運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1972-04-20 第68回国会 衆議院 農林水産委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年四月二十日(木曜日)     午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 藤田 義光君    理事 仮谷 忠男君 理事 熊谷 義雄君   理事 三ツ林弥太郎君 理事 渡辺美智雄君    理事 千葉 七郎君 理事 斎藤  実君    理事 合沢  栄君       江藤 隆美君    鹿野 彦吉君       小山 長規君    白浜 仁吉君       田中 正巳君    中尾 栄一君       中垣 國男君    野原 正勝君       藤本 孝雄君    別川悠紀夫君       森下 元晴君    山崎平八郎君       渡辺  肇君    田中 恒利君       中澤 茂一君    松沢 俊昭君       美濃 政市君    相沢 武彦君       瀬野栄次郎君    鶴岡  洋君       津川 武一君  出席国務大臣         農 林 大 臣 赤城 宗徳君  出席政府委員         水産庁長官   太田 康二君  委員外出席者         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ――――――――――――― 四月十九日  土地改良事業促進に関する陳情書  (第  一九五号)  農村地域工業導入に関する陳情書  (第一  九六号)  林業振興に関する陳情書外十二件  (第一九七号)  オホーツク海域におけるさんま漁業操業実現  に関する陳情書(第一  九八号)  オホーツク海域におけるさんま漁業入会阻止に  関する陳情書外二件  (第二〇一号)  米の全量買入れ等に関する陳情書  (第二五二号)  は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  漁港法の一部を改正する法律案内閣提出第二  九号)  中小漁業振興特別措置法の一部を改正する法律  案(内閣提出第三〇号)  漁業協同組合整備促進法を廃止する等の法律案  (内閣提出第三一号)  地方自治法第百五十六条第六項の規定基づ  き、輸出品検査所支所設置に関し承認を求  めるの件(内閣提出承認第三号)      ――――◇―――――
  2. 藤田義光

    藤田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出地方自治法第百五十六条第六項の規定基づき、輸出品検査所支所設置に関し承認を求めるの件を議題とし、趣旨説明を聴取いたします。赤城農林大臣
  3. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 ただいま議題となりました地方自治法第百五十六条第六項の規定基づき、輸出品検査所支所設置に関し承認を求めるの件の提案理由につきまして御説明を申し上げます。  この案件は、東京輸出品検査所仙台支所仙台市に設置することについて国会の御承認を求めようとするものであります。  東北地方各県は、リンゴ、種ガキ等輸出農林水産物主要生産地であり、近年同地域における輸出体制港湾施設整備と相まって輸送経費節減等から同地域の港から直接輸出を行なう傾向が強まっております。かような点から同地域において恒常的に輸出検査を実施する機関設置に対する要請が高まっているのであります。  また、近年における消費者保護対策の推進の見地から、輸出品検査所において、日本農林規格検査格づけ機関及び製造工場に対する指導監督並びに市販品検査を行なっておりますが、東北地方におきましてもこれらの業務の適切な実施をはかる必要性が強まっております。  以上の理由によりまして、輸出品検査所支所仙台市に設置することにつき、国会の御承認を求める次第であります。  何とぞ慎重御審議の上、御承認くださいますようお願い申し上げます。
  4. 藤田義光

    藤田委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  引き続き本件について審査に入るのでありますが、別に質疑申し出もありませんので、これに.て質疑は終了いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 藤田義光

    藤田委員長 御異議なしと認めます。よって、質疑は終了いたしました。     —————————————
  6. 藤田義光

    藤田委員長 次に、討論に入るのでありますが、別に討論申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  本件は、承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立
  7. 藤田義光

    藤田委員長 起立総員。よって、本件は、承認すべきものと決しました。  なお、本件委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 藤田義光

    藤田委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  9. 藤田義光

    藤田委員長 漁港法の一部を改正する法律案中小漁業振興特別措置法の一部を改正する法律案及び漁業協同組合整備促進法を廃止する等の法律案の各案を一括して議題とし、審査を進めます。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。美濃政市君。
  10. 美濃政市

    美濃委員 二、三の点について大臣に御質問したいと思います。   〔委員長退席三ツ林委員長代理着席〕  過般の委員会水産庁長官見解なりその他をお尋ねしたわけですが、オホーツク海のサンマ漁業、これは現在北海道知事許可で行なわれておりますが、内地船密漁が横行しているという状態で、これを的確に取り締まりなり処理をしないと、定住しておりますオホーツク沿岸漁民漁獲に大きな影響を与えておるわけでありまして、ことしの漁獲期までに無法状態密漁が横行しない措置をとる必要があると思うのですが、これに対する大臣見解を承りたいと思います。
  11. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 北海道沿岸のほうは知事許可で、こっちは農林省許可ということで、内地のほうの漁船が入り込むというようなことで、北海道漁民関係者からもずいぶん話を私も承っておりますし、内地のほうでも、入れてくれというような話も聞いています。その辺の事情をよく水産庁当局は十分検討しまして、お互いというよりも、地元の利益を損しないように措置をとろうということで、いろいろ検討いたしておりますので、水産庁長官からなおその辺の状況を御説明申し上げます。
  12. 太田康二

    太田(康)政府委員 先般もお答え申し上げましたが、御承知のとおり、太平洋につきましては、農林大臣規制区域にいたしておりますし、オホーツク海につきましては、現在知事規制にゆだねておるという実態でございます。  その際、取り締まりの問題でございますが、一応分担をいたしまして、私どもといたしましては、北海道方面太平洋海域につきまして、取り締まり船二隻を出しまして違反操業取り締まりに当たる。それからオホーツクのほうにつきましては、北海道取り締まり船二隻、それから海上保安部取り締まり船二隻が取り締まりに当たったということでございます。  ただいま大臣のお答えにもございましたように、本年度サンマ、ニシンの規制措置をどうするかということにつきましては、内地側は、あそこは公海漁場なんだから、自分たちが行ってとれるように、できれば農林大臣さんま漁業取締規則で、太平洋のみならずオホーツクまで含めた海域についてのさんま漁業取締規則というようにしてもらいたいという要望があることは御承知のとおりでございます。これに対しまして、北海道並びオホーツク沿岸小型漁船方々、この方々は、そういうことをやりますと、沿岸では建て網とか定置網があって、これとのトラブルが起こるという問題、それから、こういった方々は裏作があまりなく、主業サンマ漁業であるので、受ける影響が非常に甚大である、したがって、いましばらく内地の船の乗り入れは拒否したい、こういう立場で、まあ、全く相反する主張が続けられておるわけでございます。  いずれにいたしましても、従来はオホーツクにおきますところのサンマ漁獲というのは、先般も申し上げましたが、昨年は確かにかなりとれたわけでございますけれども、その辺につきまして、将来とも安定的にとれる漁場であるかどうかという問題もあるわけでございますから、私どもといたしましては、一つは、試験研究機関調査によりまして、サンマ資源状況並びに回遊の状況等につきましてさらに精細なる検討を進めるとともに、なお、現在内地船の入漁を主として拒んでおるオホーツク沿岸の小漁民方々経営実態というものがどういう実態で、サンマに対する依存度がどういうことになっておるかというようなことの実態調査をやっておるのでございまして、こういった事実を十分精査した上で最終的な取り扱いをきめたい。それに従いましてそれぞれの取り締まりの方法もあるわけでございますから、その際は、従来ともすると、取り締まりが手ぬるいというような御批判もあるわけでございますので、これに対処する体制をとっていきたい、かように現段階においては考えておる次第でございます。
  13. 美濃政市

    美濃委員 次に、大臣は、この北方地域安全操業について熱意を持って、いろいろ対策に当たられておるわけですが、この前、だいぶん前ですが、状況をお聞きしたことがありますが、最近の情勢は、何か平和条約についてもかなりこう姿勢が進んでおるように見受けられるわけですが、それに並行して安全操業について何か最近の情勢をお聞かせ願いたいと思います。
  14. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 お話しのとおりでございます。こういう見方をする人もあるのです。北方領土歯舞色丹国後択捉島を返してもらいたい、こういうことに対しまして、グロムイコ外務大臣が来たときにも、平和条約を討議する用意がある、こういうことになって、今年中に平和条約の問題を両国で討議するという運びになっていますが、平和条約という問題になれば領土の問題だけでございます。領土の問題ということになれば、日本では、四島を日本返還を強く要求している。ところが、あの鳩山内閣のときの共同宣言によりましては、歯舞色丹平和条約ができれば返すということになっておる。そのいずれにしましても、平和条約の問題で北方領土が返るような傾向ならば、安全操業なんということを話しする必要はもうないのじゃないか、領土が返ってくれば、安全操業は当然できるんだからと、こういうような意見——意見というか見方をする者がありまして、どうなんだということを私もジャーナリズムなんかから聞かれたことがあります。しかし、私は、北方領土が必ずしも日本要求どおりにそうたやすく返るということについては疑問を持っています。また返るとしても、四島そっくり第一段階として返るかどうかということについては、私はまだいろいろ疑問を持っています。  でございますから、領土問題は領土問題として日本への復帰を要望して、平和条約交渉を進めるのは進めるとして、安全操業問題は安全操業問題として——これは全体が一度に返るか返らないかという問題もあります、安全操業は四島にまたがっているのですから。そういうことをして、これも進めておって、また、このほうが妥結するということになれば、北方領土返還ということをまた非常に推進するような形にもなるし、そういう意味におきましては、これは平和条約交渉というようなことで、北方領土の問題で話を進めるのは進めてなおけっこうでございますが、同時に、安全操業問題も話を進めていくべきだ、こういう私は立場でございますので、その辺をモスクワ駐在日本大使にもこの問題を打ち切るなということ、あるいは後退することなく既定の方針でどんどん進めるように、こういう進め方をしておるわけでございます。
  15. 美濃政市

    美濃委員 具体的にはいかがですか。具体的な進展について何かこの際あればお聞かせ願いたいと思うのです。
  16. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 向こうの、ソ連のほうの窓口イシコフ漁業大臣です。外務大臣じゃございません。こちらは新関モスクワ駐在大使交渉窓口として進ませておるわけでございます。でございますので、一時とだえておったようでございますが、この間中二回か三回折衝を続けております。日本の新提案をしましたから、いつかお話し申し上げましたように、一番初めに赤城提案赤城私案というものがあり、その次に愛知提案があって、愛知外務大臣のときに歯舞色丹国後択捉、それを含めた周辺、こういうことでございましたが、そのあと私のほうから、領土問題に関連するものですから、領土と領海の関係もありますので、領土問題にあまりこだわると向こうも引っ込んじゃうものですから、これはほんとうに人道問題あるいは日ソ友好関係親善関係というような立場から、それから漁業の問題からと、こういう問題を通して取り上げて、漁獲量が非常に多い場所、それからまた日本漁船漁民が抑留されたり捕獲されたりする率の多いところ、そういう方針をきめて、その場所日本の船が安全操業できるようにせい、そういうことになりますと、結果は四島周辺、しかも国後択捉周辺のほうがそういう条件が多いわけでございます、漁民が抑留されたり魚が多いので。結果は愛知提案と同じようなかっこうになるのですが、一つ姿勢、そしてまた交渉をまとめるというような意味で、また私のほうから愛知提案のあとでそういう提案をしていますから、それをまず向こうに納得させるとか、そういう提案をひとつ了解させるということが前提でございまして、その了解はだんだん進んだようです。向こうも、なるほどというようなことで、話に乗ってきた、こういうようなことで進めておりますから、逐次その線で話をまとめるように進めたい、こういうような考えでございます。
  17. 美濃政市

    美濃委員 量後にお尋ねしておきたいのですが、サケマス指定海域漁業、七トン未満で拘束しておる。これは出漁状態その他から見て、漁獲の安全その他から見れば、いまの時代に合わない七トン未満で拘束しておる。しかも七トン未満で拘束するから、何か船の中にトン数に入らない部分を多少でもふくらまして船をつくりますから、船そのものがしけなどにあったときには——非常に変則、大きく変則とは言えないけれども、変則的な船がつくられた。これは早急にこの七トン未満という制限は、たとえばただいま審議しております中小漁業振興法指定業種あたりについてもかなり漁船員確保労働条件の緩和というところから改善していくのでしょう、漁船、漁具、装備というものを。あの荒波の中で、たとえば指定海域サケマス出漁を七トン未満で拘束しておるということは、これはもはや現時点の実情に合わない。この対策はこれからどうしようとしておるか。早急に手がけるべきだと思うのです。いかがでしょう。これは最初水産庁長官にお尋ねします。
  18. 太田康二

