運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1972-05-09 第68回国会 衆議院 内閣委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年五月九日(火曜日)     午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 伊能繁次郎君    理事 加藤 陽三君 理事 坂村 吉正君    理事 塩谷 一夫君 理事 山口 敏夫君    理事 大出  俊君 理事 伊藤惣助丸君    理事 和田 耕作君       阿部 文男君    中山 利生君       湊  徹郎君    上原 康助君       木原  実君    鈴切 康雄君       受田 新吉君    東中 光雄君  出席国務大臣         外 務 大 臣 福田 赳夫君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 江崎 真澄君  出席政府委員         防衛政務次官  野呂 恭一君         防衛庁参事官  高瀬 忠雄君         防衛庁参事官  鶴崎  敏君         防衛庁参事官  岡太  直君         防衛庁長官官房         長       宍戸 基男君         防衛庁防衛局長 久保 卓也君         防衛庁人事教育         局長      江藤 淳雄君         防衛庁衛生局長 鈴木 一男君         防衛庁経理局長 田代 一正君         防衛庁装備局長 黒部  穰君         防衛施設庁長官 島田  豊君         防衛施設庁総務         部長      長坂  強君         防衛施設庁施設         部長      薄田  浩君         外務大臣官房長 鹿取 泰衛君         外務大臣官房会         計課長     柳谷 謙介君         外務省アジア局         長       吉田 健三君         外務省アメリカ         局長      吉野 文六君         外務省条約局長 高島 益郎君         外務省条約局外         務参事官    穂崎  巧君  委員外出席者         内閣委員会調査         室長      本田 敬信君     ————————————— 委員の異動 四月二十六日  辞任         補欠選任   中山 利生君     始関 伊平君 同日  辞任         補欠選任   始関 伊平君     中山 利生君     ————————————— 五月一日  長野県の寒冷級地是正等に関する請願原茂君  紹介)(第二八一八号)  同(原茂紹介)(第二八五〇号)  同(原茂紹介)(第二九〇一号)  新潟県の寒冷級地是正等に関する請願外九件  (大竹太郎紹介)(第二八一九号)  同(三宅正一紹介)(第二八二〇号)  同外十九件(稻葉修君紹介)(第二八五一号)  同外十四件(大野市郎紹介)(第二八五二  号)  同(木島喜兵衞紹介)(第二八五三号)  同(米田東吾紹介)(第二九二〇号)  兵庫県中町の寒冷級地引上げ等に関する請願外  一件(渡海元三郎紹介)(第二八二一号)  兵庫県八千代町の寒冷級地指定等に関する請願  外一件(渡海元三郎紹介)(第二八二二号)  七尾市等の寒冷級地是正等に関する請願(稻村  佐近四郎紹介)(第二八五四号)  靖国神社国家護持早期実現に関する請願外二  件(久保田円次紹介)(第二八五五号)  同外二件(三原朝雄紹介)(第二八五六号)  同外二件(足立篤郎紹介)(第二九三七号)  同(坪川信三紹介)(第二九五七号)  教職員の恩給、年金のスライド制実施等に関す  る請願松尾正吉紹介)(第二九二一号)  長野県大岡村の寒冷級地引上げに関する請願  (倉石忠雄紹介)(第二九三四号)  兵庫県養父町の寒冷級地引上げに関する請願  (佐々木良作紹介)(第二九三五号)  岐阜県上石津町の寒冷級地引上げ等に関する請  願(山本幸一紹介)(第二九三六号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法  律案内閣提出、第六十七回国会閣法第一八  号)  在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務  する外務公務員の給与に関する法律の一部を改  正する法律案内閣提出第一三号)      ————◇—————
  2. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 これより会議を開きます。  内閣提出、第六十七回国会閣法第一八号、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。大出俊君。
  3. 大出俊

    大出委員 防衛庁は国外に防衛庁の職員を駐在させておるわけでございます。したがいまして、先般の衣笠議長のサイゴン、バンコク訪問等をめぐりましても、駐在防衛官をお集めになって会議を開いたりされているわけでございます。その問題の当否は別といたしまして、それだけに、ベトナム問題をめぐる情勢というものは、おそらく防衛庁なりにおつかみになっているのだろうと思います。おそらくきょうは、十時からだろうと思うのでありますが、アメリカではニクソン演説が行なわれるわけでありますが、その内容は、したがってまだ時間的につまびらかにいたしません。いたしませんが、どうやらハノイ爆撃再開をしたということでございますし、北ベトナム機関紙等によりますと、ニャンザンあたりは、五隻ないし六隻の空母を含む米軍、この中に相当多数の海兵隊が入っている、またタイにも緊急派遣部隊が二万から今日待機をしている、こういう状況だから、十七度線以北に、ビン近辺だろうと思うのでありますが、あるいはそのもっと北になるかわかりませんが、その辺を中心にして奇襲上陸があるかもしれぬということを警告をし、それに対する国民の対応の決意のほどを強調しているわけでありますが、ベトナム戦争の今日の状況を、防衛庁なりにどういうふうに把握をしているのか。  かつて総理は、これについてはとやかく言わない、つまり、やめろとか、あるいは支持するとか、そういう意味においては何も言わない、そういう立場にない、こう言っているのでありますが、一体どう把握しているかということについては——これは賛否の議論じゃありません。せっかく統幕議長まで行っておるわけでありますから、どういうふうに防衛庁把握をしているかという点、これは長官から意見があってしかるべきだろうと思います。その点についてまず承りたいと思います。
  4. 江崎真澄

    江崎国務大臣 御指摘の点はきわめて重要な問題だと思います。実は統幕議長が参りましたあの当時は、一つ情報といたしまして、北側が南に対して積極的な浸透をはかっておるが、その整備の状況、それから補給の厚さ、そういうものを判断すれば、これは長期にはわたらないのではないか。比較的短期に一応の終末をつけるもののように思われる。また同時に、アメリカ側がその後これに対してたいへんな反撃に出て、また悲惨な繰り返しが深くなった。これはもうかねて御承知のとおりでありますが、その後テーブルに着こうとしてのいろいろ話し合いや努力がそれぞれの機関を通じて行なわれたようでありますが、いよいよまたニクソン重大発表をする。おそらくいま御指摘になったようなことになるのではないかという想像が、関係諸国はもとより、私ども日本にもそれが伝わっており、いままで私も実は政府委員室におりまして、一体どういう声明をするものであろうかと待ちかまえておったわけでありまするが、間に合いませんでした。  ただ問題は、短期に終結するであろう、これは私どももそういう考え方で見守っておったわけでありまするが、せっかく話し合いの糸口を開こうという米側の希望もむなしく、またここにエスカレートしてだんだん深みにはまっていくということであるとすれば、これはやはり、沖繩返還というものを控えておりまするだけに、沖繩基地というものがベトナム局外に立っておるということは、これは言い切れないと思います。そういう現実等々をながめましても、憂慮すべき事態だ、きわめて遺憾に思っておるというのが率直な私の心境であります。  したがいまして、きょうの重大発表なるものが、極端なエスカレートを示して再びハノイ爆撃というような形で大事に至らないようにということを希望するわけでありまするが、われわれの願望とは違って、相当エスカレートした形で局面がまた険しくなるのではないかという想像もなされるわけでありまするが、これはあくまで想像であります。また、先般の東南アジア地域におけるわれわれのほうのアタッシェの連中のまとまった意見、もし詳細ということであればそれぞれ政府委員からも御報告させたいと思いますが、当時の情勢判断としては、以上申し上げたような判断に立っておったわけでございます。
  5. 大出俊

    大出委員 きょうのニクソン演説でこれ以上ベトナム戦争エスカレートする段階を迎えるとすればまことに遺憾であるというのが私の心境という、いまお答えでありました。実は何べんか総理に、今回のハノイハイフォン爆撃等をめぐって、まことに遺憾であるという立場に立ってもらいたい、実はこういう多方面からの質問が出ていたのでありますが、まさに黙して語らず流の答弁でございました。しかし、私は私なりにいろいろ情報を当たってみまして、ニクソン氏がやっておりますことは、あっちに飛びこっちに飛び、たいへんどうも変転きわまりないのでありますけれども、片一方、十一月の選挙も意識しているのかもしれませんけれども、どうも、出たり入ったり、また出たりという、周章ろうばいぎみな点も見られる今日的な状況にあります。しかし結論的に、どうやらエスカレート方向に向きそうである、こう見なければならぬと思うのでありますが、この点について、いまの論点について実は外務大臣にも承りたかったのでありますが、たまたま法案審議の都合、沖特要求等もありまして、吉野さんにお出かけをいただいたわけでありますが、いま私が質問をいたしましたこの点について、十時のニクソン演説というものを聞いておりませんからわかりませんが、外務省立場でどう把握をされておられるのか。むしろこれは、大臣よりは吉野さんのほうが直接担当でございますから、お聞かせをいただけるだろうと思いますが、そこのところをお答えいただきたいと思います。
  6. 吉野文六

    吉野政府委員 実は十時のニクソン演説をわれわれも聞くつもりでずっといままで待機しておったわけでございますが、ラジオがどうも雑音が多くて、結局よく聞き取れなかったというのが現状でございます。なお米国大使館も、まだテキストが来ていない、したがってわれわれのところへ渡すわけにはいかないというのが現状でございます。  ただ、これは不確かな、いわゆる雑音が多い中を聞き取った人の話によりますと、何か一部海岸の封鎖ということがあるらしいのでございますが、これは結局、はっきりするまでひとつこの点は控えさせていただきたいと思います。
  7. 大出俊

    大出委員 私は、いま長官お答えになった、これ以上エスカレートするとすれば遺憾であるということ。沖繩もらち外にあるわけではない。私はなぜ冒頭にこの問題を取り上げるかと言いますと、二つばかり論点がある。一つは、やはり日本の置かれている立場からして、不必要なことをしてもらおうとは思っていない。思っていないけれども沖繩復帰というものを目の前に控えている今日的段階です。したがって、どこかで沖繩ベトナム戦争というものについてのけじめが必要であるだろうというふうに思っている。これは外務大臣が、事前協議等について米側話し合いをする、こう言っております。が私は、そう価値ある結果にはならぬだろうと見ている。そうすると、このあたりで対国民という意味で、ベトナム戦争沖繩とのかかわり合いというものについて、これならばと国民の納得する説得力ある措置が必要である、まずそう思う。そうすると、これ以上エスカレートするということについては遺憾であるといういまのお気持ちを、一江崎防衛庁長官立場だけにしないで、閣内をひとつまとめていただいて、日本政府の意思として遺憾であるという表明をまずしてもらいたい。そこら辺のところは長官どう考えておられますか。
  8. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは率直に申しまして、非常にむずかしい微妙な問題だというふうに思います。ただ私は、率直に申し上げた意味は、沖繩返還ということが目睫の間に迫っておりまする場面で、もうおそらく沖繩返還のときには、ベトナム問題というものは、従来のアメリカの言明に見ましても、終息するであろう、こういう想像に立っておりました。終息しないまでも、少なくともその傾向は顕著になるであろう。これが沖繩基地に対するわれわれの一つ判断であったことは間違いありません。したがって、それが逆な方向に行くということは、やはり沖繩返還を控えて日本にとっては遺憾であるというふうに表現をして差しつかえないというふうに私は思うわけであります。  ところが、もともと、よって来るベトナム争いそのものに、日本というものは無関係で来ておりまするので、当事者側としては非常な悩みを持ってやっておるわけでありまするから、そこへいま突然、そのことは遺憾であるということで本質に触れて意見を言うということは、いかがなものであろうか。これは私自身も、にわかに決しかねるものがあるわけであります。  しかし、沖繩基地を今後ベトナム戦争とからみ合わせてどういう形で運用していくのか。これは本土並みという前提がありまするので、アメリカ軍にとっても、これは非常にむずかしい問題でありましょうし、また日本側としては非常に重大な問題であるというふうに考えております。したがって、こういう情勢を踏まえながら、日本に戻ってくるこの基地運用等についてはどうあるべきか、これは外務省においても十分検討されるところでありまするが、われわれ防衛庁側においてもよく検討をし、米側話し合いをする必要がある点については、やはり話し合いをしていきたい。いま直ちに意見を言うということではなくて、今後の展望として、やはり話し合いの議に供していきたい。これは事前協議事項等々を含めて、外務大臣の言っていることをどのようにしていくのか、これらについては私ども十分検討してまいりたい、このように考えております。
  9. 大出俊

    大出委員 ここにあるのですが、ベトナム戦争をめぐるアメリカソビエトのいろいろな込み入ったやりとりを記者それなりにまとめておる。これを見ると、ハイフォン爆撃についても、当初アメリカ側の意向というのは、諸種の発表からすると、相手の出方を見る、そして段階的エスカレートというものを考える、そういう一つの余裕を持った出方になっていた。ところがそのあと、フィリピンの例のスビック湾からハイフォン封鎖のための機雷を積み込んだという情報が流れた。この真偽のほどはいろいろ調べたが、積み込んだ形跡がさだかでない。だから、あるいはそういう情報を流したのかもしれないという推測記者はする。こういう段階があった。ところが、別な側からの情報からすると、ソビエトはこの点で強く反発をしていたという現実があるという中で結果的に爆撃を二十度線以南というふうに限定をした。そしてパリ会談再開という形に持ち込んだ、こういう動きがあるわけです。  だからその意味では、江崎さんおしっやるように、両当事者にとっては微妙な段階なのかもしれない。その点は微妙な段階であることを否定はしないけれども、私の申し上げたいのは、沖繩ベトナムとの関係における日本立場というものはだれもが認めるところでありまして、沖繩から一体どのくらいの兵力がどうなって行っているかというようなことは、あるいはベトナム戦争輸送基地としての沖繩役割りというものは、あげれば切りがない。あるいは、KC135が時間をきめて飛び立っていって、時間をきめて帰ってくる。一体、どこへ行って空中給油をやっているのかということだって、国際的に知らぬ人はない。そこに十五日という日にちがやってくるということ。そうだとすると、その意味ベトナム戦争に対する沖繩をかかえる日本立場というものを明確にするということは、沖繩百万の県民を含む日本国民にとって重大事でございますから、どうしてもそういう立場には立たなければならぬ。この点は政府責任があると思うのですよ。  だから、両当事国それなり悩みを持ってやっているということについて、長官のいまの答弁否定はしない。しないが、日本の置かれている、沖繩を引き取るという形でかかえていく日本立場沖繩基地が果たしている役割りは国際的に明確なんですから そういう立場でものが言えないはずがない。当然、沖繩復帰を控えての日本政府の義務と責任がある、国民に対して。なぜそれが遺憾の意を表すという形で、事沖繩というのをかかえているのですから、できないかという点、これはちっともふしぎなことじゃないと私は思う。そこはいかがでございますか。
  10. 江崎真澄

    江崎国務大臣 したがって、先ほど申し上げましたように、事前協議内容というものをもう少し検討していくと、外務大臣がかねて表明しておりまする方向というものは、これは私、やはり大事な点だというふうに考えております。ただアメリカも、演説がどういう形になりましょうか、いろいろ表明方向を見据えなければにわかに判断はできませんが、ただ、これだけ長い間かかってきたもの、しかも特に地上軍は引き揚げて、しばしば和平の交渉をしよう、しかも場合によれば中間政府ぐらいをつくろうという方向を打ち出しておるときに、はたしてここで一挙に雌雄を決するというか、勝敗を決すると申しますか、そういうことにしようということではないと思います。されば、かりに一つ決意をするとしましても、一方では何とか話し合いテーブルにつきたい、和平方向を模索したいというか、この気持ちには変わりがないだろうというふうに推測は十分できますね。したがって、そういうときに、従来局外に立っておった日本がにわかにあれこれ言うことはいかがであろうか、これをさっき申し上げたわけであります。  しかし御指摘のように、沖繩基地は戻ってくる。沖繩基地ベトナム戦争と無関係とは言い切れません。そうなれば遺憾だと言えるじゃないか、まさに一つの御指摘だと思います。一つの御指摘だと思いますが、政府としては、いまアメリカがそういう和戦両様のかまえで事を処し、一方また北においてもアメリカ出方を十分注視しながら行動に出ておる。これをもう少しながめてみる、これは必要じゃないでしょうか。やはり沖繩が戻ってくるということはきわめて重要でありまするから、これは繰り返して申し上げまするが、外務大臣が言っておりまするように、沖繩自体基地を今後どう日本政府としてアメリカ側と合意するのか、どういう扱いにしていくのか、これは重大な問題ですから、十分話し合いの場で決着をつけていきたい。
  11. 大出俊

    大出委員 吉野さん御出席いただいたので承りたいのですが、先月の三十日ですか、福田外務大臣が鹿児島で記者会見をしましたね。この中身はここにはこう書いてあるのです。「「沖繩米軍ベトナム出動は、沖繩返還後、日米安保条約に基づく事前協議の対象になる。もし米側から事前協議を求められたときには、はっきり「ノー」と答える」と語った。」これはこのとおり受け取ってよろしゅうございますか。
  12. 吉野文六

    吉野政府委員 その新聞記事は私も読みましたが、全体の関係がどのようなものであるか、つまびらかにしない関係上、その記事のとおりであるかどうかということは実は確言できないわけでございますが、すでに福田大臣もたびたび今国会において表明しているとおり、沖繩が直接攻撃の、戦闘作戦行動発進地となるような場合には、これはそういう事前協議を受ける場合にはノーと言うつもりである、こういうような趣旨はすでに福田大臣自身お答えしておりますから、その範囲でこれを解すべきではないか、こういうふうに考えております。
  13. 大出俊

