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1972-04-21 第68回国会 衆議院 内閣委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年四月二十一日(金曜日)     午前十時九分開議  出席委員    委員長 伊能繁次郎君    理事 加藤 陽三君 理事 佐藤 文生君    理事 坂村 吉正君 理事 塩谷 一夫君    理事 大出  俊君 理事 伊藤惣助丸君    理事 和田 耕作君       阿部 文男君    天野 公義君       大村 襄治君    笠岡  喬君       篠田 弘作君    辻  寛一君       中山 利生君    西銘 順治君       葉梨 信行君    原 健三郎君       湊  徹郎君    豊  永光君       木原  実君    楢崎弥之助君       横路 孝弘君    鬼木 勝利君       鈴切 康雄君    受田 新吉君       東中 光雄君  出席国務大臣         内閣総理大臣  佐藤 榮作君         外 務 大 臣 福田 赳夫君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      山中 貞則君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 江崎 真澄君  出席政府委員         内閣法制局長官 高辻 正巳君         総理府総務副長         官       砂田 重民君         防衛政務次官  野呂 恭一君         防衛庁参事官  高瀬 忠雄君         防衛庁参事官  鶴崎  敏君         防衛庁参事官  岡太  直君         防衛庁長官官房         長       宍戸 基男君         防衛庁防衛局長 久保 卓也君         防衛庁人事教育         局長      江藤 淳雄君         防衛庁衛生局長 鈴木 一男君         防衛庁経理局長 田代 一正君         防衛庁装備局長 黒部  穣君         防衛施設庁長官 島田  豊君         防衛施設庁総務         部長      長坂  強君         防衛施設庁総務         部調停官    銅崎 富司君         防衛施設庁施設         部長      薄田  浩君         防衛施設庁労務         部長      安斉 正邦君         沖繩北方対策         庁長官     岡部 秀一君         沖繩北方対策         庁総務部長   岡田 純夫君         外務大臣官房長 佐藤 正二君         外務省アメリカ         局長      吉野 文六君         外務省条約局長 高島 益郎君         大蔵大臣官房審         議官      前田多良夫君         大蔵省主計局次         長       吉瀬 維哉君     ————————————— 委員の異動 四月二十一日  辞任         補欠選任   園田  直君     西銘 順治君   古井 喜實君     大村 襄治君   原 健三郎君     豊  永光君   土井たか子君     楢崎弥之助君 同日  辞任         補欠選任   大村 襄治君     古井 喜實君   西銘 順治君     園田  直君   豊  永光君     原 健三郎君   楢崎弥之助君     土井たか子君     ————————————— 四月二十日  靖国神社国家護持早期実現に関する請願外八  件(久保田円次紹介)(第二六一八号)  兵庫県山崎町の寒冷級地是正等に関する請願  (三木喜夫紹介)(第二六五五号)  旧軍人恩給改善等に関する請願關谷勝利君  紹介)(第二七二四号)  教職員の恩給、年金のスライド制実施等に関す  る請願平林剛紹介)(第二七九二号)  同(広瀬秀吉紹介)(第二七九三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  沖繩開発庁設置法案内閣提出、第六十七回国  会閣法第五号)  沖繩復帰に伴う防衛庁関係法律適用特別  措置等に関する法律案内閣提出、第六十七回  国会閣法第七号)  沖繩開発庁設置法案大出俊君外十名提出、衆  法第二二号)      ————◇—————
  2. 伊能繁次郎

    伊能委員長 これより会議を開きます。  内閣提出にかかる沖繩開発庁設置法案沖繩復帰に伴う防衛庁関係法律適用特別措置等に関する法律案、及び大出俊君外十名提出沖繩開発庁設置法案の各案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大出俊君。
  3. 大出俊

    大出委員 沖繩の核の問題につきまして、新聞発表によりますと、沖繩返還の日にロジャーズ国務長官書簡というものを明らかにする。ただし簡単に言えば、直接的な表現を避ける。実はこういう核抜き保障という意味での発表があるのでありますが、総理からここのところを、直接その衝にお当たりになってお詰めになっておられるわけでございますから、ちょっと新聞表現だけでは理解しがたい点がございますが、これは一体もう少し突っ込んで言えばどういうことになるのかということを、簡単でけっこうでございますから、御説明賜わりたいのです。
  4. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 これは、去るサンクレメンテの会談におきまして、外務大臣ロジャーズ国務長官、同時にまたニクソン大統領と私との間で、核についてたいへんわれわれとすれば心配なのだ、どうかその心配を晴らす、ないようにしてくれ、そういうような努力をしてくれないか、その辺どういう形がいいか十分検討してもらいたい。そういうところから、いわゆる返還時においてさらに核のないということをはっきりさせよう、こういう話ができたのでございます。それが外務大臣がしばしば答えておるような書簡の形式になる。その中身のことは私どもわかりません。しかし、いまのような背景でございますから、これが十分果たしてくれるものだといま期待はしております。しかし、それで不十分であれば、さらに私どもも努力しなければならない、かように思っておりますが、ただいまのところ、いまのようなことで心配ないように思っております。
  5. 大出俊

    大出委員 これは総理もよく御存じのとおりに、私どもにすれば、事核ということになりますと、日本という国が置かれてきた歴史的な事情もございますから、きわめて敏感でございますから、だから楢崎委員質問したようなことになる。これは私どもからすれば当然なことでございまして、この点は世上いろいろ書かれておりますけれども、時間の経過とともに明らかにし得るものは私どもは明らかにしていきたい、こう思っているわけでございまして、後ほどまたおそらく福崎委員からの発言もあろうかと思いますが、そこで、私、沖繩の核の問題で関連のある幾つかの問題を、実はこの際明らかにしておきたいと思うのであります。  ところで、まず第一に、沖繩に寄港している原子力潜水艦、これは記録に残っておるものとして一体何隻ぐらいあって、またどういうふうな性格の何という船が入ってきているか。まず、どなたでもけっこうでございますから、簡単にお答えをいただきたいのでございます。
  6. 山中貞則

    山中国務大臣 大出君、ちょっと外務省が来るのがおくれているので……。
  7. 大出俊

    大出委員 それでは、冒頭に別なのがあったのですけれども、いまやらぬことにしましたからけっこうでございますから、総務長官ひとつ……。
  8. 山中貞則

    山中国務大臣 私もわからない。防衛庁でもわからぬそうです。外務省答弁できるのがあとで、事実だけの問題ですから……。
  9. 大出俊

    大出委員 沖繩原潜通知は、例の那覇港のコバルト六〇騒ぎが起こった直後から、非常に不明確ではありますけれども通告らしきものが行なわれている。ですから、その辺の記録をお持ちでないということは、防衛庁としても外務省としても、これはおかしな話だと私は思うのでございますが、そんなに関心がないですか。
  10. 久保卓也

