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1972-03-21 第68回国会 衆議院 予算委員会第五分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年三月二十一日(火曜日)    午後一時二分開議  出席分科員   主査 松浦周太郎君       足立 篤郎君    根本龍太郎君       福田  一君    細田 吉藏君      三ツ林弥太郎君    安宅 常彦君       後藤 俊男君    阪上安太郎君       田邊  誠君    山口 鶴男君       古寺  宏君    瀬野栄次郎君       多田 時子君    中野  明君       山田 太郎君    兼務 大橋 敏雄君 兼務 栗山 礼行君  出席国務大臣         建 設 大 臣 西村 英一君  出席政府委員         近畿圏整備本部         次長      朝日 邦夫君         大蔵省理財局次         長       小幡 琢也君         建設大臣官房長 大津留 温君         建設大臣官房会         計課長     山岡 一男君         建設省計画局長 高橋 弘篤君         建設省都市局長 吉兼 三郎君         建設省河川局長 川崎 精一君         建設省河川局次         長       川田 陽吉君         建設省道路局長 高橋国一郎君         自治省行政局長 宮澤  弘君         自治省財政局長 鎌田 要人君  分科員外出席者         文化庁文化財保         護部記念物課長 古村 澄一君         農林省農地局参         事官      住吉 勇三君         建設省住宅局調         査官      沢田 光英君     ————————————— 分科員の異動 三月二十一日  辞任         補欠選任   安宅 常彦君     田邊  誠君   中野  明君     中川 嘉美君 同日  辞任         補欠選任   田邊  誠君     山口 鶴男君   中川 嘉美君     古寺  宏君 同日  辞任         補欠選任   山口 鶴男君     後藤 俊男君   古寺  宏君     瀬野栄次郎君 同日  辞任         補欠選任   後藤 俊男君     安宅 常彦君   瀬野栄次郎君     山田 太郎君 同日  辞任         補欠選任   山田 太郎君     多田 時子君 同日  辞任         補欠選任   多田 時子君     中野  明君 同日  第三分科員大橋敏雄君及び第四分科員栗山礼行  君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十七年度一般会計予算建設省所管  昭和四十七年度特別会計予算建設省所管      ————◇—————
  2. 松浦周太郎

    ○松浦主事 これより予算委員会第五分科会を開会いたします。  昭和四十七年度一般会計予算及び昭和四十七年度特別会計予算中、建設省所管を議題といたします。  質疑に先立ち、念のため申し上げます。質疑者が多数おられますので、質疑の持ち時間は一応本務員は一時間程度兼務員もしくは交代で分科員となられた方は三十分程度にとどめ、議事進行に御協力をお願いいたしたいと存じます。  なお、政府当局に申し上げますが、質疑時間が限られておりますので、答弁は必ず的確に、要領よく簡潔に行なわれますようお願い申し上げます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。田邊誠君。
  3. 田邊誠

    田邊分科員 大都市圏人口が稠密になってまいりまして、その生活やあるいは産業を円滑に行なうために必要なのは何といっても水でありますが、この水の問題は日本の今後の経済にとって非常に重要なことでございまして、私は西村大臣が前に建設大臣の当時に実はしばしばお伺いしたことがあるわけでありまするが、水需要の問題と水資源開発の問題にしぼって簡潔に質問をいたしたいと思います。  建設省昭和四十一年度から約五カ年の日時を費やしまして広域利水調査をいたしました。この第一次報告書というのを私いただいておるわけでございます。いままで民間に委託をしておったり、いろいろな産業計画会議やその他水の問題に対して論議をしてまいったことが民間では非常に多いのでありまするが、政府機関がこれに取り組んだというのは総合的な面においては初めてだと思います。この第一次報告書を見ますると、かなり広い範囲長期にわたって水の需要の問題それから産業用水等供給の問題を論じておるわけであります。この水需要水供給長期的な展望というのがこの報告書によって一応明らかになっておりまするから、今後の水資源開発というのはおそらくこれを基礎にいたしましていろいろと計画をされるのではないか、こういうように思っておりまするけれども局長、その点そういうふうなわれわれの考え方で大体よろしゅうございますか。
  4. 川崎精一

    川崎政府委員 ただいまお話しのように、私ども国土の全体につきまして幸い長年にわたって河川関係の管理をいたしておりますので、過去のいろいろな雨量あるいは流量のそういった資料もございますし、あるいはまたダムの適地につきまして、これは概略の調査でございますが、地質等ダムがほぼできるかどうかということもあわせまして、ただいま先生お話しのように、ここ数年ばかりかけまして全国の大体山地部の貯水池を中心にいたしておりますが、約百八十二水系くらいの水系を網羅しまして、大体水がどのくらいたまるかというような調査をいたしまして、それからなお需要につきましては、想定が非常にむずかしいわけでございますが、これにつきましてはやはり昭和六十年の人口なり、あるいはその時点経済発展状況といいますか工業出荷額、こういうことに一つの過程を置きまして、その上で昭和六十年を展望いたしましたときにどういうような水需要になるか、それから国土全体から見れば水がどの程度不足しておるかというようなことを調べたわけでございますが、大体昭和六十年の時点を見ますると、河川に依存する量だけで生活用水工業用水農業用水等を入れますと約九百六十億トンくらいの需要量が発生するのではないか。四十年時点資料でございますが、現在そのうち約五百億トン足らずを使っておりますので、さらに加えて新しく四百六十億トンくらい開発しなければいけないだろう、こういうことでございます。  ただ、これは全体の需要供給の面を見詰めましたので、これがここにどういうような過不足を生ずるかという点についてみますと、特に首都圏の中でも京浜京葉、こういったところでは非常に極端な不足を生ずるのではないか、阪神間も同じようなことであります。全国的に見ますればまだ水はないわけではございませんけれども、そういった水をどういうふうに有効に利用し合うか、あるいは産業なり人口配置をどういうふうに持っていくかというような基本的な問題もあろうかと思いますが、できるだけこういったものを見詰めまして水開発をしていく。なお、今後の調査といたしましては、大体ダム中心にした水資源賦存量を調べましたので、低地部の合理的な利用、あるいは広域的な水路網による合理化、こういったものをあわせてさらに今後調べていきたいと考えておる次第であります。
  5. 田邊誠

    田邊分科員 いま局長からお話のありましたとおり、大体六十年度をにらみまして水の利用量というのは千三百億トンから千四百億トン、その中で水の開発量というものは約六百八十億トンでありまして、それを必要とする場合にはダムを約七百六十つくる、これに要する経費は四十三年度原計において約十兆億、大体こういう考え方ですね。それでいまあなたのおっしゃったように、河川に依存する度合いというものは九百六十一億トン、したがって、新規に河川から取水しなければならない需要というのは四百六十一億トン、これは約四百八十のダムをつくるという計画でありまして七兆円が必要だ、こういう計算の上に立っておるのであります。その中で実は私がいつも問題にしますのは、何といっても首都圏近畿圏首都圏の場合においては、六十年においてどのくらいの水不足になるかといいますと、三十一億トンの水が不足になるだろうといわれておる。京阪神は十九億トンであります。三十一億トンの水不足になるという極端な事例が出てくるのでありますが、これは主として九二%は都市用水でございます。首都圏の中における、東京中心とした都市用水不足が極端に大きくなるというこの事象の中で、一体これにどう対処するかということがいわれております。いま局長が言われましたように、主としてこれをダムに依存してやりたいという形でありまして、その場合においては利根川が水の供給地帯になることは、首都圏の場合、当然に予測されるところであります。二十八カ所にダム建設する、こう言っておるのでございます。私は、これには非常に問題があると思うのです。一つには、いまの状態高度経済が進みますならば、六十年前に首都圏地域内の河川供給能力というのは限界に達するわけでございます。しかも、開発コストというのは、山元の原水単価において、利根川水系ではいまの八倍を要すると報告書はうたっておるわけですね。こういうことから見て、首都圏水不足が深刻になるという状態の中でもって、一体これにどう対処したらいいのかということに対して、私は政治的な一つの大きな課題として、いまからそれに対する一つ見通しを立てておかなければならないのじゃないかというように思うわけでありますけれども大臣、いかがでございましょう。あなたも御存じのとおり、実は前々から私も言っておりますけれども、この報告書が現実に指摘をしておりまするところの首都圏近畿圏水不足、特に、首都圏は三十一億トンの不足が予想されるといわれます。六十年ですから、あと十数年の間に限界に達するという状態でありますから、いまからそれに対するところの対応策を立てて、その展望の上に立ってものを処理しなければならぬところまできておると思うのでありますけれども、一体どういうお考えでございましょうか。
  6. 西村英一

    西村国務大臣 いまのようなスピードで首都圏内人口が集中し、産業が集中すると三十一億トン、もっと足らないだろうということですから、やはり原則的には地方分散ということでしょう。それから生活用水が多く要るのは、個人の家庭用水というものはもうコンスタントなんです。東京都でもコンスタントでございますが、あとビル用水が非常に問題だというのです。そこで私は、首都圏から工場分散するようにというあの首都圏工場学校等制限措置でございますか、あれに事務所を入れたいわけですが、事務所制限内に入れることはたいへんトラブルがあるわけです。私は事務所を相当に制限していいと思うのですけれども、非常にトラブルがある。しかしこれから事務所対策については、税をもって対処したい。しかし、そういうことをしてもなおかつ需要はふえるでしょう。したがって開発しなければなりませんが、利根川中心にして域内水系を全部有効に開発するという以外に、そう大きい手はないと私は思います。大体それを主眼にして開発していかなければならぬと思います。  それから俗に水の循環サイクルでもって利用する、こういうこともいわれますけれども、これはどれほど期待ができますか。この辺は全然期待ができないわけではありません。工業用水等は、処理場で処理すればある程度使えると思います。現に大阪あたりあるいは東京でも、値段を非常に安くして処理場から売っているところがありましょう。そういうふうにあらゆる手を使って供給をしなければならぬと思っております。  そこで、あなたは最も詳しいわけでございますが、例の沼田ダム岩本ダムの問題です。これはもうずいぶん前から議論になりましたが、社会的にはたしてあれだけの人口をつぶしてやれるかやれぬかという問題ですね。これは私は十年とか十五年くらいの間においては——調査はいたしております。調査はいたしておりまするが、やはり消極的な考え方で、どちらかというと、十五年の間に岩本ダムをつくって、それで水の需要をまかなおうということはなかなか容易でないということでございますから、せんじ詰めて申しますと、いま言いましたように地方分散とか、あるいはとにかく利根川水系域内水系を、岩本ダムは別にして、あらゆる手を使って需要をまかなうようにする。一方使用のほうはビル等の規制をするというようなこと、こういうことを考える以外にしょうがないのじゃないか、かように考えておる次第でございます。
  7. 田邊誠

    田邊分科員 いま大臣のお考え方を承って、実は私どもいささか安心をしておるのですが、いまお話しのありましたように、実は都市用水飲料水は大体二百リットルから二百二、三十リットルくらいのところがコンスタントになっておりまして、あとビル用水なり工業用水、こういう形であります。私は首都圏関東地区、山梨、長野等も含めてみたときに、河口ぜきの問題あるいは自然流水あり、あるいは遊水地の利用あり、それから他の信濃川水系その他から導入をするという方法もあると思うのですが、これで取り得るところの度合い、さらにダム建設して開発しなければならぬ度合いというものは一体どの程度なのか。もちろんそれには大臣の言われたように、原則的に都市の再開発というか大都市分散、これがなければならぬ。こういう大規模な一つ計画というものが前提にならなくちゃいけませんけれども、失礼な言い方ですが、これはでき得べくしてなかなかでき得ない状態であります。われわれも北関東百万都市なんということを言っておりますけれども、なかなかできないという状態であります。そういった点で突き詰めてみたときには、やはり水資源開発、こういう形にならざるを得ないと思うのですが、いま私が言ったダム建設等でまかなう部面と、それ以外に海水淡水化も含めて考えられる部面と、一体どういうウエートでお考えを進めていこうとするのか。これは局長、どうでしょうか。
  8. 川崎精一

    川崎政府委員 私ども広域利水調査報告は、主として流域に水のためられるところで水をキャッチした場合にこのくらい量がある。こういうことでございます。先生お話のような海水淡水化とかそういったいろいろなこともございますが、現在ではコスト的に申し上げますと非常に高い。百円程度でございます。それに比べますとダムは二十円余りの原水価格。したがって、今後水の価格がどの辺に落ちつくかということは非常に困難であろうかと思いますけれども、そういったものと、それから新しく高度に水を処理して再生するとか、あるいは河川間を結ぶような水路で合理的に使うとか、あるいは反復利用するとか、結局こういったものの費用とのバランスも考えていかなければならぬのじゃないかという気がいたします。したがいまして、非常に長期になりますと、経済成長等見通しもございますし、いまどれだけが河川の水で、あとはどういった種類の水を使うことになるかという見通しにつきましては、いまのところ私どもはっきりとしたそういった見通しを持っていないわけでございます。やはり今後の経済発展とか水の需給の度合いを見てわれわれは対処していく必要があるのではないかと考える次第でございます。
  9. 田邊誠

    田邊分科員 そこで、利根川地域の、いわば関東地域の水の状態というものをながめたときに、特に京浜京葉地帯においては、六十年において年間三十一億二千四百万トンが不足をする。利根川上流から供給予定をするものが三十一億二千九百万トンでありまして、二十八カ所のダム建設をする、こういっておるのであります。したがって、この報告書による段階におきましては、私も実は最終的にお話を承りたいと思っていたのですが、いま大臣から話に出ましたから、そちらに質問をいたしますけれども、この二十八カ所で利根川上流からとろうとするところの三十一億トンの、報告書に載っている計画の中には、一応岩本地点におけるダム建設も含まれている、こういうふうに解釈してよろしゅうございますね。
  10. 川崎精一

    川崎政府委員 私ども調査では、物理的に可能なところを一応網羅したという形でございますので、計算の上ではそういったダム地点を全部含んでおります。
  11. 田邊誠

    田邊分科員 そこで大臣、いま大臣からこの問題は非常に重要だということでお話がありました。西村さんには実はこの前の大臣のときにもお聞きをして、かなり慎重な御発言があって、地元はやや安堵しておったのですが、その後大臣がかわりましていろいろと御発言がございます。ここにも前大臣がおりますけれども、昨年私がお伺いしたところでは、北関東に百万都市をつくる、これもいまの大臣お話と大体似ているわけです、都市分散という点で。そういった点も含めて水の供給考えたらどうか。それで沼田ダムなんかについても、東京ばかりに水をやるというのではなしに、地元でも都市開発して、そこに水を供給するということであれば納得がいくのではないか、こういう御発言もあったわけでありまして、いろいろな御発言がございますが、われわれとしては、実はそういったことで非常に地元不安感を持っておるわけであります。  確かにいま私が質問してまいりましたように、首都圏の水は不足をしてくる。いろいろな方法をとるけれども、その大部分はやはりダム建設によって開発しなければならない。利根川主体である。水資源開発水系に指定されているわけですから、利根川主体。それ以外の水系はそれに準じてやるというかっこうにならざるを得ない。その中でかっこうダム地点といわれるところの岩本ダムなんか、いつも話題になっているということでありまして、つい最近、上越新幹線ルートがきまりましたけれども、これもいみじくも実はダム水没地点が避けられている。これはかなりトンネルでもってやるわけですから、そういうことになると思うのですが、これがダム水没地点、これが上越新幹線という形でありまして、それから近くルート決定になるであろう関越自動車道路渋川まで大体ルートがきまろうとしているわけですが、これから先のことをにらんでみますと、これも沼田ダム水没地点開発地点というものが避けられているのではないかといわれております。これは資源を避けるという意味でこれらの上越新幹線なり関越自動車道も当然避けるということになってきたのではないかと思いますけれども地元はそれによって至るところ不安がますます大きくなっているわけであります。しかも、理論的に突き詰めていきますと、いろいろな要素をわれわれは切って捨てながら見ましても、なおかっこの水不足に対応する対策として利根川上流がその対象になり、そしてまた沼田というものが常に話題になってくるという形でありまして、この際、あれだけの都市を持っている地域でありますし、そしてまた上越新幹線もその近くに駅が設けられるわけでありますけれども、群馬県ばかりでなくて、新潟や栃木や長野を含めた一つ開発の、いわば扇のかなめというような地域でございまして、当然いろいろの面で開発さるべきものでありますが、このダム問題があるために開発がおくれ、たとえば工場誘致等も当然渋られるという状態であります。この際、そういった問題についてひとつ政治的な決断をしてもらわなければならぬのじゃないかというふうに思っておるわけでありますが、いま言った水の資源開発の今後の展望と、有力地点といわれながらまぼろしのダムといわれてきた沼田ダムというものに対して、西村さん、あなたはもう何回も主要な地位につかれて、大臣も二度目でありますから、そういった点で建設大臣としてこの問題に対処するお考え方を明らかにしていただきたい、こう思っているのですが、どうでしょう。
  12. 西村英一

    西村国務大臣 上越新幹線ルートあるいは高速道路ルート利根川流域に沿うてつくらないように——これはいまの上越線があまり川に接近し過ぎている。あのルートはよくないのです。それであんなに大事故をいつも起こすのです。これは沼田ダム考えなくても、やはりもっと川から引くのがあたりまえです。だから、新幹線及び高速道路渋川から、ずっと見てあの辺の位置になるのは私は当然だと思うのです。それはしいてよけたのじゃありません。  それはそれとして、一体岩本ダムはどうするのか。こういうことで、私はずっと将来にわたって絶対にそれはできないのだとは言いませんが、今日われわれが六十年を目標にして一応の計画を立てておる範囲内では、岩本ダム重要地点と見るわけにいかない。むしろそれよりは、信濃川上流流域変更のほうが、私は犠牲を払わないでもっと安いと思っております。したがって私は、いま絶対にできぬとは言いませんが、六十年を目安では、ちょっと私は期待はいたしておりません。それよりも流域変更のほうがもっと私は期待できると思います。  これをいま私のほうは調査したわけではございませんが、川というものはどこでも山岳からおりてくる。下のほうで連絡するのはわりあい水路が長くなって不経済です。どこも上で連絡するほうがずっと安いわけです。私はそう思っております。  それからもう一つ期待したいのは、工業用水転換、それのほうに少し期待したいと思います。工業用水をいま相当使っておりますから、これはある程度転換ができるのではないか、六十年の間には。私はそう思っております。いつも言われておる海水淡水化、これも私は六十年を目安には期待しておりません。これは方法としてはあるでしょうが、いま単価を言いましたように、もし原子力を自由につくらせるというなら、それは非常に期待ができますが、今日の状況で、その海水淡水化のために原子力をフルに使うというようなことは、日本の現在の地理的条件からいってできませんから、私は六十年に海水淡水化によっての水の供給期待いたしません。したがって、やはり期待いたすのは、流域内の水系を余すところなく開発することと、むしろ上流のほうの流域変更、それから工業用水のサイド、これのほうに私は期待したい、かように考えておる次第でございます。
  13. 田邊誠

    田邊分科員 局長、いま大臣の話を受けて、私は事務当局にいろいろと考えてもらいたいのですが、三十九年以来調査してまいりまして、ここ数年間大体五百万から六百万の予備調査費を組んでおるのですが、来年はいかがいたしますか。もう大体私は予備調査段階は終わっておると思うのですよ。ですから、この岩本ダム地点におけるところの予備調査というのは、いまの大臣の話を聞いてもっと先へ延ばしていくべきじゃないかというように思っているのですが、また来年同額くらい組まれるというお話ですね。もうそういう必要はなくなってきているのじゃないかと思うのですが、これはまた私は不安を醸成するもとじゃないかと思うのですが、大体幾らもくろんでいらっしゃいますか。
  14. 川崎精一

    川崎政府委員 大体毎年同じ程度予算を計上しておったわけでございますが、大臣お話にもございましたように、直接ダムそのもの地質調査なりあるいは技術的な問題等につきましての調査というのは、特に内容的にはほとんどないわけでございまして、予備調査でございますので、特に岩本ダムに張りつけた予算というわけじゃございません。利根川上流全体につきまして、治水、利水上の立場からこの際できるだけ広く調査をしておきたいというようなことで、上流ダム部分全体につきまして、いろいろな個所について地質調査あるいは地形調査、それから雨量流量、こういったような水門調査、積雪の調査あとはそれに伴う広域的な利水計画、こういうように利根川上流一般に使っておるわけでございまして、ダムそのものについての調査はほとんどないわけでございます。  金額は、利根川上流のそういった関係につきまして、大体昨年が六千二百万でございますから、ほぼその程度予算だと思っております。
  15. 田邊誠

    田邊分科員 じゃ、時間がございませんから、ひとつ大臣、これはただ単に上流県に私自身が所属するということでなくて、やはり大きく広域的に見た場合に、将来水の問題は非常に重要ですから、一体どうするのか。大臣の話を聞いて、やはりまだまだ河口せきにしても遊水地にしても、あるいは他の流域から導入するにしても、工業用水の量にしても、果たすべき役割りはいろいろな面であるわけですから、これらをひとつ考えながら、その前提となる首都圏水不足都市の再分散が大前提である、そうでなければ東京都は破滅すると私は実は思っておるわけでありまして、そういった点で、ただ単に上流の県にダムをつくることによって何か犠牲をこうむらせるというような観念でなくて、今後総合的な対処を私は心から祈念してやまないわけであります。大臣の御決意もそのとおりだろうと受け取ってよろしゅうございますね。
  16. 西村英一

