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1972-06-07 第68回国会 衆議院 内閣委員会 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年六月七日(水曜日)     午前十一時二分開議  出席委員    委員長 伊能繁次郎君    理事 加藤 陽三君 理事 佐藤 文生君    理事 坂村 吉正君 理事 塩谷 一夫君    理事 大出  俊君 理事 伊藤惣助丸君    理事 和田 耕作君       天野 公義君    笠岡  喬君       辻  寛一君    湊  徹郎君       木原  実君    久保 三郎君       鬼木 勝利君    受田 新吉君       東中 光雄君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 丹羽喬四郎君  出席政府委員         運輸大臣官房長 高林 康一君         運輸省海運局長 鈴木 珊吉君         運輸省船員局長 佐原  亨君         運輸省自動車局         長       野村 一彦君         運輸省航空局長 内村 信行君         運輸省航空局技         術部長     金井  洋君  委員外出席者         警察庁警備局警         備課長     鈴木 貞敏君         外務省アメリカ         局安全保障課長 松田 慶文君         通商産業省重工         業局航空機武器         課長      山野 正登君         工業技術院研究         開発官     寶金 昭造君         運輸省航空局飛         行場部長    丸居 幹一君         参  考  人         (新東京国際空         港公団理事)  岩田 勝雄君         参  考  人         (新東京国際空         港公団建設管         理部長)    下斗米文昌君         内閣委員会調査         室長      本田 敬信君     ————————————— 委員の異動 六月七日  辞任         補欠選任   土井たか子君     久保 三郎君 同日  辞任         補欠選任   久保 三郎君     土井たか子君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  運輸省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第二五号)      ————◇—————
  2. 伊能繁次郎

    伊能委員長 これより会議を開きます。  運輸省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
  3. 伊能繁次郎

    伊能委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  本案の審査に関し、新東京国際空港公団理事岩田勝雄君、建設管理部長下斗米文昌君を本日の委員会参考人として出頭を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 伊能繁次郎

    伊能委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  なお、御意見質疑をもって聴取することといたします。
  5. 伊能繁次郎

    伊能委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。鬼木勝利君。
  6. 鬼木勝利

    鬼木委員 私は、この設置法案についてのお尋ねあとでいたしたいと思いますが、それに先立って、毎たび私はお尋ねをしておるのでございますが、個人タクシー申請許可について少々お尋ねしたいと思う。  これはずっとお尋ねをしておりますから、確かに従来よりも能率はあがっておるということは認めます。以前のように申請から許可まで、長いのは二年半も三年もするというようなのは今日ほとんど見られない。その点、私は大いに了といたしますが、大臣からはっきりお約束をいただいた、申請から許可まで六カ月以内でやるという点が——これはいまの丹羽大臣ではございません。橋本登美三郎氏が大臣の時代に、はっきり確約をいたしておる。ところが、事実においてはまだわれわれが満足するような結果になっていない。まず、さしあたって四十六年度の処理ができておるかどうか、まだ未処理がどのくらいあるか、その点を、これは局長にひとつお願いをしたいと思うのです。
  7. 野村一彦

    野村政府委員 現在、未処理件数はだいぶ少なくなってまいりまして、例を申し上げますと、福岡局全体におきましては、四十七年の五月十七日現在でございますが、八百四十七件が未処理でございまして、そのうち福岡市は三百十五件が未処理、ただし、その三百十五件の未処理の中の百二十件は聴聞が終わっておりますので、これはもう遠からず結論が出る、こういう状態でございます。
  8. 鬼木勝利

    鬼木委員 いま福岡の例だけを御発表でありましたが、四十六年、前年の分がまだ八百四十七件も未処理だということになれば、これは必ずしも六カ月以内に処理できないということなんですよね。いつになったら六カ月以内に処理ができるようになるのか、これは丹羽運輸大臣お尋ねしたいのです。これは前任の橋本大臣のときだったからおれは関係ない、そんなことはまさかおっしゃらぬと思うが、どのように大臣はお考えになっていますか。
  9. 野村一彦

    野村政府委員 先ほど福岡陸運局管内八百四十七件と申し上げましたが、そのうちに、先ほど申し上げました福岡市の百二十件を含めまして、三百十件はすでに聴聞済みでございます。これは今月、六月中に処分が予定をされておりますが、四十六年の十一月から四十七年の一月、つまりことしの一月までに受け付けたものでございますので、すでに一番早い分におきましては大体六カ月目に結論が出るということでございまして、いま長いのが大体八カ月ぐらいかかっております。したがいまして、もう一ふんばりをして、そういう短期処理の実現を期するように、さらに督励をしたいと思っております。
  10. 鬼木勝利

    鬼木委員 あなたは私の質問をそらされるからいけないのです。六カ月以内で完全実施ができておるか、こういうことをお尋ねしている。大臣は、六カ月以内で処理しますと、こう言っている。すでにあなたたちのところから各陸運局に対して通牒も出してある、その点を申し上げておるのです。
  11. 野村一彦

    野村政府委員 六カ月以内の処理完全実施ということは、遺憾ながら現状ではできておりません。
  12. 鬼木勝利

    鬼木委員 だったら、それはいつからできるようになるのですか。大臣はもう二年も三年も前ここで約束したのです。運輸省は、大臣の言われたことは末端の機関においては順守しないのですか。これはあとでまた問題をずっと私はつまびらかにしていきたいと思いますが、大衆は非常に迷惑しておる。大臣はどのようにお考えになりますか。
  13. 野村一彦

    野村政府委員 先生の前々からの御質疑を通じての御指摘、これは私どもよく承知しておるところでございます。したがいまして、われわれは、もちろん大臣の御指示でございますし、また先生の御質疑を通じてお答えしたことでございますので、極力その線に沿って努力しておるわけでございます。したがいまして、現状はいま申し上げましたことでございますが、これは完全に実現できていないということについては、私どもなお努力が足らないということでございますので、今後はさらに努力をしたいと思います。ただ、いつごろそれが実現できるかということにつきましては、極力早く最大限努力をいたしますということが、私どものこの席でお約束できることでございます。
  14. 鬼木勝利

    鬼木委員 大臣に御参考のために、これは昨年の四月十六日の内閣委員会議事録です。私の質問に対して「前国会あるいはその以前からタクシー事案処理迅速化ということにつきましては、先生指摘のとおり各方面から非常に要望がございました。私どももそれをはかるべく努力をいたしたわけでございますが、その結果、昨年の十一月末に、特に個人タクシーの免許の処理につきましては迅速をはかるように全国通牒をいたしました」。これは橋本大臣が六カ月以内で——以内ですから、五カ月でやっても四カ月でやってもいいわけです。——処理しますということをはっきり確約されたから、それによって努力皆さんはしておられるのだろうと思いますけれども。だから確かに以前よりはよくなったことは私、認めます。しかしながら、これには非常に条件がございます。貯金を用意しろとか、車庫を用意しろとか、新車を用意せよとか、非常に基準がむずかしい。ですから、長い間期間を置いて、許可までの間その生活はだれが保障するのか。もし却下でもされた場合にはどうなるか。これは強くもう超党派で——これで四回か五回目ですよ。毎たびやっている。それが徹底しないというのは、これは一体大臣どういうわけですか。まことに私は遺憾千万です。だからいまあなたの仰せになったように、六カ月以内では処理ができないじゃないですか。しかも基準が非常にきびしいです。一般タクシー法人運転手規制は非常にやさしいようでございますが、個人タクシーに限っては非常に規制がきびしい。どうですか、自動車局長、六カ月以内で、大臣の言われたとおりに、いつになったらできるようになるのですか。その点、ひとつ……。
  15. 野村一彦

    野村政府委員 ただいま申し上げましたように、当時の大臣が、あるいはそれ以前から、半年程度で個人タクシー事案処理したいということで、私どももその線に沿って努力をしておるわけでございますが、その意味は、結局、迅速に処理をして、申請者に対して必要以上に長い期間待たせないということでございますので、これは極力努力をいたします。いつということは、これはいま私が具体的に申し上げかねるわけでございますが、先ほども申し上げましたように、最大限努力をして少しでも期間を短縮するように、それが早く実現するように努力したいということでございます。
  16. 鬼木勝利

    鬼木委員 これはもう皆さん方、私が申し上げるまでもないと思いますけれども野村自動車局長が私に答弁したのに、「個人タクシーというものは非常にサービスがよろしい、それから安全度においても非常に高いということにつきまして、これが実施以来各方面の評判が非常によろしいことでございます」、途中は省きますが、「個人タクシーに非常に期待するところが多いわけでございますので、地域地域実情に応じてその個人タクシーを生かした育成をしたい、かように考えております」。このように野村自動車局長は私に答弁をしておる。また、かつて橋本運輸大臣は、申請をしたならばすぐに許可してもいいじゃないか、これは極端でございますけれども、私はそのように考えておる、こういう発言すら橋本大臣からあっておる。それに非常に期間がかかり過ぎると思うのですね。まず出願をしまして、それから聴聞になるまでに四、五カ月以上やはり今日もかかっています。聴聞が終わって許可が出るまでにまた一カ月、二カ月かかっておる。  最も私が遺憾に思いますのは、この結果が出て、許可になった場合と却下になった場合と、むろん二通りあるわけです。それが、裁決が終わって許可、不許可がきまって、本人に対する通知が二週間以上もかかっておる。あなた、首をひねっておるけれども、私が実際にあったのだから。不都合じゃないか。本人はどうなったでしょうと非常に心配しておる。私が陸運局に問い合わせたところ、いや、それはもう本人通知は出しております、いつ出したか、もう何日に出しました。本人に着いていない。むろんそれは陸運事務所出張所か何か、陸運局支所か何かを通じて行くのだろうと思いますけれども、そういう点も私ばおかしいと思う。そういう結果は一日も早く聞きたいとみな待っておるんだから、本人に直接ばっと知らせる、あるいは電話ででも知らせる、そうして陸運事務所出張所か何かには、一覧表か何かをあとでゆっくり送ったらいい。まず本人に知らせるのが大事だ。しかも同じ県内で十日も二週間もかかるようなことでは何をやっておるのか。それはあなたがいま首をひねっておられるけれども、そんな首をひねるようなおかしなことがあるから私は言っておる。現に私にちゃんと、そういう点はおそくなりましてまことに相すみませんと向こうは言った。だから、出願から許可して本人通知が行くまでには、まだまだ六カ月どころか七カ月、八カ月かかっておる。これは厳重にやっていただかないとならぬ。  あなた方は通牒を四十五年の十一月に出していらっしゃる。その通牒を出された結果、自動車局のほうでは、全国八カ所ですか、陸運局トータルをとっていらっしゃいますか。毎月の出願が何ぼあるんだ、聴聞は何月にしておる、結果はいっ出ておるという全国一覧表をとっていらっしゃいますか。
  17. 野村一彦

    野村政府委員 まず前段のケースでございますが、二週間以上かかる、これは実は全く意外に思ったわけでございます。したがいまして、これは何かあるいは特別の理由があるかと思いますが、こちらの事務処理上の不手ぎわと申しますか、そういうことがあるかと思います。これは具体的に事例をお聞かせいただければ、さっそく調べたいと思います。  一般的な事務処理の進捗の状況統計、これは一カ月に一ぺん本省が集計して統計をとっております。
  18. 鬼木勝利

    鬼木委員 その統計をとられて、トータルが各陸運局から上がってきたものに対して、これは出願から聴聞許可までがあまりにひまがかかり過ぎる、こればおかしいというようなものをピックアップして、その理由を問いただし、あるいは指導、助言、監督されましたか。結果を出しておられますか。
  19. 野村一彦

    野村政府委員 これは非常に数が多うございますので、全部の件数についての具体的な指導、監督はいたしておりませんが、各局の相互比較を調べてみますと、非常に早いところ、おそいところ、こういうものがございますので、そういうものについては早くこれを処理するようにということを、部課長会議等を通じまして、また、特にそういう問題がある場合には、私ども電話現地局に連絡をするというようなことは、全般的なスピードアップについては指示をいたしております。
  20. 鬼木勝利

    鬼木委員 いや、そういう不徹底なことだからいけないのですよ。では、何のために支所からトータルのそういう一覧表をとるのですか。たとえば見るだけなら何もとる必要がない。各陸運局から、今月はどれだけの出願があった、それだけのことなら、これはほごにひとしい。それに対して、どのように事務が進捗しているかということ。それは何もあなた、一覧表に数字が出て、何月何日何ぼ、聴聞がいつ、結果がいつという一覧表なら、事務が複雑だとか時間がかかるとかいっても、それなら女の子でも、若い方でも、事務になれない方でもできますよ。一目りょう然と出ているのだから、それにぱっぱっぱっと赤でチェックしていけば何のことはない。それがあなた、できないようじゃ、何のために支所から出させるのですか。支所からそういうトータルを出させるというのは、どういう意味で出させるのですか。ただ自動車局長が、ばんばんとめくら判を押すためですか。その出させるあれは、どういうところを目的で出させるのですか。その書類を検閲し、点検することじゃないですか。それがあなた、事務が多いとか、手間ひまが要るとか、そんなことじゃ話にならない。局長、いかがですか。
  21. 野村一彦

    野村政府委員 先ほど私のあるいは舌足らずであったかと思いますが、その件数の一件一件の具体的な内容について把握がなかなかできないということでございまして、その件数が非常にたまっておるとか、あるいは迅速であるということは、先生仰せのように、統計の資料を見ればわかるわけであります。それについては、たとえばある局はよその局よりも処理がおそいというようなことは、これは十分処理いたしております。指示をし、またそれに対する今後の改善ということは指示いたしております。ただ、その具体的な内容が何であって、どういうことかというところまでは、これは地方陸運局長が責任をもって法律に基づいて処理すべきことでございますので、地方陸運局長の行政を信頼しておるわけでございますが、そういう全体としての処理件数がおそいとか早いとか、あるいは、その後、申請一般上り坂であるとか下り坂であるとか、そういう傾向、それは私どもも十分把握しておるつもりでございます。ただ、統計目的は、もちろんそういうふうに事務処理進行状況を見るということもございますし、それから個人タクシー法人タクシーとの割合がどうなっているかというようなことも見ますし、そのほかいろいろ輸送の実績、そういうものも見まして、タクシー輸送都市交通におけるシェアその他も見るということで、いろいろ非常に多目的な用途を持っておる統計をやっておるわけでございます。先生仰せのように、全般的に処理がおそいとか早いとか、その原因を探求して迅速にやれという指示は、それはもちろんいたしておるわけでございますから、その点は御理解いただきたいと思います。
  22. 鬼木勝利

    鬼木委員 そういうことをしていらっしゃるというなら、それは私は理解しますけれども、先ほどのあなたの答弁ではちょっと私ふしぎに思ったから、何のためにそれを出しているのかということを反論したわけですから、その点はひとつ御了解を願いたいと思います。  そこで、これも前に私がお尋ねしたときのあれですがね。個人タクシー出願をしまして、そうして本人にいつならいつという聴聞が来るのが五カ月も六カ月もかかる。今日でもそうなんです。ところが、前に私の質問に対して、出願申請書を受け取ると同時に、はい、あなたは何日に聴聞いたしますからいらっしゃい、こういうふうにやっておる。東京陸運局においてはそういうことを実施しておる。ところが、「地方陸運局ではまだ残念ながらそういう処理体制ができてないところもありますが、東陸に準じて、出願をしたら即時あなたの聴聞予定日は何月何日ですということを即答できるような体制をとるようにいま指示をいたしております。したがいまして、まだ実施できておらないところも、遠からずそういう体制になるように強力に指導したいと思っております」と野村自動車局長答弁をいたしております。そこで、全国的に陸運局において、出願すると同時に、そんなふうに、はい、あなたは何月何日聴聞ですからおいでください、こうやっているかやっていないかということをお尋ねしたい。
  23. 野村一彦

    野村政府委員 その出願をしましたときに、あなたは大体何月の上旬とか中旬とか下旬とかごろに聴聞になるということは、私ども強く指示しておりまして、そういうことはやっておるはずであります。ただ、何月何日ということを即答ということは、これはできかねるわけでございます。といいますのは、審査をいたします場合に、全体的な出願者の数、それから聴聞の日の日取り、そういうことを割り振って正確な日時をきめるわけでございますから、おおむね何月の上旬とか何月の中旬ということは、これは申しておるはずでございますが、それ以上に具体的に何月何日というところまでは、その場では、私はこれは事務処理上ちょっと申しかねると思います。しかし、大体の日取りといいますか、上旬、中旬というようなことはいまもやっておりますし、これは極力そういうことで出願者の方に一つのめどを与えるようにしたい、こういうことで指導いたしております。
  24. 鬼木勝利

    鬼木委員 どうもこれはまだかみ合わぬですね、話は。ようございますか、あとでよく議事録をごらんなさいよ。「野村政府委員」として答弁しているのですよ。議事録に載っておるのですよ。いいですか。「東京陸運局におきましてはすでに実施いたしております。」「あなたの聴聞予定日は何月何日ですということを即答できるような体制をとるようにいま指示をいたしております」。ようございますか。じゃ、この野村陸運局長は……(野村政府委員「現です」と呼ぶ)現か。あなたか。じゃ、あなたじゃないですか。だいぶあなたは近ごろタッパイがよくなっておるからお見それしました。どうですか、ここであなたが言っているんじゃないですか。あなたは議事録を持っていますか。
  25. 野村一彦

    野村政府委員 持っています。
  26. 鬼木勝利

    鬼木委員 どうですか、書いてあるじゃないですか。それでは速記録の間違いと言いますか。(野村政府委員委員長」と呼ぶ)いや、待ちなさい。そうせくことはないよ。何もせく必要はない。せくから失敗が起こる。よく慎重にものごと考えて発言しないとこういうことになる。ところが、いま野村局長は、何月の上旬ごろあるいは下旬ごろということを言われるが、それですらできていないところがありますよ。出願して一月ばかりして、あるいは一月以上して何月何日です、聴聞はいつですと、こう通知が来ておる。一月以上じゃない、もう四カ月も五カ月もして、そして本人通知が来ている。通知が来ないで、また私が念を押す。これは出願は何月何日、番号は何号である、聴聞はいつかと言うと、大体何月何日ごろですと、即座にその場においてばっとできていませんよ。私がかりに一歩譲って、あなたの上旬とか下旬とか中旬ということすらできていない。ましていわんや、何月何日とよくも言うも言うたりや、野村局長。何ということですか、これは。その点、もう一度あなたのはっきりしたことを伺いたい。
  27. 野村一彦

    野村政府委員 いま先生の御指摘の点でございますが、東京陸運局におきましては、四十五年十一月に通牒を出しまして、新しい処理体制を刷新するにあたりまして、実は六千件ほどの古いものがたまっておったわけでございます。これを迅速に処理をするということで新しい通牒先生が先ほどおっしゃった四十五年の十二月ですか、通牒を出しましたときに、結局、前にいままでたまっておった方を全部チェックして、その審査日程を計画的に組みまして、そしてその間に新しいものの受け付けもあるわけですから、それを混淆を来たさないように整理をしまして、そしてその時点において相当精密な聴聞予定の計画を立て、処理件数めどを立てたわけでございます。私どもは、そういうふうにすることが各陸運局事務処理上の合理化能率化のために必要であるということから、私ども全国でそれをやりたいということでございます。  しかしながら、現状におきましては、東京でもおそらく正確に何月何日ということは、これは私ども率直に申し上げまして、必ずしも十分でないと思いますが、大体いまの調査では、東京新潟という二局におきましては、聴聞日の指定を即座にするということができておるようでございます。その他の局についても、もちろん聴聞日を、何月何日という正確な日数を計画的に事務処理してやるということが、これは私どもとしては当然つとめなければならないことでございますが、現状は、私、率直に申し上げましたとおりでございます。これはさらに事務処理能率化合理化ということで、前回お答えいたしましたような体制に持っていくようにさらに強力な指導をしなければならない、こういうふうに考えております。
  28. 鬼木勝利

    鬼木委員 どうもこれは、あなたが出されたのですよ、陸運局長自動車局長として。あなたが四十五年十一月二十八日に出しておられる。六百九十四号、四十五年十一月二十八日に出されておる。四十五年の十二月だとは、何でもおくれていくのだ。これも一月おくれになる。  そこで、こういうあなた方は通牒なんかを出しつばなしでなくして、私が言うのは、こういう通牒でも出されたならば、実際にどういうふうにこれが行なわれておるか、追跡調査もやらなければ、ただ通牒を出しつばなしで、局長の判をぽんと押して、おれが出しているからだいじょうぶだというようなお考え方は間違いですよ。あとの締めくくりが大事じゃないですか。全国の九陸運局で、出願と同時に即座聴聞の時期をはっきり本人通知をしておるところと、まだそこまで至っていないところと的確に調べていらっしゃいますか。
  29. 野村一彦

    野村政府委員 全国九つ陸運局のうち、東京陸運局新潟陸運局はそれを実施いたしております。他の七つの局は、まだ何月何日というところまで至っておりません。こういう実情でございます。
  30. 鬼木勝利

    鬼木委員 あなた方が通牒を出されて、九つもあって、わずかたった二つしかまだそれが行なわれない。あとはできないということは、一体これはどういうことですか。これは簡単な問題じゃありませんよ。こういう通牒自動車局長として陸運局長に出していらっしゃる。これはだてやていさいで出していらっしゃるのじゃないでしょう。全国九つ陸運局があるのに二つしかできていません、七つばまだできていませんとあなたは便々としていらっしゃるが、それであなたの責任は済みますか。九つのうちにいま六つ、七つまではできておりますけれども、まだあとつばもう間もなくできますというなら、理屈はわかるけれども。いや、これはもう私はまことにもって不可解千万ですよ。これはもう毎たび、個人タクシーの問題は、これで三回も四回も国会のたびごとに超党派でやっているのですよ。それが、いつまでたったってじんぜん日をむなしゅうして実績があがらないというのは、一体どういうわけですか。本省の言うことは出先機関はどうでもいい、こういう考えですか。そのように私が理解してようございますか、局長
  31. 野村一彦

    野村政府委員 本省と地方との意思の疎通につきましては、私どもしばしば担当者の会議も開き、また部課長会議も開きますし、また必要に応じては電話等で連絡をしておるわけでございます。地方の局は、それぞれ本省の方針に沿った処理をしなければならないということは当然のことでございます。  ただ私ども地方におきましては、それぞれ地方の局というものが局長のもとにありまして、タクシー事案処理につきましては、本省はもちろん、一般的な方針、それから基本的な考え方、先ほど先生がおっしゃいました処理のしかた等につきまして指導をいたしておるわけでございますが、それを受けて地方局長が、みずからの責任において、これは法律上委任された権限といたしまして、タクシーの問題につきましては処理をいたしておるわけでございます。  したがいまして、私どもは、地方局長処理ということに信頼をしてやっておるわけでございますが、先ほど来から問題になっておりますように、必ずしも事務処理が意のごとくならないという点があることは、これは私ども率直に認めざるを得ません。ただ、それは決して本省の方針に従っていないということでは私はないと思います。彼らは、それぞれに自分の管轄区域において努力をしておると思いますし、また努力の足らない点は、私どもそのつど指摘をしているわけでございますが、必ずしも十分の目的を達していない。これは私どもも、さらに地方と中央と一体となって、その所期の目的を達するような能率的な行政をしたいということでやっております。当然地方は、本省の意に沿うべく、本省の意図を受けてそれぞれの立場で十分私は努力をしているものと思っております。
  32. 鬼木勝利

    鬼木委員 九つ陸運局で比較的に事務処理がおくれておるというようなところは視察をされたこともありますか。あるいは直接監督されたことはありますか。大体、陸運局局長会議とか、自動車部長なんかを集めて年に何回かそういう点の指導とか、あるいは実際具体的に資料を持ってこい、こことここはおまえのところはよくないぞというような指導監督とか、あるいはそういう処理をしておられますか。そういうときにどういう反響がありますか。その点ちょっと……。
  33. 野村一彦

    野村政府委員 私ども地方の局によりまして、この件に限らず、いろいろとその事務処理が、非常に迅速適確なところと、そうでないところとございます。これは、それぞれの組織を使って長たるものは仕事をする、その指揮、掌握の能力、あるいはそれを受けてやる部下の事務遂行能力によると思いますが、そのことは、私ども見ておりましてもよくわかるわけでございます。あの局は事務処理が迅速でしかも正確である、あの局はどうも万事少しおそいようだとか、あるいは少しミスが多いというようなことはわかります。ですから、そういうことは、私ども、部課長会議、あるいは局長会議の席上でも、分科会等でよく指摘をいたしますとともに、また必要があれば、これは私ども幸いにして鉄道電話を使わしていただいておりますので、そういうものを利用して局長と私が直接話をする、あるいは部長と課長が直接話をするというようなことで、具体的な問題についての処理についていろいろ質問をしたり、また向こうの事情を聴取したりということは、しばしばやっておるところでございます。ただ、いろいろな関係で、私ども現地に行ってつぶさにその事務処理状況を見るということは機会が少のうございますけれども、さっき申し上げました統計も出てきておりますし、また私どもそういう電話による——これは反応が一番早いわけでございますから、電話によって具体的な事例についての状況なり処理の態度なり、そういうものは随時お互いに連絡し合って、そういう問題についての問題点を煮詰めておるということはいたしておるわけでございます。
  34. 鬼木勝利

    鬼木委員 それでは、全国陸運局の局別に、六カ月以内で処理のできていない件数をまとめて資料として出してください。どうですか。
  35. 野村一彦

    野村政府委員 お出しいたします。
  36. 鬼木勝利

    鬼木委員 私はそれを参考にしまして、どこにその原因があるのか。局長が無能だというのだったら、そういう局長はかえてもらいたい。そしてできる人をやってもらいたい。大臣の言われることに、その命に従って——今日、命に従うと言うと非常に封建的のようですけれども、大衆を思う大臣の親心に沿わないような局長なら、そういう人は不必要だと私は思う。地域住民が非常に迷惑する。ことに全国に九カ所でございますから、大きくブロック別に分けてあるのですから、数県の人が迷惑する。それを資料として出していただきたい。  処理迅速化ということは、私がこれからずっとお尋ねしていく随所に出てくると思いますが、出願をするところの申請基準でございますが、これが非常に厳重ですね。しかも、厳重であると同時にまた、あなたのほうから、先ほど申しましたように、四十五年の十一月に出された通牒に対して——これはむろん地方陸運局長にまかせていらっしゃると思いますから、権限はあるかと思いますけれども、あなたのほうから出された通牒に、趣旨には従っておるかもしれぬけれども、やや違った基準が出ておる。これは私、福岡のを持ってきておるのですが、車庫の問題です。局長福岡のをお持ちですね。車庫の場合に、八番目に「当該車庫が確保されており」と書いてあるのですね。ですから、車庫を確保しておかなければこれは申請資格がないということになる。そうしますと、確保しておって六カ月も七カ月八カ月も先になって却下になった場合には、大損害をこうむる。これは行管からも勧告が出ておる。「自己の車庫を保有しない個人タクシー免許申請者は、使用していない車庫等を」——ようございますか。「使用していない」ですよ。自分で車庫を持たない人は、「使用していない車庫等を長期にわたって賃借するため、多大の経済的負担を被っているものがみられる」。ようございますね。そこで、ここですよ。当該車庫が確保されておらなければいけない。しかも「当該車庫から道路までの通行について権原を有する者の承認があること」、それはそれでいいです。ところが「当該車庫が確保されており」——あなた方の通牒では、いつでも車庫が借りられる証明があり、いつでも車庫が用意できるという適確な証拠があればよろしいという通牒のように思われる。ところがこちらは、確保しておかなければいけない、こうなっている。これは一体どういうことですかね、局長
  37. 野村一彦

    野村政府委員 この「車庫が確保されてあり」ということは、これは、その人が個人タクシーの営業をやる場合に、格納すべき車庫を自分で持っておるか、あるいは人の持っておる車庫を賃借をして借りることの約束ができておるかどうかということでございます。これは個人タクシーといえども、やはりそれが適正に整備をされた車で正しく保管をされて、そして動かすということは必要なものでございますので、これは当然、個人タクシーだから車庫は要らないということにはならないと思いますのと、それから審査をいたします当時において車庫の手当てができていないということになりますと、実際に免許をもらって営業するときになって車庫の手当てができないということになりますと、勢い、それをどこかよその軒先に置くとか、あるいは車庫として不適切なところに車を置くということになっては、これはまた別の面で問題が起こりますので、そういう意味で私ども、賃貸借でもいいからしっかりした契約を持った車庫を確保しておくべきだということをうたっておるわけであります。これは福岡にもこういうことがございますが、ほかの局におきましても、私どもの設例は、先生のおっしゃいますように、車庫が確保されているということばは中央で出します資格要件例にはございませんが、各局では現実に、その車庫というものは必要であるということをやっておる。これが出願者の方にとってかなりの負担にむろんなると私は思います。なると思いますけれども、これはやはり、個人タクシーというものも営業でございまして、一方では自賠責等の責めにも任じなければなりませんし、そういう面から考えて必要最小限のものとして、車庫は賃貸借でも確保するということは必要である、かように考えております。
  38. 鬼木勝利

    鬼木委員 いや、どうもあなたの答弁は不徹底ですよ。そういうまぎらわしいことを言われるから困るのですよ。ようございますか。これは「当該車庫が確保されており」ですよ。だから行管のほうでそういう勧告が出ているんじゃないですか。個人タクシー申請する人が、自分は持たない、だから出願のときにもうすでにそれを借りておかなければならぬから、むだにただ借り賃を出して、そして五カ月も八カ月も、昔は一年も二年も三年もかかって、それで却下になったという場合は、これはとんでもない大損害だ。だから、いまあなたのおっしゃっておるのは、あなたのほうから出していらっしゃるのは、車庫として「購入又は借入のために要する金額」と書いてある。金の準備があっていつでも購入ができる、いつでも借りられるという賃借の契約の約束があればいいと、こうこれは解釈すべきだ。ところが、福岡のほうはそうじゃない。「当該車庫が確保されており」と書いてある。だから行管からこういうふうに出ているのです。その関連はわかりますか。行管もこんな簡単なことで勧告は出しませんよ、あなたのおっしゃるようなことであったら。しかも、その車庫が聴聞のときにできておったらよろしいというのだったら、理屈はわかるのですよ。だったら、聴聞からもうあと一月もしないで許可が出るのだから。出願から聴聞までは五カ月、四カ月あるのだ。聴聞に来た場合に、車庫はどうですか、実はこうしております、だったら、かりに却下になっても、許可になっても、そこは一カ月くらいのことだから問題ない。行管はこのように解釈すべきだと私は思う。まさに私も同感だ。  あなた方、九カ所の各局の基準書は全部ごらんになりましたか。それで、あなた方、何とも念を押していらっしゃらない。注意していらっしゃらない。まかせ切りだからかまわぬ。まかせ切りだからかまわぬなら、これはとってみる必要ないでしょう。全国から集めてこの基準書をあなた方がごらんになるならば、そこに指導、助言、監督があるはずでしょう。どうです。局長
  39. 野村一彦

    野村政府委員 先ほど私が申し上げましたように、この確保という表現でございますが、私どもが聞いておりますのは、先生が先ほどおっしゃいましたように、賃貸借契約なら賃貸借契約を結んで、そしてそれが営業を開始する場合に使用できるという約束がきちんとできておるということでございまして、物理的に、この規格によりますようなものができ上がって、そしてそのときに使えるような状況であるという意味ではなくて、つまりきちんとした使用権を賃貸借契約なら賃貸借契約によって持っておる、そういう意味だと私どもは解釈しておりますが、福岡陸運局で、具体的にそういう物理的な場所がその審査の時点においてできていなければならないというふうなことに扱われておるという例は、私、聞いておりませんが、もし具体的にそういう例があって、いま私がお答えしているようなことと違うような例があれば、これはお教え願いたい。これは「確保」という意味はそういうふうに私どもは解釈しておりますし、よその陸運局でもそうやっておるわけでございます。これは賃貸借等によって、免許になった場合にそれが使えるというはっきりした保証があるという意味でございますので、その点につきましては、この「確保」という表現の字句は別といたしまして、内容的にはいま私が申し上げたようなものだと確信しております。
  40. 鬼木勝利

    鬼木委員 まだあなたの答弁は不徹底だ。私が言っているのは、確保はむろん確保ですけれども、時期を言っているのです。出願のときからすでに賃貸借契約をしておかなければならぬということになれば同じことですよ。使っておっても、使わなくたって借り賃は払わなければならぬ。だから、聴聞の場合を起点にするのか、それをお尋ねしているのです。そうしなければ損害が非常にはなはだしい。そういう事例があれば承りたい。あります。ある人は、却下になった。ところが車庫はりっぱなものを建てた。金をかけて事務所まで一緒につくって、そして車庫はきれいなものをつくって、そして却下になった。その却下理由もすこぶる薄弱。本人の損害は非常にばく大なものだ。そういう事例があるから申し上げている。その点をひとつあなたははっきりしてくださいよ。野村政府委員 福岡陸運局においては、出願のときにその契約を結ぶということを要請しているというふうに理解しております。それは契約でございまして、それを聴聞のときにチェックをする、こういうことでございます。
  41. 鬼木勝利

    鬼木委員 聴聞のときとあなたは言われるけれども出願のときに契約書を持ってこいということになれば、その賃貸借の期日から五カ月ぐらい先になって聴聞があるから、その時点から契約をつくるのか。出願のときから契約書をつくったら、借りていなくたって家賃を払わなければならぬ。あなたはどうもようわからぬね、私の言っていることが。
  42. 野村一彦

    野村政府委員 証拠書類と申しますか、その契約書なら契約書というものを明示して、免許になった場合に、その車庫がその人によって使えるということをはっきりと証明できる契約書等は、聴聞のときにそれが提示できればいいわけでございます。したがいまして、出願のときにその証拠書類をもって云々ということではございません。その点につきましては、聴聞時に契約書を持っておるということが必要であるということに御理解いただきたいと思います。
  43. 鬼木勝利

    鬼木委員 それは賃貸借の場合。個人でつくる場合も、聴聞が済んでつくっていいわけですね。
  44. 野村一彦

    野村政府委員 自分でつくる場合は、聴聞のときに、それが自分の所有地であるということの証明が私は必要であろうと思います。ですから、賃貸借の場合は先ほど申し上げたようなこと。それから自分の所有の土地を使う場合には、それが自分の土地である、 したがってそれが免許になれば使えるという証明、これが必要であろうというふうに理解いたします。
  45. 鬼木勝利

    鬼木委員 だから、あなた方のほうで書いていらっしゃる車庫は、「購入又は借入のために要する金額」、これならば私は理屈はわかる、こういうわけなんですよ。購入または借り入れするためにこれだけの金を持っております、契約書もここにございます、それから許可になりましたならばすぐにこの契約を結んでやりますと、こういう意味にあなたのほうのは解釈できる。   〔委員長退席、加藤(陽)委員長代理着席〕 ところがこれが、だれが考えたって、いつも基準がみんなにわかりにくい。みなおっしゃっているのだ。伊能委員長も、前々回でしたか、基準を簡素化しろということを盛んに言われた。こういう書き方で、「当該車庫が確保されており」では、もうすでに既定の事実だ。「確保されており」、これにカッコして、賃貸借とか、あるいは借り入れの契約書とかということならばわかるけれども一般の人にこれではわかりませんよ。あなたたちが、そんなに理屈を言って初めてわかる。だから、全国からこういうことをあなた方が出させておられるならば、そういう点をもう少し指導をしてもらわないと、何のために出されておるのか。じゃ、わかりました。聴聞の場合ということにさせます、これから一切。  次にお尋ねしたいのは、これもおたくのほうからのには載っていないのです。ところが福岡のには、「申請する事業区域に、申請時前一年以上にわたり居住しているものであって」、一年以上そこにおらなければいけない。その基準ですよ。何のために一年以上おらなければならぬのか。公職選挙法でも三カ月ですよ。そして「次のいずれかに該当するものであること。(イ)一年以上家族と同居しているもの」。家族と同居している者なんというのは、これはプライバシーの問題であって、個人のかってじゃないですか。家族と同居しておらなければならぬのだったら、独身者はどうしますか。家族と同居していなければならぬなんというのは、これは僣越じゃないですか。各人の生活はかってじゃないですか。こういうことはあなたのほうには載っていない。福岡局には載っている。これはどういう意味ですか。
  46. 野村一彦

    野村政府委員 この点につきましては、全国的に見まして福岡陸運局新潟陸運局にこういう例があるわけでございます。先生おっしゃいましたように、一年以上申請の事業区域に居住しということにつきましては、いろいろの方面から御意見があり御批判があるということも私ども聞いております。また私どもも、部内で論議するときに、その点についてはいろいろ論議をしております。ただ、発足当時から今日まで、個人タクシーのねらいといたしますのは、その区域において運転をして、そしてそこでいままでは会社に雇用されて運転をしておったような人々、その中で特に、素質的にもすぐれ、安全運転ができ良質のサービスが提供できるような経験豊富な人を選んで、その人たちの将来に希望を与えたいというのが個人タクシーの発足時の一つのねらいであったわけでございます。したがいまして、その地域の住民といいますか、そこの住民の運転手さんの中から個人タクシーへの道を開いてやろうということでございます。その後、いろいろな事情を調査いたしてみますと、たとえば、あそこで個人タクシーがあるそうだというようなことから、あるいは寄留とかいうような手段によって他の地区の方がそこへ入ってこられる。そうすると、その町の地理とか地形とか、そういうことについて必ずしもよく知っていない人がそこへやってきて個人タクシーをするということになりますと、やはりこれはいろいろな点で問題があるだろうということから、福岡新潟におきましては、そういうよその地区の人でなくて、そこの地区に住んで、多年そこの地区で運転者としてつとめた人の中からりっぱな人を選ぶということであったので、そういう制限を設けたというふうに私ども理解いたしております。  ただ、これにつきましては、いま先生の御指摘もありますが、またわれわれも部内においていろいろと検討しておりまして、この基準というものは別に永久不変のものではございませんので、実情等を調べて、これが適切でないということであれば、これを実情に合ったようにするということについては十分今後検討していきたいと思います。そういう事の起こりは、要するに、その地に長く住んで、そこで運転手をした人の中から優秀な人を選ぶということで、その道を開くためにその地域の住民の中からという趣旨がこういうことになっておるということでございます。その点、今後さらに検討をいたしたいと思っております。  家族と同居というのは、いま申し上げましたように、これはもちろん、独身者の場合一人で住むことはあるわけでございますが、たとえば寄留等の手段によって、実際の生活の本拠はよその県あるいはよその市にある人が、そこの市に寄留して、実際はそこにいないけれどもという事例だが、実は福岡とは申しませんが、東京都の場合に間々あったわけでございます。そういうことは、やはりその人がそこの住民であって、そこに生活の本拠を持っているということで家族と同居しておる、これは一つの客観的な常識的な線からこういうものが出ていると思います。これも、いま申し上げましたように、その趣旨、個人タクシーを認める対象をどういうふうに考えるかという本来の目的に沿うものであれば、この規定というものに私どもはいつまでもこだわる必要はないと思います。その点についても検討をしたい、こういうふうに思います。
  47. 鬼木勝利

    鬼木委員 大体あなたの御説明はわかりましたけれども、これは非常に不便ですよ。私は住民票があればいいと思うのです。選挙でも三カ月おればいいんだから、住民票があればいいと思うのです。しかも家族と同居しなければならぬということは、私はその人の生活を拘束することだと思う。これは越権行為ですよ。これはプライバシーの問題ですから、そんなことは個人タクシー許可には何にも関係ないのです。また独身者もいましょうし、あるいは共かせぎで離れ離れで生活している人もおるでしょう。そういうような場合には生活までこわさなければならぬ。家族が同居しなければならぬ、こういうことを規制するのは行き過ぎであって、本人が朝晩個人タクシーを運転するために、妻は自分のところに置いておかなければいかぬとか、だれか手伝いに子供を置いておかなければならぬとか、一緒に住むということは本人のことであって、これは干渉になるのじゃないですか。こんなせぬでもいいことば、あなたたちは非常にきき過ぎるように気がきいて、行き過ぎているんだ。ところが、気がきかなければならぬところは気がきかない。どうも、そういう要らぬ世話、せぬでもいいところは世話をする。世話しなければならぬことは世話しない。むろんこれは法人でない。個人タクシーでございますから、個人営業でございますから法人とは違うのですが、従業員はいないのですから。家族は従業員じゃないですからね。個人の場合は家族は従業員じゃないですよ、法人と違いますからね。ですから私はかってだと思うのです。別に、別居しておろうが、一緒になっておろうが、そんなことまで規制することは、これは私はよろしくないと思うのです。その見解はあなたと私はだいぶ違う。個人タクシー運転手としての基本的人権を認めなければいけない。何のために家族と同居しなければならぬのか、その点をもう一度。
  48. 野村一彦

