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1972-03-22 第68回国会 衆議院 予算委員会第二分科会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年三月二十二日(水曜日)    午前十時開議 出席分科員   主査 野田 卯一君       川崎 秀二君    正示啓次郎君       田中 龍夫君    森下 元晴君       楢崎弥之助君    古寺  宏君       田中 昭二君    小林 政子君       東中 光雄君    兼務 阿部喜男君 兼務 井上 普方君    兼務 大原  亨君 兼務 斉藤 正男君    兼務 中谷 鉄也君 兼務 中村 重光君    兼務 芳賀  貢君 兼務 平林  剛君    兼務 細谷 治嘉君 兼務 堀  昌雄君    兼務 近江巳記夫君 兼務 北側 義一君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 水田三喜男君  出席政府委員         防衛施設庁施設         部長      薄田  浩君         外務省経済協力         局長      大和田 渉君         大蔵大臣官房日         本専売公社監理         官       福間  威君         大蔵大臣官房審         議官      中橋敬次郎君         大蔵省主計局次         長       吉瀬 維哉君         大蔵省主計局次         長       長岡  實君         大蔵省関税局長 赤羽  桂君         大蔵省理財局長 橋口  收君         大蔵省理財局次         長       小幡 琢也君         大蔵省証券局長 坂野 常和君         大蔵省銀行局長 近藤 道生君         大蔵省国際金融         局長      稲村 光一君         国税庁長官   吉國 二郎君         食糧庁長官   亀長 友義君  分科員外出席者         大蔵省理財局次         長       大蔵 公雄君         大蔵省理財局国         有財産総括課長 窪田  譲君         国税庁税部長 江口 健司君         通商産業省企業         局商務第二課長 村野啓一郎君         建設省住宅局市         街地建築課長  高瀬 三郎君         日本専売公社総         裁       北島 武雄君         日本専売公社総         務理事     斎藤 欣一君         日本専売公社理         事       稲川  徹君         日本専売公社営         業本部本部長 飯田 頼之君         日本専売公社生         産本部本部長 斎藤 慶二君         日本専売公社生         産本部本部長 佐々木幸雄君     ————————————— 分科員の異動 三月二十二日  辞任         補欠選任   鈴切 康雄君     田中 昭二君   東中 光雄君     小林 政子君 同日  辞任         補欠選任   田中 昭二君     樋上 新一君   小林 政子君     東中 光雄君 同日  辞任         補欠選任   樋上 新一君     古寺  宏君 同日  辞任         補欠選任   古寺  宏君     鈴切 康雄君 同日  第一分科員中谷鉄也君、第三分科員斉藤正男  君、中村重光君、細谷治嘉君、堀昌雄君、近江巳  記夫君北側義一君、第四分科員阿部喜男  君、井上普方君、芳賀貢君、平林剛君及び第五  分科員大原亨君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十七年度一般会計予算大蔵省所管  昭和四十七年度特別会計予算大蔵省所管  昭和四十七年度政府関係機関予算大蔵省所管      ————◇—————
  2. 野田卯一

    野田主査 これより予算委員会第二分科会を開きます。  昭和四十七年度一般会計予算大蔵省所管昭和四十七年度特別会計予算大蔵省所管昭和四十七年度政府関係機関予算大蔵省所管を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中谷鉄也君。
  3. 中谷鉄也

    中谷分科員 私は、きょう、いわゆる外務員顧客との関係外務員顧客との間に生じているトラブル防止、その他、そのトラブルの原因とも思われる外務員教育、待遇の改善等につきまして、与えられた時間の中でお尋ねをいたしたいと思うのであります。  外務員外交員、あるいはセールス、いろいろなことばの使い方はありまするけれども、特に、最近は、割賦販売等セールス等におけるトラブルもかなり多いようであります。これらの点については、日をあらためてお聞きすることにいたしまして、まず最初に、生命保険募集人の数について、昭和四十五年度現在において、年度末登録外務員数は五十万七千二百八十八人であるというふうに聞き及んでおりますが、四十六年の見込みなどについてはお答えいただけるでしょうか。政府委員のほうから御答弁をいただきたい。
  4. 近藤道生

    近藤政府委員 ただいまお示しの数字が、四十六年末にどのくらいの数になりますか、これは、予測としてはたいへんむずかしい予測でございますが、従来の感じ、トレンドから申しますと、数においてあまり大きな差は出てこないのではないかというふうに考えております。
  5. 中谷鉄也

    中谷分科員 そこで、生命保険募集人証券関係外務員、そうして商品取引外務員、この三つにしぼってお尋ねをするわけでありまするけれども商品取引関係外務員の数は五千三百人というふうに聞き及んでいるわけであります。なお、証券外務員の数の調べについては、四十七年一月において、期末現在三万八千五百七十六人というふうに聞き及んでおりまするけれども、そのようなことでよろしいでしょうか。お答えいただきたい。
  6. 坂野常和

    坂野政府委員 証券数字は、ただいまのお話のとおりであります。
  7. 村野啓一郎

    村野説明員 商品取引におきましては、ただいま先生おっしゃいましたように、昨年度末で五千三百人の登録がございます。
  8. 中谷鉄也

    中谷分科員 そこで、証券外務員についてでありますけれども、四十二年から四十三年、四十二年十月から四十三年の九月にかけて、事故発生件数が百六十八件、同じく四十三年から四十四年にかけて百十二件、四十四年から四十五年にかけて百四十八件、四十五年から四十六年にかけて百二十六件。こういうふうに、事故発生件数紛争発生件数については、逐年増加あるいは減少というふうな統計上の資料は出てまいりませんけれども横ばいか、いずれにいたしましても、事故発生件数が減っておらない。こういうふうな事情がうかがわれるわけであります。同じく、生命保険関係について指摘をさしていただきますならば、いわゆる生命保険募集人にかかる事故件数不祥事故といたしまして、昭和四十二年三百三十四件、昭和四十三年三百三十件、昭和四十四年二百五十二件、昭和四十五年、これはたいへんふえておりまして、三百二十四件ということに相なっているわけであります。商品取引関係についてでありまするけれども昭和四十五年二百八十三件、昭和四十六年二百一件。こういうことに相なっているわけであります。  そこで、お尋ねをいたしたいのは、特に顧客との関係においてですが、生命保険の場合、顧客ということばを使うことは適当でありませんけれども金額、そしてその与える影響の大きいのは、何と申しましても、商品取引証券の場合であろうかと考えるわけでありまするけれども証券外務員のこれらのトラブル事故等についての防止策いかん。この点について、いろいろな答申あるいは措置等が、四十年の大改正のあと講ぜられておりまするけれども現実にあらわれてきている数字は、事故件数が減っておらない。この点について、どのような措置を講ぜられるか。この点について、ひとつ政府委員からお答えいただきたい。
  9. 坂野常和

    坂野政府委員 御説のように、件数におきましては、ほぼ横ばいの状態になっております。また、金額につきましては、一件当たりの金額がむしろ増加ぎみ状況になっておる。たいへん遺憾なことになっております。ただ、私ども監督体制といたしましては、証券検査あるいは業務指導等を通じまして、内部管理の強化を厳重に監督いたしております。どういうことをしておるかと申しますと、売買報告書とか残高照合書顧客へ直接それを送付いたしましてチェックするというシステム、それから、新規の外務員採用に際しての人の選定の問題、証券会社の中での教育の問題。また、協会従業員禁止行為を定めます規則をつくっておりますが、その違反者に対しては厳重な監督をするという体制をいたしております。また、最近は、証券会社のほうでも、管理者を直接顧客に会わせ、あるいは顧客先を訪問いたしましてチェックするようなシステムも励行するように指導してまいっております。こういうことで、従来からやっております方法をかなり強化しておりますので、発生件数は、ただいまのお説のように、横ばい的な件数と申しましても、最近は若干ずつ減ってはおります。たとえば、四十六年九月期は百二十六件というふうに、前年の百四十八件より減少しております。そういう体制のもとに、発生件数はなお百件以上にのぼっておりますけれども、少なくとも、発生したものの解決は早期にこれを行なうように、そういう指導もしております。その結果、たとえば、四十六年九月期発生の百二十六件のうち、未解決のものは現在二件になっておるというような状況であります。
  10. 村野啓一郎

    村野説明員 商品取引におきましても、お客さまとの間のトラブルが非常にふえてまいりましたことを考えまして、いわゆる勧誘行為につきましての規制を強化しておるような次第であります。基本は、何と申しましても、勧誘に当たります登録外務員、この行動を適正化する必要がございますので、特に、一昨年から外務員研修制度を強化いたしまして、大体四カ月ないし六カ月の研修期間を置きまして、この期間に十分な研修を行なう。これは、取引員の社内におきます研修のほかに、特に、取引所の連合体でございます商品取引所連合会におきまして、そのような講習を行なっております。  その講習重点は、商品取引といいますものは、いわゆる現物取引と違いまして、先物取引である、清算取引であるということの特殊性をよくお客にわからせるように、それに重点に置いて研修をいたしております。そのほか、違反行為については制裁をきびしくするようにというふうな指導をいたしているわけでございます。
  11. 中谷鉄也

    中谷分科員 それぞれの担当の局から事故発生件数についての資料をいただいておりまするけれども、この事故発生件数は、現実に起こっている事故発生件数との間に食い違いはないでしょうか。この点はいかがでしょうか。生命保険についてはあらためてお聞きすることにいたしまして、証券と、それから商品取引関係でお答えいただきたいと思います。
  12. 坂野常和

    坂野政府委員 お手元数字は、大蔵省届け出られた数字でございますので、届け出のないものがあるかどうかという疑問はございます。それは、私どもとしましては、証券検査の際に、届け出未了のものがあるかどうかチェックいたしておりますが、まあ、皆無とは申し上げませんが、最近においては、かなりの部分、もうほとんどが届け出られているというふうに検査を通じては感じております。
  13. 村野啓一郎

    村野説明員 商品取引におきましては、いわゆる取引所にあがってまいりました紛議件数は、先ほど先生おっしゃいましたように、四十五年におきまして二百八十三件、四十六年におきましては二百一件でございますが、これ以外に、お客さまと取引員との間で自主的に解決したものがかなりあるかと思っております。これは、いわゆる、もめないですんなりと解決された例でございますが、これは特に紛議と考えておりません。
  14. 中谷鉄也

    中谷分科員 商品取引関係ですけれども紛議が直接解決をしない、業者と仲買い人顧客との間において直接解決しないという場合には、紛議調停委員会調停申し立てをするとかいうふうなことに相なっておりますね。証券関係ですけれども、この事故解決方法はどういうふうなことに相なっておるんでしょうか。解決方法についてお答えください。
  15. 坂野常和

    坂野政府委員 三つほど手段がございます。  一つは、証券取引法規定のある「仲介」という規定でございます。これは証券取引法百五十七条に規定がございまして、証券会社顧客との間に紛争がある場合に、大蔵大臣仲介を求めることができるという規定であります。これは、最近では、実際例がございません。と申しますのは、あとで申し上げます協会手段でほとんどが済んでおるということであります。  二番目は、証券取引所仲介で、これは取引所の定款で定められております。これも実際例はほとんどございません。  一番例の多いのは第三の方法で、証券業協会による紛争処理解決方法であります。これは二つございまして、一つ苦情相談室でございます。もう一つ調停委員会。これは三名委員がおりますけれども、三名からなる調停委員会というのがありまして、調停委員会紛争解決をはかる。この三つ方法であります。それで、苦情相談室へ持ち込まれる案件は非常にたくさんございます。その中でなお解決困難の大きな問題が調停委員会へのぼってくるという形になっております。
  16. 中谷鉄也

    中谷分科員 主として行なわれる紛争解決方法について、事故件数関係との内訳はお答えいただけますか。
  17. 坂野常和

    坂野政府委員 ただいま手元件数を持っておりませんので、後刻また……。
  18. 中谷鉄也

    中谷分科員 大体の割合程度はどうでしょうね。
  19. 坂野常和

    坂野政府委員 ほぼ半数ぐらいという感じであります。
  20. 中谷鉄也

    中谷分科員 そこで、私がお尋ねをしたいのはその点に関してであります。紛争というのは、その処理されたこと、そのことだけでいいというふうには限らないと私は思う。紛争処理は、適正かつ合理的、正当になされねばならない。顧客保護だといっても、声の大きい顧客保護というものは大いに行なわれるが、そうでない顧客については、泣き寝入りということがあり得るというふうなことであっては、顧客保護の目的は達しないと私は思う。要するに、顧客のこうむったところの損害というものが、あらゆる場合においても、適正かつ合理的に補償されねばならないと思う。そういう点から申しまして、証券局は、そういう紛争処理実態、その紛争解決として妥当であるかどうか、こういう点についての調査はどのようにされておりますか。
  21. 坂野常和

    坂野政府委員 証券事故発生いたしますと、協会を通じて、証券局または財務局報告が出てくるシステムにしております。その報告に基づきまして、それが解決されるまでの間を、証券局または財務局において監視するという形にしております。しかし、実際のやり方がうまくいっているかどうかということを一々チェックするというところまでは至っておりませんので、その内容処理につきましては、むしろ、証券検査の際に、その処理がうまくいったかどうかというようなことの点検をいたしております。
  22. 中谷鉄也

    中谷分科員 大臣お尋ねしたいと思うのですけれども処理がうまくいったかどうかというのは、私、二つあると思う。一つは、そういうトラブルがあった場合に、そのトラブルがどれだけの期間で、要するに、短い期間で迅速に処理されたかどうかという点が一点。あと一点は、要するに、顧客保護が適正になされたかどうかという点だと思うんです。証券局長の御答弁は、必ずしも、そういう点についての調査が行なわれているというふうには私いまお聞きしなかったのです。  それでは、大臣に御答弁いただきます前に、もう一度証券局長お尋ねをしておきたいと思いまするけれども、これらの紛争処理については、たとえば、四十五年十月から四十六年九月までは百三十六件ございますね。この百二十六件というものの紛争処理に要する期間は、平均どの程度なのか。たとえば、長引くものは一体どの程度なのか。このあたりについて、まずお答え願いたい。
  23. 坂野常和

    坂野政府委員 案件によりまして、かなり長いものもございますが、先ほど申し上げましたように、四十六年九月の発生百二十六件に対する未解決は、現在において二件になっております。
  24. 中谷鉄也

    中谷分科員 これはどういうことなんでしょうか。四十五年十月から四十六年九月末にに百二十六件のトラブルがあったということでありまするけれども、その事故発生の時期というのは、届け出の時期を押えているわけですね。事故発生の時期というのは、とにかくもっとさかのぼっておって、四十四年かもしれないというふうなことを、私、この資料から察知をするわけですけれども、そうすると、四十五年十月から四十六年九月までの間、百二十六件事故がありました、未解決は二件です、ということは、結局、統計的に言えることは、四十五年十月以前だとしても、大体一年間で事故は片づいております、こういう御答弁に相なろうかと思うのですけれども、一年ということは、紛争処理期間としてはかなり長いと私は思うのです。公事三年ということを言いますけれども、これらの紛争については、大体案件によることはもちろん、当然ケースケースではありますけれども、どの程度解決をしているのか。逆に言いますと、仲介あるいはあっせんに入った場合に、何回程度のそういうふうな事情聴取あっせんその他の中において解決をしておるのか。その点をこまかくひとつ御答弁いただきたい。
  25. 坂野常和

    坂野政府委員 これも二、三年前と現在とでだいぶ情勢が変わってきております。二、三年前までは、おことばのように、実際に発生してから届け出が出るまでの間がかなり長い案件が多かったわけであります。というのは、証券内部管理体制が十分でない時期には、事故発生しましても、自分の会社外務員事故を起こしておっても、それを発見する時間というものがかなりかかっておる。内部管理体制が進んでまいりますと、事故発生から届け出までの期間が非常に圧縮されてきております。最近は、そういうことで、事故発生届け出との間の期間が短くなってきている。これが一点です。  もう一つは、今度発生した事故処理期間も、これも事案によりますけれども、単純な事案は直ちに処理するという体制証券会社のほうでできつつあります。したがいまして、正確な数字を申し上げる基礎がありませんけれども、通常私どもが耳にしておるような簡単な案件ですと、大体、証券会社内部管理者経営者にその事故がわかってから、長いものでも二、三カ月程度解決する。ただし、大ぜいの人にまたがる事故、または、当該外務員がすでに会社をやめておって、その所在が明らかでないという、そういう複雑な事情がありますものについては、かなり時間がかかる。協会に参りましても、半年あるいは一年かかるようなものもございます。
  26. 中谷鉄也

    中谷分科員 必ずしも御答弁は正確ではないような感じがするのです。事故発生後というお話がありましたけれども、それは、正確に御答弁いただくなら、事故発生というのは、事故顧客が知ったときでございますね。何年かそういうことが行なわれた、何カ月かそういうことが行なわれてきたというのは、すでに、そういうときには事故があるわけなんですが、事故の認識があってからという趣旨なんですね。言うてみれば、騒ぎ出してみてから、不服言われ出してからということでしょう。それはことばじりをとらえるようなことですが、そういうことで理解をさしていただきます。スピードの点についてはたいへん御努力をいただいておるような、どうも、御答弁はそういうふうなお話でありますけれども、その紛争内容が適正であるのかどうか、そういう点については、十分な追跡調査というか、検査というか、そういうようなものが必ずしも行なわれていないのではないか。要するに、とにかく話がついたが、何が適正かという問題はあろうかと思うのです。とにかく、いろいろ複雑な関係がある、過失相殺の問題もあるでしょうし、いろいろな問題があるという中で、何が適正かということは、適正な解決ということについて、証券業界に対する指導というものが、私はなされねばならないと思う。こういう点について、何か特段のくふうをおやりになる意思はないかどうか。ひとつ、大臣にこの点を答弁いただきたいと思うのです。
  27. 水田三喜男

    水田国務大臣 紛争が適正に解決されているかどうか。適正に解決されていないとするのでしたら、この不服相談所で片づいたりすることなんかだけじゃなくて、もっと、次のところに持ち込まれるというようなことがあっていいと思うのですが、そういうものがほとんどないということになりますというと、私は、適当に解決されているのじゃないかというふうに思います。で、私あたり経験でありますと、この苦情相談所にまで出るようなことでなくて、その前の段階で、こういう問題があるので何とか証券会社にこれを考えてやれというようなことを言ってもらいたいとかなんとかというような陳情が、郷里関係などで、四、五年前にはたくさんあったものでございますが、この四、五年の間には、こういう問題は、個人の経験として、ほとんど一件もないということでございますから、案外、事故紛争についてはうまくいっているのではないかというふうに私は思っていました。
  28. 中谷鉄也

    中谷分科員 個人的な御体験をお述べいただいてはなはだ恐縮するのですけれども、では、もう一度政府委員お尋ねいたします。  要するに、あなたの、御答弁は、事故紛争処理というようなことの実務に若干タッチした者としては、実態に沿わないのではないかと私は思うわけです。率直に言いましてね。要するに、顧客の場合は、とにかく顧客が弱いという立場で私は質問を申し上げておるわけなんですけれども、とにかく、何らかのかっこうでも、その紛争が片づけばいいというような気持ちがあるだろうと私は思うのです。ですから、一度和解してしまえば、そのことについてさらに上のほうに申し立てをするということはないわけなんで、むしろ、そういうふうなことについての和解ができないで、それが苦情処理相談所に持ち込まれる、あるいは裁判に持ち込まれるということなら、これは全く争いが明確なものになるわけです。問題は、その以前の段階処理されているが、その処理のしかたが適正であるかどうか。だから、和解件数が多いですよ、未処理件数は少ないですよということが、イコール和解が適正だということにはつながらないと私は思う。そういうような点についての複雑な事実関係を調べて、そして、和解が適正であったかどうかということを調査する必要があるのではないか。この点について一くふうあっていいのではないか。ひとつ、大蔵省として、たとえば四十五年の十月から四十六年九月までの、百二十六件のうちの百二十四件の和解件数について調査してみるというふうな御意思はないかどうか。私は、紛争処理ということがはたして適正に行なわれているかどうかということをおやりいただくということは、顧客保護一つ基本であり、一番大事なことだと思ってお尋ねするのです。いかがでしょうか。
  29. 坂野常和

    坂野政府委員 お説のとおりだと思いますが、ただ、いまおことばにもありましたように、この紛争は、すべて証券会社が悪者であって、顧客が善人であるという場合であれば、もう事は簡単なんでございますが、それが必ずしもそういう状況になっていない。案件によっては、発注する顧客サイドにも過失あるいは過失的なことがかなりあるという案件が、大げさに言えば、ほとんどでございます。それだけに、もしそれを追及調査いたすということになりますと、やはり、両者の言い分を公平に聞くことが必要である。証券会社のみを調査して、そして証券会社言い分だけを聞いて、これが適正であったかどうかを判断するのは非常にむずかしいという状況でございます。
  30. 中谷鉄也

    中谷分科員 時間がないようですので、あと一点だけお尋ねいたしますけれども、なればこそ、証券会社に対して検査権とか監督権を持っておられる。証券会社だけを調査してもなかなかいけないということになれば、結局、そういう面について、両当事者の言い分、主張、事実関係の確定の必要があるのですよ。だから、いろいろ複雑な事実関係というものについて、複雑なればこそ、私が言っているように、紛争処理が適正であるかどうかという点が一そう注目に値すると思うのです。  それでは、こういう点について、解決したものが百二十四件あるわけですね。その百二十四件の中で、抽出調査でもされて、何件かでも、一ぺん追跡調査をしていただくというふうなことは、証券行政の中においてそれほど困難な仕事ではないと私は思うのです。とにかく、このうちの何件かを選んでおやりになる。これはぜひひとつやってもらいたいと思うのです。そういうようなことは認定の作業であり、評価の作業なんですから、非常に困難であるし、客観的基準をどこに求めるかという問題はあろうかと思いますが、これはやっていただくということで、きょうの質問は——ずいぶんたくさん資料をいただきまして、歩合の問題から給与の問題、待遇改善の問題、六十四条のことを中心にいろいろきょうはお尋ねをするつもりだったけれども、どうも序の口で質問を終わってしまいましたけれども、きょうの質問はこれで締めくくりますから、調査するということで、ひとつ大臣に耳打ちをしていただいて、御答弁をいただき、私は質問を終わりたいと思います。
  31. 水田三喜男

    水田国務大臣 さっき局長が言いましたように、監査のときには紛争についても調査をしておるというのですが、あなたのおっしゃるようにするためには、一ぺんお客のほうを調べる必要があるというので、そこにむずかしさがあると思いますが、検討いたします。
  32. 中谷鉄也

    中谷分科員 終わります。
  33. 野田卯一

  34. 田中昭二

    田中(昭)分科員 私は、きょうは国有地、公有地の問題について一、二お尋ねをしたいと思います。  国有地、公有地というものがたいへん大事な存在になってきておることはもう御承知のとおりでございますが、特に、公有地の中でも、国有地の管理といいますか、これに伴ういろいろな問題がたいへんな問題提起をされ、そしてまた、その処理といいますか、問題解決の促進については、国民から見てもはなはだ納得のいかない点が多いように感じられます。今国会で取り上げられた問題もたくさんございます。また、私も、国鉄の財産等をいろいろ調べてみますと、国鉄の財産の中にたいへんいろいろな問題があって、これがどうも、政府のお手元の管理のしかたといいますか、そういうものに不備がある。公有地を大事にするという考え方。それが、国民のほうから見れば、たいへんな土地が放置されておる。また、逆な面から言えば、個人の土地所有という問題については、いろいろな問題で、厳格な法律規定によって縛られておる。その反面、公有地等は野放しになっておる。特に、税金の問題で言えば、個人からは、土地にかかる税金は、どういう状態であろうともびしびし取り上げるが、公有地についてはいいかげんにされておる。簡単に言ってしまえばこういう問題があるわけでございまして、こういう問題をそのまま放置することは、国民に対する政府の態度として、たいへんこれは遺憾なことである。こういうふうに思いますが、まず、最初に、大臣に対して、そのような国有地管理についてどういう見解をお持ちになっておりますかということをお聞きしたいと思います。
  35. 水田三喜男

    水田国務大臣 国有地の活用方針ということについては、過般来この審議会に諮問しておりましたが、ようやく三月十日に答申がございまして、一つの方針を答申していただきましたので、今後、それに沿った国有地の活用をはかりたいと考えております。
  36. 小幡琢也

    ○小幡政府委員 ただいま大臣から御答弁がありましたように、去る三月十日に、国有財産中央審議会から、「都市及び都市周辺における国有地の有効利用について」という答申をいただきまして、今後、これに従いまして、国有地を有効適切に処理してまいりたいと考えておるわけでございます。  そのおもな骨子でございますが、ポイントが三つございまして、一つは、これから公共用地が取得難でございますし、かつ、利用し得る国有地がだんだん残り少なくなっております現状にかんがみまして、従来よりも一そう国有地を公用、公共用の用途に優先的に充てる。都市の再開発に関連なく民間へ処分するようなことは、これからは原則として行なわない。これが第一点。それから第二点といたしましては、国有地を公共用に活用いたします場合におきましても、できるだけ都市の再開発に寄与するように活用することを主眼として処理する。これが第二点。それから第三点といたしましては、現に国が使用しております行政財産につきましても、その使用状況をこの際再検討いたしまして、非効率に使用されている財産を他に転用するとか、あるいは庁舎の集約立体化とか、移転再配置等をはかりまして、土地利用の効率化というものを一段と促進しまして、できるだけあと地を有効に利用する。こういうように処理する。この三点がその骨子でございます。
  37. 田中昭二

    田中(昭)分科員 大臣も、予算審議でたいへんお疲れで、私が抽象的に申し上げたものだから、お答えがあまり満足にできなかったと思うのですが、少し具体的に申し上げますが、たとえば、いまの国有財産のあと地利用とか、そういう国有地をどうしていくかというものについては審議会というものがある。審議会が今度またいろいろな方針を打ち出してやっていくのだ。ですから、それは基本的には、いままでの考え方というものを、いろいろな客観情勢の変化から、さらに確実に進めていくという方向になってきた。こういうように私は理解するのです。  それで、国有財産については、国有財産審議会というのが各地方にもありまして、いまのような趣旨でいろいろ事を運んでもらっております。私、具体的に福岡を例にとって申し上げますと、北九州財務局の中に国有財産審議会というのがありますが、そこで、いま述べられたような趣旨も考えながら、問題を提起されながら、問題処理がなされておりますが、その審議会というものが、地域住民または日本全体の立場から見ても、どうもはなはだ不明確ですね。全然雲の上のことで、何を言っているのか、どういうことを審議しているのか、また、国有地について、地域住民や地方公共団体等いろいろな諸般の情勢をほんとうに考えてなされておるのかということが疑問なんです。これまた、この論議だけをしていきますと、次のあれができませんから、次に進みますが、その福岡の北九州財務局管内で現在米軍に提供されておる財産につきまして、具体的に今後の見通し等を聞きながら、また、問題を提起しながら、最後にもう一ぺん国有財産について大臣からのお答えを聞きたいと思います。  福岡市を中心に、米軍提供財産というものはたくさんございます。ところが、こういう米軍の縮小というような問題に引き続きまして、この提供財産を返還するという方向に行っておるわけでございますが、福岡県の、福岡市外になりますが、春日町というのがございまして、そこが米軍人の住宅地になっておりますが、そこの提供財産の中に、御存じと思いますが、現在は航空自衛隊もそこに入っておるようでございます。そのほか広大な地区に米軍人——現在はもう軍人はいない。ほとんど軍関係の民間人が入っておりますが、この広大な芝生のはえた地域がここに放置されているというような状態でございますが、この春日原住宅地区の返還についてもいろいろ聞いておりますが、この地域に対する施設庁のほうの見通しといいますか、そういうものをお聞かせ願いたいと思います。
  38. 薄田浩

    ○薄田政府委員 先生の御質問の春日原住宅地区でございますが、これはいろいろ過去には経緯がございましたが、最新の状態では、去る二月二十八日米軍側が発表いたしまして、この住宅地区には約五百九十戸くらいの住宅があるわけでございますが、その住宅地と雁ノ巣の空軍施設をいわゆる一体としまして、主要部隊の活動をこの六月末をもって停止する。こういう発表でございました。その中にもうたってございますが、その中で残ります通信施設とか、いろいろな関係については、オペレーション面から、まだ相当検討を要するという注意書きがございまして、基地の、いわゆる施設の取り扱いについては、目下米軍で検討中。私のほうといたしましては、いろいろ地元の御要望等もかねがね聞いておりますので、返還できないものかということで交渉しておりますが、米軍も、先ほど申し上げましたように、いろいろ検討中ということでございますので、ある程度条件がついてくるようなこともあり得る。こういうふうに考えております。
  39. 田中昭二

    田中(昭)分科員 問題の板付飛行場は、どんなふうに今後の見通しを立てておりますか。
  40. 薄田浩

    ○薄田政府委員 板付飛行場は御承知のように、一昨年の暮れに、日米安全保障協議委員会で形態はきまりまして、昨年の七月に、とりあえず運輸省の管理する飛行場に移管する前提といたしまして、まず、山間部地区百二十万平米の返還を受けました。それと同時に、管制権の日本側移管を七月に了したわけでございます。さらに続きまして、現在のところ、できればこの年度内にでも、運輸省所管の飛行場として、二4(b)の形で米軍に随時使用させる形といたしたい。こういうふうな考え方でございます。
  41. 田中昭二

    田中(昭)分科員 福岡では、この板付飛行場は、全面返還というようなことでたいへん問題を提起しておるわけですが、いまの御説明では、何か、さらにまた米軍が随時使っていくというようなことを最後におっしゃったようでございますが、そういうことになりますと、具体的にどういう意味で使うのか。また、その基地の中には、そういう米軍の施設というものはまだ残るものなのか。その辺をもう少し詳しく御説明願いたい。
  42. 薄田浩

    ○薄田政府委員 いわゆる返還を含めまして、日本政府に返還するという形になっております。ただし、米軍の専用地域といたしまして、現在これが交渉中でございますが、格納庫等、それから電話の交換所等を向こうが要求しておりまして、これが現在のところ流動的でございますが、約六万から九万平米の間の数量が必要だということで、わがほうに申し入れております。そういう形で専用地域が多少残る。こういうことでございますが、滑走路地域は二4(b)で、その他の地域はほとんど約百六十六万九千平米くらいは運輸省の所管。いわゆる日本政府に返還になる。こういう形に考えております。  それから、先ほど申しました山間部の返還は、百二十万平米が終わっております。
  43. 田中昭二

    田中(昭)分科員 いまのお話によれば、米軍の使用ということがまだ考えられるというような御説明に私聞いたのですが、そういうことが、もう昨年の十一月ですか、国有財産審議会では、はっきりそういう点は新聞等にも報道されておるのですよ。事実、板付基地で、格納庫なり、通信基地なり、どこが残るのか、地元で、国有財産審議会ではっきりしておるものが、こうやって答弁を求めれば、何か抽象的なわけのわからぬような言い方になるのが私はたいへん残念です。ここにその当時の新聞記事も持ってきておりますけれども、これを読めば、そのようには受け取れないのですよ。その論議はもうここでやりません。そういうふうに、国有財産審議会というのがどういうことになっておるのか、私はまだ納得いかないのです。こういう大きな問題でも、福岡で板付空港が返還になるということはたいへんな問題にしておるわけです。そういう点は今後きちっとされるように御注意を申し上げて、先に進みたいと思います。  そのほか、大臣も聞いておっていただきたいのですが、米軍の提供財産で、現在表面上は何にもないのです。ただ、米軍の基地だといって、鉄条網を張って囲いをしてあるだけなんです。いろいろ聞いても、何か専門的な、通信基地、通信関係設備があるだろうというようなことで、そういうのがいまだもって返還の見通しもつかない。具体的に指摘すれば、福岡市の和白というところに給水施設もございます。それから、ちょっと郡部のほうになりますが、仲原というところに通信基地、それから平尾というところ、これはもう福岡市内のほんの中心地に近いところですけれども、そういうところも通信基地としては何にもない。平尾通信所なんか、その上には現在民間のホテルが建っているのです。そのホテルのわずかな部分のどこかがそういう米軍の提供財産になっているのですね。私は、こういうような状態で置いておくことは、市民がそういうことを知れば、ふしぎに思うと思うのです。私は、そういう市民の気持ちを代弁してここで言っているわけですけれども、具体的なことはまたこまかくお聞きする機会は別にとるとしまして、その、いま私が指摘しました和白の給水施設、それから仲原、平尾通信中継所、こういうものの施設庁のほうの返還の見通しはどうですか。
  44. 薄田浩

    ○薄田政府委員 先生御指摘の和白、これは給水施設でございますが、仲原、平尾というのは、一応通信中継所ということで提供しておりますが、かねがね、いわゆる遊休あるいは遊休化しているのじゃないかというようなことで、施設庁としてはたびたび申し入れておりますが、これは、先ほど御説明申し上げました雁ノ巣の空軍施設の関連補助施設ということになっておりまして、米軍は、そういう関係で必要なんだということでこの間までまいったわけでございますが、先ほど御説明しました二月二十八日の発表で、これはいわゆる返還の方向に考えているということで、ただ、具体的に、先ほど申し上げたようなことと関連いたしましてまだきまっておりませんが、そういう方向に進むのではないか。こういうふうに考えております。
  45. 田中昭二

    田中(昭)分科員 その返還になるときに、よく注意してもらわなければならないことは、現場では、たいへんこれがお役所の事務的なことのために、いろいろな問題があるようです。これは具体的にあったことですけれども、小さな問題ですから事実は申し上げませんが、例として申し上げますと、こういう例があるのですね。戦時中に強制的に日本の軍からある場所を取り上げられた。取り上げられて、終戦後そのままになって、直ちに米軍の提供財産になった。そこまではいたし方ないと思いますが、その提供財産が部分的に返還になる。そういう話も聞いて、もとの所有者が、その財産が返還になるならば、もともと自分の土地なんだから、強制的にわずかな金額で買い上げられたのだから——その金額なんか、聞くところによりますと、いまになってみれば全然わからないというのです。そこには建物も建っておる。そういうものが幾らで買収されて、幾らでどうされたかわからない。それは戦時中のことですからそういうこともあるかと思うのですけれども、もとの所有者が返してくださいという陳情なりを役所に申し出をしましても、その陳情、申し出というものに対して、その場で、そういうわけにはいかない、国有財産というものは、もともと自分の所有のものであっても、あなたに払い下げるわけにはいかないというような簡単なことで追い返されて、そして、いまだにもってそういう問題が解決していない。こういうことがあるのです。それは、一応国有財産を払い下げる場合には、一般に公売するというような立場をとっているかもしれませんけれども事情が、戦時中に自分の所有地を強制的に軍に買い上げられたのですから、それが軍から米軍に提供になって、そして本人が返してくれというならば、施設庁のほうから大蔵省のほうにその財産が返還になって引き継がれる時点において、こういう土地については本人からこういう申し出があるというようなことを言うてやるべきじゃないか。そのくらいのこまかい配慮をしてやらなければ、ただ、提供するから感謝状をやるとか、そんなことだけじゃ本人は納得しないと思うのです。かえって政府に対する不信を抱くと思うのです。こういう問題は当局にも指摘しておきましたけれども大臣、こういう問題はもう少しこまかい配慮が必要であると私は思うのですが、いかがでございますか。
  46. 水田三喜男

    水田国務大臣 その問題は、私もそう思います。  それで、私は、この前の大蔵大臣のときにやはりこの問題と取り組みまして、ほかへ払い下げるというようなことがあったら、もとの所有者で、ほとんど強制的に買収されている所有者は納得できないだろう、だから、もとの所有者に返せということはできないにしても、その払い下げのときに、何%は優先的にもとの所有者に返すというようなことがとれないかということをひとつ研究してもらいたいという、私からの研究題目を与えて、もとの管財局で研究してもらったことがございます。それで、研究するということになっておりました。たくさんそういう例が全国にあったのでございますが、ただ、そこで、一番むずかしい問題としてぶつかりましたことは、終戦後最初から何らかそういう方法がとられているのならよかったのですが、原則として、もとの所有者には返さない。返すということにしたらこの問題は非常にもめますから、返さないという処理で今日までずっときておるのを、ここへきて一部返すという措置に変えた場合、もとの人への取り扱いとの公平というような問題で、これが実際問題としてなかなか簡単でないという問題にぶつかって、実現しないで、今日までまだ研究課題のままになっているという実情でございますが、これは、何か合理的な解決方法があればと私自身も考えております。しかし、結局、それじゃこの問題をどう解決するかといいましたら、もとの所有者に返さないで、いままで第三者にどんどん払い下げたことが割り切れない感情を旧所有者に起こさせるのであまりすから、やはり、今度の国有財産の審議会が答申したように、国有財産はもうあまり民間に払い下げないで、公用、公共用に充てることを主眼とするという処理方針を立てて解決する。これが一番問題を起こさない方法ではないかと私は考えますが、しかし、おっしゃられるように感情としては割り切れない問題がこの処理には残っておりますので、まださらに研究はいたしますが、そういうことで、過去の取り扱いとの均衡の問題で、実際問題としてはなかなかむずかしい問題にぶつかっていることは事実でございます。
  47. 田中昭二

    田中(昭)分科員 いまの大臣のおことばをそのままとって、またお返しをするわけじゃありませんけれども、気持らはわかるけれども、もとの所有者に返さないと言ってしまえば、それじゃいけないから、大臣も、研究しなさいということで事務当局に流されたというのですが、私の申し上げたいのは、それが本気になって取り組まれているかという問題なんです。一つの例を申し上げますと、その陳情書なんかでも、本人はやはり、口頭ではいかぬということで、陳情書を出しているわけですね。その陳情書なんかは、保存期限が来ると廃棄処分にされてしまっているのですよ。そうすると、本人としては、いっそういう問題を役所は真剣に考えるかという根拠がなくなってしまうじゃないですか。それではもう一回陳情書を出し直せということになるわけですね。そういうこまかい点が、国民を踏みにじったような形になっておりますよ、ということを私は申し上げたいわけです。うなずいておるようでありますから、おわかりいただいたと思って、この問題にはもう触れませんが、どうかひとつ、そういう点があることをよく認識していただきたい。廃棄された書類でも、本人にとってみれば、自分のもともとの所有地を返してもらうという重大問題の書類です。それを、役所の保存期限が来たからもう廃棄してしまうということで、ぷっつり切れてしまって、何の意思表示もできない。意思も通じない。そして他人に払い下げされたという問題が起きたらどうしますか。私は、本人は納得しないと思います。そういうことのないように、今後もう少し大臣からの研究課題を促進してもらうように、事務当局のほうにもお願いしておきます。  施設庁のほうにもう一つお尋ねいたすことがございますが、福岡に第四師団という陸上自衛隊がございます。そこの南側の、昔からのコンクリートのへいがございまして、そのへいの外側は道路になっております。その道路が、昔のままで、狭い道路でございますが、そこが、最近、通勤とか通学に大いに利用されまして、たいへん困難を来たしております。そういう状況で、町当局からも、その道路を何とか広げてもらいたいというような話が出ておりますが、この問題は、当局のほうも御存じと思いますが、どのように処理をされていくものか。御回答をいただきたいと思います。
  48. 薄田浩

