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芳賀委員 局長、そういうつまらぬことを言うもんじゃないですよ。いいですか、専業的な
酪農というものは、
酪農の経営で所得が上がらぬ場合でも、水田の減反、休耕のように、兼業とか出かせぎをやるというわけにいかないんですよ。先日発表された農業白書の中でも、
日本の農業というものはまことに危機的な重大段階に来ておるわけだから、そういう中で相対的には兼業が九割も進んでいく、出かせぎが百二十万以上にもなっておるという中において、生きものを扱っておる畜産農家というものは、出かせぎ、兼業をやるということはできないんですよ。できないから、その経営の中で何とか最低生活を維持するということになれば、牛の数をふやすよりしようがないじゃないか。それが好ましい状態なんということは、とんでもない間違いですよ。それはあなたの手元にも
調査してあるでしょう。北海道における頭数別階層農家の固定化負債の状態が一体どうなっておるか。三十頭
規模以上の場合においては、最低で五百万円、多いのは二千万円です。なかなか償還できない。利子の支払いだけでも容易でないという五百万から二千万に及ぶ固定化した負債をかかえてやっておるんですよ。そういうことをあなた、わかっておるわけだから、そういう実態を知らないで、北海道の
生産が
拡大されておるから、これは
不足払いのせいだというものじゃないですよ。どんどん追い詰めておるじゃないか。そういう点は毎年毎年の
保証乳価の
据え置きの中に大きな欠陥というものが生まれておるわけだからして、そういう
やり方というものは、
農林省の
生産費調査というものが
保証乳価決定のちょうど一年あとにしか公表されないけれども、
政府の年当初にきめた
保証価格と一年後の結果として判明した
生産費の
動向というものと比較して、あまりにも大きな格差がある場合においては、やはり
価格政策の中で手直しをやるということは当然だと思うのですよ。先ほども言ったとおり、四十五年度の場合には
保証乳価は前年度に対して〇・五%しか
上げておらぬ。ところが、
生産費は五・一%上がっておる。十倍の差があるじゃないか。去年の場合には一・七%しか
上げていない。ところが、いま
統計調査部の
報告によると、これは六%上がったということになっておるわけだから、その開きというものは、結局、
生産者の犠牲の上に立って低
乳価を続けている。そういう状態の中で、乳業
会社は毎年
キロ当たり三十七円何がしの
飲用向けの取引
価格よりも二十二円ないし二十五円安い
乳価で手に入れて、そうして事業をやっておるということになるわけでしょう。だから、
飲用と加工の格差が
拡大すればするほど、
利潤追求の乳業
会社としては、できるだけ極端に安い
原料乳というものを
数量的に確保したいというそういう経営上の考えに当然向くわけですよ。だから、北海道等においても加工乳の
数量等が全然減っていないでしょう。北海道だけで百万トンに及ぶ加工乳を低い
補給金でようやく守っていかなければならぬというような状態というものは、
飲用を
拡大して
加工向けを少なくするという、この
法律の精神とは全く逆なことを
政府自身がやっておるわけだからして、この点は、ことしの
価格決定については、大臣がいないので残念だけれども、これはあとで直接会って話しますけれども、肝に銘じてことしはやってもらわなければならぬと思うのです。いいですか。
それから、次にお尋ねしたいのは、
労働費の
計算が、ことしもまた
原案では解決されておらないですね。
自給飼料についての自家
労賃の扱いというものがことしも依然として日雇い
労賃方式に・よっておるでしょう。こういうものは、
委員会で指摘された場合はおいては、率直に直すのが当然ですよ。
統計調査部の場合はすべて日雇い
労賃というものを採用しておるから、そういうものを用いることに問題はあるけれども、とにかく一貫性はあるわけだ。飼育
労働にしても
自給飼料労働にしても、とにかく日雇い
労賃方式でやっておるわけだから一貫性はあるが、畜産局の場合は、同一
労働に対して製造業賃金と臨時日雇い
労賃の差別をつけておるという、これはだれが考えてもおかしいじゃないかという
やり方をいまだに捨てていない。その理由は、これを続けていけば、
キロ当たり一円七十銭ないし二円安く
保証乳価をきめることができるというそれだけの根拠で、いつまでたっても手直しをしないということをまだやっておるわけでしょう。いままでの
局長は一回言われれば、その年は無理にやった場合があっても、次の年は必ずそういう点は是正しておるですよ。ところが、
増田畜産局長は、去年もそういう指摘を私がした、今度のきょうのを見ても、また同じことをやっておるわけですから、こういうのは頑迷というか冷血というか、人間評価の上から見ると、あまりいい点数はつかぬということになる。
そこで、これは
統計調査部長にお聞きしますが、一体農業
労働というものは、農業の経営者、農業の経営管理をやるところの持続的な
労働ですね。それから家族従業者も、これは通年的な
労働をやっておるわけだから、こういうものを他産業
労賃あるいは日雇い
労賃に置きかえる場合において、農家の自家
労働というものをいわゆる常用
労働として評価すべきか、日々雇われるところの臨時的な日雇い
労働として扱うかというところに、これは根本的な問題があるのですよ。自家
労働の場合は、いずれにしても日雇いでもないし、常用
労働者でもないし、雇用
関係はないのだけれども、しかし、農業経営における
労働というものは、賃金
労働の場合の常用
労働者として位置づけをすべきか、臨時日雇い
労働者として位置づけをすべきかということは、これは農政の根本に触れる問題でしょう。そうじゃないですか。安い賃金さえとればいいというような考えでやるべきじゃないでしょう。ここらにいまの
農林省の役人の認識の不足があるのですよ。これはどう考えているのですか。農業
労働というのは、雇用
労働の場合の常用
労働者とこれをみなすべきか、日々雇われる不安定雇用のもとに置かれておる臨時日雇い
労働者とみなしてこれを扱うか、このいずれをとろうとしておるのか。これは統計部長と
畜産局長ではっきりしてもらいたい。