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1972-05-17 第68回国会 衆議院 内閣委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年五月十七日(水曜日)     午前十時十七分開議  出席委員    委員長 伊能繁次郎君    理事 加藤 陽三君 理事 佐藤 文生君    理事 坂村 吉正君 理事 塩谷 一夫君    理事 大出  俊君 理事 伊藤惣助丸君    理事 和田 耕作君       阿部 文男君    天野 公義君       笠岡  喬君    篠田 弘作君       辻  寛一君    中山 利生君       葉梨 信行君    湊  徹郎君       木原  実君    横路 孝弘君       受田 新吉君    東中 光雄君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 廣瀬 正雄君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      山中 貞則君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 江崎 真澄君  出席政府委員         人事院総裁   佐藤 達夫君         人事院事務総局         職員局長    島 四男雄君         総理府総務副長         官       砂田 重民君         総理府人事局長 宮崎 清文君         警察庁長官官房         長       土金 賢三君         防衛政務次官  野呂 恭一君         防衛庁長官官房         長       宍戸 基男君         防衛庁防衛局長 久保 卓也君         防衛庁人事教育         局長      江藤 淳雄君         防衛庁経理局長 田代 一正君         防衛庁装備局長 黒部  穰君         防衛施設庁長官 島田  豊君         郵政大臣官房長 森田 行正君         郵政省郵務局長 溝呂木 繁君         郵政省簡易保険         局長      野田誠二郎君         郵政省人事局長 北 雄一郎君         郵政省経理局長 浅見 喜作君  委員外出席者         警察庁警務局給         与厚生課長   大塚 惟謙君         警察庁交通局交         通指導課長   池田 速雄君         警察庁警備局参         事官      斉藤 一郎君         郵政大臣官房首         席監察官    舘野  繁君         郵政大臣官房建         築部長     山中  侠君     ————————————— 五月十七日  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法  律案内閣提出第五三号)  国家行政組織法の一部を改正する法律案内閣  提出第九一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国家公務員災害補償法の一部を改正する法律案  (内閣提出第一〇二号)  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法  律案内閣提出、第六十七回国会閣法第一八  号)  郵政省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第九号)      ————◇—————
  2. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 これより会議を開きます。  国家公務員災害補償法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。伊藤惣助丸君。
  3. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 私は、国家公務員災害補償法の一部を改正する法律案、この法案について質問します。また、この問題に関連する幾つかの問題を質問したいと思います。  初めに、人事院総裁に伺いたいのですが、昭和四十七年三月十六日に、「国家公務員災害補償法等改正に関する意見の申出」、この意見書衆議院議長船田中殿参議院議長河野謙三殿、内閣総理大臣佐藤榮作殿あて提出されたわけですね。その意見書に基づいて今回の法改正があったわけですけれども、いかなる事由でこの法案提出を行なったかということについて、まず伺いたいと思います。
  4. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 さかのぼりますと多少話が古くなりますが、実は、現在の災害補償法昭和二十六年にできて、当時の国会の御審議を仰いだわけでありますが、特に衆議院段階の御審議の際に、警察官というようなものについて別段の扱いをする必要があるのではないか、これは野党側先生方からもそういう強い御指摘があったという経過がございます。その後、私どものほうでも、問題であろうということから、人事院の部内に今井一男氏を会長とする研究会をつくりまして、これが昭和四十二年に中間報告をいただいておるわけです。その中間報告に基づいて研究を続けておりますかたわら、今度は警察庁のほうで、りっぱな警察官関係のそういうような調査会を、これは相当公式の調査会だと思いますが、設けられまして、そうしてその結果の取りまとめがありまして、公安委員長から私どものほうに、実はうちの調査会でこういう結論を得たからよろしくというお話がございました。たまたま私どもがやっておりました方向と一致するわけでございます。さらにまた、最近において、御承知のように、浅間山荘事件その他、ああいうはなはだ悲しむべき事態が頻発するものでございますから、いよいよ踏み切るべきときが来たというわけで御提案申し上げたわけでございます。
  5. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 だんだん浅間山荘についても聞いていきたいと思うのですが、この条文の中で、「警察官海上保安官その他職務内容の特殊な職員人事院規則で定めるものが、その生命又は身体に対する高度の危険が予測される状況の下において」、こういうふうにあります。この特殊な職員というものを人事院規則で定める、こういわれておりますが、どういうような仕事に従事している方々対象にして人事院規則で定めるのか、その辺伺いたいと思います。
  6. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 これは、危険な業務という点から申しますと、なかなか限界線がむずかしい問題でございます。したがいまして、私どもは、できるだけはっきりした限界を引き得るところにこれをとどめてまず発足をしたいという気持ちで、警察官、それから海上保安官を典型的なものとしてあげたわけでございますが、その他、これによほど近いもの、ほとんど同種と考えられるものとしては麻薬取締官、これはやはりみなピストルを持っておるというようなことで、命がけ仕事だということが裏から証明できますので、そういうもの。それから監獄職員入国警備官、その辺のところはよほど同じものと見てよろしいというふうに考えておりますので、おそらくその辺のところを規則であげることになろうかと思っております。
  7. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 結局、それは同じような危険だと認定できるようなもの、いま例示としてあげられましたけれども、それ以外にも考えられる場合にはそれを対象とする、こういう意味ですか。
  8. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 生命身体の危険をおかしてという線を引きますと、大体いま申し上げましたようなところが一ぱい一ぱいだろうと思います。それからずれてまいりますと、またずっと連鎖的につながりが続いてまいりまして、遮断をすることはむずかしい。いままでの研究の結果ではそういう考え方でおります。
  9. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 この間、川崎でがけくずれがございましたね。もともと、がけくずれの実験というのはある程度危険が予想されるが、結局は十六人ほどなくなったわけでありますけれども、ああいう方々に対しては適用されるかどうか。
  10. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 これは私ども一応念頭には入れましたけれども、同様の危険性ということになりますと、化学の実験室実験に従事せられておる方々、その他あらゆる部面にずっと似たようなものが出てまいりますし、先ほど申しましたように、だんだんと連鎖的につながってきて線の引きようがないという点に関係が出てまいりますものですから、これは今回としては問題の外に置かざるを得ないという気持ちでおります。
  11. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 先ほど説明はわかるのですが、災害補償法の中でいま言ったようなものだけを取り出しているわけですけれども、これはどういう位置づけをしようとしているのか。また、このことについては、日本が独自でこういうことを考えられているのか。外国の例なんかもわれわれは一応参考に聞いたり何かしますが、そういうことの中で、外国はこうなっているとか、日本の場合はこういうことを考えているとかいうことがございますか。
  12. 島四男雄

    島政府委員 この制度趣旨につきましては、私どもから勧告いたしました内容に尽きているわけでございますが、ただいま川崎の例を御指摘になったわけですけれども、私どもこの制度を考えるにあたりまして、まず根本に立ち返りますと、国家公務員災害補償につきましては、補償法の中で、労災労働基準法その他の社会保険制度との均衡をはからなければならないという趣旨の規定がございます。したがいまして、国だけが特殊な扱いをするというわけにはなかなかまいらない。その点は、補償法給付内容給付水準というものは、絶えず民間バランスをとっていままで来ているわけでございます。  ところで、こういう警察官等、ただいま総裁から御説明したような職種方々は、民間には実はそういうものに該当するような職種の方がおらない。私どもが今回考えました制度につきましては、まず、そういった国民生命財産または身体の保護に当たるという特殊の任務を持っている方々、それからそういう任務を高度の危険のもとに遂行しなければならないという立場の方々、しかもそういう方々が行なう職務が非常に高度の危険にもかかわらず職務上あえて行なわなければならない、義務づけられているという三点を一応要件としまして、それに該当するものは一体どういう職種方々であるかということで私どもは立案したわけでございます。  したがって、たとえば警察官につきまして申し上げますと、警察官職務内容としては、犯罪捜査犯人逮捕、護送その他いろいろございますが、風俗営業法に基づく取り締まりであるとか交通規制の問題もございます。その中で交通規制なんかの問題については、すべて高度の危険のもとに行なう職務かどうかという点も若干疑問がございます。その中で特に、同じ交通規制といっても、たとえば交通取り締まりのうちで白バイによって違反車両を追跡中に、当該車両妨害行為によって転覆し、それによって負傷したような場合を例にとりますと、これはまさに犯罪捜査または逮捕行為として一応とらえられるのではないか。したがって、単なる交通規制というものは、今回は私ども対象からはずしておるわけでございます。したがって、警察官の行なう職務がすべてこの対象かと言いますと、私どもでは必ずしも今回はそのようには考えておらない。さっき申しましたように、民間には全くないといったものだけを取り上げたというのが、今回の私どもの提案した趣旨でございます。  したがって、先ほど川崎の例でございますが、これは確かに、見方によっては非常に高度の危険があるという見方も成り立つと思いますが、しかし、あそこに立ち会った職員方々は、必ずしもそれを行なわなければならない義務があるものとは考えていないわけでご宙ざいます。ところが、警察官等の場合は、いま申しましたような方方の場合は、そういう危険があるにもかかわらず、あえて職務を行なわなければならない。その点に違いがあるということだと思います。
  13. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 それだけじゃちょっと狭過ぎるのですよ。たとえば消防士なんかどうなりますか。消防士なんというのは、火を消すだけじゃなくて、中に人がいるというような場合は、ほんとうに危険をおかして助けに行くわけですよ。それから保安要員、たとえばガスだとか電気だとか、事故が起きた場合に保安要員は大事故を防ぐために命をかけて行くわけですよ。もしか大爆発が起これば完全に一命を失うわけです。しかしながら、専門家である限りはそれを職務上遂行しなければならない。いまあなたがおっしゃったように、命をかけて携わるということに限っている場合でも、こういうところに対してはどうなるかという率直な疑問が出てきます。それから高層建築建築基準がいろいろありますけれども、三十六階でも何階でも、この基準に合っているかどうか、これを調査するのはやはり命がけですよね。建築が未完成なときに高いところにのぼっていろんな検査をする検査官、そういうような職種幾らでもあるんじゃないですか。いかがですか。
  14. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 消防は問題になり得る一つの業種だろうと思いますが、これは国家公務員で現実の消防に当たる職員というのはおりませんものですから、われわれのほうは国家公務員の受け持ちということで消防はあげておりませんし、われわれの考える範囲内ではない。しかし自治省あたりでは、相当熱心にいまおっしゃるような気持ちを持っておられるようなんでして、そちらのほうの問題として御了承を願っておきたいと思います。  それからがけくずれその他のお話も出ます。ただ、先ほど局長が答えましたように、私がさっき申し落とした点のもう一つのポイントは、公務員公務災害補償関係では、法律条文の中に民間との均衡ということをうたっておるものですから、民間のほうとのバランスを常に考えなければいかぬ。ところが、いま取り上げております警察官その他の一団の人々は、これは民間にない、国から命ぜられた業務として身命を賭してやらなければならぬという点において、民間にありませんものですから、これは何も遠慮せずにこの部分はやってよかろう。ただ、民間のほうにつきましては、これは本委員会等においてもたびたび御指摘がありましたように、民間でも上積みその他において相当優遇措置の講ぜられておる点があるんじゃないかと思いますので、私どもは、それはその問題として今回調査をする心がまえでおりますから、そのほうは民間とのバランスを見ながら善処していかざるを得ないだろう、そういう気持ちでおるわけでございます。
  15. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 危険な職務に従事する保安要員ということについて申し上げましたけれども、これは対象にすべきだと思うのです。  それから遭難した場合、よく、自衛隊とか、あるいはまた海上保安庁だとかやりますね。その場合、そういうところに従事する者は対象になっているのですね。なってないですか。たとえば飛行士もそうだし、一緒に乗っていく人間は、これはたとえ海上保安庁の中でも、直接に捜索し、直接に手を下すのではなくても、気象条件の非常に激しい中で海上を捜索するその飛行士機関士、これは当然対象になると思うのですが、その点はどうですか。
  16. 島四男雄

    島政府委員 自衛官の問題は総理府のほうにお尋ね願いたいと思います。  海上保安官につきましては、警察官と同様の職務を全部この対象にする考えでおります。  それから、一般的な保安要員はどうかという御質問でございますが、これにつきましては、特に、そういう職務に忠実である保安要員であれば、そういう場合に当然しかるべき措置をするのが本来たてまえだと思いますが、ただ、保安要員といえども法令上の根拠は特にないのではないか。そういう場合に適当の措置をするという高度の危険が行なわれるような場合に、そういった業務を行なうことについて義務づけられていないという点に着目しますと、警察官等の場合と違いがあるというふうに私どもは考えておるわけでございます。確かに先生のおっしゃる御趣旨はよくわかるんですが、いま総裁からもお答えがございましたように、私どもでは絶えず民間とのバランスということを考えなければなりませんので、国のそういった危険職種というものは各省庁それぞれ相当たくさんございますが、それを一々広げるということになりますと、民間に対する波及といいますか、影響が非常に大きい。したがってその問題については、民間において、労災以外に労働協約等によって上積みがなされておるやに聞いておりますが、実態は必ずしも私どもまだ十分つかんでおらないわけですが、いわゆる法定外給付というものが相当行なわれているように聞いております。したがってその問題は、今後法定外給付を十分調査して、どういうものが一体民間で行なわれているのかという点、国がそういうことに踏み切った場合に民間に対してどの程度の影響があるかということを十分検討した上で、また今後の課題といたしたいと思っております。
  17. 山中貞則

    山中国務大臣 自衛隊防衛庁職員の場合は特別職公務員でありますから、これは国家公務員災害補償法の中では書いておりませんが、これに準ずる行動の範囲内における身分の問題は、たとえば災害派遣の場合の自衛隊職員、ただいまお話しのとおり。それから自衛隊内のことでありますけれども司法職員としての警務官というものがおります。こういうものは防衛庁のほうで、政令段階において、国家公務員災害補償に準ずる政令を講ずることによって可能であると考えます。
  18. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 要するに、先ほどもいろいろ答弁がありましたけれども適用範囲が狭過ぎますよ。それで各省においては法定外にいろいろ支給しているということでしょう。
  19. 島四男雄

    島政府委員 民間会社のことを申し上げたわけであります。
  20. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 いえ、各省で……。
  21. 島四男雄

    島政府委員 各省は、この国家公務員災害補償法に基づいて、全くその内容で給付しているわけでございます。したがって、その以外にプラスアルファというものは、一切支給されておらないわけでございます。
  22. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 だから、少なくとも警察官に限ってなんと言うから問題だと思うのです。命がけでやる保安要員だとか——民間でない。民間には及ばないわけですから。各省にもそういった人たちがいるわけですよ。これは非常に数が少ないわけです。だからそういった方々対象にすべきではないかと私は言っているわけです。そうしたら、あなたがさっき、各省においては何か考えているみたいなことをおっしゃったでしょう。
  23. 島四男雄

    島政府委員 あるいは私の御説明が不十分だったかと思いますが、各省にも相当危険業務に携わる方々がいろいろおります。ただ、そういう方々に、今回警察官等にとった措置と同様の措置をとった場合に、それと類似の仕事をやっている方方民間にもやはりあるのではなかろうか。これは推測でございますから、はっきり断定して申し上げるわけにいかないわけでございますが、いずれにしても、そういった民間とのバランスということを考えますと、今回は全く民間関係ない職種職務内容をとらえた、こういうことでございます。
  24. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 いろいろな関係各省の中には、先ほども言ったように、危険な業務に携わる保安要員がたくさんいるわけですよ。その方々から見れば、何だ警察官だけ、あるいは先ほど言いました麻薬取締官だとか、そういう人だけでわれわれなんか適用されないのか、という反発は出てきますよ。それはしかし、民間に与える影響を考えなければいけないから、なかなかむずかしいというのでしょう。だけれども事実関係は、警察官だって、そういった危険な業務につく保安要員だって、同じじゃないですか。
  25. 島四男雄

    島政府委員 先ほども申し上げましたように、そういう方々について今後も全く考慮しないという意味ではなくて、そういうものについては、民間における法定外給付実態を十分調査した上で今後の検討課題にしたい、このように申し上げたわけでございます。
  26. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 だから最初から検討すればいいんですよ、あとから問題になってから検討するなんというのではなくて。これは、法務省の入国のためのあそこにいる警察官みたいな人、それから刑務所の警備をやっている人、それから警察官海上保安庁捜査等中心にして危険な業務に携わる方々、いまのところは大体四種類しか対象にしなかったわけですね。ほかにはあるのですか。
  27. 島四男雄

    島政府委員 警察官とほとんど同じでございますが、皇宮護衛官、これも対象にしております。もう一回申し上げますと、警察官皇宮護衛官海上保安官麻薬取締官監獄官吏入国警備官、こういう方々に今回適用する。しかもその職務内容としては、特定の職務をとらえて、こういう方々人事院で定めるような職務を行なった場合に適用する、こういうことを考えておるわけでございます。
  28. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 そのほかにもっと、各省において命がけ保安業務をしなければならない方々もいるわけでしょう。それは調査したのですか。
  29. 島四男雄

    島政府委員 警察官等任務は、そういった保安要員方々任務と根本的に違うところは、生命身体に非常な危険がある、にもかかわらずあえてそういう職務を行なわなければならない。それによって国民生命身体及び財産を守る、こういう特殊の任務を負っているわけであります。ところが、いま御指摘のように、各省になるほど危険業務に携わる方々がおりますが、そういう危険業務についてはあらかじめ防除措置が可能ではなかろうかという点に着目すると、根本的に警察官とは異なる性質のものであるというふうに私どもは理解しておるわけでございます。ただ、災害補償補償という点に着目して考えてみた場合に、将来、そういうものについては全く一般職員と同じに扱っていいのかという問題は問題点として残るわけでございますが、その点は、先ほど来何回も申し上げましたように、今後の検討によって十分また考えていきたいというふうに思うわけでございます。
  30. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 そこで、何も命がけでといっても、これはそういう事故が起きた場合の補償の問題なんですから、起きなければ一番いいわけです。もともと命がけで扱うというのは、警察官に限らず、事故のときには、小さな事故を大事故にしないために、保安要員というのはいつの場合でも必ず命がけでそういうところに行く可能性はあるわけです。そういう場合については、やはり適用できるという道を開いておく必要があるのじゃないかと思います。  それからもう一つは、それだけに限らず、先ほども申し上げましたけれども適用範囲というものをしぼらないで、がけくずれであるとか、もう少し広げるべきじゃなかったかというふうに思うのです。その点について、総裁と、これは各省との関係もありますので、総務長官にも伺っておきたいと思います。
  31. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 大体いままでの御説明に尽きるわけでございますが、要するに、たとえば犯人ピストルをかまえて迫ってきたというときに、普通の保安要員であれば、ちょっと逃げ隠れしてもおそらく深刻な批判を受けることはあるまい。ところが、警察官が逃げ隠れしたら職務上の問題にもなりますし、一般批判から申しましても、ちょっとそういうことは許されないことだ。きわめて素朴な考え方でございますけれども、まずそういうところに限定して、これは間違いないものということで今回は意見を申し上げた。さらに、おっしゃるようなことはよくわかります。われわれも十分検討はしたことなんです。また、それらの人々に対しても何らかの措置をとることは好ましいことは十分承知しておりますので、そういうお話も伺いながら、なお今後の調査とも兼ね合わせまして検討を進めてまいりたい、そういう気持ちでおります。
  32. 山中貞則

    山中国務大臣 例をあげられました川崎のがけくずれ事故ですが、これは危険が起こることを承知実験をするというのは、公務員として幾ら科学技術庁研究職員中心であっても、よくないことであります。したがって、がけくずれが災害のときに住民に危険を及ぼすということに着目して研究をしたいという場合においては、その研究範囲においては、目的を達するためには、研究に携わっている者まで危険になるような実験をあらかじめ承知の上でやることは、私はこれはどうかと思うので、そのためあたら民間の有望な若いカメラマンの方々まで犠牲にしたわけでありますから、この責任問題は別として、あらかじめこういうものまで災害補償の特例の道を開いておくということは、私は国として姿勢の問題にも問題点が生ずると思います。その他の実験その他を各研究機関等でやりますけれども、これはあくまでも安全が前提としての実験がなされていなければならないはずであります。人命を危険にさらすような実験承知の上でやらせるとすれば、私は、国家公務員あるいは人間に対する国のあり方として問題があると思うわけであります。  保安要員についてはまさにいまのケースと同じでありますから、これはボイラーとかその他の問題になると思いますけれども、あるいは民間に通産省あたりが火薬や爆発物の検査等に行きます場合も、行ったら危険だと言ったら、おそらく立ち入らないだろうと思いますし、そういう行ったら危険な状態をなくするための指導あるいは保安というものを、保安はおそらく国の建物に関する行政上の保安の職務だと思いますが、したがって、そういうものは危険でない状態ということを前提にしておりますから、この場合は危険であることを承知の上であって、なおかつ職務上そこにおもむかなければならない、そしてその結果不幸にして死亡しもしくは負傷したという人を対象にしておるわけでありますから、その点は、一応私としては限定されてしかるべきものと考えるわけであります。
  33. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 総務長官考え方はよくわかるのですが、ただ、さっきも言ったように、警察官だけじゃない。要するに、がけくずれなんかについては、安全対策を十分やっていくべきことは当然そうだと思います。ただしかし、よくありますよ。小さな事故が起きた、その場合、それをどこに原因があるか、状況といいますか、実態といいますか、よく調査した上で大事故を防ぐというような場合。あるいはまた、高層ビルの建築をやった場合、のぼりたくなくても職務上行かなければならない。そして手抜きはないか、技術的に定められた法律に合っているかどうか調べる。もちろん安全対策を十分講じて行ったとしても、それが不十分な場合墜死とか、あるいはボイラーマンが注意に注意をした場合であっても、やはり事故が起きる場合だって考えられますね。だから、そういう点については、あの人はこういうような状況のもとで命がけで大事故を防ぐために行ったけれども事故に巻き込まれてしまった、あの人は安全対策を十分したつもりで行ったけれども、実際にはそれより以上に大事故に巻き込まれたというような場合には、限定しないで適用範囲を広げていくべきではないか、こう思うのです。いかがですか。人事院総裁はそれは前向きに検討するとおっしゃったから、総務長官からお聞きしたい。
  34. 山中貞則

    山中国務大臣 これは現行の国家公務員災害補償の中で、いまのまま一律平等では、今日の社会情勢等の変化もありますが、頻発する情勢から見てこれではとても気の毒であるし、国としても申しわけがないということで着手をしたわけでありますから、あらかじめ予想されない危険、結果としては危険につながることが場合によってはあるようなものまで広げるという気持ちでそもそも出発をしたわけではありません。やはり公務員の立場の中で、常時危険が察知されて、しかも本来国民のだれもが持つことを許可されない武器の携行をそのために許されておる職種というようなことにしぼって考えております。これは心情的に言えばかつては終戦後、税務署の職員が密造酒を摘発するときなどは、場所によっては危険なこともあって手当みたいなことも考えたらどうかという議論をしたくらいですけれども、しかし、そういう特殊なものはありましたが、現在のそういう一般社会の現状の中で、公務員災害補償の中で特別にめんどうを見ておく必要があるというものは何だということで検討したわけであります。したがって私としては、人事院意見があれば別でありますが、私のほうから人事院意見を越えて対象を広げるという気持ちはありません。
  35. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 わかりました。今後検討するという人事院総裁の話もありますから、それ以上言いませんけれども……。  次に、額の算定基準を百分の五十というふうにしたという根拠ですね、これを伺いた。
  36. 島四男雄

    島政府委員 災害補償の根本的な考え方というのは、その災害を受けた方の稼得能力というか、どれだけかせいでおったか、それの災害を受けたことによって失われた部分、それを補てんするということがそもそもの出発点だと思います。その場合にどの程度補てんするのが妥当であろうかということで現在の補償水準、補償給付内容がきめられておるということだと思います。  現在、わが国の災害補償、これは労災も同じでございますが、この水準はILO百二十一号に業務災害に関する給付の条約がございますが、その条約である水準が定められております。その国際水準に合わせておるというのが現在の補償内容でございます。ところで、今回こういった警察官等について国が特別な配慮をするという場合に、どこまでそれを配慮すべきかということでいろいろ考えたわけでございますが、現在は必ずしも一〇〇%補てんはしておらないわけでございます。こういう方々については国が特に特別の配慮をすべきであるということで、最高限度まで補てんしようではないかということで計算したわけでございまして、平均的な遺族数はどのくらいであるかということを考えてみた場合に、大体遺族三人というのが、私どもの計算した平均的な遺族数でございます。その遺族三人の場合を想定いたしまして、その場合の得べかりし利益の喪失の完全補てんを行なうとすればどういう数字が算出されるかということで計算しましたところが、現行補償の五割増しということで完全補てんになるということから、この五〇%という数字が出たわけでございます。
  37. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 こういう補償をするような事能が起きることを私は望むわけじゃありませんけれども、万一こういうような場合には、百分の五十なんて言わずにもう少し高額な補償というものを考えるべきではなかったかと思います。  ところで、具体的に申し上げますと、浅間山荘で警官が不幸にしてなくなられたわけでありますけれども、その場合の例で伺いたいのですが、もし現行の場合だと遺族の方はどのくらいもらえるのか。そしてまた、この法律改正した場合にはこれがどのくらいになるのか。具体的に答えてください。
  38. 島四男雄

    島政府委員 浅間山荘事件のときになくなられた内田警視と高見警部の場合の例でございますが、お二人とも年金受給の対象になる方でございます。この改正が行なわれないとすれば、内田警視の場合は年金が百十五万円でございます。これがこの改正によって百七十二万六千円というふうになります。それから高見警部の場合は、改正前が九十一万一千円でございますが、この法案が成立しました暁においては百三十六万六千円、このような数字になります。
  39. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 要するに、百十五万が百七十何万ですか、一つの実例を申し上げましても非常に安いですね。だから、こういうような国家公務員災害補償については、私は百分の五十というのは実に安い。いわゆる交通事故等によりますと、補償される金額は相当多いわけです。なぜこういうような職務上において事故死、殉職した場合の補償額が低いのか、その点疑問に思うのです。
  40. 島四男雄

    島政府委員 先ほど申し上げましたように、このお二人の方はいずれも年金の受給対象になるわけであります。したがって、内田警視の場合は年額百十五万円が百七十二万円になるわけであります。したがいまして、月額にしますと、これを十二で割った約十四、五万円くらいの金額が出る、こういうことでございます。したがって、ただいまおっしゃったような自賠法の場合は、一時金として最高額五百万円。だから、一時金の場合と比較いたしますと、この年金は必ずしも低くないということが言えると思います。
  41. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 自賠法とは比較できませんけれども、年金ですから、なくなられるまで出すわけです。それにしてもやはりこれは、そのときの物価指数であるとか、あるいはまたその社会情勢の変化に応じて、改正され支給されていくことが私は大事ではないかと思うのですが、その点はそうなっておるのですか。
  42. 島四男雄

    島政府委員 完全なスライド制は現在行なわれておりませんが、ベースアップによって給与が改定になりますので、それに応じて平均給与額というものを改定いたしまして、スライド制をとったと同じ実質的な効果を持つような措置をとっております。
  43. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 総務長官に伺いたいのですけれども、沖繩の通貨交換、これについて二、三問、質問したいと思います。それから警察庁の方に、交通事故問題について、これまた二、三問伺います。  初めに、総務長官、沖繩の通貨交換が一ドル三百五円になったわけですが、その経緯と理由ですね。いまいろいろ沖繩で県民が心配して、話が違うじゃないかというような意見もあるわけであります。それについて簡単にお答え願います。
  44. 山中貞則

    山中国務大臣 まず、三百五円の積算の根拠でありますが、これは金曜日の引け値まで含めた先週の土曜からの六日間の算術平均をとりまして、これが三百四円台の端数があります。さらに、その金曜日、十二日の最終値は三百三円台でありました。そのいずれか高いほうを採用し、かつまたその端数を切り上げるという計算方式をもって三百五円を割り出したわけであります。  ところで、まず第一に、三百六十円でなぜできないかという議論はたびたび議論をいたしておりますが、これは、日本が変動相場制に移行した瞬間にきわめて重大な情勢が沖繩の国民だけに起こり得る、ドル圏の円物資という生活の上からきわめて危険な状態になるというようなことを直観いたしましたので、十月八日に閉鎖して十月九日に、個人のすべての人々の無制限な手持ち現金並びに通貨性資産の確認を行ないました。その行なった金は、円がどれほど高くなろうと、ドルがまた同じように安くなろうと、復帰の時点において定められた交換レートに従ってその差額を完全に補てんをするという約束を一方にいたしております。でありますから、現時点における議論は、三百五円と、三百六十円がなぜできなかったかという差の議論でありますけれども、十月九日にチェックしたことに関する限りにおいては、予算では二百六十億計上いたしておりますが、これは義務経費として予備費の支出を当然しなければなりませんので、その増加分が、レートが三百八円を下回ったことによる金額の増というものがネットで十五億。その後もろもろの要因、たとえば沖繩県民九十四万五千百十一名という国勢調査の結果でありますが、確認されたいわゆる交付を受けるべき県民は八十六万名に達しました。大蔵としては、ここらを、名寄せ集計等においてきわめて疑問がある。一人で二回もしくは三回といいますか、ダブってもらう人がおる可能性をはっきり数字が示しておるということを申しますが、私としては、やはり沖繩県民の子供の名前において預金をしていた人があるかもしれませんし、そういうことを考えれば、義務教育の生徒だけで二十一万、幼稚園、赤ちゃんを含めればもっと数が多くなりますが、確かにつじつまの合わない数字ではあります。しかし、これは大蔵当局も、沖繩のあのような環境の中でやったことであるからということで、それを総計いたしますと三百五億円にになるようであります。これだけの金が、十月九日以降のものとしては差損が完全に沖繩県民に二十二日から支払いが開始されるわけであります。  ところで現在の議論は、三百六十円であったならばという前提をもって賃金を読みかえ、そしてその賃金を読みかえたコストプッシュ要因に対しては、収入をそのために確保しなければならないという、要するに企業者が一人、二人を雇っていても、いわゆる雇用者の立場というものからの労賃とコストをカバーする収益という問題がありまするし、一方においては、末端における小売り店というものが独自で三百六十円読みかえ等を行なっている例等がダブっているわけであります。したがって、現実に消費者の個々の人たちは、自分たちは三百六十円で交換をしてもらえば、すなわち復帰の時点でもらえば、物価が三百六十円で換算されても別段差し引き損得はなかったのだ。しかし、それを三百五円という、すなわち県民の最悪の場合の願望であったと思われる三百八円の交換レートさえ適用されなかったことによる損失は、直ちにその日から、公共料金をはじめとする三百六十円読みかえによる支出の増となって自分たちにかぶさってくるではないかという御意見があるわけであります。私は、これはきわめて通貨理論として説明のむずかしい問題でございますので、県民の皆さまに、現地においても完全に納得をしていただくだけの私の努力は果たせなかったと反省をいたしております。  問題は、企業においては、自分たちはそのドルのチェックを受けなかったのだから損した一方だ、という言い方が通っております。しかし、もし企業で、十月九日の昨年の時点で完全に債権債務の相殺をいたしますと、明らかに債務超過、いわゆる自分たちの借り入れの超過の部分がきわめて多いのが企業でありますので、これが全部三百六十円で換算されて相殺をされて、その残りがあれば見てもらえるばかりじゃなくて、ほとんどが残りがなくて、いわゆる借り入れ金の返済のみが残る。それがしかも三百六十円で復帰後も返済をしていかなければならぬ。この点は業界ではよくわかっているわけでありますから、企業を経営する人は、自分たちの企業は、やはり返済は、三百五円になったことによって、沖繩経済の個々の企業の体質というものに対して、かろうじてその点はマイナスにはならなかったという感触は持っておられるわけです。しかし、復帰直前の賃金読みかえによって何らかの措置をせいということでありましたから、先般来お話し申し上げましたように大蔵委員会の附帯決議を受け、八十億の七年償還、二年据え置き、三%、低利のものをやることにいたしました。  しかし、ここまで御説明をいたしましてなおかつ残るものは、十月九日からことしの五月十四日に至る約七カ月弱の間において、琉球経済は確かに成長を遂げてまいりました。過去の成長の平均が一〇・八%。この一〇・八%が七カ月として、まるめて一〇%の成長があったと仮定をして、それがまるまる沖繩の経済の手取りであった、ネット増であったと考えてみました場合に、個人個人に幾らずつ一体それがふえたのか、きわめてむずかしい議論です。昨年の十月九日のチェックの際に一万ドルチェックしてもらった。それが復帰時点の五月十四日では一万一千ドル持っていたという人は、間違いなく一〇%成長しているわけですけれども、おそらく私の知っている範囲でも、また客観的にも、十月九日のチェックを受けてその仕組みがわかってやれやれと安心されて、換物もしくはその他の有効な投資のほうに回されて、現金は沖繩県内を回っておりますものの、その人の手元には現在ありませんから、チェックしたものと同じ金額は存在してないわけでありますから、不特定多数の県民の間を回っております。そこで、十月九日の人たちに一律に、かりにまるめて一〇%の成長に見合う部分を再交付するということも、十月九日以降においては逆にきわめて悪平等という感じになります。しからば個々に帰属ではないとするならば、沖繩県の経済発展の一〇%分に対してどのような金額とどのような考え方を持つべきか。まあこれは単純に比較できませんが、差損の補てんが今回のドルレートの設定によって、交換レートによって三百五億円に達するということを先ほど申しました。これの一〇%と、かりにそういうとらえ方をしますと、約三十億円というものが、沖繩経済の昨年の十月以降の成長に対して国が措置をしていない分野である。この点は、私は理論的に確かに存在することを肯定いたします。したがって、沖繩県も、これをどのようにしていいかについて具体的な案は持っておりませんが、今後相談をして、沖繩県民のすべての人々が、自分も恩典の対象になり得るようなものが何かあるのではないかということで、もう少し私のほうで検討させていただきたい、このように考えます。  結びとして、沖繩県民の望み続けた復帰の直前に、国際通貨変動のやむを得ない立場による変動の措置であったとはいえ「何の責任もなく、相談を受けても返事のしようすらなかった沖繩の人たちに、復帰直前に復帰の喜びの道のりをどろんこにしてしまった、非常な不安と動揺を与えてしまったという責任を、私としてはきびしく痛感するものであります。心からおわびをしたいと思います。
  45. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 もう一問聞きたいのですが、三百五円にきまったことに関連しまして、公務員とか民間労働者の賃金はどういうことになるのか。
  46. 山中貞則

    山中国務大臣 公務員のほうは、すでに、この委員会における質疑応答でも、最後までもめました差額手当の換算の問題も、すべて解決をいたしました。公務員諸君は、すべて安心してそれぞれの持ち場にいま励んでおられます。さらにそれに準ずるものとしては、沖繩県に引き継いだ水道公社、これは少しまだ何か残っているような話がありましたが、これは県と職員との問題として、公務員に準ずる解決はできるはずであります。あとは開発金融公庫に引き継ぎました職員、それから電力株式会社に引き継ぎました職員、これもすべて解決をいたしました。  さらに民間のほうは、これも先ほどちょっと説明したつもりでありますが、もう一ぺん申し上げますと、琉球政府から要請のありましたものについては、産発から十億、大衆金融公庫から七億六千万、そして金融機関の貸し倒れ準備金繰り入れ率の限度額を千分の十五とすることによる沖繩側の受るメリットによる消化というもので一応措置はいたしたわけでありますが、私としては、やはり一人雇っても雇用主は雇用主、一人雇われていても賃金をもらう立場の労働者は労働者でありますから、どこまでいっているかについて若干調査いたしましたところ、その措置では五〇%ぐらいしかいっていないだろうという話がありましたので、それではというので、その問題のためにのみ八十億円以内の七年償還、二年据え置き、三%という低利の資金を融通することにより、それを、いままでの実際上の操作でありますが、融資基準はそういうことは書けませんけれども、実際上の操作は、その条件で受けた金をもって、いままで借り入れている金の肩がわりということにより受けるメリットによって消化ができるということで、大体、私、現地で聞きました範囲でも、やっていけるだろうということでございますから、人を雇い、雇われている関係は、それで終わると思います。  さらに問題は、商売人のほうはたいへんいいことをした、しかしわれわれ農民あるいは半農半漁の漁村、こういうものは、昨年の台風、干ばつによってどえらい目にあって、そしていま復帰までは、利子補給まで予算措置で受けて中金から金を借りておる、しかし復帰の日からその利子補給はなくなる、われわれには多額の負債が残っている、しかも農業所得につながる生産は、キビ、パイン等についてもすぐに収益に直結しないという人たちの上にも、同じ配慮がなされなければいけません。今回の金融公庫の中では、それぞれ、四%の二十年償還、あるいは五%の二十年償還等の特利長期の条件が設定してありますが、その条件を選ぶも自由であるならば、一方企業に対してなされました措置に対すると同様の、七年償還の二年据え置き、三%の条件で別ワクでもって金を借りる道も設定をいたしてございます。したがって、それらのことにより、農漁民も含めて賃金の問題は、八十億の問題でありますが、大体解決をしたものと考えております。  なお、現地で私ども見ました、あるいは直接スト中の組合員の人が、長官、あなたの所管ではありませんが、私たちの訴えも聞いてくださいと言われました、アメリカ系の銀行の、アメリカ本土にある本社に対する団体交渉の賃金問題ベースアップ問題でありますが、読みかえ問題は済んだと言っておりますけれども、その問題等が若干復帰の日まで残っておりました。これらも遠からず解決するものと考えます。
  47. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 警察庁に伺いたいのですけれども、最近非常に交通事故が多くて問題になっております。昭和四十六年の交通事故の状況と、それからもう一つは特徴的な事故発生の問題。どういうことが一番多く起きているのか、それをまず初めにお聞きしたい。
  48. 池田速雄

    ○池田説明員 昭和四十六年の交通事故の発生状況でございますけれども、発生件数が七十万二百九十件でございまして、死者数が一万六千二百七十八人、負傷者が九十四万九千六百八十九人といったような状況でございまして、一昨年に比べますと、発生で二・五%、死者数で二・九%、負傷者数で三・二%というふうに減少をいたしておりまして、この件数、死者、負傷者がそろって前年よりも減少いたしましたのは、昨年が初めてでございます。  なお、本年に入りましてからの状況でございますけれども、昨日現在で、死者数で申しますと五千五百六十八人の方がなくなっておられまして、昨年の同日に比べますと百九十四名の減、こういったような状況でございます。  なお、昨年の事故の特徴でございますけれども、特に死亡事故につきまして申し上げてみますと、まず地域の問題でございますが、全般的に見まして大都市では減少しているということでございますが、その反面、特に首都周辺のいわゆるドーナツ現象と申しますか、そういった各県で非常に増加しているというようなこと。それから東北でございますとか九州、これは福岡以外の九州でございますが、それから四国というようなところでは急激に伸びているというように、モータリゼーションの増勢が非常に激しい、それに交通環境なりいろいろな条件で追いついていないというところに事故が増加しておるというのが特徴であろうというふうに考えております。  それから二番目には、この地域の問題にも関連すると思いますけれども、特に時期の問題でございますが、夏休みの八月でございますとか、行楽期の五月でございますとか十月、十一月、こういった時期に非常にふえておりまして、そのふえておりますところが、いわゆるレジャー交通の多いところと申しますか、そういった県に多発している。曜日別に分けますと、土曜日、日曜日というのが一番死亡事故の発生が多いということでございます。特にこれは地域的に申しまして、東京都内になりますと、曜日別では日曜日というのは一番事故が少ないわけでございますが、そういったレジャー県では一番多い、こういったような現象を来たしてきております。  それから事故の形態でございますけれども、車の人あるいは車と自転車という事故でございますが、これが一昨年に比べますと大幅に減少いたしまして、よく走る棺おけと申しますが、車同士の事故、これが相対的にふえてまいりまして、ほぼ同数という比率を占めておるというのが特徴であろうかと思います。また、車の中では二輪車乗車中の死亡事故がふえている、これが特徴であろうというふうに考えております。  それから年齢別でございますけれども、子供と老人の死者数が全体として減少しているわけでございますが、幼児の死者は横ばい、こういうことでございます。同じ子供にいたしましても、高年層の者は減少しておりますけれども、幼児につきましては依然として減らないというような状況がございます。  それから車の種別で申しますと、営業用の自動車と営業用、自家用の貨物、その事故はそれぞれ減少しておりますけれども、自家用の自動車が非常に事故がふえております。これはレジャー交通の増加という点とも相当関連があるのじゃなかろうかというふうに考えております。  それから原因別の中で特に特徴としてあげられますのは、酒酔い関係事故というのは非常に減っております。そのかわり、依然として多いのはやはりスピード違反に関連がありますような事故、こういうのがふえているというのが特徴であろうかと思います。  一般的な概略は以上のとおりであります。
  49. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 事故の中で、安全地帯に激突するとか、安全地帯というものによって事故が発生したという件数はどんなものですか。
  50. 池田速雄

    ○池田説明員 車を原因といたします事故の中で車両単独事故というのがございますが、これが全体で五万二百九十四件ほどございまして、比率で申しますと七・二%程度でございますが、その中で、安全地帯に衝突いたしましたという件数は六百十五件でございまして、比率で申しますと〇・一%というふうになっております。そのほかに、分離帯にぶつかったというようなもの、あるいは防護さくにぶつかったというようなもの、それから転倒した、駐車車両にぶつかった、こういうものを合わせまして、先ほど申し上げましたような七・二%ということになっております。  この件数は、比率で申しましても、一昨年が七・四%ということでございますから、若干減っておる、少しずつ減りつつあるということでございまして、これは一つは、路面電車の撤去等がございまして、安全地帯が少なくなっているというような点等もあるのじゃなかろうかと思います。  ただ、この車両の単独事故で特に私ども注目しておりますのは、高速道路でございますとか自動車専用道路でございますと、大体四八%程度は車両単独の事故ということになっております。この点は、最近の非常に目立った現象ではなかろうかというふうに考えております。
  51. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 私はきょう問題提起を一つしておきたいと思っておるんですが、要するに安全地帯であるべきなのに実は危険地帯になっているという例であります。いま確かに、単独事故の中で安全地帯に激突したというようなのは〇・一%ですか、そういうふうな数字が出ましたが、実は届けたのがそれだけであって、無届けの単独事故というのが相当数あると思う。  といいますのは、一つの例を申し上げますと環状七号線、あそこは事故多発でもって非常に有名なところですね。ある場所においては中央に金網が張ってある、ある場所においてはペンキだけ塗ってある、ある場所においてはこういうものが置いてある、ある場所においては長さ三十センチ、高さ約五十センチほどのものをずっとしております。私が申し上げたい点は、雨の日とか、あるいはまた非常に視界が悪いときに、この中央に引かれてある分離帯というのですか、これが見えないわけです。一つの例で申し上げますと、実は私もマイカーですから自分で運転していますが、環七の赤羽の近くですが、あそこは事故が多いものですから十分注意するんですけれども、雨の日など三十センチ程度のものが見えない。ですから乗り上げてしまう。私の場合は乗り上げるだけで、タイヤが破れただけで終わりましたけれども、そこの交番のおまわりさんに聞いたところが、しょっちゅう起きるということで、結局、安全地帯が危険地帯になっているのじゃないか。しかも交差点といっても、カーブする場合は早く回ろうとしますが、直角というふうには回らない。やはり斜めに回る。しかもそれから二十メール先から金網になっています。ですから、私は夕方でありましたけれども、視界の悪いとき、雨が降ったとき、あるいは夜、こういうときにはほとんどの車が乗り上げる。あるいはまた、信濃町のところに高速道路から出てくるところがある。私はいつも高速道路を利用しますけれども、たびたび外車やほかの車が右に曲がるときにぶつけている。それを私は見ているわけです。結局安全地帯というべきであるはずなのに、危険地帯になっている。しかも道路と同じ色になっていますので、非常にむずかしい。  それから環状六号線の中においても、少し土を盛り上げて金のものが置いてありますね。それでUターンしてもいいことになっている。それがために、車両によっては、物が落ちたり接触したりという事故がある、こういう問題。  それからもう一つはガードレールの問題。駅周辺にずいぶんガードレールがあります。ただそこに電柱がある。電柱とガードレールの間が三十センチだ。電柱がまん中にあって、三十センチの非常に狭いところが歩道としてあります。だけれども歩けない。だから車道を歩いていく、こういうようなことが実はあるわけですね。  私は、単独事故で警察に届け出る人は、よほどのことがなければないと思うのです。ですから、届け出ない単独事故というのはものすごくある。しかもそういう安全地帯に激突する。手前までは白線だけ、急に盛り上がっている。あるいは金網があるところから高くなっていればいいのに、金網からだいぶ離れて先のほうにそういう中央分離帯がある。こういうことを統一しなければ、私はやるべきじゃないと思うのです。しかもそういう場合には、明確に見えるように夜光塗料を塗るなり、ここは盛り上がっているんだぞというのをもっと明確に明示するような行政指導。あるいはまた、あまりにもそういう単独事故が多ければ、そういうことをやらない。私は、車を利用している人は、全部そういうことを思っているのじゃないかと思うのです。その点どう考えますか。
  52. 池田速雄

