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1972-06-07 第68回国会 衆議院 農林水産委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年六月七日(水曜日)     午前十時四十分開議  出席委員    委員長 藤田 義光君    理事 仮谷 忠男君 理事 熊谷 義雄君    理事 松野 幸泰君 理事 渡辺美智雄君    理事 千葉 七郎君 理事 斎藤  実君    理事 合沢  栄君       江藤 隆美君    小山 長規君       中尾 栄一君    野原 正勝君       藤本 孝雄君    別川悠紀夫君       山崎平八郎君    角屋堅次郎君       田中 恒利君    中澤 茂一君       長谷部七郎君    松沢 俊昭君       美濃 政市君    安井 吉典君       相沢 武彦君    瀬野栄次郎君       小宮 武喜君    津川 武一君  出席政府委員         農林政務次官  伊藤宗一郎君         農林省農林経済         局長      小暮 光美君         農林省蚕糸園芸         局長      荒勝  巖君         食糧庁長官   亀長 友義君  委員外出席者         大蔵省主税局税         制第一課長   高橋  元君         農林省農政局参         事官      川田 則雄君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ————————————— 委員の異動 六月七日  辞任         補欠選任   中澤 茂一君     安井 吉典君 同日  辞任         補欠選任   安井 吉典君     中澤 茂一君 本日の会議に付した案件  農業災害補償法及び農業共済基金法の一部を改  正する法律案内閣提出第九六号)(参議院送  付)      ————◇—————
  2. 藤田義光

    藤田委員長 これより会議を開きます。  農業災害補償法及び農業共済基金法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。合沢栄君。
  3. 合沢栄

    合沢委員 農業災害補償法及び農業共済基金法の一部を改正する法律案に関連しまして質問いたしますが、私自身がミカンを実は栽培しておるわけでございます。同時にまたミカン産地の出身でもございますので、この果樹共済必要性については強く痛感しておったわけでございます。しかし、また果樹保険設計ということが技術上非常にむずかしいということも承知しておりまして、はたしてできるだろうかというように思っておったわけでございますが、政府関係者の非常な長年の御努力で今回法案提出にまでこぎつけましたことについて、関係者の御努力を心から感謝するわけでございます。  ところが、この農業共済については、従来ございます農作物蚕繭家畜等長い歴史を持って一生懸命やっておるわけでございますが、そのわりにこの関係農家から喜ばれていない、歓迎されてないというような面が多く見受けられるわけでございます。水稲あたりでも、当然加入制度をなくしてこれを任意加入というような制度にしたならば、はたしてどの程度加入者があるだろうかということことも心配されるわけでございますし、長い年月がたって相当な経験を踏みながらもなおそういった状態であるということで、困難な果樹共済についてはたしてうまくいくだろうかというような心配を持つわけであります。そういう点から、まず、従来の水稲あるいは畜産、蚕繭等が喜ばれていない理由は那辺にあるかということで、この辺の反省をしてみる必要があるだろうと思う。農林省としてはそういう面をどのように反省し、今後どのようになそうとしているか、まず御意見をお伺いしたいと思う。
  4. 小暮光美

    小暮政府委員 農作物にかかわる災害補償制度もちろん生産者が非常に強く期待しておる制度でございまして、基本的な考え方には各方面の御賛同をいただいておると思います。ただ、対象といたしますものが農産物収穫でございますので、基準収穫量設定あるいは損害評価といったような面に技術的にはかなり問題点を含んでおるわけでございます。個々農家の営農の実態にきめこまかくすべて対応できるような基準収穫量というものがございますれば、生産者も非常に理解しやすいわけでございますが、一つ制度としてこれを運営いたしますためには、ある程度の締めくくりと申しますか、地域ごと一つ基準となるべき数量でものごとを措置するというようなことがございます。したがいまして、個々農家にとっては必ずしも期待に沿わないというような事例が具体的な場合に起こり得る要素がございます。この点はかつて掛け捨ての問題ということで非常に長い論争を、ことに水稲共済の面で持ったわけでございますが、これらの点につきましては、議論を積み重ねまして、それぞれ末端の組合における保険責任の持ち方並びに無事戻しの仕組みの確立というような形で、これら点についての疑念は解消したというふうに私どもは思っております。  なお、果樹共済につきましては、むしろ今後、新しい仕事でございますので、基準収穫量設定あるいは損害評価あり方等につきましてかなり努力を積み重ねてまいる必要があるというふうに考えております。
  5. 合沢栄

    合沢委員 私、従来の既存の共済制度について一度もっとメスを入れてみる必要があるのじゃないか。国がたとえば水稲あたりでは五九%、蚕繭にしても五七%といったような率でもって補助しているわけなんです。なおしかも、比較的単純というか、すでにもう制度が定着していると思うのですが、それでも農家から比較的歓迎されていないというような面が私はあると思う。水稲あたりでも、任意共済に直すならば、相当のものが未加入ということになりやせぬだろうかといえる面もあるわけです。そういった面で、私はこの問題についてももう一度メスを入れてみる必要がある。局長はその点は無事戻しの制度とかそういったようなものによって直ってくるというようにお考えのようですが、さらに那辺にそういった農家から比較的喜ばれていないという原因があるか、再検討の余地がある。そうしてそういった反省の上に立って、新しい共済制度について考えていくということが最も必要じゃないかということを私は申し上げておるわけでございますので、そのように今後さらに検討願いたいと思うわけでございます。  次に進みますが、果樹共済についてはその必要性を私も肯定しておりますが、農家農林省調査によると大体五五%ぐらいがその必要性を肯定しているということになっているようでございます。しかし、初めての試みでもございますし、これがほんとうに定着するまでは非常に困難が伴うのではなかろうかと考えます。特に一番問題は、果樹に対する農家生産意欲というのが一番問題でなかろうか。近年特にミカン等については、どちらかというと、もうこれは生産過剰になるのではないかというような心配農家は持っておりますし、さらに近年の価格の停滞もございます。同時にまた、自由化問題等でここ数年前に比べて農家は前途に不安と動揺を持っている。そういったことで意欲も減退している。そういう中ではやはり新しい、しかも困難な果樹共済が着実に進んでいくということはむずかしいと思う。最も大事なことは、農家生産意欲を持たせるということが大事じゃないかと思う。そういった意味で、果樹に対するもっと総合的な施策ということがこの共済制度を成功させる大きな要素になってくる。そういった意味で、果樹についての総合的な諸施策というものについてどのように考えておられるか、要点だけ簡単に蚕糸園芸局長から承りたいと思う。
  6. 荒勝巖

    荒勝政府委員 果樹農業の将来につきましては、農林省といたしまして、日本農産物の中ではまだ今後とも相当その伸長が期待される農作物一つである、こういうふうに考えている次第でございます。したがいまして、農林省といたしましては、果樹農業振興法に基づきまして、この春、果樹農業振興基本計画改定案を出しまして、今後十年にわたる長期の需要並びにそれに伴う生産見通しというものを公表いたしまして、これで果樹農業あり方につきましてある程度のガイドラインといいますか、基本方針を示した次第でございます。これに基づきまして県におきましては本年度中にそれぞれの作物ごと基本計画を立てまして、それぞれの県の作付計画を樹立されることになると思っております。この基本方針の線にのっとりまして、われわれといたしましては、果樹生産から出荷、加工、流通、消費、こういった各方面にわたります各般の施策をそれぞれ必要に応じまして助成金を出すものは出すなりいたしまして、今後果樹農業生産者にとりまして安心がいくように努力してまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  7. 合沢栄

    合沢委員 いま局長の申されました基本方針によりますと、昭和五十六年には生産は八百五十七万五千トン、そして需要は八百六十五万五千トンから八百九十九万八千トンということで、生産需要に追いつかないという見通しになっておるようでございます。このこと自体は、こうなっていけばまことに望ましいと思うのでございますが、農林省のこういった目標というのは反対になることも多いわけであります。はたしてこのようにいくかどうか、ただ絵にかいたもちにならないように、私はやはりこの目標というものはその裏づけが必要だと思う。  そこで、これは少なくとも単なる希望的な観測の数字じゃなくして、いやしくも農林省が果振法に基づいてこういった果樹農業振興基本方針というものを出す以上は、政治的な責任は当然伴うべきだと思うのですが、従来を見ますと、必ずしもそうでなかったと思う。従来のこともございますが、今回こういった数字を、方針を出すにあたって、農林省当局としての考えというか責任、心がまえ、そういう点をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  8. 荒勝巖

    荒勝政府委員 今回この基本方針改定するにあたりまして問題となりました点をまず申し上げたいと思います。  まずこの基本方針改定に際しまして非常に問題になりましたのは、需要は確実に伸びるだろうということにつきましては、いろんな方に過去二年間かかりまして各方面の意向を聞いたのでありますが、需要伸びは十分にあるということでございました。それに伴いまして、では、供給面はどうかということで一番問題になりましたのがミカン類でございまして、特に温州ミカンにつきまして五年前につくりました基本計画ミカン植栽は五年間に三万ヘクタールの新植計画を立てておりましたところ、それが三万七千近い新植があったということで、これは植栽が少し進み過ぎた。したがいまして今後この植栽をどうするかということが非常に問題になった点でございます。  それから第二点といたしましては、国内需要が非常に旺盛であるにもかかわらず、ブドウとか桃とかの落葉果樹の系統が意外にも新植の伸び率が悪くて、予定の六、七割くらいしか行かなかったという問題でございます。  さらに第三点といたしまして、今後、生食でなくて、加工用にどの程度のものが振り向けられるかということが非常に問題となった次第でございます。   〔委員長退席松野(幸)委員長代理着席〕  それぞれにつきまして、ミカンにつきましては今後相当な新植はあるだろうけれども、需要との関連等におきましてあまりむやみと植栽を進めることについては問題があるということで、今回は、どちらかというと、来たるべき五年間といたしましては相当抑制型でミカンについては整理をしたということでございまして、むしろ落葉果樹のほうに今後相当振興施策対象を持っていきたいということでございます。  それから加工用につきましては、ジュース等需要相当伸びるだろうということで、相当強気で加工用のほうに振り向けるということで整理した次第でございます。  さらに問題になりましたのは、一体自由化の問題はどうなんだということでございますが、今回の計画の段階におきましては、オレンジあるいはジュースについては自由化を前提としないということで計算をいたしまして、基本計画改定をいたした次第でございます。
  9. 合沢栄

    合沢委員 生産は八百五十七万五千トン、需要見通しは八百六十五万五千トンから八百九十九万八千トンという数字とは別に、少なくとも百万トンを相当上回るバナナも入っているでありましょうし、その他の輸入くだものもあると思うのです。そうなると、この需要見通しは合わせて一千万トンをはるかに上回るような数字になりはせぬだろうかと思うのです。現在一人当たり国民消費量は四十五キロぐらいじゃないかと思うのですが、これが一挙に倍になるような数字になる。そうしますと、いまアメリカの食っている八十八・六キロを上回るような数字になると思うのですが、一体この八百六十五万五千トンという需要見通しに、どの程度そういった輸入くだものを見ておられるのかというのが第一点。それから、それらを加えた場合の一人当たり消費量は一体どの程度見ておるのかというのが第二点。第三点として、その一人当たり消費量について、なまでそのまま消費するのとそれから果汁、かん詰め等加工でどの程度のものを見込んでおるのか。この三点についてお伺いします。
  10. 荒勝巖

    荒勝政府委員 まず現状について御説明いたしたいと思いますが、この基本計画改定するにあたりまして、データのそろっております昭和四十三年と四十四年を平均の基準として見まして、これを基準年といたしましてスタートいたしまして、そして五十六年の需要見通しを立てた次第でございます。基準年のほうにおきましては、果実の総国内需要量といたしまして大体の五百二十万三千トンということで、一人当たりにいたしますと五十一キログラムの消費量がある。さらにそれに輸入くだものバナナパインといったものを入れますと六百八万三千トンというのが基準年次、そして一人当たりは五十九・六キログラム、このほかにさらにスイカとかイチゴとかという果実的野菜が別途あるわけでございますが、これは一応捨象いたしまして一人当たり五十九・六キロ、約六十キログラムの国内消費量があったというふうに御理解願いたいと思います。  それに対しまして諸外国の例はどうかということで、基準年のとり方が多少違いますが、一九六八年−六九年度の関係で申し上げますと、われわれの調べておりますところでは一番大きいのは西ドイツの一人当たり百十三キログラム、それからイタリアの百十キログラム、フランスの八十九キログラム、それからスェーデン等の七十八・五キログラム、アメリカが約七十・四キログラムというふうになっておる次第でございます。  われわれといたしまして、さらに日本の所得の増大に伴いまして果実に対する需要は強いということで、いろいろな計数値を用いて需要見通しを立てた次第でございます。その結果、基本計画にありますように、計算国内需要といたしましては、生果、加工を含めまして約八百三十万トンから八百七十万トンぐらいの国内需要量がある。さらにそれに輸入くだもの等を入れますと九百八十万トンから約一千万トン前後のものになるということでありまして、人口増を見込みますと、国内産のもので約七十一キロから七十四キログラム、まあ七十二、三キログラムというふうに消費増大を見込み、輸入ものを入れますと大体八十四から八十八、まあ八十五キログラムということで、おおむねこれで日本果実に対する需要量ヨーロッパ的水準にまで今後十年間の間に伸びるのではなかろうか、こういうふうな推定値を出しておるわけでございます。  さらに、輸入果実についてどう見ているかということでございますが、バナナにつきましては、現在もうすでに九十万トン近い線が出ておりますけれども、百五万トンから百十七万トンというふうな数字考えておりまして、バナナにつきましては消費のほうがおおむね頭打ちに近づいておるというふうにわれわれも判断しておるわけでございます。さらにパイナップルにつきましては二十九万二千トン、約三十万トン前後の輸入を見込んでおる。さらに問題になりますかんきつ類、これはレモンは抜いておりますが、かんきつ類輸入につきましては、計算上でございますけれども、十五万トンから二十万トンぐらい。これはオレンジ自由化は全然見込まないということで、約十万トン以上のグレープフルーツ輸入量があるのではなかろうか。これは諸外国グレープフルーツを入れておる、生産しない国の一人当たり消費実績等を勘案してそういう見込みを立てておる次第でございます。したがいまして、輸入くだものにつきましては、そういうふうに御理解願いたいというふうに思う次第でございます。  さらに、なま食と加工との関係はどうかということでございますが、国内生果のほうが、先ほど御説明申し上げましたように、全部で八百三十万トンから八百七十万トンぐらいの需要に対しまして、なまで食べるものが七百二十万トンから七百五十万トン前後というふうに見まして、加工が百十五万トン前後になるということで、現在の加工品の約五十九万トンに対しますと約倍以上の加工需要がある。そのうちでも特に加工需要の強いものは、ミカン類ジュース加工が今後急速に伸びるというふうに考えておりまして、世界的に見ましてもかんきつ類消費実績が、なま食よりも逐次ジュース等加工国民が摂取する方向に向かっておりますので、日本でもジュース関係需要が今後急速に伸びるのではなかろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。
  11. 合沢栄

    合沢委員 ただいまの御説明のとおりにいきますと、まことに好ましいわけでございまして、特に輸入関係ではバナナもあまり多く見ていない。さらにかんきつ類のごときは十五万トンから二十万トンということでございまして、こういうことでほんとうに実行できるならばまことに喜ばしいことだというふうに考えるわけでございます。さらに加工品は現在の量の七、八倍ぐらいの量を飲むのではないかと思うわけでございますが、そのようなことが可能となるならば、私はこの計画も決して絵にかいたもちではなくなるだろうと思うのです。ぜひひとつこのようなことが実行に移されるように、裏づけの政策を、また予算の面での予算確保というようなことについての格段の努力を強くお願いするわけでございます。  次に、法案内容について若干御質問申し上げたいと思うのでございます。  他の委員からもすでに御指摘もあっておりますし、また果樹共済制度検討結果というようなことでも指摘もされておりますが、果振法に指定するところの他のくだもの果樹並びに施設園芸とかあるいは肉豚、鶏その他の地域特産、特にまた沖繩のサトウキビとかパインといったようなものの制度化でございますが、ほかの委員の質問に対しての御答弁もあっておりますので、あらためて御答弁は要りませんが、早急にひとつこういったものの制度化についての御努力をお願い申し上げておきたいと思うわけでございます。  それから次に、樹体共済についてでございますが、中でも幼木取り扱いでございます。  幼木取り扱いについては、基礎データが不整備だ、整備されていないということで、今回は除外して、将来は適用するんだというような御答弁があっておりますが、いつごろから幼木についての樹体共済実施見通しなのか、お伺いしたいと思います。
  12. 小暮光美

