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1972-04-18 第68回国会 衆議院 本会議 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年四月十八日(火曜日)     —————————————  議事日程 第十八号   昭和四十七年四月十八日     午後一時開議  第一 北海道開発のためにする港湾工事に関す   る法律の一部を改正する法律案内閣提出)  第二 国際交流基金法案内閣提出)  第三 沖繩振興開発金融公庫法案(第六十七回   国会内閣提出)  第四 空港整備特別会計法の一部を改正する法   律案内閣提出)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  日程第一 北海道開発のためにする港湾工事に   関する法律の一部を改正する法律案内閣提   出)  日本鉄道建設公団法の一部を改正する法律案   (内閣提出)  日程第二 国際交流基金法案内閣提出)  日程第三 沖繩振興開発金融公庫法案(第六十   七回国会内閣提出)  日程第四 空港整備特別会計法の一部を改正す   る法律案内閣提出)  新都市基盤整備法案内閣提出)の趣旨説明及   び質疑     午後一時五分開議
  2. 船田中

    議長船田中君) これより会議を開きます。      ————◇—————  日程第一 北海道開発のためにする港湾工事に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出)  日本鉄道建設公団法の一部を改正する法律案内閣提出
  3. 藤波孝生

    藤波孝生君 議事日程追加緊急動議を提出いたします。  すなわち、この際、日程第一とともに、内閣提出日本鉄道建設公団法の一部を改正する法律案追加して両案を一括議題となし、委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  4. 船田中

    議長船田中君) 藤波孝生君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 船田中

    議長船田中君) 御異議なしと認めます。よって、日程追加せられました。  日程第一、北海道開発のためにする港湾工事に関する法律の一部を改正する法律案日本鉄道建設公団法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。
  6. 船田中

  7. 小峯柳多

    小峯柳多君 ただいま議題なりました両法律案について、運輸委員会における審査経過並びに結果について御報告申し上げます。  まず、北海道開発のためにする港湾工事に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案は、北海道における公共事業全般にかかる国庫負担等の特例に関する調整措置の一環として、北海道開発のためにする港湾工事費用のうち、水域施設または外郭施設建設または改良にかかる費用の国の負担割合を、昭和四十七年度より、離島を除き、十分の十を十分の九・五に改めようとするものであります。  本案は、二月十日本委員会に付託され、三月十四日丹羽運輸大臣から提案理由説明を聴取し、三月十四日、十五日、十七日質疑を行なったのでありますが、その詳細につきましては会議録に譲ることといたします。  四月十四日、本案に対し、宇田國榮君外三名から、自由民主党提出にかかる、施行期日公布の日に改める等の修正案が提出され、採決の結果、本案は多数をもって修正議決すべきものと決した次第であります。  次に、日本鉄道建設公団法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案は、大都市閥における輸送力を増強するため、日本鉄道建設公団に、緊急に整備すべき地方鉄道にかかる鉄道施設等建設及び改良を行なわせることができることとしようとするものでありまして、そのおもな内容は、  第一に、日本鉄道建設公団業務として、地方鉄道にかかる鉄道施設等大都市圏に存するものの建設及び大改良を行ない、完成後同施設地方鉄道業者等に対し譲渡する業務追加する。  第二に、これらの施設建設または大改良については、地方鉄道業者の申し出に基づいて運輸大臣工事実施計画を定め、これを日本鉄道建設公団に指指示することとする。  第三に、工事実施計画の指示があったときは、日本鉄道建設公団当該建設または大改良を行なうものとし、日本鉄道建設公団及び地方鉄道業者等は、当該建設または大改良実施方法等について協議することとする。  第四に、日本鉄道建設公団業務追加に伴い、役員に関する条項を整備する等、所要の改正を行なうこととするものであります。  本案は、二月十八日本委員会に付託され、三月十七日丹羽運輸大臣から提案理由説明を聴取し、三月二十八日質疑に入り、六日間にわたって質疑を行ない、その間、参考人から意見を聞く等、慎重に審査を行なったのでありますが、その詳細は会議録に譲ることといたします。  四月十二日質疑を終了し、本十八日、本案に対し、宇田國榮君外四名から、自由民主党提出にかかる、施行期日公布の日に改める修正案が提出され、採決の結果、本案は多数をもって修正議決べきものと決した次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  8. 船田中

