○
谷村政府委員 御
指摘のとおり、五月八日の日経の夕刊に「総
代理店制にメス
公取委契約のルール作る」というふうなことが出ておりますが、実は私
ども、先般も御
質問がありましたときにお答え申し上げましたとおり、昨年から、総
代理店制度という問題についてのある
程度の基礎的な勉強を進めてきておったわけでございます。そうして、これも先般お答え申し上げましたが、昨年、総
代理店契約についての
届け出をもっと一定の様式に従って、かつ正確に報告してもらいたいということで、いろいろその
契約の実態及び
内容をつかむことに努力してまいったわけでございます。
最初に数字だけ申し上げておきますが、
昭和四十六年度では、
輸入代理店契約の
届け出の
件数は四百八十四件と、前年度に比べて十倍以上の
契約の
届け出を受けたわけでございます。これは率直に申しまして、従来私
どもが、いわゆる
技術導入契約でありますとか、国際的なたとえばその他の
資本投資の
契約でありますとか、そういうことが重点であったのに対しまして、非常におそ
まきではございましたが、
輸入総
代理店契約というものについてもきちんとやってもらいたいということをやった結果でございまして、正直に言って、決してほめた話ではない、従来ぬかっておったところをやるようになったということであるかと思います。
さて、こういった
契約を
届け出させまして、問題が二つあったわけでございます。
一つは、いま御
指摘のように、私
どもの
立場から見ましてどういう点が問題になるかという、その問題になるような事項、事柄、それを見ることでございます。第二は、具体的に、もはやその
届け出られた
契約あるいはその
契約に付随するいろいろな話に関連して、すぐにでも手を入れて直させなければならないというふうな、そういう
内容のものでございます。そして、その
あとの問題につきましては、いろいろの
内容のものがございましたが、十三件、
件数としてはわずかございますが、十三件、
内容について
指導を行ないました。たとえば
再販拘束的な
内容を持っているものというふうなものが、その
内容になるわけでございますが、それは
一つの実績として、十三件ほど
指導いたしました。しかし、
最初に申し上げました総
代理店契約についての
独占禁止法上の
問題点という作業でございますが、これはなかなかむずかしい問題がございまして、簡単に
一つの結論とか
基準とかいうものが出てくるのには若干時間がかかるかと思います。
私
どもは、何もこの際スタートをしたというわけではなくて、そういう
意味では去年から勉強しておったことでございますが、いまおっしゃいました点を幾つか、問題だろうと思われる点をこの際要約して申し上げますと、第一は、いま
指導の例でも触れましたけれ
ども、総
代理店契約の
内容に、いわゆる
輸入品の
最終の
小売り価格といったようなものを、この
値段で売れよ、この
値段以下で売ったらいかぬよ、そしたらまたその
契約違反として問うぞというふうないわゆる
再販拘束的なもの、あるいは、これを入れるからにはこれもあわせて入れろ、扱えというふうに不当な抱き合わせといったようなことがあるような場合、そういうようなものがとかく総
代理店契約に含まれがちではないかと思います。それをまず
一つの
問題点として整理しております。
それから第二の
問題点は、総
代理店契約の締結それ自体、それはまあ、何べんも申し上げておりますとおり問題はないのでございますけれ
ども、かなりその扱う
品物の
シェアが大きいとか、あるいは
シェアとはいわないまでも、その
ブランドイメージが非常に強いものであるというような
一つの優越した
地位を持っておりますような場合、そうなりますと、たとえば総
代理店契約を結んでいるそれぞれの
品物がそれぞれ
競争しているような場合には、問題はないともいえるわけでございます。同じ時計なり
万年筆なりあるいはウイスキーなりがそれぞれ総
代理店を持っていましても、それぞれがそれぞれで
ブランドごとに
競争していればよろしいわけでございますが、そうでない、非常に強い力を持ったものが、しかも総
代理店で一本にしぼっているものが
市場に及ぼす
