の商店街等がございまして、いろいろ御意見があることがございます。改札口の位置を変えることによりまして地元の商店街の一部には非常に不利益を生ずるというようなことがある場合がございます。これこつきましては地元に十分に説明はするわけでございますが、基本的には、先生おっしゃいましたように、何といっても利用者の便益というのが最重点でございまして、その利用者の便益ということを中心に計画を定め、問題を解決していくということであろうかと思います。おっしゃるとおりと思います。
  48. 伊部真

    伊部真君 西武新宿の話ですね、もう少し具体的にお聞かせをいただきたいと思うのですが、あの西武新宿駅から地下鉄もしくは国電への接続というのは、これは用地問題でそうなのか、どうもあの辺はたいへん混雑をするところでありまして、朝晩、あるいはそれ以外でもそうでありますが、あの区間を歩かすというのは、交通上からいって、あるいは交通事故の面からいっても、地下に入れるか、あるいはもっと接続さすとか、そうしないと、あれはたいへんに将来問題だと思うのであります。たまたま都心の地下鉄との接続という話が出ましたので、特にまた、局長からいま西武の問題も考慮の中だと言われたので、私はそこに結びつけたわけですけれども、もう少し西武新宿の結びのところを、問題点はどこにあるのか、御説明願いたい。
  49. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 実は西武新宿の駅と現在の国鉄の新宿駅の間は約四百メートルございます。それで非常に不便でございますので、何とか西武新宿の駅を現在の国鉄新宿駅に入れたいということで前々から検討をされておるわけでございます。   〔委員長退席、理事佐田一郎君着席〕 それで一時は、そういうことで何とかやれないだろうかということであったわけでございますが、いろいろと研究をいたしましたところ、一つは国鉄側のほうでございまして、いまの国鉄の新宿駅に入れまする場合に、どうもそれに必要な駅のホームの幅員だとか駅施設というものが十分とれないんじゃないかということが一つございました。それからいま一つは、この間が道路占用になるわけです。道路敷地でございまして、道路占用になりまして、その点で一応、道路管理者と西武がいろいろと相談をしておったわけでございますが、ここには例の大ガード等がございます。それで、そういう道路占用というものに関する道路管理者の同意、了承というものがなかなか得られないというようなことで、西武といたしましてはこの計画を実はあきらめて、そしていまは、もともとございましたそういう計画を取り下げをいたしまして、そしていまの西武新宿駅でやっておる、こういうことでございます。一つには、この西武線につきましては、まあ高田馬場駅での接続ということがあるというようなことをも考えてのことだとは思いますけれども、将来検討しなければならぬ問題だと思いますが、非常にこの点は混雑しておるところでもございますし、利害関係が錯綜しておりますので、非常にむずかしい問題であろうかと思います。
  50. 伊部真

    伊部真君 それから、もとへ戻るようでありますが、公団法の一部改正という形で出ましたが、もともとこの問題が提起をされた当時は、大都市輸送施設整備事業団というもので出発をさせたいということでありました。当然その場合には人員なり予算というものは考えておられたと思うんでありますが、そういう形での出発のときにはどの程度の人員というものを考えておられたか、お聞かせをいただきたいと思います。
  51. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 実は、予算の要求の段階におきまして大都市交通事業団という構想でスタートをいたしました。そういう特別の法人をつくってやるというのは、先ほど申しましたような必要性からいいまして、やはり責任を持った独立の法人をつくってやらしたほうがいいんじゃないかということで考えておったわけでございますが、まあ、いろいろの折衝の段階におきまして、政府部内におきまして、新たな公団をつくるということは相当やはり問題があるということに相なりました。したがって、いまたまたま鉄道建設公団があって、そして鉄道事業の建設をやっておるのだから、これにやらしたらいいじゃないかということに相なったわけでございます。具体的な人員、そのときの人員等は管理費の中に入ってしまうわけでございますが、一応、事業費としては二百億の規模でやろうということでございますから、今回は事業費百二十五億の規模ということでございますから、その面におきましては約六割程度のものに今回の公団方式は落ちついたということに相なろうかと思います。
  52. 伊部真

    伊部真君 この事業団の場合の設立に対しての事業費というのは二百億というと、百二十五億の初年度の事業計画というのは違うんじゃないですか。
  53. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 実は事業団のときの構想におきましては、ニュータウン関係等の新線建設よりもむしろ複々線化工事あるいは地下鉄直通乗り入れ工事というようなものに重点を置いておりました。ということは、これらにつきましては非常に整備に巨費を要するとともに開発利益等も吸収できない性質のものでございますし、それを何とかやっていかなければいけないということでそれに重点を置いておりました。ところが、今回の公団方式におきましては、いまのニュータウン関係工事というものもそれにつけ加えたわけでございまして、その意味では、百二十五億の中にはニュータウンも含めて百二十五億ということでございます。
  54. 伊部真

    伊部真君 私そういうことを申し上げているんじゃなくて、事業団設立のための予算というのは、人件費その他いわゆる建設のための事務所の建設の費用だとか、それらの費用を集めて、あるいは人員が何ぼだということの基礎において、やはり二百億なら二百億で出発したいということだろうと思うんですよ。出発をしたいということの申請が原案だったと思うんです。百二十五億の場合は、公団自身の事業計画として初年度は何ぼであるということじゃないかと思うんです。私が聞いているのは、当初出発したときの人員なり予算規模というのはどういうことでお考えだったのか、こういうことです。
  55. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) これは人員ということでなくて管理費の中に実は入ってしまっておるわけでございますが、一応、管理費といたしましては三%程度の管理費ということを考えておりました。したがって、二百億ぐらいの事業費の中から六億程度の管理費ということで考えておったわけでございます。
  56. 伊部真

    伊部真君 内容的に見ますと、事業団が出発をするときというのは、やはり陣容なり建物なり予算というのはつくられて出るわけでしょう。ですから私が出し上げておるのは、その人員というもののある程度めどをつけてどういう内容でやろうとされたのか、そしてその仕事は、その立案当時とこの公団方式になった場合とは変化があるのかどうかですね、それは中身をもう少し知らしていただけばわかるのでございますけれども。したがって、出発当時の規模というものについて、もう少し説明を願いたい。
  57. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 人員規模等につきましては、一応、管理費の全体のワクということできめておりまして、あと具体的にそれをどうするかというところまでではなくて実は予算折衝に入っておったわけでございますが、一応の工事規模といたしましては、先ほど私が申し上げましたもののほかに、たとえば東武鉄道線路複々線化工事をさらにこれにつけ加えるとか、あるいは大阪の京阪の線、あるいは京阪神急行の線をつけ加えるとか、あるいは都心乗り入れ建設につきましても近鉄の線をつけ加えるとかいうようなことで、想定されているところの二百億ぐらいの一応の工事規模というふうに考えておりました。したがいまして、今回百二十五億の規模で、したがってニュータウン線ということも入ってきたということになります。そういった意味での当初考えておりました規模が縮小はされてきたということはいなめない事実であります。
  58. 伊部真

    伊部真君 どうも私の質問のしかたが悪いのか、十分お答えが返ってこないんですけれども、というのは、公団の出発のときの陣容はどう考えておられたのかということですね。
  59. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 具体的には、先ほど申しました管理費の中でまかなうということで、理事を何名にするとか、あるいは理事長をどうするとかというところまで、まだ、こまかく詰めていなかったわけでございますが、当然、事業団ということになりますと、新たな組織でございますから、通常、他の事業団等と大体似たような理事長あるいは理事の組織というようなものを置いていくということに相なろうかと思っておったわけでございますが、具体的には、管理費の全体の額ということで見ておったわけでございます。   〔理事佐田一郎君退席、委員長着席〕
  60. 伊部真

    伊部真君 私は、新しい事業団が出発をするときには、それなりの人員がちゃんとやっぱり計上されて、理事長だけでありません、理事長以下理事何名、あるいは役員なりの職責にある人が何名、部課長が何名、人員が何名ということが、出発にあたってはあると思うのですよね。その人員考える場合には、当然、事業団の仕事内容というものがちゃんときめられておると思うのですよね。いまの、ずっとけさほどからの答弁を聞いておっても、どうもはっきりしないのは、仕事はどの程度の仕事をするのか——それは当初、どうも事業団の場合には、設計も、たとえば私鉄なら私鉄のベテランのいままでやっておった人間もここに出させて、設計工事監督までやらして、きちんとした、いわば形の整った事業団で出発するような構想があったのではなかろうか。それが今度は鉄建公団のほうで、大蔵省との話し合いの中で鉄建公団でやるというなら、これはしろうとが、いままでと違ったものを受け入れるわけだから、そうすると、その設計なり、工事監督というのは、当然、実際にいままで経験もし、これからもまたそれを管理をしていかなければならぬ者が中心になっていかなければならない。これは私らもわかるのですよ。したがって、どうもそこら辺の動きがあいまいなので、極端な形でいえば、完全な事業団ということになると、設計、施工、監督、全部やって、そして渡していくという形になりましょうか。それが極端な話で、変形してしまう。開発銀行のかわりに、結局、金利負担を何ぼにしてやるか、それを地方自治体と相談をして、五%ないし一〇%なら一〇%の金利負担でやらしてやるという、肩がわりをするためのトンネル機関的な金融の形になってしまう。これは極端な話です。両極端なことがあると思うのですね。したがって、これはいまの場合、当初どういうふうに考えておって、いま公団に引き継がれた場合にはどういう形になるのか、その点で、もう少し明確にお答えをいただきたい。
  61. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) まず組織、あるいは組織問題等につきましては、これは実は、大蔵省に対する要求は管理費の形で要求しておりまして、具体的に理事幾らという形での、理事長、あるいは理事何名という形での要求でございませんで、管理費幾らという形での要求でございます。かりに予算が認められますと、それによりまして、理事何名にしようということを今度きめてまいるということに相なるわけでございます。  それから、仕事やり方でございますが、この点は、私ども事業団のときの考え方と、公団のときの考え方というのはそう違ってないと考えております。これはまず、一つは、おっしゃいました初めの、金融的なものに近くなってくるのじゃないかということでございますが、この点は、私どもは今回、公団が自分で長期低利の資金を調達をする、そうして、しかも運輸大臣指示に基づきまして、私鉄にかわって都市交通上必要な線を所要の時期までに整備を行なうという整備主体そのものになるわけでございます。したがいまして、通常の金融機関というものは、他企業の投資に対する融資業務というものでございますから、これとは全然異質のものであろうと私ども考えております。  それから、それでは事業団になったら全く私鉄との関係というものを無視した姿で自由にやれるものかどうかという点でございますが、これはやはりそうとは考えておりません。ということは、先ほどから申し上げましたように、これは私鉄が行なっている線路を、たとえば複々線化をするということになりますと、私鉄の実際の設備との調整というものを考えなきゃいけませんし、また、私鉄線路を、実際に車両を運転をしながら、同時にその工事をするということになります。さらに、ニュータウン線等につきましても、私鉄との直通運転ということを考える以上は、これは直通運転が可能なような車両、あるいは運転の方式、あるいは設備の方式というものも全部考えていかなければならぬわけでございまして、そういう意味では、これは私鉄の計画というものと結びついた姿でやっていかなければならぬということになりますと、かりに事業団が成立した場合におきましても、先ほど申しましたような、私鉄工事施行認可というものにマッチした姿の工事実施計画というものでこれをやっていかざるを得ないということは、おそらく変わらなかったのじゃないかと私ども考えておるわけでございます。そういう意味におきまして、私ども、事業団構想というものが公団になったということによりまして、仕事やり方自体にはそう変わりはきていないというふうに考えております。ただ、独立の法人がやるか、あるいは鉄道建設公団責任を持ってやるか、国鉄仕事とともに責任を持ってやるかという違いがあるだけであるというふうに私ども考えております。
  62. 伊部真

    伊部真君 どうもその点が理解がしにくいんですけれども、今度は公団側のほうにお聞きをしますが、現在の人員の中に新しくこの仕事を持って一人の理事さんが入ったということになりますと、どうも何かいままでの回転に、ちょこっと端っこについているような感じで、運営がうまくいくのかどうかということがちょっと心配になるわけですが、したがって、これはやはりその仕事の中に溶け込んで——溶け込んでというのは、私が先ほど質問しているように、鉄建公団仕事内容というのが、設計なり、あるいは試験なり、全部、工事責任を負ってやるという場合と、今度の場合は少し違うんじゃないかと。この申し出申請者が出てきて、その内容を精査して、これでよければ、いわゆる補助、助成の対象にしたいということで、なるほど、工事監督はあったとしても、それ以外のところは、いままでの業務とはどうも異質なものがちょっと入ったような感じがするわけですけれども、その点はどういうふうにお考えでしょうか。
  63. 篠原武司

    参考人(篠原武司君) ただいまお話しのありました管理費関係、その他いろいろ問題が出ておりましたが、大体私どものほうで予定しております、また、運輸省に要求しております管理要員としては、非常にわずかな人間しか考えておりません。それから公団全体でこれをやろうという考えでございまして、理事につきましても、総務とか、経理とか、あるいはそのほかの理事ももちろん関係いたしますし、それから私鉄関係の事業の中心になる理事はもちろん増員をお願いしているわけでございまして、それが私鉄との連絡、運輸省との関係、一切そういうようなことに当たるのだというふうに考えております。
  64. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 関連。  大臣もおられるし、鉄建公団からもおいでになっているので、せっかくの機会で、関連質問いたしたいと思うんですけれども、先ほど来の局長の答弁も聞いておりましたが、要するに今回の法の一部を改正する提案の理由は、大規模住宅団地建設に伴う輸送手段確保だということですが、私鉄国鉄と、こうあって、たとえば私鉄輸送力増強対策ということで私鉄だけのことを考えておられるように聞くのですがね、具体的な問題としては国鉄私鉄、両方にまたがるという場合もあり得ると思うのです。伊部委員の質問の中に、テレビに最近出ておったがという話がありましたが、テレビで取り上げられた問題としては埼玉県の高麗川団地問題がある。これは足の問題が直接テレビに出たわけじゃないのです。せっかく団地をこしらえたけれども水が出ない。水が出ないために入居者が入れない。ああいう高層建築で水が出なければこれはどうにもならぬわけですから、入居者が入らないのは当然なんです。ところが、この問題は、家をつくったのに水が出ないからこれはおかしいじゃないかというもので建設委員会あたりで問題になった。確かに建設委員会の問題かもしれません。しかし、じゃあ水のほうが何とかなってぞっくり入居者が入ったと仮定をすると、今度は足の問題なんです。いまのところ高麗川というところは八高線と川越線の分岐駅で、一時間に一本しか気動車が走らないところです。ここへ大ぜいの人が入って高麗川に殺到したらどういうふうになるか。現在国鉄は、川越線も八高線も赤字線なんだから全然投資しないですよ、うっちゃらかしにしているような状態ですね。立ちぐされと言うと極端ですが、どちらかというと立ちぐされの状態です。こういうところに大挙通勤者が住むようになって、大体高麗川あたりに住宅団地こしらえたって、あの近辺は生活を営む場所じゃないのです。せいぜいあの近辺にあるのはゴルフ場とか、そういう閑静なところですから。みんな東京に通う人です、おそらく、そこの居住者はどういう人かということを推定すると。たちどころに国鉄のほうは収拾がつかないことになると思うのですね。幸か不幸か水が出ないというので人が入らない。しかし建設委員会の水の問題が解決をして、かりに人が住むようになったというふうに仮定をすると、どうにもならなくなる。  その場合に考えられるのが、国鉄のほうでじゃあ幾らか増発をするということができたとしても、あの地域からは、たとえば東京へ出てくるには、東武東上線を使って池袋へ出てくるか、あるいは西武線を使って新宿なり池袋に出てくるか、こういう方法しか考えられない。だから、そういう場合に、先ほどの局長の答弁にもあったけれども、まず利用者の便宜を考えるということをおっしゃったと思うのですが、利用者の便宜を考えるなら国鉄私鉄の相互乗り入れをやらなければならない。たとえば東武東上線池袋から川越を通って東村山のほうへ行く電車があるけれども、あれを川越線のほうへ乗り入れていくという方法、あるいは現在の西武線を、いま非常にやっかいな状態になっているのですが、飯能へバックして行って、そうして八高線に入っていくというやり方をとっているのですけれども、あれを私らが考えるのに、西武線をそのまま東飯能へ乗り入れられるような工事をして、そうして、その西武鉄道を八高線にも乗り入れできるように工事をする、そうすればストレートでもって西武線が八高線に入れるわけです。しかし、それをやるためには、今度は八高線そのものを電化しなければならぬ。いま電化の区域じゃない、気動車が走っておるのですから、電車は入れませんから、もし入れるとすれば電化をして、そうして、その電車が入れるようにしなければならぬ。また、その工事国鉄に入れるような工事をしなければならぬ。私は、まあたいした工事じゃないと思うのです。やったとしても、そんなにばく大な金が必要とは思われませんけれども、しかし、そういう工事をやる場合には、これは私鉄負担になるのか国鉄負担になるのか、一体どっちがやるのか。おそらく通勤者のための投資なんというのは国鉄私鉄もやりたがらない。両方の突っかけ持ちにしておいたならば、両方とも敬遠しますよ。そうすると、この団地に大ぜい人が入ったけれども、たちどころに足の問題団地の人はどうにも動きがとれないということになるのは、いまから目に見えている。多摩ニュータウンがたまたま問題になりましたけれども、ああいう問題は東京都だけじゃありません。埼玉県だって、周辺には一ぱいあります。ところが、先ほどのお答えを聞いていると、東京とか大阪とか、こういうところに限定しているようですが、東京周辺の埼玉県の場合だって具体的な例がある、千葉県だっておそらく具体的な例があると思うのです。そういう問題を一体どうするのか。これは運輸省として考えなければならぬ。公団としても、特定の私鉄のことだけ考えておって、こういう問題に目を転じなかったならば片手落ちになるんじゃないかと思うんだが、その辺の構想を、一体どうするのか、どういうお考えがあるのか、この機会にお伺いしたいと思うのです。
  65. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) ただいまの御質問でございますが、私も、その御質問のとおり運輸省としても早急に検討いたしまして対策を立てなくちゃならない一番重大な問題であると思っている次第でございます。ただに、これは新郊外地帯に住宅団地をつくり、これと都心を結ぶことによりまして、いま御指摘がございましたように、そういったような点につきまして在来線だけではとてもだめだという点、多々ございます。、それだけじゃなく、実は都心におきましても、あるいは三十六階のビルができる、あるいは四十階のビルができる。その場合に、輸送機関の整備をはからずして、一つのビルでもって一万五千人の通勤人数があるといった場合に、いまの自動車輸送などでもってそういうことができるか。三十六階の霞が関ビルにもしみんなが自動車輸送でもって自家用で一人ずつ行けば、三十車線の片道でもって一時間の時間がかかる。そのパーキングはどうするか、こういうような問題。必ず地下鉄建設しなければならぬ、いろんな問題が起こってまいります、ほんとうに率直な話。そういったような住宅政策、近住政策というものと輸送機関というものがばらばらであっていいはずはない次第でございます。そういう点は総合的の見地からいたしまして、都市計画と、それらに対するところのやはり輸送機関というものを一体にしてこれからは考えなければいかぬ緊急な問題であると私は思っている次第でございまして、はなはだおくればせでございますが、今回の鉄建公団法の改正も、まず一歩、はなはだおそい話でございますが、一歩を踏み出したにすぎない、こういうふうに思っている次第でございます。  先ほど来からご質問がございました、たとえば命令路線としてどうするかという問題も、私はそのとおりだと思う。命令路線については、やはり何というか通勤時だけで、昼間のときはほとんどその運輸機関を利用する客もいない。そうするとラッシュ時だけの通勤客だから採算が合うはずがないから、会社がなかなかつくりたがらない。その場合のあれをどうするか。私はやっぱり将来におきましては、海運などにありまするところの命令航路のように、やはり採算のとれないものにつきましては、国なり地方公共団体がある程度のめんどうを見るということをやってまいりませんでは、やはりその対策はできにくい。その財源をどうするか、いま非常にいわれている次第でございますが、都市計画上、先ほどからいろいろお話がございました、要するに地方開発利益還元が非常にむずかしいということで、また、課税技術が非常に困難で、課税の捕捉がむずかしいということでもって実現を見ておらない次第でございますが、それらも含めまして、やはり総合的見地でやってまいりませんと、非常に私はそこらの問題につきまして困難性が伴う。ただいま多摩団地だけでなく、高麗川の団地のお話がございましたが、これはやはり相当大きな大都市におきまして、そういった問題がいろいろ起こってくる。これはやはり総合的に私は検討してまいりまして、そうしてやはり住宅地からそのつとめ先までの間の足の確保をどうするのかという問題を早急に検討しなきゃならぬ問題と思っておる次第でございます。そういう意味で、実は私のほうといたしましても、やはり望むべくは私鉄に助成、国鉄のほうの新線あるいは線路増強につきましては国鉄自身もいたしますし、また鉄建公団におきましても、皆さまの御審議を願っておるとおり、そういったような都市間、あるいはまた大都市通勤通学の路線の増強をいたしておる次第でございます。まあ私鉄についても、やはりどうしてもやらなきゃならぬ。それには新しい公団を設立をいたしまして、専業でやらせることが一番やはりよいというような考えを持った次第でございますが、御承知のとおり、財政規模問題もございますし、また監察委員からの勧告等もございまして、新しき公団はこの際はひとつ遠慮してくれということになりまして、それではやはりそのままにほうっておくわけにいかぬということで、鉄建公団法の一部改正をいたしまして、そこに私鉄部門を設けまして、それで極力それらを実現していく。本年はまあ百二十五億円、先ほど伊部先生から御指摘がございましたが、非常に少ない次第でございますが、しかしながら、われわれの計画といたしましては、非常に多く要求をされておる次第でございますので、これを漸次やはり増強してまいりまして、監督陣容も強化をしてまいりまして、そうして国民の負託にこたえていかなきゃならない。これはまた、ただいま置かれております運輸行政のやはり一つの大きな中心課題である、こういうふうに思っておる次第でございます。
  66. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 鉄建公団のほうにお伺いしますけれども、この問題、いまのところの計画、どうもお聞きしますと、ごく限られた私鉄に対してめんどうを見るという結果にしかならぬようでありますが、私がいま指摘した問題は一つの例に過ぎませんけれども、やろうとするならば、国鉄私鉄と相互乗り入れでもしないと、これはうまくいかないんじゃないかという気がするんです。国鉄国鉄で、あんな赤字線にいまさら投資する気はないというように、のほほんとしているでしょう。私鉄私鉄で、まあ積極的にもうからないところに投資しようという気は起こさないということになり、どんどんどんどん団地はでき上がる。まあ、でき上がった団地から駅までのバスによって私鉄はもうけると、新たなるこれは収入源になるかもしらぬ。それは考えるけれども、じゃあその輸送力そのものは根本的に解決しようという気は起こさないということになると、これは団地住民は困ることになると思う。そういう場合、鉄建公団としては、積極的に国鉄私鉄、両方にまたがったような問題についても乗り出していくという構想があるのかどうか、また調査をすれば、そういう必要性のあるところは一ぱいあると思うんですが、現在どの程度調査をなさっておるのか、あるいは、これからの構想はおありになるのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  67. 篠原武司

