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1972-03-15 第68回国会 衆議院 農林水産委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年三月十五日(水曜日)     午前十時四十二分開議  出席委員    委員長 藤田 義光君    理事 仮谷 忠男君 理事 熊谷 義雄君   理事 松野 幸泰君 理事 三ツ林弥太郎君    理事 渡辺美智雄君 理事 千葉 七郎君    理事 斎藤  実君       江藤 隆美君    鹿野 彦吉君       小山 長規君    佐々木秀世君       坂村 吉正君    田中 正巳君       中尾 栄一君    中垣 國男君       野原 正勝君    藤本 孝雄君       別川悠紀夫君    森下 元晴君       安田 貴六君    角屋堅次郎君       田中 恒利君    中澤 茂一君       松沢 俊昭君    相沢 武彦君       瀬野栄次郎君    鶴岡  洋君       小宮 武喜君    津川 武一君  出席国務大臣         農 林 大 臣 赤城 宗徳君  出席政府委員         公正取引委員会         取引部長    熊田淳一郎君         農林政務次官  伊藤宗一郎君         農林大臣官房長 中野 和仁君         農林大臣官房技         術審議官    遠藤 寛二君         農林大臣官房予         算課長     松本 作衞君         農林省農林経済         局長      小暮 光美君         農林省農政局長 内村 良英君         農林省農地局長 三善 信二君         農林省畜産局長 増田  久君         農林省蚕糸園芸         局長      荒勝  巖君         農林水産技術会         議事務局長   加賀山國雄君         食糧庁長官   亀長 友義君         林野庁長官   福田 省一君         水産庁長官   太田 康二君  委員外出席者         国税庁間税部長 守屋九二夫君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ――――――――――――― 委員の異動 三月十三日  辞任         補欠選任   渡辺  肇君     草野一郎平君     ――――――――――――― 三月十三日  外国生糸輸入規制に関する請願(林百郎君  紹介)(第一五四四号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 三月十一日  米の生産調整に関する陳情書  (第四九号)  同  (第一二三号)  昭和四十七年産米生産者米価引上げに関する  陳情書(第五〇号)  北海道の農業振興に関する陳情書  (第五一号)  消費者米価物価統制令適用除外反対に関する  陳情書外十九件  (第五二号)  同  (第一二四号)  蚕糸業危機打開に関する陳情書外一件  (第五三号)  外国生糸輸入制限に関する陳情書外六件  (第五四号)  農畜産物輸入自由化反対に関する陳情書外五  件(第五五号)  果樹農業振興に関する陳情書  (第五六号)  林業振興に関する陳情書外三十二件  (第五十八号)  同外四件  (第一二二号)  農林漁業団体職員共済組合法の改正に関する陳  情書(第  五十九号)  農村地域工業導入促進法の推進に関する陳情書  (第六〇号)  農業用電力導入に対する補助に関する陳情書  (第六一号)  国有林の伐採に関する陳情書  (第一二五号)  松くい虫の駆除対策に関する陳情書  (第一二六号)  農村地域工業導入促進対策充実強化に関する  陳情書  (第一二七号)  都道府県野菜価格安定事業の助成に関する陳情  書  (第一二八号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  農林水産振興に関する件      ――――◇―――――
  2. 藤田義光

    藤田委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松沢俊昭君。
  3. 松沢俊昭

    松沢(俊)委員 私は農林大臣所信表明についての御質問を申し上げたいと思います。  例年のことでありますけれども農林大臣所信表明、その文章を見ますると、非常にりっぱなことが書かれているわけなんであります。特に私は農林大臣が「常々農業の健全な発展なくしては日本経済の調和ある発展はなく、また、健全な農村農民を育てていくことは、わが国経済社会の土台を形成確保する上で重要なことであると考えております。」と、これはおそらく赤城農林大臣ほんとうのものの考え方だと思います。しかし、現実はそういう方向日本農政が動いているかどうかということになりますと決してそういう方向ではない。むしろ逆な方向農民生活は破壊をされ、そして農村というのは見る影もないところの状態になっている。これが現実農民生活であり、また農村の実情であろうと考えるわけなんであります。  そこで、一番大きな問題になりますのは、何といたしましてもその国の農業の柱というのは、その国の国民の主食の生産というのが柱になっていると思います。ところが、昨年から本格的に米の生産調整減反政策、そういうものが講じられてまいりまして、農村の窮乏は一刻一刻とひどい状態に入っているわけなんであります。  そこで、私は米の問題につきましてまず第一点御質問を申し上げたいと思うわけなんでありますが、昭和四十六年には二百三十万トンの生産調整目標が出されまして、そして実績はそれほどでありませんでしたけれども昭和四十七年の計画によりますと、二百十五万トンになりまして、結局十五万トン下がっているわけであります。これは一体どういう原因でこういうふうにして二百三十万トンが二百十五万トンになったのか、この点お聞かせ願いたいと思うわけなんであります。と申し上げますることは、これは五年間連続してやっていくのだというのが政府方針だったわけなんでありますが、こういうぐあいに数字が変わってくるということは、五年間永続的にやれるところの自信というのがなくなったのじゃないか、こういうぐあいに考えられますので、まずその点を御質問申し上げるわけなんであります。
  4. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 生産調整の根本的な考え方をちょっと申し上げたいと思うのですが、私は食糧生産をしている農民農村、これも食糧の全体から見れば、供給需要との調整というものがこれは必要だと思うのです。そういう意味におきまして、これは農業者ばかりじゃございません、何の工業生産でも、生産過剰とか、こういうものになっては、それは生産しても豊作貧乏みたいに安くなるというような——食糧管理していますからそういうことはありませんが、経済の傾向としては、生産過剰になれば、その分だけは安くなって、結局豊作貧乏みたいになる。こういうことですから、やはり供給需要バランスをとる、これはほんとう農民自身がやるべきことだと思うのです、農業者がやるべきです。しかし、農業者の組織が完備しておりませんから、それにかわって政府がやらざるを得ない、これは農民のためだ、こういうようなたてまえから米の生産調整をしているということを御了解いただきたいと思うのです。  で、二百三十万トンから二百十五万トンにことしは減らしたということでありますが、生産調整という大目的でございまするから、米の需給関係からそういう数字が出てくることでございまして、生産調整を続けていくというようなことはやめませんが、数字においては幾ぶん需給関係から変わらざるを得ない。変えた詳しいことは事務当局から御答弁申し上げます。
  5. 内村良英

    内村(良)政府委員 お答え申し上げます。  四十七年度の米の生産調整数量二百十五万トンの根拠でございますが、四十七年度の米穀の需給については、総需要量を千百五十万トン、生産調整がない場合の総生産量を約千三百九十万トン、その差の余剰数量を二百四十万トンと見込み、今後における米の需給操作に万全を期するため持ち越し在庫調整数量に二十五万トンとりまして、これを差し引きまして、目標数量は二百十五万トンとした次第でございます。
  6. 松沢俊昭

    松沢(俊)委員 私は昭和四十五年の場合におきましても、政府のほうでは七百四万トンの買い入れ目標を立てられたわけなんでありますけれども、これはやはり七百四万トンを買い入れることできなかったわけであります。昭和四十六年の計画におきましても自主流通米が百八十万トン、そして政府米が五百八十万トン、合計いたしまして七百六十万トンという、そういう買い入れをやる予定であったわけなんでありますけれども政府の資料からいたしますと、大体六百八十五万トンだ、これはまだ自主流通米そのものの契約が完全に行なわれておらぬわけでありまするから、不確定な面というのがあると思います。大体百万トンぐらい、買い付けをやるつもりであったのが買い付けられなかった、こういう結果になっているのじゃないか、こう思われるわけなんであります。そして政府のほうといたしましては、二月に政府の古古米農家新米交換をやって、そして農家に対して平均二千七百円程度の差額をくれることによって一万トンぐらいの米を新米にかえていこう、こういうようなこともなされているということを聞いているわけなんであります。そうなりますと、結局四十五年におきましては、政府の思うように米を買い付けることができなかった、四十六年においても米を買い付けること一ができなかった。そうして、さらに需給事情というのが逼迫をしてまいりまして、新米と古古米交換しようというような考え方が出てきたということは、結局、過剰だ、過剰だというその陰に、だんだんと米の生産量というものが低下をしている、こういうことを意味しているのじゃないか、こういうぐあいに私は考えますので、その辺、何で四十六年の計画が大幅に狂ってきたのであるか、そうしてまた、政府はなぜ農家新米政府の古古米というのを交換しなければならないような状態になったのであるか、そういう点を明確に答えていただきたいと思うわけなんであります。同時に、三月三日にこの新米と古古米交換というのが締め切られるということになっておりましたのですが、要するに、その実績はどうであったか、その点も明らかにしていただきたいと思います。
  7. 亀長友義

    亀長政府委員 四十五年度集荷予定量が七百四万トンでございますが、実際には六百八十万トンぐらいしか集まらなかったというようなことも事実でございます。ただ、四十五年の場合を申し上げますと、西のほうがあまり作柄がよくなかったということで、後半の段階における集荷予定どおり進まなかったことも事実でございますが、四十五年はもともといわゆる予約制限というのもいたしておりませんので、四十五年産米政府の買い上げた数量からいたしましても、百五十万トンの余剰が出る。もちろん百万トンは消費持ち越し予定量考えておりましたけれども、五十万トンというものはいわゆる過剰の形で現在繰り越されておるわけでありまして、四十五年産米につきましても、全体として見ればなお五十万トンの生産過剰であったということが言い得るわけであります。  それから四十六年産米につきまして、御承知のように、集荷予定が非常に減っておりまして、五百八十万トンの集荷予定量が大体百万トン近く割るであろうということは言い得るわけであります。しかし、片方に自主流通米の増加というのもございまして、私ども、六百八十五万トンという出回り予想、これは政府買い入れ余り米自主流通を含めまして、全体として六百八十五万トンの市場出回りがあるであろうという予想を立てておりますが、この予想は現在でも狂っておるというふうには考えておりません。もちろん、政府買い入れのものと自主流通のものと、どちらに向けるかということで、多少の数量相互移動というのもございます。それから余り米の農協で自主流通に乗る数量、こういうものを含めますと、出回り量につきましては、先ほど申し上げましたとおり、全体として六百八十五万トンということに相なろうかと思います。もちろん、それによりまして、当初予定の七百六十万トンの政府自主流通の合計出回り量から見れば、約八十万トンぐらい減るわけでありますが、これは前年産米在庫等によって十分補えますし、さらに四十六年産米の翌年度への持ち越し量を削減するということで、配給の面で特に大きな変化を与えることなく対応していけるというふうに確信をいたしております。  それから四十四年産米といわゆる新米の四十六年産米との交換ということを三月末日まで実施することにいたしております。これは私どもとしまして、必ずしも四十六年産米買い入れが足りないとかいうことの補充分として考えておるわけではざいませんので、昨年十二月来、四十四年産米消費者には徳用上米として、私どもから見れば、実質的な価値よりもかなり安く供給をいたしております。そういうこととのバランスもありまして、農家のほうで御希望がありますれば、平均二千七百円の差金を払って四十六年産米交換に応じますということでございまして、あくまでも農家の御希望ということであります。したがいまして、これは予算上何万トンときめて、それを需給計画に織り込む、それが必ずこれだけ集めるのだということで配給計画の中に織り込むということはいたしておりません。農家のほうで出していただければ、それだけは来年の持ち越し量もふえることの足しになるであろう、そういう程度のものでございますので、特に私ども数量的目標もなければ、数量的割り当てとか数量的指導はいたしておりません。そのような関係もありまして、三月三日に一応農家希望を締め切る、それ以後も御希望があれば三月一ぱいは交換に応じますというふうにして、現在、事務手続をいたしております。  数量の締め切りは、本日まだ私、はっきり確認をいたしておりませんので申し上げかねますが、御希望は非常に少ないというふうに私は報告を受けております。
  8. 松沢俊昭

    松沢(俊)委員 これは新聞でたいへん批判を受けているわけでありまして、これはまだ政府農民国民としての取り扱いをやっていないじゃないか、つまり、昔の小作農民で、そうしてぼろを着たような貧民の取り扱いをやっている、そういう批判がありまして、新潟県の場合におきましては、これに対して応じる者は全然いないわけなのであります。全国的におきましても、ほとんどこれに応じる者はいない。これは、言ってみまするならば、私はやはり農民を侮べつしたところの政策であろうと思います。  同時にまた、一面、亀長長官は、需給関係においてはそう支障を来たさない、こういうことを言っておられますけれども、あなたは、八月九日のこの委員会におきまして、要するに、米の需給関係の体制といたしましては、大体その年にとれたところの米に前年度古米を百万トン繰り入れることによって配給操作をやっていくのだ、大体そういう方向で今後五年間進むことができるであろう、だから、あなたの心配するように米不足という問題は起きてこないということを強調されたわけなのであります。ところが、政府在庫見通しからいたしますと、これは四十八米穀年度になりますと、四十七年の稲作が平年作であった、こういう仮定のもとに計算をしたとしても、二十五万トンしか四十八米穀年度には持ち越すことができないという、そういう結果が、政府数字によって明らかにされているわけなんであります。そうなれば、あなたが八月九日に答弁をされたものと実際はだいぶ大きな食い違いというやつが起きてきているじゃないか。しかもことしは、御承知のように、私の県等におきましては雪はほとんど降っておらぬわけなんであります。したがって、春の用水不足の問題がいますでに問題になっております。それから、いまのような気象条件からすると、だいぶ天候はぐずついて、やはり冷害が起きるんじゃないか、こういうような声もあがっておるわけなんであります。そうなりますと、おそらくことしもまた昨年同様に不作の年になるんじゃないか、こういうことを農民は、長い間の実感として持っているわけなんであります。もしそういうことになったとするならば、この二十五万トンの持ち越しさえもできないという状態になってくるのじゃないか。そうなれば、完全にこの需給計画というのはくずれてしまう、こういうことになると私は思うのであります。そういう点の見通しがあまりにも甘過ぎるんじゃないか、こう思いますので、お伺いしているわけなんでありまするが、この点は一体どうお考えになりますか。
  9. 亀長友義

    亀長政府委員 農林省生産調整予約制限という事業を昨年度やっておりますが、この基本的考え方は、その年のものはその年に消費されるに必要な生産量をつくる、それだけの米はつくる、同時に前年産米百万トン残しておいて、当年度配給はその百万トンもまぜて配給をして、新米の中からさらに翌年度への操作並びに備蓄ということを兼ねて百万トンを繰り越す、こういうことを含めて、いわゆる単年度需給均衡生産調整を行なうというのが現在の方針であります。私は八月九日かどうかは記憶はいたしておりませんが、あれは農林省の確定した方針でございますから、そのことを御説明申し上げたのだと思います。その点は現在でも同じでございます。  それから、四十七年がかりに平年作であった場合というお話でございますが、四十六年産米を四十七米穀年度持ち越します米の量は大体二十五万トンというふうに想定をいたしておりまして、御指摘のように、普通の年であれば百万トン持ち越すべきところを、本年が不作でございましたから二十五万トンに減るということも、現在予算計算としては、私どもそのように考えております。そこで、原則的には前年産米を百万トン持ち越しできるように、平年作として考えていくということには変わりはございません。しかしながら、御承知のように、農業生産は気候に左右される。特に四十六年産米は、御承知のような作況九三という過去にない異例の年でございましたから、二十五万トンという減少になったわけでございまして、当然平年作であれば通常の百万トン持ち越しが可能なわけであります。  また、先ほど御指摘のように、四十七年産米についても、冷害であったならどうするのかというお話でございますが、問題は平年作ベースで基本的な百万トン持ち越しという生産調整原則に対して、冷害とかいうフレあるいは豊作とかいうフレをどのように調整をして、幅を持って考えていくかという問題であろうかと思います。いつも昨年のような異例冷害のことを想定いたしておりまして、かりに本年が平年作であれば、これは過剰の生産を続けることになる。毎年毎年過剰の生産を続けるということになれば、それがいつかは累積をして、再び過剰米の再処理をしなければならぬということが起きるわけであります。しかし、逆にまた相当程度持ち越し米を持って、国民安心感を与えるということも必要であろうかと思います。そういう観点から申しますと、四十七年の予算といたしましても、来年度生産調整は二十五万トン減少をいたしております。したがいまして、平年作であればこの持ち越しというものが四十八米穀年度にはおおむね五十万トンにふえるということになりまして、逐次これは百万トンの経常ベース基本的ベースに返っていくという政策をとっておるわけであります。そのようにしまして、原則という平年作ベース考え方に立ちながら、その間に上下のフレというものを頭に置いて、私どもとしては行政を今後行なってまいりたい。また、それによりて決して国民に不安を起こすというようなこともないと私は考えております。
  10. 松沢俊昭

    松沢(俊)委員 私は、この稲作だとか農業生産物というのは、工業生産物とは違うと思うのです。天然自然の条件によって豊作にもなりあるいは凶作にもなる、こういうのが農産物の特徴であろうと思うのです。  そういう点からいって、私は一つは、古古米新米交換構想というのは、やはり足りなくなったから、したがってこういう構想というのが出たんじゃないか、こういうぐあいに考えるわけなんであります。これは決して農家保護政策でも何でもないと思うのです。足りなくなったからできるだけ新米を確保したい、そういう考え方から出たと思うのです。でありますけれども農家のほうでもぎりぎりの状態に入っておりますのですから、交換するそのものはないわけであります。また、そういうようなやり方に対しては、昔、自分の米を売って南京米を食べたというところの苦い経験というものを持っているわけなんでありますから、そういう政府の施策にこたえるわけにはいかないという感情的な面というものもあると私は思うわけなんであります。ともあれ、足りないから、こういうものを出してきている、これは私は明らかであろうと思うのであります。  同時にまた、天然自然の条件によって米というものが生産されているということであるとするならば、たとえばあなたが言っているように、百万トンの持ち越しというものがあることによって健全な需給操作ができるということであるとするならば、現在、平年作においても二十五万トンしか四十八米穀年度に持ち越すことができないというような状態になっているとするならば、やはりその百万トン繰り越しができるような、そういう生産調整というものをやらなければならないのではないか、こういうぐあいに私は考えるわけなんであります。   〔委員長退席三ツ林委員長代理着席〕 そうなれば、七十五万トンというものをもっと増産してもらわなければならないというところの方針を出しても一向差しつかえないのではないか。あなたのほうといたしましては、四十五年の米というものが百五十九万トン端境期に在庫があったので、そのうち百万トン繰り越しをやって新米と一緒に配給をする、こういうことだから、まあ五十九万トンもあるじゃないかということになるけれども、しかしこの五十九万トン、いろいろ食糧庁人たちにお聞きしますと、なかなか配給のルートにも乗りかねるような米もその中にはあるんだということを私は聞いているわけなんであります。そうだとするならば、どうしてもやはり凶作というものも考えなければなりませんし、また凶作でなくとも、平年作だといたしましても、七十五万トンはどうしてもやはり生産をしてもらわなければならないというのが、いまの政府の実態なんじゃないか。そうすることによって、あなたがずっと主張しておられましたように、繰り越し百万トンで操作をしていくというところの米操作状態というものを維持していくことができる、こういうことになるんじゃないかと思うのです。それをどうして、二十五万トンの繰り越しというところの見通しがつくにもかかわらず、このような生産調整というものをおやりにならなければならないのか、その真意のほどが私にはわからぬわけなんであります。そういう点でもう一度明確にお答え願いたいと思うのです。
  11. 亀長友義

    亀長政府委員 食管の操作から続いて生産整調の幅ということになりますので、多少食糧庁以外のことに及ぶかもしれませんが、私が一括してお答えをさせていただきます。  二十五万トン在庫になった以上、それは百万トンに即時単年度で復元というお考えで、要するに、七十五万トン生産調整を削減して、いまのわれわれが考えております二百十五万トンの生産調整を百六十五万トンになりますか、百六十五万トンに縮減すべしという御意見に結果的になるわけだと私、思いますが、百万トンの持ち越しということを基本原則にいたしておりますけれども、単年度でその基本原則に返らなければならないかどうかという点については、私は問題があると思います。もしそういうことをやりますれば、常に豊凶の度合いに応じて生産調整を単年度でストレートに反映をいたすということになりますと、来年度はなるほど百六十五万トンになるかもしれません。しかし、豊作があれば二百十五万トレが逆に二百三十万トン、二百四十万トン、二百五十万トンというふうに、生産調整の面から見ますと、非常に豊凶によって、凶作の年の翌年には生産調整がひどく減り、豊作の年の翌年には生産調整がひどくふえる、こういうことになるわけでございまして、生産面から見ますと、はたしてそのようなことが妥当かどうかという問題がございます。また、御承知のように、生産調整の中には転作の施策が大きく含まれているわけでございまして、生産調整のあり方、生産調整の中に含まれる転作の施策ということにも非常に大きな混乱が生ずるのではないか。やはり生産調整というものはでき得れば平準的に行なっていくことが望ましい、あるいは増加するにしても減るにしても、漸進、漸減的にやることが望ましいというふうにわれわれは考えております。できれば大きな変化はもたらしたくないという考えであります。そういう観点から申しますと、もし食糧操作が許すならば、許す限りにおいて生産調整数量は変更すべきでないだろう。そのような観点から、四十七年度予算では二十五万トンの持ち越しを五十万トンに復元する程度考えておるわけでございまして、それ以後の問題はまた本年の作柄を見た上でどのように調整するか、明年度予算において考えたい。基本的には、生産調整に大きな変動をもたらすことは、食糧操作が許す限りにおいては適当でない、かように考えた上での判断をいたしておるわけでございます。
  12. 松沢俊昭

    松沢(俊)委員 大臣にお聞きしますけれども、消費の量を米穀年度月別に見てみますと、年々米の消費の量というのはふえてきているわけなんです。米が余るという宣伝がずっと前からいろいろ言われておったわけなんでありまして、当初におきましては河野先生が農林大臣をおやりになっておった当時から、一部自由販売、そして食管制度というものをひとつ考え直さなければならない、こういうお話があったことは御承知のとおりでございます。それ以来食管問題というのは常にいろいろな意見が出ておりました。そしてあるときにおきましては、いや米を食べると頭が悪くなるのであるとか、あるいは麦と米と栄養価の比較からすると、麦のほうが栄養価があって米のほうが栄養価がないのだ、したがって麦に切りかえていくほうがいいのじゃないか、こういうような意見というのもあったわけなんであります。しかし、私は考えてみますに、やはり日本国民というのは米が主食であろうと思います。そういう点からいたしまして、農業発展させるには米の生産というものが第一に考えられなければ、日本農業発展というものはないと思います。いま米余剰という議論が出ておるということは、多分に外国余剰小麦の輸入が米の過剰という現象となってあらわれていると私は思います。  そこで、考えられますことは、主食用の小麦の輸入の動向というのを見ますと、約四百万トン程度入っておるわけなんであります。もしこの小麦というものが入らない状態になった場合、一体米というものはそれでも過剰になるのかどうかということになりますと、米は過剰どころか、もっと増産をしなければならないのじゃないか、こういう結果になると私は思います。もちろん、小麦というのもある程度国民の食生活の中に織り込まれておるわけでありますから、全面的ににわかにこれを禁止するというようなことはなかなか困難な面もあろうと私は思います。しかし、日本農業を守るためには、国の主食というものに制限を加えないようにして守っていかなければならないと私は思うのであります。そういう点から考えますと、約四百万トンの年々入ってまいります小麦の輸入規制、そういう問題を提起する時期にいま来ているのではないか、私はこういうぐあいに考えられますが、農林大臣はどのようにお考えになっておるか、お伺いをしたいと思います。
  13. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 米が主食のうちでも一番多いといいますか、消費も多いし、またしたがって生産も多いのは申し上げるまでもございません。そこで、小麦の輸入をやめて米をどんどん生産さして米を食べるようにしたらどうかという御意見のようでございますが、現在の米の需給情勢からいいまして、米の消費はお話のように減っちゃいないということでありますけれども現実には減っておるのでございます。ところが供給はふえておるということでございますから、米の面において生産調整していくということが米生産者のためにもなることであるということでやっておるわけでございます。  しからば、一面、小麦の輸入をなくしていったらどうか、減らしていったらどうか。急速に減らすというわけにはまいらないと思います。麦の自給率といいますか、生産は残念ながら非常に低いのでございます。でございますので、輸入のほうを急速に減らす、こういうことは需給上からいいまして、これは輸入を入れての需給でございますから、そういう面からいいまして非常に困難であると私は考えております。
  14. 松沢俊昭

    松沢(俊)委員 動向を見ますと、昭和四十四年は三百二十九万トン、四十五年が三百三十一万トン、それから四十六年が三百十七万トンというぐあいに、四十六年になると減るわけなんであります。それから四十七年、これは予算でありますけれども、今度は三百四十八万トンと、こうふえるという結果になるわけなんでありますが、これはやはり米との関連性があるのじゃないかと私は思うのですよ。だから、米が足りなくなると麦というのがふえる、こういう傾向というものが出てきておるのじゃないか。  それから米の消費の面から申しますと、昭和四十五米穀年度昭和四十六米穀年度、この二つを比較いたしますと、総計におきまして、これは四十五米穀年度が六百六十六万五千トン、それから四十六米穀年度が六百八十三万三千トン、つまり十八万トン程度、消費の動向を見ますと、伸びているという、こういうことであります。  それから小麦粉の需給関係を見ますると、小麦粉の場合におきましては、昭和四十五米穀年度においては二百八十三万トン、それから四十六米穀年度では二百八十五万トン、こういうことでほとんど伸びていないというところの状態になっているわけなんであります。  したがって、こういうことを考え合わせました場合におきまして、日本人は、いま食生活の面からいたしますと、やはり麦というものが横ばいになって、米のほうが伸びているという傾向が十分うかがわれると思うのであります。それにもかかわらず、ことしは昨年の米の凶作からして、需給事情というのは逼迫はしていないということを長官は言っておられますけれども数字が示しておるように、不足になっていることは間違いないわけなんであります。不足になっているときにおいて量をふやすということは、やはり米と麦の関連があるからふやす、米が足りなくなったら麦をふやす、やはりこういう傾向だと思うのです。そういう点からいたしまして、私は大臣が言われるように、確かにいますぐ約四百万トンの小麦というのをストップしてしまえということは申し上げません。しかし、やはりこういう国民の食生活の動向等を十分考慮されまして、そしていま減反によって困っているところの農民の窮状というものも大臣に知っていただきまして、小麦というものの輸入のある程度の制限ということをやって、漸次国民が嗜好しておりまするところの米の食生活方向に指導していく、こういうことは非常に大切なんじゃないか、いまこそそれをやるところの時期じゃないか、私はこういうぐあいに考えますので、その点をお聞かせ願いたいと思っているわけなんであります。
  15. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 一つの考え方と拝聴いたします。ただし、小麦はやはり小麦の増産といいますか、小麦の自給率が非常に低いのでございますが、米の生産調整によって小麦の作付などが少しふえていますが、そういうことによって輸入を減らしていくということのほうが先だと思います。輸入を減らして米を食べるのを多くしよう、こういうのは二の次だと私は考えます。ですから、小麦のほうの国内生産がふえるような方法はずいぶん苦労してきているのですが、なかなかふえません。しかし、生産調整などで少しふえておるようでございますし、あるいは集団栽培等、いろいろなことで麦の生産も進めておりますけれども、その方面が進むことによって輸入を減らすということで、輸入を減らして米の消費をふやすというのは第二次的な方法じゃないかと私は考えておるわけでございます。
  16. 松沢俊昭