    大出委員 これは四月三十日で、あと連休ですから、私も連休の間ほとんど出てはきましたが、委員会もほとんどやっていないわけですから、これは一番新しい御発言なんですね。そうでしょう。だから、これは局長アメリカ局長をおやりになっているのですから、大臣はおたくの大臣なんですから、大臣とあなたは話をしないですか、この問題で。これまたおかしなことじゃないですか。どうもアメリカ局長が、自分の分野に関する問題で、旅先で自分のところの大臣がものを言っているのを、前後の脈絡がわからぬから旧来の国会で言っておることに解すべきではないかなんて、のんきなことを言っちゃ困りますよ。何事ですか、いまのは。大臣呼んでくださいよ。
  14. 吉野文六

    吉野政府委員 実は私の非常に不明のいたすところでございますが、正直な話、実はこの点についてまだ大臣と直接に話し合ったことはございません。
  15. 大出俊

    大出委員 どうもアメリカ局長が、こういう重要な発言を、しかも三十日にしているのに。これはあなたは、連休中どこかへ行って、いなかったのですかね。けさ大臣とすれ違ったのですか。いま大臣そこにおられたじゃないですか。こういう問題をまるっきり話し合ってないということでは、外務省は何をやっているかわからぬですよ。これは委員長委員会はきょうの本会議前に終わる予定になっておりますが、最後のところは、やはり外務大臣お出かけをいただきまして、ここらのところはひとつその真意を確かめておきませんと、あとの論議に差しつかえる。それから、ニクソン演説なるものもそう時間かかるわけじゃないのですから、これは後ほどひとつお答えをいただいて、外務大臣伊藤さんも御質問なさるのですから、その時点でいまの点はひとつ明確にしていただきたい。これは委員長、注文しておきます。  そこで、たくさん問題がありますから、もう少し中身に入らしていただきますが、沖繩ベトナム戦争基地でないとは言えない、こういうのでありますが、基地でないどころの騒ぎでなくて、まさに後方支援基地としては唯一絶対の地位を占めている。これは間違いのないところで、アメリカ側もそう言っている。ランパート高等弁務官も、これは日にちは今月の五日、沖繩国際クラブで開かれた在沖米商業会議所総会、ここで沖繩基地というものについて説明しているのですね。ここで高等弁務官は、ベトナム戦争を含む東南アジアの軍事的なアメリカ軍活動にとって沖繩はその唯一絶対な基地だ、沖繩がなければこういう活動はできない、したがって今後とも、沖繩というのは唯一絶対の基地なんだから、そういう意味基地機能は継続し、返還しても維持していくのだ、ということを強調されていますね。まさに、基地でないとは言えないなんといういいからかげんなことじゃなくて、当の沖繩高等弁務官がみずから明確にしている。否定されますか。されないでしょう、これは。
  16. 江崎真澄

    江崎国務大臣 私もあのランパート発言というものを新聞で承知いたしております。ただ問題は、アメリカ施政権下にある沖繩基地と、日本に戻ってきたあと基地というものは、これは性格が変わらなくちゃいかぬ。したがって、先ほどからしばしば繰り返しておりますように、外務大臣が言われているように、事前協議内容を洗い、特に沖繩基地中心にしてイエスノーをどういうふうに日本としては応対するのか、これは重大な問題だと思うのです。そういう問題はやはり復帰の時点以降において早急に話し合いをする必要がある。現在はまだ施政権が向こうにあるものですから、サンクレメンテでも、基地をなお縮小してもらいたいという当方の要求に対して、施政権が戻ってからそういうことはすべて議論をしてもらいたいという話がありましたように、特にこのイエスノーの問題、日米安保条約本土並み取り扱いいかんというような点は、これはひとつすみやかに決着をつける気持ち外務大臣に協力してまいりたいと思います。
  17. 大出俊

    大出委員 だから私がさっき、三十日の福田外務大臣発表を取り上げたわけです。もう一ぺん読みますけれども、これは沖繩日本に帰ってくる、いまの沖繩ではない、そういう前置きなんです。そこで、「沖繩米軍ベトナム出動は、沖繩返還後」、返還後と明確にされているのです。「返還後、日米安保条約に基づく事前協議の対象になる」と言い切っているわけですね。「もし米側から事前協議を求められたときには、はっきり「ノー」と答える」、こう言っているわけですね。問題は「事前協議の対象になる」というところにありまして、じゃ一体事前協議の対象になるものはということになると、いまの政府のやっておられることは何をやっているんだということになってしまう中身なんだけれども、少なくともここまでものを言ったということについては、いままでより少しニュアンスが変わっている。一番新しいわけですから。だからそれで、実は局長がつまびらかにしないというならば、後ほど外務大臣ひとつこの点は明らかにしてもらいたい、こう言っておるわけです。  そこで、返還後は変わらなくちゃならぬというのですけれども、じゃ日本の本土の基地をながめた場合に一体どうなんだ。さっぱり変わってないのですね。変わってない中には、横須賀の例もあれば、岩国の例もあります。しかし、これは外務大臣に、ところを改めて具体的な例証をあげてものを言いたいのでありますが、きょうのところは防衛庁長官江崎さんに対する質問をいたしておりますから、そういう範囲でものを申し上げたいのですが、変わってない中に、相模原の補給廠、これがございます。戦車の問題がいまいろいろやかましくいわれている。  そこでひとつ承りたいのですが、これは外務省に先り承りたいのですけれどもベトナムというのは極東かという議論が旧来ありました。私はかつて、エンタープライズが入ってまいりましたときに、外務省条約局長質問いたしました。ベトナムは極東ですかと、こう聞いた。そしたら御存じのとおり、極東ではございませんがそのすぐ隣りでございます、ということばが返ってきた。もう一ぺんここではっきりさせたいのですが、ベトナムというのは極東か極東でないか、この点ははっきりお答えいただけますな。
  18. 吉野文六

    吉野政府委員 極東の範囲は、御承知のとおり、必ずしも明確に規定されるべき性格のものではないと思いますが、すでにこれについては政府の公式見解もあります。そうしてそれによりますと、ベトナムは極東の周辺である、こういうことでございます。
  19. 大出俊

    大出委員 フィリピン以北、日本の周辺、韓国、台湾の地域を含む。沿海州は含んでおりませんが、岸さんのときにそういう統一見解がありますね。したがって極東ではない、その周辺である。これはもちろん安保条約でいう極東であります。そこで、ここに問題があるのでありますけれども、そのあと答弁は、周辺だから、安保条約にうたう極東、また安保条約の目的等からいって非常に密接な関係がある、こういう答弁が返ってきたのです。ここのところももう一ぺん局長から明らかにしていただきたい。
  20. 吉野文六

    吉野政府委員 まことに先生のいま御指摘のとおりでございまして、周辺における事態というのは、極東の国際の平和及び安全に非常に関係がございますから、その意味で非常に密接な関係がございます。
  21. 大出俊

    大出委員 そこで、長官に承りたいのですけれども、これは安保条約六条で、「日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される。」これが安保第六条ですね。つまりいま吉野さんが答えているのは、「安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与する」、そういう意味で密接な関係がある、こう言っているわけですね。そう理解していいわけですな。  そこで、そうすると、ベトナム戦争というものを対象にした場合に、特に極東の安全、日本の安全が脅かされるという具体的な立証が要るのですね。そうなると、安保条約にいう極東の範囲、長い論争がありましたが、これは一応政府が明らかにされている。その周辺、これも明らかにされている。だから、極東の安全あるいは国際の平和、こういう意味で特に日本という立場に立って密接な関係がある。そうすると具体的にどういうところに密接な関係があるのですか。日本の平和あるいは極東の安全、これにどういうふうに密接な関係がありますか、ベトナム戦争をとらえた場合に。何か日本が攻撃をされるとか、極東に戦争が起こるとか、そうでなければ密接な関係とは言えない。一体、何か具体的に日本の安全なり極東の安全の維持に関係があるのですか。どういうことになりますか。
  22. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これはやはり極東の周辺であるということで関係ありというふうに政府は考えておる。外務省などは、いまここでいろいろ話をいたしましても、特にそういう考え方に立っておるようです。  ただ私、率直に言えますことは、日本ベトナムのあの争いには介入をしない、こういう立場をとってきたというたてまえから言うならば、これが極端に密接な関係にあるということは、いささか言い過ぎではないかというふうにとれないこともないと思います。したがって私は、おそらく福田外務大臣が言われたこと、これは本人が来られて明らかになるわけでありましょうが、沖繩が返還された暁には、沖繩基地から直接出撃ということはもちろんノーだ、こういうことを言っておられると思うのです。またこれは当然そうあるべきだというふうに考えます。したがって、密接な関係あるなしの議論もさることながら、やはりベトナムと無関係ではない沖繩基地を今後どう米軍との間で運用していくか、これは日本政府に課せられた重要問題ですから、もう少し時間をおかしいただいて、われわれのほうとしましても、真剣にこの問題と取り組んで、できるだけ国民に納得を得られる結論を得たい、こう考えておりますので、この点についてはしばらく時間をおかしいただきたいと思います。
  23. 大出俊

    大出委員 これは答弁にならぬ。もっとも予算委員会じゃございませんから、審議をとめようと思って質問しているのではないのでして、吉野さんにも、予算委員会とかなんとかなりますと、そういいかげんな答弁をされると黙っていられなくなるのですけれども。  しかしこれは、私、この連休の間に出てまいりまして、過去五、六年の国会議論というものをずうっと調べてみたのですよ。私の質問も出てくるわけですね。ところが、どなたの質問も、またどなたの答弁も、ベトナムというのは一体どこにあるのだ、極東じゃございません、その周辺でございます。周辺だというのに何で一体日本基地を使わせるのだ、周辺でございますから極東に非常に密接な関係がございます、そこで終わっているわけですね。では、密接な関係というのは、具体的にどういう密接な関係があるのかという点についての質問が、残念ながら何年間もない。したがって何が具体的な密接な関係かの答弁もない。そうでしょう。そこで、お経の文句じゃないけれども質問が出る。過去にもそういう御質問がございましてというので、また同じように答える。周辺でございまして密接な関係がございます、ああそうか、けしからぬ、これでおしまいですから、そうすると、あまりといえば、どうも国会論議というものはむなしいものになってしまう。だから国民に説得力もない。そうすると、周辺で密接な関係があるのだというのなら、具体的に何が一体、日本に対する脅威であったり極東に対する脅威になっているのか、ベトナム戦争自体が。ここのところを明らかにしないと、政府答弁というものは全く題目を唱えているだけだということになってしまう。だから、そこを承りたいと思って質問したら、何だかわけのわかったようなわからぬような——長官は、むずかしいなとかなんとか、そこでささやいていたけれども、私語は慎んでもらわなければいかぬですよ。吉野局長と二人で、むずかしいななんて、ごまかしの答弁をやっちゃいけませんよ。私は長いいろいろな人の答弁を、やりとりを全部読んでいるのですから。一々これをあげて江崎さんを責めたってしようがない。ノートに書いてありますけれども、しようがない。  そこで、旧来とはなお違った要素が最近はある。米国とソビエトとの関係は一体どうなっているのかといえば、これはホットラインがあるかどうか知りませんけれどもベトナム戦争をめぐっても、キッシンジャーが飛んでいったり、それなりの密接な関係が背景にあって動いている。そうすると、米ソ戦争がにわかに起こるなんということは考えられない。世の中の人はだれもそう考えていない。それでは中国は、かつては防衛庁も、抜けた話だけれども、防衛白書なんかに麗々しく、あるいは防衛力整備計画なんかの中に、中国の脅威的なことをうたっている。だけれども、このニクソン訪中以後の状況と申しますものは、これまたきわめて変化に富んでおりまして、ベトナム戦争が片っ方にあるからというので、中国と日本との関係がおかしくなってしまったり、中国を含む極東がおかしくなってしまったり、そういうような関係にない。中国の脅威というものは、本来アメリカと中国の間にひそむ脅威なんでして、日本との間に安保条約があるが、そうなるとその辺も、ニクソン訪中以来大きな変化を示しているという、冷戦構造の後退という意味の変化が来ているという現実がある。となると、一体ベトナム戦争が、極東の周辺にベトナムという国がある、だから密接な関係がある。密接とは何だ、日本の安全あるいは極東の平和と安全の維持に密接な関係がある、こういうことになる。では一体そういうものはほんとうにあるのか。詰めていったらない。ないのに、密接な関係、密接な関係と言って、ベトナム戦争の兵器廠みたいなことを、日本国内の米軍に対する提供地、区域、施設の中でやらしておることが許されるかという問題、これは外務省を含めて明確に御答弁いただけるならば、この際承っておきたい。
  24. 久保卓也

    ○久保政府委員 確かに興味のある御提言だと思いますが、この問題については、少なくとも外務省と打ち合わせをしたわけではありませんが、たとえば豪州という国はどうして侵略の危機があるかということを豪州の人に聞いてみますと、半分は危機がないと言いますし、半分はあると言われる。そこで、ベトナム戦争に豪州は兵を派遣しているわけです。なぜかと申しますると、いわゆる前方防衛という考え方がございます。ということは、豪州の立場に立ってみますと、ベトナムの戦争の形態というものがいずれは豪州にまで波及してくるのではなかろうかという考え方があるようであります。ということは、ここら辺が議論の分かれるところでありますけれども、共産勢力の進出という一つの仮定、設想のようなものがありまして、ああいったような事態が、たとえばインドネシアに来るし、ニューギニアに来るし、あるいはまた豪州に来るかもしれない。そういう発想に立っているようであります。  そのことを日本についてみますると、極東の日本が安全であるためには、その周辺がきわめて安泰であることが望ましい。そういった国際平和の中で極東も安全たり得る。そこで、ベトナムベトナムだけでとどまり得ないで、ラオスに行き、カンボジアに行き、タイに行き、それからビルマに行くといったようなことがまた極東にまで反映するかもしれない、そういう発想の従来の考え方ではなかっただろうか。その辺にいい、悪いの問題はございますが……。そこで、そういう発想の転換が、あるいはいまのニクソンの政策の転換であるのかもしれないというふうに思うわけで、おそらく従来の考え方からいけばやはり従来の政府答弁が正しい。が、将来もそうであるかどうかは御議論があるところであろうというふうに私は思います。
  25. 大出俊

    大出委員 つまりドミノ論議等が行なわれた時代がありましたが、これは大げさなことを言えば一世紀前の論議で、いまそんなことを四の五の言っている評論家もない。だから当然のことなので、これはニクソンの訪中が、一致点が四項目ありますけれども、ああいう共同声明になっている。これは明確な転換ですね。そうなる芝、なおのこと。豪州だって、ANZUS条約をなぜ結んだかといえば、アメリカ、ニュージーランド、豪州が条約を結んだときの発想はいまおっしゃるとおり。しかしこれは古い話でして、今日は、あの条約があるからということで豪州は兵隊を送っている。そこに国際的に大きな情勢の変化が起こっている。こうなると、ますますもって今日のベトナム戦争というものが、極東の周辺だからといって、はたして脅威を与えるかというその論点、原点に返ってくる。そうなると、ここに出発点を求めて、国内の問題、沖繩の問題を処理するという態度がなければならぬ、こう思うわけですね。そこのところを私は承っておきたいということで聞いているわけでございまして、久保さんの国防会議事務局長時代以来の見識が御披露されたわけでございまして、たいへん興味のあるところでございますが、しかし、それでは当面の問題の処理には役立たない、私はこの点はこう思うのです。  そこで承りますが、相模原の補給廠、これは昨年でございますか、当内閣委員会から、伊藤さんの御指摘の塩素ガスの問題をめぐりまして調査に参りました。私もあのときに、幾つか戦車あるいは装甲車等々の問題について質問もしてきた経験もあります。私はこの際、冒頭に提案をしておきたいのは、これは委員長、この戦車の問題は、私は神奈川におりますから、特にひんぴんといろいろな情報が入ってくるわけでありますが、この相模原補給廠のベトナムにM48を送っている問題についてもう一ぺんその角度で調査をする必要がある、私はこう思っております。これはあらためてひとつ理事会等に質問あとで提起したいわけであります。  そこで、この相模原の補給廠から、さっきお話がございました北側の攻勢が始まりまして以来今日まで、何台ぐらいベトナムの戦場に戦車が送られているかという点は、どういうふうに把握をされておりますか。
  26. 江崎真澄

    江崎国務大臣 先頃以来、新聞等で問題になっておりまするので、在日米軍司令部に照会をいたしましたところ、現在、相模総合補給廠でM48型戦車七十九台が検査計画に基づくいわゆるオーバーホールをやっておる、こういう回答が参っております。このうち五台がオーバーホールを終え、近いうちにベトナム米陸軍へ送られる状態にある、残りのものもオーバーホールが終わり次第送り出す予定である、こういうことが判明した次第であります。  また、戦車のオーバーホールにつきましては、これは従来も行なわれてきたところでありまして、いわゆる基地の使用目的というものには、大出さん御承知のとおり、かなうものということで、これは従来は認められてきておるものであります。  以上が照会した概要でございます。
  27. 大出俊

    大出委員 だから調査が要るというのですが、横浜、神奈川、これは私の足元でございますから、それなりの組織もございまして、また市当局という機関もございます、そこらがいろいろ調べておりますが、五月二日、三日、この二日間で二十台が送られているのです。これは現に、横浜の瑞穂埠頭から三日の日に三台の船と四台の船がありますが、ここから輸送船で積み出されている。はっきり行く先がわかっておりますのは、五台が、これは空輸でありますけれども、もうすでにダナンに送られている。ですから、いま言うように、やがて五台くらいがオーバーホールが終わるだろうなんという簡単なものじゃない。横浜はノースピアをかかえている。瑞穂埠頭をかかえている。ここで作業している方々もいる。しかも相模原の補給廠からどこかへ持っていく、運搬する人もいる、これは明確な事実でございます。そういういいかげんなことをアメリカ側が言うから、アメリカの言うことは当てにならぬということになる。それをそのまま受け入れてお話しになるから、防衛庁の言うことは当てにならぬということになる。ここらのところは、あなた方はもう少し調べる気はないですか。
  28. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは当然もっと的確な調査をしなければなりませんが、現在はそういう回答が来ておるということを申し上げたわけでありますが、いま御指摘のような事実がありといたしますならば、これはやはり調査としては、また回答としてもきわめて不備なものでありますので、ひとつなお念入りに調査してみたいと思います。
  29. 大出俊