    ○薄田政府委員 御指摘の道路は、たしか、われわれ、福岡駐とん地の南側の春日町の町道のことだろうと思いますが、これでございましたら、一昨年、町当局より陳情の形で御要望がございました。それは、先生がおっしゃいますように、交通が錯綜しておる、それで、幅員が足りないので、自衛隊の施設内の土地を無償で割譲してくれ、こういう陳情でございました。自来、私のほうの出先の防衛施設局がございますが、そこと、第四師団でございますか、それと、町と、いろいろ協議を重ねさしていただいておるわけですが、いわゆる御要望は、九メートルの幅員にしたいというもので、それはとりもなおさず、施設内に食い込みが三メートル入る形になるわけでございますが、これはいろいろ検討さしていただいておりまして、いろいろな部隊の運用とか、それからいろいろな施設の関係から、現在のところ、町に御了解をいただきましたのは、食い込み分が約一・五メートル。といいますと、幅員が七・五メートルの道路ができるという形で大体御了解いただいておりまして、近く、町から、これは国有財産譲渡申請というのでありますか、その形の用途廃止の手続をいただく予定になっております。
  49. 田中昭二

    田中(昭)分科員 時間も来ましたが、最後に、いまの用途廃止の問題で、大体話し合いが譲渡するというようなことできまっておるようにお聞きしておりますが、この場合ですけれども、この春日町というのは、いまの陸上自衛隊、それからいま申し上げました米軍の春日原住宅地ですね。そういうようなことで、いろいろな区域がたくさんございまして、町の発展がたいへん阻害されておる。その春日原住宅地なんか、町の中心にあるものでございまして、大きな道路が走っておりますが、そういう町の中心地域が米軍提供財産で、使われておれば問題ないと思うのですけれども、使われていないというような状態で残っておる。いまの陸上自衛隊でも、昔の旧軍のときのコンクリートべいがだあっとあるのです。町としては、コンクリートのへいの刑務所の中に町があるような感じだ。そういうようなことで、たいへん不快な感じを持っておるようです。ですから、そういうコンクリートべいなんかということは、私たちは、現場を見ましても、これはこの際ほんとうに何とかすべきじゃないかというふうに思っておるのですが、実際問題として、そういうへいをのかしていくという方向ではできないものですか。
  50. 薄田浩

    ○薄田政府委員 私もちょっと現場を存じませんが、いろいろ聞きましたところ、たいへん高いへいで、おっしゃるように、刑務所みたいな形になっておると聞いておりますので、現在のものが、そういう形のものがいいかどうかということは大いに問題があろうかと思いますが、やはり、部隊の側の意向としましては、先ほど申し上げました部隊の運用とかその他の関係で、ある程度のへいは必要だというふうに考えておるようでございます。
  51. 田中昭二

    田中(昭)分科員 とにかく、現場でよく町民等の意見を聞いていただいて処理していただきたい。こういうことをお願いしておきます。  大臣、先ほど、私、当初に申し上げました国有地の問題でたいへんな問題があるということは、私が住んでおりますいまの福岡市周辺にもたいへん問題が多いようでございます。たとえば、国鉄の用地の中に大蔵省の名義の土地があったり、郵政省の土地があったり、想像もできないような状態であるわけです。そういうような状態で、そのどちらの役所も、国鉄等も、そういうことについて指摘されても、なかなかはっきりできないという状態があることを申し上げまして、今後の国有地の管理掌握について、大臣の御所見をお聞きしまして終わりたいと思います。
  52. 水田三喜男

    水田国務大臣 さっき申しましたように、国有地の処理の方針に従って、今後この能率的な行政をやっていきたいと考えております。
  53. 田中昭二

    田中(昭)分科員 終わります。
  54. 野田卯一

  55. 斉藤正男

    斉藤(正)分科員 私は、専売公社の合理化に伴う業務の改善に関連をして、製品であるたばこの輸送をどういうようにやるべきかという点について、総裁以下、主として公社の皆さん方にお伺いをしたい。特に、大臣にも、私のやりとりを聞いていただいて、最終的に大臣の見解を聞きますので、関係ないような顔をしていないで、ひとつやりとりはよく聞いてください。  古い話でありますけれども、行管が、昭和三十七年、十年も前でありますが、専売の合理化について勧告をいたしました。その中に「配達業務の合理化について」ということを項目の一つに入れておりまして「たばこの配達業務については、販売業務の充実・簡素化を図るため、代行配給制度・配達・集金の請負制等の検討がなされているが、現状では、一部地区で代行配給制度が試行的に実施されているにとどまっている。既往の成果を十分に検討し、地域による特性に応じて、つとめて配達業務の合理化・能率化を推進する要がある。」といっているのであります。これを受けてかどうか知りませんけれども、十年たった今日、ようやく、専売公社は、たばこの配送について本格的な取り組みを終わろうとしている。いいことか悪いことかは後ほどまた論議をいたしますけれども、最初に伺いたい点は、合理化ということで、葉たばこの栽培あるいは収納、あるいはたばこの製造過程等々でいろいろ合理化が進められていると思うわけでありますけれども、今日、国鉄、郵便、電信電話、その他公共料金が一斉に値上げをされているのに、たばこだけが最近あまり値上げということを聞かない裏に、私は、過酷と思われるほどの合理化が行なわれておるのではないかということも実は思うわけで、合理化によって値上げをカバーしているんじゃないかとすら思うわけです。  いずれにしても、けっこうなことであるか、あるいは悪いことであるかは、後ほど討論を通じて明らかにしたいと思うわけでありますが、特に、配送業務について、合理化をどのように進めてきて、現状はどのようになっているのか。関係者から御答弁をいただきたい。
  56. 北島武雄

    ○北島説明員 たばこを小売り店まで配達するということは、専売公社の重要な仕事でございますが、これにつきましては、当初は、専売公社が自分で車を持ちまして、そして、その上に公社員が乗りまして、小売り店に自分で配達をしておったわけであります。これは、大都会を除きまして、他の地域も同じであります。大都会につきましては、雇い上げ車ということで、業者から雇い上げました車に公社員が乗り込みまして、そしてたばこの配達、集金等の事務をやっておったわけであります。なお、一部には、代行配給と申しまして、たばこの小売り店が一括してある特定のもの一これは販売組合ですが、販売組合で買い受けをいたしまして、一括して公社がそれに払い下げまして、今度は代行員が小売り店に配達する。こういう形式でやっております。ずっと見ますと、配達という仕事は、やはり公社の重要な仕事ではございますが、本来の市場活動とは本質的に違うものがありますので、配達業務だけについて専念してやるほうが能率もあがりますし、経費も合理的にできるということで、三十八年から、実は、東京、大阪、名古屋、福岡、この四地方に、専売公社の共済組合が半額以上を出資いたしまして配送会社をつくりまして、これは、その付近の大都市を中心とした配達を一括いたしておりました。今度、これを、四月一日から、全面的に各地域に及ぼそうというのが、今回の配達、いわゆる私どもの言う配送分離合理化という問題でございます。
  57. 斉藤正男

    斉藤(正)分科員 お答えをいただきましたように、行管の勧告を受けて以後ということかどうか知りませんけれども、三十八年以降、北海道を除いた各地に専門の配送会社をつくって、一手にこれにたばこ配送を行なわせるということで、従来主としてやっておりました日通も締め出すし、さらに、日通の下請とも思われる地区の通運会社も一応締め出すような形で、全国的に配送まで専売でやる。専売特許だというような形の会社が生まれてきている。私は、合理化という立場に立てばわからないわけでもないわけでありますけれども、一面、総裁も御承知のように、中小企業基本法という法律がございます。さらにまた、官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律という法律もあるわけでありまして、中小企業基本法には、その二十条で「国は、中小企業が供給する物品、役務等に対する需要の増進に資するため、国等の物品、役務等の調達に関し、中小企業者の受注の機会の増大を図る等必要な施策を講ずるものとする。」ということで、中小企業基本法において、いわゆる中小企業に仕事を与えなければならぬという義務づけがされております。また、官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律では、さらに細部にわたってこれを規定をいたしまして、特にその三条では「国等は、国等を当事者の一方とする契約で国等以外の者のする工事の完成若しくは作業その他の役務の給付又は物件の納入に対し国等が対価の支払をすべきもの(以下「国等の契約」という。)を締結するに当たっては、予算の適正な使用に留意しつつ、中小企業者の受注の機会の増大を図るように努めなければならない。この場合においては、組合を国等の契約の相手方として活用するように配慮しなければならない。」ということで、協同組合等をフルに活用して、官公需を中小企業に回せということを規定をいたしておるわけであります。この規定は、私が専売当局から伺ったところによりますと、毎年閣議はこの官公需についての決定をいたしておりまして、四十六年度におきましても、八月二十四日の閣議において、中小企業向けの契約目標をきめまして、そして、「昭和四十六年度における国等の契約のうち、中小企業向け契約の金額が約一兆四百億円となるようつとめるものとする。この金額は、国については約五千四百億円、公社及び公団等については五千億円とする。」ということで、四十六年度の官公需の中小企業向けの目標を設定し、閣議決定になっているわけであります。こういうことは、四十五年度も四十四年度も行なわれたわけでありますけれども、総裁でなくてけっこうでありますが、四十五年度の実績として、専売公社は、この中小企業者に関する国等の契約の方針の中で、四十五年度の閣議決定の線に沿う実績はどういう実績を示しているか。伺いたいと思うわけであります。
  58. 斎藤欣一

    斎藤(欣)説明員 お答え申し上げます。  四十五年度の閣議決定がございました目標額は九千四百億になっております。そのうち公社、公団関係のものが四千八百億、この中で、専売公社の目標額と申しますのは三百七十八億円。こういうふうに相なっております。したがいまして、公社、公団の目標額のうち、専売公社の占めます、シェアと申しますか、割合が七・九%ということになっております。  振り返りまして、この目標を閣議決定していただきまして、実際専売公社が四十五年度中にやってまいりました実績を申し上げますと、目標額の三百七十八億に対しまして、実績が三百九十一億。目標に対して若干上回っておる実情になっております。約三・四%ぐらい上回っております。  ちなみに、中小企業以外のものと、中小企業に発注したものとの割合はどの程度になっているかということを申し上げますと、大体全体の四五%ぐらいが中小企業ということになっております。
  59. 斉藤正男

    斉藤(正)分科員 なるほど、四十五年度の実績では、目標額三百七十八億に対して三百九十一億円実施をしていて、三・四%オーバーをしている。この中には、物品の購入、役務の提供、工事といったようなものが含まれておるようでありますけれども、この配送は、物品の納入でもなければ、工事でもない。一体、役務の提供という中に入るのかどうなのか。この点いかがでございますか。
  60. 斎藤欣一

    斎藤(欣)説明員 役務の提供の中に入ります。
  61. 斉藤正男

    斉藤(正)分科員 役務の提供の中に入るとすれば、四十五年度において、配送業務を中小企業らしきものがやったと思われるのは地区通運であろうというように思うわけでありまして、日通は大企業ですから、中小企業基本法なり、あるいは、いわゆる官公需法の適用にはならぬと思うわけですが、それの占める割合というのはおわかりでございましょうか。配送業務の中で、地区通運、いわゆる中小零細企業がどれだけ担当したか。四十五年度の実績で、おわかりならば教えていただきたい。
  62. 斎藤慶二

    斎藤(慶)説明員 配送につきましては、ただいま御説明申し上げましたように、日本通運、それから配送会社、それから、福岡県におきましては、福岡県運輸事業連合会というのがございますが、大体その三つと申しますか、その配送会社は四つございますが、合わせて六つの会社と契約しておる。こういうことになるわけでございます。  地区通運と申しますのは、日通の下請という形に相なっております。したがいまして、中小企業と申しますのは福運連、それから配送会社のほとんどが中小企業、こういうことに相なるわけであります。  その割合は、ちょっといま正確な数字を持ち合わせておりません。
  63. 斉藤正男

    斉藤(正)分科員 当時四つあったたばこ配送会社が中小企業であるかどうか。これは議論のあるところだと思います。日通はもちろん中小企業ではございませんので、福岡の一部をやった企業のみが中小企業であって、専売公社に直結をしているような形でできている四つの当時のたばこ配送会社というのは中小企業の対象にならぬ。中小企業というのは、資本金が幾らで、従業員が幾らということは御承知だと思います。一体、その四つの配送会社が中小企業とお考えなのかどうなのか。その点明らかにしていただきたい。
  64. 斎藤慶二

    斎藤(慶)説明員 中小企業の定義でございますけれども、これは、官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律というのがございまして、そこに、資本金五千万円以下、それから従業員は三百人以下の運送関係の仕事が中小企業になっておるという定義がございますので、その定義に従って考えておる次第でございます。
  65. 斉藤正男

    斉藤(正)分科員 従業員は、確かにそのとおりでありますし、資本金もまた、そういう規定がありますけれども、このたばこ配送会社なるものは、意図的に、中小企業の線をはずれないように、中小企業のワクへはめるように資本金その他の構成をやって、脱法行為をやっているのじゃないかというようにしか私には思われませんけれども、そういう意図は、お尋ねすれば、もちろんないと言うにきまっていますけれども、この辺が基本的に非常に問題だというように思うわけであります。すなわち、このたばこ配送会社なるものは、資本も直接専売公社から出ていないにしても、明らかに、その関係団体から半分は出ている。あるいは残り半分の大部分は日通が出資をしているというようなことから、これは中小企業の見本のようなものではない。あくまでも大企業といいますか、専売公社といいますか、それに直属をした、隠れみのを使った中小企業を装う団体であって、けしからぬ。資本金の構成や従業員の数ではなるほど中小企業に該当するけれども、実際は親方日の丸であり、最も安定した構成になっていて、たばこの製造の専売だけではなくて、配送も専売特許でやるのだという考え方以外にないというように思うわけですけれども、総裁、私の考え方は違いますか。
  66. 北島武雄

    ○北島説明員 専売公社は、特に、中小企業に対する官公需の受注の確保に関する法律の適用を糊塗するために配送会社を中小企業にしておるということではございません。その点はひとつ、まず御理解いただきたいと思います。  なお、今回、配送会社のうち、増資いたしますことによりまして、いままでの中小企業の定義にはまらないのが、東京と関西と二社になるわけでございます。
  67. 斉藤正男

    斉藤(正)分科員 いみじくもおっしゃいましたように、東京たばこ配送株式会社、関西たばこ配送株式会社、これが増資によって中小企業の域を脱して、これまた大企業に類するものになるわけであります。そうなると、これに委託をする事業というのは、中小企業基本法並びにいわゆる官公需法の趣旨にはもとるものになってくる。しかも、このたばこ配送業務は特殊な業務であることは私もわかっております。したがって、だれでもやれる仕事ではありますまい。しかし、運賃も、実に特認事項でございまして、他の運送業務よりも高いわけである。中小企業の皆さん、あるいは協同組合をつくっている運輸業者の皆さんの垂涎の的である。あの仕事をやらせてくだされば、もっと安く、もっと確実な仕事をいたしますということを言っているわけでありますけれども、公社並びにたばこ配送会社は、がんとして民間の請負を許さない。事もあろうに、いままでなかった東北、北海道を含めて、全国を五つの配送会社でまさに独占をするわけであります。こういうことは、いかに専売公社であろうとも許されることではない。適格者であって、もっと安価に、もっと確実に、もっと正確に運送をいたしますと言う中小企業があるとするならば、当然、そういうものにも、下請でけっこうですからやらせるべきだと思うのですが、総裁いかがですか。
  68. 北島武雄

    ○北島説明員 現在日通に請け負ってもらっております部分のうち、日通は、直請でやっておるものを撤退し、現在の地区通運に日通が下請さしているものは、そのまま配送会社が下請をして、公社のいままでのような仕事をするわけでありますから、中小企業の切り捨てというようなことではないと御了解いただきたいと思います。
  69. 斉藤正男

    斉藤(正)分科員 そういう答弁であろうというように思いましたけれども大臣、ちょっと聞いてくださいよ。九州たばこ配送株式会社の役員名簿が届いております。代表取締役は専売局鳥栖工場長であったり、あるいは専売公社福岡地方局の調査役であったりした人であります。常務取締役は日本専売公社福岡地方局調査役でありました。取線役は日本専売公社福岡地方調査役であります。取締役、また福岡たばこ販売協同組合理事長であります。監査役は専売局の鳥栖工場長でありました。こういうのが配送会社の役員一覧であります。関西葉たばこ配給株式会社の取締役代表は、専売公社金沢、岡山、広島、各地方局長を経た、専売の古手であります。取締役常勤役員の一人は専売公社南支局長でありました。同じく、取締役のある方は、専売公社大阪支社長を経験された方であります。同じく、役員の一人は、大阪たばこ連合会会長であります。おわかりのように、一人は必ず日通の代表が、いま申し上げませんでしたけれども、入っていて、あと一人は、その地方のたばこ連合会の会長が入る。残りは全部専売公社の古手であります。これが天下りでなくて何と言えるのでありましょう。ほかのものを運ぶのじゃない。たばこを運ぶのだから、専売公社の人のほうがよくわかる。それは私も了といたしますけれども、すべてのたばこ配送会社の社長は専売公社の古手であり、一人は必ず日通からも入れて、そして、たばこ連合会の会長を入れるというシステムが一貫して通っている。このことは、専売公社の天下り、古手の救済だと言われてもしかたがないし、中小企業の皆さん方の垂涎の的になっている仕事だから、もうかるにきまっているのです。こういうものを、そうした独占的な専売公社なり、日本通運なりにつながりのある皆さんで占められ、しかも、大部分をそういう会社によって運営をするということは、私は、中小企業基本法並びにいわゆる官公需法の精神にもとるばかりではなくて、専売公社の独占だという気持ちがございますけれども大臣、いかがですか。
  70. 北島武雄

    ○北島説明員 まず御了解いただきたいのは、先ほど歴史的な発生を申し上げましたように、たばこを小売店まで確実に配達して集金するという仕事、これは専売公社の本来の仕事だと私は思います。もともと自家用車でやっておったわけであります。それが、交通事情あるいは道路運送法の改正、その他いろいろな点から考えまして、その形態ではぐあいが悪いというので、公社からむしろ切り離しまして、そうして、専売共済組合が半額以上出資するような会社をつくったわけであります。今回も、拡充するにつきまして、専売公社からも出資するというような会社でございますので、ちょっとほかの会社とは趣が違うのではないか。その点、ひとつ、一応まず御理解いただきたいと思うわけであります。私から、そのことを、ともかくお願いしたいと思います。
  71. 水田三喜男

    水田国務大臣 私は、要するに直営の変形であるというふうに考えられます。いま総裁が言われたように、この輸送というものが専売公社の業務上に占める性格といいますか、地位というものがどうかということになると、むしろ本来的な仕事の一つだ。したがって、もしそうだとすれば、この輸送は公社の直営事業としてやられてしかるべきものであるし、また、いままでそうであったものを、さらに能率化し、合理化するためにこの部門だけ切り離すという構想からできたとするというと、普通の会社とは違って、ちょうど、国がいままで行政本来の仕事としてやっておった仕事を、業務だけを切り離して、公団、公社をつくってやったと同じように、この直営の変形というようなものであって、普通の純然たる民間の私的企業と違った形をとるということは、ある程度やむを得ないのじゃないかというふうにも思います。
  72. 斉藤正男

    斉藤(正)分科員 大臣までそんなことを言っていたのでは、とてもじゃないが、中小企業はつぶれますよ。だから、配送会社をつくることは、一歩譲るといたしましても、全部を配送会社がやるのではなくて、中小企業の皆さん方が、しかも閣議決定にもありますように、事業協同組合等の活用ということで、特に、中小企業庁が証明した適格組合については、競争入札参加資格審査基準の改善、随意契約制度の活用などにより、その受注機会の増大を積極的に推進するという閣議決定があるのです。したがって、輸送に関しましても、協同組合をつくり、それが中小企業庁の認定を受けた適格組合だというのがあるわけなんです。こういうものが申請した場合は、私は、配送会社の下請でも当然やらせるべきだと思う。下請でもけっこうです。いま総裁が答弁をしましたけれども、こういう会社をつくっても、なお専売公社の職員が同乗して、金の集金とかあるいは配達とかいうことを準専売公社の職員というような形でやっているわけです。したがって、民間の会社でやろうと、この適格組合であるならば、そういう人たちが乗っていけば何の支障もないというように思うわけであります。  専売関係の主計官がお見えだと思いますのでお尋ねしますが、専売納付金をあまりきゅっきゅっときつく専売公社に押しつけるものだから、専売公社は当たるところがないものだから、結果的にはこういうようなことをして、中小企業をいじめてしまうという結果になっているのではないか。なるほど、工場の新設、機械の更新、勤務形態の変更等々たいへんな合理化が行なわれておりますが、それのあおりを食って配送まで専売事業になるというようなことは、全くけしからぬことだ。これじゃ、中小企業はいつまでたってもうだつが上がらぬというように思いますので、公社の担当の主計官から一度見解を聞きたい。
  73. 長岡實

    ○長岡政府委員 私、担当ではございませんが、主計局の次長でございますので、専売のたばこ納付金の関係についてお答え申し上げます。  専売公社が、いわゆる財政収入の安定的な確保を主目的といたしまして専売事業の実施に当たっておる公共企業体であることは申すまでもございませんが、最近の専売納付金の趨勢を、一般会計の歳入予算規模、あるいは公社の総売り上げ高、あるいは公社の総利益等に対する比率と比較をいたしまして御説明を申し上げますと、たとえば、一般会計の歳入規模に占めます専売納付金の割合は、最近四、五年間を見ますと、四十三年度が四・一%、四十四年度三・六%、四十五年度三・二%、四十六年度の予算で三%、四十七年度の本予算で二・七%を予定いたしております。  また、専売公社の総売り上げ高に対する専売納付金の割合を見ますと、昭和四十三年度が三四・八%、昭和四十七年度は三一・三%でございまして、その間大体三一、二%で推移いたしております。  さらに、公社の総利益に対する専売納付金の割合を見ますと、昭和四十三年から四十七年まで大体五〇%程度で推移いたしております。  このような比率から見ましても、専売納付金の割合というのは比較的安定的に推移をいたしておりまして、それが、たとえば公社の経営に非常に圧迫を加えておるといったような傾向ではないと理解いたしております。
  74. 斉藤正男

    斉藤(正)分科員 要望でございますが、今後なお官公需の中小企業に対する、特に、中小企業庁が認定した適格協同組合等に対する発注については十分考えていただきたい。下請でけっこうです、責任を持って完ぺきな仕事をします、というような適格協同組合があるとするならば、これはぜひとも再考をいただきたいというように思うわけでございます。  中小企業基本法並びにいわゆる官公需法の精神に基づいた運営をぜひ今後ともしていただきたいということを申し添え、簡単でけっこうですから、総裁から答弁をいただいて、終わります。
  75. 北島武雄

    ○北島説明員 専売公社といたしましては、公社の受注全体を通じまして、先ほど御説明いたしましたように、中小企業の受注の確保に関する法律の趣旨に従いましていままで運営してまいったのでございます。今後もそのつもりで運営するつもりでございます。
  76. 斉藤正男

    斉藤(正)分科員 終わります。
  77. 野田卯一

  78. 井上普方

    井上分科員 専売公社の総裁にお伺いしますが、刻みはどこで売っていますか。お伺いいたしたいのです。
  79. 北島武雄

    ○北島説明員 徳島県の池田工場でつくっております。
  80. 井上普方

    井上分科員 いや、売っておるのはどこかというのです。
  81. 飯田頼之

    ○飯田説明員 全国で、たばこの小売店の数が大体二十一万店ございますが、そのうち約半数近く、正確には、四五%程度の小売り店で売っております。  なお、その分布につきましては、刻みという特殊製品の需要がいろいろ偏在しておりますので、それに対応いたしまして、大都会では小売り店をしぼっておりますし、それから、農山漁村地帯では、なるべく広く小売り店を選定いたして売っております。
  82. 井上普方

    井上分科員 私は、実は、東京でさがしましても、ないのでございます。私は刻みの愛用者なんです。きょうも持ってきましたけれども、東京では、まず、三十軒歩きまして、ようやく一軒あるくらいです。農村地帯へ行きますと、これは全然ございません。売り切れてしまっております。一体、生産量はどれくらいで、消費量はどれくらいですか。時間がないので、簡単に頼みます。
  83. 飯田頼之

    ○飯田説明員 本年度、四十六年度につきましては、大体四十万キロを生産し、販売する見込みとなっております。
  84. 井上普方

    井上分科員 四十万キロを生産する。これは池田工場でつくっているのですから、私は大体わかっているのです。ところが消費量を、あなたのところで、販売で押えているのじゃないですか。といいますのは、私が幾らさがしても、ないのです。大蔵大臣は浮世絵の有名な収集家であるということを聞いておりますが、きせるというのは、浮世絵の一つの小道具なんですね。これがずんずん先へいっておる。これは、一にかかって、専売公社が刻みを消費者から取り上げようとする政策にほかならぬのじゃございませんか。どうでございますか。
  85. 北島武雄

    ○北島説明員 刻みたばこは、生活様式の変遷に伴って毎年需要が減ってまいります。しかも、刻みをお吸いになる方は、平均年齢は、私どもの推算では七十二歳でございます。そういった推定——現実もそうでございます。いまから数年前は、実は、需要はむしろ過多であった。最近、見込みは少し——私ども、率直に申しまして、昭和四十六年度につきましては推測が正しくなかったような感じがいたしております。
  86. 井上普方

    井上分科員 推測で需要量をはかった。それは間違っておったのじゃございませんか。事実、私どもは何軒か老人ホームを回りましたが、どの方も、ともかく刻みがほしいのだとおっしゃる。あるいはまた、定年退職された方もおっしゃいます。ところが、そのような方々が手に入らないというのです。異口同音に全部おっしゃいます。事実、私も刻み愛用者でございますので、走ってみましても、ありません。私も農村の出身でございますから、農村に行きますと、小売り店では、いや、予約しておるのです、と言うのです。あそこの方も、この方も、実は予約しておられるので、先生にお売りするたばこはございません、と言う。しょうことなしに、私は、池田の専売工場に行きまして、それで、工場長に、おい売ってくれぬかと言って、十ほど買ってきた。こんな状況なんです。あなたの推測と実態とは違う。したがいまして、各小売り店に、一度たっぷり置いてごらんなさい。どうなるか。一つは、老人福祉の問題とも関係してくると思うのです。そういうことをやられるおつもりはありますか。どうですか。
  87. 北島武雄

    ○北島説明員 全般的に申しまして、刻みの需要が激減してまいっておることは、これは事実でございますので、これを全国的にすべての小売り店に配置するということは適当でない。現在、重点的に、比較的需要の多い地域に配るようにはいたしておりますが、もう少しきめをこまかくして配給する必要はあると思うのですが、全国的にこれをばらまくことは、これは、刻みの愛好者の方々にかえって御不自由をかけるのではないかと私は思います。
  88. 井上普方

    井上分科員 私も、国会に来て五年おりますけれども、私が刻みを吸っておりますと、おりおり、ほかの議員さんたちも、おい、いいものを吸っているな、どこで手に入れるのだ、と言うのですが、夜なんか、本を読むときにたばこを一服吸うのに、これでありますと量が少なくて済むのですね。量が少なくて、適当量だけ吸える。しかも、ニコチンの量、タールの量はこれは少ないはずです。ところが、ニコチン、タールの量につきまして、専売公社は、刻みたばこのニコチン、タールの量をお調べになったことはありますか。どうですか。ないはずであります。おたくはやっておらぬのです。これは、幾ら吸い込むか。吸う強さによって、タールの量、ニコチンの量が口の中へよけい入るか、少なくなるかです。実に非科学的な答弁をされまして、実は、あなた方は調べておらぬのです。ただ、ニコチンの量ははるかに低いのです。私も医者の端くれでございます、ので、これは申し上げる。しかも、先日も、中風の脳溢血の患者に、ひとつあなた、たばこをやめなさいということを言いますと、たばこをやめますといらいらしてくると言うのです。それで、あなた刻みを吸ったらどうだ、あれは量が少なくて済むし、ニコチン、タールの量も少ないと言うと、いや先生、私のところでは手に入りませんと言う。全部それなんです。  おたくは、ともかく新製品をどんどんつくられる。私からすれば、あんな「カレント」なんて、うまくもないたばこを、テレビにまでかけてよく売るなと思うのです。あんなまずいたばこを、テレビの広告までして、よく売っているものだなと思うのだけれども、これは何だと言ってあなた方に聞いてみたら、タールの量が少ないからと言うので、専売公社というのは国民の保健衛生に協力しているのだなと思ったけれども、あにはからんや、まずいたばこを高く売るためにやっているのですよ。理由を聞いてみますと、何で新製品が出るのかというと、その底流は、大臣、こういうことです。新製品であれば、値段をつけることは、国会でやらなくていいのですね。申請しなくていいのだそうですね。ところが、既成のものでありますと、いままで売っておるものを値上げするということになると国会でやあやあ言われるから、新製品をつくらなければいかぬということでつくっておるということがどうも真相らしい。  それで、刻みなんかの需要が激減しておるというのは、あなた方の一方的な考え方じゃないですか。出してごらんなさい。私は古道具屋へ行って、きせるをおりおり見るのですけれども、どうだと言ったら、いや、ここのところ需要が多い、お年寄りはかなり買いますよということを申しております。とにかく、それはそれといたしまして、あなた方は四十万キロに生産量を押え、生産量が四十万キロであるがために、それに合わして配給をし、需要を押えておるのじゃありませんか。ちょうど、「ゴールデンバット」が町へ出ないのと同じようなかっこうにしているのじゃないですか。そこに、専売公社の売らんかなだけの姿勢があると思うのですが、いかがでございますか。
  89. 北島武雄

    ○北島説明員 刻みの不足に対する消費者の需要に対しては、実は、ほんとうに頭を痛めております。これに対しては、何とかひとつできるだけ対処していきたい。もちろん、御承知のとおりに、刻みの葉というのは、一枚一枚農家の方が手でのす、のし葉でやらなければならないのです。のし葉の生産ということは、いまの労働力事情からいきまして、生産が期待できないわけでございます。現在は、実は、ストックを食っているようなわけで、しかも、これは、単にストックを食っているだけでは知恵がございませんので、できるだけ葉組みを新しく考えまして、そうして、これは相当年数をもたせようというつもりでいろいろ研究いたしております。  四十六年度は、確かに、四十万キロというのは、結果的には、私どもは少なかったと思います。製造体制が、実は、長岡工場から池田工場へ刻みを転換するときに、将来の計画を立てたのでございますが、そのときの需要からいいますと、非常に減ってくる見込みでありました。ところが、四十三年のたばこの値上げ、あのときから、刻みの需要というのが、減り方がいままでに比べて多少減った。そういう関係があります。そこで、実は、四十六年について、たいへんそういった御不自由をかけておるわけでありますが、これにつきましては、四十七年度において、時間外勤務なり、あるいは設備の稼働をできるだけフルにいたしまして、少なくとも本年以上に増産したい。こう考えております。
  90. 井上普方

    井上分科員 総裁、たばこを一枚一枚手でのすというような作業も、私自身知っております。知っておるけれども、いまのあなたの御答弁は、さきの御答弁と違うじゃありませんか。というのは、需要がやはり伸びているのだということが、あなたの御答弁でいまわかったのですね。といいますのは、生産したものを、ストックまで吐き出さなければ実は足らぬというのが実情じゃございませんか。生産量よりも多く需要があるということが実情じゃございませんか。ここらあたり、もう少し生産体制を拡充して、需要者に不自由をかけないように——これはタールも少ないし、私らですと、一袋で大体三日ぐらいもちますよ。こういうようなことは、あなた方の営業政策上は無理かもしれませんけれども、国民の中にはやはりそれだけの需要がある。かつまた、特に老人対策が叫ばれる今日、お年寄りが望んでおることを考えて、もう少し生産体制を拡充して、需要者に不自由をかけないようにお願いしたいと思うのですが、いかがでございますか。
  91. 北島武雄

    ○北島説明員 そのようなつもりで、私どもただいま計画いたしております。
  92. 井上普方

    井上分科員 専売公社に対しましては、あと申したいことはたくさんありますけれども、その程度にいたしておきたいと思います。  続いては、家具物品税につきましてお伺いをいたしたい。  水田大蔵大臣、私、これは、昨年同じ質問をしたのですけれども、もう一度お伺いします。福田さんに聞いたと同じ質問を大臣にするのですが、大臣だけの御答弁でいいです。  本箱と書だなとはどう違いますか。どうお考えになりますか。知らなければ知らないで、いいのですよ。
  93. 水田三喜男

    水田国務大臣 あまりはっきりした区別を知りません。
  94. 井上普方

    井上分科員 そのとおりであると思うのです。昨年度も福田大蔵大臣に聞きましたら、私、知りませんと言う。あの人は大蔵省のはえ抜きでございますが、こうおっしゃっておられました。本箱と書だなとは、税法上違うのですよ。本箱でありましたならば、税法上物品税はかからない。なでありましたならば、税金がかかるのです。観音開きになっておるのが本箱だそうです。あと、全部、本を入れるのが書だなだそうです。これが大蔵省の解釈で、大体、観音開きでないのは全部物品税がかかっているのです。これが実情なんです。それから、たんす類もかかっております。これは、四万円以上になりますと二割かかりますので、四万八千円でございましたならば、八千円を物品税で取る。四万一千円でございましたら、一千円取るのです。ところが、総ギリのたんす、三方のウルシのたんす、これは三越で調べてごらんなさい。三十万から七、八十万円します。これは家具物品税という税金がかからないのです。お嫁さんに行こうという庶民大衆というのは、せいぜい二十五、六万からワンセットというのがありまして、洋服だんすに、和だんすに、げた箱、それから整理だんす、これらをセット売りします。これらのワンセット売りで、安い三十万、四十万ぐらいのクラスのものまでは全部税金がかかるのです。それ以上の総ギリのたんす、それから三方のウルシにつきましては、税金がかからないのです。どうお考えになりますか。大蔵大臣
  95. 吉國二郎

    吉國(二)政府委員 ただいま御指摘の点は、物品税の非課税規定についての、規格非課税についてのお尋ねと思います。総ギリあるいはウルシ塗りのものにつきましては、御承知のとおり、ウルシにつきましては、一般的に……。
  96. 井上普方

    井上分科員 わかっています。あなたがよう言わんところ、私が言おう。総ギリは昭和四十一年まで税金がかかっていたのです。ところが、総ギリのたんすと、三方のウルシのたんすは免税になりました。当時の大蔵大臣田中角榮君。政調会副会長が西村直己君。総ギリのたんすはどこでつくるかといいますと新潟県が一番多いのです。片方、三方のウルシはどこでつくるのかというと静岡なんです。これで両方やってしまった。でございますので、高級品に対しましてはかからない。庶民大衆の安いたんす類に対しましては税金がかかる。こんな不合理な話がありますか。なぜそんなことをしたのかと言ったら、いわく、技術保存のためだそうです。これがいまの家具物品税のありさまなんです。こういうことをやられておる。私、昨年、同じことを質問したのです。そうしますと、福田大蔵大臣は、ここにも議事録がありますけれども、よくわかりました、ひとつ、この家具物品税は再検討いたします、とおっしゃられた。どのようになっていますか。国税庁長官
  97. 吉國二郎

    吉國(二)政府委員 御承知のとおり、物品税につきましては、課税最低限の問題、あるいは新製品に対する掲名ができていないという点もございます。いろいろ問題が山積しておりますので、これは、国会でも、与野党ともに再検討を御主張になっておりますし、いろいろと主税局でも検討を続けておりますが、今回全面的な検討が間に合わないということで、国会に法案を提出しておりませんが、鋭意検討はいたしておる次第でございます。
  98. 井上普方

    井上分科員 去年言われて、ことしは間に合わないから、これから鋭意検討とは、何ですか、それは。しかも、この家具につきましては、中小企業というよりも、零細企業の連中が非常に多いのです。そうでしょう、大臣。そうなんですよ。でございますので、テレビであるとか、あるいは宝石であるとかいうような物品と、ちょっと徴収方法においてもなじめない性格があると思うのです。そこで、家具物品税を一度洗い直さなければならないと申したら、よく検討いたしますと言う。これは、福田さんは、四、五回私にこの場でおっしゃられておるのですが、依然としてやられていないというのは、一体どういうわけなんですか。
  99. 水田三喜男

    水田国務大臣 もうこれは、全面的に再検討する必要がございますので、その作業はやっております。これは一品を切って済むことではございませんで、ほとんど全面にわたってこれを洗い直しをしなければならぬという性質の税になっておりますので、本年度の税制でも、これは当然問題になりましたが、これは、特殊の物品についての税の変更ということでは済まぬということで、もし、この物品税の改正に手をつけたら相当の期間を要することで、来年度の税制にはとても間に合わないということで断念いたしまして、徹底的に一品を手をつけなかったというのが今度の税制改正のときの実情でございます。一、二品に手をつけるということでは済まない性質のものでございますので、これはいま検討を進めておりますし、そこをどう改正すべきかということは、一応考えも持っておることでございますので、これは全面的に改正するという方針でいま検討を続けておるというところでございます。これは相当時間をかけないと改正に着手できない性質のものでございますので、せっかく勉強中でございます。
  100. 井上普方

    井上分科員 私は、物品税全体を申しておるのじゃございません。一つ手をつければ、千波、万波を呼ぶのだ、こう大蔵当局はおっしゃるようであります。しかし、これだけ不合理なものがすでに出てきているのです。高級製品でございますと、ともかく、一つのたんすが三十万、四十万、五十万するのに税金がかからない。ところが、庶民大衆が使う四万五千のたんすでございましても、五千円税金がかかる。蔵元で取られるのですから、一般の小売りのときは、おそらく七、八千円、もしくはもっと取られておるでしょう。そういう実情になっておるのです。これを直さなければおかしいじゃありませんか。千波、万波を呼ぶという理由をひとつお示し願って、悪いところは直したらどうですか、直ちに。
  101. 水田三喜男

    水田国務大臣 それは、御承知のように、国民の嗜好の変化、生活水準の変化、また、生活態様の変化、いろいろなことから、この物品税についての矛盾というものは、いま御指摘になっただけの問題では済みませんで、ほとんどの問題にわたって再検討しなければいけない問題を、それぞれみな持っておるというのが実情でございますので、矛盾があるからといって、一、二の訂正をして、それで済む状態ではございませんで、これはもう実情に合わなくなっているものが実際において相当多様になっておりますので、これは、全部の均衡をとって時間をかけてやらなければならないことだと私は思っております。
  102. 井上普方

    井上分科員 三十八年には、田中大蔵大臣は、総ギリのたんすだけでも、すぱっとその中から——三方ウルフのたんすでも、物品税二〇%かかるというものを、ともかくのけてしまったのですよ。それくらい彼は蛮勇を持っておる。技術保存のためだそうです。仏さんみたいな水田さん、あなたもひとつ、こういう点で蛮勇をふるう意思はございませんか。これは、大衆が二十五、六歳で嫁さんをもらおうと思っても、わずかな結婚費用にも税金がかかる。そういう零細な連中が買おうとするたんすに対しては税金がかかる。高級製品に対してはかからない。このたんす一つを考えても、不合理を直す必要がある。それじゃ総ギリのたんすと三方ウルシをもう一度復活させたらどうですか。そうすれば公平はある程度貫かれるかもしれません。あなた、ここで蛮勇をふるう意思ございませんか。
  103. 水田三喜男

    水田国務大臣 たんすだけに蛮勇をふるうんじゃなくて、たくさんございますので、これは全部均衡をとって蛮勇をふるわなければいけないものだと思っております。
  104. 井上普方