    ○池田説明員 分離帯その他、本来安全のためにつくられている施設でございますから、不備がございます点は、おっしゃるように早急に直さなければいけないと思います。警察といたしましても、これらの施設は実は道路管理者がつくるようになっておりますので、実態に即しまして、警察のほうからも御趣旨の点を十分に道路管理者に伝えまして、早急に改善するように取り計らってもらうように要望したい、こういうふうに考えます。
  53. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 ガードレールを全部はずせなんて、私、言っているわけじゃないんですね。そういうところについては、ケース・バイ・ケースですから、そこをはずしてまた張るとか、あるいは環七のような交通事故が多いところについては金綱は全部やるとか、あるいは、ほかの方法でやれるものならそれをやるとかする。三十センチの高さの道路と同じ色のようなものはきわめて危険ですよ。こういうようなことは、私は法律ではないと思いますけれども、即刻やめるべきだと思うのです。線を引くか、あるいは金網を張るか、それはかまいません。ただ、目に見えないような、単なるコンクリートを厚くして道路の中央に分離帯をこんな高さでずっとやるということは、非常に問題があるように思います。そういう点について道路監督者に注意しろというんじゃなくて、私はそういうことはやめたほうがいいと思うのです。いかがですか。
  54. 池田速雄

    ○池田説明員 御趣旨の点につきましては、さっそく担当でございます建設省へ十分申し伝えたいと思います。
  55. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 じゃ、同僚委員の質問もありますから、これで終わります。
  56. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 受田新吉君。
  57. 受田新吉

    ○受田委員 この法律改正案は、非常に愛情に富んだ政治の一翼であると感じます。私たちも、こうした公務に精励する諸君に希望をわかしめるような法律の審査をすることは、きわめて楽しいわけでございます。ただ、この法律案の審査にあたって問題点が幾つか出ております。伊藤議員の質問されたこととなるべく重複しないように心を使いながら、お尋ねをしてみたいと思います。  国家公務員法二十三条の規定による人事院総裁としての政府に対する意見の申し出、これがいままで歴史的に幾つくらいございましたか、人事院創始以来の件数をお示し願いたいのです。
  58. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 国家公務員災害補償法関係はわりに多いのでございますが、これについて、従来、昭和四十五年までの間に三回ありまして、今度が四回目ということになります。そのほかに、最近では御承知のように、学校の先生の超勤問題の教職調整額関係意見の申し出、これは最近ではわりあいに大きいほうであろうと思います。
  59. 受田新吉

    ○受田委員 「この法律目的達成上、法令の制定又は改廃に関し意見があるときは」という、「この意見」というものの中には退職年金関係のものが入るのですかどうですか。
  60. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 「この法律の目的達成上」ということで非常に広く打ち出しておりますから、われわれとしては、なるべくこれを広くとりたいという気持ちであることはお察しいただけると思いますけれども、とにかく可能か不可能かとお尋ねになれば、私は可能だろうと思う。ただ、退職年金関係は、前に申し上げたことがあると思いますけれども、これは総理府に恩給局という非常に大きな機構があり、また恩給関係審議機関としても有力な審議機関がございますから、大体そちらのほうでやっていただいておるということもございますので、われわれとしては、別段にこのほうで積極的にどうということはいままでもありませんわけです。入るか入らぬかとお尋ねになれば、それは入りますというお答えを申し上げる筋だと思います。
  61. 受田新吉

    ○受田委員 俸給表などに対する問題は、これは大体意見でなくして勧告で片づけるわけですね。
  62. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 そのとおりでございます。勧告事項というのは、また国家公務員法にちゃんと列挙されておりますから、これに当たれば勧告の形でまいります。
  63. 受田新吉

    ○受田委員 この法律の規定に基づく意見の申し出というものが単なる思いつきであってはならない。人事院の権威において、あとから見ても後世の人が、人事院総裁佐藤先生が御在任中はなかなかいい意見の申し出があったわいなと感嘆久しゅうするような、そういう申し出でなければならぬと思うのです。  その意味において、このたびの、勧告でなくて意見の申し出というものを拝見しますと、これは災害補償関係が過去においてすでに三回なされ、今回で四回ということでありますけれども警察官海上保安官等の警察職務に従事する皆さんの場合を指摘してあるのですが、その他の職員の場合、つまりこうした危険な任務につく者以外の問題について意見の申し出ということは、現在何か問題になっているものはありませんか。申し出になるまでには至っていないが、爼上にのぼっているもの、人事院検討しているものはありませんか。
  64. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 危険な業務という点をわれわれの仕事の面から申しますと、御承知のように特殊勤務手当というのがございます。これは働いていらっしゃるその段階において、たとえば高いところで危険な作業をされるというような事態を列挙いたしまして、特殊勤務手当によって相当措置を講じておるわけでございますけれども、いまの御指摘のように、この公務災害補償という面からは、われわれとしては、現在は、今度意見を申し上げましたこの点に限っては、これはぜひ実現していただきたい。しかしまた、それに連なるいろいろなお話先ほど来ございます。これはこれとしてやはり常に関心を持って、この改善方法を考えていかなければならない。ただし、この警察官に関する、これに近いグループは、これは民間の企業にはない業態である。したがって、公務災害補償法にありますように、民間関係均衡をはかれという条件から言いますと、民間にないものだからこれは独自で打ち出せという点においては、はっきりそこにけじめがつくわけです。あとは保安要員その他の問題が、これは民間にも共通の問題としてございます。したがいまして、それはそれとして、われわれとしても今年度民間のこういった関係調査をやり始めておるわけですが、それらの結果をも勘案しながら、なお宿題として研究していかなければならぬ、ここにはっきり段階が分かれるわけでございます。
  65. 受田新吉

    ○受田委員 この警察官海上保安官、これは民間に類似のものがない。一面、いま御指摘のような保安要員という、ガードマンというものが現実に数がふえているわけですけれども、さっき伊藤委員がちょっと触れておられたかと思うのですが、交通関係警察官というものは、どう見ても危険な任務につかざるを得ない場合がたくさんあると私は思うのです。これはさっき警察庁の方が、逃亡していく車をつかまえて、引きずられていく場合を例示されましたけれども、もういまごろ、ひき逃げ、体当たり、それからひったくり、こういうものが平然と行なわれる交通地獄の中で、ますます交通犯罪はふえておる。そういう場合に、危険を顧みず、人民の生命財産身体の保護のために、警察官がその交通地獄の中へ飛び込んでその犯罪を防止して一般の人民を守ろうとするならば、当然こうした警察官の、ここに指摘されたような場合と同じような危険がある、私はこう判断するのですが、人事院総裁としては、いまの交通警察官というものはこれは入れてないのですか。それを含めてもいいことにしてあるのですか。つまり、その内容についてはまかしてあるのですか。そこをひとつ……。
  66. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 われわれとしては、警察官というところで一つ押えまして、今度はその職務といいますか、職務遂行の実態をとらえました。ですから、いまちょうどいい例をお出しになりましたが、交通巡査の例で申し上げますと、道路の片すみに笛を吹いておられる、あるいは自動車の往来するまん中に何か踏み台のようなものを置いて、そこで手信号をやっておられる、これは相当危険はございます。しかし、その段階においては、これはほかにも、たとえば道路の工事に従事されている。これは、自動車の非常にひんぱんに往来する中で、身を挺してやはり道路工事をなされなければならぬ職種の人もおるわけです。これは警察以外にですよ。それらの警察の人々と共通の面を持つ道路のいまの危険工事については、先ほど申しましたように、われわれとしては特殊勤務手当を差し上げておるわけですが、ただ、被害をお受けになった場合については、これはいまのところまだ考えておらない段階。したがって、交通巡査の方々についても、そういう職務執行の面についてはこのワクには入らない。しかし交通巡査の方が、いまのように、自動車のひき逃げその他によって、血みどろになってでも追っかけていって犯人をつかまえなければならぬ、その仕事になってくると、まさにこれに該当するということになります。
  67. 受田新吉

    ○受田委員 そうすると、範囲相当広がっておることがよくわかるわけです。それを受けた総理府としては、警察庁のどなたからでも、官房長からでもけっこうですが、いまの総裁意見の申し出の内容について、交通警察の場合にはどの程度をこれの対象にしようとされるのか。交通警察の場合に例をとって御答弁願います。
  68. 土金賢三

    土金政府委員 お答え申し上げます。  ただいま総裁から御答弁がございましたように、交通取り締まり全部が入るというわけではなく、この法案の、犯罪捜査、被疑者あるいは犯人逮捕ということに該当するようなものがこれに入る、こういうことになろうかと存じます。つまり、交通取り締まりのうちで、高度の危険をおかして職務を遂行した結果受けた災害、つまり特別公務災害の態様の場合には、ただいま申しました捜査あるいは逮捕の行為に当たる者、こういうふうに私どもは考えておりますので、これによって適用していただける、こういうふうに考えておるわけでございます。
  69. 受田新吉

    ○受田委員 そうした場合に、死亡した職員の新しい処遇の比率がここへ出ておるわけですけれども、その遺族に対する補償とあわせて、ここで関連して聞きたいのは、共済組合の年金の金額はどうなるのか。つまり一定の退職年金受給資格の年限に達せずして、警察官になってすぐこうした公務による死亡をしたという場合に、遺族に対する公務扶助料、年金、こういうものはどういうふうに計算されるのか、御答弁願いたいです。災害補償額とあわせて遺族年金の支給額。
  70. 大塚惟謙

    ○大塚説明員 お答え申し上げます。  共済組合の額の関係でございますが、ただいま先生おっしゃいました額の関係につきましては、具体的な額と申しますのが、計算方法がその巡査の死亡当時の給与額によっているのです。したがいまして、明確な額というものは申し上げにくいわけでございますが、その共済組合の給与額の法律できめられました一定額、共済組合の額でございますと百分の四十ぐらいの程度のものが支給されるという形に相なると存じます。
  71. 受田新吉

    ○受田委員 これは非常にデリケートで大切な問題ですが、公務と認定されるかされざるかによって、その遺族に対する手当てがばく大な違いになってくるわけですね。公務扶助料となれば、公務員になってすぐなくなっても、その遺族に公務扶助料が支給される。ところが、公務性を欠いておれば普通の扶助料さえもらえない、こういう形になるのです。その職務についてたとえ一カ月にしても、公務で死亡すれば公務扶助料が遺族にもらえる、こういう形ですね。
  72. 大塚惟謙

    ○大塚説明員 現在、先生のおっしゃいましたケースでございますれば、公務災害に当たると思います。
  73. 受田新吉

    ○受田委員 私、扶助料のことを言っているのです。遺族に対する扶助料の額を質問しているわけです、公務死の場合の。
  74. 大塚惟謙

    ○大塚説明員 申し上げます。公務死の場合におきましては、共済組合におきましては、先ほど申し上げましたように、俸給年額の百分の四十に加算。これは遺族の数によりまして若干の加算が行なわれるわけでございます。
  75. 受田新吉

    ○受田委員 公務に従事してすぐ公務死をしたら、すぐ遺族に公務扶助料が来るわけですね。そうなんです。ところが公務と認定されない場合は、遺族は非常にさびしい話ですが、もう葬祭料その他、一時的な儀礼的なもので片づけられるという形になっておる。つまり公務にするかしないかでその遺族は非常に大きな運命の岐路に立つということを私はお尋ねしているわけですが、そのとおりでございますね。
  76. 大塚惟謙

    ○大塚説明員 お答え申し上げます。  ただいまの公務外の問題につきましては、共済組合の関係に限って申し上げますると、俸給年額に対しまして、大体職員の俸給年額の百分の十から加算をつけられるという形で、かなり差等が出てくるわけでございます。
  77. 受田新吉

    ○受田委員 私がお尋ねしているのは、公務死でなくなった場合の遺族と公務でない形でなくなった場合の遺族で、つまり私が申し上げているのは、共済年金の受給資格に達せざる場合の、公務に従事して初期における公務員の場合には、非常に大きな差があることをいま指摘しておるわけです。そこで筋がおわかりと思うのですが、公務に従事して一年後において、公務と認定されて死亡した遺族と、公務にあらずして死亡した遺族の処遇の大あらましの相違点を御指摘願いたいです。
  78. 大塚惟謙

    ○大塚説明員 正確な数字はちょっと申し上げかねると存じますけれども、公務外の死亡で勤務してからすぐの場合におきましては、年金の関係は出てまいりません。十年をこえた場合において初めて年金の関係が出てまいるわけでございます。したがいまして、弔慰金と共済組合関係でございますと、一時金という形で処遇せられるということになっております。
  79. 受田新吉

    ○受田委員 その意味で、この法律の適用について、災害補償法対象になり、そして特にこうした障害補償、遺族補償の金額をきめられる段階に、非常に神聖な判断をしなければならぬのですね、この公務性の判断は。これは大事なことで、よいかげんな判断をしては困るわけなんです。法律の適用は厳正にしなければならないと同時に、また一方では、ある程度情状酌量によって有利に解釈してあげるというほうがいいと私は思うのです。  この間の浅間山荘事件のときに例をとりますが、全国民注視のもとに行なわれた犯人たち検挙の方法などから考えて、あの付近の警察、派出所などにおった巡査は、警察官は、あの山荘におったやつがいつ、夜飛び出て——まだ包囲しない前ですよ。その警察、派出所を襲うかもしれないという危険な地域になる。これは浅間山荘事件。またもう一つ今度別に、東京などで暴力学生がわっさわっさ騒いで、終始騒ぐ拠点がある。その付近にある警官の派出所は、いつこれも襲われるかもしれない。また、暴力学生等が騒ぎ回って襲撃を加えるような付近にあった建物の一般人々も非常に危険な立場にあるのだから、そのまわりにおった警察官であるということになると、別にその日に任務がなくても、任務のとき以外にでも、一般の人民の生命財産を保護するために、勤務外にでもこれは働かなければならぬではないかと思うのですが、そういう場合の公務性、危険性というものの比較を、私、お尋ねしてみたい。  いいですか。直接襲撃を加えて彼らを逮捕しようとした警察官のお二人がなくなられた。今度このためにこの法律の適用を受ける。ところが、自分の任務にあらざる時間で、しかし外部から暴力学生がどんどん襲いかかる。あるいは学生でなくても、暴徒が襲いかかって国民生命財産の危険がある。それを救うために、勤務外の警察官が、公務執行時間でないときに、警察官の職責からこれを鎮圧しようとした場合の補償、これはどういうふうになるのか。比較論、勤務時間との関係、勤務場所、そういうものとの関係で大事な問題。つまり、公務かいなか、あるいはその公務の高さをどう見るか。これに該当する公務か、あるいは普通の公務かと、いろいろと認定のしかたがありますので、警察庁としてもこの法律をお出しになると同時に考えておられると思うのですがね。
  80. 土金賢三

    土金政府委員 お答え申し上げます。  警察官の職責というか、職務は、単に勤務時間中だけの責務ということではございません。したがいまして、四六時中、凶暴な犯人逮捕する必要があるという場合にはその職責を遂行しなければならない、こういうことになるわけでございます。したがいまして、そういう場合に災害をこうむった、こういう場合には、それに応じて、あるいは公務災害、あるいはその態様によりまして特別公務災害にもなり得る、こういうことになると存じます。
  81. 受田新吉

    ○受田委員 今回のこの法律で、高度の危険が予測される状況下で、自分は担当時間でもなければ担当職務でもない、ただ単に警察官だ。しかし、その被疑者の逮捕捜査、それから犯罪の防止、制止のために、自分は警察官という意識に燃えて、高度の危険が予測される状況下というものは、たまたま偶然そこに来たにすぎないのだ、全く偶然の状況下で警察官であるがゆえにそれに飛び込んで、その犯罪捜査、防止に当たった。予測してじゃないのですよ。予測される状況下じゃなかった。ちょうど結果から見ると予測される状況下になった。その危険をおかしてやったというときは、やはりこの法律が適用になるか。つまり、勤務場所でもなければ、東京都のどこそこの警察につとめているんじゃなくて、私服で一般人として町へ行ったら、ちょうどこれと同じような暴力、暴徒が町で騒ぎ立てて、日比谷焼き打ち事件のようなものをやりかけた。こういうときに私服でちょうどそこを通りがけた。高度の危険が予測される状況下であったのでなくして、たまたまそこへぱっと行って、それが結果から見ると危険が予測される状況下であった。私服で勤務時間外、たまたま散歩に出てそういう状況にぶつかった、そういうときもやはりこの法律の適用を受ける、こういうふうに判断してよろしゅうございますか。
  82. 大塚惟謙

    ○大塚説明員 お答え申し上げます。  具体的には、事実の認定、態様の関係等、かなり判断の分かれてくる場合もあると存じますが、私どもといたしましては、人事院とこの問題につきまして検討いたした場合におきまして、そのような場合のいわゆる予測というものにつきましては、かなり時間が接近しておりましても、そのような、先生のおっしゃいますような深刻な事態の場合におきまして、警察官としてはっきりとした明確な職務執行の態様であるならば該当するものであるという判断を持っておるわけでございます。
  83. 受田新吉

    ○受田委員 危険が予測される事態が、たとえば暴徒が今晩は日比谷のほうからデモに行って焼き打ちするかもしれないという事件が起こる、そういうのを予測して、自分もひょっとしたらという危険を感じながら、いざというときは行こうという気持ちで私服で散歩に出かけた。たまたまそこでそういう事件が起こった。勤務場所でもなければ勤務時間でもない。ただ私は個人として参加した、そういうときに、それが公の人か警察官かわからないままで、暴徒は警察官と知らずして、一般のそのまわりにおる通行人と思って、それをやっつけるというような場合に、はね返して、そのためにとうとう殺された。一般民衆の中へ入った警察官に、警察官という意識を民間の人も持たないというようなことも起こり得ると思いますね、現実の問題として。そういう場合は、やはり同様の、いまおっしゃったような線で、公務、つまり常時どこにおっても警察官だという、そのやっておることは全部勤務者と見なす、こういうことになるのですか。
  84. 島四男雄

    島政府委員 私ども意見の申し出をした立場として、いまの点をお答えいたします。  ただいまの高度の危険が予測される状況下にあるということの解釈の問題になろうと思いますが、これは必ずしも本人があらかじめ予測するといなとにかかわらず、客観的にそのような状況であれば足りるというふうに私どもは考えております。したがいましてただいまのような場合も、警察当局ともあらかじめいろいろ御相談をしておるところでございますが、ただいま先生の御指摘になりましたような事例は、原則としてこの法律の適用を受けるものというふうに了解しております。
  85. 受田新吉

    ○受田委員 人事院のお考えもそういうところにおありのようです。私服で町を歩かれる警察官の場合は、全く私人という気持ちで多少悪いことをする場合もある。それは現実に新聞にもちょいちょい出る事件が起こっている。しかし、何か事件が起こってきた場合には、その場ですぐ今度は、一般市民として、警察官かわからぬようにして一般人と同じように悪いことをしておった人が、急にいいことをするほうに変わるわけである。悪いことというのは、ちょっとことばが適当でないかもしれませんが、私人として自由行動、プライベートの行動をしている人が、その場で危険にぶつかると、私服のままで、プライベートでなく、すぐ公務に変わる。これは警察官の場合に特殊の使命だと思うのですが、日本じゅうどこへ行っても警察手帳を出せば警察官になるという意味でなくて、常に警察官である、こういうことですね。だからその場合は、危険が予測されなくても、たまたまそれが結果から見たら予測されるという場合でも適用になるというお話であります。  そこで、昨年の川崎のがけくずれの事件のことなんですけれども、こういう場合にがけくずれるというのは、山を水で流していけば、これはがけがくずれる危険は多分にあるわけです。科学者というのはやはり抜けるところもありますから、危険ではない、ないというけれども、高い山を水で流せば、それはもうくずすために実験しておるのですから、危険があるかないかを調べるのがあの事件だったんですから、したがって当然山くずれという高度の危険が一方であるのです。常識で考えて一方にある。そういう場合にも科学者はあぶなくないと言う。しかし、そこにおる者は非常に危険を感じながら、科学者が言うからということなっているが、非常に危険な状況にあることは、結果から見て明らかになっておる。結果から見たら危険の予想される場合を含むとおっしゃったが、川崎の事件は、結果から見たら完全に危険が予測される状況であった。川崎の事件はその意味から、結果から言ったら該当すると思いますが、職員局長どうでしょう。
  86. 島四男雄

    島政府委員 川崎のがけくずれの事件と、先ほど来、警察官等の高度の危険が予測される状況下における職務との根本的な違いは、ともに客観的に見てきわめて高度の危険があったと、川崎の場合もあるいはそのようなことが言えようかと思いますが、ただ警察官等の場合、犯罪捜査あるいは犯人逮捕等の場合においては、きわめて高度の危険があるという場合にもそれを避けることがではない。防除措置ができないのである。しかも、それを行なわなければならない職務上の義務というものが課せられていると思います。ところが川崎の例は、なるほど結果的には、そのような実験というものはきわめて危険な実験であったということが言えようと思いますが、それはやはりその場合には安全管理が必ずしも十分ではなかったんではないか。当然それは事前に、そのような実験をむしろもう少し慎重な配慮のもとに行なうべきではなかったか。したがって、その場合には、警察官のように必ずしも職務を行なわなければならない客観的な義務といいますか、客観的な事情は川崎の場合はなかったんではないか。片や警察官の場合は職務を遂行しなければならない義務がございますが、川崎のような例は必ずしもそのような義務はない。十分事前の防除措置を講ずるべきであった。その点において、警察官等先ほど来の例とは根本的に違うものであるというふうに理解いたしております。
  87. 受田新吉

    ○受田委員 私、いまの論理の置きどころに矛盾があると思うのですが、川崎の場合は、避けることのできない危険に結果はなったんです。逃げようにも逃げられないでどろの中に現実に入ったんですね。これほど大きな危険はないんです。つまり、走って逃げても山くずれのほうが先に行くんだから、もう完全に逃げる道がない。  ところが浅間山荘事件には、警察のやり方に欠陥があったと私は指摘せざるを得ない。あれはねらい撃ちをされることを避ける道があったはずですよ。われわれはテレビでこれを拝見したときに、中におる四、五人のやつが公衆の面前でねらい撃ちすることを避ける道は幾らでもあったと思った。敢然と二人の隊長が土のうを上がって乗り込んで行くときに、階級章をひっしと示して、指揮官であることを明示して飛び込んでおられる。私は、警察官の範としてお二人が責任感を感じたことに、ほんとうに崇高な感激を持つんですけれども、彼ら坂口などにしてみれば、まず指揮官を倒せばあとの士気に影響するぐらいのことは、賢明な連中ですからちゃんと考えて、一般の巡査でなくして指揮官をねらえと彼らは考えた。今度調べたらおよそわかると思うのです。途中ですが、取り調べの過程で。最高幹部のお二人、警視長と警視正が殉職された。その二人が犠牲になっておられるのです。部下は犠牲になっていない。この二人をねらい撃ちにしたのはなぜかということを調べた結果が出ておるかどうか。ありましたら、ちょっと教えていただきたい。
  88. 斉藤一郎

    ○斉藤説明員 ただいまの御質問ですが、浅間山荘の山荘攻めで負傷した者が殉職者をのけまして二十三名ございます。その二十三名のうち、銃弾でもってけがをした者が九人ございます。いずれも大体目をねらわれておって、失明のおそれのある者もあったんですが、それを階級別に見ますと、巡査も巡査部長もいろいろございまして結局、殉職者を入れまして十一人、銃弾でもって死亡あるいは負傷したのですが、その中で警視が二人、警部が二人、あとはそれ以下の巡査、巡査部長でございます。今度犯人のほうは、特に指揮官ばかりをねらい撃ちをということではございませんが、あの二人は指揮官であるということを認識して、指揮官と思って撃ったことは間違いでございません。
  89. 受田新吉

    ○受田委員 私はその意味で、川崎のがけくずれ事件は不可抗力じゃないと思うのです。これは人災です。山をくずすとき多分に危険がある。これは避けることができない結果を生むことがあり得るんです。現実にあったことを見たらわかるんです。だからもう避けることのできない高度な危険ですよ。あそこに勤務した人は、山を水でくずしてやれば、避けることのできない結果が出ているのです。避けることはできないですよ。もう逃げる道がないのです。逃げておればよかったなどという暴論はこの際通用しないと思うのです。逃げるひまがないんですから。一秒半の間に全部すっと流されたんです。  一方、浅間山荘事件の場合は、この危険は十分予知されるけれども、また防除する道もあるわけなんです。あからさまに防ぐ道があるはずです。もっと賢明な、たとえばたてなどのもっと強力なものを持っていくとか、鉄砲を避けるためには、穴のあいた鉄板を持って進んでいけばいい。小さな穴にはたまは入りませんからね。穴から見ながら進んでいけばいいのですよ。爆弾を投げておるのじゃないんだ。ライフル銃のような小さいたまでねらい撃ちするのを避ける道は幾らでもある。私は、あの二人の貴重な人命を失ったことはほんとうに残念だと思う。警察の手落ちがある。私は、人命を防護するための警察の手当てが十分できずして二人はなくなられたという、一方における警察の責任があると思うのです。あの山荘の中からねらい撃ちをするばかげたやつどものライフル銃を避けるぐらいなら、穴のあいたたてなどを持って進むとか手は幾らでもある。爆弾を投げるのじゃないですからね。それでじりじり進んでいけば、あの連中をつかまえるぐらいのことはきわめて簡単にできる。これは私は私服警察官ぐらいになってやりたかった。あれを見ながら私は、あいつどもをたたくことを終始考えて、穴のあいたたてを持っていけばいいいなと思いながら見たのです。からだを乗り出すようなことをしないでも行けるところがあったと思うのです。つまり、高度の危険の状況下であって、しかもその危険を防止する道がない場合にということでなければ私はいけないと思う。危険はあるけれども、その危険を防ぐ道があるんですよ、浅間山荘は。  だから、そういう場合に、結果から見れば不幸な事態が起こった。いまお話しのように、指揮官であることを意識して撃たれた。現実になくなられたお二人は最高幹部、しかも警視、警部というのが四人おられると聞きました。その数の比率からいったら、巡査、巡査部長と警部以上の階級と比べた、半分以上は指揮官がやられておる。この実情を見ても、警察のやり方には残念ながら防護策が講じられていなかった。  それから、あの大きなたまをぶち当てて壁を破ったあの車は何と言いましたか、ああいうものはもう少し研究されて、浅間山荘ぐらいを破壊するのにはもっと賢明な——知恵の多い優秀な方が警察におられながら、あの山荘のばかげた連中をつかまえるのに何かもう少し手はなかったか。泰子さんを助けるということは大事ですが、もっと知恵を働かすべきです。当時の警察の知恵の働かし方に問題があった。私はあえて指摘しますよ。階級章ぐらい隠して、指揮官であることはみなにわかっておるのですから、内輪では、おれが手を振ったらこうだということで打ち合わせてやっていく。これは平素の訓練でできる。人命は大事にしなければいかぬ。警察官生命も大事にしなければいかぬ。外国との戦争じゃないですからね。国内のばか者をつかまえるのですからね。それは警察としてまずいところがあったという反省があるかどうか、お答え願いたいと思う。
  90. 斉藤一郎

    ○斉藤説明員 浅間山荘の事件は、御承知のように結果的には五人の犯人でございましたが、複数の犯人が一人の婦人の人質をつかまえて、千早城のような要害堅固な場所でございましたが、立てこもって抵抗したという事態でございましたので、私どもとしては、まず人質の生命の安全を確保する。それから犯人をぶち殺すのは、ある意味ではやさしいことでございますが、犯人生命を保持しながら逮捕する。それから先ほど来御指摘警察官の被害は絶無を期する。この三つを考えながらこの事態に対処したわけでございます。  御承知のように、二月の十九日の朝からずっと、あらゆる手段を尽くして、泰子さんがはたして生きておるかどうかということをいろいろな手だてでもって探る。あるいは犯人が一体何人おるか。初めの段階では、三人か四人か五人か、その辺だろうが、一体何人おるだろうか、これを探る。と同時に、警察官は身の安全を守るということを考えてやったわけでございますが、これは医者の意見を聞き、心理学者の意見を聞いて、安否がわからぬながらも、もし泰子さんが生きておったらとうてい十日以上はもたないだろうという専門的な御意見もございまして、十日たった二十八日に、いわゆる強行救出作戦になったわけでございます。その結果、先ほど来御指摘のような幹部が殉職するといった事態になったわけでございまして、まことに遺憾なことでございます。  こういう事態は日本警察としては予測できないことはなかったのですが、現実こういう事態に対処したのは初めてのことでございまして、この経過をずうっと顧みた場合に、御質問の、警察として今後改めるべきこと、考えなければならぬこと、反省点、そういうのが多々ございます。その一つとして幹部の標識、階級章は、ごく目立たない内輪のものを胸につけておりますが、部隊行動でもって何百人、何千人という警察官が行動する、ことに浅間山荘の場合は長野県もおれば警察庁もおる、あるいは山梨から応援にかけつけた者もおる、そういう組織で行動する場合に、指揮官がだれであるかということは、おれの顔ぐらい知っておるだろうと警視庁の人が思っても長野の人はわからない、こういうことがありますので、一方において幹部の存在を明らかにするということは部隊活動のために非常に必要でございますが、先ほど来おっしゃったように、幹部であることを承知して犯人のほうがねらう、これもまた当然のことでございますので、今後ああいう事態に出た場合に、内輪だけにしかわからないような方法というものを十分考えてまいりたい。同じマークであるが、色によってお互いにだけしかわからないとかいう方法があり得ると思うのでございまして、今後大いに反省してやってまいりたいというふうに思っております。
  91. 受田新吉

    ○受田委員 浅間山荘事件は、泰子さんが生きて出るか出ないかというところに国民の関心があって、警察官にあれだけの犠牲が出ようとは国民も予想しなかったことです。国民は泰子さんを無事に救出することができるかできぬかに関心があって、したがってこれは、警察側としては、高度の危険はあるけれども警察官に犠牲を出すことがなくやれる可能性が十分ある事件だったですよ。だれが見てもそうですよ。あれを出したということは、大きな反省をせにゃいかぬ問題があるといまおっしゃいましたが、事実そのとおりなので、そういうことから考えると、むしろ高度の危険が予測されるのは、日比谷の松本楼焼き討ち事件のときに、だれかなくなられたのじゃないですかね。あれはどうですか。
  92. 斉藤一郎

    ○斉藤説明員 昨年の十一月十九日の松本楼が焼けたときには、松本楼の管理人がショックで心臓の病気でおなくなりになりましたが、警察官は死亡者はございません。
  93. 受田新吉

    ○受田委員 学生のあの暴動、デモの暴動で、去年からことしにかけて、この一年以内になくなられた警察官の方はどのくらいあるか、ひとつ御指摘を願いたい。
  94. 斉藤一郎

    ○斉藤説明員 殉職者は、昨年成田の三里塚の警備の場合に三名なくなっております。それから昨年の十一月十四日でございましたか、渋谷のNHKのところでもって、新潟から応援に来ておりました巡査が一人なくなっております。浅間山荘を別だしまして合わせて四人。それから沖繩で一人。これはまだ復帰前でございますから、正確には日本警察官ではなかったのでございますが、同じような職務執行の過程で一人なくなっております。
  95. 受田新吉

    ○受田委員 成田事件、それからいまの渋谷のNHKのところは、倒れた警察官が袋だたきにされておる、そういう悲惨な状況。成田にしてもそうですが、暴徒に刃向かっていく警察官は、もう高度の危険な、最も危険な状態ですよ。浅間山荘は、こちらがじわじわいけば救われるのですよ。ところが成田などの、あの暴徒の中へ侵入していくときは、もう完全にやられるのが明白ですよ。だからあそこに行った警察官の中に、もうおれたちは死ぬるんだという決意で、行った人そのものが覚悟して行っておる。これは取り巻かれて逃げることもできない状態。浅間山荘は、むしろこちらがじょうずにやれば、生命はいつでも安全が保てる事件です。警察官の心の中にも、成田と浅間山荘を比べたときに、浅間山荘はたった五人が部屋の中へ閉じこもっている以外は危険がない。ところが成田などは、周囲みな警察官以外のやつが、警察官の一部隊を捕虜にして取り囲んでやつつけるんですね。これは、もう逃げようにも逃げられぬ、最も危険な状態に飛び込んだそういう警察官と、浅間山荘の状況を判断するのに、浅間山荘だけを救うためにこの法律を出されたとかいう。浅間山荘だけなら三月で済むはずです。それをまた一月にさかのぼったのはどういうことですか。初め三月だったのに、それが今度は一月にさかのぼった、その理由をひとつ聞きたいのです。
  96. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 初め三月、四月からという話もちらっと出たことはございますが、とにかくわれわれとしては、ここでできるだけさかのぼりたいという気持ちがまず先にあったわけです。ただし、さかのぼるにいたしましても、それじゃどこで筋を引くか。これがひっかかって、これはひっかからぬというような場面も出てまいります。また、新聞だねにならないこういう不祥事件というようなものは、たくさんまだ地方にもあるわけでございます。したがって、われわれとしてはやはりはっきりした線を引いて、これはもうここからだということにせざるを得ないということから、一月一日というのが年の初めだから、それならばまずよかろう。それでいまの浅間山荘も入ることになりましたけれども、古くさかのぼれば切りがないし、また古ければ古くなるほど状況その他の認定もむずかしくなってまいります。かたがた一月一日というところが一番いいところであろうということでございます。
  97. 受田新吉

    ○受田委員 わざわざ一月一日としなくても、浅間山荘を救うだけなら三月からでもいいわけです。そういう該当者がいまのところないのに、三月のをわざわざ一月にさかのぼって、浅間山荘を救うためには一月一日からのほうが都合がいい、この言い分はちょっとおかしい。
  98. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 該当者がないのにとは言わないわけです。該当者が幾らおるかわからぬ。先ほど申しましたところの中央新聞の紙面にでかでかと出るような事件ばかりじゃありません。府県、市町村のすみずみで、やはり同じような殉職をされている方々がいらっしゃるであろう。これはわれわれとしては、そういう前提に立って考えざるを得ないのだ。浅間だけを救おうという立場と、その数日前にあるいは地方に事件があったかもしれないということから考えますと、やはり一月一日ということですっきり線を引いておいたほうがまずよかろうということでございます。
  99. 受田新吉

    ○受田委員 一月一日からというので区切りがいいということであれ、年度初めからの四月一日のほうが区切りがいいですよ。一月一日というような中途はんぱのとき、年度の途中からやるよりは、年度の初めから、昨年の四月一日からの事件を救うほうがいい。警察庁でお調べになられた、一月一日から浅間山荘までの間に、これに該当する該当者とおぼしきものがあるのかないのか。そのくらいのことはいつも警察で調べておかなければいかぬですよ。
  100. 大塚惟謙

    ○大塚説明員 お答え申し上げます。  特別公務災害の態様につきまして、一応該当するのではないかと考えられますのは、浅間山荘先生のおっしゃいました二名、それから静岡県の掛川市の刑事課長が一月二十一日に凶賊に刺されまして殉職をいたしております。これも二カ所刺されまして、百十メートルほど追跡をいたしまして、相手の腕をとらえて逮捕いたしましてから絶命をいたしました。こういうものが該当いたしておるのでございます。  なお、負傷者につきましては、浅間山荘の六名を含めまして、北海道あるいは京都、広島等に大体十三件ほどが出ておりまするが、しかしながら、先生も御承知のように、公務災害でございますと、治癒した後に障害を残した場合におきまして、その程度によりまして等級をきめるということになっておりますので、現在はまだ治療中でございますので、どれほどの数になるかはわかりません。  以上でございます。
  101. 受田新吉

    ○受田委員 どうもあいまいになってきましたね。いま静岡の方が一人あるとおっしゃったのですが、その一月二十一日になくなられた、犯人を百十メートル追跡された、そういった警察任務の遂行を実践された頭の下がる警察官の方である。私、ほんとうにその方の場合は、初めから危険が予測されるのでなく、その場で突然危険になったのだと思う。結果から見たら危険な状況であったわけです。私は当然それは入れるべきだと思うのです。そうなれば、昨年の十一月のがけくずれ事件などは当然それに入るべきです。結果から見たら危険な状況になったのです。いまの静岡の警察官が、犯人逮捕のときに、もう息をあえぎながらも追いかけてなくなられたというようなこと、そういうのは、もう完全に初めから高度の危険が醸成されるのを予想してそこへ行ったわけではない。やってみたら高度な危険があった。だから、「高度の危険が予測される状況の下」という判断は、その時点で本人がやってみたら高度の危険な状態になったのだ、初めは予測されないのだということになれば、そこに何か区切りをつけておかれる必要があると私は思うのです。これは結果が高度の危険を予測される状況であった。入るならばそれを入れるべきですよ。これは職員局長、あなた、この川崎事件と、それからいまの警察官が乱闘するうちに危険なやつとわかった。つかまえてみて、結果から見たら危険なやつであったのですね。大体警察官がやるのは、初めはピストルを持っていると思わぬからかかっていくでしょう。そうしたらピストルを持ち、刀を持っているのでそれで刃向かってくるというのが普通であって、普通そうなってくるのですよ。したがって、やってみたら危険なやつであった。初めは危険なやつではなかったが、やっているうちに危険なやつだとわかってきた、それが普通ですよね。警察官だって、初めからピストルを持っているやつだったら、こちらも警戒していきますね。普通の人間だと思ってやっているうちに刺されたということで、これは危険なやつだとあとからわかるのですからね。
  102. 島四男雄

    島政府委員 およそ災害を受けた場合に、これについてどういう救済を行なうかという問題に入るわけですが、国家公務員災害補償法補償するという方法のほかに、たとえば表彰制度というようなもの、現在賞じゅつ金制度というものがございますが、そういうものでめんどうを見る、あるいは見舞い金とかあるいは慰謝料的なものでめんどうを見る、あるいは国家賠償法によって賠償する、いろいろな方法が考えられるわけでございます。今回私ども意見の申し入れをした趣旨は、先生も十分御存じだと思いますが、まず警察官等はどういう任務を持っている方々であるかという点に着目して、国民生命身体及び財産の保護というきわめて重大な任務を負っている方々である。したがって、そういう任務を持っている職員対象として、しかもその任務の遂行にあたっては非常に高度な危険を伴うことが多い。しかもそういう高度な危険をあらかじめ予測されるにもかかわらず、職責上あえてそのような職務を遂行しなければならないという義務を負っている職員、そういういま申し上げたような要件にかなったものを今回対象としたわけでございます。  いま先生のおっしゃったような川崎の事件は、結果的にきわめて高度な危険があったということですが、なるほどそうであるかもしれませんが、そういうことになりますと、たとえば、先ほど総裁も例としてあげられました、建設省の職員が道路工事をやっている場合に、たまたま暴走してきた車にはねられてけがをした、死んだというようなケースも、結果的にはきわめて高度な危険があったという判断になろうと思うわけですが、そういう偶発的な高度の危険というものは、今回は一応その補償対象にはしない。あくまでもそれが客観的にそういうものが予測される状況下にあったということと、しかも、そういう状況にもかかわらずあえてその職務を行なわなければならないという要件にかなったものを対象にしたわけでございます。したがって、川崎のような事件については、あるいは見舞い金とかその他いろいろ救済方法があろうと思いますが、少なくとも今回のような特殊公務の対象には一応入らないというふうに考えております。
  103. 受田新吉

    ○受田委員 まあ議論をしてもしかたないことなんですが、もう一つ、この法律の適用の時点をどこに置くかということ。成田事件などは非常に重大な危険がもう当然予知される。しかも予知されて免れることのできない、浅間山荘よりももっと厳重な危険があります。これは警察として、浅間山荘警察官のほうの防備を十分にすれば避けられる事件であったが、あそこの成田の場合は、取り囲まれて逃げることができない。包囲した連中は非常な暴徒である、こういう場合には、もう逃げようにも逃げられぬような状態であった。あのときに、作戦行動で退路を断ち切られたり連絡が欠ける結果になったのが警察のミスとは言えるわけだが、それよりも、包囲された警察官は逃げようにも逃げられない、最後は死を待つだけだという、山岳戦の分裂軍隊がやられたようなかっこうでやられた。避けることのできない高度の危険な状態であり、結果も避けることができない、こういう危険な状態だったと思うが、いかがですか。   〔坂村委員長代理退席、委員長着席〕
  104. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 意見書提出した側の気持ちを申し上げさせていただきますと、成田の場合と浅間の場合は私は同じだと思います。浅間の場合にもわれわれ特別公務として考えておりますのは、先ほど例をいろいろお出しになりましたように、あんな程度のたてを与えられたのじゃ私は仕事ができませんよ、お断わりだと言って帰れるかどうか。やはり浅間山荘の中に身を挺して踏み込まなければいかぬ。さっきの鉄のたま、あんなものでやってもだめだ、もっと大きなたまを持ってきて、完全に浅間山荘をぶっこわした上でなければ私は入れませんよと言って断われるかどうか、そこの問題だろうと思うのであります。それが断われないのが警察官職務の特殊性だ、その点においてはちっとも変わらないと私は信じます。
  105. 受田新吉

    ○受田委員 それは変わらない。変わらないという点においては同じなんだ、私は。ただ警察の反省しなければならぬミスがいまあった。それは浅間山荘のほうに結果から見れば反省すべきものがある。しかしあちらのほうは、もう戦争が始まってきたら警察のミスもない状況だ。浅間山荘は、警察のやり方によっては避けることのできるような状況であった、結果論は。つまり責任という点においては同じだ。私は責任という点においては同じことを言うのだが、警察自身のやり方が浅間山荘はまずかった。つまり成田と比べたら、血みどろな中に行くときの成田の警察官気持ちと、それから浅間山荘へ行くときには、彼らをどうつかまえたらいいかという、いささかわれわれ国民から見て、浅間山荘の場合は、警察のやり方では生命の危険をなくする道があったと私は思う。あなたはどう思いますか。浅間山荘は、警察官の犠牲なくしても済む手はなかったとあなたは判断されるのですか。
  106. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 その辺の批判になりますと、私も、あんな小さなたまで、一体もうちょっとちゃんとしたものはないものかと思いながらテレビを見ておった側ですから、全く御同感に思います。しかし、その話は話で、警察のそういった基本的の装備の問題ということであって、このほうの責任はまた別にありましょうけれども、それに対する御批判はまたいろいろあるでしょう。しかし現実に、自分の使命として、ちゃちなたてかもしれませんけれども、それを持って乗り込んでいった人、その人のことを考えていただきたいというのがこのねらいでございます。その周辺の問題は、別に高い角度からのまた御批判がいろいろあろう。それとこれを一緒にされては、現実に犠牲になられた人は何ともお気の毒です。そこに尽きるわけですね。
  107. 受田新吉