    久保政府委員 外務省にかわりまして答弁いたしますと、昭和四十四年が七回、那覇港が四回、ホワイトビーチが三回。昭和四十五年が十一回、これはホワイトビーチだけであります。それから昭和四十六年十月二十日で七回、これもホワイトビーチだけであります。なお、新しい資料についてさらに追加したいと思います。
  11. 大出俊

    大出委員 どういうものが入ってきているかということを聞いたのですが、そちらのほうは御答弁ございますか。
  12. 久保卓也

    久保政府委員 内容については、まだ承知いたしておりません。
  13. 大出俊

    大出委員 時間がたいへんもったいないわけでありますから、私のほうから申し上げますが、ノーチラス型、スレッシャー型——スレッシャー型にはパーミット型などという改装型が入っておりますが、あるいは後にスタージョン型もあるわけでありますけれども那覇に、 つまり沖繩に入ってきている原子力潜水艦、これが通知が来るようになりましてからのものは、六九年の十月にサーゴ号が入ってきたのが記録上最初でございまして、十二月にスヌーク入りまして、以来、ガーナードが二回、スカルピンが二回、パーミットが二回、さらに続いて四回連続スカルピン入りまして、ハドックアスプロハドックトートグというふうに入ってまいりまして、アスプロスヌークさらにトートグスヌークというふうに入りまして、ソードフィッシュもこの間一回入り、スキャンプ、スレッシャーとともに数回入っておりまして、合計三十五回、記録上は沖繩原子力潜水艦攻撃型が入ってきているわけであります。  そこで、まず承っておきたいのは、この沖繩に入ってきております三十五回にわたる、記録上でございますが、これは那覇港のコバルト六〇騒ぎ以後はほかは入っておりません。全部ホワイトビーチでございますが、現地の調査の結果は、ここだけでなくて、大浦湾に原潜がおったことがあったり、これは夜間でございますが、数回調べておる諸君などもおりますが、したがって、そこらのところは不明確であります。  にもかかわらず、一体沖繩に入ってきているこの原子力潜水艦サブロックを搭載しているかいないかという点、これは問題の焦点でございますが、アメリカ施政権下にある沖繩でございますから、当然サブロックを搭載している、こういう理解が正しいと私ども思っておるのでございますが、総理沖繩記録上三十五回、しかもこれは那覇港におけるコバルト問題のときに大きな騒ぎになりまして、以来通告が来るようになったといういきさつ。があるのでございますけれどもサブロックを搭載している、との点について総理の御見解をいただきたいのであります。
  14. 吉野文六

    吉野政府委員 お答えいたします。  われわれの理解するところでは、かりにサブロックを搭載し得る形の潜水艦であっても、必ずしもサブロックを搭載していないということを、われわれとしては米側から通報を受けております。したがって、いままでに沖繩に入ったサブロック搭載型の潜水艦が、はたしてサブロックを搭載していたかどうかということにつきましては、いまのところ何らこれを確認すべき資料はございません。
  15. 大出俊

    大出委員 いまの御答弁の、搭載し得る潜水艦でも必ずしも搭載していないという通告を受けたというのですが、それは、何年何月何日、どこでどういう中身通告でございますか。
  16. 吉野文六

    吉野政府委員 この点は米側に再三照会したところでございますが、この点につきまして米側は、サブロックを搭載し得る潜水艦であっても必ずしもサブロックを搭載していないということを再三われわれに言明しております。
  17. 大出俊

    大出委員 再三と抽象的に言われても困る。再三の次には再四というのもあるので……。一体、いついかなるときにどういうふうに通告してきたのですか。記録を出してください。
  18. 吉野文六

    吉野政府委員 これは書面の形で先方照会しておらず、もっぱら口頭でやっておりますが、つい最近も在京米大使館からそのような言明がございました。
  19. 大出俊

    大出委員 これはあなた、そういういいかげんなことを言ってはいけませんよ。これはさきに、外務大臣愛知さんのときに約束がある。あなたのほうは、ついにその約束を果たさない。それで、再三口頭でそんなことがあった、いつだと聞いたら、つい最近もではさっぱりわからない。これは昨年の五月十五日の内閣委員会における私の質問に対して、外務大臣答弁できなかった。議事録を読みますが、「きょうのサブロック問題に対しまして、大出委員からたいへんおしかりをいただいて恐縮に思いますけれども、これはやはり国民的な疑惑の問題ですから、政府といたしましては、米側によく照会をし、また申し入れをいたしまして、慎重に扱い、かつ報告をいたしたいと思います。」あなた、おったじゃないですか。時の内閣委員会理事伊能委員長でしょう。審議がとまったでしょう。伊能委員長が当時理事で、中にお入りになって、外務省から正式に申し入れなさい、二国間で話し合いなさい、回答をとりなさい、かつ報告をしなさい、こういうふうにあっせんをされた。その結果、愛知外務大臣が、「きょうのサブロック問題に対しまして、大出委員からたいへんおしかりをいただいて恐縮に思いますけれども」と言っている。答弁できなかったのだからしようがない。政府といたしましては、これはやはり国民的な疑惑の問題ですから、正式に米側照会をする、そして回答をとる、申し入れをする、かつ報告をすると、あなた方の答弁ははっきりしているんです。以来一年になんなんとして、何にもあなたのほうはやろうとしてない。そういう無責任なことで、いまの答弁で済まされるとあなたはお思いですか。あなた、そんないいかげんな話がありますか。何を言っている。以後、一体、公の議事録に残っているこの結論を、しかも理事会で討議した結論外務大臣お答えになっておって、ただの一度も、照会をしたとも、申し入れをしたとも、報告をしたとも聞いたことがない。一言半句私に話がない。そんないいかげんな答弁で済みませんよ。国民のたいへんな疑惑の問題だと愛知外務大臣はみずから認めているじゃないですか。だめです、そういうことは。あとではっきりしてください。質問を続けます。  ところで、このサブロックを搭載している、いないという問題につきましては、過去から今日まで、私が調べた限りたくさんの記録がある。その点についてこれは明確にしておかなければならぬと思う。必ずしも積んでいないというならば、積んでいることもある。だから私は、記録に残っているだけで三十五回入ってきているのだから、積んできている、こう申してよろしいかという点を聞いている。搭載能力がある船だからといって、必ずしも積んでいないこともある。積んでいないこともあるとすれば、これは積んでいることもある。そうでしょう。あなたの言っているいまの答弁からすれば、積んでいないこともある。通常は積んでいなければならぬことになっている。アメリカ発表した幾つもの記録がある。あなた、その幾つかを御存じですか。
  20. 吉野文六

    吉野政府委員 この点につきましては、すでに大出先生から、昨年、米側発表文日付のようなものを伺いまして、われわれもそれに基づきまして、そのような発表文があるかどうかを鋭意さがしたわけでございますが、その関係におきまして、そういうものがあるだろうということは承知しております。
  21. 大出俊

