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1972-03-11 第68回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会農林水産委員会商工委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年三月十一日(土曜日)    午前十時十二分開議  出席委員   物価問題等に関する特別委員会    委員長 井岡 大治君    理事 青木 正久君 理事 竹内 黎一君    理事 武藤 嘉文君 理事 山口シヅエ君    理事 武部  文君 理事 有島 重武君    理事 和田 耕作君       石井  一君    木村武千代君       中川 一郎君    西岡 武夫君       向山 一人君    田中 恒利君       松浦 利尚君    渡部 通子君       栗山 礼行君    谷口善太郎君   農林水産委員会    委員長 藤田 義光君   理事 三ツ林弥太郎君 理事 渡辺美智雄君    理事 千葉 七郎君 理事 合沢  栄君       鹿野 彦吉君    佐々木秀世君       田中 正巳君    別川悠紀夫君       森下 元晴君    山崎平八郎君       田中 恒利君    瀬野栄次郎君       津川 武一君   商工委員会    委員長 鴨田 宗一君   理事 小宮山重四郎君 理事 進藤 一馬君    理事 橋口  隆君 理事 武藤 嘉文君       神田  博君    北澤 直吉君       田中 榮一君    羽田野忠文君       田中 武夫君    貝沼 次郎君       松尾 信人君    伊藤卯四郎君       川端 文夫君    米原  昶君  出席国務大臣         内閣総理大臣  佐藤 榮作君         厚 生 大 臣 斎藤  昇君         農 林 大 臣 赤城 宗徳君         通商産業大臣  田中 角榮君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      木村 俊夫君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     谷村  裕君         公正取引委員会         事務局長    吉田 文剛君         公正取引委員会        事務局経済部長 三代川敏三郎君         公正取引委員会         事務局取引部長 熊田淳一郎君         経済企画庁国民         生活局長    宮崎  仁君         経済企画庁総合         計画局長    矢野 智雄君         大蔵大臣官房日         本専売公社監理         官       福間  威君         厚生省社会局長 加藤 威二君         農林大臣官房参         事官     大河原太一郎君         農林省農林経済         局長      小暮 光美君         農林省農政局長 内村 良英君         農林省畜産局長 増田  久君         農林省蚕糸園芸         局長      荒勝  巖君         食糧庁長官   亀長 友義君         水産庁長官   太田 康二君         通商産業省通商         局長      山下 英明君         通商産業省企業         局長      本田 早苗君         通商産業省重工         業局長     矢島 嗣郎君         通商産業省公益         事業局長    三宅 幸夫君         中小企業庁長官 高橋 淑郎君        自治省税務局長 佐々木喜久治君  委員外出席者         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  物価問題等に関する件      ————◇—————
  2. 井岡大治

    井岡委員長 これより物価問題等に関する特別委員会農林水産委員会商工委員会連合審査会を開催いたします。  先例によりまして、私が委員長の職務を行ないます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  この際、委員長から一言申し上げます。  最近における消費者物価の動向は、景気の停滞等影響により上昇率はやや鈍化しているとはいえ、二月以来の公共料金の引き上げの影響は諸物価に出始めております。特に国民生活に大きな影響を持つ地価、魚介等生鮮食料品サービス料金等に顕著なものがあります。  本日は、特に総理大臣をはじめ主要各大臣出席を求め、公共料金流通問題等物価対策のあり方について集中的に調査し、国民の期待に沿いたいと思います。委員各位の活発な建設的討議をお願いいたします。  これより質疑に入るのでありますが、質疑の時間につきましては、理事会の協議によりあらかじめ決定いたしました時間を厳守していただくようお願いいたします。  なお、政府委員の方々は、答弁の際、そのつど官職、氏名を委員長に告げて発言の許可を求めていただきます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。青木正久君。
  3. 青木正久

    青木委員 物価の問題は、いま委員長発言のとおり、当面する最大の国内問題の一つだろうと思います。この問題は、予算委員会でもすでに活発な討議が行なわれましたけれども、きょうは物価特別委員会でございますので、ひとつ総理はじめ政府委員各位におかれましても、国民納得のいくような御説明をお願いしたいと思います。  さて、物価が問題になり始めたのは昭和三十五、六年ごろからだと思います。佐藤内閣は当初からこの問題に取り組んでこられたわけでございますけれども、遺憾ながら十分な効果をあげていない。特にことしは、来年度の予算福祉国家というのをうたっておりますが、しかしながら、その物価がどんどん上がるようでは福祉国家とはいえないのじゃないか、こう考えられるわけであります。きょうはわが党から武藤委員石井委員が質問いたしますけれども、それに先がけまして一、二点だけ、総理にお伺いしたいと思います。  ことしは、公共料金が軒並みに上がったというのが一つの特徴になっておりまして、診察料郵便料電報料国鉄運賃タクシー代授業料等々、時期を相前後いたしまして一斉に上がった。そこで、国民としては、これからまたほかのものも続々と上がるのじゃないか、これが感情的な反発になりまして、物価問題の黒い影となっている、こういうことがいえるのではないか。昨年ストップ令を出しましたその反動といえばそれまででございますが、そういう点につきまして、時間がございませんので端的にお伺いしますけれども、他の公共料金、公共的な料金、特に電気料金ガス料金、それから水道料金、この三つにつきまして、すでに値上げの動きも一部にはあると思いますけれども、この電気ガス水道——電気ガスは通産、水道自治省だと思いますけれども、この三つにつきまして値上げを認めないというか、当面は値上げを許可しないということを、総理がそういうことをお考えになっているかどうか。この三つだけは国民生活に非常に関係がございますし、かつまたこの三つが上がるようでは、四十七年度の物価上昇率五・三というのがとても達成できないと思いますので、この三つを、総理は当面は認めないという態度をお約束できるかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。
  4. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 電気ガス水道、この料金を押えるかどうか、こういうことですが、公共料金そのものにつきましては、全面ストップとは申しませんけれども、極力抑制する、私どもはこういう態度をとってまいりました。電気ガス水道等につきましても同じような考え方であります。すでにある一部からは、いまのままではやっていけない、その値上げ、ぜひこれを決定してくれ、私どもこういうような話を聞きますけれども、ただいままでのところ、いまの抑制方針、これに間違いはございません。
  5. 青木正久

    青木委員 もう一点だけお伺いいたします。  現在の物価を引き下げ得る要素の一つとして、円切り上げ後の輸入品の問題がございます。この問題につきましては、石井委員があとから詳しく御質問する予定ですけれども石油製品とかあるいは輸入小麦の問題、こういうものにはいろいろ背景がございますので別にいたしまして、こまかくなりますけれども個々の問題で政府施策によって値段を下げ得るものがあるのではないかと見てみますと、いまのところ若干値下がりしておるものは、たとえばレモンとかグレープフルーツとかウイスキーとか、また一部の万年筆だとかありますけれども、そのほかたとえばコーヒーなんかは、追跡調査の結果を見てもわかりますけれども、全然下がっておりません。また、紅茶とかチョコレートなども同じであります。こういうものを調べますと、やはり国内流通機構に問題があるのではないか。また、いわゆる流通過程合理化をして、あるいは総代理店というものにメスを入れればすぐ下がり得るのではないか。早い話が、たとえば外国製たばこ輸入たばこ、これなんかは、専売公社が申請をして大蔵大臣が許可すれば、すぐあしたからでも下げられるのではないか。こういう個々の問題から、下げ得るものから実施をしていって、それからほかに誘導効果を発揮すれば、もう少し輸入価格というものを下げ得るのではないだろうか、こう思うのですが、この点についてお伺いいたします。
  6. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 青木君のただいまのお尋ね、御意見を交えてのお尋ね、これについては私もさように考えます。  ところで、物価と申しますと物価だけ一つ取り上げられる、引き抜かれる、かように考えると、どうもそういうものじゃないので、これはやはり経済活動の一環としての物価、こういうような見方をしないと、どうも物価に対する態度もきまらない、かように思います。ただいま御指摘になりましたように、せっかく円が国際通貨としてたいへんな有利な立場にある、それにかかわらず、そういうものがちっとも消費者物価にはね返らない。どこかにメスを入れて、そうして改善を加えないと、それができないのじゃないか。私どもも、まず関税を撤廃する、あるいはその他の、関税以外の障壁になるようなものも撤廃する、そうしてできるだけ消費者にひとつ国際通貨の便益が及ぶような処置をとりたい、かように思っておりますが、ただいま御指摘になりましたように、総代理店というような制度がある、そういうところで、その段階消費者まで利益が及ばない、こういうことにもなるようでありますが、これについてもメスを入れるべきだ、こういうことで、ついせんだっての会議に、おそまきながら経済閣僚でそれらの点も指摘したような次第でございます。  私は、ただいまのような卸段階、さらにまた、いま言われたたばこ等についても、いろいろくふうすべきものがあるだろうと思います。そうして、輸入品が同時に国内製品競争立場にある、そういうことを考えますと、輸入物資が安くなること、それによって国内一般物価にも、値下げの方向好影響を与えるのじゃないか、かように思いますので、どこまでもそういう競争原理が取り入れられるようにいたしたいものだ、かように私も考えます。
  7. 井岡大治

  8. 武藤嘉文

    武藤委員 きょうは土曜日でございまして、しかもきょうは総理をはじめ各関係大臣がおそろいで、この連合審査に一日御出席をいただけるという姿は、一面から見れば、私は政府物価問題に真剣に取り組んでおられる、こういうことも考えられると思うのでございます。しかしながら、現実はなかなかそう容易ではなくて、物価はどんどん上昇を続けておりまして、これが政治の不信を招いておることも、私は事実だと思います。その面において、われわれはほんとに物価の問題を真剣に考えていかなければならない。特に私どもこの間も、消費者団体連合会の席に各党から出てこいということで私も出させていただきましたが、その団体人たち意見を聞いておりましても、やはり、いま政権をあずかっておられるのは自民党なんだ、だから、自民党にもっと真剣にわれわれと対話をしていただきたい、こういう希望もございました。私は、その意味からいって、ぜひともわれわれがそういう気持ちをくんでやらなければならない、こういう気持ちからきょうは質問に立った次第でございます。皆さま方大臣の方におかれましても、ひとつこの機会に、国民が最も望んでおる物価の安定により一そう御努力を願いたいと思うわけでございます。  そこで、まず総理に四点ばかりお伺いをしたいと思うのでございます。  第一点は、スタグフレーションということで、自由主義先進国においては、一様に不況下のインフレということで悩んでおるわけでございますが、それはそれなりに、各国はいろいろ御努力をなさっておられます。たとえば昨年の八月のニクソン声明、日本にとっては大きなドル・ショックでございましたけれども、私はちょうど八月の下旬アメリカにおりまして、アメリカ一般大衆の声をできるだけ聞いたわけでございます。そうすると、彼らは、課徴金の問題とか金とドルとの交換停止の問題とかそういうことよりももっと、物価賃金がとにかく凍結をしたということにおいてニクソン声明というものをたいへん歓迎をしておるということを、私は一般大衆から受け取ったわけでございます。  そういう意味からいって、なかなかむずかしい問題だろうとは思いますけれども、たとえば、これから春闘も起きてまいりますし、いまの公共料金値上げを契機として、物価の上がるものもこれから出てくる可能性があると思うのでございますけれども、ある一定期間、三カ月なり六カ月なり、ひとつ政府が思い切って物価賃金凍結をする。そして、その期間において思い切った政策抜本政策考えていくというような姿勢がとれないだろうか。、ぜひ私はそのくらいのことをやっていただけるとたいへんありがたい、こう思うわけでございますが、この点を一つ伺いをしたいことと、第二点は、今度の予算で、野菜の価格安定その他のために相当の予算を計上していただいておるわけでございますけれども、それはどちらかといえば、まだ生産段階という部門が多いのではなかろうか。やはりこれからもっと大事なことは、流通段階あるいはサービス業段階といいますか、そういうところにおいては、まだまだいまの予算のたてまえからいきますと、業者の気持ちが盛り上がってきたときには、ひとつ政府がそれに対してこういう施策をとりましょう、こういう姿勢ではなかろうか。私は、もっと自由主義経済のたてまえからいけば、多少問題があるかもしれませんけれども物価の安定という面からいけば、政府のほうから積極的に働きかけて、そして思い切ってこういうことをやりなさい、ああいうことをやりなさい、政府のほうもこうやってあげましょう、こういう姿勢というものが望まれるのではなかろうか。いささかそういう面においては、まだまだ予算の面においても欠けておる点があると私は思うのでございますけれども、その点はいかにお考えかということをお聞きしたいことと、第三点は、今度の公共料金値上げの問題につきましても、いまいらっしゃっておられます企画庁長官もたいへん御苦労なさっておられるわけでございますけれども、私は、何か企画庁長官にもう少しはっきりした、少なくとも公共料金については決定権といいますか、いろいろ各省大臣からおっしゃってこられても、しかしながら、これはこういう事情によって無理じゃないかとか、これはこういう別の手段を講ずれば、おまえのほうはまだ上げなくてもいいのじゃないか、こういうような権限といいますか、そういうものを明確に企画庁長官に与えたならば、私は、公共料金の問題というのはもう少しスムーズにいくのではなかろうか、こう思いますが、この点についていかにお考えかということが第三点。  それから、第四点といたしましては、昭和三十九年のときにも、公共料金が一年間ストップされました。そしてその結果、四十年に公共料金ストップ令がはずされるとともに、その当時においては、四十年は御承知のとおり、四十年度で六・四%という上昇率を見たわけでございます。あの当時から見ますと、六・四%というのは非常に大きな上昇率でございました。その前後を見ておりますと、大体四%台で上昇がなされておるわけでございますから、六・四%というのは、あの当時においてはたいへん大きな上昇率だったと思うのでございます。  今度また同じようなことがこれで繰り返されまして、一昨年の十二月にストップ令が出ておったのが、今回公共料金値上げが相次いで起こっておる、またこれから起こる、こういうことでございますけれども、私は、公共料金をいつまでも押えていくということはできないと思います。あまりいつまでも押えていけば、結果的に質の低下あるいは量的不足を来たすということは当然でございますから、ただいつまでも押えるということはできないということはよくわかりますけれども、しかしながら、押えておる間に何か思い切った抜本策をとるべきではなかろうか。たとえば今回の国鉄運賃の問題にいたしましても、いままでと違って、思い切って一般会計から千百何億というような大きな金が出されるわけでございますけれども、なぜそれを——昨年でもできないことはなかったんではなかろうか。ここへきてどうにもならなくなって、消費者の面に運賃負担を願う、だから政府もやるんだということではなくして、一年間ストップされておった間にそういうことをされて、たとえば四十六年度の予算でそういうことをされて、そしてなおかつ、これだけやったけれどもまだどうにもならないから、ひとつ消費者もしんぼうして、消費者負担を御理解願いたい、こういう形にするというのならば、まだ消費者のほうも納得ができるのではなかろうかと私は思うのでございますが、その点。  この四点につきまして、ひとつ総理にお伺いしたいと思います。
  9. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 ただいまいろいろお尋ねがありましたが、きょうのこの物価連合委員会、これは委員長にもたいへんお骨折りをいただいておると思います。ただいま、懇談すべきじゃないか、こういうお話ですが、与党と私どもはしょっちゅう懇談機会を持ちますけれども、なかなか野党の皆さんとは懇談機会がございませんので、こういう機会野党の諸君ともじっくり意見を交換すること、これが最も望ましいことだろうと思います。したがって、前提としてそういう立場で私もお答えをいたしますから、どうか建設的に双方でこの問題と取り組んでおるその姿勢を明らかにして、そうして要望すべきは要望していただきたい、かように思いますので、冒頭においてその点を申し上げておきます。  ところで、ただいまも、ニクソン統頭物価賃金凍結令、これが非常にアメリカで歓迎されておる、喜ばれておる、こういうことを御指摘になりました。また同時に、三十九年から四十年一年間凍結した、このこともそれなりに評価された。しかし四十年には、やはり一年凍結した後に六・五の値上がり、さようなものがあった。こういうことで、やはり凍結後が実は問題のように思います。アメリカの場合も同様のことがいえるのではないかと思っております。  私は、凍結は、ひとつ元気を出せば、思い切って凍結はできると思う。しかし、一定期間を経過して、その後に、凍結後いかなる処置をとるか、凍結中にどういうような政治政策をとるか、これが一つの問題だと思います。凍結ということだけではなくて、ただいまのお話にありましたように、その間にどういう政策がとられるか、また、凍結後は一体どうするか、こういうことが問題だと思います。私も過去におきまして、凍結についてはそういう批判をしたのであります。また、今回も同様のことを考えております。凍結は、これは非常に簡単に考えれば凍結することだけはできる。しかし、凍結した後にどういう処置をとるか、また凍結中にどういう態度をとるか、ここらに問題がある。御承知のように、アメリカの場合は、国際通貨の調整が凍結後において行なわれた。これが一体国内経済好影響を与えたかどうか、ここらに一つの問題があると思います。したがいまして、いまなおこの凍結をめぐっていろいろの影響が出ておる。ことに、ただいま御指摘がありましたように、やはり組合の協力なくしては、この凍結というようなことは十分効果は出てきません。そういう意味ストライキ等の、港湾ストライキ等によって示されておるように十分の効果があがらない、こういうことも考えなければならぬ、かように私は思います。長くなりますから、この辺でやめておきます。  第二の野菜の問題。ことしは野菜が安くなった、三浦大根が三円になったとか二円になったとか、あるいはその他いろいろいわれております。これはことしの天候だけでそうなったのじゃなくて、最近の生産者共同作業というものもやはりこれらの生産を非常に伸ばしておる、かように私思いますが、この生産者側におけるくふうがなされておるにかかわらず、これの取引側卸段階、あるいはまた消費者段階等においてもいまなお不十分なものがあるように思います。すでに契約栽培を委嘱しておる、そういうようなことで、われわれ消費者にその利便がはね返っておりますけれども、その点ではまだまだ不徹底だと思います。  私は、先ほどのお尋ねにもお答えをいたしましたように、これだけの時代になりまして、経済機構そのものが従前同様の形を維持しておる、こういうことはもう新しい改革が行なわれてしかるべきではないだろうか。いま御指摘になりましたように、流通段階その他において、あるいはサービス段階等において新しい組織が利用されてしかるべきではないか。ただ、在来同様の取引卸売市場制度そのままで一貫しておるところに、やはりメスを入れるべきものがあるのではないだろうか、こういう事柄についても私の一つの示唆を申し上げるので、いまどうするというものをまだ持ってはおりません。おりませんが、最近の契約栽培その他に見られるように、やはりここらにも変わりがある。ことに生協の最近の活動等を見ると、在来のような考え方でなしにここにひとつメスを入れよう、かような意気込みが見受けられますから、政府施策としてそういう点に十分の理解を与える、またその方向で進むべきではないだろうか、かように思います。  第三点に公共料金、ことに国鉄の場合ですが、これについて、ただいま、同じ金を出すのならどうしてもっと早く出すように決意できなかったか、こういうおしかりを込めての御批判でございます。私は、いまの第二点について申し上げたことが、やはり第三点とも関連があるように実は思うのであります。やはりある程度納得のいくような施策でないと、思い切って政府が主導的に先にやりましても、なかなか効果がないように思います。  私は、おそいようだが、ことし一般会計から国鉄に繰り入れた、これあたりは効果的な、むしろその時宜を得た、かようにすら実は思います。と申しますのは、やはり労使双方でいろいろ鉄道合理化をはかっておる。これは、まずみずからが合理化をはからなければならない。その点が十分やられたが、労使双方合理化をやってみた、経費節約をやってみた、また増収をはかってみた、しかしやはり限度があるんだ、この辺で納得のいくように、一般会計からも援助してもらいたいし、同時にまた利用者も応分の負担をしていただきたい、かように思うわけであります。  この鉄道の場合に、いわゆる地方閑散線赤字線というような問題がしばしば批判されております。私も、その中には確かに廃止してしかるべきものもあろうと思います。あるいはまたバス等にかえてしかるべきものだ、こういうものもあるだろうと思います。しかし、やはり最初に、無人駅にするとか、その他の改善を加えるべきだろうと思います。そうして、請負がどの程度までやれるか等々の努力が払われて、そうして初めて国鉄合理化限度に来たんだ、しかし国民に与える質、公共事業の利便、これをやはり国民にひとしく与えてやりたい、かように考えると、やっぱり簡単には閑散線だから、赤字線だからといって、こういうことが廃止にはつながらないように思います。そういうところに一般会計の補助、こういうものも適当になされて、そうして生きてくるのではないか、かように私は思います。  第四点は、先ほどアメリカ凍結の場合に申し上げたように、その間に一体何が行なわれるか。凍結することによってそれはできますけれども、その間にどういう処置がとれるか。また、凍結一定期間経過した後にどういうようになるか。そういうことを十分見きわめることが必要だろう、かように私は思います。簡単にお答えいたしましたのですが……。
  10. 武藤嘉文

    武藤委員 総理、もう一つ企画庁長官の権限の問題……。
  11. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 権限の問題は、私ども、いまそれぞれが権限を持っておりますが、合議体でそれぞれやっております。必ずしもこれが、いまのところで不都合だとは思っておりません。私ども合議体でやることによって十分の目的を達しておる、かように思っております。
  12. 武藤嘉文

    武藤委員 時間もないので、次に、農林大臣並びに企画庁長官に承りたいと思います。  それは米の物統令廃止の問題でございます。  御承知のとおり、物統令は工業用アルコール、公衆浴場料金消費者米価と、こう残っておるわけでございますが、たまたま工業用アルコールなり公衆浴場料金は経過的に残ってきたのでございましょうし、そういう点においては、消費者米価そのものが、物統令の中では残された一番大事なものだろうと思うのでございますが、これがいよいよ今度四月から廃止になるということで、現在たいへん消費者の中にもいろいろ心配されており、これが新聞紙上でも報道されております。私ども、一体物統令を廃止するとどういうメリットがあるのか、少なくとも消費者に対してどういうメリットがあるのかということをやはりはっきりしないと、消費者は喜んでくれないと思うのでございます。どういうメリットがあるのかということと、そしてもしそういうメリットがあるならば、廃止したあとどういう対策をとられるのか。  これはまあ農林省のお立場でございますが、消費者団体連合に私行ってみましたときにも、話題が出ましたのは、米価は上がるんだ、こう思い込んでおられるわけでございます。私はそうじゃないと思う。現在の千五百円から千五百二十円の一般上米ですかの価格を、マージンの上がった六十円だけはとにかく結果的には下げたんだ、そしてそれを維持するのだとこう言っても、いや、そう言ったって、必ずこれは将来上がるよと、こう消費者は言うわけでございます。その辺の問題と、それから徳用上米が、徳用米と同じ価格に今度下げられるということでございますけれども、実際問題、そういうことを言うと、結局貧乏人には古古米を食わせるのだ、こういう言い方に変わってくるわけでございます。その辺どういうメリットがあるのかということと、今後の物統令廃止以降、そういう消費者のいろいろの批判めいた声に対してどうこたえていこうとしておられるのか、この点について承りたいと思います。
  13. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 まあ何といいますか、価格の問題は罰則だけでいくべきもんじゃない、やはり需給関係のバランスがとれて価格が安定するということが、やはり基本だと思います。そういう点から考えまして、物統令は価格の点で罰則を設けている、こういうのでございますけれども、最近の米の事情から言いまするならば、需給も大体安定をするように米の供給が多くなってきておる、こういうことになってきていますから、そういうことならば、罰則でいくよりも、需給の面で消費者にも選択の自由を与えて——供給が豊富になってきていますから、良質米とかあるいは何といいますか、生活の程度に応じて米の選択をする自由を与えたほうがいいんじゃないか。たとえばいい米とか、あるいはよくなくてもわりあいに安い米とか、こういうものを選ぶ自由を与えたほうがいいんじゃないか、こういう点がメリットといえばメリットじゃないかと思います。そういう点で、価格の面で罰則で消費者米価等を押えていくということじゃなくて、需給の面を安定すれば消費者米価も安定するんじゃないか。そうして、その点において選択の自由を消費者に与えたほうがよりいいんじゃないか。それで、これはまた生産者の面におきましても、生産者が良質米を生産するという方向へ指導したほうがいいんじゃないか、こういう面からでございます。  しかしながら、心理的には、物統令を廃止するというようなことで、米の値段が、消費者米価が上がるのではないか、こういう心理的なあれがありますから、その点につきましては、いまお話のように、あるいは流通方面を改良するとか、あるいはまた米屋さんを相当ふやして、そして米屋さんの競争によって、むやみと独占的にさせないようにしようじゃないかということやら、あるいはまた選択という点からいいまして、古米の販売もいたしますが、大体標準米といいますか、標準米をきめて、それを店頭に置いて、この標準米はこの程度である、こういうふうにいたしまして、米屋さんの良心といいますか、そういうものに訴えて米の値段が上がらないというようなこと、あるいは政府の販売米についても、いまお話にありましたように、販売の手数料を予算案において相当あげましたから、その分だけは販売米を下げるというような、いろいろな方法をとりまして不安をなくして、また実際に消費者米価が上がらないような方法をとろう、こういうような措置をとったわけでございます。
  14. 武藤嘉文

    武藤委員 時間がないので終わりますが、ぜひひとつ農林省、特に食糧庁にお願いを申し上げておいて、物統令が廃止になっても、消費者が米価が上がったという感じを持たないように御努力願いたいということをお願いをいたしまして、私の質問を終わります。
  15. 井岡大治

    井岡委員長 石井一君。
  16. 石井一

    石井(一)委員 円切り上げ以降の輸入品に関する消費者物価に対するはね返りの問題について、私きょうはお伺いをするわけでございますが、その前にどうしてもこの問題が気にかかりまして、非常に基本的な問題でありますが、現在外貨預託が百六十億ドル、これは去年の円切り上げ以前よりもまだどんどん、どんどんと輸出が伸びておるというふうな状態で、この状態を続けておると、もう二年なんていっておれないうちに再切り上げということも考えざるを得ないという情勢であろうかと私は思いますが、この基本的な問題を総理はどういうふうにお考えになっておるのか、お伺いしたいと思います。
  17. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 いま国際通貨の調整が行なわれたばかりであります。ただいまのように、次の段階がもうあるんだ、こういうようにあわてることはまだ早いように思います。もっと経過を見ないことには、こういう点はそう早急に見通しを立てるわけにいかぬ、かように思います。
  18. 石井一

    石井(一)委員 いや、私も同感でございますが、ただ、事態が非常に切迫しておるような感じが私はするわけでございまして、再切り上げということがあれば、たいへんな日本産業に対する打撃、か大きいことは私は確実であろうと思います。やはりそういうものを踏まえて何か抜本的な施策関税において行なうか、あるいは自由化において行なうか、何らかの方法でのそういう施策考えていかないと、やはり事態は非常に異常な状態であるというふうなことを、私は痛感するわけでございますが、この点いかがでございますか。
  19. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 第一問としてお尋ねのものですから、私の率直な意見を申し上げたのですが、ただいま、それにはそれなりの対策を立てなければならないこと、これは御指摘のとおりであります。そのために私どもは、やはり自由化その他について、あるいは関税をなくするとか、その他のいわゆる八項目といわれておるもの、これを推進していく、これを強力に推進することによって、ただいまの通貨価値の維持、いまのこのレートを維持していく、こういうことに積極的に取り組まなければならない、かように実は思っております。事柄はまことに簡単な言い方をいたしておりますが、しかし、その自由化はたいへんな抵抗もありますし、また国内産業のほうから見まして、もっとおくらしてくれろ、こういうこともありますから、いろいろそこらにはむずかしい問題があると思います。問題は、そういうところをうまく調整をとっていく、これがやはり政治家の、政治の責務だろう、かように私は思います。
  20. 石井一

    石井(一)委員 八項目がどの程度具体的に実施されておるかというふうな問題についてもいろいろ問題がございますし、また総理の御指摘の、現実的に非常にむずかしい問題というのも私、理解いたしますので、各論に入らしていただきます。  いろいろと輸入品追跡調査などを追っておりますと、やはりほとんどが原材料であって、食料品の輸入というふうなものが非常に比率が低い、これがやはり消費者物価にはね返ってくるということが非常に結果的に少ない、私はそういう状態にあると思う。国際ラウンドを前にして、農産物は別格だという考え方をこの辺で少し変えていかなければいかぬということを、非常に強く痛感するわけでございます。関税の引き下げなり輸入ワクの拡大とか、いろいろいわれております。残存輸入制限品目の自由化というふうなこともいわれておりますが、農林大臣は、従来の基本的な考え方で農産物に対してのお考えをしておられるのか、あるいはこういう内外の情勢を踏まえて前向きの姿勢を貫こうとしておられるのか、基本的な考え方をひとつお伺いいたします。
  21. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 御承知のように日本の農業生産は、なかなか国際的に対抗できるような状況ではございません。ございませんので、国際的に対抗できるように体質を改善していくというのが基本でございます。しかし、この国際的な情勢に応じて、自由化もこれは断わり切れるというわけにはまいらぬし、また、自由化というものが消費者その他にとっていいことでございまするから、その方向を私は全然拒否するということではございませんが、やはり日本の国内の農産物もコストを低下して、そして消費者に安く供給できるような体質改善をしながら、だんだん自由化の方向に持っていく、こういうつもりでございますので、いま直ちに残存品目等を自由化するということは、日本の農業生産の面からいって、また、日本の農業者が生産する農産物を安く消費者に提供するという面からも好ましいことではないから、しばらく自由化は待っていかなければならぬという考えを私は持っています。しかし、関税その他の引き下げなどができるように、あるいはなくするような方向に持っていくことは、当然諸般の情勢とにらみ合わせながらやっていかなければならぬと考えてはおります。しかし、根本的には、やはり日本の国内生産する農産物が国際競争力を持てるように、そしてコストを低下して、消費者に安く供給できるようなことに持っていくことがまず先決だ、こういうふうに考えておるわけでございます。
  22. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 いま農林大臣からお答えいたしましたのでおわかり願ったと思います。  私は大体、思想は古いといわれるかしれないが、やはり農は国本、いまだにさように考えております。ただいまのように農業従事者が非常に少なくなりましても、やはり農は国本だ。ことに日本の場合は島国でございますから、大事な食糧を外国に依存する、こういうことになると、これはたいへんな事態だと思っております。いま国内に資源がなくて、工業原材料、大部分外国に依存しておりますが、しかし、少なくとも国民の食糧は、十分だとは申しませんけれども、八〇%程度の自給を目標にしてやれば、いわゆるみずからの食糧ばかりでなく、同時に飼料をも含んで、その辺の確保ができるように思っておりますけれども、しかし、やはり何と申しましてもわが国は島国でございますから、これはやはりみずからで自給する、そういう体制はとっていかなければならないと思います。  それかといっても、ただいま農林大臣が申しますように、在来のような需給体制だとどうしても非常に高くつく、これでは困るのだ。やはり米価にいたしましても国際価格になるような、そこらに改良が加えられる、これはぜひとも必要だと思っております。いわゆる国際競争力を持つ農業の確立、これが日本において望まれるものではないだろうか。ただいまそういう意味で、歩みは十分の効果はあげてはおりません。その辺でたいへんなもどかしさはございますけれども、やはり農産物、お互いの食糧、そういうことを考えますと、これはやはりできるだけその自給度は維持する、こういうような立場であってほしいと思います。もちろん部分的な問題、あるいは果樹はどうだというようなことになると、これはよほど考え方も弱いだろうと思いますが、しかし、いまのような基本的な食糧の問題については、やはり自給度を高める、こういうことで努力すべきだろう、かように私は考えます。
  23. 石井一

