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1972-03-18 第68回国会 衆議院 予算委員会第五分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科会昭和四十七年三月十四日(火曜日)委員 会において、設置することに決した。 三月十七日  本分科員委員長指名で、次の通り選任され  た。       足立 篤郎君    根本龍太郎君       福田  一君    細田 吉藏君       松浦周太郎君   三ツ林弥太郎君       安宅 常彦君    阪上安太郎君       中野  明君 三月十七日  松浦周太郎君が委員長指名主査に選任され  た。 ————————————————————— 昭和四十七年三月十八日(土曜日)     午前十時六分開議  出席分科員    主査 松浦周太郎君       根本龍太郎君    細田 吉藏君      三ツ林弥太郎君    安宅 常彦君       斉藤 正男君    阪上安太郎君       内藤 良平君    岡本 富夫君       中野  明君    樋上 新一君    兼務 上原 康助君 兼務 木原  実君    兼務 久保 三郎君 兼務 小林  進君    兼務 松本 忠助君 兼務 西田 八郎君  出席国務大臣         建 設 大 臣 西村 英一君  出席政府委員         近畿圏整備本部         次長      朝日 邦夫君         環境庁水質保全         局長      岡安  誠君         建設大臣官房長 大津留 温君         建設大臣官房会         計課長     山岡 一男君         建設省計画局長 高橋 弘篤君         建設省都市局長 吉兼 三郎君         建設省河川局長 川崎 精一君         建設省河川局次         長       川田 陽一君         建設省道路局長 高橋国一郎君  分科員外出席者         建設省住宅局調         査官      沢田 光英君         日本国有鉄道建         設局長     内田 隆滋君     ————————————— 分科員の異動 三月十八日  辞任         補欠選任   安宅 常彦君     斉藤 正男君   中野  明君     樋上 新一君 同日  辞任         補欠選任   斉藤 正男君     内藤 良平君   樋上 新一君     岡本 富夫君 同日  辞任         補欠選任   内藤 良平君     安宅 常彦君   岡本 富夫君     中野  明君 同日  第一分科員木原実君、松本忠助君、第三分科員  上原康助君、第四分科員久保三郎君、小林進君  及び西田八郎君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十七年度一般会計予算建設省所管  昭和四十七年度特別会計予算建設省所管      ————◇—————
  2. 松浦周太郎

    松浦主査 これより予算委員会第五分科会を開会いたしたいと思います。  私が本分科会主査をつとめることになりましたので、よろしく御協力をお願い申し上げます。  本分科会は、運輸省、郵政省及び建設省所管について審査を行なうこととなっております。  本審査の順序は、お手元に配付いたしてあります日程によって進めたいと存じますので、あらかじめ御了承をお願い申し上げます。  なお、各省所管事項説明は、各省審査の冒頭に聴取いたします。  昭和四十七年度一般会計予算及び昭和四十七年度特別会計予算建設省所管を議題といたします。  まず、説明を聴取いたします。西村建設大臣
  3. 西村英一

    西村国務大臣 建設省関係昭和四十七年度歳入歳出予算について、その概要を御説明いたします。  まず、建設省所管一般会計歳入歳出予算は、歳入に六十九億六千三百余万円を歳出に一兆三千四百九億七千二百余万円をそれぞれ予定いたしております。  このほか、歳出について、総理府の所管予算として計上されているもので、建設省に移しかえを予定される経費がありますので、これを合わせると、昭和四十七年度の建設省関係歳出予算は、一兆五千二百八十七億四千七百余万円となり、前年度(補正後)の予算に比べ一千六百八十九億八千百余万円の増加となっております。  なお、このほか、国庫債務担行為として、公営住宅建設事業費補助その他に八百九十六億八千三百余万円を予定いたしております。  以上が一般会計予算概要であります。次に特別会計について申し上げます。  まず、道路整備特別会計予算総額は、歳入歳出とも九千五百七十二億一千余万円を予定しており、このほか、国庫債務負担行為として五百五十二億八千六百万円を予定いたしております。  また、治水特別会計予算総額は、歳入歳出とも三千二百九十八億五千余万円を予定しており、このほか、国庫債務負担行為として三百七十二億四千二百余万円を予定いたしております。  また、都市開発資金融通特別会計予算総額は、歳入歳出とも百四十七億六千二百余万円を予定しております。  また、大蔵省と共管の特定国有財産整備特別会計のうち、建設省関係分歳出は、五十九億三千八百余万円を予定しており、このほか、国庫債務負担行為として三十三億二千五百余万円を予定いたしております。  建設省といたしましては、以上の予算によりまして、相対的立ちおくれが著しい社会資本の充実、適切な土地対策等の各般の施策を進め、国民生活安定向上経済発展基盤整備をはかり、もって住みよい豊かな国土の建設に努力する所存であります。  建設省関係予算事業別重点施策概要につきましては、お手元に配付してあります昭和四十七年度建設省関係予算概要説明によりまして御承知を願いたいと存じます。  よろしく御審議のほどをお願いいたします。
  4. 松浦周太郎

    松浦主査 以上をもちまして説明は終わりました。     —————————————
  5. 松浦周太郎

    松浦主査 この際分科員各位に申し上げます。  質疑者が多数おられますので、質疑の持ち時間は、一応本務員は一時間程度兼務員もしくは交代で分科員となられた方は三十分程度にとどめ、議事進行に御協力をお願いいたします。  なお、政府当局に申し上げますが、質疑時間が限られておりますので、答弁は必ず的確に要領よく簡単に行なわれますようお願い申し上げます。  質疑の通告がありますので、これを順次許します。阪上安太郎君。
  6. 阪上安太郎

    阪上分科員 きょう私は、最初琵琶湖総合開発それから日照権の問題、さらに公営住宅の払い下げ問題、時間がありますれば、公団住宅の家賃の問題、こういったものに触れてみたいと思います。  そこで最初琵琶湖総合開発についてお伺いいたします。  これはあるいは分科会としてはこの会が適当であるかどうか問題があろうと思いますが、近畿圏整備本部長西村建設大臣がおやりになっておりますので、まずお伺いいたしたいと思います。  申し上げるまでもなく、昭和四十七年度予算琵琶湖総合開発関係予算として四十億計上されておるわけであります。したがって、これを執行していくためにはやはりどうしても法案が必要であろうと思います。そこで最初にお伺いいたしたいと思うのは、琵琶湖総合開発法案といいますか、あるいは仮称でありますが、促進法案といいますか、これの要綱はもうできておるのかどうか。確定されておるのかどうか。それにつきましてどんな機関で、どのような経過で、いつ確定されたか。これについてお伺いいたしたいと存じますが、これは事務当局からひとつ伺いたいと思います。
  7. 朝日邦夫

    朝日政府委員 琵琶湖総合開発の問題につきましては長年の問題ではございますが、昨年の昭和四十六年度の予算編成の際に、この琵琶湖水資源開発事業に着手するためには、いろいろと地元の御要望になっておりますようないわゆる地域開発事業について、その事業内容それからそれに対します国あるいは下流団体負担等の問題について検討を進めて、その上で、滋賀県の御納得を得た上で着工をする、こういうことで、そのために政府部内でこの琵琶湖総合開発に関します連絡会議を設けまして、数次にわたりましてその会議をもって検討を進めてまいっております。その過程におきまして、これも県の御要望もありましたが、下流地域の御要望もありました、できるならば琵琶湖総合開発法とでもいうべきものを提案をしたいということで準備を進めておったのでございますけれども基本になります事項につきまして、今日まで関係団体間におきます合意が必ずしも得られませんで、事務的にはこの法案の提出の期限経過して今日に至っておる、こういう経過でございます。
  8. 阪上安太郎

    阪上分科員 この作業をやる機関として、琵琶湖総合開発連絡会議というものを設けられた。その構成はどんな構成になっておりますか。
  9. 朝日邦夫

    朝日政府委員 この構成は、まず目的から申し上げますと、ただいま申し上げたような琵琶湖及びその周辺地域の総合的な開発下流の水の需要に見合う水資源開発を推進するために、私どものところ近畿圏整備本部琵琶湖総合開発連絡会議設置するということになっておりまして、その構成は会長に近畿整備長官をいただき、委員といたしましては関係各省関係局長等構成をいたしておりますが、企画庁あるいは環境庁大蔵省、厚生省、農林省、水産庁、林野庁、通商産業省、運輸省建設省、自治省それに私、こういった構成でございます。
  10. 阪上安太郎

    阪上分科員 そこで最も関係の深い滋賀県であるとかあるいは下流大阪府及び兵庫県ですか、こういったものとの作業段階における連絡はどういうようにしておやりになったのですか。
  11. 朝日邦夫

    朝日政府委員 先ほど申し上げましたように、これは昨年の二月に設置を見ておりますけれども、それ以来委員会を開きます前に、この会議のいわば幹事会というものが設置をされておりまして、この幹事会数次にわたり開きまして、先ほど申し上げたような事項について検討を進めてまいっておりますが、昨秋以降、地元滋賀当局並びに下流大阪府並びに兵庫県の関係地方公共団体事務当局と、これも数次にわたりましてその検討事項内容について協議を進めてまいっておるわけでございますが、主として滋賀県との関係におきましては、その総合開発事業内容、規模、それからこれに対する財源措置の問題、下流地方公共団体との間におきましては、特にその下流負担の問題、こういった事柄中心協議を進めてまいっておった次第でございます。
  12. 阪上安太郎

    阪上分科員 私の承知しておるところでは、この会議の出発したのは昭和四十六年の二月一日だった、こういうことになっておりますね。今日までかなり時間がかかっておるわけです。そして、いま下流との打ち合わせ等を行なっておられるようでありますが、二回かそこらしかやっていない。会議ができてからその後ですよ。これは滋賀県と下流府県との打ち合わせというようなものは行なわれたのですか。会議との関係はわかりますけれども……。こんなことを聞いておると時間がかかります。そこで、この法案要綱というものは決定したのですか、しないのですか。
  13. 朝日邦夫

    朝日政府委員 要綱と申しますか、法案自体がそうでございますが、ただいま申し上げたような基本的事項決定するためにどういった内容のものを盛り込むかということで、事務的に検討してきておるわけでございますけれども、いまだその内容が確定をいたしませんために、もちろんこれは閣議にはかったものでもございません。そういう意味におきましては、私ども近畿圏整備本部の案というにすぎない段階でございます。
  14. 阪上安太郎

    阪上分科員 しかし、二月の十四日に琵琶湖総合開発法案について内閣法制局審査を受けた、こういうことになっておるから、したがって、これは法案はもう作成の作業に入ったものだと私は思うのであります。したがってそれならば要綱案というものはやはり一応決定した、こう見ていいわけじゃないですか。
  15. 朝日邦夫

    朝日政府委員 これは先生もよく御承知のとおり私どもが案をつくりまして、極力成案を得まして提案をいたしたいという趣旨で、当然法制局とも打ち合わせをしてまいっておりますけれども、ただいま申し上げたように最終的に自治体との問題を含めまして、法案といたしましても、関係各省庁との協議が整っておるという段階ではございませんので、その意味におきましては、並行して法制局審査を受けてまいってはおりますけれども成案を得たという段階には至らなかったわけでございます。
  16. 阪上安太郎

    阪上分科員 大臣にお伺いしますが、いまのような状態であります。一方において、すでに四十七年度に事業予算が四十億というのが計上されておる。しかも一方においてそれを実施するためにはぜひともやはりこういった促進法案というようなものが必要になってくる。ところがいま言ったような事情で、問題点がなかなか解明できない点もあるというようなことで、おくれおくれになっております。予算委員会では、こういった関係法案につきましては、たしか十八日までに提出するようにということを厳重に政府にもいっているわけなんでありますが、そういたしますと、いまのような経過から見まして、これは一体この法案は出るのですか、出ないのですか。出ないとすればたいへんなことになるだろう。予算を修正しなければならぬ。その点について——あなたに聞いているんじゃない、大臣です。大臣どうなさいますか。これはこんなもたもたしたようなことじゃ……。
  17. 朝日邦夫

    朝日政府委員 ちょっといまの事務的なことを申し上げておきます。  この法案予算関係法案ではございません。いわゆる一般法案でございまして、その意味におきまして、事務的に、提案期限が当初十四日ないし十七日ということで、それを目標に作業を進めておったものでございます。
  18. 阪上安太郎

    阪上分科員 そうすると、あなたの考えでは、そういう法案ができなくても事業は実施するのだ、こういうことですね。そういうことになりますね。
  19. 朝日邦夫

    朝日政府委員 法律的にはそのとおりなのでございますが、ただ滋賀県御当局の御了承を得るために、先ほど申し上げましたような内容事柄決定をしなければならぬ。そういたします場合に、特に事務的なことで恐縮でございますが、この法律内容は、総合開発事業をどういう内容のものを実行するか、計画を立てるかということと、それの計画策定の手続、これが一つ、それから、それに対しまして下流負担を求める場合の根拠と申しますか、そういった規定、それからさらに国がこれに通常の補助割合以上にめんどうを見るという内容もの等でございますが、特に法律を要するということになりますと、ただいまの補助率の積み上げと申しますか、といった関係でございますが、これはこの法案におきましても四十八年度になりましてこれを精算をするということでございまして、四十七年度の予算執行には直接関係がないという意味予算関係法案ではない扱いをいたしております。水資源開発事業執行そのものは、必ずしもこの法案がなくてもできるわけでございますが、しかし滋賀県の御了承を得られないのではないかという問題は確かに残るわけでございます。
  20. 阪上安太郎

    阪上分科員 そこで建設大臣、それじゃこの法律は出さないのですか。
  21. 西村英一

    西村国務大臣 この国会政府法律を出そうという場合、やはりある期間予算関係法案はもうずっと前に、一般法案も三月の十七日の期限、昨日金曜日までが限度といっております。ただしまだ党の連絡ができないとかあるいはいろいろな場所との連絡が十分できないというようなときは、特別に内閣協議をして延伸を少しばかりすることはできるということになっております。  そこで琵琶湖総合開発法律でございますが、事務当局案として法律の形は一応はできておるのであります。ところが形ではなしにその内容の点についてまだ詰めが十分でないところがあるわけです。したがいまして、この時点で断念はいたしておりませんが、これも正直なところ来週一ばいくらいに大かた基本線ができないとこの国会には間に合わないのじゃないかという考えをいたしております。いま私のほうの関係個所でもその最も重要な点の詰めをいたしておるのです。その詰めができれば、これは法律そのものについての形は、もう事務的にやっております。またこの琵琶湖総合開発滋賀県が最も関心をいたしておるのは、たいへん多額の金がかかりますから、一般事業をやるような補助金ではとてもやれぬよ、こういうようなことで、その点については大蔵省事務当局もやや了承いたしておりますが、一番問題は、水面低下の問題と県の費用の分担の問題、こういうことがまだ詰めが十分できておりませんから、この時点で、私は提出しないとは断言いたしませんが、非常に困難だということを考えておる次第でございます。
  22. 阪上安太郎

    阪上分科員 いままでの各総合開発計画あるいは地域開発計画、そういったものは計画が先に進んで、あとから予算がつくというようなかっこうになっておりました。今回のこの場合は、いろいろな事情もございまして、非常に早くから、昨年から予算措置をされておるわけなんです。それはもう使い残しになりまして、十億円は今年に繰り延べたというようなことになっております。したがって、いままでの行き方よりも、むしろ進んだ進め方じゃないかと思っておったのでありますが、今度は逆に、関係法案あと回しになっている。せっかくいい道を開いたのですから、もっと皆さん方努力なさって、予算とぴったり合うような進め方をされるのがほんとうじゃないかと私は思うのであります。その点、非常に残念でありますが、いま何か大臣、微妙な発言をされて、出さないとは言わないと言われたのですが、出すとは言わないのですか、どっちなのですか。こんなものは、がたがたしていないで、早くおやりになったらどうですか。
  23. 西村英一

    西村国務大臣 これは、利害関係者のほうで十分な合意ができないと——その合意というのは、滋賀県及び下流大阪府、兵庫県で、それはよかろうというような簡単な口約束だけでは、重要な問題ですから、建設省としてはちょっと受け合いできない。十分念を入れて合意に達しないといかぬのです。重要な点で合意に達して、確認がちゃんとでき、それが来週ぐらいに間に合えば、法律の形はできておりますから、もちろん法律提案したい。しかし、いま、出すような、出さぬようなことを言ったというのですが、かりに今回、この国会に間に合わなくても、やはりこの問題は、非常にいいチャンスでございまするから、この機会をのがさずに、そのむずかしいところを詰めていく。それでいつでも出せる形に持っていく。来週に間に分わなくても、いつでも出せるような形に持っていくというようなことをやらないと、また来年になりましても、四十八年度の予算も同じことです。予算がなければ、それは困るからということで、今度も水資源公団に、使うか使わぬかわからぬけれども、三十億の予算を計上したのです。これは予算がないと、絶対やれませんからね。あなたは四十億円と言いましたが、三十億円でございます。そういうことですから、この法律はある一定の期間、間に合えば出したいと思いますけれども、間に合わなくても続けてやって、この問題はいつでも出せるような状態にまでこぎつけぬと、四十八年度にも同じようなことになると思いまするから、継続してずっとやるというような意味で、私は申し上げておるのでございます。
  24. 阪上安太郎

    阪上分科員 また官庁の悪いところが出てきた。だから、私、さっきから、一体どんな機構でやっているのかと伺った。そうしたら、関係各省が集まってやっているんだ。その関係各省は、ときたま地元滋賀県と下流府県と個々に打ち合わせ会をやって、ああでもない、こうでもないと言ってやっている。そんなことをやっているから、いつまでたっても解決できない。せっかく近畿圏整備本部をつくったのですから、そういう会議に、正式メンバーとしてそういうものを入れておけば、もっともっと話が進むのだろうと思う。私は、いろいろ事情を知っておりますが、大阪府、兵庫県といえども、なかなか滋賀県のほうへ話を持っていかない。滋賀県のほうでは、そんなものは自分のほうから言いだす必要がないということで、これまた話をしない。一方では、頭越しに、関係各省が寄って、ああでもない、こうでもないと言っている。こんなことをやっておるからだめなんですよ。いまさらおこってみたってしようがないんだが、ぜひひとつ、これは早く要綱を出してもらって、やはり法案を早く出すことですよ。まだ若干日数もありますから、そのための努力をやってもらいたいと思うのです。  そこで問題になるのは、こんなことを言ってみたって問題点は解決できないんじゃないかということなんですが、一体どんな問題点があるのですか、それをちょっと言ってください、簡単でいいですから。
  25. 朝日邦夫

    朝日政府委員 問題点と申しますれば、第一は、下流水需要に伴って行なうべき水資源開発事業計画策定でございますが、これと関連をいたしますのは、やはり水資源開発計画の基礎になります問題が一つあるわけでございます。その問題が中心と申しますか、それが一つと、これと関連をいたしまして、それを実施するために、先ほどのような地域開発事業もやろう、こういう発想でございますので、当然、そのほうの基本的な事柄決定には、総合開発専業、ひいてはこの法案内容になっておりますような事業をどの程度やるか、あるいはそれに対して国なり下流地方公共団体がどの程度の援助をするか、こういったことがすべてからんでまいりますために、そのような問題がすべて関連をして、いわば同時に解決されなければ、どれも先にはなかなかきまりにくいという問題があるわけでございます。
  26. 阪上安太郎

    阪上分科員 一番ネックになっているのは、やはり琵琶湖水位の調節だということであります。これは在来から、下流府県では、二メーター水位を下げて、少なくとも毎秒四十トンの水がほしい。これに対して滋賀県のほうでは、そこまでやられたんじゃ被害がたいへんだということから、一・五メーターで、毎秒三十トン程度というようなことを言って話し合いがつかない。ある時期には、下流から金を出してもいいから水を買いたいというようなことで、この問題が発足したのであります。しかし、これは非常にかってな言い分でありまして、やはりそういった水を要求する場合において、まず第一番に大切なことは、琵琶湖土地利用というものが先行しなければならない。したがって、琵琶湖周辺都市がどのくらい膨張していくのか、それに対する水道用水は何ぼ必要なのか、あるいは農地をどの程度残すのか、それに対するところのかんがい用水というものはどの程度必要なのか、あるいはまた発電用水はどの程度のものか、滋賀自体としても工業用水はどの程度必要であるかというようなことをやはり計量して、その結果、水はこれだけのものが残るんだ、これは当然下流へ流さなければならぬし、下流で使ってもらわなければならぬ、こういうことになって、いわゆる土地利用計画が先行して、しかる後に水の利用ということが考えらるべきだ。これは当然のことでありますので、最近ではそういう形をとってきたという経過をこの問題は持っておる。したがって、この琵琶湖総合開発計画というものが進まない限りにおいて、下流で水をくれろなんと言ったって、そう適量が確定するわけでもない。こういうことになるわけであって、これを早く進めなければ——いま下流のほうで、工業用水ばかりじゃなく飲用水まで枯渇していこう、ことに昭和五十年あるいは五十五年になったときにはどうにもこうにもならぬというようなことで非常に急いでおる。しかし、急ぐならばいま言ったような総合開発計画というものが先行しなければだめだ、こういうことになってこの問題が提起され、これを急いでおるわけでありまして、これを全然進めないで初年度三十億程度、そんな仕事をやればそれでいいのだというような考え方ではこの問題は解決しないのじゃないですか。  もう時間がありませんから申し上げますけれども水資源開発公団がやる水というものは一体だれのものなんですか。国のものか、水資源開発公団開発したのだから水資源開発公団の水か、滋賀県の水か、いままでもずっと流しておるのだから下流もそれに対して権利があるのか。そういった水の権利といいますか一これから新しく開発していくのだからこれは慣行水利の問題じゃありませんね、そういったものに対して双方の言い分を聞いてかみ合わぬからというのでいつまでたっても解決しないというようなことでは困るので、いまネックになっておるその問題を解決するために、少なくとも近畿圏整備本部は、き然たる態度でこれをやるべきじゃないかと思うのですが、一体この水はだれのものですか。
  27. 西村英一

    西村国務大臣 水は重要な、国民生活にとって必要なものですから、裏向きにいえば水は国民のものでございます。しかし、国民のものでもやはりその利用によってそれぞれ水利権というようなものがございます。一言でいえば国民のもので、だれのものでもございません。多く広く水資源として利用しなければならぬものでございます。
  28. 阪上安太郎

    阪上分科員 そうなりますと、双方で言い分が合わぬでごたごたして長い時間をかけておる。十年以上です。そういう場合に近畿圏整備本部としては、あるいは国として、国民のものだという観点に立つならば、やるべき手があるのじゃないですか。  昭和四十三年の七月、当時の保利建設大臣が野崎滋賀県知事と会談して建設省の湖中ダム案、これは琵琶湖を仕切りましてこういうダム案をつくりましたけれども、なかなか言うべくして簡単なことでないということでこれをやめて、そして琵琶湖全湖の利用、そういった観点から水資源開発を進めれば、その場合に計画水位を二メートルという話し合いをされておるわけであります。建設事業費が当時千九百三億円だったですか、二メートルというのは、こういった背景にある程度の根拠があると思います。なぜそれをこの際おやりにならないか。  聞くところによると、ついこの間大阪府あたりから白紙委任をすると言ってきておるというようなことが新聞に出ておりました。少しオーバーではないかと私も思うのでありますが、そこまで来ているのですから一いままだ法案要綱をやっとつくった段階で法制化されていないが、非常に長い間時間をかけて大体そこまで来ているのですから、ぴしっと手を打たれたらどうかと思うのですが、大臣、これはどうなんですか。
  29. 西村英一

    西村国務大臣 これは端的に申しますと、やはり利害関係者のコミュニケーションができていないのです。いま頭越しといいますが、滋賀県は滋賀県でいいように考えておる、それから下流大阪兵庫はまた別の観点から考える。ほんとうに利害関係者のコミュニケーションができていないめが一番ガンなので、ただ役所としていろいろな調査をしておるだけで、調査のことは長年かけておったから相当要き届いた調査はやっておると思います。ただ両者のコミュニケーションができていないから何となしに下流のほうは、先般も、あなたがおっしゃいました白紙委任をするといえば、白紙委任に条件がついておったりいろいろなんです。しかし阪上さんも利害関係者の一県のほうの有力な方ですから、与野党を通じて出身代議士もひとつコミュニケーションをやり、直接の利害関係者もコミュニケーションをやる、こういうような行き方でいかないと、いままでは非常にから回りをしておるのであります。しかし、いまやこの水需要下流につきましてもまた滋賀県につきましても、非常に重要な問題でございますから、これをきわめて有効に使うように、これは今回法律が間に合う、間に合わぬの問題にかかわらず、これを引き続いてもう少し詰めていかなければならぬと思っております。  それからこれはまた、表向きには近畿圏のみではございません、これは経済企画庁が中心になってやる仕事でもございますが、淀川水系開発計画というものは、水系ではできていない一つであります。ほかの水系は、大体利根川水系については開発計画ができておるけれども、淀川水系は淀川水系の開発計画それ自身ができていない。これは企画庁を中心にしてやらなければならぬ問題なんです。したがって、水資源の問題という意味ではもうあまり遷延は許さぬという状況にありますから、両者のコミュニケーションをやるようにこちらが呼びかける、また出身の先生方もこれは与野党を通じてひとつこの問題に取り組んでいく、この程度でいいのではないか。両者の合意を得れば法律はまたいつでも出せる機会もないわけではない。かように思っておりまするから、一生懸命建設省としてもまた近畿圏整備本部長としても力を尽くしたい。かように考えておる次第でございます。
  30. 阪上安太郎

    阪上分科員 そういった何かこっちのほうに行政をまかされたような感じがするのですが、そういう意味でもなかろうと思うのです。われわれ関係の野党議員等もこの問題につきましてはたいへん心配をいたしております。  しかし、いままで長い間十数年来のやりとりなんでありまして、それがこんなふうな状態にまで入ってきたわけなんですが、お考えによると、いま出されておる発想というものは、当時のそういったただ水をくれという発想ではなくて、非常に大きなものになっております。したがって、これは近畿圏整備本部事業として当然組み込まれていくべき性質のものだ、こう思うのであります。そうすればいまおっしゃったように淀川水系における開発の問題もからんでくる。そして水がたいへん汚濁しております。PCBなどもすでにメッキ会社等を通じて上流ではこれが放流されておるというような問題まで出てきておるのでありまして、したがって、淀川水系そのものも、これで完全とはいえないまでも、ある程度使用に耐え得るような飲用に耐え得るような水になるかどうかということも、いまのままの淀川の状態では無理だろう。したがって、建設省あたりでも、隔流流域と申しますか、隔流流域を設けて、やはり下水は下水として別途に河川敷の中で流していこうというような、かなり卓越した計画も出てきておるわけなのであります。そんなものを含めてやらなければならぬと思います。それがたった一つ水位の問題——たった一つといいますけれども、きわめて重要な問題でそこでひっかかってしまって、どうにもこうにも前に進まない。その場合に双方の言い分はがんとして譲らない。政党が中に入って何とか調整しろ、こういうことだと思うのですけれども、私どもその覚悟でありまして、特別の委員会を党内に持っていまやっておるわけなのであります。しかし、この水の問題は、やはり近畿圏整備本部が、双方言い合っておってもしようがないのですから、ある程度妥当な線を出されなければいけない。それについて、双方ともこの際ひとつ了解しろよというような努力を、われわれとしてしたいと思っているけれども、一に戻ってどこまでの水位が適当であろうかということをいま論議しておる段階ではないと思うので、そこのところを私は大臣に言っておるわけなのです。そんなことのためにこの法案がおくれていることは、非常に私は残念だと思うのです。ぜひひとつ、われわれも努力しますけれども、そういった方向で、まあまあそんな法案ができなくても予算執行していけるのだ、というような甘い考えを持たずにやらなければいけないのじゃないかというふうに思います。  そこで、いま一つネックになっておる問題は、下流負担の問題だと思います。それから国、地方を通ずるところの経費の負担部分の問題、こういったものが出てきますが、聞くところによると、何か特別の処置をしなければならぬ。先ほど大臣もそうおっしゃった。たいへん膨大な事業であるので、いままでのような補助基準というようなものであってはこれはやっていけないのだ、また特別の財政援助もしてやらなければいかぬだろう、こうおっしゃったのです。そこの構想がありましたら、ちょっとおっしゃってください。
  31. 朝日邦夫

    朝日政府委員 先ほど申し上げましたように、この水資源開発事業のほかに、いわゆる地域開発事業につきまして、それぞれ水資源開発事業の施行に伴って当然に必要になってきますような事業もございますし、この際あわせて開発事業をやったほうがよりベターであるというふうな内容のものもございます。さらに琵琶湖の保全上実施したほうがいいというような事業その他いろいろな各種の事業地元の御要望もございますし、そういったものを踏まえて検討を進めてまいっておりますが、その中身をきめます場合に、やはりかなりの財政負担滋賀県なり管内の市町村にもたらすわけでございますが、それについて国も通常の負担以上に負担をしよう。しかし、本来水資源開発事業のために、あわせて、それだけでは解決しないがゆえに、国が地域開発計画を立てて応援しようということであるので、下流地方公共団体としてもひとつ負担をしよう、こういったことが内容になってくるわけでございます。
  32. 阪上安太郎

