運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1972-04-05 第68回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年四月五日(水曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 井岡 大治君    理事 青木 正久君 理事 竹内 黎一君    理事 山口シヅエ君 理事 武部  文君    理事 有島 重武君 理事 和田 耕作君       石井  一君    坂村 吉正君       西岡 武夫君    向山 一人君       松浦 利尚君    栗山 礼行君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     谷村  裕君         公正取引委員会         事務局長    吉田 文剛君         公正取引委員会        事務局経済部長 三代川敏三郎君         公正取引委員会         事務局取引部長 熊田淳一郎君         経済企画庁国民         生活局長    宮崎  仁君         厚生政務次官  登坂重次郎君         厚生省環境衛生         局長      浦田 純一君         厚生省社会局長 加藤 威二君         農林省農林経済         局長      小暮 光美君  委員外出席者         公正取引委員会         事務局取引部景         品表示課長   相場 照美君         農林省畜産局参         事官      斎藤 吉郎君         食糧庁総務部長 森  整治君         通商産業省貿易         振興局輸出業務         課長      宇都宮綱之君         通商産業省重工         業局鉄鋼業務課         長       勝谷  保君         運輸省海運局内         航課長     高橋 顕詞君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部業         務課長     服部 経治君         運輸省自動車局         業務部貨物課長 武石  章君         参  考  人         (畜産振興事業         団理事長)   岡田 覚夫君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  物価問題等に関する件      ————◇—————
  2. 井岡大治

    井岡委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  本日は、特に輸入食肉流通及び価格問題につきまして、参考人として畜産振興事業団理事長岡田覚夫君から御意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 井岡大治

    井岡委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     —————————————
  4. 井岡大治

    井岡委員長 参考人には、お忙しいところ御出席いただき、ありがとうございました。  本日は、輸入食肉流通及び価格問題につきまして忌憚のない御意見をお述べいただき、本委員会調査参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いをいたします。  なお、参考人からの御意見は、委員質疑によってお述べいただきたいと存じます。  これより政府並びに参考人に対し質疑を行ないます。  質疑者及び答弁される方は、速記の都合がありますので、大きな声でお願いいたします。  石井一君。
  5. 石井一

    石井(一)委員 きょうは、私は、輸入食肉に関する問題について幾つかの疑問を持っておりますので、お尋ねをさしていただきたいと存じます。この問題は、過去、当委員会におきましても繰り返し論議のされた問題でございます。できるだけ重複を避けて、しかし重要な点については、これまで論議の対象になっている面も出てまいるかもわかりませんが、お答えをいただきたいと存じます。  私は、先般物価連合審査がございましたときに、輸入品追跡調査を経企庁がやっておりますその品目について、いろいろと調べる機会があったわけでございますが、一言でいって、それぞれ国際価格変動であるとか国内の理由がいろいろあったようでありますけれども、三つに分類されたと思うのでございます。  一つは、円の切り上げによって確かに価格が下がったもの、これが約六十品目の中で二十品目ぐらいあったように記憶しております。それからその次に、円の切り上げが行なわれたにかかわらず、価格変動をあまり来たさなかったもの、ほとんど同じであるというふうなもの、これが第二の分類に入っておりまして、大体三十五品目から四十品目、かなり大きな部分を占めておる。これはおそらく国内流通機構に吸い上げられて、円の切り上げ消費者に還元することができなかった、こういうふうに考えるわけでありますが、たった一品目、円の切り上げにかかわらず価格がどんどんと上がっておるという品目がこの牛肉でございます。  そこで、私もこの問題についていろいろ調べてみたわけでございますが、流通機構にいたしましても、国内制度というものが複雑怪奇であるということを私考えました。農林省当局説明を聞いたわけですけれども、私のようなしろうとではなかなかわかりにくい。そういうことからきょうの質問になったわけでございまして、長々とした御回答は要りませんから、簡潔に要点をしぼって、一般の消費者もわかるようなことばでひとつお答えいただきたい、こういうことであります。  そこで、私が理解いたしておりますのは、やはり農産物が、いかに国内生産者の保護をしなければいかぬといいましても、一つの流れとしては自由化のほうに進んでおる。昭和五十一年度末あたりには、残存輸入制限品目三十品目ほど残っておるものを、新聞報道その他では、少なくとも全部自由化にするという方向のようです。こういうことを聞いておりますが、牛肉についてはいつごろ自由化をなされようとしておるのか、農林省のほうからお答えをいただきたい。
  6. 斎藤吉郎

    斎藤説明員 牛肉につきまして石井先生から、政府としてはどの辺のところでもって自由化に踏み切るか、めどをというお話でございます。  牛肉国内生産体制というものは、御存じのとおり、まだたいへんひよわな状態でございます。これは役畜生産ということでもって始まりましたものが、機械にとってかわられまして、肉牛として育てていくというふうに変わってまいりましてまだ日が浅うございます。御案内のとおり飼養の規模といたしましてもわずかに全国平均二・二頭というような、いわゆる経営という面から見ますと非常にかったるい状況でございます。乳牛のほうになりますと、これが六・六頭というふうな形をとっているわけでございます。そういったような状況におきまして、格差の非常にありますところの外国の牛肉が、いわゆる自由という形で入ってまいるということになりますと、これは一たまりもないという形でございます。したがいまして、永久にということではございませんけれども、かすに相当の時日をもってこれに力をつけてまいらなければならない、かように考えます。  さらに、牛肉というものの世界的な需給、これが非常に需要が伸びておりまして、国際機関での調査等によりましても、やがては非常にこれは逼迫するであろう、いずれは輸出余力のある国というのはオーストラリアとかニュージーランド程度のものになってしまう、国際的に非常に逼迫するであろう、こういうことがいわれております。そういった状況を踏まえますと、やはり可及的多くのものを自給いたすという体制をどうしてもとっておかなければならないということが考えられるわけでございまして、そういう意味合いも兼ねまして、ひとつ国内的な充実策を講じていくということに当面は重点を置きまして、その推移によって牛肉の扱いというものは、なお——段階では、自由化ということをいつ踏み切るというような状況には、まだほど遠いというのが実情でございます。
  7. 石井一

    石井(一)委員 他の残存品目自由化がされても、これだけは自由化されないという御方針ですか。
  8. 斎藤吉郎

    斎藤説明員 ほかのものがもし全部自由化されても、なおかつ牛肉だけが一番最後に残るかということになりますと、まだほかにも、いわゆる私ども畜産関係で申せば酪農製品等問題等もございます。どれが一番最後かというようなことはなかなかいまわからないわけでございますし、自由化の何をどこまでして、いつどこまでいくというところまでのことは、現段階では考えられないというのが率直なお答えであります。
  9. 石井一

    石井(一)委員 自由化に至るまでの過程で、それじゃ具体的に積極的にどういう施策を立てられておるのか。いろいろあると思いますが、長い答弁でなくて、これがこうなればもう少し、自由化に対してはわれわれも積極的に前向きに考えるのだ、そういうのが一つでも二つでもいいからありましたらひとつ……。
  10. 斎藤吉郎

    斎藤説明員 自由化を前提として、これができれば自由化という形では、ただいま申しましたように、そういう発想のしかたをする段階でないということを申し上げたわけでございまして、何といいましても、先ほど申しましたような条件につきまして非常な努力をこれからする。確かに肉牛対策ということが、政府施策といたしましても立ちおくれと申しますか、非常にいままではかったるいものだったということは、これは率直に認めなければいけないと思うわけでございます。したがいまして、先生も御案内のとおり、いわゆる肉牛研究会というものを政府部内に設けまして、約半年にわたりましていろいろと検討お願いをいたしまして、その結論といいますか、そこでいろいろ御議論なり御意見の出たところを踏まえまして、農林省といたしましても明年度目玉商品と申しますか目玉政策畜産の面ではこの肉牛対策ということでかなり気ばった予算も組んで、ただいま御審議を願っているところでございますけれども、その中で考えておりますのは、ただいま申しました二・二頭程度経営ということではもう事になりませんので、この辺のところの大規模化と申しますか、そういった体制づくり、それから肉用資源として乳用の雄の子牛、これを育てないで子供のままほとんど殺してしまっておるということではもったいないということで、この辺のところをひとつ力を入れまして、これを肥育して肉資源として育てるという対策、これなども、現在では三割程度利用率でございますのを当面は七割、やがては八、九割も、そういうふうに肉として育てていきたいといったようなことにつきまして、まあ端緒的なものでございますけれども手をつけ始めるという段階でございまして、やはりこういうじみちなことをある程度やってまいりまして、その上で肉牛対策全般についてさらに打つべき手等は考えてまいりたいというのが、現段階の御答弁でございます。
  11. 石井一

    石井(一)委員 その点は議論が尽きませんから、次の問題に移りたいと思います。  畜産振興事業団ワクの問題でありますが、昭和四十五年度は、大体民貿と同率のフィフティー・フィフティーの割合であったようでありますが、四十六年度からは民貿よりも事業団ワクがふえた、大体六八%と三二%ぐらいになっておるというふうに理解いたしておりますが、今後さらにふえる分は大体事業団に割り当てるというふうに私聞いておりますが、それは事実ですか。
  12. 斎藤吉郎

    斎藤説明員 ただいま先生のおっしゃいましたとおりでございます。
  13. 石井一

    石井(一)委員 そうすると、その民貿を押えて事業団ワクを拡大するということは、結局官貿中心で、行政介入の度をさらにどんどん強めていこう、こういうことだと思うのでありますが、本来自由化方向に進まなければいけないのに、それと逆行しておる。自由化というのは、行政介入というものをだんだんと少なくして、商品に対して外の冷たい風を当てるということによって国内耐久力というふうなものを、国際競争力というふうなものをつけていかなければいかぬと思うのですけれども、これに対してどういうふうな見解農林省は持っておられるか。また先ほどの説明の繰り近しでなしに、それを自由化といえるのかどうか、自由化方向に進める努力が、この事業団とのワクの中においてどうしても私は見当たらないように感じるのですが、その点についてはいかがですか。
  14. 斎藤吉郎

    斎藤説明員 繰り返しではなくてという先生お話でございますけれども、やはりそのもとが最初申し上げましたようなことの上に、私ども考え方が展開されておるわけでございます。確かに御指摘のとおり、自由化ということをとって考えれば、やはりいろいろな制約がない、フリーな形でいくということが究極の形であろうということは、これは間違いのないことと思うわけでございますけれども、ただ、私どもの現在の牛肉のシチュエーションから申しまして、そういう形で冷たい風を当てるというような形では、実はこれは、先ほどの繰り返しになって恐縮でありますが、国内生産というものは元も子もなくなってしまう。和牛というようなものにつきましては、先ほど申しましたようなことで、経営としての単位まで必ずしもなっていない。片や、ただいま申しました乳用雄牛の子牛を育てるという面でございますが、これはまさに輸入牛肉ともろに競合する体質の部面でございまして、せっかくそういうことでもってこれからひとつ国内的に育てていこうという端緒につけるときに、その冷たい風がびゅうっと入ってまいりますと一ぺんに倒れてしまう。ショック死と申しますか、そういうことも十分に考えられるような体質の弱さでございます。これはまことに遺憾なことで、私ども行政が今日までそういうことであったということに対する反省が非常にあるわけでございますけれども、そういうふうなことでございますので、ここはひとつ自由化をいつに控えて段階的にというところまでまだいかないというのが、何と申しましてもそういう実情でございますので、その辺御理解を願いたいと考えておるわけでございます。
  15. 石井一

    石井(一)委員 まあ意見としては私理解しないことはございませんけれども、本来の自由化考え方からすれば、そういう制度の上でも、行政介入によってますます逆行をしておる。そうせざるを得ないのだ、こう言われればそうでありますけれども、その反面、円切りがあったって、牛肉自体は何も輸入肉だけを食べているわけではありませんけれども消費者に還元されておらない。こういうところがあるわけでありまして、入り口だけのその規制というものが、私はやはり、かなり物価にはね返る問題が多いというふうに考えるわけであります。この点、もう少しほかの方法がないかということを私も模索しておるわけでありますけれども、まだ、こうだということが申し上げられないのが非常に残念でありますが、この点、民貿を押えて、事業団ワクを今後ふえる分全部持っていくということになれば、それは政府さまさま、何もかにも全部そこでコントロールできる。そうして値段が下がるなりあるいは畜産生産がどんどん上がるなり、何らかの効果があがっておればいいけれども、私が見たところでは、畜産振興というものもそんなに飛躍的な、いわゆる自給に見合うような伸びはしておらない。それかといって値段は上がっておる、こういうことであれば、これは何をしておるのか、もう少し方法はないのか、もう少し風を当ててみたらどうか、こういう議論も出てくると思いますので、事業団ワクの問題についてはさらに御検討をいただきたいということを、ひとつ御要望しておきたいと思います。  話が変わりますが、豚は自由化をされておるわけでありますけれども差額関税制度をとっておられる。これに対してもまだいろいろと説明があるだろうと思いますが、説明はさておいて、これは暫定措置としてほんの一時やっておるのか。この豚の自由化という問題に対して農林省見解はどうか。
  16. 斎藤吉郎

    斎藤説明員 豚の輸入自由化に伴いましてとりました関税措置でありますところの、いわゆる差額関税制度でございますが、これは二カ年間の暫定ということで実施をしているわけでございます。したがいまして、二年たちますと明年の三月になりますか、三月にはもう一度見直しということに一応なるわけでございます。
  17. 石井一

    石井(一)委員 その時点価格の安定に寄与できるように、逆の介入にならないように、制度の根本的な検討お願い申し上げる次第です。
  18. 斎藤吉郎

    斎藤説明員 その時期には、実施実情等を考えまして、また当然検討をいたすことにはなるわけでございますが、ただ、先生案内のとおり、自由化以後も、昨年の十二月までは例の関税減免制度、つまり国内安定帯価格を突き破るような非常な市場実勢がございますと、輸入をしやすくするための関税減免制度をずっととってまいったわけでございます。そういうことで、現在の制度の中でも、必ずしも差額関税をとってしまうんだという形にはなっておりませんので、そういう意味合いにおいて、私どもとしては基本的には、現在のやり方自体がまずい、物価安定の上でもって非常に悪い形が出ておるというぐあいには、必ずしも現在のところでは判定をしていないわけでございます。
  19. 石井一

    石井(一)委員 いまの問題は、その時点までにまだ少し日があるようでありますから、それが恒久的な措置であるという回答ではございませんので、今後の改善というかそういうことを期待いたしまして、次に、畜安法事業団関係についてお伺いをしたいと思うわけであります。  従来、輸入肉というのは民貿ですべて扱っておった。ところが、昭和四十一年に畜産物価格安定法というものを改正し、そこで振興事業団の存在というものが出てきたということでございますね。それで、私が問題にしておるのは、この畜安法というのはいわゆる備蓄目的にしておる。私、この法律をぱらぱらっと見たのですが、要するにこれの目的は、価格を安定さすために緊急やむを得ないときのためにストックをするというのが、法律の基本的な大義名分だというふうに私は理解をいたしました。そういう形で事業団事業がずっと進められておったら、これは必要なときだけ、安いときに買ってためておいたらいいわけでありますけれども畜安法というものを基礎に政府の、事業団介入というものがどんどんとその速度を増しておる、こういう感じが私はしておるのですけれども畜安法というものをどういうふうに理解されて、事業団の当初の趣旨というものがどうであったか、これを一ぺん、簡単におっしゃっていただきたい。
  20. 斎藤吉郎

    斎藤説明員 ただいま御指摘の、事業団牛肉を取り扱う現在の形というのはどういうことであるかというところに、先生の御疑問もあろうかと思うわけでございますが、畜産物価格安定等に関する法律におきましては、やはり主要な畜産物価格の安定をはかり、そしてそれとともに関係者、まあ生産から消費流通まであると思いますが、そういう面の全体的な安定をはかって、終局的には消費者の方々に安定した形でもってそういうものを供給していくということの、パイプの役としての位置づけがされていると思うわけでございます。  そこで、確かに当初は牛肉が入っておりませんで、指定食肉という形では豚肉ということでございましたし、あとは牛乳、乳製品という形で発足いたしたことも、これまた過去のあれとしては事実でございます。先生ただいまおっしゃいましたように、四十一年でございますかのときに牛肉事業団操作の中に入ってまいったということにつきましては、当時、従来と違いまして牛肉需要が非常に伸びてまいりまして、それに伴いまして輸入の量も随時ふえてまいっております。そういうような事情も踏まえまして、また繰り返しになって恐縮でありますが、先ほど来のような状況にございます国内畜産業関係等ともあわせまして、やはりこういう畜産振興事業団というものでもって、介入というわけではございませんが、取り扱いをして、全体的に国内生産にも悪影響を及ぼさない、かつは安定的な供給ができる形ということをとろうとしたのが本意でございまして、ただ備蓄という形をどうしてもとるということ、その方法だけがこれによる場合の唯一の方法であるということでも必ずしもないのではないかというぐあいに考えたわけでございます。
  21. 石井一

    石井(一)委員 当初、畜安法に基づいて事業団が設立されて、事業団備蓄方式をとっておったはずであります。ところが、まあことばは悪いかもわかりませんけれども官僚商売のまずさから、昭和四十二年、三年ごろには非常な赤字が出てしまった。そういうことからだんだんと方式——まあ失敗は成功のもとだといったらそれまででありますけれども、基本的な考え方からだんだんと遊離して、まあ皆さん方はいい方向に持っていこうと思ってやっておられるのでしょうけれども、この成果があがっておらぬから、その点、私は与党の議員であっても問題にしておるわけでありますが、その次にはワンタッチ方式というのを導入されたペーパーマージンとかなんとかいって、これは消費者の立場から見ても普通の商取引から見ても、これは政府のみができ得る独占行為であって、それで非常に大きな効果があがっておればいいけれども、これもまた非常に批判された。そうして今度三転して、現在は恒常介入、直接すべてそこで買うてしまう。備蓄だとかなんとかということから全然違う段階に、事業団事業内容というものが移ってしまっておる。これはいたし方ないといっても、こういう形になってしまった、だんだんとそういうところへ押し込められたということはお認めになりますか、どうですか。
  22. 斎藤吉郎

    斎藤説明員 事業団での牛肉取り扱いについて、そういうふうに三転しているではないかというただいまの先生の御指摘は、そのとおりでございまして、先生のおことばの中にもございましたが、ある意味の試行錯誤というような面もあったわけでございますけれども、確かに最初の形が非常に赤字を呼んだ。つまり事業団が一括しまして買ってしまい、実際に需要者のそれぞれの向きに合うような部位でございますとか、望ましい品質のものと必ずしも合わないようなものを買い込みまして、これが逆な意味で蓄積と申しますか滞貨みたいなものになりまして、さらにそういうものの売れが悪くなってしまったというような苦い経験も確かにあったわけでございます。  それが先生指摘のとおり、その次には、需要者のほうから必ず引き取るというようなかっこうで、いわゆる事業団が商社との間に入っての瞬間タッチ方式という形で、これはそういう面では非常に実際的であったわけでございますけれども、いまそもそもの原点に返りました、畜産振興事業団がなぜ牛肉を扱うかというのは、御指摘のとおりやはり需給調整重点があるわけで、その作業をしない限り事業団が扱うということ自体ナンセンスになるわけでございます。そこで、御指摘のとおりの現在のようなやり方にまた変えたわけでございます。その中で、これは前年度の下期から始めたばかりでございまして、成果が上がらないではないかとおっしゃられますと、まことに痛み入るわけでございますけれども、まだ半期過ぎたところでございまして、しかもそれを固定した考え方ではなしに、幾らかでも改善をしつつこれをやってまいりたいということで、現在いろいろと努力をしておるところでございます。もうちょっと、現段階でとりました私ども方法につきまして、長い目でごらんいただきたいというところでございます。  さらに、現在では全く、備蓄といいますか、事業団が数量を持って調整をするというところがないではないかというような御指摘もあったと思うのでございますけれども、実際問題といたしましては、その実際の需給状況に合わせまして、事業団がいろいろと判断をいたしまして操作をするその中で、やはり現に、あるいはあと事業団理事長のほうからお話があるかと思いますけれども相当程度のものは持っておりますので、そういう意味合いにおきましては、従来の、がさっと買ってしまいまして、ずっと持っていてやった時期と、それからその次の瞬間タッチ方式のようなものとのいわばミックスした形でもって実際には運用をしてまいるということで、実際的なやり方を私どもとしてはとっており、とっていきたいと考えている現状でございます。
  23. 石井一

    石井(一)委員 事業団理事長、御出席をいただいておるようでありますが、たいへん御苦労さんです。  私が先ほど、農林省の当局と議論をずっとやっておりますのをお聞きいただきまして、何も事業団を非難しているわけじゃありませんが、いろいろな客観情勢を考えても、消費者サイドから言うと、政府介入をし、いろいろコントロールをし、そのことによって消費者に還元がどんどん行なわれるということであれば、それに対して、非常にその存在の意義を認めるのにやぶさかではありませんが、むずかしい面が客観的にあるとはいえ、方針は二転、三転し、現在、しかも問題が解決されておらない。事業団の最高責任者として、この議論に対してどういうふうなお考えですか。
  24. 岡田覚夫

    岡田参考人 ただいまの御質問の点でございますが、事業団牛肉輸入いたしますことは、先ほどお話がありましたように、需給調整ということを旨といたしておるわけでございます。どういう形で需給調整をしたらよいかということでございますが、最初は、一括買い入れまして供給するというふうな考え方需給調整をいたしたわけですけれども、御案内のように、牛肉流通というものは非常に複雑な、需要も非常にまた多様である、こういう点から、見込みとはやや違った様相を示しております。そういう点から、最初の需給調整方式というのは必ずしも成功しなかったという点があったわけでございます。それで、第二回目のは、先般来、当委員会においてずいぶん議論があったわけでございますけれども、一応需要者の要望に沿った形でやるということで行なわれたわけでございますけれども、それは本来的な需給調整ではないではないかという御批判があったわけでございます。そういう点から、農林省のほうで今度新たな制度をとるようにということで、そういう考え方に即応して現在の需給調整方式をとることになったわけでございますが、これは、過去二回の必ずしも成功しなかった経験にかんがみまして、それらを総合いたしましてとられた制度だ、こういうふうに私は理解をいたしておりまして、現段階におきましては最もいい制度ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。  特に、従来は、牛肉価格につきましては、卸売り価格というものにどういう影響を与えるかということが重点であったわけでございますけれども、したがいまして、その小売り価格がどのような形になるかということについては、必ずしも十分な把握ができなかったわけでございます。そういうことについての反省から、今回は、小売り価格についても指導をするというふうなたてまえから、指定小売り店制度等を設けまして、事業団が直接売却をいたしまして、安定的な小売り価格が実現するようにということになっておるわけでございまして、私たちの立場から考えまして、いまのところは考えられる一番いい方法ではないかというふうに考えておる次第でございます。
  25. 石井一