    松沢(俊)委員 私は、大臣が赤城先生だから信用しながら質問しているわけなんでありますけれども昭和三十六年に農業基本法ができたわけなんであります。昭和三十五年には、米を除くところのいわゆる食用農産物の自給率は八九であったわけであります。ところが現在では七六%だ、こういうことを聞かされているわけなんでありまして、その間、農業基本法ができたり、いろいろなことを言って、日本農業というものは他産業と比較してもひけをとらないという農業にするのであるとか、あるいは農村と都市との地域の格差というのはなくしていくんだ、そういう形の中で日本農業というのを発展させていかなければならないということが常々強調されてきたわけなんであります。ところが、現実はそれとはあべこべに、だんだんと食料の自給率というものが低下をしてまいりました。しかもこのパーセントの中でそれでもこれだけのパーセントを維持しているというのは、畜産がある程度パーセントが高いわけなんであります。その畜産のえさの濃厚飼料の大半というものは外国に依存をしている、こういう状態であるわけなんでありますから、そのえさを引くということになりますと、さらに自給率というのは低下するわけなんであります。しかもこれは価格計算での自給率でありまして、カロリー計算によるところの自給率ということになると、さらにこれは低下すると思います。おそらく五〇%ないし六〇%、あるいはそれよりも下がっているのではないか、こういうぐあいに考えられるわけなんであります。  そういう点からいたしまして、いま大臣が言われるように、まず日本で麦の生産をやっていかなければならないということが先決なんだ、こう言われますけれども、しかし、いままでもそういうことはたびたびあったわけなんであります。たとえば最近生糸問題がだいぶ問題になっております。そして繭糸価格安定法の一部改正もやるというような事態に入ったことは御承知のとおりであります。しかし、あの当時一体どうであったか。これは、桑がたくさんあった、そういうことで、過剰生産だから桑を抜いた者に対しては奨励金を出すということで、桑園の撲滅運動というのが行なわれたことがあったわけなんであります。そうしたら翌年桑が足りなくなって、今日におきましては生糸の輸出国であったところの日本が十万俵も輸入をしなければならないというところの事態に入ってしまっているわけなんであります。そういう農業の歴史の経過から見まするならば、やはり外国依存という形でなしに、もちろん小麦の増産運動というものをおやりになってもらっても非常にけっこうなのでありまするけれども、さしあたっては、米と麦との関係におきましては、やはり麦が入ってくることによって弱体化される。そういうことであるならば、麦の輸入をある程度規制して米の生産をあげる、そういうことをやりながら、一面におきましては、この食糧の自給度を高めるという意味において、麦の生産というものにもやはり増産政策を立ててもらう。こういうことでなければ、政府が言っておられるように、八〇%程度の自給率というのは何としても確保していかなければならないという、その目標がなかなか達成されないというところの結果になってしまうのではないか。むしろあべこべにそれ以下になっていくということが十分予想されるわけなんであります。そういう点で、私は大臣を何回もおやりになったところの赤城先生にお伺いしているわけなんでありまするが、これはやはり小麦を簡単に増産すると言われたところで、なかなかいろいろな点において無理な面というものがあると思います。気象条件の問題等もあるわけなんであります、技術の問題もあるわけなんであります。そう一朝一夕にして直ちに外国並みの小麦生産というものができ上がるとは私は考えておりません。そういう点からいって、まず主食であるところの米に重点を置いて、米をじゃまするものをやはり制止をし、規制をする、こういうことがやっぱり必要であろうと思います。そういう点で、もう一回御答弁を願いたいと思うのです。
  17. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 お話しのように、米をじゃまするものを押えて、米が増産されないわけはないと思います。やっぱりいままで、明治の初めから米の増産、いまでもその増産はやめようというわけじゃございませんで、麦との関係、麦のほうは減りましても、米のほうはそれとは別にして、増産は進んでおると私は考えます。  また、小麦が輸入されているから米の生産政策がじゃまされている、こういうふうには私は考えません。米そのもの生産というものは増産をたどってずっと来ておると思います。ただ、米だけの需給関係から言いますると、米の供給と消費からいって、米の供給のほうが多いということでございまするから、それをある程度減らしていくということで、これは小麦が輸入されるからというような因果関係とは私は考えておりません。  でございますので、米は増産する。増産したものの過剰のものは調整をしていく。麦のほうは、小麦のほうなら小麦のほうはできるだけ——まあなかなかこれ、自給度を増すということは、ずいぶん——松沢さんも米価審議会の委員なんかやっておるころから、米価審議会でも小麦の増産生産対策どうするのだ、もう十年も前からずいぶん論議されて、その方向に進めてはおりながら、なかなか思うようにいかないというのが現状でございますが、しかし、小麦を輸入しているから米の消費が阻害されていると、こういうふうではございませんから、小麦は小麦としてできないながら一生懸命自給度を増す、米のほうは米のほうとしてやはり生産を進めて、あるいは消費も進めていかなければなりませんが、そういうふうに分けて考えざるを得ないのじゃないか、こう思います。
  18. 松沢俊昭

    松沢(俊)委員 いろいろ議論はありますのですけれども、時間がありませんので、次に移りたいと思います。  ここで、食管の問題でありますけれども、食管制度は堅持する、これが私たち総選挙に出るときの与野党の約束であったわけであります。自民党の代議士候補の人たちも、食管制度は堅持する、それから食管の根幹を守る。こういうことが言われたわけなんであります。ところが、去年から政令改正によって、米の買い入れ限度数量というものができました。これは私はやはり食管制度、食管法そのものの法の精神から反していると思います。この点につきましては、いま裁判が進行中でありますので、ここで議論するのは省きますが、私は昭和四十六年の計画を見ますと、政府米が五百八十万トンで自主流通米が百八十万トン、こういうぐあいになっておるのが、昭和四十七年の計画からいたしますと、政府米が五百五十五万トン、そして自主流通米が二百十五万トン、合計いたしまして十万トン増加し、特に自主流通米というものがふえるという勘定になっておりますけれども、そのふえる中で、政府米というものが減って、そして自主流通米がふえる、こういうことであります。そうだとすると、食管の根幹からいたしまして、米というのは全量政府が買い上げるというのが法の精神だという考えに私たちは立っているわけなんであります。ところが、政府のほうは、この法の精神とは逆に、政府米の数をどんどん減らして、だんだんと自主流通米の量というものをふやしていく。最終的におきましては、これは自由販売という方向に進んでしまうのではないか、こういうぐあいに実は考えられますが、この点はどうお考えになっているか。  それから、もう一つの問題でありまするが、食糧庁長官通達というのが出ているわけなんでありまして、その食糧庁長官通達からいたしますと、これは昭和四十四年三月十八日に出ているわけなんでありますが、それには二つ出ておりまして、「生産者の保有米穀の算出の一部改正について」という通達であります。その通達からいたしますと、いままでよりも保有量というものをよけいにいたしまして、そうして通達では一人当たり十七キロの玄米の保有、それからもみにいたしまして十キロ、こういうことになっているわけなんであります。そうすると、この十七キロ、十キロというそのものは、これは四百五万トンから三百八十万トンというふうに農家の保有量というのはことしは減るということになるわけであります。減る理由としては、年々二十万トンずつ農家の保有量というのは、農家人口が減少するからしたがってその分というものは減らしてもいいんだというのが、食糧庁のものの考え方であります。しかし、いま生産調整、減反、こういうことを政府のほうで計画を立てられまして、そうしてその計画に基づいて生産したところの米は、これは政府は買う、しかし政府の言うことを聞かないで生産したものは政府のほうとしてはこれは責任をとらないということであって、それ以上つくってはならないということではないと思うのであります。そうなりますと、結局十七キロとかあるいはまたもみは一アール十キロとかというところの通達というものは意味のないところの通達になるんじゃないか、こういうぐあいに考えられます。同時にまた三百八十万トンの農家保有の米というものが需給計画の中に出ているわけなんでありますが、この三百八十万トンというのは、しからば十七キロの積算、もみ十キロの積算によってできたところの三百八十万トンであるかということを聞きますと、そうでもないということになるわけであります。一体この辺どういうふうな解釈をしたらいいか、私は全く解釈に戸惑うわけなんであります。そういう点を明確にしていただきたい、こう思うわけなんであります。
  19. 亀長友義

    亀長政府委員 第一点の自主流通米が昨年度よりも大幅にふえた予算になっておるではないかというお話でございますが、自主流通米は、もちろん自主流通米と申しましても現在の食管制度のワク内のものでございまして、その流通経路もはっきり規制をされておるわけでございます。したがいまして、原則的には、私どもはむしろ良質米というものが自主流通米に流れて、いわゆる自由の長所を取り入れると同時に良質米の生産にも資する、こういう制度の目的を達成する、かような意味から申しましても、政府買い入れ量と自主流通との量的な関係というものは、現在の自主流通米の占めるパーセンテージから申しますと、もう少し伸びてもいいのではないかというふうに思っております。しかしながら、いろいろな事情もございますし、一挙にそうもいかないので、逐次漸増をいたしてきておる。また漸増するのが私ども方針であるというふうに考えておりまして、明年予算で計上いたしておりますものは二百万トンをオーバーいたしますけれども、それには助成の強化等も十分いたすつもりでございますので、その実効は十分達成できるというふうに考えております。  いわゆる自由米へ移行するのではないかということでございますけれども、四十七年度予算なり四十七年度の産米につきまして、そのような形を私どもはいまのところ考えておりません。従来の自主流通の形で促進をしてまいりたいというふうに考えております。  次に、農家保有の十七キロの問題でございます。これは御指摘のとおり、いま売り渡し政令の中で、市町村長は買い入れ基準数量を定めるときには農林大臣の定める生産者保有米穀及び種子用米穀を確保してきめなければならぬ、こういうふうになっておりまして、その農林大臣の定める基準量が御指摘のように一人当たり玄米十七キロということできめられておるわけでございます。このことは消費者に対しても同様でございまして、消費者に対する配給量の基準量は一人当たり精米十五キロというふうにきめておりまして、これが現在の農家保有米並びに消費者に対する基準量がそれぞれ十七キロ、十五キロとなっている根拠でございます。しかし、実際には、農家におきましても十七キロを消費しておるわけではございません。また消費者におきましても、十五キロを消費しておるわけではございません。農家の最近の傾向といたしますと、統計調査部その他でも調査をいたしております。また農家保有の実績等から計算をいたしましても、十七キロが十四キロを割った程度であるというふうに、あるいは十四キロ前後というふうに最近の数字は出ておるように記憶をいたしております。また配給のほうでも、十五キロの配給基準量になっておりますけれども消費者の買うのは自主流通米配給米合わせまして大体六キロ前後というのが最近の数字でございまして、私ども集荷並びに配給の実行計画を定めるにあたりましては、一応そのような基準量によらないで実際の過去の農家の保有実績、消費実績配給につきましても消費者の受配の実績というものを基準に計算をいたしておるわけでございます。その実効上の観点からいたしまして、大体十四キロ前後の消費に一人当たりでいえばおさまるだろう。この十四キロも過去の消費実績から計算をされたものでありまして、三百八十万トンにつきましても、農家の過去の消費実績の傾向値、もちろんこの中にはほんとう農家で食べるもの以外にいわゆる贈答用のものまでも含めておりますが、従来農家段階において使用しておったものの実績というものを見込みますと、大体三百八十万トンになるわけでございまして、そのような傾向値のもとに算定をいたしておるわけでございます。これを十七キロということで計算をいたしますと、保有量が非常に多くなるということになりまして、かえって実態に合わない結果にも相なろうかと思いまして、私どもはなるべくその辺は実態に近づけるような努力をいたしておるつもりでございます。
  20. 松沢俊昭

    松沢(俊)委員 私の聞きたいことは、政府米の量というものをだんだん減らしていくという、それは確かに自主流通米というものはこれは政府の管理監督下に置かれていることは私ども承知しておりますけれども政府の代金を出して買うというところの米ではないわけであります。つまり食管特別会計というものは二重価格制というものが確立されておりまして、その二重価格制の中で赤字が出るとかあるいは黒字が出るとかということの議論になると思うのです。ですから、特別会計そのもの——これは四Kということばが出ておりますけれども、その四Kの一つだということで、要するに赤字というものを解消するところのねらいがいままでずっと続いてきたわけなんであります。それがいってみますならば二重価格制という食管の根幹をくずす方向であったわけであります。それがことしの四月一日から物価統制令から消費者米価を除外する、消費者米価に対する物価統制令のワクをはずす、こういうことになる。そうすると、実際上からいたしますと物価統制令から消費者米価がはずれるわけでありますから、いまは十キロ千五百十円でありますか、それが現在自主流通米などの値段を見ますと二千円から二千五百円というような価格になっておるわけでありまして、統制令からはずされれば、これはいろいろの抑制策を立てるということを農林省のほうで言っておられますけれども、実際は強制権も何もないわけなのでありますから、したがって、価格が上がることは間違いないと思います。  そこで、農林大臣も、きのうの予算委員会の答弁で、米価はことしは上げるということを言われたということをきょうの新聞で見ているわけでありますが、生産者の米価が上がっても、消費者の米価が上がってしまえば——米をつくる場合においては農民生産者であります。でありますけれども、その他一切のものを買う場合においては、農民消費者となるわけであります。したがって、消費者価格が上がるということであるならば、生産者価格は若干上がったとしても、それは農家経済の足しにはならぬわけであります。そういう立場に立ってわれわれは物価統制令から消費者米価をはずすことに対する反対運動をいままで展開をいたしてまいってきているわけであります。そういう関連からいたしまして、結局政府の五百八十万トン去年後期においてしていたのをことし五百五十万トンにして、自主流通米百八十万トンを二百十五万トンにふやすということは、こういう関連の中で行なわれているいわゆる食管制度そのものを切りくずす一つの動きとしてわれわれは受け取らなければならない、こう思うわけであります。そういう点につきまして、おそらくそうでないという反論はできないと思う。そういう傾向にあるのじゃないか。その点をもう一度明確にお聞きをしたいということであります。  もう一つは、通達の十七キロ、それからもみ十キロというこのことは、需給関係の問題ではないのであって、元来食糧管理法は、十七年の提案理由の説明に対する質問への答弁にその当時の食糧管理局長がはっきり言っているわけであります。この法律というものはこれは保有米ともみとを合わしたところの全量を買い上げる、いってみるならば、米の専売のようなことをやるところの法律である、こういうことを言っているわけであります。   〔三ツ林委員長代理退席、委員長着席〕 したがって、そのなごりとして十七キロ、十キロというものができていると思うのであります。皆さんはその精神を忘れまして、昨年は政令改正をやって、法律改正をやらないで通り過ごされたわけなんです。そして今度は米の買い入れにいたしましても、自主流通米をふやして政府米を不足にして、最後には食管特別会計をなくしてしまうという方向に動いていると思うのです。私はこの日本に議会制の民主政治が続くということであるならば、こういう大きな問題は農林省食糧庁の役人が操作するということではなしに、政治の場においてこれは議論してもらわなければならないと思うのであります。また政府のほうといたしましても、議会を通じてこの問題ははっきりしていかなければならないと考えるわけであります。そういう点で食管制度の問題は、やはり一官僚が手直しをするとかあるいはそれをかってにいじくるということは私は許されないと思うのであります。そういう点で大臣は一体どうお考えになっているのか、この点をお伺いしたいと思うのであります。
  21. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 議会制民主主義でございまするから、食管制度等について国会において大いに論議するのは、これは当然のことと思います。一たん食糧管理法とかそういう法律ができまするならば、そのできた法律に従って行政をやっておるのでございます。したがって、農林省でやっていることが食糧管理法に違反しているというようなことはないわけで、食糧管理法に従って、それを運用上いろいろな面に考慮を加えているということはありますが、違反してやっているということはないと思います。  食糧管理法はやはり農産物の価格支持というのが根本だと思います。その中で米あるいは麦などもありますが、こういうものに対しまして価格支持の大本である米の価格支持をしておる。しかも、この食管というものは、生産者からいえば、政府に売り渡さなくてはならぬ。ですから、そのときの状況、非常に米が全体として不足している場合、米が相当増産されている場合、そういう場合によって違ってきます。食管法ができたときには、御承知のように、非常に米が不足しているときでございまするから、供出なんという強権発動までして買ったというようなこともございます。ところが、現状におきましては、米が相当増産されているというときでございます。でございますので、生産したものを全部売らせるといいますか、そういう必要はない、こういうような状況でもございます。でございますので、食管制度そのものは決しておかしな行政をしておるということではございませんので、食管制度、食糧管理法のもとにおいて法律を施行していくのが行政官庁でございます、行政官でございまするから、農林省におきましても、それに基づいていろいろな施策をしておる、こういうふうに御了解願いたいと思います。  それから、物統令の問題でございますが、生産者の米価を上げても、消費者の価格が上がったのでは、ものの値段が上がったのでは結局何にもならぬ、農民は苦しむだけじゃないか、こういうお話でございますが、物統令は、もう御承知でございましょうが、物価全体の統制をしている法律ではございません。あれは占領中のGHQでポツダム政令でつくったもので、現在物統令が適用されているのは、消費者米価とふろ賃と工業用アルコールですか、この三つに物統令が適用されておるようなものでございます。  そこで、物統令というものも、先ほど申し上げましたように、米の生産が非常に少なかった場合と多くなってきた場合ということについての考え方が違ってきておるというようなことから、物統令を廃止する、米の消費者米価の適用を除外するということにしたいと考えて、四月からこれを行なうというようなわけでございますが、それは全体の物価を統制しておる物価統制令ではございませんから、生産者米価が上がったからほかの価格が全部上がる、農民の購入する価格が上がるというふうには私は考えられません。消費者米価そのものも上がらないように、この食管からいいますならば、政府が管理して買い上げた米を払い下げますから、その払い下げにつきまして、流通経費等も上がるということなものですから、その予算もことしは計上しております。その分だけは払い下げの価格も引けるわけでございます。そういうことやら、物統令廃止後の消費者米価が上がらないような措置というものは十分考えてこれは廃止しよう、こういうことでございまするから、生産者の米価が上がって、直ちに消費する日用品の農民の購入する価格もそれによって上がってくるのだ、こういうふうに考えるのはちょっと早計ではないかというふうに考えるわけであります。  御質問に対してこれだけ私のほうからは申し上げて、あとは、必要があれば、事務当局のほうで御答弁申し上げたいと思います。
  22. 松沢俊昭

    松沢(俊)委員 それから、米の問題はなおまたあとから登場させてもらいますので、時間がございませんので申し上げたいと思うのでありますけれども、二つあるわけなんであります。  その一つは、生産調整、四十三年から米価の据え置き、そういうことが行なわれましたことによって、私の地域では、四十三年に米の売り上げ代金が五十億円あったのが、四十六年には三十六億円に下がってしまっておるわけなんであります。これは十四億円であります。物価は上がっているわけなんでありますから、実際上は、四十三年の五十億と比較いたしました場合、その半分くらいな金しか入っていない、こういう理屈になります。新潟県全体といたしましても、千七十九億円あったのが、四十六年になりますと八百五十五億円、こういう状態になっておりますから、物価は上がっていますから、それよりももっと下がる、こういう状態であります。そして農家の借金を見ますと、どういう状態になっているかというと、ある農協を調べてみましたところが、米の売り上げ代金というのは六億七千二百万円であります。したがって、二戸平均いたしまして五十八万円、それから農協の窓口の借金というのが四億四千三百万円、自創資金などが一億七千七百万円、土地改良の金というのが一億七千九百万円であります。したがって、これを要するに二戸当たりに割ってみますると、土地改良事業をやっているところの地域におきましては、一戸当たり八十一万三千円というところの借金になっているわけなんであります。土地改良をやらぬところの地域におきましても、一戸当たり六十八万円であります。そうなりますと、昨年米を売っても、売った代金が五十八万円でありますから、十万円不足というところの理屈が出てくるわけであります。要するに、こういう傾向というものは、これは単に私の地域、新潟県だけでなしに、日本全国の統計もここにございますけれども、そういう傾向が出てきているわけなんであります。  そこで、私は大臣にこの際考えていただかなければならぬことは、この前、藤田委員長と同行いたしまして北海道の冷害の視察をいたしました。そうしたら、北海道の農民は、百年年賦償還にして、そして年に二分の利子で借金のたな上げをやってくれ、そういった要求が出ておったわけなんであります。いま単に北海道だけでなしに、日本の全国の農家は固定負債、特に農協窓口の四億四千三百万円という、これは単協の書きかえ書きかえでやっておるわけなんであります。これは完全な固定負債ということになっておるわけであります。この固定負債をたな上げをしてやるという、そういう緊急事態に今日農家が追い込まれているのではないか、こういうぐあいに私、考えます。そういう点で、大臣は、要するに、こういう現実的な具体的な問題に対してあたたかい手というものを差し伸べていただきたい。そのためには、固定負債の整理の問題、たな上げの問題というものをどうお考えになっているかということが第一点であります。  第二点といたしましては、農機具あるいはまた農薬というものが非常に高いわけなんであります。いままでもいろいろと大臣から御答弁がございましたけれども、また所信表明の中にもありまするように、営農団地なんかをつくっていこうというところの話もあるわけなんでありますけれども、しかし、何といたしましてもやはり農機具の価格というのが高い。特に横浜の港渡し、CIF価格がかりに五十であったとするならば、農家の手元に届くところの値段というものが大体百くらいになってしまうわけです。五十万のものなら約百万円、あるいは七十五万であれば百五十万円。こういうぐあいに値段が非常に高くなるわけなんでありまして、こういう点はやはり価格をチェックしてもらいまして、もう少し値下げをやってもらわなければならない。これは単に外国の輸入農機具だけでなしに、国産の農機具等におきましても、相当高いところの値段で買わされているわけなんであります。だから、こういう農機具の価格の引き下げというものに対して抜本的な対策をひとつ立てていただきたい。  それからもう一つは、硫安だとか尿素、そういう肥料でございますが、肥料の価格等におきましても、国内価格というものと国際価格、いわゆる輸出価格、この価格の面において相当の大きな開きがあります。たとえば昭和四十五年のこの価格を見ますると、国内価格と国際価格、国際価格の実は約倍になっているわけなんであります。もちろん硫安会社、肥料会社等が国際競争をやる上におきましては、その国際価格に合わせなければ商売できないことは、これは私もわかっております。わかっておりますけれども、しかし、そこにさや寄せするために、そのしわを農民がかぶるということはあまりにも酷じゃないか。したがって、これらに対しまするところの対策、たとえば農家が使用する場合におけるところの補助金、また肥料メーカー等に対する輸出の補助金というようなものも考えられるでしょう。どっちにしたところで、結果は同じことになると思いますのですけれども、そういう形で、国際価格が安いので、その安い分を農家にかぶせるという、そういうものはやめてもらって、もう少し農家の価格が引き下がるような努力をしてもらう、そうすることによって、やはり国際的な農業と競合できるところの日本農業というものがっくり出されていくんじゃないか、こういうぐあいに私は考えます。  以上二つ、一つは固定負債の問題、一つは農機具それから肥料等における価格の引き下げの問題につきまして、明確な御答弁を大臣からいただきたい、こう思うわけなんであります。
  23. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 農家の負債がだんだんふえていくというようなことはまことに憂うべきことだと思います。しかし、これを、昭和の初年に農家の負債整理という問題がだいぶ出まして、法律も出たり、いろいろしましたが、いまそういうふうに、まことに困ったことですが、徳政的な、これをなくするとか、ある程度負債をたな上げしてしまう、こういう措置をとることは私はいまどうかと思います。負債の償還の延期というようなことにつきましては、政府関係の金融機関などについては、私などもできるだけやらせるようにしたいとは思いますけれども、全般的にこれをたな上げしてしまうということは、金融全般の関連もございます、なかなか容易なことではございませんで、ちょっとそれはいまはできかねると思います。  それから、農機具、肥料等が農業者としての支出の大部分を占めていると思いますが、農機具そのものはほかの機械と非常に違って、御承知のように、農業者にとっては負担でございます。普通の機械ならば、その機械を稼働して、三百六十五日とはいわぬでも、一年じゅう使えるものでございますが、農機具はある一定の期間でございます。でございまするので、非常に農機具に金をかけても、その農機具代を償却するということが非常に困難なような性格を持っています。でございますので、農機具の負担というものは農家にとってはなかなか重荷でございます。でございますので、これを引き下げたらよかろうというようなことでございますが、できるだけこれは引き下げたらいいと思いますが、同時に、やはり個人個人で使うということは、これは農機具の性格からいって償却がなかなか困難でございます。多くの団体的なもので、団地的な経営というようなもので農機具を共同に使うというような形にこれは持っていきませんと、農業機械化というような制度もこれは本質的に農業者として非常に困る問題だと思います。  肥料につきましては、ずいぶん前から肥料の価格を下げるべく、農林省、通産省と肥料の問題でやってきておりましたが、肥料も増産されてきましたので、したがって、肥料価格もだんだん安くなってきたわけであります。まあ生産性が上がったわけでございます。そこで、お話がありましたように、輸出している肥料は、国際価格等もありますので、相当内地の価格と違っているような実情でもございますが、何といいますか、外国へ犠牲的に下げて、その分を農民に売る肥料に高くかぶせておるといいますか、かさ上げして売っている、こういうふうには私は考えておりません。この点よく調査いたしますけれども、そんなことになっておらぬと思います。この肥料の問題等を見ましても、まあ農協など共同購入というような形でやっていること等によって、だんだん農家に肥料の負担を少なくしていこうというようなことでやっていると思います。外国へ売っているものを、農家にかぶせて肥料の価格をきめてあるわけでもなし、また売っているというわけでもないと思いますが、できるだけこれはほんとう農家の負担を少なくするように、この肥料の問題等も十分検討してみたいと思います。
  24. 松沢俊昭

    松沢(俊)委員 それでは、もう時間が過ぎましたので、まことに恐縮でございますけれども、またいずれ御質問を申し上げたいと思います。どうもありがとうございました。
  25. 藤田義光

    藤田委員長 相沢武彦君。   〔委員長退席三ツ林委員長代理着席
  26. 相沢武彦

    ○相沢委員 農林大臣所信表明に対しまして、きわめて基本的な問題点につきまして幾つか御質問を申し上げまして、今後の日本農政のあり方についての方角を明確にしてまいりたいと思います。  最初に、新年度の農林関係予算の総額でございますが、一兆二千九百九十七億円、この中にはかなり新規予算分が含まれておるんですが、これは単年度予算として計上されたものなのか、あるいはある程度先の見通しを掲げて、いわゆる長期展望に立って組み上げたものなのか。今年度予算の骨格というものについて御説明いただきたい。  それからもう一つは、農業関係予算の重点項目として、農業の体質改善ということについて述べられておりますが、「わが国経済発展とその急速な国際化の進展に対応して、わが国農業を早急に国際競争に耐え得る生産性の高い近代的農業として確立する」、こういう目途が書かれておりますが、国際競争力というのはおよそ何年後に備わるという見通しを持って農林省としては取り組んでおられるのか、この二点についてまず大臣から御答弁をいただきたいと思います。
  27. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 四十七年度予算の性格でございますが、これは単年度予算か、あるいは将来を見越しての予算かということでございます。もちろんこれは継続予算ではございません、単年度予算でございます。しかし、農業の性質からいいまして、農業のいろいろな政策というものが一年で解決できるような問題ではないのでございますので、単年度予算でありますが、しかし、これはこれからもやっていこうという考え方のもとに、単年度予算として組んであるというふうに御了承願いたいと思います。  第二番目には、日本農業を国際競争に耐え得るようにしたいということであるが、いつこれが国際競争に耐え得るかと、こういう非常にむずかしい御質問でございます。実は国際競争に耐え得る農産物資もございます。たとえば卵だとか、その他二、三国際的に見ましてもどうやらやっていけるようなものもすでにあるにはあります。しかし、ほとんどの農産物は国際競争力からいったらば非常に劣っているといいますか、でありますので、そのために自由化の問題などもずいぶん私は国際競争力が出るまではだめだということで、押えに押えてきているわけで、これからもそのつもりでおりますが、いつになったら国際競争力が養えるかということは非常にむずかしいと思います。大体絶対的にはないと思います。相対的だと思います。相対的にやはり国が農業に対しては保護政策といいますか——その保護政策、補助政策ばかりじゃございません、生産性があがって、国際的にも物の生産性も労働の生産性もあがるというようなことは、これは国際競争力が培養されたことでありますし、国内におきましても他産業との均衡がとれることでありますから、そういう方向で国際競争力を培養する、あるいは国内においても工業等の他産業との関係の競争力といいますか、力を養っていくということでございまして、生産性を向上するということに帰すると思います。そのためにあるいは団地的な農業経営をしたほうがいいんじゃないかとか、いろいろな施策を講じようということで予算にも計上してございますが、それによっていつ国際競争力が、世界のあるいは先進国の農業と対抗できて負けないだけになるか、こういう期限はいつまでか、こういう御質問に対しては、まことに残念ながら、私もいつまでということは答えられない立場でございます。できるだけ早く競争力を養う、これも相対的だと思いますが、そういうふうに考えておる次第でございます。
  28. 相沢武彦