    ○受田委員 その本人、個人についての責任、これははっきり責任感のある最も優秀な警察官、その点については私がさっき指摘したとおりだ。ただ、別にと言ったって、これは関連質問をしていいんだから、そのことしか質問をするな、関連する以外のことは一切の質問を許さぬというなら、そんな人事院総裁は追放しなければいかぬ。私は、そういう警察のあり方についてもあわせて検討しながら審査するのが国会審議であって、目的以外の発言を禁止するような総裁というのは初めて聞いた。答弁願いたい。
  108. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 ですから、あの小さなたまでいいものやらというような点については全く御同感でございますから、それはまさにおっしゃるとおりだと思っております。しかし本件は、私は意見提出者として申し上げておるのは、そういう警備体制の問題はわれわれの所管ではございませんから、個々の現実に犠牲となられた方々の手当ての問題として、そこに焦点を合わせてお答えを申し上げておるわけでございます。これはおっしゃるとおり問題は別です。
  109. 受田新吉

    ○受田委員 私は、犠牲者に対する気持ちは全く同じということを、最初断わってある。ただ、環境のあり方の批判をしておるわけだから、その意味においては、環境というものに対する取り扱い方に警察に欠陥があることをいま指摘している。  そこでもう一つ、適用の時点をせめて成田まで、あなたは全く同感だと言うなら、去年の四月にさかのぼった時点でやられてもいいと思うのですよ。こういうものはできるだけ適用者を多くして、浅間山荘の事件の犠牲者が救われた、今度は成田の事件にも及ぼしてあげようという、できるだけ範囲を広げてあげるのが愛情の政治なんですよ。一月一日に切らなくとも去年の四月一日、これは年度がわりを切ったほうがいいと私は思うのです。そういう意味でこの法律改正を四月一日というふうにしてあげる。これは、浅間山荘は四十六年度の事件だから、予算に合わせていく意味から、四十六年四月一日とやるほうがいいと私は思うのです。これは総務長官がいまの論議を聞いておられると、四月一日にやると言われると思うけれども、ちょうどお食事に行っておられるために残念なことだが、総裁としては、これは別に四月にしても、適用者の範囲が広がることは歓迎すべきものと考えられるのか、いや一月一日以前にさかのぼるべきではないと考えられるのか。私は成田の事件は救ってやりたい。浅間山荘は救われたが、成田は救われない。十一月の渋谷も救われない。特に成田の警官などは、どろまみれになってたたきのめされて、死屍にむちうたれた。渋谷の事件もそうです。これも死屍にむちうたれておる。石油をぶっかけられて死体を焼かれておるのです。そういう事件を体験した遺族の心境からいえば、せめて昨年四月にさかのぼるという愛情があってもいいと私は思うのです。
  110. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 これは私どもとしても、お気持ちはよくわかりますし、またそれは絶対反対でございますと言うべき筋合いのことではありませんけれども、しかし、先ほど来申し上げておりますように、こういうものは将来に向かって実施するのがあたりまえじゃないか。将来に向かっての線の引き方が一つある。それからさかのぼり方、どの程度までさかのぼるかという問題が、必ずさかのぼる場合には加わってまいります。いま成田事件というのが顕著な事例ではございますけれども先ほど来申しましたように、それにつながる一日前、二日前に、中央の新聞に出ないような、そのような犠牲者の方々がありはしないかという問題がある。また、さかのぼっていきますと、現実の事実の認定等もむずかしい。成田の場合は、御承知のように、あのときは新聞等でも非常に大きく取り上げられまして、総理大臣の賞じゅつ金その他各府県からも相当なお手当が出ております。そんなにひどい待遇ではなかったと思いますけれども、それはこの法案としては別問題ではありますが、そういうようなことで、一応切れ目のいいところといえば、まず、さかのぼるにしてもやはりことしの一月というところが筋の通った線ではなかろうかということで、われわれは意見書を御提出申し上げた次第でございます。
  111. 受田新吉

    ○受田委員 佐藤先生、去年の成田事件のころにこういうものをおつくりになっておけばよかったのです。当然あなたの脳裏の中に、警察官職務執行上の大きな犠牲を見て、あなたはふと成田でなくなられた三名の皆さんを想起されたのじゃないかと思う。私は総裁として責任がある。その時点であなたは意見書をお出しになってしかるべきであった。顧みて痛恨にたえないという御心境があるかないかを御答弁願いたいのです。
  112. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 もっと早く、成田の起こる前くらいに——われわれとしても、先ほどちょっと触れましたようにずっと前から研究しておったのですから、早ければ早いほどよかったなという気持ちを持ちますことは、もうおっしゃるとおりであります。
  113. 受田新吉

    ○受田委員 成田事件は三名という方々がなくなられたのです。犠牲が多かった。こういう時期は、総裁のようなお立場にある方が行政責任を果たされるいいチャンスなんです。一人とかいう時点ではなくて、三人の犠牲が出たからこれは何とかしなければいかぬぞということにならなければいけないのです。今度でも、浅間山荘はお二人がなくなられたので、また世間の注目されたことであるから、浅間山荘を契機に総裁がこの決断を下されたのじゃないかと思うのですが、そうじゃないですか。
  114. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 タイミングから申しますと、意見書提出したのが三月十六日ですから、ちょうどその前に浅間山荘は当たるわけであります。一つの時期ではある、私どもも率直に申しましてそう考えておりました。しかしそれにしても、もっと早ければ早いほどよかったなという気持ちは十分持っておったわけであります。
  115. 受田新吉

    ○受田委員 私、総裁と論議する間に大臣が来られたら、大臣に最後に結論をお伺いして質問をやめますが、委員長、きょう私に与えられた質問時間は、申し合わせて大体どのくらいだったのです。
  116. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 大体一時間で、あと東中君が待っておられます。
  117. 受田新吉

    ○受田委員 そうすると、大臣が来られたらあと結論を伺ってやめますので、お許しをいただいて、この機会に警察庁の方にこの問題に関連する質問をしたいのです。  民間のこうした事件への協力者に対する立場というものを、何とか考えてあげなくてはならぬと思うのです。善意の民間人が、こうした非常に危険な状態で、人民の生命財産身体の保護に乗り出そうとして犯人逮捕に協力した、こういうときに、犠牲を受けた人に対する補償制度、ちょっぴり道が生まれてきておるけれども、この現状とそれに対する改善の道。警察官であるがゆえにやられたのだが、市民警察、市民の中に善意の人をつくり出していけば、犯罪捜査に非常に貢献できて警察が助かる。警官でなければ手が負えぬというようなときに、市民がちょっと手をかせば、犯人がつかまったり事件が防止できたというようなときに、敢然と乗り出してくる市民を保護する制度をりっぱにつくっておけば、民間警察の協力によって犯罪はもっともっと少なく、殺人その他の事件も少なくて済むと思うが、これに対する見解を伺いたい。
  118. 土金賢三

    土金政府委員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘民間人が警察官職務に協力して災害を受けた場合でございますが、これにつきましては、警察官職務に協力援助した者の災害給付に関する法律、こういう法律がございまして、職務執行中の警察官が援助を受けた場合に、直接それに協力した場合はもちろんでございますが、警察官が現場にいない場合であっても、強盗等の現行犯人逮捕に協力したような場合、あるいはまた、警察官がいない場合で水難者とか山岳遭難者の人命救助に当たったような場合、これら三つの場合につきましては、国家公務員災害補償法の規定をしんしゃくして政令で定める等によりまして、同一の給付を行なう、こういうふうなことに相なっておるわけでございまして、これによって、民間方々の御協力に対しましては措置をとっておる現状でございます。
  119. 受田新吉

    ○受田委員 同一の給付というのはどの点が同一でありますか。いま同一とおっしゃったが、警察官と同一ということですか。
  120. 大塚惟謙

    ○大塚説明員 国家公務員災害補償法の規定によりますと、死亡した場合におきましては遺族補償先生のおっしゃっております年金、葬祭補償等が給付されるわけでございます。それから、けがをした場合におきましては療養補償、あるいは休業した場合におきましては休業補償というような形の給付が行なわれることになっております。この関係につきましての給付は全部民間の場合においても行なわれる。  その場合の死亡した場合につきまして申し上げますると、先ほど申し上げましたように、警察官等公務員の場合におきましては、死亡当時の給与の平均基礎額によりまして算定されて年金額が出てくるわけでございます。民間の場合におきましては、その本人の収入額を換算いたしまして、それによりまして年金等の額が計算されるという点では同一でございます。  ただ、お断わり申し上げておきますのは、最高の問題につきましては、一応警部の中位号俸をとりまして、最低は巡査の中位号俸をとって計算されるという形の、最低補償と最高補償額の制限というところが若干異なっております。
  121. 受田新吉

    ○受田委員 民間協力者で警察官と、最高最低の基準の相違を除いたあとは、同一という待遇を受けておる人が、一体この一年間にどのくらいありますか。つまり民間人であっても、協力者は遺族に公務扶助料と同じものが生涯出る。巡査のいまのこの程度の待遇つまり現職警察官がなくなったと同じような形で民間協力者が遺族補償されてくるわけですね。それが何人該当者がいるか。
  122. 大塚惟謙

    ○大塚説明員 手元にある統計で申し上げますと、昭和四十五年度中でございますが、死亡で九件、傷病で七十件ということでございます。
  123. 受田新吉

    ○受田委員 民間協力者の中で生存したまま、幸いに傷がつかなかった者に対してはどうしておるか。つまり、幸いに死ななかった、傷もつかなかったけれども、彼によって犯人逮捕され、警察官とともによい結果が生まれたという者に対する報償というのはどうなっておりますか。
  124. 土金賢三

    土金政府委員 警察官に協力していただいた方には、警察の表彰規則、こういうのがございまして、それによりまして、最高の場合には長官の協力章を差し上げるとか、あるいは人命救助等の場合には、警視総監あるいはそれぞれの本部長から感謝状を差し上げるとか、その他適宜表彰の方法あるいは感謝の意を表する措置をとっておるわけでございます。
  125. 受田新吉

    ○受田委員 その人が不幸にして死亡すれば、いまのような道が講ぜられて、警察官と同様に、その遺族も警察官のもらう公務扶助料と同じ扶助料を生涯もらえる。しかし、生存をしておった場合は、警視総監賞、右の者どうもありがとうというだけで、何も中身はないわけですか。紙きれだけ。多少金一封を上げるような制度があるかどうか。
  126. 土金賢三

    土金政府委員 特別の規則というものではございませんが、感謝状なりそういうものを差し上げる場合には、当然金一封をつけて差し上げるわけでございます。
  127. 受田新吉

    ○受田委員 私、この民間協力を求める制度を大いに世間にしいてもらいたいのです。私などこういう性質だから、悪いことしたらその場ですぐ、公衆の前で、私、柔道四段ですから、適当に何回かやっておる民間協力者です。もう見ておるような性質じゃない、この男は。そういう民間協力者は、お互いの周辺でだいぶめいてい者などが騒いでいるときなどは、すかっとやるような風潮をつくってやらなければいけないと思うのだが、金一封があるから私はそれはいいですが、また警視総監賞でももらえば額に掲げておくというような、あるいは警視庁の何かで通達の中へ入れるとか何かPRして、こういう人がこういうときに協力してくれたというふうな形で、犯罪のない国家をつくる民間協力者を大いに盛り立ててあげたいですね。これはひとつ警察庁総理府も十分心していただきたい。  それからまた、公務員などがそういうときにやった場合には、特に公務員の表彰規定はどういうふうにやられておるか。国家公務員がそうした犯罪の防止に一民間人として警察に協力した一そういう場合はどうなるか。どういう手だてができておりますか。ほうびだけですか。
  128. 土金賢三

    土金政府委員 警察に協力していただいた方は、民間人である場合も、それから公務員である場合でも、警察としてそういう先ほど申し上げましたような措置をとるのは同一でございます。
  129. 受田新吉

    ○受田委員 ただ一般公務員の場合は警察官のような任務がないわけです。つかまえなければならぬという任務はないわけです。任務はないけれども、国家の公務に従事しておる以上、普通の民間人とは違う責任をお役人として感ずるようになるのです。そういうときにお手伝いしたときに、感謝状と金一封がやはり来る。これは資料要求してなかったのですけれども警察庁でお調べになられた中に公務員がどのくらいあるか、お調べした結果を、いまでなくてもいいですから、あとからお知らせいただいて、そして同時に、人事院総裁のほうへも、公務員はこれだけの協力者があったということを報告しておられますか。されておられないか。報告することになっているかいないかです。なっていなければ人事院わからぬですが……。
  130. 大塚惟謙

    ○大塚説明員 報告することになっておりません。
  131. 受田新吉

    ○受田委員 なるべく、公務員の方がそういうふうになったら、そういうのはほめてあげたいと思うのですね。総裁も報告を受けられて、人の範とするに足る公務員ですから、国民全体の奉仕者としてはりっぱな者なんですから、そういう制度をおつくりになるように要望しておきます。
  132. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 受田君に申し上げますが、総務長官参議院のほうもありますので……。
  133. 受田新吉

    ○受田委員 長官、あなたにお尋ねすることで、私、質問を終わらしていただきます。  これは、最初申し上げたようないい法律です。こうした特殊な公務の職員が危険を顧みずに働くことに対して、私は前から、自衛官などと同様、自衛官は、自衛官職務そのものがこの特殊公務に当たるような仕事をしておる人ですが、自衛官のときもいつも論議しておったのですが、この制度が進められるということは非常に喜ぶべきことです。  そこで、いま一月からの実施ということにしておられる問題を、昨年、成田事件で三名の警察官が包囲されて、最後に袋だたきにされて、死屍にむちうつといいますか、死んで後になおたたきのめされたという悲しい事件があった。それも含め、また昨年の秋の十一月十四日の渋谷における警察官が、これもまた、倒れて後、死屍にむちうたれて焼き殺されるというような悲惨な状況であったわけですが、複数の犠牲者が出た成田事件を含もうとすれば、昨年の四月一日にさかのぼったほうがいい。そしてこういうものはできるだけ範囲を広げることが必要だし、またあまり過去にのぼると実態調査にぼけてくるということであるから、一年前ぐらいだったら、まだ濃厚な記憶、濃厚な調査の実績があるわけです。だから、一年より前にさかのぼるには、またぼけるという懸念からいえば、ちょうど一年前の昨年の四月、年度がわりを契機にこの法律の実施をされたほうがいい。これはやることによって金額の相当のものがふえるとは思いません。総額にしてたいしたことはないのです、特殊公務ですから。そういう意味では、せめてこういう愛情の政治は、調査が可能な時点といえば一年という時点、しかも年度がわりという時点でやられたほうがいいんじゃないかな、かように考えておるわけですが、いまとなってはもうだめだということでしょうが、できれば成田事件の三人の、今度の浅間山荘事件を契機にやられたということのようですから、やはりもう一人人数の多かった成田事件まで範囲を広げてあげるという心づかいをしてあげる必要がないか。これは修正すればいいわけですから、また、それに伴う予算がどれだけあるかというような問題もあると思うんですが、そういう特殊の立場の法律ですからね。やはり特殊な扱いをしても、国民の人は納得してくれると思うんです。  さっきからお話ししておるうちに、成田事件と浅間山荘事件と比べながら、成田事件の三人の方の、あの死なれて後に死屍にむちうたれた不幸な警察官も、人間的な印象から、浅間山荘と同じ基準のお手伝いをしてあげたらいいなという感じをしみじみ思ったわけでございまして、長官、この法律案提案の責任国務大臣として、お気持ちをそういう方向へ提案者として切りかえてもらえるか。また、ここでお互いが修正をしてもいいわけですが、まあ私からの気持ちだけ披瀝して質問を終わりたいと思います。
  134. 山中貞則

    山中国務大臣 私は、この問題はある意味でおそきに失したと思っておりましたので、意見の申し出でありますし、勧告ともやや性格を異にいたしますから、私は私なりの検討、見解を十分に部内でやったわけであります。  ことに私の場合は、四月一日、年度がわりからびしっといくか、もしくは既往に全部さかのぼるか、いずれかであるというところまで考えました。しかし、さらにまた考えてみますと、われわれ平和国家の中においてでもなおかつ発生するであろう通常の犯罪事件、そういうもので殉職、負傷をする者は、やはり今後も、これまでもいろいろあったわけですが、異常な社会風潮と私たちが言っていい最近の一連の事犯というものに対しては、それがカバーできる手段はないものかということを考えました。もちろん成田事件の被害者については当然そうしたいと思ってやったわけです。しかし、ではどこまででカバーできるかとなりますと、一昨年五月には、ハイジャックのあとに次いで、瀬戸内海でシージャックという事件が起こりまして、あの際、ライフルの狙撃でもって広島県警の警察官が腰部の脊髄貫通を受けました。したがって、生涯、下半身不随、あたら好青年をそういう境遇に置いたわけであります。私も手ずから、その功労者としての表彰状も手渡したわけでありますけれども、その記憶がありますだけに、そこまでさかのぼらなければおかしいということになりますと、またその前にもいろいろと事件がありましたし、それがやはり、そう大きな問題でなくても、負傷者も入るわけでありますから、どこで線を引くかを、私としてもきわめて判断に苦しみました。  そこで、一番身近な問題として、成田事件と浅間山荘事件というものが、この一月一日にさかのぼるということによって、これは非常な区別された扱いになる。なくなった人は返らないにしても、重傷者の人、あるいはまた遺族の人は割り切れない気持ちがするだろうと思いまして、四月一日からさかのぼるだけさかのぼりたいという気持ちでおったのですが、結局は、人事院の御意見の一月一日までが精一ぱいだという、区切りのはっきりしたところにする以外にないということでございましたので、国の法律を、いいことであっても、ある事件をとらえて恣意にその時点までさかのぼるということもきわめて困難でございまして、そういう経過がありまして、私は決して、この一月一日からということで、心の中で釈然としておらない。満足はしておらない。しかし、おそきに失したけれども、なるべく早くそういうことにしてあげて、今後そういうことは絶無であることを祈りたいと思いますが、万が一そういうことがあった場合には、安心とは言えませんが、国の配慮はあるということを職務執行に当たる各位にも十分念頭に置いて働いていただきたいと、そう祈る気持ちでございます。
  135. 受田新吉

    ○受田委員 大臣、くしくも私と全く意見が一致しておりました。これはあなたと打ち合わせしたことはないですね。どうしてこんなに意見が一致したのか。  いま私、成田事件をなぜ入れるかというと、これは複数で犠牲者が多かったことです。これは三人の死亡者がある。したがって、この時点で佐藤先生にお考えいただけなかっただろうかといま御相談したら、そういう気持ちもあったが、なかなかチャンスというものは来なかったということで、このたびチャンスが来たというお話ですから、傷害者も多いし死亡者も多い時期といえばやはり成田事件。たまに一人おられるとかいうときの分は、それはその方に、お気の毒ではあるが、制度の切りかえの犠牲として、適用をそこまで延ばさなくてもがまんしていただけると思うのですが、年度がわりというのも、私は、区切りとしては非常にいいと思うのです。一年以上ということになると、いまから調べるのがむずかしくなるという意味で、昨年の四月という時期を選んで——三名の死亡者と、それから傷害者が何人あったんですか、成田は。けがした人が何人ですか。正確にでなくてもいい。大まかでいいですが。大体、なくなった方が三人なら、それに準じた傷痍者がおるんです。その意味では、浅間山荘が二名のなくなられた方と九名の負傷された方がおる。同じように、大体そういう事件のときには、比率としては大体死亡者に準じた傷害者がおるものです。わかりますか。
  136. 斉藤一郎

    ○斉藤説明員 突然のお尋ねで、正確な資料を持っておりませんが、百人をこえた負傷者がございました。
  137. 受田新吉

    ○受田委員 それはもうたいへんなものです。私ちょっと、この比率からいったらもっと少ないんじゃないかと思ったんですが……。  それは成田事件は、やはり警察官の家族にしてみれば、もうあのような事件を再びわが国に起こしちゃいかぬのですからね。二度とあんな大事件を起こしちゃいけませんよ。国内の政治のあり方を変えるためには、やっちゃいかぬ。したがって、成田事件というものを契機にして、そこからこの問題の処理に当たっていくというのは、私は政治の常道だと思うのです。それ以前の方は、時期が過ぎてきておりますから、時効とは言いませんけれども調査がむずかしくなるという点で、成田事件を入れてあげる。これは、浅間山荘の方を救われて成田が救われない。成田の場合は関係者が多かっただけに遺族にこたえる。すでに総理大臣その他から適当の措置があったことと思うのですけれども、その分は必要によって差額支給をすればいいわけです。そういうことで、その点を、察査の過程でありますが、政府かあるいは国会修正でそういう方向へ持っていくことを要望をして質問を終わります。
  138. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 午後二時より再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時五十八分休憩      ————◇—————    午後二時八分開議
  139. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  内閣提出、第六十七回国会閣法第一八号、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  140. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  これより採決に入ります。  内閣提出、第六十七回国会閣法第一八号、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  141. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  142. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 なお、ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  143. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  144. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 次に、郵政省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大出俊君。
  145. 大出俊

    ○大出委員 連日質問している関係もございまして、あまり準備が十分ではございませんで、時間がかかる結果になると思うのでありますが、その点はひとつお許しをいただきまして、問題はたいへんたくさんございますので、きょうここで即答いただきかねる問題があるとすれば、これはぜひひとつ、あとで話を詰める機会をつくるよう努力したいと思っております。  あわせてまた、先般、私、一ぺん福岡の四師団に参りまして、これは福岡県春日町でございますが、四師団の衛兵の方が郵便配達に行った人間に銃口を向けたということで、ローカル紙にもたいへん大きく取り上げられまして、問題になった件がございます。これを楢崎弥之助議員と私で調査に参りました。江藤さんお見えになっておりますが、当時防衛庁からもおいでになった方がございました。そこでやりとりをいたしまして、当時、現場におった防衛庁の政所さんという班長さんという三佐の方でございますが、かつまた、私どものほうは池元君という組合の諸君と、師団長立ち会いのもとで、具体的にやりとりをして対話をしていただきまして、みんな聞いておったわけであります。その結果、結果的に銃口が向いたということになりましたが、自衛隊の皆さんのほうは、肩にかけておったのがはずれて向いたと言うのですが、本人のほうは、かまえたではないかと言うのですけれども、師団長が中に入りまして、たいへん連絡その他を含めまして配慮に欠ける点もあったということもございましたし、また郵政当局に、つまり現場の福岡の南の局でありますが、こちらにもその種の話し合いをするという話にもなりましたが、時過ぎたわけでありますけれども、やはりこれはどこかで決着をつけておきませんとぐあいが悪い、こういうことになりましたので、この問題から入らせていただきまして、あと各所でいまいろいろなことが起こっておるということで、新聞にも幾つか載っておりますが、ここらの問題を少し詰めさせていただきまして、その上で前段に申し上げました福岡の問題、これは防衛庁職員の給与に関する法律案がまだ一本残っておりますから、その時点で防衛庁長官に当委員会へお出かけをいただきまして、この福岡の自衛隊にからむ問題は、きょうの質問を踏まえて再度、今度は逆に郵政省の皆さんにもお出かけをいただいて、省の言い分なりがあるとすれば、あらためてひとつそこでやりたいと思っております。そういうことで進めさせていただきたいと思いますし、かつ、数ある問題を詰めてまいりますが、これは歴史的に経過がありまして、十二・一四確認であるとか、あるいは出身議員団と省当局との間、あるいは大臣との間ということでいろいろな詰め方が行なわれておるようでありますが、そこらのことと関連もございますので、そこらを後ほど相談をさせていただいて後刻決着をつけたい、こりいうふうに思っております。   〔委員長退席、坂村委員長代理着席〕 そこで、冒頭の四師団にかかわる問題でございますが、何かきょう聞いたところによりますと、郵政当局は監察官を入れて調べたというふうな話を聞きました。したがいまして、どういう経過であったと郵政省側は判断をしておられるのか、ますこの点について御答弁をいただき、さらに防衛庁の側からそのあとで、どういう経過であったかという点についてひとつ御見解を承りたい。この二点について最初に承りたいのであります。
  146. 舘野繁

    ○舘野説明員 郵政監察官が事情を聴取いたしましたことにつきまして、簡単に御報告を申し上げます。熊本の郵政監察局におきまして、当該事案につきまして、新聞報道等を見まして、その中に防衛庁側の措置及び局員の側それぞれに法律違反の疑いがあるのかどうかを郵政監察独自で調査にかかったわけでございます。これはいわゆる情報収集と申しますか、そういう立場から、関係者から話を聞くということをいたしたわけでございますが、郵便局当局側管理者及び自衛隊の中の関係者からは事情を聴取できましたけれども、配達に行きました三人の職員は、監察官のいろいろの質問に対しまして全く答えてくれませんので、当該の職員から事情を聴取することはできませんでございました。ただいままでのところ、結果といたしまして、前回の委員会で郵政当局及び防衛庁側から、このような事態であったと認識しているとお答えを申し上げました以上のことは、ただいま郵政監察としては把握してございません。
  147. 江藤淳雄

    ○江藤政府委員 事件の概要につきましては、すでに先生も十分に御承知のことと思いますので、この際私から特に詳しく申し上げることはないと思います。  ただ問題は、自衛隊としましては、朝霞の事件がありまして以来、特に庁舎警備につきまして非常に厳重に行なっております。これがともすれば行き過ぎる行為もあるわけでございますが、現在、自衛官でありましても、制服を着て入る場合にやはり身分証明書を呈示しなければ入れないというようなこともございまして、非常に厳重になっております。しかし、一般指導方針としましては、郵便集配人が制服を着てまいった場合には、身分証明書の呈示を求めないで自由に出入りさせるようにという指導は十分いたしておるつもりでございますけれども、たまたま福岡その他九州のいろいろな部隊におきまして、腕章をつけた集配人の出入りをめぐっていろいろ問題がございました。これはその後私のほうで調べてみますと、やはり多分に行き過ぎた面もあったように思います。この点につきましては、その後上級指揮官から厳重注意をいたしております。これは、福岡の、その当時正門にいました幹部の自衛官と、それから曹でございますが、二名に対して、自衛隊の訓戒に関する訓令に基づく厳重注意というものを文書をもっていたしております。その他の玖珠の部隊等におきましても、やはり同じように正規の懲戒、私のほうでいう行政処分はいたしております。
  148. 大出俊

    ○大出委員 ちょっと承りたいのですが、その訓戒、行政処分は私初めて聞くのですけれども、どういう理由に基づく訓戒、懲戒でございますか。
  149. 江藤淳雄

    ○江藤政府委員 腕章をつけて入ります場合におきましても、単に全逓というようなマークをつけて入る場合には、これはそのときの判断としまして特にこれを深く制止するとかいうようなことでトラブルを起こすことはないはずでございます。もし現場の責任者が、疑わしいということであれば、さらにもう少し上級の幹部に指導を受けるべきである。そういう指導を受けるべき行為を怠って、自分独自で判断をして行き過ぎた行為をやったということについては、これはやはり対外的な反響もありますので、その点については注意すべきである。私のほうにおきましては、正式に自衛隊法四十六条による法律上の懲戒処分以外にいろいろな——これを直ちに適用することは困難でございましても、規律の厳守、団結の保持ということを非常に重視している自衛隊といたしましては、やはり訓戒あるいは注意というものを相当幅広く行なっております。今回の場合におきましても、その訓戒等に関する訓令の文書による注意ということを行なっておりますが、これは結果的にはある程度ボーナスとかいうものには影響いたしてまいります。
  150. 大出俊

    ○大出委員 これは私、現地の第四師団長以下の方々と当時話をしてきたのですが、行き違いがいろいろあるようですね。これは経過をちょっと申し上げないとわからぬと思うのでありますが、事の起こりは、三月の六日の午前十一時四十分ごろ、福岡県春日町に駐とんしている陸上自衛隊の福岡駐とん地の第十九連隊、ここに今村稔君という人、これは郵政の職員でございますが、、この人が郵便物の業務を帯びて出かけていった。着用している反安保の腕章につきまして、これは現地で聞いてみますと、何かつけているなというふうに感じて、かけていって、とまったところでのぞいてみたというのですね。こういう説明なんですよ。つまり、それはどのくらいのものかというと、小さいものなんですね。大きなものじゃない。何かたいへん大きなものだと政所さんという当時のそこの責任者が言っておりましたが、あとになって明らかになっておりますけれども、そんな大きなものじゃない。この点はほぼ一致しているわけでありますが、たくさんつくったわけではありません。しかも、これはきれでも何でもありませんで、紙でつくったものでありまして、紙でつくったものをビニールの袋に入れているわけであります。こういうものなんですね。反安保といったって、よく見なければわからぬ。確かに追っかけていって見たと言うのですけれども、こういうものです。郵政の組合員というのは金がないですからね。だからこれをみんなで印刷しているのですよ。青年部ですからね。  「反安保」と上に書いて、下に「72春闘勝利」。これは金をよけいくれというのですから、あたりまえのことなんです。これは組合の通用語なんですね、反安保・春闘勝利というのは。どこでも言っているのですから。口を開けば、代議士がしゃべったって、反安保・春闘勝利なんだ。私は春闘でやっている。職場にビラを張らしてくれ、流してくれといったって、反安保・春闘勝利なんですから。それを青年部ですから、ガリ版の用紙にここだけ抜きまして、そしてべたっとやったわけですからね。紙です。それをこのビニールのやつに入れたということです。こんなものですよ。これをこうやって腕にかけるわけです。そうすると、遠くから見たら見えませんよ、何と書いてあるかも。だから入ってきた。反安保だからと、こうじゃないですね。追っかけていったわけです。車を運転している。中をのぞいてみたら反安保と書いてあったと言うのです。ほとんどそうですよ。現地で調べてみて、もっと大きな感じがしました——もっと大きな感じがしましたと言ったって、これしかない。そんなつくる金がない。みんな腕に巻いているわけであります。  そういうことで事が始まりまして、どうしてもそれは困る、入ってくれちゃ困るということになって、この反安保がいけないのだというわけですね。そんなことを言われたら収集できぬじゃないか。いや、はずしてくれ。はずしてくれと言ったって、組合員だから、どこへ行ったってこれをつけて収集しているのだからいいじゃないかというやりとりになり、そこでこのやりとりの結果、書記長が、おたくの総務課長さんですか、森さんという方でしたかに電話を入れて聞いた、何でいけないのかと言って。そうしたら、反安保だからいけない。全逓という腕章ならいい、こういうことになった。   〔坂村委員長代理退席、塩谷委員長代理着席〕  そのあとで今度は、第一回の人でない次の人、別な人が二号便で出かけていきました。吉見君という人ですね、この方が今村君のあと出かけていった。これは翌日ですが、午前七時二十分ごろ出局をしてそれから集函事務その他ございますので、順序に従って南八幡、日の出から自衛隊というぐあいに、七時五十五分ごろ裏門に行ったというのです。ここで、腕章をはずしてください一この人は全逓の腕章なんです。はずしてくださいと言ったって、きのう自衛隊の皆さんとのやりとりで、全逓の腕章ならいいということになっているのですから、それで全逓の腕章をつけて行った。そうしたら、全逓の腕章で、反安保でも何でもないじゃないか、それでもだめだということで、それで阻止されたという事件が起こった。  これが真相なんですが、このやりとりを私も現場でしまして、だからといって、そのためにこれは電話で話し合った皆さんのほうが末端に徹底していなかった、こういう事情なんですね。だから、これについて、この程度のことで処分だ云々だということはよろしくないですよと私は念を押した。いや、そういうことは十分考えている。これはなぜかというと、福岡の当該の局の側にも似たようなことが実はある。なぜかといいますと、この問題が起こったんで、結果的に自衛隊の側の皆さんも郵便局に出かけていきまして、つまり組合と自衛隊の駐とん地の方々との間のやりとりの中で、ポストを動かす動かさぬという問題があった。それは自衛隊側は、中に入れるからトラブルが起こるということになるんで、ポストを動かすことについて、動かしたい、動かしましょう、夕方までにやりましょうかという話が出た。さてポストを動かす権限というのは組合にあるんじゃなくて郵政の管理者にあるんですから、では自衛隊のほうから局長に話してくれ、こういうやりとりになった。そこで自衛隊方々が福岡の局に出かけていきました。午後四時半ごろ森さんという自衛隊の総務課長さんが出かけていきまして、福岡南局に参りまして、北門の入門——ポストの話もあったんですが、ポストは郵便局の側がそう簡単に動かすわけにいかないという話をしているんでありますが、おたくの総務課長さんが北門の入門を禁止して、正門から郵便物集配をしてもらいたいという申し入れを局側にした。   〔塩谷委員長代理退席、委員長着席〕 ところが、これに対して局の側が何と言っているかというと、つまり全部の郵便の取り扱いを、北門を禁止をして正門からと申し入れたんじゃない。ここのところは行き違いの根本の一つなんですけれども自衛隊の皆さんには、郵便物というのはどんな種類があるのかわかっていない。だから、大口のものについては正門からにしてくれ、こういうふうに局の側は受け取った。皆さんのほうはどういう種類のものがあるかもわからぬわけだから、そういう食い違いがまずある。その食い違いがあって、その上で翌日朝早くですから、夕方みんな二号便を終わって帰ってしまっているわけですから、そのあとの話ですから、したがって当該の方々に何人かに局の側は話をして、つまり池元君が翌日銃口を向けた、向けないのトラブルになるわけでありますけれども、この方々には一言も、北門の入門は禁止になって正門から行くんですよということを言っていない。つまり局の側にも、自衛隊との話し合いをした結果として、的確な指示を怠っていたと考えなきゃならぬ面がある。その間に、今度は自衛隊の側もわからなかったわけでありますけれども、たいへんどうも不的確な話を局の側にしている。しろうとだからしょうがないという面がありますが、実はそういう行き違いがある。  だからこの点は、つまり相互にいろいろな行き違いがこの際あるわけでありますから、事の次第が明らかになり、つまり銃口を向けた、向けないというのは、この点は大きな問題でありますけれども、いまの問題について何か処分をしろとかなんとかいうことをわれわれが言ったわけではない。そこらのところがどういう認識で処分したかということは的確につかめませんから、もう一度念のためにあらためて事情を説明した上で聞きますが、いまの話の訓戒、注意というんですか、注意、これは懲戒処分という形のものではないんですか。それとも長官、四十六条に基づく長官訓令が出ているわけですね、一般的な注意ですか。根拠はどこに置いておるんですか。
  151. 江藤淳雄

    ○江藤政府委員 先ほどの処分をいたしたというのは、三月六日ないし七日の場合の具体的なことに対して処分をいたしたわけではないんでありまして、その状況に基づきまして、西部方面総監並びに第七師団長、あるいは第八師団長から、その後の指導方針について注意をいたした、通達を出した。しかるに通達を出した後において、なおかつ同じようなことがあった。そのことは明らかに通達に対する注意違反である。そういうことで処分をいたしたわけでありまして、それは四十六条に基づく懲戒処分というのは法律上あるわけでありますが、それではなくして、それに達しないけれども、部内の規律をはかるために考えた訓戒等に関する訓令、それに訓戒とか注意とかいうものがございますが、それに基づいての注意処分をいたしたということでございます。
  152. 大出俊

    ○大出委員 ならば、これは四十六条に基づく懲戒処分ではない、こういうことになりますね。実はいま郵政省と全逓なる労働組合の間はきわめて険悪なんでございましてどうも人間性喪失の人事管理が行なわれておりますから、何か防衛庁のほうが四十六条に基づく懲戒処分をやったんだということになると、それではこの際、郵政省のほうも懲戒処分をやらなければ悪かろうということを言い出しかねない関係が最近はございますので、そこでいま念のために念を押したのです。  事のいきさつがわかって皆さんのほうは師団長が、これは大臣、聞いていただきたいのですが、つまり全逓の腕章で入ってくることについてはよろしいということを前日言っているにもかかわらず、翌日、全逓の腕章をくっつけておった人を阻止した。だけれども、きのううちの局の責任者からおたくのほうと連絡して、全逓の腕章についてはいいということになったじゃないか。だから反安保じゃない、全逓なんだ、それもだめだ、こういうことになったのです。つまりそれは、自衛隊の隊内においててっぺんのほうで話し合ったことが末端に伝わっていないという意味の手違いです。これはお認めになっている。  それから今度は、局員が北門に行ったら阻止された。こっちから入っては困る、正門から入ってくれ。これは前の日の夕方、自衛隊の側の森総務課長が局に申し入れに行った。そして正門からにしてくれと言ったんだが、その言い方が全部そうしてくれという言い方に受け取れない。専門家の立場としろうとの相違でありますから。だから、その当該の人にだけはそう言ったけれども一般には言わなかった。一般に類する方が行ったら北門で阻止された、こういう状況が一面起こっている。だから、相互にそういう行き違いがあったということについては認め合ったという事情なんです。  だから、そういうお互いの認識で、現地調査の結果、その点に関してはなるほどそうかということになっている、こういうわけですよ。だからそういう意味で、これまたぎょうぎょうしく皆さんのほうが、四十六条に基づく懲戒処分をいたしましたということになると、今度は郵政省のほうも、何かまた一言ありかねないことになるので、そういう心配が残るものだから念を押したというわけであります。そこで、もとに戻りますが、監察のほうの方からいまの答弁でありますが、さきの委員会における、つまり事情の説明以上のものではないというお話がいまございました。さきの委員会というのはどこの委員会ですか。予算分科会ですか。
  153. 舘野繁

    ○舘野説明員 ことばが不十分で恐縮でございました。おっしゃるとおりでございます。
  154. 大出俊

    ○大出委員 この問題に関する限りは、楢崎弥之助委員が、衆議院の予算分科会において防衛庁長官に質問した、これしか先例はないはずでありまして、あのときは、わずかな時間でありましたが、私もそばにおりましたので事情はわかっておりますけれども、あのときの説明というのは、ほとんど説明らしい説明はない。あのときの郵政省側の説明は、よくわからないのです。わからないから、防衛庁長官に楢崎弥之助委員から、あなたのほうもおわかりにならぬようじゃないですか、だからおれのほうもそれならば調査に行く、あなたのほうもわからないんだったら調べなさい、こういうやりとりになった。そこで、その手配をいたしますかと念を押したら、いたしますということになって、委員会の席上できまって、楢崎君と私が調査に行ったわけでありますから、そのやりとりしかない。  そうすると、さきの委員会以上に出さないとおっしゃるんだけれども、さきの委員会では郵政省は何も説明していないで、それ以上出ないと言われても困るので、そこのところは、あなたのほうの説明はあとから監察に行かれてからのことなんで、当時の事情というのは、おそらく下から報告が行っていなければおかしい。だから、あなたからというよりは、北さんなら北さんのほうから、これはお答えをいただくのが筋でございましょう。そのあとでおたくの話を聞きましょう。
  155. 舘野繁

    ○舘野説明員 何か不十分な記憶でお答え申し上げて恐縮いたしました。第四予算分科会でございました。質問をされた先生は、土橋一吉先生でありましたかと記憶しております。先生からの御質問と私、記憶違いをいたしまして、たいへん恐縮いたしました。
  156. 大出俊

    ○大出委員 防衛庁長官への質問が出ましたのは楢崎君でございまして、私も同席しておりましたから、そのときのいきさつは聞いておりますが、この席上では郵政省は説明をいたしておらない。わからなかったわけですね。したがいまして、北さんのほうから、どういうふうに受け取っておられるかという点、私は一部だけいまここで申し上げましたが、先に承りたい。
  157. 北雄一郎

    ○北政府委員 これは事実問題でございますので、そういった意味で、事実について私どももそれなりに調べたわけでございます。事実問題でございますので、たいへん長くなりまして恐縮でありますけれども、要点は、実は先ほど先生がおっしゃいましたとおりだと思っております。  その結果、結局、本年の三月六日、七日にわたりまして、三名の集配の者がそれぞれ異なる時期におきまして当該駐とん地に参りましたところが、腕章を着用のゆえをもって入門を拒否された、こういうことであります。その三つのときの態様はそれぞれ異なるのでありますが、結局そういうことでありまして、若干の持ち戻り等もございましたので、帰局いたしましてから管理者が当人にいろいろ聞いております。また業務上の手当ても即刻いたしております。なお自衛隊のほうにも問い合わせをしております。自衛隊のほうからも、先ほど仰せのように連絡がございました。最初の六日の夕方に確かに自衛隊のほうから参られまして、明日以後、七日以降の取り扱いについて協議があったわけであります。その内容につきまして行き違いがあったということも事実であります。自衛隊側は全部と理解されたが、局側は普通の集配人を考えておったようでありまして、速達便その他についてはお話がなかった、こういうふうに理解したために翌日のトラブルが発生した、こういうことも事実でございます。  事実関係、ごくあらましでありますと、以上のとおりであります。
  158. 大出俊

    ○大出委員 そこがまず意見が一致すればそれでいいわけでありまして、つまり、かくてその手続的なやりとりの中で行き違いが相互にあった、これはもう認めざるを得ぬ事情にあります。私、南の局に参りまして局長にもお目にかかりましたが、局長もその点お認めになっておりますから、いまの北人事局長がおっしゃるのと同じであります。  そこで、現場の自衛隊の側とのやりとりでは、これは公式に江崎防衛庁長官にこの委員会の席上で問題提起をいたしまして、防衛庁の側も協力して、ひとつわがほうも調査するからそちらでもしてもらいたい、こういうことであったわけでありますから、この点は前段として前置きをしておきますが、そういう事情での調査であります。そこで、現地の四師団長のほうも、わがほうにも確かにいろいろ手違いがあった、行き違いがありました、またわれわれの意図するところは末端に徹底不十分でございました、全逓の腕章をつけてきたのにこれを阻止するということなどがあってはならない、こう思いますというところまで話が進みまして、したがって、お互いにそこがわかったのだから、自衛隊の側も、この問題をとらえて処分だ云々だということを考えない。そのかわり郵便局の側も、この行き違いについて、自衛隊の側にも責任があったのだからということで、つまり阻止するのを知らないで行ったわけですから、阻止されたら、おかしいじゃないかということになる。あたりまえであります。時間がかかる、最後の末端の業務が抜ける、これはあり得ることでありますから、そういう点等も含めて、局の側もそういう意味での処分だ何だということになると、事情がわかった以上はお互いに困ることになるということで、わがほうの手違いでそういう時間的なことにもなったということについては、郵便局側に自衛隊の側から事情の説明をし、かつ釈明もいたします、こういうふうにその問題はおさまった。これが当時の現場の状況でありまして、だから、この中から懲戒処分だというようなのが出てくるとすると、当時のやりとり、いきさつから言えば、たいへんおかしなことになる。  委員会の席上で防衛庁長官とやりとりをした結果として行ったわけでありますから、そういう意味で実は先ほど江藤さんに念を押した。ところが、四十六条に基づくものではないというのですから、つまり内部の統制という意味で注意をしたということでありますから、これならば別に当時のやりとりからしてはずれてはいない、こう実は私は思いますから、そこでいままでの経過の中で、業務が、北さんのいまのお話では、何かそこに残った、手配をした、この事情は私もわかっておりますが、ここらの問題をとらえて、その後、いま私が取り上げている処分だ云々だという問題について検討されている面がありますか。
  159. 北雄一郎

    ○北政府委員 結論は出ておりませんが、検討はいたしております。したがって、検討の途中の話でございますけれども、私どもといたしましては、この三件につきましては懲戒処分は考えておりません。ただし、やはり業務遂行という観点からいたしまして、何らかの指導、注意措置は要るだろう、こういうふうに考えております。
  160. 大出俊

    ○大出委員 そうなりますと、そこから先は問題が変わってくるのですね。つまり、そこで出てくる注意措置というのがあるとすれば、それは腕章を巻いていたという、つまり、あなた方は業務命令の形をおとりになるかどうかは別として、そういうようなものははずせと前からかりに言っていたとする。その問題とからんでくる、こういう理解になりますか。
  161. 北雄一郎

