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辻政府委員 ただいま御
指摘の点でございますが、現在の刑事訴訟法によりますと、この五千円以下の罰金または科料に当たる事件の第一審につきましては、被告人は公判期日に出頭することを要しない、これは一定の軽い罪については公判期日に出頭することを要しないということになっております。これが刑事訴訟法二百八十四条の規定でございます。それからなお、軽いけれ
ども、それよりももう少し重い刑につきましては、公判の期日に出頭する場合のこの
制限を緩和いたしております。
一般の事件よりも緩和いたしております。それから、控訴審におきましては、
一般的に被告人は出頭しなくてもいいわけでございますが、特に出頭さす場合の規定が、先ほど御
指摘の刑事訴訟法三百九十条でございます。これは刑事訴訟法で、その公判出頭への義務という問題を、法定刑が五千円以下というところで、一応この五千円を
基準に区別をいたしておるわけでございますが、これが
刑法との
関係では、
昭和二十三年にこの
罰金等臨時措置法ができました
関係で、臨時
措置法で、この刑事訴訟法の五千円というものは、
刑法については五万円以下というふうに改まったわけでございます。これは
刑法で
昭和二十三年当時に四倍にいたしましたから、この刑事訴訟法は、その当時は、低い
刑法の法定刑というものを前提にしてこの五千円という
基準ができておったわけでございます。そこを、
刑法のほうが法定刑を四倍に上げてまいりましたから、そういう
関係で、
刑法犯については、この五千円という
基準は五万円にするというのが、現行のこの
罰金等臨時措置法の
考え方でございます。
ところが、その場合に、
刑法以外のいわゆる特別法の罪につきましては、この現行の
罰金等臨時措置法は、特別法の法定刑は、最高額が二千円に満たないものは二千円に上げますというのが、この臨時
措置法の内容でございました。そこで、刑事訴訟法は五千円というラインをつくっておるわけでございますから、特別法のほうは、この
罰金等臨時措置法ができましたときに、この二千円以下のものを二千円にするというだけのことでございますから、何らこれを手を加える必要はなかったわけでございます。そこで、この現行の
罰金等臨時措置法は、この刑事訴訟法の五千円というラインは、
刑法犯については五万円というふうに見るが、その他のものについては何も規定しなくてもよかったわけでございます。
ところが、今回のこの
法律案によりますと、
刑法犯はまたそれの四倍にするということになりますから、この五万円は二十万円というふうに読みかえていかなければならないということで、
刑法犯等については二十万円、それから
刑法等三つの
法律以外の特別法犯については、今回のこの
法案は、八千円に満たないものは八千円にするという内容でございますから、この刑事訴訟法は五千円というラインを引いておりますわけでございますから、それをそのまま動かさずにこちらが八千円というふうになりますと、いままで公判に出なくてもいいという一定の軽い犯罪の特別法違反の方が、公判に出ていかなければならないということに相なるわけでございます。それはやはり現行法の
考え方とはそぐわないのじゃなかろうかということで、今回は、特別法犯につきましては二万円というところをラインにして五千円を二万円というように読みかえて、一定の軽い特別法犯の方々については、公判への出頭の免除の規定その他を適用していこう、こういう
考え方になっておるわけでございます。