    ○相沢委員 ただいま大臣の御答弁で、国際競争に耐え得る生産性の高い近代農業を確立するには、まだまだ日本農業としては至難の道を歩まなければならないというお話でございますが、日本農業の危機というものは早くから警鐘が打たれておりましたし、農業形態の家族等の構造変化による農業人口あるいは戸数というものを検討してみますと、ここ十年間程度の間に農業人口は三六%から一六%に減少しておりますし、さらに年々二、三%ずつ減少しておるのでありまして、現在の農家人口八百万人といわれるように減少しております。また戸数でも六百万戸から五百二十万戸から五百三十万戸、これも年々一%から一・五%ずつ減少しているわけでございますが、さらに農業人口の年齢分布という点からいいましても、現在五十歳以上の方たちによって三八%も占めるような状態になっておりますし、四十歳以上の人口になりますと七〇%に達している。この若年労働力の定着のために、農業生活環境整備という点について私、御質問したいのであります。  これについては若干農林省としても取り組み方が足りなかったんではないか。特に農業における若年労働力の他産業への移行と農村人口の老齢化ということが非常にいま問題化されております。生産基盤を整備する、あるいは機械化をはかる、生産力を高めるという、いわゆる経済面からのみの優遇策に限ってきたというような感じさえするわけです。しかし、世代の断絶とかいうものが最近いわれておりますけれども、特に若い層の人たちは、農村における文化的な生活というものを強く望んでおりますし、そういった方向を志向されております。基盤整備はできたけれども、若い層が農村からいなくなったという声が聞かれるようになった原因というものは、農業後継者育成策として従来の考え方の中に生活環境整備という点が欠落していたのではないか、こういう点が強くいわれるわけでありますが、この点についての政府の今後の方策についてお尋ねをしたい。
  29. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 確かにお話しのように、青年の層が農業を離れて出ていく。これは農業に魅力がないというような点もあると思いますが、農村生活環境というものが劣っているといいますか、青年に魅力がないというような点が多いと思います。でございますが、一つは非常に日本経済が高度成長をしましたから、高度成長したということは、都市に対する青年の魅力がふえるような形、一面においては公害もありますけれども、そういうようなこともあったと思います。そういうことで、私は大きく言えば、日本の国土開発というものを、都市においても、自然都市といいますか、都市に自然を残すとか導き入れる、こういうような都市計画をしなくちゃならぬと思いますが、ことに農村におきましては農村のよさというもの、自然農村といいますか、農村のよさというものを残していかなくちゃならぬ。それには自然環境もよくしていかなければなりませんが、生活環境、たとえば農村家屋なんという問題もございます。あるいは文化的に農村の若い人などが新しい最近の文化を享受できるような施設、こういうようなもの。それから、農村の昔からの共同体的なよさというものを育成していくといいますか、残していかなくちゃならぬ。そういう点からいうと、私は政策面からいって、団地的な農業経営ということも、農村ほんとうの共同体的なよさを入れながらやっていくような形にすべきじゃないかというような、いろいろなことがございます。後継者の生業資金だとか、いろいろな点もやってはおりますが、考え方の大きな筋を申し述べれば、そういうことでございます。  また、こまかい点につきましてやっていることは御承知と思いますが、そういうことでもし説明をする必要がありますならば、事務当局から説明いたします。
  30. 相沢武彦

    ○相沢委員 いまの問題に関連しまして、具体的に近年、毎年六十万から七十万人が他産業に移行しているわけですが、農林省として政策的に減少方向へ持っていこうとされているのか、あるいは自然的に減少方向をとられるとするのか、その辺の問題と、新全総に六十年度農業人口の見通しについて発表されたことは承知しておりますが、今後十年あるいは十五年後に農業人口がどの程度になることが理想的と思われるか、あるいはどの程度にならざるを得ないという見通しを持っておられるのか、その点について。
  31. 中野和仁

    ○中野政府委員 ただいまお話昭和六十年というような計算は、まだわれわれのほうではいたしておりませんが、現在農林省で将来の見通しを持っておりますのは、昭和五十二年でございます。五十二年には現在の農家戸数がかなり減りまして四百五十万戸、そこで働く農業就業人口は現在の七五%くらいに減りまして約六百万人というふうにわれわれ想定をしていて、これについていろいろな施策を進めているわけでございます。
  32. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 私どもとしては、そういうことにするということではございません。そういうことになるという見通しのもとに、そういうものになるという経過的に考えまして、その経過の中においてどういうふうにしていくか。農業の構造改善をしていくとか、あるいは離農に対しての対策を講じていくとか、土地、経営の拡大をさせていくとか、そういう構造改善、そういう対策を講じ、そしてそういうことになっても十分に国民の食料をまかなえ、そして農家がやっていけるような、お話のような農業というものに愛着を持ちながらやっていけるようなことにしていきたい、こういう方策、政策考えておるようなわけでございます。
  33. 相沢武彦

    ○相沢委員 農地面積の問題についてお尋ねしますが、全国の一戸当たりの平均所有耕作面積は大体一ヘクタールということがいわれておりますが、最近では東北の庄内地方あるいは新潟平野あるいは上越沿線等では、一戸当たり二十ヘクタールから三十ヘクタールも耕作している農家が出てきたわけでありますけれども農業構造の変化から考えてみますと、大規模化する農家と、それから他産業と業兼あるいは転廃業する農家というように、一ヘクタールの農家における両極分解というのが相当進んでくると見られるわけでありますが、その点について農林省はどのように把握をされているのか。将来の規模別の構造の青写真といいますか、そういうものはどういうふうになるとお考えでございますか。
  34. 中野和仁

    ○中野政府委員 ただいまのお話でございますが、農林省としまして何ヘクタール以上の人が幾らになる、何ヘクタール以下の人がどのくらいになるという的確な数字計算をまだいたしてないわけでございます。現在の農業の進み方、これからの考え方からいたしますと、やはり規模の大きい専業農家が相対的にはふえてきます。といいますのは、いままでの傾向からいいましても、二ヘクタール以上の農家は、若干でありますが、ふえてきております。一方では、経済の高度化に伴いまして兼業農家がまたふえてくるということで、第二種兼業農家が非常にふえる。それからまた一面では、そういう専業的な農家も特に規模の大きい農家がふえてくる、こういう傾向になろうかというふうに考えております。
  35. 相沢武彦

    ○相沢委員 農林省の統計でも明らかですけれども、八〇%以上が兼業農家で十数%が専業農家ということでありますが、兼業農家人たちもその大部分が第二種兼業ですから、農業所得だけでは生活が安定しない。そういうわけで農業以外に所得の道を求めるために非常に苦労をされておるわけでありまして、それは農外所得四五%から六三・五%に拡大されておるということを見ても明らかであります。そこで、今後の農政として、一律的あるいは画一的な政策から脱皮して、規模別とかあるいは地域別、ブロック別というようなさまざまな観点から、もっともっとセレクトされたやり方というものが考えられなくてはならないのではないか。その辺の政策の転換はどのようにお考えになっておるのか。また、零細農家については協業経営ということを農林省はおっしゃっておるのですけれども、それだけでいわゆる零細農家人たちが今後農業経営を安定させてやっていくことができるという見通しに立っておられるのかどうか、その点をお聞きしたいと思います。
  36. 中野和仁

    ○中野政府委員 やはり農業産業として考えます場合には、農業で一人前に飯を食っていけるというものをつくらなければならない、これまた基本法が示しておるところであります。そこで、農林省としましては、一面では自立経営農家の育成ということを考えております。すでにこれは基本法以来、そういうためにいろいろな施策をやってきておるわけでございますが、特に昨年は自立経営農家の標準的な指標も各地方農政局、各県にもお示しいたしまして、それに基づきまして具体的に地域の特性に応じた米作あるいは養蚕、畜産、園芸その他の指標を示したわけでございます。  ただ、いま御指摘のように、また先ほども申し上げましたように、日本農業全体から考えてみますと、その自立経営的なあるいは専業的な農家の占める農業生産におけるウエートというのは、二割五分から三割くらいであります。あとは兼業農家、これも第一種兼業農家、第二種兼業農家とあるわけでございますが、第二種兼業農家がすでに過半数を占めております。したがって、この方々が農業だけで食っていけないということは、これはあるいは当然のことだと思います。そこで、一面では、そういう方々が他に転職し得るような政策としまして、農業者年金基金制度、あるいは労働省とタイアップしました転職のいろいろな職業指導の問題等をやっておりますと同時に、兼業でも農業として残りたいという農家につきましては、いろいろな政策考えていかなければならないわけでございます。これもいまおっしゃいましたように、単に協業経営ということだけでは私もいかないだろうと思います。場所によりましては、共同作業でいい場合もありましょうし、あるいは一つの農業生産法人をつくりまして、零細な農家はその生産法人に土地を提供する、自分は安定した他産業に就職するということもいいかと思います。あるいはまた、先ほどもちょっとお話が出ましたと思いますが、大きな農家に農作業の作業委託をするということも考えられましょう。そういうようなことで、農林省といたしましては、自立経営農家の育成をやりながら、同時に多くの兼業農家を含めました一つの、先ほど農林大臣お話しになりました団地的な整備ということをはかっていくべきだということを考えております。
  37. 相沢武彦

    ○相沢委員 各方面のいろいろな試算が行なわれておりますが、当然十年後あるいは十五年後には農家戸数も二百五十万戸内外になりまして、そのうち一〇%内外の二十万から三十万という農家が全農業生産の八〇%を生産するのじゃないか、こういうふうに見られておりますが、残りの二百万戸からの農家が兼業か転廃業に追い込まれる、こういうことが心配されるわけでありまして、西欧諸国でも現状はそのようになってきておるようでありますが、いまの日本農政の施策では、この点どのように摩擦をなくしてあたたかい政府の保護のもとに構造改革がなされるのか、この点について一番心配されるわけであります。今後、選別政策というようなことも聞いておるわけでありますが、それをとるのか、またその場合には、先進西欧諸国でやっておるような保障制度を日本農政の中にも大きく取り入れていくのか、この点、現在、構造がどんどん変化をしていくわけでありますから、具体的な御答弁をいただきたいと思います。
  38. 中野和仁

    ○中野政府委員 選別政策ということでございますが、農業としてやっていける農家を一部に置いてあとを強制的に出すということは、申し上げるまでもなく考えられないことであります。やはりこれは誘導して他産業に就職をしていただくということで、先ほどもちょっと触れましたように、労働省ともいろいろ話し合いをしまして職業紹介、職業補導その他をやっておるわけでございますが、もう一つのやり方といたしましては、やはり昨年国会に御提案申し上げて通過をいたしました、農村地域に工業を導入していって、そこで安定的な就職をさせるということが必要ではないかと思います。なお、一昨年成立いたしました農業者年金基金制度によりましても、一部の離農者につきましては奨励金を出して離農していただく、そういう手を打っているわけであります。  ただ反面、農業として残っていく農家に対しまして、これは先ほども申し上げましたけれども、一つ申し忘れましたのは、現在、農林漁業金融公庫で自立経営を目標としました農家に総合資金を貸しております。これは制度が発足しましてから急速に伸びておりまして、相当の額が特に畜産なり園芸なりには出ておるということでございます。  農林省といたしましては、この前の御答弁のときに申し上げましたように、やはり農業産業として考えていく農家をつくりながら、一方出ていく農家につきましては、いろんな誘導措置を講ずる必要があろうというふうに考えておるわけでございます。
  39. 相沢武彦

    ○相沢委員 次に、食料需給の問題でお尋ねしたいのですが、国民生活の自立安定をはかるためには、農業生産物需給政策の確立とともに、食料自給度というものがフルに満されなければならないと思いますが、ここ二、三年、御存じのように、低下傾向を深めて、一次生産物では国内自給が半分以下というような実情になっておりますが、自給の問題につきましては、先日の物特の連合審査におきましても、佐藤総理が八〇%確保は必要だということを御答弁されておりますが、農林省としまして、各省との連携の上に、農業生産物の各品目ごとに、どのように自給度の向上を促進されていこうとされる方針なのか、御答弁願いたいと思います。
  40. 中野和仁

    ○中野政府委員 御指摘のように、現在の自給率は、米を一〇〇%見ました場合に七五ということになっております。先般、物特で八〇程度が望ましいというふうに総理が御答弁になったと伺っておりますが、現在、農林省として考えておりますのは、水産物を含めますと、現在が約八一になっております。そこで、大体その程度は推持したいというふうに考えておりますが、農産物につきましては、われわれ、昭和五十二年の見通しといたしまして、総合しまして七七程度というふうに考えておりまして、大体八〇に近いというふうな見通しを持っておるわけでございます。  いまお話しのように、品目別にどうかというお話でございますが、これは米につきましては、御承知のように、米の生産調整をやりまして需給均衡をとるということで、一〇〇%ということを考えておりまして、輸入は考えておりません。  それからおもなものを申し上げますと、小麦につきましては、先ほどの松沢先生との御論議にもいろいろ出てまいったわけでございますが、何とか小麦の生産が減るのをとめようというような考え方になっておりまして、現在、五十二年には一二%程度の自給というふうに見通しております。  それから大豆につきましては、生産調整以来かなり転作奨励の主要な作物にしておりまして、現状が五%ぐらいの自給でございますが、これ一二%ぐらいに上げたいというふうに思っております。  それから野菜につきましては、これは生鮮なものでございますから、一〇〇%程度の自給はすべきだと考えております。  それから果樹につきましては、現在八五から九二ぐらいの自給率を目標にいたしております。  それから肉類につきましては、やはり八三から九四というようなことで、八、九割の自給率を目標にしております。  乳製品につきましても同様でございまして、約九割以上の自給率を目標にしております。  卵は、御承知のように、国内で大体自給ができるということでございます。それを続けたい、こういう見通しを持っておるわけでございます。
  41. 相沢武彦

    ○相沢委員 水産物を含めて総体的には八一%ということなんですが、やはりもう少し自給度向上の促進に真剣に取り組んでいかなければならないと思います。  それから、カロリー計算から見た自給度の資料がありましたら、発表してほしいと思うのです。
  42. 中野和仁

    ○中野政府委員 カロリー計算から見た自給率の計算でございますが、農林省としては、カロリーで計算すればこういう自給率になるというのは、正式には公表しておりません。と申しますのは、私もこまかい学問的なことはよくわからないのでございますが、いろいろその計算のしかたに議論があるようでございます。そこで学者がやられたり、あるいはわれわれが試算したもので見ますと、たしか六十何%かになっていたような記憶があるわけでございますが、正式に農林省としては計算して公表しておることはございません。
  43. 相沢武彦

    ○相沢委員 それはどこで資料をまとめておられるのですか。——時間がありませんので、できましたら資料を委員に配っていただくように委員長から取り計らっていただきたいと思います。  では、質問を続けます。  国際的な農業環境の中で高能率農業を早い期間に確立するようにいま日本農政が進められていながら、土地利用問題その他地価との関連性、さらには地域分担や計画性体制の確立、こういった問題が山積みをしているわけでございまして、新年度予算の中で赤城農林大臣の一枚看板といわれる農業団地等の新政策予算も組み込まれましたけれども、まだまだ内容的に十分なものとは言えないという声も多方面にございます。今回の予算措置で消費者団体やまた全国民的な理解が得られ、そして農家が不安のない生産、出荷が実現されるのかどうか、この点の農林省の自信のほどをお聞きしたい、こう思います。
  44. 中野和仁

    ○中野政府委員 たいへんむずかしい質問だというふうに思うわけでございますが、先ほど農林大臣からも申し上げましたように、われわれとしましては、外からは自由化の問題があり、国内では農業の再編成をするというためには、どうしても生産性を上げましてコストを下げて、規模を大きくした経営に持っていかなければならぬということでございます。そのことにつきましては、従来から構造政策をいろいろ進めてきておるわけでございますが、内外の情勢がきびしいものですから、早急に体質改善をしたいということで、農業団地育成対策というものを五カ年計画でもってやろうということでございます。四十七年度は初年度ということでございますので、四十七年度だけですぐにできるというふうには考えておりません。少なくとも五カ年計画程度でもってできるだけ体質改善の政策を進めるべきだという考えで施策を進めようとしておるところでございます。
  45. 相沢武彦

    ○相沢委員 その農業団地についてなんですが、この事業の運営については省内でもっと一元化すべきであるということ、また地元と行政の呼吸をぴったり合ったものにするために、もっと現地の主体性あるいは自主性を十分に取り入れることが肝要である、このように思われますけれども、その点についてどうか。その内容について検討がされているかどうか。またさらに、農業団地を定着させ成果をあげるためには、流通対策をどれだけ有機的に結びつけるかにかかっているということもいわれておりますが、この点についての検討はどのように進められておりますか。
  46. 中野和仁

    ○中野政府委員 農業団地の推進体制でございますが、現在は、実は私が座長というようなかっこうで省内に連絡会議をつくりまして、団地対策をまとめてやっております。そのために団地対策室というのを官房に置いております。しかし、今回の国会に御提案申し上げております農林省の機構を一新する設置法改正、これが通りますれば、新しく構造改善局というのができます。その構造改善局にこの団地対策を所管させるという考え方でおるわけでございます。  それから、地方への浸透のしかたでございますが、約二億円の推進費を今回予算に計上していただいておりまして、県の段階それから町村の段階において、県、町村を中心にそれぞれの段階での農業団体を加えて協議会をつくりまして推進をいたしたい。  もう一つは、団地対策の場合に、全国画一的な計画で押しつけるということは非常に困難であります。そこで農林省としましては、すでにおととしの暮れに出しました農業の地域分担に基づきまして、現在相当数の県が県内の地域分担の作業をやっております。これに基づきまして、団地対策もそれぞれの地域の特性に応じまして、またそれぞれの地域の作目の違いに応じましたきめのこまかい地についた政策に持っていく必要があろうかというふうに考えておるわけでございます。
  47. 相沢武彦

    ○相沢委員 自由化対策についてお伺いいたしますが、近年の転作奨励施策によりまして、米づくりから相当の耕作面積が果樹や畜産へ転作、転換されているわけであります。ところが輸入自由化の対象になっている農産物は、これらの果樹や牛肉等に集中しているわけでありまして、アメリカにおきますこの部門の輸出余力というものが強力でありまして、日本の門戸開放をねらっているのは、アメリカにおける最近の農産物輸出というものが貿易収支に果たしている役割りは非常に大きいし、また工業輸出入の赤字補てんを農産物の輸出でカバーしている。こういうことから見まして、今後の日本経済の工業輸出優先政策の見返りとして考えあわせても、自由化を迫られることは当然だと思います。相当な圧力が加わるだろうということは目に見えているわけでありますが、外からのこういった自由化の攻勢、また内にかかえた日本農政の不安というものからしまして、日本農業の今日の状態は非常に不安でございますが、特にこの自由化対策予算で今後だいじょうぶかどうか。特に残存二十四品目の見通しですね、これについて一言承りたいと思います。
  48. 中野和仁

    ○中野政府委員 自由化の問題につきましては、昨年からいろいろ、特に日米通商交渉でいろいろな折衝があったわけでございますが、その結論といたしまして、具体的な品目としましては、昨年まで二十八ありました残存品目につきまして、今度新しく四つ自由化をしようということになっておるわけでございます。  その対策がそれで十分かというお話でございますが、トマトピューレ、ぺーストにつきましては予算措置をもちまして価格安定対策を講ずる。その他の三つ、精製糖と配合飼料とハム、ベーコンにつきましてはそれぞれ関税措置で対応するということで、農林省としてもこれでだいじょうぶだというふうに思っておるわけでございます。  それは付帯的な品目でございますが、全体の自由化の今後の問題といたしましては、御承知のように、この一年間は閣僚ベースの交渉はないということで休戦になっておりまして、年が明けますと、今度は世界的といいましょうか、EC、アメリカ、日本などの先進国とその他のほかの国も全部加えましたガットの場でいろんな交渉が行なわれるという段階になっておるわけでございます。農林省といたしましては、先ほどから御議論があるように、農業の体質改善が進みますまでの間は、日本農業の基幹となる農作物については自由化はしないという方針でまいりたいということにしておるわけでございます。  なお、先ほど御質問がありまして、私、御答弁を抜かせまして失礼をいたしたわけでございますが、団地対策を進める上での価格対策の問題でございます。従来から価格対策については、牛乳あるいは養蚕その他につきまして、大豆あるいはでん粉等価格対策はそれぞれあるわけでございます。特に今度の四十七年度予算におきましては、加工果実につきましての価格安定対策、それから肉用牛につきましては、牛肉の増産と同時にやはり価格安定の必要があろうということで、肉用牛についての価格安定対策、特にまた乳用牛の利用増進ということのために乳用牛の価格安定対策も講ずる、また子豚の需給安定と価格安定対策をやるというような新しい施策も盛っておるわけでございます。
  49. 相沢武彦

    ○相沢委員 自由化対策のことにつきましてはもう少し質問したいのですが、時間がございませんので後日に譲りまして、最後に水産庁のほうにちょっとお伺いしたいと思います。  水産業のほうも資源の制約、国際規制の強化、公害の進行、こういったいろんなむずかしい問題がありまして、供給が今後非常にたいへんだろうと思うのですが、水産庁のおっしゃっている新漁場の開発と沿岸における増養殖の推進、これはどちらのほうが先に国民のたん白源の供給に供することができるか、見通しについてお聞きしたいと思います。
  50. 太田康二

    ○太田(康)政府委員 さきの国会で成立いたしました水産資源開発促進法によりまして国が開発の基本方針を策定いたしたわけでございますが、その際五カ年間の見通しを立てて基本方針を定めるということで、昭和五十年におきますところの需給見通しというものに基づきまして計画を立てたわけでございます。たしか間違いないかと思いますが、その際沿岸漁業の開発によりましての増産効果を約三十一万トン、それから新漁場開発によります増産効果を四十万トンというふうに期待をいたしておるのでございます。  どちらが先かというようなことでございますが、新漁場の開発のほうは、そうは申し上げましても、直ちに漁場が開発され、これが企業化の線に沿って増産効果につながるというようなことはもちろん困難かと思いますが、ここ一、二年のセンターによりますところの調査の経緯等も考えまして、今後もちろん積極的な漁場開発、新漁場の調査ということに取り組んでまいりたいと考えております。  それから、沿岸の増養殖の問題につきましては、御承知のとおり、促進法に基づきまして開発区域が設定をされまして、これに基づきまして県ごとにやはり開発の具体的な方針が立てられるわけでございまして、これらにつきましては、沿岸漁業の構造改善事業等によりまする財政援助あるいは農林漁業金融公庫によりまする融資制度、さらには農業近代化資金の活用によりますところの融資等もあるわけでございますから、これらによりましての先ほど申し上げた増産を期待していくということでございまして、特にどちらが優先するかというようなことはないわけでございまして、両々相まっての増産ということを期待いたしておるのでございます。
  51. 相沢武彦

    ○相沢委員 長官の御答弁から推しまして、実際に現在沿岸における栽培漁業というのはすでに相当開発されて、供給にかなりの寄与をしているわけでありますが、最近、いわゆる各地の栽培漁場における火力発電の設置という点で、漁業団体との交渉が難航しているところがかなりあるようでございます。特に、それに伴う温排水の影響につきまして、国は昨年やっと一カ所その調査を終わったという段階で、いまだに明確な資料が不足といった実情でありますが、単に、その漁業団体との間の金銭補償だけで、せっかく開拓された沿岸の栽培漁場が公害に侵されていくということは、やはり国民的な立場から考えても、これは納得できないと思うわけでありますが、また一方、電力の供給ということが大切なことはわかりますけれども、乏しい漁場、また水産資源を守るという立場から、水産庁としては火力発電の立地条件というものに対してどういうような態度で、今後臨んでいくのか、基本的な方針について承っておきたいと思います。
  52. 太田康二

    ○太田(康)政府委員 お尋ねのとおり、火力発電から排出されますところの冷却水、これが周辺海域の海況に変化を与えまして、そこに生息いたしておりますところの魚介類等の水産生物に対しまして影響を与えるおそれがあるということは当然考えられるわけでございまして、そのために私どもといたしましては、現在水産研究所におきまして原子力発電あるいは火力発電等の温排水の影響の範囲を科学的に把握するための基礎的な研究を行なっておるのでありまして、そういった研究の成果の上に立ちまして、これらに対する対策を立ててまいるわけでありますけれども、特に立地の問題につきましては、お尋ねのとおり、その周辺に私どもが期待をいたしておりますところの将来の養殖業の開発の適地である、あるいは現在養殖業が積極的に行なわれておる、それに影響を与えるような個所に火力発電を設置するというようなことは、私どもとしては極力避けてもらいたいということで——そうは言いましても、沿岸どこでも最近は増養殖が盛んになっておりますから、適地ということになるとなかなか少なくなるということも考えられるわけでありますけれども、私どもの基本的な考えといたしましては、そういった影響の少ないところにもし設置をするなら設置をしていただくということで、通産省の方面とも話し合いをいたしておる、これが基本的な姿勢でございます。
  53. 相沢武彦

    ○相沢委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  54. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林委員長代理 午後一時四十分に再開することとし、これにて休憩いたします。    午後零時五十四分休憩      ————◇—————    午後一時五十四分開議
  55. 藤田義光

    藤田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。小宮武喜君。
  56. 小宮武喜

    ○小宮委員 まず大臣に最初に質問したいことは、これは午前中の質問にありましたけれども、十一日の衆議院の物価連合審査会において佐藤首相が、農産物の輸入化については、農産物は自給すべきものは自給すべきであり、自給率は八〇%程度を維持したいということを答弁されておるわけですが、この考え方農林大臣考え方は同一のものと理解してよろしいですか。
  57. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 率についてはいろいろ問題はありますが、考え方は同意見というか、同一でございます。
  58. 小宮武喜

    ○小宮委員 午前中の質問の中で、大体米を一〇〇%入れると農産物の自給率は七五%、水産物を入れると八一%というような答弁をされておりますね。そこで、米を除いた農産物の自給率は幾らになりますか。それと水産物だけの自給率は幾らですか。
  59. 中野和仁

    ○中野政府委員 米を除いた場合の自給率を試算してみますと、水産物を含めた場合は七四%、水産物を除きました食用農産物の総合自給率は六六%ということになります。水産物だけの自給率はちょっと私、いま覚えておりません。後ほど申し上げます。
  60. 太田康二

    ○太田(康)政府委員 先ほどもお答え申し上げたわけでございますけれども、先般さきの国会で成立いたしました水産資源開発促進法に基づきまして、開発の基本方針を昨年の十月公表いたしたわけでございますが、これはあの法律に規定されておりますように、長期の生産需要見通しの上に立って立てなければならないということで、実は昭和五十年の見通しを立てました。そのときの国内の生産が千二十五万一千トン、これに対しまして輸入に仰がざるを得ないものが、その際たしか百五十六万トンというふうに考えておりますので、全体のそのときの需給が千百八十一万一千トンぐらいになるわけでございます。それに対しまして国内の供給が千二十五万一千トンですから、かなり高い自給率、八〇%をこえる自給率、こういうことになるわけでございます。
  61. 小宮武喜

    ○小宮委員 自給率の問題ではまたあとで十分やりたいと思いますが、時間がございませんので、次は、これは大臣に質問しますが、現在モスクワで行なわれておるサケ・マス、ニシン、カニの日ソ漁業交渉の見通しについてひとつお聞きしたい。
  62. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 いま交渉は資源問題なんかをやっていますので、直ちに見通しは申し上げられませんけれども、私の感じでは、去年のように長引くというようなことはなさそうに見ております。  それからカニの問題なども、大陸だな資源だの公海資源だのの論争をあまり長くやらないで、去年あるいはおととしのような形で進むのではないか、こういうように思っております。  サケ・マスにつきましては、マスの不漁年でございますから、資源問題である程度きびしいことを向こうで言うのではないか、こう考えられます。それにことしはツブの問題も出ていますので、こういう問題も、むずかしい問題として論議されるとは思っていませんが、きめていかなくちゃならぬ、こう思っています。
  63. 小宮武喜

    ○小宮委員 非常に微妙な段階でしょうから、これ以上のことは質問いたしませんけれども、水産のことに関係して、これは水産庁長官にお伺いしますが、昨年の十一月七日にアムチトカ島において、アメリカの地下核実験が行なわれました。この水域は北洋漁業の宝庫であるということで、漁船員が年間延べ二万五千人ぐらい出漁しておるわけですけれども、この核実験について非常に不安がっておる。したがって、この漁船員の不安を除去するために、その後水産庁として同海域の調査をしたことがあるのかどうか、ちょっとお尋ねします。
  64. 太田康二

    ○太田(康)政府委員 御承知のとおり、昨年の十一月七日にアムチトカ島で核実験が行なわれたわけでございまして、私どもといたしましては、当初は科学技術庁が中心になりましてかなり大規模な調査もやると言っておったのでございますけれども、アメリカ側の発表もあったりいたしまして、直ちにそれの実行には着手しなかったわけでございますけれども、いまお尋ねのように、私どもといたしましては、当然海域についての関心があるわけでございますので、私どもの漁業取り締まり用務で北洋海域に就航いたしておりますところの取り締まり船、これを一時アムチトカ島海域に回航いたしまして、三月六日及び七日にわたりまして付近海域のマダラ、カジカ、タラバガニ等の底魚の採取をいたしております。これを中積み船に積みまして私どものほうに持ってまいりまして、東海区水産研究所でこれの分析に当るということにいたしておるのでございます。
  65. 小宮武喜

    ○小宮委員 特にこの実験が始まる前は、水産庁あたりでも、緊急避難をさせたり、あるいは大きな海津波が起きるとか、いろいろ騒がれておりましたけれども、実験が終わったとたんにこのことはもうすべて忘れられてしまったというような感じがするのですが、実際にこの問題については全然被害はなかったということでございますか。
  66. 太田康二