    野村政府委員 先ほど申し上げましたように、この家族と同居ということは、もちろんいま先生の御指摘になりましたように、非常に機微な問題でございまして、いろいろ問題があるかと思います。私どものねらいは、あくまでもその地域に居住しておるその住民で、そこに生活の本拠を持っている、いわば住民票をそこで持っておるような人という意味でございまして、そういう点から言えば、家族と同居というのは、これは他の局の例から見ても相当きびし過ぎる、そういう面があると思います。要は、その地域の住民の人の中から個人タクシーを選びたいということでございますので、その人がその地域の住民であるということが客観的に証明できれば、私は、個人タクシーのその面の居住関係の資格としては、それで必要にして十分であろうと思います。その点はさらに検討をいたさせます。
  49. 鬼木勝利

    鬼木委員 そこでようやく私とあなたと話がかみ合った。そうですよ。それが私は本質的な問題だと思う。こういうことまで規制するというのは、私はどうもおかしいと思うのです。  それから、その次にお尋ねしたいのは、福岡の一番最後の10の「その他」というところの(2)、「当該申請について公示後の事業計画変更は認めないものとする」。ただこの条文を読めば、これは一々ごもっともです。これはまことにごもっともです。公示というものは簡単なものではない。法律行為ですから絶対のものだ、それは私も了解します。公示をやった、これは法律行為ですからまさに絶対のもの。ところが、たとえば車庫までは五百メートル——ようでございますか。ところが、自分の住まっているところから車庫まで五百メートルあったけれども、都合によっていい家が見つかったから、車庫までほんとうに近くなった、二百メートルになった、あるいは三百メートルになった。ますますこれは条件としてはよくなったわけです。ところがこれは公示後だから、そういう計画変更になったならばこれはもうだめだ、今度の出願のあれには入れない、もう一ぺんやり直せ。そうしますとまた半年、一年おくれるわけなんです。よくしたためにおくれるわけです。そういう事例があるのです。ですから、「当該申請について公示後の事業計画変更は認めないものとする」、ただし、事業計画がよりベターに変更された場合には一考するとかこの限りにあらずというただし書きが要ると思うのです。陸運局の要望していることにますますよりょく沿う。ところが、計画変更だからこれはもうだめだ、おりろ、もう一ぺん出願をやり直せ。そうすると、ここに何千件あります、そのまた一番あとになるわけだ。またやり直すわけですから。そうすると半年、一年おくれるわけだ。こういうことは、私はまさに事務上の便宜主義であると思う。そこまで皆さん考えられましたか。全国から取り寄せてみたとおっしゃっている。そういう事例が現に私が取り扱ったのにあります。そこで、何を言っているんだ、ますますこれはよくなっているじゃないか、君たちの言うことにますます沿うているじゃないか、よくなっているのを事業計画変更だからだめだということは何ということだ、これは計画がますますよくなったじゃないか。これはよかったですね、いや、特別にこれはひとつわかりました、こうやるべきじゃないかということで、事実は私はそれを押し通させました。しかし、これは私がそこで言ったからそうなったけれども本人は、計画変更だからだめだということになりました、こう言ってくる。どこもほかは全部基準に合っております、これはますますいいようになったわけで、喜んでいただけると思って私は行きました、ところが、かようかくかくしかじかで、事実に反してこうでございます、何とも言いようがない、お役所の仕事というものはこういうものでしょうか、まことに残念しごくでございます、こう言ってぼくに訴えてきた。だから、わかった、まさに君の言うとおりだと言って、ぼくは交渉して、何を言うのだと説得しまして、自動車部長たちも、よくわかりました、そういう御趣旨でございますならば、ですからこれは特別にまたもとどおりにして審議して許可するようにしましょう、こうなったのです。幸いにして私がおったからよかったけれども、だれもこういう世話する人がいなかったなら、この人はまことに哀れです。これはそういう条文になっている。「当該申請について公示後の事業計画変更は認めないものとする」。公示後といえども事業計画がよりよくされておる場合はこの限りにあらず、というような条文はあってしかるべきです。だれがつくったか知らぬけれども。どうですか。
  50. 野村一彦

    野村政府委員 私どもも、どういうものがこの公示後の事業計画の変更であるかということについて、その見解等にいろいろ問題があることは承知いたしております。また、事業計画の変更といいましても、いまのお話のように、当初の計画よりもこれが改善されたということが十分わかるのまで——これはいわゆる形式的に事業計画の変更だから、いかなる理由があっても、またいかなる状態であってもいけないのかということについて、相当疑問があるわけでございます。したがいまして、ただいま先生が一例をお話しになりましたが、私どもも、この文章で「認めないものとする」——先生が「ただし」ということばをつけたらどうかという御提案でございますが、私ども、事業計画の変更というものが、客観的に改善されることになるのだというものであれば、事業計画の変更という形式的なことにこだわる必要はないのではないか。そういう運用をするということは、むしろこの制度から見ても、制度の趣旨に沿うものであると考えます。ただ、その判断につきましては、これはやはり局長なり部長なりというものがやるべきものであって、個々の担当者がそれぞれの立場で安易に判断をするということば避けなければなりません。そういう意味で「ただし」というようなことをあるいは書いたほうがいいと思いますが、少なくとも運用におきましては、私は、改善されるということが客観的に明らかになるような事業計画の変更であれば、それはあえて問題とするに足らない、むしろそういうものは認めてやってもいいのではないかというふうに思っております。表現の点につきましては、さらに研究さして、そのほうがより正確であれば、そういうふうに改めることも研究する余地が十分あると思いますので、そのように検討いたしてまいりたいと思います。
  51. 鬼木勝利

    鬼木委員 だから私が言っておるのは、この条文だけではそういう場合に非常に不便だ。公示ということですから、公示ということは絶対です。法律行為ですから。それを簡単に曲げるということならば公示の意味がないのだから、そこでこういう条文を書くのなら、ここにただし書きでもつけなければ……。大体また、どこまでが事業計画の範囲内に入るのか。詳しいことを言うならば、そういう点もこういうことではわからないですよ。何でも変えたら、それはすぐ事業計画になるかですね。では、車庫が縦横何メートル平方だった、それを少し広くして何平方メートルにしたら、だめだ、広くしたら事業計画の変更じゃないか——そういうことだったら、これは全部これにひっかかりますからね。これは、道路が広かったのを狭くするとか、車庫を申請したときより狭くするということだったら、これに該当するかと思います。ところが、よりベターになるというならば、私は、事業計画はますます変更すべきだと思う。こういう条文を書くのは、よほど考えの足らない人の書き方なんですよ。あらゆる場合の条件を想定して、そうしてこういうものをつくらなければ、これでは大衆は非常に迷惑しますよ。各九陸運局から上がってきたものをあなたはごらんになったとおっしゃっていますけれども、検討が足りないですね。もう少し緻密に検討してもらいたいです。陸運局に全部まかせているからおれは関せずえんという、そんなことなら、何も全国からこれを集めてあなた方が通牒も何も出す必要がない。各九陸運局から出ている基準のあれもあると思いますから、全部総点検してもらいたいと思う。どうですか、局長
  52. 野村一彦

    野村政府委員 陸運局の公示しました審査基準というものについては、私ども全部見ていろいろと部内でも論議をいたしております。ただ、取り扱いとか表現とか、こういうものについては、あるいはその内容の一部につきましては、いろいろと検討し改善する余地があるものもございます。  したがいまして、これは四十五年十一月に出しました本省の一つのサンプルをモデルにして、それに地方の事情を加味してやったものでございまして、これは前にも申し上げましたように、別に永久不変のものではございません。いろいろな地域地域実情に応じて修正すべき点、あるいは、業務の執行上、いま御指摘になりましたような点も含めて内容を変えること、あるいは表現等で適切でないものを直すというようなことは、これは当然われわれのやらなければならないことでございますので、そういう意味でいろいろと、ただいまの御質問を一つの重要な参考にいたしまして、表現の問題も含めて検討するということは、私ども十分今後やっていきたい、かように考えます。
  53. 鬼木勝利

    鬼木委員 それから、あなたのほうから通牒が出ているのに、年寄りですね、五十五歳以上、それに対して「胸部疾患、心臓疾患、血圧等について事業の遂行に支障のない状況にあること」、こういうことがあるのです。なるほど五十五歳以上とかいうことになりますと、少々老齢の域に達していらっしゃるとも解釈できますので、私は健康診断をされるのはけっこうだと思う。ところが「運転の適正検査」として、おたくのは、「申請日現在において満五十五歳以上の者にあっては、〇〇自動車運行管理センター又はこれに準ずる機関の運転に関する適正検査を受けたものであること」、こう載っているのです。ところが福岡のみは、技術の試験までするようになっておるのです。そこをごらんになるとわかると思うのですが、「作業に関する精神機能の特徴、傾向」「作業の速さと正確さ」「観察、認知、弁別の能力と反応動作との関連」、「動体速度の認知能力」「反応促進傾向の抑制度合」「多種類の刺激に対する反応動作の正確さと速さ」「継続的に変化する事態に対する注意の配分と判断との関連」「奥行や距離の知覚能力」。五十五才以上は、「視野範囲」「眩惑した視力の回復能力」「連続的な刺激に対する」云々、「模擬運転による受けた人とか、所管知事から表彰を受けたとか、十年無事故、そして年は五十五にもなっておるならば、これは検査する人間を検査するくらいの能力のある人です。もう車ではベテランで、その道で長年やって、それにまた屋上屋を重ねるような、「模擬運転による運転動作全般にわたる総合的な能力」を検査するとか、これは一体どういうことですか。検査する人間をこういう人たちに検査させたいと私は思うのです。みんな大先生ですよ。それだけの資格がある。ちゃんと基準には乗っているのです。だから、身体検査、精密検査、健康診断、それはけっこうだと思う。それから先はこれは要らぬことで、陸運局一般の者が逆にこの人たちから指導を受けてもらいたいな。自動車のことについて講習会を開いてもらって、陸運局の連中はこういう人たちから一ぺんぐらい習わなければならぬ。逆の立場だ。局長どう考えますか。
  54. 野村一彦

    野村政府委員 ここに言います適正検査につきましては、これはもちろんいろいろな立場から実施しているわけでございますが、個人タクシーの資格といたしまして、一般的な健康上の問題、それからその人の人格と申しますか、非常にりっぱな経歴ということについては、先生のおっしゃるように、知事とか、警察本部長とか、あるいはまたその他の方々から表彰を受けたということであるわけでございまして、それはその限り私は、非常にりっぱな人が応募をして、また免許されていると思います。ただ、適正検査といいますのは、これは運転者としての適性を検査するということで、たとえばここにいろいろありますような検査のしかたには、クレペリン検査とか、あるいは脳波テストとか、いろいろなことがあるようでありまして、そういう面で、たとえば健康も、血圧その他も正常であり、人格的にりっぱな人であっても、何らかの理由によって適当でない——運転者として、音を聞き、ものを見てそれにすぐ反応しなければならないという、そういう一瞬の判断を要するような適性等について、はたしてその人が適当であるかどうかという検査、私はこれは必要であると思います。ただ、検査のやり方とか対象の選び方につきましては、これはいろいろな問題があると思います。したがいまして、先生一ぺん陸運局の者が検査してもらったらどうかとおっしゃいますが、私どもも実は、現場につきまして、心理学の先生、あるいは医学の先生、そういうような方々をお招きして、心理的、それから肉体的にどういうものが運転適性であるか、それはどういうふうにしてテストされるかということについてはいろいろと御意見も伺っておりますし、それからまた、それを私ども職員にも勉強をいたさせております。したがいまして、私は必要最小限の適正検査というものは、そういう身体検査あるいは人格的な検査、そういう経歴なりというものとは別に必要であろうと思います。ただ、その具体的なやり方、項目、これにつきましてはできるだけ実情に即して、あまり無理な、また不必要なところまでやるというようなことはあってはならないことでございますので、この適正検査につきましても、私ども、ときどきそういう心理学の先生、医学の先生等からいろいろと御指導いただいてこのあり方等についての研究もいたしておるわけでございますから、これは将来の問題として十分研究をいたしたいと思います。これはただひとり運転者だけでなくて、交通関係に従事する人については、こういうものの勉強をし、またこれをテストしてみるということは必要なことではないかと思います。
  55. 鬼木勝利

    鬼木委員 私が言っているのは、あなたのおっしゃっているとおりなんですよ。健康診断とか、その人の人格のあれを検査するとか、知能テストをするとかいうことはけっこうですけれども、技術に対して「十年以上無事故等のため優良運転手として各県警察本部長又はこれと同程度以上の官公庁の表彰を受けた者」が、自動車運転手として適格を欠くというようなことは考えられますか。適格を欠くような人は表彰を受けるわけはないでしょう。しかも「申請する事業区域において運転を職業とした期間申請日までに十年以上あること」とある。だから私が先ほど、その土地に一年以上住んでいるというのは蛇足じゃないか、何を言っているんだ、ここに基準があるじゃないか。  「申請する事業区域において運転を職業とした期間——「事業区域」というのはその地域だ。「運転を職業とした期間申請日までに十年以上」、それに一年以上住んでいなければならぬ。それだけの運転経験を持っておるところのベテランに何の必要があるか。一歩譲ってあなたのように必要があるとしても、こういうことはごく簡略にやるべきですよ。もうこの人たちはわかっているんですよ。この人たちは十年以上もやって、県知事あるいは警察本部長から表彰を受けている。無事故だ、十年以上同一区域でやっている、それでもうすでに合格じゃないですか。そして、資金がどうだとか、ニーズがどうだとか、仕事の量が多いとか少ないとか、要らぬところにこういうふうに力を入れている。大事なところには力を入れない。それを役人根性と言う。ですから、私はその点を言っているんです。その点をどう考えますか。
  56. 野村一彦

    野村政府委員 適正検査のやり方、それからその範囲につきまして、これは私は十分検討する余地があると思います。したがいまして、現在やっております適正検査があるいは過重な要求であるかどうか、これはまた専門家の御意見も十分聞きまして検討いたしたい、かように思っております。
  57. 鬼木勝利

    鬼木委員 非常に手続が煩瑣で、そしてその基準があまりにきびし過ぎるのですね。そこで私はその点をいま申し上げておる。これは先ほども言いましたけれども丹羽運輸大臣が前にいらっしゃるのになにですけれども、前の橋本大臣は、これは出願したならばやりたい者にはやらしていいじゃないか、それだけの十年以上の経験もあるし、そういうりっぱななにだったらいいから、出願したら、よろしい、やれ、直ちに許可してもいいんじゃないか、極端でございますがそのくらいにまで私は考えておる、こういうふうに橋本運輸大臣は言われた。ところがそれを、そうまでやらないでもいいというようなことまでやって、そうしていたずらに事務を遅滞させる。そういう点、もう少し事務の簡素化というような点に思いをいたしてもらわぬと困ると思うのです。もっと根本的に総ざらいをしてもらわぬと……。  これは局長も御承知のとおり、前の黒住さんのころから、ずっと前から毎たび毎たびここでやっているんですよ。近ごろようやく一般の声として、だいぶおかげで早くなりましたという声はある。一時は、運輸省の一番ガンは陸運局だと地方の人たちの怨嗟の的になっておった。だからこれはもっと基準も簡素化して、事務を簡素化し迅速にやらなければ、波及するところが非常に大きいんですよ。本人の将来に対する計画が挫折する。経済的にも非常に困る。近ごろばだんだんそういう点はなくなったかと思いますけれども、貯金通帳まで調べたという。出し入れしているその使途についてまで、どうだこうだと言う。行き過ぎもはなはだしい。ほんとうに個人的人権無視だ。何のために使おうがかってですよ。自分の金をどう使おうが使うまいが、どう引き出そうが引き出すまいが、そんなことはかってだ。そういうことを聞くことそれ自体がすでにとんでもない間違いだ。そういうことすら過去にあったんですよ。必要以上に時間をとり手間どっている。これは先ほども申し上げましたように、まだ六カ月以内で済まないのは全部資料を出してもらいますから、そういうところの局長は、全部ひとつ洗ってもらいたい。これは運輸大臣にはっきり申し上げます。大衆のためにならない、大衆のほんとうの気持ちをくまないような局長では迷惑します。徹底的にそういう点を局長は責任を持って考えてもらいたい。どうですか。
  58. 野村一彦

    野村政府委員 タクシー行政、特に個人タクシーの関係の事務の迅速、正確な処理ということは、これはやはり申請者の利便であり、ひいては一般国民の非常に関心の深いところでございますので、私ども一そうこれを徹底させたいと思っております。  先ほど来からのいろいろ先生の御質問を通じて内容的に検討しなければならない点、それから表現の点についてさらに検討しなければならない点、これはいろいろ御指摘がございました。この点について私どもも十分見直しをして、改むべき点は改めるということはやぶさかではございません。特にその基本の問題になります聴聞の日を迅速、正確に申請の当時において出す、それから六カ月以内に処理をするという問題につきましては、私いまのこの席でこれをいついつまでに実現するというお約束ができないのは非常に残念でございますが、できるだけ迅速にこれを実現するような努力を重ねてまいりたいと思います。  それから、いろいろ地方局に対する指導推進については随時連絡を密にして、それぞれの地方局の扱いあるいは事務処理体制に不備がないように、あるいは差異がないように督励をしたいということでございます。この点につきましては現大臣からもいろいろと御指摘、御指示をいただいておるところでございますので、さらに部内において十分検討してこれの改善をはかるということが私ども行政の趣旨であろうかと考えておりますので、今後そういう方向で努力をいたしたい、かように考えておるわけでございます。
  59. 鬼木勝利

    鬼木委員 大体局長の総括的な御答弁を聞きましたが、これはほかにもいろいろあるかもしれませんが、きょう私は陸運局のお話をしているのですが、総じて非常に不親切ですね。役人根性といいますか、たとえば却下なら却下されたその理由本人がわからない場合がある。それで私が、これはどういうわけだ、こういうことになりますと、詳しい事情を、実はこういうことでかようかくかくしかじかでこうでございますとなる。本人はわかっていないじゃないか、そんな不親切なことでどうするんだ。そうですか、おいでくださればいつでも説明をいたしますなんて、ふざけた話をするんだ。おいでくださればいつでも話をします——おいでくださらなくたっていいように、実はこういうわけでこうだ、まことにお気の毒だけれどもこういう点を直して、あるいはこういう点を注意してもう一度提出しなさい、さすれば何とか御意思に沿うようにこちらも研究したいからというような、もう少し親切があるべきだ。てんで一片の紙で、第何条に違反、よって却下する、そんなことでわかりますか。それは専門家の皆さんならおわかりでしょうけれども、われわれでもそんなことはわかりませんよ。それでうちへ帰って六法を開いて、道路運送法を開いたり道路交通法を開いたりしてさがしてみて、ああこれか、あるいはこっちへ上京して会館で調べてそれでわかる。だから、ぱっと突き放すようなことでなくして、あなたの申請されたのは、いろいろ審議の結果実はこうこうこういうわけだ——尋ねに来たら教えてやるとはとんでもない。そういうふうに局長指導していらっしゃいますかどうですか。
  60. 野村一彦

    野村政府委員 私どもそういう指導は毛頭いたしておりません。私どもは、場所の遠い方もございますから、陸運局からそれぞれの県の陸運事務所にその書類を渡しまして、そしてもよりの陸運事務所にその申請者の方においで願って、そこで却下なら却下の場合の理由について十分説明をする、こういうふうに指導しているわけでございます。何条に適合しないということは、先生のおっしゃるように、一般の人はおろか、具体的な内容はそういうことでわかりませんので、やはり具体的な事実を指摘して相手にはっきりと理由を言う。これは文書で具体的に、あなたの場合は車庫の計画が規格に合いません、それが道路交通法なら道路交通法に、その車庫から車を出すとどうしてもひっかかりますから、その点がぐあいが悪いなら悪いというようなことを、具体的に陸運事務所を通じて本人に返事をするというふうに私ども指導をいたしておるわけでございます。
  61. 鬼木勝利

    鬼木委員 これは毎たび毎たびやっているのですからあまりくどく——まあくどかったかもしれぬから、個人タクシーの問題はそのくらいにしておきまして、次にお尋ねしたいのは乗車拒否の問題です。  これはずっと前にさかのぼって、閣僚協議会等でも四項目指摘していらっしゃるようでございます。それから橋本大臣はかつて、乗車拒否ということは「要するにタクシー運転手の身分がはっきりしておらない、近代的な労働条件が備わっていない、これをどうして改善したらいいだろうか。私が心配しておるのは、タクシーという何か日雇い式なこの制度を、年功序列もある程度考えられるような制度に何とかして確立できないものだろうか、これができればいまいったような問題ばかなり改善される。それでも悪いやつは、これは人間が悪いのですからどうにもしかたありませんけれども、そうでない限りは、必ずりっぱな運転手ができるのじゃないか、こういう点を自動車局に対して検討を命じております」、こうお話をなさっておりますが、この乗車拒否に対して大臣が検討しろと言われたことに対して、どのように自動車局としては対策を練っておられるか、その点をひとつ……。
  62. 野村一彦

    野村政府委員 乗車拒否を含めましてタクシーのサービス改善ということは、これはタクシー事業にとって一番大切なことであり、同時に、利用されるお客さんから見て最も重要な問題であろうと思います。  そこで、先般六大都市についてタクシーの運賃の改定をいたしました、その際の閣僚協議会の申し合わせ事項の中に、ただいま先生橋本大臣のことばとして引用されましたことと同じような趣旨のことがございます。これは基本的には、経営者の運転者に対する指導もございますし、それから運転者個人のモラルの問題もございます。それから同時に、運転者の労働条件が適正であるということ、将来に対する希望がある、いろいろな要素があると思いますが、これは橋本大臣のときから、また丹羽新大臣になられましてからも、このサービスの改善ということについては非常に御指導をいただいておりますので、私どもとしては、何が真のサービスの改善であるかということは、やはり運転者のモラルといたしましては安全でそして乗る方が気持ちのいいようなサービスをすることであって、外形的にただあいそを言ったり、いたずらにおじぎをしたりすることではないという本質のPRをまず十分運転者にするということを事業者に要求をいたしておるわけでございます。運転者の方々に対しても、労働組合等の方が来られますたびに、この問題について論議をかわしております。  基本的には、東京、大阪の二都市におきましては、タクシー近代化センターというものの、ことしは運賃値上げに関連いたしまして一年分の資金を、事業者の負担金をすでに前納させましていそれを条件に近代化センターの運営をやっております。したがいまして、東京、大阪につきましては、運賃改定前と改定後と比べますと、ずいぶん接客態度等については改善され、また乗車拒否もきわめて少なくなっておるというふうに思っております。地方の都市等におきましても、従来、東京、大阪に比べれば、サービスの点についてはそれほど悪くない、むしろある都市等においては非常にサービスもいいということもあったわけでございます。これは不断に努力をしなければならない。事業者自身もそうでございます。運転者自身もそうでございます。また、これを指導する役所の立場にしても、サービスの改善ということは安全運転とともに交通機関の二大眼目でございます。運転については、とにかくいつになったら終わるということはあり得ないものでございまして、あらゆる機会をとらえてこれを改善をしていくというように指導をいたしておるつもりでございます。また地方におきましては、あるいは中央におきましても、乗客とのトラブルがあったり、一部不心得な者がおったりして、問題をときどき起こしておりますが、最近はおかげでずいぶんよくなったと思います。これは労使、それから私ども監督官庁一体となって十分不断に努力をしなければならないというふうに心がけております。
  63. 鬼木勝利

    鬼木委員 従来も、聞き及ぶところによりますと、近代化センターのほうから街頭に出て、取り締まり指導に当たっておる。あるいは陸運局陸運事務所あたりからも、人数に制限はあるかもしれぬけれども、これが取り締まりに当たっておる。むろん警察の現場の取り締まり、こういうのが一体となってやっておる。それを今日どういうふうにやっていらっしゃるか。その結果がどういうふうになっておるか。毎月の乗車拒否の実態調査でもできておりますか。あるいは具体的にどのようにしてやっておられるか。そういう点をちょっともう少し詳しくお話し願いたいと思います。
  64. 野村一彦

    野村政府委員 大都市におきましては、大都市タクシーのサービス改善計画というものをこの間の運賃改定のときに出させまして、そして各事業者から自分のところの事務の運行はこういうふうに改善いたしますというスケジュールを出させまして、それを総合いたしましたものを申し上げますと、まず、東京及び大阪におきましては、タクシー近代化センターの充実でございまして、特にいま先生がおっしゃいました街頭指導員の数をふやしていく。実際に街頭で指導に当たっている人員、これは東京におきましては現在百人になっております。大阪は二十人程度でございますが、このほかにポーターとして、東京が六十六人、大阪が七十七人おりまして、これがいわば街頭指導員と一体になって、要所要所のタクシー乗降場等におきましての不正乗車の予防あるいは指導というものに当たっておるわけでございます。  それから、先ほど申し上げましたタクシーの運転者の労働条件の改善、これにつきましては、もちろん給与の改善ということもございますが、近代化センターの一つの仕事でありますところの共同食堂というものをつくって、タクシーの運転者の人が昼休み等については十分休養をとりながら適当な食事ができるような場所、これを東京では三カ所、大阪では一カ所というふうにすでにその用地を確保して、そこでは、運転者のために、特別に安くて良質な、くつろいで食事をされるような場所をつくって、運転者の心身のレクリエーションになりますような措置を講じたいというふうに考えております。  それからいま先生のおっしゃいました街頭指導そのものにつきましては、いま申し上げました街頭指導員とポーターの上に、近代化センターが中心になりまして、それに陸運事務所と警察とが一体となって街頭指導会議というものをつくっております。街頭指導会議が、常時街頭指導のあり方についていろいろ協議をして改善をいたしますとともに、実際に街頭に出て乗車拒否等のなくなるような指導をいたしております。  その後の件数につきまして、私、ちょっといま手元に数字を持っておりませんが、たとえば乗車拒否一一〇番というのがございまして、乗車拒否された場合に警察に一一〇番するということを、警察にお願いをして警察でやっていただいておりますが、その件数等は今年の運賃改定後ぐっと減ってまいっております。そのほか、近代化センターあるいは会社等に対する、乗車拒否その他の接遇についての苦情等につきましても、これは相当減ってきておるわけでございます。  そういうことで、少しずつサービスの改善の実があがっておると思いますが、これは前にも申し上げましたように、不断に努力をしなければならないということと、もう一つは、盛り場等におきまするタクシーの乗降場、ある一定の地域においてはタクシーの乗りおりを禁止するとともに、それに応じてタクシー乗降場を指定して、そしてそこでタクシーに乗りおりをするということを警察と協力をしてやっておりますが、こういう地域をさらに拡大していくというような措置を講じなければならない、かように感じていませっかく努力しているところでございます。  タクシー近代化センターも、発足以来一年ばかり、負担金の問題等ございまして、ずいぶんごたごたした状態でございましたが、最近ようやく活動を開始して、まだ十分とはいきませんが、かなりの効果をあげておる、こういう状況でございます。
  65. 鬼木勝利

    鬼木委員 乗車拒否、これを防ぐ対策としていまいろいろお話を聞いたのですが、なるほど効果があがっておるかと思われますけれども、特殊地域、それから特殊の時間には乗車拒否が非常にはなはだしい。しかも料金を高く取る。そういう点の取り締まりあるいは輸送の増強といいますか、そういう点を近代化センターあたりは十分留意すべきだと私は思うのです。これはわかっているんですからね。特殊地域、それから特殊な時間にはもうお客さんが非常に迷惑しておる。しかも暴利をむさぼっている。こういうところこそ私は、先ほどあなたのおっしゃったように、街頭指導陸運局、近代化センター、警察、みな一体となって、そしてお客の利便、大衆の利便をはからなければならぬ、こう思うのですが、何かそういう特殊な対策はとっておられますか。
  66. 野村一彦

    野村政府委員 ただいまお尋ねのありました、乗車拒否が非常に起こりやすい場所あるいは時刻等については、私どもも、それから近代化センター等も、街頭指導会議でもよく把握いたしております。それはターミナル周辺であるとか、あるいは銀座とか新宿とか、上野とか池袋、あるいは渋谷の一部、そういうような繁華街のところ、これがたとえば夜の十一時以後等において非常に多い、あるいは羽田の空港の前、そういうところで非常に多いということは私どももよくわかっております。  そこでそれに対する積極的な対策といたしましては、法人と個人とを問わず計画配車をやりたいということで、大体従来からの統計によりまして、そういう繁華街あるいは輸送需要の多いところには一日に車を何時から何時まで、何台ぐらいその辺のタクシー乗降場に張りつけるように申し合わせをして計画配車をする。そして、そこでお客さんの需要があればそれを満たすように、現地に街頭指導員が出向いて、そしてスムーズな計画配車をするということで、法人と個人とがそれぞれにこれに協力をしてやってもらっております。それが積極面でございます。  それから消極面といたしましては、やはりモニター等を近代化センターが外部の第三者の方にお願いをしてございます。そういう方々から、そういう方々が利用された場合、あるいはその他自分の身寄りの方が利用した場合の具体的なふぐあいな点等については、モニターの御意見も近代化センターに速報していただいて、それに対する対策を打って、そういうふぐあいな乗車拒否等が起こらないようにということをやっております。  それからもう一つは、これはまだ実現をいたしておりませんが、大阪においてすでにやっておりますけれども、無線タクシーという制度を設けまして、そして街頭呼び出し電話というものを所要の地に設けまして、そして無線の電話機から自分の呼びたいと思う会社のタクシーを専用電話をもって呼ぶ。そうすると、それを受けまして、たとえば十社なら十社の会社の中から、その人の第一希望、第二希望という、ふさがっていない会社の無線を備えつけた車がやってきてそれに乗れるというようなことも、一つのサービス改善の一助であろうかと思います。もちろんこの無線車も実現すれば、これにつきましては、無線の割り増し料金というものが無線車にはつくわけでございますので、その点、割り高になるわけでございますが、これも閣僚協の御了承のもとにそういう計画が具体的に実現すれば、無線車を東京の場合においても、大阪の場合のように導入しようということも実は考えておるわけでございます。  そういう面で、これはみんなが一丸となって努力をしなければならないというふうに思いますのと、それからもう一つは労働条件の改善に関連してでございますが、日雇い運転手と申しますか、各企業をぐるぐると回って定着をしない運転手の人がかなり多い。これは、原因をつくっております企業者のほうにも、またそれに応じて渡り歩いている運転者のほうにも問題があろうと思います。これにつきましては、やはり各企業というものが、運転者の将来に希望を持たせ、労働条件についても、その労働の実態に合ったように労働条件を改善をしていくということが必要であろうと思いますので、そういう点については、さらに今後じっくりと腰を落ちつけて業界の指導をしなければならないというふうに考えておりますが、そういう面のあらゆる角度から対策を総合的にやらなければならないと思って、現在そういう努力をやっておるわけでございます。
  67. 鬼木勝利

    鬼木委員 乗車拒否の対策としては、仰せのとおり、取り締まりの強化だとか、あるいは運転者そのものの本質的な問題で、運転者を養成する、あるいは給与制度を改善するとか、労務管理とか、それはいろいろ方法はあると思いますが、特殊な時間、あるいは特殊な地域、それから雨天の場合、天候が非常に悪いような場合、そういうような場合に非常に混雑をするし、途中ではほとんど乗車拒否です。雨でも降っておるようなときには、これは単に東京とか大阪のみならず、地方もみなそうなんです。街頭で車を拾おうとしても、雨天のときとか天候の悪いときにはほとんど乗車拒否。では今度は駅で待っておりますと来ない。列をなしてみんな待っている。これは至るところそうなんですね。  また話がちょっと変わってはなはだ恐縮ですけれども、駅の構内に乗り入れをする。これは各会社がかってですから、個人タクシーであろうが、法人であろうが、駅にお客さんを送ってくることは、これはかってだ。だけれども、駅で待っておるという構内の指定のタクシーというものが、ある一社か二社に限定されている。非常に親切な、サービスのいい個人タクシーなんかは締め出しを食っておる。こういう点も、私は考えられる一つのあれに入ると思うのです。先ほどおっしゃったような、閣僚協議会の結果の四項目というようなことで、そういう点に向かって皆さん方努力していらっしゃることは感謝にたえない。その点、大いに敬意を表しますし、しかも実績をだんだんあげておるという局長のお話はまことにけっこうですが、ああいう駅の指定運送業者といいますか、そういうのにもっと希望のある人は、しかも基準——それこそ先ほどの話じゃないけれども基準をあなた方必要以上にやかましく言われるのだから、やかましく言われて、そうしてその基準に達しておる人ならば、あまねく門戸を開放して、乗るお客さんは、どの車だって完全に自分の希望どおり、自分の思うところに完全に、しかもサービスよく送り届けてくれたら、必ずしもどこの会社、どこの会社ということはないんだから、それをどういう基準か知らないけれども、これは駅で選考して、あるいはおのおの鉄道管理局のほうか何かに申請するのか何か知りませんが、いずれそういうことだろうと思う。本局のほうに送るのだろうと思うが、いずれにしても、先ほど言われたように、個人タクシーといえども、十分基準に照らされて、網にかけられて、そして合格してやっていらっしゃる。十年以上無事故で表彰を受けておるとか、申し分のない人であるから許可しているわけです。ところが、そういう個人タクシーなんかが申し込んでも、なかなか簡単に入れない。むろん個人タクシーなんというのも、今日はほとんど組合をつくっております。法人ならば入れるけれども、組合のほうは入れないというようなのが間々あるのですよ。  これは三、四年前のことですが、博多駅に入ってきた。ところが、ほんとうかうそか知りませんけれども、権利金を取っておるとか、あるいは一ぺん入ってきたらチケットで入ってきた手数料か何か十円ずつ取るとか、ほかのが入ってきてお客さんが乗ろうとすると、駅員が出てきて、これには乗るなと言う。とんでもない。お客さんは、車であれば、どれに乗ろうともかってでしょう。ところが、駅員がひょこひょこ出てきて、この車、乗ってはいけません、こちらに乗りなさい。そんな業者の片棒かつぐようなことを言うなんて、とんでもない。言語道断です。今日はそういうこともなくなったかもしれません。相当やかましく私は博多駅に言いましたから、なくなったかもしれないが、乗車拒否とか車が足らぬとかいうことは、そういうところに私は非常に何かあるのじゃないかと疑いたくなる。自動車はお客さんを乗せて完全に走ればいいんだから、そういう強力な輸送力を持っているところの個人タクシーが、駅に指定として入らしてください、それを私は拒否する理由はないと思う。これは許す、これは許さない、そういうことをするから乗車拒否が多くなる。今日たくさんの自動車があるのですから、私はフルにそういう輸送力を増強して利用すべきだと思う。そして何か不都合なことがあったら、営業停止あるいは指定を取り消すということを私はやったらいいと思う。だから、乗車拒否というようなことを、ただ表のほうからばかり、閣僚協議会で四項目こういうことが指摘された、その点に努力いたしておりますだけにとどまらず、しかしまた、こういう点もあることを局長御存じであるかどうか。むしろ駅なんかには希望者は入りなさい、そしてスムーズにお客さんを送ってくれ、こう指導をすべきではないかと私は思うのでありますが、局長、どう考えられますか。
  68. 野村一彦

    野村政府委員 ただいま先生質問の、駅あるいは空港等に、特に駅が多いわけでございますが、タクシー法人、個人の乗り入れ問題でございます。これは実は国鉄でありますれば、国鉄当局とタクシーの協会、あるいは個人タクシーの組合ですか、そういうところとが全く話し合いによってきめておる問題でございます。私どもは、タクシーの営業をするにあたりまして、そういう条件はつけておりません。したがいまして、お客さんの立場から見て、どの会社であろうと、安全かつ正しいサービスを提供している車がそこに駐車をしておってお客さんを待っておるという状態が一番望ましいわけでございます。したがいまして、国鉄等に対しましては、できるだけそういう業界団体あるいは個人タクシーの組合と話をして、まんべんなくスペースの許す限り多くの車がそこに駐車をして待機をするということが望ましいわけでございまして、どこの会社でなければならないとか、あるいはどこの個人タクシーではいけない、そういう差別をすべきものとは考えておりません。ただ地区におきましては、そういう点が必ずしもスムーズにいってないわけでございますが、これは、タクシーの団体あるいは国鉄等との話し合いの中で、いろいろな条件があるかと思います。私ども国鉄当局に要望する立場から申しますと、もっとオープンにして、道路交通上支障のない限りたくさんの車がそこに待機をしてお客さんを乗せ得るような状態に指導をしたい、これは当然強化をしなければならないと思っております。
  69. 鬼木勝利

    鬼木委員 それはもうあなたのおっしゃるとおり、私が先ほど言ったように、あなたたちが大体きめて、それを門鉄局なら門鉄局、熊本鉄道管理局なら熊本鉄道管理局、そういうところに申請するのだ。これは私が先ほど申し上げたとおりです。だから、あなたのほうにそれをやれと言うのは、それは筋違い。それはいまおっしゃるとおりです。けれども運輸行政の面からいって、お客さんを満足に希望どおりにお届けするという意味からして、自動車を使うならば、法人でもむろんだが、個人タクシーも大いに利用してもらいたいという要望の申し入れば、やはり横の連絡としてとっていただきたいものだ。個人であろうが法人であろうが、運輸省管轄の自動車に乗っていらっしゃる皆さんですから、いわばあなた方の傘下にあるのだから、そういう人たちに差別のないようにする。それで大臣も、むしろ個人タクシーは評判もいい、サービスもいい、まことに一般の評判もさくさくたるものがございますということを言っているわけです。だったら、そういうのを国鉄のほうにでも売り込んでいくという気持ちがあってしかるべきだと私は思う。その点を申し上げている。どうでしょう。
  70. 野村一彦

    野村政府委員 個人タクシー等をもっと駅の構内営業に使うということは、私もまことに望ましいことだと思います。そういう方向でさらに国鉄当局にも強く働きかけていきたいと思います。
  71. 鬼木勝利

    鬼木委員 ちょっとわき道に行きましたけれども、これがやはり乗車拒否に、雨天とか天候の悪いような場合には非常に影響している。私は閉口しているのですよ。いなかに参りました場合に、駅に行ったって乗れない。途中で待とうと思って出かけていくと乗車拒否。非常に閉口する。その点を、先ほど努力点を申し上げた点に加えて、御参考に申し上げたいのです。ぜひひとつ、乗車拒否ということに対しては格段のまた努力をしていただきたい、かようにお願いをするわけでございます。  次にお尋ねをしたいことは、話は変わりますが、環境庁が去る五日に出した通達によりますと、全国都府県知事に対して、自動車の通行規制などを盛り込んだ暫定措置を発表いたしております。これによりますと、光化学スモッグの発生源であるところの自動車に対して自動車の交通規制ができるように聞いておりますが、これはむろん都道府県の公安委員と協議の上だと思いますが、運輸省は車の規制についてどういう見解をお持ちであるか。
  72. 野村一彦

    野村政府委員 環境庁の各都道府県に対する通達につきましては、私どもも基本的に賛成でございます。したがいまして、この線に沿って私ども運輸省として、特に私の立場から申し上げますと、自動車局としてできるだけ協力をしたいと思っております。具体的には、これは実は、先般うちの大臣が、建設大臣であるいは国家公安委員長とお会になりまして、大都市における交通の問題につきまして、特に自家用車の規制等を含む問題について抜本的にひとつこの際検討しようではないかというお話し合いも閣僚ベースでございました。私どもそれを受けまして、いろいろと関係各省と連絡をとって推進をしております。その中に、ただいま環境庁の通達として出ました自動車の使用の規制ということも考えられておることでございます。したがいまして、時間的には、まさに環境庁の考えていることはわれわれがかねて考えておったことでございますので、自家用車と申しますか、自動車の規制ということは、私は逐次計画を立ててやっていかなければならないと思います。  もちろんその前提として、大衆の足が奪われないように、優先レーンとかあるいは専用レーンとかの大衆交通機関としてのバスの輸送力を確保するための措置は、当然行なわれなければなりません。また、バスターミナルの整備をするとか、タクシーベーを整備するということも、当然行なわなければなりません。とともに、またトラック等につきましても、現にやっておりますトラックの都内乗り入れ規制の強化についても、これは私どもは原則的に賛成でございます。ただ、これをやるにつきましては、やはりトラックターミナル等を都の周辺に整備をして、そしてそこで貨物の集配等を中継するようなシステムをとってやるということが必要であると思います。  また、排気ガスの規制につきましては、環境庁と連絡をとりながら、私どもの自動車の検査の面におきまして、十分今後もいろいろ技術的に結めていって、少しでも早く排気ガスの規制ができるようにということでございます。したがいまして、方向としては私どもも全く同感のものでございますので、細部の点につきましては、大臣の御指示のもとに、関係各省と連絡をとりながらその線に沿って具体的な対策を推進していこうといまやっておるところでございます。
  73. 鬼木勝利