    大出委員 この横浜で把握している、いま申し上げた五月二日、三日の分、この横田の米軍基地からC5Aギャラクシー、これは一機二台ずつ載せて運んでいる、これも事実確かめております。M48というのは一台四十六トンでございますが、二台載せて運んでいる。これはだから、C5Aギャラクシーなるものの機数を勘定すればすぐわかる、何台行ったかくらいのことは。瑞穂埠頭から運ばれている隻数を勘定すればすぐわかる。二十台確認されている。これは二日、三日なんですね。そこで市当局も抗議しているわけですね。  それで一つの抗議は、これは何もわれわれ系統の市長さんじゃありませんけれども、相模原市の相模総合補給廠、これに対して河津市長が、四日、同補給廠のアーネスト・W・クリスト司令官、この人を訪れて抗議をしていますね。これは相模原の市長です。これはなぜかと言いますと、河津市長がここで言っていることは、補給廠で修理された戦車はどう処置されているのか、またこわれた戦車の中から出る手投げ弾や雷管などの危険物や、テスト走行によるほこり、振動などで住民が被害を受けるようなことがあっては困るという申し入れをしていますね。これはテスト走行をやるところが民家に近い。行ってみればすぐわかりますが、振動、ほこり。そうしたら司令官のほうは何を言っているかといいますと、この修理中の七十九台、これもすでに指令を受けているのですね。指令を受けているということは運ぶということですよ。ちゃんと認めている。現地の司令官のほうが正直なんです。オーバーホールがやがて終わるだろう、五台くらいがどこかへ行くだろうなんという話じゃない。七十九台運べという指令が来ている、そう答えている。同司令官は、戦車の修理は通常の業務で、すでに修理を終えて五台については送り出す手続をして済んでいる。そうして残っている七十九台、これについても指令を受けているとはっきり答えている。これは四日ですよ。これをどこへ送るかという点については、権限外だからこれは言えない、そう答えているのですね。それからこの走行テストその他は、油をまいてやっているからほこりは出ないだろうということを言っているのですね。  ところで、横浜の市長の側からも、これは二日、三日の状況を確かめて、ベトナムから持ち込まれた戦車が相模原市の米軍補給廠で修理、整備され、横浜港のノースドック、瑞穂埠頭を通じて再びベトナムの戦場へ運ばれている事実問題について、横浜市は六日の日でございますが、抗議をしている。こういう現実があります。これは地元がそういうふうに的確に把握をして、そういう論拠に基づいてものを言っているわけですから、あなた方もそこのところは的確に把握をしなければ責任が負えないじゃありませんか。
  30. 江崎真澄

    江崎国務大臣 まさにそのとおりでございまして、これはやはり十分調査したいと思います。私も一々こういうことをこまかく承知いたしておりませんので、政府委員側から回してまいりました資料に基づいてお答えしたようですが、事実そういうことが具体的に新聞等にも明らかになっておるばかりか、抗議を申し込んだ市長に現地の司令官が答えておる。それがこっちに返ってこないというようなことでは、これはやはり委員会答弁になりませんので、十分注意いたしたいと思います。
  31. 大出俊

    大出委員 これは神奈川ですからね。神奈川新聞という新聞もありますし、記者の方もたくさんおいでになりますし、現地のことですから、それなりに調べている。それなりに地元のことですから書いてもいる。だから地元にとっては、住民感情というものは非常に悪い。現にベトナムであれだけの戦争が行なわれていて、北側がソビエトの戦車を使ったから、こわされたからというので、相模原の補給廠がまさに後方修理部門を受け持つなんということがあっては困るという非常に強い意見がたくさんいま出ているのですね。そこで防衛庁は、相模補給廠で修理している戦車、これはどういう戦車を修理しているかというような点等についても把握していますか。
  32. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 先ほど江崎長官から御答弁がございましたように、M48型、それについて修理をしたというふうに承知をいたしております。
  33. 大出俊

    大出委員 そうじゃなくて、一体この戦車はどこから来て、どこでこわれた戦車、どこで鉄砲だまを食った戦車が持ち込まれてやっているかという点について把握していますかと聞いている。
  34. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 その正確なところは把握いたしておりません。
  35. 大出俊

    大出委員 それじゃまるきり……。外務省、どうですか。外務大臣の何か談話がありますね。通常の何とかだからたいしたことはないなんということを、外務省はどうお考えですか。
  36. 吉野文六

    吉野政府委員 われわれとしては、これはベトナムで故障した戦車がここで修理されておる、こういうように考えております。
  37. 大出俊

    大出委員 防衛庁はどうですか。そこのところは知らないですか。
  38. 久保卓也

    ○久保政府委員 これは外務省のほうから照会されたことを私はオオム返しに申し上げるわけですけれども米側の回答としましては、南ベトナムにあります米陸軍の使用しておる戦車であるという回答があったようであります。
  39. 大出俊

    大出委員 これはもうすでに、昔はっきりしていまして、あなた方はどうも、そのときの話としては適当に話をして、あとになると変わるので困るのですけれども、これは昭和四十六年の四月二日、昨年の四月二日、「防衛庁は正式拒否」という題名で、「ベトナム戦下請はできぬ」と言ってあなた方は拒否されている。これはどういうことかといいますと、米軍の相模総合補給廠の戦車・装甲車の修理部門を陸上自衛隊に肩がわりをするように米軍防衛庁に対して折衝してきた。これが一日に明らかになった。これは四月二日の新聞です。「これに対し防衛庁は1ベトナムの戦場から送られてくる戦車を自衛隊の手で修理することは、政治的に不可能2自衛隊法は、部外の修理を請け負うことを決めていない——として、このほど米国防総省に対し正式に申し入れを拒否する回答を送った。しかし、ドル防衛と基地機能維持のジレンマに立つ米軍は、基地そのものを縮小しても、修理関係部門の日本人技術者だけは、何らかの形で維持しておきたい意向といわれるだけに、今後、再び米側から新たな意向打診があるものと、防衛庁は緊張の姿勢をくずしていない」。中にこまかく説明が載っています。これは全国紙には載っていないんです。神奈川新聞記事です。地元の新聞です。地元だから、調べてちゃんと載せている。うそでも何でもない。文書で答えた中身まで載せてある。これは四十六年、昨年の四月だ。ベトナムで使われた戦車、これが機関砲を食ったり、手投げ弾を食ったり、砲弾を食ったりして、こわれている。それを持ってきて修理している。これは明らかな事実じゃないですか。だから防衛庁は、ベトナム戦の下請はできぬといってお断わりになっている。あなた方がベトナム戦の下請はできぬと断わっておいて、いま米軍は戦っていないですけれどもベトナム戦争の下請を米軍がやっている。これをあなた方は一体放任をするつもりかどうかという点をまず承りたい。いかがですか、長官
  40. 久保卓也

    ○久保政府委員 経緯を私から先に申し上げて、あと長官が御答弁になると思うのですが、この補給廠の問題については私もある程度知っておりますけれども、正式に米側から打診があったわけではございません。ただ米側の希望がそういうものであることは伝えられたと思います。そこで日本側として、もしそれを引き受けた場合に、自衛隊が米側のものを修理しその他ということは、いま新聞にありましたように、まず第一に法的に不可能である。政治的にも不適当であろうということであります。ただし米側がやるということについては、これは日米安保条約を結んでいるというそのことでありますので、いま米側が修理しているということがいけないかどうかということじゃなくて、安保条約がいいかどうかという問題に還元さるべき問題であろうというふうに私は思います。
  41. 大出俊

    大出委員 問題が二つあると思うのですね。つまり法体系の形式的な問題が一つある。もう一つは、いま話が出た政治的な判断ということ。政治的な判断のほうで言えば、この見出しにあるように、「ベトナム戦下請けできぬ」と、昨年四月二日の一面のトップにこんな大きな記事が載っている。もう一つ法律的な問題。法律的な問題をつまびらかにした上で政治的な判断が必要になる、それが筋ですね。  そこで念のために承っておきたいのですが、この相模総合補給廠、これは法的に言いますとどういう法律関係になりますか。
  42. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 これは、日米安保条約に基づきます地位協定に基づきまして、日本側米側に提供しておるという施設であります。そういう条約上の趣旨があると思います。
  43. 大出俊

    大出委員 もう少し突っ込んで承りますが、安保条約六条はさっき私読み上げましたが、この安保条約六条を受けまして、地位協定の二十五条との関連が出てきますね。個々の施設及び区域に関する協定は、二十五条の合同委員会、ここで取りきめる、こういうことになっている。協定を結ぶことになっている。そうすると、区域及び施設の使用並びにその地位、これは二十五条の合同委員会で取りきめて協定しなければいけませんね。その中身は一体どうなっていますか。相模総合補給廠についてどういう合同委員会の取りきめ、協定になっているんですか。
  44. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 ちょっといま手持ちに資料ございませんが、さっそく調べまして御報告申し上げます。
  45. 大出俊

    大出委員 これだけ全国紙が大きく取り上げて政治的な問題になってきているものを、その法的根拠についてもつまびらかにしていただけぬということじゃ、これは審議できないじゃないですか。法律的にそうなりますなんということを簡単におっしゃるけれども、じゃ協定の中身はどうなるんだ、それはちょっとわからぬということじゃ、これは審議できないでしょう。
  46. 江崎真澄

    江崎国務大臣 御指摘のとおりですから、大至急ひとつ調べましてお答え申し上げたいと思います。
  47. 大出俊

    大出委員 法的にこうなっていますなんということをおっしゃって、協定の中身は皆さんお読みになっていますか。読んだけれどもお忘れになったんですか。読んでないんですか。どうなんですか。もう古いことですから、前任者が読んだんでしょうということになっているんじゃないですか。
  48. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 これは個々の施設を提供いたします場合には、御承知のとおり、日米合同委員会で具体的な協定をするわけでございます。その中身につきましては、それぞれの施設によりまして異なっておりますので、この相模補給廠につきまして、どういう実態であるか、ちょっといま手持ちに資料ございませんので、調べまして後ほど御報告申し上げたいと思います。
  49. 大出俊

    大出委員 つまり、合同委員会で取りきめて協定を結ぶんですから、合同委員会を開いてこうしてくれと言うことは当然でしょう。ですから、新聞の書き方を見ましても、これは修理部門。修理に中心があるんじゃないですよ、取りきめの中身というのは。ところが、実は今日は、この修理に中心があるようになってしまった。六百人ばかり従業員をやめさしたでしょう。修理部門に関係ないところの人たちをどんどんやめさせたわけです。三千人からいますが、それは残っているのはほとんど修理部門です。そうすると、この取りきめをしたときの性格からすると、明確に違ってしまった。修理が重点になってしまった、そういう性格になってしまっている。そうすると、その取りきめをやったときにさかのぼって目的違反があるんじゃないか。それで、ベトナムからぶっこわれた戦車、装甲車を持ってきて、装甲車のほうは一日百十三台の修理能力がある、片一方の戦車のほうは十二台の修理能力があるわけなんですけれども、そういうことばかりに中心があるということになってしまうと、その面から皆さんが理由をつけて、地域住民の皆さんが、ベトナム戦争の下請で直接ベトナム戦をはだで感ずるかっこうになっていたんでは、これはどこからいってもまずい。だからそういうことにものを言うという姿勢が政府になければならぬ。そのもとは何かといえば、これは協定なんです。だから私は、協定を踏まえて、あと政治的にどういう判断をするかということを皆さんがお考えいただかぬと、地域住民が騒ぎ出している。これは運動が起こりますよ。
  50. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 具体的な協定の内容についていま承知しておりませんので申し上げかねますが、実は相模補給廠は、御承知のとおりに、米陸軍の補給の中心一つの部隊であります。沖繩におきましては、那覇の牧港補給廠、いわゆる第二兵たん部でございまして、ここは主として車両関係でございまして、従来から相模補給廠におきましては、戦車あるいは機甲車両等について補給を担当しておるというふうに承知いたしておるわけでございますので、そういう補給のために必要な整備というのは、当然この補給の任務の中に含まれておる。これが第三国のための補給ということになりますと、これは地位協定に問題がありますけれども、米車両の補給ということになります限りは、これは大臣からもお答えがございましたように、地位協定上は特に問題はないんじゃないかというふうに考えておる次第でございます。
  51. 大出俊

    大出委員 この協定の中身あとから御提出願えますか。よろしゅうございますね。  それじゃ、いまたまたま島田さんからお話がございましたから、その問題に入りますけれども、この戦車二十両ばかりがすでに運ばれたことは現地で確認されておりますけれども、これは一体ベトナム軍が使っている戦車なのか、米軍が使っている戦車なのか。いままた送り返されてきている戦車がありますけれども、それは米軍が使ってこわれたのか。あるいは現地のベトナム軍が使ってこわれたのか。そこらのところ、皆さんはどういうふうにお考えですか。
  52. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 先ほど江崎長官からお答えになりました内容は、これは在日米軍司令部で確認いたしたところでございますが、その中では、米陸軍の用に供するための戦車である、こういうふうに承知をいたしております。
  53. 大出俊

    大出委員 これは江崎さん、常識でお考えになればわかるでしょう。いままでM48なんという戦車をC5Aギャラクシーで持ってきて、いきなりダナンに持っていくということがあったことはない。あれを持っていっておろすところは、一番北に近いところはダナンしかない。ダナンがユエを守るのに一番近い。そうでしょう。ダナンに五台運んでいる。市当局だって確認している。ちゃんと司令官にも会って話をしているのですから。そうすると一こんな四十六トンあるやつを二台ギャラクシーに乗っけて運ぶ地域の人はびっくりしている。そうでしょう。厚木の基地でさえ、あの上をギャラクシーが飛んだというのですぐ電話がかかってくるくらいです。そのくらい神経質です。  そうすると、そんないまだかつてやったことがないことを何でやるのだということになる。片や新聞で明らかになっているように、アメリカの通信社から入ってきているのですから、これは割引のしようがない。こちら側も、みんな戦車を置いて逃げちゃったり、みんなこわされちゃったり、ユエを守ろうというのであれば、どうしても唯一の戦車であるM48が必要だ。だから七十九台についても、送れという指令が来ているということを現地の司令官が答えている。しかも五台は送ってしまった。そうでしょう。そうなると、送れという指令が来ているというのは、必要だからですよ。米軍は戦闘していますか。遭遇してわずかな米軍が初めて戦争したと書いてあるだけで、してないでしょう。やっているのは南ベトナム軍です。そうすると何で戦車が要るのですか。米軍は戦ってはいない。補給だ。後方支援というかっこうになっている六万人足らずの米軍に、戦闘用の戦車が要ることはないでしょう。ソビエト型戦車に対抗するためのM48ですよ。それはだれが考えたって、子供が考えたって、しかもC5Aギャラクシーで送るなんというばかなこと、それをアメリカがこう言いましたという答弁では、国会は事が済みやせぬじゃないですか。  そういう態度はやめていただいて、江崎さんが、いつも引き合いに出すけれども、かつて野にあるときにお書きになったように、ものは正直に言わなければいけないと言っている。長官になったとたんに正直にものを言わなくなっちゃ困るじゃないですか。だからそこのところは認めなさいよ。やっぱり必要なんであろう——あろうでいいですよ、それは。そうであろうと、いかがですか。あなた、そうお思いになりませんか。
  54. 江崎真澄

    江崎国務大臣 そうであろうとは……。
  55. 大出俊

    大出委員 つまり、いまのベトナム戦争で戦っているのは南ベトナム軍なんだから戦車が必要である。これだけは、新聞が報道するとおり、七十何台について送れという指令が来ている。その戦争に戦車が要るのだということ。そうなると使うのは、米軍は戦争してないのですから、南ベトナム軍であろう。しかしアメリカはそうは言ってない。そのくらいのところまであなたはお認めになるのはあたりまえじゃないですか。それでなければ論議にならぬでしょう。
  56. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これはやはりひとつ実情を十分調査いたします。これは御指摘になるような疑いは多分にあるわけですね。ただ問題なのは、米軍の所有しておる戦車を、ときどきであるようでございますが、貸与しておる。所有権は米軍であるから、米軍が持ち帰ってオーバーホールをした、おそらくそういうケースであろうという一つ想像はできるわけですが、御指摘の点はきわめて微妙、重要な点ですから、これは十分調査したいと思います。
  57. 大出俊

    大出委員 これは逆で、微妙、重要な問題であればこそ住民は心配をする。みんなも心配をする。だから市長が抗議に行くようなことになる。そうでしょう。いま長官がいみじくもおっしゃった、これはお互いに想像の域を出ないかもしれませんけれども、だれが常識で考えたって、たくさん戦車を失った南ベトナム軍であることは間違いない。しかも、正攻法をもって出てきている北の装備というものが、中心が戦車であることも間違いがない。対抗上戦車が要ることも、これまた間違いがない。そうすると、所有権はアメリカかもしらぬけれども、使っておるのは南ベトナム軍だということになる。これまた間違いない。それがどういうレンタルのかっこうになっておるかは別として、援助しておることに間違いはない。アメリカの南ベトナム軍に対する援助ですよ。そうなると、それは南ベトナム軍が使っておることは間違いない。そうなると、南ベトナム軍が直接戦闘に使っておる戦車をこわれたから持ってくる、修理する、送り返す、この行動だということになると、はたして、さっき答弁がありましたが、地位協定上の米軍のためのということになるのか。南ベトナム軍の戦車を持ってきて修理するなら明確に目的外使用ですよ。先般、私は厚木の基地に韓国機がやってきた点を取り上げた。つい一昨日、もう一機また韓国機が入ってきておる。韓国軍はベトナム戦線におるのですよ。現在盛んに往復しておるのですよ、調べてみると韓国機は。たいへんな精強部隊といって、一線にいる。現に戦ってもいる。米軍と違う。そこに使われている韓国機、これは明確に米軍機ではない。ではないが、あなた方はしきりに、これだってレンタルの方式でアメリカは貸しておるのだろうなんということを言う。明確に目的外使用ですよ。だからいまの点だって、目的外使用の疑いがきわめて濃厚である。この点いかがでございますか。そう判断するのは当然じゃないでしょうか。
  58. 江崎真澄