    大出委員 私はここにアメリカ上院外交委員会議事録原文で持っている。たくさんあります。アメリカ記録です。幾つもございます。これはあなたのほうに私は日付まで申し上げのだから、あなたのほうだって、お調べになれば、私と同じものが出てくるはずだ。そこで申し上げますが、正確に訳して−確かに英語をどう訳すかということは個人差がありましょうが、英文を訳している。しかも国会証言している人もいる。これは有名な話です。  一九六二年の五月二日に上院外交委員会でも、これはギルパトリック、当時の国防次官が言っている。「今日、戦略空軍及び戦術任務に服する各種の潜水艦その他航空母艦等は、すべて一発以上の核兵器を装備していて、いかなる事態にも即応し得る態勢にある。」と、ちゃんと証言をしておられる。また、これはあとから関連も出てまいりますけれども、これも議事録がございますが、これは皆さんがよく御存じ村上薫さんが書いておられる「アメリカの第七艦隊」という本の中に、これは写しをとったのですけれども、いみじくもこの中で第七艦隊搭載核について明確になっている。きわめて詳細なものです。この中にも、原子力潜水艦サブロックを搭載していることを明確にしている。しかも、この中のアメリカの側の証言は、時の太平洋軍司令官をやっておりましたフェルト大将証言、これも有名な証言でございます。これも記録に明確にあります。これまた、たいへん詳細な長いものでございますけれども、一九五九年の四月、当時の太平洋統一軍司令官フェルト大将は、アメリカ上院外交委員会で次のように証言をしたというところで、明確に核問題に触れておられる。ただ問題が核ですから、言い方は、さっきのギルパトリック証言と同じ意味で、核を搭載していると言っているが、その中身については触れていないけれども戦術任務についている潜水艦は必ず核を搭載している、常時即応の態勢にある、そう言っていることは同一であります。  幾つ議事録がここにあります。そうなると、それをしもあなた方が簡単に、文書も出さず、回答文書もとらず、何となくものを言ったら、サブロックを搭載し得る船であっても、必ずしも搭載しているとは限らない一搭載していないこともある、こう言ったからといって、そのことを証拠にここで答弁するというのはきわめて不見識です。それは明確な記録幾つもある、アメリカ議会証言。積んでなければ任務からいってつとまらない。あなた方、そういういいかげんな答弁じゃいけません。この記録について私は前にものを言っている。私が取り上げたのだから、どなたか、反論があったらお答えください。
  22. 吉野文六

    吉野政府委員 この点につきましては、大出先生のわれわれに対する照会の点につきまして、われわれも十分承知いたしまして、再三アメリカ側と話をしたわけでございます。先方は、いずれにせよ、この問題については非常に軍の機密も含まれておるから、したがって、文書申し入れてくれても答えることはできない、したがってこの問題はともかく口頭でお互いに解決しようではないか。そして私の質問に対しては、あくまでもいま申し上げましたとおり、サブロック搭載型の潜水艦であっても、サブロックを搭載していることも、またしていないこともある、これが先方の返答でございます。
  23. 大出俊

    大出委員 軍の機密であるから明らかにできないというならば、これは明らかにできないということじゃないですか。あなたいま、軍の機密だから明らかにできないと言った。言うならば、軍の機密だから明らかにできない。そうなると、アメリカ議会における証言が明確に記録に残っているのですから、これが正しいことになる。あたりまえじゃないですか、そんなことは。そうでしょう。  それじゃ原子力潜水艦任務というのは一体何ですか。沖繩に寄港している原子力潜水艦戦術任務についていることをフェルト大将証言は明確にしている。だから、昨年の委員会愛知外務大臣に私が聞いたら、まさしく愛知外務大臣は、戦術任務についている潜水艦ということをお認になっている。議会証言でも明確になっている。戦術任務についている原子力潜水艦は核を搭載していることは明らかになっている。あとは軍の機密だというのだから、それ以上ない。  佐藤総理、私はいま議会証言を二つ取り上げました。原文ここに持っておりますが、しかも村上さんという著名な方が訳して日本文に書いている。訳については個人差があるけれども、二つの証言をあげました。フェルト大将、有名な方です。ギルパトリック、これもまた有名な方です。二人の証言があるじゃないですか。しかも、このギルパトリック証言を訳しているのは、また有名な林克也さんという軍事評論家です。最近あまり御活躍にならぬので、私は、この訳しておられる中身を知りたいので、連絡をとりました。同姓同名の人にぶつかって、電話をかけたら日大の教授だった。いみじくもその人から、今度は同姓同名なものですから、電話帳をさがして電話がかかる。いまたいへん健康を害して病床についているということを聞いた。たずねて行って娘さんにお目にかかった。そしたら、病床にある林さんが、ギルパトリック証言いきさつをきわめて克明に説明してくれた、娘さんを通じて。ちゃんと記憶しておられる。さすがにこの道で苦労された方だと思いました。だから確たる背景があって私は申し上げておる。しかもお借りしてきて持っている。そういう実は事情にある。私は昨年質問したときは同じことを言いましたが、これほどたくさん資料は持っていなかった。確認をいたしました。だから私は、これはゆゆしきことだと思って取り上げているのです。何も軍の機密を何もかもここで明らかにしてくれと申し上げるのではないのです。  沖繩返還をめぐりまして、実は沖繩における塔載核という問題については、そう突っ込んだ質問が出ていない。第七一機動部隊なり一五潜水艦隊なり、あるいはそれの搭載核なりというものについては、リチャード・ハロラン通過協定などという新聞記事もございました。このときも私は確かめた。だが、いずれにしても沖繩搭載核については、確たるやりとりになっていません。返還を目の前にして沖繩にはたいへんな不安がある。最近、実は原子力潜水艦沖繩寄港はふえ続けている。それで私は、この際総理のおいでになるところで可能な限り詰めておきたいと思って取り上げたのです。そういう意味で実は御答弁いただきたいので、逃げようとなさらぬで、私は、質問は昨年三回、今回で四回目なんです。だから私は無理をしていません。  愛知外務大臣が、国民の重大な疑惑だから二国間で話し合うと言っているのですから、しかもちゃんととると言っているのですから、おまかせした。ただその後、一ぺんも私に何のお話も外務省からない。これは無責任ですよ。その場限りで逃げていこうという姿勢では、私はやはり事済まないと思います。そういう意味で、時間がありませんから先に進みますけれども、ぜひそういう角度でお答えをいただきたい。  私はずいぶん調べてみましたが、あらゆる証言からいきまして、施政機アメリカにある沖繩でございますから、何かの都合で三十五回のうちで一回くらいは積んでないこともあったかもしれない。しかし積んでなければ事済まない任務を持っておる。原子力潜水艦任務というのは四つ五つありますけれども防衛庁の出身の方も書いておられる。大体どういうふうにお考えになりますか。その任務の中に、沖繩という膨大な軍事基地、みずからの基地を守るという戦術任務もある。これも明らかになっております、この証言の中で。そうすると、沖繩に寄港する原子力潜水艦沖繩というキーストーン相手原子力潜水艦から守る任務が与えられておる。そうすると、相手原子力潜水艦は核です。核でなければ破壊できない。ソビエト潜水艦御存じでしょう。私もどういう潜水艦がどのくらいいて、どこまで南に下っているものか詳細に調べておりますけれども、たいへん南まで下がっている。すぐ日本の目の前までソビエト原子力潜水艦が来ている。この時期に沖繩に寄港している原子力潜水艦核搭載をしないで対抗できますか。そんな非常識なことは存在しない。あり得ない。だとすると、アメリカ施政権下沖繩に来ているアメリカ攻撃型の原子力潜水艦核搭載しているに違いない。議会証言でも、だから明らかにされている。これは日本施政権があるのじゃないのですから、責めているわけじゃないのです。その沖繩が返ってくるのだから取り上げている。そういう意味では、これは総理ぜひ、こういうふうに思う、あるいは想像でもけっこうですけれども、その可能性があるという点はお認めいただきたい。それはたまに積んでないこともあっていい。そこのところはいかがでございますか。
  24. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 いま大出君から話されますように、施政権アメリカにある、そうして核兵器を搭載し得る潜水艦、そういうものがアメリカ施政権下にある沖繩に寄港する場合に、これは搭載しておることもあるのじゃないか、かようにお尋ねになること、私どもこれは理論的にそうだろうと思います。ただ問題は、冒頭に私に対してお尋ねがありましたように、返還後において沖繩に寄港する潜水艦、そういうものが核兵器を持ち込むかどうか、これは一つの問題でございます。でありますから、これは政府だけの問題ではなく日本国会、最高機関が非核三原則を決議いたしました。したがって、われわれは政策的に非核三原則を守ると申しましたが、同時に国会の決議、これを政府は順奉しなければならない、従わなければならない立場にありますから、沖繩が祖国に復帰した暁、これはその以前のことと復帰後とやっぱり区別して考えていただきたい、かように思います。  そこで、私は先ほど来の御議論を伺っておりまして、とにかく復帰前の状態、それをただいまいろいろ議論すること、これも大事なことだと思うけれども、われわれは、復帰後の状態について責任のとれる状態が最も望ましいことであり、国民をして納得さすゆえんでもあろうか、かようにも思いますので、大出君はちゃんと区別してお尋ねでございますから、その辺も混淆はされておらないと思いますが、私は、復帰後においてはただいまのような疑念はないように、またそういうことでなければならない、これが国会の決議でありますし、また政府の基本方針でもありますから、これは国民が納得される、疑念を持たれないようにいたしたいものだ、かように思っております。
  25. 大出俊