    太田(康)政府委員 私、まことに不勉強でございますが、七トン未満で……。ちょっともう一度言っていただけませんでございましょうか。
  19. 美濃政市

    美濃委員 サケマス指定海域というのがあるわけですね。許可漁業の中で指定海域というのがあるわけです。独航船と三十八度線以南、もう一つ指定海域というのがあるわけです。これは根室の沖から釧路の沖、太平洋のところで一定の地域を指定して、そこで三千トンか四千トンでないですか、漁獲量は。それを七トン未満で拘束しておるわけです。しかし、最長伸びると、やはりかなり太平洋上へ出ますから、それを七トン未満で拘束しておるというのは非常に実情に合わないわけです、安全とかそういう面から。これは早急に改善する要があると思うのですね。それをどうするかということを聞いているわけです。
  20. 太田康二

    太田(康)政府委員 おそらくお尋ねの件は、私ども指定漁業許可している分じゃなく、知事許可漁業の分だろうと思います。確かに漁船の船型の問題につきましては、安全性確保というような見地から大型化をする。それから漁獲努力にもつながるわけでございまして、私ども、一般的に申し上げますと、知事許可大臣許可漁業を含めましての北洋のサケマス漁業につきましては、現在、船の大型化ということよりも、むしろこれを抑制して経費節減をはかって、経営の安定をはかるというような方向にもあるわけでございます。北海道の場合に、確かに七トン未満というようなことで、これが操業上危険であるというような問題もあるわけでございますけれども、これを大型化いたしますと、またよけい沖に出るというような問題も実は出てくるようなこともあるわけでございます。  なお、全体としてサケマス漁獲という問題につきましては、どちらかと申しますと、資源保護というような点、しかもこの漁業を安定的に将来とも長く維持していくというような観点から、御承知のとおりな規制をいたしておるというようなこともございますので、あれやこれやを勘案いたしまして、十分私どもといたしましても道の意見等も徴しまして今後検討していきたい、かように存じております。
  21. 美濃政市

    美濃委員 確かにそれは知事許可部分であっても、監督水産庁でしょう。監督はしなければならないわけです。ただいまの長官が言われたようないろいろ過去の経過があることは私も承知しております。だからといって、そういう経過、そういう問題があるからといって、よくお調べを願いたいと思うが、知事許可部分ですから、ここで確答を得ようとは思わぬが、あの辺は太平洋の暖流と寒流が落ち合って非常に波が荒いわけです。こういう点、七トン未満でああいう出漁をするということは、非常に安全の上からも問題があるわけです。ですから、大切な漁船員の安全にかかわるものを、そういう過去の経緯や、ただいま長官が言ったような問題点があるからといってそのままにしておくということは、これは大きな問題があると思うのです、安全操業という上からも。ですから、たとえば船を大きくしても隻数を少なくすればいいんですから、そういう点は十分考慮する要があるが、いまの状態は全くだめだと思うのです。ですから、そういう点をひとつまず、知事許可であっても、やはり水産庁農林省としては、これは指導しなければならぬ立場にあると思うのですから、十分その実態を早急に調査して、できるだけ早い機会に指導体制方針というものを明らかにしてもらいたいと思います。
  22. 太田康二

    太田(康)政府委員 先生の御主張もよくわかりますから、よく実態調査いたしまして、調査をいたした上で処理をいたしたい、かように考えます。
  23. 美濃政市

    美濃委員 では、以上で終わります。
  24. 三ツ林弥太郎

  25. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 漁港法の一部を改正する法律案中小漁業振興特別措置法の一部を改正する法律案並びに漁業協同組合整備促進法を廃止する等の法律案、この三案について当局質問をいたします。  先日来、いろいろと論議がかわされてきておりますので、若干重複する点もあろうかと思いますけれども、一応この三法について質問をいたしまして、さらにこれに関連して、私は、海上交通安全法案がきょうから上程されて審議されるということでございますので、これに関連して、農林省当局のいろいろお考えをお伺いしておきたい。さらには、先般三月の十八日、予算委員会質疑をいたしました有明海天領区の今後の漁業操業問題について、また農林大臣管轄区域の拡張問題について若干触れたい、こう思います。最後には、日立造船がいよいよ四月十六日着工いたしまして、現にほとんど三分の一でき上がっておりますけれども、正式には一月認可に基づいて三月十六日起工式をいたしまして、世界第一の造船を誇るということではなばなしく工事が進められつつあります。これに伴う漁業補償等の問題について今後の万全の対策指導をお願いしたい、こう思いますので、これらの問題について質疑をしてまいりたい、かように思うわけでございます。  まず最初に、漁港法の一部を改正する法律案でございますけれども、私、先日ちょっと同僚委員からこれらに関して質問していることも伺いましたが、今回国の国庫負担率関係業界からもし五%にということで要望されておるんですけれども、国は六〇%を七〇%に今回引き上げをしておられますけれども、これについては関係業界からも、基本施設のうち外郭施設水域施設等について国庫負担率をぜひ七五%に引き上げてほしいという要望がかねがねあったわけですけれども、これについて経緯をひとつ御説明いただきたいと思います。
  26. 太田康二

    太田(康)政府委員 御承知のとおり、漁港負担率引き上げの問題というのは、毎度漁港大会等関係者方々から要望があることはわれわれもよく承知いたしておるのでございまして、そのうち本年度におきましては、私どもといたしまして、最も要望の強い、しかもわれわれがその要望にこたえる必要のあるということで、特定第三種漁港につきまして、国の負担率を百分の六十から百分の七十に引き上げるということにいたしたわけでございます。その際、百分の七十五というような主張も私どもいたした経過はあるわけでございますけれども、最終的には百分の七十できまったわけでございます。  なお、それ以外に今回の補助率引き上げ対象施設が、外郭施設水域施設だけである、係留施設は除かれたというようなこともあるわけでございますが、私どもといたしましても、決して係留施設が重要でないとかいうことを考えているわけではございません。しかし、御承知のとおり、事業規模全体を見ますと、何と申しましても外郭施設が最も大きなウエートを占めるわけでございまして、そういった面からいいましても、さらに国の財政投資の効果をより有効に発揮するというようなこともございまして、ある程度国庫負担率引き上げ対象になる施設につきましては、重点をしぼりまして措置をしたというのが実情でございまして、その結果、外郭施設水域施設というものの国庫負担率引き上げをしたという経過でございます。
  27. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 ただいまの経緯についてはわかりましたが、係留施設は今後どういうふうなお考えでございますか。
  28. 太田康二

    太田(康)政府委員 私どもといたしましては、国の国庫負担率のあり方という問題につきましては、他の公共事業とのバランス等も念頭に置きながら、さらに漁港それ自体の持つ重要性ということを認識しながら、絶えず検討しなければならないだろうというふうに考えております。
  29. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 次に、第三種漁港負担率引き上げですけれども、第三種漁港に限って、過去において負担率の改正が行なわれておりませんが、他種漁港とのバランスの点においても問題が生じてくるところのようでございまして、この際、直ちにということではないかもしれないけれども、近い将来において、この点については当然検討する必要がある、かように思うわけでございますけれども、第三種漁港負担率引き上げの問題についての水産庁の御見解をお伺いしておきたいと思います。
  30. 太田康二

    太田(康)政府委員 第三種漁港につきましても、先ほど申し上げましたように、特定第三種漁港と並びまして、毎度漁港大会等ではその負担率引き上げという要望があるわけでございます。そこで、私どもといたしましても、従来から検討は続けているのでございますが、まあ当面は極力事業促進につとめるということに重点を置くことにいたしまして、今回補助率、国の負担率引き上げということはいたさなかったわけでございますけれども、私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、引き続き他の類似の公共事業でございますところの港湾等との関連も考慮して検討を続けたい、かように存じております。
  31. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 次に、中小漁業振興特別措置法の一部を改正する法律案でございますけれども、この中小漁業振興特別措置法が今回一部改正されるけれども、実際問題として近海カツオマグロ漁業者対策にならぬではないか、こういうふうに私は思うわけでございます。かりに今度の法案が通過して該当者があるにしても、実際には零細漁民はこの該当の恩恵に浴することがなかなか困難じゃないか、こういうふうに、私、まず思うんですけれども、この点について、まず水産庁はこの法案適用にあたって、末端漁業者に対してはどういうふうに対処されていくのか、その対処方針をひとつまず最初にお伺いしたいと思います。
  32. 太田康二

    太田(康)政府委員 御承知のとおり、中小漁業振興特別措置法によりましては、農林大臣法律に定められておるところに従いまして振興計画を立てることになっております。第一次の振興計画の場合には、この振興計画に基づいて事業を実施される方々に対しての金融上並びに税制上の特別措置ということを講じてまいったのでございます。御指摘のとおり、近海カツオ・マグロ漁業の場合には、第一次の結果を振り返ってみますと、必ずしも所期のとおり進んでいないといううらみがあることは御承知のとおりでございまして、これは近海カツオ・マグロ漁業というものが、実際にはかなり隻数が多いわけでございますけれども操業している実態も少ない。しかもその中で五十トン以上の船になりますと、さらに数が限定されるというようなことで、どうも必ずしも所期の成績をあげなかったということでございます。今回の場合には、この法案の審議にあたりましては、いろいろ先生方からも御注意があったわけでありますけれども農林大臣がさらに第三次の振興計画を立てることになるわけでございまして、さらに今回の改正法律によりまして、構造改善事業計画というものを業界が自主的におつくりになる。その場合の基本的な方針につきましては振興計画で定めるということになっております。したがいまして、振興計画の内容があまりにも理想に走り過ぎますと、業界が立てますところの構造改善事業計画というものを非常に拘束することになる。したがって、その間は十分円滑にいくように調整をとれという御指摘がございました。私どもといたしましては、たいへんごもっともな御指摘でございますので、その点につきましては十分配慮してまいりたいというふうに考えております。  しかも構造改善事業計画を立てます場合に、カツオ・マグロ漁業につきましては、一方におきまして遠洋カツオ・マグロ漁業というものがございますし、他方に近海カツオ・マグロ漁業があるわけでございますので、近海カツオ・マグロ漁業につきましては、これらに従事いたしておりますところの漁業者を組織する全国団体としての全国漁業協同組合連合会がございますから、この全漁連に構造改善事業計画を立てていただいたらどうかということに考えておりまして、できる限り近海カツオ・マグロ漁業実態が反映するということを主眼に置いて指導をしてまいりたい、かように存じております。
  33. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 この中小漁業振興特別措置法の一部改正で、中小漁業が実際に恩恵を受ける隻数はどのくらいと水産庁は見ておられますか。
  34. 太田康二

    太田(康)政府委員 御承知のとおり、近海カツオ・マグロ漁業は、甲海域と乙海域に分かれて操業いたしておるのでございまして、甲海域は約五百隻、これは主として周年操業という形になっておりますので、非常に私ども考えておりますところの振興計画というものに乗りやすいというふうに考えております。乙海域漁船は大体約百隻でございますが、兼業形態が非常に多いので、どちらかと申しますと、この計画に乗りにくい。したがいまして、こういったものを一緒にひっくるめて従来やってまいりましたので、必ずしも達成率がよくなかったというようなことがあるわけでございます。  全体で申し上げますと、カツオ・マグロ漁業全体の金融上の措置といたしましては、大体前回の場合に、計画に対しましてたしか一三六%の達成ということになったわけでございますけれども近海カツオ・マグロ漁業の場合には、いま申し上げたような操業実態もあるわけでございます。したがいまして、一応近海カツオ・マグロ漁業というものは、全体として千五百隻近くの操業があるわけでございますけれども、実際にこの計画にうまく乗ってまいるものということになりますと、当面五百隻というような甲海域で従事しておる近海カツオ・マグロ漁業というものが主として対象になろうというふうに考えておるのでございます。
  35. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 これは許可隻数が、たしか私が記憶しておるところによると千七百隻で、移動をするのが八百隻くらい。事実組織に入っておるのが六百隻ということで、現在乗り組み員がかなり不足している関係から十分な漁業ができない。経営規模拡大というようなことがいろいろいわれておるわけですけれども、こういった点になかなか問題があるように聞いておるし、大蔵省関係からもかなりこれに対してはいろいろ問題が投げかけられたということで、今後の構造改善がむずかしいんじゃないかというふうな意見もあっているのですけれども、第一、乗り組み員があまり乗りたがらない、と同時に、乗り組み員が不足しているということで、いろんな問題があるように思うのですけれども、この点は水産庁はどのように分析しておられますか。
  36. 太田康二