    江崎国務大臣 大出委員が御指摘になることは、私、相当信憑性があるように思います。思いますが、これはやはり政府の側に立ちますと、なかなかそう言い切れないものがあるわけですね。これは直接調査したわけじゃありませんので、したがってわがほうとしては、十分調査をいたします、こう実は御答弁を申し上げるよりいたし方がないと思うわけですが、先ほど申し上げたように、あくまでアメリカの所有のもの、これがどういう形で使われておるか、これも現実には調べてみなければわかりませんが、大出委員想像される、またさっき述べられるような点はわかるような気がいたします。わかるような気がいたしますが、政府としてしからばこれに確答をしろ、こうおっしゃられると、十分調査の上お答えをするということでありませんと、やはり無責任のそしりを免れませんので、こういった点は、沖繩も戻ってまいりますることでありまするし、十分話し合いのうちに明らかにしていきたい。もともとアメリカ軍は、日本のとっておりますこの姿勢というものは、安保条約の適用においてもよくわかっておるはずですから、不安や誤解を生むようなことは極力少なくしてもらう、これはやはり大事なことだと思いますので、いましばらくこれも調査の時間をいただきたいと思います。
  59. 大出俊

    大出委員 これは、日本から修理をされて送られていく戦車がベトナム戦争に直接参加をしておるということになるとすると、まさに日本というのは、その意味ではベトナム戦争に加担をしているということになる。それから、南ベトナム軍が使っておるのだということになるとすると、その戦車を修理するなら、これは目的外の基地使用になる。しかも、それのみならず、憲法では国際平和主義をうたっておるのですから、そうなると、戦争の片方に加担をしたり、戦争の片方の戦車を目的外で修理したりなんということになるとすれば、憲法上問題がありますよ。日本の憲法の性格上、国際平和主義を明確にしておるのですから。そういう問題だという把握のしかたをされて、かつて昨年の四月二日に明確に拒否されたように、あなた方のほうで積極的に米軍に対して、合同委員会を開くことはできるのですから、協定のいにしえにさかのぼって問題をもう一ぺん整理してアメリカに対してただす。そして日本国民にとってたいへんな不安の材料になっておる今日の現状にかんがみて、一体この戦車はベトナム戦場で使われているのかどうか。それは米軍が使っておるのか、南ベトナム軍が使っておるのか。南ベトナム軍が使っておるということになるとすれば、それを持ってきて修理をするということは法律上疑義があるという点を、あなた方のほうから米軍になぜ申し入れないのですか。
  60. 江崎真澄

    江崎国務大臣 先ほど島田長官が申しましたように、米軍の手によって直すということまで拒否はできないというたてまえをとっておるわけでありますが、いま大出委員が分析して言われるような点は、十分ひとつ今後米側話し合いをして明らかにしてまいりたいと思っております。
  61. 大出俊

    大出委員 これは横浜市、相模原市のみならず、いま周辺の市町村に広がりまして、いずれも市議会開催要求が出ている。しかも住民運動という面でとらえて、いま運動が起こりつつある、こういう状況ですよ。そうしますと、その根源は何かというとやはり住民の不安です。ベトナム戦争の直接的な加担になっちゃったら、これは一般の人が考えてもいい気持ちはしない。だから町の人の意見を聞いてみている方々もいる。その中では、非常な不安、ベトナム戦争を非常に近くはだに感じますと言っている。だから、日本の将来の安全と平和のためにもこういうことがあるべきでないと言っているのですね、多数の人は。だから、そういう国民のすなおな気持ちというものを、やはりあなた方の立場としては、くみ取って米側に言うべきことはきちっと言っておかぬと、沖繩が返ってくるという矢先でございますから、広大な沖繩基地の問題もあります。まず本土の中のそのくらいの処理ができなくて、吉野さん、外務大臣が何言ったって、そんなものは人は信用しないですよ。だから、この問題はそういう角度でとらえて調査をする。米側にはっきりものを言う、申し入れる、そして話し合う。それで国民の不安に対して説得力のある答えを引き出す、その責任が皆さんに私はあると思う。その点をお認めいただきたいのですが、いかがですか。
  62. 江崎真澄

    江崎国務大臣 御指摘の点は確かに政府責任があると思います。不安をいつまでも醸成しそのままにしておくということは、これは好ましいことじゃございません。のみならず、わがほうとしましても、そういった不安解消のために十分責任をもって努力をしたいと思います。これは先ほどから申し上げておるとおりです。
  63. 大出俊

    大出委員 しかもこれは、日本人の従業員がたくさんおりまして、ほとんど修理部門ですから、三千人からいるのです。そこで、旧来のもう幾つも苦い先例がありまして、いろんなものがこの中から、つまり修理の過程で出てきているのです。機関砲のたまがキャタピラに食い込んでおったり、あるいは手投げ弾が入っておったり、その手投げ弾がだれかに持ち出されて暴力団の手に渡ったり、これは大騒ぎになった。これは当時の新聞にも出ておりますけれども。最近でも機関銃のたまや何かが出てきている。解体しますからね。だからその点を相模原の市長も非常に心配をして指摘されている。だから戦場に使われた戦車に間違いない。そういうことについて、いまから政府が、いいかげんにしないできちっと米側にものを言う。そして、合同委員会で取りきめたんですから、そこに戻してこの問題の国民的不安にこたえる措置をとる、この必要がどうしてもある。  外務省の見方も承りたいのですが、私はそう思うのですが、外務省のお立場でも、やはり米側に対してものを言う責任が私はあると思うのですが、まず、何がどうなっているか、皆さんの御答弁からするとさっぱりわからない。現地の自治体機構が一生懸命になって調べて、それ相当の資料をみんな持っている。積み出した日にち、時間までわかっている。しかもどこへ行ったかという先までいろいろ調べている。そういうことをやっているわけですから、外務省が、アメリカがこう言いましたなどということだけで事済む筋合いじゃない。しかも新聞記者の方々が現地にはおるのですから、そういう意味外務省もしかるべき手を打つべきだと私は思うのですが、いかがでございますか。
  64. 吉野文六

    吉野政府委員 これは江崎長官がいまお答えしたとおり、われわれも実態をまず正確に把握しまして、その基礎に基づきましてわれわれの態度を決したい、このように考えております。
  65. 大出俊

    大出委員 こまかい点がいろいろ相模総合補給廠問題にございますが、冒頭に申し上げましたように、このまま、きょうの十時のニクソン演説がどうなっているかわかりませんけれどもエスカレートするとすれば、個人的に考えれば遺憾だということを長官は言っておられる。ただ、政府としてどういうふうにものを言うかというのは非常にむずかしい段階だ、こういう答弁ですが、それはそれとして、また外務大臣との場面で再度申し上げますけれども、それにしても、 エスカレートするということになるとすれば、また相模総合補給廠の受け持つ役割りがさらにはっきりしてきてしまう。だからそういう意味で、冒頭、われわれ委員会としても、これは検討して一ぺん行ってみる必要がある、こう実は申し上げておるのですが、その時点でさらにまたこれは論議を深めさせていただきたいと思うのであります。ぜひひとつ不安をなくすという意味で、法的に、あるいは地位協定上、あるいは合同委員会における取りきめの上で、ここまではしかたがないならしかたがないで、それなりにやはり理由づけをして明らかにする義務がある、手直しができるところは直す努力をしなければならぬ、そういう筋だと思います。  それから次にもう一つ、別の問題でございますけれども、承っておきたい問題がございます。最近、私が防衛庁関係のいろいろな方々にお目にかかってお話を聞かしていただいている中で、一部新聞にもちらちらと出ましたけれども、四次防をめぐる扱いですね。私は、この防衛二法は新しいものが二つ出ておりますけれども、これは四次防にかかわり合いがある、こう申し上げざるを得ない。そうなると、四次防がきまっていないのに提案理由の説明を承るわけにはいかない、こう考えておるのですが、さて例の予算の先取り問題をめぐりましていろいろなことがありました。そこで、どうやら皆さんは、旧来の答弁よりは、たいへん早く四次防の決着をつけたい、そういうふうに聞き取れる。しかもその中にはT2あたりの問題やなんかもありまして、凍結なんという問題もありますから、RF4EにしてもC1にしてもそうでございますけれども、凍結解除をはからなければ発注できないという問題がある。そこらの問題等から、もう一つ経済的な見通しというものの先見性を欠く、なかなかまとまらない、こういう中で、江崎さんが就任早々から強調されている三つばかりある歯どめ、限界ということに類する御発言等が、少しどうも大蔵大臣サイドにおいても変わりつつあるように受け取れる。  それは何かと言うと、国力、国情という国防の基本方針にあります、旧来からまさに長年政府が強調してきた焦点になっておる問題を、少し変えてこられておるように感じる。というのは、国力、国情という中に、GNPの一体どのくらいに見るかというふうな問題で、一%以内、こういうものの考え方がありましたね。ところが、その辺のワクを取り払うのではないかという心配が、実は私どもの側からすると、最近の四次防をめぐる動きの中に感ぜられる。具体的にはあとから申し上げますが、そこらのところをそのままにされたんでは困りますので、長官のほうから、ここから先のところをどういうふうに考えておられるのか、御説明いただきたい。
  66. 江崎真澄

    江崎国務大臣 四次防原案を策定します、いわゆる主要項目を策定する努力は、防衛局において従来とも継続的に行なっておるわけです。新聞等でいろいろ言っておりますが、GNP一%にこだわらないということを何も強調してその歯どめをはずそう、こういうつもりになっておるわけではありません。要するにこれは、どういうことでああいう形になってあらわれましたか、明らかでありませんが、GNPの一%程度というものがいわゆる防衛力の限界を示す重要な尺度ではない。これは私、衆議院でも参議院でも、それぞれの予算委員会で申し上げてきたところであります。一つの標準ではある。それは一%以上に今後持っていこうということを意図して申し上げておるのではないのでして、むしろ歯どめ論が展開されまするときに、三次防においては一%程度のものが、一つの重要な参考資料であっても、一つの基準資料であっても、これが絶対のものでない。  これはもう御承知のとおり、どんどんGNPが従来のように伸びていけば、同じ一%といいましても金額は相当際限なく膨張いたします。それからまた経済がスローダウンして思ったより伸びが悪いということになれば、この一%を上回ることもありましょう。ところが、これは三次防以来の一つの標準ですから、これを大幅に上回るなんというようなことは、とうてい、日本の国情から申しましても、また今後四次防を策定する上におけるものの考え方の基準、これは従来申し上げておりまするから、重ねてくどい話は差し控えますが、そういうものから言いましてちょっと考えられません。やはり一%程度というものは重要な参考基準ではあるというふうには考えております。ただし、これが絶対のものではない、これはもう何度も申し上げておるとおりでありまして、しからばそういう表現をするから、このたび主要項目策定にあたったり金額を割り振っていく上において、一%を大幅に上回るようなことを考えておるのか、さようなことは考えておりませんというふうに率直に申し上げてよろしいかと思います。そのあたりに、経済の見通し等と相まってなるべく早く策定をしたいわけですが、そう拙速にもいかない、目下検討をしながら非常に悩んでおるというのが実情でございます。
  67. 大出俊

    大出委員 悩んでおるのはいいのですが、長官長官答弁を議事録で読みましたが、持ってくるのがめんどうくさいので、ここにあるのを簡単に言いますが、長官答弁には、わが国には憲法上の限界のほかに、防衛政策の大きな三つの歯どめがある。第一に非核三原則。第二に徴兵制をとらない。そして第三に防衛費をGNPの一%以下に押えるという政策である。あなたはこういうふうにお答えになっている。マンパワー、金、兵器、この三つの面からワクを設けているので、軍国主義復活という心配はない、こういう答弁江崎さんはされている。いわゆる三つの歯どめを強調されています。  ところが、いまの御答弁の中にも、ちょっと経済がスローダウンしたときは一%こえる場合もある。参考だというにしては、これはずいぶん旧来から後退をされました。あなたは三原則をたいへん強調されて、一%以下だ。あなたは今度は、一%こえる場合もある、こう言う。そうすると、経済的な見通しのスローダウンの中で、今回の四次防の先取り事件云々ということになったのも、経済的ないろいろな原因があるのでしょうが、見通しという問題を欠いたということなどもいわれている。そうすると、このあたりではずせるものははずしていこうという、悩んだあげくのはてに——これは防衛生産委員会なんかもなかなかやかましいものですから、スローダンンしてGNPが伸びないというところで、一%以下だなんというようなことを長官に言われては迷惑だということを、長官としてあなたは陳情されているのじゃないですか。江崎さん、どうもあなたが長官で、一%以下だなんてことを国会で再三言われては困るなんというようなことをあなたは言われて、それも悩みになっているのでは困るので、そこのところを私はきちっとしておきたい。だから、国力、国情という中で、旧来一%以下といわれてきたのだが、そこのところは、こだわらないならこだわらない、やはりその方針でいくなら行く、これはっはきりしてください。
  68. 江崎真澄

    江崎国務大臣 よくわかりました。これは大出委員が分析してお話しになったので、なるほどそういうふうの疑いが新聞記事にもなったのかなと——これは私の表現が少し足りないわけです。私自身は、海外派兵はしないとか徴兵制はとらない。そして定員確保でマンパワーに限界がある。これなどは全く防衛力の一つの限界としては十分主張できるものだと思っております。ただ、GNPというものは非常に変動の大きいものだから、これが他の条件に比べると、比較的、条件の権威という点においては浮動性というものが多い、こういうことが言いたかったわけです。それがいま御指摘のような心配につながっておるというのでありまするならば、これは私の舌足らずであって、私自身が、四次防を今後策定していく上において、やはりGNPの一%以内、これを基準に考えていくという方針に変わりはございません。これははっきり申し上げておきます。したがって、経済の見通しをどうとらえるか、このあたりがまた微妙な問題になってまいりますが、五カ年全部の計画が策定されなければこれは予測もつかないというものではありませんから、およその予測がつけば、そこは一%程度というものを踏まえながら策定をしていこう、こういう態度には変わりませんので、これは御安心願いたいと思います。
  69. 大出俊

    大出委員 私とあなたとのNHKのテレビ討論会のときにも、あなたは三つ言われたのです。非核三原則の政策をとっております、徴兵制度はやらないのです、そういう政策を明確にしております、GNPも一%以下に押える、だから四次防云々言われますけれども全く心配ございません、というのが長官国民におっしゃったことです。だから、ここらがゆらいでくると事きわめて重大で、さっきは、スローダウンすれば一%をこえるなんということを口ばしられるので、その点は私はきちっとしておきたい、こういうわけでありました。  実は十二時半に外務大臣がお見えになるというので、中に突っ込みますと時間がなくなりますから、わがほうの国対なり部会なりの中でいろいろ言われている問題がもう一つありますので、それだけ取り上げて、あとひとつ皆さんのほうの御回答等をいただいて、残った点は保留さしていただいて、時間の関係でございますからあとからひとつ……。  そこで次の点ですが、内局の皆さんとも私も長いおつき合いでございますから、あまりこういう問題を言いたくないのですけれども、どうも予算委員会のほうのあと片づけを内閣委員会に持ち込まれた手前、防衛二法案なる法案を審議するならば——私は実は、防衛二法という継続審議の分については論議に入らざるを得ない、こう言ったら、私どもの党内は、まだたくさん法案があるはずじゃないか、事防衛の防の字がついたやつはやめてくれというわけですけれども、三国会目ですからそうもいくまいというので審議に入ることにしたのですけれども、それならば、法案のあるうちにひとつはっきりさしてくれという皆さんの御意見がありまして、実は申し上げざるを得ないわけであります。  それは、先取り事件以後、例の立川への強制移駐といわれた問題がありましたり、沖繩への物資輸送の問題がありましたり、あるいは統幕議長のサイゴン行きがありましたりというふうな中で、責任の所在ということが問題になった。ところが、これは木原氏が、この間一ぺん私、留守をいたしましたが、おそらく取り上げた気配があったのだと思うのでありますけれども、どうもその後さっぱり明らかにならないというので、これは一体長官はどう考えているのかという点、これは注文がつけられましたので、まず長官から御意見を承って、私のほうも幾つか意見を申し上げたい。これもいままた悩んでおられる最中のように思いますけれどもお答えをいただきたいのであります。
  70. 江崎真澄