    ○北政府委員 多少関係はあろうかと思いますが、むしろ私どもは、郵政職員に課せられた第一義的な任務というものは、やはりそれぞれのその日のそのときの任務を忠実に遂行することだ。もっと簡単に言いますれば、要するに業務遂行ということが職員にとりまして第一義的な任務である。したがって、そういう観点からそういった場合にも行動すべきだ。もっと具体的に言いますれば、そのこと自体の適否は別といたしまして、よその管理しておる場所に入る場合に、いろいろとどうせいああせいと言われることがあるかもしれません。ありました場合に、そのこと自体に不満でありましても、また問題が結果的に本件のように適否という判断があるといたしましても、やはりそのときは業務遂行に心がけるべきである。腕章をとって入って業務遂行をやるべきであった。そういった点に問題があれば、帰局後いろいろ上司に話をしてかけ合うとかいうのがほんとうの姿ではなかろうか。ですから、もとに戻りまして、もっと簡単に言いますと、やはり業務遂行が職員の第一義的な任務である、その点から注意、指導ということが要る、こういうふうに考えております。
  162. 大出俊

    ○大出委員 となりますと、その問題は、全逓信労働組合という労働組合が一つの人格をもってものごとを進めている。これは対等の原則の上に立っておりますから、お認めになると思うのでありますが、この問題とからんでくる。組合は組合で指令を出し、方針をきめて、組合員であるから権利義務は平等でありまして、組合員の義務という意味で指令が出ている。これは団結権にかかわります。だからそれに従うのは組合員として当然なことである。そうなると、そこから先のいま論議は、組合対郵政省、つまり労使の問題に入っていく、そういう筋道ですね。そうお考えになりませんか。
  163. 北雄一郎

    ○北政府委員 私、申しましたのは、あくまで業務遂行をそのときそのとき第一義と心得るべきだということでありまして、したがって、組合の指令による腕章であろうが、あるいはたとえば異様な服装であろうが、同じだというふうに考えております。
  164. 大出俊

    ○大出委員 そうなると、これは論争の焦点が——いま異様な服装ということばが出ましたね。これはおたくの就業規則その他とからむ。これは出たから、そのまま捨てがたいから、話の本筋をそれるけれども、申し上げておかなければいかぬと思うのだ。  これは、兵庫の灘局がありますね。灘局のリボン闘争についての判決がございます。これは皆さん御存だと思う。この中で、いまの異様なという問題が出ていますね。リボンをつける、あるいは腕章という問題をめぐりまして、それでここに一つの結論が出ている。この限りのですよ。御存じですか。
  165. 北雄一郎

    ○北政府委員 存じております。ただし、その点は一審判決に当方は不服でありまして、控訴中であります。  なお、異様な服装と申しましたのは、当方から見てではございませんで、先ほど言いましたように、行動じゃなくて、どこか他の人が、あるいは他の団体が管理しておる場所へ入ります場合に、そちらのほうから見て、異様であるから困るとかいうような形をしておる場合と同じことだ、こういうふうな意味で申したわけでございます。
  166. 大出俊

    ○大出委員 これは当方から見てではないとあなたおっしゃっているのですけれども、この判決というものは普通妥当性を持たしておるんでしょう。一人の人が異様だと見ても、社会通念上あり得ることだから異様ではないという判決になっておる。あなたのほうの就業規則から言えば、異様なという解釈があって二十五条はできていても、この裁判官が言っているのはそうではない。腕章なんてものは、保険、貯金勧誘の場合だって郵政省はつけさせているじゃないか。あるいは年末の繁忙期だってつけているじゃないか。  そうすると、労働組合であっても、社会に一ぱいいろんな団体がある、その団体の中から、それが組合員であるということを識別するのには一体どうするか。腕章をつける、当然じゃないか。そのことが就業規則違反になるとは考えられない。つまり、あなた方は異様な服装と言われたのは、それは当方から見てではないと言われたけれども、裁判というものはそうじゃない。普遍妥当性を持たして結論を出しておる。控訴中だとあなたはおっしゃる。そうすると、一審の判決の出た今日の時点については、いずれとも決着がついていないことになる。少なくとも一審の判決は厳として存在することになる。その限りでは、そうかってに異様な服装だということにはならない。しかも、その異様な服装とあなたが言う根拠は、団結権に基づいて組合が指令をして、反安保・春闘勝利という腕章をつけろ、こう言っている、それに従ったということである。しかもそれは社会通念上異様な服装でも何でもない。そのことが業務と組合活動という関係において成り立つんだという解釈をしている。そうすると、あなたのいま言っていることは明らかに言い過ぎです。一審判決は厳として存在するのですよ。控訴したからといって二審判決は出てない、そうでしょう。二審判決で棄却されることだってある。
  167. 北雄一郎

    ○北政府委員 私が例として、組合の指令による腕章の着用だけじゃなくて、異様な服装などの場合と言いましたのは、組合の指令あるいは組合活動でなくてもという意味で異様ということを引用したわけでございますけれども、ことばが不適切であったかもしれません。それならば、たとえばこういうふうに言い直せばいいかと思います。要するに相手方から見て、その人を入門させては困るというような何かの状態があったというような場合と同じことです。こういうことであります。
  168. 大出俊

    ○大出委員 おかしなことをあなたはおっしゃいますな。異様な服装とあなたはおっしゃった。その出発点は、私はいま腕章の問題を取り上げている。その腕章の問題に関して、あなたが異様な服装、こうおっしゃった。それは当方から見てではないとおっしゃった。そうでしょう。だから私は、こんなところにそれていってしゃべるつもりはなかったんだけれども、出てきたからものを言う。  私も知らないわけじゃない、長年全逓やってきているのですから。就業規則二十五条、これは三十九年。一体灘の判決は何と言っているかというと、就業規則二十五条というのは、「職員は、服装を正しくしなければならない」ということです。異様な服装は困るとあなた方は裁判の中でおっしゃっている。そういう意味だ。対外的には公務員の品位の保持だ、対内的には正しい服装を通して職場の規律の維持を目的とするもの、こう言っているわけです。そうでしょう。これに対して裁判の判決はどう出ているかというと、第一に、リボンや腕章は、社会的にいろいろな団体がある。さっき私が申し上げました、活動をしている団体員や役員、世話役ですな。団体員や役員や世話役を識別する、そういう意味で、社会通念上これは当然なあり得る姿である、異様でも何でもない。第二に、郵政省でも勧誘や年末処理ではリボン、腕章をつけている。これは公衆と接触する場面、当然この面からいっても異とするに足らない、異様じゃない、はっきりこう言っている。もう一つ、三公社五現業というのは一般公務員よりも上の権利を持っている。憲法に保障されている労働三権を前提にして、一般公務員と三公社五現業の公務員とは違う立場にある。つまり一般公務員よりは一つ上の権利を認められておる。このことを中心にして、争議行為にならない程度の団結権のための活動は許されると解釈すべきである。争議行為というものについては、これもしかし公労法の場合には明確に割り切られておる。だから懲戒処分じゃないのですよ、この公労法の場合は。おまえさんもう要らないからやめてくれと言う権利が使用者としての政府あるいは公社にある、こういう解釈でしょう。これは、だからそういう意味では、争議行為にならない程度の団結権のための活動は許されておる、こう言っておる。だから、取りはずし命令そのものについての拒否、取りはずせと言われた、それを拒否した、この拒否も違法ではない、こういう結論が出ておる。あなたは控訴したとおっしゃったが、一審判決は厳として生きておる。控訴審の結論は出てない。そうでしょう。  だから、組合が指令した腕章をつけた、その腕章は裁判が明確にしておるとおり。その点をとらえて四の五の言われることはない。もしそれをあなた方が注意するというなら——行政処分はしないとおっしゃったから、それはそれでいい。注意するとおっしゃるなら、それについては法律的に裁判の判決が出ておる限り争いになる、こういうことです。そこから先は裁判できめるなり、力関係でしょう。こういう筋道の問題です。この点だけは、話が出たから明確にしておきます。  そこで、ここから先の問題、実は大臣、いまの問題にからむが、つまり、常日ごろ行なわれておる日常の労使関係というものが、今日いまの北さんの発言を生むようにできておる。ここに実は問題がある。私はそのほうに入りたいのでありますが、ここで念のために一つだけ取り上げておきたいのでありますが、防衛庁に対して承っておきますが、さて反安保という先ほどの腕章、これは、はるかかなたから見たらわからないでしょう。追っかけていって中をのぞいてみて、読んでみたらこうなっていたというのでありますが、そこでこれは何でいけないのかということです。言論結社の自由を許されておる今日の憲法でありますから、そう簡単にこれはいけないと言われては困る。根拠を明確にしていただかなければならぬ。そうして私は現場で、何に基づいて反安保というのはいけないのかと言ったら、自衛隊は政治的に中立の場であるという。そうすると、反安保はいけませんというと、これは逆に言えば中立ではなくなりはせぬか。だからそう簡単に、自衛隊は中立の場だから反安保は困ります——反安保は困りますといったって、世の中の三分の一かあるいは半分の人が、そのくらいは反安保という腕章をつけて町の中を堂々と歩く人たちが住んでおる。そうでしょう。そうなると、それはいけませんと言えば、それは逆に言えば政治的じゃないのですか。これに対して現場の方は反論がない。ただてっぺんから政治的なものはいけないと言われておるからそうやったんだという回答しか出てこない。しからば、政治的に中立の場だからこういうものはいけませんというならば、いまの論点はたな上げにして、先を聞きましょう。いかなる根拠に基づいてこれは困ります、はずしてくださいと言うたのか。法律規則何でもいい。通達、何でもいい。施行規則、何でもいい。何が基礎か。さらに二転三転してさっぱりわからぬ。  それは現場の制服の方々に私が聞くのは無理かもしれないけれども、法務官という人がおって、この方も妙なことをおっしゃるから一応聞いてみたら、実はそうではありませんと一今度は別なほうから、いや、こうですと言う。詰めてみたら、いや、そうではありません。そうしたら、本庁から来ている方がすわっておって、先生、これはここまで来ていただけませんか。本庁に帰りまして相談をしまして、あらためて明らかにいたします。そんないいかげんなことで、いきなりなぜ阻止ができるのでしょうか。そうでしょう。それでしばらくたって、ほかの話をしているところに何と言ったかというと、法律根拠を持ち出しましたが、それが八十七条の十二号だと言うのです。八十七条の十二号、御存じですか。江藤さんを苦労させるわけにもいきませんから、ここまで言っておきます。自衛隊法六十一条に基づく自衛隊法施行令の八十七条の十二号です。
  169. 江藤淳雄

    ○江藤政府委員 答弁が前後しますが、八十七条十二号に該当するかどうかということもあるかもしれません。しかしながら、これは十二号に該当する、しないと申しましても、その前に八十六条がありまして、八十六条の前提を満たさなければ八十七条の議論をしてもしかたがないのでございまして、今回の場合、少なくとも八十六条に該当するとはとうてい考えられませんので、したがって、八十七条の第何号に該当するかしないかという議論は、別にする必要もないというふうに考えます。
  170. 大出俊

    ○大出委員 現場は二転、三転して、私の聞き方も激しいせいかもしれませんけれども、しかし、ごらんのとおり、私もそう非紳士的ではないほうであります。ところが、何かおっしゃるから、それはと聞くと、ころころ、ころころみんな変わってしまって、落ちつく先が、しばらくたって皆さん相談された結果が——本庁の方も来ておられたのですよ。本庁に帰ってと言うから、そんないいかげんなことで問題を起こされては私のほうは迷惑だ。しかも、その反安保がいけないということについてはたな上げしているじゃないかと言ったら、待ってくれ。待ってくれと言って出てきたのがこれなんだ。出てきてこれですと言うから、私はこれ持ち帰ってきた。そうしたら、あなたは全然関係ないようなことをおっしゃる。そうすれば、全く関係ないものを、一体なぜ阻止したのですか、こうなるでしょう。現場でこれですと言い切ったものを、あなたがてっぺんでひっくり返すのだとすると、これは責任問題だ。そうでしょう。その責任は問いませんよ。問いませんが、そういう筋道になるではないかと言うのです。  いいですか、読みますよ。八十七条十二号、これを解説してこれですとおっしゃった方は柳幸男さんという方、一佐か二佐かえらい方です。十二号の中身は、「政治的目的を有する文書又は図画を国の庁舎、施設等に掲示し、又は掲示させ、その他政治的目的のために国の庁舎、施設、資材又は資金を利用し、又は利用させること」、この中のどこに当たるのだと言ったら、掲示に当たる。冗談じゃありませんよ。お読みになればわかるじゃないですか。私は反論持っておりましたが黙って帰ってきた。掲示に当たる。「政治的目的を有する文書又は図画を国の庁舎、施設に掲示」をする、これはいけないということです。赤い自動車の中で運転していて、ここに出てきたものが何が掲示ですか。こんなものを掲示にされてはえらいことになってしまう。そういうばかげたことを根拠にして問題を起こす。一体、私はその気が知れぬのですよ。そうでしょう、法務官という方もおいでになって。だから、そういういいかげんなことで、反安保と書いてあるからいけない、そういうことでは私は困る。  しかも、おたくのほうで根拠法規とおっしゃった。現場で明確にされた。楢崎君もおったのですが、おかしなことを言う。言うが、それ以上現場で否定すると立場ないですよ。四師団長以下みんなおるのだから。だから私はがまんして、そうですかと言って帰ってきた。そうでしょう。だから私は、そういう不徹底ないいかげんな——私も法律の専門屋じゃありません。ありませんが、九年も国会におるのです。しかも防衛庁を担当してきておるのですから、だから、そういうところはやはり少しお考えいただきませんとよろしくないという気がいたします。念のために申し上げたわけですから、だからどうしてくれと言うのじゃない。  そこで、そういう事情でさっきのいきさつがあり、三日目に池元君という方が特殊を持って配達に行った。料金不足などをもらってくるということもあった。ところが行き違いですから、北門から入っていったら衛兵が入れない。これは、ここに地図がありますけれども、お見せしてもしかたがありませんから見せませんが、ちょうどポストは北門と表門、正門のまん中ぐらいにあるのですよ。だから、ポストの配置からいきまして、順路としては、その中を通って帰ってこなければ、一回り回ると二、三残ってしまう。これは大臣にはおわかりにならぬかもしれないけれども、私は自分で取り集めをやったことがあるのです。私は昭和十四年に郵便配達をやったことがあるのです。当時は地下たび、巻き脚絆の時代で、いまとは違うのですけれども、道順は組み立てていくわけです。そうすると、この通路を通らなければ時間一ぱいには帰れぬのですよ。どうしてもこれは物理的に残るのですよ。本人にすれば、どうしてもここから入れてくれ、きのうまで入れることになっていたのに、何でだ。見たら日通の車が目の前に入っていた。日通だって小包を持っていっているのだから、日通を入れておいて郵便局を入れないとは一体何ですか、こう言ったという。時間がないのだから入れてください。入ろうと思ったらハンドルを握られてしまった。あなたはそういう妨害をするのですか、私は郵便配達なんだから公務なんですよ、そうおやりになると公務執行妨害になりますよ、こう言った。何でもかんでも入らなければいいのだ。向こうも若いから血の気も多いのでしょうが、三人おられた。それで結果的にハンドル持たれて、じゃハンドルとめるなら私は歩いていきますからと、車からおりた。おりて入っていこうとした。  というところで、自衛隊側からすれば、乗ったままで走ろうとしたので、からだが横向いた。肩にあった銃がはずれて御本人のほうを向いた、こう言う。銃はこうやって持っているのです。そうでしょう。こうなって、そしたらそこに本人がいた、そんなうまいぐあいにいかないですよ。そこで、みなが見ているところでやってもらった。二十二歳の、全くひょろひょろと、私よりもまだひょろひょろとした、このやろうなんて言えたようなタイプではないのです。しかも非常にまじめで、訥々として言う。九州弁でわからぬけれども、あなたはそう言っておったねというような話をする。だから、その場面では銃をかまえていたのではないか。政所君もえらい困っておった。どうしても入れないから、しかたがないから正門に回ったという。正門に回っていってやりとりがあった。これは皆さんのほうもなかなかひどいことを言っているのですがね。  これはなぜ大臣にここのところを聞いてもらっておるかというと、あとで郵政省の局長さん以下がおとりになったことについて、私は少し言い分があると思うのです。そういう意味ですから、時間がかかりますが聞いていただきたい。  そこで、何で銃を向けるのかと言って、そこでやりとりがあった。言ったら銃を引っ込めたので、歩いていくからと言って歩き始めたら、二人が立ちふさがってからだに触れてきたので、暴力と言ったら、何が暴力かと言って二人とも離れたという。通れる見込みがないと思って正門に回った。自衛隊の方は師団長以下全部いるところで、この衝に当たった池元君本人がこのとおりしゃべっているのですよ。正門に来たら、腕章はずしてください、はずされません。じゃ、あそこの営門の部屋、あそこへ入ってくださいと言うので、正門の中に入り、受付の人が四人ないし五人いた。そこで郵便物をとってくれた。これは料金不足がありましたから、ここで三十円、本人は金をもらっているわけですね。ちゃんともらっている。そして、その話がついてから、裏門で銃を突きつけられたが、そんなことしていいのですかと聞いた。自分の子供が戦争に行くようになったら困るじゃないですかということまで話した。本人は全逓の組合員ですから、思うことを言った。飛行機一機で住宅がどれだけ建てられるか。自衛隊は市民を守るのに、何で銃を向けるのかというところまで言ったらしい。だからえらい人を連れてきてくれ。そうしたところが、えらい人が、政所さんがあらわれまして、この自衛隊の方は、えらい人ったっていないんだ、お互いに下っぱだからという話になった。そして電話をした。そして少しえらい人がお見えになって一裏門で何で銃を向けたんだ。ここにネームプレートがついておりますから、実は本人は、その銃を突きつけた人の名前は知っているんですけれども、本人は、それは私は言いません、あなたも聞かないでください。本人もそう言うものですから、ともかくそのことは、向こうも言わず、私も聞かずにきたのです。本人は、ちゃんとネームプレートがついているから、わかっていたわけです。  そういうことなんでありますが、ところが、裏門に一緒に行きましょうということになった。そうしたら、どういうわけで行くんだ。いや、さっきのことはわかっているんだから、向けた向けないというなら確認のために一緒に行きましょう。そういう目的なら裏門に行くことはできませんということで、とうとう行かないことになったのでありますが、このやりとりの一番最後は、そういう目的のためなら連れていけない、じゃ、確かめてくれないのか、いや確かめない。このやりとりは、政所さんですよ、自衛隊の班長さん。そこで自衛隊の人が最後に、銃にはたまが入っていない、銃を突きつけられたくらいであなたのようなりっぱな青年がびくびくしてはつまらぬ、こう言った。それで本人は頭にきた。たまが入ってないったって、向けられた本人の身になってみろということで、権力でくるなら、権力に勝てないから、これは私は帰ります、おじゃましました、こういう捨てぜりふを言って帰ってきたというのが、本人の皆さんのいるところで説明している陳述ですよ。こういうことになっている。  つまり、ここらのところは、江藤さん、これはきょうは郵政大臣に質問をするのでお見えいただいたわけでありますから、あらためて長官に質問いたしますけれども、やはり新聞の書き方もございまして、当時ああいう時期でもございましたから、この自衛隊国民に銃を向けるとはけしからぬではないか、こういう雰囲気ができ上がる。結果的に向いたという点は、師団長さんと私どもが一致した。だが、向けたのか、肩からはずれてこうなったから向いたのか。そこにたまたま彼がいた。彼がいたと言ったって、彼がやりとりしているわけですから。そうでしょう。ここらのところは、私は二十二歳の朴訥な青年が言うとおりだと思っておりますけれども、私はやはり、将来に大きな問題が残るところで、大きなことを言えば、一つ間違えばこれは組合運動に対する介入だという言い方を福岡県評の方々はしておられましたが、そういうように受け取られる可能性さえなきにしもあらず、こういう結果になると思っています。  そこで、これは大臣に承りたいのですが、こういう事情があって、しかも第一日目の六日にトラブルがあった。すぐ電話を組合の書記長が入れた。そうしたところが、そのときに、ポストの位置が隊内のまん中にある。朝霞事件以来やかましくなってものものしいわけですから、非常に入りにくい。だから、そのポストの位置を正門なら正門の入り口に、北門なら北門の入り口に出してもらえば何でもない。自衛隊のほうは、きょうじゅうにでもやりましょうという意見だ。ところが局の側は、そういうことはできないと言って断わっておられる。しかも私は、局長さんに会って、組合運動をやっていて、対立しているかもしれぬ。けれども、局の職員に間違いがないのだとすると、事の真相はどうなのかという点を——ローカル紙にも大きく出たのだから、その点は確かめましたかと言ったら、新聞で知りましたというわけですね。知ってからどうしましたか。聞きました。どういうふうに聞いたか。電話を入れたというわけですね。つまり、自分のところの職員なんですから、自衛隊に行って直接だれか責任者に会って話をしてみるとか、全く何らの措置もとられていない。私がお目にかかっても、まさにたいへんに自衛隊の側に同情したような言い方をされる。だが私は、その点は、論理的におとなしく反論しておきましたが、こういう時点に立った場合に、やはり、それは局の責任者の諸君の側の責任というものも、これはお考えいただかなければ困ると思うのです。だから、事の真相というものを明らかにして——夕方お見えになって、さっき北さんがお答えになったように、普通の郵便物、まあ大口のということばを使っているようですけれども、それが入ってくることは困る。だから、専門的に言えば、特殊ならいいということになるんです。だけれども、そういう手違いがあった。だから局長さんも、だれとだれとだれについて、入りませんよと言いました。ほかに行っておらないと言っているんですから、その行き違いも、本来ならば起こらなかった問題で、すぐ局長から連絡する、あるいは課長に指示して連絡しておく。そうすれば、何も私が行かなくたってああいう食い偉いはすぐわかる。自衛隊が認めているのだから。何にもおやりにならなかった。それで、そんなことをしたら処分されるぞということを課長を通じて言ってきている。こういう問題が起こっているのに——片一方は組合運動でやっているんですから、起こっているのに、処分というようなこと左口にするだけで事足りる筋合いではない。ポストを自衛隊も移しましょうと言って、組合から連絡したから、局に相談に行っているのに、それをぽんと断わったままでそれっきりにしているというやり方というのは、私も、いかにもどうも昨今の管理者の方々らしいやり方になっている。  これも実は私は、今日の労使関係というものをああいうふうにしてしまったところに、深い原因があるという気がするんですけれども、私は大臣、このあたりで、こういうところは調べてきた結果、事の善悪、理非がどうあるにせよ、事、郵政省の職員自衛隊の問題なんですから、そこらあたりはもう少し誠意ある自衛隊との話し合いを、局の側が、積極的に管理者の方々がすぐやる、そういう姿勢があって私は一向に差しつかえなはずだし、組合との話における自衛隊のやりとりの中でポストの話が出ているんだから、それならば、そこらの話し合いに乗って相談する態度があったっていいし、もう少し親切に事を分けて話をする方法だってある。ところが、一片の業務命令の形に類するものの言い方をしている。処分を持ち出す。そういう口吻でものを言うというふうなことがあるということは、私はいささかもつてこれは不穏当である、こう思っています。だから、そこのところは、これは大臣は、事つまびらかにしていないわけでございますから、そこに私が質問するのですから、答弁をしろと言うことは無理だとは思うけれども、あとの問題とからむので、一言、何か所感がございましたら、ひとつ申し述べておいていただきたいのであります。
  171. 廣瀬正雄

    ○廣瀬国務大臣 ただいま御指摘の事件につきましては、私もいつかの場で承ったことがございますし、また、その際、防衛庁当局の御見解も承ったのでございますけれども、ただいま御指摘の私ども関係の郵便局の取り扱いにつきましても、まことに不行き届きであると申しますか、仕事に対して誠意をもって措置するという熱意が足らなかったように私も考えるわけでございまして、この点は非常に反省をさせております次第でございます。  根本的な労使関係の問題については、いずれいろいろな具体的事例をおあげになりまして引き続き御質問があるかと思いますが、そういうような問題についてはまことによくないと思って、ただいま福岡の問題は、お話を承りましてまことに恐縮いたしておりますわけでございます。何事も誠意をもち、また事業に対する熱意をもって措置するという姿勢がきわめて大切だと思うのでございまして、そういう点についていかにも遺憾な点があったように考えられますわけでございます。将来の行政の上について十分考えていきたい、こういうふうに思っておりますわけでございます。
  172. 北雄一郎

    ○北政府委員 一言。池元君の場合は、実は仕事を全部やってきて帰っております。そうして三時三十五分が当日の勤務終了でございまして、実はそういったトラブルのありましたことを当日上司に告げることなく帰宅いたしておりましたので、当日は管理者は知らなかった、こういうことでございます。
  173. 大出俊

    ○大出委員 北さん、その事情を私も知っているのですよ。その上で申し上げているのですが……。私が参りましたのは日がたってからでございまして、ですから、だいぶ過ぎた時期の局長さんにお目にかかってのやりとりなんですが、決してそこで大きな声を出したわけでも何でもないので、おとなしい話をしていただけなんですよ。したがって、その後、つまり当日でなてく翌日以降、どういうふうに局長さんこれはお取り扱いになりましたかという切り出しで聞いてみたのです。課長さんもみんなおいでになったのですけれども。ところが、いま私がここで述べましたように、自衛隊にどなたかおいでになりましたか、いや行っておりません。自衛隊のほうからは、再三電話もかけていれば、出てもいっていれば、ポストの相談にまで行っている。それから門の入り方の話までしている。そうですかと聞いている。ポストはそういうわけにいきませんという調子の話で、うちの組合員が悪いのだというような調子の話。それだけでは、いかにどういう対立関係に労使間があるにせよ、これは一般論として、そこで働く皆さんの身になると、うちの管理者の諸君はひどいやつだ、こうなりますよ。これはほかの団体でもそうであります。幾つかの団体が私につき合って一緒に行ったりもしましたが、私とのやりとりを聞いていて、本部の後藤君なんという執行委員はおこってしまって、局長どうなんだと言って大きな声を出すから、これは私の出身の部内のことだから、あまり大きな声を出すなと押えておとなしい話を続けたわけです。聞いていて腹が立ってしまう。全部自衛隊のところに行って聞いて帰って、局長、課長さんに会ったのですけれども、その部外から一緒に行った方々がかんかんにおこってしまうわけです。そういうことは、やはり一般論としてこれは成り立たないという気がする。これからこまかく労使関係のいざこざについてものを申し上げたいと思うのでありますが、そういうこれから申し上げるいざこざが根底になっているから、こういうことができ上がる。そのことは、郵便業務というものを前に進める上でよろしくない、一言にしていえばそういうことにつながる。  池元君の件は、いま北さんがおっしゃるように、話してみてたいへんまじめな青年ですよ。だから本人は、一生懸命、こんなばかな話はないじゃないか、入れてくれといって、おくれるから早くやらしてくれとまで言っているわけです。だからそれはそれで、いま北さんから説明がありましたから、みんなやってきておることも御承知のようでございますから、深く追及はいたしませんけれども、場面はあとに残しまして、検討中というお話でございましたから、まとまり方いかんでは、またひとつ私の見解を申し述べて、その処置についての御意見をいただく場面も持ちたいと思っております。  そこで、時間の関係もございますから、中身に少しこれから入らせていただきたいのでありますが、実は大臣、これはきょうは大臣の知らぬことがたくさんあると思いますが、お聞き置きいただきまして、後ほどまたひとつ何らかの形で、御調査その他が要るでございましょうが、そこらの問題も含めて、ひとつはっきりさせていただきたいのであります。  順序が逆になると思いますが、あまりたくさんありますので、手当たり次第になりますが、ひとつごかんべんを願いたいと思います。  一つは、こういう新聞記事がございます。「年賀状三百五十通持ち帰る、中学生配り切れず、綾瀬で一週間遅配」、こういう読売新聞の記事です。ここにございます。昭和四十七年、本年の一月九日であります。この中身はどういうことかと言いますと、あとから委員長の許可を得て、これは一ぺん目を通していただきたいと思いますけれども、この一月になりましてから、神奈川県の藤沢北の郵便局というのがございまして、この藤沢北の郵便局で三百五十通、つまり年賀はがき二十五世帯分、局長さんは中島敏明という人ですが、このミスで一通も配達になっていない。これが明るみに出て新聞記事になった。ある一軒の主婦の方が、全く年賀状がこないものですから、局にどうなったか聞きに行った。そうしたら局長さん等の——局長さんだけに限ったわけではありませんが、局の方がいろいろ言ったのでございましょうけれども、いやそうですか、これはアルバイトを使ったからアルバイトがどうもどこかへやったのじゃないですかと言いわけをした。奥さんも、せっかく待っているのに、正月だというのに一通もこないので、帰って近所隣に聞いてみたら、あっちもこっちも来ないという。それで今度また人がふえて局へ行った。そうしたら、何とこれは中学二年生の十四歳のアルバイトがこの区域の担当だった。このアルバイトが配達できないで、三百五十通の郵便物を家へ持って帰ってしまった。それでおくれたのだ、こう答えた。実はこれはその場のがれなんです。そうしたところが新聞に出てしまった。このアルバイトの十四歳の方というのはいいつらの皮で、中学二年生ですから十六歳未満で、未成年ですから基準法上も問題があるのです。  ところが今年度は、二日おいて十一日の新聞に、これは十一日の読売新聞の神奈川版ですが、「局長 中学生ミス撤回」、こんな大きな記事です。新たに年少者郵便局が雇用の疑い、基準局で調査に入った、まるでミステリーと書いてある。局長はその場限りの言いのがれです。これは一体どうなったかと言いますと、この中学生のミスと判明したのは六日の夜といわれていたのが、七日朝に局内にあった。家へ持って帰った郵便物をこっそりまた持ってきて置いていったんだろう。それがまた変わって、いや初めから局内にあったようだ。  それで、なぜこうなったかというと、その該当の中学二年生が気の強い人だから、かんかんにおこって、ぼくはそんなことはしてないといって読売新聞に言いに行った。それで、本人の言うことを聞いてみると、なるほど本人は全部配達していて、そんなことはないのだとおこっている。二転三転している。ミステリーだ。この局長さんはそのままでまだやっているのですよ。処分も何もされたのを聞いたことがない。  さてこの真相はいかにということで、このミステリーを解いてみた。そうしたらこういうことなんです。年末年初の年賀繁忙をスムーズに乗り切る形をとりたかった。ところがその局に郵便物が来過ぎてしまった。そういうときに、問題があると郵政省は監察をすぐやるからいけないのだけれども、郵政のパトロール隊が入ってきた。こうなっている。局長は成績にかかわるから、スムーズにいっていなくてはぐあいが悪いというので、郵便物を倉庫に隠した。倉庫に隠して、そしてスムーズにいっておりますと見せかけた。沖繩の秘密文書じゃないけれども、アピアランスですよ。郵便局が倉庫に隠して、一部出してきたのだけれども、その三百五十通を倉庫の中に忘れてしまった。そして年末が過ぎてしまった。だから三百五十通は倉庫の中に寝ているのだから配達されっこない。それをその奥さんに言われて、配達の中学生が家へ持って帰った、こういうことを言った。それで今度は、郵便局の局長がそう言ったというものだから、その十四歳の方が新聞社へ行って文句を言った。そうして新聞社から局長に問い合わせが来た。そうしたらそこの局長が、いや六日の晩と言ったのは、七日の朝、局にあった、持ってきて置いたんだろう。そんなものは、家へ持ってくると言っても、倉庫の中に入っているのだから持っていきようがない。とうとうしょうがないものだから、いや初めから局にあったのです——こんなばかな話はない。そうでしょう。にもかかわらず、この局長さんは、その後平気で局長をやって今日に至っております。  郵政省の職員が、特に全逓の組合員なんかが、うっかり郵便物を区分だなの下にほうり込んだら一ぺんに処分ですよ。私なんか、昭和十四年ですけれども取り締まりなんというこわいおじさんがいて、道順組み立てを教えるからちょっと来いといって、鉛筆で、このかどを曲がるとそこに井戸があるのだ、そこに鈴木さんという家があって、その三軒向こうに親戚があるのだということを教え込まれて、まかり間違ってもそこらに郵便物をほったらかしておくと、郵便法違反で処罰されるぞというようなことでおどかされたものですが、いまだってそれは特にたいへんですよ。全逓の組合員がそんなものをほうり出したなんていったら、これはとたんに処分だ。ところが、倉庫の中に眠らしちゃった局長さんは、そのままでいままで——これは大臣、私はいまここで局長を処分してくれと言うのじゃないですよ。らち外のことで、物理的にたいへんに困難な年末時の、何倍もやろうというときに、いろいろな問題が起こってくることはしかたがない。まして郵政省は、やたらけつばかりたたくものだから、ときにはあわて者の局長がこんなことをしたがる。   〔委員長退席、佐藤(文)委員長代理着席〕 これだってあるいはあり得ること。皆さんには申しわけないけれども。だからといって、これを処分しろとかなんとか言っているのじゃないのだが、皆さんのほうにこんなばかげたことがある。これはあとにまだ問題があるから私は言うのだけれども、大臣、これは聞いたことがありますか。
  174. 廣瀬正雄

    ○廣瀬国務大臣 まことに不行き届きでございまして、その点は承ったことはございません。
  175. 大出俊

    ○大出委員 これは、それだけなら、私はいまさらこれを持ち出す気も実はないのだけれども、そうじゃない。  さて、そのあと、この藤沢北の郵便局というのは、当時、昨年の十二月は、これは総勢七十九名の局です。わりと大きい局です。この中で全逓の組合員が四十八名おった。郵便の外務に三十一名、内務に七名、貯金、保険で七名、共通で三名の四十八名の全逓信労働組合の組合員がおった。この時点で年賀の事故があった。ところが、局長さんは、とたんに一生懸命、つまり全逓脱退という動きが顕著になってきた。そこで一月に、四十八名の全逓の組合員が四十名に減った。二月も組合側はかろうじて四十名を苦心惨たんして維持した。四月になってもう一名落とされて三十九名。五月になってまた四名削られて三十五名。これはこういうふうに進んでいるのです。これは三六締結権を全逓信労働組合が失った神奈川におけるまれなケースです。しかも、いろいろな口の端にのぼりますのは、これは私の足元の神奈川ですから、私もよくわかっているのですが、局長さんは、こう問題が起こった、自分の身に降りかかるその身の保身という感情もおありでしょう。御自分の気持ちになれば、これは私も否定はできないが、そこでとたんにこういう名誉回復の方向をとる。三六締結権を全逓からとったということになると、これは非常に名誉回復になるのです。この局長さんはいまだに何の処分もないですよ。これでおそらく普通でこのままならば過ぎていく。なかなかこの局長さんはよくやるじゃないか、つまり全逓信労働組合員を落とすことが論功行賞の一つであるというふうに考えられるような職場環境というものをつくってはならないと私は思っている。明らかに邪道だと私は思っておる。事こまかに事情の説明をしてもいいですが、課長さんがどう言った、局長さんがどう言った、その後の事情を申し上げてもいいけれども、これは必死なんです。そういうところに使われるようなことではならない。つまり、これは労務管理というものが郵便事業に優先して行なわれているという端的な例です。こういうふざけたことがあってはなりません。これは北さんのほうから御意見があればいただきますが、いかがですか。
  176. 北雄一郎

    ○北政府委員 年末年始の郵便業務の結果につきましては、よく調べまして、措置する必要があれば措置したいと思います。  それから後段の、名誉回復のためかどうかよく知らないが、全逓を過半数でなくしたとおっしゃいましたが、そのようなことは断じてあってはならないことというふうに私ども徹底させておるつもりでございます。
  177. 大出俊

    ○大出委員 三十ぐらいありますから、次々に例をあげますので、中身を比較的こまかく申し上げます。だから、おわかりにならぬ点がたくさんあると思いますけれども、これは私の足元のことですから、うそを申し上げる気はありませんので、ひとつそういうふうにお聞き取りをいただきたいのでございます。  そこで、これはたくさんあるので手当たり次第に申し上げるほか手がないわけですが、川崎の郵便局の件、神奈川県の川崎であります。一二.一四確認、皆さんが御存じの労使間の確認事項がございますね。これをめぐりまして、ここでは次のようなトラブルがいまだに続いているのです。  どういうことかと言いますと、組合活動の集会の問題について、何人か集まって会議をやる、話し合うというような形の集会、この問題をめぐりまして、この一二・一四確認には「なお、一般に集会とは、多数人がある目的を持って一時的に一定の場所に集合することをいうものであるが、それが集会であるかいなかは、その態様状況等から社会通念によって判断されるものである。単に組合員が三、四人で雑談をしているような状況をとらえて集会であるというようなきめつけはしていないはずである。かりにそのような事例があれば個別的に指導する」、これが確認ですね。これは五人というと、あるいは班等の会議ということになるのかもしれません。三、四人と書いてあります。それはいいです。一人や半分のところはどうでもいいけれども、さてそこで、この川崎では、労使間でこの確認をめぐって話し合った。そこで、会議室その他の使用願いを出してくれば、原則として会議室を貸します、これは管理者の皆さんの言い分。そこで、原則としては会議室以外は貸さないということになると、休憩室もある。ここのところが論議の対象になった。願いを出してくれば会議室を貸します、しかし、休憩室はどうするのだという問題が残った。そこで、休憩室において二、三人の人が、あるいは三、四人の人が、あるいは四、五人の人が雑談しているのをつかまえて、集会をしているとか届けが出てないとか言うか言わないかということになってきた。それは言わないと確認した。  そこで、この背景は一体どうなっているかというと、つまり会議室以外のところの組合の集会はできるだけ排除したいという官の皆さんの考え方がこの背景にあった。届けを出してくれば会議室を貸す、官のほうは休憩室ということは一切言わない。休憩室は使わせないという腹があったからですね。それで休憩室の場合に組合が念を押しているんだ。二人三人、三人四人、四人五人というような場合はどうなんだ、け散らすのか、集会していると、すぐ飛んでくるのかというやりとりをした。そこで、三番目、官のほうは、届けを出してくれば会議室は貸します、休憩室で三人や五人の連中がしゃべっていることについてはとやかく言わない。まずこうなった。そこで、その運営に入ってみた。支部長がみんなを説得して、届けを出そう、願いを出そう、会議室を借りよう、休憩室の三人や四人集まったところはとやかく言わないというので、それでいこうということで、届けを出す、願いを出す、そして会議室を借りる。休憩室は、そのかわり、三人や五人集まったことに対して官のほうは四の五の言わない。運営してみた。ところが次のようになった。つまり届けを出した、願いを出した、会議室を貸した、会議室以外のところは一切貸さない、こういう出方。そうして休憩室の雑談についても、メモをとる人がやってきまして、人間が三人、四人集まると、集会ですよ、解散しろと言う。約束が違うじゃないか。いや、中身は組合の話だからだめだ。それは五、六人休憩時間に集まれば、パチンコの話もするでしょうし、競馬の話もするでしょうし、組合の話だって出る。それをすぐチェックして解散。そこで、せっかく運営してみたが、うまくいかない。  そこで、組合側は官に対して、いま私が言ったように、パチンコの話だって競馬の話だって出るじゃないか、三人や五人集まって休憩時間に雑談したからといって、組合の話が出たからといって、何でそんな話をするんだ、休憩もできないじゃないか、こういうふうに抗議をした。そうしたら管理者は何と言うたかというと、御説ごもっともである、私どものほうは話の内容で判断する、だから競馬の話やパチンコの話はいいのです、組合の話は困ると、こう言う。以後、組合の話については、これは気をつけてしなければいかぬ。つまり組合側にすれば、これは組合の会議を開いているのじゃないですが、集まって、たまには、あすの動員忘れるなとか、十五日は沖繩返還で半日休みなんだぞということが出たっておかしくない。しかしそこらはチェックする。そこで願いは出す。いま官の見解は中身で判断するというのですから、願いは出す。そして休憩室における雑談、これは組合が指導するものではない。そういう雑談、これが組合の話に触れることもある。これは認めなさい。ところが官は、中身で判断すると言って聞かない。内容で判断すると言うて聞かない。  そこで、いまどうなっているかというと、一昨日の話。集会の態様とは中身ではない。官の指導が変わってきている。したがって、人間が集まっていれば集会だ。そして五人、六人、七人、八人と集まって話が始まる。パチンコやマージャンの話、あるいは全国大会の代議員の立候補の締め切りはいつだとかいう話、そういうのが中で出てくる。そうすると、組合の字が出るといきなりわっと来る。廊下でメモを持ってみんな待機している。それであまり激しいものだから組合員がわっと立ち上がって逃げた。中にはお茶飲んでいるのがいまして、茶わん持って屋上へ上がった。屋上でもってみんなで雑談が始まった。そうしたら官の皆さんが、労務担当官はじめみんな屋上までついて上がってきた。天気がいい日なものですから、屋上で立って話していたら集会だという。立っていて集会で悪ければ、寝てろよと言ってみんなで寝た。そうしたら、その間に管理者の方はみんな寝ちゃったというのです。ここまで追っかけてきて、おれたちの間に寝ころがってメモをとっているばかがあるかと言って、立てよと言ったら、中には寝ている組合員の間をぴょんぴょんと飛んでいる。それで、管理者もしょうがないものだから、わいわいみんなに言われて立ち上がった拍子に、お茶飲んでいたのを茶わんけ飛ばして割れたという話。これは冗談じゃない、ほんとうなんです。神奈川の書記長の辻君が現場に行ってちゃんと確認したんだ。こういうばかげたことを行なっていたんじゃ、これは一体どういうことになるのかというんだ。  もうちょっと中身に触れますが、大臣、こういう問題だから、だいぶ疲れておられるようだけれども、耳の端に入れておいていただかぬとあとで困る。実は交代制勤務ですからね、郵便というのはダブる時間があるのですよ。つまり、早番、おそ番の中でそのダブる時間というのはどれだけあるかというと、正確に申しますが、ダブって顔が合う時間というのは二時二十二分から十八分間しかない。皆さんどこまで交代制勤務について御存じかしらぬけれども、おそ番、早番の交代制勤務のダブる時間は十八分間しかない。そうすると、組合員の内部のことだから、組合の伝達だってあります。そうすると、休憩室で、その十八分間で、おおいこうしてくれよ、あしたの動員は何時だぞとかいうことがある。官のほうはまずそれをやめさせたいのですね。しかし、この十八分間で願いを出して会議室を借りていれば、十八分たってしまう。できないですよ、そんなことは。どう間違っても十八分しかない、物理的に。そうでしょう。このことを頭に置いて、官の側は、ここから出発をして、ここで何かが話し合われて、休憩室で七、八人集まっていれば、これは組合の話が出るということで、それまでやめさせる。これじゃタコ部屋ですよ、早い話が。そうでしょう。労使間の感情というものはエスカレートして決定的なことになる、こういうことをやっていれば。  これは、ILOのドライヤー勧告だって、法律だ、規則だ、取りきめだといって、まさにジャングルだというのです、日本の労使関係は。特に使用者としての政府のやっていることは、楽隊が来た、立っていく、すぐ処分、これは近代国家の労使関係にはほど遠いと書いてありますけれども、ドライヤー勧告には。ここにドライヤー勧告もありますが、これはそれ以上です。それで神奈川地区本部の辻書記長は、この現場に行った関係で、あと一週間ひとつうちの職場につきっきりでいてくれということになって、いま毎日行っているのです。こういうばかげたことで地区本の書記長がそこにくぎづけになっていなければならぬ、そんなばかげた指導はないですよ。私も長い間全逓の役員をやりましたが、こんなばかな話はない。これは川崎の例であります。いまは人が集まればまずメモを持って廊下にみんな管理者の方は集まって取り巻く。連日いま続いています。こういうことは一体どういう神経なのか、私は離れておりますが、理解に苦しむ。ここらは一体どういう指導をされているのか。ここにこの一二・一四確認がございますが、こういうことまで四の五の——これは三人、四人と書いてございますから、五人になると班会議になるという認識があって三人、四人になったか知りませんけれども、そこまでのところをみんなおやりになったのじゃ、これは労使関係うまくいきっこない。この辺のところはどうお考えでございますか。
  178. 北雄一郎

    ○北政府委員 ただいま御指摘の点につきましては、私どもは一二・一四確認ということで言っておるわけでございます。実は当時、二人集まってもどうのこうのという話がありましたので、そんな極端なことはあり得ないのだというのがその三人、四人の表現であるわけであります。いずれにしろ、そういったことで合意に達しておりますので、これを忠実に守るということで言っております。  川崎の具体的な例につきましては、ただいま初めて私、承りましたので、十分に調べをしたいと思います。調べました結果、こちらに行き過ぎがあるようであれば、これは直させるように指導いたします。
  179. 大出俊

