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1972-03-03 第68回国会 衆議院 予算委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年三月三日(金曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 瀬戸山三男君    理事 大坪 保雄君 理事 佐々木義武君    理事 田中 龍夫君 理事 二階堂 進君    理事 細田 吉藏君 理事 阪上安太郎君    理事 辻原 弘市君 理事 鈴切 康雄君    理事 小平  忠君       足立 篤郎君    相川 勝六君       愛知 揆一君    赤澤 正道君       荒木萬壽夫君    植木庚子郎君       小川 半次君    大村 襄治君       奥野 誠亮君    仮谷 忠男君       川崎 秀二君    草野一郎平君       笹山茂太郎君    正示啓次郎君       田中 正巳君    中野 四郎君       灘尾 弘吉君    西村 直己君       根本龍太郎君    野田 卯一君       橋本龍太郎君    福田  一君       松浦周太郎君    松野 頼三君       森田重次郎君    安宅 常彦君       小林  進君    楢崎弥之助君       西宮  弘君    原   茂君       細谷 治嘉君    安井 吉典君       大久保直彦君    林  孝矩君       正木 良明君    松本 忠助君       吉田 之久君    和田 春生君       東中 光雄君  出席国務大臣         内閣総理大臣  佐藤 榮作君         法 務 大 臣 前尾繁三郎君         外 務 大 臣 福田 赳夫君         大 蔵 大 臣 水田三喜男君         文 部 大 臣 高見 三郎君         厚 生 大 臣 斎藤  昇君         農 林 大 臣 赤城 宗徳君         通商産業大臣  田中 角榮君         運 輸 大 臣 丹羽喬四郎君         郵 政 大 臣 廣瀬 正雄君         労 働 大 臣 塚原 俊郎君         建 設 大 臣 西村 英一君         自 治 大 臣         (北海道開発庁         長官)     渡海元三郎君         国 務 大 臣         (内閣官房長         官)      竹下  登君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      山中 貞則君         国 務 大 臣         (国家公安委員         会委員長)         (行政管理庁長         官)      中村 寅太君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      木内 四郎君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 江崎 真澄君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      木村 俊夫君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 大石 武一君  出席政府委員         内閣法制局長官 高辻 正巳君         内閣法制局第一         部長      真田 秀夫君         内閣総理大臣官         房交通安全対策         室長      須藤 博忠君         経済企画庁国民         生活局長    宮崎  仁君         大蔵省主計局次         長       吉瀬 維哉君         大蔵省主計局次         長       大倉 眞隆君         大蔵省主計局次         長       長岡  實君         運輸省鉄道監督         局長      山口 真弘君         運輸省自動車局         長       野村 一彦君         労働省労働基準         局長      渡邊 健二君         労働省職業安定         局長      道正 邦彦君         建設省道路局長 高橋国一郎君         建設省住宅局長 多治見高雄君        自治省税務局長 佐々木喜久治君  委員外出席者         日本国有鉄道総         裁       磯崎  叡君         予算委員会調査         室長      野路 武敏君     ————————————— 委員の異動 三月三日  辞任         補欠選任   広沢 直樹君     松本 忠助君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十七年度一般会計予算  昭和四十七年度特別会計予算  昭和四十七年度政府関係機関予算      ————◇—————
  2. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員長 これより会議を開きます。  昭和四十七年度一般会計予算昭和四十七年度特別会計予算昭和四十七年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、総括質疑を行ないます。松本忠助君。
  3. 松本忠助

    松本(忠)委員 総理に、新宿駅の南口、正確に申し上げますと、新宿区西新宿一丁目一番地、国鉄用地が二千三百五十平万メートル、約七百七十五坪ございます。これが昭和三十八年の十月から八年五カ月も放置されている、こういう事実がございます。場所につきまして、総理御存じとは思いますけれども、念のために私、場所を御指摘いたしたいわけですが、こういうところです。  新宿駅の南口、要するに京王デパートに隣接したところです。これが甲州街道、ここに国鉄用地がいま申し上げましたように七百七十五坪放置されております。大体これでごらんになってわかるように、非常に地形のいいものでございまして、この辺の相場といいますか、地価は、相対で取引されますので表面にはあまり出ておりませんけれども、先般新宿区役所のそばで取引がありましたのが、わずか百六十坪の土地が八億、こういう値段で取引されております。したがいまして、八億といいますと坪五百万。大体新宿のあたりの標準になりますのが東口の有名なくだもの屋があります。あそこのくだもの屋のところが五百四十万、これが一つ標準になっております。ですから、いま申し上げましたような新宿区役所のところの五百万というのも相場じゃないかと私思うのですね。ところで、その駅の南口のほうはちょっと相場が下がりまして三百万、こういっております。ですから、この七百七十五坪で二十三億三千万という国鉄財産がずっと八年五カ月も眠っているということであります。もう一つ具体例を申し上げてみたいのですが、それは北海道の室蘭、ここに国鉄埠頭がございます。これが十九万七千五百六十四平米、約六万坪の土地でございます。これも坪三万、こういわれておりますので、約十八億の土地でございます。こういうものは私が現にこの目で見てまいりました。  この利用されていないこういう土地が、全国には、いわゆる九州のもとの志免炭鉱のあと、こういうものも入れまして全体で七百五十四カ所あるというふうに国鉄のほうから伺いました。これらの土地活用のしかたで日銭をかせぐことも十分可能ではないかと思うわけでございます。現在の国鉄赤字財政問題から考えまして、幾らかでも日銭をかせいでいこうというそういう精神、こういうものが私は必要だと思います。  要するに、国鉄企業努力、これが私は非常に必要な時代ではなかろうかと思うわけでございますが、これをさっぱりおやりにならない。そして一方的に運賃値上げを強要している政府並びに国鉄のものの考え方、こういうものについて私はきょうここで質問をいたしたいわけでございますが、総理はこの事実を何と受け取られますか、ひとつ総理の率直なお考えを伺いたい。
  4. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 いつも国鉄の場合に問題になりますのは所有財産、これが活用できないか、全国的にずいぶん使っていない土地等財産がある、こういうことが実は問題になっております。したがいまして、鉄道当局といたしましても、これが活用方についてずいぶん気をつけておることだと私は思います。これは私が在官当時から今日まで変わらないことだ、かように思っております。ことに現在のような事態になりますと、あるいは施設そのものはありましても、施設の上にさらにそれを利用するようなこともできるのじゃないのか等々の考え方をあわせて持ってやっていかなければならない、かように思っております。ただ、不用の土地、これを処分すればいいというだけではどうもあまり解決したということにならない。ただいまの運賃値上げ、これは国民全体の負担だ、同時にまた財産そのもの国民そのもののものなんだ、したがってやはり財産利用国民に役立つような方向でなければならない。したがってこれはたいへん複雑なものだ、かように私思っておりますが、ただいま御指摘になったような点は、これは国有鉄道総裁も来ておりますから、その辺からもひとつ事情、実情をお聞き取りいただきたいと思います。  ただいま御指摘になったこと、しごく私もっともだと思いますし、これは国民そのもの利益になるようにこれが活用されなければならない。それが一面に運賃負担を軽減することにも役立つだろう、また財産を生かして使う、こういうことにもなるだろう、かように私思います。
  5. 松本忠助

    松本(忠)委員 大蔵大臣、それから引き続いて運輸大臣のお二方に、簡単でけっこうでございます、この問題についての御意見を伺っておきたい。
  6. 水田三喜男

    水田国務大臣 私は、今度の予算編成で一番むずかしい問題は、やはり地方財政対策国鉄再建対策であると考えまして、これが関係者によって合理的な対策が合意されて資金のめどがつかないと予算編成に支障を来たすことがあると考えましたので、一番先にこの問題と取り組んで、ことしは国鉄再建対策を私どもとして一番先にやった、こういう事情がございます。その際、国鉄に対しましてはもう企業努力を一〇〇%これはしていただかなければならないので、その点については、国鉄側ができるだけのことは全部してもらう、同時に国も十カ年において出資大体一兆円、その他の財政負担一兆円、二兆円に及ぶ助成策を今後結集するということで再建策を立てたこのいきさつ上、国鉄に対しては、いまおっしゃられたような問題についてはもうできるだけ国鉄の手で善処してもらうという方針をきめましたので、したがって、そういう点については私はやはり国鉄にやってもらいたいと思っております。
  7. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいま御質問の御趣旨のとおりでございまして、また総理から答弁がございましたとおりでございまして、きびしい企業努力、きびしい合理化、能率的な経営がまずあらゆる問題の先決だと思っております。その点におきまして指導していくつもりでございます。
  8. 松本忠助

    松本(忠)委員 総理をはじめ大蔵大臣運輸大臣にお伺いいたしました。こういう事実があるということについて、こういうものは、遊休のものを活用しなければいかぬ、こういう御趣旨に体します。  ここで私、思いますのに、たいへん申しわけないことばかもしれませんが、雲の上のお方のお考えのように思えます。庶民考えというものは非常にせっぱ詰まった考えを持っておるのです。ですから、そういう庶民考えというものについて、十分御存じとは思うのでありますけれども、いまのおことばの中からはあまり私は感じ取れないのです。ここでその場所が、いま図面で申し上げましたけれども、これを総理見てください。こういうりっぱなところなんですよ。まわりがりっぱに開けちゃって、この中にトタンべいで囲まれている、こういうところです。それでごらんになるとおり、ほんとうに東京のどまん中にぼろのトタンで囲まれた一角があるわけです。そういうものに対して全然手をつけてない。おっぽり放し。そこに下のほうに張り紙がある。その張り紙の周囲もペンキはもうはげちゃっています。そこにははっきりと国鉄関係の四つの名前が載っかっていますから、だれが見ても国鉄所有地だとわかるわけです。うしろのほうには緑色のコンテナがありますから、もろ国鉄用地であるということは、だれが見てもあそこを通る人は知っておるわけです。ですから、そういうところを利用して、たとえば時間貸し駐車場をやっても相当日銭が入るということは、だれでも言えると思うのです。総理もうなずいていらっしゃる。それで私も国鉄事業局に聞いてみました。あそこで時間貸し駐車場はできないのかと聞いてみましたところが、駐車場をやる方法は三通りある、やってやれないことはない、こういうことを事業局の方は言われる。やれる方法があるのにやろうとしない。これは問題だと私は思うのです。何の企業努力もしない、そして赤字赤字だ、運賃値上げだ、運賃値上げだ、こういう時代離れをした感覚が問題じゃないかと私は思うのです。庶民の感情から大きく遊離している。こういうことでは私は国民にとってはなはだ迷惑だと思うのでありますけれども、この点について簡単でけっこうでございます、もう一ぺんお三方の御意見を伺いたい。
  9. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 お説しごくもっともですが、何か私は国鉄でも考えておるのじゃないかと思いますので、総裁からお聞き取りいただきたいと思います。
  10. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいまの御質問につきまして、具体的の問題につきましては即刻に検討するように、私からも強く指示するつもりでおりますが、私、就任以来国鉄企業努力につきましては再三言っている次第でございますので、具体的の問題につきましては国鉄当局においてもすでに考えておることだと思う次第でございますので、私にかわりまして御答弁をさせます。
  11. 水田三喜男

    水田国務大臣 国鉄の未利用地再建策のときに問題にならないはずはございませんでしたので、何かこれには理由があると思いますので、国鉄総裁からお聞き願いたいと思います。
  12. 松本忠助

    松本(忠)委員 総理からも、大蔵大臣からも、国鉄総裁早く出てきて理由を説明しろ、こういうお声でございますけれども、これは理由もわかっております。わかっておりますけれども、それに至るまでの間なぜこういうところを利用しないのかということを私は言っているのです。  そこで総裁、今度はあなたの出番です。あなたは、ことしの一月十八日に全国鉄道管理局長会議の席上で、次のようなあいさつをされているのを私は業界紙で見たのです。総裁は、国鉄再建政府の強力な援助と、国民理解協力国鉄自身合理化努力を三本柱とした画期的なものであると言われている。このごあいさつは間違いないかどうか、確認をいたしておきたい。私が見たのは業界紙の一月十九日付の新聞でございます。
  13. 磯崎叡

    磯崎説明員 間違いございません。
  14. 松本忠助

    松本(忠)委員 それでは総裁にお尋ねしますけれども、この三木柱の中の二番目と三番目です。この関連でございます。私の考えでは、国鉄合理化企業努力前提としなければ、国民理解協力を得ることはできない、こういうふうに私は解釈するのです。国鉄合理化企業努力が先、こう私は思うのです。しかし、総裁はそれはあとでもよろしい、国民にまず理解協力を求めるのだ、こういうお考えなんでしょうか。その点、いずれが先か、この点をはっきりおっしゃっていただきたい。
  15. 磯崎叡

