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1972-05-12 第68回国会 衆議院 文教委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年五月十二日(金曜日)     午前十一時十分開議  出席委員    委員長 丹羽 兵助君    理事 久野 忠治君 理事 久保田円次君    理事 河野 洋平君 理事 谷川 和穗君    理事 西岡 武夫君 理事 小林 信一君    理事 山田 太郎君 理事 鈴木  一君       有田 喜一君    小沢 一郎君       床次 徳二君    中山 正暉君       野中 英二君    松永  光君       渡部 恒三君    川村 継義君       木島喜兵衞君    日野 吉夫君       三木 喜夫君    有島 重武君       山原健二郎君    安里積千代君  出席国務大臣         文 部 大 臣 高見 三郎君  出席政府委員         文部政務次官  渡辺 栄一君         文部大臣官房長 井内慶次郎君         文部省初等中等         教育局長    岩間英太郎君         文部省大学学術         局長      木田  宏君         文部省管理局長 安嶋  彌君  委員外出席者         文教委員会調査         室長      石田 幸男君     ————————————— 委員の異動 五月十一日  辞任         補欠選任   中山 正暉君     菅野和太郎君   松永  光君     坪川 信三君   森  喜朗君     荒舩清十郎君   吉田  実君     椎名悦三郎君 同日  辞任         補欠選任   荒舩清十郎君     森  喜朗君   菅野和太郎君     中山 正暉君   椎名悦三郎君     吉田  実君   坪川 信三君     松永  光君 同月十二日  辞任         補欠選任   井野 正揮君     金丸 徳重君 同日  辞任         補欠選任   金丸 徳重君     井野 正揮君     ————————————— 本日の会議に付した案件  義務教育学校施設費国庫負担法及び公立養護  学校整備特別措置法の一部を改正する法律案  (内閣提出第五七号)  文教行政基本施策に関する件(沖繩私立大  学統合問題)      ————◇—————
  2. 丹羽兵助

    丹羽委員長 これより会議を開きます。  義務教育学校施設費国庫負担法及び公立養護学校整備特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山田太郎君。
  3. 山田太郎

    山田(太)委員 この法案につきましては、国庫負担率を上げるという趣旨法案でありますから、まず、より改良していこう、そういう意味法案であるということは、当然私どもといたしましても賛成すべき内容のものであろう、こういう判断に立っております。  そこで、先日の十日の当委員会吉田委員並びに木島委員から、当法案についての質問がるる重ねられて、大かたの要点は論ぜられたやに思われますが、しかし、多少の重複はあるかもしれませんが、私としては私なりに一わたり若干の質問を行なっておきたいと思います。ことに大臣が見えていることでもありますし、将来の方針も含めて親切な御答弁をお願いしたいと思います。  そこで、まず大臣にお伺いいたしますが、当法案提案理由については、先刻お伺いしておりますが、それはさておいて、最初に公立文教施設整備についての政府基本方針をお伺いしておきたいと思いますので、大臣から御答弁を願います。
  4. 高見三郎

    高見国務大臣 公立文教施設整備拡充という面は、私は、公立文教施設そのものの質の改善の面と、もう一つは量の改善の面、この二つがあると思うのであります。御承知のように、昭和二十二年でありましたか三年でありましたか、六・三・三制がとられましたときに、地方財政は非常な圧迫をこうむりました。そこで、補助率等につきましても、当時は中学校に対して二分の一の補助をする、小学校に対しては三分の一の補助であるというのが、今年は少なくとも新増設につきましては二分の一補助という改善を見たわけであります。見たわけでありますけれども、それで事足れりというわけではございません。実は量の面において、これからふえていくでありましょう子供のことを考え、同時にまた、子供の遊び場などの拡大というようなものを考えまする場合に、量の面における普及というものがさらに飛躍的に前進をしなければならない、私はこういう観点に立って今後の文教政策を進めてまいりたいと存じております。
  5. 山田太郎

    山田(太)委員 そこで、当法案を見ますと、小学校校舎負担率は引き上げられても、屋内運動場の新増築事業及び危険建物改築事業については取り残されておるということに対しては、やはり相当の大きな問題であることは周知の事実でございます。  そこで、先日の質疑にもあったと思いますけれども、現在の公立文教施設整備費についてのいわゆる超過負担、今度調査費がついてそれを徹底的に文部省としても調査したいという御意向のようではございますが、現在、どのような方法にしろ、この面については文部省として把握されておるか。たとえば単価差の問題にしても、あるいは数量差の問題にいたしましても、その辺をどのように判断されておるか、その点を、これはまず局長にお伺いしておきたいと思います。
  6. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 ただいまお話がございましたように、超過負担の問題というのは非常に大きな問題でございますが、超過負担の原因といたしましては、単価差によるものと数量差によるものとの二つがあるわけでございます。  第一、単価差でございますが、私どもは本年度予算におきまして約七%の補助単価のアップを行なっております。この内容は、物価の上昇に対応するもののほか、建築基準法施行令改正によるものをその内容といたしておるわけでございますが、現実実施単価との間にはかなりな差がございます。鉄筋造の場合は一六%、鉄骨造の場合は二一%、木造の場合は二三%という格差がございます。  この格差の全部が超過負担であるかどうかという点は、一つ問題であろうかと思います。と申しますのは、私ども単価を積算をいたしまする前提といたしましては、いわゆる標準設計というものがあるわけでございまして、標準設計に対応する標準的な単価ということになるわけでございます。ところが、市町村におきまする建築の実際は、その水準が年々向上するということで、私どもが想定いたしておりまする標準設計との質的な差というものが年々開いてくるわけでございます。この点につきましては、従来から質的改善という点にかなり重点を置きまして、毎年度単価改定の要求をいたしておるわけでございますが、必ずしも所期の目的を達していないことははなはだ残念に思います。この点につきましては、本年度七%の改善をしたわけでございますが、今後とも努力をしてまいりたいというふうに思います。   〔委員長退席河野(洋)委員長代理着席〕  次に、数量差でございますが、これは基準面積の問題に結論的にはなるわけでございます。今回の改正法案におきましては、盲・聾・養護学校特殊学校につきましては基準改定をお願いをいたしております。小・中学校につきましては、三十九年度、四十年度におきまして基準引き上げが行なわれたわけでございますが、その後相当な年月も経過いたしておりますので、教育の現場の実際というものも非常に進歩しておるわけでございますので、そういう点を考慮に入れまして、小・中学校についての基準改定という問題につきましても、前向きにぜひ検討をしてまいりたいというふうに考えております。  その結果、この単価差あるいは数量差のズレによりまして地方団体にどれだけの超過負担があるかということでございますが、政府といたしましてはまだ的確につかんだ数字はございません。知事会議等の御要望はございますけれども政府としてつかんだ数字はございませんので、本年度七月をめどといたしまして詳細な実態調査を、大蔵省、自治省、文部省厚生省等関係各省がそれに加わりまして実施をしたい、こういうことでございます。その結果を見まして、四十八年度予算におきましてさらに積極的な諸施策を講じてまいりたい、こういうことでございます。
  7. 山田太郎

    山田(太)委員 いまの御答弁によりますと、私が知らなかっただけかもしれませんが、このたび初めてやろうというのでございますか、あるいはいままですでに何回か調査した、だけれども、すでに時代も経過しておるし、変遷も激しい、したがって、それは一つのよりどころにはならない、このためにあらためてやるのか、いままで何回やって、どのような効果をあげていたのか、その点についてもう一度お伺いしておきたい。
  8. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 超過負担の問題につきましては、四十三年度から四十五年度までの三カ年にわたりまして一応解消がはかられたということになっておるわけでございます。この調査は四十二年度に行なわれた調査でございまして、それを根拠にして、その際明らかになった超過負担を一四十三年度から四十五年度までの三カ年間で一応解消したということでございます。  その内容を申し上げますと、当時超過負担として一応捕捉できましたものは百八十一億円ということでございます。その中身は、単価差が二十四億円、国庫負担充当差が三十二億円、数量差が百二十五億円ということでございますが、百八十一億円のうち、必ずしも国が負担すべきでないものというのが百四十一億円ある。その内容は、単価差のうち、標準的な設計を越えるデラックス部分というのがあるわけでございますが、それが十六億円、それから数量差のうち、国庫負担補助基準を上回る部分が約百億円、それからこの超過負担の中には、施設費以外に初度調弁費というようなものが二十五億円含まれておる。そうしたものを除きますと、百八十一億円のうち四十億円が国の責任において解消すべき額であるということになりまして、その単価差分の八億円と国庫負担充当差の三十二億円、計四十億円が四十三年度から四十五年度までの三カ年にわたって一応解消されたということになっております。なってはおりますが、いま御指摘のように、なお地方超過負担があるということが各方面から指摘されておるものでございますから、あらためて調査をしてその解消施策を立てたい、こういうことでございます。
  9. 山田太郎

    山田(太)委員 いまの御答弁の中の地方超過負担ですか、その中においての父兄負担というべきものはどのような状況であったのでしょうか。これは当然、義務教育趣旨から言いましても、まず全面的に解消しなければならないものだと私どもは思っておりますが、その時点において父兄負担はどのような状況でありますか。
  10. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 ただいま申し上げました四十三年度から五年度にかけまする超過負担解消は、これは国が地方公共団体に対して超過して負担させておるという分でございまして、ただいまお尋ねの父兄負担金額はこの外になるわけでございます。その金額は、文部省が毎年行なっておりまする地方教育費調査によりますと、昭和四十二年度におきましては二十三億円、四十三年度におきましては二十二億円、四十四年度におきましては二十億円ということで、年々漸減はいたしておりますけれども、なおかなりの額の父兄負担と申しますか、正確には寄付金と申したほうがいいかと思いますが、おそらく寄付の主体は大部分父兄であろうかと思いますが、その寄付金がございます。  ただいま申し上げましたように、絶対額も漸減をいたしておりますし、また建築費の中におけるこの寄付金の比率も、四十二年の一・六%、四十三年の一・四%、四十四年の一%というふうに漸減をいたしておりますので、改善方向には向かっておると思いますが、さらにこの方向を進めるように、国のほうにおきましても必要な予算措置をし、また地方団体等もそういう方向で指導してまいりたいというふうに思います。
  11. 山田太郎