    議長船田中君) これより採決に入ります。  まず、日程第一につき採決いたします。  本案委員長報告修正であります。本案を、委員長報告のとおり決するに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  9. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、本案委員長報告のとおり決しました。  次に、日本鉄道建設公団法の一部を改正する法律案につき採決いたします。  本案委員長報告修正であります。本案委員長報告のとおり決するに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  10. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、本案委員長報告のとおり決しました。      ————◇—————  日程第二 国際交流基金法案内閣提出
  11. 船田中

    議長船田中君) 日程第二、国際交流基金法案議題といたします。
  12. 船田中

  13. 桜内義雄

    桜内義雄君 ただいま議題となりました国際交流基金法案につきまして、外務委員会における審査経過並びに結果について御報告申し上げます。  本案は、現在わが国が置かれております国際環境に対応して、わが国に対する諸外国の理解を深め、国際友好親善促進する見地から、国際文化交流事業を効率的に行なうことを目的として国際交流基金を設立しようとするものであります。  そのおもな内容は、  まず、基金法人とし、その資本金は、政府出資による百億円と、政府以外の者が出資する金額との合計額とし、その運用益等をもって業務に必要な経費の財源に充てることとしております。  また、基金外務大臣が監督することとし、その業務は、国際文化交流のための人物の派遣及び招聘、海外における日本研究に対する援助及び日本語の普及、国際文化交流目的とする催しの実施等であります。  さらに、基金運営上の重要事項審議するため、運営審議会を設けることとしております。  なお、本案の附則におきまして、基金は、財団法人国際文化振興会の一切の権利義務を継承し、同振興会は解散することを規定しております。  本案は、去る二月十九日本院に提出され、三月二日本委員会に付託されました。  委員会におきましては、政府から提案理由説明を聴取した後、参考人を招致しその意見を聴取する等、慎重に審査を行ないましたが、その詳細は会議録により御了承願います。  かくして、去る十四日質疑を終了いたしましたので、直ちに採決いたしましたところ、本案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決いたした次第であります。なお、本案に対しまして、基金運営目的運営審議会の構成及び機能について、これを明確にする趣旨附帯決議が付されましたことを申し添えます。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  14. 船田中

    議長船田中君) 採決いたします。  本案委員長報告可決であります。本案委員長報告のとおり決するに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  15. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  日程第三 沖繩振興開発金融公庫法案(第六十七回国会内閣提出)  日程第四 空港整備特別会計法の一部を改正する法律案内閣提出
  16. 船田中

    議長船田中君) 日程第三、沖繩振興開発金融公庫法案日程第四、空港整備特別会計法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。
  17. 船田中