    磯崎説明員 もちろん国鉄といたしましての企業努力が第一で、前提であるというふうに私は考えます。
  16. 松本忠助

    松本(忠)委員 御自分の姿勢を正して、しかる後に国民協力を求める、これは当然の姿であると思うわけであります。  そこで、ここに資料がございます。この資料国鉄からちょうだいした資料でございますが、先ほどから申し上げております全国で七百五十四カ所あるという未利用地及び不用地リストの一部でございます。これによりますと、東西両大都市、東京大阪でございますが、ここにもたいへんなものがあるわけです。東京都内は二十五カ所ございまして、二十万一千七百平方メートル、約七万坪です。これは原簿価額が三億四千百十八万四千円、大阪府内のほうは七カ所で一万七千三百十五平方メートル、三千三百八十三万九千円、合計三十二カ所で二十一万九千十五平方メートル、三億七千五百二万三千円、こういうふうに国鉄さんのいただいた資料には合計金額までちゃんと入っています。これは東京大阪分だけです。  ところで、全国に吉五十四カ所という集計はどうしたら出るかと思って、私も一生懸命国鉄さんの資料提出を待ったわけでございますけれども、本日に至るまでこの提出がございません。したがいまして、相当金額だろうと思うだけで、わかりません。しかし、このリスト提出をお願いいたしましてからすでに二カ月にもわたっているわけです。その点まことに私は国鉄は不誠意ではないか、こう言いたいわけです。新宿駅の南口国鉄用地につきましても、先ほどから総理大蔵大臣も何か利用するのだろうとおっしゃっている。その利用方法と申しますか、ここに角筈口駅ビルを建設しようということも、私は計画承知しております。  しかし、その前に室蘭港の国鉄埠頭について私は先に問題にしてみたいのです。私は、一昨年の秋に港内をランチでくまなく視察をいたしました。そのときに、国鉄埠頭が草ぼうぼうの姿、しかもそこにはさびついたガントリークレーンがあるのを見てまいりました。御承知のように、この国鉄埠頭からは、かつては一日一万トンも石炭が積み出されていたわけです。昭和三十六年当時は、室蘭港の石炭取り扱い総量が六百二十七万トン、国鉄埠頭から積んだ分は三百七十万トンですから、五九%、半分以上が国鉄石炭だといえるわけです。ところが、少し飛ばしますが、三十九年が四六%、四十二年は二八%、四十三年が一九%、四十四年はわずか六%で、四十五年には一かけらの石炭も積んでいない、こういう状態でございます。これは現地ではっきりと調べてまいりました。そして四十六年度の実績は、これはまだ出ておりませんので申し上げることはできません。この事実は総裁御存じだと思うのです。おそらく知らなかったとは言わないと思うのですけれども、念のためにお伺いしておきます。知っていたか知らなかったか、それだけでけっこうです。
  17. 磯崎叡

    磯崎説明員 一時五千万トンをこしました国鉄石炭輸送量は、すでに千万トン台に落ちまして、全国で、いま御指摘室蘭のほかに小樽あるいは九州の若松、戸畑というところが石炭積み出しの関係遊休施設になっておる。よく私は存じております。
  18. 松本忠助

    松本(忠)委員 それでは総裁にお尋ねいたしますが、この室蘭港の国鉄埠頭において固定資産税を納めているのか、または市町村納付金の中に含まれて納付しているのか、そしてその額は幾らか、この点おわかりでございましょうか。古いことはいずれにいたしても四十五年、四十六年度の最近二カ年間でけっこうでございますから、御答弁を願いたい。
  19. 磯崎叡

    磯崎説明員 市町村納付金のほうは、昭和三十六年から四十年まで毎年三千万円平均です。四十五年度が二千八百八十一万円、それからそのほかに市町村納付金でない固定資産税がございます。これは工場その他の設備でございます。これが千二百四十五万五千円、これは固定資産税のほうでございます。両方合わせますと、約四千万円の納付金税金を納めております。
  20. 松本忠助

    松本(忠)委員 私、お伺いしたいのは、国鉄埠頭の分だけは幾らですか。総裁がいまお答えになったのは、室蘭市に納められた固定資産税または市町村納付金、その国鉄埠頭六万坪に対する固定資産税ですか、あるいは納付金ですか、私存じません。お答えいただきたいのです。
  21. 磯崎叡

    磯崎説明員 埠頭部分には固定資産税はございません。納付金だけでございます。これが面積で推定する以外に方法ございませんが、全体の室蘭市に対するいま納付金が約二千八百万円と申しましたが、それがそのうちの面積割合から申しまして、私のほうで室蘭埠頭だけにとってみますと、約五十万円という計算になります。
  22. 松本忠助

    松本(忠)委員 これはもう総裁いまおっしゃるとおり、私も調べましたが、埠頭の分としてはそういう計算、そういう答弁をする以外にないと思うわけです。先ほど申し上げました新宿の駅の南口のほうの土地七百七十五坪、これにつきましては納付金法の特例によって東京都へ国鉄から納付されているものと思いますけれども、先日都へ行って私調べてまいりましたが、都自身も確実にその分が収納されているかどうかわからない、こういうことを都では言っているわけです。この土地につきまして国鉄では市町村納付金を納めているのでしょうか、それとも固定資産税を納めているのでしょうか。納税しているかいないか、どちらで納税しているのか、その点だけをお答え願いたい。
  23. 磯崎叡

    磯崎説明員 いま室蘭で申しましたとおり、あの部分だけについて幾らということは出ませんでございますけれども、あの分は私のほうの事業用地として納付金対象になっております。
  24. 松本忠助

    松本(忠)委員 まさしく今後事業計画をなさろうというのですから、納付金対象になっておるわけです。納めていることは事実ですね。−それではお伺いいたしますけれども先ほどから申し上げておるように、四十五年度石炭の積み込みは皆無だった。したがいまして、収入は皆無です。それにもかかわらず市町村納付金を納めている。これはいわゆる税金むだ払いじゃないかと私は思うのです。新宿駅の南口土地につきましても、収入がなかったと私は思うのです。わずか何個かのコンテナを置かせている程度でありますから、収入はないんじゃなかろうかと思います。これにもいま総裁市町村納付金を払っているとおっしゃいました。これまたいわゆる税金むだ払いじゃないかと私は思うのでございますが、いかがでございましょうか。
  25. 磯崎叡

    磯崎説明員 いま御指摘の二カ所に限らず、実は廃線敷と申しますか、線路増設などをいたしまして要らなくなった線路敷で、処分のできないものがたくさんございます。それも全部市町村納付金がかかっておるわけでございまして、それだけを除くためには、私どもが権利を放棄するか、あるいはなかなか売れないところでございますので、ことに地方廃線敷などほとんど売れませんが、結局ただで寄付するか、権利放棄するか、あるいは何か売り手をさがして売るかという方法以外にないと思います。いまは全部納付金を払っておるわけでございます。
  26. 松本忠助

    松本(忠)委員 おいおいその問題はこまかく私調査した結果において詰めていきたいと思いますが、こういう場合に、無収入の場合、個人の会社だったら当然のこと減免措置を申請するのですが、国鉄はそういうことをやらぬのですか。
  27. 磯崎叡

    磯崎説明員 これは私の所管外になるかもしれませんが、市町村納付金そのものが一種の税金的な性格を持っている、固定資産税的な性格を持っておる以上、それが利益を生もうと生むまいと資産を持っていることに対する税金であるというようなたてまえから減免措置はされておらないというふうに存じておりますが、これは政府のほうの見解だと思います。
  28. 松本忠助

    松本(忠)委員 総理お答えをひとつ願いたいことでございます。いま総裁と私がやりとりをいたしましたのは十分おわかりいただいたと思いますけれども、もうすでに、この室蘭港というのは御承知のようにすばらしい港です。しかも国鉄埠頭というのは水深九メートルで一万トン級の大型係船が可能なところです。まあ、こういうところを利用して国鉄では小名浜との間に定期航路の基地に使うのだ、こういう考えを持っておるようです。昨年の暮れも泉貨物局長がこのことで折衝中だということは私も知っております。しかし、現実にもう四十五年の年に私は見てきたときにもこのことを国鉄に注意をしている。しかもその国鉄自身が四十二年には百十万トン、二八%になったときに国鉄自身が四十二年の十一月に用途廃止をした、こういうことも言っているわけです。そうしますと、私が注意する前にもうすでに国鉄では用途廃止をしているわけです。しかしその後何ら積極的な行動がとれてない。そうして将来小名浜に使うのだから、あるいは駅ピルを建てるのだから、こういうことでいつまでもいつまでも税金性格を持っているのだからやむを得ないのだ、減免措置はお願いできないのだということで支払っているのですけれども、こういうやり方はこれは改めなきゃ私はいかぬと思うのですが、総理、どのように思いますか。
  29. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 私も改めなきゃならないと思います。しかし、どうも国鉄の組織があまりにも大きい、制度そのものもずいぶん古くからできておる、そういうところでどうも迅速なる処理ができない、こういう欠陥がございます。その点は大いに鉄道当局といたしましても反省をしておることだ、かように私は思っております。
  30. 松本忠助

    松本(忠)委員 いま総理が言われたように、実際国鉄は大世帯過ぎて、まとこに動きののろい動物のようなもので、さっぱり進まない。これはもう改善しなきゃいかぬと思いますね。この企業努力をしないで、国民に一方的に運賃の値上げだ、運賃の値上げだという、この姿勢は私は考えなければいかぬ。国鉄もそのとこを御存じで、しかも総理御存じでありながら、国鉄が大きい世帯なんだからできないのだ、なかなかいろいろの制約に縛られてできないのだというようなことでなくて、国民は少なくとも国鉄赤字だということは知っているわけです。何とかしてそれを改善したい、こういう気持ちで国民だっているわけです、自分たちの血税が使われるのですから。それを思ったときに、総理がそれをやむを得ないのだというような考えではなくて、もう少し国鉄総裁を鞭撻して企業努力をしろということばで、総理の口から、あるいは運輸大臣を通してなり、国鉄にびしびし問題の解決をするということが当然私は出てしかるべきだったのではないか、こう思うのですが、この点総理はいかがお思いになりますか。
  31. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 御意見はそのまま承っておきます。
  32. 松本忠助

    松本(忠)委員 それでは総裁全国で七百五十四カ所の未利用地、不用地、こういうのはいまの国鉄埠頭のように、あるいはまた新宿の例、これと同じように全国的にたくさんあるわけですね。しかもそれに対して払っているという。それを改善なさろうとしない。しかしここで考えてもらわなきゃならないのは、国鉄磯崎さん個人のものじゃないわけです。国民のものだと思うのですね。国民全体の国鉄だと私は思うのです。そういう点から考えるならば、国鉄総裁として公企業に取り組む姿勢としてはまことに残念だと思うのですね。私はここで金額の大小を論じるのでなくて、企業に対する考え方、この点について総裁に反省してもらいたいと思う。こういう考え方を世間では、国鉄のやってらっしゃるような考え方を、よく聞いていらっしゃると思いますけれども、親方日の丸、親方日の丸だからしようがないのだ、こう言っているわけですよ。磯崎さんも国鉄に奉職されてから何年になるか存じませんけれども、私は、国鉄と心中するぐらいの気持ちで国鉄に奉職されたのじゃないかと思う。現に国鉄の最高責任者として、最も困難な時代国鉄の経営の衝に当たっているこの御苦心については私は重々察します。しかし、経営者としての感覚、その点については、できないのだから、やむを得ないのだということでなくて、どうも御努力が足りないように私は思うのです。この点についていかがでしょうか。
  33. 磯崎叡

    磯崎説明員 私も私自身の責任において全力を尽くしておりますけれども、しかし、いまおっしゃったとおり、確かに欠ける点が多々あったというふうに存じます。  たとえば土地にいたしましても、ことしはずいぶん馬力をかけまして約八百五十万平米ぐらい売りました。去年も四百万平米ぐらい。いままでほとんど売ってなかったのが、去年ぐらいから急激に売っておりますが、なかなか値段がまとまらないとかその他で進展いたしませんが、少なくとも予算に計上した分ぐらいは必ず確保するというたてまえでやっております。しかし、全体といたしまして、たとえば新宿にいたしましても、本格的に使うまでの間、たとえ一年でも二年でも三年でも、駐車場に使うという程度の考えも具体的に浮かんでなかったというごとは非常に残念でございまして、これは先般先生からも御注意がございまして、即刻全国に調べさせまして、いま約六十カ所で緊急に駐車場だけやらしておるわけでございますが、駐車場等は、つくりましても将来本建築のじゃまになりませんので、そういうあとに災いを残さないような使い方をしてまいりたいというふうに思っております。
  34. 松本忠助