    石井(一)委員 経済企画庁が価格変動の追跡調査をずっとやっておりまして、結果がすでに出ておるもの、また現在進行中のもの、ございますが、詳しくはもう報告書が出ておりますので申し上げませんけれども、一言で言うなれば、なかなか円切り上げ効果というものが消費者に還元しておらないということが言えると思います。また、多少値段の下がっておるものも、需給関係の結果そういう変動が起こっておるわけであって、なかなか日本の流通機構はむずかしいということを痛感するわけでございますが、先ほど先輩議員の意見もございましたように、政府管掌の物資に関してはきびしい手をまず打っていただいて、なるほどそういう姿勢を持っておるということを示していただき、それから誘導効果とでも申しますか、そういうものを打ち出していただきたいと私は思うわけでございます。  それと、政府管掌でなくても、非常に政府が関与できる物資がたくさんあるわけでございますが、一つ、輸入がどんどんとふえておるのに、値段が下がっておらないという端的な例に牛肉があるわけでございます。これはもうすでにかなり問題になっておるわけでございますが、御承知のように、関税が高いところへもってきて大手商社が入り、次に政府の直属の機関とでも申しますか畜産振興事業団というのがあって、これが調整金ということで、一キログラム二十円当たりの調整金というのを取っておる。ここを通るばかりではありません。日本食肉協議会を通っても、やはり差益金ということで、それだけの金額というものを徴収されておる。一言で言うならば、消費者は輸入肉を食べるたびにそれだけのものをそういう事業団に支払っておる。しかも、それが消費者に還元するのではなくて大体畜産振興なり何なりに、生産者のほうに還元するというやり方になっておれば、消費者としては、非常にそこに問題があるということを感ぜざるを得ない。さらに、それだけでありません。業界なり協同組合を通じて、加工業者を通って小売り業者までおりて、それから消費者へいくわけでありますから、私は、こういう事業団の運営なりそういうふうなものでもっともっとコストダウンできる余地というものは十分に残っておるということを痛感いたします。こういう政府所管、たばこであるとか小麦であるとかいう問題ではなくて、こういう関係の食料品、消費者に直接入っていく物資は、私はやはり強い態度で臨んでいただきたい、こういうふうに考えるわけでございますが、この点に関して農林大臣いかにお考えでございますか。
  24. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 確かに、事業団等が、生産者生産コストを下げるような方向に持っていくと同時に、消費者についても貢献するように働くということは、機能を発揮させるということは必要だと思います。たとえば、砂糖なんかの糖価安定事業団などは、御承知のように非常に砂糖が上がってきておりますので、積み立て金を今度放出しまして、そして砂糖の価格を少し下げるというような方向に貢献していることがございます。  しかし、いま御指摘の畜産振興事業団の問題でございますが、事実上こういうようなことでございます。輸入牛肉と国産の牛肉との間には相当の内外の格差がございます。関税徴収後でもなお存在するこの格差をそのままに放置しておきますと、国内の肉牛資源の維持拡大に与える影響が大きいこと、また流通段階におきまして、輸入牛肉の販売価格が国産牛肉にスライドアップして販売されていく。そういうことになると、業者のマージンとして吸収されるおそれが大きい。こういうことから考えまして、牛肉の価格動向等を勘案いたしまして、事業団の価格段階一定の調整金を上乗せして販売させておるというのが実情でございます。それで、この調整金は生産、流通対策と肉牛の生産性の向上とか牛肉の供給増加、価格の安定及び流通の合理化にかかる事業に重点的に使うようにいたしまして、その効果が最終的には消費者に還元される、こういう仕組みのもとで措置をいたしておるのが現状でございます。そういうことを御了承願っておきたいと思います。
  25. 石井一

    石井(一)委員 御説明はよくわかるのですけれども、私が申したいのは、これは少し生産者の過保護ではないかという感じがするわけでございまして、こういう流通機構の整備という政府の手のつけやすい問題はどんどんと取り上げていただかなければ、消費者物価へのはね返りというものは私は期待できないという感じがするわけでございます。  そこで事業団の問題、いろいろございますけれども、今回はこれは申し上げずに別の機会にいたしたいと思いますが、問題は、もう少し輸入ワクをふやしながら指定業者をどんどんふやしていくなり、あるいは総代理店メスを入れるなり、こういうふうな方法を、国内の農業体制というのは理解いたしますけれども、やっていかない限り、どうしてもこの問題は解決しないという感じがいたすわけであります。  この間、三月三日にも物価対策閣僚協議会でいろいろ御討議になったようでございますし、田中通産大臣あたりは、こういう輸入機構の改革というものに対して前向きの姿勢発言されたようでございます。たとえばいまの牛肉の問題で、これを買う市場というのはオーストラリアなりニュージーランドに限られて、これをたとえば中共であるとかそういう——いろいろの口蹄疫であるとかなんとかの問題もあるようですけれども、そういう市場を拡大するという方針を持っておられるのがどうかということが一点と、それからもう一つ、ほんとうにうわべだけしか議論ができないわけでありますけれども、総代理店制度というものがやはり一つのガンになっておりますけれども、これに対して独禁法のメスを入れるのかどうかわかりません、また制度的な問題がありますが、総代理店制度に対して何らか具体的な施策物価対策上持っておられるのか、この点通産大臣にひとつ。
  26. 田中角榮

    田中国務大臣 直接の輸入品価格を引き下げるという問題と物価輸入品価格がどの程度寄与できるかという二つの問題になっております。  後者から申し上げますと、これは物価を下げるには輸入を無制限にやれば、戦前のようになるわけであります。これはもう下がります。そのかわり救農土木工事をやらなければならないように、農村の大不況ということになるわけであります。無制限な自由ということはできないわけでございまして、国内産業の構造改善その他、また総理が述べられたとおり、自給度の限界というものを考えながら輸入ワクを拡大しながら、物価に寄与せしめていくということでございます。  ただ、その際限をどうするかということでございますが、いまのところ、輸入品の状態で物価全体を引き下げられるというような状態にない。それは昭和四十五年度の個人消費支出のうち財貨の購入にあてられたものが七百九億トル——これは本会議でも答えましたが、七百九億ドルでありますが、直接消費財の輸入額はわずかに三十三億ドルであります。四%台である。こういう状態で物価全体に寄与できるはずはないのでございます。ですから、これらのワクはだんだんと拡大をしていく。ことしはこれを五%から六%、だんだんと引き上げてまいりたい。これは一〇%になり二〇%になりということになれば、国内生鮮食料品その他の物価が下がることはもう当然であります。これは酪農製品など半分以下でございますから、そういう意味で、これをつっくるめて売れば少なくとも七五%になるということだけは、もう簡単な理屈でございます。  それから、牛肉の問題等御指摘ございましたが、確かにこれも顕著な例でございます。四十一年度の千円というのが四十六年度千四百五十円になっておりますから、六年間で四五%上がっておるということでございます。こういう問題は、畜産振興事業団というものが一手販売をしておるというところに問題があるでしょう。しかし、これは一手販売でなければ、畜産業者が直ちに困難な面に逢着するわけでございます。一面において総合農政をやりながら、畜産や果樹に転換するといいながら、畜産や果樹までつぶすということになれば、これはもうどうにもならない状態になるわけでございますから、二次産業への吸収を考えながら順々にやっていかなければならない。そのためには畜産振興事業団が調整機能を果たす、これはやむを得ないことでございます。  しかし、畜産振興事業団がいまやっていることが必ずしも最良の案であるかというと、私たち通産省と農林省の間でこれから詰めなければならない問題がたくさんあると思います。  それの一つは、在庫品がなくなってから買い入れるから、そのときはないのでありますから、高かろうが安かろうがかまわずに買い入れなければならない。これは、国際価格の安いときに備蓄をしておいて、そして安いものを買ったら倉敷料くらいはその安いものから出るんだという商売人根性がない状態においては、やはりメスを入れざるを得ない。安いときに買うようにしなければならない。財政的に拘束をされておれば、これに対しては当然予備金等で購入の道を開くべきであります。  もう一つは、あなたがいま指摘された牛肉の購入の多様化でございますが、これは去年二万五千トンばかりの割り当てでございました。ことしはそれが三万六千トンになりますから、これは相当大きな輸入ワクの拡大でございますが、さあ牛肉を買うということになると、いま言われましたように、買うところが二カ所くらいしかないということで、二万五千トンのうち二万トンは二国で買っておったわけでございますから、中国から入れればいいのですが、口蹄疫の問題がある、こういうことでございまして、いろいろな問題はございますが、やっぱり輸入先の多様化というものは当然はからなければならない、こういうことでございます。  また、いま御指摘のあった総代理店の問題、アメリカの総代理店は日本に一社だとか二社だとかということでございますが、サンキストが輸入品の七〇%を占めておるわけでございますから、この動向によって日本の物価、いわゆる日本の消費者価格は自由にあやつれるといってもいいわけでございます。また、そこから買わなければ買えないのでありますから、そういう意味で多様化をはかると同時に、やはり総代理店等に対しても、マージンはどの程度でなければいかぬというように——日本で考えておるマージンとアメリカの総代理店のマージンとは全く違うのです。自動車は半分くらい、三分の一はマージンだということであります。あなたもアメリカ生活十分経験されておりますから、よくおわかりのとおりであって、日本のものさしだけではいかないということでございますが、やはり日本にある総代理店は日本式にしてもらわなければいかぬということで、通産省も、非常に大きなシェアを持つ総代理店、IBMなどもそうですが、そういう問題に対して、総代理店を複数以上にするとかいうことは、日米間その他の交渉の段階において解決してまいりたいということでございます。  もう一つ最後に、これまで長いこといろいろ議論されながら問題になっておるのは、通産省の割り当てが——商売人というのは、輸出でもうけるのと輸入でもうけるのとあります。不景気になるときは輸入のほうがもうかると昔からいわれておったわけでありますが、輸入は実績中心主義で割り当てておりますので、実績のないものには割り当てがない。そこで台湾のバナナやその他、昔から輸入業者をふやしたわけであります。いろいろな問題がありますけれども、輸入実績というものにあぐらをかいておる以上は、どうも物価に寄与する面が小さいということはいなめない事実だと思います。ですから、引き下げないでどんどんと上がってくるような状態である。割り当てワクが少ないので輸入商社の数も限られておるということなら、公入札にするわけじゃありませんが、お下げください、下げなければ輸入業者をふやしますよ、こう言っておるのであります。新規業者の参入も認めようということまで考えておるわけでございまして、まあいまの業者が引き下げてくれることに努力をすればその限りではありませんが、そうでなければ、これは輸入業者の特権として実績の上にあぐらをかくようなことはさせない、こういうことで、いま事務当局は、新しくこれからどうすれば輸入品が下がるのかということを、具体的に検討いたしておる段階でございます。
  27. 石井一

    石井(一)委員 いまサンキスト・レモンの話が出ましたからちょっとお伺いしますが、地中海からこれを入れられるというふうな、ワクを広げられるというふうな、多様化の問題に関してお考えでございますか。
  28. 田中角榮

    田中国務大臣 レモンは、四十五年に五万四千トンの輸入があったわけでございますが、すべて米国からの輸入でございまして、サンキスト社が七割を占めておる、これは事実でございます。七割占めておって、買い先はアメリカだけであるといえば、もう自由に価格操作ができる、理論的にはそう考えられるのでございます。そんなことをすればこちらも多様化をせざるを得ないわけでございますから、そうもならないと思いますが、昭和三十九年に百二十七円であったキログラム当たりの単価が、昭和四十六年の十一月には百五十五円にはね上がっておる、これは事実でございます。  そういう意味で多様化ということは考えております。そういう意味でじりじりと五、六年間で上げられるような状態、これは通産省に欠陥があるならば考えなければいかぬということで、農林省とも十分打ち合わせをしながら多様化を考えておりますが、いま御指摘のイスラエル等からの輸入の可能性、これは植物防疫法の規定によりまして、汚染地区ということでいま入れられないのです。ですから、汚染地区でなくなるようにすれば、これは入るわけでございます。そういう意味で業者もいろいろな地域と協定をしたり接触を続けて、汚染地域でないように——また、その国の法律では適法であっても、日本の国の法律がきついために入らないというようなものもあります。それはカナダの鶏肉などはそうであります。日本人が香港へ行って食っているものをどうして横浜に揚げられないのですかと、カナダの経済使節団が申し越してまいりましたが、まさにそのとおりだと思います。しかし、いま日本は公害が問題になっておりますので、人体にいささかでも影響があると考えられるものに対しては厳密であるべきであります。  いろいろな問題で、いまレモンに対してサンキスト・レモン以外にどこから入れられるのかというと、そのあてはないわけでございます。しかし、これは資金を出して、人をやってつくらせれば、サンキスト・レモンとひとしいものができる地域はたくさんあるわけであります。砂糖を栽培したように、レモンが安定的に販売できるという状態の見通しがつけば、投資をしようという考え方を持つ業者はたくさん存在いたします。
  29. 石井一

    石井(一)委員 どうも十分まとまった議論ができないので残念ですが、私、この物価の問題をいろいろ調べておりましたら、農林省側、通産省側、経企庁側いろいろ意見があるようですが、やはり意見としては、物価という問題だけに焦点を合わせると、私は、経企庁の担当官の説明に非常にうなずける面があったような感じがするわけであります。公害で自然保護と産業開発とが対立するように、この問題でも、物価の値下げと生産者保護というものは完全に対立しておるわけであって、これをどこかで調整する権限を与えるということが非常に必要であると痛感するわけでございます。  さっきアメリカでの経済政策凍結の問題も出ましたけれども、そのあとに何をするかということも重要でありますが、やはりその過程において十分な権限を、あるときにはFBIを通して完全な調査をするなり、航空運賃を完全にストップするなりというそういう権限を与えてやる。日本の場合は、そういう権限が総理以外十分に与えられてないのじゃなかろうか。お互いに正しいことを言っているためにきめ手がなくて、結局過去何年間か物価というものは下がらなかった、私はそういうような感じがしてならないわけでございまして、こういう機構的な問題にも一つメスを入れる必要があるのじゃないか。  さらに、円の切り上げというふうな具体的な問題等が起こっておるわけでございますから、これに対して何らかの消費者に対する還元というものがない限り、政府物価政策がないと言われてもいたし方がない面が出てくるのじゃないか。基本的に農は国の本であるということを破棄せよという議論を私はやっておるわけではありませんけれども、国際経済の流動というようなものを考えた場合に、私はもう少し積極的な機構の整備とか、あるいはそういう問題に対する基本的なメスを入れていただきたいと思うのでございます。こういうことを要望いたしまして、なお、経企庁の方もおられるようでありますから、経企庁長官から最後に、現下の物価政策はこういうことを具体的にやっておるのだ、具体的にこれがこういう形で少しでも消費者に還元するのだというふうな問題がございましたら、ひとつ決意をお聞かせいただきまして、私の質問を終わりたいと思います。
  30. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 農業政策生産者保護で、何か農業エゴイズムじゃないかというような考え方があるようでございますけれども、私は、これは消費者価格と一致する方向で農業政策というのは進めていると思うのです。別に保護じゃなくて、農業政策をどういうふうに持っていくかといった場合、農業の生産性を向上すれば農産物のコストが低下するということです。そのコストの低下はやはり消費者に貢献する。こういうことで、農業政策というものが、農業だけがよければいい、こういうことじゃなくて、やはり全国民のために、あるいは消費者のためにも、農業生産生産性が上がってコスト低下できるように、こういうふうに指導しておるというか、やっておるわけでございますので、その点は御了解願いたいと思います。
  31. 木村俊夫

    木村国務大臣 いろいろ物価の問題がございますが、総じて、やはりこの物価というものは経済活動全体から出てくる一つの現象でございますから、経済政策そのものを根本的に考えるということが大事でございます。  当面の問題としては、輸入化問題あるいは公共料金の問題、いろいろございますが、その個々物価現象をとらえてどうこうするよりは、やはり経済成長そのものを安定化するということがすべての基本になると思います。そういう意味で、物価政策はやはり総合的にこれをやらなければならぬというような決意で政府部内でも取り組んでまいりたい、こう考えております。
  32. 井岡大治

    井岡委員長 武部文君。
  33. 武部文

    ○武部委員 私は、昨年初めて通常国会で行なわれましたこの物価連合審査の際に、佐藤総理に対して、物価の現状認識について意見のやりとりをいたしたことを記憶いたしておりますが、その際に、総理と私との間には見解の相違がございました。あれから一年経過をするわけですが、まず最初にそのことをぜひ再びお伺いをいたしたい、こう思います。  少なくとも佐藤内閣物価政策の基本というのは、総理物価に対してどのような認識を持っておられるのか。日本の物価の現状は、卸売り物価がほぼ横ばいであるにもかかわらず、消費者物価は異常な値上がりを続けておる。こういう点は、先進諸国の中でも特殊な体質を持っておると思うのであります。したがって、総理は、現実にいま国民が一番関心の深い消費者物価の異常な値上がりをどのように認識しておられるのか、これを最初にひとつお伺いしたい。
  34. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 ちょっと質問の要旨が私につかみかねたのですが、もう一度言っていただけないでしょうか。
  35. 武部文

    ○武部委員 私が申し上げたいのは、あなたは施政方針なりあるいは予算委員会の答弁で、近ごろ日本の物価は鈍化の傾向にある、こういうことをおっしゃっておる。あるいは前回の連合審査の際に、私が貯金の利子と比較をして物価上昇は異常ではないかと言ったところが、そういう瞬間的な問題をとらえてもらっては困る、ひとつ長い目で見てほしい、こういう話がございました。そういう面で、いまなお総理は、昨年私どもに説明されたと同様な考え方で現状を見ておられるかどうか、それをお伺いしたいのであります。
  36. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 先ほど来申し上げておりますように、物価問題は、これはもう経済全般の問題、総合的な一部として取り上げていかないと解決しない。先ほど企画庁長官からも同じような答弁をしておりますが、私もその考え方でございます。先ほどお答えしたのもそういう意味で申し上げました。  ただ、最近の実情は、消費者物価の面で安くなるような好材料があるにかかわらず、それがどうも下がっておらない。そういう点で、私自身も焦燥感と非常な不満を持っております。ただいまいわれるような好条件とは一体何なのか。これはもちろん生活必需物資——野菜等は天候に恵まれて、冬野菜といわれるものがたいへん豊富低廉にただいま供給されておる。しかし、台所では必ずしもさような状態ではない。また輸入物資等については、これまたたいへん値下がりが期待できるような条件下にあるにかかわらず、それが十分下がっておらない。これなどは私がすぐにも指摘できるいわゆる好材料そのものが消費者物価に響いておらない、これはたいへん不満でございます。おそらくただいま御指摘になりましたものも、ただ私は在来からの考えと同じです、こう言ってしまえばそれまでかしりませんけれども、そうじゃなくて、いろいろ好材料があるにかかわらず、物価にそれが影響しておらない。どういうわけでそういうことになっているのか。それは政府が非常に怠っているかというと、政府は農林省内にも流通局をつくっておる、さらにまた追跡調査もしている。しかしながら、どうもそれらの効果があがっておらない、こういうことで不満だ、かように私は考えております。
  37. 武部文

    ○武部委員 私の質問とちょっと食い違うわけであります。お互いに前のことをよく考えてみたいと思うのですが、いま郵便貯金の定額貯金の利子というものは、一年から一年半で四・七五%でありますね。物価上昇は四十二年に六・四、四十五年に七・三、本年度は六・一程度になるようであります。そういう論争をいたしました際に、総理は、長い目で見てくれ、こういうことをおっしゃったわけです。少なくともその貯金の利子を上回るような物価上昇は異常ではないか、こういう点を指摘したところが、総理からそういう答弁があった。いま申し上げた数字のように、三年連続四・七五%の郵便貯金利子をはるかに上回っておる。こういう数字は、一応学問的な総理府の統計をもとにした数字でありますから、それなりに意義があるでしょう。しかし、私はあの際にも申し上げましたが、現実に国民が暮らしの中で感じておる生活実感というものは、決してこういう総理府の統計の数字ではない具体的な例をあげました。  あとでもまた申し上げますが、そういう中で一体、いまの日本の物価問題というのはたいへんなことだ、何とかしなければならぬというお考え総理にあるのかどうか。去年はああいうことで私とは意見が食い違いました。食い違いましたが、現実にこれから起こるであろう公共料金値上げ等を考えると、政府が言うように五・三%などということはとんでもない数字だと私は思うのですが、そういう意味総理は、このいまの日本の消費者物価は異常な状態だ、そういう考え方があるのかどうか、そういう考え方でこれからの物価政策をおやりになる決意なのかどうか、それをお伺いしたいのであります。
  38. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 一応確かめたつもりでしたが、どうもやはり食い違っていた。  御指摘のように、私も、いわゆる金利と比べて物価上昇率、これは高い、この状態ではたいへん申しわけがない、かように思います。また、片一方で賃金等の上がりと比べてみると、そこにはややまだ賃金上昇率のほうが高い、こういうものもございます。だから、いまの金利だけで御比較になるとおしかりはもっともだ、かように思いますが、私ども、やはり総体を考えるのが当然ではなかろうか、かように思います。
  39. 武部文

    ○武部委員 いままで政府は、物価の見通しをいろいろ出してきました。天気予報の予想以上にこれは当たらぬのであります。天気予報も当たりませんが、佐藤内閣物価の見通し、これも全然当たったことがない。そこで、今度は五・三%のことに触れなければならぬわけであります。  御承知のように、この二月から郵便、医療費、六大都市のタクシー、三月には電報料金、四月から国立大学授業料あるいは国鉄運賃も上げようという、こういうようなことになってきました。また、あとで触れますが、米の値段も、物統令をはずせば現実に三〇%近く上がるのではないかと、消費者はたいへんな不安を持っておるわけであります。こういうようになっておる現状で、さらに都電、都バスあるいは営団・都営地下鉄、航空運賃などというものがすでに申請中であります。全くすさまじいというか、ラッシュのような、集中豪雨のような、全く集中的なそういう公共料金値上げの様相を示してきたことは、いままでかつて例がないわけです。これはずっと調べてみてもそのようなことである。だとすると、一体五・三というような数字はどこから出てくるのか、私は非常にこれを疑問に思うわけです。先ほど申し上げたような四十四年あるいは四十五年の数字にしても、目標は五であるのに六・四になった、あるいは四・八であるのに七・三であった。国民の期待を大きく裏切ったわけであります。こういう点について、四十七年度の五・三というものに一体いかなる自信をお持ちなのか、お伺いしたい。
  40. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 企画庁長官から答えさせます。
  41. 木村俊夫

    木村国務大臣 最近の物価の動向、御承知のとおり非常に落ちつきを示しております。したがいまして、昭和四十六年度の物価の大体の見通し、改定いたしまして六・一と見込んでおりましたが、幸いにして気象条件、あるいは一昨々年からの不況がじりじり物価にも相当影響が出ております。そういうような環境におきまして、私ども最近の見通しでは、六・一と改定いたしましたが、これが三月末には五・七%で済むのではないか、こういう見通しを持っております。  これは現実に物価指数の上であらわれてくることでございます。したがいまして、そういう昭和四十六年度の物価指数を基礎にいたしまして、昭和四十七年度の見通しをいろいろ算定いたします。そういたしますと、昭和四十六年度の三月末の物価実勢と昭和四十六年度中の物価の平均水準との差が——承知のとおり、われわれはげたという専門用語でこれを考えております。そのげたが、当初は、六・一の場合には二・三くらいのものと見ておりましたが、幸いなことにあるいは一・四、一・五ぐらいでこのげたがそのまま昭和四十七年度に進む、こういう見通しをいたしますと、げたをはいた昭和四十七年度の物価のアローアンス、上昇限度というものは非常に楽になります。これをたとえ三・九と見ましても、一・四プラス三・九で五・三、こういう計算はいたしております。計算どおりなかなかまいらないのが現実でございますが……。  そこで、昭和四十七年度の大体の物価環境というものをいろいろ私ども予測しておりますと、まず第一に、現在の野菜その他生鮮食料品の動向が、そのまま昭和四十七年度にいい材料でもって進むかどうかということについて、まず一つの問題がございます。どうも野菜は、下がれば必ず次の年には上がる、こういう悪い傾向を持っておりますから、その傾向でまいりますと、昭和四十七年度は、野菜については非常に悲観的な見通しができると思いますが、一面、そういう気象条件に支配されないような野菜対策というものを農林省のほうで今度最大の努力をして、予算もそのために二倍からの予算をとってもらっておりますし、また、いままでのパターンをそのまま続けるのでは、政策当局としての責任も果たし得ません。そういう意味で最大限の努力を農林省にもしていただいております。  そういう面からと円切り上げ影響、これはいろいろ御批判ございますが、私ども追跡調査その他政府関与物資の誘導的な進め方その他からいって、私どもは当然行政当局の責任において、この輸入物価の低減を消費者末端価格に反映させるということはやらなければならぬと思います。また輸入化対策、あるいは関税引き下げ、輸入ワクの増大、いろいろなそういう輸入対策を総合的に、今後は新八項目としても私どもはこれを実現していきたい、こう考えておりますので、そういうようなことを考えますと、昭和四十七年度の輸入物価環境というものは、私どもが予測しないような材料がない限り、きわめて良好なものでなければなりません。また、それを裏づけるような政策努力は、われわれとしては責任をもってやりたいと考えております。  そうこういたしますと、先ほど申し上げたような昭和四十六年度末のそのままの物価趨勢を昭和四十七年度に持ち込んだ上で、いま申し上げましたような諸般の政策努力を加味してこれを算定いたしますと、まず私どもは、昭和四十七年度で五・三の消費者物価指数の上昇を織り込んで考えますのは、決して過大なものではない、こういうような算定をいたしておるわけでございます。
  42. 武部文

    ○武部委員 確かに、四十五年に比べて四十六年は若干下がるようであります。これは気象条件に助けられておるわけです。そういうようなことでは、物価政策の基本というものは私は成り立っていかぬと思うのです。  今度の四十七年度の状況を見ると、公共料金は三十九品目というものがある、しかしその中で、いま政府が決定をし、あるいは申請中のもの、あるいは申請されるであろうもの、そういうものを三十九品目の中から引っぱり出してみると、ほとんど非常にウエートの高いものばかりが今度の中に出てきておるわけであります。この公共料金の中で、特に国鉄運賃であるとか米であるとか、そういうものが便乗値上げを呼んでおるということは、もう明らかに過去の実績が実証いたしておるのであります。便乗値上げというものは当然起きてくる。そのウエートが非常に高いものが今度の四十七年度の中にずっと出てきておる。私はここが問題だと思う。  私は、総理一つだけ聞いていただきたいのですが、去年小包料金が上がったわけです。当時の政府の説明は平均八〇%、こういうことになっていました。現実に上がって、さて国民は、小包を持って窓口へ行って、あっと驚いたわけであります。たとえば一つの例をとると、第一地帯というのは五百キロまでのところでありますが、そこで四キロの小包を持っていったところが、いままで九十円であったのが二百四十円になっている。一六七%の値上がりであります。次に六キロの小包を持っていったところが、いままで百十円であったのが三百円になっておる。一七三%の値上がりであります。  三月一日から電報料が改定になった。二十字で八十円であった電報料が、慶弔電報を一方的に廃止いたしまして、例文もこれまた廃止をいたしまして、そこで同じ二十字の電報が、慶弔電報がああいう形になったので、どのくらいかかるだろうか、これを見てみると、電話で申し込むのに、いままで五円であったのが今度は二十円、紙代が三十円、料金が百五十円ですから、八十円の電報料金が二百円になった。これは大体二倍半であります。こういう具体的な数字が出てくる。  国民は、まず自分の生活を通して、物価上昇というものをはだ身をもって感じるわけであります。  今度国鉄運賃値上げの法案を政府はいま準備しておるようでありますが、この中で次のような具体的な事実が出てくることを、一体総理は御承知でしょうか。  東京−小田原間に私鉄と国鉄が通っておる。そして東京−小田原間を通勤定期で通りておる人は一体どういうことになるか。小田急は一カ月三千六十円であります。国鉄は、今度の運賃改定が通ったとすれば、実に一万九百円であります。三倍をこすのであります。まあ、通勤定期というのは会社が見るとかなんとかいうような答弁もあるでしょう。しからば、通学はどうなりましょうか。これは全部親の負担であります。通学をもって見ますと、同じように小田急は一カ月千四百二十円、これに対して国鉄は三千五百七十円、二倍半であります。  こういう案がすでに政府の手によって用意をされておる。いま全国で四百二十万人の通勤定期の利用者がおる。百八十万人の通学定期の利用者国鉄におるわけです。こういう連中は、軒並みに二倍半から三倍という異常な料金値上げの前にさらされるわけです。こうなってくると一体どうなるか。もしかりに政府がこれを強引に通したとするならば、小田急は黙っておるわけがない。私鉄は必ずこれに便乗をして、必ず値上げを申請してくる、これは明らかなのです。こういう具体的な事実があるわけです。  小包み料金電報料金、国鉄運賃とってみても、このような運賃は、平均やあるいは一人前の運賃の数字で政府からいかに説明されても、具体的にどのように感じるでしょうか。このように考えると、公共料金というものがどのように国民の家計に大きな影響を与えるか、こういうことがおわかりであろうと思うのです。それでもなお相次ぐこの公共料金値上げについて、あなた方のほうは何ら手を打たずに、ことしは全く公共料金主導型の値上げをおやりになる、こういう意思が今後もあなたのほうにおありになるのか、それとも、先ほど申し上げたようなことを十分勘案をして、公共料金は抑制をするというよりもむしろ——イタリアの政府公共料金凍結いたしました。アメリカも一時的にも凍結をいたしております。そういうような処置をお考えになる意思はないのかどうか、それを総理にお伺いいたしたい。
  43. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 ただいま武部君が御指摘になりますように、公共料金が、そのもの自身が値上げ利用者が困る、こういうばかりではなく、他の波及効果といいますか波及的影響、これを無視することができない。便乗値上げあるいは心理的な作用によりまして、そういうものがやはり一般物価を刺激する、こういうことを見のがすわけにいかない。そういう意味で、公共料金値上げについては、政府は慎重な上にも慎重である、これが基本的な態度であるのが当然であります。でありますから、いままでも、抑制できるものは抑制するという立場でずっと公共料金についての態度を、姿勢をきめてまいりました。  ところで今回国鉄運賃改定、この問題でございますが、これは労使双方ともずいぶん鉄道合理化、経営の合理化、さらにまた増収方策、経費節減等について積極的に努力をいたしましたが、やはり限度には来ておる、かように思います。また、私どもも、国鉄が公共的なサービス機関として国民に与えておるこの公益、そのサービスのことを考えると、これはあながちやめるわけにもいかない、こういうことで、一般会計からもこれに援助をするという、いまだかってないことをいたしたわけであります。しかしながら、それだけでもどうも最終的には片づかない。やはりこの際には、利用者にも応分の負担をしていただこう。これがただいま御審議をいただこうとする国鉄運賃改定法でございます。私は、これはおそらく皆さんからいろいろな御意見が出、そして十二分に御審議を尽くしていただきたい、かように思います。政府はもちろん、ただいま御指摘になりましたような意味合いにおいての公共料金の持つ性格、それについては十分認識を持っておるつもりでありますし、また、武部君に劣らない感じを持ってこれと取り組む決意でございます。
  44. 武部文