    大出委員 総理から、施政権アメリカにある沖繩だから、理論的にはサブロック搭載潜水艦沖繩に来ているということになる、だが、これは施政権アメリカにあるからで、復帰後はそういうことがあってはならない、こう思うと、妥当なお答えを私はいただいたと思います。確かに潜水艦が搭載しておるサブロックというものを点検ができない限りは実証はできませんから、私も、この核という問題は、ここに核爆弾があったって、サブロックがあったって、これは核かと言ったときに、いや、核じゃないと言われれば、電発してみせなければわからぬわけでありますから、立証できない。そういう意味で、理論的に詰めていかなければこれは価値ある論争にならない、そう思って実は私はずいぶんアメリカ議会資料を調べてみた。長い時間かかっております。またずいぶん専門家にも会っております。だから間違ったことは言ってないつもりです。お調べいただけばわかります。私は理論的に一つの確信を持っております。沖繩に入ってきている原子力潜水艦は、総理がいまおっしゃるように、理論的には積んでいなければおかしい。積んでいることになる。だが残念ながら立証の方法はない。理論的には積んでいることになるのだが、復帰後それが続けられては困る。総理がいまお答えいただいたとおりであります。現地沖繩もそう考えている。私もそう思っている。だから、その点は明確にしたい、こういう趣旨です。  そこで問題になりますのは、理論的に積んでいると考えなければならぬ沖繩のこの現状と、日本の横須賀なら横須賀、佐世保なら佐世保に入ってきているものとの関連がここに一つ大きくある。これが実はもう一つの私の心配なんです。時間がありませんから、ずばり核心に入っていきますけれども、横須賀に入ってきた原子力潜水艦一体何隻かというところから、昨年私は質問をした。昨年の段階で、実はこれは木村官房副長官から、最終的に外務省と相談の上ということになった結果の回答をいただいた文書がございます。  これはどういうことかと言いますと、ここに防衛年鑑もありますが、アメリカ議会証言にもありますが、昨年の段階でアメリカ攻撃原子力潜水艦は四十七隻である。しかも防衛年鑑には、サブロックを搭載している潜水艦が四十七隻中三十四隻、こういうふうに書いてある。これは久保さんとやりとりいたしましたら、久保さんのほうが新しい資料をお持ちでございまして、私の防衛年鑑にあるものよりはふえておりました。久保さんのお答え議事録はありますけれども久保さんのお答えによりますと、私のほうが資料が古い。新しい久保さんの資料に基づきまして明らかになりましたのは、「ちょっと訂正します」ということで訂正をされまして、「SSN原子力潜水艦四十七隻でありますが、そのうちサブロックを装備しているのが三十四隻であります」、これが久保防衛局長の御答弁だ。私は実は防衛年鑑に基づきまして、四十四隻で、うちサブロックを搭載されているのが三十四隻、こういうふうに申し上げた。サブロックを搭載している、こういうふうに明確に言えると書いてあると申し上げたら、それをちょっと訂正したい、手元にもう少し新しい資料があるということで、久保さんのほうから、いま申し上げましたように、つまり、攻撃原子力潜水艦は今日アメリカに四十七隻あって、そのうちサブロックを装備しているのが三十四隻、こういう御答弁をいただいた。これに基づいて計算をいたしますと、四十七隻のうち三十四隻の攻撃原子力潜水艦サブロックを搭載しているとすると、搭載していないのは差し引き十三隻しかない。  そこで、さて横須賀に入ってきた三十九年以来の原子力潜水艦の艦名で分けてみて、二回、三回人っているのもありますが、何種類の原子力潜水艦が入ったかという点をやりとりで確かめました。そうしたところが、十五種類にわたる原子力潜水艦が横須賀に入ってきている。一隻が何回入ったというのもありますけれども、種類別にすると十五種類の原子力潜水艦。そうすると、四十七隻の攻撃型の原子力潜水艦があるうちで、三十四隻はサブロックを搭載している。してないのは十三隻しかない。十三隻しかないのに十五種類の潜水艦が横須賀に入っていれば、算術計算だってそのうちの二隻は核を搭載していることになるではないかという詰め方を私はした。そうしたら、そのとおりになるであろうということで、そこから先の答弁ができなくなってしまった。子供にもわかる算術計算だからあたりまえのことです。結果的に外務省と相談をされて私に回答をいただきました。これは当時の木村官房副長官ですが、サブロックを搭載し得る潜水艦というのは二十一回入っているという。合計四十六回入ったんだが、種類でいえば二十一回、艦名でいえば二十一の艦名、こうなった。そうなるとこの中には、パーミット型もスタージョン型も明確に入っているわけでありますから、核搭載可能性があるという点を私は指摘した。そこで二国間の話し合いにして正に申し入れる、正式に照会する、正式に文書をとる、報告してくれる、国民のたいへんな疑惑を解く、こうなった。それきり一年近くたって何の連絡も外務省はよこさぬというふざけた話はない、こう私は思う。これが経過です。  そこで申し上げたいのでありますが、さて、沖繩原子力潜水艦日本に入ってくる原子力潜水艦は、必ずしも別なものではない。沖繩を出港して横須賀に来る、横須賀を出港して沖繩に行く、こういう関係についての内容は、私は一艦一艦について克明に調べてみました。そこでたいへん重大なことにぶつかった。ここで承っておきたいのですが、横須賀と那覇、まあホワイトビーチでけっこうですが、横須賀とホワイトビーチの間は何キロございますか。
  26. 久保卓也