    太田(康)政府委員 最初にちょっと、私、お断わりしなければならないのでございますが、先ほど近海カツオ・マグロ漁業、乙海域の隻数はおおむね千隻と申し上げたつもりでございますけれども、あるいは百隻というふうに答えたという注意もありましたので、これは千隻でございます。甲海域が四百七十二隻、乙海域が千四十八隻でございます。  そこで、御承知のとおり、カツオ・マグロ漁業につきましては、特にマグロ漁業でございますが、最近、資源的な理由もあるわけでございますけれども、釣獲率が非常に落ちております。そのために遠洋カツオ・マグロ漁業で申し上げますと、操業期間が十一カ月にも及ぶというようなことで、たいへん操業期間が長くなっておる。近海カツオ・マグロ漁業の場合には四十日くらいの操業が多いわけでございますけれども、そういった意味で、魚価高にささえられてある程度経営の維持が行なわれておるのでございますが、従来よりも操業が長期化するというようなことがあるわけでございます。  私ども、全体で、何と申しますか、賃金等の観点からいいますと、たとえばサケマス漁業あるいはカツオ・マグロ漁業というものは、どちらかといいますと、やや有利な部面に属しているというふうに考えていますが、ひとりカツオ・マグロ漁業のみならず、漁船員確保という問題は、まき網漁業あるいは以西底びき網漁業等におきましても、同様の問題があるわけでございます。  そこで、われわれはやはり生産性の向上をはかるとともに、特に漁船の環境改善というようなことに力を入れまして、船舶の乗り組み員の確保ということがなければ、漁業生産活動もないわけでございますので、ひとり近海カツオ・マグロ漁業のみならず、すべての漁業を通じて問題になっておる点でございます。今回の一斉更新にあたりましても、船員設備基準等につきましても、十分環境改善という点に力を入れまして、これを強制通用していくことによって、これが直接的な手段ではございませんが、乗り組み員の確保ということに意を用いてまいりたい、かように存じております。
  37. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 水産庁長官、そこで、構造改善事業は水協法に基づく団体でないところは扱えない、そう思ったのですが、その点、ちょっと確認したいが、どうですか。
  38. 太田康二

    太田(康)政府委員 改正法で書いてございますが、原則としては水協法に基づ漁業協同組合が考えられるわけでございますけれども、さらに政令で定めるその他の法人ということで民法第三十四条の法人も対象にいたしたい。と申しますのは、やや先走った答弁になるわけでございますけれども、今回の法律が通過いたしますれば、指定業種の中から特定業種として指定いたすものはカツオ・マグロ漁業と以西底びき網漁業、これが昭和四十二年に指定をいたしました業種でございますが、これを考えております。その中で以西底びき網漁業につきましては、これらの漁業に従事をしている漁業者全員が組織をいたしておりますところの遠洋底びき網漁業協会という民法第三十四条の法人があるわけでございます。構造改善事業は業界の自主的な総意によってつくられるというたてまえにいたしておりますので、以西底びき網等につきましては、いま申し上げた団体が最もふさわしいのではないかというふうに考えておりまして、一応原則は、先ほど申し上げましたように、遠洋カツオ・マグロのような場合には日かつ連、近海カツオ・マグロ漁業の場合は全漁連ということで協同組合の連合会が主体になろうかと思いますが、いま申し上げたような実態があるわけでございますので、法律上で先ほど申し上げたような手当てをいたした次第でございます。
  39. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 近海鰹鮪漁業者協議会というのがあるのですが、これは水協法に基づかないところの任意団体であるわけですけれども、水産関係の中小企業というのは零細の中の零細、こういった企業でございます。そこで、今回の改正注によって構造改善がなされますと、先ほども若干触れたわけですけれども、実際税制上の優遇措置をしていただいても、はたして法律を消化して実行できるかどうかということがほんとうに心配であるし、実際これは無理じゃないかと私は思うのですが、この点についてもう一度、具体的にどういうふうにこれを消化させる、また税制上の優遇措置を果たされる、こういうふうに決意を持って今回の改正に臨んでおられるのか、この点をひとつやってもらいたい。さもなくば、今回の法改正をやっても、ガスぶろみたいに上だけかっかとして下は全然冷めたくて効果を果たさない、こういうことになりかねない。これは大蔵省の圧力に負けておるのではないかというふうにも思うわけです。そういう圧力ということばはどうかと思うが、要するに、こちらの折衝が十分でないのではないかという批判も受けるわけですけれども、その点、水産庁長官、せっかくこの法が改正になって末端の人が安心して大いに恩恵に浴する、そしてわが国水産業の発展に大いに寄与する、こういうふうにしていただきたいと思うのですが、その点についての対処方針をお聞きしたい、かように思うのです。
  40. 太田康二

    太田(康)政府委員 経営規模の拡大ということが中小漁業振興特別措置法の振興計画で定められる大きな目標の一つになっておるわけでございます。これを達成するためには、合併の促進あるいは権利の譲渡というようなことによりまして行なわれるわけでございまして、その際の税法上の特別措置というのが考えられておるのでございます。  ただ、私どもが第一次の振興計画を立てましたときに、個別経営経営収支を見てまいりまして、できますれば四隻以上の規模にすることが好ましいということで、経営規模の目標として四隻にするというようなことを目標にいたしたわけでございます。実際これがやや実情に即さなかったというような意味で、先生御指摘のとおり、税法上の恩典に浴したケースが非常に少なかったということは、率直にわれわれ反省しなければならないわけでございまして、そういった意味で、前の振興計画はあまりにも硬直的に過ぎるというような御批判もあったわけでございます。  そこで、私どもといたしましては、一挙に四隻に経営を拡大するというようなことを望みましてもなかなか無理があるというような反省もいたしておりまして、今後におきましてはやはり経営の規模の拡大というようなことは追及しなければならないわけでございますけれども、現在一隻ないし三隻の経営を続けているようなものが経営規模の拡大をするというような場合、たとえば一隻ふやすというような場合でも、今後は経営規模の拡大ということにつながるわけでございますから、そういったものも今後は対象に入れて、振興計画を定めるべきではないかというふうに目下のところ考えております。したがいまして、そういったことになりますればかなり実行もしやすくなるのではないかというふうに考えております。  私ども従来経営面についての指導という点について、確かに多少力が至らなかったというふうに思いますので、この点につきましては、将来の方向として経営の安定ということが一番でございますので、特に今後は力を入れてまいりたいというふうに考えます。そういったことが実現を見ますれば、租税特別措置法の税法上の恩典というものに浴するケースも当然ふえてくるわけでございますので、せっかく制度をつくりながらその恩典が受けられないというようなことではまことに遺憾でございますので、十分反省して、振興計画を定める場合にこういった点も十分配慮してやってまいりたい、かように存じております。
  41. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 農林大臣、ここらであなたにひとつ、いまの答弁に対して大臣からも決意をぜひ述べていただきたいのですが、大臣、いまお聞きいただいておるかどうか知りませんが、構造改善をするにあたっても税制上の優遇措置ということが、漁業がいわゆる零細企業であるがゆえにはたして消化できるかどうか、恩恵に浴することができるかどうかということをいま質問したわけです。これらについて現在まで水産庁指導が至らないということで、私、いま指摘しまして、水産庁長官からもまことに力至らなくて申しわけない、今後経営の安定にも、今回の法案が通れば力を入れていくという決意がありましたが、これは言うばかりではだめで、実際こういうところは、机上の計画ではやるけれども、末端は全然恩恵に浴さないというのが実情で、ますます水産業の零細企業は乗り組み員の不足とそれから減少に伴って衰退をしていく。海国日本といわれて四囲海に囲まれた日本がそういうことでは嘆かわしいと思う。こういったことに対して、またあとで出てきますけれども海上交通安全法案関係するのですけれども、ますます漁場が圧迫を受けるということになってまいります。ベテランである農林大臣は、こういったことについてあたたかい手を差し伸べていただいて、国民の食料生産に日夜命をかけて風雨にさらされながらやっているわけですが、こういった漁民に対する指導を徹底して、せっかく中小漁業の振興特別法が制定されて一部改正になり、その恩恵に浴するように格段の努力と指導を、水産庁長官を叱咤激励して、されるようにしていただきたいと思うわけですが、それに対する大臣の御見解を承っておきたい、かように思います。
  42. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 実情はお話のとおりだと思います。そしてまた、農林省の中小漁業経営規模拡大ということが、どうも話を聞きまするのに、理想的といいますか、計画が少し大き過ぎて、実際そのとおりに進まなかった、こういうふうに私も見ております。でありますので、そういう点を反省して、今度実行可能なように考えて、中小漁業の振興をはかろうというような法案をつくったのでございまするから、法案をつくりました以上は、これら中小漁業がやっていけるように——いまお話に叱咤激励ということばがございましたが、私も叱咤激励して一緒になって振興するようにつとめたい、こう思います。
  43. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 本法に関して水産庁長官からもう一、二点ちょっとお伺いしておきますが、私はまあ各県に三十ぱいくらいあれば何とか全漁連は立っていくんじゃないかというふうに思うのですけれども、一県平均どのくらい隻数がございますか。
  44. 太田康二

    太田(康)政府委員 先ほど申し上げましたように、カツオ・マグロ漁業のうちの近海カツオ・マグロ漁業につきましては、甲海域操業しておる主として専業船、周年操業をいたしておるもの、約四百七十二隻、それから乙海域操業しておる兼業船が約千隻ということでございます。しかし、御承知のとおり、その主要な生産県に非常に多く片寄っておるという意味で、四十県で割りますれば平均三十五、六隻ということになるわけでございますけれども、主要なカツオ・マグロ漁業の生産県ということになりますと、静岡とか神奈川とか高知とかいうようなところにかなり片寄っておるということはあるわけでございまして、先生のおっしゃるように、平均的に各県三十隻ぐらいずつでどうだということには必ずしもならぬわけでございます。
  45. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 私はひょっと思い出したものですから、一、二点追加で大臣が答弁したあと突然聞いたわけですが、三十ぱいくらいあると大体主要生産県——大きいところはもちろんたくさんあるわけですけれども、成り立つんじゃないかということをよく聞くのでありますけれども、生産県で三十隻以下のところはどのくらいありますか。たとえばどういうところがそれに該当するか、いま資料があったら、ちょっとお知らせいただきたいのです。
  46. 太田康二

    太田(康)政府委員 資料としてはちょっと古いのでございますが、四十五年一月一日現在で千五百九十九隻に相なっておりますが、関係県といたしましては、数が十四県でございます。  その中で多い県を申し上げますと、岩手県の百九十一隻、千葉県の百五十九隻、宮城県の百五十五隻、北海道の百五十二隻、静岡の百十五隻、鹿児島の百三十四隻、高知の百二十四隻というようなところが百隻をこえる県でございます。  比較的少ない県といたしましては、大分県が三十四隻、その他の県として、これはちょっと県の数がわからないのですが百六十二隻ありますから、先生のおっしゃるように、三十隻以下の県もかなりあろうかと思いますが、どちらかと申しますと、カツオ・マグロ漁業の場合には、先ほど申し上げましたように、たとえば静岡とか高知とか岩手とか宮城とかいう主要県に片寄っておるというようなことが言えるのではないかというふうに考えております。
  47. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 水産庁長官、はしなくもこうして発表していただきましたが、こういったことは当然質問があるだろうということで準備しておくべきだと思うし、たまたま発表した資料がちょっと古い——ちょっとじゃなくて、もう二年前の資料で四十五年一月一日の資料ということですが、今回の法律改正にあたって、こういったことが基礎データとして問題になって、今回の法律を改正するということになろうかと思うのです。もちろん審議の過程でこういったことがよく煮詰められて、各課長また係長その他検討が進められてきておるのが当然である、こういうふうに思うわけです。農林大臣も今後は叱咤激励してしっかりやるということなんですけれども、これを聞いてすぐ即答できない、たまたま回答した答えが古い答えだということでは、全く、さっき言ったガスぶろみたいに上だけが熱くて下が全然あたたまらない、一つ影響がない、恩恵に浴さないというようなことにもなりかねないということも言えるわけで、これは県としては、主要県は三十ぱい以上ないと今度の法律が改正になっても成り立たないということが言われているわけです。私も専門家でないけれども、各地を回れば、こういったことをよく聞くわけですが、何かこういう機会に、水産庁の御見解も、また末端指導の御見解もぜひよく聞いておきたい。そうしてまた、皆さん方にあたたかい政治の手が伸びるように努力したい、こう言って約束もしているものですから、こういった答弁では、これは議事録を配って見せても、私も申しわけないと思うのです。もっと新しいデータがないものか。三十隻、二十九隻以下くらいの県は何県くらい、どこどこ、そういうことがはっきりわからないようでは実にさびしい限りでございますが、どうですか。あとでまた資料で出していただけるものか。何かつけ加えて答弁でもあれば、さらにひとつ御答弁をいただきたいと思うのです。実際に三十隻以下、厳密にいうと二十九隻以下くらいのところでは、これはたいへん経営がむずかしいということも言われておるわけですが、その点、どうでしょうか。
  48. 太田康二