    江崎国務大臣 まことに御指摘の点がだんだん延び延びになっておりまするが、実は先般、沖繩の物資輸送の問題につきましては、防衛庁内において、それぞれきびしく訓戒をしたり注意喚起をしたり、まあ処罰をしたわけです。これはもう、事が起こりました時点で直ちに、当時夜の十二時までかかりまして、やったわけです。  あとの問題処理等を一体どうするのか。防衛庁自体の立場から言いますと、ことしは四次防の策定という重要な問題がありました。これは見解が違いまして、いろいろ国会側に迷惑をかけたことははなはだ遺憾なことだというふうに思っております。  もう一つ重要な問題は、沖繩のいわゆる基地の取得、これは施設庁側としての重要な問題であります。それから準備要員を、自衛隊員は建物、土地等の管理要員ということで最小限にとどめましたが、復帰までにできるだけ自衛隊というものを沖繩県民の理解に供したいというような努力を払っておるわけであります。  何よりも大事な問題は、あの基地の契約等々をどうするかということでありまして、鋭意これは施設庁長官が指揮をいたしまして、目下交渉中というわけでありますが、これは非常に重要な問題であります。したがって、できれば沖繩返還の日といいますか、五月十五日、この時点までは、防衛庁としては、従来のいろいろな行きがかりもありましたし、御指摘のような問題、特に責任の所在を明確にしたり出所進退を明らかにするとかいろいろな問題もありますが、まずこれは、一応あの時点で物資輸送の問題等については処罰をしたことでもあるし、この十五日までの時点を十分一致結束をしてあやまちなきを期したい。そういう結果が、現在非常な困難を続けておる中にも、どうやら基地の契約も一とおりの明るみがとれつつある。なかなかむずかしいものもこれはございます。中には、主席選挙や県会議員の選挙等々が済んでからでいいじゃないかという意見の地主さんもあるようでありますし、全部が全部というわけにはまいりませんが、どうやらいま予定の計画を遂行しつつあるわけであります。したがって、これを済ましたあと、定期異動などを含めましてひとつ形を整えたい、こういうことで目下内々実は検討をいたしておるというのが実情でございます。  したがいまして、いまいつどうするかというふうに具体的には申し上げられませんが、返還をされますと、おのずとこの問題は決着をつける時期がもう来ておるのだというふうに思います。したがって、ただじんぜん日を延ばしたということではございません。あくまで沖繩基地取得——自衛隊の配備はおくらせたわけでありますが、さりとて、戻ってまいります自衛隊の基地施設等々を今後どう運用していくか、これも重要な問題でありますので、目下はこれに全力を傾中しておる、こういうふうに御理解をいただきまして、そうほど遠からぬ機会におのずと明らかにいたしたい、こういう立場でおりますので、この点は御了解を願いたいと思います。
  71. 大出俊

    大出委員 私、一つ心配があるのですが、私の立場立場ですから言いにくい面もありますけれども、この立川の強制移駐云々といわれた問題をめぐりましても、再三参りまして制服の方々とも話を何べんもしましたが、何時に入れという命令を先遣隊長さんは受けていないというのですね。これまた調べてみると、そのとおりなんです。これはそのまま私、書いているのですけれども、中村さんが陸幕の三部長さんですね。この方と、それからまた先遣隊長の香月さんがお答えになっているのですが、二十二時二十分、練馬から立川へということで命令をもらった。それには何時に立川の基地に着いて何時に入れというふうに書いてあったのかと聞いたら、全くない。そういう命令をもらっていない。簡単にいえば、二十二時二十分に命令がきて、三十分に立川へ向けて立て。それで何時に着けという命令がない。ないからそのまま入ったということで、これは明確ないきさつは明らかになっておるわけですね。そうすると、独走と言えるのかということになると、一体、命令がないものをやれば命令違反なんですから、命令されたとおり出発して、命令されたとおり江ノ島ゲートから入ったということでありますから、そうすると、これは一体どういうことになるのかという点で非常に大きな疑問ですね。  それからもう一つ沖繩の物資輸送問題についても、調べてみたら、これは何も空幕だけじゃないですね。一月十五日に公用物資で扱えという文書があって、大蔵より通産省と相談せよとというふうになって、通産省が武器が入っていないかということを確かめてきた。そこでリストをつくって、武器は入っていませんということを持っていっているのですね。その上で送ったので、手続を正式に踏んで正式にやっているんじゃないですか。そうなると、これもそう簡単に、独走だ独走だと言っていていいのかという問題が出てくる。そうでしょう。  衣笠氏のベトナム行きも、私、実はあのときにすぐある人から言われて気がついて、さっそく政務次官の野呂さんに聞いてみたら、知らないと言う。彼はあわてて調べてくれました。そうしたら、国会等もあって内局の方はみんなくぎづけだから、しかるべき人が行けないということで、おまえさんかわっていけということになった。それが事実だとすれば、これもまた妙な話だ。そうでしょう。  だから私の言いたいのは、深追いはしませんけれども、やはり事の真実は真実で明らかにする必要がある。そうでしょう。だれだって、どういう立場の人だって、責任がない人間が処分されてしまったり、やめさせられたりしてしまったのでは、これはおさまりゃせぬですよ、無実であれば。そうでしょう、ミスがなければ。そうなると、そこらのところは、いかなることがあっても真実は真実なんですから、やはり長官責任においてそういう点はきちきちっとしないと、逆な意味でシビリアンコントロールはできない。だから、そこらのところが悩みの種であるならば、私はやはり、おそくなっても、その調査した結果はこうなんだということをはっきりさせなければならぬと思うのですよ。だからこれは、とんでもない週刊誌が、例のタイの「アジア」ですか、静かなるクーデターなんというようなことを書くようなものが出てくる。ちょうど私は、週刊誌の記者の方に聞かれましたので、集めてあった資料を全部貸してしまって、いま手元にありませんけれども、そういうふうなことができ上がる。私はやはりそこのところは、長官立場で、何が一体どういうことになってこういう結果ができたのかということについては、これを正確に把握をする必要があると同時に、その筋は明らかにしていかなければならぬだろうと思うのですが、そこらはどう考えておられますか。
  72. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは的確な御質問でして、私全く大出議員が御指摘になりましたとおりに思っておるわけなんです。実はあの当時、一々こまかい話は申し上げませんが、たとえば予算委員会で、物資の過剰輸送、空幕の問題が取り上げられました。あのときに予算委員会において、責任者を処分する、こういう話し合いが行なわれて、与野党の間で食い違いがあった。私は当時も、だんだん調べてみると、これは空幕長には責任がない。あの当時空幕長は百里の基地に出張をしておりまして不在であった。そういう事態で、次官以下が、関係者が知らない。私も知らない。それは次官も知らぬのですから、私が知らぬのも当然でありましょう。  ところが、基地から帰りました空幕長から直接話を聴取し、内部をだんだん調べてまいりますと、いま御指摘になったような、繰り返しはいたしませんが、そういう事実が出てきたわけです。いやそればかりか、内局においては、すでに四十数名の準備要員というものを沖繩に空幕から出張させる許可を与えている。その四十数人は、現地において、送られたところの物資であるベッドを組み立てる、炊飯用具をあるべきところに置く、そういう仕事のために出かけていくのだ。そうであれば当然仕事の材料を送ったのである。しかもその物資そのものは、武器とは関係がないとはいいながら、他国に物を出す関係になりますので通産省の議を経ておるというようなことで、内局も相談にあずかっておる。なるほど最高幹部は知らなかったが、内局においてはチェックされておったのだ。そうなれば、これは、必ずしもいまの空幕長が罷免に値するような問題とは考えられない。常識的な判断には欠けたところがあろう。国会及び世上で自衛隊配備は慎重でなければならぬということがしばしばいわれ、総理みずからもそう言っておるときに、常識的配慮の欠けた点は私は認めなければならぬが、空幕長なる者がいたずらに政治判断を加えてくれたらそれこそ困るので、政治的な配慮というものは内局がすべきだ。その内局が注意喚起を怠ったというのであるならば、むしろ責任は内局のそれぞれの関係者にあるのではないか。こういうことで、実は衆参両院の予算委員会でも、このことをしばしば申し上げて今日に至ったわけであります。このことは、私、調査ができました当時からはっきり申し上げておる。  それでは、あの当時の知らなかったというのは一体何なんだ。これはまさに知らないことは知らないと言う。ああいう場合にうそを言ったり当面を糊塗したりいたしますと、とかく矛盾撞着があとから出てきてつじつまが合わなくなる。だから、聞いておらなかったということであるならば聞いていないということ。また、承知しないということは率直に言ったらよかろう。しかし、調査の結果はっきりしてくれば、そのことをまたはっきり言うべきであって、これは大出さんがいま御指摘になるとおりでありまして、そういうことを、しばしば機会あるごとに、特に参議院に予算が参りましてからの段階でも繰り返し申し上げてきたわけであります。シビルコントロールということはもとより、これもいまおっしゃるように、罪のない制服を罪におとしいれる、そんなことをしたら、これはいかにもシビルコントロールを誤る原因をなすものだと思います。  ただ世上、こういう問題の事柄から、内局、あるいは防衛庁長官も、この責任の所在について、検討の段階で手のひらをひるがえすごとく、いかにも空幕長に責任なしというようなことを言いかけたじゃないか、その背後にはどこかからおどしがかかったのだろう、そういう疑いが週刊誌等にもおもしろおかしく取り上げられたことも事実であります。しかし私自身も、おどしを受けた覚えもありませんし、かりそめにもおどしなどがあったら、私は政治家の責任において、特に防衛庁長官責任において、これはどういう形にしろ反発もするでありましょうし、そういうことこそシビルコントロールにもとることなんですね。ですから、これは重要に考えなければならなかったと思うのです。けれども、そういうことは寸毫もございません。一切そういうことはないのです。それが、日本の週刊誌等をどう参照したのか、あの当時の、デマともなく、うわさともなぐ伝わりましたいろいろな話が、先ほど御指摘のような新聞に取り上げられ、外国にまでそういう疑わしいようなことになったことは、いかにも残念に思っております。  したがいまして、このことをいま繰り返したわけでありますが、全く制服側には落ち度はなかった。落ち度があるとするならば、これは常識的配慮に欠けた。これは厳重訓戒ということで一応責任追及をしたつもりでおるわけであります。しからばあとどうするのか。これについては、いま御指摘の点などを十分配慮しながら、私は責任をもって対処したい、こういうふうに考えております。
  73. 大出俊

    大出委員 時間がぼつぼつないようでありますが、いま私は四次防の問題と例の予算委員会で詰められました問題、二つ引き合いに出したわけですが、最初の四次防のほうは、しからば一体時期的にいつごろまでにどういう手順で進めるか。あとの法案の審議との関係もあります。扱いの関係があります。そこらも含めまして、一体どういうふうに四次防という問題をこれから進めておいでになるおつもりなのか。当初いわれておりましたものよりは早くなるのか。早いとすれば大体どの辺のめどでお進めになるのか。  それから、一%論争がございましたが、この規模的なもの。諸経費なんというものは国防会議にかける必要はないとか、つまり装備重点に国防会議の議を経るとか、いろいろなことがいまいわれておりますが、そこらのところは一体どういうふうに考えておられるのか、締めくくりとしてこれはひとつはっきりさせていただきたい。  それから、いまの私の、これは直接関係の方々に承ったり調べたりした限り、後段の予算委員会で詰められた問題は、私の知る範囲で判断をすれば、やっぱり責任の所在は明確にしなければなりません。あれだけ国民に大きな波紋を呼んだのですから。だがしかし、その責任の所在というものは、よほどこれは皆さんのほうで慎重な調査の上で、これが真実だというものを明確にして、その真実に関する限りは皆さんの内部においてだれも異論がない、だれが考えてもこれは間違いない、ほんとうなんだという、その上に立ってやりませんと、何がどっちに行ってどういうことをやるにしたって、これから先ますますふえていく。私は非武装中立論を唱えていますし、沖繩に自衛隊を派遣されることにまつ正面から反対です。だが、それにもかかわらず、現に存在する大きな国民の税金を背景にする集団であります。そうなると、それに対して世上いわれるコントロールということになると、そこのところが的確でないと、国民が不安を持つのはあたりまえで、週刊誌であったり外国の新聞であったりというふうなところから、いろいろなことを表に出されると、ますますもってこれは国民にとっては迷惑な話であり、あるいは心配の種である、こういうことになる。だからそういう意味で、あくまでもこれは皆さんの中において、間違いのない真実、だれもが肯定すること、その上に立って事に当たるということでなければならぬと思うのです。  時期的には、あまりこれはずるずるなさっておくということは、これまた、ときたま新聞がいろいろなものを最近でも書いておられますけれども、またいま長官が釈明されたような弁明をせねばならぬような種になる。また、すっきりされぬ方もたくさん出てくる。こういうことになりますから、そこらのところの配慮を考えて、やはりおそくはないというところで決着をつけるということにしませんと、これは長官責任をお果たしになったことにならぬと私は思うので、少なくとも議会筋でものをおっしゃったことの責任は、そういう意味決着をつけていただきたいと思うのです。  この二点を最後の締めくくりのために承っておきます。
  74. 江崎真澄

    江崎国務大臣 重要な点だと思います。四次防につきましては、年度内に策定したいということを当初考慮しながら、経済見通しというものがはっきりしないということで先に持ち越した。これがいろいろな見解をめぐって疑義を生じ、ああいう結果にもなったわけでありますが、経済の見通しが、絶対ではありませんが、やはり立たないから延ばしたくらいのものですから、早めるといっても、そう常識の範囲を逸脱して早めることができるものじゃないと思います。防衛庁からすれば、なるべく早く策定したい、これはおわかりいただけると思うのです。しかし、いろいろな諸条件等を考えますると、やはり八月ごろと当初いわれていた線から、そんなに早くするということはちょっとむずかしいのではないかというふうに考えております。この点ははっきり申し上げておきます。金額等については、これはまあ一言にはなかなか説明がつきません。そのことがわからぬのですからきめようがないわけですね。しかしそうかといって、中曽根私案といい、あるいはまた西村修正案といい——西村さんの案は表には出ておりませんが、これは白紙に戻ったわけですが、ただむやみに数字を積み重ねてできたものではないわけでありまして、したがって、西村案も白紙に戻ってはおりますが、あの当時五千億程度を減額するという、これは一つの基準として尊重したい、私はこういうふうに考えております。これも一応申し上げられる範囲の話でありまするから、率直に申し上げておきたいと思います。  それから、第二の人事の問題につきましては、これは先ほど申し上げましたように、沖繩の問題ということを考慮に入れて、いま水牛を馬に乗りかえるといいますか、事は、シビリアンコントロールを強化するというようなことを言いながら拙速で事を処して、また沖繩基地獲得、配備等についてどたばたするようなことがあってはならぬという配慮で延ばしておった、これが真相であります。したがいまして、沖繩返還がスムーズに実現し——これは実現しましょう。そういうことになり、防衛庁としての仕事が一段落いたしました上には、すみやかにひとつ結論を見出したい、こう思って目下作業に入っております。ただ、人事異動ということがいわれながらじんぜん日が延びるということは、これは非常な不安、動揺、あるいは気分的にも引き締めるべき綱紀が逆にゆるむというようなこともあり得ますので、そのあたりは十分考慮して結論を急ぎたいと思っております。御了解いただきたいと思います。
  75. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 大出君に申し上げますが、いま外務大臣を請求して、約束だから約束どおり、われわれはできるだけの犠牲を払って沖特に差し上げたのだからということで、いま塩谷委員も行っておりますので、すぐ来るだろうと思います。
  76. 大出俊