    山田(太)委員 やはり地方公共団体への超過負担というものが、ひいては父兄負担増に響いていくわけです。これはだれしもいなめない問題です。そういう点から、当然超過負担調査というものも、父兄負担解消というものも、大きくその中に包含しながらむしろやっていかれるのが至当ではなかろうかと思うのですが、その点はどうでしょう。
  12. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 この父兄負担の問題は、文部省が毎年度やっておりまする地方教育調査の結果でございますが、超過負担は、ただいま申し上げましたように、ある年度調査をいたしまして、その時点のものをまずは解消する、それでなお残れば、その時点であらためてまた調査をして、そしてその解消をはかっていくということでございます。そういう点、的確にその年度年度には対応はいたしませんが、マクロで見ますと必要な手が打てるということではないかと思いますので、必ずしも毎年度調査すべきことかどうか、これは文部省だけでお答えいたしかねる問題でもございますが、その辺には多少問題もあろうかと思います。
  13. 山田太郎

    山田(太)委員 私の言わんとするのは、マクロ的にはそれに対して手は打っていけるという御答弁はわかります。しかし、絶えず追っかけていくほうで大幅に予算措置ができればともかくも、現状においてはそれはなかなか望むべくもないことです。したがって、地方公共団体負担というものは絶えずあと追いあと追いの状況になっていくというおそれが多分にあるわけです。そういう面から、やはりそういうような手も打つべきじゃなかろうかと、こう思って御質問申し上げたわけです。そういう点からはやはりそうあるべきじゃなかろうかと思うのですけれども、どうでしょう。
  14. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 そのほうが理想的かと思います。ただ、気持ちは全く先生と同じでございますが、私どもの具体的な施策といたしましては、やはり予算の額をふやす、単価を上げる、事業量をふやす、そういうことが結局は超過負担解消のいわば唯一の手でございますので、そういう方向努力をしてまいりたいというふうに思います。
  15. 山田太郎

    山田(太)委員 そうすると、その調査と、それから予算額を上げるという問題は、直接には関係がないというふうにもとれるわけです。マクロ的に言えばそうでしょう。すぐ密着した問題じゃないというふうな感じにも受け取れるわけですね。これは私の考えようが悪いのかもしれませんよ。だけれども、やはりきちんきちんと毎年それをやっていくほうが、それに対応した手も早く打てるのじゃなかろうかとも考えられるのです。そういうような意見もありますので、もう一度しつこいようですけれども、それに対してどういうお考えか、お伺いしておきたいと思います。
  16. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 それは、先ほど申し上げましたように、文部省だけでお答えしきれることでもございませんので、文部省としても十分検討さしていただきたいと思います。
  17. 山田太郎

    山田(太)委員 そこでこの際、大臣にお伺いしておきたいわけですが、大蔵省当局とのいろんな関連もあると思います。しかし、屋体とそれから危険校舎に対するこれの負担率——ただ校舎だけを二分の一に上げるのでなく、屋体あるいは危険建物に対する負担率もやはり超過負担の大きな要因にもなっておりますし、また、当然父兄負担増——増ということばはいまの数字から言うと当たらないかもしれませんが、父兄負担解消していくという面から考えても、当然これも二分の一に引き上げるべきじゃなかろうか。これは何といっても大臣の力が非常に大きくものを言う事柄でございますし、大蔵当局との折衝も非常に苦労されていることはわかっておりますが、この点については、私どもとしてはどうしてもこれを二分の一に当然引き上げるべきではないかというふうな考えを持っております。この点について大臣のお考えをこの際強力にお伺いしておきたい。
  18. 高見三郎

    高見国務大臣 御意見全くごもっともでございます。屋体にいたしましても、危険校舎にいたしましても、実はこの予算が三分の一が二分の一になりますときに、これはもう暮れのぎりぎりに話し合いがついたものであります。御承知のように、道路の場合にいたしましても、土地改良の場合にいたしましても、負担率の増加ということは、大蔵省としては非常にいやがる仕事であったのでありますが、これをとったからには、来年度は何としても屋体なりその他の負担率というものも二分の一に引き上げるという努力をすることには、私は非常な決意をもって臨んでおるわけでございます。御協力をお願いいたします。
  19. 山田太郎

    山田(太)委員 そこで、もう一点ですね。これは昨日、人口急増都市協議会陳情が実はあったわけです。その中の一つでございますが、これもやはり文部省だけというわけにはいかないのかもしれませんが、いまの木造校舎等について、この測定基準ですか、現在四千五百点になっておる。これを五千点に引き上げてほしい、こういう要望が非常に強いわけです。大事な問題でございますので、これについてもひとつ大臣から、どのようなお考えか、御答弁をお願いしておきたいと思います。
  20. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 大臣の御答弁の前に、ちょっと事実関係について御説明を申し上げます。  御承知のとおり、現在危険校舎の認定の基準は四千五百点以下ということになっております。四千五百点以下の危険面積小学校から高等学校、幼稚園まで含めて八百八十五万平米ございます。これは総量でございまして、そのうちいわゆる国の補助基準内の面積は五百八十万平米ということでございまして、現在はこの五百八十万平米に対しまして、毎年度約百万平米予算措置をいたしておるわけでございます。原則として、ただいま申し上げましたように、四千五百点以下でございますが、特殊教育学校の場合、それから特別豪雪地帯の場合、それから震災対策上特に必要のある場合等につきましては、実は四千五百点以上五千点までのものを補助対象にしておるという段階でございます。私ども将来の方向といたしましては、関係方面要望も非常に強うございますので、四千五百点という基準点数を五千点まで引き上げる方向で今後努力をしていきたいというふうに考えております。
  21. 山田太郎

    山田(太)委員 大臣の御答弁いただく前に、実はこれがきのう陳情に見えた方々の陳情書です。その中に「大都市およびその周辺地域における戦災による被災鉄筋造等建物改築、および五千点以下の木造建物改築について児童・生徒の生命を護るため、また震災対策として、これに要する経費の予算措置を講じていただきたい。」これはそのままの文章を読んだところでございますが、いまの局長の御答弁も、その中の半分は御答弁になっておるわけですが、いまの点も含めてその点について大臣から御答弁をお願いしておきたい。
  22. 高見三郎

    高見国務大臣 これは昭和二十三年、四年に、あるいは二十七年くらいまでにできました鉄筋コンクリートの建物代用セメントを使っております。したがいまして、普通の状態においては実は老朽にもならない、若朽なんですね。しかし震度の高い地震にはとても耐えられない。私は私みずからこれを経験をいたしておるのであります。御承知のように、建設当初一万点、一年を経るごとに百五十点ずつ減してまいりますというと、大体三十何年かで老朽になるわけでありますが、その間台風だとか何とかで幾らかずつ減点はいたしますけれども、実は私は五千点の限度というものは、震災がどうの、豪雪がどうのということでなしに、各学校とも五千点を最低の限度にいたしたいという考えでただいまやっております。これが実はいつ震災があるかわかりません。いつ台風があるかわかりません。いずれにいたしましても、大ぜいの子供を預かっておって、昼間にこういう災害がありますというとたいへんな犠牲を出すということになるわけでありまして、この犠牲を防ぐ意味から申しましても、この点数はすみやかに上げなければならぬ。すみやかに上げると申しましても、御承知のように百五十点で五百点上げるためには三年そこそこなんですから、五千点がいいのか、五千五百点がいいのか、これは実際問題について検討してみなければならぬ問題だと思いますけれども、実は老朽校舎老朽校舎とよく言いますけれども若朽校舎が非常に多い。この問題に私どもはいまのうちに手をつけておかなければたいへんなことになるという考え方に立っておりますので、御指摘の点はよくわかっております。十分努力するつもりでおります。
  23. 山田太郎

    山田(太)委員 五千点あるいはいまの大臣の御意向によると五千五百点にでもというふうなお気持ちもあるやにお聞きしたわけですが、いわゆる戦災による被災鉄筋造の問題について、これは東京都のみではないですけれども震災対策ということも含めて、それに対しての早急な対策というものは、まだ全然立ててないのでしょうか。これに対してはどういう対策が立ててあるのか。これはひとつ局長にお伺いしておきたいと思います。
  24. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 大臣答弁をちょっと補足させていただきたいと思いますが、危険校舎点数でございますが、これは木造校舎についてだけ現在は点数をつけておるということでございまして、鉄筋校舎につきましてはつけてないわけでございます。つけてないために危険度が的確にわからないということがあるわけでございますが、私どもは、ただいま大臣お話にございましたように、鉄筋建築でありましても、危険なものあるいは不適格なものは、これは点数がついていなくても危険校舎改築対象にしたい。特に大震災に対する対策が必要な地域におきましては取り上げていきたいということで、実際の執行を行なっておるのでございます。  それから、震災対策でございますが、これは総理府の中央防災会議におきまして、大都市を中心にいたしまして震災対策推進要綱というものが定められております。この中にはもちろんいろいろなことが書いてあるわけでございますが、教育関係につきましては、学校は幼い子供がたくさん集まる場所でもございますし、かつまた、震災が起こりました場合には、防火の拠点あるいは避難の拠点になるわけでもございますので、そうした観点から特に学校建築整備につきましては前向きで対処したいという基本方針が策定されております。したがいまして、そういう方向に従いまして、私どもも先ほど申し上げましたように、四千五百点をこえる点数のものであっても補助対象にする、あるいは鉄筋校舎であっても補助対象にする、こうした施策を講じておるわけでございます。
  25. 山田太郎

    山田(太)委員 もうちょっと具体的に、その点についてそういう基本姿勢でというだけでなくて、現実においてこうやってきた、これからはこうやっていくという具体的な面をもう少し出してもらいたいと思います。
  26. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 震災対策として取り上げなければならない坪数は、私ども一応四十二万平米というふうに把握をいたしております。これは東京都、横浜市といった首都圏大都市が主として対象になるわけでございますが、大臣からも御説明いたし、私からも申し上げましたように、四千五百点以上のものであっても、そういう地域におきましては、震災対策上の観点から特にこれを執行上の問題として取り上げてまいりたいという考えでございます。
  27. 山田太郎