    久保政府委員 キロ数でおそらく二千キロ足らずではないかと思います。
  27. 大出俊

    大出委員 おおむね千八百キロでございます。二千キロ足らずとおっしゃいましたが、大体そういうことでございましょう。コースが海路でございますから、直線ではございませんから、おそらく二千キロぐらいのことになると私も思っております。  ここに地図がございますが、この地図の編さん元に参りまして聞いてみた。そうしたら、この地図によれば、直線距離で千八百キロあります。フィリピンとの距離も調べてみた。フィリピンが沖繩からおおむね千五百キロぐらいです。これは調べてみて、聞いてもみましたが、海を通るのですから、どのぐらい回っていくかということがありますから、二千キロぐらいということになる。大体そういうことだと思います。  そうなると、さて問題は、原子力潜水艦の速力、これは久保さんでなければおわかりにならぬと思いますけれどもパーミットというのは非常に早い。それ以前の船というのは、パーミットに比べれば比較にならぬほどおそい原子力潜水艦です。時速どのくらいございますか。公の米軍の発表があります。
  28. 久保卓也

    久保政府委員 正確には数字を調べればすぐわかりますが、たしか三十ノット前後、最高スピードであれば三十五ノットぐらいいくであろうと思います。
  29. 大出俊

    大出委員 まさに御答弁のとおりでございまして、最高時速が三十五ノット、これがパーミットでございます。それからパーミット以前の船は、一番早いので水上で二十ノット、それから水中で二十三ノットぐらいであります。だからパーミットが最高速度時速三十五ノット、確かに御答弁のとおりであります。三十五ノットと申しますと、キロにしておおむね六十キロでございます。六十キロが最高速度であります。通常どのくらいの速度で走っているかと申しますと、三十キロないし三十五キロ。千八百キロを三十キロで走ってまいりますと、四六時中走り続けておおむね三日近くかかる。速力をもう少し出して四十キロで走って、三日目にかかって沖繩ホワイトビーチから横須賀に来る、こういう計算になります。これも私は軍事専門家その他をたずねていろいろ当たってみた。そういう計算になります。  さて、そこで問題になりますのは、そうすると重大なことがあると申し上げましたのは、実は私は、記録上残っている潜水艦沖繩に入った日にち、入った時間、出た時間を、沖繩に行きまして全部克明に調べてみた。横須賀でも、また佐世保でも、調べ直してみた。  ところが、近いのから申しますと、七一年、去年の十月の十七日に夕方の十七時、午後五時でございます。四十八時間という滞在日程通告を琉球政府にいたしまして、スキャンプなる原子力潜水艦ホワイトビーチに入った。これが四十八時間でございますから、十九日の十七時までがホワイトビーチにおける係留期間であります。これが切れて出港いたしまして、同じ十月二十二日に横須賀に入ってまいりました。十九日の夕方五時に出発しているのでありますから、ほかに寄る余裕は毛頭ありません。しかも、衆議院の外務委員会で学者が証言している中身からいきましても、あと近い原潜基地というのはフィリピンでございます。フィリピンまで行ったら千五百キロかかる。反対方向であります。どこにも行くところはない。物理的に間違いもなくホワイトビーチから横須賀にストレートに来ている。三日目に入っている。そうなると、いま私が速力を立証いたしましたように、久保さんがいみじくもお答えになった二つは、距離も速力も私の調べたのと一致している。そうなると、物理的にどんなに考えたって、ホワイトビーチからまっすぐ横須賀に来ているに間違いない。これはスキャンプでございます。  もう一つ、一九七一年の六月二十日、ソードフィッシュ、これはおなじみの横須賀には何回も入っている船であります。これが横須賀を六月二十日に立ちました。そして六月二十三日にホワイトビーチに到着をいたしております。逆なケースでございますけれども、これもちょうど同じ日程であります。どこにも行っておりません。  もう一つだけ例をあげておきますが、まだ幾つもありますが、これは四十五年五月の十八日、問題の久保さんが前回お答えになったパーミット間違いもなくこれはサブロック搭載の船であります。世界周知の事実であります。このパーミット沖繩ホワイトビーチを五月十八日に出港いたしまして、同じく三日目、二十一日に横須賀に着いております。これもどこにも行く余裕もゆとりもありません。世にいわゆる明確なサブロック搭載攻撃潜水艦であります。  さらに、スカルピンという船が七〇年三月十二日にホワイトビーチ入りまして、十三日に出港いたしましたが、これが十六日に横須賀に着いている。これもまた明確に直行であります。  あと一日、二日のずれはたくさんございます。  だから、演習をする云々ということになれば、三日が四日になり五日になり得る場合がある。そうすると、ホワイトビーチから横須賀に直行で入ってくる船は三日、四日、五日、六日というところにみな集中している。その中で最短日数の三日だけをとってみて、以上申し上げた四つある。  そうなると、理論的に、総理もいま、施政権が向こうにあって残念ながら認めざるを得ないのは、議会証言からいって、沖繩に入っている原子力潜水艦攻撃型は核を搭載している。しかも戦術任務が与えられているわけです。任務の中には、沖繩基地相手原子力潜水艦から守る命令まで入っている。そうなると、ソビエト原潜が目の先に来ているのだから、アメリカ原潜核搭載がないなんてばかなことは、初めから理論的にあり得ない。だから理論的には認めざるを得ない。認めざるを得ないものがストレートに横須賀に入ってきているということになった場合に、現にあるのだから、これは一体——私の言っているのはどこかの文書でこうだとかいうのじゃない。理屈からいって、これはそうならざるを得ない。そうするとほうっておける筋合いじゃない。私は昨年二回にわたりまして、木村副長官以下を詰めて、愛知外務大臣以下を詰めて、二度とも御答弁をいただけなくなって、アメリカ照会をし、申し入れをし、明確に答えをとる、国民がたいへんな疑惑を持っているのだからということになった。このことが、何にもしないでほうっておかれたことは、私にすれば遺憾千万。一生懸命調べてみてこういう結果になる。あとまだたくさん資料ありますが、時間がありませんから中心だけ申し上げたいのですが、これはほうっておけないです。この現象を一体どうお解きになるか。  もちろん、冒頭に申し上げておりますように、施政権下にあります。だから、いま総理お答えになりましたように、理論的に核搭載をして入っているであろうことをとやかく言うのじゃない。そこからストレートに横須賀に入ってきている。三十九年以来入り続けている原子力潜水艦攻撃型、これについて、核は搭載されていないということをアメリカが言うからだいじょうぶだという説明しかない、今日まで。しかし、物理的にあり得ないことになる、このことについて解明ができないのであれば、国民疑惑は深まるばかりになる。そういう意味で責任ある御答弁を私は賜わりたい。いかがでございますか。
  30. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 大出さん御指摘の問題につきましては、すでに米軍当局とも話しておるわけです。米政府とも話しておるわけです。しかし、核はとにかく日本政府で三原則という政策をとっておる、これに背馳はしません、こういうことを繰り返し言うわけなんです。しかし、いま御指摘の話、私といたしますと、初めて具体的な問題としお聞きするわけですが、そういう問題も踏んまえまして、私は、国会終了後適当な機会に安保協議会を持ちたい、こういうふうに思っておりますので、その際あたりが適当かと思いますが、十分アメリカ側と協議をいたしてみたい、かように考えます。
  31. 大出俊