    ○大出委員 これは、いま北さんから行き過ぎという話が出ましたが、もう行き過ぎなんというものではない。まだたくさんありますから先に急ぎますが、大臣、ひとつ半分くらい起きていていただけばいいですから、耳の端に要点だけはとめておいてください。私は大臣とは、最初からいままでの個人的つき合いですから、何もかも知っての上ですから、大臣の誠意を疑うのじゃありませんが、長いのはごかんべん願って、聞いていてください。  ところで中央郵便局の例、これは横浜の駅前です。いまの会議室、集会の問題なんです。ここで一つこういう問題がある。原則的に会議会議室でやってくれ。それで、これは全逓本部が認めたのだからいいのじゃないかと、この支部は割り切っているのです。ただ会議ができなければ困るから、そこは保証する。これはあたりまえです。ところが会議室は、何とかかんとか言われて貸されないときに会議ができなくなってしまう。それは困る。  ところが、青年部の諸君が会議を開くのに、休憩室を貸せと言っていた。これは青年部の正式機関です。そうしたら管理者の方は、休憩室は全逓本部との話し合いで、これは貸せません。それじゃ会議室貸してくれ。そうしたら、会議室は当方が使うから貸せません。じゃ両方使うのか、そうでございます。会議室ということで届けを出してくれ、いや、それは会議室は当方が使うからだめです、じゃ休憩室貸してくれ、全逓本部との話し合いで休憩室は貸せません。これでは会議をやるところは全然ない。とうとう青年部の機関は開かれなかった。両方併用すると会議は開けない。そうなれば組合運動の抹殺です。そうでしょう。それで休憩室で何となく話すことについても——これは川崎と一緒だ。ただ中央郵便局のほうが統制がとれておる。雑談で組合の話をしていても解散とくる。で、しょうがないから、みんなを集めて、休憩室で休憩もできないじゃないか。だけれども、同じ組合員だから、集まれば組合の話が出るのはしかたがないので、管理者がメモを持って飛び込んできたら、ぴたりと組合の話はやめて、いきなり競馬か競輪の話をしろ。そうすれば、官の諸君がメモをとっていても、きょうの競馬はどうだ、競輪はどうだという話なら、しばらく聞いていて、きょうは組合の話はしないなと思って帰っていく。こういう神経の使い方をやっておったのでは、これはおさまりはつきません。  しかもこの中郵は、新規採用の若年労働者が七十何人入ってきた。そうすると、この七十何人の新規採用の者に、休憩室へ行くなと言うのです。これは官の指導ですよ。休憩室へ行くと全逓に入りなさいと口説かれるから、郵便部長のところで休め。それで、あまりやり方が気に食わぬ、休憩室に一人もよこさぬ、これでは休憩室が意味をなさないというので、これは最近のどこかの新聞に、静岡か名古屋か、あっちのほうでは、かぎをかけた話が出ていましたが、似たようなことです。部長室に入れてしまう。それで、しゃくにさわって、組合のほうから二、三人行って、新規採用の者だけにあっちの部屋を開放して何だ、おれたちだって二、三人入れてくれないかという話も出ておる。そんなやりとりがあるのです。  いまの郵政の職場というのは、親のかたきをねらっているのと、ねらわれているのとが同居しているような形ですね。こういう運営というのは、これは一二・一四確認という話がいま出たが、両方とも併用されて貸さない、結果的に借りられない、開いていない、開けない、そういう報告が地方本部に来ているのですよ。そうなると、一体、これはどういうことをこの確認によってよって皆さんは末端の局長以下の管理者に言っておられるのか、たいへん大きな疑問を感ずるのです。  実は駅前の局の支部長にも局長にも聞いてみましたが、このとおりですと言う。それでは組合運動というものをあなた方は否定することになりますよ。そこらを一体どうお考えですか。
  180. 北雄一郎

    ○北政府委員 休憩室の問題は、これは御承知のように、やはり休憩するという目的のある部屋であるわけであります。しかも郵便局の仕事は、そういった大きな局になりますと二十四時間ございますので、その間休憩時間帯もさまざまにあるわけでございます。そういう意味でこれは休憩のために使いたい。  会議室の局側の使用と組合側の使用のかち合いの問題でございますけれども、その組合か何かがそういった会合を開く場合に、これはことごとく、あるいはしょっちゅう妨害するというような意図をもって故意に局側の会議を開くというようなことがあってはもちろんならないことだと思います。また結果的にも、しょっちゅうそういうことでかち合うということは好ましくない、こういうふうに思いますが、具体的に横浜中郵という指摘でございますので、これまた十分に調査をいたしまして、指導すべき点があれば指導したいと思っております。
  181. 大出俊

    ○大出委員 会議室のことが並んで出てきたから、これも手当たり次第ですが取り上げて申し上げますが、これは横浜の港北の郵便局であります。これは私の足元のところでありますが、ここは食堂と会議室がありますが、会議室が狭い。半分更衣室になっているので狭いのです。私も行ってよく知っておりますが、会議なんかできるところではない。半分こういうように仕切って、隣が更衣室ですから、しょっちゅう人が来る。勤務態様が違うから、みんながいつも着がえたり何かしている、こういうところです。それでここも同じようなことがある。隣が更衣室で人が一ぱいいるから、部屋が半分なのでとても会議なんかできない。そんなことは初めから管理者だってわかっている。だから、いままでは食堂を借りておったのだが、ところが今度は、何でもかんでも取りきめどおりにやれと言うのだ。そこで、旧来やっておったことをひっくり返してきて、つまり五時以降は食事時間になるから食堂は貸さないということになった。大体、組合の会議というのは仕事が終わってやるのだから、五時以降になるのですね。それを食堂もだめだ。一二・一四確認で会議室でやれと言われると、もう会議はどこもできないことになる。それが官のほうではわかっておる。そうなると、この局は会議を開く場所が全くないことになる。これは一体どうしてくれるのだといって、関東地本に上がってきております。そういう文書をちゃんと入れてきた。それでも官の管理者の方々はマイクと一緒で、てっぺんがこうだと言えば、それと同じことしか言わない。矛盾がわかっておっても、無理なことと承知でも同じことしか言わない。これまた組合運動にならぬですよ。もうこんなことだらけですよ。組合の会議を開くという、一つ会議室の使用についてすらこういうことを次々にする。これは私の足元だけで、ぽっと拾っただけでこれだけあるのだから、全国にはずいぶんたくさんあるでしょう。これは労使関係というものを非常にまずいことにします。  次に指導調書の問題がございます。この指導調書というのは、私に言わせれば非常に悪らつきわまる。これは大臣ぜひ聞いておいてもらいたい。これは実はいままでいろいろな人が質問をしておると思いますけれども、私のように、自分で郵便配達から始めて、長く現場におって郵便を手がけ、保険、貯金、外務と手がけてきて、窓口も知っておりますし、いわゆる全逓本部に十七、八年もいたのですから、全国歩かぬところはないのですから、ここまでこまかくわかってはいないと思いますが、たいへんうまいことを考えたものだ。だれが考えたのですかな、ひどいことをするものだなと私は思いましたがね。  いいですか、この指導調書というのは、まず統轄責任者から主事、主任。官制上の役職としては主事、主任になるのでしょうが、それが部下の職員に対して指導をした場合には、そのてんまつについて記録をしておけ、そして出せとこうなっているのですね。  〔佐藤(文)委員長代理退席、委員長着席〕 これはほんとうに、こういうことをやれば、こういうことを許せば、どんなに強い組合だってもたない、私はそう思います。これは私はこの国会に労働大臣にじっくり質問をするつもりでおります。だから半分ぐらい言っておきます。あと半分出しますと、そこから先質問の要はなくなってしまうので、半分だけ申し上げておきます。  やり方はこういうことですむ郵便局には、御存じのとおり、主事さんがいて、主任さんがいて、その下に部下を持っている。これが一人一人の人を指導した場合には、こんな紙ですよ、こんな普通の紙にぱっぱと書いてそれを上に上げる。これが指導調書です。そしてその枚数を上の人が勘定をする。大出俊というやつは七回もあった、これはとんでもない成績がよくない、とこうなるのです。それは主事さんが主としてやる。主事さんがそれを上に上げていく、こうなっている。そこで各職員について指導した場合には、そのてんまつについて記録をしておけ、こうなっている。そして上に上げる。その紙を上司に提出しろ、こうなった。これを上の人が枚数を勘定して主任を追っかけるわけです。主任を呼んで、君は指導調書を一つも上げないではないか、君は主任ではないか、君の下にいる五人なら五人、十人なら十人の中には欠陥のある人もいるだろう、そうだろう君、なぜ上げないのか、そうしないと君の成績に関するよ、こう言うのです。そうすると主任も、しようがないから何か書いて上げなければと思っても、自分と一緒にやっているものですから——主任というのは実務要員ですから、一緒に仕事をしているわけです。しかも最近の郵便局というのは、ちょうど百貨店の下請広告を配って歩くのと同じで、私が昔働いていたころは、転居先不明で、隣の集配局まで行ってその人を暗くなるまでさがして置いてきた例もありましたが、そういう時代じゃない。重くなる。でっかくなる。百貨店の宣伝広告みたいなものを一生懸命配っているのだから。だから、お互いにみんな同じ仲間だから、そう簡単にチェックできないですよ。成績にかかわるのだから。  そうすると、その主任を呼んで、おまえさん、主任として欠陥があるのじゃないか、下部末端を指導できないのか。なぜならば、指導調書が一つもあがってこないじゃないか、こう言われる。しょうがないから、その主任は、仕事をやりながらたばこを吸っていたとか、ガムをかんでいたとか、便所にちょいちょい行き過ぎるとか書くのですよ。みんな書いて上げるのです。ああそうか、最近おまえよく指導するようになった。しばらくもらっていて、また主任を呼ぶ。主任は一通り書いたからいいと思ったら、また呼ぶ。君、人間の指導というのは一ぺんじゃだめなんだ、一ぺん指導したら、ほんとうに最後まで指導しなければだめだよ。そうですがと帰ってくる。一ぺん悪口を書いて出したのだから出しにくい。そうすると、また主任を呼ぶ。君、何であと指導しないのか。しょうがないから、また、町で赤い自転車を持って突っ立って町の人と話していたとかなんとか一々書くのです。それを主任のけつをたたいて労務担当官や何かがやらせるわけですよ。  しばらくやらせておいて、今度何かというと、指導された当務者を呼ぶのです。君は主任からいろいろ指導されているんじゃないのか、どうも主任の指導にあまり従わないようだね、こうやる。主任に何も言わないで……。そうすると、そんなことありません。そんなことありませんたって、何々主任は君の上司だろう、これを見たまえ、先月は何枚、今月は何枚、君は三回も四回も何々主任から指導されているじゃないか、さっぱり指導に従ってないようだね、こうやられる。そうすると今度、その当務者にしてごらんなさい。あの主任のやろうとんでもないやつだ、とっちめてやれということになる。知らないから。そうすると、その主任が全逓の組合員の主任だとすると、こんなものを全逓の組合の中に置いておくわけにはいかないということになる。何も言わないで、そんなことばかりさんざっぱら書いておる。こういう問題が起こる。そうすると、官の皆さんがねらっているとおり、主任は心ならずも全逓を脱退していくのです。だから最近見てごらんなさい、脱退した方々が圧倒的に未組織でしょう。第二組合、全郵政がどれだけふえたか。ふえないとは申し上げないが、圧倒的に未組織でしょう。こういうことをやってまで全逓の労働組合員を減らしたいのか。そのことが一体業務にどれだけプラスになるのか。  こういう指導調書の使い方の陰険さというものは、私は、国鉄の機関車と郵便局の赤い自転車の相違だと思っている。ダイナミックですよ。何たって国鉄の管理者は荒削りで、すかっとしている。そこに国鉄の次官、政務次官をおやりになった伊能さんがおいでになるけれども、郵便局の赤い自転車なんて、みみっちいことをする郵政官僚は、よほど肝っ玉が小さいのじゃないかと思うが、この指導調書の使い方たるや何ですか。ばかばかしい。名前をあげて、何のたれべえがどういうことをやってどういうトラブルがどうあったか。全部あげてもいいのだけれども、その半分のところは人の名前に関することだから、私は労働大臣に不当労働行為を含めてものを言うときに使います。この席上で言いません。こんなふざけたことをやらせる、おのおの一人一人、人権を持っているのですよ。こういうやみ討ちをやって当務者と主任の間にくさびを入れる。指導という名前はきれいだが、やっていることを見てごらんなさい。こういうことまで考え出す郵政官僚というのは、一体今日の郵政省にある、べき姿の官僚のスタイルじゃない。世の中は新しくなっているのですから。まして人間疎外といわれる世の中じゃないですか。職場の中に人間性の一かけらもないでしょう。管理者の方だって、ずいぶん頭の重い日常だと私は思うのです。こんなことにだれがしたのだと私は言いたい。大臣、この点どうですか。
  182. 廣瀬正雄

    ○廣瀬国務大臣 指導調書の内容あるいは運営につきましては、ただいま御指摘の次第もございますから、十分調査いたしまして、改善すべきことは改善いたしたい、このように考えております。
  183. 大出俊

    ○大出委員 郵政の職場の中で、公共性のある仕事と称する郵政事業をやっておる諸君の間に、人間的な疑心暗鬼を次々と植えつけていく。そしてその間隙で全逓から落としていく。そのことは、郵政事業を真剣に考えている人のやることじゃない。郵政の職場というものはみんないやになってしまいますよ、こんなことをしたら。  だから、先の望みのない年寄りに聞いてごらんなさい。ある職場で、ずいぶん左に寄った人が——左に寄ったという意味は反戦の傾向の人ということですが、その人が選ばれた。私の仲のいい職場だから、年寄りの皆さんに聞いてみた。私はそっちのほうを一つも支持してないけれども、あまりといえば、毎日朝出てくるのがいやになってしまう、だから少し何かやってもらいたいと思ったのだ、こう言っておる。何人もそう言っておる。それでは郵政事業をこわしますよ。私は戦後長い労働運動の歴史の中に生きてきましたが、どうたたいても労働運動というものは時期が来れば強くなる。鶏だと思った総評だってアヒルになるのだから。そうでしょう。これは同じですよ。労働運動というのはそういうパターンの繰り返しですよ。それから、労務管理なんかを考える皆さん方の立場からするならば、おのずから限度というものを置いて考えなければ成り立たない。これは現実なんですよ。  次に間違って処分しておるのがありますよ。これなんかひどいものです。おそれ入りますけれども、これも、人事院の公平審査との関係がありますから、途中までにしておきます。  これは川崎の中原の郵便局ですよ。ここにガリ版で印刷してある現認証なるものがある。朝、管理者の方が出てくるでしょう。見回って歩く。だれが何やっていたか書くのです。ビラ張りやっていたとか何か書く。そして注意しなければいけないことになっておる。注意する一問一答が載る。これは書くほうでもたいへんだと思いますよ。皆さんはこんなことまで義務づけてしまうんですね。佐藤君、張るのはやめなさいとか、大出君、あなたやめなさいということになっておる。それで中原の局で森豊吉さんという庶務会計課の課長補佐の方がおいでになりますが、この方が朝やってきて六時五十分事務所に着いた。それから局内を歩いたら、休憩室でビラ張っていたのがいたというのです。春闘だもの、ビラぐらい張りますよ。休憩室に張るのだから。それで注意した。その注意したやりとりがここにあるのですが、鈴木君、やめなさい、佐藤君やめなさい、こうやっておる。それでこの中に片岡という人は幾ら見ても出てこないのです。現認証にこんなものはない。やりとりの中にないのに、ビラ張りやっていたというので片岡という人が処分されてしまった。現認証の一番最後のところはどうなっておるかというと、そこにいた人という一番最後に、片岡が一つだけくっついておる。ところが、まだこれではわからぬじゃないかという追及があったら、何とまだほかに現認証があるのだ。あったら出せ、それは出さないというわけです。主事さんの現認証がある。  そういうことで、人事院の公平審理の審理官に持ち込んで、そっちから言わしたのです。これは沼田実という調査官です。それで郵政省は、しょうがないということで、主事さんの現認証が出てきたのです。ところがその中には主事某となっておる。名前をあげていない。その中には片岡のかの字もない。ただ処分された現実が残っているだけ。ずいぶんこれも一方的な話であります。さっき指導調査書の話をしましたが、全くの主観ですからね。これは上から言われて、主任は書きたくないのを、書かなければ主任が毎日おこられるから、しょうがないから何でもかんでも書く。便所に行き過ぎたとか、話のほかですよ。これだって人権問題だ。ぐるぐる見回したら、ビラを張っていたそこにいたというんですね。現認証にはそう書いてある。それしかない。やりとりも何もない。そこにいたというだけ。そういうことでこれを提訴をすれば、あなた方は、何とかそれを正当化しようとして努力するだけですよ。しかし、やられた本人にしてごらんなさい、長年つとめているのにひどいもんですよ。ここにちゃんと一冊、これだけあります。調べた中身というものがこんなにたくさんある。そういうやり方、つまり現認証というものの使い方を、あなたのほうはそんなふうに指導をされるのですか。
  184. 北雄一郎

    ○北政府委員 やはり行政処分等いたします場合には、証拠というものがなければならないという意味から、現認証というものを整えさせております。
  185. 大出俊

    ○大出委員 これは証拠にも何にもならぬ。これは公平審理で消えてしまうだろうと思うのです。かつて私は公平審理を七回も八回もやってきて知っている。こんなもので通るものじゃない。しかし、処分されて長い間トラブルを起こしている間というものは、たいへんなものだ。形式的にやればいいという、全く人権無視もはなはだしい。とんでもない話です。  次に、切りがありませんが、とりあえず手元にあるものだけ持ち出しますが、これは綱島、昭和四十七年四月十八日の新しい局です。朝札で集配課長の話に全逓は赤軍と同じだという話が出てくる。綱島の局なんというのはおとなしいものですよ。赤軍どころの話じゃない。できたばっかりのおとなしいものですよ。四月二十三日、朝札で集配課長が「京橋、日本橋、逗子は全逓組合員がいないので違法行為はなど。皆さん一生懸命切りくずしたんだから、ないかもしれない。組合らしい組合はないのだから。「綱島は」、この局のことです。「全逓組合員がいるので違法行為の動きが出る」。まだ何にも出てはいない。新入局員全員を二階の会議室に集めた。これはこの間新聞に出ていたのと似たケースです。何も静岡、名古屋にあるだけじゃない。そこで局長が「省には二つの組合がある」、これは局長ですよ。庶務課長は、「全逓組合員は減ってきており、全逓から抜ける者が多くなってきている。全逓は暴力的行為をとるが、郵政省は話し合いで解決する」。集配課長は、「この局でも全逓は減ってきて、全逓はなくなっていくだろうし、組合に入ってはいない人が多くなってきている。近い将来その人たちがまとまるだろう。組合に入るときは、よい友だち、先輩に相談してよく考えてから入れ。六カ月の任用期間中に誘われるだろうが、そのときには不利になるのでよく考えろ」。  これを証言したのは、申し上げてみましょう。いま三つ申し上げましたが、三つ目のやつは、ちょうど入局十日目の方です。本人は、名前を出していただきたくないということを前提にして、話をしています。したがって私どものほうも出しません。私は何も、ここの局長、課長がどうこうというんじゃない。至るところ、どこだって似たようになっているのだから、みんなこう言っているのだから、一例をあげているだけです。局長も私の仲のいい人ですよ。課長も私の昔からの友だち。一つも私は悪いと言っていない。そうじゃなくて、こういうふうに言わないと局長、課長がつとまらないのですよ。局長も課長もほんとうに長いつき合いですよ。切っても切れぬ仲です。だが、切っても切れぬ仲のその諸君には直接聞いてないけれども、ちゃんとわかってきています。この三項以外の証言をした人も全部わかっています。一人や二人に聞いたんじゃないんだから。  だけれども、なぜここまで言わせるかとぼくは言うんだ、郵政省の諸君に。そうでしょう。これはみみっちいが、そこに録音機を置いてとってきてものを言うと、国鉄の二の舞いになりますよ。だが、何人も聞いていて、この方々が割り切って出てきてものを言えば、似たようなものになりますよ。だが局長や課長に罪は何もない。これは言わなければ局長、課長がつとまらぬのです。大きなお世話ですよ。未組織にしろと、あなた方一生懸命入れないように努力して、さっきの指導調書じゃないが、まるっきり人間性無視をやっておいて、そうして、やがて減っていくだろうとか、未組織になった人間がまた組織をつくるだろうとか、六カ月の任用期間中に誘われるだろうけれども不利になるからよく考えろとか、全くよけいな話です。名前もみんなわかっている。ちゃんと書いてある。  こういうことを平気でやってきた郵政省なんですが、機関車と赤い自転車の相違で、なかなか確たるしっぽが出てこないという面が一面あります。資料がここに、さっき半分か三分の一しかものを言っていませんが、いろいろあります。やがて時期を見て言います。  次に私の出身の鶴見の郵便局です。これは私の出身局ですから何もかもわかっているのです。まあ自分の局のことまで持ち出したくなかったのですけれども、私はしばらく内閣委員会にいましたから、逓信委員会に顔を出していませんし、離れていましたが、あんまりどうも、あっちもこっちもやり方が、聞いてみてどうしても気に食わぬ。いささかもって腹に据えかねるから、私はここで具体的例をあげているのです。私だからこんなものはすぐ集まる。本気で動くつもりでいますよ。  そこで、いま鶴見の局は、転勤をさしてやろうじゃないか、写真を二枚持ってこい。これは課長ですよ。写真を二枚持ってくる。一人ずつ呼ぶのです。君、転勤の希望があったかい、君の写真を二枚持ってこい、何とかしてやる。ええ、お願いしますと言えば、まず胸章——胸につける名前ですね。全逓の組合員は何のたれべえというのをつけていませんからね。君、胸章をつけろ、ここから始まるのです。これじゃ、まるでえさじゃないですか。そうでしょう。転勤希望者があるのはあたりまえですよ。  私はここにこういうものを持ってきておる。対象人員は、私の鶴見の局を含めて四百九十五名で、この方々からアンケートをこまかくとった。この中に長男が意外に多いのでびっくりした。長男坊主というのはおとなしいからですかな。こんな百貨店の下請みたいなところにたくさん出てくるんですな。石橋たたいて堅実だからというんでしょうかな。長男が一ぱいいる。しかもこれを見ると、いいですか、一番よけい来ているのは東北なんですよ。それから北陸、東京を除く関東の近県、北海道、九州、中国、こういう順で出てきているんですね、この四百九十何名のうち。だから転勤希望者が八割なんですよ。十人のうち八人は転勤希望者なんです。これは、現地では本採用にしてやらないということだから、みんなこっちに出てくるわけですよね。みんな帰しますといって約束しているんですよ。約束はしているけれども、それじゃみんなが帰りたいと言ったら、帰せっこないんだ。わかっている。帰せっこないのがわかっているのに、やり方は、課長が呼んで、何入か帰してみせる。サンプルをつくってやる。帰った人はみんな全逓を脱退した人です。何のたれべえも帰っているじゃないか、君も帰りたかったんだな。それは帰りたいんだ、約束ですから。じゃ写真を二枚持ってきなさい、それで胸章をつけてと、こうくる。そういうやり方なんですね。これはほんとうにひどいもんですよ。だから大臣、いまお見せした調書、これは四枚になっているのですが、この中には、独身寮に入ったり郵政の住宅に入ったりするについて、全逓の組合員ですから、何らかの差別があったか聞いている。直接言われたという者が、独身の方で独身寮に入ったのがこの中で十一名あるのですが、十一名全部ですよ。直接言われたと書いてある。これはほんどうにひどいものだ。出るところに出て証言してくれないかと言ったって、それだけはかんべんしてくれと言うのだ、みんな。これはここに書いてありますよ、実際に経験したというのが。入居して差別があるとすればどんなことかということで聞いているのですが、この中にずいぶんだくさん言われているのですね。十一名中七名は四号宿舎の入居者となっていますが、独身寮二十五人該当している中で十一名が、全逓を抜けろという趣旨のことを直接、間接みな言われている。聞き流して全逓にまだ入っている人もいる。これはたいへん詳細なものですが、寮や何かに入ることまでそういうふうに使われたのじゃ、これは全くもって邪道ですよ。  それから同じ鶴見の郵便局、集配が十五名定員オーバー、過員になっている。ところで、この郵便内勤が七名、日勤と夜勤、全部が交代制勤務ですね。だから、これはほとんどどこかに行きたい、帰りたいという連中ばかりです。ここで欠員のときにはこれは慰留されるのですけれども、いまうっかりやめたいなんと言えば、すぐ、では辞表を書いてください、こうなってしまうのですね。そういう雰囲気にいまなっている。そうしておいて、実はこの過員がなくなるときがくると、その数だけ全逓の組合員が減っていく、こういうことなんです。いま十五人過員がいるのですが、前の例をあげますと、去年の四月から五月、郵便の内勤十一人が過員だった。これが一年たって過員が解消した段階になって、ちょうど十人ここから全逓がいなくなっている。  これはどういうことかと言いますと、郵便の内部ですから、ほこりがたちます。たいへんな仕事です。行嚢をかついでおっぽり出すのですからね。これは大臣がよく御存じのとおりです。郵便の内勤というのはたいへんな仕事ですよ。重労務手当なんか出てくる。それだけの言い分がある。だから、何とかほかの課に一庶務とかかっこいいところにかわりたいという希望をみな持っておる。そこにつけ込むのですね。そして鶴見の局内で、郵便の内務過員にしておいて、そこから庶務に上げた。上げたときには本人は一札書いておる。全逓を脱退しますということを約束をしている。だから庶務課に移ると全逓の組合員は抜けてしまう。それからほかの局の郵便以外の課に転勤をさせる。つまり、過員をここで十一名つくっておけば、十一人分それがやれる。これは事こまかに追跡調査しています。郵便内勤は去年の四月に五十三名おった。ここに十名過員が参りまして、六十三名になった。当時、郵便内勤は五十三名中二十七名が全逓だった。そして過員の解消した今年、二十七名が十七名に減っている。その減った十名の追跡調査が全部行なわれている。みな私がいま言った方法です。これも全く話のほかです。ほかでこういうふうに具体的に指摘された例があるかどうか知りませんが、名前を全部あげてもいいのですよ。しかも本人が、その後聞いてみていますが、こう言っている、ああ言っている、全部わかっているのですよ。こういうことが次々に行なわれたのじゃ、とてもじゃないが、行政管理庁じゃありませんが、三年、五%という定員の問題は一体どうなるのだということになるのですがね、実際は。集中的にここに過員をつくっている。  幾らそれは全逓の勢力を弱めようという気があるのか知りませんけれども、こういう定員の使い方というのはあってはいかぬと私は思っている。これはまさに邪道ですよ。行政管理庁長官以下にも一ぺん質問しようと思っていますが、名前を全部あげてそのときは質問します。  それからいまの鶴見の局の内務の過員でございますけれども、ここで承りたいのですが、いま私があげたこの方法、課長が呼んで、写真を二枚持ってこいから始まりまして、過員を置いておいて、鶴見の局の中で庶務は脱退しているのですよ。そこへ持っていけば全逓でなくて済みやすい。それはサンプルを置いておく。そういうやり方をやると、ほんとうに全逓でこり固まる連中というのは一つの思想集団になりますよ。これは数が減ったからといって、いまの全逓だって、私が全逓本部の書記長をやり直せば、相当数この際減っても、大手術をして大思想集団をつくるかもしれない。そのかわり、大臣以下郵政職員のあら探しを徹底的にやって、洗いざらいひっくり返すことは簡単なんだ。私は黙っているけれども、郵政省の中のあらというのは山ほど知っている。そうなればなりふりかまわぬです。それは長田さんがかつて出張旅費の問題で、片方で航空料金をもらって、片方で航空の券をもらっているなんて、それはあなた、片方で出すところと、こっちで発行するところと両方握っておればよくわかるのだ。そんなことは幾らでもやろうと思えばできるのだ。そこまであなた方がそういうことをこれ以上おやりになるなら、腹をきめてとことんまでやるということだってなくはない。幾らでもやれますよ。だが、そこまでわれわれ出身議員も人が悪くなかったのだ、いままで、考えてみると。全逓の職員もそうだった。全逓組合の中央本部の職員もそうだった。意外に人がいい。これはふざけた話です。  これはずいぶん具体的に私、申し上げていますけれども、あとは、人の名前とそうした管理者の名前を言えばいいのだけれども、時間がかかりますから、そこのところはまとめてあとで言いますが、一体これはどう考えればいいのですか。
  186. 北雄一郎

    ○北政府委員 ただいまお示しのようなことも、実はいま初めてお伺いするわけでありまして、その点よく調べてみます。  ただ、鶴見の場合、四号宿舎の独身寮への入寮の問題もおっしゃいましたが、実は数年前から、大都会、東京、大阪、名古屋でありますが、これにつきましては、やはり年々地元から人が得られないという問題がございまして、したがって遠隔地から採用しております。この人たちについては、区別なしに全部最初から四号宿舎というものへ入れられるだけのものを毎年手当ていたしておりますので、差別の生ずる余地はないと思いますが、しかし、それにいたしましても、入寮ということについての所属組合による差別ということはあり得べきことじゃないというふうに思います。  それからまた、過員の問題、これはお示しの時期でありますと、これまたいわゆる大都会における見越し採用の問題だと思いますが、見越し採用時の過員というものは、これまたお示しのように、東京あるいはその付近では一年間ほど見ておりますから、確かに一年たちますと過員はなくなります。その時点で云々とおっしゃいましたが、要するにこれは一口で言えば、人事というものを手段に使いまして組織介入をしておるのじゃないか、こういう御指摘だと思います。実はこの組織介入なる問題につきましても、御承知のようにいろんな形があり得るわけでございます。私どもは、そういったことをいかなる形であろうがいけないと厳に戒めておるわけでありますけれども、最近、特にその点で組合のほうでもいろいろ問題にしておりますのが、やはり人事の問題でございます。したがいまして、その点につきまして今後特段に注意を払うようにしたいと思います。現に、これらの問題全部ひっくるめまして、もうあさってでございますが、あさって、しあさって、実は全国の人事部長を招集いたしまして、そして一二・一四確認の一そうの定着、その中でも、ただいまの人事差別、そういった疑いの目を持って見られることのないようにというところに特に重点を置きまして徹底的に指導したい、こういうように考えている次第でございます。
  187. 廣瀬正雄

    ○廣瀬国務大臣 先刻来、大出先生から数々の事例を指摘されまして、いろいろお示しいただいたわけでございますが、私といたしましては、まことに深刻に教えられるところがあったわけでございます。ただいまお示しの具体的な問題につきましては、調査を十分いたしまして、改善すべきところは改善し、また指導すべきところは指導し、直すべきところは直してまいりたい、こういうように考えておるわけでございます。  労務関係の改善ということにつきましては、私も大臣に就任以来特に力を入れてやっておるところでございますけれども、まだまだ、おしかりいただきましたような事例がころがっておるということになりますれば、ほんとうに責任を痛感するわけでございまして、幾らやっても効果がないというような感じがほんとうに強くいたしますことを、まことに遺憾千万に思っているわけでございます。まさに任重くして道遠しというような感じがひしひしとあって、反省しておるわけでございます。申すまでもなく、郵政事業はいわば人によって運営されておるわけでございまして、この労務対策が事業の基幹でありますことは当然でございまして、したがって郵政行政におきましては労務対策ということが一番大きな課題であるわけであります。  そういうわけで、先刻来、人事局長から御答弁申し上げましたように、一昨年のきわめて苦い経験によりまして、一二・一四確認事項というものも労使間で話し合ってきめておるわけでございます。その後、これの徹底のためにたびたび通達も出しましたし、また会議もしばしば開きまして、その実施の具体化ということについて努力してまいったわけでございますけれども、まだまだ御指摘のような不当労働行為に関する問題すらあまた残存しておるということで、ほんとうに残念に思うわけでございますけれども、また、全逓の御先輩の大出委員から、何かと具体的に先般来お示しをいただいております関係もございますので、近く十九日、二十日の両日にわたりまして、全国の各郵政局の人事部長会議を開きまして、さらに徹底するように努力いたしたいと思っておりますし、ことに、ただいま人事局長が申しましたように、東京郵政局関係は特にそうした事例が多いということを承っておりますので、東京郵政局には特に力を入れましてその会議を近く開きたい、こういうように考えているわけでございます。少なくとも私どもは、全逓を減らして全郵政をふやしたいなんという考えはみじんも持っていないわけでございまして、こういうことばが当たっているかどうかわかりませんけれども、全逓も全郵政も平和共存で、その選択はおのおの自由でございますので、私は、どちらもおのおのの道を歩いてくださればりっぱに郵政事業の運営ができるというように考えておるわけでございまして、そういうような指導をしてまいりたい、こういうような信念を強く持っておるわけでございます。  私が大臣に就任しましてもうすでに十カ月以上経過いたしておりますけれども、依然として明るい職場がかもし出されないということ、ほんとうに申し訳ないと思っておりますけれども、しかし、望みを捨てずに十分今後とも勉強を続けてまいりたい、努力を続けてまいりたい、こういうように考えております。
  188. 大出俊

    ○大出委員 私は実は、いまここに手持ちの資料のまだ三分の一までいかないのですが、不当労働行為ということで私が矢面に立ってやってもいいのは、実は七件ばかりある。ところで私も、いまの全逓信労働組合を、産別会議はなやかなりし時代に、再建運動を起こしました初代の執行委員でもあり、いまの全逓の中央青年部長でもありました。ですから、未組織が山のようにあった時代の労働運動から新しい労働運動に移る谷間でございまして、長い経験がそういう意味でございます。  当時、官の指導というものが、いまほど悪らつ陰湿ではないけれども、いろいろあったことについて苦々しい思いが自分の経験としてある。だから、こういう時期に官の皆さんがやりがちなことは知っている。大臣がいまお話しになりましたが、全逓という組合があって全郵政という組合ができて、それでフェアーに両方組合員をふやすための努力をするのはいい。何ら言うことはない。そうじゃなくて、そこに官が介在してありとあらゆることに付随して、こっちを減らしてこっちへ持っていこうということがあり過ぎるから、多少のことは私は黙っておるけれども、調べてみると度が過ぎすぎる。そうなるともう人間性喪失以上のことになる。それは、朝、局に通う諸君がどんな気持ちで通っておるかということを聞いてみると、私の昔の仲間が一ぱい局長になったり課長になったりしておるんだけれども、気の毒千万、それを一つ一つやらなければ首になってしまう。だからそこで、私はさっき綱島の例をあげたけれども局長も課長も私の昔の親友ですけれども、決してああいうことは進んでやっておるわけじゃない。これは強調しておきます。そうじゃない。やらせるのです。労務担当官とか連絡官といいまして、これはひどいものです、局長の上にあるんだから。だから、郵政事業はどっちを向こうと、全逓が何とか減っていけばという考え方が先に出ておる。そういうものの考え方じゃ私は一日も生きていけないはずだと思う。  そこで、もう少し論点に入りたいのですが、ここにブラザー制度の問題がよくいわれます。鶴見郵便局世話役組織図というのがある。これは官の管理者のほうの図面。ここに統括富みたいなえらい人がいまして、ブラザー、兄貴のほう、古くからいる人間、これに新しく入った人間がつくのですね。ここは世話役という名前になっておる。第二組合に行った方々は、市川君、大野君、小林君、風祭君、館野君、東谷君、山田君、ここに市橋君、牧瀬君、高松君、山田君、一場君、それから野老君、矢吹君、こういうように全部新規採用で入ってきて、どっちにも入らない未組織の方がおる。これをくっつけて、今度は片方に全逓に残っている平迫君、私の長年の友人ですが、それに渡辺栄二君。これは、第二組合へはどんなに間違っても行きっこない。全逓から離れる人間じゃない。これはブラザーに二人だけしておるけれども、弟はつけない。まん中に今度は第二組合へ行った人を全部並べてて、岡本君、内田君、松坊君、岩本君、谷口君、山本君、こう並べる。そこへ合戸君、内赤君、高口君、鈴木君、下久保君、新野君と、こう新規採用の人々。新規採用だが全逓に入ってきた。ところがふらふらしている。これをここにくっつけて、第二組合に行った人をブラザーにしておる。一番最後にてこでも動かない全逓党です。こっちのほうを形式的にブラザーにして並べておるが、弟はいない。この統括責任者の鈴木君は、これまた私の古い友人、鶴見郵便局の野本君。私の寮に置いて私が世話した。行きっこない。こう全部並んでいるが、ブラザーの弟は一人もいない。まことにこれは意図的なやり方です。私は鶴見郵便局育ちですが、ほとんど外勤しかやったことがないのだから知り抜いている。そういうやり方を至るところでする。私はそうなんだと思う。  皆さんのおやりになっていることは非常に意図的なんですね。だから、大臣が何を言ったって末端では、大臣はやがてかわるんだからということで、平気な顔をしてやっているんですよ。こんなことをしていたら郵政事業をぶっこわしてしまいますよ。これは、減ったって全逓労働組合は歴史がありまして、めったになくなりはしません。幾ら攻めたって残るところは残っていく。私の職場だからよく知っている。だから妙なことをやると、いま二十万欠けるかしらぬが、全逓が二、三万出血することを覚悟すればとんでもないことができる。ところが、そのことにたえながら、ずいぶんそれはもう徹底して、管理者との間のトラブルだ何だ起こすと、いつもかぶされてくるからもうがまんしろというので、がまんにがまんを重ねて、若い連中を説得していま押えているんだ。これはいまのブラザー問題、これはもう非常に意図的です。  きょうは時間がかかりますと申し上げましたが、そういつまでもしゃべっておられませんので、なるべくしぼりますからごかんべんを願いますけれども一いま鶴見の局を例にあげますが、大東文化大学というのがあるんですね。大東塾なんていうとんでもない塾がありますが、まさかそうではないと私は思うのだけれども、一体この大東文化大学というのは何ものですか。——どうも郵政省の皆さんがけげんな顔をすることはないでしょう。あなた方、こう新聞に出ているじゃないですか。大東塾なんて言うと、靖国神社法案で右翼団体が出てきまして、村上勇さんが朝の早くから来てすわり込まれたと言っているが、大東文化大学なんて言うとちょっとぎょっとするのですが、横のほうに、全国特定郵便局長会顧問、大東文化大学郵政会顧問、参議院議員長田裕二なんて長田さんの名前が載っている。おかしな話でございまして、それで郵政コース設置なんてある。大学組織何とかのカテゴリー……。大東文化大学内郵政会、これは一体何ものですか。
  189. 北雄一郎

    ○北政府委員 大東文化大学というのは、れっきとした私立の大学でございます。そこにそういった郵政コースというものがあることも存じております。ただしこれは、何も郵政省がつくってくれと言ってそこにあるものじゃなくて、当該大学がそういうコースを設定しておるわけでありまして、設定することについて、私ども設定しちゃならぬという立場にもございません。そういうことであります。  それから私ども承知しております限りにおきましては、郵政会がございまして、何百人かの学生がその郵政会に加盟しておるようであります。それで聞くところによりますと、連中のねらいは一これは御承知のように、郵政の場合には郵政初級職試験という一つのコースがございます。このコースを受験して、そしてこれに合格して郵政部内に入ってくる、こういうことをねらっていると申しますか、目標にしているというふうに聞いております。
  190. 大出俊

    ○大出委員 いま多少の資料を集めつつあるんですが、この中でやっていること、これはあなた方どうもあまりお知りにならぬような顔つきですから、この席では深追いはいたしません。いたしませんが、郵政省に入ってくる人たちだとすれば、これは郵政省なるものは無関心でいられるはずはない。この方々が郵政省に入ってくるんですから、郵政官僚がお考えになっていない方向で教育をした場合にどうするか。あなたのおっしゃるようにそう簡単なものじゃない。そうでしょう。  いいですか。鶴見の局には、今年の四月に大東文化大学を出た方が六名かたまって入ってきた。この中で五名が特定郵便局長さんの御子息です。何でまとめてこういうところに入れたのか、ちょっとけげんな感じがする。私もあまり多くを言い過ぎますと、実は後ほど別な意図があるものですから、さっきも全部言いませんでしたが、これは少し残しておきますけれども、念のために申し上げますが、この大東文化大学なるものの郵政会、この種のものについてあらためて聞きますから、皆さんのほうも、そこのところは少しお調べおきいただきたいと思うのです。きょうのところはそれだけにします。  そこで、最後の本題幾つかに入りますが、その前にまず、最近新聞に二つ、こう出ている。「全郵政強引な勢力拡張 名古屋守山局 “不法監禁”警察も警告」、この新聞談話によりますと、警察が警告したことを局長は認めていますね。新入職員をかぎかけちゃって、いまの話のブラザー、世話役がついて——これは警察のほうもここでそう言っていますね。人権の問題だ、そういう疑いがあるからということ。そうかと思うとまたこんな大きな記事で「郵政局にもマル生運動解散せよと抗議」というんで、ここにはわが党の前委員長勝間田さんの名前が出ている。現場へ行っておられる。これもまた似たようなものです。つまり七、八人が一組になって四十六年二月から局へ入ってくるんですね。そして全逓をひっくり返して全郵政という組合をつくる。これはとことんまで調査しようという空気になっています。私の党をあげてやろうじゃないかと言っている。こういうことはつい最近ですよ。これは五月十三日、片っ方は五月十六日、これは片っ方はこんな写真入りです。私がいまずうっと申し上げましたが、これがようやく新聞に出てくるようになった。こういう問題の一番のネックになっているのは私がいま申し上げたことです。ここまでくると、これは単に郵政部内の労使の問題ではない。ここらの点についてはどうお考えになりますか。
  191. 北雄一郎

