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1972-05-12 第68回国会 衆議院 内閣委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年五月十二日(金曜日)    午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 伊能繁次郎君    理事 加藤 陽三君 理事 佐藤 文生君    理事 坂村 吉正君 理事 塩谷 一夫君    理事 山口 敏夫君 理事 大出  俊君    理事 伊藤惣助丸君 理事 和田 耕作君       阿部 文男君    天野 公義君       笠岡  喬君    辻  寛一君       中山 利生君    木原  実君       鈴切 康雄君    受田 新吉君       東中 光雄君  出席国務大臣         外 務 大 臣 福田 赳夫君         郵 政 大 臣 廣瀬 正雄君  出席政府委員         外務大臣官房長 鹿取 泰衛君         外務省アメリカ         局長      吉野 文六君         郵政大臣官房長 森田 行正君         郵政大臣官房電         気通信監理官  柏木 輝彦君         郵政省郵務局長 溝呂木 繁君         郵政省電波監理         局長      藤木  栄君         郵政省人事局長 北 雄一郎君         郵政省経理局長 浅見 喜作君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      金子 太郎君         大蔵省銀行局総         務課長     磯辺 律男君         郵政省貯金局次         長       滝本 哲郎君         郵政省簡易保険         局次長     東城真佐男君         日本電信電話公         社営業局長   遠藤 正介君         内閣委員会調査         室長      本田 敬信君     ――――――――――――― 委員の異動 五月十二日  辞任         補欠選任   土井たか子君     石橋 政嗣君 同日  辞任         補欠選任   石橋 政嗣君     土井たか子君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  郵政省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第九号)  在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務  する外務公務員の給与に関する法律の一部を改  正する法律案内閣提出第一三号)      ――――◇―――――
  2. 伊能繁次郎

    伊能委員長 これより会議を開きます。  郵政省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。和田耕作君。
  3. 和田耕作

    和田(耕)委員 郵政仕事はますますふえているという状況であることはよくわかるわけですけれども、それにしても定員は変わらないということになりますと、いままでの業務量が増大しておる状況と、それに対して一定人員で対処しておる対処のしかたと、この実情の問題をお聞きしたいと思いました。
  4. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 ただいま和田委員の御質問は、東京郵政分割の問題だろうと拝察いたします。形の上から申しますと、なるほど全体の定員はそうにわかにふえるというわけじゃございませんけれども、トップが二人になりますことは事実でございまして、それから二つ郵政局になりますわけでございますから、それに応じまして、よその郵政局からも配置転換をいたしまして、独立の郵政局にふさわしい人員には漸次持っていかなくちゃならぬというような考え方でございますが、いままでが御承知のように七万人の従業員を擁しておりましたものですから、管理能力と申しますか、掌握能力、そういう点から申しまして限度以上でございまして、なかなか仕事運営がうまくいかない。そして郵便物のほうも、全国には郵政局が十ございまして、十分の一程度取り扱いをやることが理想的でございますけれども郵便物に例をとりますと、全国の四割程度東京郵政局関係でございましたし、それから、いまおかげさまで郵便物配達の遅れが全くなくなってしまったわけでございますけれども遅配の多かったときは、全国遅配の六割は東京郵政局関係であったというような実態でございまして、そういうようなことでは実際仕事がうまくいくまい、成績が向上されまいというようなことを、私、痛感いたしました。  これは十年来の郵政省悲願であったわけでございまして、他の官庁あるいは政府関係機関は、いずれも東京には東京関東という二つ中枢機関を持っておりますけれども郵政省だけは、ビルドするためにはスクラップを出さなければならぬという問題もございまして、なかなか容易に悲願の達成ができなかったわけでございます。今回、幸いに政府全体も了承してくれまして、スクラップを出さずに、現業官庁であるからという特殊な事由によって二分割を認めていただいたのでありまして、こうなりますと、仕事が従来に比べましてきわめて順調に運営ができるということになろうかと思いまして、大きな期待を持っております。
  5. 和田耕作

    和田(耕)委員 特に、東京とその他の地域を含めた全関東郵便取り扱い量における比率と申しますか、ウエートと申しますか、これはどういう程度になりますか。
  6. 森田行正

    森田政府委員 昭和四十五年度の資料で申し上げますと、郵便引き受けでございますが、通常に関して申しますと、全国比率の三九・三%を占めておる次第でございます。小包では三六・五%というふうな割合になっております。
  7. 和田耕作

    和田(耕)委員 それに見合った人員比率は、どういうふうな配置になっておりますか。
  8. 森田行正

    森田政府委員 定員比率は、郵便局定員でございますが、東京郵政局定員は、全国の二四・二%を占めております。
  9. 和田耕作

    和田(耕)委員 この二分割をするという前提には、今後の取り扱い仕事の量の増加の傾向をどのように見ておられますか。
  10. 森田行正

    森田政府委員 今後のことはなかなか予測できかねますが、たとえば過去十年間の比率考えてみますと、引き受け物数におきまして、昭和三十年を一〇〇といたしました際に、東京は二八七というところに来ております。その他の郵政局の平均が、昭和三十年を一〇〇といたしました場合に、二二一というふうな数字を示しておりまして、その他のところと大体三〇%くらい東京比率が多くなるというふうな数字が出ておりますので、今後とも東京並び関東の累計しました物数は、そのようなあれでふえていくのではないかというように推測いたしております。
  11. 和田耕作

    和田(耕)委員 今後、東京あるいは関東郵政事務の増大という点から、東京人員というものは、地方に比べて比較的強く増強されていかなければならないということになると思うのですけれども、そのような配置転換のような問題がいままでスムーズにいっておるかどうかという点について……。
  12. 北雄一郎

    北政府委員 お示しの東京、なかんずく首都圏業務をやりますために人が要る、この要員の問題でございますが、やはり地元から全部その人を得るということは、非常に困難になってまいっておりますので、そのヒンターランドと申しますか、たとえば東京で申しますれば北海道、東北、信越、こういった方面から若い人たち東京へ持ってくる、こういうことにつとめておる次第でございます。したがいまして、それに伴ういろいろな宿舎でありますとかその他の施設についても、数年来、重点を置きまして配意をしているところであります。
  13. 和田耕作

    和田(耕)委員 それと関連して、定員外アルバイトを含めて、そういうふうな人員の雇用の状態についてお聞きしたい。
  14. 北雄一郎

    北政府委員 ただいま東京関東だけの数字を持っておりませんが、全国的に申しますと、大体常時一万人余りの人を雇用いたしております。
  15. 和田耕作

    和田(耕)委員 これは、東京あるいは関東地区で、地方に比べて特に多いという傾向はありますか。
  16. 北雄一郎

    北政府委員 昨今は、そういった事情はない、むしろ東京の場合は常在員と申しますか、本来の常勤職員をもって埋める、その点に力をいたしておりますので、特に非常勤職員が著しく多いということはなくなってきていると思います。
  17. 和田耕作

    和田(耕)委員 今後、いまの定員外アルバイトを含めての従業員を、定員は一応きまっているわけでしょうから、これをどんどんと活用していくというようにお考えになっておるのか。あるいは定員の問題、これは非常にむずかしい問題でしょうけれども定員増の形を、何か他の省との関係、あるいは地方との関係でやっていこうと思っておられるのか。このような人員配置の問題をどういうふうにお考えになっておられますか。
  18. 北雄一郎

    北政府委員 定員配置の問題という御質問でございますが、これはやはり業務量のあるところに定員配置するという考えでおります。したがいまして、毎年の予算要求につきましても、そういったことで積算をいたしまして、予算をお願いをいたしまして必要な定員を獲得しておる。それから、すでにおります定員、これにつきましても、その後やはり過疎、過密という問題がございます。過疎地域におきましては、業務量が減少する、あるいは業務量の伸びが非常に緩慢である。一方、過密、東京を中心とする首都など特にその最たるものでございますけれども、そういったところは業務量が増大するということでございますので、すでに既定の定員の中でも、過疎のほうから過密のほうへ定員を回すということもやっております。
  19. 和田耕作

    和田(耕)委員 今度二つ分割することについて、東京とその他の地域人員配置状況はどういうような計画になっておりますか。
  20. 北雄一郎

    北政府委員 東京関東に二分いたしました場合の配置という御質問でございますが、御案内のように、二郵政に区分いたします場合に、地域で割りつけるわけでございますから、その地域内に現在おる定員というものは、新しい東京、新しい関東定員にそのままなるわけでございまして、その点、二分することによって直ちに変動を生ずるものではございません。ただ郵政局自体は、一つの郵政局二つに分かれますので、これは、それぞれの新しい管内の業務量等をにらみまして、適当な比率でこれを分ける。あるいは、分けるだけでは人数が足りませんので、さらに充足をする、こういう形を考えております。
  21. 和田耕作

    和田(耕)委員 その場合に、足らない部分地方のほうから充足していこうというお考えなんですか。
  22. 北雄一郎

    北政府委員 本省、それから他の地方郵政局地方郵政監察局、いわゆる非現業部門と申しておりますが、こういったところから若干ずつ定員を供出させまして、そしてこの二分の事態に備えたい、こういうことで計画いたしております。
  23. 和田耕作

    和田(耕)委員 そういう問題について、組合側話し合いというか、そういうふうな問題は、もうすでにやっておられますか。
  24. 北雄一郎

    北政府委員 法案の内容につきましては、すでに組合に対して説明済みでございます。幸い本案を御可決いただきましたならば、さらに必要な事項につきまして、関係組合十分意思疎通をはかって円滑に実施してまいりたい、かように考えております。
  25. 和田耕作

    和田(耕)委員 これはいまの組合の中でも、どのようになるかということについてのいろいろな危倶もあるようですけれども、ぜひともこの問題は、配置転換等を含んだ問題ですから、十分な協議をするようにお願いしたいと思うのですけれども、こういうようなことを協議する場というのは、いまどういうふうな場がありますか。
  26. 北雄一郎

    北政府委員 特定のルールはございませんが、要するに両者話し合いをいたしまして、十分意思疎通をする、こういうことでございます。
  27. 和田耕作

    和田(耕)委員 ぜひとも、いまのこの人員配置については、早急に、具体的に組合側との話し合いを進めていただくように。そういうふうにしないと、なかなかうまく処理できない問題ですから。組合のほうでも、当局がどういうふうにお考えになっておるのか、まだはっきり承知していないという段階だと聞いておりますので、この問題については、手抜かりのないように十分考えていただきたいということを要望しておく次第でございます。
  28. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 ただいま御指摘の問題は、今度の分割、ことばをかえますれば新しい郵政局増設について、きわめて重大なポイントであろうかと思うのでございまして、法案提出につきましてはあらかじめ組合の了承を得ておりますけれども、いよいよ成立いたしまして実行するとなれば、ただいま和田委員のおっしゃっていることが非常に大きな問題になりますものですから、その辺は私、責任を持って十分御了解いただきまして、円滑に支障のないような運営に持っていきたいというふうに考えております。
  29. 和田耕作

    和田(耕)委員 次に、二月に郵便料金の大幅な値上げをしたわけですけれども、私どもは総選挙を控えていまたいへん困っておる状態なんです。これは一般の国民も、かなりの大幅な値上げなわけですから、いろいろと困っている者が多いと思うのですけれども、一体、この二月に値上げをして相当の増益、増収が出ておると思いますが、どの程度になっておりますか。
  30. 溝呂木繁

    溝呂木政府委員 今回の郵便料金値上げは、四十六年度中におきまして、まず四月に小包を上げさせていただき、それから七月に三種、四種、それから書留、速達等のいわゆる特殊取り扱い、それから先生指摘の、四十七年の二月には一種、二種の料金値上げをさせていただきまして、結局、この値上げは、郵政審議会等の答申のときに、今後三年間、四十八年度までの収支をまかなうための値上げということにしぼりまして値上げをさせていただいたわけでございます。したがいまして、私ども予定しました、そういったことによる四十六年度の増収を約四百八億ばかりに考えておりましたが、おおむね四十六年度決算においては、この程度増収を得られまして、それだけ赤字分が助かったという状況でございます。なお、この増収は、四十七年度、四十八年度にフルに私どもの収入に入ってきますので、これらにつきましては、大体四十七年度予算におきましても、八百数十億円のこの値上げによる増収を見込んでおりまして、今後四十八年度まではとにかく収支をもたせようということで、その効果はおおむね所期の目的どおりなっているというのが実情でございます。
  31. 和田耕作

    和田(耕)委員 公共料金値上げという問題いま国鉄運賃値上げの問題が審議されておるのですけれども、これは私どもは絶対に反対だし、値上げさせないようにしなければならぬと思っておるのですが、しかし、郵政のほうは値上げをしてしまったということですけれども、この問題は、値上げをすればそれに見合うようなサービス改善というものが当然目に見えてこなければならない。現在、そのサービス改善について、何か大臣として、こういうことをやりました、やろうとしておりますということがございますか。
  32. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 ただいま郵務局長からお答え申し上げましたとおり、平年度になりますと八百四十億円程度増収ということで、これでやっと郵便事業運営ができるということになるのであります。したがって、その国民の御好意に対しましてはサービスをもっておこたえするのが当然だと思うのでございまして、各方面のことを考えておりますけれども、第一に意識的に、郵便料金値上げができた、これでどうやら事業運営ができるという、その気持ち従業員が持つことになりましたことが、私は非常に効果があったと思うのでございます。ああいうような値上げを逐次やっていただいたのでありますが、最後には二月一日の一種、二種の値上げだったわけでございますけれども、そういうような意識ができましたために、昭和三十年ごろからずっと慢性的に遅配が続いておったわけでございますけれども、それが従業員の非常な意欲によって、昨年の秋ごろからだんだんなくなってまいりまして、年末には完全に遅配がなくなりました。そうしてことしの年賀郵便は、全国一通の遅配もない、完全に一〇〇%の配達ができて、戦後初めての成績だったといわれるような感謝を国民から受けたわけでございます。  その間十月二十五日には、全国郵便局に、一種と二種、つまり封書とはがきの郵便物送達日数表、これをつくるには相当長く苦心をいたしたわけでございますけれども、そういうものを発表いたしました。これは、和田先生東京から郵便物をお出しになれば、福岡には何日に届く、あるいは北海道には何日に着くというような汽車のダイヤみたいなものをつくりまして、これを各郵便局の窓口に公告いたしまして、これによって、利用者の方もはっきり送達日数が御認識いただけますとともに、従業員も、そういう日数を厳守しなければならない、絶対に守らなくちゃならぬという意欲を持っていただきましたために、さらに遅配を防ぐということに非常に大きな効果があったというように私は考えておるわけでございます。  さらに、能率に非常に関係のあります局舎、これが、大都市あるいはその周辺が非常に老朽いたしております郵便局をたくさん持っておるわけでございます。あるいは狭くなっているという局舎が非常に多いわけでございまして、そういう狭隘、老朽局舎改善ということにつきましても、昭和四十七年度は大々的に、前年度に比べますと相当多額の増額をいたしまして改善をする、従業員が快適に仕事ができるようなことに持ってまいりたいということでやっておるわけでございます。  あるいはまた、東京周辺、あるいは大阪周辺、こういう大都市付近の、最近とみに人口が増大してまいりました地域郵便物送達を迅速ならしめるというようなことで、ルートの改善等につきましてもいろいろ施策を講じたいということでやっておるわけでございます。  その他、従業員外務員宿舎整備でありますとか各方面のことをやっておるわけでございます。  なお、詳細につきましては、郵務局長から答弁させたいと思います。
  33. 和田耕作

    和田(耕)委員 郵便局の問題でも、たとえば配達等についてこの数年来いろいろと問題があった。たいへん遺憾なことだと思うのですけれども、これは昨年来非常に改善されておるというのは、国民もだいぶ認めておると思います。この点は国鉄と非常に違う点であります。国鉄の場合は、非常にけしからぬことが運賃値上げをしておるにもかかわらずひんぱつしておるわけですけれども郵便局のほうは、国鉄に比べればわりあいにそういうことをよく気を使っておられるということはわかるのですけれども、今後とも、特に郵便物が、いまおっしゃったように、ある地域から地域までは必ずある時間には配達できる、遅配なんということは起こさないということをいろいろ点検をなさって、そしてこれは何といっても労使関係間の話し合いというものが一番必要なことだと思います。そういうようなことについて、今度の料金値上げについて、労使関係で、今後、国民に対するサービスとしてしっかり抜かりのないようにやっていこうというような御指示なり話し合いをしたことがありますか。
  34. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 郵政省国鉄よりも前に、一昨年いわゆる労変闘争というきわめて深刻な激しい交渉がいろいろございまして、その苦い体験にかんがみまして、一昨年の十二月十四日に労使確認事項というものを、はっきりたいへんな多い項目にわたりましてつくりまして、ここですべて話し合いで進めていく。しかも管理者側は、さらに十歩も二十歩も百歩も相手の立場に踏み込んで、誠意と信頼感をもって労務関係に対処していく。申すまでもなく郵政事業は、機械化機械化と申しましても、きわめて限度がありますことしかできないわけでございまして、大部分は人によって運営されております面が多いわけでございますから、労務対策というものはきわめて基本的な前提となる大問題でございますから、これについては管理者は熱意をもって当たっておるつもりでございます。幸いにそういうようなことで、漸次改善されつつある、このように私は考えております。  昨年の年末闘争にいたしましても、御承知だと思いますけれども、十二月五日に妥結を見まして、そのために、それまで相当出ておりました遅配の問題、さらに輪をかけてことしの年賀郵便はきわめて円滑にいったというようなこともありましたわけでございますから、御指摘の点は、一昨年の暮れからきわめて綿密な話し合いもいたし、それに基づきまして、いろいろな問題についても、郵政省段階あるいは地方郵政局段階で六人委員会というようなものまでつくりまして、そして管理者組合双方三名ずつの参画を願っていろいろな問題についてここで解決をしていく。昨年の年末にいたしましても、全国を通じまして一千件くらいの労使間の問題があったのでございますけれども、この六人委員会でほとんどすべて解決しまして、一千件のうち五、六十件しか残らない。これは本省で取り上げてさらに検討するというようなことで、おかげさまで非常に円滑にやっておりますし、また、先刻人事局長が申しましたように、地方から新規者をたくさん採用していかなければならないということが多いものですから、そういう遠隔の地、あるいは北海道あるいは九州あたりから参りましたせっかく志を立てて郵政省に入った青少年に、ぜひ郵政事業に定着していただきたいということで世話人制度なんかつくりまして、ブラザー制度と申しておりますけれども、これは決して不当労働行為なんかに類する心配のあるものであってはならないということを十分戒めてやっておりますけれども、定着ということを念願いたしまして、そういうことをやっております。  それから宿舎のことにつきましても、おそらく私は他省に比べて模範的な宿舎整備をしておるのではないかと考えておりますが、そういうような各種の方法によって労務対策には力を入れていきたい。私はその点は特に強調いたしておりまして、人あっての郵政事業でございますから、労務関係においていろいろ遺憾な点が多いということになりますと、事業運営に非常に大きな支障々来たすわけでございますから、その点は十分今後も配慮してまいりたい、力を注いでまいりたい、このような考えでございます。  なお、料金値上げについて、サービス向上ができたかということについてさっき御答弁いたしましたが、ちょっと漏れておりましたことがございますから追加いたしますが、郵便局増設、ポストの増設、こういうようなことについても相当思い切って行ないまして、公衆の利便が増進できたというようなこともつけ加えて申し上げておきます。
  35. 和田耕作