    鬼木委員 これは東京都からそういう提案がされておるようでございますが、いまお説のとおり、あるいは警視庁、あるいは建設省、いろいろ関係筋と話があると思いますが、東京都内に乗り入れる車をストップするということになりますと、周辺はなおさら交通繁雑でほとんど機能はとまってしまう。こういうこともいろいろな点が考えられると思いますが、私は、単に東京都だけが大幅な自動車の交通規制をつくったからといっても、これは一東京都のみの問題ではないと思うのです。やはり全国的に、これはしかも、直接には周辺都市の自動車の規制という意味からしても、大幅な対策をやらなければ、部分的な東京都なら東京都ということを考えても、これは私は解決できないと思うのです。そういう意味からしましても、総合的な考えからしても、これは私は、運輸省というのがやはり中心になるべきだ。環境庁はあらわれた公害に対する対策でございますけれども、その光化学スモッグのもとというものは車でございますので、やはり運輸省が中心となって、やれ歩道橋をつくるとか、道路を拡幅するとか、いろいろありましょう。それは建設省の問題でございますが、もとはやはり運輸省でなければならぬ。ここで運輸省として何かこれに対する的確なプランがなければならぬと私は思う。その点を大臣からお聞きしたい。大臣から伺えなければ局長でもけっこうです。直接、自動車関係は局長ですから、これはかまいませんけれども、具体的に運輸省としてこうすべきだ、このように公安委員のほうにわれわれは話しかけたい、建設省にこういうことを話したい、環境庁とこういうことを話し合いたいというような具体策はどのようにお考えになっておりますか。
  74. 丹羽喬四郎

    ○丹羽国務大臣 ただいまの御質問の点でございますが、都市公害の大きな部分を占めます原因として排気ガスがあげられている次第でございます。このためには、運輸省といたしましても、排気ガスの規制というものを強力にしなければいかぬというので、先般来からいろいろと環境庁とも連絡をとっておりまして、その規制に当たっている次第でございますが、この排気ガスの排出量とともに、交通渋滞の面がやはりそういったような公害を発生する部分が非常に多いということでございまして、ことに大都市におきましては、そういった面で交通渋滞をいかに緩和するかということが一つ。それから無公害車と申しますか、できるだけ排気ガスの少ない車をつくる。先般ともいろいろ委員会のほうから取り上げられておりますが、電気自動車の開発を大都市においてはどういうふうにして可能にするかとか、いろいろの問題がございます。そういったような自動車製造の面における無公害車の開発ということがやはり一つの大きな問題である。  具体的の現実の問題といたしましては、交通渋滞をどういうふうにして防止をしていくかということでございまして、先ほど来から、いろいろタクシーについても御卓見を承った次第でございますが、タクシーその他の渋滞を防ぐために、バスの専用レーンを設けるとか、あるいはまた優先レーンを設けるとか、いろいろな問題もございます。また、いまいわれております、先ほど御指摘がございましたが、乗用車を規制することも一つの案でございましょうが、それがためにかえって渋滞を招くというような点がございます。   〔加藤(陽)委員長代理退席、坂村委員長代理着席〕 これらは、やはり運輸省を中心といたしまして、交通規制の権能を持っておりますところの警察庁、公安委員会、そしてまた、そういった車を利用する施設を提供しますところの建設省、この三者が一体となりまして、早急に具体策をつくっていく必要があるということを考えております。せっかくいま内閣におきまして交通対策本部がございますが、それと協力をいたしまして、この三者が中心となりまして、そういった具体策を漸次つくってまいりまして、具体的な実施に当たっていくことが必要でございます。もとより、お話がございましたように、運輸省が中心となりまして、実行面におきましてはやっていかなければならない、こう思っている次第でございます。
  75. 鬼木勝利

    鬼木委員 いま大臣から御説明があったようですが、最近の幹線道路は自動車の増加によって麻痺状態になっておる。しかもこれは、大都市のみならず、私が先ほど申し上げましたように、全国的にこういう状態でございますが、排気ガスによる空気の汚染、それによって交通が麻痺におちいる。そこでいま大臣が御説明があったように、専用道路をつくるとか、あるいは優先道路をつくるとか、あるいは一方交通にするとか、いろいろ方法はあると思いますが、連絡協議会なんかをおつくりになって、そして運輸省が中心になっておやりになるのだ、いまこういう御説明のお話がありまして、これの対策はいまちらちらお話しになりましたが、局長が承知していらっしゃる範囲内において、詳しい御説明は要りませんが、具体的に、こういう点、こういう点、こういう点をさしあたってやりたいというような、何かこれが解決策になるようなことをお考えになっておりますならば、そして連絡協議会のほうに持ち込まれるということがございましたならば、その点をひとつ承りたいと思います。
  76. 野村一彦

    野村政府委員 お答えいまします。  関係省庁とこれからいろいろ折衝をして話を詰めてまいります上に私ども考えておりますのは、まず警察庁に対しましては、バスの専用レーンあるいは優先レーン等が現在すでにございます。これをさらに拡大をしていただきたい。そしてもっと優先レーンあるいは専用レーンというものを拡大をして、いわゆる路線バスがそこをもって快適に走って輸送効率を高めていくということになれば、一般の自家用車等の不急不用と言っては語弊がありますが、大衆の交通機関でない車というものの規制も可能になってくるではないかということから、これは従来からやっておることではございますが、大都市における優先レーン、専用レーンの設定等についてさらに検討を促進していただいて、これを少しでも早く実現をしていただきたいというお話をしたいと思っております。  それから、私ども自身、運輸省といたしましては、トラックあるいはバスのターミナルというものを、これは四十八年度予算とも関連するわけでありますが、都市の周辺部にそれぞれつくって、そして大型のトラック等はなるべく大都市の中心部には入れないようにする。そこで積みかえて小型車で都内の集配をするというようなためのターミナルをつくりたい。それからバスにつきましてもターミナルをつくるということは、それだけバスの運行系統というものが整備をされまして、そこから利用されるお客さんにとっても便利でありますので、お客さんがはっきりした着発地点から着発できる、あるいは鉄道との乗り継ぎがよくなる、あるいはタクシーとの乗り継ぎがよくなるということで、バスのターミナルも設けるようにしたい。これば予算の計画においてもやりたいと思っております。それからタクシーにおきましても、タクシー乗降場と申しますか、そういうものを駅の近く、駅前広場等にさらに設けるというようなこと、これも予算と関連いたしますが、さらに検討をいたしたいと思っております。  それから建設省に対しましては、いわゆる歩道橋を増設するとか、高速道路へのランプウエーですか、そういうものの増設等について、具体的に場所を考えながら、これも建設省のサイドの予算と関連すると思いますが、建設省にお願いをしたいと思っております。  それから通産省と私どもが一緒になってやらなければなりませんのは、先ほど大臣が言っておりました無公害車の開発、あるいは現在ありますところの普通の車のいわゆる排出ガスの規制の強化、これは徐々にやっておりますが、環境庁等とも十分連絡をとりながら、排出ガスの規制の強化をやりたいと思っております。  それから一般自家用車の規制の問題でございますが、これは所管としては道路交通法でございまして、警察と申しますか公安委員会の所管であると思いますが、総合的な問題でございますので、これは総理府の交通安全対策室等と警察等とが話し合いを十分されて、そして不急不用——何が不急不用かということについてはいろいろ問題があると思いますが、そういう自家用車の使用の規制等につきましても、これはぜひやってもらいたい。  以上のような話を骨格として対策を進めてまいりたい、かように思っております。
  77. 鬼木勝利

    鬼木委員 いまお話を聞きまして、この連絡会議のビジョンといいますか、計画、将来の企画ということについては大体わかりましたが、いまも、四十七年度の予算、あるいは四十八年度の予算という話もちらちら出ましたが、大体これを年次計画でおやりになるのか。あるいは本年度中にこれを解決するのか。一応、これこれのめどで来年度はどうやるのだとかいう年次計画にされるのか。あるいは早急に本年度内にこれを一応計画どおりやってしまうのか。その目安についてちょっと承りたいと思います。
  78. 野村一彦

    野村政府委員 ただいま私が申し上げましたことは、これは長期的な視点を踏まえての長期計画と、それから当面の緊急にやらなければならないことと二つに分かれると思います。  長期計画につきましては、これは私ども毎年予算のときにこれが問題になるわけでございますが、四十八年度の予算の要求案をつくる段階から、特に年次的に考えていかなければならないと思います。  この中で、私どもが直接考えておりますのは、まず排出ガスの規制につきましては、これは、四十五年の七月に排出ガス規制の五カ年計画というのを、運輸省が、当時まだ環境庁ができる前でございますので、厚生省と連絡をしてつくったものがございます。これは、昭和五十五年度を最終目標にし、その前に昭和五十年度を第一段階といたしまして、空気汚染状態を昭和五十年度に昭和三十八年度の状態に持っていく。それから昭和五十五年度には昭和三十六年度の状態に持っていく。昭和三十六年度の状態でございますと、車の通る車道から離れた歩道におきましては、現在のような空気の汚染はなかった状態でございます。そのために、一酸化炭素、あるいは窒素酸化物その他の排出ガスの規制を強化をしていく。それを強化するためには、これはエンジンの改良というようなこともあります。それから排出ガスの清浄装置の開発というようなものもございます。それを現在段階的に実施しておるわけでございます。これは今後さらに、どういうふうにその規制を強めていくかという技術的な検討を進めながら、その五カ年計画にあるような計画をやっていきたい。ですから、これは長期計画が一応できておりまして、これを年次的にやっていこうという問題でございます。  それからバス、トラックのターミナルの設置でございますが、これも私ども長期的に、今後五年なら五年という将来を展望して、各年次にどういうようなところにどういうバスターミナルをつくるか、あるいはトラックターミナルをつくるか。これは一部はすでにつくっておるわけでございますが、そういうものをやりたいと思います。  したがいまして、さしずめの最も緊急を要する問題、これも道路事情等からなかなか簡単にいかないようでございますが、警察にお願いをしまして、一般の路線バスの優先レーン、それから専用レーン等をできるだけ拡大をしていただくということ。それから自家用車の規制をどのようにしてやるか、やるとすればその方法はどうするかということの結論を出していただく。こういう問題を当面急いで検討していただくように、私どもの立場からもいろいろお願いをし、またこれに協力したい、かように考えております。
  79. 鬼木勝利

    鬼木委員 昭和五十五年度には三十六年度の状態にまで引き戻す、そのためには年次計画もあるし、さしあたってやりたいこともある、この二つに分けて御説明を聞きました。大体了解しましだ。  時間がありませんので少し急いですみませんが、そこで関連して、今度の法案もそうですが、いまお話しのように、運輸行政の改善といっても、単にこれは運輸省だけの組織の改正でなくして、これらの問題については、先ほどからお話があっておるように、建設省あるいは警察庁などと関連した横のつながりもむろんあるわけだと思うのですが、今国会の法改正に対しまして、全く関係省庁との問題には触れていないというように私は考えるのです。いまそれは東京都の光化学スモッグの問題で言われましたが、これは去年の十二月に「総合交通体系について(要約)」というのがおたくから出ておる。総合交通体系の問題は、単なる運輸省だけの問題ではないということをよくまとめてあります。これは全部読みましたが、たいへんよく書いてありますが、どうもそういう点において欠けておる。航空行政、陸運行政等は、申すまでもなく総合的な見地から行なわるべきであると私は思う。これん載っておるとおりです。これは私は全部読みましたから、みなチェックしておるのです。ここに持ってきたので、きょうこれを  一々申し上げたいのですけれども、二時まででやめてくれということですのであれでございますが、「総合交通体系について」、こういう基本的な構想が出されておる。  ところが、いまだに各部局単位に、一部局の上から見た法案としか考えられない。そういう点、航空行政、陸運行政というようなものが総合的に進められておるか、私は疑念を持つ。たとえば成田空港も十月に発足だとかいうことを聞いておりますが、総合的な交通体系ということについて、こういうのを読んだ場合に、全然これには合致していない。成田空港は十月に発足の予定だという。ところが空港までの輸送機関というようなものは何にも整備ができていない。あるいはパイプライン等もその処置ができていない。空港はぽこっとできる。しかし総合的な施策は何にもしていない。こういう点から考えましたときに、一体運輸省はどういうふうに考えておられるのか。これは大臣がいらっしゃるといいのですけれども大臣はいまいらっしゃらないようですが、こういう問題がたくさんあるんですね。たとえば都市整備開発ですか、多摩ニュータウンなんか、私はあそこへ行きました。行って多摩ニュータウンなんか見ましたのですが、交通機関は何にもない。道路もできていない。あることはありますけれども、砂じんもうもう、全然整備ができていない。誇張すれば黄塵万丈というところですね。総合的な計画、総合的な開発というものは全然行なわれていない。交通機関もない。「総合交通体系について(要約)」にたいへんうまいこと書いてあるんですね。これはまことに私は感心しました。よくまとめてあります。けれども実態は、全然これとはおよそかけ離れたことのみであります。そういう点について運輸省はどういうお考えを持っていらっしゃるのか。これからそういう点を大いにやろうという意味で、こういうふうに研究しましたというのか。全然いままでほったらかしておったのか。予算が足らぬでできなかったのか。それまで知恵が回らなかったのか。いろいろ表現は御無礼なことばかり申し上げますけれども、その辺のところをひっくりまとめて総合交通体系になったのか。その辺をお話し願いたいと思うのです。どうですか。
  80. 野村一彦

    野村政府委員 ただいま先生から総合交通の問題につきましてお尋ねがございました。これは運輸省の、全般的な交通、まさに総合交通体系の基本に関することでございますから、自動車局長である私が自分の領域以外のことをお答えするということで、適当なお答えができるかどうか、私もその点、自信ございませんが、省議のメンバーとして、総合交通体系が省内で議論をされましたとき、そこに参画した者として、そういう立場から私はお答えいたしたいと思います。  御指摘のように、従来の運輸行政というものについていろいろ不斉合な点があったことは、これは私ども部内として率直に反省しております。たとえば、自動車は自動車の視野だけからものを見る、鉄道は鉄道の立場からだけものを見る、航空は航空、海運は海運というそれぞれの輸送手段の立場からだけものを見て、そして、全国的な視野、あるいは地域的な視野から考えて、そういう輸送手段というものが、国民の日常生活、あるいは生産と消費を結ぶ物資の輸送というような立場から、もっと総合的に斉合性をよくして、輸送手段の、特に交通施設の整備ということの横の連絡が必ずしもよく行なわれていなかったという実は反省の上に立って、こういうことではいけないから、全国的な立場から、交通機関の、主として交通施設の整備ということを考えるべきであるということで、数年来こういう問題を考えてきたものがこの一つでございます。  それからもう一つの考え方は、交通機関を利用する場合には、交通機関の特性といたしまして、それぞれの特性がございます。それは総じて言いますと、安全で低廉で迅速で正確な輸送サービスを利用者に提供するということでございます。利用者から見れば、そこに、現在の社会経済体制のもとにおきまして、やはり選択の自由というものがあるわけでございます。そういうものは、結果的には、市場原理によって形成される運賃あるいは輸送の便益というものを、どういうふうに選択するかという問題であろうと思いますが、それに関連いたしまして、当然やはり運賃のあり方というものが、これは経営に関連して出てくるわけでございます。その運賃を決定する、あるいは企業の収益というものを決定する場合に、それぞれの交通機関というものが、いままで違った原理の上に実際決定されておった。たとえば自動車というものは、道路が整備されれば、もちろん税金はかかっておりますけれども、その上は比較的自由に走れる。それから鉄道というものは、線路を敷かなければ鉄道の開設ということはできない。航空は、空港を整備し航空保安施設というものを整備しなければ、飛行機は飛べない。またそれを動かす人に至っては、自動車も鉄道も航空も、それぞれ技術的ないろいろの要件というものに合致する人を必要とする。それを養成するには相当の時間がかかる。そういうものから考えましても、現在の社会経済体制のもとで、利用者の選択にゆだね、市場原理を基礎としながらも、一つの調整された輸送機能というものを国民に提供するというような立場からもっと検討をすべきではないかということで、この問題をこの二、三年間検討をして、そしていわば一つの序論といいますか、総論といいますか、そういうものがここにでき上がったわけでございます。これは、ある意味で非常に抽象的なものでございまして、さらにこれを具体的にどうするかということについては、これから掘り下げて、各部門、部門の連絡をよくしながら検討しなければいけないと思います。  そういう意味で、いま先生がおっしゃいました、いままで非常にちぐはぐであったという問題、これは私どもも率直に認めざるを得ないと思います。特に、運輸省で交通機関の斉合性をはかりましても、いま言われました住宅政策との斉合性、あるいは都市計画との斉合性、そういうものを考えていきますと、これは一運輸省の問題ではございません。したがって、政府部内におきましても、経済企画庁を中心に建設省の意見や警察庁の意見も取り入れて、政府としての総合交通体系というものの一つの素案ができておるわけでございますが、まず、運輸省部内の各部門、部門の計画的な発展計画というものをつくると同時に、今度は運輸部門と結びつきますところの住宅政策あるいは都市政策、そういうものとの結びつきというものを考えた計画を、さらにこれからいわば各論として考えていかねばならないということではないかと思います。  御例示になりました新空港の問題にしましても、あるいは多摩ニュータウンの問題にいたしましても、そういう意味では、いままで、住宅政策とかあるいは都市政策その他とのすり合わせというものが十分できてないままに事態が今日に至ったということ、これは確かに仰せのとおりでございます。その点については、今後そういうことのないようにするためにも、この新しい総合交通体系をさらに具体化していく。そうして直すべき点は、また見直しをしてよりよいものにつくり上げていくということを、運輸省全体としてしなければならないと思います。  私、自動車局長の立場でお答えしまして、この問題について、全般的な視野でものを見る立場にございませんので、必ずしも適切な答弁でなかったかと思いますが、その点、御了解いただきたいと思います。
  81. 鬼木勝利

    鬼木委員 いや、なかなか御謙遜なさるけれども、大体私が考えておるようなことを、あなたは的確に御答弁なさった。まさにそのとおりだと思うのです。これを読ましていただきまして、非常によくできているんですよ。だけれども、いまあなたのおっしゃるように、これは非常に抽象的だから、これをいかに具体化するかということを皆さま方ひとつくふうをしていただきたい。  これは、およそ輸送機能を発揮するためには、非常に全般的な広範な関係が深いと私は思うのです。しかも輸送する相手は人であり物である。そうしますると、産業開発の面からも、国を開発するという点からいたしましても、いずれにしましても物と人ですから、これほど重大な、しかもこれほど広範な関係性の深いものはないと思います。したがって、十分調整、総合した上で計画を立てるべきである。そうしないと、針の穴から天をのぞくようなことをしたのじゃ、仏つくりて魂入れずというような結果になるのじゃないか。それでは、せっかく運輸省努力されても、ぽつんとできて道路もない、あっても不完全だ、交通機関もないというようなことでは、地域開発、地方の開発のために万全の機能を発揮することはできない、また人がそれを一般に利用することも困難である、私はこういうことを考えるわけです。そういう意味からして、幸いにこういう「総合交通体系について」といういいお考えを発表していただいておりますので、これをすみやかに具体化していただきたいということを要望いたしておきます。  実は私いろいろ申し上げたい点がたくさんあったのでございますけれども、時間がございませんので、資料はたくさん用意してきておりますけれども、最後に一点お尋ねしたいのでございます。  国鉄運賃の大幅値上げ、二割三分ですか。それから貨物が二割四分ですか。定期券なんかを利用している方は、非常に率が大幅に上がっている。四割以上も上がるというようなことだ。これは非常に国民の不評を買っているのでございますが、いま参議院で審議いたしておりますので、それはそれとして、今後の問題として、これも自動車局長としては御答弁はどうかと思いますが、私鉄の運賃値上げについてどのように考えておられるのか。これは私鉄の場合ですから、では自動車はどういうふうになっていますか。
  82. 野村一彦

    野村政府委員 私鉄の運賃値上げという御質問でございますが、私鉄が経営いたしておりますバスの運賃値上げについては、これはそれぞれの地域全国が三十五のブロックに分かれておりまして、その三十五ブロックの中で、たとえば地方で過疎化が非常に進んでバスの利用者が減っておるというようなことから、バスの経営が困難になって赤字を出しておる、そういうものがそのブロック内の大勢であるという場合には、その地域内のバスのモデルの企業の原価計算をいたしまして、運賃の改定をはかるということをやっておりまして、特に経営の悪い企業、企業努力をしても、過疎化と自家用者の普及等によって、今後とも収支の改善がなかなかできそうにないところにつきましては、それぞれ、経済企画庁とも相談の上、ある程度ぼつぼつやっております。その他の一般のバスにつきましては、これも企画庁との話し合いの線に基づきまして、たとえば六大都市であれば閣僚協議会にかける、それ以外のものについては企画庁との折衝ということで、逐次作業をいたしておるわけでございます。  私鉄の経営する鉄道そのものについてはちょっと私ではわかりかねますので、いま手配をいたしておりますが、鉄道関係の局長あるいは部長からお答えしたほうが適切かと思います。
  83. 鬼木勝利

    鬼木委員 いや、それはあなたは一般的な場合のことをおっしゃっているわけでしょう。いま審議中ですから、これはどうとも言えませんが、かりに今度国鉄が上がったという場合、さあそれではと、あなたの関係の私鉄経営のバスがきた場合に、どのようにお考えになっているのか。   〔坂村委員長代理退席、委員長着席〕
  84. 野村一彦

    野村政府委員 先ほど申し上げたのは一般論でございますが、バスの運賃の改定は、国鉄の値上げと関連をして私鉄がもし値上げを申請し、それに関連して私鉄のバスはどうするのかという御質問に対しましては、私鉄のバスといえども、これは関係はございませんで、バスはバスとして、そのバスだけの採算でもって、その区域内のブロック、たとえば先生よく御存知かと思いますが、福岡県あるいは佐賀県というものを一つのブロックとしてとらえておりますので、これは国鉄の運賃改正とも関係なく、私鉄のレールの運賃改正とも関係なく、もっぱらあの辺の、たとえば、西鉄とか、あるいは堀川自動車とか、あるいは昭和バスとか、そういうものの平均的な採算を見て、そしてそれが基準に合致しておればこれは改正をすることでいまいろいろと検討いたしておりますから、国鉄の運賃改定、あるいはそれに伴ってもしやられるかどうかわかりませんが、私鉄のレールの運賃改定があっても、それとは関係なくバスはバス独自の採算で判断をしてやる、こういうことでございます。
  85. 鬼木勝利

    鬼木委員 それでは、私鉄経営のバスなんかは、国鉄が上がっだからまま上げてくれということは関係がない、ブロック別に経営しているのだから、そのときの事情に応じて上げるということはまた検討すべきで、全然これとは関係ない、こういうふうな答弁ですね。そうですね。  ちょっとその一点を大臣お尋ねしたいのですが、いま大臣のお留守に順調に話は進みまして、いよいよ最後の段階になりました。一点、大臣でなければ答弁ができないというもっともなことがあります。  というのは、今度国鉄運賃の大幅値上げ法案が提出されて、御承知のとおり参議院でいま審議中でありますが、ところが今後の問題として、私鉄の運賃の件について大臣の御見解を承りたいのです。その点をどうぞ。
  86. 丹羽喬四郎

    ○丹羽国務大臣 私鉄の運賃の値上げでございますが、私鉄と申しましても、先生の御質問の要旨はやはり大手私鉄ではないか、こう思います。それでよろしゅうございますか。(鬼木委員「はい」と呼ぶ)大手私鉄につきましては、ただいま申請が出ておりますのは、名古屋鉄道ただ一件でございます。これが先般申請が出てまいっておる次第であります。ほかの大手私鉄については、ただいま申請は全然出てきておりません。先般、実は民鉄協会でございますかの席上、たしか私鉄運賃の値上げをするとかしたいとかいう動きがあるということにつきまして、記者会見におきまして、私そのときも質問を受けた次第でございますが、ただいま私どもとしましては、再三国会でも私が言明をいたしておりますし、総理からも御答弁いただいておりますけれども、御承知のとおり、ただいまの運賃改定の一番の基礎条件というのは、事業者別適正原価主義に基づいておる次第でございまして、事業者別によりまして、その収支が十分償われているかどうかという点がやはり一番の重点になって運賃改定を行なっておる次第でございます。  大手私鉄につきましては、ただいま十分とはまいりませんけれども、まだ経営が鉄道部門におきましてもとんとんでいっておる、よその部門を加えますと黒字になっておる、こういうことでございます。したがいまして、これはもし参りましても、私どもとしては慎重に検討しなくちゃならぬということでございます。また絶対に便乗値上げは許さぬということを、総理はじめ私も言明をいたしております。ただいまの点、現実におきましては、私鉄運賃の値上げを認めるというような方向で検討する意思は全然ないことをはっきり申し上げておきます。
  87. 鬼木勝利

    鬼木委員 いま大臣のおっしゃったように、総理も、私鉄の運賃については国鉄との運賃格差是正のための値上げは考えていない、このようにおっしゃっておりますので、わかりましたが、私鉄大手十四社がこの前値上げをしたのはたしか四十四年の一月であったかと思いますけれども、二三%ぐらい上がったと思います。ところが、そのときに都営地下鉄は申請しなかった。そこで営団地下鉄も値上げを認められなかった。ところが今度、営団地下鉄は三九%値上げを申請しておる、このように聞いたのでございますが、こういうのも私鉄は一切値上げは認めない、こういう大臣の御方針でございますか。
  88. 丹羽喬四郎

    ○丹羽国務大臣 これはまだこれからの検討の問題でございますが、営団地下鉄は私鉄と言えるかどうかということが問題でございます。しかもこれは前に申請を受けております時期が非常に長くなっております。それから聞くところによりますと、経営状態も非常に悪化してきておる実情でございます。黒字経営ではございません。したがいまして、これはやはりいまの大手私鉄とは別個に考えていかなくちゃならぬ問題じゃないかというふうに私は考えておりますが、しかし時期その他につきましては慎重に検討してまいる、私はこういうふうに思います。
  89. 鬼木勝利

    鬼木委員 そうすると、営団地下鉄は私鉄と認めない、私鉄として認めないという根拠はどこにございますか。その点ひとつ……。
  90. 丹羽喬四郎

    ○丹羽国務大臣 これは公共企業体の経営ではございませんけれども、私鉄と認めるかどうかという法律的のことではございませんが、運賃の値上げにつきまして、いままでの経過から申しまして、いま大手私鉄と同様な考えでもってこの問題を取り扱っていいかどうかということは、やはり別個に考えるべきじゃないか、こういうふうに思っている、こういうことを申し上げた次第であります。
  91. 鬼木勝利

    鬼木委員 そうしますと、他の私鉄は十四社あると思うのですが、私鉄はかりに赤字であっても国鉄運賃値上げに便乗するようなことは許さない。これは総理もそうおっしゃっておるのです。ところが、営団地下鉄は実情が赤字である、だからこれは別途考えるべきだ、こういうふうに大臣はおっしゃっておりますが、これは非常になぞのような御答弁で、赤字であって、しかも、これは長いこといままで上げておらぬから別途考えるべきだというようなことにおっしゃいますと、これは当然認めていらっしゃるような考えになりますが、その辺のところはどうでございますか。
  92. 丹羽喬四郎

    ○丹羽国務大臣 これは認めているわけではございません。やはり一応検討する題目じゃないか。と申しますのは、はっきり申しますると、御承知のとおり、いまの公共企業体の地下鉄、いろいろな問題もございます。それらとやはり軌を一にする検討すべき問題でございます。こういうふうに私は考えておる次第でございます。すぐにこれを値上げとおとりくださるということにつきましては、私は必ずしも賛成でございませんが、検討すべき問題、こういうふうに思っている次第でございます。
  93. 鬼木勝利

    鬼木委員 先ほど大臣もおっしゃいましたように、また総理も、国鉄運賃がかりに上がってもそのために私鉄と国鉄運賃との格差がどうだこうだということは自分は認めぬ、上げないということを言っておりますので、その線に沿ってやはり検討していただかなければならぬと私は思う。営団が長いことこういう問題が懸案であった、あるいは赤字であるからというようなことで特別扱いにされるということは許されない。総理も新聞でそんなことを言っておられますし、国鉄が上がったから物価が上がるなんて自分は思わぬ、こういうように言っておりますけれども、国鉄が上がったから、ああ今度営団も上がった、じゃ私鉄のほうも上がるぞ、物価も上がるぞ、自然私はそういう点からこわれていくと思う。だからそういう点は運輸大臣として、責任者として十分再思三考していただきたい、私はこのようにお願いをしたいと思う。  いろいろお尋ねしたいこともございましたけれども大臣もお目が悪くてたいへんお疲れだったと思いますし、局長にはいろいろ御無礼なことも申し上げたかと思いますれども、その点はあしからず、私の熱意の余りに申し上げたので、年に免じてごめんをこうむりたい。じゃ、きょうはこれで私は終わります。
  94. 伊能繁次郎

    伊能委員長 和田耕作君。
  95. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 運輸大臣、今度の国会は国鉄運賃法という大ものを片づけられまして——まだ片づいてないわけですけれども、たいへん御苦労さまでございました。ただその問題について、せんだっての連合審査で私はたださなければならない点を実は御質問したのですけれども、私どもが一番心配しているのは、こういう運賃の値上げをしましても、そのあとがうまく——政府あるいは国鉄当局が十カ年計画という形でやろうとしておるけれども、やっていけるかどうかということについて最近また不安に思うわけなんです。あのとき、衆議院の審査の最中でもそうでしたけれども、例の順法闘争という名のサボタージュ、しかも長期のサボタージュを衆議院であの法案を審議しているさなかにやるという事件がありまして、私どもはほんとうに心から憤慨をしたのですけれども、今度また、どういうわけかはっきり知らないけれども、またまたサボタージュの形が出てきておるということは、今度の運賃の大幅値上げという問題は、これは非常に私は筋の通らないものだといまだに思っているのです。それにしても今後の再建のために必要だというお考えもあるようですから、そういうことを政府の考え方も理解できない点はないという感じもあったのですけれども、こういうようなことではたして運賃改正という問題、将来の国鉄の再建という問題ができるかどうか。この点について大臣としての自信を持っておられるかどうか、その御感想をお聞かせいただきたいと思う。
  96. 丹羽喬四郎

    ○丹羽国務大臣 ほんとうに一番適切な御質問でございまして、私ども、これだけの大きな日本一の大企業、これだけ四十六万の職員をかかえました大企業、これを遂行してまいります上で、国または国民の御協力ということも、これは絶対必要でございますが、何と申しましても、企業自体、これがほんとうにその使命を自覚いたしまして、労使がほんとうに、お互いに立場は異なりましても、立場を踏まえまして、そうして協力して、今日の陸上動脈としての使命を達成するということが一番の私は根本であると思う次第でございます。何と申しましても、その点におきまして労使がほんとうに完全に相互理解をいたしまして、そうして協力体制をつくることが一番のもとである。  いまお話がございましたが、いろいろ経済闘争の面におきまして、いろいろの防衛手段としてやること、法律に許されておる範囲におきましては、これは当然のことでございますが、事、交通事業でございます公営事業でございまして、ストは禁止されている次第でございます。国民生活に及ぼす影響も非常に大きい次第でございますので、その良識をもちまして、そしてほんとうに労使間の慣行が十分に確立されることが、これは何よりも私は一番だと思っている次第でございまして、その辺の努力が、これからが、十カ年計画のもとをつくる一番大きな要因ではないか、こういうふうに私も思っておる次第でございます。
  97. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 その気持ちはわかるのですけれども、私は、ああいうふうな紛争をやるについては、それ相当の理由があると思いますけれども、あまり国民の側からすると理解のできない行動だと思うのですね。  それで思い出しましたけれども、昨年の暮れに、十一月ごろでしたか、マル生運動というのが起こったことがありました。あのときも、私どもの関係の組合の方たちは、一生懸命生産性向上運動というものに取り組もうとしておった。ところが、あのマル生運動というものと不当労働行為というものとをごっちゃにした形で、しかもその生産性向上運動というものをストップさせてしまった。その妥協の焦点に立ったのが当時の労働大臣だといわれておったので、この場でもその問題を追及したことがあったのですけれども、こういう問題は、他の政治問題との妥協とか取引とか、そういうふうなことをあまり長い年数にわたってやっているから、その惰性というものがいまだに残っている。たとえば、ゆうべ政府は閣議決定をなさった。公労協の裁定を、あの案が通らなければ実施しないという一種のあれをなさった。そうしたら、それに対するいろいろな反応が今後も出てくるというようなこともあるわけで、こういういろいろな問題を考えていると、あの運賃のきわめて大幅な、国民がたいへん迷惑をする——実は私は物価問題の委員におるのですけれども、あれがああいう形で、しかもああいう背景を持ちながら通ったということは、物価の問題に対する審議の熱意を失ってくるわけですよね。あれはほんとうに誠意を持って、政府も、国鉄の本社のほうも、あるいは従業員のほうもやるということであれば、それでもまだ文句も言いたい法案なんですけれども、そういうものであるにもかかわらず、まだ一番大事なキーポイントが非常にあやふやな状態だ。  これは大臣、いまの大臣のお答えなさった点は、これはどこでもおっしゃる普通のことばだと思うけれども、そういうことばでは済まされないような事態ではないかと私は思うのです。政府としても相当の決意を持っておられると思いますけれども、これはつまり、ああいうものがああいう形で通ってから、物価の問題を積極的に考える者はなくなってしまいます。そういうような重要な意味を持つものであるだけに、責任者としてこの問題に対するもっとしっかりした態度の表明というものが、あるいは行動というものが必要だと私は思うのです。この問題についての重ねての御決意なりをひとつお答えいただきたいと思うのです。
  98. 丹羽喬四郎

    ○丹羽国務大臣 大企業でございますし、ことに大組織を持っている職場でございますので、それゆえになおさら規律といいますか、規則というものがやはり厳正に守られるということが私は一番の根本だろうと思います。  先般来、マル生運動に関連しまして、まことに残念なことでございますが、不当労働行為ということが起こりまして、これの違法なことは申すまでもございません。しかしながら、企業におきまして生産性向上運動というものも絶対必要であることは、これまた申すまでもないことでございまして、われわれのコスト増強というものをいかにして吸収するかということは、生産性向上運動がいかに効果的に行なわれるかということにかかっている次第でございます。これは、一般の利用者に対しましても、また労働者にとりましても、非常に大きな影響を及ぼす問題でございまして、一刻も許すべき問題ではないと私は確信をしておる次第でございます。また、そういった秩序を乱す、しかもそれが暴力において行なわれるというようなことは、これは民主主義社会でございます、断固としてこれは排撃しなくちゃならない問題だろう、こう思っておる次第でございます。これらの点につきましては、やはりはっきりしたけじめをつけましていくことが国鉄再建の一番大きな道であるというふうに、私は確信をしておる次第でございまして、その方面でもって極力御鞭撻いただきまして指導してまいりたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
  99. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 これはせんだっての例の恩赦の問題のときに、行政処分のある分野でこの問題を考えながらある取引が行なわれたということも、私どもの国対ではずいぶん問題になったのですけれども、恩赦という事態ですから、行政処分のある部分が入っていくということも、これ自身は考えられないことはありませんけれども、そういう問題とのかね合いの形でこれを出したり、こういうことがあまり多過ぎるのじゃないですか、いままでの態度として。そして国鉄の中のいまの労使関係の問題にしても、これは単に労使関係の問題というよりは、やはり国鉄当局としての全体の態度が引き締まった態度がないのじゃないかという感じがしてならないのです。  せんだっても私は、国鉄の下請の業者の問題を、ごく抽象的に名前をあげないで取り上げたことがありましたけれども、国鉄には何百、何千という下請、あるいはまたその下請を持っておるわけですけれども、こういう企業との関係、これなんというものは、私はきわめて非近代的な、ことばが当たらないほどの問題があるのじゃないか。そういうふうな全体の雰囲気の中で、いわゆる親方日の丸といいますか、そういうことばではもう当たらないような不当な事態が起こっておるということですから、何らか国鉄の経営に対してはもっと活が入るような措置が必要だと私は思う。そうなると、政府はこんなことをやっているじゃないかと言われると、何ぼ大きな声を出してあれしてもだめなんですから、こういうふうにかなり大きく広がる問題であって、やるべきことはもうきちっとやっていく、政府の責任もひとつとっていくというような姿勢が現在非常に必要な事態に来ておる。これは問題が違いますけれども、反戦自衛官の問題について、あんな明らかに自衛隊法に違反している行為を告発もできないというふうなことでは、これは一事が万事なんです。そういうふうなことの積み重ねがこういうことになっておる。こういうことがそのまま入っていくとろくなことはないのですよ。  ことに今度の運賃の問題については、衆議院でもやったのだけれども、まだ参議院で審議しているところでこういうことをやるということでは、とても運賃の値上げをしたところで国鉄の経営がよくなるとは思われない。かえって悪くなるということすら思わせるような状態なので、ぜひともひとつ格段の考慮をしていただいて、有効な措置をとっていただきたい。ぜひともこれはお願いしたいと思います。  それから、本日の設置法の問題に関連してですけれども、いまの特に航空事業というのは、この十数年のうちに格段の拡大を見たわけですね。現在拡大しつつあるという段階だと思うわけですけれども、私、この質問をするのにいろいろのことを調べたりなんかしておりまして、あの「ばんだい号」の事件が起こったのは三年も前かなと思っておったところが、去年なんですね。しかもまだその原因もさだかになっていない。この一年間いろいろなことが次から次へと起こったので、もう私は、あの事件は三年も四年も前のことかといったような印象を受けたのですが、去年、まだ一年もたっていないというような状態なんですね。こういうことですけれども、こういう状態の中にあるのに、航空会社の問題がどうのこうのということが議論されておるようですけれども、これはどういうふうなお考えでこういうふうな問題が出ておるかということをお伺いしたいのです。
  100. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 航空会社は、いま日本航空株式会社、全日空、東亜国内、この三社が定期航空会社としてはございます。そこで、こういった会社を一方どういうふうに位置づけるかということにつきまして、昭和四十五年運輸政策審議会にかけ、なおかつ閣議了解をいただきまして、大体の形という、ものをつくり上げたわけでございます。それによりますと、大まかに申し上げますと、日本航空というものは国際線と国内幹線をやる会社である。それから全日空は国内幹線及び国内ローカル線をやる。ただ近距離国際線のチャーター航空、これを手持ち機材の範囲において行なう。それから東亜国内航空、これは主としてローカル線をやるのであるが、将来は幹線にも進むことを認めましょう。まあ概略申し上げると、このような趣旨のことが閣議了解の内容であったわけでございます。  そこで、もう一つその際に、東亜国内航空というのは、御承知のように、かつての東亜航空という会社と国内航空という会社、この二つが合併してできた会社でございます。その合併以前には、実は国内航空は日本航空と合併をするというふうな前提でものごとを進めておった。東亜航空は全日空と合併するという前提でものごとを進めておったわけでございます。ところが、先ほど先生からの御発言がございましたように、航空の伸びというものが非常に著しくなってまいりまして、特にローカルの伸びが非常に大きくて、年率三〇%前後、そういう大きな伸びを示してまいりました。かつてはローカルだけではとても航空会社は成り立たないというようなことであったのが、だいぶ事情が変わりまして、四十五年当時におきましては、こういう状況ならばローカル自体でも持続できるだろうというような客観情勢の変更があったわけでございます。そこで、こういう客観情勢の変更というものを受けまして、従来の政策をある程度変更するという意味から、先ほど申し上げました昭和四十五年の新しい政策がきまったわけでございます。その際に、従来、日航と合併することになっておった国内航空がそれをやめ、なおかつ全日空と合併する予定になっておった東亜航空がそれをやめて、国内航空と東亜航空が合併するという事態に立ち至ったわけでございます。そこで、従来、国内航空は日航と合併するという前提におきまして、日航からも相当な援助を受けてまいりました。ところが、政策の変更によりまして、合併を日航とはしなくなったというような事柄がありましたので、合併を前提として行なっておった日航の援助というものは清算すべきであるというようなことが、これまた閣議了解の中にございます。そこで、日本航空と国内航空が合併しなくなったことで生ずる問題の処理については、両者が協議して政府の承認を得る、そういうことになったわけであります。その問題が実は全然お互いに商業上の問題でありまして、清算いたすとしますと、どこをどうするとか、どういう方向にするとか、非常にむずかしい問題でありまして、残念ながらまだ解決はついていないということでございます。そういうことも踏まえまして、新しくそれぞれの会社の位置づけというものをもう少し具体化してまいろう。それからいまの問題もそれと合わせてこれを解決しようということで、いま寄り寄り協議中であるというのが現状でございます。
  101. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 特に航空事業というのは、人の命を扱う問題で、安全ということが最優先的な考慮の対象になるということは当然のことですけれども、いまのローカル航空につきましても、最近、これはいま述べた三つの社とはちょっと毛色が違いますけれども、北海道で横浜のあれが事故を起こした。ローカル航空の問題が野放しになっておるという感じをいろいろな新聞各社は伝えておるわけですけれども、聞くところによりますと、三十数社のそういうところがある。それが十分運輸省の監督の目が届かないという状態があるということは、いろいろな新聞が伝えておるわけですけれども、そういう事態を前にして、まだ去年の事件が起こっていろいろな問題が全然解決していないときに、幹線がどうの、国際線がどうの、分担がどうのということの前に、ローカル航空の問題を問題として、これを解決していくということが中心にならなければならない。私はしろうとだからわかりませんけれども、そういう印象がしてならないのです。また、せっかく初めおきめになった日航と国内航空の合併の問題にしても、ほんとうにのど元過ぎれば熱さを忘れるという感じがするような形で変更が行なわれてくる。そしてまたそれがいろいろな形の利権的な競争があるような印象を持たれる。しかも、一方ではローカル空港は危険が一ぱいだというような状態が現状なわけですね。  こういうことですから、とりあえず、空の輸送の安全という問題、能率化という問題もありますけれども、それは危険が一ぱいなんですから、安全という問題を焦点にして航空の基本的な行政の姿勢をとってもらわなければならぬ、こう思うのですが、大臣、いかがでしょう。
  102. 丹羽喬四郎