    ○北政府委員 守山局の職場リーダーの行き過ぎの問題、それから名古屋郵政局の、その新聞によりますと。プロジェクトチームというものの活動の問題、この二つの問題でございますが、新聞にも出ましたので私どもも一応調べたわけでございます。  守山について見ますと、新規採用者につきまして、局側の訓練を終わりまして、そしてブラザーに引き合わせた。それでブラザーがそれぞれの部屋に分かれまして、まあ初対面であるわけですからそういうことで話をした。ところが一部の部屋では、まあ人が出入りして騒がしので、何をやっているのかということで、この五人のブラザーのうちの二人が施錠をした。もっとも施錠はしたのでありますが、このときは、何か新築の局だそうでありまして、いわゆるシリンダー錠というのか、ぼちを押せばかかる、ああいうかぎだったようでありますが、実際のところ、中からぼちを押しましてかぎをかけたブラザーが二人おる。まあこういうことであります。これにつきまして組合が問題にし、また新聞に出たと思いますが、警察からも二名ばかり調べに参りまして、警察官のほうでは、この全員について当たって事情を聞いたということであります。その結果、ヤンガーブラザーの二名、これはかぎをかけられた者ですが、このうち一名は、かぎがかかっておったことも知らなかった。他の一名も、別にかぎをかけられたことによっての被害意識というものは全然なかったということでありますので、結局、刑事上の問題としては全然問題にならない。しかし、そういったことは適切でないからという口頭で注意があった、こういうことであります。私どもも、そういうことでありましたので、局側でも調査をし、なお一部について調査中であります。  一応とりあえずの措置といたしまして、理非はともあれ、かぎをかけましたブラザーは、五月十五日だったと思いますが、をもちましてブラザーをやめさせました。なお、ブラザーがその席で若い新入職員に何を言ったかということも組合は問題にしておりますので、これにつきましてなお調査中であります。また労担主事が何とか言ったとか言わないとかということを組合が言っておりますので、これも私のほうで調べておるわけであります。総じてこの問題、名古屋の六人委員会の中で現在話し合っておる、こういうことであります。  次に、名古屋郵政局のプロジェクトチームの問題でありますが、名古屋郵政局におきましては、だいぶ前のことでありますが、昭和四十五年、おととしの暮れに郵便の年末業務が大混乱をしたという事実がございました。これは全国的に見まして名古屋が最も業務混乱をしたわけであります。そこで、これに対する対策というものを、郵政局としてもその後いろいろ立てたわけでございますけれども、その一環といたしまして、去年の二月中でも一番郵便の業務の運行に問題がある局ということで静岡ほか二局を指定いたしまして、静岡と豊橋と緑という局でございますが、この三局を最も力を入れて郵便の業務の改善をはかるべき局ということにいたしまして、それをそういう重点施策をやった。そのやり方として、一つのプロジェクトチームというものを、三局でありますから三班、これは郵務部を中心といたしまして、人事部も加わりまして、そして郵便業務の立て直しということにつきましていろいろやってきた。その中で、チーム員が現地へ行くことがある、また現地から、幹部、あるいは主任に準ずるような人、あるいは若い職員、こういう者を呼びまして、そしてこれに対して名古屋の郵務部長なりといった幹部からいろいろ話を聞き、あるいは問題点関係の部下と話をさせる。あるいは名古屋市内のいい局を見させるというようなことで訓練をする。郵政局から行くのと、向こうから来させるのと、両方の方法を併用いたしまして、そして業務改善に努力をする、こういうことをやってきたわけでございます。その後、局の入り組みがございます。緑とか豊橋は一応業務改善ができたということで、チームを解除しまして、新たに、その後さらに重点的に立て直しをはからなければならない局について、そういった班を編成するということでやってきておるわけであります。  そこで、新聞の記事によりますと、プロジェクトチームが、当該局員が名古屋へ来た場合に、泊まり込みでいろいろろくでもないことを言ったということでありますけれども、これは詳細調べてみましたが、泊まり込んだ事実は一回もございません。日中入時半から晩の五時までみっちり、座学、見学その他を組んでございます。ただ、第一日目の晩に、五時半から七時半までその人々が泊まりますところで懇親会をやった。これも懇親会が終われば、名古屋の連中は全部帰っておりまして、一人も泊まっておるものはございません。また、そういう教課の中でも、この懇親会の中でも、そういった組織問題にかかわることはかまえて一切言っていない、こういうことでございます。そういう制度でございます。さらに、この制度そのものをよく私ども検討いたしまして、なお誤解を招くような点があるとすれば、それはその部分は切って、そしていい形でこういった業務立て直し策というものを推進させていきたい、こう考えておる次第でございます。
  192. 大出俊

    ○大出委員 これはあなた方があなた方のルートで調べるというのは、あなた方が責任を負わせている末端管理者の方に聞くのですから、たいへんどうもぐあいが悪うございましたという回答は来ない、これはあたりまえ。さっき私ずいぶん例をあげましたが、皆さんのほうで回答を求められれば、皆さん側の人は適当なことを言うと思う。  しかし問題は、現実にじゃどうなのかという問題、何が真実かという問題、この問題なんですね。いまの二つの問題は、これは私どもの側も詳細にいま調査しているのですから、あなた方のほうにぽっとそう上がっていったからといって、そうでございますと言うわけにいかない。私の質問で大きな新聞種になったりしますけれども、それは表のほうから見て、通産省はこう言います、あるいは防衛庁はこう言います、運輸省はこう言いますと言ってみても、実際私どもは資料をつかんでものを言っているから大きな騒ぎになるわけで、いつもそこが食い違う。だから私は、私の足元の、私の出身局だとか近い局、私の関係者が一ぱいいるところ、例をあげてさっき申し上げた、反論のしようがないことを私は言っている。だからこれは、後ほどこれから表へ出てきますから、こまかく中身を申し上げますが、次の場面で言います。いまの点、ここでやりとりしていると夜がふけちゃうですからね。  そこで、どうせこれは、こういうことがあったといって田邊代議士だの武部代議士だのみんながおたくへ持ち込んだって、ここにあるのを見ますと、議員団から出された何とか管理者の問題については現在郵政局ごとに調査をさせておりますが、指摘されたような事実が散見されるが逆にぬれぎぬもあり、なんということが書いてある。これは妙な話で、散見されるが逆にぬれぎぬもあり、なんてばかみたいな話ですが、この点は水かけ論をしたってしょうがない。私はそういう水かけ論を言うのはあまり好きでない。  それで、もう一つものを申し上げたいのでありますが、ここにつまり管理者任命に関する差別とよく言われる主任になるときの云々という問題がある。ここにあるのはこういうことなんです。これは私の出身の鶴見の郵便局ですが、加藤貢という人がおりまして、これは年齢三十一歳で三級の六十一号俸です。それで所属は全逓信労働組合所属です。この職場には、これは郵便課でございますが、丹治君、松本君、山田君、こういる。山田君というのは三十二歳で、一番新しくて一番俸給も低い。片一方が三等級の六十一号俸であるにもかかわらず、この山田さんという方は二等級の十三号。この方が全逓を脱退をいたしまして四十六年八月二十三日に主任に発令されている。これはずいぶんふざけた話で、三級の六十一号である方がここにいるのに、二級の十三号の方を一そのまん中に三級の五十五号、三級の五十三号とこういる。年齢は加藤君三十一歳、その途中に丹治君三十二歳、松本君三十二歳、山田君三十二歳、こうなっている。この一番号俸の低い方、これをここへ持っていった。あとは全部全逓で、この人だけが全郵政。全逓を脱退して四十六年八月二十三日主任になった。この問題を調べてみた、私の職場のことですから。しかもこれは前から大問題になりまして、おかしいじゃないかとだいぶ組合がつついた。主任がいま一人欠員のままで置いてある。この忙しい世の中に。これはどういうことかといいますと、非常に問題がある。じゃ郵政は、この加藤君という方について、どこが一体悪いんだ、どこが悪くて三級の六十一号、長年勤続している人間をおっぽっておいて、そして二級の人ということになっているのですか。中身を見てみると、加藤さんという人は才気まことに緻密で、非常に研究的で、そして理想家である。ただ、いささか企業意識に欠ける点が見られる。見込みは大いにあるというんです。そして加藤君の場合はどうも郵政としてはオーケーのようだ。あとは現場の局長次第。ところが、現場じゃどうかというと、加藤君に、おまえ主任に上げたいんだけれどもと、暗に全逓やめないかと言う。本人は、いまさらどうも全逓脱退してまで主任になりたくないと言う。だからそのまま欠員になっている。こういう具体的事例を残しちゃいけませんね。四の五の言ったってこれは始まらない現実なんで、職場の人はだれだって、全逓だからなれないんだということを知っている。しょせん全逓じゃ主任になれぬということなんですよ。  もう一件例をあげますが、木村君という人、この人は茅ケ崎郵便局。ここにやはり和知国男さんという方が主任でおいでになる。鈴木克巳さんという方がおいでになる。そして木村さんという方がおいでになる。この木村さんの問題なんだ。これは、勤続年数その他からいって、何で一体木村さんが主任にならないかという点でいろいろ調べてみた。そうしたらこういうことなんですね。さっきの話の七回ばかり指導されている。その指導調書というのが役に立っている。独断ですよ、全く。中身を見るとこうなんだ。いいですか。組合の名で電報を発信したと注意された。そんなこと言ったって、この木村さんという人は組合の書記長なんですよ。支部の書記長だから、組合の名前で電報を発信するのはあたりまえだ。自分の業務です。胸章をつけていない。全逓信労働組合の指令で、胸章つけるなということになっているから、従っているだけだ。あたりまえだ。それから部外者を休憩室に入れて話をしていたので注意された。組合の書記長ですから、そこへお客がありますよ。しょうがない。組合の存在を皆さん認めないならいざ知らず、職場で話していたんではなくて、休憩室で話していた。そんなことをチェックされていたんですよ、欠格条項だといって。いま加藤君の例、端的な例だけれども、そういうことばかりやっていたんだ。私の足元の鶴見の郵便局ですから、私もみんな仲間だから、しばらく会ってないから聞いてみた。むちゃくちゃなんだ、やっこさん、全逓やめればすぐなれる。あいていると再三言われるんだけれども、本人が、いまさらおれはもういやだよ、なりたくないと言っている。そうなってしまうのですよ。そういう差別があるとかないとかで、前に田邊君が質問したのを、私、傍聴したことがある。皆さん陳弁これつとめていたけれども、一番わかるのは私の局なんだ。自分でもおったからよくわかっている。管理者になった方だってみんな知っているのだ。個人的にはみんなそう言っている。大出さん、実はこうだと。だからあまり言う気もなくて黙っておったんですが、あまりいろいろなことが世の中じゅうから耳に入っておさまりつかぬですから、私も人の名前をあげて明確にものを言って、やるところまでやるという気になった。そうなれば、めったなことじゃこの法案通しませんから。  もう一つ言いましょう。横浜の駅前の郵便局で引っくり返って救急車で運ばれたという事件がある。そうしたら、管理者の方もあとから運ばれたという。なるほど、この写真を見ると、あるいは結果的にはそういうことになったかもしれぬと思う。これはいま委員長に許可をいただいて大臣にお見せしますが、一月の十八日です。八時四十七分ごろ。どういうことかと言いますと、成人式のときですから、朝休憩室に、祝成人式、おめでとう、というのを出した。紙に書いてですよ。休憩室にそのぐらいのことをやったっていいじゃないですか。悪ければ悪いと言えばいいだけのことです。しかも、下に掲示板みたいなものの写真が載っていますが、これは春闘の新聞の切り抜きなんです。幾ら幾らになったとか、そんなことを書いてある。その場面も全部とってありますが、郵便局の外務というのは若いのが一ぱいいるから、方々の支部でずっと祝成人式というのをやります。少年配達員以来、成年に達しないのばかり郵便配達している。あのうっかりすれば命がなくなる自動車の山の中を赤い自転車で走っているのですから、成人式おめでとうと言いたくなりますよ。いなかから出てきて家族もいないんだから。これをとつつかまえて、片っぱしから違法だ、けしからぬといってひっぺがした。休憩室ですよ。ひっぺがしたからしようがない、ものを言わねばならぬということになって、若いのですけれども、支部の調査部長をやっている石黒君、この人は大きいんです。この人が何ではがしたのですかと言いにいった。組合だから言いにいきますよ。石黒執行委員、川野職場委員、この二人が代表で持田という課長さんに、何でひっぺがしたんだという話をしに行った。そうしたら、飯塚という郵便副部長が、解散しろといって腹で押した。そんなに大きな人じゃないんですよ。だから電信柱にセミがとまったようなかっこうなんですが、腹で押した。ここに写真があります。そして石黒君がこの飯塚副部長にうしろから腹で押されて、向きが自然に変わった。私たちは神奈川地区本部の指導をよく聞いていますよ。現場に行って、管理者からやられたり何か言われたりしたら絶対手をあげるな、そうでないと暴力だと言われてすぐ診断書が来る。全くうまくできているのです。ちょっとさわったって、引っくり返ったって、戸塚の郵便局じゃないけれども、暴力だと言うのですからね。だから手をあげておけと言っているんだというのです。だから大きいのがそのとおりやっている。それをうしろから管理者の人がはがい締めだ。わきの下に手が入っている。写真をとっていますよ。小さいのが大きいのをかかえて振り回して、うしろからはがい締めをして大きいのを持ち上げた。それで大きいのが倒れた。その倒れた瞬間が出ている。この写真は皆さんに出していない。管理者にも出していない。裁判所直行です。それにもかかわらず皆さんは、石黒君が暴力をふるったと逆告訴をしている。写真があるから正直です。委員長いいですな。これを見てごらんなさい。  大臣、これを見ていただけば一目瞭然で、何もしていない。手をこうしてやったまま、うしろからはがい締めにしてかかえているのは管理者の飯塚副部長です。写真をとっていたとは管理者の方々は思わないと思います。そういうことばかり起こったんじゃ……。しかも中身を読んでいただけばわかりますが、何も悪いものは張っちゃいませんでしょう。祝成人といって、みんないなかから出てきて、やっと二十になって何かしてやろう、せめてそのくらい張ったっていいでしょう。そういうことになっていたんじゃ私はいかぬと思うのですね。この話はどなたかお聞きになっていますか。
  193. 北雄一郎

    ○北政府委員 実はよく承知しておりません。ただ、休憩室に張るという問題は、おそらく、そういったものはやはり掲示板に張ってもらいたいという、そういう組合との話し合いになっておりますので、そういうことだったと思います。  それから、これは中郵でいろいろ暴力事件があったということは、私、承知しておりますが、本件かどうかということはよく調べてみます。
  194. 大出俊

    ○大出委員 これは組合運動というのは一つのルールですから、いけるいけないという問題はあるはずです。これはストライキをやることだってそうなんです。ILOが出てきて調査をして、今日的労使不信感、不信頼、これを解くのは、イニシアチブは使用者としての政府にあるとILOは言っているでしょう。あたりまえです、そんなことは。いまの写真を見ていただけばわかりますように、手をあげっぱなしでしょう。何もしていない。ほんとうに涙が出るのです。管理者の方は携帯サイレンまで持ってブーブーやるのですからね。だから、何かちょっとでもひっかけられればすぐに処分だから、いかに防ぐかということを一生懸命訓練しているのです。だからめったに手なんか出しません。だからそれは一目瞭然。それだってみなさんのほうは、組合が暴力をふるったと言う。写真というのは正直なんですから、やがて明確になりますよ。だから、そういう末端の管理者の方々の言うことだけを信用されては困る。だからひとつ写真を持ってきた。それは私の足元ですから、私は現場をよく知っているのですから、調べてみている。  それは管理者の方だってたまらぬと思いますよ。局長の青木さんから駅前の局の部長の神石君から、神石さんなんというのは、もう東京郵政の全逓の役員をやっておりまして、私が書記長時代、神石君にものを言って、彼は一生懸命やっていた。いまはみんな管理者です。あそこの局を処分したときは、私は一週間ぐらいたってからあの入り口に立っていた。みんな私の顔を見ないで入っていく。そういうことにしてはいけませんよ。この方々の腹のうちというのは、しかたがない、めしの種だからやっているけれども、必ずしもいい気持ちでやっていないでしょう。いい気持ちでやっているくらいなら私の顔を見て入っていきますよ。みんな知っているのだから。私が立っているのも、はるか角を曲がったらすぐわかるのだから。仲のいい昔の友だちが下を向きっぱなしで入っていく。  そういう職場にしてしまってはいけない。それは使用者としての政府のやり方が、つまり徹底的に押えようとすれば末端は左に動く、原理、原則ですよ。時の政治が強引に押えようとすれば労働運動は左に寄る。原則です。作用と反作用の関係。だからそのイニシアチブはどっちがとるのかということです。ILOのドライヤーが言っているとおりです。使用者としての政府の責任において信頼の回復をはかれ、そうしなければこれはどうにもならぬ。ここにちゃんとありますよ。読み上げるまでもない。端から端まで読んでこれはよく知っているんだ。だからここまでくるともう私は限度だと思う。皆さんも大転換をはからなければ、それこそどうにもならなくなってしまう。全郵政を幾ら力を入れて育ててみたって、これは民社の皆さん方もおいでになるけれども、それで事が片づきはしない。いま一体、全郵政、未組織、全逓という色分けでどのぐらいになっていますか。
  195. 北雄一郎

    ○北政府委員 正確な数字は覚えておりませんが、大体全逓が二十万、全郵政が五万五千、未加入が二万五千というふうに承知いたしております。
  196. 大出俊

    ○大出委員 つまりこれだけ皆さんが、私がいま申し上げただけでもずいぶんありますが、それこそ、ありとあらゆる手段を尽くして、末端の管理者の方々が、これは小林さんの時代からそうでございますけれども、時間をかけていろいろやってこられたけれども、それでも全郵政という、いわゆる世の中でいうところの第二組合というのは五万五千しかいまはない。だとすると、いま二十万前後の全逓を十八万にしたって、十七万にしたって、中核だけ残るだけです。だから私は思想集団が残ってしまうというのです。それならば、私のような性格ならば、思想集団を端からつくっていきますよ。これは寂として声なくじっとしていたって、思想集団ならば黙って官のあらさがしを端からやる。片っ端からそれを摘発する。幾らでもやる。とことんまでやっておいて組織回復をはかる手だってある。ひとつだれかをやり玉に上げればよしということになる。大衆運動というものはそういうものです。そんなことを私はへとも思っていない。だから私は調べてみて、腕組んでしばらく考えたけれども、ほんとうに、代議士なんかやめてもう一ぺん全逓に帰って役員をやり直そうかという気になる。みごとにやってみようかという気になる。皆さんが認めてくれればやれる。そこまで思い詰めざるを得ないんですよ。だから、いいかげんなことでこの問題を過ごそうと思っても、それはそうはいかない。  そこのところを大臣が、私は大臣とはずいぶん長い個人的なおつき合いだから、知り過ぎているから、気持ちはもう正面向いて言っていられることは私はわかっている。わかっているけれども、大臣がこうだと言ったって、そこから下のほうの皆さんがさっぱり調べようともしない。適当にしておく。佐藤さんがやめれば大臣もやめるのだからという調子になると、これは郵政事業将来百年に悔いを残すことになる、こう私は思う。トラブルはたくさんあったんだから、全逓のほうだってそれなりに考えることは考えてきている。それは皆さんだってわかっている。大衆運動には波がありますからね。私の十七、八年間の全逓中央本部にいた時代にだって、たくさんの波があった。いまの国鉄を見たって、動労を見たって、あれだけたたいたって、マル生運動を起こしたって、なおかつみごとに新幹線だってとまるでしょう。大衆運動というものはそういうものです、やる気になれば。だからそういう意味で、これ以上、剣の刃渡りは皆さんもお考えになる必要がある、こう私は思うのです。私は代議士を九年やっているけれども、こんなことを言ったのは初めてだ。うちの中の問題を取り上げるのは初めてです。取り上げただけでは私はあとに引きません。私はとことんまでやります。そのつもりでものを言っていますから、そういう意味で私はおくみ取りいただきたいと思っている。  そこで、締めくくりを申し上げておきたいのですが、この法案は東京郵政の二分割であります。そこで、この二分割に関して、少し事務的にここで承っておきたいのであります。ずいぶんだくさん申し上げましたから、あとここにございますのは、このあと、またどこまで申し上げるかを考えて申し上げたいと思うのでありますが、たいへん詳しく具体的に私は数々の問題を持っておりますが、本題でございますから、この東京郵政の二分割に関する問題について、十ぐらいになると思いますけれども、具体的にずっと聞いてまいりたいと思います。  きょうは行管は呼びませんでしたが、行管とも私は話してみました。私の所管でございますから。郵政を調査したのは近藤君という調査官でございましたけれども、彼にも来てもらって、郵政を監察した勧告なんかもございますが、ここに実は私は、過去、今日まで郵政に対して出ている勧告書を全部持っておりますが、全部目を通してはみました。この中で、実はずいぶん申し上げたいこともあります。これはかって料金値上げを、前回ではございません、この前お出しになったときに、行管のある監察官に話しまして、淺野賢澄さんが経理局長でございましたが、そこに行かして、設置法七条経理の部にございます三事業と共通の事業決算を出しておくことになっているものを調べさしたこともあります。そうしたら、郵便は赤字になっていないで、逆に二百億黒字という集計が出ている中身などを入手したこともあります。だから、そういう面の中身について実は少し聞きたいこともあるのでありますが、きょうはひとつ事務的にしぼって、郵政の二分割問題に集中して承りたいと思います。  まず一つ、四十七年度の予算では定員措置が一体あるのかないのか。私の見る限り触れてないように思うのでありますが、まずこれはどうなっておりますか。
  197. 北雄一郎

    ○北政府委員 定員は差し繰りによってやることになっております。
  198. 大出俊

    ○大出委員 これは差し繰れますか。どう差し繰るのですか。
  199. 北雄一郎

    ○北政府委員 本省、地方郵政局、それから地方監察局、こういったいわゆる非現業部門から定員を割愛いたしまして、そしてこの東京郵政局二分の事態に即せしめたい、かように思っております。
  200. 大出俊

    ○大出委員 具体的にはどこからどのくらいどう持ってくるのですか。実務要員が減るわけですけれども、そこらのところはどういうふうに考えていますか。
  201. 北雄一郎

    ○北政府委員 目下検討中でございますけれども、おおむね、ただいま申し上げました、本省、それから現在の東京以外の地方郵政局、それから地方郵政監察局から約百四十名程度の定員を持ってまいりまして、それを現在の東京郵政局の定員に足しまして、そしてこれを法案が通りますれば、新しい東京郵政局と、関東という名前になりますか、かりに関東という名前を使わしていただけば関東郵政局に配分をするということになると思います。
  202. 大出俊

    ○大出委員 私は何べんか法案を通したことがありますけれども検討中でございますで法案を上げたことはない。その検討の結論が出ないままに提案をされても迷惑でして、私はおおむね二百名ぐらいというふうに踏んでおりまして、行管を呼んで聞きましたが、この行管の勧告の中に、保養所、独身寮の管理、まかないまで入っているのでありますが、この中で仙台郵政局、大阪郵政局、長野郵政局などもずっと入っておりますが、ここらあたりで、東京郵政局なんかも、七十名ぐらい業務指導官なんというのがあるのですね、副課長という名前で。こういうのは、私はまことにけしからぬ組織だと思っているのです。行管はそれが何をするものかということを知らずに調べておる。行管はたいへんミスでございましたと言っているのです。だからここで言っているのは、民間委託もできるじゃないかということを言っているのですが、その趣旨なんですが、別に七十名ぐらい業務指導官がいる。これは肩書きは課長補佐なんですね。四、五年前からやっているのでしょう。交代制勤務だから昼間も寮にいるというようなことで、一日寮にいて、仕事が終わって帰ってきた人間をとっつかまえていろんなことをやっているのですね。あなた方は、指導をするというのかもしれぬけれども、片一方はまるきり監禁されているということ。そんなところに、寮に正規の課長補佐と名のつく人を定員を使う。行管こんなばかなことがあるかと言ったら、おかしいと言う。こんなことじゃ総定員法もヘチマもめったなことでは通せない。行政機構改革をいわれたってだめだ。今回はスクラップ・アンド・ビルドの方式をやめて、一局つぶさぬで出してきている。旧来の行管の方針に反するじゃないか、そう言ったら、それもまことにそのとおりだ。定員についてもこんないいかげんなことができるか。これはできません。できなければ調べろ、こう言ってあるのですがね。おたくのほうで、どういう決着がついてどうなるのか検討中でございますということだけで、私は引き下がれませんよ。早急に結論を出してください。行管を呼んであらためてこの席上で質問しますから。
  203. 北雄一郎

    ○北政府委員 これは検討中と申しましたのは、法案が御審議をいただいておる途中でございますので、途中での結論ということを御遠慮した向きもあるわけでございます。大体の検討は終わっておるわけでございます。
  204. 大出俊

    ○大出委員 向きもあるとつけ加えたのですが、向きでものをやったのですか。あるのですか、ないのですか。あるなら出すのはあたりまえじゃないですか。法案だけぼかっと出しておいて、どうなんですか。
  205. 北雄一郎

    ○北政府委員 定員そのものが、さっき申しましたように差し繰り、こういうことであります。差し繰り先は、本省、郵政局、監察局、この点は確定いたしております。  約百四十名と申しましたが、これについてはもうほぼ確定の線があるわけでございますが、百四十名か百四十五名かという問題は若干あります。そういう意味であります。
  206. 大出俊

    ○大出委員 それを各本省、郵政局、監察局別に出してください。一名や二名の違いはいいです。それを出していただいて、行管を呼んであらためて質問します。  次に、東京郵政局の人員ですが、それと関東郵政局、この二つになるわけですな。この人員、これは八百五十名と六百五十名くらいだろうということなんですが、だから現在合計千五百名くらいになるのだと思うのでありますが、これを関東と東京郵政局の二つに分けるのはどういうふうに中身を分けるのか。かつ、先ほどお話にございました百四十何名かわかりませんけれども、そこらはこの両方にどういうふうに入れていくのかということ、ここはどうですか。
  207. 北雄一郎

    ○北政府委員 この中身につきましては、これは必ずしも私のほうの所管でございませんので、むしろ組織の問題だと思います。ただ、これは当然私からも言えることでございますが、これは地域別に分ける。したがいまして、東京都内は、かりに東京という名前がつけば新しい東京郵政局、それから現在の東京郵政局の管轄区域内で東京都を除きます部分はこれは関東という名前がつけば関東郵政局、主としてこういう地域的な区分をするということになっております。ただ業務の一部につきましては、地域的な区分だけによれないものがございます。いろいろあると思いますが、ごくさまつな例でありますけれども、それこそ寮のようなものをとってみます場合に、これは必ずしも東京都の中に在住する——つまり新東京郵政局管内の職員の寮がむしろ新しい関東地域に多かろうと思いますので、こういった入り組みは若干ありますが、基本的には地域的に分ける、こういうことになろうかと思います。それが一定の線がございまして、それに照応いたしまして、他郵政局との連関を考えまして、東京郵政局の定員をおおむね何名、それから関東郵政局何名、こういうふうに一応考えておるわけでございます。新しい東京郵政局は八百五十人程度、それから関東郵政局は六百七十名程度というふうに考えております。
  208. 大出俊

    ○大出委員 八百五十名、六百七十名、千五百二十名になるのでしょうが、これは組織の問題で必ずしも私の所管でないとおっしゃるので、その所管のほうから、いま北さんがきわめてばくとしておっしゃいましたが、具体的にこの二つは、かりにつけるとすればこういう名前で、こういう地域を担当する、そして人はどういうふうに動いてどういうふうに入る、つまり分課を含めましてどういうことになるのかということ。私も行政機構を手がけてもう九年になるのですから、わからぬつもりもございませんので、ひとつ資料としてお出しをいただきたいのであります。いまのお話だけではしかとわかりませんので、この点はひとつそういうことにしていただいて、これまた行管を呼んで質問するつもりでありますから、そのときにあらためて詳細な質問をさせていただきまして、御回答いただきたいのであります。  次に、実務要員を減らすということになるのかならぬのか。つまりこれらの機構ができる。そういう想定が行なわれる。人が動く、つまり具体的に本省なり郵政局なり監察局なりというところのどういうところを抜くのか。その場合に、抜いたあとの実務要員との関係はどうなるのか。ここのところはどういうふうにお考えでございますか。
  209. 北雄一郎

    ○北政府委員 抜きますところは、実務要員を抜くわけであります。と申しますのは、たとえば、本省にいたしましても、ほかの某々郵政局にしましても、この関係で別にポストを減らすということはございませんので、したがいまして、そういう意味では実務要員を減らすということになります。  実務要員をどういう減らし方をするかということでありますが、これは、郵政局の場合はそれぞれの郵政局にまかせてございます。おそらく、郵政局にも部課がございますので、それぞれの部から一名もしくは二名というような引き方をすると思っております。またその程度の数字であります。  それから、そういうことであるにしても、それによって仕事はどうなるかというお示しでありますが、これは今後事務の簡素化ということにつとめまして、それによって事務運営には支障がないようにする、こういうことであります。
  210. 大出俊

    ○大出委員 事務の簡素化というのが、一つの係をはずすとか、具体的にそういう措置がとられるならわかる。あるいは、かくかくのコンピューターを入れるとかということなら、これまたわかる。ところが、現状でただ単に簡素化しますと言ったというのは、実務要員一人分だけ他の職員に負担過重になる、これが通例であります。したがって、そこのところ、しかとわかるように御説明いただきたい。簡素化するというんだが、たとえば厚生課なら厚生課からどう抜いてきてあとはどうする、どう簡素化するかということがはっきりしなければ意味がない。  たとえば業務指導官七十名というのをやめるというのならわかるのですよ。こんなものはやめさせろ、私は行管にこう言ってありますから、今度行管に出てきていただいて、あなた方検討してどうなんだということを聞きますが、こんなものはほかにない。わざわざ課長補佐の名のついた人を業務指導官なんて、冗談じゃない。定員が足りない、総定員法だ、国家行政組織法だというような世の中で、ふざけたことを言え。私どもたいへんふつつかでございましたので、これはこれから検討します、こう言っておりますけれども、そこらの結論もこの際あわせて出したい。七十人も、こんなばかげたことを……。あなた方はどういう気持ちか知らぬけれども。だから、どうしても置いておくというのなら置いておくでいいですけれども、どういう理由でこの七十名が必要で置いておくのかということを、この次までに明確にしておいてもらいたい。  それから局舎でございますが、一体これから局舎をどういうふうにつくっていくつもりでおいでになるのか。しかも、どのぐらいのものをどういうふうにつくるのか。改築になるのか、新築になるのか、一体どうなるのか。そこらがさっぱり見当がつきませんが、これは一体どういうことになるのですか。
  211. 山中侠

    山中説明員 局舎につきましては、暫定措置と恒久措置と二つに分けて考えてございます。  最初の暫定措置でございますけれども、まず東京郵政監察局を、これはかなり無理がございますけれども、ある程度の不便を忍んで差し繰りまして、本省庁舎に移転してもらいます。それから、東京郵政監察局の東京中央支局というのがいま入ってございますが、これは東京逓信病院の旧病院と申しますか、そこが現在あきましたので、そこの一部を使って移転してもらいます。そして、あきました現在の東京郵政局庁舎、この全部を、東京と、仮称関東でございますか、この二郵政局に模様がえして暫定的に出発するということに考えております。  次に、恒久措置でございますけれども、来年度、現在の東京郵政局庁舎の敷地内に十分なものを増築するということを一応考えて、検討中でございます。来年度予算要求までに結論を出したいと思っております。そういう段階でございます。
  212. 大出俊

    ○大出委員 いま監察局という話が出ましたが、監察局は大体百名ぐらいです。そうすると、二百名足らずふやすとなると、この程度のことでは、いまでも狭いのですから、とんでもない狭いものができ上がる。ここに全部書いてある。監察局を本省庁舎に回すというけれども、本省庁舎は十二階なんです。そうして、現庁舎の二階——四階を東京郵政局、こういうのでしょう。組織がこう書いてあるのだから、これは間違いないでしょう。これは今度はたいへん狭いことになる。  それからもう一つ、監察局というのは、業務運行の面から言うと、同一局舎でありたいというのですな。東京郵政の職員の方の希望がそうあった。無理からぬところであります。しかし、それならそれで、合同庁舎なら合同庁舎というものを将来の展望をもって計画を立てなければいかぬことになるのですね。そこらが、来年度予算でというのですけれども、それもまた一体どういうことに先行きなるのかという展望がはっきりしませんと、来年のことを言えば鬼が笑うのですからね。  いま東京逓信病院の新庁舎ができましたが、ずいぶんちゃちな、病院のていをなさぬような庁舎で、土屋院長とこの間笑ったのだけれども、五カ年計画、六カ年計画で——これは大臣があのときおいでになったけれども、向こうは百億かけている。私の兄貴も病院の医者ですけれども、百億の病院なんて、いばれたものじゃない。百億なんてけちなことを言わないで、三百億ぐらいかけろ。大臣は常々、人で動いている郵政省だという。人で動くならば、人の健康管理をする病院ぐらいりっぱにすればいいと私は言って、公明党の皆さんも、話をしたら賛成だという。もう少し根回しをして三百億ぐらいかけて東京逓信病院の向こう側の本館をつくれ、こう言っているのですがね。そうすると、方々から予算を引っぱってきますから、あなたは新庁舎なんと言ったって、そう簡単にいかない。やってみたらうまくないから、狭いけれどもがまんしてくれと言われたって、職員にしたらたいへんです。だから、そういう意味でここのところをもう少し明確に、どういうものをどういうふうに要求するのか。どのぐらいのものにする、だから諸君心配するなと言ってくれぬと、こんなものをうっかり法案を通したら、えらい狭いところに押し込められてひどい目にあったなんと言われると、本委員会の責任重大ですから、そこもひとつ明確にしてお出しをいただきたい。  それから次に、人事交流という問題でありますが、この人事交流という問題をめぐって、これまた、官、組合の間にやりとりがあるのじゃないかと思うのでありますが、ここらのところはどういうふうにお考えになりますか。
  213. 北雄一郎

    ○北政府委員 将来両郵政局管内相互間での人事交流を考えますのに、ランクによっていろいろ違うだろう、こういうふうに思います。  まず、郵政局の部長でありますとか、それと同格以上の役職、あるいは本省出身の職員、こういったような場合を除きましては、郵政局管内相互間の人事交流というものは、現在一般には行なわれておりません。御承知のとおりであります。しかし、東京と関東ということになりますと、特に郵便局長あるいは次長というのを見ますと、局の規模に非常なアンバランスがあるわけでございます。すなわち、大きな局は新しい東京管内に多い、それから新しい関東管内は比較的小さい局が多い、こういったこともございますので、こういったランクにつきましては、人事交流というものを積極的に行なうことがどうしても必要になってくる、こう考えます。それからあとの下の段階、郵政局の課長ですとか係長、あるいは郵便局の課長、こういったところを考えますと、やはり人材をフルに有無相通ずるといいますか、相補うというような見地から、両郵便局で緊密な連絡をとりながら必要に応じて行なっていかなければならぬであろう、こう考えております。  今度は郵便局の一般職員あるいは郵政局の一般職員というところになりますれば、特にその管内を異にして人事交流を行なう必要はないのじゃなかろうか。もっとも、業務上特別の必要があるとか、あるいは業務上特別な必要が出たような場合に、本人が特に希望があるというような場合、これはそのつど、そのケースにつきまして両郵政局同士で協議をすればよかろうと思います。  それから分割の際にもいろいろ問題があり得るのじゃなかろうか。この東京郵政局と関東郵政局とに職員を振り分けます場合に、東京郵政局に勤務することを希望する、ところがそれが関東郵政局に配属されたという場合、その後もとの東京郵政に戻してもらえるかという問題があるかと思いますが、本人からこういった転勤の希望が出されれば、これまた両郵政局で協議の上、可能なものは実現さしてやるべきだろう、こういうふうにざっと考えております。
  214. 廣瀬正雄

    ○廣瀬国務大臣 さっき御要求のありました東京郵政局二分割問題につきましての庁舎の詳細な資料につきましては、近日中に提出することにいたしますが、なおたいへん御関心を持っていただいております東京逓信病院の計画構想につきましても、数日前にやっと省議を得ましてでき上がりましたので、これも御参考までに差し上げたいと思っております。
  215. 大出俊

    ○大出委員 これは東京逓信病院は、実はずいぶん古い話になりますけれども、あそこが組合の組織がございませんで、私が十何日を通って、各科のお医者さんはお医者さん、看護婦さんは看護婦さん、事務職員職員に分けまして、夕方から毎晩十二時近くまでかかってやっとまとめた組織なんですね。それだけに当時いろいろな問題もあって、詳しく知り過ぎているのですが、だからいまの土屋院長なんかともよく知り合っているのですけれども、たまたま大臣ともあそこでお目にかかって、とっさにああいう話になったのですけれども、何とかひとつ郵政部内の病院施設だけは、人のウエートで動いている郵政省ですから、現場の諸君に安心のいくような施設をという悲願がございまして、ぜひひとつお見せもいただき、また私どもにできますことについては、微力ではございますが協力をさしていただきたいと思っておりますけれども、この点よろしくお願いしたいわけであります。  それから、いま北さんお話しになりました交流問題なんですが、ずいぶんいろいろな意見が私のところにも参ります。御存じのとおり私も逓信官吏練習所の出身でございますから、同級生の山のようにいる東京郵政局でございまして、どうも電電公社なんかはワクをきめているんじゃないか。百から百五十というぐあいに人事交流のワクがきまっている。ということは、北さんがいまおっしゃったように、東京は大局が集中するのですからね。出ていったは帰ってくる、出ていったは上がっていくということになるわけですからね。そうすると、関東は関東、東京は東京というなわ張り根性になっていきますと、妙なあつれきが生ずる。好ましくない。それが電電公社などの考え方の基本でもある。だから、そのくらいのことは用意周到に考えていかないと、あとの任に当たる方々が、そうなってしまうと、なかなかそういかないものだ。だからこの法律を通すにあたって、あらかじめそういう点を配慮しておかぬと、なかなかそういう流れはできない、こういう心配がある。これはごもっともな心配だと私は思う。だから、そこらのところも、これは十分にお考えをいただいて、さてこの人事の交流というものはどうすればうまくいくのかという、ここらあたりもひとつ、まあお考えになっているように聞き取れましたけれども、念のために公社の例などもあげて、ひとつ申し上げておきたいわけであります。  それから配置転換という問題が当然起こりますな、向こうから持ってくるという。各郵政なりから持ってくる、これも配置転換。それからまた関東、東京と分かれるとすれば、希望というお話もいまございましたが、ここにもやはり配置がかわるといろいろ数の問題がある。必ずしも本人の希望でなくたって行かなければならぬ場合だってあり得る。当然そうです。そこのところはじゃ一体どうするか。郵政事業の施設の改廃計画の協議に関する基本的了解事項などというのもあるようでありますが、ここらの関係、つまり配置がえ、これを中心にして対組合というふうな関係はどういうふうにお考えでございますか。
  216. 北雄一郎

    ○北政府委員 先ほど私、御説明申し上げましたように、この人事交流の必要性という問題は、職員のランクによってその必要度がだいぶ違うというふうに申し上げました。両方の間で積極的に交流をはかる必要があるというのは、やはり先ほど申しましたように、管理者、それも管理者の中でも上級の管理者になるほどその要素が強い、こう思います。したがいまして、一般職員につきましては、これは普通のほかの郵政局とほぼ同じようなことで基本的にはよかろう。ただ、申しましたように、現在、東京郵政局員である、将来ともそっちに残りたかったのだが、振り分けの都合で関東へ配属されるという者が戻ってくる、こういう問題等につきましては、これははっきりそういった希望というものを省側で受けとめまして、そして、そういった機会のあるときに入れてやるということで足りるのだろう、こう考えております。
  217. 大出俊

    ○大出委員 この配置転換、まあ施設の改廃に伴ういろいろな動きになるのでありますが、現行協約その他の面からいって、これは順序としてはどういうふうに進んでいきますか。たとえばこの初年度、通常ならば大綱の説明をする、つまり三カ月前なら三カ月前に、具体的な案をつくるということになった場合に。これはたしか取りきめがございましたな。その取りきめの順序に従うと、これはこれからどういうふうに説明を行ない、どういうふうに進んでいくかということを聞いておきたい。
  218. 北雄一郎

    ○北政府委員 ただいま施設の改廃に伴う配転協約いうものがございます。これはしかし、郵便施設とかという名称が冠されておりまして、すなわち現業局のことを示しておりまして、こういった郵政局というものは現在の協約の範疇には入っておらないわけであります。それをじゃどういうふうにやっていくかということにつきましては、ただいま組合と交渉中でございますので、そのほうおまかせ願いたいと思います。
  219. 大出俊

    ○大出委員 だから聞いているのですよ。現行協約では郵政局の分割は想定されてないでしょう。ないけれども、これは施設の改廃には違いない。そうでしょう。だから現行協約でいけば郵便局や何かだから、入っていないとおっしゃるかもしれぬけれども、入ってないからそれで済むわけじゃないので、そこのところは、官の皆さんのほうは基本的にどう考えているか。いま交渉中だとおっしゃるのですけれども、その交渉というのはどこまで進んでいるのですか。事、法律を通す立場からすれば、承っておかぬことには、私はそう言ったって性格上簡単にはいきませんよ。あとでしりを持ってこられたら私は困るんだ。
  220. 北雄一郎

    ○北政府委員 組合との交渉におきましては、先ほど私お答え申しましたような程度のことを組合に言っております。それ以上、組合のほうからも具体案が出ておりませんので、早急に詰めたい、こう考えております。
  221. 大出俊

    ○大出委員 どうも北さん、これは一人で何もかもできませんからやむを得ませんが、あっち聞きこっち聞き、横から口が入るようになっておりますから、間違ってしまうといけませんから、どうなっているかということをあとで書いてくださいよ。どうせ資料をいただきたいと申し上げているのですから、あわせて出してくれませんか。私もあとで、この委員会を通したはいいが、労使間でトラブルが起こって、また何とかしてくれと言うて、騒ぎが起こってしりを持ってこられると困るから、いまのうちに、ふけるしりはふいておかぬといかぬですから、せっかくの機会ですから、そうしていただけませんよ。
  222. 北雄一郎

    ○北政府委員 お示しのような資料をお出しいたします。
  223. 大出俊

    ○大出委員 それから、現行機構の中でこの二分割に対応できる組織ということで、二分割するのですから、特に監察局のほうも何か対応しなければいかぬでしょう。そうすると、そこらのところは、監察局も二つになるのですか。ならないのですか。あるいはまた課とか係などを新設か何かしなければ、分割しない限りは、これはちょっとまた実情に合わぬことができ上がりはせぬかという気がするのですが、この辺のところはどうなるのですか。
  224. 森田行正

    ○森田政府委員 お答え申し上げます。  監察局も東京郵政局と関東郵政局に対応するように二分割できれば理想的であろうと思いますが、ただいまの段階では、諸般の事情がありまして、東京郵政局の二分割というのは焦眉の急になっておりますので、監察局はそのままでございます。ただ、先生承知のように、監察局の実務の大きな部面は支局がやっておりまして、各県庁所在地、東京都内は別でございますが、数カ所ございますが、そういうところで実務をやっておりますのでそれを統轄する監察局自身は、必ずしもただいま二分割しなければ仕事が回らないということはないと私ども思っております。話し合いの相手が二つになるわけでございますので、課や係の増設ということも理論的には考えられますが、何しろ定員も一名もとれておりませんので、非常に監察局の諸君には御苦労でございますが、監察局はいまのままやりたいというふうに考えております。
  225. 大出俊

    ○大出委員 これは郵政省がそういう考えであることはわかっている。焦眉の急であるということなんですが、先般も、何年か前にこの二分割論が出まして、愛媛の監察局、四国の松山と金沢ですね、これをつぶすというのが入っていましたので、電電公社に対する監理局みたいなのをつくるというのが入っておりまして、いずれにしてもこの辺でつぶされたんではという気がありましたから、この委員会の皆さま方の御了解を得て廃案にしてしまったいきさつがある。日にちもたっておりますからわからないわけではないんだが、しかし、二つになると、やはりそれなりに官庁機構というものは、たとえば部長が局長になった、ところが一人かわったのだからどうということはないのじゃないかということにならないのですね。つまり部長が局長になるということは、その行政が前に出るということなんですね。たとえば青少年局をつくったということになると、青少年局という行政が前に出てくる。そういう意味では非常に変わる。たいへんな違いなんですね。だから、部が局になった、部長が局長になっただけじゃないか、そうじゃないですね。私も長年機構いじりをしていまして痛感する。だから、いま考えておられる皆さんの考え方は、東京郵政局、関東郵政局にしてみたら、たいへんな違いになると私は見ている。これは自己増殖をするのですよ、その意味では官庁機構というものは。だからそういうことで、これはいまの社会における行政サービスというものは、なるべく庶民一般の近くに機構がなければならぬことになっているわけです。でなければ政党政治の内閣の意思は伝わらないことになる。だから必然的にそうなるものですけれども、しかしこの機構を二つに分けたということは意外なことになる、そう私は思っています。  だとすると、監察局というのは将来どうあるべきかということは、たいへんでも御苦労願うなんということで簡単に済まされるものではない。抜本的にこれは検討する必要がある。当面、課であるとか係であるとか、そういうふうなものを増設しなければならぬのだとするならば、当然人員の問題が出てくる。そこら何にもないのだとすると、私は、やはり監察局にしわが寄る、こう思います。だからそこらのところは、もう一ぺんその衝の方々とじっくり相談してもらわぬと、あとになってまた問題が起こる、そういう心配を持ちます。そこらは念のためにもう一ぺん聞きますが、どうお考えになりますか。
  226. 森田行正

    ○森田政府委員 ただいまのところは、監察局に関しましては、先ほど説明したとおりのつもりでおりますが、先生お話もございますし、いずれ監察関係関係官とよく打ち合わせをしてみたいと思います。
  227. 大出俊