    和田(耕)委員 特にこの際大臣に申し上げたいことは、公共料金の問題について私どもは、ある一定期間ストップをさして、単にストップしておるのではなくて、その期間にできるだけの対策を講じていく。その対策の中にはサービスの問題も当然入ってくるというふうに考えておるわけですけれども、このごろ、医療の問題でも、たとえば国がお金を出しても、いい医者ができて、そしてわれわれの健康を安心してまかせられるような医者ができれば、医療費をもっと払ってもいいというふうな気持ち国民が多いと思うのです。ところがいまの状態では、国が金を出せば出すほど薬売りみたいな医者になるし、ふろしき一ぱいなほど、迷惑なほど薬をもろうたりというようなことでは、これは値上げのあれに値しない。いまの国鉄の問題についてもそういう問題があると思うのですけれども、ぜひとも郵政は範を示して、値上げをすればそれに見合った充実したサービスが受けられるということをぜひとも立証してもらわなければならない。そういうふうなことになれば、国民は、こういういろいろ物価が上がっているときですから、物価問題全体としての解決は別として、値上げをなさってもこれはしようがないなという感じを持つと思うのです。いまのところ、値上げをした前後の郵政のほうは、私は完全じゃないと思うが、相当やっているという評価をしております。おりますけれども、今後とも、この問題については労使でよく忌憚なく話をし合って、やはり国民のためのものですから、それについては抜かりのないように、労使関係を円滑に、しかも十分な話し合いのもとで、今後、わけのわからぬ遅配があったりというようなことのないように――これは、賃金の引き上げというのは大事なことですから、当然労働者の権利としてもやるべきことですけれども、わけのわからないような形でこの問題が処理されないように、特にこれは当局として身をもって示すことが大事なことなんです。そうしないと、こういう労使関係なんというものはうまくいかないということです。特に今年の料金値上げを契機にして、これはそういういろいろな意味で大きな切りかえどきに来ているわけです。もっと責任体制をとって運営されるように希望しておきたいと思います。  それからもう一つ、今度話題を呼んだ問題に、いわゆる庶民金融を郵便局が始めたという問題なんですけれども大臣、いま不時のお金が要る場合に十万円くらいの金では何ともならないというのが一般の感じじゃないかと思う。郵政省の最初の三十万円というのはいま一つの単位だと思うのです。せっかくいいことをお始めになったのに、簡単に大蔵省の軍門に下って十万円まで引き下げたというのはどういうお考えですか。
  36. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 いわゆる庶民金融、正確に申しますと郵便貯金の預金者貸し付けということになりますわけでございますが、これにつきまして御鞭撻をいただきましたことを、まことにありがたく御札申し上げる次第でございますが、ただ遺憾なことは、今度の国会中に、これは郵政省が主体でございますけれども関係省庁の御了解をいただきまして、最も関係の深いのは大蔵省でございますが、郵政省のほうから政府提案で出したいという考えで進んでおったのでございますけれども、なかなか大蔵省の理解をいただけないというような状態がずっと今日まで続いておりますわけでございます。幸いに野党各党でも、これをやるべきだというようなことで御激励いただいたりしておりますことを感謝いたしているわけでございますが、自民党のほうでも、政府がもたもたしておれば議員提案で出そうじゃないかというようなことで、これも通信部会が中心となりまして、幸いに党内に衆参両方にたいへんな共鳴者が多うございまして、衆参合わせまして自民党の過半数――半分というのが二百十七名程度でございますけれども、三百名近い者が大いにやるべきだといって推進議員連盟なんかつくっていただきまして、きのうはその大会までやっていただきまして、そして政調会にも審議をお願いいたしまして、たしかきのう政調会長預かり、庶民金融の道を開くということで、まだ大蔵省の主張もあるものですから、そういうことを勘案しながら道だけは開くということを決定した。その方向で政調会長が何らかの調整をしてくれるというようなことになったようでございます。政府みずからの手によって提案ができないという現在の状態については、私も私の微力について非常に恥ずかしく申しわけないと思っておるわけでございます。幸いに与野党の御協力によって、そういうような議員提案で成立しまして道が開けるということになれば、私は実質上はそれでけっこうだと思うわけでございます。  そこで、いま御指摘の貸し付け限度の問題でございますが、これは最初郵政省は三十万円と考えておったことは御承知のとおりでございますけれども、党のほうでもいろいろ御考究くださって、一人の金額を三十万円ということにするよりも、もう少し金額を下げて口数を多くしたほうがよかろう。これはおのずから全体の原資に限度があることなものですから。私どもは財投には全然関係がないと思っております。財投の全体の三割八分を郵便貯金で背負っておるわけでございます。御承知のように、郵便貯金は預かった金は全部財投に持ってまいるわけでございまして、それが全体の三割八分ということになっておるようでございますが、金額で申しますと、大体二兆円程度郵便局から大蔵省に預託することになっております。しかし、この郵便局の預金者貸し付けをしなければ、いまお話にございましたように、生活の不時の出費のために郵便貯金を引き出す。途中で引き出しますと、その人は、利率から申しますと、せっかく長年積んでおりましても、その利率がだんだん逓増していくというメリットがなくなるわけでございますから、引き出すことはやめなさい、そのかわりお立てかえいたしますよというのが郵便局の庶民金融の起こりなんでございます。でございますから、この制度がなければ郵便貯金を引き出す。引き出すのは御本人も損でございますけれども、それだけ財投資金が減るということになります。それで、引き出すことはやめなさい、そのかわりお立てかえしますよといって金を出すわけでございますから、これはプラスマイナス財投には全然関係がない。そういう制度がなければ預金しているものを引き出すということになるわけでございますから、財投には全然関係がない。むしろ考え方によりましては、こういう制度があるために郵便貯金がふえるということも、これはさして期待できないかもしれませんが、あり得ると思います。そういたしますと、むしろ財投がふえるということになるのじゃないかと思います。大蔵省はこまかく言っておりますが、私は当たらないと思っております。  しかし、庶民貸し付けでございますから、やはり全国限度というものはある程度つくっておかないと、いかにも郵便局が金融機関そのもののように思われてはぐあいが悪いわけでございますから、それでさしあたり三十万円ということを考えたのですけれども、党のほうでは、十万円にしておのずから限度がある。いまの限度は一千億程度考えておりますが、一千億ということになれば、二兆円のわずかに五分でございます。しかしこの五分も、一千億程度を貸さないと預金の引き出しがあるわけでございますから、金額がそれだけ減るわけでございますから、財投には全然関係がないと考えておりますが、一応限度としては一千億でございますので、一人三十万円ということでなくて十万円にすればそれだけ数多く貸せる。  御承知のように、全国郵便局が約二万ございますから、それで二万の郵便局が一カ月十万円で六カ月ということにしておきますと、計算上のことはあとで詳しくお話し申し上げますけれども、一人当たり十万円ということにしておっても、平均は五万円ぐらいじゃなかろうか。それから期限も、六カ月ということにしても、平均としては三カ月ぐらいにはお返しになるのではなかろうかということで計算いたしますと、一千億あればかなりたくさんの方、郵便局で一カ月平均三十日貸せるようなことになるようでございますから、そういう計算に基づいて十万円という数字を党のほうではお出しになりまして、これがいま審議が進んでおるわけでございますが、野党のほうはその内容について多少見解を異にするようでございますけれども、十万円で発足いたしまして、私はきっと庶民から喜ばれると思っておりますが、その成果を見てだんだん改善していくという手もあろうかと思いますので、とにかく最初といたしましてはこの道が開かれればいい。これは、郵便局といたしましては、郵政省といたしましては、まさに画期的な改革でございますから、道が開かれればいいということで期待を持っております。しかし、いま先生のおっしゃることも、私どもは非常によくわかるわけでございます。さしあたりそういうことでしんぼうしていこうということに、政府のほうも党の方針も臨んでおるというかっこうでございます。
  37. 和田耕作

    和田(耕)委員 これは国民、特に庶民がいまの市中銀行あるいはその他の金融機関から十分融資の恩恵を受けておれば別ですけれども、それはほとんどもうサボっておるというのが実情ですね。しかもこの金は全く庶民の金だし、定額の貯金を引き当てにして貸し出すというわけですね。大蔵省から別段一時借りるわけでもないんだし、大蔵省はこの金をもって財投の一番大きな資金にしているということですから、こういう問題は、そういう原点から考えてみて、もっと強硬に突っ張っていかなければならぬ問題だというふうに私は思うのです。これは、市中の金融機関が困るということもありますけれども、その困るという人たちは、正しいことをやっている、つまり庶民の困難な金融をしておってそういうことを言えば理屈はあるのですけれども、自分のもうけが減るようなことだからこういう大事なことをチェックする、その代弁を大蔵省がするというに至っては、これは大蔵省はけしからぬ話だと私は思うのですね。そういう点で、大臣のほうの発意は正しいことを言っているわけですから、何も大蔵省に金をもらうわけでもないんですから、その問題については強硬に突っ張ってもらいたいと私は思うのです。  それと関連して、きのうの新聞ですか、定額の利子を引き下げるような動きがあるという報道がありますけれども、その動きはありますか。
  38. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 党の政調会長が預かって調整しようというような動きがあることは、さっきお話を申し上げたとおりでありますけれども、その直前の自民党の政策審議会で、議員の中に大蔵省サイドの議員がおりますわけでございまして、そういう方から、かねがね大蔵省が政府間の折衝の場におきましても言っておりましたように、金融の一元化ということで近く公定歩合の重ねての引き下げをやる、その際は、前回郵政大臣が、郵便貯金の金利は引き下げないということでがんばったことが許されないぞ、たいへん深刻な現在の日本の経済状態だから、郵便貯金も――郵便貯金というのは、御承知のように郵政大臣がすべて管理しておるわけでございますから、利率の問題については何も大蔵大臣の了承を得る必要はないわけです。ただ貯金の利率を上げたり下げたりする場合は政令によってやるわけであります。政令ということになれば閣議の了承を得なければならぬわけですから、その段階で大蔵大臣の発言の機会があるわけですけれども、たてまえは郵政大臣にすべてまかされております。それで、今度はぜひ同調してくれという声が大蔵省にあることもよく存じておったのでございますが、昨日の自民党の政調会でも、大蔵省サイドの議員が強くそういう発言をしたそうでございます。  ところが私は、銀行預金と郵便貯金というものは性質が違うものだと思っておるのでございます。銀行預金は大部分と申して差しつかえないと思いますが、短期に例をとりますと七割まで、長期を入れましても五割までは会社、法人の預金でございます。しかも預託の期間が、これは短期の場合でございますけれども、〇・四カ月なんという非常に短い期間しか預託をしていない。ところが郵便貯金のほうは、九割九分六厘まで、国民一人一人のきわめて零細な、いま先生の御指摘になりました庶民の汗とあぶらの結晶の預金でございまして、その集積が郵便貯金となっておるわけでございますけれども、いわば郵便貯金というのは、国民の、しかも庶民の生活資金でございます。また、立場をかえて申しますれば、消費者の貯金でございます。銀行預金のほうは、産業資金であるわけでございますから、公定歩合の引き下げに伴って、産業を振興させるために、景気をつけるために貯金の利率を下げてくれというような問題は、産業資金である銀行預金については言えることだと思いますけれども国民の生活資金、消費者の生活資金の郵便貯金は、いまのように、消費者物価がどんどん高騰しております時世において、その消費者物価の値上がりに追いつかないような郵便貯金の現在の利率でございますから、これからまたさらに銀行預金に調子を合わせて利率を下げるということになりますと、国民はますます絶望感におちいる。そうすると、金は持っておっても、預けておってもだめだ、もう使ってしまえというようなことで、これがまた消費者物価の高騰を刺激するということになりはせぬかと思っております。そういうことで、いままで私は、絶対に引き下げないということでがんばってまいっておりますが、現在におきましても、その私の信念は変わっておりません。  それで、政調会長がどういうごあっせんをなさるか存じませんけれども、庶民金融の道を開いてやるその交換条件として、取引として、郵便貯金の利率を引き下げるべきだということを要請されましても、私はお断わりしょう、こういうように現在のところ考えております。これが私の現在の心境でございます。
  39. 和田耕作

    和田(耕)委員 それは非常に当然のお考えだと私は思うのです。今度政府は、五・五%の物価の値上げでとどめたいというわけですけれども、御案内のとおり、こういうものでとどまることはできません。私は物価の問題を五年やっておりますけれども、必ず六%をこしていくと思うのです。こういうふうな際でもあり、おっしゃるとおり、普通の銀行が扱うような資金と性質の違うものですね。こういうことで、定額の利子、五・七五ですか、何ぼかよくわからぬけれども、それを引き下げるなんということは、絶対にやってはいけないと私は思うのです。これをやってなお、三十万円の貸し付けを十万円にするなんということになると、何をやっているかわからないということにもなるわけです。これは結局国民の貯蓄意欲というものをばかにする話なんです。ぜひともこの点は、私が大臣である間はやらせないというふうに御発言できぬでしょうか。
  40. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 私の郵便貯金に対する信念はただいま申したとおりでございますが、政調会長がどういう態度でどういうことをおっしゃってくるかわからないわけでございまして、それを前提としてさらによく勉強してみなくてはならぬと思っておりますが、おそらく和田先生の所属になっております民社党あたりは、いま先生が申されましたような御意見ではなかろうかと思います。また、きょう昼からは、社会党の政審会長が私に面会を求めておりますので、お目にかかりたいと思っておりますけれども、同様な御意見が出るのではないかと思っております。政調会長はきのう沖繩に飛んでおりますから、会うのは来週になるかと思いますが、その間一生懸命皆さん方のお考えを聞き、私は郵便貯金のことは知っておりますが、経済全体の様子がよくわからないものでございますから、そういう経済全体の中における郵便貯金のあり方というものについてもう少し勉強する必要があると思いますので、きょうの和田先生の御意見も、私にとりまして非常に貴重な御意見だと思って拝聴したわけでございます。なお、各新聞社の論説員の御意見とか学者先生の御意見をかというようなものをたくさん承って、それをしんしゃくいたしまして最後の信念を固めたいと思っておりますが、現在のところ、私の信念は変わっていないということははっきり申し上げられると思います。
  41. 和田耕作

    和田(耕)委員 とにかく現在のところは、郵政大臣としては、定額貯金の利子の引き下げについては、それをやらせないという決意だというふうに了解してよろしゅうございますね。これは当然のことですよ、大臣。もう任期もそう長くないということもあると思いますけれども、それくらいの決意は責任の担当大臣としては表明すべきだと思うのですね。それはやらせないというふうに承っていいですね。どうですか。
  42. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 金利の問題について、先生が冒頭に、昨日の新聞にこういうことが載っておったがというおことばがございましたけれども、そのような事実は全くございません。あれは新聞の誤報でございまして、まだ取引も協議も始めておるわけではございませんので、さような考えは現在のところ全然持っておりません。いま先生のおっしゃったことは、私に対する非常にありがたい御忠告だと拝承いたしております。
  43. 和田耕作

    和田(耕)委員 大臣はやらせない決意であるというふうに受け取ってよろしゅうございますね。  では、これで終わります。
  44. 伊能繁次郎

    伊能委員長 伊藤惣助丸君。
  45. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 庶民金融について、いまも少し話を聞いておりました。私は非常にいいことだと思っているのです。新聞紙上で見ましたけれども、ただ、その庶民金融について、大蔵省かどこかわかりませんけれども、そういう制度はつくるけれども、ある一定のワクでしばろうというような動きがあるように思えてならないわけです。そこでまず伺いますけれども、庶民金融問題について経過的な説明を私は聞いているわけですが、最初に郵政省の中でこれを省令でもってきめようとしたわけですね。そのときの原案、これはどのようなものであったか。
  46. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 いま伊藤先生のお尋ねの件は、貯金の振替払いの口座をもう少し広げていくという問題じゃないですか。――それじゃ、ちょっとこちらのほうから御説明いたします。
  47. 滝本哲郎

    ○滝本説明員 お答えいたします。  庶民金融の問題につきましては、先生の御指摘のような省令をもってきめるという考え方はございませんで、当初から法律を改正していく方向で考えておりました。先生が省令でもって措置するとおっしゃられるのは、先ほど来ちょっとお触れになりましたように、郵便振替の取り扱い範囲の拡大につきましては省令をもってやれるという問題がございました。その辺の話がちょっとあったと思います。  なお、法律でもって私どものほうが庶民金融をやりたいということで考えました案は、預金者一人につき三十万円の範囲内、資金総ワクは二百億円の範囲内、それから貸し付け期間は六カ月を限度とする、大体そういうような条件で考えたわけでございます。
  48. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 要するに、原案と最後の庶民金融として構想がまとまった結果と、だいぶ違ってきているわけですね。いまもお話を聞きましたけれども、最初は一口三十万円、それが最後にまとまったときには十万円になった。いまあなた、二百億と言ったけれども、二千億の間違いじゃないですか。
  49. 滝本哲郎

    ○滝本説明員 当初の原案は二百億でございます。
  50. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 それで私は、この問題、郵便貯金をしている方々からもいろいろ考えを聞きました。十万円というのは非常に少ないということです。それで、そのワクが一千億というふうにいわれているのですけれども、これは何を根拠にこういうことを考えたのですか。
  51. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 さっきの省令の問題は次長からお答えしたとおりでございますが、ちょうど時を同じくいたしまして、省令でも出しまして郵便振替の口座をもう少し広げようというようなことにしようかと思ったのですけれども、それはやめまして、新規の庶民金融ということで打ち出したわけでございまして、普通の方はちょっとそこで混淆されたということはごもっともだと思いますが、全然別個の考えでございました。その口座の問題は全然現在は進んでおらないわけでございますが、庶民金融につきましては、さっき次長から郵政省考えについての当初の構想は御説明したわけでございますけれども、その後、党のほうでいろいろ意見が出ましたことはさっきお答えしたとおりでございますが、郵便局の数が全国で約二万あるわけでございまして、一局当たり平均月に三十件の取り扱い、貸し出しをするということになりますと二百万件、平均の貸し付けの金額が十万円を限度といたしましても、実際借りますのは平均五万円程度ではなかろうかと思っております。これはただいま簡易保険の加入者の契約者個人貸し付けというのを五十年ばかり前から郵便局でやっておりますが、そういう実績から見まして、大体五万円程度ではなかろうかというふうに考えております。そうしまして、貸し付ける期間は六カ月といたしておるわけでございますけれども、平均ということになれば、さっきも私お答えしましたように、三カ月程度ではなかろうかというようなことが予想されるわけでございます。そういたしますと、必要な資金は総額一千億程度でよろしいというふうに考えておるわけでございます。  郵政省が当初考えておりましたことは、ただいま先生から御指摘のとおりでございますが、そうだということになれば、一口三十万円まで広げまして、そして総額を二百億円といたしましても、二百億円ということになれば、期間を半年ということにいたしますと、大体一年に、これはいろいろ大数計算をするようでございますが、四回くらいは回転するそうでございまして、二百億円が四回回転をすれば八百億円になる。八百億円ということになれば、三十万円を最高限度にしておっても、実績平均がかなり下がってくる。それで、全国に二万局ございましても、かなり貸し付け口数が多く出せると思っておりましたけれども、しかし、限度を二百億円ということにいたしておきますと、せっかく貸してくれといって預金者が通帳を持っておいでになりましても、もう全国限度に達しましたから、マキシマムに達しましたので貸し出しできませんといってお断わりするなんというのはたいへん気の毒だということを考えておりましたところが、幸い一千億という声が出まして、これであるならばかなり潤沢に数多く貸し付けができるというようなことに考えておるわけでございます。
  52. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 最初の、三十万円くらいを限界として二百億という原案について、私は考え方の基準についておかしいように思ったわけですよ。いまも大臣から聞きましたけれども、どういう人を想定してこういうことを考えたのかと思うのですね。   〔委員長退席、塩谷委員長代理着席〕 たとえば最近サラリーマン金融なんてずいぶんありますね。それで、ボーナス月に返すからというのでずいぶん借りますよ。でも、その実態を聞いてみますと、なかなか返し切れないというのです。それで半年間というけれども、ボーナスを日当てにやるわけですが、それは郵政省あたりはボーナスを三回ぐらいもらっているらしいですが、ほかの一般会社は、一回であるとかあるいは二回、しかもそのときの景気によっては非常に低い場合がある。たとえば家を借りる場合、また契約が切れて新しくほかの家を借りるために頭金とか敷金を入れる場合、やはり少なくとも二十万円から三十万円かかりますよ。そうしますと、先ほど大臣の答弁もありましたように、これは庶民に対しての金融だ。だから、庶民がどういうことに使うかと言いますと、月賦で物を買ったり、あるいは車を買ったり、あるいは家の敷金であるとか、または新しく借りる場合の礼金とか権利金とか、こういうことが非常に多いのではないかと思うのです。私は原案の三十万円くらいはなるほどとは思うのですが、庶民金融という名前をつけて一般の庶民に対して貸し出しをするならば、やはり貸し出しワクだって、半年でなくて少なくとも一年間。しかも四回転を考えるなんということは、何を根拠に大臣、判断されたのか、私はちょっと理解に苦しみます。そんなのだったら、借りたらすぐ返さなければいかぬ。しかも月給ではそんなことはとてもできませんよ。制度はできたけれども利用はできない。しようがないですよ、そんなことでは。だから、四回転できるというのは、どういうところに根拠を置いたのか。
  53. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 私が四回転と申しましたのは、貸し出しの期限を六カ月といたしましても、実際はその期限の六カ月を待たずして返してくれる人もかなりあるだろうというので、六カ月という限度を設けておけば、実際は比較的短い期間の利用をするということで、三カ月とか四カ月したら返してくる。これは何か大数計算の根拠があるのだそうでございますが、半年という期限をつけておりますようなものは、大体一年四回転するような計算になるそうで、つまり、三カ月の期限でしか貸さないという意味でなくて、実勢がそういうことになるのだという何か根拠があるそうです。この辺は私どうもわかりませんけれども、こちらにくろうとがおりますから……。
  54. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 それに加えて、どういうことを想定してそういうことを考えておるか、明確にしてください。私、いま聞いていて、ちょっと神経がおかしいと思うのです。こんな短いことで四回転と考えて八百億。それを二百億加えて一千億というのはいいだろうというのは、これは日本の国のどういうレベルを対象に考えているのです。
  55. 滝本哲郎

    ○滝本説明員 お答えいたします。  対象の主体は、先ほど先生が御指摘になりました、通称サラ金と申しますが、サラリーマン金融などで非常に問題になっておりますサラリーマンを対象にいたしております。主体はサラリーマンでございますが、郵便貯金は全国民を対象としております。全国津々浦々に郵便局がございまして、そして国民の中小所得層を対象に主として備蓄機関として貯金をしていただいております。したがいまして、その人たちをすべて対象とする。その対象というものは、包括的に申しますと中小所得層であります。それから主体はやはり都市のサラリーマン、こういうぐあいに考えております。
  56. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 主体はサラリーマンで、先ほど申しましたように、一口が十万円でなくて五万円程度だろうというようなことを言っておられますね。そういうことも私ちょっと理解に苦しむわけです。  私もだいぶ前ですけれども、区会議員をやったことがあります。そのときの生業資金が五万円。一般の庶民金融ともいうようなものが地方自治体にありますね。それが現在十万円から十五万円。ある区によっては二十万円。それでもどうにもならないといわれているときに、十万円といっても五万円程度が平身だろうとか、一年に四回ぐらい回転できるだろうとか、中小所得層だって、中小企業、事業主ではなくて、そこにつとめる方々だろうと思いますよ。ボーナスなんというものは、出るところもあるし出ないところもある。そのときの景気によってはもらえないときだってある。そんな半年間と言われても、ちょっと私は無理じゃないかと思うのです。ほんとうに正確に分析をしてやったものかどうか。何を基準に、どんなものを分析して、いつの年度のものを対象にこれはやったわけですか。
  57. 滝本哲郎