    太田(康)政府委員 御承知のとおり、指定漁業許可は五年間ということに相なっておりますので、先ほど申し上げたような各県別の隻数につきましては、ほとんど移動がなかろうと思います。発生地的に見ましても、いまカツオ・マグロ漁業というのはそれぞれの発生地的な理由もあるわけでございますので、一部特定の県にかなり高い率で集中しているということはやむを得なかろうと思います。  それから水揚げの問題になって、先生、おそらくその関係でおっしゃっているのだろうと思いますが、やはり生産者といたしましては、できるだけ有利な市場に持ってくるということになるわけでございますので、カツオ・マグロの場合には、近海カツオ・マグロではもちろん地元に水揚げするという場合もあるわけでございますけれども、総じて申し上げれば、焼津とか清水とか三崎とか東京、こういったところに集中的に水揚げされておる。そこに水揚げすることが漁業者にとっての手取りも最も高いということも言えるわけでございまして、先生のおっしゃる、何と申しますか、地元との関係における適正規模論というのですか、そういった問題御趣旨はよくわかりますが、実態はいま申し上げたようなことになっておるということでございます。
  49. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 それでは、実際の主要生産県を含めこういったカツオ・マグロ漁船等の実態については、これは何年かおきに調査されるのか、またいずれ掌握されるであろうけれども、どういうふうになっているのか、それだけでもひとつお聞きしておきたい。近々こういった隻数についても何か法によって調査するようになっているのか、さもなくば三年おきにやるのか、いずれ近いうちに調査をしてこういったものを明らかにする予定であるのか。大体移動はほとんどないであろう、こう言われているけれども、そういったことがわからぬようでは、われわれも今後の審議の進めようもございませんので、今後どういうふうに掌握をされるか、その方法だけでもひとつこの機会にお聞かせいただきたいと思います。
  50. 太田康二

    太田(康)政府委員 許可の隻数等につきましては、先ほど申し上げましたように、指定漁業の場合には原則として五年でございますから、まず一斉更新のときに、許可すべき隻数というものをきめて公示をいたしまして、それの申請に基づいて五年間許可をいたしておるということで、もちろんその許可をいたしましても、漁協等の関係によりましては就業しないというようなこともございますが、できるだけ実態をつかむように、私どもは業務統計で毎年各県から報告を求めておりまして、これによって実態の把握に当たっておる。それから、漁獲高のほうにつきましては、御承知のとおり、統計調査部のほうで、それぞれの組織を通じまして漁獲高の統計は年々実施いたしておるということでございます。
  51. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 それではもう一点、振興計画に基づいて構造改善等がなされ、実際問題として今回の法改正によって、こういった団体がまず構造改善の計画を出せるかどうかという問題もちょっと心配なんですけれども、いずれにしても、税金とか割り増し償却はしたが、それができるか、また、うまくいくかどうかということがたいへん懸念されます。また、国にしても、県にしても、漁協にしても、これが運営面で実際どれだけできるかどうかということが問題になると思うのです。ほかの仕事もたくさんあるわけですから、この法律改正に基づいて、これに没頭するということにはまいらないわけですね。国、県、漁協がこれらの振興計画、構造改善、こういったことについて、どれだけ没頭できる見通しを持っておられるか。実際に、税金、割り増し償却の実効があがるか、こういったところはどういうふうに分析されて、今回の法案を提出されておるのか。その点、明確にひとつお答えいただきたい。
  52. 太田康二

    太田(康)政府委員 私どもといたしましては、第一次の振興計画を実施いたしました経緯も十分踏まえまして——先ほど来大臣の御答弁にもございましたように、構造改善事業計画の基本になりますのは振興計画でございます。税制上の特典ということになりますと、やはり経営規模の拡大の問題が中心になるわけでございますから、従来のように、あまり理想に走り過ぎて、現実と遊離したような振興計画を立てますと、これを受けての構造改善事業計画になりますので、実効があがらないということもあるわけでございます。  そこで、先ほども申し上げましたように、私どもといたしましては、現実の姿を十分踏まえた上で、一歩でも経営の近代化に近づけるというような趣旨で、振興計画を定めることにいたしております。振興計画が構造改善計画の基本的な方針になるわけでございますから、振興計画を定める場合にも、先生御指摘のように、関係団体とも十分話し合いの上で、調整をとった上での振興計画になろうかと思います。それに即して、業界自体で構造改善計画をお立てになるわけでございますから、今度の場合には、業界の自主性に基づいての構造改善計画ということになるわけでございますので、御指摘のような税法上の優遇措置というような点につきまして、従来はあまり芳しくなかったわけでございますけれども、今回は、私ども、まだ具体的にどれだけどうなるかというところまでは詰めておりませんが、この法案が通りました暁におきましては、すみやかにそういった点につきましても精査をいたしまして、法律の制定の趣旨が十分生かされるように関係団体等ともはかり、これらの指導にも当たってまいりたい、かように存じております。
  53. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 いま水産庁長官の言われたことは、一応はわかりますが、税制上の優遇措置が、従来はその達成についても芳しくなかったと正直におっしゃっていますが、芳しくないどころか、はなはだしくできなかったというように私は言いたいわけです。あまり四角ばった答弁でなくて、県、国、漁協が実際に仕事は十分できますか。よほど強力な指導をしないとたいへん無理じゃないかと思うのですけれども、その点については十分に自信があるわけですか。くどいようですが、もう一ぺん決意をお伺いしたいと思います。
  54. 太田康二

    太田(康)政府委員 私どもの四十六年度までの数字で申し上げますと、一部推定を含みますが、漁船の割り増し償却を実施した中小漁業者数は四十六年度末で延べ四百二十九、経営体といたしまして毎年一割前後ということで、制度の恩典を受けておるわけでございます。したがいまして、こういった経過も十分踏まえまして、今後指導を強化して特典を受けられるようにいたしたい、こういうふうに考えております。
  55. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 本法の一部改正、これはもう通過をすることはまず間違いないわけですが、この施行にあたっては、いまいろいろ議論しました問題について、ぜひひとつ、指導の不十分な点は強力に指導をしていただいて、この法が生かされるように、そして末端漁業が成り立つように、漁民を救済していきますように、特に強力に大臣をはじめ各関係者にお願いをいたしておきます。  次は漁業協同組合整備促進法を廃止する等の法律案について若干お尋ねします。  まず最初に、本法廃止後の不振協同組合の対策でございます。これについては、今後における漁業の生産環境というのは著しく悪くなる、これはもう皆さん方をはじめ大方の人の見通しでございまして、これに伴って生産量がますます減少していって、経済の動向等の事情からも漁業協同組合の経営が不振になっていくということも考えられるわけでございます。こういったことを踏まえまして、現在の不振組合への対策または今後の不振組合に対する対策——そういったふるわない組合がますますふえてくるという傾向にあるわけでございます。これは農協の場合でも同じことが言えるわけですが、こういったことに対して、本法廃止に伴いまして今後どのように見通しを立て、対策を立てておられるか。その点は十分踏まえての今回の廃止だと思うのですが、同僚議員からも質問があったかと思うのですけれども最初にこの点をお伺いしておきます。
  56. 太田康二

    太田(康)政府委員 整備促進法を実施して整備基金をつくりまして、合併の推進並びに不振組合に対する利子の免除というようなことを実施してまいりまして、協同組合の経営が非常に向上いたしたことは御承知のとおりでございます。そうは申しましても、なお不振組合があるということはまぎれもない事実でございまして、私どもといたしましては、漁業協同組合の育成策ということで、経営基盤を拡充強化することが最も急務であると考えられるので、昭和四十二年から漁業協同組合合併助成法に基づきまして漁協の合併を推してまいったのでございます。ただ、漁協の場合には、御承知のとおり、漁協が漁業権の管理団体というような性格もございまして、合併の対象になる漁協との間の調整が困難でございますので、これも必ずしも計画どおりには進まないというようなうらみがあったのでございますが、先年の国会におきましてこの合併助成法をさらに五十一年三月三十一日まで五カ年間延長された経緯もあるわけでございますので、私どもといたしましては、当面、経営基盤の強化のための漁協の合併促進ということに力を入れてまいりたいと思っております。  なお、この推進のために、国といたしましては漁協に対しまして、駐在をして指導するあるいは巡回をして指導するというような経費を都道府県に助成いたしまして合併の推進に当たらせるということ、さらに合併推進活動のためのもろもろの経費につきましてもその助成をするということをいたしておるのでございます。  また、先般、二月でございますが、全国の漁業協同組合連合会をはじめといたしまして、系統団体の総意に基づいて、系統運動の一環といたしまして全国漁業信用事業相互援助制度というものができ上がりまして、これに基づきまして取りつけ等の騒ぎの起こるような漁協に対しましては、この基金から返済に充てるための資金を貸しつけるというような制度もこしらえたのでございます。これによりまして、何もいたしませんと、そういったことが起こりますと、ともするとこれが連鎖反応的に他の漁協の預貯金にも及ぶというようなこともございますので、せっかく系統といたしましても預貯金の増額大運動を展開していることでございますので、こういった制度の発足を見たわけでございます。こういったことによりまして、不振組合というものを事前に防止していくというような系統運動としての体制もとられておるのでございまして、私どもといたしましては、県を通ずる助成措置によりましてさらに系統とともども系統運動として強く合併促進ということに突き進んでまいりたいと存じております。
  57. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 この漁業協同組合整備促進法を廃止する等の法律案につきまして若干質問があるところでありますけれども農林大臣が正午から所用のためにどうしても時間がとれないということでございますので、退席される前に若干差し繰りまして大臣にぜひお聞きしておきたいことがございますので、はしょって二、三点お聞きしておきます。  まず、簡潔に申し上げますが、冒頭今日の質問で問題を提起したわけでありますが、海上交通安全法案がいよいよきょうから審議がなされるということで当該委員会提案されることになっておりますが、今後審議をしていくという段階でいろいろ問題が明らかにされるわけでありますけれども、本日をおいてこれを質問するチャンスがちょっとございませんもので、今回の水産三法に関連してこのことをお尋ねしたいと思って実は用意いたしたわけであります。はしょって姿勢だけひとつ大臣にお伺いしたいと思います。  まず第一点は、今回海上交通安全法案提案されたわけでありますが、当該農林大臣として、この法案に対して漁民を守るという立場からこの法に対する基本的な大臣のお考えをひとつ承りたい、かように思います。
  58. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 海はもちろん漁民の水産の場であり、生活の場でございます。そういう場所でございますが、最近、船が大型化したり、また石油の船なんかも大型化して、海上の衝突もひんぴんとして出てきているようなことでございまするから、交通安全のために協力するということは農林省としても当然だと思うのです。ただし、漁民立場に立って漁民を保護し、漁民の生活を守っていくという立場でございまするから、漁業に支障を来たさないような線で協力していくということが農林省立場水産庁立場と私は思っています。漁民等におきましてもこれに対してだいぶ強い反対などもあり、デモなどがあって、私どももそれを聞いております。そういう切実な問題もございますので、漁民立場に立って漁民の生活を保護する、そういう意味においての協力、こういうことで協力していきたいということで、大体大きな線で話がまとまって法案提案というようなことにまで運んできたのでございますが、なお、この法案の審議の過程においてあるいは実施の過程において農民の立場漁民立場というものをよく納得さす説明をさせて、支障のないように進めていきたい、こう思っております。
  59. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 農林大臣からただいま基本的な考えをお聞きしましたが、全く当を得た答弁だと、私、思うのですが、今回この法案が上程されてきょうから審議が始まるということで、新聞紙上にもいろいろととやかく論評が出たりしておりますが、日本船主協会、日本石油連盟、日本鉄鋼連盟等が、狭い航路で巨大船舶を優先して通すということから、今回の法案に対して補償をするということで、漁民対策費として約三十億円を出すというようなことがいろいろ取りざたされております。こういったことについて大臣の耳にも入っておると思いますが、これに対して大臣はどういう御見解をお持ちであるか、簡潔にお答えいただきたいと思います。
  60. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 いまの補償を出すということは、出してもらったほうがいいと思います。陸上でいえば土地収用の関係に似たような形も出てくるのでございますから、それに対する補償を出すということは当然であり、私は喜んで受け入れるべきだと思います。
  61. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 その補償を出すことはいいということでございますけれども、額についてはどうでしょうか。
  62. 太田康二

