○小峯柳多君 ただいま議題となりました
国有鉄道運賃法及び
日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する
法律案につきまして、運輸委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本案は、
日本国有鉄道の財政の実情にかんがみ、その再建を強力に
推進するため、運賃を
改定するとともに、
昭和四十七年度以降十年間を新たな再建期間とし、あらためて財政の再建に関する
基本方針及びこれに基づく再建計画を策定し、国のとるべき援助の措置を
強化しようとするもので、そのおもな内容は次のとおりであります。
まず、
国有鉄道運賃法の一部改正について申し上げますと、
第一に、鉄道の普通旅客運賃について、その
基本賃率を約二二%
改定して、営業キロ一キロメートルごとに六百キロメートルまでの部分については五円十銭、六百キロメートルをこえる部分については二円五十銭とする。
第二に、航路の普通旅客運賃について、鉄道の普通旅客運賃とほぼ同程度の
改定を行なう。
第三に、準急行列車の廃止に伴い、準急行料金を廃止する。
第四に、単扱い貨物運賃について、その等級を三等級に圧縮するとともに、その賃率をおおむね二五%引き上げる。
第五に、コンテナ貨物を除き、小口扱い貨物を小荷物に統合することに伴い、小口扱い貨物運賃を廃止する。
第六に、新たにコンテナ貨物運賃を設け、その運賃は、車扱い貨物運賃をしんしゃくし、運輸
大臣の認可を受けて、
日本国有鉄道が定める賃率によるものとするものであります。
次に、
日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部改正について申し上げますと、
第一に、
昭和四十七年度以降十年間を新たな呼建期間とし、あらためて国鉄財政の再建に関する
基本方針及びこれに基づく再建計画を策定することといたします。
第二に、
政府は、再建期間中の毎年度、国鉄に対し、工事資金の一部に相出する全額を出資するものといたします。
第三に、財政再建債及び同利子補給金の対象を、現在の
昭和四十三年度末
政府管掌債務から
昭和四十六年度末
政府管掌債務及び
政府が保証した鉄道債券に係る債務に
拡大いたします。
第四に、工事費補助金の対象工事年度を
昭和四十年度から
昭和五十六年度までとし、その交付年度を
昭和四十七年度から
昭和六十三年度までとするものであります。
本案は、二月十八
日本院に提出され、三月二十一
日本会議において趣旨の説明が行なわれ、同
日本委員会に付託され、四月十八日丹羽運輸
大臣から提案理由の説明を聴取し、四月十九日
質疑に入りました。四月二十三日、二十四日の両日には、二班に分けて福岡県及び北海道に委員派遣を行ない、両班とも現地において実地調査を行ない、かつ福岡市及び札幌市において、それぞれ六名ずつの
意見陳述者から
意見を聴取いたしました。四月二十六日には、地方行政、大蔵、社会
労働、
農林水産、物価問題の五委員会との連合審査会を開会し、十六名の各委員会の委員が
質疑を行ないました。また四月二十七日には、公聴会を開会して、八名の公述人から
意見を聴取いたしますとともに、八名の委員が公述人に対し
質疑を行ない、五月八日には、さらに二名の参考人を招致いたしまして
意見を聞いた後、六名の委員が参考人に対し
質疑を行ないました。
以上のとおり慎重に審査を進め、さらに十四名に及ぶ委員がきわめて熱心に真撃、活発な
質疑を行ない、五月十二日には、佐藤
内閣総理大臣をはじめ、水田大蔵
大臣、丹羽運輸
大臣、渡海自治
大臣、木村経済企画庁長官、磯崎国鉄総裁等に対し、社会、公明、民社、共産の四党の委員がそれぞれ最終的な
質疑を行ない、同日をもって本案に対する
質疑を終了いたしました。
この間において行なわれました
質疑応答のおもな点を申し上げますと、まず、「
昭和四十四年度から始まった国鉄財政再建計画が早くも破綻した原因は一体どこにあるのか。また、新たに財政再建対策を策定する必要を認めるに至った理由は何か」との
質疑に対し、「破綻の原因は、第一に、引き続く自動車輸送の発達等により、当初の輸送の伸び見込みを大幅に下回り、三年間で運輸収入において四百五十二億円の減少を来たし、第二に、ベースアップについて年率九%を見込んでいたものが、大幅な上昇があったため、三年間で人件費九百九十四億円の誤差を生じたためである。また、この収支の不均衡により、
昭和四十六年度末において純損失約二千四百億円、累積赤字八千億円をこえるという
事態に立ち至ったので、
国民の輸送