    ○太田(康)政府委員 現在、先ほど申し上げましたような取り締まり船に私どもの漁業監督官が乗っておりまして、ガイガーカウンターを持って調べておるわけですけれども、その限りにおいてはもちろん問題はなかろうと言っておるわけでございますけれども、なお、より精密なる調査をするために、先ほど申し上げましたように、底魚をとりまして、これを持ってまいりまして、私どもの東海区水産研究所で分析をいたしまして、実際の被害があるかどうか、あるいは汚染しているかどうかというようなことの調査に当たる。いま少しく結論をお待ちいただきたいと思う次第でございます。
  67. 小宮武喜

    ○小宮委員 特に実験に際して、これは政府も、水産庁もですが、アメリカに対して、もし万一実験の結果被害をこうむるようなことがあればその補償請求の権利を保留するというような抗議までしておるわけですね。すると、今回の、いまのお話では三月の六日、七日に取り締まり船を出して調査をやっておるようですけれども、しかし、こういった問題は、やはり短期的に問題が解決できるという問題でなくて、この問題は、特に先ほど申し上げました延べ二万五千名もの漁船員が同水域に出漁しておるということ等も考え合わせた場合に、やはり皆さん方が安心できるように、長期的に継続してその調査をやってもらいたいというように考えるわけですが、長官、どうですか。
  68. 太田康二

    ○太田(康)政府委員 いろいろなやり方があろうかと思いますが、御趣旨の点につきましてはよくわかりますから、私ども検討いたしまして、できるだけ御趣旨に沿うようにいたしたいと思います。
  69. 小宮武喜

    ○小宮委員 次は大臣に質問します。  近ごろまた大きな政治問題になっておる市街化区域内農地の宅地並み課税の問題です。これは昨年この法律ができる場合もわれわれ野党はこぞって反対をしたわけですけれども、一応与党の方々の賛成で法律は通過をした。ところが、またいまの段階になっていろんなこういうような問題が非常に出てまいりまして、修正あるいはいろんな意見が出ておるようですけれども、この当時大臣として、この地方税法の一部改正の法律案を提出した閣僚の一員として、私は、農林大臣としてどのようにこの問題を考えられておるのか、ひとつ大臣の所見を念のために聞いておきたいと思います。
  70. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 法律提案には農林大臣としても賛成したわけでございますが、しかし、賛成するにつきまして、なかなかこれは問題をはらんでいると申しますか、含んでおる、こういうふうに考えてはおったのでございます。
  71. 小宮武喜

    ○小宮委員 それ以上のことはもう追及しません。  それでは、最近郵政省が郵便貯金を担保に庶民金融構想を発表しておりますね。これについても農民団体はこぞって反対をしておるわけですが、これについてもひとつ大臣の所見を聞いておきたいと思います。
  72. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 この問題に対しては、農業団体それから大蔵当局の金融関係、それから銀行関係、財界等反対しております。でありますので、私は、農業協同組合等の関係からいえばもっともな点があると思います。しかし、また一面庶民の立場から考えて、そういう道を開いてもいいんじゃないかという感じを持っていますが、いま慎重にいろいろな方面の意見を聞きながら私としては検討しておる次第でございます。
  73. 小宮武喜

    ○小宮委員 次は、消費者米価の物統令の廃止の問題でございますが、これはもう昨年の六十五回の国会でも相当論議をし、われわれも盛んに質問をしたところでございますが、それが、十一月一日から実施のはずをことしの四月一日に延期をしたという経過になっておるわけです。この問題については特に消費者団体こぞって反対をしておるわけですが、この問題について、昨年の十一月一日実施をことしの四月一日実施に変更した理由についてひとつお聞きしたい。
  74. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 ちょうどあのころに、作況状況の報告をまだ聞いておりませんでしたが、だんだん作況が下がるような状況で、どれくらいまで下がるのかというようなこともありましたし、それから円の切り上げ問題等の経済全体に対してのこともありまして、経済政策に対するめどもついてない、作況の状況もはっきりしてない、こういうことなものですから、しばらく延期して、いろいろ心理的その他の影響も考えなければならぬと思ったものですから、強硬に私は延ばしたわけです。なかなか、ほかの大蔵省やその他も、去年きめちまったんだから早くきめちまえ、こういうことでしたが、私は、いま申し上げましたような状況をくんで延ばさしたわけでございます。
  75. 小宮武喜

    ○小宮委員 農林省のほうは、そういった意味で円切り上げの問題あるいは特に四十六年度冷害とか災害によって非常に不作だということで、消費者米価の値上がりを非常に心配されて、むしろ一年延期をすべきだということで、大臣あたりはだいぶんがんばったらしいですが、結果としては大蔵省に寄り切られたということを伺っておるわけです。  そこで、この物統令を廃止した場合に、消費者団体はこぞって米価の値上がりを招くということで反対しておるわけですが、大臣は、率直にいって、物統令をはずした場合に消費者米価が値上がりすると思っておるのか、しないと思っておるのか、端的にひとつお答え願いたい。
  76. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 これは、物価の問題は心理的なこともございますし、あるいは実際、消費者物価でも、これは需給バランスがとれれば、心理的な問題はあっても消費者物価の値上がりはしないで済むんじゃないかと、こう考えています。そういう意味において、需給バランスはとれるような方法をとって、そうしてまた上がらないような施策もとっていきまするから、消費者米価は上がらないというふうに見ております。
  77. 小宮武喜

    ○小宮委員 大臣は、消費者米価は、そういうような対策も立てるから上がらないと、内心また上がるかもしれぬということで、その対策も立てようということですね。結局、そうであれば、大臣は、率直にいって、自分の本心を言えば、ではこの消費者米価は何%くらい、たとえば一〇〇%のうちでまあ六、四くらいで上がるのじゃないか、七、三くらいで上がるのじゃないかというように、ひとつ大臣の率直な腹の中をお聞かせ願いたいと思います。どうもはっきりしませんので。
  78. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 上がるとすればどのくらい上がるのかということを……(小宮委員「上がるか上がらないか大臣の……」と呼ぶ)プロバビリティー、見通しでございますか。私は見通しとしては、八割くらいは上がらないと思っております。二割くらいはどうかなという……。
  79. 小宮武喜

    ○小宮委員 大体八割は上がらないということを思っておるわけですね。  政府はこれまでもこの物統令廃止の問題について、これは食糧庁長官なんかだいぶ言ったほうですが、米が余っておるから値上がりをしないということを国会答弁の中で再三言ってきたわけです。それで、もし上がるような場合は政府保有米を放出するから心配は要りませんということを、もう何十回となく食糧庁長官は答弁してきておるわけです。その意味で、大臣が大体八〇%くらい消費者米価は値上がりしないということをここではっきり明言されたので、あとの二割の問題は残るわけですが、その場合に、政府が言っておるのは、たとえば米価が不当に値上がりした場合は政府の保有米を放出するということをいままでの答弁の中で言っておるわけです。そうすると、これは大臣より長官のほうで——大臣はお疲れでしょうから、長官のほうで御答弁願いたいと思うが、物統令をはずした場合に、消費者米価が不当に値上がりしたという判断をどこでするのか。たとえば、いま十キロ千五百二十円なら二十円の品物が千五百五十円になった場合不当な値上がりと見るのか、千六百円になったとき不当な値上がりと見るのか、その判断の基準をひとつ教えてもらわぬと、たとえ米が上がった場合でも、いやそれくらいは不当な値上がりとはいえませんと逃げられる心配があるから、不当な値上がりというのは何を判断の基準とするのか、それをここでひとつはっきり答えてください。
  80. 亀長友義

    亀長政府委員 不当な値上がりをした場合に政府米を放出するというふうに私、あるいは申し上げたかもしれませんけれども政府の保有米の放出については、私は当、不当ということを問わず、かなり弾力的に考えていきたいと思っております。それでは、どういう場合に放出するのかということになりますと、これは現在の食管法の家計米価からだけで申しますと、現在の消費者米価千五百二十円よりも、大ざっぱに申しまして三割くらい高くても家計米価の規定には該当いたすわけでございますけれども、何ぶんにもいままでの千五百二十円というふうな米価水準が配給米ではとられておった。片一方には、自主流通米は高いものもあり安いものもありますけれども、二千円から二千百円くらいまで自主流通米がある。とにかくそういう状態で、ここ数年国民の大多数の方がそういう生活をしてこられた。こういういままでの経緯から考えまして、国民生活にあまり大きな変化を与えるようなことのないようにという配慮が前提になるであろうと私は考えます。  もちろんいままでの消費者が購入しております全体の平均的な消費者米価の水準というものは、必ずしも千五百二十円でもございません。自主流通米を食べておられる方もおりますし、そういう意味で、近年と申しますか、国民生活へ定着をしてきた米価の水準を大きく動かすようなものは不当なり、不当と言わなくても、これは政府保有米を放出して米価の安定に努力すべき時期であろうと思います。またかりに、物統令を撤廃することによりまして、中間業者である販売業者あるいは小売り業者というものがたとえばカルテル行為のようなことをやった、それによって中間経費が不当に高騰して末端が上がる、こういうのも不当の一つだと私は思います。そのような場合には、当然中間マージンを合理化させるような方策を講じなければならぬと思います。  いずれにしましても、不当な値上がりというものは、はやり国民生活に大きな変化を来たすような値上がり。さらに、これは売る場合には政府の売却価格というものがございます。これは大きな財政負担のもとに形成されておる価格でございますから、そこで想定された消費者価格というものが、不当に侵害されるというとおかしなことばになりますけれども、正当に反映しないというような形はやはり好ましくない。そういう意味で、私どもは値上がりに対してはしかるべき手を刻々に打っていくべきものだろうと考えております。保有米の放出以外にももちろんいろいろな手段がございますし、私どもとしては、物統令撤廃後も米価の安定ということにはあらゆる限りの施策を講じていくつもりで、いろいろ考えておる次第でございます。   〔藤田委員長退席、三ツ林委員長代理着席
  81. 小宮武喜

    ○小宮委員 もう少し突っ込んでお聞きしますけれども、いままでの配給米は十キロ当たり千五百二十円、なるほど自主流通米はもうすでに十キロ当たり二千円、二千百円くらいで売買されておる。そうしますと、長官の考え方は、不当な値上がりというのは、いまの答弁によって私が受けた印象は、自主流通米程度まで——今度設ける標準米価格もありましょうし、そういったものが二千円か二千百円、自主流通米程度まで上がっても、それは不当な値上がりとは思わない、したがって自主流通米の価格以上に値上がりした場合に初めて政府米を放出して値上がりを押えるというふうに理解していいですか。
  82. 亀長友義

    亀長政府委員 私が先ほど申しましたように、不当な値上がりというのは、やはり国民の消費生活を脅かすような水準だろうと考えます。それで、もちろん私はいまの食管法の家計米価のような高い水準を必ずしもいま考えておるわけではございません。いままでとにかく実現してきた米価水準、そういうものを著しく離れないような価格が正当に形成さるべきであろう、それより高いものは不当である、こういうふうに申し上げたわけでございまして、かりに撤廃後におきましても、自主流通米の価格に政府配給米のすべてがしわ寄せするというふうには考えておりません。これはもちろん小売り間の競争もございますし、量的に申しましても、政府がそこまで上げなくても売れるような施策を考えております。それからまた、御承知のように、標準価格米というものもつくりまして、消費者の御要望にもこたえるようにいたしておりますので、そういうものが全部二千円の自主流米の価格にしわ寄せされるというふうには考えておりません。  ただ、御指摘のように、かりに二千円に全部しわ寄せされたらどうなるのかというお話であろうかと思いますけれども、私はむしろそれは二千円にしわ寄せされることのないような政策的措置を十分に講じておる、だからそういうことはあり得ないというふうに考えております。
  83. 小宮武喜

    ○小宮委員 もうすでに米穀の販売団体では、物統令除外と同時に販売マージンの値上げを決定しておるようです。つまり、卸売り業者は現行の三・一二%から四%に、小売り業者は七・一四%から一二%に引き上げることを決定しておるやに聞いております。そうしますと、もうすでに政府は標準米価制度、いまの配給米と同じように十キロで千五百二十円と言っておるけれども、この販売マージンを現行の一〇%から二八%に引き上げられることになれば、これだけでも政府米で小売り価格は十キロ当たり百八円値上がりするということになるわけです。したがって、現行の千五百二十円が千六百二十八円になるというわけですが、この販売マージンの引き上げについては、農林省承知ですか。
  84. 亀長友義

    亀長政府委員 いま御指摘のような話は、私もときどき耳にするのでございますけれども、しかし一方には、やはり大都市におきましては新規業者の参入によって、袋詰め等の値段は競争によってむしろ下がるという新聞記事等も報道されております。また一部の業者がかりにそういうことを考えたとしても、簡単にそれが実現するのかどうかきわめて疑問に思います。  それから、もちろんマージンにつきまして法規上の拘束はこれからなくなるわけでございますけれども、私どもとしても予算措置といたしまして、四月から人件費の高騰も考慮して、政府売り渡し価格を六十円下げるというようなこともいたしておりますので、実際問題として、かりにある人々がそういうことを考えたとしても、簡単にそれが実現できないような施策を私ども考えてまいるつもりであります。
  85. 小宮武喜

    ○小宮委員 その販売マージンの値上げは、これは手続的には農林省の許可か何か要るわけですか、それとも販売業者が自由にやっていいわけですか。
  86. 亀長友義

    亀長政府委員 物統令が撤廃をされますと、法律上の罰則というものは、小売り価格、卸価格に関してなくなりますから、法規上からは、自分たちが幾らに売ろうと、消費者さえ買ってくれれば、適当の値段がつけられるということに相なります。しかし、問題は、経済的に考えてはたしてそれで消費者が応じるかどうか。他店との競争というものも増加をしてくる、政府の売り渡し価格も六十円引く、こういうような状態の中で、かりに一方的にそういう意欲をお持ちになっても、経済的にそれが実現し得るかどうか。私どもは、そんなに簡単にマージンが一方的に上げられないような措置をいろいろ施策として講じていくということは、もう御承知のとおりであります。私は、おそらくかりにそういうことを一部の方がお考ええになっても実現はすまい。また、私どもは、なるべくマージンの高騰はいろいろな施策で押えられるような方向で努力をしていく。標準価格米については、標準のマージンだけで売る、消費者希望に応じる。こういう制度を設けて、希望のある消費者には対処していく、こういう考えでございます。
  87. 小宮武喜

    ○小宮委員 いま長官の答弁の中にありましたように、結局、物統令を廃止すると同時に、政府が卸売り業者に売り渡す価格を一俵、六十キロについて六十円安くするということになれば、これはいろいろ質問したいことは一ぱいあるわけですが、時間がありませんので飛ばしますが、結局、こうなると、物統令の廃止の目的に反するわけではないですか。たとえば食管の赤字はそれだけふえることになるでしょう。そうすると、この物統令の廃止の目的に反することになりはしないかと思うのですが、どうですか、その点は。
  88. 亀長友義

    亀長政府委員 私は、物統令廃止の目的の中に、食管の財政負担を直ちに解消する、軽減をするという目的は含まれていないものと了解をしております。先般の予算委員会でもそのようにお答えをしたのであります。もちろん非常に長期的に見ますと、物統令の撤廃によって消費者がいろいろ選択に応じて米が買えるようになり、それに応じて価格が形成されるようになり、それがやがて卸、小売りの価格あるいは食糧庁買い入れ価格にも反映することができれば、これは良質米の増産にも非常に貢献をする。そのような非常に長期的な視野での食管の合理化ということには役立つと思いますけれども、当年度政府の売り渡し価格が上げられない、むしろ下げられなければならぬというような形になるわけでありまして、直ちにこれが財政負担の軽減という趣旨を含んでいない以上、物統令撤廃の趣旨とは相反するものではないというふうに考えます。
  89. 小宮武喜

    ○小宮委員 ひとつまた、政府が今度の物統令廃止と同時に、標準価格米制度を設けるということについて、これは公正取引委員会から農林省に対して、独禁法の疑いがあるというふうに申し入れがあったとかいうことを聞いておるのですが、その点は事実ですか。それと、それに対する農林省の所見を承りたいと思います。
  90. 亀長友義

    亀長政府委員 標準価格米の制度は、政府の売った一−四等の米を原料として、それに該当する精米の規格のものをつくって、袋詰めにして消費者に売る、その価格は、現在の千五百二十円の統制額もしくはそれ以下で売る、こういうのが標準価格米の内容でございまして、公正取引委員会とはかねがねいろいろ意見を承って打ち合わせてきております。それで、標準価格米というのは、政府の指導のもとにつくるものであること、それから、値段については、最高額が統制額の千五百二十円であって、それ以下で売るというのは、当然これは標準価格米として扱う。こういうことで、公正取引の独禁法その他の法律上は問題がないというように私は了解しております。  ただ、問題がありますのは、業者同士が合議をして、話し合いをして、千五百二十円以下では売らないというふうなことをしたり、あるいは千五百二十円以下で売ろうとする者に圧力をかけてその営業を妨害をするというようなことがあれば、独禁法の違反になる、こういうことでございますので、私どもは、そのようなことはさせない、千五百二十円以下ならば大いに売ってよろしい、こういう指導はいたすつもりでございますので、業界もそのようなことをするつもりはいまのところないようでございます。もしあれば、これは当然独禁法違反ということになります。標準価格米制度そのものは独禁法と抵触するということではございません。その点は公正取引委員会も十分了承していただいている次第でございます。
  91. 小宮武喜

    ○小宮委員 次に、四十七年度生産調整についてちょっとお聞きしますが、午前中の質問の中でも、四十七年度は、生産量が千三百九十万トンで、総需要量が千百五十万トンで、その差が二百四十万トン、そのうち持ち越し分が二十五万トンで、約二百十五万トンだ、このような説明があっていましたが、昨年の場合をちょっと調べてみましたところ、四十六年度生産調整は、生産量が千三百九十五万トンと見て、需要量が、配給米が五百八十万トン、自主流通米が百八十万トン、農家消費米が四百五万トンとして、計千百六十五万トンとして、その差の結局二百三十万トンを生産調整するんだという説明があっておりますね。したがって、今度の四十七年度生産量が千三百九十万トンにしても、四十六年度も、生産調整二百三十万トンやったわけですから、四十五年度も二百三十万トンやったわけですから、そういった意味で、昨年と同じように生産量が——去年は千三百九十五万トンですから、五万トン減っているわけですね。そうすると、二百三十万トンの生産調整をやりながら、生産量は五万トンしか違わぬということはどうなんですか。
  92. 内村良英

    内村(良)政府委員 お答え申し上げます。  米の生産量を算出いたします場合には、申し上げるまでもなく、面積と反収という要素があるわけでございます。そこで、最近の技術の進歩によりまして、反収は年々上がる傾向になっております。一方、農地が住宅、工場等で壊廃になりますので、面積が減っているという点から、生産量が若干下がっているわけでございます。
  93. 小宮武喜

    ○小宮委員 それでは、その需要量の千百五十万トンというのは、先ほど私が四十六年度の例を申し上げましたように、その内訳はどうなりますか。
  94. 亀長友義

    亀長政府委員 千百五十万トンの内訳は、農家消費等三百八十万トン、自主流通米二百十五万トン、政府買い入れ米が五百五十五万トンでございます。自主流通米の二百十五万トンのうち、主食用は百四十万トン、残余の七十五万トンが酒米ともち米でございます。政府買い入れ米の五百五十五万トンのうち、主食用は五百五十二万トン、もち米が三万トン、以上のように考えております。
  95. 小宮武喜

    ○小宮委員 この前農林省が発行した資料を見てみますと、割り当ての目標を達成した県が、四十六年、二十二都道府県ですか、それから逆に下回った県、割り当て目標を達成できなかった県が二十四府県。四十五年度の場合は、ただの二府県あったわけですね、これは京都と新潟と。それが今度は四十六年度になりますと、急激にこの目標を達成しなかった県がふえているというこの原因について、大体食糧庁長官はどのように分析しておられるか。
  96. 内村良英

    内村(良)政府委員 ただいまの御指摘のとおり、四十五年産米の場合には、四十一都道府県が生産調整目標を達成した。四十六年の場合には、二十二都道府県しか達成していないじゃないか、数字については御指摘のとおりでございます。  そこで、なぜ四十六年は目標数量を達成した県が少ないかということでございますが、まず第一に、生産調整農家の協力を得てやっておるわけでございます。そこで協力の度合いということが問題になるわけでございますが、私ども考えておるところでは、四十六年度目標数量は四十五年度に比べまして二・三倍になっておるわけでございます。すなわち四十五年度は百万トンであったものが、四十六年度は三百三十万トンになっているという面がございます。したがいまして、数量自体が違いますので、なかなかむずかしい県もあったわけでございます。それから、この二百三十万トンに対します達成数量は二百二十六万トン、すなわち生産調整自体としては九八%の達成をしておるわけでございまして、生産調整の目的はそれによってほぼ達成されたわけでございます。
  97. 小宮武喜

    ○小宮委員 四十六年度の場合も、いま言われたように、割り当て目標の達成率は九八%だ。しかし、その内容を見てみますと、これは北海道とか九州が大幅に割り当て目標を達成したから、全体としては九八%で私はおさまったと思うのです。ところが、今度四十七年度も二百十五万トン生産調整をやるわけですけれども、その場合に、私、農家を回ってみても、結局は、いま言われたように、農家の協力を得る以外にないんだということになって、非常に不平、不満が出ております。結局、協力せずにもうどんどん自分で米をつくったほうがやはり得だ、現実にそうなっておるわけです。そういう意味で、今度の四十七年度の二百十五万トンの割り当て目標が達成できるかどうか。いままで割り当て目標を二十四府県が達成しないわけですが、むしろ逆にこれはさらにふえてくるというふうに私は見ております。農家に行けば非常にそういうふうな不満があります。県全体としてもまた農家の個々自体としても、たとえば県内においても町内においても協力した者と協力しない者とが目の前におって、協力しなかった人がもうかったじゃないかということになったら、私がいつも言うように、正直者がばかを見るようなことでは、私はやはり二百十五万トンの一〇〇%の達成はむずかしいのではないかということを考えるわけです。特に四十五年度は一律減反をやったということで非常に不満があった。ところが、達成しなかったというところの言い分からすれば、割り当てが悪いんだというようなことを言っておる。それで昨年は地域減反を三割加味した、五割加味したというところで政府の割り当て自身にも問題はあったろうと思いますけれども、しかし、それ以外に、そういった正直者がばかを見るようないまの生産調整について個々の農家では非常に不満を持っております。そういった意味から、私はこの問題についてはまたこの次の一般質問ではじっくり二時間ぐらいやりますから、それはそれとして、今回の場合は、そういうこと等も含んで、私は生産調整はだんだんむずかしくなってきたということを考えるのですが、農林省の当局は、長官、あなたは一〇〇%達成すると思っておられますか、自信がありますか。
  98. 亀長友義

    亀長政府委員 これは所管は農政局長でございますが、食糧庁長官として私は、一〇〇%達成するようないろいろな施策が講ぜられておるということ、また農家の御努力なり農協の御努力を得てやはり達成の方向に持っていかなければならない。ただ、御指摘のように、非常にむずかしいということは私どもも十分承知をいたしております。しかしながら、現在の農家政策全般の方向として、何としてでも御協力を願わなければならぬ。またわれわれ役所のほうもそういう努力をしなければならぬ、かように考えております。
  99. 小宮武喜

    ○小宮委員 私、どうもふしぎに思うのは、政府生産調整によって水田の転作、休耕をやっていく。休耕は別にして、転作をやらしていく。一方では、四十五年度の場合も百五十万トンの生産調整の場合に、五十万トンに見合う十一万ヘクタールの結局他用途への転用をはかったわけですね。その後さらに宅地などをつくる場合の水田転用基準の緩和をやってみたり、あるいはいま言われておるような問題の、結局、新都市計画法でいろいろ宅地並み課税をやって、農地をどんどんつぶそうとしていっておる。こういったものは、今後の食料需給等も考え計画的になされておるのかどうかということについて非常に疑問を持っている。無計画にただ水田だけをつぶせばいいということで生産調整をやる。あの法律この法律でつぶしをはかっていくというようなことが、どうも私はふしぎでならぬ、疑問に思っておる。その意味で、たとえば今後の食料の需給動向もありますけれども、水田面積は大体幾らあればいいと考えておられるのか、現在幾らあるのか。そうすれば幾らあって現在幾らか、もうちょっと減らさなければいかぬということになるでしょうが、現在幾らで、水田面積は、国民の主食の米の消費状況等も考えた場合、どれだけあればいいのか、ひとつ答弁してください。それでいままでつぶれたやつも念のために報告してください。
  100. 内村良英

    内村(良)政府委員 お答え申し上げます。  四十六年度の水田の面積は三百三十万四千ヘクタールでございます。  それからどの程度の水田が必要なのかという点でございますが、四十五年の十二月に農林省が公表いたしました農業生産の地域指標の試算によりますと、五十二年におきます水稲の作付面積は二百二十七万三千ヘクタールと見込んでおります。これは四十四年の作付面積に比較して、約九十万ヘクタール減少させる必要があるという数字になるわけでございます。この減少面積については、転作をすすめると同時に、道路、住宅等の農業以外への転用が必要であるところは転用しなければならないというふうに考えております。  それから、過去の壊廃面積がどうかということでございますが、四十五年、四十六年は約三万六千ヘクタールでございます。
  101. 小宮武喜

    ○小宮委員 もう政府もそろそろ生産調整計画について軌道修正をしなければいかぬ時期に来たんじゃないかというような感じもするのですが、やはり当初の計画どおり生産調整は続けていく方針ですか。
  102. 内村良英

    内村(良)政府委員 現在の米の需給構造から見ますと、基本的に過剰基調でございますので、計画どおり四十六年から五年間生産調整は継続したいと考えております。
  103. 小宮武喜

    ○小宮委員 次は野菜の問題について、これもいつも出る話だけれども、結局、昨年の十月二十九日の農林省としての野菜緊急対策を講じておりますけれども、いずれにしても、とかくいままでは野菜がよけいにできると、トラクターで踏みつぶしてみたり、少ないと、これは天気が悪いのだというようなことばかり農林省は言ってきて、野菜対策というものは全くノー政だといわれてきたのですね。今後は本格的に野菜対策に取り組むということをいつも言っておるのだけれどもほんとうにそういうようになるのかどうか、ぼくらも非常に疑問に思っておりますが、ここであらためて野菜対策について抜本的な対策をひとつお聞かせ願いたい。
  104. 荒勝巖

    荒勝政府委員 お答えいたします。  野菜につきましては、従来から非常に暴騰したり暴落いたしまして、生産者に対しましてもまた消費者に対しましても非常に御迷惑をかけてきた次第でございますが、この野菜の価格を安定いたしますためには、何よりも基本的には野菜の生産、出荷の安定を行なうこと、それが第一番でございまして、それによっておのずから野菜の価格も安定してくるものというふうにわれわれ理解している次第でございます。したがいまして、事四十七年度予算から農林省といたしまして特に野菜対策に力を入れることといたしまして、生産対策につきましても従来以上に力こぶを入れまして、指導よろしきを得たいと思っております。  特に価格安定対策につきましては、問題となっております大根、白菜、キャベツ等の冬野菜につきまして、従来以上に支持率、補てん率あるいは国庫負担割合、そういったものの引き上げを行ないまして、農家生産意欲を期待いたしますとともに、もしかりに暴落いたしましたときにも、その価格補てんを十分に行なうようにいたしたいと思っております。また、夏野菜等につきましても、従来から生産調整等によりまして相当面積がふえてきておりますので、それを踏まえながら、さらに価格安定対策に今後力こぶを入れていきたい。  そのほか、流通等につきましても、従来以上にいろいろ手を打ちまして、今後、農林省といたしまして生産から消費に至るまでの間、一貫した行政を行なうように努力してまいりたい、こういうふうに思っている次第でございます。
  105. 小宮武喜

    ○小宮委員 それから、政府は物価対策閣僚協議会で、通貨調整に伴う輸入物資の値下げの基本方針をきめたというように伝えられておるわけですが、この対象となる輸入農産物はどういうものですか。
  106. 中野和仁

    ○中野政府委員 去る三月三日の物価対策閣僚協議会で、通貨調整に伴う物価対策の強化をきめたわけでございます。これによりますと、農林関係といたしまして、まず政府が関与する物資について、これは輸入小麦でございますが、食管法に基づきまして、本年六月の麦価算定の際に、「麦製品の自由化および通貨調整後の麦製品の流通事情その他の経済事情を参酌して、政府売渡価格を算定する。」ということにいたしております。  それから、民間の取り扱い物資に対する対策といたしましては、国民生活と密接な関連を有するものにつきまして、牛肉、豚肉、ハム、ソーセージ、チーズ、レモン、グレープフルーツ、バナナ、コーヒー、紅茶等、あと若干大豆等がございますが、そういうものについて追跡調査を行なって、そしてその結果を踏まえながら、小売り価格に通貨調整の効果が反映するような対策をとることにいたしております。  若干、具体的に申し上げますと、バナナ、レモン、グレープフルーツ等につきましては、卸売り業者、小売り業者の全国団体にそういう趣旨のことを通達いたしまして、趣旨の徹底をはかる。また、三月の中央卸売市場開設者の会議におきましても、同会にそういう旨の指導をすることにいたしております。  紅茶につきましては今度関税を引き下げることによりまして、全日本の紅茶協会というものがございますが、それの引き下げをするように協会に対する指導を実施しております。  砂糖につきましては、事業団が糖価安定資金を現在放出しているようなことで、安定上限価格の見合いの価格でおさめるように、関係団体を指導しておるわけでございます。  なお、牛肉につきましては、二月からすでに百七十一店の指定小売り店の制度を実施いたしまして、趣旨の徹底をはかっておる、こういうような状況になっております。
  107. 小宮武喜