    大出委員 それでは、実は本来のこの法案に関しての問題が一つございまして、警備連隊その他の問題がありますので、それと先ほどの残っておる問題がございますのと、あと新たな問題が二つ三つございますが、伊藤委員の時間の関係も実はございます。伊藤委員のほうから防衛庁質問が二、三あるそうでありますから、私の質問は先ほど御回答をいただいておりませんので、この辺で保留させていただきたいと思います。
  77. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 では、明日にでもお願いいたします。  伊藤惣助丸君。
  78. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 私は外務大臣に、ベトナム戦争中心として、日本米軍基地の使用状況について地位協定の立場から、また沖繩問題について質問する予定でありますけれども、時間の関係防衛庁長官に、二、三問伺っておきたいことがあります。  初めに、横浜市のノースドックについてはどういうような実態なのか、防衛施設庁からお答え願いたい。
  79. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 ノースドックにつきましては、海上の輸送施設として提供いたしておりますが、御承知のとおりに、モータープール地区を埠頭の部分に移設するという計画がありまして、それにつきましての話し合い米軍並びに横浜市——横浜市がこれに関連いたしておりますのと、それから現地の会社との関係で現在話し合いを進めておるという段階でございます。
  80. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 もっと明確に伺いたいのですけれども、鶴崎参事官でもいいですが、現在どういうふうに使われておるか。一つは、ノースピアというのは、米軍のLSTとか相模補給廠との関係において、先ほども同僚委員からいろいろ問題がありましたけれどもベトナムの物資はすべてこの埠頭から出ているということなんです。その点、防衛庁いかがですか。確認しておきます。
  81. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 必ずしも正確には知識を持っておりませんけれどもノースドックは在日米軍が海上輸送によって物資を受け入れる、あるいは物資を外に出すというような場合にあの埠頭を利用しておるというふうに承知いたしております。
  82. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 最近の新聞報道にも、戦車の修理が行なわれて一部は横田基地からC5Aギャラクシーで緊急に輸送された、あとノースドックあるいはノースピア、そこからLSTによってベトナムに輸送されている。すなわちベトナム米軍に対するすべての輸送物資を運ぶ専用埠頭である、このように伺っておるわけでありますけれども、その点いかがですか。
  83. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 ベトナムに送る物資がすべてこのノースドックから輸送されておるかどうかということは、私、承知いたしておりませんけれども、そういう面にも利用されておるというふうに承知いたしております。
  84. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 ではもう一問。そのいわばノースピアに現在自衛隊がいるわけです。いかなる任務ですか。
  85. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 横浜市内に陸上自衛隊の京浜港湾処理隊という部隊がございます。これは、自衛隊が米軍から供与される有償、無償の物品、これを受け入れ、通関の手続をとるということを任務といたしておりまして、いま御指摘ノースドックにある米軍の輸送関係の港湾司令部の建物の一部をこの京浜港湾処理隊が利用させてもらっております。しかしこれは、そういう業務が発生したときだけ、ごく若干の面積を利用させていただいておりまして、業務が終われば引き揚げるということで仕事をやってございますが、これはあくまでも自衛隊が米軍から供与される物品に関する事務を行なっておるということで、米軍自体の物資の出入りについてこの京浜港湾処理隊が関与するということは、その任務上からもあり得ない、また実際そうである、こういうことであります。
  86. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 私はその辺が非常に問題なのです。要するに、ベトナムに対して米軍が物資を補給するその港に、しかも専用埠頭に自衛隊の制服が常駐している。たとえば米軍の補給廠は幾つかあります。相模原もそうであります。ほかにもあります。しかしながら、その施設管理というものをする場合には、施設庁関係の職員がその施設管理を地位協定三第に基づいてやるとしても、制服自衛官がそこにはない。どうしてノースドックに限っていわば制服自衛官が常駐しているのか。たとえば、いまあなたがおっしゃったように、有償、無償援助、いわゆるMSA協定によるナイキ、ホークとか、あるいはまた、ほかの自衛隊に供給されるそういうものの立ち会い、これは確かに過去にありました。しかしそれは常時ではない。ところが現在では、常時、しかもまた専用埠頭に制服自衛官が、いかなる任務かはわかりませんけれども国民立場から見ますと米軍の輸送物資、すなわちベトナムに行く物資に何らかの形で協力している。あるいはまた、いる必要もないのにそこに制服自衛官が常駐している、こういう点を私は指摘するわけでありますけれども、これは防衛庁長官いかがですか。
  87. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは先ほどからお答えしておりまするように、別にベトナムの協力物資といいますか、そういうものに関連しておるものではもちろんありません。私どもが聞いておりまするのは、総務、運用、業務、この三つの課から成り立っておりまして、約九十五名、現在は九十四名、こういうことであります。これが外国援助物資の受領に関する業務を行なう。これは最近、援助物資といいましても、いろんなものがそうたくさんあるわけではありませんが、やはりMAPの関連のもの、そういったものや、それから自衛隊の器材でどうしてもアメリカ側から輸入をしなければならぬもの、供与されるもの、こういった兵器、器材関係のチェックをして受け渡しをする、こういうふうに報告を受けております。
  88. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 これは私の調査では、制服自衛官三佐が責任者で九十五名いる。これが、先ほど申し上げましたように、MSA協定、いわゆる軍事援助協定に基づいて、米軍から供与される武器、弾薬を受け取るときには当然立ち会いに出てきた。それはわかるのです。ただ最近は、もうずっと常駐しているじゃありませんか。そしてその専用埠頭は、御存じのようにベトナムに、戦車をはじめ装甲車、あるいはまた軍需物資を専用に運ぶ米軍専用の埠頭ですよ。そこになぜ制服自衛官がいるか。これは重大問題ですよ。ですから制服自衛官が、ベトナムに物資を輸送するその任務には直接は携わらないとしても、何らかの協力をしているのではないか、こう思うのです。まず、一年じゅうあの埠頭に常駐して米軍からのいろんな兵器を受け取るだけの仕事があるのですか。
  89. 江崎真澄

    江崎国務大臣 無償援助物資、これはもとよりですが、有償援助物資についてもやはり引き渡しをする、これは申し上げたとおりです。それから、さっき申し上げましたように、誘導弾関係の調達部品、これはどうしても日本でできないものをアメリカ側から供与を受ける、有償で取り入れる。そういうような場面に立ち会うために必要な人員と物資は相当動いておる、こういうふうに聞いておりますが、詳細は政府委員から申し上げます。
  90. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 答弁できますか。大出委員質問もありますから、私は長くやりたくない。ただ、ここで私ははっきり申し上げたい点は、何と言おうと、米軍ベトナムに物資を輸送する専用埠頭に、そこに自衛官が一緒にいるということ。制服自衛官ですよ。そしてそれが常駐しておるという事実。私はこういうことは非常に誤解を受けると思うのです。いま防衛庁長官が申しましたけれども、無償援助なんかもうないのですよ。もういまは高い有償援助ですよ。しかもある時期に限ってですよ。であるならば、私は即刻引き揚げるべきだと思うのです。常駐ではない、どこまでも自衛官の、あるいは自衛隊が使う物資のみを取り扱うのであれば、そのときに派遣すればいいと思うのです。これはきわめて大事なことでありますので、防衛庁長官はっきりしてもらいます。
  91. 江崎真澄

    江崎国務大臣 先ほどから申し上げますように、やはり日本でできない兵器の不足部品とか、いろいろな器材を収納するための要員、こういうふうに私は報告を受けておりますが、さっきの大出さんの相模補給廠の疑義とやはり似通った一つの疑義を伊藤さん提起しておられるわけでありまして、まさに重要だと思います。少なくとも日本が何かベトナム戦争に介入しておるような誤解をそこから生ずるというようなことがあってはならぬと思います。したがって、もしそういうような形がありとするならば、これは自衛隊の任務以外のことでありまするから、引き揚げるということもありましょうが、現在は必要で置いておるということを私には申しておりまするので、これは十分調査の上御返事ができるようにいたしたいと思います。
  92. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 いつも防衛庁長官、前向きで、調査の上慎重に検討と、考えるみたいなことを言って結局は何もやらないことが多い。(江崎国務大臣「いや、そうでもないですよ」と呼ぶ)そうでもないことはない。私はいつもそこでごまかされてしまうのですよ。私はごまかされないように申し上げますけれども、とにかく、いま言ったように、私たちから見れば、日米安保という一つ関係があったとしても、それは明確に違うのだ。しかもほかの基地や何かに制服自衛官がいるか。それは共同使用とかありますよ。しかしながら、まず任務を遂行する場合には、施設庁であるとか、あるいはまたそれ以外の方々がタッチするわけですね。制服自衛官がそこの専用埠頭にいる法的根拠はどこに基づいているのですか。
  93. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 先ほども申し上げましたように、ノースピアの米軍の輸送司令部の建物のごく一部を、数名の自衛官が物品の受け入れ、通関手続のために利用させてもらっておるのですが、この利用は、いわゆる地位協定の三条に基づいて米軍の承認のもとに利用しておる、こういうことであります。
  94. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 そうだろうと思うから私も持ってきたのですが、制服自衛官が管理するのですか、その基地内を。それで、数名がいつも荷物引き取りのとき立ち会っておる。どうして現在九十五名もいるのですか。
  95. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 九十数名というのは京浜港湾処理隊の本隊でありまして、これは横浜の駐とん地の中にございます。その出先のような形で、数名の者がいま御指摘ノースドックの米軍の建物の一部を利用させてもらっておる、物品の出入りのときにこれに立ち会っておる、こういうことで、この百名近い者が常にノースドックの中におるという実態ではございません。
  96. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 だから私は、そう言われるからちゃんと調べてきた。これは業務課の人でしょう。しかも数名じゃないですよ。十名ですよ。ちゃんと私は調べて申し上げておるのですよ。  そこで防衛庁長官、一般的に考えますと、これは何と言おうと、専用埠頭に日本の物資が来ないときでもいるということは、ベトナム戦争に対する物資輸送の協力をしておるのだということについて反論できませんよ。できますか。もしそうでないと言っても、何でそんな専用埠頭に置くのか。であるならば、ほかの基地にも地位協定第三条に基づいて置かなければいけない。ほかは置かないでなぜここだけ置いているのか、ここが問題だ。だから私は、建物の一部を借りているのですから、何もそんなに重要じゃないと思う。だから、誤解を受けるようなことであるのだから、即刻私はこれは引き揚げるべきだと思うのです。いかがですか。
  97. 江崎真澄

    江崎国務大臣 誤解を生むようなことがあってはならぬと思います。しかし、引き揚げるかどうかは、これはやはり実務を十分調査しまして、そして判断をしたいと思います。それで、いま直接担当の責任者が十名程度はどうしても必要だということを申しておりますが、これは、置いてじんぜんそのままに過ごすなんというようなことのないように、まさに十分調べて、誤解を生むようなことのないように、はっきりけじめをつけたいと思います。
  98. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 大出俊君。
  99. 大出俊

    大出委員 先ほどの質問のところで、アメリカ局長吉野さんが、大臣の旅先でお話しになった記者発表について話し合っていない、こういうことでございますが、そこで、まずひとつ、きょうのニクソン大統領のテレビ演説があるわけですが、これは大臣、お耳に入っておりますか。
  100. 福田赳夫

    福田国務大臣 私は、朝から閣議、経済関係閣僚協議会、国会で、まだ詳細は承っておりません。おりませんが、大体のことは事務当局から聞いて承知しております。
  101. 大出俊

    大出委員 大体のところどんなことでございますか。私も朝から質問していましたので、全然大体も聞いていないのですけれども……。
  102. 福田赳夫

    福田国務大臣 大体のところは、アメリカ北ベトナムの諸港の封鎖を行なう、こういうことですね。そして、そういう封鎖を行なう目的をもって十一日までに機雷を敷設する。したがって、すでに停泊しておる船は出港せられたい、また、入る船があれば機雷が敷設してあるということを警告をする、こういうことでございます。
  103. 大出俊

    大出委員 このベトナム戦争の当否について云々というのじゃないのですけれども、今日の段階をながめて、私は、いまの大臣の説明からすれば、ある意味でのエスカレートだろうというふうに思うわけでありますが、これを一体外務大臣としてどういうふうにごらんになっているのか。先ほど江崎防衛庁長官は、これ以上エスカレートするとすれば、個人的にはたいへん遺憾なことだ、こう思っているという御発言がありましたが、そこらのところは、あわせてひとつ外務大臣からもお答えいただきたい。
  104. 福田赳夫

    福田国務大臣 ベトナム戦争につきましては、私どもは何とか早くこれが終結に至ってほしいというふうに考えておったわけです。私どもが戦争の当事国じゃございませんものですから、これはそうそう具体的な行動はとれませんけれども、しかし、アジアの隣邦といたしまして何とかお役に立つことがあればというので、先般、外務省の役人を北ベトナムに派遣する、そこまでやっております。そこで報告を聞きますと、北ベトナム国民は一日も早く和平をということを非常に念願しているというのです。それから南のほうでもそういう国民のムードですね。そういうムードが南北の国民の間にみなぎっておるというのですから、私はこれは、話し合いによるベトナム問題の最終的処理ということに一るの望みを持っておったのでありますが、不幸にしてこの事態が非常な深刻な段階を迎えることになってきておる。私は、この深刻な事態になったということは、そういう私の考え方からするとたいへん予想外であり、また遺憾なことである、こういうふうに思うのですが、ただ国会で、さっきも沖特のほうで、北爆を非難すべしというような御意見がありましたが、私どもが一方的に、どっちがいい、どっちが悪いということを言う立場にはないと思うのです。もうわれわれがこの段階でなすべきことは、一刻も早く南北両当局が武器を捨ててテーブルに着く、こういうことを念願し、そのためにお役に立つことがあればこれを行なうということであろうか、こういうふうに考えております。
  105. 大出俊

    大出委員 伊藤さんの時間もありますので、いまの問題にからみまして二点ほど承っておきたいのであります。  一つは、たいへんエスカレートする。残念なことでありまして、遺憾なことでございますが、その点をお認めになっているわけでございますが、さて沖繩が返ってまいります。そこでやはり、沖縄とベトナム戦争のできれば絶縁を、日本という立場でこれは考えなければいけないと私は思っているわけであります。  そこで、旅先、鹿児島でございますが、大臣が、沖繩米軍ベトナム出動は、沖繩返還後、日米安保条約に基づく事前協議の対象になる、もし米側から事前協議を求められたときにははっきりノーと答える、こういうふうに語ったというのでございますが、アメリカ局長に承りましたら、大臣と話していないのでというお話なんで、直接大臣から、こういう記事でございますけれども、その真意を、こういうことなのかどうか。かつまた、その旅先の記者発表の真意は一体どこにあるのかという点について、本席でお述べいただきたい。
  106. 福田赳夫

    福田国務大臣 私の発言した趣旨を申し上げますと、ベトナム戦争のための米軍活動沖繩を含めわが国の基地がその活動基地として使用されることはない。つまり、わが国がベトナム戦争米軍の作戦軍事行動基地化するということは、これはありません、こういうことを申し上げたわけです。しかし、万一そういうようなことがわれわれの見通しに反してあり得るということになると、つまり、沖繩なりわが国の本土から直接出撃をするというようなことがありとすれば、それは事前協議の対象となる。その際にはわが国の政府はこの事前協議に対しましては応じない、こういう方針である、そういうことを申し上げたわけです。
  107. 大出俊

    大出委員 もう一点承っておきますが、昨日まで沖繩の方々たくさん本土へ見えておりまして、現地の実情もいろいろ聞いておりますが、また別な筋からも、現地の今日的ベトナム戦争エスカレート段階における基地状況というものを調べておりますが、こまかくはまたあらためて大臣に承りますけれども、この沖繩のKC135、嘉手納に私が参りましたときには、四十五機ございましたが、カリフォルニアから先月末に十五機増機されたというので、それまでは三十機だった、こういう説明でございました。それは先月でございます。ところがこのKC135が時間をきめて嘉手納の基地から南へ飛んでいく。そして帰ってくる。そうすると次のKC135が飛んでいってまた帰ってくる。行っている先はタイ国。そうなると、このKC135の役割りはしからば何かといえば空中給油でございますから、まずウタパオから発進するB52の空中給油役割りを果たすことになる。これも現実であります。それから北ベトナムの労働党機関紙の例のニャンザンなどには、二千人の米海兵隊が緊急出動という形で沖繩から乗船をした、第七艦隊所属のかくかくの船であるということを指摘をして流れておりますが、沖繩の現地の皆さんに聞いてみると、沖繩から緊急出撃をしている、これも事実であります。それから、沖繩にはたくさんのベトナム破壊をされた武器、戦車等を含めまして陸揚げをされている、これも現実であります。そして修理工場に運ばれているたいへんな数の車両群、装甲車群、これも事実でございます。それからEC121偵察機の撃墜がありましたが、SR71も連日あわただしく飛んでいる。  こういう次々に起こってくる沖繩基地現実、これをずっとながめていきますと、いま大臣は、作戦行動基地化することはない、こう言われるわけですが、コマンド部隊は輸送中心にたいへんな活動をしている。  その中で、ランパート高等弁務官がつい先日記者会見をいたしまして、これは沖繩国際クラブで開かれた在沖米商業会議所総会、ここで演説をしていますけれども、この中で、ベトナムはもちろんのこと、東南アジアを含めて米軍が果たしている活動は、唯一絶対の基地である沖繩がある、それによって成り立っている、したがって、沖繩が返還されても沖繩基地の機能というものはそのまま続けられていく、そういうことについてたいへん強調しているのですね。ここではっきり、ベトナムの後方支援、補給を含めまして明確な背後基地であること、これを高等弁務官自身国際クラブ演説しているわけですね。そうすると、どうも大臣のいう形式的な意味の、つまり、ことばの使い方でなくて現実沖繩基地がどうなっているかという点、一ぺんお出かけになってみればわかるのですが、それでもなおかつ、作戦軍事行動基地化することはない、こうおっしゃるとすると、そこのところは、出撃命令を受けていない、出かけるときには戦闘作戦命令を受けていない、そのことをさすのか。それとも、現実沖繩ベトナム戦争基地ではないというふうに、ほんとうにお考えになっているのか。そこのところをもう一ぺん分けてひとつお話しをいただきたい。
  108. 福田赳夫

    福田国務大臣 一つは軍の出撃の場合だと思います。その場合には、出撃する軍が、これが実際戦闘に参加する部隊である。つまり基地というものは、そこから出撃をして、そしてまたそこへ帰ってきてまた出撃をする、そういうようなことであろうかと思いますが、とにかく戦闘作戦行動の任務を持ちまして出撃をする。こういう際に、その出撃をした基地というものは作戦上の基地である、こういうふうな理解になるだろうと思いますが、そういうことは予想しておらぬ、こういうことなんです。万一そういう性格の基地として、沖繩基地、あるいは本土の基地にいたしましても使うという要請があれば、これは断わる、こういう方針であります。  それから第二は補給の問題ですが、戦闘行動があれば補給の問題が起こってくる。一般の補給は、私ども事前協議の対象にはしないのです。しかし、この補給というものが作戦軍事行動と密接不可分の関係にあるというものにつきましては、これは事前協議の対象とする、こういう考え方なんです。その際に非常に具体的なケースとして問題になりますのは、空中給油ですね。他の地域に駐とんをする、他の地域を作戦行動基地としておる、そこから出撃した飛行隊が空中において給油を受けるということは一体どうなるのか。地上給油、これは明確に補給活動であるけれども、軍事行為と一体の関係にある問題であり、しかも地上、つまり基地そのものが使われる、こういうことから事前協議の対象とすべし、私どもこういう議論でありまするが、今度は空中で行なわれる場合、これは非常にデリケートな問題になってくるわけなんです。これが作戦軍事行動と密接不可分の関係にあるのかないのか、そういうような問題、そういうケース。あるいは北ベトナム落下傘降下部隊が降下をする、そういう際に、その降下部隊に対して、飛行機の上から武器、弾薬等を補給する行為がはたしてどういうものであるか、これも問題になるだろうと思います。  私どもは、そういういろいろなケースを考えまして、前者、つまり空中給油ですね。この場合は、とにかくいろいろデリケートな境界がある問題ですが、割り切った考え方をしなければならぬ。地上で給油する場合には事前協議の対象になる、しかし空中給油事前協議の対象としない、こういう見解をとっておるわけなんです。それから落下傘の場合、これは密接な補給活動である、軍事活動と切っても切れないというように考えられる。したがってこれは事前協議の対象とすべきものである。そういうふうに非常にデリケートな問題がいろいろ起こってくるので、何か割り切った考え方をしないと、この問題は何か問題を残す、こういうふうな見解から、いろいろな御議論はあることはよく承知しておりますけれども、そういう見解をとっておるわけであります。
  109. 大出俊