    阪上分科員 そういう特別な配慮をされるという内容であればこそ、やはり法律が必要になってくる。そうしなければ、これは実施できないということになります。したがって、やはりそこから考えても荒唐無稽な計画ではなくして、実際にやらすのだということになれば、また実際にやるのだということになれば、やはりこういった法律というものがぜひ必要になってくる、特例法案が必要になってくるということだと私は思うのであります。通常の一定の事業に対して、たとえば五%アップくらいのものをぶつけてやる、あるいはそれ以上のものをぶつけてやるというようなことが必要だと思うのであります。あるいはまた金融、財政上の援助としては、起債の特例を設けてやるとかあるいは交付税でもってある程度のものを見てやるとかいうような方法が私はあるだろうと思うのです。そんなものを早く確定してやらぬといけない。そういうようなものをまたきめてやることによって、いままでごたごたしておった水位の問題もある程度妥結の道を見出していくのではないかと思います。  もう御答弁は要りませんが、それだけではちょっと納得がいきませんので、先ほど大臣がおっしゃったように、出さぬとは言わぬというようなことよりも、出すように極力努力をするということばのほうがぼくは適当だろうと思うし、またできるのじゃないですか。ひとつ努力してください。これだけをひとつ伺っておきたいと思います。
  33. 西村英一

    西村国務大臣 十分努力いたします。
  34. 阪上安太郎

    阪上分科員 それではこの問題を終わりまして、もう時間がありませんので日照権の問題について若干質問しておきたいと思います。  いま各所で、各都市日照権問題——ことばがはたして正しいことばであるかどうか私もわかりませんが、日照妨害というか、それに対する対策というものが考えられなくちゃならないということだと思うのであります。一方において住民運動がこれに反発を加えて非常に大きなエネルギーを結集しておる。他方で建設業者あたりの団体が法廷闘争を支援するというような形でこれに対決して、たいへんな問題じゃなかろうかと私思います。いまどうですか、全国でこういった問題を起こしているものはどのくらいの件数になっておるか、たしか建設省で出ておったように私思いますが、ちょっとここで確認しておきたいと思います。
  35. 沢田光英

    ○沢田説明員 これにつきまして、実は四十六年の八月に私どものほうで地方公共団体を通じまして、すなわち建築行政の機関を通じまして、急遽調べたデータがございます。それが唯一のデータだと思いますが、ただこれは急遽調べましたもので、正確度は多少落ちるところがあるかと思いますけれども、大体の傾向はこれで把握できると思います。この調査は大体四十四年、四十五年、四十六年中に出ておりますそういう日照に関する苦情の問題、これをとらえております。総数は、まず三つの部門に分かれまして、市民相談室あるいはそういうものに類するところに何がしかの苦情なり相談なり、こういうことで持ち込まれましたのが、全国合計で二千九百三十五件、先ほど申しましたように、最後の端数の辺はこれは正確ではございませんけれども、そういうことでおもに東京とか阪神地区に非常に多くなってございます。次の段階といたしまして、そのうち正式に知事または市長あるいは議会に陳情なり請願なり、こういうものとして上がってまいりましたものが四百二十一件でございます。さらにそれが不服申し立てだとかあるいは訴訟、そういうふうなものになっておりましたものはその四十六年八月当時で、不服申し立てが八件、訴訟が十八件、かようなデータを私どもはつかんでおります。
  36. 阪上安太郎

    阪上分科員 そこでそういったかなり大きな苦情といいますか、件数は出ておるわけなんですが、一体これはどういうふうに処理されておりますか。いまの法廷闘争に持ち込んだものもありましょうが……。
  37. 沢田光英

    ○沢田説明員 これは私どもの推定も入っておるわけでございますが、二千九百件、約三千件に及ぶ苦情なり何なりが出てきたわけです。それがいろいろの手段あるいは方法によりまして、おそらく相当数ある程度の解決をしておる。そういうことでおそらく次の段階に四百二十一件上がっているのではないか。ただ、それが三千件の中でそのまま続いているのがあるかもしれませんけれども、氷山の頭として出てまいったのが四百二十一件。さらにそれが、相当解決しておりますけれども、解決せずに出てきた訴訟なり不服申し立てというものが先ほど申し上げたような数字になっている。しかし、これが全部解決したかどうかということにつきましては、数字の中にはまだ相当解決しないものも含まれておる。含まれておるけれども訴訟にはなっていないというものもあるというふうに思っております。
  38. 阪上安太郎

    阪上分科員 一体この日照妨害というこれは建設省あたりでは公害と考えておりますか私害と考えておられるか、どっちなんですか。
  39. 沢田光英

    ○沢田説明員 たいへんむずかしい問題でございまして、直接お答えになるかどうかわかりませんけれども、この問題は、要するに片や都市におきます土地の合理的な高度利用、また環境をよくしながら高度利用をするという、こういう要請は非常に激しいわけであります。そういうことをやりまして、町がだんだん変わっていくわけでございますけれども、その変わっていく過程においてその高い建物と低い建物との間に日照妨害問題が起こってくる、こういうふうな問題が法的にどういうふうに保護されるのかあるいは保護されないのか、こういう問題が日照権というふうなことにいわれておるわけだと思います。しかし、これをよく考えてみますと、これは建築基準法上違法なものによりましてこれが起こされたものは、行政上当然処分されなければいかぬ話でございますから、そういうものを除きまして、適法な建築物でこういうものが起こったというときが一番問題になるわけでございますが、これは南側の家を建てる人、それにつきましては当然自分の私権を行使するというかっこうで建てられるわけでございまして、それがたまたまうしろの家の日照妨害になる。いわゆる相隣関係でございまして、すぐれて司法の範囲の問題であろう、したがいまして、これが公害になるかならないかということは、ちょっと即答はできませんけれども、そういう司法上の問題として裁判の結果によりまして判断をしていく、かようなかっこうになろうかと思います。いままでの裁判の判例からいきますと、いわゆる南側の所有者が権利の乱用になるか、あるいは北側の被害者が受忍の限度を越えておるか、そういう状況を判断をいたしまして、個々に判断をいたしております。結局受忍の限度を越えたときには南側の人の不法行為ということが成り立って、損害賠償につながっていく、かような判決もわずかにございますけれども、しかし北側のものが当然日照を得るために南側の私権を制限できるんだという解釈にもなっていない。したがいまして、その辺の問題は公害とも何とも私どもは申しかねる問題だと思います。結局、今後どういうふうな成り行きでこの問題が国民的にあるいは行政的に認識されていくか、かような問題だというふうに解釈をしておる次第でございます。ただし、建設省といたしましては、この日照問題は都市の環境確保をどういうふうにするか、したがいまして、都市の住民にどういう生活をしていただくかということで、たいへん重要な問題だというふうに感じておる次第でございます。
  40. 阪上安太郎

    阪上分科員 建設省のほうでも御存じだと思いますが、昭和四十六年に東京都が五百名を対象として行なった都市問題アンケートによりますと、公害と考えた人が五五%、公害と考えない人、これが四一%、こういうようなものが出ておりまして、公害か私害かの問題はたいへんな問題だと思います。もし公害だとすれば、当然公害基本法の二条一項の対象になるべきものだ。ところが、公害基本法ではこれは全然対象にしていない。それじゃ、一体これをどうするのかということになると、かなりな市町村等においてはやはり建築基準法に基づくところの条例を制定して、それでそういった問題の解決に当たろうとしておる、こういうことだと思うのであります。しかし、私法上の権利としてこれを主張していくということは非常に困難な問題も出てきておると私は思うのであります。そこで、こういう問題につきましては、一ぺんこれを憲法のたてまえから考えていく必要があるのじゃないか。申し上げるまでもなく、憲法第二十五条がこういったものを処理していく基本になってくるのじゃないか。これは私から言う必要はないのですが、「すべて國民は、健康で文化的な最低限度の生活を營む権利を有する。」権利ということばを使っております。しかし憲法学者あたりの意見を聞いてみましても、この権利ということが非常に問題であって、必ずしもこれは一般にいわれておる権利じゃない、これは宣言をしたものだろうというような考え方がある、こういうことなんであります。だから、これは国の責任というものを宣言したというふうに一般に解釈しておる、こういうことになっております。  そこで私きょう言いたいのは、それならば国はこれによって何らかの対策を講じていく責務がある、こういうことだと思うのであります。一番大きな問題は、この責務というものを政策として解決していくという手段が講じられることは、憲法のたてまえからいって私は当然だと思うのです。法的な措置のできるものは法的な措置をしていく。一般的に国民の福祉という問題ですから、こういった非常にむずかしい問題については少なくとも対策は講じていかなければならぬ。そこで建設省としてどういう対策を講ずるのだ。こういう話は、戦後つくられた大規模住宅団地等においてはこういう問題は起こらない。いわゆる都市計画の面からこれを取り上げてやっていけば、こういう問題は起こらない。結局は都市開発の問題ではないかということになるわけなのであります。したがって、都市の再開発をもっと強く進めていくことによってこの問題に対応する態勢というものが出てくる、こういうことじゃないかと私は思います。しかし、都市開発をこれからやっていって日照権の問題を解決していくのだといってみたところで、これはたいへんな話だと私は思うのであります。したがって、当面するこれらの訴訟等を含めて問題を起こしておるが、これは一体どうすればいいのか、あるいはそういった場所だけでも最初に取り上げて、そうして再開発に持っていくのか、何かもう少し抜本的な解決方法というものをこの際見出さないと、これはたいへんだと思います。だから、日照権などというものがあるかどうかは別として、少なくとも環境権といいますか、そういったものは憲法のたてまえから存在するのだから、そういうものを頭に置きながら、しかも当面この緊急対策としてどうやるかというようなものをお持ちにならぬと、この問題は解決できないと、かように私は思います。マンションを建てるのはいけない、こう言ってみたとしても、これほど住宅に困っておるときにマンションを建てないわけにはいかない。建てれば平家の谷底にあるものは日照権の被害を受ける。これは公害じゃないから公害対策では取り上げない。こういうことをやっておったのではいけないのでありまして、もう時間もございませんが、この際どういうふうにおやりになるか、大臣から決意、それから当局から何かのいい知恵が出てないか、これを伺っておきたいと思います。
  41. 西村英一

    西村国務大臣 事の重大性については私が申し上げるまでもありません。私とも一番——これは人ごとじゃございませんので、自分がその身になれば、日当たりは悪い、採光が悪いなんということはたいへんなことである。したがって、先般建築基準法を改正したのもその点でございましょう。しかし、そういう問題ではまだ解決しない問題もありますので、建築審議会の市街地環境分科会に日照問題についていかにすべきかという諮問をいたしております。答申を得れば、これは制度的に新しい制度をつくるか何らかの方法によって最小限度の被害で食いとめなければならぬと思っております。実は正直なところ、建設省としては、この日照権問題に対する取り組み方が少しおそいと思います。したがいまして、この苦情の問題もありましょう。苦情処理ということについてもいろいろ調整はしなければならぬが、それより前に、いかにすべきかということについて力を入れたい。秋ごろまでに答申を得れば、また皆さん方にお知恵を拝借する機会もあろうかと思っておるので、せっかくいま努力中でございます。
  42. 阪上安太郎

    阪上分科員 諮問されておるようでございますが、聞くところによると、問題がうるさいのでなかなか委員になり手がないということも実は聞いておるわけなんであります。事はそこまで深刻な問題になってきております。大臣としても建設省当局としても、なかなかむずかしい問題だと思いますが、ほうっておいてはどうにもなりません。しかし根本は都市の再開発だと私は思っております。全面的な再開発ではなくて、部分的にでもやっていくというくらいの施策を出していただきたい、こういうふうに考えておりますので、このことを一つ要求いたしまして、私の質問を終わります。
  43. 松浦周太郎

    松浦主査 これにて阪上安太郎君の質疑は終わりました。  次は、斉藤正男君。
  44. 斉藤正男

    斉藤(正)分科員 私は、都市開発あるいは都市改造あるいは都市計画と埋蔵文化財の関係について、具体的な問題を提起しつつ、建設省並びに関係者の考え方を伺いたい。  静岡県浜松市が、都市計画地方審議会の議を経てその計画案の承認を求めるために建設大臣に上申をし、これが建設省で慎重御審議をいただいて、適当な結論を出していただいたというように聞くわけでありますけれども都市計画地方審議会からいつ建設省へそういう承認を求むるの件が進達をされ、建設省ではどれだけあたため、どれだけ検討いただいて、いつ承認の決定をいただいたのか、こまかいことでまことにおそれ入りますけれども、担当官から手続上のことを御報告願いたいと思います。     〔主査退席、細田主査代理着席〕
  45. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 浜松駅西口の鉄道高架化事業の手続の件のお尋ねでございますが、これは鉄道高架化を都市計画事業でやるということになっておるわけでありまして、前提としましての都市計画決定はすでになされております。現在の段階では、都市計画事業の認可をするという段階になっておるわけでございまして、その認可申請は、本年の二月二十四日に静岡県知事より進達がございました。私ども、すでにこの審査を完了いたしておりまして、今月中にも認可の告示をいたす予定にいたしております。そういう状況でございます。
  46. 斉藤正男

    斉藤(正)分科員 二月二十四日に都市計画地方審議会の議を経て建設大臣あてに進達が届き、十分検討をいただいて、今月中には告示をちょうだいできるという御回答をいただいたわけであります。十分内容を精査いただいて、全く問題ないと解釈をされたでありましょうか、あるいは若干問題があると解釈をされたのでございましょうか。その点、いかがでございますか。
  47. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 この事業につきましては、浜松駅周辺の大規模な都市改造に関連いたしますところの事業でございまして、いろいろ問題があるわけでございます。  そこでお尋ねの件につきましては、そういった点もいままで十分審査をいたしまして、高架化事業に直接関係をいたしますものについては大体問題点は解決した、着工できる態勢になったというように私どもは理解をいたしておるわけでございます。しかしながら、もう御案内のとおりでございますが、この認可に直接関係いたしませんが、この高架化事業関連いたしまして、国鉄の方もお見えになっておられますけれども、国鉄が貨物ヤード並びに電車の留置線を西のほうに移設するという計画がございますので、その電留線の移設に関連いたしまして、現在移設を考えております予定地内に埋蔵文化財といいますか伊場遺跡があるわけでございます。その関係につきましては、今後調整を進めていかなければならぬ問題もあるというふうに私どもは伺っております。
  48. 斉藤正男

    斉藤(正)分科員 通常の場合、地方審議会の議を経て進達されたものがどのくらいの期間大臣の承認を得られるものか。具体的にこの件につきましては二月二十四日に進達があり、一カ月ちょっとということになると、三月三十一日が三月の末日になるわけでありますけれども、普通の場合建設省であたためているというか、建設省審査をする期間はどのくらいなんですか。
  49. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 都市計画専業の決定並びにその認可の関係につきましては、都市計画審議会の議を経なくてもよろしいように制度的にはなっております。認可申請についての本省の審査期間というものは、これは案件によっていろいろあると思いますが、都市計画でなく都市計画事業でございますので、比較的この審査は容易な案件のグループでございます。したがいまして、通常半月か一月というくらいのものが普通じゃなかろうか、かように思います。
  50. 斉藤正男

    斉藤(正)分科員 ただいま局長のお答えの中にいみじくも出てきたのでありますけれども、現地では国鉄東海道線高架化事業都市計画事業がこん然一体となっているのか、国鉄東海道線高架化事業は例の運建次官協定に基づいてすでに話し合いは済み、国鉄自体が東海道線の高架化事業をやるという事業であって、いわゆる都市計画事業とは別なものだという一つの判断、いや全体的な今度の浜松市の都市改造事業の中に部分的に東海道線の高架化もあるし、一般的な都市計画事業もあるのだというような解釈、この辺がどうもかなりの人たちに混同されて考えられている。そこに問題の発端も一つはあるのではないかというように思われますけれども、先ほどのお答えでは東海道線高架化事業を含んだ都市計画事業だというように言われましたが、そのように解釈してよろしいのかどうなのか、もう一ぺん確認さしていただきたいと思います。
  51. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 この浜松の高架化事業は、都市計画事業としましては二つの都市計画事業が一体をなしてやられるということになっておるわけでございます。その一つはむろん東海道線の高架化の事業、これは都市計画事業として実施することになっております。その事業を実際に施行いたしますのは国鉄がおやりになるということでございます。それからもう一つは、この浜松駅を中心といたしました駅周辺の都市改造と申しますか、高架化に関連いたしました都市改造事業を土地区画整理事業でやるということにいたしております。この土地区画整理事業も別途の都市計画事業として実施することにいたしております。土地区画整理事業という都市計画事業、高架化事業という都市計画事業、これが一体をなしてあの周辺の新しい開発を実現していく、こういう仕組みになっております。
  52. 斉藤正男

    斉藤(正)分科員 確認をさしていただきましたけれども、東海道線の高架化も都市計画事業であり、浜松駅を中心とした大規模な都市改造事業都市計画事業である。したがって、二つが一体となって今度の都市計画事業内容になっている、こういうように確認をした上で質問を続けたいと思いますが、この国鉄東海道線の高架化は責任者は日本国有鉄道、それからその他の広範な都市改造事業である都市計画事業は静岡県あるいは浜松市、この場合は浜松市かもしれませんけれども、そういうように二分して考えてよろしいか。
  53. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 都市改造の区画整理事業の施行者は浜松市でございます。それから高架化事業関係は、鉄道の高架化事業そのものは事業主体は県でございます。しかしながらこういう鉄道に関連する工事でございますので、実施は県が国鉄に委託をして実施する、こういう形になろうかと思います。  それから高架化事業関連して貨物ヤードとかあるいは電車の留置線を移設するという事業がございます。これは本来国鉄の事業としておやりになるというものでございます。
  54. 斉藤正男

    斉藤(正)分科員 私も知らないことを教えていただいてありがとうございました。  そうすると、国鉄側にちょっと伺いたいと思うわけでありますけれども、今度の国鉄東海道線高架化事業はたいへんな事業でございまして、理解と協力をちょうだいしてようやく実現の運びになったことは多とするものでありますけれども、この東海道線高架化事業に伴う補償工事のような形で、現在浜松駅周辺にある客貨車区だとかあるいは車掌区だとか機関区だとかというようなものは、この一連の補償工事として西浜松駅のほうに移転をする。しかし国鉄が新設しようとしている電車基地、いわゆる電車ヤードについては、いままで浜松になかったものをこの際新たに西浜松駅周辺へ新設をしようというような計画であるのかどうなのか、この点いかがでございましょうか。
  55. 内田隆滋

    ○内田説明員 お答えいたします。  現在浜松駅には電車の留置設備がございます。それを西浜松駅へ移転するということに相なります。
  56. 斉藤正男

    斉藤(正)分科員 そうしますと、いまある留置施設を拡張するのかもしれませんけれども、要するに全く新しい事業ではない、いまあるものをやはり持っていくのだという解釈でよろしいわけですね。もし間違ったらまた教えてください。そうして浜松の既在の電車係留施設よりも大きいのか小さいのか、大きいとなればどの程度に大きな規模になるのか、ひとつ教えていただきたいと思います。
  57. 内田隆滋

    ○内田説明員 現在工事を考えておりますのは全く同じ容量でございます。ただし用地といたしましては将来拡張を考えまして、若干の余裕を見ております。
  58. 斉藤正男

    斉藤(正)分科員 それで全容が私には明らかになりましてありがとうございました。  そこで、今度申請されてきた都市計画事業内容の中に、あるいはもう一つは国鉄東海道線高架化に伴う付帯工事すなわち西浜松駅新設にあたって、県指定の文化財が、先ほどお話もありましたように、伊場遺跡としてあそこにあるのでございますけれども、現在のこの県指定の文化財指定地域に都市計画事業が全くかからないというのか、あるいは部分的にかかっているというのか、双方からお答えをいただきたいと思います。
  59. 内田隆滋

    ○内田説明員 伊場遺跡の全容がわかりませんけれども、大部分のものが現在計画にかかっているようでございます。
  60. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 伊場遺跡との関係の高架化事業、これは現在の東海道線を高架にするわけでございますから、伊道遺跡の区域は明確じゃございませんけれども、高架化事業に関しては一部部分的にかかるものがあるのじゃないかというふうに、私どもは報告を受けております。
  61. 斉藤正男

    斉藤(正)分科員 ちょっと私のお尋ねと違っているのですけれども、御承知のように伊場遺跡ではないだろうかという広範な地域があるわけなんですけれども、すでに静岡県が重要文化財として指定した県指定の地域があるわけなんです。ごく一部分ですけれども、その地域は国鉄さんが計画されている計画の中へ含まれるのか含まれないのか、そしてまた今度浜松市が申請をした都市計画事業の中に含まれているのかいないのか、この点いかがなんですか。
  62. 内田隆滋

    ○内田説明員 指定された部分は約五千二百平米くらいございまして、これは全部かかっております。  それから、この部分は建設省側からお話しされるのが妥当かと思いますが、それは要するに都市計画事業としてやるわけですけれども、それは付帯事業でございまして、いわゆる都市計画事業計画の中身としては入っておりません。
  63. 斉藤正男

    斉藤(正)分科員 問題が明らかになってまいりまして、この辺が伊場遺跡であろうと思われる広範な地域、あるいは県が指定しているその中の一部分というような地域は、直接都市計画事業の中に入っていない。しかしその付帯事業としてやる場合に、先ほどありましたような国鉄の施設をつくる場合、これに全面的に触れていく、こういうように確認してよろしゅうございますか。
  64. 内田隆滋

    ○内田説明員 そのとおりでございます。
  65. 斉藤正男

    斉藤(正)分科員 そこで専門家が、この都市計画案が静岡県都市計画地方審議会にかかるときに要請をいたしております。二、三点ございますが、もうその場は時間的には終わって、はるかに進んでおりますので、適当なお尋ねであるかどうか私も少し疑問に思いますけれども、以下二点、三点についてちょっとお答えをいただきたいと思うのです。  同計画案中、もし伊場遺跡を工事予定地とする点が確定的なもので、調査結果によっての修正変更が不可能な成案となっているとすれば、それは都市計画法案六十一条の二号に違反をするという点であります。すなわち、同条は認可基準として、「建設大臣又は都道府県知事は、申請手続が法令に違反せず、かつ、申請に係る事業が次の各号に該当するときは、第五十九条の認可又は承認をすることができる。」そして二号には「事業の施行に関して行政機関の免許、許可、認可等の処分を必要とする場合においては、これらの処分があったこと又はこれらの処分がされることが確実であること。」とありますから、この要請を出した専門家は、一つは、免許、許可、認可等の処分を必要とする場合においては、この免許とか許可とか認可の処分がなければならぬ、もう一つは、これらの処分がされることが確実であるという見通しがなければならぬ、この場合でいうならば、県指定の地域になっているから、静岡県教育委員会がこの地域を解除という形をとらなければ申請はできないのですよ、あるいは承認はできないのですよ、と言っているのです。先ほどからの御説明で私にはおぼろげながらにわかってきましたけれども、というのは、直接の都市計画事業ではない、したがって都市計画区域にも入っていない、付帯工事としてこれに関連をしてくる、こういうことですから、理論的にはわかりますけれども、私に答えるのではなくて、この質問者に答えるように、認可取り消しが必要であるのかないのか、あるいは取り消すという確約が得られているのかいないのかという点は全く問題にならないという解釈に立ったのか、あるいは若干これも問題だと解釈されたのか、その点は理論的にはいかがでございましょうか、教えていただきたい。     〔細田主査代理退席、主査着席〕
  66. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 お尋ねの都市計画法との関係でございますが、先刻お答え申し上げましたように、高架化事業事業区域は、指定されました伊場遺跡にはかかっておりません。したがいまして、この高架化事業事業認可は、いま先生御指摘のような文化財関係との調整を必要としないというように私どもは理解いたしております。
  67. 斉藤正男

    斉藤(正)分科員 そういう判断で、この質問に答える場合には、お答えして間違いないというように解釈をいたしました。しかし後ほど私はまた他の分科会で文部省その他にもお尋ねをするつもりでありますけれども、直接の高架化の事業にも関係ないし、また申請されてきた都市計画の中にも関係する地域でない。このみそになるところは、付帯事業でやる際に全面的に県指定地域にもかかるし、さらにこれが伊場遺跡であろうと思われるかなり広範な地域を使用しなければならぬというところにこれからの問題が生まれてくる、こういうように思うわけであります。  昨年私は、当時運輸大臣でありました橋本登美三郎氏から、この同じような質問に対してこういう答弁をいただいているわけであります。文化財保護と都市開発との関係について橋本運輸大臣は「私は飛鳥を守る議員連盟の会長です。学者が結論を出すといっても時間がかかる。一応その地域も都市計画に入れて、早く計画を作ったらと思う。これは多少金はかかっても、金はいくらでもできるのですから、計画を多少変更しても早くやれと、長浜常務理事にも話しているところです。余り金のことは心配するなといっているのです。国も協力するが、浜松市当局も納付金をたくさんもらっているのだから、不用の土地は適正価格で、買ってくれるよう、斉藤さん是非ごあっせんお願いします。」——一番あとのことばは問題ないのですけれども、そういう意味の答弁をされて運輸大臣はかわってしまいましたけれども、設計変更なり新たに土地を求めるなりして最終的には解決すべきだ。しかし発掘だ、調査だ、学者の意見だといっていたのでは、とても間に合わない。こういう、一面では乱暴ですけれども、一面では非常に前向きな答弁を私はいただいているわけであります。  いずれ、この問題は文部省との関係になってまいりますので、不日、文部省の見解もただした上でまたお尋ねもし、御要望もいたしたいと思います。  最後に大臣に一言承りたいと思うのですが、非常に多くの市民なり国民が要求している、都市改造事業が進められるにあたってこういう埋蔵文化財にぶつかった際のいわゆる開発と保存、これが非常に各地で問題になっているわけであります。私がいま申し上げたこともその具体的な一例でありますけれども、この開発と保存の調整をどうするかということについて、特におたくは開発専門でございますので見解を伺いたいと思います。
  68. 西村英一

    西村国務大臣 よく皆さん方から言われることでございまして、公共事業をやる場合に、そういう事例がたいへんたくさんできてきました。一般的に言えば、それはケース・バイ・ケースという、その程度の問題になると私は思いますけれども、どちらかというと、その開発意味がどれだけあるのか、またそういう史跡の保存の意味がどういうふうにあるのかという、その辺のかね合いの問題であろうと思います。いま橋本大臣の例を引かれましたが、金の問題はやはり第二であろう、私はこう思います。なるべくは、やはり金がかかってもその保存をする。また開発は、国民の皆さま方から非難を受けないようにするということが基本でなければならないと思っておりますから、そういうような気持ちで今後も開発を進めていきたい。調和のとれたやり方をしたいということです。実際、いまこの都市開発のみならず、ことに線であります道路建設のごときは、一点じゃありませんで、ずっとそれをたどっていくと、たいへんいろいろな問題が起こっていると思うのですが、基本的にはそういう姿勢でやっていきたい、かように思っておる次第でございます。  本件については私はあまり知識はございません。したがいまして関係者のほうで十分協議させましてひとつうまい方法でやっていきたい、かように思っておる次第でございます。
  69. 斉藤正男

    斉藤(正)分科員 ありがとうございました。
  70. 松浦周太郎

    松浦主査 これにて斉藤君の質疑は終わりました。  次は、樋上新一君。
  71. 樋上新一

    樋上分科員 建設大臣、私は京都に在住いたしておる者でございますが、琵琶湖の水質問題その他のことにつきましてお伺いしたいのでございます。この琵琶湖の総合開発法案は今月中にでも提出されるようにいわれておったのでございまするが、下流団体負担または開発公社などの点においてかなり難航しておるんじゃないか、こう思うのですが、その食い違っているところ、いわゆるその進行状態はどうなっているのか、その経過を一応お伺いしたいと思います。
  72. 朝日邦夫

    朝日政府委員 ただいま琵琶湖総合開発特別措置法案作業の進捗状況はどうなっておるのかというお尋ねでございますが、これは御承知のような琵琶湖水資源開発事業、これと関連をいたしまして、琵琶湖並びにその周辺地域総合開発事業内容、規模等についてまずどうかという問題それからそれに対します国並びに下流団体負担の問題等を柱といたします内容を有します法案提案検討してまいっておったわけです。その基本になりますそれぞれの柱の実態的な内容について関係団体間の合意が得られるに至りませんでしたので、今日まで提案に至らない、かようなわけでございます。
  73. 樋上新一