    山田(太)委員 これは重大な問題ですからね。いまは四十二万平米という数字が出ている。これが鉄筋あるいは木造にかかわらず、いわゆる耐震対策上早急に改築なりあるいは改造なりに取り上げていかなければならない平米だ、そういう意味ですね。  そうすると、これに対してどのように進めていこうとするのか。ただ平米が出ただけで、申請があればそれを認めていくというだけでなく、それに対しての文部省としての——問題が震災ですから、それに対しての具体的の方策というものは文部省手待ちのかっこうですか。それに対しての方策というものは具体的にどのように立てられていくのか、それは全然考えられていないのですか。
  28. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 四十二万平米を、具体的に、たとえばその年次計画をもってどういうふうに解消するかということはまだきめていないわけでございますが、先ほど申し上げましたような基本方針に従いまして、東京都その他から具体的な改築の申請が参りましたときには、これを優先的に考慮をするという方向で処理いたしたいというふうに考えております。
  29. 山田太郎

    山田(太)委員 もう一つ、優先的に処理したいということですね。それは文部省として指示を与えて、それによって東京都なり横浜市なりから申請してくる、それの状況がいまおっしゃった四十二万平米でしょう。これに対しての申請はどのような状況でなされてき、それをどのように措置していくかという大きな問題点についての御答弁がないから私は何べんも聞いているのです。
  30. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 実は、四十七年度予算執行につきまして、ただいま各都道府県から計画につきまして説明を受けておるわけでございますが、その中で、ただいま先生御指摘のものがどれくらい含まっておるか、まだ集計はいたしておりませんが、そういうものがおそらくかなり入っていると思います。先ほど申し上げましたように、重点的にこれは取り上げてまいりたいというふうに考えます。
  31. 山田太郎

    山田(太)委員 まだ詳細な把握はできてないような感じですね。この四十二万平米そのものも、まだまだ具体的な把握ではないように思われますので、その点について強力な措置方を強く要望しておきたいと思います。  そこで、問題を次に移しますが、この法案の中にあります統合校舎等の新増築事業について、今回新たに統合予定の場合も国庫負担事業の対象にするということになっておりますね。そこで、この国庫負担事業として認定する場合、この統合予定の事実認定は何によってなさろうとするのですか。
  32. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 事実認定の方法でございますが、これは統合の予定ということでございますから、確実な予定であることが必要なわけでございまして、それを認定する方法といたしましては、学校の設置に関する町村の条例に統合が明確に規定されておる、条例が改正されて統合が決定されておるということ、統合の時期が明示されておるということ、そうしたことを調書によりまして確認して補助対象にしてまいりたいというふうに考えております。
  33. 山田太郎

    山田(太)委員 そうすると、条例が改正されるということが一つと、それから時期が明示されるということが一つと、この二点がそろえばそれを事実認定の根拠とする、そういうわけですね。  そこで、現在の過疎地域振興計画に定められた統合学校あるいは離島振興対策実施地域小・中学校の建設は国庫負担率は三分の二になっている、これは当然なことかもしれませんが、その三分の二になっているというのはなぜ三分の二になったのか、これは次の質問の提起のために一ぺんお伺いしておきたいと思います。
  34. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 現在大都市におきましては、過密の問題に伴うプレハブ校舎等の問題が起きておるわけでございますが、実は学校統合というのは主として過疎地域の問題でございます。もちろんそれだけではございませんが、そこに多いわけでございます。離島あるいは過疎地帯というのはそうした地域に該当するわけでございます。また、一般論といたしまして、財政的にも力が十分ではないというようなこともございますので、特別法をもって補助率のかさ上げが行なわれているということであろうと思います。
  35. 山田太郎

    山田(太)委員 そういたしますと、いまの御答弁から考えますと、やはり財政負担の面が一つと、それから過疎、学校自体の児童なり生徒なりその数の面からも当然考えられてはおることでございましょうが、これは過密地帯になりますと、生徒あるいは児童数の点からいえば反対の現象ですね。ところが、負担という面においては、これは同じく人口急増市町村の負担というものは、かえって過疎市町村よりも負担が多いのじゃないかといろ点を考えるわけですが、それについての文部省としての過疎市町村あるいは一般市町村あるいは人口急増市町村——人口急増市町村というのはどういうものを人口急増市町村とするのか、あるいは過疎市町村はどういうものを過疎市町村とするのかという点、あるいは文部省と自治省によって相違があるのかないのか、そういう点も含めて、文部省と、自治省によって基準の差があるのかないのか、それがまず第一点。  それからもう一つは、過疎市町村あるいは一般市町村あるいは人口急増市町村等に分けて、それぞれの小中学校施設整備費についての負担というものを調査されたことがあるかどうか。ということは、いまの負担という問題については、生徒数、児童数という点については、過疎地域あるいは過密地域、これは反対ですからね。だけれども負担という点においては過疎地域よりも過密地域、人口急増市町村のほうが負担が大きい。人口比から見ても非常に違うわけです。その点の調査はされておるかどうか。
  36. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 過疎町村の範囲でありますが、これは過疎対策法に基づきまして、自治省がどこの町村が該当町村であるということを告示をいたしております。したがいまして、それに対する施策政府全体を通じて一貫と申しますか同様に行なわれておるわけでございます。それから過密と申しますか、人口急増町村でございますが、これは文部省の土地購入費に対する補助の場合でございますが、小・中学校の児童生徒の数が補助対象年度の前三カ年間におきまして、小学校の場合はその増加率が一〇%以上で、かつその増加児童数が五百人以上、中学校の場合はこの五百人が二百五十人になります。それからもう一つものさしがございまして、増加率が五%以上でかつ増加児童数が千人以上、中学校の場合はこれが五百人以上ということになります。  これが児童生徒急増市町村の基準でございますが、自治省におきます地方財政関係施策措置も全部このとおりの基準で行なわれておりまして、その間にそごがないわけでございます。同じような基準で過疎、過密の対策が行なわれているというふうにお考えいただいていいかと思います。  それから、人口急増町村における教育費の負担割合でございますが、御指摘のとおり、一般の町村に比べまして若干高いわけでございます。自治省の全国調査によりますと、市町村の普通会計における教育費の支出総額は、全国平均では一八・八%でございますが、ただいま申し上げました児童生徒急増町村におきましては、これが二一・六%ということになっております。この中に含まれますが……。
  37. 山田太郎

    山田(太)委員 それはいつのデータですか。
  38. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 これは全国調査の計数は四十四年度、それから児童生徒急増町村のデータは四十五年度でございます。一年度ずれておりますが、大体の傾向としては御理解いただけるかと思います。  それから普通会計の歳出予算総額の中における小・中学校の建設費でございますが、これは自治省調査による全国平均でございますと七%ということでございますが、児童生徒急増町村におきましてはこれが一〇・三%ということで、急増町村のほうが全歳出に占める教育費あるいは建築費の割合が若干上回っておるというような実態でございます。
  39. 山田太郎

    山田(太)委員 これは自治省から出ております資料ですが、「地方財政状況」、ことしの三月に来た分ですね。それによりますと、先ほどおっしゃったのは四十四年と四十五年でしたね。この分は四十五年度の人口急増市町村等における小中学校施設整備費の比較がこの資料から出てくるわけですが、それによりますと、人口急増市町村、これはその学校施設整備費の全体に占める割合が二九・一%、それから一般市町村は一七%、それから過疎市町村は一五・六%、そこで人口の一人当たりの額を見てみますと、人口急増市町村は四千七百円、したがって児童生徒数も多いところです。児童生徒数も多いところで人口一人当たりが四千七百円、一般市町村は二千五百円、過疎市町村は三千百円、この資料から計算してみてもこういう結果が出てくるわけですね。  したがって、私の言わんとするところは、過疎の場合は当然いいとして、人口急増市町村に対しても同じ配慮が加えられるべきではないか。すなわち、国庫負担率を三分の二に引き上げていくべきが当然ではないかという結論になるわけです、道理の上から、筋論からして。その点についてはどうお考えですか。
  40. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 おっしゃるとおりだと思います。したがいまして、四十七年度の概算要求をいたしますときに、私ども児童生徒急増市町村につきましては補助率は三分の二でお願いをしたいというふうに要求いたしましたが、これは通らなかったわけでございます。ただ、先般来申し上げておりますように、小学校補助率が三分の一から二分の一になった、これは当然なことといえば当然なことでございますが、そのことによって実質的に利益を受けるところはどこかと申しますと、大部分が人口急増町村である、児童生徒急増町村であるということで、本年度はちょっと別な面からの措置ではございますが、人口急増町村につきましてはそうした財源措置を、財政上のゆとりができておるということが申し上げ得るかと思います。同時に、建築費だけではなくて用地費につきましても、昨年度の二十億円の補助が五十三億三千万円というふうにかなり伸びを見ておりますので、児童生徒急増町村全体といたしましては昨年よりはやや前向きの施策が組まれているということが申し上げ得るかと思います。
  41. 山田太郎

    山田(太)委員 これは大臣にお答え願いたいわけですが、前向きであるということはもちろん認めます。努力は多とするところでありますが、やはり過疎地と同じように三分の二に引き上げてほしい。しかもそれより以上の負担をしておるのですから、これは当然小学校校舎が二分の一に引き上げられた、屋体危険校舎についてはそのまま据え置きでありますが、これが二分の一に引き上げられたということは大きな前進であります。したがって、最初にぽんと、大臣に強く要望したのはその点でございますが、同じく三分の二に引き上げるという措置、そういう点もやはりある条件のもとには認める方策というものを考えていかないと、とんでもないことになっていくんではないかと思うのですが、その点どうでしょうか。
  42. 高見三郎