    石井(一)委員 非常に御答弁としては理路整然としておりますけれども、なかなかそれで納得のいかない面が私はあるような感じがするわけであります。指定店の問題はあとでちょっとお伺いすることにいたしまして、需給調整をやり、流通機構を簡素化するということで努力中だというようなことでありますが、それじゃ具体的に、その後生産はふえたのかということが一点。その次に、事業団方式その他で流通機構が簡素化され整理されたとお考えなのかどうか。説明は要りませんから、その二点についてどうですか。どちらからでもけっこうです。
  26. 斎藤吉郎

    斎藤説明員 先ほど来申し上げておりますように、なかなか生産というのが伸びない、結局横並びのようなことで国内生産がまいっておるわけであります。そういう意味合いにおきまして、先ほど申し上げました乳用の雄牛の子牛を育ててこれを資源とするというようなことも、これから大いに展開していきたいという考え方でございます。  しかしながら、やはりなかなか、その努力をいたすわけでございますけれども、豚とか鶏と違いまして、先生案内のとおり、牛は一年半に一産ぐらいのことで、それも一頭しか出てこないというようなことでございますので、何かどこかを押えたらば非常にぐっと上がるというように目に見えてというようなことは、これはなかなかむずかしいことだと思うわけでございます。それなればこそ、また非常に力を入れませんととんでもないことになるということを考えているわけでございまして、この辺は、これからの肉牛振興対策ということについての私ども努力、当然でございますけれども、そういうことの成果を、これから少しの時間をかしていただきましてながめていただきたいと思うわけでございまして、ちょっと何か一年予算的にあれしたならば翌年はかなり目ざましく伸びるということは、やはり事の性質上、なかなかむずかしいのではないかということに考えておりますので、この辺御了解願いたいと思います。  その辺を補います意味合いにおきまして、自由化はいたしませんけれども輸入量は画期的にふやしてまいりたい、また、まいらざるを得ないということでございます。御案内のとおり、先ほど先生も御指摘がございましたように、事業団ワクがふえる——とこのワクがふえるかということについてはいろいろ問題がございましょうが、全体といたしまして、四十六年度の下期におきましては——いつもでございますと、毎年、せいぜい一〇%程度前年対比でふえていた輸入量が、下期を通じまして四十六年度では五割増しの輸入割り当てをするということまでやっているわけでございまして、その辺のところは、かたくななことをして潜在的な需要まで押しつぶしてしまうというような考え方は、全くないわけでございます。
  27. 石井一

    石井(一)委員 非常に答弁のしにくい問題だろうとは思いますが、私が指摘いたしておりますのは、事業団介入によってどういう成果があったかということをさがしますと、いまおっしゃいましたように、いろいろむずかしいというけれども事業団ができてからすでに四、五年たっているわけであります。何もことしのことは、米のようにどうなったというようなことじゃない、ある程度長期的なビジョンを持っていろいろなこともやっておられる、もう少し見るということにいたしましても、現在までのところでも、生産というふうな問題に対して十分なその成果というものがあがっておらない。それからその次に、流通機構改善というふうな問題を考えましても、介入はあるけれども、それ自体より複雑になって、私なんか、四、五回説明を聞いたのですが、なかなかわからぬ。聞いておれば聞いておるほどわからぬ。もうばかばかしくなってやめようかと思ったが、そういうわけにもいかないので、そういうふうな複雑な流通機構を簡素化しなければならぬときに、事業団介入がそういうふうな結果になっておるということは、専門家である農林当局としては、もう少し厳正な態度で、成果があがってそのままうまくいっておればいいのですけれども、考えてもらわにゃいかぬということを、私はここで強調しておきたいと思います。  論議は平行するわけでありますから、その次に、外国では事業団方式のようなものをとっておるのかどうか、各国の例はどうなっておるのかということをひとつ簡単にお答えいただきたいと思います。
  28. 斎藤吉郎

    斎藤説明員 外国で事業団のような形がとられておるかどうかということでございます。必ずしも事業団というような形ではございませんけれども、いわば主要国につきましては、輸入品につきましては関税ないし課徴金の制度をとっております。国内産品に対してはやはり不足払いあるいは、いわゆる公的機関、この形はいろいろあるようでございますけれども事業団と類似したと申しますか、そういった一種の公的機関が買い入れをやる、あるいは放出をやるという形というものは、価格安定制度やり方として、大体は牛肉及び豚肉につきましてとっているというふうに聞いておるわけでございます。EEC、英国、米国あたりでも、大体そういう形はとっておるようでございます。もちろん、こまかい点ではいろいろ差異があるのでございますけれども……。
  29. 石井一

    石井(一)委員 私はそういうふうに理解をしておりませんが、それかといって、それじゃ外国はこうだというだけの資料を私も持っておりませんので、ここでは議論は避けますが、もう少し調べていただきたい。私の考え方としては、事業団のような存在は唯一無二であって、日本だけしか存在しておらぬ。ほかの国はもう少しやはり、いろいろな面での合理的な運営というふうなものがあるのじゃないかという感じがいたします。お調べいただいて、それじゃEECではどういう機関があるんだ。どういう機関でなくても、どういう政府の局が一手にこれだけのものを買い上げて、こういう方式をとっておる、これは事業団と同じような形だという点を、これは時間もかかる問題だと思いますが、ひとつお調べいただいて、資料で私のほうに御提出願いたいと思いますが、私がただいま論議いたしましたのは、畜安法が拡大解釈され、一転、二転、三転し、また今後四転、五転するかもわからぬというふうな状態で、畜安法というのは、備蓄をして民間を優先に価格を下げるという、安定するためにつくったものが、政府介入がふえ、流通の組織が複雑になりまして、そして生産体系その他に対しても十分なインパクトを与えておらぬ、こういう論議を私は展開しておるわけであって、その点について、もう少し積極的なやはり施策と外国に対する研究というふうなものも加えていただきたい、こう思うのであります。  そこで、まだまだあるのですが、少し断片的に、もう少しお許しをいただいて、続けさせていただきたいと思います。  断片的な問題になりますが、事業団が、現在十九社の商社に入礼の権利を与えておる。ところが、私が聞いておるのでは、商社間の競争というものは非常に激しくて、しかも一時は、事業団としては前年度の実績を来年度に継承さすというような発言もあって、それは後に取り消されたということでありますが、そういうことでありますから、買うほうは一生懸命買うけれども、今度は、入札に応じなければいかぬということで、非常に値段に無理をしてそれの入札に応じようとする、それで実績をつくろうとする。そのために、そのワク民貿のほうに非常にしわ寄せになるという事実がある。これは私は明らかに二、三の商社の人々から聞いておるわけでありますが、そういう事実があるとすれば、結局事業団の買い入れ方式というところにたいへんな無理があるという感じがするのですが、その事実はいかがですか。
  30. 斎藤吉郎

    斎藤説明員 ただいま先生の御指摘の点でございますけれども、実は私どもが、今回のああいう事業団の商社の入札方式ということでの買い入れ制度というやり方を採用いたしましたのは、牛肉の研究会、さらに別に輸入制度の研究会というので識者の方々にお集まりいただきました、そこの意見等の中からも、ひとつ競争原理の導入ということがやはり必要なのではないか、その点が非常に問題で、それがやはり最終的な消費者の方々に安い輸入肉を差し上げるゆえんになるのではなかろうか、これは何としてもやはり競争のないところにはそういうことのあれがないということで、あえて積極的な意味で競争原理の導入ということから、先生ただいま御指摘のような面も入れたわけでございますので、ある程度そういうことでの商社間の競争と申しますかということは、予測するといいますか、むしろあってほしいという考え方に基づくものでございまして、それがいまの先生の御指摘でございますと、過度に非常に働いてしまって、オーバーヒートしてしまう、かえってよくないのではないか、こういう御指摘かと思うのでございますが、いまのところ私どもとしては、この制度をとりました競争原理の導入という意味合いにおいて、ある程度公正な競争が行なわれているという段階ではないかというぐあいに考えておるわけでございます。
  31. 石井一

    石井(一)委員 私は、こういうふうに国会で発言するのも、ある程度具体的に話し合いをし、そういうふうなある程度の確証を握ったから申し上げておるわけで、どこの商社がどれだけ損をしたということを申し上げることもできるのでありますが、そういうことは一切やめますけれども、そういう制度によって、一つの実績を積もうとするために過度の競争が行なわれる、そのために事業団は不当に安く買い、その分民貿は今度不当に高く買う、こういう結果に相なるわけであって、皆さん方が役所の机の上できめておられるその方針なり政策というものがそういうふうに反映しておるということになれば、これはやはり何らかの形で検討を加えなければならない一面であると思います。この点も十分今後御検討をいただきたいと思います。現在起こっておるのであれば、結局大資本の大企業ほど、資本にまかせて安く買い、最後には、それが政府と結託して、それだけで牛肉全部押えてしまうというところまでいきかねない、そういう危惧もあるわけでありますが、その点ひとつ注意を喚起しておきます。  それと同じで、もう一つ事業団理事長がさっき申されましたけれども政府の指定店というのが、何万軒というお肉屋さんの中で、ごく限られた店がその指定店になっておる。指定店になっておるから、それだけ直接流通機構を簡素化し、安く売っておるのだと言われますけれども、ここでどういう事態が起こっておるかというと、これまで食肉が普及しておらないときから、町の肉屋さんというものは一生懸命、汗水をたらして食肉の普及につとめておったのだけれども、いまやだんだん、こういうふうな時代になってくると、政府が指定した百貨店であるとか、スーパーであるとか、大きな店、これもやはり大資本が背景にある店だけが政府の指定店になる。そこで、事業団指定という名前で食肉を売っておるということになれば、消費者から見れば何となく政府がうしろだてしておる、これだけが特別の店だという感じを与えておる。何もそれが必ずしもいい結果に、小売りの立場から見ても、消費者の立場から見ても還元されておらない。何か一種独特の特権階級を事業団によって、大企業を背景にしたものに対して与えておるというふうな感じを与えておる。この点で消費者に対する還元ができたというふうなことを言われるのは、これは問題のすりかえであるということを私は考えたい。こういうことに対する非常に強い不満が、これまで努力をしておる零細企業の中にあるということを私は用いたい。そういう意味では、指定店制度というものに対しても、一歩前進だという考え方ではなしに、もっとワクをふやすとかなんとかいうことで、そういう片っ方側の立場も考えて、この制度に対しての十分な施策を打ち出していただきたいと思うのですが、この点はいかがですか。
  32. 斎藤吉郎

    斎藤説明員 事業団の指定店制度に対する御批判でございますけれども、これは私どもとしては他意があって、何か特権階級をつくるとか、特別なものをつくって一般の小売りを圧迫しよう、こういう趣旨ではもちろんないわけです。畜産振興事業団の今度の新しいやり方の中で、先ほど事業団理事長も申し上げましたように、従来のような卸売り段階のところまで心やりをやりまして、小売り段階にあまり心やりをしなかったということに対する反省というものがございまして、実は先生も御案内のとおり、従来の食肉の小売り店の中で、すでに同じような意味での輸入牛肉の指定店制度というものは、もう三、四年前から発足しておるわけでございます。現にあるわけでございます。おそらく八百から九百店くらいの店数が全国的にあるわけでございます。もちろんこれは大都市近辺が多いわけでございますが、そういうことでかなり実績がすでにあがってきておるわけでございます。その形をさらに、畜産振興事業団のほうから直接に牛肉を買い取る向きに、やはりこれと同じ形を適用したというまでのことでございまして、畜産振興事業団から幾ら幾らでもって売った、それからいろいろたどっていけば、はっきり小売りの段階で幾らでこれが売れるはずであるという、そういうルートがあるのにこれを末端まで徹底して、小売りの段階までの価格表示、輸入牛肉という表示、そういうことでもって貫徹をしようという形でございますので、何らこれに特権を与えているということはないわけでございますし、そういうことでもって現在、従来からございますところの一般の肉屋系統の方々の指定店と相並んで、両々相まって消費者に対するところのはっきりとした輸入肉価格、品質といったようなものを御理解いただくパイプにしようということでございまして、その辺のところは両々相まっていけるものと私どもは考えております。
  33. 石井一

    石井(一)委員 それがどうも参事官、そういう形になっていないようですね。要するに現在起こっておるのは、かりに小売り店が百貨店かなんかに入っておっても、政府指定というものをとるためにきゅうきゅうとして、ある店はもうそこからほうり出されてしまう。だから、前から指定しておるというのは政府指定じゃありませんから、これは要するに小売連合会とか協会とかなんとかの指定ですから、格差がついてしまっておるような形になりまして、結局政府というものは、買い占めの場合も売りの場合も、すべて独占的に民間を圧迫してしまう、こういう感じにとられるのですよ。それはどうですか。
  34. 斎藤吉郎

    斎藤説明員 先生のあれでございますけれども政府指定と申しますか事業団指定という形でいるわけでございます。その辺のところは個々の、あるいは特別と申しますか、あるケースで、そういう先生指摘のような、業者がぶつかりあってどうのこうのというようなこともあるいはあるかとも思いますけれども、全般的には、やはり事業団のほうもその辺は考慮をいたしまして、一般の小売り屋さんのほうのあれと競合しないような形で具体的には選んでいるはずでございます。全体的な制度として、私どもはこれは両立てのかっこうでいけるんじゃないか、こういうふうに考えております。  さらに、こういうことをどうしてもやるということになったゆえんのものは、これは先生も御存じのとおり、やはり従来から、どうも安く入った輸入牛肉というものがどこかでどうかなっちゃって、いわゆる混肉と申しますかまぜものに使われているんじゃないかとかいろいろな批判が、かまびすしいものがあったわけでございます。この委員会でも何度かおしかりを受けたかと思っておりますけれども、そういうことに対する一つ行政指導と申しますかそういう意味合いにおいて、この指定店制度というものを、やはり事業団から直接売り渡していくところについてはむしろ義務的にやらせるという趣旨でございまして、この点は閣議の席でも、この指定店制度というものをはっきり打ち出しまして、これを進めていくんだというぐあいに重視をして、むしろここにひとつ力点を置いて進めてまいりたいというぐあいに考えているわけでございます。
  35. 石井一

    石井(一)委員 どうもお互いの議論がある程度平行しておりますが、基本的に、民間業者のほうとしてみれば非常な不満を持っております。そういう面もくみ上げてこまかい行政の指導をしていただきたいと思います。閣議でそう言われたって、閣議で変えればいいんですからね。これはそのくらいのことはやれますけれども農林省の基本的な姿勢なり性格に私は非常な問題があるような気がいたします。私はまだまだ少壮議員でありますけれども、都市議員として非常な義憤を感ずる面があります。説明だけで済む問題じゃありませんから、いろいろなところにこれだけ問題があるということをひとつ考えていただきたいと思います。  それから次に、いわゆる調整金とか差益金の問題について簡単にお伺いしますが。日本食肉協議会の民貿が自主的に積み立てておる差益金は、四十五年度で大体五億八千万円、これは私のところへきた書類に記載されております。それから、四十五年度における民貿事業団ワクは、先ほど申しましたように同ワクであった、こういうことであります。だから、本来なれば事業団に大体五億八千万円ぐらいの調整金が残っておるはずである、こういうふうに私は考えるわけでありますが、この四十五年度の畜産振興事業団業務報告書というのをしさいに調べておりましても、その金がどこにも見当たらない。あるとすれば、三二ページの損益計算書の中に輸入牛肉売上高とそれから期首輸入牛肉たな卸高と輸入牛肉買入高との差の一億一千万か二千万、これがその金額になるのじゃなかろうか。そうすると、同じワクを持っておりながら、片一方の民貿のほうは非常に大きな五億八千万、事業団のほうは一億ちょっとというふうなことになっておるのはどういうことなんですか。これは私の考え方が間違っているかもわかりませんけれどもお答えいただきたい。
  36. 斎藤吉郎

    斎藤説明員 御案内のとおり、民貿関係のほうの積み立て金、これはその差益金の出た年に使える形になるわけでございますけれども事業団のほうは予算を立ててやってまいりますので、助成勘定への繰り入れとかいろいろございまして、一年ズレでもって出てまいります。そういう仕組みの差もございますし、さらに四十四年度あたりでは益が出ませんでもって赤字が立ったというようなこともございまして、そのときは繰り入ればない、むしろ前年度からの繰り越し金で消すというようないろいろなこともございますので、事業団予算と民貿のほうと直接比べることはなかなかむずかしいと思います。さらに、事業団輸入関係ワクでございますから、割り当てはありますけれども、入ってくるのはズレがあるというようなこと等もございまして、必ずしも、割り当てが同じであったから同じだけのものが残るというぐあいの比較は、ちょっとしがたいというぐあいに考えるわけでございます。
  37. 石井一

    石井(一)委員 これは、私ら事業をやった経験からしまして、その年に入ったものがいつどこへ消えてしまったかという収支計算書、これはぼくは因ったものだと思うのですね。これは一生懸命読んだが、これまで会社の貸借対照表などは簡単にわかるけれども、これは実にわかりにくい。どこがどうなっておるのか、巨大な金がどこに入っておるのか、非常にわかりにくい。それじゃ、いまのお答えを確認しますと、確かに五億八千万ほどの金が、調整金としてその年に事業団に入っておるんだ、ただここには出ていないんだ、こういうことですか。
  38. 岡田覚夫

    岡田参考人 それでは事業団の経理関係を申し上げますと、四十五年度につきましては、四十五年度に買い入れて売り渡したものにつきまして調整金を取るわけでございます。したがいまして、それは四十五年度の収入となるわけでございます。四十五年度の決算で出ました利益のうち、一般勘定というのがございまして、その利益のうちの二割は牛肉勘定に積み立てまして、八割は助成勘定繰り入れということになっております。助成勘定に繰り入れました中で、今度は一般の肉牛振興に対してそれを助成する、こういうことになっておるわけでございます。したがいまして、収入は当該年度にあるわけでございますけれども、支出は翌年度になる、こういうことになるわけでございます。
  39. 石井一

    石井(一)委員 だから、再三恐縮ですが、四十五年度には畜産振興事業団も、民貿と同額の六億近い金が収入としてあったんだ、それは翌年に出てくるんだ、あったという事実は確かにある、こういうことですね、理事長
  40. 岡田覚夫

    岡田参考人 それでは具体的に申し上げますと、四十五年度には、牛肉輸入に伴います利益は七千七百万余でございます。そのうち八割に当たります六千二百万円余を助成勘定に繰り入れをいたしておるわけでございます。
  41. 石井一

    石井(一)委員 万ドルと円と混同されたので非常にわかりにくいのですが、円で言われたのじゃないかと思いますが、私が申しておるのは、民貿で、大体六億の金がはっきりここへ書類として出ておる。同じワクを取り扱って同じ金額をとった事業団が、それに近い金はここに載ってなくても、入ったのか、翌年それは収支として出てくるのか、そういうことを聞いておる。それだけですよ、私の聞いておるのは。
  42. 岡田覚夫

    岡田参考人 四十五年度のワクが全部、四十五年度に入るわけではございません。四十六年度に繰り越されて入るものもあるわけでございます。したがいまして、四十五年度には四十四年からのものもございますし、それから四十五年のものもございます。四十六年に四十五年度のワクのものもございますし、四十六年度のワクのものもございます。こういう形になるわけで、会計年度と輸入の期間というものが必ずしも一致をいたしておりませんので、そこで輸入量がどうなるか、民貿のほうの輸入量と事業団のほうの輸入量との関係によりまして違いが出てまいるわけでございます。
  43. 石井一

    石井(一)委員 それでもまだ、私の質問に十分答えていただいてないのですが、大体私の言っておることを認めていただいたような感じがいたしますから、これ以上追及いたしませんが、何か私の調べたところでは、四十五年度の民貿の差益金の蓄積の五億八千万というのは、事業団より五千トン多いようです。しかし、五千トン多い金額が五億八千万という金額であったとしても、当然事業団には四億三千万円くらいのものはここに計上されておらなければ、私にとっては非常におかしいという感じがしたわけであります。しかし、いまの説明では四十五年度のみに計上されないというんだから、四十六年度には計上されると思いますけれども、こういう収支のやり方自体、非常に何か明朗でないような感じがするのですね。ここらにも何か、マンモス農林省とは言いませんが、アンモス事業団一つの、もう少し追及をしていかなければいかぬ問題がひそんでおるように思うのです。  ちょっとこれ、参考にお伺いします。四十一年、二年ごろに大きな赤字を出されたのは、どこからどうして埋められたのですか。
  44. 岡田覚夫

    岡田参考人 ただいまの御質問の点でございますが、四十四年度は、赤字が出ました関係から、事業団はほとんど輸入をしなかったわけです。民貿のほうは、四十四年度割り当てがありまして、輸入があったわけでございます。それが四十五年度に入ってきております。したがって、量的に民貿の場合と事業団の場合とは非常に違いが出てまいるということが、先ほどの御質問の一点でございます。  それから第二点の、損失が出た場合の赤はどうしたか、こういうお話でございますが、四十一年度、四十二年度、四十三年度には当年度の利益が出ておるわけでございます。したがいまして、その利益の中から積み立て金として積み立てをいたしておったわけでございますが、四十四年度に至りまして当年度の赤字が出たわけでございます。したがいまして、それは当然、前に積み立てておりましたもので取りくずしまして、その赤を消しておる、こういうことになっておるわけでございます。
  45. 石井一