    参考人(篠原武司君) 今度この公団法がお認めいただければ、われわれも私鉄のほうに積極的に考えていかれるような立場になりますので、国鉄だけじゃなく、私鉄も含めまして、この輸送の問題について真剣に考えてまいりまして、そういうような問題がございますならば、これは運輸省に積極的にお願いいたしまして、解決していただくというふうに考えております。この旅客輸送の問題については、御承知のように、全部乗りかえるということが非常に混乱を起こすという問題もありましょうけれども、大部分のものは乗りかえていく、乗りかえていって、まあ通し運転をしなくてもいいんじゃないかというような問題も起こるだろうと思います。そういうような問題を、どっちがいいかよく判断いたしまして、また運輸省でお考えいただきまして、解決するようにわれわれは今後努力してまいりたいと思っております。
  68. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 その乗りかえてもらうという原則だけでいくと、私鉄なら私鉄国鉄なら国鉄、別々の状態で、これは不便なんですよ。不便だし、たとえば国鉄のほうの高麗川なんかの例をあげますと、川越線とか八高線なんというところは、一時間か三十分に一本ぐらいしか気動車が走らないというところでしょう。連絡の便が悪かったりすると、どうにもならない。この前これを、国鉄の川越線と八高線で、おそろしく連絡の便が悪い、つまり一時間近く待たなければならないといったようなことがありましたので、だいぶ地元で問題にしましたし、私らも国鉄といろいろ話をしました。そのダイヤを改正するのにえらい手間がかかります。これは単線と単線ですから、そういうことになります。だから、これを解決しようと思うならば、複線にして電化しなければならぬ。単線で気動車が走っているようなところは対象になりっこないですよ。それは取り残されるにきまっているのです。だから、複線にして電化をすることができないなら、いっそのことやめちまったほうがいいくらいです。ですから、それくらいの思い切った投資をするような指導も、これは運輸省としてはしないといかぬと思うですよ。この前も地下鉄の延長の問題を私聞いたんですがね。たとえば六号線を大宮近辺まで延長する計画がある。私は六号線を延長するのなら、もっと延ばして高崎線の上尾まで入れたらどうかと言ったら、局長の答弁では、そんな必要はないと言った。しかし実際には上尾なんかの近辺にも団地がたくさんできている。その団地からバスでもって上尾までお客を運ぶ。ところが上尾でもって乗り切れないような状態なんです。ところが乗り切れない状態だけれども局長の答弁は、団地住民がかってにふえたんだから苦労するのはおまえたちのかってだという答弁。おれは知らぬというような顔をしている。こういう状態では、これからできる団地の人たち、たまりませんよ。だから、この程度のことはスズメの涙というよりも蚊の涙程度ですよ。こんなことでいいのかどうかということですよ。現状に合わせるというなら、もう少し親切に各団地の実態というものを調べて、それに適応できるような輸送力増強というものを考えるのが、私は役所としてもこれは義務じゃないかと思うのですがね、その点どうでしょう。
  69. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) おっしゃるとおりだと思います。まず私ども、この鉄道整備をいたします場合に、当然、人口の定着の状況というようなものを十分勘案をいたしまして、その過程におきましては、当然、建設省その他におきまするところの住宅の建設の計画というふうなものも踏まえた上で、そうしてこの建設を行なうということでございます。先ほど申しました多摩ニュータウンに関しまする問題もそうでございまして、これは都市計画事業あるいは土地改良事業というようなものによりまして、大規模住宅団地開発法によりまして大きな団地ができる、その団地に対応する鉄道建設するという措置でございます。  それから埼玉県の六号線の問題は、私は、団地がかってにできたのだから知らぬということを申し上げたつもりはございませんで、あれは都市交通審議会の、六号線についての審議会におきまして、都市交通審議会の御意見といたしまして、昭和六十年時点というものを想定いたしまして、その想定する事態における必要な鉄道申請は、一応、大宮市西部でございましたか、というような形のものでいいであろう、それよりもさらに必要であるということについては、これは否定するわけではないけれども、その時点における建設の目標というものはそこに置けばいいのであって、それ以上あまり広範なものをやりますと、将来の期待というようなものについてかえっていろいろ問題が生ずるということでないかということで、ああいう都市交通審議会の答申があったわけでございまして、決して、住宅団地等はどうでもいいんだというような、かってにふえたんだというようなことではございません。十分に把握をしておるつもりでございます。  それからなお、東京都だけじゃないかという問題につきましては、これは実は、この法律では、「政令で定める大都市及びその周辺」ということでございまして、「その周辺」ということで、大都市機能を維持するに足るための通勤人口の所在するようなところというようなものは、当然これが拡張をされて解釈をされるものでございまして、埼玉県、神奈川県あるいは千葉県というような地域におきまするかなりの部分というものは、この法律の適用の範囲の中に入ってくるということでございます。  それから最後に、八高線の具体的な問題につきましては、ちょっと私、手元に資料がございませんではっきり答弁できませんが、ただ、団地等ができまして、それによりまして通勤輸送が非常に逼迫をしてまいるということになれば、これは国鉄といえども、あるいは私鉄といえども輸送力増強いたしまして、この輸送に対処するべきことは当然でございます。したがいまして、その状況を見まして、国鉄の場合には、国鉄の新長期計画の中におきまして、そういう通勤輸送というものをやはり織り込んでやっていかなければならぬということであろうかと思います。私鉄につきましては、今回この制度ができましたから、この制度を活用いたしまして、そして整備を促進していかなければならぬ、このように考えるところでございます。
  70. 伊部真

    伊部真君 この問題は、私は、一つの側面でありますけれども、やはり旅客輸送の総合交通体系というものを立てて、そのうちの一環としてやるべきことではなかろうかと、そんなふうに思うわけですね。鉄道の補助金は、そうすると、事実問題、先ほど申し上げておるような、バスニュータウンと駅との輸送問題、この問題もありましょうし、過疎問題もありましょう、これらは、全体を通じてやっぱり国としての助成というものを総合的に打ち出さなければ、ほんとうは、ここで鉄道問題を出して、それからまた次のときに、いわゆる新しい住宅団地と駅との結合の問題を出すというようなことでは、どうもやっぱり国民に対しても十分な対策ということにならぬと思う。  そこで、私は、先ほど一番最初に申し上げたんですが、この「政令で定める」という政令ですね、内容についてひとつ明らかにしてもらいたい。先ほど、どうもはっきりしなかったんでありますが、政令でいわれるところの東京、大阪、名古屋、あるいは今度、四日市、福岡ですか、川崎が入ったというような、そういう意味ではないわけですね。
  71. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) いわゆる政令都市と称せられておりますのは、主としては、地方自治法上の観点を踏まえた上での政令都市というのが、一般にはいわれておると思います。しかしながら、ここで、十九条の四号できめております「政令で定める大都市」というのは、必ずしもそれにこだわっておりません。これは、この法律目的を達成するために必要な範囲としての大都市ということでございまして、そして現在では、先ほど申しましたように、東京都、大阪市、名古屋市というものを一応考えております。しかしながら、将来、この法律目的を達成するために必要な地域、たとえば、そこにおきまして通勤輸送が非常に混雑をし、そしてこの法律にのっとった整備をしなければやっていけないというようなところが出てまいりましたならば、当然これは拡充をいたしまして、その範囲を広げていきまして適用さしていくというような運用にしたらいかがかと思います。現在、政令として考えておりますのは、先ほど申しました三都市でございます。
  72. 伊部真

    伊部真君 どうもその点が、現状から見て妥当ではないように思えるわけです。何もそういうところ、東京、大阪、名古屋というものに限定しないで、やはり大都市の輸送問題問題が起きたところというのは、当然対象にしていいのではないか。そういうことに限定しますと、やはり申請者、申し入れの上でも、先ほど言ったように、首都圏の中でもうその通勤範囲になっているところですら問題が起きてくるのではないか、千葉だとか埼玉だとかあるいは栃木だとかいうようなところで。したがって、この場合には、やはりそこだけでなしに、首都圏とそれからそれに準ずるようなところは対象にしていいように思うのですが、その点はどうですか。
  73. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) その点は、おっしゃるとおりでございます。それで、「政令で定める大都市」という政令では、東京都、大阪市、名古屋市をいっておりますが、この法律の適用は「政令で定める大都市及びその周辺地域」でございまして、たとえば、先生いま御指摘のような埼玉県だとかあるいは千葉県だとか神奈川県だとかいうのは、相当の部分というものが当然それは東京都の「周辺地域」ということで読んでまいりまして、その範囲に延びてまいりますところの鉄道というものも、この法律の適用を受けるわけでございます。  それと、私が先ほどそれ以外の問題ということを申し上げましたのは、この法律の適用を必要とするような地域が、たとえば北九州市に生ずるというような場合には、その北九州市を今後適用をしていくというような形でのものでございまして、そういう必要が生じた場合には、北九州市を「政令で定める大都市」として指定して範囲を拡大していくと、こういう意味でございます。
  74. 伊部真

    伊部真君 それから対象の業務ですけれども、いわゆる複々線だとか、あるいは都心の直接地下鉄への結び、あるいは新しいニュータウンとの関係、この業務範囲は限定されるわけですか。先ほど瀬谷委員からこの御質問がありましたが、いわゆる国鉄国鉄との結びというのもありましょうし、必ずしもこの対象に限定しなくていいように思いますがね、その点はどうですか。
  75. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) まあ、これ、私鉄工事——国鉄も同様でございますが、工事の分け方でございますが、いろいろあるわけでございます。一番卑近なことから申し上げますと、たとえば車両を増強するような工事ということによりまして輸送力増強をしてまいる、それからさらに、信号機をふやすということによりまして、閉塞の回数というものを多くしてまいる、あるいは車両連結両数を長くするということのためにホームの長さを延伸をしていく、ホームの有効長延伸と言っておりますが、長さを延伸していくというような工事がございます。従来、私鉄はそういうような工事輸送力増強に対処をしてまいったわけでございますが、最近では、そういうようなことではもう間に合わなくなってきまして、新たにもう一線、複々線化をするというようなこと、あるいはもう都心に直通をしなくちゃならぬ、都心乗り入れを、地下鉄直通の乗り入れを行なうというようなことだとか、それから、先ほどから話が出ておりまするところの、非常に大きなニュータウンができた、これに対して鉄道を新たに線を引かなければならぬというような、そういう意味での基礎的な、大規模な設備の増強というようなことが必要になりました場合に、これが従来の私鉄の力ではとてもやっていけないという姿におきまして、これを選びまして今回の工事の対象というふうにしたいということでございます。その場合に、たとえば地下鉄直通乗り入れ工事というような場合におきましても、具体的な内容といたしましては、たとえば線路をつくるということもございますし、それに対する軌道工事をするということもございます、架線の工事をするということもございますし、たとえば乗りかえる駅をどうするかということも、当然その地下鉄直通の工事の中に入ってくるわけでございまして、先ほどお話がございましたような点につきましても、当然、その中で含めて問題を解決をしてまいり、地下鉄直通の工事の中に含まれるような乗りかえ設備というものも当然その中に含めて問題を解決してまいる、こういう趣旨でございます。
  76. 伊部真

    伊部真君 それから助成の内容でありますけれども、大ざっぱに見まして五%、それから地方公共団体で五%になるのではないかという話でありますが、地方公共団体はこの負担をすることについて了解を得ているのかどうかですね。それはいまのところ東京、大阪、名古屋という具体的な線が選定されたけれども、これは先ほど来、鉄監局長言われておるように、必ずしもそれではなしに、通勤範囲内の大都市周辺というものが含まれるとするならば、相当広範囲になると思いますが、そういう意味では、対象の地方公共団体というのはかなり範囲が広くなってきます。その辺の点についてはどのように配慮されているかですね。
  77. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) 今度のこの工事でございますが、この工事によりまして、もちろん住民の利益というものは非常に向上するわけでございます。地域社会に与える大きな貢献ということは言えるわけでございますから、したがって、地方公共団体にある程度これに対して負担していただくということは、まあ当然のことじゃないかと思うわけでございますが、それにつきまして、地方公共団体の助成につきまして、現在、自治省とそれから関係地方公共団体といろいろ話し合いをしております。それで基本的には、まず全国的な問題については自治省には原則的な了解を得ております。ただ、具体的な問題になりますと、当然これは当該地方公共団体と相談をしなければならぬわけでございます。現在、東京都等とこの問題についていろいろと御相談を申し上げておるところでございます。大体において了解を得られるものと私ども考えておりますが、先ほどお話がございました今後広がっていくものにつきましては、当然広がっていく段階におきまして当該地方公共団体と話し合いを進めていく、こういうふうに考えております。
  78. 伊部真

    伊部真君 公団のほうにお尋ねをいたしますが、先ほど総裁のほうで、公団自身の仕事として新しい業務を含めて消化をしていきたいと、こういうお話がありました。したがって、人員的には、いまの陣容の中でかなり消化ができるのであり、そんなにたくさんは要らないだろう、こういう趣旨のお話でありましたが、そうしますと、新しい私鉄関係業務内容というのはどの程度になりましょうかね。たとえば設計はいわゆる申し入れのほうからつくられるとすれば、工事監督なり、その工事施行なり、いままでの公団での国鉄工事の場合とはかなり違ったものになりますが、違った面というものはどの点が違ったところになりましょうか、その点をちょっとお聞かせをいただきたい。
  79. 篠原武司

    参考人(篠原武司君) 今度の仕事内容の中で一番業務量が多いんじゃないかというように考えておりますのは複々線の線増でございまして、これは営業運転をやりながら工事をやるものでございますから、こういう問題については当然、運転の責任を持つ私鉄がおやりになるほうがいいんじゃないかということで、委託するということは当然起こってくる問題だと思います。まあ、そのほかの問題についても、いろいろ仕事のいままでの進みぐあいその他を考えまして、私鉄にお願いするというようなことになるかと思いますが、しかし、この仕事公団自身の仕事として責任を持ってやらなきゃならぬという立場で、われわれとしてはその仕事内容をはっきり把握をし、監督責任はもちろんでございますが、仕事の、工事設計の積算にしましても何にしましても、しっかりしたデータをはっきり握っていなきゃならぬというようなことになると思います。そういうようなことで、私どもとしては、そういう責任を遂行する上の最少の人間を確保しておきたい。ただ、全般的な問題としまして、ほかの担当の理事も関係いたします、特に経理担当の理事はその予算の関係一切を処理しなきゃならぬというふうに考えておりますので、工事の遂行上の問題が新しい理事に課せられる問題じゃないかというふうに考えておりますので、まだこれ、はっきりした人数を申し上げられる段階じゃないんでございますが、私どもとしては三十人ぐらいふやせばいいのじゃないかというような一応のめどを立てて運輸省にお願いしておりますが、まだ、最終的に決定しているわけではございません。それから一部をつくると、一部二課ぐらいの程度のものをお願いしておりますが、これもまだ決定していただいたということを申し上げる段階じゃございませんので、ここで御答弁していいかどうかわからないのでございますが、そういうような段階でございます。
  80. 伊部真

    伊部真君 次に、これはむしろ運輸大臣のほうの関係だと思うのでありますが、結局、申し出があって、その路線については意見があると思いますね。たとえば私鉄申し出路線というものと、それから運輸省考えている、これはやはり先ほど申し上げたような乗り入れの関係なんかでも、運輸省としての意見があろうかと思います。で、その場合の調整は、やはり公団ではなしに運輸省がやられるということですか。
  81. 山口真弘

    政府委員山口真弘君) これは当然、申し入れの前提といたしまして、先ほど申し上げました地方鉄道法に基づくところの工事施行認可という問題がございます。それで、その工事施工の認可建設し、具体的な設備はどうし、それから他の鉄道との連絡関係等はどういうふうに持っていくかというようなことをずっときめてまいるわけでございまして、その点におきましては、先生御指摘のように、その点は運輸省調整をいたしまして、そうして基本的な計画は決定をするということに相なるわけでございます。
  82. 伊部真

    伊部真君 次に、先ほど公団業務内容について質問したんですが、少しお答えが不十分な点を重ねてお尋ねいたしますが、公団の現在持っておられる工事というものは総計で五十七ですか、ということでありますが、この場合の業務内容というのはどういうことなんですか。いわゆる設計監督、それから直接、工事というものも公団自身の責仕でやられるわけですか。内容について少しお聞かせをいただきたい。
  83. 篠原武司

    参考人(篠原武司君) ただいま実施しております国鉄関係工事は、大体において請負にかけております。ただ、青函トンネルにつきましては、いままではいわゆる直轄工事といいまして、公団自体で全部職人まで集めまして仕事をしておるというようなことでございましたが、今年度海底部分の工事を請負に出しまして、これも大部分が請負になる形でございますが、しかし、先進導坑といいまして、仕事を先に進めていくものだけについては直轄工事でやると思います。そのほか、いわゆる鉄道の新線につきましては全部請負にかけまして、公団設計し、見積もりをし、請負にかけ、そのあとの監督から何から全部、公団責任において仕事をしております。
  84. 伊部真