    ○丹羽国務大臣 いま御指摘いただきましたとおり、運輸行政全般におきましても、私の就任以来いろいろ事故が発生いたしまして、国民の皆さまに御不安をかけまして、何とも申しわけないと思っている次第でございます。あらゆる面におきまして安全対策が第一。いかに良質サービスを提供いたしましても、安全がそこなわれまして人命に損傷が起こりましては、これは何にもならないことでございます。あらゆる運輸行政の第一は安全対策だということを私は常々強調してまいりました次第でございます。ことに、御指摘がございましたように、民間航空はいまのところ、はなはだ恐縮な話でございますが、率直に申しまして、保安体制がなかなか追っつかぬというような現状のときに、ますますその必要を私は痛感している次第でございます。それをまず第一番に考えて運輸行政全般をやっていくということが私の一番の根本の考えで、いまもそれでやっている次第でございます。路線の問題や何かも、それを踏まえてやっていかなければならぬということを思っている次第でございます。  先般の閣議、私のときじゃありませんでしたけれども、四十五年できまりました内容におきましても、その第一はやはり、航空の安全のためにどうするか、それからその次には利用者の便宜のためにどうするかということが一番のもとでございまして、これを踏みはずしては再編成も何もできない。私ばこういうふうに思っている次第でございます。  問題といたしましては実際いろいろございます。ひどい赤字で苦しんでいるとか、いろいろ問題もございます。それらの点につきましても これは監督官庁として十分考慮しなければならないと考える次第でございますが、しかし、何と申しましても一番のもとはそこでございますので、先生の御指摘のとおりでございますので、その趣旨に沿ってやってまいりたい、私はこういうふうに思っておる次第でございます。
  103. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 確かに、ローカル空港、ローカル線では十分な収益があがらないという見通しが持たれたときがあったわけですね。収益があがらないから幹線の一部に入ってこさせるということも、理屈としてはわからぬわけじゃない。しかし、安全という問題を中心に考えますと、そういうふうに問題を考えるのではなくて、たとえば、日航は国際線という新しい大きな開拓をする国策会社的な要素を持っているから、国が援助をしてやる半分のあれを持っておる。全日空でも、いまおっしゃったような、ある特殊の任務を持っているから、当然に国が援助していいんじゃないですか。東亜国内航空でも、ローカル線という、これまた重要な任務を持っているわけだから、そういう任務を持ったものとして国がこれてに援助をしていく。つまり、赤字だから何とかもうけるような路線をつくってあげなければならないということを考える前に——これはある一定の段階に達した、もう十分だからという場合ならいいですよ。そういうことを考える前に必要な任務をやっている各会社ですから、それに対して、これを開発あるいは一人前にするためには、その時期、国が援助するということだって考えられるんじゃないですか。そういうふうなことも含めて、この会社はこのままでは赤字だからやっていけない、赤字だからまた十分な施設もできない、乗員の養成もできない、だから事故を起こすというような繰り返しという状態の場合には、やはり一定の分野、なわ張りのもとで、分担のもとで、総合的な航空交通体系のもとで、それぞれの任務を持っている会社に対して、それぞれの国としての援助を与えるというようにまず考えてみる。そして、ある一定のレベルに達したときに新しい任務分担を考えるというふうに考えるのがあたりまえのように私は思うのですけれども、この点ひとつお答えいただきたいと思います。
  104. 丹羽喬四郎

    ○丹羽国務大臣 確かに航空事業につきまして国がもっと助成すべしという御議論もございます。しかし幸いにいたしまして、漸次、航空事業というものは軌道に乗りつつある。  いま交通政策と申しますか、運輸政策の問題で一番御論議を願っておるのは、イコールフッティングと申しますか、どのくらいお互いに出した、国が助成したということが、ことにいま鉄道事業についていわれておる次第でございますが、御承知のとおり、国鉄も含めまして鉄道のほうは、ほとんど自己投資でやっているじゃないか。航空のほうにつきましては、停車場に当たるところの空港は、全部国または地方団体の負担である。また、鉄道の踏切その他に当たるような管制官その他は、やはり全部国が持っているじゃないかというようなこと、補修費は要らぬ、こういうような問題がございまして、現に新幹線の運賃、これは私、決して便乗値上げで便乗して言うわけでございませんが、それといまの幹線の航空について比べると、むしろ航空運賃のほうが安くなっているんじゃないか。企業間の問題は別といたしまして、そういう問題もございます。  また、いま航空問題で一番の問題は、保安施設の整備、これは何といってもやらなくちゃなりません。そしてもう一つは、空港周辺の騒音の整備、これは相当費用もかかっておる。しかし、これはどうしてもこれから取っ組んでもらわなくちゃならない大きな問題で、私もいませっかく大蔵省とも強力に折衝している最中でございます。それらの点もございまして、先般も燃料税の新設ということをお認め願ったわけでございまして、これもことごとく航空関係に使うという目的税であるというふうなことでございまして、いま先生がおっしゃったとおり、それでもって直ちにそれに助成をすべきことが妥当であるかどうかということは、まだしばらく検討を要する問題ではないかと思う次第でございますが、先ほど申しましたとおり何と申しましても安全ということをまず第一番に置きまして、その線に沿ってあらゆる問題の処理考えていかなくちゃならない、こういうふうに思っている次第でございます。
  105. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 たとえば日航という会社はもう世界的にも大きな信用を得てきて、もうこれで今後だいじょうぶだという段階になってきた。まあ全般的な航空行政の立場から、日航に対する国の管理というものは必要だと思うんですけれども、一本立ちになるようになれば、財政的援助その他も次第に減らしていってもいいんじゃないか。そのかわり、むしろあまり干渉しないで日航がひとり立ちできるような方向に指導をしていくとか、いまのように、全日空、東亜国内航空という問題が、日本の国内あるいはローカル線の問題で必要であれば、またそれが経理に非常に困っておれば、むしろそのほうに国の援助を差し向けていくとかいうような、もっと弾力性のある考慮をもって——しかし、そうかといって、全体的な国の航空行政をコントロールするという任務は、この仕事の人命の安全性という立場から見て、これは切り離すことができない。そういうふうに問題を考えるべきであって、おまえのところは赤字だからもっともうける線を回してやるからというふうに、便宜的に考えることではない。貨物輸送ならそれでもいいのです。しかし、これは何よりもかかって安全性の問題ですから、かりにある幹線にある会社を入れたところで、安全に対して不安があれば、だれもそういう会社には乗りやしませんよ。そういう問題がありますから、この問題についてはもっと新しいくふうをしていただきたい。また、ああいう事故が起こって一年もたたない時期に、いろんなことをいろんな形で取り上げることは適当でないという感じがいたしますので、この点はぜひ要望をしておきたいと思います。  それから、いま大臣のお答えの中にありました騒音の問題ですね。これは非常に重要な問題なんですね。日本の国内に幾つかの飛行場がありますけれども、ほとんど全部といっていいほど、こういう問題が地方の付近の住民から起こっているということなんですが、これに対して直接の対症療法として、いろんな施設をつくったり、あるいは防音の援助をしたりというようなことをいろいろやっておられるということはよくわかりますけれども、この点について一段と強力に防音の対策を進めていかれることは大事なことですが、一番根本は、何といってもあまりけたはずれた音が出ないようなエンジンを開発していくということです。それで、そういうふうな考え方でエンジンの問題と取り組んでおられるその取り組み方ですね。これは通産省の問題かもわかりませんが、このことについてお伺いしたい。
  106. 山野正登

    ○山野説明員 日本の航空機エンジン業界の現状をながめてみますと、過去十数年間にわたりまして、ライセンス生産によりまして相当の製造技術は学んできたわけでございますが、技術開発につきましては、航空機の先進諸国に比べまして若若劣るところがございますので、わが国の航空機工業をほんとうに国際競争力のあるものに育成していくという趣旨によりまして、昨年以来、大型工業技術研究開発制度、これは通称大型プロジェクト制度と申しておりますけれども、これによりまして、いま先生指摘のような、できるだけ公害の少ない新しい大型ジェットエンジンの開発をしようということで、現在努力をしておるところでございます。その詳細につきましては工業技術院のほうから御説明申し上げます。
  107. 寶金昭造

    ○寶金説明員 それでは、工業技術院の立場で大型プロジェクトのジェットエンジン開発の概要を申し上げたいと思います。  私ども、制度上まず基本計画というものを策定することになっておりまして、その基本計画には、いろいろ開発すべき目標を掲げるというのが一番大きな基本になっておるわけでございますが、その目標に、エンジンそのものの持つ性能と同時に、特に国家として、こういうエンジンの性能を発表する場合に初めてと思われます騒音のレベルの問題並びに排気煙濃度の問題というようなことを特に重視いたしまして、それの国際的な水準なり将来における騒音レベルの程度その他を勘案いたしまして、現在、国際的の最高水準の基準を掲げまして、これを五年間で一応の中間目標性能を達成したいということで鋭意開発をいたしておるわけでございます。  なお、特に騒音につきましては、これは先生も御存じかと思いますが、米国連邦航空局の定めておりますFAA規格というものがございますが、当然それの規格以下ということを目標に置いていることを特につけ加えさせていただきます。
  108. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 昨年、四十六年からジェット機の開発、特に騒音防止というものに焦点を置いた、あるいは公害の問題を考慮した開発をなさっておられるというお考えのようですけれども、これが予定どおりいったとしても約十年かかるということですね。十年かかってなお、現在アメリカの到達している状態にはまだまだだということになると考えてよろしゅうございますか。
  109. 寶金昭造

    ○寶金説明員 現在、正式にきまっております計画は、第一期は五年間、四十六年度から五十年度までの五カ年間でございます。それから、私どもが現在研究しておりますのが、続いて四年間、第二期の計画を考えております。そのときは、推力面からいきますと、十トンないし十五トンクラスという、現在ジャンボジェットに積んでおりますエンジンあたりの二十トンとかなんかに比べますと、推力的にはもちろん小そうございますが、そのエンジンの持つ性能は世界一流のものということで、しかもこの五年間の第一期計画ですでにその基本的なデータその他も十分収得できるという考えでございまして、ただ単に推力だけの比較ではその世界的なレベルというものは必ずしも比較できないとわれ一われは考えております。
  110. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 それはしかしまだ商業ベースで製作できるというものではないでしょう。一つの試験段階でそういう性能を持ったものがつくることができるという形であって、それによって大量的に製作していくという段階を考えると、まだ何年かかるわけでしょう、いまの予想からいっても。そういうものですね。
  111. 寶金昭造

    ○寶金説明員 確かに御指摘のとおり、大型プロジェクト制度によります研究開発の最終段階は、プロトタイプ、原型機までということでございますが、少なくともそれが非常に短時間あるいはそうリスキーでない形で商業化に結べるまでの基礎的データをすべて収得するということでございますので、もちろん商業化に入る前の、われわれの研究開発段階では行なわれていない試験項目もかなりあるかと思いますが、できるだけ短時間、スムーズに商業化にいくような形のデータをできるだけ収集したいというのがわれわれの目標でございます。
  112. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 そのための予算その他はどういう規模になっておりますか。
  113. 寶金昭造

    ○寶金説明員 現在、私ども基本計画で策定いたしております第一期の五カ年間の総予算は約六十七億でございます。それはそれぞれ単年度予算でございまして、昨年四十六年度は一億五千万で大体基本設計その他を中心に行なってまいりまして、本年度は、十二億八千三百万の予算規模で、四十八年度、四十九年度以降は、それぞれの研究項目に従いまして、それぞれの年度ごとに当年度負担を考えておりまして、総額では約六十七億というのが基本計画の目標でざいます。
  114. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 それは一期計画が六十七億ということですか、五年間で。
  115. 寶金昭造

    ○寶金説明員 はい。
  116. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 相当の規模のようにも聞えますけれども、いまのお話を聞いておりますと、やはりこれが商業ベースに乗るような段階になれば、なおあと十四、五年はかかるというふうに考えられるとすると、いかにもおそいという感じを持つのですけれども、こういう問題についての着手が、どうして昨年から研究を始めるというようなおくれることになったのか、これはどういうふうなわけです。
  117. 寶金昭造

    ○寶金説明員 このジェットエンジンの研究開発を進めるべきだといういろいろな方面からの希望は、確かに二、三年前から出ていたことは事実でございます。ただ、私ども工業技術院の立場といたしまして、あるいは大型プロジェクト制度の立場上、いわゆる国民の血税を利用するという観点から、できるだけ事前評価というものをやってまいりまして、この研究開発の五年間の目標がどういう手順でどういう手法であればどの程度開発のめどが立つかということを十分詰めてまいった次第でございまして、昨年発足時点では、ほぼわれわれのいろいろな調査が完了いたしまして、これでいけば十分五年間の最終目標が十分到達できるというめどがつきましたので、四十六年度から予算の手当てをいたしたわけでございます。
  118. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 かつて防衛庁の戦闘機を購入するときに、ロッキードだとかグラマンだとかという議論が大問題になったことがございますけれども大臣、こういう問題を考えるのに、主としてアメリカの航空機会社に依存するという段階だと思いますが、アメリカの航空機会社としては、日本はとてもいい市場になるわけで、この市場を維持するということ、あるいは日本の関係者はそれと話し合いをしているわけなんだから、そういう人たちの意向を重視していくということで、知らず知らずに無意識的に日本でもってこういうものを開発していこうとする意欲をおくらせてきたというふうには見られないですか。あるいはもしそれがあれば今後直せばいいことですけれども、そういう問題はどうでしょう。
  119. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 ただいま先生指摘の点は、つまりユーザーのサイドでもって事を急ぐと申しますか、必要に迫られると申しますか、どんどん外国から入れてくるもので、つい国産のものがなおざなりになりはしないか。特に研究開発の面において、需要のないところになかなかできませんから、そういった意味でおくれるのではないか、こういういまの御指摘だと思います。確かに率直に申しまして、そういうことはあったかもわからない。ただ、われわれの立場から申しますと、やはり現実の問題として航空需要がございます場合に、それを放置するわけにはまいらないわけでございます。したがいまして、国内の生産については十分考えますし、たとえばYS11という国産の飛行機がございましたが、そういう飛行機をつくる際には十分相談もいたしましたし、またそれができ上がった段階におきましては、国内航空は全面的にこれを使うということでやってまいっておりますけれども、ただ残念ながら、もう相当世の中がジェット化いたしました段階におきまして、日本の国産のものができるまでこれを待っておるわけにいかないというのが実情でございます。しかし、ただ先生の御指摘のようなことも十分必要かと思うのでございまして、通産省を主体として今後のジェット機の開発ということは当然お考えになっているわけでございますし、また、いまもお話したように、騒音の少ないエンジンの開発というものもお考えになっておるようでございますから、そういった開発されたエンジンは、当然国産のジェット機にも使えるでありましょうし、そういったものを使用する際に、私どもといたしましても、将来そういったものができた段階におきましては、国内航空に、あるいは国際にもなるかもしれませんが、わが国の航空界としてこれを使えるように十分協力申し上げ、また打ち合わせをいたしまして、国産機の開発に私どもも大いに力を入れたい、こういうふうに考えております。
  120. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 りっぱな航空機を国産で開発するということは国家的な大事業なわけです。私どもしろうとがそばから見ておりますと、運輸省のほうは、いまおっしゃるように、国民の航空に対する大きな需要がある、したがって優秀な飛行機をアメリカから買ってくる、それでやっていけるわけですね。自衛隊のほうも、戦闘機が要ればアメリカから買ってくる。そして通産省のほうは、日本で何とか新しいものをつくらなければいかぬからというので、このほうはまた大型プロジェクトをつくってやっておられる、こういうふうな段階だと思うのですけれども、このあたりで三者は、日本の航空事業のひとり立ちのために、もっと緊密な協力が必要ではないか。私、個々に聞きましたところ、あまりそういう協力があるように思われないという気がするのですが、十分協力はなさっておられるかどうか。
  121. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 私どもといたしましては、民間の航空でございますから、その意味では必ずしも防衛庁との協力ということは言ってないかもしれませんが、現在、通産省でお考えになっておられます新しい航空機の開発につきましては、十分こちらも御相談にあずからしていただきまして、こちらの意見も申し上げ、打ち合わせばしておるつもりでございます。
  122. 山野正登

    ○山野説明員 ただいまの問題でございますが、現在、私どものほうでYS11に次ぎます次の民間輸送機の開発を進めているわけでございますが、これは航空機工業審議会の中に次期民間輸送機開発専門委員会というものを設けまして、この委員会があたかもステアリングコミッティーのような形で進めているわけでございますが、この中にユーザーを代表していただきまして、運輸省はもちろん、日本航空、全日空、東亜国内航空といった各機関の代表の方々の御参加をいただいております。それから別途、私ども事務的に仕事を進めるに際しましても、しばしば運輸省航空局のほうと密接な連絡を保ちながら進めておる段階でございます。
  123. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 この問題は、昨年の自衛隊機と全日空機のあの事故の問題を契機にして、防衛庁のほうはかわいそうなほどたたかれていたという感じが私はするのです。その後いろいろな問題を聞いておりますと、やはり防衛庁の海上自衛隊なり航空自衛隊で訓練した要員が、途中で、あるいは完成した人が、民間のほうに流れておるという実情がありますね。つまり訓練の段階でも、防衛庁の航空あるいは海上自衛隊の人は、ある重要な分担を持っておられるという実情です。自衛隊のほうが人気が悪いからといって、あまり話し合いはすまいという考えは私は間違っておると思うのです。これは一兆円のお金をかけているわけですから、やはり自衛隊のそういうふうな能力もフルに利用すべきだし、また戦闘機なら戦闘機は必要なものですから、そういうふうなものの開発あるいは運営についても、なるべく協力してしかるべき問題である。世評のいろいろな無責任なあれにあまり影響され過ぎる、私はそういう感じがするのです。それは、自衛隊は専守防衛ですから出過ぎてはいけませんよ。やるべきことをなぜやらないとぼくはよく言いますけれども、そういう問題は、特に日本の航空の今後の問題として、やはり三者は強力にあれすべきだと思います。どうもそういうあたり十分に協力ができていない。できていないままで、結局、飛行機はアメリカから買ってくればいい。運輸省、そうでしょう。自衛隊だって、買ってくればいい。通産省のほうは、国内で生産しなければいかぬという声があるから、とにかくゆっくりひとつ研究しよう。これではいけない段階ではないかと私は思うのです。大臣、この問題で運輸大臣は一番責任のあるところなんです。この問題についてひとつ御決意をお伺いしておきたい。
  124. 丹羽喬四郎

    ○丹羽国務大臣 ただいまの御指摘でございますが、私は防衛に用いられる航空機——防衛が非常にあれだからというような考えは全然持っておりません。具体的に申しまして、技術的に必要な面で、お互いにこれから共同すべきものはどんどん共同してやっていく、現に航空管制体制におきましても、防衛庁と一体となってやるべきことが非常に多い次第でございます。それゆえに、私になりましてから、連絡室を設けまして、いろいろなことをやっております。これは欧米どこの国でもやっている次第でございます。保安の機器の問題にいたしましても、たとえば自衛隊におきましてはTACANを使っております。私のほうはVORを使っている。そういうようなのを統合してVORTACを使う。いろいろな問題があります。これは国内でありますが、そういったようなものをみなできるだけお互いに資料を提供して、そしてやっていけるものはどんどんやっていかなくてはならない。航空機製造、これは通産省の仕事でございますが、私のほうから要求すべきものはどんどん要求してやっていかなければならない、こういうふうに考えております。率直に申しまして、いま航空機の問題、ことに騒音問題につきましては、私のほうに参りますのはやはり外国機のほうが先でございまして、たとえばダグラスにいたしましても、ボーイングにいたしましても、今度の機種は十五ホンから二十ホンまで低くなりました。こういうのをひとつ買ってくださいというのが先に来ております。そういうような実情で、どうしても日本のそういった面はいまおくれているのが実情でございますので、いま航空局長が御答弁申し上げましたようなことになっている次第でございますが、将来ともそういったようなものは、新しい機種をつくるというようなときにおきまして、十分これは考えていかなくちゃならぬ、こういうふうに思っておる次第でございます。  また私どもは、何と申しましても、そういったような空港付近の設備、空港の計画が一番の問題だと思う次第でございます。やはり都市計画のうちに空港をつくるという根本を忘れていままでやっていることに問題がある、こういうふうに思う次第でございますが、それともあわせまして、騒音がいかに低い航空機をこれから開発するかということが大きな問題でありますので、その方面も十分研究してまいりたい、こう考えております。
  125. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 それから航空局長さん、最近ニアミスの問題はやはり相当ひんぱんに起こっておりますか。
  126. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 もちろん皆無ではございませんが、一時に比べると少なくなったように思っております。
  127. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 もう一つ、安全の問題として全く別の角度から問題が起こっているわけなんです。というのは、最近のイスラエルの空港の事件は、イスラエルのことといっても日本人がこれをやっているということで、いまだにそういう連絡らしいものがあるような情報が国内にも流れてきておるというような問題があり、一昨年「よど号」という非常に刺激的な事件も起こっている。そういうふうないろいろな問題を考えてまいりますと、また爆弾をしかけたとかいう事件も出ておる。これは大臣、ここらあたりで、鉄道には鉄道公安官というのがありますが、航空関係にも、そういうふうな専門の警備あるいは警察をやる機関が必要な段階に来ているのじゃないか。たとえば、日航が世界じゅうを飛んでおります。各行く先行き先の情報、そういう面での情報というものは非常に不十分な段階になっている。そういう情報を集める。あるいはもう一つは、国内の飛行場における警備の問題があります。あるいは飛んでいる飛行機一台の安全の警備の問題がある。大きく言って三つの分野があると思うのです。情報と飛行場と飛んでいる飛行機の問題ですね。飛んでいる飛行機に対してある日爆弾をしかけたという情報がアメリカあたりでひんぴんとあるようですけれども、そういう問題が起こった場合に、専門家が適切な措置ができるような体制なんかも必要だと私は思うのですね。そういうことも含めて、航空専門の、航空パトロールといえばちょっと語弊がありますけれども、そういうものを警察庁の全般的な取り締まりの一翼か、あるいは別個になっても一つの連携を持ったものとして考慮する時期に来ているのじゃないかという感じがするのですけれども大臣の御所見をお伺いいたします。
  128. 丹羽喬四郎

    ○丹羽国務大臣 具体の問題になりますと、いろいろ問題が起こってくるだろうと思う次第でございます。いまお話がございましたとおり、機長に捜査権を持たせるかどうか。船でございますと船長というようなことでございますが、ああいったような大空を飛んでいる瞬間的なときに、はたしてそこまで必要かどうかという問題もある。それからまた空港の警備をしておる。これは大体空港管理事務所が行なっている次第でございますが、警察と密接な連絡をとってやっておる。この場合にそういったものが必要であるかどうか。具体的な問題といたしますと、日航なら日航の受付の人が大体におきましてチェックする、警察も立ち会っておる。そうすると、日航にそういうものを与えるかとか、こういういろいろな問題がございます。与えることの実際の効果、その反響というものをいろいろ勘案をしていかなければならないと思う次第でございますが、非常に貴重な適切な御提言でございますので、さっそく検討いたしたい、かように思う次第でございます。
  129. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 警察庁の方、お見えになっておりますか。最近の例のイスラエルの問題で、日本とのかかわり合いがいろいろとうわさされておるのですけれども、これはどういうふうなことになっておるのか、概略でけっこうですが、ちょっとお話し願いたいのです。
  130. 鈴木貞敏

    鈴木説明員 お答えします。  私は警備課長で、情報面のほうにつきましては詳しくはあれでございますが、警備局の中の一課長といたしまして、いろいろ漏れ聞いている段階でございますが、新聞紙上に出ておりますように、第四の男とかということで、名前も一部、偽名でございますけれどもいろいろ考えられますが、そういう問題が出ております。それは現地での供述によってそういうことでございます。そういう意味では非常に真実性があるということでございます。また一面、現在、各航空会社等にも怪電話は始終でございますけれども、特に五日から十日までは解放戦線の五周年というような時期にも当たりますし、そういうことで、警察としても時宜に応じて、たとえば先ほど御質問の中にありました「よど号」のハイジャックの三月三十一日、こういう時期にはまたそれ相応に厚くするとか、それ相応の警備体制というものを全国にとりでおるわけでございます。  現在五十九港ございますけれども、もとより大小いろいろでございまして、なかんずくいまの段階では、国際空港を重点にいたしまして、各空港に保安委員会というものが設定をされております。運輸省、税関あるいは入管、警察、こういう関係者がそれぞれ集まりまして、衆知を集めて、先ほどの航空機爆破問題、あるいはハイジャック防止の問題あるいはひいては一般的な空港の治安というような面について、おりおり打ち合わせをし、意思を統一し、また、そういうハプニングに備えて、そごのないようにいろいろ意を用いておるわけでございまして、この時期におきましても、各国際空港においては、そういう保安委員会を早急に開きまして、問題点の解明、改善というようなことを話し合っている実情でございます。  警察といたしましても、そういうことで、全国の五十九港に対して、通常警備では四百名ぐらいを張りつけまして、警戒に当たっているわけでございますが、五月三十一日の段階からさらに約百名増強しております。特に羽田、名古屋、大阪、福岡あるいは沖繩、こういった空港を含めまして、特に厳戒体制で臨んでいるというのが実情でございます。
  131. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 今度のイスラエルの空港の問題が示唆している問題は、ああいう新しい、かなり漫画を思わすような左翼の行動というのは、国際的な状態に広がりを持ってきておるわけですね。しかも、国際的な広がりを持ってくるということは、つまり航空機を主たる連絡手段にするということになる。これは今後次第にそういうようなものになってくる傾向を持っておる。私ども、あの新左翼といわれる、左翼という名前に値しないような暴力的な集団なんですけれども、こういうものが、二、三年もしたら下火になっていくだろうと思ったものが、なかなか下火にならないという理由は、いろいろあると思いますが、大きな変化の時代に即応して気持ちの変化もあるわけで、なかなかこれは根強いものだと見なければならないとすれば、国際的ないろいろなそういうふうな事件が次から次へと起こってくる。日本のそういう人たちとパレスチナのゲリラとはほとんど無関係のような性格のものなんですけれども、これがああいう形で密接に関係してくる。南米にもそういう事件がたくさんある。あるいはアフリカにもある。ヨーロッパにもむろんあるというようなことになると、航空機が舞台になってそういう国際的な連絡が今後ますます行なわれてくるという事態が予想されるわけです。そういうことですから、特に警察機構を拡大するということになりますと、警察というものは国の一つの限界がある。国際警察機構というものはありますけれども、これは間接的なものになる。航空機という実際的な手段は、日本の航空会社なら航空会社が担当している。それでやっていけるという場にあるわけですね。  そういうふうな意味で、航空の分野に関する警備体制、あるいは情報収集体制、あるいは各国々における警察の本部隊との連絡の関係というふうなことを考慮する時期に来ていると私は思うのです。特別の任務を持った機関、その機関は当然国の警察機構の一翼に位置づけられていいと思うのですけれども、特別の任務を持ったものが必要ではないか。そういうものでないと、変化するそういう問題になかなか対応できないのじゃないかというふうにも思われるのです。警察ということになると、普通の国内の警察では、事件が起こってこれに取りかかるという性質のものですね。しかし、この航空の場合の今後予想されるものは、もっと予防的なものが必要になってくる。いろいろな意味から、そういう特殊な任務を持った航空パトロールのような——ことばは変かもわかりませんが、そういうふうなものを検討してみる必要があると私は思う。大臣、ひとつこれは政府全体の問題として至急検討していただきたい。政府は今後かわるでしょうけれども、行政は一貫しておるわけですから、その問題はぜひとも御検討いただきたいと思うのです。御所信をお伺いしたい。
  132. 丹羽喬四郎

    ○丹羽国務大臣 ただいまの問題につきましては、先般ハイジャックの問題につきまして、ハイジャック防止のために国会におきましても御審議を願っておる次第でございます。その条約もお互いにつくっておる。そういうふうなことで、いまのお話、ますますああいったような狂信的な狂暴な犯罪が行なわれがちである、その舞台としては空港並びに航空機といったものが非常にかっこうな場所になっておるということも予想される次第でございます。そういう点でお互いの航空関係の敏速なる情報連絡というものが私も一番必要ではないかと思っておる次第でございます。適切な御提案と存ずる次第でございますので、さっそく検討いたします。それぞれの機関等にはかりまして、そしてまた、国際のいろいろの会合におきましても提案し煮詰めてまいりたい、こういうふうに私は思います。
  133. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 もう一つ、成田空港の問題ですけれども、これは一体いつ開港できますか。
  134. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 成田空港でございますが、実は率直に申し上げましていろいろと確定しない要素がございますので、いつとは申し上げかねるのが実情でございます。  一つの問題はパイプラインの問題がございます。パイプラインはやはり航空燃料を運ぶ重要なものでございます。かりにこれができない場合にタンクローリーで運ぶという方法もございますけれども、これでは相当な数のタンクローリーになりまして、道路をそういった多くのタンクローリーが走ることも問題がございます。やはり成田空港が完成しますまでにはパイプラインというものが完全にでき上がることが必要であろうと思います。そこ七、パイプラインの問題が一つの目安になるわけでございまして、実はパイプラインの契約は七月十五日を契約期日にして、契約は公団のほうでやっております。しかし、その後いろいろなボーリングをいたしましたり、途中引いてまいりますところの地盤その他を見てみますと、若干なりともなかなか困難な場所もあるようでございます。したがいまして、その納期までに必ず完了するかはやや疑問がございまして、やはり八月の半ばごろにはなるのではないかという気がいたします。  さらに、パイプラインができましてもいろいろブラッシングと申しまして、中をきれいに洗浄いたします。そういうふうな操作が必要でございます。これに半月なりあるいは一月なりかかりますから、ちょっとはっきりいたしませんけれども、そうしますと八月中ぐらいはかかるのではないかと思います。というふうなことがまず一応言えるのではないか。  さらに、その後の問題といたしましては、御高承のように平和の塔というのがございます。これはおかげさまで、お話し合いによって片がつき、移転をしていただけるということになっております。ただ、この時期が明確にいつまでということはきまっておりません。それからさらに、御存じのように妨害鉄塔というのが二カ所ございます。これは学生が主としてやっておるようでございます。いわゆるあまり話し合いの通じないような相手ではなかろうかという気もいたします。これをどういうふうにしてまいるかというようなことがございます。いたずらに血を流すことも避けなければなりませんし、かといっていつまでもじんぜん放置するわけにもまいりません。その辺をどうするかという問題がございます。その辺が率直に申しまして具体的にいついつと申し上げかねる状況でございます。  大体こういうふうな状況をお話し申し上げまして、ある程度の目安にしていただきたい。こういうふうに考えるわけでございます。
  135. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 しかしこれは、成田に乗り入れてくる外国の問題もありますので、大体いまのお話聞きますと、そう困難な問題どうしてもむずかしいといったような問題はなさそうな感じがするのだけれども、もうそろそろいつ幾日には開港だという目標を設定する時期じゃないのですか。
  136. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 私も、おっしゃるように、なるべく早く開港の日というものを前広に知らせる必要があると思っております。それは航空会社もそういう希望を持っておりますし、移転をするにいたしましても、あるいは客に対するセールスをいたすにいたしましても、ある程度前広に知ることが必要であろうと思います。そこで航空会社といたしましては、六カ月前に知らしてほしいということを言っておるわけでございます。これもしかるべき理由はございましょうけれども、公団の側といたしましては、当然それは前広に知らせる必要があるが、いま申し上げたようないろいろな特殊の事情がございます。できるだけ前広の期間を縮めていただきまして、航空会社の可能な限りにおいて、たとえば三カ月になりますか、四カ月になりますか、そういった期間にお知らせをするということにいたしたいというふうな考えを持っております。したがって、そういう点につきましていま航空会社と話し合いをいたしまして、最小限一体どのくらいまでにお知らせすればいいのでしょうかというふうなことで現在話を進めておるのであります。いずれにいたしましても、事前の何らかの期間にはお知らせをするというふうな措置をとりたい、こう思っております。
  137. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 現在の羽田は危険が一ぱいなわけですね。私も一昨年、自衛隊機に乗って北海道を視察した際に、あの上で一時間二十分ほどうろうろ回ったことがありましたが、そんな飛行機がたくさんできるとますます危険になってくるという状態です。羽田は危険が一ぱいだ、けしからぬとおっしゃる人が成田では反対するということで、なかなかめんどうだと思いますが、しかしもうこの段階になれば年を越すことはないでしょうな。
  138. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 あるまいと思います。
  139. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 それでは十月一日と大体おきめになることはできないのですか。
  140. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 その辺はちょっとまだ確答を避けさしていただきたいと思います。
  141. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 大臣、どうですか。政治的な判断で見て……。
  142. 丹羽喬四郎

    ○丹羽国務大臣 私は就任当時、千葉県の知事とも打ち合わせ、また公団等とも打ち合わせまして、五月一ぱいで完了、六月開場の目途ということをはっきり申し上げた次第でございます。ぜひともそれでやりたいということで、じんぜんと日を送ってはいかぬということで、いろいろ関係各省にも非常に御迷惑をかけましておわびをした次第でございますが、いま航空局長から御答弁いたしましたようなパイプラインの問題、それからいま一番の問題は妨害塔の問題、これをどういうふうに処置するかということでございます。これらの執拗な妨害工作に対してどういう手を打つかということでございます。あとの点はほとんど問題ないと思う次第でございます。これを何とか早く解決をいたしまして、それでいまの過密の羽田をできるだけ早く解決していきたいというのが念願でございまして、おそくとも年内には必ず何とかしたい、こういうふうにいましている次第でございます。したがいまして、私はもう常に督促をしている次第でございます。一刻も早くそれらの完成を目ざしたい、こういう念願でいませっかく指導している次第でございます。
  143. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 大臣が開港のテープを切るということだとお思いになったかと思いますけれども、あまりこれをおくらしますと、そうして予定の時期を次から次へと延ばされますと、国際的な信用の問題ですね。そのあたりをもっと真剣にお考えになって、とにかくいまの諸般の事情から見て十月一日といえばまだ七、八、九、十と四カ月、三カ月の事前の通告であっても十月一日にはぎりぎりになるということですけれども、十月一日は無理ですか。
  144. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 ちょっと私、無理とも無理でないとも申し上げかねますので、控えさしていただきたいと思います。
  145. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 そういう一つの決断を早く持つようにならないと、国家の権威というもの、意思決定というものが、いろいろなことでこう無期延期されたのでは、これは及ぼす影響が大きいと私は思うのです。話し合いをすることも大事です。流血のような事件を起こしちゃいけません。いけませんけれども、もうここまで来てまだあれがわからないということでは困る人がまた非常に多いのです。あの芝山地区の騒音その他の問題は解決したのですか。
  146. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 いま現地で公団を主体といたしまして騒音委員会というものをつくっております。そこで、各現地の方々にも御出席いただいて、いろいろ御相談をしながらしかるべき方法をとるということが解決しつつあるというふうに考えております。
  147. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 現在の一番大きな問題は航空機の運航の安全の問題であるし、そしてぜひとも解決しなければならぬ問題は騒音その他の公害の問題だということは、万人だれも認めてることでございまして、恒久的な対策というものも必要なんですけれども、とりあえずの騒音対策というものは一段と考慮を示す政治の姿勢をはっきりさせて、しかし、方向としてやるべきことだけはきちんとやっていくということをやっていただかないと、国民は安心できないと思います。特に羽田はもう危険が一ぱいなんですから、いつどんなことが起きるかわからない。せんだっての日航機の問題でも、あれはほんとうに危険一ばいの中で幸運にああいうことになったということでしょう。そういうことですから、その問題は大臣あるいは関係の皆さんの一段の御努力を要望いたしまして終わります。
  148. 伊能繁次郎

    伊能委員長 受田新吉君。
  149. 受田新吉

    ○受田委員 熱心に質疑応答を繰り返されてる過程ですが、最初にこの設置法につきましてお尋ねいたします。  今度の法律の改正のポイントは、航空局に次長を置くということである。その次長を置かなければならない提案理由をいま承っておるのですが、これはいまに始まったものでなくて、もう少し早目に思いついて法改正を提案すべきものではなかったか。昨年の大事件において急に思いつかれたのか。御答弁を願います。
  150. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 航空の需要というものが近年急速に伸びておるということは、御承知のとおりでございます。また航空行政というものが非常に幅広くいろいろな分野に及んでおるということも、御承知のとおりでございます。したがいまして、先生いま御指摘の、次長を置く、これはもっと早くとるべきではなかったかということは当然そうでございまして、私どもといたしましても、もっと早くそういうふうなものをとって、局長と次長とがおのずから仕事を分担いたしまして、分野を分けて仕事をやってまいるということが合理的であろうかと存じます。  ただ、何ぶんにも御承知のように、機構の改正というものは非常にむずかしいことでございまして、ただでさえ機構というのは縮小しているという世の中におきまして、機構をふやすということは実情として非常に困難でございます。したがいまして、おくればせではございましたけれども、今回、次長を置き、なお部も一つふやすわけでございますが、次長も置きまして、仕事の分担をはかってまいりたいというふうなことにしたわけでございます。
  151. 受田新吉

    ○受田委員 この次長は行政職の一等級の対象になるのか、あるいは指定職になるかもしれないのか、どちらでございますか。
  152. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 指定になると思います。
  153. 受田新吉

    ○受田委員 そのワクは人事院で承認がとってあるのかどうか。
  154. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 とれております。
  155. 受田新吉

    ○受田委員 この次長の職権を御明示願いたい。
  156. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 次長が局長を補佐して局務を整理するということでございまして、必ずしもどこどこという分担は法律上明確にはなっておりません。
  157. 受田新吉

    ○受田委員 局長を補佐するだけの任務ということになりますとはなはだばく然としておるのでございますが、航空局には、それぞれ課長も担当者がおられるわけでございますから、何か特別の、こういう場合にはこういう任務をもってやるんだというポイントがなければいけないと思うのですが、局長の職務代理をする権限があるのかどうか、そういうようなことも含めて……。
  158. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 職務代理と申すかどうでございますか、つまり次長職というものは法律——その前に御説明申し上げますと、局の中に部がございます。部が現在監理部と技術部と飛行場部と三部でございますが、今度その技術部を分けまして監理部、技術部、飛行場部のほかに管制保安部というものを設けることになっております。  そこで、その大体を申し上げますと、航空局の仕事はいわゆる監督行政と、それから現場を持っております。管制でございますとか、いろいろな航空保安業務をやっておりますが、そういう現場業務と、大きく分けてこの二つになるわけでございます。この二つの業務というのは、ある程度仕事の性格も違っておりますので、私の個人的な考えではございますけれども、次長を置きました場合には、保安関係と一般行政関係それぞれを、もちろん局長が全部を責任をもって担当するわけでございますが、特にその中の保安部門を責任をもって担当するというふうなことにしたらいかがかというふうに考えておるわけでございます。
  159. 受田新吉

