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1972-04-25 第68回国会 衆議院 内閣委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年四月二十五日(火曜日)     午前十一時十九分開議  出席委員    委員長 伊能繁次郎君    理事 加藤 陽三君 理事 佐藤 文生君    理事 坂村 吉正君 理事 塩谷 一夫君    理事 山口 敏夫君 理事 大出  俊君    理事 伊藤惣助丸君 理事 和田 耕作君       阿部 文男君    辻  寛一君       中山 利生君    湊  徹郎君       木原  実君    受田 新吉君       東中 光雄君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (内閣官房長         官)      竹下  登君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      山中 貞則君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 江崎 真澄君  出席政府委員         国防会議事務局         長       海原  治君         総理府総務副長         官       砂田 重民君         防衛政務次官  野呂 恭一君         防衛庁参事官  高瀬 忠雄君         防衛庁参事官  鶴崎  敏君         防衛庁参事官  岡太  直君         防衛庁長官官房         長       宍戸 基男君         防衛庁防衛局長 久保 卓也君         防衛庁人事教育         局長      江藤 淳雄君         防衛庁衛生局長 鈴木 一男君         防衛庁経理局長 田代 一正君         防衛庁装備局長 黒部  穣君         防衛施設庁労務         部長      安斉 正邦君  委員外出席者         内閣委員会調査         室長      本田 敬信君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法  律案内閣提出、第六十七回国会閣法第一八  号)  行政機構並びにその運営及び法制一般に関する  件      ――――◇―――――
  2. 坂村吉正

    坂村委員長代理 これより会議を開きます。  委員長、所用のため出席がおくれますので、指名により私が委員長の職務を行ないます。  内閣提出、第六十七回国会閣法第一八号、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案を議題といたします。
  3. 坂村吉正

  4. 江崎真澄

    江崎国務大臣 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案提案理由内容概要について、御説明いたします。  まず、防衛庁設置法の一部改正について、御説明いたします。  第一は、自衛官定数を、海上自衛隊六百六十三人、航空自衛隊六百四十三人、統合幕僚会議五人、計千二百十一人増員するための改正であります。海上自衛官増員は、艦船の増加、対潜航空機の増強及び後方支援部隊充実等のため必要となる人員であり、航空自衛官増員は主としてナイキ部隊編成のため必要となる人員であり、統合幕僚会議増員情報機能強化のため必要となる人員であります。  第二は、防衛庁付属機関として自衛隊離職者就職審査会を設けることであり、これは学識経験者を含めた五人の委員をもって構成するものであります。  次に、自衛隊法の一部改正について、御説明いたします。  第一は、自衛隊予備勢力の確保のため、陸上自衛隊予備自衛官三千人、海上自衛隊予備自衛官三百人、計三千三百人を増員して、予備自衛官の員数を三万九千六百人とするための改正であります。  第二は、現在、離職した隊員営利企業役員等就職しようとする場合には防衛庁長官承認を要することになっておりますが、この承認を、前述の自衛隊離職者就職審査会の議決に基づいてすることとしようとするものであります。これは、隊員営利企業への就職の際の承認について、一般職の例に準じ、部外者を含む特別の機関審査にかからせることによって、その公正さを担保しようとするものであります。  以上、法律案提案理由及び内容概要を御説明申し上げましたが、何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛成くださいまするようお願い  いたします。
  5. 坂村吉正

    坂村委員長代理 これにて趣旨説明は終わりました。     ―――――――――――――
  6. 坂村吉正

    坂村委員長代理 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますのでこれを許します。木原実君。
  7. 木原実

    木原委員 ただいま提案のありました法案に関連をしながら、主として、文民統制の問題と自衛隊沖繩配備関連をする問題等について、御質問申し上げたいと思いますが、その前に、官房長官、あまりお時間もないようでございますので、官房長官にお話を伺いたいと思うのです。  本題に入ります前に、ただいまも理事会の中で問題になりました、昨日、総務長官から参議院予算分科会憲法に触れた発言がございました。速記録等を私どもいま拝見をしたわけですけれども、どうも事はなかなか私どもとしては納得のいかない発言だと思います。いろいろの言い回しがあるわけですけれども憲法記念日という、しかも二十五年目の憲法記念日を迎えるというような状況の中で、しかも自衛隊の問題に関連をして、あるいは文民統制等の問題と関連をして、憲法上の問題が根底にあると私ども判断をするような時期に、ともかく憲法について、押しつけである、こういろ一つ評価を下しているということは、私どもとしてははなはだ遺憾だと思うのです。少なくとも閣僚という立場、これは憲法上でも明文がありまして、この憲法を擁護をするという大前提があるわけです。したがいまして、総務長官発言の中には、いろいろの言い回しはあるにしましても、閣僚というのは評論家じゃないわけですから、閣僚の座をおりて一議員とか一市民という立場での評価は自由ですけれども、少なくともその衝にある者がこの時期にそういう発言をするというのは、私どもとして、はなはだ遺憾、というよりも許しがたいものがある、こういうふうに受けとめたわけなんですが、官房長官、いかがでしょうか。
  8. 竹下登

    竹下国務大臣 私も昨日の記者会見の際、参議院予算分科会において山中国務大臣から憲法に対する発言があったということについて見解を求められましたので、速記録を取り寄せまして検討いたしてみましたが、率直に申しまして、政府として私がお答えすべきものでないという答弁に対して、されば個人的見解という、個人的見解を求められたことに対しての答弁であったというふうに理解をいたしております。しかし、その際、事憲法に関する問題でありますだけに、個人的発言も今日閣僚でありますから控えさせていただきたい、そういう発言は私はあり得たであろう、このように思います。  私どもも、昭和四十年でありましたか、たしか本委員会であったと記憶いたしておりますが、佐藤内閣ができた当初であります。自民党の綱領の中には憲法改正ということがうたわれておるが、これに対する政府考え方見解をつくってこい、こういうことがございまして、私どもお答えいたしましたのは、憲法制定経緯にかんがみ、確かに、よしんば同じ内容のものであっても、もう一度書き直してみたいという国民的背景はあると思います。しかし、平和主義民主主義等、まさに国民の血となり肉となり、かつ定着してきておる今日、改正などということは考えません。たしかこういう趣旨統一的見解を申し述べたことがあると記憶いたしております。  そこで、山中大臣発言も、よく読んでみますと、やはりその当時申しました統一的見解の線は逸脱していない。ただ、おっしゃいますとおり、よしんば国会で、されば個人的見解はいかんと問われた際も、国務大臣でありますだけに、個人的見解はこの場で申し上げることは差し控えさせていただきたい、このような答弁をすべきではなかったかなという程度の認識をいま私はしておる。さらに総務長官ともお会いをして、この点について話し合いをしてみたい、このように思っております。
  9. 木原実

    木原委員 これはやはり官房長官のおっしゃるように、個人的見解というのが大体おかしいわけです。自由民主党がどういう綱領を掲げようとこれは自由なんですけれども、しかし政府閣僚という立場というのは、これは別だと思うのです。その踏み違いがあったということは、しかも押しつけだという評価の中には、それにつながる一連の政治的ないろいろな評価というものが含まれているわけです。しかもことしは二十五年。憲法についても、定着する、しないといろ意味の問題の背景の中に、あるいはまた制定いきさつについていろいろな問題があったにしましても、やはり政府としては、これは推進をする、政府がよってもって立っている土台というものはやはり憲法だ、これくらいのことは常識なわけですから、むしろわれわれとしては、二十五年を迎えて積極的に憲法にアプローチしていくという姿勢がほしいというような気持ちがある矢先だけに、今度の発言というのは、どうもたいへん遺憾であるというか、何か衣の下からよろいが出たような感じもするわけです。  したがいまして、この措置につきましては、この委員会に後刻総務長官にじきじき出席してもらいまして真意をただすということになっておりますから、これ以上あなたを追及するわけではございませんけれども、ぜひその点については、総務長官について政府としてきちんとした姿勢をとるようにやってもらいたいと思うわけでありますが、そういう用意はございましょうか。
  10. 竹下登

    竹下国務大臣 御趣旨はよく私に理解ができますので、政府として中山国務大臣に対してとるべき措置というような、窮届なことにしぼってお答えをする用意はいたしておりませんが、御趣旨の点は十分理解できることでありますので、御趣旨に沿うような措置ができる、このように思います。
  11. 木原実

    木原委員 もう一つこれに関連してあわせて伺っておきますけれども、二十五年を迎えた憲法について、政府としては、別にこれを記念するとかなんとかという行事は、もちろんやる準備はないのでしょうけれども、たとえば政府の声明を出すとか、何らかの形で、憲法の二十五年について、これを前に進めるような評価をする、そういう考え方はございませんか。
  12. 竹下登

    竹下国務大臣 いまのところございません。
  13. 木原実

    木原委員 それでは問題はまた後刻に持ち越しまして、きょうの主題に移りたいと思うのです。  例の懸案の文民統制に関する問題なんですが、御承知のように、四次防の問題と予算関連の中で国会で紛糾をした際に議長判断が出ました。その中に、文民統制の問題については、今度の経験にかんがみて政府は適切な措置をとるように望むという趣旨項目があったわけなんですが、それを受けて政府のほうでは何かこの問題について御検討なさいましたですが。どうでしょう。
  14. 竹下登

    竹下国務大臣 四十七年度防衛関係予算に関する議長あっせんの中の、三項、すなわち「政府は今後、防衛予算編成に当り、防衛力整備の中要項目については「重要事項」として国防会議にはかることとする。四項、「政府は今回の経緯にかんがみ、文民統制の実をあげるため、適切な措置を講ずる。」この三、四項につきましての主として御質問である、このように理解をいたしております。  そこで、私どもといたしましても、まず文民統制というものにつきましては、いろんな角度から議論をいたしております。事務当局は、国防会議事務局、こういうところで検討を重ねておるわけでありますが、文民統制の徹底を期するということは、いろいろな角度議論をいたしておりますと、やはりその衝にある者の心がまえというものが一番大事な問題になってくる、このようにまず基本的な理解をいたしております。そこで、これにつきまして去る十七日の国防会議の席上においても総理からも重ねて指示されたところでありますので、国防会議機能強化を中心に検討を進めておる段階であります。  ただこれは、私と本委員会理事各位と一度懇談をしなければならないという考え方に私がなっておりますのは、この議長あっせん案を提示され、これはもとより国権の最高機関たる国会議長さんのあっせんでございますので、これをお受けいたしました際、国会対策委員長等の御意見がつけ加えられて私に伝えられました。この「文民統制の実をあげるため、適切な措置」に関しては、もとより政府がやるべきことであるが、内閣委員会理事懇談会等において、その意のあるところをいろんな角度から聞いてみる姿勢が必要である、こういうふうな御指摘を受けまして、それ以来その機会を得ないままに今日に至っておるわけであります。したがいまして、その前に国防会議にはどういうものをかげるべきであるというようなことにつきましては、一応事務当局で整理したものを用意はいたしておりますものの、やはり理事懇各党のそれぞれの御意見等をお聞かせいただいた後成案を得るべきではないか、こういう考え方に私はなっておるわけであります。ただ、去る二十三日付の社会党の文民統制についてのお考え方等も私も読ませていただいております。それはそれなりにまた懇談会等各党の御意見を拝聴するなら、私どものほうも成案を得るに非常に参考になる、このような姿勢でこれには対処したいということであります。
  15. 木原実

    木原委員 問題が出ましてから、長官がいま御指摘のように、各党でも、この問題についてのそれぞれの公式、非公式の見解が出ておるわけなんです。これは、それぞれ問題点等においてはいろいろな違いもありますけれども、共通していることは、認識としては、文民統制というものが現状のままではもう一つの限界に来ているのじゃないか、どうにもならぬのじゃなかろうか、こういう一つ認識各党の中にあると思うのです。これは背景もいろいろあるわけですが、それだけに私どもとしては、われわれと政府のほうとで懇談をするというのはいいことでしょう。ただ、ここでお聞きをしておきたいんですけれども一つはこの扱い方の問題です。たとえばこの国会中の間に何らかの成案を得るというような努力をなさるのか。それとももう少し長期にわたって時間をかけて検討をなさるというのか。その辺の見通しはどうですか。
  16. 竹下登

    竹下国務大臣 ただいまの点、私も、当初この議長あっせん案をちょうだいいたしました際、やはりこの国会中にという考え方でおったことは事実であります。しかし、その後、各党の公式、非公式それぞれの御見解を私なりに拝読させていただいて、そうして私ども、実際問題、これはもう木原委員百も承知でございますが、私自身がこらしてお答えしておっても、実は国防会議議員でもないわけでございます。といって、国防会議にはおれは入るべきものだという主張を私がするのもおかしゅうございますけれども、実際そういう点にも矛盾を感じながら、ただ、政府のいわゆる国会に対する接触点内閣官房でございますから、私どもの手元のほうでそれを調整していきますが、率直に言って、これは国防会議そのものができる当時も、各党さまざまな意見に基づいてできただけに、詰めてみればみるほどなま煮えの点が確かにございますので、これらを洗い直すためには、これは江崎防衛庁長官も同席しておりますが、この間も議論しておりますのは、やはり法律に基づく審議会とまではいかなくても、内閣私的諮問機関をつくって、それらの意見をも吸い上げてやらないと、実際、長い間なま煮えの、各党それぞれの別々な角度からながめておった国防会議というものが、ずっとそれなりに継続しておった、そのつどつど国防会議事務局長が整理されたもので一つ一つ項目がまた定義づけられていった、こういう経過から見ますと、私自身、基本的には、現行法制下のもとに心がまえさえしっかりしておればいいという考えを持ちながらも、これは今国会中に必ずやりますというふうなことよりも、これを機会文民統制そのものを完全に確立していくというためには、時間をむしろかけるべきではないかというような考え方に最近なっておる、こういうことを申し上げます。
  17. 木原実

    木原委員 あとでもう少しお伺いしたいと思うのですが、おそらくたいへんむずかしい問題だろうと思うのです。だから、時間をかけるというのは、ある意味ではたいした成案が得られないだろうという見通しにもつながるんですね。しょせん、申しわけないことですけれども、今国会中は無理だ、佐藤さんのもとではなかなか無理だという、そういうタイムリミットもあるような感じ本もするわけです。それはともかくとしまして、ただ、そうなりますと、時期の問題からいきますと、これは私は若干ひっかかるわけです。これはおそらく議運の問題かと思うのですけれども、これには四次防の凍結の分がからんでいるわけです。これはいずれ、凍結を解くとか解かぬとかいう議論が別の時期に出てくる問題なんです。これはどうもいきさつから見ますと、文民統制についてやはりある程度のきちんとしたものを政府はやれ、こういうことが前提になって、それとのからまりで四次防の一部分凍結になっておる。こういう予算凍結になっておるという関係があるわけです。時期が先に延びていくことは、私も何もあせらなくてもいいと思うのですが、ただ、政治的のそれとのからみ合いについては、官房長官国会運営にたいへんお詳しいのですけれども、その辺の見通しというか、御見解はどうですか。
  18. 竹下登

    竹下国務大臣 確かに、「これら航空機の購入にかかる国庫債務負担行為については、「第四次防衛力整備五カ年計画」の主要項目内容決定し、衆議院議長確認を得るまでの間、財政法第三十四条の二の規定に基づく大蔵大臣承認を行わないものとする。」こういうことであります。これにつきましては、「なお、本件については、閣議において決定のうえ、内閣の責任において措置するものとする。」ということで、水田大蔵大臣が特に閣議発言を求めてこれを了承しておる、こういう筋合いになるわけでございます。  そこで私は、確かに院のほうでこういうあっせん案をおつくりいただいたということは、いわゆる文民統制の実が名実ともにあがることを非常に期待をしながら、このような御裁定をいただいたと思っております。  そこで、実際問題、法制上の問題等につきましては時間がかかると私は先ほど申しましたが、それだけにこの四次防衛力整備五カ年計画主要項目内容決定については、少なくとも、これをどこから御検討いただいても、なるほど文民統制の実をあげつつ検討したということの評価がいただけるような形の努力はしなければならぬということで、私どもかねてこれをお話ししておるわけであります。  そこで、議長さんが御確認になるという問題については、これは三権分立の問題から言いますといろいろな議論のあるところでございますが、私どもがこれを広義に解釈して理解をいたしておりますのは、議長さんが御確認いただくというのは、なるほど文民統制の実をこれによって手続上まさにあげたという御判断をいただく、このような理解のしかたで、それにこたえるような、われわれとしても国防会議あるいは懇談会幹事会参事官会議等々の積み上げをやっていかなければならぬ、このように理解をいたしております。
  19. 木原実

    木原委員 これは何かこだわるようですけれども議長裁定の中の他の部分は、ある意味ではすでに解決をしておる面があると思います。残るのはやはりこの部分だと思うのです。しかも非常にむずかしい。そうしますと、おそらく政府のほらとしては、凍結を解いてほしいという、そういう折衝が始まる段階があると思います。ただその際に、一番大事な問題で残された問題が、私自身は、たいへんむずかしいから時間をかけてもいいと思いますけれども、しかし、それではこの裁定が出たいきさつから見まして、はっきりしない、信用のできないものにこれだけの予算をつけてやることはできないという議論は、当然成り立つわけなんです。その際に、かりに、文民統制について適切な措置というものが、具体的な、たとえば法改正の問題とかなんとかという形をとらないまでも、政府としてやるべき方向なり何なりについては、たとえば中間的な報告を院に対して行なう、こういうような措置でも考えて当たるという、そういう中間的な措置でもおとりになるというような含みはございますか。
  20. 竹下登

    竹下国務大臣 いま、中間的措置をとるということについてのはっきりした私の考え方はまとまっておりませんが、たとえば文民統制の問題について当委員会理事懇等意見を積極的に聞く姿勢とか、あるいはこの確認という問題について、議院運営委員会理事会で、これは私ども理解は、なるほど文民統制手続上間違いもないし、そして議長あっせんが出されたその背景をも踏まえた措置を行なったなという認識なり理解をいただくという積極的なアプローチによって、この中間的措置という表現に当たるかどうかわかりませんが、誠意を示さなければならない、このように考えております。
  21. 木原実

    木原委員 これは議論はよしましょう。問題は、いままでいろいろ事務局等検討なさったというお答えなんですが、少なくとも、これからの文民統制、適切な措置を講ずるために問題点くらいは出ましたか。どうです。
  22. 竹下登

    竹下国務大臣 問題点としていま整理しておりますことについて、若干申し上げてみたいと思います。  いわゆる議長あっせんの第三項に言いますところの主要項目とは何だ、こういうことにつきましては一応整理をいたしてみたわけでございますが、この「防衛力整備主要項目については「重要事項」として国防会議にはかることとする。」という三項を受けまして、まず「一 自衛隊法改正を要する部隊組織編成変更、二 自衛官定数変更、三 別紙に列記する重要装備等について、新規種類(機種、艦種等)を採用する場合におけるその種類および数量、ただし、長期防衛力整備計画においてすでに装備種類および数量決定されている場合を除く。」このようなものは主要項目に当たるものである。それで別紙で、「重要装備」とは、陸上自衛隊で申しますならば戦車、主要ミサイル兵器作戦用航空機海上自衛隊で申しますならば護衛艦潜水艦作戦用航空機航空自衛隊では作戦用航空機主要ミサイル兵器。「右以外の装備で、その整備計画が数か年の長期にわたりかつ多額経費を要するもの。」一応こういうことを別記してみたわけであります。  されば、その数カ年あるいは多額経費多額とはどれくらいかというような議論になりますと、その辺まで詰めていくべきものか。まさに国防会議議長重要事項と認めてそれをかけるならば、とりあえずこのような書き方で少し事務当局でさらに詰めてもらったらどうであろうか、こういうことも考えております。  それから、国防会議そのものにつきまして先ほどへんてこな答弁を申し上げましたが、実際、いわゆる国防会議運営にかかわる事項以外の事項を私が所掌しておるというのは何であろうか。お茶でも買ってくることか、あるいは用紙を買うとかいうふうなことか、というようなことを冗談話でしてきたわけでありますが、やはり当時考えてみますと、内閣官房長官国務大臣をもって充てることができるという当時でございましたので、そういう法制上の問題もあったと思いますが、自分のことを自分で言うわけにもまいりませんけれども、私が未来永劫に内閣官房長官であるわけでもございません。制度上の問題としてそれらのことを考えなければならないし、さようしからば、それならそれだけで済むものか、あるいはそれこそ国家公安委員長をどうすべきであるとかいうような議論が出るし、また従来、これは江崎防衛庁長官が、国防会議制定当時、いわゆる自由党側を代表しての理事をつとめておられた。その経過を聞きつつ、もう一ぺん原点に返った議論をしていかなければならぬという感じがいたしますが、いまのところ検討いたしました項目は、先ほど申し上げましたような、具体的な点はそのようなものを検討しておる、そういうことでございます。
  23. 木原実