    高見国務大臣 それはもう山田さんのおっしゃるとおりであります。文部省の立場からいたしますと、ぜひやってもらいたいという立場に立っておるのでございます。ただ、ことしは御承知のように二分の一になった、この受益者は人口急増地帯が最も多いであろうということは予測できるのでありまして、問題は、これから先どう取り組むかという問題でありますが、取り組み方につきましては、先ほど私が申し上げたとおり、私は全力を上げて屋体もこれでよし、増改築もこれでよしといたしたいと考えておりますし、ことし二分の一にしていて、一挙にまた三分の二ということが実際問題としてできるかできぬかということになりますと、まことに申しわけない話でありますけれども、私、自信をもって必ずやりますというお答えはできかねます。けれども、この問題は漸を追うてやるべき問題である。まず体育館をやる、次に増改築をやる、そういう地方財政と国の財政とのにらみ合いの上で三分の二に持っていくという方向へ持っていくのが最も現実の政治的な姿ではないであろうか、私はさように考えております。
  43. 山田太郎

    山田(太)委員 大臣のおっしゃることもよくわかります。ただ当然、いまおっしゃった屋体なりあるいは危険建物の増改築、これに対してもやはり国庫負担率を二分の一に持っていく、これは、いま早急に急を要する問題だと思いますので、できれば与野党もひとつ議員立法にまで持っていきたい、あるいは修正したいくらいの、そういう熱意を持っております。ただ単なる附帯決議だけでなしに、そういうふうなものを持っております。しかし、それはまた別の問題として、過疎、その反対の人口急増、これはそれとまた別個に扱う必要があるのじゃないかと思うわけです。いまの問題と両方、二つについて大臣考えをお伺いしておきたい。
  44. 高見三郎

    高見国務大臣 お話の点はよくわかります。実は、私は議員であったら私も議員提案の賛成者の一人になったであろうと思います。しかし、御意見は貴重な御意見として私は尊重して伺っておきまするし、また御意見のように前進する努力を懸命に尽くしていきたいということだけを申し上げておきたいと思います。
  45. 山田太郎

    山田(太)委員 人口急増市町村についての御答弁は、先ほどの御答弁があったですから、一応これ以上は進まないと思いますからこれだけにいたしまして、まだお伺いしたい問題点がたくさんありますが、時間の関係もありますので、この法案の中の一点をまずひとつお伺いしておきましょう。  そこで、これは当局から出していただいた法律案資料ですが、これの三ページ、新旧対照の第五条の改正の欄ですが、そこにカッコして「児童又は生徒の数の増加をもたらす原因となる集団的な住宅の建設その他の政令で定める事情があるため、」こうなっておるわけですが、この「その他」というものの意味ですね、当然これは具体化されたものになってこなければいけないわけですが、この「その他」というものを含めて政令の内容はどのようなものか、ひとつお伺いしておきたいと思います。
  46. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 この政令といたしましては、現行政令に集団的な住宅の戸数を三百戸以上というふうに規定したものがあるわけでございまして、さしあたりはその基準でまいりたいというふうに考えておりますが、今回の改正によりまして「その他の政令で定める事情」というものが追加になったわけでございまして、この「その他」が何であるかということが問題になるわけでございます。私どもといたしましては、実はこの点は実態を調査いたしましてさらに正確を期したいと考えておりますが、一例として考えておりますのは、集団的な住宅の建設ではなくて、バラ建ち住宅がいわば雨後のタケノコのように出てくる場合がありまして、それの対策が非常に困難な課題であります。まとまりました集団住宅でありますとあらかじめ予定もできるわけでございますし、場所も固定されているわけでありますから、比較的施策が講じやすい。ところが、バラ建ちの場合はなかなかそうはいかないということがございますので、そうした事態を含めてまいりたいというふうに考えておりますが、ただそのバラ建ちの実態が、実を申しましてまだ十分把握し切れていないというようなこともございますので、そうした点を調査した上で、さらにこの「政令で定める事情」を拡大する方向で検討してまいりたいというふうに考えます。
  47. 河野洋平

    河野(洋)委員長代理 ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  48. 河野洋平

    河野(洋)委員長代理 速記を始めてください。
  49. 山田太郎

    山田(太)委員 先を急ぎますが、いまの御答弁によって集団的な住宅というだけでなしに、バラ建ちも含めて検討するという御答弁で一応この際は満足をしておきましょう。  そこで、ほかの質問はまた別の機会に、一般質問のときに行ないたいと思いますので、その点は保留しておいて、最後に一つお伺いしたいのは、これは先ほど申し上げたとおり「公害防止事業の強化について」という要望書の書類ですが、「昨今の公害の拡大に伴う学校環境の悪化を救うため、公害防止対策事業を拡大し、国庫補助率を引き上げていただきたい。」この問題が一つと、それからもう一つは、校地取得に対しての補助を法定化できないか。現在は年限が大体きまっていますね。だからこれを法定化するか、あるいは年限を延ばすか、そういう考えに立たないとこの処理はどうにもならぬと思います。現在、八王子市においても、あるいは千葉方面においても、あるいは神奈川の横浜等々、集団住宅、マンションにしても、あるいは公団住宅にしても、それを当然やらない。ほかの問題もありますが、学校校地の問題も含めていま拒否するような状況になっておるわけです。この点も、いまの現実の問題の解決を行なうと同時に、将来に対しての措置といたしましてもこれを法定化するか、あるいは年限を延ばすか、そのどちらかが要るのじゃないかというふうに思うわけです。この点にお答えしていただきたいことと、もう一つは、いまの公害防止事業についての補助率を上げる、これはいま一番大切なことと思いますので、この点のお答えをいただいておいて、もう一つお聞きしたいことがありますから、ひとつ親切なお答えをしていただきたい。
  50. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 公害防止事業についての国の補助率でございますが、これは御承知のとおり、昨年制定されました公害の防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律という法律の施行令におきまして補助率がきまっておるわけでございます。現行政令におきましては、小学校補助率が二分の一、中学校補助率が三分の二ということでございます。実はこれは昨年制定された政令でございまして、その当時は小学校が三分の一でございましたから、いわば一格上げて二分の一にした、中学校は二分の一であったから、それを一格上げて三分の二にしたということでございますが、今回お願いいたしておりまする法改正によりまして、小学校が二分の一になりますれば、中学校と同じようにこの二分の一を三分の二に直したいというふうに考えております。  それから、用地購入費の制度を法定化するという点でございますが、結論的に申しますと、これはもう少し時間をかけて検討したいということでございます。その理由は、制度の発足が四十六年度ということでございまして、一応たてまえといたしましては五十年度までの暫定措置ということでございますので、ただいまのところはこれは立法化するというところまでに踏み切ってはいないわけでございますが、ただこれも自治省等との関連もございますし、その点は十分検討さしていただきたい。  年限を延ばすことにつきましては、まだ年次計画の二年目でございますので、もう少し年次計画の進行を見た段階でさらに検討いたしたいというふうに考えております。
  51. 山田太郎

    山田(太)委員 まだ二年目だといっても、もうすぐ来ますからね。いまからひとつ計画を練っておいてもらいたいですね。そうしないと場当たり的なものになってしまいますから。場当たり的なことにならないように強く要望する意味から、その点も要請しておきたいと思います。  そこで、これで最後ですが、公害対策の一環といたしまして、もう一つは、教育の環境整備という問題からいたしましても、あるいは都内の大気汚染あるいは大都市の大気汚染という問題からいたしましても、——これは鹿児島の谷山北中学校が現在校庭をどんどん芝生にしていっている。しかも、その芝生にしたことによって緑と花に囲まれた学校——この前同僚の有島議員から、へいはいまの鉄筋のへいでなくて木立ちに囲まれたへい、緑に囲まれたへい、そういう発想の質問もありまして、これは強く実現をはかるというお考え大臣の御答弁がありましたが、これと関連をいたしまして、校庭を芝生化していく、鹿児島県においては成功してどんどん芝生化しているようです。私はこれは地元に電話で聞いたことで、見たわけじゃございません。これはお断わりしておきますが、非常に好成績のようです。追って百十三校ですか、どんどんふえておる。芝自体は百種類以上あるそうですが、その土地土地に合った芝というもの、東京都内の校庭においても合う芝があるというふうに聞いております。どこの場所においても合う芝というものはあるそうです。そういう意味から、鹿児島だけでこれが成功したという例ではなくて、やはり全国的にも校庭の芝生化という問題は、緑の環境をつくる、あるいは大気汚染からいっても、あるいは学童のけがをするのを防ぐという意味からいいましても、あらゆる点からいってこの校庭の芝生化ということは非常に価値あるものと、これは実行している地元に聞いても判断されております。こういう点について、いまのいけがきの問題、校庭のへいの問題と同時に、校庭の緑化あるいは芝生化という点についてのお答えをひとつ大臣から願って、質問を終わりたいと思います。
  52. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 校庭の芝生化という問題につきまして、鹿児島県でたいへん成功しておるということは私どもも伺っております。方向としてはたいへんけっこうなことだというふうに考えております。これは実は体育局の事務でございますが、公害対策として行なわれております健康増進特別事業というのがございまして、この実施事業につきまして最近実態調査を行なうことにいたしておりますが、その実態調査の一項目の中に、学校環境の実態というのがございまして、その中身は芝張りの状況と樹木の状況でございます。こうした状況を現在調査をいたしておりまして、これはいわゆる公害校だけでございますが、前向きな施策の資料にしたいということで調査を進めております。   〔河野(洋)委員長代理退席、委員長着席〕 先生のお話は、全般としてたいへん望ましい方向であるというふうに考えますが、ただ体育局当局の意見をちょっと聞いてみますと、百メートルのトラックあるいは二百メートルのトラックというようなものが現在ほとんどの学校にあるわけでございまして、鹿児島の場合はそれにも芝を張っておるようでございますが、そういうものを全部芝生化してしまいますと、たとえば体力の測定というような場合に困難も感ずるという問題点もあるのではないかということを指摘いたしておりますが、方向としてはたいへん望ましいことではないかと思います。
  53. 高見三郎