    ○武部委員 いま私は、公共料金の具体的な内容を一、二申し上げたわけですが、先ほど企画庁長官は、五・三%という数字にたいへん自信がおありのような発言でございましたが、おそらくそこにいらっしゃる総理以下、五・三%というようなことに落ちつくなどということを思っていられる方は、私はないと思うのですよ。本心はそうじゃない。しかし、いままで何回も毎年改定をしておりますが、これはもう間違いない事実でありますね。こういう状態の中ですらたいへんな数字になっておる。ましてやことしは、いま申し上げたような公共料金をはじめとして、たいへんな項目が並んでおる。その際にはたして五・三などという数字に落ちつくだろうか、これは結果を見れば一目りょう然だと思うのです。しかし、結果をいま論ずることはできません。しかし、いま、利用者に応分の負担をしてもらうというようなことを佐藤総理はおっしゃるけれども、これは応分の負担どころではない、たいへんな負担なんです。そしてその負担が、先ほど言っているように便乗値上げを呼ぶわけですから、物価に非常に大きな影響を与える。そういう公共料金について、佐藤内閣物価政策というものは誤りではないか、かように思うのであります。  そこで、通産大臣おられますか。−先ほど同僚議員から、電気ガス水道値上げについてどうだというような話がございました。確かに電力料金というのは、相当長期にわたって値上げはされておりません。それは私ども承知をいたします。しかし、今日、このエネルギーの公共料金というものは、これまた波及効果が非常に大きいのであります。巷間伝えられるところによると、一番値上げをやっていない関西電力、また料金もある程度他と比べて低い関西電力、これがトップバッターに立って、すでに電力料金値上のPRを始めておることを私どもは知っております。さらに都市ガス、これは大手三社をはじめとして全国に二百三十八の都市ガスの会社があります。これがまた値上げの動きを示しておる。こういう段階で、先ほど総理は、電気ガス水道料金というものについては極力抑制の方針をとりたい、こういう発言がありました。しかし、かつてこの抑制方針というのが守られたためしがない。したがって、たいへん私どもは不安に思うわけです。  通産大臣は、この電力料金の問題をめぐって、一月の二十一日ですか、あなたは、値上げは極力、それこそ極力ですが、極力値上げは認めない、そういう方向で業界を指導するというようなことを言っておられるわけですが、現実に電力、都市ガス、これについては申請を認めないという方針で臨む決意であるかどうか、それをお伺いいたしたいと思います。
  45. 田中角榮

    田中国務大臣 総理大臣が申し述べましたとおり、極力抑制をするという基本的な方針でございます。  電力料金、いまそういう公式的な発言だけでは御納得がいかないと思いますから、実情を申し上げますと、電力料金に対しましては、大都市が一番困っておるわけでございます。ガスも東京が一番困っております。これは、公害問題ということが非常に大きく取り上げられてまいりましたので、高い硫黄分を持つ重油をたけない、ローサルファの重油をたかなければならない、中には一%以下というようなことまでいわれておるわけでありますが、そういう意味でローサルファのものは得がたいということでありますし、脱硫装置をつけるにしても相当な費用がかかるわけでございます。  もう一つは、原油の価格が下がったわけでございますが、OPECを中心とする産油国の要求によりまして、下がった分だけ、円切り上げの分だけは原油価格を引き上げる、毎年これを引き上げ、よう、こういうことでございまして、六月一日になれば自動的に五、六%ずつ上がる、こういうことでありますので、円切り上げのメリットさえ電力会社やガス会社は受けられないということでございます。  なお、大阪の電力などは、いまピンチになっております。もうすでに節電をしなければならないということでございましたが、この面だけは僥幸にということばが当てはまると思いますが、一〇・一%の政府予想の成長率が確保されれば、当然四十六年度の下半期からは節電を行なわなければならない状態でございました。ところが、実質成長率が四%にならないというような状態でありましたので、節電は行なわないで済んでおるわけでございます。新舞鶴の火力発電所の建設もできない、また姫路の第一、第二もなかなかできなかった、原子力発電所に対してもなかなか建設認可がおりない、こういう状態でございまして、いまやむを得ずナフサをたいておるわけでございます。ナフサをたけば、重油をたくよりもコストがいかに高いかは、もう申し述べるまでもないのです。ナフサに対して今度減税措置をお願いいたしておりますが、これは公共料金を据え置くということになったり、抑制するということになれば、当然何らかの措置をしなければならないわけでございます。財政的にこれをやるという余裕はありません。だから税率を引き下げていただこうという特例措置をお願いしているわけでございます。  それからもう一つは、年率一〇%から一五%も労働賃金が引き上げられておるわけでございますが、その中で、北海道電力は二十九年十月一日に改定をしたわけでございますし、また、いま問題となっております関西電力も、二十九年十月一日から十七、八年間も上げておらないわけでございますから、合理化も相当やっておるという事実は認めざるを得ません。しかも煙突は百メートルの煙突を二百メートルにしなければならないというようなことでございますし、排煙に対する脱硫装置をつけるだけでも相当な負担でございます。東京瓦斯などはブルネイから天然ガスを入れるというような、非常に長期的に見た企業努力を続けておるわけでございますが、しかし、ある意味においてはもう限界に来ておるということで、東京瓦斯社長は、この間の株主総会でございましたか何かで、かる料金の引き上げはやむを得ない、申請せざるを得ないというような御発言があったようでございますが、まだ通産省に対して正式にどうこうという問題じゃございません。だから、そういう意味で東京瓦斯は三十五年一月一日に二・五%改定したわけでございますが、もうすでに七年間たっておるわけでございます。  まあ実質給与も二倍になっておりますというような、いろいろなデータはございますが、総理が述べられたとおり、公共料金のうち特に生活に直結をする電力、ガス等の料金に対しては厳に抑制せよという厳命を受けておりますから、その方針を守ってまいります。守ってまいりますが、申請も受け付けないのかというと、にわかに御返答申し上げられないという事態でございます。
  46. 武部文

    ○武部委員 だんだんどうもあやふやになってきたわけですが、この一月二十一日のあなたの言明を見ますと、かりに申請が出た場合でも、原則として許可しないという方針を明らかにされたと報道されておるのです。いま年数が非常にたっておる、これもよくわかります。しかし、独占事業であり、同時にその企業の内容というものは、われわれもしろうとですけれども、あなた方は調査をされて、どのようなものであるかということもよく御承知のとおり。そうなってくると、先ほどから総理も言われるように、物価に与える影響も非常に強い。もちろん、申請が出れば、そうすぐ突っ返すわけにはいかぬでしょうが、原則としてこれを許可しない方針である、このことについては間違いないのかどうか、それを再度お伺いしたい。
  47. 田中角榮

    田中国務大臣 私が一月の幾日にそのようなことを言ったかどうか、さだかに記憶をいたしておりません。私は電力、ガス料金等について、電力料金だったと思いますが、参議院の予算委員会で去年の七月か八月、電力料金に対してはどうするのか一その当時関西電力は、電力料金の引き上げに対して申請をしなければならない直前でございました。節電をするのか、電力料金の引き上げ申請をするかという二者択一に迫られておったような状態でございました。そういう事態に対しての御質問に対して、いま電力料金を引き上げるつもりはありません、こう明確にお答えしてございます。その後電力、ガス料金に対して私が発言をした記憶はさだかではないというよりも、ないと思います。思いますが、参議院の予算委員会で答えたのはそのとおりでございますし、現にいまここで厳に抑制をいたしますという総理発言を、そのまま私も守ってまいります。こういうことでございますから、それで御了承いただきたいと思います。  それは申請が出てきたら、受け付けませんというわけにはまいりません。前には、申請を出して三十日以内に許可なかったら、許可を得たるものとみなすという法律もあったわけでございますから、それを受け付けないというわけにはまいりません。まいりませんし、審査はいたします。厳重に審査はいたしますが、あくまでもウエートは、公共料金は厳にこれを抑制するという政府の基本方針を貫いておるのでございますから、真にやむを得ざる場合以外は、しかもその過程においては、国会の皆さんにも当然御説明を申し上げなければなりませんし、御理解も得なければならない重要な問題でございますので、その時点においてまた新しい事態に対して御説明を申し上げることで、御理解をいただきたいと思います。
  48. 武部文

    ○武部委員 それじゃ時間の関係で、先ほど同僚議員から触れられた円切り上げ輸入品の問題について、私も少し見解を承りたいと思います。  一六・八八という異常な大幅の円の切り上げ、こういうものが行なわれた。少なくとも国民の側から見れば、物価政策らしいものをやっていない佐藤内閣が、いまここで直ちに取り組んで成果をあげることができるものはこれだろう、これならば、これはだれが見ても具体的に品目もわかることでもあるし、具体的に差益もわかることだから、これはおそらく物価政策らしい物価政策として佐藤内閣がやってくれるだろうという期待を私は持ったと思うのです。これは当然のことだと思います。  同時に、あの十二月十九日のあと、すぐ佐藤総理は、私も見ておりましたが、テレビの記者会見のときに、あなたは石油のことに触れておられました。そうして、家庭用品としての石油は、まあ見ておってくれ、下がると、こういうことを言われたのです。私もよくあの画面を見ておりました。一向下がらぬのであります。さらに、この二カ月半の間に通産省あるいは経企庁の追跡調査によって、ほとんど下がっていないという現実が出てまいりました。  いろいろ先ほどからやりとりがありましたので、重複することを避けますが、少なくともいま政府が行政権限によって行政指導をやった場合は、業界に対して協力を要請するという程度のものであって、これではほとんど無力だと言ってもこれは差しつかえないと思うのです。ただ単なる行政協力を求めるだけで相手の出方を待っておる、こういうことでは、これはほとんど効果があがらない。だとするならば、この円の切り上げによってばく大な利益を得ておる企業、そういうものについて、もし協力をしないならば、それらのマージンというものは公表する、こういう態度をとるくらいなはっきりとした姿勢が通産省にも、私はあってしかるべきだと思うのですが、この点について政府はどのような見解をお持ちだろうか、お伺いいたしたい。
  49. 田中角榮

    田中国務大臣 平価調整の結果、円平価は切り上げられたわけでございますから、その分だけ安く品物が入るわけでございます。これが消費者物価に直接影響をし寄与しなければならぬことは、言うまでもないことでございます。先ほども石井君の質問にお答えをいたしたとおりでございまして、輸入品のウエート、シェアが小さいという問題もございます。また、輸入先が多様化されておらないということで実際は調整がなされるおそれもあるというような問題、機構上、法制上の問題等、まだたださなければならぬ問題はたくさんございますが、やはり国民側から見ると、三百六十円のものが三百八円で入るのだから、その差額は当然還元せられるものと考えられるわけでございますので、これが消費者物価に、また輸入品の価格の引き下げに寄与するように全力を傾けておるわけでございます。  いま御指摘になりましたように、業者に対してもいろいろなことを言っております。また追跡調査も、経済企画庁とともにやっております。また牛肉その他に対しては、農林省とも追跡調査をやっております。  まあ、そんなことで、大ざっぱに申し上げますと、この際でございますから、下がったものは確かにあります。ありますが、値下がりの見られないものもあるのですが、まず、値下がりの見られないものということを申し上げますと、レモン、チョコレート、ビスケットの菓子類、ウイスキー等でございます。こういうものはどうするか、輸入ワクを拡大する以外にありません。これは輸入ワクを拡大して、いまの業者だけでなく一そうすることによって輸入ワクがある一定限度を越せば、当然下がるわけでございます。台湾バナナが下がっている事実は、これは私が指摘するまでもない。ですから、そういうことで、実績中心主義に対して新しい輸入業者を採用するということまでわれわれは考えながら、もうすでに事務当局には、そういういろいろな作業を検討せしめております。一つには追跡調査の実情把握、もう一つは値下げに対する業者、団体の協力。協力を求められないときには伝家の宝刀を抜くしかない。抜くのはどうするか。君らは割り当てないということであります。それ以外にはないわけでありますから、いままでの実績中心主義というようなことを考えておれないということでございます。実質的には私は下がるなという感じは持っております。  それは、下がらないものは先ほど言ったような二、三点でございますが、下がっているものは、エアコンディショナーが五%ないし一〇%、フィルムが六%、セーターやコート、毛織物が四%ないし五%、万年筆が五%ないし二〇%また、化粧品のある社は一七%下げておるのでございます。  ともかく、きょうはひとつ洗いざらい申し上げようと思って、事務当局に調査をさしたのでございますが、大型自動車が、少しでございますが、二十二万円、七万円、十七万円、十二万円というように、幾ばくかずつ下がっております。フォルクスワーゲンも、六十九万八千円から五十九万九千円へ幾ばくか下がっております。それからカラーフィルム等もそのとおりでございますし、一般用、映画用カラーフィルム、カラー印画紙とか、それからバナナ、羊の肉、硫酸カルシウム(石こうボード)、こういうものは幾ばくか下がっておりまして、通産省や経企庁が追跡調査をやっておるメリットが多少ずつ出てきておるという感じでございますが、やはりこの国会を通じては、国会もまだ五月末まであるわけでございますから、その間、こういうものの個別品目別な追跡調査と将来の見通しというものは通産省でつかもう、そういう考え方であって、やはり国内産業の保護とか実績中心主義とかいろんなものがございますが、新しいものを付加して、輸入品というものの値下げ、それが物価にどの程度寄与するかということを数字で申し上げることができるようにまでしたいという熱意を持っておるわけでございます。
  50. 武部文

    ○武部委員 多少メリットが出てきたようだというようなお話でありますが、あれから二カ月半もたっておるわけです。さらに、通産省のごく最近の分析によると、この為替差益が加工や流通段階で吸収されなかった場合、輸入物価は約一二%下がる、そして輸入品を含む総物価は一・七三%下がるという分析を通産省はしておるわけです。これはもう具体的な数字をあなたのほうは出しておるわけですよ。こうなってくると、いまやれるものは、さしむきやれるものはやれるはずなんです。佐藤内閣物価政策何もやらぬけれども、それならやれるのですよ。私は国民納得すると思う。業者も納得せざるを得ないと思います。そういう面でぜひ強力にやってもらいたい。  そこでもう一つ、今度は公取にお伺いいたしますが、公取は二月の十六日に、外国の輸入業者との間に結んでいる総代理店契約の内容を届け出るように通達をした、こういうことを私ども承知いたしました。しかし、すでにこれは本来独禁法第六条の第二項で、国際契約というものは届け出なければならぬということになっておるわけです。それをどうしていまごろこういうことをやったのか。これは少し私としては理解に苦しむのですが、それはどういうことなのか。  さらに、公取は七品目という輸入段階のものだけに限定をして調査されるということが載っておったわけですが、流通段階のものについてメスを入れる、そういういわゆる独禁法の精神を生かして、輸入も流通もそういうものにメスを入れるという意思はないのかどうか、それをこの際お伺いしておきたいと思います。
  51. 谷村裕

    ○谷村政府委員 御指摘のとおり、外国のものと継続的な契約をいたしました場合には、届け出ることに義務づけられております。私どもの二月に督促をいたしましたのは、実は第二回目の督促でありまして、昨年の七月にも、約五百の商社等に対しまして届け出を督促いたしておりますが、その前提といたしまして、昨年の五月に実は届け出規則を全面的に改定いたしまして、従来ややもいたしますと技術提携とかあるいは合弁等の問題にだけしかわたって届け出がなかったのを、継続的販売契約、たとえばいまの輸入総代理店契約のようなものについても様式を示して、そうしてちゃんと届け出るようにというようなことをしたわけでございます。私どもとしては、そういう意味でははなはだ手はおくれておると自分でも反省いたしておりますが、実は昨年の五月からそういうことを一生懸命やっておるという状況でございます。  第二に、いろいろ追跡調査の一環といたしまして、輸入総代理店並びにそれに基づくところの系列販売経路、そういったところに独禁法違反のような問題はないかどうかということを、私どもとしても今回の問題に関連いたしまして十分やるべく、この間、物価閣僚会議でございますか閣僚協議会でございますか、そこでも御決定をいただいておりますし、その線に沿って、私どもは私どもに与えられた任務を遂行してまいりたい、かように考えております。
  52. 武部文

    ○武部委員 時間が過ぎましたので、さらに一点お伺いいたします。  四十三年に私どもは、議員立法で消費者保護基本法を制定いたしました。当時総理出席をされて、その事情はよく御承知のとおりでございます。その際に、衆議院、参議院両方で消費者運動についていろいろ意見を戦わし、附帯決議をつけたわけであります。その附帯決議は消費者の組織問題であります。「消費者の組織については、消費者自身の自主的活動に期待する面が大きいので、消費生活協同組合等民間の消費者組織の効果的発展をはかる方向で適切な措置を検討する」、こういうことになりました。自来参議院、衆議院でこの問題についていろいろ意見が戦わされ、また、総理が会長をしておられる消費者保護会議では、第三回、第四回と引き続いてこのことが取り上げられておるようであります。私どもは、議事録なり決定事項を拝見をして、そのように承知をいたしました。  今日、非常な物価上昇の中で、各種の消費者運動が全国至るところで起きております。その中で、現在の生協法の限られたワクの中で、多くの制限、制約の中で、生協というものが物価の問題について非常に大きな役割りを果たしてきた。このことは何回か総理もわれわれに言明し、さらには、消費者団体総理が面会をされた際にそのように答弁をされましたが、私ども物価特別委員会において、生協法の改正について歴代の厚生大臣にその必要性を説き、歴代の厚生大臣もこの問題について積極的に取り組むという姿勢を示され、私はここにずっと答弁を要約して持っておりますが、そのようになってまいりました。  前回の内田厚生大臣との話の際に、最終的に次の通常国会に提出をする、こういう約束が出されたわけであります。今度通常国会、ただいまからいよいよ本格的な論議に入るわけでありますが、このような消費者運動、その中に占めておるところの消費生活協同組合、そうして長い間法律の改正がなかった、その中で五点ばかりの問題点がありましたが、集約的に大体二つの点にしぼって、地域制限の撤廃と商法の準用の問題をめぐって、私どもは大体政府との間に約束があった、このように感じておりますが、今度の通常国会に法改正を提出するお考えがあるかどうか。私どもはそういうふうにとっておりますが、総理の見解をお伺いいたしたいと思います。
  53. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 この問題と真剣には取り組んでおりますが、なかなかむずかしい問題が幾つもございます。したがいまして、ただいまこの国会に必ず出せる、こういう段階までには達しておらないように思います。  なお、結論だけ申しましたので、斎藤厚生大臣から補足して説明させます。
  54. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 ただいま総理からお答えございましたように、できたらこの国会にぜひ提出をいたしたい、かような方向で、私といたしましては関係方面とただいまいろいろ折衝中でございます。ただ、これが中小企業に及ぼす影響等の関係から、関係方面の相談がなかなかむずかしいという段階でございますが、できるだけこれを克服して、できたらこの国会に提案をいたしたい、かように思って努力中でございますので、御了承いただきたいと存じます。
  55. 武部文

    ○武部委員 私は、時間の関係で一々発言を、何月何日にどなたがどこでおやりになったということは申しません。申しませんが、少なくとも四十三年にこの消費者保護基本法というものができたときから、この問題はずっと継続をして論議をされておるところなんです。一体どこにこの生活協同組合法の問題点があるのか、これに対して一体何が隘路なのか、こういう点は十分な論議を尽くしてきたわけであります。にもかかわらず、今日あれから四年もたっておるわけです。四年目を迎えて、今日なおこの問題について、政府がこの法律の改正案を提出できないという姿勢に大きな問題点があると私は思います。いま厚生大臣が、何か隘路があるような、あるいは中小企業に及ぼす影響がどうとかいうことをおっしゃっておるが、そういう点は、もうすでに何年も前から論議をしておるのです。  通産大臣、ちょっとお聞きいたしますが、通産省がこれに対して何か猛烈な反対をしておるやに聞きますが、私はそんなことはないと思うんだが、この点はいかがですか。
  56. 田中角榮

    田中国務大臣 健全な生協活動は、消費者保護のためにも非常に望ましいことでございまして、基本的に通産省も、いま申し述べた態度でございます。また、生協法の改正につきましても、消費者保護会議がきめた結論に従うつもりでございますので、厚生大臣述べられたように、また総理大臣から基本的なお答えがございましたように、今国会に提案をしたいという姿勢に対しては、閣員の一人として反対はありません。  しかし、いまあなたもお述べになりましたが、中小企業、特に零細企業からも相当な苦情があることは事実でございます。特に酒類の組合とか商店街組合とかというものからは、相当なものがございます。これは員外活動の限界が問題だと思うのでございまして、何らか調整の機能を発揮できると思うわけでございますが、税制上の優遇、特典を受けておる生協というものの活動が無制限になるということに対して、中小企業育成の立場、零細企業救済という立場からの調整が必要であるということで、自民党の党内にも相当な議論がございます。これは自民党の党内だけではなく、各党にも、どこにもあると思います。しかし、最終的には消費者保護会議の結論に従って、これが立法に対して鋭意努力をいたしておるということでございます。実態は、厚生省社会局でございますか、厚生省の事務案をいま各省でようやく手に入れて、そして意見調整を始めたというところでございます。
  57. 武部文

    ○武部委員 この全国の消費生活協同組合が占める割合は、小売り売り上げ総額のわずかに一%ないし一・二%程度であります。これが一体全国の中小企業にどのような影響を与えるのか、こういう点については、私はこの数字を見てもよくおわかりだろうと思います。それから、いろいろな生活協同組合の中小企業との連合のやり方、経営のあり方、そういう面でも多くの摩擦が、私はないという確信を持っております。いろいろと調査をして承知をしております。そういう面で、消費者保護会議が二回連続、第三回、第四回と引き続いてこの法改正について取り組んで、ぜひ通常国会にこれを提出したいという結論を出されておるわけですから、消費者保護基本法制定の精神にのっとって、今回通常国会にぜひ法律を提出していただきたい。これは厚生大臣が主管大臣ですから、あなたのほうがようやくいまごろ何か文案を出してなんて通産大臣言っておられますが、これは早急に結論を出して、ひとつ通常国会に提出していただきたい。総理大臣の言明を、私どもは信用したいと思います。  時間が経過をいたしましたので、最後に物統令のことについて若干の質問をして、終わりたいと思います。  先ほどからいろいろお話がございましたが、物統令をはずした場合消費者米価が上がるのじゃないかという懸念を多くの国民が持った、これは事実であります。去年の十一月の物統令廃止をことしの四月に延ばされた。私は、延ばされた理由がまことに不明確であると思うのです。いろいろなことを言っておられるけれども、結局は消費者米価が上がるというその疑問にこたえる姿勢がなかった、上がらないという確信をなかなか持てない、こういうことの一語に尽きるような気がしてならぬわけであります。  少なくとも今回農林省が五つの具体案を出して、物統令が廃止された場合にはこのようなことをする、こういうことをおっしゃておる。しかし、現実に標準価格米というものが、これからあなたのほうではお出しになるようでありますが、私は、このことを一つとってみてもたいへん大きな問題であると思うのです。少なくともこれまでの配給米価格というのは、最高価格という立場をとっておったと思うのです。ところが、今度の標準価格米というものの性格は、明らかに最低価格という性格を持っておる、このように私は思います。したがって、政府主導によるところの最低価格の設定で、独禁法によるところの適用除外の措置を何ら行なわないで、こういうカルテルが行なわれるということになってくると、これはたいへんな問題だと私は思うわけですが、このことについて公取委員長の見解も聞きたいし、それからもう一つ、時間の関係で先を急ぎますが、もしかりに物統令を廃止をして消費者米価が上がった場合、あなたのほうはどういう措置をおとりになりますか。措置をとってもなお上がった場合には、物統令に再び戻す意思があるのか、一体そのときにはどういう措置をとろうとするのか。十キロ千五百二十円の配給価格が、現実自主流通米が千八百円から二千百円くらいになっております。そういう段階になったときには三〇%近く上がることになる。そういうときの責任をあなた方どのようにおとりになろうと思っておるのか、このようにお聞きしたい。
  58. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 物統令を廃止しまして上がらない方法を十分とっていくということで先ほど御説明もいたしたのでございますが、これが上がった場合にはどうするかということでございますが、標準米というものは最低価格とは思いません、徳用米なども出ますから。米の価格はいろいろあるわけでございます。でございますので、それは最低価格というふうには考えておりませんし、安いものも出すわけでございます。また、政府の払い下げ米の価格を、これは流通経費などを含めて安くします。でございますので、それをもう一つの最低価格というふうには見ておりませんので、いろいろの米の価格が出ると思いますので、そういうことを踏まえまするならば、それが上がった場合にはどうかということは、私のほうでは御質問に答えるわけにはいかぬと思います。上がらないような方法をとっておるということで申し上げるよりほかないと思うのでございます。
  59. 谷村裕

    ○谷村政府委員 私どもが農林当局から承っておりますことでは、標準米というような考え方のものは、従来の値段を最高として、それ以下で用意しておくという話のように聞いております。次にまた、そういうことを業者がやるということについては、お互いに話し合ったり協定を結んだりするというやり方ではなくて、食糧庁なりの指導によって、それぞれがそういう指導に従ってやるのである、こういうことで、独禁法違反のやり方はしないということに承っております。
  60. 武部文

    ○武部委員 独禁法違反のやり方はしないとおっしゃるが、私どもから見ると、独禁法違反の可能性があるように思うのです。いま農林大臣の説明を聞いておって、よく私わかりません。わかりませんが、現実に政府が価格を指導する、その価格よりも下の価格で売ってはならぬということになった場合、業者が協定をした場合には、これは独禁法違反になるのじゃないか、そういう気持ちを持つのですが、その点はいかがか。これが一つです。  それから、農林大臣に最後にお伺いしますが、逆ざやの解消の問題が常々いわれております。逆ざやを解消しなければならぬ、こういうことをいわれておりましたが、そのために本年秋消費者米価を上げるといううわさが一部にあるようです。私どもはそんなことは万々ないと思いますが、消費者米価を上げるという意思はないというふうに理解してよろしいかどうか、これを最後にお伺いいたしたい。
  61. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 今度は、消費者米価という方向の問題は、米価審議会にも諮問するわけではございません。政府売り渡し価格というような形で政府米を売り渡すわけでございますが、それにつきましては、先ほど申し上げましたように、流通経費の増高を考慮して四月から引き下げるという予定でございます。なお、それが消費者米価にどういうように影響するかというようなことにつきましては、また米価審議会等におきましてよく論議する場所がございますけれども消費者米価が上がらないような措置を政府売り渡し価格においてとっていく、こういう方針でございます。
  62. 谷村裕

    ○谷村政府委員 先ほどもお答え申し上げましたが、標準米の値段は、必ずこれで売れとか、これを下回って売ってはならぬとか、さような話ではないと私どもは聞いております。
  63. 武部文

    ○武部委員 それでは、時間が来ましたので、私の質問はこれで終わります。
  64. 井岡大治

    井岡委員長 午後一時三十分より再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時二十三分休憩      ————◇—————    午後一時三十分開議
  65. 井岡大治

    井岡委員長 休憩前に引き続き連合審査会を開会いたします。  質疑を続行いたします。松浦利尚君。
  66. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 まず、総理物価問題の基本的なことをお尋ねをしたいと存じます。  武部委員のほうからも、各委員からもいろいろ指摘がございましたが、佐藤総理は、第六十五通常国会の大蔵委員会におきまして、「理想的な物価上昇率は大体三・五くらいだろう、」こういうふうにわが党の阿部委員の質問にお答えになっておるわけですが、現在も、その数字は理想的な数字だと思っておられますか。
  67. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 理想的な数字というともっと低いところにあるだろうと思いますが、三%台にとどまることができれば、これはまずまずの物価の動向として一応国民にも説明のできる、そういうことじゃないだろうか、かように考えます。在来からの考えを別に訂正するという意味でなくて、実際には、ただいま申し上げるようになかなか三%台にとどめることも困難な状況でございますから、われわれ、ただいま、その程度ならばというような気持ちがするわけでございます。
  68. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 総理、現在新経済社会発展計画、この中で、五十年度までの物価の目標が、政府の方針として長期見通しとして立てられておるわけであります。その中の数字は、暦年平均四・四、最終年度の五十年度には三・八にするという、こういう計画目標が出されておるわけでありますが、今日これは全く役に立たない、全くこの目標どおりではなかった。なぜこういう目標どおりにならなかったかということについて、総理の御所見を承っておきたいと思うのです。
  69. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 なかなか物価の問題が見通しどおりにならなかった、先ほども武部君からもおしかりを受けました。私は、これについて先ほどもちょっと触れたのですが、やはり物価の問題は、物価だけを抽出して考えるという、そういうところに無理があるんじゃないのか。やはり経済全体の動向、その中の一部が物価だ、こういうように理解して、総体を安定成長の方向に持っていく、こういうことが望ましいんだ、かように思っております。  そういう意味から、一応われわれが長期計画を立てる、その長期計画の中には、多分に希望的な願望を含んだものもございます。また、実際に割り出した願望と反する面もある。そういうものをどうしてわれわれの願望に近づけるか、こういうような努力はもちろんなされなければならない。そういう意味で、いまの長期計画が必ずしもそのまま実施されてそのとおりにはなっておらない、ただいま御指摘のとおりでありますが、私がいま申し上げるように一部食い違っている、そういうところがわれわれの反省すべきことではないかと思っております。それがなぜ違ったか、かように考えると、ただいまの経済は一国経済だけではない、国際経済、そういう観点に立ってやはりものごとを考えていかなければならぬ、そういうところにむずかしさがあるんだ、これは弁解がましいことになりますが、そういう意味の御理解もぜひお願いしたいと思います。
  70. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 経済企画庁長官に、簡単でいいですが、この新経済社会発展計画、これは私は、物価の問題だけではないと思うのです。社会、経済全体のことで物価という問題が議論をされておるはずなんですね。ところがその目標が、いま言われたように、全く物価だけの問題として扱ってきたから云々じゃなくて、この新経済社会発展計画そのものがもう基本的に狂っておった、こういうことの結果だと思うのですが、物価問題だけを議論する前にこれ自体がもう狂っておったんじゃないか、その点、経済企画庁長官の御所見を簡単に御説明いただきたい。
  71. 木村俊夫