    樋上分科員 その関係団体のいろいろな問題の一番隘路になっておるところはどこなんですか。
  74. 朝日邦夫

    朝日政府委員 水資源開発事業と、これと関連する地域開発事業内容になるわけでございまして、その水資源開発事業基本となりまする点、これは要するに開発基本の点でございますが、その点が一つと、これと関連をいたしまして、すべて国の負担にいたしましても、あるいは下流団体負担にいたしましても、その内容次第でいろいろ関連があるというふうなことで、いわばそれらが相関連してなかなかきまらない、こういうことでございます。
  75. 樋上新一

    樋上分科員 大体そういう関連した問題が話し合いがついて、これは大体見通しとしては何月くらいにこれが解決してでき上がるかという見通しはわかりませんか。
  76. 朝日邦夫

    朝日政府委員 私どもといたしましては、これで断念をするのではなくて、極力合意が得られますように努力は継続しておりますし、また継続するつもりではございますが、いまの段階でこの見通しいかんということに相なりますると、たいへん残念でございますが、確たる見通しを申し上げるに至らないわけでございます。
  77. 樋上新一

    樋上分科員 大臣、いま私御答弁を聞いておりますと、だいぶ難航しておるようで、見通しがつかないということなんでございますけれども、最近琵琶湖の汚染は、京都におりまして非常にくさい水で問題にならない。私ら東京から京都に帰りましても、もうお茶も何もみなくさいですね。料理屋その他飲食店を含めて、何とかならないかというような声は帰るたびに聞くんですよ。そうして最近の琵琶湖の汚染はカドミウム、重金属、PCBなど、多種多様になってきておるのですが、その中でも下水道の不備の占める割合がかなりあるように思うのですが、この点はどういう割合になっていますか。
  78. 西村英一

    西村国務大臣 琵琶湖の汚水問題ですが、実はこの琵琶湖の汚水問題は、いまの琵琶湖の総合開発ができるとできぬのにかかわらずこの水質の汚濁を防がなければならぬわけでございます。したがって建設省としてはいまの琵琶湖総合開発法律が出ない前からすでにこの調査にかかり、実は昨年の四十六年もこの流域下水道の仕事をやっておるのでございます。私は最近も注意をいたしておるのですが、琵琶湖の周辺、相当に流域下水道をやらなければ汚濁が直らないと思います。長浜から彦根のグループあるいは草津から大津のグループあるいは琵琶湖のもう一つの北側のグループというふうに流域下水道を早く進めなければならぬと思っております。そしてことしもそのうちの一部分をやりますが、相当に濁っておる。ことに草津から南のほうの、いわゆる南湖と申しますが、この辺が水道でよく使われるのでございますから、この辺の汚水の状況をひとつ早く直したい。実はこの琵琶湖の水質基準がまだきまっておりません。環境庁は今年度中といいますから、おそらく三月末日にこの基準は発表するのじゃないかと思っておりますが、いまは相当濁っているようですが、その程度はひとつ……。
  79. 岡安誠

    ○岡安政府委員 いまお話しのくさい水の関係でございますが、京都なり淀川の下流のほうでくさい水とか騒がれておりまして、私どもなかなかこの原因はむずかしいと思っておりますけれども、いま一応考えられておりますのは、琵琶湖が汚染とそれから富栄養化によりまして微生物が発生し、その微生物によってくさい水の現象が起きているように実は考えておるわけでございます。原因究明のほうは別途いたしておりますけれども、現状を申し上げますと、琵琶湖の北湖のほうは大体現状でもCOD、窒素、燐等につきましてはAA級といいますか、一番いいクラスにクラシファイされる程度でございますけれども、南湖はそれよりも汚濁をいたしておりまして、いま考えられておりますのも大体A級程度ではなかろうかと考えられております。  環境基準につきましてはいま大臣からお話ありましたように、環境庁といたしましては今月中、三月一ぱいまでには環境基準を設定いたしたいというように実は考えております。  それから汚濁の原因でございますけれども、私どもの調査によりますと、琵琶湖の汚濁はCOD負荷量に換算いたしまして最大はやはり工場排水でございます。大体七六%程度が工場排水による汚濁、家庭下水によります汚濁は大体二〇%程度というように私は推察いたしております。しかしこの家庭下水道につきましてはいまお話がございましたように、流域下水道の完備を建設省にお願いをいたしまして整備を急いでおるところでございまして、これが完成いたしますれば家庭下水道のほうによる汚濁は緩和されますし、また工場排水につきましては現在の水質基準のほかに滋賀当局にお願いいたしまして、上のせ基準をつくってきびしく規制をするという方向で考えてまいりたいと思っております。
  80. 樋上新一

    樋上分科員 京都に流れてくる水、その南湖から引いておりますところが一番原因を起こしているところだと思うのですね。そこで、いま環境庁から御答弁をいただいたのですが、これは早急な対策を立てなかったいままでの報いですね。もっと早くこれをやらなかった報いがこの汚水になってきたのだということですね。もっと早くやればよかったということが、いまになって考えるとあるのですけれども、この問題について、琵琶湖のプランクトンの様変わりの理由を説明するために、根来健一郎京大助教授がこう言っているのですね。「何しろ、最近、プランクトンの栄養源となるリンやチッ素などの栄養塩類が、びわ湖に流れ込む量はバク大なものです。家庭排水——これには食物のカスなど、栄養物そのものがたくさん含まれている。これが湖周辺の宅地化とともに、どんどんふえていっている。化学肥料万能時代で、リンやチッ素そのものといえる化学肥料使用の増加。工場進出で工業廃液の中にも、業種によっては食品工業など栄養分の多いものがある。」こう言われているのですが、「湖のメカニズムからいえば、年がたつにつれ、湖中に栄養塩類がふえ、当然、これを利用する植物プランクトンがふえる。さらに、このプランクトンを食う小動物が増加し、小動物をエサとする魚類もふえてくる」となっておるのですが、これは御承知のとおりかと思います。  こういうことに対して、原因と対策を考えていかなければならぬ。それには水質監視体制というのはどうなっているのか。これはぜひ私は強化すべきではないかと思うが、環境庁はいかがでございますか。
  81. 岡安誠

    ○岡安政府委員 カビ臭の原因その他のメカニズムにつきましては、なお究明を要する点がございますが、やはり根本原因はおっしゃるとおり、琵琶湖の富栄養化であろうというふうに実はいわれております。現在、南湖におきます窒素、燐の状況は、窒素につきましては最高一・一四PPM程度でございます。平均いたしましても〇・三PPM程度になる、燐につきましても、平均で〇・〇一八PPMということになりますと、いわゆる富栄養化状態に到達しているといえるのではなかろうか、こう思います。問題はやはり窒素や燐を今後、よりふやさないということが問題だと思いますが、御承知のとおり、窒素につきましては、それを取る施設が必ずしも現段階におきまして完全にでき上がっておらないというところでございまして、下水道処理につきましても、ちょうど恒久処理ということを現在建設省でいろいろ御研究中で、間もなく実現の段階というところでございますし、一般の工場排水につきましても、まだそこまで設備が整備されておらないというのが現状でございます。  そこで、私どもとしては、そういう設備等の研究等の促進をいたしますとともに、御承知のとおり今後とも厳重に監視測定を強化するということを考えております。これは水質汚濁防止法によりましても、県が毎年計画を立てまして、公共用水質の測定をし、公表することになっておりますので、測定点の増加、その他につきまして、県とも相談いたしまして、今後とも進めてまいりたいというふうに考えております。
  82. 樋上新一

    樋上分科員 京都市がこの問題を調べましたところ、いま私が言いました発生原因はそういうところにあるのだ。臭気の濃度はどのくらいかといいますと、最高時は五十度、六十度になる。普通、人体に感ずる濃度というものは十五度以上、それから普通の濃度が十度以下というのですが、これは五十度、六十度あるのですね。  それで除去の対策としては、四十四年から四十五年、塩素濃度の加減及びろ過池の原水通過を低速にして除去しなければならない。それからもう一つは、四十六年夏季以後、ろ過池に粒状の活性炭、厚さ十ミリ程度のものを敷いて、さらに臭気の高いときは、粉状活性炭にかえることにより除去しておる。また京都市が四十六年度中に一億五千万円の活性炭を使っておるような状態なんですね。これは御承知でしょうか、環境庁
  83. 岡安誠

    ○岡安政府委員 お話しのとおり、カビ臭が出ますのははっきりわかっておりませんけれども、好気性菌の影響であろう。必ずしも好気性菌があるということによってカビ臭が出るということまで証明されておりませんけれども、大部分そういうことによるだろうというふうに考えられておりまして、それの対策としましては、お話しのとおり粉末活性炭を利用するということが考えられ、現在もそれぞれ措置がされておるわけでございます。ただ、それが長期的また恒久的な処理の方法と考えるかどうかということにつきましては問題があるようでございまして、現在さらに粒状の活性炭によりますろ過とかオゾンによる酸化の阻止ということも研究中でございます。できるだけ早く完全な処理というものが考究されなければならないというふうに私ども考えておる次第でございます。
  84. 樋上新一

    樋上分科員 それはくさいくさいというだけでなしに、人体に影響する害というものは非常におそろしいものである。処理を単に京都市だけが活性炭を入れて一生懸命、一億五千万もかける。またことしの予算におきましては四億七千万の予算を組んでおるのですよ。だから、京都市の財政からいっても、これだけの活性炭を入れてやらなければならないということは、その負担が非常に大き過ぎるのじゃないか。それからまた、新聞でも出ましたように、琵琶湖の汚染状態を見ていると、近隣の工場などからPCB、有機水銀など、かなり人体に有害であるものが流入しているのじゃないか。大阪で母乳からPCBが出た。これは琵琶湖下流の水を使っておる人たちとしては、淀川はよごれ、京都また大阪というぐあいに、こういうようなものが水道に流入してくることは、一日も早くこの対策を練ってもらわなければならないと思いますし、単に京都だけが活性炭を使って一時的に押えているということじゃなくて、原因はわかっておるのですから、除去方法もいまあなたがおっしゃったようにいろいろな方法があるのだと思っておいでになるのでしたら、先ほど琵琶湖総合開発の見通しがいつつくかわからぬという御返事等を承っておると、われわれは心配で、こういうことが、放任ということじゃないのですけれども、言われたときだけはこういうふうになってこうするのだというということになるけれども、それが遅々として進まないということについては、私は環境庁だけでなしに、建設大臣考えてもらわなければならぬと思うのですが、いまの私と環境庁とのやりとりについて、大臣の御所感を伺いたい。
  85. 西村英一

    西村国務大臣 さいぜん申しましたように、琵琶湖の汚濁問題は、琵琶湖総合開発法律ができるかできぬかという問題とは別に、これは少なくとも京都の疎水の出る南湖の流域下水道を早く進めることですね。それから公共下水道を早く進めること。ことに琵琶湖は川と違って湖ですから、燐だとかその他蓄積します。特に注意しなければならぬと思っておりますが、いまの総合開発云々ということとは別に、大津を中心とした南湖の流域下水道、公共下水道、この辺をひとつ急速に進めたい、かように考えておるわけでございます。  先生の郷里の京都のほうもあまりよくありませんね。桂川等、相当やはり下水が行き届いておりませんから、京都自身の下水道までやる。ひとつ御協力を賜わってどうか一日も早くそれを進めたい、かように考えております。どうぞ御協力をお願いいたします。
  86. 樋上新一

    樋上分科員 京都の下水の問題は、昨年も私は分科会建設大臣にお願いしたのですけれども、何しろ膨大な費用ですから、いまの京都の財政からいきまして、早急にやらねばならぬということで、対策を練っておるのですけれども、やはり国家の補助がない限りは、これはできない。この問題につきましては、毎年予算のときになりますと陳情その他によって極力お願いしているのですけれども、もう一つ思うように京都の下水道は完備いたしておりません。また水洗便所にならないところが相当たくさんあって、やかましく言われております。またこれから開発されていくような東山、山科方面、これなんかまだここ四、五年見通しがつかないというようなことで、もうその水洗便所のうちでも、費用が要って、普通のろ過してやる浄化装置をやるのにも、とてもじゃないが、市民は負担に耐えられぬ、何とかしてくれという声は、帰るたびに言われておるのですよ。ですから、私は昨年来から叫び続けて、京都の下水完備をしなければならない。またいま琵琶湖からの水はそういうぐあいになっておる状態では安心することもできないのです。人命、また費用その他について非常に京都市民は困難の頂上にあるという状態をよく了承していただきたい、私はこう思うのですよ。いま大臣のおっしゃったように、協力をしてくれ……。こっちも協力してもらわなければ金の面が問題なんですから、これはこちらからも申し上げなければならぬ問題ですけれども、実に毎日十万円ずつも市が活性炭に使っておるのですね。これでまだ足らないというような状態ですから、市としてはこれ以上の費用の支出の面もないというような状態でございますので、私は、冒頭に申し上げましたように、どうして総合開発がいまだに遅々として進まないか。そこには業者、また地元のいろんな下流負担もあるでしょう。そういうようなもののためにおくれておるということは非常に残念なことでございまして、この点を何とか早急に対策を打ってもらって、一日も早くこれが総合開発ができるように、私はここで要望いたします。  最後に、これに対しまして御決意を承りたいと思います。
  87. 西村英一

    西村国務大臣 琵琶湖の総合開発の問題でございますが、これも私ども極力ひとつ真剣に取り組んで早急にやりたい、かように思っておりますから、どうぞよろしくお願いいたします。
  88. 樋上新一

    樋上分科員 以上です。
  89. 松浦周太郎

    松浦主査 これにて樋上新一君の質問は終わりました。  次に、久保三郎君。
  90. 久保三郎

    久保分科員 時間がたいへん短いので、簡単に霞ケ浦の開発事業関係してお伺いしたいのであります。  その前に霞ケ浦の現況でありますが、私は霞ケ浦に関係する茨城県に住んでおりまして、地元でございますので、一言霞ケ浦の現況についてお話しを申し上げておいたほうがいいかと思って申し上げるのであります。霞ケ浦は、御承知のように、琵琶湖に次ぐ大きな淡水湖というか、そういう湖でありまして、現況はどうかというと、たいへん底の浅い湖でありまして、YP一メートルというが実際は八十何センチくらいなんですね。そういうところに下流には利根川の河口ぜきあるいは常陸川の逆水門、こういうものができまして、今日まで塩害あるいは洪水、そういうものの調整をしてきたのであります。しかもこの霞ケ浦には五十何本かの中小河川がそれぞれ注いでいるわけです。これは申すまでもありませんが、下流は利根川につながっているわけです。上流というか、そういう区域から流れてくる最近の河川の汚水というものはたいへんなものでありまして、極端に言うならば、いまや霞ケ浦は死の湖だろうというふうにいわれております。事実われわれが日常参って、湖のまわりを回ってみても、きれいなところはほとんどない、こういう実態であります。これは最近公害や何かの問題がたいへんうるさく出てきたので、耳新しく霞ケ浦もそういうものでということではないのでありまして、事実これは急速に汚染されているわけです。汚染の結果としては、当然魚族が減ってきたということです。汚染された水に強いコイとかフナとか、そういうものはかなり取れる、養殖もしておりますから取れる。ところが霞ケ浦の特産であるワカサギとか白魚、ウナギ、そういうものは年々極度に減ってきているのです。最近ではそればかりでなくて、今度は野鳥は、たとえば白鳥などは二、三年前までは七羽ぐらい飛んできた。ところがもう去年から一羽も来ないというのです。そういう特徴的な一つの話であります。もちろん禁猟区になっている場所もありますが、そうでない場所もあります。そればかりじゃなくして、野鳥や魚がえさにする、たとえばプランクトンですか、あるいはシジミというようなものですね、こんなものが全滅なんですね。去年でありましたかは、全滅でした。そのために県がこれはある程度の補償をしたのでありますが、補償をして問題が解決するものではないのですね。いまにして霞ケ浦を何とかしなければならぬというのが、これは県内の、茨城県民は当然でありますが、世論の焦点になっております。比較してみますと、琵琶湖は、私はよく知りませんけれども、話に聞きますと、琵琶湖はまだいいほうだそうです。特に北のほうが環境基準からいっても一番最高のものではなかろうかというふうにもいわれておる。しかも霞ケ浦は、いまあれから上水道の取水をしておりますが、これはもはや飲料水には適さないというのが水道関係者の言であります。塩素イオンというものですか、そういうものを多量に入れて、鼻をつまんで飲むということでありますが、塩分は何としても取れないのですね。そういうさなかに、今度は、御承知のように、いままで建設省がやっていた霞ケ浦の治水、利水というか、まあひがみかもしれませんけれども、この開発事業を見ますと、治水のほうはたいして比重は大きくなさそうです。利水のほうを目的にしておるのじゃなかろうかというような開発事業が進められているのですね。これは水資源開発公団に引き継がれて、今日やっているわけでありますが、いまやっている事業は、目立ったものとしては、天端が大体三メートル程度の湖岸堤を築くという事業をやっているのです。地元の人間も、われわれも事実目の前に三メートルもの湖岸堤が築かれて、初めて気がついてきたのです。死んでいくような湖に対して、湖岸堤を三メートルも築いて何をするのだろうか。下はとめて、湖岸を天端を上げて、そして霞ケ浦を水がめにしようという構想であります。さっき申し上げたように、非常に底の浅い湖でありますから、こういうことをやればこのままでは死んだ水しか取れない。死んだ水はだれが利用できるかということ、たった一つ鹿島に進出した企業、工業用水だけが利用できる。死んだ水では農業用水も利用できません。そういうものを考えると、私は別にの霞ケ浦開発事業、いま水資源開発公団がやっている事業そのものを全部否定しようとしているのではありません。しかしこういうことで、いまも別な分科会で農林大臣に話をしてきましたが、そのほかに霞ケ浦の一端に大体千二百七十町歩の干拓をやろうというので、漁民の反対にもかかわらずいまゴリ押しでやろうというのです、高浜入干拓というのを。反当百万円くらいかけて土地を造成して何をやろうというのです。ヘドロですから十年たっても作物はできない。そういうものを所々方々でやる。  それから建設大臣所管であるところの建設省のやり方についても問題があるのです。砂利の採取です。霞ケ浦の浮島一帯は国定公園の地域になっています。だから砂利をとってはいけないことになっているのですが、国定公園の地域などということは忘れて、というよりは知らないで、ある時期には許可をしてサンドポンプを入れて砂利を吸い上げたことがありました。これは一年ほどかかって、やっとわきのほうへどかせたのであります。  そういうものを考えると、残念ながらこのままでは霞ケ浦は死んでしまうし、われわれは霞ケ浦とともには生活はできなくなってしまうということであります。だから、時間が短いから私だけの意見で終始するようでありますけれども、少くとも今度やろうというこの計画について、一ぺん総合的な立場から検討を加える必要があると思うのですが、どうだろうか。いかがでしょう。琵琶湖については総合的な、治水、利水ばかりじゃなくて、言うならば環境、いわゆる関連した産業、周辺の整備それから自然の保護、そういうものを治水、利水と一体として開発しようというので、御承知のように特別立法の話が出て、近く出てくると思うのであります。まさに死んでいこうという湖が、言うならば水資源開発公団事業だけでやられる、干拓事業も農林省の手によってだけやられる、あとの問題は茨城県だけというか地元の県が多少力をかしてやろうということではおさまらぬと私は思うのですよ。ついては、この霞ケ浦開発事業というものは一ぺん総合的に検討を加えて、それは当然予算の裏づけを持ったところの法律をつくって、そして的確に進めていくということがなければ、関係住民も安心してまかせるわけにはいかないと思うのですが、建設大臣のお考えはいかがでしょう。
  91. 西村英一

    西村国務大臣 私は現地のようすはよく知りませんが、いま久保さんのおっしゃったことは十分想像がつきます。結局、開発するにしても、いろいろ堤防をつくっておるということはおそらく治水のためにつくっておるのでしょうけれども、あまり自然と調和がとれないようなやり方で、湖岸に万里の長城みたいに堤防を築いても、それはあまり意味のないことです。それから考えられることは、いまおっしゃったように、まさに鹿島の水を取るための水がめにするのじゃないかという疑いが起こるし、それも私は想像ができます。したがいまして、これはどういう組織でもってどういうことでやっておるか知りませんけれども法律はいま考えておりませんが、法律考える前に、霞ケ浦をいかにすべきか、こういうことをもう少し真剣に検討し直さなければならぬと私は思っております。  先般私は筑波学園都市の視察の帰りに見ました。まさに汚濁のところは色をなしております。したがって、環境保全の問題が第一番です。しかし、あなたの御案内のとおり、あそこは養豚の問題がありまして、これが一つの問題です。私は農林省は養豚の問題について何か補助金を出しておるかと言ったら、何も出してないと言う。それじゃやり切れないじゃないか、こういうことを言ったのであります。いずれにいたしましても、あのいまやっておることは河川局長もここにいますから説明させますが、全く同じ感じを持っておりますから、まず第一番に霞ケ浦はいかにすべきかということをもう少し真剣に関係者を集めてひとつ協議をいたしたい、再検討いたしたい、かように思っておる次第であります。
  92. 川崎精一

    ○川崎政府委員 ただいま先生お話しのとおりに、霞ケ浦につきましては昭和十六年ぐらいに相当ひどい災害を受けたのでございます。それ以後、いろいろ水位の記録はございますけれども、霞ケ浦の水位にしますと、上水位が大体一メートルでございますが、過去の洪水の記録を見ますと、三メートルぐらい水位が上がっておる記録がございます。したがいまして霞ケ浦周辺につきましては、主として治水を中心にいたしまして、現在では約六割程度の堤防ができておりますけれども、まだかなり無堤のところが多いわけでございます。今回水資源開発公団事業として実施いたしておりますのは、こういった治水事業とあわせて利水、水資源開発をやってまいりたい。なお、私どもなりにできるだけ地域の開発状況等も勘案をして進めていきたいということで、利水の内容といたしますと、毎秒約四十立方メートル程度の水を期待しておるわけでございますが、この中で約三割程度は霞ケ浦周辺の農業用水、茨城県そのものが使う農業用水でございますし、その他の都市用水にいたしましても、大半が工業用水都市用水と、茨城県の需要の水でございます。そういったものにつきましては、首都圏全体の水需要等勘案しまして、経済企画庁のほうでほぼその輪郭をきめました線に従って私どもも実施をいたしておるという状況でございます。  しかし、ただいまお話しのように、霞ケ浦の持っておる景観だとかあるいは水質保全、それから霞ケ浦の周辺自体もやはり地域開発が行なわれてくるわけでございますので、当然そういった総合開発計画的な観点からする調整を十分していかなくちゃいけないというふうに私どもも思っておるわけでございます。  ただ琵琶湖周辺に比べますと、そういった計画の熟度も若干おくれておるものでございますから、今後は、先ほども大臣のお話がありましたように、私どもも十分そういった今後の地域の計画とマッチするように努力はいたしていきたいと思っておる次第でございます。
  93. 久保三郎

    久保分科員 大臣から結論的な前向きのお話がございましたし、いま河川局長からお話がありましたから、いまこの時点でいろいろ申し上げるのはどうかと思うのでありますが、ただ一言。いま水資源開発公団がやっている三メートルの護岸堤を築く問題に対してお話がありましたように、治水の問題でありますが、水位について、昭和十六年ごろの水位をそのまま踏襲されるのはいいか悪いか別として、私はこれは再検討の要があると思う。それから、もう一つ検討の要があるのは、護岸堤を築くことはけっこうかもしれません。しかし築くことによってその周辺の宅地、農地、そういうものが被害をこうむるわけです。先ほど申し上げたように底の浅い湖でありますから、天端を高くすればするほどこっちのほうへは水はしみていきますから、こういう問題について十分検討を加えないと、単に水がめが水をためて、毎秒四十立方メートルの水を出して、鹿島には大体二十二立方メートルぐらい送るのだというようなことだけでは、だれもが納得しないと思うのです。だから、そういうものも含めて一ぺん再検討していただきたい、こういうふうに思うのです。  鹿島も、それは水が要らぬということではないでありましょうが、いまのような水の使い方についてもこの機会ですから申し上げておきたいのですよ。工業用水の使い方については乱暴です。しかも、たとえばこの出しちゃいけない汚水も、工業用水をたくさん使えば、これは薄めていけばまあいいといういまの基準がありますね。薄める度合いですから。ところがこれは、そういうことでいくならば、工業用水を送ることによって環境を破壊される、公害が出てくるということになり、工業用水を締めたほうが、言うならば公害は出ないという逆説的なものも今日あるわけなんで、そういう意味からいっても、やはり水の使い方について、工業用水はこの際再検討する必要があると私は思うのであります。  時間もありませんから、次ですが、これは環境庁おいででありますから聞くのでありますが、環境庁では霞ケ浦の環境基準というか、そういうものをこの四十七年度中にはきめていく方針なのかどうか。さっき大臣からもお話がありましたように、河川にはいわゆる畜産公害というか、そういうものの問題もあります。だから、そういうものを含めてやはり早急にやらなければ、大臣が御視察なさったところの土浦港ですね、あそこはヘドロが二メートルもあって、ものを落としても潜水夫が入っても見えないのです。そういうふうな汚染が激しくなっている。これは単に畜産ばかりではありません。工業排水もあります。いずれにしても、環境基準を早急につくるべきだと思うし、つくるからには、現状に迎合するような環境基準であっては、これはものの用に立たないことは当然でありますから、少なくともAクラス以上のランクをつけてきちんと整理する方向をとってもらわねばならぬと思うのですが、いかがでしょう。
  94. 岡安誠

    ○岡安政府委員 お話のとおり、霞ケ浦は諏訪湖に次ぐ程度のいわゆる富栄養湖といわざるを得ないのが現状でございます。  私ども、来年度におきましては、富栄養湖としての対策といたしまして、予算もお願いしておりまして、現状並びに対策の調査をいたすということにいたしておりますが、それとは別に、環境基準につきましては、来年度早々にも私どもとして決定をいたしたいというふうに考えております。ただ、現状は非常に悪い状態でございまして、CODの状態からまいりましても、汚染された河川の地先のところにおきましては、もうほとんどがB級程度というのが現状でございます。私どもは、やはり環境基準をつくる場合には、少なくとも現状より悪くしない、できるだけいろんな措置を講じましてそれを引き上げるというような、目標としての環境基準を考えておりますので、これも今後いろいろ計算その他をしなければならぬと思いますけれども、上のせ基準も、本年の一月一日から茨城県の条例としてすでに施行されておりますし、下水道の整備のほうも、それぞれ調査も進んでおるようでございますので、それらと見合いまして、厳重な環境基準をつくりたいというふうに考えております。
  95. 久保三郎