    小暮政府委員 幼木につきましては試験実施対象といたしておりませんでしたので、御指摘のように、現在資料の整備を急いでおるわけでございまして、調査に要します年数について、いまここで何年というふうに的確に申し上げられませんが、もうできるだけ早くこれを制度に盛り込めるよう検討を急ぎたいと考えております。
  13. 合沢栄

    合沢委員 できるだけ早くということでございますが、それはここ両三年というような意味なのかどうか、四、五年なのか、その辺ひとつお聞かせ願いたいと思います。  さらに、樹体共済について一定基準に達しているものというようなことになっているようでございますが、一定基準に達しているという場合の、その基準は何をもってするのか。たとえば、すでにミカンならミカンが一キロなり始めた。来年も一キロなるんだ。あるいは来年は二キロ、三キロとふえていくんだというような場合は、一定基準と見るのか。例をミカンにとった場合に、何キロに達した場合が一定基準なのか、御答弁願いたいと思うのです。
  14. 小暮光美

    小暮政府委員 考えといたしましては、継続的に結実する状態に入ったという場合に、これを成木というふうに考えるわけでございますが、具体的には、温州ミカンで申しますれば、十アール当たりおおむね千三百キログラム程度というふうに見ております。
  15. 合沢栄

    合沢委員 答弁を落としたようですが、幼木については両三年か四、五年かという答弁を後ほどお願いいたします。  いまのはミカンについていえば十アール当たり、千二、三百キロということですが、そうすると、大体十アール当たり百本にした場合には十二、三キロ、これは十アール当たりといってもむずかしいので、一本当たりでないと私は無理だと思うのですよ。密植をやっておって、二百本植えておる。そういう場合は、一本当たりの木は、樹齢は小さくても対象になる。そうすると、植えてすぐの場合は、なかなか反当の収量が上がらないというふうになるわけで、反当たり収量では私は基準としては無理でないかと思うので、もう一度その点を……。
  16. 小暮光美

    小暮政府委員 先ほど幼木についてできるだけ急ぐと申し上げました趣旨は、かなり早い時期に制度化できることを期待して検討を急いでおるわけでございます。  それから、あとのほうの御指摘でございますが、温州ミカン等につきましては、特に計画的に密植しながら、逐次成木になるにつれてこれを間引いて成園にするというような形がございます。確かに反収だけでいいますと不的確かと思いますが、密植の場合には一本当たり約五キログラムというような姿も想定されます。やはり反当おおむね千三百キログラム程度というのを一つのめどにいたしたいというように考えております。
  17. 合沢栄

    合沢委員 私は反当たり基準を出すのはおかしいと思うのですよ。これは樹体ですからね。収穫じゃないんです。収穫共済の場合は、これは反当たり収量というものが基準収穫になると思うので正しいと思うのです。しかし、樹体共済の場合に、木そのもの対象になるわけですからね。だから、木の一本一本の収量というものによって一定基準に達したものということでないと、これはとんでもないことになると思うのです。一反、十アール植える本数もずいぶん違ってくるわけですから、ちょっとおかしいのじゃないですか。
  18. 小暮光美

    小暮政府委員 御指摘のとおり、どこまでも最終的な整理としては、樹齢ということで整理することになると思いますが、継続して結実する状態というのが、これまでの調査では、温州ミカンではおおむね先ほど申し上げたような形になるというふうに見ておることを申し上げたのでございまして、具体的にはやはり樹齢考えていくということが適当であろうかと思います。
  19. 合沢栄

    合沢委員 もう少しその辺のところは詰めて、合理的にひとつ決定していただきたいと思います。  それから次に、樹体共済枯死流失滅失埋没及び損傷というようなのが樹体共済対象になっておりますが、この損傷についてその内容というか、どういう場合が樹体共済対象になるのか、お聞かせ願いたい。
  20. 小暮光美

    小暮政府委員 くだものの場合には、御承知のように、かなりの枝折れ等がございましても、その折れた場所によりましては代償的に他の部分が生育するというようなことがございまして、損傷程度を見るのはなかなかむずかしいというふうに考えておりますが、基本的にはこれを植えかえることのほうが経済的に見て適当である、経済的に見て植えかえを必要とするというふうに判定される程度損傷は、これを樹体共済の支払いの対象にいたしたいというように考えております。
  21. 合沢栄

    合沢委員 そうすると、樹体共済はすべて、枯死流失滅失埋没それから損傷、いずれもその植えかえということが前提ですか。
  22. 小暮光美

    小暮政府委員 ただいま申し上げましたのは、枯死、流出等は当然植えかえになってしまうわけでございますが、損傷程度を判定いたしますのに、経済的に見て植えかえのほうが妥当であると判定される程度損傷は、これを樹体共済対象にいたしたいということでございます。
  23. 合沢栄

    合沢委員 台風の災害、風等によってミカン等常緑の果樹が葉が半分以上なくなるとかあるいは寒害なりまた干ばつ等によって葉が著しく落葉する。裂傷はなくても、これがミカンには一番大きく影響するわけなんで、二年も三年も四年も生産に影響するということになるわけなんですが、こういう場合は全然対象にならぬということですね。
  24. 小暮光美

    小暮政府委員 植えかえますよりは、肥培管理を続けることによって樹勢の回復を期待するというような場合には、これは樹体共済対象には考えないつもりでございます。
  25. 合沢栄

    合沢委員 そうして場合は、ことし落葉等によって非常に大きな影響を受けた、来年は当然半減あるいは三分の一しか収穫がないということがはっきりするわけなんです。そういう場合の収穫共済基準収量はどのようにするのですか。
  26. 小暮光美

    小暮政府委員 数年間そういう後遺症が予想されますような場合には、やはり基準収穫量改定することになると思います。
  27. 合沢栄

    合沢委員 そのようなことでは、私はこれは意味をなさないと思うのです。それが樹体のこうむったところの被害というのが、自然災害によってこうむったところの収穫減になる、それが当然来年も再来年も続くという場合に、全然恩恵がない。大体、一度台風なりそういうのを受けると、その年にはそう大きな被害はないのですね。もうなっていますからね。落果するようなことはまずない。しかし、品質の低下等はあるでしょう。だから、全然ないとはいえないが、大きいのはその翌年、さらにその翌年というように大きく農家に響いてくるわけなんです。それを救うことが私はもっと大事だと思うのですが、それは全然救えない、樹体共済も見られない、さらに収穫共済でも見られないということになれば、何のための共済意味をなさないと思うのです。こういう共済では加入者はありませんよ。
  28. 小暮光美

    小暮政府委員 樹体共済収穫共済の判定の境目に御指摘のような点があることは率直に認めざるを得ませんが、やはり樹体共済収穫共済をかみ合わせることによって被害に対する補てんを最大限に活用いたしたいというふうに考えております。
  29. 合沢栄

    合沢委員 いまの御答弁によると、樹体共済対象にならないということなのに、かみ合わせるとは、どういう意味ですか。
  30. 小暮光美

    小暮政府委員 経済的にペイしないような形のものは、これはむしろ植えかえを適当とするということで、樹体共済対象にこれを算入するという考え方でございます。
  31. 合沢栄

    合沢委員 二年や三年や四年で一人前になるものじゃないのですよ。やはり十年近くかかるのですね。三年か四年すればもとどおりになるというものを、どうして植えかえますか。そんなものかりに植えかえるわけがないのですね、三年、四年すればもとへ返るというものは。したがって、樹体共済にならぬのです。植えかえしないと思うのですよ。そういう場合に樹体共済で見るという意味ですか。——見られない。じゃ、両方うまく使ってやるというさっきの答弁にはならぬじゃないですか。
  32. 小暮光美

    小暮政府委員 樹体共済対象になりません場合には、先ほど申しましたように、基準収穫量を適正に定める形で、収穫共済の中でこれを継続して共済にかけていただくという考え方でございます。
  33. 合沢栄

    合沢委員 そうすると、収穫共済基準収量は変えなくて、ことし大きな災害で落葉が大きかった、そして来年は当然収穫半減するというような場合も前年度の基準収量でいく、こういう意味ですか。
  34. 小暮光美

    小暮政府委員 基準収量を算定いたします場合に、逐次年数が入れかわって平均をとってまいるわけでございますから、御指摘のような収穫半減というような形にはなりません。
  35. 合沢栄

    合沢委員 半減にはならぬというのですね。よくわからぬのですが、しかし、これは普通の場合の災害と違って、気象状況、気象による天災等災害によるところの収穫減ということが予想されて、半減するとか三分の一になるとかいうことなので、その際には当然減らさなくても、そういう場合には、基準収穫量は前年度と同じというようなことでいくべきでないかということを申し上げておるわけなんです。そこで、前年度大きな災害があって落葉があった、来年は当然減るという場合は、その減る数量も加味したところの基準収量考えていくのかどうかということなんですね。その辺はどうなんですか。
  36. 小暮光美

    小暮政府委員 災害がございました年を含めて、過去のたとえば五カ年間の最高最低を落として平均というような形に相なりますと、理論上にはその災害のありました年のものが入るのですが、御指摘のような、たとえば翌年から半減してしまうという急激な変化はないように措置できるというふうに考えております。
  37. 合沢栄

    合沢委員 その辺、私は非常に問題があると思いますので、この辺、よほど詰めて、事前に農家の方にも納得できるような形でのPRが必要だと思うのです。最も問題の点じゃなかろうかと思います。  それから次に、裏年の場合のことですね。これも同じことだと思うのですが、前年度は非常に豊作だった、ところが、翌年は不作になっているというような場合、著しく半減するという場合があるわけなんです。自然災害によって来年は下がるということなんです。ところが、反対に、この裏年の場合はうんとなった。そのことによって基準収量は上がるわけです。そして翌年は下がる、不作だ。全然反対の現象になると思うのです。これはどうですか。
  38. 小暮光美

    小暮政府委員 一部の果樹に統計的に明らかに隔年結果の現象がございますので、御指摘の点は、制度を立案いたします際にも非常に議論があった点でございます。ただ、果樹農業の指導の方向と申しますか、今後の方向といたしましては、できるだけ技術の活用によって隔年結果の現象をならしていくということのほうに、栽培指導はいたさねばならないというふうにも見ております。  それからもう一つは、来年が必ず裏年である、あるいはことしはどうであるというふうに確定的に言い切ることもなかなかできないということもございまして、制度の中に表裏の形をそのまま直接反映させる仕組みは、私どもちょっとそこまで申し上げるのは適当でないと見ておりますが、ただ、かんきつ等の統計を見ますと、明らかに一年おきに波動がございます。そこで、過去の平均のとり方の際に、ただいま私ども考えておりますのは、奇数年をとったらどうだろうか。奇数年をとりまして、最高最低を落とすということをやりますと、たとえば五年の例をとりますと、過去五年の最高最低を落とすということをやりますと、その最後の年がかりに裏年でございました場合、おおむね最高最低の低のほうはどこかの裏年に当たるはずでございまして、裏年のうちのどれか一つが最低のほうに当たるだろう。それをはずすことによりまして、翌年求められる平均は、表年のほうが一年多い形での平均になるわけでございます。つまり、翌年になりますとその逆になりますので、こうした形でできるだけ実態に合わせた基準収量の求め方ということがくふうできるのではないかというふうに考えております。
  39. 合沢栄

    合沢委員 果樹基準収量は非常にむずかしいと思うので、特に毎年平均してならせるということは精農家であって、精農家はほとんど恩典に浴しない。そして、そうでない方々が裏年、表年によって毎年恩恵をこうむるというようなことになってくると、これはまことにまずいと思うので、よほど基準収量等の点については今後検討願いたいと思います。  それから次に、病害虫による品質低下も共済事故になるようでございますが、最近、品質のいい悪いによるところの価格差は非常に大きい。場合によっては、いいと悪いものによっては倍以上の値段もしている。そういうような価格差も大きいので、これは非常にむずかしい問題ではなかろうかと思うのでございますが、特に災害による品質の上下はともかくとして、病害虫の場合、農家が病害防除に不熱心のあまり、病害の果実がうんとできたというような場合も、これは同じように品質低下を共済事故とみなすのかどうか。病害による品質の低下をどう見るか、また、よくやったかやらぬかをどう見るか、むずかしいと思うのですが、この辺にも問題があるように思うのですけれども、どうですか。
  40. 小暮光美

    小暮政府委員 御指摘の点も、果樹共済について検討を始めましたごく初期の段階から、すでに生産者との検討会等でしばしば指摘された点でございまして、どちらかと申しますと、営農に熱心な果樹生産者の声がかなり強うございまして、防除活動によって除去できる病害を果樹共済対象にいたしますと、この制度が発足当初から農災制度としての性格をゆがめられるのではないという意見が強かったわけです。そこで、実は試験実施の際には、その時点における農業技術を駆使いたしましても、どうしても防ぎにくい、防除方法がまだ確立していない、あるいはむずかしい、こういう病気をくだものごとに指定いたしまして、これは共済対象にいたしますが、それ以外の病気は対象にしないという案で実は試験実施に入ったわけです。  ただ、その後におきまして、本格実施に移しますための研究会を開催いたします段階で、御承知のように、農薬に対する考え方が基本的に変わってまいりまして、防除の効果はかなり適切でございますが、別の意味で問題があるという農薬をどんどん使用を停止いたしまして、防除のあり方がやはりかなり変わってくるということでございます。  それらの点も考慮いたしまして、ただいまの防災活動をいかようにするかという点は、むしろ共済組合の今後の運営において、御承知のように、付帯事業として防災事業等が仕組めるわけでありますから、そういう面で前向きに取り組むということにいたしまして、農災制度としては病害も全部対象にしようということにいたして御提案申し上げているわけでございます。  しかしながら、防除が不手ぎわである、通常なすべき肥培管理を怠ったというふうに判定されます場合は、これは当然農災制度としてはこれを免責の処置をすべき筋合いのものでございまして、これらの点が今後連合会あるいは単位組合の段階で、生産者との間で誤解のないように、そうして判定のしかた等について十分練磨すべき一つの点であろうかと考えております。
  41. 合沢栄

    合沢委員 それから、掛け金についてお伺いいたしますが、これはほかの委員の方々からもずいぶん意見が出ておりますが、国庫補助の二分の一の問題。農作物等は五九%、蚕繭にしても五七%というようなのに比べて低率になっておるわけです。これはいますぐというわけにいきませんでしょうが、やはり将来は引き上げるというようなことについての御努力を要請しておきたいと思います。  それから次に、料率について、試験実施地区、こういうところは試験実施の過程においてデータも出ていると思うのでございますが、実施しない地区がほとんどなので、そういった地区の料率をどのようにして出すのか、何を基準にするのか、お聞かせを願いたいと思います。
  42. 小暮光美

    小暮政府委員 試験実施地区を選定いたします際に、極力各県を代表するように地区の選定を行なうようにつとめておりますので、おおむねの県では、試験実施の地区の基礎資料を基準にしてものを考えて大きく間違いないという形になっておると思います。ただ、必ずしもそうなっていない地帯もあるわけでございます。したがいまして、これらの地域につきましては、試験実施地区と相互に比較いたします際に、農林統計あるいは市町村別統計等を利用いたしまして、それらの統計と試験実施実績は試験実施区域についてはある相関がそこにあるわけでございます。それらの点を考えあわせまして、試験実施のできませんでした地区につきましても、妥当な基準設定いたしたいというふうに考えております。
  43. 合沢栄