    木村国務大臣 御承知のとおり、現行の経済計画は六年間の計画でございます。したがいまして、四十五年、四十六年は、確かに物価の面ではそういう食い違いが出ておることは事実でございます。しかしながら、あとに残された四年間で物価の趨勢がどう動くかということは、まだ残された問題でございます。しかしながら、全体の計画として、急激な経済成長の中で、いまや経済、社会情勢は非常に急激にテンポが早く変わっております。この長期経済計画を見直す時期に来ておるというのもその辺からでございます。
  72. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それで、総理に私は一つ提言をしたいと思うのですが、この物価問題は、総理がいつも施政方針演説あるいは所信表明等におかれまして、非常に重大な課題である、こう言われて、経済企画庁のほうで目標を立てておるが、先ほど武部委員から指摘があったように、全部結果は上昇率が高いですね。昨年も六・一%と非常に高かった。修正して五・七になるという話もありますけれども、一応公式発表ではいま六・一ということになっております。このようにくるくるくるくる変わるというところに、私は何らかの手を打つ必要があるのではないか。目標というものをただ単なる願望とか希望とか期待可能性ではなくて、それに近づける方策として、もうこの際立法措置をすべきでないか。その方法としては、物価安定法あるいは物価安定基本法、こういったようなものをぴしっと立法しまして、その目標に近づけるためのあらゆる権限、機能というものをすべての分野にわたって持たせる、そういった方向物価というものを安定させるというお気持ちがあるのかないのか。佐藤総理はもうしばらくするとおやめになる方ではありますけれども、最後の国民へのはなむけとして、国民が期待をしておる問題に対して、総理は、こういった方向について私はこうするということを明確にお答えいただきたいと思うのです。
  73. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 ただいま松浦君から物価安定法あるいはどういう名前か、とにかく物価を安定さす法律をつくったらどうだ、こういう御提案がございます。私は、その法律をつくることに別に反対ではございません。反対ではございませんが、その中身にどういうことを盛るか、こういうことだろうと思います。  私は、最近の傾向から申しまして、経済だけの問題でなしに、ただいま経済も非常な発展期にかかっておりますが、同時に、流通の面あるいはサービスの面等において改善、改革、前進すべきときではないだろうか、かように思います。そういうものがやはり盛られるようにならないと、取り扱い者だけの責任で物価が悪いんだ、あるいはまた政治をするほうで何にもしてないからこれではだめなんだ、これだけでもいかぬように思います。やはり何といっても国民そのものが生産者また消費者なり、かように私は考えますので、そういう意味からも、やはり消費者物価が安定し、それが低廉なところであるべきだ。豊富低廉ということばがよく使われますが、そういう方向でなければならないように思います。  だから、ただいまの法律をつくることにはやぶさかではございませんが、中身はどういうものを取り扱うか、そういう点についてさらに御高見をお聞かせ願えるなら、たいへん政府はしあわせに思います。
  74. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 時間が三十分でありますから、この問題について政府も真剣にひとつ御検討いただきたいと思うのです。もちろんわれわれのほうも、機会があったら総理にわが党の案を提示いたしたい、かように考えております。  そこで、さらに総理お尋ねをするのですが、政府の見通しは、輸入物資の問題、円切りの問題にしましても非常に的確なんです。いまでこそ円切りだ、物価が安くならぬといかぬといって、政府のほうはあわてて輸入物資等の追跡調査等をしておられますが、この新経済社会発展計画の二三ページにちゃんとそういうことが書いてあるのです。「廉価な輸入が行なわれても、一部では制度的に競争制限下にあるために大幅な流通差益が上積みされ、消費者段階の価格安定に有効に生かすことができなかった従来の経験にかえりみ、とくに輸入品に関する流通のあり方を検討しなければならない。」と書いてあるのです。書いてあるけれども、書いただけで、何にもしないのです。そして、円切りの段階になってわいわいわいわいと消費者から言われて、ばたばたとあと追いをする。そうなれば、この新経済社会発展計画なんというのは絵にかいたもちだと思うのですよ。円切りの問題は度外視して、とっくにこの輸入品の問題というものは、もう政府の手で、書いてあるとおりに何らかの対策が打たれておらなければならなかったのですよ。そういう点について総理の御所見を承っておきたいと思います。
  75. 木村俊夫

    木村国務大臣 確かに御指摘のとおり不十分な点はあるかもしれませんが、かつての八項目対策もその一環でございますし、十分な政策努力はいたしたつもりでございます。
  76. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 木村長官はまじめな方ですからね、いまの答弁は舌足らずだったというふうに思いますけれども、何やった、かにやった、あれしました、これしましたと言っても、結果が出ないですね。結果が出ないということは、やらないのと同じことなんです。そういう意味で、私は、ここで直接的に具体的な問題を取り上げてお尋ねをしてみたいと思うのです。  その一つが、この前、物価対策閣僚協議会等で明らかになりました小麦。その小麦の問題は、大半が外麦を輸入しておるのですから、しかも政府関与物資でありますから、円切りによってこれが下がるだろうという期待を持っておるのは、消費者全体期待しておると思うのです。ところが、この前の発表を見てまいりますと、六月の段階で、麦の価格が決定される段階でその状況を判断して検討を加えるんだ。ですから、実際にいまこの麦の値段を下げるというようなことは、政府としては発表しておらない。六月段階で検討を加えるんだ、これが内容の真相だと思っておるのですが、その点、農林大臣、間違いありませんか。
  77. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 小麦は国で管理していますが、小麦の国内価格は輸入価格とストレートに直結しておらない制度でございます。でございますので、輸入価格が下がったからといって、小麦の価格をストレートに下げるというたてまえには、食管法からいってできないわけであります。でありますが、食管法では、経済事情とそれから米価との比例で麦の価格をきめる、こういうことになっておりますから、その経済事情ということを考えて、米価審議会のころにそれを入れて、小麦価格を下げるということを指導していきたい、こういうふうに思っているわけであります。
  78. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 大臣お尋ねをいたしますが、政府関与物資のこの麦の流通機構については、もう把握しておられますか。どういう流通過程を経るか、しかも、その流通過程でどういうマージンを取られておるか、その点について、農林省のほうは現実に把握しておられますか。
  79. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 詳しいことは私も承知しておりませんから、事務当局から御説明を申し上げます。
  80. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 もう時間がありませんから、事務当局のほうはけっこうです。  私が調べますと、政府がトン当たり三万六千円で売り渡しますね。これが売り渡し価格と、こう私は思っておったところが、そうじゃないんですね。三万六千円にプラス運送賃、倉庫料等が加味されて、実際に製粉会社の手元に来たときには三万九千円になっていますね。トン当たりが三万九千円になっておるのです。そうして製粉会社で製粉いたしますから、歩どまりが七五%から七八%。そうしてどういう流通を経るかというと、この製粉会社から三つ段階があるのです、中間にですね。大卸、中卸、卸という段階を経るのですよ。そういう段階を経て、それでは一体どういう数値になるかというと、製粉会社からおろして大卸店頭に出る場合に、一袋二十五キロで大体千四百円、それが三つ流通機構を経ている間に千六百円になるのです。二百円、さやをかせいでおる。そうして末端の消費するパン屋とか、そういったところに流されておるのですね。これが政府関与物資の小麦の流通経過です。しかも、最近ですよ、ごく最近、製粉会社が四十円の値上げをしたのです。一袋二十五キロ千四百円の四十円値上げをやったんですね。卸に対する四十円値上げをやっております。そのために最末端では、流通機構段階を経て七十円の値上げをやっておるのですね。合わせて百十円。実際に政府関与物資であるはずの小麦においてすら、大臣が知らない間に——どこまで知っておられるかわかりませんが、こういう状態で末端へ流れてくると思うのですね。  これでは私は、円切りの問題が直接消費者には還元してこないと思うのです。この点でどこを改善したらいいと思われますか。どういうふうに改善されたらいいと思いますか。その点をひとつ農林大臣お尋ねをしたいと思うのです。
  81. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 政府委員から説明させます。
  82. 亀長友義

    亀長政府委員 お答え申し上げます。  小麦粉の流通と、さらにその後の二次製品の段階での加工という問題が小麦の製品に関してはございますが、粉の製造及びその後の流通につきましては、いまお話のあったとおりでございます。ただ、末端の加工の段階になりますと、粉の加工品に占めるウエートということでまた変わってまいりますが、最近の粉の卸の値上げに対しまして、末端のパンとかうどんとかの製品の価格にはね返っておるというふうには、私どもは理解をいたしておりません。大体末端の価格はいまのところ変わらないというような調査でございます。  もちろん流通の機構の簡素化ということについては、われわれも努力をいたしております。しかし、何ぶんにもこれは長年のそういう商業慣行と申しますか、販売ルートを一挙に改正するということには、地域的にもかなり困難な問題もございますし、御承知のように外麦は外国から入ってまいります。したがって、これを大体において港近くの製粉会社が全国にばらまくというかっこうにどうしてもなりがちでございますので、その間の荷を分ける、配分というようなことからいままでのような組織が行なわれておるわけでございまして、私ども、できるだけそういうものは簡素化することを奨励いたしたいと考えております。
  83. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 総理お尋ねをしておきたいと思うのですが、その輸入物資ですね、しかも政府が扱っておる小麦ですよ。政府関与物資ですね。これにおいてすら、政府流通機構の中で簡素化できない。現実にこういう流通は——これから将来の答弁は食糧庁長官がなさいましたけれども政府関与物資だけでも、流通機構政府が末端価格についても監視をする、動向を調査する、こういった問題について、私は措置できると思うのです。それを怠ったところに、物価問題が論議されながら一つも発展をしない問題点があると思うのです。この小麦の問題一つ例にとって、総理どう思われますか。
  84. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 いま御指摘のように、改善すべき点が多々あると思います。これが、ただいま食糧庁長官お答えしたように、いままでの商慣習を重んじておる、そういうだけで改善が行なわれておらない。だから、いま松浦君が御指摘になりましたように大卸だとかあるいはさらに卸だとか、そこらの段階三つも四つもある。こんなものはメスを入れて、もっと取引が簡明直截でなければ、ただいまのような中間マージンがなくならない、かように私は思いますが、しかし、長い間の扱い方でございますから、気がついてもそう簡単に改善できない、こういうことじゃないだろうかと思います。しかし、御指摘がありますように、また、ただいまも食糧庁長官お答えしたように、現状でこれでよろしいと、かように申しておるわけじゃございませんから、そのうち、ただいまのような点が改善されると私は期待したいものだと思います。
  85. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 ですから、輸入物資追跡調査して、値段を下げるのだ、値段を下げるのだと口では言えますけれども、この小麦の問題一つを具体的に取り上げて流通段階を分解していきますと、いま総理が御答弁なさったように、商慣行というものがあって、実質的には急激にできないという答えが結果として返ってくるのですね。だとするならば、円切りの問題で輸入物資は下がらない、こういうことじゃないですか。逆に、さっき食糧庁長官は、末端の加工したうどんとか、そういったものは上がっておりませんと言うけれども、だんだん小さくなれば、うどん玉も大きかったものが小さくなるように、これも値上げですね。それは間違いないですよ。しかも、六月段階での麦の自由化その他の状況を見て、円切りの差益分を消費者に還元いたしますと言ってみても、流通段階で全部その分は吸収されてしまうという結果が出るのですね。どうです、ここでひとつ約束をしてもらいたいと思うのです。この小麦を使う製品については、食料品については、必ず値下げをする、必ず値下げをします、政府関与物資でありますから、流通機構その他も指導して必ず安くしますと、そのことについて、佐藤総理、責任者でありますから、国民に約束できますか。
  86. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 ただいま明確に幾ら幾らにするとか、こういうことはこの席で私が申し上げることはできませんけれども、ただいま御指摘になりましたような点がございますから、その方向で農林当局をしてさらに努力さす、これはお約束できると、かように思います。
  87. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それでは、経済企画庁長官に私はお願いをしておきたいと思うのですが、いま佐藤総理が答弁なさいましたが、農林当局ということになると、今度は農林当局の事情でいろいろあるわけですね。また、通産物資については、通産省の事情でいろいろあるわけです。最終的に、経済企画庁のほうで、消費物資はこうなければならない、こうしてもらいたいという希望があっても、各省が壁になってなかなか実施できないわけですね。結果があまり芳しくない。ですから、この際長官として、いま総理もおられるわけでありますから、総理の御答弁を受けて、この輸入物資、特に政府関与のこの小麦については、経済企画庁としても、明確に、これが国民の期待に沿うように、差益金が還元されるということだけでなくて、流通機構その他も含めて値上げはしない、さらに下げるように努力をする、そういう点について、経済企画庁長官も、総理の前でひとつ国民に約束してもらいたいと思うのです。
  88. 木村俊夫

    木村国務大臣 総理お答えいたしましたとおり、これはやはり政府一つ姿勢でございますので、農林当局とも十分打ち合わせをいたしまして、最善の努力をいたします。
  89. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 最善の努力ですね。結果が悪くないように最善の努力でありますから、いまここでいろいろ結果を期待しようとは思いません。しかし、六月段階になって、それが差益とか、そういうものが吸収されてしまわないように、また流通機構改善等が行なわれて、政府関与物資である小麦だけは下がるような結果が出るように、私は希望としてお願いをしておきたいというふうに思います。  そこで、赤城農林大臣に直接お尋ねをいたしますが、この物特の委員会でも再三にわたって議論されました輸入牛肉の問題ですね。これは御承知のように、畜産振興事業団がワンタッチ方式を改めて、輸入商社を十六社を三社ふやして十九社、しかも全部入札制度、マージン率は三・五%から二%に押える、全国モデル小売り店を指定をして、六百九十一カ所でしたか、数字はちょっと記憶しておりませんが、それくらいの店を指定をして、牛肉を安くします、輸入牛肉については安くしますという約束を国民になさったわけでありますが、その結果として幾ら牛肉が安くなりましたか。政府流通機構に行政介入をして幾ら牛肉が安くなりましたか。
  90. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 いまお話しのような措置をとったわけでございますが、その措置は十二月にやったばかりでございまして、私のところに、いまどの程度これが効果を及ぼしてきておるかということは、私も承知をしておりませんで、いまお答えがまだできません。
  91. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 下がるということで実施を十二月段階になさって、そしてその結果、実質的に一カ月たった今日、まだチェックをしてみておられないのですか。その点どうですか。
  92. 増田久

    ○増田(久)政府委員 牛肉の卸売り価格あるいは小売り価格につきましては毎月チェックをしておりますけれども、今度の制度効果によってそれがどうなっておるかということについてはなお分析を要するということでございまして、しばらくその効果については、これは通産省ともあわせてもう一度再検討するということになっておりますので、その席でもう少し詰めましてから申し上げたいと思っております。
  93. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 マージン率を三・五%から二%に下げろという指導、これは完全に守られておりますか。
  94. 増田久

    ○増田(久)政府委員 お説のとおり守られております。
  95. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 総理お尋ねをしておきたいのですが、この輸入牛肉ですね、これについても、マージン率まで行政指導で規制できるわけですね、三・五%から二%と、やろうという姿勢があれば。私は、流通機構に直接的な行政介入ということが好ましいかどうかという議論のあることはよく知っております。しかし、いずれにしても輸入物資が安く消費者の手に渡るためには、行政が関与してチェックをやってみなければならない。そのためにはマージン率をある程度規制する。そうすれば——結果はまだ出てきていないということでありますけれども、そういった努力の積み重ねというものがなければ、私は物価というものは安定しないと思うのですね。そういう意味で、政府自体が積極的に流通機構に行政指導という面で介入——介入ではありません、関与をする、チェックをする、こういったことについて総理自身努力をする、やってみるという気がありますか。
  96. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 この点は政府が関与するということは必ずしもいいことではない。松浦君も言われるとおりであります。私ども自由経済のもとでやっておりますから。と申しましても、現実に安くなる、円が高くなっている、そういう際でございますから、それだけの利益をその中間で、全部がそこにとどまるということでなしに、末端の消費者に還元すべきだと、かように思いますから、そういう意味では行政指導、これは可能なことだと思っております。  そこで、先ほどの小麦についても、食糧庁長官をただいま呼んでいろいろ話を聞いておりますが、やはり卸の段階、その段階においての値段の指示等につきましての指導は可能だ、しかし、それがはたして最終のパンあるいはうどん、そんなところへどういうように響くか、そこまではちょっとまだわかりかねる、こういうことでございますけれども、しかし、元が安くなれば必ず末端まで利益が及んでいく、私はかように思っておりますので、さらにその指導を強化する、この必要があるだろう、かように思います。
  97. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 まだ質問したいことがたくさんありますけれども、時間が制約されておりますから、残された問題は次回に継続して議論させていただきたいと思います。  一応私の質問は終わります。
  98. 井岡大治

  99. 田中恒利

    田中(恒)委員 佐藤総理に御質問をいたしますが、午前中来いろいろ同僚委員の質疑を拝聴しておりますと、物価問題については経済政策に根本の理由がある、したがって、総合的、全般的に考えねばならない、こういう企画庁長官の御答弁、総理も肯定せられたわけでありますが、私も実はそうだと思うのです。  そこで、私は主として野菜問題を中心に御質問するわけですけれども野菜問題を考えてみましても、率直に申し上げまして、生産者はきわめて零細な農家である。そして、野菜流通のネックとされる小売り商は、これまた日本の超零細な企業体である、こういうところに野菜の値段が非常に上がり下がりする一つの理由があるわけです。そういたしますと、日本の経済のこれまでの成長というものが非常に高かった、その高かったことが低生産部門、具体的には農業、中小企業でありますが、こういう部門の成長との間に非常に不均衡、アンバランスが起き、農業や中小企業は非常に立ちおくれた。このことが物価問題の一つの原因としばしば政府指摘しておるわけですが、それは、裏を返せば、やはり日本の経済が、これまで国内各産業のアンバランスということを考えた場合に、非常に高い成長率を示した、こういう観点に原因があると理解してよろしいかどうか、まず総理の御所見をお伺いしておきたい。
  100. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 これは、ひとり野菜ばかりではございません。日本の農業の場合には、いろんな生産の面でもくふうを要する面があるように思います。私はそういう意味で、この野菜栽培についても、最近はよほど生産者側努力がなされておるように思います。申すまでもなく、それは一口に言えばいわゆる団地栽培、こういう形で行なわれておる共同栽培の形であります。私は、昨年ですか、宮崎に行ってみた。やはり宮崎が野菜を、カーフェリーの関係等もあり、相当の数量をまとめて消費地に送る、こういう立場から、やはり生産量もある程度まとめなければ商取引の対象にならない、そういうことで、その生産者側努力は非常に払われておる。また、他の面から、いわゆる消費者生協等の活動もございますから、これまたくふうがされておる。こういう制度がすくすくと成長していくならば、いままでの取引の形態を変えていく、そうして必ず安くなるだろうと私は思います。新しい機構、そういうものに取り組まなければならない、その段階に来ているんじゃない、だろうか、かように思っております。  ただ、一口に生産者の共同栽培だ、かように申しましても、物によってはできないとか、物によってはできるとか、いろいろございますから、それらも一がいには言えないと思いますけれども、しかし、やはりこれから先、生産者のほうも、零細な農業、零細な土地、それがそのままで近代的な、また他と競争し得るような農業、そこにいくまでにはくふうがなければならないと、かように私は思っております。最近はそういう意味で、生産者側の指導はずいぶん思い切ってなされつつある。また、消費者のほうにおいても、特殊の団体等の活動はなかなかはなばなしいものがある。政府はそういうものを見きわめて、そうして指導していくことは必要じゃないか、かように私は思っております。
  101. 田中恒利

    田中(恒)委員 私の質問にお答えになっていないのですよ。野菜の問題いまから質問するのですけれども物価問題がやかましくなって、物価上昇率が非常に高いというのは、特に低生産部門の生産性の合理化が追いつけなかったというところに問題があると言っておるんだが、それは、日本経済全体の成長率が非常に高いからそういう結果が出てきたのじゃないかと、いま午前中の質疑を通じて、経済政策に問題の核心があるということを総理も言われたし、企画庁長官も言われたですね。その経済成長率が高かったというところにこの問題の原因があるのではないか、そのことについての総理大臣の御所見を伺っておるのですよ。野菜の問題は、いまから具体的に幾つもお尋ねしますから。
  102. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 先ばしったお答えをしたようですが、これはしかし、野菜ばかりではございませんということを申し上げて、日本の農業の特質がそこにあるのだということを申したのですから、誤解のないように。  私は、お尋ねの御趣旨に沿った答えをしたつもりでございます。もちろん低生産性という産業部門、これが生産性を高めていくことは必要だ。他の面ではうんとそれが上がっておる。どうも農業の面ではそういうくふうがされておらない、こういうことを一般にいわれておりますが、ただいまのような例ではその生産性を上げる努力がされておる、これをただいま申し上げたのでございます。あるいは、いまの野菜が気に食わなければ、養鶏についてもあれだけの養鶏、それで卵はうんとできる。あるいはまた養豚におきましても、やはりその規模はだんだん大になる。それがやはり零細なものだけではない。そういうように改善されつつある、かように私は理解しております。
  103. 田中恒利

    田中(恒)委員 どうもすれ違いますね。どうも農業のことばかり頭にあるようですけれども、そうじゃないのですよ。時間がありませんからもったいなくて弱るわけですけれども、農業は努力しておるのですよ。農業の成長は、国際的に見ましても三%内外ですよ。日本の農業は、国際的に見ても成長率は高いです。総理が言われたように、努力はしておるのです。しておるけれども、なおそれを数倍上回る高い経済成長というものが日本にあるから、こういう問題が起きてきたんではないか。そこで、これはあまり具体的に質問してもいけませんが、それを直すためには、いま松浦さんの御質問に、いわゆる長期計画につきましてのいろいろな問題点の指摘がありました。これまたいじると言われておるわけですね。その根本の考え方物価問題であると考えて、私どもは高度成長と言っておるわけだが、いわゆる安定成長、いわゆる成長率を相当落としていく、こういう考え方に基づいて新長期——新々か、長期計画というものを変えられるというような意向で進められていくのか。そういうものが出てこないと、物価問題の根本というのはなかなか直らない。このことをお尋ねしたいから申し上げておるのだけれども総理のほうは野菜と農業のことばかり。私は農業のことは専門、だから、そういうように思っていられるかもしれないが、そのことだけの御答弁ばかりですが、さっぱり核心をつかぬのですよ。これはもう時間がないから早う答えてください。
  104. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 どうも、生産性の高いものを生産性を低くしろ、やめろとおっしゃるが、私はそうは考えない。やはり生産性の高いものはそのまま続けていく。そうして、生産性の低いものを高める。それで初めて日本経済はりっぱに繁栄するのではないか、かように思うのでございます。
  105. 田中恒利

    田中(恒)委員 それでしたら、生産性の低いものを高める努力政府みずからがきわめて積極的にやっていく、こういうように理解してよろしいですか。
  106. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 そのとおりでございます。
  107. 田中恒利

    田中(恒)委員 それでは、野菜の問題に少しずつ入りたいと思いますが、ことしの農林省の予算は約一兆三千億ですか、野菜予算はたしか百十一億円。日本の農業の総生産高の中で野菜が占めておる比重はたしか一二%、消費者の家計の中で占めておる比率は食料の中の八%内外、大体まあ大ざっぱに見まして一割程度と見てよろしいと思うのです。一兆三千億の農林予算の中で、ことしの野菜対策というのは、構造改善等を入れましても四百四、五十億、実質的には百十一億内外、それは去年に比べたらだいぶ上がったとおっしゃるでしょうけれども、大体根っこが根本的に低いわけですよ。根っこが低いところで二倍上げたとか二・五倍上げたとかおっしゃるわけだけれども、こういう状態であるところに実は問題の根本があるわけですよ。総理はそういうふうに御認識をせられますか。
  108. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 必ずしもただいまの予算は少ないからどうこうだと私は思いませんが、実情につきましては園芸局長から答えさせます。
  109. 荒勝巖

    荒勝政府委員 ただいま御質問がありましたように、ことし蚕糸園芸局といたしまして、野菜対策といたしましては特に思い切った予算の要求をいたしまして、われわれといたしまして四十七年度予算につきましては、われわれの希望する予算がある程度ついたのではなかろうか。野菜対策が非常にむずかしいことは御存じのようでございまして、われわれといたしましては、四十七年度の野菜対策を契機といたしまして、今後なお一そう野菜について国民の要望にこたえるように努力してまいりたい、こういうように考えております。
  110. 田中恒利

    田中(恒)委員 総理になお重ねてお尋ねしますが、去年のいまごろはたいへんな野菜の高値でした。いまはたいへんな暴落であります。この一年間に全然逆な現象が起きているわけですね。去年はたいへん高くて、この国会で問題になって、やっと農林省がみこしを上げたという経過があるわけですが、ことしはたいへんな暴落であります。一体こういう状態、これは何も政府野菜でみこしを上げたから暴落したということじゃないと思うのですね。こういう状態が問題なんです。これについてどういう御印象をお持ちになっておりますか。いまいろいろなことをちょっと言われましたけれども……。
  111. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 ことしの場合は、これは天候だと一口に言えると思います。しかし、ことしはやはり一面、昨年の状況から見まして、作付等も相当広くなったんじゃないか、かように想像しますが、これは、私は実際の取り扱いじゃございませんが、おそらくことしは、昨年の経験にかんがみて作付もふえたんじゃないか、そこへもってきてたいへん天候に恵まれている、こういうことで野菜は暴落だ、かように思います。
  112. 田中恒利

    田中(恒)委員 あまり、そうたいした変化はないのですよ、生産関係は。やはりこれは、政府がかつて言っておったように、野菜はお天気だ、お天気まかせ、こういう考え方がことしもやはり出てきておるということだけでありまして、何も政策でもって影響が出てきておるというような状態じゃないと思うのです。  ことし初めて予算を通して新しいものを何か出されようとしておりますけれども、これも、私ども見ましていろいろ問題があると思うのです。特に、野菜の問題については農林省はいろいろ研究をいたしまして、生産対策が中心だ、こういう観点で、生産対策ということにだいぶ力を入れられておりますが、はたしてその生産対策だけでこの野菜高あるいは野菜暴落という現象がせきとめられるかどうか、これは私はやはり問題だと思うのです。今度の野菜政策を見ましても、生産面については多少——多少ですよ、多少前進をしたことはわれわれも評価をいたします。しかし、それにもいろいろ問題はあります。問題はありますが、多少前進をしたという評価はします。しかし、問題は流通の段階です。流通の段階の問題についてのメスをどれほど入れられたか、われわれ疑問に思わざるを得ないわけです。  そこで、私は具体的に一つ、二つ御質問いたしますが、中央卸売市場というものは、いま政府が最もこれに足を踏み込む条件を持っておるところであります。この中央卸売市場の改革をめぐって絶えず問題になるのは、手数料の問題であります。これは、野菜については八・五%の手数料をいま取っておるわけです。ところが、実際の手数料というのは幾らになっておるのですか。これは園芸局長でけっこうです。何%になっているのですか。
  113. 小暮光美

    ○小暮政府委員 中央卸売市場の手数料は、御指摘のように八・五%でございますが、開設者等を通じまして荷受けに対し、産地に対する荷主交付金、あるいは小売りが販売代金を市場に納入いたします際の代金の集め方等についてのいろいろな奨励の仕組みがございます。それらの者に、開設者の指導のもとに若干の、歩戻しと申しておりますが、そういうものをいたしておりますので、実質の手数料手取りは現在五・九くらいになっておるというふうに私は見ております。
  114. 田中恒利

    田中(恒)委員 農林省の追跡調査を見ましても五・九%。総理、いいですか、五・九%。東京都の中央卸売市場野菜の取り扱い高は千百三十三億、これの五・九%というと約六十六億程度、これが市場が取る純然たる手数料で、あと——市場が取っておるのは、八・五取っておるわけですから、これは九十六億、約百億近く取っておるのです。ところが、実際は市場は六十六億、あとの二十九億というものは、これはまた別な形で産地に戻ったり、小売り商か何かのところに出たり、こういう流れをしておるわけですね。これは私はやはり問題があると思うのですよ、こういう形は。非常に大きい。八・五%が、五・九%しか卸売市場の手数料が取られていない。あとの二・六%というものは、何か出荷奨励金であるとか歩戻しであるとか、あるいは代金決済の何とかというような形で流れておるのですよ。こういう点を直さなければ市場改革というものは具体的に出てこない。この点について、これは農林大臣でありますが、農林大臣は、この手数料のあり方というものについてどういうお考えを持っておりますか、この際お聞きをしておきたいと思うのです。
  115. 小暮光美

    ○小暮政府委員 中央卸売市場の卸売り手数料の中から、産地に対して卸売り業者が荷物を集める仕事、集荷という活動との関連で、できるだけ大口荷物をまとめまして、反復継続して市場に荷を出してくるような産地につきましては、集荷面での実質的な経費が相対的にかからないわけでございます。たまたま出荷してまいるというような断続的な小口の集荷につきましては、かなりの実際上の経費が割高になる、こういうような事情がございますので、長年中央卸売市場では、荷受け業者が産地から荷を集めます仕組みの一環として、手数料の一部を荷主交付金という形で荷主に返しておったわけでございます。これは、業界がいわば慣行的に編み出したものでございますが、ただ、これを野放しにいたしておるわけではございません。かつて中央卸売市場審議会におきまして、相当の長期間にわたって詳細に手数料のあり方、ただいま申しました荷主交付金あるいは別途ございます販売代金の交付金等をあわせまして、縦横に検討いたしました。これにつきまして、市場開設者が適切な規制を加えるという形のもとにこれを行なわせることが最も適当であるという卸売市場審議会の答申をいただいて、現在そのように指導しておるわけでございます。ただ、これらの検討をいたしましてから若干の年月を経ております。現在、新しい市場法に基づく卸売市場審議会におきまして、あらためてこれらの問題について検討を開始いたしております。
  116. 田中恒利

    田中(恒)委員 私、そのくらいのことは知っておるのですが、物価の問題ですね、野菜の問題に例をとっておるわけですが、これはたいへん複雑であります。しかし、何かやはり問題をはっきり具体的に、従来の慣行とか、総理がさっき言われたいろいろな新しい動きが出ておる、そういうものをこの際思い切ってやらなければならない。流通の問題なんか、さっきちょっとおっしゃった。ところが、現実にはさほど進んでないわけですよ。私どもが昨年野菜が高いということで盛んに問題にしたときに、政府の答弁は、中央卸売市場法をいま審議をいたしております——あたかも、この中央卸売市場法ができれば一挙にこの問題が解決するかのごとき御答弁がなされておる、総理以下各大臣が。ところが、その中央卸売市場法たるや、ことしの四月です。まだ実際に発動していないんです。動いていないんです。動いているところもありますけれども、全体としては動いていない。やっと一年たって動こうとしておる。しかも、私ども承知をしておる範囲では、中央卸売市場法で特に取引方法の改正として問題になった相対取引という方法は、まだいつになるかわからぬ、こういう状態なんですよ。この中央御売市場を中心とする仕組みというのは、それほど実は複雑であるし、利害がからんでおるわけです。そういう問題については、それこそ政策決断者が判断しなければ前向きに進まないわけですよ。中央卸売市場の手数料の問題は、従来から問題になっておる点であります。この問題については、政府の審議会等からも積極的な提言が幾つかなされておるわけであります。こういう点について、これは事務当局の説明や内部的な煮詰めじゃなくて——八・五%といっておる手数料が実質五・九%しか取ってないんだ。あとの二・六%というものは、何か別の名目で裏に流されておるんだ。この別な名目の、いえば裏金でありますよ。こういうものが、場合によれば、消費者生産者に対していろいろな疑惑を呼んでおる原因になっておるわけです。こういう点を明らかに、はっきり明確にして、いわゆる大型産地で手間がかからなくて、経費が少ないものは安くとるような方法を考えたらいいと思うのですよ。こういうことについて、この際総理大臣のほうから、はっきりお考えをお聞きしておったほうがよろしいと思いますので……。
  117. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 時間がないので、私もできるだけ簡単にお話ししたいと思います。  野菜と一口に言われますけれども、いわゆる露地野菜と園芸野菜、これはやはり区別しなければならない。そうして露地野菜は、さっき言われるように、これは天候に左右されます。しかも、栽培の形式も団地栽培の方向に向かっておる、これは認めていただきたいと思います。私は、栽培者の技術は、そういう意味で非常に進んできたと思います。また消費地におきましても、いわゆる契約栽培、そういう取引をしている。そういう約束をして栽培を願っておる、こういうような関係になっている。在来の取引、その路線ばかりではないように思っております。新しいものがだんだんできてくる。そういうことを考えると、ただいままでの蔬菜、野菜のあるいは価格その他につきましても、いままでとは変わった意味で生まれてくるんじゃないか。取引、同時に価格形成等も変わってくるんじゃないだろうか、かように私は思ております。でありますから、いまの、時期をはずした園芸蔬菜をうんと成功さすように、また契約栽培がどんどん行なわれるように、そういう方向で取り組んでいくべきだ、かように私は思っております。
  118. 田中恒利