    大出委員 私が克明に調べてまいりました結果に、皆さんは反論のしようがないと私は思う。ホワイトビーチに入っている船、記録に残っている攻撃原子力潜水艦の艦名、入った時間、出た時間、一隻残らず調べてあります。横浜に入ってきた、佐世保に入ってきた攻撃原子力潜水艦の入った時間、出た時間、係留期間、全部調べてあります。その上でホワイトビーチと横須賀の港との間の距離まで調べてあります。この点は久保防衛局長も、私と同じようにお答えになった。しかも速力についても先ほど御答弁がございました。そうなると、これは三日目に入ってきているということになりますと、物理的にどこにも寄る余地はない。入れる港はフィリピンしかございませんが、反対方向千五百キロ先であります。それでもなおかつアメリカ側が、横須賀には積んだのは入れていないと言うならば、三十九年以来、この長い年月ないのだというならば、水中で発射したことになる。あの辺の魚が驚くだけですよ、そんなことをすれば。十発積んであるのだから、そんなことはあり得ない。そうするとこれは、アメリカはそう言っているけれども日本政府としては点検立証の余地がないことであるだけに、アメリカの言うことを信用してきたけれども、信用ならぬところに来たという認識をお持ちにならぬと、国民の皆さんに相すまぬことになります。総理、私は真剣にそう思う。  これはなぜかと言うと、これだけもめている沖繩の問題ですから、原水協その他が中心になっていま原子力潜水艦を調べている。夜な夜な大浦湾の辺野古の、上原康助君が指摘したところの目の前に入っていくからなんだ。それだからこそ、いまから的確な手をお打ちいただかぬと、返ったあとでまた搭載核の問題で大きな問題がすぐ起こる。だから、これは横須賀についても再検討する、やはり総理の責任でアメリカ側と話していただく、詰めていただく。そうしなければ国民に相すまぬと思うから私は聞いているのですから、御答弁いただきます。
  32. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 ただいま外務大臣お答えをいたしましたが、全部のここのやりとりを聞いてないから、あるいは十分答えていない、こういうこともございます。私が答えればよかった、かように思います。  先ほど来御議論ございましたように、アメリカ施政権下にあるのですから、その潜水艦が核兵器を積んでおる場合もあるだろうということがいわれる。しかし、先ほども事務当局が申しましたように、これは積めるということでございまして、必ず積んでいるというわけじゃございません。そこに一つの問題があります。ことに日本に立ち寄る場合においては、これは日本の意向に反することはしない、かように申しておりますので、私は、よもや日本に来た場合にこれ積んでおる、かようには思っておりません。そこでただいまの問題も、積み得る能力はあるけれども日本に立ち寄る場合においてはそういうものははずしておるはずだ、かように私は思います。これは、先に沖繩から横須賀へ立ち寄る場合も、また横須賀から沖繩へ行く場合にいたしましても、これは同様だろうと思います。  したがって問題は、今度は沖繩日本復帰するのでございますから、同一の日本の領土内だ、かように考えますので、この際に、現在の非核三原則、これを堅持しておる日本政府、その立場をもっと明確にしておけ、こういう御注意はもっともなことだと思いますので、先ほど外務大臣が申しますように、さらにこの点については十分な話し合いをしよう、かように申しておりますし、また先ほど申しましたように、返還の際においては核のないこと、これは沖繩の問題でございます、潜水艦の問題ではございませんが、そういうことをはっきりする、かように申しておりますから、これはそのほうで確認する。同時にまた、いまの潜水艦の搭載用の、これは潜水艦ばかりじゃなく軍艦の場合も同様でございますが、そういうことについては、これは間違いが起こらないように、私ども外国の軍艦を一々検査するわけにもまいりませんから、さような意味で、十分な話し合いをして信頼に足る返事をとりたい、かように思っております。これが先ほど外務大臣が答えたとおりでございます。御了承いただきます。
  33. 大出俊

    大出委員 この信頼し得るに足る答えをとる、こういう総理の御答弁ですが、私はどうも、総理とまたけんかしてしまったんじゃ議論の意味がなさなくなるので、実は気をつけてしゃべっているのですから、その点はそちらもお気をつけの上でお答えいただきたいのです。  愛知外務大臣が、四十六年五月十五日、審議中断をして理事会で伊能先生中心にまとめた結果、最終的な答弁しているのは、「きょうのサブロック問題に対しまして、大出委員からたいへんおしかりをいただいて恐縮に思いますけれども、これはやはり国民的な疑惑の問題ですから、政府といたしましては、米側によく照会をし、また申し入れをいたしまして、慎重に扱い、かつ報告をいたしたいと思います。」こうなっているのです。それを何にもしなかったのですから、これは私もよくがまんしたのです。だから、総理がいま、信頼し得るに足る回答をとるとおっしゃるのですが、これはほんとうに明確にしていただかないと困る。  そこで、なお実は足りない。はずしてくるなんということを総理おっしゃるけれども、そんなことはできない。攻撃潜水艦に積んであるサブロックをはずすにはどうやってはずすか、何か記録をお持ちですか。私にはございますが……。
  34. 久保卓也