    合沢委員 それから、この対象になる六品目について十アール当たり平均どれくらいの掛け金になるか。これは共済金額を最高七〇%にした場合、十アール当たり各種目ごとに平均どの程度の金額になりますか、掛け金をお知らせ願いたい。  なお、そうした場合に、種目ごとにどの程度加入を見込んでおるか。そうして国の補助金負担がどのような金額になるか、お示し願いたいと思います。
  44. 小暮光美

    小暮政府委員 これまでの試験結果から試算いたしますと、温州ミカンで十アール当たり共済掛け金がおおむね二千二百円、それからリンゴの場合に千六百円、ナシが二千円といったような試算値が出ております。  それから、加入の見込みでございますが、これは樹種によって若干異なりますが、おおむね五割程度の栽培面積について加入を期待できるのではないかというふうに考えております。  これらの計数から試算いたしますと、発足当初の掛け金国庫負担額は、おおむね十二億円程度ではないかと考えております。
  45. 合沢栄

    合沢委員 それから次に、無事戻しについてですが、これは当然各組合ごとに、もちろん農家ごとに、そしてまた収穫共済樹体共済ごとに無事戻しがあるものと思うのですが、そのように理解していいかどうか。  いま一つは、試験実施期間中の無事戻しでございますが、これは当然試験実施が終わった段階では無事戻しはすべきであるというように考えますが、どのようにされるか、お聞かせ願いたい。
  46. 小暮光美

    小暮政府委員 無事戻しにつきましては、これまでの他の農災制度における無事戻しと同様に、おおむね三年間継続して共済金の支払いがなかった場合に、かけましたものの三分の一を限度として戻すという、あの考え方に準じたものを果樹についても考えるつもりでございます。その場合に、御指摘のように、農家別あるいは樹体共済収穫共済別になるはずでございます。  それから、試験実施期間の問題につきましては、これまで他の委員の御指摘にもお答えいたしましたが、試験実施の参加を勧奨いたします段階でいきさつがございます。それらのいきさつを十分尊重いたしまして、本格実施移行の際に余裕金を持って移行します連合会の場合には、生産者の要望に応じて、その際に無事戻しを行なうという指導をいたす考えでございます。
  47. 合沢栄

    合沢委員 それから、収穫共済の三割足切りですが、これは各委員とも御質問があったようでございます。水稲は一筆建ての場合で三割、そして農家建ての場合には二割足切りということになっている。しかも水稲共済事故率は三・何%であり、果樹の場合は二・何%ということで、むしろ事故率は果樹のほうが少ないというようなことを聞いておるのです。それであって水稲農家建てで二〇%の足切り、果樹は反対に三〇%足切りというのはどうも合点がいかない。これでは果樹の場合には非常に問題があるのじゃないかというふうに考えますが、どうでしょうか。
  48. 小暮光美

    小暮政府委員 三〇%で足切りいたします問題につきましては、御指摘のように、水稲農家単位方式で二割足切りという新しい制度が出てまいっておりますので、これとも比較が当然生産者の間からも説明を求められるだろうというふうに思っております。この点につきましては、一つには、水稲につきましては、非常に長い期間の農災制度の運営の実績がございまして、それぞれの加入者ごとにかなり詳細な資料の集積があるわけです。そういうものを基礎に置きまして、今回、農家単位方式ということで保険設計を仕組んでおるわけでございます。果樹につきましては、先ほど来御指摘ございましたように、これから基準収穫量の求め方等につきましては、理論上の問題でなくて、現実に各組合ごとにこれをやってまいるわけでございますが、この問題がそれぞれの地域の実情に応じてかなりしっかりしたものに定着していくのになお若干の時間がかかるというふうに私は思っております。  それからもう一つは、果樹水稲と事情を異にいたしますのは、水稲はわせもおくてもまとめて全部水稲共済ということにいたしてありますが、果樹の場合は、いまの共済を支払う頻度の問題等の関連も考慮いたしまして、果樹の特性に応じて一つ果樹をさらにわせと普通に分ける、あるいはものによってはもっとこまかく、たとえばリンゴを三ないし四の部類に分けるというような形で、現実にそれぞれの品種ごとに支払いの頻度がある程度求められるように、全くわせとおくてを混同して相殺するということのないような配慮もいたしております。  それらの点を彼此勘案いたしますと、発足当初の姿として、果樹共済は三割足切りというのは私どもとしては最も妥当な線ではなかろうかというように考えております。
  49. 合沢栄

    合沢委員 最も妥当というお話がございましたが、最も妥当というのは少し言い過ぎではないかと思うのです。発足当時としてやむを得ないというのがぼくは当然な言い方ではないかと思うのです。発足当時はこうであるが、将来基準収穫量が定着していく過程においては水稲と同じように二〇%になるというのが答弁じゃないかと思うのです。訂正は求めませんが、そのように解釈いたします。  次に、共済金の支払いですが、三割から五割までの場合は、減収割合から二割を引いたものに共済金をかけて算出する、また五割から七割については、減収割合に一・四%を乗じて四割を引いたものに共済金をかけるというようなことになっているわけですが、この点もどなたかから質問があったようでありますが、どうもこのたるみがおかしいと思うのですけれども、これについて納得のいく説明ができるのですか。できたらお聞かせ願いたい。
  50. 小暮光美

    小暮政府委員 この問題につきましては、確かにグラフを描いてみますと、直線がまん中でへこんでおりますので、中だるみというふうに御指摘になったり、あるいは少し損しているのではないかというような御指摘があったりするわけでございますが、これは立案いたしました者の考え方を率直に申し上げますと、試験実施の段階で三割被害がありましたら、まず一割払いましょう、それから五割被害があったら三割払いましょう、これを、実は今回提案する果樹共済のいわば、こまかい理屈は抜きにして、きわめてかわりやすい簡明直蔵な制度の姿を関係者に周知してもらうために何回も使ったわけです。したがいまして、そういう形で保険設計ができておりまして、またこれに見合った被害の発生の態様、それに見合った掛け金率というようなものをそれぞれ試算したわけでございまして、ただ、実施の段階で五割足切りだけを単独で発足させる仕組みはこれをやめまして、三割足切り一本にいたしましたので、それまでにつくりましたすべての考え方をそのまま集約して制度化いたしますと、このようになるわけでございます。  ただ、この点は、こういうことでとにかく制度を発足いたしまして、また被害の態様等については引き続き調査を続行いたしたいというように考えております。
  51. 合沢栄

    合沢委員 次に、最近、果樹では近隣町村から一つ農業共済組合の地域内へ入ってきて果樹栽培をやっている、あるいは県外から入ってきて果樹栽培をやっているというような例がたくさんあるわけでございますが、こういう場合に、その地区の農業共済組合への加入の問題はどうなるか。これは組合員でないとこの共済加入できないのではないかと思うので、組合加入についてどのような配慮がされておるか。
  52. 小暮光美

    小暮政府委員 ごく一部の地域で、かなり遠いところまで出作をする習慣が果樹の場合あるものでございますから、御指摘のような点が心配されるわけでございますが、制度として考えますと、やはり共済制度は属人的なもので、一定の地域の生産者が相集まって共済制度つくるという沿革のもとに育ってまいったものでございます。それを属人主義で制度としては整理いたしたい。  ただ、ごく一部に出作の関係がございますが、これらのものにつきましては、出作をしております地区の組織に十分協力をお願いいたしまして、必要な資料等を取り寄せることによって十分対応できるのではないかというふうに考えております。
  53. 合沢栄

    合沢委員 そうすると、その果樹栽培している地区の農業共済組合に加入させて、そしてこの制度の恩典に浴せしめるような制度にする、こういうことですか。
  54. 小暮光美

    小暮政府委員 果樹共済の場合に、園地建てなくて、一種の農家建てという考え方でございます。ただ、それをくだものの種類でグルーピングしているということが、先ほど申しましたように、特徴でございますけれども、あるくだもののある種類、それをつくっております場合に、これが共済にかけるというときには、当該農家が栽培しております当該種類を全部組合に届けるという考え方でございます。したがいまして、他町村に所在する園地でございましても、これをまとめて居住地の共済組合に届け出る、こういう形を考えております。
  55. 合沢栄

    合沢委員 それからいま一つは、従来果樹の主産地といったようなところには、ほとんど水稲なりあるいは畜産、あるいは蚕繭といったような共済事業がもうわずかでございまして、市町村営で名ばかりやっているというようなところが多いんじゃないかと思うのです。そういうところは、今度この制度の発足によって、何百ヘクタールあるいは千何百ヘクタールというような一挙に大きい面積の果樹共済を引き受けるというようなこととなるわけですね。そうした場合、農林省としては、そういう地帯のこの事業をやるのについて、そののまま市町村営についてやらせるおつもりか、それとも、そういう場合には、新たに農業共済組合をつくらしてやらせるおつもりか、その辺をお聞かせ願いたいと思います。
  56. 小暮光美

    小暮政府委員 農家共済組合が事業停止いたしまして、やむを得ない場合に市町村にいま事務を移譲したということがかなり広範にあるわけでございますが、これはどこまでも事業量の減少によって組合としての合理的な運営が期待できないということから、やむを得ず市町村に移譲したものでございます。したがいまして、共済対象となります事業が時代の変化とともに再び拡大してまいりまして、これに必要な事務量というようなものが想定されます場合には、私どもといたしましては、すでに広域合併についての指導の方針を別途明らかにいたしております。広域合併の推進を行ないながら、適切な事業量に即した共済組合の再建ということを考えてまいりたいと思います。その場合には、かつて分散した形で水稲だけをやっておりました場合に、一部の市町村が市町村営に移っておって、かりに合併することによって一の新しい共済組合になるという場合には、市町村からまた組合への逆移譲ということもあり得るというふうに考えております。
  57. 合沢栄

    合沢委員 合併がされる場合はいいのですけれども、たとえば、ミカン等は海岸地帯に多くあって、ほとんど水稲をやっていない。市町村営の合併といっても、かりに水稲地帯と合併しても、その水稲地帯の組合との合併はなかなかむずかしいという事情もあるわけなんで、私のお伺いしているのは、合併じゃなくして、一つの大き市があって、千数百ヘクタールを上回る面積を持っているというような場合は、現在やっている市の共済事業というものを市の農共として独立さしているかどうかということをお聞きしているわけなんです。
  58. 小暮光美

    小暮政府委員 市町村移譲をいたしましたものが、そのまま広域合併を経ないで再び共済組合に戻るという形は、現在具体的な例としてはまだ想定いたしておりませんけれども、御指摘のような点につきましては、必要のある地帯について実態を精査して対処方針をあらためて検討をいたしたいと思います。
  59. 合沢栄

    合沢委員 時間も来ましたので、最後にもう一つ質問しますが、いまの市町村の場合、大きなものが現実にあるわけなんです。そこで、そういう場合は、市町村営のやつを農家共済組合をつくらしてやるのかどうか、十分検討の余地があると思う。同時に、そういった場合は、新しく設立するわけでございますので、これはたいへんだ、新しく人もずいぶん要る。また新たな仕事になりますので、たいへんな費用も私は要るのではないかと思う。よほどそういった場合に備えての事務的な費用というか、事務費は当然、果樹共済に入ることによって、従来の水稲と違って、大体水稲地帯と違ったところに果樹が多いのでございますから、ずいぶん事務費の点については新年度あたり考慮する必要があるだろうと思うのでございますが、特にそういった新たにつくらなければならないという場合には、格別な手当てが要るのではないかと思います。  それからいま一つは、果樹技術者の問題でございます。従来、水稲あるいは蚕繭あるいは畜産といったようなことでやっておるわけなんで、ほとんど市町村の共済組合には果樹技術者はいないだろうと思う。一人もいないはずでございます。こういった仕事が技術者なくしてやれるものじゃない。今後この果樹技術者の設置ということを当然考えなければならぬと思うのですが、そういう点について考えがあるかどうか。お聞かせ願いたい。
  60. 小暮光美

    小暮政府委員 果樹共済実施にあたりましては、水稲共済を中心に育ってまいりました共済組合が、その後家畜共済等の経験を積み重ねておりますが、今回新たに果樹についての専門の仕事を開拓するわけでございすまから、御指摘の点は十分配慮をしてまいらなければならないと考えております。試験実施の期間中にもその観点から専門的な知識の修得につとめるとともに、今後も関係の県の試験場等に協力を依頼いたしまして、講習会を開催する等、その面での充実につとめております。  なお、制度の発足にあたりまして、果樹の出荷団体等に対して、資料の提供あるいは事務の委託といったような点ができますような措置もあわせて考慮していきたいというように考えております。
  61. 合沢栄

    合沢委員 私は、そういう質問を言ったのではないので、果樹技術者の設置についてはやらないという意味ですか、御答弁がはっきりしなかったのですが、果樹技術者が当然必要になってくる。特にさっきの御答弁の中で、病害虫防除等も共済組合がみずからやるというようなことを言っております。当然これは果樹技術者がいなくては、私は果樹共済はうまくいかないだろうと思う。そういった意味で、果樹をやるところの共済組合については、果樹専任技術者少なくとも一名ぐらいは設置すべきであるというような考え方に基づいて、どうするおつもりですかということを聞いておるわけですから、その点だけをお答え願いたい。
  62. 小暮光美

    小暮政府委員 本年、果樹共済の本格実施のための事務の分量等につきまして実態調査をいたす予算をすでに計上をいたしておりまして、これらの調査を通じまして、御指摘の点について十分新年度の予算編成の際に研究いたしたいと考えております。
  63. 合沢栄

    合沢委員 終わります。
  64. 松野幸泰

    松野(幸)委員長代理 安井吉典君。
  65. 安井吉典

    安井委員 二、三伺いたいのでありますが、初めに、この農業災害補償法は、わが国の農業政策の一環としてこれまでに一応の役割りを果たしてきたし、今度は果樹共済が加わり、さらに若干の前進を見せようとしていると思うのです。  そこで、今度の沖繩復帰についてであります。この法律だけが農業政策のすべてであるとは思っていませんけれども、沖繩の復帰にあたって、沖繩農業は米はわずかしかありませんし、サトウキビが主幹作物だし、それにパイナップルが新しい分野をどんどん開拓しつつあります。そういう沖繩の農業の実態に対して、ほんとうにあたたかく迎えるという姿勢は、今度の改正にはありませんけれども、そういう政治の態度をやはり示していかなければならぬのではないかと思いますが、それについて農林省のお考えを伺いたいと思います。
  66. 小暮光美

    小暮政府委員 農災制度の面では、復帰後の沖繩県には、現在、御指摘のように、水稲、家畜という既存の制度をとりあえずてことして共済組織を確立する事務を取り進めております。ただ、水稲が主幹作物でない地帯でございます。家畜についてはかなりのものがございますが、まず家畜診療所を離島の多いあの県にどのように充実させるか。おおむね四カ所というものをとりあえずの目標にして、家畜診療所の充実からまず手がけておりますが、そのほかにサトウキビとパイナップルの問題につきまして、これのための農災制度の設計をいたすために準備的な調査を急いでおります。  ただ、サトウキビにつきましては、すでに私どものほうの専門の担当官を復帰前に現地に出張させまして、かなり詳細な実態の調査をいたしまして、復帰前の沖繩側でも若干面の調査がすでに行なわれているようでございます。その調査を台にいたしまして、引き続き調査を続行するように打ち合わせが済んでおります。  パインのほうは、これまで沖繩も基礎的な調査をしておりません。むしろ農災制度の担当官を沖繩からこちらに来てもらいまして、私どものほうの担当の課に一時お預かりして、一緒に農災制度の中身を理解しながら、パインについての調査の設計というようなことを勉強して帰ってもらったという段階でございます。しかし、いずれにいたしましても、パインにつきましても、基礎的な調査を早く発足させて対策を研究いたしたいというふうに考えております。
  67. 安井吉典

