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大出委員 時間の
関係がありますから急ぎますけれ
ども、三菱の
調査部の言っている中身から言いますと、確かにその点も考えられると思うのであります。つまり
企業マインドの萎縮だけというのですね。いまちょっとそれに類することをおっしゃいました。気迷いということばをお使いになりましたが、確かにそうだっただろうと思います。そこで
円切り上げ決定、十二月十九日に一六・八八
切り上げました。つまり、落ちついたというところから
在庫がぼつぼつ累積し始めている。これは三菱銀行の
調査でもここに
数字があります。それから身軽な
中小企業なんかの中には、
設備投資に手をつけ始めてきたという点が見られる。これもそうかもしれません。そのほかに空前の金融緩和。一次、二次、三次、四次、五次、六次というふうに公定歩合の引き下げをやってきたから、その中で、言うならばネコもしゃくしも不動産だとか土地買いですよ。片っ端それだというのです。ここに書いてある。これが金融緩和という面で、業績不振その他で非常に苦しい
中小企業が救われているということ。もう
一つは、不動産その他にどんどん金が回っていったということで、これでつぶれるべき
企業がつぶれない。中に、私は横浜ですが、傑作なんですね。倒産をして、二年かかって清算した。清算をしてみたら、何のことはない、土地が上がったものだから
黒字になってしまって、倒産しなくともいいんじゃないかという、こういう笑えない事実がある。
ここで
一つ申し上げておきたいのは、「エコノミスト」が調べている中にも
一つありまして、それを見ると、東京証券
市場上場会社千二百九十三社が持っている土地、これは三十六万平方キロメートルか何かある
日本列島の全部の面積の、私もおそれいったのだが、何と一・二六%。一・二六%の土地というのは、ではどういうことかというと、山があり谷があるのですから、
日本列島の市街地の総面積が一・二八だというのです。そうすると、東京証券
市場に上場されている千二百九十三社という大きな会社、大法人、ここが持っている土地面積が
日本列島の市街地の総面積に当たる。そうなると、
日本列島のこれはという土地は全部、法人、
企業が持っていることになる。日銀の
調査では、この間調べてみたら、昨年の九月で土地融資というのは一兆円なんですが、本年三月になったら倍の二兆円。そうすると、金融緩和というけれ
ども、それは
景気刺激に使われているのではなくて、金融機関が先頭に立って土地を買っていることになる。
沖繩だってめちゃくちゃです。宮古や八重山も含めて、屋良さんじゃないけれ
ども、こんなめちゃくちゃに土地を買われたら真剣に沖繩の総合開発計画はできぬとぼくに言っていました。これはうそかほんとうか知らぬけれ
ども、石原慎太郎さんが沖繩の東村で土地を買っているというから調べてみたら、東村の出身の方が琉球民政府の土地の担当になっているのですが、現地人でない者の土地買いは立法院できめた
法律違反です。ところが、そのときには、あの男があんな土地を買えるはずはないけれ
ども買っている、だれから金を預かって買ったんだと詰めた。本人はどうしても言わないから、先生あれだろうと思うけれ
どもわからぬ。いまになればわかっている。そういう形で金が流れていたのでは、実際におさまりがつかない。こんなばかげたことを
円切り不況という名のもとに
不況宣伝を続けてきて、これは
企業マインドの問題だけだと三菱の
調査部は言っている。そういう中でやたらむしょうに金融緩和をやって、それは円の再
切り上げを防ぐんだということを一面言いながら、どこに
一体この金が流れているんだといえば、そういう
意味の土地買いにどんどん融資している。そのリベートでも入ってきたら、えらいことになる。幾らだって金を使えることになる。こういうふざけたことをなぜ認めておくか。
私は
大蔵省にも
経済企画庁にも言いたい。こういうばかげた話はない。それじゃ庶民一般、
公務員というものはひどいもので、
人事院総裁の顔色ばかりうかがって、今度は何%上げてくれるだろうなんて、みみっちい話だ。せっかく金をためてマイホームの土地を買おうと思っても、物価上昇の五倍の速さで土地が上がる。株は下がることはあるけれ
ども、土地は下がることはない。物価上昇率の五倍です。だから、土地をうっかり買っておいた、倒産して清算しているうちに、土地を評価してみたら
黒字で、ちっとも倒産の必要はないんだという、そういうばかなことをやっておってはいけませんよ。
経済見通しというからには、もう少し私
どもがびんとくる
見通しを立てていただきたい。いま話が出てきたから、私はそう言うのですけれ
ども、そういうことですよ。
経済企画庁の
経済見通しなるもの、どうも不納得です。