    木原委員 御答弁によりますと、主として、装備の問題、それから国防会議の構成メンバーの問題だと思うのです。いずれも事務的には大事な問題だと思います。しかし私は、ただそれだけでいいだろうかという疑問があります。文民統制ということの一番むずかしい問題は、憲法上の裏づけといいますか、保障というものは、シビリアンコントロールというものについてほとんど何もない。御承知のように憲法自体は、軍といいますか、そういう武力の集団を想定しておりませんから、それに対応する文民統制というようなものの規定が一つもない。したがって行政的な措置で行なわれている。そういう中に国防会議というものが一つ文民統制機関として存在をしている。だから、いわば運用いかんによっては、確かに、単なる小さな閣議といいますか、あるいは首相の諮問機関といいますか、その程度の機能に堕している側面があると思うのですね。だから私自身は、国防会議の強化ということは、そういう意味では、課題があってもなかなか答えの出にくい問題じゃないのか、こういう感じがするわけなんです。  ただ、今度の問題は、その程度の規制にもかかわらず、そこの関門も通過しなかったという問題がある。しかも実情から申しますと、そういう状態にもかかわらず、自衛隊は今日もうすでに二十六万に近い大きな武力を持つ集団として成長をしてきておる。そういう状況と、それから行政上の措置とのちぐはぐな関係ができてきておるところに問題があると思うのです。だからこれは、いま問題点を出していただきましたけれども、従来の経過の上に何かをプラスをしようという努力はわかるのですけれども、しかし総理自身は、先般のこの委員会で、いろいろ考えてみても、議長運営をするにあたって心がまえが一番大事な問題じゃないか、というようなことも言っておられました。これはある意味では本音だと思うのです。しかし、その総理自身が主宰をする国防会議が、少なくともこの一年半ぐらいほとんど開かれていなかったという実情もあるわけですね。みずからせっかくつくった機関を、総理自身議長自身が軽視をしていたという問題もあると思うのです。  私は、国防会議について、中身を何がしか検討をするということになれば、いま御指摘をなさったほかに、たとえば、これは防衛庁長官のほらの所管に属するわけですけれども装備の前提になる戦略見積もりというような問題がある。そういうような問題が、これは制服といいますか、統幕の手でいろいろ行なわれているわけなんで、われわれもなかなかそれをのぞくことができない。そういう問題について、戦略見積もりというのは当然のことですけれども、いろんな政治的な判断や情勢の判断が入る分野だと思うのです。そういうような側面のものをかりに国防会議が行なっていく、こういうような部分が入ってこないと、いま並べられただけでは、ただ装備の面について判断を下すのですが、その前提というものがどうも欠けているのじゃないか、こういう感じがするのですが、もう少し問題のワクを広げるという考え方はないものでしょうか。
  24. 竹下登

    竹下国務大臣 これは私がいわゆる国会との接点にあるという意味において、非常に私なりに窮屈でない答弁をさしていただきたいと思っております。  実はいま木原委員指摘のように、国防会議議員懇談会の開催一覧表というものを昭和三十二年以来ずっと見てみますと、かなりいま御指摘のような問題について懇談会がひんぱんに行なわれておるデータがございます。そこで、やはり私どもも、先般の総理の指示も、いわゆる国防会議をもっと活用すべきであるという機能の強化を中心に検討を進めておるというにとどまらず、国防会議の構成メンバーの問題、国防会議にはかるべき事項の拡充、明確化及び国防会議のひんぱんな開催というようなことを御指示いただいていますが、それが国防会議議員懇談会という形でひんぱんに開かれておったということが、過去のデータを見ると非常によくわかるわけでございます。  ところが、これがたまたま当時、おなくなりになりました小泉純也先生が防衛庁長官であった当時でございますが、私が内閣官房長官でありました。副長官国防会議の幹事というそれなり立場が明示されておるわけであります。そこで幹事会を開いて、国防会議議員懇談会を開く計画をいろいろ立てましたら、その際、当時の認識は、国防会議というものをひんぱんに開くということは、それこそ軍国主義につながるものではないか、こういうような評価を受けたことをいま想起するわけでございます。そういう評価を受けて、私自身、当時国防会議の幹事であって、ついに回だけ開くにとどまって、あと非常にちゅうちょした。幹事としては、内閣官房長官がいわば一番まとめ役に回る立場にございますし、そういう懇談会を開催するようなことに積極的な姿勢でおったならば、木原委員指摘のような問題が絶えず懇談会議論されてきたのではないか。それがむしろ私自身、当時を想起して、非常にちゅうちょするような世論背景の中にあったということで、国防会議というものは、しょせん、閣議というものがその上にあるわけだから、そこでものをきめればいいのじゃないか、こういうふうな形に推移してきた。  このたび四次防問題について、国防会議というものをいろんな角度から、各党意見、それぞれ相違点も御議論をいただいて、そして国防会議というものが国民次元の中に、いわばシビリアンコントロールという立場理解されるようになった。それなり懇談会等をひんぱんに開き得る世論背景というものが整ってきたのではないかということを踏まえて、いま御議論になったような、いわゆる国際情勢あるいは戦略構想の動向とかいうような点にまで、この懇談会というものを活用していく方向でこれからは運営すべきものであるということを、しみじみと私自身が当時を想起しつつ感じておる。  非常にくだけた答弁をして、先生の御質問に答え得たかどうかわかりませんが、そういうことを想起しつつ今後の方向をお答えした、このようなつもりでございます。
  25. 木原実

    木原委員 もう時間がありませんので端的に伺いたいのですが、私自身は、国防会議の強化というものについて、それほどの期待を置いているものではございません。ただ、せっかくあるものはやはりきちんと使うべきだ、こう思うのです。今度の問題にしましても、これは一部に伝えられるところによりますと、事務局長いらっしゃいますけれども、何か防衛庁国防会議の中に意見の対立みたいなものがあって――官房長官、いまたいへん別のサイドから国防会議がおそくなったような御発言がございましたけれども、何かそんなようなものがあった、そういう話もあるわけなんです。そこで私は、いまの自衛隊の急速な増強ぶりを見てみますと、必ずそういうあれは出てくると思うのです。何か海原さんと防衛庁のほうのだれかがどうこうという、そういうことじゃないだろうと思うのですね。ところが、そういうことになった場合に、調整をする場所もない、そういうような形のまま推移してきていると思うのです。だから、やはり今度のような問題を起こしたその背景の中には、せっかくある国防会議なんというものがもうすでに軽視をされている、それではやはり筋が通らぬじゃないかというのが、私どもが質問申し上げている趣旨なんです。だから私は、やはりあるものは強化をしていくということになれば、国防会議の性格や任務についてもう一ぺんきちんとした位置づけを行なう、その中から何をやるかというふうに問題を立てていく、そういう時期に来ているのじゃないかと思うのですね。すでに自衛隊の歴史も二十年、国防会議ができましてからもすでに十年余りたっているわけでありますから、そういう時期に来ているのではないのか。いまある、いまのままの国防会議の上に、これこれの装備はこうするのだ、メンバーはこうするのだという程度では、これは手直しにもならないのではないか。  もう一つは、国防会議というものがシビリアンコントロールという役割りの側面から見て何ができるのか、何ができないのか、この位置づけをきちんとやらなければ、これは問題にならぬと思うのですがね。だから、そこまでやはり突っ込んで御検討を願いたいと思うのですが、どうでしょうか、私の言っていることは見当違いでしょうか。
  26. 竹下登

    竹下国務大臣 見当違いというような感じは全く持っておりません。実際問題として、私は先ほど、若干自分国防会議の幹事であった当時を想起しつつ世論動向の変化というようなことを申しましたが、私は、真に国防会議というものが、最初申しましたように、せっかくこれだけ国会で御議論をいただいたことによって、国民次元の中へ、これはシビリアンコントロールのための機構であるとして定着したと思われる今日、それこそ原点に立ち返った検討というものが必要である。確かに、この法律の文言を書きかえるだけでなく、総理も、国防会議議長たる者の心がまえの問題だと申しましたが、そうした基礎的なものを原点に立ち返って検討する絶好の機会としてこれをとらまえなければならぬというふうに私も思っております。
  27. 木原実

    木原委員 どうも官房長官の時間が来たようですから、もう一、二点、一つは要望と、一つは別の問題を申し上げまして、なお文民統制の問題につきましては、そのあとで少し防衛庁長官のほうに伺いたいと思います。  まず要望のほらは、国防会議は原点にとおっしゃいましたが、やはり根本に立ち返ってそこから検討をし直す、これはぜひお願いをしたい。   〔坂村委員長代理退席、委員長着席〕 その際に、国防会議の中に、もう一つ自衛隊全体に対する、あるいは国防に対する監査、監察、管理といいますか、そういう側面の機能を持たせる必要があるのではないか。これは私の自論でございますけれども、これはひとつ十分御検討をいただきたいということが一つでございますが、そういう幅は持てないものでしょうか。
  28. 竹下登

    竹下国務大臣 これは木原委員せっかくの御自論の御表明でございますが、国防会議ができた当時のいろいろな議論から見まして、いわゆる行政監察というある種の行政権限を持つということには、私はやはり疑問があるのではなかろうかというふうに理解をしております。しかし、木原委員指摘のそういう精神はどこで生かすかということについては、内局とか、あるいは閣議全体とか、まあ国会の問題は私はきょう触れる考えもございませんけれども、これは大いに留意をしなければならない問題だ、このように思います。
  29. 木原実

    木原委員 官房長官、最後に別の問題を、気になることで伺っておきたいと思うのですが、一部の報道によりますと、例の沖繩の核抜きの問題について、五月十五日の前後に、アメリカのロジャーズ長官のほうから書簡という形で、日本の政府に背馳しないような形で措置をとるんだ云々というような内容で、何かその、書簡の中身がすでにかなり詰められた段階に来ているというような報道があったわけなんですが、そういう事実があるのでございますか。
  30. 竹下登

    竹下国務大臣 これは一部に報道されまして、私もそれなりにいま調査をいたしておりますが、報道されたような、日本の外務当局とアメリカの国務省との間で話し合いが進んでおるという段階ではまだないようでございます。
  31. 木原実

    木原委員 そうしますと、この問題につきましては、いずれにいたしましても、そういうロジャーズ長官の書簡という形で来るのですが、少なくとも伝えられているような中身では政府としては満足できないという見解ですか。あの程度でもやむを得ないという考え方ですかどうですか。
  32. 竹下登

    竹下国務大臣 これはせっかくの御質問でございますが、伝えられる報道機関内容をもとにして私から論評すべきではないのではなかろうか。ただ俗にいう、日本政府考え方に背馳しないという表現そのものが、今日までいろいろ議論されておる間では、いわゆる核保有国というものが他国に対して行なう一つの表現の限界ではないか、こういうような議論がたびたび沖繩特別委員会等でなされたことは私も承知いたしておりますが、まさしく私にとっては関知しない段階のことでございますので、私からとかくの論評は差し控えさせていただきたいと存じます。
  33. 木原実

    木原委員 それではもう一言、あとの質問に関連するので御見解を承っておきたいのですが、沖繩には、いずれにしましても日本の非核三原則が適用をされる。非核三原則というのは御承知のとおりの三原則なんですが、たとえば核が通過をする、通り抜けていくというような問題については別に何か見解があるんですか――官房長官にはちょっと無理かな。
  34. 竹下登

    竹下国務大臣 いろいろ聞いてみますとどうも外務省マターで、竹下登がここで軽々に誤りの答弁をいたすわけにもまいりませんので、みずからの不勉強を恥じつつ、そのお答えは私以外の人に譲らせていただきます。
  35. 木原実

    木原委員 ありがとうございました。それでは、官房長官もだいぶ時間があれしましたので、どうぞ。  防衛庁長官、たいへんお待たせしましたけれども文民統制の問題について、今度は長官のほらの所管にかかるような問題でもう少しお伺いしたいと思うのです。  文民統制の問題は、いまたまたま国防会議の強化というようなことが、国会との関連の中でお聞きのような問題になっているわけなんですが、しかし私は、現在の問題というのは、長官が所管をなさっていらっしやる自衛隊部隊と、それから内局という、ここに一つシビルコントロールの問題があると思うのです。何かその辺に問題が出てきているのではないかという印象を非常に強く持つわけなんです。  というのは、何も公式的に制服と内局との何か対立が云々というようなことではございませんけれども、しかし、少なくとも自衛隊がここまで大きくなってきた。従来、内局によるコントロール、こういうことが行なわれていたわけなんですが、しかし自衛隊がここまで大きくなってまいりますと、どう言ったらいいんでしょうか、別のサイドのことばで言いますと、たとえば昔のことばで言う軍政の部門と軍令の部門と、こういう側面があるわけです。ですから、実際に部隊を動かすという立場の力がそれだけ大きくなってきているわけですから、昔のことばで言えば、統帥権の独立を求めるような動きというのは、これは内局との対立とかなんとかいうのでなくて、一つの必然性といいますか、そういう形で出てくる要因がふえてきていると思うんです。ですから私はこの文民統制の一番かなめの問題は、やはり部隊と内局との接点にある問題だと考えているわけなんです。国防会議は、これはいろいろ言いましてもやはり雲の上の存在だと思うのです。これが大きな方針を立てましても、実際に動いているのは部隊ですから、その部隊と接点を持っているのは内局の関係である。しかもこの内局と部隊関係については、従来もとかくのゴシップめいた話はわれわれも耳にすることがありました。しかし、それはともかくといたしまして、そういう動きが出てくる条件なり背景なりというものが出てきていると思うのです。  そこでお伺いをしたいわけなんですが、もしそういう実情なり状況があるとすれば、これは長官のお立場でさらにシビルコントロールの実をあげていくためのお考えを何かお持ちでしょうか。どうでしょうか。
  36. 江崎真澄

    江崎国務大臣 現在、御指摘のような心配といいますか、対立の心配といいますか、そういったものはないと私は確信を持って申し上げられます。で、問題は政治が軍事に優先する、この原則をどう確固たるものにして継続していくか、これだと思うんです。そのためには、やはり内局側が制服をリードするだけの勉強もしなければなりませんし、専門家を養成していく必要があるんですね。現在すでに有能、優秀な諸君が内局にはおりますが、ややもするとこの人たちは人事異動等によって動く。非常な専門家で、これからというところでもともと奉職しておられた役所に戻ってしまうというようなことがあったわけです。  それから防衛庁で内局の要員、いわゆる幹部を養成していく、これはもう前からいわれているわけでありまするが、防衛庁を志望する要員というものは比較的薄いといわれております。それだけに私は、今後、内局の諸君がだんだん専門的にもっともっと素養を深められ、防衛問題と取り組む人の層を厚くしていく、これは大事なことだと思うのですね。国防会議の強化がしきりにいわれるわけでありまするが、国防会議の強化ももちろん必要でしょうが、それ以前に防衛庁の内局が強化される、これがやはり先決であるというふうに考えております。現在も優秀な諸君がたくさんおりますが、この人たちが、防衛庁を墳墓の地、これを生涯の奉職の場所ということに腹をきめて、しっかり落ちついてくれることがやはり第一義であるというふうに考えております。のみならず、そのことだけによってシビルコントロールが円滑にいくとは思いません。やはり軍事に優先する政治をしっかり確保していくためには、何といっても国会が、この防衛問題において、ほんとうに十分軍事を監視し、または軍事を適当な線で推し進めていくといったていの議論がなされることが私は望ましいと思うのです。そういう点では、まだこの防衛の問題が、こんなに日を経ましたが、残念ながら各党間において政策的な違い、これはやむを得ぬといたしても、自衛隊の存否をめぐって、要らないというような議論になって、対立状況にあるわけですね。コンセンサスを得てない。これはほんとうに残念なことだと思います。政府及び与党たるものも努力しなければなりませんし、またお立場の違うお方も、そこにおのずから一つの道を見出していただいて、防衛の議論というものを深刻に、真剣に――いまも事実真剣にやり合っておるわけですが、何といっても私は国会が最後のコントロールの場であるというような気がいたします。そのためには、国会に専門の委員会を設けていくということで、ある程度いいところまで来ておりますが、法案審議会の場にするかとか、いや法案審議内閣委員会で残与の問題について防衛専門委員会議論すべきだとか、まだ合意を得ておらない。こういった問題も国会側面きめていただくことでありまするが、私も議員一人として思いますことは、もういいところまで来ているわけですから、何か合意が見出されないものだろうか。そしてこの防衛問題について、相当深く掘り下げて議論はされておりまするが、もっともっと、予算の規模からいっても、いま先生が御指摘なさるように、防衛庁自衛隊自体の規模からいって、この既成事実のできたものをどうするかということについて、よほど議論を続ける必要があるのじゃないか。このことが私には一番のシビルコントロールの要諦であるというふうに思えるのでございます。
  37. 木原実

    木原委員 国会という話が出まして、だいぶ問題を投げかけられたような感じがするわけですけれども国会サイドのことは国会サイドのほらで詰めた議論をやりたいと思います。ただ、国会という話が出ましたので、一つは、確かにわれわれは自衛隊に反対をいたしております。しかし私どもが、憲法を正当に解釈をして、そういう立場をとっておるということも認めてもらいたいし、これの現実的な機能としては、結果的にはシビリアンコントロールのかなり大きな役割りを果たしておると自負しておるわけです。そうかといって、私は、現に二十六万に近いこれだけの集団があるという事実も否定をしているわけではありません。ありませんからこうやって議論をしております。  それで私が感じましたことは、国会の話が出ましたけれども、私どもはそういう立場でいろいろ調査をしたり議論をしておりましても、私も残念ながらこの委員会に五年間ほど在籍しておりますけれども、不勉強のそしりはともかくといたしまして、ともかく自衛隊部隊の実情というものがあまりにもわからな過ぎるわけです。この委員会でときどき部隊を訪問する、調査をするというようなこともありますけれども、これはほんとうに外形をなでるだけなんですね。それからまた、防衛庁関連をいたしましても、われわれのサイドで要求するものについても、必ずしも出してもらえないものもたくさんある。最近の例の知る権利の問題に関連をして言えば、たいへん膨大な機密事項が山積をしておる、そのことによって国会審議が制約を受けるというような形があるわけです。そういうことになりますと、長官おっしゃるように、私どももやはり国会が最初で最後のシビリアンコントロールの場だという確信を持っておりますけれども、それにしてはいまの防衛庁は、国会に対するあるいはわれわれに対する不信感が強いのかどうかわかりませんが、あまりにも秘密の壁が多過ぎる。軍事には秘匿すべき面が多いと思いますけれども、しかし、それにしても多過ぎるのではないかという印象を受けるわけです。だからコントロールしようにもまず実情がわからない。だから私どもは、国会でもっとコントロールの実をあげるというのならば、実態を掌握することから始めなければしようがないのじゃないか、こういう議論が出る余地があるわけなんです。  そこで、そのことに関連をしてお伺いするわけなんですけれども、先ほども触れました、たとえば国会には主として装備の問題が出てくる。それを裏づける予算の問題が出てくるわけですが、しかし、その前提になるような、なぜその装備が必要なのかという問題については、必ずしも明確ではない。ところが防衛庁内部では、私が先ほども触れましたように、いろいろな形で討議が行なわれ、検討が行なわれている前提の問題があるわけなんですね。その主要な部分は、たとえば統幕というようなところで仕事をやっておる。それはそれなりにいいわけなんですけれども、しかし、たとえば長期ないし年度の戦略の見積もりというようなものがあるはずなんです。そういう問題についてはおそらく長官の決裁を受けるわけですけれども、主要な仕事は統幕を中心にしてそういうことが行なわれている。私は統幕のやる仕事はいろいろあると思うのですけれども、少なくとも、重要な政治判断や、あるいは諸情勢の判断や、あるいは財政的、経済的な判断等を伴うような戦略判断をやるような問題というのは、私は国防会議という話をいま出しましたけれども、少なくともそれについては、装備計画について国会にかけるとか、あるいは積極的にその前提になる戦略見積もりなどについての防衛庁考え方国会に出してくる、そういうものがありませんと、ここでは議論にならないわけなんです。これは私自身、五年間やってまいりまして、各省の中で防衛庁のサービスが一番悪いわけなんです。それで議論をせいと言いましても、だから変な話ですけれども、どこかへ行って書類を持ってきて、どうだと言わなければ問題にならない。そういうことの繰り返しでしょう。私は、長官がもし国会に期待をすると言うのならば、お互いに私どももそういう結論は同じでございますから、進んで、たとえば長期戦略判断なり、あるいは年度のそういう判断なりについては、装備計画とともども国会承認を求めるというような措置をおとりになるようなことができないかどうですか。
  38. 江崎真澄