    安井委員 パイナップルは果樹振興法の問題から始めていかなければならぬ問題であろうと思いますし、沖繩では、ハワイ並みにというスローガンで、パイナップルへの期待を非常に大きく持っておるようでありますから、まだ具体的にどうするという結論を出すには時間は早いと思いますけれども、調査を急いでいただきたいと思います。  そこで、サトウキビでありますが、何しろ亜熱帯の特殊な作物ではあるし、しかし、沖繩の場合は台風の常襲地帯、さらにまた干ばつが来る、そういう自然の危険の中に常にさらされているわけです。ただ、災害発生の態様や保険に対する需要がどの程度あるかといったような問題やら、いろいろな問題がなおあると思うのですけれども、それらの問題は、やはり本土並み以上に手厚く保護政策を展開しなければならないという、大きな命題が前提にあるわけですから、そういう側面から取り組むべきだと私は思います。サイウキビということになりますと、それは畑作全体に対する共済制度をどうするかという基本問題に突き当たってしまうだろうと思うのです。ですから、そういう基本問題をどうするかという取り組みも、これはずっと以前から調査は進んでいることになっておるのですが、さっぱり結論が出ない。その結論を急いでいただくことが一つと、それからもう一つは、サトウキビだけでも何とかならぬのかという問題と二通りあると思うのです。それについていかがですか。
  68. 小暮光美

    小暮政府委員 非常に大切な御指摘でございますので、ちょっとお時間をいただいて所見を申し述べたいと思います。  まず、パインのほうは、果振法の対象にさえすれば、今回の果樹共済制度が発足すれば、受け皿があるわけですから、果振法の対象にさえなればすぐにも農災制度ができるのではないかというような期待を現地の方が持つのではないかと思います。その点につきましては、むしろ事態をはっきり申し上げておいたほうがいいのではないかというのが一つございます。これは確かに販売実態とか取り扱いくだものであることはだれも疑わないのですけれども、したがって、果振法の対象にしたいという方向で蚕糸園芸局で検討しておるはずでございます。その意味では、かねて申し上げておりますように、果振法の対象になったものの中から、果樹共済対象になるものを選ぶという方針がとられているわけでございます。その方向で検討を続けますが、ただ、年々歳々実がなるというものでございませんで、苗を一つ植えましたものが、たとえば五年間に三個の望ましいパイナップルを生産すればおおむね目的を達したというような形のものでございまして、樹体共済収穫共済のそのいずれにも属さない形があるいはあるかもしれません。そういった問題も含めて、これはできるだけ早く具体的な措置を研究してみたいと思いますが、受け皿があるから直ちにというほど、単純でないということを御理解いただきたいと思います。  それからサトウキビの場合には、逆にこれまでの実態調査では、あれだけ島の多い、島と島との間も非常に離れておりますから、県内のサトウキビの反収も極端に違っております。非常に反収の高いところから極端に反収の低いところまでございます。これを一つ制度として仕組みますのになかなか問題が多いと思います。逆に収穫については、ほとんど全量が集荷会社に収納されるということから、収穫量が正確につかめる、それから糖度等がいわば実験室から正確に出てくるといったような、ほかの農産物に見られない長所もあります。ですから、これらの点も加味して何らかの対案を考ええみたいと思っております。ただ、畑作共済全般の問題の中でこれを溶け込ますということになりますと、またさまざまのほかの問題が起こってまいります。したがいまして、検討の方向としては、畑作共済の問題の検討を続けることはもちろんでございますけれども、その中でこなせるかどうかという検討と、また別途沖繩の問題ということでサトウキビだけを制度化できるかどうかということと、両方並行して検討いたしたいと考えております。   〔松野(幸)委員長代理退席、熊谷委員長代理     着席〕
  69. 安井吉典

    安井委員 サトウキビの問題は、いまの取り組みの方向はわかりましたけれども、特に干害対策について被害を過大にしないで済む方法があるということを、私ども沖繩に行っていっもそう思うのです。たとえば去年の宮古島のあの大干害で、地上はからからにかわいて、いつも青々しているサトウキビ畑が、ちょうどこの部屋のじゅうたんみたいな色に島全体がなってしまった。しかし、平良市の農業試験場の地下水をくみ上げてのかんがい施設があるところは青々とサトウキビが茂り、しかも、平生の年よりも収入が多いというような実態をまざまざと見せつけられまして、対策がまだまだあるのだというふうに感じてきたわけでありますが、その点どうですか。積極的に被害を起こさせない、特にかんがいの問題が一番重大だと思うのですが、園芸局長からお答えいただきたいと思います。
  70. 荒勝巖

    荒勝政府委員 沖繩のサトウキビの振興につきましては、沖繩農業で非常に重要な地位を占めておりますので、農林省といたしましても、復帰後におきましても、なお従来よりも増してこの沖繩のサトウキビの振興をはかってまいりたい、こういうふうに考えております。特に、昨年の沖繩におきますサトウキビの大干ばつはただいま御指摘のとおりでございまして、まだ完全な砂糖の収穫量が確定いたしておりませんが、平年でありますと約二十万トン前後の砂糖がとれるのに対しまして、われわれの予想では大体十二万トン前後というふうに、約六割の収穫量であった、こういうふうにみなしているわけでございますが、これにつきましてやはり大き原因は、去年の大かんばつ、そのあとに来た大台風、二重の天災を受けたというのが大きな原因ではなかろうかと思っております。また、われわれもかねてから沖繩、かつての琉球政府でございますが、沖繩におきます基盤整備の充実方をかねがね希望しておったわけでありますが、琉球政府の財政上の都合によりまして、どうも土地基盤整備までなかなか手が回らないというのが実情ではなかったかと思います。したがいまして、四十七年度の、復帰後の沖繩農業におきまして、従来の予算にはほとんど計上しておりませんでしたが、サトウキビの土地基盤整備に特に重点を置きまして、沖繩農地局におきまして、沖繩のサトウキビの土地基盤整備ということで七億四百万円を計上いたしまして、このかんがい関係に、それぞれの団体なり一般土地改良事業という形で相当予算を計上しておりますが、別途、御存じのように、沖繩におきましては、水源を保存しておくいわゆるダムのようなものがなかなかない、それをこれから相当土堰堤みたいなものをつくっていくということになりますが、さしあたり、先ほど御指摘のありましたように、地下水を利用してのかんがい事業に一応重点を置いてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。  なお、昨年の干ばつに際しまして、従来にも増して沖繩におきます砂糖対策の一環といたしまして、臨時糖業振興対策費といたしまして十億円の予算を計上いたしまして、サトウキビの災害補てんの一部に充てるとともに、別途、沖繩産糖の糖価安定事業団の買い入れによります価格にも、干ばつによる減収加算という形でトン当たり四千円の加算をいたしまして、沖繩糖業の振興を今後ともはかってまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  71. 安井吉典

    安井委員 全体的な計画というか、見通しはわかりましたけれども、その基盤整備、特に干害を防ぐためにいつごろまでにどれくらいやるかという、そういうお見通しあるいは計画はお持ちですか。
  72. 荒勝巖

    荒勝政府委員 実はこれは、土地基盤整備関係は農地局のほうで予算を執行されておられますので、園芸局といたしましては十分なことはわからないわけでありますが、単なる本島のみならず、離島まで含めて、さしあたり畑地かんがい、サトウキビ農場に対するかんがい事業の整備をいま計画中ではなかろうか、こういうふうに考えている次第でございます。
  73. 安井吉典

    安井委員 農地局からお見えでありませんからなにですけれども、七億四百万円ぐらいを初年度に組んで、それでかんがいを徹底的にといわれても、これはいささかどうも、ことばだけが上すべりをしているというような印象があるわけです。やはり思い切った対策を講じていかなければだめだと思います、何といったってゼロなんですからね。本土における各府県のかんがい施設等は、一応の基礎があってそれを改良していくということであろうと思いますけれども、沖繩はもうゼロからの出発ですから、やはり思い切った対策が必要ではないかと思います。きょうは農地局はお見えでありませんけれども、政務次官、どうですか、やはりそういう御決意だけはひとつ伺っておきたいと思います。
  74. 伊藤宗一郎

    ○伊藤(宗)政府委員 安井先生御指摘のとおりでございますので、さっそく農林省本省に持ち帰って、農地局を督励して、一日も早く少なくとも本土並みに事業が促進するように督励をします。
  75. 安井吉典

    安井委員 問題はたくさんあるんですが、短い時間の間の質問ですから、次に農業共済金に対する所得課税の問題を若干伺いたいと思います。  まず、今度の改正で果樹共済が加わり、中身は収穫共済樹体共済と、こう二種類に分かれるわけでありますが、現在の所得税法の扱いとして、課税はどういうふうになりますか。
  76. 高橋元

    ○高橋説明員 お答えいたします。  果樹共済の場合、樹体共済にかかる共済金は非課税所得でございます。それから、果樹についての損害を受けたことによって支払われる共済金、収穫共済、これは果樹畑の所得にかかる収入金にかわる性質を有するということから、所得税法の施行令九十四条の規定によりまして、課税所得に算入をいたすことにしております。
  77. 安井吉典

    安井委員 この際、現在の農業災害補償法の実際適用されている対象別に、扱いをちょっとここでお話しを願いたいわけです。それがこれからの議論の基礎になると思うものですから、つまり乳牛、あるいは肉牛、種豚もありますね、それから馬、水稲、陸稲、麦、蚕繭とこう分けて、現在対象になっているものの、いま二つに分けてお話がありましたけれども、その二つについて、かかるやつとかからぬやつですね、そういうことでひとつ御説明いただきたいと思います。
  78. 高橋元

    ○高橋説明員 お答えを申し上げます前に、損害保険と申しますか、農業災害補償法に基づきます共済金というものは、損害保険という範疇で議論を進めてまいるわけでございますので、損害保険に対する課税のあり方について所得税法の考え方を御説明してからお答えを申し上げたいと思います。  現在、損害保険につきましては、所得税法は、その保険金について二つに分けて課税上の取り扱いをきめておるわけでございます。  一つは、所得税法の施行令の三十条という規定がございまして、損害保険契約に基づく保険金で、資産の損失に基因して支払いを受けるもの、たとえて申しますれば、店にトラックが飛び込んで家がこわれた、火事で家が焼けたという場合に受け取ります保険金でございますけれども、これにつきましては非課税という扱いにしております。つまりそれは、事業用資産が滅失いたしまして、その事業について損害が起こっておる、それに対して、それを埋める意味で保険金が支払われるわけでございますから、事業用でございますれば、通常その損をこえる部分の保険金についていわゆる差益が起こるわけでございますが、これは非課税ということでございます。  これに対しまして所得税法の施行令で九十四条という規定がございまして、不動産所得とか事業所得、農業所得、山林所得、雑所得というような所得を生ずるような業務を営んでおります場合に、それにかかわるたなおろし資産、それから山林というものの損失に対して支払われる保険金というものは課税扱いでございます。これは事業所得、つまり所得にかわる性格を有するものと法律上いっておりますが、そういうことでこれは事業所得に算入をいたすという扱いをいたしております。  そこで、御質問でございますが、ただいま改正部分になっております果樹共済につきまして、収穫共済は、いまの考え方でいきますと、課税所得、樹体共済は非課税所得、それから農作物共済水稲、麦でございますが、こういうものは収穫共済でございますから課税、それから家畜共済の場合には、これは詳細、私、ちょっとそこまで勉強しておりませんのでわかりませんが、大体において政令の三十条による非課税所得というふうに考えております。
  79. 安井吉典

    安井委員 乳用牛ですか、乳をしぼる牛も、それから肉を専門にする牛も、どちらも非課税ですね。
  80. 高橋元

    ○高橋説明員 詳細は国税庁の具体的な取り扱いに属することでございますけれども、考え方から申し上げますと、乳牛の場合には、これはいわゆる固定資産でございますから、それにかかわる所得として非課税所得でございますが、肉牛の場合にはたなおろし資産という考え方、つまりそれをもととして製品を他に売るという形で、たなおろし資産というものに該当する場合が多いと思います。したがって、そのような場合には課税ということに相なろうかと思います。
  81. 安井吉典

    安井委員 そうしますと、肉豚対象ということにもしなったら、種豚は非課税で肉豚は課税、こういうことですか。
  82. 高橋元

    ○高橋説明員 いま安井先生御指摘のようなことであろうと思います。
  83. 安井吉典

    安井委員 鶏を共済対象にしろという附帯決議もずっとあるわけですね。そうすると、卵は——卵と鶏はいつも一般的に議論の種でございますけれども、これも同じあれですか。  もう一つついでに、先ほど経済局長がパイナップルについて、これは果樹共済にしたらいいのか樹体共済なんだかわからない、こういう言い方もさっきなさいました。だから、将来パイナップルが対象になるというふうなことになったら、これはどうなんですか。その卵のやつと一緒に……。
  84. 高橋元

    ○高橋説明員 現在、先ほど申し上げました政令の九十四条によりまして、たなおろし資産に該当するというふうに考えておりますものは、飼育または養殖中の牛、馬または豚、家禽、魚介、こういうもので、したがってそういうものにかかわりますところの農業共済金は、事業所得に算入されるというふうにお考えいただいてよろしいかと思います。それ以外にまだ定植前の苗木とか鑑賞用の植物、まだ収穫しない水陸稲及び麦、野菜等の立毛及び果実等へこういうものはたなおろし資産に該当します。
  85. 安井吉典

    安井委員 そうすると、パイナップルと卵、鶏、と申し上げたのですけれども、鶏もブロイラーのようなのがありますね。特にパイナップルはまだ対象になったわけじゃありませんから、そこまできょう困らせるつもりはありませんけれども、いまの課税対象にするやっとしないのと、その区分のしかたがずいぶん不明確なものが、将来どんどん出てくるんじゃないかということです。その点だけは、きょうここで、予想したものがあれはこっち、これはこっちという区分けをしてもらおうとは思いませんけれども、私はその点だけはまず指摘をしておかなければならない点じゃないかと思います。  そこで、この課税問題について、実は昨年北海道の大冷害の際に、農民側の要求としては、こういう冷害のときに出てきた共済金に対して税金をかけるというふうなことはむごいじゃないか、非課税にしてくれという強い要請も出ていました。災害対策特別委員会でも、私、それを取り上げたこともございますけれども、そういう農民的な要求もありますが、これは所得税だけじゃなしに、法人税、農業法についても当たることだと思います。それからまた、冷害あるいはその他の損害がひどいときは、これはおそらく農業所得税はかからぬでしょう。だから、それほどたいした問題でないという形でいままでは処理されてきたのだろうと思います。しかし、これからどんどん経営面積は広くなって、若干の共済金についても、これはその他の収穫の上に上乗せされて累進課税という形で出ていくし、さらに今度果樹の場合は、これは全体的な所得というものは相当大きいわけでありますから、その該当農家果実に対する共済金が出てきても、これに上乗せして課税になるということは明らかだと思います。それだけにいまの農業共済の問題についての課税がやはり相当大きな関心を呼ぶわけで、この間も田中委員が取り上げたとおりであります。また、所得税そのものにあまり影響がないように見えても、実は住民税、それから国民健康保険税というふうに、当該農家の生活のすみずみまでそのきめられ方が影響を持っていくわけです。そういう点で関心が深いのではないかと思います。まずその点だけを一つ前提として申し上げておきたいのであります。  私は、いまの大蔵省の所得課税の農業共済に対する扱いは、一般の損害保険と農業共済制度とを同列においての考え方に立っているわけで、どうも無理があるのではないかというふうに思うわけであります。特にいま引用されました所得税法施行令の九十四条第一項にある「たな卸資産につき損失を受けたことにより所得する保険金」これは税金の対象にいたしますよ、とこうあるわけです。しかし、はたして農業災害補償法による共済金は、これはたなおろし資産に対する損害保険金なのかどうかという、その点、私はどうも疑問があるような気がするわけです。たなおろし資産とは一体どういうことですか。
  86. 高橋元