    大出委員 あとの時間がありますから、議論は省略いたしますが、締めくくりにもう一つ伺います。  かつてエンタープライズが佐世保にやってまいりまして、そのときに記者の諸君が司令官その他に会って質問した。これからどこに行くんだ、南ベトナム、ヤンキーステーションに行く。すると、日本の佐世保からヤンキーステーションに行くわけですから、これは一体事前協議の対象になるのかならぬのか議論をした。ところが、外務省条約局長答えていわく、エンタープライズは航空母艦であります。そんなことはだれだってわかる。飛行機を載せております、飛行機を載せてヤンキーステーションまで行くのは飛行機の輸送でございます、ヤンキーステーションに着いて、そこから飛行機が爆撃に飛んでいく、これが戦闘作戦行動で、その基地はエンタープライズの甲板だ。あのとき私が質問したら、こういう答弁をしましたよ。大臣が言っておる話というのは、大なり小なりこれに類することになる。岩国から行くF4ファントムは、そのときに直接戦闘作戦行動の命令を受けていなかったから対象になりません、KC135も、ウタパオから飛んでいって空中給油をやっているんだから、対象になりませんという。しかし、現実に日々行なわれておる沖繩基地現状、動きというものは、沖繩県民百万の方々がだれでも疑いなく、ベトナムへの作戦行動の直接的、しかも唯一絶対の基地である。ランパート氏が言っておるように、こういう認識をみな持っておる。ここにいまの答弁現実の大きな隔たりがある。だから事前協議というものは死文化したということにならざるを得ぬ。そうすると、沖繩が返還されるというこの時点で、ベトナムとの関係はこのままにしておこうというお考えですか。それとも、ベトナム戦争に対する百万県民の不安があり、さてそうなれば、日本政府責任において、デリケートだとおっしゃるけれども、一体どういう規制をして納得を求めるか。何か外務省は、十五日を境に復帰するのですから、そうすると、それに対して政府責任ベトナム戦争との関連においてどういう規制をするかという立場があっていいと私は思うのですが、そこらのところは、いまおっしゃるように、非常にデリケート、微妙でありますということで、さっきのエンタープライズの話じゃありませんが、このままで過ごしていこうというお考えでありますか。いずれでありますか。
  110. 福田赳夫

    福田国務大臣 アメリカ当局ですね、ランパート弁務官を含めまして当局は、十五日からは日米安保条約沖繩には適用される、こういうことはよく承知しておる、そういう状態でありますから、安保条約のワクの中においてのみ米軍活動というものはあり得るわけであります。それについてアメリカ側の誤解は一切あり得ない。そういうことから、ベトナム戦争というものは、これは沖繩ばかりじゃありません。横田あるいはその他の基地におきましてもいろいろ問題もありましょうが、とにかくベトナムの状態が重大化した、そういう事態ではありまするけれども、安保条約がいかなる基地についても適用されるということは、これはもう厳然たる事実でありますから、そのとおりにひとつ厳粛に運用していきたい、こういうふうに考えております。  ただこういう問題があるのです。国会でいろいろ当方が見解を述べておるのですが、まだアメリカとこれを突き合わせてきっちり合意というようなことになっていない問題がある。そういう問題をほうっておきますといろいろむずかしい問題をかもし出す、こういうふうに考えますので、なるべく早い時期に日米安保協議委員会を開催しましてむずかしい諸問題を整理してみたい、こういうふうに思っております。
  111. 大出俊

    大出委員 これはもうおしまいですが、いまの大臣の言うことになれば、安保条約が適用になるのは厳粛な事実である。だが、安保に基づく事前協議というのは、かつて今日まで、岸内閣以来一ぺんも行なわれたことがない、これまた厳粛な事実である。そうすると、安保条約が適用になったという形式的な認識だけが残って、沖繩は返ってきたが、いま行なわれている沖繩役割りと同じことが米軍に対して続いていく、これまた厳粛な事実になってしまう。私はそれじゃ困ると思うのですよ。  各種特殊部隊の活動というものはおおむねわかっている。そうすると、特殊部隊、第七心理作戦部隊についても、私はかつて質問したことがありますけれども、それらの特殊部隊は分けていって、これはどういう活動の分野にあるかということがわかっているから、それについては、返ってきた以上こうである、あんなものを置いてはおかしいじゃないかという質問もあって、安保のワクをはみ出したじゃないか。安保は適用になるから、ワクの中でやるでしょう、そういうことでは済まない。だから、そういう意味一つ一つこれははっきりさせていく、国民に対する責任上。私は、ベトナム戦争エスカレート段階とあわせてその必要が早急になければならぬと思っている。その意図がおありかどうか。安保が適用になるからそれでよろしゅうございます——事前協議はない、いまだかつて一度もないのです。そのまま過ぎていく。それでいいというのじゃ、これは沖繩の皆さんが納得するはずもない。そこのところを、説得力ある日米協議というものをおやりになって、規制すべきものはするというやはり姿勢がなきゃならぬ。できない限度があるかもわからぬけれども、それをやらなきゃならないと思うのですが、そういう気持ちがおありかどうか。議論はあらためてしますから……。
  112. 福田赳夫

    福田国務大臣 私は、沖繩返還に際しまして、安保条約の事前協議条項の運用について再検討するという考え方は持ってないのです、いまこの時点では。しかし、沖繩が返ってくるいい機会だから、これはいろいろ勉強しなきゃならぬ。勉強した上のことでありまするが、なるべく早い機会に日米安保協議委員会を開いて、そして、安保条約の運用諸問題、特に事前協議の問題につきましてその相談をしたい、こういうふうに考えております。いまこの時点では、一般的な安保条約運用についての再検討、それは考えておりません。
  113. 大出俊

    大出委員 沖繩が返ってくるというのは非常にいい機会だから、まあこういうことですな。あらためてまたお聞きします。      ————◇—————
  114. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
  115. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 趣旨の説明を求めます。福田外務大臣
  116. 福田赳夫

    福田国務大臣 ただいま議題となりました在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由を説明いたします。  この法律案におきましては、まず、ブータン、モンゴル、トンガ、ナウル、西サモア、フィジー、アラブ首長国連邦、オマーン、カタル、バハレーン及び赤道ギニアの諸国にそれぞれ兼轄の大使館を新たに設置するほか、在ダッカ総領事館の種類を変更して在バングラデシュ大使館とし、また、アラブ連合共和国及びコンゴー(キンシャサ)の両国が国名を変更いたしましたので、これに伴い、大使館名を在エジプト及び在サイールと変更いたします。  領事館につきましては、在ブリスベン及び在イスタンブルの各領事館をそれぞれ総領事館に昇格いたします。  次に、これら新設の大使館及び昇格の総領事館につきまして、これらの公館に勤務する職員の在勤手当の額を定め、あわせて既設の公館につきましても、各在外公館の所在地における物価の上昇、為替相場の変動等を勘案し、在勤基本手当の額、住居手当の限度額及び研修員手当の額をそれぞれ改定することといたしております。  なお、この際在勤手当額の表示を従来のアメリカ合衆国ドルの表示から邦貨による表示に改めることにいたしております。  以上がこの法律案の提案理由及びその概要であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。
  117. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 これにて趣旨の説明を終わりました。     —————————————
  118. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、これを許します。伊藤惣助丸君。
  119. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 法案の審議でありますが、もちろんその審議を進めるわけでありますけれども、現在、ベトナム戦争をめぐりまして、わが国が日米安保条約に基づいて数多くの基地を提供しておることから、ベトナム戦争エスカレートすればやはり日本も直接介入する危険があるのではないか。さらにまた、米軍沖繩基地を含めて日本基地を使用する場合に、いままでにないことを米軍は事実関係として形骸化をするのではないか。こういう点を国民は常に心配しておるわけであります。そういった点から二、三の問題について質問したいと思います。  初めに、私はベトナム戦争について伺うわけでありますけれども、何か新聞報道によりますと、ニクソン大統領はハイフォン港を封鎖すると重大発表したということでありますが、私は、日本に数多くの基地を持つ、またベトナム戦争については重要な補給基地になっている日本基地を提供しておるわけでありますから、米国からこういう重大問題については事前に連絡なり、また外務大臣に対しても、こういうことで封鎖するとかというような連絡が当然あってしかるべきだと思います。そういう点について、外務大臣、先ほど聞いておりますけれども、きょう発表するニクソン大統領の演説内容についてどういうコメントがあったのか、まずその点から伺いたいと思います。
  120. 福田赳夫

    福田国務大臣 今回のアメリカの措置につきましては、前々から国家安全保障会議が開かれて重大な措置がとられるという情報を受けております。そこで、そのとられる措置については、今朝十時にニクソン大統領がこれをアメリカにおいて発表しておりますが、それに先立ち、わが国の佐藤首相に対しましてメッセージの形で通報が行なわれております。また、ワシントンに駐在する大使館に対しまして事前にコメントが行なわれておる、こういうことなんです。ところが、残念ながら、まだこういう状態で、私そのメッセージ並びにコメントの内容は詳細に承知しておらぬ、こういう状況であります。
  121. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 何かベトナム戦争については、外務大臣のいままでの答弁をいろいろ聞いてまいりますと、他国の戦争には介入しない、したがって何も言わない、また、北爆についても一切言及する考えはない、こういうお話、あるいはまた答弁があるわけでありますが、私はそれは間違いだと思うのです。なぜかならば、日本基地を使っての補給、たとえば日本がこの基地を提供することによって、野党が長年政府に追及しておりますように、私たちは、米国が戦争する場合、日本基地を提供するときに全く関係ない戦争に巻き込まれる危険性がある、こういうことを強く指摘してきたわけですね。ベトナム戦争エスカレートして、そして戦争がだんだんだんだん拡大されますと、ますます日本基地がひんぱんに使われる。そしてそのことが、日本がほんとうに今度はベトナム戦争に介入する。あるいはまた、攻撃された場合にはわれわれは文句が言えない、こういう立場になると思うのですね。ですから、コメントがたとえば大統領からあった場合、当然関係があるから言ってきているのであって、私は、そういう立場からするならば、北爆についても、またこの北爆を通してベトナム戦争エスカレートする場合には、やはり一つの歯どめ——あるいは、基地を提供し、また日本国民の不安ということを外務大臣は十分知っているわけでありますから、当然外務大臣としてはその問題について言及すべきだと思う、その点はいかがですか。
  122. 福田赳夫

    福田国務大臣 コメントをいたしますれば、最近のベトナムにおける新事態ははなはだ遺憾である、こういうことであります。われわれは、両当事者がすみやかに武器を捨ててテーブルに着くことを切に要望し期待する、こういうことであります。決してわが国の態度をあいまいしておるという考えはございません。
  123. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 北爆がエスカレートしまして、軍事的に見ますと、ハイフォン港を封鎖した、その次に起きることは何か。われわれはどうしても、朝鮮動乱のような一つ米軍の作戦を想定するわけですね。そうすると今度は、艦砲射撃であるとか、あるいはB52のじゅうたん爆撃であるとか、なおかつそれで済まない場合には、今度は海兵隊の再上陸ということが軍事的に見れば考えられるわけです。ですから、その北爆のエスカレートがきわめて重大な事態になるということを私は心配するわけであります。ですから、はなはだ遺憾であるだけじゃなくて、常に戦争状態がエスカレートするときには、何らか前向きに、もうこれ以上のことをすれば日本基地は提供できないというくらいの強い姿勢を示すべきではないかと私は思うのですね。その点いかがですか。
  124. 福田赳夫

    福田国務大臣 わが国は安全保障条約を日米間で結んでおる。しかし、わが日本がそれゆえに戦争に巻き込まれるということがあってはならぬということから、わが国の米軍に提供する基地が軍事作戦行動基地化するということにつきましては一つの歯どめを持っておる、これが事前協議でありますね。でありますから、ベトナムの問題、これがわが国に波及するというようなことがかりにあるとすれば、これは事前協議条項によって対処する。そしてもしわが国の基地、岩国だ、横田だ、あるいは沖繩だ、そういうところを軍事作戦行動基地として、その基地から発進をするということに対しましては、私はそこまでの事態は起こるまいと思っておるのであります。沖繩は遠いですから……。でありまするが、もしそういうことがあり得ますれば、これは事前協議になりますから、その際にこれを応諾しない、こういう政府の方針を固めておる。それで事ははっきりしておるのじゃないかと思います。
  125. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 要するに、現在の北爆がきわめて危険な状態にエスカレートすれば、事前協議の対象として明確にノーと言う、こういうことですか。
  126. 福田赳夫

    福田国務大臣 わが国の基地が軍事作戦行動のために使用される、つまり作戦基地として使用されるというような事態がかりにありとすれば、それは事前協議の対象になる。そういう基地の使い方をしたい、こういうような要請がありますれば、これに対しましては応諾はしない、こういう方針でございます。
  127. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 事前協議については、私は前に佐藤総理にいろいろ提案をし、また問題点を指摘しました。ですから、外務大臣事前協議についてずいぶん後退した答弁をその後新聞で見ているわけでありますが、私はきょうあまり時間がありませんから、その問題に触れませんけれども、少なくとも軍事専門家から見れば、相手をたたくときには、攻撃してたたくのではなくて補給路を断つということが最大の作戦なんですね。ですから、直接、武器を持った軍人や、艦艇や、あるいはまた航空機が飛ばないとしても、それを補給するために基地が使われるということであれば、たとえ事前協議の対象外であっても、これはもうきわめて危険な事態となるわけですよ。  その問題はまた別の機会に議論することといたしまして、私は申し上げたいことがたくさんありますので申し上げますが、まず第一に、日本基地ベトナム戦争でいろいろ補給基地に使われておる。これは安保条約による。安保条約と言っても、第六条の交換公文による地位協定。当時、新安保条約等よく審議し、またつくられたのがいまの高島条約局長。それで私は伺いたいわけでありますけれども、まず基地を使うその地位協定は、第何条によってベトナムのような戦争に日本基地を使うことを許しておりますか。
  128. 高島益郎

    ○高島政府委員 日本にあります施設、区域を使用する目的、これは安保条約の第六条に書かれておるとおりでありまして、その使用目的に合致する限りにおきまして、日本の施設、区域は米軍が自由に使用して差しつかえないという見解でございまして、地位協定の第何条にそういう目的が書いてあるということはございません。安保条約第六条だけでございます。
  129. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 そうしますと、地位協定は関係ないということですか。
  130. 高島益郎

    ○高島政府委員 地位協定は、安保条約第六条を受けて、この目的の範囲内でどのように米軍が施設、区域を使用するかというこまかい規定を書いてありまして、使用目的そのものは、いま申しましたとおり、安保条約第六条が唯一の規定でございます。
  131. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 普通、一般的には、憲法があって、基本法に基づいて一般的な法律がある。国際条約についても、その条約があって、それに基づくいろいろな交換公文を通して、その他位協定なり行政協定があるわけでしょう。ですから、地位協定第何条に基づくのだ。たとえば具体的に申し上げますと、相模兵器廠は安保条約第六条によって提供をしている。そしてそのことは地位協定の第何条によってこまかい取りきめをしているのですか。
  132. 高島益郎

    ○高島政府委員 これは施設、区域を米軍に提供するにあたりましての基本的なものといたしまして、地位協定第二条がございます。したがいまして、地位協定第二条に基づきまして、さらに第二十五条に基づいて日米合同委員会の協議のもとで施設、区域は米軍に提供される、こういう段取りになっております。
  133. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 そうすると、その他位協定の第二条の基地を提供する場合に、米軍以外の軍隊や、あるいはまた第三国の人が、地位協定から見た場合、使用できますか。
  134. 高島益郎

    ○高島政府委員 先生の御質問の趣旨は必ずしもよくわかりませんけれども、安保条約と申しますのは、米軍が安保条約第六条に基づきまして、日本の安全に寄与し、極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するために、施設、区域の提供を許されるわけでありますので、それ以外の国の軍隊には、そのような施設、区域を提供するということは全然予想しておりません。
  135. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 私が申し上げたい点は、米軍以外には日本基地は使えないということになりますが、そのとおりですか。
  136. 高島益郎

    ○高島政府委員 全く施設、区域を使用することが不可能かと申しますと、必ずしもそうではございませんで、たとえば、ある飛行場の滑走路を使わなければ日本のその付近にございます飛行機修理工場等に行けないというような場合に、米軍の了解のもとに日本政府が許可をして、そのときに限って滑走路を使用するということはあり得るかと思います。しかし一般的に、施設、区域として米軍に提供されているものを、一時的にせよ恒久的にせよ、米軍以外の第三国の軍隊に使用させることはとうてい考えられません。
  137. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 その場合、それは地位協定の第三条にもありますけれども、結局は、地位協定の二十五条に基づいて日米合同委員会日本がオーケーと承認した場合に限ってですね。
  138. 高島益郎

    ○高島政府委員 第二十五条の日米合同委員会が、地位協定に基づきまして施設、区域を米軍に提供するにあたりまして、第三国に常時使用させることを認めるような、そういう協定を締結するということはわれわれ考えておりません。
  139. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 それから、たとえばいま盛んに、ベトナムで使う米軍の戦車が日本で修理されておる、補給されておる、この問題が出ております。これはいかなる根拠によって認められておりますか。
  140. 高島益郎