    西村国務大臣 全国的に大ざっぱな計画は、今後調査いたします。それはなかんずく首都圏は足らないだろう、したがって、その足らない個所をもっと、その需要供給の面を詳細に攻める必要があります。余るところはいいですが、足らないところ、これはあらゆる面からもっと詳細に詰めなければならないぬと私は思っております。したがいまして、そのために建設省としても相当に力を尽くしたい、需要供給の両方からひとつ攻めていくということを十分これからはやりたいと思っております。
  17. 松浦周太郎

    ○松浦主査 これにて田邊誠君の質疑は終了いたしました。  本会議散会後再開することとし、暫時休憩いたします。     午後一時三十四分休憩      ————◇—————     午後四時十三分開議
  18. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  松浦主査は都合により少々おくれますので、その指名により暫時私が主査の職務を行ないます。  建設省所管について質疑を続けます。山口鶴男君。
  19. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 最初に建設大臣にお尋ねしたいんですが、実は当委員会にもおいでの足立さんの御意見等もいろいろ聞きまして、農地の宅地並み課税の問題については、衆議院の地方行政委員会でいろいろ努力をいたしておるわけですが、そこで、実はある新聞に、農地の宅地並み課税に関する地方税法の一部改正は共産党のみの反対で可決をされた云々ということが報道されました。事実に反しますから、私どもさっそく当該の新聞に訂正の申し入れをいたしました。直ちに訂正をいただいたわけでありますが、その際当該新聞の編集局長さんの私に対するお話では、実は建設省の役人の方に聞いたらそういうお話だったのでそう書いたと、こう言っておられた、しかし調べてみたら事実が違いますので訂正をしますと、こういうことだったんです。建設省の役人が地方税法一部改正に関する経過を間違えて報道関係の方にお話をして、私ども社会党としてはたいへん迷惑をこうむったわけでありまして、こういうことはひとつ私は今後避けていただきたい、十分部内に対する監督を大臣にいただきたいと思うのでありますが、この点いかがですか。
  20. 西村英一

    西村国務大臣 そういう間違いをしたということになれば、十分気をつけなきゃならぬと思っております。重要な点でございますから。おそらく、地方税法の改正ですから、もちろん建設省は、重大な問題ですから、当然関心を持っておったと思いますが、だれが言ったのか、それもわかりませんが、十分今後気をつけたいと思っております。
  21. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 今後十分注意をいただきたいと思います。  それでは、本県内の建設省計画しておられるダムの問題につきましてお尋ねいたしたいと思うのですが、昭和四十五年以来八ツ場ダムにつきましては実地調査から建設費というふうに変更いたしました。建設費の予算がついておるわけであります。私は、西村さんが以前建設大臣でありました際にもあるいはその後の歴代の建設大臣につきましても、住民の賛成が得られない限りダム建設はしないということを明らかにすべきだということを申し上げ、歴代の建設大臣、いずれも住民の賛成を得られぬ限りダム建設はいたしません、こういう趣旨の御答弁をいただいておるのであります。この点、以前に大臣が確認されたお話でもございますから、また歴代の建設大臣の御答弁でありますから間違いないと思うのでありますが、念のために西村大臣の御見解を承っておきたいと思います。
  22. 西村英一

    西村国務大臣 住民全員賛成という……
  23. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 全員とは言ってませんよ、大多数ですね。
  24. 西村英一

    西村国務大臣 大部分の方が賛成しなければ、やろうといったって、それはなかなかやれるものじゃございません。ただし山口さんもよく御存じのとおり、私が前の建設大臣をやめるころから八ツ場ダム調査をしたらどうかという話が持ち上がって、実はあなたの本日の質問ということでいろいろ聞いたわけですが、いまだにこれが着手もできない。年々歳々実行予算をつけておるが、着手もできない。その原因が一体どこにあるのか。反対は、補償費の問題で折り合いがつかぬとか、あるいはかえって地域住民のために悪くなるとか、補償費の問題じゃないので別の問題があるとか、いろいろあろうと思うのですが、とにかく建設省としてはやはり水資源開発しなければならぬという立場にありまするから、できるだけ皆さま方の同意を得て開発したいというのが念願でございます。しかし同意が得られぬでただ強行しようといったって、それはちょっと強行できるものじゃないと私は思っておる次第でございます。
  25. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 けっこうです。  そこでお尋ねいたしたいことは、群馬県議会がしばしばこの問題について意見書を建設省に出しているわけでありますが、その最終的な意見書、昭和四十六年十二月二十日付でありますが、「水源地域開発法(仮称)制定についての意見書」というのを出しております。内容は御存じかと思いますから簡単に申し上げますが、「水没関係者の生活再建ならびに関係地域開発対策について、政府の根本的な方針を確立しない限り地元の協力を得ることは困難な実情にある」ということを明らかにいたしまして、「このままでは、本県としては、ダム建設に協力しがたい状況もあるので、すみやかに水源地域開発法を制定すべきである。」こういう意見書を出しておるわけですね。ですから問題は、いままでの補償が、いわば金銭でもって片づけばいい、こういう形が多過ぎた。またダム建設に際して、鉄道はどうするとかあるいは石材はどうするとか、たとえば群馬の草木ダムでも建設省は約束をする。ところが実際に判こを押して実施という段階になると、いや駅の問題はそれは国鉄の問題です、建設省ではどうにもなりません。岩石の問題は、これは文部省なりあるいは林野庁の問題です、建設省はどうにもなりません。こういうことで、判こを押す前の約束が判こを押したあとは全部破棄される。こうい実情を群馬県民はいやというほど知っておるわけです。だから結局、いままでのように建設省だけで約束するというのではなくて、各省にまたがる問題をオーソライズして、そしてはっきり約束したことについては実施計画を立てて必ず実施をする、こういう保証がない限り地元としてはもう返上だ、これが群馬県民の気持ちなんですよ。この問題、どうですか。何回も私は申し上げておるのですが、いや、むずかしくてだめだとかなんとか言いまして、全国知事会あるいは群馬県の水源地域開発法に対する要望というのが全く無視されてきた。大臣、どうですか。
  26. 西村英一

    西村国務大臣 私は、率直に申し上げて、水源地の方々のために水源地の開発法といいますか、振興の法律は必要だと思うのです。ちょっといまは記憶がありませんが、前にもある地方公共団体の長にそれの案を私どもに示してもらったことがありますが、とにかく水は取られるばかりだ、何もいいことはないんだ……。これはもちろん公共のためですから、そういうことであればある程度がまんをしてもらわなければならぬが、それと同時に、やはりそれが水源地の方々の利益にもつながるというようなことでないとなかなか同意が得られないから、私はその水源地開発法というようなものは——今後、相当にダムをやらなければなかなか水の開発もできないわけです。したがって、何らかの形で水源の涵養をやり、水源地の開発をやるという恩恵が水源地の方々に要ると思うのです。どういう形でつくればいいかわかりませんが、初め着手するときはうまいことを言って、あとは法律がないのだから何もやらないというようなことを言われたんでは、今後、開発に非常に支障を来たします。端的に言えば、私は、必要である。それじゃおまえなぜ出さなかったかと言われますと、御案内のように、大臣といっても一年しかやっていないのですし、沖繩国会でもあれだけ費やしたのですから、そういうひまがなかった。これは申しわけになりますが、私は、水源地の開発法は今後、建設省としては要るのではないか、皆さん方のお知恵を拝借して要るのではないか、かように考えておる次第でございます。
  27. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 とにかく群馬県としては、その法律をつくらぬ限りダム建設には御協力できない、これが群馬県議会の意思であり、県民の意思だということを十分ひとつ御承知になっていただきたいと思います。河川局長のほうもよく聞いておいてくださいよ。  そこで、大臣はそういうりっぼな御見解を示すのですが、地元の役所である関東地建それから八ツ場ダム建設事務所のお役人の人たちは、何とかダム建設に持っていきたい。いま群馬県議会の態度は申し上げましたが、当該地域長野原町の議会もダムには絶対反対だということを数回にわたって議決をいたしております。したがって建設省の出先のお役人は、何とか長野原の議会だけでもひっくり返したいというので非常な工作をやっておられるのです。時間もありませんから端的に例を示しましょう。  昨年の十月一日、二日にわたりまして、長野原町議会議員の一部を建設省の八ツ場ダム事務所の所長及び課長の諸君が、伊香保温泉に招待をいたしました。ゴルフだといって招待をしたわけであります。そうしてゴルフもやったんでしょうが、夜宴会もして、何とかダム絶対反対の議決をひっくり返してくれぬかということの話をいたしたようです。私はこの伊香保の泊まった当該旅館に行ってまいりました。そうしたらば、泊まった方は六人ばりだったわけでありますが、すべての金額九万八千九十八円を建設省の八ツ場ダム事務所が支払っておるんですよ。あと予算のことも聞きたいと思うのですが、毎年毎年五億ないし六億の予算を組んでおられる。これ以外にもこの地域の温泉旅館にしばしば賛成派の住民を招待するあるいは議員の方を招待するという形で、何とか賛成派の勢力を拡大したいと、そういう方面に非常に金を使っておられるのです。大臣大臣は党の経理局長として非常にりっぱな経理をされたということをいつも聞いておるが、建設省が、あなたの出先がこういう国民の血税を使って、議会が絶対反対しているものを何とかろうらくしようということで不当な支出をやっていることについて、一体どうお考えですか。
  28. 西村英一

    西村国務大臣 そういうことは初耳でございますが、役人が実行予算もついてひとつやりたい、その上司の命を受け、本省の命を受け、地方建設局の命を受けて、実行予算もついておることだからやりたいといって出先が一生懸命いろいろ努力することについては、それは認めてもらわなければならぬと思います。それはもう役人のつとめでございます。しかしそれだからといって、公務員として限度をこえた供応をするということは、これは厳に慎まなければならぬと思います。したがって、いまあなたが言われたようなことが事実とすれば、少し行き過ぎじゃないか。十分私のほうも注意しなければならぬと思っております。
  29. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 河川局長、これは群馬県の新聞にこういうふうに大きく出たわけですよ。ですから当然八ツ場ダム工事事務所からも関東地建に報告があり、関東地建から建設省お話もあったろうと私は思うのですけれども、とにかく賛成派の議員と工事事務所の人が一泊してゴルフをしている。しかもその当該の日は水曜、木曜なんですよ。平日のゴルフですよ。平日のゴルフというものは建設省だっていかぬということで、きちっと下部には通達しているはずじゃないですか。どうなんですか。平日建設省のお役人がゴルフをやって、しかもその議員の方々を何とかろうらくしようと思って貴重な血税を使ってこのような行為をするということに対して、建設省はかまわぬのですか。一体この八ツ場ダム工事事務所に対してどのような措置をやるつもりですか。
  30. 川崎精一

    川崎政府委員 私もごく最近の八ツ場の状況等につきましては、特に関東地建からも報告がございませんので、全然承知していなかったわけでございます。先ほど大臣から答弁もございましたように、私どものほうでもその辺の事情を十分よく調べまして、内容に応じてしかるべく処置をするようにいたしたいと思っております。
  31. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 建設省では平日ゴルフをやった諸君に対しては、今日までどのような行政処分をやってきたのですか。幾らやってもかまわぬのですか。
  32. 大津留温

    ○大津留政府委員 こういうことはまことに遺憾なことでございまして、厳重に注意するつもりでございますが、どういうような実情であったのかよく調べてみたいと思います。職員が休暇をとってそういうことをする、これは仕事に差しつかえなければ、自由でございます。そうでなくて、勤務時間中にそういうことをやったとすれば、これはたいへんよろしくない行為だと思います。調べまして……。
  33. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 休暇云々と言いましたが、十二月一日、二日、水曜、木曜なんですよ。そうして支払いは伊香保の旅館ですが、旅館の名前はここで申し上げるのは遠慮しましょう。しかし、支払いが昭和四十七年一月二十一日付で建設省八ツ場ダム事務所で支払いになっているのですよ。休暇ならば私は事務所の支払いになるはずはないと思うのです、公費で払っておるのですから。ですから公費で払った以上は休暇ではない。当然これは出張であるか勤務時間であることは間違いないでしょう。だからこの領収書と照合すれば、勤務時間にゴルフをやったということは明らかですよ。これはしかも議員をろうらくするためにゴルフに招待してやった、こういうことですからね。私はより問題は悪質だと思うのです。休日でないゴルフ、しかも目的は先ほど申し上げたようなものに対して一体どうなんですか。官房長さん、お答えいただきたい。
  34. 大津留温

    ○大津留政府委員 地方の議会の議員さんということでございますので、その地方ではたいへんな指導者、有力者ということになろうかと私は思います。こういう方々に仕事の上で御理解をいただく、御協力いただくという意味でいろいろな接触を持つということは十分あり得ることかと思います。しかし、もし御指摘のように勤務時間内にそういうこと、これは明らかに行き過ぎでございますから、実情を徹底的に調べましてしかるべく措置をいたします。
  35. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 委員長にお願いですが、結局即刻調査をいただけるということですから、少なくともこの予算委員会の審議中に、実情を調査して、そうしてこういう経過であり、建設省としてはこのような措置をとるということをひとつ御報告をいただきたい。よろしくお願いいたします。
  36. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林主査代理 はい。それでは、そのとおりひとつお願いいたします。
  37. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 それでは次の問題に移りたいと思いますが、この地域は、河川局長御存じだと思うのですが、ダムの一番最後になります地域長野原町の大字長野原というところなんです。ところがここがたまたま地盤が悪くて、どうしても護岸をする必要があるということで、町当局としても議会としても建設省に陳情に来られたようです。河川局長さんのところへもおじやましたのじゃないかと思いますが、ところがこれに対して、八ツ場ダム建設事務所がどう言ってきたかと申しますと、それならば松谷からこの長野原まですべて水準測量をさせなさい、そうすれば護岸工事をやってやろうという御返事だったそうです。そしてこの松谷から長野原までというのは、実は八ツ場ダムをつくるのに必要な水準測量をやらなければならぬところなんです。よく便乗値上げが問題になりますが、これは便乗調査ですよ。何も松谷から長野原まで全部水準測量をする必要はないのでありまして、当該決壊した地域調査だけやれば済むと私は思うのです。しかも昭和四十四年から四十五年にかけまして、一時準備のための立ち入りの公告を建設省が群馬県知事に要請して現にやったところなんですね。しかしいろいろ問題があるということで、その後延期はありませんので、現在準備のための立ち入りはあそこにはかかっておりません。それを今度護岸工事にひっかけて便乗調査で全部水準測量をやってしまおうというようなことは、私はいかがかと思うのです。そんなけちなといいますか、みみっちいといいますか、そんなお考え方は私は河川局長は持たぬだろうと思いますが、いかがですか。
  38. 川崎精一

    川崎政府委員 いつごろでしたかちょっと忘れましたが、半月くらい前じゃなかったかと思います。ただいまお話し長野原の関係の方々がたしか七、八人私どものほうにお見えになりまして、結局国道の百四十五号でございますか、あれと川との間にはさまれた帯のような地域で、非常に急な傾斜地でございまして、いろいろぽろぽろとがけがくずれていく、したがって不安でしかたがないが、何かいい知恵がないでしょうか、こういうようなお話でございました。そのときに私ちょっと図面等で見てみますと、いわゆる渓谷状の地形でございますけれども、直接河川の洪水なり何なりがぶつかるような区域じゃない。一部そういったところは護岸等の手当てもしておるようでございます。したがってあの辺の河川そのものは直轄の管理区域になっておりますが、河川サイドだけの地域の治水はちょっとむずかしいのじゃないか、それじゃ何かがけくずれのようなもので手は打てぬかというようなことで、担当の砂防課等とも私もちょっと意見を聞いたりいたしましたが、かなりの延長がございまして、県での見積もりによりますと全部やるとすれば大体五億か十億近くかかるのじゃないか、非常に完全にやれば。人家が約三十戸程度だと思います。ああいう地形でずいぶん長年の間お住みになっておるわけでございますから、急ではあるけれども、比較的昔は安全ではなかったかと思うのです。ただ最近ぽろぽろくずれたりしておって危険があるということで、そういう手がないかということでございますが、現在私どものいわゆる急傾斜地の予算というものは全国で四十七年に予定しておりますのが三十億ぐらいでございます。そういった点からいうと、崩壊防止というのもちょっとなじみにくいのじゃないか。しかし何かいい知恵がありませんかというようなお話もあったのですが、たまたまあれはダム上流部で、将来貯水池ができれば堆砂するとかいろいろな関係も若干あったり、何かそういうところからでもそれじゃ調査して応援でもしましょうかという話はいたしましたが、それじゃはたしてあのがけくずれをどうやってだれが主体になって治めるかというようなことについては、私どもちょっといま見当がつかないわけでございます。先生お話のような便乗調査というつもりは私は毛頭持たないでお話をしたつもりでございます。     〔三ツ林主査代理退席、主査着席〕
  39. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そうしますと、松谷から長野原にかけての水準測量というものが前提であって、それがなければやれぬというようなことではなしに、問題は、予算関係もこれあり、工事主体をどうするかという問題もあり、今後検討するのだということで理解してよろしいわけですね。
  40. 川崎精一

    川崎政府委員 私も水準測量の話は現地から全然聞いておりませんし、突然陳情の方もお見えになったという状況でございますので、そういったことは全然ございません。  ただ、民地でございますしするので、どういう方法で手が差し伸べられるだろうか。それからそういった場合には、県もやはり県なりに、町も町なりにいろいろ方針もあろうかと思いますので、私自身かってに即断しても都合が悪いこともあるのじゃないかと思いました。何かひとつ応援できるような方法考えてみましょうか、こういう話はいたしておきました。
  41. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 文部省、自治省の方にいらしていただいておりますのでちょっとお尋ねしたいのですが、当該の八ツ場地区には天然記念物と名勝がございます。こういった文化財を水没させることは忍びないという地元の意見もございますし、当該地域は温泉地でありますから全国から来る方々もございまして、こういった天然記念物、名勝は保存したいという運動も現に起きております。文部省のほうでも文化財保護委員の方ですか、現地調査にも行かれたようであります。私は、水没をするというようなことについて文部省は当然同意なされぬだろうと思うのですが、文部省の断固たる御決意を承りたい。  それから自治省にお尋ねしたいのは、最近、建設省もそうでありますが、公団等が、たとえば関越自動車道等の用地買収について自治体に委任をするという傾向が非常にあるのですね。少なくとも建設省が自治体に委任をするということであればこれは筋が通りますが、公団が自治体に委任をするというようなことは地方自治法のたてまえからいっても許せぬと思うのです。聞きますと、たとえば道路公団等には規則があって、その規則で自治体に仕事が委任できるというようなことがある。その規則にのっとって用地買収について県に委託をするというようなことは私はおかしいと思うのです。少なくとも地方自治体が委任を受ける事項については自治法の別表で団体委任事務、機関委任事務で明確にすべきであって、かってに公団が規則なんかつくって自治体に仕事を委任するというようなことでは間違いだと思う。少なくとも自治体は地域住民の立場に立って、公団と住民とのトラブルがあれば中立的な立場であっせんをするということが自治体としてはやるべきことなんであって、何か公団の下請に自治体がなるというようなことは地方自治体の趣旨からいってもおかしいと思うのです。また建設省もそういうことはおやりにならぬように私はお願いしたいと思うのですが、自治省とあわせて建設省の御意見を承っておきましょう。
  42. 古村澄一

    ○古村説明員 文化庁といたしましては、昨年の十一月一日に文化財保護審議会の第三専門調査会長の本田正次、それから名勝部会長の吉永義信、天然記念物部会長の藤本治義の三人の委員を現地に派遣して現地調査をいたしました。そして結局この先生方の御意見をもとにいたしまして、文化財保護審議会では専門調査会なりあるいは本審議会を開きまして検討し、結論を出すことになろうかと思います。現在そういう段階でございます。
  43. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 ただいまの土地の買収の委託でございますが、私も道路公団の規則など見ておりませんので、この場で私の知識で御返事を申し上げたいと思います。  おっしゃいます点は、おそらく法律上の性格といたしましては私法上の委託契約ではなかろうかと思います。おっしゃいますように、もし国の権限の委任ということでございますれば、それは地方自治法の定めに従ってやるわけでございます。そうでありませんで、私法上の委託契約であろうと思います。私法上の委託契約でございますれば、これは引き受けるほうが、引き受けるか引き受けないか、自分の判断でものをきめるわけでございます。引き受ける場合には、おそらく土地買収を手伝うことが結局地域開発等に資する、地域開発なり地域住民のためになるという判断のもとに引き受けているのだろう、こういうふうに考えているわけでございます。
  44. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 強制力はない。あくまでも自治体側の裁量事項であるということですね。
  45. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 私の判断では、私法上の委託契約でございますから、いい悪いの判断は、委託を受けるか受けないか、その団体にまかせられている。法律上はそういうことであると思います。
  46. 松浦周太郎

    ○松浦主査 これにて山口鶴男君の質疑は終わりました。  次は古寺宏君。
  47. 古寺宏

    古寺分科員 大臣にお伺いしますが、山梨県一県分くらいあるといわれる法定外公共物の管理権というものが一体国にあるのか、県にあるのかその点についてまずお聞きしたいと思います。
  48. 大津留温

    ○大津留政府委員 いわゆる法定外公共物は国有財産ということになっておりますので、その意味では、これは国が管理すべき性質のものでございます。御指摘の里道とか水路のような公共物につきましては、これは建設大臣の管理とされておりますので、建設省の国有財産取扱規則を定めましてこういったものは都道府県の知事に管理を委任するということにいたしております。そういう意味合いにおきまして、現実に国有の法定外公共物の管理をする権限並びに義務は、現在のところ都道府県の知事にあるわけでございます。
  49. 古寺宏