    ○高橋説明員 保険金に対します課税を考えます場合に、私、先ほどの御説明で、営業保険といいますか、一般の損害保険と農業共済と同じように扱うのだというような申し上げ方をしたので、安井先生からおしかりを受けたわけでございますが、実はそういうことでございませんで、私申し上げましたのは、損害保険の保険金を受け取ったその納税者の側で、その受け取った金がいかなる種類の性質のものに該当しておるかということで判定をいたすべきであろうということを御説明したつもりなんでございます。  もう一度繰り返さして、いただきますと、つまり事業用と申しますか、生活用と申しますか、そういった固定資産が滅失をいたしました。そういう場合に、保険金を受け取るわけでございます。そうしますと、事業用の固定資産でございますすれば、固定資産が除却または滅失をしました損失というものは、事業所得から引かれるわけでございます。したがいまして、事業所得がそれだけ減っております。たとえば家が百万円の商店があるまして、百万円の家が焼けてしまったという場合には、百万円はその年の事業所得から引かれる。そこで、保険金を百二十万もらった場合は、百万対百万の関係ではそこまで税金はかかってこないわけであります。残る受け取った二十万という金は一体何であるかということでございます。これは事業用の固定資産でございます。店舗の評価益に当たる部分つまりその評価がふえた場合でございますね。したがいまして、評価益であるから課税の対象にならないというわけで、これは非課税になっておるわけでございます。ところが、商品たなおろし資産というものにつきましては、これは本来売るべくして持っておるものございまして、たとえば店の商品について保険をかけておる、それから営業収益について保険をかけておるという場合がしばしばございます。商品につきましてかけました保険金を受け取った場合には、その売らるべき商品にかわるものとして、いわば商品の代金に当たるものとして考えるのが、相当でありまして、したがいまして、その場合には事業所得というのが原則的な考え方でございます。それが考え方の原則でございます。  その場合に、たなおろし資産とは何かという御質問でございますが、先ほどお答えいたしましたように、事業所得、山林所得、不動産所得というものを生ずべき事業にかかわる資産で販売の目的で保有されるものということでございます。  さらに安井先生の御質問は、たとえば果実共済の場合にはたなおろし資産というのは具体的に影も形もないではないかということかと思います。その点につきまして、これは企業会計上、または税法上たなおろし資産ということばの中身になると思います。有形の資産であるということでございませんで、将来製品として販売する目的のもとで費用が投下されておる。そういうものはすべて資産として一応経理をいたすわけでございます。たとえば仕掛かり品というものがあるのは御存じだと思いますが、仕掛かり品というのは具体的な商品形態をとっておりませんで、それまでに投下された原価のかたまりとして、たとえばパイプの中に詰まっておるとか、工場に積み上げられておるとか、製作機械の中にはさまっておる、こういうようなのが仕掛かり品でございます。いわばそれは費用のかたまりでございます。そういうような商品の原価を計算して、将来販売されるものという場合におきまして、これは会計上もたなおろし資産に相当いたしますし、それが税法上もたなおろし資産として、それについて生じた損害に基づく保険金の受け取りは、事業所得になるというふうに考えておる次第でございます。
  87. 安井吉典

    安井委員 この果樹共済あり方は、たとえば農業共済の期間は「花芽の形成期から果実収穫をするに至るまでの期間」こうあるわけですね。だから、ぽっとつぼみができて、花が咲いて、だんだん実がなって、それがだんだん大きくなってりっぱなリンゴになる、それまでの期間という意味だと思います。しかし、これは所得税法第二条の第一項第十六号ですか、「たな卸資産」とはという定義がありますね。しかし、商品というものでもないし、製品というものでもなし、半製品、仕掛かり品、原材料、どうもこういう工場やあるいは商店のほんとう意味のたなおろし資産とどうも違うような気がするわけですね。しかも、ここで対象になっているのは、収穫であって、どうも物ではないと思います。製品となったリンゴが倉庫にあって、これはたなおろし資産ということで資産評価の方法もあろうと思いますけれども、しかし、これはこの農業共済対象ではないわけですから、農業共済制度対象となるのは、いま言うそういう成長をしてこれだけの収穫があるであろうという予想、それに対する保険制度であるわけですね。それをとらえて、たなおろし資産という名目でぽいと税金をとるという仕組み、ものの考え方、その辺がどうも、私、割り切れないような気がするわけですね。つまり、一般的な損害保険の考え方、火災保険制度やその他の損害保険があるでしょう。それとこの農業共済制度というものは異質のものではないかと思うのですね。その異質なものを、たなおろし資産に対する損害という一つの表現で、同質のものに化してしまう、そこにどうも私どもふに落ちない点があるわけです。もう少し御説明ください。
  88. 高橋元

    ○高橋説明員 どうも御説明が行き届きませんで申しわけないのでございますが、現在、たなおろし資産のことばで呼ばれておりますのは、ただいま安井先生御指摘のとおり商品、製品、半製品、仕掛かり品、原材料、消耗品、貯蔵品その他、たとえば私が先ほど御質問にお答え申し上げましたような養育中の家畜とか、収穫しない立毛、そういうものも入っております。その考え方でございますが、なぜこれらをたなおろし資産という観念でつかまえるかということでございますけれども、ミカンの花芽が形成されますのは、私、しろうとで申しわけないのですが、前年の秋ごろかと思います。それが翌年収穫されるまでの間に投下されていく費用というものは、これは売り上げによって回翌されてくる。つまり収穫時に実現してくるわけでございます。所得税というのはすべて一年、一月——十二月をいわば一種の事業年度として決算をいたしておりますが、花芽の形成期から十二月までに投下された費用というものは、十二月末では前年度の農業所得の経費ということにはならないわけでございます。つまり、翌年収穫される、その収穫される果実に対応する費用でございますから、前年度末ではいわば一種の資産という形をとらざるを得ない。それは固定資産についてもそういうことございまして、たとえばミカンの木を考えますと、苗木を植えましてから十五年たって収穫が始まるといたしますと、成熟の樹齢に達しまして収穫ができますまでにそのミカンの木につぎ込まれました費用というのは、十五年間あるわけでございますが、その年その年の農業所得の額ではない。したがって、これらは資本的支出ということに相なるわけでございます。それが収穫樹齢に達しましたあとで投下されます費用というものは、肥培費等は果実の原価を構成していくわけで、それ以後は資本的支出にはならない。その経費をどう見るかということでございますが、収穫される果実に対応する費用というものは、花芽の形成期から収穫期に至るまで全部一つにまとめてみる、まとめてみる段階では、中間でそれを切りますと——収穫してしまいましたときには販売原価になるわけでございますけれども、途中の段階でこれを切ってみますと、会計上たなおろし資産という形になる。これはすべての営業、企業を通じて同様の会計の考え方があります。御指摘のありましたように、所得税につきましても、法人税につきましても、同様の考え方をとっておりまして、そういったたなおろし商品と申しますか、たなおろし資産に該当するものとして、その損害をてん補するために受け取りました保険金という性質で、所得の区分をきめて税の運用をいたしておるわけでございます。したがいまして、これらにかかわります保険金の受け取りは、すべて課税所得、事業所得ということに相なります。これは先ほど来申し上げているとおりでございます。
  89. 安井吉典

    安井委員 いまいろいろ御説明がありましたけれども、半製品とか仕掛け品とかあるいは養育中の家畜というふうなお話がありましたね。ここは農林水産ですから、たとえば家畜にしましょう。その家畜にしても、養育中の家畜そのものを保険に付するという方法はないわけではありません。中途段階、原料の途中、半製品を火災保険の対象にするということもできないことはないと思います。しかし、果樹共済その他農業共済では、中途段階のものは保険にできないのです。そうでしょう。あくまでも最後の収穫だけしか保険対象にならぬわけですね。そういうところでも、普通のいわゆる損害保険というのは一種の権利だ、権利にまで拡大されておることはわかっておりますけれども、この農業共済制度とはどうも質的な相違があるのではないか、私はそう思うわけです。施行令の百三条にたなおろし資産の所得価額の規定があります。この第三項には、農産物消費した場合、その他のたなおろし資産の計算のしかたが書いてあります。ここはまさにたなおろし資産だと思います。物なんですから、しっかりしたものをとらえて、それを消費したときにはあるいはそれを所得した場合には、たなおろし資産としてどう計算するかという規定だと思いますから、これはまさにたなおろし資産だと思いますが、どうも収穫保険というその制度そのものをたなおろし資産という言い方で呼ぶのはおかしいのではないか、そういうふうに私は思うわけです。  もともと、この制度は、名前は農業災害補償法、名前だけからいいますと、政府が補償するというような印象を与えるわけでありますが、そういうふうな勢い込んだ形でこの法律立案が行なわれたわけですけれども、しかし、だんだんいろいろな話が入ってきて、収穫保険的な、補償から保険的な性格がずっと強くなって、そこに国庫補助という仕組みが入って、何か補償と保険の中間的なものという形で今日まで定着してきているわけです。ですから、単純な損害保険というのとどうも違うのではないか。国庫の補助までが行なわれているという、非常に農業保護政策的な色彩の強いものだというふうに私は言わなければならぬと思います。なるほどたなおろし資産に似たものでしょう。たなおろし資産に似たものだというふうな気は私もします。しかし、この九十四条たなおろし資産ということばがあるのだから、農業所得からすぽっと税金を取るというそういう仕組みじゃなしに、むしろどうしても取りたければ、この九十四条の第一項に、農業災害補償法による課税の対象にするということがどうも一つ入らないと、私は、はっきりした税金を取る仕組みにいかぬのではないかと思うのです。たなおろし資産ということばだけじゃなしに、どうしても取るのならば、この法律を引用して、この法律によるものも同じような扱いをするという規定が一つなければ納得できないような気が私はするわけです。何かそう言いますと、規定を入れて税金をうんと取ってくれり言っているようにお聞きかもしれませんけれども、私が言うのは、それと反対な意味でいま申し上げているわけです。  そこで、農業政策的な要素を強めた形の中で、私は、この問題をもっと考えいかなければいかぬ、こう思うわけでありますが、一番問題になりますのは、米の生産調整奨励補助金についての所得税及び法人税の臨時特例に関する法律であります。これとのバランスということになるんだろうと思います。例の作付制限によるこの奨励金は、政府はこれへの税の軽減措置をあまり好まなかったわけでありますけれども、国会が必要を認めてこういう法律をつくって、一時所得扱いにし、四十万円だけ控除をするという仕組みをつくっているわけです。所得税法なりそれから政令の中では、あれに対しては普通いまの共済金と同じように税金を取るというふうにはっきり書いてあるわけですね。書いてあるにもかかわらず、国会がそういう特別立法をして、一時所得扱いにし、四十万円の控除をしているわけであります。そのことが逆に、去年の北海道の冷害のような場合に、農村の中では、一方はもう草ぼうぼうにしてどこかに出かせぎに行っている農家が隣にいる、その人の奨励金は、出かせぎの収入もあるし、その上に四十万円の控除があって、ほとんど税金はただ。しかし、一方は、その生産に総力をあげて一生懸命につくっている、ところが、冷害の打撃でもう皆無に近い被害あるいは深刻な被害——程度はいろいろあると思いますけれども、深刻な被害を受けて共済金をもらった。しかし、これは所得税が、税金取られますよといってすぽっと取られる。どうもこれは政治が間違っていませんかと、私は農村へ行くと言われるわけです。そういうような中から問題は新しく発展をしてきているのではないかと思います。だから、大蔵省の望まないような政策立法を国会がしたのはけしからぬ、こう言われるかもしれませんけれども、これは法律ですから、法律ができた以上それは定着をしているわけであります。一時的な所得だからこれは違うのだと言われるかもしれませんけれども、農業共済金だって、突発的な事故がなければ、こんなものもらわないで、きちっと自分の生産で経営が成り立っていく。それが一番なんですからね。ただ突発的ないろいろな自然やその他の事故が起きることによつて共済金の所得がある、そういう意味においては私は同じようなものではないかと思うわけであります。そういう農業政策のサイドからものを考えるということも、私はこの際大事ではないかと思います。そこまで大蔵省側からお答えをもらうわけにはいきませんけれども、今度これは農林省の農業政策のサイドからもう少しこの農業共済の仕組みについて考えていく必要があるのではないか、こう思うわけです。  いずれにしても、強制加入あるいは任意加入というので若干ニュアンスは違いますけれども、掛け金に対して国庫補助がきちっとある。今度の果樹共済にしても五〇%ある。事務費にも補助がある。そういう点、私は、一般の保険とはもちろん違うし、農家の所得の補償というのを第一義に掲げた制度ではないかと思います。だから、せっかく所得を補償しても課税対象にされるというのでは、その趣旨が十分貫かれたとはいいがたいわけでございますから、税制の適用についても政策的な配慮が必要ではなかろうかと私は思うわけであります。ですから、農民が言うように、これは全部税金対象にしてくれるなという要求も意味がないわけではないと思いますけれども、たとえば一時所得の扱いにするという仕組みをつくるとか、あるいは異常災害については特別な配慮をするとか、いろいろな考慮をしてもよいのではないかと私は思うわけであります。しかし、これはもうその制度ができて以来ずっといままでやってきたやつを、ここで新しい方向に向け変えるというふうな私の提案でありますから、これはなかなかたいへんだと思いますよ。これはたいへんだとは思いますけれども、私はもう少し農政のサイドから問題点考え直してみる必要があるのではないか。特にあいまいになってきたわけですね。その固定的な資産に対するものと収穫保険との仕組みが、課税対象がどんどんふえるに従って非常にあいまいになってきています。これではますます農民は悪くなってくるだろうと思います。そういう検討も必要ではないかと思うのですが、農林省のほう、これはどうでしょう。
  90. 小暮光美

    小暮政府委員 きわめて基本的な点の御指摘でございますので、この席で早々にお答えする力はございませんが、省内において十分検討いたしたいと考えます。
  91. 安井吉典

    安井委員 そこで、委員長にもお願いをしておきたいわけであります。これはもちろん問題は税制でありますから、大蔵委員会の所管かもしれませんね。最後的には私はそうなろうと思いますけれども、しかし、税制、財政のサイドからこういうふうな問題は大体は出てこないと思います。そういう性格だと思います。やはり農政のサイドから問題を提起しなければ、なかなか、いやもう少し考えようということにはならぬと私は思います。そういうような意味合いで、この委員会としても、きのう田中委員も取り上げられましたけれども、さらに検討を続けていただくべきだし、政府にもそういう要求をつけるような御措置もいただきたいと思うのですが、いかがですか。
  92. 熊谷義雄

    ○熊谷委員長代理 お答えいたします。  理事会でよく相談しまして、取り進めるようにいたしたいと思います。
  93. 安井吉典

    安井委員 もう時間がないようですから、じゃもう一つくらいにして終わりたいと思いますが、さっき経済局長が畑作共済について、これはまだまだ先の話だというふうな気長なお答えがあったわけであります。しかし、私の記憶では、たしか三十年代からこの問題が提起されて北海道その他でも検討がずっと続いてきているはずです。どうも実験期間が長過ぎるような気がするわけです。しかも、その実験についてあまり政府が熱意を示さないで自治体のほうがやっている、こういうふうな仕組みのようであります。別な委員からもこの点の指摘があったのではないかと思いますけれども、その長過ぎる実験期間はもうそろそろ打ち切って結論をお出しになってもよいのじゃないかと思います。なかなかめんどうだと思いますが、どうでしょうか、この点。
  94. 小暮光美

    小暮政府委員 畑作物の共済制度につきましては、御指摘のように、昭和三十年代から問題が提起されております。特に北海道における畑作の問題という形で三十九年から四十一年までの間に畑作物の共済制度調査検討をいたしました。そのときの結論といたしましては、畑作物の共済制度は一部地区においては成立しがたく、全国的な規模において危険分散をはかる必要がある。そのために内地についても試験調査を行なって、保険需要の実態及び保険設計の基礎資料を得る必要があるということでありました。  なお、御指摘のように、内地におきましても、一部の県におきましてなたねその他について実験的にこれを行なった例もございます。いずれも単独の県では危険分散がはかれないということで、それぞれ必ずしも望ましい結果を得られないで試験を中止いたしておる現状でございまして、私どもといたしましては、稲作転換の問題を契機といたしまして、内地におきましても、畑作物が再びその将来性について再検討される時期にまいっておりますので、内地における畑作物の問題と合わせてこの問題は引き続き検討を急ぎたいというふうに考えております。
  95. 安井吉典