    田中(恒)委員 どうもちょっと、こうポイントをお答え願わなければいけないようになると多少それてお答えになって、とうとう私は、時間がこれでもうあと五分ほどになってしまったわけですがね。こういう議論をやっておったんじゃ、いつまでたっても物価問題——どもも、物価の問題をいろいろ議論をしておる中で一番あせるのは、こういう議論のすれ違いや、それからいろいろな問題を出しても、政府側がすらりすらりと体をかわして、明確なポイントをお答えにならぬ、やらない、そういうところから蓄積されてきておる。われわれも実はむしゃくしゃしてくる。見ておる国民は一そうそうですよ、いまこの物価問題について。だから、総理はしばしば勇断をもってというようなことばを使うんだが、こういう問題の際に、総理が一言言えばきまるわけですよ。そういうところを佐藤さん、あとの方にまかせるのか知らないが、なかなかおっしゃらないわけですが、私は、やはりはっきりしてもらいたいと思いますね。  それから、時間がありませんから、いろいろ生産対策の問題でも実はたくさんお聞きしたいことがありますが、いずれまた場所を変えてお聞きをいたしますが、この野菜対策でいま一つの問題は、市場の問題と、きょうは手数料だけしか取り上げませんでしたが、あと市場から離れて小売り段階へいく問題であります。特に小売りの問題であります。  この小売りの問題は、私どももしばしば小売りの関係者と話をしたり実態を見ましたけれども、これもなかなかたいへんであります。たいへんでありますけれども、この小売り段階に対して政府が相当力を入れなければ、野菜問題というものはやはり片一方解決でありまして、片面の解決はできないと思うのです。  ところが、ことしの農林省の予算を見ましても、確かに野菜指定小売店といったようなものを設ける、こういう制度を新しくつくられております。いろいろ聞いてみると全国で二千店、実際に政府政策販売的なものをやる店が二千店。そして冷蔵庫を貸与するというようなこともあるが、聞いてみるとこれは二百店ですか、これはもうスズメの涙にもならないような状態なんです。その程度しかやっていないということなんです、小売りの段階においては。しかし、この小売りの段階にもう少し力を入れないと、野菜問題というものは私は解決できないと思います。  そういう意味で、市場から小売り、そして消費者段階にいくこの過程について——生産段階で相当な力を入れられているわけですけれども、やはり市場から小売り段階に力を入れなければいけないと思うのですが、こういう点について農林大臣は、これは農林省の主管でありますけれども、どういうふうにお考えになっておるかお聞きをしておきたいと思います。
  119. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 いまお話しのように、小売りのほうにも力を入れてきましたが、まだ不十分だと思います。一そう検討して対処していきたいと思います。
  120. 田中恒利

    田中(恒)委員 これは、政府物価野菜問題に対する、政府に対する提言等の中にも、具体的にたいへん注目をしてよろしいような項目が幾つか出ておるのです。三十万以上の都市に小売りの生鮮食料品のセンターをつくるとか、公設市場を全国につくっていくとか、私どもと違って自民党は自由競争でありますから、自由競争価格ということが基本になると思います。その場合に、やはり競争が完全にできる条件をつくらなければならない。そうすると、私は小売市場というものがたくさんできてもよろしいと思う。そういうところに小売店といったようなものはどんどん入っていかすような処置をしていく。あるいは小売店にいろいろ困っている問題がたくさんあります。たとえばこれから施設の問題も出てくるでしょう。そういうものに、そういう施設を各所に配置をさせてやる。こういうものについてもっと具体案が出ておるわけですから、そういうものに本格的に取り組むという姿勢をお示しにならないと、野菜問題についての最終的な方向づけは出てこない、こういうふうに私は思いますので、この点を特に要請をしておきたいと思います。  それからいま一つは、総理が先ほどおっしゃいましたが、市場外の流通というものをつくり上げねば私はいけないと思います。基本的には、中央卸売市場というものが中心になると思います。しかし、この中央卸売市場の改革をやらなければいけませんが、いま一つ、新しい流通の仕組みというものについて政府は本腰を入れる必要がある。こういう点についての政府の取り組みが非常に立ちおくれておると思う。たとえば、先ほど問題になった生協法の問題も関係してくるわけでありますが、生協といったようなものをもう少し育成して、消費者集団を育成して、そうして消費者集団と産地とが直結していくというようなルールを具体的にお考えになってしかるべきだと思うのだが、こういうものがあまり出てこない。ことしは、いま暴落でありますが、次は野菜は高くなる。こういう心配があるわけです。こういう事態の中で、さっそくこれらの問題について取り組むという政府姿勢があるかどうか、この点も農林大臣からお答えをいただきたいと思うのです。
  121. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 先ほど総理からも言われましたが、契約栽培的なものとか生協とか、こういう方面を入れていく、そういう姿勢は進めていきたいと思います。
  122. 田中恒利

    田中(恒)委員 時間が参りましたのでもう終わりますが、姿勢や、それからわれわれの意見とあまり違わない御意見は聞きましたけれども、なかなか思うように現実はいってないですよ。その辺をどうするか。これはやはり佐藤総理大臣野菜の問題はだいぶ、私が思った以上にお詳しいので、多少力強く思いましたけれども、しかし宮崎へ行ってから、カーフェリーに乗ってごらんになって、そこで印象を持っただけでは何にもならない。あなた、いいと思ったことはやってくださいよ。それはやらなければだめですよ。野菜、高くなりますよ。農林省が、百十億くらいの予算野菜の値段が上がらなくなるというような考えを持っていては、たいへんな間違いですよ。それほど甘くありませんから、だから大きなところを総理が中心になってやってもらわなければいけないので、おそらくきょうの連合審査も、そういう意味でわざわざ総理においで願ったのだと思いますから、その点を特に総理に御要望を申し上げまして、私の質問を終わります。
  123. 井岡大治

    井岡委員長 渡部通子君。
  124. 渡部通子

    ○渡部(通)委員 最初にお願いをしておきますが、たいへん時間が短いので、私もなるべく要点のみの質問にとどめたいと思いますので、御答弁もひとつ簡略にお願いをしたいと思います。  総理姿勢について最初に伺いたいと思います。  現在の物価高と申しますのは、いまさら申し上げるまでもなく、世論の一番中心課題でございます。私ども、ほんとうに長年物価問題には悩まされ続けてまいりました。政府は口を開くたびに、物価安定に努力をする、こういうお答えでございます。したがって、わずかながらでも期待をしてまいりましたけれども、完全に裏切られ続けてきたというのが国民の実感ではないかと思います。総理大臣も福祉向上ということを再三言われておりますが、私は、福祉の大きな要因としては、物価安定を欠いては考えられないと思うのですね。物価安定なくして福祉向上などということはとうていあり得ないと思います。したがって、こういう物価高の中で福祉云々などと言われると、まことにそらぞらしい感じがするわけでございまして、私どもの願いは、ほんとうに何よりも何よりも物価安定、こういうことでございます。政府にその姿勢が見られないということが残念なのです。その典型的な例が今回の四十七年度予算における公共料金値上げの問題だと思います。  これは、午前中にも議論がございましたので、総括的な抽象論はやめますけれども、午前中、武部委員の質問に対します総理大臣お答えでございますが、いまの貯金金利を上回る物価高を総理はどうごらんになるか、こういう問いに対する総理お答えは、金利、所得上昇率とのかね合いで総合的に考えたい、こういう御発言でございました。そうしてみますと、この程度の物価値上がりは当然ではないか、こういう御意向と承ってよろしいのでしょうか。
  125. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 物価値上がりについて当然だというような見方は、私どももしておりません。しかし、やっぱり片一方で賃金上昇、そういうこともございますし、消費の活発な、そういう点からも物価はとどまるというわけにもいかないと、こういうようなものでございますから、そういう点をうまくあんばいしていくのが政治だろう、かように私思いますので、ただいまの、これは当然だというような見方はしておらないことだけははっきり申し上げておきます。
  126. 渡部通子

    ○渡部(通)委員 では、どういう見方かということを伺いたいのですけれども、普通、貯金金利よりも物価が上がっては一大事というのが、実は十年前の常識だったのです。ところが、貯金金利を上回るのがあたりまえのような感覚になりつつあります。ですから、今年度も五・三%に押えるということを自信を持っておっしゃる。五・三%は去年に比べれば低いかもしれないけれども、貯金金利から見ればはるかに上でございます。ですから、総合的に判断してもなおかつ当然とは言わないまでも、ではどういう見方をしていらっしゃるのか。このくらいなら国民はしんぼうしろという仰せなのか。
  127. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 いろんな理由があって物価が上がりますから、そういうものを理解していただきたい、かように申し上げます。
  128. 渡部通子

    ○渡部(通)委員 では、当面の問題として、輸入品も下がるべきだと思いますが、この点についてはあとから同僚議員が質問をいたします。  それから流通機構も、相変わらず暗黒大陸といわれるままでございますけれども、先ほど生協法の改正が出るや出ないやのやりとりでございました。これについては質問はいたしませんが、総理生協の育成を長い間言っていらしたわけですから、ぜひとも今国会に生協法の改正案は御提案を願いたい。私どももこれを要望いたします。  次に、抽象議論はやめにいたしまして、個々の問題に入りたいと思います。  最初に、割賦販売の問題について伺いたいと思っております。  割賦販売という商法は、いまや国民に非常に定着をいたしております。業者は全国で五万軒といわれており、取り扱い高は三兆円とかと聞いております。利用世帯数は七百八十万世帯、いわゆる月賦を使っているというのは、日本の家庭では三軒に一軒は全部やっているということでございます。  ところが、この割賦による販売法というものは非常にトラブルが多いということは、通産省が先回行なわれたアンケートでも、四世帯に一人はトラブルを経験しているという、こういうことにも如実にあらわれております。このたび行管の勧告もありましたし、それから割賦販売審議会からの答申も出ました。かなり前向きなものと評価をいたしております。あるいは公取委の割賦販売の運用基準というようなものも出ておりまして、それを受けて割賦販売法の改正案というのが今国会に出る、こういう運びと聞いておりますけれども、必ず出るか、いつごろ出すおつもりなのか、まず伺いたいと思います。
  129. 田中角榮

    田中国務大臣 割賦販売法の改正案を、今国会に早急に提出をして御審議をいただきたいということでございます。
  130. 渡部通子

    ○渡部(通)委員 そこで、その中で二点ばかりお伺いをしたいと思います。  審議会の答申の中の大きな柱として画期的なものに、クーリングオフという問題がございます。いわゆる契約をしてから四日間は無条件解約を認めるという制度でございます。この解約問題でトラブルの多い消費者にとってはたいへん救われた思いですが、このクーリングオフの制度は全業種に適用されると考えてよろしゅうございましょうか。
  131. 田中角榮

    田中国務大臣 クーリングオフの制度は、今度の割賦販売法の改正案に採用いたしたいということでございます。ただ、全商品かといいますと、その中で契約者が非常に安定的な状態にあるもの、特に自動車等の問題がいま検討せられております。これはまだその中に入れるのかどうかという問題に対しては、さだかな結論を得ておらないわけでございます。それからもう一つは農業用機械器具、それから医療用機械器具というようなものも、クーリングオフの対象品目としないほうがいいのではないかという有力な意見もございます。そういう問題に対して最後の詰めを行なっておるわけでございます。
  132. 渡辺美智雄

    ○渡辺(通)委員 これはたいへんいい制度なので、ひとつ非常に前向きにしていただきたいという私の要望を込めての質問でございますけれども、そうしますと、楽器類とか家電製品等は当然入りますか。
  133. 田中角榮

    田中国務大臣 これはそういう考え方でございます。クーリングオフ、一ぺん買ってみたが、頭がはっきりしたところでもう一ぺん考えようという余地を残すわけですから、消費者保護という意味では適切な方法だ、こういう考え方で、この制度にふさわしくない特殊なものを除いては、全商品に認めていくという考えであります。
  134. 渡辺美智雄

    ○渡辺(通)委員 いま自動車等は除くというようなお話がありましたが、実は私も、去年この問題を質問いたしましてから、いろいろ月賦の問題というものを調べてまいりました。自動車は非常に安定した取引条件だとおっしゃいますけれども、決してそうではないというたくさんの実例も出ております。いまお答えの中に、家電製品とか楽器類ということに対してのお答えがなかったのですが、自動車は非常にむずかしいとおっしゃる理由、それから先ほど抜かされた家電製品、楽器類という点……。
  135. 田中角榮

    田中国務大臣 家電製品や楽器類は当然入るという考え方でございます。先ほど申し上げましたように、農業用機械器具、それから医療用機械器具というようなものは、これは除かれるものだろうという考え方でいま作業をいたしております。  自動車に対しては最終的結論は得ておりませんが、自動車にはもうすでに、そういう問題があったら回収して直すような方向でやっておりますし、また他の法律もございますし、それから下取りをするということにもなっておりますし、ぐあいが悪ければ割賦を払わないという商習慣もできておりますし、自動車に対しては、需要者の意思が非常に安定しておるという考え方で除くべきだという有力な意見があります。ありますが、最終的には決定いたしておりません。慎重に検討いたしておる段階でございますので、こう申し上げておるわけです。
  136. 渡部通子

    ○渡部(通)委員 それほど契約に問題がなければ、私はむしろ適用の範囲に入れておくのが当然ではなかろうかと思うのです。問題があるからそこでおたおたするんだと思いまして、実はここに持ってまいりました新聞でございますが、自動車業界がこのクーリングオフ制度を導入するのに猛烈な反対をしておる、猛攻勢だというような記事がずっと長く書かれておりまして、こういう影響が多分にいま問題になっている原因ではなかろうかと、当然私たちとしては考えられるわけです。  いま契約に問題がないというようなことをおっしゃいましたけれども、自動車は猛烈な販売合戦の訪問販売でございまして、たくさんのトラブルができております。手付金をつけて、そして契約をした。翌日電話して、どうも考えたいと言うと、違約金として手付金の三倍はほしいなどと言われている実例はたくさんにあるのでございまして、いま問題はないと言われたけれども、それは認識不足ではなかろうかという点。それから、たとえ問題はないにしても、今後起こり得る可能性は幾らでも考えられるわけです。ですから、消費者保護の法律をせっかくおつくりになるならば、このクーリングオフは当然自動車業界にもまっ先に私は適用されるべきことであろうと思います。そういった点で慎重にという大臣の見解ですけれども消費者保護の見地から、経企庁の長官、いかがでございましょうか。
  137. 田中角榮

    田中国務大臣 私も、「自動車業界が反対、割賦法の解約猶予制適用」というこの新聞の写しをいま持っておりますが、消費者保護は徹底的にやらなければなりません。しかし、マイナス面は除去して新制度に踏み切らなければならぬ、こういうことでございます。  私が申し上げた、自動車は需要者の意思が安定しているということも申し上げましたが、自動車業界の反対ということではなく、自動車業界が、いま自動車の販売というものに対して非常に売り込み競争をしておるということでありますから、事実はクーリングオフに近いようなものを、下取りもいたします、ぐあいが悪ければかえます、修理もいたします、色が悪ければ塗りかえます、こう言っておるのであって、それ以上にクーリングオフという制度の中に指定する必要はないのじゃないかということが一つなんです。  しかし、その裏には、自動車というのは、率直に意見を申し上げますと、四カ月ずつ乗り回すと、ただでずっと自動車に乗れるのです。そういう新しいもの、新しいものと取りかえていけば乗れるわけでございまして、そういうやはり制度上の問題と理論的な問題と現実に合わない問題には踏み切れない、こういうところに一つあるのであって、家電製品とか、それはほんとうにそういうことはありますけれども、自動車にはそういうむずかしい問題があるということをひとつ御理解いた、だきたい。
  138. 渡部通子

    ○渡部(通)委員 長官の御意見を……。
  139. 木村俊夫

    木村国務大臣 私は自動車業界の詳しい事情を存じませんが、いま通産大臣が慎重にお考えになっておりますから、その結果を聞いてまた私の意見を申し上げたいと思います。
  140. 渡部通子

    ○渡部(通)委員 いま、四カ月ごとに買いかえればなんということをおっしゃいましたけれども、とんでもない話でございまして、市民は自動車を買うのは、たいてい二年月賦ぐらいで買っているのです。やっとの思いで買う。そう簡単に言われてしまっては困るわけです。  その問題はそれで突っ込みませんけれども総理に御意見を伺っておきたいと思います。この点いかがでございましょう。
  141. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 どうやら通産大臣が十分この問題と取り組んでおるということでございますから、通産大臣の処理に私はまかせておきます。
  142. 渡部通子

    ○渡部(通)委員 これでは幾ら割賦販売法を消費者保護の姿勢に変えるといっても、私はざる法だと思います。外資系の訪問販売のみを対象としたような印象で、もっとわれわれが身近に使っているのはやはりカラーテレビだの自動車だの、そういったことの割賦販売のほうが多いわけでございます。それでは、契約書の段階と言いませんから、注文書の段階でクーリングオフを認めるおつもりはないか。
  143. 田中角榮

    田中国務大臣 改正法律案は、注文のときからかかるようになっておるようでございます。ですから、いま慎重に検討中でございますから、かすにしばらく時をもってしていただきたい。
  144. 渡部通子

    ○渡部(通)委員 それでは結果を待つしかございませんけれども、私はやはり、次の総理大臣になるというようなお方なんですから、ぜひともひとつ消費者を守るという姿勢、これをもう一歩進めていただきたいと思います。もうこれは私は、時間がありませんので言いませんけれども、自動車の販売をめぐるトラブルというものは無数にございます。しかも最近は、若いお方が衝動買いをする場合が非常に多い。契約をしてしまってから、親に反対をされるというような事件がたくさんにございます。そういった点で、私は、トラブルを防ぐためにクーリングオフは全業種に適用すべきである、これを最後に要望いたしまして、クーリングオフの点はこれで終わります。  もう一つ、答申の大きな柱で金利の表示の問題がございまして、これはアドオンをやめろというのが答申の趣旨のようでございます。  アドオン方式というのは御存じのとおりでございますが、元金は月々減っていくのに最初の元金にかけられた金利というものが最後までいく。したがって、普通の実質金利よりは大体二倍弱といわれる。ですから九%のアドオン利率、こういう表示がございますと、実質金利は大体一八%弱にいってしまう、こういう消費者ごまかしの金利でございます。  これは、アドオンやめろという答申が出ております。この点はいかがでございましょう。
  145. 田中角榮

    田中国務大臣 御指摘のとおりアドオンの金利表示によりますと、年六%というもので逆算をしてまいりますと、一二%ぐらいになるわけでございますから、大体倍でございます。百万円のものが六万円年に払うとすれば、実質的には元金が減っていきますから、利息は三万円払えばいいわけでございます。それを六万円ということになれば、年利一二%ということになるわけでございますので、今度の改正案では、これをやめて実質金利表示にするようにということで改正案をつくっております。
  146. 渡部通子

    ○渡部(通)委員 実質金利表示で、アドオンはやめるのですね。
  147. 田中角榮

    田中国務大臣 そうです。
  148. 渡部通子

    ○渡部(通)委員 併記ではございませんね。
  149. 田中角榮

    田中国務大臣 併記はいたしません。
  150. 渡部通子

    ○渡部(通)委員 その点、これは併記でなく実質金利表示一本でいくということでございますね。
  151. 田中角榮

    田中国務大臣 御発言のとおりでございます。
  152. 渡部通子

    ○渡部(通)委員 ここで、先ほど自動車の例を出しましたので、月賦がいかに高いかということを、私はひとつ大臣に御認識をいただくためにも説明したいと思ったのです。いろいろ説明したいと思ったのですが、時間がありませんので一つだけ、ある東京の大きな自動車メーカーの金利表から、これは私、計算をしてまいりました。  実に複雑な金利表がありまして、この表を、遠くて残念なんですけれども、五十万円の自動車を購入する場合、マル専手形で二十四回払い、頭金が三十万円の場合と二十万円の場合、これの金利を計算してまいりました。  そういたしますと、まず残金二十万円の場合、アドオンですと二十四回で三万六千円の金利がつくわけです。それに、これはふかしぎなんですけれども、一カ月七百円という手形手数料というのが入っております。これを二十四回合計しますと一万六千八百円。金利、手数料合計いたしますと五万二千八百円、こういう計算になります。ですから、二十万円の残金を二年払いいたしますと、五万二千八百円よけいに払う。いわゆる五十五万二千八百円の自動車であったということになるわけです。これをもし九%の実質金利——普通銀行で借りれば十分借りられるお金です。これに計算をいたしますと、多く見積もって約二万円なんです。そうしますと、五十万円の自動車は五十二万円ということになります。  同じように、三十万円の残金の場合にも、アドオン金利九%ですと五万四千円、それに手数料が一万六千八百円、合計七万八百円の割賦手数料総額というものがあります。これをもしもアドオンでなく、実質年利九%といたしますと約三万円。これは多く見積もっています。概略の計算をいたしました。そうしますと五十三万円のものになった、こういうことです。  ですから、いかに高いかといいますと、残金二十万円の場合にはアドオンですと五十五万二千八百円になる。これが実質金利にしますと五十二万円で済むわけです。こちらも、五十七万八百円するものが五十三万円で済む。いかにアドオン金利が高いか。  しかも九%といわれているけれども、だれもこちらは実質九%しか想像しないわけですね。そこにふかしぎなことにこういう手数料がある。これははなはだわからないのです。銀行に聞きましても、これは何だかわかりませんね、手形一枚運ぶのに七百円というのは見当つきかねる。これは消費者がかぶっているわけです。そのほかに、自動車を買いましたときには下取り料——先ほど下取りなどをやりますからとおっしゃいましたけれども、下取り料、運ぶだけで三千円です。それから納車料というのが三千円、車庫証明料というのが千五百円、登記代、これはほんとうなら千円くらいで済むのですが、四千円、それから公正証書代、これもどんなに高くても千五百円くらいなんですが、これが五千円、下取り車査定料、こんなの、ほんとうに商売そのものだと思うのですけれども、この査定料までも千五百円、これだけのものは取られます。そのほかに、もしオートローンを利用した場合には、オートローンの手数料というものが一万二千円。これだけのものがぶっかかってくるのですよ。ですから、月賦というものがいかに高いかということが、これでも一例としておわかりいただけると思うのです。  しかも、月賦というのは大体金がないからやるのです。お金があればこういうことをやらずに済むのですけれども、お金がない庶民が月賦を利用して、しかも表示があいまいで、そしてよく計算してみたらこんな高い金利であった。契約解除にトラブルがないはずがありません。  こういうことから考えても、先ほどの質問に戻りますけれども、クーリングオフも適用させるべきだし、アドオン表示も、やめるという言明でございますが、それはけっこうですが、アドオン表示をやめるだけじゃなくて、金利を下げる方向を検討なさるおつもりはないか。国際的に低金利時代といわれておりまして、いまごろ実質一八%などという金利と聞いたらびっくりしてしまいます。ですから、実質金利を下げるべきだと思いますが、その点はいかがですか。
  153. 田中角榮

    田中国務大臣 実質金利を引き下げなければならないということはもう当然でございますし、西ドイツの公定歩合は三分七厘五毛ということでございます、日本では公定歩合がようやく四分七厘五毛、一%の差がございますが、いま資金はだぶついておるような状態でございますので、この間、一年間も実勢金利が下がらなかったのに、中小企業向けに対しては〇・〇五%を都市銀行が下げ、他の雑金融機関も右へならえをするということになっておりますので、いまの状態が続けば、もう実質金利は下がっていくということは当然でございます。これは相当なスピードで下がっていくだろうということでございます。また、長期金利そのものも引き下げる方向にございますし、いまもうすでにその実施を検討いたしておるわけでございますから、実質金利は下がります。にもかかわらず、長い契約の中でアドオン方式をずっととっておった諸例もあるし、それでもってセールスをやらせるということになりますと、いま御指摘になったような高い金利のままでということになりますので、消費者保護というたてまえから、今度は法律でこれを取り締まろう、併記は許さぬ、こういうふうにいたしたわけでございますから、金利は確実に下がります。言明してもけっこうだと思います。  同時に、いま一八%という他のいろいろな手料料これは制度の中であるのでありまして、直接デパートかどこかへ行って買われれば、これは手数料を払う必要はないわけでございますが、行くにはやはり電車賃もかかるし、車代もかかるし、手間ひまもかかるということを代行することをディーラーがやるわけでありますから、そういう意味で多少の手数料がかかることはしようがないと思うのです。その人たちはそれでまた利益をあげて食っていかなければならない、生きていかなければならぬわけでありますから、これは世界各国のディーラーとして得る利益は必要だと思いますし、必要経費は当然だと思いますが、高過ぎないかという御指摘であります。それはもう通産省がいまいろいろ検討しております。自動車を例にとりますと、納車手数料が二千円、下取り手数料が二千円から三千円、登録手数料が三千円、ずっと一ばい書いてあります。これは一日に一台ずつやっておって賃金を払っているわけじゃないですから、そういう意味で、少なくとも半分にならないかということで、いま実情を調査いたしております。こまかく調査をいたしております。  そういう意味で金利は、先ほども言いましたように、アドオンから実質金利方式にすれば半分になる、こういうことでありますから、これは下がるにきまっておる。もう一つは、手数料そのものは、これはこれから競争が激しくなってまいりますから、安くしなければ、一八%の手数料などでとても売れるものじゃありません。あなたが御指摘になれば、これは全国に知れ渡るわけでありますし、そういうことで、これからも手数料その他信用保証とか、いろいろな手がありますし、調査料とかいろいろなことがありますが、こういうものは相当なスピートで下がっていく。また、下げるように通産省も、割賦販売法の改正案を御審議いただく過程において、これからもいろいろな手を考えてまいろう、こういうことでございます。
  154. 渡部通子

    ○渡部(通)委員 公取委員長伺いたいのでございますが、公取委員長は、先般やみ再販の疑いで日本光学、あそこの立ち入り検査をなさったと報道されておりますけれども、その経過と、これからどうなさる見通しか、簡単にひとつ……。
  155. 谷村裕

    ○谷村政府委員 経過から申しますと、やみ再販ではないかということで、おととしの七月ごろからぼつぼつと申告が参っておったようでございます。私どもは、さような申告に基づきましてある程度内偵も進めておりましたが、先般、一月の二十八日に立ち入り検査をしたわけでございます。  いろいろ新聞紙上等にも伝えられておりますが、目下押収いたしました資料あるいは実情聴取等々をしておる段階で、審査中でございますので、それ以上、今後の方向なり何なりということを申し上げることは控えさしていただきたいと存じます。
  156. 渡部通子

    ○渡部(通)委員 いま、一昨年の七月あたりから申告がぼつぼつ出てきた、そういうお話でございますと、これはかなり長期にわたって、立ち入り検査に至るまでちょっと時間があり過ぎるのではないかという気がいたします。私も四十五年の暮れにそういうことを消費者が疑問を持ったということを承知いたしております。そういう申告があった場合、独禁法四十五条第三項に照らして、一つでも申告があった場合に公取はそれと本気で取り組むのか。それにしてはちょっと長過ぎる期間ではないかと思いますが、その点の御所見はいかがでしょう。
  157. 谷村裕

    ○谷村政府委員 具体的なことにお触れになりましたのですが、最初に得た情報というのは、たとえば値引きをしてもらえないという程度の情報でありまして、私どもがやみ再販であるという疑いを持つためには、まだ必ずしも十分でなかったというふうに申し上げられると思います。その後においていろいろと内偵いたしました結果が、先ほど申し上げたようなことでございますが、それでもなおかつ、現在の段階においていかに断定するかというふうに申し上げる段階にはないわけでございます。
  158. 渡部通子

    ○渡部(通)委員 私が申し上げたいのは、やみ再販に対する公取の態度が非常に弱いんではないか、消極的ではないかということを申し上げなければならないと思っております。やはりこのやみ再販というものは、物価高に対して非常に大きな影響を持っている。公取は前々から、このやみ再販の洗い直し、摘発というものには全力をあげるという姿勢を示していらっしゃいます。そういう公取の発言から見て、非常に弱いんではないかと思います。やはりいま、やみ再販行為というものを徹底的に取り締まる、こういう強い態度を打ち出していただくことが、多少なりとも消費者保護に通ずることでございます。一昨年七月からことしまで、この期間消費者が受けた被害、と言っては大げさですけれども、それも非常に大きな問題ではなかろうかと思う。そういう意味で、今後の公取の姿勢でございますね、そういう申告があった場合にすみやかに取り組んでもらいたいということ、それが一つであった場合にもそうしてほしいということ、それから今後、やみ再販というものは、この同種のものについてもたくさん考えられますが、積極的に取り組むおつもりがあるかないか、それを伺っておきたいと思います。
  159. 谷村裕

    ○谷村政府委員 問題はケースによって違うと思いますが、たとえ一つでも、有力な心証を得るような問題であれば直ちにいたしますし、なかなか踏み切るのにケースによっては時間もかかりますものもあるかと思いますが、気持ちといたしましては、おっしゃるような意味で独禁法の厳正な執行に私どもはつとめてまいりたいと思っております。
  160. 渡部通子

    ○渡部(通)委員 もう一つ公取の姿勢について伺っておきたいと思います。それは、不況カルテルを結成しております鉄鋼とか塩化ビニール樹脂業界、こういった製品の値上げムードがあるということを、最近ちらほらと耳にいたしております。私は、不況カルテル下にあって値上げムードが出てくるなんということは、はなはだけしからぬと思います。価格は、市場メカニズムによる自律的な回復を待つべきものではないのか。その不況カルテルを結成する場合でも、価格の決定に伴う共同行為はきびしい監視下に置かれているはずだと思います。そういう意味で、こういう値上げカルテルのようなものに対して公取の取り組む姿勢伺いたいのでございますが、カルテルを結んで三カ月ぐらいでこういうムードが出てくるということは、これは非常に消費者をばかにした話であります。やむを得ないとしていらっしゃるのか、どのように対処するおつもりなのか、カルテルを取り消すお気持ちはおありなのか、この点を伺っておきたいと思います。
  161. 谷村裕

    ○谷村政府委員 一般論といたしまして、不況カルテルを認めることは例外でございますから、私どもとしましては、できれば本来の市場メカニズムによって値段がきまるのを待ちたいと思います。しかし、現在の法律要件に照らしてどうしてもやむを得ないと認められるものは、厳正に審査いたしました上で認めておるわけでございますが、価格の問題、これは不況カルテルというものを結成いたしておりましても、また、実際の価格動向をどういうふうにするかということは、これはある意味ではやはり企業がそれぞれの企業との間にいろいろとやりとりがあることも、私は一がいに否定できないと思います。いろいろなそういう企業の立場としての行動をどの辺まで私ども立場から厳重に見ておくかという、ただいま私どもは注目して見ているところでございますが、一がいに、価格についての企業の動きというものについて一切手も足も出してはならぬというほどのことは、私は言い得ないだろうというふうに思っております。
  162. 渡部通子

    ○渡部(通)委員 時間が参りましたので質問は以上にとどめますけれども、公取委員長にお願いしておきますが、そういうカルテル行為、こういったものについての摘発は、ひとつ強力に行なっていただきたい、これをお願いしたいと思います。  以上で私の質問を終わります。
  163. 井岡大治