    古寺分科員 都道府県の知事に委任をしておりますけれども、財政的な裏づけがないためにほとんどその管理がなされていないにひとしいような状態でございますが、これを今後立法化いたしまして管理を十分にやっていくというようなお考えをお持ちでございましょうか。大臣から御答弁願います。
  50. 西村英一

    西村国務大臣 そういう法定外のものをだんだん広めていく。たとえば河川でございますと、河川は法定内のものは法定内でございます。法定外のものは、必要になればだんだん広めていくことが一つ方法でございます。準用河川の適用、いままでは川のところはここまでしか管理していなかったが、それをずっと広めていく。それではなしに、法律でもってやりたいというものもないわけではありません。たとえば最近私のほうで非常に困っておりますのは、海の中の砂利をとる問題です。これはどこにも取り締まる方法がないわけです。したがって今回も、何とか沿岸の海域についてのそういう取り締まりをする法律をつくろうと試みたのですが、法制局との間に意見がなかなか合わないのです、正直なところ。そこで今回はあきらめましたが、さようにして、ものによっては法律で対処しなければならないし、ものによっては現在の法律の範囲を広めていく。こういうようなことで不明瞭なものに対して対処していきたい、かように考えておる次第です。
  51. 古寺宏

    古寺分科員 現在、限られた県に対して補助金が出ておりますね、百万以上の場合でございますが。その他の場合には全然補助金が出ておりません。したがいまして、この法定外の公共物というものは野放しになっているわけです。不法占拠されたりあるいは宅地の造成に伴って水害常襲地帯がふえ、いろいろな問題をかかえて一番困っているのが地方自治体なんです。そういうことを、法制局とうまくいかないので立法化ができないといういまの大臣の御答弁のようでありますが、このことについてはすでにもう会計検査院あるいは行政管理庁からも過去に指摘をされているわけです。今後どういう方向で進むか。いまのお話は、いわゆる普通河川を、まあ十七万キロもある河川のうちで野放しになっているのが十万キロもある、これを準用河川にして何とか管理していきたいというようなお話のように承りましたが、河川のみならず湖沼、里道、いろいろな問題がございます。こういうものについてやはりきちっと立法化いたしまして管理していく必要がある、こういうふうに地方自治体ではみな考えているわけです。それに対して建設省のほうは一向に進まない。どういうわけなんですか。
  52. 大津留温

    ○大津留政府委員 御指摘のように法定外公共物というものは非常に数が多く、あちこちに散在しておりますので、この管理が行き届かないということは御指摘のとおりでごいます。先ほど大臣がお答えをいたしましたように、これを適正に管理するにはどういう方法をとるか、できるだけ道路法なり河川法の管理の対象に取り入れられるものは取り入れていく、これはもう一番いい方法だと思うのですが、それでもなお御指摘のように非常に多くのものがございますので、これらをすべて河川法、道路法ということで管理することはなかなか至難のことだと思います。どうしても法定外のものが残ると思います。したがって、これらのものをどういうように措置するかということで前々からいろいろと関係省とも相談しておるわけでございますが、私どもとしましては、やはりこれは地元の市町村に管理していただくのが最もいいんじゃないかというふうに考えまして、そういう線でいろいろ研究を進めております。  またこの場合に、その管理の費用をどうするかということになりますが、その市町村内におきまするこういったものを処分いたしました場合に、その費用は管理のためにその市町村が相当出費をしておるでございましょうから、その費用の範囲内においては市町村にいわば還元するというやり方がよかろうというふうに考えまして、そういう方向でいまいろいろ検討を重ねておるような状況でございます。
  53. 古寺宏

    古寺分科員 検討検討といいましても、もう五年以上も経過しているわけでしょう。それを全然予算の要求もしない、地方自治体にまかせっぱなしでやらせようといっても、これはできっこないわけです。今後立法化するまでの間はそういうような予算については計上していくお考えがあるのかどうか、まずその点から承ります。簡単に答弁願います。
  54. 大津留温

    ○大津留政府委員 御指摘のように、法律上のいわば抜法的な対策をを立てるのが望ましいのですが、それまでの間におきましては経過的な方法としまして、たとえば地方公共団体が条例をもって管理の規則をつくり、それに基づきまして、たとえばいま御指摘にありましたように水路を第三者に使用させる、占用させるというような場合にはその使用料を徴収できるというようなことも一つ方法だと思います。それから、地方公共団体の基準財政需要額にそういった経費を計上するというのが一つ方法で、現在もその他の行政費として計上しているということにはなっておりますが、御指摘のようにその点を明らかにするためにこれらの公共物の管理の費用を別掲して、別にワクをとって交付税で見てやるというようなことが一つ方法かと思います。また現在国有財産法で、その公共物の用途を廃止した場合その当該公共団体に無償で譲り渡す方法もございますので、その費用を負担した範囲内で当該公共団体に無償で払い下げをするというようなこと等をいろいろくふうして、経過的な措置をとりたいと考えております。
  55. 古寺宏

    古寺分科員 それでは時間がないので、青森県の三沢市の浜通りにございます約三十軒くらいの方々でございますが、昭和四十三年の二月十九日に用途廃止をいたしまして、大蔵省の引き継ぎを申請しているわけでございますが、これがいまだに解決を見ていないのはどういうわけなのでございましょう。
  56. 大津留温

    ○大津留政府委員 ちょっとその問題、私具体的なケースにつきましては詳細存じませんので……。
  57. 古寺宏

    古寺分科員 大蔵省おりますか。大蔵省から……。
  58. 小幡琢也

    ○小幡政府委員 三沢市に所在しております国有の海浜地の問題であろうかと思いますが、これはおっしゃいますように四十三年に用途廃止いたしまして引き継ぎ関係の折衝に入っておりますが、これは不法占拠をしております者が相当ございまして、これは相当古くから不法占拠しているわけでございますが、この辺の処理がつかないということでかなり引き継ぎがおくれているというふうに聞いております。こういった公共財産を用途廃止いたしましてそれを大蔵省が引き継ぎます場合に、どうも従来から引き継ぎ事務がおそいということで、昭和四十三年の四月に建設省と協議いたしまして、今後はこういった事務を促進いたしますために一定の基準を設けまして、建設省の委任を受けました都道府県知事とそれから現地の財務局長または財務部長が協議するために、公共用財産引継連絡協議会というものを設けまして処理を促進する、その場合に、一定の範囲内に入りますもの、たとえば占用許可に基づきまして生活の本拠として住宅の敷地として使用しているものとか、それから永続使用に耐える堅固な家屋その他の構築物として使用している場合とか、いろいろ事情やむを得ないようなものにつきましてはこれは適当と認めて引き継ぐ、しかしその不法占拠の実態が非常にいいかげんである、こういうようなものにつきましては、やはり現地におきまして原状回復その他適正な措置を講ずる、そうした上で大蔵省へ引き継ぐ、こういう話が建設省との間に成り立っておりますので、おそらく御指摘のような事案は、現在そういった原状回復その他の是正措置を求めている段階で、それでおくれているのじゃないか、こういうように考えています。
  59. 古寺宏

    古寺分科員 ここにいらっしゃる方は明治時代からの方もございますが、昭和八年の津波で家を流失して、行くところがなくてここへ家を建てている。しかも、津波があったその海岸については、建設省は全然海岸保全事業をやっておりません。もとの場所に家を建てることはできない、そういうような特別な事情を持っている方々ですよ。それを四十三年に申請をして、いまだに引き継ぎをしてない。ところが、四十二年に国会で問題になった大阪の富田林のPL教団の法定外国有地はどうですか。四十二年の六月十七日に受け付けて、四十二年の七月二十六日に決裁しているじゃないですか。六回にわたってやっているじゃないですか。しかもその期間がわずか二月足らずですよ。こういう困っている人に対しては、そういう冷たい処置をして、膨大な土地を不法占拠している者についてはこういう便宜を計らっている。どういうわけなんですか。
  60. 小幡琢也

    ○小幡政府委員 実は私、この三沢の件につきましては、つい先ほど電話で現地に照会したばかりでございまして、実態をつまびらかにしておりませんので、いかんともお答えできませんが、先生の御指摘のように、そういった事情がございますならば、先ほど申しましたように、当然公共用財産引継連絡協議会というところで建設省の委任を受けました都道府県と協議しまして、早急に処理すべき問題ではないかと考えておりますので、ひとつ現地に照会いたしまして、さような事案に該当いたします場合には善処したい、かように考えております。
  61. 古寺宏

    古寺分科員 一年間に用途廃止をして大蔵省に引き継ぎをし、払い下げをしている件数がどのくらいあるかということを、後ほど資料にして御提出を願いたいと思います。その場合に、当然競争入札がたてまえでございますが、その中で競争入札に付しているものが一体何件くらいあるのか、こういうことについても一緒に御報告を願いたいと思います。  そこで、お尋ねしておきたいのですが、競争入札がたてまえになっておりますが、そういう原則によって払い下げをしておりますか。
  62. 小幡琢也

    ○小幡政府委員 先生お話しの件は、こういう法定外公共物の件だと思いますが、これにつきましては、一般競争入札の原則の例外といたしまして、隣接の特別の縁故のある方に随意契約で処理する、こういうような取り扱いになっております。
  63. 古寺宏

    古寺分科員 先ほど交付税の中に法定外の公共物の管理の費用を今度含めたいというようなお話建設省からあったのですが、自治省はこの問題についてはどういうふうにお考えでしょうか。
  64. 鎌田要人

    ○鎌田政府委員 法定外公共物の管理関係というものが明確でない場合でございますれば、これはもちろん国有財産ということになるわけでございますから、地方公共団体としてこれについて経費を支出すべきいわれはないというふうにわれわれは考えておるわけでございます。今般、河川法の改正で、私もこの問題で議論をいたしたわけでありますが、たとえば一級河川、二級河川について、今度準用河川の道が開かれる、こういうことになりますと、これは地方団体が少なくともその分については維持、管理の責任を持つわけでございますから、これにつきましては、市町村の場合でございますれば、ただいまお話がありました交付税の基準財政需要額の算定にあたりまして算入をする、こういう措置は当然とられるわけでございます。ただ、この場合におきましても、それが災害等の関係がございましたり、あるいはまたそうでございませんでもいわゆる改修を行なう、こういうことになりますれば、これは私どもといたしましては、やはり河川法の本来のたてまえに立ち返りまして、一級河川なり二級河川なりの区間に編入をしていただきまして、本来の河川利用に対する補助率、地方負担という関係で明確にやっていただきたいということを希望いたしておるところでございます。
  65. 古寺宏

    古寺分科員 大蔵省はどういうようにお考えでしょうか。
  66. 小幡琢也

    ○小幡政府委員 法定外公共物のうち、都道府県などいわゆる地方公共団体が条例等におきまして維持、管理をしているという場合、これは地方財政法二十三条の規定によりまして使用料等を地方公共団体が徴収できることになっておりますので、それで費用はまかなわれているのじゃないかということ、もう一つは、そもそも一般的に地方交付税の基準財政需要額にその他の行政費として一定額を計上してある、したがいまして、一般的には地方公共団体がその範囲内で管理費用を御負担できるのじゃないか、かように考えております。
  67. 古寺宏

    古寺分科員 大蔵省にもう一回お尋ねしたいのですが、この法定外公共物の管理というのは、地方自治体の固有事務というふうにお考えでしょうか、それとも機関委任事務というふうにお考えでしょうか。
  68. 小幡琢也

    ○小幡政府委員 これは国有財産法九条の規定に基づきまして、機関に委任されておりますので、機関委任事務である、かように考えております。
  69. 古寺宏

    古寺分科員 次にお尋ねしたいのですが、河川局長さんいらっしゃいますか。——地方自治体に河川監視員というのがございます。これが非常にまちまちでございまして、非常に数の多いところも少ないところもあるわけでございますが、この河川監視員というものをきちっと制度化しまして、こういうような河川、特に法定外の公共物の水路等についても当然監視をすべきであるというふうにいわれているわけでございますが、その点についてどういうようなお考えをお持ちでしょうか。
  70. 川崎精一

    川崎政府委員 いわゆる河川法上の河川あるいはこれを準用いたしております河川等につきましては、延長その他大体の実態がわかっておるわけでございます。したがって、それぞれの重要度に応じまして、たとえば一級河川の直轄管理区間等につきましては、それぞれ私どものほうでも指導をしましてパトロールなり巡視をやっておるわけでございますけれどもお話しの法定外の河川ということになりますと、これは地域性の非常に強い問題でございまして、しかも、その量的あるいは質的な把握というようなものが非常に困難なわけでございます。したがって、現在私どものほうでできるだけ早くそういった実態をつかみたいというようなことで、府県あるいは市町村といった公共団体の御協力を得まして、その実態を大急ぎでいま調査いたしております。そういった中からどういう問題があるか、どの程度の人なり費用が要るか、そういったことも十分検討した上で指導をするようにいたしたいと思っております。
  71. 古寺宏

    古寺分科員 これから河川についてのいわゆる調査をおやりになるということはわかったのでございますが、そういう場合にこの河川監視員というものが当然必要になってくるわけなんです。こういう制度について、国にも河川監理員というのがございますが、地方自治体の河川監視員に対する建設省のお考えを承りたい。
  72. 川崎精一

    川崎政府委員 先ほど申し上げましたように、そういったものもある程度実態を把握しました上で検討をいたしたいと思いますが、現在のところでは、河川法以外の河川にまでそういったことを具体的に制度をつくるということまでは、事務的には考えておりません。
  73. 古寺宏

    古寺分科員 そういたしますと、河川法適用以外の河川は、いつまでたっても原始的なままで、公害はたれ流し、あるいは災害があっても、その災害の工事にかからなければ復旧ができないというふうに、いろいろな問題があるわけですね。そうしますと、全然河川法以外の河川というものは、いままでのままで、そのまま放置していくお考えなのですか。
  74. 川崎精一

    川崎政府委員 先ほど自治省のほうからもお話がございましたように、やはり地域の環境なり相当な範囲に影響のある河川——浄化に関してやはり改修なり災害復旧をしなくちゃいけない、あるいは環境上しゅんせつをしなくちゃいけない、こういったような河川につきましても、むしろ河川法上の河川に指定をいたしまして、その上でわれわれ管理を強化していきたいと思っております。ただそれ以外のそういったものにつながります、いわゆる水路といいますか、毛細管のような普通河川あるいはひげ河川と言っておりますが、そういうものが非常にたくさんあるわけでございますが、こういったものについて、そういったものを全部網羅して監視体制の中に置くということは、なかなか困難なわけでございますが、しかし実態はこれからよく調べていきたいと思っておる次第でございます。
  75. 古寺宏

    古寺分科員 それでは、いまいろいろとこの法定外公共物についてお尋ねをしてまいったわけでございますが、予算の裏づけもない、はっきりした法的な裏づけもない、こういうような法定外公共物が山梨県一県分も放置されておったということは、これは建設省の行政の怠慢である、こういうふうに言われてもやむを得ないのではないかと思いますが、今後この問題について、大臣としてどういうふうに積極的に取り組んでいかれるか、御決意を承って、私の質問を終わらしていただきたいと思います。
  76. 西村英一

    西村国務大臣 この問題は、もう前からいろいろ議論のある問題でございまして、私どもも全然承知をしていないわけではないのであります。しかしこの取り扱いが非常にむずかしいのございますが、いまあなたが御指摘のとおり、私たちも十分これを管理するよう、またその取り扱いについても十分意を用いるように今後努力していきたい、かように思っておる次第でございます。
  77. 松浦周太郎

    ○松浦主査 これにて古寺宏君の質疑は終わりました。  次は、後藤俊男君。
  78. 後藤俊男

    後藤分科員 第一番に、同和対策事業特別措置法に基づき、建設省関係としていままで過去三カ年間やっていただいたわけですけれども、四十七年度は十カ年計画の第四年度に入るわけです。     〔主査退席、三ツ林主査代理着席〕 全部の予算が九十七億円でございますか、各省全部総計しまして、純粋なものを計算しますと。そこでわれわれ社会党といたしましても、この予算には非常に不満を持っておるわけなんです。なぜ一体もっと予算がつけてもらえぬだろうか。しかも同和対策の完全解放を目ざして、もう三カ年間過ぎてしまった。しかもいままで政府の言い方といたしましては、前半でできるだけひとつしっかりとやっていこう、こういうふうな意向等も言われておるわけでございますので、そういう立場に立ちまして、建設省としまして、過去三カ年間にどれくらいの予算をいままで出しておられるか、さらにこの同和対策事業特別措置法ができましたときに、総理大臣なり各大臣との間で確認事項もあるわけでございますが、順次その辺のところをお伺いいたすわけですが、四十七年度の予算建設省としてこう考えておる、過去三カ年間にはこの程度予算が出たのだ、さらに今後の問題としてどういうふうに考えておるか、その点を簡潔でけっこうでございますが、御説明いただきたいと思います。
  79. 西村英一

    西村国務大臣 数字を申し上げる前に、相当に同和対策については、政府は力を入れておるわけでございます、普通の事業よりも。したがって、十分御要望に沿うかどうかは、これまたわかりませんけれども、特に力はいたしておるわけでございます。  数字は政府委員から……。
  80. 沢田光英

    ○沢田説明員 まず、御質問で、過去三カ年間の実績についてということでございますので、それからお答えをいたしたいと思います。  住宅局が一応まとめました資料で、四十四年度におきましては、住宅関係で三十五億、その他建設省関係都市計画を加えまして三十六億一千六百万。四十五年度は、住宅関係で七十二億一千三百万、都市計画を加えまして七十六億八千二百万。それから四十六年度におきましては、住宅関係は百四十八億八千四百万、これは補正後でございます。都市計画を加えまして百五十九億三千四百万。かようなぐあいになっておるわけでございます。四十七年度につきましては、住宅局関係がただいまございまして、四十七年度の改良住宅と公営住宅、それから同和の改修事業というようなものもございますが、これの改良住宅につきましては六千戸を予定してございまして、おおむね百十七億、公営住宅は四千四百戸を予定しておりまして四十三億、改修資金は、五千百五十戸を予定しておりまして、これが四億という計画を持っております。
  81. 後藤俊男

    後藤分科員 いまの住宅の説明については、これは一般の分も入っておると思うのです。それでけっこうですが、一般の分も入っておる金額であるということは、はっきりしておると思うのですけれども……。
  82. 沢田光英

    ○沢田説明員 同和関連だけでございます。
  83. 後藤俊男

    後藤分科員 同和だけですか、いま言われましたのは。
  84. 沢田光英

    ○沢田説明員 はい。
  85. 後藤俊男

    後藤分科員 それからその次に問題になりますのは、確認事項の実質単価とせられたい——それだけ言えばぴんとくると思うのですが、この問題についてまだ十分じゃないように聞いておるわけです。いかがでしょうか。
  86. 沢田光英

    ○沢田説明員 住宅事業全般につきましては、同和に限らず、そういう問題がございまして、地方公共団体からいろいろ言われております。特に同和につきまして申し上げますと、同和対策の事業といたしまして、私がいま申し上げましたように、公営住宅の同和向けのもの、それから改良事業、すなわちスラムクリアランス、それから修繕をいたします改修事業、こういうものがあるわけでございますが、この改修のほうは比較的問題はございませんが、公営住宅の改良住宅につきましてそのような問題があるわけでございます。  まず、公営住宅でございますが、これにつきましては、実はこれは一般的に四十二年度から四十五年度にわたりまして、単価によります超過負担を解消するということで大蔵省と私どものほうで調査をいたしました結果に基づきまして、三カ年で実は単価につきましては解消したわけでございます。  しかしそのほか、地方公共団体の地域状況に応じて、規模を基準よりも広くしたいとか、そのほか質を上げたいという要望が非常にございました。そういうことでかなりの持ち出しがあるということも事実でございます。そういうことでございますが、そのうち同和につきましては、同和向けの住宅もやはり大きなものがほしいという希望がございました。したがいまして、建築費につきましては、そういう面積の問題でかなり超過があるのではないか、かように考えております。  それから、いまのは建築費でございますが、用地費につきましては、公営住宅におきましては通常九つの地域に全国を分けて単価を設定しておりますが、同和向けは一ランクずつ全部上げて適用しております。というのは、同和の所在地が比較的高いところにございますからで、そういうことでおそらくそういうふうに単価の問題は一般よりも優遇されておりますし、比較的問題が少なくなっておるのじゃないかと思います。  改良住宅のほうでございますが、改良住宅につきましては、建物工事につきましてはおおむね公営住宅の場合と同様でございます。そのほか、前にあります住宅を撤去するクリアランスの費用、こういうものにもある程度の超過負担があるということでございますが、そういうことにつきましては今後三カ年ぐらいでこういうものを解消したいという計画を現在私どものほうで持っておるわけでございます。  そのほか改良住宅の用地費につきましては、これはかなりの額を見ております。特に同和につきましては、一般のスラムクリアランスよりも有利な率を掛けてみております。  そういうようなことでかなりの配慮をしておるわけでございますが、いまだに公共団体から単価につきまして、先ほどの面積の問題を含めて陳情がございますので、私どものほうといたしますと、この事業は非常にむずかしい事業でございますので、私どもも大蔵省、自治省両方に協議をいたしまして、四十七年度におきましてはあらためてそういう実態を調査をして今後の対処のもとにしたい、かような計画を持っておる次第でございます。
  87. 後藤俊男