    石井(一)委員 それはそういうふうにできたからよかったですが……。  私、もう一点だけお伺いしておきたいと思いますが、人件費は国の助成金から出て、ここの収益から払われておらないんじゃないか、この点はどうですか。
  46. 岡田覚夫

    岡田参考人 畜産振興事業団の管理費と申しますか人件費の問題でございますけれども、これは事業団の資本金がございまして、資本金の運用益から出すことになっておるわけでございます。ただ、その経費、一般的な管理費等につきましては、これはそれぞれの勘定からそれぞれ分担をするというたてまえをとっておるわけでございますから、したがいまして、その勘定ごとの利益の中から出しておる、こういうことになるわけでございます。
  47. 石井一

    石井(一)委員 政府からの助成金はどういうふうになっておるのですか。また、それはどういうふうに使われておるのですか。
  48. 岡田覚夫

    岡田参考人 畜産振興事業団に対します助成金というものは、たとえば学校給食でございますとか、それから牛乳の不足払いに対する交付金でございますとか、そういうものに対します交付、それから助成事業の中で、たとえば大規模事業をやります場合に事業団が出資をいたしますが、その場合に原資として国から事業団に助成があるということはございますけれども、人件費でございますとか一般管理費につきましては、一般的な助成というものはございません。
  49. 石井一

    石井(一)委員 それから、その利益を国内振興その他に使っておると言われますけれども、それがまた、この収支計算で非常にわかりにくい。どこで何に使われておるかというのが、私は一ページ一ぺ−ジ見たけれども、非常にわかりにくい。私がここでやっておりましても、私のほうが知識が、まだにわかごしらえですから少ないわけですけれども、こんなに複雑であると、これは問題がありますよ。もうかった金はこれだけ、これはこういう使途に使われておる、すべてもう少し、これはガラス張りにしなければわけがわからぬ。わけがわからぬところに事業団の存在自体を疑わなければいかぬという問題が出てくるわけでありまして、畜産というのはむずかしいんだ、むずかしいんだ、これはまだまだ弱いんだ、弱いんだという隠れみのに隠れて、もしかりにその辺にいろいろの問題があるとすれば、これは当然追及をしなければいかぬというふうな感じがするわけです。きょうはもうこれ以上申しませんけれども、私は少し今回調べる機会がありましたので、今後も事業団の動きその他に対しては十分な注目を払っていきまして、機会があるごとに問題を取り上げさしていただきたい。またお呼び出しをして、追及するところはどんどん聞かしていただきたいと思っております。きょうやりましたのは、いわゆる入札の現在の八千トンを取り上げたのみで、あと残りの七千トン分については、これはワンタッチ方式その他、もっともっと突っ込めばいろいろな問題が出てくると思います。これはまだ半分ぐらいしか調べておりませんからこの次の機会に譲りまして、きょうは私の質問を閉じたいと思いますけれども、ここで回答を何とか済ますことによってこの問題が解決するということでなしに、実績をあげてもらいたいとぼくは思うのです。実績をあげれないもんならそれはやめてもらいたい、私はそういう議論でありまして、農林省がいかに鉄壁の壁であったって、そういう時代は過ぎておる。もう国際的な動きから見ても国内的な動きから見ても、これはもう急激に政策を転換しなければいかぬというときであって、物価の問題くらい重要な問題はないということを考え、その焦点にあるのがこの牛肉であって、これまでのような、あんまりややっこしいからもうどうにもならぬということで逃げられない時代が来ておる。私は、そういうことに対して強く反省を求めて、きょうの質疑を終わらしていただきます。ことばが過ぎた点は、ひとつお許しをいただきたい。
  50. 井岡大治

    井岡委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。  岡田参考人には、お忙しいところをどうもありがとうございました。委員会を代表してお礼を申し上げます。  引き続き質疑を行ないます。武部文君。
  51. 武部文

    ○武部委員 私は、最初に、厚生省に生協問題についてお伺いをいたしたいと思います。  先般の物価連合審査の際に総理、厚生大臣、通産大臣に対しまして、現在の物価問題、その中に占める消費者組織、特に生協が、消費者組織の中で系統的に物価問題に取り組んで、非常に困難な中にも物価問題に果たしておる役割りが評価をできる、したがって、年来の懸案であった生協法の改正を、ぜひいままでの約束どおり今度の国会に提出してもらいたい、こういう点を強く要望しておきました。総理からも各大臣からも、それぞれ答弁があったわけであります。続いて三月十五日当委員会で、本日御出席の厚生省登坂政務次官、さらには経済企画庁の政務次官においでをいただいて、法案の進捗状況等についてお伺いをいたしました。すでに衆議院も予算が通過したわけでありますが、この生協法改正の手順はどのようになっておるのか、その現状をお伺いいたしたい、こう思います。
  52. 加藤威二

    ○加藤政府委員 生協法の改正につきましては、先生指摘のとおりな事情で、厚生省といたしましても、でき得れば今度の国会に改正案を提案いたしたいということで、関係方面と折衝を続けております。しかしながら、御承知のように中小企業との関係という非常にむずかしい問題がございまして、現在のところ、まだ関係方面の御了解を得る段階には至っていないということでございます。しかし、まだ会期も相当残されておりますので、私どもといたしましては、さらに努力をいたしまして、何とか関係方面の御了解を得て国会に提案をいたしたいという気持ちでおるわけでございます。
  53. 武部文

    ○武部委員 あの際にも御答弁がありましたが、いろいろ反対の意見もある。特に中小企業が問題だということが出ておりました。しかし、政務次官もおっしゃったように、中小企業の問題と生協とがお互いに摩擦を起こすというようなことは間違いだ、両立できる問題だ、そういう詰めを一生懸命やっておるんだ、こういう話でありました。  生協法の改正というのは数年来の懸案でありまして、そうした問題は非常に長く論議をいたしたところであります。したがって、生協そのものが主張しておる五つの法改正ということでは、これは非常に困難だろう。したがって、いま、経済圏の拡大に伴って、さしむき生協法を改正するならば、この一点だけでがまんをしようじゃないか。われわれも五点の問題についてはいろいろ意見を持っておりますが、しかし、そういうことを言っておったのではいつまでたってもらちがあかないから、せめて地域制限の緩和という問題だけでも法改正をやったらどうだ、こういう点については、当事者も不満ながらこれを認め、あなた方自身も、五つの問題についてはいろいろ問題があるのでこの一点、さらに商法の改正と、二点を含めて他の関係向きと折衝を続けておられる、このように私ども承知をいたしておるところであります。  いま、まだ会期もあることだからというお話でございますが、一体厚生省は、今度の通常国会にほんとうにこの法案を提出する考え、そういう決意でいま関係方面と折衝しておるのだろうか、こういう点について非常に疑問に思うのですが、いま一点、一体どこがガンなのか、一体どこが反対しておるのか、その理由は何なのか、これをひとつ端的にお伺いいたしたい。
  54. 加藤威二

    ○加藤政府委員 私どものこの生協の改正問題というのは、中小企業との関連で非常にむずかしい問題を含んでおりますので、先生指摘のとおり、改正案もごく小範囲にしぼって、それで何とかこの改正案を国会に提案したいということで、いろいろ関係方面と折衝をいたしておるわけでございますが、中小企業の団体におきましては、やはりこの地域制限の緩和についても絶対反対であるということのようでございます。現に三月の十七日に、全国中小企業団体連合会という団体の会長から厚生大臣あてに、地域制限の緩和についても絶対反対である。それから三月の二十四日に至りまして、中小企業政治連盟の会長から、やはり同様の趣旨の要望書が厚生省に提出されている、こういう状況でございます。したがいまして、私どもといたしましては、事務的にもいろいろ今後詰めてまいりたいと思いますけれども、遺憾ながらこういう中小企業の団体が、この地域制限のみについても生協法の改正に反対であるという強い要望を持っております。国会の先生方の中にも、中小企業問題について非常に関心のおありの先生方も多数おられまして、そういう先生方も、生協法の改正についてはいろいろむずかしい問題があるという御指摘もございます。そういう点について、私どもといたしましては、率直に申し上げると見通しは非常にむずかしいと思いますが、なお努力は続けてまいりたいと思っております。
  55. 武部文

    ○武部委員 中小企業の政治団体なりそういうものがいままで反対を続けてきたことは、私もよく承知をいたしております。しかし、この問題は、先ほども政務次官のことばを私は引用したわけでありますが、前回も四つ五つの具体的な例をあげて、生協と中小企業とは競合しないという具体的な全国各地の例をあげて説明をしたことを、私は記憶いたしております。  一体、中小企業を圧迫しておるのが生協であるのか大スーパーであるのか、そういう点についての厚生省の見解というものが非常に弱いのじゃないか。具体的に、いま全国に散らばっておる生協というのがどの程度の品物を取り扱い、それが一体中小企業とどういうふうな摩擦を起こしておるのか、こういう点について、そのような誤解を解くだけの熱意がはたして厚生省にあるだろうかという点を、私はたいへん疑問に思うのです。総理も、消費者の団体に会うと、生協については育成強化しなければならぬとおっしゃる。厚生大臣もそのようにおっしゃる。おっしゃるけれども、一向に具体的に進まない。したがって、物価対策に何らの手を打たないそういう佐藤内閣が、いま直ちに手を打って、少しでもこうした物価問題、消費者問題に関心を持っておる人に、政府も生協問題についてはある程度前進の形をとっておるというふうに思わせることが当面必要ではないかということを、私は何べんも口をすっぱくして申し上げてきたわけです。いまの局長答弁を聞いておりますと、非常に壁が厚くて、努力してみるけれども、どうやらこの通常国会には出せそうもないようなふうに聞こえるわけです。これでは私ども、たいへん不満であります。  政務次官、どうですか。あなたも、私とこの席で約束されたわけですから、この辺についてあなたの決意を聞きたい。
  56. 登坂重次郎

    ○登坂政府委員 物価問題は、武部委員のおっししゃるとおり、まことに焦眉の急を要するものであります。また、これに対しましては、政府としてもあらゆる努力をしなければならない、これも同様であります。しかし、中小企業の問題というのはなかなか幅の広いものでありまして、五百数万になんなんとする業界人の意見を無視するわけにもいかない。しかし、私ども厚生省としては、所管事項でありますから、院の決議にものっとりまして、何とかこれを提出したい。法案の作成は終えておるというような状況でありますけれども、やはりわが党の中小企業問題の関係、あるいは外部との折衝、通産大臣との話し合い、そういうことで事務的にいま詰めております。決して厚生省としては、これを葬りたいとかあるいは延ばしたい、そういう気持ちはさらさらないのでありますが、武部委員おっしゃるとおり、数年かかって議論されておる問題であるがゆえに、むずかしさもそこにあるということを御承知願いたいと思うのであります。物価問題ですから、国民の消費経済を少しでもやわらげたいというのが政府の偽ら、ざる考え方であります。  しからばどうすればよろしいか、どういう状況になっているかということでございますが、いまこれが社会部会において議論されるという、厚生省の設置法の問題もあると思うのでありますが、商工部会、いわゆる党内の諸機関と相談する上において、正直のところ、両部会の話し合いがなかなかむずかしい。それを承知いたしております。しかし、私どもは決してあきらめておるわけではなくて、社会部会、商工部会、いろいろとそういう方々と折衝して、事務的にもなお繰り返し繰り返し折衝を重ねておるわけでございます。  また、私は、生協と中小企業というのは両立していいものだ、この前も申し上げたとおり、これはどっちも消費者のいわゆる配給機構である、商行為であるけれども配給機構である、ですから、お互いに合理化し、低廉な供給をすべきだ、そういう信念でおりまするから、今後とも事務当局を督励し、また私どもも政治的に部内の調整努力する。大臣も私も同じ気持ちでおることは事実でございます。なお最後まで努力いたす所存でございます。
  57. 武部文

    ○武部委員 いまの政務次官の発言で一るの望みを持てそうなんですが、しかし一るぐらいで、たいへん私は危惧を持っております。しかし、残された期間はまだあるわけですから、総理以下の約束なんですから、ぜひひとつこの問題が、この通常国会で法改正が実現するように、厚生省にさらに努力を要請しておきたいと思います。  厚生省には、以上で生協の問題を終わりたいと思います。  続きまして、私は、牛乳の異種脂肪の問題について、たいへん疑問に思う点がございますので、この機会に明らかにしておきたいと思います。  昨年の八月八日の毎日新聞のスクープによって、この問題は国会で取り上げられました。同僚議員がそれぞれ立って、この異種脂肪の問題について、公正取引委員会あるいは厚生省の見解を問いただしておりました。当時私もそれを聞いておっていろいろ疑問に思い、続いて農林省に対して資料の要求をいたしました。資料が、相当期間かかって出てまいりましたが、この資料をいただいて、その説明を聞いたり、あるいは、本日お見えをいただいている公取の委員長あるいは取引部長においでいただきまして、いろいろお話を聞くにつれて、だんだん私は疑問が深くなってまいりました。  きょうは、これから具体的にお伺いをいたすわけでありますが、本来ならば申し上げたくない企業の社名を申し上げなければなりません。したがって、もし私の発言に誤解なりあやまちがございますと、その企業にとってはたいへん迷惑なことでございますから、もし私の発言に誤りがあるということであれば遠慮なくひとつ御指摘をいただきたい、そういう点を最初に申し上げておきたいと思います。  この八月八日の発表は、具体的に日時をさかのぼっていろいろ調べてみますと、四十五年、一昨年の八月十七日、公正取引委員会が九社の抜き取り検査を行なった。その検査を厚生省の国立衛生試験所に依頼をされた。それが四十六年の八月、先ほど申し上げますように新聞に発表されました。ところが、その八月に発表されるより二カ月早く、公正取引委員会が再検査をされておるわけであります。その再検査の依頼先は、最初の国立衛生試験所ではなくして、日本食品分析センター、日本乳業技術協会、ここに分析を依頼されました。そして四十六年の九月二十二日、公正取引委員会は正式にこの結果を公表されたわけであります。ここに新聞発表の公正取引委員会の発表の文書がございますが、これによって白として発表されたわけであります。御承知のように、この発表の直後、消費者団体をはじめとして、たいへんきびしく、公正取引委員会の処置に対して攻撃がありました。ここにたくさん私も新聞を持っておりますが、たくさんの記事が出たわけであります。  そこで、以上申し上げましたような順序を経て、私自身たいへん疑問に思っておる問題を数点お伺いをいたしたいと思います。  まず、この調査の過程、さらには公正取引委員会が最終決定をされた段階で浮かび上がってきたものは、市場において少量のものしか取り扱っていない中小零細のメーカーが上がったわけでありまして、そういう面で、少なくとも公正取引委員会が弱小のそういうものに対して、はたして厳正中立な立場でこの問題を取り扱ったんだろうか、こういう点についてたいへんな疑問を私は持っておるわけであります。  したがって、順序が逆になりましたが、農林省は、いまの牛乳の消費動向をどのように考えておるのか、一体消費動向はどのようになっておるのか、これを最初にお伺いをいたしたい。
  58. 斎藤吉郎

    斎藤説明員 牛乳の消費の動向でございますけれども先生案内のとおり、昨年、いわゆる異常な事態が秋ごろから出てまいったわけでございます。数年前でございますれば、十数%の生産並びに消費の伸びというような状況でまいりました牛乳の需要が、その後生産消費も大体五%ぐらいずつの前年対比の伸びというような、いわゆる低位安定的な形で進んでまいりましたが、それがさらに落ちくぼみまして、昨年の秋から暮れにかけまして、生産消費もともに前年を割るというような状況さえ出てまいったわけでございます。  そういった意味合いにおきまして、この事態が一体どういうことであるかということを私どもとしても重視いたしまして、政府の中に、識者の方々にお集まりいただきまして酪農問題の研究会というものを催しまして、そこでいろいろと御検討を願い、われわれもいろいろと考えたわけでございます。一体全体、これが構造的な変化ということで、すでに消費というものがここでもって停滞をして、このままいってしまうのであろうか、それとも一時的な現象として、またこれから伸びていく形がとられるのであろうかというところに非常な力点が置かれて、いろいろと検討繰り返したわけでございます。  現実の問題といたしましては、年が変わり差してから、生産にいたしましても消費にいたしても、かなりまあまあの上げ調に戻ってまいっておる事実がございますけれども、そういったことで、一体今後の消費というものをどう考えるかということに現在いるわけでございます。  昨年の特殊な事情といたしましては、先生案内のとおり、いわゆる現象的には夏場の冷夏現象、それから、いろいろと議論がございましたBHCとかあるいは抗生物質といったような問題によりますところのもの、さらに、ただいま先生が御指摘になっております異種脂肪といったような、こういう問題が積み重なった結果の品質に対する消費者の不信感と申しますか、そういうものがどうしても出てまいった。さらに、御案内のとおり、昨年は市乳の値段を数年ぶりに値上げをした、値上げに伴いますところのその後の消費の減退と申しますか停滞傾向、こういったいろいろな事情が重なった結果、やはりそういったものが大いに働いて、昨年の暮れから現在に至ったような形をかもし出したのではないかと思います。  それらの点につきましても、いろいろと当面、行政的にも、あるいは実際の乳業関係生産者から末端までの間の努力等もございまして、大体そういった問題も払拭されつつある段階ではないかと考えておりますので、これらの事情を勘案いたしまして、やはり明年度と申しますか今年度以降、従来のような、前年対比一〇%というふうな非常に大きな伸びでもって需給ともにいくというようなことは少し考えにくいという状況ではございますけれども、いわゆる安定的な成長期に入るということで、まあ五%の内側のような段階での生産消費の伸びというものを今後は期待していくという形になるのではないかというぐあいに、現在考えておるところでございます。
  59. 武部文

    ○武部委員 消費は減退をしておるということ、これは私もたいへん心配でありますし、同時に、その原因がいろいろあることも承知をいたしております。BHCの問題は幸いにしてそのような処置をとっていただきましたから、一応はBHCの製造、販売すべて禁止でありますが、高知県のあの発表によりまして、母乳の中にBHCがいまだに大量に存在をしておるという記事が、きょう出ておりました。私ども、この点についてはたいへん心配であります。さらに、その一つの原因として異種脂肪のこともあるだろう。それもまた、ある意味において結末があまりはっきりしていないから、それも消費者の不信を買っておるところの一つの原因ではないかというような気持ちを持っているのであります。  そこで、公正取引委員会にお伺いいたします。  あの新聞に発表された直後の八月十一日、二人の同僚議員が質問を行ないまして、これに対して皆さんのほうから答弁がございました。あの新聞記事に載ったところの社名、四社の名前がはっきり載っておるわけであります。これについて私が事務局長からお聞きいたしたところでは、公正取引委員会調査したものと違うというお話がございました。これがまず一点であります。それから、こういうことが具体的に報道されておるのであるが、これは一体公正取引委員会として正式にそういうものを発表されたのか、こういう点については、公取として正式に発表したものではない、しかしこの記事の内容は明らかに公正取引委員会景表課しかないと思うというお話がありました。さらに、そういうものは一体どこで異種脂肪というものが入ってくるだろうかというような話し合いの中で、中小の場合は生乳の段階ではないだろうか、こういうお話がございました。これまた、私もある程度うなずけないことはございません。中小の場合は生乳の段階で入ったとするならば、中小でないところは一体どこから入るだろうか、こういう疑問を当時私は持ったのであります。  したがって、この四社の名前が正式に、これは新聞に出たわけでありまして、それだけに非常に大きな反響を呼んだわけでありますから、この点について公正取引委員会に、私がいま申し上げた点についてどのようにお考えなのか、最初にそれをお伺いいたしたい。
  60. 谷村裕

    ○谷村政府委員 私どもは、正しい表示が行なわれることを心から念願しておりますが、したがって、それに対する違反が行なわれていないかということについても常に細心の注意を払って見ているわけでございます。その際、どの程度の疑いのある問題であればこれを表に出すのがよろしいかどうかという点については、武部委員も冒頭に触れられましたが、企業の経営にも関する問題であり、非常に慎重に扱わなくてはならない、まず、基本的にかように考えていることを申し上げておきます。  そこで、お尋ねの点でございますが、新聞に出ましたのは、新聞のほうの一つの推測記事と申してもよろしいかと思いますが、私どものほうから発表したものではございません。あの段階におきます私ども考え方としては、まだ社名を公表したり何かすることには慎重でなくてはならない、そういう態度でございました。したがって、発表というふうにも言われましたけれども、それは、当時私どもお答え申し上げたとおり、積極的に私どものほうが発表したものではございませんし、また、意識的に流したものでもございません。何らかの方法によって新聞のほうが取材してなさったことであろうかと思います。  その際、そういうことがわかっておるのはおまえのところじゃないか——おまえのところというのは、さっきお触れになりました取引部景表課しかわかっておらぬ話じゃないかと、かように言われますれば、私どももまさに、どこからそういう資料を手に入れたか、わかったかという点について、社名の問題は別といたしまして、そういう問題をわれわれがいま扱って、さらに詳しい調査にまたしようとしているという、その段階のことが出たことについては、私どもも一応、私どもの内部からそういう問題が出たのではないかと思うのは、これは当然であります。さような意味におきまして、私どもは内部的にも調べたのでございますが、ちょっと話がおかしくなりますけれども、なかなかその確証と申しますか、漏れた関係の具体的ないきさつ等についてはわかりませんでございました。  それから、私どもは、したがって積極的に発表するとか漏らすとかいう意図がなく、むしろこの問題はもう少し徹底して調査をしなければならない、それまでは企業の名前を表に出すべきではないということを委員会として考えており、非常に慎重に扱っておりましたのでございますから、中小のものだけがわざと出たとか、中小に対して非常に何か悪い扱いをし、何やら大手と称するほうにはかばってやったとか、公正取引委員会がさような不公正な扱いをするということは、毛頭私どもとしては考えていなかったのでございまして、そういう御懸念があったとすれば、それはここではっきりと申し上げておきたいと思います。  そうして、その後において、いま答弁の内容から御指摘になりましたが、中小の場合は生乳段階で混入したのではないかというふうにちょっとおっしゃいましたけれども、何も中小とか大手とかいう区別でなしに、そういう疑問が出てまいりました。疑わしいものがあるということになってまいりましたときに、どの段階でどうだったろうというふうにして、工場等についてしさいに調べましたけれども、場合によればそういうのは生乳のほうに、むしろ農家の段階で入ってくるのではないかという場合が考えられるということを、そとき私どものほうでは御答弁申し上げたのだと思いまして、決して、中小の場合はこうだ、何の場合はこうだというふうに分けて申し上げたわけではないと思いますし、また私どもは、そういうふうに分けて問題を考えているわけでもございません。  いま御指摘になった点だけについてまず御答弁申し上げておきます。
  61. 武部文