    久保政府委員 私は承知いたしておりません。
  35. 大出俊

    大出委員 私は、実際にエンタープライズにも乗り、ロングビーチにも乗り、攻撃潜水艦サーゴ号にも乗り、直接調べた方に直接聞いた。艦内でいろいろなやりとりまで実はできている。ところが、その中身からいたしますと、必要ならばあとから反論をいただきたいのですけれども、縦に積んであるサブロックをどかすのには、まず機械装置で上に揚げる。揚げてコンテナに入れる。コンテナに入れてから艦外に運び出す。それから倉庫に入れる。これをやるのに二日かかるのです。核の取り扱いについてはアメリカ側は規則がちゃんときまっている。そんなに簡単に取り出せない。三十九年の私が質問したときのやりとりからすると、科学技術庁は、目方は横綱大鵬ぐらいがという。そうなれば百五十キロ。そんなものが、ぱんぱんとはずせるのだ、横須賀に入ってくる前にどこかではずしてくるから絶対心配ない——いま総理ははずしてくるだろうと言う。調べてみたら、そんなに簡単にはずせるものではない。岩田の核論争のときだって、コンテナに入れて一箱で六人もそこにガードがついて、前にも車があって歩くくらいの速度でと、ちゃんときまっているでしょう。書いてあったでしょう。最近は方々の方が米軍の出している核ハンドブック持っている。これは明らかになっているのですよ。いま日本に行くのだからちょっとはずしてと、十五分くらいではずす、これはそんなに簡単なわけにいかないのだ。それならば、はずすために二日もいなければならないじゃないですか。ほかに近くに基地があるかというと、フィリピンしかないじゃないですか。国会証言までしているのです。近くの基地はフィリピンしかない。あとはハワイの真珠湾。しかも問題は、真珠湾から出るときにすでにサブロックを搭載しなければならぬのですよ。  例証しましょう。三十五年六月十五日から三つばかりありますが、とりあえず一番最初のものを申します。原子力潜水艦の火災が起こった。これはサーゴ号です。サーゴ号パーミット号より前にできておる。前にできておるから核搭載していないということを言いがちだが、実はサーゴ号も核を搭載しておる。「米原子力潜艦発火〔ホノルル十五日発=AP〕十四日、真珠湾に停泊していた米原子力潜水艦サーゴ号が突然火を発した。米海軍当局は損害の詳細を発表していないが、同艦は核弾頭を積んでいたと述べている。海軍のスポークスマンは、負傷者がいるかどうかわからないと語った」。このAP電は、当時、日本の朝日新聞、読売新聞が小さい記事で載せた。このもとを調べてみた。調べてみたら、向こう側に記録がある。一九六〇年六月十四日、ハワイの真珠湾工廠の岸壁に係留中のサーゴ号に液体酸素を補給中、作業員の不注意によって火災が発生して全艦火の海となり、艦尾を着底して沈没をし、沈没の状態で火は消えたが、引き揚げて修理するまでに約半年かかっている。この艦は核弾頭を搭載していたが、核は無事だったというふうに書いてある記録がちゃんと向こう側にもある。真珠湾を出るときの火災です。フィリピンに寄って沖繩に来ても、フィリピンにおろす理由はない。フィリピンに帰るのに三日かかって、日本に来るのにまた一三日かかる。原子力潜水艦攻撃型はそんなにゆうちょうに遊んでいるのではないですよ。そうでしょう。核をはずして来たら、往復六日間は核は積めないのですよ。そんなばかなことがこの世の中にあり得ないじゃないですか。ましていまベトナム戦争やっておる世の中に。そうでしょう。だからそういういいかげんな御答弁のあり方では困る。  私は真剣に考えているのですよ。これは決してどうしようというのではない。この点は国民疑惑なんだ。横須賀に入ってくる原潜について、みな核が積んであると思っているのだ。上がって遊んでいく水兵もいるし、横須賀には政府よりよけい情報が入る。そうでしょう。だからそれだけに、政府はやはりき然たる態度をとってアメリカにものを言う。そして、沖繩が帰ってくるのですから、明確にするという姿勢がなければならぬということを私は申し上げている。はずしてくるとか、積んでないとか、そんなことはない。サーゴ号だって明確じゃないですか。もう一ぺんこれはお答えいただきたい。
  36. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 大出君の御意見、私どもそれを踏んまえて十分アメリカと交渉する、その用意のあることを申し上げておきます。先ほど外務大臣が答えたのもそういう意味でございますから、御了承いただきます。
  37. 大出俊

    大出委員 横須賀に入ってきている原子力潜水艦も核を積んでいる。ただアメリカは、エードメモワール等が出た時点から今日まで、日本政府の意に反することはしない、こう言ってきた。今日まだ続いておる。  ところが、ここに重大問題もう一つある。もうじき一時間近くなりますから、どこかで打ち切って楢崎議員のほうにバトンタッチをいたしますけれども、締めくくりだと思ってお聞きいただきたいのでありますが、私は、当時の石橋政嗣さんと私との、三十九年の原潜が入ってきたときの、椎名さんが外務大臣、愛知さんが科学技術庁長官、このお二人並べた質問議事録を全部読み返してみたところが、奇妙なことに気がついた。当時、外務省は統一見解を発表された。どなたか覚えておられますか。三十九年の原潜寄港にあたって外務省は統一見解を世の中に明らかにされた。御存じでございますか。  時間がございませんから、私読み上げましょう。外務省からお出しをいただいて、印刷をしてありますから間違いない。これは本物ですよ。うそを言っているのじゃない。密約問題楢崎君の問題などは、あなた方はすぐうそだと言うが、これはあなた方の文書なんですから……。  この中に、「これにより日本に寄港することとなった米国の原子力潜水艦は、いわゆるノーチス型の通常の原子力潜水艦であって、ポラリス型の潜水艦ではない」、つまり「核兵器の本邦持込みとも全く関係がない」。ここで強調されている皆さんの統一見解は、ノーチラス型の通常の原子力潜水艦であると言っている。これがこの統一見解のポイントなんです。週刊誌にも、外務省の内幕でこうだああだというようなことが一ぱい載った。ノーチラス型の通常の、これに限られていた。だから石橋委員と私の当時の質問議事録を読み直してみると、おなくなりになりました小泉さん、私は隣の選挙区で親しくしておりましたが、防衛庁長官の小泉さんがお答えになっている。小泉さんの答弁も、あくまでも今回入ってくるものはノーチラス型の通常の原子力潜水艦である、スレッシャー型でない、サブロックは搭載していない、その前提に立っているのだということを明らかにしている。ここにもございますけれども。ですから、サブロックの搭載をされた原子力潜水艦日本に寄港すれば、それは核兵器の持ち込みでありまして、私どもはあくまでも、サブロックを搭載してない通常の原子力潜水艦の寄港であるということを承認をしたのだ、こう言っておられる。ここに議事録もございます。  ところが、これには問題がございまして、では一体サブロックはいつ積むのだ。当時の海原防衛局長は、いま検討中、開発中、試験中であって、いつ積むとも明確になっていないが、一年くらいたてば積むのだろうと思う。積んだときはどうするのだと言ったら、小泉さんの答弁は、それは入れないということだった。そうすると、当時の統一見解なりエードメモワールの中心になっておるのは、エードメモワールもここにございますが、日本政府の意に反することはしないと言っている。日本政府の意とは何か。ノーチラス型の通常の原子力潜水艦、これに限られている。まだサブロックを積むスレッシャー型が入ってくるなんということは予測してない。将来そういうことがあるとすれば、それは核持ち込みになるから拒否をするというような答弁です。お読みいただけばわかります。そうなると日本政府は、ノーチラス型の、つまり核を搭載しない通常の原子力潜水艦の入港を認めたという形になっている。スレッシャー型の入港はあなた方は認めていない。ところがスレッシャー型が、さっき申し上げましたように、政府の公式の御回答をいただきました中にも、四十八隻のうちで十五隻も入ってきている。  ということになると、これはあなた方が、本来その時点でものを言い、この答弁からいけば断わらなければいけない筋合いないんです。それをそのままあなた方は入れっぱなしにしてきた。となると、核を搭載してきたってあたりまえですよ、あなた方はチェックしてないのだから。そうでしょう。だからそこまで明確なものを、調べてみて、あなた方はここのところはもう少しアメリカに対しておこらなければいけませんよ。日本の自主性というものを明確にしなければいけませんよ。外務大臣もこの間そうおっしゃったばかりです。この経緯についてあなた方はお認めになるでしょう。議事録も全部何べんも読んでみてやります。外務省がお出しになった統一見解もここに明らかになっております。ノーチラス型の通常の原子力潜水艦の寄港をあなた方は認めたのです。いかがでございますか。
  38. 吉野文六