    久保分科員 岡安局長は過去において茨城県にもお住まいでありましたから、よくわかると思うのでありますが、いずれにしても、早急に基準を設定してこれを防いでほしいということであります。それから大臣並びに河川局長には重ねて総合的な検討を早急に、いま約束されましたから、忘れないでやってほしい、こういうふうに思います。  そこで、時間が多少ありますので、もう一つ、これはたいへん恐縮でありますがお答えをいただきたいのです。有料橋の問題であります。いつかの予算委員会でも申し上げたのでありますが、がんとして聞かれないままに今日になっていますが、銚子大橋の例を一つ引きます。  銚子大橋は、千葉県銚子市から対岸、茨城県の波崎町に通ずるたった一つの橋です。しかも、近くには橋がなくて、過去においては渡船でこの交通をしていたのです。ところが、この橋ができたのでありますが、これは道路公団の手によって有料橋としてできたのであります。ところが、残念ながら、この設備は車を通すことが主でありますから、そういう構造に一つはなっています。これは改良してもらわなければいかぬ。  それからもう一つは、つい二、三日前私がやはり銚子から波崎に行きました。汽車で行きまして、タクシーに乗りました。私が行ったのは、川の岸から——利根川ですが、非常に近い、波崎の場所です。そんなに遠い場所じゃありません。タクシー代金は百九十円でした。有料橋の料金はというと、片道百二十円であります、小型タクシーで。帰りの百二十円も私が負担しなければいかぬ。そうすると、橋賃が二百四十円で、タクシー代が百九十円であります。これ、常識的にずいぶん不合理ですね。高いとか安いとか別にして、たいへん不合理だ。  しかも、これは私は、この道路公団からいただいた資料をちょっと調べたので、正確じゃないかもしれません。この橋は三十七年の十二月十一日に開通された。橋の延長は大体一キロ二百ぐらいです。で、工事費は幾らかかったかというと、九億二千万円かかったのですね、当時の金で。それで、昭和四十四年の実績、いわゆる橋賃はどのくらいあがっているかというと、二億四千万円あがっているのです。かけてから約十年ですね。それで九億二千万円だから、まあ金はただというわけにはいかないでしょう。ペンキの塗りかえもあるだろうし、いろいろあるでしょう。しかし、目の子勘定でいけば、二億四千万円あがっているんだから、これはもう減価償却、ペイしたのじゃないかと私は思うのです。ペイしなくても、私ども考えているのは、いわゆるバイパス的な橋は、これは有料橋であるべきだといままで考えていました。ところが、これはバイパスじゃないんです、ほかにないんですから、近くには。私はやはり茨城県ですから、有料橋でもっと近くにあるのは、大洗と那珂湊の間の海門橋というのがあります。海門橋は、これは道路公団でやりまして、延長は大体七百メートルぐらいです。料金は、小型の車で五十円。その上流に、いわゆる普通の道路にかかった湊大橋というのがあるのです。これは、海門橋は言うならバイパス的な存在なんですね。だから、五十円取られても文句をいう人はだれもありません。ところが、銚子大橋は生活道路なんだな。これがしかも、バスもやはり取られておるのです。だから、バス賃は世間並みじゃなくて、かなり高い料金を払わねば乗れない。だからあまり乗る人はない。乗る人がないから、バスをやめようかという話も出てくるということであります。乗らなきゃけっこうじゃないかという乱暴な議論はあるかもしれませんが、橋は渡るためにかけたので、渡らせないためにかけてあるのではないと思います。  たいへん話は長くなりましたが、結論的に、これをただにできないかということです、極端な話かもしれませんが。ただにできなければ、片道は何とかするのは当然じゃなかろうかという考えなんです。いかがでしょう。
  96. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 御指摘の銚子大橋は昭和三十七年に供用開始しまして、当時、三十年間料金を取るという計算で実はスタートしたわけでございますが、その後交通が非常に予想以上にたくさん乗っておりまして、ただいまの見通しでは昭和五十年、四十九年度末までにはこれを無料開放できるのじゃないかという状況になっております。  無料にできないかというような御指摘でございますけれども、ただいまのわれわれの取り扱いでは、無料にする場合には、未償還の額を県に買い取ってもらうという方法をとっております。全国に、これによって無料に開放した例はたくさんございますけれども、もしそういうふうなことになりますと、ただいまの計算では約四億一千万円程度の金額になろうかと思いますので、これを両県で負担していただけるならば、無料開放は可能でございます。  ただ、もう一つ、料金を安くする方法というのも検討さしておりますけれども、たとえば半額の、たとえば小型が百二十円でございますので六十円ということにいたしますと、徴収期間がやはり数年延びるようでございます。したがいまして、われわれといたしましては、あと三年弱じゃないかと思いますので、この際ごしんぼういただきたい、こういうふうに思っておるわけでございます。  なお、地元の人々の利便のためには二〇%安くする回数券を出しております。二百五十回の回数券は、二〇%の割引というようなものでございまして、これを用いてできるだけ地元の人たちには利便のように取り扱っているわけでございます。
  97. 久保三郎

    久保分科員 それはわかりますが、四億何がしの残存価額がまだあるというなら、両県で分配して、三方一両損というのが政府のはやりことばですが、だから一億何千万か持って、道路公団も建設省も持っていくなら、大体一億で間に合うんじゃないですか。ただ、橋を県がかける場合には、国道なんだから建設省も国もこれは持たなければならぬ性格のものなんですよ。だから、買い取りさせるならば、その辺も勘案してやるのがほんとうだと思う。これは一ぺん検討してほしいと思います。  それからもう一つは、四、五年延びても、一ぺんに頭を張るよりは、薄く長く取ったほうがじょうずだということばがあるじゃないですか。そうなれば利用はふえますよ。しかも、バスのごときはもう少し考えなきゃいかぬ。タクシーにしたって帰り賃まで払わなければいかぬ、からっぽで行くのを取るのはこれはどうかと思うのですよ。といって、片道はただというわけにもいかぬかもしれませんね。まけるとすれば、それならあなたの言うように、半額にするということのほうが妥当かもしれません。これは一ぺん考えてほしいのですが、あと四、五年でというのは、三年か四年でもう解消するというなら、この辺がやはり気前の見せどころじゃないですか。大臣、これは小さいことですが、政治というのは私はそんなところだと思うのですね。あたたかみというのがなければ、やってもらったって、四、五年先にはただになったって、きのうまで二百四十円取られてあしたただと言っても、だれもありがたく思いませんよ。どうです。
  98. 西村英一

    西村国務大臣 これは局長じゃちょっと無理でしょうが、いま言いましたように、道路資金がないときに、国道でも有料道路にしようといって、やったところが全国でまだ七、八カ所以上残っております。国道で一体金を取るのかどうか。しかし、もともとそういう約束でやっておるものだからやはり金を取って、いままでペイラインに乗ってそれで無料にしたというものとのバランスをとる。これは事務当局としては当然そう言わざるを得ないけれども、私はおかしいということをかねがね考えておるのです。そこで私は、そういう案をもって、やはり道路公団等にも言っておるのでありますが、なかなか事務的にはこれは解決しない問題ですけれども、私は、これはある程度の方法を考えて、国道でございますから、それは国家の必要でやった国道。しかし金は国家でない、それじゃやってよろしいということを承知でやったのですが、いま相当な年限がたっておるものは、また相当な予算もこちらであるものなら、やはり政治の面としてひとつ考えなければならぬ。この問題は、私も地元の方から陳情を受けておりますが、一カ所だけをやるというわけにもいくまい。ある程度の基会的な線をきめてからひとつ考慮したいということで考えておりますので、検討させていただきたいと思っております。
  99. 松浦周太郎

    松浦主査 これにて久保君の質疑は終了いたしました。  午後二時再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時三十四分休憩      ————◇—————     午後二時二分開議
  100. 松浦周太郎

    松浦主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  建設省所管について質疑を続行いたします。小林進君。
  101. 小林進

    小林(進)分科員 これは予算の総括や一般質問にも出たのでございます。同じ問題でございますけれども、地価の抑制の問題でございまして、私も去年一年間物価問題特別委員会委員長をやっておりましたけれども、物価問題を追及に追及をしていくと、最後にやはりぶつかるのは地価です。この地価をどうしても荒療治をしていただかなければ、物価抑制の問題は解決しない。そこで同じことを繰り返して大臣にお尋ねするのでございますけれども、わが日本の総面積が三十七万平方キロというのでございますけれども、その中で日本の市街地の面積が一・八%だというのでありますが、それに匹敵するほどの土地を投機の対象として企業が持っておる。その企業も株式市場に上場されている企業が持っているということを、これは和光証券でしたかの統計の中にあらわれているのは間違いございませんか。
  102. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 和光証券の新聞に出ました資料につきましては、私どもその資料は、実は新聞に出ましたので、あとで入手いたしました。しかしあれにつきましては、私どもその内容その他は分析しておりませんので、これが正しいか正しくないかということはよくわからないのございますが、公式に出されております資料によりますと、大蔵省の法人企業統計というのがございます。これは御承知の資本金二百万以上の企業についてのいろいろな統計でございます。その中で土地取得額の推移というのがございます。これを見ますと、これは増加額もございますし、減少額もございます。これは金額で表示されておりまして、面積ではございませんが、これによりますと、一番新しいのが四十六年、去年の七月−九月の時期の三カ月でございます。これが増加及び減少いたしまして、純増が三千二百七十八億ということになっておる次第でございまして、これを期末の、九月末の残額、いわゆるストックでございますね、全部のストックが、これは面積はもちろんわかりませんが、金額でいいますと、七兆九千百六十八億円ということになっておりますが、これを各期ごとに見ますと、ちょうど七月から九月のこの期の純増分が三五%ばかり伸びております。しかしながら、その前の四月−六月は八四%ということで一〇〇を切っているわけでございます。これは急に七月−九月が伸びたのではなしに、四十五年の七月−九月を見てみますと、四一%もふえております。したがって、どうもこの時期がそういうふうなことであろうかと存じます。先生のおっしゃいました和光証券の全体の面積のようなものが私ども手元にはないのがまことに残念でございますけれども、法人企業統計によりますとそういうことでございます。
  103. 小林進

    小林(進)分科員 大蔵省の出した統計なんというものは、これはかたいし、われわれに言わせれば同じ穴のムジナで、過小評価しようという考えがあるのだろうから、それは信じません。和光証券だって、なかなか企業の秘密に関することですから、この統計それ自体が正しいとは思いませんけれども、それにしたって、あまり差が多過ぎる。たとえば和光証券に言わしめれば一・八%だ、七千平方キロということになるのであって、私は大蔵省の、いまおっしゃった七兆九千億円などという数字よりは、こっちのほうがやや事実に近いのじゃないかと思います。企業は秘密ですから出しませんから、お互いにこれは水かけ論になりますけれども、いずれにしても、ともかく一流大企業が——承知のとおり、法人には法人の、いわゆる定款に基づく営業種目というものがある、その営業種目をみな逸脱して土地投機をやっているわけだ、これは一番もうかりますから。  それでは、一体その法人が土地投機のために取得する方法はどういう方法かということを考えてみると、建設大臣、これはもう一般質問で言われたことですけれども、私は繰り返して言うわけだ。一つの企業がある。私をかりに三井物産とでもしましょう、あなたが地主としますと、ある金を払ってその土地を手に入れる。そうすると、あなたはその金を銀行に入れる。その銀行から、また私は土地を抵当にして金を借りて、その金を持ってきて、また地主のところから買う。言いかえれば、同じ金が、私が地主に払った金が、銀行を通じ、また企業へとぐるぐる回って、そして無限に土地を買っているわけですからね。実に地主と銀行と企業家というものがぐるぐる回って、土地が無限に投機の対象になっている。こんな形をどこかで押えなければ、これはとても、土地を投機の対象として押えるとか、物価を抑制するということは困難ではないか。  そこで建設大臣といたしまして、こうした無限大にぐるぐる回っている土地投機というものをどこかで押えるということを考えていただかなくちゃならぬと思うのでありますけれども建設大臣はそういうことをお考えになったことがあるかどうか、私はこれをお伺いいたしたいわけであります。
  104. 西村英一

    西村国務大臣 つまり、金は天下の回りものというのが、そこをいうのです。そこで、いまの話でございますが、やはり企業、法人が相当な土地を持っておるだろう。全然不用とは申しませんが、遊休の土地を相当持っておるだろう。そこで、地価閣僚懇談会の一つの懸案になっておるものは、法人が取得しておる土地の実態をひとつ調査しなければならぬのじゃないか、こういうことになっておるのでございますが、その実態調査の方法がなかなかむずかしいのですが、それはとにかく、実態はひとつ調査するということでございます。  そこで一体、しかしそんなに金を回してどうして法人が持っておるかという、これはやはり投機の対象にしようということなんです。したがってそれを押える方法はまあいろいろあるとしても、端的に押える方法はやはり税法上の手段でいかなければ方法はないと思います。もともと私たちは、公式に皆さん方からこの質問が出ると、やれ産業の地方分散、人口の地方分散、宅地を大量にふやすとかいいますけれども、それはそれでいいといたしまして、それはなかなか長期的な問題でございまして、そう簡単に五年や六年で人工的にやれるものではありません。それはそれとして、やはり短期的に地価を押えるという方法は、土地がないのではない、出さないのです。出さない理由は土地の騰貴を待っておるわけですから、それは税法で対処するということが私は一番手っとり早いと思う。ところがこれについては、小林さんも御存じのように、大蔵大臣大蔵省考え方とわれわれの考え方が違うと申しますか、非常にやり方がむずかしいんだ、こう考えておるようなんですが、私も税法はそう詳しくはありませんけれども、やはり絶対に投機の対象にしないようにするためには税法で対処する、これが短期的に地価を押える方法としては一番手っとり早いんではないか。その他いろいろの方法をわれわれはやっておりまするが、結果としては地価の抑制には一つもなっていないということは、結果から見て皆さん方の御批判を仰ぐことは当然でございますので、いま申しました実態を調査し、しこうしてそれに対して不用のものに対しては、投機の対象にならないように税制でもって対処する、こういうことを考えておるわけでございまするし、また考えのみならずやっていきたい、かように思っております。
  105. 小林進

    小林(進)分科員 大臣の御熱意と御苦労されておる点はよくわかるのでございまするけれども、若干荒療治でも、もう考えている段階じゃないと私は思うのですよ。完全な方法はないのですから荒っぽくとも効果のあるものはやっていく、私はそれしかないと思う。ここにもありますように、関西のある私鉄は、住宅公団の平城住宅団地計画に先回りして八万坪の土地を十一億円で買収、二年後に公団には三十四億円で売却、二年間で二十三億もかせいだとか、あるいは大手の不動産は、五年も十年も先の売り出しについて都心から五十キロ圏で坪六千円前後の山林を買っておる。それが五年もたたないうちに十万円あるいは十三万円ぐらいに化けているとか、こういう話。あるいはまた都市近郊の私鉄で、資産調査をやるとみんな土地、不動産に関する点だけは五〇%以上ずつの利益をあげているとか、何でも会社が、ほかの営業が不振になると、土地の売買のほうに回って、そしてみんな会社の赤字をカバーしてしるという、そういう状態です。これはたいへん目をおおわしむるものがあるわけです。そこで大蔵省は、慎重にかまえてなかなか困難なところを言われているようですけれども建設省といたしましてはこれは何といっても強引に押し込むなりしてひとつやってもらわなければいけない。税金の問題です。それには実態調査、何としても実態を把握してもらわなければならぬ。実態ですよ。人ごとの話をしていないで、みずからひとつ把握する方法を考えてください。  第二番目は、やはり金を貸し付けている銀行です。これは土地の抵当を設定さしては金を貸している。だから銀行も相当大幅に土地投資のためには金を貸していると私は思う。これも私は銀行を通じてつかめないわけはないと思うのです、まあ企業の秘密ですから出さないと思いますけれども。ところが銀行が金を貸すでしょう。普通ならば地価の六割くらいで貸すかもしれませんけれども、これは阪上さんから聞いた話でございますけれども、戦前は土地なんか抵当に取って、そして不渡りになると土地をかかえた銀行なんてつぶれたもんです。いまは六割でも、土地を抵当にとって貸したら、つぶれる銀行はない。六割で貸して、法人が倒れそうになると今度はその土地をかかえた銀行みずからその土地の値上がりを策謀するとか、六〇%で貸した金がむしろ、銀行が値上がりを策謀することによって、普通の利息よりももっと利益になる。土地のほうが喜ぶのです。地価の六割ぐらいの金を貸せるという。だから言いかえれば、銀行も土地のブローカーも羽がはえたみたいなまねをして銀行自身が土地の値上がりをあおっている、こういう状態になっているのであります。その税金の面と同時に、都市銀行のほうもこういう土地を抵当にして金を貸しているという実態もひとつ手を入れていただく。その入れ方は私どもわかりませんけれども考えていただいて、これを荒療治していただく。これが一つです。  時間もありませんから私はかけ足で申し上げまするけれども、第二番目にお尋ねしたいことは間貸しです。これも建設省の管轄でしょう。こういうものに対して何か統制をお考えになっていますか。いま実際しがない庶民の生活の中で、間貸し賃というのか間借り賃というのか、独立したら家賃でしょうけれども、部屋借りの場合なんか一体どういう形でこれが賃貸借をされているか、実態おわかりになっていますか。
  106. 大津留温

    ○大津留政府委員 賃貸借は一応借家法による規律は受けておるわけでございますが、戦後の大都市における住宅難の事情を反映いたしまして、家賃なんかも権利金だ敷金だといって相当取られる、あるいは期間の更新料というものを取られるというようなことで、家賃そのものも高うございますが、そういった権利金、保証金と称する臨時の家賃相当のものを取られるということで、たいへん借家人も難儀をしておるということは、われわれも承知をしております。
  107. 小林進

    小林(進)分科員 大体日本じゅうに、公団だとか、そういう公の借地や借家ではなくて、一般民間の借家とか間借りなんかをしている住民は推定どのくらいいるとあなたはお考えになっていますか。推定でよろしいですよ。
  108. 大津留温

    ○大津留政府委員 六大都市におきまして——東京都におきましては八十万世帯が借家人というふうに承知しております。
  109. 小林進

    小林(進)分科員 これはあとで六大都市も数字をひとつ資料で出していただきますが、そういう人たちはほんとうに庶民なんですね。大臣、いいですか。その人たちが、いま借地、借家法などという戦前からの古い法律がありますけれども、そんなのは空文化してしまって、いまも言われるように、四畳半借りると八千円とか一万円、金を取られる、その八千円、一万円で借りるについて、やれ礼金だの敷金だの権利金だのといって、八千円の三倍も四倍も五倍も六倍も取られる、取られてなおかつその契約が普通二年間ですよ。二年たったら契約更改と称して、中へ入ったブローカーの謝礼金は別としまして、また権利金を取られる、敷金を取られるという、それは全く目も当てられないような状態でいま間借り生活をしているというのが実態です。どろぼうよりもひどいじゃないか。これは野放しでしょう。一体建設省の管轄ですか。どこの管轄になるか知らないけれども建設省だろう。こういうのを野放しにしておく、血も涙もないですよ。しかし庶民は、家は不足している、部屋は不足しているからやむを得ず泣きながら借りている。これはあなた、ひどいじゃありませんか。いままで何にも手をお打ちにならなかったのかどうか。私は残念ながら建設行政の中にはいままであまり入っていなかったものですから、過去のことはわかりませんけれども、いままでに何にもおやりにならなかったのかどうか、ちょっとお尋ねをしておきましょう。
  110. 大津留温

    ○大津留政府委員 戦争中におきましては、御承知のように地代家賃統制令というのがございましたが、戦後におきます住宅難、非常に住宅を求める人が多いのですが、なかなか借家を提供する側が少ないということでございましたので、そういう家賃なり何なりを統制といいますか制限いたしますと、借家が建たないという悩みが一面ございました。したがって、公的住宅、公営住宅とか公団住宅をどんどん建てるということによってこれに対処しよう、民間はできるだけそういうことで規制せずに建てることを奨励しようというような態度で今日まで来ておるようなわけでございます。
  111. 小林進

    小林(進)分科員 私はそういうお話を聞くと実に残念にたえないのですよ。私は先ほども言うように、ここへ来ませんでしたけれども、党内では言っているのだ。建設関係の諸君には、ひとつこういうどろぼうよりもひどいような悪徳の家主、家主というよりは間貸し人だ、こういうのを取り締まる議員立法をやってくださいということを、ぼくはしばしば言っていたのです。こんなものを野放しにしているから庶民の生活が荒らされているのですよ。言いかえれば住というものは衣料とか食費と同じなんだ。そうでしょう。あなた方がもっと建てて、家を豊富にしてくれればいいけれども、まさかこんな気候の悪い日本の中で、住みかなしで暮らすわけにはいかないのだ。やむを得ず泣きながら間借りをする。そうすると、見なさい、一万円の間貸しを借りるためには、その人たちは五倍も六倍も一時金を用意しなければ四掛半の部屋にも入れないのだ。しかも二年ごとに更改してしまうというその実態を見なければいけません。善政ではありません。建設大臣、こういう血も涙もないやり方を黙って見ていてはいけません。あなたのようなりっぱな建設大臣が、こういうのを野放しにしてそのままにしていてはいけません。こういうことはすっぱりと荒療治をやりなさい。家はないならないでよろしい、ないなんていうことに藉口してこういう残酷なことを——いつも言うようにあなた方大企業には親切だけれども、毎日生活している庶民に対しては、全く目も届かなければ血も涙もないやり方をしているとは、こういうことをいうのです。ばさっとやりなさい。中村武志なんていう人のサラリーマンの住宅運動なんていうものが、都市の中にはうはいとして起こっているのだけれども、皆さん方の耳に聞こえませんか。あなた方はあの切実な叫びが聞こえないのでしょう。早急に手を打ちなさい。こういうことを荒療治をやっても、庶民はだれもあなた方政府を攻撃する者はいません。よくやったという。毎月もらっているサラリーでも満足な金をくれないじゃないか。いま、平均月に十万円といったらたいへんな高給なサラリーマンです。その十万円のサラリーマンの中で、家賃を二万円、三万円取られながら、しかも子供を産んじゃいけませんの、騒いじゃいけませんの、二階にいるところでは電話の取り次ぎはしませんの、全く監獄といっては悪いですけれども、刑務所の隣にいるぐらいな気持ちで、戦々恐々としながら、悪徳間貸し人にいじめられながら庶民の生活というものは繰り返されているのですから、そういうところをひとつきちっとやってください。この問題だけでも徹底的にやってもらいたい。時間もありませんから終わりますけれども、徹底的にやってください。
  112. 西村英一

    西村国務大臣 小林さんの言うことはよくわかります。もとより住宅は公的に建設するのみならず、民間の住宅も建設省所管でございますけれども、役所は法律に従って仕事をしておる。これは私の思い違いか知りませんが、借家法というのは法務省じゃなかったかというような気がするのです。それから地代家賃統制令、これは建設省でございまして、そのほうは注意をしておるが、借家法は法務省、そういう関係によって役所というものは仕事をするから、いまあなたがおっしゃいましたようなことについてまで及ばなかったのだ、間貸しのところまではあるいは及ばなかったのだ、所管ならもっとうまく答えられなければならぬのでございまして、私もいままでは借家のほうのあれを聞いたことがないような気がして——注意はいたしております、事情もあなたと同じように知っております。しかし大きい目では住居を提供するのは、家であろうと部屋であろうと、これはやはり建設省が大いに気をつけていかなければならぬということでございますから、今後はひとつ十分気をつけますが、いまこの法律も確かめてみます。
  113. 小林進

    小林(進)分科員 私は家賃統制令のことを言っている、家賃統制令違反じゃないかということを言っている。それは建設省だろうと思うが……。
  114. 西村英一

    西村国務大臣 地代家賃統制令は建設省でございます。それにおいては地代は押えられてはおりますから、そういうことはあまりありません。むしろこれは時価の十分の一ぐらいで押えておるわけです。
  115. 小林進

    小林(進)分科員 家賃とか間貸しの不当な権利金等は、これは建設省じゃないのだな。
  116. 西村英一

    西村国務大臣 地代家賃統制令は建設省でございまして、これは昭和二十五年以前の住居について家賃のアッパーリミットを押えておるのです。だからして、時価と比べて非常に安いもので地主は貸しておるのですよ。それは上げられない、両者の話によって上げる。それから間貸しをするというのは、これは借家法です。その借家法は法務省の所管である。しかし、法律のいかんにかかわらず住居は気をつけなければならぬ、こう言っておるので、借家法もあなたは言いましたから、その点は建設省もひとつ注意しなければならぬな、法律は向こうであるけれども、こう感じたわけでございます。
  117. 小林進

    小林(進)分科員 その問題は、ひとつ大いに省の範囲内において庶民の生活を守っていただくことにしまして、このままにしておけませんからまた私は建設でやりましょう。  第三問として伺いますが、やはり住宅と土地の問題です。これは御承知のように社会主義国家へ行くと、ソ連でも中国でもチェコでも、どこへ行ったって、もらっている生活給の二%か三%で、非常に安い住宅が提供されている。しかも家族構成によって大きな家族はちゃんと大きな家が求められて、衣食住というけれども、人間生きるための衣食住というものは、社会主義国家というのは実にうまくできているのですな。ところが日本は衣食住の中でいま食料は世界一高い。最も悪いのが住ですな。住の問題。住の問題も一般論じゃなくてひとつ限定して大臣に私はお聞きしたいと思うのですけれども、私も外国旅行をしますよ。そうすると、政府の役人が言うのですな。私ども日本へ帰ったとき、その晩年を考えるとさみしくなる、住む家がないと言うのだな。だから、私どもの住居のことを真剣に考えてくれる政党なら、自民党でなくったっていいのだ、社会党でも共産党でも私は支持しますよと言うのだが、これは私は単に外国に勤務している国家公務員だけじゃない、国内においても同じだと思うのだ。ここらにいらっしゃる方も同じじゃないかと思うのですよ。みんな腹の中では自分たちの晩年を安らかに住むねぐらを持ちたいという気持ちはあるだろうね。みんな高級官吏だからみんな持っているんだろうけれども……。家を持てばいいじゃないか、なぜ持てないのだ、家をつくる金じゃないんだ、その家を建てる土地の問題でみんな悩んでいるわけだね。土地が手に入らないから家はつくれないのだ。だからこの問題は、サラリーマンというふうに一般に限らないわけだ。サラリーマンは一応それぞれその企業にいるんだから、企業企業でめんどうを見ればいいんじゃないか。さっきの話じゃないけれども、大企業は投機でやっているから、そのうちから厚生施設の一環としてやればいいだろうけれども、私が言うのは国家公務員や地方公務員、この諸君の一人一人の胸をたたいてみると、みんなどうもそういう共通の悩みを持っているんじゃないか。それで、いろいろ調べてみると、こういうところにもあるように、東京でも大阪でもそうだけれども、四十キロから五十キロのところに線を引いてみると、その郊外に行って、昭和四十五年には坪九万五千円、去年あたりはもう坪九万五千円で手に入る土地なんかないということですよ。
  118. 松浦周太郎

    松浦主査 小林君、時間だから結論に入ってください。
  119. 小林進

    小林(進)分科員 私は三十二分までだから、まだ時間ありますよ。——それで、そういう問題について、ひとつ土地を大量に政府が買い入れるという——いま委員長に言われましたから私は結論だけ急ぎますが、西ドイツの空閑地税を一体どう考えるか。  それから民間がやる分譲地内の道路や公園や終末処理を国でやるべきだという意見が一つ。  それから、三井不動産の江戸英雄、これは不動産会社の巨頭ですけれども、もういまは、われわれは企業家としてはだめだ、土地取得のためにはどうしても公共的な第三者機関を設けなければもうだめだ、土地問題の解決にならないと言っているんだが、こういう公共に基づく土地取得の第三者機関を一体設ける考えについてはどうか。  第四番目としては、これは伊東光晴という経済学者が言っているんだが、大都市の郊外地の農地や山林や空閑地というものを政府が強制的に買い上げろ、そうしていまの土地の問題を解決したらどうか。  いま一つ、角本という人の説なんだけれども、これはもう五十キロ圏内じゃ東京も大阪も土地がない。二十キロ伸ばして七十キロ圏内に通勤着用のいわゆる空閑地をがばっとひとつ政府が買い上げる。それから新幹線のような、ばっと都心地に来るような高速の道路でもつくるという、そういう画期的な政策を講じて、せめて国家、社会のために働いているサラリーマン、公務員諸君のために、思い切ってひとつ土地を確保してやったらどうか、それくらいなことは建設大臣、ひとつやるべきではないかというほうはいたる意見があるのですが、あなたの勇断はどうですか。意見というより西村建設大臣の勇断を私は要望して、意見を承りたいと思うのですが、いかがですか。
  120. 西村英一

    西村国務大臣 勇断はありますけれども、やはり方法は方法として持っていかなければならないと思っているわけです。いま述べられたことは、いずれも相当に示唆に富んだことでございます。私は相当にいろいろ所見を、あちらからもこちらからも聞いております。まさにそのとおりでございます。しかし、実際問題を考えますと、今度の農地の宅地並みの課税、あの程度のこともできないのが現状でございますので、あのくらいなことができなくて宅地を増すとか増さぬとかいってもしようがない。しかしそれはなかなか、それ以上の政治問題もいろいろあるようでございますが、これはいまあなたがおっしゃいましたように、政府が土地を買い込む、これはずいぶん前に私はそういうことを唱えたときがあるのです。しかし、これからもまだ続くことでございますから、そういう精神で十分ひとつやってみたい、かように思っておりますから、その節は御協力ください。どうぞよろしくお願い申し上げます。
  121. 小林進

    小林(進)分科員 協力を誓いまして終わりにいたします。
  122. 松浦周太郎

    松浦主査 これにて小林君の質疑は終わりました。  次は岡本富夫君。
  123. 岡本富夫

    岡本分科員 時間が短いので、明確にひとつお答えを願います。  私は、最初に同和対策事業についてお尋ねをしたいのですが、まず、公営住宅の四十六年度の住宅建設用地に対する地方債の標準単価を見ますと、A、B、C、D……と九段階に分かれておりますが、一番高いのは、一戸当たりAのほうが百四十七万、Bは百十八万、一番安いHになりますと二十二万円、こういうようになっておるのは、その年の地価の高低に合わせて標準単価を決定したと思うのですが、これについていかがですか。
  124. 沢田光英

    ○沢田説明員 先生のおっしゃるとおり、公営住宅につきましては、A以下四種類の用地単価を設定いたしておりまして、先生のおっしゃる額でございます。これはやはり毎年調査をいたしまして、地価に基づいて決定しておる次第でございます。
  125. 岡本富夫

    岡本分科員 しからば、同和対策住宅改良事業について、用地取得費の国庫補助単価はこれは人口割りになっている。先ほど言いました公営住宅建設用地費の基準は、これは地価を想定している。そういうことになりますと、非常に矛盾が起こってくると思うのですね。同和対策の住宅改良事業については、人口百万以上が一平方メートル当たり十一万、十万から百万人のところが七万円、十万人以下は四万円、こういうようになっておりますけれども、これは実情とどうも合わないと思うのです。たとえば兵庫県の芦屋市の場合は、人口が七万五千で十万以下、そうすると国庫補助単価は四万円。しかしあの地域は公営住宅の表を見ますとAのランクに入っておって、一番最高のほうに入っておる。同じ建設省の中で、こういった基準単価の設定にあたって矛盾があると思うのですが、これは何としてもやはり特例法をつくらなければいかぬと思うのですが、建設大臣いかがですか。
  126. 沢田光英