    ○受田委員 局長を補佐する、助けることと、局務の整備という任務があるのじゃないかと思うのですが、いかがですか。
  160. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 おっしゃるとおりでございます。
  161. 受田新吉

    ○受田委員 局にいま三部、今度四部になる。その部長と次長との関係はどうなるか。
  162. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 部長のほうが下でございます。
  163. 受田新吉

    ○受田委員 下ということは、どういう形で下になるわけですか。
  164. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 組織といたしましては、局長があり、その下に各部があるわけでございますが、次長は、局長指示を受けまして、局長を補佐して局務を整理して、その部の事務を行なうわけでございます。
  165. 受田新吉

    ○受田委員 局長が病気で休まれるというときには次長が局長の代理をする、そういうことですか。
  166. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 そういうことでございます。
  167. 受田新吉

    ○受田委員 同時にその次長は、部長を指揮監督する権限があるかどうかですね。
  168. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 ございます。
  169. 受田新吉

    ○受田委員 それは局長の命を受けてやるのか。単独で指揮監督権があるのか。
  170. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 局長の命を受けてということでございます。
  171. 受田新吉

    ○受田委員 これは大事なことなので、確かめておかないとならぬ。そうしますと、上とか下とかという意味ではなくて、部長は次長の部下だと断言していいかどうかです。
  172. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 次長は局務を整理するわけでございますから、部下と考えてよろしいかと思います。
  173. 受田新吉

    ○受田委員 これは職務関係は明確にしておかなければなりませんので、考えているのではなくて、どうだと断言が要するわけなんですが……。
  174. 高林康一

    ○高林政府委員 先ほどお答え申しましたように、「次長は、局長を助け、局務を整理する」、そしてその局にそれぞれまた部が置かれる、こういうことに組織がなっておるわけでございます。  そこで、「局長を助け、局務を整理する」という整理の内容でございますけれども、直接局務を整理するのは当然局長でございますけれども、それを助け、局務全体を整理いたしますために、その局に部が配置されておる、こういうことになりますので、当然この整理の職務の中に、局長を助け、局務——この場合においては三部または四部、こういうものに対しての整理に責任を持っておるのが次長の職務でございます。
  175. 受田新吉

    ○受田委員 次長に、部長を指揮監督する権限ば直接にはないと思うのですが、いかがでしょう。
  176. 高林康一

    ○高林政府委員 局長を助け、局務を整理するわけでございます。したがって、当然責任は局長が持っているわけでございます。それの補佐役といたしまして、整理という面において、次長は、それぞれの各部ないしは局に配属をされたところの庶務に対して、局長を助けるという点において、総括、整理する権能を持っておる、こういうふうに考えております。
  177. 受田新吉

    ○受田委員 課長課長補佐の関係でお聞きしたいわけですが、課長補佐は課長の職務を補佐すると同時に、その部内の係長、そして総括課長補佐と一般課長補佐との関係、そういうものについてはどういうふうに……。
  178. 高林康一

    ○高林政府委員 課長補佐は、当然課長を補佐し、そうして課長がその課の事務を責任を持つわけでございますから、それぞれその課に所属するところの各係に対して、補佐するという範囲内において課長の仕事を一部分担すると申しますか、助けるというようなことで指揮命令関係を持っておるわけであります。総括補佐といいますものも、それぞれ課によりまして、若干やり方は違うと思います。ただ、その場合においてどのような委任関係を持っておるか、それはその課の分掌規定でそれぞれきめておるわけでございますけれども運輸省の実態におきましては、総括補佐といいますものも、その課長の補佐が何人か普通おるわけでございます。そのいわば最上級職としておるのを総括補佐と呼んでおるわけでございますが、特に職名として存在するものではないというのが現状でございます。
  179. 受田新吉

    ○受田委員 そうしますと、局長に対する次長という名称と課補佐という名称と違うのですか。長の字がつかぬことにおいて相違があるかどうか。
  180. 高林康一

    ○高林政府委員 運輸省の組織におきましては、課次長というものは置いておりませんので、具体的にはほかの省にはあるかもしれません。おそらく課次長といった場合に、その課次長と総括補佐というものと、どういうふうに職務分担させるか。もし置けば、それぞれ分掌規定でその任務を規定することになるかと思いますけれども一般的には、総括補佐をも含めた補佐を指揮することについて課長を助けるというのが次長職ではないかと考えております。
  181. 受田新吉

    ○受田委員 官房長という職種は、これは大臣の命令を受けまして部内の事務を掌理なさるわけでございますが、これは大臣の命を受けるということになると、他の局長よりは特殊な任務がおありになるかどうかです。
  182. 高林康一

    ○高林政府委員 大臣の命を受けるという点で他の職種より上なのではなくて、それぞれそれは当然各局の横並びの一つといたしまして官房というものがあり、そこの長として官房長というものがあるわけであります。したがってその大臣の命も、次官を助けるという意味において多少ほかの局と違った色彩はありますけれども、同じ横並びの局の長であるというのが私どもの実態でございます。
  183. 受田新吉

    ○受田委員 他の局の局長は、大臣の命を受けるという規定はないと思うんですがね。
  184. 高林康一

    ○高林政府委員 それぞれ各局長大臣の命を受けて、それぞれの所掌の範囲の事務を遂行する責任を持っておるものでございます。当然その場合に、大臣の命により、いわゆる依命の通達なり何なりを、それぞれの各局長も行なっておるというのが実情でございます。
  185. 受田新吉

    ○受田委員 大臣の指揮に従いというのと、命を受けというのは、どういうところに相違があるのでしょうか。
  186. 高林康一

    ○高林政府委員 この点は、私も指揮に従うということと命を受けるということと、具体的には同じではないかと思いますけれども、ちょっとその辺の文理解釈については、まだ私もはっきりいたしていないわけでございます。
  187. 受田新吉

    ○受田委員 たとえば、各局長大臣の指揮に従って所掌事務を扱うということばが書いてある。官房長は大臣の命を受けと書いてある。官房であるから大臣の命を受けるというかっこうではないかと思うんですがね。
  188. 高林康一

    ○高林政府委員 この運輸省設置法におきましては、大臣の指揮に従い所掌事務に関して各局の長が事務を行なっておるわけでございます。その点で官房も何ら相違はないわけでございます。指揮ということで……。
  189. 受田新吉

    ○受田委員 と、命を受けというのは、どう違うかです。
  190. 高林康一

    ○高林政府委員 この二十一条で「官房長は、命を受けて大臣官房の事務を掌理する」ということでございまして、当然それは大臣官房の事務処理する場合に限定されるわけでございます。「指揮に従い」ということは、実体的にはやはり大臣の命に従ってやるものと考えておりますけれども、その辺の文理の違いについては私も何となくはっきりしない点がございまして、恐縮でございます。
  191. 受田新吉

    ○受田委員 これは指揮を受ける、命を受ける、それなら一緒に指揮に従えばいいわけだし同じような立場で名前が違っているところに特殊の味があるので、御検討を願うことにいたします。  次に、せっかく今度の法改正の主目的が、こうして非常に複雑になってきた運輸行政の中の航空行政に対するウエートを置かれた改正でありますので、私は航空行政の問題についてひとつ質問をさしていただきます。  運輸大臣は、大臣就任以来、非常な熱意をもって体当りで職務を忠実に履行しておられるようです。この点、敬意を払ってやまないのでございます。昨年のあの航空事故の当時も、大臣率先して、被害を受けた方々の処遇についても、非常な熱意を示されておられたこともよく知っておるのですけれども、海、陸、空の交通の上において、空は一番あとからできたお仕事であって、しかも急速に進歩したというだけに、どこかに抜けておるところがある。したがって、この航空行政だけは十分気をつけてやられないと、どこかに抜け穴が生じてくる。  成田空港に例をとらしていただきましょう。成田空港は一体いつ店開きをなさるのですか。いままで六月と言い、あるいは七月と言っておられたようですけれども、どうも六月とか七月とかには店開きができそうにない。いつをめどにしておられるのか、明確な御答弁を願いたいと思います。
  192. 丹羽喬四郎

    ○丹羽国務大臣 ただいま御指摘をいただきましたように、運輸機関における事故の発生が重なりまして、いろいろ国民に御不安を与えまして、何とも遺憾に思っている次第でございます。それゆえに一そう交通の安全対策ということが一番大事でございますが、ただいま先生から御指摘いただきましたように、航空行政、特に保安行政は非常におくれております。私も率直に申しまして、これを認める次第でございます。したがいまして、これをいかに強化するかということが一番の大きな問題でございます。  成田空港の問題につきましても、御承知のとおり、羽田はもうすでに過密化しておりまして、過密時におきましては一時間に三十四回の離発着をする、こういうことでございまして、もうほんとうにぎりぎりの限度にきておる。一刻も早くそれを解消するために、国際空港の成田移管を実現させたい。就任早々、関係機関また地元県知事とも相談をいたしまして、五月完了、六月開場目途ということを一応私、考えまして、そのことを示唆した次第でございましたが、不幸にいたしまして、申しわけない次第でございますけれども、その後いろいろな妨害が出ておりまして、開場には至っておりません。また、こちらの設計の点におきましても、パイプラインの敷設等において設計の遅滞を生じておる次第でございます。それが今日では、八月一ばいに完成するのではないか、こういうようなことでございまして、タンクローリーでもって輸送するということも、今日の道路事情によりまして非常に困難である、こういうことでございまして、相当大幅におくれると思う次第でございますが、できるだけ早くひとつこれを実現させまして、そして国民の負託にこたえたい、かように思ってただいま一生懸命督促をしている次第でございます。しかし、いま、たとえば十月からやるというような目鼻をはっきりきめる段階に、まだ至っておりません。申しわけない次第でございます。しかし、これはできるだけ早い機会に詰めまして、これは関係国もございますし、各航空会社、また輸送事情等もございますので、できるだけ早く明確な線をはっきりときめまして、そして国民の皆さまにもお知らせしなくちゃならぬ、関係方面にも知らせなくちゃならぬ、こういうふうに思っておる次第でございます。
  193. 受田新吉

    ○受田委員 成田国際空港は国際的な視野に立つ拠点でありますから、国際的視野を抜きには成田空港は考えられない。しかるに、六月とか七月とか、いま十月ともなかなか言えないというようなお話で、私としては、開設の時期に非常に不明確なものがあることを嘆かざるを得ないと思うのです。  国際空港であるだけにIATAを中心として、国際航空機関等も関心があるわけです。現にIATAから注文が出ている。いつやるのだ、これに対しては二十四時間全部通じて発着ができるようにしてくれ、同時に騒音防止対策も十分講じてくれ、こういう要望が出ている。これは当然のことであって、あそこで二十四時間という飛行機の発着を自由に認めちということになれば——国際空港ならそうでなければならぬ。夜であろうと昼であろうと着けるようでなければならぬ。夜は困るからということなら国内空港と同じなんです。国際空港じゃないです。それはどうでしょうか。夜とまれない空港で国際空港と名づけることができるかどうかの説明をお願いしたいのです。
  194. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 おっしゃるように、国際空港というものは相当遠くのほうから飛んでくる。しかも各国から飛行機が飛んでくるわけでございますから、二十四時間営業が望ましいことは、これは申すまでもないことでございます。しかし、現実の問題といたしまして、たとえば騒音問題というものがわが国にとっては非常に大きうございまして、二十四時間営業ということは、現実の情勢から見ると、必ずしも可能とは申し切れないということが偽らざる実情でございまして、この場合に国際空港と呼べないかというと、呼べないことはないと思いますが、理想的ではないということはおっしゃるとおりでございます。
  195. 受田新吉

    ○受田委員 二十四時間のうちで飛べない時間があるとするならば、これは国際的な資格を欠いているわけなんです。つまり、いつどこから飛んできても引き受ける体制ができていなければ、国際空港とは言えません。したがって、国際空港と言えないような形で空港の整備を急がれたとしても、店開きはしたけれども夜は飛べませんとやったり、騒音対策もできておりませんとやったんでは、これは私、国際信用に関すると思うのです。日本のレッテルに恥ずかしい汚点をつけると思うのですが、丹羽大臣、御答弁をいただきたい。
  196. 丹羽喬四郎

    ○丹羽国務大臣 いま御指摘をいただきましたとおりでございます。しかし、ただいまの羽田空港も国際空港でございますが、ほんとうはその点ではいけない次第でございますけれども、諸般の事情で騒音対策上、時間の制限をやむを得ずしている次第でございます。いま受田先生指摘のとおり、二十四時間することはもう当然でございます。しかし、いまの立地条件——はなはだ率直な言い方で、私、責任者として恐縮でございますが、率直に申しますと、大体国際空港をつくります場合には、十分な都市計画をつくりまして、その間に空港を持ってくるということがほんとうは必要だったと思うのです。   〔委員長退席、塩谷委員長代理着席〕 それらの点が欠けておったのが現在の実情でありまして、どうしてもやむを得ぬ。しかしいまは、できる限りの騒音対策は、十分そのうちにおきましても講ずる。地元の千葉県も非常に協力的でございまして、騒音につきましてはどうも後手になっておりますが、その点につきまして、たとえば個人住宅に対するところの補償等につきましても、すでに千葉県といたしましては、国がおくれておりますので、めんどう見る。私どもといたしましては、もちろん国でもって負担すべきものは必ずするという約束で、起債も認めておる次第でございます。そういうことでやっておる次第でございますが、ほんとうの国際空港といたしましては、いま先生のおっしゃるとおりでございます。まことに恐縮でございますが、現時点におきましてはやむを得ざる措置といたしている次第でございます。
  197. 受田新吉

    ○受田委員 私がいま指摘したのに対して、大臣のお骨折りにかかわらず、空港行政は一番あとから追っかけていって、しかも急速に伸びた仕事を担当されるだけに、しりがどっか抜けておるということがしばしば起こる。これは私はその一つのりっぱな例だと思う。したがって、空港の整備は急いだ、おぜん立て、ごちそうはできたが、食べたいといっても食べることができないという料理になっている危険があると思うのです。しかし、夜は飛べなくてもいい、また、成田の空港は反対だという航空会社は世界のどこかにあるかどうかも、ちょっとお聞きしておきたいと思う。外国に成田の空港ができることに反対している航空会社があるかどうか。
  198. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 成田の空港に基本的に反対ということは聞いておりません。ただ先ほど先生指摘のように、二十四時間通じて飛びたいという希望は表明されております。
  199. 受田新吉

    ○受田委員 私、成田には、もう一つやっかいなことには、住民の関係があると思うんですね。航空路の一角にこれを妨害する四十メートルから六十メートルのタワーがちゃんとできておる。これは法律によって禁止されている事項であると思うが、どうですか。
  200. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 そのとおりでございます。
  201. 受田新吉

    ○受田委員 それをどうして排除しないのでございますか。
  202. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 法律によりますと違反でございますが、これを当然に排除し得るような規定になっておりません。したがいまして、これを排除しようと思えば、訴訟を提起いたしまして、裁判所の判決をもらって排除をするということになりますので、そういう手続を要すれば今後そういうことに相なるかと存じます。
  203. 受田新吉

    ○受田委員 その訴訟の手続が完成した暁でなければ飛行機は飛べませんね。
  204. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 かりに合意の上で自発的に取り除いてくれるということがないとすれば、そういうことに相なるかと思います。
  205. 受田新吉

    ○受田委員 そうしますと、地元住民の一部にそうした反対態度の皆さんがおる限りは、法律に基づく訴訟の結論が出るまでは、これががんばる限りは飛行機は飛べない、こういうことですね。
  206. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 そうでございます。
  207. 受田新吉

    ○受田委員 成田空港はできたけれども、ものにならぬ、役に立たぬ飛行場ということになったら、これは一体どういうことになるのでございましょうか。
  208. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 お説のように、裁判上はっきりした結論が出ないと飛べません。けれども、やはり緊急の場合でございますから、仮処分を申請して裁判所の仮処分命令が出れば、それによって排除するということは可能であると存じます。しかし、それができるまでの間はやはり飛べないということに相なろうと思います。   〔塩谷委員長代理退席、委員長着席〕
  209. 受田新吉

    ○受田委員 これはなかなかむずかしい問題があると思うのです。だからそういうことは、ちゃんとした準備を十分完了した後に店開きができるような措置をしなければならなかった。私はこの点について、国際的な感覚から見て、成田空港は悲劇の空港になる危険があると思う。現にいまの時点ではもう悲劇の空港になっている。六月に店開きをしたかった、七月にしたがった、現実にできなかったのです。昨年の秋の時点で六月と申されたのは、何とか六月には店を開きたいと大臣は思われたのでしょう。
  210. 丹羽喬四郎

    ○丹羽国務大臣 そのとおりでございます。
  211. 受田新吉

    ○受田委員 お話を進めますが、成田空港を国際線にし、羽田空港を国内線にしようという使用区分を考えておられるのですか。どうですか。
  212. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 そのように考えております。
  213. 受田新吉

    ○受田委員 そうしますと、成田空港のそうした行き詰まりということとあわせて、羽田空港を国内線の拠点にされようとするならば、現実に羽田空港の過密状態から見て、あれはこのままではおけないですね。例のC滑走路に横風のB滑走路がある。次に第三、第四の滑走路がなければ、このものすごい発着をこなすことができないということについては、どう対処されようとしておるのでしょうか。
  214. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 確かに羽田はいま一ばいの状況でございます。ただこれが、成田ができまして国際線が成田のほうに移りますと、年間五万回程度のあきが出てまいります。したがいまして、その範囲内におきましては国内線がふえてまいりましても一応こなせると思いますが、これも遠からず数年のうちにはやはり飽和状態になるであろうというふうに考えられますので、それを考えますと、さらに現在の羽田を、東京都の御了承も得られましたならば、沖合いを埋め立てまして、先生指摘のように、さらに滑走路をふやすということを考えていかなければならぬのではないかというふうに考えております。
  215. 受田新吉

    ○受田委員 羽田空港の飛行機の発着の回数の伸び方、ふえ方というものは、今後一体どういうふうな見通しを立てておられましょうか。
  216. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 ただいま手元に正確な数字を持っておりませんが、大体申し上げますと、先ほど申し上げた五万回と申しますのは、大体数年くらいで一ぱいになるだろう。さらに年々の伸び率が大体二五%ぐらいといたしまして、飛行機の大型化を加えましても大体一五%ないし二〇%ぐらいだと思いますので、数年を経ざるうちにさらに滑走路をふやすというふうなことはやらなくてはいけないというふうに考えております。
  217. 受田新吉

    ○受田委員 国際線の旅客者と国内線の旅客者の数字はどういうふうに伸びるというように考えられますか。大まかでけっこうです。
  218. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 一応、昭和六十年時点を考えました場合に、国際線のほうが約四千万人、国内線が約一億二千万人というふうにマクロ的に見て考えております。
  219. 受田新吉

    ○受田委員 四千万と一億をこえる旅客者をこなすということになると、羽田そのものはもうたいへんなものであって、それを見通してすぐ手を打っておかなくてはならないと思うのですが、東京都知事に埋め立ての協力を要請された、その見通しはどうでございますか。
  220. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 これは実は私、口頭で副知事さんにお願いを申し上げたわけでございますが、現在のところ、必ずしも東京都のほうとしてはよろしゅうございますという御返事はいただいておりません。東京都としてもいろいろな御事情がおありになるようで、いろいろ問題もあるのでというふうなことでございます。なお、私のほうといたしましては十分御説明を申し上げまして、早い機会に御了解をいただきまして、調査その他の段取りを進めたいというふうに考えております。
  221. 受田新吉

    ○受田委員 私は運輸行政上の一番ポイントがここにあると思うのです。これは国際線、国内線のそれぞれ横綱同士です。それをしっかりささえる対策、周辺の環境づくりというのがもう実に残念な現象である。これを何とかしないと、もう羽田の問題の処理だけでも精一ぱい。あなた方のお仕事の中で、そのために疲れ果てて倒れるくらいの御苦労があると思うのです。したがってこれの解決策は、埋め立てて滑走路をふやすと同時に、大型の飛行機をどんどん飛ばすようにしていけばいい。百五十とか二百とかいうのを四百以上のジャンボを飛ばすということになれば、三回分を一ぺんに処理できる。そういうふうな大型化、それから速度を早める高速化、こういうような問題にどう取っ組んでおられるのでしょうか。
  222. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 おっしゃるとおりでございます。これからの需要の増に対しまして、羽田空港の拡張も考えておりますけれども、やはりそう急速にまいるものでもございません。したがいまして、そういう大幅な需要をこなしますためには、やはり航空機の大型化ということが必要でございます。  ただ、航空機は二地点の間を結ぶものでございまして、羽田だけが大型化できましても、その相手方の空港が大型化できませんと、結局大型の飛行機が飛べないわけでございます。そういった意味におきまして、地方のいわゆるローカル空港につきましても、逐次これを大型化いたしまして、ジェット機の入れるような空港にしてまいるという方向で進めておるわけでございます。もちろんこれには騒音問題等もございますけれども、そういった問題につきましても、先ほど先生指摘のような、移転補償指定地域というふうなことも十分考えまして進めてまいりたいと思います。
  223. 受田新吉

    ○受田委員 私のあと、木原さんが御用があるようでございますから、四時から一時間ほど、私の質問を三十分と三十分と前後に分けて、木原さんの質問に協力したいと思うわけなんですが、いまの続きで一言だけちょっと申し上げておかなければならぬと思います。  騒音の対策について、基地周辺整備法というのが防衛庁にありまして、ジェット機の発着の自衛隊の空港の周辺は特別の国家の補償を受ける道が開かれております、防音装置など。ところが、民間機のジェット機の発着についてもこれによく似通った防止法がある。この防止法を成田の場合は一体どういうふうにやられようとするのか。いまの場合だったら、幅が何百メートル、長さが何千メートルとかいうものよりもっと広げないと、成田空港の場合はトンネルが長いんだから、長いのに対しては、この防止法を改めて拡大しなければならぬ。そういう騒音に対する防止法の拡大の用意がしてあるのかどうか。
  224. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 いわゆる騒音の対策の地域でございますが、これは法律ではございませんので、告示で指定することになっております。そこで、成田の場合におきましてはこの騒音防止法が適用になりますけれども、その際のいわゆる地域といたしましては、滑走路の方向で二キロ、横が中心からそれぞれ六百メーターということで、普通の東京及び大阪の空港よりは広くなっております。なお、さらに今後の問題といたしましては、確実なる騒音コンターを出しまして、それに基づいて地域をきめていくべきであろうというふうに考えております。
  225. 受田新吉

    ○受田委員 これは告示で片づけられるということになると、拡大にあたって基地周辺整備法とのバランスの問題がある。これは法律の改正をすかっとやるほうが私は筋が通ると思う。
  226. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 基地整備法も、それからいわゆる航空機騒音防止法も、いま申し上げた地域の範囲に関する限りは告示でできますので、それによって、もちろん防衛庁の飛行場との関連もございましょうけれども、成田は成田における特殊性もございます。大きな飛行機も飛びますし、騒音の範囲も広まりますので、それに従って成田について妥当な地域を告示いたしたい、こういうふうに思っております。
  227. 受田新吉

    ○受田委員 この範囲の拡大とあわせて、もう一つ、周辺の補償についての措置について、千葉県が防音装置について自発的な措置をしておるようです、五十万から七十万程度の。こういうことを地方公共団体にやらせるということは、私は間違いだと思うんだが、もう当然国家がやらなければならない仕事を地方公共団体に押しつけておる。これは大臣の御見解をただしておきたい。
  228. 丹羽喬四郎

    ○丹羽国務大臣 ただいま先生の御指摘のとおりでございます。これは地方公共団体にまかすべきものじゃない。これは法律を改正いたしまして、そうして国が当然その補償の責任を負う、これは当然のことでございます。しかし、御承知のとおりただいま成田開港を急いでおりまして、騒音対策も大事でございますので、千葉県知事とも十分相談をいたしまして、まず先行投資と申しますか、はなはだ恐縮なんですが、一応千葉県においてこれをやってもらう。そのかわり起債は認めまして、これは自治省、私のほう、大蔵省承認の上、これをいませっかくやってもらっておる際でございますので、来年のと申しますか、次の国会におきましてはどうしてもこの法を改正いたしまして、それらの騒音障害による個人の住宅の改造補償につきましては法の改正をいたしたい。もうすでに、せっかく今年の予算におきまして、それらの調査費をとりまして、具体的には通風の問題、防音の問題各、羽田、大阪指定をいたしまして、ただいますでに調査を始めている最中でございまして、必ずこれは実現をさしていく、こういうふうに思っている次第でございますので、御指導をお願いしたい、かように思っております。
  229. 受田新吉

    ○受田委員 質問が佳境に入ったところですが、途中ですが、木原さんにひとつ……。
  230. 伊能繁次郎

    伊能委員長 木原実君。
  231. 木原実

    ○木原委員 それでは、受田委員からも御質問がございましたけれども、騒音の問題を中心に二、三御質問を申し上げたいと思います。  先ほども受田さんから御質問がございましたけれども、成田の供用開始の時期、何かまだ必ずしも私どもにははっきりいたしません。騒音対策の面につきましても、かねて御承知のように、いろいろと政府のほうでも対策を立てているやに聞いておりますし、ただいまもお話がありましたように、地元といたしましても何かいろいろなことをやっておるわけでありますけれども、何かまだ全体としての対策、騒音対策に対してのイメージが、きちっとしたものがつかめてまいりません。そこで逐次お伺いをするわけでございますけれども、成田の場合にまず限定したいと思いますけれども、騒音対策として、空港周辺に対する対策と、それから飛行機の運航ないしは飛行場内部の騒音の規制と、こういうふうに大きく分けられるかと思いますが、その双方につきまして、かいつまんで、政府としては現在のところこういうことを考えている、あるいはまた将来こういうことをやるんだと、ひとつ一度まとめてお示しを願えませんでしょうか。
  232. 丹羽喬四郎

    ○丹羽国務大臣 その前に、ほんとに申しわけない次第でございますが、ついこっちの多忙にまぎれまして恐縮でございますが、特に地元の木原先生、格別いろいろのことを御迷惑をかけておりまして申しわけない次第でございますが、これらの騒音対策につきましてはできるだけ早い機会に、具体的に、少なくとも国会の先生に私どもの対策をこの国会にもちろん申し上げますが、こういうふうにいたしますということを一応申し上げまして、いろいろ御意見も承り、そしてもっと固めてまいりたい、こう私は前から思っておりまして、一ぺんと思っていた次第でございますが、本日までおくれまして申しわけない次第でございます。具体的にはいま局長から御答弁いたさせます。
  233. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 成田の空港の騒音対策でございますが、さしあたり現在といたしましては、航空機騒音防止法に定められた措置をやっていくということが中心になるかと思います。  で、それらの中で特に申し上げたいと思いますのは、まず第一に用地の問題でございます。用地の問題につきましては、その周囲の騒音地区の方々には、なるべく用地を公団で買収いたしまして他にお移りいただく。その際になるべく適当な代替地をあっせん、準備申し上げて、スムーズにお移りいただくというふうなことが一つの大きな方法ではないかと思います。  それから先ほどもお話に出ました防音工事でございますが、これは従来とも、学校とか病院とか、あるいは共同利用施設、こいうったところの防音工事はいたしておりますが、さらに通常の民家の防音工事、これをもやっぱりやってまいりたい。先ほど、これは大臣からも御説明申し上げましたが、本来は私ども国でやるべき、あるいは成田の場合は公団でございますが、公団でやるべきことだと思っております。ただ現在の騒音防止法のたてまえから申し上げまして、これは現在直ちに行なうことができませんので、不本意ながら県のほうにおやりいただいて、将来これはきまったところに従って肩がわりするならするというふうな方向でございますが、民家の防音工事も進めてまいりたいと考えております。  それからさらに、もう少し根本的な問題といたしましては、いわゆるゾーニングの問題があるわけでございます。やはり何と申しましても空港というものは、空港とその地域社会というものが一体となって、共存共栄と申しますか、そういうことをやってまいりませんと、やはり空港の運営自体がうまくいかないという点がございますので、やはり空港の周辺というものを、地域を計画をいたしまして、ここについてはたとえば緑地帯にするとか、この辺は自然を保護するとか、この辺は騒音があってもいいような工場というふうなものを持ってくるとか、この辺からはもう人家は全部なくすとか、たとえて申し上げますとこういったようなゾーニングというものをやりまして、そういう計画以外のものについてはこの中に入れないというようなことを基本的にやりませんと、将来とも空港として地域社会との密着ができませんから、そういった方向を公団も考え、私どももそういった方向で進みたいというふうに考えております。  それからさらに、もう一つ時間の問題でございますが、これは先ほど受田先生からいろいろ御指摘いただきました二十四時間の運用の問題もございましたけれども、やはりそういうことは、私どもといたしましてもやりたいわけではございますが、現実の問題に立ち返ってみますと、なかなかそれはやはり限界があってむずかしいということで、大体、羽田並みに規制をするということが現実としては妥当ではないかというふうに考えております。
  234. 木原実

    ○木原委員 飛行場部長いらっしゃいますけれども丸居さんがいつかどこかの新聞の座談会か何かで、現在の日本の飛行場というのは、プロペラ時代から出発をした飛行場で、必ずしもジェッド時代に対応してつくられた飛行場ではない、こういうような意味の御発言をなさっているのを私は拝見したことがございます。おそらく実情はそうだろうと思うのです。したがいまして、プロペラ機の時代から出発をしてジェットが入ってくるようになった、しかもその運航の頻度がはなはだしく急速にふえてきた、そこで騒音の問題というのが周辺の住民との関係でにわかに大きくなってきたという経過があるのです。先ほどもお話がございました騒音防止法は、いわばそれのあと始末で、あとからそれに対する対策を追っかけているという側面がどうしてもあると思います。したがいまして、それならば、新しい空港をつくった場合には、おそらくジェットなりあるいはSSTの問題なりを踏まえて、当初から騒音という問題についてはかなりな力点を置きませんと、先ほどもお話がございましたように、特に地域社会との共存ということがほとんど不可能に近いような状態でございますね。  私どもも体験をいたしましたけれども、飛行場というのは、考えようによればある意味では騒音公害のかたまりだ、やはりこういう側面がございまして、特に関係をする地域の住民にとりましてはどうしようもない。これはもう成田だけではなくて、他の飛行場等においてもそういう形になっております。特に最近、公害問題が、一般国民の平穏な生活を維持する上において、施策の面においても欠くことのできない要件になってきた、こういうようなことを考え合わせますと、どうやら成田の場合も、何か騒音の問題は第二義的に考えて出発したような感じがいたすわけであります。まあ繰り返しませんけれども、内陸にあのような大きな飛行場ができたということについて疑問を持つわけでありますけれども、実はそういう感じがするわけであります。  そこで、いま概略のお示しがございましたけれども、私は、はたしてそれで騒音対策というものが完成されるものだろうか。つまり飛行場周辺の住民諸君の納得が得られるのだろうかという疑問をいまでも持つわけであります。あとで逐次お伺いをしたいわけでありますけれども。  ただいま飛行場周辺に対する対策のお話がございましたが、現実には、私どもいろいろ当たってみますと、たとえば移転を求める地域でございますね、それなども、いまのところは何かともかくWECPNLですか、新しい単位ができましたね。それの八十五以上のところは云々というようなことがございまして、それに基づいて、たとえば移転を求められている地域、具体的には成田の飛行場の先端に何か部落がございますけれども実情を聞いてみますと、移転をしてほしい、しかし、代替地はひとつ各自さがしてほしい、あと地の利用については協議をしよう、こういうような話なのでたいへん困ったという話が伝わってまいりましたり、あるいは他の部落のほうでは、八十五という単位の線が部落のまん中を通るというようなことで、その部落としては、どうせ移らなくてはならないなら、共同体ですから、部落全部にしてほしいという要望を持っておるのですが、なかなか進行しないというような話なども実は聞くわけであります。そうしますと、対策の中身につきましても、やはりこれはもう少し国のほうで親切な施策のやり方をやりませんと、これまた住民の生活の利害を一方的に追い立てるような結果になりはしないか、こういう感じも抱いておるのですが、その辺のことはいかがでしょうか。
  235. 岩田勝雄

    岩田参考人 公団といたしましては、先ほど航空局長から説明がありましたように、できる限り周辺と空港との共存共栄をはかりたいということで、空港の周辺の地域整備計画というものを検討しておりまして、この三月一つの案を得たわけですが、これにつきましては、千葉県当局とも協議をいたしまして、私どもとしましては、空港を運営いたしますにつきまして、将来とも周辺とできる限り共存共栄の形でいきたいというようなことを目標としましてつくりました構想でございますが、これにつきまして御説明いたしますと、空港及びまたその航空路に直面しております成田市を中心としまして、大体一市十町村が対象になります。そしてこれを大体四つのゾーンに分けまして、そのゾーンに応じて地域の整備計画を進めたい、こういうふうに考えておるわけでございますが、ゾーン一と申しますのは、空港の敷地そのものでございまして、私どもとしましては、空港の施設の計画につきましては、周辺に及ぼす航空機騒音ができる限り少なくなるようにということで、御承知かと思いますけれども、防音林その他も計画しておりますし、またエンジンの試運転場というものにつきましては、消音装置をつけるということを条件としてやらせたい、こう考えております。試運転場の位置につきましても、消音装置の方向その他いろいろ検討いたしまして、空港周辺の三里塚その他の部落に対しましても、一応六十ホン以内になるようなことを目標としまして、試運転場の消音装置を現在計画いたしております。  ゾーン二といたしましては、いわゆる騒音地域でございまして、滑走路末端から二キロメートル、幅は中心線から両側へ六百メートルずつ千二百メートルでございますが、この地域につきましては、御承知のように、御希望の方からは土地を買収しますということなんでございますが、私ども、現在の航空機騒音からいいまして、この二キロ、六百では確かに不十分であると考えております。こういうものにつきましては、環境庁のほうからもいずれいろいろな基準が示されると思いますので、当然こういうものは将来は相当大きく変更されるのではないかと考えております。  ゾーン三といたしまして、滑走路末端から約九キロメートルくらいまでを考えておりますが、幅といたしましては大体約五キロ程度を考えております。そしてこのゾーン三の地域をAとBの二つに分けまして、Aの地域につきましては滑走路末端から約六キロメートル、そしてさらに三キロメートルの分がゾーンBでございまして、大体先ほど先生が申されました騒音レベルWECPNLにつきまして、ゾーン三Aにつきましては大体九十くらいになるだろう、こういうふうに考えておりますが、三Bにつきましては大体八十五程度になるということで、ゾーン三につきましては、いずれにしましても八十五程度が予想されますので、この地域につきましては、移転の希望につきましてはわれわれとしても万全の援助をしなければならない、こう考えております。  そしてゾーン四といたしましては、以上の三地区に隣接する成田市成田市、大栄町、多古町、下総町、神崎町、光町、芝山町、横芝町、松尾町、山武町、富里村の一市十町村になるわけでございますが、この地域につきましても、当然、将来工業化というものが予想されるわけでございますけれども、私どもとしましては、できる限り現存の森林地帯のようなものは残しまして、将来にわたりまして農工混在が可能となるような環境が得られるような計画を進めるべきだ、こう考えております。しかし、こういうような大きな計画につきましては、当然、法的並びに財政的な裏づけが必要になると思いますので、私どもとしましては、運輸省にお願いしまして、関係各省庁にもこの計画の考え方に御賛同をいただきまして、こういうような計画ができる限り早く実現できるようにお願いしたい、こう考えております。こういう計画が進みますと、私どもとしては、空港周辺と空港運営とが何とか共存共栄の形で進めるのではないか、こう考えております。
  236. 木原実

    ○木原委員 ゾーンの話は私も新聞等で拝見をしただけなんですけれども、いまも財政の話がございました。たいへんりっぱな御計画なんですけれども、財政的な裏づけの見通しというのはどうなんですか。これは公団だけの費用ではやれないだろうと思いますし、どうですか。
  237. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 先生指摘のように、ただいまの計画は、公団で一応コンサルタントに頼んでつくったいわゆる図上プランでございまして、それの具体的な財政裏づけ等についてはまだきまっておりません。しかし、私どもとしましては、やはりこれは一つのいいプランでございまして、これに肉をつけてまいるということが今後必要なことではないかと思います。  まず第一に、これはすぐれて地域の問題でございますから、やはり県というものが中心になって、一体どういうふうな配置が一番望ましいかということを地域計画として考えていただく。ただ、もちろんこれは県だけの問題ではございませんで、そこの産業配置その他を考えれば、農林省の問題でもあり、通産省の問題でもあり、自治省の問題でもあり、また建設省の問題でもあり、同時にわれわれの問題でもございます。そういった点で、やはりこういった関係各省が全部寄り集まって一つのプロジェクトをつくっていくというようなことを考えてまいりませんと、しょせん実現できないと考えております。  そこで、これにつきましては、新東京国際空港建設実施本部というものがございますが、直ちにこれにかけるわけにはまいりませんで、やはり事務的なすり合わせを十分いたしまして、ある程度具体的なものを考えてこれにかけるということが必要であると思います。私どもといたしましては、まず県の計画をもとにいたしまして関係各省とすり合わせをして、その際に財政的措置というものもあわせて考えていくということで進めていったらどうかというふうに考えております。
  238. 木原実

    ○木原委員 私は皮肉を申し上げたくないのですけれども、あまりりっぱな案が出まして、地元のほうでは脅威を示しているわけです。銭はだいじょうぶだろうか、あまりきれいなものを出されて、これまた地元負担ばかりかぶさってくるし、図面は示されたが一向できなければ、県は一体何をするんだと責められるし、だからりっぱな計画はいいのだけれども、現実は動いているわけですから、先立つものの見通しをつけてやってもらいたいというかなり切実な声があるわけなんです。そういうことですから、これはおそらく、一つの計画としましては決して否定すべき計画ではないと思うのですけれども、なかなか大仕事だと思うのです。  さらにしさいに検討をすれば、新しく出てまいりました、先ほどもお話がありました、たいへんむずかしいWECPNLの基準が環境庁から示されまして、先ほどの岩田さんからお示しになりましたゾーンの計画をこれに当てはめますと、かなりずれてくる面があるのだそうです。そういうことですし、それから県が持っております農業政策その他の計画ともかなりずれがあります。そうしますと、公団が上のほうから何かつくってきちゃったという感じがして、多少戸惑いを感じておるところもあるようでございます。したがいまして、これらは技術的な問題ですから、もしこの計画をおやりになるというならば、さらに詰めなければならぬ面がたくさんあると思いますが、それにいたしましても、財政負担はただならぬものがあるわけであります。それでもやはりやるという御熱意だけは私ども買いたいと思いますけれども、財政的な裏づけの問題については、計画とあわせてある程度の見通しをつけながらできるところから進めてもらいたい、こういう感じを抱いておるところでございます。   〔委員長退席、坂村委員長代理着席〕  そこで、それにもかかわらずお伺いしたいのですが、先ほどもちょっと航空局長おっしゃいましたが、成田の騒音図といいますか、コンターといいますか、そういうものはできておりますか。私もいままで二、三それに類するような図面等を見た記憶があるのですが、どうも一つ一つ違うような感じがいたします。あらゆる施策を立てていく基礎になる騒音の分布図といいますか、コンターといいますか、そういうものはできているのでしょうか。
  239. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 これは最近、公団のほうで、一定の時点における一定の飛行機の種類、数、そういったものを前提といたしまして騒音コンターを作成いたしました。これはできておるはずでございます。
  240. 木原実

    ○木原委員 できておりましたら、私にも一部いただきたいと思いますが、ただ、そのコンターの基礎になりましたのは、環境庁から勧告のございました、いま私があれいたしましたWECPNLというものを単位にしてやっておられるのですか。
  241. 岩田勝雄

    岩田参考人 ただいま先生から御指摘のありました騒音コンター図でございますが、御承知のように、騒音コンターの表現の方法というのはいろいろございまして、確かに従来、専門家でない地元の方々には、ある程度の混乱をお与えしたことがあったかと思いますが、ごく最近、国際民間航空機関その他、そういう国際的な面でもECPNLというものが一つの基準になりまして、さらにその上にWをつけまして、夜間の頻度といったものをさらにウエートを重くした考え方、こういうものができまして、環境庁といたしましてもWECPNLというものを現在一つの基準としております。  私どもといたしましては、このWECPNLを計算いたします根拠といたしまして、昭和五十一年度におきます航空機の離着陸回数は年間約七万五千回、こういうようなことを想定いたしまして、WECPNLが九十と八十五の線を概略計算をいたしました。正式には現在まだ電子計算機で処理中でございますけれども、私どもが大体算出いたしましたのは、先月の地元におきます騒音対策委員会におきまして資料として皆さまにお配りしてございますので、後ほど先生にもお届けできると思います。  このコンターの基本的なデータと申しますと、先ほど申し上げましたように、年間の発着回数が七万五千回、これは旅客便が五万四千回、貨物便は二万一千回、このように考えております。それから使用機の構成といたしましては、DC8クラスの航空機が四七%、ジャンボジェットクラスが五三%、そして貨物便については、DC8クラスが七五%、ジャンボが二五%、こういうような航空機の使用構成比をもちまして計算いたしましたのが先ほど申し上げました騒音コンター図で、これは騒音対策委員会でも発表したものでございます。
  242. 木原実