    高見国務大臣 せっかくのお尋ねでございますからお答えを申し上げます。  校庭の芝生化の問題、これはあとの管理の問題で、一応は成功いたしましてもなかなかたいへんな問題が残るであろうと思います。思いますけれども、非常にいいことだと思います。  先日、有島委員から校庭の緑化の問題がございまして、私は震災対策として考えます場合に、校舎はなるほどつぶれなかった、しかし火災の問題だけは避けがたい問題であると思うのです。したがって、学校を取り巻く環境に、針葉樹ではだめでありますが、広葉樹をたくさん植えていきますると、火災についてはある程度防護ができるという意味において、私は有島さんに賛意を表したわけであります。そういう意味において、現実に起こっておる環境破壊という問題もさることながら、長い目で見た環境というものの整備というものを、やはり学校交通、文教施設には考えていかなければならぬ問題ではないか。いまのお話に全く同感でありまするし、同時にまた、そういう考えのもとに私はこの仕事を進めてまいりたい、かように考えております。
  54. 山田太郎

    山田(太)委員 以上で質問を終わりますが、校庭のいわゆる芝生化という問題はこれは大事な問題だと思います。いろいろな点の問題点を内包しているが、それを解決する一つの手段にもなると思います。その維持管理費についても相当低廉な維持管理費でできておるようです。それから芝自体の問題も、これはやはり農林省等とのタイアップも当然要ると思います。したがって、その点も勘案して強く進めていかれんことを御要望申し上げて、自治省並びに大蔵省の関連の質問はまた別の日にあらためて申したいと思いますので、以上で質問を終わります。
  55. 丹羽兵助

    丹羽委員長 鈴木一君。
  56. 鈴木一

    ○鈴木(一)委員 時間もございませんので、同僚議員との重複を避けて端的に二、三の問題についてお答え願いたいと思うのであります。  この法案を見まして、何となく片手落ちのような感じがいたします。というのは、補助率を引き上げたことはいいわけでございますけれども屋内運動場がそのままになっておる、それからまた、危険校舎のほうもそのままになっておる。片手落ちだと思うのでありますけれども、これは文部省としては、大蔵省との折衝の段階でも十分努力をされたが、やむを得ず今回はこの段階にとどまったというふうに理解しておりますが、来年度は少なくともこの問題をそれぞれ解決し得る見通しはございますか。大臣にひとつ……。
  57. 高見三郎

    高見国務大臣 これは私もはなはだ片手落ちだと思っております。しかし、ここまでこぎつけるのには容易ならぬ苦労があったこともひとつ御理解をいただきたいと思います。したがって来年は、足がかりができましたから、ぜひこれを実現いたしたいと思いますので、何ぶんの御協力をお願い申し上げます。
  58. 鈴木一

    ○鈴木(一)委員 協力はやぶさかじゃありませんが、あと一押しだと思いますので、せっかくの御努力を期待するものであります。  次に移りたいと思いますが、今度のこの法案によりまして、養護学校補助率が従来の二分の一から三分の二になるわけでございますが、補助率を上げることによってむずかしい養護学校の設立がぐんぐん進むというふうな考えを持っておられるのか。必ずしもそうじゃないとするならば、どこに一体問題があるのか。そういう点について大臣からお答えいただきたいと思います。
  59. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 ただいま先生御指摘になりました補助率の改定というものが、私ども養護学校にとってはきわめて効果的であろうというふうに考えておるわけでございますけれども、しかし、先生、前から非常に御関心がございまして、この点についてはむしろ釈迦に説法ということになるかもしれませんが、養護学校の場合には、非常にその費用がかかるという点はこれは免れない点でございます。しかも特定の地域に非常に片寄るということもあるわけでございます。  たとえば、今後養護学校を完全につくるといたしますと、東京都では五十校ぐらいあと必要である、神奈川県では三十校くらい必要であるというふうなことでございます。これは土地の事情その他を考えましても、それだけを考えましてもかなりむずかしい問題であろうと思います。それから、一校つくりますのに、東京近辺でございますと七億から十億くらいかかる。それに対して収容人員が二百名から二百五十名くらいということでございますと、一人当たり三百万円くらいの費用になる。ただいま府県では非常に財政状況も悪くなっておりますし、私は当事者の熱意がないということではないと思いますけれども、しかし非常な努力を要する問題であろうということではないかと思います。  先生の御指摘もございますし、私どもかねてからこの問題は、何とか解決しなければいけないというふうに考えておりますので、国会が終わりましたら、私どもひとつ積極的に各地方公共団体に働きかけましてその促進をはかっていきたいということを考えておる次第であります。
  60. 鈴木一

    ○鈴木(一)委員 局長のおっしゃるとおり、確かに金もかかることだろうと思います。しかし、一国の福祉政策として、どうしてもこの道は拡大しながら進んでいかなければならない道だと私は思うわけでございます。今回補助率が上がったことはけっこうだと思いますけれども、それだけでは問題の解決ができないと思っております。特におくれておる精薄関係養護学校ですね。肢体不自由児とかその他については、盲学校、聾学校はもちろんのことですが、やりやすいものにはけっこう各自治体も手をつけておるわけですね。しかし、精薄のような、どう取り組んでいいかさっぱりわからない、同時にまた、国の方針もまだはっきりしていないというものについては、どうしても手を出したがらない。しかし、こういう学童を持つ父兄からは、いろいろな形でそういう学校の設立が最近要望されてきておる。地方としてもそれにこたえたい。これは金の問題じゃない。何とかしなければならないというふうなところまで来ておると思うのでございますけれども、そこまで踏み切れないでおる府県もあると思うのでありますが、現在精薄関係養護学校がいまだ設立になっていない県は、具体的にどことどこでしょうか、お伺いしたいと思います。
  61. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 現在精薄の養護学校がございません県は二十三県でございまして、具体的には岩手、秋田、山形、栃木、山梨、滋賀、広島、愛媛、佐賀、鹿児島、こういうところでございます。なお、県立のものがないところがこのほかに群馬、埼玉、石川、福井、岐阜、静岡、兵庫、鳥取、島根でございます。
  62. 鈴木一

    ○鈴木(一)委員 養護教育というのは義務教育なんでしょう。そうじゃないですか。
  63. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 仰せのとおりでございます。
  64. 鈴木一

    ○鈴木(一)委員 それならば、文部省としても、いつ何日までつくるべきだというふうなはっきりした政令が当然出ていいはずだと思うのですが、まだ出ていないんじゃないですか。
  65. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 これは当然方針としましては義務教育ということでございますけれども、やはり義務教育というふうな形にいたしますためには、単に各県で一つつくればいいというふうなものではございません。やはり全部を収容できるような体制が整いましてからこれは義務教育実施する。それまでは拡大をしてまいりまして、そういう子供の中で優先的に措置をしなければならない子供から解決をしていくというふうな方向でしばらくは進んでいかざるを得ないのじゃないか、そういうふうに考えております。
  66. 鈴木一

    ○鈴木(一)委員 徐々に拡大しながらかっこうをつけていくというのも一つ方針だと思いますけれども、ここまでくれば、一応その県によって一つ学校じゃ間に合わない、三つも四つも、あるいは十も必要だという県もあるかもしれませんけれども、やはり全部ができなくても、いつ何日までにとにかくつくらなければならないというふうな政令を公布して、追い込んでいくというふうな熱意が、国の施策を担当する文部省にあってもいいと私は思うのですけれども、そういうものがないから、国のほうも、むずかしい仕事だから、金もかかるし、適当なことで考えているのだろうというふうなことで、県のほうもそれを受けて強くやろうとしない、両方が足踏みをしているというふうなかっこうだと思うのですが、ここまで来れば、ある一定の期限を区切って、はっきりそれはつくるべきだ、そのためにこういう積極的な援助をするというふうなけじめをつける段階に来ているのじゃないかというふうな感じがするのです。大臣どうですか。
  67. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 確かに先生のおっしゃるような点はごもっともだと思いますが、しかし、たとえば学校が十必要なところで一つつくって、いやもう自分のところはこれで義務は済んだというふうにされても困る面がございます。先生の御趣旨はまことにごもっともでございますので、私どもそういう方向で具体的に促進ができるようにもう少し考えてみたいということでございまして、別に先生のおことばを否定するということではございません。
  68. 鈴木一

    ○鈴木(一)委員 時間があまりないのであれですが、とにかく必要なものを全部一度にここにつくらなくても、まず、ないところは一つでもつくっていく。その経験に基づいてさらにつくっていく。その資金的な援助は惜しまないというふうな国のバックアップがなければ、なかなか私はこの問題は進まないと思うのですね。  それから次にお伺いしたいのですが、普通教育のワクの中でこの特殊教育をこなそうとするからなかなか進まないと思うのですね。ですから、教育として普通教育のかさの下じゃなくて、やはり独自の特殊教育教育体系というふうなものがあり、それに必要な教員養成、あるいは教員の待遇もはっきり確立しなければ、何ぼ上のほうからしりをひっぱたいても、あるいはまた父兄かち要望があっても、なかなか取り組まないのじゃないかというふうな、私はいままでいろいろ調べてみてそういうふうな感じがするわけでございます。この前も私は、たしか灘尾さんが文部大臣のころに二度ばかり質問書を出し、あとでまた高見さんが委員長のときに委員会質問をしたこともあるわけでございますが、たとえば教員の問題でも、ほんとうに資格を持って、熱意を持ってこれに当たっている先生というものは非常に少ないだろうと思うのですね。まあやむを得ずやっておるという先生のほうが多いのじゃないか。これはやはり普通の教育と違って、労力もたくさん必要だし、たいへんだし、教育の効果そのものも、必ずしも簡単にあがってくるということでもないものですから、最初は熱意を持ってもだんだん熱がさめてくるということもあるだろうと思うのです、励みがないと。だからやはり、こういうむずかしい教育を担当する教師には、普通の教師と違った——現在八%の加俸があるようでありますけれども、たったそれだけでは足りない、少なくとも二割ないし三割くらいの加俸をプラスし、また定年なんかの場合も、一つの経験者ですから普通の教師と違ってもっと定年は考えてやろう、三年でも五年でも延ばしてやろうというふうな、独自の教育体系というものがここにないと、補助金をふやしたというだけでは、あるいはまた資金のバックアップをしたというだけでは、この問題は進まないのじゃないかというふうな感じもするわけでございますが、この問題、いかがでございますか。
  69. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 まことに貴重な御意見でございますが、私ども年度から教員の待遇の改善につきましては全般的に検討を進めようということで、それに必要な予算もつけたわけでございますので、特殊教育につきましては、ただいま先生御指摘になりましたような線を十分考えながらこれに対処したいというふうに考える次第でございます。
  70. 鈴木一