    ○沢田説明員 確かに公営住宅につきましては、いま申し上げましたように宅地の価格に基づいてきめております。しかしこれも、たとえば大阪市と申しましても非常に広うございまして、これの平均的な値段をとっておる。したがいまして、大阪市の中でも高いところと低いところがあって、そういう意味では平均でございますから必ずしもぴったりしない面もあります。  片や改良住宅のほうにつきましては、思想がちょっと変わっておりまして、先生のおっしゃるように確かに入口割りできめております。この思想が違っておるというところは、私ども考えてみますとうまくないと思いますが、考え方は、やはりこの人口によりまして都市の規模がきまる。大体都市の規模と土地の値段が比例するということでやっておりますけれども、先生のおっしゃいますように確かに局部的には問題が出てきております。したがいまして、こういう考え方あるいは実際の出てくる額、そういうものでアンバランスが、同じ局が所管をしておりますところで違っておるというのは、きわめてまずいことでございますので、四十七年度においては予算の範囲内——と申しますのは公営住宅のほうは起債でございまして、改良住宅のほうは補助単価、補助事業でございますけれども、そういうことで多少の問題はあろうかと思いますが、極力そういうもののアンバランスをなくすように四十七年度から処置したいと考えております。
  127. 岡本富夫

    岡本分科員 大臣、これはいま調査官ですか、人口割りによってこの土地の単価が大体見合うんじゃないかというようなお話ですけれども、いま大阪とかあるいは東京とか、こういう人口は外へどんどん、先ほどもお話にありましたように、ドーナツ現象で出ているのです。しかも大都市と大都市との間にある、要するに阪神間においては、もう大阪市内より高い場合がある。まあ空気もいいしというようなことで、芦屋なんか、下の便利なところより山のほうが高い。もう三十万も四十万もする。こういうやはり実質に合わした建設省の基準単価をきめなければいかぬと私は思うのですよ。まあ実情に合わすということですから、これは了解します。ぼくは同和事業に対して何か特別の差別をしているのかと思ったよ。そうではないだろうと思いますから、これはひとつ特にやってもらいたい。  同時に、今度はもう一つは、住宅急増地域、これは大阪に隣接しているところの川西市、こういうところはどんどん人口がふえております。いま七万、もうすぐ十二万になるんですね。こういうところの改良住宅用地のこの基準単価も、これはやはり人口割りでは非常に矛盾がある。これもひとつ実情に合わしてもらいたいと思うのですが、いかがですか。
  128. 沢田光英

    ○沢田説明員 この単価は非常に大ざっぱにきめておりますのでそういう点が全国にあろうかと思いますが、そういうことで、先生のおっしゃる点も含めまして、今年度の事業、この予算のワク内で行なうわけでございますけれども、それの中で一番うまい形でやりたい。すなわちそういう矛盾をなくすような方向で標準単価をきめていきたいと思っております。
  129. 岡本富夫

    岡本分科員 これは特にひとつ大臣に念を押しておきますよ。  次に三点ばかり。そのうちの、これはちょうど坪川さんが建設大臣をやっているときで、私が特に提案をした、大阪と神戸の間を走っている阪神電鉄の高架、これをしてもらわぬとどうしても南北の交通公害で非常に困るということで、これを高架にしていただくように——今度四十七年からこの事業費がついているわけですけれども、非常にこまかい問題で悪いのですけれども、これも建設省のほうに要求してありますからわかると思うのですが、この阪神電車の今津という駅がある。ここには今度は阪急線が北から来ているわけです。そうすると、阪急電鉄は高架になっていない。阪神だけが上がるということになりますと非常にこれは変なかっこうになるわけでございますので、これは六百三十メートルぐらいなんですよ、国道からこっち。これもひとつ高架事業にしてもらいたいと思うのですが、これの検討をしていただけるかどうか、ひとつ……。
  130. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 阪神電鉄の甲子園駅から香櫨園駅の区間につきましては、四十七年から高架化事業に着手する予定にいたしております。お尋ねのその阪神の今津駅に阪急の今津線が接続しているわけでございますが、今津線の高架化の問題につきましては、これは全然別の会社でございますし、相互乗り入れということもございませんので、今回の阪神電鉄の高架化事業の一環といたしましては事業を実施することにいたしておりません。しかしながらこの今津線につきましては、ちょっど南北に縦断をいたしておりまして、いろいろな鉄道、道路等の関係がございます。実情を調べましたところ、国鉄、国道二号線といった主要な鉄道あるいは道路につきましては、立体交差がもうすでにできております。したがいまして、いまお話しのように、約六百メートルの区間が、今津駅までの区間が平面になっているやに伺っております。これを高架化事業で採択するというのは、ちょっと私どもの採択基準というものがありまして、それに合致をいたしません。したがいまして、高架化事業ではこれを取り上げかねる点がございますが、今後これをどうするかということは地元とよく協議いたしまして、その対策等につきまして方向を出していきたい、かように考えます。
  131. 岡本富夫

    岡本分科員 それではこれはひとつ再検討して、何とかこれも一緒に高架にしてあげないと、やはり通勤する利用者が下にまたおりなければならぬというので非常に困ると思うんですね。  同時にもう一つ要望しておきたいことは、建設省からこうして補助金を出している阪神電鉄の事業について、いままであるところの駅を廃止するとかそういうようなことにならないように、やはりこれは利用者あるいはその付近の商店街の人たちがそこで利用し、あるいはまた今日まで生きてきたわけですから、やはり西宮東口駅とそれから西宮の駅をくっつけて一つにするとか、こういう企業サイドじゃなくして、住民サイド、そのほうから検討してやっていくように、これは補助金を出しておるのですから、阪神電鉄のほうに指示してもらいたい。これは要望なんですが、どうですか、大臣のほうからでもひとつ……。
  132. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 御要望の点はよくこの事業施行者であります阪神電鉄のほうにもお伝えをしておきます。
  133. 岡本富夫

    岡本分科員 次に老人の住宅問題について、これはひとつ建設大臣に相当英断をそれこそ願わなければならぬと思うのです。それもたいしたことはないんですけれどもね。  最近、老人問題が非常に社会問題となってきている。そこで、その年寄りの中で、まあ老人ホームなんかを多量につくって入れてあげるということも必要ですけれども、これはなかなか経費もかかると思うのです。そこで地方自治体、特に西宮市あたりではこれをどうしようかということで、健康なお年寄りについては、独身で入りたい、こういう方が相当いるわけですが、そういう人のために公営住宅法の十七条、これを見ますと、単身でははいれないというようなことになっておりますね。ここのところをひとつ改正し、あるいは特例を設けて、そうして公営住宅法の中に、こうしたお年寄りについて、自分で生活できるというような人を入れてあげられるような制度にしてあげるのが一番大切ではないかということを私は感じ、またすでに西宮市においては、それを実施しようとして市単位でやろうとしているのですけれども、いずれにしてもやはり全国的に、こういう人たちを調べますと相当あるわけですね。老人ホームに入れて、そしてだれかついているということになりますと、これは過保護になる場合もあるのです。そんなにしなくてもいいという人がやはりずいぶんいるわけです。だからここのところちょっと改正して、何とかお年寄りのために尽くしてやろう、こういう考えはひとつございませんか、どうですか。
  134. 西村英一

    西村国務大臣 いまの公営住宅については単身のはそういうような規定になっておるようです。いまのたてまえは、やはり同居の方がいなければいかぬということになっておりまするが、公社はそうはなっておらないそうです。公社の住宅は。公団もなっていないようでございます。したがいましてせっかく先生の御希望もありますし、また、ことに老人に対する福祉という面からもやはり考えなければならぬ問題もあるようでございますからして、検討さしていただきたいと思っております。
  135. 岡本富夫

    岡本分科員 公社とか公団のような、そういう家賃の高いところへはとても入れないのです。これは御承知だと思います。そこで年金生活している人、こういう低所得者の人が入れる市営住宅といいますか、そういうようなところにこの十七条を改正して補助金を出してやる、こういうようにしてもらいたいと私は要望しているのですが、その点ひとつ間違わないようにしていただきたいのですが、この点どうですか。
  136. 西村英一

    西村国務大臣 検討さしていただきます。
  137. 岡本富夫

    岡本分科員 大臣、これはすでに、いま話がありましたように、公団でもあるいはそういうところはもうやっているのだということですが、検討の余地はそうないのじゃないですか。どうですか、そのくらいだったらやろうと。このくらい、たいしたことないんですよ。そういうことがあって市に少しでも予算が入れば、市でも、地方自治体でもやっていこうというのですから、このくらいはあまり検討しなくても、じゃここでひとつやろうというような考え方はないですか、どうですか。
  138. 西村英一

    西村国務大臣 そうあなたが言うほど簡単じゃございません。もともとたいへん家族が多くてきわめて低所得の方がたくさんおるわけでございまするので、そこで家族を単位にして、やはり同居者がたくさんおるというようなことをたてまえにしてやっておるようでございます。しかしいま御提案の趣旨もよくわかります。ここで、それじゃ十七条を直ちに改正してということは、すぐは申し上げられませんので、検討さしていただきたいと思っておる次第でございます。
  139. 岡本富夫

    岡本分科員 それで検討事項の中に、大臣、そういった健康な一人住まいというのですから、決してぜいたくな大きなものは必要じゃないのですね。家族が大ぜい入るというような大きなものは必要ない。それに応じたような住宅を建てたい、そしてお年寄りを大事にしたいという地方自治体の意向なんです。それも地方自治体だけではたいへんだというので、この十七条を改正して、何とかしてもらいたいという非常に時代にマッチした考え方です。地方自治体の長の考え方です。特に西宮市長はそのために少し金を出して、そういうサンプルをつくろうというわけでやっているわけですよ。ですからその点についての検討の中に前向きの——検討したけれどもだめでしたというような、そういう情けないことじゃだめですからね。そういうわけで、何とかやっていけるように、ひとつ前向きの検討をしてもらいたい、これをお願いします。  そこで、日本全国的でございますけれども、これから水資源というものが非常に大切な時代になってくると思うのです。われわれが地元に参りまして一番問題になっているのは、人口急増都市である三田市あるいは宝塚市あるいはまた川西市、こういうところが水資源問題で非常に困っておる。そこで一庫ダムにつきまして、いま建設省のほうでいろいろと手を打ってくださっておるそうでありますけれども、非常に遅々として進まない。その進まない原因は、水資源公団あたりでずいぶんやっているのですけれども、この水資源公団が非常に実情に合わない補償——いまこまかい問題を言っている時間がありませんが、しかもどんどん人口はふえていきますから、五年前計画したのを、すでにいまはもっと大きくせねばいかぬという時代に入ってきておるわけですが、この水資源公団に対して、これは建設省所管だと思うので、もう一ぺんこの計画の再検討と、それから補償、この補償も早くやらぬとどんどん地価が上がるのですよ。それをがたがたやっているものだから、何というのか、遅々として進まない、こういう面の促進。  これともう一つお願いしておきたいことは、今度は猪名川の流域の河川改修、これも早くやっておきませんと、いまのようにどんどん山をつぶして住宅を建てる。そうなりますとどこから洪水がくるかわからない。これは万博までは非常によく進みましたが、最近は非常におくれておる。これも予算の範囲内予算の範囲内ということで、予算のつけ方が少なくなってきておる、こういう面が見受けられるわけですが、数字をあげて言うておる時間がありませんから、これについてどういうふうに促進するか、大臣考え方をひとつ……。
  140. 西村英一

    西村国務大臣 河川局長がおればもう少しよく調べておると思うのです。私は突然でございますが、猪名川は先生御承知のように相当やっかいな川です。ところがあれは大かた改修は済んでおると私は思っておる。(岡本分科員「まだまだ」と呼ぶ)おもなところはだいぶ済んだような気がいたします、はっきり知りませんけれども。私も何回か拝見をいたしましたが、その上のダムですが、これは私は承知いたしておりません。きょうは水資源の方も河川局長も見えていないようですが、後ほど十分調べまして御通知申し上げまするが、このダムの建設は、なかなか地方住民の納得がいかないとかかれないのです。  そこで補償問題。いろんな問題がありまして、ことに最近は、また一つブレーキになるのは環境の問題、いろいろブレーキがかかっておるわけです。したがいまして、とかくおくれがちでございまするが、これは私たちのほうも十分気をつけまして、後ほど河川局長水資源公団の総裁に十分申しつけて、特定な支障があるなら、私みずから解決するように努力をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  141. 岡本富夫

    岡本分科員 時間でありますから、終わります。
  142. 松浦周太郎

    松浦主査 これにて岡本富夫君の質疑は終わりました。  次は西田八郎君。
  143. 西田八郎

    西田分科員 私は、主としていま問題になっております近畿圏の水の問題、特に琵琶湖の総合開発の問題についてお伺いをしたいと思うのですが、近畿圏整備本部の長官であり、また所管大臣である建設大臣琵琶湖の総合開発特別措置法案はこの国会に提出されますか。
  144. 西村英一

    西村国務大臣 琵琶湖総合開発特別措置法案は、この国会に提出すべく関係の方々といろいろ詰めてまいっておりました。法案概要はできておりまするけれども、そのもとになる問題でむずかしい問題があるので、この時点ではまだ結論に達しておりません。しかし御案内のとおり、この国会もいつまでも法案を出すというわけにいきません。与野党の申し合わせによりましてある期限を切っておるわけでございますから、その期限までに間に合うか間に合わないかということで、いませっかく関係者のほうで重要な点を詰めておる最中でございますから、この時点で提出しないとも提出するとも申し上げられませんが、ただいま努力中でございます。
  145. 西田八郎

    西田分科員 そこで、政府のほうでは腹は固められて、法案まで準備はできたのであるが、これが提出できないというのは、いまも大臣がおっしゃるように下流県の大阪とそしてそれを供給する滋賀県との間で水の需要量をめぐって、そしてまた琵琶湖水位をめぐって非常に紛糾があるように聞いておるわけですが、その辺のところは大臣として何か調整する意思があるのかどうか。
  146. 西村英一

    西村国務大臣 調整すると申しますか、もう一番肝心なところは、関係者、つまり上のほうの水源地の県と下のほうの利用の県と、責任者の間の相互理解ができていない、コミュニケーションが足らない。法案だけつくるように進んでおっても、これはやりかかると大事業でございます。また上のほうでは今後農民その他一般の県民に与える影響は非常に大きいのです。それらの点を踏まえて上のほうは決心しなければならぬ。それから利用者の方は利用者としてやはり相当に自分たちの経費も要ることであるから、その辺のコミュニケーションができていないところに、どうも肝心な点で非常に行き詰まっておるのでございます。法律のごときはこれは簡単なものでございまして、総合開発法律ですからこれは一日あればつくれるわけです。しかし肝心なところはまだ瀬踏みができておりません。しかしこれは先生も御案内のとおり、水資源でございますから、これは与野党協力してやはりいかなければならぬ。出身の先生方にもまだこれすらも十分の意思の疎通ができていないように考えられますので、私もせっかく努力をしたい、かように思っておる次第でございます。
  147. 西田八郎

    西田分科員 そうしますと大臣の御答弁は、コミュニケーションがはかられてないのが一つの原因になっているということでございますが、聞くところによりますと、水量の問題についてはかなりな歩み寄りができたというふうに聞いておるわけですね。ただ滋賀県側では琵琶湖水位をマイナス二メートルまで引き下げるということになると重大問題であり、その水位をどこまで下げるという約束はできないけれども、とにかく洪水になれば放水しなければならぬのですから、足らぬときには多少の無理をしてでも送らなければならぬという、そういう姿勢はあると思うのだが、そういう点について、大臣のほうでこの問題を調整して、そして先ほど出すか出さぬかわからぬとおっしゃったけれども、総合開発に関する特別措置法をぜひとも成立させたいというような努力というか、そういう方針を持っておられるのかどうか。
  148. 西村英一

    西村国務大臣 琵琶湖総合開発はいま始まった問題じゃございませんので、いままでも相当に議論を尽くした問題でございますが、肝心なところでまだ行き詰まっておりまするが、私としては願わくは大事な水でございますから、有効に利用するようにせっかく努力してまいりたい。しかしこれは私が調整するにしてもなかなか簡単なことじゃございませんし、非常に身がってなことをいいますると、国会も開かれておるしそれだけの時間的な余裕もない。電話をかけて、そうかといって、簡単に君にまかせるからなんという簡単なものじゃございません。しかしせっかく努力をしたい、かように考えておる次第でございますから、いろいろ御協力をお願いします。
  149. 西田八郎

    西田分科員 それじゃいま大臣おっしゃったように、これは下流府県それから水源地である滋賀県とのコミュニケーションを十分はかり、そして話し合いがつくなら今国会中に法案を成立させたいというふうに理解していいわけですね。
  150. 西村英一

    西村国務大臣 さようでございます。
  151. 西田八郎

    西田分科員 そこでお伺いしたいわけですけれども、このようにもめていますのは、やはり水を取る側と出す側との需要と供給との関係にあると思うのですが、私は、琵琶湖総合開発というのはただ利水関係だけで問題を解決しようというのではなしに、もっとそのほかのものも含まれておると思うのです。たとえば現在の琵琶湖の水質というものは非常に汚濁されてきておるわけでございまして、過去の倍以上汚濁が悪くなってきておろし、さらに最近は、いま問題になっておりますPCB等がかなり大量に流入されておるということがいわれておりますし、昭和三十九年の調査で、カドミウム、総水銀等も含まれておることがはっきりしておるわけですね。したがってそうしたものもやはりきれいにするといいますか、いわゆる水質保全について相当な努力を払わないと、これはもう滋賀県の人は上流で取ればたいしてそういう影響はないと思いますけれども下流府県にしてみればそれだけよごれた水を流されたのでは因るでしょうから、当然水質保全という立場から子の対策が立てられなければならぬと思いますが、それに対する水質保全対策というようなものもお考えになっておるのかどうか。
  152. 西村英一

    西村国務大臣 環境庁の方が見えておりませんが、きょう午前中も話がありましたが、琵琶湖の水質基準、環境基準はまだ指示されておりませんが、四十六年度中にやると思いますから、三月三十一日までに水質基準を示してくれると思います。琵琶湖のほうでも南湖のほうがたいへん濁っておるようでございます。しかしそれとともに淀川水系それ自身の水質基準——もともと琵琶湖々直さなければならぬ。それはもちろんでございますけれども、京都における桂川その他を含んで、もう少しこれは注意しなければならぬ。私も行って地方建設局あたりでよく聞きますが、もう少し淀川水系全体について注意をしないと、これはたいへんなことになりそうなんでございます。したがいまして、今後十分注意しますが、さしあたり何を申しましてもやはり下水道です。流域下水道を琵琶湖は早くやらなければなりません。したがって、この法律ができるできぬにかかわらず、琵琶湖では大津を中心にした湖南の地方の周辺の流域下水道、上のほうは長浜及び彦根それから西のほうの北側のほう、こういうような流域下水道を進め、あわせて公共下水道を進めて、一日も早く水質の保全をはかりたい、かように考えておる次第でございます。  水質基準は、今月中に環境庁で指示するそうでございます。
  153. 西田八郎

    西田分科員 ただいま下水道整備計画を立てて、それで琵琶湖の水質保全というものを考えたいということであったわけでありますが、もう少し詳しく、どういうふうにお考えになっておるのか、その計画について知らしていただけませんか。
  154. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 琵琶湖につきましては、いま大臣からお答えございましたように、全体計画としましては、湖南、湖北、湖西の都市地域を中心にいたしまして下水道の整備をはからなければならぬわけでございます。しかしながら、順序といたしましては、湖南地域が一番汚濁状態が進行しておりますので、私どもはその全体計画を踏まえまして、まず五カ年計画、現在の第三次下水道整備五カ年計画におきまして、湖南地域の五市十二町でございますが、その地域を対象にいたしまして、流域下水道事業並びにこれに関連いたしますところの公共下水道事業、これに重点を置きまして、整備の促進をはかってまいりたい、かように思います。
  155. 西田八郎

    西田分科員 そうすると、湖南五市十二町ということになりますと、一部湖東の近江八幡、八日市も含まれるわけですか。
  156. 西村英一

    西村国務大臣 近江八幡も含まれます。
  157. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 含まれます。
  158. 西田八郎

    西田分科員 そこで、下水道整備、いま大津は市独自の公共下水道工事を進めておりますけれども、これは非常に急を要する問題で、五年間ほうっておくと、琵琶湖の水は大阪へ流しても大阪から要らぬと言われるような状態になるのではないかという心配をするわけであります。私ども毎日ながめておって、日に日によごれていくというのが目立つように思うわけです。したがって、これは非常に急を要するわけでありますが、急を要するだけにこれまた事業費がばく大になってくると思うのですよ。これはもう滋賀県全体の年間のことしの当初予算にしたって一千億にならなかったし、大津や、まして湖南の五市といわれるところのこれは、新しく法の改正で市になった三万都市もあるわけですから、財政負担がたいへんだろうと思うのですけれども、この財政負担に対しての何らかの援助措置といいますか、従来の補助率がきめられておるわけでありますけれども、そういうもの以上に加味されることを考えておられるかどうか。言うならば、県民の要望としては、これはもう滋賀自体は、水は南湖から取らなければ、北湖から取れば、多少経費は要ってもそうひどい水でなく済まされるわけですけれども、これが大阪へ送るということになりますと、先ほど大臣御指摘の、京都の桂川あるいは木津川、そうしたところと合流することによって、よりその汚濁が付加されるわけですから、そういう意味からも、何も滋賀県だけじゃないということになるわけです。しかし、下流に送る、そういうたてまえをとります、一刻も早くきれいにしなければならぬ、こういうことから、その県民の負担というものは非常に大きくなるわけですね。したがって、これはもともと全額国庫負担でやるべき工事ではなかろうかと思うのですけれども、そうあつかましいことも言えぬだろうと思いますが、多少補助率を大幅に引き上げて、そして事業の助成をしようという意思があるのかないのか。
  159. 西村英一

    西村国務大臣 これは私もまだ詰めておりませんけれども、概略六百億くらいかかるだろう、流域下水道、公共下水道をやれば。おそらくもっとかかるかもしれません。いま三系統でそのくらいかかる。そうすると、二分の一の補助というと、滋賀県は三百億円出さなければならぬことになる。個人負担は、それぞれまた水洗便所でありますとか、それ以外にございます。そこで、そういうように水をよくすることは、自分のほうの滋賀県のためにもなるけれども、もともとは下流の人のためでもないか、したがって下流はよけい負担をしなさいということと、国家も、こういうふうに開発をやるからには、いままでの一般的な二分の一の補助でなしにもう少しがんばれ、こういうのが滋賀当局のいっていることでございます。もっともです。しかし補助率の格上げということは、やはり法律をもってやらなければならぬ。そこで、この特別措置法というものが要ることになっておるのございます。いずれにいたしましても、琵琶湖の水をよくしなければならぬということは当然でございます。私が考えておるのは、これは東京とか大阪市内よりも非常にやりやすいと思うのです。密集といってもまだ人家の密集の程度が違いますから、これは金さえつけてくれれば、そう長くかからぬでこの流域下水道もやれると私は思う。また早期にやらなければだめだ、かように思っておりますから、今年度の予算はきまりましたけれども、来年度は琵琶湖中心にして各系統ごとに強力に進めたい、こういうように私は考えておる次第でございます。
  160. 西田八郎

    西田分科員 補助率のほうはひとつ大臣の政治的手腕というものに期待をいたしまして、ひとつ大幅なアップをお願いをいたしたいと思います。  そこで、これは先ほどの流域下水道の五カ年計画の中に湖西も入っていますか、入っていませんか。
  161. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 湖西地区は、この五カ年では考えておりません。
  162. 西田八郎

    西田分科員 それを除かれました理由は。
  163. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 まあ端的に申し上げますと、下水道五カ年計画の全体の投資ワクとの関係かと思いますが、やはり、まず順序からいいますと、湖南地区を早く仕上げるというところに集中すべきじゃないかという考え方であります。
  164. 西田八郎

    西田分科員 そこでもう一つお伺いするのですが、決して大阪に敵意を持ってものを言うわけじゃありませんが、大阪の水の需要量というものが他の都市に比べて非常に多いというふうに聞いているわけなんです。これは東京が大体六百トンくらいじゃなかろうかと思うのですけれども大阪では大体現在それを上回る。その他ニューヨーク、ワシントン、ロンドンあたり、世界的な都市の水の需要量と比べてみても非常に高いように思うのですけれども、その辺の原因がどこにあるか、お答えをいただきたい。
  165. 川崎精一

    ○川崎政府委員 阪神関係昭和四十六年から五十五年までの水需要を大体想定いたしますと、これは、通産省、厚生省といったような需要者側の関係、それから私どものほうの河川の関係、こういったものを総合いたしまして、現在経済企画庁を中心にいたしまして淀川水系の水資源開発の需給の基本計画を策定中でございます。これは審議会等の議を経てきめるわけでございますが、その間、現在検討いたしておりますのが、毎秒約七十万トン要るのじゃないか。これの需要の個々につきましてはそれぞれ検討しておりまして、特に著しく大阪だけが水をむだづかいしておるというようなことはないと思いますけれども大阪の特色としまして、簡業都市でございますので、ビル用水といったようなものが非常に多くなっておる。それから、中小企業等は、やはり上水道から現実に取っておるわけでございます。それから内陸地帯に参りますと、最近は地盤沈下、こういったような状況でございます。そういったものを踏まえまして、現在の、七十トン程度新規に必要とするというのは、まずまず妥当な線ではなかろうかと私どもは思っておるわけであります。しかし、水にも限りがございますので、そういった点で今後水をできるだけ循環使用するなり、合理化するなり、そういった努力はなお続けていかなければならないと考えている次第でございます。
  166. 西田八郎

    西田分科員 聞くところによると、工業用水を導水することは、工事の面では非常に高くつく。そこで、上水道用水工業用水にかえて使っておる中小企業も少なくないと聞いておるわけなんです。これこそ、ほんとうに資源のむだ使いではなかろうかと思う。したがって、そういう問題について、政府から大阪府なり市なりに対しての行政指導が行なわれておるのかどうか。これは非常に重要な問題で、二百七十五億トンという大量の水をかかえておる宝庫琵琶湖があるからという安易な気持ちでおりますと、これはそういうわけにいかないと思うのです。ですから、その辺についての行政指導を大阪にもして、そして需要もできるだけ有効需要をはかるという方法を考えていかなければならぬと思いますが、それについて。
  167. 川崎精一

    ○川崎政府委員 先ほど申し上げましたように、私ども、河川を管理いたしております立場からいいますと、琵琶湖開発をいたしましても、なおかつ六割程度の供給しか果たされないというようなことで、水資源そのものがいまや非常に貴重な存在になっておる、そういうようなことで、工業用水道の指導は、通産省のほうへ直接お願いをいたしておりますけれども、できるだけ再回収、それから回転率の向上、こういったものに極力努力をしていただきたい。  なお、将来は下水道等のああいった悪水も高度処理をしまして、飲料水以外の非常に重要性の少ないものは、そういったものを充てる方法も検討していこうじゃないかということで、主として通産省、それから私どものほうは高度の下水処理の立場という両方から、現在いろいろ検討いたしております。まだはっきりとした見通しをつける段階ではございませんけれども、やはりできるだけ水を循環、反復、合理的に使っていきたいということで進めている次第でございます。
  168. 西田八郎

    西田分科員 関連をしまして、いまおっしゃったような有効需要の方法と還元利用ということも、これは当然でありますが、淀川水系以外を開発するという計画があるのかないのか。たとえば、大阪府下堺市の水道は、琵琶湖からいった水が府営水道で送られているわけですね。したがって、そんなのは、たとえば和歌山の紀ノ川なり、大和川の改修をするなりして、それだけでまかなうことはできないのかどうか。今度は兵庫県の宝塚からも琵琶湖の水をよこせという要求が出ているように聞いているわけです。そういうふうになりますと、水資源問題は非常に重要な問題になってきます。そうした近畿圏全体の河川の水開発計画というものは、どういうふうに持っておられるのか、またもう具体的に進めておられるのかどうか。
  169. 川崎精一