    ○滝本説明員 四十五年度の所得分析を対象にいたしました。  それから先ほど御指摘の、十万円というのは少な過ぎるというお話でございますが、実はあくまでも生活資金というもので見た場合に、サラリーマン金融の平均が四十五年度で大体四万円から五万円のようでございます。それから私どものほうでやっております簡易生命保険の一件当たりの貸し付け平均額が四十五年度で三万円でございます。これらを参考にいたしまして、大体その辺が、いま中小所得層の借りる金額の平均だろう。そうすると、それの倍ぐらいの金額、十万円というのが生活資金の限度だ。これは、先ほど大臣もおっしゃられましたように、党のほうからのお話であります。
  58. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 いま、非常にいろいろなものが、ものによっては下がっているものもありますけれども、御存じのように、物価指数は年々六%以上上がっている。しかもその物価指数の場合だって、考えてみれば、大根であるとか、非常に値上げの激しいようなものははずして物価指数を出している。物価指数自体だって私は実はおかしいと思う。ほんとうは実質的にはもっと上がっている。だけれども、上がらないものの平均をとって六%、七%と言っているわけでしょう。それも、四十五年から見た場合には、六年、七年と来ているわけですよ。四十五年度を根拠に置くことも一つは私はおかしいと思う。  それから、さっきも言ったように、ほんとうは返す見込みがないから、借りたくても借りられないのです。サラリーマンの中小所得層の方々がお金が要るときは、家を買われるときですよ。あるいはまた何かを月賦で買うときですよ。それを半年という間で返すことは非常にむずかしいというのが現実の問題ですよ。私も、この質問をするので、実はゆうべ、十数人のサラリーマンや中小企業の方々に、こういう問題についていろいろ聞いた。こういう制度をつくったことはいいけれども、とてもじゃないですけれども借り切れない。あるいはまた、そう言われても、とてもじゃないですけれどもそんな短期間で返すのはむずかしい、こういうことをほとんどの人が言っておりました。  そこで大臣、私はいろいろ質問がありますけれども、この問題について、将来物価がどんどん上がっていくのですから、十万円というワクで現在まとめようとして、ほんの小さく制度をつくったわけですよ。しかし、子供じゃないけれども、いい子は小さくつくって大きく育てるというたとえがありますけれども、やはりこの制度は国民が歓迎しておりますよ。だから、現在十万円であっても、将来は三十万円くらいあるいは五十万円ぐらい、あるいはそのときの物価指数によっては百万円ぐらいと、これは将来の問題として、一つの制度をつくって、これを押えるというのではなくて、当然今後は前向きにやるべきではないか。しかもこの半年間という期間も一年というくらいのものにすれば、半年分やってまた半年分やるよりも、業務は一年に一回で済むわけですから楽なわけですよ。そういう面から言っても、今回はこうであっても、将来は三十万円、それから一年くらい、こういう考えが当然庶民の中の希望としてあるわけですよ。大臣、それについてどう思いますか。
  59. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 御指摘のとおりでございまして、とにかく、ことしそういうような制度を新しくつくるということが大問題であったわけでありますから、それでささやかなもので発足いたしまして、将来、庶民にいかに郵便貯金の貸し付けというものを喜んで利用していただけるかというその利用状況、あるいはまた経済社会の推移の状況、これによりまして庶民のために内容を改善していくという意図は十分持っております。こういうことをはっきり申し上げておきます。
  60. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 将来はそういう改善をしていくという大臣のことばは、政府も聞いておったからよくそのことを真剣に検討して、ぜひとも進めていただきたいと思うのですよ。  私、最近の委員会で思うことは、皆さんそのうちやめられていくということがありますので、張り合いがないのです。大臣がそう言っても、すぐまた新しい大臣が生まれてくるということでうやむやになってしまうということがありますので、大臣、この点については非常に積極的におっしゃっておりますから、ぜひそういうことを政府のお役人の方々にもしっかり受け継いでいっていただきたいと私は思います。  それで、さっきの郵便貯金の利下げの問題です。この利下げの問題について大蔵省との間に何か問題がありそうな気がするのです。郵政大臣は大蔵省から何も言われていない。この庶民金融を認めてもらうには大蔵省に対して郵政大臣がいろいろなことを言ったんじゃないか、こういう疑いを持たれた記事が新聞にずっと出ておりましたね。その点いかがなんですか。
  61. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 きのう、きょうの新聞に御指摘のような事実がありそうなことが報道されておりますけれども、全くそういうことはございません。そういう問題については、全然大蔵省と具体的に折衝していないわけですから、この郵便貯金の預金者貸し付けの制度を開きますために、取引として郵便貯金の金利引き下げに賛成するというようなことは、私は現在毛頭考えていないわけであります。この点ははっきり申し上げておきます。
  62. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 それで郵便貯金は、集めたら全部すぐ政府の運用部資金として使われるわけですね。これがどこに使われるかは、別に色がついていないからわかりませんね。先ほど大臣の答弁によりますと、三割八分ですか、これが郵便貯金である。これが運用部資金に入っているわけですね。その金額はどのくらいあるのですか。
  63. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 運用部資金ではなくて、財投資金の三割八分ということになっておるようでございますが、金額にいたしまして、毎年とにかく郵便貯金の全部を大蔵省に預託するわけでございますから、毎年金額は違いますけれども、一兆数千億、大体二兆円程度というように考えてさしつかえないんじゃないか、このように思っております。二兆円まではなった例はいままでございませんけれども、あるいはことしは二兆円程度に達するんじゃないかと思っておりますが、一兆六、七千億……。
  64. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 けたが違うんじゃないの、いま言っているのは。
  65. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 郵便貯金の財投に預託する金でしょう。それが一兆六、七千億なんです。大体私どもは二兆円と考えておりますけれども
  66. 滝本哲郎

    ○滝本説明員 数字を申し上げます。四十六年度一年間で、郵便貯金で財政投融資として拠出いたしました貯金の金額が、決算でございますが、一兆八千億余りございます。
  67. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 これは一年間の集めたものですね。
  68. 滝本哲郎

    ○滝本説明員 そうでございます。
  69. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 そうじゃなくて、いままで郵便貯金あるいは定期すべて集めてあるわけですよね。その総額は幾らか聞いておるわけですよ。
  70. 滝本哲郎

    ○滝本説明員 四十六年度末で約九兆五千億であります。
  71. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 そうしますと、大蔵省の資金運用部ですか、そこで財投として使っているわけですね。その財投として使っているうちから一千億円だけは今度はこの貸し付けをやるんだということなんでしょう。そうですね。
  72. 滝本哲郎

    ○滝本説明員 そのとおりでございます。
  73. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 ちょっと待ってください。そこに誤解があっちゃたいへんなんですよ。そういう意味じゃございません。いわゆる庶民金融、預金者貸し付けをやらなければ郵便貯金そのものが減るわけでございます。郵便貯金を引き出すわけですから。引き出しをやめなさい、それを引き出すかわりに一方貸し出しをしましょうというわけですから、申しますれば、財投には関係ないんですよ。全然関係ない。この庶民貸し出しをやらなければ郵便貯金を引き出すわけですから、郵便貯金が減るわけです。大蔵省に預託する金が減るんですから、大蔵省に預託する金から一兆円もらってくるんじゃなくて。そういう意味でございますから、誤解のないように。たいへん重要なポイントですから……。
  74. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 だから問題は、先ほども言いましたけれども、それで考えてみると、今後国民がどんどん利用する可能性があるわけですよ。たとえば現在の郵便貯金は一年間で四・〇七ですか、四分七毛というのですか、これは郵便貯金の利率ですよね。しかしこれが一年、二年、三年となっていきますと、少なくとも二年くらいからは六分になるわけでしょう。銀行に預金していても、銀行は定期預金の利率は一年間でいきますと五分五厘ぐらいですか。だから郵便局のほうが、二年以上やるんだったら得なような気がしますよ。それですぐに借りられます。もちろん銀行でも借りられますけれども。そこへ全部預けないで、その分だけ郵政省はとっておくというわけでしょう。それであと全部入れるというわけでしょう。だから利用というものが活発になりましたら、たくさんあったほうがいいわけですよ。だから一千億円が二千億、三千億と需要によっては上がってきますわね。  だから私はここで、先ほど質問に出たかもわかりませんが、現在、自民党の通信部会ですか、何か議員立法を考えて、その一つは、新聞ですからよくわかりませんが、現在一千億円のワクをつくっても、それが二千億とずっと上がっていくことについてやはり押えなければいけない、そういうために歯どめになる立法措置をするというようなことが新聞に出たわけですよ。私はそんな意味で立法されたら大反対ですよ。さっきも言ったように、ワクは三十万円、期間は一年間、そしてどんどん利用してもらう。しかも、少なくともそういう一つの制度になった場合には、国民は簡単に利用できる。都会もそうですけれども、銀行というのはちょうど町のまん中にあるわけですよ。郵便局というのは意外と幅広くありますね。ですから私なんかも、郵便貯金を、あまりありませんけれども、利用さしてもらっております。銀行に行くのには、バスに乗って、それからまた電車に乗っていかぬといけませんから、これは私は非常にいいことだと思っているのです。ですから、自民党の通信部会でそういう押えるような議員立法だったら、断固これは反対します。そういうことについて、最初から大蔵省との話し合いの中ではどういうような形で言ってきているのか。また私は、大蔵省が郵政省に対してのチェックというのは、必要以上にはできないことだろうと思うのですよ。それを不当に介入するようなおそれというか、事実関係としてはあるのではないかという心配も実はしているわけですよ。廣瀬郵政大臣が長年懸案のこれをやろうとするのは、私も非常に賛成だし、いまみみっちいけれども、どんどんこれを大きくしてもらいたいとむしろ希望するほうなんです。そういうようなことに対して、いろいろな歯どめだとか、ワクをはめるとか、一緒に金利を下げさせるだとかというようなことでもし動きがあった場合は、私はこれはたいへんだと思うのですよ。そういうようなことが現にあり、またいろいろなことを言ってきているということが事実ありますか。その場合、大臣はどうするのですか。
  75. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 その問題につきましては、いままでの郵政省と大蔵省との折衝協議の段階では、庶民金融という道を開こうなんという意図が全く向こうにはなかったわけでございますから、条件闘争と申しますか、そういうような具体的な話は、大蔵省としまして、いままで郵政省にはあったことはございません。きかし、さっき申しましたように、きのう、党のほうで取り上げてものにしようというような段階の政調の場で、大蔵省サイドに立っております議員からいまの歯どめの意見が出たそうでありまして、伊藤先生のお話のように、どんどん無制限にふえていくのではないか、そういうような心配があるためにどうしても歯どめの必要があるというように言ったそうでありますけれども、しかし、このことにつきましては、私さっきお答えしましたように、歯どめの必要は全然ないと思っておりますことは、その預金者貸し付けをしなければ郵便貯金を引き出すわけでございますから、そういう意味において、さっきくどく御答弁申し上げましたように、財投の資金には全然関係ない、このように考えておるわけでございます。財投の資金のうちかう二百億もらうとか一千億もらうとかということになりますと、歯どめの問題が起こってくるかもしれませんけれども、そうでない、財投が減るところを一方で貸そうというわけでございますから、それでそういう歯どめをする必要はない、こういうように私は考えております。おそらく政調会長の調整の段階でそういう話が出ましたときには、ただいま伊藤先生にお答えしているような見解を述べて突っぱるつもりでおります。
  76. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 そこで一つ大事なことを伺いますが、庶民金融は、大蔵省に認可を受けたり、大蔵省から介入されなければならないようなことがあるのですか。まず大臣に伺います。
  77. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 郵便貯金の問題でございますから郵政大臣限りでできるはずでございますけれども郵便貯金が財投の資金であるという意味におきましては、何か財投の法律をあるいはいじらなくちゃならぬという問題があるそうでございますから、そういう点は次長から答弁させます。
  78. 滝本哲郎

    ○滝本説明員 関係は、まず第一に、法案として政府が提案する前に、関係各省がそれぞれ了解をした上で法案にして提案されるわけでございまして、その関係各省というところで大蔵省は、まず国内の金融関係につきまして一応取りまとめ調整する権能を持っております。ただし郵便貯金は関係ございません。他の金融機関との関係がございますので、一応郵便貯金としてはこうなるぞ、こういうことをしたいと思うが、ということを大蔵省のほうに通知をいたします。それから大蔵省の意見を聞くということにいままでの慣例でなっております。  それから財政投融資の原資というのは、今回は関係ございませんで、直接大蔵省の所管の問題としてこの問題が問題になることはないと思いますが、現に郵便貯金の今度改正する法律の中に、私どものほうが考えました案でまいりますと、貸し付けの原資というものを私どものほうの手元に保留しなければならない。現在郵便貯金は、資金運用部資金法の上で、すべて一応資金運用部資金として預け入れることになっております。ただしそれについては、払い戻しの資金を除いたもの、こういうことになっております。それが今回は貸し付けの資金を含めて除いたものというふうにしなければならない、そういうふうに技術的な問題がございます。資金運用部資金法というのは、これは大蔵省の所管の法律でございますので、そういった関係で、私どもどうしても大蔵省と協議しなければこれは何ともならないと思っております。
  79. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 だから運用部資金は財投とは無関係である。そういう法律は事務手続上いじらなければいけないとしても、だからといって、方的にそれはできるでしょう。何もそのときに大蔵省から、それはじゃ改正してもいいけれども、そのかわり利率の引き下げを二%やれとか、そんなことを言われて、それをやらなかったら改正させませんなんてことは言われなくてもいいわけでしょう。どうなんですか。
  80. 滝本哲郎

    ○滝本説明員 先ほど最後に申しましたように、資金運用部資金法を改正していただかなければ私ども法律は動きませんので、これはどうしても了解を得なければならないと思います。
  81. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 だから、了解を受ける場合に、こういうふうにしますよと言って、やってくださいというのと、やってあげよう、そのかわり利率を下げよといういわば要求か何かありましたか。あるんですか。
  82. 滝本哲郎

    ○滝本説明員 資金運用部資金法の改正をオーケーするから利子の引き下げをのめというお話はございません。
  83. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 話はないとしても、感触か何かあったんじゃないですか。
  84. 滝本哲郎

    ○滝本説明員 先ほど大臣からお答えございましたように、新聞その他で報道されておりますようなことは、私どものほうには直接は参っておりません。昨年の十二月の段階には、利子の引き下げについて申し入れを受けました。
  85. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 大蔵省の人に伺いますが、庶民金融についていまいろいろ質問しておりますけれども、これは預金者の側から言いますと、考えてみれば、自分の預けた金を借りるんですから、五万円しか貯金しなくて十万円借りるんじゃないですから、自分が貯金した十万円のその中から借りていくわけですから、そうすれば、引き出されてしまうよりも、借りて利息払ってまた前に戻せば、最初に預けた時期からちゃんと計算されて利息がついていく。そしてその差は考えてみれば、満二年以上であれば六%。これは一年間で六%の利子はとられるけれども、しかし返すことによって、非常にその差の利率が低くなるということで、これがPRが徹底しますと借りる人が非常に多くなると私は思うのです。非常にいい制度だと私は思っています。しかし、借りない人も中にはいるわけですね。その場合に、最近、物価指数はぐんぐん上がっていますね。よく調べていきますと、銀行に預金してもらう利子よりも物価指数が高い。貯金をし利息をもらいながら損をする、貨幣価値が下がっている、これがここ数年の一つの実態じゃないでしょうか。  そういう中で、お金がだぶついていることはよくわかります。国際的に措置しなければならないこともよくわかります。しかしながら、郵便貯金に限っては、こういう制度をつくる場合に、いままでの人たちを縛ってさらに預金させていこうというからには、相当の恩恵というか、郵便貯金というものはいいんだというものがなければ、預金というものはふえないと思うのですね。ですから、その利率は決してそんなに大幅ではないんですけれども、しかし、下げるということについては、預金者から見れば非常に問題があるわけですよ。そこで、そういう考え方を少なくとも去年の暮れぐらいに言ったらしいんですが、そういうことから見てどういう考えがこの問題についてあるのか、その点ひとつ伺いたい。
  86. 磯辺律男

    ○磯辺説明員 非常に大きな問題でございまして、説明員たる私がお答えするには少し問題が大き過ぎるかと思います。あえて御説明させていただきますと、まず第一にいまのいわゆる郵便貯金担保貸し付け、この問題と、それから預貯金の金利引き下げの問題、これはたびたび郵政大臣から御答弁ございましたように、全く別問題でございます。もちろん貯金者の郵貯担保貸し付けの問題につきましては、関係各省でずっと議論を詰めてまいりまして、新聞報道で御承知のように、党のほうでこの問題を取り上げられまして、現在御研究なさっておられる段階でございますが、しかし、これとは全く切り離しまして、一般的に預貯金金利の引き下げをやっていきたいというのが大蔵省のほうの考え方でございます。  もちろん、ただいま先生指摘ございましたように、こういうふうに消費者物価がどんどん上がっていく、そのときに、こういった国民の預貯金特に零細な貯金、そういった金利をこれ以上引き下げるのはひどいじゃないかというふうな、率直な庶民感情というのを決して私たちは無視するのではございません。しかしながら、これも釈迦に説法のきらいがございますけれども、日本の経済なり、さらにまた今後豊かな国民生活、ゆとりある福祉生活というものを築いていく、そのためには、今後の日本の経済の対策、それから国民の福祉対策、あらゆる意味におきまして、それからまた国際間の金利水準、さらに外貨準備というのはまた一向に減るけはいもない、こういったときに何をやらなければいかぬかと言いますと、やはり低金利政策というものを推進していかざるを得たいであろう。低金利政策を遂行していきますためには、やはり公定歩合を中心といたしまして、貸し出し金利の引き下げも必要でございますけれども、同時に金融機関のそういっに資金コストの面から考えますと、預貯金金利の引き下げというのは特に必要な段階に来た。  御承知のように、一昨年の十月に低金利政策に踏み切りまして、公定歩合は現在まで一・五%の引き下げが行なわれております。かりに近く公定歩合の引き下げが行なわれて、さらにそれによって金融機関の貸し出し金利の引き下げをはかるとすれば、もはや過去十一年の間預金金利というのは一ぺんも下がったことはない、早晩そういったコスト面から貸し出し金利の限界に達するであろうということは、これは十分考えられるところでございます。それからまた世界各国から見まして、いわゆる預金金利の国際的な割り高というのはこれは当然でございまして、かりに今後の為替管理がということになりましたら、そういった金利差を求めて外資はいわゆる投機的な資金が入ってくるということも、これはまた一方において予想されなければいかぬということもございまして、この際、全く今度の小口貸し出し制度の問題とは切り離しまして、金利の引き下げということを進めたい。そういったことで昨年の十二月に郵政省のほうにも、民間の金融機関の預金金利を下げる、郵便貯金の金利の引き下げも同調していただけないかということをお願いにあがったのでございますけれども、そのときには意見が相ととのいませんで、昨年の十二月の公定歩合の引き下げにあたりましては、貸し出し金利の引き下げは同時に行ないましたけれども、預金金利の引き下げを見送ったというような状況でございます。ただいままでのところ、まだ郵政省には預金金利の引き下げについて何らお願いいたしておりませんけれども、やはり早晩そういったことでお願いいたさなければならないんじゃないかと思っております。しかし、これはあくまでも、たびたび繰り返しますように、決して小口担保貸し出しとバターであるとか、条件であるとか、取引であるとか、そういったことは全く別問題でございます。この点を御了解願いたいと思います。
  87. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 大蔵省は、日本の金融界全体の面からそういう議論を展開されることはよくわかります。しかし、やはり私は、預金をしている預託者の立場に立って考えた場合に、もう貯金をしながら、利息をもらいながら損をしている、どうしようかなといま迷っていますよね。預金するほど金もありませんけれども、しかし、ことしの物価指数だって、国鉄が上がり、健康保険が上がり、すべての公共料金が上がる。東京瓦斯なんかも三二・数%上げようとしている。こういうことになって、ぐっとインフレ的な社会の情勢のときに、まことに逆行するようなこの一つの事態に対して、国民大衆、預金者は、そうするならば何か変わらないものにかえておこうという考え方の人が非常に多い。だから私は、そういうときにそういう政策をとるということは、実にこれは問題ではないかと思うのです。だから、そういう中で何も総括的、一括的にやるのではなくて、ケース・バイ・ケースとよく政府は言いますけれども、総合調整するという行き方も私は一つの方法ではないかと思う。いまのお話を聞いておりますと、そのうちやるというのだが、大臣、どうしますか。
  88. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 大蔵省の立場から申しますとごもっともな御意見だと思いますけれども、私は非常に狭い量見かもしれませんけれども郵便貯金を守っております立場からは、現在のところ、郵便貯金と銀行預金というものは異質のものであるということで、銀行預金はどうぞ下げてください、そうして金利は貸し出し金利が下がっておりますから、いま総務課長がおっしゃったように、経営がたいへんやっていけないということになるかと思いますからして、これは当然だと思いますけれども郵便貯金のほうは、国民資金で、生活資金、消費者資金でもあるわけでございますから、立場が非常に違うわけでございます。しかし、さっきも私、和田さんに御答弁いたしましたように、これは私の量見が狭いかもしれませんので、もう少し勉強したいということで、いまあらゆる知能、経験者の御意見あたりも聞きたいと思っていますが、いまの信念といたしましては、異質のものだという立場に立ってお断わり申し上げたい。こういう信念は、昨年の十二月、これを貫いてまいりましたが、そういう考えをただいま持っておりますことをはっきりお答えして差しつかえないと思っております。
  89. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 だからそこをがんばってもらいたいわけですね。  そこで、自民党の通信部会で、きのう急いで議員立法をするということが新聞に出ていましたね。それで、少なくとも三つの点についてこういうふうにしていきたい。たとえば、現在一千億というワクをつくっても、将来これがどんどん大きくなって一兆円ぐらいにもなるというようなおそれがある、これに対して歯どめをつくらなければならないということ、これは全く大蔵省側に立った意見ですね。それから金利に関しては、大蔵省の権限は郵便貯金には及ばないから、及ぶようにするのだ。さらにこの金利の引き下げについては預金も下げなさい。こういう三つの骨子を織り込んだ自民党の議員立法の案が出ているというのですけれども、その点もう少し明確にだれかわかりますか。
  90. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 これは党のほうで取り上げまして、議員立法で出したいということで、一昨日から動きが非常に活発になりまして、きのうは、そのための推進議員連盟というのがあるわけでございますが、これを承りますれば、与党の議員は衆参合わせまして二百十七名というのが半数程度のように承っておりますが、そのうち三百名も署名がととのっておるそうでございまして、その勢いでそういう気勢が上がりまして、議員提案で出そう。それに基づいて、きのうは、もうすでにはっきりした具体的な、こういう議員の方が考えておられます案の内容ができておるわけでございますから、それを政調会の段階でいろいろ討議されまして、その結果、政調会長に庶民金融の道を開くという前提でお預けしたというように私は承っておるわけでございます。  そこで、党としましては、政調会長が調整をしなければならぬという段階になったわけでございまして、その調整につきましては、私と大蔵大臣がきっと呼び出しを受けるかと思っておるわけでございますが、まだそういう予告あたりも全然ございません。予備会談があったわけでも全然ございません。しかし、そういうことが当然予想されるわけでございます。  その上で、さっき先生申されましたようなことを、具体的にいろいろ、大蔵省サイドに立っております議員の連中はこういうことを考えておるが、それに対して郵政大臣はどう考えるかというようなお話があるかと思うわけでございますが、それに対しましては、さっき申しましたように、郵便貯金制度そのものを、大蔵大臣と共管とか、あるいは大蔵大臣に金融一元化で移せというようなことに対しましては、これは絶対に賛成できないことは常識的に御理解いただけると思います。  その次に、さしあたっての、たとえば当面いたしております日本経済の非常な苦境を打開するために、今度はひとつ公定歩合の引き下げに応じて銀行預金の利率を下げるから郵便貯金も下げるようにしてくれぬか。これと取引では決してございませんけれども、時期がちょうど一緒になったものですから、そういうような話があったと思いますが、これに対しましても、私はただいまの信念から申しましてお断わりするということになったわけでございます。  三番目の歯どめの問題につきましては、これはさっき申しましたように、郵便貯金の貸し出しというのは、決して金融とか融資とかいうのでなくて、いわば引き出しのためのそれにかわる立てかえだというような意味に解釈いたしておるわけでございますから、財投には全然関係ございませんので、歯どめなんという必要もございませんというようにお答えしようかと、このように考えておるわけでございます。
  91. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 大蔵省の方、いま大臣から答弁がありましたけれども、自民党の歯どめのための議員立法、この考え方については、大蔵省は考えは一緒ですか。
  92. 磯辺律男