    ○武部委員 いま、話が二つありますが、あとのは、中小といわず、これはすべてのことについていえると思いますが、いまの御答弁を聞いておりますと。  生乳の段階で異種脂肪が混入された疑いがあるということは——公正取引委員会がこの当委員会の席上で三つの点をあげて言われたわけであります。生乳の段階あるいはメーカーの段階、それからもう一つ、何でありましたか、ございましたね、三つございました。そういうことをおっしゃったわけです。しかし、私どもが考えますと、生乳の段階で混入されたということは、千に一、万に一そういうことがあったにしても、それが末端の販売された市乳の段階で異種脂肪として出てくるということは、私はほとんどあり得ないと思うのです。そういうことは、三つあげられたけれども、ほとんどないと私は思う。それは全然ないとは言いませんよ。しかし、少なくとも国立衛研なりその他が分析をされた、そういう中から出てきた異種脂肪の疑いというものは生乳段階だということ、生産段階であるということについては、私は、ほとんどないといって差しつかえないと思うのです。これはおそらく議論になります。  それから、いま社名のことについてお話しになりました。私もできるだけ社名はあげないつもりでおりますが、これは新聞にはっきり出ておるわけですから……。この点について、少なくともこのあげられた四社について、ここに新聞にはっきり出ておるのだから、こういうことが出ておるということは——新聞の記者の皆さんは、取材は自由であります。これを発表されること、これまた自由であります。問題は、そのことが公正取引委員会として、自分のところから出たものであるとするならば、その真偽について責任を持ってもらわなければならぬと思うのです。そういう点について私が事務局長からお聞きしたところでは、四社の名前は公取と違っておるとおっしゃっておる。だとすると、この新聞に出た四社の中でどれかが違っておったはずだ。だとするならば、中小企業のメーカーにとっては、一片の報道によって一夜のうちにあるいはつぶれてしまうかもしれぬという打撃を受けるかもしれぬ。現実にこのようなことが起きてから、全般的に牛乳の消費はぐうっと減ったのです。これはだれが見てもそのとおりなんですね。これはもちろん、そういうものを入れておるものが悪いのだから、消費が減ったのが悪いということじゃない。そういうことから見て、少なくとも慎重にならざるを得ないと思う。だとすると、この問題について公正取引委員会は、あの発表は公正取引委員会の正式な発表ではない、同時に、あの発表された社名の中には、公正取引委員会として具体的にいま検討中であるけれども、これには関係のない社名もある、そういう態度を明らかにされるのが義務じゃないかと私は思う。自分のところからいつか知らぬ間にそういう記事が流れておった。発表されたことは自由だから知らぬ。こういうことで、何カ月もたって当委員会で追及されて、あるいは私が個人的にいって、あるいは名前が違っておったかもしれぬ、事実違っておるとおっしゃっておる。だとすると、そういう態度をおとりになるのが、私は、公正取引委員会としての責任のある態度ではないかと思う。この点、いかがでしょうか。
  62. 谷村裕

    ○谷村政府委員 たいへん理の当然の御質問であると私は受け取ります。確かに新聞に発表されたというおことばでありますが、まあ私ども発表したわけではなくて、書かれてしまった企業の方々のお立場というものを考えなければならないわけであります。そこで当時——ここにも参っておりますが、事務局長が、違うというふうに答弁いたしました意味は、公正取引委員会が疑いがあるらしいとして把握していた社名が、必らずしもその新聞に出ているものと同じではないという言い方をしたんだと思います。違うという意味が、非常にこれは複雑な意味を持っておると思いますが、行政当局として言えることは、具体的にそのうちのどれがどうでありこれでありというふうに言う言い方ではなくて、全体として違いますと、かような答弁をしたと私は思っております。そしてその点についてはっきりさせることは、事実をもって、その点についてほんとうであるかうそであるかということを公取の手自身によってきちんと調べた上で、慎重にそれを扱うべきではないかということで、当時すでに調査もしておりましたが、その調査の結果が、先ほど御指摘になったように、当時衛生試験所は非常にこんでおりましたために、やむを得ず民間団体に頼みましたけれども、二つのところに頼んだ結果からして、少なくとも分析結果の点ではこうであるということで、事実をもって私どもとしては、あの新聞に名前の出た会社のその立場をはっきりするという措置をとったわけでございます。さような意味合いでありまして、私どもは、決して不公正な扱いをしておったということではなしにやってきたつもりであります。
  63. 武部文

    ○武部委員 いまの委員長ことばは、私はよくわかりません。わかりませんが、非常に微妙な言い回しであります。しかし、私は、現実にこういう問題が起きたときこそ、公正取引委員会というものは真実を明らかにする義務があり、責任があると思う。さっきから言うように、確かにこれは報道の自由でありますし、私はこれは否定いたしません。しかし、少なくともあとで、これが誤りだ、この発表された中には公正取引委員会の調べたものと違うものがあるということを私におっしゃったわけですから、そういうことを聞いたときに、それならば、なぜあの段階公正取引委員会が正式に、われわれはこういうことをしておるということをおっしゃらないのか、そういう責任があるのではないかということを、私のほうにおいでいただいてお話ししたときに、私は申し上げました。これは済んだことでありますから、これ以上そのことは言いませんが、やはりそういうことを公正取引委員会としてやられるところの責任があると私は思うのです。そうでなければならぬと思うのですよ。  そこで、続いてお伺いしますが、いま、国立衛研に二度目の検査を頼んだらたいへんこんでおって、やむを得ず他の二団体に頼んだとおっしゃったけれども、私の聞いておるところではそうじゃないのです。この検査の方法はたくさんの方法がある。私もしろうとですからよくわかりませんが、少なくとも国立衛研は、第一回目の検査の方法と違った方法での検査の依頼を受けて、前と違った検査の方法はできぬといって断わった。そして今度は、違った方法をこの二つの、センターと協会に対して依頼をされたと私は聞いておるのです。ですから、これは、いまの公取委員長説明と私の見解とはちょっと違うようでありますが、それはそれとして、そのような方法での二度目の検査が行なわれた、これはわかります。  そこで、私が言っておるのは、第一回目の問題であります。第一回目の問題についていろいろお話しになったけれども、具体的には当委員会でやりとりがあった一カ月後に、先ほど申し上げたようなこういう要望書を、全国飲用牛乳公正取引協議会の委員長あてにお出しになっておる。この新聞発表なりあるいは要望書が出された直後、日本消費者連盟の代表が次のように述べておる。私は全く同感です。国立衛研の検査結果が出た段階で何らかの処分を行なわなかったのはおかしい、また、そのあとの検査で白になったとしても、あの時点での混入は間違いでないのだから、さかのぼって処分することは可能なはずであるということを、消費者代表は述べておりますね。私は、この見解は正しいと思うのです。なぜあのときに、疑いがあるものあるいは混入があったとしたものに対して行政処分をなさらなかったのか、この点はいかがです。
  64. 谷村裕

    ○谷村政府委員 幾つかお話がございましたが、最後の問題だけがもし質問の要点であれば、それだけお答えいたします。  しかし、その前に、国立衛生試験所に頼むときの検査方法が違うのを頼んで断わられたとか、いろいろ衛生試験所との間のいきさつについては、私が委員長として承知しておりますことと違っておりますことだけは申し上げておきたいと思います。  さて、私ども行政といたしましては、一つ法律に基づいてやる仕事でございます。しかし、その法律に基づいてやる仕事というものは、企業の営業に対してかなりきびしく干渉する話になる問題でありますだけに、周囲からまだるっこいと見られる点もございましょうが、しかし、やはり証拠に基づくと申しましょうか、あるいは確証をもってこれに対処するということをいたしませんと、万一いたしますと権力の乱用におちいる、そういうことも私どもとしては戒心しなければならぬと思っております。  さような意味におきまして、牛乳問題の扱いにつきましては、それは確かに、消費者の一部の方々からそういう御意見もありましょう。私どもしょっちゅう消費者の方々から、公取としてはなまぬるい、だらしないという御批判もいただいておりますが、一方において、いわば人権を守ると申しますか、法の乱用を慎むと申しますか、そういう点についても慎重でなければならないという考え方を持っております。当時の状況といたしましては、国立衛生試験所の慶田氏に依頼して得た分析結果だけをもってして直ちに何らかの処理をすることには慎重でなければならないというのが、当委員会としての一致した見解でございました。
  65. 武部文

    ○武部委員 そうすると、国立衛生試験所に対して依頼をされたその結果については、公正取引委員会としてはその結果を信用することはできなかった、こういうふうに考えられてあのような処置をおとりになったわけですか。
  66. 谷村裕

    ○谷村政府委員 国立衛生試験所の慶田氏にお願いして得られました結果は、それはそれなりに一つの証拠である、あるいは鑑定材料であるというふうに考えておりますが、それだけをもってして直ちに何らかの措置をとるよりは、もう一ぺんクロスチェックと申しますか、チェックを重ねてその慎重を期したほうがより安全である、かように私ども行政上の判断をしたわけでございます。
  67. 武部文

    ○武部委員 私は常識的に見て、少なくとも公正取引委員会が厚生省の所属の国立衛生試験所に調査を依頼される、検査を依頼される場合は、正式に国立衛生試験所長あてに公式文書をもって依頼されたものだと思っておりました。いろいろ聞いてみますとそうではない。公正取引委員会事務局長名で食品添加物第三室長である慶田教授に依頼をした、そういう慣例だったかのごときお話がございました。さらに、この要望書が出されました九月二十二日の日の新聞記者会見の際も、公正取引委員会の景表課長は、国立衛生試験所の検査結果は、個人的に依頼したもので、責任あるものではないという談話を新聞に発表されております。ここにゼロックスがございますが、こういうことを見ると、一体公正取引委員会は国立衛生試験所に対して、どのような手続をもって正式に検査を依頼されたのか。ただ単に個人的にあるいは慣行上一応依頼をしたのだ、その結果については責任あるものではない、こういうような、ただ単なるそういう依頼なのかどうか、私はたいへんふしぎに思うのです。  また、あとで申し上げますが、二つの機関に依頼をされた検査方式と、国立衛生試験所に依頼された方式と違っておりますね。分析のしかたが違っておる。そして、あとのほうは白になっておる。前のときには黒になっておった。そういうようなことから見て、私は、公正取引委員会がこの問題について、ほんとうに熱意を持ってこういうことをおやりになったかどうかについて疑問を持ったわけであります。いま私は公正取引委員会の景表課長のことを引用をいたしましたけれども、そういうことは現実にここに載っておるのであります。そういたしますと、最初に新聞にこれが発表されてたいへん問題になったときに、公正取引委員会は、この新聞に発表された四社の社の人あるいは、たいへん抽象的にここに書いてありますが、二社とか一社とか、ですから五社とか六社とかにと思いますが、そういう人を呼んで何かの行政的な措置をおとりになりましたか。
  68. 谷村裕

    ○谷村政府委員 幾つか御質問がありましたが、私ども、いま武部委員が御指摘になったと同様に、従来の慣行が、一体鑑定を個人に頼んでいるのか機関に頼んでいるのかという点、たとえばそれは裁判等におきましても、鑑定人というものをある機関のある人に依頼するという例が多いようでありますが、どうも私どものほうの鑑定といいますか分析依頼というものも、そういうふうに、ある機関の権威者に頼むというような例が過去においてずっとあったようであります。私どもも実は率直に申しまして、国立衛生試験所に公式に頼んだつもりと話は聞いておりました。だんだん私どもの事務局から聞いてみますと、その辺がいま御指摘のような形になっており、たぶんそのときにいろいろとやりとりがありまして、衛生試験所自身としましてはこれは責任は持てない、これは慶田氏がやったものであると心得るというふうなやりとりが、おそらく事務当局と衛生試験所との間にあったのではなかろうかというふうに思います。いずれにしてもその点は、御指摘のように、機関としてはっきりするものはしなければならない、さように心得ておりますので、今後そのやり方については、私は改善してまいりたいと思っております。  それから、第二の問題でありますが、試験方法が異なっておったかどうかというような点について、私、当時いろいろとむずかしい学術的な話を聞かされたことを記憶いたしておりますが、いま直ちにそれがどういうふうに違っておって、どうだった、こうだったということを、ここで申し上げるだけの知識を思い出せません。必要に応じて事務局のほうからお答え申し上げさせますが、少なくとも私とも委員会としては——委員会というのは、五人のメンバーをもって構成しております委員会としては、極力国立衛生試験所にやらせろ、これをまた違ったところに頼むとおかしなことになるから、何としても頼んでやらせろ、それを厚生省に頼めと、口をすっぱくして、厚生省に頼むように私は言ったのでありますが、私の得た報告は、衛生試験所としては、いろいろなかかえている問題があって、いまお引き受けすることはできないというのが、厚生省からの正式の返事であったということで、私ども五人の委員は、はなはだ残念な思いをして、やむを得ず民間団体に頼んだことを、私はいまもはっきりと記憶いたしております。少なくとも私どもはもう一ぺん国立衛生試験所に頼みたかった。ほんとうであります、この話は。  第三番目、なぜおまえはほっておいたかというとでございますが、私どもは、実態をもう少し検査し、また、たとえばさっき、生乳段階でのみ混入したと申し上げたのではなくて——そういう点もあるという話も出たのだと思いますが、私どもは、まず、工場で混入している疑いがあるというほうを先に立てまして、工場に出向きましてその帳簿書類等を見るということをしたわけでございます。しかもそのときに、疑いがあるといって慶田氏から報告を受けました事業所だけではなしに、試買をいたしました、たしか九社であったと思いますが、九社全部について、現場を調べ、かつ副資材等の購入受け払いの実情ないしそういった関係工場のみならずそれに隣接する工場等で、たとえばバケツを混用してはおらぬかとか、いろいろそういうような実態をこさいに調べたわけでございます。それがたしか、私の記憶では六月ころであったかと思います。さようにして実態を調査した結果が、あるいはそういうところで混入することを引き起こしかねないように見受けられる管理体制もあると認められるところもあったわけでございます。これも御説明申し上げたかと思います。  さようなことをして、私どもとしては、事柄が事柄でありますだけに慎重に扱い、かつ同時に厚生省のほうにも連絡をいたしまして、厚生省のほうから、これは何と一片の通牒だけではないかとおっしゃるかもしれませんが、各都道府県の衛生部長あてに、十分そういう点の監督をするようにというのが、たしか、やはり六月でありましたか七月でありましたか、私どものほうとの話によりまして出ておった、かように私は記憶いたしております。  しかし、おしかりのように、私どもとして行政的にもっといろいろと手だてを尽くすべきではなかったかという点については、私どももこれを一つのよい教訓として考えてまいりたい覚悟でございます。
  69. 武部文

    ○武部委員 そういたしますと、この四社の名前が出ておることは何べんも言いましたね、そういうような違反の疑いがあるものあるいは違反があるもの、そういうものについて、その当時行政的な措置あるいは誓約なりそういうことを、呼び出しておやりになったかどうか、その点をお聞きしておるわけであります。
  70. 谷村裕

    ○谷村政府委員 事業所に出向きまして臨検検査をいたしました事実はございますが、呼び寄せまして、要するに景表課のほうに事業者のほうを呼びまして何かしたということはないようでございます。
  71. 武部文

    ○武部委員 それならばちょっとお伺いいたしますが、ここに四十六年十一月二十日付、厚生省環境衛生局長あてに明治乳業株式会社取締役の重役の名前でもって顛末書が出ております。この顛末書を見ますと、「先般十一月十五日乳肉衛生課長殿より、昨年八月公正取引委員会事務局が実施した弊社市販牛乳及び加工乳の検査結果について御注意を戴きましたが、本件について下記御報告申し上げますと共に、種々御迷惑を及ぼした事を深く御詫び申し上げます。今後は斯かる疑点の生じない様、対処致しますが、何卒寛大なる御措置を賜わります様御願い申し上げます。」そうして「記」(1)として、「十一月十五日午後三時、乳肉衛生課長殿より、弊社担当常務に対し次記口頭御注意を戴きました。昨年八月実施した公正取引委員会の市販牛乳収去検査に於いて、戸田橋工場製品の牛乳及び加工乳から異種脂肪が検出された旨報告を受けた。」これが主文の第一であります。そうして、ずっと飛んで最後に、「前記(1)の検査結果については去る九月三十日午前、公正取引委員会事務局景品表示課長より口頭御指摘がありました。」こういう顛末書、始末書が厚生省に出ておるのです。  いまおっしゃったことと違うわけですね。私は、できるだけ名前を伏せたいと思っておりました。しかし、現実にあのような名前が新聞に出、その中に若干の間違いがあるように公正取引委員会はおっしゃっておる。それは間違いもあるでしょう。ですから、そういう点については、やはり公正取引委員会においては真実を明らかにしなければならぬ責任があるということは、私は何べんも申し上げたわけですね。当時、この新聞報道の中にも、大メーカーを含むとかいろいろなことが書いてありました。ですから、私は、いろいろなことがあっただろうということはわかります。しかし、現実に疑いのあった何社の人たちにも、あなた方はおそらく何らかの注意をされたであろう、同時に、公正取引委員会はこの問題について、少なくとも国民がそういう疑惑を持っておるのだから、いち早くこの疑惑にこたえる態度を御決定になるだろうと思って、私どもは期待をして待っておった。ところが現実に、これは十一月二十日付でありますが、公正取引委員会がこの企業を呼んだのは、二十二日に発表になったあと、一週間後の九月三十日であります。そういうことが現実に起きておる。この点についていかがですか。
  72. 谷村裕

    ○谷村政府委員 先ほど衛研の検査結果が出たあとでおまえらどうしたかということについて、私は、現場その他の臨検検査をいたしましたということを申し上げたのでございますが、私どもとして第二段の九月二十二日の試験結果の発表を、これは正式にいたしましたあとで、事務のほうが厚生省といろいろ今後の牛乳対策について、特にそういうことについては、衛生担当であるところの所管官庁の厚生省しっかりしてもらわなければ困るというような趣旨で話してこいというふうに申しましたので、おそらく十分そういう点での話し合いを遂げられただろうと思います。その話し合いをしましたときには、いろいろ過去のいきさつ等についても触れて、先方の厚生省の係の者と十分懇談した、そして対策を立てることをやったというふうに思います。  そしてなお、当事者をそれぞれ呼んで注意を与えたのかどうか、その点については、その御指摘のポイントについては、私は先ほどの答弁とは違う問題として考えておりましたので、もしさようなことが現実に行なわれておるとすれば、あるいはそうだったかもしれません。それについては担当の者から、よろしければ、当時の発表後の事情は申し上げさしていただきたいと思います。
  73. 熊田淳一郎

    ○熊田政府委員 ただいまの問題でございますが、九月二十二日に業界に対しまして要望をいたしますと同時に、この生産段階におきます不備、こういうものが見受けられます企業に対しましては、やはりそういう生産段階の不備をなくして、違反行為を未然に防止すべきである、そういう趣旨から、そのあと個別に呼びまして警告をいたしたことはございます。
  74. 武部文

    ○武部委員 それはちょっと話が違いますね。少なくとも去年の八月——ここにはっきり書いてある。去年の八月公正取引委員会調査をしたそのときに、少なくともこの工場において牛乳及び加工乳から異種脂肪が検出されたということを、公正取引委員会は厚生省に通知をしておるのですよ。ここに書いてあるんですからね。いかにあなた方が、疑いがあったとか、あるいはそのあとの第二回目では白であったとか、いろいろなことをおっしゃっても、現実に牛乳の中に、加工乳の中に異種脂肪があったということは、はっきりしておるじゃありませんか。なぜそのときにそのような厳重な警告なり行政措置をとらなかったか、それを指摘しておる。疑いがあるとか白とか、九月二十二日にそんなことをやっても何にもならない。それは済んでしまったことかもしれぬが、現実にそういうことを明治の皆さんも認めておるわけですよ。認めて、済まなかったと言って、今後はいたしませんと言ったのが、いまは白になっているのですよ。だけれども、あなたのほうの説明からいくと、いままで何もなかったことになっている。それが間違いだと言っておるのですよ。いま私が読み上げたことはどうなんですか。厚生省はあなた方から連絡を受けて、厚生省の立場で業者を呼んで、そして公正取引委員会から聞いたことだが、おまえらはこういうことをやっている、けしからぬ、今後注意しなさい、はい、注意しますと言って、これを出している。本来ならば、公正取引委員会がこういうことをすべきなんです。自分たちで検査しておいて、検査の結果を何も発表しないでおいて、そして責任をぬぐうようなやり方は、公正取引委員会として責任回避ではないかというのが私の主張なんです。だから、調べられたら、その調べられた結果を明らかにすべきだ、これが私の主張なんですよ。それがなかったらいいのですけれども、現実にこれを認めているのではないのですか。どうですか。
  75. 谷村裕

    ○谷村政府委員 去年と言われましたが、実はもう年が明けましたので、おととしの八月に、私どもが試買をし、そして、先ほど経過をお述べになりましたように、翌年、すなわち四十六年の四月に至って、私どもは検査の結果の報告を受け、六月に現場等の臨検検査をし、そしてさらにまた、八月でありましたか七月でありましたか、もう一回試買検査をし、分析依頼ということをやっておることなのでありますが、その間におきまして私どもは、行政官庁といたしまして当然のことなのですが、所管官庁と連絡をとりました。しかしながら、所管官庁においてどういうふうに処理されたかということまで私どもは追及しておりませんでしたが、実は、明治乳業というところが厚生省の関係の局ですか課ですかに対してそういうものを出しているということを、私はただいま初めて耳にしたわけでございますが、私どもとしては厚生省には、行政官庁として当然、その話を疑いの段階でもいたしましたが、しかし、世間には、疑いの段階ではまだ扱うのに慎重でなければならないという態度であったわけでございます。
  76. 武部文