    伊部真君 そうしますと、総計いま二千三百五十名程度おられるようでありますが、結局、現場のほうにおられる方と、それから本庁のほうにおられる方というのは、どのような配分になっておりますか。
  85. 篠原武司

    参考人(篠原武司君) 四十六年度の定員といたしまして、二千三百五十八人でございますが、本社には二百五十一人でございます。しかし、このほかに、先ほど申し上げました青函トンネルなどの直轄工事につきましては、現実に現場で仕事をしております従業員——臨時職員と言っております。これが六百人か七百人いると思います。そのほかにでございます。
  86. 伊部真

    伊部真君 そうしますと、すでに三十名程度と言われるのは、いわゆる現場の人たちを含めた全体のウエートから見ると、本庁におられる人だけじゃない、全部を含めて三十名というふうに理解していいんですね。
  87. 篠原武司

    参考人(篠原武司君) 大体、本社にいる人間だけでいいと思いますが、本社から現場に出るんじゃないかというふうに考えております。それで、全体でそれだけの人間。先ほど申し上げました直轄工事の人間というのは、これは青函だけでございます。
  88. 伊部真

    伊部真君 工事内容については、ほとんどこれは公団のほうでは修正なりその他ということは、いまのところはないというふうに理解していいわけですね。これはほとんど申し入れのほうから設計内容が提示をされて、それを見て、そして工事監督をするという、いわゆる現地で監督をするということがおもな業務で、それからもう一つは、経理上の仕事をするというのがおもな業務だというふうに理解していいわけですね。
  89. 篠原武司

    参考人(篠原武司君) 大部分はそうでございますが、非常にまずいというようなことがございました場合には、運輸省にもよく連絡をとりながら、修正する場合もあり得るかもしれません。
  90. 伊部真

    伊部真君 終わります。
  91. 木村睦男

    委員長木村睦男君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止〕
  92. 木村睦男

    委員長木村睦男君) 速記起こして。  本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめておきます。  午後は運輸事情等に関する調査を行なうこととし、午後二時まで休憩いたします。    午後零時三十三分休憩      —————・—————    午後二時九分開会
  93. 木村睦男

    委員長木村睦男君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  運輸事情等に関する調査議題とし、質疑を行ないます。御質疑のある方は順次御発言を願います。
  94. 小柳勇

    ○小柳勇君 貨物輸送問題中心に質問いたしますが、まず、その前に、輸送体制の秩序確立ということで、トラック輸送の分野、あるいは鉄道輸送の分野、海上輸送の分野、とりあえずこの三つの分野の現状、それから新全総の昭和六十年を目ざして一体、運輸省はどういう方向でおのおのの輸送分野を考えておるか、こういうものから先に質問してまいりたいと思います。  あと、貨物運賃を少し勉強しておりまして、これはあとの国鉄運賃の値上げとの関連もありますから、貨物運賃というのは一体、物に体してどういうものであろうかと、運賃の実態というものを少し質問すると。そのあとは、昨年、貨物運賃が、トラック運賃が、貨物自動車による運賃が改定されました。その改定された運賃が完全にいま適用されておるかどうかという実態を知り、そのあとで、その貨物運賃が完全に守られておらぬために貨物自動車の過積などが起こっておるのではないか、また過積のために自動車事故が、貨物自動車の事故が発生しておるのではないが。また、過積のために運転手の過労なども発生しておるであろう。それを防止するにはどうするか。  最後に、海上輸送のほうにいま道路運送が移行しつつあります。したがって、カーフェリーなどを利用する海上輸送の問題を最後に質問すると。こういうことで、一時間しか時間がありませんから、問題が少し大ざっぱになりまするが、質問を展開していきたいと思います。  したがいまして、冒頭申し上げましたように、輸送体制の秩序を確立するという立場から、現在のトラック輸送の分野、鉄道輸送の分野、海上輸送の分野はいかになっておるかということを冒頭御答弁を願います。
  95. 見坊力男

    政府委員(見坊力男君) 昭和四十五年度の機関別のシェアで申し上げますと、自動車が八七%、鉄道が五%、海運が八%、これはトン数のシェアでございますが、全体の国内の総貨物輸送量は、五十三億トンでございます。
  96. 小柳勇

    ○小柳勇君 新全総、昭和六十年を目ざす計画が立てられておりまするが、この新全総達成昭和六十年ごろにはどのような分野を考えておりますか。
  97. 見坊力男

    政府委員(見坊力男君) 昭和六十年を目標にいたします新全総におきましては、総貨物が八十九億トンでございます。それのシェアとしましては、自動車が八七%、鉄道が五%、海運が八%でございます。
  98. 小柳勇

    ○小柳勇君 さっき冒頭に言われた八七%、五%、八%というのは、現状じゃないんですか。
  99. 見坊力男

    政府委員(見坊力男君) そうでございます。  で、このシェアとしましては、先ほど申し上げたシェアとたまたま同じ数字になっているわけでございます。
  100. 小柳勇

    ○小柳勇君 どういう統計から出ているかわかりませんがね、私どもがとっているシェアとずいぶん違います。それはどういう統計ですか、いまのは。
  101. 見坊力男

    政府委員(見坊力男君) これは新全総を策定する段階におきまして検討された数字でございます。シェアは同じ数字でございますが、もちろん総貨物量におきまして四十五年度の五十三億トンから昭和六十年には八十九億トンに伸びます。したがいまして、自動車、鉄道、海運、それぞれにつきましてもトン数が非常に大きくなっているということに相なります。
  102. 伊部真

    伊部真君 昨年のたしか七月に出た運政審の総合部会答申によりますと、その数字は、大体四十四年度をたしか四十八億トン、昭和六十年は二百億トン、そうして総トン数で四・二倍、トンキロで五倍になるということを基礎にいたしておるはずなんでありますが、それは八十数億トンというのは、かなり違うように思うのですがね。その点は、その関係はどうなんですか。
  103. 見坊力男

    政府委員(見坊力男君) 昨年七月に出ました運政審の答申の総貨物量は、いまご指摘のとおり二百億トンでございます。これは新全総が昭和六十年でGNPを百三十兆ないし百五十兆円という見通しのもとに作業が行なわれておりますが、運政審の場合にはGNP二百兆円ということを前提に作業をいたしておりますので、貨物量においてもその差が出てきておるわけでございます。
  104. 伊部真

    伊部真君 そうすると、これからの運輸省の運輸行政の指針というのは、やはり運政審の総合部会答申というのが中心になるのではないですか。
  105. 見坊力男

    政府委員(見坊力男君) 運政審から答申されました内容は、施設整備の面、それから制度、政策の面、両方ありますが、運輸省としましては、この運政審の答申を尊重して、その線に沿って今後行政を進めてまいるということになるわけでありますが、ただGNP二百兆円ということは、一応の見通し数字でございまして、現在も経済社会発展計画の手直し、あるいは新全総の手直しという作業が行なわれようとしているようでありますが、それらの数字が変わりまして、経済フレームが変わった場合に、われわれは別に二百兆円を固執するわけではございませんので、それらの政府全体としての作業の過程を見ながら、また輸送需要等も検討しなければならぬというふうに考えております。
  106. 伊部真

    伊部真君 これ、私、関連ですから、これで最後にしますが、はっきりしておいてもらわなければならぬのは、運輸省としてはどの数字を基礎に置いた見通しにおいて行政をやられるのか。私は経済成長のことを言うのではありませんが、少なくとも数字の面では、数量では二百億トンということを基礎に置いて、その輸送の分野というのは自動車、レール、それから内航というふうに分野をきめられておるわけですね。そういうことで、たとえばターミナルがどういう施設をするとか、あるいは鉄道の輸送量はどういうふうにするとかいうことがきめられておられるわけでしょう。そうすると結局、新全総の場合は四十四年の五月ですか、発表されて、その後に、経済成長を織り込んで昭和四十六年の七月に新しく総合部会答申というものが、運輸行政に結局焦点を当ててできておるわけでしょう。そうすると、ここで議論があって、先ほど小柳委員からも質問があったのは、これからの輸送の分野はどうするかということを質問するときの土台としては、当然に四十四年の四十八億トンから、経済成長を織り込んだ二百億トンというものが基礎になるんじゃないですか。そうでなければ、二百億トンというのが、運輸省としては当然、ああいう答申が出たけれども、それは必ずしもそういうような数字にはならないで、もう少し少な目だとか多い目だとかいうふうに考えるとか、基礎がどこかに置かれなければいかぬと思うのですが、八十九億トンと二百億トンでは、数字があまりに違い過ぎるので、これじゃ見当をどっちに置いていいかわからぬわけですから、運輸省としては、やはりはっきりと、その点の基礎を、どの程度を基礎に置いてこれからの行政をやられるのか、明らかにしておいてもらわなければならない。
  107. 見坊力男

    政府委員(見坊力男君) いま御指摘のとおりでございますが、将来の輸送機関別のシェア等を見る場合に、全体でどのくらいの輸送需要が発生するであろうかということは、経済フレームが前提になるわけでございます。新全総もまだ改定されていない現在の段階におきましては、もちろん運政審の答申を尊重して作業をわれわれは進めるということでございますが、ただ、先ほど申し上げましたように、このGNP二百兆ということを前提にしまして、昭和六十年に二百兆になるということを前提にして作業を進めたのが運政審の作業であります。この場合に、もちろん議論がございまして、新全総の百三十兆ないし百五十兆——百五十兆をとって作業をしようかどうかという議論がございましたが、昨年の段階では、当時の経済的な情勢から見れば百五十兆というのは少ないのではないかという御議論がありまして、最終的にはGNP二百兆ということで作業を進めることになったわけでございます。ただ、その後、ニクソンショックであるとか、経済的な情勢が非常に変転してまいりまして、それらのことを考えますと、六十年まで二百兆ということを絶対に変えないということも、はたして適当であろうかどうか。むしろ、新全総の作業が別途行なわれて、そのGNPの見通しをどの程度にするかということが明らかになりますと、それによって、また、この運政審の見通し作業についても、もう一回見直してみる必要があるというふうに考えております。  ただ、いままでの運政審の考え方は、基本的には新全総に盛られた考え方をベースにいたしております。今度は新全総のほうで——まだ各省間で具体的に詰めるというところまでいっておりませんが、伺うところによりますと、福祉優先の新しい総合開発計画ということを目標にしておるようでありますが、そういうようなことから、数字的にどういうふうになるか、これはもう少し作業の結果を見ないとわからないわけであります。ただ、それは作業が行なわれた結果、われわれのほうがどうなるかということでありまして、現在の段階では、まだそういう数字が出ておりませんので、われわれとしては運政審の答申を尊重してまいりたいというふうに考えております。
  108. 小柳勇

    ○小柳勇君 この運輸省で出しております自動車局監修の運賃説明書の統計にも、「輸送機関別輸送量の推移」、昭和六十年、二百八億二千万トンと出ております。その中で、自動車が百八十三億八千万トン、鉄道が八億三千万トン、内航海運で十六億一千万トン。さっきパーセントを言われました。パーセントは大体同じですけれども、自動車が八八、鉄道が四、内航海運が八ということでパーセントが出ておりますが、一応この数字を基礎にして論じてもいいと思います、いろいろな統計のとり方がありますから。そういたしますと、これはトラックのほうは、いまから約四倍の輸送量になります。内航海運が約五倍です。で、トラック——あと鉄道はまた別の機会に論じますから、きょうはトラックと内航海運だけ論じますが、このトラックの四倍の輸送、昭和六十年ですから、もうこれから十二、三年の間に、現在の道路の建設状態考えながら、四倍のトラック輸送というものが実現されるであろうかと、そういうことを御検討になったことございますか。もちろん、これは自信がなければこんな数字は出ないでしょうが、現在の道路の建設状況なり、その他の地理的な条件を勘案しながら、この十二、三年の間に四倍のトラック輸送というものが動かなければならぬのであるが、それが一体十分可能であるか、この点いかがでしょう。
  109. 見坊力男

    政府委員(見坊力男君) 現在の国内貨物輸送トン数だけでも、港湾にも混雑を来たしておりますし、道路も混雑をしているということでありまして、これがさらに、昭和六十年に先ほどのような輸送需要ということになりますと、御指摘のように、非常に各輸送機関ともたいへんな負担になるということでございますが、運政審の考え方は、これらの輸送需要をまかなうためには、それぞれ、鉄道、港湾、空港等の施設整備を指摘いたしておるわけでありますが、基本的には、輸送機関、それぞれ特性を有しております。鉄道が中長距離大量輸送、あるいは海運が長距離大量輸送、あるいは自動車は面的な輸送であるとか、それは個々に具体的になりますと、いろいろなケースがあろうかと思いますが、大ざっぱに申しますと、そういう特性もあげることができるわけであります。そのそれぞれの機関の特性が発揮されるような政策誘導を行なっていく必要があろうというふうに考えておるわけでありまして、そのために、流通拠点港湾の整備であるとか、あるいは専用輸送——フレートライナーであるとか、あるいはターミナルの整備とか、そういうようなことが必要になってくるわけであります。今後それらの、基本的には各輸送機関における特性を発揮させるように、まあ競争原理並びに利用者の選好ということを基本的な原則といたしながらも、その整備には財政的な措置等、十分裏づけをして整備をはかっていく必要があるというふうに考えておるわけでございます。
  110. 小柳勇

    ○小柳勇君 非常に抽象的ですけれども、端的に言って、いまのような道路事情などでは、四倍の荷物はトラックで運べないのではないかと。したがって、カーフェリーなり、内航海運の発達なり、道路を通れないものは海を通してでも、とにかく四倍の荷物を動かさなければならぬ。これが新全総の、昭和六十年ごろの、目標とする物の流れに対する運輸省としての対応である、こういうふうにいまのことばを受け取ります。  この「トラック運賃の解説」、この七ページにこう書いてあります。これはもうはっきりそのことを言いあらわしておると思いまするが、「まづ、トラックの輸送量は、昭和六十年には、現在の約四倍になり、高速道路、大規模港湾の整備、公害対策等による産業立地の変化、経済の高度加工型への移行により輸送パターンが変化し、消費生活の高度化等により輸送需要の質的内容が変ってくる。現状パターン延長では、このような状況に対応できず、経済活動はマヒせざるを得ないといえよう。」と書いてある。現状からずっと延長してみますと、もうこのような状況に対応できなくて、経済活動は麻痺せざるを得ないと言えようと書いてあります。これは前の貨物課長の武石さんが署名入りで国の責任で書いてありますから、たぶんこれはいろいろ研究された結果、責任を持って書いておられると思います。りっぱな本だと思って感心して読んでおりますけれども、いま審議官言われたような方向で書いてあります。であるならば、どうするかということですね、問題は。トラック輸送に依存してこれから十年間いきますと経済活動は麻痺しますと書いてあるんです。であるならば、この長距離輸送などを現在トラックでやっております、こういうものに検討を加えなければならぬのではないか。たとえばドイツでそういう対策を立てた例がございますけれども、これはあとで鉄道との関連で論議いたしますから具体的には提案いたしませんけれども、現在、運輸省としては、トラックはますます大型化する、あるいは運行距離はますます長距離化する、これをそのままこれから昭和六十年まで現状パターンで延長できると考えているのかいないのか、この点を少し端的に御返事願いたいと思うんです。
  111. 見坊力男

    政府委員(見坊力男君) 運輸政策審議会で総合交通体系が議論されまして答申が行なわれましたのも、いままで各輸送機関別に需要に対応してきた、そこに問題があるわけであります。全体的に総合的な整備をする必要があるということでございまして、端的に申し上げるならば、資金の確保等もそれぞれの機関がそれぞれに対応してきたということで、全体としての斉合性がとれていないということを指摘いたしておるわけでございます。今後、施設整備の面につきましては、そのときどきの財政事情等もあろうかと思いますが、重点的に、道路で運び切れないもの、それを海運に回すとか、あるいは運政審で指摘いたしておりますように、新幹線整備すると同時に在来鉄道を貨物線に活用していくというようなこと、あるいはカーフェリーあるいは流通港湾の整備、そういったような整備をはかっていく必要があるわけであります。非常に抽象的なお答えでございますが、そういうような個々の施設について、それぞれの、その時点において財政事情等も見ながら最善の策を講じていく。しかし、全体として昭和六十年でこれだけの貨物輸送が出てくる、その場合に、それをこなすにはこれだけの施設整備をしなければいかぬということが運政審の答申でいわれております。それらの点を十分見ながら、個々の各年度の対処をしていく必要があろうというふうに考えます。
  112. 小柳勇

    ○小柳勇君 また鉄道との関連で別の機会にこの点少し論議いたしましょうが、いま内航海運の問題が口に出ましたから——その内航海運関係でこれから両二、三年の間に約五倍ぐらいの荷物を運ぶように数字の上に出ておりますが、これに対する方策、特にカーフェリーの今後の動向などについて海運局長から御説明をいただきます。
  113. 鈴木珊吉

    政府委員(鈴木珊吉君) 先ほどの総合交通体系では、内航海運は約十六億トンでございますね。まあ大体現状が先ほどおっしゃいました四倍伸びというふうになっております。これは、そのシェアが大体八となっておりますね。それで、ここ二年ぐらい先となりますと、それほど伸びないんじゃないか。これは六十年を目標にしておりますね。特に内航海運は、現在でもすでに内航海運の貨物輸送で落ちているものは、もう陸上と要するにせつ然と分かれているんじゃないか、マクロで見ますとね。つまり、非常に長距離のもので、しかもバラ積みしてどかっと積むものでございますね、これは鉄道にも載らなければトラックにも載らないというものが大部分でございます。鉄道にも積めますしトラックにも積めるもので、かつ内航にも積めるというものは機械みたいなものじゃないかと思います。したがいまして、鉱工業の生産がいま停滞しておりますけれども、一応GNPが二百兆円ということになりますと、相当の生産性が上がってくる。したがいまして、臨海工業地帯を中心にいたしまして行き来する内航海運荷物と申しますものは相当これからふえるであろう。それに伴いまして、やはり専用船ですね、おもに専用船が今後非常に伸びていく、鉄鋼は鉄鋼、鋼材ばかり積む船でございますね。それからセメントはセメントだけ積む船、タンカーはタンカー、木材は木材、そういうふうに専用化して動かしていくのではないかと思います。  それからカーフェリーでありますけれども、これはむしろ自動車輸送と競合いたします。競合といいますか、むしろ自動車輸送経路が海に移った、海のバイパスというふうに考えております。自動車輸送はそのままで船に乗っているだけだ、それをまあ要するに船を経路に使っているという趣旨でございます。これはまさに自動車が利用され、トラックが利用される、これなどはむしろ自動車との競合じゃなしに、自動車と鉄道との競争になるのではないか、それの一つの変形ではないかと思います。先ほどもお話がありましたように、道路がそれほど拡張できればでございますけれども、そう簡単にいかないとすれば、やはり海のほうを利用するのではないかと思います。ただ、現在カーフェリーで運んでおります貨物でございますけれども、これはトラックの台数とそれから無人車とを合計した台数を貨物に換算いたしましてかりに統計とってみますと、年間に、中距離あるいは長距離のカーフェリーでございますけれども、わずかに二百七十万トンくらいでございますね。それに比べますと、自動車の輸送トン数は何十億というようなぐあいでございますので、比較にならぬほどいまのところは小さいのでございます。将来もそれは相当伸びるのではないか。したがいまして、今後長距離のカーフェリーの隻数、荷数などが相当ふえるのではないか。したがいまして、港湾施設というものもカーフェリーの専用の埠頭というものを設けて、陸上との結節点をスムーズにしていく、そういう施設も要るのじゃないか、かように思っておりますので、今後、内航貨物輸送はもちろん発展いたしますし、カーフェリーもやはり同様にふえるというふうな見通しでございます。
  114. 小柳勇