    ○川崎政府委員 近畿圏全体を見詰めますと、昭和六十年の需要程度でございますれば、私どもの感じからいきますと、何とか水はしのげるのじゃないかという感じがいたします。しかし、これは近畿圏全体の大まかな水の需要と供給でございまして、阪神間等になりますと、はっきりと不足ということになります。  一方、近畿圏でも裏日本、たとえば九頭竜川だとか円山川、こういったところはかなり豊富な水が日本海に流れておる。それから、太平洋洋でも西の兵庫県側はほとんどございませんが、紀ノ川と背中合わせの十津川、熊野川がございますが、ああいったところはかなり水がございます。すでに一部、熊野川の上流の十津川等では、紀ノ川に分水しまして奈良と和歌山で分け合っておる。それから、紀ノ川の上流等につきましても、ダム開発をかなり進めておるわけでございます。  したがいまして、今後、阪神間の需要がはたしてこのまま伸びていくかどうかというような、はっきりした想定はなかなかつきにくい段階でございますけれども、やはりある程度こういった傾向が進むとすれば、そういったことも考えざるを得なくなるんじゃないかということで、私どものほうでは、マクロ的な意味でいろいろ予備調査はいたしております。しかし、分水というのはかなりやっかいな問題を伴いますので、これを簡単に計画化するというところまでは現在至っておりませんが、そういった水資源という意味で広く調べていきたいと考えておる次第でございます。
  170. 西田八郎

    西田分科員 これは非常に重要な問題で、水の使用量でその国の文明の程度をはかるといわれるほど、水というものは、文明が高くなれば高くなるほど、開発されれば開発されるほど非常にたくさん使うということになるわけであります。したがって今後、近畿圏全体の水需要というのはさらに増大すると見なければならぬと思うのです。毎秒四十トンを琵琶湖から流すということで当面はしのげても、これはとてもじゃないが、十年先、二十年先はむずかしいというふうに思われます。現在、有効需要率が二〇%以下の河川が非常に多いわけであります。そういう河川の水の有効需要というものをやはり考えなければならぬし、土木工事が非常に発展をしてきておりますから、これはパイプ送水ということも当然考えられることでありますので、そうした点で、他の部面における開発にぜひとも力を入れていただきたいと思うのですが、大臣、いかがでございましょう。
  171. 西村英一

    西村国務大臣 仰せのとおりでございます。これはやはり琵琶湖開発だけにたよっておってはいけません。現在計画し、それから工事が進行しておるものもたくさんあるのです。たとえば室生ダム毎秒一トン六百、一庫ダム二トン五百、日吉ダム三トン七百、比奈知ダム一トン五百、こういうものはあるいは着手し、あるいはこれからやろうとしておりますから、琵琶湖自身にたよるばかりではないのであります。あの辺の水資源を十分開発していきたい。私は、やり方によっては、今後十トンや二十トンは他河川によって期待できると思うのです。琵琶湖のみではございません。
  172. 西田八郎

    西田分科員 ぜひひとつそう願いたいと思います。  さらに、やはり何といっても大きな琵琶湖ですから、それは他の河川の改修も必要でありますけれども琵琶湖そのものも、保水といいますか、水源涵養という意味で大切に保存しなければいかぬし、開発していかなければならぬと思うのです。そのためには、琵琶湖へ流入する河川の改修であるとか、砂防工事であるとか、あるいは水源の涵養という意味では何といいましても治山対策というのが十分にとられなければならぬと思うのです。ところが、今度の琵琶湖総合開発政府計画案によりますと、水をきれいにするためには、ひとつ下水道にかなり力を入れてやろうということらしいのですが、水源涵養という意味でのこうした砂防工事、河川改修、治山工事に対してあまり熱意がないように思うのですけれども、その点どういうふうに考えておられるのか、ひとつ大臣の的確な考え方を聞かしていただきたい。  もう一つは、重ねてお伺いしますが、琵琶湖総合開発特別措置法は、話し合いがまとまれば今国会に出すという決意なのか、話し合いがまとまらなくてもこれは出すべきだというふうにお考えなのか、その辺の決意を聞かしていただきたい。  ちょうど時間が来たようですから、お答えだけいただいて、質問を終わります。
  173. 西村英一

    西村国務大臣 話し合いがつかなければ出すわけにはいきません。そうでないと、これはたいへんなトラブルで、それこそにっちもさっちもいかないようになりますから、やはり話し合いを十分つけて——これはことはでは言いますけれども、特別立法までしてやろうという大事業でございまするから、話し合いがつかない段階で出すことはかえって事業をおくらせると思います。話し合いはあくまでもつけてということでございます。したがって、この時点では、法案を出すか出さないか、まだはっきりしたことは申し上げられません。  それから造林、植林、こういうことについての問題も一つこの計画の中では見ておるわけでございます。数字は持っておりますから、もし必要ならばその造林の数字もあとでお示しをしてもけっこうでございます。あらゆる点を考えてやらなければならぬ計画でございます。
  174. 西田八郎

    西田分科員 持っておられる。私もある程度情報を入手しておるのですけれども、その対策といいますか、ものの考え方がその部分に対しては非常に小さいということです。工事事業量も少ないし、全体の割合から見ても小さいという考え方ですから、これに重点を置いてもらうように、一センチで七百万トンといわれる水ですから、この涵養に大いに力を入れなきゃならぬと思いますから、ひとつぜひお願いをいたしまして、時間ですから終わります。
  175. 松浦周太郎

    松浦主査 これにて西田八郎君の質疑は終わりました。  次は、上原康助君。
  176. 上原康助

    上原分科員 私は、まず最初に、復帰後の沖繩の経済開発あるいは地域開発等との関連建設省としてどういう具体的な方針なり計画、構想をお持ちなのか、また進めていこうとしておられるのか、概略あるいは総括的なお考えをお伺いをして、またいろいろお尋ねをしたいと思うのです。
  177. 西村英一

    西村国務大臣 もちろん先生御案内のように、公共事業は相当内地との格差がある。その格差を縮めるために、結局いろいろ公共事業を進めなければならぬと思っております。  具体的にはこういうようになっております。内地ではそれぞれの事業についておおむね五カ年計画を持っております。その五カ年計画を持っておるもののうち、たとえば住宅五カ年計画、あるいは交通安全五カ年計画、あるいは道路整備五カ年計画、あるいは海岸事業五カ年計画、また下水道五カ年計画、これらはそれぞれ年次別にずっと五カ年計画を持っておるのでございまするから、住宅建設五カ年計画にいたしましても、これは四十六年からスタートになっておりまするが、これらの事業はそれぞれ沖繩の分は五カ年の分あるいは四カ年の分になります、道路についてはもう一年は過ぎておりますから。それをこの五カ年計画の中に入れて閣議の了解を求めたいと思っております。  それからもう一つの分野は、これからスタートする治水五カ年計画でございます。もう一つ都市公園五カ年計画でございます。これは今年度、四十七年度からスタートするものでございまするから、四十七年度の予算が通過いたしますれば、その中にもう沖繩の分は含んでおる。治水五カ年計画都市公園整備五カ年計画は四十七年度の中に含んでおる。  あとのものについては年度の途中でございまするから、その分はいまの五カ年計画に沖繩を入れてそれで閣議の修正を求める、こういうことになろうかと思っておる次第でございます。
  178. 上原康助

    上原分科員 いまお答えございますように、基本的には、すでに政府が各公共事業計画なりあるいは都市整備計画その他含めて立案なされた五カ年計画に包括をした形で沖繩も考えていかれるということだと思うのですが、その場合、御承知のように沖繩の現状というのは、軍事基地の密度というのが非常に高い。しかもアメリカの軍事優先政策のもとで、都市計画あるいは住宅、いま大臣が述べられたことと、公園計画、下水道等々というのが著しく立ちおくれているという点、さらに、基地そのものが、そういう公共事業なり道路事業等を進めていく場合に大きな障害になっておりますし、また政府として、本土と同じような立場でいろいろの計画の中に沖繩を組み入れたとしても、なかなか思うように計画というものが推進をされていかない支障というものが出てくると思うのです。したがって申し上げたいことは、基地の密度というもの、あるいは軍事基地の返還ということ等ともあわせて、沖繩の今後の開発基本施設の整備というものを立案していかれないと、ことばはまずいかもしれませんけれども、本土的な感覚ではとても格差というものを埋めていくことはできないと思うのです。そういう面に対して何か御調査なりあるいはお考えがあればお聞かせをいただきたいと思います。
  179. 西村英一

    西村国務大臣 先生御案内のとおり、沖繩計画は沖繩振興開発特別措置法によって知事さんが計画をつくって総理大臣にそれを提出するということで、これは十カ年計画でございます。したがって、いま私たちが考えておることは、まず最初の五カ年計画を進めていきたい。十カ年計画はいつできるか知りませんが、それが確定すればそれはその段階において下期のほうを直していく。十カ年計画ができればどうしても調節をとっていかなければなりませんが、そういうことをしても、早く進めるためには予算は早めに前のものを組んでおきますから、全体計画がきまったら調節をとっていきます。  基地の問題でございまするが、基地の問題は私が申し上げる立場でもございませんが、もちろん建設省といたしましても早めに基地の返ることを熱望しております。しかしながら、現実の問題はやはりそれが非常に支障になっておる。道路をつくるにしても、都市計画をするにしても、何をするにしても支障になっていることは、先生も十分御案内のところでございまするから、したがって、一時的にはやはり腰だめでそういうことを——この基地は絶対返してもらいたい、またその時期においてはこうするというような腰だめで仕事をしていかなければならぬところが、現実にたくさんあるわけでございます。そういうことを勘案しつついまの段階ではひとつやっていかなければならぬ、かように思っておるわけでございます。
  180. 上原康助

    上原分科員 大体基本的なお考え方についてわかったわけですが、そこで具体的な問題に入りまして、いわゆる本土との格差を是正していくという場合にとらえ方がいろいろあろうかと思うのですが、当面最も重点的に格差を埋めていかなければいけないような事業なり計画なりはどういうことなのか。特に復帰事業との関係においてもいろいろあろうかと思うのです。そういう面でもし建設省の構想なりまとまったお考えがあれば、お聞かせをいただきたいと思います。
  181. 西村英一

    西村国務大臣 建設省の仕事では河川、道路、住宅、下水道、都市計画、営繕、そういうような仕事を持っております。これは先生はどう思いますか知りませんし、私も事情がよくわかりませんが、私が思いまするのに、やはり住宅を先にやっていきたい、やはり住宅は非常に——いい住宅は、これは駐留軍の建物ばかりあって、一般の方々はまことに町の中のある部分はいいけれども、裏に回ってみればたいへんスラム街みたいになっておるというのですから、住宅を先にやっていったらどうか、また数もふやしたらどうか、その他たいへん急がなければならぬことがございます。その次に、海洋博が迫っておりまするから、海洋博でもって一番大事な問題は交通問題でございます。建設省といたしましては一般的に住宅を急ぎたい。第二番目には海洋博のために道路交通の整備を急ぎたい。  全体的に見ると、道路交通は内地よりはおくれておりまするが、さほどではございませんが、やはり海洋博を控えておる関係上、絶対に道路のほうは日にちがかかります。時間がかかります。用地を買収しなければならない、時間がかかりますから、その辺に力を注ぎたい。二つの問題をあげておきたいのであります。
  182. 上原康助

    上原分科員 いま大臣御指摘のように、沖繩の住宅環境というのは本土に比べて非常におくれをとっております。もちろん本土においても、六十都市あるいは各都市等も住宅問題は非常に重要な課題でございますが、一例申し上げて、住宅一戸当たりの平均面積というのが、本土が七十四平方メートル、那覇市の例をとって四十二・三四平方メートル、そういう倍近い格差というものが出ております。したがって、住宅政策、特に庶民を対象にした公営住宅施策というものは、国のほうで早急に進めていただきたい重要な課題でございますので、いま大臣御答弁がございましたような方向で、復帰後すみやかにこの住宅問題が推進できるように、特段の配慮を賜わりたいと思います。  それと、道路問題でございますが、確かに米軍基地につながっている関係の道路というものは、舗装なり整備というものが多面上はやられているような状況でございます。しかし、ここで道路問題、新しい縦断道路を建設することとあわせて、この道路問題でひとつ意見を申し上げたいことは、沖繩へ行かれた方はすぐお感じになると思うのですが、重要な道路にほとんど歩道がないということですね。まさしく軍事優先政策の象徴だと私は思うのです。したがって、復帰後、もちろん国道に移管される面、それもお聞かせ願いたいわけですが、県道に指定される面あるいは市町村道になるような面、いろいろあると思うのですが、まず主要道路に対して早急に歩道をつくるということ、これは人命尊重の意味からもあるいは児童を交通事故から守る、一般市民を守るという面からも、私は緊急な課題だと見ているわけです。こういう面については何か御計画等がおありになるのか、聞かしていただたいと思います。
  183. 西村英一

    西村国務大臣 まさにそのとおりでございまして、私は一般的に道路と言いましたが、道路のうちで一番おくれておるのは交通安全施設でございます。したがいまして、それとともに、メーンライン、軍道でございますから舗装もできておるし、ある程度の規模は持っておりますが、これは国道及び県道あたりについては交通安全施設を十分やりたい。これが一つもありません。照明施設もなければ、歩道橋もない、ほんとうに車だけが突っ走るのだというような施設でやっておるのでございます。したがいまして、沖繩の交通事故を調べましたが、内地では児童の事故数は三五%くらいですが、沖繩は何と五〇%くらいは子供の事故だと私は覚えております。そのように安全施設が足りませんから、道路としても安全施設を第一に考える。その次には、市町村道が非常に悪い。こういう考えを私は持っておる次第でございます。あなたがその点は非常に詳しいのですから、もし君の考えは間違っておるよというのだったら、ひとつ御教示を願いたいのですが、安全施設を急ぎたい、かように思っている次第でございます。
  184. 上原康助

    上原分科員 私が御要望申し上げたい点あるいは指摘をしたかった点等が大臣の御答弁の中で出てきておりますので、意見の一致といいますか、前向きの御回答があって、ぜひそれが実るように復帰後すみやかに対策を立てていただきたいと思うのです。特に歩道の問題等につきましては、一号線を見ても全然歩道がない、陸橋もない、さらには街路樹というのがほとんどないわけですね。この問題は公園、緑化地帯の問題とも関連いたしますが、沖繩の島全体が何か殺伐とした環境しかいまないわけなんです。そういう面で、やはり総合的な開発という中で位置づける面で、建設省だけの御計画では進まない面もあろうかと思うのですが、何といっても環境整備あるいは道路の安全整備等を含めて、基地の町というイメージというのを、人間が住むにふさわしい環境づくりというものを復帰ということによって実現をすべきだと私は思うのです。そういう面で、ここで私が申し上げている点等を、基地との関係で将来実際計画を進める上ではたいへん困難な面もいろいろあると思うのですが、従来の、アメリカがただやりたいほうだいな政策を進めたというようなことに終止符を打って、基地の返還というものを含めてぜひ総合的な道路の整備あるいは開発等というものを積極的に進めていただきたいということを強く申し上げておきたいと思うのです。  それといま一つ、沖繩の復帰後の経済開発、いろんな面との関連におきまして、先ほどもお話がございましたが、水資源開発というのは非常に重要な課題であるわけです。特に昨年は、長い間の干ばつ等もあって、基幹産業そのものが大きな減反、減収をやった。さらに飲料水にさえこと欠く状況でございます。先ほど住宅問題や海洋博等との関連において道路整備というものを当面重点的にやっていただくということでしたが、長期の開発あるいはまた短期的な面から考えても、河川、ダム工事の推進というものはやはり急がなければいけない沖繩にとっての、もちろん本土もそうでしょうが、重要な課題でございますので、こういうこと等について、福地ダムの資産の引き継ぎ等の関連においても、いろいろ御計画はあろうかと思うのでありますのでお聞かせをいただきたいと思います。
  185. 西村英一

    西村国務大臣 詳しいことは政府委員から説明をさせてもいいのですが、福地ダムは引き継ぎの時点でどのくらいできておるか、ちょっとその後の進捗状況はわかっておりませんが、少なくとも引き継ぎましたら急速にこれをひとつ仕上げたいということを思っております。  それからもう一つは、新しい、それより北部にあります安波川その他の三河川につきましては調査を一ぺんにやりたい、調査は、非常にいままで河川の問題は日にちがかかりますから、着手はともかくとして調査は一ぺんにやりたいという心がまえをいたしておる次第でございます。水問題は、上原さんも御案内のとおり、本島は開発すれば十分水の量はあります。ただ、問題は離島でございます。離島もあるところとないところがあるのです。建設省といたしましても、私はつとにそういうことを考えましたから、離島にも行かしております。したがいまして、復帰時点になりますれば、離島でもダムができるところはダムをつくって水をたくわえる。絶対にダムができないようなところ、それは一体どうするか、こういう問題が一つ残ります。しかし、絶対にダムができないようなところはやっぱりこれはため池をつくって水をたくわえる。雨が降らないわけじゃないんですから、やはりため池をつくって水をたくわえなければどうにもならぬという気がいたしておる次第でございまするが、ひとつ水資源も重要な問題でございます。したがいまして、これらも急速にひとつ進めたい。ことに砂防とかあるいは河川の改修とかいうものが原始河川そのものでございます。それがないと非常に違うところでございますので、この点を十分気をつけたい、かように思っておる次第でございます。
  186. 上原康助

    上原分科員 このダムの問題あるいは河川の施設設備の補修、充実等の関連において、将来のことにもなるかと思うのですが、産業用水の不足というのが沖繩の致命的な欠陥だ、工業誘致をするにしても。そういう面で、塩水の淡水化計画ということも将来どうしても国の施策によってやっていかなければいかないことだ、経済的な専門家の方々も御指摘をしておられると思うわけです。そういう面についてもぜひお考え願っていただきたいし、また政府としてもそういうような意見なり指摘について、どういうお考えを現段階でお持ちなのかお聞かせいただきたいと思います。
  187. 西村英一

    西村国務大臣 海水から塩を取れば水になるし、水を取れば塩になるんですけれども、これは簡単にぺイラインに乗りません。そういう海水の淡水化というのはこれは原子力でも使ってそれ身非常に大量にやればペイラインに乗りますけれども、普通の熱量を使って海水から水を取ろうということは、私はペイラインに乗るのは、絶対にできないとは言いませんが、相当これは先のことでございます。したがいまして、沖繩でそういうようなことをやろうということは、これは私は不可能だと思います。しかし、沖繩本島に限っては、産業がどれだけ進出するか私は知りませんけれども、産業をまかなうくらいの水は十分できると思う。またそれ以上の水による産業をあそこに誘致すべきじゃないと私は思うのです。したがって水の量から考えましても、やはり限度がありますし、土地の問題から考えても限度があります、公害の問題から考えても産業の限度がありますから、あの水を開発すれば、産業が沖繩に少々興っても、国民の用水、飲料水に困るようなことはない、私はかように思っておりまするが、淡水化の問題については、私はちょっと消極的でございます。
  188. 上原康助

    上原分科員 私もずぶのしろうとでございまして、そういう御指摘等もあるので、一応現段階においての御所見を賜わっておきたいということでございますが、いずれにいたしましても、いま大臣御指摘のように、産業用水の確保ということを当面解決をしていかないと、企業誘致なり産業開発が非常に困難だという指摘が多分にございますので、淡水化しないでもそれに見合う用水の確保ということは、やはりダム工事なり、その他の水資源開発によってできるかと思いますので、積極的にその点をお進めいただきたいと思います。  そこで、時間が参りますので……。大臣もいま公害の問題を一言触れましたが、私は海洋博の開催につきましては基本的に反対をするものではございません。現地において経済開発なり、あるいは雇用の問題等と関連して、歓迎をする意見もいろいろあるわけですが、七五年の海洋博開催というものを、ただ単に、復帰記念事業というような形、あるいは突貫工事等によって沖繩の自然の破壊とか、あるいは公害等につながる形でもたらされてはならないと思うのです。特に先ほど御指摘がありましたように、道路整備ということを海洋博との関連考えるにいたしましても、自然環境保護ということも十分配慮をした上でやっていただきたいし、また、道路というのは——御専門でございますから——一たんつくればそう簡単につくり直すとかいうようなことは、特に面積が狭隘でございますからできないと思うのです。そういう面で十分な配慮というものをやっていただきたいということ、通産省との関係もあると思うのですが、さらに海洋博の開催そのものは、あと利用というものを十分考えて、沖繩経済の将来の海洋博関係につながってのいわゆる学術研究なり経済開発地域の自然保護、そういうものと一体的な形でなされるようにぜひ御配慮を賜わりたいと思いますし、そういう意味で、いま縦貫道路なり高速道路の計画等もありますが、私が申し上げた点等についてもし御意見がありましたら賜わっておきたいし、ぜひ十分なる御配慮というものをやった上でこの問題は関係省庁とお進めになっていただきたいという強い要望を申し上げておきたいと思うのです。
  189. 西村英一

    西村国務大臣 海洋博のために——まだ海洋博のテーマもきまっておりませんし、政府間の問題もきまっておりませんし、これからいろいろきまるのですが、とにかく開催地の本部町ということはきまりましたから、それによって道路の問題も一応はこうしたらよかろうという案ができるわけでございます。希望はいろいろ言うてきておりますが、これはもう二年そこそこでは、なかなか日にちがございませんから、私は先般建設省の方を一体どうすべきか、間に合わないものは間に合わない、間に合うものは考えようということでひとつきめようじゃないか、そうせぬと、あっちにも意見が出てくる、ああすればいいだろう、こうすればいいだろう、非常にたくさんの希望が出るわけでございます。いつまでたってもきまらぬじゃ困るということで、建設省中心建設省試案をつくって、そうしてひとつ進めたい。実は復帰しても、あと何だかんだといって、新しいところをやるにしても、地籍はわからぬわ、所有者はわからぬわというようなことで、なかなかいろいろ問題がございますが、とにかく一番急ぐのは海洋博のためには宿舎で、これは宿舎等も外国の方々が相当に入りますから、どうするかというようなことを考えてやらなければならぬと思います。せっかくいま検討中でございますので、またそのおりにはいろいろ御教示を願わなければならぬことが多々あろうと思います。そういう気持ちで一生懸命いま検討中でございます。
  190. 上原康助

    上原分科員 あと一点だけ簡単にお伺いいたします。
  191. 松浦周太郎

    松浦主査 時間ですから結論に入ってください。
  192. 上原康助

    上原分科員 本土でも土地の騰貴、地価の値上がりというものは非常に問題になっておりますが、特に沖繩の場合、復帰事業との関連あるいはいまおっしゃった海洋博開催等々の問題で相当地価が値上がりをする。いろいろな本土関係の企業なり関係筋がでたらめに地価を上げている傾向にあります。これは個人売買とか琉政の立場での抑制ということに当面はなろうかと思うのですが、政府としても、先取りをされた形で政府の支出がかさむような形であってはいかないと思うのです。これらについても、ぜひ特段の御配慮を現段階からお考えになっていただきたいという要望を申し上げて、質問を終わりたいと思います。
  193. 松浦周太郎

    松浦主査 これにて上原康助君の質疑は終わりました。  次は、木原実君。
  194. 木原実

    木原分科員 大臣に二つばかりお伺いいたしたいのですが、一つは、よく御存じのように、最近、都市の住宅地にマンション等の高層の建築物が建っておる。そのために、その周辺の住民の人たちの日照なり環境なりが著しく侵害をされる。そういうことから、いろいろな形で住民との間にトラブルが多発しているのは御承知のとおりだと思います。私もたまたまそういうトラブルの幾つかに巻き込まれ、関与をいたしまして、たいへんきびしい思いをいたしました。     〔主査退席、細田主査代理着席〕 この問題についてはたくさんのことが論じられておりまして、原因等につきましてもいろいろと探索される面もあるし、また関係の自治体等におきましても、それなりに、自治体の権限の中であるいはまた都市行政の中で努力はいたしておりますけれども、どう見ましても、こういう形になってきていて、たとえば建築基準法の問題に関連いたしますけれども、日照とか日照権とかいわれる問題について、やはり何らかの措置に踏み切るべきときがきているのではないか。そのときの紛争等に関与して痛感いたしましたことは、少なくとも現行法の、あるいは現行の行政の姿勢の中からでは、侵害を受ける側にほとんど救いがない。結局は、法の不備なまま、あるいは行政の不備なまま、裁判その他の形で、裁判官の最終的な裁定といいますか、配慮にまって、和解ができればまあいいほう、大部分は侵害をされる側が泣き寝入りになる、こういう形があると思います。政策上全般の問題としてとらえる場合には、むずかしい問題がいろいろあるかと思います。私どもとしては、やはり都市の再開発や、あるいは都市行政の立ちおくれといったようなことも指摘をしなくちゃなりませんけれども、しかし、トラブルをまず起こさせない。起こった場合の措置については、行政上のしかるべき態度なり措置なり、あるいは法改正を含む措置なりというものが、もうぎりぎりのところにきているのではないか、こういう思いをいたすわけでございます。したがいまして、建設省としてもいろいろとお考えはあろうかと思うのですけれども、こういう状態の中で、この種の問題について最終的にどのような行政上の措置で対処しようとするのか、大臣のお考えをひとつ示していただきたいと思います。
  195. 西村英一

    西村国務大臣 たいへん大事な問題でございまして、建設省といたしましても、こういうことを踏まえて先般の建築基準法の改正をやりまして、斜線制限をしたり何かしたのですが、なおかつそれで完全に解消するものではございません。したがいまして、私も先般建築審議会の中に小委員会をつくりまして、日照権問題をどうすればいいか、いま諮問しているわけです。秋ごろにはその答申も出ると思います。なお私は、その答申が出るのを待たずに、中間的にもひとつ専門の方々からいろいろ意見を聞いて、私の所見も申し上げたいと思いまするが、たいへん重大な問題でございます。しかし、いまどうすべきかということについて結論を申し上げるわけにはいきませんが、大きく言えば市街地の再開発のやり方を考えなければならぬというようなことでございますし、非常にむずかしい問題でございます。やはりトラブルが起こった場合は、多少の金をもらって泣き寝入りということが大部分の解決になっておるのではないのか、かように思うのですが、それではいけない。もっと国民に日光を当てるべきだという考えは十分持っておりまするが、いまここでこうするのだということを申し上げる段階にまだ来ておりませんので、御了承を願いたいと思います。
  196. 木原実

    木原分科員 大臣は、いわばしろうとではございませんので、いろいろなことを御勘案だとは思います。しかし、もういまとなっては、いろいろなことは言えますけれども、行政の怠慢のそしりは免れないと思うのです。特に都市開発の立ちおくれの問題なり再検討の問題なりという大きな問題があります。しかも現実の状態を見てみますと、営利を目的にして高層のマンション等を建てる。そうしてその環境等は、おおむねそこの住民の人たちが長年日本の住居条件に見合って、一生懸命庭の木を育てたり、環境を誠実に守ってきた。ところが、そこがいいということである日突如として高層が建つ。これでは被害を受ける側にいたしましては、一体どうしてくれるのだということが出てくるのはある意味では当然だと思うのです。とれが他のいろいろな理由のある建築物ということでございましたら、これは説得のしようもありますし、住民側でも理解をしてくれる面があると思うのですけれども、おおむねマンションです。しかも、そのマンション等の建築につきましては、これは御承知のようにいろいろな大きな企業が施主になりまして下請にやらせているとか、その建築の企業の形態もさまざまですね。何かテレビ会社が子会社をつくってやらせたり、生命保険会社が子会社をつくってやらせたり、私のところなんかもそういうケースがあるわけです。そうして資力にものを言わせて、ともかく狭い一角の中に大きな建物を建てるというケースが多いわけです。ですから住民のほうの立場からしますと、これは怒り心頭に発する。しかも、それに対して行政の救いがない、これが問題だと思うのです。ですから、いろいろと結論を急いでという御発言もございましたし、中間的にも何かというお話もございましたけれども、もうしかし手おくれの段階だと思うのです。  ただ、ここで一つお伺いをしておきたいのですが、たとえば日照権というような問題につきましては、専門家の中でいろいろと議論があるやに私どもも伺っております。ただ御承知のように、日本の場合には欧米等と違いまして、やはり南があいて日が照ってくるということで大体われわれのうちは昔から建てられてきておる、幾ら都市化が進みましてもそういう生活条件というのは生きておりまして、いきなり南をふさがれましたら、それ自体が住居条件を大きく侵害をしてしまう、明らかに権利の侵害だと思うのですね。だから、日照権という権利の問題について、法律の専門家の中にむずかしい議論があるにいたしましても、現実の生活の中では明らかに湿度が高い、それから南をあけるということが、生活としましても、あるいは健康保持の立場からいたしましても、ともかく日常生活の中で一つの欠かせない条件になってきている、そういう社会的な慣習というようなものを前提に置きますと、やはり独自に、日照権の設定のしかた等についてはいろんな問題があろうかと思いますけれども、しかし、そういう日照がわれわれの日常生活には欠くことができないものだ、そういう前提で日照というものにウエートを置いて何か考える、こういう考え方は行政の上で考えられないものでしょうか、いかがでしょう。
  197. 沢田光英