    ○鈴木(一)委員 特に教員の養成については現在の体制では私は足りないだろうと思うのですね。ですから、こういうふうな養成についても、積極的な養成のしかたを考え、同時に、そういうコースに進む学生に対しては、奨学資金くらいは優先的に出してやるとか、そういうふうなことも必要じゃないかというふうに考えておるわけでございますが、現在あれですか、特殊教育を受け持っておる先生の数、それからまた、その中で免許を持っておる人のパーセンテージはどの程度のものですか、伺いたいと思います。
  71. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 大ざっぱに申しますと、現在担当の教員が二万五千名程度ございまして、そのうち免許状を持っております者が約六〇%となっております。
  72. 鈴木一

    ○鈴木(一)委員 四、五年前から比べると教員の数は若干ふえておりますけれども、しかし前は、大体三〇%くらいしか免許を持っている先生がいなかったわけでありますが、その後いろいろな形で努力をして免許を取られたわけですか。
  73. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 そのとおりでございまして、特殊教育を担当する者の免許の取得につきましては、教育委員会のほうとも協力をいたしまして、また大学につきましても、四十五年、大学に養成課程をつくりまして、その資格の付与ということにつきましては努力をしているわけでございます。また、これから年次計画をもちまして養護学校を増設してまいるにつきましては、それに必要な教員は必ず確保するということでやってまいりたいというふうに考えております。
  74. 鈴木一

    ○鈴木(一)委員 現在、特殊教育対象となるべき学童数ですね、しかも、実際その中で特殊教育を受けておる者はどの程度のものなのか、統計がございましたらお知らせ願いたい。
  75. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 概数を申し上げますと、特殊教育対象になる児童生徒は五十三万人くらいというように見込んでおります。そのうちで就学いたしております者が十六万人強でございまして、比率にいたしますと三〇・九%、まだ約三一%ということでございます。そのうちでは視覚障害、聴覚障害、肢体不自由というようなところはかなり進んでおりますけれども、ただいま御指摘いただきました精神薄弱とか、病弱、虚弱とか、そういうふうなものにつきましてはまだその普及がおくれておる、そういうふうな状況でございます。
  76. 鈴木一

    ○鈴木(一)委員 そうしますと、いろいろ努力はされてここまできておりますけれども、約七〇%の学童はそういう教育対象になってないということなので、これはやはりよほど馬力をかけて特殊教育の振興をはかっていかなければ問題の解決にはほど遠いということに私はなると思うのですね。いままでの努力は決して私はしてなかったとは言いませんけれども、まだまだこれからだということに私はなるだろうと思うのですね。ですから、ただここで補助金を上げたというふうなことで満足せず、特殊教育特殊教育としての特別の一つ教育体系をつくるのだというふうな形で鋭意努力していただきたいと思うので、この前も申し上げたのですが、日本の義務教育の場合は、就学率が九九・八%で世界一だといわれておりますけれども、事、特殊教育になってくると、必ずしもそういうものではないと私は思うのですね。まだまだこれからしなければならない部門がたくさんあると思うわけです。   〔委員長退席、谷川委員長代理着席〕 一気になかなかできないことだと思いますけれども、まあひとつ特別の配慮をやる。そのためには研究のための特殊教育のセンターもでき、一応のことを進めていく体制というものはできてきていると思いますので、それをさらに拡大しながらいままでのようななまぬるい考えでなくて、これをやることによってほんとうの日本の教育が完成するのだ。義務教育の面ではいろいろ問題があっても、とにかく九九・八%の就学率だが、片一方はこういう状態だ。いわばこれは、特殊教育も一般教育も車の両輪だというふうな考え方を新たにして、この問題に真剣に取り組んでもらいたいと思います。大臣がかわるたびごとに、所信表明では特殊教育の振興ということがうたわれるわけであります。坂田さんもそうでしたし、高見さんもたしかそうだったと思うのですが、しかし、こうしてみると、補助金が上がっただけで何もここにぐんぐん進めていくというふうなかっこうがないと思うのですね。  他国の例を引いて恐縮ですけれども、なくなったアメリカの大統領ケネディも、自分の身内に精薄児がおったためにずいぶんこの問題に対しては熱意を示し、精薄と戦う委員会というものを大統領直属に設けて、そうしてアメリカのおくれている精薄児の教育を進めていった。そのときのあいさつなんかを聞いてみても、ただ人的資源をどうのこうのする、そういうことじゃないのだ、アメリカの未来を開くかぎだ、不可能を可能にする一つの行き方なんだといったふうな、非常に次元の高いあいさつをしているわけでありますが、やはりそのくらいの意気込みでなければ、おくれたこの特殊教育を振興することは不可能だと思うのです。  また、課長さんの寒川さんもずいぶん長い間同じポストにあって努力をしておられることは多といたしますし、四、五年前に、寒川さんにはかわってもらっちゃ困るということでお願いしておったのでございますが、その後引き続きやっているその努力は多といたしますけれども、やはりここへ来たらもう一段と飛躍する取り組み方というものが必要な段階に来ていると思うのですが、大臣、どう思いますか。
  77. 高見三郎

    高見国務大臣 私がことし一番大きな柱といたしましたのは、生涯教育という観点に立つ幼児教育特殊教育の問題であったのであります。私はその意味において、ただ補助金をふやすとかなんとかというささいな問題でなくて、私も実は精薄児の学校理事をやっておりますが、神さまが地上に一つの生命をお与えになるということそのことには、必ずそれ相当の意味があるということを私はしみじみ感じております。どんなばかな子でありましても、何かはなし得る能力を持っておるのであります。鶏を飼いますというと、日本一の鶏飼いになれる子供がおります。豚を飼わせますというと、豚がなついて日本一の豚飼いになれる子供がおります。私は、これらの能力を引き出すことがほんとうの教育であろうと思うのであります。ラテン語のエデュカ−ティオということばは、ものを引き出すということばであります。私は特殊教育というものが子供のうちにひそむもの、天の与えた子供のうちにひそむものを引き出すということが何よりも大切なことであると思っておりますし、この問題にはおざなりの御答弁は申し上げません。真剣に取り組んでおるということをひとつ御理解をいただきたいと存じます。
  78. 鈴木一

    ○鈴木(一)委員 もう時間がありませんからこれでやめますが、演説だけじゃなくて、具体的に示していただきたいと思います。  終わります。
  79. 谷川和穗

    ○谷川委員長代理 山原健二郎君。
  80. 山原健二郎

    ○山原委員 もう全く物理的に時間がございません。安里先生もおられますし、また小林先生、また木島先生なども発言通告されておるわけで、一つ法案が成立をする段階で、法案についての質疑がこういう状態では、これは全くやりきれない感じがするわけですが、しかし本日の本会議に上程したいというこのことに対して、私も協力する意味で、きわめて簡単に質問をいたしたいと思うのです。この点は委員長ぜひお聞きおきいただきたい。  一昨年の九月でありましたが、本委員会におきましてわが党の寺前議員が実は東京都保谷市の東伏見小学校のプレハブ校舎の火災の問題で質問をしたことがあります。そのときに前坂田文部大臣は、もうこういう状態は一日も早く解決をしなければならないし、そのために最善の努力をするということを言っておられるわけで、この仮設校舎、プレハブ校舎の問題は、前々から問題になっているわけですね。ところが、年を経るごとにその数がふえておるという状態、安嶋管理局長の十日の答弁におきましても、来年度もふえるという状態ですね。これでは問題の解決にならないわけでありまして、ほんとうに抜本的に国民の子供として教育を受ける権利を持っておる子供に対してどう対処するかということについては、文部大臣をはじめ文部省としても、私は重大な決意を持つ必要があると思うのです。特にことしは、くしくも教育基本法が制定されました二十五周年に当たります。その時期においてなおかつ子供たちが、校舎のすみっこで伸び伸びとよう遊ばないという状態が過密地帯においては起こっておりますし、私の県のような過疎地帯におきましては、学校統合のために十数キロも学校へ通わなければならぬというような状態が放置されている。そういう状態の中から、この前指摘しましたように、たとえば小学校五年生の数学を見てごらんなさい。半数がわからないという状態。半数じゃないです。実際は三分の二がわからないという状態で子供たちが放置されているわけですね。これでは一体為政者として、子供たちにほんとうに正しくこたえた教育行政ではないと私は思います。この点について大臣はほんとうにこれを抜本的に解決をしていく決意があるかどうかということを伺いたいのです。  その前に、現在出ておりますところの仮設校舎あるいは不足教室というものですね、これを改善するために一体どれだけの金があったら解決しますか、それを伺っておきたいのです。それを計算をされたことがありますか。
  81. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 資料でも差し上げてございますが、いわゆるプレハブ校舎の数は小・中学校合わせまして四千百四十三教室ということでございます。概算でございますが、これを解消するためには百億円程度が必要かと思います。
  82. 山原健二郎