    ○小宮委員 いま輸入小麦の話が出ましたけれども、輸入小麦は商社が輸入をして、それを食糧庁が全部買い上げる、そして食糧庁が製粉会社に売り渡すというような仕組みになっておるようです。したがって、八月二十六日からの円の変動相場制への移行によって、食糧庁と輸入商社の間に——これはいままでの円建て円払いからドル建て円払いに契約を変えたために、円高による為替差益を食糧庁はだいぶかせいでおる。変動相場制移行によってだけでも二十二億と聞いております。また、円の切り上げが一五%の場合でも、大体百五十億ぐらい為替差益でもうかる。しかし、一六・八八%になるか——年間ですよ、これをもうけておるようです。もうかるはずです。さらに、食糧庁はこれを製粉会社に売る場合は、また輸入価格よりトン当たり三千四百円高く売っておるというようなことで、政府自身が何かピンはねをやっておるのじゃないかというふうにさえ勘ぐりたくなるわけです。したがって、今回の円の切り上げ、通貨調整に伴ういままでの食管の小麦勘定のもうけは幾らあったのか、それと同時に、今度それを先ほどの基本方針で安くするということであれば、製粉会社に売り渡すトン当たりの三千四百円あるいは円の為替差益によるその問題も含まれておるわけですから、そういった問題について、値下げをするというのは具体的にどういうふうにしようとしておるのか、ちょっとそれも聞いておきたいと思います。これはパンとかめん類の問題にも関係しますから。
  108. 亀長友義

    亀長政府委員 食管で外小麦を管理いたしておりますが、これは食管法に規定されておりますとおり、国内の麦生産との関係を考慮して管理をいたしておる。したがって、その価格のきめ方につきましても、国内麦との均衡あるいは米の値段との均衡を考えながら国内の売り払い価格をきめるということに相なっております。したがいまして、外国買い入れ価格が非常に安いということと、国内の価格というものは一応切り離したのがいまの制度でございまして、そういう意味から、外国買い入れ価格が安くなったり高くなったりしても、売り払いのほうは別個の規定によってやっていくというのがいまの食管法のたとまえに相なっております。  ただ、御承知のように、この間もドルレートの変更がございまして、いま先生御指摘のように、昨年秋に私ども従来の円建て買い付けからドル建て買い付けに変えましたのは、為替差益を政府に吸収するためでございまして、ほっておけば商社とかそういうものに取られてしまうのを政府に吸収いたしまして、その結果、昨年度で大体三十億円、それから四十七年度で七十億円というふうに見込んでおります。もちろんこれは、実勢レートがどういうふうに動くかとか、外国の建て値がどういうふうに国際受注から変わってくるかとか、あるいはアメリカの対金レートがどうなるかとか、いろいろな変動要素がございますが、一応いま、私ども予算上推計をいたしておりますのは年間七十億円というふうに踏んでおるわけでございます。  ただ、食管法の規定はさることながら、やはり円レートが下がったんだから、これを消費者に還元しろという声は非常に強いのでございまして、私どもも企画庁と数回検討いたしました。ただ、この年間七十億円ということをかりにいますぐやってみましても、末端のパンとかうどんに与える影響というのは非常に小さいものになる。おそらく現在の小売り価格を左右するほどの価格にはならないという問題が一つあるわけでございまして、私どもやる以上は、やはり末端価格にも何らかの貢献があるような形でやりたいとかねがね思っておるわけでございます。と同時に、食管法の規定で、麦価の政府の売り渡し価格は算式がこまかく政令できまっておりまして、その規定から申しますと、小麦の製品価格が下がったような場合あるいは米の価格との関係政府の売り渡し価格は工場経費等を差し引いてきめるんだ、こういうふうに相なっておりまして、単純に、ドルレートの変更とか買い付けの値下がりということではいまの制度上仕組みにくい、こういう問題がございます。  そこで、先ほど官房長からお話がありましたように、先般の閣僚協議会で、「輸入小麦については、食糧管理法に基づく本年六月における麦価の算定にあたって、麦製品の自由化および通貨調整後の麦製品の流通事情その他の経済事情を参酌して、政府売渡価格を算定する。」、これはもちろん、食管法の規定にのっとって算定するということでございます。いま閣僚協でおきめになったのは、そのような程度におきめを願っておるわけでございまして、実際の六月の麦価算定のときに、具体的には工場経費の人件費等の変動のぐあい、それから自由化をいたしますと、やはりマカロニとかビスケットというような製品も中に入ってまいります。そういうわけで、小麦製品の市価に変動が出てまいります。そういうものも勘案をしなければならない。それから、御承知のように、ふすまがとれるわけで、ふすまも最近自由化——もちろんドルレートの変更ということもその中に反映をいたしまして、かなり大幅に下がっております。そういうことがあれば、いまのふすまの値段が続く限りは、これは適当な時期には政府の売り渡し価格も下げなければならぬ、こういうふうな事情も出てまいるわけでございます。  いずれにいたしましても、六月の時点におきまして、食管法の規定に従って、そういういろいろな経済事情を判定した上で小麦の政府売り渡し価格をきめたい、かような御決定をいただいておるわけでございまして、私どもとしまして、いま具体的に数字を申しかねるのであります。  また、差益を直接還元するという形はとりにくいのでありますけれども、食管法の規定のルールにのっとって、小麦の価格というものについては消費者にも貢献するようなことを本年六月には考えてまいりたい、さように考えております。
  109. 小宮武喜

    ○小宮委員 次は林野庁に質問します。  農林省が今度国会に提出する農林省設置法の一部改正の法律案によれば、従来まであった職員部、いわゆる労使の窓口であった職員部を廃止して、もちろん職員課は残りますけれども、業務部と統合して国有林部をつくるということに改正しようとしております。われわれがこの問題を見た場合、これは三公社五現業においてもしかりですが、この労使関係というものが非常にうまくいっていないということを考えた場合、やはり労使関係をもっともっと正常化し健全化するという立場からいけば、いかなる企業といえども、やはり労使関係がうまくいかなければ、決してその企業というものは繁栄するものではありません。特に国有林の場合も、これは一昨年四十五年ですでに百二十億の赤字を出しておる。昨年度予算を見てみると五十億の赤字だけれども、おそらくこれは——もう時間がありませんからそこまで聞きませんが、おそらく五十億どころじゃない、百億をこすであろう。また、今年度予算を見ても、大体百億の赤字になっておるけれども、これもおそらく実際はそれ以上でしょう。そうなりますと、国有林事業というものは、ほんとうにもっともっと生産性を上げて、合理化もやるべきものはやって、そうしていまの国有林野の再建をはからなければ、もうすでに三Kが四Kといわれる——佐藤総理まで言っておりますが、そういうふうな問題を考えた場合に、やはりこの労使関係を健全化し正常化しなければならない。国有林の場合も、これは直接窓口である職員部を廃止して職員課を残す。このようなことで、われわれから見れば、国有林の場合は労使関係を軽視しておるのではないか、まさに時代逆行であるというような感じすらするわけです。そういった意味で、職員部を廃止した理由についてひとつお聞きしたい。それから、時間がだいぶ迫ってまいりましたので、長官にひとつ、生産性向上運動についてどのように考えておられるのか、その点あわせて御答弁を願います。
  110. 福田省一

    ○福田(省)政府委員 お答えいたします。先生ただいま御指摘のとおり、国有林野の事業は、財政上の面を見ましても、最近非常な苦しい立場にまいっております。従来は歳入と歳出の差額の歳計剰余金がございまして、それを積み立てて、その持ち越し現金をもって充当しておったのでございますが、四十七年度でそれは全部なくなってしまいます。そういたしますと、四十八年度以降は従来のような方式での事業は不可能になるというふうな状況でございます。したがいまして、ただいま国有林の徹底した合理化案を中心にしまして、その制度の改正について抜本的な検討をいたしておる段階でございます。最近、林政審議会に国有林部会を設けまして、その国有林部会でただいま検討中でございます。五月中には、つまり来年度予算編成の時期の前にその答申を得まして、この仕事に本腰でかかってまいりたい、かように思っている次第でございます。  そこで、そういう情勢でございますので、従来林野庁の中には部が四つございまして、林政一般を担当する林政部、民有林の指導をいたします指導部、それから国有林の業務を担当いたします業務部、ただいまお話のありました職員部と、この四部でございます。国有林の仕事は一部は指導部、一部は林政部とばらばらになっておったのでございますが、これを全部一本にまとめまして国有林部といたしまして、業務部と職員部を解体しまして一本にしたわけでございます。そういたしまして、ただいま申し上げましたような制度の抜本改正については、やはり国有林が一体となりまして乗り切る必要がある、こう思ったわけでございます。  そこで、なるほど職員部を廃止したということは、いかにも労働問題を軽視したかに見えますけれども、課は全部残しております。ただ、国有林部長の仕事がたいへんになるわけでございます。そこで、多岐にわたる仕事を国有林部長一人ではこれはなかなか重荷でございますので、審議官を設置いたしまして、これにつきましては経常的な業務は審議官に担当してもらう、かようにきめたわけでございます。そういう方針で進んでまいりたい、かように思っております。  それから、生産性の向上の問題につきましては、御指摘のとおり、国有林は経営は実に赤字財政である、放漫ではないかというふうな御指摘を受けております。この近代化、合理化につきましては、先ほど申し上げましたとおり、徹底した改善策をつくるべく目下鋭意検討中でございます。
  111. 小宮武喜

    ○小宮委員 最後に、長官、特別昇給制度についてちょっとお尋ねしたいと思うのです。  というのは、現在国家公務員には特別昇給制度があって、農林省職員にも実施をされているわけです。ところが、同じ農林省の中の林野庁においては、一般会計職員には特別昇給が実施されておりますが、公労法適用の特別会計の職員には実施されていないのですね。この点われわれも非常に矛盾と不合理を感ずるわけですが、これに対して長官はどのように措置しようとしておるのか。これを改正する意思ありやなしや、その点をひとつお聞きします。
  112. 福田省一

    ○福田(省)政府委員 特別昇給制度の問題につきましては、労使間長年の問題でございまして、近い将来ぜひこれは実現したいと考えております。実は一般会計におきましては、勤務評定いたしますと直ちに当局限り特別昇給ができるわけでございますけれども国有林の特別会計におきましては、この特別昇給については、その基準について労使双方が交渉いたして、それと労働協約を締結しなければならないという前提が入っております。この問題なかなかきまりませんので、公労委のほうにこちらから提案いたしまして、去る二月の十日にその調停案をいただいております。その調停の内容を見ましても、労使双方が信頼関係を持ってよく話し合いなさい、なお、その前提となる事項について各種の整備をしなさい、こういう調停案でございます。前提となる事項と申しますのは勤務評定のことでございます。私は、目的が特別昇給にございますので、やはり勤務評定はこれは前提として必要でございますから、同時にこれを解決してまいりたい、さように思っております。そこで、勤務評定についての事務的な準備はただいま鋭意進めております。  なお一方、特別昇給の基準につきましては、組合が二つございますが、双方ともただいま精力的に交渉中でございます。でき得ることならば新年度から早々実現したい、こういう気がまえで目下交渉中でございます。そういう状況でございます。
  113. 小宮武喜

    ○小宮委員 したがって、いま長官も、この特別昇給制度については大体実施する意思もあるし、また組合との間にもそういった話し合いが行なわれておるということを聞いて、私、非常に歓迎しておるわけですけれども、特に四十七年度予算案の中にも、その問題が含まれておるやに私、聞いております。そういった意味で、同じ職員でありながら片っ方はそういうような適用を受けておらぬ、片っ方は受けておる。林野庁の中でいろいろな問題もあろうけれども、この問題はそれだけもらう権利のある人が自分の権利を放棄しておるということにもなるわけですから、その意味では、まとまるところから、話し合いのつくところからでもこの問題を実施してもらいたいということを強く要望いたします。特に私のこの要望に対しての長官の所見を一言お聞きして、質問を終わりたいと思います。
  114. 福田省一

    ○福田(省)政府委員 ただいま先生お話しのように努力してまいりたいと思います。ただ、やはり特別昇給制度は、私は職員全員に均てんさせたい、かように考えておりますので、全力をあげて努力してまいりたい、かように思っております。
  115. 小宮武喜

    ○小宮委員 これで質問を終わります。
  116. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林委員長代理 田中恒利君。
  117. 田中恒利

    田中(恒)委員 私は、同僚松沢委員の米と食管の問題を除きまして、特に農林大臣所信表明を通して、これからの日本農政の特徴として位置づけられるであろうと考えられます農業団地の問題につきまして、この問題をお考えになっておられます赤城大臣の意図や、この団地構想なるものの輪郭についてお尋ねをいたしておきたいと思うのです。  特に赤城農林大臣はベテランでありますので、長い農林行政の経験を通して、農業団地構想というものを組み立てられようといたしておるわけであります。私どもも、この方向日本の零細農業を国際競争力に対応させるためにきわめて意味のある考えだ、こういうふうに基本的には思っておるわけでありますが、実際の細部の事項になりますと、いろいろまだ問題も残されておるように私は思いますので、この際、この農業団地なるものはどのようなねらいであり、この農業団地というのは一体どういう性格のものなのか、赤城農林大臣のお気持ち、お考えに至りました点を率直にまずお聞きしておきたい、こういうように思います。
  118. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 いまお話が出ましたけれども日本農業、これはアジアの農業全部でございますが、非常な零細性を持っておるというところに、国際的にもなかなか伸びていかない根本的な欠陥があると思います。構造政策などによってなるだけ個人的な、家族的な農業の経営が大きくなるようにというようなことで、一度、農地管理事業団などという法律を出したこともあります。それから基本法等においてもそういうねらいを持ってはおりますが、経済の高度成長下において、また日本の耕地の狭小さからいいまして、土地の所有権を移動して経営を大きくするということは、見込みが非常に少ないのでございます。でございますので、どうしても使用権といいますか、所有権はそのままにしても使用権を協業化するようにして、そうして経営単位を大きくしていったらいいのじゃないか。ですから、畜産でも、いま話が出る果樹にいたしましても野菜にいたしましても、穀物もそうでございますが、そういうふうな方向へ持っていく。そうでなければ機械化も十分できないし、施設も十分に利用できない。こういう点から考えまして経営を集団化して、土地改良なども機械化もそういう線に沿うてやっていったならば、生産性もいまよりずっと上がってくるのじゃないか。国際競争力も出るし、それからまた、いま一番問題になっておりまする需要供給とのバランスをとっていくために集団化して、経営面でいいますならば、たとえば野菜にしても指定産地なら指定産地は設けても、この指定産地をさらに団地的に組織化する、こういうことになれば需給の面においても非常に助かるのじゃないか。ですから、消費者面を考えてもまた生産面から考えても、経営の単位を大きくしていく、そして流通、加工、そういう面を含めて農業の再編成といいますか組織化する、こういうことが必要だというふうに考えるわけでございます。  そういう面から、どうしても団地的な経営、これは生産面ばかりでなく、国民に食料を供給する相手方、国民全体からも必要じゃないか。また考え方からいたしますれば、農村の共同精神といいますか、こういう伝統の気持ちも生かしていけるのじゃないか。さらに兼業農家が八〇%以上と非常にふえております。でございますが、この兼業農家だけで農業をやっていくといっても、農業の収入だけではやっていけないのでありますから、専業農家と兼業農家も含めて、農業全体の共同化をそういう団地構想によって進めていったらいいのじゃないか、こういうふうに考えたわけでございます。
  119. 田中恒利

    田中(恒)委員 いま大臣の農業団地に対するお考えをお聞きいたしておりますと、私は大臣のいまのお考えの中には、三十六年につくった農業基本法農政の路線に相当な修正を加えなければいけない、こういう感じが実は一ついたします。たとえば経営規模拡大の基本法農政の路線は、自立農家の育成で、十数年たちまして自立農家は出てはおりますけれども、数的に、量的にだんだん減っておるというのが数字の示すところであります。したがって、兼業農家問題というのが従来やかましくなってきた。この兼業農家をひっくるめて、基本法農政でいっておる協業経営あるいは部分共同経営、こういったようなものをくるませて生産者組織というものを農業団地の生産組織体制の基本として組み込んでいく、こういうお考えのようでありますので、基本法農政の路線に、われわれのことばで言いますれば、失敗をしたから路線変更だ、こう言いたいわけでありますが、少なくとも政府農政の路線としてもこの辺でひとつ大きな修正なり転換、あるいは別のもっとやさしいことばで言えば、プラスアルファでありますが、そういうものを加えなければやっていけないという認識上にこういう問題が投げかけられたというふうに理解してよろしいかどうか、この点も確認をさしていただきたいと思うのです。
  120. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 私は、基本法の農政はいろいろなことをうたっておりますので、それを全然変えるというような気持ちはございませんが、これを発展的拡大といいますか、止揚する、アウフヘーベンといいますか、重点の入れ方は少し違いますけれども、これを発展さして精神を伸ばしていきたい、こういうつもりで、いま改正しよう、こういうような気持ちではなく、まず発展さしていってみよう。しかし、重点の置き方は、基本法に書いてあることもいろいろありますが、少しは変えて発展さしていこうじゃないか、こういう気持ちでございます。
  121. 田中恒利

    田中(恒)委員 その重点の置き方を、生産組織の再編成ということばで農業団地の場合よく使われているわけですが、具体的にやはり兼業農家をくるめた生産体制を強化していく。従来は、ともすると自立農家、したがって、たとえば資金の借り入れをするにしても、返済が可能なという条件なり経営設計というものが個別経営の段階では絶えず前提になって資金というものが貸し出されておった。そういうものではなくて、今度は一つの大きな生産組織集団という形で資金の貸し付け対象というようなものをやっていくという路線を、農基法の私どもは修正だと思うけれども、あなたのほうは路線の重点をそこに置く、こういうふうに農業団地構想の中の特徴として理解をしてよろしいかどうか。
  122. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 いまの、あとに御指摘のような気持ちと御理解願ってけっこうでございます。
  123. 田中恒利

    田中(恒)委員 そこでもう一つ、この農業団地の問題で、大臣からお伺いをしておきたいのは、大臣からいま御説明をいただいたわけですけれども、私は、団地というのはいわゆる都会でサラリーマンの住宅が一カ所に集まって、そこに八百屋、魚屋が来て、それから学校ができて、運動場ができて、いろいろな施設ができる、これが普通の住宅団地というか、一つの生活圏を構成するということから団地ということばは出てきたと思うのです。それを農業の分野に適用するということは、さっきも大臣もおっしゃったわけですが、いわゆる農産物をつくる生産の団地、その農産物を販売していく流通、有利に販売するために、もちろん農業者のサイドに立つわけでありますから、必要な物的施設や必要な管制、コントロールをやっていく、こういう生産、流通、販売、この段階を最も系統的に一体化させて、関連をさせながら一つの農業の主産地というか、あるいは販売体制というか、こういうものを打ち立てていくものが農業団地、こういうように理解してよろしいと思いますが、よろしいでしょうか。
  124. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 そう御理解願ってけっこうと思います。
  125. 田中恒利

    田中(恒)委員 そこで、これは大臣にお聞きするよりも事務当局にお聞きしたほうがよろしいと思いますが、現在、ことしの予算を通して農業団地というものが描かれておるわけですが、この農業団地は大体どういう仕組みで団地の輪郭というものがつくられていくのか、その点を、私もごく簡単な資料は持っておりますけれども、あらためて、これは中野官房長だと思いますが、大体どういう構想農業団地というものをいまから進めようとされておるのか、その仕組みを御説明願いたい。
  126. 中野和仁

    ○中野政府委員 ただいま農林大臣からるる構想を申し上げられたわけでございますが、それに従いまして具体化いたしましたのが四十七年度予算でございます。  その具体的な仕組みといたしましては、われわれとしては最末端の生産の面では高能率の生産団地をつくりたい。これは作目によりまして、たとえば畜産、野菜あるいは養蚕その他の畑作物、もちろん水稲も入っておるわけでございますが、そういうものについて高能率な機械あるいは施設を導入する。導入いたしますには、一つのスケールといいましょうか、規模が要るわけでございます。それが作目によっていろいろ面積は違いますけれども、そういう単位を一つ考える。そこへ機械、施設を導入する。その前提として、必要な場合は土地基盤整備を行なう。  と同時に、その中にあります経営をどうするかということでございますが、これにつきましては、理想的に言えば、その団地を一つの経営でやればよろしいわけでありますけれども、まだそこまではなかなかいかないと思います。そこで、ある場合には栽培協定あるいは販売協定、これが最小限必要なわけでございます。  ただ、いまお話しのように、これは兼業が一ぱいその団地に入っておるとすれば、兼業農家がその必要に応じて労力を提供する場合もありましょうし、そうでない場合は、その土地を団地の専業農家に作業委託するとか、あるいは場合によりましては農業生産法人をつくって、その団地一つ農業生産法人にするということも考えられるわけでございます。そういうような、いわば生産の組織化をはかるというのを末端に置くわけでございます。  そういう団地があちらこちらにできますと、それを結び合わせましたように、先ほど田中先生が言われましたが、流通団地を広域に考える。この場合には、通常数カ村になろうかと思います。ただ、現実には四十七年度から一ぺんに全部一つの流通団地の中に生産団地をつくるということはなかなか容易ではないかと思いますけれども考え方としましては、そういうものを結び合わした流通団地をつくる。その流通団地には、必要な場合には広域農道を通す、あるいは基幹農道を舗装する。それからまた必要な流通加工施設を整備する。場合によりましては、先ほどもお触れになりました、それの管理をするようなセンターをつくるというような考え方を持っておるわけでございます。  これが大体の農業団地の具体的な考え方でございますが、ただ、今回、それ以外にモデル農業団地というのを一つ考えておるわけでございます。これは全国一律一編に全部ということはとうていまいりません。と申しますのは、従来の農業基盤整備にプラスいたしまして、いわば生活環境整備といいましょうか、これを一体的に進めたいということで、農村基盤総合整備パイロット事業というものを興したいということで、数年前から調査を進めておりまして、いよいよその事業化をするということにいたしたわけでございます。この事業化を何カ所かでやりました上で、いわゆる農村の環境整備も含めました、総合的な村の整備というものを具体的に本格的にやるにはどうするかというパイロット事業でございます。  こういう構想を持っておりますが、それと関連をいたしまして、ただいま申し上げました末端の生産団地を育成していく上におきましても、農地の交換分合なりあるいは売買なり等が必要になってくるわけでございますので、農地保有合理化促進の特別事業をやりたい。これは二十億円を中央にあります全国農地保有合理化協会に無利子で貸し付けまして、それを県の農地保有合理化法人に貸すということでございます。  なお若干つけ加えますと、この農業団地に関連をいたしまして、先ほども触れました広域営農団地の農道整備あるいは農道舗装、と同時に、必要な場合は基盤整備事業を行なう。これにつきましては、いろいろ採択基準その他優遇をするということにいたしております。  それからなお、従来から第二次構造改善事業をやっておりますが、この構造改善事業の中にも、団地構想の面から見れば、それに合致するものもあるわけでございます。それは当然引き続き進めるということでございます。  そこで、こういうことを進めていくために、推進費を二億円計上いたしまして、それに基づきまして中央の段階、県の段階、町村の段階、行政系統と農業団体系統が一緒になりまして、これを推進する、こういうふうに考えておりまして、総額五百七十五億円の予算を計上しておるわけでございます。
  127. 田中恒利

    田中(恒)委員 結局、生産団地というものがあって、これは十ヘクタールとか十五ヘクタールとか二十ヘクタールとかいろいろありますが、大体大ざっばに言うと、昔の大字部落単位くらいのところに生産団地があって、そういう生産団地を集めて、郡段階で流通単位の広域営農団地というものを形成していくという、この二つが仕組まれているわけですね。  そこで、問題の一つは、ここは豚なら豚、ここは米と鶏とか、そういう生産団地の形成をするための指標というものは、農林省の資料を見ると、需給調整見通しとそれから例の地域分担指標、こういうものによってやっておられるということですね。この点が実は大きな問題だと思うのですね。いわゆる、つくらせはしたが、あとはどうなっていくのかという心配が、正直言って、これが一番つくるほうの立場になったらたいへんなんです。その需給見通しですね。それから、いまのところ、そういうものに基づいて農林省生産の地域分担というものを考えられておる。これもきわめて大ざっぱなものでありますが、こういったようなもので生産団地というものを、この部落は豚と米なら米、これは果樹、こういうふうにやられて、さてそれが全国的な量になって市場へ出たときに、これまたたいへんな問題が起きて、つくりはしたが、さあさっぱりで、運賃代にもこと欠くという状態がしばしば出るわけなのであります。  したがって、私はやはり農政が問題にしければいけないのはこの点だと思うのですよ。この営農団地、これは農業団体、特に農協が十年ほど前からこのことをいって、現にある程度、きわめて不完全であるけれどもやっておる。そういう意味では、経験があるだけに国の農政の路線にこれをさらに強化させるというのは、たいへん意味はあると思うのです。しかし、そのやってみた経験の上に立ってみて一番困る点はその点なんですね。だから、その点を政策としてもっと明確な、単なる需給見通しであるとか生産の地域分担というものはどこまで煮詰められるのかわかりませんけれども、単に机上プランで青写真をつくるというようなものでやられたんじゃ、これまたたいへんな問題になる。これをやるために能率性の高い機械なんかがどんどん入ってくるので、へまをすると機械貧乏になって、借金を背負って、いまでも農業構造改善や村づくり運動の借金に追われているというところがあるのに、これがかぶさって見通しを誤ったらたいへんなことになると思うのです。  だから、私はむしろこれをやらなければいけないと思うのですが、そのやらなければいけない前提になる一つは、やはり生産目標について明確なものが出ないとなかなか取り組みにくいと思うのですが、そういう点については、どういう考えで対処せられようとしておるのか、この点を団地問題の一つの課題としてお聞きしておかなければいけないと思うのです。
  128. 中野和仁

    ○中野政府委員 ただいまの御指摘は、私もごもっともだと思います。そこで、農林省といたしましては、一昨年つくりました地域分担、これは御指摘のように、全国十四地域にしか分けておりません。非常に大ざっぱでございます。それをもとにいたしまして、ただいま各県を通じまして県の段階におろしております。県の段階におろしまして、今度は県がその県内の農業地域区分をいまやっております。もうすでに半数以上の県ができました。いま作業中の県もありますが、大部分の県はもうそういうことをいたしたわけでございます。そうしますと、農林省のガイドポストとしての地域分担よりもよほどその県の実情に応じた具体的な区分になってこようかと思います。そういうことを頭に置きまして、今度は県知事がその県内の農業団地をどういうふうにつくっていくかという基本方針をひとつ立ててもらいたいというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、今回の場合は、国が一律に何ヘクタールの養蚕団地とかあるいは肉牛団地とか、標準としてはありましても、具体的には県の段階、それからもっと実施する町村段階の実情に応じたようなやり方をする、こういう考え方でおるわけでございます。
  129. 田中恒利