    ○大出委員 東京郵政局の全逓組織なるものがだいぶ旧来とは変わってきまして、相当に労使間の問題もある。かつてこの法案が出たときの状態ならば、私もそれほど苦労しなくても労使間にまかしておいていいと思うのですけれども、そうではない。ある種の感情的なものまで出てきかねない関係にある。だから、全逓というのはこれこれである、脱退している人はこっちにいる、これをまた、さっき幾つも私があげたような例にのっとっていろいろなことをされると、これは二分割というものは管理体制の強化というかっこうに進んでしまって、それに対する反発という形で、せっかく局を新設してもいい結果は生まれない。ここのところをどうすれば一番いいかということですね。労使関係の問題に戻りますけれども、そこのところをこの際相当深刻に考えておきませんと、やはりこれは、いまのところ東京郵政は、この法案が出ているせいかもしれませんけれども、どうもほかのように、ぽつんぽつんと起こったりというふうに、ここのところは見えないのですけれどもね。だから、どこの郵政局だって、それに関する法案でもあれば、こんなに大騒ぎが起こらないで済んでいるのじゃないかと思う。やれ広島のほうでがたがた、どうのこうのとおっしゃるけれども、現に東京郵政というのは波穏やかだ。そうでしょう。皆さんがそうお考えになれば、いま法案があるのだから、変なことをするとぐあいが悪いという気持ちが皆さんにあると何も起こらない。この際ひとつ落としてやろうということになると騒ぎが起こる。顕著な例ですが、そういうところは実例が目の前にあるのですから、その原点に立ち返ってこの問題に取り組んでいただかないと、またものを言い直さなければならぬことになる。そこらをどう考えるかという聞き方はちょっと妙な質問になるけれども、言わんとすることはわかると思う。そこらのところを、大臣、管理体制の強化のやりとりの中から妙なことが始まると、せっかくここでこの問題を議論しても意味がなくなる気がするので、そこのところはいかがでございますか。
  228. 廣瀬正雄

    ○廣瀬国務大臣 労務対策の問題でございますが、これも考え方によると思うのでございまして、ある種の意図をもって管理をするというようなことでございますと、二つに分けたことによって管理体制が強くなるということで非常に悪い結果を生むということが心配されるわけでございますけれども、全くそういう意図を持たない私どもといたしましては、職場を改善する、あるいは労務対策の改善をするという立場から申し上げますと、管理の機構というものが小さくなったより一そう行き届いていくということになりますので、ぜひそういう意図を持って、御期待に沿うような、東京郵政二分割を契機といたしまして、明るい職場をつくるということに一そう努力する、そういうような方策で進めてまいりたい、こういうように強く考えております。
  229. 大出俊

    ○大出委員 ここで念のためにもう一ぺん言いますが、こういう例があるのですね。これは浅見さんが郵政局長だったころ。私は浅見さんが本省におるころから長いおつき合いでもありますが、直接けんかしたことはないのですけれども、私の時代はけんかの時代ではなかったわけですから。しかも東京郵政局長になってから、会おう会おうと思って会わずに終わってしまったのですが、いろいろなことをおやりになったわけです。その時代からどうなっておるかと申しますと、つまり郵政局の方針として露骨な組織介入と見られることがあった。これは北海道の時代からそうです、浅見さんの場合は。私は別に個人的にけんかをしたわけじゃありませんが、当時の組合の資料によりますとそうでした。そこで、新規に郵政局に入ってくる人たちに、試験の面接のときにそれとなく言うのですね。国鉄と違ってなかなかきめがこまかい。うまいです。みごとなことをやる。わからぬように、わからぬようにやる。しっぽがつかまらぬようにやる。当該支部では全逓の脱退届けを出せない者は、郵政に来て脱退届けを出しておけ、こういうわけで、全逓の関東の組織の委員長である清水潔君、これは私の親友ですが、清水潔君が群馬県で、自分で保証人になっていた人間が全逓を脱退してしまった。おまえ何だ、これは一体。潔っちゃん困っているのだよというわけだ。ざっくばらんに話を聞いてみたら、おまえは全逓を脱退しなければ来ちゃいけない。そんなこと言ったって、おれが出ていくについて脱退届けなんて、とてもじゃないが、長いこと一緒になって働いてきたのだから出せない。郵政局の管理者が来て、出せ。しょうがないから出てきて出したのだ。出てくるときには、おまえ行くのか、それじゃ送別会やるべえというわけで、全逓の連中が集まって送別会やられて出てきた。あのやろう何だ、郵政に来て脱退した。しかも関東の全逓の委員長が保証人だった。そういうばかな話になってきちゃ困る。   〔委員長退席、坂村委員長代理着席〕  私は、ここのところは、関東の委員長の名前をあげたのだから、うそも隠しもない。そういうことになっていたのでは困る。つまり中間管理者教育なんという形をとって、新規に採用してきた人たちについても、自主的に全逓に加入させないようにする。いま脱退している方々だって、何も好き好んで脱退しているのじゃない人たちがたくさんいる。その方たちに、脱退経過を踏まえて、ひとつ帰ってきてくれぬかと言うと、かくかくしかじかの理由があって、理由を申し上げてもいいけれども、当局の方針変更と管理者のオーケーがないと戻りたくても戻れない、かんべんしてくれ。これは大臣、そこまで締めつけちゃいけませんよ。いま人の名前をあげました。だけれども、当局がこういう方針だ。その変更を管理者がして、おまえ帰るなら帰ってもいいと言ってくれなければ帰れない。そこまでのことになってしまうと、事こまかにおぜん立てをして根回しをしてやりますと、やはり労働大臣一仕事になりますよ。私はさっきやることが七つばかりあると申し上げたのだが、だから必要なものは出しませんでしたが、そういうことでは困る。  だから私は、さっきのようなことを申し上げるわけでありまして、したがって今度の二分割という問題について、全国的にきょう私が申し上げたような事例がたくさんありますだけに、またこの問題をめぐって、組合の側からすればたくさんの疑心暗鬼がある。この機会をおいてこの法案を通す機会がないことはだれも知っているが、これをうっかり通したらまた管理体制の強化ということにつながって、ゆすぶり続けられるのではないいか、それならこんなものはつぶしたほうがいい、そういうレジンマが皆さんにある。私はその矢面に立っておりますから。一体、大出さん、この法案どうするんだ、それは私の委員会というのは山のように法案あるんだから、郵政省出身は私しかいないのだから、皆さんに御無理申し上げて寝てしまった。順番にやっていったら、これは問に合わなかった。二十六日で終わるのだから間に合わない。つぶれるのだけれども、それならそれで腹をきめてと、こういうことなんだが、皆さんのほうからすると、とはいいながら、機会はこれしかないのだから、できることならばそれは何とかしたいという気持ちが根底にある。郵政に働く入ですから。そうでしょう。その気持ちは私は痛いほどわかる。だから、こんな長い時間かけて皆さんに、私の足元のことですからあまり言いたくはないけれども、知れる限りのことを表に出して大臣にも御理解いただきたく申し上げたいというわけです。だからそういう意味では、私はいま最後のほうで申し上げたこの郵政分割にあたっての——いまこの法案があるから静かなんですから、変なことをすれば、東京の郵政のうちの支部だって、つぶしてくれ、こう言いますよ。そういう政治的背景がからんでいるから、静かなんです。そこらをお考えいただければ私はわかると思うのです。  知っている皆さんだから、もう一つだけここでお願いが大臣にある。これはお願いに類するのだが、実は郵政の宿舎が方々にたくさん建ちます。最近はたいへん大規模なものができる。たとえば横浜の緑区にあります元石川の郵政住宅、これなどはたいへんなマンモス住宅で、五百世帯からおるでしょう。ところが困ったことに、ここは子供さんの遊び場といったって、殺風景な話で、芝を植えて入ってはいけないというものだから、どうしようもない。最近、横浜市長の政策で、土地を少し貸してくれれば、いつでもそこに遊び場でも何でもつくるという政策をとっておりますから、町の中に一ぱいできておる。地元の市会議員が心配して、それを何とかしようと言っていったら、ぴしゃりと断わられた。郵政省、何も個人がやるのじゃない、横浜市がやるのだからいいじゃないかということを言っても、ぴしゃりと断わられる。住んでいる人たちは、マンモス住宅だけにほしいわけです。そうすると、庁舎管理云々ということで一々断わる。これはやっぱり間違いだと思うのですよ。住んでいる方が住みよくする、あるいは生活環境を改善するという要求があるならば、できる限りのことはしなけばれならぬ筋合いだ。できることをやらせない手はないと私は思う。港北の郵便局長に出しておる。私も局長に会って話したこともある。  そうかと思うと、これだけの宿舎に会議一つないのです。何でこういう建て方をするのか。人が死んだら寄り集まって葬儀をする場所もない。個々の家の中は狭い。奥さん子供を連れて、ギャーギャー入って来られやしない。自治会ができた。会議をやる場所が何もない。しょうがないから、ずっと離れた美しが丘小学校を借りる。総会でもあればいいけれども、常時打ち合わせするのに一々学校の教室借りられませんよ。そういうことについて東京郵政の皆さんと話したところが、ごもっともだと言うのだ。理論的にまさにそのとおりだ。だからプレハブの会議室でも何でもつくりたいと思うのだがと言うと、それがまた言質になってしまっては困るということで、そう思っておるけれどもできませんという、まことに冷たい回答を出しておる。この宿舎というのは、郵政の職場の中の集団社会なんですから、こういうところには、幾らもかかりませんから、プレハブであれ何であれ、早急に会議室その他をつくってあげなければ、集団生活が成り立ちませんよ。そうでしょう。それを何も考えないというふざけた宿舎計画である。だから大臣にお願いするのだが、こういうところにはプレハブを建てたっていいのだ、まかり間違ったら、横浜市で持っているプレハブを持ってきたっていいのだ、場所さえ提供させてくれたら。市はそういうことを年じゅうやっているのですから、学校も年に十二万人もふえているのですから、プレハブをとりあえずどんどん建てる。新築をしていくプレハブで建てるのはたくさんある。そんなものは、金銭的なことを言うなら何でもない。だからそういう点は、住んでいる人たちの集団生活の中心であるべき話し合う場所がないなんということにしておいては、これはいけませんよ。全くないのだから。しかも、あいている部屋を貸してくれと言ったら貸さない、よごれるからとか。そんなばかなことはない。人間が住んでいるのですから。だからこういう点は大臣、お願いですが、せっかくたくさんの人が住んでいるので、私は部内ですから、よく住んでいる方々から言われるので、これはひとつお考え置きをいただきたい。これはつけ加えておきます。
  230. 北雄一郎

    ○北政府委員 私も詳しい基準は存じませんが、国設宿舎をつくります場合に、大体、住宅公団の宿舎と、そういった遊び場でありますとか会議室というようなものが、同じような考え方で実は大蔵省等で統制をとっておる、こういうことがございます。その場合、基準が何百世帯以上であったか、私ただいま存じておりませんが、あるいはそういう制約からのことじゃないかと存じます。いずれにいたしましても御趣旨はよくわかりますので、十分に検討いたしたい、こう思います。
  231. 大出俊

    ○大出委員 長くなりましたが、言わんとするところは一つなんです。つまりこういう陰湿な労使関係にしてしまった責任というのは一体どこにあるのか。横浜に、古い局ですが、横浜中郵便局というのがございますが、ここの局長佐藤英次君といいまして、私が鶴見に昭和十四年に入った時代の同僚です。これが中の郵便局長。私が局に入っていったら、廊下を歩いているので、英ちゃん、おまえ何をやっているのだ。いやおれはここの局長になったのだ、何だよというわけで話してみて、やはり出てくるのは昔の話が出てくる。つまり組合との関係で、メモを持っては書いて、さっきの現認証から始まって指導書、便所へ何回行ったまで書いて、そういうことを毎日やっている姿というものは、これは管理者の方々が、多少組合員の数を減らしてみたからといって、いい気持ちのものじゃないと思うのです。こういう形にしてしまったというのは、一体どこに責任があるのだということです。  少なくとも私は、全逓信労働組合の初代の青年部長を長くやり、官公労事務局長に抜けて五年ばかりいまして、全逓本部の企画部長を三年やって、書記長五年、副委員長を四年やっている。その間、総評本部の副議長をやっている。それで私が三十八年に衆議院に出てくるときにはこんなことは全くない。けんかするときは思い切ってする。するが、これは労使関係のルールですから、仕事するときにはぴたっとやめてする。それでいいのだ。大げんかしてあいつの首を切れと言ったことだってある。だから、やりたければみんなの首を切ればいい。処分をすればいい。そんなことはしようがない、ルールだから。公労法に書いてある。だからそういう形になっていたはずなんですね。陰にこもって、不当労働行為と言われちゃたいへんだというので、四六時中証拠を残すな。だから組合のほうは、局長が、こう一生懸命書いたやつを破ってかごに捨てて、帰ってからそのかごを持ってきてあけて一生懸命つなぎ合わせて張ってみた。そうしたら自己批判から含めて書いてある。何と、だれとだれに当たりをやっちゃった、ようやく自信を持てたとか、ここで勇気を出さなければならないとか書いてある。何のだれべえの筋が当たりがついたとか、そんなことが書いてあるのを今度拾ってきて張りつけて、重要資料といって全逓本部に持っていく。皆さんが四六時中これをやらしているわけです。ILOが言うとおりに、相互不信というものがまさに病膏肓に入っている。  つまりこの信頼の回復というものは、一体どこにイニシアチブがあるのかといえば、これはまぎれもなく使用者としての政府にあるのです。ドライヤーが言うとおりですよ。だからそういう意味で、これはやはり大臣、ぜひ私は先ほど来幾つか具体例を申し上げまして、御存じない、調べるというお話もありましたし、あとからまた資料をお出しいただきたいこともございますから、ひとつ、申し上げたことについては前向きに受け取っていただいて、私も九年間衆議院をやっていますが、労使問題でものを言うというのは初めてなんです。だからそういう意味で、よくよく私も黙っていられなくなったから言っているのですから、そうお受け取りになって、どういうふうに対処なさるのかという点については、公式、非公式を問わず、私は回答をいただきたい。  そして、さっき言ったように、悩みながら、この際、東京郵政、関東郵政になるのかもしれませんが、二分割はいま通したい。だがしかし、これは通せぬじゃないかという二律背反する頭が、私をはじめ参議院の皆さん方の中にもたくさんある。だからこっちがぴしっとまとまって通らないと、参議院でまたちょっと簡単にいきません。それで、ここらあたりをひとつ御勘案いただきまして、リストアップして、こういうものは変えろとか、やれどうしろとかいうことを衆議院方々から大臣に言っている。さっき私が申し上げたような回答が出て知っています。知っていますが、それにもかかわらず、私はその問題をこまかく立ち入っていない。これはなぜ立ち入っていないかというと、ここで一人一人の管理者の方の名前をあげて、これをどっちへ持っていけ、あっちへ持っていけと言ったって、それで今日的この現状が変わっていくわけじゃない。だからそこのところはもっと大きな立場でとらえていただいて、出身議員の意のあるところをくんでおられる大臣でしょうから、人事権というものは大臣にあるんだから、東京郵政局二分割法案が通ればとたんに人事はやれる。郵政局長がふえるのだから、それができれば、あとはやれるのだから、だからそこのところで、大臣が全体をながめてお考えをいただく。その点は、担当の省の方、議員が大臣と話しているんですから、そこらのところをしかるべき前向きの結論を出していただければいいということで、公式、非公式を問わず話し合いはしていただいて、そしてひとつ、こういうことで転機をつくって新しい労使関係に入っていこうということにしていただきたい、というふうに私は思っているのです。だから、けちなことは言いませんが、そういう意味で大きな転換を考えていただきたい。そういうことにしていただきたいと思うのです。
  232. 廣瀬正雄

    ○廣瀬国務大臣 大出委員の、いつもながらの郵政を愛する、まことにありがたいお気持ち、そういうようなお気持ちがあふれるばかりにありますだけに、きょうは、長時間にわたりましてほんとうに思い詰めたお気持ちでの御発言、御教示、ほんとうにかたじけなく承った次第であります。  ただいま、東京郵政二分割という大きな課題をかかえておるわけでありますが、従来も私のこれに対する信念は先ほど申し上げたとおりでございまして、誠意と信頼感を持って対処していくという気持ちには今後も変わりありませんけれども、この分割を契機といたしまして、一そう労務対策の改善ということに精進を続けてまいりたい、こういうように強く考えておる次第でございます。どうか、そういう意味もございますから、今度の東京郵政二分割の問題については、いろいろお立場もございましょうけれども、ぜひひとつ御協力を賜わりまして御鞭撻いただきたい、このように考えております。
  233. 大出俊

    ○大出委員 それじゃ、いずれにしてもまたお話しをする機会がありますので、たいへん長くやりまして恐縮でございましたが、きょうの質問はこれで終わらせていただきます。たいへんどうも、長いことありがとうございました。
  234. 坂村吉正

    ○坂村委員長代理 木原実君。
  235. 木原実

    ○木原委員 大出委員のほうからたいへん詳細に、労使関係中心に質問がありましたが、私もこれはもうぜひ申し上げなければならないということで、幾つかの質問を申し上げたいわけなんです。大出委員とのやりとりを詳細に拝聴したわけですが、大臣をはじめ、人事局長の御答弁を聞いておりまして、率直に言いまして、これははなはだ道が遠いという感じがするわけなんです。大臣はたいへん誠意のこもった御答弁でございますけれども、事態が、サービスを受ける側からしましても、やはり容易ならぬことじゃないのか、こういう感じがするわけであります。また労使関係の改善について、大出委員からたいへん切実な要求があったわけでありますけれども、具体的なことについては御答弁もいただいていない、こういう姿があるわけであります。  第一に私どもやはり心配をいたしますのは、ありていに言いまして、気になりますので、私どもの手近な郵便局等の職場を調べてみましても、第一に職場が非常に暗いわけなんです。しかも特に東京ないしは東京近郊等は、たいへんに業務量がふえている。たいへん苦労をして業務を遂行しておる姿がある。その上にやはり労使の関係が、相互不信ということばがございましたけれども、まことにそういう姿が随所にあらわれている。しかも管理の立場にある人たちが、何か好んで、あるいは何かの疑心暗鬼にかられて、肝心の本体の業務の運行よりも、何か労務対策にウエートを置いて、あるいは優先をさせるような姿で、ことばは悪いですけれども、挑発をかけているような姿さえある。そういうことを私ども手近に見聞をいたしますと、一体こういう職場で、郵政というようなたいへん大きな、国民にとりましては日常的に欠くことのできない業務が安心をして託されるのか、こういう問題があるわけでございます。郵便等のおくれの問題が、特に過密の地帯におきましてはもう常態化しているような姿も見られます。改善の努力があるということは、私ども決して否定するわけではございませんけれども、そういう姿が一方ではある。他方では、るるお話がありましたような、たいへん暗い状況がある。一体これでいいのか、こういう問題があるわけであります。  そこで、最初に伺っておきたいわけですけれども一私もあとで一、二事例を申し上げたいと思いますが、大出委員等からも詳細な指摘がありました。このような実情について、当局のほうとしてはきちっとした状況の把握をしているのかどうか、そのことからひとつお伺いしたいと思います。
  236. 廣瀬正雄

    ○廣瀬国務大臣 ただいま木原委員指摘のように、郵政事業というのは、三十二万の従業員を今日郵政省だけでかかえておるわけでございまして、その他関連の事業といたしましては、電電公社ありNHKあり国際電電があるということで、非常に多数の従業員で仕事をやっていただいておる事業であるわけでございます。したがって、郵政行政といたしましては、人の問題、まあ労務対策ということが一番基幹となる、前提となるということは申すまでもないことでございます。したがって、私ども、労働問題労務対策には特に力を入れて努力をいたしておるつもりでございます。  御承知のように、先年、労変闘争ということで労使とも実に沈痛な、悲痛な思いをいたしたわけでございまして、これにかんがみまして、一昨年の十二月十四日に労使間に確認事項を取りきめたわけでございます。これに基づきまして、二回も、全国にこの趣旨が徹底いたすように通達を出しておりますし、その後も、全国の地方三局長会議というような機会をとらえましては、必ずこの労務の改善ということについて強調いたしてまいっておるわけでございます。さらに、これに基づきまして中央、地方に六人委員会というような場もつくりまして、労使間対等の立場で話し合いをするというようなことを続けてやっております。  こういうことは、私ども相当効果をあげておると思うわけでございまして、その後、労務関係は改善されまして、だんだん明るい職場に向かいつつあるというように私は考えておるわけでございますが、ただいまお話がございました郵便物の遅配の問題なんかにいたしましても、昨年以来、秋、冬のころからでございますけれども、非常に改善されまして、いまはほとんど遅配はない。ことし一月一日の年賀郵便の配達のときには、全国的に一〇〇%の成果をあげたという事実になっておるわけでございます。しかし、その間、ただいま大出委員が御指摘になりましたような年賀郵便の事故があったということを承りまして、びっくりいたしておるわけでございますけれども、こういうことはすべて従業員が非常によく協力してくださっているという姿のあらわれである、こういうように考えております。だんだん明るい方向に向かっておる。ただいま先生おっしゃったように、しょせん、じめじめした暗い職場であってはならない、明るい、明朗な職場を造成するというようなことに向かうのがほんとうであるわけでございまして、そういう方向には漸次向かっておると思います。  しかし、きょうは、あまたの事実をあげられまして大出委員から御指摘をいただいたわけでございます。またこれから、木原委員からもこれに類する御指摘があろうかと思っておりますけれども、そういうような御意見については謙虚に拝聴いたしまして、さらにさらに、事業の改善、そして職場の明朗化、労使関係の向上というようなことについて最大の努力を傾注してまいらなくちゃならない、こういうふうに考えております。私はかなりうまくいっているものだと思っておりますと、皆さん方から何かと御指摘をいただきまして、そのつど心を痛めておりますわけでございますが、そういうことをいろいろ考えますと、三十二万という多数の従業員を擁しております郵政事業、これを、皆さま方が御期待になるような、実にりっぱな完全な職場にするということは、何だか荷重くして道遠しという感もなきにしもあらずでございますが、しょせんこれは私の微力に起因するかと存じまして、非常に恥ずかしく思っておるわけでございます。しかし、御指摘の点はまさにそうあるべきことだと思いますわけでございまして、そういう方向に向かって今後とも十分努力を続けてまいりたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
  237. 木原実

    ○木原委員 大臣もまだ就任をなさってから比較的短期でございますけれども、おことばの中に、明るい方向に向かいつつある、こういうふうに考えていたのだというおことばがございましたが、私どももそう信じたいわけなんです。ところが、私ども手近なところで、まさかと思うような、ともかくどう言ったらいいんですか、逆の傾向があらわれている。そういうのを見ておりますと、当局のほうでは、たとえば労働組合というものについて、ことばは悪いですけれども、何か被害者意識のようなものがあるのじゃないか。あるいはまた間違った錯覚みたいなものがある。あるいはまた、何か功をあせって、一方的な締めつけをやれば、組合というものが、あるいは従業員というものはおとなしくなるだろうとか、何かそういう錯誤の上に立った労務管理が行なわれているのじゃないだろうか、こういうような感じがしてならないわけなんです。  これまた、私の一番手近なところなんですが、たとえば千葉局というものがあるわけでありますけれども、この四月にそこで五十二名ほどの全逓からの脱退者が出た、こういう問題があったので、私どももそれなりに調査をしてみました。ところがこの千葉局というのは、あなたのほうから表彰状を出しているような、従来、事、労使関係については、これは千葉県民のまことにいい面を代表するような、そういう意味ではまことに穏やかな組合で、トラブル一つなかった。または、春闘だ何だということで特別にストライキをやるとかなんとかいう情景も持たない。そういうような、われわれから見ておりますと、まことにうまくいっている、大臣のおっしゃるように明るい職場だと思っていたわけなんです。ところが、突如として四月の中下旬ごろから相次いで脱退者が出た。調べてみますと、いずれも職場の中の職制の立場の人たちのところに、そういう人たちがそれぞれまとめて組合の脱退届けを出しているというような事態がある。そうなりますと、当然のことでございますけれども、組合のほうもほっておけない。どうして脱退をしたのだとか、こういうような説得その他の活動が始まりますと、今度はそこに管理者の人たちが介入をしてくる。脱退者の保護と称して陰に陽に介入を行なう。そういうことになりますと、これはだんだん感情的な対立が起こってくるのはある意味では当然でありますけれども、私どもから見ておりますと、まことに平地に乱を起こすような、そういうことがやられているわけですね。一体何をやっているのだと言いたいわけなんです。現にこの紛争は続いております。  先般、捨てておけないということで、地元の私、あるいは参議院の加瀬完さんその他が、局長のところへ参りまして、一体事態はどうなっているのだということで、当局側のあれもいろいろ聞きましたけれども、当局のほうは、いや私のほうは決して組合運動に介入するというようなことは絶対いたしませんという、そういうことの一点ばり。そして、それならば、こういう事態が起こっているのだから、せめて組合との間にきちんと話し合いをしてまとめなさい、片づけなさい、こういう要望をしたのですけれども、それについては何ら措置が行なわれていない。そして現場の中では、たいへんけわしい対立状況、紛争が続いておる、こういう状態があるわけなんです。  そういうのを見ておりますと、妙な労務管理とかいろいろなことをやることによって、かえって問題が起きているのではないのか。そこにはやはり、組合に対する何か特定な管理者の人たちによる既成観念といいますか、先入観といいますか、あるいは被害者意識といいますか、そういうものが先行をしていて、こういうことになれば至るところに問題が次々と波及していって、あるいは起こっていって、肝心の業務の本体がそれだけ後退をしていく。一体郵政というのは何をしているんだ。大出さんは長年郵政の中で苦労をしてきた人なんですが、私どものように、一市民としてサービスを受ける側から見ましても、これは捨てておけないんだ。だからここで取り上げてあえて政治の問題にしなければならないのは、一体何を考えてそういうことをやっているんだ。あるいはまた、そういう事態を確実に最高の責任者が把握をしていて改善の措置というのは考えられないのか。あるいはまた、いままでやってまいりました管理のシステムなり何なりというものについて反省の余地というものはないのか。こういうふうに思わざるを得ないわけなんです。  私どもといえども、正常な労使関係の中に入っていってとやかくしたいなんという気持ちは、少しもございません。しかし、そういう立場で見ておりましても、まさに異常な姿がある。そういうことが起こるわけですから、あえて問題を取り上げるわけですけれども、一体大出委員がいろいろ指摘をしました問題等を含めまして、随所に起こっておるそういう問題あるいは背景等について、着実に問題点の掌握をしておるのかどうかということと、それから、そのことを掌握をした上であるいは当局側に反省をしなくてはならない点、改善をしなくてはならない点、そういう考え方があるのかどうか、こういうことをぜひ承りたいと思うのですが、いかがですか。これは責任問題を追及する以前の問題だと思うのですが、どうでしょうか。
  238. 廣瀬正雄

    ○廣瀬国務大臣 冒頭に申し上げておかなくちゃなりませんことは、御承知のように、郵政省の従業員の労働組合には、全逓と全郵政と大きな二つの組合があるわけでございまして、その二つの組合に対しまして、私はじめ郵政省の方針といたしましては、どちらの組合がよくてどちらの組合が悪いなんという考えは毛頭持ってないのでございまして、私も先ほどもお答え申し上げましたように、この二つの組合は、いわゆる平和共存と申しますか、おのおの好きこのみによってそれぞれの労働組合に所属をいたしておりますでしょうが、それぞれの二つの組合がおのおのの道を立派に歩いてくださればそれでけっこうだと思うわけでございまして、管理者の側におきまして、組合の転換を指導したとか強要したとかいうような事実がございましたならば、これに対しましては特に厳正に処分をしなければならないという考えをもちまして、この点は何度となく徹底するように末端のほうに流しておるわけでございます。  私は、二つの組合があっても、両方ともいわゆる組合員でございますから、組合のルールというものは守っていてくださいますし、双方の組合とも一種の規制下にあるわけでございますから、組合員としてりっぱにやってくだされば、それが事業の上に何ら支障を来たさないわけでございまして、明朗な組合の造成についてはいささかも支障がないというふうに私は確信を持っておるわけでございます。  そこで、千葉のお話のあった問題でございますが、ただいまお話しのように、四月十九日に起こっておるようでございまして、これはちょうど当時は全逓がストライキの実施を指令いたしております時期であったわけでございます。このストライキの時期によく組合の転換が行なわれるというのが従来の実績であるかのように聞いておりますが、おたくのものが、はたしてそういうことに関係があるかどうか、はっきり私はまだ聞いておりませんけれども、時期はまさにそういうような時期であったというように考えております。決して、私どもの指導によって五十名の脱落者——この人がどの組合に入ったか存じませんけれども、この点はしっかり原因を探求していかなくちゃわからないことでございますけれども、従来の実績といたしましては、そういう場合の脱退というようなことが多いようでございます。  繰り返して申し上げますけれども、私どもは、二つの組合がありましても、おのおのルールを守ってやってくだされば何ら心配ない、平和共存ということでやっていけるんだという考えを持っておりますわけでございます。  そこで、先ほど申しました十二月十四日の確認事項にいたしましても、不当労働行為その他のことを特に戒めておりますわけでございまして、こういうことを繰り返し末端に徹底するような勉強、指導というものを、私ども今後とも十分努力してまいりまして、そうして御期待になられますような——お話のように、まさに国民生活に非常に密着した重要な仕事でございますから、その責任の重大さ、そして将来は情報化社会に向かうということもいわれておりますから、そういうことを考えますと、通信事業の持っております責任というのはきわめて重大だと思います。何度も申し上げますけれども、ほんとうに私の力の足らないことを恥ずかしく思っておりますけれども、さらにさらに馬力をかけて、労使問題を基幹とする職場の明朗化ということについては十分努力を重ねてまいりたい、こういうように考えておりますわけでございます。
  239. 木原実

    ○木原委員 大臣、組合のことにつきましては、私どもも、これは大臣のおっしゃるとおりだと思うのです。それは、それ以上に介入すればたちまち不当労働行為ということになるわけであります。あるいは、全逓に対して組合員が組合員として批判の自由を持つということもあり得るわけですから、そのことが問題じゃないわけなんです。そして私ども接触しました第一線の管理職の人たちも、まさに大臣がおっしゃるとおりのことを言われるわけなんです。  ただ、私がお尋ねしないのに、大臣のほうから、四月十九日に脱退者が出たというようなお話がございました。これはあとでもう少し申し上げますけれども、私がお尋ねいたしたいのは、つまり組織介入ということは、これはあってならないことなんです。これは自明の理でございまして、前提でございます。そうなんですけれども、ただやはり、長年使用者としての政府、当局対全逓という形で来たわけなんですが、全逓対策というよりも、むしろ管理のシステムとしていままでやってきた中にやはり間違いがあって、よけいなトラブルを起こしているのではないのか、こういう思いがしてならないわけなんです。ですから、いま起こっておる実情の問題を、私も立証する証拠がなかなかあがりませんから、当局の人たちが介入をして全逓を脱退させたんだ、それがトラブルの原因になったんだということは申し上げたくないわけなんです。あるいはそれに類似をするような印象というものは随所にありますけれども、しかし、それ以前の問題として、いままで、少なくとも第一線の末端の管理者の人たちに対していろいろと管理上の教育をなさった、あるいはその一つのシステムというものを立てられた、そういうことが、いまいろいろな問題が起こっておるわけですが、そのことについて反省の余地はありませんか。これは大臣はともかくとしまして、人事局長さんはじめ、それぞれその衝に当たられる人はそれなりに問題にぶつかっているはずなんです。こういうことについて発言するのは、何もきょう大出さんや私が初めてじゃございませんし、当然国会の中ですでに幾つかの事例をあげて、いわば政治問題として取り上げているわけでありますから、そういうことを踏まえて、少なくともいままでのやり方について反省の余地はありませんかと、こう申し上げているのですが、その点はいかがでしょう。
  240. 北雄一郎

    ○北政府委員 私どもこの業務を遂行をしてまいります場合に、労使関係業務の伸びる関係、こういったものは車の両輪なんだという大きな見方を持っております。そして、やはり郵政事業と申しますものは、申すまでもなく国民のために奉仕をする事業でございます。したがいまして、その目的を達するためにあらゆる努力を傾注しなければいかぬ。そうなりますと、そういう意味で労使関係をとらえる。むろん労使関係と申しますのも、御承知のようにたいへん幅の広い概念でございまして、対組合関係というふうにも使われますし、いわゆる労務全般というふうにも使われるわけでありますが、対労働組合関係というふうにとらえますならば、ただいま申し上げましたように、やはりこれは業務遂行と車の両輪の関係にある。これは突然そういうことを言い出したのではございませんで、省としてもう前からそういう方針でおるわけでございます。  それから、労務関係というふうにとらえましても、これは先ほど来大臣も言っておられますように、この仕事は多数の職員を基幹にして回していく、そういう性格の仕事でございますので、職員の士気を鼓舞する。また職員も企業意識に燃えてもらう。それから、何と申しましても役所でございますから、やはり法律を執行するという意味で、順法意識にも徹してもらう。そういうことで、職場あたりに中心を置いて考えれば、これもまた大臣がしょっちゅう言っておられることでありますけれども、秩序ある明るい職場というものを建設していく、こういう考えでおるわけでございます。  私、いろいろなことを申しましたけれども、それらをひっくるめましたものが、これまた大臣がおっしゃいました一昨年の十二月十四日の確認でありまして、これを端的に申し上げますと、当時、労使間には、現実問題として相当の不信感があった、当面まずこれを払拭する。払拭するについては、これはお互いの関係であるけれども、省として、当時問題のありましたようないろいろことにつきまして、そういったことは、俗に言いますと歯どめを省みずから講ずるということが第一段階でございます。その上で労使間に信頼関係というものを築いていかなければならない。その方法としても、具体的にいろいろその中で確認しておりますが、その場合の態度としては、その問題については下部における意思疎通を広くしよう。そういう点で省が積極的に先に一歩を踏み出すのだ、こういうことまで言っております。  でありますから、この一二・四の中で、先ほど先生おっしゃいましたところの、管理者がいたずらに被害意識を持っているのじゃないか、あるいは憶病じゃないかというような御指摘がございましたけれども、そういったことじゃなくて、むしろ管理者のほうが一歩踏み出すくらいの気持ちで、ティミッドじゃなくて積極的にこの道を開いていかなければ安定した労使関係は得られないのだというのが、一二・一四の確認でございます。この確認を、一定の方法によりまして、わがほうの下部にも徹底させるということが必要なことじゃなかろうか、こういうふうに考えまして、大臣の御指示もありまして、その実行を取り急いでおるところであります。
  241. 木原実

    ○木原委員 これは大出さんからも相当腹を割った話がございまして、もういろいろ、ていさいのことばといいますか、そういう段階ではないような感じがするのです。というのは、局長そういうふうにおっしゃいますけれども、それじゃ、第一線の現場と直結しておる管理者たちに、はたしてそういう考え方が徹底しておるのかと問わざるを得ない。  私どものところで、これまた新聞だねにもなりましたけれども、たとえば、配達やるよりも局長の命令に従えとか、あるいは業務が少々おくれても管理者の会議に出ろとか、これは暴言にひとしいことなんですが、そういうことを言っている。これは勝浦の局長です。そういう事例が起こってきているわけですね。あるいはまた、労使関係は本来きめこまかくなくちゃなりませんから、私どもが千葉局の職場の人たちに聞いてみると、たとえば、北海道から働きにきていた人に、おまえ全逓を抜けなければとても転勤なんてことは望み得ないことだよ、こういうような話がある管理者からあった。その人は北海道から千葉まで来ているわけですから、将来は北海道に帰りたいという希望を持っていたわけです。先ほど大臣がお触れになりました、四月十九日には職制のところに脱退届けを出している。ですから、もし大臣がおっしゃった、あるいは人事局長が、そういう姿勢で労使関係の改善をはかっていくんだ、こういうことならば、まさにそういう人たちは、現場では逆のことをやっているんだ、こういう印象を受けざるを得ない。そうなりますと、一体、郵政省の指示や命令の系統というものは、方針の徹底というものは何だと、これまたあらためて問題にせざるを得ない。こういう事例が至るところにあるような感じがする。  というのは、たとえば、私、千葉局の場合を見ておりますと、先ほども申し上げましたように、何のトラブルもなかった。ちょうど春闘の時期で、ストライキの指定の時期云々という話がありましたから、私、組合のほうを調べましたら、組合としては、そういう性格の局であるから、千葉局という中心局でもあるんですが、これはもう初めからはずしていて、春闘の時期にも、組合のほうの指導者が現場へ行きまして、状況の説明やいろいろことはしましたけれども、特別に、あるいはストライキをやるかもわからぬからおまえたちしっかりというようなことは、少しも言っていない。ただバッジをつけよというようなことくらいはやったというんですが、そういうふうに、これはもう地元の者にとりましても、第三者も含めて、あの局の労使の関係の性格なんていうことはある程度わかっている。ところが、そういうところに突如としてそういう問題が出る。勝浦なんてところはたいへん気候温暖なところで、これまた、まことにのんびりした、どちらかと言えば保守的なところなんです。ところが、そういう局長さんが、たいへんいたけだかになって組合員に、業務よりもむしろ管理のほうが優先をしているんだと、そういうある種の暴言を吐く。調べてみましたら、これまた東京郵政局の管理部の人事関係を経歴として持っておられる局長さんだということなんです。  そういうことになると、何か少し上のほうから管理の方針みたいなものがあって、それをより忠実にやろうというので、下のほうでは、いまの大臣や局長お話にもかかわらず、そういうことが行なわれているということになると、一体われわれは、どこを信用してこの問題を詰めていったらいいのか、こういう感じもするわけなんです。そういう問題として問題が提起をされておるということは、ぜひ認識をしてもらいたいと思うのです。  ですから私は、この関係の改善の問題は、少なくとも大臣が公約をなさった、あるいは一二・一四の協定があるとか、たとえば高いところではいろいろな話ができるかもわかりません。しかし、それが必ずしも第一線の末端の管理者に徹底をしないということになると、第一線の人たちは、ある意味では功をあせるということになるかもわかりません。そういう形で現場によけいな混乱が起こっている、こういわざるを得ないわけなんです。そうなりますと、そういう状態に対して、しからばどのように問題を、あるいは皆さん方の方針を徹底をさせる、事態を改善させていくのかと問いたいわけなんですが、いかがでしょう。
  242. 廣瀬正雄

    ○廣瀬国務大臣 本省の私ども考え方は、先刻来申し上げておりますとおりでございますけれども、これを徹底させるということがただいまお話のようにきわめて重大な問題になってくるわけでございまして、したがって、機会ありますごとに、その徹底周知ということについては努力をいたしておりますこと、これもさっき御説明申し上げたとおりでございますけれども、何ぶん三十二万という従業員でございますから、末端まで完全に行き届くというようなことが普通の職場と違って相当困難だということは考えられますわけでございます。そこで、全逓の御出身の議員もいらっしゃいますし、また全郵政の関係の議員もいらっしゃる。そういう方々から、ただいま木原先生から御指摘賜わっておりますように、私どもは、だんだん明るい職場になりつつある、労務関係は改善されつつある、そして私ども趣旨が末端まで浸透しつつあるというように考えておりますけれども、具体的な事例をきょうの先生のようにあげていただきまして、全逓の出身の方は、しょっちゅう私どもに機会ありますごとに何かと御指導、御指摘を賜わっておりまして、そのつど問題の真相というものを十分調査いたしまして、そうして改めるべきところは改める、人事に関するものは適正な措置を講ずるというようなことをやっていっております。そうして皆さん方の具体的な事例というものは、私どもにとりまして非常に貴重な参考資料でありますから、そういうことを十分尊重いたしておりますわけでございまして、今後とも御遠慮なく御指摘、御指導賜わりたい、こういうふうに考えております。そうすることによって、末端まで私どもの考えが徹底するような努力を続けてまいりたい、こういうように思っております。
  243. 木原実

    ○木原委員 たとえば、局に労務連絡官というのですか、いるんですが、これはどういうことをやる役柄なんですか。
  244. 北雄一郎

    ○北政府委員 これは、いわば俗に申し上げれば郵政局の出張員みたいなものでございまして——出張ではございません、駐在でございますが、そういうことになります。要するに、全国をただいま十の管区に分けまして、それぞれ郵政局がございまして、所在の郵便局の仕事を統轄しているわけでございますけれども、何ぶん一つの郵政局の持つ地域というものが、それぞれ数県にわたりまして広うございます。したがいまして、なかんずく労務関係のように各末端で問題が発生するというようなものにつきまして、郵政局だけでございますと、現地でいろいろ問題が起こる、それが郵政局の段階に上がってきますまでに日にちも経過する、あるいはその間に問題が拡大してしまうとか、あるいはそういった意味でのいろいろな情報連絡等も不備である、こういう問題がございましたので、十年ほど前だと思いますが、おおむね各県に一人ぐらいの労務連絡官というものを配置いたしまして、そういった、いま申し上げました意味での郵政局の出先になる。でありますから、この任務というのが、労使の紛争というものをできるだけ小さいうちにおさめる、あるいは未然のうちにそういうものが起きないようにいろいろやるというようなこと。あるいは、その現場の局長、現場の管理者が、そこで起こっております労使関係の問題に対応できないという場合に、一々郵政局から飛んでいくということもできませんので、こういった関係の相談相手になるというようなこと、そういった仕事を主任務にしております。したがいまして、それに関連いたしまして、自分の担当地域内のいろいろそういった労務関係業務をするのが労務連絡官でございます。
  245. 木原実

    ○木原委員 そうだろうと思うのです。ところが、たとえば千葉局の場合なんかは、この労務連絡官なる人が、名目は組合を脱退した人を保護することだというのですが、対立した中でむしろ先頭に立って、つまり全逓側の組合のほうに対して、トラブルが起こったときは体当たりを食らわしてくる。これは紛争があれば、局長お話にもございましたように、あるいは調整をしたり、調整生ではいかないまでも、少なくとも事実関係を調べて、あまり大きくならないうちに何とかという、むしろそういう役割りの人だと思うのです。ところが先頭に立っているわけですよ。そんなことはないだろうと私も言ったのですが、それは現認者が何人もいて、そういうことをやっている。これでは、おっしゃいましたように、本省の意を受けて駐在をして、労使関係を何か円滑にやっていこう、こういう任務を持った人が、まるで対立をした状態の中で、ある意味では一方の側に立ってやっている。こんなことは、はたして労務管理なり何なりというものとどういうつながりがあるのかと疑わざるを得ないわけです。そういう事態があるわけなんです。そういう報告が来ておりますか。
  246. 北雄一郎

    ○北政府委員 千葉については特段に参っておりません。ただ、先生も御理解いただけると思うのでありますけれども、私、さっきそういうふうに申しましたけれども、それにいたしましても、これは要するに第三者機関ではございませんので、あくまでも当方の人間でございます。したがいまして、先頭に立っておるとおっしゃいます意味がどういう意味か存じませんが、たとえば何かストがあってピケでもあるという場合に、就労者あるいは管理者が入るという場合には先頭に立つということもあると思いますが、あえて労使紛争を拡大するというようなことの先兵に立つという意味であるならば、そういうことは当然よろしくないことだと思います。  しかし、先ほど来申しておりますように、この人はそういう意味で、労務関係ばかりやっている人間であります。したがって、いろいろ労使の接点にこの人が姿をあらわすといいますか、目立つということはやむを得ないのじゃないかと思います。目立つがゆえに憎まれることでも困るわけでございます。この点、実は一二・一四のときにも、労務連絡官についていろいろ問題がございまして、これは四十六年の五月に、当時、労務連絡官についてのいろいろなそういった御趣旨がございましたので、そういった趣旨を十分に盛り込みまして、労務連絡官はいかに仕事をすべきか、いかなる機能を果たすべきかということについて通達を出しまして、その直後、労務連絡官を全国二カ所に分けて集めまして、その片方には、私、行きまして、その趣旨を直接数時間にわたって話をしまして、徹底させたつもりでおります。しかし、千葉について御指摘がございますので、よく具体的に調べてみたいと思います。もし変なことがあれば当然是正ということを考えております。
  247. 木原実