    ○磯辺説明員 歯どめと申しますと、いかにもこれを制限してしまうとか、あるいは狭い分野に押し込んでしまうというふうな、ちょっと誤解を招かれそうなことばでございますけれども、大蔵省として考えておりますことは、もしこういった制度が発足いたします場合には、ただいま郵政省の貯金局次長のほうからお答えいたしましたように、やはりこれは財投の原資として郵貯が持っていかれる。しかし、そのほかに払い戻しのために必要な手元現金と申しますか、それは幾らかというのは、毎年財投計画で一応振り分けが行なわれるわけでございます。ですから、そのときに、たとえば財投原資はこれだけ、それから郵貯の今度貸し出しに回す原資はこれだけ、払い戻しをする金はこれだけというように、そこで一応一つの財投計画の一環として交通整理が行なわれるのじゃないかと考えるわけでございます。  それで、これはまあ全くの試案で、ここまで申し上げるのはいかがかと思いますけれども、たとえば貯金の毎年増加額の一%相当額を基準にするとかなんとか、そういったことで全般的な規模がふくらんでまいりますと、こちらのほうの制度が発足するといたしますと、この規模も自然な形においてふくらんでくるというのは当然だろうと思います。
  93. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 私は先ほども大臣に申し上げたのですが、今度の庶民金融制度は非常にいい。ただ、これは小さくできたけれども大きく育ててもらいたい、これは国民の願望だろうと私は思う。それで、これが一千億なら一千億というようなワクをぴしっとはめ込まれてしまいますと、結果的にはなかなかそうはいかなくなるわけです。ところが、いまおっしゃったように、毎年毎年の財投とか、あるいはまたほかの融資の問題で一つの予算みたいなものがあって、その計画がある、だから、その手前からもやはりある一定のものはきめてもらわぬとやりにくいという、この趣旨はわかります。しかし、そのことが即はね返ってくることは、いま言ったように、もうきめてしまうと結果的にだめになるのじゃないか。私は、現在の十万円を三十万円にふやし、現在の半年を一年間ぐらいに将来やるべきだと思う。前向きで今後は考えていくというようなことを言っておるわけです。にもかかわらず、そろいう法律ができてしまった場合、できなくなってしまいます、はっきり申し上げると。だから私は、大蔵省においても、自民党の立法をしていることは、大臣の話によれば、何か大蔵省側に立った自民党の議員の方々が中心になってやっている。だから同じかと私は聞いたわけです。だから私は、そのことをさっきも聞いたけれども、何も大蔵省さんにそんなに言われなくても、独自でやれるものであれば、郵政大臣はここで思い切って自分の主張どおりやれ。いま自分はどこまでも断わってやっていくというお話ですから、それを郵政大臣がどこまでも承知しない限りは、庶民金融を大蔵省認めてもらった、そのかわりこういう議員立法もやむを得ないのだというふうに勘ぐられるわけです。最近、新聞に書いてあるのはすべて誤報だと言うが、実際は、その立場を明確にし、どこまでも強く主張して庶民金融の問題をはっきりしていかない限りは、これはもうどこまでも誤報は今後されていくわけですよ。  ですから、もし計画に伴って、そういうような予算の金の使い方、財投とか、あるいはまたほかのもので使う。いままで集まっている九兆五千億ですか。これに一年間に一兆八千億くらいの金が毎年入ってきている。それを政府が運用部資金としてあっちこっち回す。その中で一千億ときまっていればいいのだけれども、これが二千億なり三千億になった場合は、予算の使い道について計画が立たないというために、その歯どめとしてやるならば、まだほかにやり方があるのじゃないかと私は思う。しかし結果的には、すべての面でワクで押えてしまう。大蔵省に関係のないような一つの問題も、この法律が立法化することによって、実際には結果的には私が心配する方向で押えられてしまう。このことが弊害として一番問題が大きい。ほかに方法は考えられないのかということなんですが、大蔵省は専門家ですから、ほかに何かあるのじゃないですか。
  94. 磯辺律男

    ○磯辺説明員 私たちが郵政省のほうからお見せいただきました原案によりますと、ワクの問題については、法律事項にはなっていないように記憶しております。しかし、ただいま私御答弁申しましたように、やはりこの問題は、一方においては、庶民に対してそういった不時の必要な資金をお貸しするという制度であって、確かにそういった面では非常に意義があると思います。しかし、やはり同時に、現在約十兆円の残高を持っております郵便局が、この貸し出しをどんどん無制限と言ったら語弊がございますけれども、広がっていくということになりますと、やはりこれは民間の金融機関、特に中小金融機関との業務分野、そういったことでいろいろと衝突が起こってきたり、また官業、民業のいろいろな対立といいますか、そういった問題が起こっては、むしろこの制度を発足いたしましてもまたおもしろくないことでございますので、私たちとしては、特にこの制度発足後、ワクを縛りつけるというふうな意味ではなくて、やはり広い意味で官業、民業のバランスも考えていかなければならない。それから、財投原資に回しますと、それが国民公庫、中小公庫の資金ワクとなって、民生安定あるいは国民の生業資金等に回されるわけでございますから、やはり一方においては、官業、民業間の業務分野の調整をはかり、財投原資としてはお預けいただきました郵貯資金を国民公庫、中小公庫にどれだけ流していくか。それからまた一方、その前の段階において、郵便局の窓口でお貸しする資金がどれだけあればいいか。こういった全般的なバランスの上に立って考えていかなければならない問題があるのだろうと思います。そういった意味におきまして、やはり何らかのかっこうにおいてこれを調整していかなければいかぬのではないか、こう考えております。
  95. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 御心配よくわかるのです。それは大蔵省が日本の経済の流通機構から全般にわたって責任を持っていらっしゃるのですから、よくわかるのですが、まだ発足もしていない、しかもどうなるかもわからない。しかも、さっき私、伺ったのですが、それこそ一番先の郵政省の案というのは実に粗末で、それこそ十万円くらい想定しても借りるのが五万円くらいだろうとか、あるいは回転も四回くらいするのではないかとか、そういうふうな、だれに聞いても、対象や見積もりというか、積算根拠というのが非常に問題があるようなことを言われているわけですよ。だから、その中でとにかくまずやらせてみて、そしてそういう弊害があったらケース・バイ・ケースでまたいろいろなことを考えていくということの行き方が一番いいのではないか。出発もしないうちからいろいろな条件をつける、そうじゃなくて、何のひももつけないでやらせてみて、問題があったらまたそこでやる。いい点を伸ばして悪い点を押える、こういうことのほうが、一つの仕事、一つの制度をやる場合には大事なことではないかと思うのですね。  だから、郵便貯金について〇・二%の引き下げを市中銀行と同じような関係考えているようでありますけれども、それをここで大臣が言っているように、大臣のほうはどこまでも断わると言っていらっしゃるわけですね。大蔵省は、何も将来ずっとという意味じゃありませんけれども、少なくともこの制度が出発して最初の少しの間くらいは、野放しというか、引き下げをしないでやる気があるかどうか。これはあなたじゃ無理かもわかりませんけれども、方法としてはあるのじゃないかと思うのですね。
  96. 磯辺律男

    ○磯辺説明員 先生御指のように、ちょっと私下は御答弁できかねる大きな問題でございます。
  97. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 そういうわけで郵政大臣、がんばって、国民の願望なんですから、預託者の期待を裏切ることがあってはならぬと私は思うし、今後どんどん郵便貯金も集めて、そしてまた大蔵省さんにいろいろ使ってもらうにしても、引き下げなんということについては国民はものすごく不信を感じますし、であるならば、もう物にしようという者もたくさんいるということを頭に置いて、どうかこれは強力に本来の考えのとおりにやることが当然だ、そういうふうに思うのですが、その点、最後に。
  98. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 銀行局の総務課長がおっしゃることも、私どもわからないわけではございませんけれども、現在といたしましては、伊藤先生から御鞭撻を賜わりましたような方向で努力を重ねてまいりたい、こういうふうに考えております。
  99. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 新聞を見て私が疑問に思うのですがね。これは五月十一日の東京新聞ですけれども、「佐々木日銀総裁は十日の記者会見で、最近の金融情勢に触れ「郵便貯金など預貯金金利が下がれば公定歩合も下げざるを得ない」」、こう言っているわけですよ。だから先ほども、そのうち下がるだろうというようなお話がありましたが、もうすでに、下がることを郵政省で内諾とか、あるいはまた下げるというふうなことを何らかの方法で向こうに言っているような節に感ずるのですが、その点大臣どうなんですか。
  100. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 日銀総裁としましてはそういうことを考えるかもしれませんけれども、私どもは私ども独自の立場がございますから、そういうことで郵政省の立場を主張してまいりたい、こういうふうに考えます。
  101. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 要するに、本人がその気じゃないのに、まわりが全部固められて言われているということですよ。ですから、どうか前向きでその点は最初の構想どおり強力にやっていただきたいと思います。  そこで、沖繩の郵政業務の件で質問します。現在、沖繩の郵政業務で借金というか、赤字がある。その赤字はどのくらいですか。
  102. 浅見喜作

    ○浅見政府委員 ただいまの御質問でございますが、向こうの一九七一年度までの累積赤字と、それから一九七二年度の五月十四日までの赤字とに分かれると思いますが、累積赤字をまずお話しいたしますと、一九六八年ぐらいから年度の損益決算が赤字になってまいりまして、一九七一年度決算額までで、ドルにいたしまして三十四万七千ドル。これを一ドル三百八円で換算いたしますと、一億七百万円という累積欠損になっております。その後の一九七二年度は五月十四日までの見込みに相なりますが、当初年間の見込みといたしましては百三十二万一千ドル、先ほどの換算率によりまして四億七百万という赤字が生ずる見込みになっておりますけれども、これは五月十五日以降なるべくすみやかに決算をいたしまして確定いたしたいと考えておりますが、現在のところそれほど多額の赤字にはならないだろうというふうに見込まれております。   〔塩谷委員長代理退席、坂村委員長代理着席〕
  103. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 これは三百八円で計算はするわけですね。これに限っては三百六十円じゃないんですね。
  104. 浅見喜作

    ○浅見政府委員 ただいまのところそういうレートで計算をいたしております。
  105. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 これは大蔵省了解しておりますか。
  106. 浅見喜作

    ○浅見政府委員 結局、復帰後、つまり五月十五日以後にいかに清算をするかというお話し合いの中ではっきりすることにいたしております。
  107. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 この借金はどちらが持つんですか。大蔵省ですか。それとも郵政省ですか。
  108. 浅見喜作

    ○浅見政府委員 これは郵政大臣と大蔵大臣が協議して、その点についてきめるということに相なっております。
  109. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 両大臣が協議してきめるということですけれども廣瀬郵政大臣はどう思っていますか。
  110. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 まだ協議のチャンスはございませんが、事務当局から十分に説明を聞きまして大蔵大臣と協議をいたしたい、こういうように思います。
  111. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 これは性格的にはどちらが負担することが妥当なんですか。
  112. 浅見喜作

    ○浅見政府委員 私どもとしましては、大蔵省との事務的な話し合いの過程におきまして、必ずしも現在明確にいたしておりませんが、両大臣間の協議において決する手だての中に、一般会計から補てんするということも含まれるという立場で今日までまいっております。
  113. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 一般会計から補てんするということは、これは郵政関係予算ですか。それとも大蔵から特別にお金をもらうわけですか。
  114. 浅見喜作

    ○浅見政府委員 当省所管のものではございません。一般会計からの繰り入れでございます。
  115. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 筋から言うと大蔵省に出してもらいたい、そういうことですか。
  116. 浅見喜作

    ○浅見政府委員 はっきり当省の希望を申し上げれば、そういうことでございます。
  117. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 大臣、そういうことなんですが、いかがですか。
  118. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 私もそう思っておりますけれども、協議の結果どうなるか、その点は郵政省といたしましても強く主張したいと思っております。
  119. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 大蔵省ではどういうふうに考えていらっしゃいますか。
  120. 金子太郎

    ○金子説明員 一般会計から補てんすることが一番すんなりしているというふうに郵政省当局はお考えになろうかと思いますが、本件につきましては、一般会計から入れることについていろいろむずかしい問題が、少なくとも大蔵省サイドといたしましてはございます。  その理由は、沖繩の特別会計、公社等を本土に引き継ぐに際しまして、各特別会計、公社におきまして権利と義務をそれぞれ承継する、そういうたてまえで例の復帰の特例の法律にも規定がございますし、その結果、ほかの公社特別会計は幸い全部黒字を引き継いだものでございますから、そのままいただいておるわけでございますが、たまたま赤字を引き継ぐことになろうかと思われるのは郵政特会だけであったわけでございます。そういたしますと、一般会計といたしまして、黒字はいただくが赤字は一般会計から入れろと言われても、これははなはだ困難な事情が発生するわけでございます。  第二点は、過去におきまして、郵政事業の赤字を補てんいたしますために、一般会計から百二十三億の繰り入れをいたしておりますが、それは一応貸借対照表上は一般会計に対する郵政特会の債務として残っておるわけでございます。この百二十三億をどういうふうに最終処理をするかということは、長い懸案にもなっておるわけでございます。  それやこれやを勘案いたしまして大蔵省の考え方をきめなければならないというふうに考えておりますが、目下のところは両大臣協議ということでございまして、大蔵省としては一応白紙の状態でございます。
  121. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 おそらく、郵政業務の赤字だから全体の郵政の中で出してあげろということだろうと思うのですが、決して郵政全般にわたってもそんなに景気がいいわけはないですし、ほかの面からも黒字で大蔵省に入っている。法的にはむずかしいところがあるかもしれないけれども、大蔵省が出してあげることが妥当でないかと私も思うのです。その点は大蔵大臣との政治的な折衝でままるだろうと思いますが、いずれにしても、もし沖繩の方々の借金をそのままにということになるなれば、沖繩の方々がかわいそうですから、私は、どちらがやるにしても、こちらが持ってあげるべきだと思う。しかしその際、どうしても郵政業務の中でと言うと、郵政のほうでは、借金として残しておくということも考えられないことはないと思うのです。ですから、大蔵省でやっていくべきじゃないか、またしていただいたほうが沖繩の方々は喜ぶのじゃないかと思います。それは大臣の間での話し合いですから、これ以上詰めません。その問題はそれで終わりたいと思います。  大臣に伺いたいのですが、五月十五日返還になりますと、郵便は、日本国内と同じように、手紙は二十円、はがきは十円で行くだろうと思うのです。現在沖繩の県内の郵便というのは速達がないと聞いているのですが、速達というのは早く通信をしたいということでやるわけですね。この点はどういうふうに考えているのか。
  122. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 これは沖繩特別国会でも御答弁申し上げましたように、ただいま御指摘のように、郵便関係には速達制度がございませんから、一日も早く本土並みにやりたいと考えております。その後事務的にどういうふうに進んでおりますかは郵務局長から答弁させます。
  123. 溝呂木繁

    溝呂木政府委員 沖繩の郵便制度の中に速達制度はございませんが、御承知のように、いわゆる外国郵便を扱う制度として別配達制度というのが現在ございます。したがいまして、たとえば日本本土から沖繩に行く場合はいわゆる別配達制度。速達に非常に似たものでございますが、そのものが沖繩に到着したときには、通常配達以外に別配達でやるという制度がございます。したがいまして、本土復帰後は、本土から沖繩に行く分は、別配達制度を利用すれば速達制度がそのままできるというふうに考えております。したがいまして、問題は、沖繩相互間は現在速達制度がございませんので、これをどうするかということでございまして、速達制度をしくためには、定員、運送便の問題、そういったものがございますので、私どもとしては、まず必要なところから早急に手をつけたい。できれば秋ごろまでには実質的な意義のある速達制度をつくっていきたいと考えております。
  124. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 現在、沖繩の職員の方々は約千二百名ぐらいですね。このままできるかできないかよくわかりませんが、そうなりましたら、今度は本土と同じようにポストをつくったり、また一日二回の配達を、速達というのは、本土でやっているのは一日八回ぐらいですか、そういうふうに回数をふやしてやるとかということがあると思うのですね。それは秋ごろからというふうにいま考えているわけですね。そういう予算措置も今度のあれに出ているわけですか。
  125. 溝呂木繁

    溝呂木政府委員 先ほど御説明しましたように、向こうは別配達制度というので、現在、大きな郵便局には定員でありますし、それから小さい局は請負によって、そういう郵便物が着けば呼び出して普通の配達時間以外にも配達する制度がございますので、それを利用すればかなりのところまで速達制度ができると思います。しかし、もちろんそれだけでは十分でございません。それと、速達制度がどのぐらい使われるか。沖繩の中の郵便の速度を考えますと、速達と普通のとの速度の差がどのぐらい出るか、もう少し検討しなければわかりませんが、しかし、一応秋ごろまでに、いわゆる請負制度的なものに対する賃金、それから定員についても、ある程度予算はとれております。
  126. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 それは金額にして幾らぐらいですか。あとでいいから言ってください。  それで、本会議が一時ですから、これからあと二十分間で、本土の広域時分制とか、沖繩のいまの電話の問題とか、いろいろ質問しますから、なるべく簡単にお願いします。  電話の問題ですが、返還になりますと、いつごろまでに本土並みになるか。料金は三分の一といわれておりますけれども、どういうような形で計算されるのか。それから、電話設備料が非常に高くなるということがいまいわれております。ほかのものについては段階的にいろいろ押えているのに、なぜ電話料だけをすぐに一挙に本土並みにしようとしているのか。その辺、伺いたいのです。
  127. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 電話の関係料金は、一般に復帰と同時に本土並みの料金制度となるわけでございます。ただ、例外的な措置といたしまして、ただいま御指摘の設備料でございますが、これは最近本土では、数年間に二度設備料を引き上げております。一万円から三万円、五万円ということで、現在五万円の設備料が要るわけでございますが、これは、急速なる設備拡張の必要上、こういう措置をとったわけでございます。  そこで、本来ならば、復帰と同時に、架設される電話につきましては全部五万円の設備料をいただくということになるわけでございますが、沖繩の本土復帰につきましての特殊な事情もございますので、この点につきましては、特別措置法によりまして特例措置を設けまして、段階的な措置をする。つまり、昭和四十五年の十一月二十日までに申し込みになったものにつきましては、従来とほぼ同じ九千円でおつけするようにする。それから昨年の六月十七日までに申し込んでおられる電話、これはまだかなり積滞があるわけでございますが、それをおつけする場合には三万円にするという特例をとっております。  なお、その他の料金全体につきましては、かなり大幅に下がるということが言えるかと存じます。たとえば電話の一番基本になります月々の基本料でございます。これは那覇の局の場合でございますが、一ドル三百八円という換算で計算をいたしますと、現在、沖繩にはまだ事務用、住宅用の区別がありませんが、事務用、住宅用ともに千百八十五円でございます。復帰となりますと、事務用につきましてはこれが千円になりますし、住宅用については七百円という、かなり大幅な引き下げになるわけでございます。  それから、電話の自動局では度数料を取っておるわけでございますが、一度当たりの度数料が御承知のように本土では七円でございますが、沖繩におきましては二セント、六円十六銭ということでございます。これが若干上がることになりますが、そのかわり、公衆電話の場合ですと、現在十円の度数料に対しまして、沖繩では十五円四十銭であるわけでございます。これもかなり引き下げになる。それから市外通話、特に本土との間の市外通話は、これはたいへん改善されることになります。たとえば那覇-名護間の通話でございますが、現在三分間六十一円でございますが、二十一円になる。あるいは那覇-石垣島間、これもやはり三分間でございますが、二百四十六円が百人十円になるというようなことになりますし、さらに、那覇-東京間は現在八百九十六円でございますが、これが三百三十円。こんなふうになる次第でございます。
  128. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 だから、電話の場合は、本土並みにしますといいわけですよ。ただ設備料だけがうんと上がるわけですね。昭和四十六年の六月十八日以降については全部高い値段になるわけでしょう。だから、もう少し暫定期間をとって、もう少し値上げする期間を置いたほうがいいのじゃないかと思うわけですよ。そういう考えはもう全然だめですか。
  129. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 その点は、特別措置法の立案過程におきまして、沖繩の関係の方々の御希望も十分伺いましたし、また、関係省庁ともいろいろ打ち合わせいたしました。日本電信電話公社のほうでは、これはできるだけ本土並みそのままに設備料を引き上げたいということであったわけでございますが、大臣のお考えで、このような法案で国会で御承認をいただいたという経過があるものでございます。
  130. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 もう法律が通ったからだめだというわけですね。わかりました。  それから放送の問題です。放送の問題については、現在FEBCですか、VOAですか、いろいろ放送局があるわけですね。その実態は御存じですか。
  131. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 問題のVOA並びに極東放送の問題につきましては、私は現地へ行ったことはございませんけれども、いろいろ資料によっていざさか勉強しているつもりでございますが、実態というのがどういう意味でございますか、わかりませんけれども、これは沖繩国会で御答弁申し上げましたような方針で暫定措置を講じていくというようなことをいたしておりますわけでございまして、VOAにつきましては、傍受の施設が問題になりましたわけでございますが、これは暫定予算でありましたのと、もう本予算が通りましたわけでございますけれども、五月十五日でございますから、いずれにいたしましても、傍受のための特別な建物の建築にはどうしても間に合いませんので、さしあたり大宜味というところに傍受の施設をやりたいと思っておりますが、大宜味の郵便局を利用いたしまして、そこで臨時的にやる。本格的な建物が大宜味の町にできますまでは、局内で傍受いたします。それから録音も大宜味でやるようにいたしておりますが、将来は、録音のほうは大宜味から六十キロ程度でございますが、かなり離れた地域にあります那覇でいたす。そしてその録音によって、不届きなこと、不都合なことがあれば、直ちに日本政府の見解をアメリカ政府に申し入れるということが、もう五月十五日の初日から、あるいは中波が一波と短波が八つかかったと思いますけれども、すべての電波について傍受いたす。これはVOAでございますが、そのように考えております。
  132. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 五年間の暫定期間を設けてやるということですか。いまのお話ですと、相当電波をこっちの録音でとって、問題があればチェックする、こうおっしゃいましたね。アメリカはいろいろな電波を出しておるわけです。いろいろ電波とか周波数が違うわけですけれども、その五月十五日時点では、いかなる中波、短波といえどもちゃんと録音できるような設備が郵政省としてはでき上がるのですか。
  133. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 本格的な準備は間に合いませんですけれども、いろいろな機械なんかも既存のものをあっちこっち集めまして、録音するということにいたしております。建物も大宜味の郵便局をしばらく利用させてもらうというようなことで、最初から遺憾のない措置を講じておる次第であります。
  134. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 当然この謀略放送を続けられたらたまったものじゃありませんから、その点はそれなりの録音なり何なりやるそうでありますけれども、しっかりチェックしていただきたいと思いますね。  それで、幾つかの周波数に合うものはいま準備しているわけですね。そしてそれがもう五月十五日以降は、すぱっといかないにしても、そういった施設や郵便局でやるのは、少なくともいつごろから正式に軌道に乗せる予定ですか。
  135. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 建物を新規につくるのがいつごろに完成するかと思いますけれども、しかし、初日の十五日から臨時的な措置を講じまして、遺憾のない措置をいたしたいと考えております。
  136. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 いつごろから軌道に乗るのか、それだけ教えてください。  それで大臣、予鈴が鳴ってもうあと五分しかないので急いで聞きますけれども、要するに広域時分制、三分間で今度は自動的に値段が上がるというようなことが実は昨年の法律で、今度の料金については政令できめるというふうなものが通ってしまったわけですよ。ですから政令に基づいて広域時分制をいまきめようとしているわけでしょう。聞くところによりますと、何か六月の十一日くらいから日本の何カ所かにおいて試験的に実施するというふうに聞いておりますけれども、それは現にどうなっているのか。
  137. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 公衆法の施行によりまして、広域時分制につきましては、本年の九月一日から十二月三十一日までの間の時点を政令で指定することになっております。その時点から一カ年の間に全国的にこれを実施するということになっておりまして、そのための準備をいま急いでおります。いろいろの交換方式等もございまして、地況に合うような設備が必要でございますので、そのための先行的試行実施を六月十一日から全国六カ所でということで進めておりますが、沖繩も当然これに含まるわけでございますが、現在のところ、沖繩についていつどうするかということは、まだ工事の都合上はっきりいたしておりません。本土と合わせましてこれを実施するということで取り計らうつもりでおります。
  138. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 六月十一日に、ただいま監理官が仰せられました試験実施を行ないますところは、全国五百六十二のグループのうち六つでございまして、北海道の余市というところと北陸の敦賀、長浜、小浜、兵庫県の三田、それから九州の前原、このグループ、これは行政区域ではございませんで、私どものほうで単位料金区域といって、全国五百六十二に分けているものの名称でございますが、そのグループでございます。
  139. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 これは三分間たったら自動的に七円が変わるのですか。それとも切れるのですか。
  140. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 三分ごとに上がっていくので、切れるのではございません。ただ、それも誤解がないように申し上げますが、従来の市内通話というものではございませんで、準市内といわれた相当広い、それを広域と申すのですが、広いところにつきまして三分ごとに上がる、こういうことでございます。
  141. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 たとえばこれは東京都内ですと、都民は非常に興味をもって感じるわけですよ。なかなか三分間で話が済まない場合が多い。いないときに呼び出してくるのに時間がかかる場合がある。確かにこの広域時分制というのは、遠い人は得するかもしれませんけれども、少なくとも近間にかける方々は、あるいは東京に住む方々、都会に住む方々は非常に大きな関心を持っているわけですよ。しかもこれは六カ所ですか、いま言いましたね。試験実施だけでもそこからもう値段が上がっていくわけです。どうなんでしょうか。
  142. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 基本料は据え置きでございますが、いまの通話料に関しましては新しい通話体系になります。したがいまして、三分で刻みますところについては値上げでございますが、また値下げの部分も一応考えてございます。新しい料金体系にするわけでございます。
  143. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 だから、要するに六カ所から、いま言った北海道の余市であるとか、あるいはまたずっと来て九州の前原ですか、六月十一日から実質的に広域時分制が適用になってそのまま値上がりする。あとについては政令によってきめる。要するに、その電話局の度数計みたいなものを変えるわけでしょう。その工事が終わると同時にどんどんやっていこうという考えですか。
  144. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 簡単に申し上げますとそういうことでございまして、現在度数計のメーターの改造工事をやっているわけであります。そうしてある時点を区切って、たいてい土曜日の夜、日曜日の早朝に切りかえを行なうわけでございますが、全国二千万以上電話がございますので、先ほど監理官言われましたように、ほぼ一年間にわたって逐次行なう、その第一番目の試験実施が六月十一日ということでございます。
  145. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 政令で行なうことになっているわけですが、大臣、これはたいへんな問題なんですね。私ども都内に住む者から言えば、地方が安くなるということはありがたいわけなんです。しかし、同時に都内、近間に対して、逆に言えば、遠くのほうを安くして近くに連絡する人たちに負担させるというふうな見方も実はできるわけです。全体としてはやはり必ず増収という形になることは明らかでしょう。それで、少なくともこの都会に住むわれわれは、三分ごとにぼんぼん上げられたらほんとうに実質的な電話の値上げだというふうに考えているわけですね。だから、何もあわてて度数計を直すのではなくて、試験の区域がありますけれども、それでいろいろな問題があったら、時期をずらすなりもう一回検討するということは考えられませんか。
  146. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 私は、この広域時分制の電話料金への改定は、全国的に申しますと電電公社は減収じゃないか、このように考えておりますが、電話のほうはかなり値上がりが激しいですけれども、これは、昭和二十八年から十九年間でございますか、全然料金をいじらなくてどんどん赤字がふえていっておりまして、電報の経営は非常に困窮いたしておるわけでございますけれども、電話は相対的に値上がりではないようでございます。しかし政令は、おっしゃるように、非常に慎重にやらなければいけない、こういうように考えております。
  147. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 もう本会議ですからこれで終わりますけれども、いずれにしてもやはり私たちは、大衆が利用するそういうものについては、国鉄も上がり、あるいはまたすべての公共料金が上がっていく中で、電話なんかは非常に今後も活用すると思うわけですね。ですから、どうか実質的な値上げにならないように今後検討していただきたい、こう思います。
  148. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 御趣旨はよくわかりましたので、その点よく検討いたします。
  149. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 終わります。
  150. 坂村吉正