    井上分科員 四十一年には、田中さんなり、西村さんはこれだけやったのですよ。あなたもひとつお考え直しなさる必要があるんじゃないですか。(水田国務大臣「今度たくさんあります」と呼ぶ)たくさんありましょう。しかしながら、それは生活様式が変わってきているんだから、物品税の内容を見ますと、かなりあると思う。あるけれども、そのような総ギリのたんすであるとか、三方ウルシとか、これはくどいように言いますけれども、こんなことをやっておるではございませんか。しかも、先般福田大蔵大臣は、それは不合理でございます、再検討しますと私にお約束になっているのですよ。家具物品税に関する限り。私はそのことだけしか質問しないんだから、それで、再検討いたします、早急に検討いたしまして結論を出しますとおっしゃっている。これはここに議事録があります。ところが、一年間大蔵省はやはりさぼっておると言うたら——全体として考えるということは、そのとき、去年もおっしゃったのです。付加価値税の問題とか、あるいは物品税の趨勢とか、えらい高邁なことを承りましたけれども、そんなことじゃないのです。たちまち問題として、手直ししたらどうですかと言うのですよ。どうですか。若い新婚夫婦が、これから買おうとか、やろうとする。その人生の新しい門出に立とうという人たちに対して——少なくとも、そんな人が買えるのは安いたんす類ですよ。それにはなむけしたらどうですか。喜び合ったらどうですか。
  105. 吉國二郎

    吉國(二)政府委員 ただいまお話がございましたが総ギリたんす並びにウルシ塗りのたんす、これを処置いたしましたのは四十一年でございまして、物品税全文改正のときでございます。その当時、ウルシ塗りの漆器類自体も非課税にいたしました。その一環として、技術保存ということでやったわけで、必ずしも、これだけを蛮勇をふるったということは当たらないと思います。同時に、また、いま大臣が申し上げましたように、物品税は、先生が御指摘のように、家具にも問題があるといわれることもありますし、あるいはまた、宝石類も問題があると言われる方もおられますし、すべて全体の権衡をとりませんと、一品だけ直せば、まさにほかのものとの不均衡というものが問題にされる。やはり、全体をながめて、全体を満足する形で、しかも早くやるということで、主税局もいろいろ勉強いたしております。そういう意味で、できるだけ合理的に全体をながめた改正をいたしたいというのが私どもの考えであります。
  106. 井上普方

    井上分科員 家具、これは早急にやる必要があると思う。吉國さん、あなたは、銀座なり、渋谷なり、六本木あたりをひとつ歩いてごらんなさい。高級家具店へふらりと入ってみますと、幅が一メートルそこそこ、高さが二メートルぐらいの鏡が四十五万、五十万しておるのを私は先日も見ました。これには物品税がかかっていないでしょう。かからないですよ。こんなぜいたく品に対しては、私は、物品税の趣旨からいって、かけるのが当然だろうと思う。ところが、片方においては、一つのたんすが四万五千円。あれには五千円取る。四万八千円だといったら、八千円取ってしまう。そういうような税制のあり方自体に、私は、基本的に問題があると思う。たちまちの問題として、こういうような矛盾が出てくる。あなたはウルシのことばかり先ほど言われたけれども、総ギリたんすのことは一切おっしゃらぬ。総ギリのたんすを三越へ行って見てごらんなさい。六十万、七十万します。それがはたしていいものか悪いものか、私は疑問を持つけれども、それらに対しては、税金をかけない。ところが、四万五千円のたんすに対しては税金をかける。五千円かけているのです。この姿勢を直しなさいと私は言うのです。こういうのは早急にできるはずです。これは附則でやっておるのですから。本法でやっておるのじゃなくて、附則でやっておるのです。施行令でやっておるのです。こんなものをなぜ直さないのですか。一波万波を呼ぶなんてむずかしいことを言って、それは理屈は幾らでもありましょう。しかし、常識で考えて、不合理なものは早急に直すのが行政であり、政治であると私は思う。  大蔵大臣、どうでございますか。しかも、前の大蔵大臣は早急に再検討しますと言ったが、あれから一年二カ月たっているのですよ。それがまだ再検討の段階だ。ちょっとおかしいじゃございませんか。どうでございますか。
  107. 水田三喜男

    水田国務大臣 もうおっしゃられるとおりだと思います。したがって、この改正はいたしたいと思って、いまやっておりますが、今年度も少し手をつけだしましたところが、そういうようないろいろな矛盾がとても一つや二つの問題ではございません。全面的に洗い直して均衡をとった解決をしなければ、とてもこれはおさまる問題ではございませんので、途中までやりだしましたが、これは、本年度はもうやめということで、一品もさわらないで打ち切ったといういきさつから見ましても、この税金をいじることがいかにむずかしいかということの証明になろうと思いますが、これはどうしてもやるべき問題でございますので、いま検討中でございますし、必ずこれは合理的な解決をしたいと思っております。
  108. 井上普方

    井上分科員 それじゃ、大臣、佐藤内閣ももう間もないことだろうと思いますが、大蔵大臣として、税制の長として、ともかく早急に手をつけていただいて、少なくとも、来年の予算委員会においてこんな問題を質問しなくていいように、ひとつ御努力を願いたいと思うのですが、お約束できますか。
  109. 水田三喜男

    水田国務大臣 来年は、私は、物品税の改正も手がけたいと思っております。
  110. 井上普方

    井上分科員 これで終わります。
  111. 野田卯一

    野田主査 この際、午後一時まで休憩いたします。     午後零時九分休憩      ————◇—————     午後一時四分開議
  112. 森下元晴

    ○森下(元)主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  野田主査は、都合により、午後おくれますので、指名により、私が主査の職務を行ないます。  質疑を続けます。堀昌雄君。
  113. 堀昌雄

    ○堀分科員 いま先ほどまで、大蔵委員会で、租税特別措置に関する論議をいたしておったわけでありますが、昭和四十七年度について、大蔵省予算委員会に提出をいたしております資料に基づきますと、「貯蓄の奨励等」という項目がございますが、その中でも、少額貯蓄の利子の非課税と、それから利子所得の分離課税及び税率の軽減という二項目によりまして、昭和四十七年度の平年分の減収額を九百七十億円というふうに大蔵省は見込みを立てて、当予算委員会に提出をいたしておるわけであります。  そこで、大蔵大臣にお伺いしたいのでありますけれども、税の公平をそこないながらも、こういうような非課税措置、あるいは税の減免その他を行なっておるのはなぜか。ちょっと大蔵大臣から御答弁をいただきたいと思います。これは主税局は呼んでいないので、常識論だけでいいですよ。ここは入り口ですから、この出席者だけで……。
  114. 水田三喜男

    水田国務大臣 なぜかと言われても、従来からの、貯蓄を奨励して生活の安定に資そうという、特別措置にした政策、目的が、依然としてまだその必要があるという認識からも続けておるということでございます。
  115. 堀昌雄

    ○堀分科員 私も、おそらくそういうことだろうと思います。要するに、貯蓄の奨励をすることによって、いま大臣のおっしゃったように、生活の安定に資することにしたい。まあ、貯蓄もだいぶふえてはきたけれども、依然としてその必要がある。こういうふうなことだと私も思います。  そこで、ともかく、政府が、そういう税の公平を多少そこなうことがあってすらこれを行なおうということは、やはり、貯蓄を奨励するということが、今日においてもきわめて重要な政策であるという認識に立っておるというのは当然だと思うのですが、大臣、いかがでしょうか。
  116. 水田三喜男

    水田国務大臣 そうだと思います。
  117. 堀昌雄

    ○堀分科員 最初に私がこの問題に触れましたのは、実は、最近、民間の設備投資その他が非常に停滞をしておりまして、不況の状況が続いておりますために、金融市場における資金がたいへん緩慢な様子になってきた。こういう一つの事実があるわけであります。そこで、その現象が一番顕著にあらわれておりますのは、実は、事業債等の起債市場で、非常に資金の余裕があるということのために、これまで、タイトなときには、長期金利といえども高くなければ実際に消化はできないということで、発行価格と流通価格の間にはギャップがある時代があったわけでありますが、この非常な金融緩慢によって、そういう問題が解消するだけではなくて、長期金利、特に、事業債発行の面では、金利は弾力化してきておる。こういうふうに私も認識をいたしておりますが、その点については、証券局長、いま、事業債の金利については、二段目の改定が行なえるというか、弾力化になっておりますから、自然の姿として、そういうふうな動きになるということだろうと思いますが、ちょっと証券局長からお答えいただきたい。
  118. 坂野常和

    坂野政府委員 お説のとおりで、ただいま流通価格と発行価格のいわゆる逆乖離と申すものがかなり大幅になっております。電力債を例にとりますと、発行直後のもので〇・三程度、残存一年未満のものになりますと、〇・九程度の利回りの逆格差が生じております。ただ、これが即発行価格にはね返るべき性格のものではなくて、この中には、短期の金融として使われておる部分がかなり入っております。それをディスカウントいたしますと、どの程度発行価格を修正すべきかというような論議になるかと思いますが、いずれにいたしましても、近くまた発行価格の弾力化を行ないたいという関係者の意向のようでございます。
  119. 堀昌雄

    ○堀分科員 そこで、そういうふうな長期金利に関係がありますものは、一応社債。それから、社債がそういう形で動くとすれば、当然、国債も、あるいは政府保証債も、金融債も、このような債券類がやや連動的に動きをすることになると思うのでありますが、政府保証債、あるいは国債については、いまの事業債の動きを受けてどういうふうに動くことになるのでしょうか。理財局長から御答弁いただきたい。
  120. 橋口收

    ○橋口政府委員 堀先生から御指摘がございましたような金融情勢でございますから、幸いにして、国債の流通価格も最近は相当上がってまいってきております。発行後一年を経過しました国債について申しますと、大体、市場の取引価格が七・〇八程度になっております。期近ものにつきましては、証券局長から答弁がございましたように、国債につきましても七%を割っております。政府保証債は国債と比較いたしますと、タイトな時代におきましても、国債よりはやや正常な姿を示しておりましたが、やはり最近の時点におきましては、政府保証債につきましても、二年経過のもの、あるいは期近のものにつきましては、相当高い価格になってきております。そういう情勢でもございますので、一月から十年債を発行いたしまして、十年債につきましては、表面レート七%という高い金利をきめたわけでございますが、こういうものにつきましては、まだ市場で取引が行なわれておりませんので、こういうものが実際の取引の場に出てまいりますと、もっといろいろ値段がつくのではないかというふうに推定もされますので、四月の発行分からはできれば利回りを下げたいということで、引き受けシ団と折衝をいたしてまいりまして、正式には三十日の世話人会で決定になりますが、内定をいたしておりますのは、けさの新聞に出ておりますが、表面レートが七%で、発行価格が九十九円八十銭、利回りにいたしまして七・〇三四%。それから、政府保証債につきましても、きょうの午前中の引き受けシ団との会合におきまして、これも内定でございますが、表面レートは七%、発行価格が九十九円七十五銭、利回りにいたしまして七・〇五三、こういうことで内定をいたしております。  なお、この機会に考え方をちょっと御説明申し上げますと、国債につきましては、大量発行、大量消化という事態を控えておりますので、改定の幅は控え目にいたしております。現行の状況と比べますと、マイナス〇・一五五でございますが、これに対しまして、比較的発行額の増加の少ない政府保証債につきましては、改定の幅が〇・一八三ということで、多目にいたしております。  なお、お尋ねがございませんでしたが、その他の公共債、公募地方債につきましては、現在検討を進めているところでございます。
  121. 堀昌雄

    ○堀分科員 銀行局長。これに関係のありますものは、現在長期金利のワクの中にありますものは、五年ものの金融債と貸付信託だと思いますが、これについてはいかがでしょうか。
  122. 近藤道生

    近藤政府委員 五年ものの貸付信託並びに金融債につきましても、ただいま業界内部で検討が進められております。金融債の場合と貸付信託の場合とが違います点は、これは釈迦の説法でございますが、貸付信託の場合は予定配当率ということになります。そういう意味で、やや性格は違うわけでございますが、それぞれの業界におきまして、それぞれの金融機関の収支採算から考えまして、やはりこの際利下げの必要があるということで、ただいま鋭意検討中のようでございます。
  123. 堀昌雄

    ○堀分科員 私が特にこれを取り上げておりますのは、一体、その長期金利と——長期金利といいましても、貸し出しのほうではありません。要するに、発行価格の面あるいは預金の金利、こういう面でありますが、要するに、長期金利と短期金利という、そういう意味のものが、どういう形であるのがいまの日本の経済情勢としては望ましいかという点を少し議論をしておきたいと思うからであります。  そこで、私が前段で申し上げた租税特別措置によって、少額貯蓄免税なり、利子の分離課税その他の軽減を行なうということは、これはもちろん、これらのものが対象になってはおりますけれども、少額の貯蓄者を一番優先して考えておるわけでございますから、そうなりますと、これは社債を買ったり、あるいは金融債を買ったり、国債を買ったり、というところまではなかなかいかないのではないか。依然として預貯金か、あるいはせいぜい貸付信託ぐらいまでが、実はそういう少額貯蓄の非課税の対象になる。一般的な、やや所得の少ないほうの、国民全体の預金がそこにいるのではないか。こう考えるわけであります。  そこで、この金利の問題を考えてみますと、長期金利というのは、現実の問題としてみますと、これは、一つは、企業の資金需要の問題もありますし、金融緩慢という状態もあって、客観情勢によって非常に流動的に動くべき性格のものだろう。こう考えるわけであります。ですから、そういう意味では、私はかねてから言うのだが、長期金利というものはできるだけ自由化をしなさい。そうすれば、企業との間に自然なオートマチックの影響を及ぼすということになって、金融が緩慢になれば、当然長期金利が下がってくる。長期金利が下がってくれば、そういう長期金利を取り入れてひとつ設備投資をやろうということになるだろうし、金融がタイトになれば、長期金利は自然に上がってくる。どんどん上がってくれば、投資を少し控えようということになるであろうから、長期金利については、そういう企業サイドとの関係でものを見るのが相当だろうというのが私のこれまでの見解であります。  ところが、それでは、たとえば郵便預金、普通預金、定期預金、そして貸付信託というのがちょうど私は接点にあると思うのでありますが、形態としては、貸付信託というのは受益証券を発行しておりますから、その限りでは、形態は債券形態になっておるわけですね。ところが、実は、この前預金保険機構というのができて、私は、貸付信託というのは、もし理論的に割り切るならば、受益証券を発行しておる債券であるから、預金保険機構というのに入るのはおかしいのではないかと理論的に思っておりますけれども、信託業界としては、ぜひ預金保険機構に入れてくれということで入ってきた。貸付信託というものは、法人の所有者というのは少なくて、ほとんどが個人であるという点も、形態としては、どうも預貯金の延長であるというふうな感じで見るのも相当ではないか。こういう感じがしておるわけであります。  そこで、いま上のほうから、金利弾力化ということでだんだんおりてくる。ちょうど五年もののところで、さっきちょっと申し上げましたように、片や金融債、片や貸付信託の金利、こういうものがあるのですが、私は、貸付信託業界がもし望むならば、貸付信託というものの金利と金融債の金利というものは異なって差しつかえがないと考えるわけです。というのは、金融債というのは、主として五年ものの金融債というのは、金融機関その他を含めて、要するに法人が主として買うものであって、これは個人が買うものではない。貸付信託は個人が買っておるものだ。こうなりますから、要するに、この問題については、現在の物価上昇の状況——政府の発表では、昭和四十六年度は消費者物価六・一、それから四十七年度は五・三%だ。こう言われておるわけでありますが、私は、かねがね申しておりますけれども、これは、実は、理論計算数値でありまして、本来の物価として国民が感じておるのは、このような一年間の物価上昇分を十二で割った平均値ではないのであって、前年の——いま三月二十二日でありますから、ならば、前年の三月末とことしの三月末で幾ら違うかというのが、国民がはだで感じる物価の感覚でありますから、そうなりますと、おそらく、最近の情勢でも六%程度に、ちょっと私資料で見ておりませんが、なっておるのじゃないかと思うのであります。だから、そういう物価上昇のさなかに、政府としては、さっき大臣お話しになったように、依然として貯蓄奨励をする必要があるということになると、貯蓄を奨励するためには、やはり物価に見合って、ある程度の金利を払うということでなければ、私は、貯蓄奨励にはならないのじゃないか、こういうふうに思うのですが、大臣、いかがでしょうか。
  124. 水田三喜男

    水田国務大臣 大体そうだと思います。
  125. 堀昌雄

    ○堀分科員 大体そうだと言われると、どこかちょっと違うところがあるようにも聞こえるのですが、私がきょう特にこの問題を取り上げておりますのは、金利の自由化という表現をとると、ともかく、長期金利も、いまのような短期金利も——短期金利といいましても、預貯金の金利でありますが、そういうものも十ぱ一からげに、どうも金利の自由化という議論があるのじゃないのか、こう思います。しかし、私は、いま申し上げましたように、この金利の全体というものを客観的に見るならば、長期金利と短期金利というものは、本来性格が違うものだというふうに見ておるわけです。それは、片方は企業間との関係の経済行為に関係がある。片方は家計と貯蓄と預貯金の金利というようなものに関係がある。こうなっておるので、ここはやはり整理して考える必要がある。こういうふうに考えております。その点も、それでよろしいでしょうか。
  126. 水田三喜男

    水田国務大臣 そうだと思います。
  127. 堀昌雄

    ○堀分科員 そこで、そうなると、これは新聞で見たところだけでありますから、どこまで正確であるかどうかわかりませんが、貸付信託としては、今度のいろいろな金利の動きに対して、現状を維持したいというふうな希望があるやに新聞で実は拝見をしておるわけです。私は、貸付信託が金利を下げないでこのままでやられることは、貸付信託銀行にとってもかなりきびしいものであろうと思います。なぜかといえば、貸し出し金利のほうは全部長期金利の競争の中に入るわけですから、きびしいものだとは思いますけれども、なおかつ、貸付信託銀行としては、そういう大衆の立場に立って、ひとつ予定配当率を据え置こうということは、私は、たいへん時宜に適した方向だと考えておるわけです。大蔵大臣、この点いかがでございましょうか。
  128. 水田三喜男

    水田国務大臣 その意図はけっこうです。
  129. 堀昌雄

    ○堀分科員 ですから、この際、昨年以来いまの預貯金の金利を据え置いておるという点について、いろいろな面から、どうもそれは、金利全体としては、長期金利が動けば短期金利も動くのが当然だというような議論がかなりあるかのような感じが私はするのでありますけれども、今度、政府が、これまでの企業優先の政策から、国民福祉優先の政策に転換をしたといわれる以上、私は、金利問題についても、やはり国民生活に密着をしておるところの、これらの預貯金なり、貸付信託の金利については、物価上昇が非常に安定したというなら、これはまた別途考えていいと思います。もし、そういうことで考えるとき、これらの預貯金の金利を引き下げるときには、私は、裏返して、租税特別措置におけるそういう貯蓄奨励のものも減らすのが相当だと思うのです。要するに、私は、この二つは、表裏が一体となっておるというふうな認識をしておるので、租税特別措置によって、今年のように、九百七十億円も減収を承知で、税の公平をそこなう問題点があるにかかわらず課税減免を見ておる限りは、私は、やはり預金金利を現状のままに据え置くことが当然必要だ、こう考えておるわけです。これについて、ひとつ大蔵大臣から明快な御答弁をしていただきたい。
  130. 水田三喜男

    水田国務大臣 昨年の公、定歩合引き下げのときも、いろいろそういう問題も検討いたしましたが、いま言われたような問題も含めて、私どもは、預金金利については、この際慎重に考えるべきものであるということを考えて、これを切り離した公定歩合の引き下げを行なわなければならないということでございまして、今後におきましても、金利の引き下げということについては、いろいろそういう問題もございますので、これは慎重に扱っていきたいと思います。
  131. 堀昌雄

    ○堀分科員 いまの御答弁で、私も、いまの貸付信託を含めた金利問題は、国民生活という立場を考慮して、現状を維持していただくという発言だと受け取りますので、この点はけっこうだと思います。  そこで、時間がまだ少しありますから……。アメリカがいまのような金利情勢である。公定歩合では、日本より〇・二五%ほど低いわけでありますね。西ドイツが、この前またうんと公定歩合を引き下げた。こういうような情勢もあるし、片方では、また公定歩合の引き下げ論というのが出ているらしいように私は拝聴しておるわけでありますけれども大蔵大臣は、いまの公定歩合を——昨年もすでに引き下げたわけですが、いまの経済諸情勢を見て、この公定歩合問題はどういうふうに考えておられるか。これは金利問題に関連がありますから、ちょっとお伺いしておきたいと思います。
  132. 水田三喜男

    水田国務大臣 御承知のように、いま実質金利は下がっておる。でございますから、金利は日本銀行総裁にまかせてあるというものの、私どもは、いまそう急がなくてもいい段階ではないかというふうに考えています。問題は、ただ、国際的な関係からの考慮でございますが、これも、為替管理も強化して、とりあえずその短期の流入を防ぐという措置をとってありますので、この点もそう差し迫られている問題ではございません。
  133. 堀昌雄

    ○堀分科員 私も、いまの大臣のお考えと全く同じ考え方に立っておりまして、まあ、国際的な問題は、短資規制が十分に行なわれておるようでありますから、あまり心配はない。国内的には、実質金利も下がっておるし、これ以上金利を下げたからといって、設備投資が急に起こるものでもなくて、やはりこれは、全体の需給関係といいますか、在庫調整の進み方と見合って起こることであって、私は、金融政策にもやはり当然そういう面では限界があるというふうに考えておるものですから、公定歩合の問題についても、当分の間は、何か異常があれば別でございますけれども、現状で十分であると私も思っておりますので、これは日本銀行の所管事項でありましょうけれども、財政金融政策の中の重要な一環でもありますから、大臣からそういうお答えをいただいたので、いずれにいたしましても、いまの貸付信託を含む預金金利については、公定歩合の変動がない限りは、当然このままで維持するということが国民のためにも非常に適当ではないか。こう思いますので、どうか、その点でひとつ今後の金利政策を進めてもらいたい。いろいろな意見もあろうと思いますけれども、やはり、国民福祉優先の立場に立ってぜひ進めていただきたいということを要望いたします。  一言だけお答えをいただいて、私の質問を終わります。その方向でいくということなら、それでけっこうです。
  134. 水田三喜男

    水田国務大臣 十分慎重に対処したいと思います。
  135. 森下元晴

    ○森下(元)主査代理 近江巳記夫君。
  136. 近江巳記夫

    ○近江分科員 非常に限られた時間でございますので、何点か質問したいと思いますが、まず初めに、私は、万博のあと地問題についてひとつお聞きしたいと思うのです。  それで、一昨年行なわれました万博につきましては、いままで通産省が主体となって管理運営の監督責任をやってきたわけです。その後大蔵省に移りまして、大蔵省の中でも、理財局が中心となって、この万博記念協会の法律もでき、その後いろいろと準備をされておるようでございます。しかしながら、大蔵省としても、初めてこういうような運営管理をするという一つケースじゃないかと思うのです。私も、この万博の問題につきましては、党の万博の委員長もさしてもらっておりまして、当初からいろいろずっと見てきたわけでございますが、初めてというせいもあるのかもしれませんが、もし少しいろいろな点において配慮をしていただかないと、これはほんとうに国民の意思に反するのじゃないか。あれは、御承知のように、国民すべての財産であり、言うならば、万博に参加した全世界の残された財産じゃないかと私は思うのです。そういう点の運用につきまして、このままではたいへんだと思うから、私はいまから数点にわたってお聞きしたいと思うのです。  この間、エキスポランドが三月十五日から開放されましたが、一つは、この料金問題です。御承知のように、サービス業というのは第三次産業の中に入るわけでございますが、今日、こういうレジャーなり、そうしたものについては、もうエリートのものじゃない。すべての国民がレジャーを楽しむ時代に入っている。ところが、こういう料金問題については、全く野放し状態になっています。どこもチェックをしないというような状態でございます。当初、おとな三百円、子供百円というアドバルーンが大きく上がったわけですけれども、それが、私も民間の各施設も調べてみますと、二百円なり二百五十円ですね。高いところも一、二ありますけれども、全部低いわけです。そうしますと、協会が運営しているとはいいますが、国が、国の責任のもとでみなやっておると思っているわけです。ところが、ほかの民間よりも高い。三百円だ。民間施設は、万博が上げるなら、それじゃうちも上げようかと、一斉に値上げの動きが出てきた。ところが、この法律を見ても、施行規則を見ても、協会の業務計画を見ても、資金調達の問題とか、そういうことについては全部大蔵省のチェックがなければいけない。こういうことになっているわけです。私も驚いて、今枝理事長をはじめ、これは二月の十七日でございましたが、申し入れに行きまして、大臣のところへ寄せていただいたのが三月の一日です。それで、大臣がいろいろと御配慮をいただいて、一応百円下げてもらって二百円ということになったわけですが、しかし、その料金を決定するまでに至る、そのプロセスというものは、これは最初の問題ですから、慎重に反省してもらわなければ困ると私は思うのです。その過程について、大蔵省として、監督官庁として、どういう反省をなさっておりますか。
  137. 小幡琢也

    ○小幡政府委員 日本万国博覧会記念協会に対します大蔵省監督でございますが、昨年の九月一日に協会が設立されまして以来、何ぶん創成期でございますので、いろいろな問題につきまして、十分相談を受けまして、指導してまいったつもりでございます。  エキスポランドの入園料の件につきましても、協会のほうで一応の収支の見込みを立てまして、それに基づいておとな三百円、子供百五十円というような一応の案を持ってまいったわけでございますが、各方面から、入園料につきまして種々御要望がありましたことを承知しておりますので、極力低料金に押えるように指導いたしまして、特に、近隣の遊園地の入園料金というものも参考にいたしましたし、また、入園者の見込みにつきましても、もうちょっと入るのではないかというようなことも検討いたしまして、これをおとな二百円、こども百円とすることにつきまして協会のほうも納得いたしまして、こういうような料金にした次第でございます。
  138. 近江巳記夫

    ○近江分科員 三百円、百円というのは、特に周辺にとっては決定事項のような印象を与えて報道をされているわけですよ。結局はそういうような形を、大蔵省が最終の認可をしなければならないのに、そういうような過程を踏んでいいかどうかということなんです。それについては、そのままでいいと思っていらっしゃるのですか。
  139. 小幡琢也

    ○小幡政府委員 実は、そういうおとな三百円とか子供百五十円というようなことを外部に発表しているということは、大蔵省としては、全然そのときまで知りませんでした。これはまことに遺憾なことだと存じております。
  140. 近江巳記夫

    ○近江分科員 これはほかにもあるわけですね。たとえば、日本庭園を四月一日から、五十円のやつを百円に上げるんだ。普通公共料金であれば一〇〇%も上げるなどということは考えられないことですよ。いとも簡単に上げようと思っている。ですから、料金とか、そういう問題等についても、これは波及があるわけですよ。エキスポランドだけでは終わらない。いま、どこも、そういうサービス業についてのチェックがないわけですよ。特に、民間の場合なんか。したがって、やはり基本となる政府の監督下にあるこういうところの施設というものが全国に波及しているわけです。そういう点の配慮が足らないということは、ほんとうに国民生活というものを考えていないと思うのです。中の入場料にしましても、御承知のように、ほとんどが百円ですよ。五十円のもありますが、二十のうち十二が百円。あとは五十円。ゲームコーナーというのが、十円から百円というのが一つだけございますが、これだって、民間の施設よりも高いくらいですよ。どこまでチェックされたんですか。こういうことについて、先ほどあなたは、基本の考えとして、このプラスマイナスの収支を考えるというようなこともおっしゃっておりましたが、あくまでそういう経営主義で、今後の万博のあと地利用をすべてそういう収支だけで考えていくようなことであれば、これはもうたいへんなことになると思うのですね。この点は、大蔵省として、基本的にどう考えていらっしゃるのですか。
  141. 小幡琢也

    ○小幡政府委員 入園料につきましては、近隣の同じような遊園地の入園料というものも十分勘案いたしまして検討いたしたわけでございますが、エキスポランドの中のいろいろな施設につきましては、たとえばダイダラザウルスが百円とか、いろいろございますけれども、これにつきましては、比較というものもなかなかむずかしいわけでございまして、この辺はそう高くないのではないかということで一応やってみまして、それによりまして今後の行き方を検討したい。要するに、もうちょっと見ましてから再検討したい。現状におきましては、かつての万博時代の料金というものよりも上がっていないということで、これはやむを得ないのではないか、こういうような判断をしたようなわけでございます。
  142. 近江巳記夫

    ○近江分科員 十五日にオープンになりまして、その後行った子供たちの話なんか聞きますと、中学生くらいで二千円くらいみな使っているのですよ。施設にみな乗りたい。二回乗るのもあるでしょう。入場料から何からいって、平均千五百円から二千円使っているのですよ。民間の施設でも施設の利用というのは大体五十円ですよ。協会が完全に民間に委託をしておる。民間は完全に採算ベースで考える。そういうことを野放しに無神経でいくという態度は、私はほんとうに国民の立場からして非常に問題だと思うのです。今後こういう料金も、これからどんどん施設もできてくるのですけれども、これからどうされるのですか。常にこんな腹案を持って向こうが言ってくるのを、ほとんど一方的に認めていくというような形をとられるのですか。
  143. 小幡琢也

    ○小幡政府委員 今後におきましては、こういった料金の点につきましても、十分監督いたしまして規制をしたいと考えております。
  144. 近江巳記夫

    ○近江分科員 その法案の中にはっきりとそれはうたってあるわけですからね。ひとつそれは厳重にやっていただきたいと思うのです、この料金問題は。これからどんどん施設もできてくるわけです。いままでの点について、大蔵大臣としての反省と、そしてまた今後の姿勢というものについてお聞かせ願いたいと思います。
  145. 水田三喜男

    水田国務大臣 私はこの前、入場料が高いという御指摘を受けましたので、その後、付近の同じような遊園地の入場料との比較そのほかから検討した結果、いま次長が言われましたように、とにかくこの料金を再検討させ、値下げをさせよう。今後、入場料につきましても、やはり厳重に監督して間違いのないようにしたいと思います。  ただ、私の聞いている範囲では、民間では、料金が低いように見えても、設備の内容がきわめて悪い。やはり料金も設備の内容と対応する問題であるので、そういう点から見たら、いままできめたところは、大体付近の他のものと比較して妥当だろうというふうなことを聞いておりますので、私は特に問題はないのじゃないかと思っておりますが、これは今後十分監督していかなければならぬことだろうと思っております。
  146. 近江巳記夫

    ○近江分科員 それはまあ大臣のお気持ちはわかるのですけれどもね。けれども現実に民間の施設だって十分安全性も考えておりますし、施設だっていいですよ。何も飛び抜けてこのエキスポランドがいいなんてだれも思っておりません。むしろ高いというのがみんなの実感なんですよ。ですから、一ぺん本省からも係官を派遣して点検に行って、そういう妥当性ということをチェックしてもらいたいと思うのです。この点についてはどうですか。
  147. 小幡琢也

    ○小幡政府委員 御指摘のように、さっそく現地に派遣いたしまして、調査をいたしたいと思っております。
  148. 近江巳記夫

    ○近江分科員 時間がありませんのでスピードを上げますが、このあと地利用でございますが、マスタープランはいつできるのですか。たいがい諸外国の万博の場合は、終わったらすぐにあと地利用を転用してもうどんどんやっているわけです。万博の場合だって、日本庭園は開放して、今度エキスポランドが開放になりましたけれども、ごく一部です。基本計画ができなくて、あとの整備だ何だと言ったって、これは進まぬわけですよ。いつになったらできるのですか。
  149. 小幡琢也

    ○小幡政府委員 万博あと地利用のマスタープランでございますが、これは現在、協会におきまして専門家に委嘱して検討している最中でございまして、先般、評議員会に中間報告が出たばかりでございますが、この三月の下旬におきまして評議員会に正式に最終報告をする、こういうふうに聞いておりますので、それをもとにいたしまして、さっそく協会並びに大蔵省のほうで検討いたしますので、おそらく四月中にマスタープランができるのじゃないか、こういうふうに考えております。
  150. 近江巳記夫

    ○近江分科員 皆さんも報告を受けておられるように、私もその中間報告はお聞きしたわけですが、これは万博あと地の完全な完成はいつと見ておられるのですか。
  151. 小幡琢也

    ○小幡政府委員 一応中間報告におきましては、御承知のようにかなり長期のプランでございまして、ともかくあと地からこれを公園に定着させるまでに十二年くらいかかるのではないか。それから公園から森林公園に変わるのに十六年くらい。合わせまして二十八年くらいかかって公園として熟成する。すなわち二十八年でございますから、一応西暦二〇〇〇年というものを完成の目標、こういうふうにいたしているわけでございまして、非常に長いプランでございます。  この中間報告にもありますが、現在の明治神宮が今日の姿になるのに六十年の歳月を要しておる。また橿原神宮も三十年の歳月を要しておる、こういうようなことが書いてありますように、非常に長いプランでございまして、このうち、とりあえず公園として定着させるまでの十二年間につきまして、具体的なプログラムをこれからつくりたい、おそらくこういうことになるのじゃないかと存じます。
  152. 近江巳記夫

    ○近江分科員 それは確かに、木は成長するのにはそれくらいかかるかもしれませんけれども、非常に長い感じがします。それは非常に大陸的でいいですけれども、何もかもスピード化しておる時代に、昔はこうだったからこうだと何も右へならう必要はないわけですね。ですから、たとえば基本施設の完成にしても十二年、そういうような点ももっとスピードアップはできないものですかね。これはまだ決定の段階じゃないから、これからまだ皆さんのそういう決意でスピードはかかるわけです。要するに大蔵省が本腰を入れてそれだけの準備をしてくれればできるわけです。やはり基本姿勢というのは一番大事ですからね。その点大臣にもお聞きしたいと思うのですが、次長さんどうですか。
  153. 小幡琢也

    ○小幡政府委員 いま申し上げましたのは、これは中間報告に書いてあることを申し上げたわけでございますが、実際にこれが出ましてから作業をいたします場合に、ある程度スピードアップも考えなければいかぬと思いますが、何ぶんこれは専門的な分野でもございますので、評議員の先生、それから学識経験者の方々の御意見を聞いて十分促進方をはかりたい、かように考えております。
  154. 近江巳記夫

    ○近江分科員 いまの西暦二〇〇〇年に完成するというお話ですけれども大臣はどう思われますか。そういうのんびりムードの完成でいいか。あれだけの百万坪のところの有効活用ということはうたってあるわけですよ。有効活用をはかっていこうという点において、あまりにもちょっと悠長な感じが私はしますけれども大臣としてはどのようにお考えですか。
  155. 水田三喜男

    水田国務大臣 まあ専門家の意見は尊重しなければなりませんし、一応十二年で公園にはなるというのでございますから、これはできるだけ計画を早めるにいたしましても、やはり本格的にあと地を一定のものに仕上げるというためには相当の年月を要するし、また、それくらいかける計画でなければもったいないような気がいたします。
  156. 近江巳記夫

    ○近江分科員 まあ大臣は何でも慎重にやっていきたいという、そういうお考えのようでございますが、それは樹木は育つのがかかるか知りませんけれども、施設などは、これはもう、なかんずく大蔵省、政府のそういう決意いかんでは、何も十二年もかかる必要はないわけです。基本計画さえしっかりしておれば、何年間かでできるわけです。その点、大臣、スピードアップのそういうお考えに立たれて、さらにひとつ力を入れていただかないとちょっと困ると思うんですね。していただけますか。
  157. 水田三喜男

    水田国務大臣 切り離して簡単にできる施設というようなものは、これは計画をどんどん早めても一向差しつかえないことだろうと思います。
  158. 近江巳記夫

    ○近江分科員 それから初日からエキスポランドも事故ばかり起こしているわけですね。しかも、地元の消防署にも、大阪府知事の認可をもとらずに、たとえば怪獣館など閉鎖されているわけです。こういうずさんなことでいいかということです。一体その辺の監督はどうなっておるのですか。そういう不細工な話はいまだかってありませんよ。
  159. 窪田譲

    ○窪田説明員 先生の御指摘の、初日からいろいろ事故があったではないか、こういうお話でございますが、私ども聞いておりますのは、ミニレールと申しまして、モノレールの小さなようなやつでございますけれども、それが途中でとまりまして、乗客がはしごを伝わっておりたというような話が伝わっております。これにつきましては、このミニレールの機械の若干の故障がございまして、安全装置が働きまして途中でとまったということでございまして、特に危険であるというようなことではない、そういうぐあいに考えております。  それから怪獣館の点でございますが、これについては、吹田市で、これは警察の許可が必要だということを言っておりますが、協会側の考え方では許可は不要であるということで、若干意見の食い違いがございまして、それをどうするか、いま話し合っている状況でございます。
  160. 近江巳記夫

    ○近江分科員 怪獣館、それからファンハウス、野外劇場、この三つが閉鎖されているわけですが、要するに、保健所なり警察が許可が必要だと言うのに、許可が要らないという態度は、これは国が監督しておるんだから地方はあまりやかましく言うなという、非常に横柄なような感じが見えるのですよ。許可が必要だったら必要で、出せばいいじゃないですか。そういう頭の高いことをやらしておいて、地元の協力なくしてそれでいいかということです。大臣、いまのそのことについてどう思われますか。
  161. 水田三喜男

    水田国務大臣 私ももう少し実情を聞かなければ、何とも申し上げられません。
  162. 近江巳記夫

    ○近江分科員 次長はどう思われますか。
  163. 小幡琢也

    ○小幡政府委員 これは何ぶん開いたばかりの事故でございますので、私どももこういう手違いがあるとは思っていなかったわけでございますが、ともかくこういった保安関係につきましてもうちょっと内容を充実したい、そういうように指導したい、かように考えております。
  164. 近江巳記夫

    ○近江分科員 いま保安の話が出ましたから申し上げますけれども、エキスポランドの中の保安員というのは五名しかおらないわけですよ。日曜日など何万人っておるのですか。そういうこともおわかりにならぬと思いますけれども、そういう現地のことももっとよく調査されて、いま調査官を派遣するとおっしゃったから、私はもうそれで言いませんけれども、政府が監督しておる以上は、事人命に関するわけですから、かわいい皆さん方の子供さんが行くのですから、あらゆる細部に至ってもっと厳重にシビアにお願いしたいと思うのです。これは特に要望します。こういう点、次長どうですか。厳重にやっていただけますか。
  165. 小幡琢也

    ○小幡政府委員 保安関係につきましては、御指摘のように、現在エキスポランド本部の技術者五名がやっているほかに、二十五名の遊戯機器関係の保安要員、それから警備関係で六名、特に日曜、祭日は十名に増加いたしております。それから誘導関係では二十名、その他流動的サービスを提供する者三十名、こういった陣容でやっているということを昨日聞いたわけでございます。今後につきましては、実情をよく調査をいたしまして厳重に監督指導したい、かように考えております。
  166. 近江巳記夫

    ○近江分科員 それから地元負担金の割合、この辺のことについてもさらに十分考慮をしていただく必要があるのじゃないか、こう思うのです。こういう点については大臣どのようにお考えでございますか。
  167. 水田三喜男

    水田国務大臣 負担金というのは補助金のことでございますね。補助金は大阪と政府と半々に持つということでやっておりますので、これはこれで実施してみて、それからのことになるだろうと思います。
  168. 近江巳記夫

    ○近江分科員 それから余剰金の問題ですが、余剰金はいろんな使途に使われると思うのですが、いま具体的にどういう構想があるんですか。
  169. 小幡琢也

    ○小幡政府委員 日本万国博覧会協会の剰余金の問題であろうかと思いますが、これは新しい日本万国博覧会記念協会が九月一日成立いたしましたときに承継したわけでございまして、それは全部で三百六十三億円に相当する資産でございますが、そのうち余裕資金として運用できますものが百九十五億円ということでございまして、この百九十五億円のうち、記念協会の記念基金といたしまして百五十五億円を充てます。それから残りは旧施設の撤去費用、改造費等に充てる、こういうことを予定いたしております。  それから、記念基金にいたしました百五十五億円の使い方でございますが、これは元本は食いつぶさないということで、その運用益を使うということにしております。おおむね運用益の半分は、この万国博覧会を記念するにふさわしい国際親善とか国際交流に資する事業に充てる、あとの半分をこの万博のあと地を緑に包まれた文化公園とするための整備並びに運営費に充てる、こういうような構想になっております。
  170. 近江巳記夫