    ○小柳勇君 時間が少ないので問題はあとに残しまして、この輸送機関別の総合輸送体制というものは、あと国鉄運賃など論ずるときに根本的に論じましょう。  先に進んでまいりますが、貨物運賃が昨年改正されましたが、その改正された貨物運賃が完全に適用されておるかどうか、荷主なり運送業者を若干調べてみましたが、運送業者の言いますのに、荷主に弱いから、なかなか値切られるというと無理に言えない、やむを得ずやっていますと。荷主としては一挙に変えられても困るからということで契約を済ましております。悪いところでは、きめられたこの運賃の半分ぐらいで走ってるところもある。そのために過積する。トン数じゃありませんと言いますけれども、前の例によってトン数でいって、たとえば十トン車に、半分の運賃でやるものですから倍積んでいくというようなことを聞いておるわけですけれども、改正されたこの貨物運賃というものが完全に適用されておると思うかどうか、自動車局長から御答弁を願いたい。
  115. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) 昨年トラックの運賃を改定いたしましたが、その改定後の実施状況につきまして、ただいま先生から御指摘がございましたように、また、これは前回でございましたけれども伊部先生からも御指摘がございましたが、私ども新しい運賃によって収受をするということを強く指導いたしておりますけれども、遺憾ながら一部の事業者の間におきましていわゆるダンピングと申しますか、認可運賃をある程度下回った運賃によって運賃が収受されておるという実例を聞いております。その理由につきまして、私どもやはり根本的に考えてみますと、荷主というものに対してトラック事業者は経済的に弱い。したがって、もうおまえのところには輸送を頼まないぞというようないわゆる荷主筋からの圧力がかかりますと、従来からのお得意を失いたくないということから、せっかく運賃の改定が行なわれたにもかかわらず、いわゆるダンピング的な運賃があるということは事実でございます。で、私ども、この問題につきまして全日本トラック協会といろいろ荷主に対する立場の強化について協議をいたしました。最近、トラック事業者が、荷主に対するサービスといえば運賃を割り引くことであるというふうに非常にイージーゴーイングな気分があったわけでございますが、今度はそういうことではなくて、安全確実に荷主の需要に応じて運ぶということがサービスであって、ただ運賃をまけるということがほんとうのサービスじゃないのだという自覚が高まってまいりましたので、私どもこの点、今後も指導をいたしたいと思います。中には、トラック事業者の中で非常に話を積極的にいたしまして、たとえば共同集金制度をとるということによって、協同組合によってあるいは共同集金会社をつくりまして、そして、どの輸送業者が運ぶにしても法定の認可運賃というもので収受する、そして、わずかながらのパーセンテージのものを共同集金会社の費用に充てれば、ほとんどその認可運賃の実額にひとしい額で回収できるということでやってる例もございますので、こういうものを参考にして、今後、せっかく改定いたした認可運賃でございますので、二〇%の幅の中でこれの収受ができるように指導をいたしたい、せっかくその督励をいたしたいと私ども自身も考えておるところでございます。
  116. 小柳勇

    ○小柳勇君 このきめられた運賃が完全に守られておらぬことを運輸省もお認めのようでありますが、いままでの重量制が今度は車両制に改まった、たいへんな改革でありますが、これも荷主のほうが十分に知ってその法を順守いたしますと過積などは起こらぬはずですね。その点、業界なりあるいは出先機関などでどういうような指導をしておられましたか、そのいままでやられました行政指導の実態を御説明ください。
  117. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) いままでの運賃改定並びにその実施に対する行政指導でございますが、トラック事業者に対しましては、私ども——全日本トラック協会の中に運賃委員会というものがございまして、その運賃委員会が路線トラックあるいは区域トラックにつきましてそれぞれ荷主側と折衝するわけでございます。荷主側につきましては、これは各物資別にいろいろの、農林物資あるいは商業関係の物資あるいは食料とか燃料とか雑貨とか、いろいろの商品別の物資があるわけでございますが、私どもは東京におきまして全国一本でその運賃レートをやるわけでございます。この荷主の団体の連合会と申しますか、協議会というものがございます。これは、いままでは大体、長い間、鉄鋼連盟がそこの幹事みたいな役をやっておられまして、各荷主団体のいろいろ連絡調整に当たっておられたわけでございます。したがいまして、たくさんある品目の荷主の中には、必ずしも運賃折衝の実情をよく御存じないということもあって、そういうことから、また荷主の立場が強いということから改定した運賃が守られていないという事情もあったと思います。私どものところにも、一部、各商品別の荷主さんのほうから多少の苦情みたいなことが来ておりますので、私どもよく荷主さんの団体の中で調整していただくように、各地方においてはもっときめのこまかい指導をしたいというふうに考えておりますが、いままではそれぞれの荷主団体の窓口を通じまして周知徹底をはかり、もちろん運賃制度の説明会というものは各陸運局あたりで分けて何回もやっておりますので、そういうところに御出席願えればそれによって状況は御存じだということでございますが、必ずしも徹底していない節があったわけでございますので、非常に品目の範囲が多岐にわたりますが、これはさらにきめのこまかい指導を今後したい、かように考えております。
  118. 小柳勇

    ○小柳勇君 十分守るようにひとつ指導して、まずきめられたものを守るという態勢から業界の自粛のほどを求めてください。  それから車扱い運賃料金というものが各局できまっております。この基礎は一体何であろうか。前からの表を若干修正したとおっしゃるかもしれませんが、一体、貨物運賃とは何か。これは鉄道運賃についても今後いろいろお聞きしますが、貨物運賃とは何か。この基礎になります規則を読んでみますと、各局ともあまり大差はないわけです、札幌も、東京も、九州も。たとえばトラックの運賃が安くて鉄道運賃が高いというとトラックに来ますね。いわゆる行政指導上の運賃もありましょうし、一番基本的なのは、荷主さんがあまり痛くなくて運送業者がもうかる運賃でなければならない。一体、車扱い運賃をきめられました、この料金表の基礎は何ですか。
  119. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) これはトラックの車扱い運賃だけの原則ではございませんが、一般的な方針といたしましては、これは道路運送法に基づきまして適正原価主義ということでその基本の運賃をきめる場合には、適正な原価、能率的な経営のもとにおける適正な原価を償い、かつ合理的な利潤をも含むという考え方でございます。先生のいまおっしゃいましたように、各地域的な差というものもあるのではないか、あるいは季節的な差というものもあるのではないか。これにつきましては、私どもはむしろ、たとえば冬季の割り増し期間とか、割り増しの率、あるいは大量の長期契約については割引の率というようなことによって現実的に調整をして、地域的な差あるいは商取引の形態に応じた、何と申しますか調整が行なわれていくということになると思います。基本的には適正原価主義ということが一番の基本でございます。
  120. 小柳勇

    ○小柳勇君 適正原価主義ということばをお使いになりましたけれども、適正ということばには非常に意味がありましょうが、完全に割り切れないのではないかと思うのです。運賃のほうは、これまた後日に譲りましょう。鉄道運賃のことで全部一括しまして、一体、運賃とは何かということを詳しく論じますから、そのときに譲ります。  カーフェリーの運賃表というものが載っておりますが、このカーフェリーの運賃表はどういう基準でおきめになるのですか。
  121. 鈴木珊吉

    政府委員(鈴木珊吉君) カーフェリーの運賃料金は結局コストでございます。コストと申しますと、直接船費ですと、船の建造費と船価の償却でございますね、それから船員の費用でございますね、乗り組み員、それから保険料、金利、そういった直接船費と、さらに足しまして運航費ですか、燃料費とか、店費とか、そういう運航上必要な費用、両方コストを出しまして、それに適正な利潤をかけまして、そのコストを旅客が占めている船内スペースと車の占めております船内スペースと割賦いたしまして、今度、船のトラックならトラックのほうで何台積めるか、それによって一台当たり幾らかかるかというのが出ます。そういった、何といいますか、やはりコスト主義で出しておるわけでございます。
  122. 小柳勇

    ○小柳勇君 そうしますと、貨物自動車の運賃や鉄道貨物の運賃とは全然無関係におきめになるのですか。
  123. 鈴木珊吉

    政府委員(鈴木珊吉君) 算出は全く関係ございませんです。
  124. 小柳勇

    ○小柳勇君 そういたしますと、このカーフェリーを使いまして、その間はカーフェリーの運賃、あと前後は貨物自動車の運賃ということになりますね。それがうんと格差が発生する場面がありますね。どうですか、それは。
  125. 鈴木珊吉

    政府委員(鈴木珊吉君) 御指摘のとおりでございまして、したがいまして、まあ長距離ほどカーフェリーを使ったほうが安くなるということでございますね。たとえば京浜と北海道とか、あるいは京浜から九州の南に行くとか、長距離ほど、両端のトラック料金を足しました金額を比べますと、たとえば近距離よりも長距離のほうがカーフェリーを利用したほうが比較的安いと、こういう結果になると思います。
  126. 小柳勇

    ○小柳勇君 これはだれか説明員でもいいんですけれども、たとえば宮崎から横浜まで長距離自動車で十トン運転する場合と、同じ品物を同じ重量、カーフェリーを使って宮崎から横浜へ運転する場合の料金を比較していただくようお願いしておきましたが、できておりますか、御説明ください。
  127. 鈴木珊吉

    政府委員(鈴木珊吉君) 川崎と細島でございますが、この場合に八トン車を例にいたしまして算定してみましたのですが、それで申しますと、フェリーを利用した場合は海上の距離が八百八十七キロメートルございます。それで合計いたしまして八万三千七百円。これがフェリーを利用した場合の川崎、細島間の全体にかかる運賃でございます。これは八万三千七百円でございます。そのうち、いわゆるカーフェリー料金が三万九千二百円、明らかにトラックが——要するに両端のトラックの運賃と、それから残りは、そのトラックが二十何時間ですか、これに乗っておりますその間の償却とか店費とか、そういったものを加えた額でございまして、要するに全部で八万三千七百円。ところが、これをトラックで陸上からずっとまいりますと、陸上の距離が千四百六十九キロ、かなり長うなっております。千四百六十九キロございます。それで定期トラックの運賃でございますけれども、これは八万三千七百円に対しまして、最低で十万六千五百円、最高で十三万円というふうになっておりまして、かなりフェリーのほうが安い、こうわれわれは見ておるわけでございます。
  128. 小柳勇

    ○小柳勇君 この問題も、これからカーフェリーを使って陸上のトラック輸送を海上に変更していかなければ、この説明書に書いてありますように、もう将来、経済麻痺するというようなことでありますから、いまの運賃算出の方法についても、若干これは問題じゃないかと私は思っているわけです。だから、もちろんカーフェリーを将来長距離に使うべくレートを安くしてやるという、そういうふうな配慮があればまた別問題でありますけれども、そういう行政的な意味があれば別問題ですけれども、したがって長距離トラックをやめるんだということであれば、これまた一つの方法であろうと思います。したがって、そういうものをもう少し系統的に、各運賃をずっと輪争する中で、系統的に一ぺん並べてみたいと思うわけです。これは運輸省もひとつ協力してもらいたいと思うのですけれども。  そこで、もう一つカーフェリのところで聞いておきたいのは、カーフェリーにトラックを乗せました場合は、あとは運転手は乗っておらなくてもよろしい、ただ車だけでいいと、これはどういう法律にかかりますでしょうか。
  129. 鈴木珊吉

    政府委員(鈴木珊吉君) 運転手は乗らぬでよろしいという意味法律の規定は別にございませんですね。荷物として載せておるわけでございます。
  130. 小柳勇

    ○小柳勇君 そうしますと、カーフェリーまで持っていけば、そこから先は運転手はいなくていいと、もちろんこれはおっても無料ですからね、船が連れていきますから。いずれでもよろしいということですね。
  131. 鈴木珊吉

    政府委員(鈴木珊吉君) 御指摘のように、運転手が乗っている場合もよろしゅうございましょうし、それから船まで積みまして運転手は離れてしまう、無人で行く、どちらでもよろしいわけです。
  132. 小柳勇

    ○小柳勇君 もう一つ、たとえば十トン車の制限というものは陸上ではあります。あるいは車両構造上二十トン以上はだめだという制限はございます。ところが、カーフェリーに載せたトラックは、そういう制限はないのですね。
  133. 鈴木珊吉

    政府委員(鈴木珊吉君) カーフェリーに載せたからといって別に過積みがどうというチェックはいたしておりませんし、それが載せられないというのではございません。これは道路交通法ですか、そのほうのチェックなり取り締まりを受けるものでございまして、したがって、過積みのトラックが乗っている場合がよくあるわけでございますが、これについてチェックしなければならぬというのではないわけでございます。
  134. 小柳勇

    ○小柳勇君 それはこの前ここで問題に出ておりました。フェリーに乗る場合は十トン車でくるけれども、乗るときには二十トンで二車分を一緒に積みまして船に載せまして、これが向こうに着きましてから二つに分けて持っていくのだ、これでも法律上はちっとも差しつかえない、こう理解してよろしいですか。
  135. 鈴木珊吉

    政府委員(鈴木珊吉君) カーフェリーを取り締まっております海上運送法では、別にそういうことは違反ではないということでございます。あくまでも道路交通法の違反ではないか。カーフェリーの場合も、これは法律にございますけれども、運航の安全を期するために、運航管理規程を各会社、各フェリーの事業者がつくる。それによりますと、そういった過積みで荷くずれするとか、それから捕縛し得ないものとか、そういったものについては、船長が十分調べるということになっておりますので、直接法規云々ということではございませんけれども、そういった安全性の配慮はございます。しかし、トラック自身が過積みだからと申しまして、船自身が満載喫水線をオーバーするということは、相当空間がございますので、事実上そういったことはないと思います、巷間いわれておりますけれども。ただ、過積みでいかぬという権限は船長にございませんので、これを食いとめますのは、むしろトラックが出てくるときに警察が張っておりましてチェックするというのはよくあるようでございまして、そういった面で、やはり道路交通法の取り締まりが現実にあるということ、あとは乗り込んでもらえばいいと思いますけれども、直接船長はそういった権限はない。ただ注意するとか、あぶないから、これは倒れそうだからというようなことはもちろん権限としてありますけれども
  136. 小柳勇

    ○小柳勇君 自動車局長にお尋ねいたしますが、自動車の車両法による過積禁止、これは車が動いているときだけをいうのか、静止しておるときまでもいうのか。たとえば十トン車という場合には十トン以上は積めないが、十トン車が二十トン以上の荷物を積んでも動かないからよろしいのか。この点はいかがでしょうか。
  137. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) これは道路運送車両として荷物を積んで運行の用に供する場合でございまして、静止をしている状態ということでございませんで、御指摘のような例があるとすれば、それは法規の盲点をついたものかと思います。
  138. 小柳勇

    ○小柳勇君 車両の構造上の問題ですからね、バネのたわみとか破損とか、そういうことがあれば問題でしょうが、法律上いま自動車局長が言われたように解釈するのが正しいと私も思いますけれども、その点がはっきりしないものですから、もし違法だとすればこれは法意しなければなりませんが、いまのところそういうものはどうかなと思いまして、ここで一ぺんこの前、論争がありましたから、一ぺん確かめておきますが、そういうことを考えますと、長距離トラック輸送にかわるカーフェリー利用のよさというものが業者にも明らかになりますね。そういたしますと、今後もう少し岸壁を整備して、そうして長距離トラック運送というものをカーフェリーに移行するとか、あるいは鉄道のフレートライナーに移行するとかいう、いわゆる行政指導はしなきゃならぬと思いますね。それは政務次官、いかがですか。
  139. 佐藤孝行

    政府委員(佐藤孝行君) 私も同様に考えます。
  140. 小柳勇

    ○小柳勇君 次に、過積の問題に入ってまいります。  運賃改正によりましてもなお正規の運賃が取れないで、その分を過積によってかせごうとする運送業者、これはたいへん法違反でありますけれども、心情としては了といたしますね、これを防止するためにどういう努力をなされておるのか。これは運輸省と、それから警察庁からお聞きしたいと思います。
  141. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) 過積の問題につきましては、本委員会におきましても前々から諸先生方から御指摘ございまして、私どもも、これはもうずっと以前から、この防止の指導についてはいろいろと苦心をしておるわけでございますが、たとえば先ほど言及になりました運賃の建て方の改正、重量制から車両建てということが制度的には過積の防止になり得るはずだと私ども考えております。しかしながら、理論的にはそうであっても、必ずしも現実はそう行なわれていない。これは、先ほどダンピングの問題でお答えいたしましたのと同様に、基本的には、トラック運送事業者が非常に経済上の立場が弱い、荷主に弱いということが一つの大きな原因だろうと思います。そこで、やはりトラック事業者の地位を高めるという方策を講じなければならないということで、トラック業界等を通じましていろいろやっておるわけでございますが、この努力をさらに続けたいと思います。  それから第二点は、これも非常に技術的にむずかしい問題でございますが、ダンプ車その他の大きな車については、先生御案内のように、自重計というものがございます。残念ながら、現在の技術開発状態では、この自重計というものの精度が非常に誤差があるということで、これが必ずしも客観的に適正な重量を表示していないということがございます。これもいろいろの機会に御指摘がございましたので、私どもは、技術的にこの自重計等の開発を進めようということで、警察庁、通産省、私ども運輸省、それから自動車メーカーが集まりまして、この過積載の防止の装置研究委員会という団体をつくって、数回研究をやっております。これにつきまして、まだ技術的な結論を得ておりませんが、現在のところ、こういう機械装置によって過積載が外部からわかるように努力をするということについて、さらに今後努力をしたいと思います。現状においては、いろいろやっておりますが、まだ誤差の点について必ずしも解決ができておらないという状態でございます。  それから私どものほうといたしましては、現状として、いろいろ町で過積載をしたまま走るトラックの、何といいますか、発見及びそれの摘発につきましては、いろいろと警察のほうに御協力をお願いいたしまして、警察のほうからいろいろ御協力をいただいておるわけでございますが、こういうような努力を積み重ねましてやらなければならないと思います。根本的には、やはりトラック事業者の資格と、それから荷主に対する地位の強化というようなことを抜本的にははかっていかなければならない、かように考えております。
  142. 池田速雄

    説明員(池田速雄君) 警察の指導取り締まりの面でございますけれども、昨年の例で申し上げますと、年間十四万四百三十九件という取り締まりをいたしております。これは四十四年の例をとりますと、検挙は大体十万三千件でございますので、毎年取り締まりを強化しておると、こういうことでございます。ただ単に運転者の取り締まりだけではございませんで、やはり、こういった事案につきましては、安全運転管理者等の、車両の運行の責任者、こういった者も責任を追及すべきであろうと、こう考えまして、昨年じゅうには下命容認の違反ということで一千三十一件ほど検挙いたしておりますし、なお、法人等につきまして両罰規定を課しましたものが四千九百九十三件ほどございます。  で、取り締まり面につきましては、御案内のとおり、固定の重量計、これは全国で大体六十七台ほどでございますが、そのほかに携帯で運搬をいたします可搬式のもの六百二十二台ほどを用いまして取り締まりをやっておるわけでございますけれども、非常に技術的な点、あるいは取り締まりを一カ所でやりますと三十分ぐらいで回避されてしまうというようなこともございまして、技術的なむずかしい面もございますが、今後なお取り締まりの努力は重ねてまいりたい。それから特に道路管理者等で高速道路等を中心に重量計の増設という措置をとっていただいておりますので、こういった観点からもまた、取り締まりあるいは指導というものがよりしやすくなるのじゃなかろうか、こういうふうに考えております。しかし、根本は、やはりこういった事象を原因にさかのぼりましてなくしていただくということで、関係機関等の指導をより強化していただくようにお願いしていると、こういう現状でございます。
  143. 小柳勇