    松本(忠)委員 総裁が御自分の不明をわびられて、そしてしかも最近六十カ所なり駐車場をやると——これは駐車場は一番簡単でいいと思うのです。何か将来建てようというときにも、取っ払えばいいのですから、一番簡単。ほかのほうに貸してしまっちゃそうはいきませんけれども、これは非常にけっこうなこと。そして国鉄御自身が合理化企業努力をする、こういうことをまず前提条件としてもらわなければ、値上げなんて許されないと思うのです。いままでも四年も五年もおっぽっておいて、最近六十カ所を始めたから、これじゃまだまだ私は努力が足らぬと思うのです。もっともっと徹底的にそういう問題を洗いざらいやって、そうしてほんとうに国民の皆さん、国鉄はこれまでやっています、だからひとつ御協力ください、こういう姿勢がなくてはならぬと私は思うのですが、総理、どうでしょう、私の考えは間違いでしょうか。
  35. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 いま私はやりとりを聞いておりまして、確かにおっしゃることにも十分の理由があると思います。しかし一面、やはり適当なときに運賃の値上げをしなければ、いたずらに努力すると言っただけで全部が片づくものでもございませんから、適当なところではそれらの施策もあわせとらざるを得ない、こういうところにただいま国鉄の悩みがあり、政府の悩みもあるのでございます。その辺も御解決をいただきたいと思います。
  36. 松本忠助

    松本(忠)委員 総裁、ひとつ伺いますが、国鉄自身合理化努力と、さっきこう言われましたけれども、具体的にいうと内容はどんなふうなことをいうのです。
  37. 磯崎叡

    磯崎説明員 大きく分けまして、積極的な努力といたしましては、何としても運賃収入をふやす、増収をしなければいけないというふうに思っております。それから増収するにいたしましても、一般の運賃収入のほかに、いまおっしゃったような不用資産の売却その他についても全力をあげて収入増加につとめるという前向きな方法と、それからもう一つは、経費の節減、いわゆる消極的な支出の節減ということをしなければいけないというふうに思っております。それと同時に、組織、仕事のやり方等につきましても、ちょうど百年たちました国鉄でございまして、いろいろ古いあかがたまっております。これも洗い落としまして、新しい世紀に向かって進めるような体質に改善しなければいけないというふうに私は思っております。
  38. 松本忠助

    松本(忠)委員 運輸大臣御存じだと思いますけれども国鉄法の五十二条は、「日本国有鉄道は、運輸大臣が監督する。」と、こうございますが、監督の姿勢として、いままで総裁が述べられたことについて、運輸大臣としてどのようにお考えになりますか。また、監督についてのお責任というものはどういうふうにとられますか。
  39. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 監督の責任並びに国鉄指導の運輸相、私の姿勢といたしましては、ただいまお話がございましたとおり、国有鉄道が日本の陸上交通の大動脈でございます。この使命にかんがみまして、しかしながら最近いろいろの経済社会構造の変革、そうしてまた最近の貨物輸送の形態、あるいはまた予想外のベースアップによる人件費の増高、これらの点にかんがみまして、非常に経営が悪化してまいりまして、これはもうすでに国会におきましても、非常に議員の皆さまも御憂慮いただきまして、運輸委員会におきましても特殊な国鉄問題についての小委員会までお開きいただきまして、国鉄をいかにして国民の足としての使命を達成するか、その再建をいかにするかというのを半年にわたりまして御討議をいただいた次第でございまして、私といたしましては、あくまでも国鉄国民の足の大動脈であるという自覚に徹しまして、そして財政の健全なる再建をはかり、そしてその使命を達成するためには、まずもって、先ほど指摘がございましたような国鉄自身企業努力合理化、これをやはり具体的に懸命に行なうことが第一であるということ、並びに、それにつきまして、やはり今日の時勢になってまいりますると国鉄のいわゆる独占性というものは失われてまいりまして、経営の点におきましても経費上非常ないろいろの問題がございますので、政府の大幅の出資とそれからまた国民の御協力、こういうことを三木の柱といたしまして、どうかしてこの際、国民に対するりっぱな良質な運輸サービスを提供しなければいかぬという考えのもとに、微力ではございますが、懸命に努力しておるところでございます。
  40. 松本忠助

    松本(忠)委員 運輸大臣、たいへんその三本柱の御説明で、私ももう昨年の暮れからこのことは聞いておるわけです。運輸大臣がそうやって努力されることはわかるのですが、私の聞きたいのは、国鉄がそういう場所を何年も何年もおっほっておいて活用もしないでいる、企業努力していないじゃないか、その企業努力してないことに対して、運輸大臣としてどう考えているのだということを聞きたいのです。
  41. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいま松本先生から御指摘ございましたようなそういったような遊休地あるいはまた活用すべき土地につきましての努力を、現在また過去におきまして怠っていたじゃないかということを、私は運輸大臣就任早々から各方面から聞いておりました。具体的に調べさせましたところ、いま松本さんの御指摘のとおりのところが相当ございました。これらの問題につきまして具体的に早く計画を樹立して、そうしてやはりそういう方面におきまして増収をはかり、国民に対しましてもりっぱに国鉄はこういう企業合理化をやっているのだ、増収努力をやっているのだということを、具体的に身をもって示すようにということを指示している過程にいまある次第でございます。
  42. 松本忠助

    松本(忠)委員 まあいいでしょう。  国鉄が六万坪もあるような広大なすばらしい岸壁もなかなかよう使えぬでおる。また、新宿駅の南口のようなすばらしい一等地も、これまた日銭をかせぐためのいわゆる駐車場、こういうものにすぐ使ってもいいのも、これもやらないでおく。こういう問題もさることながら、私は国民の一人として、国鉄に乗っかっているお客さんの立場、それから考えまして、サービス問題、要するにお客さんに対して国鉄がどのようなサービスに徹しきっているかという問題、これは大事なことだと思います。  そこで、その問題を調査したことがあります。その調査の結果をもとにしまして、四十五年の六月の十五日に、利用者の代表を加えまして、国鉄の旅客局の幹部、関係各方面の方々を迎えて懇談会を第二議員会館でやりました。その席上いろいろ要望いたしました。改善をしてもらいたいという、具体的にこれをこれをこれを改善してもらいたいと頼みました。その回答を一応その場では受けました。だけれども、実際に真剣に取り組んだとは思えないわけですよ。そこで昨年の九月の十四日に第二回目の懇談会をいたしまして、その会合の席上でさらに、第一回目の会合のときに指摘した点について、改善されない点をまた再度申し上げたわけです。ところがその後も全く遅々として進んでいないのですよ。ただ、当日の利用者の中に女性の方の発言がございまして、これは品川駅の駅弁が非常にまずいという具体的な御指摘がありました。その日にちょうど事業局の次長さんがいらっしゃいまして、さっそくこれは改善してくれました。それからもう一つ、男の利用者の方から御希望があったのは、コインロッカーの使い方がわからない、こういう御注文がありました。これも間もなく改善された。そして回答が写真つきで私のところへまいりました。  しかし、これは国鉄自身が直接改善したのじゃなくて、コインロッカーのほうは弘済会ですよ。それから駅弁のほうは構内営業中央会、言うならば国鉄関係の他の事業体、これに改善の指導をした。指導しただけでもけっこうでありますけれども国鉄自身の問題については何にも改善されないのですよ、総理指摘したことの中には構内放送の問題がある。新幹線の車内放送の問題もある。あるいは駅構内の旅客を誘導する掲示板の問題、こういうもの、特にお金をかけなくてもできるものですらなかなか改善されない。こういう国鉄の体質、これに対して私は不満なんです。国民を一体何と思っているのか。乗ってくださるお客さんの便利なんてちっとも考えていない。  私は国民の代表として、ほんとうにお客さんの不満をそのまま率直に伝えたのです。ところが、なかなかやらないのです。で、言いぐさはこうですよ。そのうちなれるだろう、不便をしているのは何%、何%の人が不便しているだけなんだからいいじゃないかという、この何%主義というのが国鉄の中にあるのですよ。この問題を私は特に指摘したい。小さな問題、しかもお金のかからない問題、それですら解決しない。これは総裁にはっきり申し上げておきます。こういうささいなことですら意欲的に解決しようとしない、こういう国鉄の体質、これを反省しない限り値上げなんか絶対ならぬ、こう私は言いたい。事実国民の皆さまがおっしゃっていること、それをそのまま私は申し上げているのです。決して私がかってに言っているわけじゃないのです。みんなの声なんです。それを何ら改善しようとしない、実行しようとしない、口先だけ。それを私は何とかして改善して、ほんとうに国民のための国鉄にしたい、ほんとうに喜んで乗ってもらえる国鉄にしたい、私はそういう気持ちから総裁にあえて申し上げるのです。どうかひとつ総裁、それに対してあなたの責任において解決するんだという強い意思を示していただきたい。
  43. 磯崎叡

    磯崎説明員 ただいまお話しのサービスの懇談会につきましては、私二度ともその話はあとからすぐ報告を受けまして、すぐやれることはやりなさいという厳命を下しております。ただ、いまおっしゃいましたたとえば放送の問題などになりますと、一人一人の末端にまでなかなか浸透しない点があったことは事実でございまして、私も旅客の一人として乗る場合には常にその点に気をつけて言っております。しかしやはり数が多いことで、これから徹底的に浸透させるようにしなければいかぬということで、御承知のとおり、旅客局にサービス課というサービス専門の課をつくりまして、そして指導をさせておるわけでございますけれども、いまの御趣旨が徹底するように全力をあげてやってまいりたいというふうに思う次第でございます。
  44. 松本忠助

    松本(忠)委員 御努力されている点はわかりますけれども、一体いつまでに直しますか。その点どうですか、具体的に。非常に膨大だから末端までいくのに時間がかかるから、こういう言いのがれですよ、それは。ほんとうに総裁のツルの一声でこれを直すのだという、そのことが出ないなんということは私はおかしいと思うのですけれどもね。
  45. 磯崎叡

    磯崎説明員 実はそれにつきましてもいろいろ部内で相談いたしまして、今度三月十五日に相当大きなダイヤ改正をやりますので、そのときにそういうこまかい手の届くところにできるだけ手を届かせようという意味で、具体的なたとえば掲示だとかあるいは放送のしかただとかについて、もう一ぺんさらにここでもってやり直す。ことに掲示などにつきましてはいろいろ具体的に新しいものをつくりまして、そしてやっていきたいというふうに思って、一応三月十五日をめどにいま考えております。
  46. 松本忠助

    松本(忠)委員 それじゃ総裁のおことばを信じてお待ちいたしましょう。  それから総裁にもう一つ言っておきたいことがありますが、国鉄というところは野党のわれわれに対してはほんとうのことを言わないところだ、これは私の結論です。私ども野党は野党なりに、国鉄再建について努力を重ねてきたつもりです。その一つの具体的なものが、さっき運輸大臣も言われましたけれども、運輸委員会の中に国鉄問題の小委員会を設けて掘り下げた審議をした。各党からそれぞれ再建に対する考え方を出させた。こういうことも野党の協力があったから私はできたんだと思うのですよ。それにもかかわらず、どうも野党に対してはほんとうのことを知らせようとしない。これがはっきりしたんです。  そこで、非常に遺憾であるがゆえに申し上げるわけでございますけれども先ほども申し上げましたけれども、わが党が国鉄所有の未利用地、不用地について調査を始めました。国鉄当局に御照会しました。当初、全国に七百五十四カ所あるということでございました。そのうちの、リストについて一部分提出はありましたけれども、どうしたことかいまもって全部出てこないわけですよ。一部は確かに出てきました。七百五十四カ所あるといったそれが、全部出てこない。国鉄はあまり膨大過ぎて、自分のうちの財産の掌握ができてないんじゃないか、こんなふうに私も思う。あるいはまた、野党に対しては真実をあかすことをおそれているのか。そう考えましたときに、はたして国鉄の所有する財産、すなわち土地とか建物、こういうものについて完ぺきな管理ができているのかしら、どうも不審を抱かざるを得ないのですよ。現物と帳簿を照合したらぼろが出るというようなことはおそらくなかろうと私は思うのですけれども、この点、総裁、いかがでしょうか。
  47. 磯崎叡

    磯崎説明員 その点は、昭和三十二年に根本的な再評価をいたしましたときに、徹底的に現物と帳簿と当たって財産目録をつくっております。御承知のとおり戦災で相当帳簿等も焼けましたので、それをつくり直すまで約十年かかりましたが、再評価をいたしまして、いまは現物と帳簿とはきちっと合っておりまして、それで財産目録をつくっているわけでございます。
  48. 松本忠助

    松本(忠)委員 現物と帳簿がぴったり合っているとおっしゃる、こういうわけですか。ほんとうに間違いございませんか。あなたはいま、はっきりしていると言われました。ほんとうに間違いございませんか。
  49. 磯崎叡

    磯崎説明員 一番問題なのは、財産の不用と申しますか、工事が進行して、そして要らなくなったというものを整理する場合、先ほど七百何カ所という御指摘がございましたけれども、たとえばこの駅の中のどこからどこまでが不用になったのだということにつきまして、それが帳簿に載っている場合と載ってない場合がございます。それは私のほうでは雑種財産に編入する場合にははっきりいたしますけれども、そうでない場合にはそのままにいたしております。そういう点が不明確な点があるとすればあると存じます。しかし土地の広さその他につきましては一応昭和三十二年の再評価、その後の新規取得等につきましては帳簿に明確に記載してあるというふうに考えます。
  50. 松本忠助