    ○山原委員 実は、そういう計算も精密に私はやってもらいたいと思うのです。これだけのものがあれば問題が解決するというやつが出なければ——それに対して国民的規模で文部省をささえていくということの中から問題が解決されると思うのですよ。私の試算したところでは、これは全く個人的な試算でありますけれども、皆さんからいただいた不足教室、小・中学校八千九百八十六、それから要改築小・中学校合わせて四千二百六十三、これを合わせまして、不足教室の分は九千と考えまして、これを十八学級として割ってみると、まず五百校、それから要改築の場合が二百十三校、これを大体一校について十億円と計算をしてみます。これは土地の問題が入るわけです。用地の問題なんか話にならないのです、三千万円くらいの補助では。これは現在の土地の値上がりの中で全く話にならないことを文部省としては考えておるわけですけれども、用地取得のために少なくともいま四億円は要するのですよ。それから校舎を建てる。校舎を多く見積もって十億と考えましても五千億、文部省考え方では、現在三分の一ですから三で割りますと千六百六十七億、私どもの党としては三分の二の補助をすべきだと思っています。そうしましても三千三百三十三億。これを五カ年計画といたしますと、私の計算では非常に多く見積もっても一千億程度の金、さらにもっと八百億くらいの金があれば問題は解消できるというふうに私は考えるわけです。そういう目標というものをはっきり立ててもらって、これを解消していくんだ、こういう決意を私は持ってもらいたいと思うのですが、その点についての高見文部大臣の重大なる決意を発表していただいて、それで私は質問を終わりますから、よろしくお願いします。
  83. 高見三郎

    高見国務大臣 山原君の御質問にお答えをいたしますが、文部省としては昭和四十三年度から事業量は大体倍にいたしております。この事業量を倍にするということは容易ならぬことであります。ことに土地の値が非常に高い。御指摘のとおりのことであります。そこへ持ってきて、あなたの高知県にもあると思いますが、過疎地帯のドーナツ現象というものが目立ってきた。過密過密といいますが、過疎地帯にもなおドーナツ現象が実はあらわれておるというようなことを将来はやはり考えなければならぬ問題じゃないかという感じすら抱いておりますので、私は全力をあげましてこのプレハブ校舎だけはすみやかに解消する努力をいたすということだけ申し上げておきます。   〔谷川委員長代理退席、委員長着席〕
  84. 山原健二郎

    ○山原委員 時間がありませんからこれで終わります。  なお、この問題については、教育観点からいろいろ論議すべき問題があると思うのです。その点については、また一般質問等でやらせていただきたいと思っております。
  85. 丹羽兵助

    丹羽委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  86. 丹羽兵助

    丹羽委員長 ただいま委員長の手元に、野中英二君外四名から、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党及び日本共産党の五党共同提案による本案に対する修正案が提出されております。     —————————————
  87. 丹羽兵助

    丹羽委員長 提出者から趣旨の説明を求めます。野中英二君。
  88. 野中英二

    ○野中委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党及び日本共産党の五党を代表して、ただいま議題となっております義務教育学校施設費国庫負担法及び公立養護学校整備特別措置法の一部を改正する法律案に対する修正案について御説明を申し上げます。  案文につきましては、すでにお手元に配付されておりますので、朗読を省略させていただきます。  修正案の趣旨は、本案の施行期日はすでに経過しておりますので、これを公布の日から施行し、昭和四十七年四月一日から適用することに改めようとするものであります。  何とぞ委員各位の御賛成をお願いいたします。
  89. 丹羽兵助

    丹羽委員長 これにて修正案の趣旨の説明は終わりました。     —————————————
  90. 丹羽兵助

    丹羽委員長 これより原案及び修正案について討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もございませんので、直ちに義務教育学校施設費国庫負担法及び公立養護学校整備特別措置法の一部を改正する法律案について採決に入ります。  まず、野中英二君外四名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  91. 丹羽兵助

    丹羽委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいまの修正部分を除いて、原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  92. 丹羽兵助

    丹羽委員長 起立総員。よって、修正部分を除いた原案は可決いたしました。  これにて本案は修正議決いたしました。     —————————————
  93. 丹羽兵助

    丹羽委員長 ただいま修正議決いたしました本案に対し、小沢一郎君外四名から、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党及び日本共産党の五党共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  この際、提出者より趣旨の説明を求めます。小沢一郎君。
  94. 小沢一郎

    ○小沢(一)委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党及び日本共産党の五常を代表して、ただいまの法律案に対し附帯決議を付すべしとの動議を提出いたします。  まず、案文を朗読いたします。     義務教育学校施設費国庫負担法及び公立養護学校整備特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案   義務教育学校の重要性と地方財政の現状にかんがみ、政府はすみやかに次の措置を講ずべきである。  一、公立小学校屋内運動場の新増築費に係る国の負担割合を二分の一に引き上げるよう努めること。  二、義務教育学校危険建物改築費に係る国の負担割合を二分の一に引き上げるよう努めること。   右決議する。 以上であります。  その趣旨につきましては、本案の審査に際し十分御承知のことと存じますので、案文の朗読をもって趣旨説明にかえさせていただきたいと思います。  何とぞ御賛同くださいますようお願い申し上げます。(拍手)
  95. 丹羽兵助

    丹羽委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  96. 丹羽兵助

    丹羽委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、本附帯決議に対し、政府の所見を求めます。高見文部大臣
  97. 高見三郎

    高見国務大臣 公立義務教育学校の施設についてのただいまの御決議につきましては、御趣意を体してその実現をはかるよう十分努力をいたしたいと考えております。  右、所信を申し述べました。     —————————————
  98. 丹羽兵助

    丹羽委員長 なお、ただいま修正議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  99. 丹羽兵助

    丹羽委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  100. 丹羽兵助

    丹羽委員長 本会議散会後再開することとし、この際、休憩いたします。    午後零時五十八分休憩      ————◇—————    午後一時四十八分開議
  101. 河野洋平

    河野(洋)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  文教行政基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。安里積千代君。
  102. 安里積千代

    ○安里委員 沖繩復帰対策要綱におきまして、私立大学の統合の方針が進められまして、現地沖繩におきましてもその体制が整えられておる状況にありまするけれども、この私大の統合の方針は、沖繩におきまする私大の基準というものが本土の基準に達しない、それを統合することによって、充実したところの大学教育を進めるという趣旨において統合の線が方針として進められたということは理解できるわけでございまして、また、この方針を否定するものではございません。しかし、それでは沖繩教育の実情、特に戦後におきまする特殊の事情下におきまする沖繩教育、その中におきましても私大、特に昭和三十二年に設立認可されました沖繩大学の果たしてきたところの使命あるいはその実績というものに対しまする理解があるいは十分でなかったのではないか、その配慮が欠けておったのではないか、こういうふうにも思うわけであります。この統合の方針からしまするならば、長い沖繩私立大学として伝統を持ち、すでに五千有余の卒業者を出しておりまする、そしてまた、年間相当の学生を有しておりまするところの大学そのものがこれから廃校になるという結果になるかと思うわけであります。  そこで、この方針に対しまして、沖繩大学の当局者並びに学生の間におきましても非常に強い反対がございまして、復帰を前にいたしまして紛争が行なわれておるということもお聞き及びのことと思います。復帰を前にいたしまして大事な教育問題が、このような紛争の中に復帰を迎えるということはまことに残念であり、あと味の悪いことでもありまするし、また、今後の沖繩教育にもいろいろな影響を及ぼすものだ、こう考えるわけでございます。そこで、いろいろな問題が復帰対策としてなされておりまするけれども、この大事な問題が紛争のまま復帰を迎えるということであってはならない、こう考えておりますが、これに対しまするところの文部当局の御方針、御意見を承りたいと思います。
  103. 木田宏

    ○木田政府委員 いま御指摘もございましたように、沖繩の本土復帰に際しまして、従来沖繩で長期間にわたりまして私立大学としての経営が行なわれ、それなりの実績をあげてこられた沖繩大学あるいは国際大学につきまして、これらを本土の基準に適合するようないい大学にして本土復帰を迎えたいという関係者の御希望もあり、私どももしかるべきことと考えまして、閣議の復帰対策要綱にも、そのことを含めて、できるだけ復帰以前の段階におきまして、いま御指摘もございましたように、沖繩、国際両大学の統合のことをお骨折りをいただいてきた次第でございます。  関係者が当初予定いたしましたように、そのことが円満に進んでいくということが最も願わしいことでございましたが、私どももまた直接の施政権を持っておるわけでもございませんけれども沖繩の当局であります私大委員長その他関係者とも連絡をとりまして、せっかく沖繩当局との十分な打ち合わせの上で本土政府が決定いたしました復帰対策要綱に沿いましてその処理に当たるように、最後の段階まで努力を重ねてきたところでありますが、一部沖繩大学の関係者の方々に、あるいはまた学生の間に異論が起こって、今日の事態において必ずしも両当局の関係者が予定しておりましたように円滑な統合が進むという状態にないことは残念に思っております。しかしながら、せっかく復帰を機といたしましていい大学を育てたいという関係者の熱意、このことは私は間違っておらぬと思います。その方向に沿って最後まで努力をし、今後ともその方向に沿って事を進めていきたいと考えております。
  104. 安里積千代

    ○安里委員 その方向で進めたいということでございまするけれども、そうしますと、いまの沖繩大学、すでにことしの入学者も七百人から受け入れておるようであります。しかも、いままでの方針からしますならば廃校になるというふうなこともいわれておるにかかわらず、受験生が募集の倍にも及ぶというような、実際これは教育を受けようとする者の声としてあがってきておることは、この事実でもわかると思うわけであります。そうなりますと、この方針のとおりいきますと、五月十五日以後におきましては、沖繩大学というものは結局大学として認められないという結果になり、希望を持って入学したところの若い人々の希望もすっかり失わせるという結果になる、こう思うわけでありまするが、その点についてもそれでいいというお考えでございましょうか。
  105. 木田宏