競争制限的な影響はどうか、それが、いまお尋ねございました第二の
ポイントでございます。
それから第三番目は、いまと大体似たような話でございますが、たとえばそういう非常に優越した
地位を持った、しかもそれが国際的にも通用するような強い力を持った
商品についての
輸入総
代理店というものが、
一つだけ
日本に設けられた場合に、ある
意味で
外国のある地域には安く売るけれ
ども、
日本には高く売るというような
意味での差別的な
扱いを、窓口を一本にしぼることによって行なわれるという心配はなかろうか、こういう点が第三番目の問題。特にそういう
意味で、簡単に申し上げれば、よその国の
市場に比べて
日本の
市場だけが不利に扱われるのではないか、こういう問題があるかと思います。
それから第四番目は、これは私
どものほうの問題ではなくて、むしろ
法律問題として
特許法等の問題になるかと思いますが、
新聞紙上にも伝えられましたようないわゆる
商標専用実施権というものの
関係、これをどう見るか。総
代理店だけがその
商標の
品物を
輸入できる。もちろん違った
品物をその
商標のごとく偽ったものは別でございますけれ
ども、そうでない真正な、ほんとうの
商標のものが他のルートを通じて入ってきたときは、それは
商標専用実施権を与えられた
輸入総
代理店だけしか扱えないとすることが、はたして
法律上そういうことになるのかどうなのか。私
ども競争政策の
立場をとりますほうからは、
商標が真正である限りは、そういう点について
商標法なりあるいはそれを受けております
関税法の
扱いは非常に問題があるのではないかというふうなことを、やはり私
どもも
問題意識として考えているわけでございます。
それから第五番目は、これはやはり、かつて
和田委員が御
質問になった
ポイントでございますけれ
ども、私
どもの
法律の管轄の問題に関連してまいります総
代理店の
立場というものを、こちらのいわば事務所なり支店なりというふうなものとして扱って法の
適用ができるのか、あるいはそういうことができないのかとといったような、法の
適用並びにその
実施に関連する問題があるわけでございます。
以上申し上げましたような
問題点を整理し、かつ、それはどちらかと申しますと、国際的に広がった
一つの
流通支配対策についての私
どもの
独禁法的な
立場からのアプローチになるわけでございますから、いろいろ問題を整理してみましても、直ちに右から
左——先ほど申し上げたようにはっきりしているものは
指導いたしましたけれ
ども、なかなかむずかしい問題もございますので、何らかの形で
——ちょうど、御承知のように
技術導入について非常に問題が起こりましたときに、何べんかのケースを経た
あとで、私
どもは
技術導入契約についての、これが
独禁法違反にならないという
一つの
認定基準、あるいは逆に言うと、こういう場合には
独禁法に触れるおそれがあるという
一つの
基準をつくってみたことがございます。それと似たような
意味におきまして、
輸入総
代理店等を通じて入ってくる
一種の
流通競争秩序に対する阻害的な行為というものが、どの
程度のものがそれに触れるおそれがあるかういうふうなルールができればいいのではないかという
考え方は、実は持っております。
一種の
認定基準式なものも考えたいと思っております。
しかし、これもなかなかそう簡単にできるわけのものでもないので、実は
新聞にこの問出ましたというのは、
新聞記事にも書いてございますが、この二十七日に、
独占禁止法国際問題研究会というのを私
ども、学者さんたちに集まってやっていただいておりますが、そういう方々の御意見も承りたい、また、その他
通産省あるいは経企庁のほうの御協力もいろいろ得たい、また私
どもの
考え方もわかっていただきたい、そういうようなことで進めてまいろうと思っておるところでございまして、確かに御
指摘のように、私
ども、ある
程度こういう問題を新しく、やはり流通問題とかあるいは国際的なつながりにおける問題の発展とかいうことについて、従来必ずしも十分に取っ組んでおったとは思えませんので、おそ
まきではございますけれ
どもこれからやってまいりたい、かように考えておるところでございます。