    江崎国務大臣 国の防衛でございますからやはり秘密は必要でありますが、これを極力少なくする。私は、専守防衛という立場にあるだけに、何となく旧軍隊を思わせるような秘密第一主義というものはとらなくていいと思います。これはお説のとおりに、秘密は要るが、しかしこれをなるべく整理する、これには私、賛成でございます。  それから、いまの防衛計画等を国会審議する、これは防衛計画を立てるのはやはり行政府防衛庁の任務ということでお認めいただいておるわけですが、当然、予算措置等々をめぐって防衛力をどうするかという策定を、一々その途中において御審議をいただき、あるいはできたものを国会の御審議を経てそれから予算措置をする、そういうことになりますと、どうも行政府の責任の所在が不明確になります。ですからこれは従来どおり進めていいのではないか。それをもとにして、あとう限りの資料は国会にお出しして、現在でも御審議を願っておるわけでありまするから、これはひとつ区別してお考えをいただけたらというふうに思います。  ただ問題なのは、旧軍隊と自衛隊とはどう違うのか。ややもすれば制服諸君というものは、旧軍隊的なものを、育ってきた環境からいいましても、また従来の習性からいっても、そういうものに近づけようとしていく傾向があることは、これは私、否定できないと思うのです。内局は、防衛局長をはじめ、新しい性格の自衛隊、新しい時代の、軍とは根本的に性格の違う自衛隊をどうつくり上げていくかということに非常な熱意を傾けておるわけです。その場面で、内局側における現存のスタッフだけではなかなか思うにまかせないのではないか。率直に言うならば、国会が半年以上実際開かれるわけですし、国会対策に内局はその熱情を傾けるという形になって、実質、庁内におってほんとうに制服組を指導していける存在というものが、まあ次官は国会に出てこないことになっておりまするが、見てみますると、非常に層が薄くなる半年間というものは、むしろ国会が重点で、内輪に向かっての統率、指導という面が薄くなる、この実情はお認め願えると思うのです。ですから、これをどうしていくのか、私はやはり深刻な悩みだと思います。ですから今後にかけて、われわれ、防衛庁長官であるとなきとにかかわらず、内局をどう充実させるかという点を、もっともっと、私ども政府・与党から言うならば、考えていく必要があるのではないか。この点については、私は御指摘の点をすなおに受け取って、今後努力していきたいと思っております。
  39. 木原実

    木原委員 いままで私どもがこういう場で論議をしてみて痛感をしてまいりました問題の一つは、ともかく歯どめもなく自衛隊予算がふえていく。予算だけならいいんですが、それに伴って当然装備や力がふえていくことになる。いつもその限界が問われながらはっきりしない。その背景の中にあるのは、これは、ともかく日本という国はこれだけ経済力を持ってきた、買おうと思えばどんな兵器だって買えるわけです。経済力がそういうふうに成長してきて、しかも部隊という側面から見れば、これはF86よりも104、104よりもファントムへと、これはより強い、より精強なものを求めていくというのは、これは武力を持つ者の法則的な論理なんです。しかもそれを保障するような経済力があるわけですから。この四次防の問題をめぐって批判がありましただけに、たとえば米中会談等が行なわれて何か平和のムードになっているのに、そういう情勢判断一つも織り込まれていないじゃないかという批判があった。私どもから見ておりましてもそうなるのです。ともかくやみくもに、ゼロから出発したんだからまだまだもっとふやさなくちゃならないのだ、これだけでもう二十年突っ走ってきた。こういうことの背景で、中にはいろんな要素があるでしょうけれども、たとえば、いま私がここで触れました、年度のいろんな計画を立てる、それに伴って装備を充実をしていく、こういうしきたりになっていると思うのですが、その一番かなめのこういう武力、武器が必要なんですよという判断をする土台の作業というのが、やはりこれは、武器を持っている人によって行なわれている。これは私は、特に日本のような国情のもとでは逆ではないかという感じがするんです。だから、まず政治的な判断や戦略的な判断があって、この程度の武器でこれだけのことができるではないか、そういう逆の立場にしないと困るのではないか。だから、内局と統幕の関係運営の中で言えば、私はやはり、そういうさか立ちした側面がまだかなりあるのではないのかという感じがするわけなんです。  だから、そういう意味で、いま長官が内局の充実ということをおっしゃったのは、私は賛成です。ただ、いまの内局を私も詳しいことは知りませんが、たとえば、そこにすわっていらっしゃる防衛局長なんというのは、任務も権限も、強過ぎるとは申し上げませんが、少なくとも広過ぎるのではないか、こういう感じを抱くわけなんです。だから、そういう側面もあるし、へたをすると、何かことばの悪い意味での防衛官僚ができるというような危険性もあるかと思います。だから、少なくともシビリアンコントロールという側面からすれば、何のためにこれが必要だといろ前提は、やはりシビリアンのほうで確立ずる、こういう姿勢が必要なときに来ているのではないのか。それがわれわれが問題にする増強計画に対しての歯どめを保障する役割りを果たしてくれるのではないか、こういうふうに考えるんですが、どうですか。
  40. 江崎真澄

    江崎国務大臣 私、いまの御意見に関する限り全く同感であります。防衛局長を中心に、いまでも有能な、きょうも出席しておりますが、スタッフがおるわけです。おるわけですが、どうしてもこれはやはり厚くしなければいけませんね。そうして防衛問題の最高権威者というような名称はなんでしょうが、防衛官といいますか、そういったような立場の者がやはり内局について、そうして制服側とは絶えず接触をして、むしろ統幕議長以上に作戦、戦略の面にも長じておる、しかも国の外交、経済にも通じるといったような、これはなかなか要求してそれこそ過大なることになるかもしれませんが、やはりそういうスタッフがいなければならないと思うのです。もちろん、現在すでにそういうことを心がけて努力しておってくれるわけですが、やはり内局の充実、これはどうしても必要です。  それから充実ということは、何も役職を新設することばかりではなくて、防衛庁の組織、機構の中で眠っておる部局があることは事実なんです、隠居所みたいに。そういうところをやはりゆさぶり起こして当然の機能を果たさせていく。それがもっと総合的にうまく活用されていけば、防衛庁の内局組織というものも相当な組織である、こういうふうに考えられますので、従来の組織をまず生かすことを考える。その次には、やはり足らざるものを補って、新たな機関を設ける必要があれば、また国会に相談して設けていくということが大事なことだと思うのです。  ただ、私も実は赴任間がなくて、しかも国会に明け暮れしておりまするが、再度赴任してみまして思いますことは、やはり防衛の国政の上に占めるウエートの重さ、大きさです。ですから、今後ともひとつこの問題に、未熟ではありまするが、熱情を傾けて努力してまいりたい、こんなことを思っておるわけであります。
  41. 木原実

    木原委員 そういうお立場で、これはちょっとよけいなことかもしれませんが、先ほど国防会議の強化案が出たんですが、国防会議という問題について、実際防衛庁長官が仕事をやってこられして、どんなふうにお考えになりますか。これは、たてまえの問題はともかくとしまして、いろいろかみ合うところもあれば、かみ合わないところも出てくると思うのです。ただ、一方では国防会議を何とか改善をしていきたいという考え方もあるわけですが、望ましい国防会議のあり方というものはどうですか。
  42. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは内閣委員会の皆さま方からもぜひ御教示願いたい、謙虚にそう思っております。いまの国防会議というものは、さっき官房長官指摘いたしましたように、何となく、国防会議を開くということは、軍事の拡張を考えておるんだとか、そういう感じ方、受け取り方であったことは事実であると思います。そこで、開かなければならない国防会議もできれば避けて通って関係閣僚懇談会で済ましている、こういうことが、先般の四次防をめぐっていろいろ疑義を生じて、議長裁定というような、ああいう結果になってきたものだというふうに思いますが、しからばこれをどう強化するか、問題の点だと思います。  これは官房長官と私的にいろいろ話し合っておりまするが、やはり内閣内閣としてしかるべき専門家に諮問をして一つ成案を得たらどうであろうかという議論も、さっき官房長官言っておりましたように、これはしたことは事実であります。しかし、そうかといって、はたして外部の人に相談をすればいい結論が得られるかどうか、これも実際問題として疑わしい点がないわけではありません。やはり国防会議を一番活用していくのはお互い政治家なんですから、これはわれわれ真剣に考えてみる必要があるんではないか。  原点に返るということをさっき官房長官申しておりましたが、実はさっき官房長官の話にもありましたように、国防会議を策定され国会に法案として審議に供されたときに、野党側の代表理事をしておったあの当時のことを考えてみますと、鳩山首相は、五人以内の民間人を登用する。その学識経験者は一体どういう性格の人をいうんだ、こう尋ねますと、総理経験者ぐらいというふうに思ってもらいたい、こう言っておられたわけです。ところが、その当時非常に議論になりましたのは、私ども当時は自由党として野党であったわけですが、特に当時の総裁であった緒方さんが、この民間人を入れるということは危険なんだ、それは単なる諮問機関で、もし一朝有事といいますか、大事が起こった場合に、国益に関するような問題が諮問機関の民間人から漏洩して国益を著しくそこなったというような問題が起きたときに、内閣の責任制とこの民間議員との関係をどうするのか、これは処罰をするというだけで済まないのではないか。内閣なら総辞職、閣僚なら罷免ということで責任を追及することもできる、いわゆる内閣の責任制という問題から首尾一貫するのではないかというわけで、実は自由党ほかということで、私、提案者になって民間人を入れるという点を削った経緯がございます。  現在の考え方も、民間人はもし必要があれば、あの国防会議は自由にお呼びして意見を聞くことはできる。これに何らの制約はないわけですから、議長たる首相がその気になれば、民間人と相談することは自由にできるということであるから、その必要はないのではなかろうか。閣僚においては、先回来の国防会議におきまして、通産大臣、それから科学技術庁長官、これはメンバーではございませんが、いつも出てもらっております。さっき微妙な発言をしておられましたが、官房長官も、これは当然のことながら必ず出席をしておられる。こういった人を正規のメンバーにすることはもちろん必要でありましょう。そのほかもっと閣僚をふやすというような議論は、当然出てまいるというふうに思っております。ですから私は、国防会議そのものをどうするかということについては、お尋ねでありますが、いままだ十分な成案を得ておりません。むしろ諸先生の御意見も承りながら自分も十分検討をしてみたいと思っております。  ただ、先回の沖繩配備に関する国防会議関連して、国防会議事務局防衛庁事務局において、今後、国防会議の充実強化、運営、こういった面について十分検討しろ、議長である首相からこういう命令が出たわけです。その線に従いまして、目下私ども防衛庁においても次官以下鋭意検討中、これが実情でございます。
  43. 木原実

    木原委員 これはおそらく、防衛庁長官として実務に携わっておられて、内局の充実にいろいろなお考え方も持っているという立場ですれば、国防会議というのはますます盲腸みたいなものになりますよね。総理はともかく一方では最高の議長であるし、他方ではまた最高の指令者でもある、こういう関係ですね。運営の問題だといってしまえばそれまでですけれども、私はたいへん微妙な問題がまだ残りそうな感じがいたします。ですから竹下さんにも、やるのならば、きちんと国防会議というものの位置づけをこの際明確にしてやらなければ、何か妙なものを引きずっていくことになるという心配も私どもはするわけです。  それはそれでよろしいわけですが、もう一つそのことに関連をしてお伺いをしたいわけです。  今度の四次防の問題等で、たとえば空幕長の処置の問題をめぐって、伝えられるところによりますと、空幕長の処分がかりに行なわれるということになればという、空幕の部隊の幹部級の中にたいへん不満があった。こういう報道といいますか、そういうものも、私ども真偽のほどはわかりませんけれども、聞いておるわけですが、どうですか。実際にそういう不満を長官のところに申し出た者がございましたか。
  44. 江崎真澄

    江崎国務大臣 そういう不満を言ってきた者は一人もございません。これは週刊誌その他にも、しきりにそういう記事がありまして、私どももそれを読みました。実はあの問題については、これは防衛庁の内局側の表現のしかたもまずかったわけですし、私の至らざる点もありまして、世上に誤解を生んだわけです。これは私非常に残念に思っております。  御質問でありまするから、ちょっと私、簡単に経緯を申し上げますと、実はあのなべかま過剰輸送、こう言っておりますが、あれが起こりました当時、現地から情報がはね返ってきたわけです。そのとき空幕長は出張をして不在でありました。そこで、内局の幹部を一々次官以下で確めてみたところが、このことを知らなかった。あとから聞いてみますと、これは免税輸出ということで通産省側の許諾を得なければならぬということで、装備局の管理課長にまでは話があった、こういうわけです。  そのあたりよりももっと重要なのは、だんだん調べてまいりますと、送ったものは実は、ふとんであるとか、ベッドであるとか、そういう日常品であったというわけですね。この日常品を輸送したりするのは、これは航空総隊長の責任でもあり、空幕長も自由にできる。武器の輸送であるとか武器の移動であるとかという問題は一々内局がチェックしておるというわけで、もともと五月十五日施政権が戻ってくれば、そのときの航空自衛隊の要員の日常品は、準備行動ということでいつ送ってもいいんだということで送りつけたということが、だんだん真相としてわかってきたわけです。  深夜でありましたが、私、私邸に帰っておりましたところ、出てこいということで戻ってまいりまして、そのときどうも責任の所在が明確でないということから、まあこういう混乱した場面では、率直にほんとうのことを言ったらいいではないか。だから、内局も知らない、防衛庁長官も知らない。何か取りつくろってうそを言うことのほらがかえって世間の疑惑を招くからということで、知らない知らないが出たわけです。  ところが、あとからだんだん調べてみますと、送った内容はああいうもの、それからまた免税の手続ということで管理課には協議をしておった。しかも準備要員が向こうに行って組み立てるベッドであり、あるべきところに配置する炊飯用具であった、こういうことになりますと、その準備要員の出張は、旬日の後にもう内局側の許諾を得て沖繩に行くばかりになっておった。  そこで問題になりますのは、そうなると、内局側が準備要員派遣の出張命令をしている以上は、内局側においていわゆる政治的配慮というものが欠けたのではないか。沖繩の県民感情をさかなでするようなことは困るではないか。これはもう首相の当時の発言でありましたが、まさにこれは否定のしようのない、そのとおりのことを言っておられるおことばだと思いました。  そこで私ども、直ちに防衛庁に戻りまして、いろいろ経緯を究明したり、だんだん日を経て事情がわかりましたので、空僚長は常識的な判断に欠けるということで、直ちに厳重な訓戒を実はしたわけです。そして次官以下関係者の監督不行き届きといいますか、これこそ政治配慮の足りなさといろ点において、それぞれの厳重訓戒をしたというわけです。  そこで、それではもし空僚長を更迭したり罷免したりするならば、われわれはそでを連ねて辞職をするとか、何か週刊誌にありましたが、そういうおどしというか、主張が一体防衛庁の中にあったのか、自衛隊の中にあったのか。これは私ばかりでなく、ここにおります内局の者も、全然そういうことは関知しておりません。そればかりか、かりそめにもそんなことがあったら、これは大事な問題でありますから、十分それぞれの責任者に命じて調査をさせましたが、そういう動きはなかったわけです。  ただ、ここで言えることは、シビルコントロールということは大事なことだと思います。しかし、この内局の一つの不注意といいますか、配慮の足りないことによって、これは私も含んでどうぞお受け取り願いたいわけですが、起こったことをもとにして罪なき者を罰するというようなことがありとしますならば、これはかえってシビルコントロールを乱ることになるのではないかというふうに思っておるわけであります。  実は社会党の某議員が私の部屋をわざわざたずねられて、江崎君、君を信用しておったが、制服におどされて、手の平を返すような答弁をするようでは、君を信用しないと言って、実は、激励ともなく叱責ともなく、おことばをいただいたことがあるのです。しかし私は、その方のおことばは非常に好意的深刻な忠告と受け取ってお話をしたことですが、この場合は、だんだん調べていくと空僚長ではないのだ。これはむしろ、準備要員の派遣をきめておきながら、その準備要員の組み立てるものとはいいながら、過剰物資をまだ最終決定も見ないうちに持っていくということについての政治配慮の足りなさ、これは内局が責任を負うべきものだ。むしろ空僚長があまり政治配慮をし過ぎるということは、これは制服の性格からいってもむしろ困ることですね。常識配慮の足りなかったことは、私は空僚長が責められるべきだと思います。だから厳重訓戒をやったわけですね。ところが、政治配慮の足りないという点では、これは私をはじめ内局側が責任を負わなければならぬ、こういうことを、注意してくださったその議員の方にも申し上げたわけです。  簡単といいながら多少くどくなりましたが、これは非常に微妙な点でありますので、誤解を解く上からも経緯を率直に申し上げ、同時に先生の御理解を得たい、こう思って申し上げたわけであります。
  45. 木原実

    木原委員 石川空僚長は、私の兵隊のときの中隊長でした。よけいなことですが……。  私が心配いたしますのは、四次防が一部凍結をされた。それから部隊の中では、四次防というものに非常に期待をかげて、ある種のキャンペーンも行なわれてきた、がんばれと。それが政治的にある部分がストップになった。こういうような側面があり、そこへ持ってきてミステークということでそういう措置がとられたようなことが、やはり部隊の中に、何かいままでになかったような空気を生んでおるのではないか、こういう心配が一つです。  それからもう一つは、あらためてシビリアンコントロールが問題になっておるのですが、こういう問題を制服の諸君がどういうふうに受けとめておるのかといろ実情がよくわからないという心配がわれわれにはあります。あるいはまたその背景の中には一何だかんだいいましても、一時に比べましてかなり高度の装備が行なわれ、そういう意味では、いいことばで言えば充実してきておる。悪いことばで言えば制服組の発言をする力と場所と機会というものがいろいろな意味で大きくなっている。そういう状況が確かにあると思います。  それやこれやを考え合わせますと、二十年たったこの状況の中で、文民統制の問題を根底にさかのぼって考えなければならない状況が、いま申し上げたような問題の中にも含んでおるのじゃなかろうか、これが私がお尋ねをした趣旨なんですが、全体として見まして、そういう側面についてらまくいっておると言うと語弊があるのですが、制服組の諸君の状況はどうですか。
  46. 江崎真澄

    江崎国務大臣 現在の制服の状況は、規律は厳正に保たれ、文民統制の実はあがっておるというふうに私は考えます。ただ問題は、御指摘のようにだんだん武器も高度化しますし、内容も充実してまいりました。それだけに、内局が十分責任をもってコントロールするということで、もっともっと努力する必要があるというふうに考える。それから防衛庁長官たるものも、いつか大出さんが指摘されるように、あまりにもかわり過ぎる。これは私どもも、二度のつとめとはいいながら、かわり過ぎるから二度にも三度にもなるのであって、決して好ましい傾向ではないと思います。防衛問題というのは、もっと深く掘り下げませんと、私どもも思いつきでものを言ってみたり、あるいはまたこういう国会答弁一つにしましても、内局のくれる答弁要旨というものを参考にしながらただでくの坊でものを言う、代弁者になる。何か擁護するところは、頭をかしげながらでも擁護しなければならぬ、そういうことにおちいってはならぬと思うのです。ですからこの問題は、先生が心配になられるように、私自身も深刻にこの問題を考えながら今後とも防衛問題とは取り組んでいきたいと思います。現在の時点では制服はうまくいっております。
  47. 木原実

    木原委員 この問題について最後にひとつ私は長官に要望があるわけでございますが、先ほどは国防会議の強化を中心に竹下官房長官のほらでいろいろ話がありました。しかし私の考えでは、かなめになるものは防衛庁の中にあると思います。そこでさらに申し添えますと、文民統制なんということをいいましても、一つには憲法上の裏づけはないわけなんです。それからもう一つは、残念ながら、旧軍時代を含めまして、他の国と違ってわが国には市民的な軍隊という伝統がないものですから、そういう意味文民統制という思想や考え方といいますか、そういうものが憲法の定着した云々という話もございましたけれども、残念ながら歴史が非常に浅い、そういう側面があるわけなんです。しかし、民主主義下の部隊としては、どうしても文民統制というものが民主主義そのものの柱の中の一本としてなければならぬといろ前提があるわけです。しかも二十年たってそれが一つの転機に来たという認識に私ども立てば、この辺でいろいろな知恵を出し合って、あらためて文民統制という問題についてかなわ時間をかけてでも問題を整理する必要があると思うのです。  そこでお願いがあるわけですが、そういうことで官房長官のほらからも、われわれとたとえば懇談をしたいとか、あるいは官房長官の手元で試案といいますか、いろいろな作業をしたい、こういうことなんですが、これは長官のお立場で、できればやはり一番かなめにおられるわけですが、たとえば内局と制服の関係、従来のいろいろな事務の運び方もあるでしょう。それらを一ぺん洗い直して、やはり現場におけるあるべき文民統制といいますか、そういう主要なかなめの問題について、何か長官の試案でもけっこうです。問題点指摘をされるだけでもけっこうですが、非公式にでもわれわれにお示しを願いたいと思うのですが、いかがでしょう。
  48. 江崎真澄