    安井委員 さっきも話の中に出てまいりましたように、水稲に対しては休耕、転作についての奨励金まで出して減らそうとしているわけですね。だから、行きつくところは畜産かあるいは畑作かでしかありません。また、沖繩も入ってきたというふうなことで、いわゆる畑作という問題を見直してこなければならない時期に来ているにもかかわらず、どうもそういう姿勢がないのですね。これは共済制度だけではなしに、農政一般についていえる問題でありますけれども、もう、さらに慎重に検討いたしますという御答弁は今回くらいにしていただきたいわけであります。ひとつ結論を急いでいただきたい、そのことだけ申し上げておきます。  それからもう一つ、家畜共済についてですが、獣医さんがなかなか居つかない。どうも手当が少ないせいもあって、そういうふうな状態が起きている。人手不足が多いわけですね。現場診療に故障を来たしているというふうな状態があるわけであります。診療所の赤字も増加をしている。そういうふうな事態の中で問題はたくさんありますけれども、その獣医の問題だけにしぼって、人のお医者さんも僻地は足りなくて弱っておりますけれども、獣医さんのほうも確保できるようなそういう仕組みをもっと積極的に講ずべきでないか、こう思うのですが、その点、いかがですか。
  96. 小暮光美

    小暮政府委員 御指摘の点につきましては、年年予算編成の際にも重点事項の一つとして私どもも意識いたしておりまして、近年逐次診療点数の大幅引き上げあるいは勤務条件等の改善、たとえば往診用の自動四輪車の普及その他具体的な点について逐次対策を樹立していっておりまして、幸いにして昭和四十三年を底にいたしまして、四十四年以降再び共済団体における獣医関係の職員の数がふえる方向にやっとなってまいっております。今後ともこれらの点につきましては特段の努力をいたしたいというふうに考えております。
  97. 安井吉典

    安井委員 お約束ですから、これで終わります。
  98. 熊谷義雄

    ○熊谷委員長代理 次は斎藤実君。
  99. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 私は、農業災害補償法及び農業共済基金法の一部を改正する法律案について若干御質問いたします。  最初に、加入方式については先ほど来各委員から論議がありましたが、再度私はお尋ねをしたいと思います。  最近の果樹栽培では、静岡あるいは九州、四国等の果樹農家が他府県に出作をするといった出入り作が見られるわけですね。本格実施をするにあたっては加入基準以上の栽培をしても出作地は加入できない等のことも考えられるわけですね。そこで、属地主義をあわせて採用して、他府県の組合等へも加入を認めるべきではないかという要望が非常に強いわけです。これについてお尋ねしたい。
  100. 小暮光美

    小暮政府委員 出作の関係で樹園地が遠隔地にございます場合でも、居住地の共済組合を通じて当該農家としては、その園地をあわせて農業災害補償制度に乗せることができるような仕組みで対処いたしたいと考えております。
  101. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 そうしますと、被害の調査は居住地から他府県に調査に行くわけですか、その点、いかがですか。
  102. 小暮光美

    小暮政府委員 たてまえとしてはそのとおりでございます。
  103. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 そうしますと、遠距離の場合は相当時間もかかるし、突発的な被害の場合、相当いろんな問題が起きるのではないかと思うのですがね。その点はそれに対応できますかね。
  104. 小暮光美

    小暮政府委員 たてまえとしてはと申し上げたのも、その趣旨でございますが、出作地にちゃんとした農業共済組合がございます場合、共済組合相互の間で事務を委託するというようなことが可能なように考えております。
  105. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 それでは次に、加入方式についてお尋ねをしたいと思います。  加入の単位は農家単位方式で行なうようになっておるわけですね。現地では何筆もの園地を持っておる栽培農家もあるわけですね。それで農家単位ではなく園地単位方式をぜひとってくれという、この間も現地へ行って、そういう強い要望を伺ってきたわけであります。ですから、それによって多少掛け金が高くなってもやむを得ない、こういう声もずいぶんありました。園地単位方式を新たにつくって、そのいずれかを組合または連合会単位に選択できるような方途をぜひとってもらいたい、こういう強い農家の要望もありますので、この点についてはいかがですか。
  106. 小暮光美

    小暮政府委員 園地単位で、一定割合以上の被害があった場合に、共済金を支払うということにいたしますと、支払い機会が多くなるということを経営者としては考えると思います。しかし、現在の御提案申し上げております果樹保険の収穫共済の仕組みでは、たとえば共同選果等が完備いたしております組合につきましては、品質低下の問題を数量に換算して共済事故にするというような道を開いております点でもその一端は出ておりますけれども、いわば商業的な農業の分野でございます果樹農業の今後の発展の方向から考えまして、できるだけ樹園地が集団化し、また出荷の組織が集団化するという、そういう形の方向へ果樹園芸を持ってまいりたいということもございまして、それらの方法の発展の度合いに応じまして、この制度ができるだけ充実したものになるように仕組んでまいりたいと考えておりますので、新しい制度の発足としては、これを農家単位ということで貫きたいというように考えております。  ただ、その場合に、果樹の実態から見まして、それぞれのくだものをそのまま一本でくくるということでなしに、出荷時期、あるいは結果時期の違い、たとえばわせとかおくてとかなかてというようなにつきまして、これをグルーピングするということによって、ほかの農作物共済では例のございませんような形で別途くふういたしまして、生産者の期待にこたえようとしておるわけでございます。
  107. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 この制度は災害共済でありますので、災害がなければこれは別に問題はない。四筆や五筆は持っている栽培農家はたくさんあるわけですね。それを全部ひっくるめて農家単位にするということは、五筆あった中で四筆が被害がなかった。一筆が被害があったという場合、全体的に計算されますから、農家単位でいくと、被害があった場合には、三割以上の被害にはなりにくいということが出てくるわけですね。ですから、一カ所でもその被害があった場合、それに該当するようにということが出てくるわけですね。これは非常に強い要望がありますので、園地単位の共済制度がそういうふうになっていけば、これは完ぺきだ。強い要望がありますので、ひとつこの点も十分検討されるようにお願いしたい。  それから次に、対象品目の拡大についてですが、これはずいぶんいろいろ論議をされました。この法案によりますと、果樹共済対象品目は果振法にあげられた十品日中六品目が指定される、残りは政令で指定することになっておるわけです。その中で特にカキ、クリだけは早急に政令の中に組み込んでもらいたい。これは果樹農家の強い要望があるわけです。話に聞くところによりますと、クリはともかくとしても、少なくともカキだけは明年度から本格実施はできないか。相当調査もしておるようだし、この点についてどうお考えでしょうか。
  108. 小暮光美

    小暮政府委員 カキにつきましては、ほかの試験実施のものと同じように、調査は早目に手がけたわけでございますが、実は調査の初期におきまして、これに参加していただいた県が一県だけであったというような事情がございました。その後、一県だけの資料でこれを制度に仕組むわけにまいりませんので、関係県を説得いたしまして、調査対象を広げたという経緯がございます。その点で、今回当初から発足いたします六品種に比べまして、残念ながら一歩おくてているわけでございますが、しかしながら、これはできるだけ早い機会にこの制度に盛り込めるように、私どもとしてはこれが調査を急いでおるわけでございますので、いましばらくお待ちを願いたいと思います。
  109. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 カキについては昭和四十三年、四十四年、四十五年と三年、国で調査をされた、四十六年、四十七年、これは県で調査をしておるわけですね。そうすると、五年になる。本年度も実績を入れますと、これは当然明年からも実施できるんではなかろうかと思うんですが、いかがでしょうか。
  110. 小暮光美

    小暮政府委員 先ほども申し上げましたように、調査の本格的な実施が若干おくれております。これは検討のため時間を要するというよりは、やはりある程度の年数の基礎資料の集積を待って発足当初の設計をいたす必要がございますので、決してじんぜん時を過ごすつもりはございません。四十七年の調査の結果をさらに追加いたしまして、設計を急ぎたいというように考えており。ます
  111. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 国で三年それから県で二年ですね。いま局長答弁で、ある年数の期間、こういう答弁でしたけれども、一体何年やればよろしいのですか。
  112. 小暮光美

    小暮政府委員 今回、本格実施に移しますものについては、九年間の数字を使っております。
  113. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 このカキについては十分考慮をされて、積極的にひとつ早目に実施してもらいたいと要望しておきます。  それから、収穫共済についてでありますけれども、これは果樹の減収の際はもちろんでありますけれども、くだものについては非常に商品性が高いという特殊性等も考えて、この法案にありますように、品質の程度を適正に把握できる体制があるものとして、農林大臣の指定を受けた地域においてはという条件がついておるわけですね。果実の品質の低下も共済事故となる、こういうことになっておるわけです。これは法案の第八十四条の中にもうたわれておるわけですけれども、品質の低下についても対象になるということについては、これは生産者にとっては非常に期待が大きい。  ここで伺いたいことは、この品質の低下を共済金の支払い対象に含める地域を農林大臣が指定するにあたっては、その指定の基準と出荷系統団体等をどのように想定しておるのか、具体的な運用について伺いたい。
  114. 小暮光美

    小暮政府委員 品質の低下を係数化いたしまして、収穫量の減収に置きかえて共済対象にしようという考え方でございますので、これは共同選果ということが完ぺきに行なわれております組合でございませんと、適正な評価ができないというように考えております。したがいまして、会員の全員が共同選果による共同出荷に参加しておるということが一つの条件になります。ただ、全員が参加しておりますが、その全員の全収穫量というふうに見るのは実態に合いませんが、全員が参加しておって、その各農家については五割以上共同出荷に乗っておるということを基準にして組合を選びたいというように考えております。
  115. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 そうしますと、出荷組合については地域の農家は全部入っているということが一つ条件で、あとは個々農家が半分以上系統出荷しているということですね。わかりました。  次に具体的な事例でお伺いしたいのですけれども、最近ジベ処理による種なしブドウ、これは非常に需要が大きい。ブドウ生産者の中でもジベ処理を採用する傾向が非常に強まっております。このジベ処理期において異常な低温であるとか、あるいは雨天、曇天等による過湿が継続すると、同じ房に種の入った実がまじってしまったり、果房だとか果粒の肥大に支障を来たしたりする。したがって、色彩の面でも、外見上非常な異様なものとなって、商品価値を非常に低くしておるわけですね。  普通このジベ処理は二回程度行なうようでありますけれども、正常なジベ処理を行なって、なおかつ気象条件によってそういうジベ焼けのようなものが起きてきた。   〔熊谷委員長代理退席、松野(幸)委員長代理     着席〕  これはジベ処理をきちっとやって、しかも異常気象という自然環境によって起きたと判断される災害は、当然品質低下という範囲内に入って処理されるのかどうか、この点ひとつ伺いたい。
  116. 小暮光美

    小暮政府委員 きわめて具体的な被害の判定の問題でございますので、あまり抽象的にお答えすることは適当でないと思いますが、指導の基本的な考え方といたしましては、試験場の技術者あるいは果樹の専門技術員等の助言を受けながら、これを具体的に判定させるわけでございますが、ジベレリン処理を行なうにあたって、たとえばその薬剤の希釈度合いとかあるいは粘着剤の混合の度合いとか、こういう全く技術そのものにおきまして誤りがあっというような場合は、農災制度のたてまえからいって、これを共済対象にするわけにはまいらないわけでございます。なかなか具体的に判定の困難な場合が起こると思いますが、それはいま申しましたように、専門の技術員あるいは必要に応じ試験場職員等の助言を得ながら、共済連合会あるいは組合が判定するわけでございます。  ただ、一般的によくあるというふうに報告されておりますのは、ジベレリン処理は農家としてはほぼ適切に行なったというふうに思われますが、処理いたしましたあと、不幸にして湿度が非常に足りなかったというような場合に、ジベレリン処理は、処理後に若干の期間湿度があることが望ましいということがございます。そのために、せっかくのジベ処理がよい効果を生まないというようなことがあるように報告を受けております。このようなことが明らかでございますれば、これはジベレリン処理による取り扱いの間違いによる収穫減ではなくて、天候が関与した収穫減である、あるいは品質の低下であるというふうに判定される一つの具体例ではないかというふうに考えております。
  117. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 次に、被害状況の認定のあり方としての問題点を、具体的な事例をもってひとつお尋ねをしたいと思います。  これはブドウの産地で有名な山梨県の勝沼での場合でありますけれども、現行の試験実施においては、被害の申告は収穫直前にのみしか認められなかった。しかし、ブドウの場合は、その収穫直前の申告をした以後において起きる乾燥による収穫の減少、これは現地のほうでは自然減収ともいっておるようです。それと一両日中に一挙に変化をする晩腐病等の災害によって非常に減収は大きなものがあった。ところが、この被害申告をした直後できた被害については認められなかったという事例があるわけです。保険制度もこれでは何もならぬじゃないか。一部の地域では非常にこの点についても問題になって脱落をして、いろいろな苦労第でようやく再加入したという事例もあるわけです。こういう現行制度に対する不満は非常に強いわけですが、この事例について農林省は知っておるかどうか、お伺いしたいと思う。
  118. 小暮光美

    小暮政府委員 具体的な事例については、私、直接まだ報告を受けておりませんけれども、町名等がわかっておるようでございますので、至急に試験実施の際の経過を調べてみたいと思います。  ただ、御指摘のような事例で私として一応気がつきます点は、試験実施でありますために、連合会の仕事としてやっております。これから本格実施になりますと、元受けの組合は単位組合でございまして、連合会はこれを指導しながらやるという形になります。したがいまして、いわば近間におる担当の者が、試験実施の際に、連合会が県内全部の特定の試験区を回って調べるというような形をとっておったということがございました。あるいはそこに何らかのふなれによるふぐあいがあったのではないかというふうに思われます。基本的には、損害を生産者のほうから通知していただく。申告がございませんと調べ切れないということで、申告主義をとっておる点は、これから新たに加入する生産者の方にもできるだけ周知徹底させたいと思います。申告主義でございますので、事務の処理上、その申告に一応の期限をつけます。しかし、これは事務の処理上でございまして、その締め切りの期日の直後に不幸にして急激な被害があったという場合は、当然さらに追加して申告していただく。これについて調査するというたてまえでございまして、この点につきましては、本格実施にあたって十分末端を指導いたしたいと考えております。
  119. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 確かに申告主義で、申告によって再評価をしなければならぬということは、損害評価要綱の通達の中にも出ておるわけですね。ですから、この果樹共済については、あとで、私、御質問したいと思っておりますけれども、非常にPRといいますか、この点がなかなかうまくいってないのではないか。そういったことを知らなかったのかどうか知りませんけれども、いまの事例についてはそういった現象を引き起こしやすい特殊地域だったのかもしれませんけれども、ぜひ本格実施にあたっては、その申告についての指導、PR等も十分されて、追加申請を認めて、この運営上の問題について十分ひとつ措置をされるように要望しておきます。  次に、共済金の支払い方法についてですが、いまのところ、来年度からの本格実施においても、試験実施期間中の三割方式と五割方式という支払い方式を踏襲する、これは省令で定めることになっているわけでありますが、これは直接直線的に補てんをする方法を採用したほうが現行試験制度より一歩前進するのではないか、内容が充実したものになるのではないかというふうに考えるわけですが、この本格実施にあたっては直線方式を採用するつもりはないのかどうか。せっかく国で五〇%掛け金の補助をするわけですから、この点についてどうでしょうか。
  120. 小暮光美

    小暮政府委員 他の委員の御指摘にもお答えしましたように、三割被害の場合に一割、五割被害の場合に三割支払う仕組みでやろうということで呼びかけて試験実施をやってまいりました。また、それに見合った被害の実態調査あるいはそれに見合った掛け金の率というようなものをそれぞれの組合ごとに試算いたしておりまして、これらをもって早急に本格的な制度として発足したいということでございますが、御指摘の点につきましては、組織が本格的にこれを実施いたします段階で、年々また被害率等について詳細な調査を繰り返しまして、逐次改善してまいりたいというように考えております。
  121. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 本年度までの試験実施期間中に生じた連合会における黒字、赤字は、終了の段階でどう処理されるのか、伺いたいと思います。
  122. 小暮光美