    ○小柳勇君 最初に、技術的に詳しい方がおられたら御説明願いたいと思います。バネなりあるいはワクの強さなり、一体、自動車というのは、たとえば十トン車を例にとりまして、何トンまでは構造上はだいじょうぶであるか、自動車局長、御答弁できれば御答弁願いたいと思います。構造上何トンまで、何倍ぐらいまでの安全率をとってあるのですか。
  144. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) ちょっと私も、技術的な問題でございまして、十分的確なお答えはできないかと思いますが、先ほど申し上げました、技術者が集まって研究いたしました中間報告みたいなものがございます。それを申し上げますと、「ダンプ自重計は形式により多少の差はあるが、その大多数を占め、かつ、昭和四十三年五月以降の新造車に主として取付けられているダンプ油圧検出方式自重計については、ダンプ規制法の自重計についての技術基準は十分満足しており計器の保守取扱を正常に行えば±一〇%程度の精度にあると考えられる。」、いまおっしゃいましたバネでございますが 「自動車の車軸に取りつけられているシャシばねの撓みを検出する方式はばねのヒステレシス、へたり、ばね常数の製作誤差並びに経時変化、ばねの保守状態等により、精度的には問題があるが、二車軸の場合、現在のダンプ自重計の技術基準内の精度で耐久性のある装置の研究を今後推進したい。」という程度で、ちょっとまだ数値的には出ておりませんが、これが、いま申し上げました研究委員会の中間的な一つのまとめでございます。
  145. 小柳勇

    ○小柳勇君 十トン車に二十トン積みましても、そのために一日でバネがたわむということはあるいはないんじゃないかと思います。  そこで、さっきの過積をたとえば船に積みますね、警察庁が取り締まるにしても陸運局が取り締まるにしても、港から船に入れますね、そのときに、十トン車に二十トン積んで動かしたら違反なんですね。ただ、船の中に入ってから、一台に移してから出てくれば、また別問題ですけれども。それで、たとえば過積を取り締まる原因は、これは法律でありますが、業者としては、もうかるからそういう過積をやるわけですね。だから、過積やってもいいように、たとえば車がこわれるのがこれは運送業者としては一番痛いのであって、その限界というものがどの辺まであるか。たとえば二割であるか三割であるかわかりませんけれども、とにかくもう取り締まっても取り締まっても違反は続出しますから、違反が出ないように、法律を何か改正し、あるいは車の構造を改善をしていく方法はないものであろうか。そういうことも考えるわけですよ。  もう一つは、過積になりますと、ブレーキもききませんね。十トン車は十トン車にきくブレーキに調整いたしましょう。そうしますと、十五トンですとブレーキがききませんから、事故が発生いたします。そういう面からもおそらく違反として取り締まるのでしょうが、今後、ただ、いままでのような取り締まり行政、警察庁や陸運局の取り締まりだけで、この過積の問題が解決すると考えておられるのかどうか、解決しないとすれば、どうしたらよいか、お考えになったことございましょうか。警察庁と運輸省から、もう一回ずつ聞いておきたい。
  146. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) ただいま先生御説明になりました、たとえばカーフェリーに積むときに二台分の重量の荷物を持っていくというお話、私も、何か先生がそういう事例について御存じといいますか、お気づきの点があるということを聞きましていろいろ考えたわけでございますが、先ほど海運局長が答えられたように、トラックをカーフェリーに乗せている間は運転者を必ずしもつけなくてもいいということに行政指導でやっておるわけですが、ただ、それには前提がございまして、フェリーに積み込むときあるいはフェリーから積みおろすときには、その運送を引き受けたトラック事業者なら事業者が責任を持ってその積み込み、積みおろしをやるということでございます。したがいまして、その時点におきましては、いま先生御指摘のように、そういうような過積載の状態において荷物を運び、トラックと一緒に荷物を運び込んでいるわけでございますから、これは私どもは、当然、常識的に考えても、違法であるというふうに思います。で、先ほど私が、過積載の状態は、これは走行しておらなければと申し上げましたが、確かに現在の法律はそういうことになっておると思いますので、そこに法律の盲点があるかと思いますが、それをどういう法体系で押えるのがいいのか、たとえば海上運送法とか、あるいは私どもの道路運送車両法とか、あるいは警察の道路交通法とか、いろいろあると思いますが、その辺につきましては、少し法律技術的に研究して、それが法の盲点になっておれば、最も有効な方法でこれを防止するようなことを考えてみたい、かように思っております。
  147. 池田速雄

    説明員(池田速雄君) 先ほど御指摘のように、過積につきましては、間接的な影響というもののほうが非常に大きいであろう、こういうふうに考えております。したがいまして、たとえば過積一回であるいはどうということはないかとも思いますけれども、それを重ねますことによりまして、あるいはかじとりの性能でございますとか、あるいは制動の能力でございますとか、加速の性能とか、あるいは登坂の能力でございますとか、あるいはタイヤのバーストの原因になるとか、あるいは各部の構造上の強度を越えるものであるとか、こういった影響が出るものであろうと考えておりますし、また、総重量が非常に越えることによりまして、道路法の関係で道路に非常に影響を及ぼす、こういうこともあろうと思いますので、私どもといたしましては、直接の事故だけではなくして、交通秩序の維持、こういう観点から過積に対処してまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。したがいまして、直接の事故の原因といたしましては、昨年の例をとりましても、たしか七百七十一件という数字でございまして、車両を第一原因者といたしますものの中では〇・一%程度であった、こういうふうに考えておりますが、より間接的な影響が非常に大きかったであろう、たとえば制動装置が不良であったということのための事故原因の中にも、相当また過積が入っているのではなかろうか、こういうふうな見方をいたしております。したがいまして、現象的には、先ほど申し上げましたように、私ども現象面を取り扱っておりますので、指導取り締まりというものは強化してまいりますし、法の許す範囲内で、その背後の責任者の追及ということもやってまいりたいと考えております。同時に、担当行政機関のほうにも十分連絡をいたしまして、そういったいろいろな広い観点での指導というものを期待しているというのが実情でございますので、今後ともその方向で対処してまいりたいというふうに考えております。
  148. 小柳勇

    ○小柳勇君 そこで、過積の問題は、当面は取り締まりをしていただく以外にないと思いますが、運転手の過労の問題がございます。長距離運転で過労の問題で事故が発生する面がありますが、労働基準局長見えたようでありますが、二・九通達の実施状況なり、最近の長距離自動車運転手の労働条件などについて、御説明を願います。
  149. 渡邊健二

    政府委員(渡邊健二君) 自動車事故の中に過労による事故がどのくらいあるかということ、これは私どもも警察の調査等によって承知をいたしておりますわけでございまして、率だけで申しますと、そう多い率ではないのでございますが、その中にはもちろん雇用労働者が過労のために起こす交通事故等もあるわけでございまして、そういう意味におきまして、私ども、そういう長時間労働等の労働条件をなくする、こういうことはきわめて重要であると考えまして、基準法はもちろんのこと、さらにそういう適正な労働条件を確保いたしますために、四十二年いわゆる二・九通達によりまして、労働時間、休日、あるいは非常に極端に刺激的な賃金形態等々につきまして一定の指導基準を定めまして、それによりまして自動車運送関係監督指導をいたしておるわけでございます。  で、主として毎年春秋の全国交通安全運動週間等におきまして、そういう自動車運送事業関係につきましては、全国一斉監督指導などを行ないまして、強力に監督指導をいたしておるのでございますが、昭和四十六年について申しますと、年間に、自動車運送関係において監督指導いたしました事業場は一万一千八百十事業場ほどに相なっております。そのうち何らかの違反が認められましたものが約九千四百七十八事業場ほどございまして、おもな違反の項目を申し上げますと、労働時間関係につきましては五一・五%、休日関係につきましては二五・九%、割り増し賃金の未払い等につきましては二九・七%といったような違反を発見いたしておりまして、それらの違反についてはそれぞれ是正の措置をとらしておるわけでございますが、悪質な違反のものにつきましてはこれを司法処分にいたしておるものも六十六事業場ほどにのぼっておるわけでございます。なお、これらの監督指導の結果、まだまだ違反率は高いわけでございますが、当時から見ますると、逐次違反の状況は改善されておると私ども考えておるのでありまして、二・九通達できめております基準がだんだんとやはり実行されるようになってきた。たとえて申しますと、先ほど申しました非常に極端に刺激的な賃金制度としての累進歩合制等は現在ではほとんどなくなったというふうに私ども考えておるわけでございます。なお一そうそういう監督指導の実をあげますために、運輸当局とも連携をとりまして、労働条件について問題があります事業場につきましては相互通報制度を設けまして、お互いに通報し合って、通報を受けたものについてさらに監査、監督を強化するというようなことも四十五年から実施いたしまして、逐次その効果もあがってきておると、かように考えておるところでございます。
  150. 小柳勇

    ○小柳勇君 労働条件の問題で、もう一つ、いま春闘などで自動車運転手関係が賃金要求などをいたしておりますが、運転者関係の春闘の妥結状況など御説明ください。
  151. 岸良明

    説明員(岸良明君) ただいまお尋ねのございました陸上運送関係の春闘の状況でございますけれども、自動車運転手関係の労働組合は御承知のとおり三つのグループに分かれております。一つは全日通、それから全自交、これはタクシー・ハイヤーの組合でございます。それからもう一つは全自運、これはトラック輸送関係でございますが、春闘時におきます要求といたしましては、全日通が一万七千円、全自交が一万五千円以上の要求、それからトラック運送関係におきましては一万円から一万三千円という要求を掲げまして、大体四月の末を山場に闘争を展開したわけであります。で、もうほとんど——御存じのとおり全日通におきましては四月二十七日に全国一斉の二十四時間ストをかまえまして、その線におきまして一万二百円のアップで妥結しております。それから全自運、トラック関係の輸送につきましては、これも大体四月二十七日から二十九日までの間に二十四時間の反復ストをかまえまして、現在の段階では大体九割が妥結をしております。アップの額にいたしまして九千円から一万五百円、昨年よりは五百円から三千円のアップで妥結をしておる。まだ一部残っておりますけれども、これらは各地域ごとにおいて現在交渉を進めておるという段階でごさします。  なお、ハイヤー・タクシーのほうでございますけれども、これは若干妥結の状況がおそうございまして、現在八百組合のうち、約五百が収束の方向に向かっておるという状況でございます。若干これは毎年おくれますけれども、ことしは昨年よりはテンポが早い、こういう状況でございます。
  152. 小柳勇

    ○小柳勇君 次に、運転者の年齢による事故を調べました、警察庁から先日出していただきましたが、第一当事者としての事故件数、昭和四十六年度じゅうにおけるもので、運転者の過労によるものが五千八百八十七件、全事故の〇・九%、こういう事故の内訳を年齢別に見まして、二十歳から二十四歳までのものが一番多くて、全体の三〇・七%の事故が発生いたしております。したがいまして、いろいろ問題はたくさんありますし、また論議しなければならぬ内容はありますが、結論だけ言いますならば、二十歳から二十四歳が非常に事故が多いし、また十六歳から十九歳までが全体の一二・八%でありますから、両方加えますと四三%になります。だから長距離トラックの運転などには、少なくとも二十五歳以上ぐらいの人を、自信を持たせて、しかも誇りを持って就労させるという体制がよいのではないかと思うんですが、もちろん収入は多いし、二十歳から二十四、五歳の方、現在働いておられる方もたくさんありましょうが、事故率から見ますと、そういうものを感じます。そして、まあ年配になって家庭を持ってしっかりしたときに長距離運転に乗って収入をうんと取る、こういう体制が事業家としてはいいんではないかと思いますが、警察庁としてはどういう見解を持っておられるか、お聞きしておきたいと思います。
  153. 池田速雄

    説明員(池田速雄君) 御指摘のとおり、若年層の事故が多いと、こういうことでございまして、絶対数につきまして、いま御指摘ございましたが、運転免許の保有者の数から申しましても、二十歳未満、あるいは二十歳から二十五歳までの事故率が高いということは事実でございます。しかも、その中で、正確な数字を持ち合わせておりませんけれども、最近は特に自家用車のほうの事故が多いということもまた事実でございます。それで問題は、職業運転者あるいは営業用の運転者と申しますか、の問題でございますが、一般的に申しますと、ほかの年代に比べますと、そういったような傾向があるのもまた事実でございますが、確かに御指摘のように、誇りを持って、ほんとうに、何と申しますか、プロのドライバーであって模範運転手であるというような自覚を持って就労する、そういった条件をつくるということはそのとおりでございますので、それをやります場合にもいろいろな方法があろうかというふうに考えております。現在すでに、特に営業用の自動車につきましては、特に、何と申しますか、安全運転管理者あるいは運行管理者等を通じましての教育の問題でございますとか、あるいは就労の場合に配意するとか、いろいろな観点があろうかと思いますし、表彰制度、あるいは競技を通じましての表彰といったものもあろうかと思いますが、そういった運用上のやり方問題、あるいは最終的にはまた、先ほど御指摘のような年齢の免許も変えるべきじゃないかという御意見もあろうかと思いますが、非常に技術的に同じ車につきまして免許を与えまして、ただ、その者が長距離を運転する場合には、また別個の免許というようなことも、実行上の問題等もございますし、あるいはこの免許の制度全体の問題からの勘案の問題もございますので、急にいろいろ実現するということにつきましては、問題があろうかと思いますので、まず行政上の措置を十分にやるということとあわせまして、慎重に検討さしていただくようにしてまいりたいというふうに考えております。
  154. 小柳勇

    ○小柳勇君 わかりました。  最後ですが、いままでの質問で、時間が少ないから、関係者の意見を十分聞くことができませんでしたが、長距離トラックをこのままこれから推移するということは、この道路上の交通量もなかなかたいへんな問題である。したがいまして、海上運送の発展で、その方向に荷物が移動することも必要でありまするが、長距離トラックの運転者の労働条件など考えまして、ある程度距離的な制限をする必要があるのではないか、あるいは車種の制限、車のこういうものはもう長距離はいかぬとか、そういう長距離トラック輸送に対して、距離的にあるいは重量的にあるいは運転者の年齢的にいろいろ検討しなければならぬと思うのですが、これは簡単な問題でありませんが、運輸省としてどういう見解であるのか、お聞きしたいと思うのです。
  155. 見坊力男

    政府委員(見坊力男君) その長距離トラックの規制につきましては、例としましては、西独のレーバープランにおきまして品目を限定しまして、二十七品目でしたか、長距離トラックを当分の間押えるという構想が出されたわけでありますが、これはいろいろな議論を呼びまして、その提案が撤回をされておりました、実施がされておらないわけでありますが、ただ、基本的に、そういうような例がありますが、その各輸送機関それぞれの特性に応じて各輸送機関の間で公正な共存が行なわれる、しかも、その特性を利用者が選好していくということをやはり運輸政策としては基本とすべきではないかというように考えています。ただ、その原則がすべてに通ずるわけではございませんので、たとえば過疎地域における交通問題、あるいは大都市交通における問題、これらにつきましては、また別な配慮をしなければならない点がございますが、基本的には、そういう競争原理と業者負担という原則によって運営されるようなマーケットメカニズムが交通についても実現をするということが望ましいことである。ただ、現在がどうなっているかということになりますと、公害の問題あるいは交通事故の問題等、外部不経済の問題もございますし、あるいは開発利益還元問題等、まだまだ解決しなきゃならぬ問題がたくさんあるわけでありますが、それらを具体的に詰めていく努力を重ねながら、そういうマーケットメカニズムが現在でき上がるというような施策が好ましい。したがいまして、いまお話しの長距離トラックとカーフェリーという問題につきましても、将来、自動車は非常に混雑をし道路の面からも制限を受けるということになろうかと思いますが、ただ、その場合に、ある利用者から見た場合に、トラックをとるべきかカーフェリーをとるべきか、それはそのときの要求するサービスによりまして、その需要にマッチしたサービスを提供してくれる機関を選ぶということが必要である。と申しますのは、具体的にいえば、それが適正原価、適正利潤で構成された運賃によって輸送機関間に競争が行なわれている、その場合にそれを選んでいく——何が適正原価であり何が適正利潤であるか、もちろんコストの厳密な検討は必要であろうと思いますが、そういうような原価主義を厳密にやり、また各輸送機関の合理化をはかることによって利用者に選好の機会を与えるという政策が必要であろうというふうに考えておるわけでございます。
  156. 小柳勇

    ○小柳勇君 これは総合交通体系の中の重要な一環でありますから、また別の機会にいろいろ御意見をお聞きしたいと思います。  質問を終わります。
  157. 山崎竜男

    ○山崎竜男君 青森湾の中央に夏泊半島という半島がありますが、この半島の東側の根っこのところに小湊港という小さな港がございます。冬になると白鳥が飛んできたりして、いまのはやりの公害のないいい場所なんですが、昭和十八年に、いまから二十九年も前になりますけれども、この小湊港を、北海道との交通の青函連絡船で足りないところを補うということで、約十万坪ばかりの国鉄用地を有償及び無償で小湊町——いまは町村合併して平内町になりましたけれども国鉄に提供したはずであります。そこで、場所によっては一部落が移転するなどという非常に協力した態勢でもって移転したわけですけれども、そのうちの有償の部分と無償の部分はどの程度になっているか、お尋ねをいたします。
  158. 長浜正雄

    説明員(長浜正雄君) 先生お話しの小湊の地区の用地の件でございますが、現在、有償で国鉄が保有しておりますのは約三十二万四千平米、そのうち操車場関係に使う予定で残しておりますのが二十万四千平米でございます。その他の残りは、小湊埠頭関係並びに埠頭と本線との間をつなぎます線路用地の予定地でございます。それ以外に、当初から無償で提供していただきましてそのまま借用しておりますのが約二万八千八百平米、これだけございます。
  159. 山崎竜男

    ○山崎竜男君 この小湊港の開設に際しましては、いまこちらにいらっしゃる江藤先生が青森港を視察されまして——御承知のとおり青森は連絡船が着く埠頭が三つしかありませんが、函館には四つあるということで、一つ足りない。それで、青森にその一つふやす分がないので、小湊港に青函連絡船の補助港として一隻分の埠頭をつくるという、これは現地調査をなさって、そしておきめくださったものだというふうに承っております。ところが、せっかくそういうふうにして苦心して町でも協力をし、いろいろ調査もしていただいて、この十万余坪の土地を小湊町で提供したわけですけれども、その後、現在に至るまで、これが全然利用されておらない。あき地のままになっておる。しかも、私はこの問題に関して江藤先生にもお願いしていろいろ御陳情を申し上げたんですが、一向にらちがあかない。払い下げるわけでもないし、国鉄側としてこういう事業計画があるというお話も承っておらないということで、きょうはその辺の話を煮詰めてみたい、そういうふうに思って質問しているわけですけれども、昨年の十二月に、いまの平内町の町会議員たちが長浜理事さんに会って、この三月末までには結論を出しますというお話を承って帰ったということですが、その結論は得ているんですか。
  160. 長浜正雄

    説明員(長浜正雄君) この地区の土地につきましては、いま先生概略お話しになりましたけれども、簡単にいきさつを申し上げますと、昭和十七年の暮れから十八年にかけまして、先生お話しのように、戦争中の石炭輸送の増送ということで、青森と函館の間の青函連絡線の輸送力のアンバランスを解消するという目的でここに埠頭をつくる、そして小湊と函館の間の青函連絡船にかわるべきものをつくるということで工事に着手されたわけでございますけれども、御承知のような終戦になりまして工事を中止いたしました。その後、昭和二十一年に一時、小湊と函館の間の航路を一応開設して貨車輸送を行なった形跡がございますが、大量に行なわないまま二十四年七月に青函航路のほうの、青森と函館のほうの整備をいたしましたので、こちらのほうの工事を中止いたしました。その後三十一年の十一月に、レールも敷かれておりましたのも撤去してまいりました。そういう状況でございます。  昨年の暮れに地元の方が来られましたけれども、それ以前にも、昭和三十六年あるいは七年、三十八年といったように、平内町長さんから、船だまりあるいは荷揚げ場として使いたいからというような話で、払い下げの陳情がございました。その当時はまだ連絡船の整備もできておりませんし、青函トンネルの見通し等のこともありまして、そのまま保留しておったわけでございますけれども、御承知のように青函連絡船も新造船いたしましたし、青函トンネルも見通しがつきました昭和四十年に、運輸大臣に対してこの航路廃止申請をいたしまして廃止の認可をいただいております。それで、並行いたしまして昭和四十年の暮れに、平内町に一部船だまりとして約一万三千平米ばかりを売却しております。この部分はどちらにころんでも要らない。そして、いまの船だまり港として使いたいということで売却しておりますけれども、その以後につきましては、そのままの情勢になっております。先生の御指摘のように、昨年の暮れに皆さんおいでになりまして、使うのか使わないのかはっきりしろということで御注意を受けておるわけでございますが、その当時までは、平内町としては、何とか国鉄として事業用にもう一ぺん使う気はないのかというようなお話がありまして、国鉄は事業用に使ったらどうか、また県知事のほうからも、事業用に使う手はないのかというようなお話がありまして、われわれのほうでも検討しておったのでございますが、なかなか使うような情勢になりません。その後、町御当局のほうからは、これを自分たちのほうで使いたいからというお話がありました。それで払い下げをしろ、こういうお話がございまして、私もその検討を約束いたした次第でございます。その後、検討いたしまして現時点になっておるわけでございますが、早急に結論を立てなければいかぬということでお約束をしておる次第でございます。
  161. 山崎竜男