  18. 齋藤邦吉

    齋藤邦吉君 ただいま議題となりました二法律案につきまして、大蔵委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、沖繩振興開発金融公庫法案について申し上げます。  本案は、復帰後の沖繩における経済発展社会開発促進するため、現在、本土において政策金融機関が行なっているそれぞれの業務を、一元的に、かつ、沖繩のみを対象として行なう強力な政策金融機関が不可欠であるとの見地から、ここに沖繩振興開発金融公庫を設立しようとするものであります。  その内容のおもなる点を申し上げますと、  第一に、沖繩振興開発金融公庫は、沖繩における産業開発促進するための長期資金供給と、沖繩国民大衆住宅を必要とする者、農林漁業者中小企業者、病院その他の医療施設を開設する者、環境衛生関係哲業者等に対する資金融通が円滑に行なわれるよう、これらを一元的に行なうこととするとともに、公庫の主たる事務所を那覇市に置くことにしております。  第二に、本公庫資本命は、本公庫が承継する外機関純資産額に相当する金額としておりますが、予算で定める全額の範囲内において、追加出資を行なうことができることにしております。  第三に、本公庫は、現に沖繩において営業を行なっている米国民政府期間琉球開発金融公社琉球政府関係機関である大衆金融公庫及び琉球政府産業開発資金融通特別会計運搬船建造資金融通特別会計住宅建設資金融通特別会計農林漁業資金融通特別会計、本土産米穀資金特別会計の五つの特別会計権利義務を承継することとしております。  これらの各機関の職員は、本公庫の発足に際し、本公庫に受け入れることにしております。  第四に、本公庫貸し付け条件は、業務方法書で定めることになりますが、その条件の設定にあたっては、沖繩の現行の貸し付け条件及び本土公庫条件を勘案し、でき得る限り有利な貸し付け条件を設定することにしております。  第五に、本公庫運営が健全に行なわれるよう、役員の任命など公庫の組織に関すること、予算決算その他の公庫会計方法公庫業務についての内閣総理大臣及び大蔵大臣の監督その他必要な事項について規定いたしております。  なお、公庫に対しては、昭和四十七年度一般会計予算において三十億円の出資を行なうこととしております。  本法案は、第六十七回国会からの継続案件となったものでありまして、慎重に審査の後、去る四月十四日質疑を終了いたしましたが、その詳細については会議録に譲ることといたします。  質疑終了の後、藤井勝志君外四名より、法律番号の字句の整理等を行なう修正案が提出され、引き続き採決に入りましたところ、修正案並び修正部分を除く原案はいずれも多数をもって可決され、よって本案修正議決すべきものと決した次第であります。  なお、本法案に対して、公庫運営については、沖繩県代表を含めた協議会を設けること、中小零細企業向け資金が十分確保されること、円経済への移行に伴い、中小企業者に対し特別融資を行なうこと等、四項目にわたる附帯決議が付されました。  特に、この附帯決議については、山中総務長官並びに水田大蔵大臣より、沖繩円経済への移行に基因して、事業活動に著しく支障を生ずると認められる沖繩中小零細企業者に対し、融資総額八五億円以内、利率年三%、償還期間七年、取り扱い期間復帰後一年間とする長期低利資金供給する旨の発言がありましたことを申し添えます。  次に、空港整備特別会計法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案は、最近における航空輸送需要の増大に対処し、空港整備及び航空保安業務を一そう充実するため、従来一般会計で経理いたしておりました空港整備事業についての国の出資、並びに航空保安大学校の管理及び運営等についても、この会計において一元的に経理することといたしますとともに、空港の緊急な整備等に資するため、空港整備事業等財源として一般会計からこの会計に繰り入れている繰り入れ命に、当分の間、航空機燃料税収入の十三分の十一に相当する金額を含めることとしようとするものであります。  また、当分の間、沖繩県が下地島に設置する訓練用の飛行場の設置費に対する補助金等についても、この会計の歳出とすることといたしております。  なお、本案につきましては、三月二十七日内閣修正が行なわれましたが、その内容は、昭和四十七年度において暫定予算施行されることとなりましたことに伴い、施行期日を「昭和四十七年四月一日」から「公布の日」に改めるとともに、暫定予算期間内に行なわれる収入支出等整理に関し、所要の規定の整備を行なうことといたしたものであります。  以上がこの法律案概要でありますが、本案につきましては、審査の結果、去る四月十二日質疑を終了し、十四日に採決いたしましたところ、多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  19. 船田中

    議長船田中君) これより採決に入ります。  まず、日程第三につき採決いたします。  本案委員長報告修正であります。本案委員長報告のとおり決するに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  20. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、本案委員長報告のとおり決しました。  次に、日程第四につき採決いたします。  本案委員長報告可決であります。本案委員長報告のとおり決するに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  21. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  新都市基盤整備法案内閣提出)の趣旨説明
  22. 船田中