    太田(康)政府委員 この法案を審議する過程におきまして、漁業補償するかどうかという問題が実は大きな問題になったわけでございまして、御承知のとおり、一番大きな規制は、漁労船が巨大船に対して避航義務を負うという点でございます。避航義務を負うということは、やはり海上交通の安全を確保するために、お互いにその間の調整をはかるための避航ということで、巨大船の場合は運転等が非常に不自由な船でございますので、どちらかといいますと、漁労船のほうが避航義務を負うという形になったわけでございますけれども、これは海上の交通の安全を確保するということから受忍すべき範囲に属するということで、法律上は直ちに補償の対象にはならないというのが法制局の見解であったわけでございます。そうはいいながらも、先ほど大臣もおっしゃいましたように、これを実行することによりまして漁業に対する影響がないとは言えないわけでございます。  そこで、私ども聞いておりますのは、漁業者がこの航路における円滑な交通をはかる上において、操業を早期に切り上げなければいかぬという場合も、避航の義務が伴うわけでございますからあり得る。そこで魚獲量がそのために低下をするということも一応考えられるわけでございまして、こういったことを配慮していまの金額がきめられたということでございます。
  63. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 大臣が用事があるので、一、二点大臣にお伺いして、あとは水産庁長官に残っていただいてゆっくりお聞きいたしますので、大臣にお答えいただきたいと思います。  この機会に大臣のお考えをお聞きしておくわけですけれども、いずれにしても従来漁民が既得権を持って漁業に従事してきた地域に、時代の趨勢ということも十分わかりますが、そこのけそこのけお馬が通るというかっこうで、そこのけそこのけ大型船が通るというかっこうでやられたんでは、漁民もたまったものじゃない。それはそれなりにもちろん今後の船舶海上安全交通に対しては協力もしなければならぬが、漁民に対しても、長い間国民の食料生産に携わり、今後もまた続けていこうということで国民に寄与してきたことは十分国民も承知しているわけでございますので、こういったことに対しても十分対処してもらいたいと思うのです。  三月二十二日ごろでしたけれども、海上保安庁の第六管区本部長が、岡山水島水道で八百隻の反対デモをやった際に、魚屋さんの運動会だ、こういったことを公然と言っているのを私聞き、また新聞紙上でも見ましたが、こういうことが政府当局の中で軽々しく言われることはけしからぬ、全く言語道断である、かように思いまして、このことをいつかはと思って、きょう運輸省関係それから海上保安庁もここへ呼んで糾弾する予定でございましたけれども、きょうから同法案が当該委員会に付託されるということで、ひとつ何とかかんべんしてくれ、こう言うものですから、審議の都合できょうは特別に本委員会に来ぬことを了解しました。いずれまたこのことは機会をとらえて当該委員会でやる予定ですが、こういった考え法案を通し、対処されると漁民はたまったものじゃない、こういうふうに実は思う。  そこで、今後無制限に大型タンカーを内海や港湾に入れるということが問題である。現在各団体で、東京湾では二十万トン、瀬戸内海では十五万トン、これ以上の船はもう無理である、また先般の新潟沖のジュリアナ号等の問題もございますので、これ以上は入れるべきじゃないという意見が強い。大型タンカーの規制の問題と、また現在できている大型タンカーを東京湾あるいは瀬戸内海といった内海に入れる場合のトン数については、せいぜいどのくらいまでだというふうに大臣はお考えであるか。もちろん海上保安庁、運輸省等でも向こう向こうなりにいろいろと見解があると思いますけれども農林省としてはどういう見解をお持ちであるか。まあ、大臣もいろいろ御用があるようですから、あとの問題は各関係者にお伺いするということで、その点だけひとつ大臣の御見解を承っておきたいと思います。
  64. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 いまお話しのように、海上交通安全法案についての御意見、ごもっともだと思いますが、農林省としても、外海の適地に中継基地を設けて、巨大な船舶の内海航行を制限するという方針を話し合って進めたいと思っています。内海でもたとえば、御承知のとおり、タンカーなどにつきましても、東京湾にあまり入られては困るということで、鹿島なんかにつくって、向こうのほうへ主として入るようにやったのも一つの手でございますが、この海上交通安全法案ができ上がる機会に、いまお話し申し上げましたように、外海の適地に中継基地を設けて、巨大な船舶はそこの基地で陸揚げといいますか、石油なんかもそこへおろして、あとは小さい船で陸のほうへ運ぶということ、それで内海の航行をそういう意味におきまして制限して、漁民立場等も擁護していくという方針をこれからも進めて、農林省としては当局とよく話し合いをしていこう、こう思います。
  65. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 では大臣、いろいろ用事があるようですからけっこうです。あと水産庁長官に自後の問題をお聞きします。どうもありがとうございました。  水産庁長官、引き続きいまの問題で若干お尋ねします。法案がきょう提案されるわけで、まだこれから審議されるわけですけれども、この問題は運輸省のみならず、われわれ農林漁業者に大きな影響を及ぼすわけで、先ほども大臣にお伺いしましたように、海上交通安全法案が通過しますと、かなり漁民に対しても圧力がくることはもう十分承知できることでございます。もちろん今後の海上安全についてはわれわれも協力しなければならぬし、すでに空はニアミスが起きて空の交通ということがきびしくいわれておるし、陸上はもう申すに及ばず、いわゆる陸海空の三つの規制が当然考えられるわけでありますけれども、かといって漁民に対する十分な補償、手当てがないでは、これはわれわれとしても国会で審議していく上からたいへん申しわけないことになるわけでありまして、大臣からも言うべきは言い、またこの法案国会審議にあたっては農林省の基本姿勢も十分示していただいて、漁民を守るために対処していただきたい、かように思うわけであります。  そういったことで、きょうは運輸省あるいは運輸省の中に所属しております海上保安庁を呼ぶように一週間前から通告をしてあったのですけれども、けさ急にかんべんしてくれということで、向こう向こうの事情がいろいろあるようでございまして、私のほうは了解しましたが、この機会にはっきりした水産庁としての御見解を承っておかないとなりませんので、お尋ねするわけです。  いま大臣にもお伺いしましたけれども水産庁長官はどうですか。大型タンカーが最近どんどんできておりますけれども、いま大臣は、中継基地を設けて、そこから陸揚げを進めるとか、いろいろなことを考えるべきだと言っております。そういったことはわれわれも言うのですけれども、言うはやすく、実際は大型が相当内海に入ってくるということです。漁民を守って、直接指導に当たっていく水産庁長官として、今後東京湾、瀬戸内海に大型が入る場合は、せいぜい東京湾には二十万トン、瀬戸内海には十五万トン——現に航行しておりますが、これ以上は規制すべきだ。これ以下でもたいへんなんだけれども、一応そういったところで線を引くような基本姿勢を持つべきではないか、こういうふうにも私は思っておるのです。この二十万トン、十五万トンがはたして妥当かどうかということも問題ですけれども、それについては水産庁長官はどういう考えですか。むやみに入れていい、トン数は三十万トン、五十万トンでもけっこうだ、こういうふうに思われるのか、それとも、もっとずっとトン数を落としたものにしていくのか、すべて二十万トンないし十五万トン以上は外海にそういった中継基地をつくってやるというふうに、強力に運輸省関係にも申し当たるつもりなのか、そういった点はどういうふうにお考えか、ひとつ具体的に長官のお考えを承りたいと思います。
  66. 太田康二

    太田(康)政府委員 内湾、内海の漁業を守るためには、そういった大型船、巨大船の入域を制限するということが好ましいことは言うまでもないわけでございますが、現在の臨海工業地帯の機能維持というような面もまた考えなければならない問題でございます。したがいまして、この法案の審議の過程におきまして漁民の方が最も心配している点は、やはり内海、内湾への大型船の入域制限ということを法律上はっきりしてもらえないかという要望であったわけでございます。私どもこの点を考慮してだいぶ運輸省とも折衝いたしたのでございますが、現段階におきます実態から見ますと、いま直ちにそういった措置はなかなかとれないということでございますが、将来の課題として、先ほど大臣のおっしゃったような条件を全部整えつつ、そういった規制も加えなければならぬということについては、基本的方向として一致を見ておるわけでございますので、すみやかにそういった所要の措置を講じつつ規制を強化するという方向で進むべきであるというふうに考えております。
  67. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 さっきも申しましたが、今回この法案提案されて、将来いずれこういった規制がなされるということが考えられるときがくると思うのです。また、この法案が通過するかどうかということもいろいろ今後の審議によってきまっていくわけですけれども、内海にしても内湾にしても、交通規制ということは重大な問題になることは当然であります。新潟のジュリアナ号のタンカー座礁事件のようなこともひんぱんに起きてきております。その上に大型船が入ってきて、そこのけそこのけということになりますと、これは相当近海漁業が圧迫を受けることは当然でございまして、補償金の問題で、先ほど長官から、また大臣からもいろいろと答弁がございましたが、水産庁としては、こういった海上交通安全法案提案されてから相当日にちがたっておりますので、補償について、いろいろ千差万別でありますけれども、どういうふうに検討し、またこれが法案が審議される過程において、将来対処するためにはどういうような補償の基本姿勢を持っておられるかということを若干触れられましたけれども、新聞によると、運輸省には十億円を準備してどうのこうのといったり、いろいろいわれております。その点、もう少しく水産庁長官から、こういった問題に対して、漁民を守るためにどうあるべきであるというようなことを踏まえて、いろいろ煮詰めておられるか、検討しておられるか、それとも全然用意をせずに、法案が通ったあとで考えるというようなことで、こまかい煮詰め方をやっておられないのか、その点、この機会に、発表できる範囲でけっこうでございますので、御見解をひとつ述べていただきたい、かように思います。
  68. 太田康二

    太田(康)政府委員 先ほど申し上げましたように、法律的には補償の義務は負わないというのが、政府の公式見解になっておるわけでございますけれども、確かに避航の義務を負ったり、あるいは航路が特定されまして、航路に集中的に船舶が集まるというようなことに伴いまして、いままでの漁業活動が若干の制限を受けるという実態があることは、これまた当然のことでございます。  そこで、先ほど先生がおあげになったような団体で、そういったことに伴います協力費というような形で、漁民方々に協力費をお出しするということになったと聞いておるのでございまして、おそらく漁業の側といたしましては、全漁連が代表して折衝に当たるのだろうというふうに考えております。  その際、実際にどれだけの支障が出るかというようなことにつきましては、私どもにどんな考えがあるかというようなことで意見を求められたことはございます。私どもといたしましては、従来行なわれておりましたその海域におきますところの漁業の生産の実績というようなものもわかっておりますから、そういったものを参考にしながら、実際にどのくらい避航義務が発生するかということにつきまして、東京湾の場合では、現在避航を要する巨大船というようなものの入港は大体一日に十七隻くらいである、瀬戸内海の場合は七隻くらいであるというようなことを聞いております。また、漁業の種類によりましてこれの影響をこうむる度合いもそれぞれ違っておりますし、航路の面積もわかっておりますが、その航路で具体的にどれだけ漁獲が行なわれたかということは実際はわからないというのが偽らざる事実でありまして、それこれ勘案いたしまして、先ほど申し上げたような考え方で一応被害を推定し、通常、公共事業あるいは防衛庁の演習等が行なわれる場合に補償する一つのルールがあるわけでございますから、そういったものにのっとって金額ははじかるべきではないかというような意見を、私どもとしては関係団体に申し上げておるということでございます。
  69. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 海上保安庁は取り締まるほうであり、また漁民のほうは取り締まられるほうでありまして、従来からも、現在においても、感情の問題が起きていることは当然であります。現在、法律があってもなくても、こういったことはすでに行なわれているわけでありまして、実は今回の法案そっくりのことが、連日スピーカー等で、大型船が通るからそこのけそこのけと放送されて、操業中の漁民もあわてて操業を中止して退避するなどということがしばしば行なわれて、常にこれは感情が込み上げてきているわけですね。それを今回法案によって制度づけようということでございますけれども、海上保安庁ももっと民主的にやってもらいたいということが偽らざる漁民の念願でもあるわけです。海上保安庁自体がもっときびしくこのことはやってもらいたい、こういうことを保安庁に対してきびしく言いたいわけですけれども、そういったことがなかなか徹底しないために、漁民側はいつも一方的に押しやられてしまうというようなことで、いつも感情が高じていくような段階でございます。水産庁は現在もそういうようなことをやっているわけですが、法案が通過した場合に、ほんとうに民主的にもっとやっていただきたいと思うわけですけれども、そういったことで運輸省側、また海上保安庁側ともよく相談をしたり、こういったことを申し入れ、また検討しておられるのか。法案を提出するにあたって、そういった点については農林省側はどのように対処しておられるか。いつ幾日こういったことを申し入れしたという事例があればお聞かせいただきたい、こう思うわけです。
  70. 太田康二