    ○沢田説明員 おっしゃいますように日照権の問題は、権利があるかないかという話は別といたしまして、結局南北隣合わせました所有者がお互いに家を建てる、そのときに南側の家の人が高い建物を建てる、これがたまたま基準法に合致しております場合に多いわけでございます。これが違法建築で出てきた場合には当然処分されるわけでございますが、適法でできた場合には、やはり私権に基づいてそういうものを建てておるということになります。その結果北側の家に影が落ちる、そして問題が起きてくる。ここが問題で、やはり相隣関係ということになってまいりまして、それを取り巻きます地域の状況あるいは土地利用の形態、場所、そういうことによりましておのおの様態が違うと思うわけでございます。特に住居専用地域などではそういうことは比較的起こらないわけでございますが、混合地域についてそういうことが起こりがちで、そういうときに、民事でございますから裁判でそういうふうなもの一件一件についていろいろと検討するわけでございます。いままでの例によりましても一、二そういうものは認められまして、要するに片方からいいますれば権利の乱用、不法行為だというふうなことで損害賠償の認められていることはございます。しかしまた、そうかといいまして、北側のほうの権利者が、土地所有者が、南側の権利を当然に制限するんだということにもまだなっていないわけでございます。  そういうことで、きわめてむずかしい話でございまして、そういうものは個々のケースにゆだねて、積み上げがある程度できたところで一つルールができてくる、かような方向にいかざるを得ないんじゃないか、そういうふうなことでございますが、先ほど大臣から御説明ありましたように、こういうことが起こってまいりましたので基準法を改正いたしまして、とにかく用途を純化する必要がある、とにかく低い建物を建てるべきところは第一種住居専用地域といたしまして十メートルで押えて北側に斜線制限を設ける。アパートのようなものを建てる場合には第二種住専としてそういうところをきめる、まざるところはまざるところにする、特に一種住専のようなところは低いですから日照を確保しなければ、環境を確保しなければならない、そういうような配慮をしてやったわけでございます。  しかし、これが都市計画によりまして土地利用計画として決定をいたしますのは、四十八年中に決定するということでございまして、先生のおっしゃるように、いま起こっている問題についてそれがすぐきくかというと、ややおくれておるという感じでございますが、こういうものがやられますればかなり紛争の問題は減ってくるんじゃないか。しかし、それにいたしましても相隣関係でございますから問題が起きてくるかもしれない、起きてくるときに、それをどういうふうに処理するかというふうな処理のしかた、受けとめ方、これは建築サイドだけでないのかもしれませんが、私どものほうは建築サイドでも受けとめようじゃないかということで、大臣の御発言のように諮問をいたしておりまして、どういうかっこうで受けとめ、どういう性格でその問題を扱っていくかということを重点に審議会に諮問をして、中間答申でも得られれば何とかいろいろ手を打っていきたい、かように考えておる次第でございます。
  198. 木原実

    木原分科員 あなたのいまおっしゃいました前の段階一つ問題があると思うのです。相隣関係で、私人間のあれにまかしておりまして、しかも法的には非常に不備な面が多いものですから、結局個々のケースで裁判官のいろいろな裁定にゆだねているというんですね。ですから、これはいろいろな紛争当事者の深刻な状態からしますと、それだけではおっしゃるようにどうにもならぬところへきているわけなんです。その面で、ともかく行政面で——後段おっしゃいましたような措置は私どもも支持したいと思いますけれども、長い過渡期があると思います。ですから私が伺いたいのは、明らかに適法建築の場合に問題が起こっている、それぞれ当事者は苦労をしている、それに対して行政上の救いがほとんどないような姿がある、これではいかぬと思いますから、考え方を聞きたいわけですけれども、やはり日照を尊重していくんだ——照権の設定ということについては確かに議論があると思います。しかし、やはりいろんな意味で環境権といいますか、あるいは日照権を尊重していく、まずこういう腹がまえの問題だと思うんですね。行政の面でそういうものがもう一歩強く押し出されれば、——ども見まして、いいかげんなマンションも建っているわけです。ある意味では建てるほうはなかなか専門家なそろえておりますから、いろんな準備もしております。しかし一般の市民の人たちは、ともかくそういう目にあうということは生涯いままでに一度もなかったわけです。抜き打ちにやられるわけですから、あわてふためいて、結局しようがないから住民運動だとか何だとかいうことでトラブルになっている、こういうケースですから、諮問をなさっているということで、きちんとした結論が出て対処をしたいということなんですけれども、しかし、それはそれとしまして、行政の上で日照とか環境とかは、少なくともある部分については基本的に尊重していくんだ、こういう腹がまえで臨んだらいかがでしょう。
  199. 沢田光英

    ○沢田説明員 私が建築基準法の改正の話をちょっとしたわけでございますが、精神は、やはり住居専用地域でしかも低層のようなところ、環境を保持しなければならないところ、そういうところは日照、環境、プライバシー、こういうものを十分尊重していくというたてまえでございます。すなわち、その条件に応じて尊重すべきところは十分に尊重していく、商業地域のようなところでそれを尊重するかどうか、これはだいぶ程度が落ちるし、あるいは尊重しなくていいのかもしれないというふうなことで問題に対処しておりまして、そういうことで、私ども考え方は、基本的にはやはり住居に対しては日照は大事である、したがって、住居の専用地域についてはこれは基本的に大事なことであるというふうな腹がまえでやっております。
  200. 木原実

    木原分科員 同じく、今度は別の場合なんですけれども、たとえば鉄道が最近都市の中に引かれる場合があります。御案内のようにたいへん高架の鉄道が通ってくる。そうしますと、従来とはまた違った様相がその周辺にあらわれるわけです。日照の問題もその中に含まれます。個々に起こります、たとえばそれを建てるためにボーリングをやりまして被害を与えた等については、これは補償の問題がすぐ成立するわけですけれども、今度はそういうものができますと、たとえば国鉄等におきましては、これは明らかに公共の建造物だから、日照についてはつほとんど賠償あるいは補償の対象の外に置かれているというようなことで、かなり強引にまかり通っているわけです。そういう側面にまで、やはりきちんとした、日照を尊重していくんだという前提で措置をしていく、あるいはまた将来答申等が出た場合には、規定をされた部分については日照権を設定して住民の生活なり環境なりを守っていく、こういう腹がまえの問題はいかがでしょう。
  201. 沢田光英

    ○沢田説明員 鉄道の施設とかそのほかは、ちょっと私どものほうの所管でございませんので、直接お答えできないかもしれません。しかし問題は、都市土地利用の問題だというふうに感じております。そこでいい都市計画ができ、いい土地利用ができる、その土地利用もちゃんと占有化されましたようなものができれば、そういうものがうまいかっこうになるのじゃないかというふうに考えております。それから審議会あたりで審議されますのは、何も建築に限らず、おそらく広範に触れてくるかもしれません。したがいまして、そういう中でもし触れられましたら、その結果につきましては公にしまして、資料を供したいというふうに感じております。  それから日照権の問題は、権利として云々の話はちょっといまの段階では私もお答えしかねるわけでございまして、日照権というものは外国におきましても先例があまりない。採光権のようなものまでがとまりであり、日本において事情が違うとしても、そういうものがはたしてどういう状態で認められるのか、こういうふうな問題も当然審議会の話題になることでございまして、私ここでお答えする資料をちょっと持っていないわけでございます。
  202. 木原実

    木原分科員 その辺がいつも最後まで残る問題でございまして、こういう形で侵害を受ける、あるいは環境の著しい変化をこうむって被害を受ける立場に立ちますと、その辺が一番歯がゆいところなんです。それですから結局は自治体が奔走して苦労したりあるいは裁判になりまして、和解の線か何かで泣き寝入りということになるわけです。ですからここまできますと、少なくともこれからの都市開発の問題なり、いま御指摘のありました法改正によりまして地域の指定を行なうというようなことについて、かりにこの部分は住居の地域だ、こういうふうに指定されたところについてはやはり日照の問題を尊重する。やはりそれに付随をするような部分についてはきちっと日照権というものを設定でもしておきませんと、これはいろいろな法の盲点等も出てくるような感じもいたします。それでお伺いをするわけですが、答えにくいということですが、しかし日照権というのは、くどいようですけれども法律的にはいろんな問題があるようですが、日本の特殊条件等を踏まえて、かりに限定された形でも日照権というようなものを設定されることは非常にむずかしいことですか。どうですか。
  203. 沢田光英

    ○沢田説明員 日照権という権利を設定するとかしないという話は私どもの言い切ることのできない権限の問題だと思います。これは民法上の問題になろうかと思いまして、私どもは建築規制の問題で日照をいかに尊重していくか、こういうふうなことでやっておりますので、そういう権限は私どもにないと思います。
  204. 木原実

    木原分科員 時間がありませんので、もう一つ別のことをお伺いしたいのですけれども、道路局長さんいらっしゃいましたら、道路の問題です。  一つは、具体的に申し上げたいと思うのですが、東京の外環状線というのがいま計画されておりまして、これをめぐりましてこれまたいろんなトラブルがあるのです。一般的な問題ですけれども、高速等の道路をつくります場合に、これまた住民との間に著しいトラブルが随所に起こっている、こういうケースなんです。この外環状線につきましてはいろいろとまた私ども関係者等と建設省に参りまして話し合いを持ちましたが、ただ一番問題なのは、大臣、道路の計画決定して示される、そのときにはもう路線変更も何もできない形で、決定をしました、御協力を願いたいという形で持ってくるわけです。そうしますと、自治体もあるいは用地等の買収の対象になる関係者も、そこで初めてその話を聞くような形になって、それでこれはたいへんだということになる。そしていろいろと困るということで陳情等をいたしますと、いやそれはもう決定をして、とても計画変更、路線変更という余地はありません、補償等のことについてはできるだけ相談に乗りますからという形で、言ってみれば、住民側にとっては押しつけなんですね。しかもいまの道路は車優先のような道路で、当該地域の住民にとっては騒音と排気ガスの被害こそ残れ、あまり利用の価値がないというような形のものなんです。この問題は私もいろいろ立ち会いまして、これまたやはり道路行政というものはあるわけなんですけれども、住民の人たちとの調和をはかる上において、これはまたはなはだしく押しつけというケースが多いのです。ですから非常に深刻なトラブルになります。そういうことなんですが、何かいままでの行政上の手続を変更をして、そういう道路をつくる場合には、少なくとも自治体なり住民なりのあらかじめの了解をとる等の措置をとっていく、こういうふうなことができないものでしょうか。どうですか。
  205. 西村英一

    西村国務大臣 そういうような大事な道路のときは、少なくとも自治体の、地方公共団体の組織にはあらかじめやはり連絡をとっておると思います。住民一人一人にというわけにはいかぬでしょうが、そういうような重要な道路のときは、地方自治体には一応説明はしておろうと思います。しかし市街地でそういうような規模の道路が通るときは、どこもそれを歓迎するところがないので、建設するほうも相当な苦労をして路線の選定をしておるので、市民には全然知らせない、公共団体の長にも知らせぬ、ただ筋を引くというようなやり方は私はやっていないと思います。思いますが、市街地の場合はいずれにいたしましても相当な密集地帯でございますから、トラブルがあると私は思います。しかしなお、そういうような道路の設定の前にいろいろ住民の了解を得るということに欠けておるところがあれば、施行者のほうで十分注意をするというふうに、これは行政指導を十分しなければならぬ、かように思っております。
  206. 木原実

    木原分科員 時間がありませんので申し上げませんけれども、事前の了解といいますか、ディスカッションといいますか、これははなはだしく乏しいのです。具体的な事例をたくさんあげてもよろしいのですけれども、そういうケースが多いわけです。私がいま名前をあげました外環状線の場合なんかも、千葉県の市川市を通る場合なんかは、ともかくこの計画の中に、学校、幼稚園等を含めまして十一校ばかりがわずかな距離の中に入る。一番過密な住宅地帯の中を通っている。こういうことで、関係の住民の人たちの疑問と怒りがおさまらないわけなんです。特に学校等は非常に過密な地帯なものでございますから、ほかのものは代替地をもらってよそへ行くことができますけれども、学校なんというものは地域の中にあるような仕組みになっておりますから、どこか遠方へ持っていくというわけにはいきません。そうしますと、これは何でわざわざこの辺をよって通るのだ、こういう声があるわけなんです。言うまでもなく、関係の住民の人たちは自分の目の前のことが一番大事でございますから、それなら少し路線を変えてくれれば何とかなるのじゃないかという感情をそこに住んでいる者は持つわけです。しかしそれがなかなか路線の変更はあり得ない。まずできません。しかし道路の利用等については、できるだけひとつ公害がないような処置をしましょうという御回答をわれわれはもらっているのです。しかしそれだけでは住民諸君は納得をしない、そういう形があります。環状線の問題についてはどうですか。
  207. 高橋国一郎

    高橋(国)政府委員 ただいま御指摘の東京外郭環状線につきましては、東京湾岸道路とともに、東京に集中します交通を最も効果的に分散することを主目的といたしまして計画した道路でございまして、これはすでに御承知と思いますが、昭和四十四年の五月に基本の幅員は四十メートルということで都市計画決定しております。したがいまして、先ほど御指摘ございましたように、全く住民の意思を無視しておるというわけではございませんで、実は四十四年五月に都市計画決定する前に、数年間にわたって各種の調査をいたしまして、このルートにつきまして一応県、市の意見を聞いた上都市計画決定をしていただいたわけでございます。これは審議会の議を経てきまったわけでございます。そういう意味におきましては、全く無視したというわけにはまいらぬと思います。ただ、御承知のようにこれは旧都市計画法に基づいておりますので、住民の意見を十分には聞いておりません。そういう面において御指摘があろうかと思います。いずれにいたしましても、ただいま決定いたしました道路はできるだけ公害の少ない、地元の方々に御納得のいくような構造にしまして、何とかつくらしていただきたいというふうにわれわれは考えておるわけでございます。  なお、ついでに申し上げますと、ただいまわれわれが大都市周辺ないしは地方の都市でも同様でございますけれども都市の周辺におきます大規模な道路、四車線以上の道路をつくる場合には必ず都市計画決定をいたしまして、地域住民の意見を入れて都市計画決定をしたあと工事に着手するというような手段をとっておりますので、住民の皆さんの意見を十分に考慮していくことになろうかと思います。
  208. 木原実

    木原分科員 では、終わります。あらためてまた伺いまして御相談をいたします。
  209. 細田吉藏

    細田主査代理 次に、松本忠助君。
  210. 松本忠助

    松本(忠)分科員 博学の大臣は十分御承知のことと思うのでありますけれども、たいへん古い話でおそれ入りますが、私、子供のころに、明治四十三年の大洪水の話を祖父から聞いたことがあります。東京の下町が泥水で埋まってしまったという大被害の話でございますが、このことがございましてから、荒川の水を処理するための荒川放水路が設けられた。     〔細田主査代理退席、主査着席〕 東京都北区岩渕町に岩渕水門が設けられまして、増水時におきますところの流水の調整をはかることになった、このように聞いております。  私の調査によりますと、大正五年にこの岩渕水門は着工しまして、大正十三年に完成したということでございますが、もうすでに五十年の歳月を経過しておりまして、非常に老朽化し、たいへん亀裂が入っているわけでございます。この岩渕水門は、春先になりますと北区の区民のいこいの場所になります。小公園もありまして、桜の花も咲き、行楽の場所とされております。私も何回か行ったことがございますが、実はきょうこの質問をいたしますにつきまして、けさ方、午前八時ごろ現場へ行って、その状態を見てまいったわけでございます。と申しますのは、私がかつてこの岩渕水門を、二、三年前でございますが、見ましたときに、だいぶん亀裂ができておりました。心配をいたしておりましたが、その後手当てをされているのかどうか、修復されているかどうかということをこの目で確認をしてまいったわけでございます。  大臣も御承知のことかと思いますけれども、この岩渕水門は、昭和三十六年に水門のとびらの巻き上げ装置を改善いたしまして、さらに三十六年にはとびらの開閉が遠隔操作できるように改良されて、非常によくなってはいるわけでございますけれども、御承知のように、この付近一帯がいわゆる浦和水脈の地下水くみ上げによりまして不等沈下を起こしているわけであります。現在ございます岩渕水門の対岸に熊野神社というのがございます。この神社の前のところでこの沈下の測定をいたしましたところ、年間に百六十七ミリ沈下するという記録をとっているわけでございます。この不等沈下によるものと思いますけれども、岩渕水門の基礎のところで大きく縦に裂けておるわけでございます。亀裂の幅は三十センチから四十センチぐらいに及んでいるわけでございますが、しろうとの私が見ましても危険きわまりない。専門家の方々の御意見によりますと危険性はないという話でございますけれども、私どもが見ますとどうも非常に危険だと思うわけです。けさも見てまいりましたけれども、亀裂の個所に上から鉄板でふたをしてございます。外から見える部分は木片でカバーされている。また外側のほう、要するに水に接するほうの側はゴムでカバーがしてございます。こういうこそくな状態のまま放置されている、この現状を私確認して見てまいったわけでございます。  要するに、水門の中央部の両橋げた、橋げたと申しますか、東京側と埼玉側の水門の基礎になっているところでしょうか、そこが大きく割れているわけですね。特に東京側のほうが亀裂がひどいのです。ちょうど水門の上が前は人が通れましたけれども、いまは危険であるので通っておりません。要するに、東京側の道路の亀裂の上部に幅約一メートルの鉄板がかぶせてあるわけでございます。上流側のほうの水門の上、これが五十センチ、下のほうの水に接しているほうが二十五センチぐらい亀裂しております。東京のほうの下流側はどうかといいますと、上部が五十センチ、下部が三十センチぐらいの亀裂、一方の埼玉県の側のほうですと、道路の上のほうは幅三十センチぐらい亀裂がありまして、そこへ六十センチぐらいの鉄板がかけてあるわけですね。上流のほうの側が上下ともに十五センチぐらい、下流のほうも同じく十五センチぐらいの亀裂です。埼玉側のほうが東京側よりも亀裂が少ない。こういうふうに言えるわけでございます。  それに加えまして、水門の上はずっと石畳になっているわけでございますけれども、先ほども申し上げましたように、車両の通行は危険だということで、いまは歩行者のみ、こういうことになっているわけであります。車両を通さないということも、建設省のほうでも危険を考えての上の処置だろうと思うわけでございます。かつて、この付近に水門自治会というのがございますが、そこで毎年水門祭りというのをやっていたわけです。これも危険を予想されたのか、昭和三十九年から祭りをやめてもらいたいというふうなお話がございまして、それ以後水門祭りも中止されて今日に及んでいるわけでございます。  大臣所管されておるところの建設省の河川局の荒川下流工事事務所でも十分このことは御承知のことと思うわけでございますけれども、非常に危険でございますので、私どもとしましてもこのことをたびたび指摘しております。特に北区の区議会でも三十九年九月にわが公明党の原田という議員がこのことについて区長に注意を促しております。都民の生命財産を守るためにもこの補修を一刻も早くやれ、このことを強く建設大臣要望しろということをやっておるわけでございます。その結果といたしまして、北区長から建設大臣のほうにも水門の修復についての申し入れがあったわけでございますけれども、私、見ますのに、一向にどうも補修されたような模様が見えないわけでございます。  御承知のように、この水門が決壊をいたしますと、東京の下町は大洪水になるおそれがございます。最近荒川の護岸はかさ上げ工事を行なっておりますけれども、新荒川大橋の下流、特に東京側はまだ完成もしておりませんし、けさも見てきましたけれども、朝早くから一生懸命工事をやっておりました。したがいまして、大量の降雨等がありました場合には、またさらに上げ潮どきなどになりますと、危険が一そう多くなるのではなかろうか。この水門も、先ほども申し上げましたように五十年の歳月をけみしておりますし、老朽化しておりますので、一日も早くこの水門を取りかえ、新しいものにするという抜本的な解決策を考えなければならないと私は思うわけでございますが、都民の生命財産を守るためにもぜひとも至急対策を検討していただきたい。この点を特に大臣に強く要望する次第でございます。
  211. 川崎精一

    ○川崎政府委員 ただいま荒川の岩渕水門につきまして、先生ずいぶん古くからの経緯等よく御存じでございますが、お話のとおり現在私どものところではかっておりますのでも、水門の地点で約二メートル三〇ばかり沈下をいたしております。これはケーソン基礎、現在の基礎を設計図面等で調べますと、大体十四、五メートルは入っておるのでございますが、やはり深層のために圧密というようなものがございまして、最近の荒川にかける橋等は大体四十メートルあまりの基礎をやっております。そういった点で、基礎的にも没下がかなり進んだ影響のあおりを受けておるんじゃないか。御指摘のように若干埼玉側に傾斜したような形で沈下をしておるわけでございます。したがって東京寄りのほうは若干口がよけい開いたという形でございます。そのために三十五年あるいは三十九年と、開きましたところにつきましては両サイドのすき間に鉛の板を入れまして、アスファルトで囲んで、さらに中にコンクリートを入れる、こういうようなことで、私どもとすれば当面構造物の安全性、それから取水のときの安全と、それから巻き上げ等の操作をなるべく円滑に、支障のないようにしたいということで修繕等を繰り返しておるわけでございます、何といいましてもやはり抜本的な改造が必要じゃないかというふうに私どもも痛感をいたしております。  たまたま、荒川の右岸に並行して流れております隅田川でございますが、これは上流のほうの地域開発がずいぶん進んできましたので、私どもが当初思っておりますよりは洪水の出方も大きいというようなことで——現在は洪水時には一部荒川の水が隅田川に分離されるような形をとっておりまして、自然に分かれて入っておるわけであります。流量の非常に多いときは制限をしておりますが、なお計画では八百トンあまりが隅田川に合流することになっております。しかし、そんなに水を入れますと隅田川自身がパンクするんじゃないだろうかというような流量的な問題もございますので、現在荒川と隅田川を合わせた流量の改定をする必要があるんじゃないかというようなことで、できれば分離といいますか、維持的な流量は流れますが、洪水は隅田川と荒川と分離する方法で計画する必要があるんじゃないか。そういうようなことで、この構造の問題並びに水をどういうように分流してさばくかというようなことにつきましては、四十七年度から土木研究所に研究費をつけまして、いろいろやはり水のことでございますので詳細な模型実験等もいたしませんと計画も固まらない、こういうことでございますので、そういった水理実験並びに構造物の検討、こういったものに着手をいたしまして、今回の新しい五カ年計画の改定の案が現在上程されておりますけれども、この五カ年計画の改定の機会に、多少事業規模にも余裕ができてきましたので、そういう機会をとらまえまして五カ年の間に何とか着工するようにいたしたいと考えておる次第でございます。
  212. 松本忠助

    松本(忠)分科員 大臣、いまお聞きのように局長から御答弁があったわけでございますが、五カ年間何も起きなければいいですよ、何も起きなければ。いまの状態は非常に危険じゃないかと私思うのです。天災は忘れたころにやってくるといいますが、雨でも大量に降りました場合、ほんとうに安心なのかしら。水門が締まっておりますと、そこへ上流からかなりの水が流れてきましてぶつかりましてごうっと音がしまして、あの付近にいる人はその音だけで非常に恐怖感があるのですね。これはそんなものにたまげていたのじゃしようがないといえばそれまでの話でありますけれども、とにかくその亀裂している状態を知っているだけに、地元の人間は非常な恐怖におびえているわけです。そういうことでございますので、五カ年間には何とか手をつけたい、やりたいとおっしゃっているお答えではございますけれども、どうか大臣のお力でこれは是が非でも今年、あるいは来年度はぜひとも着工していただいて、何とか都民の生命、財産を守るため不安をなくしてもらいたい、こう私思うわけでございますけれども、ひとつ大臣の御所見を伺いたい。
  213. 西村英一

    西村国務大臣 河川局長説明をいたしましたが、この隅田川と荒川との分水計画というものがきまらなければやれないのかどうかですね。それと水門を直すこととはどんな関係にあるのか。水門が悪ければ直したらよさそうな気持ちがするのですけれども、これは私十分まだ確かめないでそういうことを簡単に言うわけにはいきませんが、あなたのいまの御意見は十分よくわかりますので、私もまた役所において十分検討さしていただいて、危険を及ぼさないように——これはかかってもやはり相当に大工事ですから、また日にちもかかると思うものですから、計画をしてみなければならぬものは一日も早く計画を進めるように十分注意をしたい、かように考えております。
  214. 松本忠助

    松本(忠)分科員 大臣の前向きな御答弁でありますので、私も一応了とするわけでございますけれども、とにかくその土木研究所に流量の検査をさせるとか研究をさせるとか、それがきまらぬければなかなか手をつけられないということもわからぬでもありませんけれども、非常に危険な状態大臣に一ぺんぜひ来て見ていただきたいと思うのですね。別に何日も何日もかかる旅行じゃないのですから、東京都内のことですから、川口の手前のことなんですから、おいでになって見ていただけば、このままでほっぽっといていいかどうか、それはもう一目りょう然だと思うんですよ。ぜひともひとつ大臣に現場を視察していただいて、そして対策を至急に命じていただきたい。重ねて私お願いするわけです。いつでも私のほうで御案内いたしますので、どうか一刻も早く現場をごらんになっていただくということが一番肝心じゃないかと思うので、お願いをいたしておく次第でございます。  それからもう一点、岩渕水門に関しましてお尋ぬしたいことは、水門のちょっと上手になりますけれども、新荒川大橋との中間に、河川敷にかなり新しい住宅が建っております。ということは、私二、三年前に参りましたときには、あの河川敷にはいけがきがめぐらしてあって役宅があったというふうに承知しておった。ところがきょう参りましたところが、その手前のほうですね、ずっと新しいへいをめぐらして新しい住宅が十軒建っている。それからもう一軒はコンクリの土台だけ打ってありまして上は建っておりませんが、あそこのところは私ども考えでは河川敷じゃなかったかと思うんですね。先年も私どもで、河川敷に青少年のための野球場をつくっていただきたいということで、このこともお願いしました。御承認を得ましていま使わせてもらっているわけです。ところでその野球場などでも、衛生的な面からやはりお便所を必要としますので、これをつくらしてもらいたいということでお願いしたわけですが、そのときにも河川敷だから施設をすることはまかりならぬ、こういうお話でお便所一つもつくることができなかったわけです。非常に残念でございましたけれども、やむを得ませんので他の方法によっているわけでございますが、ただいま申し上げました役宅のところもどうも河川敷じゃないかと私常識的に思うわけです。お役所のほうではりっぱな家を建てていらっしゃる、われわれが青少年のためにぜひ貸していただきたい、お便所だけですから使わせてもらいたいと言っても、これはまかりならぬ。どうもちょっと解せないわけなのでございますけれども、あの辺の関係は一体どういうことになっているのか、ひとつはっきりおっしゃっていただきたいと思うのです。
  215. 川崎精一

    ○川崎政府委員 ただいまお話しの場所は、荒川の右岸で隅田川の新河岸川の左岸との間の帯のようなところだと思います。これは在来の河川法時代に河川区域になっておりまして、新法に移り変わりましたときに十分に検討をしないでそのまま河川区域になって、昨年までに至ったわけでございます。非常に誤解を招きそうな場所でございまして、一応両岸をそれぞれの堤防で守られておる帯のようなところでございますが、払い下げなり、何なりというような措置をとるほどの利用価値もあまりないというようなことで、在来そのまま河川区域になっておったわけでございます。  実は昨年先生と同じような御指摘がございまして、やはり誤解を招いてはいけないじゃないかというようなことで、昨年の十一月の二日でございますが、これを河川区域からはずという処置をいたしました。それで一部岩渕水門に近いほうにつきましては、これは先ほど申し上げましたあの辺一帯の改造の問題等がございますので、そのまま河川区域として存置してございますけれども、御指摘の帯のような、家が建っておる区間につきましては河川区域からはずしたということでございます。まあそれにしましても誤解を招きやすいところでございますが、ほかにはあまり利用価値も少ない、川にはさまれたようなところでございます。ただ、われわれのほうでも、官舎等なかなか土地の取得がむずかしいというようなこともございまして、現在はここに宿舎が建っておるわけでございますが、区域とすれば、はっきりと河川区域と区別する必要があるのじゃないかというようなことで、先ほど申し上げたような処置をとったわけでございます。
  216. 松本忠助

    松本(忠)分科員 大臣、お聞きのとおりなんですよ。どう見てもおかしいと思うのです。りっぱな家が十軒建っているのですよ。ごく新しいんですね。そういうわけで、そちらさんで去年の十一月二日ですか、河川敷でなくしたとおっしゃればまことにそのとおりかもしれませんけれども、付近の者があの姿を見ておりますと、お役所不信を起こすと思うのですね。私、こういう質問をしておりますので、また御答弁なりを地元にも伝えまして、よく理解さすようにはしたいと思いますけれども、われわれのほうでお願いする子供のためのお便所一つつくらせないでいて、場所は違うかもしれませんけれども、全く河川敷と思われるところにそれができているわけです。今後、こういうえてかってな取り扱いといいますか、これはやはりおやめになるべきじゃないかと私は思うのです。誤解を受ける、非難がある、だからこういうふうにしたのだ、こういう取り扱いはまことに私はいかぬことじゃないかと思います。大臣もぜひ岩渕水門においでになり、ごらんになっていただき、ついでにその官舎といいますか——十軒新しいのが建っております。しかも一軒は、さっき申し上げましたように、コンクリートだけ土台が打ってあるけれどもまだ建ててないわけですが、一年ぐらいたってまた行ってみたらずっとこっちまで建つのじゃないかと私思うのでございますけれども、そういうお役所不信を起こさないようにぜひ取り計らっていただきたいと思います。
  217. 西村英一