    議長船田中君) 内閣提出、新都市基盤整備法案について、趣旨説明を求めます。建設大臣西村英一君。   〔国務大臣山村英一登壇
  23. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 新都市基盤整備法案につきまして、その趣旨を御説明いたします。  最近における人口産業都市集中に伴い、土地問題は、ますます緊要の課題となりつつあります。  このための対策としては、人口産業大都市への集中抑制市街化区域内の土地有効利用促進地価形成合理化公的土地保有拡大等総合的施策を強力に推進するとともに、大都市及びその周辺地域における宅地の大量かつ計画的な供給をはかる必要があります。  本法案は、大都市周辺地域における計画的な宅地開発を推進するため、新たな宅地開発制度を創設し、これに対処しようとするものであります。  人口集中の著しい市街地周辺地域における宅地開発に関する制度としては、新住宅市街地開発法による新住宅市街地開発事業及び土地区画整理法による土地区画整理事業があり、地方公共団体日本住宅公団等によりこれらの事業施行され、宅地大量供給に寄与してまいりましたが、大都市及びその周辺地域における現下の宅地需給の不均衡に対処するためには、宅地開発適地について、従来どおり、新住宅市街地開発事業及び土地区画整理事業施行促進をはかるとともに、さらに、交通施設等社会資本が乏しい等の理由により健全な市街地として発展させることが困難な地域についても、大規模宅地開発を行なう必要があり、そのため、公共施設整備はもとより、教育施設商業業務施設医療施設等居住者生活上の必要な諸施設整備をするための新たな措置を講ずることにより、これを宅地として供給することが必要であります。  本法案によります新都市基盤整備に関する制度は、このように大規模宅地開発を行なうことによって、大都市における人口産業集中の緩和と宅地需給均衡に資するとともに、大都市の秩序ある発展に寄与することを目的とするものであります。  次に、本法案による新都市基盤整備に関する制度概要を申し述べます。  第一に、新都市建設をできるだけ能率的、効果的に行なうため、新都市基盤整備事業施行する区域市街化区域内において都市計画として決定し、その際、施行区域市街化のために必要な幹線道路鉄道地区公園等根幹となる公共施設及び施行区域市街地としての開発発展の中核となるべき教育施設商業業務施設医療施設等福祉利便施設及びこれらの施設機能を維持するために必要な当初定着人口を居住させる住宅施設からなる地区配置計画を定めることといたしております。  第二に、根幹公共施設及び開発誘導地区のために必要な用地の所得については、これらの施設の効用が施行区域全体に及ぶものであることにかんがみ、施行区域内の土地所有者等に均等に負担をきせることとし、根幹公共施設及び開発誘導地区に必要な土地面積に対応する面積土地を、施行区域内の各筆の土地から一定の割合を定めて均等に原則として協議によって所得し、協議によって取得できないものについて初めて収用手続を進めることができることといたしております。  第三に、施行者が必要な土地の取得を完了したときは、施行者所有地根幹公共施設及び開発誘導地区に集約し、その他の民有地整理するため、土地区画整理に準じた方法土地区画形質変更土地交換分合公共施設変更等を行なうことといたしております。  第四に、このようにして取得した土地の処分については、根幹公共施設用地はその管理者に、開発誘導地区内の土地施行者がみずから開発するかまたは公的宅地開発機関に譲渡して、それぞれ開発整備が行なわれ、民有地部分については民間宅地開発が行なわれるものであります。  以上が、この法律案趣旨でございます。(拍手)      ————◇—————  新都市基盤整備法案内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
  24. 船田中