    後藤分科員 いろいろ問題はたくさんあるわけでございますけれども、先ほど大臣が言われましたように、同和問題についてはかなり力を入れてやっておる、全然やっておられないということを私も言うわけではありません。いろいろ各方面で御尽力いただいておることはわかるわけですけれども、たとえば大阪府一府だけの予算を見ましても、かなり膨大な予算を組んでおるわけです。国の予算の何倍というような予算を組んでおるわけです。そういう点を考えてみると、国として九十七億、非常に少ないではないかというような意見も今日出ておるようなわけでございます。ですから、昭和四十七年度としまして、いずれにしても先ほど申し上げましたように第四年度を迎えるわけです。残り六年しかないわけです。その間に完全解放をするためには、いままで以上に各省御尽力をいただき、いま申し上げました問題につきましても早急に検討して、実態に即するようにやりたい、こういう気持でございますので、ぜひそういう方向で御尽力をいただきたいし、さらに来年につきましてはもっと予算が増加する方法大臣にもこれから続いてひとつ御尽力いただきたい、こう思うわけです。同和問題について、大臣、いかがでございましょうか。御意見何かございましたらひとつ……。
  88. 西村英一

    西村国務大臣 私たちも、政府全体としても、御要望に沿うように、どの局もどの省も一生懸命やっております。ことに建設省はほかの省よりも最も密接な関係を持っておりまするから、なお及ばないところは今後の問題につきましても十分検討して御要望に沿いたい、かように思う次第でございます。どうぞ御了承を賜わりたいと思います。
  89. 後藤俊男

    後藤分科員 ひとつ同和問題につきましてはお願いをいたしたいと思います。  次は北陸縦貫自動車道の問題でございますけれども、現在予定どおり進捗しておるのかどうか、これも簡潔でけっこうでございますが、お答えいただきたいと思います。
  90. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 北陸自動車道は、起点が新潟市、終点が米原市、四百七十七キロメートルでございますが、全線の基本計画を決定いたしまして、このうち上越——直江津市でございますが、直江津市と富山県の県境にございます朝日町の間七十三キロメートルを除きまして全線整備計画を策定いたしまして、現在日本道路公団において鋭意工事の促進をはかっているところでございます。  第一次施行命令を出しました区間、これは四十一年の七月でございますが、富山市と福井県の武生の間百五十三キロメートルにつきましては、約八七%の用地買収が終わりました。そのうちまた全体の六六%の工事の発注を完了しておりまして、四十七年度においては全区間の用地買収を行なうように、ただいま鋭意つとめているわけでございます。また四十七年度中には金沢の西インターチェンジと小松のインターチェンジの間の二十三キロメートルにつきましては供用を開始する予定になっております。その他の区間につきましても、第一次施行命令区間につきましては、全線四十九年度までには完了したいというように考えております。  それから第二次の施行命令区間、四十三年四月に出したわけでございますが、武生と米原の間八十三キロメートルにつきましては、全線路線発表を四十四年末から四十五年の当初に終わり、そのうち約六四%の区間の中心ぐらいの設置を終えて、用地の取得に鋭意努力中でございます。  それから第三次の施行命令区間、四十四年四月に施行命令を出しておりますが、新潟と長岡の間につきましては、五十四キロメートルでございますが、路線の発表並びに中心ぐいの設置が終わっておりまして、設計協議及び用地買収を進めております。  第四次の施行命令区間、四十六年六月、七月にかけて施行命令が出ておりますが、長岡と上越の間六十五キロメートル並びに朝日と富山の間の四十九キロメートルにつきましては、現在実施計画の作成のための作業を進めております。それから朝日−上越間につきましては、整備計画策定のための技術的な調整を進めておりまして、この調査が完了し次第整備計画を決定する予定になっております。  滋賀県内の木之本と長浜間につきましては全面高架の要求がございまして、神社の移転、墓地の移転等にからみまして地元の了解が得られずに、一部の区間を除きまして中心ぐいの設置もできないような状態でございますけれども、北陸縦貫道を効率的に供用し、国道八号線をはじめとする当地区の交通緩和をはかるためにも、できるだけ早く完成する必要があると考えまして、地元の協力を得るようただいま鋭意努力中でございます。
  91. 後藤俊男

    後藤分科員 予定どおり大体昭和五十一年には完成の見通しだろうと思うのですが、そのインターチェンジの問題です。これはほとんどインターチェンジがきめられておると思うのです。ところがそのインターチェンジの中には、北陸縦貫自動卑近といえども、やはり売店なり店屋が出ると思うのです。私も中央なり名神なりあるいは東名等をちょっと調べてみましたら、このインターチェンジにおけるところの売店、これらの権利は全部建設省が握っておる。建設省の弘済会というか共済会というのですかが握っておられるというように聞いておるわけです。間違っておったら直していただけばけっこうですが。特に北陸自動車道は地元等の声もいろいろありまして、これらが完成しまして県内にインターチェンジができた場合においては、やはり県内の有力な業者を考えるべきではないのか。全部建設省で権力を握ってしまって、自分の思うままにやっていくというようなやり方についてはどうだろうか。この点は一ぺん考え直してもらう必要がある。やはりその県内のインターチェンジにおきましては県内の有力な業者、これが常識的なことではないかというふうにいわれておるのですが、この点いかがでしょうか。
  92. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 ただいまの売店等の経営は、建設省が直接権限を握っておるわけじゃございません。サービスエリアに売店とか食堂とか設けられますが、これらは任意団体の社団法人の道路施設協会というのがございまして、言うならば鉄道の弘済会に近いものだと存じますけれども、ここで一応すべてをやっているわけでございます。先生の御指摘のように、従来食堂を経営するなり売店を行なう場合には、希望者がたくさんございますから、その希望者を一応選考いたしまして、最近では先生御指摘のように地元の業者の方もなるべく、できるだけ入れるようにしておりまして、それで入札によってきめているわけでございます。したがいまして、これは建設省ははっきり申しましてほとんどタッチしていないので、主として日本道路公団並びにただいまの道路施設協会が中心になってやっているわけでございます。
  93. 後藤俊男

    後藤分科員 建設省がその権限を握っているというのは間違いとしまして、道路施設協会でございますか、ここが握ってやっておられる。これは各高速道路がそうらしいですね。ですから、ぜひひとつそのインターチェンジのある県内における業者ですね、このことも十分配慮の上、今後ひとつ対処していただくように、これは私はどこの業者がどうとかそんな気持ちは毛頭持っておりませんけれども、これは当然配慮していただくべきものだというふうに考えておりますので、ぜひお願いしたいと思うわけです。  それから、その次は、国道八号線の関係です。私が聞いたところによりますと、近江町−彦根間のバイパスの問題ですね。これらが何か計画されておるやに聞いておるわけですが、現在どうなっておるでしょうか。
  94. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 御承知のように、ただいま国道八号線の滋賀県内におきましては、長浜バイパスを中心に工事を進めておりまして、四十六年度には約二キロくらい、一部区間が供用されるわけでございます。四十九年度までには全部、十キロくらいが完成するわけでございます。ただいま御指摘の、近江町から彦根にかけましては、やはり国道八号線と二十一号線の合流する付近でございまして、たいへん交通も混雑をしておるようでございますので、これらにつきましてただいま鋭意調査中でございます。ルート等につきましては、ただいま調査中でございまして、四十七年度につきましても継続して調査をする予定になっております。
  95. 後藤俊男

    後藤分科員 いま言われましたように、この付近は非常に交通も激しいところでございまして、ぜひこのバイパス問題には力を入れていただく。  それからもう一つは、昔からこれは問題になっております国道荷六十一号線の関係ですが、これは藤尾横木町から下阪本までは国でやる、さらに下阪本から堅田までは公団で行なう、こういう方針はもうきまっておると思うのです。ところが、百六十一号線に沿いまして、廃線になりました江若鉄道の何というのですか、廃線敷があるわけですね、道路沿いに。これらもいま雄琴から志賀町まではそのまま放棄して、放棄というか、そのままにされておるんじゃないかと私は思うわけなんです。私が言うまでもなく、国道百六十一号は日曜、祭日等では道路容量の三倍から四倍の交通量があるわけなんです。私も、三年も四年も前からこの国道百六十一号については強くこれは主張しておる点でございます。こういう江差鉄道の廃線敷を利用すれば、その部分だけでも拡幅なり拡張されるわけなんです。大津市内の雄琴まではできておるように聞いておりますけれども、そこから志賀町間はそのままになっておるというふうに聞いておるわけです。これくらいみんなが国道を広げてほしいという強い要望があるときに、廃線された廃線敷がそのまま国道に沿って捨てられてあるということは、どうもみんなが不信がるわけなんです。なぜ一体これをこういうふうに広げないだろうか、これは地元におきましても強い要望を持っておるわけなんですが、これはどういうことになっておるのですか。
  96. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 江若鉄道の廃線敷につきましては、できるだけ道路で使えるものにつきましては使うように指示いたしまして、十分地方建設局を中心に検討しておる段階でございますが、たとえば雄琴町の一部で国道に並行しております部分につきましては、すでに四十六年度に買収いたしまして工事にかかっておるはずでございます。それからまた、小松地区でございましょうか、あそこにおいてもたしか使うような予定になっております。ただ、国道から離れたりあるいはどうしても道路敷として使うことができないところがわりに多うございまして、なかなか全部使うというわけにいきません。いま申し上げましたように、道路側といたしましてはできるだけ使うように指導しておるわけであります。
  97. 後藤俊男

    後藤分科員 そう言われますけれども、いまのところ私は、道路と離れておるところをとやかく言っておらずに、少なくともあれだけ問題になっておる国道百六十一号線沿いにあるところの江若鉄道の廃線敷ですね。江若鉄道が廃線になりましてからもうだいぶになるのです。だいぶになりましても、現在のところまだ十分使うようになっておらない。これは早急にきちっと整備していただく必要があろうと思うのです。これはぜひお願いしたいのです。  それから最後の問題としまして、いま申し上げました国道百六十一号線は関西との連絡国道でございまして、非常に交通が激しいことは申し上げるまでもありませんが、西大津バイパスというのがあるのです。バイパスが、滋賀県の地元としても非常に苦労されておるのです。住宅街をバイパスが通る、山の手を通すというと古墳がある、こういうかっこうになるわけです。そこで住んでおられる皆さんとしては、古墳がある、古墳があると言われますけれども、一目見たところで草がはえて何にもわからぬじゃないか、古墳とわれわれとどっちが大事か、古墳があるからここをよけて道路をつくるのか、そんなことよりもう少し考えてもらったらどうなのか、こういう強い要請がありまして、その辺の住民の皆さんが結束をされまして、バイパス問題についても結果的にはブレーキがかかったような形になるのです。ですから古墳が大事なのか、住民の意思に沿うことが大事なのか、これはちょっとやそっとの時間では論議できないと思いますが、これは大臣いかがでしょうか。これは滋賀県だけではなくて全国的に起こっている問題だと思うのです。たとえばあるところで道路をつくるわけです。こっちを通そうと思えば古墳があるからだめだ。ですからやむを得ずこっちを通すわけです。そこで大問題になるわけです。できるバイパスがなかなかできない。そういう形になってくるわけなんですね。それほど大事な古墳なら、掘り出してどっかへ保存するとか方法も私はあると思うのです。いかがでしょう。
  98. 西村英一

    西村国務大臣 私は西大津バイパスはよく存じません。相当に昔はあの辺でしょうとしたこともありますけれども、近ごろはだいぶ変わっておりますので、さっぱり土地勘がございませんが、西大津バイパスは非常に重要な路線であることは私は想像がつきます。  いま御指摘の問題ですが、これは一般的な議論をするよりも、やはりケース・バイ・ケースで考えてやって、住民のことを第一に考えてやらなければならぬ。しかし先生も御案内のとおり、最近は古跡その他のこと、あるいは環境保全の問題、いろいろ問題があるわけでございます。しかしせっかくのおことばでございまするから、やる場合には十分ひとつ住民が納得するような形でかからなければならぬ、かように考えておる次第でございまするから、検討をさしていただきたいと思います。
  99. 後藤俊男

    後藤分科員 いま言われました古墳の問題は滋賀県だけの問題ではなしに全国的な問題になっておると思うのです。たとえば先ほど言いました北陸縦貫自動車道の問題にしましても、あるいはバイパス関係にしましても、古墳があるから古墳があるからということで、民家にかかるような方法でいくわけです。どんなりっぱな古墳があるのか掘ってみなければわからぬわけです。その辺に住んでおる人は、さっぱり草っ原で何が何だかわけがわからぬわけです。そんなものを大事にするくらいなら、おれらの住んでおるところをもうちょっと大事にしてくれたらどうだ。やっぱりこういう気持ちが生まれてきてあたりまえだと思うんですね。ですからいま申し上げました大津バイパスにつきましても、これは大臣がおっしゃるように交通の非常に重要なところですから、一刻も早くバイパスが落成することをこいねがっておるわけなんです。ところが古墳があるから向こうには行けないのだ、おまえの家の建っておるところをのけて通るんだ、こういう形になっています。そんなこと言わずにあっちを通ってくれ、向こうに行ってくれ。いや向こうは古墳かあるからだめなんだ。こういうケースが私は至るところにあるんじゃないかと思うんです。文化財の関係があろうと思いますけれども、ぜひひとつ先ほど大臣が言われましたように、こういう問題につきましても住民本位に考えていただく。文化財をお粗末にしてくれということを私言っておるわけじゃないんですから、その点は考えていただいて、今後ともひとつ十分対処をしていただくようにお願いをしたいと思います。終わります。
  100. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林主査代理 以上で後藤俊男君の質疑を終わります。  瀬野栄次郎君。
  101. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 建設大臣並びに関係当局にお尋ねをいたします。  まず最初に、熊本市を貫流しております一級河川白川がございますが、このことについては昭和四十四年以来委員会でもたびたび質問を申し上げてまいりましたが、この一級河川白川の河川改修がたいへんおくれているということで、地元でも心配をいたしております。あの史上最大というどろの水害、二十八年の六・二六水害がございまして、あれからいよいよ二十年目を迎えましたが、災害は二十年周期ともいわれまして、あってはいけませんけれども、いよいよまた災害に見舞われるんじゃないかということで、地元はたいへん不安におののいております。建設省はじめ県、市とも一体となってたいへん憂慮していただき、これが促進に努力していただいていることも事実でありますが、この河川改修がたいへんおくれておりますので、四十七年度はぜひひとつ強力に財政投資をしていただいて推進をはかっていただきたい、かように大臣に申し上げたいわけです。まず、白川改修の本年度の現状と四十七年はどういう計画で進めていかれるか、見通しについてお伺いをいたしたいと思います。
  102. 川崎精一

    川崎政府委員 白川につきましては先生も御承知のように、昨年非常に激甚な被害を受けたわけでございます。たしか災害対策委員会でその節先生にお答え申し上げましたとおりでございまして、私どもといたしましても、一級河川の中でもいわゆる県庁所在地を流れておるああいった河川が非常に改修がおくれておるというようなことで、私ども自身もそういった点では白川の改修を積極的に促進をする必要があると痛感をいたしておる次第でございます。したがいまして、第三次五カ年計画、四十六年度まででも約二十五億ばかり投資をいたしておりまして、昨年度はかなり補正予算等を含めまして改修の促進に努力をいたしたつもりでございます。現在、来年度の予算等につきましては事務的に検討をいたしておるところでございますが、昨年の災害の時点で申し上げました趣旨に沿いまして、私どもも積極的に改修を進めるようにいたしたいと考えておる次第でございます。
  103. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 いま事務的にいろいろ予算を検討しておられることだと思いますが、ぜひひとつ積極的に強力に推進していただきたいことを重ねてお願いしたい次第です。  ことにこの改修にあたっては、ネックになっているのは白川沿岸の河川敷の家屋の移転があるわけで、多年問題になっております。建設省、熊本県、また熊本市が一体になっていま進めていただいておるわけですけれども、熊本市の白川沿岸の建築物の移転計画は、移転先周辺の住民の反対がたいへん強く難航した経緯がございます。このことを予定した三百五十戸のうち、百六十戸の受け入れが、建設省並びに県、市の努力によってようやく地元の了解を得て明るい見通しができたわけでありますけれども、移転する者との折衝はこれからというのが実情でございまして、四年ぶりにやっとその解決の端緒が開けたと言えるわけですけれども、この移転希望者の中には、直接、不法建築居住者と折衝をする残りの百九十戸というのがまだあるわけです。これらの移転先を検討していかなければならぬわけですが、第二、第三の移転先を今後見つけていただかねばならないということになると思います。それらの今後の見通し、特にその中には百十世帯余りの飲食店あるいは廃品回収等をやっている方もおられまして、今後の移転がかなりむずかしいんじゃないかというふうにも心配しております。こういったことについて、今後の移転とあわせまして対処方針をこの機会にお聞かせいただきたい、かように思います。
  104. 川崎精一

    川崎政府委員 ただいま先生お話のように、主として世安地区でございますが、私どもが大体撤去をいたしたいと考えておる世帯数が約五百八十戸ばかりございます。その中でやはり自力で移転をされる方もございますので、何とか私どもの間で移転の関係のお世話をしなくちゃいけないというのが約三百五十戸程度ございます。その中で、ただいまお話しのように百六十戸につきましては大体目鼻がついたというところでございます。そういった点では、計画のペースからいきますと多少おくれておりますけれども建設省、市、県を含めまして、この移転の方針をきめるにつきましては相当の努力はいたしたつもりでございます。  しかし、なおかなりの家が残っておりますので、こういったものにつきましてはひとつさらによく地元とも話し合いまして、単に河川改修の面だけでは解決できませんで、総合的な地方行政の協力がございませんと円滑に進まないと思いますので、そういった点ではさらに今後とも円滑な移転をはかれるように努力をいたしたいと考えております。
  105. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 大臣、いまお聞きになったとおりだと思います。大臣、現地を見られたことおありだと思いますけれども、これは熊本市の県庁所在地で、四十数万の人口をかかえた一番市内のまん中を貫流しておる一級河川でございます。なるほど建設省もたいへん努力していただいて、移転問題その他ネックになっておる問題を片づけてもらっておることも事実ですけれども、なかなか進まずに多年の問題になっておりまして、二十八年のあの大水害みたいなことがまた起きたらたいへんだということで心配しております。これはぜひひとつ大臣もきちっと見ていただくなり、これは真剣に取り組んでいただいて、地元の要望にこたえてもらいたい。これはもう党派を越えてこの問題はたいへん重大な問題でございますので、県庁所在地でもありますし、市の一番まん中を貫流しておる河川でございます。大臣からもひとつ決意を一言お聞きしたいと思うのです。
  106. 西村英一

    西村国務大臣 白川の問題につきましては私もよく知っております。しかし、いま言いましたように、事故が起こってから今日までずいぶん、長い月日がたちますが、やはり家屋その他の問題でおくれておるのであろうと私は推察いたします。したがいまして、ひとつ今後私のほうも十分力をいたして、早期にりっぱな川にしたい、かように思う次第でございます。
  107. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 もう一点、建設当局にお聞きしておきますが、この白川改修に伴いまして、熊本県、また熊本市は、緑地公園等の都市環境整備事業をぜひこの機会に進めたいということが計画されて、また建設省にも陳情をいたしておるところでありますが、これらの財源措置についてもひとつ新年度にはぜひ盛り込んでいただくようにお願いしたいのですが、その点の見解をひとつあわせてお聞きしたいと思います。
  108. 川崎精一

    川崎政府委員 白川の下流部全体を見ますと、非常に改修のおくれておるといいますか、河積の狭いのは、やはり町の中心部が中心でございまして、河口のほうにいきますとかなり河積も余裕があるわけでございます。したがって、町の中の白川にはたしていわゆる普通の、東京でいいますと多摩川とか江戸川、ああいったような高水敷を確保できるかどうかという点につきましては若干私も心配をしておるわけでございます。と申しますのは、これはやはり町づくりと一体になりまして、相当抜本的な、河川とそれから公園緑地といいました都市計画的な面からも手を打たないととてもむずかしいんじゃないか。河川改修だけにいたしましても先ほどのような不法占拠の問題その他用地の移転問題なんかがかなりたくさんございまして、難渋をいたしておるというのが実情でございます。したがって、それ以上また河積をふやして、そして公園をつくるということになりますと、これはまたちょっと別ないろんな問題も出てくるのではないかと思います。しかし、やはり改修の経過的な間におきまして、せっかくの高水敷が遊んでおるじゃないか、また改修も掘さくも進まないじゃないかということで、こういうものをぜひ私ども利用していただいたほうがけっこうじゃないかと思いますので、そういった点では私どもも積極的に御協力を申し上げたいと思っております。
  109. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 ただいま大臣並びに局長から答弁をいただきましたが、この白川改修がおくれておるのと、さらに改修が進むにしても、ぜひひとつ建設していただきたいのが白川ダムの問題でございます。建設省が熊本県及び関係市町村の要望を受けて建設計画を樹立すべく、いま調査を行なっておるところの熊本県阿蘇郡長陽村——これは阿蘇外輪山の一角を破って流れておるのでありますが、この長陽村の立野というところにダムをつくる計画を、実は私が昭和三十九年に初めて国に陳情を申し上げて以来、四十五年、四十六年と数回にわたって政府の見解をただしてきたところでありますが、この白川、黒川の合流点のところ付近に白川ダム建設するということでございます。このダム建設することによってたくさんの経済効果があるわけでありますが、まず白川ダム建設によって、熊本市の上流でもございますので、白川の洪水調節と、それから、ダムから阿蘇郡の西原村にあります大切畑のため池を経て新熊本空港の西端の深迫ダムに分水するなど、水田約三千六百五十ヘクタールのいわゆる下流の農業開発、並びに熊本市と周辺の都市用水等にもこれが利用できますし、ダムの落差を利用した発電、既設発電所の出力増など、ダム建設による経済効果ははかり知れない大きなものがあるわけです。県市民一日も早く着工を望んでおるわけです。そこで、白川ダムの現状と実態を建設省調査をしてきておられますが、四十七年度の見通しはどういうふうになっておるか、この機会に明らかにしてもらいたいと思います。
  110. 川崎精一