    田中(恒)委員 従来から県あるいは下から積み上げて市町村と言われておるのですけれども、私どもどうもその辺がまだ不安なんですね。小さなことですけれども、特に最近町村の農林行政の担当官はたいへんプランメーカーがぼちぼち出始めてきております。昔は役場の産業課なんかであまり計画や何か立てることをしなかったですけれども、例の新農村建設運動以来、ともかく計画を出して補助をもらって施設をつくるというくせがついて、有能な人が実はぼちぼち出始めてきております。これは県にも出ておるし、町村にも出ておる。これは悪いことではありませんけれども、しかし、やはり行政サイドで出てくるそういうものは、どうもいままでの経験から照らしますと、下から来たのだといっても現状にそぐわなくて、結局どろをかぶるのは、やった農家がみなかぶらなければいかぬ。こういう結果になっておることがあまりにも多過ぎると思うのですよ。この点をやはりよほど考えなければいけないので、単に県にまかして県の実情に応じてというようなものだけでは済まされない。私はやはり政策としての強さを何かの形で持たなければいけないと思う。たとえば積み上げられたもの、これはいろいろ努力をしてきても不十分な面はあるでしょうが、そういうものについて、国が一つの農業の団地構想から積み上げられたものについては、ある一定の、やはり生産量なりあるいは流通なりあるいは価格形成なりに国が何かの形でこれを保証する、というといやでしょうけれども、ささえていくような体制が同時に強化をされていくか何かしないと、どうもいま言われただけでは、私はなかなかそう簡単にお役人の頭の中で考えておるようにじょうずにいくとは思いません。それから政治家だって、御承知のように、いろいろ地域問題であっち引っぱりこっち引っぱりして、皆さんがお考えになっておるようなものがまたゆがめられる面があるわけですから、私はその辺について、この団地構想考えるにあたってもう少し——団地をつくっていくのは農家がつくっていくし、特に農業団体あたりが中心になっていくと思うのですよ。政策としてはそういうものの外側の政策を、たとえばいまの生産目標といったようなものを明確に打ち出して、この生産目標については団地の流通物といったようなものについてある程度いろいろな物的流通施設なり、あるいは価格問題についても、私ども社会党がいっておるような生産費・所得補償方式がいかなければ多少——今度の野菜の問題は、いろいろ不十分はありますけれども、多少前進しておると思います。せめてああいう段階までの価格対策といったようなものが豚なり肉なりについてそれぞれでき上がっていくという条件が出ないと、この問題はなかなか解決できないと思うのですが、大臣はどういうふうにお考えになっておりますか。
  130. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 たいへんいい御意見をお聞きして、私も敬服いたしております。前の話に出ましたように、農業団体でもこういう方面に手をつけております。私は農業団体というものはこんなことがほんとうの仕事だと思うのです。いま政府としてもやりたいと思っているのでございますが、そういう意味におきまして、一つの何といいますか、進めていく上においていまのような考え方、御意見でチェックしたり、悪いところを直しながら進めていくということが必要だと思います。農林省内にも団地経営に対する室といいますか、部屋を置いて、いまの官房長を主として、そういうことを検討さしておるのでございますけれども、それにつきましては、いまの御意見のように、野菜なんかについて積み上げたような形をほかにも持っていかなくちゃならぬと、いま御注意がありまして、なお一そう考えたわけでございます。
  131. 田中恒利

    田中(恒)委員 それからもう一、二この問題でひとつ議論をさしていただきたいと思います。  生産団地と流通団地ですか、広域団地、この関係ですが、これは本来一体的な機能によってつながらなければ意味がないと私は思うのですね。生産団地は生産団地、流通のほうは流通ではいけないと思うのです。その辺がどうも、大臣の所信表明の一字一句けちをつけるわけではありませんけれども、大臣の所信表明を聞きましても、こういうふうにおっしゃっておられるわけですね。「農業生産及び流通加工等の体制を団地的に再編整備して高能率な農業の展開をはかることが緊要であります。このため、新たに地域と作目の特性に即しつつ、農業生産基盤の整備、近代的な機械・施設の導入、各種の生産の組織化を進め、高能率な農業生産を可能とするような農業生産団地の育成を強力に推進するとともに、これらと有機的な関連をもって、広域にわたる流通・加工等の体制を整備する広域営農団地の形成をはかっていく」、こういうふうにおっしゃっておられるわけです。これは本来有機的な関連をはかって進められるべきものじゃなくて、生産団地と広域営農団地というのは一体的に運用せられなければいけないと思うのです、予算的にもそういう形でこれは仕組まれてないと。従来は個別経営が生産をしたものを、たとえば農協の共同販売でいくものもあるし、五割とか三分の一とかは個人出荷という形でいっておったわけですね。今度は生産団地というものが、場合によれば、がっぽりどこか別な市場ルートにそれぞればらばらに乗っていくような余地を与えたのでは、これはやっぱり——農業団地というのは、生産の問題も大切ですが、むしろ流通に対応する体制を生産段階でどうつくっていくかという要素が非常に意味があると私は思うのです。そうなると、それはやはり生産団地ががっぽり一つの流れの流通路線ではないほうにばらばらに走らされては意味がないので、これは郡単位に設けられる広域営農団地を軸にして組み立てられなければいけないし、いろいろな予算のこれからの使い方にいたしましても、あるいは設計のしかたにしても、この点が明確になっていないと非常に不十分だと思うのだが、大臣の所信表明のことばをつかまえて文句を言うわけじゃありませんが、少なくともこのことばの中には、有機的な関連に基づいて進めていくのだという形で、必ずしも一体化論といったような精神や考えがここに載せてないわけです。これは私はおかしいと思うのです。この点について御答弁をいただきたいと思うのです。
  132. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 いまのお話のように、広域に乗れるような団地をつくっていく、流通に乗るような団地をつくる、こういうことが必要だと私も思います。非常にことばが足らぬ点もあると思いますが、精神というか考え方は、いま田中さんのおっしゃるような考え方を私も持っているわけでございます。
  133. 田中恒利

    田中(恒)委員 考え方は大体一緒だが、現実に私は農業団地の——農林省の機構改革もことし法律案として提案されておるわけですが、やっぱりお役所のセクトというかあれがありまして、この団地構想予算というものは、いろいろなところの各部課のやつを寄せ集めて、これを団地という形で組み立てて、大臣がお考えになったような線に沿うように仕組んでおる、こういうきらいがあるわけです。実際の実施の段階に入っていきますと、なかなかいま言われたように一体的に運営ができるかどうか、この点も私は実は非常に疑問に思っておる点でありますので、特にこれは一体的に運用されなければ意味をなさないものでありますから、この点を特に十分配慮をしてこの問題の運用に当たっていただきたいということを御要望申し上げておきたいと思います。  特に、農業の広域団地といったようなものの予算をこまかく見ると、大体これは道路をつくるということですよ。予算の割合を見ても、三百三十億ぐらいの農業団地の大まかな予算の中で、基盤整備というのは二百億ぐらいと思いますが、百六十三億ぐらいが道路であって、あとは土地改良が三十二億ぐらいあるということで、大体これは道路をつくっていくということ、生産団地ができておらぬのに道路が先行していくというようなことが、場合によれば起きはぜぬかというようなことも考えられるわけですよ。だから、いま町村長は財政が苦しいから、ともかく私らも実はいろいろな農道予算なんかの陳情を非常にたくさん受けるわけですが、こういうくせがついているわけです。この辺にも、広域団地というものの焦点は、ほんとうに流通単位で生産物を一元集荷をして、多元販売というか、販売路線に乗せていく、こういう形で仕組まれておる予算というものは——もちろん管理センターとかいろいろ加工調整の施設はちょっぴりありますけれども、何かそれよりほかの要素があるような気がしてなりませんので、いま申し上げたような意見を特に指摘をしておきたいと思うのです。  その次に、こういう形でつくられたものが需給の線の中で動いていくわけですが、それを安定させるために、やはりいま問題になっているのは、午前中来各委員から問題の指摘がありました外国農産物との競合というか、農産物の輸入の問題がやはりこの路線に大きな影響を与えると思うのです。だから、通商的にいわゆる自由化の問題、農産物の輸入問題についての考え方というものが確立をし、それに伴う諸制度が必要だと思うのです。  そこで、私は多少具体的に問題をお聞きいたしますが、昨年来特に大臣には御心配をかけましたが、オレンジ、果汁、牛肉、こういう重要三品目の自由化問題がアメリカから要請された、それに対して農業界あげて反対をしたし、大臣もたいへんお骨折りをいただいた。しかし、結果的にはやはり輸入ワクの拡大ということになりまして、オレンジについては一万二千トン、果汁については四十七年度五百トンの濃縮果汁、それから子牛無税五千頭、こういったようなもののワクの拡大を見たわけであります。この輸入ワク拡大のオレンジ、果汁、牛肉等の輸入問題をめぐって、国内的にはどのような処置でこれらのものの取り扱いを進められようとしておるのか、この点が当面私は大切な問題だと思うのです。こういう点についてお考えになっておる点をちょっとお尋ねをしておきたいと思うのです。
  134. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 自由化のいまの御質疑のような重要な農産物につきましては——残存農産物がこの四月には二十四になるわけですから、みんな重要でありますが、そのうちの御指摘のようなものは、国内の生産を続けていく上においてもなおさら重要なものですから、自由化は断わっていく、しかし、そのワクの拡大というような面は、ある程度はいままでもやりました。これからやるというわけじゃございませんが、そういうことはある程度やってきたわけでございます。これはやはり国内の生産体制、流通体制、これに乗っていくような形になるたけ持っていかなくちゃいかぬ。ですから、たとえば子牛の五千頭というようなものなどは、これは農協のほうに輸入のほうはやってもらう、こういうような考えを持っていますが、果汁その他等はいままでのあれもありますから、必ずしもこれは改めるというわけにはいきませんが、国内の生産あるいは自給の面で骨を折っている者が損をしないように、これと損をしないような線を選んでやっていくべきじゃないか、こういうように考えております。
  135. 田中恒利

    田中(恒)委員 私、もう少し具体的に聞きますが、当面問題になっておるのはジュース、果汁ですね。五百トンの輸入の問題であります。これについては、巷間とかくのうわさもすでに流れておるわけでありますが、この五百トンの果汁の輸入をめぐってまだ方針がきまっていないようでありますけれども、ここである程度考え方についてお考えがあるようでしたら、これは園芸局長だと思いますが御答弁をいただきたい。
  136. 荒勝巖

    荒勝政府委員 このたび四十七年度におきまして輸入割り当てをいたす予定といたしまして、濃縮オレンジジュースとして五百トン予定いたしております。そのほか、ホテルワクが濃縮で百トン、それから一般の雑割り当てで濃縮で三百トンございますが、このホテルワクと雑割りにつきましては、従来の方針と申しますか、いわゆる商社割り当てで通産省のほうで割り当てられることになるものと理解しております。五百トンにつきましては、農林省におきまして従来、前の三百トンのときも一応実需者割り当てということで農林省で割り当てを行なったわけでございますが、先般は三百トンを一括清涼飲料関係の業界に割り当てたいきさつがございますが、そのときの割り当ての方針といたしましては、当時非常にオレンジジュースに対する国内の需要が強いにもかかわらず、日本産の温州ミカンからできますミカンジュースが供給が多少不足ぎみであったということで、物価対策の観点ということに重点を置きまして割り当てた次第でございますが、今回五百トンにつきましては、考え方といたしましては、何らかの形で国内産のミカンのジュースとアメリカ産というか、外国産のオレンジジュースをミックスすることによりまして、品質の向上ということで、品質の向上によりまして味をよくして、さらに需要を増進していきたいという考え方に立ちまして割り当てる方針でございまして、具体的な割り当て方針につきましては、ただいまいろいろな資料を集め、また関係方面の意向も取り入れまして慎重に検討中、こういうふうに御理解願いたいと思います。
  137. 田中恒利

    田中(恒)委員 この際、大臣に申し上げておきたいと思いますが、オレンジ、果汁の自由化については、日本関係産地の農民諸君を中心にしてたいへん強い反対があった。これは基本的にはこの影響がたいへん大きな打撃を与えるということでありまして、現にグレープフルーツの自由化の際にも、農林省はさほど影響はないということを私なんかとのやりとりで言われておったわけですが、現実に今日グレープフルーツの自由化が夏ミカンに対しては決定的な影響を与えていることは、もういまの事態が証明をしておると思うのです。ことしは晩カン、夏カンは非常に収量が少ない。収量が少ないというのは、実は非常に質がいいのであります。従来でありましたら、高値が出なければいけないわけですが、ことしは二割か三割下がっております。これは完全にグレープフルーツの影響であるわけでして、見通しがたいへん甘いわけでありますが、こういう国内の果樹農業、果樹産業というものを守っていくという観点で、少なくとも現在自由化してないわけでありますから、牛肉、オレンジ、果汁というのはワクを拡大したということでありますから、入ってきたものは国内の果樹産業の発展という観点に立って、私は輸入処置を講ずるという側面が一つあると思うのです。  いま一つは、この前の物価対策の連合審査会等でも問題になった消費者問題がやはりあると思うのです。これは一面全然違った立場に立っておるようでありますけれども、私は、このオレンジジュースの自由化等については必ずしもそうじゃないと思うのです。たとえば私は前から言っておりますが、日本の果樹の消費拡大政策はどうしてもジュースでやらなければいけない。そのジュースは、現在いわゆる本物ジュースじゃないのですね。これは私、数字をあまり的確にまだ調べてないですが、おそらく一〇〇%果汁——全部日本の温州ミカンでしぼったジュースというのはごくわずかでありまして、あとは一〇%から二〇%果汁が入って、色がついて水でまぜられておる、消費者が言うインチキジュースであります。これが大半を占めております。だから、こういう食慣行を直さなければいけないのでありますから、やはり天然ジュースというものを普及させていく。これは消費者の要求にも合うはずであります。本物のジュースを飲ますのでありますから、栄養価は高いわけであります。そうして日本の果樹の消費の拡大は、やはりこの路線を強めていくということが必要になると思うのです。そういう意味では、いま局長もちょっとおっしゃっておられたが、やはり日本の温州ミカンのジュースは少し甘いわけでありますから、それにアメリカのオレンジが入ったのを入れればたいへんいいかおりが出るそうでありますが、これをまぜて天然ジュース一〇〇%で売り込ませていく。これをやれば、私は国内の果樹産業という観点に立っても、消費者という観点に立っても、理屈は立つと思うのです。こういう政策をやはり輸入ワクを拡大する際に条件といたしまして示さなければいけないと思うのです、それをやれと。  この間三百トンの輸入をやったときに、これは物価対策だと言われたけれども、あれは物価対策になっておりますか。なっていないですよ。あの三百トンはどこへ行ったかわかってないでしょう。いろいろな形でどこか別のところに流れておりますよ。あの問題は、あのとき私も指摘をしてここで議論いたしましたけれども、物価対策に全然なっていない。やはり輸入の非自由化品目でありますから、入ってきたものの使い方なんかについてはこうする、こういうような形で今度の場合はぜひ取り上げていただく必要があるのではないか。特に農林省は、果樹問題については、数年来いま私が申し上げましたような趣旨に基づいて果汁工場というものを、予算を相当つけて毎年二工場、三工場あちこちでつくっておるわけです。これがオレンジジュースの自由化でつぶされるという心配も一つあるわけです。この際、そういう農林省が補助金を出したような工場にこういうものを割り当てさせて、ブレンドしてそうして一〇〇%ジュースで売り出していく。こういうものと結びつけさせてやられないと、この自由化の、わずか五百トンといいますが、また来年はもっとふえると心配せざるを得ません。そういうものがやはり自由にそのまま流されると、私は大きな影響が出てくると思うのです。そういう点を、特にまだ非自由化されておって政府の権限で輸入ワクが設定されていくときに、どこに行くかわかりませんけれども、少なくともそういう考え方に基づいてこの輸入ワクの業者の設定とか扱う団体等なされると思うのですが、その際に示すべきだ、私はこういうように考えるわけでありますが、農林大臣としてこれはたいへん御心配いただいた点でありますが、あと始末をしてもらわなければいけませんので、私はそういう考えを持っておりますが、大臣はどういうふうにお考えになっておられるでしょうか、この際、御所見をお聞きしておきたいと思うのです。
  138. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 りっぱな御意見でございましたから、御意見を尊重して、当局というか事務当局にも慎重に検討させ、またほかの省との関係もありますが、通産省なんかの関係、そういうところとも御意見のような考え方を入れて慎重に検討いたします。
  139. 田中恒利

    田中(恒)委員 この団地の問題で一、二御質問をいたしましたが、なお価格政策の問題もこれとからんで出てくると思うのですけれども、時間がだいぶやってきましたので、価格政策は大きな問題でありますから、あとでいつかの機会に譲らしていただきます。  いま一つ、団地構想と関連があるわけでありますが、先般私どもはこの委員会提案で農協合併助成法を三たび延長をしたわけであります。十分な議論はされなかったのですが、農協の合併がだいぶ前から、法律を大体契機として各地で行なわれておりますが、部分的にはまだなされてないところもありますから、合併を進めていく必要性があるわけであります。中には合併をして相当大きくなっておる農協がまた合併をする、こういう動きも出てきておるわけでありまして、農協間の組織規模のアンバランスというのがだんだん目立ってくる傾向にあるわけであります。  そこで、今度三年間またあの法律が運用されるわけでありますので、行政執行に当たる立場で、農協の規模の適正化という問題については、最近の日本農業の変貌、特にいまいろいろ議論をいたしてまいりました農政の変化、特に団地あるいは公域流通団地、こういったものは、いま大臣おっしゃったように、農協の主たる仕事でありまするので、私なんかは、やはりこういうものを基盤としての農協の組織体制というものであっていいんではないか、こういう考えを持つ一人でありますが、従来の農林省の合併の規模についての考え方というものと今日の時点は相当変化が起きております。したがって、合併助成法が国会で近く成立するはずでありますが、私は重ねて農林省として最近の農業の情勢変化、農政の適応という観点の上に立って、適正な農協規模というものについてどういうお考えを持っておられるのか。昔とあまり変わらないのか。その点をお尋ねをしてみたいと思うのです。
  140. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 農協の合併の規模を画一的にきめることはむずかしいと思います。流通とか経済面は広いほどこれはいいはずです、購買にも販売にも。しかし、生産面のほうから見れば、やはり農協は農村の共同体で、農業者の気持ちが通わなくてはまずいのだ。ただ経済面からばかり考えて、広く広くして経済の利益があがるからといってやったのじゃ、これは財界や商人と同じになって、農協の本質というものがなくなるのじゃないか。やはり農協は産業組合的な考え方というものを残していかなくてはいかぬと思います。でございますので、そういう考え方に沿うて、一律的にはやれませんが、そういう基本的な考え方は残していきたいと思います。団地の構想などからいってもあまり広くても困るし、また小さくても困るというところで、それを適正ということでありまして、その適正の標準がなかなかむずかしいと思いますけれども、そういう考え方で合併していったらいいじゃないか、こういうふうに考えます。
  141. 田中恒利

    田中(恒)委員 農協は確かに経済団体としての組織の位置づけというものと同時に、組合員の意思反映機関としての人的結合体としての一つの運動体的側面を持っておるので、この二つからませての規模だと思うのです。だから、私もいまの情勢の中では、そういう何か経済単位という要素が非常に強まらざるを得ないという情勢は認めますけれども、それかといってとほうもなく大きいものになって、組合長がだれかさっぱり知らぬ、一年に一回顔を会わすこともない、農協の会合といったら品物を売りに来る購買の職員の顔を見るだけだ、貯金預けに行くときだけだ。こういうことになったのじゃ協同組合じゃないと思うのです。  しかし、現実のいまの日本の農協の動きというのはだんだんマンモス化、巨大化しつつある方向にならざるを得ません。むしろ商売げがさらに強まらざるを得ない状態、これは農業だけじゃありません。いろいろな諸条件と対応して社会上しようがないという意見もあるかもしれませんが、そういう意見が現状では末端で非常に強い。農協合併という問題についてもやはりいろいろな意見がその中にはあります。  そこで、私は、大臣のように農協がきめるということもありますけれども、しかし、行政機関としても、これはあまり大きく出すと、日本の場合はお百姓主導型というのは非常に力が強いから、影響が大きいという心配があるかもしれないが、しかし、それかといって、農協がただ大きくなりさえすればいいんだという形で突っ走るのも一つの問題があるわけです、大臣の言われたように。だから、私は現段階の中で、いわゆる適正な規模というものはこの程度のものであってしかるべきではないか、これが経営的にもあるいは流通なり生産なりという観点を考えても適正なものとして考えられるというようなものを持っていないと、私は協同組合の指導にあたってなかなかやりにくいんじゃないかという気がするわけですよ。そういう点で、従来は私どもは一町村一農協、行政と結びつく、こういう考え方の意見で進められたように記憶しておるわけでが、しかし、これがまたいいかどうかということは問題があるわけでありますので、それらについては私は担当局としても十分お考えあってしかるべきだと思うのです。農協は自主的な団体だからそちらの動きにまかすのだ、こういうことであるわけですか、それならそれでよろしいですけれども
  142. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 まかせはするが、どれくらいの規模がいいかということは、監督官庁ではありませんが、指導官庁とする農林省として十分検討する必要があると思います。検討しておく必要があ、る、そう思っています。
  143. 田中恒利

    田中(恒)委員 それからあと一、二ちょっとお聞きしますが、一つは都市農政についてであります。新都市計画法ができてから、例の農地のみなし課税の問題でたいへんいま大きな問題になっておるわけでありますが、このみなし課税の問題を契機として、あらためて都市農政というものを考えなければいけないと私は思うのです。実はみなし課税の問題で私の県もたいへん騒いでおりまして、線引きを実は今日時点なおさせない、こういうところが一、二出てきておる県でありますが、いろいろ関係者と一緒に研究をしてみましても、どうも農林省のほうは、みなし課税の問題の窓口というのもはっきりしないし、そのことが勢い都市農業というものを放棄をしたのか、こういう疑問を多少感ずる節も一、二あるわけでありますが、そういうものでもないと思いますので、このみなし課税の問題を契機として、これからの農政の中で都市農業というものについて十分お考えになっていただかねばいけないのじゃないか。  特に国際競争力に耐え得る農業ということをいいますけれども、一体それは何だ。国際競争力に耐え得る日本の農産物はあるのかないのか。私なんかもときどき考えますが、一体何をとったら国際競争力に耐え得るような農業日本にはできる自信があるか、正直言ってなかなかそうありませんよ。この間も雑談で、花くらいのものじゃないか、こういう話もしましたが、やっぱり都市農業というのは、そういう意味では、日本農業の一つの切り開かなければいけない面を示しつつあることも事実だと思うのですよ。そういう観点でも私はこの都市農業というものについてこの際、年度初めでありますので、農林大臣の御所見をお尋ねしておきたい。
  144. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 この線引きなども、税金の面からいって、土地の値段が、農地の値段も上がっているから、公平に課税しようというような面からばかり見ておるようでございます。  都市農業をどうするかということでございますが、私は、都市においても、自然というものを残していかなくちゃならぬというような風潮になってきましたが、公害の問題もあり、非常にいい傾向だと思います。  そこで、都市農業はどうしたらいいか。私の個人的な考えでございますが、私はやはり都市農業というものは菜園化したらいいと思うのです。よく自家菜園なんというようなことで、戦争中なんかありましたが、そういう面で、自家菜園的に持っていけるものは自家菜園的に持っていったらいいじゃないか。土地を売買の対象ということ、値段を上げるとかそういうことばかりでなく、そういう面からひとつ見直したらどうか、こういうような感じをいたします。
  145. 田中恒利

    田中(恒)委員 それでは一、二具体的にお尋ねしておきますが、農地のみなし課税の問題を契機として、実はみなし課税だけではなくて、これからの農地課税の問題で、この都市の関係者はたいへん心配をしておるものが幾つかあります。たとえば、この農地課税の据え置きの特例措置については、昭和三十年以降農地については据え置いておるわけでありますが、最近の税制調査会等の答申では、これの引き上げという問題が起きてきております。こういう場合に、やはりいま問題になっておるような形で、市街化区域とそれ以外の区域、農振法の農用地区域といったようなもの、そういう農地重点の区域に税金といったようなものも区別をされていくのではないか、こういう不安もあるわけですが、こういう点については現在どのようにお考えになっておられましょうか。
  146. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 農政局長がずいぶんこの問題であちらこちらの意見を聞いたり検討していますから、当局から御答弁申し上げます。
  147. 内村良英

    内村(良)政府委員 御承知のとおり、最近市街化区域の農地の課税をめぐりまして、いろいろ問題が起こっているわけでございます。そこで、これにつきましては農林省といたしましても、自治省、建設省と相談しながらいろいろ今後の問題について検討しております。  そこで一番問題になりますのは、市街化区域と市街化調整区域、市街化区域につきましては、御承知のとおり、農地法で届け出だけで農地転用ができるようになっております。市街化調整区域につきましては、現在の農地法が厳格に適用されておるわけでございまして、そういった扱いが農地法上も違うわけでございます。そういった問題とも関連して、今後の課税問題をどう考えるかというのは、やはり農林省の立場からも関心を持って大いに検討しなければならぬ問題と思っております。
  148. 田中恒利

    田中(恒)委員 いま局長言われたように、どうもこの農地法上の取り扱いをやったところにみなし課税という問題が起きる税法上の根拠があるということだそうですが、この辺が新都市計画法成立の当時にすんなりと、農地法附則ですか、そこのところはいったというところに今日の混乱の事態があるのですね。これは各党でもたいへんやかましく問題になって、煮詰められつつある段階ですが、やはりたてまえとしては、農地は農地で課税をするというのがたてまえでなければいけないと思うので、農地法の問題でそういうみなし課税の条件ができるというようなことなら、私は、やはり農地法もまた変えたっていいじゃないかというようなことすら考えざるを得ないと思うのです。現実に農地であれば、そういうものが出たっておかしくないと思う。これをやらないと、農業の課税問題というのは、次から次へいろいろな問題で波紋が拡大をしていくと思うのです。そういう点で、ぜひこの問題については、いまみなし課税の問題が中心になっておりますが、相続税の問題以下いろいろたくさんな税の体系の中で仕組まれるわけでありますから、検討していただきたい、このように思います。  時間が参りましたので、最後に農林省の機構改革が今度法律としても出されるわけでございますが、機構はたいへんむずかしいと思うのです。今度機構改革をされる一番のねらいは一体どこなのか、従来のああいう仕組みでは農政がなかなか動かないということでやられたのか、これをやれば多少合理化されて動きが活発になるのか、この辺を私どもじゃなかなか——農地局を構造改善局中心に仕組んでいったり、蚕糸園芸局を食品流通局、こういうものをつくったからといって、別にそうたいして変わるようにも思わないのですけれども、これをやったら相当変わる、こういうふうに御判断せられて出されていると思いますが、その理由は一体どういうものなのか、最後にお尋ねをしておきたいと思うのです。いずれこれは別の委員会で十分議論をするところでありますけれども
  149. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 農業も農産物の生産だけではやっていけない。生産、加工、流通、こういう問題と関連して生産もしていかなくちゃならぬ。価格の問題もあります。需給バランスの問題もあります。そういう面で、やはり流通関係に相当重きを置いて——いまでもやっていますが、総合的にやっていかなくちゃならないのじゃないかということが一つ。  それから先ほどからお話がありますように、農業の基本法の精神を生かしていかなくちゃならぬが、基本法どおりにもなかなかいかぬ。一応農業の構造、組織、こういうものも考えなくちゃならぬということから考えますと、たとえば土地改良というものももとの耕地整理というばかりではいけないので、米の生産調整なんかから見ても、選択的拡大というような方向に、ある程度作目なんかも変えていかなくちゃならぬ面もございます。転換する、そういう面もありますので、農地の問題も構造改善なんかと一緒にして、一つの方向づけに基づいた土地改良というようなものも必要になってくるのじゃないか、こういうふうに、一言でいえば、時代の動き、時勢の動きにマッチするような機構で農業というもの、農林省というものもやっていくべきじゃないかというようなところにねらいがあると御承知願えばいいのじゃないか、こう思います。
  150. 田中恒利