    小暮政府委員 農作物共済は、危険を地域的に分散するほかに、時系列で年次的に分散するという意味合いがございます。数年間の試験実施でこれを打ち切りますと、当然剰余金を持ってその切りかえの時点を迎える連合会と、不足金を持ってその切りかえの時期を迎える連合会があると思います。過去二年の数字で見ますと、たまたま剰余金の額と不足金の額とほぼ同額というような形に相なっております。約四千三百万円の剰余金をかかえておる幾つかの連合会がございますが、反面四千六百万円の不足金を残りの連合会が分担しておる。これはこの制度の設計上実は当然のことではないかと思います。したがいまして、これは別に不始末による赤字というようなことでございませんので、円満に本格実施に移行いたします連合会におきましては、これらの勘定を別途経理いたしまして、不足金を別会計に区分いたしておきまして、新たに発足いたしました果樹保険の勘定が、御承知のように、いまの時系列的に危険分散いたしますたてまえから、当然ある時期においてはかなりの剰余金を生むわけでございます。それらのものをもって過去の不足金を消すという操作を行なうような指導をいたしたいと思います。  ただ、その場合には、理論上は、剰余金のほうも別会計にいたしまして、新しい果樹共済と並べてこれを持ち越したほうが通るわけでございます。ただ、この点につきましては、若干沿革がございまして、試験実施加入区を設定いたします段階で、本制度に対する理解のあり方と申しますか、この程度のものではほとんど共済金をもらう機会がないんじゃないか、試験実施に参加して掛け捨てということになってはつまらないという意見が非常に多かったために、試験実施の結果剰余を生じたら、いわゆる無事戻しの仕組みで返すということを試験区を設定いたしますときに申した事実はございます。したがいまして、その沿革は尊重すべきだと思いまして、団体がこれを無事戻しすることを希望するならば、これを認める考えでございます。
  123. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 黒字の場合は、団体が望む場合は無事戻しということがいま答弁されましたけれども、赤字はどうなんですか。連合会がそのままずっと本格実施になって引き継いでいくのですか。どうですか。
  124. 小暮光美

    小暮政府委員 連合会が新たに果樹勘定を起こします際に、その部分を別経理で持っていくわけでございます。  この点についてなお一言申し上げさせていただきますと、赤字と申しますが、実は実際に保険事故が起こりまして共済金を支払って、そのものが会員の手元に渡っておるわけでございまして、また、その過程で実は国がすでに六億二千五百万円の再保険支払いをいたしております。そういう仕事の中から、先ほど申しましたように、ある時点で切りますと、剰余金を持つ連合会は四千三百万円、それから不足金を持つ連合会の合計が四千六百万円ということでございまして、六億二千五百万円の国庫負担で再保険をいたして、しかも会員にすべてお支いした結果のある時点における過不足でございます。これはやはり制度としては、長く続けていきます時間の経過の中で時系列的に解消すべきものであるというふうに考えておるわけでございます。
  125. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 そうしますと、いまの答弁では、長い目で見て相殺をしていくのだという答弁ですけれども、私は新規加入者が、いままでの試験実施の行なわれてきた赤字、関係のない赤字で負担をする義務はないと思うし、試験実施を始める際には、赤字は政府が責任を持つのだということで現地を説得したという話もこれは聞いておるわけですね。試験実施はあくまでも国が依頼をして行なったものであるから、その試験実施中に生じた赤字は国で責任を持つべきではないか、こういう要望が強いし、私は筋が通っていると思うのですが、この点はどうお考えですか。
  126. 小暮光美

    小暮政府委員 赤字はすべて国で持つという言い方がどういう前後の関係で出てまいったか、私よくわかりませんが、いま申しましたように、すでに二カ年間で六億二千五百万円の再保険金の支払いを国はいたしておるわけでございます。この点は漁業共済等の場合と全く事例を異にするわけでございます。この問題につきましては、各連合会が試験実施をいたしておりまして、御指摘の新規加入は、これから元受けということで単位組合で新たに勘定を起こすわけでございます。全国の連合会がいま申しました金額を一部分担して持っておるということでございまして、今日の農業共済組合連合会の資産内容等から考えまして、実態的に全く問題のない金額であるというふうに思っております。
  127. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 山形あるいは福島、九州の報告を聞いて非常に感ずることは、試験実施中の果樹保険については、いま局長から話があったように、共済組合連合会が元受けとして保険事業を実施してきた。この県段階の連合会の中ではまだまだ果樹に対する理解というものが非常に薄いわけですね。専門的な職員もまた少ない。まあ当然だと思います。ですけれども、来年度から本格的に実施するということになると、団体のほうでは今まで米だとかあるいは麦、蚕繭、家畜を中心とした共済というものをやってきた。新たに今度はこの果樹共済というものが入ってくるわけですね。ですから、この組合が農家との間に共済事業を行なうということになるわけですが、この果樹のいままでの試験実施をやって、運営上やはりいろいろ問題が起きておる。専門的な知識を持った職員というものが必要になってくるわけですね。また、本格実施になると、制度への加入者もこれは当然ふえるだろう。職員はますます不足をしてくるということ。ですから、この本格実施ほんとうに成功するかどうかということは、こういった専門的な職員というものが充実されていなければ、この制度も骨抜きになってしまう。ですから、こういったことについてどう対処されていこうとお思いですか、お伺いしたいと思います。
  128. 小暮光美

    小暮政府委員 果樹共済の場合には、水稲共済とまた違った損害評価の技術的な問題等がございますので、御指摘のように、共済組合として逐次専門の職員を充実させる必要があると考えております。これがために、関係県の農業試験場等の協力を得まして、研修等もすでにこれまでにも行なっております。また人件費補助を含めて事務費のあり方につきまして、本年度すでに実態調査予算もいただいておりますので、詳細に果樹共済の事務量についての判断をいたしまして、明年度予算に適切な事務費の補助の要求をいたしたいというふうに考えております。
  129. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 現地の果樹共済組合等では、この制度のPR状況を聞いてみますと、なかなか骨が折れる。この共済制度の今後の育成強化については、農家の連帯意識の高揚というものが前提になるし、来年度からの本格的実施を前にしての果樹農家に対しての制度のPRあるいは内容のPR等について、どう徹底していこうというお考えがあるのか、この点についてお尋ねしたいと思います。
  130. 小暮光美

    小暮政府委員 どの制度でも同じでございますが、特に災害補償制度の場合には、生産者が掛け金を払い、これに一定の場合に補てんするという金銭の授受を伴う仕事でございまして、制度の基本が料率あるいはその他きわめて計数的なことにかかわるものでございますので、別にうそをつくつもりはなくても、制度がまだでき上がらないうちに、あまり最末端までいろいろこまかい説明をいたしますと、結果的にあとから、それは話が違う、うそをついたといったようなことになる危険性を持つわけでございます。したがいまして、こうして本格実施のちょうど一年前に特にお願いして御審議いただきまして、制度の骨組みを確定させていただきまして、これに即して具体的に生産者が知りたいと思っております具体的な保険の条件と申しますか、そういうものを確定した形で末端に十分のPRをいたしたい。そういう事務日数をいただきたいということで、一年前に実は法案の御審議もお願いしておる。ほかの制度でございますと、新年度から施行しますものをその前の年の通常国会におはかりするのが普通でございますが、農災制度では常にちょうど一年前にお願いしておるのもそのような気持ちでございまして、御指摘の点を十分体しまして、制度の講習あるいは説明会の開催、宣伝資料の作成等に遺憾なきを期したいというふうに考えております。
  131. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 次に、新規の共済についてお尋ねをします。  今回の果樹保険の本格実施を機会にして施設園芸肉豚、鶏、畑作物、地域特産物等に対しても早急に共済制度を設立してもらいたいという各関係者から非常に強い要望があります。今回の果樹保険の制度化の直接の契機については、昭和三十四年の台風七号あるいは伊勢湾台風によって非常に被害を受けてからこういう要望が強くなってきた。しかし、実際には昭和二十六年ごろからこの共済制度については非常に強い要望が出されておりました。ですから、この制度が、そういう要望が出てから二十年たってきた。昭和三十四年の果樹保険の制度化の準備に着手され始めたときも、これについては十分政府のほうも前向きに積極的に取り組むという意思表示もありました。この際、先ほど私が申し上げました施設園芸肉豚、鶏、畑作物等の種目を個々ばらばらに準備を進めるのではなくして、やはり一括した実験方法なりを作成して、その基本方針のもとにこの制度がさらに充実をし、拡大をされていくことが望ましい。日本の農業の現状から考えて、こういったものを一括して個々ばらばらにやるのではなく、実験法案等をつくって完ぺきなものにすべきではないか、こういうように考えるのですが、いかがでしょうか。
  132. 小暮光美

    小暮政府委員 新種共済制度の開発にかなりの時間を要します点はわれわれも残念に思いますが、しかし、取り扱います対象が農業ということでございますので、基礎資料の収集あるいは論点の解明にかなりの時間を要することは御了解をいただきたいと思います。  さて、これを促進いたしますために、一括した実験方法のようなものをつくるかどうかという問題でございます。新しい御提案でございますので、よく部内で慎重に検討してみたいと思います。  一点、これまでの経過からやや問題があろうかと思いますのは、現行の法体系でも、任意の制度ということで付帯してやります形をとれば、新しいことがいろいろやれるはずの法律のたてまえにはなっておるわけです。ただ、これには実態上国の再保険がつかないという問題がございます。やはり農業の特殊性から見まして、最終的には国がこれを担保するという形でございませんと、なかなか農災制度として仕組みがたいという問題がございます。そういたしますと、結局、国費の負担につきまして、具体的な内容を特定することなしに、包括的に負担の根拠をつくるということが許されないわけでございますので、そこで、果樹の場合にも、具体的に果樹についての試験実施、その設計はこういうものでございます、このような事態では国庫がこれを補っていただきたいということをあらかじめ法律で御審議いただいて、その結果に基づきまして、先ほどもちょっと申し上げましたように、二十年間ですでに六億円以上のものを試験実施のために国庫が支出しておる、かような経緯がございますので、その辺にいろいろ問題があるのではないかというように思いますが、ただ、御指摘の趣旨が新種共済につき総力をあげてその作成を急ぐべきであるという点につきましては、全く御説のとおりでございますので、できるだけの努力をいたしたいというように考えております。
  133. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 これで質問を終わります。
  134. 松野幸泰

    松野(幸)委員長代理 津川武一君。
  135. 津川武一

    ○津川委員 私たちはすべての農作物にその受けた損害の全部が補償されるように国庫負担を大幅に引き上げるように考えておりますが、そういう立場から若干の質問をしてみます。  その一つは、沖繩におけるパインのことでございます。いままでの答弁で、これから果振法で適用されるならば、対象作物になるならば、その道も開かれるだろうという答弁でございましたが、政府は三月三十日に果樹農業振興の基本方針を公表しましたが、このときの討議に、果振法の指定にするということが具体的に討議になったのでございましょうか、ひとつ答えていただきます。
  136. 荒勝巖

    荒勝政府委員 先般、果樹農業振興基本計画改定いたしたのでありますが、その中には沖繩パインは入っておりません。しかし、あれは三月末に決定したのでありますが、その後、五月十五日をもちまして沖繩が復帰いたしまして、その時点におきまして、一括して政令の中でパインを果振法の対象にするということはさまっております。したがいまして、われわれといたしましては、新しい復帰後の沖繩県と連絡をとりまして、現在いろいろ作業を行なっておりまして、この秋ごろには追加いたしまして計画を具体的に提案いたしたい、こういうように考えておる次等でございます。
  137. 津川武一

    ○津川委員 とすれば、三月三十日に公表した基本方針は、五十六年度目標を各くだものに対して出しておりますが、パインに対する目標はどうなっておりますか。
  138. 荒勝巖

    荒勝政府委員 ただいま申し上げましたように、パインに関しまして政令指定はしておりますので作業をいたしておりますが、おおむねいまの段階に、まだ確定いたしておりませんし、また果樹農業振興審議会の議も経ておりませんので、はっきりした断定的なことは申し上げかねますが、一応五十六年を目標にやはり同様な取り扱いをいたしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  139. 津川武一

    ○津川委員 とすれば、これからの作業はあるわけでございますが、経済局長にお尋ねしますけれども、やはりパイン共済制度対象とすべきだと思うのですが、これからの見通しだと、いつごろになりそうでございます。
  140. 小暮光美

    小暮政府委員 パイナップルにつきましては、琉球政府時代に四十六年度に初めて基礎調査に着手してもらったという形でございまして、私どもといたしましては、これを引き継ぎまして、本年度私どものほうに調査費を百十五万四千円計上いたしております。保険設計上やはり一、二年の基礎数字で保険を仕組むわけにまいりませんし、先ほど来ほかの樹種についてもいろいろ議論ございましたように、ある程度の年数の被害統計を確認する必要があるのではないかという点がございますので、一両年中にどうというわけにはまいりませんけれども、すでにいろいろな問題点が明らかになってきておりますので、そういう問題点の解明を急ぎながら、基礎調査資料の集積をはかるという形で、できるだけ調査検討を急ぎたいと考えております。
  141. 津川武一

    ○津川委員 せっかく本土に復帰するときに、沖繩農民の非常に切実な要求の中で、私はかなり作業を急ぐべきだと思っております。  そこで、その次、共済対象に病虫害が入っておりますが、リンゴで腐らん病がぜひ必要だと思うのですが、聞くところによりますと、当面の対象に入ってないという話です。いま北海道、それから岩手県の北部、青森県の東南部にかなり出ておりますし、本場の津軽にも出ておるわけですが、これは的確な対処法がなくて、ぐんぐんふえておりますので、私はすぐ適用すべきだと思うのですが、いかがでございます。
  142. 小暮光美

    小暮政府委員 病気そのものについては、私、専門でございませんので、あるいは農政局のほうからさらに追加して答弁願いたいと思いますが、制度といたしましては、実は試験実施の段階には、くだものごとに共済対象になる病気を指定いたしました。この考え方は、防除活動はやはり生産者がこれを行なうべきものであって、防除活動を怠ったことによる被害をこの制度の中に拾い込みますと、果樹共済がうまく育たないのではないかという考え方に基づいて、現在の技術水準ではどんなに努力してもなかなか防げないという種類の病気として、当時確認されておったものを指定するという形であったわけです。ただ、今回の本格実施にあたりましては、その後農薬についての考え方が基本的に変わりました。効力さえあれば、どんどんどんな農薬でも使うという時代は終わりまして、農薬自身を非常に吟味しなければならないという形になっておりますので、防除活動については、共済組合の付帯事業としてできるだけこれを行なうことといたしながら、制度としては病害は全部一括して農災の対象にしようと考えております。したがいまして、御指摘の病気につきましても、本格実施の場合には対象になるというふうに御理解いただきたいと思います。
  143. 津川武一

    ○津川委員 いま経済局長が言われたように、適切な防除方法はないので、これの防除のための試験研究を早急に行なうべきだ、予防薬なんか開発すべきだと思うのですが、蚕糸園芸局長、いかがでございます。
  144. 川田則雄

    ○川田説明員 お答えいたします。  リンゴの腐らん病につきましては、先生御承知のように、もう古い病気でございますが、それが最近ふえるような傾向にございます。それで、場所につきましても、これは寒冷地の果樹園に出る病気でございますから、先生のお話のあった地帯にふえる傾向にございます。  どうして起きるかといいますと、風雪害によりまして木が損傷した場合に、そこから菌が入るというようなことが一つございます。それからもう一つ、冬季に著しい低温があった場合にその影響を受けて出る。いずれにせよ、樹勢が低下した場合にこの病気が出るといわれております。  防除の対策としては、これも先生お話がございましたように、幹部の中に入っていく病気でございますから、なかなかむずかしいのでございますが、現在のところは、やはりその幹部を削り取って塗布剤を塗るとか、それから休眠期明けに石灰溶合剤をまくとか、さらに耕種的な方法としては傷口を保護するとか、いろいろな対策を講じておりますが、特に重要なのは荒廃園とか放任園でございますね、そういうような病気の発生のもとになるところをそのままにしておかないで、何らかの手当てをして、ほかの木に影響を及ぼさないようにする、そういうようなことが非常に重要じゃないか。いずれにせよ、管理に関係のあること、しかもなお、病気の発生が先ほど申し上げたような気象条件との関係もございますから、そういう気象条件等を考慮しながら、指導の徹底を期するのが一番大切じゃないか。樹勢の低下を来たさないように、そういうような状況のときには事前に察知して、いろいろな手を打つということが大切だ。  薬のことになりますけれども、特に的確な薬というものはいまのところなかなか見つかっておりません。ただ、試験研究の機関で、現在チオファネートメチル剤というのが効果があるといわれております。この薬は現在すでに黒星病とか黒点病というように病気の薬として一般に使われるようになっておりまして、ちょうど防除時期が同じような時期に当たりますので、この薬が一つ有望ではないか。その他硫酸キノリン剤というのも有望ではないかというようなこと。  さらに、こういう病気の問題については、北海道、東北の寒冷地果樹園の研究連絡協議会というようなものを持ちまして、対処するようにいたしております。いずれにせよ、樹勢が低下しないように、管理の問題もありますので、そういうもとのほうを十分注意するようにいたしたいと思っております。
  145. 津川武一