    松本(忠)委員 重ねて総裁ははっきりしているとおっしゃいました。しかし私ははっきりしてない、こう申し上げたい。事実があります。私はその証拠を握った上で申し上げているのです。決しておどかしでも何でもございません。その証拠を何なら申し上げてもよろしいわけでございますけれども、具体的にその固有名詞を申し上げることはちょっと差し控えますけれども、ある駅の構内と申し上げておきます。あとで総裁がどうしても知りたいとおっしゃるなら、私のところに来てください、申し上げますから。  ある駅の構内の土地が、大蔵省や他の省庁の名義であるものもある。驚くべきことに、その中には私企業の法人とか個人名義の土地というものが、表面は国鉄土地になっている、しかし実態はそうでない、こういう問題があるのですよ。こういう点について、総裁、ほんとうに御存じなのかどうか。私は現実に調査をしてきて申し上げるわけであります。いずれにいたしましても、こういう問題があります。その点について、いろいろ総裁のほうにも言いたいことがあるでしょう。しかし、ここの場所でなく、かえってよその場所のほうがいいと思いますから私はあえてお伺いしませんけれども、事実そういう証拠があって私は申し上げるんだということを御記憶にとどめておいていただきたいわけです。  それから、先ほどもちょっと出ました廃線敷の問題、使用していたけれどもいまは使わなくなった、こういう問題は確かにあると思います。これも私のほうで中央線の多治見と古虎渓、古虎渓と定光寺間、この十八万五千平方メートルの不用地を調査に行ってきました、調べてまいりました。ここで一言言っておかなければならないのは、確かに総裁がいま言われたように、使って、もう廃線敷になった、それの処理ができないという、この問題は何とか方法考えないといけないと思います。全国至るところにこれがあるわけです。おっぽりっぱなしですよ、言うならば。十八万五千平方メートル、それは断続的な、まことに土地としてはもう利用価値はございません。あるいは所属の市町村に買ってくれといっても、おそらくそんなものは銭を出しては買いっこない、そういう土地が確かにあります。これを何とか——国鉄がいつまでもいつまでも持っていれば、やはりそれに対する、要するに市町村納付金を払わなければならない。あるいはいま総裁が言われたように、形を変えれば今度は固定資産税として、しかも倍払わなければならない、こういう結論になってくるじゃありませんか。どうしても早いところこういうものを整理をしなければ、一方で赤字をどんどんどんどんつくっているわけです。もう廃線敷なんだから、どうしてもだめなものならばお国にお返ししたらいいと私は思うのですよ。少なくともそれぐらいの方法がないとするならば、その方法は開いてもらうべきじゃないか、そういう方法をつくってもらうべきじゃないか、私はそう思うのです。大体私の先輩から聞いて教えられたことでありますけれども、新しいものをつくるときにはまず古いもの、これをどう始末するかということを先に考えてからやれ、こういうことを私は聞いたことがある。総理、ですからいま国鉄で悩んでいるのはそういう問題があるということです。確かに、廃線敷になったところはどうにもならない。持っていれば持っているだけ、固定資産税なりあるいは市町村納付金なり払わなければならない。これではほんとうに国鉄もかわいそうだと思います。こういうものは国の財産として吸収するとか、そういう方法が開けないものかどうか、この点について私は大蔵大臣にひとつ聞いてみたいわけです。
  51. 水田三喜男

    水田国務大臣 それは研究いたします。
  52. 松本忠助

    松本(忠)委員 どうかひとつ研究をしてください。そして研究するばかりでなくて、これでも何とか早いところめどをつけてもらいたいと思うのです。こういうことをしてやらなければ国鉄でもかなわいなと思います。どうかひとつお願いいたしたい。  それからもう一点申し上げておきたい点は、これは私、高崎鉄道管理局、この現場の声をこの間聞いてまいりました。ここで感じましたことは、国鉄の組織というものがあまりにも膨大過ぎて、下意上達が全然なされていないということです。これは総理大臣が国鉄にいらっしゃった当時はどうかわかりませんけれども、現在は私は下意上達の道は全く閉ざされていると申し上げても差しつかえないと思う。これは、下部の人たちはほんとうに国鉄再建のためにこうしたいああしたいと一生懸命考えているのを——私たちが行きますとそばへ来て、こうしたいああしたいという意見を言ってくれるわけですよ。なぜ部内の人にそれを言わぬのか。部外のわれわれに、しかも野党のわれわれにそれを言いたい、待ってというのですよ。なぜ国鉄部内の人にそれを、自分たちのこういう意見をといって申し上げようとしないのか、こう私が聞くと、なかなかそれができないのだ、こういう御返事なんですね。国鉄は一まあ国鉄ばかりと言えないかもしれませんけれども、いわゆる文書による通達というやつ、会議に次ぐ会議、確かにそれはじょうずです。何かといえば通達を出す、何かといえば会議を開く。そうした通達やあるいは会議、こういうもので上のほうの意見は下へ確かにいくと思います。しかし、下の意見が上まで上がっていかないという欠点があると思うのです。その下意上達の欠けている国鉄の現在の体質、それを直すということが私は企業努力だと思うのです。それが企業努力への出発点だと私は思うのです。また、本社首脳部の考え方が何の抵抗もなくずうっと下部まで流れていく、こういうことが大事じゃないかと思うのです。このパイプがどこかでつかえているわけです。このパイプのつかえているところを直すことが先決だと思うのです。合理化努力、これは首切りじゃないのですから、マル生運動も組合のストライキも、私はこの上意下達、下意上達のパイプがすっきりすれば必要なくなることじゃないかと思うのです。それをまず総裁に心がけてもらいたいと思うのです。国鉄がいま重大な時期にあることは、私も承知しております。これは財政のみならず、国鉄全体の再建だと思うのです。ただいま申し上げました下意上達のない点を改善するために何か新しい制度を設ける考えがあるかないか、また、新しい制度をつくるとすれば、どんな弊害がそこから起きてくるのか、なければ私はつくるべきだと思うのですが、この点について総裁のお考えを聞きたいわけです。
  53. 磯崎叡

    磯崎説明員 先ほども申し上げますとおり、私どもはお金だけで国鉄再建できるとは思っておりません。やはり計量化されない部内の合理化、近代化がなければ国鉄再建はできないというふうに思っております。したがいまして、いまいろいろ考えておりますことは、先ほどちょっと申し上げましたが、たとえば全体の仕事のやり方とかあるいは制度という百年間積み重なったものに対する反省、それから前に向いてのこれからのやり方というふうな意味で、確かに下部の職員の意見が上がってこない点がございます。これらは、いま考えております提案制度、あるいはいろいろな新しい企業経営のやり方があるようでございますが、私どもにも最近ある民間の有名な方を理事に迎えまして、そうしてそういう人からのいろいろ意見を聞いて、実際上どうやったらほんとうの下部の意見が途中で詰まらないでそのまま、なまのままわれわれのところに上がってくるかという方法について、いろいろいま検討しているところでございます。
  54. 松本忠助

    松本(忠)委員 どうかせっかくひとつ努力をしていただきたいと思います。  そこでさらにもう一つ、これは私この間高崎駅の構内を見まして、考えておりました構想の一端をひとつ申し述べてみたいと思うのでありますけれども、やがて高崎の駅も上越新幹線が通ることになるでしょう。それまでに、駅の有効かつ高能率な活用方法の一つといたしまして、現在の高崎の駅舎に隣接して専売公社の塩の倉庫がある。現実の問題としてあまり倉庫は使われていないようです。これを移すとするならばかっこうなところがあるわけですね。そういうところへ移せば、駅の前のすばらしい土地が有効に活用できるわけです。そこへ国鉄用地、こういうものを一体にして、そこへ中高層の住宅をつくってはどうか、こういう考え方なんです。これを建設することについては、土地利用区分や土地の整備を十分に配慮して、環境の良好な政府の施策の住宅を中心として建てることは当然のことだと思いますけれども、いま東京−高崎間というのはもう一時間、通勤は可能な地帯でございます。入居者も相当あることと考えられます。そういう中高層の住宅を管理する人間として国鉄職員の中から転職してもらう。こういうことをすれば、一石二鳥ということもいえるんではなかろうか。現場の職員の方にこういう構想について聞いてみました。あなた方どうだ、そういうものができたら転職していく考えがあるか。現場の方は、環境のいいところへ転職する、配置がえになることについては一向にためらっておりません。進んでそういうところに行って、そうして国鉄再建のために努力したい、こういうことを言っているわけです。こういうことは別に高崎に限ったことでございません。私が方々回りました管理局で、方々で聞いたことばです。そういったことを考えてみましたときに、この構想をどのようにお考えになるか。運輸大臣大蔵大臣、それから建設大臣、お三方にひとつお伺いしてみたいわけであります。
  55. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 勤住直結の政策ということは、ただいま都市政策上からも交通政策からも強くいわれているところでございまして、すでに私鉄方面ではそれを具体的にやっているところもございます。私もその点を直ちに考えまして、国鉄当局にもいま検討を命じているところでございます。ただ、ただいまのところ、法改正の問題が少しございます。早急にそれらの点を打開しまして、できるだけ早い機会にそういった方途を講じてまいりたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
  56. 西村英一

    西村国務大臣 高崎のことも私はちょっと知っていますが、いままで高崎についてそういう考えをしたことはありませんが、なかんずく東京都につきましては、鉄道用地を何とか使えないか、こういうことはいろいろ考えております。しかしながら現在のところ、公団の住宅、公社の公営住宅をつくるにしても、具体的なところは一つもありません。しかし、たとえば東京都にしましても、汐留の操車場あるいは田端の操車場、これは大操車場でございまして、その空間を使えないかという構想は、あなたの考えておられるように私たちも考えておりますけれども、私としてはまだ運輸大臣にも国鉄総裁にも具体的な正式な話はしておりませんが、調べは十分いたしておるのでございます。現在、そういうことは将来の十分可能性があるだろうと考えております。いま操車場の上に住宅をつくっておるところは、東京都は高島平でやっておりますが、あの空間を使ってあれで千五百戸くらい建設しておるのでございますから、この点は将来にわたって十分考えていきたい、かように思っております。
  57. 水田三喜男

    水田国務大臣 私はよく事情を存じませんが、問題はやはり実情に即してこれは解決するよりほかしかたないと思いますので、私のほうに関係する、たとえばいまの専売公社の問題とか関係があるようでございますので、こういう問題については十分研究したいと思います。
  58. 松本忠助

    松本(忠)委員 いまお三方からいろいろお話がございましたけれども、住宅建設の最大のネックというのは、交通機関に近いところに土地を求めることができない。多摩のニュータウン、これは大きな失敗の問題があります。これは何とか改善しなければならぬわけでありますけれども、交通機関がない、いきなり都会ができる、そうすると通勤ができない、これじゃしようがないわけです。そういう点は国鉄用地活用するならば非常にいいのじゃなかろうか。実際問題として民間の土地を求めることはもうできませんし、そうなってくれば国や公共機関の土地利用するということ、そしてしかも高層化、これは時代の要請だと思うのですね。このことについて三大臣からいまお話がございましたが、総理はこういうことについてどうお考えになりますか。
  59. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 この構想は私もしばしば各方面から聞いております。したがって、ただいま三大臣からお答えしたとおりでございます。ただ三大臣でまだ抜かっていたのは危険性の問題、これはとにかく鉄道にすぐつくるという、そういう点ではたいへんけっこうな利便でございますけれども、同時にそれが駅であるとかいうようなことで、ただいま子供の遊び場を最も必要とする、こういうような場合に建物だけでもいかぬ、そこらのところもよく考えなければならぬのじゃないか、かように私は思います。
  60. 松本忠助

    松本(忠)委員 いろいろと国鉄の問題について、具体的にこまかく私申し上げてまいりました。ここでもう一度振り出しに戻って考えてみたいと思うのです。私がいままで数々の具体例をあげた、何を言おうとしたか、これを御理解願いたいと思ってもう一度繰り返します。  まず第一に、国鉄自身の体質改善が急務だということであります。これはもう総理もうなずいていらっしゃるからそのとおりだと思います。ただいま申し上げました具体例の中身、もう一度繰り返しますと、何でもパーセンテージで片づけるというこのやり方、官僚化した弊害、文書、通達、会議の悪弊、そして下意上達がない、あと始末をやらないでおっぽりっぱなし、国鉄用地あるいは不用地の効率的な活用をしようとしない、あるいは市町村納付金むだ払い、サービス向上に熱意がない、こうあげてまいりますと、際限がないほど企業努力に欠けた数々の例であります。これらの例は氷山の角じゃないかと私は思うのです。これらの点を改善することすらできない国鉄に対して幾ら国が出資や補助をしてみても、ざるに水を入れるようなものじゃないか。私はむだだという気がするのです。私は国民の代表として、国民の血税がむだに使われることを見のがすわけにはいかない。私は国鉄を愛するがゆえに、国鉄に対して強い反省を求めたいのです。総裁どうですか。いかにいま申し上げたような、国で出資をしてくれる、補助をしてくれるといっても、そちらの受け入れ体制が完全にできていなければ、これはざるに水のたとえです。それじゃならない。それに対して率直に御反省なさいますか、どうですか。
  61. 磯崎叡