    ○武部委員 この文書でいきますと、疑いじゃないですよ、はっきりと「異種脂肪が検出された旨報告を受けた。」こうなっているのですよ。これは疑いでも何でもない。ですから、そういう意味で私は、さっきから何べんも言うように、本来ならば、こういうことはあまり明らかにせぬほうがいいと思いました。しかし、現実にいまの牛乳消費量も減り、また私が入手した文書によると、酪農協議会とそれから乳業協会との間に、異種脂肪の問題をめぐっていろいろ文書のやりとりがあるようです。おまえたちがしっかりしないから異種脂肪が出るとか、何言っているかということを、お互いやり合って、不信が相互にあるんですよ。そういうことを根絶するためにも、少なくとも公正取引委員会ははっきりした態度をとるべきだ、私はそれを指摘したいのですよ。いままで現実にあったことなんだから、あったことはあったこととして厳重に注意をし監視をし、本人たちから誓約をさして、今後そのようなことがないようにいたします、こういうやりとりならば、私はそれでけっこうだと思う。しかし、少なくとも私がここで言うまで、あなた方はこのことについて何にも触れなかった。そして、いま言われたことは——九月三十日に公正取引委員会の景品表示課長は、この業者を呼んで異種脂肪が摘出されたといって口頭で注意をしておるじゃありませんか。そうしておきながら、片一方のほうには、疑いがあるというものはどんどん名前が出て、そして——少なくとも明治さんといえば、数百万の消費者を持つ大メーカーですよ。日本一ですよ。そうした人かちのやられたことに対して、大きな魚は逃がしてしまって、小さなざこだけをごじょごじょ取り上げるような、そういうやり方ではないかと国民の間に植えつけるようなことをおやりになっていることは、私は、公正取引委員会としてはいささか片手落ちじゃないか、これを申し上げたいのです。  ですから、いままでたくさんのことを申し上げましたが、少なくともこういうような段階を経て、私ども、疑問は一応解消されました。そういう事実があったということを本人が認めているのですから。そうだとすると、さっき私が申し上げましたような日にちを追って、あなた方が検査をされ、発表され、そして第二回目の検査をされて、また発表される。そういう厚生省やあなたのほうに呼び出したりする日にちは非常に疑問に思うのです。一年たっても検査の結果を発表しないような公正取引委員会の検査というものを、一体国民が信用するでしょうか。なぜ一年たっても発表しないのです。発表しないどころか、新聞にぽんと出たわけです。そして一カ月たって、あなた方はこの要望書をお出しになったわけです。こういうやり方に私はたいへん疑問を持つのです。ですから、これ以上申し上げません、申し上げませんが、少なくともそうした、酪農家がメーカーに対して不信を持つ、メーカーはこれまたお互い同士が不信を持ち合っておるような、これは公正取引委員会皆さん方の本意ではないと思うのです。ですから、あなた方は検査機関を持っていないわけですから、厚生省は検査機関をお持ちになっているんですから、だとするならば、厚生省に対して正式な依頼をおやりになる。同時に、農林省価格だけに血道を上げないで、こういう問題について公正取引委員会、厚生省、農林省が一体になって、異種脂肪というものはどういう過程を経て入るのか、それは一体何の目的のためなのか、それによって消費者はどういう不利益をこうむっておるか、牛乳の消費が停滞するのはどういうところにあるのか、少なくとも三者が協議をして、これから先の検査体制なり監視体制なり、そういうものをやっていただきたい。  まだ、もう一つありますよ。私はきょうは言いませんが、そういうようなものがあるわけですから、ですから、公正取引委員会がおやりになったことは、少なくとも結果をやらないで、過程だけをいろいろやったけれども、それを結果については何にも言わなかった、過程だけがばっと出てしまって、そうして混乱が起きた。そして、ある無実の業者は、新聞に出てから、自分たちは無実だと訴えておる。はたして無実かどうかわかりませんが、公正取引委員会が私に、どうもこの名前が違うということをおっしゃっておる。案外そうだったかもしらぬなという気持ちがしました。ですから、四社の中に、おれが無実だということをここで言えと言ったって、なかなかあなた方は言えない。それ以上のことは追及いたしません。  しかし、そういうようなことでお互いが疑心暗鬼をもってこの牛乳の本来の成分でないヤシ油やココヤシ油や、そういうようなものを牛乳の中に混入するということは、断じて許すことができないのです。ですから、あなた方はこれを一つの機会に、この監視体制なり、あるいは検査体制、そういうものに積極的に取り組んで、少なくとも消費者から疑惑の目をもって牛乳が見られることのないような措置をとっていただきたい。  私は、最後に厚生省に、今後の監視体制についてお伺いをしたいのでありますが、一点は、相も変わらずこういうような異種脂肪が隠れて、人目をかすめてこのようなものが全国を横行しておるという通達を、私は拝見いたしました。これはゆゆしいことです。こういうような通達が出る背景には、いまだに異種脂肪なるものが法の目をかすめて、そうしてあるところで箱を詰めかえて、そうして製造月日も住所も書かないで、ある倉庫で詰めかえをされてどんどん牛乳業者に売られていくということが、厚生省でつかまったのですよ。私は、こういう事実があるから、本来まじめにやっている酪農家の皆さん、あるいはまじめに牛乳を生産しているところのメーカー、そういうものが大きな疑惑の目をもって見られないような、そういう措置をとっていただきたい。悪いものは徹底的に追及をして責任を明らかにさせる、そういうことが必要ではないだろうか、こう思います。最後に厚生省の見解をひとつ伺いたい。
  77. 浦田純一

    ○浦田政府委員 昨年、先生のいま御議論されたような、御指摘されたような事態が起こりまして、公正取引委員会のほうからもこの点詳細に御連絡を受けまして、私どもはさっそく全国的に、このような不正が起こらないように通知をしたところでございますが、その後いわゆる一斉検査と申しますか、そのような形でもって異種脂肪の含有の有無についても厳重に監視をしてまいり、幸いに、その後は異種脂肪の混和された牛乳を発見したという報告は、まだ受けておりません。やはり本来純正であるべき牛乳のことでございますので、今後ともこのような監視体制、また注意を厳重に喚起し、再び不正が起らないように関係各省とも十分連絡をとりながら対処してまいりたいと思っております。
  78. 武部文

    ○武部委員 もう一つ最後に、さっきの話で行き違いがあってはいけませんから、公正取引委員会から見解を承りたいと思います。  私が読み上げました一番最後に「九月三十日午前、公正取引委員会事務局景品表示課長より口頭御指摘がありました。」受けた者が言っておるのですから、これは間違いがない。その指摘があったということは、前段に述べた、異種脂肪が混入されておるという、混入された旨報告を受けたということと同じことだ、このように理解してよろしゅうございますか。
  79. 相場照美

    ○相場説明員 九月二十二日に、先ほども局長からも説明がありましたように、業界団体及び厚生省に異種脂肪の排除につきまして努力いたすように要望いたしたわけでございます。  その後、私どもは、六月に立ち入り検査をいたしました九社九工場のうち問題のある企業につきましては、この担当者を私が招致いたしまして、それぞれ監視体制その他についての注意をいたしました。  なお、その中で、さきに一昨年九月の検査の結果、いわゆる慶田先生から出ました報告の中で御指摘のあったものにつきましては、その存在もしくはその疑いがあるものにつきましては、その旨を伝えて、厳重にそういうことのないように、今後そういう疑いをかけられることのないように注意をいたした記憶がございます。
  80. 武部文

    ○武部委員 私が読んだことが間違いなければ、それでそういうふうに言っていただけばいいですよ。前段は、牛乳及び加工乳、これは戸田橋工場ということになっておりますね、の牛乳、加工乳から異種脂肪が検出された旨報告を受けた。そのことについて、同じことをあなたから呼び出されて警告を受けたと、こう警告を受けた人が言っておるのですからね。あなたは記憶ございませんか。どうなんですか。
  81. 相場照美

    ○相場説明員 私としては、そういった疑いを持たれるような事態に今後立ち至らないように注意いたしたつもりでございます。
  82. 武部文

    ○武部委員 これはちょっと話になりませんわ。
  83. 谷村裕

    ○谷村政府委員 私が委員会で聞いておりました私の記憶といたしましては、衛研からこういう分析結果が来ておるということ、それをどう評価するかは別として、衛研の分析結果にこういうことがあったぞというその事実は当事者に言ったというふうに、私は思っております。ただ、それをどう評価するかは別だというふうに思いますが、その分析結果については言ったはずでございます。ただ、私のほうは、それが、おまえはいかぬぞというきめつけ方に直ちになるかどうかは別でございますけれども、その事実を指摘したことだけはほんとうだと思います。
  84. 武部文

    ○武部委員 公正取引委員会ことばというのは、私は頭が悪いのか、ちょっとよくわかりませんが、とにかく呼び出されて、おまえのところは慶田さんの検査の結果はそうだったぞ、注意しろというふうに言われましたと言って、率直に認めているのですよ。ところが、いまごろになって、言ったほうが、何か言ったのか言わぬのかわけのわからぬような、そういうことじゃなしに、言ったことは言ったでいいのですよ、あったことはあったのだから。そのことは今後はいたしませんと言っているのだから、決着がついているのだから。その過程があまりにもあやふやじゃないか。もしこれが疑いを持たれたら、全部呼んで警告すべきですよ。それでは、全部呼んで警告いたしましたか。
  85. 相場照美

    ○相場説明員 全部呼んで警告いたしました。注意いたしました。
  86. 谷村裕

    ○谷村政府委員 武部委員からの、先ほどからの私ども行政的な取り扱いについての御注意は、万々、私どもといたしましても、今後の私どもの仕事のしかたについて心がけてまいりたいと思っております。たとえば牛乳のような問題につきましては、こういう機会に、公正取引委員会の担当の課はわずかに二十名程度でございまして、いろいろなことをやっておりますが、少なくともそれぞれの所管の官庁におかれましても、十分私どもの意のあるところをおくみ取りいただきまして、そのような態勢をとっていただきたい、それにあわせて私どももしっかりやってまいりたい、かように決意を披瀝申し上げておきます。
  87. 武部文

    ○武部委員 わかりました。終わります。
  88. 井岡大治

    井岡委員長 栗山礼行君。
  89. 栗山礼行

    ○栗山委員 限られました時間で、五点ばかり個別問題をお伺い申し上げて御回答いただきたい、かように考えておる次第でございます。  午前中に石井委員が、農林省畜産局及び畜産振興事業団等にお尋ねをされました問題について、一、二の点について若干お尋ね申し上げたい、かように考えております。  畜産振興事業団が本年度に輸入を予定されております数量はどの程度ですか。まず、その点のみに限って御答弁をいただきたい。
  90. 斎藤吉郎

    斎藤説明員 本年度の割り当ての全体の数量はまだ最終的にはきまっておりません段階でございますので、正確な数字ということにはなりませんが、全体で大体四万トンから五万トンの間の輸入をいたすような数字に相なろうかと思いますので、そのうちの事業団分となりますと、二万五千トンぐらいのところの数字になろうかと思いますが、現在のところでは、まだ割り当て数字は公表いたしませんので、そういうことでひとつ御了解願いたいと思います。   〔委員長退席、武部委員長代理着席〕
  91. 栗山礼行

    ○栗山委員 ちょっとよくわかりにくいのでありますが、全体の割り当てがまだ確定いたしておらないので明確な量的なものは出てまいらない、しかし事業団に割り当てる予定量としてはおおむね一万五千トン前後に相なるのではないか、こういうお答えですか、どうなんです。
  92. 斎藤吉郎

    斎藤説明員 これは上期、下期に分けて割り当てをいたしますので、現在どのくらいということはちょっと申し上げる段階でないわけでございますが、大体二万トンから三万トン程度ぐらいの間の数字になるのではないかということでございます。
  93. 栗山礼行

    ○栗山委員 そういたしますと、私が畜産局のほうでちょっとお尋ねをいたしてまいったことと御答弁とに、相当の数字の開きがあるようでありますが、もとよりこれは前期、後期というようなことと、予定される量の問題でございましょうから、そういうようなこともあり得るのか存じませんけれども、私の伺っておるのは、本年度予定されておる畜産事業団に対する牛肉の割り当て量はいかほどと想定されておるか、こういうお尋ねを申し上げておるわけであります。もう一ぺん……。
  94. 斎藤吉郎

    斎藤説明員 お答えしておりますのは、要するに、本年度といいますとこの四月からのことかと思いますが、上期、下期に分けてこれから割り当てが実施されるということになりますので、まだ現在、これは年間を通じて幾らであるというようなくあいに、確定数字としてはっきり申し上げられる段階ではないわけでございますけれども大体の見当を申しますと、事業団には、いま二万トンから三万トンと申しましたけれども、大体三万トン前後、こういうぐあいに一応心づもりをしておるということでございまして、確定数字は現在ないわけでございます。   〔武部委員長代理退席、委員長着席〕
  95. 栗山礼行

    ○栗山委員 それなりに一応お伺いをいたしておきましょう。  最近、ちょっと新聞で伺ってまいっておるのでありますが、一月二十七日の毎日新聞に掲載をされておるのであります。その正否は私どもよく承知をいたしませんが、新聞の伝えるところによりますと、輸入牛肉おそるおそる直売、半分スーパーなどで。畜産事業団流通手数料減る分だけ安く需要家に、こういうような方向で新聞に載っておるのであります。中の内容を見ますと、いろいろなことが書いてあるのでありますが、これは省略をいたしてまいります。いわゆる輸入牛肉の直販方式を今年度から採用されるやに記載をされておるのでありますが、この点についての直販方式の内容はどういうもので、しかも、これは量的にどの程度のものを直販に進めてまいるか、あるいは価格の問題については、伝えるところによりますと、手数料だけ、振興事業団が直売の分について分担をする、そうして卸売りの価格だけを定めてまいるというようなことが新聞に記載されておるのでありますが、この点をひとつ明確にしていただきたい。
  96. 斎藤吉郎

    斎藤説明員 畜産振興事業団によります直販方式、これは先ほど石井先生の御質疑のときにもいろいろ触れたわけでございますけれども、御案内のとおり、これを実施いたすことにいたしましたのは、昨年の十二月に、従来のやり方を変えまして直販方式と申すやり方を取り入れるということで、四十六年度の下期分から実施中でございます。  そういうことで、この新しい制度と申しますのは、先ほどのお話等にも出てまいりましたように、牛肉輸入というものが非常にふえてまいっております。需要が非常に強いわけでございます。そこでやはり数量をふやしてまいる。実は、その改正いたします前までは、先ほどもございましたように、大体のやり方といたしましては、商社が需要者を見つけまして、その結びついた商社と需要者の形でもって輸入されたものを、畜産振興事業団はいわゆる瞬間タッチ方式と申しまして、トンネルのような形で一応通るいわゆる瞬間タッチ方式というやり方をやっておったわけでありますが、これでは、事業団というものが牛肉需給調整をやるという役柄の上では、その働きをなしていないのではないかという御批判等もございました。これは改めてしかるべきだろうということになりまして、それでは事業団が直接に扱いもして、そしてこれを市場——やはり価格形成は市場が中心でございますので、市場を通じて売っていくという形が一番いいのではないかというのでこういう方式に切りかえたわけでございます。そういうことで新しい方式をとりました。  そのときの形といたしましては、それまでは先ほど御説明申し上げましたように、いわゆる民貿分、それから事業団扱い分というのが約半々、そういう形で前年度はまいっておったわけでございますが、そういう事業団調整機能に着目をいたしましてこれからやっていくということである以上、これからふえていきます輸入数量というものは、これはやはり事業団に扱わせよう、民貿分は固定をいたしまして事業団分の扱いをふやしていこう、こういう形をとろうということにいたしたわけでございます。したがいまして、そういうことで事業団扱いの分がこれからはだんだんふえてまいる。実はその事業団の扱いの中に二通りござやまして、先ほど申しました瞬間タッチ方式というものもそれなりの働きはあるわけでございますので、これも一応部分的には残しておきますけれども、将来的には事業団が直販していくという形を中心に持っていきたいというかっこうで運用してまいろう、こう考えておるのであります。  この利点と申しますか、いま市場を通じて売るということを申しましたけれども、一方スーパーでございますとか、デパートあるいは生協といったような大口の消費者に対してやりますところは、直接事業団からこれを売り渡すという道も開きまして、いわゆる新規用途と申しますか、その辺もここでやりまして、先ほどお話がございました指定店制度事業団の指定小売り店制度というものと結びつけまして、従来、どちらかというと卸売り価格面までの配慮はございましたけれども、小売り価格面までの配慮が足りなかった点も反省いたしまして、輸入されたものは適当な、はっきりした形でもって小売りから売られて消費者の方に安く行くというふうに、一貫した小売りまでの価格の配慮ができるようにということでこれを取り上げることにいたしたわけでございます。
  97. 栗山礼行

    ○栗山委員 いろいろ御説明を伺ってまいりましたが、何か主客転倒のような内容を持つように考えられるわけです。  畜産振興事業団を中心といたしましていろいろ複雑な流通面を持っておるところに、牛肉が依然として、すき焼やビフテキというものは大衆から望まれるものではなくなったというような一つの大きな問題に発展をいたしておる、これが中心であろうかと思うのです。したがって、直売方式も、従来の流通方式を変革して、安い値段で小売り店がこれを売りさばき、消費者が安く入手できるようにというのが直売方式一つの基本的な考え方の発想だというように、国民は受けとめられておると思います。私どももそういう理解をいたしておるのであります。  ところが、量的な問題から見ますと、従来とかくの問題が、消費者団体あるいは消費者から不満がございました。畜産振興事業団についても、あるいは流通面の複雑多岐にわたる諸機関というものについても、新聞のとらえ方を申し上げますなればすべて利権団体、こういうきめつけた形において、牛肉を売る場合については牛肉が倍になって店頭に出てまいる、こういうようなことで、ずいぶん世論的には問題が提起された、かように私は理解をいたしておるわけです。そこに新しい直販制度というようなシステムの方向が生まれてまいりますと、価格の問題について、事業団は卸売り価格をきめたということでとどまりまして、あなたの言われる小売り価格についてはなるべく安く、こういう一つの精神的な要請の面にのみこれを限られた方向をとっていらっしゃる、こういうように新聞は指摘をいたしておるわけであります。  私自身は、率直に申し上げまして、畜産振興事業団流通面における一つの構造的改革をやはり積極的に行なうこと、そうして二番目には、価格の安定と消費者に向かっての適正価格方向に進めてまいるということが重要な現下の問題だ、こういうとらえ方を私はいたすのでありますが、もしそうだといたしますなら、やはりだんだん直売方式の拡大方式をとってまいるということが柱にならなくちゃならぬ。それから同時に、価格の問題について、卸売り価格だけをきめて小売りになるべく安く売ってもらいたい、こういうような一つの規制じゃなくて、最高の一つの建て値の上値だけを定めて、そうして小売り屋に、良心的に安く消費者に売ってもらう、こういう行政指導をされることが望ましい姿でないか。いまお説を伺っておりますと、何かその点について逆な——直売方式を選んだゆえんのものは一体どこに発想があるんだ、こういうような問題と、それから流通機構の複雑多岐にわたる批判と、そうしてそういうような構造的な一面を改革するという方向からは離れた御答弁をちょうだいいたしておる、こういうような感じがいたすのでありますが、この点はもう少し筋を通して御答弁をいただきたい。
  98. 斎藤吉郎

    斎藤説明員 ことばが足りなくて先生に誤解を与えたかと思いますが、基本的な考え方と申しますか、今度の制度を取り上げましたゆえんのものは先生指摘のとおりの意図でございまして、反対のようにとれましたら、私のことばが足りなかったということをお許し願いたいと思います。  卸売り価格だけで小売りの価格の面の規制が足りないではないか、こういうお話でございますけれども、今度の、事業団から肉を買いまして売ってまいる、いわゆる指定小売り店制度とつながる部分におきましては、やはり適正なマージン率というものを一応考えまして、その売買契約の中でそういうマージンを不当に取らないということを条件にして、むしろそのルートを使って売っていくという形にしております。先ほども申し上げましたように、これは前年度の下期からとり出したばかりのところでございます。それなりに非常に実効があがっていると思いますけれども、何せ半期のことでございます。この推移をごらんいただいて、さらに時間をかしていただいて御評価願えば、また御納得いただけるという点もあろうかと思います。  やはり事業団輸入商社から買います場合も、先ほど御説明いたしましたように競争原理を導入いたしまして、いわゆる入札制ということで安いものを買うということにいたしておりますので、そういう買い入れから末端の消費者に渡りますまでの間、こういうことで特に構造的な改善が非常になされるというぐあいに私ども考えておるわけでございまして、さらにそういう方向に進めて力をいたしていきたい、かように思います。
  99. 栗山礼行

    ○栗山委員 私は、お説は一応お説として伺ってまいるのでありますが、やはりだんだん、ものの実情と実績に照らして改善、改良をはかっていくんだというこの事柄については、きわめて同感でありますけれども、やおりその前提がございます。やはり当面と長期的な路線を立てて、それをどのように進めてまいるかという一つの基本と骨格がなくては前進しない、こういうことであろうかと思いますが、あいまいでものを進めてまいるということを積み重ねていくということは、きわめて危険な要因をはらむものだということを強く指摘をいたさなくてはならない、かように考えておるわけでありまして、卸売り価格をきめてまいるということなら、単なるマージンの問題というものの過程じゃなくて、これ以上で売ってはいけませんという親切なる行政指導を行なって、規制を行なって取り組んでいくということが本来の方向ではなかろうか、こういう私の質問について、参事官の御答弁は、ちょっとそれからはずれました、いわゆるそういうマージンのシステムにおいても規制をいたしておるというようなことで、短い期間だから、そのうちにひとつ実情の推移をながめて御検討と批判を求めたい、こういうようなことで、しばらく見ておれ、こういうようなお考えがもし基本にあるといたしますなれば、とんでもない無策、無責任な行政方針だということに私は指摘をせざるを得ない、こういうことで、長々でありますけれども、あえて申し上げるわけでございます。したがって、私は、量の問題というのは、複雑な流通機構というものについて世上がそういう利権団体とも酷評をいたしておる、私自身は、その評価を別にいたしまして、そういう消費者及び消費者団体の意見を謙虚に聞き入れて、そして今日の消費者行政を推進するということでなければならないということを、私は皆さんにひとつとくと銘記を願わなくちゃならない問題でなかろうかということを指摘をいたしまして、この問題はこれで終わってまいりたい、かように考えます。
  100. 斎藤吉郎