    田中(恒)委員 以上で質問を終わりますが、農業団地、それからいまの機構改革もそうですが、いろんな名前をつけて同じようなことを繰り返しておる節も従来あったわけでありますので、そういうことだけではなかなかいまの日本農業のこの重大な危機は簡単にはいかぬと思います。団地問題等につきましては一、二私が問題だと思うような点を抽象的に申し上げたわけでありますけれども、いまの時代に対応する日本の零細農業の一つの仕組みであるとは思いますが、ほんとうにこれが稼働して実効をあげるためには、価格政策の問題から流通段階の問題、生産の集団化の問題、むずかしい問題がたくさんあると思いますが、できるだけ焦点をそういうところにしぼって——本年度予算はそうたくさんありませんが、赤城農政の目玉商品ということでこれを一番先にぶっつけておられるわけでありますから、農林省内も新しい機構でどれだけの効果があがるか、これも疑問ですけれども、焦点をその辺にしぼってひとつ農政推進に当たっていただきますことを御要望申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
  151. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林委員長代理 瀬野栄次郎君。
  152. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 三月十日の農林水産委員会における農林大臣所信表明に対し、農林大臣並びに関係当局に質問をいたします。農林大臣所信表明の中で「とりわけ、最近におきましては対外的には、円の切上げや農産物の輸入自由化の要請など、わが国の農業問題が単に国内だけでなく、常に国際関係の中において考えていかなければならない事態に立ち至っているのであります。このような状況に対処して、わが国農業の健全な発展をはかるためには、何よりもまず、わが国農業を、国際競争裏において競争できるような近代的な農業として確立することを目途としてその体質の改善をはかることが基本的に重要であることはいうまでもありません。」と、このように述べられております。  そこで、総合農政の実施以来、わが国の農業者はきびしい条件のもとに選択的拡大を続け、努力してまいったわけでございます。大幅な円切り上げの打撃に加えて、オレンジ、果汁、牛肉、雑豆等、農畜産物の自由化ないし輸入拡大、関税率引き下げによる実質的自由化をはからんとする政府考えというものがわが国農業を壊滅におとしいれるというものであって、私は最初にあらためて次のことをお伺いしたいのであります。   〔三ツ林委員長代理退席、松野(幸)委員長代   理着席〕  オレンジ、果汁、牛肉、雑豆等の農畜産物の自由化ないし輸入拡大等について、日本農業を守るという立場から大臣はいかなる基本的な対処方針を持っておられるか、質問の順序もございますので、あらためてひとつ冒頭にお伺いをいたします。
  153. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 オレンジとか果汁とか牛肉とか雑豆、こういうものは日本農業の転換時における基幹的な農産物でございます。ことに一方においては、米の生産調整をして稲作から転換するにつきましてこういう方向へ転換するということでいま専念しているときでございます。そういうときでございますので、これを自由化するというようなことになりますと、農業の基本線がくずれるといいますか、転換のあれがくずれてしまいます。そういうことから考えまして当分自由化はしないし、また一面においては自由化をしないとばかりいっておられませんから、国際競争力がつくような方向農政として力を入れていかなくちゃならぬというふうに考えておるわけであります。しかし、その中でやはり輸出入の関係は農産物ばかりでなく全体の考え方からしてガットの協定もございまするし、世界的にもそういうことで自由化の方向へ向かっていこうということでございますが、おのおの国の状況もありますから、いかに世界的な傾向だからといって、日本農業から見れば、そう簡単に自由化なんかできませんが、輸入のワクなどはものによってはある程度広げていくということも消費面やその他から考えてやむを得ない場合もございますので、そういう面はある程度輸入ワクを拡大した、こういうような状況が現状でございます。
  154. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林大臣から答弁をいただきましたが、当分の間自由化はしない。当分の間というのが問題なわけで、昨年もここでずいぶん詰めたことがありますが、これに触れておりますとだいぶ時間がかかるので、後日に譲ることにしまして、国際競争力をつけなければならないということは当然のことであり、所信表明でも述べておられます。輸入ワクの拡大についてはものによってはある程度やむを得ないものがあるということ、これも一応了とはするのでありますが、そこで、本題に入る前にもう一、二点大臣にお伺いしておきたいことがございます。  それは本年初頭ワシントンで開かれましたところの日米通商交渉では肥育用子牛の無税輸入ワク五千頭、さらにオレンジ、果汁、ホテル用高級肉の輸入ワクの拡大という米国の要求を大幅にのんだ形で決着がつけられました。こうしたなしくずし的な自由化のあり方にはわれわれはたいへんな不満と憤りを実は感じておるわけであります。しかし、それはそれとして、この交渉では、今後日米の通商問題について、閣僚レベルで具体的案件を討議されて、一年間休戦ということでいろいろいわれ、またなったわけでありますが、ある筋から私が伝え聞くところによりますと、この一年間休戦という問題ははっきりした根拠がない、こういうことがわれておるわけです。この会談で確かに一年間休戦のことについて日本側から趣旨の提示はなされたが、それに対して米側から了承の旨の確答がなされていない、こういうように私は聞いております。いずれにしても一年間の休戦くらいでは困るわけで、わが国農業が国際的な競争力がついていくまでは自由化はたいへん困るわけです。特に農業のビッグスリーといわれる米、畜産、果樹、その中の果樹がいわゆるオレンジ、果汁、こういったものが自由化になって今後圧迫を受けることになるとたいへんな痛手を農家は受けるということになります。  そこで、私はお尋ねしたいのでありますが、残存品目を多数残しておるところのわが国農業にこういったことが今後大きく関係することでもございますので、農林省としてもこの問題について正確にどのように報告を得ておられるか。すなわち米側の了承という確答を確認されておるのか、またどのように理解をされておるか、われわれが安心するように、こういうように文書でいただいておる、またこういうようなはっきりした回答があったということをこの公開の席でひとつ冒頭に伺っておきたいと思います。農林大臣、よろしく御答弁をお願いいたします。
  155. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 経済局長から御答弁させますが、昨年閣僚会議でアメリカへ行きましたときには、自由化の問題等につきましてもはっきり約束をしませんが、私が発言して、ロジャース国務長官も、それからいまやめてしまいましたが、アメリカの農務長官もはっきり私が自由化はできないぞ、こういうことで向こうも了承したんです。それがあとになって、円の切り上げの問題や何かでからみかけてこられたらしい。それで、サンクレメンテのときには私は行きませんでしたが、だんだんからめられて押されてきた、こういうかっこうらしいんです。だけれども日本内地では相談があるときには、私は、もうだめだ。輸入ワクなども幾ぶんあれしたんですけれども、実はああいうことじゃなかったんです。しかし、まあ結果はそういうことになりました。  それで閣僚会議が一年休戦というようなことも、私が立ち会っての話じゃありませんから、私からどうこうということは言えませんが、行ってきた連中の報告を聞きますと、閣僚の会談は一年休戦だ、こういうことを言っていますから、私はそれを信用しますが、でありますので、あとアメリカの連中が来ましたときにも、そういうのを私は念を押しておきました。でありますので、閣僚としての会議はまあないんじゃないかと思います。ガットの関係もありまするし、事務的にいろいろ協議するような面も出きてはおるようでございますが、閣僚としての会議はやらぬ、こういうことにのみ込んでいるんじゃないかと思いますが、経済局長からこまかいことの事情等は御報告申し上げます。
  156. 小暮光美

    ○小暮政府委員 日米通商協議が終わりました後に、それぞれ書簡を交換いたしたわけでございますが、日米通商協議に関する米側書簡というのがございまして、その中に通商問題の討議、合衆国政府は、一九七二年における日本政府との通商問題の討議は、ガットまたは他の多角的ワク内においてあるいは通常の外交経路を通じて行なわれるものと考えます、という文言がございます。世上伝えられております一年休戦、これをまた逆に閣僚レベルで、個々の品目等について、やれ自由化とかやれ関税とかというそういうようなものを話し合うことはない、そういうふうに了解しておりますことと全く符合するわけでございます。
  157. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 だんだん怪しくもやもやしきてきたんですが、大臣になぜこういったことを聞くかといいますと、ちょうど病気をされて休んでおられたし、サンクレメンテの会議のときには行きたくても病気で行けなかったという事情もあったり、いろいろ世上伝えられておったんですけれども、公開の席でこういったことを詰める時間がなくて、きょう大臣所信表明に対してあらためて私は伺ったわけでありますが、われわれが懸念していることがいまの答弁で明らかになってきた、こういうように思うのです。きょうは時間が制約されて、たくさんの質問があるので私もさらに追及しようとは思いませんけれども、いま小暮局長なり大臣からの答弁等を聞きますと、どうも危ういかっこうでございます。   〔松野(幸)委員長代理退席、委員長着席〕大臣はこれは立ち会っておりませんし、行った連中の話では、休戦だということを私は信用したいとか念を押したとか、こういうような答弁でございましたし、小暮局長についても、交換公文の例をとられましたが、結局は閣僚レベルで話し合うというようなことで、何かしらん、政府は午前中からの質問に対しても一方的に一年休戦、休戦と、こう安心するように言っているけれども、実際はそれすらも何か心配である。ニクソンがカリフォルニア州出身で、今年十一月大統領選挙に出る、自分の選挙地盤もあるということで必死になって得意先である日本にジュースあるいはオレンジの売り込みをする、あるいは飼料あるいは子牛の売り込みをやるということは、これは当然常識で考えられることであります。そういった面からひとつベテランである農林大臣、病気でたいへんお疲れでありましょうけれども、がんばってもらわなきゃならぬし、いま農民を守るためにとても大事なときに来ていますから、この点ははっきり次の機会にだめを押しますが、その証拠というものが間違いないということをまた回答してもらいたいし、一年休戦といっても、われわれは一年休戦は困るのです。もっと自由化を阻止してもらわなければいけませんので、特に強く要望もし、次の機会にこのあとの問題についてははっきりと回答をお願いいたしたい、かように申し上げる次第であります。  次に、もう一つお聞きしておきますが、今月三月二日付の日本経済新聞によりますと、次のようなことが書いてあります。私もこのとき新聞を見まして、ほかの新聞にはなぜ出ないのかなとふしぎに思って、あえて大臣にこれを冒頭お尋ねするわけですけれども農林省は来年から始まる新国際ラウンドに向けて新しい観点から農産物の輸入自由化スケジュールづくりに着手することになった。その内容は、いまのところ、わが国の農産物の残存輸入制限品目を、現在二十八品目ですが、原則として米の生産調整実施期間の終わる昭和五十一年度末までに完全自由化する等の三項目にわたる基本方向を打ち出す考えである。このあとの、三項目の中の二つはどういうことかといいますと、当面、政府による不足払い、ある一定水準の価格を保証するということですが、不足払い制度、それから課徴金制度の採用など自由化対策を推進することとし、果汁、落花生、雑豆など比較的自由化実施の容易な品目は来年中にも自由化する。三番目に、牛肉など、国内の農業政策上の理由から輸入自由化が困難な品目については、毎年輸入ワクを拡大しながら実質的な自由化を進める。こういった三つが出ておりまして、大臣の元気そうな写真も載っております。大きく出ております。そこで、これは佐藤総理も、先日本会議で、新聞はあてにならぬとか、失礼なことを言っております。きのうはきのうで、新聞にたよるようなことを言っております。火のないところに煙は立たぬので、全然何にも根拠がないことはない、全然知らぬとは言わさぬと思うのです。ただ、私がふしぎに思うことは、日経だけに出ておって、他の新聞に出ていないということでいろいろ懸念されますけれども、こういったことが堂々と新聞に出ておるということを見ましたときに、私はまたたいへん心配になってくるのです。本来の質問はまだあるのですけれども、あとあと質問に出てきませんから、冒頭これはあえて聞くのですが、これがわが国農業に与える影響というものは特に重大なものがありますので、もしこのことが事実であれば、確認の意味で本委員会の席上で大臣からひとつはっきりとした、検討して考えるとか、あるいはこういうわけだとか、これはこういうことで新聞に報道されたとか、また、毛頭こういうことは考えてもおらぬとか、ひとつ明らかにしていただきたい、かように思うわけです。
  158. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 実は私、農林省に出て来ましたら、こんなこと書いてあるわけです。それで事務当局から見せられてびっくりしたわけなんで、考えたこともなし、また皆さん方にあるいは世間にうそをつく気持ちもありません。いつもここで申し上げておるような気持ちで、自由化のスケジュールなんというものをつくらしたこともなし、自分で考えたこともなし、当分自由化はできない、こういう方針は一貫して私はきておるのでございまして、あの新聞の記事はどういうところから出たのか知りませんが、火のないところに煙は出ないなんて言いますけれども、火をたいた覚えはないのです。それからどこに火があったのか、それも私は考えつきません。農林省内でもそういう考えはないのです。ですから、あの記事は、私の方針とは全然違っております。
  159. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 全然火のけのないような話をしていただきまして私、安心しますけれども、新聞がこんなにぎょうぎょうしく書くと、根拠なしには書くわけはないと思うし、つくってでもなかなかこんなことは書けないと思うのです。大臣の写真も出して堂々と書いてあるということは、これはかなり自信を持った記事じゃないかと思うのです。大臣の発言に安心をしましたが、大臣の発言を疑うわけではありませんけれども局長、何か事務レベルでそういった話があったとか何かそういうことがありますか。あなたも大臣と全く同じ——大臣が言ったのに、自分はこうだとくつがえす答弁はないと思うけれども、ここに局長からも一言回答をいただきたい。
  160. 小暮光美

    ○小暮政府委員 農産物の自由化に関連いたします検討はまことに重要な問題でございます。私ども常に大臣の御意図の存するところを拝承いたしまして、その線でやっておるわけでございまして、ただいまのお答えは、私どもが事務的に理解しておりますことと全く違いはございません。なぜあのような記事が出たか、思い当たる節もございません。
  161. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 それで安心いたしました。時間の関係もあるので次に入りますが、いまのお話に対して、あと間違っておったらたいへんなことになる。  次の問題ですが、四十五年五月に果汁三百トンを緊急輸入したという問題です。これに対しては昨年も若干問題を提起したわけですが、その後どうしても納得いかない。また世上いろんなうわさが流れている。また農家の団体等もこれに対して不信を抱いているということから、あえてきょう皆さんの前に明らかにするわけですが、この緊急輸入、すなわち需要者割り当ての名目で輸入したということでありますけれども、この果汁三百トンの輸入に対してどういうような割り当てをされたのか、すなわち全国清涼飲料工業会の会員にこれを割り当てる、また配分することになると思うのですが、その点をあらためてひとつ明瞭に答弁をいただきたい。
  162. 荒勝巖

    荒勝政府委員 四十五年におきましてオレンジの濃縮果汁の価格が、四十四年産ミカンの生産量減少いたしましたことと、したがいまして原料ミカンが値上がりしたということがありまして、国内産ミカンの原料ジュースの値段が相当値上がりした次第でございます。そこへもってきて、ちょうどその時分から天然果汁に対する消費者需要の非常な増大がございまして、ますます需給関係が逼迫したような実情にあったわけであります。これに対しまして、従来ジュースについてあまり関心がなかったかと思いますが、当時、今後は天然果汁の時代だということもありまして、中小清涼飲料関係の全清飲のほうでぜひミカンの原料を手当てしたいということになったわけでありますけれども、ときが三月ごろになっておりまして、すべて売却済みというふうなかっこうでなかなか手に入らないというようなことでありまして、ぜひ外国産のオレンジジュースを緊急輸入してもらいたいという申し入れがあったわけでございます。農林省といたしましても、この全清飲の系統といたしましてもしかりに天然果汁が手に入らないとすると、価格値上げをせざるを得ないというふうな意向等もありましたので、われわれといたしましては、値上げということは困るということで、さしあたり国内産果樹農業に対する重大な悪影響を及ぼさないという範囲内で三百トンのオレンジジュースを輸入することにいたしまして、これを五月に輸入公表いたしまして、三百トン全量全清飲に輸入割り当てを行なったというかっこうでございます。これは中小企業協同組合法に基づきます団体でございますので、一応割り当てる。全国に約千近い、七、八百くらいだと思いますが、会員メンバーがありますので、一括全清飲、全国清涼飲料協同組合と申しますけれども、それに三百トンを割り当てた次第でございます。  以上でございます。
  163. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 全国清涼飲料工業会というのは全清飲とおっしゃるが、これは六百社ぐらいに割り当てをしたということがいわれるし、この全清飲には二千五百から三千くらいの小会社組合があるということがいわれておる。問題の提起というのが、皆さん内容がおわかりにならないといかぬと思いますので若干申し上げますと、この飲料水を割り当てするときの背景というのがありまして、先ほどからるるお話がありますけれども生産不足で足らぬとかあるいは物価問題が世論にあがって、ずいぶん高くなってきたということもさっきから話がありましたが、要するに、五百トン輸入してくれ、全清飲からこういう話があって、結局三百トン緊急輸入ということになったわけですが、あとでいろいろと調査してみますと、日本果汁農業協同組合連合会、またもう一つ日本果汁協会、この二団体が、日本の果汁があるので、二百トンはとりあえず優先的に入れるということでいろいろ話が出て、二百トン入れるつもりで準備したにもかかわらず、実際はこの二団体の果汁は結果的には二・六トン入れただけで、あとは外国からそれを入れている。こういう結果になっている。しかもその割り当ては、いま局長は全国清涼飲料工業会に三百トン一括やったといわれるけれども、これはあと問題を提起するわけですが、割り当て量の行くえがまぼろしの配給というようなことで実にようとしてわからない。さっきも田中同僚議員からも指摘があったように、配給先がわからない。わからないままで済まされないのです。これは間違いなく全国清涼飲料工業会を通じてやっているのか、それともある商社にこれが流れているのか、当然一部は正統なルートで流れておることも承知しておりますが、大半がある特定の商社を通じて流れている、こういったことがうかがえるし、また各団体からもいろいろと不信を持って見られております。その当時、ちょうど昨年物価が上がってきたために、物価にすりかえられまして、いわゆる政府のほうから、総理からも声がかかったわけですが、農協はけしからぬということがいろいろいわれて、倉庫にストックしてあるのじゃないか。また農協は値をつり上げておる、そのためにストックしておるということがいろいろ取りざたされました。実際はいわゆる中間業者がそれを受けても、冷蔵の倉庫を持たないために、倉庫を借りて入れておくということで、実際は売却したミカンが入っておるのに、いかにも農協がストックしておるかのように見られておるわけです。その背景をずっと見てみますと、その国内産の果汁を二百トン入れればいいものを、実際には外国の品物のほうが、キロ当たりの単価も国内産が五百六十円に対して輸入予想価格は私の調査によると三百四十四円十七銭、六三%も安いというようなことから、外国品の安いものを入れてもうけさせる、しかももうけるのも正規のルートでなくて、特定の商社がもうけるというようなことで、実に不明朗な話であります。そういったことから、この問題はいろいろ取りざたされたままうやむやになっている。いわゆるまぼろしの配給というようなことがいわれておりますが、実際に割り当てたとおり全清飲は買ったのかどうか。その点は農林省は確認しておられますか。あらためてお伺いいたします。
  164. 荒勝巖

    荒勝政府委員 三百トンの濃縮オレンジジュースを全国清涼飲料協同組合に一括割り当てたわけでありますが、そのときに実は五百トンほどの陳情があったわけであります。そのほか全清飲以外の方、いわゆるアウトサイダーでございますが、そういう方からも多少要請があったようないきさつもありましたので、三百トン割り当てしましたが、その際に全清飲に対して三百トンのうち、全清飲だけで使わずにアウトサイダーの者にももし希望があるならば割り当てするよう、譲るようにという希望を私のほうで申しつけたわけでございます。その結果、全清飲とそれから日本果汁協会というのがございますが、その果汁協会は比較的大手の方がおられますが、この方とも多少話し合いがありまして、約七十トンばかりのものは果汁協会のメンバーにも希望によって割り当てられた、こういうふうにわれわれ知っておる次第でございます。  その際われわれといたしまして、生産者団体にも割り当てすべきではなかろうかと思いまして、生産者団体の方にも多少相談してみたのですが、その際、自分たちは輸入割り当てに対して反対をしたいきさつもこれあり、今回は御辞退申し上げたいというふうな意向もありましたので、われわれといたしましては全国清涼飲料協同組合に一括割り当てをした、こういういきさつになっておる次第でございます。
  165. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そこで、日本果汁農業協同組合連合会と日本果汁協会とが結局二百トンを優先的に入れるといったにもかかわらず、二・六トンだけ入れたという結果になっていますけれども、国内の果樹をやる人を擁護して生産調整で育成していこうというときに、どうしてこういうことになったのですか、その点もっとはっきり言ってください。
  166. 荒勝巖

    荒勝政府委員 実は三百トン割り当てする際に、できますればある程度の基準によりまして全国清涼飲料協同組合あるいは日本果汁協会、日本果汁農業協同組合連合会、こういったそれぞれの組織に対しまして、ある基準で割り当てすべきかと思いましたのでありますが、そのときただいま申しましたように、日本果汁農業協同組合連合会のほうの意向といたしましては、自分たちとしては果汁の輸入について絶対反対の意向を表明し、また反対運動も相当されたようないきさつもありまして、この際は辞退申し上げたいということでお断わりになったということが一つでございます。  それから日本果汁協会のほうになぜ割り当てしなかったかということにつきましては、日本果汁協会としましては、すでにある程度日本果汁協会のメンバーは比較的大手の企業が加入されている傾向もありまして、日本産のシカンのジュースは四月ごろの段階ではある程度手当て済みであった、したがって自分たちとしてはもうこれ以上多くのものを必要としない、ただブレンドによる品質の向上という、多少実験的な試みもあるし、またほしい方もおるので、団体としては割り当てを受ける意向はないが、できますれば役所のごあっせんによって全清涼のほうから多少譲り受けられるようになればありがたいというふうな意向の表明がございましたので、果汁協会の割り当てはいたしませんで、全清飲に一括割り当てをいたしますとともに、全清飲に対して、独占することなくアウトサイダーにもこれを譲り渡すようにという希望条件を付して割り当てた次第でございます。これは文書はございません。
  167. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 いま発言されたことでいいのかと言いたいわけですが、いずれ議事録に明確に載るわけですから、この問題については時間の制約もあるので、いずれ詰めることにしますけれども、いずれにしても二団体からはそのようなことは毛頭言っておりませんし、二百トンの購入をしたいけれども、実際は二・六トンしかできなかったということで、実に残念がっている。国内産業をどうして育成してくれないのか、こういうことでさんざん言っているわけです。その点ここで論議したところで水かけ論になるので、議事録によって次回にこれを詰めることにいたします。それで、そういう状況を踏まえて、ほんとうに緊急輸入の必要があったのか、簡潔にその点ひとつこの機会に明らかにしておいてください。
  168. 荒勝巖

    荒勝政府委員 当時、先ほど申し上げましたように、三月ごろから四月にかけて全清飲から非常な強い要請があったものですから、われわれのほうといたしまして、日本のほかの団体に対しまして、ほんとう日本産のジュースが残っているのかどうかということにつきまして相当調べたわけでございますが、原果汁をつくっております農業協同組合の方面でももう全部売却済み、五月ゴールデンウィークを明けてのあとの販売対策用の営業用のジュースは全部売却済みということで、在庫はあるけれども、それは売却済みであって、ことに新しい希望者に譲るようなものは残っておりませんというふうな話もございましたので、全清飲側の強い御要望もあり、また相当激しくわれわれにもありましたので、しかも当時相当いろいろな食料品価格の値上がりというものが次々とあったようないきさつもありまして、われわれといたしましては全清飲に外国産のオレンジジュースを割り当てるのは適当と思いまして、緊急に割り当てを行なった次第でございます。
  169. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そこで、東京都港区芝西久保明舟町十二番地ヤンズ・プロダクツ株式会社というのがあるわけですが、これは有名な会社だから局長も知っておられると思う。これが発売元となりまして、レッテルにはオレンジジュースという、かん入り八百二十グラム、二百五十円で市販している。これは当然、外国製品ですからJASマークは張っておりません。天然果汁で「濃縮果汁還元」というふうに書いてあります。これについて若干お尋ねするわけですが、このヤンズ・プロダクツ株式会社は全清飲の会員であるかどうか。局長、これは有名な会社ですから当然おわかりだと思いますけれども、まずその点明らかにしていただきたいと思います。
  170. 荒勝巖

    荒勝政府委員 ただいまお尋ねのヤンズは、私の記憶するところでは全清飲のメンバー外というふうに理解している次第でございます。
  171. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 私がいま言うのは、三百トンの緊急輸入の譲り受け配当というものを明らかにして、ほんとう日本農業にかじりついている日本農家のためにあえて提言をするわけです。このいわゆるヤンズという株式会社、これは会員ではありません。いま局長が答弁したとおりであります。そこで、私は実はきのうこのジュースを、こちらは高野フルーツパーラーから買ってきたものでありますけれども、一番新しいのがいいと思って、前から知っておりましたけれども、きのうわざわざ某デパートの食料品売り場に行って、たくさん並んでいるものから買ってまいりました。これはもちろんヤンズの売っているものです。いま申し上げたように、二百五十円で市販しているかん入りの濃縮ジュースです。これは会員でなければ当然緊急輸入から分けてもらったということになるか、あるいは違法だがかってに外国からこれを入れたか、どちらかになるわけですが、この点、局長、明らかにしてください。
  172. 荒勝巖

    荒勝政府委員 私の記憶するところでは、ヤンズのそのジュースはアメリカから、先ほど申し上げました全清飲に割り当てられた三百トンのうちから一部譲り受けたアメリカのジュースからつくられたかん詰めというふうに理解している次第でございます。そのジュースは当時なかったのでありますが、輸入割り当てを行なった七月ごろからそのヤンズジュースが相当巷間に売り出されたように記憶している次第でございます。
  173. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 局長はそうおっしゃるが、このジュースは全清飲に割り当てが行ってない。一部は行っていても、ある商社を通じて大半が流れている。しかもこのジュースというのがちょうど一昨年の五月三百トン緊急輸入をしております。それをわれわれもその行くえがどうなっているかということについてずいぶん心配し、下から問い合わせがあっても返事ができずに困っておりましたが、このマークをいろいろずっと調べてみますと、昭和四十五年十月一日にこれが製造されています。これが製造されているところもちゃんと清水の工場ということが符号でよくわかります。日にちもはっきりと何日と書いてあります。そういったことから、これは米国産の輸入された原料を使っていることは、当然明らかであります。いま、全清飲から一部譲り受けてやったということでありますけれども、いわゆる三百トンのその配給の行く末が、こういった姿でいろいろなところに売られているじゃないか、こういうように私は思うわけです。  そういったことを思いますときに、果樹生産農家を守らなければならぬときに、こういった輸入の不明朗さというものがいろいろと取りざたされますと、たいへん不信感を農政に対して抱くということになる。もちろん、これに対してはもっと詳しい研究、また調査もしなければなりませんけれども、そういったことがとかくうわさをされています。農林省は業界から頼まれれば悪いこともやるのかとか、または業者の言うとおりになっているんじゃないかということがよくいわれるのです。こういったことに対しても、これはどういうわけだとはっきりしたことを言ってもらいたいし、また三百トンの行くえというのは、全清飲にやったその先はどうなっているんだ。もちろん、一部買い占めもあげられるかもしれませんけれども、いわゆる全清飲の中にも二千五百から三千ぐらいの組合があるわけで、実際にはそのおもなものだけにしか流れていないんじゃないかということもいわれて、不公平というか、平等を欠くというか、実に不明朗な点がうかがえるわけです。  そういったことで私はこの問題を提起したわけでありますが、さらにもう一つは、東京都新宿区角筈一丁目十二番十四号、株式会社高野フルーツパーラーというのがあります。ここでも、今度はバレンシア・オレンジジュースというものを売っております。これは実は、明らかに全清飲から買ったことで違反ではないけれども、昨年のちょうど八月、夏ごろ、これにJASマークをつけて売っておったわけです。それが日本消費者連盟から不当表示ということで、いろいろとほかの問題がたくさん取り上げられまして、これはもうそのときの写真もいろいろありますけれども、ラベルの間違いとか消費者連盟のほうから指摘を受けて、すでに高野フルーツパーラーは、これを悪かったということで、始末書を書いて出しているという経緯がございます。安いものでもうかった上に、外国のものにJASを使って売ったというようなことで、この問題になってからラベルの取りかえまたはJASマークをはいだという事実があるわけです。この名前はバレンシア・オレンジジュースといって、びん詰めで千ミリリットル三百円で売っております。もちろん、いまはJASマークは張ってない。天然濃縮果汁還元ということになっておりますけれども、これは御存じのように、JASマークを張れば税金が免除されるということであります。  そこで、私はこのことを公取にお尋ねしたいのですが、JASマーク違反及びラベル違反で始末書を書いたというその当時のいきさつを、時間の関係もあるので、簡潔にひとつ説明をしていただきたい。
  174. 熊田淳一郎

    ○熊田政府委員 JASの規格に載っていないもの、これをJASマークを付して販売するということになりますと、一般論といたしましては、この商品の品質について、実際のものまたは他の競争者のもの、こういうものよりも優良であるというふうに誤認をさせる、こういうことになりまして、不当にお客を誘引して、そして公正な競争を阻害するおそれがあると認められる、こういうようなことになりますと、これは不当景品類及び不当表示防止法第四条の規定に抵触をするということになるわけでございます。それで、ただいまお尋ねのバレンシア・オレンジジュースでございますが、これは私ども、当時緊急輸入の対象となったというようなことは聞いておりますが、この事件につきまして申告というようなものは公取に参っておりませんので、公取といたしましてはその事実を承知いたしません。したがって、調査ども行なわなかったわけでございます。したがって、公取が始末書等を徴するというようなことはなかったわけでございます。
  175. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 それで、答えが全然出てないけれども日本消費者連盟から指摘を受けて、ラベルの間違い、不当表示というようなことやら、こんなことで始末書を高野フルーツパーラーが書いたというのは、聞いておられるでしょう。それも聞いていませんか。聞いてなきゃ、聞いてない、聞いてるなら、聞いてるとはっきり言ってください。もう時間がないから簡単に。
  176. 熊田淳一郎

    ○熊田政府委員 私どもどこで始末書をとったかということは承知しておりません。
  177. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 これは事実、始末書をとっておるわけですけれども、時間も迫っておりますので、国税庁、これが外国から輸入した品物にいわゆるJASマークをつけて、去年の八月に売っていた。これに対しては物品税法違反ということになるわけで、当然脱税ということになるわけだが、その点の関係を簡潔に承りたい。
  178. 守屋九二夫