    江崎国務大臣 非常に示唆に富んだ御質問でありまするが、いまここで私、こうしたい、ああしたいということを申し上げるほど、結論的に自分の構想がまとまってはおりませんが、今後、御指摘のような点については十分留意をして、内部部局の充実にあたっては、ただに役職を強化するとか、新設するとか、そういうことでなしに、やはい現在あるものを充実強化する、まずこれを第一義的に始めると同時に、防衛庁に、いまでも人材雲のごとくというか、有能な諸君がたくさんおりますが、何といっても、しかし歴史のある役所組織から言うならば、人材の層は薄いと思うのです。したがって、さて何か人事の充実とか異動というと、よその省から、たとえ防衛庁経験者であるにせよ、もらってこなければならぬ。しかし、これは何も一つの過渡期の姿としては恥ずかしいことではありませんから、極力やはり優秀、有能な人を輸入してくるというか、迎え入れるというようなことにして現在の内部部局を充実、強化する。もうかりそめにも眠っておるようなところがないようにする、これは大事なことだと思うのです。  それから、だんだん装備も近代化して、金額も多きにのぼるわけですから、この武器購入等についても現在の制度のままでいいだろうか、私は一つの疑問を持っております。私は、ちっぽけな会社でも会社経営に当たったことが過去にありまするので、そういう目から見ると、これはなるほど異論があるな、議論があるなというような面がなくもありません。したがいまして、いろいろやりたいことばかりですが、いつまで防衛庁長官が続きますか、しかし、防衛庁長官をやめたらせいぜい内閣委員にでもなりまして、御一緒にひとつそういう方面の努力をしていく。これが日本のためでありまするし、また防衛庁自体にとっても大事なことだと思いまするので、今後とも努力してまいりたいと思います。
  49. 木原実

    木原委員 委員長、ちょうど時間が参りまして、私はもう少し聞きたいことがありますが、午後の機会か別の機会でけっこうですから、一応終わりたいと思いますが、ただ一言、長官、いまのおことばですが、人間の充実ということが何よりも先行することだと思うのです。しかし、いま防衛庁内部の事務といいますか、それについても、かなり洗い直す時期に来ているのではないかと思うのです。特に制服といろいろな交わっている側面について、制服のほらにも言い分があると思うのです。だから、そのことを含めまして、私はぜひ問題点を少なくとも私どもに出してもらいたいと思うのです。ここは内閣委員会ですから、やはり私どもが論議ができるような――あまり介入したいと思いませんけれども、あるべき姿というものを、もう一ぺん目標を立てて洗い直すような努力をしてもらいたいと思います。  じゃ、午前中の議論はこれで終わりたいと思います。
  50. 江崎真澄

    江崎国務大臣 十分承りました。
  51. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 午後三時より委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。    午後零時五十五分休憩      ――――◇―――――    午後三時九分開議
  52. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  行政機構並びにその運営及び法制一般に関する件について、調査を進めます。  この際、山中総務長官より発言を求められておりますので、これを許します。山中総務長官
  53. 山中貞則

    山中国務大臣 昨日の参議院予算分科会において、憲法問題に関し私の発言がいろいろと問題になっておりますので、この際、初めに速記録を読ませていただいて、事実関係をまず明らかにした後、私の意見を述べさせていただきます。質問者のところも便宜上少し拝借をいたしますので、まず栗林卓司委員の質問の最後のところから始めます。   そこで、先ほどちょっと申し上げたことで、ひとつ伺いたいのは、憲法の啓蒙ということについては、これは総理府としてはどうお考えになりますか。   国務大臣山中貞則君)これは、まあ内閣全体の問題で、時の総理府総務長官がこうだからといってきめるべき問題ではないと思います。いまの内閣憲法に対して祝賀式を国家としてやらないとか、そういうような祝日にはただなっているだけだとかいうような姿勢については国民が批判をするだろうと思いますが、それは国民自身判断によってきまることであって、いまの憲法が私ども押しつけ憲法だと思っております。文章も決して日本人のつくった文章ではないと思っております。しかし、それはといって、その憲法の流れというものは国民の中に定着をして、しかも大体好ましい方向に定着をしつつあると思っておりますので、いまの政府姿勢を私自身がどう変えるということは、立場にございませんが、その問題に対する政府見解となりますと、これ、統一見解を事前につくっておきませんと、あしたさっそく憲法に対する山中の態度というので問題になりますから、私はその統一見解をまだ持っておりませんので、私からの答弁は私自身の所感というような意味でお話をしたいと思います。   栗林卓司君 いま憲法のことをお伺いした気持ちというのは、憲法内容についていろいろ議論、これはあっていいと思います。ただ、それが手続として今日、日本国の憲法としての柱になる、それを中心にしてものごとが動いていくわけですから、国民が知らなくていいということには決してなりません。そこで、いまの憲法を少しでも読んだことがある人が一体何%いるのか、全然知らないのが何%いるのか――いや、お調べいただかなくてけっこうです。総理府の世論調査がございます。申し上げますと、少しでも読んだことがあるという人が四一%、全然読んだことないという人が二六%、これでいいんだろうかと、やっぱり政府としても考えていただかないと困る。戦後二十数年たったから大体知っているはずだではないんです。   それからもう一つ申し上げておきたいのは、いまお話があったように、日本国憲法というのはかつての戦争と密接に結びついたかっこうで生まれてまいりました。その憲法を日本がどう扱っていくのかということは、単に日本国内の問題ではなくて、世界が日本を見つめた場合、とりわけ近隣アジア諸国が日本を見つめるときの一つの尺度にいやでもなってまいります。   その意味で、憲法はいろいろ論議があるでは済まされないし、それは自民党の中でおやりになるのはかまいません。政府としては、あくまでもこの憲法の周知啓蒙ということを常にやらなければいけないはずですし、その意味でこれは当然やるべきだというお答えしか出ないわけですから、重ねてお伺いしておきます。   国務大臣山中貞則君)私の答弁する範囲であるかどうかは疑問に思いながら答弁をいたしますが、ドイツは敗戦国として憲法を新しくつくる立場に立ったときに、この憲法は独立後見直すべきであるということを憲法の中に入れておると私は思っております。また、一方、最近スイスにおいては、この美しいスイスの国土風景を守るために、公害に対するスイスの立場というものを憲法に入れました。このように憲法にもいろいろと国民全体の血液そのものになってみんなが憲法自体を自分たちの法律の一番の根源であると考えておる国と、憲法というものがすべての法律の根源であることはばく然と知ってても、それがすべて自分たちの日常生活をすぐに制肘し、束縛し、干渉する法律そのものではないということから、比較的それをあまり読まない国民と、いろいろあると思うんですが、私も総理府の調査の数字をちょっといま聞こうとしたんですが、それを調査の結果、一々目を通しておりますから、憲法について案外に読んでいないということは、私もそのときに感じた疑問であります。   それに対して政府がどういう姿勢をとるべきかという問題は、政府全体の問題として、一国務大臣答弁の限界外であると思います。  以上が私の速記録による答弁の事実であります。それに対する私の考えは、国務大臣としてでありましても、国務大臣の席にありましても、私見というものを事憲法に関して軽々しく述べるということについては確かに不謹慎である、私自身もさように考えますので、この点は、国民に対し、議会に対し申しわけなかったと思っております。
  54. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。大出俊君。
  55. 大出俊

    ○大出委員 昨年のちょうどいまの時期でございますが、五月三日の憲法記念日に、総理のおにいさんである岸信介さんが、自主憲法制定国民会議の名のもとに武徳館で会合を開かれて、開口一番、いまの世の中の諸悪の根源は現行憲法であるというところから始まりまして、国民の知る権利などにまで触れて、幾ら憲法が言論の自由を保障していても、いまの政府国民にものごとを知らせ過ぎる、しかし知らせてはならないこともある、これも諸悪の根源の一つであるという。かつ憲法九条は、これはいかなることがあっても改正をすべきである、自衛隊を軍隊と言えないような憲法を持っていること自体に問題があると演説をぶたれた。まさにこれは岸さん自身のお考えでしょうけれども、ところが、時の法務大臣がそこにすわっておられて手をたたいたという姿、これは大きな問題です。これが一つ問題になりました。あわせて佐藤総理御自分で、党の選挙委員会の席上で、自民党の最高の党議決定憲法改正である。ところが、衆議院には相当な議席数を持っているけれども参議院はその議席数からいくと、憲法改正に足る議席ということになるとほど遠い状態にある、だから今回の参議院選挙というのは、改憲勢力を獲得をする、そういう意気込みで諸君はやってもらいたいという趣旨の御発言がありまして、この席で私はじめ各党の皆さんがそろって憲法論議をしたことがあります。  これは一年前のことでございますから、御記憶にあるはずだと思うのですが、このときに、あとから総理に個人的に面会を求めて、私と楢崎君等で総理の部屋でお目にかかったことがある。この席の決着は、私も総理でありかつ党員である、党議の最高の決定だからそういう発言をした。しかし憲法改正する意思はない、その条件がないからだという御発言が私に対してありまして、あなたは、前向いていると改正しないと言う、うしろ向いていると、うしろに改正したいと書いてあるのじゃないか、向こうを向いてくれと私は言ったことがある。あなたの発言は、条件がないからというのだから、条件が整えばおやりになるというお気持ちがあるのじゃないかと言ったら、条件が整ったらやりたいという趣旨のことをおっしゃったので、たいへん大きな新聞種になってしまったといういきさつがある。  私は、だからそのときに申し上げたのですが、私見はあってよろしいが、いま総務長官自身で口にされましたが、少なくとも今日の内閣というものは、憲法がその国民生活の根源になっており、かつ政治の基礎になっているわけでありますから、そうだとすれば、これを至らざるところがあれば啓発をし、国民により定着をさせるという努力政府みずからがすべき筋合いのもの、そういう意味で、何かどう見間違っても、押しつけ憲法だというようなことが、それが私見であっても、閣僚の口から出てくることを見のがすわけにはまいらないというところに、けさほどの理事会で、公明党の伊藤さんからも強い国対委員会の御結論に基づくお話がございましたし、私ども、昨年あれだけの論争をしている立場からいたしまして、事山中さんがそこまでのことを幾ら何でも不用意におっしゃるわけはなかろうというので、理事会では慎重に、速記録を全部いただいてから議論をしようということでいただきました。いまお読み上げになった中身であります。ずいぶん用心深く言っておられることは認める。認めるけれども押しつけ憲法であるとの私見を話されたということについては、私どもは納得をいたしかねる、何と言われても。したがって、実は各党ともに、この点は早いほうがいいから、長官に御出席をいただいて、しかとこの点については国民の前に明らかにしていただく、こういうことでお呼び立てをしたと、こういう趣旨であります。  やがて五月三日も参ります。昨年のこともございまして、私どもはこれはたいへん神経質になっておりますから、一番最後のほうに、どうもいささか私見を申し上げたことについては不謹慎であったという趣旨のお話がございましたが、閣僚としていやしくも公の国会委員会の席上で私見を申し述べだということは、たいへんこれは行き過ぎだった、あるいは勇み足だったということで、あっさり私はこれは取り消していただきたいというふうに思いますが、いかがでありましょうか。
  56. 山中貞則

    山中国務大臣 私もそのつもりで申し上げたのでありますから、国務大臣たる者が、私見であっても公の場でそういうことを言うべきでないということでありますから、当然その分について取り消すことについて何らちゅうちょするところはありません。
  57. 大出俊

    ○大出委員 もう一点だけ承っておきたいのでありますが、私どもは私どもなりに、ほかの党の皆さんもそうでございますが、憲法の完全実施というものの考え方を実は持っている。つまり、国民の生活の基礎になっている憲法でございますだけに、それがより定着の度合いを深めて、地方自治体から国の政治の段階に至りますまで、すべてにわたって国民生活に憲法が完全実施の姿で入っていくということが正しい。朝日裁判などというのはある意味では非常にいい例でございまして、完全に実施されていないところにああいう問題が起こるということになります。そういう意味では、政党は政党なりに、あるいは国民の諸団体は諸団体なりに、啓発をするための努力をし、完全実施への努力をしていると思うのでありますけれども、国の立場でやはりこれは、二月十一日の紀元節は国会の中でも相当数の反対があってああいう結果になりましたが、この方面にはたいへん力が入っている感じがするのでありますけれども憲法それ自体に対して啓発をする、完全実施の努力をするという姿というものは、私どものひが目かもしれませんけれども、どうも見受けることができない感じがいたします。そこらのところを閣僚の一人としてどう考えておられるのか、あわせてこの際、その問題に端を発したようでございますから、私からもあらためて承っておきたいのであります。
  58. 山中貞則

    山中国務大臣 あつものにこりてなますを吹くつまりじゃありませんが、憲法の問題について国務大臣としてここで私は答弁いたしかねます。
  59. 大出俊

    ○大出委員 たいへん慎重になられましたので、ぜひそのへんのところでひとつやっていただきたいと思うのであります。たいへんどうも……。
  60. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 伊藤惣助丸君。
  61. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 いま大出委員からも質問がありまして、総務長官もすばやく、議会に対し、国民に対して申しわけないと言われた。私も長官発言について同僚委員と同じように思うわけであります。やはり一つ国民がいま憲法の問題についてはたいへん神経質であるということ、そして毎年五月の憲法記念日を前にしましていつも政府憲法改正への方向の御発言がありました。去年もまた一昨年も問題になってきております。ことしは山中総務長官がやはり同じように発言をされた。そこを私たちは重視するわけであります。それはもう長官よく御存じのように、やはり憲法の第九十九条には明確に「天皇又は攝政及び國務大臣、國会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」こういうふうに出ているわけであります。その閣僚が、分科会の席上とは言いながら、押しつけ憲法であると言うようなことについては、私たちもきわめて遺憾であると思いますし、その点を重視して総務長官に反省を求めるわけであります。  そこで、やはりこの議事録の中で、新聞紙上によりますと私見ということが出ておりますが、これには出ておりません。これは閣僚だから、総務長官国民に対して申しわけないとおっしゃったのかもしれませんけれども、ほんとうは総務長官は、現在の憲法に対してどう思っていらっしゃるのですか。本音ですね、その点をお伺いいたします。
  62. 山中貞則

    山中国務大臣 先ほど答弁いたしましたとおり、速記録にも、私自身の所感、感ずるところという意味で申しておりますから、いわゆる私の見解、私見であります。したがって、国務大臣の地位にある者が、憲法第九十九条を順守すべき当然の責任者でありながらそういう発言をしたということについて、きわめて遺憾であった意を表し、そしてただいまの質問によって、その内容についても取り消すことを表明いたしました。  以上です。
  63. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 この質問の趣旨は、結局、五月三日の憲法記念日には政府は何にもやらない、すなわち政府は非常に冷淡であるということに対して、それはもうさもあろう、これは国民も批判しているんだというようなニュアンスなんですね。今後も、この五月三日の憲法記念日については、政府としては、所管は総務長官であろうと思いますが、何にもやらぬということですか。たとえば二月十一日の建国記念日というのがございますが、やはりいろいろな行事をやっております。建国記念日というのは神話に基づいた建国記念日ですね。しかしながら、明確に新憲法というものが五月三日につくられたわけでありますが、その五月三日については国として何にもやらないということについて、やはりわれわれは現在の政府憲法に対する考え方について少し疑問を持っているのです。その点いかがですか。
  64. 山中貞則

    山中国務大臣 国務大臣立場にありまするので、憲法について意見を申し述べることは差し控えさせていただきます。
  65. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 憲法についてじゃなくて、五月三日の日に何かやらないのか。国民の中には、この憲法に関していろいろ行事を望む国民もいるわけであります。そのことについてどう思うか、こういうわけです。
  66. 山中貞則

    山中国務大臣 国務大臣立場にありますので、憲法関連したことについても意見の表明を差し控えたいと思います。
  67. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 それでは、少なくとも総務長官として、このような発言は再びしないと思いますが、どうか閣僚として今後こういうことのないように厳重に御注意申し上げて、質問を終わります。
  68. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 和田耕作君。
  69. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 山中長官山中長官だからこの問題はにこにこ笑っておられるし、野党のほうもわりあいソフトな感じで追及していると思うのです。これは山中長官でなければ、非常にきびしい論議が出るところだと思う。これは私ども、きょう国対で問題になりましていろいろ発言がありましたけれども山中さんという人は、憲法の問題についていろいろ言っても、山中さんのふだんから言っておられることは、憲法感覚を身につけた人だと私は判断しているんだ。まさか、人は見かけによらぬものだ、こう言ったわけですけれども、そういう感じで、この問題については単に私見とかなんとかいうのでなくて、長官、こういうことを言ってもらったら困ります。おそらくあなたは、こういうことを本心考えていらっしゃらないでしょう。本心考えていらっしゃいますか。憲法論議ではなくて、それだけでいいです。
  70. 山中貞則

    山中国務大臣 私のような者に対するただいまのおことばについては、心からお礼を申し上げます。しかし憲法に対して論及することは遠慮させていただきます。
  71. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 この問題は、実は十日ほど前に、私どもの党の前の社会党時代の委員長であり前総理であった片山哲さん、新護憲の会長をしておりますこの人が、門司亮さんと一緒に総理大臣を訪ねまして、そして、今度は憲法二十五年になるのだ、したがって国としてこの基本法の祭典をおやりになったらどうか、ということを総理に進言なさったのです。そのとき佐藤総理はどう言ったかといいますと、きょう私は詳しく聞いてきました。そして片山さんにも電話でお聞きしましたけれども、総理は、そのときは何のわだかまりもなしに、私は賛成です、けっこうですというお話を片山さんと門司亮代議士にしたということを聞いております。そのときに総理がつけ加えられたのは、これは政府としてやるよりは、両院の議長の発議で発議されて国の祭典をおやりになったらどうかということをみずから言われておる。そういう答弁をなさっておられる。  そこで片山さんと門司さんとは、両院議長に、一方には会い、一方には伝言でお話をしたところが、これは国としての大きな事業だから、いかんせん時日がないのだ。これをやるためには、両院議長あるいは最高裁の長官、総理はむろんのこと、出てやることになるから、そういうことになれば時間がないんだ、それを軽少な形でやるということもどうかと思うということで、今後この問題を国の大きな事業として取り上げることには両院の議長も賛成はなさっておられる、こういうように私らも承っております。こういうことが背後に進行しておるので、参議院のわが党の栗林卓司君がこのことについての長官の御所見を聞いたと思うのです。  そういういきさつですから、私はきょうこの速記を見まして、このいまの憲法をお祝いする会との関連で、このように、押しつけられた憲法だとか、あるいは日本語になってないとかいうことばは、たとえどのような観点から見ても、これは不謹慎なことばだというふうに拝聴をしたわけなんです。いま同僚委員の質問に対して、長官は心から遺憾の意を表しているわけですから、これ以上は申し上げませんけれども、この憲法の問題については、積極的にこれを守るように、党内においても、閣内においても推進をしていくように、ぜひともお願いをしたいと思うのです。  まあ山中長官、いままでの何回かのやりとりでも、思ったことを率直におっしゃる、そのことはきょうの国対でも申しました。思ったことを率直に言う人だ。こういうことは一言も二言も多いと思うけれども、あとのところが本音だというふうにも私思うけれども、こういうことを一言二言つけ加えるということは、これは何といっても不謹慎だと思います。そういうことでありますから、くどいようでございますけれども憲法の問題について、閣僚としてぜひとも憲法を守っていくんだという趣旨のおことばをいただきたいと思うのです。  これは何回も立って質問する場ではありませんから、もう一言申し上げますと、私かつて、いつだったか本会議の席上で、私自身憲法に対する気持ちを申し上げたことがございました。私も捕虜から帰ったときに、舞鶴でこの新憲法の草案を渡されたときは、ソ連の状態から見て、こんなものが守れるものか、やがてこれは改正しなければならぬと私は思った。しかし、その後三十年代になって、核兵器が世界の主戦兵器になった。戦争は人類の絶滅の危険を包蔵するようになった。また四十年代になると、日本は、好むと好まざるとにかかわらず、平和なしには生きられない。これは好むと好まざるとにかかわらず日本の国民はそういう状態にあると思います。そういうふうな国柄になっておりますから、お互いにこの憲法制定の過程についていろいろ文句はある。あるいはかなり理想主義的な面で不満はあっても、しかし、三十年代あるいは四十年代になって、核兵器が主戦兵器になった。日本は世界の中の日本として、文字どおりに平和なしには生きられないという日本の状態から見て、憲法上の文言にはいろいろ文句をつけるところはあっても、憲法の持っている大精神はますます現実性を持っておる。日本の国益と大きくマッチするような方向になってきている。そこのところを長官は、だんだんと国民になじむようになったというおことばで表現していると思うのですけれども、そういうふうな意味で、形式的なものではなくて、日本は平和なしには生きられない。国際の平和を守ることは日本の生命線だ。そういうふうな意味で、閣僚としてこの憲法の精神を心からまともにとって、あるいはいい意味にとって、そしてこれを守っていかれるように努力をされたいと思います。長官、もし御意見があれば承らせていただきたい。
  72. 山中貞則