    川崎政府委員 白川ダムにつきましては、先ほどの白川改修とも不可分のダム計画でございまして、白川の河川改修だけではやはり熊本市の治水は不十分だ、こういうような意味で、前々から白川ダムにつきまして私どもも予備的な調査を進めてきておったわけでございます。ただいま先生お話しのように、この白川ダムができますことによりまして、単に治水だけではなくて、いろんな利水面でも、今後の熊本市の発展のためのいろいろな新しい対策もまた可能になるわけでございます。したがって、私どももできるだけ早くこの白川ダムの着手ができるような状態に持っていきたいということで努力をいたしておるわけでございますが、御承知のようにこの辺は非常に特異な地質でございます。したがって、白川の上流あるいは筑後川、それから大野川、こういったところががいずれも阿蘇溶岩の地形でございますので、あまり十分調査しませんで着手をいたしましても、量水の問題だとかその他いろんな問題がございますので、私どもとすればできるだけ慎重にやりたい。しかしあまり遷延をいたしましてもやはり地域開発のプラスになりませんので、四十六年度、本年度から土本研究所にこういった地質の悪いところにどういったダムが適当であるか、どういう構造でやればいいかというようなことで特別に研究室等も設けまして、主として九州地区の地質の悪いダムにつきましての工法その他の研究も鋭意進めておるわけでございます。予算的には四十六年度は約四百万円程度であったと思いますが、四十七年度につきましては少なくとも倍以上はふやしまして、できるだけ十分な調査を行ないたいと考えております。  なお、この地質の問題のほかに、この地域はいわゆる阿蘇国立公園の特別地域になっておりまして、これは原始林その他非常に得がたいそういった資源がございますので、こういった環境面の調和もやはり考えていかなくちゃいけない。そういう点も踏まえて、四十七年度はできるだけ積極的に進めますけれども、あるいは四十八年に着手することが可能かどうかという点では若干疑問が残っております。しかし御趣旨の方針に従いまして、私どもも積極的に今後とも調査を進めるようにいたしたいと思っております。
  111. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 地質のほかに特別公園地区であるということと、環境面の調和をはかっていきたいということでありますが、おっしゃるとおりでありまして、確かに日本でも鉄道沿線に一番近いところの原生林というのは、この白川上流の立野にございます北向山という原生林でございまして、これは得がたい原生林です。ところが、この原生林が得がたいものであるからといって、わずか一部埋没することになると思いますが、ほとんどが残るわけでございまして、そのためにとうとい人命を犠牲にするということには相ならぬと思うのです。やはり人の命は地球より重いということがたびたびいわれるように、人命尊重が大事であるということで原生林の保存もさることながら、ここの特殊な事情から何としてもこれはダム建設を進めてもらいたい、かように思うわけです。  そこで、いまその話が出ましたので若干申し上げますが、環境庁の阿蘇国立公園の事務所が先々月でしたか、ダム地点は国立公園の特別地域で、建設に反対のような報道がなされて、一部クレームがついたということで地元でもたいへんショックを受け、九地建のほうでもいろいろと心配しておられます。私も九地建のほうにも参りましたし、阿蘇国立公園の所長にも会ってつまびらかに様子も聞きましたが、何も反対するということでやったのではない。事実ダムができるとなれば、北向山をはじめ自然がかなり埋没するのではないかということで、県のほうに、どの程度計画で、どの程度自然が埋没するか、その調査のための照会をした、それが一部報道されて、環境庁の反対があったやに報道されたということで、現地の所長も、申しわけない、誤解でありますと明らかに言っておるわけです。それで、そんなむちゃなことをおっしゃっているわけはないと思います。九地建熊本工事事務所、また県企画開発部も、ダム建設の可能性を確かめるためにボーリング調査を予定どおり進めていきたいと言っておるし、現に進めておられるし、ダムによって下流地域開発、人命保護が一そう促進される、このほうのウエートが大きいのであるということが関係者の一致した意見でもあります。この点について、建設省と環境庁はいろいろお話し合いをなさっていると思いますけれども建設省側の環境庁側の御意見に対する見解、対処方針、このことをひとつこの機会に明らかにお開かせいただきたいと思うのです。
  112. 川崎精一

    川崎政府委員 お話しのように、私どもといたしますと、白川ダムの規模なり計画を左右する第一のものはやはり地質であろうと思っております。しかし、阿蘇国立公園というような特別地域に属しておりますので、調査あるいは工事等にあたっては、環境に対する配慮もできるだけやっていかなくちゃならないと思っております。ただし、このダムの持っております重要性等からいきまして、環境庁を含めました関係者の方々も、私ども計画に対して十分理解をしていただけるものと私どもは確信をいたしておる次第でございます。
  113. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 そういうことでひとつお進めいただきたい。  白川ダムの予定地の問題ですけれども、先ほどは、特に現地は火山灰土であるから十分慎重に調査をやって検討したいということでございましたが、国鉄高森線の白川第一鉄橋の上流、戸下温泉より約百メートル下流のところで、堤防の高さが百三十メートル、貯水量五千万トン、満水面積が四十ヘクタール、水面の標高か三百から三百五十メートルで、二十数戸水没する、こういうようなことで、いろいろ現地でもいわれております。また二段式ダムにするというようなお話もあるし、あるいはもっと大型のダムにする、水没家屋もかなり多くなるのじゃないかということもいわれておりますが、実際に今後の計画としていつごろ青写真を焼くのか。またさっきのお話で、ことしの秋ごろにはという予定であるけれども若干延びるのじゃないかと言われておりますけれども、その点、大体いつごろをめどに進めていかれるのか、再度この点についてお伺いしておきたいと思います。
  114. 川崎精一

    川崎政府委員 私どもの技術的なめどといたしましては、四十七年度じゅうには場所程度ははっきりするようにいたしたいと思いますが、やはり先ほどの環境の問題、それからダムの構造等の問題、いろいろございますし、今度は利水面の、利水者の調整の問題等もございますので、多少あるいはおくれるかもしれませんが、大まかなめどは四十七年度じゅうにつけたい、こういうふうに考えております。
  115. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 大臣にこのことについてお願いしたいのですが、この白川改修はぜひ先ほどのように進めてもらいたいと思うのです。この白川ダムというのは、得がたい自然環境の破壊、また特定公園の中にあるということで一部埋没することは当然でありますが、先ほどから申し上げますように、県庁所在地の熊本市の中心を貫流する川の上流であり、阿蘇外輪山の一角を流れている、いわばすりばちの一角から流れているようなもので、ここのダムが熊本市を水害から守る唯一のいわゆる防災ダムということになるわけでございます。今後の県、市の発展、また災害防止上からも重大な意味を持つものでございますので、このこともあわせて、ぜひひとつ慎重に検討していただいて、なるべく早い機会に着工できるように、そしてまた自然環境も最小限の破壊で、しかもその近所には高森線があるのですけれども、このためにローカル線が廃止にならぬような配慮もしていただいて、ぜひ建設を進めていただきたい、かように思うのですが、大臣の御所見を承っておきたいと思います。
  116. 西村英一

    西村国務大臣 十分ひとつ検討しまして、なるべく早い機会に決定をいたしたい、かように思っております。
  117. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 時間の制約がございますので、若干、はしょってお伺いいたします。  次にお尋ねしたいことは、南関町八角目峠の隧道掘さくという問題についてお尋ねしたいわけです。これは福岡県と熊本県の県境にある峠でございますが、山鹿線、大牟田−山鹿線といいますが、この山鹿線のちょうど中ほどに、熊本県の南関という町と福岡県との県境に位置します八魚目峠というのがございます。この県道は、工業都市大牟田と南関町中央部を結ぶ最短距離にありまして、経済的にも歴史的にも文化的にもきわめて重要な意義を持つ主要地方道でございます。これはちょうど福岡県との境に、歌で有名な三池炭鉱の炭坑節の三池山というのがございまして、この三池山の中腹が八角目峠になっております。この難所が災いをしまして、その機能を十分発揮しないまま今日まで放置されているということで、利用者の多くは不便をかこっている現状でございます。これは十数年前からいろいろと問題になってきたところであります。  そこで、この八角目隧道掘さくに合わせて、福岡県大牟田市と熊本県南関町落合間の道路整備を行なうということになりますと、その事業効果として福岡県と熊本県がものすごく近くなるわけです。福岡県の南部と熊本県の北部がわずかな隧道で交通の便がよくなり、距離も短くなる、時間的にもずいぶん短縮されるということになるわけで、これは福岡県、熊本県の多年の念願でもございます。  そこで、この隧道掘さくをぜひ進めてもらいたいわけですが、事業効果としては、まず第一に、工業都市大牟田の背後地として、環境のすぐれた県境周辺に住宅団地が建設できるということになります。長洲地先には世界で三番目といわれる日立造船所も建設中であり、背後地の需要も多くなります。第二番目には、隧道開通及び道路整備によって、企業労働者、通学者等の通勤、通学が容易になる。また時間的にも短縮される。第三には、農業生産物の豊富な南関町と消費量の大きい大牟田市との流通関係を促進することにもなる。第四には、大牟田市へ南関町から余剰労働力を積極的に吸収させ、遠隔地出かせぎが減少する。また過疎対策にもなっていく。五番目には、経済交流を積極的にすることができる。以上のような経済効果から、県民の期待が大きいわけです。建設省においても調査の上、八角目峠の隧道掘さくをぜひひとつ推進してもらいたい、かように思うわけですが、建設省の御見解を承りたいと思うのです。
  118. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 八角目峠は、先ほど先生がおっしゃいましたように、熊本、福岡両県の県境にありますけれども、その改修計画につきましては、両県の間で具体的な調整がまだ完全に整っておらないのが現状でございます。しかしながら、熊本県側につきまして申しますと、熊本県はすでに航空写真等によります調査等を行なったわけでございますが、この路線は交通量も比較的少ないために、抜本的な改修計画もいまだに立っておりませんで、県の単独事業で局部改良を行なった後、特殊改良第四種、これは簡易舗装をするということでございますが、特殊改良第四種事業で簡易舗装をしたいというふうに考えているようでございます。また、福岡県側につきましては、現在県の単独費で測量等を行ないまして、ただいま現地の調査を実施中であるというふうに聞いております。ただいま御指摘の八角目峠は、先生もおっしゃるとおり、たいへん経済効果も大きいかと思われますので、建設省といたしましては、今後両県の意見を十分聴取いたしまして、具体的な調整を行ないまして、八角目峠の改修計画をつくるように指導していきたいというふうに考えております。
  119. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 ぜひひとつ、八角目峠の改修には、いまおっしゃったように今後積極的に具体的に調査をして、進めていただきたいと思います。  最後に一点だけお伺いして質問を終わりますが、実は日本三急流の一である球磨川の改修のことです。球磨川の支流である川辺川にダム建設されるということで、いま現地のほうでも立村計画と相まっていろいろ取りざたされておりますが、昨年のあの水害で球磨川の洪水調節がたいへん問題になりました。川辺川のダム建設によって、球磨川の本流と支流の調節が、車の両輪のように調節されて初めて災害防止の効果をもたらすことは明らかであります。詳しいことは抜きにしますが、この川辺川ダム建設の今後の見通し、さらに、特に先般立ち入り調査でだいぶ村民感情がいろいろと取りざたされ、PR不足等のために問題がありましたが、この立ち入り調査についての今後の進め方、それからもう一つは立村計画について、地元の住民がたいへん要望いたしております、五十五項目を出してありますが、それについて今後の対処方針、この三点、簡潔に今後の見通しをお伺いしまして質問を終わりたいと思います。
  120. 川崎精一

    川崎政府委員 御承知のように五木村から振興の計画が出てきております。私どものほうでは、主として九州地建それから県を交えまして、こういったものの実現にできるだけ協力をしていきたいというようなことで、単にダム並びにつけかえ道路だけではなくて、地域的な開発、立村計画、こういったものにつきまして協力をするというような姿勢で交渉をしてまいったのでございますが、昨年の十二月に大体基本的な了解に達しまして、現在用地調査につきましては立ち入りの協定が結ばれております。これによりまして本年の初めから具体的な家屋等への立ち入りができるようになったわけでございまして、すでに湛水線の表示あるいはつけかえ道路、代替地といったようなものにつきましては調査を終わっておりますので、この用地調査が終わりますと、大体一通りそういった関係調査が終わりますので、ことしの秋ごろには基準的な交渉に入りたいと思っております。その上で補償額等を提示いたしまして、具体的な補償、それからあるいは建設工事、こういったものに入る手順になるのではないかと思っております。
  121. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 では時間もありますので、以上で終わります。
  122. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林主査代理 以上で瀬野栄次郎君の質疑を終わります。  山田太郎君。
  123. 山田太郎

    山田(太)分科員 私は、まず河川改修あるいは水資源の確保等の問題にしぼってお伺いしておきたいと思います。  時間が制約された分科会ですから、私自身もできるだけ簡単に質問を申し上げますが、御答弁も要領よく、しかもポイントは具体的に御答弁をお願いしておきたいと思います。  そこで、まず建設大臣にお伺いいたしますが、河川改修が全国的におくれている。これは一般の通念になっております。去年でさえも、三重県あるいは鹿児島県等々をはじめといたしまして全国的にやはり死者も出るような、そういう台風時における災害も少なからず起きておるのであります。そこで建設省においては、このたび治水第四次五カ年計画が四十七年度発足の予定と聞いておりますが、ことに西村大臣は従来とは違った積極的な取り組みをなされると聞いております。そこで予算的に、また具体的にその方針の骨子をまず大臣にお答え願っておきたいと思います。
  124. 西村英一

    西村国務大臣 実は毎年緊急豪雨がありますと、たいへん死傷者を出しまして非常に残念に思っておりますが、そのたびに災害地を見まして感じますことは、大体第三次治水計画で直轄河川は非常によくなっていると思います。もし戦前のような、また戦後間もなくのような状態でありましたら、あのぐらいなことでもう相当な犠牲者を出しておらなければならぬと思うのであります。従来の歴史を調べても、年間に五百人くらいの犠牲者を出したことはたびたびあるのであるのであります。それがあの程度でやむのは、直轄河川は非常に直っておる。ただし、非常におくれておるのは中小河川、これは非常におくれておるので、たびたび公共団体の方々には川を大事にしてくださいということを言っておりますが、それとともに、予算も少ないのでございますから、今回はこの第四次五カ年計画を改定をいたしたような次第でございまして、いま一歩というところであろうと私は思います。  ことに、私が言うまでもなく、中小河川のうちでも都市河川はなかなか複雑をきわめております。その点から非常に気をつけなければならぬのはやはり中小河川都市河川、いなかの河川はもっと地方公共団体の長も気をつけてもらいたいということ、かたがた水の大事なことで水資源開発をしなければならぬということでございまして、第四次計画を完遂すれば河川関係は相当によくなると私は思います。そういう自信を持っておりますので、何とぞひとつ御協力のほどを賜わりたいと思います。
  125. 山田太郎

    山田(太)分科員 いま大臣の御答弁で、直轄河川はまずだいじょうぶだ、中小河川は非常におくれているので、第四次五カ年計画はそのほうに重点を置いていきたい、都市用水等も兼ね合わせて考えていきたい、これはごもっともだと思います。ただ、直轄河川だからといっても、やはり非常に立ちおくれた河川もございます。一例をあげますと、岡山県の吉井川水系ですね。これは県内に三大河川が、画梁川、旭川それから吉井川とあります。いずれも中国地方においての有数な大きな川でございますが、その開発は、ことに古井川水系は直轄部分も含めて非常に立ちおくれております。これは、前回、根本大臣のときにもお伺いした問題でございますが、いまの、直轄河川はまずだいじょうぶだとおっしゃった分については、この点は吉井川水系については少々当たらない状況になっております。この点をまず大臣の御念頭に置いておいていただいて、そこで少しこまかい問題でございますから河川局長にお伺いしたいと思いますが、現状から見てもこの古井川水系における治水、利水の総合対策についてより一そう推進されねばならないと思います。その総合対策についてまずお伺いしておきたいと思います。
  126. 川崎精一

    川崎政府委員 ただいまお話しのように、古井川水系というのは非常に歴史の古い河川でございまして、昭和十三年くらいから改修にかかっておるわけでございます。たしか昭和九年にあの流域に被害がございまして、主として津山周辺でございましたか、そういった関係上流部から改修が行なわれたわけでございます。その後、西大寺、岡山といったような臨海地帯の発達に伴いまして下流部の改修にも手をつけ、昭和二十一年には直轄事業として進んできております。しかし吉井町とか、あの辺を中心とします和気町でございますとか、中流につきましては、災害がなかったといいますか、程度が低かった関係もございまして、かなりおくれておるのは事、実でございます。したがいまして、河川全体を見ますと、多少改修のバランス上からいっても中流部を促進しなくちゃいけないんじゃないかと思います。中流部といたしましては、本川につきましては、主として河積の拡大、整正並びに築堤、護岸、こういったものが中心になろうかと思います。下流部にいきますと、内水の問題とか、いろいろ新しい問題が出てまいっております。そういったものも含めまして上下流並びにこれに加茂川だとか吉野川あるいは金剛川とか、かなり大きな支川が入ってきておりますが、そういった流域も最近は地域開発でどんどん集中開発の傾向が見えておりますので、そういった均衡をはかりながら、ひとつ積極的に予算も増額していきたいと考えております。  なお、最近の主として下流部の水需要の問題でございますけれども、こういった点につきましても、やはり水資源開発を積極的に進めていく必要があるんじゃないかということで、四十七年度から苫田ダム調査に本格的にかかりたいと思っております。そういったものも含めまして、治水、利水の両面から古井川の改修の促進あるいは利水面の開発の促進をはかっていきたいと考えておる次第でございます。
  127. 西村英一

    西村国務大臣 ちょっと誤解がないようにしていただきたいのですが、私は比較的の話をしたわけでございます。もちろん、両軸河川——また吉井川も多少知っております。あまりいいほうじゃございません。流域が非常に長い大河川でございます。それについてはまだ比較的行き届いておらない、それは私も認識いたしておりますが、直轄河川は中小河川よりはまあまあいいだろう。比較の問題でございまして、画帖もこれでオーライなんということは絶対に考えておりません。
  128. 山田太郎

    山田(太)分科員 大臣の吉井川水系についての認識は、ことに重点を置いてもらうように要望しておきまして、いまの河川局長の御答弁の苫田ダムについてですが、着工の目標はいつに置いておられますか。
  129. 川崎精一

    川崎政府委員 四十七年度の予算で新しく実施計画調査という段階に入るわけでございます。私どもといたしましては、多目的ダムとしてこの事業を推進いたしたいと思っておりますが、水没家屋、その他補償対象が相当な数に及んでおります。したがいまして、そういった面で、将来の再建計画をどうするか、地域計画をどうするかというような地域問題あるいは水没者の方々の将来の問題、こういったものも県とも十分打ち合わせていきたいと思います。少なくとも私は、二、三年の間にはそういったものの見通しがついて、着手ができるように努力はいたしたいと考えておる次第でございます。
  130. 山田太郎

    山田(太)分科員 そうすると、調査には二年ないし三年かかるであろう、こういうところですか。
  131. 川崎精一

    川崎政府委員 お話しのとおりでございます。
  132. 山田太郎

    山田(太)分科員 そこで、いまのお答えの中にありましたように、この苫田ダムについては治水、利水において大事なダムであることは間違いありません。そこでその問題についてとやこう言うつもりは私ももちろんありませんが、現地においての苫田ダム建設反対同盟ですが、約二百戸水没し、三百棟の方々が水没するわけです。こういう方々への調査も当然なされるというお話ですが、どのような方法をもってなされるのか。これは私の一つの提案ですが、一軒一軒あるいは一人一人にわたってのアンケートのようなものといいますか、そういうふうな調査一つの大きな参考資料になるのではないかとも思うのでございますが、その点についてはどうですか。
  133. 川崎精一

    川崎政府委員 やはりその地域が今後どういう形で発展していくか、あるいは水没者の方々がどういう進み方を希望されるか、こういったことが一番問題じゃないかと思います。ダムの地質だとか構造といったようなものは、われわれのサイドである程度物理的に進むわけでございます。そういった点につきましてはやはり住民の意向を尊重するということ、それからそういったものにこたえるためには、いわゆるダム開発事業だけではなくて、地方の自治体の自主的な意思なり総合行政の中から一緒に協力をしてまいりませんと円満に進まないのではないか、そういう意味では県なり地元の町村の窓向も十分くみ取りまして、先生お話しのように個々にアンケートをとるとか、いろいろな方法もその次の段階では考えられると思います。ことしの予算が通りましてから、現実に現場の第一線も開店するということでございますので、まだそこまで具体的なことは考えておりませんが、御趣旨は十分みんなの意見を聞け、こういうことかと思いますので、私どももそういった方向で当然進むべきものだと考えております。
  134. 山田太郎