    ○近江分科員 それじゃ時間がありませんからこれで終わりますが、ひとつ大臣大蔵省としては、こういう監督ということは初めてのケースと思いますが、その辺、いろんな多忙なことはたくさんあろうかと思いますけれども、すばらしい万博の記念事業を完成させるために、さらに今後力を入れてよく監督をしていただきたい。この点を特に要望申し上げ、大臣から最後に一言御決意を聞かしていただいて終わりたいと思います。
  171. 水田三喜男

    水田国務大臣 確かに初めての経験でございますので、今後監督のためにいろいろ注意が必要であろうと思いますが、いずれにしましても、中央から現地の調査に派遣しますから、それによって今後の指導のしかたそのほかは十分に検討したい、こう思います。
  172. 近江巳記夫

    ○近江分科員 終わります。
  173. 森下元晴

    ○森下(元)主査代理 小林政子君。
  174. 小林政子

    小林(政)分科員 私は、税の執行に関して若干の問題と、それから交際費課税の問題について、大臣に質問をいたしたいと思います。  昭和四十七年度の租税及び印紙収入予算の税収見積もりによりますと、法人所得は昭和四十六年度より二・三%減に対して営業所得の場合には一〇%の増となっていますが、現在不況の深刻化といいますか、この影響の問題については、法人、個人を問わず相当深刻な状況に立ち至っておりますけれども、むしろ私は、この中でも中小零細企業ほどそのしわ寄せを受けているのが実態ではないか、このように考えます。それにもかかわらずこのような税収見積もりを大蔵省が立てたということは、私はやはり、営業所得者の申告所得水準の引き上げが当然これに伴うのではないか。また徴税強化、そういうものにつながるものだというふうにいわなければならないんじゃないか。こういう点に関連して、二、三の問題等について伺いたいというふうに考えております。  国税庁長官が見えた段階で、またこの問題について再度質問したいと思いますけれども、最近、福岡の久留米税務署で、業者の組合に対して、加入組合員の一人一人に所得を明示して、そしてその所得に異議のある人は組合に言いなさい、組合を通じてでなければ税務署は受け付けない、こういう趣旨の通達を久留米の税務署が出した。組合から組合員にその旨の指示がされているわけですけれども、その通達というのは、短いですから内容をちょっと読んでみますと、これは組合から出された文書ですけれども、「前略、このたび久留米税務署より通達がありまして、貴店の昨年度の税額は組合を通じて決定されることになりました。貴店の所得額は税務署では一応左証の通りみて居りますので、この件につきましてお話し合いたく、左記の通り是非御出席下さるようお知らせ致します。尚、御出席されない方は異議ないものと認めます。異議は組合を通じなければ、税務署直接では受付けません。」そして日時が悪いてございまして、集合の場所が書いてございまして、そして貴店の仮決定所得額というものがきちっと書かれているわけです。一体、税務署がタッチしなければ個人の所得額というようなものは当然わからないわけですし、しかもこういう個人の所得が組合に知らされているということは、明らかに私は、これは所得税法二百四十三条に違反をする違反行為ではないか、このように考えますけれども大臣の所見を伺いたいと思います。
  175. 水田三喜男

    水田国務大臣 その事件、私も承知しております。いま沈まれた組合長が組合員に出された通知も読みましたが、これはきわめてまずいことで、そこを通じなければ税務署は受け付けないというような事実もございませんし、非常にその内容も全部不適当でございますので、これは通知を回収させるというようなことをさせましたし、それから、これは調べてみますと、税務署のほうからこの組合長にこうしてくれと頼んだわけではございませんで、これは私の聞いた範囲では、説明を受けたことをそのまま申しますと、その組合長というのが非常に納税に熱心だった。それで向こうのほうから、ぜひこの組合に、自分のほうでも協力してもらうから、大体どの程度に見ているかというようなものを知らせてもらいたいというようなことを言われて税務署が教えたというようなことで、こちらからそういうことをしたんじゃないという。事情はそのとおりだったようでございますが、いずれにしましても、これは個人の納税額、税務署の調べたものを第三者に漏らすということは適当でございませんので、直ちに厳重な警告をして措置をしたはずになっておりますが、そういうことは十分聞いております。
  176. 小林政子

    小林(政)分科員 いま大尉から答弁ございましたけれども、税務署側がむしろ積極的にやったんじゃないということでございますけれども、少なくともこの所得を組合側に知らせたということは、これは税務署を通じなければ私はできないことだと思うのです。積極的にそうではないと言うけれども、しかし熱心のあまりとは言っておりますけれども、個人の秘密に属する、あるいは財産権に属する、ことによれば基本的な人権にまで影響を与えるかもしれないこのような問題を、いわゆる仕事を通じて知っている内容を第三者に明らかにしたという、こういうようなことについては、これは一体どういうふうに処置されているのか。組合の方が熱心だったと言うけれども、問題の本質は、このようなことが行なわれていたという具体的な事実、しかも税務署がこういうことを業者団体を通じて行なったという事実は、これは非常に重視すべきものだというふうに私は考えますけれども、この点について具体的にどう処置をせられているのか、それも含めてもう一度お伺いをいたしたいと思います。
  177. 水田三喜男

    水田国務大臣 これはもう、いまはこういうことはあり得ないことになっておりますが、たまたまこういうことがあったことは事実でございますし、さっき申したような事情でございますので、非常に遺憾なことであるとして——じゃ国税庁のほうが私より詳しいはずでございますから、あと始末については国税庁のほうから……。
  178. 江口健司

    ○江口説明員 ただいま久留米の税務署の問題を御指摘を受けたと思いますが、実は一般的な事項から御説明させていただきたいと思います。  名税務署では、業種団体ごとに、時期的には各市まちまちでございますが、久留米の場合には秋から業種別指導ということをいたしておるわけでございます。普通の場合には、業種別指導と申しますのは、一般的な経済のデータ、あるいは税務署のほうで持っておりますところの資料に基づきました一般的なものの見方といったものを、組合の幹部の方に御披露をいたします。そのほかに、もちろん税法の改正あるいは通達上の取り扱いといったようなものにつきましても説明をいたしまして、組合員の方々に申告その他の段階で御苦労がないようにといったようなことをするのが一般的な業種別指導というやり方でございます。  そういう形で、久留米の場合には、秋以来、それぞれの業種組合ごとに、いま申し上げましたような一般的なデータに基づきまして、適正な申告方あるいは正しい手続等につきまして御指導申し上げておったのでございますが、二月の申告の時期に入りまして、再度、申告の時期に入ったということで、具体的な問題について組合の幹部の方々と話し合いをしたということでございます。  そのおり、あるいは大臣から御答弁があったかと思いますが、関東煮組合という小料理屋さんの組合でございますが、そちらの幹部の方から、一般的な、抽象的なことではどうもはっきりしないじゃないかという話がございまして、もう少し具体的な指導方法があったほうがよろしい。それから特に組合として心配されますのは、会員が数十名おられるようでありますが、公平な課税という意味での権衡が一番問題である、したがってそれに判断が与えられるようなデータを示してもらえないか、こういうお話がございまして、ここに一つのあやまちがあったわけでございますが、一応税務署のほうで事前にいろいろの角度から検討をいたしました目安というものがございます。これはどこの署でも、全員についての目安はできておりませんが、いまのような業種別指導をしたような場合、あるいは特定の業種等につきましては目安の作業をしておくというのは、これは当然の仕事としてわれわれ考えております。その目安となる——所得そのものではございません。専門的に特前所得といった形でもって計算したものが一応ございますが、その目安を組合の方にお示しをしまして、権衡がとれておるかどうかということについての組合側の検討をお願いした、こういうことでございます。  ところが、組合のほうでは、これを文書でもって各会員の方に通知されたわけであります。この辺に、私のほうがそうした目安をお知らせをしたことによりまして通知という行為が行なわれたというところに、問題の発祥があるわけでございまして、しかもその通知の内容について正確を欠いておる。これは組合のほうで文案をつくられたものでございますので、かなりの部分につきまして適正を欠いておる表現がございまして、これが組合員の中で問題にされたわけでございます。  ただ、私どものほうとしましては、二月の十八日にそうした説明会がございまして、組合のほうでは二十日に各会員の方にお知らせをしたのだそうでございますが、私どものほうで、そうしたことが行なわれたということがわかりましたのは、実は二十四日でございます。庁のほうでは、さらに三月に入ってからようやくそういうことがわかったわけでございまして、すでに、現地のほうでは直ちに、そうした文書等については誤解を招くということで、組合のほうを通じて回収をしていただいたわけでございます。したがって、いまの所得額を組合の幹部に知らしたということにつきましては、これは所得額ではなくて一応の目安ということで、特にこれに縛られるものではないということ。あるいは、もし問題があれば当然自主的に各人が申告していただけばよろしいので、その辺は税務署のほうに説明をしていただけばよろしい、こういうふうな注意を申し上げて御連絡をしたわけでございますが、事の起こりはそういうことでございます。  したがって、目安を示したにしましても、あたかもかつて昭和三十年ごろに行なわれておりましたような、いわゆるお知らせ方式と同じようなものが復活したのではないか。あるいは場合によりましては、割り当て課税が行なわれておるのではないかといったように受け取られる方がございますので、そもそものきっかけは私のほうに落ち度があったとは思いますけれども、組合のほうにも、今後こういうことのないようにということを御注意申し上げるとともに、各組合員の方にも、三月の申告の時期にはそれぞれ事情お話しいたしまして、幸い現在その組合員の方々からは、おおむね各人の自主的な内容によりまして申告書を提出していただいておる、こういう報告を受けております。  なお、局のほうでも、初めはそういうことを知らなかったし、また、そういうことをしてはいけないということで、すでにもう十数年たっておりますので、まさかそういうことがあったとは思っておりませんでしたが、不幸にしてそういうことがたまたま久留米税務署の場合に起きておりますので、私どもとしましても、局については厳重な注意をし、また局が税務署の担当責任者につきまして厳重な注意をしたわけでございます。
  179. 小林政子

    小林(政)分科員 この問題は、いま長々と経過の説明があったわけですけれども、組合員に対してどうだとか、あるいはまた、言いわけ的な経過説明を私は伺いたいというふうに思ったわけじゃないのです。むしろ、二百四十三条のこういった違反行為がたまたま珍しくここだけで起きたのじゃないんだ、こういうことがやはり相当町の中では話題になっておりますし、また私どもの耳にも、これに類似したようなことが相当入ってくるわけです。目安であろうが何であろうが、いやしくも個人の所得に関して第三者の組合というようなものにこういうことをやるということは、私はもう明らかにこういう間違いを起こす前提だと思うのですよ。この点についてはっきりした態度を聞きたいと思います。  それから、こういうやり方というものは、私は、納税の自主申告といいますか、こういったもののたてまえから一体どうなのか、この点についても伺っておきたいと思います。
  180. 江口健司

    ○江口説明員 ただいま具体的な事案について御説明を申し上げたわけでございますが、こうした、お知らせ方式とわれわれ申しておりますが、これは昭和三十二年分からは一切廃止ということで、やかましく第一線のほうに取り扱いを注意さしておるわけでございます。したがって、先生いま御指摘のあちこちで聞かれるということについては、われわれはそういうことはないとかたく信じておりますが、たまたま久留米の場合にはお聞きのような事実があったということを申さざるを得ないと思います。  なお、かりにこうしたもの、またはこれに近いようなことが行なわれておるといたしますれば、いわゆる自主申告納税制度としては、現段階では明らかに行き過ぎであり間違いでございますので、再度第一線のほうに、そういうことの絶対に起きないように厳重に注意をしていきたいと考えております。
  181. 小林政子

    小林(政)分科員 あちこちということを私言いましたので、もう一つだけ例を出したいと思います。  これは昨年の十一月、沼津の税務署で、いわゆる沼津の青笹申告会に、四十五年度の確定申告の記載されている青色申告指導カード、これを渡している、こういったような事実が明らかになっているわけです。このような問題等がまだ例をあげればほかにもありますけれども、時間の関係でこの点にしぼって伺いたいと思います。  確定申告の額が記載してある、あるいはその人の所得が記載してあるというようなものが、こういう青色申告会であろうと、あるいはそのほかの民間団体であろうと、こういうところに具体的に流れて渡されているということについては、やはり納税者の中から非常に大きな疑惑が起こってきているのです。この問題についても、納税者の人権やあるいは財産権にもかかわる基本的な問題でございますし、このことについては先ごろの新聞等でも相当大きく取り上げておりましたので、国税庁が知らなかったということは私はないと思います。一体この問題についても具体的にその後どう対処されてきているのか、税務署に対してどのような具体的な責任のある指導が行なわれているのか、この点について伺いたいと思います。
  182. 江口健司

    ○江口説明員 ただいま御指摘の沼津の件でございますが、私も事情を重視いたしましてこまかに調べました。  本件は、できるだけ多くの方々に春色申告者になっていただくというために、各地の青色申告会と税務署のほうがいわゆる青色申告者の勧奨ということをやっておりますが、その際に、新たに白色の申告者の中で青色になっていただきたい、あるいはなれるであろうと思うような方々の場合に、いつどういう方法指導を申し上げるかといったような打ち合わせのために、この機会に沼津管内のある地域の幾つかの青色申告会の軸部の方々にお集まりいただきまして、御説明会、打ち合わせ会をしたわけでございます。その際に、普通は新規の青色申告者の勧誘と申しましょうか、私ども勧奨ということばを使っておりますが、そうした場合には、大体税務署のほうで、こういう方々ということで名前と住所を一覧にいたしまして、でき得ればこういう方々に勧奨していただいてはどうでしょうかというしかたをしてございます。  その場合に、ここに現物を持ってきておりますが、青色申告指導カードというものがございます。ここには所得とかなんとか一切書く欄はございません。いつどういう指導をしていただいたかという青色申告会のほうの指導状況を記載していただきまして、私ども、その後行政の中で考えるべきいろいろな判断の資料をいただきたいというフォームができておるわけでございまして、これはオープンの様式でございます。この中には、実は所得額その他の具体的な……(小林(政)分科員「発言中ですけれども、二時半までということなので、ひとつできるだけ簡潔に」と呼ぶ)書く欄がないわけでございますが、たまたま、先ほど申しましたような、勧奨を申し上げるべき名簿を一覧にしてお出しする時間がなかったわけでございます。そこで、具体的に名前を書いた——一番上に名前と住所を善く欄がございますが、これをお渡しした。これは明らかに間違いだということで、私ども厳重に注意をしたわけでございますが、参考事項の欄に空白がございますが、ここに鉛筆書きでもって記号と数字を入れたわけでございます。これは対象を選ぶときの担当者の心覚えとして鉛筆でメモをつけたものと思われますが、本来はこういうものをつけてはいかぬわけでございますけれども、急いだあまり、このカードそのものをお見せしまして、名前と住所を書き取っていただきたいということで、これは当然回収すべきものを、ある女の幹部の方が途中でメンバー交代されまして、間違ってこれを持って帰られてしまった、こういう事案でございます。  これにつきましても、まあ第三者にわかるかどうかはわかりませんけれども、記号、数字等が入っておるといったようなことがございまして、御本人が見れば、その数字が何であるか、あるいは記号が——記号まではおわかりにならぬかもしれませんが、とにかく何らかの暗示を与えるような印象を与えるものが善いてございましたので、至急これを回収すると同時に、それぞれの関係の方には、ごあいさつにおじゃまいたしまして、なお、不手ぎわではございましたけれども、そういう不注意なことがございましたので、担当の責任者のほうには厳重な注意をしたという事実がございます。
  183. 小林政子

    小林(政)分科員 私は葛飾の例とか例をいろいろ持っておりますけれども、いまその具体的な事例をあげる時間がございません。こういったようなことがひんぱんに行なわれるような、こういう動きというものに対して、私は簡潔に大臣の御答弁をお願いしたいと思います。  引き続いて、時間がありませんので次の質問に入りたいと思いますけれども、こういうようなことで、大蔵省は適正な課税というものについては一体どういうふうに考えているのか、私ども非常にこの点については大きな疑問を持っております。古園長官は「税務運営方針」の中で、適正な課税については、「同じような立場にある納税者は、すべて同じように適正に納税義務を果たすということの保証が必要である。」こういうことを書かれておりますけれども、私は、業者間のいわゆるバランスの問題だとか、あるいは同じような立場との比較の問題だとかいうようなことで適正な課税というものをきめるべきじゃないだろう、むしろほんとうの適正な課税というのは、申告納税というもので自分の年間の所得を正しく申告していく、そして自主申告制度、こういうような制度を育成し、より一そう育てていくといいますか、ほんとうに保障していく、こういうものこそが適正課税ということに通ずるのだ、こういうふうに考えておりますけれども、いまのようなこういうやり方を一貫して続ける、あるいは先ほど申し上げたような例が続くということになれば、これはわが国のとっておる納税申告制度という原則、そのたてまえをくずすことになるのじゃないか、一体こういうことでいいのかどうなのか、この点について、簡潔でしかも明快な御答弁をお願いいたしたいと思います。
  184. 水田三喜男

    水田国務大臣 適正課税ということについて税務当局は非常に骨を折っており、またその実はいま着々とあがっておると思います。たまたまそういう事例が幾つかあるということは非常に遺憾に存じますが、それがいまの税務行政の一つの趨勢というようなものではございませんので、そういうものをなくすというためにいろいろ骨を折りながらたまたま起こるということは、これは非常に遺憾ではございますが、今後さらにそういうことの絶滅を期したいと思います。
  185. 小林政子

    小林(政)分科員 大臣、久留米の税務署の問題、あるいは私が先ほど申し上げました沼津の問題等については、二度とこういうことは絶対に起こさないということを確約できますか、言明してください。
  186. 水田三喜男

    水田国務大臣 もうこれからはあり得ないことと思っております。
  187. 小林政子

    小林(政)分科員 たいへん時間がないので、次に交際費課税の問題についてお伺いしたいと思います。  中小零細業者に対しては、こういった、明らかに申告納税のつり上げというふうにも考えられるようないろいろな動きが強まってきている。いわゆる徴税強化ということが強まってきている中で、大企業に対しては、不当な浪費というようないわゆる交際費課税、この問題はやはり大きな問題になってきているというように思います。特にこの交際費は四十五年度一兆円を突破したというふうにいわれておりますけれども、四十四年の実態を調べてみますと、資本金百億以上の会社は一社一日当たり、これは機械的な計算ですけれども、百三十八万六千円の交際興を支出する、こういう結果が出てくるわけです。このうち非課税となるものは六十八万八千円で、年間で計算しますと二億四千七百六十万円、これが非課税になるわけですけれども、このような膨大な額を、所得を得るための必要な経費と言っているが、真の意味での必要な経費ということがはたして言えるのかどうなのか。しかもその使途というものは、浪費に近い、こういうものに使われている。こういうことを考えますと、企業活動の中でのこのような膨大な交際費というものを認める必要があるのかどうかということが第一点。  それから、それと同時に、この問題等については、来年度からは大企業の優遇税制というものを改めるのだというようなことが大蔵省などでも検討されているというふうに聞いておりますけれども、この中で特に交際費課税については、基礎控除の定額部分四百万円を三百万円に引き下げるというようなことを論議されているやに伺っておりますけれども、私は、もうそうだとすれば、これは中小企業泣かせだというふうに思うのです。こういったことの検討をしているのかどうかということと同時に、基礎控除額は定額部分の四百万円だけにして、資本金の千分の二・五をむしろ廃止して、そうしてその四百万円をこえる部分にはすべて課税するというふうに改めるべきじゃないか、これが当然じゃないだろうか、このように私は考えますけれども、時間の関係で三点一ぺんに質問いたしましたが、御答弁をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  188. 水田三喜男

    水田国務大臣 全企業の数で割ってみますと、一社当たり百二十何方ということになっておりますので、したがって、いまの四百万をさらに下げるというようなことは、おっしゃられるように、中小企業にとってかえって不利になることでございますので、それよりも、これから検討すべき問題は、やはり金額の否認だけでなくて、交際費として認めないといういろいろな項目の問題などの検討ということ。それから今度、今年度の税制改正によって否認割合を一〇%強化しましたが、これによる実際の支出はどういう変化を来たしたかというようなものを、この期間に一ぺん資料を見て、そうして、もう来年の三月、適用期間が来るのですから、それまでの間に交際費非課税の改正案というものを準備したいと思って、いまいろいろ準備中でございますが、何しろ今年度変えたばかりでございますので、この結果をことし一年見て適当な判断を下したいというふうに考えております。
  189. 森下元晴

    ○森下(元)主査代理 大原亨君。
  190. 大原亨

    大原分科員 私は財政投融資問題について質問いたしますが、財政投融資は、昭和三十年当初は大体三千億円台でありましたけれども昭和四十七年の財政投融資は、前年比三一%もふくれまして五兆六千億円台になっておるわけでありますが、これは、高度成長の中でばく大にふくれていったという、そういう客観的な数字ですが、逆に言うならば、日本の高度成長を推進をしていく上において財政投融資が大きな役割りを果たした、こういうことであると思うわけです。しかしながら、財政民主主義の原則で、憲法やその他の条章はあまり引用することはありませんが、その中のほとんどの資金というのは、国民大衆、庶民大衆の零細な資金から出ておるわけでありますから、いままでのいろいろな論議の過程から見ましても、財政民主主義の原則で、国会の審議の対象にする、国会承認の議題にする、こういうことが当然であるというふうに私どもは考えておるわけでありますが、この問題につきまして、大蔵大臣は先般も検討の経過についての御答弁があったわけでありますが、国会の承認事項にするということについて非常に大きな反対の原因は一体どこにあるのか。一、二点くらいにしぼって、小さなことはいいですから、ひとつ御答弁いただきたい。それから、この問題の検討については結論が出ているのかどうか、これからはどうするつもりか、こういう問題をあわせて御答弁をいただきたい。
  191. 水田三喜男

    水田国務大臣 財政制度審議会の答申がこの秋までに出されるということになっておりますので、この答申を見てからこの扱い方を私どもはきめたいというふうにいま考えております。中間答申は出てまいりましたが、それによって結論が出るまで、今年度の扱いについては改善策をとりあえず講じてございますが、しかし、審議会の答申を得てから最後の結論を出したいと思っております。むずかしい点は中間答申の中にもございますが、二重議決になるというようなことについて、いまの財投計画そのままを国会の承認事項にするというような制度というものは問題があるというような幾つかの点が中間報告の中にも出ておりますが、こういう点を矛盾ないものにしてこの問題のケリをつけたいと私は思っています。  いずれにしましても、財投の運用というようなものは、単なる運用ではなくて、いまでは財政的資金の配分という重要な意味を持ってきておりますので、これはやはり国民にすぐにわかるように、また必要な限りは国会においていろいろ了承を得られるようにというような、何らかのくふうをこらす必要はあると思いますので、この秋には出てまいりますから、ことしの予算編成のときあたりまでには結論を出したいと思っています。
  192. 大原亨

    大原分科員 いままでの経過だけを見ましてもそうですが、たとえば簡保の資金や郵便貯金、国民年金の積み立て金を資金運用部から離しているという経過もあります。いろいろな経過をたどってきておるのですが、今日は財政資金のウエートから言いまして、一般予算の半分を占めて、第二の予算とまで言っているわけですから、二重議決の問題は、これは財政制度審議会の中にも、数項目をあげて問題点を指摘をいたしております。産投の問題や政府保証債に対する一般会計の予算総則との関係その他あがっておりますが、しかし、これらの問題は技術的な問題ですから、二重議決にならないような、そういう措置は全体としてとることができるわけです。これは技術的に困難ではないわけですから、これが不可能であるかのごとき印象を与えるような、そういう議論というものは私はおかしいと思う。大体、財政制度審議会というのは、今日は審議会の構成についても再検討すべきときであると思うのですが、とにかくその問題を含めて、この問題は、財政資金の配分計画と具体的な財政資金の分配について二つの大きな項目があると思うのでありますけれども、それをどういうふうに議会の承認を得るかという、そういう技術的な問題はともかくといたしまして、大ワクで、この財政投融資を大蔵省の理財局や主計局等の一存で運営をして、そして、たとえば住宅でも道路でも、一般会計が削られたならばこっちに持ってくるということで、財政資金といたしましては密接に関係しておるわけですから、便宜的に財投を運用をして、一般会計との関係を政府、大蔵省がかってにやるというふうなことはいけない。やはりその資金配分計画を計画的に公表しながら、具体的な資金配分についてはどうするのだということを、大筋において国会の承認を得るような、そういう措置をとることは、庶民の金をどう使うかという問題と財投の洗い直しの問題とも関連をいたしまして、ぜひともやるべき問題ではないか、こう思います。その点につきまして、もう一度ひとつ大蔵大臣のほうから御答弁をいただきます。
  193. 水田三喜男

    水田国務大臣 いま申しましたように、法制部会の手にかかって、すでに何回も会合を開いて検討してもらっておるところでございます。私のほうも、その答申を得てから、そういう趣旨に沿ったようなくふうをぜひしたいというふうに考えております。
  194. 大原亨

    大原分科員 財政投融資については、第二の予算といわれているように大きくなってきたし、中身も一般予算との関係が出てきたし、特に私が昨年の予算委員会等から申し上げているように、国民年金や厚生年金の積み立て金は非常に大きなウエートを持っているわけであります。これは言うなれば、皆年金のもとにおいては、財政投融資が昭和二十八、九年ごろから発足した当時とは違っておるわけであります。ですから、これは税金と同じなんです、源泉徴収したり強制徴収したりしていましたから。もちろん郵便貯金も零細な庶民大衆の金であります。ですから、そういう賦課方式の問題とからませて大きな議論になるのです。この問題は、財政投融資オンリーの、いままでのような行きがかりにとらわれたような運営のしかたでは、これは政府が言っているように、あるいは国際的にも日本に要求されているような、福祉優先とか、公平な競争条件の整備とか、そういう問題から考えて、政策の転換から考えてみましても、私は、いままでの行きがかりにとらわれることはいけない、この問題は、政府としても、財政審議会における審議において前向きの答申を期待するような、そういう積極的な意見を開陳すべきであると思う。そういう点において、前向きにこの問題を処理するというふうに考えてよろしいか。そういう点につきまして、くどいようですが、三度御答弁をいただきたい。
  195. 水田三喜男

    水田国務大臣 財投資金が非常に少ないときならともかく、こういう膨大な資金になったときでございまして、しかもその性格、機能と申しますか、国の財政資金の配分という意味を持っておるときでございますから、私は前向きの方向でこれは十分検討したいと考えております。
  196. 大原亨

    大原分科員 申し上げましたように、財政資金の配分計画で大きなワクを決定するしかたも一つはあると思うのです。それから、具体的な項目にわたってやる場合に、やはり原資の見通しが困難だ、税金のように取れない、収入が入ってこないというふうな問題もあるのでありますが、しかし、一年ごとには計画を立てておるわけであります。そして前年比三一%もふやしておるわけであります。しかし、この調子でずっとふえていくということはないわけであります。三一%にもずっとふえてきましたから、一般予算を追い抜いてまいりまして、そして二十年、三十年後には、これは厚生年金や国民年金の成熟期であるとの議論も関係がありますが、GNPを越えるようになってくる、この数字がずっと伸びていきましたら。  ですから、この問題については、多いからということがいいことじゃないと思います。問題は、量よりも今度は質を検討する、これがこれからの情勢であると私は思うわけであります。その点では質の検討ができるようにする。いままでの行きがかりで既得権、既得権ということでやるということは、私は間違いであると思うのです。たとえば開発銀行でも輸出入銀行でも、公害防止事業団の資金を洗いましても、ほとんどこれは大きな企業に回っているわけであります。これは輸出優先、輸出中心の考え方であります。それは財投の金を裸で無条件で借りるほうが、大きな企業にとっては、そろばんをはじいてみれば得だということが出るわけでありますから、そういう問題については国民が納得できるようにすべきである。民間資金がだぶついておるというのですから。それぞれ財閥関係は企業に密着した都市銀行を持っておるのです。ですから、こういう点においては、福祉優先に切りかえていくというのであるならば、そのことを財政資金の配分計画においても明確にすべきである、抽象的なことばではいけないと私は思うのです。これは四度答弁を求めることになりますが、私の意見について賛成でありますか。
  197. 水田三喜男

    水田国務大臣 とにかく、この問題は知恵をしぼってくふうをこらすべき問題だと思いますので、これは何らかのいい知恵を私どもは出すつもりでおります。
  198. 大原亨

    大原分科員 これは水田大蔵大臣が長期に続くことを期待いたしますが、寿命が短い。総理になることを期待いたします。  厚生年金、国民年金の賦課方式の議論をしてきたわけでありますが、まだ今度は予算委員会で、次に暫定予算かのときに私も機会があるそうでありますからやりますけれども、やはりこの問題は、かなり財政投融資の積み立て金を逐次くずしていくような結果になる。一ぺんにばっといくというようなことはありませんけれども。機械的にそういうことは考えておりませんが、そういうことであります。各国の財政投融資の資金を見ましても、賦課方式にかえましてからそういう傾向になっておるわけであります。それは利子以上に物価が上昇している慢性インフレの時代においては、国民から見れば当然のことであります。  それで、よくあなたが議論の中で出されたわけでありますが、厚生年金や国民年金のいまの積み立て方式を賦課方式に切りかえて内容を改善していくということについては前向きである。これは大蔵大臣は非常にいい答弁をされておるわけであります。されておるわけですが、具体的にこれを実施する際にはかなりの抵抗が出てくるわけであります。  そこで問題になるのは日本の人口問題ですが、昭和六十年、七十年、八十年と来て、昭和八十年が人口の成熟期である。そのときには老齢人口と生産年齢人口の比較というもの、あるいは全人口に対する老齢人口の比率というもののウエートが高くなってまいりますから、そのときに年金をどうするのかということの議論があるのですが、しかし、二十年、三十年後のそういう老齢人口の成熟期を待って園長年金をどうかするというようなことを考えるというのは、これは逆であると私は思うのです。いまからそういうふうに成熟をしておかないと、いま自分たちがかけた掛け金が、老人なり身体障害者なり母子家庭、その他遺族等に対しましての社会保障に役立つんだというルートを確立しておかないと、そうしなければ、それに相当する年金税や掛け金の負担、こういうものは国民が納得しないのであります。そうすると、年金の改革をするのはますます困難になってくるわけでありますから、議論といたしまして逆であると私は思うのです。年金を賦課方式に切りかえていく。財政投融資との関係において密接な関係があるわけでありますが、そういう点について水田大蔵大臣は、先般も本会議、昨年は予算委員会等で御答弁いただきましたが、ひとつ現在の積極的な御意見をお伺いさしていただきたいと思います。
  199. 水田三喜男

    水田国務大臣 私の意見は前々から述べたとおりでございますが、これがいますぐということになりますと、実は政府の内部におきましても関係者間でなかなか異論があって、現在意見の一致を見ておりません。しかし、確かにこれを短期間の間にというといろいろ支障はあると思いますが、そうかといって、そんなに長い期間かけるということになりますと、いまあなたがおっしゃられたような問題がございますので、ほどほどの期間でこの問題の解決は可能であるというふうに私自身は考えております。
  200. 大原亨

    大原分科員 どういう反対の意見があるかという点について聞きたいわけでありますが、これは時間の関係でまた別の機会にいたします。  来年は国民年金や厚生年金を再計算すべし、こういう議論が起きている。再計算の時期ではありません。時期ではありませんが、いまの再計算というのはスライドですから、つまり政策スライドでありまして、それがいま物価上昇や生活条件の変化や、あるいは福祉優先、国際的な日本の社会保障の水準、こういう点から言いまして、早急に再検討する情勢がくると私は思うのであります。ですから、来年は国民年金、厚生年金の再計算をやるべきであるという愚見が各方面からコンセンサスとしてまとまりつつあると思います。大蔵省は、この問題についてはどのような見解を持っておられますか。
  201. 長岡實

    ○長岡政府委員 まだその点につきまして担当各省と厚生省と十分に打ち合わせはいたしておりませんけれども基本的な方向といたしましては、先生がおっしゃいましたように、何年たたなければ再計算をしないという機械的な判断ではなく、弾力的な考えでいくような方向で従来も検討が行なわれておるというふうに私は承っておりますし、それから今後そのような方針を続けていくべきであると考えております。
  202. 大原亨

    大原分科員 財政当局として、昭和四十八年度にやはり厚生年金、国民年金等の再計算、スライドについて、改善についてやるべき情勢にある、こういう問題については理解をしておる、こういうように考えてよろしいか。
  203. 長岡實

    ○長岡政府委員 四十八年度にというところまではっきりはしておりませんが、たしか、私いま資料を持っておりませんけれども、五年後ということになりますと、四十九年度もしくは五十年度にかかると思うのでございますけれども、必ずしも五年たたなければ再計算をしないというような機械的な考え方ではなく、必要に応じて若干早目に再検討をするという方針で臨むつもりでおります。
  204. 大原亨

    大原分科員 再検討する見通しでおるということは、昭和四十八年、四十九年、五十年ですから、国民年金と厚生年金はそろって四十八年または四十九年ですよ。四十八年にはやるべきです。それはなぜやるかということは、五年以内ということですよ、解釈は。どんどんこんなに物価が上昇している、七・一%も上昇しているときには、当然に国民生活が上がっているわけですから、また上げるべきですし、今日は上げるべきであるというのは情勢ですから、昭和四十八年には私は再計算をやるべきである。こういう点については賢明な大蔵大臣は理解されていると思っております。大蔵大臣はどういうふうにお考えになっているか、ひとつ御答弁いただきたい、いかがですか。
  205. 長岡實

    ○長岡政府委員 再計算の必要性につきましては、私どもも十分に厚生省の意見を聞くつもりでおりますけれども、現段階におきましては、四十九年度、五十年度と繰り上げまして、四十八年度に両年金とも再計算をするというところまで大蔵省としても考え方をまだ固めておりません。四十九年度に両方そろえてやりましても、五十年度の検討の分につきましては、一年繰り上げることになるわけでございまして、若干その辺には弾力的な幅を持たせていただきたいと存じますけれども、機械的に五年たたなければ再計算しないというような態度で臨むつもりはございません。
  206. 大原亨

    大原分科員 五年間というのは、五年以上ということじゃないですよ。こんなにべらぼうに物価が上がっておる慢性インフレでは、政府の全体の施策が責任を負うべきです。物価対策としてもスライドをすみやかにやるべきなのです。二年も三年も放置するということはないわけです。ましてやいまは、福祉優先ということで考え方を切りかえろということになっておるわけです。私は四十九年を待ってやるということはおかしいと思うのであります。四十八年を待って、皆年金になったのだから歩調をそろえてやるということ、こういうことは私はいまの政治情勢に合致する問題である、こういうふうに考えますが、あなたの御答弁というのは非常に引っ込み思案で納得できない。それは法律の趣旨に反する。具体的な数字をあげてください。私は議論いたしませんけれども大蔵大臣からひとつ……。
  207. 水田三喜男

    水田国務大臣 四十八年度にとはっきり返事をして、できないとまたこれは問題になりますから……。早めることについては十分検討したいと思います。
  208. 大原亨

    大原分科員 それはもう大体みんなの意見になりつつあるわけです。ですからそのときに、私はやはり、財政投融資の問題、賦課方式の問題——賦課方式といっても、ぴしゃっと一ぺんに賦課方式になることはないのですからね。いまの積み立て方式、保険方式は、自分が積み立ててもらうのですけれども、こんなのは後進国型なのです。だからこれも完全な積み立て方式ではないわけです。修正積み立て方式です。しかし御承知のとおり、私どもが言っておるのは、一ぺんに賦課方式にいくわけではないわけであります。それでこれもやはり修正賦課方式であります。現状を認めながら、それぞれ事情があるわけでありますから、共済にも厚生にもそれぞれの経過があるわけですから、それらを踏まえて、全体としては財政方式は賦課方式に切りかえるのだ、そういうことになれば、財投の仕組みも質も変わってくるし、それで再計算に対する考え方も変わってくるし、あるいは法律自体も変えていくのだ、先進国型にするのだ、これが日本が福祉優先というか、国民生活について国際的に競争できる一つのポイントである。日本の社会保障の問題は年金の問題です。年金がおくれておるということが日本の大きな社会保障の欠陥ですから、これは頭を切りかえていくことが当然であると私は思うわけであります。そういう点において、いま前向きの努力をする、そういう方向でやるのだという答弁がございました。  そこで私は、時間的な関係もありますから、一つだけ御質問申し上げたいのですが、財政投融資の問題に関係をいたしまして、これは郵便貯金の原資との関係で、郵便貯金の小口金融の問題が最近議論になっております。民業を圧迫するという議論がある。あるいは農協の一部にも議論がある。しかしこれは、いまのような郵便貯金で戦後二十七、八年たちまして、旧態依然たるサルベージ、つまり吸い上げるばかりです。サルベージは海で船を揚げますけれども、下へおろすことはない。全部引き揚げるばかり。そういうサルベージ方式で貯金を集めるということはやはりおかしい。そういう問題は、財投の仕組みの問題——大蔵省が一手に握っておった、そういう快感はなくなるかもしれぬけれども、しかし、それで三十万円程度の小口の金融をやっていくということは、農村、僻地等ずっと考えて、交通の便利や金融機関の存在等考えてみましても、これは前向きに検討すべき問題である。銀行が庶民金融やることはもちろん当然でありますけれども、銀行がやろうとしましても、これは限界があるわけでありますから、なればこれは当然郵便貯金は小口金融を前向きに検討すべきである。大蔵省が猛烈反対の拠点のようにいわれておる、金融機関が反対の拠点のようにいわれておりますが、大蔵大臣はその点についてはどのような見解を持っておられるか、ひとつ御答弁願いたいと思います。
  209. 水田三喜男

    水田国務大臣 これはもう御承知のように、制度の仕組み、性格を変える問題でございますので、したがって、これに関連して影響する問題が非常に多うございますので、単純な問題ではございません。これは相当総合的な問題として検討を要する問題であります。これを中心としたいろいろな問題をいま大蔵省では検討中でございます。
  210. 大原亨

    大原分科員 これは歯切れが悪い答弁ですね。歯切れが悪い。あなた反対なんですか、水田さん。
  211. 水田三喜男

    水田国務大臣 これはなかなか歯切れよく割り切れる問題ではないので、関係する範囲が非常に広範になりますので、これは十分検討しなければいけない問題だと思っております。
  212. 大原亨