    磯崎説明員 政府から御援助願い、国民から御協力願う前に、私ども自身がやらなければならないことが多々あるというふうなことは、私よく肝に銘じて考えております。微力にして、いままであまり効果が出てなかった、たいへん申しわけなく思っておりますが、今後全力をあげてやってまいりたいというふうに思います。
  62. 松本忠助

    松本(忠)委員 総理はさっきからうなずいていらっしゃいましたし、ひとつ国鉄の監督の立場にある運輸大臣から、その考えについてのまとめを聞いて、この問題を打ち切りにしたいと思います。
  63. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 先ほども私お答え申し上げましたとおり、まず国鉄の一番肝要なことは、いろいろ経済事情の変化等もございまして経営が相当困難になった点がございまして、この再建が何よりも必要でございますが、それにはまずもって、先ほどお答えいたしましたとおり、また松本さんからの御指摘がございましたとおり、国鉄のいままでの欠点を早急に直すということが私はやはり肝要である、こう思っている次第でございまして、私も十分その点で指導監督をするつもりでございます。
  64. 松本忠助

    松本(忠)委員 経企庁の長官にひとつお伺いしたい。  私はこの席上で、国鉄の財政上の問題に数字をあげて質問しようとは思いません。これは後日運輸委員会でがっちりやりたいと思っております。ただ、国鉄運賃の値上げが諸物価に影響するところがはなはだ多いということは、もうだれもかれも否定することはできない問題だと思うのです。そうしたことを踏まえて考えたときに、新しい再建計画といいますか、手直しをしたところの再建計画では、三年に一度は値上がりするんだということを織り込んでおるという事実がある。かりに四十六年、現行運賃を一〇〇として考えた場合に、四十七年のこの新年度の運賃は要するに一二四ということになるわけですな。三年後の五十年、同率で値上げするとすればどうなるか、一五四になるのじゃなかろうかと私は思うのですよ。さらにその三年後の五十三年になるとどうなるかというと、一九一という指数が出てくるのです。最後の年の五十六年というのは未定といっておりますけれども、かりに同率の値上げをする、そこへいけば黒字になるのだという御説明ですけれども、私は黒字になるとは信じておりません。結局そこへいっても、十年たってもまだ赤字じゃなかろうか。そうすると、結局またそこへいっても値上げをするということになると、五十六年に同率の値上げをすると二三七という数字が出てくるのですよ。この考え方は間違いでしょうか、どうでしょうか、経企庁長官、ひとつ……。
  65. 木村俊夫

    ○木村国務大臣 いま再建計画の中で、そういうあと二回の値上げを一応予定してのお話でございますが、その率で申しますと、まさにそのとおりになると思います。
  66. 松本忠助

    松本(忠)委員 いま経企庁長官がお認めになったように、十年後には現在の二・三七倍になるのですよ。一体国鉄がこんなに値上げをしたらどういうことになるか、国民の一人として、国民の代表として、私は不安でならないわけです。政府主導型の公共料金の値上げが、向こう十年間に政府は三何といっておりますけれども、四回も行なわれる。こうしなければ国鉄再建がほんとうにできないのかどうか、これはたいへんなことだと思うのです。あまつさえ自民党の内部には、国鉄運賃の改定は国会審議を必要としない、こういうふうな意見さえもあるということを私は聞いております。こういうことになったら、一体どこで歯どめをかけるんだろうかということになるわけです。国鉄が三年ごとに値上げをする、これはもう確定的だ。これが他の交通機関に影響しないということはだれも言えないと思うのです。私は大きな影響があると思います。この点はもう当然影響が出てくるというお答えが私は当然だと思うのでありますけれども、念のためにひとつ経企庁長官に伺いましょう。
  67. 木村俊夫

    ○木村国務大臣 このたび御審議願っている値上げはいま申し上げたとおりでございますが、今後の値上げにつきましては、今回の再建計画の進捗状況、またその時点における物価事情等をそのつどつど私どもは検討したい、こう考えております。
  68. 松本忠助

    松本(忠)委員 確かにそのつどそのつど計算をするでしょう。何でもかんでも二四%上げて、実質一五%の要するに値上げを見込むんだということじゃないかもしれません。黒字になってくれば当然上げ幅を下げることも、あるいは三年を四年にすることも考えられるでしょう。だけれども、いま私が言いたいのは、さっきから再々申し上げておるように、国鉄自身の体質がはたして十年間で改善できるかということですよ。それができない限り、やっぱり国民に大きな負担をかけなければならないということになる。それをおそれるわけです。今後国鉄運賃が三年ごとに上がるとすれば、当然また航空運賃も上がりますよ。バスも上がりますよ。これはもう必ずそうなってくるにきまっているわけです。しかも、今回の航空運賃の値上げには運輸省の行政指導がなされた、このようにも思われる節があるのですね。このパターンの繰り返しは私はもうごめんだと思うのです。要するに、国鉄中心の輸送行政のもとではそうならざるを得ない。われわれは国鉄の不健全な体質のもとにきめられたところのこの国鉄の高運賃、他の輸送機関に拡大する、このことについては絶対反対であります。国鉄合理化を進め、国鉄みずからの体質を改善し、企業努力をする、こうすることによって値上げをカバーできるんじゃなかろうか、こう私は思うわけでありますけれども、この点について、経企庁長官運輸大臣、最後に総理の御答弁をひとつお願いいたしたい。
  69. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいまの一五%ずつ三年ごとの運賃の値上げ、これは一応の収入の見積もりでございます。御承知のように、確かに企業努力、これは第一でございます。先ほど私が御答弁申し上げたとおりでございますが、もうすでに専門の松本先生は御承知のとおり、交通運輸事業はおおむね労働集約型と申しますか、人件費の占める地位が非常に高くなっておりまして、国鉄におきましても、経常費の七割以上が人件費になっております。この人件費につきましては、成長経済社会におきましては、年々ベースアップするのはこれは通例でございます。先般の四十四年、せっかく御審議をいただきしまた国鉄財政計画の破綻も、いろいろございますが、その主要なる原因といたしまして人件費の予想外の増加ということが問題になっている次第でございます。ただいま私どもも積算をいたしておりますが、その基礎といたしまして、人件費を、新経済社会発展計画のアップ率というものを一応とりまして見ておる次第でございますが、四十七年度、かりに皆さまの御協力をいただきまして値上げが実現いたしましても、四十七年度分だけは人件費のアップの額のほうが値上げの額よりは少ない。でございますが、四十八年度になりますと、人件費のアップ率のほうが多くなる。それから四十九年になると一千億からも多くなる。こういうふうな事情でございまして、どうしてもそれらの点におきまして、労働集約型の企業におきましては人件費の増加に見合いましてある程度の公共料金の引き上げはやむを得ないのではないか。公共事業は御承知のとおり、私が申し上げるのは釈迦に説法でございますけれども、各交通事業につきましても各社会の悩みとしているところでございます。また、先ほど申されました国鉄運賃が上がるから航空運賃をどうかというようなお話でございますが、これはいろいろまたあとからお話があると思いますが、また御意見も承りたいと思う次第でございますが、いま航空料金の基準といたしましては、事業別の適正原価主義をとっているととは御承知のとおりでございます。したがいまして、その収支を償っているものにつきまして、こっちが上がるからという比較均衡で上げるというようなことはいたさないつもりでおりまして、航空料金の点につきましてもそういう点は経済企画庁とも十分連絡をとりまして慎重に対処してまいりたい、こういうことだけ申し上げておく次第でございます。
  70. 木村俊夫

    ○木村国務大臣 今回の国鉄運賃の値上げが他の交通料金に波及しないように、当然これは個々の経営実態について審査さるべきものでございますから、そういうような便乗値上げは認める筋合いではございません。
  71. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 ただいま二人の大臣からお答えをいたしましたので、もうそれでいいかと思いますが、大体異種交通機関問におきましてはそれぞれのたてまえがある。たとえば航空機と鉄道、あるいはまた船と鉄道、こういう異種交通機関間の均衡、こういう問題は、それを均衡を主に考うべきではない。それぞれの交通機関の特質によって考うべきものだ、かように思いますので、ただいま御指摘になりますようないわゆる便乗値上げ、こういうようなことが直ちに起こるとは思いません。しかしながら、もちろん関連のある部分もございますから、そういうものについての十分の注意、指導がなければ、ただいま言われるような便乗値上げ、こういうような非難を受けることにもなるんではないかと思います。
  72. 松本忠助

    松本(忠)委員 いままでの政府主導型の公共料金の値上げ、これが及ぼしている影響というものは、これはほんとうにはかり知れないものがあります。いろいろ三大臣からお話がございました。しかし、今回の国鉄運賃の値上げというもの、これが結局かぎになっていろいろなものに影響していくということはもうはっきりしているわけです。これはぜひとも私たちはこういう考え方をやめてもらって、国民の側に立ってひとつ考えてもらわなければいけないということを申し上げておきます。  そこで伺いたいことは、一月二十二日のこれは毎日新聞の記事でございますけれども、「今度の予算編成で決まった国鉄財政再建十カ年計画は運輸省を単なる事務局に使って自民党交通部会がつくったようなものだし、国鉄運賃値上げも丹羽運輸相がなんの意思表示もしないうちに事実上決まっていた。国鉄問題に限らず運輸省のフラフラ腰はあまりにも多い。ここ一連の運賃値上げに対する運輸省の対応をみると、国民に納得のいく運賃政策の確立には“日暮れて道遠し”の感が深い。」まことにうがったことが書いてございます。まあお気にさわるかもしれませんが、このとおりだと私も思う。  そこで今回のいわゆる新しい十カ年計画というもの、この問題がほんとうに抜本的な再建計画なんだろうか。この点について運輸大臣、ひとつ簡単に答えてください。簡単でけっこうです、時間の関係もありますから。
  73. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいまおしかりをいただきましたが、私も運輸省を預っている者でございまして、もちろん政党内閣でございますから、自民党の意見を十分聞き取りまして、そうしてそのうちにおきまして生きるものを生かして、そうしてこの再建計画をつくったつもりでございまして、決して私がその間に何ら関係なかったとか、そういうことは全然ないということをまずもって一つ申し上げておきます。  それから、もう一つは何でございましたか。(松本(忠)委員「抜本的なものかどうか」と呼ぶ)これは、私は今回のあれは抜本的なものであるという確信を持ちまして皆さまにお願いをしている次第でございます。
  74. 松本忠助

    松本(忠)委員 運輸大臣は、今回提出されました新しいところの再建計画、これは抜本的なものだ、こうお認めになったわけでございます。  それでは一つ伺いますが、二月十八日付の日経新聞の報道によりますと、十八日の自民党総務会で、国鉄運賃法と国鉄財政再建特別措置法の改正案は了承されたが、「地方赤字線を撤去する場合は関係地方公共団体の同意を必要とする」という決議がついたために国鉄財政再建の重要な柱となっていた地方赤字線の撤去は大幅に後退、新しい再建計画は出足からつまずいた、こうございます。この記事はここにございますのでおそらくお読みになっていると思いますけれども、こういう記事がございます。この記事から推測いたしますと、私は、抜本的な再建案だとただいま運輸大臣が言われましたけれども、その効果は期待できないと思います。そうなれば四十四年度の、前の再建法と同じように、また五年を出ずして絵にかいたもちになってしまうのじゃなかろうか。もう最初からつまずいている。この問題どうなりますか。抜本的な改善案だ、再建案だと運輸大臣、はたして言われますか。こういうつまずきがもうスタートからあるのですよ。まだ国会でわれわれが審議しない前から、自民党の総務会でこういう附帯決議がついている。新聞はこういう論調をしている。それでも抜本的なものだと言えますか。
  75. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 今回の再建計画はいままでにない政府の大幅の助成、先ほど総理からも答弁がございましたし、大蔵大臣からもございましたが、両方におきまして二兆にのぼる政府の投資、また工事費といたしましても七兆に達するというような良質サービスをやるということ、それから企業努力、そうしてまた利用者の御協力ということをたてまえにしておりまして、先般のときは、たとえばベースアップの見積もり方も相当実情から低位になっておる。それからまた貨物輸送に対する収入の見積もりも非常に甘かったといった面がございます。今回はそういうような点は、旅客収入におきましても貨物収入におきましても相当低目にとっている次第でございます。  そうしてまた、先ほど自民党の総務会からの決議ということにつきまして、後退したのじゃないかという御質問でございますが、私はそうとは考えていない次第でございます。自民党の総務会の御意見はございますが、私ども、大蔵、また自民党の政調会長ともいろいろ協議をしてきめておりまして、もとより地方自治団体の同意を要するということでございますが、了解を得られないで無理にそういうことをするということはもうすでに民主主義政治のやり方としては間違っていると思いますので、私ども不経済線であるということを認定をいたしましたら、あくまでその点を御了解をいただきまして、そして地元の御了解のもとにやっていくということは当然でございまして、その線で強く私は進んでまいりたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
  76. 松本忠助