    山中国務大臣 ただいまの片山元総理と佐藤総理大臣との間のそのようなお話を、全く私は知りませんでした。もし栗林君がそういうことを前置きして質問してくだされば、このような答弁は私はしていないと思います。しかし、それはもう口を出たことばでありますから、先ほど申し上げたとおりの私自身の気持ちを申し上げたわけであります。総理がそういうお気持ちであれば、閣僚として当然総理のおことばに従うべきであります。また憲法九十九条は、閣僚には厳然と国務大臣として憲法を守る義務を課せられておりますから、その義務に違反する行為をするわけはないわけでありまして、当然憲法を順守することにおいて変わりはありません。
  73. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 終わります。
  74. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 東中君。
  75. 東中光雄

    ○東中委員 時間がありませんので、私、質問するつもりではなかったんですけれども、一点だけお聞きしておきたいのですが、憲法九十九条は、順守義務ではなくて、尊重と擁護の義務を言っているわけです。だから国務大臣は、積極的に擁護し尊重しなければいけないわけです。憲法について答えない、憲法については国務大臣として触れないのだ、こう言われますと、これは憲法九十九条の趣旨からいって非常にまずいことになるのではないか。憲法を否定するような発言をされたということが問題になっておるのであって、およそ憲法について言わないということになったら、憲法擁護の義務が踏みにじられることになります。国務大臣としては、憲法を尊重し擁護する、そういう立場から、やはり憲法の問題にもどんどん発言をしてもらわなければいかぬのではないか、こう思うのですが、御所見をお伺いしておきたいと思います。
  76. 山中貞則

    山中国務大臣 速記録を私なるべくゆっくり読んだつもりですが、そういう憲法を否定するようなことばを私は使っていないと思います。「その憲法の流れというものは国民の中に定着をして、しかも大体好ましい方向に定着をしつつあると思っておりますので」、こう言っておりますから、したがって何も否定する気持ちはないわけです。ただ、本日のこの場においては、いまおっしゃったような背景を持って質疑応答をしておるわけでありますから、この際は、憲法問題について、いまのこの時点の、本日のこの場所において、私は答弁を差し控えさしていただきます、こういうふうに直します。
  77. 東中光雄

    ○東中委員 質問を終わりますが、私が言っているのは、私どもは、押しつけられた憲法だと言われ、そうして翻訳調の憲法だという趣旨のことを言われている。これは憲法の尊厳を尊重しているというよりも、否定をして――抹殺という意味の否定ではなくて、反対の方向に向かっている。尊重し擁護する方向じゃなくて、足を引っぱる方向へ向かっているということを申し上げているわけなんで、そういう点で、そういうことはやられるべきではないということと、それから、一切タブーにする、そういうふうに先ほどの発言では聞こえましたので、それでは困るということを申し上げたのであります。  終わります。
  78. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 大出君。
  79. 大出俊

    ○大出委員 これはけさほど、大蔵省の主計局長相澤さんに、前回の私の質問の結果、水田大蔵大臣と相談を早急にいたします、こういう答弁でございましたから、その結果を、坂村さんの御連絡もいただきまして、連絡をとったわけでありますけれども、そのときの主計局長答弁というのは、電話でありますけれども、質問が続き本会議ということになるというので、時間がある、だからその間に大臣とも相談をする、総理府とも連絡をとる。時間はきょうしかないというふうに判断をするからと言ったところが、その結果をいずれにしても明らかにしたいということだったのでありますが、以来なしのつぶてで、こちらからいろいろものを言っていますが、どうなったという話もなければ、出席するしないについても何とも言ってこないという、いささかどうも腹た据えかねているのですが、これはどういうことになっていますかな。
  80. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 委員長からちょっとお答えいたしますが、ただいまの御発言については、委員長も事前に承知しておりましたから大蔵省へ連絡させておりましたところが、残念ながら主計局長外出中だということで、そのあとをいま大蔵省に調査をさせておる段階でありますので、できればこの際、先般、大出君との質疑の中に論議せられた問題について、必要があれば総務長官から、さらにあなたの御質問によって確認をされて処理ができればたいへんにありがたい、かように思います。
  81. 大出俊

    ○大出委員 これはやはり大蔵省のおるところで言いませんと、全くどうも前のいきさつからして筋が通らぬことになると私は思っているのですよ。  この点は実は事情がありまして、私は前から申し上げておるように、給与の切りかえというふうな問題をめぐりまして、この期に及んでさてストライキなどということを――これは三百六十円問題というのは、つまりレート変更という問題は、少なくとも沖繩の働くの皆さんに何の責任もないのです。したがって、その結果ストライキを続けるなどということで、私は沖繩の郵政庁との関係を詳しく知っておりますが、郵便あるいは電信電話の皆さんがここで無期限というようなストライキをやりますと、屋良さんから電報なども来ておりますけれども、つまり復帰事務ができなくなるという。総務長官おいでになりますが、これは給与担当の責任者でおいでになります。私ども内閣委員会も給与の責任を負う委員会でございますから、そういう立場で、そういうばかなことをやらせるわけにはいかぬと私は実は思っている。だからいかなることがあっても決着はつけたい。  ところで、連休に入ってしまいますので、来月二日からというようなことを予定してものを言っておりますから、ずるずるとそのまま飛び込んでしまったなどということになりますと、琉球政府の主席が切りかえにあたって苦悶しておられますし、また山中さんはじめ関係の皆さんがたいへん御努力をされておる結果でありますから、私ども立場からすれば、ずいぶん無理をしながら二つの法律をあげている手前もあります。また坂村さんはじめ皆さんに沖繩現地にお出かけをいただいたという責任もあります。そういう意味で、やはり大蔵省にものを聞いておいてもらわぬと、立場上非常に私は遺憾であると申し上げたいのですよ。朝からものを言ってあって何の連絡もないという。これはいかに大蔵省であっても、どうもいささか理不尽な態度だと思うので、一体なぜお見えになれぬのか、理由は明確にしておいていただきたい。
  82. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  83. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 速記を始めて。
  84. 大出俊

    ○大出委員 問題は二つありまして、一つは、先般、私、御質問申し上げております。これは、現給比較の面でこうする、ああするというこまかい技術的なものの詰めがございました。この点については、大蔵省側も異存はないという趣旨発言でございました。もう一つの問題、つまり特別手当ということになった場合の換算計算のしかたについて、これがどうも、この公務員の給与に限らず、消費者米価などの問題もある、あるいはその他も幾つも問題がある、だから、そういうたてまえからすると、どうも大蔵省は旧来の方針を守りたい、こういうようなことであります。ところが、実はこれが一番基本になる問題で、そのために沖繩現地の公務員関係の諸君にすれば、それが決着がつかない限りは、あらためてひとつわれわれの権利行使をしたい、こういうことであります。したがって私は、この点についてはどうしてもこの席で決着をつけたい、こういうふうに思っている。  方法は幾つかありまして、前もってこれは非公式な席上でも総務長官とやりとりしたことがありまして、いろいろあると思いますけれども、いずれにせよ私ども立場からすれば、その意味での損失は現地の公務員たるべき人たちに与えたくない。つまり三百六十円というものについて確保していただく、こういったところがポイントでありまして、この点がはたして責任を負い得るのか、得ないのか。得ないなら得ないで、私はこれは沖繩へ飛ぶつもりでおりますが、これはやるだけやってもらわなければしようがない。われわれもその責任を感じておりますから。残念ながらいまのところでそれができなかった。率直におわびをしなければいかぬと思っておりますが、そういう意味でこれははっきりしていただきたい。これがまず第一でございます。
  85. 山中貞則

    山中国務大臣 沖繩の人たちは、変動相場制への移行も円切上げも何ら関知せず、また沖繩の人々の意思を反映したものでもありません。したがって、その結果の犠牲を沖繩の人が負う何らのいわれもありません。したがって、先般の委員会において、ただいま御指摘のような点で若干の詰めが甘かった点は私も認めますが、これは人事院規則が定めることでありますから、私の給与担当大臣としての職責をかけていままで約束したことを実行いたします。この点で御了解を願いたいと思います。
  86. 大出俊

    ○大出委員 結論は、いま総務長官がおっしゃったように、人事院規則で書くことでございますから、平たく言えば、書いてしまえばいいということなのです、私に言わせれば。つまり人事院が書くということについて、現実ですからこれはやむを得ませんが、この背景となるべき予算官庁といったところがいろいろものを言うということが、実ははっきり言えば、私は不穏当だと思っておるのです。人事院が書く。これは人事院に責任があるのですから、規則制定権があるのですから、そういう意味で規則でうたうのですから、書いてしまう。それを書くなということを予算官庁が言うこと自体に、実は私は問題があると思う。ところが、そこからさらに政治的に一歩出てものを言うとなると、なお問題がある。だから私は、その意味で大蔵省の責任をここで明確にしてもらおうと思って呼んでおるのです、正直に言えば。ところが幾ら言っても出てこないのです。しかも直接話して、時間まで、本会議が終わったら開くということははっきりしておる。これは与党の理事さんからそういうふうに話がいっている。にもかかわらず、相談の結果の音さたもなければ、出席もしないでほっぽらかされたのでは、審議権の手前もあります。ただで済ます気持ちはない。  この点は、後ほど私は大蔵省に明確にしていただきたいと思っておるのですが、それだけやっていますと話がそれるから、総務長官のいまの御答弁に返るわけですが、まさに人事院が人事院の規則制定権において書く、こういう筋合いです。その意味で、当然総理府は責任を負っていただけるとはっきり言明をなさるなら一つまり私は、三百六十円一ドルの読みかえという意味ではありません。結論として三百六十円になる、そういう計算になるということであれば私は責任を負える、こう思うのですが、念のために、くどいようでございますが、よろしゅうございますか。
  87. 山中貞則

    山中国務大臣 逆に言いますと、そのとおりならなかったら、私が職を去ります。職をかけて実現します。以上です。
  88. 大出俊

    ○大出委員 わかりました。たいへん前向きなおことばをいただきましたので、その点はそれで了解いたします。  二番目の問題でありますが、つまり私は前回警察方式ということばを使いましたが、これはわかっている者同士の話のつもりでものを言っているのですが、警察方式といっても、これは先例はそれしかないからそういうことを申し上げたのです。  沖繩という特殊な地域でございますだけに、しかも、たとえば先般私が質問しましたのは沖繩の郵政庁の諸君でありますが、これは昨年七月に一三%上がっている。現行給与に入っているのです。淵源にさかのぼれば、弁務官その他の命令によりまして、立法院がきめた予算の執行停止をされたという時代までありまして、そこらをいろいろなやりとりの中で切り抜けて現行の賃金水準を維持しているという例であります。それは現実であります。だからそういう点からすると、総務長官からも何べんか御答弁をいただきましたが、つまり現給比較の面で高い分だけ何年かでいわゆる消し込み方式という形をとるということになっている。その場合に、警察方式というのは非常に早く次々に落としていったわけであります。だからベースアップその他みんな入っているわけでありますが、現場の方々に極端な変動を与えないために、現状変更を極端にしないために、なるべく期間をかけて消していく。私も郵政大臣にお目にかかりましていろいろやりとりいたしましたが、そういう方式にした。たとえばベース改定のときには落とさない。また公務員の一号というのは郵政職員の四号でございますけれども、昇給で消す場合にも、半分、四号のうち二号、だから公務員でいえば〇・五号になるわけでありますが、そういうものは残して、そういうゆるやかな消し方をしているというふうなやりとりになってきているわけであります。これを国家公務員、地方公務員の諸君に当てはめてものを言えば、中身にこまかくは触れませんけれども、やはりゆるやかな消し方をしていただきませんと、早急に消していきますと、これは現状変更を大きくやらなければならぬということになる。まして基本給においては既得権が維持できないのでありますから、そういう意味では、そのことだけでも沖繩は来月二日からストライキをやろうというのが職員の考えであります。だから、この点については十分お考えをいただいて、ゆるやかな、つまり現状変更を大きく求めないという形の消し方をしていっていただきませんと、そのことだけでまた大きな問題にぶつかってしまいます。  そういう意味で、長官、担当の責任者という立場で特にこの点は御配慮いただきたい。大蔵省がおいでになればもっとはっきりさせていただきたいと思うのでございますけれども、とりあえずこの点についてお考えを述べていただきたいと思います。
  89. 山中貞則

    山中国務大臣 いまの点は話はついているわけです。これは琉球政府と琉球の官公労、そして人事院を含めて、これは大蔵も異存はありません。いわゆる人為的な操作を加えないで、自然に昇給、ベースアップ等によって消化されていく十分な期間ということで設定いたしておりまして、この点については双方異論はないわけであります。この点あらためてはっきり申し上げておきます。
  90. 大出俊

    ○大出委員 長官お答えになっている趣旨はわからぬわけではない。ないけれども、たとえば端数をどういうふうに整理していくかということになりますと、この端数から落としていくという消し方をしていくということになりますと、つまりそこに予算担当官庁の側からいろいろな異論が出てくる。大筋は、いま長官のおっしゃったとおり、そこを私は実は心配しているのです。  もう一つは、八・六%の賃金勧告が出ておりまして、実施されていないわけでありますから、今回の切りかえの中に含むという形で入ってくるわけであります。だからその意味では、特別手当という名がついておりますけれども、それらを考えなければならぬという技術的な問題が出てくるかもしれぬ。そうすると、そこらについても、これは私も話し合いの経過を全く知らぬわけではありませんけれども、たいへんそのことに不満がある。なぜならば、郵政のような場合は、昨年七月に一三%上がって現行給与に入ってしまっているわけです。八・六%という一般公務員の方々の場合には入っていない。そういう点で、片や既得権化されているというところに、一般公務員、地方公務員の方々との間の、郵政あたりとの間の消し方の差が出てくるということになると、ここにもあらためてものを考え、ものを言い、何かをかまえなければならぬということになる。そういう現地の方々の声を私、直接聞いております。だから、ここらについて特に時間をかけて、期待権、既得権になっているわけですから、それに急激な大きな変動を与えるということなしに慎重な御配慮を賜わりたい、こう考えておるわけです。私は、必ずしもこれは大蔵省が黙っている筋合いでもない、こう思っておりますので、いささかどうも、人事院がこうだというのを陰でものを言われるのは、きょう大蔵省がいませんからおもしろくないのですけれども長官のところで、とくとその点をお含みいただきたい、こういう意味で申し上げたいのであります。
  91. 山中貞則

    山中国務大臣 これはお互い苦労して、全逓関係がああいう方式になりました。しかし公務員のほうは、何らトラブルなくその点は話が初めからついておりますから、問題はありません。
  92. 大出俊

    ○大出委員 それではひとつ、総理府の側で、総務長官のところでできるだけ――沖繩を長らく手がけておいでになりましたから、現状をよくおわかりの上で、復帰にあたって気持ちよく仕事もする、そういうことで公務員の諸君に帰ってきていただけるようにという気持ちでおっしゃっているわけでありますから、総務長官との間は、いま総務長官のおっしゃるとおり進んでいると私は思うのであります。ただ、ここにあらわれない諸君のところが――あらわれないのをものを言うのは妙なことだけれども、そちらの側を意識しますので、そういう意味で、そのことのためにこれはおかしなことになるとすれば、一にかかって大蔵省の責任だということになりますけれども、特にそういう意味で念を押しているわけでございますから、そこのところをお含みの上でひとつ処理に当たっていただきますように、二番目の点は特に強調しておきたいわけであります。おそらく人事院の方々のほうは、現地の公務員の代表の方々と再三再四の話が長期間にわたって続いておりますから、その諸君の気持ちは十分おわかりになっていると思います。先般、私は人事院には答弁を求めませんでしたが、どうかそこらのところもひとつあわせてお含みおきいただきまして善処を願うようお願い申し上げまして、質問を終わります。      ――――◇―――――
  93. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 内閣提出、第六十七回国会閣法第一八号、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。木原実君。
  94. 木原実

    木原委員 午前中に少し質問を申し上げましたけれども、引き続いて、自衛隊沖繩配備関連をする問題で二、三伺いたいと思います。  先般の国防会議で新しい決定が行なわれ、一部の先遣の人たちがすでに沖繩に行っておる。結局、私どもが見ますと、ほぼ久保・カ-チス協定で公表されましたような形――若干の時間のズレや人員の削減等があるようでございますけれども、そういう形で新しく自衛隊が沖繩に配備されるということになったら、これもいろいろ問題があるわけでありますけれども、そのことに関連して一つ気になりますことは、沖繩に配備をされる自衛隊の人たち、しかもあそこには、御承知のように戦闘任務についておるアメリカの部隊が存在をしておる。あるいはまた、その基地や施設が従前とあまり変わらないような形で存続をしておる。本土の防衛線が単に延びたというだけではなくて、ある意味ではベトナムの戦況等と考えあわせますと、現に作戦に従事しておるようなアメリカの部隊の地域にいわば配備をされるわけであります。そういうことになりますと、私は自衛隊としては異例のことではないかと思うのです。  そういう際に、ひとつまずお伺いしたいのですけれども、そういうアメリカの部隊との共同の関係、協力の関係、そういうことについては、何か取りきめなり話し合いなり、あるいは別の新しいそういう話し合いのようなものが行なわれていっているのかどうか、その点をまずお聞きしたいと思います。
  95. 久保卓也

    ○久保政府委員 現在、米側と協議をしておりますのは、部隊の配備そのものが中心であります。そのほかの面では、領空侵犯措置なり防空任務の引き継ぎなりが沖繩復帰の時期より若干おくれますので、そのことについての打ち合わせをやっております。  ところで、双方の部隊が沖繩に共存した場合の双方の任務分担及びその任務を、どういうふうに協定なり協議をしてやるかということについては、全然話は進んでおりません。この点につきましては問題がないわけではありませんが、昔、本土で自衛隊と米軍の部隊が共存しておりましたのと同じような状況で、いい悪いは別でありますけれども、いまのところそういったものについての協議をする考えは持っておりません。
  96. 木原実

    木原委員 そうしますと、従来、本土におけるような関係のものが、たとえばそのまま移される。沖繩という、現に稼働しておるような状態、ある意味では特殊な雰囲気だと思うのですが、そういうようなことについての話し合いはあらためてやる意思もない、そういうことですね。
  97. 久保卓也

    ○久保政府委員 米側から特にそういう要望もございませんし、私どものほうでも、いまの状況で特にそういうことをする必要があるかどうか、まだその必要性については認めておりません。ただし、現地に参りますのが陸海空のそれぞれの別個の部隊でありますので、琉球政府に対する窓口、あるいは県民に対する窓口、場合によっては米軍側に対する窓口という意味で、調整的な機能を航空部隊の長には与える。これは言うなれば内政的な意味合いでございますが、そういう程度しか考えておりません。
  98. 木原実

    木原委員 そういう意味では調整の窓口をおつくりになる、これは一つのあれだと思うのですが、そのことよりも気になるのは、非常に動いている状況ですから、おそらく五月十五日という時点で考えましても、なお現実に戦火の拡大をしておるような姿がベトナムにあるわけでありますし、ベトナムとの米軍の往来はかなりひんぱんだと考えなくてはなりません。そういう中に、最初は小部隊でありますけれども、しかし少なくとも年を越しますと、かなりのこちらの部隊が移駐をしていく。そういう場合に、幸いにして波が静まっておりますれば、比較的本土で体験をしたような形のままで遂行できると思いますけれども、しかしながら、必ずしもそうはまいらない要素があるわけであります。  ですから、ここでお伺いしたいことは、そうしますと、本土でいままで行なわれてきたような協定なり共同の体制なんというものがそのままあそこへ移されて、沖繩の特殊の条件に基づいて、特別に任務の分担とか話し合いをやる要素、共同とか連携とかの措置については、これからもやる意思はない、こういうことですね。
  99. 久保卓也