    大原分科員 いままでこの議論はどこでもあったわけですよ。大口金融ではなく小口金融なんですね。だからそういう問題についてサービスするのはいいんじゃないですか。これは追っかけるばかりでしょう、貯金の割り当てを。簡易保険もそうでしょう。簡易保険については一定のルールがあるわけでありますが、それを前向きに検討できないようなことで——全体の仕組みを変える問題じゃない。財政資金全体がこれによって減るとは思わない。自民党の一部の部会では一千億円のワクをかけておりますが、これは全体から見れば大したことじゃない。国民の零細な金を運営しているのですから、言うなれば厚生年金や国民年金は還元融資みたいなものですから、それの一つのサービスとして前向きに検討することは当然だと私は思います。きょうだけで議論は終わりませんけれども大蔵大臣はこの点についてもう一回見解を明らかにしてもらいたい。前向きであなたはそのことをお考えになっているのですか。大きな問題といいますのは、議論をし出したら切りがない。しかし、民間の金融機関の預金その他に対して支障があるというようなことは、これは私は理由にならないと思います。  私はきょうは時間の関係で、このことを強く要望をいたしておきまして、あとはもう少し、財投の問題、賦課方式の問題、あるいは具体的な資金配分の問題で、ほんとうに産業基盤から生活基盤に財政投融資の重点が移行しつつあるのか、この問題は非常に大きな問題ですから、いまはそういう問題については、戦後の荒廃期の考え方を捨てなければならぬ、克服しなければならぬ。私はこの問題については、つまり産業基盤から生活基盤のほうに資金の流れが変わっておるのか、新年度はどういう方針で臨んだのか、こういう問題について大まかな答弁をいただいておいて、具体的な数字は、私は、資料として私の手元にもらいたい。
  213. 水田三喜男

    水田国務大臣 これは使途別分類表を見れば明瞭なことでございまして、産業資金にこれが回っておるというよりは、生活関係資金にこれが配分されているという比重のほうがはるかに多くなっているということも分類表ではっきりいたしておりますので、こまかい内容は理財局長から説明させます。
  214. 橋口收

    ○橋口政府委員 お尋ねがございました財政投融資の使途別分類の推移でございますが、資料として先生のお手元に差し上げたいと思いますが、概要を申し上げますと、ただいま大臣から御説明がございましたように、たとえば住宅について申しますと、昭和三十年度は全体の構成比は一三・八%でございますが、昭和四十七年度の計画では二〇・四%になっております。その他、生活環境整備、文教施設等いわゆる国民の生活に密着している分野に対する財政投融資の配分の構成比は逐年増加をいたしてまいりまして、昭和三十年度にこれらの国民生活に直結した分野に対する割合は四五・一%でございましたが、昭和四十七年度は五八・三%になっております。その反対に、御指摘がございましたいわゆる基幹産業に対する割合は、昭和三十年度は一五・八%でございますが、昭和四十七年度はわずか四・七%というふうに、経済、社会の要請に応じて財投計画の内容も変化いたしております。これも資料として提出いたします。
  215. 大原亨

    大原分科員 その資料の分析のしかたが承知できないというのです。産業基盤に対して四・数%ということはないのです。特に私は、時間が来ましたから、資料要求をいたしておきますが、公害防止、これは国際会議でPPPの原則があるわけです。やかましいわけですが、これは公害防止の事業については企業が負担するという原則ですが、この問題はあらためて議論いたします。  そこで私は、公害防止事業団、開発銀行、中小企業金融公庫、国民金融公庫その他の、財政投融資の中で各項目に出ておるところの公害防止の資金については、一応より抜いてありますが、しかし、いままでの実績を見てまいりますと、たとえば開発銀行等に回っておる。あるいは公害防止事業団のプロパーの資金の計画等はほとんど大企業中心です。ですからこの問題は、私が納得できない点はあとで指摘いたしますが、いま申し上げました産業基盤から——たとえば道路にいたしましも、大阪の堺からずっと新日鉄のところに行く途中の道路がありますが、町の中の道路というのはまだまだ整備されてないけれども、そこだけはばっと整備されておる。これは道路の予算でありましても産業基盤であります、分析のしかたは。生活基盤のおくれを取り戻すというような点にどういう努力がなされておるかということは、あなたのいまの数字では出てきません。しかもその道路を先に買っておる。これは有名な政治家が買い占めておりますよ。そういう問題もあるわけであります。当然値上がりを待って道路をつけるというようなことになっておるわけであります。ですから、表面づらだけでそういうふうな産業基盤と生活基盤の分類をすることは誤りであるということと、それから公害防止事業費のそういう業種別、規模別の融資の方向と現状について、納得できるような資料を私は後刻ひとつ出していただきたい。これは政府委員のほうから答弁をいただきたいと思います。  これで終わります。
  216. 橋口收

    ○橋口政府委員 財政投融資計画の内容につきまして縦横十文字にいろいろな御調査をいただくということでございますが、われわれのほうといたしましても、基幹産業と申します中にも、たとえば石油開発、資源開発のようなものも入っております。あるいは道路と申しましても、これだけマイカー族がふえてまいりますと、やはり国民生活に直結した分野ということも言えると思いますので、先生の御要望にできるだけ応じて資料は調製いたしたいと思います。
  217. 森下元晴

    ○森下(元)主査代理 中村重光君。
  218. 中村重光

    中村(重)分科員 大臣、ひとつ簡潔に歯切れよくお答えをいただきたいのですが、この前、予算委員会の一般質問で、歩積み・両建ての問題を指摘してきたんですが、大臣から御答弁をいただく時間がなかったので、大臣もうお聞きでしょうか。内容については省略します。  歩積み・両建ての問題は、大蔵省がいろいろとすでに指導をやっていらっしゃるが、銀行というところは、大蔵省指導をわれ関せずえんでもないのだろうけれども、なかなか頑迷で、指導に従わぬ。これではいけないと思うのです。金融も非常にゆるんでいることだし、いまこそ私はこれをやらなければいかぬと思うのですが、いかがですか。
  219. 水田三喜男

    水田国務大臣 これはときどきこの問題の監査もいたしますし、長い間歩積み・両建てについては行政指導を行なってきましたが、まだなかなかこれが完全に解決されているという事態には、私もなっていないと思います。この問題はいろいろ金融機関側の調整によって行なわれておるとも言えない面がありまして、やはり金融の必要上、金融を受けるほうの自発的な申し入れというようなものも現実にはあるというようなことで、これを監査いたしても、全部金融機関の責めに帰し得ない具体的な事情も出てくるというようなことで、非常に内容が複雑になっておりますので、取り締まりがなかなかむずかしい問題でございますが、いずれにしましても、実質金利をとにかく上げることであって、中小企業にとっては最もこれは苦しいことでございますので、これだけは何としてもなくしたいということで、今後さらに一そうの行政指導を行ないたいと思っております。
  220. 中村重光

    中村(重)分科員 せんだっても申し上げたように、低金利政策をとる第六次の公定歩合の引き下げという形になっております。おっしゃるように、実質金利を引き下げなければ銀行だけを利することになる。銀行は日銀から安い金利で金を借りて、国債を買ったり公債を買ったり、その操作で金をもうける。大企業は安い金利で銀行から金を借りる。そしてまたそれで、これまた銀行と同じようなことで金もうけをする。中小企業は商い金利、かてて加えて一般質問で申し上げたように、さあ歩積みだ、担保だ、何だかんだで、非常な高金利で苦しんでいる。これではどうにもならないと思うのですね。  いま大臣は私の質問に対して、なかなか完全にはなっていないという形で答弁が返ってくるわけですが、完全どころの騒ぎではないです。ひどい話です。時間があれば私は、私が調べている実にでたらめな真相を申し上げたいのです。銀行局長にはこの前申し上げておるのですが、正直言って銀行局長も、やらなければならぬと思うが、頭の痛いところだろうと思うのです。この際、公正取引委員会と話し合って、特殊指定でもやらせるぐらいに強い態度をおとりになる必要があるだろうと私は思うのです。きょうは実はほかの問題をやりたいと思いますので、この問題はあらためて触れます。  銀行局長もお見えですから、信用組合の員外利用について……。  この問題はいま与野党の中で活発に話し合いを続けているところですが、いま申し上げたように、中小企業者が銀行等から金を借りるのがなかなかむずかしい。手形割引のときだとか、思うように金を貸してくれないというので、貸し金業者のところへ飛び込むのですね。貸し金業者がふえる一方なんです。それだけにいま信用金庫とか信用組合の中小企業金融に果たしている役割りは大きいわけです。  ところが信用組合は員外利用が認められていないのです。そのために、会員の預金だけでもって原資にするという形になる。その他、高い金利の資金調達をして金を貸すものですから、中小企業には非常に親しみやすいところになっているんだけれども、勢い高い金利になっているということなんですが、これは預金の員外利用がどうしても必要だろうと私は思うのです。預金の員外利用ということなってまいりますと、大蔵省がどうしてもこの問題に対して重大な関心を持って、預金者をどう守るかということを考えてもらわなければならない。ところが、これは中小企業等協同組合法等によってやっておりまして、御承知のとおり、この監査は地方自治体、いわゆる都道府県がやっている。だから大蔵省は直接その監査等をやるわけにはまいらない。しかし、員外利用を預金の面で認めるとすると、どうしても大蔵省が地方自治体の権限を侵さない範囲で何らかの適当な措置を講じてやっていくということでなければならないと私は思うのです。  この信用組合の員外利用の問題について、この際、できれば大臣のお考え方をお聞きいたしたいと思います。
  221. 近藤道生

    近藤政府委員 信用組合の員外利用の問題につきましては、御高承のとおり、昭和三十二年の金融制度調査会におきまして一応の結論は得ております。信用金庫と信用組合のおのおのの形態につきまして出ておりますが、ただいま仰せのございましたような傾向が最近においては確かにございます。そこで、そういうことを踏まえまして、信用組合の預金につきましての員外利用は今後とも検討を続けてまいりたい。当面は資金が御承知のように非常にだぶついている状況でございますが、やはり行く行くは信用組合の員外利用ということを前向きに検討すべき時期もあるかもしれないという観点から、金融制度調査会にもはかりまして、検討を続けてまいりたいと思っております。
  222. 中村重光

    中村(重)分科員 大臣、いま局長から御答弁のとおりですから、これはひとつ大臣も関心を持って取り組んでください。そして中小企業の金融の円滑化をできるだけはかっていくということで対処してもらわなければならぬと思うのですが、むずかしい、むずかしいと言ったら、いつまでたってもこれは解決しませんから、前向きでやる、こういうことにしてもらわなければならぬと思います。  次に、マル生運動税関版とあえて私は申し上げたいのですが、実は党の指示でもって、地元の要請もありまして、私は長崎税関の不当労働行為の問題について調査をいたしました。横田税関長は、若干前向きの姿勢は示したものの、指摘されるようなことはやっておりませんというような態度でしたが、長崎税関だけではなくて、神戸であるとかあっちこっちで、いわゆるマル生運動税関版というものが出ておるようです。長崎税関の私の調査に対する報告局長受けているのではないかと思いますが、いかがでしょうか。具体的な問題ですから、局長から先に……。
  223. 赤羽桂

    ○赤羽政府委員 ことしの一月でございましたか、先生が長崎税関においでになりまして、いろいろ税関長の話を聞き、あるいは現地の事情調査されたということを承っております。その後現地から報告がございますし、また同時に、先生から御指摘のございましたような事実につきましては、調査をいたしております。
  224. 中村重光

    中村(重)分科員 これは私的なことを申し上げて悪いのですけれども、私は肺炎の徴ありということで、実は湿布をやっているのですが、非常に重要な問題ですから、きょうは割り当て時間で質問に立っているわけです。  私が長崎税関を調査したところによりますと、御承知のとおり労働組合が二つあるわけです。全税関長崎支部と長崎税関労働組合と二つある。この労働組合の事務所に、片や全税関長崎支部の事務所には、官側の何か書類箱を持ち込んで、そして絶えず出入りしているのです。スパイ行為みたいなものですね。正常な労働運動を妨害をするという形があるのです。ところが一方、長崎税関労働組合のほうは、更衣室兼用という形にはなっているのだけれども、更衣室はりっぱなものが別にあるのです。看板だけで、実は兼用じゃないのです。労働法によって保護されている労働組合の事務所にまで、そのような差別扱いがなされている。さすがにこのことは横田税関長もあとで反省をしたと見えまして、後日その書類箱は持ち出しておるようです。鹿児島の税関のほうも長崎と同じようなことをやっておったそうですが、ここも持ち出した、こういうことですが、そういう報告はあっておりませんか。
  225. 赤羽桂

    ○赤羽政府委員 ただいま御指摘の組合の書記室と申しましょうか、組合事務室の問題でございますが、先生方の御視察いただきましたあと、二月十五日に、書だなでございましょうか、ガラス戸だなでございましょうか、さようなものを撤去いたしております。それから第二組合のほうでございますが、女子更衣室という看板がかかっていたそうでございますが、これも撤去をいたして、更衣室は更衣室で別のほうにつくっておる状態でございます。
  226. 中村重光

    中村(重)分科員 更衣室は初めから別にあったのです。第一組合にそういうことをしなければならぬものだから、長崎税関労働組合のほうにもそういう看板を掲げておかぬと、けしからぬとやられるものだから、形式だけそういうことをやっておる、これが事実なんです。  それから、私が指摘したいのは、全税関のほうの組合員は官側主催の行事に参加させない。一方、第二組合のほうは参加をさせる。それから、いわゆる時間内の組合活動ですね。第二組合のほうは適当にやらせる。ところが全税関のほうは、そんなことでもやったものなら、ひどい処分を受ける。これは実は具体的なことを私は調査をしているのですが、三十分の時間で一つ一つこまかいことは言えません。そういうけしからぬことが行なわれてきておる。  それから昇格、昇任の差別の問題ですが、勤務手当から申しますと、当然俸給表の等級が上がってよい人が、そのままの等級に据え置かれている。そこで、第一組合の四十二歳の職員が、同期に入った人よりも八千円も低い。私はそれをよく調べてきました。等級が下のランクに据え置かれている関係から、年齢的には係長になれる人が係長になれない、そういうこと。  具体的な人の名前をあげて私が申し上げますと、全税関のほうの西田春人という支部長、これは同期生と給料が九千円、ボーナスを含めますと二十万円少ないのです。西田春人支部長はようやく六等級の主任になったわけですが、五等級の主任が実はあきがあった。それで入れないのです。ほかの同期の連中は実は四等級の主任になっている、こういうけしからぬことが行なわれておる。そういうことだものですから、今度アパートを新築したわけですが、そのアパートは五等級以上しか入れない。それで西田君の同期の連中は新築のアパートに入るのだけれども、六等級だからおまえ入る資格はないというので、子供さんが幼稚園か何かのいろいろな関係で、事情から言ますと最も入れてもらわなければならない人だけれども、そういうことで昇格、昇任で差別を受けているものだから入れない、こういうけしからぬことが行なわれておる。このことは報告が来ておりますか。
  227. 赤羽桂

    ○赤羽政府委員 ただいま御指摘のいろいろな事実につきまして、当方で承知をいたしております、あるいはまた当方で調査をした部面と合っているか合ってないか必ずしもわからないのでございますが、それではないかという推測のもとに当方に参っております調査について申し上げますと、まず第一に、官側の行事に入れさせないというお話でございますが、私らのほうに参っております具体的な例といたしまして、たとえば永年勤続の祝賀パーティーみたいなものに呼ばれなかったというようなお話があるようでございます。具体的にこのケースにおきましては人の名前があがっておりますけれども、まあ具体的な名前をあげるのはいかがかと思いますが、その職員は永年勤続の該当者ではございませんで、そういった人は別に招待しない。なお、具体的に申しますれば、その職員は来年度ちゃうど該当するようになるので、来年度におきましては、さような呼ばれないというようなことはとうてい考えられないわけであります。  それから、その次に昇格、昇任全般の問題でございますが、同期生より少ないじゃないかというお話であります。昇格、昇任全般の問題につきましては、われわれといたしましては、国公法並びに人事院規則に従いまして厳に公平に行なっておるつもりでございます。まあ、同期に入った者が必ず同じレベルで何十年かの勤務後やめるということも、これはまたなかなか考えられないわけでございます。もし御指摘の内容の職員の場合が、私らのほうに調査が参っておりますものと一致をしておりますれば、その職員はことしの一月一日に昇任をいたしております。昇格、昇任ともに、これは級別定数で予算的にも一応の制限があるわけであります。昇任をしたから必ず一〇〇%昇格をするというぐあいになるわけではないわけでございます。  それから三番目にアパートのお話でございますが、このいわゆる公務員宿舎の貸し付けにつきましては、貸与規制というものがきまっておるわけでございまして、規格がABCDEというふうに分かれておりますが、六等級の場合はB以下ということになっております。その範囲内におきまして、問題になりました案件につきまして納得をいたしまして、いまそれに該当する宿舎に入居をいたしております。かような状況でございます。
  228. 中村重光

    中村(重)分科員 局長も案外率直に認めるところはお認めになったから、私も大きな声で申し上げる必要もないので、そういうように率直に認めるところは認めてもらったほうがよろしいと思うのですよ。  いまの公務員宿舎の点も、おっしゃるとおりなんです。えらい連中ばかりいい宿舎へ入れることの是非は別ですよ。私はもっと一般の職員こそ大事にしてもらわなければならぬと思うのですが、しかしアパートは、いまおっしゃるとおり、五等級以上という基準があるわけです。それで西田君は入れられない。ところが昇格、昇任なんという、そういう不当な差別があるから入れる者も入れない結果になる、こういう意味で申し上げたわけですが、西田君は六等級だから入れなかったわけです。しかし年齢的に申しましても、勤続年数から申しましても、ほかの連中は四等級なんです。西田君は、全税関の組合員であるがゆえにそういう不当な差別を受けて、六等級の主任に——五等級があいておったから、さすがにこれだけは入れなければならぬと思ったのでしょうけれども、入れている。いかにそういういろいろな面において大きく矛盾、不合理が出てくるかという一つの裏づけとして申し上げたのです。  配転についても、これは全くけしからぬと私は思っておるのですが、四十二年八月の異動のときに、管内の職員約四百人、そのうち三十人が転勤になったのですが、当時すでに十六人の組合員しかいなかった全税関の組合員に対して、六人も転勤させているのですね。もうそれだけ弱体化していくわけですよ。三百人近く第二組合員がいるのに、何と全税関長崎支部のほうは八人です。そういうように圧迫を受けるものだから、組合員はずっと弱体化しつつある。それがねらいでもって不当差別をやっているんでしょうけれども。  しかしこれは、私はほんとうに大臣にこのことを考えていただかなければならぬことは、いま局長もまあお認めになったような点もあるわけですけれども、こういう不当な差別というのは、憲法十四条の差別の禁止、法の下に平等ということに違反している。労働基本権を保障している憲法二十八条に違反をしている。それから国家公務員法二十七条の違反、不利益取り扱いの禁止を定める百八条の七に違反する行為である。こういうけしからぬことは許されてはならぬ。これほど組合員にいわゆる圧迫をやって、国鉄でああいうようなことをやったということでおわかりのとおり、そういうことは私はもうあまりにもでたらめなことだと思うのですよ。水田大蔵大臣のようにりっぱな人格の大臣のもとでこういうけしからぬことが行なわれてきている。こういうことは即時調査をして改められる必要があると私は思いますが、大蔵大臣、いかがでございましょう。
  229. 水田三喜男

    水田国務大臣 人事管理、職員管理ということは、特にこれは適正を期すべきものでございまして、御指摘のような誤解を受けるような管理は、やはり一番これはぐあいが悪いことでございますので、今後十分指導したいと思います。
  230. 中村重光

    中村(重)分科員 それから新規採用職員の研修についてお尋ねをしますが、この新規採用職員の研修というのはどういう方法でおやりになっていらっしゃるのですか。
  231. 赤羽桂

    ○赤羽政府委員 新規採用職員につきましては、各係にまず一応配属と申しますか、籍を置くわけでございまして、それからそれを東京の研修所に集めまして、いわゆる基礎科研修と称しまして、九カ月の研修期間に入るわけでございます。一応概要はそういうことでございます。
  232. 中村重光

    中村(重)分科員 日曜日なんか休ませているのでしょうか。自由行動等お認めになっておられますか。
  233. 赤羽桂

    ○赤羽政府委員 当然それは休ませております。
  234. 中村重光

    中村(重)分科員 私の調べた範囲では、そういうことになっていないのですね。日曜日なんかも、デパートなんかに行く場合、指導官が引率をする。金がないのでおもしろくないからデパートに行きたくないと言っても、班ごとに同一行動をしなければならぬというので集団行動をやらしておる。そうしてデパートの屋上で点呼をやるというやり方をやっているのですね。そうして夜間なんかでも、まあ近距離でたばこを買いにいくようなところは別といたしまして、ともかく夜間の一人歩きなんというのは原則として認めない。そういうきびしいやり方だものですから、貯金なんかの出し入れまで自分でやれないのです。指導官がやっている。ちょっとこれは、昔の軍隊の内務班みたいなやり方じゃないだろうかというように私は思うのです。具体的なことを一つ一つ申し上げたいのですが、そういうでたらめなことをやっている。もしそうでないとおっしゃるならば、否定をしていただいてけっこうです。  それから、研修参加職員に対しては、日額旅費は支給しているのですか。
  235. 赤羽桂

    ○赤羽政府委員 デパートに行くとき、みんなまとめて引率して連れていくのだというお話でございますが、事実問題といたしまして、全国から来る高校卒の中には、全然東京を知らない学生がおるのであります。最初東京というところになじむために引率をする、これは案内と申しますか、そういったものでございまして、いきなり東京に出してふらふらどこかへ行ってしまっても困るということで、最初なじむまではさようなことをやっておるわけでございます。  それから郵便貯金の受け払いのお話でございますが、これは実際上授業が夕方までずっとあるものでございますから、郵便局の時間に間に合わないということが随時起こるわけであります。そういった場合はまとめてやってやるぞ、こういうことで、これは便宜サービスを行なっておるわけでございます。  それから日額旅費の問題でございますが、大蔵省日額旅費支給規則というのが訓令で出ておりまして、全寮制で研修を行なうような場合には日額旅費を支給せず、こういう規定になっておりますから、それに従っておるわけであります。
  236. 中村重光

    中村(重)分科員 局長の御意見のとおりなら、それは常識的ですよ。もちろんこれはそのくらいの親切味があってよかろうと思う。ところが私が日記帳を見たら、九カ月間いつもそういうことばかりやっておるのですよ。何ぼ何でも、税関に採用するような人だから、ぼんくらはいないでしょうから、一、二回連れていってくれるとわかるんじゃないでしょうか。九カ月間の長い間、日曜に映画に行くにも集団、海水浴に行くにも集団、デパートもそうだ。郵便貯金の問題は、これは私の調査も不足をしておるかもしれませんから、その出し入れを常時やっているかどうか、そこまでは私は言いません。しかしいまの集団行動は、あなたの言うように、一回や二回、知らない東京だからというのでしているのではない。それを原則にしているようなけしからぬ話はないでしょう。
  237. 赤羽桂

    ○赤羽政府委員 まあ一、二カ月間やっておるわけでございまして、九カ月間べたにやっておるというわけではありません。  それから海水浴というのは、これは研修所側の学生全体としてのいわゆるレクリエーションと申しますか、昔のことばでいえば遠足でございますが、そういった形で行なわれておりますものでございますから、これはまた別の範疇かと思います。そういうぐあいになっておると考えております。
  238. 中村重光

    中村(重)分科員 私はこれを質問通告をしたので、だいぶいろいろと調査をしておいでになったんだろうけれども局長、自信がなさそうで、一つ一つ聞いて答弁をしておられる。まあそれはいいです。そういうように慎重を期してお答えになることはいい。  しかし、先ほどの日額旅費なんだけれども、少なくともその職員はもう採用しているんですから、いかに研修のときといえども、私はこの日額旅費を支給しないことには法的に問題があるというように考えているわけです。国家公務員法二十七条、不当拘束と長時間の拘束、超勤手当の支給というようなこと、給与法の十四条といったような、いろんな条文等をお調べになると問題点も出てくるのではないか。  研修旅費を支給していないのに、食費は三食でもって三百円取っているわけですね。それから光熱費、入浴費、清掃費というものを、共益費ということで月額千円を取って、給料から天引きしているのです。ほかの研修旅費は七百円か八百円か出しているんでしょう。だから、新規職員であったにしても、これはちょっとひど過ぎるのではないでしょうか。私はこれは当然支給する必要があるというように思います。この点はあとでお答えをいただく。  それから私は、軍隊の内務班のようだと、こう申し上げた具体的な事例として、寮生活の中で、一人でもいわゆる点呼の時間とかなんとかにおくれると、班全体が処罰を受ける。そしてその次の行動のときは、全員が外出は禁止されてしまう。これはちょっとひどいでしょう。こういうことが大蔵省の管轄の中で行なわれてきている。これはもう少し調査をなさって、こんなでたらめなことが行なわれてきているということについては、ここで私に対する答弁として弁解をなさるのもけっこうなんだけれども、こういうけしからぬことは改めさせなければならぬと思いますが、いかがですか。
  239. 赤羽桂

    ○赤羽政府委員 第一問の日額旅費の点でございますが、これは税関研修のみならず、全般の問題でございまして、さような大蔵省の訓令が旅費支給規則として出ているということは、そういう全寮制度のもとにおける研修その他職務上の形をとる場合におきましては、現実の問題として宿泊費なども要らないという前提でこの訓令自体ができ上がっているのではないかと思うのでございますが、これは全般の問題でございますので、私の口からどうのこうのと言うことはお答えを差し控えさしていただきたいと思います。  それから内務班のようだというお話でございますが、さような事実は全くございませんし、これは常識で考えても、いまの時代でさようなことが起こっているかという点につきまして、何かもし具体的な事実がございましたら……。
  240. 中村重光

    中村(重)分科員 私は具体的な事実を持ってお尋ねしている。いやしくもこの分科会で単なる受け売りで申し上げるほど不見識ではない。私なりに実は調査をしまして、自信を持ってお尋ねをしている。問題指摘もやっている。ともかく税関にある種の警察権みたいなものがあるためにああいうことになるのだろうと思うが、大蔵省はどこでもそういうことはないんだろうけれども、ともかく税関はひどいですね。だからここで、そういうことはございません、ございませんという答弁だけでなくて、そういう私の申し上げたことも、これはあなたが乗り込んでいって十分調査をするくらいのかまえがなければいけないと思いますね。保証人の問題にしましても、出身地とかあるいは出身学校別に官側が一方的にきめているでしょう。そして本人には、これがおまえさんの保証人だという紹介だけです。その保証人はその本人の行動をも干渉する。たとえば全税関の組合にでも入ったなら、これはおもしろくないということでいろいろ干渉する。こういう行き過ぎのことが行なわれてきておるということです。だから、あなたのほうも、部下がいろいろどの程度調査をしているか知りませんけれども、問題を指摘されると、そういうことはありません、ありません、こういうことで否定をしようというような態度で取り組んでおられるということは、私は問題であると思います。だから私は、重要な問題として、もっと明朗な民主的な職場ということにしなければ、ほんとうにそうした税関の目的を達成することはできないのだ、こういう真剣な気持ちで実は申し上げておるわけですから、さっそく調査をされ、あの横田さんでも、私の調査に対して改めるところは改めたではありませんか。だからあなたも局長として、私の指摘に対してはもっと積極的な調査を展開する、そしてそういう悪い面は改善をしていく、こういうことでやっていただきたいと思います。  もう一度お答えをいただき、最後に大臣の御答弁をいただきまして、時間が参りましたから私は終わりたいと思います。
  241. 赤羽桂

    ○赤羽政府委員 先ほどから申し上げますとおり、こちらといたしまして、税関の職員管理、職務管理あるいは人事管理、そういったものにつきまして、いやしくも差別を行なうといよううなことは一切いたしておらないわけでございます。ただ、いろいろ先生御指摘になりましたように、具体的な一つ一つの事実になりますと、これはまたその基本方針とは別に、少なくともそういうような疑いを持たれる、非難の的になるような事実が個々に起きているという点につきましては、これは十分調査をいたしまして善処いたしたいと思います。
  242. 水田三喜男

    水田国務大臣 さっき申しましたように、人事管理、職員管理は適正を期すよう一そう注意いたしたいと思います。
  243. 中村重光

    中村(重)分科員 時間が済みましたけれども局長、あなたの後段の答弁はいいんだ、調査をして善処するという。しかし前段の、そういう差別はしておりませんと断言されることは、これは納得できない。国鉄だってあのマル生をやって、その責任をとってやめなければならぬ者が出てきた。私がいま指摘をしたことが、差別をしておらぬというならば、うそだということになる。そういうことではなくて、後段の調査をして善処するという答弁に一貫をして、私も、あなたは調査をして改善するところは十分改善するようになさい、こう言ったわけだから、そういう態度でなければならないと私は思います。全然差別をしておるようなことがないのにでっち上げて、そして抗議をやったり、あるいは訴訟を起こしたり、あるいはこうして私ども委員会等において問題を指摘してお尋ねしたりする必要はない。だからその点は、責任ある局長として反省するところは反省をして、いまの大臣のお答えのように、謙虚な気持ちで十分ひとつこれらの問題に対処をしていただきたいということを申し上げておきます。
  244. 森下元晴

    ○森下(元)主査代理 平林剛君。
  245. 平林剛

    平林分科員 私はきょうは、日中国交回復、この問題に関連をいたしまして、日中貿易と円と元の決済の問題、これを取り上げたいと思うのであります。もう一つの問題は、日中国交回復と関連して台湾の債権の問題、この二つを取り上げて政府のお考えを聞きたいと思っております。  まず第一の問題は、御承知のように、昨年の秋、中国の国連加盟が実現しました。ニクソン大統領の中国訪問による米中会談もございました。国際情報勢は、日中関係の正常化の機運が高まり、日中の国交回復は緊急の課題であると私は考えておるわけであります。わが国との国交の正常化は、本院においての決議がまだ実現をしていない段階でありますが、わが国と中国との貿易は往復で年間およそ九億ドルのベースに達しております。年間四百三十億ドルに達するわが国の総貿易の規模に比べると、割合というのはまだ低いかもしれませんが、しかし、戦前の大陸貿易全盛期の日中貿易は、対外貿易の二〇%も占めておった時代もあるわけでありますから、今後の日中貿易の拡大というのは、わが国の経済にとりまして無視することのできない大きな問題であるということも間違いがないと私は思います。そこで、今日の日中貿易の拡大、また日中国交回復の現実的な促進の一環として、私はわが国と中国との貿易決済方式について政府の見解を尋ねてまいりたい、こういうわけであります。  初めに、大臣でなくてもけっこうでありますが、中国の通貨である元を決済通貨として使用している国は、いまどの程度ございますか。
  246. 稲村光一

    ○稲村(光)政府委員 個々の国の名前は別といたしまして、現在ヨーロッパ諸国におきまして、元を国際通貨として使用できるようになっておる国は多くあると存じます。
  247. 平林剛

    平林分科員 中国の周恩来首相は、もう大体西欧諸国を中心にして五十数カ国ある、こう述べられております。私の調べたところでは、ヨーロッパ諸国、最近では昭和四十五年以降、イギリスも導入しましたし、西ドイツ、フランス、スイス、イタリア、カナダ、これらの諸国も相次いで元を決済通貨として使用し始めている。それのみならず、これらの諸国では、国の主要銀行は中国銀行に元の預金勘定を開設をしておる。いかがでしょう。
  248. 稲村光一

    ○稲村(光)政府委員 大体仰せのとおりだろうと思います。
  249. 平林剛

    平林分科員 現在のわが国と中国との貿易決済は何で行なわれておりますか。
  250. 稲村光一

    ○稲村(光)政府委員 主としてポンド決済になっておると存じます。その他、かつてフランス・フランで決済をするというあれが起こったこともございますが、大部分はポンド決済であると承知いたします。
  251. 平林剛

    平林分科員 わが国と中国との貿易決済はイギリス・ポンド中心に行なわれている。ときにフランス・フランを使っている。しかしポンドの通貨がたびたび不安におちいりまして、そのたびに貿易の停滞があり、安定した通貨による決済方式を導入しようじゃないかというようなことは、私の承知している限りでは、両国の懸案であり、円と元の決済の問題は関係者の注目と期待が集まっておるように承知しておるわけでありますが、この日中貿易拡大の一つの障害でありました円の決済方式について、現状はどうなっておりますか。
  252. 稲村光一

    ○稲村(光)政府委員 日中貿易に関しまして元を使うという問題に関しましては、御高承のとおり、実は二、三年前から相当具体的な問題といたしまして御要望が出ておりまして、われわれのほうといたしましても慎重に検討いたしておったわけでございますが、元来、われわれのほうといたしましては、日中の貿易が決済関係で阻害されるということになってはいけないという基本的な考え方に立ちまして、民間の銀行なり商社なりが十分に採用し得るような仕組みができますならば、元を決済通貨に使うということについて当方としても異議はない、前向きに考えたいという態度をとってきたわけでございますが、具体的には、昨年の春までは、規則の面でいたしますと、元を払うほう、つまり支払い通貨としては元を自由に認めるという制度になっておったわけでございますが、昨年のたしか六月ごろであったと存じますが、受け取り通貨としても元を指定通貨として認めるということに規則の改正をいたしまして、したがいまして、現状におきましては、この決済規則の上では元を輸出、輸入いずれの側でも決済通貨として使用することができる、こういうシステムになっております。  具体的にそれではどういうふうにしてそれがワークするかという点につきましては、それぞれ関係の銀行、商社、ことに銀行でございますが、いろいろと先方とお話し合いがなされておるというふうに承知いたしておりますが、政府のほうの側といたしましては、ただいま申し上げましたように、元を決済通貨として使うということにつきましては、制度上すでにそれを自由に認めるという措置をとっております。
  253. 平林剛

    平林分科員 今度は大臣に聞きます。  ことしの一月二十八日に、日中覚書貿易事務所が中国銀行とコルレス契約を結んでいる為替銀行十三行を呼びまして——相互に支店の役割りを果たすことを約束した契約ですけれども、その外国為替銀行の担当者を呼びまして、円・元決済に関する試案を示して意見を聞いたということは政府は御承知でしょうか。
  254. 稲村光一

    ○稲村(光)政府委員 先般、岡崎嘉平太さんが北京からお帰りになりましたときに、円・元決済の問題について具体的に検討をしようということの大体のお話し合いができて、それに基づいて具体的に日本の為銀と検討をしたいという御報告は受けております。おそらくそれに基づきまして、具体的に各為銀の担当者が現在検討をしておる段階ではなかろうかと思います。
  255. 平林剛

    平林分科員 この円と元の決済に関する試案は、こまかく言えば四つか五つくらいに分かれている。中心になるのは、日中覚書貿易決済通貨として現在のポンド、フランのほかに円と元を加える、いずれの通貨を使用するかは取引の当事者がきめる、これが一つ。     〔森下(元)主査代理退席、楢崎主査代理着席〕 二つ目には、中国銀行は日本側の為替銀行に円の預金勘定、日本側の為替銀行は中国銀行に元の預金勘定を開設する。これらを中心にして一つの試案が出された。これに対して外国為替銀行の十三行は、二月一日に担当者ベースの打ち合わせ会をやりまして、円と元との交換レートを固定するということになれば、大筋として円・元決済の具体的仕組みはこの試案以外にないだろう、そういう意見が大勢を占めたというふうに承知しておるわけです。大蔵大臣は、政府を代表してこれらの試案についてどういう御見解をお持ちであるか。
  256. 水田三喜男

    水田国務大臣 最後の案がどういうことで折り合うことになるのか知りませんが、関係当事者の間で納得できる方式がとられるなら、その案を尊重して従うことがいいんじゃないかというふうに考えています。
  257. 平林剛

    平林分科員 そうすると、大臣の政府を代表してのお答えとしては、日本政府も、従来は国交未回復国の通貨を決済通貨として認めるわけにいかぬというような基本的態度をとっておったわけですけれども、いまのお答えによると、関係者が了解し話し合いがついたものであればそれは認める、こういうふうの御発言として受け取ってよろしゅうございますか。
  258. 水田三喜男

    水田国務大臣 日中貿易が決済方式によって阻害されるということは、政府もなるべく避けたいという考えであったのでございますから、当事者同士で納得のいく方式ができるということでしたら、政府はこれに従っていいというふうに思います。
  259. 平林剛

    平林分科員 そうすると、この試案の中には、為替技術上の問題、それからなお今後中国側の意向というのがどういうところにあるのかということを確かめなければならぬ問題点はまだ多少残っていますけれども、そういう技術上の問題が解決すれば、政府も円・元決済に踏み切ってよろしい、こういうことですね。念のために大臣の御確認をひとつお願いします。
  260. 水田三喜男

    水田国務大臣 私はそう思います。
  261. 平林剛

    平林分科員 私は、円・元決済が実現するということになると、未承認国通貨の公的な承認という意味でも、政治的効果は非常に大きいんじゃないかというふうにも理解をしております。したがいまして、日中国交回復の前段階としていわば婚前交渉的な意味もあるわけですから、そういう意味で非常にきょうの御発言を私は重視をしておるわけであります。もし円と元の決済が実現されると、そのレートは一体どのくらいになるかという試算はございますか。
  262. 稲村光一

    ○稲村(光)政府委員 特に詳細にわたっての試算というのはやっていませんが、やはり元と現在取引されておりますポンドとのレート、それから円とポンドとのレート等から考えましてその相場を割り出すということになると存じます。具体的に幾らという特に試算をやっておるわけではございませんが、たしか一元が百四、五十円、その程度になるのではないか。ちょっとこまかい点については別といたしまして、大体そんなところになるのではないかと存じております。
  263. 平林剛

    平林分科員 私は、こうした問題でこまかい計算をしないとかするとかいう、そういう態度は間違いだと思うのですよ。かつて私はドルの問題のときに、円切り上げの問題が頭の片すみにありますかと聞いたときにも、頭の片すみにありませんと答えた大蔵大臣がいましたが、結果的に見ると、それこそ心臓のまん中にいったというくらいなのでありまして、こうした問題はやはりふだんから研究しなければいかぬですよ。  覚書事務所が提案をした中のあれは、元と円の交換レートは一元百三十五円八十四銭、イギリス・ポンドが五元九〇八、一英ポンドが八百二円五十六銭から計算をしたものでありますけれども、この一元百三十五円八十四銭というのは、現状において妥当な数字だというわけですか。それはどうなんですか。その程度のはっきりした試算といいますか、もしそうなった場合はどうだということを明確に頭の中に入れておくという態度をとってもらいたいと思うのですよ。いかがでしょう。
  264. 稲村光一

    ○稲村(光)政府委員 一元が円でどのくらいになるかという点につきましては、御承知のとおり、現在のセントラルレートで裁定をいたしますと、いま先生のおっしゃるようなことになるであろうと思いますが、先ほど申しましたのは、具体的にこの円と元との間で一種のセントラルレート的な、いわば基準的なものを置いておいて、その上下で変動するというようなことを考えるのか、あるいはフィックスされた動かないレートということが中国側の御希望であるのか、そういう点につきまして、まだ具体的に詳細な詰めをした結果を為替銀行の側から聞いておりませんので、先ほどのようなお答えを申し上げたわけでございますが、問題はセントラルレート的なもの、それを動かさないか、動かすかというような問題とか、いろいろテクニカルな問題もございますので、その意味で、先ほどはちょっとあいまいなことを申し上げて申しわけございませんでしたが、いまのようなセントラルレート的なものでいけば、おっしゃるとおりのことになると存じます。
  265. 平林剛