    松本(忠)委員 運輸大臣の御説明非常に長くて、たいへんどうも私のほうも時間を気にしながら言わなければならないのです。まあ一応いいです。  そこで総理に伺いたいのです。これは昭和四十四年の二月十八日です。その日にわが党の沖本代議士が、国鉄再建運賃値上げ、この問題について本会議質問をいたしました。そのときに総理お答えになった。それは、いわゆる総合輸送政策、この確立が必要ではなかろうか。これに対して総理がその必要を認め、策定を急ぐとお約束をされております。ここにございますのはそのときの会議録でございます。これから見ますと、すでにこの四十四年の二月十八日に総理がお約束になりましたところの総合輸送政策というものが、ほんとうに確立されているんだろうかどうか。この点について私は疑問に思うのでありますけれどもお答えをいただきたいと思います。
  77. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 総合交通政策につきましては、運輸政策審議会におきまして七月に答申を得ております。そしてまた政府といたしましては、十二月の末にこの総合交通政策につきまして閣僚協議会におきまして決定を見ました。その線に乗りまして今回の再建計画を出した次第でございます。
  78. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 航空機の関係は別にいたしましても、ただいまやはり総合輸送計画を立てなければならない。先ほど来この場で、不用地がずいぶんあるじゃないか、こういう御指摘でありますが、それが一番港湾に多いと思っております。したがって、在来のような港湾の利用ではなくて、最近の港湾利用はずいぶん変わってきている。だからそこらにもひとつ目をつけなければならないさらにまた陸上輸送としてトラックの面が非常にふえておりますから、これらのこともやはり総合輸送計画として考うべきではないか。私はそういう点も考えて、国民の利便に、いかにすれば十分要望にこたえ得るか、こういうことでなければならぬ、かように思っております。それで、ただいまのところそういうものができているかと、かように言われると、先ほど運輸大臣が答えたとおりであります。
  79. 松本忠助

    松本(忠)委員 総理が策定を急ぐと言われました、その問題について、運輸大臣先ほどお答えになりましたように、事実昨年十二月十七日に臨時総合交通問題閣僚協議会でできた。それはこれですよ。それじゃこれの中にどれぐらい国鉄の占める位置というものが書いてあるかといいますと、全くわずかなんです。五九ページの下半分から六六ページまで七ページちょっとにわたりまして「総合交通体系からみた日本国有鉄道のあり方」、こういうものが書かれているわけです。それにはいま総理が言われたような港湾の問題等は載っかっておりませんけれども、わずかな問題がここに出ています。これをもって総合交通体系だとするならば、まことにお粗末じゃないかと私はいわざるを得ないのです。これを何年かかっておつくりになったか知りませんけれども、これをもって総合交通体系だといわれるのなら、これはあまりにもお粗末過ぎると思うんですよ。総理が、策定を急ぐ、善は急げで一生懸命やれ、それでできたのかもしれません。中身は全く、ほんとうにこんなもので日本の総合交通体系がいいんだろうか。ましてやその中で一番の問題となっている国鉄の占める位置というものがこのままの状態でいいのだろうか、こう私はいわざるを得ない。この文中で、累積欠損が昭和四十六年度末に八千二百億円、この八千二百億円の赤字を消す方法なんていうのは、とてもじゃないけれどもここには書かれてないのですよ。こんなことじゃ私はしようがないと思うんですね。そういう点をひとつ総理としても、日本の将来のために、総合交通体系の必要なことはわかっているのですから、もっともっと総力を結集してひとつつくり上げていただきたい、こう私は思うわけであります。  そこで総理に重ねてお伺いしたいことは、今回国鉄運賃が値上げになるということでありますが、われわれは絶対反対でございますが、かりに値上げになったとしてみても、国民に還元する利益があるのかないのかという問題であります。国民は一応国鉄の財政が悪化していることは承知もしております。しかし、その国鉄の財政の悪化の原因というものが、借り入れ金政策だ、放漫な経営姿勢だ、あるいはいま申し上げましたような総合交通政策というものがなかった、こういうためにできた問題だと私は思う。であるとするならば、この責任はあげて政府にあると私は思うわけであります。国民のほうは値上げになる。しかし何の利益もないと私は思う。もし国民に還元する利益がおありになるというならば、具体的におあげになってみていただきたいと思います。
  80. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 これは申し上げるまでもなく、国有鉄道が果たしておる交通の利便というもの、これはやはりそのまま維持していかなければならない、ここに私は主たるねらいがあると思います。もう交通の利便は、国有鉄道がそんなものを果たさなくていいんだと、かようにいわれれば、これはもう運賃を上げたからといって、国民利用しないだろうと思います。しかしながらやはりこの利便はどうしても必要なんだ、こういうところでございますから、われわれはその機能をやはり維持していく。そのために必要最小限——だから国もやはり特別な資金も調達します。同時にまた利用者もひとつ負担を分担してほしいし、また労使双方がやはり経営の合理化について積極的に取り組んでくれ。これはただ単に経営者ばかり責めるのじゃない。組合側も積極的にこれにやはり協力している、かように私は理解するものでございます。
  81. 松本忠助

    松本(忠)委員 この問題はもう少し煮詰めてやらなければいかぬと私も思います。  そこで重ねて伺いたいわけでございますけれども、前の、四十四年度につくりましたところの国鉄財政の再建計画というものは三年でだめになってしまったわけですね。これはもう経済発展とか社会情勢の変化があったと、こういういろいろの理由を取り上げて言いのがれはすると思うのですよ。しかし、あのときの値上げの状態を考えてみましても、四十四年には一三・二%値上げです。世論を無視して強行した。このことについて国民はだれも忘れてない。ところがまたまた値上げですよ。国民はひとしくもう裏切られた感じを持っているわけです。あの四十四年度の再建計画というものがくずれてしまった、その責任は一体だれがとるのだろうかということです。民間の企業ならば当然その責任は追及されて、辞職していると思うのです。それが政府の場合あるいは国鉄の場合、責任を負うという話を聞いたことがない。国民はいつもいつも値上げに悩まされている。これは私は聞こえないと思う。一体、この四十四年度につくった再建計画がわずか三年でだめになってしまった、その問題に対して、責任はだれがおとりになるのかを総理から伺いたい。
  82. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 四十四年の運賃改正の際も一応のこれに見合う改善方策、合理化方策等は立てられ、しかし、おそらくその次にもやはり三年ぐらいたてば運賃改正をせざるを得ないだろう、こういうことが当時論議された、かように私は理解しております。先ほど松本君からもいろいろ御指示になります。もっと他の方面で、合理化一点ばりでなしに、もっと広い範囲でものごとを考えたらどうだ、こういうような御注意もありますし、御鞭撻があるし、また御叱正でもございますから、今回の運賃値上げに際しましてもそれらのものが今後取り上げられる、かように私は理解します。
  83. 松本忠助

    松本(忠)委員 総理、ひとつお願いしたいことは、私は何も四十四年の責任をここであくまで追及しようというんじゃありませんけれども、あの四十四年度の再建計画がやはり長期の見通しに立って立てられたものだと思うわけですよ。ところがそれがいま申し上げたように、もう三年もたたないでオシャカになってしまった。民間だったらそれは許されない。もうしようがない、私が責任とります。ところが政府の場合、全然そういうことがない。こういうことに対して国民は深い憤りを持っているんです。一体責任をおとりになるの必要があるのかないのか、そこの点をひとつ、どうなんでしょうか、責任をおとりになる必要はないとおっしゃるのですか。
  84. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 もちろん私は、国民に対して交通の利便、これを安価に提供する、これが国有鉄道公社の責務だ、かように思います。
  85. 松本忠助

    松本(忠)委員 時間の関係もありますから次へ移りますが、四十七年度を初年度とするところの新再建計画、これによりますと、地方閑散線、これを五年以内に決着をつけるということが一つの柱になっているように思います。いま総理もうなずいていらっしゃる。この点は閣議で決定したことでございますから御承知のことと思います。ところが、この再建案に自民党総務会から横やりが入った、国会提出がおくれた、こういういきさつがあります。それはさっきも運輸大臣からもちょっとお話がありました。これほど赤字線の廃止というのはむずかしい問題だと思うのですね。ところが、赤字線の解決はやはり国鉄の基本方針、このように思います。しかし一方、鉄建公団に昨年度よりも五億もよけいにつけて、建設費を二百億かけて、当然赤字になるような路線の建設を行なっているということ、行なおうとしているということ、これはちょっと矛盾じゃなかろうかと私は思うのでありますが、この点をお伺いしたいわけです。  それともう一つ、この赤字線の建設の基礎となっているのは大正十一年制定の法律三十七号の鉄道敷設法、この改正が必要であろうということはもう常識です。この点について総理としてはどのようにお考えになるか。この二点についてお答えを願いたい。
  86. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 いわゆる赤字線というものの解釈もなかなかむずかしゅうございます。これが全部貫通するというか全通すれば、これはやはり一つの交通網を形成する、こういう意味でその状態は変わってくるだろう。したがって、そういう意味のものでやはり建設線、ただいまは赤字だがそのものもさらに完成する、こういう意味の敷設があるだろう、かように私は思います。途中で切れておるところに非常に問題がありますから、これが全通すれば事情は変わる、こういうことだと思います。  また同時に、いまの敷設法を改正すべきだ、これは私は一つのりっぱな考え方だと思います。われわれもこういうことについては十分考えていかなければならない。これは一応できておる法律でございますから、各党の意見も十分これらについて検討しまして、そうしてコンセンサスを得られるようにいたしたいものだ、かように思っております。
  87. 松本忠助

    松本(忠)委員 敷設法の問題についてはこの総合交通体系の中にも、「鉄道敷設法(大正十一年法律第三十七号)に基づく予定路線を再検討する。この場合、運輸大臣が基本計画を指示済のものについても、工事または計画の実施につき早急に再検討する。」、やりかけているものでも検討しようという、こういうことが一つ書いてあるわけであります。実際問題として、この敷設法が日本の国鉄赤字の大きなガンになっているというふうに私は思うわけでございます。そこで総理、今後もこのいわゆる敷設法の別表のとおり引き続いて新線を建設するお考えがあるのかどうか、大局的なところから総理どう思いますか。
  88. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 これも大局的に御理解をいただきたいのですよ。いままでやっておるからどうしてもそれを続けて完成さすと、こういうようなものではございません。いまやっておる線でも、これはたとえばバスにかわり得るかどうか、あるいはまた無人駅がどの程度ふやせるか等々、合理化を積極的にやらなければならない、かように私思いますので、それらの点は鉄道当局としてもちろん考えておる、かように思います。
  89. 松本忠助

    松本(忠)委員 国鉄総裁に伺いますが、現在着工しておるA・B線の中で四十七年度中に開通するものについて、開業されるものについて、鉄建からおそらく通報を受けておると思う、四十七年度にはここは開通します、と。その開通する新線、これは赤字になるのですか、黒字になるのですか。あなたのお見込みはどうですか。
  90. 磯崎叡

    磯崎説明員 非常に合理化投資をしてもらっておりますけれども、全部赤字でございます。
  91. 松本忠助

    松本(忠)委員 総理、いま国鉄総裁からお答えのとおりに全部赤字だそうですよ。みんな赤字ですって。その赤字のやつをまたこれから先もつくっていこうというその感覚がどうも私は解せないのです。国鉄が国土開発のために犠牲になっていいのか、国鉄の犠牲においてこれをやらなければならないのか、建設する必要があるのか、こういう点どうなんでしょうか。もうひとつ総理にお考えを願いたい。
  92. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 いまの、赤字は取り上げられました、黒字になっておるほうはどういうように処置すると、かようにお考えでしょうか。私はやはり、国有鉄道という、国の交通の利便を提供しておるその機関は、黒字、赤字、そういうものを総合的に勘案すべきではないだろうか。どうもこれからもうからないからこの線だけはだめだ、こういうことで国民によりまして非常な幸不幸のあるような、そういうことはやはり政府としては許されないんじゃないだろうか、かように私は思います。
  93. 松本忠助

    松本(忠)委員 この赤字線の建設の問題につきましては、運輸委員会でまた当分これはもまなければならない問題だと思います。  そこでもう一つこの問題、お伺いしておきたいのは関連事業の問題でございます。国鉄法の第六条、施行令の一条の改正が必要になっておることは御承知のとおりと思います。国鉄の内部の方に聞いても、ぜひこの関連事業をやりたい、こういうお話でございます。こういう点を考えましたときに、関連事業の範囲の拡大、これをなさるお考えがあるか、そのための国鉄法の改正、これをなさるお考えがあるかどうか、この点をお伺いしてこの面の問題を終わりたいと思います。
  94. 丹羽喬四郎