    ○坂村委員長代理 午後二時より委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。    午後一時休憩      ――――◇―――――    午後二時十分開議
  151. 坂村吉正

    ○坂村委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  委員長所用のため出席がおくれますので、指名により私が委員長の職務を行ないます。  郵政省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。伊藤惣助丸君。
  152. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 午前中に引き続きまして、先ほど、沖繩のVOA並びに極東放送、これに関しましては向こう五年間暫定的に使用を認めた。その場合、この放送内容については、郵政省は五月十五日以降どこかの郵便局に中波並びに短波をあわせて録音をとる、録音をとったものを検討してチェックする、こういう話があったわけですが、その点についてもう少し明確に伺いたいと思います。
  153. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 VOAにつきましては、傍受の施設をいたしまして、すべての電波について記録して、これに基づいて不穏当な放送があればこれをチェックして日本政府の見解をアメリカ政府に表明するということになっておるわけでございます。ところが、五月十五日からの復帰ということになりましたものですから、急いでそのための施設をつくりまして、その他の施設をしなければならぬということになるわけでありますが、第一に庁舎が間に合いませんわけでございます。それと、復帰ができないと日本の本土でございませんから、向こうに家を建てるなんということの作業ができないことは御推察いただけるとおりでございます。そこで、さしあたり五月十五日に間に合いますように、そのVOAの中継放送のすべての電波を傍受する施設を大宜味にやることにいたしております。  この大宜味というのは、VOAの中継局から五、六キロ離れている地点にあるそうでございますが、その大宜味に建物を建ててそこで受信するわけでございます。建物が間に合いませんので、大宜味の郵便局を借用いたしまして、その郵便局の一部に受信と記録の設備をすべてやるわけであります。本格的に言いますと、大宜味で受信して、それをさらに六十キロばかり離れております那覇で記録いたします。受信は大宜味でやりますけれども、記録いたしますのは那覇でございます。大宜味から那覇までは有線の回線で送ることにいたしておるわけでございますが、そういうような設備が間に合いませんので、大宜味の郵便局を臨時に使わせてもらって、そこに受信、記録のための設備、機械類すべて現存のものをあちこちから寄せ集めまして、そして受信、記録に遺憾なきを期しておるわけでございます。でございますから、五月十五日から、波は中波が一波、短波が八波であるかと思いますが、そのすべての電波を受信し、記録いたしまして、本格的にやったと同様なことを最初のときからやるわけでございまして、この措置についてはすべて遺憾なきを期しておるわけでございます。  いま郵政省のほうで調べましたところが、本格的な建築は大体八月ごろにはできるであろうということでございますから、それから建物も機具類も新しいもので同じようなことをやる。場所は、受信と記録が大宜味と那覇と離れたところになるわけでございますけれども、すべて遺憾のない措置を講じて傍受の施設の役割りを果たしたい、こういうことで考えておるわけでございます。
  154. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 もう一つの、沖繩の郵政業務について予算措置をどのくらいしたかということについて回答なかったわけですが、それと関連しまして赤電話の件で、先ほど和田委員質問の中でも、今後は、ポストとか公衆電話とか、ああいうものをたくさんつくっていくというお話でありましたが、そこで一つ問題があると思うのです。というのは、赤電話は確かに多いんです。だけれども、夜になりますと全部しまってしまうんですね。結局は、夜出してくれるならば非常に都合がいいんですけれども。たとえば、新開地のマーケットであるとか、新開地のたばこ屋さんだとかありますけれども、夜になりますと全然電話がなぐなる地域東京でもたくさんあるわけです。赤電話は個人が管理して非常にいい点があるわけですけれども、夜になりますとそういう点が非常に不便で困るというふうに私は考えているわけなんですが、それに対しての基本的な考え方ですね。私はやはり、ある一定の区域には、犯罪防止という意味からいっても、最近の公衆電話ボックスというのは非常に明るいですから、防犯灯の役目も果たすということも考えられますので、赤電話をたくさんつくることもけっこうだけれども、夜使えるような赤電話の行政指導、こういうものができないのかどうか。この点もあわせて答弁願いたいと思います。
  155. 溝呂木繁

    溝呂木政府委員 先ほど御質問の沖繩における速達制度を実施するための要員及び予算措置の問題でございますが、定員関係につきましては二十三人を予定しており、いわゆる集配請負――先ほど賃金と申しましたが、請負費でやっているいまの別配達、これをさらに大幅にするための金が五百八十九万円、この二つでもって大体主要部分の速達制度が秋ごろには実施できると考えております。
  156. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 公衆電話の問題でございますが、ただいま御指摘の普通公衆電話と申しておりますもの、赤電話ではない、青電話と普通言いますが、これは公社のほうでも相当力を入れまして、住宅地区等においてもできるようにいま相当数の計画を進めております。  なお、問題の赤電話のほうでございます。これは委託しておりますので、店が締まると取り込んでしまうというようなところが多いわけでございますが、それの利用方法につきましては最近種々の苦情も伺っておりますので、電信電話公社のほうにいろいろ改善について検討させたいと思っております。
  157. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 こういう点は大事な問題です。要するに赤電話を取り込んでしまうという理由は、一つは電話荒らしなんということで、お金が入っているからじゃないかと思うんですが、幾つか理由があるだろうと思います。または、それを表に出すことによって戸締まり上うまくないとか、あるいは、そこに赤電話があることによって、不審の男がいてもチェックできないとか、いろいろなことがあるだろうと思うのです。現に、そういう取り込むことについては、非常に数多くの人から、電話局に対しても、苦情だとか、あるいはまた出してほしいというようなことが相当来ているだろうと思うのです。そういう点について今後どういう行政指導をされる考えなのか。その点いかがですか。
  158. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 これは、どこに置けば夜間におきまして必ず電話をかけられるかということで、普通の公衆電話のあり場所と、それから先ほど申しました赤電話との組み合わせの問題になると思います。電電公社のほうでは、普通の公衆電話のほうの増設も毎年いたしておるわけでございますが、その面で、足らぬ場所等につきましては、赤電話の利用を、もう少し夜間でも利用しやすくするという問題になるわけでございますので、その点につきまして、もう少し電電公社のほうとも具体的に詰めていきたいと考えております。
  159. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 それは早急に検討して実施されるように、私、要望します。いわゆる青電話についても一つの条件があると思うのですよ。だけれども、公園であるとか大衆の集まる場所には、申し込みがあるからつげるということではなくて、公共施設あるいは公共性の大きいあき地とかいえところにはある程度義務づけするとか、そういう考えに立って整備できないかどうか。その点いかがですか。
  160. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 ただいまお示しの御方針をあわせまして、今後ともさらに検討をいたしたいと思います。
  161. 坂村吉正

    ○坂村委員長代理 受田新吉君。
  162. 受田新吉

    ○受田委員 廣瀬郵政大臣は、御就任以来、非常に精励恪勤して、郵政事業という大事な仕事を国務大臣としてやっておられるわけですが、郵政省設置法の一部改正に対する問題点を一、二点、及び郵政行政全般に影響する基本的問題数点を取り上げて御質問申し上げ、名答をいただきたいと思います。  最初に、この法案そのものに関係するのですが、東京における郵政局関東二つにするという御計画、これは郵政局だけであって、郵政監察局や関東電波監理局のごときものはそのままにしておくという理由。特に郵政局だけが仕事が多くなっておって、郵政監察局や電波監理局は仕事がそうたいしてふえない、明確に郵政局のほうだけが事務量が非常に多くなったという理由だけでございますか。
  163. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 事務量から申しますと、東京郵政局ばかりでなく、東京に位しております郵政監察局あるいは関東電波監理局、いずれも他の同種の局に比べますとかなり多いわけでございますけれども、しかし、東京郵政局はそういう状態がもう満度以上になっておりまして、これだけは何としても早く救済しなければならないというような、限界を越えるような状態にまで達しておりますので、今度はこれだけ手をつけまして、二つに割って、二つ郵政局東京関東を担当してもらうということにいたしたわけでございます。
  164. 受田新吉

    ○受田委員 法案そのものの質問の御通告を申し上げることをちょっと怠っておったわけで、申しわけないのですが、この法律案を見てると、どうしてもお尋ねしなければならない。しかし、これは常識でお答えできる点です。ややこしければ事前に御通告しておきましたけれども。  よく覚えておるのですが、五十五国会で私、当委員会でいろいろ話し合いに応じたわけですが、四十二年三月の行政簡素化の関係法案のときに、地方の局を整理する、これは長野と金沢とを一本にする、広島と松山を一つに合わせる、こういうように郵政監察局をまとめる。つまり地方局を減らして東京の局の窮状を救おうとした御計画があったわけです。それから五十入国会で、本省郵政監察局を廃して首席監察官を置く、こういう改正が行なわれた。  私、郵政行政は、昭和二十四年以来、廣瀬先生と長い間関係している問題であるだけに、大衆サービス官庁として、この役職がよかれかしと祈る議員の一人ですよ。今回、郵政局だけが、全国三分の一の業務量を持つほどの東京の局が二つに分かれる。これは私は一応うなずけるのですが、ほかのところへやがて犠牲が波及するという、かつて五十五国会当時問題になったような、松山やあるいは長野、金沢等に犠牲が及ぶような憂いはもうなくなったのでしょうか。まだどこかで煙がくすぶっておるのですか。行政管理庁との相談などでどういう話になっているかをあわせて伺いたい。
  165. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 御承知のように、現在の政府は、そういうような新しい局を一つビルドするためにはどこかの局をスクラップしなければならないという方針を持っておるわけでございまして、これは理屈に合っているか合ってないかわかりませんけれども、そういうような方針を堅持いたしておるわけでございますが、実は東京郵政局分割にいたしましても、そのような方針を守っておりますのは行政管理庁でございますけれども、この行政管理庁に対しまして、そういうスクラップを出さずに――東京郵政局は、郵便だけに例をとりましても、全国の四割を担当いたしておりますし、それから最近は、おかげさまでまるっきり遅配というものはなくなってしまったわけでございますけれども郵便物遅配の多かったときは、全国遅配の六割程度東京郵政局関係の局においてあったわけでございまして、そういうような現実でございますから、どうしてもこれは二つに分けなくちゃならない。これは最近の状況がそうであるばかりでなく、十年来そうした状態が続いております。  でございますから、郵政省といたしましては、東京郵政局を他の役所のように、私どもに近い例は電電公社でございますが、電電公社は二つ東京関東と電気通信局を持っております、そういうような他の機関のように、ぜひ二つに分けたいということで考え続け熱願をしてまいりましたけれどもスクラップを出せというようなことで、またスクラップを出すことについては、先生指摘のようになかなか反発が強いわけでございます。  そういうことで今日までずっとできなかったわけでございまして、私のときも、そういうスクラップを出さずに何とか認めてもらいたいということを行政管理庁に折衝いたしましたけれども、なかなかうんと言わない。そこで、結局金沢郵政監察局を犠牲にして、これを他の郵政監察局に併合いたしましてスクラップを出そうかという案で最終的には行政管理庁にお願いしたわけでございますが、やはり案の定地元のほうが、関係が三県ございますが、三県が強い抵抗を示しまして、スクラップまかりならぬ、廃局まかりならぬということになりましたものですから、それで御破算にしょうか、涙をのんで引き下がろうかと思っておりましたところが、幸い党のほうで、郵政省は、いま先生がおっしゃるように、庶民の機関であり、そして現業官庁だから、他の役所はスクラップ・アンド・ビルドという原則は一貫するけれども郵政省に限ってビルドだけを認めることにしようということで、幸いにもう一つ郵政局増設と申しますか、東京郵政局の二分割ということが認められることになったわけでございまして、郵政省としましては、ほんとうに長年の熱願がかなったわけでございますから、どうか先生、ひとつ一日も早くこの設置法をお通しいただきまして、この悲願を名実ともにかなえていただくように切にお願い申し上げる次第でございます。
  166. 受田新吉

    ○受田委員 大臣の熱心な御要望はよく理解させていただきます。同時に、業務の量というものが従来の東京郵政局は非常に多かったのが、今度関東と二分されてくるわけでございますが、郵政監察業務もその業務量に比例してやはり多いわけです。東京郵政監察局だけが二つ郵政局の管内を担当するという異例の現状ができてきたわけです。郵政監察業務量も、やはり郵政局仕事がふえると同じようにふえるはずなんです。これは犯罪などもきっとそこから同じような割合で出てくるわけです。そうすると、東京郵政監察局だけがばかに大きな負担を背負う。長野や金沢は比重の点では非常に軽くなるということが当然起こってくるわけですが、その問題の処理を御検討されたことがございますかどうか。これは官房長でもけっこうです。
  167. 森田行正

    森田政府委員 お答え申し上げます。  監察局は十局ございますが、その中で東京郵政監察局が、犯罪の件数といい、考査の局数といい、調査の件数といい、一番多いのは先生承知のとおりでございますが、私どもといたしましては、もしできますならば、東京郵政監察局も二分割いたしまして、おのおのの郵政局と同じ管轄区域を持つ監察局を二局つくりたいのはやまやまでございますけれども、ただ焦眉の急として東京郵政局の現場を扱っております事務のほうがきわめて困難になっておるという点が第一点。  それから、これは非常に技術的な問題でございますが、監察の仕事の犯罪捜査なり調査、考査といいますのは、各県に支局というものがございまして、実務のほうは各県庁所在地の郵便局と併置されておりますが、そこで実際の仕事をやっておりますので、量の増加ということがございますが、必ずしも一局で不満足ではない、一生懸命にやればできるということでございます。東京郵政監察局だけは、ほかの監察局に例を見ない次長クラスといいますか、総務監察官と称する次長クラスの監察官が二名増置されております。局長を助けて事業をやるということでございますので、曲がりなりにもやっていける。ただ、長野なり金沢なりに比べますと、非常に事務の量が多いということははっきり言えると思います。
  168. 受田新吉

    ○受田委員 この問題は、郵政行政を円滑に遂行するための措置としてこうした法案に盛り込んでおられるわけですから、その点はよく理解できることです。けれども、そうした別のほうでアンバランスが出てくるという問題をどう処理ずるか。やはり同じ次元の問題として考えていかなければならない問題だ。一方では行政の簡素化のことに協力してもらわなければいけない。一方ではそうした業務の適正な運営についての配慮をしなければいかぬ。なかなかむずかしい問題ではあると思います。  そこで、東京二つに分かれる、監察行政は依然としてまだ一本である。関東電波監理局も一つである。電電公社はとっくに分かれておるが、そのいまの監察と電波監理とはそのまま残っておるというちょっとしたアンバランスがあるのです。現実にそれが初めて出てきたのです。郵政局郵政監察局は車の両輪だとわれわれは考えてきたわけです。郵政行政と監察業務とがぴっちり合って国民の期待にこたえるお役所になれると思っておった。ところが、一つだけへんぱなものが出てきたわけです。これをどう処理するかは御検討願いたい。  そしてちょっと待遇の問題に触れるのですが、地方局長さんについては、行政職の一の局長と、一部が指定職になっておいでになる。指定職を従来四人もらっておられたようですが、今度二つに割れて四人そのままになるのか、地方局の指定職は一人ふえるのか、それはどういう御相談がされておるか、御答弁願いたい。
  169. 浅見喜作

    ○浅見説明員 答弁いたします。  現在、東京郵政局長は指定職乙ということになっておりますが、今回の法案を御審議いただきまして可決されるということになりますと、関東郵政局長は指定職乙ということで予算上は認められております。
  170. 受田新吉

    ○受田委員 そうすると、指定職が五人になる、一人ふえる、そういう計算にしてあるということでございますね。そこで、東京関東、大阪、それから郵政監察局は東京、電波監理局からも一人、こういうかっこうの配分になるのか。あるいは別に、勤務する局でなくて、人によって指定職はきまるのか。これはどういう運営にしてあるのか、御答弁願いたい。
  171. 森田行正

    森田政府委員 本来、職階制ということですと、その人のいかんを問わず、たとえば東京郵政局長になれば指定職乙ということになるのが理の当然でございますけれども、人事院で各省間のバランスその他をにらんでおられまして、やはり人につく部面もありということでございますので、今般この法律が可決されまして実施されるときになりましたならば、人事異動をやらなければなりませんので、その人の経歴その他をまた勘案いたしまして人事院と御相談することに相なろうかと思います。
  172. 受田新吉

    ○受田委員 そうした場合に、人事院とも御相談しなければならないことなんですけれども東京関東が指定職の乙、こういうことにされることになると、二つに割れた、どちらも乙としてそのまま残るということになって、いまのように人を中心とすることになれば、別のところに指定職乙の人を持っていくべき場合が起こるとすれば、分かれた関東のほうも乙だときめるのは問題じゃないかと私は思う。
  173. 森田行正