    平林分科員 大筋のお答えをいただいたからあれですが、私は、いま大手の市中銀行の対中国に対するアプローチが非常に積極的であるし、為替のコルレス契約の復活をはじめ、円・元決済の実施というものは非常に期待と注目を集めておったわけでございまして、きょうのお答えは、ある意味では一歩前進をしてまいったのではないかと存じます。  結局、八億の巨大な潜在市場に足がかりをつけておくというのは、私は当然のことだと思いますし、それから日中国交回復前に中国大陸に布石を打っておかないと、欧米のビッグビジネスや大銀行の後塵を拝することになるし、アメリカだって、米中会談のときには、こうした方面についてのかなり突っ込んだ話し合いもおそらくされておるのじゃないだろうかと私は見ておるわけであります。七〇年代が太平洋圏市場の拡大、争奪、それが先進諸国の共通の目標になりそうなんでありますから、私はこの問題については、ひとつワンステップ、ワンステップ進めていってもらいたい。  そこで大蔵大臣、少し将来になるかもしれませんが、いま外貨大国といわれて、日本はドルが蓄積し過ぎて年内二百億ドルというようなことになりまして、再び円の切り上げが迫られるかもしれぬというおそれが広がっておるときで、外貨減らしの政策として政府自体としてもいろいろな手を打つ必要を感じておられると思うのです。そこで、対外経済援助とか投融資の拡大でそういう問題を考えるということも、一つの大きな政策課題になってきておるわけですが、私は中国というのは将来有力な投資対象国としてクローズアップされるだろうと思うのです。この間も、輸出入銀行の問題につきましても、政府は柔軟な態度を示したということも、あるいはそのあらわれの一つと私は見ておるのでありますけれども、日中国交回復以降、あるいはその交渉過程において、政府ベースによる対中国向けのそうした問題について、検討なり頭の中に描くなりというようなことはございましょうか。きょう、いや、そんなことは頭の片すみにもないなんというお答えを私は期待しておらないのでありまして、これは大臣の御見解を承っておきたいと思います。
  266. 水田三喜男

    水田国務大臣 ちょっと御質問の点がよく理解できなかったのでございますが、要するに、今後の対外援助政策をはじめとしまして、日本の海外投資政策というようなものも、もちろん中国との国交が今後どういうふうになりますか、そういうものの将来も含めていろいろ全体的な計画を立てるときでございますので、その方向で私どもは努力したいと思っております。
  267. 平林剛

    平林分科員 たいへんけっこうなお答えであります。絶えず胸中を去来しておるということはけっこうなことでございます。時間の関係もありますから、次の第二の問題に移ります。  これは台湾に対する債権の問題であります。これも日中国交回復に関係があるのじゃないだろうかという意味で取り上げました。台湾の帰属の問題につきましては、私ども、いま政府・与党との間におきましても、国交回復決議案の案文を相談中でありまして、私もその折衝に当たっている一人でございます。台湾は中華人民共和国、つまり中国の領土の一部であるという点などが、なお自由民主党としても踏み切れないでおりまして、決議案の文案についての合意の線までまだ達しておりません。そこで、これらの問題につきまして大臣の御見解を承ってまいりたいと思います。  初めに、台湾に対するわが国の債権残高累積の実情はどうなっておるかということを明らかにしてもらいたいと思います。
  268. 稲村光一

    ○稲村(光)政府委員 台湾に対しまする債権の残高でございますが、これはいろいろのカテゴリーがございますが、政府ベースの円借款供与をいたしておりますが、それの残高が、これはちょっと古いのでございますが、昨年の九月三十日現在で二百九十一億五千万円ぐらいになっております。それから民間投融資の残高が八千四百五十万ドルでございます。それから通常の延べ払い輸出がございまして、これはなかなか残高をつかみにくいわけでございますが、これを輸出代金保険の債権残高ということで推算をいたしますと、約一億八千七百万ドルぐらいになっているかと存じます。
  269. 平林剛

    平林分科員 おそれ入りますが、円借款による債権と民間債権、合計して幾らになりますか。
  270. 稲村光一

    ○稲村(光)政府委員 ちょっと採算のレートをどうするか問題でございまして、いまちょっと計算をさせます。
  271. 平林剛

    平林分科員 計算している間に……。私が入手した資料だと、延べ払いが三月末現在で十六億九千八百万ドルになっておる。それから投資のほうが八億九百万ドル、合計で二十五億七百万ドル、三百六十円で計算すると八千億円、こういうことになるのですが、いまの数字とずいぶん違うものですから、その点もあわせてひとつお答え願いたい。
  272. 稲村光一

    ○稲村(光)政府委員 御指摘の数字がちょっと私たちの資料と合わないわけでございますが……。
  273. 平林剛

    平林分科員 これは大蔵省資料です。私たちの資料じゃない。あなたの資料だ。
  274. 稲村光一

    ○稲村(光)政府委員 それは昨年の三月末でございますか。
  275. 平林剛

    平林分科員 四十六年三月です。
  276. 稲村光一

    ○稲村(光)政府委員 先ほどのは九月末の数字でございます。
  277. 平林剛

    平林分科員 合計で幾らになったかな。——時間がもったいない。そこで、ちょっと私お尋ねしますが、円借款は、昭和四十年四月の交換公文、この分が五百四十億円、それから昭和四十六年の八月に結んだ第二次円借款が八十億八千二百万円、合計して六百二十億八千二百万円、こういうことになっておるわけですね。それはいいですね。これは交換公文の合計した数、字ですから間違いありませんね。外務省でもいいです。
  278. 大和田渉

    ○大和田政府委員 数字はちょっとずれております。一九六五年の五百四十億円、それから一九七一年、昨年の八月に結んでおりますのは八十億八千万円でございます。
  279. 平林剛

    平林分科員 そうすると、二百万円は違うけれども、六百二十億八千二百万円。いまお話しによりますと、円借款による債権は二百九十一億五千万円、こう言いましたね。したがって、六百二十億八千万円と、円借款による債権、九月末現在二百九十一億五千万円とは、数字の差がありますね。これはどういうわけですか。
  280. 大和田渉

    ○大和田政府委員 先ほど申し上げた二回の交換公文に基づく借款の総額は、先生が御指摘のとおりでございます。そのうち、貸し付けを実行したものと、それから一部償還済みの額がございます。それを引き去りまして円借款の債権残高が、先ほどの二百九十一億云々というのは昨年の九月末現在ですが、昨年の十二月末現在では三百三億二千万円でございます。
  281. 平林剛

    平林分科員 交換公文によると、昭利四十年のやつは、五年間の据え置きで、それから償還が始まる、こういうふうになっています。そうでしょう。そうすると、もうすでに償還ということはどういうことなんですか。つまり使わなかったということですか。
  282. 大和田渉

    ○大和田政府委員 貸し付けまして、それを五年間据え置いて、それから先に元利の償還が始まるわけでございます。その額が七十三億二千万円でございます。ですから、これだけが交換公文に基づいて貸し付けまして、実行しまして、かつ年数がきて元利の償還を始めたという額でございます。
  283. 平林剛

    平林分科員 だから、それにしては額がまだ開きがあるでしょうと、こう言っているわけですよ。それはどういうわけですかと言っている。
  284. 大和田渉

    ○大和田政府委員 この交換公文に基づく円借款は、輸出入銀行から出るものと、それから海外協力基金から出るものとございます。輸出入銀行から出ますものは、三年据え置きの十二年もの、三年据え置きの十五年ものとございます。そちらのほう、これが償還がすでに始まっているわけでございます。
  285. 平林剛

    平林分科員 それはわかった。それが七十三億というんでしょう。しかし、交換公文の六百二十億八千万円と九月末現在で二百九十一億五千万というのは、子供でもわかりますね、三百二十九億と出る。あなたはいま七十三億しか説明していないんだ。まだ開きがありますね。それは何ですかと聞いているんです。
  286. 大和田渉

    ○大和田政府委員 交換公文によって全体のワクということをきめますけれども、実際に貸し付けを承諾したものと、それからまだ貸し付け承諾が行なわれていないものとがございます。この差であろうかと思われます。
  287. 平林剛

    平林分科員 それで大体答えはいいのです。  そこで、交換公文によって大ワクはきめたけれども、この交換公文によると、信用の提供は、中華民国政府、つまり台湾政府と銀行または基金との間に締結される借款契約で行なわれることになっておるのだから、まだ貸し出し予定分、そういう契約ができないものがあるのですよ。それが三百二十九億円になる。これよりも七十億円ばかり減りますよ。そういうことになるわけです。大臣、まだ貸し付け契約をしていないものがあるわけです。そこでこれは一体どうするつもりですか。
  288. 水田三喜男

    水田国務大臣 私は、新たな借款を供与するということについては、国際情勢の推移を見て慎重に対処したいというふうに考えますが、それとは別に、すでに約束してある案件というものは別個に取り扱うべきものだと考えます。交換公文上、日本政府が権限の範囲内で借款実現のために努力することを約束しておるというようなものは、その約束に従って、まだ残っておる残高の貸し出しというものは、私は実行して差しつかえないというふうに考えております。
  289. 平林剛

    平林分科員 交換公文によりますと、「両国の政府は、この交換公文の実施から、またはこれに関連して生じることのあるすべての問題について相互に協議する」とあるわけです。いま国連から台湾は追放された、世銀も台湾に対するところの融資態度を改めてきた、こういう新しい事態になってきておるわけですね。この交換公文によりますと、「これに関連して生じることのあるすべての問題について相互に協議する」とありますけれども、そういう問題で相談する必要はないのですか。台湾政府との間にどういう協議があったか。そういうことはどうなっておりますか。この点を明らかにしてもらいたい。
  290. 大和田渉

    ○大和田政府委員 台湾政府とこの交換公文を結んだあとで、その内容について協議をしたということはございません。
  291. 平林剛

    平林分科員 したことはないのはわかりましたが、するというようなことはいかがでしょうか。つまり大臣、私の言わんとしておることは、貸し付け契約していないものをどうするか。新たな借款は慎重だが、約束したものは別個だという。まだ契約してないものはどうするか。ワクはきめましたが……。とにかく償還期日が長いわけです。十年とか十五年になっておりますから。そこで貸し付け契約していないものはどうするのか。いままでの交換公文ということで進めるということは、もう一つ政治的に考えて、対中国政策との関係でどういう影響を与えるだろうかというような点についての御検討なり、そういう検討した結果に基づく政府の態度というものがあるかどうかということを聞いておるわけです。おわかりですか。それはどういう御認識を持っておられますか。
  292. 水田三喜男

    水田国務大臣 今後の新しい借款ということにつきましては、いろいろそういう考慮をしなければならぬ問題があるということは承知いたしますが、しかし、従来、台湾政府と約束しておったものということは、現に中華民国政府が存在して、法的関係がまだ変わっていないという現在におきましては、この約束は生かしていくのがほんとうの妥当な適正な行き方であるというふうに私は考えます。
  293. 平林剛

    平林分科員 おっしゃる意味はわからぬではありません。ただやはり、交換公文は総ワクをきめたわけでして、そうしてそれを実際に契約するかどうかというのは、交換公文に定められたいろいろな条件その他を考えながら実行に移すわけですね。実は昭和四十年のときは、あとでまたさらに期限を伸ばしましたね。昭和四十六年の交換公文はまた五年間延ばすなんということは、これはやはり慎重に考えなければいけないと思いますが、大臣、再び交換公文をやって契約して実行していない問題、また、実行できてないものだからまた期間を延ばすというようなやり方も慎重にされるかどうか。
  294. 稲村光一

    ○稲村(光)政府委員 ただいまの点でございますが、先ほど大臣からも御答弁がございましたように、交換公文をかわしておりますものにつきましては、やはり中華民国政府が現に存在しておるわけでございます。その間の法的関係というものも従来と変わっておりません現段階におきましては、政府といたしましては、その約束に従いまして、貸し付け契約が締結されるように努力をすべきものというふうに、ただいま交換公文上の約束がございます。これはいろいろな条件がついてはおりますけれども、それに基づいた態度で進むべきではなかろうかというふうに存じております。
  295. 平林剛

    平林分科員 時間もあまりありませんからあれですが、日中国交回復の決議、中華人民共和国は中国を代表する唯一の合法政府である、台湾は中国の領土の一部である、日華条約は廃棄せらるべきであるということを、時代の要請としてわが国の将来を考えて決断すべきでないかというのが私どもの意見であります。この日中国交回復決議をなかなかなし得ない、踏み切れないというような背景といいますか、その理由の中に、この台湾の債権、これは円借款もあるし、民間のやつもあるし、これはどういう関連を持ってわれわれは理解すべきでしょうか。これは本来は外務大臣に来てもらって聞きたかったのですが、大蔵大臣も国務大臣の一人だから、日中国交回復決議については非常なる熱意を燃やしておると私は承知しておる。そういう意味で国務大臣として、どういう関連を持っておるかというお話を、ひとつ聞かせていただきたい。
  296. 水田三喜男

    水田国務大臣 当然いろいろな関連は持ちますが、しかしこれは、台湾の民生安定と経済発展に貢献しようとすることを目的としている純経済的な援助でございますので、これはこれとして取り扱うことが今後の日中国交回復の妨げになる問題ではない、これは分けて考えられる問題であるというふうに考えます。
  297. 平林剛

    平林分科員 かりに日中国交回復、つまり日中の国交の正常化というものが進められた場合ですね。いずれにしても近く佐藤さんもおやめになるし、新しい政権のもとで、日中国交回復という問題は、これは七〇年代の課題としてだれかが進める、こういうことに相なるわけであります。その場合に、この台湾の債権というものはどういう取り扱いになるのでしょうか。
  298. 水田三喜男

    水田国務大臣 これは台湾がどういうふうになるという予測をすることはむずかしい問題でございます。いずれにしても債権の確保ということは、外交交渉によって最後は確保さるべき問題であって、これはどういうことが予想されましょうとも、いま日本は、台湾の民生安定のために純経済的な援助を与えるという目的で約束したことを台湾のために果たすということは、これは先の考慮と無関係にやっていいことであると考えております。
  299. 平林剛

    平林分科員 まあ純経済的なものであっても、非常に政治的に考えられる場合もないわけじゃありません。そこが非常に微妙なところです。私はきょうはこの問題を取り上げましたことは、将来を展望して、そして大蔵当局も、いずれにしても円借款などは国民の税金ですからね、そういう問題についてひとつ思いをめぐらし、慎重の上にも慎重な態度をとっていくべきである。きょうはもう時間がありませんから議論はそれ以上しませんが、そのことについての御見解を承って、慎重の上にも慎重に取り扱っていくというお考えをひとつ確認をいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  300. 水田三喜男

    水田国務大臣 それはもう当然慎重に取り扱っていきます。
  301. 楢崎弥之助

    ○楢崎主査代理 次は、細谷治嘉君。
  302. 細谷治嘉

    細谷分科員 時間がわずかでありますから三点ばかり御質問するわけでありますが、ひとつ簡潔に御答弁をいただきたいと思うのです。  第一点は、私も予算委員会の総括の段階で質問したわけでありますけれども、今度の不景気は昨年のドル・ショックだ、こういうことで、今度景気浮揚ということを重点に予算が編成されたわけでありますけれども、最近やはり外貨がものすごくたまる、こういうことで、大蔵省もあるいは財界も、いろいろな方がこの外貨問題について議論をいたしております。最近の新聞等の報ずるところによりますと、大蔵省では二月末の約言六十五億ドルに及ぶ外貨準備高を、四十七年度末、来年の三月末くらいには百十億ドルそこそこにまで減らす方針をきめた、そのために今後の増加分を考えて一年余りの間に九十億ドル近くの外貨を減らす必要がある、こういう観点に立って、外貨を為銀に三十億程度預託をしよう、あるいはドル建ての長期債を六十億ドル程度買って、合計九十億ドル程度を来年の三月までに減らしていこう。言ってみますと、はからずも二百億ドルくらいの外貨が蓄積される、こういうことを考えての、ある意味ではきわめて小手先の外貨減らしの方針を立てたようでありますが、いまいろいろと問題になっておりますこの外貨、そういうことでまた円の切り上げというような圧力がかかってきますと、せっかくの景気浮揚のための十一兆四千億という膨大な予算も、あるいはばく大な国債を発行しての予算というのも、目的を達成することはできないんじゃないか、こう思うのであります。この点についてどうお考えになっているのか、どう対処しょうとしておるのか、それをまずお聞きしたいと思います。
  303. 水田三喜男

    水田国務大臣 外貨対策といわれるものには二つあろうと思います。  一つは、対外均衡を回復してこの外貨がそうやたらに蓄積しないようにする。こいう異常な黒字基調が続いて外貨が蓄積をするということは、好ましいことではございませんので、まず、これを避けるというためには、いまやっている不況の克服とかいうことをはじめとして一連の経済政策を行なって、国内均衡を回復することが必要であるということが一つです。  もう一つは、すでに蓄積された外貨をどう活用するかということでございますが、いまおっしゃられたのはあとのほうの問題だと思いますが、これはまだそういうふうに、政府が外貨の活用策を最終的に方針をきめてしまったわけではございません。四月一ぱいぐらいに大体の方針をきめたいと思っておりますが、たまった外貨をどうするということは、むしろ外貨対策として本筋のことではございませんので、ただこれを表面、たまったものをたまらないかっこうにするというだけでは、これは意味はございませんので、これがほんとうに活用される方法を考えなければなりません。そういう意味でいま私どもが検討しておりますことは、百六十五億ドルの外貨がございますが、そのうちで、金とかあるいはSDRとかあるいは運用している準備資産を除くと、現在百十億ドル前後のものを保有している。このうちで、やはり半分ぐらいを流動性を確保して保有しておれば大体いいんじゃないか。あとの半分ぐらいを大体めどとして、何か外貨の活用の方法を考えたいということで、それで言いますというと、大体六十億ドル前後ということでございますので、その数字が何か伝わって報道されておるのじゃないかと思いますが、大体活用のめどは、その程度を目標にしていま活用の方法を検討しておる最中でございますが、四月一ぱいぐらいには政府の方針ははっきりきまるだろうと思っております。
  304. 細谷治嘉

    細谷分科員 これは財界等も、あるいはいろいろな経済評論家等も、いろいろこの問題について、あるいはマスコミ等も、この問題には重大な関心を寄せているわけですけれども、いま大蔵大臣は、適正な現状における外貨というのは六十億ドルぐらい、こういうことを目標にしておるようであります。大体年末を待たずして、秋にでもなったら二百億ドルぐらいたまるだろう、そういうことで、非常に予算の上からも重要な予算上の弱点だ、こういうことを言っても差しつかえないと思うのですよ。  そこで、時間がありませんから端的にお尋ねしますが、四月にこの外貨問題についての方針をきめる、こういうことでありますけれども、今度の予算との関連で、大臣、また円切り上げの圧力等を避ける確信というのをお持ちですか、ちょっとお尋ねしておきます。
  305. 水田三喜男

    水田国務大臣 私は、円の再切り上げというものは当分ないと思っていますので、これは避けられると思っております。
  306. 細谷治嘉

    細谷分科員 避けられるということですが、これはまた非常に重要な問題でありますから、ひとつ十分に具体的な対策を、見せかけのごまかしではなくて、ほんとうにこの問題が解決できるように努力していただきたいということを申し上げておきたいと思います。  もう一つの問題点は、今度の予算というのは、景気浮揚というのを何でやるかといいますと、やはり公共事業でやろうとしているわけです。その公共事業の中に土地問題、こういう問題についての対策がないということが、予算委員会等でも、予算案の大きな弱点ではないか、こういうことも指摘されました。  ところで、三月十五日に佐々木日銀総裁が記者会見において、最近金融は非常にゆるんでおるのでありますけれども、非常に貸し出しが急増しておる。それは経済の実態と合っていないんだ。ところが、たとえば不動産業なりあるいは建設業なりがどんどん土地を買い占める、そのための金融というのがかなり伸びていっている。これは憂慮すべきことだということで、佐々木日銀総裁は、これについて金融機関に要望するんだ、こういうことが言われておりました。時間がありませんからお答えいただきますけれども、十分なお答えがいただけないかと思うのですが、どういう状況になっているのか、これをひとつお答えいただきたいと思うのです。
  307. 近藤道生

    近藤政府委員 個人に対します住宅関係の貸し出しは、過去数年来漸次増加をいたしておりまして、たとえば昨年九月末の残高で見ますと、約一兆三千億円、総貸し出しに占めます比率が二%となっております。昨年中たいへんに特に伸びておりますし、ただいまお話しのとおりでございます。  そこで、これら住宅金融全体のうちで問題になりますのは、土地に対する貸し出しがどのくらいあるか、そしてその土地に対する貸し出しのうちでもまた、いわゆる反社会的な土地投機をねらいとする貸し出しがどのくらいあるかということが、非常に問題になるわけでございます。そこで、私どもといたしましても、検査のつど鋭意実態の把握につとめているわけでございますが、ただいま細谷委員の御指摘になりましたような業種につきましてサンプル調査をいたしましたところでは、大体貸し出しのうちの三割ぐらいが土地に回っているという実情でございます。そしてそれらの貸し出しにつきまして、これがはたしてほんとうに庶民の住宅に向かうものであるとか建設に向かうものであるとかそういものであればそれはむしろけっこうなわけでございますが、いまの土地投機や何かに向かうものは、検査のつど厳重にチェックをするという方針でやっております。
  308. 細谷治嘉

    細谷分科員 新聞等の報ずるところによりますと、都市銀行の貸し出しが、四十六年には、建設業で四二%ぐらい伸びているということですね。不動産業で六割ぐらい伸びている。これは異常な伸びです。そうして貸し出しの残高というのが、前年に比べますと、たとえば不動産業で全体に対して一%ぐらい伸びているのですね。これは異常な伸びですね。こういうことになりますと、いま金融がゆるんでいる間に、金融機関は金を貸したくてしようがないわけですから、不動産業等がどんどん土地を買いあさる。そうしますと、どんどん土地がつり上がってくるわけですね。今度の予算の中における土地代というのは一兆五千億ぐらい、こう見積もられているわけです。予算委員会でも、土地の値上がりによって景気浮揚のための重要な柱である公共事業というのが思うように進まないんじゃないか、あるいは事業に対する土地の比率というのがうんと上がっていくんじゃないか、こういうことでこの予算執行のウイークポイントだ、こう言われているわけですね。こういう傾向を見ますと、これは私どもも非常に憂慮している。しかも、金融機関が貸してくれるというなら、これは土地は担保があるわけですから、借りる人、銀行、そういう形でぐるぐる回って歩いているわけです、地主との間で。ですから、これは際限なく続く可能性があるわけですから非常に憂慮しております。  そこで、昨日私は大蔵省にこの辺の最近の数値、データをいただきたいということを申し上げたわけですけれども、いただけませんでした。ひとつこの問題について、最近大蔵省がつかんでおる数字あとでもけっこうでありますからお知らせいただきたい、これを要望しておきます。
  309. 近藤道生

    近藤政府委員 最近の全体の数字というものは、残念ながらなかなかつかみにくいのでございますが、ただいま申し上げましたような最近のサンプル的な調査の結果、大体の感じはつかんでおりますので、それらにつきまして御報告申し上げたいと思います。  それからなお、蛇足をつけ加えまして恐縮でございますが、住宅金融とか土地関係の貸し出し、それが伸びておりますことは、投機につながります場合には非常にけしからぬことでございますが、ただ、従来の製造業中心の生産金融からだんだんと福祉中心に移るという意味では、全体が伸びてまいりますのは当然の勢いでもあり、またむしろけっこうなことだというふうに考えております。
  310. 細谷治嘉

    細谷分科員 そこまで言ったのでまた一言言わなくてはならなくなったのですが、大体四十六年度は住宅というのが落ち込んでいるわけですよ、過去のあれからいきますと。その原因というのは何かといいますと、やはり土地が異常な値上がりをしたということが一つ。もう一つは、物価の値上がり等によって今日の住宅政策が個々人の可処分所得の範疇を出ちゃっている。そういうことで個人住宅を中心とするいまの日本の住宅政策というのが落ち込んだ、こう言われているわけです。ことし住宅金融公庫法の改正なりあるいは税の面等からの措置がとられておりますけれども、いまのような形で土地の買いあさりが起こりますと、心配されておるようなことが十分に起こる可能性があるわけでありますから、ひとつ十分な配慮を願うと同時に、いま私が要望いたしました資料をひとつぜひいただきたいと思います。  それから、今度は税の問題に移るわけですけれども大蔵大臣予算委員会で総括質問等でも出たのですが、所得税の減税を今度行なわなかったわけですが、私は大蔵省から出されました税の見積もりを見まして、どうも現実に沿わないんじゃないか、アンバランスがあるのではないか、こういう気がしてなりません。  そこで、少し数字を申し上げますと、四十七年度の源泉所得税の見込み額というのが、雇用人員というのが三%ふえるんだ。これは四十六年が三%、四十五年が二%、四十四年が三%という形で、大体雇用人員が三%ということで、景気のいいときと同じように雇用人員がふえていっている。ところが、最近の雇用状況を見ますと、とてもじゃないがこの三%なんというのは見込めないんじゃないか、一カ月に〇・三とかなんとかいう最近の数字がありますけれども。これが一つの問題。それから一人当たりの給与は一二%だ、昨年は一四%、したがって給与の総額というのは一五%ふえる、そこで源泉所得税はこうなるんだ、こういうことなんですね。雇用者総数は四十六年度は、人員は三%でありますが、雇用者総数は三・六、国民所得が一二・三、個人消費支出が一三・八、こういうのが基礎になって、全体として源泉所得税の増収が見込まれておるわけです。  一方、申告所得分を見ますと、前年比二四・八%伸びていっておるわけですが、四十七年度は営業関係が一〇%、これは昨年が一四%でありますから若干落ちております。農業が去年は二%でありますけれども、ことしは五%伸びるというのですよ。その他の事業は、去年は一五%でありますけれども、ことしは一六%伸びる。その他については去年は一〇%でありますけれども、ことしは一四%伸びる。全体としては申告所得は、昨年は一二%の所得増加でありましたけれども、今度は一三%伸びるとなっているわけですね。去年よりも伸びちゃっている。おととしよりも伸びちゃっている。言ってみますと、四十一年以降は最高一二%でありますけれども、ことしは一気に一三%になっておるわけですね。これに基づいて申告所得税の見積もりがはじかれております。  一方、法人税はどうかといいますと、前年比九七・七だ。生産は三・四%ぐらい伸びるけれども、所得率等の調整をいたしますと九五になってしまうんだ、だから税は前年比より落ちるんだ、こういう見積もりをしております。  この数字の一連のものをながめてみますと、どうも源泉所得税なり申告所得税というのは過大に見積もって、法人税については過小に見積もっている、こういうことが言えるのではないか、こう思うのでありますが、どういうふうに見ておるのですか。
  311. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 ただいま各税目にわたりまして、個別にいろいろ収入見込みの根拠につきまして御指摘がございました。それぞれの点につきましては、私どももいろいろな経済見通しのデータあるいは最近の課税実績の指数というものを使って算定をいたしておるわけでございます。たとえば先ほど御指摘のように、源泉所得税につきまして、雇用が四十七年度の見込みでは前年比約三%は過大ではないかというお話でございます。あるいはこれもまた毎月の勤労統計等から見てみますと、決して私どもはそれは過大ではないというふうに考えております。  それから申告所得税等につきましても、営業、農業、その他事業、その他についていろいろ御指摘がございましたけれども、これも大体過去におきますところの課税状況の推移、それからおそらくこれは昭和四十七年中の所得の伸びがどういうふうに今後景気の動向で変わっていくかということと関連するわけでございますから、これについての見込みは、いろいろな御批判もあるかと思いますけれども、私どもはいろいろな施策によりまして、かなり後半から上向きになってまいるということも勘案して、申告所得税の見込みは立てたわけでございます。  それに反しまして、法人税について非常に見込みが過小ではないかというお話でございます。法人税はすでに御案内のとおりに、大体六カ月決算あるいは一年決算の法人の申告時期から二カ月が納税時期になっておりますから、したがいまして、四十七年度の収入になってまいります法人の事業年度といいますのは、少しずれた前の時代の所得がベースになるわけでございます。したがいまして、四十七年の下期のほうに景気が回復してまいるといたしましても、四十七年度の法人税収といいますのは、大部分は四十六年度の後半から四十七年度の前半にわたりますところの景況が左右するわけでございます。  そういった関係で、所得税、法人税は、私どもといたしましてはできるだけのデータと将来におきますところの見通しをもとにいたしまして、正確に見込んだつもりでございます。
  312. 細谷治嘉

    細谷分科員 いまの申告所得税は、あなた方が所得の伸びという形で申告所得税をはじき出した。いまも申し上げたように、四十二年が一一%ですよ。四十三年が一一%ですよ。四十四年が一二%、四十五年が一二%、四十六年が一二%、四十七年は一三%なんだ。いま景気を浮揚させなければならぬ、不景気なんだ、こういうふうになっているわけですね。それにもかかわらず、四十三年とか四十四年ぐらいの好景気のときよりも申告所得税の増加というのは、この数字を見てもどうも納得できないじゃないか。農業を見ても、その他の事業を見ても、あるいはその他を見ても、好景気の時代よりも上がっているのですよ。法人税との関係からいって、下期景気上昇、こういうような形で経済の見通しが立てられておりますけれども、この辺にどうも問題があるのではないか。私はいまの御答弁ではとても納得できぬ。しかし、時間がないからこの点は——この基数が問題だ。源泉所得、申告所得あるいは法人の基数というのが、従来あなた方が出した数字と比較してみても一目問題点がある。きゃうはこういうことを指摘するにとどめておきます。  そこで、時間がわずかしかありませんが、財政硬直化しておる、こういうことで新税構想がしきりなんですね。最近の新聞を見ますと、高福祉のための新税構想という形で、短期の税制としてはギャンブル税を取るのだ、あるいは例の医師の課税の特別措置をだんだん正常化していくのだ、あるいは中期の税制としては、税制調査会の答申に基づいて法人税の実効税率を四五・四からだんだん上げていくのだ、こういうこと、あるいは付加価値税を創設していくのだ、これによってひとつ税金を取ってやろう、こういう計画がおありのようであります。特に大蔵大臣は付加価値税の礼賛者でありますから、これはもう大蔵大臣をやっている限りにおいては、この付加価値税の構想というのが近く面を出してくるだろうということは想像するにかたくないわけでありますけれども、こういう新聞等に報道されておる構想は、現実にいま大蔵省が検討しておる構想なのかどうか、まずお聞きしておきたいと思う。
  313. 水田三喜男

    水田国務大臣 将来の税制ということについては、御承知のように、税制調査会の長期答申が出ておりますし、その線に沿って、今後やっていこうといういろいろな検討はいまいたしておりますが、いまおっしゃられたような具体的問題を固めておるという段階では全然ございません。付加価値税の問題にしましても、まだ役所においても研究中でございますし、税制調査会にも研究は願っておりますが、これから欧州からこの道の専門家も呼んで、さらに掘り下げた勉強もしょうという段階でございまして、結論を得るまでにはまだ相当ひまがかかるというようなことでございますので、まだ来年度の税制というようなことで具体化している問題は、いまのところございません。
  314. 細谷治嘉

    細谷分科員 それで、まとめて質問しますが、どうもこの前提は高福祉、高負担ということで、大体大蔵省は、日本の租税負担率というのは諸外国と比べて低い、このような前提に立っておるようでありますけれども、比べてみましても、日本の国民の税負担率というのは、たとえばアメリカあたりと比べまして、それは全体としてはアメリカが三〇%ぐらいだけれども日本は一九%ぐらいだ、こういう形で低いということでありますけれども、たとえば日本の平均所得者あるいはアメリカの平均所得者というものの税を見てみますと、これはアメリカより高いわけですよ。ですから、一口に日本の税負担は安いのだ、だからこれを上げることが必要なんだ、こういう議論はきわめて薄っぺらな議論にしかすぎないのだ。  そこで、この問題について、あくまでも税負担率というのは——アメリカあたりはGNPに対して軍事費だってばく大なものを使っているわけですね。あるいは社会保障、振替所得なんというのは、日本は諸外国と比べてもうけた違いぐらいな低いところですね。そういうことでありますから、税は、日本は諸外国に比べても必ずしも負担率は低くないのだ、こう思っております。たとえば法人税などを、四五というのを五〇ぐらいにしていけば、これは相当の税収もありますし、税負担というのは上がってくる。取るべきものを取っておらない、こういうことでありますから、まずお尋ねしたい点は、法人税の実効税率をアメリカあるいは西欧並みに引き上げていく、こういうことをやるのか、やらないのか。  それから、たいへんな租税特別措置、ことしは四千八百億、この四千八百億というのは、交際費税をちょっと特例からとっておるから差し引きしているのであって、実際の租税特別措置というのは六千億こしているんですよ。あそこで三角じるしをやって消しておりますから四千八百億になっているのです。それに自動的に七割ぐらいの地方税の減税というのも行なっておるわけですよ。こういう租税特別措置というのを抜本的に合理化して租税の公平化をはかるべきである、こういうことが言えると思うのです。  それから第三番目は、この付加価値税の問題が、言ってみますと、西欧式の、フランスなりそういうところでやっているような付加価値税の方式を考えているようでありますけれども、いますでに日本の税制というのは逆進的な性格を持っておる。そこへもってきて、文字どおり逆進的な付加価値税を導入するということは反対せざるを得ない。これは国民の声であろうと思うのです。こういう問題について基本的にどう対処していくのか。すべて税調に逃げるなんて言っても、税調は大体大蔵省がリードしているのでしょう。気に食わぬところは税調のやつを飛び越えて税制改正をやっているじゃないですか。この辺の基本的な立場を明らかにしていただきたいと思います。
  315. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 かなり数字的な問題がございますので、まず私からお答えさせていただきます。  負担率の問題につきましては、おっしゃるように税制の構造、それから歳出の構造が相関連いたしております。確かにいま細谷委員御指摘のように、軍事費の問題とか、あるいは社会保障の問題というものが相関連いたしまして、そういうことで負担率を考えていかなければならないと思います。しからば、いろいろ歳出をふやす場合には、やはりそれなりの負担率を高めていかなければならないと考えるわけでございますけれども、それは一挙に上げられるものでもございませんから、歳出の動向とかみ合わせながら考えていかなければならない問題であると思っております。その場合に、たとえばいま御指摘のように法人税率をいかがするかという問題でございますけれども、四十七年度の改正におきましては、実は二年の期限でまいりました一・七五%というのはかなり期限どおり落とせというお話もございましたけれども、国、地方の財政状況からこの際はがまんをしていただくということで維持をしたわけでございます。それから特別措置につきましても、いまおっしゃいましたようないろいろ数字がございますけれども、その中にはかなり償却の面でもって後ほど取り返す問題もございます。あるいは準備金のものとしまして後ほど取り返すというものもございますから、一がいに五千億あるいはそれを上回りますところの金額というものが、全部減税となってしまうものではございません。しかし、そういいましても、私どもといたしましてはやはり期限どおりの政策効果というものを見ながら、特別措置の改廃というものを十分慎重に考えてまいりたいと思っております。  付加価値税につきましては、おっしゃいますように、日本の税制そのものは逆進的な効果が他の国の税制に比べてより高いと私どもは思っておりません。むしろ直接税のウエートが日本の税制はアメリカに次いで高い税制でございますから、その意味においては逆だという感じを持っております。それがいいか悪いかはまた別問題といたしまして、そういう税制構造を持っております。そういう場合に、歳出がさらにふえていくと仮定いたしました場合に、どういう税目でもって収入をあげてまいるかということは、今後の研究課題と考えております。
  316. 細谷治嘉

    細谷分科員 基本的なことを大臣から……。
  317. 水田三喜男

    水田国務大臣 福祉政策への転換ということは、なかなか言うべくして簡単なことではございませんで、これからたいへんな国費を必要とすることでございまして、これに対処するために現行税制ではたしていいかどうかということを考えますと、いまの税制でこれからの福祉政策に対処していくことは、なかなか困難ではないかということを私は考えております。したがってこの際、税体系の見直しにまで触れる大きい税の改革ということも手がけなければいけない問題だと思っております。  いまいろいろな点をあげられましたが、そういう問題について、やはり全部の見直しをする時期は私は早晩来ておるというふうに考えますので、いま問題になっておる長期、中期、いろいろな問題をあわせて、総合的にこの税の問題は真剣に対処をしたいと思っております。一つ一ついま個別の解決を考えていながら、最後はこれを総合的に税の体系全体を変えるというところにまで発展させて、合理的な解決をはかるほか対処できなくなるのじゃないかと思います。
  318. 細谷治嘉

    細谷分科員 不満ですけれども、終わります。
  319. 楢崎弥之助

    ○楢崎主査代理 次は、北側義一君。     〔楢崎主査代理退席、森下(元)主査代理着席〕
  320. 北側義一

    北側分科員 きょうは、私、四点ほどお聞きしたいわけですが、まず最初に市街地再開発事業の問題につきまして、これは大蔵省のほうの関係の税制面、こういう面できょうはずっと詰めていきたい、こう考えておるわけです。  御存じのとおり、都市問題で一番大きな問題になっておりましたのはこの市街地再開発事業なんです。これは国施行の再開発と地方公共団体施行の再開発とあるわけですが、大臣も御存じのとおり、今回住宅金融公庫法の一部改正がありまして、国施行の分につきましては、一つの明るいめどが立った、こう私は思っておるわけです。ところが、地方公共団体施行の分につきましては、いままで二十五カ所、そうして来年度の四十七年度の新規分が十二カ所、ここらが非常にもめているわけです。いままでの例を見ますと非常にもめております。  そこで、どうしてもこの都市再開発事業をやっていく場合には、減税措置とか融資の問題とか、またその中に住宅をはめ込んでいくとか、また地方公共団体の起債の問題とか、いろいろな問題がその中に含まれておるわけです。そういうようなわけで、まず税の問題ですね、こちらのほうからきょう実は聞いてまいりたいのです。  市街地再開発事業を施行するにあたりまして、それにかかわる税制措置、これを簡単でけっこうですからずっと一度言っていただけないでしょうか。
  321. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 都市再開発法によりまして市街地が再開発されます場合には、原則といたしまして、従来その地域に土地とか建物を持っておった人あるいは借家権を持っておった人には、権利変換でもってそれにかわるものが与えられるわけでございます。その場合には、原則といたしまして譲渡所得課税が起こらないという措置を講じております。ただその場合に、権利変換でもって従来の土地なりあるいは建物にかわりますものをもらわない人が出てまいります。その場合に得ますところのいわゆる補償金の課税問題が生じてくるわけでございます。そのときには原則といたしましては、その補償金につましても、その補償金でもって他のかわりの土地なり建物を買われます場合には、いわゆる買いかえの措置を認めることによりまして課税が起こらないようにいたしますか、あるいはその方の御選択によりまして、千二百万円の控除をしましたあとで譲渡所得の課税を行なう、こういうことになるわけでございます。以上は、大体通常の場合の再開発のかわりのものを得られる場合、あるいはそれにかえましたところの補償金を得られる場合の課税状況でございます。  ただ問題は、その場合に、いま申しました補償金を受け取る人につきまして、なぜ権利変換を受けましたかわりの土地なり建物でがまんをされないで、お金を選ばれたかという事情をしんしゃくいたすことにいたしております。それで、やむを得ない事情でもって権利変換を選ばずに補償金を選んだという場合には、先ほど言いましたように千二百万円の控除か買いかえが適用になるわけでございまして、やむを得ない事情がないと判断をされます場合には、これは通常の課税が行なわれることになっております。
  322. 北側義一