    丹羽国務大臣 ただいまの御質問でございますが、ぜひやりたいと思っております。ただ、今国会に直ちに間に合うかどうかという問題がございますが、ぜひやりたいと思っております。
  95. 松本忠助

    松本(忠)委員 時間の関係もございますので、もう少し詰めたい点がありますけれども、これで終わりまして、次に渡海自治大臣にひとつお伺いしたいことがあります。  それは国鉄のいわゆる市町村納付金の問題であります。もう大臣御存じのように、国鉄ばかりでなく三公社にかかわるところの納付金の問題でございますけれども、特にきょうは、ここで問題になっている国鉄市町村納付金、この問題についてひとつ大臣の御見解も伺いたいわけです。  御承知のように、三十一年の四月二十四日に法律第八十二号で、国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律、これに基づきまして、市町村に対しまして三公社から納付される、こういう法律がきめられた。この制定の趣旨というものをひとつ簡単に述べていただきたい。
  96. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 国鉄が所有します固定資産につきましては、固定資産税としてかからない非課税の分が国鉄本来の事業に対する固定資産になって、非課税の措置をとっております。これら固定資産税のかからない、非課税の措置となっております、すなわち国鉄本来の事業に対する固定資産、その固定資産と市町村との受益関係考えまして、固定資産税との均衡等も考慮し、固定資産税相当額として納めていただいておるのが納付金の制度である、このように考えております。
  97. 松本忠助

    松本(忠)委員 自治大臣のお答え、いわば固定資産税にかわるべきもの、要するに固定資産税に見合うもの、こういうふうに私、解釈してよろしゅうございますね。  そこで、市町村納付金につきまして、国鉄から払われている納付金の総額は国鉄本社で判明していることは当然だと思うのですね、払うほうですから。その算定試算は国鉄本社においてなされているというふうに聞いておりますけれども、この納付金法に沿って妥当なものかどうか、この点をひとつお答えをいただきたい。
  98. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 納付金の算定にあたりましては、全資産を路線延長によりまして案分して出しておるのが大部分でございます。しかし、資産の内容によりまして、所在市町村に案分するのが適当と思われるものにつきまして、これは一部でございますが、その市町村に案分する。これは現在、その資産につきましては、国鉄から申告を受けまして各市町村にわがほうで案分をいたしておる、こういう仕組みにいたしております。
  99. 松本忠助

    松本(忠)委員 自治大臣、私がお伺いしたのは、要するに納付金を支払う側の国鉄から——支払う金額はわかっておるわけです。ところが算定試算は国鉄本社でしておるんだといろ話を聞くんですよ。これはどうも納付金法という法律によって妥当なものかどうか、それでいいのかしら、こういうふうに私は思うのですよ。この点どうなんでしょうね。いまの大臣の御答弁とはちょっと私の質問の筋が違うのです。
  100. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 資産の申告は国鉄からやっていただいて出しております。その事務的な計算等につきまして、事務的にいかような姿になっておるかということは、事務当局から答弁させます。
  101. 松本忠助

    松本(忠)委員 自治省でやっておるわけですね。そうですね。申告を受けたものを、計算は自治省でやっておるんでしょうな。どうも私の聞いたのが間違いなんですな、そうすると。要するに、国鉄本社で算定試算をしていると私は聞いてきたけれども、それは本法の趣旨からいったら間違いじゃないか、こう思うわけですよ。そこでいま聞いてみたわけです。一体、自治省でやっているのですか。それとも国鉄でやっているのですか。どっちでやっているのですか。
  102. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 自治省でやっております。事務当局から述べさせます。
  103. 佐々木喜久治

    ○佐々木(喜)政府委員 交納付金法の規定に基づきまして国鉄から資産の申告を求めまして、その申告書に基づきまして評価をし、資産を配分いたしております。
  104. 松本忠助

    松本(忠)委員 そのとおりだと思うのですね。  そこでもう一点お伺いします。市町村納付金法の第十一条三項という規定がございます。これには、「市町村長は、第一項の規定によってした自治大臣の価格等の配分が当該市町村に著しく不利益であると認める場合においては、自治大臣に対して、理由をつけて、その配分の調整を申し出ることができる。」こうあります。この条文の「当該市町村に著しく不利益である」云々ということは、納付金を受領した市町村がどういう場合を想定してつくられているものでしょうか。具体的に実例があるならばお示しを願いたいわけであります。
  105. 佐々木喜久治

    ○佐々木(喜)政府委員 現在、国鉄資産につきましては、その資産の所在市町村に直接に配分されるものと、それから軌道の延長に応じまして配分するものとがございます。特に問題は、資産を軌道の延長によって配分するものについての不服がある場合ということが想定されるわけでございますけれども、現在まで不服の申し立てがあった例はございません。
  106. 松本忠助

    松本(忠)委員 肝心なことを聞けばいいのです。実際に不利益になったことはない、そういう事例はありません、こう理解していいですね。  それじゃ聞きますけれども、実際に不利益がないというなら、わざわざこの条文をつくっておく必要はないと私は思うのですよ。あってもなきにひとしい、こう思うのですよ、十一条の三項というものは。どうでしょうか。そう理解していいでしょうか。
  107. 佐々木喜久治

    ○佐々木(喜)政府委員 非常に膨大な資産でございますし、配分にもいろいろ技術的な問題があるかと思います。そういう意味におきまして、市町村からのそれに対する不服の申し立ての機会を与えておくということは必要であろうかと思いますが、いままで現実にはその実例はなかったわけでございます。
  108. 松本忠助

    松本(忠)委員 再度お答えがございました。確実にそのような事例はないんですね。正確な算定基礎によって市町村に納付されている、そうですね。ほんとうに不利益がないのか、あってもわからないのか、そのいずれかだと私は思うのですよ。実際に不利益になったことはありませんか。肝心なところなんですよ、ここは。
  109. 佐々木喜久治

    ○佐々木(喜)政府委員 国鉄資産を配分いたします場合に、やはり全国の市町村に共通な配分の基準として、軌道の延長で配分をするという方式がとられております。したがいまして、個々の資産について見ました場合に、あるいはその市町村から見ますならば、その所在する資産と配分の額というものが必ずしも合致しないというものはあり得るかと思いますけれども、ただ資産性格から、技術的には現在のところそれ以外に方法はないのではないだろうか。そういう意味におきまして、各市町村とも現在の配分基準において納得をしておるものというふうに私ども理解しております。
  110. 松本忠助

    松本(忠)委員 この問題は非常にたいへんな問題なんですが、実際自治省として調べてみたことありますか。不利益になっているかなってないかについて申告がないから、言ってこないから、だからいいのだ。それとも調べてみてほんとうにそういうことはないのだ、こう言えるのですか。その点ひとつ簡単に答えてください。
  111. 佐々木喜久治

    ○佐々木(喜)政府委員 資産の調査につきましては、私どもその申告書の内容が現実にあるかどうかという点の調査はいたしておりますけれども、各市町村ごとにその配分が現実にどういうふうに行っているかということにつきましては、具体的な調査はいたしておりません。ただ、国鉄資産の中には古い資産、新しい資産、価格の大小いろいろございます。それを一括いたしまして軌道の延長によって配分をしておるわけでございますので、大きい意味におきましては、市町村間におきまして、その配分につきましては不利益なものはないというふうに私ども理解しております。
  112. 松本忠助

    松本(忠)委員 時間があればもう少しこの問題詰めたいわけでありますけれども、実際に調べたことがあるのかないのかと私は聞いているのですよ。ほんとうに不利益にならない——著しく不利益になると認める場合においては、理由をつけて申し出ろ、こうなっているけれども、実際問題としてそれがないのだ。それじゃ、この十一条の三項というものは必要ないのじゃなかろうか、こう私は思うからそれを言うのですよ。必要がないのならば、最初からこんなものはつくる必要はなかったと思うのです。わざわざここに、あってもなきにひとしい——私はそう思っているのです。そのことを確認しているのですけれども、まあいいでしょう。  時間の関係がありますから、私は次に移りますが、当該の市町村が納付金通知書というものを受領して初めて評価額納付金というものを知ることができる。その評価額の内容、すなわち市町村に存在する国鉄の個々の資産の種類とか数量等については一つも判然としない。その内容は全然わからない。そして市町村の側では納付金を受け取っている。これが現状です。これでいいかどうか。
  113. 佐々木喜久治

    ○佐々木(喜)政府委員 国鉄資産は非常に膨大なために、その一々の内容につきまして各市町村ごとに通知をするということはきわめて困難でございます。したがいまして、現在交納付金法の規定によりまして、市町村がその資産の内容について調べたいという場合におきましては、市町村から私どものほうに申告書類等の閲覧を求めることができるという規定がございまして、それに基づいて市町村はその資産について確認をすることができるという組織になっております。
  114. 松本忠助

    松本(忠)委員 どうもお答えがびんときませんな。要するに、もらっているほうは中身が何にもわからぬということですよ。金だけもらっているということ、それでいいのかと私は聞いているのです。さっきも申し上げましたけれども室蘭市としては確かに市町村納付金をもらっております。しかしその内容は何だかわからないと言っているのですよ。どうしてこれだけの金額がくるのかわからないのだ、こう言っておるのですよ。いいですか。またそのことは、東京都の問題においても、新宿のあの土地についても、私、東京都へ行って聞いてみても、わからぬと言うのですよ。特例によってあそこはきめられております。しかし市町村、全国どこへ行って聞いてみても全然その内容はわからない。ただ金がくるからもらっている、こういうことですよ。一体、はたしてこれでいいのかどうか、こういうことなんです。  そこで、法制局長官、一つ聞いてみます。いろいろ御答弁いただきましたけれども、時間の関係がありますから先に進みますが、この納付金法趣旨から考えて非常にあいまいなところがあると思うのですよ。その第一は、納付される手続段階においてもちょっとあいまいな点があるのです。これは具体的に御存じないかもしれませんけれども、税の本質から見て、徴収義務者と納税義務者の中間には何も介在してはならないと私は思うのです。ところがある者が介在しているのですよ。この点私は非常に納得いかない。この点を私は解明してもらいたい。それが一体何であるか御存じございませんか。
  115. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 最後のお尋ねは、知らないかということでございました。事の実態、私、必ずしも詳しいわけではございませんので、正直に申し上げますが、その点はむしろ教えていただきたいと思います。
  116. 松本忠助

    松本(忠)委員 自治省のほうも聞いていただきたいのですけれども、ほんとうは国鉄、納めるほうと受け取るほうの市町村、この間に何者も介在しないのが私は原則だと思うのです。ところが現に県というものを通じてやっているわけですね。県を通じてやるということは、この税の本質を曲げているのではなかろうかというふうに私は考えるのですけれども、もし県を通じてやってよろしいということがあるとするならば、それはどこかに論拠がなければならない、条文がなければならない、こう思うのですけれども、その点についても私まだ不明なんですが、この点はどうなんでしょうか。
  117. 佐々木喜久治

    ○佐々木(喜)政府委員 税制としましては、可能な限り納税者がその課税団体に直接納付するという方式をとることが望ましいわけでございます。ただ、現実の問題としまして、特に固定資産の場合には、国鉄以外にも、大規模な償却資産等におきましては、その評価の技術的な関係から、府県が評価をする場合もございますし、自治大臣が評価をするという場合もございます。国鉄は現在自治大臣が価格を決定して配分をするという方式をとっておるわけでございます。現在、県が介入をしておりますのは、県が課税事務について介入しているわけではございませんで、単に通知の事務をやっていただいているというだけのものでございます。
  118. 松本忠助

    松本(忠)委員 それじゃ、その県を通じて事務をやってよろしいという論拠があるわけですか。
  119. 佐々木喜久治

    ○佐々木(喜)政府委員 別に交納付金法にそういう規定はございませんが、従来から市町村に対する通知につきまして県にその通知をお願いしているということでございます。
  120. 松本忠助

    松本(忠)委員 そうすると、要するに慣例でやっているということですか。いままでそれを長いことやっていたから、ずっとそのままでいくのだ、こういうことですか。
  121. 佐々木喜久治

    ○佐々木(喜)政府委員 県が通知の仕事をしておりますのは、その課税の事務について判断を加えたり、あるいは配分というような事務の実質的な内容について介在しておるわけじゃございません。あくまで通知——私どもからその県内の市町村分について一括通知を差し上げた分を、それぞれ市町村に渡していただいているというだけの仕事でございます。
  122. 松本忠助