    森田政府委員 それは、先ほど申し上げましたとおり、本来ならば、局の格といいますか、定員なり業務量その他から比べて、この局が指定職乙の局であるというふうになるのが筋道だろうかと思いますが、先ほど申し上げましたとおり、今度の人事異動の結果によって御相談せざるを得ないというふうになろうかと思います。  余談でございますが、たとえば人によるというのは、私が昨年官房長を拝命いたしまして、ポストとしては指定職甲ということになっておりますが、私まだ若輩でございますので、現在のところ指定職乙であるというふうなことからわかりますように、やはり人によって若干期間を持つというふうな操作は人事院と御相談してやることになっております。
  174. 受田新吉

    ○受田委員 そうしたことは御検討いただくことですが、どこのポストが指定職と、そのつとめる役所、それからまた人。人事配置の上で、高禄をはまれる人が地方に出られることが必要な場合が起こるのです。東京には常に優秀な老練な人と限らないで、地方にそういう人が出られる必要が起こる。こういう場合は人事配置上の妙味も発揮しなければいかぬと思う。東京、大阪だけが指定職ときめてかからないほうがむしろいいのじゃないかと私は思います。  私、この機会にこの法案に関連する問題を一つ、二つ取り上げてみたいのですが、せっかくさっき指摘した問題でもありますので、電波監理行政にまず及んでみたいと思いますが、大臣、電波法について改正意見をお持ちであるのですか。
  175. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 電波法とあわせまして放送法を一緒に改正すべきであるか、すべからざるかという問題のようでありますが、御承知のように、昭和四十一年であったかと思いますが、第五十一国会のときから電波法と放送法の改正を郵政省は国会に提案をいたしたわけでございますけれども、そのときは国会の御審議が済まなくて、結局流産してしまったわけでございます。自来、郵政省といたしましては、この両方の改正の法律案を国会に提出するということはずっと懸案になっておりましたけれども、したがって、国会のたびごとに提出予定の法律案には考えてまいったのでございますけれども、実は今度の第六十八回国会におきましても、そのような意図を持って調査研究を進めてまいりましたけれども、この両方とも御承知のようになかなかむずかしい内容を持っておりますわけでございまして、どうせ出しますならば、今度こそは国会を通過するようなりっぱな法律案を出さなくちゃならぬということで努力を続けておりますわけでございますが、まだ残念ながらことしの国会も成案を得ないまま提出ができなかったわけでございます。  そこで、ただいま御指摘の電波法についてどういう改正の点があるかというお尋ねでございますが、これについてはいろいろ検討して、いろいろ問題があるかと思いますけれども、たとえて申しますれば、たとえばチャンネルプランと申しますか、周波数の配分あるいは使用というようなことにつきまして、これは行政措置でやっておるわけでございますけれども、こういうような波の免許について基本的とも考えられる大きな問題、これを何ら法的根拠がなくて行なうということには、いろいろ考えさせられる点があるわけでございます。そういうチャンネルプランを法定する必要があるんじゃないかというような気もいたしておりますし、またさらに、免許いたします場合の免許基準でございますが、これもいろいろ内規はできております。一応の基準はできておるわけでございますけれども、これまた法定をしていないわけでございまして、その免許の基準の重要な点だけでも少なくとも法定をする必要があるんじゃないかというように考えておるわけでございまして、その他いろいろございますけれども、たとえばこういうようなことについて法定をする必要があるんじゃないかと思っております。
  176. 受田新吉

    ○受田委員 わかりました。私、昭和二十四年だったと思うのですけれども、電気通信委員会で電波法、放送法、電波監理委員会法といういわゆる電波三法が通過するときに、橋本登美三郎さんが与党、野党は私が理事で、この法案を扱って成立せしめた思い出があるわけです。その点、非常に感慨の深い法案でありますので、自来二十三年たっているのですが、この電波法と放送法の改正という問題に触れることになると、非常な関心があるわけです。  そこで私、電波法の基礎に基づいて電波の割り当てをする、すなわち免許をする場合に、国の電波を使うことを免許するわけですから、その使う電波というものは公共性を十分尊重して、いやしくもこれは私物と心得て不心得に使うことがあってはならぬと思うのです。つまり、天下の公器、それを国家が電波法で免許するわけです。電波の割り当てをするわけです。その波は、テレビであろうとその他ラジオであろうと同様でございますが、天下の公器である電波を割り当てしてもらった放送事業者というものは、NHKはもう純粋な公共放送であるが、民間放送の場合はやはり私益を考えていくということにとかく重点が置かれがちになる。  そこで、民間放送は、うんとかせいで、利益をうんとあげて、職員の待遇もよくし配当もよくする。あわせて付帯事業どもやって、最近は不動産業、土地売買業などもやったりして、ちょっと天下の公器を国家から割り当てしてもらった会社としては、いささか本業を逸脱する方向へいく傾向があると思うのでございまするが、これは、電波の再免許を三年目に一ぺんするというときに、その再免許をするかどうかを考えるという程度の行政監督でなくして、もっと高度の国家の立場が考えられるような方向で監督をする必要があるのではないかと思うのです。民間放送会社は、いまこれが繁栄しておることは非常にいいことであって、最初の放送法のときには三十五条と六条に民間放送の規定がたった二カ所しかなかったのだけれども、その後一章が設けられるところへ来たほど繁栄しておるのですが、民間放送事業が繁栄することは非常に嬉しい。嬉しいと同時に、この民間放送事業者というものは、本来の目的をできるだけ尊重して、国民のためになるりっぱな放送を行ない、そしてその得た利益は最も有効にこれが使われる方向へということを私は考えるべきだと思うのですが、郵政大臣として廣瀬先生、十分御検討されておると思うのです。  民間放送業者の経営の実態等も、収支報告等を受けておられる郵政省としても、調子のいいのもあれば、悪いのもある。悪いものがあれば指導していかなければならぬ。いいのがあれば、またよい運営をしていくというのが私は郵政省仕事だと思うのですが、免許官庁としての郵政大臣の御見解をただしたいと思います。
  177. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 放送事業をやっております者は、それがたとえ一般の民間の放送業者でありましても、電波そのものが、ただいま御指摘のように、まさに公共的な国民全体の共有のものだと言っても差しつかえない性質のものでありますから、それで、さっき申し上げました電波法、放送法改正の問題にいたしまして竜、ただいまお尋ねが電波法についてでございましたから、放送法のことについては申し上げなかったのでございますけれども、放送法の場合におきましても、NHKは国民があまねく見えたり聞こえたりするような放送をしなければならない、そういう施設をしなければならないという規定が設けられておりますけれども、民放についてはそういうような規定がないのでございます。これは私は、いかにも、公共性を持った放送をやっておりますそれが民間業者でありましても、そういう立場から申しましてどうかと思うのでございまして、そこで私は、やはり放送法の改正にあたりましては、民間の業者に対しましても、この普及義務があるということをうたう必要があるということを考えておりますけれども、これまた検討課題でございますけれども、私自身は先ほどのような見解を持っておりますわけでございます。  そこで、お尋ねの民放の問題でございますが、これはたてまえといたしましては自由企業でございます。しかも土地に密着した事業でありますわけでございますけれども、いまの法規のたてまえから申しまして、他の兼業をやってはならないというような取り締まり規則はないようでございますけれども、その放送業者が、放送の内容、つまり番組でございますとか、あるいは難視聴地区の解消でありますとか、そういう事業の内容を改善、向上させるということを第一義に置きまして、兼業をするにいたしましても、土地に密着した、その土地の福祉増進のための事業であるということを、たとえ自由企業でございましても忘れるところなく、ただいま御指摘のように、利益があがったならば、どんな事業をやっておりましても放送第一主義で、放送の内容あるいは設備というものを改善していくというようなことに最大の努力をするということが、放送業者の最も大きな課題であり使命ではないか、このように私は考えておるわけでございます。
  178. 受田新吉

    ○受田委員 この問題は、電波監理局長、ひとつ御一緒に御答弁願ってけっこうなんですが、民間放送事業者が、その放送の公共性、中立性というものを十分前提としてやっているという前提のもとに、私たちはいまの民間放送事業者の繁栄を期待しておるわけです。だから、これが国の電波を使うことによって予想外の利益を得て、職員の優遇についても、株主の配当についても、また聴取者に対するサービスにおいても十分ゆとりのあるところまできた場合には、ある一定限度以上の収益を得るに至った場合には、それ以上の利益は、これは国家に還元するという意味の電波使用料というものを取り上げても、性格としては不当な制度ではないと私は思っています。民間放送事業者が努力を怠って、会社の経営をおろそかにするようなことについても、これはまた問題であって、せっかく天下の公器を利用する点において事を欠くような経営の失敗ということは、これはまた郵政省としても、天下の公器を利用する業者の繁栄をはかるような適当な指導をすべきであって、一ぺん免許したらもうおかまいなしというようなかっこうでは、私は許されないと思うのです。これは行政官庁としては、民間放送事業者が健全な発展をする。そのやり方がまずくて、聴取者に迷惑をかけるというような会社をつくってもいけない。また、一定限度以上になってきた場合には、それはある限界線をもって、収益が非常にあがるようになったならば、経営努力に対する功績は功績として認めながら、一方で電波使用料を取る。これは監理局長、長い伝統等から見て、行政事務当局としてはどう思うかを、先にあなたからお答え願います。
  179. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。  私ども事務当局といたしましては、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、現在の法体系におきましては、ある程度利益があがったとしましても、それをたとえば、配当を制限するとか、あるいは傍系の会社に出資を制限するというようなことは適当ではないと思っております。しかし、先ほど大臣も申し上げましたように、やはり民放としての公共性というものをあくまでも認識していただきまして、ますます番組の向上につとめる。あるいはまた、地方におきますいわゆる中継局をつくりまして難視聴を解消していくといいったことを、私どもは日ごろ常に指導しておるわけでございまして、その方向で努力してもらいたいということは常に申し上げているという状態でございます。  電波使用料のことにつきましては、もしそういうことにするとしますと、これは当然また法律の改正ということになると思います。私どもとしましても、まだ実はそこまでしていいかどうかという点につきましては結論を得ていないわけでございますが、先生のおっしゃることも十分理解できるわけでございますので、先ほど大臣も申し上げました、次の放送法、電波法改正のときに十分に考えさせていただきたいというふうに思います。
  180. 受田新吉

    ○受田委員 廣瀬先生、もう放送事業者は一割二分とか一割五分とかが配当の常識になってきておる。これは非常な経営努力というものを、私、高く評価せねばいかぬと思う。と同時に、国の電波を一応ただで使用しているのです。国は電波使用料をいま取ってない。それによってこうして利益を得るに至ったわけですから、そうした経営努力に対する報酬は当然のことながら、ある限度以上になって、一割五分以上の配当をし、さらに副業もどんどんやっていくというようなところへいけば、これはもう民間の野放しの営利目的とほとんど変わらないようになってくるのですよ。そういう時点になれば、電波使用料というものを何らかの形で取っていい段階になる。つまり、ある限界を越えた場合は、国家の公器を無料で使わしていただいたお返しを国家にするということは、私は当然のことだと思うのです。それは大臣もひとつ十分検討しておかれて、しかるべくやっていただきたい。私の主張は、筋としては通ると大臣きっと思われると思う。いま局長自身も、検討すべき問題として考えると言われたわけなんですけれども、審議会のようなものがあるわけで、法改正のときにそういう問題もどうすべきかを十分検討すべきだと思います。  あなたにあまり不要な発言をさして、電波使用料を取るべきだということで新聞にでも書かれて、あなたが民間業者からひどい目にあってこられるということになると気の毒だし、私自身も、民間放送業者を大いに育成強化する方面の立場を持っている人間だから、私が申し上げているのは、そういう一定限度以上に来た場合の制度というものは、これはやろうと思えば法律をもってやれるということです。とにかくただで電波を使わしてあげておるのですから、これはきわめて明白なんです。
  181. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 放送業者やあるいは放送事業に非常に御精通の受田先生の御意見として、非常に有力な、また傾聴すべき御見解だと私も存じ上げております。放送法、電波法の改正の検討にあたりましても、そういうような御意見がときどき出るのでございまして、ただいま電波監理局長からお答えしたとおりの態度で考えてまいりたいと思っております。
  182. 受田新吉

    ○受田委員 もう一つ、FM放送、超短波放送の免許というものは一体どうなっておるのか。これはもちろん電波法の規定に基づく周波数の割り当て計画というものがある。それで何やら八項目やらの基準をおきめになっておられるようですが、そういうものに照らし合わしてこのFM放送の免許というものを考えていかれるという段階で、現に東京には東京FMというのがある。これは近ごろだいぶ黒字になったようですから、大いに繁栄してもらわなければならぬわけですが、その他、地方におけるFMのこれからの免許というものについてどういう御計画があるのか。FMというのは、やはり地方では、音楽放送、音声放送などといって、なかなか喜ばれておるわけです。混信もないし、アメリカなどはずいぶん数多くFM放送局があるわけなんですが、日本の場合には、地方におけるFM放送局というものを一体どういうふうにやっていかれるのか。周波数割り当て計画というようなものが可能であるというところから、割り当てがされる今後の一つのスケジュールとして、新局を免許する計画がどういうふうに考えられているか。これは大臣、非常に勉強家でいらっしゃるのでおわかりと思う。ちょっとあなたからお聞きしたい。
  183. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 FMにつきましては、まだいろいろな問題が残されておると私は考えておりまして、たとえば放送大学の問題が一つございまするが、これもなるべく早く実施しなければならぬという段階になっておりまして、この放送大学にもFM放送を使わなければならぬ、それを保留しておかなければならないという問題が一つございます。それから中波の混信防止というようなこともございまして、FMに切りかえなければいけないというような方針も一応ありますけれども、そのためにもFMが必要であるということになるわけでございます。  さらに、御指摘のように、一般の割り当てにつきましても、御承知のように、ただいま音楽放送というようなことで四つしか免許いたしておりません。東京、大阪、名古屋、福岡でございます。どういうわけでこの四つだけでとどめておるかということについて、私はいささか疑念を持っております。郵政大臣がこんな疑念を持っちゃちょっとおかしいと思いますけれども、こういう電波というのは、なるべく国民が喜んで使い、そして喜んでその福祉を受けるというようなことに利用されてこそ、初めて値打ちが出るわけでございますから、四つだけでとどめておるということは、どうも私は理由が不可解でございますから、もう少し広く全国的にFMの放送ができるように、それから何も音楽だけに限ったことでもございませんから、音楽をやっても差しつかえございませんけれども、ひとつFMの免許を進めていこうじゃないかということで、いま具体的な案を電波監理局で立案をいたしておるわけでございまして、おれの在任中にそういう目鼻をつけてくれよということで、いま作業を進めておる段階でございます。
  184. 受田新吉

    ○受田委員 こうしにFMのチャンネルプランというものが実行に移されて、国民全体に楽しい音声によるしあわせが得られるように、大臣在任中にやられるということですから、ぜひ在任中にやられますね。もう一度伺いたい。いつが期限か。まだ相当残っていると思います。
  185. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 もう余命幾ばくもございませんけれども、私、この問題には非常に関心を持ち熱意を持って督励いたしております。在任中に免許の実施は、あるいは間に合わないかもしれませんけれども、計画だけは立てるように十分監励いたしておりますから-…。
  186. 受田新吉

    ○受田委員 私、もう一つ、大臣、電波の問題で、VからUに移行する十カ年計画を宣言された小林元郵政大臣の計画は、その実行の上には金がかかり、なかなか途中で骨が折れることもあるんだという発言をされたということでありますが、しかし、Uへ移行するということにおいては自分としては間違いない、小林元大臣と同じだ。しかし、その途中で金がかかり、また現実にオールチャンネルの受像機その他が普及していない。コンバーターなどをつけたりするのがめんどうなのでまだ普及しないという懸念もあるが、しかし、現実にUへの移行は、地方のローカル局においても、すでに八〇%も九%も行っているという段階です。だからU受像というものは、現実に国民の大半がオールチャンネルというかっこうと同じような形になっておる。これは局長御存じのとおりです。そういう段階ですから、需要者の側から見ると、経費負担というのは要らなくなっていますよ。だから今度は放送の事業者の経費の問題だけになってくる。そういう意味では、大臣としては、Uへの移行について、放送事業者の負担の点だけの配慮かどうか。ちょっと骨の折れる話をされたことは、どういうところに原因があるのか。一言触れておきたいと思います。
  187. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 お話のように、小林郵政大臣のときに、Vの波が、今後日本におきまして、あるいは警察関係、消防関係等で必要であるという、いわゆる移動無線に使うわけでございますが、VHFの確保をしなければならぬという立場で、いまテレビで使っておりますVHFをUHFに切りかえるという十年計画を立てているわけでございます。それに基づきまして、NHKに東京と大阪でuの実験放送をやらせておりますことは御承知のとおりでございます。それから、Uの放送局があちらこちらにできましたという関係で、受信者の側は、ただいまお話しのように、だいぶ受信機の設備が進んでまいっておるのだと思います。しかし、全国的に申しますと、まだまだ十分受信者の側で、そのような機械なり設備が充満しておる、一ぱいになったという状態ではないと思いますけれども、だいぶ進んでまいっておることは事実でございます。  しかし、いまあなたがお話しのように、放送いたします送信者の側のほうにも一つの大きな問題があるわけでございまして、この切りかえに相当多額な経費を必要とする。NHKについて申しますと、約九百億でありますか。それから民放で申しますと、全国で約七百億というような多額の金を必要とするという状態でございますから、それでこれはいわば一種の国の責任であります。国がそのようなことを免許して放送をやってもらっておるわけでございますから、それで、免許の切りかえの時間があるとはいいながら、やはりそうしたことについては国がある程度配慮をすべきだ、かように考えております。  そうだということになりますと、十年のうちにはVからUに切りかえるというその方針、これは変更はいたしておりません。その方針を堅持してまいるわけでございますが、ただ具体的な実施についてはもう少し何とか案を立てなければならない、計画性を持たなければならないということで、これまた私の在任中にぜひ、VからUに切りかえる日程と申しますか、こういうような方針で切りかえをやるんだという、主として資金的な面でございますけれども、そういう面について計画をはっきり充実させまして、実施できるような方向に持っていこう、こういうことでただいま努力中でございます。
  188. 受田新吉

    ○受田委員 大臣、非常に御熱心であることを私、喜ぶものです。残りが幾ばくもないという話がございましたが、大臣はまた次の内閣にもお残りになる可能性がないということもないわけです。ひとつ、あなたのような熱心な閣僚がおられることは非常にいいことだと思っておりますので、御健闘願いたいと思います。  ついては、あともう時間がありません。外務大臣がおいでになるまで五分か六分の間に一本質問というのに切りかえます。ぱっぱと尋ねまして、ぱっぱとお答え願うというかっこうで、問題の幾つかを取り上げてみたいのです。  私、今度は郵便関係の問題に触れてみたいのですが、郵便はがきです。郵便切手は、郵政大臣が料額その他を印刷した証票の発行が自由にできるという権限が郵便法に認められておって、記念切手というものは非常に数多く出しておられる。しかし、郵便はがきのほうの記念というのは、お年玉つきの年賀はがきと、それから暑中見舞いのはがきと、たまに緑化とか国体とかいうときに発行する程度です。もっとはがきのほうにもデザインをつくって、変化のある特殊の記念はがきを発行されていい、こう思います。これが一つ。  一々お答えを願うよりもかためてお尋ねいたします。  昭和四十一年、私、五年がかりで提案してついに実が結んだ思い出の法律改正があります。書き損じたり印刷をしくじった郵便はがきを交換できるということを郵便法の第十九条の四に入れていただいた。私は五年がかりで、これは私の責任でやった提案でありますだけに、私にはほんとうに感無量な五年がかりの実りある法案であったわけですけれども、その後、最初に二円で交換しておったのが、引き続いてまだ二円でとどめてもらっておるというのはありがたいと思うのです。これは郵政審議会の答申よりももっといい措置をしてもらっているわけであります。非常にありがたい。これはどのくらい交換者がおるのか、数字を示してもらいたい。そして今後ともこういういい制度はしっかりやってもらいたい。  それからもを一つ、今度の新しい制度の第四種郵便物に、答弁は局長でけっこうですけれども、盲人の点字用等の印刷物は無料で送付できるようになっておるが、身体障害者のグループで発行する文集のようなものをせめて半額くらいでやる。それは一応の基準を適当にきめてやるべきである。これも前から私からも提唱してある。本会議でも御質問申し上げたことがある。つまり、身障者その他の特殊な、国家がお手伝いせねばならぬ立場の方々が、自分たちのさびしい心を託して発行する文集などは、全廃ができなければせめて半額で郵送できるような減免措置をとってもらいたい。身体障害者で「はばたき」とかいう文集を発行している人もいる。私の郷里に河野雅子さんという全身ほとんど動かない人がいるが、彼女が足でペンを書いて文集を発行している。涙ぐましい生きる努力をしている。それが全国に発行する文集に、郵税が非常に高くなってやりきれませんと訴えております。こういう発行者が不幸な人であって、筋がはっきりしているというときには、国家がその不幸を埋める意味の郵税の半減というような措置を思い切ってとるべきではないか。こういう問題をひとつぜひ取り上げてもらいたい。  以上、お答え願いたい。最後の面で大臣の御決意を承ればなおいいです。
  189. 溝呂木繁

    溝呂木政府委員 ただいまのまず第一点、記念はがきをもっと発行すべきではないかというお尋ねでございます。ただいま先生指摘のとおり、ある時期においてはいろいろやっておりますが、記念切手等に比べるとその発行枚数は少ないのですが、実は市販で、グリーティングカードとか、非常にアイデアに富んだ、いわゆるはがきとして使用できるものが相当出ておりますので、われわれがそういった部門にまで出ていくことについていささかちゅうちょしているというのが実情でございます。たとえば国民体育大会、こういったときには題材もはっきりしておりますし、画材もはっきりしておりますので、そういったところにほいままでも発行しておりますし、今後も発行したいと思います。そのほか、季節ものについては暑中見舞いをやっておりますが、あの辺が限度ではないか、と言うとちょっと役人の引っ込み思案かもしれませんが、しかし、せっかく先生の御提言でもございますので、いろいろそのほうの専門家の先生も私のほうの郵政審議会におりますので、そういった先生にも少し聞いてみたいと思います。  それから第二点のはがきの交換制度でございますが、まさに先生おっしゃられましたとおり、四十一年にこの制度が開始されたわけでございます。これは実は普通局と集配特定局だけの件数でございますが、四十一年当時は一千百万枚程度であったものが、四十五年度では二千七百万枚というふうに、やはりこの制度の利用が非常に活発になっております。四十一年から実施して四十五年まででございますが、全体では九千五百三十八万六千枚というふうな活用状況になっております。  それから第三番目の、身体障害者の文集等に対して、料金面で、あるいは何かの種別体系の面で優遇の道はないかという話でございます。前にこれにちょっと類したものがございまして、そのときは現行制度の中でいろいろの手を講ずることによって三種料金にうまく当てはめた例はございます。しかし、新しい種別体系をつくり新しい料金体系をつくるということになりますとかなり大きな作業ということになりますが、せっかく先生の御提言でもありますので、少し研究させていただきたいというふうに思います。
  190. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 三点目の御質問につきましては、身障者の料金の問題でございますが、郵政省郵便関係の経営も必ずしも楽ではございませんけれども、より高次の御所見だと考えましたわけでございまして、ひとつ真剣に検討してみたい、こういうように考えております。
  191. 受田新吉