    ○山崎竜男君 いまの事情は私も十分知っておるんですけれども大臣もおいでになりましたからあれですけれども、十万坪の土地を二十五年間——この間野党の委員の方々から、北海道の小樽あるいは根室港で石炭の貯蔵場が四年間も全然利用されないままほったらかしてあるのはけしからぬというお話でしたけれども、四年はおろか二十五年、戦前にさかのぼれば二十九年です。この十万坪の土地をほったらかしておいて何も利用しないということで、これでは私どももやはり国民の負託を受けて意思を体しておる者として、これは国鉄側から相当の、十分な利用計画、あるいは善意ある、愛情ある払い下げの方向とか、そういう実際の行動を見せていただかないと、納得ができないと思うのです。これはとにかく戦争中に協力をして、そして軍に協力をして提供した土地でありますし、地図を見ておわかりのように、これはいまの平内町の発展についても、もうまん中を縦断しておるというか横断しておるというか、そういう道路がありましたのに、町の発展にも非常に害をなしておる、そういうことを二十数年間ほったらかしておくということは、国鉄の幹部は何しておるのだというふうにまあ平内町の町民たちは言っておるわけですが、そこで具体的にお尋ねをいたしますけれども、検討をしたとおっしゃいますけれども、実際に昨年、四十六年度、この平内——小湊町の土地の問題に関して国鉄では何回くらい会議を開かれたのですか。
  162. 長浜正雄

    説明員(長浜正雄君) 先生御指摘のように、いままで二十数年そのままにしておるわけでございますが、実は昭和四十年ころまでは、そういうことで青函連絡船の代替輸送等に使わなきゃならぬのじゃないかということで決しかねておったわけでございますが、現時点では、やはり国鉄の財政状態関係もありまして、積極的に、遊休地といいますか不用資産の売却をして資産充当をしなければいかぬというようなこともございます。昨年来、というよりも昨年の春ころから、この問題で知事さんから、国鉄、使う気があるのかどうか、もう少し活用したらどうだというような話もありまして、それ以来、私の手元で、いろいろ関係者相談をし、また昨年の暮れ、そういうことで地元の方々が来られましたから、担当の局長以下を集めまして、数回にわたって検討し、また、いままでのいきさつ上、現地の青森県の知事さんにも御連絡申し上げて、県としてこれをどういうふうに検討してお使いになる気があるかどうか、あるいは地元としてどういうふうにお使いになる気があるかどうか、その辺、県、市あわせて御検討願うというようなことで御連絡を申し上げて、われわれのほうとしては、いままでほっておったことを非常に申しわけなく、何とかしなければなるまいと、こういうふうにいま考えておる次第でございます。
  163. 江藤智

    ○江藤智君 関連。  ただいま山崎委員から、小湊の鉄道施設の払い下げにつきましての御質問がございました。ちょうど大臣もお見えになったのでございますが、実は私もこの問題につきまして非常に責任感じておる一人でございます。と申しますことは、昭和十八年に非常に戦局が苛烈になりまして、北海道、本土間の輸送、特に石炭を全部国鉄に切りかえることになりまして、その設備が青森側に足らないということで、私、命を受けまして、その設備をどこにつくるかということの全権を受けて現地調査をいたしました。そうして小湊を選定したのが私でございます。それから約一年半、あの苦しいときに、非常な突貫工事で実は工事は竣工いたしましたが、第一船をつけましたときに終戦になった、こういういきさつでございます。そこで、そういう火急のときの仕事を行ないますときに、現地が非常に協力してくれたということでございます。御承知かもしれませんけれども、あそこの場所は山の迫った非常に平地の少ないところでございます。その平地の少ないところに、鉄道施設をするために、どうしても分けてもらわなければいけない。これにつきまして、現地も、その当時の情勢もございますけれども、非常に協力をしてくれた。で、そのときに私が申しましたことは、青森のように、そこに大きなフェリーの基地ができるんだ、だから地元としても、当時の、あの小さい漁村としてやはり相当の発展にも寄与しますよ、だからぜひ協力していただきたいということを申し上げて、非常な協力をしてもらったわけでございまして、それができ上がりまして、そして地元にもそういうふうに有効に使われておったならば、私といたしましてもそれほどの責任感じませんけれども、終戦後、今日まで実に二十七年という間、軌道も取り払いまして、そのままの状態で放置されておるわけでございます。  国鉄が今日までおそくなったという理由につきましては、青函の輸送力確保という面におきまして、いろいろ検討したことも私もよく承知をしておりますけれども、しかし、現在の状態におきましては、すでに東北新幹線なり青函トンネルも工事にかかっておることでございますし、また、鉄道の合理化という面から考えましても、あそこにいまさら新しい基地をつくるということも、非常にそういう可能性はないのじゃないかというふうに私なりに考えておるわけでございます。そういうことになれば、これを地元に何とか有効にお返しをしまして、そして地元の発展にひとつ寄与するように、国鉄としても考えていただく必要があるんじゃないか。私も前前からそういう希望を持っておるわけでございます。したがいまして、いろいろと検討はしておられるようでございますが、ここでお伺いしたいのは、いつごろにそれではその土地を返す見通しがあるのか、山崎委員のせっかくの御質問でございますので、私としてもそれくらいのところはひとつ見通しを聞かしていただきたい、かように考えますので、御答弁をお願いいたしたいと存じます。
  164. 長浜正雄

    説明員(長浜正雄君) いま御質問がございましたけれども、おっしゃるように、いままではいろいろ青函航路の代替等で確保しておったんでございますが、せんだっても御質問がございましたですけれども、この線並びにこの埠頭の用地につきましては、将来とも要らないという結論を早急に国鉄として決心をしたい。私自身として、いままでの議論を私のところに、手元に集めまして検討しました結果、本線からブランチをいたしまして、この埠頭に至ります線路敷並びにこの埠頭の用地、これにつきましてはもう決心していい時期にきているのじゃないか。ただ、当時ヤードとして使いたいということで確保しております土地につきましては、実は青森県での相当大きなむつ小川原等の大計画もございますので、そういうときの貨物関係の基地として使わなきゃならないじゃないかというようなことがございますので、このほうはちょっと国鉄のほうで確保して使用させていただきたい。それ以外の土地につきましては、いろいろ地元の町並びに県の方々と御相談をいたしまして、できるだけ有効にお使いいただけるような処置を進めるように、国鉄としての意思決定を早急にしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  165. 山崎竜男

    ○山崎竜男君 いま江藤委員から地元小湊町の協力のお話がございましたけれども、私の資料でも、運輸省の水路部がここの小湊港を視察、海底の調査を行なったときには、町及び一般町民から寄付を集めたりあるいは食糧のたき出しをやったりして協力したというふうになっております。それぐらい協力しておるんですから、やはり国鉄側としてもそれだけの愛情を地元の方々に示していただきたいというのが私の考えですけれども、地元の国鉄に対する不信感というのはこれはたいへんなものです。理事さんがおっしゃるように、むつ小川原等の開発でこの辺は値上がりをしております。国鉄は土地を持っておって値上がりするのを待って、それで売るんじゃないかというようなことを地元が言っておるんです。これは青森県は、この間の四十三年の十勝沖地震のときでも、あの大湊線の復旧が非常におくれたり、おくれた後のダイヤが非常に不便だったものですから、そういう国鉄に対する不信感が——ましてや小湊がいまだ二十数年間たっても何の解決もできないということで、極論をする連中は、いま青函連絡線が通るんだけれども、とにかく北海道まで新幹線が通るには青森県を通らなければならぬだろう、ところが青森県は絶対に通させないということまで言っているぐらい国鉄に対する不信感というのは議論が噴出しておるんです。これも私に言わせれば、やはり事情が刻々と変わってきておることはよくわかるんです。青函トンネルが通れば、とにかく、いまある青森の連絡船だってどうなるかわからぬ、まして新しく膨大な金をかけて小湊から連絡船の港をつくり直さなきゃならぬということは、できないことは、これは町民も私どももよく承知しておりますけれども、それだけに町のほうの事情もだんだん変わってきております。たとえば、いまここに何だかんだつくられて、いまこの辺の、小湊のほうで年間三億以上のホタテの養殖が非常に成功をしております。だから、その養殖に害を与えるような施設をいまさらつくられたんではたまらないということが一つの小湊港の要望でありますけれども、また、土地の値上がりの問題ですね、大体年間の一般会計が六億四千万ばかりの小さな町ですから、その町の財政で、払い下げしてやるといってきたところで、払い下げてもらいたいわ、金はないわというのが実情であろうと。そういう場合に、いままで二十五年間たって土地の値上がりも相当あるでしょうけれども、その値上がりの分で払い下げられたんではとても町の財政が立っていかないと。だから、いきなり全部払い下げてやるといってもこれは困るんだという、いろんなやはり事情が変わってきておりますから、その辺、国鉄側も十分勘案を加えて、先ほど言いました、これから国鉄の財政再建などに関してもやはり地元民の協力がないとなかなかこれできないことですから、そういう意味国鉄側としても愛情のある解決策をこれからしていただきたいと思います。  時間がありませんので町のほうの国鉄に対する要望だけをここで申し上げまして、私の質問を終わらしていただきますが、先ほど言いましたように、一つはホタテの養殖をやっているからあんまりここに公害を及ぼすような使用のしかたをしてもらっちゃ困るということです。それからもう一つは、払い下げる分には、やはり政府のほうでも町の財政でまかなっていけるようなことを何か考えてほしいと。提供した部分なんかはこれ無償で当然返してもらいたいというのは、これは理屈が通っていると思うんです。  それからいま、将来、操車場にお使いになるというようなお話もありましたけれども、この操車場のあと地、この辺は夜越山といって、これは小湊の町で、いま平内となりましたが、大観光地帯をつくっております、スキー場だとか何だとか、そういう観光地帯にそぐわないような建物をそこに建てられては困るということが、これはこの間の町議会の決議であり、陳情であるわけです。そういうことで、私は、運輸大臣がせっかくおいでですから、詳しいことはお聞き取りになれなかったかもしれませんが、とにかく二十数年間というもの、まあ何にも利用しない、その利用しない土地のためにこの平内町の発展が阻害されておるという、こういう事実があるわけでありますから、何とかこれは、いまの理事さんのお話では、線路敷の部分は払い下げてもいいと、大きな操車場の部分だけは、これは国鉄で使うんだというお話がありましたから、一応きょうはこれで質問を終わらしていただきますけれども、そういう事情があるものですから、何とか監督官庁としましても、愛情のある、地元の納得のいくような解決のしかたを早急に指示をしていただきたい、これだけ申し上げまして、私の陳情を終わらしていただきます。
  166. 木村睦男

    委員長木村睦男君) 関連してちょっと一点お伺いしますが、いまのような国鉄の所有地を払い下げる場合には競争入札が原則のように聞いておりますが、競争入札によらずして随意契約で希望者に払い下げるという場合には、どういうふうな条件が備わったときに随意に払い下げることができるんですか。
  167. 長浜正雄

    説明員(長浜正雄君) 国鉄用地を払い下げ売却するときには、国あるいは地方公共団体といったところには随意契約で売却することができます。それから一般の方々に払い下げるというか、売却するときには公開入札が原則でございます。ただ、一般の方でも、その国鉄で持っております土地が袋地でございまして全然出入りができないとか、いろんな条件がございますときには、個人に払い下げる場合でも随意契約とする場合はございますが、これは非常にレアケースです。原則として、地方公共団体といったようなところへの払い下げの場合には随意契約で払い下げ、売却をしておる、こういうことでございます。そういう処置をとることによって随意契約はできる、こういうことになっております。
  168. 木村睦男

    委員長木村睦男君) そうすると、前に所有者がおって、かりに無償提供あるいは有償提供した場合に払い下げる場合にも、前の所有者には、そういった特典はないわけですね。
  169. 長浜正雄

    説明員(長浜正雄君) これは有償で取得した用地を旧所有者にお譲りする場合は、経過期間のいかんを問わず、随意契約でできます。無償で提供を受けた用地を用途廃止して旧所有者にお返しする場合は、二十年以内であれば無償でお返しできます。したがいまして、本件のような場合には、県あるいは町といったようなところに一括随意契約で買い取っていただく、もちろんそれは一年で一ぺんに処置するとか、そういうことは、これはそういう条件は別でございますけれども、相手方としては地方公共団体の場合には、そういうことはできない、そしてあとは地方公共団体がそれの使い方を考えていただいて処置をしていただくというケースをいままでとってきております。
  170. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 きょうは特に、運輸省認可する料金の問題と運輸審議会の問題についての質問をしようと思ったんですが、現実に資料作成まで約一週間ぐらいかかるということで、これは次回のほうに譲ることにいたしまして、特に沖繩航空運賃と、まあ今回認可した運輸審議会の関連について、何点か質問したいと思うんです。  その前に、昨日起こりました羽田空港での事故の概要を、きょうの報道等によりますと、日航側では、羽田空港にコケがはえておって、何かスリップしたために起こった事故であるという見解を出しておるし、空港長の見解によると、これは整備の不十分であると、こういうふうにまっこうから意見が対立しておる。そういう、もしコケがはえたような状態でスリップしたような状態で事故が起こるのであれば、今後ますます危険な状態ではないかと思うんですが、この点について。
  171. 内村信行

    政府委員(内村信行君) 昨日の事故でございますが、たいへん申しわけないと存じます。そこで、ただいま御質問がございました点に先立ちまして、大体概要を御報告申し上げまして、それからその問題に移りたい、こういうふうに考えます。  まず、概要を御説明申し上げますと、日本航空株式会社所属のダグラスDC−8型のJA八〇四六、これが定期航空三六九便——これは東京発福岡行きの便でございます。——といたしまして、昭和四十七年の五月十五日十七時三十五分ごろ東京国際空港のC滑走路から滑走を開始したのでございますが、そして滑走後六百メートル付近から滑走路を逸脱いたしまして約三百メートル逸走し、その後、再び滑走路の上に乗り上げまして、滑走路に対してほぼ直角の状態で擱座をいたしたということでございます。同機につきましてはエンジンに火災が発生いたしましたので、直ちに消火いたしまして、これは消しとめましたが、機体は大破いたしました。同機には、旅客が二百四十三名、そのほかに幼児の方々が九名乗っておられ、機長以下九名の乗り組み員が搭乗していたわけでございますが、旅客十五名それから乗り組み員の一名が軽傷を負ったというようなことでございます。  この滑走路は、この事故後、直ちにクローズいたしまして、本日の午前六時三十分に再開いたしましたが、この結果、国内、国際の定期便計百十一便に欠航とかあるいは目的地変更、遅延等の現象を生じております。そこで、本事故につきましては、なお原因を調査中でございます。  で、昨日この事故発生を知りまして、直ちに技術部長それから事故調査課長ほか調査官五名を現地に派遣いたしまして事故原因を調査し、事故後の処理に当たらせたわけでございます。それから、事故調査は本日もなお引き続き続行しております。そこで、事故原因の解明に全力をあげる所存でございます。本日の事故調査は、とりあえず機長と乗員からの証言をさらに聴取する、それからタイヤのすべり状況の調査等を中心に行なうということにいたしております。で、運輸省といたしましては、事故原因の解明を続けます一方、日航に対しましては、かかる事故の再発を防止いたしますために全力を傾注するようにということを、特に大臣の命がございまして、事務次官のところに日航社長に行っていただきまして、その旨きびしく注意をいたしました。今回の事故にかんがみまして、今後とも一そう事故防止のためには全力をあげたいというふうに考えております。  そこで、先ほど御質問がございましたすべるという問題でございますが、これにつきましては、大体、滑走路の到着地点、タッチダウン・ポイントと、こう申しておりますが、そこへたびたび到着いたす回数が多うございますので、その到着するたびにタイヤのゴムが摩擦熱によって溶けまして、滑走路にタイヤが粘りついてしまう、それがたび重なると、それがスリップの原因になるのではないかと、こういうことがいわれておるわけでございます。本件につきましては、去年あたり航空会社のほうからそういう申し出もございましたので、年に一回その場所につきまして薬品をもちましてゴムを洗い清めるということをやっております。羽田につきましては、昨年のたしか九月か十月ごろそういう浄化と申しますか、洗い流す作業をいたしておるわけでございます。その後も大体一週間に一回ずつ点検いたしまして、その摩擦係数等を調べておるわけでございます。今回の場合には、それがやはりスリップの原因になったのではないかというふうな一部の意見もあるようでございます。ただ、これにつきましては現在事故調査中でございますから、それが原因になったとか、あるいはなっていないとかいう的確なことは何事も申し上げる段階でございませんけれども、まあ私どもといたしましては、いま申し上げたように、一週間に一回点検し、その際に、さきの点検では別に摩擦係数からいっておかしいことはなかったというふうなこともございますので、そうではないことを祈っておるわけでございますが、正確には、これまた事故調査を待って御報告申し上げたいというふうに考えております。
  172. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 それでは、エンジンの故障という問題もこれは報道されておりますが、現実に東亜国内航空等にしましても、全日空にしましても、最近事故が非常にあるわけです。整備の不十分という問題が十分考えられるんじゃないか。特に過密ダイヤになってくる、これから夏を迎えるわけでありますし、こういう点についてのオーバーホールあるいは整備の点検等の問題についてはどういう基準で点検をし、チェックをしているのか、この点について御説明願いたいと思います。
  173. 内村信行

    政府委員(内村信行君) 整備につきましては、いわゆるラインメーンテナンス、それから定時点検あるいはオーバーホールというふうなものが定められておりまして、それぞれの整備規程の中に、どの機種につき、あるいはどのエンジンについては何時間くらいということが明定されておりまして、それによってやっておるということでございます。  それから、ちょっと付言いたしますと、非常に折り返しが多いということがございます。これは先生御指摘のとおりでございますが、私どもといたしましては、非常にこの点は心配いたしまして——先般来、特にこの一月、二月、三月ごろが多うございました。そこで、会社のほうにも立ち入り検査もし、また特に全日空の場合は多かったわけでございまして、特に立ち入り検査をし、また社内に、その結果、監査グループというような特別な組織をつくりまして、そこによって、そういったものがあるたびに状況を分析して対策を練るということをされております。そこで、そのせいかあらぬか、四月になりましてから事故率は——事故率と申しますか、引き返し率は相当減ったようでございます。と申しますのは、大体パーセンテージにいたしまして日航の場合が大体〇・〇五ないし〇・〇六くらい、それから全日空の場合が〇・一を若干こしておる、東亜の場合も若干こしておるのではないかということでございましたが、特にそういうふうな指導を行ないました結果、全日空につきましても〇・〇三三くらいに四月の場合は減っております。さらにこういう点には十分注意して指導したいというふうに考えております。
  174. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 きょうは事故の問題で長く質問しませんけれども、資料として私、要求したいのですが、最近ここ一年間で事故が起こった、あるいは事故というか故障ですね、そういう点についての、その飛行機のオーバーホールをいつやったか、それから、それのパイロットの滞空時間ですね、これを私、資料としていただきたいと思うのです。これはやはり非常にオーバーホールが問題になってきているという、専門家筋から耳にしておるわけです。そういう点は相当厳重にチェックしていかなければまた事故を起こすような結果を招くと思うのです。そういう点もやはり私たちは点検できるような、私たちがわかるような資料を一部提出していただきたいと思うのですが、これはいかがでございますか。
  175. 内村信行

