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吉田(賢)
委員 私も過日、
火炎びんの実情、爆発の
状況、あのすさまじいありさまは初めて見たのであります。何かの適切な取り締まりがあって、そのようなものが社会からあとを断つということであってほしいという念願は根本的に一致するのです。ただしかし、いま御
説明になりましたのでは、何か常識的な理屈をつけているような感じがしてしょうがないのです。
たとえば、例をおあげになりました最高裁の判例が確定している、こうおっしゃいましたね。資料によりますと、最高裁の二十八年の判例にいたしましても、
爆発物とはこういうふうな概念で認定しようということがだんだんと書かれておりまして、帰するところは、本件の
火炎びんは少量の塩素酸カリであって、したがって、爆発現象も局部的小爆発にすぎないというようなこと、こういうことで公共の平和を撹乱するというに至らない力である、だからこの
火炎びんは
爆発物取締罰則によるところの
爆発物に該当しない。三十一年の大法廷も、同じ
法律の
爆発物に該当するやいなや、こういうことになるのですが、これとても、本件
火炎びんはと書いて、これは四〇ページから四一ページですが、この資料によりますと、それに詳しく書いてあるから一々朗読はしません。朗読はしませんけれ
ども、要するに、塩素酸カリウムの量が僅少である、ためにその爆発の作用そのものによる直接の
破壊力は認められない。結局これを要しまするに、よって本件は、訴訟になりました
火炎びんなるものは爆発の威力が弱かったということが、この上告を排斥した
理由であるというような判断になっておるわけであります。
といたしますると、これは力の大きさの問題であり、化学作用を起こすべき薬品の量の少なかった問題である、こういうふうになりますので、この点につきましては、すでに判例が確定しているというほど動かすべからざるものでは私はないと思うのです。もっともこれは事案そのもののこまかい一審の
経過等がわかりませんので、この資料に基づく判断にすぎないのですけれ
ども、どうもそう思われます。
そういうことを思いまして、そこで、やはりこの種の取り締まり刑事
法案でありまするので、よほど落ちのない、後日問題が生じないかまえをもちまして、周到な用意で臨むということにしなければなりません。そういう観点からいたしまして、それならば、今日現存する現行法規の
改正等によって、これは目的を達し得るものではなかったのかということも
考えられるが、なぜ独立の
法案としてこれを出すということになるのか、もう少しその辺が明白な、客観的な
経過なり
理由なりが示されてしかるべきじゃなかったか、どうもそういう感じが私にはするのですが、
高橋さんどうでしょう。私は反対のための
質問という
意味じゃなしに聞きますが、その辺についてのあなたの配慮、これはどういうものでしょうか。いろいろ
専門家についてもそれぞれの意見の聴取をなさって、
経過的には間違いはないと思いますけれ
ども、そこらはどうでしょうか。