    ○守屋説明員 お答えいたします。  物品税法上、果実水と果実蜜と二つに分かれておりますが、これに対して課税ということになっております。ただ、果実水のうちで果実の搾汁——生ジュースでありますが、これは施行令のほうで非課税ということで、単にしぼり汁そのままのものにつきましては税金がかからないことになっております。それから、それに砂糖を加えるとか、そういう果実蜜とか、薄めるとかしたような場合には、JASマークがついている分につきましては、大蔵省令で別に定めがございますが、JASマークを付した上でその規格に該当するものにつきましては非課税、したがいまして、そうでない分につきましては課税、そういうことになっております。  それで、ただいまの高野フルーツパーラーの果汁でございますが、これは果実の搾汁そのもの、しぼったそのものの分で、したがいまして、こういうものにつきましては非課税という扱いになっておるわけでございます。
  179. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 非課税だということでございますので、これまた時間の関係で全部詰められませんが、そこで大臣にお伺いします。  いろいろ申し上げてまいりましたけれども農家がいわゆる生産調整によっていまたいへんなときに来ている。特に静岡以西、四国、九州にしても、ミカンによって生産調整から大きく立ち上がろうとしていま農家はがんばっておる。一生懸命農林省の指導によって加工場をつくり、濃縮ジュース工場をつくって——熊本でも昨年おかげでできました。一生懸命希望を持って進んでおるときに、片一方ではこういった緊急輸入のしかた、また五百トンの輸入、しかもそれが前回の緊急輸入がさっぱりわからないというようなことで、いろいろこういったうわさが出て心配されております。こういったことを思うときに、もっと明朗にはっきりしてもらいたいし、またこういったものがいろいろ業界の中で言っておるわけですから、これ以上詰めはしませんが、とにかくもう不明朗なことが一ぱい言われておる。これではほんとう農政不信にまた落ちていく。大臣もほんとう農業に対してはあたたかい思いやりを持っておる方でありますから、こういったことに徹底的にメスを入れていただいて、次の機会にまた明らかにしたいと思いますので、よく調査をされて、三百トンの行くえ並びに今後の対策についても、とくとひとつまた答弁をいただきたい、かように思っております。おそらく全清飲以外に、ある商社を通じて大量のこういったものが緊急輸入に流れて、いろいろな姿に変わっていま市販されておるという、こういったことがもう各団体で取りざたされておるわけです。それで、この品物がどうだといって——私はつくったところを見ているわけではありませんが、おそらく間違いないというようなことを言ってきて、心配をしております。そういったことを思うときに、ひとつ明朗なる今後の輸入割り当て、それからまた対策を講じていただきたいということを強くお願いするわけであります。  そこで、大臣、あとちょっと簡単にお尋ねしますが、この割り当てですね、五百トンがことしの分ですが、三月末に割り当てをきめるというようなことが言われておりますけれども、これは三月末にやられるのですか、またいつになるのですか。その点ひとつお答えいただきたいと思います。
  180. 荒勝巖

    荒勝政府委員 先般の日米協議の結果に基づきまして、四十七会計年度中に日本側がこの五百トンの割り当てを行なうことになっておりますので、少なくとも三月三十一日以前には割り当てることはいたさない予定でございます。
  181. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 ということは、四月にやるということですか。
  182. 荒勝巖

    荒勝政府委員 通常これは農林省だけで割り当てる問題ではございませんで、私、あまり正確には存じませんが、通産省と当然に本件の取り扱いについての協議もございまして、成規の手続によって割り当てを行なうといたしますると、どんなに早くなりましても四月上旬以降ということになるのではなかろうか、こういうふうに理解しておる次第でございます。
  183. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 あと大事な問題ですので、二つだけ聞いて終わりにいたしますから、ひとつ御協力をお願いいたします。大臣並びに局長、どちらでもいいのですが、大臣からお願いしたいのです。  いま局長から答弁があったように、四月以降というようなことでございますが、重大なときになっているので、次のことをぜひひとつ配慮願いたいと思うのです。関係団体からも特に要望が強いわけですが、まず第一点は、輸入オレンジ果汁の用途は、原則として国産ミカン天然果汁に対するブレンド用に限ることとして、二〇%ないし三〇%をブレンドするということで、なお輸入されたオレンジ果汁に余裕があるときには、国産ミカン濃縮果汁、すなわち原料用として、濃縮果汁に対する混合用としてこれをいただきたいということが、関係団体から強く要望されておりますが、このようにひとつブレンド用としてやっていただきたい、こういった原則について御見解を承りたいのであります。
  184. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 先ほどから、局長からも話を聞いておりましたが、ブレンド用に指導するといいますか、そういうふうに趣旨でやるというような話は聞いていますから、それでやると思います。
  185. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 まあ聞いていますから思いますじゃいかぬですが、どうかぜひそういうようにしていただきたい。それでは最後に、先ほどからるる申し上げまして、若干時間も足りませんでしたが、要するに、このかんきつ果汁というものは、その生産量の約九〇%をいわゆる農協工場で生産しておりますことはもう御存じのとおりでございます。ミカン天然果汁に対する輸入果汁のブレンドも農協工場で行なうということは当然である、私はこういうふうに訴えているわけです。そこで、生産調整によって、またあらゆる面から最大の犠牲を受けているものも農協であり、農業者であります。そういったことから、これら果汁について、果汁の輸入窓口というものは果汁生産農協工場の系統の全国団体に一元化してやっていただきたい。先ほどからるる申しましたように、不明朗な不信感というものがございますので、割り当てが四月以降になるようにさっきから答弁がございましたが、今回の割り当ては一特に今後の大きな割り当てのスタートにもなる。従来三百トンのいわゆるまぼろしの割り当てというようなことも言われて、いろいろ取りざたされておりますので、生産団体に、また九〇%のシェアを占めておる農業団体に窓口を一本にしぼってやっていただきたい、こういったことを特にお願いするわけですが、大臣から農業者に対してあたたかい決意をひとつ最後にお聞きしたいのであります。
  186. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 御趣旨はよく検討して、やらせるようにいたします。
  187. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 以上で質疑を終わります。
  188. 藤田義光

    藤田委員長 津川武一君。
  189. 津川武一

    ○津川委員 農林大臣、私たちは、日本人の主食は、日本農民の手でつくっていただく、こういう立場をひとつ貫きたいと思っておるわけです。そういう立場からいくと、第一の問題は米ですが、現状からいきますと、ある程度の転作、減反が必要かと思っておりますが、それにはきびしい条件がございます。それは米を生産しておる側からの自主的な、民主的な立場から調整をやり、減反する、農民の利益と納得でこれを行なう、こういう立場が第二の立場でございます。第三には、転作するには、できるような条件を整備する。第一の問題は価格補償でございます。米を生産していたときと同じような収入が農民の手に入る。このことが私は転作のための条件だと思うのでございます。こういう私たちの基本的な立場から問題を見てみたいと思うのです。  そこで、最近の農政でございますが、基本法農政から構造改善農政、それから総合農政、今度赤城さんの団地農業というふうに変わってきておりますが、この変わる経過の中で日本農民昭和三十五年から四十四年の十年間に農業固定資産として形成した総額は六兆八千四百六十三億円、このうち農機具資本として形成されたものが二兆二千十二億円、こういう状態であります。   〔委員長退席三ツ林委員長代理着席〕 このことをひとつ考えてみたい。こういう機械化のために借り入れた金額は四十六年度までの十カ年で三千二百億円という一つの推計が出ております。また農業構造改善のために補助事業や融資単独事業で三千三百二億円突っ込んでおります。またそういう過程の中で農民がたくさんの借金をしております。四十五年度末の主要金融機関で出した農業貸し出し金の四十五年度の残高が四兆八千五百九十八億円で、十年前に対して六・五倍にもなっております。こういうことは、それ自身私は、たくさんの問題があったかと思いますが、まあまあ日本農業をささえてきた重要な因子になってきたと思うのでございます。こういう投資をしたり、機械化したり、借金したりしたものが農民生活生産を向上せしめてくれる間はよろしかったが、問題はあったとしてもよろしかったが、今度の生産調整であります。この生産調整のために、これだけ買った機械が、これだけ投資してやった農業基盤整備が、そしてこの借りたお金が回収するに事を欠いてきたことであります。この間、私、赤城農政の一つの模範団地である静岡県の大浜という農協に行ってみましたが、カントリーエレベーターを据えつけて、減反にあって、そのカントリーエレベーターを償却できなくなっておる、こういう情勢が出てきたし、この基本法農政、いろいろな問題があった中でも、北海道や東北や僻地においては、開田という形で利用されてきたので、かなりの水田が開かれて、ようやくそこで農業がやれる見通しがついたときに今度の減反でございます。ものすごい勢いで、開田された水田がこわれておる。そうしてさらに、この結果何が出てきたかというと、たくさんの出かせぎ者。せっかく開田した水田をそのまま放置して、ペンペン草をはやして出かせぎに出ておるという状況でございます。このことを端的に、大臣がどんなに考えて、これにどんなに対処するつもりか、まずお伺いします。
  190. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 米の生産調整は自主的に、民主的にやるべきだ、基本的には私はそう考えます。大体生産調整というのは農民がやるべきなんで、自分が生産するものが余ってしまって、そしていまは食管制度があるからそのままで価格維持もされているのですが、この前も申し上げたように、食管制度でもなければ、これは昭和初年のような農業恐慌でがた落ちになってしまう。ですから、生産が、供給が消費というか需要よりも過剰であるというのなら、これは自分自身、農民自身生産調整をするという立場だと思うのです。しかし、再々申し上げておりますように、農民自身のそういうことをやる組織化ができておりませんから、政府がかわってやるということなんでございます。しかし、その精神は自主的にやるべきものなんですから、民主的、自主的にやるというような考え方に立って政府の指導もやらなくちゃならぬ、このように考えております。  生産調整の結果、いままで投資した設備あるいは土地改良その他が不要に帰するといいますか、こういう傾向に対してどうするかということもございますが、私はこれは生産調整の結果、転換するとか、別な方面に行くように有効に、まだ土地改良がそういうふうに行ってなければ、もう一度土地改良をそういうふうな方向へ持っていかしてもいいと思うのです。たとえばいま言われましたように、開田したけれども今度はやめた、しかし飼料でも作付するというようなことにはどうも水田であったからまずいというならば、これを作付できるような畑地にするというような土地改良も、また私のほうでやらしてもいいと思います。機械等につきましても、いままでの機械が不要になったということならば、団地的にやればもっと大きな機械を入れてやるようなことにもなりますから、その機械の処分その他についても考えて、あるいはそれに対する負債ということも転換できるように考えなくちゃいかぬと思います。新しい方向づけに沿うようなことにやらしていきたいと思います。実はそういうこともあろうかと思いまして、調査費も予算に少しばかりありますが、よく調査をしまして適当な方向へ持っていくようにやっていきたい、こう考えております。
  191. 津川武一

    ○津川委員 大臣、ここ十年間これほどの金額を投資して土地基盤整備をやって、機械化して借金をしょった。そういうことを、農民の側からいえばそうだろうけれども、これをだれがやらしたか。全く農政が指導して、あるときにはむしろ上から押しつける形で国の責任でやったこの仕事を、そしてやってしまって過剰になったから、農民の側で需要供給関係調整せい、調整する機関がないから国がやるのだ、これでは大臣、逆ではありませんか。私はこういうことの責任は、国がやはりいままで十年間基本法農政として、構造改善農政としてやってきたものをあと始末することが農政の責任だと思うのです。これが一つ。  第二番目には、大臣はいま開田したところにたとえば牧草を植えればよろしい、そのためにもう一回改善事業をやってもよろしい。開田したところにくだものを植える、もう一回構造改善してもよろしい。投資した機械、それは団地をつくって、もっと大きな機械をつくればいいじゃないか。こうなりますが、そうすると、いままで投資した機械がどうなる、いままで水田として構造改善して投資したお金はどこへいくのか、このことをまず片づけなければ責任ある農政じゃないと思う。これを片づけて、その上で農民の納得を得るならば、開田したところを草地造成してもよろしいし、また、いままで買った小型の機械を処分して、責任ある体制が終わったときに、大型の団地農業としていって、大型のものを導入する、このことはよろしいですが、いままでやってこられたもに対してどうするかという点、たとえばドル・ショックで繊維工場なんかの機械を政府で買い上げました、この基本法農政で、構造改善農政で買わした農機具、これを団地農業としてやるときに、不要になったときに政府が買い上げる、こういう立場が私は必要だと思うのですが、この一点どうか。  次に、その農機具が一〇〇%働いておれば土地基盤整備の借入金が返せる。今度は二百三十万トン、二百十五万トンという約二割近い減反でしょう。そうすると、私は当然この償却期はそれに相当した分だけ延ばさなければならぬ、これが二つ目。そのために利子補給も考えなければならぬ、これが三つ目。それから、農協が構造改善農業でどんどん——三十七年がピークで米の生産性が上がらなかったでしょう、それからどんどん構造改善事業で増収してきた。それで農協は倉庫をつくってある。今度は生産調整で、農協が投資した倉庫に入る米がなくて、あいてくる。こういうことに対して、農協に一つの責任ある対策を示してからあなたが進むならば、団地農業に進んで私は差しつかえないと思うのです。こういった個々のことを、大臣は御病気だから他の方が答えてもよろしいが、基本的にはいま大臣が言うのは私は承知できません。一たん開田したものを、今度はもう一回構造改善をやって、飼料をつくりなさい、機械は捨ててもいいからもう一回団地をつくって、そこで大きな機械を据えつければいいじゃないかという、この答弁は私は納得できない。これは政府として責任ある態度ができなければならぬ。この点は大臣から答えていただきます。あとの個々のことはどなたが答えてくれてもけっこうです。
  192. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 私は基盤整備をしたのは、相当基盤整備によって効果をあげている、農民のためになっていると思います。いま基盤整備全部をやめるというわけではございません。ある一部、たとえば一区画の水田を変えるというならば、その水田は畑地に変えていこうということで、水田は水田として効果をあげているわけで、それでもう廃業したみたいに、やったものがなくなるというわけでは絶対ございませんから、そこは少し考え方が違うと思います。そうして、国が統制経済で全部の土地を管理してやったということではございませんから、そういう点では、国が農民のためにいろいろやったことは、農民はいままで十分その恩恵といいますか、効果に浴している面はあると思います。しかし、その転換や何かについて非常に支障のあるようなものにつきましては、これから行く道について私ども方向づけをしたり指導しなければならぬ。そういうことにつきましてはよく調査してやっていく、こういうことを申し上げたつもりでございます。
  193. 中野和仁

    ○中野政府委員 いまお話のありました詳細な点につきましては各局にまたがりますので、便宜私から申し上げますが、いまも大臣がお答えになりましたように、いまの津川先生のお話だと、全部むだになったというようなお話のようでございましたけれども、今度の生産調整は、原則的にはそれぞれの農家が水田の一部を休んだり転作するということでございます。若干機械の効率という点においてはむだな面が出ようかと思いますけれども、全面的にそういう生産調整を国がやらしたんだからみな国の責任だというのは、若干いかがかというふうに私は思うわけでございます。  しかし、個々の村々に入りますと、やはりいろいろな問題が出てきております。その点につきましては、先ほど大臣も申し上げましたように、過去に投資をいたしました土地改良の償還がどういうことになるか、開田しようとしても、土地改良投資をやったのにそれはできない、むだじゃないか、これが一体どういうことになるかということにつきましては、東北あるいは北海道についてかなり問題が出てきております。それは十分来年度調査をしました上で措置をするということでございます。  ただ、現実に問題が起こっております問題につきましては、すでに昭和四十六年度自作農維持資金を五億用意いたしまして、償還ができない場合は肩がわりをするという措置もとっておるわけでございます。
  194. 津川武一

    ○津川委員 大臣、私は全部がだめになったと言っていませんよ。構造改善をやったから東北でも米がたくさんとれた、北海道はそのように農業が大きくなったことは認める。ただ、資本主義の世の中では、投資したものは何年計画でこれを回収する、償却するというのがある。その償却するのが二〇%にとめられれば、私は、政府が指導した仕事だから、政府がこれの回収方法を考えなければならぬということを主張しているわけなんです。それを何らかの形で少し曲解されたようですが、これは違います。  その次、生産調整の問題でもう一つは、食管の基本を堅持するから生産調整に応じてくれ、また農協の上層部とあなたたちの話し合いでも食管を守るために協力してくれといって、生産調整の減反の一つの柱は食管を守るということだった。いまその食管がどうなっていると思いますか。一つの問題は価格。食管で農業生産ができるような、農民生活ができるような方針が食管の方針なのに、物価は上がっても生産者米価は上がらない。これで食管の根本が維持されていると思っているかどうかということ。消費者の側の消費者米価生活を苦しくしないような形で消費者配給すると言っているが、いま消費者はどんな値段を持っているかというと、一つは、政府買い入れ価格、政府の売り渡し価格、東京でいうと十キロ千五百二十円、それがあるかと思うと、自主流通米ですよ。それがあるかと思うとやみ米ですよ。今度は農民のほうはどうかというと、政府の買い上げ価格の値段、それから自主流通米で買う値段、今度は余り米余剰米というやつ、これで三つ目です。さらに今度は、生産調整をした人たちには政府で奨励金をやる逆二段米価をとっている。これで四つ目ですよ。そして農民生産しても買い入れは制限する。  こういう形になってきたときに、日本国中だれも食管の方針が堅持されたとは思っていません。農民がちゃんと感覚的に、国民が感覚的にもう食管はくずれ始めてきたと言っている。私たちは、食管は生産者のために維持しなければならぬ、消費者のために維持しなければならぬ。しかし、倉庫料だとか運送料とかたくさん問題がある。末端の小売りのところにも問題がありますが、これは解消していかなければならぬ。この点は主張していたけれども、食管の根本はあなたたちを信頼して維持されるものと思っていたのですが、現実はずたずたに破り裂かれてしまった。この食管を堅持するという名のもとにあなたは生産調整をやらせてきた。食管は堅持されていると思っていますかどうか、これをひとつ大臣、答えていただきます。
  195. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 食管を堅持するから生産調整をやるのだ、こういうことじゃなかったと私は思います。現にそう思いません。食管を堅持するという意味よりも、食管というものがなくなった場合にはこれはたいへんじゃないか。とても農家生活といいますか、米生産農家なんかがやっていけないことは、再々申し上げているように、昭和三年ごろから昭和十年ごろまでの農業恐慌、ああいうようなことにおちいったのでは困る。そういう意味において、やはり農業も自給自足農業じゃございませんから、結局、農業生産においても価格政策の中に入ってしまう。貨幣経済の中に入っていますから、需要供給のパランスをとらなくては農家自身のためにならぬじゃないか。そういう意味で、せっかく骨折って農家の人の米の生産が非常に上がってきたのでございますが、需要以上に上がっておる。こういう状況であるから、これはバランスをとるように生産調整しなければ農家がやっていけないじゃないか。こういう意味で、生産調整というものは、ほんとうはたてまえからいえぱ、自分の仕事でございますから自分が生産調整するというのがたてまえだと思います。やはり工業などにおきましても、生産過剰になれば工業者自身が生産を制限する、こういうことでございますし、たとえば商人でも、在荷があまり多くなればたなざらえをして、そうして供給需要バランスをとる、こういうことは自由主義社会といいますか、資本主義社会では当然のことでございます。そういうようなことから、生産調整というものはたてまえとしては商品生産をする農民がやるべきものだと思う。しかし、先ほど申し上げましたように、これは個々でやったのではだめなんで、全体としてやらなければならないが、全体としての組織がない。全体でやらなければ、片方で生産制限しても、片方でうんとふやしたということでは目的を達しない。こういうことですから、政府生産者にかわってやらざるを得ないのだ。それがやり方がまずいと、いかにも自主的じゃなくて強制的のような面もあるように考えられますが、たてまえとしてはこれは自主的、民主的にやるべきものである。これは食管のいかんにかかわらず、食管制度があってもなくてもそういうことはやらなくちゃならないじゃないか。こういうことでありますから、食管制度を守るために生産調整をやれと言って強制するというたてまえではなかったと私は思います、私は関与していませんが。ですから、私はほんとうは、生産調整をする前には私も大臣になっていませんでしたが、とにかく余っているものを処分するのが前提だ、だから余った米は外国へどんどんとくれてもいいし、長期貸し付けでもいいし、そうしてやれということを外務省や農林省にもすすめたことがございます。そうして在荷というものをたなざらえする、それから調整をしなければならなければ調整というようなことに手を打つべきだということは、私は大臣になる前にずいぶん主張しておったのでございます。  そういうたてまえでございますから、食管を堅持するために生産調整をやるというのじゃなくて、食管制度のあるなしにかかわらず、自由主義社会の中においての需要供給バランスをとるということは、これは必要だ。そういう必要に応じてやるべきものだというたてまえからやっておる、私はこういうふうに了解しております。
  196. 津川武一

    ○津川委員 大臣、総理が、前の倉石農林大臣が、食管の根本を堅持することを条件にして生産調整をやる、生産調整をやるにあたっては食管の根幹を守る、こういうことで生産調整をやらしたことを御存じないとすれば、これは委員長にお願いして、この次の質問のときに私も総理や倉石農林大臣のその点の正確な方針を持ってきて、大臣も読んでいただいて、この点をもう一回話し合ってみたいと思うのです。  その次に、あなたは、生産調整は個々の農民がやるべきだ、個々の農民がやるとあちこちちらばりになるから国がやるのだと言う。そこで、生産調整に対する考え方を、やはりあなたは最初に、自主的に民主的にやることはいいことだと言っています。これは国会の調査立法考査局が調べたのだが、こういう報告書を出している。政府側は農協を抱き込み、国家権力を背景に市町村を通じ、農村に残る部落機構を通じて半ば強制的に説得につとめた。現に農協中央会が調査したところによると、農民が自主的に生産調整したのはわずか一割、圧倒的多数はやむを得ず協力するという姿勢であったということも実証されておる。この本の中を貫いているのは、なるほど国家権力の強制だといっている、それを排除していかなければ日本農業はよくならないといっている。依然としてあなたは、その点は、今度の構造改善においてはお米をつくるために政府はこういうふうにしてやって、お金を出してやるぞ、基盤整備するぞ、こう言った。とすれば、あと整理は政府にかなり責任があるのじゃないか。局長が調べてあとで答弁する、対策を講ずると言っておりますが、この生産調整が一つ上から押しつけられた。二つ目には貿易の自由化、三つ目には価格補償がないために日本農民農業希望を持たなくなっている。このままだと私は日本農業はじり貧になっていくと思うのです。  そこで、いま農民農政をどんなふうに考えているか。やはり生産意欲が減退してきている。日本農業に展望を失っている。このことをどう考えているか。青森県の農業会議所でことしになって十五歳から三十五歳の男子農業者八千九百六十二人調査した。そうしたら日本農業の将来が暗いというのが四割九分、見通しがあるといった者は一割九分、これから農業を続けるかといったら、続けないといっている人たちが二一%なんです。これでは農業がどんなに基盤整備しても、どんなに機械化しても、農民がやる気がなければ日本農業は衰退しますよ。これにどうして展望を与えて、やる気を出させるか。あなたのひとつ構想方針を聞かしていただきます。
  197. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 確かに生産をしよう、生産をしようというときに生産調整をするというのですから、それはあまり気乗りしないといいますか、これは私は確かだと思います。私だってそうです。やることを途中から半分やめろというのじゃ、何分の一かやめろというのじゃ……。しかし、そういう気持ちですから、強制で強権を発動してやるというのじゃなくても、それはどうも何か圧力からくるような感じがするのが農民の心理だと思います。それから全般的に見まして、確かに農民農業に魅力を感じなくなってきている。これはいろいろ高度成長の経済体制からいっても、また世界の体制からいってもそういう傾向はあります。  しかし、農業というものを何とかやっていかなくてはならぬというのがわれわれの立場だと思います。そういう意味で、いろいろやろうとしているのでございますが、あまり悲観的にばかり——まあ見るのはけっこうですよ、医者でも——あなたもお医者さんですが、悪い悪いといってよくなればなおけっこうなんですから。初めからいい、いいといって悪くなってはなお悪いですから。だけれども、あまりものを悲観的に見るというのは考えものだと思います。通俗的な話ですが、泣きつらにハチといいますか、あまり泣いてばかりいるとハチが刺してくるということも起こるので、どうも左のほうの傾向の人は、人生観哲学からいって、ペシミストだと思うのです。すべて悲観的、われわれはどっちかといえば楽観的。そんなものだから、やったことがみんなだめになってしまったじゃないか、こう非難を受けるのでございますが、やはり現状がよくなっていない、魅力を持っていないということはわれわれも感じております。  そこで、それをせきとめるといいますか、方向転換をしなくてはならぬ。まあ私なども苦心しておるわけでございます。そういう意味で、だめになっちゃった、だめになっちゃったというのじゃなく、だめにならぬようにやろうとしておる。この熱意というか政策だけは買ってもらわなくちゃいかぬと思うのであります。いろいろお話を聞いて、悪いことは直したり、いい方向お話しのとおりにやりながら、よくやっていきたい。これは少し信念的なことで、政策の具体的な問題ではありませんが、そういう考えでやっておりますので、そこを御了解願いたい、こう思います。
  198. 津川武一

    ○津川委員 そこで、世界観のことに触れて、私たちはペシミストだというけれども、私たちは、大臣、共産主義読本をやるから読んでみてください。底なしの楽天主義です。贈呈いたしますよ。どんな世界観を持っているか、読んでみてください。  そこで、大臣、漁港に行ってみると、漁村に若い青年がぴちぴちと仕事している。私たちは暗い面は見ていません。ここに日本の将来があると見ています。あなたは漁業に詳しいからよく見てくださればわかる。どうして漁村に青年がいるか。そして農村に青年がいないか。価格が補償されていない。毎年魚の値段が上がっているし、いろいろと生計が成り立つ、ここに問題がある。今度あなたたちは野菜のことをやったでしょう。去年はあのとおりたたかれた。ことしは、今度はレタス、ホウレンソウそしてキャベツがブルドーザーの下で砕かれているでしょう。これに対して少し手直しをしたってもう始まらない。そこで野菜をつくるとすれば、ことしつくったら何ぼになるというちゃんと予想があって、それに合わして計画できると、これは生産はふえていく。このことが必要なんです。価格の補償がされていくならば農村に青年がとどまりますよ。農業に未来を持ちます。  そこで、この間のことしの予算の問題でレタスやあれに対しては、あれだけやっても全然だめでした。そこでどれくらい生産が上がってどれくらいの収入が入るか初めから保障されるような、つまり私たちのことばで言うと、生産を、都市勤労者並みの生活保障ができるような価格を補償する。これについてぼくら試算してみました。まだ指定野菜が六種類のときに二百二十億円あればいいのです。米と同じなんです。全体で試算してみたら、米、野菜、くだもの、それから畜産物で日本人の主食にのぼる約二十三項目あったら、一千三百億あったらよかった。あなたたちは米の生産調整を立て直すために一千七百億から八百億使っておる。そして野菜があのとおりです。そして悲観的なこういう悪いことを言っても、漁村にはちゃんとしたものがある。この漁村的なものをつくるとすれば価格補償、これこそ真剣に考えてみなければならない。私がいま言ったように、一千三百億、野菜に対して二百二十億なんて言っても、にわかにはいとは言えないだろうけれども、こういう点がちゃんと見通しもついて、初めから価格の上から収入の予定がつくような補償制度というものを——米がそうです。こういう補償制度を考える必要があるかと思うのですが、大臣の意向、信念でもよろしいですよ、これは先ほど信念で答えてくれたから。だけれども共産主義読本を贈呈するから、われわれがどんな楽観主義的であるか、ぜひひとつこれは見ていただきたいのです。
  199. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 私は農業において価格制度というものは非常に大事な制度だと思います。しかし、同時に、やはり農業も一つの生産をしているのですから、これは生産性向上といいますか、生産が安くつくような政策というものも必要だと思います。そうではなくて、価格補償だけ、価格政策だけでいいといっても、価格を補償する金が、やはり消費者や税金で出すということなんでございまするから、価格補償制度だけでやるというわけにも私はまいらぬと思います。しかし、価格支持制度というのは農業においては特に大事だと思います。生産性をあげていける、こういう政策がやはり同時に行なわれなければならぬじゃないか、こう思います。ですから、価格制度というもの、価格支持政策というものを十分考えなくちゃならぬと思いますが、同時に生産性を向上する生産対策、それに対してのいまの共同化とかいろいろな方法もありますが、そういう面も十分力を入れなくちゃならぬ、こういうふうに考えておるわけであります。
  200. 津川武一

    ○津川委員 私もことばが足りなかったかもしれませんけれども、価格を補償することは、農業を育てて、農業者に非常に希望を与える重要な手段である。そういう立場からいって、もう一度、一千七百億円、八百億円も使ってペンペン草をはやすような形で米をつぶす、どうせ転作させなければならないのだから、そういう形でなく、価格補償することによって、転作が農民の納得を得ていけるようなことを考えていく必要があるということを強調して、私は質問を終わります。
  201. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林委員長代理 次回は、明十六日、木曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十二分散会