しかも
輸入一五・一%と見るのはいいけれ
ども、じゃ
一体おたくの中身に何が書いてあるかといったら、
個人消費支出の
伸び率、これはひどいものですね。よく
国民一般がおこらぬと思う。四十六年度は
個人消費支出の
伸び率は一三・五%でしょう。そして四十七年度をおたくの
経済見通しで見ると一三・八%でしょう。四十六年度が一三・五、四十七年度が一三・八。
個人消費支出の
伸び率は〇・三しか動かない。給料は上がらぬことになる。御丁寧に理由がついている。なぜ
個人消費支出が
伸びないか、こういう
数字になったかという、その理由は
消費者運動が高まったからだ。
あたりまえです。みんな困るから
消費者運動を起こす。もう
一つは、
円切り上げによる
不況のためだ。そうすると、これはいままた
ポンド・
ショックとか云々というけれ
ども、私は心配になる。
輸入を伸ばすといっても、
輸入の大体五、六割あるいは六、七割ぐらいが原材料と燃料です。そうすると、
個人消費支出の
伸び率が上がっていかなければ、
輸入したってものは売れない、単純な理屈で一番わかりやすくいえば。そうだとすると、七十一億
ドルの国際
貿易収支の
黒字を見込んでいる今日、百六十億
ドルも手持ちの外貨はある。何か起これば、とたんに円の再
切り上げじゃないかということになる、
国民一般を含めて。
あたりまえのことです。この経済的な体質を基本的にどうしようというのか、それに触れない議論というのは
意味がないので、何か起こるたびに円切りじゃないか。世の中の人は先走って心配するから、デノミでも一緒にやるんじゃないかということになる。そういう不安を毎日持ちながら
日本人というのは生活している。
そこで、分けて三つばかり聞きたいのですが、なぜ
一体これだけ
ドルの手持ちがふえるのかということ。私は、その中心の非常に大きな
一つは、
日本の労働者の賃金が安過ぎるということだと思っている。いいところで
アメリカの四分の一、悪いところで五分の一、六分の一。ぼくの出身の郵政を見たって、
アメリカに比べてみれば四分の一以下です。郵便の外勤だけ比べてもそうです。ここに、
日本の
製造業をとらえても
輸出競争力が強まるのは
あたりまえです。つまり
生産コストが低いのだから。賃金が安いのだから。そうでしょう。そうだとすれば、日経連なんかも春闘の中で迷う。それこそおっしゃる気迷いが見えたわけでありますが、コストインフレだなんと言わずに、賃金を何とか上げなければ
ドルはどんどんふえてしまう。円再
切り上げといわれる。だから、国連の貿易
会議じゃないけれ
ども、原料を思い切って手持ちの
ドルで買い置きしよう、いかにして
ドルを減らそうかという話。賃金を上げないでもうけることを考えて、もうけながら
ドルを減らそうといったって、そうはいかない。そういう
意味では、千六百五十億減税をいたしましたから四十七年度やりませんなんということでなくて、石橋さんの
内閣のときに一千億円減税を打ち出したことがある。あのときは一兆円規模の予算ですよ。だから一割です。いま十一兆四千七百四億円でしょう。だから、いま石橋さん流の大幅減税といったら、一兆円減税をやらなければいかぬ。何か経済体質を変えていく
方向づけを企画庁がなさらなければ、かってなことを国際的にいわれるだけになる。
あたりまえのことだ。
ポンド危機だっていえば、すぐ円切りじゃないかと
国民が思う。
あたりまえの話だ。
そこらのところを基本的にどう考えるのかという点。
私は、きょうは賃金の質問をしようと思っているのですけれ
ども、つまり
日本の賃金というのは、その
意味で低過ぎるのですよ。だから賃金もこの際思い切って上げる。
公務員の退職金なんかを思い切って上げる。その必要があると思って私は言っている。何だかんだ言ってみたって、
日本の賃金というのは、いままで、また今日も
公務員主導型の賃金です。そうだとすれば、まぎれもなくそこに焦点を合わせる必要がある。だから、そういう
意味で少し皆さんのほうでも大胆にやる。
けさの
日本経済の社説に書いてありますけれ
ども、びくびくしながら
一体政府は何やっているのだ、問題の本質はどこにあるか、
日本政府は
一つも触れない、全くもって政府は無
責任体制だという。その中で一番無
責任なのは
経済企画庁だ。企画ない
経済企画庁。
経済企画庁という名前をつけておいて企画がなくちゃ困る。だからここで言っているのは、問題の本質は、じゃどうすればいいのだ。問題は、
日本が
日本経済の
運営のあり方についてどこまで決断していけるか、これなんだと書いてある。「国際
通貨問題の焦点を見誤るな」と。だから、局部的なんだということだけでは済まないのですよ、日経の社説に書いてあるとおりに。
そこらのところはどうなのかという点、企画庁のお考えを承っておきたいのですが、いかがでございましょう。