    ○木原委員 その飛行場の使われ方等についての御説明もございましたし、コンターの基礎のデータが出たわけてすか、新しい単位——どもはしろうとですから、いままではホンで、五十ホンなら大体こうだという概念でやってきたのですが、このWECPNLというもの、これは国際的な単位として示されたというのですが、これの計算のシートといいますか、そういうものはできているのでございますか。つまり一番大事なこの単位の概念が私どもにはよくわからないのです。
  243. 岩田勝雄

    岩田参考人 ただいまお話がありましたECPNLでございますが、これはいわゆるジェット機になりまして、航空機の騒音が相当振動数の高い音と低い音と一緒になりましたので、単にホンだけでは必ずしも騒音の程度を正しくあらわすものでないというようなことで、その騒音の振動数、大きさ、それと継続時間、こういうものを考えましてパーシブド・ノイズ・デシベル、PNデシベルというものが国際的にもきめられた単位でございまして、これにさらに年間の頻度を加えまして出しましたものがECPNLAさらに夜間と昼間との差を加えましてWECPNLでございますが、先ほど申し上げましたように、電算機で計算をいたしますのですが、御承知のように、航空機が飛びます場合に小型機とそれ以外の航空機とでは、滑走路からの距離が同じでも高度がだいぶ違いますので、大きな航空機はやはりなかなか高度がとれない。それからもう一つ、太平洋を横断するような長距離飛行の場合には燃料をたくさん積みますので、太平洋横断の便の場合と、香港、マニラ、こういうようなせいぜい三千キロ程度を飛ぶ航空機とでは、同じ航空機でも大きさがだいぶ違います。それで全部の場合に、航空機の種類とそれのルート、そういうものを全部考えあわせましてコンピューターで計算をした、こういうことでございます。
  244. 木原実

    ○木原委員 せっかくですが、私もここで承っただけでは、じゃ一体ホンとどれだけ違うのかということがわからない、何しろしろうとなので。環境庁もどういうあれでああいう単位を出してきたのか、これは環境庁、出した大もとに聞かなければならない面が多いのではないかと思いまして、にわかにどうも御説明聞きましても、ああそうかというわけにはまいりません。  ただ、私ども施策を考える場合に、たとえば、この単位でもって、われわれ人間のからだに影響をする、そういうデータはきちんと出るものなんですか。ホンがどういうものか、私も理屈はよくわかりませんが、ホンはいままでの行政上の基準で、その中でも、たとえば住宅地は五〇ホン以下でなければならないとか、その裏側のデータは一応あったわけです。これは新しい単位なものですから、人体についての影響の測定というものは、これできちっとはかれるものかどうか。その辺は、あまり技術的なことは要りませんから、どうでしょう。
  245. 岩田勝雄

    岩田参考人 ただいま先生の御指摘になりましたことは、確かに私も一番むずかしい問題だと思っております。そして当然私どもとしましては、ちょっと逃げるようですけれども、環境庁に、いろいろなWECPNLの数字と、それの対策基準というものを出していただけるものと考えておりますが、私、環境庁の騒音対策関係の先生に伺ったところによりますと、いま非常に困っておられますのは、航空機の騒音と、それ以外の車とか汽車とか、こういうものの騒音との関係をどういうふうにとるかというような点が非常にむずかしいようでございますが、いずれにしましても、こういう数字が騒音の被害度をあらわすのに一番最適な基準であるということだけは、世界各国認められたという点でございまして、この数字がこのときにはこうするというようなことは、環境庁の結論を私ども待ちたい、こう考えております。
  246. 木原実

    ○木原委員 これは、大臣もしくは局長にお願いしておきたいのでございますけれども、私ども舌をかむような単位でなかなか中身もよくわかりません。ただ、しろうととして言えますことは、おそらく航空機の、たとえばジェットの音を測量するというような場合には、国際的な基準の単位としてはたいへん高度なものが成り立つ。またそれが必要だと思うのです。   〔坂村委員長代理退席、委員長着席〕 しかし、国際的な何かの共通の基準にするということは成り立っても、これを今度はわれわれが、その分野ですから、個々の政策を考える場合の単位として、具体的に人体なら人体にどういう形で影響するのかという、何かきちっとした一般基準のようなものがあるならば、すみやかにわれわれにもわかるようなものを出してもらいたいということ。その辺があいまいだと、施策の基準はこういう単位があるとしても、もう少しやはり具体的な単位をとって進めていく、こういうことにしませんと、新しいいろいろなもの、高度な科学的なものが出てくるのはいいのですけれども、そのことによって当面の政策が誤まりますと、これはとんでもないことになりますので、これはぜひひとつ一般基準を、あるものならばすみやかに出してもらえるように、環境庁にも働きかけていただきたいと思います。これはひとつお願いしておきます。
  247. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 よく環境庁とも相談いたしまして、なかなかむずかしいようでございますが、合理的な基準を設定いたしたいと思います。
  248. 木原実

    ○木原委員 その次に移りたいと思いますが、個々のことは申し上げません。ただ一つだけ……。  先ほどのことに戻りますけれども、そういうゾーンの計画、それから当面、移転地域の問題、民家の遮音工事の問題これは千葉県のほうも背に腹はかえられずやっておるわけでございますが、今年度の四十七年度ですが、かなり金がかかるのですね。最終的には千百戸くらいとりあえずやるということなんですが、何かこれの償還計画といいますか、国のほうにかなり何か要請をしたい、こういう気持ちを私どもだいぶ聞いているのですけれども、それについては何か話が進んでおりますか。
  249. 丹羽喬四郎

    ○丹羽国務大臣 この点は、私も再三千葉県の知事と御相談をいただいております。当然のことでございまして、ほんとに地元の県には御迷惑をかけて申しわけないと思っておる次第でございます。その点で、今回の起債につきましても、起債の承認ということは償還計画も含んでおるわけであります。本件は自治大臣、大蔵大臣、私、三人で、首脳でも検討いたしまして引き受けた次第でありますが、それだけでまだ足りない分もあると思う次第でございます。そういう点では地方財政に圧迫を加えない、この点は当然国の責任でございますから、われわれも極力努力いたしまして、御迷惑をかけないようにしてまいりたいと思っておる次第であります。  それから先ほどゾーニングの問題のお話が出ましたのですけれども、当面の問題といたしましては、やはり代替地の適当なところがあるかどうかというような問題、それからいまあげましたところの部落を通るゾーンの問題、こういったような問題の地元との円満な解決をはかることが一番の問題であろうと思っております。そういう方面におきましては、せっかく公団を指導しておりますし、また県にもお願いしておるわけでございます。またひとつ一そう御協力をお願いいたしまして、円満にそれがいくようにやってまいりたいと思っておりますので、ひとつよろしくお願い申し上げます。
  250. 木原実

    ○木原委員 もう一つ騒音のことについてお伺いしておきたいのですが、飛行場内部の規制の問題。羽田並みという御答弁を先ほど局長からいただきましたけれども、羽田の場合もかなりしりが抜けておるという批判もございまして、われわれとしましては、進入角度の問題だとか、幾つか音の規制に役立つような要望もやってきたつもりなんですけれども規制の問題については、羽田並みということの中には、しりの抜ける部分も含めて羽田並みなんですか。
  251. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 しりを抜かさない羽田並みでございます。
  252. 木原実

    ○木原委員 これは受田委員からの先ほどの発言もございますように、国際空港ですから、なかなか時間がずれる場合もかなりございますし、実際問題としてうまくいかない場合もなかなか多いかと思うのです。しかし何にしても、権利として静穏権なんかというものがあらためて問題にされておる状態でありますから、これは他の方面からの要望と逆になりますけれども、ともかくきちっとした形で静穏を守るという観点を貫いていただきたいと思うのです。  それから、もう一つ別の話になりますけれども、空域の設定の問題については、百里の基地の問題下総の基地の問題あるいはまた横田エリアとの関係の問題それからブルー14を少し動かしてもらいたいという要望も聞いておりますけれども、これらは問題ございませんか。
  253. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 ただいまの御指摘の点は、現在技術的な面から詰めておりますけれども、大体におきまして、空域の分離はできると思っております。それで、特に今後、将来の問題といたしましては、羽田と成田、これを同一のコモンIFRルームの中に入れまして、同一のところで管制してまいるということもいたすことによって、安全かつ能率的にできるだろうということでございます。大体見当を持っております。
  254. 木原実

    ○木原委員 これは同時に安全にかかわる問題でございまして、いろいろむずかしい点もあろうかと思うのですけれども、しかし、先ほどのお話ですと、かなりな頻度で大きな飛行機が離発着する、こういうことでございますから、私どもとしましては、たとえばブルー14の問題等につきましても、いつかこれは返還してもらうのだ、こういうような総理の御発言もございましたから、やはりこの際に、かなりむずかしい交渉であるにいたしましても、一度そういう思い切った空域のある意味の整理、そういうものもしてもらいたいと思うのです。特に自衛隊の関係等につきましては、自衛隊のほうの言い分もあるわけでございましょうけれども、しかし原則は、総理の御発言もございまして、民間優先だ、こういう原則が出ておるわけでございますから、その点はひとつ、関係をする自衛隊基地の空域の使用その他についても、少し強い腰でお話し合いをいただいて設定を急いでもらいたいと思います。
  255. 丹羽喬四郎

    ○丹羽国務大臣 ただいまの問題は当然のことでございまして、ことにこの民間航空も発達しておりまして、飛行の機数の問題その他から申しましても、ブルー14ができました当時、また自衛隊機の飛行の方面は、アメリカの管制、あるいはまた自衛隊の管制というものがやっておりましたときとは、全然様子が違っております。その点では、先般の事故以来、私どももアメリカ大使とも接触をいたしまして、その点は強く要請をしておる次第でございまして、十分趣旨についてはわかっておる次第でございます。一そう先生のいまの御指示のとおり強くその点は申しまして、民間航空の飛行の機数に対しましても、比較にならぬほど多くなっておる次第でございます。当然の変更だと思いますので、私ども適正な措置をとりたい。それで、米軍に対しましても、また自衛隊に対しましてもその態度で臨みまして、民間航空の安全をぜひはかってまいりたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
  256. 木原実

    ○木原委員 もう一つ、銚子沖に何か米軍の艦砲射撃の訓練場があるという報道を見たことがあるのですが、これの処理はどうでしょうか。それからあわせて聞きますけれども、銚子沖のレーダーの完成、それから三宅島のVORの完成、この時期は見通しがついておるのですか。
  257. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 ただいま先生の御指摘の点、ちょっと私、手元に資料がございませんので、後ほど申し上げます。
  258. 木原実

    ○木原委員 時間がありませんので、もう一つほかのことを聞きたいのですが、例のSST、問題のものですけれども、これは何か政府としての方針といいますか、対策はもう腹をきめていらっしゃいますか。
  259. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 SSTを根本的に日航で採用するかどうかについては、全然きめておりません。今度、英国政府の強い要請によりまして、デモンストレーションフライトをやりたいということでコンコルドの試作機が近々やってまいります。そういう際に、一応どのようなものか見てみたいとは思っておりますけれども、これもプロトタイプでありますから、でき上がったものがどうなるかわかりませんが、一応の参考にはなると思います。もう一ぺん申し上げますと、基本的にはまだはっきりきめておりません。
  260. 木原実

    ○木原委員 これは、いろいろなプラスの面もあるでしょうけれども、マイナスの面が指摘をされているのは御承知のとおりですし、これがまた別個の大気汚染その他の影響を持つというのは、アメリカのほうでも問題になったことは御承知のとおりでございます。ただ、BOAC等がすでに正式発注をしたとか、ある意味では発注を受ける側からすればかなり急いでおりますし、それから御承知のように、日航のほうでも何機か予備注文といいますか、そういうことをやっておりますし、早晩態度決定が迫られると思うのですが、私ども意見としては、あまりメリットのない飛行機ではないか、こういう考え方を持っているのですが、ここで御答弁を求めるのも無理かと思いますけれども、でき得べくんば内陸を飛ばさないから、日本は海だからすぐ来て、こういうことだし、特に内陸を飛ぶ場合は超音速を出さないからという規定があるから入れるんだというようなことだけでは、ちょっとこれに対して許可を与えるのにはファクターが弱いのではないか、こういう感じを持っておるのですが、きちっとした対策は出ませんでしょうか。
  261. 丹羽喬四郎

    ○丹羽国務大臣 はっきり申しまして、この問題につきまして私は非常に慎重でございます。御承知のとおり、今回のデモンストレーション飛行につきましても、私、非常に慎重でございます。こちらに参りますときにも、超音速は出さぬという条件で一応許可をした次第でございます。また、いまお話のございました、騒音だけでなく大気汚染その他のいろいろな問題をまだ含んでいる次第でございます。また、経費上につきましても、いろいろ問題があるようでございます。私はこれは慎重に対処してまいりたい、こういうふうにただいま思っている次第であります。
  262. 木原実

    ○木原委員 中には、いずれSSTの時代になるのだというようなやや楽観的な見通しから、何か時の流れを待とうというような姿勢もあるやに聞いておりますし、あるいはまた、この飛行機を使うか使わないか。要するに、日航なら日航が使うと言っているのだから、こういって、そちらのほうに何かウエートをかけるといいますか、理由を見つけてというような傾向があるのではないかというような気もするのですが、しかし私は、これはやはり政府の航空行政上のかなり大きな選択判断の問題だと思うのです。したがいまして、いろいろな要素、データがあるわけでありますけれども、この問題については十分に検討されて、そして航空行政のあり方をきめていくと思いますから、相当思い切った御決断を少なくとも運輸省においてなさるように。日航が日航の都合でどうもほしいらしいというようなことでは、ちょっと責任のがれになるかと思いますので、それは大臣の御答弁も先ほどございましたが、政府がひとつ決断をして使用するかしないかをきめるのだ、こういうことで行ってもらいたいと思いますが、いかがですか。
  263. 丹羽喬四郎

    ○丹羽国務大臣 ただいまお話いただきましたとおりでございまして、これは安全上の問題からいたしましても、一般国民に騒音その他の問題等与える影響から申しまして、当然政府でもって判断いたしましてきめるべき問題と私は考えている次第でございまして、そのようにはかりたい、こう思っている次第でございます。
  264. 木原実

    ○木原委員 時間がございませんので、最後に一つだけ問題をお伺いして終わりたいと思いますけれども、これは安全上の問題にかかわるいろいろな問題ですけれども、航空路管制のいわゆる自動化の問題について、運輸省のほうでいろいろとお考えになっていらっしゃるようですが、これはどういうことをお考えになっていらっしゃるのですか。
  265. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 私もあまり専門的なことは存じませんけれども、私どもは、かねがね御説明しておりますように、日本の航空路を全部レーダーでカバーいたしたい。それで、四十九年度いっぱいに航空路監視レーダーというものを北海道から沖繩に至るまで全部整備することを考えておりますが、その際に、レーダーの情報を管制部に入れまして、それを電算処理いたします。そういうことによってその自動化をはかってまいりたいというのがその趣旨でございます。したがいまして、四十九年度に完成いたしますのを時点といたしまして、電算処理計画をつくり、その時点ででき上がったときに管制部で情報を処理する、こういう大体の見当でございます。
  266. 木原実

    ○木原委員 私は、そういう形で管制のたいへん高度なシステムが追っかけていくということは、必ずしも悪いことではないと思うのです。私もしろうとでございますから、私どもの関係で言えば、自衛隊がバッジを入れておりまして、その試運転等を見たことがありますが、あまりそれ以上の知識が実はないわけなんです。しかし、バッジ等とも連動するような——連動というとおかしいのですが、似たようなものじゃないかと思いますが、これは非常に緻密に計算をされたものではじくわけなんですね。ところが、人間の手でやる場合ですと、絶えずそこに何分か何秒かのゆとりを持つという、そういうシステムだと思うのです。だからあまり合理的に緻密にやっておりますと、計算上は間違いがなくても、しかしわずかな差で、非常に密度の濃い離発着ですから、そういう心配も実はないわけではないのです。ですから実は、自動化をそういう形で追求されるということについて、いまにわかに異論を唱える立場じゃございませんけれども、その辺の功罪についてはとくと御検討なさっていらっしゃるのでしょうか。
  267. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 その点も十分考えまして、いわば漸進的と申しますか、そういう角度で進みたいと思います。たとえば、ビデオを送ってまいります場合にも、最終的な形は、いわゆるデジタル化いたしまして引っぱってくるのがよろしいかと思いますけれども、やはり過度的には、デジタル化すると同時に、なまのロービデオを持ってまいりまして、合わせてそれを両方見るというようなこともいたしたい。これはたとえて申し上げた一例でございますけれども、そういうことで、漸進的に進めてまいりたいというふうに考えております。
  268. 木原実

    ○木原委員 聞くところによりますと、関係のコンピューターのメーカー等にひとつモデルを出してほしいというようなことで、何かそれが上がったかどうかわかりませんけれども、そういう場合に、メーカーのほうから、それぞれプランなりデータなりを出させるということなのですか。こちらから幾つかの管制上の基本的なデータなり情報なりというものを踏まえて、それに基づいていろいろなそういうモデルを求めるのか、その辺はどうなのですか、私も詳しいことはわかりませんけれども、業者まかせということじゃないでしょうね。
  269. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 おっしゃるとおりでございます。どういった性能が必要であるか、どういったことに使うかという仕様はこちらできめまして、こういった点を具備するようなものを出してほしいということで、数社に当たるということがたてまえでございます。現実にこれにつきましては、私どもの部内で委員会をつくりまして、そこでもってどういうふうな種類にすべきかということをいま検討中の段階でございます。
  270. 木原実

    ○木原委員 これも私はよくわかりませんけれども、幾つかの段階に分けまして、システムを発展さしていくといいますか、フェーズ1とかフェーズ2とか3とか、こういうことがあるのですが、これはたとえば一番最初が肝心だと思うのですね。次々と緻密にしていくという計画は当然のことでしょうけれども、しかし、最初の仕組みが一番大事だと思うのですが、この最初の仕組みの中でかなりなものがカバーされるというようなシステムなのですか。それとも、最初は何かゆるやかな形でいって、やはり何年かの計画で大きくしていこうということなのですか。
  271. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 私はあまり技術的に詳しくないのですが、フェーズ1と申しますのは、いわゆる運航票の自動処理でございます。これは現実にすでに管制部でやっております。さらにだんだんフェーズ2、フェーズ3に進みますに従って、レーダーと結びつけた自動処理をするということでございます。大まかに申し上げますと、やはり漸進的にする。現在のものが将来のものを規定するというシステムのものではないと思います。
  272. 木原実

    ○木原委員 そうしますと、現在すでに基本的にやっていらっしゃる最初の段階のものでは、フェーズ2、3というようなものはなかなか包含ができない、処理ができない、こういうことなのですね。
  273. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 私はそのように理解しております。
  274. 木原実

    ○木原委員 これは幾つかの計画の見通しをお持ちだと思うのですが、予算の規模についてはどのくらい金がかかるのですか。相当なものじゃないですか。
  275. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 フェーズ2は百二十億くらいだそうでございます。
  276. 木原実

    ○木原委員 その計画の年次計画のような形ですか。たとえば、五十何年ころまでにとか、あるいは六十年ころまでに完成とかという、大体の年次計画はお持ちですか。
  277. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 年次計画にしております。
  278. 木原実

    ○木原委員 私もあまり技術的なことはわかりませんので、そういう形だと思うのですが、いずれにいたしましても、管制の問題は、従来からの幾つかの懸案があるわけでありまして、一方こういう形の機械化といいますか、自動化が進んでいくというのも一つの趨勢だろうと思います。しかし、かなり大きな費用も使うはずでございますし、それからまた、必ずしも機械万能、コンピューター万能で完全な管制が進むとも考えられない要素があります。したがいまして、何よりも求められておりますのは、事故の問題じゃありませんけれども、やはり安全な運航を確保するということが第一義の課題になっていると思います。あわせて、これは騒音等の航空機による被害ともいいますか、迷惑の面もやはり除去していく、そういうことが伴いまして、初めて航空機の公共性のようなものを認められるのじゃないか、こういう感じがいたしますので、その計画につきましては、十分に念には念を入れて遺漏のないように、ひとつはかっていただきたいと思います。これは要望を申し上げておきまして、終わりたいと思います。
  279. 伊能繁次郎

    伊能委員長 受田新吉君。
  280. 受田新吉

    ○受田委員 質疑を続行させてもらいます。航空関係の質疑を続けます。  いま木原委員お尋ねになられたことで、また新しい答弁をもらっておるわけなんですが、航空行政の中で、もう一つ、私、飛行場について、中央の両横綱だけでなくて、地方にも空港整備計画をどう進めておるのかをお尋ねしたいと思います。  いま、ジャンボを飛ばすためには、地方にもこれを受け入れるだけの飛行場がなければならない、関西に国際空港としてどういう計画を進めておられるか、御答弁をいただきたいと思います。
  281. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 国際空港は東京だけでは足りないと思います。そこで関西国際空港でございますが、現在の大阪の伊丹空港、これが国際空港になっておりまして、国際線の飛行機も着いておりますが、そのウエートから申しますと、国内線のほうがはるかに多いわけでございます。そこで、現在の伊丹空港でございますが、これはもう御承知のとおり、飽和状態に近づきつつございます。特にまた、伊丹空港につきましては深刻な騒音問題がございます。  そこで、私どもといたしましては、どうしても何か新しい関西空港をつくるべきであろうというふうに考えております。これは、将来の需要増に備えるために、また伊丹の騒音対策にもかんがみまして必要であろうということでございます。ただ、その空港につきましては、先ほど来るる皆さん方がお話しくださいましたように、騒音問題という非常に大きな問題がございます。したがいまして、新空港をつくるにいたしましても、騒音問題というものがないような空港でなければいけないということが、やはり基本的な前提に出るわけでございます。  そこで、騒音問題がなぜ問題になるかと申しますと、その飛行場の周辺に住宅がある、民家があるというために、いわゆる騒音問題が発生いたしますので、これを解決する一番いい方法はまず立地の選び方、周囲に住宅のないようなところに飛行場をつくることが最もいい解決方法ではないかと私ども考えておるわけでございます。その意味におきまして、新関西空港をつくるといたしますならば、これを海上につくるということが一つの考え方ではないかと思っている次第でございます。ただ、新関西空港と申しますのは、利用者は阪神方面の方々が主でございます。それから必ずしも国際線だけではなくて、やはり国内線もよほど多く利用しないと、特に伊丹との関係でいけない、こう思いますので、そういたしますと、阪神方面からそう時間的に、遠いところではこれはいけないだろうということを考えますと、やはり大阪湾内の適当な場所に飛行場をつくります。埋め立てになりますから、相当経費がかかると思いますけれども、そうすることによっていわゆる騒音公害というものをなくしていくということがやはり必要であるということを考えまして、大阪湾内のいずれかの部分に飛行場をつくっていくということによって、将来の関西地区の航空需要、特に国際航空需要に備えるべきであろうというふうに考えておるわけでございます。
  282. 受田新吉

    ○受田委員 国際的に見て海上につくられた飛行場がございますか。
  283. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 大阪湾内のようなところにできているというものはないかと思います。ただ湖の中へつくったものがあるというふうに聞いております。それから、わが国におきましても、純然たる、それほどの海上ではございませんけれども、現在の大分空港でございますとか、あるいは現在つくっております大村空港、これも海上の空港でございます。それからいまちょっと聞き及びますと、ロンドンの第三空港でございますが、これも海上につくるような計画であるとか聞いております。
  284. 受田新吉

    ○受田委員 これは内村航空局長、航空行政のポイントの座にいらっしゃるわけですから、国際的視野に立ったりっぱな国際空港をつくらなければならない。したがって外国の実態なども十分研究をされる必要があると私は思うのです。私たち何回も外国を旅してみまして、飛行場の置かれている位置、その環境、そういうものが国際空港と名のつくものは一応りっぱです。滑走路などもゆとりがある。その面積などにおいて、東京の羽田などがあまりに幼稚であったことをしみじみ感じている一人でありますが、関西に海上に国際空港をつくれるという計画は、これはなかなかおもしろい計画だと思うのですけれども、それに伴う予算などというものは、これは私は相当なものになると思うのです。そういう予算の用意も一緒にされた研究はされておるのかどうか。
  285. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 おっしゃるように、海上を埋め立てますと、相当なお金がかかると思います。概算でおそらく五千億円ぐらいかかるのではないかと思います。したがって、財源でございますけれども、私どもといたしましては、現在、第二次空港整備五カ年計画、これで五千六百億というものを大体充当する予定にして考えておるわけでございまするが、もちろん、その初めの五カ年計画だけでは全部を食ってしまいますので、当然間に合いません。その中の一部として考えますが、引き続き第三次五カ年計画等におきましてこれは見込んでまいるということで、財源の手当てはできるというふうに私ども考えております。
  286. 受田新吉

    ○受田委員 第二次五カ年計画というものの中にこの国際空港が入るのですか。
  287. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 その一部が入るというふうに考えております。
  288. 受田新吉

    ○受田委員 いまさっき御答弁のあった旅客数の増加率というものを当然研究しておられると思うのです。そうすると、東京の国際空港でとまらないで、大阪の国際空港へ発着してもらうという、つまり東京は使わないで関西国際空港だけで片づけるというような総合的計画がそこに出てくるわけですね。
  289. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 関東方面とそれから関西方面との国際旅客の数が出ておりますので、その数、あるいは傾向等をとりまして、大体、東京方面と大阪方面との国際客の比率を分けまして考えております。
  290. 受田新吉

    ○受田委員 私、それは非常に貴重な計画ですから、ぜひこれは早く実行してもらいたい。日本の国の中に東京しか国際空港がないというようなことでは、これはどこの国を見ても、ちゃんと二つ三つと国際空港を用意しておるわけですから、これもひとつ一緒に並行して計画を進めていただきたい。  そこでもう一つそれに関連するのですが、国際空港に発着する飛行場の中で、国産の飛行機というものも、これはもう当然研究しておられると思うが、GNP、自由世界第二位まで伸びている国が、飛行機は外国のものしか使えないということでは、これは始末が悪いわけです。まあ計画がいささかおくれたせいもありますけれども、YS11という飛行機がすでに先般百八十機ぐらいでき上がったようです。一応これは外国へ輸出しているのも中へ入っていると思うのですけれども、一応日本の航空機生産業というものの権威を示したものと思うのです。しかし今度ここで新しい計画をして、YXをどういうことに計画するのか、この計画がいささかとんざしているという様子を伺っておるのでございますが、日本の航空機生産能力というものは、その技術においても、一応、世界の第一位か第二位にいかなくても、第三位ぐらいまで行ってほしいと思うのです。  私、おととしでしたか、皆さんの前で、特に航空局長お尋ねをした中に、五年前に私マルセーユ郊外でコンコルドの飛行場を見て、ちょうど半分ぐらいできた飛行機に乗りました。なかなかこれは雄大なものだと思った。その英国とフランスの共同合作によるところのコンコルド、これは日本航空も当時五機ほど予約いただいたということで、いまは三機ほど契約されたようですね。この三機がさっそく近いうちにお目見えするのじゃないですか。
  291. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 先ほど木原先生からの御質問でもお答えいたしましたように、仮発注はいたしておりますけれども、まだ最終的に決定したわけでございません。したがいまして、これを本式に採用するかしないかをきめるためには、先ほど大臣からも御説明申し上げましたように、あらゆる角度からこれは慎重に検討してしかるべきものであろうというふうに考えております。
  292. 受田新吉

    ○受田委員 この飛行機は、高速度、ここに一つの味があるわけなんです。そういう意味から言うならば、国際線にはこの高速度のものを当然入れていいわけです。そしてもう五年も前から日本航空と話が進んでおるのに、いまでも結論が出ないというのは、これはちょっとおかしいですね。これは現実にそんなに長い時間かかるはずはないのです。日本の空港の事情などでこれをだめと判断されるなら、もっと早くこれを処理されなければならなかった。一応、約束を実行に移すという形が私は進行していると思っておったのですが、いま途中で退席している間にその論議があったとするならば、私自身がその飛行機に乗ってみて、これはすばらしいんだと思った。その完成したものを、もし運輸省でまだ結論が出ぬとするならば、五年がかりで研究の結論が出ぬ、だめならだめ、いいならいいというのがまだ出ぬというのは、これはちょっと職務怠慢ということが言えると思うのです。
  293. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 日航その他世界各国の航空会社が発注したわけでございますが、これはまだ設計段階と申しますか、ごく初歩の段階において一応順番をとるという意味において発注をした仮発注でございます。現在できておりますのは、まだプロトタイプのものでございまして、騒音につきましても各種の性能につきましても、まだ決定的なものではございません。これからなおさらに改良もされるという性質のものでございます。したがいまして、そういう段階におきましては、これを採用するかすべからざるかということを検討するだけのデーターがまだ不十分であると私ども考えているわけでございます。今後プロトタイプのものが発展して、騒音の問題、その他の諸性能につきましてもう少しはっきりしたものができ、それからなお、諸外国の航空会社がどういうふうな態度をとるか。これは航空会社相互の競争の問題もございますので、そういった問題を考えなければいけないわけでございます。それから一体コストが幾らであるか。コストが非常に高いと私は思います。といいますのは、スピードは速いけれども、お客の数が非常に少ない。おそらく座席当たりのコストからいけば、現在のジャンボなんかよりもはるかに高くなるのではないか。そういった高いものを高い金を出して運ぶだけの時間価値というものがあるかどうか、こういった点も考え−なければいけませんし、先ほど申し上げたように、競争という条件から見て、ほかの世界の会社がどういうふうに動くかということも考えなければならない。そういったこともさらにこれから検討いたしまして、その上できめるべきではないかと私は考えておるわけでございます。
  294. 受田新吉

    ○受田委員 YXの構想を一応伺いたいと思います。工業の審議会で答申も出ていることなんですが、騒音ということは、日本の場合は特に騒音の少ないものということを考えなければいけない。また速度の問題から乗客の数、一応答申などを拝見すると二百人から二百五十人ぐらいというような、ちょうどジャンボへ行く過程の大きさくらいのものというようなことのようですが、そういうようなものを一応考えておるのか。YS11の次には、技術日本として一体何を夢見ておるのか。そのくらいの夢は一応持っておられるし、それを実行に移す夢を用意されておると思うのですが……。
  295. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 YXの製造でございますが、航空機の製造は通産省でやっておりますので、私どもといたしましては、ユーザーの立場から、これに対するどういうふうなものが望ましいかという御要望は申し上げているわけでございます。  その意味から申し上げますと、私ども考え方は、現在、わが国の飛行場の整備、これは幹線空港を除きましては大体二千メートルないし二千五百メートルぐらいで整備したらどうかと思っております。と申しますのは、現在の727あたりが大体そのぐらいで飛べるだろうということでございまして、現在使っておる727よりも性能のいいもの、コストの安いものということがやはり必要なわけでございます。換言して申し上げますと、お客の数がもっとよけい、先ほど先生がおっしゃいました二百五十人前後と申しますか、二百五十人ないし三百人、そういったもの。一方エアバスというものができてまいりまして、三百数十人というような数も出てまいりましょうが、エアバスまでは至らない、現在の727にかわって、もう少し大きいようなもので、コストが安くつく。騒音の点について、御指摘のように低いものでなければならない。こういったものを、私どもといたしましては、ユーザー側からの要望として御要望申し上げておる次第でございます。  開発状況その他については私どもちょっとつまびらかでございませんので、……。
  296. 受田新吉

    ○受田委員 これは開発計画と、それを乗りこなす側と因果関係が濃厚なわけです。こういうものをつくってほしいというのは運輸省から十分申し入れなければならぬわけです。日本の空港の実情、環境、気象、そういうところを勘案して、かかるものがほしいというのを注文しなければいかぬわけです。実際それを飛ばすのは運輸省が飛ばすのだ。そこで、いずれにしてもそういう次の計画を早く進められるように私は要望すると同時に、これを受ける地方空港の整備ば、小さな空港、第二種、第三種空港に至るまで行なう。少なくとも、これから空の旅というものは、隣へ行くような軽い気持ちで、飛行機に乗ることをおそれる人間がほとんどおらなくなったのだから、勇敢にこの空港整備は前進させる。そのための経費というのは一体どういう準備をされているか。いまの五千億というようなもので地方空港も全部入るのかどうか。第二次の地方空港整備にはもっと大きい金額が要ると思うわけです。そういうものに対して第三次への期待というところで押えておるのか、あるいは別にどこからか、地方の負担も期待しながらその予算を考えておるのか。
  297. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 先ほど申し上げました第二次五カ年計画、これは四十六年から五十年までの間でございます。これを大体五千六百億というふうに押えております。これは整備費でございます。この五千六百億と申し上げますのは、ある意味では財源を考えた額でございます。いままでの五カ年計画は、ややともすれば一応必要性だけが出てまいりまして、必要性からいえばこれだけ要るんですという額でございましたが、私どもの今度の五カ年計画は、それでは単に絵にかいたもちになってしまって実現ができないだろうということから、財源にまで及んで考えて、これなら実現可能であろうという額が五千六百億でございます。  と申しますのは、先刻御承知かもしれませんが、航空というものは、イコールフッティングその他の議論もございまして、受益者負担制度というものをやはり大幅に取り入れるべきであろう、そういうことによって真の航空の発展が望み得るのであろうというような感じが私どもはしているわけでございます。そういった意味から、あるいは航行援助施設利用料でございますとか、このたび航空機燃料税というような新しい財源を——従来からも着陸料というものも取っております。そのほかに一般会計からの繰り入れもございますけれども、こういったものも合わせまして、実現可能な範囲が五カ年で大体五千六百億、維持費を加えますと六千億以上になります。そういった額でございますので、この中でやはりやってまいりたい。  この中で、一般空港の整備といたしましては大体一千億ちょっとございます。これは、羽田とかなんとかというものを除きましたローカル空港が、大体一千億ちょっとかと思います。これにつきましては、いわゆる空港の保安施設は除きましての額でございますから、相当程度ローカル空港も整備できるのではないかと考えておるわけでございます。
  298. 受田新吉

    ○受田委員 民間航空が自衛隊の飛行場を利用する、それから自衛隊もまた民間空港を利用させてもらうという相互乗り入れの方式、これは十分利用すべきだと私は思うのです。千歳、丘珠、八戸などがそういう方向に行っておる。岩国なども広島と比べたら気象状況などは調子がいいんです。広島は霧がかかっておっても岩国は晴れておる、そういう調子のところでございますから、自衛隊あるいは米軍の用いておる飛行場を民間機が共用する、また民間空港に自衛隊が宿借りするというように、せっかくできた空港を最高度に利用する。一日に何回かしか、わずかな発着しかないような民間機などは、思い切って自衛隊機の発着空港を利用する、全面的にそういう方向へ進めていっていいと思うのですが、どうでしょう。
  299. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 確かに一つの御説であると思います。いわゆる共用飛行場につきましては、現在千歳、札幌、小松、徳島、美保、八戸、三沢等がございます。先生おっしゃいますように、お互いに発着回数の少ない場合には、物理的にお互いに余っているものを使うという意味におきまして、安全が担保できる限りにおいて共用すべきであろうと思っております。しかしいだんだん数が多くなってまいりますと、お互いに機能が違うものについてはやはり分離したほうがいいのではないかということも考えられます。しかし、おっしゃるように、数の少ないうち、共用できる間は、物理的に可能な限り、安全な限りにおいて使うべきだろうというふうに考えます。
  300. 受田新吉

    ○受田委員 私、おととしと思うのですけれども、もう一つ提案したことがある。それは貨物の飛行機、これの空港というものが貨物ターミナルという形で、関東にもどこか適当なところ、関西にも適当なところに置かれてしかるべきだ。ヘリポート、個人のヘリコプターが発着する飛行場も、認可は飛行場として運輸省がなさるのですけれども、こういうものもだんだんとふえてくると思うのです。自家用機というおもしろい夢を持っている、そういう趣味のある人がだんだんふえてくるし、そうした意味の飛行場というもの、貨物ターミナルまた貨物単独の空港、そしてヘリポートあるいは一般自家用機の飛行場というようなものを、申請があればたいていこれを認めておるのか。審査を厳重にしておるのか。また、貨物ターミナルあるいは貨物空港というものの計画があるのか。これもあわせて一緒にお答えいただきましょう。内村(信)政府委員 まず、個人の飛行場のようなもの、小型機用の飛行場、こういったものは、申請があれば、特に飛行場の管制区域との重複がないというふうなことで危険でない限りは、認めておるつもりでございます。  それから、問題になりました貨物専用空港という問題があろうかと存じます。これにつきましては、航空貨物はやはり相当な勢いで伸びておりまして、特に国際航空貨物というものの伸び方は相当著しいし、傾向としては今後ますます伸びるだろうというふうな感じがいたします。マクロにとらえてみますと、昭和六十年度で約五百万トンぐらいにはなろうかというふうな一応の試算もございます。そこで、そういうふうな暁におきましては、やはり貨物専用空港というふうなものもあるいは必要ではないかというふうに考えております。そのときの専用空港と申しますのは、やはり航空貨物というものの特性からして一つの型がきまってくると思います。したがいまして、たとえば、現在、海におきましても臨海工業地帯というのがございまして、港のそばに工業地帯というものがある、港と工業地帯が一体となって発展していくという形があると同様に、やはり航空適性貨物というふうなもの、あるいはそういったものをつくる航空適性貨物製造工場と申しますか、そういったようなものが付近にあり、貨物空港を中心としてそういった地帯ができていくというようなことも、将来の問題としては考えられ得るのではないかというふうに考えられます。しかし、これは何ぶんにも相当先の問題でございまして、特に現段階において見ますと、ジャンボになりますと、ペリーという腹に抱く量が相当ふえております。キャパシティーがある。したがいまして、ジャンボで運ぶ限りにおいては、旅客と貨物と混用、一緒に運ぶということが現実の問題としてやはり相当多く出てくるようでございます。そういった段階におきまして貨物専用空港というのはやはり無理ではないかと思います。したがいまして、将来の問題といたしましては大いに必要性がありますし、また、そういったことを研究されている向きもあるようでございますが、まだ現実の申請という段階ではございません。
  301. 受田新吉

    ○受田委員 国際貨物輸送の問題についてちょっと触れたいのですけれども、アメリカとの間で、ニューヨーク、サンフランシスコ、ロスという町にしか日本の飛行機は乗り入れができない。ところが、いま鉄鋼とか油とかについては船でなければ輸送できませんが、その他自動車関係の部品などというのは当然飛行機で運びができるわけなんです。ところが、アメリカの五大湖周辺というようなものは自動車工場がずらりと並んでいる地域ですが、ああいうところから部品の輸送などをするのに、シカゴという五大湖の拠点の町へ飛行機がとまれないばかりに、ニューヨークまで行って、ニューヨークから五大湖周辺から運んだ自動車の部品などをこっちに持ってくる、こういう回りくどい方法しかとられていないのです。どうですか。サンフランシスコ、シカゴ、ニューヨークという、そうした航空協定を一歩前進して結べませんか。そうむずかしい問題じゃないのですが、これはむずかしいのですか。
  302. 丹羽喬四郎

    ○丹羽国務大臣 この問題は、確かに航空の日米間の権益均衡の問題からいたしましても、私は、当然主張すべき問題だということで、実は先般、昨年の九月の末行なわれました日米経済貿易合同会議に私も出席いたしまして、総会におきましても、私はこれを強く主張いたしました。御承知のとおり、あそこは外交方面になりますと国務長官の所管になります。総会で私は強く主張いたしました。会議録にもちゃんと載っておる次第でございます。また、これは協定になりますると運輸長官の所管ではございませんが、運輸長官と私がお互いの会談を持ちましたときにも、そのことを航空行政をあずかる運輸長官としても強くひとつ国務長官に言ってもらいたいということを要請をしておる次第でございます。その後また、たしかサンフランシスコでございますが、日米の両方のワーキンググループの会合におきましても常に主張さしておりまして、ぜひこれは実現をさしたい、当然のことと思って私は主張し続けている次第でございますが、これはひとつ強く主張いたしまして、早期に実現を見たいという意思に変わりはございません。せっかくいまやっている次第でございます。
  303. 受田新吉