    ○久保政府委員 当面予想し得ますのは、沖繩においては、返還後はちょうど昭和三十年代の日本本土と同じようで、米軍もおりますし、あるいはレーダーサイトを両方で使うというような状況が続いてまいります。両方と申しましたのは、防空任務を引き継ぐ来年七月一日以降は自衛隊がレーダーサイトを運用いたしますけれども、その際に米軍の連絡員が来ておるというのがちょうど昭和三十年代の日本本土と同じであります。そういうことについての協議は必要であろうと思いますけれども、いま御質問のような点については、少なくとも現在は全く考えておりません。
  100. 木原実

    木原委員 不測の事態というようなことを考えるのはよけいなことかもしれませんけれども、しかしながら、繰り返すようですけれども、現に作戦に従事をしておる状態のところ、しかも一衣帯水のところで、今度は中国なり台湾なりのかなり緊張した関係が存在をしておる、そういう状況が片方にはあります。それから自衛隊というのは、私どもの見るところでは、戦時編制とか平時編制とかいうようなものはなくて、いわゆる有事即応の体制で、しかもかなりの武器を携行して行っているわけですね。そういう形になっていて、かりに、有事というあれもいろいろあるでしょうけれども、そういうことになった場合は、これはどういうことになるのですか。   〔委員長退席、坂村委員長代理着席〕
  101. 久保卓也

    ○久保政府委員 日米関係につきましては、いまのあり方については批判をすることは十分可能だと思います。つまり防衛行動上の効率が高いか低いかという問題については問題があろうと思います。しかしながら、現在の国内の政治情勢をわれわれはなるべく考慮するというたてまえ、あるいは国民感情を考慮するというたてまえから、米軍も自衛隊も別個である。有事の場合には共同して沖繩の防衛に当たり得ましょうけれども、その際にもあくまでも双方が協議をするということで、指揮系統を別々にするという上での協議でしかない。それが防衛行動上効率が悪いということは、これは軍事面から言えば言えることですけれども、われわれの政治情勢あるいは内政上の事情から言えば、やむを得ないのではなかろうかというふうに思っております。
  102. 木原実

    木原委員 もっと具体的に言いますと、気になるのは航空隊です。飛行機の関係ですね。これは先般も尖閣列島の問題が出ましたけれども、ある意味では問題を起こしやすい状態があるわけですね。そういう場合の調整といいますか、規制といいますか、たとえばいつか国会で問題になりました松前・バーンズ協定といったようなものが現実に生きて働いていて、そういう一定のワクの中に入る、そういう解釈でよろしいですか。
  103. 久保卓也

    ○久保政府委員 まず松前・バーンズ協定は、領空侵犯措置を米側にゆだねている間、したがいまして本年中であります。来年からは自衛隊が運用いたしますので、そういった場合に、松前・バーンズ協定は再び眠ることになるのか、あるいは別の形で生かすのか。といいますのは、本土では防空の任務を持っております米軍の部隊はおらないわけでありますが、まれに岩国の海兵隊を利用する場合がございますので、あるいは別の形にするということも考えられますが、いずれにせよ年内でしかありません。そこで、年が明けました場合には、主として防空の任務というものは、特にナイキ、ホークという、レーダー、それからミサイル部隊がわがほうの運用に帰する来年の七月一日以降というのは、防空任務は全部自衛隊がやる印そうして米側は防空任務を持つものはなくなります。ただし、お気づきだと思いますけれども、F4が現在米軍のものとして残っておりますけれども、このF4というのは、防空任務にも、それから支援戦闘機にも両方使えるわけでありますけれども、情報によれば、F4がA7という地上攻撃機にかわる可能性があるというふうに伝えられております。そういたしますると、完全に防空については米側はタッチする機能を持っておらないということになります。ですから、あげて自衛隊がそれに従事をする。そうして米軍の機能というものは、あくまでも沖繩の一般的な防衛と安全と平和への寄与という普遍的な任務になる。そこで性格がさい然と分かれるということで、御心配のような実態が出てこないのではなかろうかというふうに考えております。
  104. 木原実

    木原委員 そうしますと、それは明年の一月一日以降ということですね、局長のおっしゃいましたような状態がもし実現をするとすれば。
  105. 久保卓也

    ○久保政府委員 来年の一月一日以降は、領空侵犯措置はわがほうが持ちますが、防空任務全般の引き継ぎは来年の七月一日以降になりますから、それについてはいわゆる協議になります。
  106. 木原実

    木原委員 そういうことになると、防空措置については自衛隊が主役になっていく。ただその際も、これは直接沖繩の防衛といいますか、局長のおっしゃいましたような、アメリカがそういう一般的な任務につくのですが、しかしあそこにある基地それ自体は、たとえばベトナム戦争の状態等によれば、ベトナムに向かっては絶えず能動的に動いていると見なくてはなりませんけれども、それに参画をする後方基地その他のまた別の形で存在をする。これはたとえば事前協議の対象になるかどうかは別にしまして、そういうものが来ると考えなくちゃいけませんね。そういうものはまた全然別の存在として見ていくわけですか。それともこの関連というものは出てこないわけですか。
  107. 久保卓也

    ○久保政府委員 おっしゃいますように、事前協議の問題がいろいろ問題としては出てこようと思いますけれども、どう考えましても、自衛隊の防衛任務あるいは自衛隊のあり方と、それからいかに活動的であれ、いかにベトナム戦争にも関連があれ、沖繩にある米軍との関連というものはどうも出てきそうにないと思います。
  108. 木原実

    木原委員 たとえば尖閣列島の問題がある。いずれわれわれがパトロールをする地域になっていく、そういう問題が一方にありますね。不測の事態というのは、有事というのはいろいろなケースが考えられる。あまり考えたくはありませんけれども。やはりそれだけ緊張した前線に近いところですから、かなり念を入れておかなければならぬと思うわけですけれども、そういう場合に、何か国際的な接触があったというような場合に、かなり複雑な形態になってくるのじゃないかと思うのですね。つまり日本の防空任務というものが、一体どこまでが日本固有の任務であって、それからどこからどこまでがアメリカの基地に関連をする部分の防衛任務であるのかというような問題が出てきがちだと思うのです。刺激を受ける相手側のほうは、そんなことはおかまいないわけですから、そういうことについてはやはりかなり詰めた検討を必要とする状況ではないですか。
  109. 久保卓也

    ○久保政府委員 これは防空という場合には、主として沖繩本島の防空ということを考えております。したがいまして、無数に存在する島の上空を全部守り切れるというものではなかなかないと思います。この点は本土と少しありようが違うように思うのですが、そういう意味で、単純に領空侵犯措置があり、それに対する措置をとって、それからまた戦闘行動に発展をするといったような実態というものはたいへん考えにくいと思うのですけれども、主として沖繩本島についてそういう実態が出てくる可能性はないではないと思いますが、その場合でもやはり、本格的な攻撃の形であるのか、あるいはたまたま領空侵犯をやったことであるのか、そういうことの態様によって違ってまいろうかと思います。それで、あくまで防空というときには沖繩本島を中心にして考えたいと思うのですけれども、その態様は、いまおっしゃいますように、おそらく千差万別のものがあろうと思いますので、この点については、私どものほうでは統幕を中心に今後研究をしてもらおう、こういうふうに考えております。
  110. 木原実

    木原委員 話がちょっと戻るようですが、来年一月までは、たとえば表に出た問題としては、松前・バーンズ協定、そういうもので制約をされる。それから先の問題については一般的な関係に返ってくる。その段階でいろいろな態様については考えていく。おおむねそういうことですね。  それでお伺いをしたいわけなんですが、この自由出撃、事前協議にかかわる分野の問題がやはり出てくると思うのです。政府のほうでは、これは防衛庁の所管ではありませんけれども、外務省あたりで、いままでの問題について一ぺん洗い直すとか、あるいは検討をするとか、こういう話が伝わっております。しかし、少なくともいままで事前協議というのは一回も開かれなかったということも含めて、実際に機能しておったかどうか、疑わしい面もたくさんあるわけです。ところが、沖繩の事態の中では、それがもっとひんぱんに、しかももっと複雑で困難な状態で出てくるだろうということは目に見えている。しかもその上、おそらくあそこにいる自衛隊と日常的な関係の中でたくさん出てくる問題もあるような感じがするわけでございます。  そこで、航空のことに関連をしてお伺いをするわけなんですけれども、何か航空につきましては、たとえばアメリカの軍用機が他国の基地をたたく、そのことについては、いままでも一定の黙認というか、そういうものを与えていたのですかどうですか。
  111. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは政府問題ですから私からお答え申し上げますが、そういうことはあり得ないと確信をしております。
  112. 木原実

    木原委員 たてまえからすればそうだと思うのですね。しかし、たとえば先般問題になりましたアメリカの議会でのジョンソン次官補の証言によりますと、その点については日本側と明確に合意に達した一点だというような証言があるわけなんです。これはジョンソン次官補の証言として、核兵器の持ち込み問題はさておき、われわれは合意に達している非常に明確なケースが一つだけある。そのケースとは、アメリカの軍用機が他国の地域を爆撃するために日本の基地から出撃するケースである。ワン・クリアカット・ケース、こういう証言が七〇年一月二十六日のアメリカの議会であるのです。そういう事実はございませんか。
  113. 久保卓也

    ○久保政府委員 たしか私もその資料は読んだように思うのですが、その場合のケースというのは、一たん他国に寄って後の爆撃、直接の攻撃ではないというふうに私は当時理解しましたし、外務省が、御承知のようにそう主張しておりますのは、その点についての米側との合意があるというケースだろうと思うのです。
  114. 木原実

    木原委員 ということは、他国に寄って出ていくという分についてはこれはもうしようがないことだ、こういう意味の合意ですか。
  115. 久保卓也

    ○久保政府委員 たとえば、もちろん今回の場合に、たとえ話でありますが、ベトナムにまっすぐ行かないでフィリピンからベトナムに行くという場合。あるいは同じ韓国でありましても、たとえば三十八度線で戦闘が行なわれているというときに、日本本土からまっすぐ進撃をしまして、その戦闘地域で攻撃をするというのは事前協議の対象であるけれども、一たん釜山なら釜山におりて、それから戦闘地域に参加するというのは事前協議の対象ではない。こういった考え方は、私はたしか米側と日本側と意見が一致しているケースであろうというように考えております。
  116. 木原実

    木原委員 私もよくわからないのですけれども、抜け穴になるということはそういうことではないかと思いますが、まあこれは飛行機がどこへ行くかを追跡して見ているわけではありませんから……。  そうしますと、よくアメリカの議会筋等で、アメリカの政府側が、沖繩返還に関連をして、沖繩はともかくこれからも従来とほとんど変わらない形で使えるのだ、われわれは沖繩から自由に発進できるのだ、これからも使える基地として持っていくことができるのだ、施政権は返るけれども、基地の機能はそういう意味では下がらないのだということを、いろいろな機会にしゃべっておりますね。それはアメリカの議会向けの発言だという解釈も成り立つわけですけれども、そういう発言が出る根拠は一体どういうことなんですか。
  117. 江崎真澄

    江崎国務大臣 どうも軍人というのはわりあいそういうことを単純に発言しますから、まあ一つ木原さん御承知のようなそういうものが出てきたかもしれませんが、やはり日米安保条約下においては、いわゆる核抜き本土並みということはそういうことなんですね。ですから当然私どもとしては、直接戦闘に参加したり、爆撃、攻撃を沖繩の基地から行なうことはできない。当然しかるべき地点に寄るなり、途中から任務が変わるなりということでない限りは事前協議の対象になる、こういうふうに理解しております。
  118. 木原実

    木原委員 これは政治の問題であると同時に、沖繩へ行くさしあたっての部隊を考えてみますと、自衛隊の日常業務にたいへん影響を与える問題だと思うのです。波静かであれば、あるいは従来の本土のような状態であれば、なお事前協議がどうのこうのと言って介入をする余地があったかと思うのです。しかし残念なことには、あそこは本土より彼らが戦っている戦場にはるかに近い状態の中で、しかもあそこで文字どおり作戦が行なわれている姿が日常の問題としてあるわけですね。だから、そういう状態であるだけに、その辺のことについては、やはりきびしく状況を押え対処をするしかたを持っていないと、ある意味ではその被害を受けるのはわれわれ国民である。と同時に日常的には、それではそこにいる自衛隊は一体何だということになる。そういう関係が生まれてくると思うのです。だからこれはやはり、たとえば外務省なり政府として事前協議の問題を洗い直すと言っているのですが、どうもその辺もはっきりしません。はっきりしなければ、いまの機会にやはり防衛庁のサイドから、それらの問題について詰めるところは相当詰めておく必要があるのじゃないかと思うのですが、どうですか。そういうことについて、いままでの経験の中で、何かそういうことをめぐっての取りきめなり話し合いなり合意なり、そういうものがあればともかくですけれども、何もないということならば、白紙の状態でいくというならば私はそういうことが問題になると思うのですが、いかがですか。
  119. 江崎真澄

    江崎国務大臣 御指摘の点はきわめて大事なところだと思うのです。幾日でしたか、先般、内閣委員会が行なわれました直後、首相が官房長官を通じて、この事前協議問題について特に外務省側において再検討しろ、また防衛庁においても検討をするように、こういう話があったわけです。それはたまたま木原委員指摘される点と同じことを言っておられるわけでありまして、今後この問題は十分検討をし、事前協議というものについての範囲等も考慮いたしていきたいと思っております。
  120. 木原実

    木原委員 事前協議の問題についてはあれなんですが、一体、事前協議というものが、たいへん動きの激しい状況の中で実際に歯どめとして機能するものだろうかどうだろうかという疑問を私どもやはり持つわけです。だから、でき得べくんば、これは従前どおりの、それこそまた原点に返って、事前協議がきちんとした形で機能をするような、そういう体制を確立をしてもらいたいと思うわけなんです。  それと関連をしまして、午前中ちょっと一言官房長官に筋違いの質問をして、残っているのですが、核の問題につきまして、通過という問題はどうなんですか。持たず、つくらず、持ち込まずは三原則でいいわけですが、通過をしていくというケースについてはどうですか。
  121. 江崎真澄

    江崎国務大臣 通過というものも、私はやはり一つの持ち込みになるというふうに考えられます。日本の領空、領海外を通過する、これはあり得るかもしれません。しかし、かりそめにも本土が利用されて、それが中継地になった形で核が持ち運ばれるということになれば、たとえ通過であっても、それは日本本土への持ち込み、こういう形になるだろうと思います。この見解等については、外務省側が検討をいたしておるところでありますから、当然私どもも外務省側と話し合いをいたしますが、しかしこれはいけないというふうに私は考えます。
  122. 木原実

    木原委員 これは外務省の所管になるわけですけれども、核の通過については、いままで何かしかるべき話し合いをやったとかいうことはございませんか。
  123. 久保卓也

    ○久保政府委員 昨年でありましたか、ニューヨークタイムズに、その点についての取りきめがあるということでだいぶ騒がれて、その後外務省のほうで否定をしたということは私どもも知っております。外務省は常に、そういったものは、書かれたものであれ、口頭であれ、一切米側との協議はないということを言っておりますが、私どもはそれを知っておる範囲でしかございません。
  124. 木原実

    木原委員 これは先般同僚の大出委員から、横須賀に原潜の入港の問題についてきびしい質問があったわけでありますが、どうもやはり私ども見ておりまして、かなり大っぴらで入ってくる。だからこれは、幾ら何でも最小限度のルールというものが必要だろうと思うわけなんです。しかし、かなり大っぴらに入ってくるところを見ると、それなりにやはり最小限度のルールがあるのじゃないかと、私どもとしては疑わざるを得ない、そういう側面があるわけなんです。  今度また沖繩という事態になりますと、横須賀とはまた違った形になってくる。核が完全に抜かれたかどうかはよくわかりませんけれども、それについては、ともあれ政治問題として追及されてきた。しかし、これからの沖繩の問題については、かりにあの島に核がなくなったにしましても、核を装備したであろうような、たとえば原子力潜水艦その他の寄港があり得るわけなんですね。それは持ち込みではない、通過だ、こういう解釈も成り立つような状況というものが考えられるわけなんです。だから、もしそれについて、長官のおっしゃいますように、それも持ち込みの一種だ、こういうことになれば、これはもうはっきりと、核を常時装備する、少なくともその疑いのあるものについてはきびしく措置をしていかなくてはなりませんし、しかし、通過が横須賀のようなかっこうになっていくんだ、既成事実にもなり大っぴらに入ってくるという状況になってくれば、これはまた何か別の問題が出てくるように私は思うわけなんです。そういう事態に対処をして、通過という問題について、あらためて問題を立てて考える意思があるかないかということを実は聞きたかったわけです。しかし長官の御見解だと、これは持ち込み同然だ、断わるのが筋だ、それについてはいままで話し合いをしたこともない、こういうことなんですが、しかし、考えられることは、横須賀とまた違った形でそういう通過的な動きがひんぱんになってくる可能性があります。そういう際はどうするのかということを再度伺っておきたいと思うのです。
  125. 江崎真澄

    江崎国務大臣 横須賀にもそういうことがあったとは私ども思っていないわけです。ましてや今後施政権の戻ってくる沖繩においてそういうことがあっていいはずがない。もともと非核三原則は内閣の重要政策の一つでありまするし、国会の決議にもあるわけですから、これは米軍側によく理解を願うように今後話し合いをしていくことが必要なことだというふうに考えております。
  126. 木原実

    木原委員 もう一つだけお伺いしておきたいのですが、返還後の沖繩の空の区分は一体どういうことになるのですか。
  127. 久保卓也

    ○久保政府委員 空の区分というとわかりにくいのですが、防空識別圏のことでありますれば、大体は米側のものを引き継いでよろしいんではなかろうか。これは台湾の防空識別圏と近接をしてちょうど一線を画しているわけでありますが、その際に問題になりますのは、御承知のように尖閣列島が中に入っているということ。それから与那国島という一番端っこの島の上を通っているということ。つまり、領土ではありますが、防空識別圏という面から見ますると、その点が二分されているというかっこうになっていますこと。それから中共寄りのところでは、舟山列島寄りに非常に近づいているということがあります。  これは防空識別圏の性格から言いますると、沖繩の本土を守るために、味方か敵かわからない、いわゆる識別のはっきりしないものが通ってきたときにこちらが警戒をする。そういった一種のめどをつけるラインでありますから、極端な例を言いますると、たとえば中共なら中共が沖繩の本土に非常に近づいた識別圏を持っており、わがほうがまた同じように中共寄りに識別圏を持っておっても、お互いに文句は言い合う筋合いじゃないのですけれども、それは理屈なんであって、国民感情上は別だということになれば、そういう点も配慮してよろしいんではないか。前にも御答弁申し上げたことがありますが、与那国島とか尖閣列島周辺のことについては、特にこれを変えなければならない理由はなさそうに思いまするし、また特に尖閣列島の場合には、変えることによっていまの領土権問題にいたずらに巻き込まれるのは、われわれの本旨とするところでもございません。ただ、舟山列島のほうについては、やはりそういった中共側の感情というものもある程度考慮して、修正の検討もしてみてよろしいんではなかろうかというふうに思っております。
  128. 木原実

    木原委員 修正検討の余地があるという側面なんですが、これは非常に微妙なところでして、局長がおっしゃるとおりだと思うのです。  それともう一つは、たとえば民間との管制の問題、空域の問題、これは国内的な措置ですから、きちんとついているんでございますか。
  129. 久保卓也

    ○久保政府委員 これは運輸省も私どものほうも、まだ手がついておりません。つまり、本土につきましては、民間航空路は非常に錯綜しておりますので、昨年の航空機事故の経緯にもかんがみまして、訓練空域その他いろいろな規制をやっております。しかしながら、沖繩につきましては、運輸省のほうでも、飛行場について、飛行機を飛ばせることに一生懸命でありまして、空のほうまでいっておらない。もう一つは、いわゆる航空路管制、つまり民間航空機が常時飛ぶルートについては、運輸省がたしか二年後に引き受けるということであったろうと思いますが、飛行場管制、進入管制ですか、沖繩のたとえば那覇と嘉手納と普天間、この三つの飛行場合わせました管制につきましては、当分米側が持っておるという関係もありまして、空の管制については、いまのところまだはっきりしためどが立っておらないというようなことでありますので、これは運輸省のほうで将来の方針がつけば、その中でわれわれのほうの訓練空域その他の規制関係も取り入れてもらうということになろうと思います。   〔坂村委員長代理退席、委員長着席〕
  130. 木原実