    井岡委員長 松尾信人君。
  164. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 いま渡部委員から総括的な質問が出ましたので、私は、時間の制約もございまするので、輸入品の価格について問題を集中いたしまして二、三お尋ねしたいと思います。  どうも、政府のほうでもいろいろ追跡調査をしてみたけれども、思ったとおりに消費者に為替差益というものは還元されていない、こういうようなことがはっきりになりまして、三月三日に閣僚協議会が開かれまして、いろいろ新しい物価対策というものが検討されたわけでありますけれども、その中で、第一点としましては、まず政府の所管物資について大いにここから姿勢を示していこう、こういうことが明らかになりまして、非常にこれは期待しておるわけでございます。ところが、いままで午前中から引き続いて、また午後からも、小麦その他についていろいろ質問がありましたけれども、どうも輸入品の価格安というものが、消費者物価のほうへどうなってくるのかはっきりしない。政府所管物資と申しますれば、小麦もございまするし、葉たばこ、また、たばことか、こういうものが主力になっておるわけでありますけれども、少なくともこれは、輸入貿易額からいいますると、それぞれの地域から入ってきて、幾ら輸入額があるんだから、理論的にはどのくらい為替差益がある、ですから、それをどのようにしていくのか、小麦はこのようにしていきまして、これは食管会計で吸収されてこのようになっていくんだ、幾ら差益があるんだけれども、これはこうなるんだ、たばこはこうなるんだ、そういうふうに、まず明確に政府の所管物資の中からこれを納得のいくようにお示しになりませんと、まずそこから何かこう姿勢があいまいになりまして、そうするとその他の輸入物資がはたしてどうなっていくのかいなと、このような疑問が非常に残るわけですよ。ですから、ひとつ総体的にひっくるめまして、政府の所管物資についてはこのような輸入額があるんだから、どのくらいの為替差益がある、それをどのような方向でどのくらいの範囲で国民に還元していきたいと思うと、このようにひとつまず総括的に明確にお答え願いたい、こう思います。総理にお願いします。
  165. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 ただいま御指摘のように、輸入差益が十分消費者に還元されておらない、まことに残念に思っております。この詳細については、木村企画庁長官からお答えいたします。
  166. 木村俊夫

    木村国務大臣 御承知のとおり、政府関与物資のおもなものといたしまして、まず小麦がございます。また、輸入たばこあるいは国際航空運賃、この三つがあげられております。その中で、小麦につきましては、農林大臣お答えいたしておりますとおり、これは食管法に基づく問題がたてまえとしてはございますが、しかし、それにもかかわらず、やはり政府姿勢といたしまして、経済事情等の条項を活用いたしまして、それらの複合効果として政府の売り渡し価格について十分検討したいという農林省当局の考え方でございます。もともとこれは、六月に開かれます米価審議会で政府の売り渡し価格が決定いたしますので、それまで私どもとしても農林省とよく話を詰めたいと考えております。また、輸入たばこ、これは専売公社でいま購入価格を交渉中でございますから、その購入価格が決定次第、これはおそらく私どもは予期できますと思いますが、これの価格低下を及ぼすような関係で決定される、こう考えます。  また、国際航空運賃は、これは御承知のIATAの取り扱いになっておりますが、この二月二十五日に少なくとも私ども日本側としましては、円で建てております航空運賃としては約四%引き下げの可能性がございますが、アメリカ物価凍結令をやっておりますために、二月二十五日の期限ではそれが実現しなかったわけでございます。これは当然、少なくとも四%の運賃の引き下げは実現するだろう、このように考えます。のみならず、また私どもとしましては日本航空と相談いたしまして、海外留学生については割り引き制度を特にとってもらいたい、こういう交渉をいたしております。
  167. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 いま大体のお答えがありましたけれども、ひとつ、このような差益がある、それでこのような方法でいつごろから消費者へ還元するんだ、これをまず明確に政府として姿勢をはっきりさせておいたほうがよろしい、またそうすべきである、こう思いますので、念を入れて、これは重ねて要望しておきます。はっきりさせていくことですね。  いまのは政府の所管物資でございますけれども、次には、政府の管掌するような物資があるわけです。たとえば、これは国内価格の安定という問題からけさほども問題になりましたけれども、法律がございまして、畜産の価格安定に関する法律だとか、糖価安定に関する法律だとか、そのような法律に基づきまして、たとえば畜産関係では畜産振興事業団、または砂糖のほうでは糖価安定事業団、こういうものが法律によってできておりまして、そして輸入品につきまして国内価格との関係から一種の調整をするわけです。そのような法律に基づいてやっておるのが一つと、もう一つは任意団体みたいな、民法に基づきまして設立されている団体、たとえば日本食肉協議会、これは畜産振興事業団とタイアップしていく一つの民間団体でございます。それから雑豆の輸入基金協会、または日本こんにゃく協会というようなものは、これは民法による団体でございます。いずれにいたしましても、輸入品に対しまして、その事業団においてはむしろ個々に調整金をかけておる、民間の呼応する団体は差益金を取っておる、このようなことがあるわけでございます。  ですから私は、畜産振興事業団のそのような調整金が幾らあったのか、四十五年は幾らか、四十六年度においては、いま最後の売り上げで計算中でありましょうからはっきりしませんけれども、見込みはどうか、民間のほうの日本食肉協議会においてはこの差益金というものを取っておりますけれども、これは四十五年に幾ら取ったか、四十六年には幾らになりそうだ、この見通しを、これは農林関係でありますけれども、おっしゃっていただきたいと思います。
  168. 増田久

    ○増田(久)政府委員 お答え申し上げます。  四十五年におきます畜産振興事業団の調整金は、七千七百万円でございます。四十六年の見込みは、まだこれを締めておりませんけれども、約三億八千万程度ではないかと見られております。  それから民間の関係でございますが、四十五年は五億五千六百万、それから四十六年は、事業団と大体同額にいたしましたので、約三億八千万ということを見込んでおる次第でございます。
  169. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 そうしますと、結局、食肉に関しましては円切り上げによる差益というものがどうなっているのか全然わからないうちに、むしろ、輸入された牛肉につきましては、片や調整金、これが三億八千万、差益金のほうは五億何千万、ことしはパーパーにしたので、これも民間の食肉協議会で取っておるのが三億八千万だろう、こういうことでありまして、これは消費者立場から見たならば、差益は還元してやろうというような政府の基本方針であるにかかわらず、このようなものを取っておる。これは何に使っているのですか。どういうところにどのように使っているのでしょうか。
  170. 増田久

    ○増田(久)政府委員 畜産振興事業団の分の差益金につきましては、これは全部生産対策に使っております。たとえば肉類の価格安定資金に対する出資金、あるいは産地における食肉処理センターに対する出資金というような生産対策にもっぱら使っているのが実態でございます。一方、日食協の民間分につきましては、生産対策に約三割、それから加工、流通関係に約五割、その他二割、こういう形で、それぞれ生産、加工、流通段階合理化のためにこの金を使用しているわけであります。
  171. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 そうしますと、たとえば畜産振興事業団にかかわる助成事業、ここへこの調整金というものが使われていくわけでありますけれども、いまお答えによりますると、生産対策である。消費者に還元すべきものを還元しないでおって生産対策に使う、これはどういうわけでしょうか。
  172. 増田久

    ○増田(久)政府委員 これは午前中大臣からお答え申し上げたところでございますが、一つには、いまの海外もの、輸入ものと国内ものとの間に、関税を課しましてもなお相当大幅の価格差があるのが現状でございます。そういうものを調整いたしませんと、一つには、国内生産というものに大きな影響を与えるという点が第一点でございます。それから第二点は、現在の流通機構のもとにおきましては、残念ながらその価格差というものが消費者には届かないで、中間のマージンに取られてしまうというのが実態であろうと思うわけでございます。そういう意味で、調整金をむしろこういう形で取ったほうが妥当だと考えておるわけでございます。
  173. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 総理、いまこのように押し問答しておるとおりでありまして、国民としましては、この輸入物価が還元されるであろうと非常に期待するわけですよ。待っているわけです。まず政府物資がどうなるかということをいま非常に注目しておりますが、これはいま明確にいたしましょうとおっしゃったので、納得しております。  次には、このように法律に基づいて国内で価格安定をはかっていこうという法律があるわけでありますが、それに伴って一つの事業体というものができております。それが輸入したときに、むしろ調整金みたいなものを取り、差益金を取っておる。それは国内の肉の値段が高いから、入ってくるのは安いから、これが出ていくと調子が悪いから、調子を合わしてこう上げておるわけです。この上げた分は何に使っているかといいますれば、生産団体のほうへ回しております、こういうお答えでありますけれども、これは約十年前の法律であります。そして、やはり日本もまだ経済大国と言われない前の法律でありまして、いまはこのようにもう社会の情勢も変わっております。おまけに、すでに牛肉には二五%の関税がかかっております。いろいろの国内生産者を守らなくちゃいけない、育成強化しなければいけない、よくわかります。よくわかりますから、これはむしろ政府予算としてそういう措置を講ずべきであって、そのまうな事業団なり、また民間のそのような団体に差益金等を取らせておいて、そうしてそれを生産団体等の、または流通機構の整備に使っていくということは、もう現在においてはこれは筋違いであろう。むしろ農林省の予算というものをふやして、基本的にがっちりしておいて、そして期待しておる消費者には少しでも安いものを食べていただこう、供給いたしましょう——これが食肉だけで約十億近くあるわけですから、その他の管掌物資、政府がやはり何らかの形で価格の安定とかということのためにこういうものがなされておる分もわきにあるわけですし、こういうものを総体的にひっくるめまして、そして生産者保護に使うべきもの、新しいそういう育成強化に使うものは、本来の農林省の予算としてきちっとして、消費者に還元すべきこのようなものはきちっと消費者に回すというのが、ものの道理、または現在というものに即した考え方ではなかろうかと思いますけれども、いかがでしょう、総理
  174. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 ただいまの点、松尾さんの言われること一応わからないでもございません。しかし、いままで事務当局から説明いたしましたように現実には処置してまいっておりますので、ことしのこの段階で、ただいまこれを変えろ、こう言われましても、そういうわけにもまいりません。十分それらの点についてはこれからよく検討してみる必要があるだろう、かように思いますので、しばらく時間をかしていただきたいと思います。
  175. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 総理お答えはわかりました。しかし、これはほんとうに消費者という立場からいきますれば、非常に期待して、政府が、やれ輸入物資は一二%ぐらい理論的には下がるべきだ、総物価に及ぼす影響は一・七三%、これはいつの間にかそういう新聞記事の発表がありました。ですから、非常に期待して待っておるのでありますけれども、さっぱりそういうふうにならぬ。ですから、企画庁のほうでも追跡調査しよう、こうなっておるわけでありますけれども、私は、こういうことをきちっとやらないでおいて、幾ら追跡調査をしても、政府所管物資さえもあいまいもこたる答えが出るようであるならば、わずか四%とか何とかというならば、一七%の切り上げというものはどこにいったんだ。おまけに、次にはこのような管掌物資がある。これは国内安定でございますということで、そのような円切り上げの差益というものがあいまいもことなった中から、おまけに差益金を取られておる、おまけに調整金を取られておる。これは納得できないと思うのですよ。  ですから、しばらく時間をかせとおっしゃいますのはわかります。わかりますけれども、これは時間をかしますから、ほんとうにきちっとおさめるのだ、これは解決してみせます、このくらいおっしゃってもらえませんと、これはちょっとひど過ぎますよ。消費者からいえば、何ら答えが出ない。何のため一日、終日かけての物価討議をしたんだ。それですから、ここだけは佐藤総理も腹をきめて、このくらいははっきりお答えになったほうがいいのじゃないかと思うのですが、もう一回……。
  176. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 お話ごもっともな点がございますが、一つの例を申し上げますと、砂糖でございます。砂糖は調整金をたくさん積み立てて、十八億くらいになってますか——一億八千か。これはいままで調整金、使ったことなかったのです。海外の事情から最近非常に砂糖が高いのです。高いものですから、これを放出しまして砂糖の値段を下げるようにいま措置してあります。  これと同じように、肉のその点の調整金や差益金でございますが、これは内外の価格差がありますから——いまの円の切り上げの問題は別ですが、内外の価格差があるものですから、どうしても、捨てておいても、業者にマージンに食われてしまう。それより、公的機関で積み立てておいて、そうして流通や価格の安定にこれを使う、こういう仕組みがいいと思って、それをいまやっておるわけでございますが、お話のような点は十分考えていきたいと思います。
  177. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 関税自体が、今度は新しい国際ラウンド、その中心というものを日本がやっていこうというわけでしょう。これはジャパンラウンドといって、非常に期待を受けております。やがてもうその話がいまから進展するわけであります。関税自体も一括引き下げをいま検討しようじゃないか、日本はいま外国から買うものはないかというくらいに積極的に物を輸入したい、このようなときでございますから、やはり何でも日本でつくろうという時代ともう違っておるわけです。相なるべくは国際分業に従って、買うべきものはうんとたくさん買わなくちゃいけませんというわけであります。関税も下げていこうというような時代に——やがて農林省も、五十年から五十一年には、日本農林省中心の残存輸入物資を全部自由化するんだ。自由化するならば、少なくともその自由化の対策というものは、いまからきめこまかにきちっと立てておきませんといかぬわけです。それにはやはり流通機構の問題がございましょう。生産者中心のいろいろな対策をしていかなくちゃいけません。ですから、いつの間にかそういう金が出て、いつの間にか生産者のほうに回っているとか、消費者は、だれも知りませんけれども、そういうものを取られておる。取るべきものは、関税なり、国の責任において取る、そうして助成すべきものは国の責任において助成する、そうして一日も早く自由化する。砂糖なんかも、いま私が聞きもせぬのにあなたおっしゃるけれども、やはりこれはどんどん輸入をして、基本的に、日本で高い砂糖をつくる必要はないのじゃないか、買うべきだというような考え方も私は持っております。これはまた他日に譲りますけれども、やがてそのような新しい時代に入るときに、これは牛肉に対しては一種の非関税障壁じゃありませんか。そういうものはもうきれいさっぱりと新しい時代に即応していくのが、農林政策の基本でなくちゃいけない。そういうものを固めていくから、残存輸入制限というものが逐次自由化ができる。それは五十年でやりましょう、これだけは五十一年できれいさっぱりいきましょうというなら、はっきりした国内対策、また関税をどんどん引き下げていくもの——牛肉もねらわれておりますから、そういうものを下げながら、日本の国際価格を強めていくということは、こういう協会とか事業団とかいうものにまかせていくようなものじゃないですからね。これは輸入物資だけでありますけれども、そういうものはきれいさっぱりとして、この際、消費者がほんとうによかった、円切り上げ効果はこのように還元されたというものを残すべきである。総理はうなずいておられますけれども、農林大臣の言うことは、どうも私は納得できません。これだけで私、終わりますから、もう一ぺんはっきり言うてくださいよ。——総理がいいですよ。あなたはいかぬ。
  178. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 たいへん明白に御意見を述べられましたが、先ほど農林大臣からもお答えしたとおりでございますから、十分、次の予算までにはこういう処置ができる、かように御期待されてしかるべきかと思います。
  179. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 私は、一例として輸入牛肉について申し上げただけでございます。やはり国内の価格安定ということにからみまして、ほかにもたくさんの物資がございます。それから、それぞれそこにかけられておる一つの調整金みたいなものは、たいしたことはありません。大きなのは、私は牛肉だと思います。それで言っているわけでありますけれども、先ほど企画庁長官は、物価というものは、経済生活に関連して経済政策はいろいろ重要な問題があるんだ、この際、そういう政策を見直しながら、価格安定というものに役立てていこうとおっしゃっておるわけでありますから、企画庁としましても、古い時代のいろいろの法律、それに伴ういろいろの機関、それがいつのまにか価格調整をしておいて物価を引き上げておる、費消者に還元できないというものを、この際、明確に洗い上げて、しっかりやっていただきたいと思います。  総理お答えはわかりました。企画庁長官、そういう面においても、追跡調査をやったところが、ほんとうに効果が出たんだというものをひとつやっていただきたい。順番が違って、総理には恐縮でありましたけれども、最後に、企画庁長官に一言お伺いしたいと思います。
  180. 木村俊夫

    木村国務大臣 そういういままでの古い制度や仕組み、これに対して根本的な再検討を一応しなければならない、こう考えております。
  181. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 質問を終わります。
  182. 井岡大治

    井岡委員長 貝沼次郎君。
  183. 貝沼次郎

    貝沼委員 午前中からずっと物価の根本問題につきまして議論がなされましたけれども、私が政府の答弁を聞いてきた範囲におきましては、はっきりとこれだけの効果があらわれておるんだ、だから政府がきちっとやっていることは明らかではないか、こういうような感じのする答弁は全然なかったと思うんです。私は、この点は非常に残念だと思います。  そこで、時間があれば、もっと掘り下げていろいろな問題をやりたいわけでありますけれども、限られた時間でありますので、二、三の例をあげて、そして今後の対策をどうすべきであるか、この点について議論をしたいと思います。  まず初めに、先ほどからの議論で、どうも根本的に食い違っているのではないかと思われるような問題があります。それは、政府物価安定の政策という、この物価安定ということでありますけれども、これはどういう考え方物価安定なのかということです。私どもは少なくとも、物価は下げるんだ、こういう考え方が入っておるわけですけれども政府考え方は、物価を下げるということなのか、いまのとおりいくのが安定なのか、それとも経済成長と見合わして幾らかずつ物価が上がっていくということを安定というのか、それともいまのように、ばあっと上がって、上でとまっているのを安定というのか、この点、ひとつはっきりしていただきたいと思います。総里大臣でも経企庁長官でもけっこうです。
  184. 木村俊夫

    木村国務大臣 物価安定と一口に申しましても、いまお考えのごときことがいろいろございますが、私どもは、経済活動というものが経済成長という形であらわれれば、ある程度、たとえば人間の生理からいえば平熱というものがどうしても出てくるのではないかと思います。平熱程度の物価上昇なれば、これは一つの健康な経済現象と見なければなりませんが、それが五%とか六%上がりますと、これは一つの病体と見なければなりません。そういうことを避けるために、ある健康——と申しますと、物価は下がるほどいいのですが、ある程度、経済成長に伴って適正な程度の物価上昇率、これは先ほど松浦さんもおっしゃったように、それが三%台であるかどうかということは別にしまして、その程度のことを私ども物価安定度と考えて、それを持続するという考え方に立っております。しかしながら、ある物品につきましては、技術革新その他によってむしろ下げなければならぬという場合もあると思います。
  185. 貝沼次郎

    貝沼委員 そうしますと、まず二つのことがいえると思うのですね。体温である。ところが、いまはものすごく上がっておるわけです。その体温のもとになっているからだというものが病気になっておるということですね。ということは、現在政府のとっている経済政策というものは失敗である、こう断定してよろしいですか。これが第一番目。  それからもう一つは、これがたとえば三%程度の物価上昇であれば——これはまあ、経済成長を一〇%ぐらいと見ていることであろうと思うのですけれども、それは資本の形成等から見て、私はうなずけないことはありません。しかしながら、そういう考え方からいったならば、値段は、要するに政府考え方では下がらないんだ、こういうことはよろしいですか。
  186. 木村俊夫

    木村国務大臣 私どもは、自由企業体制のもとにおいて、自由経済というものをもとにして経済を運営しておりますから、やはり統制経済と違いまして、政府経済政策がその場合に必ずしも政府の見通しと合致しないようなこともあらわれてまいります。その際には、経済政策の運営そのものに私どもは不十分な点があったということを率直に認めざるを得ません。しかしながら、そういう経済政策の運営が、国際経済の中で、一応流動的な場合もございましょうし、いろいろ、そういう客観的な外部事情によって多少とも食い違いが生ずる、これは各国ともそういう経験をしておるところでございます。そういうことを修正しながら、物価の面についてもそういう病理現象があらわれないように、経済政策全体から考えていくという態度をとっていかざるを得ないと思います。
  187. 貝沼次郎

    貝沼委員 総理大臣にお聞きいたします。要するに、この猛烈な熱が出ておるということは、少なくともいままでのやり方がまずかったわけでございます。この点はいかがですか。
  188. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 だいぶんお手やわらかに、まずかったと——最初は失敗だ、こういうことからまずかったというふうに変わりましたから、いまこちらから言っているように不十分だ、こういう程度、これは認めざるを得ない、かように私ども思います。
  189. 貝沼次郎

    貝沼委員 大体、政府考えていることは感触でわかります。  そこで、いよいよ質問に入りますが、先日、消費者物価の値上がりの原因究明に、農林省が依頼をして、魚介類価格安定対策特別調査団というものができまして、そして三カ月にわたって魚の流通機構調査いたしました。これはもう御存じのことでございます。その結果、報告書が出ておるわけでありますが、これをずっと読んでみまして端的に言えることは、魚の流通は野菜以上に複雑である、そして硬直化しておる、非常に不明朗である、こういうことに尽きるのではないかと思います。この調査に参加した人たちの話がいろいろ新聞などに載っておりますけれども、やはり大きな問題は、魚が水揚げされましてそれから市場でせりにかけられます、それから今度は東京のたとえば築地なら築地に持ってきてまたせりにかけられ、それからまた千葉なら千葉へ持っていってせりにかけられるというぐあいに何回もせりにかけられ、そのたびに手数料その他でもって上がっていく。運賃も入るわけでありますけれども、上がっていくわけであります。そうして、いよいよ小売りに行き、消費者の手に渡る場合はもう非常に高くなってしまっている、こういうのが実情なわけです。  先日、ある人がこういう話をしておりました。普通の商品ならば、手が加えられて何らかの価値が出てくる。そうすれば値段が高くなるのはあたりまえである。ところが、生鮮食料品の場合は、とれたときが最も鮮度が高い。そうして、手に渡るときは非常に鮮度が低くなっておる。それにもかかわらず値段が上がるというのは、一体どういうわけなのか、こういうような素朴な疑問というものを国民は持っておると思うのです。  先ほどからの答弁によりますと、従来からのいきさつがあるとか、急激に変えられないのだということがありますけれども、たとえばこういうことがありますね。マグロなどの場合、産地の市場で、頭としっぽのついたマグロの頭としっぽをぽんと切ってしまう。頭もしっぽもほんとうは要らないものでありますから、切るのですね。ところが、それをまた一緒に冷凍して箱の中へ詰めて、そうして高い運賃をかけて持っていくわけです。何のためかというと、姿見をよくするためである。むしろ頭としっぽがくっついたほうが値がよくなる。何かしっぽの切り口を見て値段をつけるそうでありますけれども、そういうような、普通ならば捨ててもいいようなものが目方に入って運賃が加算されて、それが業者の中でかぶるならまだしも、その分が全部消費者の値段のほうにかぶっていってしまう。こういうようなことで非常にむだなことが行なわれている、こういうようなこともいわれております。  こういうところから、いま例としては魚の流通を言っているわけでありますけれども、この流通機構というものを根本的に、あるいは何らかの方法でこれを改正しなければならないと思うのです。何も統制経済でと私どもは言うわけじゃありませんけれども、やはり手を加えるところは加え、できるところは少しでもよくしていくという姿勢がなければならないと思うのでありますけれども総理大臣は、この点についてどのような見解をお持ちですか。
  190. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 どうも一口に魚といわれましても、沿岸から遠洋漁業まで、またただいまはマグロの話をされましたが、いま国際条約でやっておる鯨からサケ、マスまでいろいろあります。むしろわれわれの身近なもの、そのほうから考えるならやはり沿岸漁業、そういうものについて私どもの感覚を述べたほうがいいかと思います。  ところが、最近の海水の汚濁、汚染、これはまことにはなはだしいのでございまして、私は瀬戸内海沿岸の出でございますが、この付近ももう昔のような状態ではない。そこらでいわゆる養殖漁業などはだんだんできにくい、できがたくなってきておる。こういうところにもずいぶん変化があると思っております。  しかし、また一面、魚の保存等、あるいは冷蔵、冷凍、それらの処置についてはなかなか進んでまいりまして、いま、手をかければだんだん鮮度が悪くなると言われるが、そういうことを避けるようなそういうくふうもいろいろされておると思う。そうして値段がだんだん適正なところに、いわゆる魚の供給量、それを維持するようなそういう方向でやはり市場も整備されつつある、かように私思っておりますので、むしろこの傾向を助長すべきではないだろうか、かように実は思っております。  魚の問題はずいぶん——簡単に魚と言われるけれども、そう簡単なものではない。農林省、さぞくふうしておることだろうと、かように私は私なりに理解しておるような次第でございます。
  191. 貝沼次郎

    貝沼委員 総理大臣、魚は魚で、一口には言えないけれども、むずかしいのだ。むずかしいから、私どもはいまこうして問題にもしておるし、また、政府もいままで解決ができなかったと思うのです。  そこで、農林省はいろいろ考えておるであろうという総理の答弁でございますけれども総理はこまかいことをおそらく農林省からお聞きになっていないのかもしれませんので、農林大臣、これは根本的に流通機構をどういうように変えるつもりですか、変えるというか、改定をするつもりですか。
  192. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 先ほどからお話がありましたように、流通機構もなかなか複雑でございます。一がいに、根本的にとこう言っても、私からなかなか申し上げかねますので、事務当局もおりますから、事務当局から答弁いたさせます。
  193. 小暮光美

    ○小暮政府委員 御指摘のように、蔬菜類と違いまして、鮮魚の場合には大、中、小さまざまの形のものが一気にたとえば網でとられまして、産地の漁港にまず水揚げされまして、そこで加工用にしむけられるもの、あるいは大都市の直接家庭消費用にしむけられるものといったような荷物としての仕分けが行なわれ、その際に一つの価格形成が行なわれるという姿がございます。それがさらに加工場に回りますものは工場に参りまして、直接消費用のものが大都市に回送されてくる。したがいまして、御指摘のように何カ所かで価格形成が行われるということは事実としてあるわけでございます。鮮魚の実態から避けられない一つの形であると思いますが、ただ、次第に水産庁のほうでも、産地における鮮魚の処理というようなことに力を入れてまいりまして、直接スーパーマーケット等に——肉の場合でいえば部分肉に相当するわけでありますが、魚の場合にフィレと称しておりますが、直接消費できるような、骨なり頭なりを取り除いたようなものを産地の漁港等で加工いたしまして、こういうものを消費地に直送するといったようなことを、水揚げ地における水産のセンターといったような考え方で逐次育成してまいるというようなことも別途考えておりまして、在来の形での流通のほかに、新しい技術を加味した流通形態が次第に育ってまいりますようにくふうしてまいりたいというふうに考えております。
  194. 貝沼次郎

    貝沼委員 時間がありませんので、そうゆっくりしゃべられると困るのですが、それではそれはいつごろから始めますか、端的に答えてください。
  195. 太田康二

    ○太田(康)政府委員 私ども水産を担当いたしておるものといたしましての流通の問題でございますが、私ども考えておりますのは、一つはやはりきわめて常識的でございますが、産地における市場の整備、あるいは消費地における市場の整備、これが第一点でございます。  第二点といたしまして、ノリ等につきましては、産地におきます流通改善事業といたしましてノリの保管施設をつくる。これは火入れ施設をつくりまして年間の供給を一定量にするということ。それから消費地におきましては、これを販売するところの施設を生産者団体に助成するということを実施いたしております。  それから、小売り段階の対策といたしましては、すでに話が出たかと思いますが、生鮮食料品の総合小売りセンター、これの設置の助成等もいたしておるわけでございまして、それ以外に小売りの対策といたしましては、御承知のとおり、国民金融公庫等から店舗改善資金等の融通をいたしておるわけでございます。  先ほど経済局長が言いましたところの流通改善の実験事業というのは、特にフィレ等を積極的に取り上げまして、産地で処理加工をして直送するというのは、先ほど先生からお話のございました先般の調査の結果に基づきまして、そういったものも従来の流通に加えて、新しいパイプとして実施すべきではないかということでございましたので、従来は一万一千トンを金漁連を対象にいたしまして、消費地市場を通じて放出をいたしておったわけですけれども、今回はそれを五割ふやしまして一万六千五百トンを対象にいたしまして、その中のかなりの部分を、いま話の出ましたようなフィレの形にして消費地に直送するということも、四十七年度から積極的に実施することにいたしたのであります。
  196. 貝沼次郎

    貝沼委員 政府委員の方は、ちゃんと質問したことに答えてもらいたいと思うのです。いつからかと言ったのですから、いつからということを答えてくれればいいのです。ほかのことを説明されると、時間があと十分しかないのですから。  そこで、この魚の保管ということが問題であるということで、先ほど総理大臣から冷蔵庫等もという話がありました。そこで冷蔵庫が、本来物価がいわば安定するように、とれ過ぎたときに漁民が豊作貧乏にならないように、あるいはまた少ないときに高騰しないようにというような安定の立場から、これは考えられたと思うのですね。したがって、政府からも補助金が相当出ておる。一々数字はあげません。しかしながら、この冷蔵庫がその目的どおりいっておればこれはいいわけでありますけれども、最近御存じのように、たとえばある地方においてスルメイカが投機のために使われておった。要するに来年三月になれば値段がぽんとはね上がる、その投機のためにこのスルメイカが使われた。したがって、本来物価安定のためにあるべき冷蔵庫というものが、物価安定どころか、物価をつり上げる大きな道具になってしまった。こういうことは私は非常に問題だと思うのです。したがって、こういうことについて政府は今後どういう政策をとるのか、この点についてお伺いいたします。
  197. 太田康二

    ○太田(康)政府委員 御承知のとおり、確かにわれわれは冷蔵庫の持つ機能というものに着目いたしまして、水産業団体等に対しまして、産地におきますところの冷蔵庫の施設に対する助成を継続してまいりましたし、さらに四十六年度からは、それをさらに規模の大きなものとして、水揚げ港の多い地域につきましての流通加工センター形成事業というような事業を実施いたしております。それから構造改善事業によりまして冷蔵庫の設置等が行なわれておることは事実でございます。  お尋ねのように、昨年のスルメイカの不漁に伴いまして、これが思惑の対象になって、産地におきますところの冷蔵庫がそのために使われたという事実があることは、われわれもよく承知をいたしております。しかし、もちろん産地におきますところの冷蔵庫の果たす役割りといいますのは、産地におきますところの加工屋さんの需要にこたえるための冷蔵保管もございますし、一ぺんに水揚げがございましたときに、出荷を一時調整するために冷蔵保管されるものもあるわけでございますので、全部が全部思惑のために使われたというふうにも考えられないわけでございますけれども、確かに昨年の鳥取の境港におきますところの冷蔵保管は異常だったと思うわけでございます。  最近のように情報活動が非常に発達したことでございますので、何となく水揚げが減るであろうというような予測が立ちますと、そういった思惑需要の対象になり、投機の対象になるということがあるわけでございますので、われわれといたしましては、そういった場合に投機の目的に冷蔵庫が使われるというようなことのないように、本来冷蔵庫の持ちます機能でございますところの需給の調整あるいは物価の安定の役割りを果たすということで、適正な出荷についての指導ということをしてまいらなければならぬと思っておるわけでございまして、現に昨年の場合にも、県等を通じてできる限り出荷の促進をはかるような指導もいたしました。それが必ずしも効果を果たさなかったというようなこともあるわけでございますけれども、実はそういう指導もいたしております。  今後におきましては、私どもが冷蔵庫を補助いたします場合に、補助の条件として着実に報告をとる、それによりまして過剰な保管の場合には、先ほど申し上げました出荷の督励もするというような形で、適正な運営がはかられるようにしてまいりた、いかように思っておる次第でございます。
  198. 貝沼次郎