    ○受田委員 これは早く実現するための努力を、大臣自身がいまそうしたお骨折りをしておられるようですが、こういうところで一歩ずつ点数をかせいだほうがいいです。これはもう非常に効果があがってくる。また、向こうさまだって日本に利益を与えるだけでなく、向こうもプラスになるわけだ。こういうことは、相互のしあわせのための問題は、もうすかっとやっていただいて、大臣の実力を御在任中にひとつやっていただきたいものです。まだ御在任は相当あるかどうかなんですが、次期内閣にも御在任に相なるということになればなおいいと思うのですけれども、ひとつぜひがんばっていただきたい。  それから、私もう質問を締めくくっていきたいのですけれども、次の問題で、いま海員ストが五十日以上も続いておるという。こういう長いストライキはいままで歴史上あったのでしょうか。ないでしょうか。
  304. 佐原亨

    ○佐原政府委員 全日海のストでございますが、昭和四十年当時かなり長いストが一度ございまして、これが記録によりますと三十六日でございます。今回のストは、戦術は徐々に非常に強化されてきておりますけれども、初めてストに入りましたのが四月十四日でございますので、今日まで約五十日余り経過したわけでございます。
  305. 受田新吉

    ○受田委員 このストライキがなぜ早く片づかないのか、どこに禍根があるのか、御答弁を願いたいのです。
  306. 佐原亨

    ○佐原政府委員 当初、全日海の要求がアップ額で二万二千円程度からスタートしておりますが、現時点に至りましては、先月の十三日でございましたか、漁船のほうの妥結が行なわれまして、現在では全日海はこの漁船並みあるいは漁船プラスアルファというところまで要求を下げてきておりますけれども、船主のほうが先生御存知のように、昨今の海運の不況を控えまして非常に支払い能力がないというところで、双方の主張にまだかなり開きがありまして、それがストを長期化させておる原因であろうかと存じます。
  307. 受田新吉

    ○受田委員 船主の代表者が運輸次官のところを訪問して陳情されたと聞いているが、これは事実ですか。
  308. 佐原亨

    ○佐原政府委員 陳情ということではございませんので、双方の開きがかなりある、船主経済の苦しさを訴えながら、ある程度長期化するのはやむを得ないということを報告に参った、こういうことでございます。
  309. 受田新吉

    ○受田委員 これは組合の側がその姿勢を変えない限りは、船主は一歩も退かぬというふうな意味を含んでお話があったかどうかです。
  310. 佐原亨

    ○佐原政府委員 そのとき船主が声明書を持ってまいりましたけれども、一応表向きを言いますならば、やはり支払えないというのが理由でございまして、組合の体質問題、いろいろことばの端々には出ておりますけれども、それは正式にはやはり払えないという言い方でございます。
  311. 受田新吉

    ○受田委員 この問題は、私、率直にお尋ねしたいのですけれども運輸省の姿勢そのものにやはり大きな問題があると私は思うのです。先般も、わが党の和田春生君からも運輸委員会質問をしたお話を承っておるのですけれども、当日、大臣も御不在の趣で、当局の誠意というものを見ることができないという述懐が和田君からもあったわけでございますが、私、一番大事に考えておるのは、一般の労働組合の皆さんであるならば、労働省というお役所があって、これが労働問題として常に尽力してくれておるわけなんです。ところが、法律に基づいて、海員組合の場合は、船員局が中心になって運輸省がこの労働組合の調整その他の任務に当たることになっている。いわば運輸省は海員組合から見たならば、これは船主から見ても同じことですが、これはもう明らかに海の労働省、こう言っていいと私は思うのですが、間違っていますかどうですか。
  312. 佐原亨

    ○佐原政府委員 御指摘のとおりでございます。
  313. 受田新吉

    ○受田委員 そこで、海の労働省として、労働組合の立場も考えたりっぱな解決に尽力をしてくれなければならぬわけでございますが、法律の規定を拝見しますると、もちろん船員労働委員会の所掌事項がある。しかしながら、この運輸省の船員労働組合に対する態度というものには、常に愛情を持って当たらなければならぬ諸規定がずっと出ておる。これは大臣、あなたも、そのことについては、非常に人道主義者で、また筋を通す人でもあるし、働く者を十分心得て守ろうとする意欲に燃えておられる方であろうと思うのですが、五十日をこえる未曽有の長期ストが依然としてまだ解決のめどがついていない。これは私、残念なことだと思うのです。海運行政上の大失敗であると思うのですが、どうでしょう。
  314. 丹羽喬四郎

    ○丹羽国務大臣 確かに五十日もこす罷業でございまして、まことに運輸行政の担当者としても残念に思っている次第でございます。実は全日海の総会にも私、出席をさせていただきまして、いろいろお立場もわかっているつもりでございます。しかしながら、何と申しましても、まあこのことは、具体的に申しますると、労使双方の不幸でもございますし、日本経済から申しましても、ことに外航船の問題においては、せっかくのそういったような、いろいろ輸送機関を外船にとられるというようなおそれも非常に出てくるということで、私も実は非常に憂慮をしている次第でございます。しかし、まあ何と申しましても労使双方の問題でございます。一次的におきましては、お互いに労使双方が話し合いにおきましてきめることが一番望ましい。しかし、それがなかなかできません場合には、あるいはまた船中労があっせんの労をとる。あっせんがいけない場合ば、これまた職権仲裁もやむを得ぬ。こういうあれになってくる次第でございまして、その点につきまして、もう私も連日、次官、船員局長、海運局長を招致いたしまして、事の成り行きを非常に憂慮いたして、いまやっている次第でございますが、御承知のとおり、両方ともまだその本来の機がいまのところ動いてきていないような実情でございます。  一面まあ内航のほうの組合におきまして妥結を見た一つのあれもございます。御承知のとおりでございますが、これはまあ非常に小型組合のあれでございますが、漸次動いてきている。船中労におきましてもいろいろの示唆をしている次第でございます。私の志といたしましては、できるだけ、一刻も早くこの両者が妥結をいたしまして、そうしてこの円満な解決ができるように、これからもあらゆる努力を続けるつもりでございます。ただいまのところ、私がすぐ表面に出るかどうかということにつきましては、ただいまいろいろの機を見ているところでございます。現段階ではこれが私の御答弁できるところでございます。
  315. 受田新吉

    ○受田委員 大臣にこの争議にみずから介入せよとは私は申し上げていないわけです。それぞれの手続問題もあるわけです。ただ、船主側の皆さんは、次官のところまで直接話し込みに来ておられる。それを静かに聞いて、組合に対する心づかいなどが抜けておるというようなところなどを見ると、何だか船主側の手先であって、組合の皆さんのほうに対してはそっぽを向いているような印象を、考え方によると受け取れぬことはないようなかっこうなんですね。それで、私は特に内航船舶の皆さん、船主の皆さんともよくお話をしておるのですけれども、内航船舶の皆さんの場合には、これはもう船主も船員もみんな苦労している。これは何かもう少し内航船舶やあるいは中小船主などの立場も——これは同じ船主とはいいなから、内航船舶というのはちょっと変わっていますよ。内航船舶のほうも経営が苦しいのは私はよくわかる。組合の皆さんだって、それに対してあまり無理なことは言えないという気持ちも十分わかっておると私は思うのです。そういう意味では、内航船舶の船主たちに対しては、何かの方法で船の建造に関する利子の補給をするとか、何か適切な措置をとってあげて、内航船舶が十分採算が合うところへ配慮してあげるというような心づかいは運輸大臣としてしていただかなければならぬと思うのです。これは外航船舶と性格が違いますよ。これは全く労して得るところなしというようなかっこうになっておる。そこに勤務をする船員たちも、船主の苦しいことを知っておって、またこれを大いにいじめねばならぬというつらい気持ちも私はよくわかっておるのです。こういう内航船舶及び中小船主に対する配慮を一体どういうようにされようとしているのでしょう。
  316. 丹羽喬四郎

    ○丹羽国務大臣 内航船舶につきましては御承知のとおりでございまして、ことにそのうちの、御承知の、今回妥結しました八割というものは、ほとんど個人企業というようなところでございます。いろいろ御苦労もある。それで、私、非常に不況下でございまして、いろいろ貨物の輸送の減退等もございまして、そういう点につきましては、やはり係船あるいはまた解撤等の点につきましては所要の措置を通じまして、極力そういう方面におきまして政府として協力を申し上げられるところはやっておるつもりでございます。さらにそういう方面は十分強化をいたしましてやっていくつもりでございます。
  317. 受田新吉

    ○受田委員 海員組合というのは、生産性を向上する、労使一体のかっこうで組合運動を進めるという自由と、民主という立場を十分尊重する組織です。しかも家族を故郷に残してみずから外海に、七つの海をかけ回って、国際的にもたいへんな苦労をしてくれる諸君が船員組合の構成員ですね。そうした組合の性格、その組合の持つ独特の立場というようなものを十分考えて、国際的にも問題の多いこの問題の処理に、運輸大臣として大臣御自身か、もうできれば直ちにこれに対して——直接争議に介入せいという意味ではなくて、愛情のある心づかいを、船主に対してもどの線かで投げかけていただきたい。また組合の皆さんに対しても、組合員のこの苦労を十分愛を持って、その船員の大衆のおやじという立場から、この問題の処理に十分な熱意を持っていただきたいと思うのです。これ以上延ばしてはならぬと思うのです。もうその家族にしても、また国際的な感じから見ても、五十日以上のストという、未曽有の、空前のストを一刻も早く解決するという決意を、大臣、この席で十分表明していただきたいと思うのです。
  318. 丹羽喬四郎

    ○丹羽国務大臣 ただいま御指摘いただきましたとおりでございまして、海員組合の皆さまの立場、私はずっと戦前から十分よく存じておるつもりでございます。したがいまして、決して船主側あるいは会社側の一方的の意見、立場というものを聞いて運輸行政をやってはならぬということは、私は強く思っている次第でございます。何と申しましても、実際に動かすのは働く人たちでございまして、その立場も十分勘案をいたしましてやっていかなくちゃならない次第でございますが、それゆえに私もほんとうに心配をしている次第でございます。できるだけ早く、早期解決ということを望むことは当然でございまして、これはただいまそういう面でせっかく、非力でございますが、あらゆる方面意見も打診し、こちらの尽くすべき手も尽くしたい、こういうことでやっておる次第でございますので、もうしばらく御猶予を願いたい、こう思う次第でございます。
  319. 受田新吉

    ○受田委員 人間関係の問題でもう一つ。あなたの御答弁によってさらに前進することをいま期待するわけですが、最後にもうわずかな時間で二つだけお尋ねしておきたいことがあるのです。  それは、ジェット機の乗員の中に、航空大学の卒業以外に、その他航空大学分校二つを合わせて百五十人の養成をされているようだが、自衛隊から航空自衛官であるパイロットを五十人くらい採用しておられる。国費で五、六千万円もかけて養成したパイロットをスカウトされておる。こういうことはちょっと私、問題があると思うのですけれども、防衛庁のそうした職員を引き抜くのをおやめになって、所要の人員が必要であれば、もう少し分校をつくってもいい。運輸省みずからの手で航空要員、パイロットを養成して、防衛庁の力をかるというような変則をやめてもらいたいと思うのですが、どうでしょう。
  320. 丹羽喬四郎

    ○丹羽国務大臣 いまのお説、当然と思う次第でございます。これは運輸省としては航空大学の人員をふやしましてやる、あるいは民間の機関に委託をしてつくるということがたてまえ、こう思っている次第でございます。ただいまは自衛隊とも、そういったような方針でいろいろ具体的の問題で協議をいたしていることを聞いている次第であります。
  321. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 補足して御説明申し上げます。  パイロットの需要につきましては、先刻皆さま御承知のとおり、非常に航空の需要が多いものでございますから、大体年間六百名程度を養成しなければいけないだろうというふうな勘定でございます。そこで、この六百名というのをどういうふうに養成するかということでございますが、この点につきましては、航空審議会に特別に乗員部門の部会をつくりまして、そこでいろいろ御検討願ったわけでございます。  その際に一つの議論としては、六百名全部を航空大学校でやったらどうかという議論。ただ、その航空大学でやるにしても、いままでは民間でもやっておりますから、民間の資本も入れて一つの特殊法人の航空大学校というものをつくってやったらどうか、こういうふうな議論もございました。しかし、いろいろ議論を重ねた結果、飛行場の問題、あるいは教官の問題、そういった問題がございまして、一カ所でもって必ずしも統一的にやる必要はないのじゃないか。むしろ航空大学なり、あるいは民間なり、あるいは防衛庁も含め、いろいろなところでいろいろな人が出てきてもいいのではないか。たとえば大学にもいろいろあって、それがそれぞれの特色を持ちながらよくやられておるのと同じ意味において、ただ一定の基準と申しますか、シラバスと申しますか、教育課程というふうなものについては大体レベルは一つに合わしていこう。しかし機関は必ずしも一本にすることがいいかどうか疑問だということが結論でございまして、その結果、航空大学校では百三十五名、民間のそれぞれの会社で三百五十名程度、それから防衛庁の委託、これが六十名。そのほかいまおっしゃいました割愛というのがございます。これは防衛庁のほうと常にお話をしながら御了解の上でいただいているわけでございますけれども、こういった方々につきましても、割愛は六十名。そういったもので六百名というものを養成していく。いわばそういうふうなものを一つのシステムとしてとらえていくということがよかろうというふうなことでもって、いまやっておるわけでございます。
  322. 受田新吉

    ○受田委員 防衛庁から割愛していただく。何か総括とごろが似通ったような感じがするわけですが、割愛ということばは私はちょっとあまり感心しないことばだと思うのです。防衛庁のパイロットを割愛していただくんですか。
  323. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 一応そういうことばを使っておりますが、いただくわけでございます。
  324. 受田新吉

    ○受田委員 これはいただかないほうがいいと思うのです。それは今度、防衛庁が運輸省と航空管制に関する覚書を交換して、訓練に関係した自衛隊機の行動は優先させるということばをはずして、便宜を与えるという、まことに要領のいいことばをお使いになっておられるようですが、自衛隊機の操縦者が民間機の操縦者になるわけです。そうすると、軍と民間機との間の責任関係が混同する危険がありはしないかと思うのです。おれはきのうまでは自衛隊機だったが、きょうからは民間機だ、こういうようなこと。やはり軍は軍で最後まで守り育てていくほうがいい。自衛隊機と民間機の操縦者が、きのうときょうですぐかわってくるというようなことは、責任感という点において——まあ、飛行機を安全に運航する責任感は間違いないでしょうけれども、自分の属する部署がきのうときょうでさあっと変わるというようなことは、本人の心理の上に影響があると私は思うのです。その点は問題ありませんか。
  325. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 ただいま申し上げましたように、六百名という相当な数をこなすためのいろいろな方法を講じているわけでございますが、先生指摘のような点もあると思います。その点につきましてはなお今後十分検討いたしたいというふうに考えます。
  326. 受田新吉

    ○受田委員 そういうことも検討していただいて、要員は運輸省みずからが養成する。よそのをいただくことをおやめになっていただきたい。これは運輸省の権威において、運輸大臣が防衛庁に注文するときに、割愛していただく方があると、交渉においても、一つの取引だからおそらく弱いところができますね。そういう意味のすかっとしたものを、私、この際原則を改めていただきたい。  それで、自衛隊におる皆さんが、一佐にも将補にもなれないで、三佐から二佐ごろに、行き場がないから民間機、あるいは航空大学校で採用してもらうというようなことになったのでは、これはまた航空自衛隊の士気に影響すると私は思うのです。割愛というのはいわゆるおこぼれをいただくということになる。そういう原則を逸脱することがないように、運輸省みずからの力でやりまくるという馬力がほしいと思いますので、あえてこれを激励申し上げておくのですが、これが一つ。  もう一つ、国際的に見ても、国際観光行政の中で日本のホテルの料金は、他に比べて非常に高いと定評を最近いただいておる。この問題については、どうも運輸省の仕事は国際的な仕事が多くて、これは外務大臣と一緒にやらなければいかぬようなお仕事になるのですけれども丹羽大臣、あなたもそのことは、海外旅行されてよくおわかりになっておろうと思うのです。日本のホテルと西ドイツ、イギリス、フランスあたりの西洋先進国のホテルの値段を比較してごらんなさい。日本のホテルは高いホテル料金になっておるわけです。これはやはり大国日本らしく外国の人を快く迎え入れ、国際間の人事交流において、親善において、日本のホテルは料金もサービスもよかった、こういうかっこうで国際親善に貢献していただく国際観光事業というものを考えてもらうべきだ。事務答弁は観光部長あるいは官房長からしていただいて、最後に、この高い視野に立って、国際親善の大役は、外国人が日本へ訪問したときに受ける印象の上に大きな影響があるという観点から、大臣の御答弁を締めくくりにしていただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  327. 高林康一

    ○高林政府委員 事務的な現状について御説明申し上げます。  日本のホテル料金は外国と比べた場合、たとえば比較的最近の統計でございますが、東京では四千円から四千六百円、ロンドンが四千八百円から五千二百円、あるいはパリでは五千五、六百円というような統計もございます。一がいに国際的に日本のホテル料金が高いというふうには言えないのではないかと思っております。ただ、御指摘のございましたように、外国に比べましてホテルの歴史が浅いということ。外国の場合におきましては、かなりホテルの償却というものが進んでおる、そういう意味で、かなり金利負担が日本の場合は大きいということで、たとえば、ことに土地の価格が非常に高い東京なんかの地区においては、確かに御指摘のように、外国の相当償却の進んだホテルに比べますと割り高であるというような点があるかと思います。  根本的には土地価格というようなものについてのいろんな施策が必要かとも思いますけれども運輸省といたしまして、やはり当面金利負担というようなことが一番問題であろうかというふうに考えております。また、高級ホテルではなしに中級ホテルというふうなものの建設も非常に必要であろうというふうな考えをしておりまして、そういう点で、そういうような建設に関しますところの財政融資、またはその財政融資の融資条件というものの改善というものに、従来とも努力してまいりましたが、今後とも一そう努力してまいりたいと考えておる次第でございます。
  328. 丹羽喬四郎

    ○丹羽国務大臣 事務的には、ただいま官房長から御答弁をいたさせたとおりでございますが、御趣旨としてはそのとおりでございまして、国際親善、観光を通じましての国際交流ということは、ことに平和日本の一番の大きな眼目である、文化交流その他非常に大きな眼目である、こういうふうに思っておる次第でございます。御承知のとおり、あらゆる面におきまして、自由貿易、自由交流ということを主張して、これを国是として立っていく日本としては当然のことでございますので、いまの御趣旨はそのとおりでございますので、その点に沿って進んでまいりたい、こういうように思う次第でございます。
  329. 受田新吉

    ○受田委員 大臣の御答弁で終わりますが、最後に御要望だけ申し上げて、答弁はいいです。  私、先般の読売新聞の記事になった政務次官佐藤さんの御発言の中に、個人的見解がおありかどうか知りませんけれども運輸省全体の御意見と政務次官の御意見と相違するんじゃないかというような御意見があったように拝見をしたわけですが、航空会社の再編成の問題航空再編成は当然やらなくちゃならぬ問題ですけれども運輸省で十分意見調整をされて御発言をなさるべきである。  それからもう一つの要望は、陸のあらゆる交通機関を最高に動員をかけて、通勤地獄の解消のために運輸省が陣頭に立ってもらいたい。職員が通勤することによって一時間以上の立ちんぼうで職務の遂行の上に非常な疲労が出ておるということは、労働科学研究所その他の調査できわめて明白です。職員が、できるだけからだを楽に通勤できて、その職務遂行に支障なきを期せるように、時差出勤などという操作の問題とあわせながら、あらゆる交通機関がこの出勤に最も円滑に効果あらしむるような案というものを十分検討していただきたい。これは、人間を大事にするという問題と、職務の能率を高めるという上において、運輸行政の基本の一つだと思いますので、要望を申し上げまして質問を終わります。
  330. 伊能繁次郎

  331. 久保三郎

    久保委員 航空の問題に限定してお尋ねしたいのであります。いまも受田委員から要望があったようでありますが、私は最近、運輸省が手がけている四十五年十一月の閣議了解事項に基づくと称する航空企業の運営体制についてお尋ねしたいのであります。  まず第一に、先般、新聞で見ますと、政務次官が一応の試案を発表されたようでありますが、これは運輸大臣の、言うなら運輸省の非常に大事なお仕事だと思っているのですね。そういう意味から言うと、本来ならば大臣が中心的におやりになる仕事かと思ったのでありますが、政務次官が先に試案を出したのでありますが、これはどういうことに相なっておるのでしょう。運輸大臣から政務次官に、四十五年の十一月でありますか、航空企業再編成というか、そういうものを中心にした閣議了解事項の具体的な推進についておまかせしておるのかどうか。その点どうですか。
  332. 丹羽喬四郎

    ○丹羽国務大臣 四十五年の閣議了解事項、具体的にどういうふうなことにするかということにつきましては、一応、私は政務次官に、それらについて調整といいますか、各方面の意向というものを取りまとめることが可能かどうか、検討は命じたことがあります。
  333. 久保三郎

    久保委員 去年の運輸委員会か予算委員会かで、この問題について、大臣たしか就任直後のことでありましたので、私は前大臣の時代のいきさつから申し上げてお話ししたのであります。きょうは時間も限られた時間でありますから、そのおさらい、繰り返しは省略したいと思います。  そこで、いまのお話だと、政務次官に一応調整をおまかせになっているということでありますが、もちろん最終的な結論大臣がみずからおやりになると思うのでありますが、私は、今度のこの試案一つ見ても、あるいは四十五年の十一月二十日の閣議了解事項を見ても、国民の一人としても、どうも不可解千万に感じているのです。  私の短い国会生活で、いわゆる航空企業というか、そういうものを中心にした航空政策の成り行きを大ざっぱに振り返ってみますと、まず第一に、日ペリと極東、そういうものが集まって、言うならば一つの企業体をつくりました。これがたしか全日空の前身かと思うのですね。その次には富士航空が中心になって企業ができてきたものと思います。いろいろありましたが、特に日本列島全体を七つか九つのブロックに分けて、ブロックごとに航空企業をつくろうなんというばかばかしいことを途中でやりました。もちろん、そういうことはできないので一いわゆる航空機の事故を契機にしてそれぞれいまのような企業ができたが、御承知のように、つい最近では、国内航空は、日航に合併を前提として、いわゆる運航委託というか、こういうものをやる。東亜は、御承知のように、全日空と合併を前提にして企業再編成ということで、これが閣議の決定で新しい航空政策ということになった。  ところが、先ほど申し上げたように、四十五年の十一月、これは閣議了解事項でありますが、その前にすでに四十五年に入って間もなく、この合併を目の前において、合併はやめろという話が出てまいりまして、いま申し上げたように、四十五年の十一月の閣議了解事項でその再編成は御破算にして、御案内のとおり、日本航空から国内航空は離れて、全日空から東亜は離れて、国内と東亜を一本にして第三の企業にしよう、こういうことで今日まで新しい企業ができてきております。この問題についても、今日に至るまでの間にずいぶん不可解なことが何べんかあるわけですね。  しかもいま、航空機のみならず、全体の運輸機関で国民から一番要望されているものは何かと言えば、安全性と定時性ですね。これが大きな二つのねらいで要求されていることは御案内のとおりであります。特に航空機においては、安全性と定時性については、ほかの交通機関に比べれば、国民大衆にとってはやはり一番不安に思っております。  そこで、航空企業の運営体制の問題は別にしても、いま航空政策の中心的な課題は何かと言ったらば、安全性と定時性の問題だと思うのですね。そして定時性と安全性を確保することによって、陸、海、空全体のいわゆる総合交通体系の中で占める分野というものをきめていくのが正しいと思うのです。これに対するお答えをいただく時間はありませんが、私はそう考えているのですね。だから、よってもって新しい航空政策というのは、それを追求する、これが一番だと思うのです。ところが、いままでやられてきた航空政策は、ある企業をどうするかこうするかということで、今日まで来ているんじゃないですか。  今度、政務次官が出した試案なるもの、まあ試みの案だからどうでもいいと言えば、それまでの話でありますが、かなり政務次官という——しかもいま大臣のお答えによりますれば、調整はまかせてある、こういうことですね。たいへんなことをやりかかったと思っているのです、実際は。しかも百歩譲って、閣議了解事項をそのまま受けとめても、閣議了解事項とはずいぶん離れたものが試案として出ていますね。これはそうお認めになりませんか。閣議了解事項とはずいぶん違うものがあるということはお感じになりませんか。いかがでしょうか。
  334. 丹羽喬四郎

    ○丹羽国務大臣 まことに恐縮でございますが、いままで久保先生指摘いただきましたとおり、私は、航空界の現状を就任早々いろいろお教えをいただきまして、最近十分その点はわかってきたつもりでございます。  閣議了解事項につきましては、御承知のとおり、航空の安全性を第一、利用者の利便をはかるということを根本にしておる。これは先生指摘のとおり、安全性と定時性の問題、航空行政の一番の根本は、私はあくまでもそこでなくちゃならないと思う次第でございます。それによりましてやるべきでございますが、ただ問題は、その間におきまして、いま定期航空は三社でございますから、三社がみなお互いに協力して、そうして適当に育成をしていく、発展をしていくということがやはりもとではないか、こう思っておる次第でございます。具体的の問題は別といたしまして、そういう点で三社が均衡ある発展をとっていくことが、やはり運輸行政としても私は必要だろうと思う次第でございます。そういう点で政務次官も努力しておる、こう思っている次第でございます。  具体的の内容につきましては、これは適当であるかどうかということにつきまして、私まだ深く検討していない次第でございまして、いまお答えをするのはひとつ御遠慮申し上げたい、こう思う次第でございます。
  335. 久保三郎

    久保委員 いま大臣のお立場上そういうふうにお答えをされるのが当然かと思うのですが、前段のこの三つの企業があるから、これを育成するということについて、私は非難も何もしていないのです。育成の方法があるのですね。しかも百歩譲って、閣議了解事項をきょうは私は認めます。認めていくにしても、政務次官の方針は、調整をまかされたにしても少しおかしいじゃないかということなんです。何かありゃしないかというのが世間のうわさでありますよ。これははっきり申し上げます。  この閣議了解事項は何を言っているかというと、第一に国内航空について。国内の航空体制ですね。これについて一番重点は何かというと、「日本国内航空及び東亜航空が円滑かつ可及的すみやかに合併し、新会社を設立することを促進する」、これはそのとおり出てきましたね。円滑であるかどうかは別にして、すみやかに合併できた。五月十五日でしたか。「この場合、日本航空の技術支援及び資本参加を受けるとともに、広く民間資本の参加を得ることを期待する」ということは何を意味しているんだ。これは去年の予算委員会であなたに申し上げたとおりであります。ところが、いまだかつて私は聞いておりませんが、広く民間資本の参加を得ることを期待したことはないんではないですかということ。これはそうしますと、体質は変わらぬということです。  それから次には何を言っているかというと、「新会社は、当面、ローカル路線を運営するものとし、将来、安全体制の確立を含め企業基盤の充実強化がなされた段階において、幹線における航空輸送需要の動向に即応し、航空法に定める要件を充足すれば、幹線運営を認めるものとする」。ところが、政務次官のいわゆる試案なるものについては、御承知のとおりこれに合致はしていませんね。幹線運航は将来の課題なんです。企業基盤の充実強化がなされた段階において、安全性の体制の確立を含めたこういう基盤強化がなされた暁において、この需要の動向を含めて言うならば幹線運営を認めましょうということで、閣議了解事項はかなり消極的であります。ところが、政務次官の出している試案というのは、積極的にこれは数字、割合まで出しているのですね。なるほど育成強化にはいろいろありますけれども、背伸びした形でやらせることは私は反対であります。決して、東亜国内航空がだめだから、そんなものにシェアを渡すべきではないという前提に立ってはおりません。体質を強化することが先じゃないですか。  それからもう一つ、ちっとも言及してないものには、三番目の「日本航空と日本国内航空が合併しなくなることに伴う問題の処理は、両者が協議し政府の承認を受けて決定する」。これは試案には全然関係ないのですね。国民というか、国会として一番関係の深いものがここですね。日本航空はいわゆる政府の出資会社であります。国策会社です。それが国内航空にいままで与えてきた援助、これは公称二十八億という。聞くところによれば、この債権債務についても確認がなされないままにいるというのじゃありませんか。私は、どういうふうにして払うかということまできめるのがほんとうだと思うのです。そういうものを度外視して、この幹線に乗り入れることのシェアがどうであるとかこうであるとかは、二の次じゃないでしょうか。  それからもう一つは、ローカル線のダブルトラックについてもそうです。これは了解事項においてもこのとおり言っているのです。「航空輸送需要の多いローカル路線については、原則として、同一路線を二社で運営し、輸送サービスの向上を図る」。これは、ここまでいいですね。「この場合において、過当競争の弊が生ずることのないよう、路線の選択、二社の協調等についても配意するよう努める」というが、この後段についていかなる方策があるのか。これは試案においてはさっぱりどうにもわからない。  大臣にきょう全部答弁を求めるのは酷な話かもしれませんが、これはずいぶん人をなめた試案を出したものだと実は思っているわけなんです。というのは、もうすでに私は去年の予算委員会でこのことを指摘しているのです。第三の企業としてもしやるのならば、もう少しきちんと整理をしながら体質改善の方向で一ぺんおやりになることが差し迫った要件ではなかろうかと思うのでありますが、どうでしょう、こういうわけです。
  336. 丹羽喬四郎

    ○丹羽国務大臣 ちょっとその前にお断わりしておきますが、政務次官はやはりいまの航空の問題につきましては非常に誠心誠意やっている次第でございまして、その点につきまして誤解を招くようなことは全然ないと私は信じておる次第でございます。  それからいまの具体的の問題でございます。ただいまお話がございました、たとえば日航と東亜国内航空でございますか、この二つの間のいろいろの貸借の関係の問題、閣議了解事項に出ておりますが、当然これは一緒になって——一緒か先かわかりませんが、少なくともわれわれ詰めるべき問題である。御承知のとおり、それがために間に民間の適当な調停人を立ててやった次第でございますが、それが不調に終わっている。まだなかなかきまらないのは私も残念に思っておる次第でございます。これはもう当然きめなくてはならない、こういう問題と思っておる次第でございまして、そういう点で、まだほんとうの政務次官の試案でございます。まだいろいろ問題があると思っておる次第でございます。
  337. 久保三郎

    久保委員 もう多くを言う必要はないのかもしれませんけれども、あまりこういうことをやっていると、どこかの味方をしているのじゃないかと思って、また勘ぐられるのでたいへん残念であります。国会というところは、何かそういうふうなところに引きずり込まれそうなんでありますが、私は、公正な立場からこの際はやはり判断をしていくことが航空行政を推進することだと思うのです。もともと閣議了解事項で前の航空政策を一夜にして変更したこと自体が責任を問われることであります。すでに佐藤さんもおやめになるというから、責任を追及しても始まらぬことでありますが、その上塗りだけはぜひおやりにならぬほうがいい。くれぐれも申し上げておきますが、安全性と定時性を確保することだけがいま要求されている政策の重点であります。  もう一つは、国策会社が損をしたというか、与えた利益はもとを清算してもらうということですね。清算、これは当然の話です。それからある特定の企業が左右するようなことがあってはいけないというので、閣議了解事項では広く民間に資本参加を求めているのでありますから。だから、そういうことをやるごとによって体質も改善していくというのが、私は正しいと思うのですね。そういうものが試案として出てくるならば、私はわざわざこの内閣委員会まで大臣を追いかけてきてお話申し上げる必要はないのであります。何か早々のうちに結論をつけるのではなかろうかと思うので、実際は私は、だめ押しというか、くぎをさしに来たのです。くれぐれも慎重に扱ってほしいと思う。いかがでしょう。
  338. 丹羽喬四郎

    ○丹羽国務大臣 先ほども冒頭に申しましたとおり、乗客の安全性、定時性と申しますか、これが第一であります。その線に沿って私は十分勘案をいたしまして慎重に検討したい、こう思っております。
  339. 久保三郎

    久保委員 航空局長、あなたはこの試案をつくるについては相談にあずかっておるのですか。
  340. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 御相談にあずかっております。
  341. 久保三郎

    久保委員 あなたはこれでいいと思うのですか。
  342. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 個人的な意見はいろいろ申し上げてございますが、私は結局機構として仕事をしておるわけでございますから、最終的にはこれは大臣の御判断できまるべきものだと思います。
  343. 久保三郎

    久保委員 政務次官の試案について参画しているというが、あなたは事務次官の試案についても参画しているのか。どっちなんだ。
  344. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 私は航空局長でございますから、事務次官、政務次官いずれを問わず、意見を聞かれた場合には私の意見は申し上げているわけでございます。
  345. 久保三郎

    久保委員 しかし、あなたが一人で両方のちぐはぐな案に参画しておったのでは、話がちっとも合わないじゃないですか。立場はわかります。しかし、お互いに立場はわかるけれども、ここぞ一番というところはやはりきちんと整理をしないと、混乱が起きて他人にも迷惑をかけます。大臣をあなたらは補佐する役目でしょう。その大臣が迷うようなことを、両方にうまいぐあいに話をしにいくというようなことは、ちょっとそれは高級官僚としてはぐあいが悪いのじゃないですか。
  346. 丹羽喬四郎

    ○丹羽国務大臣 これは私からお答えいたします。  運輸行政、航空行政ももちろんでありますが、全部私の責任でございます。私の判断でやる次第でございますが、ほんとうのたたき台でございますが、せっかく政務次官が出した案でございますので、航空局長としても、事務次官としても、それが具体的にまとまるまではいろいろ意見もあろうかと思いますが、最後は運輸省の首長といたしまして私が判断をする次第でございますので、これは私の責任でございますから、ひとつ御了解をお願い申し上げたいと思います。
  347. 久保三郎

    久保委員 もう時間もありませんから、大臣にしつこく聞く必要はないかもしれませんが、われわれは、さっき言ったように、閣議了解事項は、これも変だけれども、まあ閣議了解事項ということでオーソライズしてきているのだから、それに基づいてあなたが処理されることには何も言うことはありません。これはもうしょうがない。だけれども、これに反することは、これはだれが何と言っても、ちょっとぐあいが悪いと思うのですね。だから、この閣議了解事項の中で、特に国民に一番必要なのは何かというと、第三セクターというか、全日空も含めてだろうけれども、あるいは日航も含めてだろうけれども、安全性の問題と定時性の確保という問題、これをどうしたらいいかという案をひとつ出してもらいたい。  それからもう一つは、明確にあるとおり、幹線運航などについては、遠い将来の話は別として、まだその時期ではないだろうということなんですね。ローカルのダブルトラックについても、これは同様であります。結局、明確にしてもらいたいのは、いわゆる日本航空と国内航空との関係について、事後処理の問題をきちんと整理するのがいま当面やることです。それから、国内航空については広く民間資本を参加させるということも、同時にこれはやってもらう。おやりになるというか、やらせるというか、そういうことがこの際やるべき必要な手段だと私は思うのです。それ以外のことをやってはいかぬとは言いませんけれども、そういうものを大体ほったらかしておいて、たな上げしておいて、それ以外のことを——たたき台であるから何をやってもいいのかもわかりませんが、出すこと自体、どうもわれわれは、変だなという感じを世間がとっておるのも無理からぬかなという気持ちがしておるものですから、まあ敬愛する先輩の大臣でありますから、佐藤内閣が結末をつける場合に、少なくともあなただけはきちんと整理がしてもらえるものと期待して質問をしておるわけなんですが、まだよくお調べになっていないそうでありますから、この問題は慎重に扱って、国民がなるほどなと納得するような裁決をお願いいたしておきます。いかがでしょう。
  348. 丹羽喬四郎

    ○丹羽国務大臣 ほんとうに心からの御忠告、ありがとうございました。私は閣議了解事項を逸脱したり変更したりする気持ちは全然ございません。その線に沿いまして十分、航空の安全性と定時性の確保ということを中心といたしましてあらゆる問題を考慮してまいりたい、こう思う次第でございます。
  349. 伊能繁次郎

    伊能委員長 東中光雄君。
  350. 東中光雄

    ○東中委員 私は最初に、財団法人航空公害防止協会について若干お聞きしたいのですが、運輸省は、この公害防止協会会長さんの笹川良一さんに、大阪国際空港の東側の土地、駐車場の敷地五万四千二百十二平米、建物敷地千九十六平米、その他の付帯設備を使用許可をされておるわけでありますが、賃貸条件、使用料はどういうふうになっておりますか。
  351. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 土地使用料でございますけれども、土地の単価が二百七十八円七十銭、それにその土地の必要な土地の坪数をかけますと千五百四十一万五千七百八十六円五銭でございます。
  352. 東中光雄

    ○東中委員 何か読み違いをされているのじゃないですか。全体として駐車場の使用料は、四十五年度は二千百六十四万円余り、四十六年度は二千三百六十四万円余りではございませんか。
  353. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 失礼いたしました。大阪におきまして、航空公害防止協会に対しまして国有地の使用を許可しておる使用料の全体が二千二百六十万三千百五十一円でございますが、そのうち駐車場関係が二千二百二十六万七千八百六十九円でございます。
  354. 東中光雄

    ○東中委員 その駐車場収益はどのくらいですか。
  355. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 四十六年度を申し上げますと二億二千八百六十八万四千百二十三円、これが駐車場の収入でございます。
  356. 東中光雄

    ○東中委員 非常に大きな利権を持つ駐車場の運営を航空公害防止協会にまかしておられるわけですが、なぜこういう利権をこの協会にまかされるようになったのですか。
  357. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 これはそもそも駐車場というものが大阪空港に設置されたときの話になるわけでございますけれども、まず、大阪空港の駐車場を有料にするか無料にするか、こういう問題がございました。そこで、われわれといたしましては、無料にいたしますと、無制限に車が入ってまいりまして秩序が乱れるということから、有料にすべきであろうというふうに判断したわけでございます。そういたしますと、有料にした場合に、これを一体だれが経営したらいいかということになります。一つの考え方は、空港の管理を行なっております政府がみずからやるということでございますが、これは定員その他からまいりましても、実際上は不可能でございます。したがいまして、何らかの他の機関にこれをやらせなければならないということになったわけでございます。  そこで、一方から考えまして、大阪空港におきましては、御承知のとおり、騒音公害というものが非常に大きな問題でございまして、私どもといたしましては、何とかしてこれをうまくスムーズに解決する方法を考えねばならないという立場におるわけでございます。そこで、御承知のとおり、騒音対策といたしましては、いわゆる航空機騒音防止法というものがございまして、それによりまして政府としていろいろな防音工事その他をやつておったわけでございますが、なかなかそれだけでは手が及ばないきめのこまかい点がいろいろあるわけでございます。そういったことにつきまして、政府以外に何かそういった公害対策をやってほしいということをかねがね思っておったわけでございますけれども、片一方に駐車場の収入があがってくるということになりますので、この際、この駐車場収入というものは、やはり大阪空港を利用することによって得ている収入であるから、これは大阪空港のために還元する。換言すれば、騒音対策に還元したらいかがであろうかというふうなことが私ども考え方でございました。そういった考えに立ちまして、当時ございました公害防止協会にこの駐車場の経営をゆだね、それによってあがった収益を公害対策に充てるということにしたようなわけでございます。
  358. 東中光雄