    太田(康)政府委員 現在、国会に提出してある法案をつくる過程におきまして、私どもは海上保安庁とも十分打ち合わせをいたしたわけでございまして、基本的な姿勢といたしましては、漁業の生産活動が行なわれておる海域において大幅な規制ということになりますとたいへん問題であるということで、その規制を最小限度にとどめるということを基本の姿勢として折衝に当たったわけでございます。その結果、適用海域等についてこれを非常に狭める、それから避航義務を負う場合もごく限られたケースにする、あるいは工作物の設置につきまして許可制あるいは届け出制等の義務が課されておりますが、水産の活動のためにはこういった許可なり届け出は要らないというふうに、随所に私ども主張を入れた形での法案作成になっておるのでございまして、おおむねわれわれの主張は貫徹されたというふうに思っておるのでございます。  なお、漁民方々に対しましてそういった意味での趣旨徹底がおくれておるというようなことは事実でございますので、私どもはこれからつとめてこの法案の内容等も十分周知徹底せしめまして、海上におきますところの交通の安全確保ということは、大きな目で見れば、やはり漁民のためにもなるわけでございますので、私どもはいま申し上げたような基本的姿勢で折衝し、その結果、大体要望が入れられたというふうに考えております。  特に、残りました問題としては、大型船の入域制限の問題があるわけでございますけれども、これは先ほど申し上げたような経過があるわけでございまして、なお今後の検討課題にはなっておりますが、これも今後検討いたしまして、船舶の海上における安全交通の確保ということをはかってまいりたいと思っております。  それから、取り締まり等の問題につきましては、御承知のとおり、海上の一般的な取り締まりは海上保安庁並びにその末端の組織が実施いたしておるわけでございますけれども、私どもとの関係は非常に密接でございまして、漁業取り締まり等の面におきましても、私ども取り締まりのほかに、海上保安庁の取り締まりの協力を得ていることは御承知のとおりでございまして、この法案の実施の過程におきまして、いたずらに海上保安庁のやり方が漁民を刺激するということがあっては、先生御指摘のような心配も出てくるわけでございますので、日ごろからよく事務連絡はいたしておりますが、なお今後一そう、この法案がもし成立いたしまして実施される場合には、その間の円滑化がはかられるように十分連絡をとって調整をはかってまいりたい、かように存じております。
  71. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 農林大臣をはじめ水産庁長官から、この海上交通安全法案に対していろいろ見解を述べられて、十分関係省庁とも協議をされて、農林省の言い分は言い、そしてまた主張もし、さらに十分盛り込むように検討してきておるという力強い答弁でありますので、一応その点は了といたします。  冒頭申しましたように、きょうは海上保安庁、運輸省当局も来ていただいて、私、そういった点を明らかにして、水産庁側の申し入れに対する裏づけ等もお聞きし、さらに今後きちっと整備しておきたい、実はかように思っておったのですが、一週間前から通告したにもかかわらず、きょう突然、審議がきょうから始まるのでかんべんしていただきたいということでございますので、こういった問題はあらためて機会を見まして、当該委員会あるいはまた本委員会で、保安庁関係を呼びまして検討することにしたいと思います。  そこでもう一点、これについて水産庁長官に御見解を承っておきたいと思うのですが、海上交通法はいわば警察法である。そこで、海の上の高速道路、海のバイパスというようなことがいわれておるわけでございますが、当然、こういったことは陸、海、空の共通問題として交通整理をしなければいかぬということは十分わかりますけれども、ますます海においては、先般の新潟沖のジュリアナ号のタンカー座礁事故から、最近は銚子沖あるいは東京湾、瀬戸内海、至るところで、航行中のタンカーが油をたれ流しするというようなことがしばしば起きております。こういったことは、当然漁民を守るためにはきびしく取り締まってもらいたいし、いろいろ規制もしてもらいたいのでありますが、内湾あるいは内海、こういったところに対して、水産庁農林省として、国がいわゆるその通行料というものを取って、これを今後漁民に還元支払うというようなことも考えられるわけです。といって、いま直ちにこれができるのかできぬのか、またいろいろ問題もあることを十分承知しております。陸の上では、公団がつくった道路は通行料金を取ったり、またスカイライン等の通行料を取ったり、いろいろしている例もございます。空と海はなかなかむずかしい点もありますけれども、海においては、これは陸上に次いで規制しようと思えば規制できるわけでございますので、将来の問題として、今後大型は外海にシーバースをつくって規制したりいろいろするとしても、内海には二十万トン、十万トン以下が入ってくることも当然考えられるということから、こういったことを将来考えるべきじゃないか、また検討したらどうであろうか、こういうふうにも思うわけです。そして、そういった通行料というものを、今度は漁民に漁連等を通じていろいろ還元していくというようなことも一応は考えられるわけですけれども、こういったことを水産庁はどういうふうにお考えであるか。将来こういったことも傾聴に値すると言われるか、何かそういったことを検討しておられるものか、全然こういったことは問題にならぬとおっしゃるのか。この問題に関して、最後に水産庁長官の御見解を承っておきたい、かように思います。
  72. 太田康二

    太田(康)政府委員 実は、海上交通安全法案の提出までの審議の過程におきまして、いろいろ党内調整等もあったわけでございます。こういうことを申し上げることが適切であるかどうか、若干疑問なきを得ないのでございますが、私どもが最も密接な関連のある党の水産部会におきましても、ずいぶんこの問題が議論されたわけでございます。その際、いま先生御指摘のように、通行税を取るようなことを考え、それをたとえば補償の財源に充てるというような考えはとれないかというような御質問が出たことも事実でございます。その行政そのものは、所管からいいますと海上保安庁の問題あるいは運輸省の海運局の問題になるわけでございますから、運輸省当局から答弁があったわけでございますけれども、私、それを聞いておりますと、そういった例が世界にないということで、確かに一つ考えではあるけれども、まあ、いま直ちにけっこうでございますという話にはなりませんということを言っておったのを承知いたしておるのでございます。しかし、御指摘のような油による漁業被害、特に加害者不明の被害というようなことも出てまいります。そういった場合の損害補償というような問題も実際なかなかむずかしい、そのために漁民が泣き寝入りになるというようなことがあるわけでございますので、そういった点について至急検討しろというようなことも、実は部会等の御意見として出ておるのでございまして、これは私どもの宿題になっております。  私どものみならず、これに関係する省庁はかなり数多くあるわけでございますので、こういった点につきましては、私どもとしてやはり何らかの措置をとりたい。特に先年、千葉県の沖合いで起きましたノリ漁業の被害等につきましては、八億をこえるような多額な被害が出ておる。しかし、原因者がわからずに、漁民の方は泣き寝入りになっておる。県が立ち上がって加害者の探求に当たっておるというようなことでございますけれども、実際にこれを解明することがなかなかむずかしいというような問題もあるわけでございます。そこで、いま言ったようなことが強く要望されておるのでございまして、私どもの宿題になっております。十分関係各省とともども検討をいたしたい、かように存じております。
  73. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 いまの水産庁長官の答弁で、水産部会のいろいろ審議の状況をお知らせいただきましたが、私たちも末端を回りましていろいろ御意見を聞きますと、やはりこういったことをぜひして、今後零細漁民を守ってもらいたい、また、日本近海の零細漁業に対してひとつあたたかい対策を講じていただきたい。そうでなくても、最近はどんどん造船所もでき、また新産業都市によって埋め立てあるいは漁場が狭くなっていきつつありますので、水産庁もいまのお話で、こういった対策についていろいろ検討して煮詰めておられることも十分わかりましたが、ひとつ漁民に対してあたたかく手を差し伸べて、対策を講じていただきたいということが大方の声でございますので、ぜひひとつ機会あるごとに関係省庁とも協調されまして、農林省も意を強くして、当たり負けしないように、そういったことを必ず実現の方向に向かって推進をはかってもらいたい、かように心から強く私は要望を申し上げる次第でございます。  最初予定しました質問で、まだ二つ大きな問題が残っておるわけですが、時間、時間という声がかかってきますので、それではその二つの問題の要点だけお聞きしておきます。  まず最初に、先般三月十八日の予算委員会で、私、質疑しました有明海の福岡県、佐賀県で、筑後川をはさんで漁業補償の問題が十数年来紛糾し、ノリの小間または採貝漁業者に対してたいへんな影響がありまして、問題になっております。水産庁長官予算委員会の席上で、来年九月に漁民に対するいろいろな割り当ての再検討をする、それまでは何とか考えていく、またそういった機会にいろいろ検討するという意味の御答弁がございましたが、これはたいへん深刻な問題でございまして、天領地区という農林大臣のいわゆる管轄区域が、まだ新しい漁場が残っております。これをぜひとも拡張していただいて、こういった問題の解決には、この天領地区の農林大臣管轄区域を含めて、あらためて佐賀県、福岡県の漁業紛争に対して新しい漁場の割り当て、採貝業者も成り立つような方向で本腰を入れてやってもらいたいというのが私の質問の要旨でございまして、先般予算委員会でもいろいろ答弁がございましたが、時間がなくてすうすうと終わりましたので、その点について水産庁長官、ひとつしっかり決意を新たにして具体的な回答をお願いしたい、かように思います。
  74. 太田康二

    太田(康)政府委員 その節にも御答弁申し上げたのでございますが、御承知のとおり、四十八年に漁業権の切りかえを迎えるわけでございます。この有明海の管轄漁場につきましての利用配分の問題たいへんむずかしい問題でございまして、前回の場合は、私どもといたしましては公聴会等の意見も十分反映させて処理をいたしたいというふうに理解をいたしておりますが、結果としましては、採貝漁場とノリ養殖漁場の利用配分ということで若干トラブルがあることも承知をいたしております。そこで、切りかえ時にあたりましては、地元の漁業者あるいは連合海区漁業調整委員会あるいは県の意向、こういったものも十分尊重いたしまして、少なくとも当該漁場におきますところの漁業生産があがるというふうな方向で利用調整をはかるということを基本の態度として処理をしてまいりたい、かように存じております。
  75. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 くどいようですが、水産庁長官、これは必ず解決するということで理解していいですか。あなた、水産庁長官はいずれかわるから、言うだけ言ってあとはあとにまかせるというのじゃなくて、とにかく水産庁長官に期待すること大でありますから、八千名の漁民がきょう私が質問することを注目しておりますから、必ず四十八年の切りかえまでには解決する、このように理解していいですか。
  76. 太田康二