    議長船田中君) ただいまの趣旨説明に対して質疑の通告があります。これを許します。松浦利尚君。   〔松浦利尚登壇
  25. 松浦利尚

    松浦利尚君 私は、ただいま趣旨説明のありました新都市基盤整備法案に対し、日本社会党を代表して、若干の質問をいたしたいと存じます。  まず、基本問題として総理にそのお考えをお尋ねいたしたいと存じます。  その一つは、本法案が、人口集中の著しい大都市周辺地域における新都市建設を助け、大都市圏の秩序ある発展を期すると、こうありますが、本質的には、都市のいま以上の巨大化を助ける措置としての性格を避けることができないと存じます。新全国総合開発計画の指摘をまつまでもなく、市街地は全国土の一・二%、そこに人口の四八%が集中し、このうち五八%が東京、大阪、名古屋とその周辺五十キロ間内に集中し、最近五カ年間に、市街地人口増加分の七四%がこれらの圏内に集中していますが、その傾向は今後ますます深まってまいります。  大都市問題は、こらした国土利用硬直化の過程で起こってきた問題であります。総理は、こうした経過を踏まえて、ますます進行する都市集中を今後も認められるのかどうかということについて、的確にお答えをいただきたいと存じます。  いま現実に起こっている国民生活のひずみを中心とした都市問題が、大都市集中、過密にその原因があるとき、本法案が、ますます大都市圏をつくり出し、ひずみを助長する結果になることを、私たちはおそれます。人口都市集中を規制する方策の上に初めて本法案の効果が生まれると思いますが、その具体策があるのかをあわせて御説明いただきたいと存じます。  第二点は、土地問題についてであります。  総理は、大都市桑中と過密化土地問題の解決を困難にし、地価の上昇を促しているということは、百も御承知のはずであります。先般、農地の宅地並み課税の議論が本国会でもありましたが、本来土地問題は、農民から、生活の手段である土地を放出させることではありません。問題は、土地はまだもうかるとする思想に対してどう対処するかということであります。総理は、地価抑制を望むどころかその値上がりを期待する人々に対して、もはや土地投機対象にはなりませんと主張することができますか。  また、第三点は、今日までの政府施策によって、個人の零細な土地投機はある程度抑制することができましたが、企業の旺盛な土地需要を締め出すことはできませんでした。昨年九月期を東証上場一千三百三社で最終期とするもより確定決算の「有価証券報告」記載による所有土地合計は、実に四千六百七十五平方キロと、全国土の一ないし二%に当たっています。また、地域別大都市市街地価格推移指数表によると、昭和三十年三月を一〇〇として、四十六年九月期には、商業地で一二一一、住宅地で二三三八、工業地で二七一七、用途地域別平均二〇八八という、驚異的な数字を示しています。しかも、日本不動産銀行が、新都市計画法に基づく市街地調整区域内の民間デベロッパー所有面積を調査いたしていますが、それによると、首都圏近畿閥中部圏合計一千百九十四ヘクタールの土地を所有しております。その上さらに、未来産業である住宅産業に向かって、各企業は競って土地買い占めを進めておる現状であります。そこには、多分に投機的な傾向が表面化していますが、こうした傾向に対して具体策を樹立するお気持ちがあるかどうかをお尋ねいたします。あれば、いかなる方法をとられるか、お示しいただきたいと存じます。  次いで、大蔵大臣にお尋ねいたしますが、一本の一流企業は、法人土地売買譲渡益に対して課税せずという税法の特別措置に守られて成長してきた反面を否定することはできないと思います。しかも、投機的取引地価に悪影響を及ぼしていることも否定できないと存じます。政府は、昭和四十三年の税制調査会の答申にある、法人所有土地に対して適正評価額をこえる土地売却益については高率な課税を含む必要な課税措置を講ずることが、絶対に必要だと思います。あなたは必要だとは思われませんか。この解決なくしては、地価高騰を抑え、一般国民土地を入手する道は困難となってしまいます。これらについて具体的に検討されていますか、お伺いをいたしたいと存じます。  また、大企業東証一、二部上場千三百三社の土地帳簿価格が異常に安いと思います。簿価合計二兆六千五百六十二億円で、一平方メートル当たり簿価は、何と五百六十八円にすぎません。これでは、国民承知をしないでしょう。これを特価に評価すれば、現在一七%台にある自己資本比率は、一気に四〇%台にはね上がるとまでいわれております。だれが見ても、企業土地は他の物価と不均衡なことは明白であります。