    ○東中委員 少なくとも、航空公害防止協会の大阪における事業概要を見てみますと、はなはだもって羊頭を掲げて狗肉を売るといいますか、形だけは公害防止協会であっても、実際上は全くなっていないというふうに私は感じるわけであります。  それで、防音林をつくるということでこの協会はやられておるわけですが、ここに「財団法人航空公害防止協会事業概要」という非常にきれいなパンフレットが出ているわけであります。私、これを最初に見まして、ちょうどまん中のページでありますが、写真はきれいなんですが、これが一体防音林なのかどうなのかということであります。草の高さと木の高さがほとんど変わらないわけであります。ずっと詰まっているのはほとんど草なんです。ここまで草なんです。ここから上は木なんです。こういう調子になっているわけですね。そして、ここには説明がついています。「防音林 伊丹市桑津 八一四一平方メートルの面積にヒマラヤシーダ、楠、まてばしい等一、九一六本の樹木を植林。この防音林は、東桑津の防音林(五、四九九平方メートル 一、七〇六本)とともにジェット機が離着陸時に発する騒音から周辺地区を遮断するために造成された」というようなことが書いてあるのです。しかも「四・五年先に一五〜一六メートルに成育繁茂した際には、緑の壁がめぐらされることになる」。これは植えたのが昭和四十四年であります。もう三年目なんです。いまどうなのか。写真をそこにお持ちになっておるようでありますが、これは防音にも何にもならぬわけですね。伊丹市の人たちに聞きますと、近所の人たちは、一昨年は防音林だと言っていた、去年はそうは言わなくなって遮音林だと言うようになった、ことしになると植林だと言っている。これはある市会議員が言っているわけですけれども、何をやっているんだというふうに思うわけです。  こういう防音林の計画なんということは、これはこまかいところへ手を回すというのは、ことばとしてはいいことなんですけれども、何も意味のないことと言ったら語弊があるけれども、ほとんど意味のないことが麗々しくカラー写真を入れて宣伝されているということなんです。二メートルあるいは三メートルそこそこのクスノキの苗が四、五年たったら十五、六メートルになるなんというようなことを麗々しく書く。あり得ぬことはわかり切っているわけです。こういう実情だということを監督官庁として運輸省のほうでよく御承知なんでしょうか。そしてそれでいいというお考えなんでしょうか、どうでしょうか。
  359. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 確かに、先生のおっしゃるように、羊頭狗肉という感はあるわけでございます。しかし、やはり木というものは一朝にしてなかなか育ちませんので、その意のあるところはひとつ御理解いただきたい、こういうふうに考えております。確かに防音効果というものはたいしてありませんけれども、住民の心理的な効果と申しますか、一応ここまで気をつかってくれるかというふうな心理的な効果はあるやに聞いておりますし、伊丹市役所としても同様の意見を申しておるわけであります。しかし、ただ先生がおっしゃったように、あまり誇大宣伝ということはよろしくないわけでございますから、やはり正確な表現方法をすべきであろうというふうに思います。  なお、公害防止協会の仕事でございますけれども、これは防音林と申しておりますけれども、それも一つの仕事でございますが、そのほかにいわゆる騒音防止電話というふうなものも据えつけるとかいうふうなことをいたしまして、駐車場の収入としてあがったものをなるべく公害対策に使おうとしておる、その意図はひとつ御了承いただきたい、こういうふうに考えるわけでございます。
  360. 東中光雄

    ○東中委員 昭和四十五年度の事業報告書を私、見たのですが、これによりましても、「航空公害防止のための施設整備」という項目の中で、「豊中市勝部地区住民に与える騒音及び排煙の被害を軽減するため、隔壁を建設することとし、昭和四十五年十一月二十日着工、昭和四十六年三月十五日完成、同月三十日豊中市長に寄附」、こういうふうに出ているのです。これも私、現地で見てみたのですけれども、あの広い飛行場のところで、二百メートル余りですが、高いところで六メートル、低いところで三メートル、飛行機の上から見ておったら、かきがしてあるだけなんです。ただ境界のかきにしかすぎない。飛び立つ飛行機じゃなくて誘導路を走っている飛行機から見ておって、飛行場の外のすぐそばの家が全部見えるわけですから、これを防音壁なんと言うにはほんとうにおそれ入ったという感じがしているわけです。  さらに勝部の三角地区内に防音林を造成するということがここの予定で書かれています。四十六年度に完成の予定である。そして四十六年度の事業計画書を見ますと「防音林の造成」という項目があって、「大阪国際空港内の勝部三角地区に植樹し、環境を整備するとともに防音対策に資する」、予算は五千万円、こういうふうに組まれておるわけであります。ところが、三角地帯には防音林はついにつくれずじまいであります。要求が変わって今度は堤にしたのだ、こういうふうに言われておるのですけれども、四十六年度の計画を四十六年度の初めに立てて、そして四十六年度の事業計画になると、もうそれと違うことになってしまっている。  五千万というのは、この協会からいえば非常に大きな予算であります。これが防音堤というのになっている。そこへ植林をしてあるのかと思って現場へ行きますと、ツツジを植えてある。ツツジの防音林なんというばかな話はあり得ぬわけですよ。しかもその堤の高さは、私、写真をとってきましたけれども、隣にある川の土手とほとんど高さが変わらない。だから、防音効果というようなことからいえば、それはなるほど、五十センチか一メーターくらいは、防音堤と言っているほうが高いかもしれませんが、しかし五十センチや一メーター高いからといって、こういう防音堤の築堤というのがやられている。しかもその予算は相当高いものになっている。そしてこの堤が、これは協会でやったというよりも、豊中市の下水処理場の処分する土をそこへ持ってきて積んだ、いわば工事の残土であります。それから飛行場内の工事の残土をそこへ積んだ。その上を何ぼか整地をしたという程度のことであります。ところが、それが中心的な事業のようになっている。こういう実情、あまりにもひど過ぎるのじゃないか。  笹川良一さんが会長でこういう協会をやっていくというのはどうも解せないわけですけれども、そういう全体の動きというのは運輸省として御承知なのでしょうか。こういう方向で今後もやっていくということなのでしょうか。
  361. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 現在の問題としては、いろいろな不備もございましょうけれども、先ほど申し上げましたように、趣旨といたしましては、やはり航空公害対策というものが非常に重要なものであり、われわれ政府だけではできない小回りを要するものもあるわけでございます。そういったものにつきましてはやはり原資が要るわけでございますけれども、その原資につきましては、船舶振興会より基金三億円ということによって、その一般管理費をもって支払っていくというようなことでございまして、事業費につきましては、いま申し上げたような駐車場収入というふうなものがたまたまございますので、そういったものを公害対策に環元するという趣旨でやっておるわけでございます。そしてその使途については、この航空公害防止協会の中には、地元の各市町村の方々皆さんが役員になって入っておいででありますので、そういった方々とも十分御相談をいたしまして、御納得のいくような方向に使ってまいりたい、こういうふうに考えております。
  362. 東中光雄

    ○東中委員 いや、言われている趣旨とか理論とかいうのは、非常にきれいでまことにいいことのようなのですが、実態が何ぼでも出てくるわけです。私、現地へ行って、四十五年度に植林をしたという防音林というのを見てきました。写真をとってきました。これが防音林かといって、ほんとうにおそれ入りますよ。これはひとつ大臣見ておいてもらったらいいと思いますが、これですよ。横に幕のようなものが張ってあるのは、砂がかからないようにするということです。だから、排気で砂を飛ばないようにする、砂をとめるための囲いのうしろに三列に立っているのですよ。百二本あります。防音林の建設という項目があってつくられているのがこれなのですから。しかもこれはできて二年目ですから。地元の人たちが、勝部の人たちが、何をやっておるんだ、何にもなりはせぬじゃないかと言う。これは誘導路のまわりです。だから、砂が飛ぶ、その砂が困るからといってうしろへとめてある。街路樹を植えたみたいなかっこうになっている。砂もとまらないのですね。こういう実態。  これはそうじゃなくて、ほんとうはむしろこの協会自体は、NHKの受信料減免運動との関連でつくられたと思うのですが、それも、受信料のやつを調べてみれば、なるほど金額は相当の額になりますけれども、協会としては何もやることないわけですね。NHKが出すということになっている二分の一の受信料を、これはNHKに二分の一払えば、あとはNHKが残りの二分の一を本来と同じように集金をすればそれでいいわけなので、その本来の仕事がありはせぬのにこの協会がつくられて、仕事がさがされて、そして何か羊頭を掲げて狗肉を売るような、そういう仕事ばかりやられているというのが実情じゃないか、こう思うのです。この点、受信料の受信障害による対策費といいますか、これも結局、協会の事業費から全然出ているわけでもなんでもないという関係になると思うのですが、そうじゃございませんか。
  363. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 このテレビ受信料の減免措置、これは先生先ほどおっしゃいましたように、テレビの受信料の半分を減免する、その半分のうちさらに半分をNHKが負担し、さらに半分を航空会社が負担する、こういう制度をとったわけでございます。それで具体的には、航空会社からワンフライト当たり千円というものを徴収いたしまして、それを原資にいたしましてNHKのほうに払い込むというふうなかっこうになるわけでございます。  それで、本来このテレビの受信料減免という問題は、防衛庁の基地周辺でそういうふうな制度をとっているわけでございます。そこで民間航空の場合、民間飛行場の場合におきましてもこういった制度もとりたいということで、いろいろとお話もしたわけでありますけれども、NHKのほうでこれを負担するというのは筋が合わない。防衛庁の飛行場の場合はこれは国が使っておるわけでありますけれども、民間空港の場合は民間航空が使っているわけでありますから、それのためにNHKがその分を負担するのは筋が通らないということで、同じような制度はできなかった。しかし一方において、テレビの受信者の方々は何らかの方法で同じようにしてもらいたいという御希望があるのは当然でございまして、その方法といたしましては、NHKが減免することができなければ、国がこれを補償するというふうなことも言えるかもしれない。しかし、その国の補償というようなことも、現実の問題としては非常にむずかしいので、むしろ原因者負担と申しますか、航空会社がその分を負担して支払うべきであるというふうなことがございます。そこで、航空会社が負担して払うわけでございますけれども、航空会社からの払い方といたしましては、先ほど申しましたように、ワンフライト幾らというふうなことをして払うのが一番妥当であるというふうに考えますと、そのワンフライト千円というものをまとめまして、一つの原資として管理する必要がある。それをさらにNHKに支払うというふうなことでございます。これは国としてはじかにはできませんので、何らかの機関がなければいけないということで、航空公害防止協会というものに、その金のエアラインからの徴収、それから管理、NHKへ納めるというふうなことをやらしたような次第でございます。  ただ、最近になりまして、この方法が、御承知のとおり航空燃料税というふうなものを航空会社から徴収することになりましたので、この際には、いままでのテレビ減免のためのワンフライトあたり千円というむのはやめて、一括この航空燃料税からそういうふうなものを負担してほしいというふうな航空会社の要望もございまして、それはそういうふうなことにいたしたい。と同時に、NHKがいままで半分負担しておったものを、むしろ被害者であるからこれを負担するのはおかしいという主張がかねがねございましたので、いわゆる燃料税の地方譲与税の中から、その残りの半分を負担するというふうなことに、四十七年度から制度が変わったわけでございます。したがいまして、こういう段階において、なおさらに航空公害防止協会でこの仕事をするかどうかということは問題になると思いますが、一応、現在の例にならってこの仕事もさしておるわけでございます。この点につきましては、さらに検討いたしまして、整理する必要があればまた整理をいたしたい、こういうふうに考えております。
  364. 東中光雄

    ○東中委員 NHKが四分の一、それからワンフライト千円の料金をもって他の四分の一ということになっておったのが、今度国が四分の一で、航空機燃料譲与税で自治体が四分の一を負担することになった。これは地元の自治体としては、財源をもらったと思ったら、すぐ取っていかれる、何をやっているのかさっぱりわからぬということで、非常に強い反対があるわけです。発足したばかりのものでありますけれども大臣、これは地方自治体にこの分を負担さすという形でもっていくべき性質のものではないと思うのですが、どうでございましょう。
  365. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 ただ、その航空機燃料税の地方譲与税と申しますのは、もともとは航空会社が負担している金でございまして、その金を空港周辺の公共団体に対して交付いたしまして、それでもって主として騒音対策に充てたいというのがこの地方譲与税のねらいでございます。したがいまして、そういう趣旨からまいりますと、亀やはりテレビの受信料の減免にその地方譲与税を充てるのも、あながち理屈がないわけでもないというふうに考えております。
  366. 東中光雄

    ○東中委員 テレビの受信料、NHKがいままで四分の一を負担していたのを、四分の一負担しなくなって、その分をこの税金から地方自治体が負担することになるわけです。これは地方自治体が、要するにNHKなりあるいは航空会社が直接負担するところを、うまく肩がわりさせられただけであって、ほかにもいろいろな対策をやらなければいかぬという要求からいくと、いわばペテンにかけられたみたいなかっこうになっているわけですね。もらえると思っておったら、制度が変わっただけだということに、結局なっちゃうという問題があるわけです。地域住民が航空公害でずいぶん被害を受け、自治体が非常に困っているという状態のもとで、本来国がやるべきことについてこういうふうにやられるのはどうかと思うんですが、どうなんですか。
  367. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 地方自治体に新たな財源なしに新たに負担をかける、これは非常におかしな話でございます。しかし、地方譲与税という新たな財源ができ、その地方譲与税は、公害対策、騒音対策がおもな趣旨であるという性格のものでございますから、これはあながち理屈がないものではないということを申し上げたわけでございまして、それも、全部テレビの減免に使ってしまってあと残らないというものですと、また問題かと思いますけれども地方譲与税は全体で今年度九億ぐらいございます。その中で伊丹周辺に回りますのが四億くらいございます。と申しますのは、相当部分が伊丹に参るわけでございます。そこで、テレビのほうは大体五、六千万のものでございますから、これを払いましてもなおかつ地方譲与税は相当残る。それによって新しくその他もろもろの騒音対策にお使いいただければたいへんありがたい、こういう気持ちでやっておるわけでございます。
  368. 東中光雄

    ○東中委員 その点については、自治体としては非常に強い反対の意向を示しております。私は、この公害防止協会がやっておる問題について、テレビの受信料の問題は、ほとんど協会としては関係がない、むしろ関係なくてやれることだということを申し上げたいわけでありますが、同時に、たとえば最近は、防音林ではなくて遮音林というのがつくられる予定になっておるようですけれども、これはまさに遮音どころか、普通の街路樹と同じような並み木にしかすぎないわけですね。しかもそれが、実際にやられていることと事業報告、書に書いてある数字が合わないわけです。これは私、この間いろいろお聞きして、どうも合いませんなということになったわけですが、八千本と書いてあるけれども、七千本弱しかない。これも全く非常にずさんだというふうに思うわけであります。  さらに、局長が先ほど言われました騒音防止用電話の取りつけ助成、これはずいぶん大がかりにやられておるわけですが、これも地元で聞いてみますと、なるほど、しゃべったときの声は相手方へは聞こえるんだそうです、あとで相手方から聞いてみれば。しかし、自分が聞くほうは騒音で聞こえない。結局あんまり意味がないわけですね。ここにずいぶん大きな予算が組まれている、こういう実態ですね。  さらに、人体に及ぼす影響調査というのがやられています。これも現地で聞いてみますと、四十六年の秋に難聴調査というのをやられようとしたらしいのですけれども、非常に奇妙なことをやられるんだそうであります。というのは、二十歳以上三十五歳以下の主婦で七年以上の居住者に限るということで、何か調査をやろうとしたことがあったそうです。ところが、二十歳以上で七年以上の居住者の主婦なんというのは、そもそも大体あり得ぬわけですね。結婚したらどこかへ行くのですし、よそから来た人にはあり得ぬわけでしょう。七年もそこに居住しておる主婦で二十歳以上なんといっても、実際上は三十歳以上になっちゃうわけですから、そういう調査に対しては、こんなものはほんとうにごまかしだといって協力しなかったというのですね。調査をしてもらってありがたいんじゃなくて、逆に、何かごまかしの調査をやられているという形で、この地域の人たちは反対をしておる。現実には騒音がひどくて眠れない、もうどうにもこうにもならない、ノイローゼになるというふうな事態が起こっておるのに、形だけの調査、助成あるいは植林というふうになっておりますので、これはひとつ、こういう協会はやめちゃって、ほんとうに住民のためのものを考えるか、根本的に変えていくような方法をとらなければいかぬのじゃないか、こう思うのですが、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  369. 丹羽喬四郎

    ○丹羽国務大臣 いまいろいろ御質問を伺っておりますると、具体的の問題といたしまして、至らざる点が非常に多いように思う次第でございますが、せっかくつくりました協会でございますし、目的は御承知のとおり、防音対策ということを中心としてやったものでございますので、具体的にそういったような至らざる点を十分監督、指導いたしまして、是正さして、そして地域の住民の皆さまの御期待に沿ったような協会に指導、監督してまいりたい、こういうふうに思う次第でございます。
  370. 東中光雄

    ○東中委員 それで、いま住民のほうでの要求として非常に強いのは、非常にやかましくて生活ができないから移転をしたいという移転要望者がずいぶん出ておるようであります。しかし、移転をしたいのだけれども移転ができない。補償をやられておりますけれども、この補償制度では移転ができないということであります。現に移転したのは豊中関係ではまだ一軒です。あと一軒が約束ができていま家をこわしつつある。実際には、移転をし、家をこわして撤去してしまってからでなければ金をもらえないそうです。少なくとも前渡金七〇%くらい出すような、そうしなければ移れっこないわけですから、これは制度を改める、そういう方向をとられませんでしょうか。全部移ってしまってからでないと金がもらえないのでは、これはどうもこうもしようがないのです。
  371. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 確かにその問題があるわけでございます。おっしゃるように、前渡金が出ないということと、もう一つは代替地のいいところがないという二つが大きな問題でございまして、そのために移転をしたくてもなかなかできないというのが実情でございます。  そこで、ただいまの問題は航空公害防止協会の問題ではなくして政府の直接やる問題でございますが、何ぶん政府の会計処理ということがいろいろむずかしい点がございまして、なかなか出しにくいわけでございます。極力そういった方向でなお検討はいたしてみたい、こう思います。  それからさらに、もう一つの現在やれる方法といたしましては、つなぎ融資を府県にお願いして、それでやるというふうなことを目下取り進めております。この辺がどの程度効果がありますか、こういう方向を詰めて、もう一歩進めてこちらで直接前払いできるかどうか、なおさらに検討したいと思います。  それから、もう一つの土地の問題につきましても、公共団体と十分打ち合わせをいたしまして、前向きの方向で解決をはかりたい、こう思っております。
  372. 東中光雄

    ○東中委員 大臣、前渡金なしでの移転なんというのは、ほんとうに画餅に帰すわけです。二百数十軒の人が希望しておって、申請を出したのは七十軒くらいですか。しかし、どうもこうも動きがとれないということでは、この法律がわざわざつくられても結局どうもこうもならない。だから前渡金を渡すという制度と、いま局長の言われている代替地。そうしないと、ジェット機が飛ぶようになって地価が下がって、その地価が下がったことを前提にしての補償を受けてほかに移ろうといっても、結局、被害はずっとそのまま続いていくことになるわけであります。これは早急に大臣のほうでやっていただきたいと思うのですが、どうでございましょう。
  373. 丹羽喬四郎

    ○丹羽国務大臣 ごもっともな御質問でございまして、せっかく国家が出すといったものを、それがためにちっとも利用できないということでございます。さっそく検討させまして、できるだけ実情に合わせるように検討させたい、こう思っております。
  374. 東中光雄

    ○東中委員 もう一点、借地、借家に入っておる人が出ようと思っても、地主なり家主なしが承諾しないと出られない。出ても補償をもらえない。これもはなはだ不合理な実態になっておるわけですが、この点もあわせてやってもらいたいと思いますが、どうでしょうか。
  375. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 これはできる限り家主に前払い金を払うとかなんとかいう手だてを講じておるつもりではございますが、それを家主の方が承諾しないとなかなかできない次第でございます。したがいまして、先生のおっしゃる御意思を体しまして、いろいろ前向きに検討いたしたいと思います。
  376. 東中光雄

    ○東中委員 一応この問題はその程度にしておきたいのですが、ただ、もう一点、訴訟団がありまして、飛行時間を午前九時から午後七時までにしてくれという強い要求が出されておる。これは御承知だと思いますが、現行の七時から十時までというのをそういうふうに改める方向は検討されておるのでしょうか。その点はどうでしょうか。
  377. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 これは先生も御承知のように、先般、環境庁からの勧告が出まして、それに基づいて私どもずいぶん研究いたしました。航空会社の事情、地元の事情、いろいろ考えて研究いたしましたけれども、やはり環境庁の勧告に従うことが精一ぱいであろうというように考えております。
  378. 東中光雄

    ○東中委員 環境基準がまだ出ていないわけですけれども、これは環境庁の仕事でしょうけれども、環境基準をつくる上で運輸省としては協力されておるのでしょうか。むしろつくられたら守れないというのでぐあいが悪いということになっておるのでしょうか。
  379. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 これは現在、中央公害対策審議会で研究中でございます。私どもとしても、当然これに御協力申し上げまして、しかるべき環境基準をつくっていただくということについて積極的に取り組みたい。その環境基準が出ました場合に、それに沿ってもろもろの措置を前向きに進めていくということが至当であろうと思います。
  380. 丹羽喬四郎

    ○丹羽国務大臣 実際、伊丹の問題は付近の住民に非常に御迷惑をかけておりまして、申しわけないと思っておる次第でございます。大体におきまして、初め飛行場をつくりましたときには、まわりが非常に人家の少ないところでしたが、つくりましたあとから漸次人家が非常にふえてきた。また、一面におきまして、飛行機が非常にふえてジェット機になってきた。こういうふうな両方の悪化の状況になってまいりました。私どもといたしましては、どういたしましても、騒音公害の少ない飛行場を早くつくらなければいかぬということが一番先決の問題と思う次第でございます。それに関西国際空港の建設というものを非常に焦慮しておる次第でございます。これをどうしても早く建設いたしまして、人家稠密、四市にまたがるああいった方面の飛行機の飛来機数を減少するということが一番根本の問題。それまでは、御指摘がございました、あるいは御移転を願う方の対策なり、あるいはまたいろいろな防音林その他の問題、またテレビ、ラジオの視聴、または電話の特別の装置、いろいろ具体的のことはございますが、しかし、根本はどうしてもそこに帰着すると思う次第でございまして、私どもも、いま、候補地選定等につきまして、せっかく努力をしておる次第でございまして、地元出身の先生にも、その点につきまして一そういろいろお知恵を拝借したい、こう思う次第でございます。
  381. 東中光雄

    ○東中委員 次に航空事故調査委員会の関係について若干お聞きしたいのでありますが、この委員会は企業と一般行政から独立することが基本的に必要であろう。さらに第三者の検証にたえる客観的な科学的な根拠を示す義務があるのではないか。また、被害者とパイロット、航空管制者などの直接の関係者が納得できるような、そういう合理性が必要である。私たちはこう考えるわけでありますが、従来のものは、事故調査の欠陥があるといいますか、先ほど来、同僚議員が論議をされておりましたが、機体の構造自体への疑問を意識的に避けてきたというような傾向が一方に見られますし、原因不明という全く無責任きわまる結論が出てみたり、第三者の批判に一切口をつぐんで、委員会内部での少数意見が多数決で押されてしまって出てこない。こういうきわめて非常識な状態がいままで起こっておった。こう思うわけであります。もう一つは、直接関係者の事情聴取をしないという、こういう点では問題を技術的にしか見ないという弱点もあった。こういうふうに私たちは思うわけであります。今度の委員会というのは、こういう点を克服するような、そういう欠陥をなくするようなものでなければいかぬというふうに考えるわけですが、専門委員の任命について、被害者あるいは被災者が指名する専門家、たとえば技術者、弁護士などを加えるべきだ、私はそう思うのですが、そういう点はどうでございましょう。
  382. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 いろいろ御質問がございましたけれども、大体私どもは御趣旨に沿えるようなものをつくったつもりではございます。  まず第一に独立制の問題常設制の問題でございますが、従来は大きな事故などがございますと、そのつど委員を臨時に委嘱いたしまして、それによって事故調査をやっておったわけでございますが、そうなりますと、勢いその事故調査の適確性あるいは能率性といったものに欠けるというようなことでございますので、この際これを常設委員会といたしました。  それからもう一つ、独立制につきましては、従来は航空局の内部の一課でもって事故調査をやっておりましたが、航空局は同時に航空保安業務等もやっておりまして、事故の原因となり得るような業務をやっておりますので、この際は当局からそれを離しまして独立したものにして、客観的に事故調査ができるようにするというふうなことで、常設制、独立制というふうなものは担保していると思っております。  それから少数意見の問題でございますが、これは、一応、法律のたてまえ上は過半数をもってきめるということになっておりますが、当然少数説というものを予想して、そういう場合には少数説も必ず運用上は掲記するということにいたしたいと考えております。  それから、被災者の選ぶ専門委員を入れるかということでございますが、この点、私は、実は、事故調査というものと、いわゆる損害賠償とかあるいは民事、刑事の訴訟とは、峻別して考えるべきであるという気持ちを持っておるわけでございます。と申しますのは、事故調査というものは、あくまでも客観的な真理を追求いたしまして、それによって事故原因を究明し、客観的な事故原因を把握した上で、将来同種の事故が起きないようにその防止をはかるということが何よりの目的であり、その目的に全体が終始すべきものであろうというふうに考えておるわけでございます。それに対しまして、いわゆる民事あるいは刑事の裁判というのは、やはり責任を追求いたしまして責任の所在を求める、その責任の程度をきめるというのがいわゆる訴訟の性格でございまして、その意味からいきますと、訴訟の問題と事故調査の問題とは、やはり性格が根本的に違い、明瞭に切り離さないと、事故調査というものが完全にでき得ないのではないかというふうな感じがしておるわけであります。したがいまして、被災者の選ぶ人をどうこうという問題につきましては、これば訴訟の際にそういうふうな制度はあり得るかもしれませんが、事故調査の場合には、むしろ被災者の問題を考えて損害賠償をどうこうするというふうな立場を離れてやっていただいたほうが客観性が担保できるのではないか、こんなふうな感じが私はいたしております。
  383. 東中光雄

    ○東中委員 従来の事故調査の欠陥として、私、申し上げた、たとえば機体の構造自体への疑問を意識的に避けたというふうな、そういうふうに一般的にいわれておりますし、私たちもそういうふうに思うわけですが、それはやはり科学者としての良心でやっておられるはずですけれども、やはりその中でどうしても利害関係が反映してくるという性質を持っておるわけです。真空地帯におる科学者というのはないわけですから。だから、被害者が乗り出していって調べるといったって、これはできっこないわけですから、利害関係が対立する人たち、層からそれぞれ専門家が出て、そしてその専門家が検討するということによって——これは裁判制度だってそうですね。裁判官が一人で公平にやるのだからといって、昔のような大岡裁判のような糾明式の裁判ではなくて、検察官が起訴し、弁護人がなにをやり、しかし、それは検察官は非良心的にむちゃくちゃな弾圧をするつもりなのかといったら、主観的にはそうでなくてもそういうふうになる性格を持っているから、だからお互いに攻防をやって三者構成でやっていくということになるわけであります。  そういう点で言うならば、この事故調査について、専門委員についても、被災者側が指名する専門委員、あるいは乗務員、パイロットを代表するような専門委員というものを入れて、そうしていろいろな立場、あらゆる角度からやって公正を期すということであるべきだ、こう思うのですが、従来の欠陥から見て、そういう点はぜひ運用上配慮さるべきだと思うのですが、やはりそれは必要ないのか。これは損害賠償そのものとは関係ないことは明らかです。しかし原因究明という場合に、たとえば機体に触れないような形で出てくるという——これは意識的にそうじゃなくても、そういうふうに立場が反映していくということがあるわけですから、そこらの点、専門委員の構成についてどういうふうに考えられるか。
  384. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 ただいま先生がおっしゃいました点は、やはり人選の問題でございまして、いかにしたら客観的に公正な、また科学的な方が任命できるかということが一つ。それから事故原因と考えられるようなものに牽連関係のある方についてはこの審議から除いていく、こういったことを担保しておくのがまず客観性を担保する一つの方法であろうかと思います。それからさらに、その人選につきまして、そういうことで、パイロットの立場、あるいは整備の立場、あるいは機体の構造、それぞれの航空に関する諸般の知識を持った方々をやはり任命する必要があろうかと存じます。ただ、あらゆる場合に被災者の選定をする専門委員を任命するかどうかということについては、私は必ずしも賛成しがたいのでございますけれども、御趣旨はよくわかります。そういった意味で、委員会として結論を出す前にいろいろそういった方々の意見を聴取する、そういった方々の意見を聴取した上で結論を出すというふうなことは運用上やる必要があるのではないか、こういうふうに考えます。
  385. 東中光雄

    ○東中委員 それからもう一点、この委員会の米軍機や自衛隊機の事故についての調査権限の問題があると思うのですけれども、これは、軍用機の運航、訓練上の事故原因なんというものをこの調査委員会調査する必要はもちろん私ないと思うのですけれども、しかし、航空機事故一般にとって再発させないということ、そういう観点から言うと、調査をすることができるというふうな権限を持ったほうがいいんではないか。一般民間の上へ落ちてくるということがあり得るわけですから。そういう点はどうなんでしょう。
  386. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 本法律案におきましては、民間機同士の事故はもちろんのこと、民間機と自衛隊機の衝突事故、こういった場合には当然この委員会において行なうことにしております。ただ、自衛隊機相互の場合、これにつきましては、自衛隊機は民間機とは構造も相当異なりますし、運航方法も相当異なります。したがいまして、事故の態様というものも自衛隊機相互の場合には異なりますので、自衛隊機に関しては、もちはもち屋と申しますか、専門家がそれについての事故調査をやりますほうが、今後の事故防止ということにつきましても妥当ではないかという観点から、自衛隊機相互のと申しますか、自衛隊内部だけの事故につきましては、この委員会は行なわないというふうなことにしておるわけでございます。
  387. 東中光雄

    ○東中委員 もう時間がございませんので、もう一点、これは大臣にお聞きしておきたいのですが、昨年の航空機事故が発生したとき、全日空機が衝突して墜落したとき連合審査が行なわれたわけですが、その席上、私が日本の空の米軍支配の問題についてお聞きしたのですが、大臣自身は、「横田エリアやブルー14、そういったような米軍との関係も、今回総理府で設置されました航空交通管制連絡協議会におきまして話をいま詰めまして、外務省も入っておりますので、それらも前向きで検討してまいっている次第でございます」、こういうふうに言われまして、航空交通管制に関するいわゆる合意書、それから第三付属文書の改定について、総理も、「十分検討してみる」、状態が変わっておるのだから、マイヤー大使に話をして、「もうすでに口火は切ってあります」と、ここまで答弁されておるわけですが、その後、この日本の空を米軍が最優先、軍事優先ということになっておることに関して、この連絡協議会で、またアメリカとの交渉の経過、どういうふうになっておるか聞きたい。
  388. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 連絡協議会での米軍との関係でございますが、一つには訓練空域というものをつくったわけでございますが、自衛隊の訓練空域をつくりました。その際、米軍訓練空域をどうするかという問題が出まして、この際これは自衛隊と共同に使ってほしいという申し入れをいたしまして、米軍につきましても、これは別途の訓練空域ではなくて自衛隊の訓練空域を共用するということで、これは話がついたわけでございます。  それから、横田空域等につきましては、範囲を縮小するというふうなことについては、若干ずつではございますが、話はついております。  それからもう一つ、基本的な日米間の合意書、昭和二十七年と三十何年かの合意書でございますが、これがただいま先生指摘の改定の問題でございますけれども、これにつきましては、去る二月に米軍との合意でもって、実態的にこういったものについては相当時代おくれであるから直そうではないかということについての合意ができております。ただ、残念ながらまだこれに手がついておりません。と申しますのは、ちょうど沖繩返還の問題があったものでございますから、沖繩返還に際してのいろいろな問題がございまして、そちらのほうにいわば忙殺されておったというのが実情でございます。しかし、それももう済んだわけでございますから、今後、早急にそういった問題に取り組んでまいりたい、こういうふうに考えております。
  389. 東中光雄

    ○東中委員 外務省から来ていただいておるのですが、当時外務大臣代理が、日米間の航空管制に関する合意、あの合意書自体は見直す必要があるということで、総理は、マイヤー大使とそのことについてはすでに話し合いに入っておるのだ、こう言っておるわけですが、どういう問題についてどういう話し合いをされておるのか。単に時代おくれになったというだけでは——確かに時代は進んでいますけれども、合意内容事項としてどういう点が問題になり、どういう点を改定しようとされておるのか、その点、承らしていただきたい。
  390. 松田慶文

    ○松田説明員 お答え申し上げます。  ただいま航空局長から御答弁がございましたとおり、現行航空交通管制合意並びにその付属書が、時代の推運とともにいわば時代おくれとなっておる、沖繩復帰後の情勢を踏まえて新しくつくり直すべきであるということにつきましては、日米間の意見の不一致はございません。問題はこれをいかなるものに改めていくかという点でございますけれども、総理がマイヤー大使にその必要性を説いたあと、ただいまも局長から答弁がございましたとおり、沖繩復帰前の段階におきましては、沖繩航空管制業務をどうするかということに双方の当事者が忙殺されておりましたために、若干作業はおくれましたけれども、日米間にこれをより合理的なものに改めるということについての基本的な意見の一致はございますので、あとは、日本側から対案をつくり上げて米側に提示をし、それを基礎に協議を進めていくという段取りになろうかと思います。なお、このような協議は、当然のことながら日米合同委員会のワク内で協議を行なう一このように考えております。
  391. 東中光雄

    ○東中委員 どういう方向で変えていこうとしておるのか。合理的と申されましたけれども、合理的とか非合理的だとかいうような問題ではないわけであります。この第三付属書によれば、たとえば第三章方針の二のa「航空交通の保安管制が、日本国の防空に必要とされる場合は、防空責任担当機関か」——結局、在日米軍と防衛庁の二つになるわけですが、「保安管制を行なうことを認めること」、こういう規定。合理的とか合理的でないとかいう問題でなくて、軍が必要なときには保安管制を行なうという、きわめて政治的な主権にかかわる問題であります。あるいは航空交通管制承認の最優先権を「防空業務に従事する航空機」あるいは「あらかじめ計画された戦術的演習に参加する航空機」に対して与える。これも合理的とかなんとかいう問題でなくて、きわめて政治的な、日本の空をどうするかという問題であります。だから、いま合理的と言われておるようなことではなくて、方針としては、どういう方針で改定の方向に向かっておられるのか。これは日本の空をどうするかという問題ですから、運輸大臣のほうで大綱をつかんでいただかぬといかぬ性質のものではないかと思うのですが、どうですか。
  392. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 ただいま外務省から御説明もございましたように、まだ具体的にどうといったことはやっておりません。ただ、方向といたしましては、もちろんこれは安保条約というものがあるということが前提でございますから、相手もあることであるし、無制限にわがほうの主張が達成できるか、これは疑問でございます。ただ、私どもといたしまして、少なくとも民間航空機というものが安全かつ円滑に航行できるということを主眼として交渉を進めたい、こう思っております。
  393. 東中光雄

    ○東中委員 軍事優先、最優先権を与えるとか、あるいは保安管制は防空責任担当機関が必要な場合には持つとかいうふうな問題それを前提にして民間の安全をはかる。だから、取るものは取っちゃって、あとはその範囲内でやっていくというふうに言われておるように聞こえるわけなんですけれども、そういうことなのか。
  394. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 それは逆に申し上げてもよろしいわけですが、私どもとしては、あくまでも民航というものが安全かつ円滑に航行できるということをねらいとして進めているわけでございます。ただ、客観的な安保条約というもののワクがあるということはおのずから事実として存在するであろうということでございます。
  395. 東中光雄

    ○東中委員 沖繩交渉なんかがあってこの話が進まなかったのだというお話でありますが、もうかれこれ一年近くなるわけでありますし、それから沖繩のFIRは依然として米軍が持っておりますし、きょうも外務大臣にお聞きしたのですが、特に小笠原は返還後すでにもうずいぶんになりますけれども、なおグアムのFIRに入っておる。とりわけあの与那国なり西表なりは台北のFIRの中に入っておる。これは、沖繩返還に際して沖繩の空は、「完全且つ排他的な主権を有する」というようにICAOの条約の第一条に書いてありますけれども、それを相互に確認しておるはずですが、なお台北のFIRの中に入っておるという実情、  これは一体どう考えていらっしゃるのか。
  396. 丹羽喬四郎

    ○丹羽国務大臣 御承知のとおり、FIRはお互  いに航空交通の情報の交換の一定のエリアをきめることでございまして、それがどの地点が一番便利でしかも安全な確実な情報を伝えるか。施設関係もいろいろございます。したがいまして、大東諸島がグアムに入っているとかいろいろな問題もございまして、これは必ずしも国の安全とは関係がない地点もあると思う次第でございまして、ことに沖繩の場合は、御承知のとおり航空路管制の施設が整備される。これが保安施設を整備するのに二年かかる次第でございまして、条約によりましてもその点ははっきりと認められる。航空管制は返還されましても実際の実施は二年後でございまして、ただいまの小笠原の方面もいまの日本の保安管制から言いますと、むしろやはりグアムに属していたほうが的確な情報が入るというような観点からして、こういうようなものは、やはり保安管制、保安施設の整備、対空通信施設の整備というものが一番先行している。それにマッチしてやっていくことが必要ではないか。それがために保安施設の整備を早急に私ども急いでいかなくちゃならない。  御承知のとおり、民間航空におきましても、ARSRは日本にまだわずか二カ所しかできていない、こういうことで、日本の内地におきましてもそれらの位置の捕捉が確実でない。こういうことでございまして、せっかくそういう点におきまして、私ども五年計画のものを、保安施設につきましては三年に短縮してやろう、こういうことでございまして、できるだけ早くそういったほうも、日本の領空内におきましては、そっちに合わせるように努力してまいりたいと思う次第でございますが、お互いにやはり何と申しましても、空の安全確保のためにどれがいいかということが優先する。ICAOの規定におきましても、その点がそういう趣旨に述べられておる次第でございますので、しばらくの御猶予は必要ではないか、こういうように思います。
  397. 東中光雄

    ○東中委員 ただ、先ほども申しましたICAOの第一条は、「締約国は、各国がその領域上の空間において完全且つ排他的な主権を有することを承認する」と、はっきりと主権の問題として各国が承認をしているわけでございます。わが国がその領域上の空間を台湾の管制下に置かれておる。この調子だと、ここを飛んでいる飛行機の実情というのはわが国はわからぬわけですね。第一次的にはわからない。沖繩、小笠原、硫黄島、とりわけ沖繩の南部というのは、なるほどそういう実情になっておる。これは私は主権にかかわる重要な問題だと私は思います。特に軍用機がどんどん入ってぐる。ベトナムでの戦争のエスカレートと合わして非常にふえているという状態で、空に対する主権行使がやられていない。その交渉が、話し合いをするということになって、すでにもう話し合いに入っているんだということであって、根本的な合意書の変更についても進んでいないし、具体的なFIRの日本への移譲という点についてもやられていない。これは全く主権というものについて、私は非常に屈辱的な侵害——侵害とは言えないかもしれませんけれども、台北のFIRの中へ入っているというようなことを、そのまま、そういう準備ができないからというようなことで置かれておくというのは、どうしても納得いかぬわけですけれども……。
  398. 丹羽喬四郎

    ○丹羽国務大臣 ただいまの問題は、領空とFIRとは私は全然違うと思う次第でございまして、御承知のとおり航空情報という、これがどこを管理するかという技術的な面も相当ある。領空とは全然別個のものである。ICAOも私はそういうふうに承知をしておる次第であります。
  399. 東中光雄

    ○東中委員 航空路管制も、それから進入管制も、全部わが国でやってなかったら、そこで何が飛んでおるのか、どういうふうになっておるのか、全然わからないじゃないですか。わからぬ状態に置いておくということであれば、それで主権を行使しているということは言えないじゃないですか。単なる技術的な問題では決してない。主権にかかわってくる重要な問題だというふうに私は思うのですが……。
  400. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 FIRというのは飛行情報区でございまして、これは領空のみならず遠く公海上にまで及ぶものでございますから、その意味におきましては、必ずしも主権ということとは違うと思います。ただしかし、現実の問題として、先生指摘のように、西表あるいは与那国等の上空が台北FIRの中に入ってはおります。これは国民感情からしでも至当ではないかと思います。やはりこれがわが国のFIRに入れるほうが望ましいということは、先生おっしゃるとおりと思います。ただ、これは国際問題でございまして、いままで、アメリカが沖繩FIRをやっておる当時から、こういうふうな境界で行なっておったものでございますから、これを変えるには、やはり台北のほうの了承もとり、それでICAOのほうできめてもらうということをしなくちゃならぬわけでございます。ただ、最近御存じのように、台湾のいわゆる国際的な地位というものがまた従前とは変わってまいりまして、いま中国も必ずしもICAOのメンバーになっておりません。そういったような複雑な情勢もございますので、ICAOの場でこれをきめるのに非常にきめにくい段階でございます。しかし、仰せのとおり、ICAOを通じてこちらの要望は正しく出し、そういったFIRの区域の変更は将来いたしていきたいというふうに考えております。
  401. 東中光雄

    ○東中委員 質問を終わりますが、沖繩が返還された、しかし空は全く従来どおりということになっているわけであります。だから私は、準備ができないとかなんとかというのは、沖繩返還について当然準備しておらなければいけない性質のものだというふうに思うわけですが、それがいまなお残っているという点ではなはだ遺憾に思うわけであります。それから同時に、たとえば横田エリアに入ってくる飛行機だって、米軍に管制をまかせておるという形になっておるだけで、それだけで具体的な内容というものは非常につかみにくくなるわけですから、公空上の航空路管制だけの問題じゃなくて、領空上も含めて他国のFIRの中に入っているということを私は問題にしているわけであります。その点、早急に処置されるべきだということを申し上げて質問を終わりたいと思います。
  402. 伊能繁次郎

    伊能委員長 次回は、明八日木曜日、午前十時より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後七時二十八分散会