    山田(太)分科員 簡単に答えてください。調査費は幾らくらいでやる予定ですか。
  135. 川崎精一

    川崎政府委員 来年度の予算とすれば、約八千万円程度を予定いたしております。
  136. 山田太郎

    山田(太)分科員 苫田ダムの件はまた機会を別にしてもっと深くお尋ねしたい問題があります。  先ほど御答弁の中部流域の問題で、この点について力を入れるというお話でありましたが、これは全くいま基礎がないところであります。そして無堤地域も相当の範囲にわたってあるわけですが、昨年は事務費を除いて一億四千四百万、そのうちの半分は四十五年の災害復旧に取られてしまって、あと約七千万、したがって思うように工事が進んでないわけです。このままでいきますと、あの中部流域だけでもあと三十億円あるいは四十億円を要するといわれております。そうすると、まだまだ今後二十数年間は台風時には災害の危険にさらされてくるわけです。したがって、この点について今年度予算においては一応の措置はなされてはおるといえども、まだまだ少額でございます。この地元の住民の方々は、測量の問題についてもあるいは土地買収の問題についても非常に協力的であるし、もうすでに手を受けて待っておるわけです。こういう点について四十七年度はもちろん、四十八年度以降についてももっと積極的に進めていけという要求あるいは要望が非常に強いわけです。この点についての局長のお考えはいかがですか。
  137. 川崎精一

    川崎政府委員 全国の中小河川の平均の進みぐあいが一五%くらいの完成でございますが、それを何とか二十数%までこの五カ年計画で持ち上げていきたい。しかし、それにおくれております河川につきましては、できるだけ五カ年の終わりにはほぼ歩調をそろえるようにいたしたいと考えております。  いまの先生の一億四千何がしは、おそらく中流部の中小河川だと思いますが、これにつきましては、全国の中小河川の改修費の四十七年度の対四十六年度の伸びは約二二、三%でございます。直轄につきましては二〇%を割っているのじゃないかと思います。そういった点では、吉井川のほうは大幅に伸ばしたいということで現在事務的に作業をさしておりますので、十分先生の気持ちにこたえられるように私どもも措置をいたしたいと思っております。
  138. 山田太郎

    山田(太)分科員 いまの御答弁と同時に、第四次五カ年計画の終わりまでにはよその河川並みに追いついていくというお答えでございますので、それを極力早く、大臣もいらっしゃることですし、その御答弁をより一そう早く実現するように持っていってもらいたい、これをことに要望もし、要求もしておきたいと思います。  そこで、先ほど御答弁の中にありましたが、これは大臣の御答弁の中にもあった中小河川あるいは支川といいますか、この吉井川においても、干田川それから小野田川、金剛川の先のほうは台風のたびごとに非常な被害を受けているところでございますから、この点についての強力な措置についての計画も、簡単でいいですからお答え願っておきたいと思います。
  139. 川崎精一

    川崎政府委員 干田川につきましては、これは内水排除を放水路で行ないたいと思います。若干用地の問題があるようでございますが、私どもとしてはできるだけ促進をいたしたいと思っております。それから小野田川等につきましては、これは在来補助だけでございましたが、直轄の側とのペースが合わないということもございましたので、直轄のほうも大いにつき合って、バランスのとれた改修を促進いたしたいと思っております。金剛川等につきましては、これは四十年の災害もございましたので、できるだけ重点河川といたしまして、直轄、補助合わせまして大幅な促進をはかるように努力をいたしたいと思います。
  140. 山田太郎

    山田(太)分科員 いまの御答弁を具体的に予算措置等々の面についても実施されることをことに強力に望んでおきたいと思います。  次に、農林省の住吉参事官にお伺いしますが、吉井川の下流についての国営かんがい排水工事がいま進められております。ついては四十七年度の予算措置と、それから工事実施予定をいかにするか、これは地元の方々の要望がことに強いところでございます。受益面積が七千六百ヘクタールにもわたるところでございますし、現況はもちろん私も承知しておりますから、工事予定をこの際明らかにしておいていただきたいと思います。
  141. 住吉勇三

    ○住吉説明員 ただいま古井川地区の四十七年度の事業予定の御質問でございましたが、先生御案内のとおり、この地区には四十五年の十月に国営事業所を開設して事業をやっているわけでございますが、四十六年までに約三億くらいの事業をやりまして、四十七年度は二億五千万の予算を要求しておるところでございます。その内容といたしましては、先ほどお話しございましたように、大用水、この水路約一・六キロメートル、それから樋の口用水、約八百メートル、これの改修工事を実施いたしまして、あわせて坂根ぜき及び田原ぜきの調査設計を続けてやっていくというような予定でおります。
  142. 山田太郎

    山田(太)分科員 そこで参事官もすでに御承知のように、この地域については西大寺市、岡山市に合併になったこと、あるいは地域都市化と工業化が進んだことによりまして、宅地化の勢いも相当急速に進んでおります。したがって、住民の方々の飲用水あるいは工業用水ともども、要望が非常に強いわけです。そこで、先ほど御答弁の坂根ぜきについては、この要望にこたえて農林省も何らかの措置を講ずべきであると私は思うわけです。必然農林省としてもこの点についての措置は一応考えられてあると思いますが、その点についての計画あるいは予定をお答え願っておきたいと思います。
  143. 住吉勇三

    ○住吉説明員 ただいまお話しございましたように、出発いたしました時点におきましては、農業用水の改良事業を始めてまいったわけでございます。その後、下流地帯の都市化現象が激しく進んでおりまして、地元水需要の要望もございます。また県のほうからもそういう要求が最近になって出ておりますので、先ほど御説明申し上げましたように、四十七年度の予算で坂根ぜきの調査設計を固めて四十八年度からこの坂根ぜきに着工したいという予定でおります。四十七年度中にこの下流地帯の新しい水需要に対しましても検討を十分にいたしまして、これは一級河川でございますので建設省とも十分協議連絡いたしまして、そういう方向で来年度の実施設計をやっていきたいというふうに考えております。
  144. 山田太郎

    山田(太)分科員 四十八年度から着工したいというお話ですが、どのくらいの予算でどのくらいの期間でやっていかれる予定ですか。
  145. 住吉勇三

    ○住吉説明員 ただいま、非常に概算でございますけれども、この坂根ぜきの工事費は約十五億と大体予定しておりまして、工期は二カ年で完了したいというふうに予定しております。
  146. 山田太郎

    山田(太)分科員 そうなりますと、農業側と都市用水側の共同事業となると思いますが、この費用の振り分けですね、何といっても地元負担というものは、いまの実情でよく御存じのように非常に窮迫しているわけですから、その点についての振り分けの計画というものがもしあれば、その点を勘案して簡単に答えていただきたい。
  147. 住吉勇三

    ○住吉説明員 坂根ぜきにつきましては、これは共同事業として実施する場合には、おっしゃいましたように農業関係予算の振り分けになるわけでございます。  なお、このせきから農業の導水路がございますが、この農業導水路も共用できるようなものでございますと、この導水路におきましても農業と振り分けるということになりますので、上水、工水、農業、どちらも負担が軽減されるのではないか。そういう方向で実施してまいりたいと思います。
  148. 山田太郎

    山田(太)分科員 そこで、この坂根ぜきを中心としての都市用水と農業用水、この問題について、地元の方々の偏見かもわかりませんが、建設省あるいは農林省ともどもにセクショナリズムにとらわれて、そういうなわ張り意識というものが強いような感じを受けておるわけです。その点について、いま住吉参事官は、建設省と協力をし協議して進めていきたいというお話でございましたが、建設省側のお考えもあわせてこの際聞いておきたいと思います。
  149. 川崎精一

    川崎政府委員 ただいまの農林省の考えと基本的には変わってないわけでございます。私どもも当然、河川を管理しておる立場で総合的に安定した水を有効に使えるように、やはり協力して努力していきたいと思っております。
  150. 山田太郎

    山田(太)分科員 その点をなわ張り意識にとらわれないで、主体がどちらであろうと、絶えず連絡を強力に保ち合って、協議し合って、早く実現できるような運びにしてもらいたい、これが地元の方々の強い要望でございます。  そこで、もうあと時間が一分しかありませんが、最後の一点を、これは水資源の問題に関して、これは別の問題でございますが、あわせてお伺いしておきたいことは、いま相当問題になっております琵琶湖総合開発計画について、これは非常に重大な問題でありますし、この処理いかんはやはり全国の水資源利用に非常な大きな影響を与える問題でございます。そこで、この計画が発足できるかできないかということは時間的にもリミットがもうない、そういう時点になっているんじゃないか。報道によれば二十四日がリミットじゃないかなどという報道もあります。  そこで、これは最後に大臣にお伺いするわけでございますが、この問題についての大臣のお考え、この機会を過ぎたならば、このリミットを過ぎたならば、全国的な水資源不足の問題にも非常に大きな影響を与える問題でございますし、同時にあわせて質問申し上げておきますが、下流側とそれから上流側と、非常に意見の食い違いが——非常にというか、多少食い違いがあるわけでございますが、この総合計画はやはり全体的に政府として、あるいは大臣として、強い決断と判断がなければならぬ。リミットの問題も考えあわせながら、その点について最後にひとつお答えをお願いしておきたいと思います。
  151. 西村英一

    西村国務大臣 琵琶湖総合開発は重要な問題でありますので、ただいまも一生懸命計画を詰めておるところでございます。したがいまして、それが長引くようでございますると、今国会も会期は短いのでございまして、とうてい提出はできないと思っておりますが、この機会にぜひともひとつ提出をしたいという気持ちで一生懸命やっておる次第でございます。まあ正直なことを申し上げれば、明日は大阪府知事さんも兵庫県知事さんもこちらにおいでになる。責任者から少し詰めて聞かないと、責任のない人からやあやあ言われてもこれは責任持てません。たいへん重大な問題でございますので、十分詰めないと、途中でもって騒動が起こればこれはもう将来に非常な災いになりまして、絶対にてんやわんやで進みませんから、着手の前にひとつしっかりと申し合わせをして、それが間に合えばこの国会にぜひ出したいという気持ちは持っております。せっかく努力中でございます。
  152. 山田太郎

    山田(太)分科員 以上で質問を終わりますが、先ほど大臣の御答弁のありましたように、これはやはり大臣の決意も大切だと思います。また今国会中にこの特別立法を出したい、そのために努力しておる、明日は大阪府知事なりあるいは県知事さんも見えることだし、それも煮詰めて今国会に出したい、この決意で強く実施されんことを望んで私の質問を終わります。
  153. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林主査代理 以上で山田太郎君の質疑は終わりました。  栗山礼行君。
  154. 栗山礼行

    栗山分科員 ただいまの委員も、琵琶湖の総合開発の問題について若干質疑がございましたようです。まことに現段階における推移を拝承いたしますと容易ならざるものがある、こういう感も深めるわけでございます。私は、御案内のとおり関西でございます。若干水資源側の滋賀県の御要望の片りんも、私なりに関係者からいろいろ意見を聴取しておるわけです。また近畿の各県の求める側にしますと、重大な問題としてこれをとらえて、数年間この問題について当局に、あるいはまたお隣の水資源の滋賀県さんにこういうようなことで、いろいろ具体的な関係お話を進めてまいった、こういう経過がございます。これはそれなりにこの問題につきましての遠因近因というようなものについては深いものがあろうかと考えるわけであります。しかし、結論的に一歩も引き得ないことは、やはりこの下流の水資源利用いたしておる人が、いかように適正な量を満たし、水資源を確保するか、これは一歩も後退することのできない至上の命令の状態にあることは御承知のとおりであります。きょうは近畿圏整備本部の次長もおいでいただいておると思いますが、本部長は建設大臣でございますので、私は角度を変えまして一そういうような若干の経緯を承知いたしておるのでありますが、少なくとも琵琶湖の総合開発の基本理念、それから基本構想、あるいは具体的構想の路線、こういうようなものが非常に今日まで欠けておりますところに一つの問題点が存在した、こういう原点に返りまして、ひとつ所管の建設大臣に、その基本理念と、構想と、具体的な構想をお伺いをいたしたい。たいへん抽象的なようでありますが、私はこれが一つの基本の原点だ、こういう理解をいたしておりますので、懇切なお答えをちょうだいしたい、かように考えます。
  155. 西村英一

    西村国務大臣 基本理念ですが、もちろん琵琶湖をあの付近の景観を保ちつつ、しかもせっかく貯水されまする水を、一般公共のために利用したいということ、これが私たちの基本理念でございます。しかし、それは一口にそう言いましても、この問題につきましてはなかなかいろいろな事業をやっていかなければその理想を達することはできないのでございまして、琵琶湖の総合開発ということはずいぶん長い間言われておりましたけれども、今日まで着手ができなかったのはいろいろな問題があるからでございます。しかし、いまやこの時期もようやく熟しまして、上流の滋賀県におきましても、琵琶湖の景観を保ちつつ、しかも下流の方々の利益に供したいと、ようやくそういう気持ちが熟してきたわけでございます。下流の利用者につきましても、将来にわたって考えれば非常に水資源に困るというようなことで非常に要望も強いわけでございまして、その点からいろいろいままでに努力いたしておるのでございます。ただ、相当に困っておりますることは、琵琶湖それ自身の水がたいへん悪くなっている。これを、下流のことは考えなくても、滋賀県それ自身、本来自分のところで使う水も相当に手をかけないと、自分のところにありながら、自分のところも使えないというぐあいになっておるわけです。したがいまして、それを含めて、これをひとつ大いに開発したいということで一生懸命やっておるわけでございますが、さいぜんも申しましたように、途中で両者のトラブルがあったのじゃ、これはもうてんやわんやで、もっと悪くなりますから、十分詰めまして両者の了解のもとにやりたいというのがいま私たちの考えておるところでございます。
  156. 栗山礼行

    栗山分科員 御意見をお伺いをいたしまして、その大筋はよく理解できるのですが、やはりもう少し過去にのぼりましての根源がございます。ただ、都市の様態が大きな変化を遂げまして、そして過密都市化になっておる、こういう状態都市政策から見る一つ水資源、こういうような政策的な大前提のどこかに忘れた問題がございます。急激な一つの過膨張ということになりましたので、あわ食って都市の存続に関する生死の問題だ、こういうような発想に転換をいたしまして、下流地域におきます関西のそういう水資源を求める問題に発展してきた、こういうことでございますが、いまの建設大臣の御説にもありましたような水質の汚濁の問題等も、その周辺の環境整備の問題と関連いたしますが、根源はやはり都市政策の政策的方向が不在であったということと、琵琶湖のそういう水資源を活用する地域一つの要望の条件と、水資源を確保するに足る諸条件の、いわゆる総合開発という方向づけが建設省になかったところに、私は、複雑な要因と混迷化してまいった原因があるのじゃないかと、実はこういうとらえ方をいたしておるのでありまして、事務的に、あるいは現象的に御意見をお伺いするということは、これは百害あって一利なしと、実はこういう意見を強くいまなお抱いておるわけでございまして、いま大臣の御意見をちょうだいした、そういう前提を踏まえて、先ほどのお話しのように、担当関係当局の者もひとつ参って懇談を遂げるというところに、そもそもの起源というものについては、それはやはり水を求めるところ、出すところ、あるいは開発するところ、こういう一つの相関関係の条件の問題と、こういうふうにだんだんエスカレートしたその原因はいずれにありやということになりますと、私は建設省それ自身の大きな失点が今日反省をされて、そして琵琶湖の総合開発の適正な合理性を見出していただくということでなければ、政治の政治たるゆえんにならぬ。あまりにもけちな、そして無策な、あるいは放蕩的な内容に推移したというところに問題があるのじゃないか。たいへん私の柄の悪い大ざっぱな論点でございますけれども、それが根幹だ、こういう評価の上に立ちまして、窮迫し、しかも切実な条件に攻められております琵琶湖の総合開発が、きわめて合理的に、滋賀県が喜んで総合開発の実をあげ、そして下流の都市水資源利用者に向かっては、いい水で、そしてその量を確保する、こういう方向で大臣のお運びをひとつ切望申し上げておきたい、かように考えております。  一つ副本部長にお伺いをいたします。現在の時点でいろいろ明確な結論づけを伺うということはいかがなものかと思うのでありますけれども、かりに急速に水資源の確保の総合開発をする、こういう前提に立った場合におきます開発の水量というものをどこに置いておられるかということが一点でございます。  第二点は、それに基づく水位の問題ですね。この問題をどういうふうに構想的におとらえになってお進めを運んでいただくか、この二点について、これはもうあなたの直接関係される問題だろうかと考えておりますので、副本部長か、あるいはまた河川局長になりますか、この点は両方から、片一方は、直接近畿圏整備の副本部長として大いに取り組んでいただかなくちゃならぬ、片一方は、縦の面における河川局長と、こういうことになるのですが、私はその点の方向づけをよく理解できないのでありますが、御答弁をちょうだいしたい。
  157. 川崎精一

    川崎政府委員 琵琶湖の現在いろいろ議論をされておりますのは、結局滋賀県の地域開発、環境の保全、治水、あわせて下流の阪神間の水資源の確保、こういう問題でございます。直接湖岸の治水の効果をあげ、さらに水を供給するという立場では、新しく琵琶湖にせきをつくりまして、水位の操作範囲を拡大するわけでございます。これをわれわれ基幹事業と申しておりますが、基幹事業につきましては私どものほうが担当でございますので、ただいまのに関連をいたしましてお答えを申し上げます。  水量につきましては、これは近畿地方の主として淀川水系にかかるものでございますが、昭和五十五年の水需要というようなものをいろいろ見通しまして、現在、経済企画庁を中心水資源開発審議会の淀川部会というのがございますが、そこでいろいろ勉強していただいております。かなり水需要も逼迫が予想されますし、適当な水源というのはやはり近畿では非常に少ないわけでございます。したがいまして、約四十トンくらいをぜひ確保したいというのが、われわれの共通の大体の水量でございます。  それから水位につきましては、これは最近の滋賀県との接触の過程で、大体一メートル五十ぐらいが限度だという御意見を承っております。それにつきまして下流のほうでは、ぜひ二メートルまでの容量を確保したいということでございます。琵琶湖につきましては、戦争末期のころに第一期の河水統制というような事業がございまして、その計画によって現在水位を操作いたしておりますけれども、戦時中のことでございましたので十分徹底しなかった経緯もございまして、滋賀県側にも、下流の大阪府、兵庫県側にも、それぞれなりにやはり被害意識があるわけでございます。したがって、下流とすれば、できるだけ二メートルという水位を確保したいという気持ちがございますし、滋賀県の立場とすれば、水位の変動によって水産あるいは景観その他相当影響を受けるわけでございますので、一メートル五十が限度だろうという御意見でございます。これにつきましては、かりに二メートルまで下げましても、やはり何がしかの節水というものが伴うわけでございまして、過去数十年の記録が琵琶湖にはあるわけでございますが、そういったことから見ますと、下流の何がしかの節水をしなければ二メートルにおさまらないだろう。といって一メートル五十あれば、まあ普通の都市ですと大体水が確保できる。したがって、これはやはり滋賀県と下流とのがまんのし合いといいますか、両方がいかに協調するかということじゃなかろうかと思います。非常の場合には、滋賀県といえども下流の大阪、兵庫が砂漠になるのをそのまま放置されるということはなかろうとも思いますし、必要なくして上流の滋賀県の水位を下げろとはおっしゃらぬだろうとは思いますので、その辺は何か適当な幅の線が出るのじゃないかということで、現在いろいろ私どもなりに努力をいたしておるところでございます。
  158. 朝日邦夫

    ○朝日政府委員 私のほうから、いまの河川局長からお話のありました基幹事業と関連をして、先ほど大臣からもお話がございました総合開発事業を一体どういう考えで進めるか、基本的な事柄につきましては、大臣お話しのとおりでございます。ただいま河川局長からもお話がありましたいわゆる基幹事業、これ自身が淀川の下流地域水需要の増大に対処するために行なわれる事業でございます。単に基幹事業だけでございませんで、水源涵養対策あるいは水産業の振興対策といったような、いわゆる水位の変動いたしますに伴いまして必要となってまいりますような対策を講じつつ、所期の毎秒約四十トンの水量を下流地域需要に応じて利用していただく、こういうことをまず考えております。同時に、せっかくこの事業を行なう機会に、これとあわせまして、開発の、あるいは保全の基盤となります下水道事業、治水事業、こういったもの、あるいは琵琶湖をいわば大都市に近接いたします観光あるいはレクリエーションの地域としてとらえまして、これに対します自然の保護対策とあわせて、同時に湖辺の都市公園あるいは国定公園の施設であるとか、レクリエーションのための港湾あるいは道路の整備、こういったものをあわせて行なうというふうなおおよその利用計画を考慮しつつ検討を進めるということでございます。
  159. 栗山礼行

    栗山分科員 先ほど河川局長お話がございましたけれども、きわめて懇切に御答弁をいただいておると思いますが、直接の関係者の間におけるそれぞれの持つ一つの条件がある。その条件は、それぞれ切実な問題点があるので、それを協調せしめる方向で取り組んでまいらなくちゃならぬ。そうして一つの問題の解決の結果を見たい、こういうことで、まことに一見は整然として筋が通っておるのでありますけれども、私は、その面だけじゃなくて、そういうとらえ方でおりますから今日の琵琶湖の総合開発が一向進展しなかったという一つの盲点が現存する、こういうふうに実は私自身は考えておるわけなんです。そういう水資源の問題、あるいは琵琶湖自身の一つ経済的な開発の基盤、内容等も十分建設省がこれに取り組んで、そうして要望する、そういう水資源の方向づけをいたしていくということが欠けたところになお一つの解けがたいと申しますか、あるいは問題点、今日的に困難に接する諸点がなきとしない、こういうふうな経過を踏まえてまいったところに、あなたのお話をお伺いすると私は少し問題の原点の相違があるということで申し上げざるを得ないのであります。時間がございませんから、御答弁を求めるということでございませんが、そういうような一つの、その場の御答弁をいただくということについては、本質的な一つの経過をいまひもといて、そしてひとつ解決の方向を、すみやかに前進するという方向で御努力を願いたい、こういう御要望を申し上げてまいりたい、かように考えております。  あまり時間がございません。第二点の問題は、一級河川河川敷の利用の問題について、これは局長からもお伺いをいたしてまいらなくちゃなりませんが、現在の一級河川河川敷の利用についてどのように原則的に、基本的にお考えになっておるかということを建設大臣からお伺いをいたします。
  160. 川崎精一