    貝沼委員 短くお願いいたします。  それで、必ずしも効果を果たさなかったといま言っております。これはやはりまずいですね。総理大臣、これはまずいですよ。指導したけれども必ずしも効果が出なかった、これではやったことになりません。それから、これから報告をとる、この報告のとり方でいろいろ問題があります。たとえば企業秘密に入るようなことはできませんし、いろいろあると思いますが、いまそこを詰める時間がありませんのでやりませんが、いずれにしてもこういう投機の材料にされないように、今後絶対にそういうことのないように、ひとつきちっと指導してもらいたい。  それから、もう一点問題を出しておきたいと思うのです。この冷蔵庫は、何だ、イカではないかというような感じもありますけれども、これからの日本の食品というものは冷凍されるものが非常に多くなってくるというようなところから、その冷凍品を扱う倉庫というものが、そういうスペキュレーションに使われるようになってくるということが、非常に重大問題をはらんでおる。こういうところから実は私は取り上げたわけであります。  それから、次は市場の中の問題でありますけれども、たとえば出荷業者といわれる大手水産業者、それと卸売会社、この間にいろいろと利害関係があるわけですけれども、この大手水産会社のほうは、たとえば情報の問題であるとか仕切りの問題であるとか、あるいはまた前渡し金であるとかいう関係で、非常に優位に立つ。それにもかかわらず大手水産会社と卸売りの間に、たとえば役員が派遣されておるとか、あるいは株がちゃんと持たれておるとかいうようなことで、いわば系列化的なにおいがあるわけであります。こういうところから最近目立ってふえておるのは、何というか普通の卸が要するに委託を受けて、そしてせりにかけるというものよりも、委託ではなくて、買付け商品を受けてそれをやっていくという場合が非常にふえてきた。これは業界の新聞などでも五〇%とか四五%とかいっておりますし、政府の調べたのでも五〇%という数字が出ております。こういうようなところから、この委託でない方法になってきますと、どうしてもせりによって値段が下がるとこれはもうけがありませんので、したがって同じ五・五%という手数料を卸売りがもらうためには、やはりそこにたとえばさし値であるとか、あるいは売り控えとかいうような操作があらわれて、そして必然的には消費者物価というものがつり上げられてしまう、こういうような現象がいまぼつぼつ見えるわけでありますけれども、こういうことに対してやはり根本的な原因となっているのは、要するに大資本による系列化ということが根本であろうと思うのです。したがって、こういうことに対して政府は今後どのように対処しようとするのか、この点についてお尋ねいたします。
  199. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 取引は公明でなければいけません。公正でなければいけません。そういう意味で監督官庁は、公正な、また公明な取引が行なわれるように十分指導監督する決意でございます。
  200. 小暮光美

    ○小暮政府委員 大資本が、水産の場合に大手の会社が、中央市場の卸売業者と関係を持つということ、これは実は沿革的に市場に卸売業者を創設いたしましたとき、生産者、問屋、買い出し人といったものを打って一丸として会社をつくらせるということで市場にこれを設置したという経過から、その後生産者の一部が巨大な企業に育ってきたといったようなことがございます。したがって、幾つかの卸売市場内の荷受けに大手水産会社の株が、たとえば五%、最高のもので一〇%くらいまで入っておるような現状にございます。  ただ、卸売市場における取引は市場の取引といたしまして、農林省と開設者が厳重に監督いたしております。さし値につきましては、これは生産者の権利を擁護するためにさし値という制度がございますけれども、これに基づいて行ないます場合に、開設者がそれを経理上も十分報告を徴しておるわけでございます。せりの場合には公開で価格が形成されますが、さし値の場合には、相対でやります場合には、これを市場に報告するというような形になっております。  なお、冷凍品が非常にふえてまいりましたということのほかに、水産に独特の形としては多獲性魚、ある時期に一気にとれまして、これを相当の長期間にわたって消費しなければならないという性格がございますので、そういうものに対して冷蔵庫等が適切に活用されるように十分指導してまいりたいと思います。
  201. 貝沼次郎

    貝沼委員 時間が参りましたので以上で終わりますが、まだまだたくさん問題があるので、また次の機会に追及したいと思います。総理大臣が対処するというわけでありますから、各官庁でもその線に沿って、こういうことのないよう、そして国民納得のいくように今後力を入れていただきたいと思います。
  202. 井岡大治

    井岡委員長 和田耕作君。
  203. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 一昨日、消費者団体の代表の方方と各党の代表でお目にかかったのでございましたが、この方々からの質問というのは、いままでの場合には具体的な質問が多かったのですけれども、この場合の質問では、政府姿勢、つまり政府がやるといってやらない、約束をしても守らない、こういうことに対しての質問が集中しておりました。その結果、結局物価問題の根本は、政治資金規正法を実行することだとか、あるいは交際費だとかあるいは広告費だとかいうものを課税する以外にないんだというような発言で、つまり、政府が財界その他との結びつきというものを整理しないと、総理がお約束なさった数々の問題が一向できないのじゃないか、こういう趣旨の発言が非常に多いのです。また、これは単に与党だけではありません。野党の私どもに対しても、物価問題対策特別委員会等では、正しいわれわれの主張を反映するようなことを主張しておられるけれども、たとえば商工委員会とかあるいは運輸委員会とかあるいは農水委員会等では、業界と密着したような議論が、与野党ともなれ合いのような形が行なわれておるのではないかといったような疑問が、一様に消費者団体の皆さん方から出されたことを、非常に印象深く聞いておるわけでございます。  そこで、この段階物価の問題は、たくさんのことを総理はお約束になっておられるから、全部が全部とは申しませんけれども、重要な問題については必ず実行をなさる、かりに実行できなくても、こうこうこういう理由でこれはできないのだということだけははっきりさせないと、国民政治不信というものに連なってくるゆゆしい問題だと思います。  それで、私、きょう通告しましたこと以外に、きょうの新聞を見まして、総理の御所見をお伺いしたいことがございます。それは土地、地価の問題でございます。  申すまでもなしに、新都市計画法というのが、四十四年の国会でたいへんな議論を重ねて政府の提案として出されました。この問題が今年の一月から実施されておるわけでございますけれども、これについては、どく最近、与党、野党を通じて、これの手直しの問題が起こってまいりました。九日の段階では、いろいろ新聞等にも、国民からもずいぶん批判はされておりますけれども、一応の手直しの了解に基づく基準みたいなものがつくられた。ところが、きょうの新聞によりますと、この新都市計画法の目玉中の目玉である、地価の抑制の最も有効な手段といわれる市街化地域の農地の問題、これについて、実際上この市街化地域の農地の宅地並み課税という問題が実施されないような案を自民党の政調会長がおきめになったというニュースがございます。もしこういうことになりますと、いままでいろいろ制限がありましたが、実際にこの手直しによって、市街化地域の農地の宅地並みの課税がまるっきり実際上できないということになりますと、これは大きな政治的な問題にならざるを得ない。  新都市計画法というのは画期的な法案でございます。その中でも目玉は地価の問題。こういうような動きに対して総理はお聞きになっているかどうかわかりませんけれども、きょうの日本経済新聞にははっきりその具体的内容を述べております。時間がありませんからそれを述べませんけれども、こういう問題について総理はあるいは経済企画庁長官は、どのようなお気持ちを持っておられるのか、これを最初に承っておきたいと思います。
  204. 木村俊夫

    木村国務大臣 農地の問題、いま言われましたように、都市計画法による課税の問題、私ども承知しておりますが、まだ、いま和田さんが申されたように、党の政調会のそういう決定がなされたということは承っておりません。
  205. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 市街化区域の農地の課税問題、これは、ただいま御指摘のように、たいへんな問題でございます。いま新聞その他に伝えられた、こういうことですが、私どもにはまだ党から相談を受けておりません。したがって、まだ党の意見というものができているわけではないだろう、かように私は思います。
  206. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 この新聞には、小坂政調会長のもとでまとめた、こう書いてありますけれども、いまのお答えが正しいと思いますが、総理、このような根本的な、骨抜きになるような方向を、総理はこれをそのまま見過ごしていかれますかどうか、これは総理が提案された法律なんですから。
  207. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 もちろんこの問題は、十分その経過をよくトレースしないことには、この席でいま直ちに申し上げることはいかがかと思います。また、私が本会議の席上で、この土地課税問題はただ形だけの課税では困るのだ、これをやはり実地に即したような課税でなければ、われわれの目的を達しない、こういう答弁もいたしておりますから、私のは相当余裕があった、かように思いますので、それらの点であるいは一部、全く私の真意とは違う方向で問題を取り上げられている向きがあるかもわかりません。したがって、そういう意味からも、これはよく検討する必要があるだろう、かように思います。
  208. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 それでは、この改正の、政調会長のもとで改正されておるという方向について申し上げますけれども、九日までの大体各党の調整の意見は私ども聞きました。それによると、つまり市街化地域におけるAに位する農地については、営農する意思をしっかり確かめるため、農業委員会にはかって、市町村長はこれを認めるという形の案が進んでおると思うのですけれども、この案によっても、予定された農地はたいへん大幅に制限されてきますけれども、その中でも二万円という一つのワクがあった、このワクを取っ払おうということにいまの話が進んでいるようです。A農地の中の二万円のワクを取っ払うと、ほとんど全部ということになりかねない。つまり農業委員会というのは、これは悪いのですけれども、そういう緩和することに利益を感ずる人が多いというのが一般の観測ですから、そういうような改正はぜひともやらないように守っていただきたい。そうでないと、これは総理、たいへんな問題。つまり、大騒ぎをしてつくった法律が、実施して、まだ十七県も線引きもできてないような段階で、これを根本的な骨抜きにしようというわけですから、こういうことが今後正式に展開してくるなれば、ぜひとも法の趣旨を、総理自身が提案された法律なんですから、守っていただくようにお願いをいたしたい、そのことを申し上げて、本論に入りたいと思います。  公共料金の問題につきまして、きょうの午前中から与党の委員の方々から、ある期間ストップして、そして検討してみたらどうなんだという趣旨の質問がございました。私どもの党は、これは長年主張している問題の一つでございますけれども、いままでのように経済が棒上げのような形で高度成長をしているという段階では、状態が、条件が非常に変わってまいりますから、ストップしても、条件が変わってくるからなかなか計画が立ちにくいということは理解できます。しかし、現在の段階はどうかといいますと、もう棒上げの経済成長の段階ではありません。総理もおっしゃるように、文字どおり安定的な成長に入らざるを得ない状態に来ておるということですね。こういうふうに大きな経済状態の変化ということを考えますと、今後は、ことに今年なんかは物価値上げの主導になっているのは公共料金だということは、経済企画庁自身も長官も認められておることでございますけれども、こういうような時期ですから、この際、一年と言わず——上げることは賛成ではないのですけれども、この際一、二年の一つ期間を置いて、公共料金の基本である公共企業体とかその他の企業についての綿密な検討をしていくということが必要ではないのか。あのアメリカニクソンさんの新経済政策を出す場合の凍結令の話も出ておりますけれどもニクソンさんが出したあの凍結令というのは、新しい段階に入っていくアメリカ経済というものを前提に置いて新経済政策を展開するための一つの準備としての凍結ですね。これに対して総理は、凍結した結果がどうのこうのという話をなさっておりましたけれどもニクソンさんのあの提案は新経済政策を展開するための準備のための凍結ですね、そういう意味があると思います。現在の日本の経済というのはまさしくそういうような新しい経済の仕組みに入っていく時期に直面をしておるということですから、いままでのように、一年凍結したらその次はまたよけいに上がってくるというような心配された状況とは違うわけなんです。そういうふうなことを含めまして、ぜひとも公共料金のストップという、ある期間ストップをして、そして新しい状態を検討していく。つまり、成長中心から国民生活中心の経済への移行というものを総理自身もおっしゃっておるわけですから、そういうふうな意味での準備期間としての凍結という問題を考える余地があるんじゃないか。こういう問題について総理経済企画庁長官の御所見を承りたい。
  209. 木村俊夫

    木村国務大臣 私は基本的には賛成でございます。しかしながら、いまこの時期に——やはり将来資源配分というものを大きく展開しなければならぬ、それが私は先決だと思います。それがことしの第一年度で相当実現したと私ども考えておりますが、この時期に、公共料金を一昨年十二月にストップしましたのをさらに一年あるいは一年半延長しますことのデメリットということも深くいろいろ考えまして、非常に心苦しいことでございますが、この際はひとつ公共料金をある程度やむを得ない範囲で改定いたしまして、今後資源配分の大きな転換の中で、物価安定という面で大きくこの問題を取り上げていきたい、こういう考えでございます。
  210. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 いま木村君が言いましたが、私は、物価だけを凍結するということは必ずしも適当じゃないのじゃないか。ニクソンの場合、新経済政策をやるにいたしましても、物価賃金、その二つをやはり凍結していく、こういうことを考える。お話は、公共料金だけについてストップだ、こういうようなお話ですけれども、それでは公共料金の従業員は一切賃金はストップかというと、そうではない。これはやはり一般の経済の動向に合っていかなければならない、かように思いますので、私は抑制さるべき筋だとは思いますけれども、しかし、これが野方図に自由価格形成だ、こういう意味で取り扱われることには私も反対でございます。そういう意味から抑制さるべき筋のものだ、かように思っております。
  211. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 私が申し上げておりますのは、経済企画庁長官の御答弁はよく理解できるのですけれども、やはり新しい事態の経済政策という問題を考えなければならない。特に物価を含めて賃金の問題が出ましたけれども、あるいは利子等の問題、所得政策に関するような問題も出てくると思いますけれども、そういう問題を含めても——これは含めるということについてはいろいろ問題もありましょうけれども、しかし、ほんとうに政府が利子の問題についてこれを制限するような意図があれば、あるいは本気になってこれをやるような意図があれば、そういうふうな問題を含めるということも非常に論点になるでしょう。要するに問題は、新しい経済政策なり経済の基調に入っていこうとする時期ですから、とりわけ公共料金については、その時期を開いていくものとして、いまのようなある一定期間凍結をして、そしてその期間に準備をしていくというような気持ちがないのかということを御質問申し上げておる。  総理、今度の国鉄料金の問題にしましても、旅客と貨物の運賃の大幅のアップを予定しているのですけれども、たとえば貨物の問題をとりますと、いまの国鉄の大きな赤字の一番大きな理由の一つが、貨物の運賃の減です。この減というのは、つまり低いというよりは、トラックにとられあるいは船にとられたという、国鉄の経営自体の問題ですね。あるいは、今度二四%上げるという案ですけれども、実際は一五%のメリットがあると書いてありますけれども、はたしてこれができるかどうか、私は非常に悲観的だと思います。第一、この前上げたときは、貨物運賃はああいう苦しいときでも上げることができなかったのじゃないか。つまり、上げても荷物が減るだけだというようなことになれば、国鉄運賃値上げなんというものは全く意味をなさない、そういうおそれが私は多分にあると思う。そういうような問題を含めて、こういう運賃の提起をする場合には、国鉄の財政の問題について、もっと内部だけでなくて検討する時期が必要だと思う。そういう期間が必要だと思う。これは一つの例ですけれども一つ経済政策が大きく変わる時期ですから、そういう問題について、ぜひともひとつこの問題をお考えいただきたい。  ちょうど田中通産大臣が、次の総理大臣の有力候補の一人であるといわれておるのですけれども田中通産大臣に、ひとつこの問題についての御所見を聞かせていただければありがたいと思うのですが……。
  212. 田中角榮

    田中国務大臣 公共料金と一口に言いますけれども、いろいろな問題がございます。三公社五現業のように、かつては国が政策目的を達成するために国営で行なっておった事業もございます。それから電力、ガスのように、法律に基づく特殊会社ということでやっておるものもございます。また、私鉄なども公益事業の一つでございますし、バス事業もそのとおりであり、ハイヤー事業もそのとおりであります。ですから三公社のように、郵政事業一つとってみますとおわかりになるとおり、これは正確に郵便を配達しなければならない。これは雪の山の中の山小屋まで届けるとすれば、コストは一万円もかかるわけでございますが、一枚のはがきはちゃんとはがきの代金で届けなければならない。そういう意味で、国民の税金をもってまかなうということで長いことやってまいったわけでございます。しかし、国民の税金でまかなうという官業は、やはり合理化の余力が乏しいということで、公社制度になって、企業としての努力が注入されるようになったわけでございます。ですから、制度の中では国営事業、それから三公社五現業、特殊会社、また法律に基づく免許事業、それから一般の民間の料金、こういうこととなるわけでありまして、個々の重要度の段階に沿って公共負担、国の負担、地方公共団体負担、税制上の優遇等がなされております。  鉄道は、もとは固定資産税に対しては免税であったものが公社になってからは納付金を払うようになったということでございまして、これを全部とめるということになると、これは国の財政負担が非常に大きくなるわけでございます。  ある意味においてある期間、かつて池田内閣のときも佐藤内閣になってからも、公共料金の一時ストップをやりました。やりましたから、そのときの政策目標を達成されたわけでありますが、そのかわりに物価昭和九−十一年に比べると、政府統計では七百五十倍といっておりますが、土地を除くと千倍といわれております。その中で、鉄道運賃が二百倍というようなことでやっていけるのかどうかということで、鉄道運賃の引き上げが議論せられながらやってきたわけでございます。  ですから、いまあなたが、貨物運賃を引き上げても貨物は減るじゃないか。確かに、いまの鉄道の総輸送量一年間の限界は六百万トンキロだと思います。そういうものが五百万トンキロ、四百万トンキロしか運んでおらないということになれば、これは当然、鉄道に対してどうするかという施策を別に考えねばならないわけであります。西ドイツでは税を使っております。アウトバーンを走る重量貨物トラックに対しては、日本の約十倍の税を課しておるわけでございまして、道路を破損するものは鉄道で、超重量物は鉄道よりも内航海運で運ばなければならないように税体系を整えています。また、鉄道については遠距離逓減を停止いたしておるわけであります。日本は遠距離逓減、石炭を九州から東京まで運ぶような制度、日本は逆行しておると思うんですが、明治時代の残滓としてずっと続いている気もいたします。  そういう意味で、公共料金は、ただ一がいに一定期間停止をするというと、思い切って上げなければならないときがまいります。ですから、国の政策上国や地方公共団体がどのように負担するのかという、いわば重要度によってこれは押えていかなきゃならぬわけでございます。ですから、先ほど申し上げましたが、電力及びガスなどは、昭和二十九年から上げておらないでも何とかやっておるのでございますが、何とかやっておるからといって一〇%成長になれば、関西電力は少なくとも一〇%の節電をしなければならない、こういうことでございますので、公共料金というものは一つ考え方だけではなくて、一つずつの問題に対して生活に直結するものは押える、しかしまた、鉄道のように応益負担ということで、やっぱりこれは国民負担するよりもどうしても利用者負担するという原則に立つものは、応益負担の原則を貫いていくべきだろう。有料公開の原則にに立つものは、有料道路の制度をとられてすでに十七年という事実を考えてみれば、公共料金という定義に対しては、内容的に分析して重要度、生活に直結するものから段階をつけてなすべきだと思います。
  213. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 ちょうど通産大臣がおっしゃられたような理由によって、ある期間そういう問題を検討する必要があるのではないかということで申し上げておるわけでございまして、これはいま思わぬ時間をとってしまいましたけれども、きょう私、主としてお伺いしたいのは輸入政策の問題でございます。  先ほどから、円切り上げの問題に関連したことは各委員から述べられましたので、これには触れないことにいたしますが、午前中、与党委員の質問に対して総理は、農は国のもとだ、八〇%くらいはというお考えを出されたのでございますけれども、これは私、どうかと思うのです。簡単でよろしゅうございますから、企画庁長官あるいは通産大臣、農林大臣、同じようなお気持ちでしょうか、あるいは若干違うような気持ちでしょうか。その辺についてお伺いいたしたい。
  214. 田中角榮

    田中国務大臣 画展は立国の大本であるというのは百年来のことばでございまして、豊葦原の瑞穂国の時代からずっと続いておることでございまして、いま急に変わるということは考えられないのでございます。これは通産政策の上からも申し上げられることでございますし、その国の中で食ってしまうもの、完全に消費をしてしまうものというものは、なるべく自給自足をするということが原則でございます。  日本は、膨大もない原材料を海外から輸入して、これに国民的英知を加えて輸出をする、他人に物を売るということで、百年間、国民生産国民所得が拡大をしてきたわけでございます。これは内需を伸長しなければならないということも一つ経済的なものでございますが、あくまでも日本人がつくったものを日本人が消費をしては、これはもう日本の経済が拡大するはずはないのでございます。そういう意味で、米を輸入しなければならなかった昭和二十九年までの国民の耐乏生活というものは、如実にこの実態をあらわしておるわけでございまして、貿易というものが行なわれるということ自体によって国民生産国民所得が拡大をしてまいります。三十年に二百六十億ドル国民所得が十五年後、四十六年には千七百億ドルというところまでいったわけでございまして、それだから二〇%以上の社会保障費を拡大をしてまいりましたし、年率二〇%以上の公共投資をやってこれたわけです。やってきたけれども、社会環境はまだこのような状態である。  こういうことを考えますと、どうしても国民が消費をするもの、その中の食糧というものを——これは全部が全部完全に一〇〇%自給自足ということではないと思います、これは嗜好も変わってまいりますから。八〇%程度、日本で自給自足をする、これは政治のやはり一つの重要な問題である、こう思います。総理の言ったことと全く閣僚も同じでございます。
  215. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 もしそうでございますと、今度の物価安定政策会議が提案をした輸入の活用に関する報告という、これは政府、長官もお認めになった、この報告の趣旨とは全く違うということですね。そういうようにお考えになりませんか。つまり、この輸入の活用に関する報告というものの趣旨は、現在残っておる残存輸入制限品目四十品目いろいろあげまして、この文の意味は、ほとんど大部分はもう解除できるんじゃないか、したほうがいいんじゃないかという、この趣旨を根本にしての勧告だと思うのですね。むろん割り当て数量、割り当てワクを拡大する、あるいは関税を引き下げるという趣旨の勧告だと思うのです。  総理がおっしゃった、いまの農は国のもと、八〇%は維持するというお考えは、大体農業就業人口が国民の中の六〇%から七〇%以上のときのおことばですね。現在はもう一〇%前後です。その段階でそのようなおことばを承るとは、先ほど午前中からのいろいろな意見の食い違いは、みなその問題に関係をしておる。肉の問題でもそうです。その他の全部の、いままでの朝からの各委員の質問と食い違う点は、全部そうだと思います。そういうふうな矛盾の局面に立っておりますので、しかも政府はそういうふうなお考えを持っておられる、お考えを持っておって輸入を積極的に活用するというのは——今度の経済企画庁長官の所信表明演説の、総理もそうですけれども、第一項にあげているのが輸入の活用です。それと矛盾しやしませんか。つまり、そういうところに、おやりになると言いながらやれないという問題が、過去十年にわたって累積してきている。先ほど申し上げたとおり、日本の経済も、いよいよ成長中心から国民経済中心へ切りかえると総理もおっしゃっておられる。そういう時期ですから、こういう問題を含めて真剣に討議すべき時期に来ていると私は思います。企画庁長官、どうでしょうか。
  216. 木村俊夫

    木村国務大臣 農が国の基本であるという総理お答え、私も同感でございますが、ただ、世の中は変わってまいりますから、やはり国際化に適応するような農業でなければならぬ、こういう意味で、私は、むしろ輸入政策と将来あるべき農業のあり方というものは必ずしも矛盾しないと思います。したがいまして、提言にありますような輸入化政策、これは国民生活のために強力に進めなければなりませんが、その間にあって、やはり農業も国の大きな一部でございますから、その国際化に耐え得るような国内政策を強力にやっていくということも同時に必要だろうと思います。
  217. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 きょう質問を予定したものが半分くらい残ったんですけれども、大体御意向はわかりました。これで質問を終わります。
  218. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 時間が来たようですけれども、和田君にいま、誤解のないように一言お話ししてみたいと思います。  と申しますのは、国によりましていろいろの政策をとっている。日本の場合は、これはもう明らかに工業原材料は外国に依存しておる。国内にないのですから、これはやむを得ないと思います。また、かつての英国、重商主義、そういう意味からも、もう食糧までも外国に依存した。しかしながら、やはり島国である英国、これはもうできるだけ食糧の自給度は維持すべきだったと、こういうことを最近になって申しております。私は、日本の国も同じような島国だ、こういうことを考えると、少なくとも食糧、この自給度はある程度維持すべきだ、このことを申すのでございまして、何でもかんでもと、こういうわけじゃございません。また、そのときにも、農業従業者がだんだん減ってきておるということを申しました。一七%程度になっておること、それも知っております。六〇%時代の農業、国本だ、こう言うのではございません。いまのように農業従業者が少なくなってはおりますけれども、しかし、食糧そのものは、やはり自給度はある程度どうしても維持すべきだ。その辺が大体八〇%程度ならどうだろう、こういうように実は思っておりますが、そこまでは維持ができてないのが現状ではないかと、かように思います。
  219. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 私の時間がありませんから、大事な問題で意見を述べたいのですけれども、これで終わります。
  220. 井岡大治

    井岡委員長 栗山礼行君。
  221. 栗山礼行

    ○栗山委員 ちょうど同僚和田委員の質問で四分多く経過いたしました。やや五分に入らんといたしております。これは御了承いただいて、私、正確に三十分の時間をお与えいただきたい。これもひとつ委員長に要望申し上げておきます。  私、実は総理に三点お伺いをいたすという予定をいたしておりましたが、同僚の和田委員の補足的な問題、しかも一重要な案件かと存じますので、地方税の固定資産税によるいわゆる宅地並み課税の問題について若干の意見を申し述べて、私は総理の特に頭の中で御記憶を深めていただきたい、こういう一つの点がございます。  いろいろ議員立法であるとかあるいは自民党の機関によります延長論であるとか、さまざまな議論を新聞紙上を通じて拝見をしたのでありますが、それはともかくといたしまして、私の承知をいたしておる限りにおいては、ここに農民を愛される、しかも農政のエキスパートの赤城大臣がいらっしゃいます。また片や、これに関連いたしまする自民党の唯一の都市政策の権威者であり、いまは通産大臣田中さんがいみじくもおられる、こういうような関係を持つところでございますので申し上げるわけでありますが、御承知のとおり、税の基本については、担税能力によって税が課せられるものだ、これが基本の理念だ、原則だと解しておるわけなんでありますが、そこに税法上の問題の疑義が存するということが一つであります。宅地並み課税という一つの方式に大きな疑義が存在いたします。特にまだ線引きの過程におきまして、十七県にわたりまして新都市計画法に基づく線引きが終えておりません。十七県と申しますと、約七百余にわたる自治体が、都市計画法に基づきます一つの整備が進んでまいっておらぬ。こういうときにあたりまして、四十七年の一月一日からこの地方税法の固定資産税の実施をはかってまいるというところに、この根本の問題が存する。しかも私は、物価問題の最たるものは土地問題であろうかと承知をいたすのでありまして、また都市政策の推進は、この土地問題なくして論ずるわけにはまいらない、こういう諸点をひとつ十分勘案を願いまして、この問題は早くお進めをいただきませんと、御承知のようにもう一月一日から実施をするということであります。各地方団体にわたりまして、個別書類によります審査が出されますと、地方自治体でもう一年や二年で個別審査の対象に取り運んでまいるということは、事実上これは困難な内容であろうか。こういうことを考慮いたしまするときに、個別審査の是非の論は別にいたしまして、よほど問題の存するところであろうか、かように考えますので、ひとつ御賢了上、すみやかにこの問題の高度な政治的な対処をはかっていただきたい、これが私のきょうの質問外の、総理にお願いを申し上げる意見でございます。御参考に供していただきたい。  三点、総理にお伺いをいたします。  私、時間がございませんから、もうきわめて素朴に端的に申し上げて、お伺いをいたしたいと思っておりますが、総理物価安定のきめ手というものを一体どう見ていらっしゃるか、こういうことに尽きるわけでございます。あえて私はここで、現在の日本経済がインフレ経済で、その可否を論ずる時間と内容を持っておりません。しかし、私の解釈によりますと、インフレ経済でございますことは否定すべからざる日本経済の実態であると承知をいたしております。特に今度は御案内のように、財政主導型による予算とも称されましたり、また、中曽根総務会長によりますと、自民党主導型の一つ予算の編成ということで、胸を張って新聞に発表されたというようなことが、新聞で伝えられておるわけであります。その中身は若干の修正がございましたが、「イイヨナオシ」というようなことで、十一兆余にわたりまする膨大な一般予算でございますこと、あるいは財投で五兆六千三百五十億、こういうふうな内容を持っておりますこと、それを裏づけますものについて、建設公債と名のつきまする一兆九千億円の公債がある。こういうような諸点を考えてまいりますときに、私は、日本経済の行く手の問題に多くの不安を感ずる一人でございます。  私は、そこで問題は、こういうようなインフレ経済を続ける限りにおいて、物価問題は解決のつかざるものである。しかもこれは、部分的に鎮静的な形をとりましても、悪化の傾向をたどる一つの要因でございまして、長期的に見て、決して物価問題に対処する方策にはならない、こういうふうに考えまするときにおいて、私は、一つの転換の年でございまして、日本の経済に一大転換をはかるという勇断と英知を求めておるのではないか、かように考えておるのでありまして、大臣の所見をひとつ端的にお伺いをいたしたい。  第二番の問題につきましては、円の切り上げ後における一つの問題として世上でいろいろ論議されておりまする問題は、いわゆるデノミネーションの問題でございます。私は、総理大臣が、お立場から申しまして、大胆直明に御答弁をいただける問題だと思うのです。したがって、私は、経済政策の大転換をはかっていくという一つの御決意のほどをお伺いいたしますとともに、日本の経済がインフレから、総理の申しておられますような、真に国民の自由と人権と豊かさを確保するという経済繁栄の基本は、私はデノミネーションの実施にあると痛感をいたしておる一人なんでありますが、このデノミネーションについて、いろいろプロセスやあるいはその手段や方法等につきましてお伺いをいたしたいというわけではございませんが、端的に総理のデノミネーションに対する御所見を拝したい、これが第二点でございます。  それから、第三点の問題につきましては、木村経済企画庁長官もここにおいでになるのでありますが、物価庁的要素を持っておる経済企画庁でございますけれども、たいへん失礼なことを申し上げるようでありますけれども一つの企画であったり、あるいはプランメーカー的な一つの役割りでありまして、各省にわたります一つ物価問題の物価庁として何らの権限を持たざるものが現下の経済企画庁なり、こういう性格規定を私はいたしておるわけでございます。これは長官の名誉をはなはだ失するような表現ではなくて、企画庁自体の置かれた条件というものはそういうことだ。もし木村長官が目をおむきになれば——私は過般新聞でながめましたが、消費者団体の婦人があなたにお会いになりましたときのあなたの御答弁の中におきまする意見というものは、いろいろ皆さんの御意見はわかるけれども、ぼくの企画庁の意見は通らないのだ、こういうふうな話をなさいまして、それは物価庁の長官としての言としては、私どもは聞こえません、閣議もお開きになるのだし、長い間総理と苦労を共にされておる長官が、経済企画庁の物価政策の問題について推進することができないというような状態はおかしいじゃございませんかということを長官に抗議的話をした、こういうような、私がみずから伺った内容がございまして、新聞もそういうような取り上げ方をいたしておる。こういうふうなことを考えまするときにおいて、私は確かにその一面を否定することができない。  そこで、総理に、現在の経済企画庁が各省にわたりまする総合的物価政策の推進をはかって、いまや国民が待望いたしておりまする物価問題に対処する権限ある、経済企画庁でなくて企画省としてひとつ運んでいくという御意思というか、あるいはお考えを求めたいのでございます。  この三つの所見をお伺い申し上げたい。
  222. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 第一点は、政府政策はインフレーションに徹しておる、終始しておる、こういう言い方をされたように思いますが、御承知のように、現在の日本の経済、これは停滞しておる経済だ、かように私ども思っております。もっとこれに活気を与える、こういうことが望ましいのではないか、そういう意味で刺激を与えることに昨年来いろいろ努力している最中でございます。御承知のように、昨年も年内減税をやった、こういうことは、ただいまのような景気が停滞している、一日も早くその停滞から抜け出たい、かような意味でございます。ことしの予算もそういう意味で、この停滞から抜け出すような意味予算を組んだわけであります。これはどこの、自民党主導型だとかなんとか、そんなことを言う必要はないのでございまして、これは財政主導型、確かに政府自身が持っている財政的な力をもってただいまのような景気を浮揚さす、これに第一弾を置いたのでございます。しかも、そのもとにおいて物価は一体どうなるのか。これが物価をつり上げることのないようにあらゆるくふうをしながら景気浮揚をやっておるというのが現状でございます。したがって、この点については先ほど来いろいろ議論しておりますが、その景気浮揚の必要なこと、同時にまた、その際に最も注意をしなければならないことは、物価のほうに悪影響があっては困ること、これはもうそのとおりでございます。  第二の問題、デノミネーションを考えているか、考えておりません。これは簡単にお答えしておきます。  第三の問題、これは経済企画庁長官のいわゆる権限、これがやはり農林物資あるいは通産物資等々、厚生省にもありますし、すべての役所に関係のある問題でございます。これはいわゆる権限はございませんけれども、合議体でただいま運営しておる。したがって、ただいま内閣の性格といたしまして、物価の問題と真剣に取り組む、こういう立場でございますから、経済企画庁長官の考え、また同時に事務当局の考えなどが十分その会議において反映されれば、その意見は通るものだ、かように私は理解しております。
  223. 木村俊夫