    斎藤説明員 だんだんの御意見でございまして、十分私ども反省させていただいたわけですが、ただ何もしないでお待ち願いたいということを申し上げたわけでございませんで、要するに始めたばかりでございまして、それなりの効果はあがっておると私どもは考えておりますが、積み重ねの上、御理解、御納得がいただけるような実績があがってくるであろうということを申し上げたわけでございます。また、今度新しい制度をとったということが積極的な踏み切りだというふうに私ども考えておるわけでございまして、その点はひとつよく御理解を願いたい。さらに、小売り価格を直接的な何かの行政的なあれをもってきめるということは、なかなかそのこと自体に問題があろうかと思うのでございまして、その辺のところを直接きめる、これは一番端的なあれでございますけれども、小売り価格規制というような形に行政上相なるような形というのは、やはりいろいろと検討しなければならない問題をあまりにも含んでいるのではないかというぐあいに考えております。
  101. 栗山礼行

    ○栗山委員 食糧庁の関係の方、お見えいただいておりますか。——新聞の伝えることでごさいます。農林大臣に御出席を求めておりませんので、いかようにお答えをいただくかということに疑念を持つのでありますが、四月の一日に赤城農林大臣が、五十年度まで農作物の残存二十四品目自由化しないという方針を表明されておるのであります。新聞に載っておりますことを一々詳しく読んでまいるということは、時間の点でいかがなものであるかということでございますが、その事柄は、米の生産の見通しがつく五十年、そして総合農政といいますか、畜産や蔬菜やあるいは果樹というような日本の農業の構造的基盤と体制ができて、転作は五十年という目標までは、日本農業の路線として残存二十四品目自由化しないのだ、大体こういう内容のように新聞が伝えておると承知をいたしておるわけであります。この点について、大臣がいらっしゃいませんから、農林経済局の方から簡単にお答えをいただきたい。
  102. 小暮光美

    ○小暮政府委員 四月のただいまのある新聞の報道は、私も目を通しております。ただ、記者会見のときには私、立ち会っておりませんので、農林大臣がどのように申されたか——実は四月一日から、トマトピューレ、ぺースト等四品目自由化実施するということでございまして、通産大臣から閣議に御報告がございましたので、当然閣議後の記者会見で、これに関連した話題が出たのであろうというふうに推測いたしておりますが、記者会見の模様はつまびらかにいたしませんので、記事に即してお答えすることは差し控えたいと思います。  ただ、この問題につきましては、すでに農林水産委員会におきましても、委員の方からこういった角度からの御質問がございました。当時、農林大臣がお答えになりました際には私も同席しておりました。農林大臣が申し上げましたのは、農林省といたしましては、国際競争に耐え得る農業の確立、これを目標として大きく掲げまして、あらゆる方途をこれに集中して努力していきたいという考え方でございます。そこで、現在及び将来のわが国農業の基幹となるべきもの、これにつきましては、自由化ということでなくて、これを自由化しないという考え方のもとに国際的ないろいろな貿易の交渉に臨んでいきたい。農産物でございますから、やはり輸出国にとっても輸入国にとっても、貿易が拡大するにしても安定的に拡大するということが、双方の農業生産にとっても好ましいはずであります。そういう意味で、自由化という方法だけによらなくても、農産物の貿易の安定的な拡大ということが目ざせるはずでございます。かたがた、国内的にはいま申しましたような国際競争に耐え得る農業の確立ということに施策を集中する、こういうことであるという趣旨のことをお答えになっております。したがいまして、私ども事務当局といたしましては、大臣のそうした御方針に即して鋭意努力してまいりたい、かように考えております。
  103. 栗山礼行

    ○栗山委員 経済企画庁長官が参議院の関係でお見えになっていらっしゃいませんから、経企の国民生活局長から御答弁をいただいたらけっこうだと思いますが、ただいまの閣議後の記者会見が、どういう立場における記者会見か存じないのでありますが、とにかく日本農政のたてまえから、二十四品目を五十年の農政のあり方の推進までこれはやらないのだ、新聞に表明されたこういうことについていま御質問を進めておるわけでありますが、これは経済企画庁との間における話し合いが進められてこのような形に運んでまいったものであるかどうかということが一点であります。  それから第二番目には、この農林大臣の五十年までの非自由化についての方針を、経済企画庁としてはどう受けとめられるのかということをお伺い申し上げてまいりたい。  第三点は、こういうことになりますと、過般の経済企画庁長官の所信表明等を見てまいりますと、物価政策及び消費者行政の柱に残存自由化の問題を取り上げて推進してまいらなくてはならぬという所信表明をされておる、この関連をどう見るか。相反する農林省と経企庁との見解がここにいみじくも出ておるのじゃないか、かように考えられるわけであります。  第四点は、もし農林省のこのような方針を推し進められるとするなれば、所信表明に表明されておるように、実際非自由化品目について、どのような消費者行政物価政策を推進してまいるのか、こういうような経済企画庁の御意見を伺わなくちゃならぬ、こういうことになると思うのですが、以上四点にわたりましてひとつ御答弁お願い申し上げます。簡単でけっこうです。
  104. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 ただいまの御質問でございますが、まず第一点の新聞に発表された内容、これは私も拝見をいたしましたが、この新聞発表の、昭和五十年まで自由化をしないとかなんとかというふうにとれる形の内容につきましては、これは私どもはそういうふうには承知いたしておりませんでした。農林省のほうの御説明も必ずしもそういったものではなかったというふうに、私は聞いております。  現に、去る三月三日に通貨調整後の物価政策の強化についてということで、物価閣僚協議会の決定が行なわれましたが、その中におきまして、輸入政策の活用につきましては特に関税の引き下げ、自由化が問題になるわけでございますが、その点をちょっと読んでみますと、そのためガット等の場において世界貿易の拡大および自由化について協議を行なうこととするほか、残存輸入制限品目についても輸入の増大をはかる、というようなことにきめられておるわけでございまして、結局基本的な方向は従来と変わっておらない、こういうふうに私どもは了解をいたしております。  ただ、何ぶんにも残存輸入制限品目の問題になりますと、すでに、できると思うものはほとんどこの四月までにやってしまったわけでございまして、残る二十四品目どれ一つとってみてもなかなか簡単にはいかないということは、これは私どもも認めます。したがいまして、こういったものについての検討ということは、農業政策の観点からも十分行なっていただかなければならないわけであります。同時に、わが国の経済全体の構造、特に輸入の構造がいろいろ問題にされておりますが、こういった高い見地からの議論もまた、一方では行なわれなきゃならぬと思います。  当面のところでは、すぐに何か具体的に自由化できそうなものということは、私どもでもちょっと言えませんけれども、しかし、大きな方向はいま申し上げたようなことで進めていかなければならない、こう思うわけでございまして、その点では、私ども農林省も、そこに基本的には違っていないと思うわけでございます。ただ、姿勢の点ではやや前向き、うしろ向きという感じはございますかもしれませんが、この点はこれからも十分協議を続けてまいりまして、そうして物価政策の見地あるいは消費者行政の見地、農業の問題、いろいろな問題が結局全体としてバランスのとれた形で措置が行なわれるように、こういうふうに私どもも考えておる次第でございます。
  105. 栗山礼行

    ○栗山委員 まことに便宜主義的な御答弁を宮崎局長からお伺いを申し上げまして、私は、いまの政府の非常に重要な一つ施策の、それぞれセクト的あるいは各省割拠主義的な政策路線というものを、かってにものを申し上げておる、こういうふうな意味にも受け取れるのです。経企の役割りというものはそういうものじゃなくて、やはり日本の農政の方向について農林省だけに依存するということじゃなくて、その中でどう進めてまいるかということが、農林省と経企との間におきまする一つ調整なり方向を打ち出してまいらなくちゃならぬ、こういうふうに考えるわけでありますが、片や、農業団体及び農政向けに一つのものを言う、片や、消費者行政及び物価問題の対策上の一つの点からものを言う。これはそれなりにけっこうなんでありますけれども、それを総合いたしました日本の政策方向というものを打ち出していくということでなければ、バラエティーに富んでそれぞれの形で取り上げるということなら、日本の政治の政策の方向が定まってまいらない、こういうふうな議論に発展をいたしてまいろうか、こういうふうに私は疑念を持たざるを得ないのであります。  以上、私、この点についていかがなものかということの答弁をお伺いする時間もございませんから、御答弁をちょうだいいたしませんけれども、あまりにも両極をいく、いわゆる割拠主義、いわゆる分裂主義の一つの弊害というものについて、経済企画庁というものは、やはり総合的な一つのプランメーカーとして方向を推進するという役割りをもって臨んでいただきたいということを、特に私いま御要望を申し上げておきたい、かように考えております。
  106. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 いま若干私の御説明が足らなかったと思いますが、去る三月三日の閣僚協議会でこの問題を議論したわけでございます。ただいま読み上げましたこの自由化関税並びに残存輸入制限品目についての表現、これにつきましてはかなり議論がございました。しかし、結局こういった形で閣僚協議会として、もちろん農林大臣も入って決定されたわけでございまして、政府の当面の輸入政策の方向はこういうふうにして進められていく、こういうふうに御理解願っていいと思います。
  107. 栗山礼行

    ○栗山委員 そういたしますと、なおさら経済企画庁長官の所信の表明や企画庁の路線というものが、私も頭が混迷化するような感じがいたすのでありますが、それはそれなりに、もう少し経企としても厳たる方向をお進め願うということに尽きるのではないか、かようにひとつ強く御要望を申し上げておきたいと思うわけであります。  食糧庁の方、お見えでございますか。——これも簡単でけっこうでございます。  一つは、農相の私的の諮問機関と称されております、米価審議会の中立委員を中心にいたしまして構成をされております米穀管理研究会、これの中間報告が農林大臣に御答申をされておるということを新聞は伝えております。この中身はいろいろございますけれども、食管会計の逆ざや解消を提唱されまして、その結果消費者米価が値上がりすることも、これはやむを得ないことじゃないかというような答申をされておる、こういうふうに新聞は伝えておるのでありますが、これは、農林省見解はいかがなものでございますか。
  108. 森整治

    ○森説明員 研究会の中間報告の冒頭にも書いてございますように、これはあくまでも中間的な取りまとめでございますという趣旨のことを強調されておりまして、むしろ逆ざや解消という問題につきましては、食管の管理、米穀の管理上からいたしますと非常にひずみを出してきているという問題がございます。したがいまして、われわれは、基本的には逆ざや解消も、長期的に見ますればどうしても必要であろうという見解を持っておりますけれども、かと申しまして、この研究会の中間報告の中で、必ずしも消費者米価をすぐ上げろというようなことは別にございません。ただ、こういう問題につきましては、むしろわれわれ物価対策等の問題も当然考えていかなければいけないというふうに思いますから、いずれにいたしましても米価審議会で、そういう場合には従来からも、いろいろ諮問をしながら御意見を承って、消費者米価の問題につきましてもきめておるわけであります。今後いろいろ問題がございましょうが、やはり食管法の規定に従いまして、消費者米価の問題につきましては家計の安定を旨として考えていくという考え方に変わりはございません。
  109. 栗山礼行

    ○栗山委員 御答弁のとおり、あくまでもこれは中間報告というようなことでお答えされておるということを、新聞でも明らかにいたしておりますが、しかし、あまりにも重要な食管自体の問題、それから食管の赤字の解消ということをとらえて、米価の値上げが余儀ないことだと、こういうふうに中間報告として答申されておる、これはまあ事実の状態だ、こういうふうに考えております。  私は過般、物特の連合審査で若干いろいろ質疑をいたしましたのでありますが、農林大臣は米価の問題につきましては、これはもう赤字が出るのは当然だ、これは生産者米価というものについての立て方と消費者米価というものについてはそういう政策的な一つ価格を決定するということが、本来の制度上の問題だ、こういうふうに理解をいたしておるので、消費者米価を値上げするということは毛頭思っておらないというようなことと、それからもう一つは、やはり生産者米価というものを値上げすべきである、こういう今日の生産者米価だけをこぼれておくというようなことは許せる問題ではない、こういうふうな意味の御説明もされておるのでございます。いまのお話を承りますと、何かこう筋論だけを承るようでありますけれども、この点が、大臣が御出席を願っておりませんからはなはだ残念でありますけれども、別の機会におきまして、非常にこれは食管制度のあり方というものと、それから消費者米価の問題、生産者米価の問題及び食管の赤字の問題というものをどうとらえて進んでまいるか、こういうような非常に重大な内容を含んでおりますが、その点の議論は省略いたしまして、後日のことにひとつ進めてまいりたい、かように考えております。  もう一点は、例の物統令が廃止されまして、いよいよ四月一日から実施をするということで実施をいただいておるわけでありますが、これに伴いまして、標準米の供給体制というものに万全を期していきたい、そして、いやしくも消費者米価について値上げするというような方向を厳に戒めていきたい、こういうふうなことで述べられておるやに承知をいたしておるわけでございますが、この供給制度方向についてどのようにお運びをいただいておるかということが一点でございます。  二番目には、物統令が廃止されまして、そして新しい一つ流通路線の問題等もふえたのでありますが、これに対しまして追跡調査等も行なって実地を把握するという意思が存するのか存せないのか、この二点について御答弁お願い申し上げます。
  110. 森整治

    ○森説明員 標準価格米につきましては先生指摘のとおり、これを中心に米価を安定させてまいりたいという気持ちでございます。したがいまして、すでに指導しておりますが、小売りの販売業者が常に標準価格米を置いておくこと、それから、そういう従来の統制価格以下で消費者の希望があれば、これに応じてどこまでも供給していくようにということで指導をしてまいっております。地域によって、標準価格米の需要というのは確かに違うと思います。ただ、一つの目安としましては、従来内地米の配給をしておりますから、その数量がおそらく引き続き需要として出てくるのではないかということ、その辺を目安に、あくまでも、ないというようなことのないように指導してまいりたいというふうに考えております。  第二の追跡調査の問題でございますけれども、すでに都道府県とも連絡をとりまして、食糧事務所が全国的に小売り販売業者を対象にいたしまして、標準価格米を販売しているかどうか、それから標準価格米の販売店である旨を、あるいは標準価格米の価格が店頭に掲示されているかどうかということを調査、指導を行なうことにしております。それが済んだ後におきましても、食糧事務所の職員によりまして定期的な取引価格調査を行なうことを考えております。その一環といたしまして、標準価格米の販売事情を引き続き毎月調査をしてまいるという考え方でおるわけでございます。
  111. 栗山礼行

    ○栗山委員 次に、私は通産省に対しまして、若干輸出カルテルの問題についてお尋ねを申し上げたいのでありますが、今日、通産省で輸出カルテルが百八十余件に及んでおると、資料で示しておるわけであります。これはECを中心にいたしまして、非常な関心と意見を述べられておるやに新聞等も伝えておりますことは、もうすでに御承知のとおりであります。私はずばりお尋ねを申し上げます点は、輸出入取引法による輸出カルテルに少し行き過ぎがありはしないか、こういう見方がかなりあることを私ども耳にいたします。この点についてどのように受けとめていらっしゃるかお伺いを申し上げたい、これが一点であります。
  112. 宇都宮綱之

    ○宇都宮説明員 輸出入取引法によりますいわゆる輸出カルテルでございますが、本年一月一日現在で百六十七件ございます。その中には、いわゆる波打ちぎわから出す取引についてやっておりますものが百十七件ございます。それから輸出貨物の国内取引に基づくカルテルが五十件ございまして、トータルで百六十七件ございます。  それで、先生指摘のとおり、ヨーロッパあたりで危惧の念を抱かれておるということでございますけれども、これはおそらく独禁法のたてまえからだろうと思います。この点に関しましては、特にアメリカ、ドイツにおきまして、各国の独禁法のたてまえからこれが違反するのではないかということをいわれておるわけでございますが、一方、わが国の輸出が非常に急増しておりまして、特に最近ヨーロッパた急増しておるわけでございますが、輸出制限を日本側でしてくれないかという声もあるわけでございます。したがいまして、その点から申しますと、輸出入取引法に基づきます輸出カルテルといったものを今後はさらに利用していかなければならぬという要請も一方でありますが、片方では、先ほど申しましたように独禁法のたてまえの問題もあるわけでございます。この間の調整をどうするかという問題があるわけでございまして、特にヨーロッパにおきまして、その点につきましてヨーロッパの関係者、特にECの関係者とも話し合いを行なっておるところでございます。ただ、輸出カルテルをわが国で結びます場合には、輸出貿易の健全な発展をはかるものでなければならぬということの観点のほかに、関係事業者、一般消費者の利益を著しく害するものであってはならぬという観点で厳重に審査しておりまして、しかも公取とも十分御協議申し上げておるわけでございます。
  113. 栗山礼行

    ○栗山委員 ずばり申し上げまして、ECはいろいろな問題を提起いたしております。この問題につきましては、いろいろ説明をいたしません。それから同時に、日本の業界の一部におきまして、あるいは財界の一部におきましては、自主規制等の意見等も活発に論議をされておるやに承知をいたしておるのでありますが、この事柄についても、独禁法との関連においてそれは違反である、こういうふうな意見を出されておる資料等も持っておるのであります。問題は、後ほど公取の谷村委員長にお伺いをいたしたいと思うのでありますけれども、輸出カルテルについては、そのつど公取と連係協議を重ねておる、こういうことでありましたが、事実はどのようなものか。  いろいろ新聞で伝えられるところもございますから、一ぺんお伺いを申し上げたいと思うのですが、やはり通産省には、従来の輸出入構造とそれから日本経済の今後の方向、路線というようなものと相手側の動向についてどう対処をいたしてまいるかということについての柔軟なかつ慎重な輸出の進め方というものをはかってまいらなくちゃならぬという転機に差しかかっておるのじゃないか、こういうような基本的な認識を持っておるわけなんでありますが、こういうことを含めて、いまの輸出カルテルの方向については対処するというお考えがあるのか、あるいはまた、日本の従来の輸出入構造の方式において輸出カルテルをどんどん無定見にお運びになるのかどうか、こういう点についての御所見を伺っておきたい。
  114. 宇都宮綱之

    ○宇都宮説明員 従来の日本ですと、輸出すればよろしいということで盛んに輸出を奨励してまいったわけでございますが、先ごろの通貨不安並びに円切り上げ前後、それから今日に至るまでの状況はがらりと変わっておりまして、いままでとってまいりました輸出政策を根本的に立て直さなければならぬということになっておるわけでございまして、私どもの省といたしましても、輸出政策の根本的な見直しを行なっておるところでございます。  それにつきまして、円切り上げ後もまだ輸出が減らない、まだ急増しておる品物がたくさんあるということで、この点につきましてはアメリカ、ヨーロッパあたりから、ある程度非難の声があがるような情勢に立ち至っておるかと思われます。この点につきましては、アメリカあるいはヨーロッパ諸国とも話し合いをそのつど行なっておるわけでございますけれども、輸出急増をして相手国市場に非常に迷惑を及ぼしておる、あるいは迷惑を及ぼすおそれがあるというものにつきましては、何らかの輸出調整措置をとる必要があるのではなかろうかというふうに考えておるわけでございまして、たとえば、その場合には輸出入取引法に基づきます輸出カルテルを利用して、業者の方々が自主的に輸出秩序を立てていくというふうなことで指導を行なっておるわけでございます。ただ、一方、先ほど申し上げましたように、各国の独禁法に触れる問題、それから日本の国内における独禁政策との関連というものがございますので、この点は慎重に対処してまいりたいというふうに考えておりますし、特に日本国内の問題につきましては、公取とも十分協議申し上げておるわけでございます。
  115. 栗山礼行

    ○栗山委員 大体御意見のほどはわかりましたが、問題提起をされておるECあるいはアメリカとの関係において機能的な機関で調整の方策をとりたい、こういうふうなきわめて抽象的な御説明であったやに理解をいたすのでありますが、私は、日本の経済構造のあり方、なかんずく日本の輸出入政策の基本というものを、いま原点に立って新しいわが国の経済の方策を見出していかなくちゃならぬというところに問題の中心を置いてまいらなくちゃならぬ、こういうことであろうかと思います。技術論や小手先で、クレームがつき、問題が提起されたことについて応急的な対処をするということは、好ましからざるものだと思う。もとよりこれは一つの政治ベースの問題でありますから、担当の行政サイドにそういうことを申し上げるのはいかがなものか、御質問を申し上げるのもいかがなものかという感を持つわけでありますけれども、ともかく日本の輸出について諸外国から異常な関心と問題を提起されておることについて、基本的に輸出カルテルそれ自体の問題をひとつ洗い直して検討するという状態に至っておるのではないかということだけ私は指摘をいたしまして、ひとつ善処を求めたい、こういうふうに考えておるわけであります。  公取委員長にちょっとお伺いを申し上げますが、現在認可中の輸出カルテルについて、独禁法の第六条との関係におきましていわゆる不当な、国際契約とかあるいは国際協定に触れるというような疑惑を持たれるような行為というものがあるかどうか、これを一点委員長にお伺いをいたしてまいりたい、かように考えておるわけであります。  それから、新聞を通じていまの公取委員長の所見を理解させていただいておるのでありますが、輸出入取引法に基づく輸出カルテルの認可を、基本的に公取としてはどのようにとらえておられるかということでございます。  この二点をまず先にお尋ね申し上げたい。
  116. 谷村裕