この際、土地の再評価に踏み切るべきだと思いますが、あなたにはその勇気がありますか。  さらに、宅地高騰をしり目に、最近大企業は、ますます土地を買いあさっています。現に金融がゆるみ、巨大金融機関担保力のかたい土地に命を流す傾向は、最近目に余るものがあります。また、四十七年度の超大型公共投資予算が、土地買い占めに拍車をかけていることも事実です。こらした傾向は一そう土地高騰を生み出すばかりか、大型予算用地費に食われ、国土の荒廃にもなりかねません。政府はこれに対してどう対処されるのか、その方針を具体的にお伺いいたしたいと存じます。  次いで、建設大臣にお尋ねをいたします。  本法案についての詳細な議論は委員会でいたしますが、政府は、いま第二次住宅五カ年計画で、総建設戸数九百五十万戸、うち公的資金による建設戸数三百八十万戸を目標にスタートしていますが、順調な本年末進捗状況だということができるでしょうか。実際には、住宅難世帯は一向に解決していないのが現状ではないでしょうか。  民間住宅金融条件がかなり改善されて、限界に近づいています。住宅の遠隔地化も限界にきています。私は、現状のまま推移すれば、昭和六十年末までに政府が目標とする、家族人員一人当たり一室、一世帯九十平方メートルは高嶺の花であり、民住水準の向上も停滞すると思います。地価も含め住宅建設価格の上昇は、庶民の夢を打ち砕いていると思います。  政府は、この際、民間デベロッパー依存、民間主導型の住宅政策を転換し、建設目標の中心を公共住宅の大量建設修正すべきだと思いますが、修正されるお気持ちがありますか、お尋ねをいたしたいと存じます。同時に、そのことなくしては、都市内部に居住する膨大な木賃アパート層の住宅解決は不可能だと思いますが、大臣の積極的な発言を承りたいと存じます。  さらに、民間デベロッパーを中心とするというならば、民間デベロッパーが低所得者のための住宅建設する意思があるとお考えになるかどうかも、あわせお答えいただきたいと存じます。  また、民間依存の宅地開発住宅建設の問題点は、適正な買収価格をつけにくい比較的地価の安い未造成地、山林原野に重点が向けられ、当然ながらスプロール現象を一そうたどっています。しかも、私鉄や大手不動産企業の行なう大規模開発には交通網等の整備が進み、公的機関開発には交通網等の整備がおくれるという不合理が生まれています。その上、特定大企業用地取得が集中していくと、分譲価格の操作による高騰や設計施工者の指定を条件とする入居の自由に制約を加える問題が、現実に生まれてきます。大臣は、こうした民間デベロッパーのあり方について、秩序を保つための具体策を検討しておられるかどうか、承りたいと思います。  次いで、大量住宅団地を持った大都市周辺市町村が、団地による小中学校の建設等、住居に直接関連しない公共施設のため、財政需要が増加し、財政上著しい困難に直面していることは承知の事実であります。そのため、自治体から宅地開発を拒否される政策の貧困、制度の欠陥はいま直ちに是正されなければならぬと存じますが、その具体策についてお答えをいただきたいと存じます。  また、住宅建設都市開発事業を強力に推進するため、本法案に関連をして、いまの日本住宅公団を、住宅だけを建設管理する住宅建設公団と、用地取得と再開発など、都市環境整備に専念する都市整備公団の二つに分割する計画が検討されているやに聞いていますが、事実かどうか、お答えをいただきたいと存じます。  また、それが事実ならば、人員の膨張を招くだけで実際の効果はあがらないとする意見に対して、大臣のお考え方を承りたいと存じます。  いずれにいたしましても、現在の都市基盤整備にとって最大のものは土地対策であり、政府をはじめ地方公共機関が公共用地をできるだけ多く所有し、それを適宜、政策、計画、目的に従って利用する基本姿勢こそ問題解決の一歩だと存じます。実際に土地で利益を受けているのは、大企業や特殊な企業と少数の人々にすぎません。  政府は、この際、土地所有権の社会的制約について抜本的な対策を検討されるとともに、産業基盤偏重の行政投資パターンを生活基盤重視へ切りかえ、国土開発計画や土地騰貴の抑制及び土地利用規制等の制度を確立するために、勇断をもって抜本的施策を講ずる公共責任の確立を要望いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)   〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇
  26. 佐藤榮作