    北側分科員 いま言われたことなんですが、そこでやっぱり一番問題は、この権利変換の対価補償をもらいますこの対価補償が、はたしていまあなたの言われたとおり買いかえの特例に当てはまるのか、また一千二百万控除されるのか、これは非常に大きな問題になってくるわけです。たとえば租税特別措置法の施行令の第二十二条が当てはまるのじゃないかと思うのですが、ところが正直申し上げまして、私ら見てもあまりわからないのですよ。再開発される住民にとりましては、この問題が非常に大きな問題になってくるわけです。  そういう点で、これはこの前大蔵省からもらった資料です。あなたのほうからもらった資料ですが、これによりますと一から五まであるわけです。一つは、「用途制限があってビルに入れないとき。」こういう分は特例を認められておるのです。二番目の「保安上危険、衛生上有害のためビルに入れないとき。」三番目が、「居住者又は事業に著るしく支障を与える事業のためビルに入れないとき。」四番目には、「老齢、身体障害のためビルに入れないとき。」五番目が、「従前の生活又は事業を継続することが困難又は不適当であるため、ビルに入れないとき。」これだけあるわけであります。これ以外にもあるのかもわかりませんが、一応私のもらった資料によりますとそう書いてあるわけです。この中で私、判断に苦しみますのは、「従前の生活又は事業を継続することが困難又は不適当であるため、ビルに入れないとき。」ということです。御存じのとおり、再開発をなさった場合は、たとえば古いものをこわして新しいものを建てるわけです。その建てた施設、建築物、これはいままでの古いものから新しいものを建てるのですから、借家人あたりになりますと、たとえば谷町の例を引きますと、一畳三百円の家賃であったものが、それが今度は千五百円程度になっているのです。五倍近くなっているのです。そうすると、そういう借家人の場合にしましても、どうしてもそういう高いビルで高い家賃を払って成り立つ商売と成り立たない商売とが事業によってはあるのです。そういう問題の場合に、これが適用されるのかされないのかということが一つの問題じゃないかと思うのです。その点どうでしょうか。
  323. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 ただいま北側分科会のお示しになりました問題は、主といたしまして、先ほど列挙せられました五つの中の第五番目の事項に当たると思います。一番目から四番目の問題は、いろいろいまお話しのようなことで、大体、従来からそういう地域に不向きであった事業でございますとか、新しくできました建物の中で事業をやるのが不向きでったものが、やむを得ずほかの場所に移る場合のことでございまして、第五番目がいま御疑問とせられることで、大体こういう事例が多いと思います。そこに書いてございます、申し出人が権利変換を受けたくない、補償金をほしいという場合の人で、「従前の生活又は事業を継続することが困難又は不適当とする事情がある場合」と書いてございますが、これはその政令の規定にありますように、個別的な判断は市街地再開発審査会というのが行なうことになっています。しかも、その中ではなるべく公益委員の方々の判断が優先するような措置もとってございます。  したがいまして、いまお示しのような事例というのも、むしろ税務署の判断よりも再開発審査会の判断によって、そういう不適当であるという事情あるいは困難であるという事情を見ていただくならば、先ほど申しました買いかえなり千二百万円の控除が働くわけでございます。  どういう事態がこの立案のときに予想されたかということでありますが、まず典型的に考えられますのは、大体こういう再開発事業でございますと、従来住んでおりましたあるいは事業を行なっておりましたところの面積と比べまして、新しい面積は狭くなる事態が容易に予想せられるわけでございます。そういう場合に、いままでの家族人数で生活をしておりましたところが、環境は非常によくなるのですけれども、しかしながら面積が非常に狭くなる、それでもって生活が従来に比べて非常に快適でなくなりますから、ほかにかわりたいということが考えられるわけでございます。あるいはまた、先ほどお示しのように、いままでは古い建物が多うございましたから、かなり安い家賃でもって借りておったうちに住んでおった人が、今度は非常にきれいになった、上等のものになりますので、かなり家賃が上がるという場合が予想されるわけでございます。この場合には、もちろん事実状態がよくなりますから家賃が上がるのは、これは普通の事態だと思いますけれども、それがその人たちの収入と比べまして急速にまた多額に上がり過ぎており、そのためにもう少し低い家賃のところに移っていきたいというふうなときには、やはり生活をすることが困難である、あるいは不適当とする事情があるというふうに審査会で御判断になるのではないかと考えておりますが、いずれにしましても、個別的な事情をこの審査会で御判断をいただきまして、そして、こういう事情でやむを得ず外に出ていくのだという認定がありますれば、先ほどの買いかえなり千二百万円の控除措置ができるわけでございます。
  324. 北側義一

    北側分科員 そこらが非常にむずかしいところなんですね。なるほど審査会を設けてありますが、この審査会には借家権者は入っていないのです。これはもう御存じのとおりだと思うのです。借家権者の発言力というものはないわけです。いまあなたの言われるように公益的な人、いろいろな学識経験者というものが入ってくると思うのですが、そういう点で、やはりこの政令だけは実際はっきりしないわけなんです。そういう点で私、質問をしているわけなんです。  そこらで一番問題なのは、御存じのとおり、いまもあなたが言われたとおり、再開発をされた場合には面積、が非常に狭くなるわけです。特に借家人の場合には、御存じのとおり、家主が外に出た場合には施行者が家主になるわけですから、そうしますと、施行者と借家人との契約になるわけです。そうしますと、普通借家人の場合には、おそらく一千二百万円ももらえる借家人というものは非常に少ないのではないかと思いますが、いずれにいたしましても、これが適用されるかされないかで非常に大きな影響がもたらされるわけです。再開発される人のほうは、組合施行の場合ですと一応五分の三の賛成があればできるわけです。やり出すと比較的スムーズなのです。ところが、地方公共団体の分は反対が非常にきついわけなんですね。そういう点からも、なるほどこの審査会でいろいろ検討をなさることは私も知っておりますが、やはり抜本的な一つの大筋でも出さなければ借家人が非常にかわいそうではないか、かように私は思っておるのです。そういう点、もう一ぺん答弁をしてください。
  325. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 私どもこの政令で、あるいはやむを得ない事由と判断いたしますものについて、立案いたしました場合には、先ほど申し上げましたような事態を予想し、それからまた審査会の公益委員の方々の御意見ということで、うまく動くのではないかという予想を持っておりましたが、現実にいまお話しのように、これから各地、でもって市街地の再開発事業というものが行なわれてまいりますので、はたして私どもの予想しましたようにうまく動いていくかどうかという点は、これはまだ実績もそう持っておりませんから自信もございません。いろいろ各地でもって私どもの予想しないような事態が起こってまいりますならば、またそういうものに合うように、政令もはっきりとよりこまかく規定をする必要があろうかと考えますけれども、大体いままでのところはうまく動いていくのではないかというふうな予想でございますけれども、今後とも検討は続けてまいりたいと思っております。
  326. 北側義一

    北側分科員 大臣、そういうことでございますので、これからやはり毎年毎年新しい会社がふえていくわけですから、そういう点を特に注意をして見ていただきたい、このことをお願いしておきます。  それからいま一つ、借家人の場合もやはりこの権利変換に際して対価補償という形になるわけですか。
  327. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 そういう場合、権利変換を選ばれないでもらう場合には、補償金を受け取ると思います。
  328. 北側義一

    北側分科員 ちょっと私の質問がまずかったかもしれませんが、結局こういうことです。借家人の場合もやはりこういう対価補償ということで、これは一時の立ちのき料とかそういうものではないのですね。そういう立ちのき料というものはまた別なんですね。
  329. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 権利変換を選ばれないで、いわゆる補償金を得られました場合には、それが所得税法上一体どういう所得になるのかという問題がございます。で、ある場合には譲渡所得になりますし、ある場合には立ちのき料としまして一時所得の範疇に入る場合がございます。前者の譲渡所得として課税が行なわれる場合というのは、やはりそういう借家権が売買される取引慣行というのがある地域でございますとか、あるいは法律上そういう借家権という権利移転が行なわれるという体制になっておれば譲渡所得として扱い得るわけでございますが、そういう取引慣行がない、あるいはそういう法律上の権利移転というのが行なわれないような場合には、やはり普通の立ちのき料といたしまして、一時所得の範疇に入る場合のほうが多いと考えられます。
  330. 北側義一

    北側分科員 これは非常に問題があると思うのですよ。これは、たとえば対価補償という場合と、立ちのき料という名目になる場合と税金が全然変わってくる。そうじゃないですか。片方ではこういう措置が講じられてある。借家人はたとえば立ちのき料としてもらって、いずれにしてもそこを出たら——再開発地区ができると、先ほど言うたような理由で出なければならない場合が出てきます。その場合、立ちのき料というような名目になりますと、税金がうんと高くなるのじゃないですか。
  331. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 先ほど言いましたように、やむを得ない事由ということで考えます場合にはすべて買いかえでございますし、あるいは千二百万円の控除でございますのは譲渡所得を対象にいたしておりますから、この場合には渡譲所得として考えるわけでございます。立ちのき料として一時所得の課税をいたします場合と、先ほど言いましたように借家権の対価としてもらうものを譲渡所得で課税いたします場合とは、大体は変わりございません。といいますのは、長期でございますれば、譲渡所得についても四十万円の控除をいたしまして、その控除後の残額の半分を他の所得と総合して課税をいたしますし、立ちのき料としまして一時所得として課税をします場合にも、四十万円を控除いたしまして、その控除後の残額の半分を他の所得と合算総合課税をいたしますから、結果としてはそんなに違ってくるとは思いません。
  332. 北側義一

    北側分科員 ちょっとわからないのですが、たとえば例をあげましょう。借家人が出ることについて三百万円もらいました。その場合、たとえばここで書いてあるとおり、特別の措置によって、千二百万円以下ですから、そのままもらって、その人は三百万円でまた他の家へ移れるわけですね。それがいまあなたの言われた四十万円の控除がされて、あと二分の一の分については総合所得で課税されるというのはどういう場合ですか。
  333. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 ちょっと私の説明が複雑で申しわけございませんでしたが、三百万円もらった方が先ほどの審査会の認定を得まして、やむを得ずに外へ出ていくという場合には、千二百万円の控除でございますから、課税が起こらないわけでございます。そのやむを得ないという認定を得られない方につきましては、三百万円もらいますと、そこから四十万円引きまして二百六十万円になりますが、二百六十万円の半額の百三十万円を、他の所得と合算して課税することが起こる場合があるということでございます。
  334. 北側義一

    北側分科員 ここが一番大きな問題になってくるわけです。ここのいわゆる当てはまるか当てはまらないか、非常に大事な問題になってくるわけです。  次に、これは起債の関係でお聞きしたいのですが、御存じのとおり、今度の住宅金融公庫法の一部改正では、再開発によって組合施行で建てた分につきましては、住宅金融公庫のほうからお金が貸せるようになっているわけです。地方公共団体の分については、いままで起債でやっておる、このように聞いております。今度の場合、住宅金融公庫融資で建てる住宅については、それが前提となった施設、建築については、その購入者に対して融資をいたしましょう、いわゆる七五%、償還期限十年ですか、住宅部分が七分、非住宅部分が七分五厘でやりましょう、こうなっているわけです。ところが、その場合地が公共団体施行の分については、そういう購入資金というのは、いまこのように講じられていないわけです。その場合、地方公共団体が起債を求めてきた場合に、そういう購入資金として起債を認めますか、どうでしょうか。
  335. 高瀬三郎

    ○高瀬説明員 ただいまの御質問でございますが、地方公共団体施行の再開発事業の場合には、御承知のように縁故債で施設、建築をすることにしております。この場合、従来やっております考え方としましては、縁故債を借りかえるというようなことで、七年間のものをたとえば二十年にしていくというようなことで、これは公共団体の施策として、購入者に対しては割賦分譲、割賦的に代金の納入をさせるというような仕組みでやっておる例が多うございます。  それから、今度の住宅金融公庫の再開発につきましての融資制度というものは民間の施行者、要するに組合施行でございますと建設組合でございますので、特に資産も何もないわけでございますから、非常に市中銀行から借りにくいという条件もございます。そのために建設資金そのものに困っておる。公共団体の場合には、縁故債でありましても起債ができるという立場もございますが、民間の場合には非常にその点がむずかしいという点もございまして、住宅金融公庫としては建設資金を貸すというのを、事業を推進するための一つの重要な施策と考えておるわけであります。しかもこの場合、金利は高いけれども、借りかえという形で購入者にもその資金をつなぐ、こういう制度をとっておるわけでございます。したがいまして、地方公共団体施行の場合には縁故債のいわば割賦返済という形で、それを購入者に対しましても及ぼすというような手だて、あるいは従来の制度でいえば住宅金融公庫の個人貸し、分譲貸しということにつなぐ方法はございます。ただ、今度の中高層等の融資制度の改正につきましては、建設者に貸したものに対しまして購入資金に振りかえるという形をとっておる次第であります。
  336. 北側義一

    北側分科員 私、考えるのはこういうことなんですよ。一つはこのように明文化されておるわけです。これから地方公共団体施行の再開発をじゃんじゃんやっていくでしょう。その場合、地が公共団体もいろいろあると思います。そういう縁故債等をやってやろうというところもあるでしょうし、またそれを明文化されてないから、やらないでも別にどうこうということはないわけです。そこらを私ども非常に心配しておるわけです。再開発される側にとっては同じものですから、そこらの問題を心配しておるわけです。この事業は新しい事業ですから、そこらの問題はこれからまたひとつ考えていただきたいと思います。  時間がないので、いまの質問とはまた全然変わった問題なんですが、二十八年に国税庁の通達で、条件つきながら課税しない経済的利益に数えられておりましたところの永年勤続者に対する表彰の金一封、これが今度国税庁の通達改正で税金がかかるようになったと聞いておるのですが、この問題についてはどのようにお考えなんでしょうか。
  337. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 ちょっと国税庁の方がおりませんが、私が承知しておりますところをお答え申し上げますと、これは今度そういうふうになったことではないようであります。所得税に関しますところの基本通達を昨年直しまして、そのときに、従来から永年勤務者につきまして、会社等が職員に与えますところの金品について、ある程度のものは課税しないといっておりましたのが、最近非常にお金を多額に出すという例がございますので、お金の場合には課税する所得の中に算入をいたします。品物の場合には従来どおりのような考え方をとるというようなことでございますので、現金を支給するものについては課税をするということに改めたようでございます。
  338. 北側義一

    北側分科員 これは所得には間違いないと思うのです。しかし、実際問題としていままで条件はついておりましても、ある程度のものについては免税扱いされておったわけでしょう。そうしますと、いまの税制のあらゆる面を見てみますと、やはりサラリーマンが一番取られているのじゃないかと思うのです。源泉徴収でばっちり取られておるのです。これはあなたらも同じじゃないかと思うのです。そういう金額に対して課税するということについては、何らかのワクを設けるとかして、そうやらないのがほんとうじゃないかと思うのです。その点どうでしょうね、大臣
  339. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 おっしゃいますように、いろいろ給与所得者につきまして、あまり問題にならない程度金額で、たとえば夜食が出ました場合とか、先ほどの永年勤続の場合に杯を出すとかいうものについてまで、ことさらこまかく課税をするというようなことはいかがかと思いますけれども、多額の現金が出ます場合にまでそれに課税をしないということは、やはりそういう永年勤続者に対する表彰金を受けるところと受けないところとの問題もございますから、昨年来国税庁のほうでも、最近そういった現金支給の金額が非常にふえてまいりました事情を勘案いたしまして、所得税の課税をいたすということに割り切りましたのも、あながち不均衡ではないというふうに私ども考えております。
  340. 北側義一

    北側分科員 あなたの言うこともわかるのです。わかりますが、しかし、物品だったらかまわないというのでしょう。そうでしょう。だから私、思いますのに、ワクをきめて、ここから以上はかかるとかなんとかするのだったら話はわかる。そうじゃなくて、金一封については全部かかるのだ。そこらが、源泉徴収等で一番取られているサラリーマンがこのようになるということについては、非常に過酷ではないか、こう思うのです。大臣、どうですか。
  341. 水田三喜男

    水田国務大臣 退職金などと同じような取り扱いを、永年勤続の表彰についてするかどうかというようなことだろうと思いますが、これは最近の実情が非常に多く金銭が出るということですが、結局実情によって、相当大きいものが出るということでしたら、何らかの考える必要があるかもしれません。検討いたします。
  342. 北側義一

    北側分科員 もう時間がないのですが、もう一つだけ大臣にお願いします。  日本住宅公団の家賃の問題なんですが、これは家賃の問題については大蔵省関係ないわけです。しかし、ことしの建設省の予算で、日本住宅公団の家賃が非常に上がっている。特に面開発される住宅については三万円をこえている。そういうことで、傾斜家賃とかいろいろな方法を講じておりますが、御案内のとおり、地価の急騰とか工事費の値上がりとか、またそのほかに団地建設に伴う市町村の公共関連施設、これらの負担額とかが年々ずっとふえておるわけです。そういうことで、日本住宅公団の団地建設についての資金の利率五%を四%にしますと、約三千円ほど家賃が安くなるわけですが、実際の問題としては、この五%を四%にしてもらいたいという要望が通らなかったわけです。しかし、今後の見通しとして、大臣はこの問題についてはどのようにお考えになっているのでしょうか。
  343. 橋口收

    ○橋口政府委員 住宅公団の家賃問題につきましては、いろいろ経緯がございます。先生御承知のように、最近の家賃水準から見まして非常に低いものもございますし、ただいま御指摘のございましたように、常識から言いましてかなり高いものもございます。ある時期に入りましたものにつきましては居住権が発生いたしておりますから、いまの契約上は、物価その他の情勢の変動によりまして家賃を改定することができるようなたてまえになっておりますが、実際問題として不当に安い家賃の是正は行なわれない。一方、新しく建設されたものにつきましてはかなり高い家賃が出ている。こういう住宅公団の利用者の負担の是正の問題もございますので、住宅公団の建設コストをどうするかという問題は、そういう問題の一環として検討する必要もございますし、さらに面開発のごときは相当高い家賃にもなっておりますので、家賃問題につきましては、いわば建設省に対して宿題として預けてあるわけでございます。  四十七年度におきましては、おおよその見当といたしまして、家賃の是正というものはやりにくいと思いますが、しかし、この問題は将来とも検討する必要がある問題でございますし、単に高いものを安くするという問題のほかに、繰り返して申しておりますように、低いものについても是正をする、こういう措置を並行してやる必要がございますので、将来の問題としておわせて検討いたしたいというふうに考えております。
  344. 北側義一

    北側分科員 もう時間が過ぎましたので、これでやめますが、この問題につきましては非常に大事な問題だと思います。そうしなければ住宅公団法の法の目的にも反してくるのではないかと思います。そういう点、できたらやはりこの利率の五%を四%にしてもらいたい、このことを強く要望して私の質問を終わります。
  345. 森下元晴

    ○森下(元)主査代理 古寺宏君。
  346. 古寺宏

    古寺分科員 最初に専売公社にお尋ねをいたしますが、専売事業審議会の答申に基づきまして、今年の初めにニコチン、タールの成分表示を行なう、こういうふうに報道されておったわけでございますが、現在まで行なわれていないようでございますが、この点についてはどういうふうになっているか、承りたいと思います。
  347. 北島武雄

    ○北島説明員 むしろ大蔵省からお答えいただいたほうがよろしいかと思いますが、昨年、専売事業審議会から大蔵大臣の御諮問に対する答申が出たわけでございますが、まだこれに基づきまして御指示がございませんので、大蔵省の御指示待ちというふうな状況でございます。
  348. 古寺宏

    古寺分科員 新聞の報道によりますと、大蔵大臣の指示がなくても専売公社は成分表示をする、こういうふうに報道されておったのですが、大臣からおそらく指示がないのだと思いますので、大蔵大臣からお答えを願いたいと思います。
  349. 福間威

    ○福間政府委員 御指摘のように、昨年の三月専売事業審議会から、たばこの煙中のニコチン、タールの量を表示するようにという答申がございましたのですが、昨年十二月の衆議院の大、蔵委員会におきまして与野党の諸先生から、この際審議会の答申した表示にかえて、過度の喫煙について注意を促す趣旨の表示をすべきであるという御提案がございまして、ただいまこの御提案を含めまして検討中でございます。
  350. 古寺宏

    古寺分科員 そういたしますと、成分表示だけではなくて、有害表示まで検討しておる、こういうふうに受け取ってよろしゅうございますか。
  351. 福間威

    ○福間政府委員 ただいま申し上げましたように、与野党の諸先生から御提案がありましたのは、過度の喫煙について注意を促す表示をするようにという御提案でございました。何をもって有害表示というかということでございますが、私どもは、およそ喫煙をすることは害があるというような表示が本来の有害表示ではないかと考えております。そういう点から言いますと、ちょっと性質が違うかと考えております。
  352. 古寺宏

    古寺分科員 そうしますと、洗剤にいたしましても薬にいたしましても、過度に飲むと有害なんです。適当な量を飲む、適当な量を使うと有効なんです。あなたのおっしゃる考えからいきますと、たばこをのむのは全部有害ということに受け取れるので有害表示はできない、こういうふうにいまお話しになったようでございますが、その点についてはどういうふうにお考えでございますか。
  353. 福間威

    ○福間政府委員 先ほど申し上げました、昨年の三月に出ました専売事業審議会の答申におきましては、喫煙と健康の関係につきまして医学的な検討も行なっておりますが、その結果によりますと、喫煙が健康に有害である、およそ喫煙することが健康に有害であるということをまだ断定できる段階ではないということになっております。
  354. 古寺宏

    古寺分科員 したがいまして、成分表示のほかに過度の喫煙は有害である、こういうような表示をしなさいというような考え方のように受け取れるのですが、そういう方向でそれでは今後検討する、そういうふうに踏み切っていく、こういうふうにお考えなんですか。
  355. 水田三喜男

    水田国務大臣 過度の喫煙は健康によくないというような表示をしたらという意見が、大蔵委員会で野党の委員から出てまいりまして、したがって、それを私どもは一応考えまして、何かそういう形で表示をしたらどうだろうかという検討をいましておるところでございますが、審議会の答申は御承知のとおりでございますし、またいまおっしゃられているように、過度の喫煙が健康を害するということでしたら全部そうで、過度の飲酒においても同様でございますし、何でも過度のものは健康を害するということだから、ことさらにそういう表示はおかしいじゃないかという議論が出ておりますし、また同時に有害だということについては、いま監理官が言われたとおり医学的に結論がついているわけではございませんし、また有害なものを国民に政府が売るわけにもまいりませんし、そういうような問題で、この審議会の答申と国会の大蔵委員会との意見の調整をどうしようかということを、いま考えておる段階でございまして、まだ結論が出ておりませんです。
  356. 古寺宏

    古寺分科員 大体いつごろまでに結論をお出しになるお考えですか。
  357. 福間威

    ○福間政府委員 できるだけ早く結論を出したいと考えております。
  358. 古寺宏

    古寺分科員 そこで、専売公社では各たばこの有害物質、いわゆるニコチン、タールの含有量について調査をしていると思いますが、最近は減少の方向に向かって、栽培方法あるいは品種の改良等考えておられますか。
  359. 北島武雄

    ○北島説明員 お答えいたします。  たばこの煙の中のニコチン、タールを減らすには、実に品種の問題から始まらなければならないわけでございます。これにつきましては、現在第二黄色種の相当部分を、それよりもニコチンが四割程度少ないMCという品種に四十七年度から転換したい、こういうふうに考えております。  それから栽培方法につきましても、いろいろニコチンの少なくなるような栽培方法でやる、また製造方法につきましても、加工につきましても、そういった技術を懸命に開発いたしまして、できるだけニコチン、タールの少ないたばこをつくりたい、こう考えておりまして、また努力いたしておるところでございます。
  360. 古寺宏

    古寺分科員 品種やあるいは肥料によってニコチン、タールの含有量が変わってくる、こういうふうに承っておりますが、バーレー種で申しますと、国内産と輸入品ではどちらがニコチン、タールが多いわけですか。
  361. 稲川徹

    ○稲川説明員 一括して申し上げるのは非常にむずかしいのでございますが、大ざっぱに申し上げますと、外国のものと日本のものとそれほど変わらないというふうにお考えいただいてけっこうだと思いますが、産地によって非常に違っておるのです。また栽培方法も違いますし、品種も若干違いますし、気候風土も違うということで、バーレーについてそれほど大きな差があるというふうにお考えいただかなくてもけっこうかと思いますが、しいて言えば、日本のほうがやや高目であるというふうに考えていただいてけっこうかと思います。
  362. 古寺宏

    古寺分科員 そこで、肥料をたくさんやりますとニコチン、タールの含有量がふえる、こういうふうにいわれているわけでございますが、専売公社はたばこの耕作につきまして、肥料については十アール当たりの基準は幾ら、しかもそれが一律でございますね。土質あるいは地形その他に関係なしに全部一律に基準を示して、一括購入の形で肥料が配給になっているわけです。一反歩八俵とか九俵とか、みんな同じように、もう一律基準でございます。これは先ほど御答弁になった内容から申しますと非常に矛盾しているというふうに考えるのですが、今後ニコチン、タールの含有量を減らす立場からいっても、当然この基準というものを再検討して、むだな肥料というものはやめるべきじゃないか、こういうふうに思いますが、いかがですか。
  363. 稲川徹

    ○稲川説明員 肥料を多くやる傾向というのは、耕作者のほうは生産高を上げたいためにどうしてもたくさんやりがちになります。ところが、いま先生御指摘のように、そういう栽培をいたしますととかくニコチンの高い製品ができるということで、私どもはその辺を勘案いたしまして、肥料の多過ぎないような基準を示して、それをもとにして指導をいたしております。もちろんニコチン、タールの量が適正なところへおさまるようなことを配慮しながらその基準を定めておるというのが現状でございます。
  364. 古寺宏

    古寺分科員 肥料のほうは過剰なぐらいに配給をしておる。そして農家は、いまお話しになったように、等級のいい品種をたくさんつくって収入を上げたい、これはだれしもが願うことです。しかも、たばこをつくっている農家というものはわりあいに零細農家が多いわけです。ところが、いまの御答弁から言うならば、そういう農家の所得を向上さしてあげるためには、たとえば乾燥室でございます、その乾燥室をつくってあげなければならない。お金がなくてはできない。五十万も六十万もする。ところが、これに対するいわゆる補助金というものが四万そこそこです。そうしますというと零細農家はできない。ところが、これのワクが非常に少ないために、思うように乾燥室をつくりたくてもできないわけです。青森県の例で申し上げますというと、乾燥室を持っているたばこ耕作者というのは二七%なんです。あとの方はみんな、一枚一枚自分の家に下げて、そして年とった、もう出かせぎに行ったあとの家庭の方々がたんねんに乾燥さしているのです。そういうところには全然助成してあげない。これはどういうわけですか。
  365. 稲川徹

    ○稲川説明員 乾燥室の問題でございますが、御承知のように、バーレー種につきましては、本来が空気乾燥をいたす品種でございます。したがいまして、従来のように耕作農家の規模が非常に小さかった時代には、いま先生おっしゃるように、軒下につるということで済んでおったわけでございますが、耕作経営の合理化と申しますか、自立できるような耕作形態にいたしますために、規模がだんだんだんだん大きくなっております。私どももそれを望んでおります。したがいまして、そうなりますと、いま申し上げたようなことではいけませんで、乾燥室が必要になってまいります。そういうことで、特に青森県等乾燥室の需要が非常にふえてきたわけでございますが、先生いまおっしゃいましたように、いまの乾燥室の普及率というのは、青森県全体で見ますと四〇%やや切るぐらいのことになっているように私は思います。  それに対する助成のほうでございますが、おっしゃいますように、補助金制度がございまして補助をいたしますが、先ほど申しましたように、需要が非常にふえてまいりましたので、特に四十七年度の予算案の中では、大蔵省のほうと御相談いたしまして、たいへんふやしていただいております。したがいまして、これは予想でございますが、特に青森県、東北の方面につきましては、乾燥室の補助金の額というのは何倍かになるのではないかというふうに私は思っております。
  366. 古寺宏

    古寺分科員 あなたはどういうデータに基づいておっしゃっておるかわかりませんが、私は実際に調査をして二七%という数字が出てまいったので、今後この補助金を大幅にふやして、そして乾燥室の建設あるいは設備の改善を進めて、省力化を推進していただきたいということを特にお願いを申し上げておきます。  次に、バーレー種は非常に低ニコチン、低タールであるということで需要がどんどんふえているようでございますが、今後これを大幅にふやしていくというお考えをお持ちでしょうか。
  367. 稲川徹

    ○稲川説明員 御承知のように、消費者の嗜好の変化で、アメリカタイプのたばこの需要がたいへんふえております。したがいまして、必要なバーレーという品種の原料がたいへんたくさん要る傾向にどんどんなっております。したがいまして、極力国内でもバーレーの増産をはかりたいと、このように考えております。
  368. 古寺宏

    古寺分科員 青森県の耕作面積については、どのくらいの増反をお考えになりますか。
  369. 佐々木幸雄

    ○佐々木説明員 いま青森県だけをということに先生の御質問ですが、資料を持っておりませんけれども、現在東北地方のバーレーが、四十七年が大体五千五百ヘクタールから六百ヘクタールくらいというような感じでおります。いろいろ産地のほうの農業事情、労働力、そういうようなものを加味しまして、公社のほうも、いま本部長が言いましたようにできるだけバーレー種がほしいわけでございますけれども、架空な数字でものを考えてはいけませんので、いろいろその辺を試算してみておりますが、大体八千ヘクタールとか、その程度までは現在のような公社の施策の中で伸びていくんではなかろうか、できることでありますならばそれ以上に伸ばしたい、こういうようなかっこうでおりますので、その主力産地は何といいましても青森県、岩手県ということになりますから、現在よりも約五割ぐらいな面積を確保できればありがたいことだ、こういうようなぐあいに思っております。
  370. 古寺宏

    古寺分科員 バーレー種は相当外国からも輸入しているようでございますが、耕作農家は反別をふやしていただきたいという希望が非常に強いようでございますが、なかなか規模を拡大することは許可にならない。あるいは新規の農家も希望しておるけれどもなかなか認可されないというようなお話も聞いておりますので、今後は高い外国のバーレー種を輸入するよりも、国内において増産をするように御配慮を願いたいと思います。  次に、たばこの収納時期における鑑定の問題でございます。たくさん配給になった肥料をたっぷり入れて、そしてせっかく収納するときになってその鑑定が非常に適正ではない、不公平である、こういうような声が非常に強いわけでございますが、この鑑定についてはどういうふうにして適正化をはかっていく考えか、承りたいと思います。
  371. 稲川徹

    ○稲川説明員 いま先生の御指摘の御真意がどこにあるか、ちょっとはかりかねるわけでございますが、御承知のように鑑定は、私どもの公社の中の鑑定技術者の訓練を、こまかく申し上げるといろいろございますが、非常に緻密に訓練をいたしておりますが、そういう訓練を経た二人の鑑定者が独立に鑑定をいたしまして、その二つの鑑定が合致したときにはじめて鑑定の結果がきまるというような慎重な態度をとっております。同時に鑑定のもとになります標本、葉たばこの標本がございますが、葉たばこの標本の設定につきましても、中央、地方を通じまして耕作者のほうの委員をお願いをいたしまして、その方々の意見を十分お聞きした上で設定をいたしておりますし、その標本に照らしての鑑定でございますので、鑑定について遺漏があるというふうには私どもは思いませんのでございます。
  372. 古寺宏

    古寺分科員 聞くところによりますと、部落等におきまして、引当みつぎものをしないと等級を上げてもらえない、帰にはトラック一台くらいのお酒を持っていかれるというようなお話も聞いております。今後はそういうような無知な農民をいじめるような、そういうような鑑定ではなしに、もっと科学的な根拠のある鑑定方法というものを考えて、適正化をはかっていただきたいと思うわけでございます。簡易水分測定器というものも拝見いたしましたが、これも相当に古い、しかもその誤差がどの程度であるかという検定もしないでお使いになっているようでございますし、さらにまた、この鑑定の場合には耕作者の代表も立ち会わせていただきたい、こういうふうに耕作者の方々も申しておりますので、そういう点についてもひとつ十分に考慮をしていただきたいと思います。  次に、これは総裁にお尋ねしたいのですが、どこの町村に行っても刻みたばこが非常に少なくてお年寄りが困る、こういうことをしょっちゅう私どもは言われるわけでございます。数字をずっとお聞きいたしましたところが、青森県の場合は非常に少ない。一つの町で五個かそのくらいしか配給がこない。そのために刻みたばこはやみで販売されているということも承っております。こういう点について、今後お年寄りのためにも刻みたばこをふやしていただきたいと思うのですが、この点についてはいかがでございますか。
  373. 北島武雄

    ○北島説明員 刻みたばこにつきましては、生活様式が変わってまいりましたので、年々需要が激減いたしてまいりますし、現在お吸いになっている方々の平均年齢が大体七二、三くらいと推定されているわけでございます。しかも、地方によって非常に刻みのお好きな方々が偏在しておる。農山漁村に多い。したがって、少ない全体の量を全国の小売り店に全部渡すわけにまいりませんので、できるだけこれは重点的に需要のある地域に配給しようといたしております。  しかしながら、何と申しましても、全体の量がただいま少ないので御迷惑をかけているということはたいへん申しわけない次第でありますが、昭和四十七年におきましては、あらゆる方法を講じまして何とかして増産いたしたい、こう考えておるわけであります。これには労働組合との間の時間外勤務の協定等も行なわなければなりませんし、また機械のフル稼働等の処置も講じなければならぬわけでございますが、何とかしてお年寄りの方々に、刻みをほんとうに愛好なさっている方々のお手元に渡るようにいたしたい、こう考えております。
  374. 古寺宏

    古寺分科員 次に、輸入たばこの問題でございますが、四十三年の五月から据え置きになっているようでございますが、円の切り上げによってこれは当然値下げを断行すべきではないか、こういうふうに考えるわけでございます。先般も物価対策閣僚協議会等もあったようでございますが、今後、大蔵大臣、専売公社ではこの値下げについてどういうふうにお考えになっているか、承りたいと思います。
  375. 水田三喜男

    水田国務大臣 物価対策の閣僚協議会が三月三日にございましたが、そのときの決定は、外国製造たばこについては、公社購入原価の動向、利益率等を勘案して小売り定価につき検討を行なうというふうにきまっておりますが、これは結局、検討をして、値下げの余地がある場合には値下げをするという含みの決定であったことは確かでござ  いますので、公社が外国たばこ会社との間で行なってきた本年度の下期の輸入価格の交渉結果を見た上で、幾らの値段にするかというようなものを決定したいというふうに考えております。
  376. 古寺宏

    古寺分科員 円切り上げによって、為替差益というものを消費者に還元するという手本を国が示すという意味からも、ひとつ早急に輸入たばこの値下げというものを断行していただきたい、こういうふうに御要望申し上げておきます。  最近、たばこの生産、販売も自由競争時代に入った。日本の専売公社もこの国際化の波を受けて、いままでと違ったあり方を検討しなければならない時期が到来している、こういうふうにいわれているわけでございますが、総裁の今後の抱負、御決意というものを承りたいと思います。
  377. 北島武雄

    ○北島説明員 よく反省いたしますと、専売公社はあまりに国内に閉じこもり過ぎていた、こういう感じがいたします。たとえば、昭和四十七年度には一兆円をこす総売り上げというものが見込まれますが、その中で一体製造たばこの輸出はどのくらいであるかということを考えると、十数億にしかならぬわけです。そういった企業はほかにはないので、今後専売公社といたしましても、できるだけ海外のほうに目を向けて、公社のたばこができるだけ広く世界にも需要に応じて供給されるように私ども勉強していかなければならぬ、こう考えているわけでございます。
  378. 古寺宏

    古寺分科員 海外の消費市場の開拓について、大蔵大臣はどういうふうにお考えになっておりますか。
  379. 北島武雄

    ○北島説明員 製造たばこの輸出と申しましても、実はその大部分が外航船舶等によるものでありまして、ほんとうの輸出というものは、地域はだいぶ分かれてたくさんございますけれども、ごく微々たるものでございます。しかし、それにいたしましても、フランスにはハイライトが輸出されております。それから目下香港でハイライトのエクスポートのキャンペーンをいたしております。それから東欧圏でございますが、ブルガリアには毎年相当数の輸出がございます。それからソビエトにもシベリアの沿岸地帯への輸出も見られておるわけでございます。しかし、これから市場を開拓いたしますのは、いままで外国の企業が長年にわたって築いてまいりました地域に食い込むわけでございますので、一方ならぬことであろうと思います。しかし、これは私どもぜひともやらなければならぬだろう、こういうふうに考えておるわけでございます。
  380. 古寺宏

    古寺分科員 次に、中国からの葉たばこの輸入の問題はどういうふうになっているか、承りたいと思います。
  381. 北島武雄

    ○北島説明員 いままで、毎年中国から葉たばこを買ってくれないかという話がございましたが、必ずしも事情がよくわかりませんので、話はまとまっておりませんでした。最近サンプルなどを見ますと、ニコチンがだいぶ少ないようでございますので、それならば試験的にひとつ四十六年度買ってみようじゃないかということで、覚書貿易でも一応四十トン以上ということで当初約束しておりますが、最近調査団が参りまして現地で調べた結果、百トンということで、百トンの中国葉たばこを試験的に購入いたすことにしたわけでございます。
  382. 古寺宏

    古寺分科員 それでは時間ですから終わります。
  383. 森下元晴

    ○森下(元)主査代理 芳賀貢君。
  384. 芳賀貢

    芳賀分科員 この際、大蔵大臣に対して、主として食管特別会計予算並びに林野特別会計予算に関連した問題についてお尋ねいたします。  まず第一に、昭和四十七年に生産される米価の決定の方針でありますが、これについては大蔵大臣の予算の説明の中で、四十七年の両米価は、生産者米価並びに消費者米価とも前年同様据え置きの方針であるということを述べられております。これは政府の予算編成上、従来の例によりましても前年度米価をもって予算米価を計上しておるわけでありますからして、予算編成上のたてまえとして前年同様の米価ということで計上したと理解していいわけですか。つまり、実行米価は予算米価と違う、この基本的な点について明確にしてもらいたい。
  385. 水田三喜男

    水田国務大臣 私が前に説明しましたのは、予算米価である、実行米価とは違うということを言ったわけです。
  386. 芳賀貢

    芳賀分科員 それでは、実行米価については食管法の示すところによって、決定の時点で適正な価格というものをきめるという方針ですね。
  387. 水田三喜男

    水田国務大臣 そうすべきものと思います。
  388. 芳賀貢

    芳賀分科員 次にお尋ねしたいのは、ことし二年目になりますけれども、昨年から政府は全量買い上げの食管の方針を政令で改めて、政府が一方的な必要数量だけを事前に割り当てをして、その限度以内において契約をして買い入れをするということで、ことしもすでに末端の知事を経て市町村長までおりておるわけです。特にこの中で内容が両建てになっていまして、去年は事前割り当て数量は七百六十万トン、ことしは三十五万トンふやして七百九十五万トンということになっておるわけで、ただ問題は、その中で昨年は七百六十万トンのうち政府が直接買い入れとして定めた目標については五百八十万トン、あとの百八十万トンについてはでき得る限り農協を中心として自主流通米で、これを政府の管理のもとで販売をさせるということで割り当てをしてわけです。ことしは総体で三十五万トン必要量がふえたわけですが、政府直接賢い入れの目標は前年同様に五百八十万トン、自主流通米の分を三十五万トンふやして二百十五万トンということにしておるわけです。こういう傾向から見ると、毎年毎年必要数量のうち政府が食管特別会計で負担するいわゆる二重米価制による食管の負担を減額して、政府が負担をしないで済む自主流通米の割合をふやす、こういう点が、二年目の今日明らかになっておるわけであります。これはどのような意図に基づくものですか。だんだん直接買い入れを減らして、食管の負担の要らない自主流通米の割合をどんどんふやすという考えかどうか明らかにしてもらいたい。——これは大蔵大臣に聞いているんですよ。あなたは食糧庁で農林省です。そのくらいのことは大蔵大臣、わからぬじゃだめだ。予算編成の責任者だから聞いているんだ。大事な点だからね。
  389. 水田三喜男