    川崎政府委員 現実的には、管理の方針といたしましては、河川敷の中の主として高水敷になっておるようなところの利用でございますが、やはり高水敷は、本来洪水の疎通を安全にさせる、同時に堤防その他の補強にもなるという効用を果たしておるわけでございます。しかし一面から見ますと、都市周辺その他におきましては、やはり得がたい空間を持っておるわけであります。したがいまして、あるときにはやはり公共広場であり、公園であり、あるいは災害のときには避難の場にもなる、こういうようなことで、できるだけやはり、河川と申しますのは公共用物でございますから、不特定の一般の方々に開放して、利用していただく。しかし、本来河川の持っております使命といいますか、洪水その他のそういった点にも支障のない範囲というようなことで、できるだけ有効に使うように私どもも管理していきたいと考えておる次第であります。
  161. 栗山礼行

    栗山分科員 たいへん、時計を見てお尋ねしなくちゃならぬ、こういう状況下に置かれておりますので、原則的にはよく理解できますが、河川敷の一つの役割り、意義というようなものは、もうすでに常識的な視野でこれは論ぜられてまいった。ただお説のように、河川敷の効率的利用というものが特に都市周辺における一級河川においてあるのじゃないか。これは何かというと、やはりいまお説のような公園であるとか、あるいはチビッコ広場であるとか、あるいは都市に緑を見ることのできない状況の中において健全なレクリエーションの一つの場である、こういうような効率的な活用をすることがきわめて有効な利用の内容じゃないか。こういう論議がいまや一つの社会通念化いたしておる。こういうとらえ方を私はいたしておるわけでありまして、具体的に調査もされまして、そして年次計画別にどういう構想でお説のような実行をしたい、こういう内容がございますか。ございましたら、ひとつ承りたい。  それから時間がございませんから、もう一点、手前のことを申し上げましてたいへん誤解を招くのでありますが、これも要望の強いものでございます。私は、子供のころから大和川に魚取りに行き、大和川の堤防で遊ぶ。夏はスズムシで、あるいはキリギリスで、こういうふうなことでございまして、夜は小さい魚を取りに行く。こういうふうなことをやってまいった一つの郷愁と内容がございます。今日、大和川の河川敷をながめますなれば、一転して草ぼうぼうでございまして、ございますのは、おそらく管理はその当該の府にあると承知をいたすのでございますけれども、えたいの知れない、ブロックを製造するメーカーであるとか、あるいは何らかの倉庫であるとか、あるいは無届けによる無法者の住宅とか、こういう現象を要所要所に見ることは、残念ながらこれを見る姿であります。これは法律的に、行政的に何とかならないものかということは、もう一般の市民の一つの願いでございまして、私どもこれに対処をしてまいらなくちゃならぬ、こう考えておるのでありますが、何と言いましても、やはり大都市周辺についてグリーンベルトがないということには、一つ都市化の内容の条件がこれは整いません。こういう点から考えますときに、大和川の左岸の有効的利用というような内容について具体的に御検討いただいておるかどうか。こういうことをひとつ、身近な問題をとらえて恐縮でございますけれども、お伺いをいたしたい。  最後に、やはり河川局長から、あるいは次長からお話を願ったのでありますが、これは非常に重要な問題でございますので、大臣のこれに対する基本的な所見を一言お伺いを申し上げまして、私の質問を終わりたい、かように考えております。
  162. 川崎精一

    川崎政府委員 河川の高水敷の利用の方針でございますが、やはり私どもといたしましたら、都市周辺、市街化区域あるいはそれに類する地域に重点を置きたい。まあ郊外に出ますとかなり緑もございますが、そういうところは少ないわけでございます。しかし、この河川敷の利用をいたします場合に、やはり管理をしていただかないと、それぞれの目的で利用されるが、あと始末は河川管理者というわけにもまいりませんので、そういった面を考えますと、都市計画の中にできるだけ織り込みまして、これは緑地帯、これは児童公園にしようじゃないか、そういう形で私どももこれに協力をしてまいる。それから同時に、公園のほうも並行して一緒にやっていく。こういうような方向で都市計画河川のサイド、両方が一体になってやろうじゃないかという進め方をいたしております。  それから大和川につきましては、非常に都市化も進んでおる地域でございますし、またそれだけに問題のある川でございます。水質も御承知のとおり、それから不法投棄もいろいろやっておりまして、私どもしょっちゅうパトロールをさせたり、一週間に一回は夜間に急襲して取り締まるということもやっておりますが、まだ実効の上がらないのが現状でございます。しかし、高水敷につきましては、そういうことでなくても大いに整備ができるんじゃないかということで、現在考えておりますのは、石川の合流点の藤井寺、それから柏原、それから下へ行きまして松原でございますね。ああいったところは、場所によりましては少し面積の少ないようなところもございますが、あれだけ都市化も進んでおりますので、四十七年度からひとつ何か手がけようじゃないかということで、現在そういう方針でいろいろ検討はさせておるところでございます。具体的な内容はちょっと私承知いたしません、広さとか費用につきましては。どうもそういうことでございますので……。
  163. 西村英一

    西村国務大臣 河川の本来の目的を害さない限り、公共的なものにはどんどん使わせたらいいと私は思います。かえってそのために清掃ができていい場合もある。それをもうまかせまして、清掃がうまくいかないということもありますから、公共のためなら広く利用させたほうがいいんじゃないか、こういうふうに思っております。
  164. 栗山礼行

    栗山分科員 どうもたいへんありがとうございました。  まだ一分余ございますので、河川局長に……。  大和川は大阪府の管理になっておると思いますが、そういうことでしょうね。——それから、地域によりましては自治体が直接管理をいたしておる、こういうことであると思うのでありますが、御説のようにやはり管理、運営のよろしきを得て、そうしてその河川たる内容の条件を公共的に活用してもらいたい。もしさような内容が整うという場合については積極的に協力することはやぶさかでない、こういうようなお話を承った、私どもは非常に筋が通っておると思いますので、そういう出先の機関から要望申し上げまして、実現への努力を推進するという場合については、ひとつきょうの本委員会のおことばのとおりに御協力をお願い申し上げるということで質問を終わりたいと思います。
  165. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林主査代理 以上で栗山礼行君の質疑を終わります。  多田時子君。
  166. 多田時子

    多田分科員 きょうは私は緑に関する問題で建設大臣並びに担当の方々にお伺いをしたいと思います。  最近緑化運動なども盛んに推進されているわけでございますけれども、特にこの数年、東京都内での緑の異変が相次いで起こっている。これは最近ちょうど新聞にも出ていたわけですが、日比谷公園や神宮の森や上野の山や、ああいうところには巨木がたくさんございますけれども、そうした古い巨木がどんどん倒れていく、また桜の名所で有名でございますけれども、飛鳥山公園のソメイヨシノの古木などもどんどん倒れていく、こういうふうで、たいへん緑に対する問題が憂慮されているわけでございます。新聞ですけれども昭和四十四年までの五年間にそういう古木が倒れたその数を合わせますと、八千本にものぼっている、こんなふうにありました。現在のそういう状況から考えて、今後を推測いたしますと、東京都内にはほんとうに緑が一つもなくなってしまって、まるで死の町になってしまうのではないか、こういうふうにも憂慮されているわけでございます。そうした観点から、よく緑と太陽の文化都市などというふうに言われますけれども、これはことばとしてあるだけで、活字として目に入るだけ、こういうことで、将来こういうふうになるであろうという希望的な観測は、現在のデータからしますと全くないわけで、むしろ絶望的であるとさえ言われているわけでございます。  こうした観点から、住民の生活に密着した問題でございますので、環境庁もこれは重大なかかわり合いがあるわけですけれども建設省として、今後この緑の問題に対しては、概念的なことで恐縮ですけれども、どういうふうにお考えになり、そしてまたそのお考えに基、ついてどう対処をなさるか、この点について、まず建設大臣から伺いたいと思います。
  167. 西村英一

    西村国務大臣 私、それについて特に意見を持っているわけじゃございませんけれども、やはり皇居前の松の木がだんだん枯れていくというようなことについても非常に心配しておったのです。これは私のみならず、だれもみな心配しておるのです。したがいまして、ことに東京都はコンクリート文明ですから、緑はほとんどないようになっております。したがいまして、できるだけ植樹をやるようにつとめたい。ことに私どもの所管でございますが、先般から北の丸公園、あれも相当に木を植えさせましたが、いまようやく大きくなりまして、たいへんかっこうがいいようになっております。先生おいでになったことがあろうと思いますが、北の丸公園、あそこもだいぶ木も大きくなりましてよくなりました。  それから街路樹の問題です。これは私のほうで直接やらなければならぬ問題ですが、なかなか植えましても木は育ちませんね。非常に育ちが悪いです。しかし、そうかといって植えないわけにはいきませんから、つとめてそういうふうなことに気をつけていきたいと思っている次第でございます。特にそれ以上私はそういうことについてあまり詳しいほうではございませんが、とにかく緑の森の都にしたい、一口に言えばそういうことでしょうが、なかなかこれはたいへんなことでございますから、どうぞ御協力のほどをお願い申し上げます。
  168. 多田時子

    多田分科員 森の都にぜひしたい、こういうふうに思うわけですけれども、これは御協力というよりも、建設大臣、その気になっていただきまして、そして街路樹にしても、公園にいたしましても、とにかく緑を育てるという方向で、またできるだけ多く植樹するという方向で御努力を今後いただきたいと思うのです。  いま街路樹の問題についてお話が出ましたけれども、私、伺いたい究極のところは街路樹のわけなんですが、人間の生活にとってたいへん重要なのは、御承知のとおりに都市の美観ですね。人間の視覚に訴える上で都市の美観ということはこれは当然必要なことです。またいまもおっしゃいましたけれども、国民の目に入るものがいまはほとんどコンクリートであり、そしてまたアスファルトであり、これではほんとうに風景も殺伐としていれば、人間の心もまた殺伐とするのではないか、こんなふうに考えられます。そういうところに青々と茂った一本の樹木、また一輪の花というのは、これは人間の情操を豊かにすることは間違いない事実です。私の例で恐縮ですけれども、中国に一年ばかりいまして日本へ帰ってきましたときに、もう何が一番日本の国のよさを実感として与えたかといえば、何といっても茂り切った樹木であったというふうに私は記憶しております。そのくらい、外地などへ参りましても日本の国のよさを思い起こすときには、まず風光明媚な、緑したたる風景であるというふうに思うわけなんです。また、ドイツの科学者の話によりますと、ベルナッキーという科学者ですけれども、自然に成長した五十年生のブナの木は一本で四家族の人々の呼吸に必要な酸素を供給する、人間生活にとって最も大切な樹木である、このように言っているわけですし、また、いま盛んに問題になっております車の排気ガスとか、ばいじんとか、そうした空気のよごれを浄化する、いわゆる微気候といいますか、そうしたものの調整、そういったことにも樹木はたいへん大事な存在であるとその効用をたたえられております。  そこで、緑したたる公園がたくさんあれば、これは申し分ない。ヨーロッパの各国に見られますような、そうしたことは私たちの最も要求するところですけれども、現時点においてははなはだ無理な点があるのじゃないか。そこで、いま建設大臣がおっしゃいましたように、せめて街路樹くらいは徹底的に、私たちの生活の中に貴重な存在としてほしいものだ、こういうふうに思うわけでして、街路樹そのものに対して今後どうしていくか、ちょっと建設大臣おっしゃいましたけれども局長さんか課長さんか専門的なお立場の方でけっこうですが、日本のこれだけ普及いたしました道路という道路、高速道路は別といたしまして、東名などはグリーンベルトがあることはありますが、東京都内におけるそうした街路樹の問題について今後どのような御計画があるか、ちょっとお尋ねしたいと思います。
  169. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 御指摘のとおり、東京都をはじめ大都市におきます緑が近年非常に少のうございまして、グリーンベルトなり街路樹を植えてもらいたいという御要望は非常に強くなってきております。われわれ道路を建設し管理する者といたしましても、その御要望に従いましてできるだけ街路樹を整備するようにいまつとめておるわけでございます。ただ、幅員の狭い道路が非常に多うございまして、ここには非常に街路樹が植えにくいという難点はございますが、幹線道路でしかも歩道のございます道路につきましては、原則として街路樹を植えるように指導しておるわけでございますし、また、そういうふうな歩道が狭くてなかなか街路樹の植えにくいところにつきましては、フラワーポットなりあるいは灌木を植えまして、緑を添えるようにつとめている次第でございます。御指摘のとおり、われわれといたしましてもできる限り今後街路樹をたくさん植え、緑を都市に繁茂させたいというふうに考えておるわけでございます。
  170. 多田時子

    多田分科員 いま造花も植えるというお話がちょっとございましたが、そうじゃございませんか。埼玉県の草加のほうに行きますと、造花が植わっているところがあるんですね。樹木が少ないのなら話はまだわかるのですけれども、造花が街路樹として植わっているというのにはほんとうにびっくりいたしました。そこまでしなくとも何とかならないものかというふうに思うわけなんですけれども、一度ぜひ行ってみていただきたいと思うわけです。  私が伺いたいことは、最終的には二四六の街路樹の問題なんですが、東京の西の玄関口といわれております東名の砧の出口から高速三号線ができまして、ストレートに東京都内に入るようになれたわけでございます。この三号線をつくりまして、その結果、その下の二四六の通りがいま非常に悪くて、夜は眠れない、年じゅう地震の脅威に脅かされているようだ、そういうのがほんとうに多いのです。聞きますと、それはすぐさま手を打ちまして応急手当てをしていただいてはおりますけれども一つは、高速道路ができたときに、でき上がったと同時にその下の道路も一緒にきちっと完成するというふうな工事はできないものかどうか。何回も掘り返して、長年の間苦しむのは付近の住民でございますから、工事をなさる方もたいへんかと思いますけれども、そのそばに住んでいる人の気持ちになって、ひとつ高速道路完成と同時に下の道路も完成できないものか。  もう一つは、新年度になりましたら下の二四六の舗装工事をされるそうですけれども、もしされるとすれば、いつから始めて、いつごろでき上がる予定か、この二点についてお尋ねしたいと思います。
  171. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 御指摘の国道二四六号線、渋谷から瀬田の間は、昔は御承知のとおり八メートル間隔で街路樹が植わっていたわけでございます。渋谷から三軒茶屋の間まではプラタナス、それから三軒茶屋から瀬田の間はイチョウが八メートル間隔で植わっていたわけでございますが、首都高速三号線をつくるために玉電を撤去すると同時に、工事のために交通混雑を招きますので、車線を確保する必要が生じまして、現在の歩道を狭めた状態でもって工事をやったわけでございます。したがいまして、その時点におきまして街路樹を一応撤去したわけでございますが、ごらんのように昨年の暮れに三号線がすでに開通いたしまして、ただいま下の国道のほうの整備を始めたわけでございます。御指摘のとおり、首都高速三号線と同時に下もやることが望ましいわけでございますけれども、やはり順序がありまして、下の工事がどうしてもおくれがちでございます。ただいまその工事を鋭意やっておるわけでございますが、この下の工事はもとの幅に歩道を直しまして、しかも、もとどおりに街路樹を植えるのが大体九月になろうかというふうに考えます。われわれといたしましても、先ほど申し上げましたように、もとありました街路樹につきましては必ずこれをもとに戻す。それ以上に、さらに街路樹のないところまで実は努力しておるわけでございますが、今回われわれ考えておりますのは、八メートル間隔にプラタナスやイチョウを植えまして、かつ、その八メートル間隔の木と木の間にもできれば芝なり灌木も、帯状になるかもしれませんけれども、歩道のわきにずっとつくるような方法をいま考えております。ただ日照の問題でなかなかむずかしい面があろうかと思いますけれども、現在そういう計画を立てまして、都市の中になるべく緑をたくさんつくるような努力をしている次第でございます。  それからもう一つ、埼玉県に——私は実は先ほどの答弁で、つくった造花ということを申し上げたつもりはございません。フラワーポットと申しますのは道路の植木ばちでございまして、それに花が植わっているわけでございます。先ほど埼玉県内に造花の木があると言われましたのは、おそらく四車線の道路、草加バイパスかと存じますが、四車線の道路では、高速道路でもそうでございますが、対向車の光によって運転手が運転を誤ることのないように、中央に分離帯をつくって植樹するわけでございますが、この植樹につきましては維持管理がきわめてたいへんでございまして、絶えず水をやり、しかも交通の流れの激しいところなので、非常に事故を起こしやすうございますので、外国でも最近はしばしば使っておりますが、ただ減光用のために、光を防ぐために、時には造花の木を使う場合もございます。その一部はたしか草加バイパスの中にあったと思いますが、たぶんそれを御指摘かと思いますが、これは周囲は緑でございまして、目的は完全に減光でございますので、その点は大都市の街路樹とは違いますので、ひとつ御了承願いたいと思います。
  172. 多田時子

    多田分科員 一つ漏れていたように思いますけれども、三号線の下の二四六ですが、街路樹の話はございましたけれども、工事がいつ始まっていつごろ完成するかということについてもう一度。
  173. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 四十六年度の補正予算ですでに用意いたしたわけでございますが、四月に着工いたしまして九月には完了する予定になっております。
  174. 多田時子

    多田分科員 道路の改修と、それから同時に施行をされるという街路樹の植樹は同時に九月ごろには完成する、こういうふうに了解いたします。  高速三号線が開通されまして、交通量が若干下は緩和されたというふうにも思いますけれども、当然そこで起こってくる現象といたしまして車の量がたいへんふえました。これはどんどん日に増しふえていくのではないかというふうに思うわけでございます。同時に、あの辺を走っております環七、環八、環六、そしてあわせて二四六と、この辺はたいへん車がふえまして、付近の住民はいわゆる気管支炎ですとか、小児ぜんそくですとか、長期間そういうことで悩んでいらっしゃる方がたくさんあるわけでございますので、これは環境整備とあわせて、そうした街路樹の植樹によって幾ぶんかでも緩和されるのではないか。生命保全の上から考えて一日も早くそうしてほしい、こう思うわけでございます。  街路樹という問題に対して私もまたあらためて環七、環八とずっと歩いてみましたけれども、先ほど建設大臣がおっしゃいましたように木の育ちがたいへん悪い、こういうふうに思います。あらためてそうして見なければわからないほど、ほんとに細々とした木が各所にございます。もちろん環状八号線の場合などは最近できた道路ですから、最近植えた木である、若木だというふうに考えまして、これは一応了解をしたとしましても、一般の、環七の古いところですらもなかなか木の生い立ちが悪い。なぜそういう街路樹の育ちが悪いのだろうか、こういうふうに考えるわけなんですが、その辺の御認識についてはいかがでございましょうか。
  175. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 私、街路樹関係の専門家ではございませんので詳しいことは存じませんが、やはり街路樹の性質にもよるのじゃないかと存じます。東京都内で一番たくさん植わっておりますのはイチョウ、その次がプラタナスでございますが、これがおそらく全体の八割以上を占めておるわけでございます。これらは御承知のようにわりに排気ガス等にも強く、しかも緑が多いために街路樹としては非常に適切かと思いますけれども、方々で枯れますのは手入れが若干悪い点もあるのじゃないかと思いますけれども、それ以上に、枯れたりします木はやはり植えかえる時期が悪かったのじゃないかと考えられます。こういうものがございましたら十分点検いたしまして、早い機会に取りかえまして、またそれをよいほうに送りまして蘇生さしてやるという方法を繰り返す以外にないのじゃないかというふうに考えます。私もしろうとでございますので詳しいことは存じませんけれども、やはり木を選んで、しかも植える時期を十分選んで、もし枯れかかったと申しますか、少し衰えかかったときには、直ちに新しい若い木に取りかえるのがもっともいいのじゃないかというふうに考えております。
  176. 多田時子

    多田分科員 先ほど局長さんからお話がありましたように、道幅がもとどおりになりますと、いま木の回りがほとんど囲みになっておりますですね。それを細々ながらもグリーンベルト式にするというようなお話がございましたけれども、これはするということでしょうか。それとも——その辺のところもう一度確めて伺っておきたいと思います。
  177. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 先ほど申し上げましたように、二四六の街路樹と街路樹の八メートルの間は、ただいま何かそれに適したようないい植物を検討中でございます。まあ芝というふうに最初考えたわけでございますが、それ以外に、銀座にもございますが、灌木でございますね、わりに排気ガス等にも強い灌木がございます。そういうものもいいのじゃないかということも検討をしておる段階でございます。ただ先ほどもちょっと触れましたように、非常に日照が悪い。首都高速三号線が上を通っておりますので非常に日当たりが悪くなりますので、はたしてそういうのに強い木があるかどうか、そういう検討を現在進めておる段階であります。
  178. 多田時子