    木村国務大臣 私が婦人団体と会ったときに申し上げましたのは、みずから責任を回避するという意味ではなくて、私の努力の足らざるところを申したわけでございまして、誤解のないようにお願いしたいと思います。
  224. 栗山礼行

    ○栗山委員 木村長官には、私も物特の末端を汚している一人でございますから、重ねて関係委員会等でいろいろお伺いを申し上げるということで、ここでは大まかななにをいたしたいと思うのですが、ただ一点だけ、長官に重要な問題を伺っておきたいと思います。  所信表明を拝見いたしたのでありますが、その中で、消費者米価についてですが、小売り業者に競争の原理を導入するため新規参人規制を緩和する、こういうことを言われておるのでありますが、その意味するところは、端的にいってスーパーであるとか、あるいは百貨店であるとか、あるいは生協であるとか、一般食料品店であるとか、そういう諸店について小売り店を拡大するという一つのとらえ方として御説明のあったものかどうかということを伺っておきたい。
  225. 木村俊夫

    木村国務大臣 いまお話しのとおりでございます。
  226. 栗山礼行

    ○栗山委員 公共料金につきまして先ほどまでいろいろ論議をされまして、私は、公共料金個々の問題に触れていきたいという考え方は持っていないのでありますが、ただ、公共料金の問題は一般物価問題と異なった性格を持っておるということは、もう論をまたないことでございます。一般の料金というものは需給構造の関係等もございまして、値段の上下がございます。しかし、公共料金を私が若干調べてみますと、きわめて例外的なものはあるかもしれませんけれども公共料金が値下げをしたというような価格の変動がないわけなんであります。ここに公共料金の問題のいわゆる一つの盲点が存在をいたすというのが、私の発想の基点でございます。私は、この点の企画庁長官の御答弁をぜひ求めておきたい、かように考えておるわけです。  もう一点は、私のとらえ方について。公共料金というもののあり方を的確にいたしますことによって物価問題は大半の成功をおさめた、こういうことになるのじゃないか。過般の予算委員会で長官が、公共料金物価に与える寄与率は〇・七だというようなことを説明されておるのを記録で拝見いたしたのでありますが、これはきわめて重大な問題だというように考えておるわけであります。そういう私のとらえ方からいたしますと、〇・七というような問題じゃなくて、公共料金それ自体が一般の物価の動向にいかなる役割りを果たしてまいるかという観点に立って、公共料金方向づけをしていただかなければならないのではないか、こういう点、私の意見をまみえまして御意見伺いたい、かように考えております。
  227. 木村俊夫

    木村国務大臣 私もそのお考えには賛成でございまして、公共料金政府が関与する料金物価でございますので、たとえば昭和四十二年から昭和四十五年間の平均年率をとってみますと、公共料金は二・九%の上昇率でございます。それに対して一般物価が五・七%、低位に公共料金を押えておるということは、この実績でもってもわかっていただけると思います。そういうふうに公共料金政策と申しますか、一般物価が非常に騰貴を示す場合には、それに対する一つの心理的、社会的抑制効果として公共料金を利用する、あるいは物価の騰貴のピークをならすという意味において公共料金政策をとっていくということは必要でございます。しかし、公共料金といえども、栗山さん御承知のように価格体系の一つの部分でございますから、これを長期に固定することはやはり資源配分上問題がございますので、やむを得ないときには、これを極力抑制しながらもある程度の改定をするということは、私どももやむを得ないこととして考えております。
  228. 栗山礼行

    ○栗山委員 限られた時間でございまして、通産大臣お尋ねを申し上げます。  去る三月三日の物価対策閣僚協議会でも協議されたと承ったのでありますが、輸入政策の積極的な活用という点で御協議をされました点について一、二点お伺いをいたしたいと思います。  その第一点は、残存輸入制限品目の輸入ワクの拡大の問題でございます。目下どのような品目の輸入ワク拡大の方向でお運びをいただいているのかというようなことになりますと、これは大臣からみずからお答えをいただくということはできません。また、担当からお答えいただきますと、ちょうど私の質問の妨害になりますから、後日、ひとつ文書をもって御回答をちょうだいするということにいたしてまいりたい。  ただ、この一点は、過般、ニクソン佐藤総理のサンクレメンテにおきます会談の中に、田中通産大臣がこのりっぱな資料を持っておいでになりまして、私ながら、苦労いたしまして翻訳を求めまして、内容を検討いたしてまいったわけでありますが、これによりますと、日本の輸入制限品目は四月でわずかに三十四品目にすぎないのだ、アメリカさんのほうはということになると、百三十二品目の制限を行なっているではないか、こういうような一つの内容でございます。田中通産大臣は、アメリカに対しまして、日本と米側との間における一つの不均衡の問題についてどのような交渉をされておるかということが一点でございます。私は、単に物価問題から輸入ワクの拡大ということを論ずるべきではない、自由化の中における一つのワクで進めてまいらなければならぬということを考えておるのでございますけれども、あわせてこの問題についての所見を簡単にお願いしたい。
  229. 田中角榮

    田中国務大臣 サンクレメンテ会談以前、昨年の九月からずっと輸入の自由化を迫られておったわけでございます。特に農産品に対してと、もう一つは電算機の自由化というものに対して強く求められておりました。そういう意味で、私も印刷をいたしまして、こういう状態になっておるのだ、日本は、百二十品目を一年半ばかりでもって四十品目にし、しかもそれを三十四品目に四月一日にしようとしているのだ、あなた方のほうはこういう状態ではないかというので、それは私が向こうを説得するためにつくったものでございますから、百三十品目に対して三十四品目ということではありませんが、しかし、その事実はアメリカも理解をいたしました。アメリカは、国会に対してもこの事実は述べるということでございましたので、そういう意味では、日本が非常に自由化をおくらしておるのだということに対しては、認識を新たにしたわけでございます。そういう意味で、子牛五千頭、工業製品の四月一日の関税引き下げ、自由化を二月一日にするというようなことで一年休戦になったわけでございますので、いまお示しになりましたその書類は、日米間の友好増進のためには非常にものをいった、こういうことでございます。
  230. 栗山礼行

    ○栗山委員 第二点の問題についてあなたの所見をお伺いできなかったのでありますが、これはまた、立ち話でお伺いをすることにいたします。  農林大臣、せっかくお越しをいただいておるのでありまして、これは一発回答、それから通産大臣も一発回答でございます。  米の物統令が四月一日から廃止されるという問題に対しまして、あわせて米の自由化が予想される、こういう意見もあるわけでございます。したがいまして、農政の所管大臣でございます赤城農林大臣は、外国米の輸入の自由化ということについてどのような見解をお持ちになっていらっしゃるか。これを一言でけっこうでございます。  それから通産大臣も、賛否、イエス、ノー、こういうことでひとつお答えをいただきたい、かように考えます。
  231. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 安いものならば買ってもよかろうという考え方からすれば、輸入したほうがいいというようなことになると思いますが、私の考え方からいたしますれば、先ほどから話が出ましたように、農業というものは生産する立場であるし、日本が資源のない国でありますから、そういうものを輸入して加工して出さなくちゃならぬ。そういう場合に、農産物を安いからといってむやみに輸入すればいい、こういう立場は私はとりません。でありますから、米は余っているようなこともありますが、加州米なんかは、価格からいえば国内の半分でしょう、しかし、これを輸入するというようなことは、絶対に私は考えておりません。
  232. 田中角榮

    田中国務大臣 米の輸入に対しては、農林大臣の御説のとおりでございます。
  233. 栗山礼行

    ○栗山委員 公取委員長に、きょうは粗鋼の不況カルテルの問題についてお尋ね申し上げるつもりでございましたが、残念ながら、私の質問のまずさでそこまで入ることができませんでした。ただ、原則的な問題を一点だけお伺いいたします。  自由競争が原則で、カルテル行為そのものがきわめて例外的な処置として存在するものだ、私はこういうふうに法の精神を理解をいたしておるわけであります。不況カルテルの認可された業種が、たとえわずかであっても、それは株の配当の利益金とか土地売却による利益金、こういうふうな名目上の問題はいかようでございましても、株主に配当をいたしておるという企業が不況カルテルの認可をされるということについて、私自身は、合理性を欠くのではないか、こういう見解を持つのでありますが、これも端的にひとつ御説明をいただきたい、かように思います。
  234. 谷村裕

    ○谷村政府委員 私どもは、法律の要件に照らしていろいろな企業の内容を調べて、そうして必要やむを得ないという場合には認可をいたしたのでありますが、その場合に、配当という問題は、確かにおっしゃるとおり、企業のいわば外見的な、外に示す経理状況というものをあらわすものでありますだけに、意味がある問題だというふうに思います。  しかし、私どもがこの前審査をいたしましたときには、認可にあたっては経理内容の実態というところでそれを見たわけでございまして、配当そのものは企業のビヘービアの問題であるというお答えをここでいたしたこともございますが、私の率直な希望を申しますならば、企業は、ほんとうに苦しい、自分たちはたいへんなんだということを世間の方々にわかっていただくというつもりならば、やはり見かけをつくったような形での配当をなさることがほんとうにいいのかどうかということを真摯に反省していただきたいというのが、私の気持ちでございます。
  235. 栗山礼行

    ○栗山委員 どうもありがとうございました。
  236. 井岡大治

    井岡委員長 次は津川武一君。
  237. 津川武一

    ○津川委員 佐藤総理、これは皮肉でもいやみでもなく、国民がそう思っておるから申し上げますが、あなたの総理期間中一番物価が上がった、上がりぐあいも、上がった品目も一番多い、これが率直な国民の声であります。もう一つ、今度は膨大な赤字国債を発行して、財政インフレでまた物価を上げる。その次には、政府が比較的やりやすい、押えやすい公共料金を軒並みに上げて、また国民を苦しめる。これに対して、あなたはさっきから、私も焦燥を覚えているんだ、申しわけないと思っている、凍結しても、凍結期間中何をすればいいのか、凍結後に何をすればいいのかという答弁なのです。  そこで、あなたは黙って、このまままだ物価を、公共料金を上げたままで退陣するのか、最後であるから、ここで何か具体的な行動に移すつもりなのか、これをまず聞かしていただきます。
  238. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 ずいぶん長い期間総理をやらしてもらっているので、また皆さんの御協力を得ながら、その間にはいろいろなできごとがございました。物価も、ただいま御指摘のようにずいぶん上がったと思います。これは私だけの責任だ。また、皆さんにそれを、一部を分担してもらうつもりで申すわけではございません。ただ、ただいまのように長い期間だった、こういうことであります。  また、その次の第二点、予算、これについては先ほどお答えしたばかりでございます。栗山君にお答えしたので御了承いただきたいと思います。私は、ただいまの景気浮揚、これが何よりも大事だ、かように考えておりますので、これに力を注ぐつもりでございます。  第三点、いわゆる公共料金を上げる——公共料金は、私が申し上げるまでもなく、労使双方でみずからの力で合理化を進める、そういう努力をずいぶんいたしましたが、なかなか限度があってそうもいかない。このまま推移するならば、公共事業の質と量、これが下がっていくだろう。国民に対してはたいへん耐えられないことになるだろう。したがって、一般会計からも援助いたましたが、また応分の受益者負担もしてもらう、かような考え方でございます。
  239. 津川武一

    ○津川委員 いまの総理の答弁だと、景気浮揚さえすれば物価は上がってもよろしい、公共料金が上がってもよろしいというような意味にもとられますが、そういう意味ではないと思います。その点、ひとつもう一回答えていただく。  それと関連して公共料金です。田中通産大臣ははしなくも言っていましたけれども、公共事業、公共性のある仕事、サービス、これは国民の命と暮らし、教育などという基本的なものにつながるものであって、これをよくすることこそが国政の基本だと思うのです。この公共的な事業に対する認識、それなくして、経済性から上げていくという形に問題をすりかえていやしないか。  今度の国鉄を見ますと、愛媛県で、駅のところにミカンの集荷場をつくってベルトコンベヤーでこれを貨車に積む、この駅の貨物取り扱いを廃止する、これが愛媛です。青森のナガイモは、せっかく駅が扱ってくれるから生産している。この貨物取り扱いを廃止する。これではナガイモはだめになります。郵便料金、電報料、あの都合のいい慶弔電報をなくする。国民にこういう不便をかけていく。これで公共サービスができるかどうか。この点をきちんとやはり国民にサービスをする体制をつくる。そのためにまず料金はとめる。そうして何をやらなければならないか、根本的に考えた上で、ここを考えていく。これに必要な国の投資をする。これでこそはじめて公共料金、公共的な事業、サービスに対する国政の基本だと思うのですが、違っていませんか、あなたたちの考え方は。  企業性でここで物価を上げ、公共料金を上げていく。この点の認識をひとつあなたと田中通産大臣、二人に聞かしていただきます。
  240. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 先ほど申しましたのは、栗山礼行君に対する答弁をはしょったから、景気浮揚すれば物価は上がってもいいのか、こういうようなお話ですが、さようには私は思っておりませんし、さようにはお答えはしておりません。ずいぶん頭のいい、回転の早い方だから、十分御理解をいただけるだろうと思います。景気浮揚、同時にそういう際に物価、これを上げないように、悪影響がないようにあらゆる努力をする、こういうことを申し上げておりますから、その点はちゃんと、一体としてものごとをお聞き取りいただきたいと思います。  また、公共料金の問題、鉄道の場合の問題、ただいまベルトコンベヤーやあるいは青森の貨物駅の問題のお話がございました。そういう事柄があるからこそどうしても鉄道事業というような公共事業はやめられないのだ。いわゆる質、量ともに国民に便益を供与しているんだ、したがって、そのものはやはり維持していかなければいかぬ、これが大事なことであります。世の中には、赤字線だからそれを廃止しろ、かようにずいぶんいわれますけれども赤字線だからといって、その地域の住民に不便を与えていいというようなものではない。赤字線なればこそあらゆるくふうをして、何とかそれが成り立つようにしていく、そして国民に便益は供与する、これでなければならない、かように私ども考えております。
  241. 田中角榮

    田中国務大臣 佐藤内閣の閣僚でございますから、公共料金の問題に対しては、全く総理と同一ございます。
  242. 津川武一

    ○津川委員 佐藤総理の話を聞いていると、おれは物価を下げるために、公共料金を上げないためにどうするということを一言、半言も言わないで、ほかのことばで逃げております。そこで、具体的な質問の魚のことで、総理が、魚の値段を下げて、いい魚をどう国民に供給するかについて、あなたの具体的な行動を尋ねていきます。  そこで、魚ですか、この十年間、間違いなく確実に上がっていったものが生鮮魚介類。その上がり方は、総物価の卸売りの物価指数で十年間に一〇九%へいっているのに、生鮮魚介類は二七八%であります。ここのところ、やはり日本人の重要なたん白質源として、二百万トンも足りないたん白質源の重要な問題として、魚を安く供給するということが非常に必要なことでございます。このことを考えて、どのようにして魚を安く供給するかということを考えたことがあるかどうか、考えたことがあるとすればどうするつもりか、今度はそれをだんだん具体的な行動で答えていただきます。
  243. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 先ほど貝沼次郎君から魚の話が詳しく出ました。お聞き取りだったろうと思います。御承知ならそのほうの答弁は略さしていただきますが、私自身も瀬戸内海の沿岸に住んでおります。しかし、最近はずいぶん海がよごれてまいりましたので、汚濁しておりますので、なかなか昔のような魚は食べるわけにはいかない。ずいぶん困っております。  大体近海漁業ではいわゆる養殖が始まった、そういう際でございます。そうして、ただいま言われるように豊富低廉、これは特殊なものでございますが、養殖でそれを供給する。淡水ばかりじゃございません。海の魚もさようでございます。また、沿岸、さらに遠洋漁業等それぞれについてそれぞれの対策を立てております。  私ども日本人とすれば、他に比べてたいへん魚の食べ方が多いようでございます。しかし、最近は日本近海にはほとんどわれわれに供給される魚はなくて、最近はむしろアフリカ沖のほうが非常に多い、こういうような実情になっておる。だから、そういう意味からも、これが安く入るためには、近海ものと遠海もの、また魚の種類によりまして、そういうものに対してはそれぞれの施設、いわゆる冷凍倉庫あるいは冷蔵庫その他等によりまして適当にやられる、かように御理解をいただきたいと思います。  ことに、私どもの最も身近な生活から見まして、ノリあるいは魚介、そういうものは、これはどうも日本の沿岸でできるものがだんだん沿岸から遠くなりまして、沖でノリを養殖するようになった。また、朝鮮近海からもこういうものが入ってくる、こういうようになりまして、供給の地域もずいぶん変わってきておるというのがいまの現状ではないか、かように私は理解しております。
  244. 津川武一

    ○津川委員 いろいろ答えてくれたのですが、魚がこんなふうに上がったのは何のためか、このことです。魚の漁獲量はここずっとふえているのです。ふえておって、しかも魚の値段が上がっておる。大衆魚であるサバ類もぐんと上がっている。収獲量がぐんとふえているにもかかわらずサバの値段が上がってきている。これをどのように認識して、この原因がどこにあると思っていますか。
  245. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 これはむしろ水産庁よりも、専門家でない私が答えたほうがいいかと思いますが、これは申し上げるまでもなく、漁業従業者、その立場も十分尊重されなければならない。いわゆる魚がたくさんとれるから、こういうことで低収入に甘んずるわけにはいかないと思います。ここに人の問題がある、かように御理解をいただきたいと思います。
  246. 津川武一

    ○津川委員 佐藤総理に言わせると、魚はたくさんとれたけれども生産者や魚関係の労働者のほうによけい回したから、こういう意味にとれるわけですが、総理、サバは生産地で値段が下がっているのです。うんと下がっている。二割くらい下がっている。そうして中央卸売市場へ上がると二割五分も上がるのです。これが一つ。もう一つは、市場で荷物を生産者から出していただいて、これを卸にかけるのが法律、それから受け取った荷物をせりにかけてやるのが法律。ところが、この二つのことをきめている法律の中にただし書きがついている。生産者から荷物を受けて売るのが原則だ、ただし買い付けてもよろしい。せりにかけるのが原則だ、ただし相対売りをやってもよろしい、こう書いてある。そこで、委託を受けてやっているのが、東京の築地市場でいうと四割八分、ただし書きの買い付けが五割二分。東京の築地の市場でいうとせり売りが四割、ただし書きの相対売りが六割。これで価格が上がっているのですが、このことをあなたはどう考えていますか。直す腹はありますか。
  247. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 先ほど魚の問題で、一番鮮度の高いときが一番安い、こういう御意見が述べられました。それは、とれるところでは鮮度が高い、それがだんだん市場にかかり、さらに小売りの店に並ぶときは鮮度が下がっている、これが一番高くなっている、これは矛盾じゃないか、こういうことです。ただいまの津川君のお尋ねもその一環をお尋ねだと思いますが、私は、このことは、先ほど来申し上げるように、いまの経済機構そのものをよく御理解いただくと、なるほどそういうところで高くなるか、こういうことも御理解いくのじゃないかと思います。
  248. 津川武一

    ○津川委員 総理、ゆっくり聞いてください。生産地で安くて中央の卸市場で高くなっている、私はそれを言っているのではないのです。生産地の市場では、サバが毎年下がってきている。いいですか。築地の市場では毎年上がっていっている。これをどうしてこうなるか聞いている。その中で法どおりやらないで、せりをやらないで相対売り、それから生産者に入れさせないで、自分で買ってきて、そこで買ってきたものは市場が自分で値段をきめられるのです。そして売るときは、相対売りでやれば自分で値段をきめられる。自分で値段をきめることができないような委託はやめて少なくして、自分で値段をきめることができないせり売りを少なくしているからこのように高くなっている、こう言っている。こう考えますか。こう考えたら、これに対する対策はいたしますか。
  249. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 産地、これは海上ではございませんから、そういうのは、その付近の陸地において適当なる冷凍倉庫を持つことです。そうして中央市場に対して需給の関係を見て出荷すること、そうすれば値段はもっと安定する、かように思います。
  250. 津川武一

    ○津川委員 総理はいいぐあいに私の質問の順序に答えてくれて、ありがとうございます。  そこで、とった魚がどんなふうに処分されているかというと、やはり冷蔵庫なんです。加工なんです。これで六割から冷蔵加工されてしまう。この冷蔵装置をだれが持っているか、この冷蔵能力をだれが持っているかということなんです。  先ほども問題になりましたけれども、築地の中央卸売市場で大都魚類というのがある。しこたまもうけている。これは大洋漁業の系列です。中央魚類というのがある。これがこのごろ一番もうけている。八割くらいの利益率をあげています。これが日本水産。東都水産というのがある。これは日冷。こういう形で、この人たちがどんなことをしているか。大洋漁業に一つの例をとりますと、九つの漁業会社を持っている。五つの中央、地方の市場を持っている。八つの冷蔵庫を持っている。十四の加工場を持っておる。六つの輸送商船を持っておる。その他二十四の関連会社を持っていて、そこで買い集めて、ここで値段を上げる。冷蔵庫に入れてここで値段を上げる。加工してここで値段を上げる。そうして上がったものを市場に持ってきて、市場を支配して値段を上げていく。このことが現在の魚価を上げている。たくさんとれているのですが、ぐうんと上がっているのです。こんなに魚がとれていて、こんなに魚が上がったことはない。この機構を何と考えるか、これが一つ。  そこで、この冷蔵庫です。私は農林水産常任委員会にいるから、古々米というのをよく使いなれたら、今度は古々サケ。古々古サケというのがあるのですね。これが冷蔵庫を持っているから、流通から離して自分たちの好きなところにやれる。この体制が、魚がとれているのにかかわらず魚価を間違いなく毎年上げている。この機構だと思うのです。この体制をほっておくとますますこうなる。そこで、私たちはこれをどうするかということ、ここに根本のメスを当てないと問題が解決されないので、佐藤総理に執拗にこれを行動で聞くというのはこのことなんです。  そこまで来ましたので、ほかの魚種もあるのですが、そこで田中通産大臣に、この冷蔵庫に入っているものを——農林大臣は、ほかのものは、コンピューターで野菜がどのくらいとれているか、ちゃんとつかまえている。ところが、冷蔵庫に何ぼ入っているかつかまえてない。ここのところではき出すような指令、指導権をこの前倉石農林大臣に聞いたら、これはできないとぼくらに言っている。そこで総理に、このことをはき出させる——これはほかのものも関係があるので、田中通産大臣と、二人の意見を、答弁を求めます。
  251. 太田康二

    ○太田(康)政府委員 先ほど冷蔵庫が思惑に使われているのではないか、これに対して、私どもが補助をした冷蔵庫につきましては行政指導をやりました。しかし、その場合にも必ずしも十分な効果をあげなかったというおしかりをいただいたわけでございますが、自由主義経済のもとにあるわけでございますから、何ら国が関与していない個人会社等につきまして、われわれがかってに出荷を奨励をすることは、場合によっては必要かもわかりませんが、それによって十全な効果をあげるというわけにはまいらぬというふうに考えます。  ただ、先生の理解の中に一つ誤解がありますので、私ちょっと申し上げたいのでございますが、魚は確かに昭和四十五年は九百三十一万四千トンとふえたわけでございます。しかし、その中身を見ていただきますと、先ほどお話の出ましたサバが百三十万トン、それにスケソーダラ、これは御承知のとおり、すり身にいたしましてかまぼこの原料になるわけでありますが、これが二百三十五万トンでございます。両者合わせまして約三百六十五万トンでございまして、それを差し引きますと、実は浅海の増養殖とノリ自体はふえておりますが、いわゆる従来の多獲性大衆魚、それからたいへん需要の旺盛な中高級魚は必ずしもふえてないというのが実態でございます。  基本的には、そういった需給の不均衡に基づきましてやはり魚の値段が上がっておる、こう考えるわけですが、それ以外に、もちろんお話のありましたように、流通段階におきます無整備の問題、あるいは小売り段階におきますところの、魚の場合には特に対面調理販売の零細性ということがあるわけでございまして、これらの生産段階におきますところのコストアップの要因もあるわけでございまして、これらのことが相重なり合いまして魚価を高めておるというふうに理解をいたしておるのでございます。
  252. 津川武一

    ○津川委員 政府委員からそんな答弁が出るだろうと思って、私は覚えておったからサバだけで問題にしたんですよ。サバがよけいとれてサバが上がったという。そこで総理、こういう体制に対して、国会に調査権を与える、このことを私は要求する。そうして国会が行ってこれを調査して、必要ならば勧告を出せるように、このことをひとつ考えてみないか、これを答弁してもらいます。これが一つ。  そこでサバです。水産庁長官がはしなくも言ったサバ、このサバを国民は食べたいが、市場に上場されてこない。何に回っているかというと、肥料に回っている。なぜサバが市場に上場されてこないか。もう一つ言うと、リンゴの国光小玉、これは去年北海道に冷害があった関係で、あの気候で小さくなった。実が引き締まって非常においしい。神田の中央市場に出してくると二束三文に買いたたかれて、市場のほうからは、こんなものは出さないほうがいいだろうという勧告を受ける。したがって国光小玉が出てこないのです。実際に今度は、バイパスで生協と農協を結びつけてみたのです。今度は農協と小売り商を結びつけてみた。農協と団地を結びつけてみたら、非常によくはけて喜ばれて、いまうんと行っている。これをわれわれはバイパスと称している。本パスの中央市場がサバを、リンゴの国光小玉を扱わない。これが市場の本質なのです。市場の利益にならなければ物を扱わない、国民が求めておろうがどうが。この市場の機構というものを、営利を目的としておる営利会社に卸してやらせているからこうなのです。こういうところに改革を加えなければいけない。したがって、いつの間にかぼくらがバイパスをつくっているのです。このバイパスを育てなければならぬという二つのことに対して、総理に答えてもらいます。
  253. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 国会の調査権、これは皆さん方で十分お話し合いになって、調査権が——国会は申すまでもなく最高機関ですから、各党でよく御相談なすってお話し合いになれば、政府はどうなさいとかいけませんとかいうようなことは申しません。  それから第二の問題の、いろいろなところに隘路がある、これは確かに御指摘のとおりだと思います。国光が玉が小さくなってもたいへんおいしい。「むつ」ばかりがリンゴではない、やはり国光にもよさがある。そういう点はもっとそこらを、生協そのものと、やはり今度は市場を抜きにして取り扱う場合もございますから、そういうようなあらゆる方法で、やはり需要のあるところに供給もあるということを具体化する、これが必要なことだろうと思います。私は必ずしも全部を市場を通せ、かように申しておるわけじゃないのでございまして、ただいまのように、必要なものはそれぞれのルートがおのずから開かれる、かように思います。
  254. 津川武一

    ○津川委員 そう言うだろうと思って次の質問を支度しておきました。  そこで市場なのです。生協を通じて農協と結びつけたのです。トラックで一台五百持ってくる。小売り商人が五箱、十箱ほしい。そこへ行ってもらっていくのです。ところが、これを置く場所がないんだ。これを中央市場に頼んだら断わられる。埼玉県の川口の集配センターに、ここの場所を貸してくれと言ったら断わられる。だから、市場の機構の改正を考えなければならぬ。だから、私はあなたに、この市場の機構でいいか、小玉が入らないこと、これに対してあなたは一般論でもって、需要と供給でもって答える。だから、あなたの具体的な行動を聞くわけです。  端的に聞きます。こういう場合、中央市場の場所を貸せということを、これはあなたでも農林大臣でもよろしい、これは指令することができるかどうか。こうすればもっとバイパスが広くなります。このことを端的に答えてください。
  255. 小暮光美

    ○小暮政府委員 小サバあるいは規格外の小粒の青果物、これは前からの一つの基本的な問題点であることは私もよく承知しておりますが、これは市場が荷受けを拒否するとか、こういう性格のものではございません。市場には荷受けを拒否してはいけないと法律上明らかに定めてございます。もし市場が荷受けを拒否したような事実がございますれば、私のほうでも調べますけれども、ぜひ御通報いただきたいと思います。  ただ、産地のほうで、全体の値くずれといったようなことを回避する意味で、一つ生産出荷の指導として、青果物等については出荷規格という生産指導がございます。その出荷規格にかなったものをできるだけ中央市場に上場し、規格にかなわないものにつきましては直接生産者が近隣の都市に売り回る、あるいは縁故を求めて売りさばくというようなことを現に行なっておるわけでございまして、それらの場合に、実需が確実にございますれば、契約約定に基づいてこれが市場外に流通するということも、私どもも十分想定いたしておりまして、そういった場合に代金の決済その他に別の意味での不測の事故が起こらないように、市場外流通をやります場合にどのような点に留意したらよろしいかというようなことにつきましても年々調査をいたし、こういうものについてまた御指導申し上げたい、かように考えておるわけでございます。
  256. 津川武一

    ○津川委員 小暮局長、それは現地に行ってみればわかる。実際は入れなくなっているのです。  そこで佐藤総理に、最後の、国会に調査権を与える話、あなたは各党で相談したらいいだろうと言う。しかし、そうはいかない。これを法律で——自由主義、資本主義の世の中だから、そうかってには企業の秘密はいかぬだろうけれども、少なくともそのくらいのことは、国会が行って調査できるように法改正をして、われわれに、国会にその権限を与えるということをあなたが国会に提案してほしい。あなたはお互いにやるということなんだから、問題は国会がそういう調査権を持つということ、このことを五党で相談すればいいと言った。基本的に国会の能力を、性格をそのように考える必要があると思いますが、答弁を求めて終わります。
  257. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 どうも意外のことを津川君から聞くのですが、国政の調査権は国会御自身持っていらっしゃるのじゃないんですか。それでもうそれぞれの委員会でも、ちゃんとその国政調査権に基づいて国政の調査をしておられる、さように考えておりますし、特別のものについてはやはり委員会において特に相談される。せんだって予算委員の方々が瀬戸内海沿岸をごらんになった、これなどは特別な理事会で協議されてきめられた、こういうように私は理解しております。
  258. 津川武一

    ○津川委員 公害のとき、われわれは企業に入れなかったということを覚えておいていただいて、これで終わります。
  259. 井岡大治

    井岡委員長 以上で本日の連合審査会は終了いたしました。  これにて散会いたします。    午後五時三十四分散会