    ○受田委員 ちょうど十五分になりましたから約束の時間ができましたが、それでは外務大臣が来られるまであと一分ほど……。  私、郵政省にお尋ねしたいことは、これに書き上げてあるのです。時間制限があるからまた別の機会に伺いたいことがあるのですが、郵政省という役所は大衆サービス官庁で、アメリカなどでは一番りっぱな役所です。そしてそこへ勤める職員も非常に希望を持ってやるという、国民に一番喜ばれる役所になっておる。厚生省と郵政省国民に一番喜ばれる。料金をあまり上げると喜ばれませんけれども、普通は喜ばれるのです。そこで郵便年金というものは一体どうなってきたのか。いまごく少数のものがそのまま制度として残っているということでございますが、簡易保険郵便年金福祉事業団というものがあって、郵便年金がその事業団にはちゃんと入っておるが、いま郵便年金がどのくらい利用者があるのか。簡易保険郵便年金福祉事業団法という法律ができておる。役所がある。郵便年金制度の現状をちょっとお尋ねしでみたいと思います。
  192. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 現状の数字的な問題につきましてはあとで関係局長から答弁させますが、郵便年金は、普通の社会保障制度がどんどん拡充、整備されてまいりますにつれて、利用者が非常に少なくなりまして、事業が非常に縮小し出しているわけでございます。そこで、将来この郵便年金をどうしていくかということについては、いまいろいろ検討中でございまして、まだ結論はついていませんけれども、なかなか末細りで将来さびしい感じがいたしておるわけでありますが、十分検討いたしまして将来の対策を講じたい、どうするかということをきめたい、このように思っております。  それから、冒頭におっしゃっていただきました、郵政事業が庶民の仕事である、これは郵便にいたしましても、簡易保険にしましても、あるいは郵便年金にしましても、まさにそのとおりだし思うのであります。したがって私は、こういうところで働かせていただいておりますことを非常に誇りとしております。全従業員三十二万おりますけれども、これも全く同じような気持ちで働かなくちゃならない。しかも、将来だんだん社会が情報化していくというような方向につきまして、郵政省の任務もますます重大さを加えていくということで、大いに誇りを持ちますとともに、職責の重大さに思いをいたしまして仕事をいたさなければならない、こういうような信念をもってやっております。
  193. 受田新吉

    ○受田委員 どうも御苦労さまです。大臣はけっこうです。あと、数字がわかれば、ひとつお願いします。現在、郵便年金加入者が一年でどのくらいあるのですか。
  194. 東城真佐男

    ○東城説明員 四十六年十二月末現在で保有契約が二十三万四千件。それで現在、新規契約の積極的な募集を停止しておりまして、四十五年、六年、いずれも新規契約は十件程度でございます。実際上停止しておるということになるわけであります。      ――――◇―――――
  195. 坂村吉正

    ○坂村委員長代理 次に、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。受田新吉君。
  196. 受田新吉

    ○受田委員 私、外務省の関係二つ法案、毎年当委員会で審議されてくるわけですけれども、今回の法改正に直接関係する質問のほうはあと回しにして、関連する重要問題のほうを先にお尋ねしたいと思います。  アメリカ局長、連日御苦労でございますが、当委員会でも、また外務委員会でも、しばしば論議されている交換公文による事前協議の問題は、どうも私、気にかかってしようがない。それは、もう三日たたないうちに沖繩が祖国へ帰ってこられる。あの方々が日本人としてほんとうの姿になっていただくという歴史的な瞬間が目前に迫っているのですが、そのときに、安保条約に伴う岸・ハーター交換公文というこの事前協議事項というものは、一体ほんとうに実効があるのかないのか。アメリカ自身が見たら、極東におけるアメリカの最も高度の戦闘作戦行動の基準をかれこれ議論してもらうことは、あまりうれしくないと私は思うのです。  そういう意味から言って、過去において一回も事前協議の対象になったことがないというこの現実を思うと、事前協議を含むあの交換公文というものは実効があるのかないのか、もうこのあたりでこれを考え直すべきときが来ておるのじゃないかという基本問題に触れて、ひとつきょうお尋ねしてみたいと思うのです。実際、アメリカ自身が、戦闘作戦行動の最も高度の秘密に属する問題を日本へ御相談があると思いますか。どうでしょうか。
  197. 吉野文六

    ○吉野政府委員 御承知のとおり、事前協議制度と申しますのは、われわれといたしましては、日本側といたしましては、あくまでも日本の安全にかかわる事項については、わが国の意向に反した行動をとらないように制約をするということがこの事前協議制度のできた根本的な趣旨だと思います。したがって、日本の安全に直接関係あるようなことにつきましては、これは単に形式的にアメリカ側がわがほうに、事前協議として、この三項目に書いてある事項につきまして、事前にわが国に意向を尋ねるというだけではなくて、わが国といたしましては、当然これらの事項については、わが国として独自の立場でわが国の意向を定めるというのがわれわれの立場だと思います。したがって、そのような事項は、実はいままで安保条約ができて以来十二年になりますが、その間におきまして実際に起きなかったわけでございます。万一起こる場合には、もちろんアメリカ側はわが国に対してこれについて相談してくる、こういうことになります。
  198. 受田新吉

    ○受田委員 実際に効果のないようなかっこう、実効があがらないようなかっこうで十年ばかり続いてきたわけですね。実際にアメリカ自身から見たら、戦闘作戦行動というものは軍の最高の機密である。そういうものを事実問題としてどういう形で日本へ御相談があるか。彼ら自身がやると思われますか。どうですか。
  199. 吉野文六

    ○吉野政府委員 先ほど御説明したとおり、このような事項は、日本の安全に緊密に関連する事項であり、現に、たとえばこの中に書いております日本国への軍隊の配備ということを考えましても、実は、日本側と密接に協議をしなければ、アメリカ自身としてもこれが行ない得ないというのが実態でございます。たとえば一個師団以上の兵隊を日本に新たに持ってくるということになりますと、基地にしろ、あるいは宿舎にしろ、結局日本政府が協力しなければこれは行ない得ない。また、日本国の基地から行なわれる直接的な戦闘作戦行動というものも、これが行なわれますと、結局、場合によっては日本自体も戦闘作戦の一部になる、こういうことでございますから、したがって、基地周辺の住民というものも当然これに対して全幅の支持をしない限りは、基地の完全な運営ができない、こういう事態でありますから、アメリカ側としても、これらの事項について日本と相談なく行なうということは、実際問題としても行ない得ないわけでございます。
  200. 受田新吉

    ○受田委員 私が非常に心配しているのは、現実にアメリカから相談をするようなかっこうにならない。特に作戦行動のために日本の基地から飛び立っていくような場合に、アメリカが事前に相談して、いかにも秘密ということでなくさらけ出した話し合いをするようなかっこうには、私は現実問題としてならぬと思うのですよ。そこで、これはむしろ交換公文のようなものでなくして、もっときびしい条約の一項の中へ入れるというような形のものできちっとしたほうが筋が通るのではないか。双方の申し合わせで、日本がイエスとかノーとか、ちょっと日本側でも困るというようなかっこうでなくて、条約にきちっとうたって歯どめをぴしっとしておくほうがあいまいでなくていいと思うのですが、この点を条約局長として、歯どめは、むしろ交換公文のようなあいまいなものでなくて、きちっと条約にうたう、あるいは協定でうたう。祖国へ沖繩が返ってくるような段階では、むしろ事前協議というような、ちょっとどうなるかわからないようなかっこうのものでなくて、歯どめがきちっとする形のものに切りかえる、そういう交渉というものはできないものでございましょうか。
  201. 吉野文六

    ○吉野政府委員 御存じのとおり、この事前協議に関する交換公文というものは、安保条約そのものと一体をなしておりまして、一体として国会の承認も得ておるわけでございます。したがって、この形式が書簡であるかどうかということは、この効力そのものについては何ら疑いないわけでございます。  なお、安保条約の第六条は、日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカ合衆国の軍隊が日本国において施設及び区域を使用することができる、こういうことを書いてあるわけでございます。ただし次のような場合には、その基地の使用については日本側と事前協議を要し、日本側の承諾を要するというのがこの趣旨でございます。したがって、念のために書簡をもってさらに基地の使用の態様について書いておるというのがこの交換書簡の意味だと思います。
  202. 受田新吉

    ○受田委員 交換公文の生まれた根拠もわかります。それから当時の行きがかりも、私は当時条約案を審査したときの責任者で、よくわかるのですが、あれから十二年もたって一向に実効があがっていない。つまり一回の発動もしていない。しかしながら現実には、懸念されるような行動が、疑わしきものが、予備的な行動というようなものが、適当なところまで出かけて、そしてその途中から戦闘作戦行動に移っておるというようなことが行なわれておるというような形のものは、いかにも巧みに事前協議制を逆に悪用していると私は思われるのです。だから、このあたりで事前協議を洗い直す、総ざらいするという御方針のようでございますが、そのほうはいま総ざらいの準備をしておられるわけですね。
  203. 吉野文六

    ○吉野政府委員 この点につきましては、すでに外務大臣からたびたび御答弁がありましたとおり、われわれとしてはいまいわゆる総ざらいの準備作業を進めております。
  204. 受田新吉

    ○受田委員 総ざらいをしなければならない段階において、むしろこれは条約の中にそのことを、交換公文の内容をもっと整理して書き込む、あるいは協定に切りかえる。これは両国の話し合いで当然できることなんですから、そういうところにきちっと歯どめをつくるという形も一方法として考えられるがいかがでしょう。
  205. 吉野文六

    ○吉野政府委員 これは政府の最高方針の問題だと思いますが、技術的に申し上げますと、結局それは安全保障条約そのものを改定するということになるわけでございますから、そのようなことは技術的にも非常に困難なことだとわれわれは見るわけであります。
  206. 受田新吉

    ○受田委員 外交交渉のことですから、条約はそのままにしておいて交換公文というような形のものでなくして、双方の新しい協定を、つまりこれを厳重にするという協定であるならば、それは現在よりも、むしろ条約の緊張度というものを、日本側から見たら、日本側に非常に安心できる形に切りかえられるわけでございますから、国民もこれに共鳴する者が多いと思うのです。つまり、不用意な、どうなるかわからぬ、あいまいもことしたような交換公文のような形のものでなくして、もう一歩前進させるという形は、そうむずかしい話し合いでなくて、日本政府が本気でやろうと思えば、これは簡単にすぐ実行に移されるのではないですか。つまり、事前協議制を総ざらいしようという段階で、あくまでその事前協議制そのものを交換公文のような形のものよりも、もっと進んだ、きちっとした形のものを一緒に検討するというような形なら非常に筋が通ると思うのですが、大臣のお考えになっておるのは、ただ単に、双方の話し合いの中で事前協議の内容をもっときちっとしょうという、現状をもとにしたものということであって、一歩前進した、双方のかたい約束の、一言にして言えば協定のごときものへは考えが及んでいないということでございましょうか。
  207. 吉野文六

    ○吉野政府委員 この点は、万一、岸・ハーター書簡というものを改定するとか、あるいは安保条約の規定自身を、先生の御指摘のような趣旨でもっと書き直す、こういうことになりますと、これは先ほども申し上げましたとおり、わが国においては、もちろん国会を通して新たな協定として承認を得なければならないということもございますし、またアメリカ側においても同様な手続が要るだろうと思います。ということは、これは現状におきましてはほとんど不可能に近い仕事ではないかと考えております。
  208. 受田新吉

    ○受田委員 アメリカ局長はこれよりも外交上の儀礼のほうにお立ちになるようでございますが、大事な問題ですから一応この機会に、あなたがおられるところであわせてお尋ねを申し上げておきたいと思うのですが、事前協議の中に出てくる三つの問題があるわけですけれども、その中で一番問題になってくるのは戦闘作戦行動の規定のところですね。それが私は問題になると思う。そこは軍の最高の機密に関する戦闘作戦行動であるということ、これはきわめて明白ですね。そのことが、日本に事実問題として相談をされるという形が、実際はもうそのときに、やる気ならいやおうなしにやりまくるという危険はないか。これは局長、十分おわかりだと思うのです。
  209. 吉野文六

    ○吉野政府委員 この点につきましては、先ほど御説明したとおり、そういう事態であるならば、ますますもって、日本国民の、あるいは日本政府の意向を聞かなければ、アメリカは単独でできないんじゃないか。すなわち、日本の国の基地を使って直接戦闘作戦行動をするということは、場合によっては日本に一緒に戦ってもらわなければいかぬ、こういうことを意味するわけでございますから、そのような事態においてアメリカがかってに日本の基地を使ってやりだしたというようなことになれば、アメリカ自身が、日本の基地を十分に日本の国民の支持を得て使えない、こういうことになるわけでございますから、こういうことになる事態であればこそ、アメリカはますますもって前もって日本の同意を得なければならない、こういうことになるだろうと思います。
  210. 受田新吉

    ○受田委員 そのことを絶対にさせないような形のものを形の上でつくらなければならない。それをいまのような事前協議制で片づけることにするから、あちらの軍の最高作戦機密が結局は暗々のうちに行なわれる危険がある。それをさせないための明文、文章としてきちっと一札とること。これは議論が平行になるかもしれませんが、これが条約を新しくつくり直さなければならぬというような問題に発展するというので、現実になかなか困難だ、その一語に尽きるということで、この問題は論議を進めるわけにはいかない、こう了解してよろしゅうございますか。
  211. 吉野文六

    ○吉野政府委員 この協定を変更することは技術的に非常に困難なことであるということは先ほど申し上げたとおりでございますが、なお事前協議は、御存じのとおり、わが国の立場としては、イエスもありノーもあり、したがって、わが国の安全に直接関係がないことにつきましてはわが国はあくまでもノーと言うという態度を堅持しておる限りは、その点についての歯どめは十分あるだろうとわれわれは考えておる次第でございます。
  212. 受田新吉

    ○受田委員 もう一つは、大臣も懸念されておることではあると思うのですけれども、いろいろ論議が繰り返されていることで、外交上も平行線をたどっている問題ですので、これは、日本の立場はこうなっているということをもう一度はっきり宣言していただけばそれでいいわけですけれども、私は、いまの段階、沖繩が三日たたないうちに返ってくるわけですが、これが日本へいま返ってくるという段階の中に、尖閣列島の国際的な問題がからみついているということは非常に残念であると思いますが、大臣はいかがでしょうか。
  213. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 尖閣列島は、沿革的に見まして、わが国の領土として施政権が今度返ってくる、その南西諸島の中に明確に入る。これについては、おそらく受田さんにおかれましても、一点の疑義がないところだろう、こういうふうに確信をいたします。ただ、お話のように、現実の問題とすると、特に中華民国、国民政府におきましてその領有権を主張しておるわけでございまして、このことは残念でありますが、わが国においては、どこまでもこの領有権については、一点の疑義もなくわが国にあり、こういうことで諸般の措置を進めるという以外に道はない、こういうふうに確信をいたしております。
  214. 受田新吉

    ○受田委員 あそこの、赤いしっぱと黄色のしっぽと書いた島が二つほど今度台帳に載って、返還後、米軍の射爆場として残るわけです。そうなると、われわれの主張としては、あそこは日本国の領有である。私もそれを強く信じておる。そうたければならぬ、これは大臣と全く同じです。ところが、中国にしても、台湾にしても、いろいろと難くせをつけておるというやっかいな島である。こういう問題にぶつかると、これは外務大臣、非常に頭を痛める問題だと思うのです。したがって、お互いの国の主張は主張として、われわれはこの尖閣列島が、歴史的に見ても、また現実の問題としても、日本古来の領土であることを十分知っている。しかし、また一方で、国連の委員会において、これはおれの国の領土であって、こういうものの領有を主張するなどということははなはだけしからぬことだという国があるわけですね。これはやっかいなことです。やっかいなまま日本に持ってこられるのですね。  このときに、これは私としては非常に残念なことなんですけれども、射爆場にそれをそのまま残すという形をせめて――残した形でもいいけれども、現実には射爆を実行しないでおくという形をとる。今度日本に返ってきたならば、ある意味で、国際紛争が解決する、こうした領有権の問題が処理される間は、一応われわれの領土権の主張――竹島と似たような問題でずが、こういうわれわれの主張とあわせて向こうの主張もあるというやっかいな島の扱いについて、きちっと割り切ってやるがよいか、あるいは、ある期間において、実際の使用について考えるという形をとるがよいかという問題も、現実には考えておくべきであって、われわれの主張と異なる見解のある問題の紛争の解決の手段としてどうやったらいいかというのについて、これはどこかで議論がありましたか。
  215. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 ないです。
  216. 受田新吉

    ○受田委員 全然ない――私自身は、赤いのと黄色いのとが戻ってきておるものですから、それが一覧表の中にちゃんと出てくると、今度日本に戻ってきた段階になると、やっかいな問題になってくるという感じで、いよいよ戻ってくる段階になって、よけい気にかかり始めたのですけれどもね。この問題は、非常にデリケートな外交問題を含むやっかいな問題であるだけに、私自身もこれはくたびれる問題だと思っておる。だが、外務大臣としては、そういう問題は、返ってきて射爆場として使用されるものも、これを変更するわけにいかないということでおそらくやっておれることだと思いますが、そういう二つの島が尖閣列島にあるという問題に非常な疑義を持っておる国民の層が相当量においてあるということは、大臣はひとつ確認しておいてもらわなければいけません。どうですか。
  217. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 私の尊敬する受田さんのお話でございますが、私はそれは同調できません。もし尖閣列島について、国内的に見てこれが疑義がある、こういう問題であれば、それは受田さんのようなお話もうなずける。ところが、われわれとしてこれは一点の疑義も持たないのです。ただ難くせをつける国があるというだけの話であります。もしそういう状態下において、われわれがわれわれの領土というふうに確信を持っておるその島についての処置、これについて何か遠慮をする、そういうようなことをしなければならぬ、こういうことになったら、あるいは沖繩は全部おれの国の領土であるという主張があれば、それもわれわれはまた遠慮しなければならぬか、こういうことにもつながってくるわけです。私はそうじゃないと思うのです。やっぱりこれは、どこか難くせをつける国から見ましても、あるいはわが国から見ましても、論争の理由があるというのであれば、私はそれはおっしゃるような配慮もしなければならぬかとも思う。しかし、われわれの考えは、これは特殊のごく一部の人において、尖閣列島は中国のものであるという説をなす人がある。これは承知しております。これはごくわずかです。これはもう全国民が、尖閣列島はわが国の領土である、こういうふうに認識しておる。これは私はそういうふうに思います。そういう尖閣列島に対しまして、その処置を遠慮しなければならぬ、これは私はどうかと思う。私どもは私どもの所信に従って、堂々とこの島に対する諸施策を進めてよろしい、すべきだ、こういうふうに考えております。
  218. 受田新吉

    ○受田委員 次の最も有力な総理大臣の候補でいらっしゃる福田先生のことですから、別にあまりむずかしく考えられなくていいことなんです。これは私たちは、航空識別圏の問題等も、これは当然問題にされたことなんですけれども、日本の領土であることはきわめて明白なんです。しかし射爆場にするというのが問題なわけなんです。だから、遠慮するという意味でなくして、われわれの領土であることを明白にしながら、国境の路線の近い領土においては、わざわざそうした施設を設けなくてもよいという意味で、われわれは領土権の主張と射爆場の設置というものを分離して考えなければいけない、そういう意味で私は申し上げた。  つまり、その場合、向こうが言うから遠慮というのではなくして、領土権は強く主張するが、国境の周辺の地区というものはできるだけそうした軍事的な色彩のものからなくしていくことが平和外交の基盤であるという意味で私が取り上げているので、遠慮の意味で言うわけじゃないのです。そのことをよく分離して考えていただいて、領土権の主張と、そして平和外交という意味からは、どうか国境周辺のあそこまでわざわざ行かなくても、射爆場は別のところでまた得られるところがあるならば、そこもまた住民の反対があるかもしれないが、射爆場としてせっかく返ってくる尖閣列島をわざわざ取り残さなくてもいいんじゃないかという問題でございます。大臣としては、それは必ず残すのだ、これはそのままアメリカの射爆場を認めるのだ、その約束を必ず実行しなくちゃならない、いまさら変更できぬというお気持ちを承ったものですから、その方針はき然たる態度として、一応外務大臣のお考えはわかりました。わかりましたが、私の考えは、そういう意味で、領土権の主張は堂々と私はやっておりますから、尖閣列島はわが国の領土ですから、それと同時に、いま申し上げたような理由で遠慮してはどうかという意味なのです。
  219. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 いま重ねてお話を承りまして、受田さんの話よくわかりました。これは領土権の問題とは別の問題だが、地理的に台湾に近い、あるいは大陸に近い、そういうようなことで米軍基地の配置として再検討の余地がある、こういうお話であると思います。そういうお話でありますれば、私は御趣旨のほどはよくわかります。なお、御趣旨の点は十分頭に置いて今後この問題の取り組みの重要な参考資料にいたしたい、かように存じます。竹島だとかいろいろなことを言われるものですから、つい受田さんともあろう人が、何か所有権に疑義でも差しはさんだかのごとくちょっと感じまして、私はびっくりいたしましたのでお答え申し上げた次第でございます。
  220. 受田新吉