    太田(康)政府委員 前回の場合も、私どもといたしましては、採貝漁業よりもノリ漁業のほうが生産性も高いし、将来の方向としてこちらを進めるべきであるということで、利用配分の場合に確かにノリのほうにウエートを置いての配分ということをいたしたのでございます。私ども地元の意思を十分尊重したと思っております。しかし、今回の四十八年度の切りかえ時におきましては、先ほど来申し上げておりますように、十分地元の意向をくみまして、しかも本来の調整の目的でございますところの漁場利用の高度化というような問題を念頭に置いて対処してまいりたい、こういうことでございます。
  77. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 水産庁長官も声を大にして言われたので、期待しておりますから、しっかりひとつ実現に向かって解決をしていただくようにお願いいたします。  それでは最後に、冒頭提案しました問題を一問お聞きして終わりにします。  熊本県の三名郡長洲地先に、世界第一という日立造船株式会社有明工場が、去る四月十六日起工式をいたしました。これはすでに造船所のドック及び基本的な埋め立ても終わって、工事の約三分の一ほど済んでおりますけれども、一月中旬認可がおりて、今回十六日正式着工の式があったわけです。いわゆる世界でも初めて、またマンモスタンカーをつくるということで、重工業地帯として世界にこれが大きくクローズアップいたしております。現在、西ドイツ一国で生産する船舶以上の力を持っているのがこの日立造船でございまして、永田社長もこの造船に男の命をかけているということでございます。また造船の内容を見ましても、ツー・ドック・システムといいまして、船を二カ所で半分ずつつくりまして、それをドッキングして一隻にして出すというようなことで、すでに四十九年秋には二十六万トンの船が進水する、話によると六十万トンタンカー、百万トンタンカーまでもできるような大きなドックでもあると一部でいわれておりますが、あまり大きなことをいうとびっくりするから、五、六十万トンタンカーまではできるということに一応なっております。公害の比較的ない造船ということで、新産都市の一環として、長年、三十九年以来たいへん論議を呼んだ土地だけに、難産の結果ようやく日立造船が出たということで地元も歓迎をいたしておるところでございます。  ところが、これに関係して、埋め立て地が相当ありましたし、県も腹赤というところに四十万坪の埋め立てをしている、先行投資をして第二工場の準備をしているということで、たくさんの漁民がいわば漁業をやめて転業する、また別なところに漁場を求めなければならぬということで、いま質問しました有明海の天領地区にも、ぜひひとつこういった漁民の将来の漁場を求めることについても検討を願いたい。  さらには、造船所の建設に伴いまして、有明海の漁場が相当失われました。日立造船だけでも五十万坪という大きな敷地ができたわけでございます。そういったことで、漁業補償は、ほとんど妥結をしておりますけれども、若干一部問題は残っておりますが、これに対して水産庁はどのように対処してこられたか。  いままでの経緯と今後の問題、それから一部問題が残っております漁業補償等についてのお考え、そして公害のない今後の操業をやってもらいたいと思うのですが、そういったことについて、何しろ世界一のドックでありますから、水産業界にも及ぼす影響は大きいわけで、公害は少ないということから地元としてこの造船所を歓迎しておりますけれども、さりとて漁民もまた守ってやらなければならないということもございますので、国として世紀のこの日立造船の建設にあたりまして、基本的なお考え、今後の指導対処方針、こういったことを、ひとつ大臣にも承りたかったのですが、時間がなかったので、水産庁長官からひとつ御答弁をいただいて、私の質問を終わりたい、かように思います。
  78. 太田康二

    太田(康)政府委員 お尋ねの日立造船の建設、建造の問題に伴う漁業との調整問題でありますが、埋め立てに伴いますところの漁業補償問題のうち、先ほど御指摘のありました腹赤漁協単独有の漁業権消滅という問題につきましては、話し合いが円満につきまして、所要の手続も終了しているというふうに私ども承知いたしております。ただ、他組合との共有漁業権の問題につきましては、目下話し合いを進めている段階にありまして、今後必要に応じ、県等も指導いたしまして、円満な解決がはかられるように対処してまいりたい。  なお、漁業権の消滅問題のほかに、周辺漁業者からは、埋め立て工事によりまして、汚水のためにノリとか貝類の減産、それからノリ漁場の場合に、埋め立てに伴います潮流の変化によりましてノリの被害が出るという問題があるわけでございますので、こういったことを理由とした補償の要望が出されているというふうにわれわれ承知をいたしております。これにつきましては、熊本県の有明地域開発局と関係組合との間で現在実態調査をいたしておる段階でございまして、特に潮流の変化に伴いますところのノリ被害という点につきましては、工事終了後でなければ最終的な結論が出しにくいというようなこともあるようでございまして、まだ最終的な結論は出ていないようでございます。これら調査の結果を見まして、私どもといたしましては、やはり他産業と漁業との調整問題というのは最近非常に頻発している問題でもございますので、適切な措置を講ぜられるよう、県に対しまして十分指導をしてまいりたい、かように存じております。
  79. 瀬野栄次郎

    瀬野委員 約束の時間が参りましたので、以上で終わりますが、現在のところ、日立造船の問題等は着々と進行しておりますし、先ほどの佐賀、福岡県の漁業紛争問題等とからみまして、農林大臣管轄区域の拡張、こういった問題等もあわせまして、どうか水産庁長官、これはぜひ現地を視察をするなり調査をされて、有明海のたいへん大きな変換期でもございますので、十分対処され、造船所もりっぱに成果をあげるように、さらにまた漁民も生活が安定できるように、そして有明海の紛争がないように円満な解決をしていただくよう格段の指導を、また援助をお願いしたい、このことを特に申し上げまして、残余の問題は次回また機会を見て御質問することにしまして、最後は要点だけになりましたが、以上で質問を終わります。たいへん御協力ありがとうございました。
  80. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長代理 千葉七郎君。
  81. 千葉七郎

    ○千葉(七)委員 水産三法につきましては、それぞれ各党の委員から、日本の水産業についての振興につきまして、大所高所からの、しかも微に入り細をうがった質疑応答が重ねられましたので、私はごく卑近な問題につきまして二、三当局の御見解、お考えを伺っておきたいと存じます。  その第一は、中型サケマスはえなわ漁法の転換によりまして生ずる陸揚げ港の問題についてであります。  第一にお伺いをいたしたいのは、昨日も質疑応答で明らかにされたのでありますが、このはえなわ漁船は全国で三百三十隻程度あるんだそうでありますが、それが四隻で流し網漁船に転換をするといたしますと八十三隻程度に隻数が整理される、こういうこともお伺いいたしたわけでありますが、実はこのはえなわ漁法の流し網漁法に転換の隻数は、全国の各県で隻数がどういう分布になっておるか、一応お伺いをいたしたいと存じます。おもな県三、四県くらいでよろしゅうございます。
  82. 太田康二

    太田(康)政府委員 たいへん恐縮でございますが、ちょっと手元に資料がございません。昨年までのはえなわの操業隻数は三百六十九隻でございます。主要な県は北海道、岩手、千葉というふうに理解いたしております。
  83. 千葉七郎

    ○千葉(七)委員 私、昨年岩手のはえなわの漁業家から陳情を受けたのであります。岩手の隻数がたしか百隻くらいありましたか、百何十隻ありましたか、それをぜひ流し網漁法に転換ができるように、政府のほうに対して折衝をし働きかけてもらいたい、そういう陳情を受けたのでありますが、政治家が陳情を受けた際には、これは国会でその問題を取り上げて、そうして政府の方針をただすという挙に出ることは当然なわけなんですが、そこで、私、その陳情を取り上げまして、昨年国会で政府の方針をお尋ねしようと思ったのであります。ところが、その話をしましたら、翌日でしたか、県の漁政課の課長がわざわざやってまいりまして、そして陳情を国会で取り上げることは取りやめにしてくれという話なんです。それで、一体どこからどういうことでと言ったら、水産庁のほうでも、いま取り上げられてはちょっと困ることがあるらしいのだといったような話だったのであります。そこで、その理由を尋ねましたところが、ソ連とのサケマス漁獲量関係を生ずるおそれがあるのだ、はえなわの漁船を四隻で一隻に流し網漁船に変えるということになると、サケマス漁船が四分の一に減ってしまう。ということになれば、その漁船を減らすのだからして、したがって北海におけるサケマス漁獲量を減らしてもいいのではないか、そういうようにソ連側がとるおそれがあるのだ、だからして、それは国会で取り上げることはやめてもらいたい、こういうことで昨年は取り上げなかったのであります。しかるに、今回は岩手県の漁業家の要望がいれられまして、この転換が実現することになったわけでありますが、ソ連とのサケマス漁業交渉はいまだに妥結をしていない現状なことは御承知のとおり。  そこで、この漁法の転換によって隻数が減ることが、ソ連との漁獲量の協定には影響しませんか。昨年は影響するおそれがあるというような話だったのですが、どういうことでしょうか。その点のいきさつをひとつお知らせを願っておきたい。
  84. 太田康二

    太田(康)政府委員 先ほどの数字でありますが、まずそれから先に申し上げます。  現在の上位の五県を申し上げますと、岩手百二十八、宮城六十四、青森六十三、千葉五十、石川二十五、こういう数字でございまして、先ほど北海道と申し上げましたが、北海道は流し網でございまして、はえなわは少ないようでございます。たいへん失礼いたしました。  それから水揚げ港の問題で、はえなわの流し網への転換ということで三百六十九隻の一割減で三百三十二になり、それが四隻に一隻で八十三ということになるわけでございますけれども、この点につきましては、実はかねて業界からは要望があったわけでございますけれども、日ソ交渉上の問題でもございまして、あくまでどういう漁法でどういうふうな漁船でどれだけ操業するかというような問題は、これは私どもといたしましては、一応国内問題であるという理解に立って折衝はいたしておりますが、やはり交渉上にはそういった問題も出てくるわけでございまして、ソ連側はここ両三年来毎度、日本海側は五割とかそれ以外は二割減船しろというような主張も続けてきたわけでございます。そんなことも配慮しながら、あくまで国内問題ではあるということではございましたが、折衝上のことでもございますので、あまりこれを、交渉が進められている過程におきまして、まだ現地のほうでそういう話が出てない過程において取り上げるということは問題があろうということであったわけでございます。しかし、これは私どもといたしましては、あくまで国内措置の問題であるというふうに理解をいたしておりますので、私ども方針に従ってやりたいというふうに考えております。
  85. 千葉七郎

    ○千葉(七)委員 私のお伺いしたのは、この漁法の転換によって隻数が四分の一に減る。その減ったことによってサケマス漁業協定の漁獲量が減らされるおそれがあるかないかということを聞いたんですが、それはどうなんでしょう。
  86. 太田康二

    太田(康)政府委員 漁法からいいますと、やはりはえなわよりは流し網のほうが効率が高うございますから、そのこと自体が直ちに漁獲量の減につながるということはなかろうというふうに考えております。
  87. 千葉七郎

    ○千葉(七)委員 漁法の転換によって隻数が減っても、漁獲量にはそう大きな変化がない、そういうふうに理解してよろしいかと思うんですが、そこで、お伺いをいたしたいのは、流し網に転換をしても漁獲量が減らないということであれば、陸揚げ港の水揚げ量というのは転換前と転換後でもそう大きな変わりはない、かように考えられるわけでありますが、その点はどうでございましょうか。
  88. 太田康二

    太田(康)政府委員 一般的に言えば、さようなことになろうかと思います。私どもといたしまして転換をする場合の考え方といたしましても、四隻に一隻というような基準を考えました際にも、漁獲量なんかも念頭に置きつつ考えたわけでございますので、一般的に言えば、そういうことだと思います。
  89. 千葉七郎

    ○千葉(七)委員 いま現在、先ほど説明のありました岩手、千葉、宮城それからどこでしたか、その上位五県のサケマスの水揚げの指定港はそれぞれの県で幾つずつございますか、ひとつ教えていただきたい。
  90. 太田康二

    太田(康)政府委員 従来のはえなわの指定漁港は青森県では八一尺岩手県では宮古、大槌、山田、大船渡、釜石、宮城県が気仙沼、それから北海道の釧路という八港でございます。
  91. 千葉七郎

    ○千葉(七)委員 そこで、従来は北海道一、岩手県五、宮城県一、青森県一と、こうなっておるわけでありますが、岩手県はもちろん隻数も多かったから当然これは五港ということなんでありましょうが、聞くところによりますと、岩手の場合には、この五港を一港に縮小するということが伝えられておるわけであります。  そこで、岩手の場合、一港に指定港を減らすということになりますと、隻数が減っても漁獲量に変わりはないとすれば、いままで五港に水揚げされておったサケマスが、一港に集中をして水揚げをされるということになります。そうなりますと、加工の面からいいましても、また輸送面からいいましても、さらには、いままで指定をされておって取り消しになった、指定漏れになった港々の地域経済に及ぼす影響も非常に大きいということで、従来どおり五港を転換後においても引き続き指定をしていただきたい。ぜひその実現に努力をしてもらいたいという強い要望、陳情が私のところに来ているわけなんですが、伝えられるように、この五港を一港にするという方針がすでにきまっておるかどうか、その点はいかがでしょうか。
  92. 太田康二