    ○谷村政府委員 少なくともわれわれ行政官庁でタッチしております輸出入カルテルにつきましては、独禁法上の問題はございません。独禁法に抵触しているということはないわけであります。ただし、やみというとあれでございますが、ひそかに海外の業者等と打ち合わせをして市場分割をしたり値段の問題を取りきめたりというようなことがあれば、それはおっしゃる意味で独禁法に違反することになるわけでございます。もし、おっしゃる問題を法律上認められた輸出カルテルの意味で言われておるのであるとするならば、それは独禁法とは、いまのところ問題を起こしておりません。  第二に、輸出カルテルについておまえは基本的にどういうふうな考え方を持っておるかということでございますが、まず第一に、何らかの形で輸出秩序というものを立てなければならぬ、貿易の健全な発達のためにやらなければならぬと言っていたその問題が、最近ではみんな、日本のあふれ出る輸出力に何とか規制を加えてくれという話に実はなってきてしまっているわけでございますが、基本的には私は、それは本来価格問題あるいはダンピング問題等についてのこっちの姿勢の問題が主であったと思うのでございます。この間も、ECの委員の方が見えましたときにお話ししたことなんでございますが、何らかの形で秩序を立てなければならぬときは、日本のサイドでは必ず行政官庁が目を通す。これは国民にかわって、さっき触れられたような意味での消費者あるいはその他のほうに迷惑をかけない。しかし、相手国との関係でどうしてもそうしなければならぬというときは、業界の判断だけではなくて、必ず通産省、公取というところが一般的、全面的な立場から見てその妥当性を評価する。わが国ではちゃんとそういう法制になっておる。問題はあなたのほうです。——栗山先生じゃありませんよ。ECならECが、単なる業者だけの立場からわいわい言っておったのでは困りますよ。そちらさんも、日本の安くていい品を大衆が欲しておるのなら、それにどう耳を傾けるか、両者のバランスをどう考えるか、あなたのほうもよく見て下さいよ。そういうような話をしたことが実はあるのでございます。この話は、逆にひっくり返しますと、さっきの日本の農業と輸入農産物みたいな話になりまして、非常にむずかしい問題が多いには違いございませんが、本質的にもし何らかの秩序を立てるのであるとすれば、業界だけでなくして、必ず政府が全体的な立場に立って調和をはかるということでなければならぬと考えております。  第二に、内容的には、もしできれば量的な規制を加えるべきではない。品物によってそういうことができないかもしれませんけれども、できるならば、それは価格、品質の競争を世界的にやるべきでありますから、価格の問題が、もし不当にダンピングになっていたりするならばそういうことのないようにする、そういう価格の問題でまず第一義的に行くべきで、できれば、量でもっていきなり規制するという行き方でないほうがいいように思っておりますけれども、これは実際問題としては、現実の問題としてはなかなかむずかしい点であろうかと思います。  いずれにいたしましても、第三に、私どもの認可の方針といたしましては、認可と申しますか、私どもが協議を受けました際の通産省のほうとの応対につきましては、できるだけそれによって他の方面に対する影響が出ないような形、例を申しますと、調整金勘定とかプールをして、そして外の金はあれする、国内の金はどうするといったような操作のものはできるだけないようにしたいというふうな方針を伝えてございます。  そのほか、そういった意味で通産省とはよく御相談して、現在運用の適正につとめているつもりでございます。
  117. 栗山礼行

    ○栗山委員 御意見を拝しまして、若干まだそれについての私の所見もあるわけでありますが、後日の問題にいたします。  この問題、谷村公正取引委員長は非常にきれいごとでうまく済ましておられるのでありますが、私自身といたしましてはなはだもの足らない。実は私も若干、輸出入取引法のカルテルについて法律条文を再読をいたしまして、これは主体は、やはり通産省と公正取引委員会との協議要項だけがございますけれども、きわめてこれは事務的形式にわたる問題であるというところに、そこに問題の中心を置いて考えてまいらなければならぬ。特に、そういう海外の批判なり意見の適正という内容等の分析をいたしてまいらなければなりませんけれども、わが国の輸出の健全な構造的な発展を念ずるという立場からいたしまして、やはりあなたのほうが、公取が直接これに介入して進んでまいらなければ相ならないというような意見をずいぶん伺うのであります。私の意見ではなくて、そういう意見が非常に強く出ておるのでありますが、この点について、ひとつずばり率直なあなたの見解を披瀝願いたい、かように考えます。
  118. 谷村裕

    ○谷村政府委員 問題の重要性は、輸出とか貿易とかいう問題もありますし、また、御承知の中小企業等の団体において、やはり一種の調整規定というふうな形において共同行為をすることもございます。そして、いまの場合は、御指摘のとおりそれぞれの所管大臣がそれに対する政府としての認可権を行使しており、私どもには協議していただく。もっとも輸取法では、御指摘のように必ずしも協議を要しない内容のものもございますけれども、そういう意味で、現実にはいわゆる所管官庁と、それから横割りと申しますか、私どものような官庁との間の意思の疎通がはかられているわけでございます。法律体制をどのようにするのが一番効果的であるかという問題の一つとして、ただいまのような御意見も私は当然出てくると思います。その場合には逆に、ちょうど私どもが不況カルテルについては権限を持っておって、通産省のほうに協議をしたり、あるいはその他の所管官庁に協議しておるような形で、まあ縦割り官庁と横割り官庁と申しますか、そういう両官庁の問の調整というものが行政的にははかられなければならないだろうと思います。私は、今後の課題としては、日本の行政官庁はある意味では縦割り的なものから横割り的なものの立場を強める、そういう姿が出てくるかと思いますけれども、いまのような御意見から、直ちにいまの輸取法の運用が、私どもが直接見なければ非常にまずい、そういう権限がなくてはだめだという実態であるとは、私は、きれいごととおっしゃいましたけれども、さようにはいま思っておりません。しかし、行政官庁のあり方としていまのような御意見が出てくることは、私は一つの御意見としてあり得ることだと考えております。
  119. 栗山礼行

    ○栗山委員 御所見について、以上、突っ込んだ御質問を申し上げることはいかがかと考えておったのでありますが、いろいろ新聞で伝えられる谷村氏の御意見を拝する場合における一つの発言とただいまの発言について、やや異にする一つ委員会答弁をされておるという感が深くいたすのであります。まことに遺憾しごくだ、こういうふうに考えておるわけであります。私は端的に申し上げまして、輸出入法というものの法的改正を行なって、そうして単に何かひもつきのようなかっこうではなくて、直接公取が介入するという介入権といいますか、こういう形において問題に対処するということが望ましいのでないかという意見を、私も実は強く持っておるのでありまして、谷村公取委員長もそのようなひそかなる御意見でなかろうかということを安直に考慮いたしまして申し上げたのであります。イエスかノーかというようなことで御答弁をされたいと思いますけれども、そういうこの問題をめぐります一つ状況は、単に通産行政のサイドやあるいは輸出入取引法自体の体系の中で善処いたしてまいるというような事柄については、よほど複雑な問題提起が行なわれておるということでなかろうか、そこに新しい発想が求められておるのでないか、こういうふうに考えるわけであります。  先ほど申し上げましたように、もう一点、これは通産と公取とに伺ってまいるのでありますが、そういう一つの動向にかんがみまして、日本の経済界におきましては自主規制という一つ方向で打ち出そうという意見につきまして、これはまっ向から、それに大きな疑問が存するということで指摘をされておる新聞もございますが、この点については通産省はどうとらえられておるか、あるいは公取はどう把握されておるかということについて、簡単でけっこうでございますから、御意見を御両氏から伺いたい。
  120. 宇都宮綱之

    ○宇都宮説明員 先生指摘の御意見は、おそらく、輸出カルテルによるのではなくて輸出税のような方法もあるのではなかろうかというようなことかと存じますが、輸出の調整という点から申しますと、現在、輸出入取引法に基づきます輸出カルテルの方法と、それから輸出貿易管理令に基づきます方法とございます。  輸出貿易管理令による方法は、先生御承知のとおりでございますが、政府より一方的に輸出規制を行なうものでございまして、これは業者の自主性を尊重しないと申しますか、政府が一方的にやる規制措置でございます。  一方、輸出カルテルによる方法と申しますのは、業者が自主的にカルテルを結んで、業者間の約束ごとということで行なうものでございます。  どちらが適当かということでございますが、やはり輸出調整というのは、業者が自主的に行なうのがたてまえではなかろうかというようにわれわれは考えておるわけでございまして、その点から申しまして、輸出入取引法に基づきます輸出カルテルといったものをまず第一に考え、それを原則的なものとして考えていく、それでなお調整ができがたいものにつきましては、最後の手段として輸出貿易管理令というものでやっていきたいというように、われわれは考えておるわけでございます。  そのほかの方法としましては、たとえば輸出税等による方法もあるかと思いますけれども、その点につきましてはかなり議論もある点でございますので、政府部内でも、大蔵省、通産省との間でもかなり意見が割れておるところでございます。
  121. 谷村裕

    ○谷村政府委員 自主的ということばがいろいろの意味を持つかと思いますが、私どもは、たとえば昨年事件として出ましたような、油を掘るための油の井戸につけます鉄のパイプ、この鉄のパイプをつくっている日本のメーカーが欧州のメーカーたちと、おまえはこれくらいにしようじゃないか、おまえはこれくらい売ってもらおうじゃないかというふうな、そういう取引数量をお互いに業者同士できめるという、それは絶対にいけません、それは法律に反します、また先方の独禁法にも反します、かように申しております。しかし、そうでなくて、必ず政府のチェックが行なわれる形、すなわち、いまの輸出入取引法に基づく輸出カルテルという形でなさっていただくのならば、これは必ず政府がチェックいたしますから、それによって私どもは、ある程度その妥当性なり何なりを評価していけると思いますので、政府が一方的にやるような形ではありませんけれども、自主的にやってきたものを政府が認める、チェックするという形においてやる、そのやり方ならば一つの行き方である、かように私は考えております。
  122. 栗山礼行

    ○栗山委員 これはほんとうに時間をかけまして御意見を徴し、私ども意見を進めてまいらなくちゃならない重要な問題だ、私はこういう理解をいたしておりますが、時間が相当経過いたしましたので、次の問題に移ってまいりたいと思います。  通産省の鉄鋼業務課長のお越しをいただいておりますが、私は、お尋ねを申し上げた問題点についてのみきわめて端的に御答弁をいただきたいことを、特にお尋ねする問題についての複雑、重要性にかんがみましてお願いを申し上げて、お尋ねをしてまいりたい、こう考えております。  その一つは、粗鋼のカルテルが、たしか十二月の八日から四十七年の六月三十日という期限つきで認可をされたと承知をいたします。引き続きまして、さらに業界から六カ月の再延長の申請をされておるやに伝えられておるのでございますが、この点についての延長の申請についてのみ、どのような御見解をお持ちになっていらっしゃるか。
  123. 勝谷保

    ○勝谷説明員 お答えいたします。  延長については、申請はまだ出されておりません。ただ、業界では、六月以降もなかなか景気はよくならないし、補正予算も組んでもらいたいくらいの気持ちを持っておるので、引き続いてやってもらわなければならないんじゃなかろうかという意見を述べる人があるやに聞いておりますが、そのように正式に申し出たこともございませんし、公正取引委員会に申請もいたしておりません。
  124. 栗山礼行

    ○栗山委員 正式にそういう申請が提出されておるということは承知をせない、しかし、そういう意向を持つおるやに理解をいたしておる、こういうことでございますが、かりに業界がこれを正式に申請される、こういう前提を踏まえました場合においてどういう御見解をお持ちになるか。
  125. 勝谷保

    ○勝谷説明員 お答えいたします。  仮の議論でございますが、現時点はまだ四月に入ったばかりでございまして、私どもの第一の目的は、できるだけ早く需要自体が拡大いたしまして、このような緊急避難的なカルテルからは一口も早く離脱するのが本来の正道だと思っております。したがいまして、予算が一日も早く通りまして実需が出まして、六月にはすみやかに次の体制に入れるようにいたしたいと思っておりますので、現時点では、需要の喚起等につきまして、建設省その他にできるだけ早く注文を発するようにお願いをしておるような実情でございます。したがいまして、六月以降のことを現時点で考えることは、きわめて微妙な段階にありますだけに、考えていないということを申し上げておきます。
  126. 栗山礼行

    ○栗山委員 その問題は以上でとどめておきまして、けっこうでございます。  公取委員長にお尋ね申し上げます。  鉄鋼関係会社の減配処置が不況カルテルの継続をねらったものだ、こういう議論が一部で展開されておりますことはもうすでに御高承のとおりだ、こう思うのでありますが、これは一部の伝えられるところでございまして、もしそういうようなことでございますなれば、公取委員長はこの問題をどういうふうにお受けとめになるかということだと思います。この点のひとつ御意見を伺いたい。
  127. 谷村裕

    ○谷村政府委員 先般も栗山委員の御質問に対してお答えいたしましたが、私は、不況カルテルそのものの内容を検討する場合には経理の実態を見るということを申し上げました。そうして、配当というのはある一つの企業のビヘービアである、しかし、私は、ほんとうに苦しいときに苦しい態度を出すのがほんとうじゃなかろうかということを、あの際御答弁申し上げました。私どもが、減配したからどうだあるいはしなかったからどうだということではない立場にあることは当然おわかりだと思いますけれども、企業の自己責任において判断してやられたことで、それはそれだけのことであるというふうに私は思っております。
  128. 栗山礼行

    ○栗山委員 さきに御答弁があったのでありますが、御承知のとおり減配処置が大手の、八〇%のシェアを占めておるという弱電、それから造船、自動車、こういうような方面への値上げの布石でないか、こういう意見がその方面の業界筋からも出てまいっておることは、これまた御承知のとおりでありますが、この点について、これは一言でけっこうでありますが、いま御答弁を願ったやに思うのでありますけれども、再度ひとつお答えをいただきたい。
  129. 谷村裕

    ○谷村政府委員 私企業として、自分の会社の経理状態をよくするためにということで、自分の責任においてそれぞれ動いておられることだというふうに私は見ております。それに減配というのが、何といいますか布石になったかどうかというふうなことは、私の立場からは別に何ら関知しないところでございます。
  130. 栗山礼行

    ○栗山委員 最後にもう一点、これは通産省にも実際は、この二つの問題につきまして意見をお伺いをしておきたい点なんであります。  弔う一点は、同じく公益事業局になろうかと思うのでありますけれども、東京瓦斯がこの秋に値上げを強く要望いたしておる、ゆえにこそ減配いたしまして、政略的な一つの減配だ、こういうふうなきめつけでありますか、そういう意見がずいぶん論議をされておるやに伺うのであります。こういう背景というものを十分分析いたしまして対処いたしてまいるということが望ましいことではないかというようなことで、いま申し上げておりますような政略的な一つの減配というものがもし事実であるといたしますなれば、これはどのように公取なりあるいは通産行政の立場において臨んでまいるか、こういう問題が存すると思うのでありまして、これはひとつ通産省と公取から重ねて一ぺん伺いたいと思いますす。
  131. 勝谷保

    ○勝谷説明員 お答えいたします。  連続減配の件につきましては、いろいろな御意見があることを私ども知っておるのでありますが、九月決算もさることでございますが、近く出ます決算等でも、決算の実情をごらんいただきますならば、六分配当、前期では八分配当いたしましたが、その配当がいかに正規の配当でなくていろいろのやりくりであるか、たとえば従来の償却法を変えるとか企業の資産を売却するとか、そういう実情であることをおわかりいただけるものと思います。したがいまして、私は、基礎産業が、自分の産業の状態が悪いにもかかわらず、いろいろなやりくりをして、いかにもりっぱな企業であるかのごとき状態を呈するよりは、日本の産業構造自体をちゃんとしたものにするための赤裸々な姿を関連業界に示すのが正しい姿ではないかという気持ちを持っているわけでございます。
  132. 谷村裕

    ○谷村政府委員 栗山先生もよく新聞を引き合いにお出しになりますけれども、兜町方面からの株式欄のたより等で新聞記者等が書いておいでになることは、いまの通産省のほうから示された話と今度は全く逆の話を実はしております。そのくらい配当という問題は、配当政策というふうなことばが使われるくらい一種のポリシーがあると思います。そしてそれは、本来企業の責任において判断されるべき問題であると思います。私は、そういう証券界のほうの仕事も実は過去に経験したこともございますけれども、本来の意味での株式とは何であるか、また企業経営とは何であるかというところに立ち返って考えますならば、いま通産省当局の言われた考え方が基本でなければならないというふうに私も考えております。
  133. 栗山礼行

    ○栗山委員 終わります。
  134. 井岡大治

    井岡委員長 和田耕作君。
  135. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 国鉄の運賃の引き上げが今後行なわれるわけでございますけれども、きょうは運賃の引き上げの問題について、特に貨物運賃の引き上げの問題について、運輸省の関係の方々から御答弁をいただきたいと思っております。  国鉄がたいへんな赤字になってきたという大きな原因の一つに、貨物収入が非常に減ったということがあるわけでございます。とりわけこの十年間は、この減り方——減ったというか、ウエートが減ったということになろうと思いますけれども、非常に顕著なものがあるわけでございまして、特に一方ではトラック輸送にとられる、一方では海運、内航船にとられるというような事態が発生しておるわけでございます。この十年間高度経済成長というすばらしい成長があったにもかかわらず、国鉄は全く停滞をしておるという結果になっておるわけですけれども、このたび国鉄は、旅客あるいは貨物その他小口運送の三部門にわたって、かなり大幅な運賃の値上げを計画しておる。  きょうは、時間ももうだいぶおそくなっておりますから、私は端的にお伺いしますけれども、旅客あるいは貨物、小口運送の点でいま計画をしておる運賃の引き上げと、その引き上げがはたして計画どおりの実際の収入増になって出てくるのかという問題から入ってみたいと思うのであります。  この三部門の計画と収入増になる見込み額について、まずお伺いいたしたい。
  136. 服部経治

    ○服部説明員 お答え申し上げます。  まず、旅客輸送の収入でございますが、今回平均二三・四%の改定を行ないまして、これによりまして千三百二十二億円、実収率にいたしまして一五・四%の増収を得るということを見込んでおります。  次に、貨物でございますが、これにつきましては平均二四・六%の改定を行ないまして、これによりまして実収額で三百九十六億円、実収率にいたしまして一五・〇%の増収を得るという見込みを立てております。  また、小量物品でございますが、これにつきましては平均三二・三%の改定を行ないまして、これによりまして七十億円の増収を見込んでいる、こういう状況でございます。
  137. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 国鉄運賃の全体については、今後いろいろな機会に御質疑申し上げることがあると思いますので、きょうは、先ほど申し上げたとおり、貨物運賃について幾つかの問題をただしたいのですけれども、端的に言って二四・六%、三百九十六億円という運賃値上げの増収の見込み、特に歩どまりとして一五・三%の実収の見込みをしておる。これは少し過大ではないかという感じを持つのですけれども、そういう感じを計画当局としては持っておられますか、あるいは確信を持っておられますか。
  138. 服部経治

    ○服部説明員 先生指摘のように、他の輸送機関との関係におきます国鉄の貨物輸送の相対的な競争力がたいへん急速な勢いで低下してきておりますことは、そのとおりでございます。したがいまして、私どもも今回の国鉄の運賃改定案の作成にあたりましては、いま先生が御指摘になられました点を十分勘案いたしまして、過去におきます貨物運賃改定の際に見られました値上げ率と実収率の関係等から、国鉄の貨物輸送需要の運賃弾性値というものを算出いたしまして、この運賃弾性値を基礎にいたしまして、所要の一五%の実収を得るために必要な名目改定率を二四・六%というふうに算出したわけでございます。  それで、先生指摘になっておられる点でございますけれども、今日までに見られてまいりましたような国鉄の貨物輸送の相対的な競争力の低下傾向というものが、今後も、将来にわたってそのままの形で継続するというようなことに相なりますと、この一五%という所要の実収率なり実収額を確保することがいよいよ困難になってくるということは、まことに御指摘のとおりでございますが、私ども、国鉄の貨物輸送の抜本的な体質改善をはかることによりましてこういった一五%の増収率を確保したい、こういうふうに考えております。
  139. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 最近、国鉄の運賃の値上げをしたのは、昭和四十一年と四十四年でしたか、二回あるわけですけれども、このときの計画の数字と実績についてお伺いしたい。
  140. 服部経治

    ○服部説明員 昭和三十六年四月に貨物運賃を改定いたしておりますが、このときは名目の改定率が一二%ちょうどでございます。このときの実増収率は八・六%でございました。したがいまして、三十六年四月の改定のときには、利用減が物量で申しまして三%あったわけでございます。   〔委員長退席、武部委員長代理着席〕  それから次に、五年おきました四十一年三月にも貨物運賃を改定いたしておりますが、このときの名目改定率は二二%でございました。この改定によりまして国鉄が得ました実増収率は九%でございました。したがいまして、このときは物量で申しまして三・八%の利用減があったわけでございます。
  141. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 四十四年のときは貨物は引き上げしなかったのですね。というよりも、できなかったんでしょう、四十四年の年は。
  142. 服部経治

    ○服部説明員 四十四年の五月にも、国鉄は運賃改定を行なったわけでございますが、このときは、先生ただいま御指摘のように、貨物運賃の改定は見送っております。  そのときのいきさつないしは考え方でございますけれども、先ほど来先生指摘のように、国鉄の貨物輸送の相対的な競争力というものが遺憾ながら非常に低下の傾向にある、そういうときに運賃改定を行ないましても、所要の増収額を得るということよりも、かえって国鉄の貨物の競争力の低下傾向に拍車をかけることになるのではないかという懸念があったことも、確かに御指摘のとおりではなかったかと思います。ただ、このときに国鉄の貨物運賃の改定を見送りましたのは、もっとほかに理由があったように私は聞いておりまして、それは物価に対するはね返り等をできるだけ少なくしようというような配慮もあったというふうに記憶いたしております。
  143. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 あげ足とるわけじゃないのですけれども物価に対するはね上がりを考慮したというわけですけれどもあとでいろいろ聞いておりますけれども、貨物運賃の物価に対する影響は非常に少ないというお見込みを持っておられると聞いておりますけれども、まあそれはそれとして、いまの三十六年の四月には一二%、四十一年の三月には二二%、しかし今回の場合には二四・六%、つまりいままでの倍近い引き上げ率になるわけですね。しかも景気はよくない。国鉄のこの貨物の競争力は、コンテナ等の問題がありますけれども、特に強化されたというような経営の面も考えられないときにこの一五%という歩どまりというのは、私は、一般的に考えて過大であるという印象を持ってしようがない、いままでの過去の例と比べても過大であるという印象を持つのですけれども、その問題についてやっぱり自信を持っておりますか。
  144. 服部経治