    木原委員 これは識別圏の問題と相互にいろいろ関連してくる問題だろうと思います。しかもアメリカがかなり空の権限も持っておる。一体、そういうものがきちんと解決をしていく期限ですね。空が返ってこないというと少しオーバーになるかもしれませんけれども、返ってくるような状態になって、アメリカの持ち分、これは定まるものなら定めていいのですけれども、それと国内的に自衛隊が使う分野、それから民間が使う分野、管制上の問題その他が出てくると思うのですが、これはいま二年ぐらいとおっしゃいましたけれども、何か日限のめどはありますか。
  131. 久保卓也

    ○久保政府委員 これも運輸省の仕事でありますので、私は直接は知っておりませんが、話を聞いておりますると、先ほど申し上げましたように、航空路管制については二年で、それから進入管制その他については、まだ米側との見通しがはっきり立っておらないということを答えておりましたので、おそらくそういうまだ非常に不確定な状況であろうと思います。
  132. 木原実

    木原委員 加藤委員がお待ちですから、そろそろ終わりたいと思いますけれども、やはり一番気になることは空、飛行機の問題だし、それから海の問題だと思うんです。海の問題につきましてはともかくですが、空の問題につきましては、空の状況がそういうことでもあるし、それからまた、現に作戦に従事しているアメリカ側の飛行機が飛びかっているという状況を想定をしなければなりませんから、その辺のけじめをきちんとやっておきませんと、これは平和的に沖繩に出かけていっているんだというわけですけれども、不測の事態に巻き込まれる条件なり状況というものが非常に多いような感じがするわけなんです。  したがいまして、いままでも、返還につきましては他のことでいろいろ問題がありましたけれども、五月十五日に復帰をしたら、幾つかの何か直接戦争にかかわるような問題が未解決のまま残っていく。しかも、そこに自衛隊が最終的には六千何百名行く、こういう状態になるわけですから、未解決の分野、それからまた、そういう接触やその他のことで不測の事態を招きかねないような条件については、これは一つ一つ詰めてもらいたいと思うわけです。私ども、なお状況がよくわかりませんけれども、空の問題についてこれからもひとつ私どもなりに問題を出していきたいと思います。  それで、最後にお伺いをしておきたいわけですが、結局は繰り返すようですけれども、沖繩に出かけていった自衛隊とアメリカとの関係については、新しい何か協定なりあるいは協力関係の取りきめというものはない。ただ空の問題について言えば、来年の一月以降ないしは七月以降はある程度平時の状態に返ってくる姿がある、その動きの中で何かまた問題をつかまえて考えていく、こういう状況だというふうに判断してよろしいですか。
  133. 久保卓也

    ○久保政府委員 本土と違いまして、沖繩の場合には島の地域あるいは空域が非常に本土よりも狭い。それにもかかわらず米側の飛行機がたくさんある。しかも、ベトナム戦争その他、いわゆる極東の安全と平和に寄与する分野、機能というものが非常に強いということで、沖繩におきまする米軍の部隊の運用というものは、あるいは本土とだいぶ違うかもしれません。私どもは、まだ部隊が行っておりませんのでその実態を知っておりませんが、いずれわがほうの部隊が配備され、また航空部隊が共存するようになった場合に、米側の部隊の運用の実態がわかってまいりますと、いま先生の御指摘になったような事柄あるいは問題点というものが出てくるかもしれません。そこで、航空自衛隊の飛行機が参りますのはこの十一月以降でありますが、おそらく来年ぐらいになれば、そういったような問題が生じてくるにつれて、十分に実態に応じた検討をしてみたいと思います。
  134. 木原実

    木原委員 終わります。
  135. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 加藤陽三君。
  136. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員 まず防衛庁長官にお伺いいたします。  この間ニクソンが訪中したわけでありますし、来月は沖繩が日本に返ってくるわけであります。こういう新しい情勢の変化に伴いまして、極東における緊張が緩和したとか、するんだというふうな議論もありますが、どういうふうにお考えになりますか。
  137. 江崎真澄

    江崎国務大臣 ニクソン訪中がいわゆる極東の緊張緩和の方向を暗示したといいますか、それは言えると思います。一つのきざしが見えてきたと言いましょうか。しかし、ただ一回の訪中の事実をとらえて、これが極東の平和的なものとして定着をしたとはとうてい考えられません。やはりもう少し情勢を見きわめませんと、このこと自体の評価というものはきわめてむずかしい、こう思っております。そればかりか、あのベトナムの戦局一つをとってみましても、地上軍の撤退に伴う緩和、またその後の北の南に対する浸透、これに対する反撃というわけで、緊張と緩和とを繰り返しておる状況に見ましても、やはり緊張の緩和、特に平和の定着というためには相当な期間がかかるであろう、こんな見通しで情勢を注視しておるというのが現在の私ども立場でございます。
  138. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員 よくわかりました。私も大体同じような意見なんですが、ちょっと話は変わりますけれども、最近スクランブルなどの回数はどれくらいありますか。
  139. 久保卓也

    ○久保政府委員 スクランブルは、過去の例から申しますと四十二年がピークでありまして、あとは大体横ばい、つまり三百数十件、四百件近くになっております。ただ、スクランブルにまでは至りませんが、日本本土に近づいてくる航空機の機数、これは例年ふえております。特に昨年は過去で一番多くありましたし、ことしの三月まででも昨年より若干多目というようなかっこうになっております。
  140. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員 スクランブルの回数は大体同じようなことだというふうな話ですが、日本の領空、領海に近ずく外国の飛行機の機数がふえておるということは、やはり私はたいへん重要な問題だと思うのですが、どういう方面に飛行機が接近している回数が多いんですか。
  141. 久保卓也

    ○久保政府委員 航空機の機数としまして多くなっておりますのはやはり日本海方面で、特に比較的に申せば、日本海のほうでも南部、つまり北海道とか奥羽地方寄りのところであるよりも、これは機数そのものの絶対数はそれのほうが多いわけですけれども、相対的に申せば西部方面に比較的ふえてきつつあるというふうな傾向が見受けられます。全般的な、たとえば日本海から出まして日本を一周するようなもの、これはここのところ出ておりません。ただし北海道の東南部、それから三陸沖といったようなところはやはり相当多いというような傾向であります。いわゆる東京急行、房総沖に参りまする不明機でありますが、これはことしは例年よりも少し多いというような状況で、全般的に申せば、一番絶対数の多いのはやはり日本海でも北の方。しかし最近では比較的南のほうが目立ってまいった、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
  142. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員 昨年でしたか、津軽海峡を国籍不明の潜水艦が通っていったというふうな記事が出ておりましたが、御承知のとおり、ソ連はマラッカ海峡を国際化しろというような主張もしておりますわけですから、津軽海峡も彼らは公海だというようなことを言っておるんだということを私は承知しておりますが、津軽海峡及び朝鮮海峡並びに宗谷海峡等に外国の潜水艦の領海内の潜航をした進行ですね。水上に姿を出せば無害通航ができるんだというふうな国際法上の慣例もあるようですが、そういうような例はありませんか。
  143. 久保卓也

    ○久保政府委員 これは調べれば、あるいはデータが海上自衛隊のほうで持っておるかもわかりませんが、私、調べてまいりませんでしたので数字を持っておりませんが、領海のところを通ったということについては、いままで報告を受けておりません。特異なものについては報告があるはずでありますが、ただし、それらの海峡において十分不明の潜水艦を把握できているかどうかということになりますと、またおのずから別な問題になります。
  144. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員 自衛隊の力の一つの例証として、去年中に津軽海峡を潜航して通航した潜水艦の数、もしわかっておれば、また公表してよければ、ここでお知らせいただきたい。
  145. 久保卓也

    ○久保政府委員 私はいま承知しておりませんが、調べてもしわかればお知らせ申し上げます。
  146. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員 それでは、これはまたあとで、資料をいただきました上であるいは御質問するかもしれません。  その次に私がお伺いしたいのは、社会党の楢崎氏がいわゆる秘密電報というものを持ち出されたわけですね。私は新聞で見ただけでありますが、アメリカの海軍長官が、作戦部長とか太平洋海軍司令官を飛ばして、在日米海軍司令官に直接に電報を打つなんということは、私には考えられないわけです。しかし中には、あの記事を読まれてショックを受けられた国民の方も相当おるのじゃないかと私は思うわけです。  そこで、これは長官にお伺いしたいのですが、日本の自衛官が米軍と職務上接触をするにつきまして、何らか規則とか規制とかいうものはしていらっしゃいますか。
  147. 江崎真澄

    江崎国務大臣 あの問題につきましては、私どもも深い関心を持ったわけです。あの電報の提示がありましたときに、私は第一委員室で率直に、アメリカの考えていないことがこういう電報の形になるはずがないと思う、ましてや米中会談によって一つの緊張緩和の方向のきざしというものがあらわれておるときに、いかにも一月五日という時点、ニクソンの訪中を前にしたところで、またそういうことを言うはずもないということを申した記憶があります。  部内においては、日米協力関係でありますから、米軍のユニフォームと話し合いをするということは、当然これはしばしばいろいろな階級を通じてあることです。あることですが、非核三原則というのは、これは厳たる内閣の政策であるばかりか、国会の決議事項でもありますし、かりそめにもあの電報の内容にあるようなことが軽々に話し合われるということはあろうはずもないし、これは想像だにできないことです。また、かりにあったとすれば、これは直ちに上司に対する報告事項という形になってあらわれたろうと思えるのであります。  あの問題がありましてから、次官また幕僚長等々に厳命をいたしまして、もちろん部内を調査いたしましたが、そういう片りんだにないという回答を得て、満足をしておるような次第であります。  規則等については、政府委員からお答え申し上げます。
  148. 久保卓也

    ○久保政府委員 格別に規制をしておるものはございません。ただ、比較的正規のものといたしましては、四十二年十二月の安保協議委員会決定されました日米の幕僚研究会同というのがございます。これは、米側から返還される基地あるいは共同使用をしております基地について、どういった防衛上の任務を果たしておるか、従来そういった面での協議が少なかったので、それについての検討を行なわせるという趣旨のもとにやったものでありますが、こういうものを中心にしての情報の交換が行なわれております。  これが正規のものでありますが、あと、陸海空幕僚幹部及び統幕の情報関係者が、ワシントンなりハワイの太平洋軍司令部に行っての、大体年一回くらいの情報交換会というものがありますのと、それから、常時、陸海空幕僚幹部が、それぞれの在日の米軍司令部あるいは陸海空軍司令部と研究会をやっておるというのが大体の姿であります。
  149. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員 核兵器の問題は、これはアメリカでも大統領の専権事項にされておるので、これを出先の軍人をして交渉するなんということは考えられないのですね。考えられませんけれども、ただあの電報を見ますと、在日米海軍司令官にあてられておる。そうすると、国民はやはり、在日米海軍司令官が交渉したということになると、相手は海上幕僚長か何かじゃなかろうかというように想像するのが普通だと思うのです。  私の質問のしかたが悪かったのですが、自衛官と米軍との間に、いろいろな事実上の接触があるわけですね。ただしかし、政策的な問題については、職務上自衛官が米軍と接触するというふうなことは、私はいまの自衛隊法及び防衛庁設置法上あり得ないと思うのです。いまの情報の交換だとか、あるいは共同防衛の立場から、現実の戦術といいますか、そういうものについてどうするかというような接触はあり得ると思うのですが、政策面についてはあり得ないと思いますし、あってはならないことだと思うのです。こういう点について、やはりはっきりした基準を私は長官におきめ願いたいと思うのですが、いかがでしょう。
  150. 江崎真澄

    江崎国務大臣 御指摘の点はきわめて重要だと思います。十分検討いたします。  それから、横須賀の軍司令官には、直ちに海上幕僚長があの当日、電話で照会いたしております。そのとき横須賀の長官は、さっき加藤さんが御指摘になりましたように、少なくとも海軍長官というシビルの立場からわれわれ現地の司令官にこういうていの電報が来るはずのものではありませんというわけで、当時の調査した者のことばをかりれば、一笑に付された。それから、そのほか二、三いろんな指摘がありまして、しかもその上こちらから、これは全然間違いであるということを、軍司令官において何か声明をされたり表明をされますかという問いに対しては、これは政治問題であるから、間違いであるということはあくまで言わなければならぬが、声明とかあるいは政治的な発言ということにこれば、それは大使館筋から正式に表明するでありましょう、こういう答えが返ってきておったわけであります。  加藤さん御存じのとおり、現在の海幕長というのは前の海幕の副長であります。したがいまして、もしかりそめにも過去においてそういった話し合いのきざしでもあったといたしまするならば、当然副長には逐一漏らさず報告があるはずのものであります。前にもあとにも、まさにそういうことはないということを言明いたしておりまするので、この点は御安心願いたいと思います。
  151. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員 私もよく話はわかっておるのです。わかっておるのですが、私が言いたいことは、先ほどの繰り返しになりますけれども、やはり国民の中には、ああいうふうな電報を見ますと、制服の自衛官と米軍との間に何か政策的な問題でも交渉しておるのじゃなかろうかというふうな疑問を持つ方もあるわけなんですね。それをはっきりしていただきたいというお願いでございますから、ぜひよく御検討をお願いしたいと思います。
  152. 江崎真澄

    江崎国務大臣 おっしゃる意味はよくわかりますので、十分ひとつ検討をして成案を得るようにいたしたいと思います。
  153. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員 その次に、本論に入って質問をしていきたいと思いますが、この法律案が昨年衆議院は通過いたしましたが、とうとう参議院は通過せずに成立をしなかったことを、私は非常に残念に思うわけでございます。つきましてお伺いしたいことは、この法案が成立をしなかったことによって、四十六年度をもって終わりとなっておる三次防の計画にいかなる支障を来たしたかということが一つ。  もう一つは、自衛隊離職者就職審査会ですか、あれができておったら、この審査会にかけたであろうと思うような事件が、この一年間にどれだけ発生をし、どういうふうに処理されたかということについてお答えを願います。
  154. 久保卓也

    ○久保政府委員 三次防の中で編成することになっておりましたのは、これは潜水艦の増強に応じて部隊をふやすわけでありますが、第二潜水隊群をつくる予定にしておりました。それからナイキの部隊の第四高射群もつくることになっておりましたが、これがいずれもできなかったということでございます。それから増員は、おのずからその年度に取得されます航空機なり艦艇なりの乗り組み員が入っておるわけでありますが、これについての見合った定員がついておりません。しかしながら米側のように艦艇をもやっておくわけにもまいりません。そこで、やりくりで新しく就役をします艦艇なり航空機なりに人員を供給するということになりますと、その他の部隊がやはり薄くなります。そういうようなことで、全般的な隊務はやはりある程度の支障を生じておるということで、この点が三次防そのものに直接の影響を与えるというかっこうにはなりませんが、通常の状態におきます隊務運営上はやはりやりにくさというものがございます。  それから予備自衛官増員ができておりません。これは平時の場合には目立つわけではありませんが、やはり有事に備えての平素におきまする訓練でございますから、その点は、やはりいざという場合のことを考えますと、まあ痛さというものはそこに残っているということになろうかと思います。また隊員の募集上の問題もあるようでございますが、この点は人事教育局長から御答弁いたします。
  155. 江藤淳雄

    ○江藤政府委員 法案が通過しなかったことによりまして、隊員の募集の面におきましては、特に昨年の夏以降の経済情勢を反映しまして非常に募集環境はよくなっておりますので、そういう機会には非常に優秀な隊員が集まり、しかもこういう機会に集まった隊員というのはたいへん定着率がいいという面がございますが、そういう機会に大幅に募集計画変更してこれを削減しなければならなかったということはたいへん残念に思っております。  さらに要員養成の面におきましても、この増員分は艦艇、航空機並びにナイキの増に伴う増員でございますが、これらの隊員はたいへん養成期間を要するものでございますので、そういう意味におきまして、養成計画につきましてたいへん空間が生じたということは事実であると思います。  それから自衛隊離職者就職審査会の件でございますが、明らかに現在の自衛隊法に反するような事案としては、厳密に解釈しますればございませんけれども、現在のような産軍癒着がとかくいわれております機会だけに、やはり正規にこういうような機関が設置されまして、これをお認め願う。とかく批判を受けるような疑わしいといいますか、審査を要するような案件は昨年も二件ないし三件ございますが、このような御時勢で批判のあるときでもございますので、なるべく早い機会にこの審査会が設置されることが、自衛隊にとっても安心して企業のほうへ就職ができる、またわれわれも就職あっせんができるというふうに考えております。
  156. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員 そうしますと、昨年、自衛隊法に基づいて長官の許可を受けて就職をしたという者はいないわけですか。
  157. 江藤淳雄

    ○江藤政府委員 昨年度はございません。
  158. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員 もう一つ、この法案のことで関連してお聞きしたいのは、昨年は統合幕僚会議に統合情報機能の強化のための要員の増加があったわけです。私、これは非常に期待をしておったわけですが、結局、この法律案が通らなかったことによって、この統合情報機能の強化ということはどういうふうになっておるのですか。そのままになっちゃったのですか。
  159. 久保卓也

    ○久保政府委員 統合情報機能の強化、組織の強化ということは、実は四次防の一つの眼目にしておりましたわけでございますが、四十七年度では四次防がなかったので、そういうものは実現しておりません。そこで、実は四十六年度におきましても、そういったような将来の方向を見定めながら、大きなことは考えないまでも、少なくとも常時の陸海空の部隊の運用、対象の実態というものを一室において把握しておきたい。その動いているままに常時それを把握するという形で要員を要求したわけでありますが、それが出ておりません。したがいまして、一応趣旨としましてはそういう構想を持ちながらも、現在までは実現しておらないのが状況であります。
  160. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員 まあ非常に残念なことです。ことしはこれはぜひ成立をしてもらわなきゃいけないと思います。  その次に、きょう資料を持ってきていないのですが、これは昨年のこの法案の審議のときに私、伺ったのだけれども、三次防末における航空機、艦船の稼働率及び弾薬、燃料の備蓄の状況というものについてお答え願いたい。昨年とどう違ったか。
  161. 久保卓也

    ○久保政府委員 資料を持っておりませんので、あとで調べてお答えをいたします。
  162. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員 それじゃ資料をいただいた上であるいはまたお聞きするかもしれません。  そこで、国防会議事務局長にお尋ねします。あなたはあっちこっちで、現在の自衛隊の実力というものについて評価を発表していらっしゃるようですが、どういうふうに見ていらっしゃいますか、事務局長としてお答え願いたい。
  163. 海原治

    ○海原政府委員 いま、事務局長としてお答えをするようにということでありますが、事務局長は、御存じのように国防会議事務局の事務を処理する立場でございますから、その立場での発言はございません。ただ、いろいろな機会に、防衛問題につきましての一般の理解を請うだめの講演であるとか、こういうことにつきましては従来ともいたしております。そういう際の私個人の考え方を申し上げます。  そこで、その場合にお断わりしておりますことは、自衛隊のいわゆる実力というおことばがいまございましたけれども、実力ということばを戦う力、すなわち、これは一昨年の予算委員会でも申し上げましたけれども、私どもは、自衛隊というものは外敵の侵略に対抗して武器をとって戦う戦力である、こういう認識をとっております。そういう認識に立った場合の戦力とはというふうに限定して申し上げますと、そういうときの戦力は、当然外敵と武器をとって戦うわけでございますから、簡単に詰めますと、人間プラス弾薬である、こういうことになるわけであります。  もちろん、戦力という評価の場合には、どのような相手とどのような情勢でもって砲火を交換し合うか、戦うか、したがって当然一つの相手という前提があるわけでございます。そこで、一般の民間での軍事専門家の方々のお話を聞いておりますと、ソ連から九百機の空襲を受けた場合どうだとか、あるいはソ連の潜水艦に対してどうだ、こういうことを言っておられる方が多うございますから、かりにそのような場合を想定した場合にはということを言っております。これもいろいろ条件をつけて言っておりますが、そういう前提の場合には、自衛隊のただいまの位置から申しましても、その保管状況から申しましても、私のかつての軍隊における経験を入れまして、相手にもよりますけれども、組織的な抵抗はせいぜい一週間前後じゃなかろうか、こういうふうに思うわけです。  特に空の場合なんかは、私の考え方では、戦闘機というものはミサイルの運搬具でございますから、このF104という飛行機が高高度で入ってくる目標に対して何発ミサイルが撃てるかということが実力になるわけでございます。今日ただいまの状況から申しますと、加藤先生御存じのように、F104というのは、サイドワインダーを二基ないし四基持って戦闘するわけでございます。かりに飛行機が二基装備してあるとすれば一体何回出動できるかということになりますと、これは問題にならない。こういうふうな説明をしております。
  164. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員 これは、まあ事務局長としての意見じゃないとおっしゃるけれども、個人的な意見でありましても、国防会議事務局長という立場におられますと、国防会議事務局長としての意見ではないかというふうにとる人が多いですね。よくお断わりになっておるとは思いますけれどもね。  それで、国防会議事務局長である海原君が、弾薬が非常に少なくていまの自衛隊は役に立たないんだというふうなことをおっしゃったという話を聞いている。私も弾薬が足りないことは認めます。それなら一体どれだけの弾薬を持てばいいのかというところに当然話が進んでいかなきゃいけないと思うんです。あなたは事務局長なんだから、国防計画なり備蓄の計画を立てるについては十分発言ができる立場にあると私は思うのですが、その辺の意見をひとつ聞かしていただきたい。
  165. 海原治