    太田(康)政府委員 先生御指摘のとおり、従来岩手には確かに五港ございまして、当初は岩手県自体あるいはそれぞれの市なり町から、従来どおりひとつ陸揚げ港に指定してもらいたいという要望があったことは事実でございます。  しかし、その後いろいろな転換に伴います希望者等の各港への水揚げの実態も漸次明らかになってまいりまして、最近におきましては、大槌、山田、大船渡の関係は全部釜石に集約するんだというふうに変わってきております。私どもといたしましては、そういったことも十分踏まえまして、本州では八戸、宮古、釜石、この三港に大体集約されておるというふうに考えておるのでございまして、私どもとしてはこれで妥当であるというふうに考えますので、現在におきましては、本州につきましてはこの三港にしたいということにいたしております。もう一度申し上げますと、青森県の八戸と岩手県の宮古、釜石ということでございます。
  93. 千葉七郎

    ○千葉(七)委員 御承知のとおり、岩手県は海岸線が非常に長いのでありまして、したがって、釜石港はちょうど岩手県の中ほどに位置しておるのであります。それから宮古は岩手県の北部に位置しているわけです。ということになりますと、宮古と釜石だけが指定をされるということになると、岩手の南部地域には指定港がないというような状態になるわけであります。  私、先日、大船渡へ参ったのでありますが、その際、大船渡の市長それから漁業関係者等からも強く要望されてまいったのでありますが、少なくとも岩手県は従来のとおり五港そのまま指定をしてもらいたいという陳情なんでありますけれども、五港の指定は無理だとしましても、少なくとも北部、中部、南部、この三地域くらいには指定港を存置するようにしなければ、従来のいきさつからいたしまして、非常に不便ではないかというようにも考えられるわけでありますが、すでに宮古、釜石二港が決定になって、さらに追加をして大船渡港を指定するというようなわけにはまいらぬものかどうか、その見通しはどういうものでございましょう。そして、この指定港を決定するのは、水産庁だけの意向で決定ができるものですか。それとも何か審議会とかそういうものに諮問でもして決定をするという経過になるのでありましょうか。その点もひとつお聞かせをお願いしたいと思います。
  94. 太田康二

    太田(康)政府委員 いま少しく経過を申し上げますと、当初大槌で三隻、山田で五隻、大船渡で三隻、釜石で一隻、こういう水揚げの希望が、船と結びついてあったわけでございますけれども、岩手県のほうにおきましても、最終的には宮古のほかには全部釜石に集中して揚げるんだということで、いまの全部を合わせますと、釜石全体で十隻という数字を私のほうはいただいておるわけでございます。  そこで、私どもなぜこれをこういうふうにきびしくするかということになるわけでございますけれども、やはり漁獲管理の適正ということで、御承知のとおり、漁獲数量等につきましては、日ソの漁業委員会で数字等もきめておるわけでございます。先般私ども中央漁業調整審議会を開きましたときも、一部の委員の方から、たとえば気仙沼等が対象にならないかというような御要望があったわけでございますけれども実情を御説明申し上げまして御了承を得たのでございます。  なお、この関係につきましてはソ連に通報することになっております。
  95. 千葉七郎

    ○千葉(七)委員 もしこの変更ができるのでありましたならば——山田、大槌、大船渡三港を釜石一港に集中をするということであれば、私は港の設備施設関係からいいましても、いろいろな隘路、支障が出てくるのではないかというような感じがするわけであります。御承知のとおり、大船渡港は天下に名だたる優秀な港でもありますしするので、もしできるならば、二港以上はふやせないんだということであれば、南部、北部に一港ずつというような地域的な関係からいいましても、宮古、大船渡にそれぞれ集約をするということが適当ではないか。ことに大船渡港には三隻、釜石港には一隻しかないのでありますから、したがって、釜石港を大船渡のほうへ集約をし、それから山田、大槌は宮古のほうに集約をするというような方向こそ正しい方向ではないかというような感じがするのでありますが、宮古と釜石は変えることは絶対にできない、そういうことになっているのでしょうか。
  96. 太田康二

    太田(康)政府委員 私ども承知している限り、県自体も漁業者の方々も、いま申し上げた二港で最終的にはけっこうであるということでもございますし、私どもとしてもそれが適切であるということで、その二港にきめたということでございます。
  97. 千葉七郎

    ○千葉(七)委員 関係者がこの御答弁の方向でよろしいというのでは、これは何ともしようがないのですけれども、私、大船渡に参りましたのはごく最近なんですがね。一週間ばかり前なんです。その際には、大船渡の市長並びに漁業関係者から、ぜひ大船渡も指定されるように政府の方針をただしてもらいたい、そういう強い要望があったものですから、——陳情書が参ったのが三月の下旬ですから、それから見れば多少日が延びているのですけれども、大船渡へ参りましたときには、約一週間ばかり前のことなんですが、変更ができないということならば、これはまあやむを得ないわけですが、とすれば一港ふやしてもらうというような運動を展開するようにということを地元大船渡のほうへ話してやるよりほかないわけであります。何とかひとつ大船渡のほうに、いろいろ強い要望があるわけでありますから、考慮していただけるものなら考慮していただきたいと思うわけであります。  その問題はそれで打ち切りまして、次に、外国の船団による、近海で操業中の漁船の受ける被害の問題であります。  これも陳情が参っておるわけでありますが、御承知のとおり、最近三陸沖合いにはソ連の大型の漁船船団が出漁して操業を続けておるわけでありますが、その船団の操業によって付近の日本漁船がしばしば被害を受けているわけであります。最近におきましては、このソ連の船団の操業状況はどうなっておるか、ちょっとお知らせを願いたいと思います。
  98. 太田康二

    太田(康)政府委員 私ども取り締まり船等の報告並びに県の試験船による報告によりますと、八戸沖及び久慈沖におきますソ連船団でございますが、これはあくまで推定でありますが、母船が約十三隻ほどいるようである。それからスタントロールが七隻、サイドトロールが三隻、まき網が三十五隻、イカ一隻、計約六十隻くらいのものが操業をいたしておるということが、四十六年十一月に確認をされております。もちろん全部が全部これで確認をされておるかどうかはわかりませんが、一応そういった規模の操業が行なわれておるというふうに考えております。
  99. 千葉七郎

    ○千葉(七)委員 日本は領海三海里説をとっているわけですが、沿岸から領海のぎりぎりの線まで来て操業するらしいのですね。きのう大臣の話によりますと、八海里あるいは十二海里説を今度は主張するというようなお話もありましたが、現在三海里説をとっておるわけでありますから、したがって、その三海里以内の水域に入ってこなければ、操業それ自体に対しては文句の言いようがないわけでありますけれども、ぎりぎり三海里の線まで入ってくるために、その付近で操業をしておるまき網とかそれからはえなわとか、そういったような中小漁船による操業中の漁具が非常な損害を受けるというような事態がたびたび発生をしておるわけでありまして、そういう関係からいたしまして、この操業水域の調整、それから被害を受けた場合の補償の問題等を解決してもらいたい、その努力をしてもらいたいという漁家からの申し出がしばしばわれわれのところへ参るのであります。  それで、申し上げたような被害を受けた際には、当然県のほうから水産庁のほうに報告が来るものと思いますが、その場合には、水産庁としては、被害の損害補償等についてはソ連側に折衝していただいているか、交渉していただいているかどうか、その点はどうなっておるのでありましょう。  実はこれも十日ほど前でしたか、県の関係者が私のところへ陳情書を持ってまいりました。そして、その際の説明によりますと、被害を受けた事件については、もちろん水産庁にも報告をし、政府のほうからもソ連側に対して水域の調整あるいは損害の補償等について折衝をしていただくように陳情しておるのだけれども、その関係者、これは県議会の議員たちが中心になっておるのでありますが、その人たちがソ連大使館に損害の補償方の要請に参ったところが、大使館のほうでは、漁業担当官の言うには、そういう報告は受けていないという答弁だったというように聞いておるのであります。とすれば、県のほうから水産庁に報告があって、そうして損害補償等についてもソ連側に折衝してもらいたいという陳情もしているはずだと聞いたのですけれども、もし大使館側の言うように、そういう報告等は受けていないとすれば、日本の政府はソ連大使館に対しては、この問題について何ら要請あるいは要求等はしていないということになるのでございますが、その点のいきさつはどうなっておるのでしょう。
  100. 太田康二

    太田(康)政府委員 この問題は、ここ数年来そういったことが毎年起こる問題でございますので、御承知のとおり、私どもといたしましては、被害が起こったという報告は、いま先生がおっしゃったようなルートを通じまして着実に入手いたしておりますから、外務省を通じまして、そのつどソ連大使館に所要の申し入れを行なう。それから、必要に応じて損害賠償を要求する権利の留保を行なっておる。と申しますのは、はっきりソ連船による被害ということが確認されて、被害額が確定いたしたものにつきましては、そういったことをいたしておるわけでございます。  ソ連の担当の者がそういったことを受けていないというのは、私の想像でございますが、おそらくソ連側の操業船のほうからそういう話を聞いていないという趣旨であろうかと思います。と申しますのは、昨年でございますが、十一月ごろ被害が出ましたときに、実は外務省に招致をいたしまして、この時期にはわが国の三陸沖ではこういう漁業が、こういう漁具を使って操業しているのだというような話もちゃんといたしておるわけでございまして、向こうが私どもの申し入れを全く知らないというようなことは絶対にないわけでございます。
  101. 千葉七郎

    ○千葉(七)委員 了解いたしました。あるいはそういうことかもしれません。したがって、私の聞き違いかもしれませんが、いずれにしましても、昨年からことしにかけてそういう事件が起きたことに対しては、岩手県の場合には全然損害の賠償を受けていない、そういうことであります。それぞれ政府のほうでも、そのルートを通じての損害補償の要求については権利を留保しておるということを申しておるそうでありますから、したがって、あるいはいつかは補償されるかもしれませんけれども、しかし、それはいつ補償されるかというようなことはわからないわけでありますから、したがって、この損害の事態がはっきりして、そしてソ連側との折衝が成立をしないというような場合においては、これは国のほうで代替して補償するということも当然考えなければいかぬではないか、またそれを強く要望もしておるわけであります。その点については国のお考えはどうでしょうか。代替の損害の補償については、やるお考えがありますか、ありませんか。ぜひ代替補償を実施してもらいたいと思うのですが、いかがでしょう。
  102. 太田康二

    太田(康)政府委員 この点につきましては、昨日、津川先生の御質問に対して大臣がお答え申し上げたとおりでございまして、率直に申し上げまして、なかなか困難であるということであろうかと思います。大臣はたしか検討してみたいというようなことをおっしゃったかと思いますが、それ以上私が申し上げることはできないのでございます。
  103. 千葉七郎

    ○千葉(七)委員 参議院のほうから出席を要求されているようでありますから、もう一点だけ。  ぜひ検討の上に、何らかの形でひとつ、損害をこうむって、ソ連側がかまわないということであれば、当然これは国のほうで折衝して、損害を補償させるようにするのが政府の責任だと思います。それができなかった場合には、これは政府が何とかめんどうを見てやるということでなければならぬと思いますから、ぜひ前向きに検討していただきたいと存じます。  それからもう一点。これは私の要望でありますが、昨日、大臣の話にもありましたが、領海三海里、これは日本の中小漁家にとっては、三海里までソ連の大型船団がやってきて漁場を荒らすということになったらたいへんです。三海里といえば、他の国の領海も三海里しか認めないんだから、そこまで日本船団も行けるわけですから、有利なようにも思われる点もありますけれども、中小の沿岸漁業にとっては、三海里まで大型船が、外国漁船が来てやるということになったら、資源は荒らされてしまいますし、したがって、沿岸の小さな漁家にとってはたいへんなことになりますから、ぜひこれは八海里あるいは十二海里領海の宣言を日本の国が行なうように強く要望いたして、私の質問を終わることにいたします。
  104. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長代理 これにて以上各三案に対する質疑は終了いたしました。  次回は、来たる二十五日、火曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後一時二十八分散会