需要に適合した、良質な輸送サービスを提供するため、国鉄の
企業努力とともに、
政府の思い切った財政援助及び
国民の御協力により、新たに国鉄財政再建対策を樹立し、
国民の期待に沿いたいと思った次第である」旨の
答弁がありました。
次に、「今回の新財政再建対策による
見通し及び今後の
施策についてはどのように
考えているか」との
質疑に対し、「
政府は、
昭和四十七年度以降十カ年間において、国の出資金約一兆円、利子補給金、工事費補助金等約一兆円、計二兆円の助成措置を講じるとともに、国鉄の
合理化等により約二兆四千億円、運賃
改定等により六兆七千億再程度を見込んでいる。設備投資としては、新幹線二兆円、市来線に対し通勤及び幹線輸送
強化、貨物輸送の近代化等約五兆円、合計七兆円の投資を行なうことによって、国鉄の近代化をはかり、最終年度の
昭和五十六年度には、償却後の
黒字を見込んでいる」旨の
答弁がありました。
次に、「
政府は国鉄職員十一万人の削減を予定しているが、その内容、年次計画及びその
実現の可能性についてどのように
考えているか」との
質疑に対し、「十一万人の削減の中には、すでに
昭和四十四年度から現在までに約二万人減少したのを含んでいるので、今後九万人の消滅ということになる。四十四年度から十年間で約十五万人の自然減耗があるが、四万人程度は技術及び現場関係で補てんを必要とする。結局十一万人程度減少することになるが、減耗を補充しないという原則に固執するととなく、極力近代化、自動化等を進めて行なうつもりである。年次計画については、四十七年度以降三年間で一万三千人ないし一万四千人、五十年度から大体一万人から一万二千人ということで、五十四年度までに終了いたしたい」旨の
答弁がありました。
次に、地方閑散線の整理の問題に関し、「地方閑散線の認定の基準、三千四百キロ積算の根拠、具体的路線は何か。また、廃止について地方公共団体の同意を得られない場合の措置はどうするか」との
質疑に対し、「地方閑散線は、赤字であることを唯一の理由として廃止するものではない。鉄道としての特性を喪失してしまっていることが
基本である。たとえば輸送人員、道路との経済上の比較、
国土計画、代替輸送との関係、豪雪地帯というような各般の事情を勘案し、
国民経済上不適当、不経済と見られるもの三千四百キロを地方閑散線とするもので、該当路線はまだ具体的には決定していない。今後慎重に
検討の上、地方の同意を得るよう
努力し、必ず了解が得られるものと
考えている」旨の
答弁がありました。
次に、「今回の国鉄運賃料金値上げの理由は何か。また、消費者物価等にどういう
影響を与えると
考えるか」との
質疑に対し、「国鉄が
国民の陸上輸送の大動脈としての
使命を達成するため、また、新しく近代化するためには、どうしても財政の
基礎を
強化しなければならない。国も今回は抜本的な助成策をとるが、利用者の
方々にもある程度の御負担を願いたい。また、消費者物価指数寄与率は、数中から見ると〇・四%であるが、心理的
影響等も大きいと思うので、それらを勘案し、その他の助成策と相まって物価の抑制につとめたい。便乗値上げは絶対に認めない」旨の
答弁がありました。
以上のほか、総合交通体系の形成と国鉄財政新再建計画との斉合性の確立、国の国鉄に対する助成措置の
拡大強化並びに一般債務等に対する財政措置、国鉄の公共性と
企業性及び独立採算制、国鉄財政新再建対策要綱の性格と閣議決定との関係、貨物輸送分野の
改善、AB線の建設と在来線の
合理化、新幹線の建設と国鉄負担の関係及び
公害対策、私鉄との運賃格差、関連事業範囲の
拡大、未利用地の活用、資材購入制度の改葬、労使関係の正常化等、各般にわたり
質疑が行なわれたのでありますが、その詳細は
会議録によって御
承知を願いたいと存じます。
質疑終了後、本案に対し、自由民主党の宇田國榮君外四名から修正案が提出されたのでありますが、その要旨は、原案の施行期
日本年四月一日はすでに経過しておりますので、これを公布の日に改め、第一条及び附則第四項の規定は公布の日の翌日に改めることとするものであります。
本修正案について趣旨の説明を聴取したあと、原案及び修正案を一括して討論に付しましたところ、
日本社会党を代表して内藤良平君が反対、自由民主党を代表して箕輪賢君が賛成、公明党を代表して田中昭二君が反対、民社党を代表して内海清君が反対、共離党を代表し田代文久君が反対の
意見を述べ、採決の結果、本案は多数をもって修正議決すべきものと議決した次第であります。
以上、御報告申し上げます。(
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