    ○受田委員 アメリカ局長けっこうです。いまから大臣に別の問題で伺いたい。国連負担金の問題、これは大臣にお答えできるでしょう。  私、国連本部へもたびたび行ってみまして、国連の負担金の割合はアメリカが三分の一近いものを負担して、その他大ぜいが三分の二、こういう基準になっているのですが、世界の平和をほんとうに確立するためには、国連の負担金を喜んで受けるという風潮が起こらなければならぬと思うのです。日本もその意味では、比較的負担額が高い国家として指折りの中に入ってくるところまで来ておるわけですが、現実に負担金というものは支払いをしない国家等もあって、事務総長からいろいろと注文をつけておるような現状ですが、日本国は国連の負担金について、各国が国連をりっぱに育てる意味の擁護策としては、そうした国々みんなで負担はりっぱに実行しようよ、こういう話はしておるわけなんですね、国連外交として。
  221. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 国連は、私どもは、世界は一つという高い人類の目標に向かっての一つの道程であるというふうに考えまして、非常にこの存在を重要視いたしておるわけでございます。したがって、わが国は忠実に国連負担金の分担に応じておる。ところが、いまお話がありますように、いわゆる超大国というものの中に、国連負担金の負担に応じない、そういう国がある。私どもは非常にこれを遺憾としておるわけなんです。  わが国といたしますると、国連負担金は、進んでその正当なる受け持ち分を完全に履行するという姿勢をとっており、他国もわが国にならってほしいという立場にあるわけでございますが、最近どうも国連財政というのが非常に窮迫しているのです。実は何億ドルというような資金不足の状態だというふうに伝えられておりまして、国連事務当局はいま非常に苦しい立場に立っておるというふうに聞いておる。そこで、わが国に対しましても、さらに拠出を増額するように要請がありますが、私どもはこの機会に、国連の拠出に応ずるはよろしい、応ずるはよろしいが、強大な国家で国連に加入しながらその負担に応じないという国に、その責任をどうするんだということをまず突きとめる必要がある、こういうふうに思うのです。そういう方向で対処する。そういう国々がほんとうに反省するということでありますれば、わが国は国力もついてきたのですから、さらに進んで積極的に国連の財政強化――いま強化どころじゃない、非常な窮乏でありまして、火の車のような状態であると聞いておりますが、せっかく努力をいたしてみたい、こういうふうな考えを持っておるわけです。
  222. 受田新吉

    ○受田委員 私、国連外交中心の平和国際社会をつくろうというのがうちの党の方針でありますので、特に国連には深い関心を寄せているわけです。ところが、その負担金まで出さないで、しかも国連に注文だけつけるような国があるというその現実は、一体どこに原因があるのか、私はどうも理解に苦しむわけです。国連をほんとうに守ろうとするのか。あるいは負担割合が不公平であるというのか。ちょっとこれは大臣で申しわけないことですから、これ以上お尋ねすることを避けたいと思うのですが、国連外交の基礎のどこかに大きなひびが入っているということを、私、嘆かざるを得ない。この点、日本国の責任者としては、少なくとも国連をむしろ大事にする国家として、外務大臣は勇敢に、この国連を擁護しようとするわれわれに対して、国連を粗末に考えようとするそういう動きを押えつけるだけの平和主義を徹底的に関係諸国に呼びかける。ぜひあなたやっていただきたいと思います。  そこで、今度具体的な問題として、法案に直接関係する問題に触れていきます。  外交上の拠点として、それぞれの国に大使館があり、総領事館があり、また領事その他を置いておられるわけですけれども、今回の法改正の中で新しくつくられる大使館を置く国家の専任大使と兼任大使を明確にしていただきたい。
  223. 鹿取泰衛

    ○鹿取政府委員 今度の設置法でお願いしております新設公館につきましては、いずれも兼任の大使館を予定しておるわけでございまして、ブータン、モンゴル、トンガ、ナウル、西サモア、フィジー、アラブ首長国連邦、オマーン、カタル、バハレーン及び赤道ギニアの諸国につきまして兼轄の大使館を設置するという方針でございます。それから在ダッカ総領事館の地位を変更しまして、総領事館からこれをバングラデシュ大使館にする予定でございますけれども、それにつきましては、将来、大使の定員の範囲内におきまして専任の大使を送ることも考えているわけでございます。
  224. 受田新吉

    ○受田委員 こちらが兼任であれば向こうも兼任ですか。
  225. 鹿取泰衛

    ○鹿取政府委員 いま最後に申し上げましたバングラデシュ以外につきましては、大部分まだ日本に大使を送っていない国でございます。最後のバングラデシュにつきましてはすでに代理大使が駐在しております。
  226. 受田新吉

    ○受田委員 私、一応モンゴルを例にとりますが、私自身も六年前にモンゴルを訪問しておるし、昨年はツェレンツォードルというアジア担当の局長がここへ来られて、外務省は大臣も会ってくれないと言ってさびしがっておられたから、私は一晩お夕食を一緒にして励ましてあげた。そして福田外務大臣に会えないままで帰られた。私は羽田の飛行場まで送って、タラップに乗るまで見送りをしたけれども、外務省のお役人はだれ一人見送る人もいない、こういう姿を、私、現実に体験したわけです。  これは問題の国として、台湾との関係などを考慮されたと思うし、中国問題もややこしいときだったと思うけれども、私、ツェレンツォードルさんとお夕食を一緒にしたのですが、私は全権を委任されてきておる、大使の交換をいつでもやってこいという約束をとっておるんだという話であったのですけれども、せっかく向こうがそこまで積極的に乗り込んでこられるようなときに、なぜ日本の外交には、これを大きな手を広げてアジアの友邦として抱き締めるほどの雅量がなかったのか。私は、その後において、大使交換が急速にソ連のモスクワにおいて進められてきたことを非常に喜ぶのでありますが、その過程において、福田先生にもっと深い友邦への愛情を持って御苦労をしていただきたかった。大臣のところまでだれからも申し出がなかったのですか。これは私、何とかして御連絡したいと思って、帰られる日の朝でもと思ってえらく意気込んだのですが、ついに目的を果たせなかったが、今度在モンゴル大使館を新設するという外務省の法案を拝見したときに、外交上の配慮というものはなかなかむずかしいというのが現実だということを感ずるのですが、もっとすかっとやれないものかと思うのです。これは当時、福田先生自身も聞いておられなかったのか。あるいは、会いたがっているのは聞いたけれども、なかなかややこしかったんだということであるのか。
  227. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 いつごろのお話でありますか。
  228. 受田新吉

    ○受田委員 昨年の秋であります。
  229. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 ちょうど昨年の八月ごろでございましたか、わが国からモンゴル派遣特使団が参りまして、そのときの歓迎されぶりはたいへんなものだったようです。向こうでは、その特使団は、これはおそらく大使の交換の話を持ってくるんだろうというふうに期待しておりまして、その話を持ち出したわけなんです。ところが、こちらではそこまで考えておらなかったものですから、非常に失望を与えた状況がありありとわかる、こういう帰ってからの特使団の報告でございました。  当時、わが国はなぜモンゴルに対して大使交換に踏み切らなかったかと申しますと、実はかつてモンゴルがわが国に対して賠償問題を持ち出す空気があったことがあるのです。それで、大使交換というとそのことがまた持ち出されるのではあるまいかというような見通しを持っておりまして、おそるおそるというような態度であったかと思うのであります。ところが、この特使団が行ったあと若干の接触がモスクワにおいて行なわれまして、その接触の過程から見ますと、賠償金の支払いというようなことは一切言わない、ただ単に大使を交換するということにいたしましょうという空気であることが判明いたしましたので、急遽大使交換、国交開始に踏み切ったということですが、その間の過程は日本・モンゴルは少しも悪い状態じゃなかったのです。私は全然その十月の時点でモンゴルから来訪者があったというような話は聞いておりませんが、何かの手違いがあったんじゃあるまいか、そういうふうに存じます。
  230. 受田新吉

    ○受田委員 私が会ったのは十一月十一日、午後六時から八時まで夕食をともにしたのです。モンゴルのツェレンツォードルというアジア担当の局長です。私がモンゴルを訪問したときも、最も有力なルブサン第一副首相とこのツェレンツォードル・アジア局長とが、日本との関係でノモンハン事件等に対する賠償などというものは触れない。この間の話でも、そのようなことに触れるのでなくて、大使を交換するんで来たのだが、大臣が会ってくれない、という訴えでございましたが、大臣がいま、そのことをお聞きになっておらぬ、私の言づても届いておらぬところを見ると、やはり外務省の課長クラスは、非常に外交問題に気がねをして大臣まで進達しなかったものと思います。会ったのが十一月十一日、帰られたのが十一月十四日。
  231. 鹿取泰衛

    ○鹿取政府委員 モンゴルとの関係につきましては、さきに黙示の承認ということの段階がありましたが、いまおっしゃった去年の間から外交関係の設定を目的としまして接触を開始いたしまして、それが成立いたしましたのがことしに入って二月でございます。ここで外交関係が設定されましたので、この法案で大使館の設置をお願いしているわけでございます。この法律が通りまして大使交換ができますと、これで外交関係が完全に設定されて、外務大臣にも相手の代表にお会いいただくというような段階になるわけでございますけれども先生指摘の去年の十一月の段階では、外務大臣にお会いいただくという国際慣例にもなっておりませんので、外務省の事務当局で接待いたしまして、会って話をしたわけでございます。見送りのときにだれかいなかったかということは、これから調べないとわからないわけでございますが、そういう経緯であったことを御報告申し上げます。
  232. 受田新吉

    ○受田委員 私、その見送りのときに外務省のだれか、あまり地位のある人ではない人が送っておったんじゃないかと思うのです、二人ほど。しかし、どなたか外務省の方かもしれないけれども、それはあまりにもさびしいお帰りだったです。私は中まで入って、飛行機の飛び立つときまで見送ったわけですが、せめて公式の問題でなくても、あちらの大使を交換する権限を与えられてきた局長です。あの局長がこちらで話をつけてもよいという権限を持っておったのは御存じですか。
  233. 鹿取泰衛

    ○鹿取政府委員 そういうことでございます。
  234. 受田新吉

    ○受田委員 そうした権限を持って来た外交官がさびしく帰るというところは、私、大国日本としては少し気の毒であると思う。現にモンゴルに六百数十名のみたま、なくなった方々の墓ができておる。それを守ってくれておるというふうな誠実な国家がそのように粗末にされておるということは、私、非常に耐えがたいものを感じたわけです。この点、大臣のところまで通知しなかったということでございますから、あなたをいま責めるのはちょっとお気の毒なことでございますので、よします。けれども外交の中には、こうした外交上の心づかいがいかに大事なことであるかを、私しみじみ感じた一幕であったことを御理解願いたい。  次に、今回の法案関係して移住の問題をちょっと承っておきたいと思うのですが、一時、数千名行かれたものが、最近においては毎年六百名から七百名しか海外に移住していない。現に海外には百三十五万の日系人が活躍しているにかかわらず、後に続く者は一年に六百人しかおらないというこの現実を、外務省は十分検討していただかなければならないものだと思います。日本人のよさ、優秀さというものは、海外で十分認識されておると思う。  大臣御存じと思うが、ハワイからの四人の上院議員のうちで、三人はこの日系人。御存じでしょう。そして現にブラジルに三人の国会議員がおり、国務大臣もおる。そしてロスアンゼルスの郊外のガデナという町では、日系人が市長を二期連続やっておる。こういう日本人の勤勉さと優秀さというもの。この間。パラグアイの大統領がこちらに来られた。あのパラグアイにはわがほうから約七千名ほど行っているんですけれども、日系人の中から士官学校のトップ卒業生が出て、この間ここに来た大統領は、私はドイツ系だが、やがて日系人の大統領がきっとパラグアイで生まれなければならないと言って、大いに日本にあこがれておったのを大臣ご存じですね。  私、三年前にアメリカを訪問したときにも、アナポリスというワシントン郊外の海軍兵学校の首席卒業生は、ハワイ生まれの二世タナカという人です。ちょうど佐藤先生も御一緒でした。われわれが軍だけを取り上げるのは適当でないかもしれぬが、アメリカの海軍兵学校で、トップが少数の日系人の子供たちだなんということは、はなはだ愉快ですよ。それほど日系人は優秀で勤勉で信頼が高まっている。海外の移住地において非常に信頼を高めている。  これらの日系人にさらに勇気を与えるための移住者に対する財政的な援助、あちらに対する教育の援助、日本語を中心とした日本人教育、日系人の教育というようなものも含めた、移住者に対するあたたかい心づかいをもっともっと積極的に外務大臣としてお進めいただきたい。  この間、海外日系人大会が砂防会館で行なわれまして、海外から約五百の代表者が大会にはせ参じてきた。異口同音に伝えてくれましたことは、日本の外務省に対して、これらの地区に対してのいわば文化センターをつくってくれ、日本語の教師をどんどん送ってくれ、そして母国日本を忘れさせないための祖国への愛情をどうかわれわれのそれぞれの国々の移住者に与えてくれという、ほんとうに胸の迫る訴えを、私、聞いたんです、ブラジルを中心の七十万、北米を中心の五十万、その他の地区に十五万、合わせて百三十五万の海外における日系人を、ひとつこのあたりで外務省でも、予算をとることがまずいといわれた外務省ですが、幸い大蔵大臣の経験を持っておられる福田先生が御在任中に、ぜひひとつ海外日系人に希望を与えて、移住地において、日系人であることに誇りを持って、これらの中から日系人の大統領も出るような、そういう時代を迎えるために、外務省として移住者に対する思い切った愛情のある施策をとることをお願い申し上げたいと思います。
  235. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 まことに御説のとおりだと思います。いま、もう数よりは質ということがよくいろいろな問題についていわれますが、この移住問題につきましても、今日のわが国の人口状態から見ますと、もうそうたくさんの人を海外に送り出すという余力もないわけであります。したがいまして、移住政策というものは根本的に考え直さなければならぬ。考え直す方向は、私はすでに移住した人をりっぱな日系人として育て上げるという方向への転換だ、こういうふうに理解をするわけであります。そういう方向でいろいろなことを考えていかなければならぬ。海外移住事業団というものがありますが、これなんかはこういう転換前の機構です。これのあり方についても再検討の必要がある。それからまた、外務省における移住政策、それもただいま申し上げたような転換をしなければならない、こういうふうに考えます。  何せいたしましても、ただいまお話がありますように、海外に出ている日系人、これは各地で非常に尊敬をされている。私は、日系人がおります地域の方々に聞くんですが、異口同音に、生活程度も中あるいは中よりは多少いい程度までみんな来ておると言う。それから教育水準も、各地ともわが日本人は他の系統の方々に比べて非常にいい傾向を示しておる。また誠実で勤勉だ、これもまた定評のあるところであります。ですから私は、これらの在外日系人を何とかして援護してやる、これはひとつ大きな国の方向としてやってやったらどうだろう、こういうふうに思います。受田さんは、そういう方面で非常に御造詣の深い方でございますので、どうか、それではどうすれば援護になるかというようなことにつきましていろいろお考えもあろうかと思いますが、御協力を願いすして、そのような施策をぜひ雄大に進めていきたい、こういうふうに考えます。
  236. 受田新吉

    ○受田委員 福田外務大臣は、これらの人々に対して直接激励のことばをおくられるほど熱意を持っておられることを、私、非常にうれしく思いました。新しく移住者を思い切って大量に送るという時代でなくて、技術者を中心とした少数の人材を、優秀なのを送る、こういう方針一応わかります。けれどもまた一方では、新しく永住して向こうで日系人として骨を埋め、子孫を向こうに残すというような、そういう勢力を全然なくしてはいけないわけなんです。この計画もやはり海外移住事業団、海外技術協力事業団等も一緒になって、技術協力と移住事業と表裏一体となって、今後ともこれを真剣に考えていくべきだと思います。私、特にいまあなたのおっしゃった、移住して現実にあちらで苦労されておる皆さんのしあわせのために力強いお話でした。ハワイなども、移住者の人たちが、文化センターをつくってもらいたい、各地でそういう声が出ておるわけですが、それはやはり母国である日本の責任である、これが一つ。  それから日本語の教育をぜひ残してもらいたい。日本から優秀な教師を送ってもらいたい。これは文部教官としてでもいいし、地方教官としてでもいいけれども、現職として勤続ができるように、待遇が続くように、国際機関に勤務する職員の処遇に関する法律が数年前にできておりますが、そういうものとは別に、学校の教師を、やめていくんじゃなくて、身分を残しその勤続を続くようなかっこうでやる。そういう海外における日本語教育のよい人材を送ること。  もう一つ、海外における日本の勤務者の多い地域に日本語の学校をつくる。海外で学校教育法の該当学校という形のものがもうすでに法律的に認められることになっておりますが、そういうものをますますふやして、在外日本人学校といったものをできるだけ世界の多くの地区に設置する。  いま申し上げた三つの問題を、有力な外務大臣がおられる機会に、私、特に要望しておきたいと思います。
  237. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 たいへんけっこうなお話ですから、私どももできる限りの力を注いでいきたい。つまり、少数精鋭の移民、またすでに移住している人々の援護措置、側面援助、そういうための諸施策、いま具体的に三つの問題をあげられたわけですが、十分ひとつ検討してみることにいたします。
  238. 受田新吉

    ○受田委員 これらの在外日系人の皆さんが、それぞれの地区で活躍する中で、日本へ帰って新しい日本の力を持ってまた向こうへ行こうという動きが今度の海外日系人大会などになっておるわけです。  同時に福田大臣は、昨年両陛下の随伴としてヨーロッパを旅行されてきたわけですが、移住者の多い地区、アメリカ、ハワイ、特にハワイ、それからブラジル、こういうところでは両陛下の訪問を非常に希望しておられるわけです。あなた御存じのとおりです。日系人が両陛下に対する敬愛をささげている点においては、私は非常なものがあると思うのです。むしろ母国におる人よりは、海外におる人のほうが母国へ寄せる情というものが大きい。新しい三世、四世には問題があっても、これらの人も、日本の、母国の両陛下がいらっしゃるとなれば、若いなりに興味を感ずる人もおると思います。これは大臣、外交上の御苦労をされただけに、これらの日系人の多い国々へも両陛下にお越しいただきたいなときっとお考えになっておると私は思うのです。それは、外交交渉とか、あるいは国々のバランスの問題など御苦労の向きがあろうと思いますが、日系人の多い国家へ両陛下に御旅行を願うということを次の段階では考えていただくべきではなかろうかと思うのです。これは外務大臣として、野党の私がこういう考えを持っていることを十分含んだ上で、いかがですか、御努力を。
  239. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 たいへん大事なお話を承らしていただきました。十分それらの点も今後の問題点といたしまして検討いたします。これはただことばの上でなくて、ほんとうに検討いたします。
  240. 受田新吉

    ○受田委員 次は、もう時間をかけないでお尋ねする問題ですが、私、当委員会でしばしば歴代の外務大臣に要望しておって、そしてそれがなお実現せぬ問題であるのです。いま、大使は現在では幾らになり、今度で何人になるか。認証官たる大使の数をお示しいただきたい。
  241. 鹿取泰衛

    ○鹿取政府委員 大使館は実館、兼館ございますけれども、実館のところに大使は行っているわけでございまして、その大使館に行っている大使が八十七名。それから政府代表部が四つございますけれども、それにも大使を派遣しております。さらに国連本部には二人の大使がおりますので、四のほかに一を加えますと九十二名でございます。
  242. 受田新吉

    ○受田委員 大使は九十二名、これは全部認証官である。そのほかに認証官たる公使がある。そこで外務大臣、外務省には認証官が多過ぎてほかの役所から非常に嫉妬されておるわけです。そこで認証官をなるべく遠慮しようとしておるようですけれども、外国が認証官たる大使を要請するというので、小さい国も大使ということになってくる。外務省としては、その意味においては非常にいい条件のもとにあって、外務省に勤務する職員は、大半がエリートコースを歩む皆さんは大使、認証官になれる、こういう役所で、一番しあわせな役所に見える。しかし、今回の事件などを見ると、なかなかしあわせでもない役所のようにも見えるわけですけれどもね。大使がこれだけおる役所ですが、この中に専門のキャリアの大使、それからノンキャリアの大使、こういうものが一体どういう形になっておるか。これは事務当局で数字はおわかりだと思います。
  243. 鹿取泰衛

    ○鹿取政府委員 いまここに正確な数字は持ち合わせておりませんけれども、現におります大使九十二名のうちで、いわゆるノンキャリア出身の大使は数名でございます。
  244. 受田新吉

    ○受田委員 しかも、そのノンキャリアは外務省からのノンキャリアということで、部外から来た大使というものは現状でどうですか。
  245. 鹿取泰衛

    ○鹿取政府委員 部外から来た大使はおりません。
  246. 受田新吉

    ○受田委員 大臣、部外から来た大使がいまない。一時、戦後、那須大使がインドで大いに名声をふるったこともあるわけですし、また一度退職した大使、政治家や外交官が重ねて老後御活躍をざれたようなことが数多く出てきたわけです。そういう意味で、このあたりでひとつ部外から外交手腕を十分発揮できる人を選んで、特に国連大使などというのは、その意味では、福田先生たちが、外交官でない、かつて福島大使が行ったようなかっこうの、何か新鮮さを持つ外交人事というものをおやりになっていかがでしょうか。私は、日本の外交の中に御苦労されたキャリア出身の大使、ノンキャリア出身の大使、そのほかに一般国民の中から外交官として優秀な人材を何人か抜てきする。また女性の大使等も一人、二人ぐらい選んでいくとかいうような、どこかに新鮮さのあふれる外交布陣というものを福田先生にやっていただきたかった。そうすると、どこかに、新しさというだけでなくして、何かの期待が持てる日本の外交というものが考えられると思うのです。それは、外務省の部内などで大臣の言うことを聞かぬ人がおらぬ実力者外務大臣が出たようなときに、すかっとやっていただきたい。御在任中にそういう人事が可能性がないかどうか。どうですか。  私は、歴代の外務大臣にこのことを要望し続けてきたけれども、何とかするということでしたけれども、一向に日の目を見ていない。今度モンゴルなどへは、モンゴルに造詣の深い人材が、私の知っている人々でも何人かいます。そういう人々の中で大使を選んでいくような形のものもどうか。そういう感じがするわけでございますが、大臣、英断をふるう時期に来ているのじゃないでしょうか。新設の大使館に対する大使の任命を、兼摂を含めて何とかお考えのほどをお願いしたい。
  247. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 私も外交布陣、これはフレッシュなものであるべきだ、こういうふうに考えて、いろいろ思いめぐらしておるわけでありますが、いま受田さんからおっしゃるような部外者からの起用、こういう問題、これも適当な人材がおるというようなことであれば、これもまたそういう意味においての一案である、こういうふうに考えますので、私自身としてもなおよく考えてみることにいたしたいと存じます。
  248. 受田新吉

    ○受田委員 これで質問を終わります。あとの事務的な在勤表その他の事務当局が御準備されたほうは、きょうは質問をやめます。どうも御苦労さんです。
  249. 坂村吉正

    ○坂村委員長代理 次回は、来たる十六日、午前十時理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十一分散会