    ○木原委員 私どもから見ますと、この千葉の局は、先ほど申しましたが、まことに穏やかな労使関係を長年保ってきたところなんですが、何か上から来た人たちによって撹乱されている。どうも千葉はモンロー主義の傾向があるのかもわかりませんけれども、そういう印象をぬぐいがたい。たとえば今度の紛争の中で組合と当局側とが話し合いをする、そういう中では、たとえば次長さんであるとか、いまの労務連絡官であるとか、そういう管理者側が、もう局長のあれも何か乗り越えて、いたけだかになってくるというようなことが続いている。そういう組合員の証言もあるわけなんです。  これはそういう事例がたくさんあるわけなんです。たとえばそういう形になっていて、全逓を脱退をした五十何名の人たちを、対立状態になっているから当局側の人たちが保護するのだという。ところが、大臣のおことば、局長のおことばにも、二つの組合があって、それについては介入しない、これはもう大前提だ、こうおっしゃっておるのです。確かに、脱退した人たちもみんな自由意思だと千葉の管理者の人たちも言っておる。自由意思であるならば、二つの組合といいますか、脱退した人と全逓、そういうところにまかしておけばいいわけですけれども、ともかく保護するというのが第一おかしいわけです。そういうような形で一方の側につく。実態としても、結果的にも片一方の側について、今度はトラブルを全逓対脱退者でなくて全逓対管理者の問題にしていっておる、こういう経過になっておるわけです。そうしますと、さかのぼって考えると、おかしいじゃないか、示唆なり誘導なり何らかの措置があったのではないかと組合のほうが疑うのが当然のような行為が繰り返されておる、そういう実態があるわけです。明らかに脱退をそそのかしたということになりますと不当労働行為です。不当労働行為ではないかという観点に立てば、疑わしい事例というものは確かにたくさんある。  たとえば私どもたくさんの事情聴取をしてみたわけでありますけれども、大出委員のことばではありませんけれども、まことに陰湿な、表向きと中身のあれが全く違うようなやり方をやっておる。先ほど申し上げましたように、全逓なんかに入っていたら転任はできないぞというようなささやきなんかもその一つでしょうし、あるいはまたそのほかに、あまり言いたくありませんけれども、脱退者と管理者が酒食をともにしておる、そういう事例の報告もあります。きたない話ですからあまり申し上げたくありませんが、そういうようなことが続いております。  そうかと思いますと、先ほども話がありましたように、職場の中で一種の締めつけといいますか、たとえば休憩室で休んでいたら、休憩するについては課長の許しが要るのだ、許しをとったか、こういう形で追い立てる。たまたま外勤から帰ってきた人たちが、時間があったのでそこで休んでいた。外勤の人たちが休憩をとるのに、一々局に帰って課長の許可をとらなければならないのか、こういうような話になっておる。あるいはまた年休のとり方についても、理由を明らかにしろ、理由と実際とが食い違っていた場合には措置がされるというようなことが行なわれておるわけです。日常のことですけれども、そういう状態が続きますと、管理職の立場の人たちがやるわけですから、これは当然一つの締めつけなり、いやがらせなり圧迫になる、こういう形になってくる。  中には、あまり上品でないのでここで言いたくありませんけれども、てめえら何しているのだ、そういうおまえ、てめえ呼ばわりのことが行なわれておる。つまり総じていえば職場の中が急速に暗くなっていっておる。そういう状態が渦巻いておるわけです。  先ほど、就業規則の中で腕章の問題等が出まして、公務員としての品位を保持する云々ということがございましたが、公務員としての品位を保持するのは、何も腕章をつけたりバッジをつけたりすることでなくて、職場の中で、現場の人たちが管理者におよそ公務員としては扱われていないわけなんです。タコ部屋じゃないかという大出委員のことばがありましたけれども、私どものような第三者が事情を聞きましても、そういう印象を受ける、そういう状態にしてまで、なおかつ当局者が考えているような管理のシステムを遂行していかなければならないのかという疑問がそこでも出てくるわけです。  そういう状態があるわけなんですから、先ほど来のお話は、私ども聞きましても、まことにきれいごとにしか聞こえない。あなたたちの方針があるなら、末端の管理者に対してどういう程度のしかたをするのか、その方針や任務にそむいた者についてはきびしく措置をするのか、問わざるを得ないわけです。それくらいのことをやらなければ、今日そういう状態になっておるところで、大臣の御発言、御答弁にありましたような労使間の信頼関係を回復していく道なんていうものは、もうこれは何か急速に閉ざされているし、容易なことではない、こういうように考えるわけなんですが、どうでしょうか。再度お伺いします。
  248. 北雄一郎

    ○北政府委員 千葉の問題の具体的な点につきましては、恐縮でございますが、先生が千葉へ行かれまして、当該局の管理者からお答えいたしましたようなことに私も考えるわけであります。でありまするが、現に千葉局でいろいろトラブルがございますので、こういった問題につきまして、御指摘のように、また私ども考えておりますように、秩序ある明るい職場にするということが必要でございますから、現地におきまして、労使間でよく話をするように、ただいますでにもう千葉局には指導しております。そういう中で意思疎通といいますか、信頼を高めるようにつとめさせたいと思います。  それから先は言わぬほうがいいと思うのでございますが、万一あれがありましたら、その上にさらに郵政局というものもあるわけでございますから、そういうところで幾らかの話をするというようなこともよかろうということで、千葉局並びに東京郵政局には申しておるわけでございます。
  249. 木原実

    ○木原委員 話し合いというあれがございました。私どもも参りましたときに、参議院の加瀬完のほうから、そういうことであるならば、組合と意思の疎通でざっくばらんに話をして、組合のほうが申し立てていることが、あるいは組合員のほうが申し立てていることが当局側の受けとめ方と違っているとか、あるいは私ども局長さん以下から話を承ったことについてももちろん疑問があるわけでございますけれども、そういう問題ならば、ともかくまず組合と話し合って解決をしたらどうだ、こう申したわけなんですが、これについては、話し合いを拒否はいたしませんけれども、あまり乗り気でないようなお話でございましたが、その後何か一回話し合いが行なわれたということを間接に私は聞きました。ところが、話し合いの中では、これはまことに一方通行。形は話し合いですけれども、まことにそらぞらしい。次長以下の発言でいろいろ終始をしておる。取りつく島もないような形です。解決のめどを見出していこうという努力は、少なくとも当局側の中には見られないような形で簡単に終わっているんだという話を実は聞いておるわけなんです。  そういたしますと、私どもも、本来労使間の問題なんですから、やはりそれは意思疎通をして、まずお互いに誤解をしておる面があるかもわからないなら、そこを話を詰めたらどうだ、こう言っておるんですけれども、せっかく開いた話し合いというのは、そういう形で終わっておる。そうすると、もう解決のめどはないわけですね。そういう実態に実はなっているわけです。ですから、局長がおっしゃいましたように、そういう問題はできるだけ労使間で話し合いをするというならば、私は幾つかの提案があるわけです。  一つは、やはり事実関係を客観的に明らかにしてもらいたい。私どもも、こういう問題に関与した以上は、やはりあいまいに過ごせないと思うのです。たまたま千葉なら千葉の局の事例というのではないのです。先ほど来大出委員の話を聞いておりましても、ほとんど類似の行為、状態というものがあちこちに出ておるということになると、結果的には、あなたのほうの労務管理のシステムそのものについて、やはり大きな疑問と反省を求めざるを得ない、こういう観点があります。それからまた、そういう中で具体的にあらわれた千葉なら千葉の問題については、正常化するためのあなたたちの努力を見守らなければならないと思うのです。そこで、話し合いとおっしゃるならば、これは強力に指導していただいて、少なくともこの労使がテーブルに着いて、ルールにのっとって詰めた話し合いをする。誤解があればそこで誤解を解けばいいわけです。それが一つ。  もう一つは、起こっておる事態について、これはあるいは、私どものほうが一方的というあれがあるかもしれませんけれども、少なくとも、この事態をすなおに、あるいは客観的に掌握して、そして解決の道を見出していこうという努力が足りないのではないかという感じがするわけです。新聞等でもいろいろな報道が行なわれ、あるいはまたいろいろな事例がこういう場所でも出されておるわけですけれども、しかしそれについては、何か結果においてはすれ違いに終わっている。私たちが全逓側で、当局のほうとしては何かそれを防ぐのに一生懸命だ、こういうことでは、国民が望むような解決の道が見出していけないのではないか、こういう感じがするわけです。ですから、あなたたちは、使用者であると同時に、国民に対して責任を負う立場ですから、あなたのところで起こっている問題については、事をわけて、事態については当局側のほうに非があるとすれば、これをすなおに認めるような形のきちんとした調査でやるべきだと私は思います。だから千葉の局の問題については、千葉局の両当事者と、あるいはまた東京郵政なり何なりが、そのためにそれぞれの機関もあるわけですから、それぞれきちんとした人を出して問題を調査し煮詰めていく、こういう努力をやってもらいたいと思うのですが、どうですか。
  250. 北雄一郎

    ○北政府委員 千葉局の具体的な問題につきましては、先ほど話し合いをやったけれども、非常に簡単だったということでありますが、さらによく話をするようにプッシュしたいと思います。  それから、先ほどちょっと言いましたように、もし現場段階での話ということが実りがあまりありませんでした場合には、従来から六人委員会というものが郵政局と地本間にございます。だからそこへ上げさせる。そして一段上のところでみっちり調べるなり話し合いをするという方法もございますので、それらの方法を講じてよく意思疎通につとめたいと思います。  それから、管理者の姿勢といたしまして、逃げ腰ではいかぬ、防御的ではいかぬ、仰せのとおりだと思います。先ほども申し上げましたように、こういった問題については、管理者のほうで積極的に事態を切り開くという努力もすべきだというふうに思いますので、その点についても将来にわたって徹底させてまいりたいと思います。
  251. 木原実

    ○木原委員 時間の催促がまいりましたので終わりたいと思いますけれども、昔からたとえば信賞必罰ということばもある。これはたまたま労使関係の問題ですけれども、起こった問題についてはまず事態を明らかにする。たとえ労使関係で政府側が使用者の側の立場でありましても、同時に政府側というのは、労使関係を越えて国民に責任を持つという立場があるわけですから、起こりました事態については、それこそ客観的に事態を調査し掌握するという義務があると思うのです。それを行ない、その上で、かりに管理者の側に明らかに行き過ぎがあったとか、あるいは手落ちがあった、間違いがあったということになれば、それはきびしく追及していく。そうしなければ信頼関係の道が開かれません。組合に対しても同様だと思うのです。ですから、労使関係だから、あなたたちが何か身びいきになりまして、間違いのあった第一線の管理者に対しても適宜な措置しかとらないというようなことであっては、それこそまた相互不信を増殖するような形になる。だから事態を明らかにすべきこと、それから話し合いを徹底的に行なうように指導をすること、信賞必罰の立場で間違いは間違いとして正していく、こういう姿勢を要望しておきたいと思うのです。  起こっておる問題は、その局面だけをとれば、それほど大きくないという考え方も成り立つかもわかりませんけれども業務の性格から言いまして、あるいはまた起こっておる事態のさまざまな類似性から言いましても、大出委員の発言ではありませんけれども、郵政における労務管理のあり方や、あるいは労使の関係のあり方等については、これはほんとうにいま転換の道を求めていかなければどうにもならない形になる。どうにもならない形だけならいいんですけれども、その被害は結局サービスを受けている国民が受けるわけでありますから、私どもとしても、この事態をただ問題を出しただけで見ておるというわけにはまいりませんから、私どもができる範囲のことも含めて、事態の推移に注目をし、皆さん方のこれからやろうとしておることを十分に見詰めていきたいと思いますから、できるだけの措置をとるようにひとつ要望しておきたいと思います。  終わりたいと思います。
  252. 廣瀬正雄

    ○廣瀬国務大臣 御趣旨はまことにごもっともだと思います。すべて同感でございます。そういうような方針をもって労務対策の改善をはかっていきたい、こういうように考えております。事件がありますごとに深い反省をいたしまして、それぞれに誠意と信頼感をもって対処していくという方針を貫いてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  253. 坂村吉正

    ○坂村委員長代理 東中光雄君。
  254. 東中光雄

    ○東中委員 時間がおそくなっておりますので、そのものずばりお聞きしていきたいと思うのです。  私もいまの労使関係についてお聞きしたいのですが、昭和四十三年四月二十六日に出された人要訓第百四十号及び四十三年五月十一日に出された人要訓第百五十四号「新規採用職員に対する個別指導の実施について」、その訓令はいずれも生きているわけですか。生きておれば、それを出していただきたいと思うのですけれども、どうでございましょう。
  255. 廣瀬正雄

    ○廣瀬国務大臣 ただいま先生指摘の通達は、ブラザー制度、つまり世話人制度と申しておるわけでございますが、新規採用青少年、主として地方、東北とか九州あたりから東京、大阪方面に就職いたしました従業員、その従業員の定着をはかりますためにそういう制度を創設したわけでございますが、制度はできておりますけれども内容についていろいろ改善すべき点がございましたので、ことしの二月二十九日にあらためて通達を出しまして、したがって、前の分は死んだということになっております。制度は残っておりますけれども……。
  256. 東中光雄

    ○東中委員 そのことしの二月につくられた通達は出していただけますか。
  257. 北雄一郎

    ○北政府委員 お出しいたします。
  258. 東中光雄

    ○東中委員 対策経費の増額等の通知というのが出ているんではないですか。
  259. 北雄一郎

    ○北政府委員 私のところから個別に通達をしておると思います。——ちょっと待ってください。ただいま、二月二十九日の通達に基づきまして、職場リーダー制度という名前にしておりまして、職場リーダー実施のための経費通達ということで出しておると思います。
  260. 東中光雄

    ○東中委員 その通達も出してもらえますか。
  261. 北雄一郎

    ○北政府委員 お出しいたします。
  262. 坂村吉正

    ○坂村委員長代理 人事局長に申し上げます。  ちょっと声が小さくて聞こえないそうですので、前に出て答弁してください。
  263. 東中光雄

    ○東中委員 従来のいわゆるブラザー制度といいますか、職場リーダー制度ですが、これはやはり、マン・ツー・マン方式によって健全で有為な事業人、社会人を育成するという最終目的で、いま制度として現存しておるということになるのですか。
  264. 北雄一郎

    ○北政府委員 二月の新しい通達におきまして、この制度の目的は、郵便局における青少年職員に対しまして、新規採用後における職場生活及び社会生活への適応を援助することにより、その定看性の向上をはかることを目的とする、こういうふうにうたっております。
  265. 東中光雄

    ○東中委員 対象者はどうなっておりますか。
  266. 北雄一郎

    ○北政府委員 新規採用の職員でございますので、新規採用になりましてから大体一年間つける、こういうことを考えております。ただしこの制度は、先ほど大臣がおっしゃいましたように、しょせん、つまるところ、定着性の向上というところに焦点がございますので、したがいまして、東京、大阪、名古屋の都市部へ新規採用される職員というものを対象にしておるわけであります。
  267. 東中光雄

    ○東中委員 かつて大阪の中央郵便局の青少年職員指導育成対策実施要領というものがありましたが、これによりますと、対象は二十六歳未満の職員とする。ただし、必要により二十六歳以上の職員対象とすることもある、こういうことが明定されておったのですが、これは今日では、大阪中郵通達に基づいて独自につくっている規則で、その点は変わっておるとおっしゃるわけですか。
  268. 北雄一郎

    ○北政府委員 二月二十九日にこの通達が出たわけでございますから、この通達以前に各地方でつくっておりましたものはすべてその効力は失っておるわけでございます。ただ新規採用の職員でございますので、やはりある意味におきましては二十六歳以下が大部分でございましょうし、まあ例外的に中途採用者というものがございますから、例外的には二十六歳以上の者もおるかもしれませんけれども実態的にはそれはそのままだと思いますが、形といいますか、一つの示達としては効力を失っておる、こういうことだと思います。
  269. 東中光雄

    ○東中委員 いま申し上げた青少年職員指導育成対策実施要領、その後に去年の九月一日から実施された職場リーダー制度というのが大阪中郵ではあるはずですが、それは全部変えられておるということですか。
  270. 北雄一郎

    ○北政府委員 そういうことでございます。
  271. 東中光雄

    ○東中委員 この職場リーダーになる人をきめる基準は一体どういうことなんですか。
  272. 北雄一郎

    ○北政府委員 職場リーダーを選ぶ場合の基準といいますか、方針といたしましては、その仕事といいますか、役割りの性質上、新規採用職員の日常生活上のよき相談相手となるにふさわしい職員ということであります。そういたしまして、過去においていろいろこの点について物議がございましたので、特に今度の指導では、そのことのみに留意すべきであって、かりにも労働組合への加入の有無あるいは所属労働組合の別によって差別するようなことがあってはならぬということを特に強くうたっております。
  273. 東中光雄

    ○東中委員 その選定の基準ですね。大阪中郵の場合に、相当多数のいわゆるリーダー、過去の指導員ですが、いたわけですが、現在その人数はうんと減っているんですか。あるいは構成は同じじゃないのですか。
  274. 北雄一郎

    ○北政府委員 これは必ずしも常時同じではございません。新規採用者がどれくらいあるかということの見込みによりまして、リーダーの数もおのずから時によりまして増減があるわけであります。ただいま何名リーダーがおるかははっきり存じませんが、百名はこすというふうに思います。
  275. 東中光雄

    ○東中委員 これは去年の暮れだったと思いますが、大阪中郵で百九名の指導員がいた。そのうちの百名が全郵政の所属組合員で、全逓所属の組合員はわずか九名。職場における全組合員数の割合からいえば明らかに違うわけですね。全逓組合員は非常に少ない。指導員を選定する基準というのは一体どこにあるのかということをお聞きしたいのです。
  276. 北雄一郎

    ○北政府委員 御承知のように全郵政が過半数を占めておる局でございます。それにいたしましても、お示しのような数字でありますれば、所属組合の別による当該局の職員の比率と職場リーダーの数の比率は確かに違っておるわけでございます。しかし、私どもとしては、それは結果でございまして、どういう角度で選ぶかということになれば、結局、先ほど申しましたように、抽象的ではございますけれども、新しい入りたての職員のよき相談相手になれるような人間、しかもこの制度の目的が、冒頭に申し上げましたように職場生活、社会生活への適応、こういうことでありますので、そういった角度から適切な人材をつけるのだ、こういうことであります。
  277. 東中光雄

    ○東中委員 先ほど申し上げた、昨年九月一日から実施せられた職場リーダー制度の職場リーダーの役割りについてはこう書いてあります。「対象者の職務上および私生活上の良き相談相手となって」、これはいま言われたとおりですが、「仕事の手すき時間、休憩時間等職場内ではもちろん、職場外においても親密な人間関係を基盤として、つとめて接触し、適切な助言と指導を行なう」、こう書いてあるのですが、こういう役割りを当局としては期待して職場リーダー制度をいまとっておられるのかどうか。あるいはこれを変更されておるのかどうか。これは大阪中郵の関係ですけれども、いかがでしょう。
  278. 北雄一郎

    ○北政府委員 先ほど申しましたように、形としてはそれはもう失われておりますが、いまお読み聞かせいただきました限りにおいては、現在でも大体通用するように思います。
  279. 東中光雄

    ○東中委員 通用するというのは、郵政省としてそういう方針で職場リーダーをつくっておるということですね。
  280. 北雄一郎

    ○北政府委員 職場リーダー制度の目的といいますか、それは先ほど私申し上げましたように、この大阪中央郵便局でありますなら大阪中央郵便局の職場生活、それから大阪というところで住んでおるわけでありますから、そういった社会生活への適応を援助する。御承知のように、昨今なかなか職員が得がたいわけであります。せっかく部内へ就職してくれた職員が、しばらくの間に職場にいやけがさすとか、あるいは大阪という、あるいは大阪中央という、あの辺の雰囲気にいやけがさしてやめてしまうということでは困りますので、そういったことによりまして定着性の向上をはかるというところに主眼があるわけでありますから、そのためには、やはりリーダーたる者は、新規採用職員の身近な存在として日常生活上もよき相談相手になってやる。いわばインフォーマルな形で新規採用職員とコミュニケーションを持つ、こういうことを期待しているわけであります。
  281. 東中光雄

    ○東中委員 その職場リーダーは委嘱をするという形でいままでやられてきたようですが、その制度はそのままかどうか。同時に、そうした相談相手として青年職員に接するのは、これは職場リーダーの公務なのかどうか。
  282. 北雄一郎

    ○北政府委員 委嘱の問題でありますが、これはそのとおり現在でも委嘱であります。ただ従来の二月以前の通達では、その点があまりはっきりしておらなかったわけであります。そういう考え方ではあったのですが、あまり徹底はしておりませんでしたので、そこで二月からこの通達ではっきり委嘱ということにいたしまして、委嘱という意味は、任命ではないのでありまして、やってくれぬかということで、やりましょうという人にお願いするというのが委嘱であります。また使い分けしてございますが、委嘱と指名という二つのことばがございまして、ことし、たとえば百名新規採用者があるだろうと想定しました場合には、百名のリーダーをまず名ざしをしておく。指名するわけであります。そして現実に新規採用職員が入ってまいりました場合に、だれそれブラザーはだれそれ新規採用職員のブラザーになってくれ、こういうふうに頼むわけであります。これがその委嘱であります。いずれも本人の承諾が要る、こういうことでありまして、いわゆる任務ではございません。それから、その仕事が公務かどうかというととでございますが、先ほど申し上げましたようにこの仕事を、インフォーマルな仕事でございますので、お願いするという形でありますから、公務ということでもないわけでございます。
  283. 東中光雄

    ○東中委員 公務ということでもない、こうおっしゃるのですが、それでは何ですか。
  284. 北雄一郎

    ○北政府委員 結局、一定の仕事を任命されましてやるのであれば、これはもうはっきり公務であります。要するに一つの官職というものがございまして、この官職に任命されてその官職に割り当てられた仕事をやるという場合、これが純然たる公務かと思うのであります。しかしその公務のほかに、やはり局全体としてたとえば定着性の向上というのは必要な施策であります。その施策をやってもらうのに最もふさわしい人にそれをやってもらうというわけでありまして、職場リーダーというものは官職ではございませんので、その限りにおいて公務ではない。しかし局の局務運営上非常に必要な仕事に手をかしてくれるという役割りをやってもらう、こういうことであります。
  285. 東中光雄

    ○東中委員 そうすると、仕事を手伝っているというのは、定着性を確保するという局の仕事に手伝ってもらっている。公務員が、公務としてではなくて、自分のつとめておる役所のことを委嘱を受けて手伝っておる、こういう妙な制度ですね。しかも、委嘱して手伝ってもらっているのだったら対価を払うのでしょうね。払わないのですか。
  286. 北雄一郎

    ○北政府委員 確かに官職ではございませんので妙なというか、私が申し上げているような形の役割りを演じてもらっているわけであります。対価を払うかどうかということでございますが、実は対価はないということも了承の上でなってもらっております。ですからいやな方はなってもらわぬわけであります。それからまた、対価ではございませんが、実費弁償的なものは考えておるわけであります。
  287. 東中光雄

    ○東中委員 先ほど大体そういうことだと言われた「対象者の職務上および私生活上の良き相談相手となって、仕事の手すき時間、休憩時間等職場内ではもちろん、職場外においても親密な人間関係を基盤として、つとめて接触し、適切な助言と指導を行なう」、こういうことを、職場外でも休憩時間でも手すき時間でも局の仕事を手伝うということで、指導員は半公務的な形で動いている。対象にされている人は、本来自由であるべき休憩時間中、あるいは職場外のこと、これも今度は局の仕事として接触してくる人の対象にされている。これは私生活上、労働関係の基本原則ですね。休憩時間中の利用自由の原則、私生活の自由の原則、大原則です。近代的な労務関係の当然のことです。それに対する侵犯になるじゃないですか。だから公務でない、こう言われているのじゃないかというふうにいわざるを得ないのですけれども、公務としてはやれない。しかし、局の仕事の手伝いを公務員が公務でないのに時間外でやる、やられる対象者側から言うと拘束される、こういう方針が出ているわけですが、これが大臣、職場を暗くしていく一番基礎になっているのです。こういう妙な制度というのは、先ほど申し上げたここ数年前まではなかった。
  288. 廣瀬正雄

    ○廣瀬国務大臣 自由な原則には反していないと思いますことは、こういう仕事を受諾するしないも御当人の御自由でありまして、本人が好まないということであれば辞退してもちっとも差しつかえない、こういうことにいたしております。好意的に協力してくれるという気持ちでやってもらっております。  それから、こういう制度ができまして職場を暗くしておるという御指摘でございますけれども、私どもはさようには考えていないのでございまして、御承知のように、青少年の従業員の定着というものが非常にむずかしい問題に最近なっておりますわけでございますが、どうも若い者は郷愁を覚えまして、大きな都会には住みつかないというようなことがありがちでございますので、そういうことをされましては非常に事業の上に支障を来たす。せっかく応募して新しい従業員になってくれた者が間もなく退散するということになりますと、たいへんな支障を来たしますわけでございますから、そういう方につとめて定着していただいてりっぱな従業員になっていただくというようなことが事業上きわめて必要でございますから、定着ということにもっぱら主眼を置き、目的を置きましてこのような制度をつくったわけでございますが、その結果、定着の率は少しずつながらだんだん向上してきておるように考えられますわけでございます。かなり効果をあげておるものだ、こういうように思っております。若い者が都会に出てまいりましていろいろ悩みを生ずるというときに、兄貴分としていろいろな相談をする。そういうような身近な相談相手になっていろいろ指導してやるということは定着上きわめて必要と思いまして、こういうような制度を創設したのではないか、こう考えておるものであります。むしろ私は、明るい職場をこれによってつくっておるものだ、このように考えておりますわけでございます。
  289. 東中光雄

    ○東中委員 定着をさせるようにするために、勤務時間外のこと、あるいは職場外のこと、それにも、公務でない、局の方針による手伝いによって意識的に接触させるというのは、タコ部屋というのはもともとそういうところなんですね。ただ暴力をふるうかふるわぬかの違いがありますけれども。あれも定着させたいから一定のところに入れておくわけですよ。それで、逃げなければなぐらぬわけです。逃げたらなぐるのですから、思想は同じです。  しかも職場リーダーというのは、「職場リーダー活動状況報告書」というのを出すことになっておるのじゃないですか。しかもその内容は、期間中のおもな指導目標と効果があったと思われる事項を書く、指導上の着眼点を書く、その他ずいぶんこまかく様式を定めて庶務課長に報告するように大阪ではなっていますね。そうではございませんか。
  290. 北雄一郎

    ○北政府委員 報告の点につきましては、私どもは、二月の通達におきまして、実施状況の報告というものを郵政局からとるようにしております。と申しますのは、やはり、一定の経費を使って、一定の人の労務をわずらわして一つ制度をやるわけでございますから、したがってその効果測定ということは当然必要になってくる。しかしその内容につきましては、十分に気をつけて報告をとるようにいたしております。したがいまして、各郵便局が郵政局に出します報告書というものも、それを体しまして、二月二十九日以降は新たなものになっておるというふうに存じます。  それから、さきの先生の御質問で、たいへん恐縮でございますけれども、時間外などにつきまとうのはおかしいじゃないかという御指摘でございましたが、この職場リーダーというのは、大体、先ほど来申しておりますように、新規採用の若い連中のよい相談相手になる人間ということですから、相応の良識を持った人間でありますので、そういうことは万々ない。ただし御指摘のようなことも絶無とは考えられない。審査の誤りということもあり得るかと思いましたので、今度の通達を出しますときの指導といたしまして、特に勤務時間外に活動する場合におきまして、新規採用職員の意思や感情を無視して一方的な押しつけがましい行動をとってはいけないよということを指導いたしております。
  291. 東中光雄

    ○東中委員 昨年八月十日付の、大阪中央郵便局ある部ある課の指導員という肩書きつきで、名前ももちろん入っておりますけれども、一従業員の親に送った手紙があります。この手紙は、私コピーをとってきたのですが、名前は一々あげませんけれども、この手紙の内容を見ますと、たとえばこういうことが書いてあります。「私は指導員として、仕事の面、私生活、人生のなやみごと、職場の人間関係等、あらゆる面の相談相手として、〇〇様と、労苦を共に致してまいりました。現在〇〇様は、同郷の御友達と二人でアパートに下宿されていますが、何かと御不自由なさっておられるのではないかと、私が心配致し、再三郵政職員宿舎に、入寮されてはどうかと、おすすめ致してまいりましたが、同郷の御友達が良き善友であり、義理、友情もあるので、現在のまま、アパートに下宿を続けてゆきたいとの御希望でありましたので、おまかせ致しました」。だから、家のことまでいろいろ言われるのですね。長くなりますから中断いたしますが、「私に職場、私生活、下宿面等の相談に努力して、やってくれと再三指示を受けております。指導員として、〇〇様の良き相談相手としてがんばってゆきたいと思っておりますので、御安心下さいませ」と書いたそのあとで、「〇〇様が最近、組織問題で」、これは労働組合組織です。「組織問題で大へんなやんでおられる由、チョット耳にしましたので、二日前、職場でバッタリ〇〇様と面接致し、御話をききました。中央局には、共産党員が二〇名程度散在し、組織に介入し」、これは労働組合のことです。「善良な職員に、赤い思想をうえつけようとしています」。中断しますが、「上司私どもは、大変心配致しております。大変御手紙で失礼致しますが御両親さまより、至急、お手紙か何かで、〇〇指導員、上司を信頼し、共産党員の甘い言葉に、誘惑されぬよう、又現在の組織に在籍のまま、安心して仕事に精励努力されるよう注意、忠告して戴きたく御願い申し上げます。上司、指導員を兄と思い、どんななやみごとでも、信頼して相談して戴くよう御さとし下さいませ。取り急ぎ愚筆乱文にて御許し下さいませ」。男の人の名前なのに「かしこ」と書いてある。こういう文書を家庭に送っている。これは新聞にも出ましたし、知っておられると思うのですけれども、こういうことは郵政省としては指導員のやるべきだと思っていらっしゃるのか。やっちゃいかぬことをやっていると思っていらっしゃるのか。どうなんでしょう。
  292. 北雄一郎

    ○北政府委員 これは当時私ども承知をいたしました。結局この手紙はこの人個人が書いたわけであります。ほかの人はこういうふうに手紙を全然出しておらぬわけです。手紙、はがきを出しているでありましょうが、これは全くこの人の手紙であります。  内容的に見ましても、ただいま先生指摘のところ、なかんずく組織問題云々とか、それから思想が云々とかいうようなこと、これは個人としてはいろいろ言ってもいいと思うのでありますけれども、この手紙を見ますと、預かっておるといいますか、ついておる新規採用職員の父兄にあてた手紙でありますから、やはり職場リーダー活動の一環という立場でこの手紙を書いておるわけであります。そういたしますと、職場リーダーとして、組織問題だ、あるいは思想問題だということは、これは明らかに行き過ぎであるというふうに思います。したがいまして、当時こういうことはいかぬぞということを全国に徹底をさしたつもりであります。また本人につきましても、こういうことがありました以上、リーダーとしてとどめておくことが不適当だと思いましたので、職場リーダーの委嘱を解いた次第であります。
  293. 東中光雄

    ○東中委員 この手紙の中にも、上司も再三心配し、こう書いてあるのです。わざわざうそまで書くことないと思うのですよ。実際そうだったんじゃないか。  さらに、指導員になった人は記録表を書かなければいかぬということになって、どう書いたらいいかといって当時当局に聞いてみたら、こういう書き方だといって出された見本を見ると、その内容は、ほとんど組合のこと、あるいは思想傾向、そういうものが書いてある。しかもその指導員は全郵政の組合員である。こういうことになっているわけですね。  こういうことはもう表立ってはやったらいかぬ、そう言われることはきまっておるのだけれども、実際にそうやられているというところに非常に問題があるわけなんです。だから非常に暗い職場になってくるわけなんで、職場外のこと、私生活に介入していく。あるいは社会人として育成するという発想方法でこの制度がつくられたのだから、そうすると、育成ということになったら善悪の価値判断が入ってくるわけです。だから、当時の制度を見ると、いまはことばはきれいになっていますけれども、良識職員を指導員にするのだ、こう書いてあるのです。何が良識かというのは、それこそ思想によってずいぶん違ってくるわけですね。全郵政に入っている人は、全逓はだめなんだ、われわれは全郵政に入るんだ、こう思っているのですから、自分たちの考えと違う組織をつくっている人はいいとは思っていないのですね。いいとは思っていないから、自分たちのいいと思っているところに入るというふうになるわけですね、形式的に言えば。実際上はいろいろ工作されて入っていく、あるいは誘惑されて入っていく、いろいろあると思うのです。私たちは、そういうのは労働者としては良識のない人だ、こう思います。あるいは、善導するということになったら、これは戦時中にずいぶん問題になったことであります。どうしたって思想問題に入っていく、あるいは組合組織問題に入っていくという性質を持っているわけです。  だから私は、この制度というのは、きれいなことを言われても、社会人としての育成というふうなところに労務管理として目をつけたら、これはもう必然的に人権侵害の方向に行く。定着させたいのだったら、業務内容を、労働強化をなくし労働条件をよくしていくということが労働者を定着さす一番基本です。低賃金で、しかもきつい労働で抑制されたら、定着性がなくなるのはあたりまえなんです。基本はそこにあるのであって、育成とか指導とか助言とかいう教育的な仕事をこういう公務でないような形でやらすというのは、もう基本がくずれているから必ずこういう方向にいく、こう思うのですが、その点、基本的な制度の問題として大臣どうお考えになっておるか。
  294. 北雄一郎

    ○北政府委員 先生ただいま御指摘の点も、これは二月の通達で改めておる重点の一つでございます。職場リーダーに委嘱されておる職員が、個人として労働組合活動を行なうことや主義、主張を表明したりすることは、これはもとより自由であります。しかし、職場リーダーとしての立場を利用して労働組合活動を行なったり、あるいは極端なものの考え方を押しつけたりすることは、たとえ勤務時間外であっても職場リーダー制の趣旨にそぐわないものであるから、このようなことのないように配意せよということを特にまた強調いたしております。  それから、私どもも、これまた先生指摘のように、この職場リーダー制だけが定着性を向上させる施策であるとは考えておりません。御指摘のように、一番大事なものはやはり給与の問題だということは、十分に存念しておるつもりでございます。現在でも、東京都内の郵便の外務職員は耳準内賃金は五万八百円になっておりまして、相当高い金額だと考えております。その他、寮でありますとか厚生施設についても、それなりに配意をしておるつもりでございます。職場リーダー制はその一助だ、こういうふうに考えておる次第でございます。
  295. 東中光雄

    ○東中委員 個人としてということをいま言われましたけれども、職場リーダーというのは、公務じゃなくて個人としての行動だということを先ほど言われているわけでしょう。委嘱されているけれども個人としてやっているわけでしょう。個人としての職場リーダーの立場じゃなくて個人の立場ならいいのだ、人間としてそんな分け方ができますか。だから、公務か公務でないかのどっちかしかないのですよ。ところが、局の方針に従って委嘱されて、そして公務でない、手伝いでやっているのなら、その文書は局へ報告するのだとしても、これは公文書じゃないから、途中で破ったって公文書投棄にも何にもならぬわけですね。そういうことになるのですね。
  296. 北雄一郎

    ○北政府委員 個人としては労働組合活動を行なう、これは当然であります。しかし、職場リーダーとしてはいかぬ。では職場リーダーがやったらどうか。これは結局職場リーダーをやめてもらうということに尽きるのだというふうに思います。  それからただいまの御質問は、リーダー活動についての局への報告書が公文書であるかどうかということかと思いますが、何か局で様式でも指定しておればあるいは公文書かもしれませんが、適宜何か報告ということであれば、当然公文書にはならない性質のものであると存じます。そこまで実は詰めて考えてございません。
  297. 東中光雄

    ○東中委員 これは様式をきめていますよ。しかもこの様式は、わざわざ局へとりにこいというふうにいままでやっていたでしょう。職場リーダーというのは、公の立場ではないのだ、委嘱されただけだ、だから報酬も払われない、実費は払うけれどもということだったら、それを書いて持っていくというのは、これは全く個人的に、一般民間人が頼まれて、それではやってあげましょうといって送るのと同じことですね、公務じゃないわけですから。そういうことになるのじゃないですか。
  298. 北雄一郎

    ○北政府委員 大体そういうことだろうと思います。
  299. 東中光雄

    ○東中委員 大臣にお聞きしたいのですが、そういう奇妙な局の方針で、そして国家公務員というのは本来なら職務専念義務がもちろんあるわけなんで、当然のことですね。ところが、それと違うものを委嘱して、そしてしかもそれは局の方針でやっている。大阪中郵で百名以上もの人がそういうことをやる。これは制度としては非常に奇妙な制度ですね。こんなのはいままでなかったし、最近はほかの省でもあるかもしれませんけれども、いままでなかった。なぜこういう発想方法が出てきたのか。先ほど申し上げたように、個人を社会人として育成するというような観点に立って、教育、指導、助言、こういう方向は人格的な支配になります。余暇に対する支配。  あるいは寮に対しても、部課長の独身寮訪問制度というのがありますね。独身寄宿舎訪問指導、これも定期的にやられているようですけれども、これも寄宿舎の自治の自由なんという点からいえば、制度としてそんなものをやられたのでは、これははっきりした侵害になります。そういう体制というのはほんとうに改められなければいかぬと思うのですが、どうなんですか。
  300. 北雄一郎

    ○北政府委員 これはわが国でも民間であちらこちらの会社でやっておりまして、それなりに効果がございますので、それを採用したものであります。  それから独身宿舎への定期的な訪問ということでございますが、これは御承知のように、独身宿舎はまかないといいますか、食堂の設備も最近は全部整えさしておるわけでございます。したがって、相当大きな宿舎が多いのでありますが、そうなりますと、何局もの職員一つの宿舎に入っているという場合、やはりその局の管理者が、何も全員で行くわけじゃございませんが、ときには行きまして、元気でやっておるかというようなことを言うのは、これはむしろ親元を離れた自分の局の若い職員に対しては当然のことじゃなかろうかというつもりでおります。いずれにしろ、強制的にそこへ出てこいとかいうことではないわけでございます。
  301. 東中光雄

    ○東中委員 それは個人的に行くのだったらいいのですけれども制度として部課長が行っているのですよ。しかも目的は何かといったら、「人間形成の上によき糧を与え、モラルの高揚をはかり、良識ある青少年職員の育成につとめる」ためだ、こんな観点で行くということになったら、しかも行くのは、部課長の場合は公務でしょう。そうじゃないのですか。これも公務でない仕事をこういう制度としてつくっているわけですか。
  302. 北雄一郎

    ○北政府委員 これは部課長でなく局課長だと思いますが、局課長がそういうところへ行く、これはやはり先ほど言いましたような観点でありますので、その目的は何かということになれば、それをむずかしく言えば先生がおっしゃったようなことになるわけでありますが、平たく言えば先ほど私が申したようなことであります。まあ一つ制度がありますとどうしてもきれいな文句を使いますので、そのようなことになる。実態は、私が言いましたように、自分のところに親元を離れて異郷から来ておる者が大勢ほかの局の職員と一緒に独身生活をしているという場合に、たまには局課長たる者、見に行ってやれよ。行きましたら、何も各部屋を回るようではありません。そういったところには集会室というものがありますので、そこへ来たということで、そうすると来る人もあるでしょうし、寄ってこぬ人もあるでしょう。それでいろいろ雑談をしたり、ときにはお説教をするかもしれません。いやなら耳をふさげばいいしということでありまして、何もきちんとすわってどうというものではないわけであります。むしろネグレクトして全然行かぬというようなことではいかぬぞ、少なくとも年に何回ぐらいは行けよということで局課長に行かしておる、こういうものであります。
  303. 東中光雄

    ○東中委員 「モラルの高揚」なんということ、モラルなんというようなものは、高揚させるか、させないかということを、官側が考えることじゃないのですよ。個人的なものでしょう。そこへ入っていくのは、内心の自由、良心の自由とか思想の自由とかいうことが憲法で非常に詳しくいわれておるが、そこまで入っていくことになるのですよ。  それで、あなたは、ときには説教することもあるといま言われましたけれども、行くときには、相談相手になって聞くだけじゃだめだ、ちゃんと言うことは言うてこいとふうなことも、いままでに出されていますね。聞くだけじゃだめなんだという。もう時間がありませんから一々ひっぱりませんけれども、そういうのが大阪中郵段階で書かれています。  それからこれは大臣、先ほどから、なぜこんなに職場が暗くなるのかということを言われました。それで、非力だがしかし全力をあげてやるということをおっしゃったわけですけれども、私は、職場が暗くなるというのは、使用者側が、いまの場合は官側が、個人の内心の問題、あるいは私生活の問題、あるいは組合の所属の問題、ここへ介入していくようなそういう制度をつくったら、これは暗くなっていくのはあたりまえなんだ、ここが一番根本なんだというふうに思うのです。そういう点で、この制度は、これはほんとうに定着性ということを言われる。事業を推進していくという点で定着性ということを考えられるのは当然のことだと思います。しかし、それは労働条件その他のことで考えるべきことであって、労働者個人の内心に入っていくような、あるいは時間外、職場外のことに入っていくような体制というのは、これは絶対やめるべきだ。極端にいえば、全人格的な支配ということになってくるわけですよ。内心の自由まで入ってくるわけです。そう思うのですが、その点について、ひとつぜひこれはやめてもらわなければいかぬと思うのですが、大臣の御所見をお聞きしたいと思います。
  304. 廣瀬正雄

    ○廣瀬国務大臣 人事局長からたびたび御答弁申し上げておりますように、また私が先刻お答えいたしましたように、そういうような思想の自由、また組織への慫慂というようなことは絶対にあっちゃならない。厳にその点は戒めなくちゃならないということはともかくリーダー制の鉄則でございまして、その点は特に強調していかなければいけないということで、最近は特に力を入れて誤解を招かないように指導しておりますわけでございますが、またリーダー制もできまして数年になっておりますし、新入ブラザー制度はことし二月二十九日からでございますから、いわばまだ実績がそう顕著に明確に出ておるわけではございませんけれども、漸次向上しておる、定着性が高まってきておるということは、これはもう言えるわけでございます。  その実績が示しておりますわけでございますが、先生方のような御意見を承ると、何か思想の介入があったとか組織への誘導があった、そういうように事実がございましたならば、その点は改めていく、変えさせていく。実は二月二十九日にも、在来のリーダー制の欠陥とも思われるような点を是正いたしまして、そして内容を向上させてきたわけでございまして、漸次よくしていくという方針でございますが、ただいまこのブラザー制度がございますのが東京、大阪、名古屋でございまして、この三地域がこの制度がございますために特に職域が暗いというような事実はないわけでございまして、逆にこういう地域は青少年の定着が非常にむずかしゅうございますから、特に重点的にこういう地域に置いておりますわけでございます。  しかし、先生の御指摘の点は非常に重要な問題でございますから、十分体しまして、御期待にそむくようなことの絶対ないように、また御心配の御指摘がありましたようなことの絶対ないように十分気をつけてまいりたい、こういうふうに考えております。
  305. 東中光雄

    ○東中委員 質問を終わりますが、生活態度あるいは職場外のこと、あるいは先ほどの手紙にありましたアパートのこと、そういうふうなことに介入すべきではない。仕事のことについて新入社員がわからない、読んだだけではなかなかこなせないから、それは親身になって教えてあげる、聞きやすいようにしてあげる、これはわかるのですよ。ところがそうじゃない。私生活に入っていくことはやめるべきだ。私生活に入っていけば、これは必然的に、やらないと言われている思想やら組織問題に入っていく。現に入っていった例が端的にこの手紙の中に出ているわけですから、そういう点を特に制度の問題として考えてもらわないといかぬのじゃないかということを強調しておきたいわけであります。
  306. 坂村吉正

    ○坂村委員長代理 次回は、明十八日午前十時より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後八時十八分散会