○
小暮政府委員 第一点の、
掛け金の
国庫負担の問題でございます。当
委員会からも御
指摘がございまして、
試験実施の一割ということを、
本格実施の際にはできるだけ高い
国庫負担率にするようにという御
指摘を受けております。私
ども今回の案をつくりますにあたりまして、その
趣旨を十分体したつもりでございますが、ただ、
水稲との比較の問題につきましては、御存じのように、
水稲につきましては、当然
加入という仕組みでございます。昨年一部手直しを
お願いいたしましたけれ
ども、御
承知のように、
食糧増産というたてまえのもとに、およそ稲作を可能とするような地帯ではできるだけ稲作をやるというたてまえのもとに、被害の高いところにはきわめて高い
国庫負担率というものを加味した仕組みで長年やってまいったわけでございます。その後、高被害地を高い
国庫負担率にすることを一部是正したわけでございますけれ
ども、こうした
制度の仕組みから、全体の平均が、先ほど地元で六十対三十九であるという御
指摘がございましたが、国全体としては農作物共済では五九%の
国庫負担率になっております。なお、当然
加入という仕組みが続いております蚕繭共済の場合にも、平均しますと五七%でございます。ただ、くだものの場合には、何と申しましても適地に
果樹農業を振興するという
考え方がございまして、きわめて高率の被害
地域というものを
制度的に想定するという
考え方には私
ども立たないということが
一つございます。また、
果樹農業の実態から見て、これを
地域の集団化と並行いたしまして任意
加入という形で
制度をもり立ててまいりたいというように
考えております。したがいまして、現在、任意
加入制のもとに行なわれております家畜共済、これの
国庫負担率の平均が四九%
程度であること等もあわせ勘案いたしまして、これを一律五〇%というふうに立案いたした次第でございます。
なお、
掛け金率を定めます場合には、御
指摘のように、
果樹の場合には特に
地域的な気象
条件あるいは土壌
条件といったようなものがものをいう
農業の分野でございます。しかし、どこまで細分化するかというのは、
組合の運営、事務費等が極端にかさばる、あるいは統計資料の整備に適正を欠くという問題を一本に控えますので、無限に細分することは避けなければならないと思いますが、都道府県一本で強行するということでなしに、
実情に応じ、被害の発生態様等によって危険階級を
地域的に区分するというようなことを
考える予定でございます。
それから、無事戻しの問題につきましては、
共済制度につきましてこれまで作物あるいは蚕繭で長年の経験があるわけでございます。
果樹共済につきましても、これらの先行いたしております
制度の無事戻し
制度を十分勘案いたしまして、同様な措置をいたしたいというように
考えております。
それから、先ほど支払い金額の中だるみの問題について御
指摘がございました。これは実はやや経過的な問題でございまして、
試験実施の際に足切りについて二通りの足切りを提案いたしまして、これを
試験実施いたしたわけでございます。したがいまして、集めました基礎資料も全部五割足切りの場合と三割足切りの場合に即した資料を収集した。それから
掛け金率もそういうものに基づいて実は算定したということでございまして、五割足切りというものをやめまして、今回御提案したような一本の足切りにいたしたわけでございますが、関連いたします諸資料すべて五割足切りの場合と三割足切りの場合のあれに基づいておりますので、それぞれそのポイントにつきましては、
試験実施の際に申し上げた
補てん率というものを堅持いたしまして、これをつないだ結果が御
指摘のような形になるわけで、これはこの
制度を円満に
実施いたしまして、その経過の中において今後引き続き
検討してまいりたいというふうに
考えております。
それから、事務体制の問題でございますが、確かに
水稲共済につきましても、非常に長い歴史の中で現在の共済
組合の事務能力と申しますか、こういうものがつちかわれてきたわけでございまして、
果樹につきましては、どちらかといいますと、
生産出荷の
段階が多くの組織でこれまで行なわれておったというような実態がございますので、これが完全に事務的に融合いたしますまでにはかなりの
努力を必要とするというふうに
考えますが、
生産出荷の
段階に対する協力の
要請といったようなものも含めまして、事務体制の整備に万全を期したいというように
考えております。
なお、
果樹共済にかかわる
事務量につきましては、本年度においてすでに
果樹保険の
事務量調査ということで六十五万九千円でございますが、
調査予算をいただいておりますので、明年からの
実施の前に、年内にこれらについても詳細に
調査をいたしまして、
明年度予算の編成に十分反映させたいというように
考えております。
それから、カキにつきましては、
試験実施を行ないます際の基礎
調査の
段階で、実は当時もちろん御要望があったのだと思いますが、具体的な経過としては、一県だけが事前の
調査に参加されたという
事情がございまして、一県の
数字でこれを
試験実施に仕組むということは適当でないということで、
試験実施と並行して、カキについてさらに
関係県の協力を求めまして
調査を始めております。これらの
調査をできるだけ急ぎまして、その結果に基づきまして、カキをこの
制度に乗せる方向で
検討を急ぎたいというように
考えております。
それから茶やイグサにつきましては、これは
果樹の問題とちょっと別でございますので、ただいま、カキについてできるだけ基礎
調査を整備して
果樹共済に乗せたいと申し上げたのとは、ちょっと申し上げ方で変わらざるを得ないと思いますが、茶及びイグサにつきましても、四十五年度からすでに
調査研究は始めております。ただ、時間がございませんのであまりくどく申し上げませんが、たとえば茶のように、実を収穫するということでなくて、刈り取りました
あとが逐次また葉が出てまいりまして、その刈り取りの技術と申しますか、その中で収穫まで全体にどれだけの収益をあげるかといった要素が入ってまいりますと、従来米麦あるいは蚕繭、家畜それから今度の
果樹というようなもので
考えておりますものと、また全く態様の異なる
一つの収穫形態でございまして、これらのものについてどのような形での
共済制度が仕組めるか、また技術的にさまざまの問題点をかかえております。しかし、鋭意
検討を継続いたしたいというふうに
考えております。