    ○高島政府委員 これはどこの補給廠か存じませんけれども、一般的に、施設、区域として提供されたその目的の範囲内にそういう補給活動ということは当然入るわけでございますので、そのような戦車が日本の施設、区域の中で修理され、それがさらにどこかほかの地域に輸送されるということは十分予想される問題でございます。もちろんこれは、先ほど申しました安保条約の第六条の範囲内で、その目的に合致する限りにおいてそのような行動は当然許容されるものだと考えております。
  141. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 その場合、米軍の兵器が、たとえば、日本にもありますけれども、軍事援助協定によって交戦国に与えた兵器をもしか日本で修理することになったらどうなりますか。これは条約的に聞いている。
  142. 吉野文六

    吉野政府委員 この問題は条約問題でもありますが、われわれがやはり米国との間の援助計画について担当しておりますから、私がかわってお答えいたさせていただきます。  米国は南ベトナム政府に戦車その他の車両をいわゆる軍事援助計画で貸与しております。それで、これらの戦車その他が損傷いたしますと、これは米側に返却される仕組みになっておりまして、これらの損傷車両は、米側がみずから使用して損傷した車両と同じように、米側の車両といたしましてわが国の施設、区域内においてこれを修理するということになっております。そして修理後は、必ずしもこれはベトナムに送られるということではなくて、米本国に送られることもありますし、また再びベトナムに送られることもある。いずれにせよ、これは場合によって一定しておりません。したがって、わが国でこのように修理されている戦車は、本来米国のものでありまして、これが他国の使用に供されることがあっても、損傷するとともに米国側に返却されまして、そして米側責任をもってこれを修理する、こういうことになっております。
  143. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 そこで問題があるのです。要するに、貸与されるということで日本の自衛隊の場合もみなもらってしまったわけです。MSA軍事協定で、全部これは名目は貸与というかっこうですね。じゃ返すのか。返さないですね。いまだに日本でM4とかM24とかいう戦車がある。あるいはライフル銃でも機関砲でもすべて米軍のものだ。当時は貸与かもわかりませんけれども、現在はそのまま自衛隊が使っているわけです。だから、戦車の場合はそういうことが考えられるとしても、ほかの兵器については、軍事援助協定によってちゃんとベトナム軍に、そういう大きなものじゃなくてこまかいものでは、おそらく無償で援助している、こういうこともわれわれは知っているわけでありますが、その点いかがですか。どんなものがありますか。
  144. 吉野文六

    吉野政府委員 これは各国とも、援助協定の内容いかんによりますが、ベトナムにつきましては、こわれた兵器は差しかえる、すなわち米側に一たん返却して、米側が新しいものと代替する、こういうことになっております。
  145. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 そうすると、どんな兵器があるのですか。
  146. 吉野文六

    吉野政府委員 戦車とか装甲車、自動車、トラック、それから一般に使われておる大砲、そういうものがあるだろうと思います。
  147. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 要するに、小銃とかピストルとか、そういうものもすべて貸与なんですか。
  148. 吉野文六

    吉野政府委員 故障があった場合に差しかえる対象となっておるものは戦車、車両類で、その他のものについては、いまのところわれわれ詳細存じておりませんから、いずれ調査の上お答えいたしたいと思います。
  149. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 これは防衛庁でも、たとえば戦車等については貸与される、また、そのものを米軍に返還してもらって相模補給廠で修理する、これは問題がないと、苦しい答弁をしておりますけれども……。  そこで、戦車でも現在相模補給廠において修理しているのは二種類あるのです。米軍の明確なマークのあるのと、ないのとあるのです。つい最近ノーマークのやつを修理してベトナムに送っているのです。こういう実態を御存じですか。
  150. 吉野文六

    吉野政府委員 この点は、実態を当たってみなければわれわれも確たることはお答えできませんですが、いずれにせよマークは、必ずしも管理権あるいは所有権をさすものではないと思います。いずれにせよ貸与しておる車両類でございますから、それが損傷した場合には差しかえる、こういうことになっております。
  151. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 要するに非常に苦しい答弁はよくわかっているのですが、私はそういうことをなぜ明確にしていかなければいけないかというと、無差別、無制限にわが国の基地が補給基地として使われていくということに対して何らかの歯どめをしなければならぬと私は思っていますから、申し上げているのです。  申し上げますけれども、いま現在ベトナムで、米軍はどのような作戦行動の中で戦っているわけですか。
  152. 吉野文六

    吉野政府委員 米軍はたしかまだ五万九千ぐらいおりますが、これらは大部分はだんだん引き揚げる状況にあります。  なお、彼らは主として補給その他の任務に当たっておりまして、第一線はもっぱらベトナム兵がやっておる、こういうように承知しております。
  153. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 私たちも新聞報道でそう聞いているのです。ところで、つい昨日ですか、こわれたライフル銃六千丁が送られてきたのです。その修理が日本に入ってきたわけです。いまお答えがありましたけれども米軍はほとんど補給路あるいは後方基地、飛行場周辺だとすると、どう考えてもこれは米軍が使って故障したとは思われない。最近のマスコミによる報道から見ますと、政府軍が壊滅的な打撃を受けた。しかも、ユエというようなところからはすべて武器を捨てて逃げてきている、こういうのもわれわれはテレビで見ているわけです。そうしますと、先ほどあなたは、戦車、装甲車あるいはトラックと言った。いままでの軍事援助協定から言いましても、小銃とかそういう小さなものは、全部無償援助している武器ですよ。これはどう思いますか。
  154. 吉野文六

    吉野政府委員 この点につきましては、なお実態を調査いたしたいと思います。したがって、このライフルがどこから送られてきて、またかりにこれを日本基地内で修理する場合にも、そのあとどこへ送られるのか、よく実態を調査した上でお答えいたしたいと思います。
  155. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 だから条約局長、伺いたいのですよ。私は安保条約をずいぶん読み返してみたけれども、非常にあいまいです。しかし個々の基地については、また日米合同委員会を通じてこまかい取りきめがあるらしい。しかし、日米合同委員会で取りきめたことは、はっきり申し上げましてわれわれは見られない。米側が了承しない限りはわれわれには見せられないというのですから。だから、そのことについてどんなことをきめているのか、詳しくはわかりませんよ。ただしかし、いま言ったように、交戦国の、しかも軍事援助協定で無償で援助したそういうものを日本に持ってきて、そしてそれを修理して向こうにまた持っていく。戦車の場合ですと、日本で再生してマークをつけて——向こうへ持って行ってから、それを消したりつけたりするのは自由ですよ。こまかいものについては、アメリカは安保条約に基づく協定によって、日本にはたくさんの小銃や機関銃をみな無償で援助した。韓国にもやっている。台湾にもやっている。フィリピンにもやっている。それはアメリカの軍事援助なんというのは、もうすべてパターンは一緒ですよ。そうした場合、ベトナム戦争政府軍が使ったと思われるその兵器を日本で修理する、こういうことになりますと、当然安保条約違反である。地位協定の中にはそんなことは出てこない。しかも、たとえ使うことを日米合同委員会できめるとしても、何ら向こうからそういったことの話し合いが、あるいはまた、そういうことの問題がこちらに提起されていないじゃないですか。これは条約上からいって私は明確に違反の行為だと思いますが、いかがですか。
  156. 高島益郎

    ○高島政府委員 日本にあります施設、区域の一番主要な目的は、何といいましても補給活動でございます。補給活動の中で、特にそのような軍事目的に使われます武器、あるいは戦車等も含めての車両類、そういったものの修理等がいろいろ行なわれることは当然のことでございまして、特にそれが第三国のものであるということがはっきりしておれば、それはもう先生おっしゃるとおりわれわれも問題かと思いますけれども米軍のものである限り、それが日本の施設、区域を使われまして修理をされるということ自体について、これが安保条約違反であるというふうには、われわれとても考えるわけにはいかないと思います。
  157. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 あなたは条約的に言ってもらえばいいんですよ。何も政治的発言は必要ない。私はそういうことを言っているのじゃない。私だっていろいろな情報提供者もおります。いろいろなところにありますけれども、私はその疑いを言っているわけです。第三国に無償で援助したその武器を日本で修理することは、これは違反だろうと言っているのです。どうですか。
  158. 高島益郎

    ○高島政府委員 問題はその武器が米軍のものであるかどうかということであろうかと思いますが……。
  159. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 だから私は、その事実関係を言っているのじゃなくて、条約的に見て違反だろうと言っているのです。いかがですか。いいんですか。これを認めればたいへんなことになりますよ。
  160. 高島益郎

    ○高島政府委員 米軍のものでない、つまり第三国のものを日本の施設、区域を使って修理するというようなことは、安保条約そのものに規定しておらないわけであります。
  161. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 わかりました。それからもう一つ伺いますけれども、いま横田にものすごく傷病兵が来ていますけれども、こういう通告はありますか。
  162. 吉野文六

    吉野政府委員 通告はございません。
  163. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 それは何の根拠ですか。
  164. 吉野文六

    吉野政府委員 地位協定第九条の二項によりますと、合衆国軍隊……
  165. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 読まなくたっていいんですよ。第九条でしょう。そうするとこれは米軍人だけですね。
  166. 吉野文六

    吉野政府委員 米軍人だけでございます。
  167. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 横田基地にも、実は韓国軍人、将校あるいは第三国人の傷病兵も来ている疑いがあります。これは条約的に見て、条約局長どうですか、認められますか。
  168. 高島益郎

    ○高島政府委員 先ほど来何回も申し上げておりますとおり、日本の施設、区域というのはあくまでも米軍が使用するためのものでございます。
  169. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 したがって第三国人は認めないということですね。ことばが足りないですよ。はっきりそう言ってください。  それからまだあるのです。日本基地を、飛行場や港湾を自由に使える、その法的根拠は何条ですか。
  170. 高島益郎

    ○高島政府委員 先生のおっしゃっていますのは、施設、区域外の日本の港湾のことでございますか。
  171. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 施設、区域でもいい。
  172. 高島益郎

    ○高島政府委員 いや施設、区域と施設、区域以外の港湾につきましては、別の規定でございます。施設、区域以外の日本の港は、第五条によりまして、米軍が第五条の要件に従えば使用し得るわけです。
  173. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 要するに、第五条に従えば、施設、区域外でも自由に、日本の港や飛行場や、そういうところに入ってくることができます。これは地位協定第五条です。これは私が申し上げたように、外務大臣よく聞いていらっしゃると思いますけれども、これが一つは向こうの優先権なんですよ、地位協定というのは。もう全くアメリカは自由自在に日本の港に対していつでもどこからでも入ってくることができる。しかも入港料だとか着陸料なんかは払わなくていいわけです。しかも、先ほども言いましたように、日本政府に通告しなくても入ってこれる。これは先ほど言ったように、飛行機や艦艇は第五条です。それからベトナムにいろいろな物資を輸送するとかそういったことは、協定の中で言いますと第二条で許している。これが根拠法でしょう。  それで申し上げたい点は、横田基地にタイの飛行機が来たり、厚木基地に韓国やタイの飛行機が来ていますね。これは、先ほど条約局長が言ったように、貸すこともあり得る。だけれども、その場合は、日米合同委員会等によって話し合った上、日本政府の認可が必要じゃありませんか。やりましたか、それを。
  174. 吉野文六

    吉野政府委員 タイが横田にたとえば飛行機を持ってくるのは、国連軍協定によりまして入ってくる場合があります。それからその次は、先ほど厚木の例がございましたが、厚木にたとえばタイの飛行機が修理のために入ってくる。これはあそこにある日本側の修理場に入るために、正規の入国手続をとった上で入ってくる。これは合同委員会でそのように使ってよろしいという決議がございます。したがってそれに従って入ってくる、こういうことでございます。
  175. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 そうすると、国連軍に関する協定で入ってくることができる、こういうことですね。それでなおかつ、修理や何かに入ってくる場合でも——これは日本政府が承認した場合ですよ。いままで新聞報道でもあった。同僚委員質問した。だけれども、考えてみますと、こういった国が入ってきた場合に、よくわかりませんけれども外務省は問題ないということを言っているじゃありませんか。何ゆえに問題ないのか。たとえば国連軍の地位に関する協定ですが、その何条によって認めたわけですか。
  176. 吉野文六

    吉野政府委員 国連軍の協定の第五条二項によりまして、「合同会議を通じ日本政府の同意を得て、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約に基いてアメリカ合衆国の使用に供せられている施設及び区域を使用することができる」こういうことになっております。
  177. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 その歯どめはあるのですか。
  178. 吉野文六

    吉野政府委員 これは日本側が同意するわけでございますから、したがって日本側は同意しない場合もある。
  179. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 だから私が聞いているのは、いままでタイの空軍機が横田に入ってきておりますけれども、それはあなた方外務省日本政府の窓口ですよ。そのことについて、飛んでいきますよ、あるいはまた、現在緊急に間に合わなかったけれども、修理のために行きますよ、そういうことについて連絡があったかということを私は聞いているのです。
  180. 吉野文六

    吉野政府委員 これは国連軍の場合は、一般的な第五条第二項の合意によりまして、八カ所なら八カ所の施設が使えることになっている。したがって、国連軍に提供された基地としまして、そこに彼らは何ら通告なく国連軍として入ってくることができるわけであります。  それから、先ほど、厚木の飛行場のそばに飛行機の修理のために入ってくる場合は、これはそのつど申請がありまして、そしてそれをわがほうが承認する、そういうことになっております。
  181. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 これは国連軍に限ってでしょう。タイの空軍とか韓国機は国連軍ですか。
  182. 吉野文六

    吉野政府委員 タイの飛行機は国連軍でございます。韓国の場合にはそのつど承認を得て入ってきております。
  183. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 だからその承認があったか。いつ幾日どこで話し合ったのですか。
  184. 吉野文六

    吉野政府委員 飛行機でございますか。それとも傷病兵でございますか。
  185. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 どっちもです。
  186. 吉野文六

    吉野政府委員 飛行機につきましては、そのつど、わが国の領空に入る前に、わがほうに対して外交ルートを通じまして申請がございまして、それに対してわがほうがそれを承認しているわけでございます。  傷病兵の場合は、これはわれわれは実態をまず調査する必要があると思います。はたしてベトナムから韓国の傷病兵が横田に入っているかどうか、それをまず確認する必要がございますが、それとは別問題としまして、人道的見地から、たとえば緊急に措置を要するような場合には、それはまた別として入国を許可し、これを治療しなければならない、こういうふうに考えております。
  187. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 非常に残念なんですが、もう本会議ですから。私、外務大臣に伺いたいのですが……。  結局は、いま言ったように、日本基地は自由自在に使われるのですよ。しかも、日本と協議するとは言っても、事実上歯どめなんかないのです。この間も言いましたけれども、地位協定というのは差別がある。日米新時代というなら差別を解消しなければならぬ。だったらもう一回考え直さなければならないのじゃないか。私はいつか外務大臣にも提案したことがあります。  そこで、時間がありませんから結論だけ申し上げますけれども、まず一つは、現在ベトナム戦争に協力している基地の中で、非常に地位協定に違反するようなことがたくさん疑惑としてあるわけであります。ですから日本政府は、この際き然として立ち入り調査すべきだ。かつて相模補給廠は、私が質問したことによって塩素ガス基地があったわけですが、この内閣委員会で超党派で調査に行った。そのときには、きれいにもう塩素ガスの基地をなくしてしまいました。国民の疑惑を一掃しますといってなくしました。私はベトナム戦争について、このことはたとえ安保条約において問題ないとしても、国民が心配する点はたくさんあるわけでありますから、いまの時点では何にも考えていないというようなことは非常に無神経過ぎると思うのですね。ですから、立ち入り調査をするとか何らかの方法で、一つは歯どめをしていただきたい。少なくともベトナム戦争については、沖繩基地も含めて今後もずっと使用することは間違いない事実でありますから、それを日本基地に何の通告もなしにいろいろなことをやっている。そういう点で、私はもう一回、このベトナム戦争について補給活動をしている基地を含めて、基地のいろいろな問題等含めて、これは米軍と再協議する必要があるのじゃないか、こう思うのです。大臣、いかがですか。
  188. 福田赳夫

    福田国務大臣 日米安全保障条約に基づく米軍に貸与した基地に対しまして、権利として調査をする、これはむずかしいと思います。しかし日米安全保障条約は、これが適正に運用されなければならぬ、これは両国のためにそうだと思います。そういう立場から考えますときに、これが適正に運用されておるかいないかということについて、国民から疑惑を持たれる、疑義が残るというようなことが一点でもあっては相ならぬ、こういうふうに思います。そういうことでありますから、権利として立ち入り調査をするということはこれはいたしませんが、何か疑いがあるというような事態がありますれば、疑いを解明するというための——これはそのケース・バイ・ケースによっていろいろ違いますけれども、その疑いを解明するための妥当な措置をとるということはいたしたい、かように考えます。もし疑義があるというようなことにつきまして、またいろいろ御検討のようでありますから、御協力くださいますれば幸甚である、かように考えます。
  189. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 要するに疑いは明確に幾つか申し上げたわけですよ。私は確かな情報に基づいて私なりに質問しているわけですよ。ですから、そういう疑惑に対して、やはり政府としては前向きであるべきだ。その点で私は、何らかの方法とおっしゃいますけれども、この地位協定の中にも明確に、米軍がその使用目的外に使った場合には、日本政府はそのことについて米側へ資料を要求する。さらには、その問題について日本側に権利があると、こう書いてあるのです、地位協定の中に。だから、それを行使して、国民の疑惑やいろいろな問題については、これ以上ベトナム戦争に変な形で日本もともに介入するような形での基地の提供があってはならないわけです。その点についてもう一回外務大臣意見を伺って、質問を終わりたいと思います。
  190. 福田赳夫

    福田国務大臣 ただいま申し上げたとおりでありますが、ただいまここで御指摘の諸点につきましては、もう材料提供があったわけでありますから、よく調査をいたしまして適正を期していきたい、かように考えます。
  191. 伊藤惣助丸

    伊藤(惣)委員 では終わります。
  192. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 次回は、明十日午前十時より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時散会