    内閣総理大臣(佐藤榮作君) 松浦君にお答えいたします。  まず、松浦君も御指摘のように、わが国人口の大部分が東京、大阪、名古屋の三大都市圏集中しており、国土利用が片寄っているという問題があります。新全国総合開発計画では、このような土地利用の偏在が、都市における過密、地方における過疎、この現象を発生させているとの考えに立ち、大都市地域における人口集中抑制し、かつ、分散を進め、国土均衡ある発展と腰かな環境の創造をはかることとしております。  また、松浦君から、大都市への人口産業集中抑制をあわせて行なうことにより、ただいま趣旨説明を行なったこの法律が十分な効果をあげ得るという御指摘がありましたが、私もそのとおりに考えております。  政府といたしましては、これまでに、人口等の大都市集中抑制するため、首都圏及び近畿圏の既成市街地における一定の規模以上の工場、大学等の新増設に関する規制を行なってきておりますが、今後さらにこの規制を強化していきたいと考えております。  他方、産業等の地方分散をはかるため、全国にわたり緯線交通網の建設整備を推進し、産業の立地可能性の拡大をはかるほか、新暦業都市建設、農村地域への工業導入の促進等の措置を講じております。  なお、今国会においても、このような考えのもとに、工業再配置促進法案を提出している次第であります。  最後に、土地に対する投機の問題についてお尋ねがありましたが、申すまでもなく、土地国民生活の基盤であり、特に国土の狭小なわが国では、土地の利用が社会、公共の利益と調和するよう、公益優先の見地に立ってその有効利用をはかっていくことが必要であります。  政府といたしましては、このような考えのもとに、土地投機抑制について国民に一そうの御協力を求めるとともに、今後、さらに効果的な施策を具体化するようつとめてまいる考えであります。  なお、具体的に土地投機を防止する手段として、各般の土地対策のほか、昭和四十四年には個人の土地の譲渡所得に関して税制の改正を行なったことは、松浦君も御承知のことと思います。さらに政府といたしましては、現在、法人保有土地についての税制の改善措置や、地価公示価格を上回る価格で土地を譲渡した際における土地高価譲渡所得税制の創設についても検討しているところであります。  今日、土地問題は当面の重大課題でありますから、今後とも税以外の施策の進展と相まって、これについても引き続き検討してまいりたいと考えております。  なお、当面の問題としては、法人土地投機に関連して金融面での指導等を行なわせるようにしたいと考えております。  以上、私からお答えをいたしました。足りない点は、関係大臣から補足させます。(拍手)   〔国務大臣水田三喜男君登壇
  27. 水田三喜男