    ○服部説明員 今回の国鉄運賃改定の案におきましては、名目改定率二四・六%に対しまして、利用減が物量で申しまして七・七%生じる。したがって、名目の利用減がなかったとしたならばというときに見込まれる名目の増収額のうち、約四割近いものが利用減によって逃げてしまうというような見込みを立ててやっておりますので、私どもといたしましては、現在予測し得る最も妥当な線ということで、この名目改定率なり実収率なりというものを算定しておるわけでありますので、自信があるかというお尋ねでございますが、何とかそういう企業努力等も積み重ねることによりましてこの一五%の実収を確保いたしたい、このように考える次第でございます。
  145. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 私、そう思います一番大きな理由は、三十六年、四十一年の段階では、まだ国鉄は貨物輸送の大宗であって、そして一般の雑貨等も相当国鉄を利用されておった。現在数字が伸びませんけれども実情からすれば、国鉄が運んでおる大宗の荷物というのは石炭であり、あるいは石油であり、あるいは石灰石でありというような、他のトラックその他では運べない品物が圧倒的に多いですね、量からいっても価格からいっても。そういうふうなものの運賃負担力というものは、いろいろな意味で制限されてくるという問題もありますけれども、量に比べて運賃の収入は低いという問題もあって、そういうふうなものが、不景気でもあるし、量がふえるということは考えられない。また、一般の、量は少なくても運賃の高く取れる雑貨あるいはその他の完成品は、これこそトラック、特にトラックにとられてしまう。こういう状況はほとんど変化していないということを考えますと、このような実収の見込みというのは、もっとこまかくこの点検討して出すべきものではないのか、いままでのように、たとえばいろいろな推定の方式によって推定をされておるけれども、もっと内容的に検討なさらなければ、この実収増の見込み額を出すのは危険なのではないか、こういう感じを持つのですけれども、現在の国鉄が運んでおる大宗貨物の実情から見て、いまの問題についてのお考えをお聞きしたい。
  146. 服部経治

    ○服部説明員 ただいま先生指摘になりましたように、国鉄の運んでおります貨物のうちで、かつてはいわゆる第一次産品というもののウエートが大きかったものが、この十年ばかりの間に、国鉄の運んでおります輸送品目の内容にも相当変化が生じてきておりまして、第一次産品が減り、第二次産品がふえる。そして量的にはほぼ、この十年間横ばいという状況を続けておるという実情にございます。  で、トラックでありますとかあるいは内航海運といったような他の輸送手段が発達してまいりまして、荷主が選択します輸送手段というものが非常に多様化してまいってきておりますこともまた事実でございまして、そういう競争市場の中にありまして、国鉄がこれまでどおりの輸送量を確保し、あるいはそれ以上の増収をはかるということが非常にむずかしい問題であることは、御指摘のとおりであろうというふうに理解いたしますが、しかしながら、一方国鉄におきましても、現在のような競争力の低下傾向をそのままでいいというふうには毛頭考えておらないところでございまして、フレートライナーでございますとか、あるいはまた地域間急行でございますとか、そういったものを中心といたします拠点間の直行列車というものを拡充してまいりまして、国鉄のオンレールの輸送時間のスピードアップ、あるいは到着時間の明確化というものに懸命に努力もしておるところでございまして、たいへん卑近な例でございますが、先般も、この三月十五日に行ないました国鉄のダイヤ改正におきましても、それまでは、いわゆる到着時間が明確化されるような貨物列車というもののウエートが、全体の七分の一程度でありましたものを、今回のダイヤ改正によりまして、全体の二七%程度の列車をそういったフレートライナーでございますとか地域間急行でございますとかいったような形の、到着日時の明確化がはかられ得るような形の列車というものに切りかえてまいったところでございまして、これからの努力によりまして一そう荷主の要望にこたえ得るような、良質の輸送サービスを提供し得るような貨物輸送の体質改善してまいりたい、このように考えているところでございます。
  147. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 国鉄がトラックあるいは海運に品物を取られる——海運の問題はしばらく別ですけれども、トラックに品物を取られるという一番大きな理由は、国鉄の運賃はトラック運賃に比べて非常に安い、これは事実ですね、安いにもかかわらずどんどんと取られるという一番大きな理由は、つまりサービスの問題と申しますか、あるいは輸送の時間の問題と申しますか、その二つに限られてくると思うんですけれども、特に時間の問題について、フレートライナーの問題、コンテナ輸送の問題が出てくると思うのですけれども、いまの国鉄が準備しておる対策としては、もっと輸送の時間を短縮をする、そして商取引の便利なようなタイミングを合わしていくという努力は、これは非常に効果を持つと思います。そして、その他のサービス等の問題についてもたいへん効果を持つものですけれども、この二つの問題についていま国鉄の対策としては、コンテナの、特にフレートライナーのコンテナを準備するということだけのように思うんですけれども、ほかにありますか。
  148. 服部経治

    ○服部説明員 御指摘のように、非常に近代的な輸送手段でございますトラックに対抗いたしますために国鉄はフレートライナーの増発というものを考えておりまして、そういうものを軸にいたしまして、現在は国鉄の総輸送量の四%強にしかすぎませんコンテナの輸送量というものを、あと十年ぐらいの間に全体の二〇%にまで引き上げたいということも考えております。したがいまして、国鉄の貨物輸送体制の近代化の一番大きな柱がコンテナ化であり、フレートライナー化であるということは御指摘のとおりでございますが、いま一点、国鉄が考えております輸送体制改善の柱といたしまして、物資別適合輸送の拡充増強ということがございます。この物資別適合輸送と申しますのは、たとえば石油でございますとか、あるいは飼料等の粉粒体の物資でございますとか、あるいはセメントでございますとか、そういった品目の物資につきまして、その発基地及び着基地を整備いたしまして、これらの物資の横持ち、保管あるいは包装、荷役等の経費を大幅に節減する。しかも、列車体系といたしましても、そういった整備されました発基地から着基地までのノンストップの直行輸送体系を考えるというようなことで、特定の各品目ではございますけれども、そういった物資別の適合貨車の開発等をはじめといたしまして、適合輸送体系というものの整備をはかってまいってきておるところでございます。
  149. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 いまの経営改善目玉商品といわれるのはコンテナ、フレートライナーの問題、これは四%から二〇%ということですけれども、この一つの問題点は、たとえば青森のリンゴを東京に持ってくるというような場合は、確かに大きな改善が行なわれておるわけですね。従来二日も三日もかかったものが、二十四時間ぐらいの時間で直行で持ってくるというような大きな改善が行なわれているけれども、西日本のような場合には、このような目をみはるような改善はほとんど行なわれないという意見があるんですけれども、それはできますか。
  150. 服部経治

    ○服部説明員 輸送改善の具体的なお話でございますけれども、私が承知をしております事例を二、三申し上げたいと思いますけれども、まず、下関に水揚げされます鮮魚につきまして、これを東京の市場まで持ってまいりますのに、従来は三十一時間ほどかかって持ってまいってきておりましたものを、現在ではこれが十八時間、水揚げして二日目には東京市場に到着するというような輸送改善を行なっております。また、九州の都城ですか、あそこからの牛肉を東京に運んでまいりますのに、従前は五十四時間かかっておりました。したがって、出荷いたしましてから四日目に東京に着くというような輸送体制でございましたけれども、これも昨年輸送改善を行ないまして、三日目到着というようなことに改めております。若干の例でございますが……。
  151. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 あとから、四%から二〇%にふやすというこの計画の詳細な資料を私はいただきたいと思うのですけれども、どういうふうな路線で、どういう品物をこのフレートライナーの線に乗せて、そしてどうやっていくか、この資料はぜひいただきたいと思います。いま竹内さん、この人は青森県の人ですけれども、リンゴの問題でいろいろ意見があるようでしたけれども、こういうこともなかなか、計画と実際の実情とは非常に困難な問題が多いと思う。特に国鉄全体の輸送体系から見て非常に困難な問題が多いと思うのですけれども、この問題については、目玉商品であることは間違いない。ただ、これは国鉄だけがやるんじゃなくて、いま海上輸送の問題で、長距離フェリーの計画がある。こういう問題が出てきますと、いままで国鉄だけが運んでおったようなものを、もっと、比較にならぬほど国鉄よりも安い船がこれに対して競争するということも十分考えられる。こういう問題を考えておられますか。
  152. 服部経治

    ○服部説明員 もちろん私どもといたしましては、今後の長距離フェリーの発達というものが国鉄の貨物輸送の非常に有力な競争相手、ことばは悪うございますけれども、競争相手になるだろうということは考えておりまして、そのためにも、ぜひ貨物輸送の体質改善をできるだけ早く行ないまして、全体の国鉄貨物輸送のスピードアップ、到着日の明確化というものを一日も早く進めてまいりたいというふうに考えております。
  153. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 いまの長距離フェリーの問題について、内航関係課長さんからひとつ今後の見通しを……。
  154. 高橋顕詞

    ○高橋説明員 長距離フェリーは、いま鉄監局から御説明申し上げましたように、確かにいま、雑貨輸送の長距離輸送という面では競合をいたす関係にございます。ただ、もう少し突っ込んで申し上げますと、少なくとも現在のところ、長距離フェリーに乗ってまいります長距離のトラックというのは、そのトラックの中に積まれております貨物は、現在すでにトラックに載っておるという状態のもの、これが長距離フェリーに移行しておる、一部ないしは間接的な部分に海路を利用しておる、こういう関係にあると存じます。それから運賃も、これは一般内航船の大量ばら貨物の運賃のように、長距離フェリーのトラック一車当たりの運賃というものは安いものではございませんので、かなり国鉄運賃に接近してまいります。
  155. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 いまの長距離フェリーの問題ですけれども、将来、これはもっと改善されれば、もっと重いもの、たとえば木材とかあるいは石炭とかあるいは米だとか——お米なんというものの輸送はそういうふうなものにかわっていくということはないですか。
  156. 高橋顕詞

    ○高橋説明員 いま仰せられたような品目につきましては、まずないと思います。そういう重量かつ大量のものであれば、これは普通の船舶を利用するほうにいくというふうに存じます。
  157. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 それから、トラック輸送の問題ですけれども、現在、トラック輸送の運賃というのはどういうふうにきめられておりますか。
  158. 武石章

    ○武石説明員 お答えいたします。  現在のトラック運賃といいますのは、道路運送法によりまして認可をするたてまえになっておりますが、トラック運賃の立て方は、一トン車から二トン車、四トン車、六トン車というように車の大きさ別に、あとは距離帯別に運賃が定められております。たとえば東京管内の自動車について申し上げますと、八トン車で二百キロを走った場合には二万二千七百五十円という立て方になっております。それから、この基準の運賃に対しまして、上下一〇%ずつの幅で運賃を定めることができるようになっております。したがいまして、最高、最低運賃という形になっております。
  159. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 トラック輸送の面ではかなり幅のある賃率の適用のようですけれども、事実上かなり大幅なダンピングがあったり、あるいは白トラがあったりということですが、ダンピングというのは、運輸省としてどういうふうにつかまえておりますか。
  160. 武石章

    ○武石説明員 お答えいたします。  私ども、ダンピングというのを、個別のケースについて的確につかんでいるということは申し上げるわけにいかないのでございますが、実際問題として、いまの一トン車以下という自動車から十二トン車以下という各トン車別に見ますと、非常に運賃にバラエティーがございます。それを一トン車当たりに換算いたしますと、十二トン車の運賃と一トン車の運賃が、大体三倍から四倍、一トン車の小型になるほど高くなってきます。  それからあと、一〇%ずつの上下の最高最低ということのほかに、私、実は先ほど省略して申しわけなかったのでございますが、長期契約割引という制度を設けております。この分が大体一五%下がることができるということでございます。そういたしますと、最高運賃と最低運賃というものには、契約の形態によっては三五%という幅が出てまいるわけでございます。それから、どのトン車の車で運ぶかという契約によりまして違ってまいりますので、現在の体系上、たとえばダンピングと一般にいわれておりながら実はダンピングでないというケースもかなりございます。そういう点で、非常に実態がつかみにくうございます。
  161. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 たとえば今度の国鉄の運賃が改正された場合に、現在国鉄はお米の輸送を相当たくさんやっておりますね、このお米の輸送の運賃ということになりますと、今度国鉄運賃が改正されると、六十キロ当たり百七十八円ということになりますね。そうすると、トラック輸送もお米が非常にふえてきているようですが、トラック輸送の場合は、正式の認可料金が三百十八円、これは国鉄の運賃とは非常に差があります。あるけれども、ダンピングになると百六十円から二百円、中小で百六十円、大手で大体二百円というように、運輸省のつくった資料の中にあります。また、白トラの場合は百二十円ということになる。いずれにしても、国鉄の新しいお米の輸送運賃は、トラックのダンピングあるいは白トラの運賃よりも高くなるという問題がありますね。こういうことになりますと、一つの例ですけれども、お米の輸送というのは、昭和三十五年には三百九十二万一千トンだったのが、四十五年には四百九十六万一千トンということになっております。お米はかなりふえておりますね。しかし、今度の運賃の改正によって、トラックの競争力が非常に強化されてくるという問題が出てくると思うのですが、トラックのほうと国鉄の全体のほうの方と、お二人の見解をお聞きしたい。
  162. 服部経治

    ○服部説明員 お米の例でございますが、国鉄は現在、年間五百万トン近いお米を年々輸送しております。これがトラックのほうに流れるのではないかという御指摘でございますけれども、確かに、運賃改定を行ないまして、国鉄に支払います運賃が相対的に高くなるという関係が生じてまいりますと、先生指摘のように、トラックにこれが流れていく力といいますか、流れを促進するような力として働くことは否定できないところであろうというふうに考えます。なお、現実の商取引の実態に対応いたしました輸送サービスの提供という面を通じて、国鉄の貨物輸送の量の確保という面について一そう努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  163. 武石章

    ○武石説明員 お答えいたします。  現在のお米の輸送は、二つに分けて考えますと、大半が食糧庁の委託による輸送でございます。この分につきましては、全国通運が若干ございますが、ほとんど日本通運が引き受けておりまして、現在の認可された運賃で運んでいるはずでございます。これにつきましては、付帯したいろいろなサービスと一緒の契約になっております。したがいまして、トラックの運賃部分というものは認可された運賃になっておるということになろうかと思います。  それから、自主流通米というのが、わずかな量ですが、ございます。この点につきましては自家輸送というもの、自家用車による輸送というものが非常に多くなっております。これは米屋さんの車というもので運ばれるものが大部分だろうと思います。  先生指摘になりました白トラの運賃というもの、これは私どもの資料ではございませんで、たぶん交通事故をなくす会というところの調査の資料だと思います。私ども、白トラの実態というものは私どもとしてつかんでおりませんし、実際に白トラがある場合というものにつきましては、道路運送法違反ということで処理して取り締まりをしております。したがいまして、白トラの運賃というようなことは、私どもとしては把握しておりませんので、その点はわからないというふうに申し上げざるを得ないと思います。   〔武部委員長代理退席、竹内委員長代理着席〕
  164. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 今後、自主流通米というのはどんどんふえていくと思うのですけれども、そういうふうな問題も考えてみなければならない。  もっとひどいのは木材です。木材の場合は、国鉄は、昭和三十五年には千九百万トンも運んでおるが、それが四十五年には激減しておりますね。ところが、今度の改定の木材運賃になりますと、これは一トン当たり二千百五十二円ということになっておる。これが白トラの場合には千九百円という額が、いまおっしゃったおたくの貨物局が出した資料の中の——調査は確かに交通事故をなくする会ですけれども、おたくで出した資料の中にこの資料は入っている。
  165. 服部経治

    ○服部説明員 ただいま先生お手元にお持ちでございます資料は、国鉄が作成いたしました資料でございまして、その中に引用いたしております数字は、先ほど自動車局のほうから申し上げましたとおり、交通事故をなくす会という会の調査の結果数字をそこに引用してあるという性質のものでございます。
  166. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 交通事故をなくす会にしても、貨物局というこの資料の中にちゃんと載っているから、この資料はたわいのない数字とはいえないわけですね。それによると、いま申し上げたとおり、新しい引き上げた運賃では、原木のトン当たりの単価が二千百五十二円、いままで千九百十二円、これが白トラということになると九百円で運んでいるということになるわけですけれども、今後考えなければならない点は、つまりトラック輸送の場合は、いろいろ人手が少なくなるとかいうことで、なかなか正規の輸送は困難になって、こういうような白トラとかいろいろなものがふえてくるということも考えられるわけなんですね。こういうような実情から見て、運賃の値上げをするということは、国鉄の輸送に対してあまり大きな意味を持たない。時間をもっと早くするとかサービスするとかいうことが大事だということはわかりますけれども、運賃という面から見ても、今度の大幅の運賃改正というものは、実際上皆さん方が考えているような増収につながるかどうか、たいへんいろいろ問題があると思うのです。いま一、二の例をあげたのですけれども、いま現在国鉄が運んでおる大宗貨物の中に、そういう問題が非常に大きく関係をしているというふうに私は思うのですけれども、こういう問題を今後私ども、ひとつもっとまとめて検討して、今度大臣その他の方に質問するときに再質問したいと思うのですけれども、こういう問題をもっと検討してみないと、いまのせっかくの貨物運賃の引き上げ、国鉄の赤字対策のための増収ということを企図しながら、逆に貨物の輸送が減ってくるというような悪い結果になりはしないかということを、私は非常におそれるのです。この前の四十四年の運賃改正のときも、貨物運賃の値上げは出してない。出せないのじゃないかということを、私は国鉄の石田総裁に質問したことがあるのです。事実そういうことを心配しなければならないような実情なんですね。コンテナ輸送の問題あるいはフレートライナーの問題でも、技術的にいろいろもっとこまかく検討すると、この数年のうちに現在の四%から二〇%に引き上げていくという見込みのようですけれども、これ自体非常にむずかしい問題がありはしないかと私は思う。そういうことを含めて、もっといまの収入増の問題を検討してみる必要がある。私は非常に困難じゃないかと思うのです。特に、現在不景気でしょう。宮崎さん、この問題今年度の景気の見通しの問題については、どういうふうにお見通しなんですか。
  167. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 今年度の経済見通しというのは、予算と関連を持って発表されているとおりでございますので、私がこれに対して個人的にどうだということを申し上げるわけにはいかないわけでございますが、きょうも月例報告の会議を朝やっておりましたけれども、大体、現在景気は底固めの状況になったというふうに企画庁としては判断しております。ただ、これがいつごろから上向くかということについては、かなりいろいろと意見がございまして、情勢いかんによって年度間七・二%という成長率、実質成長率でございますが、それが達成できるかどうかという問題があるわけでございますが、まあこれは何とかいまの段階ではだいじょうぶではないか、こういうふうに一応われわれは考えておるわけでございます。なかなか楽観を許さないという状況でございます。
  168. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 きのうの参議院の予算委員会の総括質問に対して、経済企画庁長官と田中通産大臣との、見通しの問題について、かなり大きな違いがある。現在では一致しているようなことを言っているけれども、なかなか、はかばかしい好景気というようなものは、見通しが困難だというような問題もあるわけですね。私ども、本来、この段階で旅客あるいは貨物運賃を引き上げるよりも、もっとやらなければならぬ仕事がたくさんあるじゃないかということを主張する立場にあるわけなんです。その問題についてはここでは問題にしませんけれども、そういうふうなことを主張する立場から見て、実際この旅客の問題にもたくさん問題があると思います。旅客の引き上げという問題がどれくらいの実際のメリットを持つのか、あるいは貨物の引き上げというものが実際に赤字対策のメリットを持つのかという問題をもっと詳しく検討してみたいと思う。きょうはその一つの質問なんですけれども、この問題、もっと真剣に考えてみる必要があると私は思うのです。  それよりはもっと、いまのコンテナ輸送とかそういう問題を、やるべきことをどんどんやっていく、あるいは国鉄のもっと経営の合理化の問題もある。とにかく、いまの国鉄内部の暴力事件なんというものをそのままにして、こんな赤字対策なんてできるものじゃないと私は思うのです。こういうことはあとでいろいろ問題にしたいと思うのですけれども、きょうは直接担当されておる課長さんから、いまの貨物の問題についてのいろいろな貴重な意見を聞かしていただいたわけですけれども、今後ひとつ、いまの問題について、もっとこまかい検討をしていただきたいと思います。  先ほど申し上げた、今後のコンテナ輸送のフレートライナーのいま持っておる計画の詳細な資料を、あとからひとついただきたいと思います。  以上で終わります。
  169. 服部経治

    ○服部説明員 ただいま先生の申されました、コンテナの増送計画の資料につきましては、できるだけ早く先生のお手元にお届けしたいと思います。  なお、また、本日は、いろいろと国鉄の輸送の現状について、せっかくの御指摘をいただいたわけでございます。私ども、基本的には、国鉄の貨物輸送体制体質改善をはかりまして、低コストの高速輸送体系の実現をはかるという方向で対処したいというふうに考えておりますが、なお、こういう状況の中でございますので、きめこまかいサービスの向上なりあるいは販売体制の強化なりというような各般の施策をあわせ考えまして、何とか所要の増収は達成いたしたい、このように思っております。  なお、なすべきことがほかにあるという御指摘でもございますが、いろいろと国鉄として当面解決しなければならない問題も多々あるわけでございますが、同時に、この運賃改定の問題も、国鉄の現在の財政の窮乏を打開する一つの重要な柱でもございますので、ひとつ今後とも……。
  170. 竹内黎一

    ○竹内委員長代理 では、次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後二時五十九分散会