    水田国務大臣 別に、いまおっしゃられるように、政府の負担にならないほうを多くするという意図を持ってやっておるわけじゃございません。
  390. 芳賀貢

    芳賀分科員 それでは、総体で三十五万トンふやして、ふえた分だけを自主流通米でふやしておるというのはどういう意味なんですか。
  391. 水田三喜男

    水田国務大臣 だから、そういう技術的な問題は事務のほうで説明してもらいます。
  392. 芳賀貢

    芳賀分科員 いや、いいです。大蔵大臣がわからぬというなら、それはしょうがないでしょう。そういうことに大蔵大臣なっておりますよ、ことしの買い入れ制限の事前割り当て方針というものは。これは国民が見ても、食管が負担しない政府の管理米をどんどんふやすということは、将来も消費者米価に対しては二重米価制をやめて、全部いままで政府が負担しておった経費というものは、直接消費者である国民に転嫁させるという考えであるということが明らかになっておるわけだが、これは当然食管制度の基本に触れる問題だということを肝に銘じておいてもらいたいと思います。  次にお尋ねしたい点は、政府は四月一日から消費者米価に対する物統令を、適用から除外するということでありますが、除外するということは、たとえば政府の立場においてどういう利益があるか、消費者である国民の立場からどういう利益を受けることになるかという点について、大臣から明らかにしてもらいたい。——あなたが廃止論者なんだから、自分で答えてください。こんな簡単な質問に答弁できないようじゃしょうがない。
  393. 水田三喜男

    水田国務大臣 財政負担には直接的な影響はございません。で、消費者から見ましたら、いままでのように画一的に統制を行なわれておるのでございませんので、品質、銘柄、味というようなものについて選好に応じた格づけ制度が行なわれるということにおいて、これは消費者にとっては非常に有利になることというふうに考えます。
  394. 芳賀貢

    芳賀分科員 はずすことによって、消費者は従来よりも安い米を買うことができるというわけですね、有利になるということは。
  395. 水田三喜男

    水田国務大臣 必ずしも安い米ということになるかどうかはわかりませんが、私はいまの米価のあり方から見て、これによって特に米価が上がるというふうには考えませんが、しかし値段が均一である以上、米の品質とかいうようなことをいろいろ言っても、なかなかそういきませんので、こういう物統令を解くことによって、いい米はやはりある程度値段が高くなるでしょうし、悪い米は値段が安くなる、そうして消費者は自由にそれが選好できるということになるのですから、消費者にとっては少しも不利なことはないだろうと思います。
  396. 芳賀貢

    芳賀分科員 これは万一そうやった場合、大臣の言ったような結果が出ないですからね。絶対にそういう結果は出ないということを、ここで私は明らかにしておきます。そのときになって、いや、見込み違いでしたということにならぬように、慎重にやってもらいたいと思うのです。  その次にお尋ねしたい点は、かりに四月一日から物統令をはずした場合、物統令によるところの卸売り価格並びに小売り価格に対する規制というものはなくなってしまう。統制がなくなるわけでしょう。これは、食管法の第四条の売り渡し価格の決定を補完する意味で物統令が働いておったわけですが、それが今度はなくなるわけです。なくなった場合は、食管法第四条の規定に基づいて指定卸売り業者、これは卸売り業者と小売り業者をあわせて指定販売業者ということを法律できめておるわけです。だから物統令がはずれても、食管法第四条の規定に基づいて政府は生産者から買い入れた米を、販売価格をきめて指定卸売り販売業者並びに指定小売り販売業者に対して、国民の家計安定を旨とした消費者米価をきめて売り渡しを行なうということになっておるわけですから、物統令がはずれた場合、食管制度による卸並びに小売り販売業者に対する指定価格、売り払い価格というものをどういうふうにして運用するわけですか。
  397. 亀長友義

    亀長政府委員 食管法の売却に関する規定は、政府が売る場合の価格、政府売り渡し価格を規定しております。これは消費者家計の安定に役立つことを旨としてやるということになっておりまして、政府はこの価格はきめますけれども、それ以後の価格については、別に私どもとして小売り価格に至るまで規制することを食管法が要求しておるとは必ずしも考えておりません。ただ、それができるだけ実現するような環境づくりをするということは必要かと思いますけれども、末端価格を統制しなければ食管法の価格の規定が達せられないということではなかろうというふうに考えております。
  398. 芳賀貢

    芳賀分科員 そうじゃないですよ。第四条は、「政府ハ其ノ買入レタル米穀ヲ第八条ノ二第二項ノ販売業者又ハ政府ノ指定スル者二売渡スモノトス」二項で、「前項ノ場合ニ於ケル政府ノ売渡ノ価格ハ政令ノ定ムル所ニ依リ家計費及物価其ノ他ノ経済事情ヲ参酌シ消費者ノ家計ヲ安定セシムルコトヲ旨トシテ之ヲ定ム」だから当然第八条の二第二項の販売業者に売り渡すということになるわけでしょう、売り渡す場合には政府がきめた売り渡し価格によって売り渡しを行なうということになるわけですから。指定販売業者というのは、卸売り販売業者と小売り販売業者と二様になっているわけですね。この二様の販売業者をあわせて政令で指定する販売業者ということになるわけですから、売り渡し価格というものは、相手方であるところの指定卸売り販売業者並びに指定小売り販売業者に対して売り渡しをする価格というものを、政府が家計安定を旨としてきめて売り渡しを行なうというように、これは当然なるじゃないですか。それだから、ことしの食管の予算の中で、物統令をはずす前提として、従来の政府の売り払い価格を十キロ当たり十円、トン当たり千円安く払い下げるということで、実質的には業者に十キロ十円のマージンをふやしてやるという方針をきめておるわけですから、これはもうあいまいにするわけにいかぬですよ。必ず食管法の示すところによってきちんとやらなければならぬですよ。いまの政府は、法律はそのままにして食管法の政令だけ次々に改悪しておるわけだから、油断ならぬですけれども、物統令がはずれたらもう末端価格がどうなってもかまわぬぞというような安易な考えでは、これは国民としても絶対に承知しないということになるわけですから、その点は承知しておいてもらいたいと思います。  次にお尋ねしたい点は、たとえば四月一日から物統令をはずすということになれば、いまの物統令の適用品目というものは、消費者米価と工業用のアルコールと大衆入浴料金と、この三つしかないのですよ。なぜこの三つの品目を残して物統令がいままで維持されたかというと、消費者米価があるのでこれを守るために、物統令というものを昭和二十七年から法律にこれを位置づけをして今日まで運用してきたわけです。その大事な消費者米価を今度は物統令から取っ払うと、あとはもうアルコールとふろ代しかないということになる。そうなれば、政府としてはもう物統令というものは廃止していいという見解に立っておると思いますが、その点は大蔵大臣としてどうですか。
  399. 水田三喜男

    水田国務大臣 私は廃止してもいいと思ったのですが、現行法制の上で非常に支障を来たすことに相なりますので……。
  400. 芳賀貢

    芳賀分科員 なぜ支障を来たすのですか。これは戦後の経済安定とか物価安定を目的にして、一番多いときには一万品目もの品目を指定して、これで価格の暴騰を防ぎ国民生活の安定をはかってきたわけです。それを次々要らぬ、要らぬということではずしたのですから、まさかふろ代と工業用アルコールの統制価格を維持するだけで、米ははずしてもかまわぬ、この二品目を守るために物統令は残すのだということにはならぬと思うのですよ。それは結局、あなたのほうの財政法第三条の特例法を設けて、物統令とこれを関連させていままで特例措置をやってきたわけですね。そこで、財政法第三条の特例法というものは、物統令が廃止された場合においてはこれも自然消滅するということになっておるのですよ。特例法は時限法ではないが、物統令がなくなれば、財政法第三条の特例法というものは自然に消滅するということになって、そうなれば当然これは財政法第三条の本来の姿に戻るということになるわけですね。そういう点はちゃんと踏まえて、今回国民が全面的に反対しておる消費者米価を物統令から無理やりはずすわけですから、はずせば残った二つの統制価格というものは、厚生省所管と通産省所管になりますけれども、とにかくいままで大蔵大臣が米ははずす、何ははずすということでやってきたわけだから、当然政府としては物統令そのものを廃止するという考えに立っておると思いますが、その点はどうですか。これは責任の大臣からはっきりしておいてもらいたい。
  401. 水田三喜男

    水田国務大臣 いまおっしゃるような財政法三条の特例に関する法律の廃止の問題も含めて、この問題をいま財政制度審議会に諮問いたしておるところでございますので、その結論を私どもは待ちたいと思っております。
  402. 芳賀貢

    芳賀分科員 だから、はずせば財政法第三条の本来の姿というものは、今度は歯車が回りだすということになるのですね。そういう場合に、国の事業として専売をしておる物資の問題とか、あるいは国会で当然議決すべきものであっても、財政法の特例法によってそれを排除しておったようなそういう問題については、やはり国鉄の運賃とか郵便料金と同じように、当然これは国会の議決あるいは価格を法律的にきめるということになると思いますが、これは議論の余地のないところですね。そうじゃないですか。
  403. 吉瀬維哉

    ○吉瀬政府委員 ただいま大臣からお答え申し上げましたとおり、財政法三条の特例に関する法律、目下財政制度審議会で基本的な問題に触れて議論しているわけでありますが、もし物統令がなくなるというような将来の事態に、はたして現在の財政法三条に規定されているものがすべて、たとえば国鉄運賃だとか郵便料金だとか、それから専売料金だとか、そういう種類のものと同じように、すべて法律事項にいくかどうか、これはケース・バイ・ケースで、ほんとうのそのものの実態に応じて判断すべきものではないだろうかと思います。ただし芳賀先生のおっしゃるような基本論があることは承知しているわけでございます。
  404. 芳賀貢

    芳賀分科員 次に実行米価をきめるにあたって、あらかじめ大蔵大臣お尋ねしておきたいのですが、昨年までちょうど米価が三年据え置きになっているわけですね。昭和四十四年、五年、六年、この三年間毎年毎年米価を据え置きするために、相当政府としては算定上の苦労をしておるのですよ。据え置きを先にきめて、それに合わせる算定方式を生み出してやるわけですから、毎年やり方が変わってくるわけです。去年のごときは、農林省の統計調査部がいままで中心になって行なってきた、たとえば平年反収の問題にしても、単位当たり労働時間の問題にしても、特に米価の自家労賃については、従来は他産業の全国平均の賃金をとっておったのを、今度は米の生産県単位の加重平均方式でできるだけ自家労賃を下げるというような悪らつな方法を講じて、ようやく三年間据え置きになってきたわけです。ですから、昭和四十三年までの計算方法と去年の米価を比較すると、一俵六十キロで三千二百円農民が犠牲を払っておる。四十五年の算定方式と四十六年にまた据え置きのために用いた算定方式による米価の差というものは、六十キロ一俵で千五百円違う、こういうごまかし米価を毎年毎年採用しておるわけです。だから、現在古米の処理を守るための損失金、あるいはまた生産調整を進めるための奨励措置の財源というものは、据え置き米価によって浮いた三千五百億あるいは四千億円というものでこれはまかなっておるわけだから、これは農民の犠牲によって、据え置き米価の政策によって、農民にこういうような調整や古米処理をやらせておるということになるわけですよ。この点を十分ことしは反省して、食管法の原点に立ち返った気持ちで、正しい適正米価というものをぜひきめるべきと思いますけれども大蔵大臣はどう考えますか。
  405. 水田三喜男

    水田国務大臣 私もいまそのように考えております。
  406. 芳賀貢

    芳賀分科員 ぜひそうやってもらいたいと思うのです。  次にお尋ねしたいのは、国有林特別会計に関した点ですが、あまり時間がありませんので要点だけ申し上げますと、昨年、四十六年四月十三日に政府の統一見解として、「国有林野事業の作業員の取扱いについて」という公式見解が、衆議院の農林水産委員会において政府から表明されておるわけです。これには当然大蔵省も関与されておるわけですが、内容を申しますと、「国有林野事業の基幹的な作業員の勤務形態の取扱いについて関係省庁と協議いたしましたところ、次のような見解を得ましたので御報告をいたします。——国有林野事業の基幹的な作業員は、その雇用および勤務の態様からすれば、長期の継続勤務となっていること等、常勤の職員に類似している面があるものと思料される。——しかしながら、これらの基幹的な作業員を制度的に常勤の職員とすることについては、国家公務員の体系にかかわる仲々困難な問題でもあるので慎重に検討して参りたい。」これが関係省庁、林野庁、行管ですね、あるいは総理府、人事院、大蔵省、こういうようなところの統一見解ですが、見解が出されてちょうど一年たつわけでありますが、特に新年度政府予算の内容等を見ましても、あるいはまた制度的に常勤職員と全く同一の継続的な任務についておる大事な基幹要員等についての改善のあとが、なかなか顕著に進んでいないわけです。大蔵省としては、これは財政当局としての立場に置かれておるわけでありますけれども、しかし、財政面の影響というものはこれは無視できないわけでありますからして、この際大蔵大臣から、この問題の処理について積極的な取り組みをするということについて、明確にしておいてもらいたいと思うわけです。
  407. 水田三喜男

    水田国務大臣 これは関係各省に響く問題で、関係各省の意見がなかなか一致しない、困難性を持っておる問題でございますので、今後よく協議の上、これは結論を出したいと思っております。
  408. 芳賀貢

    芳賀分科員 それはこの政府統一見解を踏まえて、大蔵当局におかれましても極力前向きに積極的に取り組むという、そういう趣旨ですか。
  409. 水田三喜男

    水田国務大臣 そういうことです。
  410. 芳賀貢

    芳賀分科員 わかりました。ぜひそういうことでやってもらいたいと思います。  それではもう一点、国有林野特別会計ですけれども、昨年もことしも政府提出の当初予算においては、これは赤字予算を編成しておるわけですね。昨年は五十億の歳入不足です。ことしは、歳出は千七百五十億円、歳入が千六百五十億円ですから、ことしは百億円の赤字予算を編成されたわけです。これは大蔵省が編成する当初予算として、二カ年連続で特別会計の赤字予算を組むというのは、われわれとしては理解に苦しむわけなんですよ。おそらくこれは国有林特別会計は、国有林野事業の収益を主たる財源にして運営するという従来のたてまえからは一歩も外に出れないために、結局百億円の赤字予算を編成して、これだから切り詰めなければいかぬ、事業も圧縮せよ、あるいはまた基幹要員もできるだけ縮小するというような、そういう意図で、誇大に赤字を表面に宣伝して、国有林事業に圧力をかける財政当局の考えではないと思うわけです。  ところが、近時における森林の機能というものは、単に国民経済に対して必要な木材を供給するだけではないわけですね。森林の公益機能、特に国土保全の問題、水源涵養の問題、あるいはまた国民の休養、保健の問題、最近やかましい公害に関連した環境保全の問題、こういうのは当然森林の公益的な機能というものに対する国民の期待がますます増大しておるということになるわけです。そうなれば、当然国有林野事業においても、事業収益を追求するという従来の事業よりも、国民の要求にこたえる公益的な機能の発揮というものが相当大きな役割りになると思うわけです。ただ問題は、こういう公共的な、公益的な機能を発揮するという場合には相当費用もかかる。幾ら費用をかけても、ここからは収益は生まれぬという性格のものですね。  そういうことになれば、従来の国有林特別会計のあり方というものについて、特に大蔵当局として根本的な検討をする必要があると思うわけです。そういう十分な機能を国有林野が中心になって全国的に果たすということになれば、それに必要な経費あるいは従来の公共事業等についても、やはり必要な経費は一般会計から特別会計に積極的に繰り入れをするという方針を立てないと、この赤字予算というものは毎年続く、あるいはこの圧力によって、結局国有林野の本来の機能というものは崩壊するというおそれさえあるわけでございますので、これは全く基本に触れる問題ですからして、今後の国有林野事業のあり方、その裏づけになる国有林特別会計の基本的なあり方等について、大蔵大臣としての見解を明らかにしてもらいたいと思います。
  411. 水田三喜男

    水田国務大臣 国有林野の事業の持つ公益的機能のうちでも、特定の財政で実施する治山治水事業のような、こういう国土保全に役立つ事業というようなものにつきましては、すでに昨年は二十二億円という国費の負掛を、一般会計の負担を、今年度は六十六億円というくらいに大きく増額して、この林野事業の健全化というものを助けておるわけでございますが、しかし基本的には、この国有林野事業の公益的機能というものは、やはり林野会計の中においてこれは負担すべきものであると私は思いますが、最近特にこの公益的機能についていろいろ問題がございますので、ただいま言ったような問題については、漸次国の補助をふやしているということでございまして、この運営については、いろいろいままで改善についての意見も諸方面から出されているときでございますので、そういう点については今後十分検討の上、この国の負担及び特別会計が負担すべきところというものをもう少しはっきりしたものにする必要があるのではないかと私は思います。いまのところでは、まだ非常に事業について改善すべきであるという批判が各方面にあるという現状でございますので、こういう点は十分に今後検討したいと思っております。
  412. 芳賀貢

    芳賀分科員 ちょっとおかしいじゃないですか。私が言うのは、従来の国有林野事業の収益を基礎にして公益的な機能を十分発揮させるようなそういう時期ではない。力がないということは大蔵省が一番わかっておる。わかっておるから百億円の赤、字予算ということになっているわけでしょう。だから従来の姿勢を変えて、国民の要求のまさに高まっておる公益機能の発揮については、当然これは国有林野事業の収益だけに依存するという、そういう方針を根本的に改めて、必要な部面については一般会計からこれを繰り入れする、そういう方針についてこの際根本的な検討を、大蔵当局として行なうべき時期に来ておるのではないかということについてお尋ねしておるのですよ。
  413. 水田三喜男

    水田国務大臣 ですから、繰り入れるべきものも、今年度は昨年のおよそ三倍というような額の繰り入れをやりましたが、しかし、この事業についてはまだまだ改善すべきだといういろいろな御批評がある事業でございますので、従来の利益というのですか、この利益のあり方についても、まだ私どもは十分検討すべき問題をたくさん持っておると思いますので、そういう点を検討、勘案した上で、負担すべき国費は負担するという運用をしたいということでございます。
  414. 芳賀貢

    芳賀分科員 じゃ、これはもう時間切れですから保留して、これは根本的な問題ですから、次の機会に十分大蔵大臣と論議をしたいということで、これは結論を保留しておきます。
  415. 森下元晴

    ○森下(元)主査代理 阿部喜男君。
  416. 阿部未喜男

    阿部(未)分科員 大臣、どうもおそくまで御苦労さんです。  私は、郵便貯金預金者貸し付け制度についてお伺いしたいと思いますが、郵政省はかねて、預金者が病気や入学などのために当座の生活資金を必要とするようなときには、預金を担保にして簡易な手続で貸し付けをする制度、俗に庶民金融などと呼ばれておりますけれども、こういう法律をつくりたいということを提案しておるということを聞いておりますけれども、この郵政省の構想に対して大臣はどのようにお考えになっておるのか、大臣のお考えを少し詳細に承りたいわけでございます。
  417. 水田三喜男

    水田国務大臣 郵政省の考えは大体私どももわかっておりますが、まだ私としては、この問題は予算でも済んでからゆっくり検討したいと思っておる問題でございますが、問題は、わが国の郵便貯金制度というものの本旨ということから見まして、今度の郵政省の考えておりますことは、この本旨と違って性格に大きい変化を与えることであるということが、一つと、同時に、いままでは郵便貯金制度は貸し付けということを全然考えておりませんでしたために、いつまでも現金を引き出したいときには引き出しができるということで、その引き出した場合にも、一般金融機関なら、たとえば定期で途中で引き出したらもう定期の利益はない、しかし郵便貯金にはその利益はあるという定額貯金制度というようなもの、金利の面においてもまた税制の面においても、特に貸し付けをしない機関であるということによる一般金融機関とは違った優遇措置も与えてあることでございますので、今度はそういう問題との関係というようなものもございますし、また、国はいままで金融事業も営んでおりますが、これはさい然と貸し付けと預金というものを分けて別々の機関をつくってやっておりますが、それによって大体いろいろな制度が定着して円満にいっておるときに、いままで受け入れだけという機関に対して今度は貸し出しをするということになりますと、政府の他の機関においても、今度は貸し出しだけでなくて受け入れをさせるというような問題が起こってまいりますし、そうすると、それによっていままでのいろいろな金融秩序というものが定着をしておった市場に大きい変動が起こってくるというような、いろいろな波及する問題もたくさんございますので、これは単にただ庶民金融が非常に便利でいいというだけの問題じゃなく、総合的に調整して考えなければならぬ問題を含んでおりますので、私どもはじっくり検討したいといういま立場でございます。
  418. 阿部未喜男

    阿部(未)分科員 少し具体的になりますが、いま大臣お話の中で、本来の本旨と少し異なるのではないかという御説明、それから金利が途中で出しても非常に有利だとのお話もございました。あるいは税制上でも優遇をしておるというようなことがありましたが、こういう点についてもう少し詳細に、私どもの存じているところと少し違うような気もしますので、これは政府委員でもけっこうですから、ひとつ……。
  419. 近藤道生

    近藤政府委員 まず、金利の面につきまして私から申し上げさせていただきます。  金利の面につきましては、御高承のように一般の銀行の場合でございますと、たとえば一年半定期預金を預け入れておりまして、これが一年二カ月日に解約になるというような例でまいりますと、これは普通預金並みの金利、つまり二・二五%に戻ることは御承知のとおりであります。その場合に、同じ状況におきまして郵便局の定額貯金でまいりますと、一年以上、一年六カ月未満で四・七五%になるということでございます。そういう点で定額貯金につきまして優遇があることと、それから、一般的に郵便局の場合は半年複利の計算になっております。これもよく御承知のとおりです。銀行の場合におきましては、普通貯金だけが半年複利になっておりまして、そのほかは複利計算のたてまえをとっておりません。その点が金利面からの優遇の具体的な措置でございます。  なお、税制面につきましては主税局のほうからお答えいたします。
  420. 中橋敬次郎

    ○中橋政府委員 税制面につきましては、もちろんこれは政府の企業でございますから、一般の金融機関が法人税を納めておるという措置がないことは別にいたしまして、預金者が郵便貯金の利子を受け取ります場合に所得税の課税の問題がございます。これは郵便貯金の利子につきましては、長らく所得税は非課税といたしておるわけでございますが、一方普通の金融機関の利子につきましては、少額貯蓄非課税制度というものがあります。これを受けますためには、現行制度で申し上げれば、一人百五十万円というワク内におきまして、それぞれの金融機関のそれぞれの欲する店舗にワクを設定をいたしまして、そして自分の住所氏名と、それからそこの金融機関の店舗において幾らまでの元本を預け入れるという申告をいたすことを条件にいたしまして、利子の非課税を行なっておるわけでございます。郵便貯金につきましては、零細な国民大衆の貯金というものを集めるという趣旨から、そういった一々の少額貯蓄免税制度の適用申請書というのを出すことを要しないということで利子の非課税制度をとっておるわけでございます。そういった恩典を所得税法で認めることになっております。
  421. 阿部未喜男

    阿部(未)分科員 いま一年二カ月の例をとられましたが、十一カ月預けて、いわゆる解約というのですか、途中で契約をやめた場合、民間の金融機関と郵政省の場合では、利子の違いはどうなりますか。
  422. 近藤道生

    近藤政府委員 その場合に、まず普通の銀行の場合でございますと、いわゆる振り出しに戻ると申しますか、二・二五%になりますことは前の場合と同じでございます。それから郵便局の場合でございますと、一年未満の四・二五%ということになりますので、その間郵便局のほうが二%の有利さを保つことになります。
  423. 阿部未喜男

    阿部(未)分科員 定額貯金を十一カ月で解約した場合、四・二五%の利子が間違いなくつきますか。間違いありませんか。あまりでたらめ言わないでちゃんと答えてくださいよ。しろうとと思っていたら間違いますよ。
  424. 近藤道生

    近藤政府委員 ただいま申し上げたとおりでございます。
  425. 阿部未喜男

    阿部(未)分科員 定額貯金では四・二五つきますか。  それではもう一つお伺いしますが、定期預金の場合はどうなりますか。一年以上が、銀行と郵便局の場合がありますね。一年以内でおろした場合どうなりますか。
  426. 近藤道生

    近藤政府委員 定期預金の場合におきましては、郵便局と銀行の場合と同様でございます。
  427. 阿部未喜男

    阿部(未)分科員 わかりました。これで論争しても時間がかかりますから、これは両方立ち会いの上でもう一ぺんやり直します。逓信委員会でおたくにも来ていただいてやり直しをいたします。  それから、いま郵政省が考えておるいわゆる庶民金融なるものの郵成省の構想については、どういうふうに理解されておるわけですか。内容ですね。
  428. 近藤道生

    近藤政府委員 郵政省の貸し付け制度の内容につきましては、私どものほうでちょうだいいたしております案では、まず日常生活での不時の出費に際し必要な資金を簡易な手続で貸し付けるということでございます。それから貸し付け金額といたしましては、担保としての貸し付け時における元利合計額の九〇%の範囲内で預金者一人につき十万円以内の貸し付け金額とする。それから貸し付け利率は年六%、貸し付け期間六カ月以内、貸し付け資金は初年度は一千億円とし、次年度以降需要を見て、郵便貯金の毎年の増加額の一%程度金額を加えた、郵便貯金として受け入れた資金をもって充てるというような内容のものと承知をいたしております。
  429. 阿部未喜男

    阿部(未)分科員 大臣にお伺いしますが、郵政省がいわゆる庶民金融なるものを提唱して、かなりあっちこっちで世論の反響が起きておるようでございますけれども、この世論をどういうふうに大臣は理解されておりますか。
  430. 水田三喜男

    水田国務大臣 私は、決して悪いことではございませんし、いいことだと思いますが、郵便局がこれをするということについては、さっき申しましたように、調整すべきたくさんの問題が残されておりますので、簡単にすぐにこの制度がいいと言うわけにはいかないむずかしい問題を持っておるということを申したわけであります。
  431. 阿部未喜男

    阿部(未)分科員 私がお伺いしたのは、郵政省が、郵便局がこれをやるということについて世論の反響があるわけですけれども、その反響をどう理解されておりますかということです。私は、庶民金融ということじゃなくて、郵政省自体が郵便局でこれをやるということについての反響を、どのようにとらえておりますかということです。
  432. 水田三喜男

    水田国務大臣 私のところへは、賛成も反対もいま直接響いてくる段階にはまだなっておりません。
  433. 阿部未喜男

    阿部(未)分科員 大臣も新聞をお読みになっておると私は思うけれども、もし大臣が新聞をお読みになっていないのならば、事務当局あたりでは新聞等もやはりお読みになっておると思いますから、新聞の論調なりいろいろな意見、投書とか出ておると思いますが、それはどういうふうに考えておられますか。
  434. 近藤道生

    近藤政府委員 庶民金融自体の必要性につきましては、先ほど大臣から御答弁申し上げましたとおりと考えております。  ただ、庶民金融を郵便局が行なうということにつきましての論調は、いろいろまちまちであるように考えます。そして私どもの考えております点は、先ほど大臣からもお話がございましたように、郵便局が貸し出しを行なうということになりますと、郵便局がもっぼら資金吸収をたてまえとするという立場から認められておりました金利計算あるいは税制上の特典について、再検討をする必要が出てくるのではあるまいかという感じを持って読んでおるわけでございます。
  435. 阿部未喜男

    阿部(未)分科員 いみじくもいまあなたおっしゃいましたが、私どもは郵便局は資金吸収をする場だと思っていないのですよ。零細な国民のお金をお預かりする場だと思っております。あなた方、大蔵の立場から財政投融資に回すから資金吸収をするんだ、こういうお考えのようですけれども、そこに根本的に国民の認識とあなた方の認識に私は違いがあるように思うのです。  そこで、あなたはいま主観的な問題ですからまちまちだと言われましたけれども、われわれが見ておる限りの新聞、特に大新聞等の論調のほとんどは、これは画期的なことだ、やるべきだという非常に大きい世論の支持があるように見ております。特に郵便局がやるということに、その意義が非常に大きいということが述べられておるわけでございます。なぜならば、金融機関というものは、あなたのおっしゃるように全国の各地で簡便に金が借りられるような機構になっておりません。郵便局ならば非常に末端に至るまで、しかも小口の金融に非常に便利のいいようなシステムになっているように思うのですけれども、この点はどう考えますか。
  436. 近藤道生

    近藤政府委員 郵便局の場合、二万五百の窓口を持っておりまして、全国に散布しておりますことは御指摘のとおりでございます。ただ、金融機関につきましても、農業協同組合等を含めまして信用組合、信用金庫、それらの店舗をすべて合わせますと、大体郵便局に匹敵するような店を持っております。そこで先ほど申し上げましたのは、現在の資金吸収一本でまいりました郵便局であるがゆえにいろいろの特典が認められている。そこが今後検討すべき大きな課題であるということを申し上げているわけでございます。
  437. 阿部未喜男

    阿部(未)分科員 いまおっしゃるようなものであるならば、郵便局があえてこういうことを提唱する前に、指導機関である大蔵省としては、そういう庶民に簡易に日常の生活の際にお金が貸せるような措置が講じられてしかるべきだったと思うけれども、少なくとも今日まで、一般の庶民がそう軽々に小口のお金の融資ということは実際上困難でありました。いま農協のお話も出ましたけれども、農協というのはこれは会員制、組合員制でございますから、組合員以外はこれはなかなか利用することができないたてまえになっておると私は思うのです。郵便局の場合は不特定多数、だれでも利用できるたてまえになっておると思います。したがいまして、農協がある、信用組合があるということになれば、サラリーマンは一体どこで借りればいいんですか。
  438. 近藤道生

    近藤政府委員 信用金庫とか、信用組合とかそれから相互銀行、地方銀行というような窓口があるわけでございます。
  439. 阿部未喜男

    阿部(未)分科員 その窓口がいま私が申し上げたように、全国の津々津々に信用金庫の窓口がございますか。全国で幾つありますか。
  440. 近藤道生

    近藤政府委員 四十五年末の数字で申し上げますと、信用金庫の窓口の総数が三千八百七十一、信用組合が二千九十八、相互銀行が二千八百四十四、商工中金が七十四、以上が中小金融専門機関の店舗数で、合計いたしますと八千八百八十七でございます。
  441. 阿部未喜男

    阿部(未)分科員 こういう機関には、預金をしていなくても金が借り出せるというシステムになるわけでございますか。
  442. 近藤道生

    近藤政府委員 その点は、先ほど先生が御指摘になりましたように、従来一般金融機関の庶民金融が本格的ではなかったということは事実であろうかと存じます。それはやはり戦後の長い期間にわたりまして慢性的な資金需要超過という状況が続き、生産金融、製造業中心の金融というものが続いてまいりました。いまでに御高承のとおり、昭和三十年あるいは昭和四十年に一度だけそうでない傾向がちらりと見えた時期はございますが、趨勢としては常にそういう状況であったわけでございます。  それが昨年の一年間に四兆四千億円にのぼります外為の散超を契機といたしまして、本格的な金融緩和基調になり、したがいまして、消費者信用にもウエートがかかり、この期間にかなり伸びてまいっております。今後本格的に金融緩和基調が定着いたしますと、いずれはアヤ戻しで金融がタイトになる時期もあるかと思いますが、以前ほどタイトな状況にはならない。いわゆる先進国型の安全流動性の時期に入ってまいるといたしますと、そういう状態を背景といたしまして、本格的な消費者信用、庶民金融というようなものが、日本において民間金融機関の間に定着してくることは必然の時の勢いでございます。また先進諸国においても、大体現在日本で消費者信用が占めております比率の十倍とか数倍とかのシェアをすでに保っているわけでございます。したがいまして、ちょうど昨年あたりからが民間金融にとりまして消費者信用が増大する時期であり、また当然その方向に向かわなければならない。銀行の大衆化といわれておりますのは、まさにその方向であろうかと存じます。
  443. 阿部未喜男

    阿部(未)分科員 そこでお伺いしたいのですが、それは民間金融をやるなと言うわけではありません。やるのはけっこうだと思います。民間金融、農協なんか極力やってもらいたいと思いますけれども、さらに加えて国民が——郵便局の数、さっき二万何ぼとか膨大な数をおっしゃいましたね。信金あるいは信用組合の数を足し合わしてみましても、郵便局の数にはとうてい及ばないようでございます。また預金も、信用金庫に預金する人もありましょうし、農協に預金する人もありましょうし、そういう人が重ねて郵便局に預金しておる場合もきわめて多いわけでございますけれども、その国民の大多数が、信用金庫もけっこう、民間の金融もけっこうだが、郵便局にもぜひやってもらいたいという要望があるならば、政治はその国民の要望を満たすために、法秩序、法体系というものを変えていくのが原則だと思うのです。いままでのお話では、どうも先に法律がありいままでの制度があって、制度が先行して国民の要望があとに回されるような気がするのですが、その辺はどうお考えになっていますか。
  444. 近藤道生

    近藤政府委員 その点につきましては、最初に大臣からお話がございましたように、郵便局がもし貸し出しということを始めるといたしますならば、従来預金だけ、貯金だけということを前提として、税制上、金利計算上特別に扱いをされておりましたことにつきまして再検討を要する、それゆえに検討に時間がかかると申されたのは、まさにその点でございます。
  445. 阿部未喜男

    阿部(未)分科員 大臣は、おやりになるという方向で検討する意思があるのですかないのですか、どういうことですか。
  446. 水田三喜男

    水田国務大臣 これは簡単なようで、私はこの調整は相当時間のかかる問題であるというふうに考えます。
  447. 阿部未喜男

    阿部(未)分科員 それからもう一つお伺いしたいのですけれども、財政投融資の原資との関係で、この庶民金融を郵政省がやった場合にどういう関係になりましょうか。
  448. 大蔵公雄

    大蔵説明員 御高承のように、財政投融資の原資として郵便貯金が大宗を占めているわけでございます。ただ、確かに御承知のように、昭和四十七年度の財政投融資計画の総額は五兆六千億何がし、そのうち郵便貯金が占めております割合は一兆七千億ということでありまして、かりに郵政省が考えております金額が二百億であるとかあるいは一千億であるとか、いろいろの数字が並べられておりますけれども、その量の面におきまして、その限りにおきまして、かりにこの制度が発足をされたといたしまして、その分だけ財政投融資計画の中に繰り入れることのできる原資が少なくなるとすれば、その範囲内で財政投融資計画を組まざるを得ない、こういうことに相なるかと思います。したがいまして、その量の問題におきまして、致命的な痛手をこうむるというには至らないかと思いますが、場合によりましては、その量の問題も、幾らかでも郵便貯金からさらに財政投融資の原資として使いたいという時期もないではない、こういうふうに考えております。  むしろ私どもといたしまして一番の問題点と申しますものは、いわゆる郵政省が考えておりますところの構想は、六分の金利で貸し出しをするということを考えておるようでございますが、現在資金運用部が郵便貯金特別会計から預託を受けておりますのに対して払っております金利が、六分五厘の金利を払っておるわけでございます。そうして、私どもが六分五厘の金利を払いまして預託を受けたお金を運用をしているわけでございますが、現在のところ私どもの資金運用部の総資産の運用をいたしまして、いわゆる運用の利回りと資金コストがほぼ同じ利率をもって回っているわけでありまして、今後日本の経済それ自体がいわゆる低金利の方向に流れが向いてまいりまして、かりに資金運用部が外部に対して運用をし、あるいは資金運用部の採算という面におきまして、六分五厘という金利で預っては資金運用部に大きな赤字が出てくる、こういうときが来ることも想定されるわけでございまして、こういう事態を考えますときに、郵便貯金特会それ自体の採算の問題といたしまして、当然のことながら資金運用部に預託をいたしますならば六分五厘の金利がもらえるところを、かりに庶民金融のために回すところのお金を預託をいたしませんで、逆に六分で庶民金融をするということになりますと、その分だけ採算が悪化するわけでございまして、私どもがかりに六分五厘というもので預かれなくなりましたときに、そういう話し合いを郵政特会との間でしなくてはならないようなときに、非常に大きな困難にぶつかるという可能性もないではないと思います。そういった意味におきまして、私ども一番の問題点は、量の問題もさることながら、郵政特会の資金コストが非常に悪化をするような事態を、十分に将来のことを踏まえて検討しなくてはならないというふうに考えておるわけでございます。
  449. 阿部未喜男

    阿部(未)分科員 郵政省のほうでも同じように試算をされておると思うわけなんですね。したがって、現行の財投の六分五厘の預り料といいますか、これが金利六分で貸し出してどうだろうかというようないろいろな関係があろうと思うのでありますけれども、これは郵便局の支払い利息との関係があろうかと思いますから、私は必ずしもそうは思いません。  時間がなくなりますから、最後に大臣にまとめてお願いをしておきたいのですけれども、財投の問題にしましても、私どもの理解では、財投のワクが、資金比率が減るとは思わないわけです。いま、御承知のように郵便局の場合に定額とか積み立てとかあるわけですけれども、そのほかに普通預金もたくさんあります。普通預金というのは不時の必要のために普通預金にしてあるわけです。しかし、もし国民のためを思うならば、国民はなろうことならば高い金利で預かってもらいたいと思うはずです。それで高い金利で預かってもらって、不時の必要が出たときに取りくずさなければならない、先ほどもるる説明があったように、安い金利で引きおろしをしなければならないというときに、それを担保にして高い利息をもらうことができる。そして借りたお金について金利を払う。相殺してみますと、かなり国民自体にとっては有利な結果が出てくるというようにわれわれは聞いております。そうなりますと非常に便利である。資金吸収の上からも、そうなれば、本来定期で積んであったものを取りくずしておったものが、その間取りくずさないで残るわけですから、財投としては変わりはない。財投それ自体の総ワクは、むしろ普通預金が定期預金なり積み立て預金というものに吸収されていくから、財投全体のワクが大きくなっていくのではないかとさえ考えておるわけです。そうすると、国民の立場に立って考えてみますと、わずかあと二カ月か三カ月で、せっかく長期の安定した預金として預けたものを不時のために引き出すよりは、損をせずに借り受けができる。それも非常に大きい何百億というものではないわけですから、いまさっきのお話で十万ということですから、十万程度のお金を貸し与えてやることによって非常に有利になるとするならば、私はまずそういう国民の希望に沿った措置をとるべきであるというふうに、財投の面については考えるわけです。  それから、さっき民間の関係がありましたが、民間も庶民金融をおやりになるのは私はけっこうだと思います。なるべくやってもらいたいと思いますけれども、本来利益を目的とする民間の金融の場合等におきまして、一口当たりの取り扱いが非常に少額なもので、しかも需要が多くなってきた場合に、大口を押えてまで庶民のための金融をするというようないまの金融資本のシステムであるかどうか。利益を追求する金融資本の原則を抜きにして国民のために奉仕するなどと考えたら、これは私はたいへんな間違いだと思います。  そういうことをひとつ考えていただいて、農協の場合は全部対象にならないから、その点も考えて、農協もやってもらってけっこう、同時に、全国に何万かあるという郵便局でもこれをやってもらうということが、国民の福祉優先の立場からも絶対に必要であるというふうに私は考えます。  そこで、時間が来ましたから最後に大臣に申し上げておきますけれども、これは大臣、あなたがどうお考えになろうとも、すでに与党の皆さんの一部ともお話し合いをして、私どもも野党が全部一緒になりまして、大蔵省がおやりにならなければ議員立法でわれわれはやらしてもらう、こういうかたいわれわれの決意があることを最後に申し上げまして、私の質問を終わります。
  450. 森下元晴

    ○森下(元)主査代理 これにて大蔵省所管の質疑は終わりました。  明日は、午前十時三十分より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後七時十八分散会