    松本(忠)委員 じゃ、この問題は一応いいです。  第二に疑問とする点があります。これは法制局長官も聞いておいてください。  第二の疑問は、納付金を受ける市町村は当該市町村に存在する国鉄資産の内容が全くわかっていない。これは先ほどからしばしば申し上げておりますとおり、具体例が幾つもあります。当然当該市町村ではそれを知っていなければならないというのにわかっていない、こういう点ですね。たとえば、固定資産税の場合に、徴収義務者であるところの市町村は、課税対象が何であるか、その課税額は幾らかはっきりしているわけだと思うのです。市町村納付金固定資産税に見合うものであるとさつき自治大臣は言われた。であるとするなら、当然課税対象も評価額もわかっていなければならないと思うのです。ところが、現に市町村納付金の場合、市町村では全然内容がわからない。かいもくわからない。これでは私は納得できないのです。この点どうなんでしょう。
  123. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 固定資産税は直接市町村が評価をする姿で実施いたしておりますから、当然把握しなければ徴税することができない、こういう税であろうと思います。納付金制度というものは固定資産税に見合うものでございますが、市町村そのものに対しまして、直接課税をする固定資産税の非課税のものなんだ、しかしそれに見合うべきものは出さなければいかぬ。しかも、その評価をどうするかということは、国鉄は全部があげまして利益を上げ、事業をやっておるものでございますから、その市町村にある固定資産税だけについて個々に評価すべきものでなくて、全体を通じてやり、しかもそれをどの程度市町村と関連があるかという点で、路線の延長によりまして配分しておる、こういう制度をとっておるのが納付金制度でございまして、その点、法制定の趣旨から申しまして、私は矛盾するものでない、こういうように考えております。
  124. 松本忠助

    松本(忠)委員 たとえば、個人が固定資産税を納めるとしますね。三年目、三年目に評価がえがある。評価の異同があるわけです。高くなる場合も安くなる場合もある。土地なんかの場合は大体高くなるにきまっている、そういうふうにたとえば課税対象に異同、増減があったとしてみても、徴収する側には何にもそういうことがわからない。何か異同があっても、内容が変わっても、増減しても、そういうことが市町村の側では全然わからない。こういうことでは税の本質をそこなっていると私は解釈する。この点どうでしょう。
  125. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 国鉄の納付税につきましては、毎年毎年いま言われましたような姿で、こちらが査定はいたしておりませんが、申告に基づいてやっております。この申告書の内容については、自治省においても閲覧をし、査定をし、資料を求め、やっておるのでございます。その意味におきましては、自治省におきまして各市町村にかわって査定しておるのでございまして、直接市町村はやっておりませんけれども、私はかまわないと思います。これが納付税制度の税そのものと違うところである、かように考えます。
  126. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員長 松本君に申し上げますが、時間が迫っておりますので……。
  127. 松本忠助

    松本(忠)委員 どうも納得できませんね。税の本質というものから考えてみた場合には、それではいかぬと私は思うのですよ。  最後にちょっと申し上げておきたいのは、十一条の三項の規定というもの、これは先ほども申し上げましたのでもうおわかりと思いますけれども、あってなきにひとしいものだと思うのです。実際問題として出てこない。いま大臣は、実際に自治省のほうでちゃんと調査したことがある、やってもいるんだ、だから間違いないのだ、こう言っていますけれども、実際に、いつ、どこで自治省が現場ときちっと合わせてやったことがあるかというのです。おそらく、私はないだろうと思うのです。現実に、いつ、どこで、何をおやりになったか。そんな事実は全然ないと私は思うのですよ。ですから、いま十一条の三項の問題をひとつここで取り上げてみたいのは、要するにこの十一条三項というものは、あってもなきにひとしいのじゃなかろうか、死文化しているのじゃなかろうか、こう思うのです。ですから、不利益の数々があっても、市町村側ではちっとも内容がわからない。申告もできない。自治省に相談に行っても、自治省は、そうか、そうかという。いや、事実、その自治省に相談に行く市町村がないのですよ。どこからももらいっぱなし。向こうから書類が送られてきた。それだけをどこどこの銀行に払い込んでもらいたい。国鉄から払い込んでくる。そのままなんですよ。内容の検討なんて市町村でやったことは全然ないのです。どこの市町村に聞いてみてもわからない。そういうことならば、不利益があった、不利益があった場合にはこうしてよろしいのだ、こうするようにといって、十一条三項というものの条文ができているわけです。ところが、その十一条三項がちっとも活用されていないとするならば、もう十一条三項というものは必要ないのじゃないか、こんなものは削っちゃえばいいのじゃないか、こう思うのですけれども、この点どうでしょうか。
  128. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 私は、完全無欠に調査しておるという答弁はここで申し上げておりません。事務当局から、個々の資産について申告内容と合っているかどうかということにつきましては、全部ではございませんが、調査をいたしておりますと、しかし、個々の町村について、その町村に当たる分がどうかという調査はいたしておりませんと、こういうことをお答えした、かように傍聴しておりまして拝聴いたしました。  なお、いまの十一条三項、なきにひとしいじゃないかということでございますが、納付金制度というものが自治省におきまして申告を受け、その申告を自治省のできる姿において閲覧し、配分しております関係上、個々の市町村にとって、現実に、いま松本委員指摘のような問題もあり得るような場合もあると思いますので、これを規定して、それを申請してくるという道を開いておく、これは私は必要な条項であろうと思います。幸いに現在にそのような事例がないということは、それほど大きな問題が地方に起きてないから問題がないのじゃないか。私も町村長をやってまいりましたが、隣の町村その他との比較検討等は、町村長におきましてもしておりますし、されておる。しかし、それがおおむね、いま申しました制度の運用によりまして、公平に行なわれているところから、そのような法文に対する申し入れがない、このように考えております。
  129. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員長 松本君に申し上げますが、時間が経過しておりますので、簡単に願います。
  130. 松本忠助

    松本(忠)委員 総理に結論をひとつお伺いしておきたい。  固定資産税を納める国民の側から見ましたときに、市町村納付金というものはまことにえたいの知れないものだと、みんな言っているのですよ。特にそれが国鉄の場合は、他の二公社に比べまして非常におかしいものがあると私は思うのです。すなわち国鉄地方自治体、これが適当な金額を納めたり、納めてもらったりしているのじゃなかろうか、こうとしか思えない。個人が固定資産税を納付する場合に、ごく少額なものでも容赦しないで徴収しているところの市町村、これが公社から納められる場合には、まことに寛大であり、いいかげんなんです。私はこの根本姿勢が問題だと思うのです。これでは弱い者いじめじゃないかと思うのです。政治というものは、弱い者いじめじゃいかぬと思うのですね。国民のためにあるといいながら、国民を踏み台にしている、犠牲にしている、私はこう思うのです。こういうことでは国民の税務に対するところの、納税に対するところの意欲というものを減退させるのじゃなかろうか、その影響が重大ではなかろうか、こう思うわけです。  そこで私、国民の立場に立って、この問題について、総理の明快な御答弁をいただきたいわけです。
  131. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 松本委員の御指摘でございますが、私も従来の納付金の内容につきまして、国鉄当局と、地方行政委員の一人としていろいろ交渉が行なわれたのを聞いておりますが、たとえば近代化に対しては相当膨大な資産が要るために、こういった資産については少しは率をまけていただけないかというふうに、自治省と国鉄当局におきましては資産について相当綿密なる調査をし、み上げております。各市町村そのものが直接それを調べておりませんが、決して、いま申されましたように、なれ合いによって額も、精細なる調査もなしに行なっておる、そういうものじゃございませんので、この点だけは御承知賜わりたいと思います。
  132. 松本忠助

    松本(忠)委員 ちょっと、いま自治大臣言われますから、私はこの問題については非常にまだ疑問があるのです。しかし、時間の関係がございますので、総理から最後に、納税の意欲というものを減退させるのじゃなかろうかという問題についてひとつお答えをいただいて、この問題を打ち切りにしたいと思います。
  133. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 国鉄の場合におきまして、これがいかにも扱い方がルーズだ、こういうような感じを持っておられるようですが、先ほど来私は最初の質問で、運賃値上げをせざるを得ない、こういうような状態になっている、そのものがさらにまた納付金も納める。実は何か免除でもしてやろうとおっしゃるのかと思って聞いていたところが、そうではなくて、逆にもっと公課は厳重に取れと、こういうようなお話ですが、これはいままでのいきさつ等もあり、この際に、いままで取っておることが厳重ではある、かように私は理解したいのでございます。ただいまいろいろ御意見も述べられておりますけれども、そういうことで、より正確なものを納めなければ、これはやはり一般の納税義務者にも影響を与える、かように言われることは、私、しごくもっともだと思います。そういう意味で、国鉄自身の経営状態そのものについての問題とは別にして、公課負担の公平、こういうことは維持されなければならない、かように私も理解しております。
  134. 松本忠助

    松本(忠)委員 いま総理が言われましたように、私も国鉄運賃値上げをしなければならないほどの逼迫した財政状態であることはわかっています。しかも、そこで市町村納付金も払っている。これもたいへんなことだと思います。しかし、私はその問題ではなく、いま総理か言われたように、税金というものは公平に納めるべきものではなかろうか。しかも、ここで市町村納付金というものは、最初の出発から評価額の半分に対して千分の十四という特典があるわけですよ。それにもかかわらず、まだまだ内容に非常におかしな点があるということは、私は数々の指摘したいものがあるわけです。ぼくは、要するに税金を公平に取れ、国民の立場に立ってそれを言いたいわけです。ひとつその点を誤解ないように願いたいと思う。  そこで、最後に一問だけ、委員長、お願いしたい。  それは、きょうここにたくさんの交通遺児の書いた作文を持ってきている。これは総理も、お忙しいでしょうけれども、ぜひ読んでいただきたい。あとで持ってまいります。どうかひとつお読みいただきたい。  ただここで、ひとつ聞いてもらいたいことがあるのですよ。それは非常にかわいそうな子供の作文なんです。それを総理に聞いてもらって、私はこの交通遺児の問題についてひとつ総理に前向きの姿勢で取り組んでもらいたい。これが最後のお願いなんです。  これは小学校三年生の大阪の人です。奥出昌子さんという人の作文です。作文というか詩といいますか、「なくなってしまえ車」という題で書かれています。  「このせまい国に多すぎる車 どこを歩くにも頭から車くるまとはなれない 朝学校へ行く時決って母の声が迫ってくる「車に気いつけや」かならず三回は同じことを言う わたしも 「わかってる」と三回は答える そして 「おかあさんも気いつけや」 と言う 母も 「わかってる」 と答える これがわが家のしんけんな行って来ますのあいさつだ 広い道路もなくわたしたちが通るとこを車が通る もし自動車会社の社長さんの大事な子どもさんが わたしのやさしかったおとうさんのように 追とつされひきころされたら もう車なんか作るのいやになってくれるのじゃないかな あんなにテレビでかっこいいとかこえてるとか言って はでにせんでんしたくなくなるのじゃないかな」このあとに、総理のお孫さんのことが書いてあるのですよ。「もしそうり大臣のまごが 学校へ行くと中ダンプがつっこんでくる様な目に会ったら 歩道橋を作ることを もっとしんけんに考えてくれるのじゃないかな こんなに人をころしてまでたくさんの車がいるんやろか 車が少なくなるかわりに国がびんぼうになりわたしの家もびんぼうになっても おとうさんが生きている方がずっといい なくなってしまえ車なんか」こういう心を打たれる作文なんです。  私たちは、よく交通事故にあいますと、その人が激高して言います。総理のうちで子供さんが交通事故にあったら、こんなことしてないわけだ。こうよく言うのですよ。しかし、ここの奥出昌子さんがこのことをはっきりと——小学校三年ですよ、切々と訴えているのですよ。これを総理に私は聞いていただきたい、読んでいただきたい。そうして、何としても私は、この交通遺児の問題にもっともっと真剣に取り組んでいただきたい、その実績を示していただきたい、こう思うのです。  まあ、ことしも交通遺児の育英会に対して三千万という金が出ました。しかし、こんなものではとうていできないわけです。何とかこれを増額する方法考えてもらわなければいかぬ。いま現在はいわゆる自賠責特会の中から出ているわけです。しかしこれを、一般会計あるいはまた自動車重量税ですね、あるいはガソリン税、こういうものが相当高額に取れる、そういう中から、私は、道路の建設ばかりに回すのではなくて、この問題を解決するために、高校に行けないで困っておる子供をやるように、ひとつ考えてもらいたい。この点について総理お答えを聞いて——たいへん申しわけございません、時間が延長いたしました。
  135. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 ただいま切々として、交通事故遺児、また交通事故についてのお話がございました。政府自身が、遺児あるいは事故者等についての積極的な救済措置をとることも当然でございます。同時にまた、事故を発生しないように施設を万全に行なうこと、これが私どもの仕事だと、かように思います。ただいま行なわれておる政府並びに民間の各種事業について積極的な姿勢で前向きに取り上げたい、かように思います。
  136. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員長 これにて松木君の質疑は終了いたしました。  午後一時三十分再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時四十三分休憩      ————◇—————   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