    ○木田政府委員 昨年の暮れまでの段階におきまして、沖繩の私大委員会委員長はじめ関係の方々が、両大学の統合の線に沿いまして、新しい大学の新設と既存大学におきます事後の処理、それは新しい学生募集等を行なわないで、統合した大学へのその統合の実があがるように処置をするということにつきまして、両大学関係者から合意をもらいながら努力をしてこられました。昨年暮れの段階におきまして、私ども聞かされておりますところによりますと、沖繩大学においても学生の新しい募集は行なわないという御態度をきめておられたかに伺っております。そうした間で新年度を迎えながら——予定の線に進むものと考えておりましたけれども、四月を前にして急に沖繩大学のほうでは新学生の募集を行なわれるという、私ども予想だにしなかったようなことが新聞に伝えられてまいりました。その事態につきまして重ねて私大委員長その他関係者から現地の実情等も聞き、せっかくその時点まで関係者が同じ方針で進めてきたことでありますから、なお新学生の募集等のことが行なわれるようになった段階におきましても、望ましいと考えて進めてまいりました基本線にのっとってその後の処理が行なわれるようにということは、再々こちらからも希望として伝え、また現地の私大委員会その他関係者からもそのようなお骨折りをいただいてきたところであります。しかしながら、四月を過ぎ、五月に近づいてまいりまして、現実に新しい学生の募集が行なわれ、その後の処理のことにつきまして、関係大学当事者間の協議が必ずしも当初の方針のとおりに進まないという段階で、私大委員長から何らかの特別な方法がとれないかというような御相談がまいりました。私どもは、安里委員承知と思いますけれども、四月二十八日に沖繩の復帰に伴います特別措置法に基づいて政令の定めもいたしまして、その際、従来どおりの、御相談してまいりました方針で統合された大学と短期大学につきましては、五月十五日現在本土の相当する大学になったものとするという措置もとって、なおかつ、その後の事態につきましても関係者の努力を期待しておったところでございますが、私大委員長関係者の努力にもかかわらず、新たに募集をいたしました沖繩大学の学生の処理その他につきまして、復帰時点までにどうしても円滑な解決を見出しがたいから、とりあえず学生については何らかの措置を講じてほしいという御要請がございました。その現地の私大委員長の御要請を受けまして、本日の閣議で、沖繩の復帰に伴います特別措置法の九十四条に基づきます政令の、すでに公布してありますものの一部改正をきめていただき、この沖繩復帰の特別措置法が施行されます際に、すなわち五月十五日でございまするけれども、さきの政令で予定いたしました沖繩国際大学あるいは短期大学以外のもの、現実には沖繩大学と国際大学でございますが、それに在学する者がありますときは、年数を一応区切りまして、その在学する者についての救済措置を講ずるという改正を実は本日の閣議にお願いをし、十五日の復帰に合わせまして処理をすることにいたしてございます。
  106. 安里積千代

    ○安里委員 救済措置とおっしゃいますけれども、救済措置というものはもう少し具体的に言いますとどういうことなんでしょうか。
  107. 木田宏

    ○木田政府委員 五月十五日に、国際大学には問題はないと承知をいたしておりますが、沖繩大学に在学する者がなお残っている者があるというときは、学校教育法の規定による大学とみなすという措置を講じます。しかし、そのみなすというのは、その在学生が当該大学または短期大学に在学しなくなる日、または大学にあっては昭和五十一年の三月三十一日、短期大学にありましては、昭和四十九年三月三十一日のいずれか早い日までということでございまして、それ以後は大学とは考えないという政令でございます。
  108. 安里積千代

    ○安里委員 と申しますのは、ことしいまの沖繩大学に入学しました者は、五十一年となりますといわゆる卒業をする年、そのときまでは結果的にはこの沖繩大学の存続を認めるというようなことに、具体的に言えばそうなるわけですか。
  109. 木田宏

    ○木田政府委員 その間になお復帰対策要綱に沿いまして、復帰後は私どもも直接に関係することになろうかと思いますけれども、統合学校をもり立てるべく関係者の努力を促し、私どももそういう方向でつとめてまいりたいと思います。しかし、どうしても新しい大学への移籍その他をがえんじない学生があります場合には、その学生が勉強をして正規に卒業できるまでの間は大学として取り扱うという意味でございます。
  110. 安里積千代

    ○安里委員 当面するいまの紛争に、沖繩の私大委員長からの要請に基づいて一応そのような措置をとられたということでございますが、これは確かに復帰にあたっての紛争を一応おさめると申しますか、一つの道をつけていただいたものと、こう考えますが、ただあの当時、在学中の者についてはいまのような措置がとられるということが復帰対策要綱にも示されておったわけですが、実際問題として疑問が出てきますのは、大学自体といたしましては、五十一年までの間というものは大学生というものはだんだん少なくなり、大学の経営が実際的にできない。当局の考えておられるのは、そういった事態から詰めて統合するところの大学への移籍ということを予想すると申しますか、期待した上の処置、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。結果的にはそうなるのでしょうか。
  111. 木田宏

    ○木田政府委員 復帰対策要綱にも示されておりますように、本土の基準に適合したいい大学として統合した大学をもり立てるという方向で進みたいと考えております。
  112. 安里積千代

    ○安里委員 対策要綱といたしまして文部省考えておりますいまの統合の方向、そうして内容も充実していこうというこの方針は、先ほど申しましたように決して否定するものではございません。ただ、この統合と申しましても、従来あった沖繩大学の施設、資産、それもいまの統合される大学に寄付行為として出されるものではなくして、これらは除かれたものということになってくるわけです。いろいろな施設、それから十何年にわたりまして築き上げられたところのものが、復帰の段階にあたって無に帰するというような結果になるということは、大学当局にしましてもたいへん忍びないことでありましょうが、それよりもこういうことが考えられぬだろうか。結局、沖繩におきます統合の問題というのも、従来の沖繩私大というものが、教授陣その他いろいろなものが本土の基準に達しないということが大きな原因になっておると思うわけです。それとも、私大が幾つもあったのではぐあいが悪いのだというような立場ではなかろうかと私は思うわけですが、沖繩においては私大が一つでいいのだというような考えでもってやられたとすれば、また私は議論があると思うのです。しかし、せっかくある、あるけれども、いろいろな都合から施設あるいは基準に合わないものがある、だから統合して一つの合うものにする、これは一応わかるわけでありますけれども、それは非常に実情に沿わないものであるとともに、あまりに一つの型にはめた考え方ではないかという気持ちもするわけです。そのいろいろな基準に合いないのが今日まできたということは、これはもちろん言うまでもなく、沖繩が政治的にも切り離されておった、本土政府の私大振興に対しまする援助も十分及ばないし、あるいは教授陣に人を得るにいたしましても、そういう切り離された中にありまして十分ではなかった、こういろ結果が私は基準に達しないような大学になったのだ、こう思うわけです。  大学があればいいというのではなくて、もちろんそこに学ぶ者が十分なるところの学業が修得できることが目的でございますので、学生でございましても、大学卒業という肩書きさえ取ればいいというのではなくして、どれだけ学び得たか、それがものをいうわけなんです。その点から言いますならば、基準に合わない点は合わすようにしなければならぬと思いますけれども、これまで沖繩でやってまいりました私大の計画から見ますならば、こういうすべての基準に達しない隘路をつくった条件というものが、復帰によって除去される、私はこう思いますし、また、要請書も大学等からも出ておると思いますけれども、大学自体としても基準に合うようにいろいろ努力をしておる。学部、学科の縮小整備、教授陣の充実あるいは施設の完備、あらゆる面に対しまして基準に達するような努力を続けておられるものと思っております。そうしますれば、いままでの基準に達しなかったものも、復帰後におきまして十分達し得るところの道がある。だから、基準に達しないからもうなくしてしまえというのではなくして、むしろ積極的に基準に合うような指導あるいは援助をする、そういったことによって、せっかくあるものをさらに充実していくという方向に積極的に進められるところの方途はなかったものであろうか、こういうふうに思うわけですが、いかがでしょうか。
  113. 木田宏

    ○木田政府委員 ただいままで御説明申し上げてまいりました措置は、復帰時点におきます復帰までの大学の取り扱いのことでございまして、本土に復帰いたしましたあと、沖繩県におきまして私立大学が一つであるかどうかというようなことを考えておるものではございません。少なくとも復帰までに沖繩大学に起こっておりました事態につきまして、それを復帰の時点でどう取り扱うかということにつきましては、琉球政府御当局と事前に十分の御相談も申し上げまして、いま安里委員お話しになりましたような統合していいものにして復帰を迎えるということで今日に至っております。したがいまして、この時点でその問題につきましての考え方を変えるということはこれはできないことかと思っております。しかし、復帰以後どういうことが起こるかといいますことは、復帰以後は本土と同じようにいろいろな諸施策を進めるということでございますし、新たに全部出直して考えるということはもちろんあり得ることでございます。新しい大学の御希望も起こり得ることでございましょう。しかし、いままでの対策要綱できめておりますことは、復帰後のことをいっておるわけではございませんから、私どもとしては、復帰の時点におきましていままであった大学をどう取り扱うかということにつきましては既定の方針で進みたいと考えております。
  114. 安里積千代

    ○安里委員 わかりました。いまのお考え、了解できると思います。そこで、沖繩大学の事情というものもすでに御承知であると思いますからあえて申し上げませんけれども沖繩の人口の三分の一を擁します那覇市にありますし、多くの勤労学生の学ぶ最も便宜な位置にあるし、また、いままで基準に合わなくても、これは十分基準に合うような大学にもり立てていくことができる立場にある、私はこう考えております。復帰の段階におきまする一応の処置として了解いたしますけれども、今後の沖繩の特殊な教育——いろいろな点においておくれたともいわれておりますけれども、この振興のためには格段の御努力を願いたい。そのために琉球大学も国立に移管していただきますけれども、単に国立にしたというだけでなくて、名前だけでなくして内容が充実しませんとこれは意味をなしませんし、大学も統合したからといったって、形式だけあったって意味をなしません。内容の充実したものに持っていくということは、私大あるいは国立を問わず必要なことだ、こう思います。いま沖繩の場合には、復帰にあたってはへたとえば教育委員制度の問題だ何だといろいろな問題がございますけれども沖繩の特別事情の中に定着したものを、本土に復帰することによって、政府方針を何でもかんでも押しつけられておるという感じを一部にやはり与えておる点もあるわけであります。そういう点を排除する意味におきましても、やはりこれからのやり方、復帰の段階においては一応こうしておくけれども、今後の私立大学の振興のためにも、国立大学の充実のためにも、ひとつ積極的な御指導、御援助を特にお願いを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
  115. 河野洋平

    河野(洋)委員長代理 次回は来たる十七日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時十三分散会