    ○海原政府委員 その辺の意見とおっしゃいますが、私はそういう点についての検討が必要であるということを申しております。自衛隊は有事の場合に敵と戦うものでございますから、その陸海軍の自衛隊が何日戦うのかということをよく検討して、その場合は、先ほど申しましたように、どのような相手とどのような状況下において何日戦えるのかということの検討が必要だろうと私は言っているわけであります。私は私個人の判断というものはございません。ただそういう検討がないということを申し上げているわけであります。
  166. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員 これは海原君もよくおわかりだろうと思うけれども、どれだけ持ったらいいかということはなかなかむずかしい問題だと思います。自衛隊そのものが漸増していっているわけですから、弾薬だけ急増するわけにいかないと思う。そうかといって、弾薬の持ち方が少なくてもそれはいけないと思います。ただ、検討しなければいけないということを言っているとおっしゃるのだけれども、少ない、少ないで役に立たないというふうな伝わり方をすることは、これは国民にとって非常に遺憾だと思っております。その点はあなたはどのように思っているか、いまのじゃ役に立たないと思っていらっしゃいますか。
  167. 海原治

    ○海原政府委員 どうも私の発言が、いまの自衛隊は役に立たないと言っているということですが、私はいまだかつて、役に立たないということを申したことはございません。りっぱに役に立つと思います。ただ、一般にいわれるように、先ほど申しましたように、ソ連から九百機の飛行機が攻めてきた、しかもこの九百機を相手に一週間も十日も戦えるような力はございません、こういうことを申し上げたわけでございます。そういう認識を持たれますとたいへんなことであります。今日の自衛隊は、御存じのような、まだまだそれぞれ養成中のものでございますし、防衛費としてもまだそういう点まで手が届いておりませんから、まだ養成の段階にあるのだ。にもかかわらず、その実力がとんでもない大きなもののごとく一般にはいわれておりますので、それは誤りである、こう私は申し上げたわけであります。いまだかつて、役に立たないと申し上げたことはございません。
  168. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員 それなら了承しました。それは私も、君も自衛隊の実力というものはある程度知っていると思うので、役に立たないということを言うはずがないと私は思っておったのですがね。  問題は次に移しまして、今度の政府予算修正で二十数億の予算が減額になり、国庫債務負担行為凍結になりましたが、どういうふうな影響を調達上及び隊員の訓練上及ぼすかということについて御説明願いたいと思います。
  169. 江崎真澄

    江崎国務大臣 今回の措置というのは、まことに遺憾な措置でありまして、これが具体的にどういう影響を与えるかということは、初めてのことでもあり、にわかに予測しがたい点もあります。しかし、当初早々と入手をしようと思っていたものが凍結をされるということによってこうむる影響というものは、やはり相当大きいものがあります。しかも大蔵省側の査定が、御承知のように、四次防というものはないという前提に立って、将来、訓練上支障を来たすということを前提に査定したものです。したがいまして、訓練上支障を来たすということも当然これは出てくるというふうに予測しなければならぬと思います。ただ、夏過ぎ、なるべく早く四次防の主要項目等をきめまして、あとの解除を早く待って、運用の面でなるべく支障を来たさないように最大の努力をする、これは私ども防衛庁側の責任であると考えておりまするので、極力支障を最小限にとどめる、こういう努力は続けてまいりたいと思っております。  具体的な支障の内容等につきまして、必要があれば、装備局長等も参っておりますし、お答えをさせたいと思います。
  170. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員 お願いいたします。
  171. 黒部穣

    ○黒部政府委員 問題を二つに分けて御説明申し上げたいと思いますが、一つ凍結解除の時期、次は凍結のために調達がおくれるという点でございます。  解除の時期をいつと見るか、いろいろ問題があろうかと思います。かりに正常に予算が成立した場合を四月一日といたしますと、半年解除の時期がおくれれば、やはり航空機の入手が半年おくれるということになろうかと思います。  それから、予算の減額はいわゆる頭金でございまして、この頭金は、従来は、航空機等の値のかさばる装備品につきましては、契約と同時に頭金を大体一割ぐらい支払うということになっております。これは一つには、生産の期間がどうしても二十四カ月から三十ケ月かかりますので、企業といたしましては、材料の手配をしなければならない。かつまた、わが防衛庁側といたしましても、頭金を支払うことによって装備品をそれだけ安く購入することができるという利点があるわけでございます。この頭金なしで装備品を買うということにつきましては、航空機などの場合につきましては全く例がございませんので、これにつきましては、解除後に企業側との折衝に入るわけでございますが、その場合にどういうような態度で企業側が来るのか予測がつきがたいわけでございますけれども、先ほど長官も申し上げましたように、当初考えていたような案でなるべく調達いたしたいということで考えております。
  172. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員 その問題はそれぐらいにしておきます。  次にお伺いしたいことは、この前もこの委員会だったと思いますが、楢崎委員がCBRの教範のことについて質問しておりましたね。これはB兵器は昨年のジューネーブの軍縮委員会で生産、使用の禁止の条約ができたわけですが、C兵器についてはまだできていないわけですね。現在、C兵器は使わぬ、使わぬということに言っておられるけれども、その根拠はどこにあるんですか。
  173. 江崎真澄

    江崎国務大臣 これは御承知のとおり、訓練用のものはありますが、もちろん日本がその禁止のC兵器を持つということはあり得ぬわけです。規則等については申し上げさせます。
  174. 久保卓也

    ○久保政府委員 化学兵器につきましては、防護訓練関係の通達その他はあると思いますが、基本的に化学兵器を使わないというのは、これは防衛庁の当初からの方針でもありましょうけれども、最近の動きからいたしますと、たしか国連のどの委員会かで、全世界的に化学兵器の使用の禁止についての条約締結の話が進められていると思います。ただし、この中で一過性、つまり非致死的な、死に至らしめないような軽い、たとえば催涙ガス程度のそういったものについて、それを含めるかどうかについてが各国の中でまだ意見が一致していないという状況であったと思いますが、そういう部分的な問題は別といたしましても、世界的な国際場裏におきまして化学兵器を使わないという方向が出ておりますので、われわれはその結論をまつまでもなく使わないわけでありますが、そういった方向は今後もますます堅持されるものと考えます。
  175. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員 私はC兵器を使えと言うんじゃないですよ。使えと言うんじゃないですが、ただ、使えないということを既定の方針にしていらっしゃる根拠を伺いたい。昨年の軍縮委員会でC兵器についてはついに米ソの間に話がまとまらなかったわけですね。B兵器についてだけ話がまとまったわけですね。一体、自衛隊法でも御承知のとおり、国際の法規、慣例に従うということをいっているわけですね、自衛権の行使の場合については。国際の法規、慣例の中でC兵器を禁止しているというのは、どういう法規、慣例によるのかということをお聞きしたい。それとは関係なしに、もう日本の政策として、方針として使わないんだということをいつおきめになったのか。その辺のことをお聞きしたい。
  176. 久保卓也

    ○久保政府委員 その辺のことは私もつまびらかでありませんが、ただ、毒ガス兵器の禁止についてはたしか条約があったと思います。これはその中に禁止をされている項目が出ておったと思います。自衛隊としていつからそういう方針をとったかちょっと私も存じておりません。
  177. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員 毒ガスについてはヘーグ条約なんかあるんですね。化学兵器というのは毒ガスだけではないんですからね。何かC兵器、C兵器と一括して言っていたところに、私は非常に検討が足らないのじゃないかということを、問答を聞きながら考えておったのですが、明らかにしておいていただきたいと思います。  それと同時にお伺いしたいのは、もう教範類をほかの同僚議員がいろいろ引っぱり出されるわけですよ。私も知っておるのですけれども、初めの間は米軍の教範をそのまま引き写しにしてやったものが多いんですな。いまその教範を、二十年たったのですから、全部日本の政府の方針、日本の国の政策に合致して教範をつくり直しておられるんだろうと思うのだけれども、何か同僚議員との質疑応答を聞いていると、怪しいような気がするのです。教範は見直しておられるのですか。
  178. 江崎真澄

    江崎国務大臣 なるほど御指摘のC兵器については、示唆に富んだ御質問ですから検討をいたします。ヘーグ条約で禁止された毒ガスだけを目標にして、たとえばいまの催涙弾などはいいということであれば、それは含まないとか、何かやはり区別すべきものは区別していく、これはおっしゃるとおりだと思います。  それから教範等につきましては、これは加藤さん御承知のとおり、占領軍から警察予備隊へ、そしてまた自衛隊へと変わった当時は、翻訳をしてそのままこれを適用しようとするような傾向が強かったことは、私、部内で報告を受けております。しかし、その後はいろいろこれは改められた、もういまはそういう直訳式のものはありません、こういう報告を受けておりますが、先ほどの問題を契機に、事務次官に対して十分ひとつ検討をするように、そして改廃すべきものはすみやかに改廃する検討に入るように。これは私ども、毎日国会に明け暮れるわけでございますが、次官が幸い事務の最高責任者という形で防衛庁内にとどまっておりますので、これはきょうも検討を続けておるというように御了承を願いたいと思います。
  179. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員 私も二十年たっているから大体全部済んでおるだろうと思っておったところが、この間ここで質疑を聞いておりますと、昨年、毒ガスですか、化学兵器については、これは訓練用だというふうな通達を出されたという話を聞いてさびしい思いだったのですが、これはぜひひとつ長官、責任をもって全部教範類を日本の政策に合った目で見直していただきたい、こういうことをお願い申し上げます。
  180. 江崎真澄

    江崎国務大臣 そのとおりに必ずいたします。お約束いたします。
  181. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員 その次に、こまごまといろいろなことをお聞きして恐縮なんですが、機会があればお伺いしようと思っておって、いままで機会がなかったわけですけれども、昨年の朝霞の一場一曹の事件ですが、あのときに私は、隊内に共犯者があったということを聞きまして、非常なショックを受けたのです。実際は一体どうであったか。その後自衛隊としてどういう手をお打ちになっておるのか。これをぜひお答えをいただきたいと思います。
  182. 江藤淳雄

    ○江藤政府委員 一場一曹の事件はたいへん防衛庁内でもショックがあったわけでございます。事件の共犯者が部内から三名ばかり出ております。これらの三名の者につきましては、同じ営内班におった者同士でありまして、隊内時代に同じ生活をしてたいへん仲よくやっておった人間でございますが、たまたまそのうちの一名が、離隊後特殊なグループの中に入りまして、いろいろ感化を受けまして悪い事件を計画したわけでございますが、その際にそれへ引き込まれまして、他の二名も結局は共犯者のかっこうになったわけでございます。その後私ども部隊の実態を調べましたけれども、この朝霞の第三一普通科連隊というのはたいへん規律のいいところでございまして、士気も高いし、また練度も高い全国でも模範の部隊でございます。その模範の部隊だけに、このような事件を起こすような共犯者が出たようなことについて、たいへん私のほうも今後の指導に戸惑っておるわけでございますが、なお営内班の問題につきまして、この営内班を通じての訓育、あるいは規律の保持、そういった問題につきましてさらに何らかの是正策を講じなければ、このような一般的には模範といわれる部隊、しかもその営内班等の指導も、たいへんいい部隊でありながら、このような事件が起きたということは、現代青年の特殊な感情その他諸般の面を考えまして、今後十分隊内指導、隊員指導について検討しなければならないということで、昨年、陸幕長を中心にしまして、この問題につきましていろいろと検討いたしておる状況でございます。
  183. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員 同じ営内班の者から三名の共犯者が出たというのは、これはたいへんなことだと思うのです。検討をまだしていらっしゃるのですか。去年の秋の事件でまだ具体的な措置ができないのは非常に残念なんですが、どうしてそんなに時間がかかるのでしょうか。
  184. 江藤淳雄

    ○江藤政府委員 ああいう事件が起きましたことにつきまして、警衛の問題その他につきましてはすでに結論が出ております。しかしながら、隊内指導という問題、特に営内班をどういうふうに考えていくか、あるいは隊内生活と隊外生活との関係、またさらに、現代青年の把握のしかた、あるはリードのしかた、この問題は非常にむずかしい問題があるようでございます。先ほど申し上げましたように、非常に模範的な部隊であるにかかわらず、しかもこういう隊員が出たということについて、今後相当真剣に検討しなければならないということで、いままだ検討いたしておりますが、残念ながら完全な結論までに達しておらないのが実情でございます。
  185. 江崎真澄

    江崎国務大臣 ちょっと補足しますと、私、赴任しまして率直に思いましたことは、営内指導ということも、これはもちろん大事ですし、それの結論が手間どるということは御理解いただけると思いますが、第一に募集のしかたに問題があると思うのです。  それは、定員増の法案審議をお願いしておってそういう言い方はありませんが、やはり定員を満たすために、特に世間が以前のように好況であればあるほど募集難である。その募集難の苦しまぎれに、どうかと思われるような者まで無理に防衛庁が勧誘する。特に地連などがですね。しかも情勢を聞いてみますと、地連は募集業務を推進して、これが実績が上がれば感謝もされたり表彰もされる。募集業務がうまくいかないと、当然その人の成績にも影響する。このあたりに問題があるように思うのです。やはり平時においては少数精鋭。これは欠員があることはいかにも残念でありますが、有時の際には、定員を確保しておけば、むろん国難に殉じようとする心ある青年というものは、この日本において必ずいると思うのです。ですから、有能、優秀な者を教育しておけば、それは充足するということはさまで無理なことではないと思う。ただ、定員にさや寄せしようとするために、いかがわしい者まで募集して、一人は一人であるというような観念がないかどうか。そのあたりは、赴任してまだ日は浅うございますが、私、率直に実は事務次官にもこの疑問を投げかけまして、特に地連の募集業務については慎重を期するようにということを言っておるわけです。今後十分検討してまいりたいと思います。
  186. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員 長官のお話よくわかりました。私も大体お考えに賛成なのですが、ただ江藤さん、なかなかむずかしい問題であることはわかっていますよ。わかっていますけれども、この問題は、そういうふうな隊員である青年をどういうふうに指導していかなければいけないかということは、一場事件が起こったからの問題じゃないのであって、自衛隊が始まったときからの問題なんですよ。もうずいぶん長いこといろいろな問題で、私も苦労したことがあるし、皆さんも苦労してきていらっしゃるので、本質的な問題は私は把握できていると思うのです。むずかしい問題だろうとは思いますけれども、ひとつ早く、今後そういうふうな事件が起こることのないように、どうしたらいいかということを真剣に考えて御措置を願いたい、こう思う次第でございます。  いまの長官のお話に関連いたしまして、私、お聞きしたいのは、今度海上自衛隊航空自衛隊にも婦人自衛官を使うということに予算上はなっておりますね。あれはどういう方面に使おうという予定ですか。
  187. 久保卓也

    ○久保政府委員 四十六年度では、つまり三次防では陸上自衛隊だけで、海、空の婦人自衛官は存在しない。四次防の中でこれを使う計画にしておるわけでありますが、現在考えておりますのは、たとえば、通信の関係、文書庶務関係、それから補給の関係、写真、会計、そういったような分野で、そういうような後方関係に男性の自衛官が相当使われております。これは、非常に現在増員の窮屈な中で、また新しい部隊が次々と出ていく中で非常にもったいないわけでありますので、全体の定員の中でやりくりをしまして、婦人自衛官の数をふやして一般の男子隊員を第一線部隊に捻出をしてまいりたい、こういうような計画であります。
  188. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員 私もそのお考えはよくわかるのですが、ちょっと疑問に思いますのは、そういうふうな文書とかなんとかを担当する婦人自衛官部隊におります女子職員との関係なんですが、これは何かきっちりと基準をきめておられるのですか。
  189. 江藤淳雄

    ○江藤政府委員 現在のところ特に基準というものは持っておりませんが、現在の婦人自衛官の特技別に申し上げますと、やはり一番多いのは文書関係で三六%、会計職種で二四%、通信で三六%、それからその他のものが三%でございますが、このうちで通信と文書が大体三分の一ずつということになっております。  問題は、この制服の者とシビリアンの場合におきましてはかなり給与の差がございます。そこで、実際にそれが並んだ場合には、これは人事管理上問題になるわけでございますが、ただ、制服を着せた場合におきましては、一般の事務官におきましては、近くからの通勤者でなければその部隊に定着しませんが、制服を着ることによりまして、かなり僻陬の地でもその者は一定期間はその地区の部隊に勤務してもらえる。そういう意味におきまして、特に特技区分というものはございませんけれども、人事配置上適当であろうというふうに考えて、婦人自衛官も約三分の一は文書関係の特技を持たすという状況でございます。
  190. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員 これは将来のことを考えますと、同じような職場に同じ年ごろの娘さんがおるわけです。一人は自衛官であり、一人は事務官であり、しかも待遇が非常に違う。私はやはり何か非常につまらない問題が起こる可能性があるように思うのです。それは同じ仕事につけられてもいいのですよ。つけられてもいいのだけれども、はっきりと、自衛官はどういう者にどういう性格のものでどういうような仕事をやらせるのだ、一般の事務官はどうだということをきめておかないといかぬのじゃないかなと思うのです。これはぜひ御研究をお願いしたいと思います。  まだいろいろたくさん質問したいと思いますが、四次防の問題はこの次のいずれ御審議になるでありましょう法案のときにお伺いをしたいと思いますから、最後に一つ長官にお尋ねします。  一昨年、防衛白書を出されたわけですね。いろんな批評がございました。私自身意見はありますけれども、しかし、考えてみれば、あれを出されたことはプラスだったと思うのです。やはり国民の間にいろいろ関心を呼び起こした。諸外国まで関心を呼び起こしましたけれども、これは新聞の論説等も大きく取り扱って、私はたいへんな貢献、プラスが多かったように思うわけです。昨年ぜひ出してもらいたいということをお願いしておったわけでありますが、長官がたびたびおかわりになったということもございまして、とうとう出なかったことは残念に思うのですが、どうですか、ことしはお出しになるお考えがございますか。
  191. 江崎真澄

    江崎国務大臣 私は出すことが望ましいと思っております。これはもともと国民に、日本の防衛力、また今後の防衛のあり方、これをはっきりわかってもらうということが前提になるわけですから、こういうものはやはり出していくことが望ましい。特にことしのような場合には、夏過ぎには四次防を策定しようとしておるおりからでありますので、ぜひひとつ実現をしたいものだと思っております。ただ、いま現在は検討中というわけでありますが、方向としてどうだとおっしゃるなら、私は出すことが好ましい、こういうふうに考えております。
  192. 久保卓也

    ○久保政府委員 先ほど御指摘がありました数字、稼働率と備蓄の件を申し上げます。  航空機については、海上自衛隊が、代表的にP2Jを取り出しますと、これは悪い稼働率で四〇%台でありますが、四十四年が六九、四十五年で七〇、昨年の九月末で七四、これは非常によく伸びております。それから、F104をとってみますと、これも当初の間は五〇%台でありましたが、四十三年で七九、四十四年で八五というふうに伸びております。それからF86で申しますと、これはほぼ横ばいといいますよりは、従来七〇%前後から八〇%台でありましたが、四十四年度は八四%ということであります。  それから、艦艇につきましては、これは大体逐年七五%から八〇%の稼働率でありますが、四十五年度で七八%ということであります。  それから、弾薬の備蓄は、四十四年度が七万六千トン、四十五年度が七万五千トン、若干減っております。これは射耗に比べて予算で取得する分が少ないので、その分だけは減っておりますが、いまの計画では四次防の中である程度回復をしたい、かように考えております。
  193. 加藤陽三

    ○加藤(陽)委員 弾薬の問題は、これはどの程度の量を持ったらいいかということはなかなかむずかしい問題だと思います。むずかしい問題ですけれども、いまの量が少ないほうだということは、これはだれも認めると思うのです。やはりもう少し予算の上でも弾薬の備蓄についてはお考えをいただかなければいけないのではないかと私は思うわけであります。  長官の御答弁をいただきましてありがとうございました。私はぜひ防衛白書をお出しになるような方向で御検討いただくことをお願いいたしまして、私の質問を終わります。
  194. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 次回は、明後二十七日木曜日、午前十時理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十八分散会