    ○津川委員 特に腐らん病は北海道に多いので、しかも北海道にはリンゴ試験研究所プロパーのものがないので、格別にやる必要があると思っておりますが、時間もないので進めていきます。  次は、樹体のことでございますが、樹体で一番問題になるのは、矮性化のリンゴの樹体が一番だと思うので、矮性化とあわせて若干の質問をしてみます。  矮性化のリンゴは、四年くらいになるとどうやら作がとれる。そうすると育つまでに二年か三年。そこで、三年目のものを幼木と見るか、二年目のものを幼木と見るか。もう二、三年目からくだものがなるので、これはやはり矮性化の場合は、幼木を全部樹体の保険対象にすべきだと思うのですが、これはどうなっているか。
  146. 小暮光美

    小暮政府委員 樹体共済につきましては、継続的に収穫対象となる時期からこれを樹体共済対象にいたしたいと考えておりますので、新しい技術によりまして継続的に収穫を期待できる時期が始まりますれば、これは当然対象になるわけでございます。
  147. 津川武一

    ○津川委員 蚕糸園芸局長にお尋ねしますが、継続的に生産できる、これは二年目ですか、三年目ですか。
  148. 荒勝巖

    荒勝政府委員 御存じのように、矮性台木のリンゴにつきましては、その苗木時代というものが短いものと長いものによって、いわゆる本圃に定植する時期にも多少よりますので、必ずしもいつからのものが対象になるかどうかにつきましては、私どものほうも明確にはお答えでまきせんが、その定植した時期でやはり育った芽が出るような前後から本格的というふうに理解したいと思います。
  149. 津川武一

    ○津川委員 そうすると、これは経済局長、現地の自治体と相談するということでよろしゅうございますか。
  150. 小暮光美

    小暮政府委員 新しい技術と関連いたすようございますので、元受けの際に、現地の組合で十分検討させます。
  151. 津川武一

    ○津川委員 その次に、矮性化のリンゴは根が浅い。たけも短いから、根が浅い。そこで一人立ちできないで、かなり支柱をしなければならぬ。しかもいまや、今度はブドウみたいに、かきねみたいにずっとやっておる。支柱なしに矮性化のリンゴは育たないので、支柱を樹体保険の対象とみなすべきかどうか。みなすべきだと思うのですが、いかがでございますか。
  152. 小暮光美

    小暮政府委員 今回御提案申し上げております法律では、果樹と一体となっておりますささえも対象にできるように法律は仕組んでございます。ただ、先ほど来の御指摘もちょっと出ておりますが、新しい技術なり新しい現象が逐次出てまいるわけございまして、これらのものを、新しい現象が出ましたときに直ちに農災制度対象にできるどうかということはちょっと別問題でございまして、実はくだものの種類等につきましても、全く新しい品種を、わせとおくてをかけ合わせてつくるというようなことが起こりますから、そのものをどのグループに入れたらよろしいか、あるいは被害の態様がどのようになるかということをやはり何年間か見ませんと、掛け金がきまらないというような問題がございまして、そういうものは実は除外する規定も別途用意しておるというようなことがございまして、その点はひとつ具体的に処理さしていただきたいと思います。
  153. 津川武一

    ○津川委員 矮性化された木でのリンゴ栽培が支柱なしにできるかどうか、それをひとつ園芸局長からお尋ねします。
  154. 荒勝巖

    荒勝政府委員 国の試験場におきましては、昭和三十三年ごろから矮性化リンゴの問題について取りかかりまして、その後世界じゅうから、この先進地区から台木のもとを入れまして、ただいま試験栽培中でございます。したがいまして、国といたしまして、まだ断定的に矮性化リンゴの生育状況について——まだ年数も十分たっておりませんが、その間民間におかれまして相当矮性リンゴも進出されておるわけでございます。その間、われわれのほうの実験関係からいたしますと、まず背たけが低いので、やはり雪害を受けやすい。それから、根が浅い関係もございまして、冬の間に凍ったりいたしまして樹体が弱い。さらに、つぎ木の関係がございまして、風にも非常に弱い。さらに、今回群馬の試験場で発生したわけでございますが、予想外に凍霜害に弱いというようなこともございまして、これらを勘案いたしまして、やはり矮性台木のリンゴを普及いたしますまでには、相当試験研究と、また過去の実験データも併用いたしまして、それぞれ今後指導してまいりたいと思っておりますが、最近の試験研究の報告によりますれば、あまり低いほうの矮性台木よりも、むしろ中型のほうが日本の現状には即しておるのではなかろうか、こういうふうな意見等も出ておりまして、これらを検討して、慎重に取り扱ってまいりたい、こういうように考えております。
  155. 津川武一

    ○津川委員 いま言われたように、たけが短いから——大体木は、たけが短ければ根も短い、こう言っていいと思うのです。  そこで、短いから雪の害がある、今度は凍害がある。だから雪の害も凍害も当然災害保険の対象になると思うのですが、これはどうかということ。  もう一つ、園芸局長に重ねて聞きますけれども、支柱なしに矮性化の栽培ができるかどうかです。これが一つ。  もう一つ、今度は、根が短いために、干ばつになりますと、すぐ根のところに水がなくなってしまって、干害が出てくる。この干害がやはり矮性化の場合、災害として考えていかなければならぬ、この点はどうか。  そこでもう一つ、これは雪の害、それから凍害、それから寒害、これは対象になるかどうか。経済局長に。そうして園芸局長には、支柱なしにやっていけるかどうかという問題であります。  それから災害現象を防いで、災害の支出を一番なくすのは、そういうものの予防なわけです。予防さえあれば——いまないわけです、こういう制度は。そこで、干害に対してかん水——水をやるということが決定的に矮性化の場合に必要であります。こういうことに対して、スプリンクラーの援助なんか国が費用を出して進めていくと、被害が少なくなってこの問題がなくなります。そこで、園芸局長には、この干害に対するかん水、スプリンクラーの導入援助。  こういうものを項目的に並べましたが、両局長にお答えいただきたい。
  156. 小暮光美

    小暮政府委員 先ほど申し上げましたように、たてまえとしては、雪害等も含むことは当然でございます。  ただ、ちょっと申し上げておきたいのは、新しい交配品種が突如として出たり、あるいは新しい栽培方法が編み出されたりという際には、かりにそれが、法律を見ると「りんご」となっております。リンゴについて、継続的に実を結ぶようになったもの及びその支柱は対象になるということはございますが、当然対象になるというふうに一応読めますが、やはり先ほど申し上げまして趣旨で、「省令で定める品種に属するもの」——新しく出てきた交配品種でございます。それから「省令で定める栽培方法により栽培されているもの」これは全く新しい栽培方法が出てきた場合、こういうものにつきましては、やはり一括して保険にかけてくれという、あの制度のたてまえとずっと別の意味で、そういうものは一時除外するということをいたしておきませんとうまくいかないということがございますので、法律には、そのことを特に特記しておるわけです。これは決して先生がいま御指摘のものをはずすということをここで申し上げておるのではなくて、制度のたてまえはそういうことでございますので、これをきわめて具体的に実情を見まして、その辺を相談させていただきたいということでございます。ただ、制度論として雪害が対象になるか、それはなりますということでございます。
  157. 荒勝巖

    荒勝政府委員 ただいま答弁いたしましたように、いわゆる矮性台の二メートルないし三メートル程度のリンゴの系統は、やはり台風にも弱いし、支柱が相当要るのではなかろうかというふうに私どものほうでは考えておりますが、新しく最近導入いたしております半矮性台のものあるいは半標準台のものあるいは標準台の台木のものの系統になりますと、高さも三・五メートルから五・四、五メートルに至る多少中高のものになりますと、いまのところ添え木といいますか、支柱は要らないのではなかろかというふうに感じておりまして、この系統を今後さらに実験、研究いたしてまいりたいというふうに考えております。  さらに、スプリンクラー等につきましては、まず土地基盤整備で、土地改良事業のほうで相当こういう畑作農業に対する今後の予算も増加しておりまして、特にまた果実に対する指導もふえておりますので、この系統で、こういった地元のほうの土地改良事業で御要望があれば導入できるのではなかろうか、こういうふうに考えております。  さらに、私たちのほうで、ミカンにつきまして、今回多目的スプリンクラーということで、全国数カ所で、水をかけることと農薬と肥料同時にかける省力化という形のスプリンクラーを実験的に導入することにしたわけでありますが、これを一、二年行なってまいりまして、よければわれわれといたしましても落葉果樹のリンゴにも適用いたしたい、こういうように考えておる次第でございます。
  158. 津川武一

    ○津川委員 最後の項目は、米のことでございます。最近、政府の買い上げる米の値段にも質の差が出てきて、値段の開きが出てきましたし、実際に余り米として買い上げられる米にも、かなり品質の差で値段の差がついてきたわけであります。今回この法律をくだものにも適用するに至ったときに、品質に対しても問題になったわけであります。  そこで、先ほどからのリンゴのことについていうと一定の地域で参加者ことごとくが共選して共販している。そこで、個々の農民であれば半分以上出して、個々の農民について品質の判定の基準ができているときには、その地域を品質以下のものとして指定できるといっておりますが、今度調べた中で、青森県の浪岡町、これは五つの旧町村の合併で、非常に農協への出荷率の高ところそうでないところが合併になっておる。したがって、農協の出荷率の非常に高い旧町村単位にこの指定ができるのかどうか。この一つをまず答えていただいて、あとお米のほうに入りますが、質問だけしてしまいます。  こういう立場にありますので、米の場合、今度品質の低下に対しても共済制度を適用するのかどうか。これが二つ目の質問です。  三つ目の質問は、こうなってくると、米の品質の問題が非常に問題になりまして、この間、三月二十四日に食糧庁が五段階の評価をやった。それで、北海道、青森県、その他の一部の方たちが、これはひどいというので、食糧庁にかなり要求もしたし、陳情もした。そうしたら、食糧庁では、八月に考え直そう、こういうことになって、北海道にも出向いてくれたし、青森県の黒石米なんかも判定してくれたし、ムツニシキに対する評価などというものも考え直してくれたそうでございますが、災害との関係もありますので、この点の作業がどこまでいったのか、これを答えていただいて質問は終わりますが、場合によってはまた再質問します。
  159. 松野幸泰

    松野(幸)委員長代理 時間が来ておりますので、簡潔にお願いします。
  160. 小暮光美

    小暮政府委員 第一点は、原則として出荷組合の単位で指定するつもりですが、組合が合併した場合であって一つの場合は完ぺきの共選場を持っている、合併されたほうはまだでさていないという場合に、一つの人格になったからといって指定されないということは不適当と思いますので、地域が明確に分かれておって、局地的に先ほどの条件を満たしておるという場合は指定の対象になり得ると考えております。  それから、くだものについて品質低下を対象にしたので、米についても考えるかということですが、くだものと米とは制度の仕組みが全く異なりまして、くだもの農家単位の思想で、しかも出荷段階でいまの品質の問題まで確認できるというような形のものを考えておるわけでございます。米はまだ制度としては一筆建てのほうが大部分でございまして、しかもこれは立ち毛で判定いたします。しかも自家保有飯米等も含めて一筆ごとにその収量を確認する、こういう形でございますので、対象が異なりますから、扱いも別でございます。
  161. 亀長友義

    亀長政府委員 御質問の点は、先般私どもが五段階の分類を行ないましてグルーピングのことに関連してだろうと思っておりますが、その際申し上げましたように、あれはあくまで食糧庁の現物操作上の問題であって、今後銘柄格差とかなんとかいう問題とは一応別に考えておるということも御説明申し上げておりますけれども、先般の五分類に関しまして、青森県並びに秋田県の一部から、何とか実情を調査して訂正をしてくれという申し出がございまして、私どもとしましては、八月ごろ再調査をしたいと考えております。現在きめておりますもののもとは、昨年の十一月ごろ調査をいたしましたので、四十六年産米の成果というものはあまり反映をいたしておりません。四十六年産米の成果も含むような調査を八月ごろにいたしたいと考えております。その結果、秋田、青森における良質米につきましては、おそらく御不満が解消されるような結果になるのではないかと私どもも推定をいたしておりますが、正確には調査の結果を待った上で措置をするということでございます。
  162. 津川武一

    ○津川委員 せっかく農民が米作に熱心になっておる、何とか政府の方針にも協力しようとしてやっているやさきに、青森県でムツニシキが特定銘柄として指定されなかった、農民の気持ちは一生懸命やっているのだから、そこを引っ張ってやる意味においてぜひ必要なんだという意見なんです。これは指定すべきだと思うのですが、いかがでございます。
  163. 亀長友義

    亀長政府委員 指定銘柄の問題、またグルーピングとは別でございますけれども、これも各県から要望がございまして、目下審査を急いでおります。青森県のムツニシキに関しましては県から非常に強い要望がございますので、私ども前向きな検討をいたしたいと考えております。できるだけ早く結論を出したいということで急いでおります。審査の結果は、まだ全部が公表されておりませんので、いまこの段階で明瞭にお答えする時期がまだ参っておりませんけれども、青森県の希望に沿えるような方向で検討がされておるというふうに担当者から聞いておりますので、そのような方向で努力をいたしたいと考えております。
  164. 松野幸泰

    松野(幸)委員長代理 津川君、約束の時間が経過しておりますから、簡潔にお願いいたします。
  165. 津川武一

    ○津川委員 そこで、青森県の米がどこに来ているか、かなりの部分が現地で消費されている。ここで味見しているかどうか、この調査をやったのか。第二番目に、北海道に非常に出て、非常に喜ばれている。北海道に行ってこの状態を調べたか。第三番目は、鉄道の関係で大阪に行くのです、津軽というのは青森の操車場の関係で。大阪で実態を調べてくるとかなり変わってくる。この三カ所で調べたかどうか。調べてないとすれば、調べるつもりであるかどうか、答えていただいて、質問を終わります。
  166. 亀長友義

    亀長政府委員 青森県のムツニシキは、御承知のように、搬出は非常に少ないようであります。県内消費が大部分でありまして、搬出量はきわめてわずかである、そういう関係から、最初の私どもの五段階分類には、まあ、あれは搬出計画上のものでございますから、あまり搬出されないものは、いわばあの評価のワク外になっておったということから、青森は全部五になったという経緯もございます。御指摘のように、青森のものはムツニシキが大阪へ行っているということは事実のようでございますが、私どもの運送計画では、一応、まあLP計算と称しまして、運賃の一番かからない方法で米を全国的に回しているというたてまえになっておりますので、そういう結果から大阪へ出ているのが多いようです。なるべく運賃がかからないというのが私どもの運営方針でございますから、それを大きく曲げるわけにはいきませんけれども、青森県からは、やはり青森からまずい米だけを搬出するようなLP計算は直してくれというような御要望もございますので、まあ私どものほうでもこれはもう少し検討さしていただきたいと考えております。
  167. 津川武一

    ○津川委員 そこで、検討を、大阪であるいは消費地で、北海道でやってみるつもりですかどうか。  これで終わります。
  168. 亀長友義

    亀長政府委員 調査は、大きな消費地では全国的に実施をいたしておりますので、大阪はもちろん入ります。北海道は、これは大都市を主として対象にして調査をいたすということになりますので、全国的にやるというたてまえには変わりございません。
  169. 松野幸泰

    松野(幸)委員長代理 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。  次回は、明八日、木曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後二時二分散会