    西村国務大臣 私よくわかりませんけれども、河川敷からはずしたといえば、それは国有地になっておるのだから、要らない土地だから売ったらいいと思うのですが、どういうことになっておるのでしょうか、河川敷をはずしたということは。とにかくここであれしておってもしようがありません、私は現地をよく知りませんから。しかしみんなから疑われるようなことをしては、これはあまりよくないと思います。そんなことがどうも多過ぎるのじゃないかと思います。たびたびそんなことを聞きますから、十分注意をいたします。なお、現地を私が見る機会がありましたら、ひとつ十分気をつけたい、かように思っております。
  218. 松本忠助

    松本(忠)分科員 局長も、誤解を受けるような土地だということを先ほども言われておるのござまいすので、どうかお役所のほうで十分調べてみていただきたいと思います。  それでは、あともう一つお願いしたいことは、これは板橋区のほうの中仙道あるいは川越街道、こういったところは都内でも有数な交通量のある一級国道でございます。ここにこのごろ街路樹が全く見えなくなってしまったわけですね。このことについては私三年前にも取り上げて要望してあるのですが、なかなか完成されていませんが、やはり国道筋というものは街路樹がまる裸ではうまくないと思うのですね。この点、自動革の排気ガス等がありますために木の育成が思うようにならないことは承知しておりますが、ひとつ何とか御手配を願いたいと思うわけです。  それから、中仙道の戸田橋のかけかえの問題でありますけれども、現在東北方面から東京へ入ってまいりますのは戸田橋が有数なポイントになっておるわけでございますが、ここを通る車両数はたいへんな車両数だと思うわけでございます。こういったことについても十分調査されておると思うのですけれども、当然戸田橋の損傷がいま問題になっておるわけです。非常に荒廃をしてきております。これはかけかえといってもなかなかたいへんな工事だろうと思いますけれども、幸いにして戸田橋の上流に大宮バイパスが完成しつつあるわけであります。これらの点を考えまして、いまお願い申し上げました点について、大宮バイパスの完成の時期、完全供用になります時期はいつごろになるのか、それからまた戸田橋のかけかえはする気があるのかないのか、あるいはまた国道の街路樹についてはどのようにお考えか等について、簡単でけっこうでございますが御返事を願いたいと思います。
  219. 大津留温

    ○大津留政府委員 先生、はなはだ申しわけございませんが、道路局長が参っておりませんので、後ほど先生のところに御返事申し上げます。
  220. 松本忠助

    松本(忠)分科員 それではいまの答弁は後ほどまた道路局長から聞かせていただいてもけっこうでありますけれども、問題は戸田橋のかけかえの問題です。ことしの予算に計上されているのかされていないのか。聞くところによりますと、河川局と道路局で何か意見の食い違いがあるように私どもちょっと聞いておるわけでございますが、この点どうなんでしょうか。
  221. 川崎精一

    ○川崎政府委員 私も詳細存じませんで恐縮でございますが、この橋のかけかえにつきましては、私の聞いております範囲では、やはり先ほど先生のお話しのように交通量、それからすでにかなりの年数を経過しておるというようなことで、できるだけ早急にかけかえたい。ただ、それにつきまして、その取りつけ部分等につきましてはやはり堤防との関係もございますし、それから現在の橋脚等はかなり狭い橋脚でございますので、そういった構造も改善しなければいけないだろうということで、改修の関係でもやはり分担を必要とする場合もあるのじゃないかというようなことで、その点につきましては十分両局で詰めるようにいたしたいという程度の報告を受けておるだけでございます。  具体的に四十七年度の予算措置につきましては私よく存じませんので、道路局とも確かめまして御報告申し上げたいと思います。
  222. 松本忠助

    松本(忠)分科員 それでは最後に一つだけ伺いたいことは、東北新幹線が非常に問題になっておりますけれども、東京駅から上野、田端、そして赤羽を通過しまして北区の浮間というところ、それからさらに板橋区に入りますと舟渡町というところを通って、荒川へかかっておるわけでございます。こういうことを国鉄の東京第三工事局から私ども聞いておるわけですけれども、問題は、現在の戸田橋の下流にこの新幹線の鉄橋がかかるということを一応聞いておるわけです。ところが、その新幹線の鉄橋のかけ方でございますが、戸田橋に並行してかけるとすると、かなり北区のほうから舟渡町のほうを回って、こう回ってこないとカーブがとれない。ところが現在の戸田橋に斜めにかけますと、北区のほうから浮間を通って舟渡町を通って入っていく場合も比較的住居の少ないところですね、土手側の住宅の少ないところを新幹線が通っていけるので、新幹線の問題はいろいろいま住民運動などが出て大きな問題になっておりますので、なるべくそういう問題の少ないところを通る方向が私どもよろしいのじゃないか、こう思うわけです。そうなると、当然のこと、いまお話ししましたように、戸田橋と並行でなくて、斜めにかかっていくような形になるわけですが、こういうことについて国鉄のほうから建設省に対して何か協議があったかどうか、この点を伺っておきたいわけです。
  223. 川崎精一

    ○川崎政府委員 私、新幹線の全ルートについて詳細には存じませんけれども、ただいまお話しの荒川を横断する地点につきまして、大体この程度の方向で渡河をしたいというような予備的な折衝はございました。
  224. 松本忠助

    松本(忠)分科員 そうすると、いま局長の知っている範囲では、斜めにかかるということなんですか、それとも戸田橋と並行したような形にかかるということなのですか、どちらでしょう。
  225. 川崎精一

    ○川崎政府委員 私の承知しておりますのは、左岸で戸田橋から下流約百五十メートルくらいじゃなかったかと思います。右岸では四百メートルか五百メートルくらい。したがって斜めにかける計画承知いたしております。
  226. 松本忠助

    松本(忠)分科員 大体了解できました。いずれにしましても、地域住民の方は、橋のかかる位置あるいはどういうふうにかかるかということについて、非常に自分のほうの住宅を通るか通らないかということで問題になっておるわけでございます。私の意見としては、なるべく川のきわのほうへ寄せていけば問題は少なくて済むだろうと思います。そうして、いま局長の言われたように、斜めにかけていくということになれば問題も少なくなると思います。ただ、そうなった場合に、直角にかけるのでなくて斜めにしますと、やはり橋げたと申しますか、これがなかなか不規則になってくるのじゃないか。川の流れを阻害するようなことになるのではないか。そうすると今度はいまの下流にあるところのいわゆる岩渕水門にまで影響が出てくるのではないかというふうにも考えられるわけです。架橋の技術というものは相当進歩しておりますが、スパンの長さ等も相当長い大きなものができることと思いますけれども、十分これらの点を考えて、ひとつ協議の上で実施していただきたいと思っております。この点についてもう一言だけ伺って、終わりにいたしたいと思います。
  227. 川崎精一

    ○川崎政府委員 昔は川を直角に最短距離で一般に構造物が横断しておったわけでございます。最近いろいろ技術的な面、あるいは水の流れの解析等も進んできておりますので、非常に相互に干渉しない範囲で橋脚の構造なり方向なりあるいは景観なりをよく検討いたしまして、十分御心配のないような構造で許可をするようにいたしたいと思います。これはさらに国鉄等から詳細な設計等が出てまいりましたら、その上で私どものところで十分検討することになりますが、かなり岩渕水門とは距離もございますので、直接あれにはまず常識的には響かないのじゃないか。むしろ上の戸田橋との間隔が非常に狭いということと、それから戸田橋の橋脚の間隔が非常に狭くなっております。そういったものとをどういうように調和させるかということは、今後十分検討する必要があろうかと思いますが、御指摘のように十分慎重に進めたいと思います。
  228. 松本忠助

    松本(忠)分科員 終わりますが、大臣、先ほども申し上げましたように岩渕水門の危険な状態大臣もぜひ一ぺん見ていただいて御配慮を願いたい。このように思いますので、どうかひとつよろしくお願いいたします。
  229. 松浦周太郎

    松浦主査 これにて松本君の質疑は終わりました。  次は、内藤良平君。
  230. 内藤良平

    内藤分科員 私、出かせぎの労働問題の中で、最近顕著な例の賃金の不払い問題、これにつきまして建設大臣からやはり特段の御努力を願わなくちゃならぬ、こういうことを御質問を申し上げたいと思います。  まず、大臣、大都会の都市建設にいまの出かせぎの労働者がいなければもう建設はできぬじゃないかと思うのだけれども、その御認識はいかがでございますか。
  231. 西村英一

    西村国務大臣 もう東京で建設業に働いておるのは、いわゆる東京の人じゃございませんで、みな出かせぎの人でございます。そこでふしぎなことに、最近は不払いだ、一体建設業はどうしておるのか。これはどこにもありますが、絶対に元請の業者の責任でございます。私もそういうこともちょいちょい聞きます。これは建設省としても重大な関心を持っております。
  232. 内藤良平

    内藤分科員 もう大東京なりあるいは関東あるいは名古屋あるいは大阪あるいは北九州、全国の建設関係で肉体労働、これはほとんど百万といわれる出かせぎ労働者によってようやく充足されております。大臣の認識もはっきりお話があって、私はそのとおりだと思うのです。ところが、不況か何か知りませんけれども、最近は賃金不払いが続出いたしまして、しかもだんだん大型になってきているのですね。先般も、読売新聞でございましたか、総額で一千何百万の賃金の不払い、こういう問題がありました。これはやはり私は、建設業界の中にそういう賃金不払いになるような素質が残っておるのじゃないか。この業界の体質ですね、そういうぐあいに私は思うのであります。今度、四月からですか、建設業法が施行されますね。そして小さいといいますか、いままでにいろいろな弊害がありました五十万未満の契約でございましたかね、そういう関係はいろいろ規制されるようになったと思っております。それは一歩前進だと思うのであります。しかし、どうも建設業界の中にあります一つの流れといいますか、元請があるわけです。それから下請ですね。その下は孫ですか、ひこですかね、ここら辺が実際に出かせぎの労働者を働かせる場所なんですな。都内の地下鉄工事を見ても、元請、下請、孫、ひこぐらい、そこら辺に初めから出かせぎ労働者が働く現場といいますか、企業といいますか、それが存在しておるのですね。だから、四段階ぐらいまできますと、やはり大体建設予算ですね、あるいは単価といいましょうか、一千万の事業——一億の事業でもいいですよ、大臣、これが四段階までくると五千万円ぐらいになるのじゃないかと思うのですよ。一億の事業が実際は五千万円の範囲内でやらなくちゃならない、こういうぐあいになりますとこれはやはり、その段階で請け負う方も請け負う方だけれども、実際問題としてできないのじゃないかと思うのだ。ところが今度は出かせぎ者の援護策がいろいろできまして、だんだん強くなっている。簡単に、賃金不払いなんと言いましても、黙って下がるような人のいい状態が解消されつつあるわけです。まあそれは労働省の援護もあります。あるいはまた建設省の援護もあります。あるいは東京都、地方自治体からもいろいろ問題が提起されますから、すると、その孫、ひこあたりの業者のほうが一番つらくなってしまうのじゃないか。ピンはね——ピンはねといいますか、一割ずつ取られても、四段階目に来ますと三割ぐらいは取られてしまうということになるでしょう、大臣。今度の賃金不払い問題は、その孫、ひこの業者が金を持っていなくなってしまうというケースが多いんですよ。  だから、何というか、いままでとは違うんだな。いままではそういうかっこうはあまりありませんですね。いままではこういうかっこうなんですよ。大体三月一ぱいぐらいで仕事が終わるでしょう。すると、東北の農家からの出かせぎ者は田植えがあるものだから帰ってしまう。ところが、賃金の計算は、大体この月は来月の十日とかとなるわけですが、十日間待っておれないから、月末に仕事が切り上がると帰ってしまう。するとこっちの業者が十日に払わなければならぬ。ところがなかなかいなかに送らないというようなかっこうが多かったんですよ。そこでぼくらがいろいろ頼まれて業者に話し込んで、それを送金させる、こんなようなかっこうでした。今度は業者がいなくなってしまうのだ。そこでいろいろ建設業法その他を改善して、あまり力のない業者を前もって押えようということなんでしょうけれども、それはそれで効果がありましょうが、いま申し上げたように下請、孫請、ひこ請ですか、こういうやり方の建設業界の仕事の実態ですね、これを改善しなくちゃならぬのじゃないかと私は思うのですね。  大体、一流の建設会社というのは技術者と資金と機械を持っていればよい。最近は機械も要らないですね。借りますから。優秀な技術者とそれから資金、それとあと大臣の認可ですか、それを持っていれば国の大きな仕事にも参加できるわけです。それで落札するでしょう。ところが実際の仕事をやる段になると、技術者なり設計その他はあるでしょうし、資金は大銀行から来るわけですが、実際の仕事の機械とか労働者とか、そういう段階になると手持ちがないから、それはまた別の業者にやらせる。それがまた同じようなケースでこっちに来る、こういう実態だと私は思うのです。トンネル会社ということばがありますが、こういうトンネル会社みたいな会社で一流の業者が存在しておるというのが問題じゃないかと私は言っているんですが、この点は大臣いかがでございますか。そこら辺にメス、ということばじゃなく、もう少しそこら辺を考えなければ、建設業法だけ改善しても、今日の出かせぎの賃金不払いという現象から見て、どうも問題は業界の中にあるんじゃないかしら、こういうぐあいに私は思っているんですが、私の考え方はいかがでしょうか。大臣の御認識はいかがですか。
  233. 西村英一

    西村国務大臣 考え方よりも事実問題ですね。それはいかにいわゆる大手業者といっても全工事をこなすだけの常雇は持っておりませんから、ものによってはそういうように段階があるかもしれません。しかし、だからといって、その賃金の不払いを大手業者が黙って見ておるなんていうことはちょっと想像がつきませんが、しかしあなたが言うからにはそういうことがあるんでしょうが、直轄工事なのか、補助工事なのか、この辺を十分調べなければならぬと私は思います。そんなことがあってはたいへんでございます。したがいまして、まああなたがおっしゃるんですからあるんでしょう。あるんだからこちらも十分調べまして対処はしますが、あったとしても、大手業者がそんなことをやるとは私も想像ができませんね。お答えになるかどうか知りませんが……。
  234. 内藤良平

    内藤分科員 大臣、大手業者が請け負って、一定の経費を一割でも取って、一億なら一千万だけ削って九千万でだれかがやる、それからまた一割取ってだれかがやる、こういうぐあいに私はいくと思うのです。そうすると、一億の総予算が実際にそういう段階にいくと七千万か六千万になってしまう。そこでいろいろ竣工に至るまでの内容について、あるいは労働者の賃金に対して支障を来たすというか、そういうぐあいになるのではないかと私は見ているのです。何も法律上のあれじゃなくて、業界の一つの慣習だと私は見ているわけです。だから、これは改善するといいますと、大臣の言うとおり、直轄といいますか、ある一定の労働力を持って、機械、資金を持ってそれをやる、こういうことでも防げるでしょう。そこら辺をもう少し建設省でも吟味していく必要があるのではないか。トンネル会社のような大会社だけを傘下に集めて、そして実際問題としてはいまのようなぐあいになっておった場合には、工事の内容自体も、実際は一億の発注だけれども、できたものは七千万くらいかもしれませんよ。そういう面もあるし、そのためにまた労働者のほうにしわ寄せがいく場合も往々にして多くなってきていると思う。これは業界の中の一種の長い慣習じゃないか。経済的に見ても、ピンはねだけでやれば楽ですよ。それだけの経費を取ってしまって、もうけてしまって、自分は何も手をよごさないで、あとは竣工検査を受ければいいんですからね。そういうことを建設行政の中で見のがしておるわけではないと思うけれども、そういう実態がある場合には改善すべきじゃないか。ある品物をつくる、建物なり土木工事なりを実際に設計どおりつくるという面から見ても、あるいは関連する労働者の賃金不払い問題から見てもこういうぐあいに考えるのですが、いかがですか。
  235. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 大臣の御説明のとおりでございますけれども、若干補足させていただきます。  先生御指摘のとおり、建設工事というのは多種多様のいろいろな資材とか技術とかいうものを組み合わせてやる事業でございますので、どうしても下請というのが必要なわけでございます。ただ従来、おっしゃるとおり重層下請ということで必ずしも芳しからぬ状況であったことは、私どももよく承知しておるわけでございます。  簡単にいろいろその対策を申し上げますと、いわゆる重層下請において起こる弊害、さっき言われましたピンはね行為、たとえば受注しまして、全部それを一括して下請させてしまう。いまおっしゃった、仕事をしないのに何割か取ってしまうという一括下請というもの、これは従来から建設業の中では禁止されておるわけでございますが、今後ともこの問題は十分注意してまいりたいと思います。  さらに、今回の建設業法の改正によりまして、不当に安い代金の支払いは、これは制限、禁止されておるわけでございます。たとえば通常原価に満たないようなものは拒否する。したがって、元請が不当に低い代金しか下請に渡さないで仕事をさせる場合にはそういうことに引っかかることになるわけであります。  もう一つ簡単に申し上げますと、今回の業法改正は、御承知のように特定建設業制度というものをつくりまして、下請業者がいろいろな面においてやることにつきまして元請が責任をとる、そういう責任をいろいろのところに明記いたしております。賃金の不払いについてもそうでございます。そういう点におきまして、今後、いままでのような重層下請被害のあった、そういう下請制度は改善される。私どもそういうふうに指導してまいりたいというふうに考える次第でございます。
  236. 内藤良平

    内藤分科員 これは大臣なり局長なり、相当きびしく禁止されて、やっちゃならぬ、やったものはだめだ、大臣の認定に入れないとか、今後何年間入札に入れないとか、きびしくやっていただくということが一点ですね。  それから、いま局長からお話があったように、元請でこれを立てかえる、こういうことですね。ところが実際問題になると、全額はならぬのですよ。やはり九割とか八割程度しか金が入らぬのです、実際は。だから彼らにしてみると、これはやはり下請の責任だということになっているわけです。労働者にしてみると、百万働いたものが八十万しか手に入らない。これだけ損害です。もし一歩進んでこれをやるなら、今日の重層下請がなかなか根絶できなかった場合は、賃金の分だけ元請で保留しておく。賃金の分だけ元請で保留しておって、下請に渡さない。機材とか材料とか雑費とか掛かり、その他のものは下請のほうにいくでしょうけれども、賃金だけは元請で押えておく。何かこういう措置でもなければ、結局割り引き賃金をもらうようなかっこうになってしまう。この間もありました。一千何百万の鍾値という会社、これがいなくなっちゃった。そこではやり熊谷組ですか、これは社会党の議員なり、出かせぎの組合の幹部がかけ合って、東京都の都会議員があっせんして元請と話し合いをした。ところがやはり全額じゃないのですよ、賃金は。たしか八割ぐらいしか補償されなかった。結局二割ぐらいは労働者が損害をこうむるわけだ。しかもこっちまでわざわざ来ている労働者ですよ。しかも大臣が認識しているとおり、日本の建設業界は出かせぎ労働力がなければできない時代です。彼らがこういうみじめな状態になるようなことを建設の行政の中でも根絶してもらいたいわけだ。そうでなければこれはもうだんだんこっちに来なくなりますよ。そうすると日本の国土の建設というものはおくれてしまうのじゃないでしょうか、いろいろな計画が。  賃金の面は、これは地方と中央の差がありますから、これもほんとうは建設行政の中で直してもらいたいのだけれども、差があるからこっちに来ます。高いほうに来る。ただ、いまの問題、賃金の不払い問題、これは労働省のほうへかけ合っても、労働省でも限界があるというのです。労働省も監督官とか基準監督署でいろいろやりましても、あまり数が多くてなかなか予防措置ができない。出た現象だけについて、われわれなりあるいは当事者の間に話があって初めて動くだけです。ほんとうは予防できないのです。だからやはり大臣のほうの建設行政の中で、そういうことをやってはならぬ、やったらあなたの業者としての命は終わりだ、貸金はもうちゃんと持っていなさい、一億の工事を下請させるならば、一千万円の賃金をあなたが持って、下請業者にやらないようにしなさい、渡さないようにしなさい、竣工できたところで、あるいは部分的な竣工の中でそれを渡してやる、こういうことを大臣やってもらいたいのです。これでなければほんとうに労働者が来なくなってしまいますよ。大臣がそういうぐあいに号令を業者に発すると、これは私は効果があると思うのです。いかがですか。
  237. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 いろいろ御提案になりましたお考えはごもっともな点でございます。そういうものをなくせないと建設業界は今後よくならないと思います。  ただ、二、三申し上げたいのでございますが、一点は、今度の賃金不払いに対して、建設大臣は特定建設業者に立てかえ払いの勧告ができる。勧告に従わない場合は行政処分ができるという制度が四月一日から実施されるわけであります。いままでは私どもが行政指導を行なっておるわけであります。したがいまして、今後法律が施行されまして、四月一日以降はこれをより徹底してやっていきたいというふうに考えておるわけでございます。  それからもう一点の、御提案のございました元請で賃金の分だけを保留したらという提案、これも一つのお考えでございますが、問題は、実際の労働者がどこに、だれに雇われているかということとの関連があろうかと思います。やはりこれは雇っている人が支払うのが原則でございます。したがいまして、元請が雇用しておればもちろんこれは元請が支払うことになろうと思います。そういう一つの形式もあろうと思いますが、下請が雇用している場合は、やはり元請が賃金を支払うということがなかなかできないわけでございますので、いろいろ議論がございまして、建設業法の改正をいたしましたときに、立てかえ払いの勧告を建設大臣がする。勧告に従わない場合行政処分をするという措置を講じたわけでございます。  最後にもう一点だけ申し上げますと、そういうような不届きな業者につきましては、建設省におきましてはすでに四十一年から指名を排除するというきびしい態度をとっておる次第でございます。
  238. 内藤良平

    内藤分科員 そこなんだよ、局長。雇用契約者だ、あなたのおっしゃるとおり、私の言いたいのは、請け負ったほうが雇用者にならなくちゃならぬということです。雇用契約の場合。それも含めて下請にしたんだな。だからほんとうは、あなた方がこれは下請業者として見た場合に、それが条件として具備したことになるかどうかだね。あなたのほうで、たとえば直轄の建設省の工事の場合、これは人工ですね、人夫といっては失敬だけれども、労働賃金がどれだけ、何万人必要だということを設計の段階で積算するでしょう。それを含めて下請しちゃう。ところがそれを契約する場合には、そういう設計の単価だからそういうものを含めて、大臣と契約するかどうかわからぬけれども、そういう契約になるでしょう。こういうものをつくるのにこれこれの条件のもとに、その中に人件費、労働賃金が入っているんだ。だからその場合にはやはり最初の契約者が労働者の雇用契約者にならなければならぬというぐあいに私は思うんだが、それを含めちゃってピンはねしておろしてしまうわけだ。だからそれを受けたほうが雇用者になるかもしらぬ、またその下がなるかもしらぬ。そのたびに実際は労働者の賃金もピンはねされているわけだ、私はそう思うのです。だから、契約というものの法律上の解釈はわからぬけれども、いわゆる最初の契約を受けた当事者がやはり労働者の雇用者である、こういう解釈でやらなければ、局長の解釈じゃやはりちょっと抜け穴があるんだな。抜けられちゃうんですよ。それがだんだんいっちゃうと、インチキな業者をもういなくなってから監督署で追っかける。ところが秋田からこっちへ行っちゃう、こっちから秋田へ行っちゃって、監督署が書類で回していってかけ合ったってどうにもならぬ。もうその間、何日、何カ月になっちゃうんですよ。これは生きものだからどっかから金を借りて生きているけれども、機械ならとまってしまう。だから局長、そこら辺をもう少し突っ込んで考えていただかなければならぬと私は思うのです。もう一ぺんどうですか、私の考えに対して。
  239. 高橋弘篤

    高橋(弘)政府委員 先ほどから申し上げましたように、建設業の現在の特性からいたしまして、いわゆる受注生産であるということと、また総合生産であるということからしまして、資材なり技術なり労働なり、そういういろいろなものをかみ合わしてやっているものでございます。そういうような特殊な経営方式でございますので、現在のところ元請が全部必ず雇用してやるという形態ではないと思います。やはり下請がいいものであれば、その下請業者が雇用するという場合もあってよかろうと思います。これはいろいろな方法があろうかと思いますが、しかしその下請がいいかげんなものであるとか、賃金の不払いをするとか、そういう業者であるということは、これは元請の責任でございますから、その責任をはっきりさせるために、私どもの今回の建設業法の改正で特定建設業制度というものをつくりまして、その特定建設業につきましては一般の建設業者よりも責任を加重いたしております。そしてそういう下請についていろいろ労働法令その他の指導をする。それを間違っているところは是正をしなければいかぬ。是正をしてもしないときには都道府県知事にこれを通報するということまでございます。しかもなお、そういう措置もあると同時に、特定建設業者の使った下請業者がいろいろな迷惑をかけたという場合におきましては、建設大臣が立てかえ払いの勧告をする。従わないときには、何回も申し上げますように、行政処分をするという仕組みであるわけです。
  240. 内藤良平

    内藤分科員 もうそろそろ時間ですけれども大臣、そこで局長と私の話で大体おわかりでしょうけれども、結局立てかえ勧告をして、あなたの強権でそれをやっても、下請してしまうと幾らか、一割でも引いたものを下請してしまうのだから、かりに一億円だったら九千万円で下請してしまう。そうすると労働賃金の九割より保障されないのだから、一割というのは元請で取ってしまっているのだから、下請の責任というものは九千万の範囲内の労働賃金になる。だからこれは厳密にいうと九割より保障できないわけです。あるいは下請のほうで換算しております労働賃金の全額を保障するという状態にいままでなっていない。だから実際は二割三割の保障よりできないわけです。それではせっかく建造物なり土木工事をやっておる貴重な労働力、出かせぎ労働者に対してあまり仕打ちがひどいと私は思う。建物ができた報賞金ぐらいくれてやるくらいのものがあっていい。ところがそうじゃないのだ。東京一千万の方が全然希望者がいないのだ、地下鉄を掘る場合も何をやる場合も。こういうきたない仕事は出かせぎ労働者だけだ。彼らはわざわざ来て、あの飯場の中に住んで、その飯場だって、労働省ではいろいろ省令をつくっておりますけれども、なかなかこれも目が届かないからひどい飯場が多い。そして奥さんや子供と別れている。そういう難儀をし、苦労の中でできた建造物です。お祝いに何かもらう、そのくらいの配慮があってもいいのに、逆に賃金不払い問題で苦しんでいる。しかも何カ月もかかってからようやく働いた八掛けとか七掛けとか、こういうかっこうになるのですから、これは今日の近代日本の中ではほんとうにひどい話だと私は思う。労働省の問題だというぐあいにいかないのです。西村大臣、やはり建設省が業者をがっちりやってもらわなければならぬ。だから私、尊敬する西村大臣だからざっくばらんに申し上げておりますけれども大臣がその気になっていただけば相当変わると思う。いまの業法も変わるしね。あとは労働省のほうだけれども、労働省は、監督官の人員の問題は定員の関係で押えられてしまう。業者の自覚にまつということ、これはやはりその意味では大臣の大きなお力というものがぜひ必要だと思います。こういう考え方なんです。  どうです、最後になりましたが、もう時間もありませんけれども大臣から非常に力強い御答弁をいただいて終わりたいと思います。
  241. 西村英一

    西村国務大臣 業界の中にはいろいろあると思います。しかし、いま計画局長がいろいろ述べましたように、四月から新法によって相当の取り締まりをするということになっておりますが、要は結局労働者を主眼にして考えるべきだと思います。直接契約しておるその契約者が逃げたらあとはどうなるか。これは法律上はいろいろ問題があろうと思います。けれども、工事を受けたという責任は元請がちゃんとおるのですから、やはりあらゆる場合に労働者を主眼にして考えるべきだ。またそれを考えないような業者には請負工事をやらすべきじゃない、私はそう思います。直接雇用の関係を言ったら法律上の問題はいろいろあると思いますが、今度は新法はさらに一歩進めておる。しかしあなたのような、いまの建設業に対しての批判のことばも全然聞かないわけじゃありません。非常に出かせぎの方が困っておることも聞きますので、さらに私のほうも十分これは注意をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  242. 内藤良平

    内藤分科員 終わります。
  243. 松浦周太郎

    松浦主査 これにて内藤君の質疑は終了いたしました。  次回は来たる二十一日午後一時より開会し、引き続き建設省所管審査することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後五時三十五分散会