    多田分科員 ひとつお尋ねをしたいわけなんですが、いま街路樹の育ちが悪いということで二、三御指摘がございましたけれども一つはやはり道路が狭くて車が多い、これも一つの理由だと思いますし、それからよく見て歩きますと、電線にみなひっかかっておりまして、まあ電線のほうもたいへん迷惑しているだろうと思いますけれども、あれ以上伸びられないなというふうにも思いますし、また日本は台風が豊富な国でございますから台風などで倒れるということもありましょうし、また先ほどおっしゃいましたように、手入れが届かないということもありましょう。また一般住民の公衆道徳的なことからいいますと、その木の根っこに全部ごみを集めたり、自転車を立てかけたり、いろいろしておりまして、そういうのもあまり存分に育たないという一つの結果になっているかとも思います。また自動車の排気ガスは当然のことでございます。もう一つ大事なことは、これは同僚委員からたびたびいろいろな委員会でお話をしていることですけれども、最近コンクリート路面でがっちり断絶されているものですから、雨水が下へ入る余地が全然ないということで、以前のような四角いコンクリートをつなぎ合わせた形ですとその間から天水がしみ込んでいくわけですけれども、しかもその木の根も、葉がおい茂りますと、その葉でもって天水がちょうど根っこのところには行かないというふうなこともございまして、水を必要としない木というふうなことも考えられていらっしゃるようですけれども、やはり生物である以上はどうしても水分を必要とします。この水分が行かないということも木があまり育たないという一つの大きな原因になっているのではないか。そこで、先ほど来あらためて確認をいたしましたのは、その木のところだけ囲みますと全く水分をそこに吸収できない。そこでお話しのように、帯状の八メートル間隔に植えましたその途中をコンクリートでしっかり固めませんで、若干芝なり灌木なりというお話でしたが、全く土だけでも、私たちはいま土を見ることがあまりございませんので、土を見るだけでもやはり何となく慕わしいものがあるのじゃないか。そこに灌木が植えられればなおけっこうですし、芝があればなおけっこうだと思いますし、ぜひとも天水を利用するという考え方から、いままでのいわゆる街路樹の工法を、これからできる街路樹道路等は全部そうした方向に持っていっていただければ、まあ九段のあたりにはそういうようなところが所々ございますけれども、やればできることでございますから、ぜひとも二四六の完成と同時にその点の強力な御配慮をお願いしたい、そういうわけでございます。  最後に建設大臣から一言お伺いいたしまして、質問を終わりたいと思います。
  179. 西村英一

    西村国務大臣 三号線をつくりまして、実は予期以上に皆さま方に御迷惑をかけておるようでございます。しかし用賀と渋谷の間はつながなければならぬということでやりました。あなたおっしゃるように、たいへん住民の方々には御迷惑をかけておると私もたびたび言われております。したがいまして、今後やはり中央高速道路が都内に乗り入れる場合、一体どうするかということは相当に考えなければならぬと思っております。  それから街路樹の問題ですが、これも最初申し上げたように、私はあまり詳しくございませんが、ただ建設省として、ことに道路局として一つの問題は、いままではとにかく車が通る道路をつくればいいんだというような考えでございました。したがって、世間の方から非難されて初めて歩道をつくらなければならぬとか、あるいはブリッジをつくらなければならぬということに気がついたようなわけで、はなはだ申しわけないわけでございます。しこうして、あなたがいまおっしゃいますように、街路樹の問題です。一歩を進めて、やわらかい気持ちを皆さんに与えなきゃならぬというようなことで、これはいままではおそらく道路局として、建設省としてもそんなことはあまり考えぬで、ただコンクリートで道路をつくれ、道路をつくれということであったと思いますが、相当にその辺はひとつ頭の切りかえをやるような時期になったのでございます。したがいまして、方法はいろいろあるでございましょうが、この街路樹につきましても非常にくふうをいたしましてやらなければならぬと思っておりますが、やはり昔のように、どうしても木はこの状態ですと、結論をいうとあまり育ちませんね。明治神宮の森は昔からあったものじゃない。人工でつくったものです。その当時は空気がきれいで、公害がなかったからあのようにきれいになったので、今後東京都にやはりあのような森をつくろうというようなことはたいへんな努力が要ると思います。したがいまして、建設省といたしましても、緑の都にするというような心がけで十分やっていきたいと思っておりまするから、何かいい知恵がございましたらひとつ十分教えてくださいますよう、お願いを申し上げます。
  180. 多田時子

    多田分科員 以上で終わります。
  181. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林主査代理 以上で多田時子君の質疑は終了いたしました。  大橋敏雄君。
  182. 大橋敏雄

    大橋(敏)分科員 大臣関係局長さん等もたいへんお疲れであろうと思いますが、私が最後でございますので、がんばっていただきたいと思います。  地方住宅供給公社というのがありますが、それに対する建設省のものの考え方、それともう一つは北九州市にあります遠賀川の河口ぜきの事業計画の問題、この二つをお尋ねしたいと思うわけであります。  まず、住宅供給公社の問題でありますけれども、わが国の住宅不足は、私が申し上げるまでもなくきわめて深刻な状態にあろうかと思います。建設省のお仕事の中でも、住宅政策というのは非常に大きなウエートを占めて施策がなされておると思うのでありますけれども、この住宅難解消に対する種々の対策の中で、地方住宅供給公社というものがどのような位置で活躍しているか、あるいはどのような位置でとらえられているか、まず最初にお尋ねしてみたいと思います。
  183. 沢田光英

    ○沢田説明員 ただいま先生おっしゃいましたように、私ども実はただいま第二期の五カ年計画に入っております。御存じのように、九百五十万戸の総数をこの五年間に建設をする。そのうち四割に当たります三百八十万戸は政府関係の施策住宅でやる、かようなことになっておりまして、その中で一番柱になりますのは公営住宅、公団住宅、公庫住宅とございまして、公庫住宅につきましては、三本柱の公庫で相当戸数をこなすということにしておりますけれども、この公庫の中で持ち家と借家がございまして、その中の持ち家につきまして、特に地方住宅供給公社が住宅の困窮の著しい地域におきまして、勤労者の資金を同時にあわせてそれを供給をする、こういうようなことで、公庫のワク内で供給をしておるというふうな位置でございます。
  184. 大橋敏雄

    大橋(敏)分科員 実は自分の家を持たない者にとりましては、家ほど恋しいものはないわけですよ。一日も早く自分の家を確保して安心した生活をしたい、安定した生活を送りたいというのが持たない者の共通した心境であります。私もまだ自分の家ではないので、その気持ちはだれよりもよくわかると思うわけでございますが、たまたま家を買い求めるときに、一般の個人の方々から買う場合はよくだまされるとかごまかされるということがあるわけでございますが、公的な立場の建物を買うときは、まず買うほうの立場からすれば非常に安心感があるわけですね。ところが、私がいま質問しようとしております地方住宅供給公社といいますか、これは全国でたしか五十四カ所と伺っておりますけれども、これには疑問を抱かざるを得ない問題点があるのではないか。たまたま私の選挙区の北九州市で先般実態調査をやったわけです。それも、入居者から絶え間なく苦情が出てくるのですね。せっかく買い求めたけれども非常に建物がずさんだとか、分譲住宅入居者からいろいろな苦情が出てきたために、それじゃということで、わが党の市会議員団を中心としまして実態調査を行なったわけでございますが、これをやってみて、ひどいな、何とかしなければならぬなということになったわけです。  簡単にその中身を御披露申し上げますと、同公社の分譲住宅千二百三十九戸のうち、北九州市の中の小倉区に三団地、それから八幡区にやはり三団地、合計六団地ですね、その中の百四十七戸を調査することになったわけでございますが、その実態はきわめて遺憾なことでございました。と申しますのは、この百四十七戸中百二尺これはちょうど七〇%に当たると思いますが、これが修理が必要である。それから百二戸の中の七丁六%に当たるものが入居後一年以内に修理をしたというのですね。全体から見ますと、約半数が一年以内に、しかも二戸につき平均二カ所修理をしたという計算が出たわけですね。  また中には、せっかく入ったけれども、どうも地盤沈下等で住まわれなくなった家もある。これは埋め立て造成地に建設がなされまして、地盤がゆるんで、床とか庭等に亀裂が生じまして、家を建てかえる以外になかろうということになったわけですね。これは八幡区の小嶺団地という中に実は四軒あるわけでございますけれども、これなどは埋め立て地に建設したわけですが、埋め立て地というのは少なくとも五年間ぐらいは経過しないと地盤は安定しないといわれるのですが、二年目に建てられているのですね。これは当然の結果ではなかろうかと私は思うわけでございますが、いずれにしましてもそういう問題が起こっております。  またさらにアフターサービスといいますか、これがきわめて悪いというのですね。たまたま調査した中でこういうことがあったのですよ。建具などが悪いのが非常に多い。トイレのノブ、あのノブが悪くて、子供が使用中にかぎが締まって、そうして出られなくなって、あれやこれや二時間もかかって取っ手の金具をはずしてやっと助け出したという、これはたまたまの事柄であろうとは思いますけれども、そのほかにやはりたくさん建具が悪いという苦情が出ているのです。六十四軒が公社のほうにすぐ修理を頼む、このようにお願いしたのですけれども、公社のほうですぐ来てくれたのはわずか二十六軒であった。半数以下じゃないかというのですね。あるいは、修理はしてくれたもののかなり日数がかかったと、つまり仕事がルーズなんですね、それが十八戸。あるいは、修理してもらえなかったというのが十七戸出てきました。また、修理をしてみても全く修理がきかない、直らないというようなものが三戸あったということで、詳しい調査内容をもし御必要ならばあとでお届けしてもいいわけですが、これはもうすでに三月の八日、地元の北九州市議会でわが党の議員がその調査内容で当局に責任を迫ったわけでございますけれども、これは私は、単なる一例にすぎないと思うわけですね。ほんとうに、入っている人はほとんどの者がサラリーマンです。サラリーマンというのは、御承知のとおりに、低サラリーをやっとの思いで預金をし、そしてマイホームをと思って買い求めるわけですね。それがそうした悪条件といいますか、悪い環境の中に押し込められたということになると、もうだまされたような思いになるわけですね。ところが、その公社というものが、市だとかあるいは県だとかいうのがじきじき出資してその事業を進めていることであるわけですから、私は非常に問題だと思う。  そこで、一言で答えてもらえばこれは終わるんですけれども、やはりこれは建設省として総点検する必要があろうかと思うんですよ。というのは、このようなずさんな建築をやったり、家を取っかえなければならぬような地盤沈下等の問題が起こるようなことというのは、やはり大きな問題があるような気がします。あるいは、先ほどアフターサービスが悪いなんといったことも、建具が悪いというのは、むしろ、建築単価といいますか、そういうのが安くて、やむを得ずそういう悪いものを使ったんじゃなかろうか。これは私なりのしろうとの考えですよ。こういうこともありますので、これは建設省でぜがひでも、この地方の住宅供給公社を総点検してもらいたい、こういうわけですが、どうでしょうか。
  185. 西村英一

    西村国務大臣 公社住宅について不服を受けたことは、私はいま初めてでございます。しかし、この公社の責任者は知事であり、市長である。おそらく北九州の場合はどういうことであるか知らぬが、あなたのおっしゃるようなことがあったら、それはたいへんな問題です。政府としても、金融公庫から融資をして、皆さん方に住みよい住宅を提供しようという意思でやっておるわけですから、これは総点検をいたします。
  186. 大橋敏雄

    大橋(敏)分科員 どうもごくろうさまです。その総点検の実態調査に基づきまして必ず問題点が出てきますので、善処していただきたいと思います。これを聞くと、いま入っていらっしゃる方はほんとうに小踊りして喜ばれると思うんです。大臣の耳にはいままで入らなかったかもしれませんけれども、実態は想像以上ですね。よろしくお願いします。  それでは次に参ります。遠賀川の河口ぜきの建設についてでございますけれども、ここに私持ってきておりますのは北九州市で出しております「遠賀川河口堰の計画概要」というものでございます。これを拝見いたしますと、この工事については、特に関係市町村の皆さんは、一日も早くこれが完成できますようにと、実は待ち望んでいるわけでございます。ところがさっぱり仕事が着工されない。この工期について見ますと「昭和四四年度、四五年度の二ケ年で本河口堰の実施調査を行い、昭和四六年度から河口堰の工事に着手し昭和五〇年度中に完工の予定である。」と、こうあるんですね。ところが現実は、四十六年はもう過ぎたわけです。全然触れられておりません。今度、もう四十七年になったわけですけれども、一体このおくれている理由はどこにあるのかということが一つですね。それから着工の見通しですね、いつになると現実に仕事が始まるのかというその見通しについてお願いいたします。
  187. 川崎精一

    川崎政府委員 遠賀川の河口ぜきにつきましては、もう御承知かと存じますけれども、沿線の各市町、それぞれこの水を利用したいということで、非常に熱心に促進をしていただいておるわけでございますが、この河口ぜきの建設に伴いますいろいろ農業上の問題、それから特に一番やっかいな問題は水産業との調整の問題がございます。そういったいろいろな問題、それから在来から遠賀川は上流部に非常に炭鉱地帯が多うございまして、これの炭じんの問題がございます。こういったものについては一応福岡県が直接いろいろその衝に当たっておるわけでございますが、私どもの今回の河口ぜきをつくるにつきましても、当然やはり漁業との関係の調整なり補償が出てくるわけでございます。そういった点で非常に難航をいたしておりまして、実は解決すれば今年度中には発注をいたしたいというふうな準備も整えておったわけでございますが、現状ではちょっと、年度内はもう時間切れでございます。私どもといたしますれば早く漁業関係の問題を調整したいということですが、これにつきましては大体月末までに私どものほうの調査の結果がまとまりますので、それによって関係の漁協等と交渉をいたしまして、目標といたしましては六月くらいまでにはそういったものの調整を終われないだろうか。したがって、工事の着工は七月時点以降になるかと思いますが、そのくらいのスケジュールで、できるだけおくれを挽回したいと考えている次第でございます。
  188. 大橋敏雄

    大橋(敏)分科員 関係市町村は、先ほども言いますようにもう多大の期待を寄せているわけですが、いま局長さんの御答弁では、漁業問題がひっかかって工事がおくれているんだというお話がありました。それが片づけば早急にやりたい、それが大体六月ぐらいまでにまとまる予定だ、七月から現実に着工したいということですね。ぜひそうあっていただきたいと思うのであります。この北九州市も、あるいはその関係市町村も、それなりの予算をきちっと計上しまして万全の体制をしいております。  それで、次にお尋ねしたいことは取水計画でございます。河口ぜきから取水量一日にたしか十七万トンの計画でなされるように伺っておるんですけれども、その十七万トンのうちの十万トンは北九州市の工業用水に使う、あとの七万トンは北九州市及びこの周辺都市の上水に使う、こういう計画で進められていると聞くわけでございますけれども、その七万トンの上水のうちに、北九州を入れまして、あと一市四町ですか、たしか関係していると思うのでございますけれども、その七万トンのうちの五万トンを北九州市が使うんだ、あと二万トンがその一市四町ですか、この分だなんということで、いま非常にこの調整問題等でがたがたしているやに私は聞くわけでございますけれども、これは遠賀川の河口ぜきだけに限らず、今後こうした水の問題について、必ず広域的な水源といいますか、これに遭遇されると思いますが、建設省のこうした基本的な考えといいますか、そういう場合の、広域的な水源については、こうこうこういう考えをもって建設省は臨んでいるというものをまず示していただきたいと思います。
  189. 川崎精一

    川崎政府委員 この遠賀川の河口ぜきの建設によりまして生まれる水を利用されるのは北九州市とそれから中間市、水巻町がございます。二市四町でございます。それで、お話のように大半が北九州市でございます。これらの費用の負担等につきましては、大まかに、工業用水、上水道を含めた都市用水と、それから河口ぜきを治水上やはりつくる必要がございますので、そういったものとの大まかな費用の分担をやるわけでございます。これは私ども治水上の許せる範囲でできるだけそういった面の協力はしたいと考えておりますが、あと利水分といいますか、都市用水のそれぞれの負担につきましては、各市がそれぞれダムに乗る——乗るといいますか、それぞれ金を出し合ってこの事業に参加されるという形をとっておるわけでございます。したがいまして、個々の市なり町が、それぞれ幾らの水を取るというような量と金額がきまりませんと事業がスタートしないわけでございます。そういった点につきましては、これは福岡県一県内の問題でございますので、できるだけひとつ県で調整をしていただきたい。もちろん私どももいろいろお話はするわけでございますけれども。そういった点でうまく調整ができますれば、先ほど申し上げたスケジュールに乗るのじゃないか。私の見通しといたしますれば、六月の福岡県の県会ごろまでにひとつ話をまとめていただきまして、同時に漁業補償関係もそれと並行して進めるわけでございますが、その上でこの河口ぜきの基本計画を県会なりで認めていただいて、そして七月になったら本体の事業の着工にかかりたい、こういうスケジュールで考えております。
  190. 大橋敏雄

    大橋(敏)分科員 いまの話では、建設省としては基本的な考えはちゃんと持っている、ただ今回の遠賀川の河口ぜきの問題は福岡県の特殊事情だ、県の中でまとめてもらいたい、こういうお話のようでございます。確かに県でいま調整しているようでございますけれども、取水量についてはなかなか話がまとまらないということを聞いておるわけですよ。いま局長お話を聞きますと、量のみならず、いわゆる原水価格といいますか、お金の問題もからんでいて、非常に複雑な要素をはらんでいるという感じを受けるわけですけれども、それだけに調整は非常に利害がかかるからむずかしいと思うのです。しかし建設省として、先ほど言われましたような広域的水源についての基本的な考えをきちっと打ち出した上で、やはり県内、県の立場での調整にまかせるのじゃなくて、乗り込んでもらって大いに指導してもらいたい。これは大臣、非常に大事なことだと思うし、たまたま福岡県の特殊事情というように見られているようでございますが、そうではなくて、将来あるいは農業関係が出てくるであろう、あるいは港湾問題が出てくるであろう等々みんな関連していきますね、工事が。そういうときに、やはり建設省としてのきちっとした基本的なものがあれば話がスムーズにどんどん進んでいくのじゃないか、それがないばかりにやはり戸惑っていくのじゃないか、こういう感じを持つわけですよ。そういうわけでございますので、ここで大臣の見解を承っておきたいと思います。
  191. 西村英一

    西村国務大臣 遠賀川の河口ぜきのことにつきましても、私はちょっと聞いておる程度でございますので、せっかく河川局長いまおっしゃったとおり——なおこれは建設省の直轄の事業でございますから、知らぬふりをするわけにいきません。いろいろ地元トラブルがあることは多少私も聞いております。なおせっかく努力したい、かように思っておる次第でございます。
  192. 大橋敏雄

    大橋(敏)分科員 建設大臣のそのおことばを深く信じておきます。ほんとうに指導をお願いしまして、一日も早くこの仕事が着工できますようにお願いする次第でございます。  最後に、補償問題でございますけれども、先ほどたまたま漁業補償の問題でいまちょっとおくれているのだというお話がありましたが、私がたまたま持ってきておりますのは、昭和四十六年度に、「遠賀川河口堰設置による水産業への影響調査報告(中間報告)」となっておりますけれども、九州大学教授の塚原博さん、これはもともと建設省ないしは県のほうから要望して調査させたのだろうと思いますけれども、この調査の中身を見てまいりますと、たとえばこういう個所があるのです。「カタクチイワシの主な産卵発育期の春先の河川流量とその発生群の漁獲量との間には極めて密接な関係のあることが認められる。」ということは、やはりこの河口ぜきができることによって、かなりカタクチイワシ等の問題には影響がある、当然補償問題が出てくるわけですね。この補償に関しては、建設省があくまでも最後まで補償内容に立ち入って解決してくださるのでしょうか。それとも、たとえば先ほど言いましたように、農業の問題が起こった場合は普通は農林省だとか、あるいは港湾の場合はまた運輸省だとか、こう分かれますね。だけれども、その根本的な工事は建設省の所管である、こういう場合、どういう考えで見ていったらいいのか、あるいは建設省としての基本的な考え方がはっきりしていればそれをお示し願いたいと思います。
  193. 川崎精一

    川崎政府委員 これは私どものほうの直轄工事でございますから、補償を払うのは建設省が払うわけでございます。ただ漁業補償というのは、われわれしろうとではなかなかわかりにくい部面がありますので、ときには学識経験者の御意見を伺ったり、あるいは直接そういった面の指導を所管しております水産庁の意見を聞いたり、こういうことはいたしますが、最終的には私どものほうでそれぞれの関係者と話をいたしまして正当な補償を支払うというということになるものと思います。
  194. 大橋敏雄

    大橋(敏)分科員 この漁業補償の問題にしましても、中身をずっと検討してまいりますときわめて複雑な問題もはらんでいるようでございますので、この指導にあたりましては熱意をもって、誠意をもって当たっていただきたい。  非常に前向きな答弁をいただきましたので、私はこれで質問を終わりたいと思いますが、最後に一言、遠賀川の河口ぜきの計画がたいへんおくれているわけでございますが、先ほど局長が言ったような立場で工事が進められるように特段の大臣の御配慮をお願いしたいと思います。御意見を承って終わりたいと思います。
  195. 西村英一

    西村国務大臣 補償問題は、相当に粘り強くやらないとなかなか解決しないのです。余談になりますけれども、私も補償問題に飛び込んでいったことは二、三回ありますが、役所のほうはなかなかそろばんに乗らないと、それは国家のお金を出すのですから。しかしまた、被害を受けるほうは、やはり無形のことも言いますし、そろばんに乗らないことも、やはり被害を受けるほうは言いますから、なかなかその辺はむずかしいのですが、それが片づかないと仕事はできませんから、これを含めましてひとつ努力しなければならぬ。本体は私のほうの仕事でございますから、十分努力をしたいと思います。
  196. 大橋敏雄

    大橋(敏)分科員 じゃ、終わります。
  197. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林主査代理 これにて大橋敏雄君の質疑は終了いたしました。  以上で、建設省所管は一応中断いたし、明後二十三日午前十時より続開いたします。  次回は明二十二日午前十時より開会し、運輸省所管について審査を行ないます。  本日はこれにて散会いたします。     午後八時十一分散