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加藤(清)
委員 にわかに判断しがたいかもしれませんけれ
ども、アメリカ側ではすでに判断して発表いたしておるのでございます。それを御
参考に供したいと存じます。
ワシントン・ポスト十二月三日、もうこのときに出しておる。私はその
関係の書類をたくさん持ってきております。手紙も、友人がございまするからたくさんいただいております。これは記者の名前までがついております。ジャック・アンダーソン、「われわれはいまやニクソン大統領に対する
選挙資金の献金と大統領の繊維輸入規制への
努力との間に直接的な結びつきがあることを確認した。大統領が日本から無理やりとりつけた繊維規制の結果は衣料品の高騰となり、消費者に数十億ドルの負担がかかることになろう。このことは、いかにして数十万ドルの
選挙資金の提供で数十億ドルに達する特別の恩典が獲得されるかを示している。」こういう書き出しで、
選挙資金の公約がどのように行なわれたかが詳細に論じられ、その結果、得したのはニクソンであって、損をしたのはますますインフレに苦しむ国民である。こう結んでいるのでございます。その
選挙資金は六けたといわれ七けたといわれるということまで、はっきりと署名入りで書いております。それについての証人までが出されているわけでございます。ほかの新聞ではございません、ワシントン・ポストが記者の名前まであげて書いている論説でございます。
信憑性があると私は思います。
引き続きまして、ワシントン・ポストだけではございません、ニューヨーク・タイムズも同じことをいっております。これはオクトーバー十六日、一九七一年付でございます。「日本とその他のアジアの化合繊・毛製品輸出諸国から昨日脅しとった協定は、ニクソン大統領と南部の繊維業界の側にとっては勝利を
意味するものであるが、それは米国の長期的な国際
政治・経済上の利益を犠牲にしたものであり、このことは今後十分に検討されなければならない。経済面の原子爆弾でもって」という書き出しから、アメリカの利益が犠牲になり、不吉な前兆を
意味するものである。ずっといきまして、次には課徴金とクォータとの相違を述べておりますが、最後に「協定がニクソン大統領と繊維ロビーにとって勝利を
意味するものであろうということは確かである。しかし、もしそれが世界貿易の
分野においてますますきびしくなる制限的な政策の口火を切るものであるならば、それは多大の犠牲の上に築かれた勝利ということになろう。」これがニューヨーク・タイムズの論説でございます。
まだ、以下たくさんございまするけれ
ども、これを要するに、得をしたのは米国ではニクソンである。と同時に、このニクソンにそれをやらせたところの繊維同業者である。このことは、アメリカの繊維製造協会のリーブ氏もはっきりと述べておるわけでございます。こんなによくなったと言っておる。これはことしに入ってからのデータでございまするが、これはワシントン・ポストもまた別な日に同じ裏づけをいたしておりまするけれ
ども、要は、去年の中ごろから盛んに宣伝された日本繊維製品の制限、それによって売り上げ利益率が一五・八%も伸びておる。全産業の伸びは五%なのに繊維は一五%伸びている。資本利益率も一五・七%の伸びである。全製造業は五・四です。それから時間当たり賃金も四・五%伸びている。設備投資も五・四伸びている。こういう状況で、たいへんな好況ぶりでございます。全産業よりは繊維産業のほうがアメリカでははるかに好況でございます。しかし、それに反しまして日本では倒産が続出でございます。縮小、転廃業が続々行なわれる。通産省繊維局みずからもその
対策に苦慮しているでしょう、いま現在。倒すの倒さぬの、やめるのやめないので、もう裁判になっている案件がたくさんございます。会社別の利益率もございまするけれ
ども、その大きいところだけを拾ってみますると、アライドケミカル社は純利益二〇%増、アコゾナ会社は三七・九%増、それからキャラウェイ、これはほかの問題もありまして二・八でございまするが、紡績業のホネミルズ四五・三%の増でございます。このように各会社別に見ましてもたいしたものでございます。その証拠を、原本を私は持ってきておる。うそを言うてはいけぬから。うそだとお思いなさるならば、あとでこれをよく見ていただきたい。つまり繊維協定のおかげで得をしたのはニクソンとアメリカの同業者である。損をしたのは日本の業界である。おこったのはミルズである。激怒しておる。その原稿も私は持っておりまするけれ
ども、あまりにも騒々しくなりまするからそこは避けまするけれ
ども、ミルズは激怒しておる。ただ問題は、日本の繊維品を制限したおかげで、アメリカ側もまた困っているという例がここにあるわけでございます。
なぜ困るかと申しますると、日本から糸や布の原材料を購入している会社があるわけなんです。それも一括制限を受けたわけなんです。そうなると、自分のところの製造品の加工原料が制限され値上がりするのでございますから、円とドルの
関係もこれあり、これは困ったことである。だから例外措置をとってもらいたいという要望が出ていることを御存じですか、外務
大臣。