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武部委員 中小企業を刺激するというような御
発言がいまあり、
通産省の
中小企業庁も大体それに似たようなことを過去も言っておりました。私の
承知するところでは、これはまあ統計ですから、ちょっと古いことになりますが、いまもそう変わっていないと私は思いますが、二年ほど前の
生協の具体的な数は、
職域生協を含めて
全国に千二百十三あります。
組合員数は千百七十二万人であります。これの
供給高は千七百三十二億円という数字になっておるのであります。前回も私が申し上げましたように、この千七百億円
程度の
供給高というのは、
全国の
販売供給高のわずかに一%です。たかだかふえて一・二%です。それだけの
供給高しか
生協は扱っていないわけです。まことに微々たるものであります。私は昨年の秋に
スウェーデンに参りましたが、
スウェーデンの
生協を調べてみると、
スウェーデンの
生協は、実に
全国取り扱い高の二五%を占めておるのであります。それから見ると、全くこれは問題にならぬ
生協の
扱い高であります。なるほど
灘神戸生協のようなきわめて大きなものもあります。しかし、これは極端な
ケースであって、
全国の
生協そのものを調べてみると、まことに
出資金の少ない、また
資金繰りも非常に困難な弱小の
生協が非常に多い。そういう
生協の育成のための
融資等についても非常に多くの
制限があって、
生協自身がなかなか運営もむずかしい
状態です。新しく
生協をつくろうと思ってもなかなかこれは
店舗をかまえるというようなわけにもいかぬ。
生協というものは、そういう非常に限られた制約の中でも一生懸命、いまの高
物価の中で
消費者運動を続けておると私は思うのです。これは高く評価しなければならぬと思うのです。
直売方式あたりもこれはやっておる。
そういう中で、一体なぜそれが
中小企業をあなたが言うように刺激するのか、具体的に私はそういう事実はないと思っておる。なるほど
灘神戸生協のような大きなものは、あるいは
地域においていろいろなことがあったかもしれない。しかし、
現実に私は
灘生協へ行って、
店舗の支店もずっとたくさん見てきました。そして、それが一体
中小企業とどのような
摩擦をやっておるだろうか、そういう点も、非常に
関心を持って調べてきました。決してそうなっていないのですよ。それを、
生協の
地域制限を撤廃すれば
中小企業を刺激し圧迫するとおっしゃるが、それはただ単なる口実であって、
現実の姿というものを
十分認識をした姿ではないと私は思うのです。
具体的に私これから申し上げますが、むしろ
中小企業を刺激しておるのは
生協ではなくして
ビッグストア、それがいまのところ
中小企業を刺激しておるということは、私は当たると思うのです。
ビッグストアがいま
首都圏にも、あるいは関西の
近畿圏にも大量に進出しております。私のいなかのような過疎の町にも
ビッグストアが進出してきました。こういうものと
中小企業との間に
摩擦があることは知っております。そういう多額の
資金をもって進出してくるものと
生協と同一視することはできないのです。そこに
通産省、
中小企業庁の
見解の間違いがあるように私は思うし、同時に、
厚生省がそれを納得させるところの
説得力を持っていないことに、非常に私は残念に思うのです。
具体的に申し上げますと、
生協が
出店をかまえる、そういうときには
話し合いで
調整をしておる
ケースがございます。
これは
東北の
鶴岡生協でありますが、
商業団体と
話し合いをして、全面的に
出店の立地を
調整しておるという
ケースがある。これは
東北の
鶴岡生協であります。
さらにはまた
灘神戸生協、こういうところも、
近所に
薬局、書店、喫茶、こういう
競合店がある場合には、
生協は
店舗の中にこれらの部門を置かないという協定を結んでおります。これは私も行って調べてまいりました。
近所に
薬局があったり、それから本屋さんがあったりする場合には、自分の
店舗には置きません、そういう
約束をして
出店をかまえておるのです。
それから、
出店をしたことによって周囲の
商店街が繁栄したという
ケースがある。これは私は見ました。灘の
生協で
現実にありました。しかも
付近の
商店の人は、その
出店に対するお客の出入りが非常に多いために、むしろ
付近の
商店がそれによって繁栄をしておるということを言っておった。これは事実であります。
さらに、
出店にあたって一部の業種を
生協の
店舗に組み入れる、こういうのがございました。これはどういうのかというと、肉とか野菜、魚、クリーニング、なま菓子、こういう店屋が
近所にある。それをその
店舗の中に吸収して、
出店を設けさせておるのですよ。
そういうように、
話し合いによって
生協との間に
競合しないように配慮をしながら、
中小企業のいわゆる
小売り商との
調整を保っておるのです。また、
中小企業の
専門的能力を生かして
生協へ納入をさせる、
生協に
出店を設ける、そしてそこには
中小企業のあなた方の物を入れてください、こういうふうにして
中小企業との
協調を保っておるのです。あるいは営業時間、こういうものについては
業者組合と
話し合いできめておる
ケースもたくさんあります。
私はいま三つ、四つのことを言いましたが、このように、
生協が
中小企業の
小売り店と
競合を避けるために、いろいろな
努力をしながらそういう
協調を
現実にしておるのです。そういうことを
厚生省は一体知っておられたか。こういうことをやって
——生協の諸君だって、
小売り商、
中小企業がつぶれるというようなことを歓迎するわけがないのです。そのような
努力をして今日
出店を設けるというように、その県内でもいろいろと
努力をしておられる。しかし、現に
経済圏というものは、さっきから何べんも言うようにいろいろと入り乱れておる。だとするならば、せめてこの
地域制限というものを
緩和をして、隣の県にまで
出店を設けること、私はこれは当然のことだと思うのです。そういうことを
制限をしておいて、
ビッグストアには
全国至るところどこにでも進出させる。そういうばく大な
資本力を持ったものには何らの規制もしないで、そして
資金源のない、非常に困難なことをやっておる
生協をなぜあなた方は
手かせ足かせをするのかということを、私は非常に疑問に思うのです。
私事にわたって恐縮でありますが、先ほど
登坂政務次官もいろいろなことをおっしゃったが、私は
政務次官とは、この
物価の
委員会でよく
論議をしたのだから、
政務次官もよく御存じだと思うのです。少なくとも
物価特別委員会では、与野党ともこの問題については
意見が
一致をしておったのです。
一致がしておったから、あの
消費者保護基本法が
満場一致で
成立をし、また、
附帯決議も
満場一致で
成立をしたのです。そういう
努力の積み重ねをしながら今日を迎えておる。そして、さっきから何べんも繰り返し言うようですが、
員外利用等の問題についてはこれは触れない。まだたくさんの問題があるけれ
ども、それは当面は触れません。しかし、この
地域制限の
緩和ぐらいのことは、これは
厚生省が
ほんとうにやる気があって、どうしてもいまの
物価高の問題や
消費者運動との関連において必要だという決意があるならば、当然
通産省やあるいは
与党の
社会部会に対して
説得力はあるはずだと私は思う。それが今日なお模索の
段階にあることは、
厚生省自身がはたしてこの問題に
ほんとうに真剣に取り組む意思があるのかどうか、私はたいへん疑いたくなる、こういう点について
厚生省の
見解をひとつ承りたい。