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廣瀬国務大臣 いわゆる庶民金融、正確に申しますと
郵便貯金の預金者貸し付けということになりますわけでございますが、これにつきまして御鞭撻をいただきましたことを、まことにありがたく御札申し上げる次第でございますが、ただ遺憾なことは、今度の国会中に、これは
郵政省が主体でございますけれ
ども、
関係省庁の御了解をいただきまして、最も
関係の深いのは大蔵省でございますが、
郵政省のほうから
政府提案で出したいという
考えで進んでおったのでございますけれ
ども、なかなか大蔵省の理解をいただけないというような
状態がずっと今日まで続いておりますわけでございます。幸いに野党各党でも、これをやるべきだというようなことで御激励いただいたりしておりますことを感謝いたしているわけでございますが、自民党のほうでも、
政府がもたもたしておれば議員提案で出そうじゃないかというようなことで、これも通信部会が中心となりまして、幸いに党内に衆参両方にたいへんな共鳴者が多うございまして、衆参合わせまして自民党の過半数――半分というのが二百十七名
程度でございますけれ
ども、三百名近い者が大いにやるべきだといって推進議員連盟なんかつくっていただきまして、きのうはその大会までやっていただきまして、そして政調会にも審議をお願いいたしまして、たしかきのう政調会長預かり、庶民金融の道を開くということで、まだ大蔵省の主張もあるものですから、そういうことを勘案しながら道だけは開くということを決定した。その方向で政調会長が何らかの調整をしてくれるというようなことになったようでございます。
政府みずからの手によって提案ができないという現在の
状態については、私も私の微力について非常に恥ずかしく申しわけないと思っておるわけでございます。幸いに与野党の御協力によって、そういうような議員提案で成立しまして道が開けるということになれば、私は実質上はそれでけっこうだと思うわけでございます。
そこで、いま御
指摘の貸し付け
限度の問題でございますが、これは最初
郵政省は三十万円と
考えておったことは御
承知のとおりでございますけれ
ども、党のほうでもいろいろ御考究くださって、一人の金額を三十万円ということにするよりも、もう少し金額を下げて口数を多くしたほうがよかろう。これはおのずから全体の原資に
限度があることなものですから。私
どもは財投には全然
関係がないと思っております。財投の全体の三割八分を
郵便貯金で背負っておるわけでございます。御
承知のように、
郵便貯金は預かった金は全部財投に持ってまいるわけでございまして、それが全体の三割八分ということになっておるようでございますが、金額で申しますと、大体二兆円
程度、
郵便局から大蔵省に預託することになっております。しかし、この
郵便局の預金者貸し付けをしなければ、いまお話にございましたように、生活の不時の出費のために
郵便貯金を引き出す。途中で引き出しますと、その人は、利率から申しますと、せっかく長年積んでおりましても、その利率がだんだん逓増していくというメリットがなくなるわけでございますから、引き出すことはやめなさい、そのかわりお立てかえいたしますよというのが
郵便局の庶民金融の起こりなんでございます。でございますから、この制度がなければ
郵便貯金を引き出す。引き出すのは御本人も損でございますけれ
ども、それだけ財投資金が減るということになります。それで、引き出すことはやめなさい、そのかわりお立てかえしますよといって金を出すわけでございますから、これはプラスマイナス財投には全然
関係がない。そういう制度がなければ預金しているものを引き出すということになるわけでございますから、財投には全然
関係がない。むしろ
考え方によりましては、こういう制度があるために
郵便貯金がふえるということも、これはさして期待できないかもしれませんが、あり得ると思います。そういたしますと、むしろ財投がふえるということになるのじゃないかと思います。大蔵省はこまかく言っておりますが、私は当たらないと思っております。
しかし、庶民貸し付けでございますから、やはり
全国の
限度というものはある
程度つくっておかないと、いかにも
郵便局が金融
機関そのもののように思われてはぐあいが悪いわけでございますから、それでさしあたり三十万円ということを
考えたのですけれ
ども、党のほうでは、十万円にしておのずから
限度がある。いまの
限度は一千億
程度に
考えておりますが、一千億ということになれば、二兆円のわずかに五分でございます。しかしこの五分も、一千億
程度を貸さないと預金の引き出しがあるわけでございますから、金額がそれだけ減るわけでございますから、財投には全然
関係がないと
考えておりますが、一応
限度としては一千億でございますので、一人三十万円ということでなくて十万円にすればそれだけ数多く貸せる。
御
承知のように、
全国で
郵便局が約二万ございますから、それで二万の
郵便局が一カ月十万円で六カ月ということにしておきますと、計算上のことはあとで詳しくお話し申し上げますけれ
ども、一人当たり十万円ということにしておっても、平均は五万円ぐらいじゃなかろうか。それから期限も、六カ月ということにしても、平均としては三カ月ぐらいにはお返しになるのではなかろうかということで計算いたしますと、一千億あればかなりたくさんの方、
郵便局で一カ月平均三十日貸せるようなことになるようでございますから、そういう計算に基づいて十万円という
数字を党のほうではお出しになりまして、これがいま審議が進んでおるわけでございますが、野党のほうはその内容について多少見解を異にするようでございますけれ
ども、十万円で発足いたしまして、私はきっと庶民から喜ばれると思っておりますが、その成果を見てだんだん
改善していくという手もあろうかと思いますので、とにかく最初といたしましてはこの道が開かれればいい。これは、
郵便局といたしましては、
郵政省といたしましては、まさに画期的な改革でございますから、道が開かれればいいということで期待を持っております。しかし、いま
先生のおっしゃることも、私
どもは非常によくわかるわけでございます。さしあたりそういうことでしんぼうしていこうということに、
政府のほうも党の方針も臨んでおるというかっこうでございます。