    政府委員(内村信行君) 最近の主要例につきましてのデータは後ほど御提出したいと思います。  それから、ちなみに、今回の事故でございますが、これにつきまして、ここにございますので若干御説明申し上げます。今回の飛行機JA八〇四六でございますが、これは製造年月日が四十五年の十二月二十二日でございます。そこで、購入いたしました年月日は四十六年一月二十日、それから定期便に就航いたしましたのが四十六年一月三十日でございます。それから定時点検につきましては、第一次定時点検が四十六年六月十六日、それから第二次定時点検が四十六年十一月十八日、第三次定時点検は四十七年五月十一日でございます。  そこで、機体のほうにつきましては、総飛行時間が三千三百六十六時間と三十四分、ナンバースリーの定時点検からの時間は十一時間と二十四分ということになっております。それからエンジンにつきましては、第一エンジンにつきましては二千七百三十時間と四十六分、第二エンジンが三千三百六十六時間と三十四分、第三エンジンが三千三百六十六時間と三十四分、第四エンジンが三千三百六十六時間と三十四分、そこで各オーバーホールよりの時間に該当いたしておりませんので、これまでにオーバーホールいたしておりません。  それからパイロットのほうでございますが、パイロットの機長、これは入社いたしましたのが昭和三十五年十月十七日、航空大学の卒業でございます。その後DC−8コーパイロットになりましたのが昭和三十八年七月十六日、DC−8のキャンプテンになりましたのが昭和四十七年の二月十二日でございます。飛行経歴は総飛行時間五千八百三十三時間と三十九分というふうに書いてございます。
  176. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 それでは、あとで資料でお願いいたします。  沖繩航空運賃の問題について質問したいと思うのですが、特に昨日沖繩が復帰いたしました。しかしながら、沖繩航路が現実に国内線になったにもかかわらず、料金改定が行なわれないと申しますか、料金が現行の、いままでの国際線と同じような体制で料金は据え置きになったということに対する沖繩県民の不満といいますか、これは私はたいへんなものじゃないかと思うのです。この点についての見解といいますか、運輸審議会において、運賃の申請内容あるいは運輸審議会の審議の日程、あるいはその審議過程においてどういうふうにこの沖繩航空運賃の料金据え置きが決定したか、この点についての答弁をまず願いたいと思います。
  177. 高林康一

    政府委員(高林康一君) お答え申し上げます。  運輸審議会におきましては、本件の申請がございましたのは昭和四十七年の三月十六日でございます。で、運輸大臣から運輸審議会に諮問いたしましたのは四月七日でございます。で、官報に告示いたしましたのが四月十三日でございまして、その際に、公聴会の開催について申請期限を四月二十七日といたしました。ただ、公聴会の公述の申請がございませんでしたので公聴会は開いておりません。それから運輸審議会の審議といたしましては、委員会自身といたしましての審議が五月二日、五月九日、それまでにそれぞれ運輸審議官室でいろいろ常時調査しておりましたものを検討いたしまして、この審議を経まして五月九日に申請どおり認可することが適当であるという旨の答申がございまして、この場合に審議会の過程におきましては、すでにこの答申書は公表されておるとおりでございますけれども、それぞれの定期航路運送事業の設定変更については両社に——具体的には日光と全日空でございますが、統一的な方式により算定した主要航空機ごとの原価は、それぞれ路線別に若干の相違がございますけれども、本土、沖繩間の路線全体としては両社それぞれおおむね原価を償っていること、同一路線の運賃については調整がとれていること、返還時における旅客の運賃負担の原価を可及的に小さくしていること等から、航空法によるところの基準の各号に該当するというふうに考えられるということで、それぞれ認可することが適当であるという答申を五月九日にいただいた次第であります。これに基づきまして、五月十二日に申請どおりの認可をした、こういうような経緯になっておる次第でございます。
  178. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 最初に、この審議会の問題でございますけれども現実にこの審議会が全員一致でこの運賃の答申案を出したのか、これについてお聞かせ願いたい。
  179. 高林康一

    政府委員(高林康一君) 全員一致というふうに伺っております。
  180. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうしますと、この審議会の委員七名全員出席のもとに全会一致、全員一致と、こういう結論が出されたわけでございますね。
  181. 高林康一

    政府委員(高林康一君) そのように伺っております。
  182. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうしますと、具体的に私、何点か聞きたいのですが、これは航空局長になるかもしれませんが、国際線と国内線の運賃の算定基準ですね、この問題については、積算根拠というか、距離とその航路の算定基準がいろいろあると思うのですが、この国際線だった沖繩航路が国内線になった場合の料金の考え方というものは考えなければならない点が何点かあるのじゃないかと思うのですが、この点についてはいかがでしょうか。
  183. 内村信行

    政府委員(内村信行君) 国内線につきましては、御存じのとおりに、能率的な経営における適正な原価を償って、なおかつ、適正妥当な範囲内ということになっております。大きな項目でございます。国際線につきましては、しかくはっきりしておりませんが、事実上は日航もIATAという国際航空協会の加盟メンバーでございますので、この加盟メンバーがお互いに協議いたしまして、各社によってそれぞれ原価も違いましょうけれども、大体、統一的運賃を出しまして、それを協議してきめて、それを政府認可すれば定まるということになっております。したがいまして、おっしゃるように、必ずしも同じような基準で算定されているとは言いがたいかと思います。
  184. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうしますと、この一例ですが、北海道の札幌、東京間は一万二千九百円という航空運賃になっておりますね。東京−福岡は一万三千八百円。この東京、札幌間、東京、福岡間は何キロメートルを基準にしての、この運賃の算定になっておるのですか。
  185. 内村信行

    政府委員(内村信行君) 東京、札幌間は九百四十八キロでございます。東京、福岡間はただいまちょっと手元に資料を持ってきておりません。
  186. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 これは東京、札幌間が約千キロにしましても、東京、沖繩間は約千五百キロメートルです。この東京、札幌間で考えましても約一・五倍の距離という、国内線の基準からいっても、一・五倍の料金で算定ができるのじゃないかと思います。単純計算です。あと詳しい航路の算定とかなんとか専門家でないからわかりませんが、現実には東京−札幌あるいは東京−福岡という距離で考えたら、東京、札幌間の一・五倍程度、そのくらいの料金が妥当な線ではないか、こう私は単純計算で出るのですが、いかがですか。
  187. 内村信行

    政府委員(内村信行君) 実は、路線別運賃につきましては必ずしもそういうキロ当たり原価が一致しておらないのが実情でございます。そこで、沖繩の運賃でございますけれども、沖繩につきましてはキロ当たり運賃が大体通行税を含めまして十五円七十銭程度になります。二万六千円でございますから、大体十五円七十銭程度になります。この十五円七十銭というものがどうかということでございますが、ちなみに、国内線の全体の路線、これのキロ当たりの平均運賃をとりますと、大体十七円七十銭くらいになっております。それから東京−那覇と、便数とか、旅客数、あるいは使用器材——距離は若干違っておりますが、大体類似していると思われます東京−鹿児島が十四円四十銭、東京−宮崎が十五円十銭程度でございます。これは現行の運賃でございます。なお、これにつきましては現在、運賃値上げ申請が出ておりまして、申請におきましては、キロ当たり、それぞれの運賃は、東京−鹿児島が十八円二十銭、東京−宮崎が十九円二十銭というふうになっております。そして、いろいろ見方があるわけでございますけれども、一応、国際線から国内線に入ってまいりますと、従来なかった通行税というものが一〇%でございますが、その一〇%の通行税がよけいにかかってまいります。これは運賃ではございませんで、運賃の外ワクになってまいります。それからあと燃料税というものを新たに賦課されているわけでございまして、そういういろいろの経緯がございまして、必ずしも運賃構成というものがはっきりと出てくるわけではございませんけれども、その辺を考えまして、お客さんが実際にお支払いになる運賃が大体二万六千七百円ということでございますから、キロ当たりにしまして大体十五円七十銭、まあ全体的にいえば、そう不合理の感じでもないと思います。
  188. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 全体的に見れば、これは距離計算でいえば十五円七十銭とか十八円とかという数字が出ておりますが、現実に日本航空としては、東京、札幌間、あるいは東京、福岡間に比べて、それ以上のドル箱線が東京、那覇間の航空路だと思うのですね。この点から算定しなければ、私は、ほんとうに本土復帰になった沖繩航路を運輸省考えておるということは言えないと思います。現実に、閑散線も基準にして、一緒くたにした上での航空運賃計算というやり方では、何のために沖繩が国内に返ってきたかという、こういう点についても、行政のあり方というものが私はあまりにも不親切ではないかと思います。これは現実にいえば、まあ答申の実態から考えましても、あとで公示制度で質問したいと思いますが、十二日に認可をして、おそらく沖繩県民は、十五日には安くなるだろうという頭を大半が持っておったと思います。据え置きなら据え置きの、一カ月前とか、あるいは半年前とかということで据え置きの理由をもっと親切にはっきり知らせるべきが行政の態度ではないかと思います。ところが十二旧、そのままになるという前提のもとにこの運輸審議会が行なわれているというのは、これは行政の指導としてまずいのじゃないかと思うんですけれども、いまや沖繩が観光立県として将来、力を入れようという、こういうやさきに、こういうような航空運賃のきめ方というのは、私はこれは納得できない。この点いかがですか。
  189. 内村信行

    政府委員(内村信行君) 本件につきましては、先生のおっしゃるような点も確かにございますと思います。ただ、現実問題といたしまして、現在、国内運賃については全般的な運賃改定というものが申請が出ておりまして、現在それを検討中でございます。そこで、その沖繩関係の場合にも、ほんとうは、その原価からはっきりと算定いたしまして、適正旅客率というものが出てきめるのがほんとうであろうと思います。ただ、ただいま申し上げましたように、一方において全面的な運賃改定というものが申請されまして、それにつきまして原価構成までいろいろな面から検討しておる最中でございます。したがいまして、もとの申請どおりの原価をそのまま認めるか、あるいはそれに全体的な査定を加えた原価を認めるか、その辺がまだきまっておらない段階でございまして、いわば非常に過渡的なやりにくい段階であったわけでございます。したがいまして、少なくとも現在の国際線の運賃よりも実際にお客さまがお支払いになる運賃は高くならない、若干安くなっても高くならないということを目標にいたしまして、大体この運賃を認め、また全体の体制から見ましても、それほど不合理ではないということから認めたわけでございまして、その点、先生のおっしゃる点はよくわかるわけでございますけれども、そういうふうな状況にあったことをひとつよろしく御了承いただきたいというふうに考えます。
  190. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 まあ、いろいろ調査検討された結果は、私はわかると思うのですが、現実に国内線に返ってきたメリットというものが沖繩に対してはない。これはあまりにも過酷な運輸行政のやり方ではないかという点、これは考え直さなければいかぬのじゃないかと思います。今後、港湾とかいろいろな問題点が出てくると思いますけれども、これについてもよく考えていただきたいと思います。特に国内線に返ってきて、施設利用税とか、あるいはガソリン税、あるいは通行税、こういうものも含めて、現実には、こまかな計算はわかりませんけれども、一七・八%くらいしか計算されないわけですけれども、それによりましてもまだ一二%から一三%、沖繩運賃が国内の平均レベルよりも、東京−札幌あるいは東京−福岡よりも高いという、こういう条件、いわんや、いまの局長の答弁のように、値上げが申請されておる、その値上げを先取りされたこの沖繩運賃じゃないかということを、マスコミでもいっているし、私もそのとおりだと思うのですね。もう国内運賃が値上げされる、その前に、沖繩運賃はいろいろ手直しをしなくても、将来、国内運賃と並行になるのだという、先取り運賃を沖繩に着せているということは不公平じゃないかと思うのですけれども、この先取り運賃ということについては、私は納得できないと思うのですけれども、いかがでございますか。
  191. 内村信行

    政府委員(内村信行君) 私といたしましては、まあ必ずしも先取りとは考えていないわけでございます。先ほど申し上げましたように、必ずしもこの際に適正な原価というものを割り出すすべがないというふうなこともございまして、特に、この通行税あるいは燃料税等新たなものも、国際運賃と違った要素も入るということを考えますれば、一応この程度はそう不合理ではないのではないか。しかし、さらに、今後、運賃全般の改定をいたします際に、それとともに審査をいたしまして、これが著しく不合理であればこれを下げる、また、むしろ、不合理であれば上げるというのが原則でございますけれども、それは沖繩の方々の立場を考えながら、上げるということはいたしたくないというふうに考えております。
  192. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうしますと、非常に局長の前向きの答弁ですけれども現実にまあ今後、国内線の一切の申請等は出されているそうでありますけれども、それがいつごろになるか、私は上げるほうに賛成ではありませんけれども現実にこれは上げる予想はされているわけですね。そのときに沖繩運賃を洗い直して、現実に不合理な点があれば、この値下げあるいはもう少し割引も検討する、こういう方向に受け取ってよいですか。
  193. 内村信行

    政府委員(内村信行君) 先ほど申し上げましたように、全般から見まして、著しく不合理であればそういうことも考えたいと思います。
  194. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 これは運輸大臣にも御質問したいのですけれども現実に沖繩県民の感情からいいましても、本土に返ってきたという、沖繩県民の感情は本土に対するコンプレックスというものが非常にあるわけです。私も十数回沖繩に行きまして、沖繩の県民の本土の人たちに対する不信感というものが、いろんな処分のやり方ということに対して不満というものがある、こういう割り切れない問題が、現実に沖繩に海洋博を開こう、あるいは国体を開こう、あるいは観光立県にしていこうという、政府の施策と現実には逆行しているわけですね。航空運賃が、国内線に変えたために、チャーターも現実にはできなくなってくるわけです。チャーターの制度、ブロケッドチャーターですか、こういう制度も国内線になった場合にはなくなってくる。こうなってくると、ますます現実に、沖繩への旅行といいますか、本土からも行くということについて、あるいは沖繩から本土に来るということについても、非常に不合理な面が数多く出てくる。この点を考え直さなければならぬと思うのです。  それからもう一つは、やはり日本航空、この実態、あまりこまかく時間がありませんからやりませんけれども現実には東京、那覇間の日本航空の線というのは、私は何回も乗った経験からいいましても、現実には、これはドル箱じゃないかと思うのですよ。これを六五%の採算線、乗降率を見てやる、これは現実にふえてくれば、増便をしてきて現実にこれは採算が合わないんだ、こういうような合わし方で採算をとっていくという日本航空のこういうようなやり方では、私は納得できないと思うのですね。ただ、便をふやしていけば、当然乗降率は少なくなってくるのは当然の話であって、現実に沖繩路線は、いまの線において、現実に東京、札幌間、あるいは東京、福岡間よりも乗降率はいいはずだと思うのです。これを基準にしてやはり沖繩運賃の割り出しをやっていかなければ、便をふやして乗降率が少なくなったために、それによって運賃計算をするというようなやり方では、これはちょっとまずいのじゃないかと思うのです。こういう点いかがですか。
  195. 内村信行

    政府委員(内村信行君) 沖繩の便でございますが、沖繩は日航とそれから全日空が就航しているわけでございますが、日航につきましては、先生御指摘のように、必ずしもこれはマイナス線ではございませんで、おそらくプラスだろうと思います。ただ、この場合に申し上げなければなりませんことは、大体普通に考えまして平均の利用率が六五%程度、その場合には大体お客さまの積み残しもなくて平常に運航できると考えておりますが、これが七〇%、八〇%ということになってまいりますと、これは平均がそうでございますから、ある場合には積み残しせざるを得ないという、いわゆるサービスにおいて欠ける点ができるのではないかと考えております。そこで、沖繩の日航のロードファクターを見ますと、大体昭和四十六年度が平均いたしまして大体七〇%前後ではなかったかと思います。それで、さらに今年になりましてからは、復帰前というふうなことも反映いたしまして、非常に乗降客が多くなりまして月といたしましては九〇%をこえるという月もあったようでございますが、そういたしますと、結果といたしましては収益が上がってくるわけであります。月にいたしまして九〇%をこすという状態になりますと、積み残しというような状態が出るわけでございまして、全日空、日航含めまして、もう少し輸送力を増加して、積み残しがないように、できるだけ平均のロードファクターが六五%前後になるように目ざしてキャパシティーをきめるということがお客さまに対するサービスではないかと考えておるわけでございまして、その場合には、日航の採算点から申しましても、必ずしもそう大きな収益というふうにはいかないのじゃないかというふうな感じもいたします。
  196. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 これは沖繩の問題だけではなしに、この運賃は総合的に計算されているわけですね。これは交通総合政策の中でもいろいろ論議されて、そこまで踏み切ってはいないわけです。国鉄の場合は閑散線あるいは新幹線とも一緒の採算になっておりますけれども、航空運賃については、やはりそういうふうな形態を、運輸省の機関としてはとっていくのかどうか。あるいは単純に言えば、東京、沖繩間が相当旅行客が多い、そのために黒字に相当なってきた場合には値下げをするとか、あるいは線別にもう少し下げるとか、こういう方法は検討されるのかどうか。
  197. 内村信行

    政府委員(内村信行君) これは航空法のたてまえといたしましては、免許路線制の運賃計算でございます。しかし、実際問題としましては、路線ごとに切り離して運賃計算をすることはむずかしいのでございます。と申しますのは、器材などを非常にいままでも共用いたしておりますので、結局、実際問題といたしましては、全体の原価を計算いたしまして、それを各路線に割り振る、各路線に割り振る場合には、若干、情勢による調整もやりながら行なうということが実際的なのではないかと思います。したがいまして、そういうふうなことも考えてまいりますと、各路線について、非常に客が多いから通過を下げるというふうなことではなくて、やはりその平均的なロードファクターの場合に、言い直せば能率的な企業、標準的な経営という場合に一体どれくらい乗るべきであろうかというようなことから推定いたしまして原価をきめていくというふうなことにならざるを得ないのではないか。そしてその場合に非常に旅客がふえればその分はやはり増収になる、そこまで満たなければその分だけ減収にならざるを得ないじゃないか。しかし、それはしようがないんで、平均的に、ある一定の標準的な輸送力を出すということをめどにして考てなければいかぬというふうに考えております。
  198. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 運賃の問題関連しまして、この運輸審議会がここに答申を出したと。この問題について運輸省設置法の第五条に「公共の利益を確保するため次条第一項に掲げる事項について公平且つ合理的な決定をさせるため、運輸審議会を常置する。」、こういうふうに設置法の第五条にうたっている。「公共の利益を確保する」という、こういう立場から考えた場合、具体的に、この運輸審議会の答申というものが、はたしてこの「公共の利益」、今回の場合で言えば沖繩県民の利益のためにはたして合致しているかどうか、料金の問題はさておいても、料金だけではなしに、やはり沖繩県民にもう少し航空運賃も据え置くなら据え置くという、こういう問題はやはり早く答申すべきではないか。現実に電話料金も一通話いままで千幾らしておったのが三百三十円に変わっているわけですね、沖繩復帰と同時に。こういう点から考えても、やはり運輸審議会の「公共の利益を確保する」という設置法の趣旨からも、私はちょっと運輸審議会のあり方というのは問題じゃないかと思うのですが、これ、いかがですか。
  199. 高林康一