    国務大臣(水田三喜男君) 土地対策に関連する税制の措置としまして、個人が五年以上長く持っておった土地を売った場合の譲渡所得に対しましては、時限的に分離課税の方式等をとられましたことは、もう御承知のとおりでございますが、あのときの税制措置のときに、一つ残しておることがございます。  それは、一般に妥当と認められる売買価格をこえた異常利得に対しては高率課税を検討する余地があるという問題でございましたが、これは将来の検討事項ということで税制調査会から残されましたので、政府におきましては、地価対策閣僚協議会がこの問題と取り組みまして、また同時に、税制調査会にもこの検討をお願いするということにいままでしておりましたが、まだ最終的な結論が現在出ておりません。  と申しますのは、もし全国的な地価公示制度というようなものが将来確立して、そうして、これが公共川地を取得する価格の基準とされたり、また、保有課税のこれが基準となるというようなことでございましたら、いま問題の過重利益の計算する算出基準というものにこれがなって、実際にはこの税制は実施できると思われますが、そうでない現状におきましては、この特別な高率課税制度実施はなかなか困難が伴うということで、税制調査会でもまだ現在、最終結論を得ないところでございます。  その次も法人所有土地に対して再評価税を課することについてのお尋ねがございましたが、それが土地の再評価益を法人の所得とみなして課税せよということでございますと、土地の価値が上がっても、それが売却等によって実現しなければ課税しないというのが法人税の原則でありますので、こういう観点からいたしますと、お尋ねのような課税を行ないますことは、これはもう所得理論の基本に触れる問題であるということがまず一つでございます。  そうしてさらに、かりにこの件評価税という構想を実現した場合を考えてみましても、まだこれは実現していない利益に課税することでございますから、そう高い税率の課税はできないと思います。やはり少なくとも現行の法人税以下の税率でなければならないだろうと思いますが、もしそうだとしますと、これがあとになって転売された、実際に売られたという場合を考えますと、再評価制度実施しないいまの場合よりも、負担が、税が有利になるというような問題が起こるでありましょうし、またその反面、もしこれを売らないで会社の敷地として本来の事業の用に企業体が供するという場合には、これは非常に大きい負担企業が負わされるというようなことになりますので、まだこれは軽々しく判断を下し得ない問題であると思っております。  その次に、金融機関土地の値上がりに拍車をかけているのではないかという御質問でございましたが、金融機関自体がいま不当に土地を取得しているということはございません。これは一定の営業用不動産比率とかあるいは固定比率等によって、もうきびしく指導されておりますので、金融機関自身が持つということはございませんが、問題は、金融機関土地関連融資を非常に多くしているということであろうと思います。これはもう建設業とかあるいは不動産業向けの貸し出しというものが最近非常に多くなっておることは事実でございますが、これがもし実際の住宅建築や土地供給につながった金融であるということでございましたら、これは国民福祉の上において問題はないと思います。土地投機的な所得のためにこの金融がなされておるかどうかということが一番問題であり、この点につきましては、日本銀行も、自粛するようにということを金融機関に非常に絶えず指導しておりますと同時に、大蔵省におきましても、銀行検査を通じて個々の金融機関についてこの問題を監督しておるところでございますが、しかし、最近、非常に土地金融の量が多くなっていることは事実でございますので、各金融機関から最近の土地金融の問題について、機関ごとにひとつ実情を聴取することを始めたいというふうにいま予定しているところでございます。(拍手)   〔国務大臣西村英一登壇
  28. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 私に対する質問の第一点は、第二期住宅建設五カ年計画がうまくいっておるかということでございます。  これは、昨年から景気が非常に悪いというために、民間の自力建設による建設は落ち込みましたので、それだけ公的資金で補っておるような次第でございます。四十六年度におきましても、民間が落ち込みましたので、財政投融資の追加、補正予算等によりましてこれを補ってまいったような次第でございます。また、本年度の四十七年度につきましても、やはりそういうことはあるとおもんぱかりまして、この公的資金の計画を初めの計画よりも繰り上げてやっておるような次第でございます。  それからもう一つの御質問は、とにかく九百五十万戸の住宅建設で、やはり民間のほらにウエートが大きいじゃないか、もう少し公的にウエートを置けという御質問でございます。原則的には私も賛成でございまするが、九百五十万戸をきめたときは、その公的、民間をきめたのは、ただ単にそういう数字が出たわけじゃございません。住宅の統計によって調査をして、自力では住宅はできないという方々に対して公的の援助をやろうということできめたのでございます。したがいまして、私は、第二期住宅建設五カ年計画を、これを確実に守っていけば、これは住宅供給に対して満足を得られると、かように思っておりまするが、もしかりに景気が相変わらず不調に終わり、停滞ぎみであって、民宅が落ち込むというようなことになれば、これは公的資金でカバーしなければならぬ、絶対量はどうしても確保しなければならぬと、かように思っておるような次第でございます。  それから第三番目の御質問は、民間デベロッパーが低所得者の住宅対象になるかというような御質問であったと思いますが、民間デベロッパーが必ずしも低所得者を対象として住宅供給しておるものであるとは私も思っておりません。これらの低所得者層のためには、それでありまするから、公営住宅等の建設をもって公共的に供給をいたしておるのでございます。しかし、何と申しましても、民間のデベロッパーの方々に対しても、やはり安いりっぱな住宅を、低廉で良質な住宅供給してもらうために、今年度から住宅金融公庫によって少しでも助けてやろう、こういう制度を開いたようなわけでございまして、民間もやはり良質な安い住宅をひとつつくってもらいたいというのが、政府の考え方でございます。  それから、民間による宅地開発の問題でございます。また住宅建設の問題でございます。これはどうも土地の安いところを買うからスプロール化するんじゃないかというような御質問でございまするが、そういうことがありまするから、都市計画法におきまして、市街化区域市街化調整区域というものを線引きをしたわけでございます。私は、そういうことで、都市計画法によって許可制度に対処していけばよろしいんじゃないか、スプロール阻止になるんじゃないかと考えて、この方針でやっていきたいと思っております。  それから、交通機関の問題でございます。これは大規模宅地開発のためには、どうしても交通機関が弱点になります。したがいまして、政府としても、それらの交通機関整備のためには公的な援助をしてまいったような次第であります。また、民間の大規模宅地開発につきましては、今後とも公的資金による援助を強化して、適正な価格で宅地供給されるということを期待するものでございます。(発言する者あり)そうするつもりでございます。  それからもう一つの御質問でございまするが、地方公共団体によりまして、どうも日本住宅公団の建設を好まないところがあるんじゃないか。確かに首都圏の中で、地方公共団体が団地の建設を好まないというようなところが出てまいりつつあります。これには、何と申しましても、地方公共団体としても一定の規模を持ってやっておりますから、その規模以上に人口が流入すると非常に因る、財政負担が非常に耐えられないというところができております。しかし、もともとこの五カ年計画をきめましたのは、建設省が地方的にも計画をきめて、建設省と地方公共別体が打ち合わしてそれをきめたのでございます。したがいまして、そういう多少のトラブルはございまするけれども、これは終局的にはいろいろ地方公共団体と話をいたしていくつもりでございます。それは公共の施設あるいは公益施設等のように非常に金がかかりますから、地方公共剛体としては非常に苦しいところでございまするけれども、もともと計画をわれわれは協議をしてやっておるのでございまするから、今後も公団による立てかえ制度を強化する、また国の補助制度も強化する、こういうようなことでやってまいりたいと思っております。  最後に、日本住宅公団のやり方を改組したらどうかという話がございます。これは私は、話としてはそういう意見があるということは聞いておりまするが、建設省といたしましても、現在の日本住宅公団を改組して、建設部門と住宅部門を分けようじゃないかというようなことは、具体的には考えておりません。今後いろいろ進め方によって、そういうことも考えられるような時期になりますれば、また別でございまするが、現在のところ、具体的にそういう問題を考えていないのでございます。要は、やはりいまの第二期住宅五カ年計画を確実に進める、こういうことであろうかと思っております。  以上でございます。(拍手
  29. 船田中

    議長船田中君) これにて質疑は終了いたしました。      ————◇—————
  30. 船田中

    議長船田中君) 本日は、これにて散会いたします。     午後二時二分散会      ————◇—————  出席国務大臣         内閣総理大臣  佐藤 榮作君         外 務 大 臣 福田 赳夫君         大 蔵 大 臣 水田三喜男君         運 輸 大 臣 丹羽喬四郎君         建 設 大 臣 西村 英一君         国 務 大 臣 山中 貞則君      ————◇—————