    政府委員(高林康一君) 御指摘ございましたように、運輸審議会の設置目標というものは、公共の利益を確保するために各種の運賃料金につきまして公平かつ合理的な決定をさせるために存するところのものでございます。当然この場合に考えられますことは、私は、航空法に規程しておりますところの、第百五条第二項に規定する基準に合致するかどうか、そのことをまずよく審査、決定をしなければなりませんので、そういう点で、そういう観点から航空法上の基準というものに、より合理的にかなっておるかという観点から、公平かつ合理的な決定であるということを担保するためにこのような答申が出たわけでございます。私ども運輸審議会の答申を尊重いたしましてやっていくことが設置目的にかなうゆえんであるというふうに考えて処理していた次第でございます。
  200. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 答弁はそのとおり公平になっているんですけれども現実に私たちが運輸審議会の、これは料金決定の問題で資料要求しておりますから、具体的にその問題を考慮して修正したのか、あるいは現実にどうなったのかという料金問題一つ一つについて次回に質問したいと思いますけれども現実に運輸審議会の答申を、これは丹羽運輸大臣だけじゃなくて、代々の大臣がこの運輸審議会の答申を尊重してきているわけです。まあ、おそらくいままでの運輸大臣が運輸審議会の答申を拒否したということは一回もないと思うんですけれども、これはいかがですか。
  201. 高林康一

    政府委員(高林康一君) 私の記憶しております限りにおきましては、拒否したという事例はないと思っております。
  202. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 ここはやはり尊重は私はけっこうだと思うのです。そのために運輸審議会をつくったわけですね。しかしながら、これは第三者が見ましても、国民が見ても、あまりにも運輸審議会が一部の代表意見に左右されていると、振り回されているというのが、一昨年ですか、私鉄運賃の値上げのときにもあったし、今回の国鉄運賃のときにも出てくるだろうと思いますけれども、こういう問題が、あるいはタクシー料金値上げの問題あるいはバス料金の値上げの問題、こういう一つ一つの問題をいろいろ吟味してみますと、まあ申しわけないけれども運輸大臣現実的には運輸審議会の答申をそのままうのみにしてこたえざるを得ないという、この設置法がはたしていいかどうかということが私は疑問だと思うのです。  それに加えてやはりメンバーの問題、国会で承認案件になっておりますけれども、この点について私は云々はあまりしたくありませんけれども、やはり慣例というのだから、行政出身者の行政経験を生かすということが慣例になっているんですけれども、やはりもっと中立的な、国民の幅広い意見を出せるような運輸審議会のメンバーを私はつくるべきじゃないかと思うのですね。これは慣例で、いろいろな形で運輸審議会のメンバーが七人選ばれていらっしゃるのでありますけれども、これはやはりいままでと同じような形態ではなしに、やはり脱政党といいますか、そういう市民感情の中にあって、もっとやはり市民の声を代弁できるように、やはりこういう運輸審議会のメンバーをそろそろ考えてもいいんじゃないかと。確かに経験も必要でしょう。しかしながら、もっと幅広い意見を出せるような運輸審議会でなければ、中立的な第三者機関としての運輸審議会の機能は果たせないじゃないかと思うのです。こちらでメンバー一々悪いとかどうこう言いませんけれども、こういう問題やはりもう少し幅広い意見が持ち出せるような運輸審議会にしていかなければ、常勤制度でつくっている運輸審議会のあり方としてはあまり芳しくないと思うのです。これは大臣に御見解伺いたいと思うのですけれども……。
  203. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) 運輸審議会の構成並びに運営のしかたにつきましては、しばしば委員会その他におきまして御指摘を受けた次第でございます。ことに今回の国鉄運賃の決定につきまして、公聴会の開催その他につきましては御指摘を受けた次第でございます。ただいま官房長から御答弁を申し上げましたように、この公共料金の決定、これは非常に国民の生活に非常に大きな影響を及ぼす次第でございますので、事務当局の立案したものをそのままに運輸大臣がこれを裁定をするということでは、やはり運輸大臣としての国民に対しての公平なる判断に間違うところがあるのじゃないか。それゆえに、そういった運輸審議会を設けまして、そこで十分に吟味をしていただいて、この出しました、事務当局が出しました公共料金というものが、つくりました公共料金、また各業者が申請いたしました料金というものがはたして妥当かどうかということを十分に吟味いたしまして、そうしてそれを修正、あるいは妥当であると認めれば別でございますが、独自の意見でもってやっていただきまして、それで運輸大臣にこれを勧告をする。それに従いまして、私どもはその勧告に従いまして裁定をするというたてまえになっておる次第でございまして、実はまあ選挙制度審議会、あれの意見は絶対尊重しなくちゃいかぬというあれがございますが、それほどじゃございませんが、実際問題といたしましては尊重して裁定をするということがいままでのやり方になっておりまして、いま官房長から御答弁申し上げましたように、それを拒否した例はないということでございまして、私どもこれはいまの点が非常にマンネリズムになっているじゃないかという御批判も受ける次第でございますが、できれば、やはり運輸審議会独自の御見解で、いろいろの点でひとつ世情にあった御指摘をいただき、それを私どもが裁定をするということが一番望ましいことじゃないかと思う次第でございます。ただ、いま私も伺いました、公聴会が、やはり申し込み人がなかったから開かなかった、こういう点でございます。やはりこれは利用者、それから一般の、いまの先生御指摘の一般の何ら関係のない人、こういう方の御意見も私は非常に貴重だと思う次第でございます。そういうような機会を、できるだけやはり聞く機会、それを参考にいたしまして、運輸審議会が最後の勧告の決定をする、私どももそれを非常に参考にするということが一番必要じゃないか、こういうふうに思っておる次第でございまして、先般のときも、公聴会の運営のやり方という点につきましては十分考えなくちゃいかぬ、こういうふうに私は思っておる次第でございます。また、ただいま、これはまあ私ども責任を転嫁するわけじゃございませんが、七人の委員につきましてはそれぞれ国会の御承認を得ている次第でございますが、またさらにお知恵を体しまして、できるだけやはり適切なる人選というものを充てなくちゃいかぬ、こういうふうに思っておる次第であります。
  204. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そこで、沖繩の公聴会の問題一つにしましても、現実には沖繩が公聴会に入りますけれども、五月十五日以前に公聴会を開いて沖繩県民が公聴会をやるというわけにいかないわけですけれども、こういう不合理なところが私はあるだろうと思うのです。この点はやはり運輸審議会はもう少し考えなければいけなかった問題ではなかろうかと思うんですが、このほかに、運輸審議会の議事録の公開ですね、これはまあおそらく私も資料を要求しなければできない。この運輸審議会の議事録は、私たちも、運輸審議会はどういうふうに開かれているのか、どういう内容が検討されているのか、何点か知りたい問題が数多くあるわけですね。このほかに、はたして議事録の公開を私たちにするかどうか、この点について。
  205. 高林康一

    政府委員(高林康一君) 運輸審議会におきましては、審議規則の十条によりまして議事録または議事概要のようなものを作成しております。ただ、その運輸審議会の活動ないしは審議、そういうようなものにつきましては、全般的には、毎年、業務報告書、これは審議会規則の七条でございますが、業務報告書を公表すると、それからまた公聴会につきましては、審議報告書を作成してこれを公表する、あるいはまた、答申につきましてもこれをすべて公表し、さらに少数意見があればこれを付記することができるというふうにそれぞれ定めがございまして、そういうようなことで、また審議過程において、規則によりましてそれぞれ必要な資料は閲覧するとかいうような、できるだけこれを公表いたしまして、いろんな資料、あるいはその過程の問題を当然公表し、また結論のときにおきましては、また少数意見があれば当然その答申そのものに付記して公表するというようなことをやっておりますけれども、ただ、議事録自身につきましては、事柄の性質上これを公表しておりませんけれども、実態的な内容は、そういうような審議報告書なり、あるいは業務報告書あるいは答申なりの形で公表して、その活動をできるだけ多くの方に御理解願うというふうに進めておるものでございます。
  206. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 結論的に言って、この議事録の公開をこの運輸委員会で、あるいは理事会で閲覧するとか、こういうことは可能か不可能かという問題です。いかがですか。
  207. 高林康一

    政府委員(高林康一君) もちろん、その議事録の内容にもよると存じます。これはもちろん御報告申し上げて適当なものと、それから、あるいはまた、そうした審議会におきましてそれぞれ秘密順守義務というようなものもございますので、その部分において、あるいは御報告を申し上げることが適当でないというような部分もあるものと、事柄の内容によりましてそれぞれ考えられるのではないかと存じます。
  208. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 それでは次の問題で、やはり今回の沖繩の例を見ましても、料金の公示制度というのですかね、料金が決定されてから国民に知らせるという、その方法が、水陸空といいますか、道路運送車両法あるいは私鉄あるいは海上、航空機等についても公示制度がばらばらで、統一するということは非常にむずかしいかもしれませんけれども、やはり運賃が決定される、あるいは料金が決定されてから国民に知らせる方法は、やはり運輸省としてもう少し私は検討すべき余地があるんではないかと思うのですけれども、この具体的な実態はどういうようになっておりますか。
  209. 高林康一

    政府委員(高林康一君) 運輸省関係の運賃及び料金の公示につきましては、それぞれ法律、あるいはそれぞれの対象の事業によりまして、確かにいま先生御指摘のとおり、公示のやり方等が異なっております。国鉄運賃のように法律で定め、法律施行期日を定めるというようなものは、これは別にいたしまして、いわゆる認可料金、運賃について考えてみましても、地方鉄道のような実施前七日間というふうに鉄道営業法で定めておるというような類型もございますれば、あるいはまたバス、タクシーというようなものについては七日前に公示するというようなことを規則で定めておるもの、それからまた類型として何の規定もいたしておりませんけれども、行政指導で実施前一週間とか、十日とかいうふうにやるものと、あるいは特に規定はなく、また特別の指導もしていないというような類型もございます。これらの点につきましては、たとえば貨物等につきましては、比較的特定したところの利用者というようなことで、そういうようなことが必ずしも実施前ある程度期間をおいてやらなくても直ちに周知徹底するというようなケースもございますけれども、やはり一般公衆を対象といたしますところのものにつきましては、できるだけ実施前の一定の期間について、認可料金については一定の期間公示と、あるいはまた事実上そういうような指導というようなことが適当ではないかと思って、現在いろいろ検討を進めている次第でございます。ただ、法律の取り扱い方がそれぞれ違いますので、また対象事業の性格が違うというようなこともありまして、なかなか画一的に、一挙にというふうにはまいりませんけれども、基本的な考え方といたしまして、不特定多数の利用者を対象といたしますものは、できるだけ実施前に一定期間をおいて、認可料金についてはそういう周知をはかるという必要があるんではないかということで検討を進めておる次第でございます。
  210. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 これは運輸大臣、この運輸審議会でやはり決定されて答申を出すと、それから認可されるまで二、三日かかると思うのですけれども、これからやはり国民に知らせるためには一週間なり、二週間、この問題について必要なんだとすれば、運輸審議会の取りきめ方も、あるいはいつまでにきめなければいけないと、それから申請はいつまでにしなきゃならない、こういう点がはっきりわかると思う。ともすれば、この料金値上げの問題はかけ込み値上げというものが非常に多いわけですね、現実に。そういう点を考えますと、やはり公示制度を明確にしていくということは、国民のために非常に大事なことではないかと思います。こういう点、やはり現実私鉄運賃等は大正八年ですか、そのときにきめた公示制度ですが、海上のほうは全然ない、こういうふうな状態ではあまりに不親切ではないかと思うのですけれども、これは早期に私は公示制度をつくるべきではないかと、こう思うのですけれども大臣の見解を伺いたいと思います。
  211. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) 非常に適切な御提言をいただいた次第でございます。私もほんとうに申しわけない次第ですが、この点で規定がないものが相当ございまして、ことに一般国民大衆の利用するというものにつきましては、やはり相当な期間をおきまして十分周知徹底いたしまして、利用者の、これだけのことはしかたない、これで当然だというような御了解を得る期間をおくことが私は必要だと思う次第でございます。いまの御趣旨を体しまして、そういったようなものにつきまして法律でつくるか、あるいは政令でつくるかというような、ある程度のやはり公示期間を設けることは私は必要だと思う次第でございます。その趣旨を体しまして、さっそく検討させていきたい、こう思っている次第でございます。
  212. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 それでは最後に、これは沖繩の問題になりますけれども、那覇空港が昨日から運輸省に部分的に管理権が移管されたわけですね。このことによって、那覇空港の陣容ですね、運輸省としての。あるいは管理権の問題は、いまP3が移るのが一年おくれる、こういう点について非常に民間空港としての機能が果たせないのじゃないか、こういう点、私たち非常に心配される問題であります。この返還によって、那覇空港の現実問題として、どういう点が米軍との間にいま予想されるか。あるいはまた、沖繩の返還に伴って国内線になった羽田空港の航路の取り扱いですね、この点は具体的にどういうふうに変わったのか、この点についてお伺いいたします。
  213. 内村信行

    政府委員(内村信行君) 那覇空港が返還になりまして、その結果、まず変わったことは、飛行管制並びに着陸誘導管制、これが米軍からこちらに移管されたことでございます。これにつきましては、すでに昨年十一月ごろから、逐次、管制官要員を那覇空港に派遣いたしまして、米軍の中に入れましてその引き継ぎ訓練を行なっておったわけでございます。これもいままでに完了いたしまして、総員三十四名をもちまして五月十五日に無事、那覇空港における飛行場管制及び着陸誘導管制業務は引き継ぎを完了いたしました。それからさらに全体といたしまして、管制要員を含みますが、那覇空港準備室というものを昨年末から設けまして、総人員百九十二名、それで組織といたしましては空港長のもとに次長二名及び十六課、これで総員百九十二名をもちまして那覇空港の管理を引き継ぎまして、そこで十五日から運輸大臣の設置する空港といたしまして運用を開始したわけでございます。それによりまして飛行場の中の滑走路、あるいは誘導路、エプロンその他の維持管理、そういった業務、あるいは施設の運用、それから通信関係その他も引き継ぎまして、引き継ぎを終わったわけでございます。  なお、この際に、残念ながら、いわゆるP3Bというものがおります地区は返還されてございませんので、そういう点につきましての管理権はございません。それからなお、本飛行場は防衛庁と共用いたしますので、防衛庁の使用する部分につきましては防衛庁が管理するということになっておりますが、ほかの分につきましては私どもの管理に移ったわけでございます。
  214. 丹羽喬四郎

    国務大臣丹羽喬四郎君) いまの点は、実は私も非常にその点が、P3の移転がおくれましたのは非常に遺憾でございまして、外務大臣にも私から申しまして、できるだけ早く移転を完了するように、せっかく民間空港として返還をするということで、いつまでもいてもらっちゃ困るということで、いまでも強く言っている次第でございます。具体的の例といたしましては、実際は板付空港、米軍も共用しておるというようなことでございまして、飛行場管制は私は必要ないのじゃないか、それらのほうの訓練もさしておる次第でございまして、ただ御承知のとおり、航空路管制、これがまだ米軍へいまゆだねられている次第でございます。これが嘉手納にありまして、位置は大体見当はつけた次第でございます。それを早急にやります。これはどうしてもやはり二年ぐらいかかる。その間に航空路管制ができると、進入路管制やなんかの点もやりますが、これをどうしても早くわが国でもって管制をしきませんと、やはりそれらがどうしても非常に将来におきまして日本に返るということは事実上言えないんじゃないかと、こう思っておりまして、せっかくそれを急がしている次第でございます。
  215. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 それでは、この那覇空港の埋め立て等は非常におくれているわけですね。これは現実にまだ琉球政府の当時はあったわけですから、今回は運輸省に管理権が移ってくる、こうなってきますと、航空路の管制の問題、あるいは港湾の埋め立ての問題等が——相当やっております、飛行場の埋め立てを。こういう点が非常におくれているという点は、私非常に心配しているわけですね。それと、やはりP3の移転が、これは運輸省当局じゃありませんけれども、居すわりをするんではないかという、これは私たちの観測です。一年間ではなしに、将来ともこのP3が那覇空港に居すわるのではないかと、こういう観測を私たちは強く持っているわけです。この問題については、やはり運輸省として、民間航空としての那覇空港が目玉商品だと外務省も言いますけれども、これはやはり沖繩県民の感情からいっても、この那覇空港は民間空港として、また、この航空路の設定の問題について、防衛庁あるいは米軍、運輸省との間に現在いろいろな問題はないと思いますけれども、今後ベトナム戦争との問題とも関連してきまして、非常に那覇空港自体がそういう問題が非常に危険視されてくることも起こりかねないと思いますので、厳重に、那覇空港の問題については運輸省として防衛庁なり外務省なりに要請をして、民間航空として一日も早く運輸省が国内航空を全部専門にやっていかれるような体制に早くしていただきたい、これは要望でありますけれども、このことをお願いして、私の質問を終わりたいと思います。
  216. 木村睦男

    委員長木村睦男君) 関連してですか……。
  217. 山田勇

    ○山田勇君 先ほどの、三木委員からの日本航空の昨日の事故について簡単でけっこうでございますが、二、三お尋ねをいたします。  航空局長にお尋ねいたしますが、パイロットの操縦のいわゆる規定というのは、誘導路から離陸する滑走路まで、いわゆるコントロールタワーによって誘導されて、そこから離陸いたしますが、その間に、パイロットのいわゆるエンジンの全開というふうな規定はございますでしょうか。
  218. 内村信行

    政府委員(内村信行君) 技術部長から御答弁申し上げます。
  219. 金井洋

    政府委員(金井洋君) エンジンの規定、全開というような規定はございません。
  220. 山田勇

    ○山田勇君 騒音公害にこのごろは重点を置かれているようでございます。これはたいへんけっこうなことなんですが、大阪とともに羽田空港でもそうですが、いままでですと、飛行機は誘導路から、まあCだったらC、AだったらAの離陸地点まで行きまして、そこで必ずウェーティングがかかりまして、全開速でやりましてエンジンをふかします。かなりベルトを締めておりましても前につめるような感じを受けまして、それからエンジンの確認を受けて、こう飛び立っていったように私は承知しておりますが、この騒音公害というものが非常にここ近年騒がれるようになってから、大阪の空港長の説明にもありますけれども、ふかさないで、誘導路からそのままずっと行きまして、そのまま離陸をいたします。ですから、エンジンを全開に、フルに回転をしていないという、何かそういう点において安全性というものをチェックしていないといいますか、また、その誘導格へ入ってから絶対にエンジンはふかさないということから見ますと、このごろの航空事故を見ますと、全部離陸後に起こっている事故が大半だろうと思います。警告ランプ等がついたりということですから、そういう点、一度、航空局長のほうからお調べをぜひいただきたいと思います。まあ、その騒音の規定をいうことはございますでしょうが、何か、このごろ乗ってみましても、そういうエンジンをフルに動かして離陸するということはまずございません。羽田の場合も一緒でございます。ですから、そのまま入っていってしまう。  それから、先日の行政視察で羽田に参りましたときに、定期検査またはオーバーホールしたあとの事故率といいますか、が多いということを聞いておりますが、先ほど航空局長が言われた、昭和四十七年の五月の十一日に定期検査を受けた飛行機がああいうような形で事故を起こしているということですが、そういう点、われわれは非常に危惧をするところです。まあ、いま事故調査の究明の段階ですからはっきりしたことは申せませんし、あの大きな、相当量あるエンジンが百メートルも飛ぶのですから、はたして主軸が飛んだだけで、あれだけのショックでエンジン飛ぶものか。すでに火をふきながら百メートルか百五十メートルか滑走したものが、さきの説明では、ショックを受けますとエンジンが下に落ちるようになっておりますが、そうしますと、やはり離着陸には相当のシッョクを受けますが、そういうことではエンジンは飛ばない。何かエンジンの状態に異状があればこそ、あのエンジンが切り離されるのだろうと思います。少しのショックで飛ぶのだろうと思います。そういう点を、いま事故の原因の究明の段階ですから、私よくわかりませんが、そういう事故の究明わかり次第、またわれわれにも御報告をいただきたいと思います。  終わります。
  221. 木村睦男

    委員長木村睦男君) 他に御発言もなければ、本日の調査はこの程度にとどめておきます。  本日はこれにて散会いにします。    午後四時五十九分散会      —————・—————