    吉野政府委員 われわれの了解では、この政府の統一見解は、通常の原子力潜水艦の入港を認めた、すなわちポラリスのごとく明らかに核を搭載しておるような潜水艦は認めない、こういうことだと解しております。しかしながら、もう一回その後の記録を調べまして、さらにお答えさせていただきたいと思っております。
  39. 大出俊

    大出委員 楢崎君の質問の時間もありますから、今度こそ総理お答えでこれを明確にしていただきたいと思います。  物理的にどこからどういうふうに推論をしても、ほかに考えようがない。これだけは皆さんにも反論がないですからそういうことになる。しかも議事録も明確にある。  そこで、締めくくっておきますけれども、この核の問題は原子力潜水艦だけではない。搭載核ということを私は申し上げましたが、先ほどのフェルト大将証言などというのは、搭載核のみならず、沖繩の航空機の核の問題に全部触れている。全部核を搭載しているということを明確にしている。さっき読み上げた個所にもございました。しかも、もう一点だけ明らかにしてこれですぐ終わりますが、実はB52にかわる、あるいはF105サンダーチーフにかわる新しい形の核搭載アメリカの航空機が沖繩に入ってくる。そういう今日体制にある。KC135という飛行機、空中給油機が問題になっております。事前協議その他にも関係があります。しかし、このKC135が十五機、昨年九月に入ってきたときに、現地の新聞も外電その他を全部集めてここに証拠を明らかにしている。つまりKC135というのは、核戦略戦闘爆撃機隊という、アメリカの新しい核戦略の中心になる部隊編成に伴って考えられているKC135である。しかもそれはやがてF105等にかわる。これはもう部品もつくっておりませんから。あるいはB52のあとのB1ができるまでのつなぎ、こういう意味があります。しかもこれはジャパンタイムズに載った。調べてみて明確なんですよ。FB111という爆撃機アメリカで核を搭載して配置についた。明確になっております。それからアメリカ戦略空軍(SAC)の発表でありますが、一九七一年十月七日であります。その中には、「可変翼超音速爆撃機FB111が米核抑止兵力の任務の一部の引き継ぎを開始している。総計約五キロトンの威力を持つ六個の核爆弾をFB111が少なくとも十二機、合衆国の北東部にある戦略空軍基地(複数)で地上待機している」。これは戦略空軍の正式な発表です。これと軌を一にしている。これはやがて沖繩に来る。そういう資料です。これは時間がありませんから申し上げません炉、つまり搭載核といわれるもの、フェルト大将証言にもありますように、沖繩搭載核の中心基地であります。そうなると、海の中の原潜の核、飛行機の搭載核、これらの問題を、ロジャーズ書簡ということで明らかになるのかどうか知りませんけれども、先ほどの総理答弁ではならないはずであります。そうなると、この問題に対する責任をやはり日本政府は負わなければならぬ。そうしなければ、沖繩返還にまつわる核の疑惑はなお解けない。そこらのところを、きょうは私は時間の関係もありますから、中心点だけおわかりいただけるように実は質問したのだけれども、その点は、搭載核、海の中、空、これについては、あなた方の責任において、アメリカに対してものを言い、明確な回答をとり、世の中の国民疑惑というものをお解きいただく。そうでなければならぬと私は思いますから、二つの問題についてあわせて御回答いただきたい。  これで終わります。
  40. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 大出君から、いろいろの証言、またいままでの計画——アメリカのですよ、等をあげられまして、そうして沖繩の祖国復帰後もたいへん心配があるという、そういうお話を詳細にこの委員会で述べられました。私どももたいへん教えられた、蒙を開いていただいた、かように思っております。そういう意味で、問題は、祖国復帰後においてわれわれの政策がアメリカに守られるか、アメリカはわれわれが信頼するに足るか、そういう重大な時期になる、かように思います。したがいまして、外務当局あるいは防衛当局等の持つ会議も、これらの点を明確にする要がございます。この点では超党派で政府を御鞭撻賜わりたい、かように思います。ただいまは私どもが代表しておりますが、いずれの党におきましても、国会の最高の決議を守る責任がある、かように思いますし、この点は超党派で実施されなければならないと思いますので、この上とも御鞭撻をいただくようお願いをして、政府としては、ただいま置かれておる立場において最善を尽くして米国との交渉に当たる、私はこのことだけ申し上げておきます。
  41. 大出俊

    大出委員 終わります。
  42. 伊能繁次郎

  43. 楢崎弥之助

    楢崎委員 外務大臣にまず一番にお伺いしておきます。  外務大臣は参議院の予算委員会で、軍用機の本土基地を使っての直接出撃について、実際に爆弾を積んで交戦地域に行く場合には、その下令の時期というものはあまり条件に入れずに、事前協議のたてまえ上考えるべきではないという御答弁があったように承っておりますが、そのようでございますか。
  44. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 事前協議の対象となる問題は、これは形式もあります。つまり、戦闘作戦行動についての命令を受けている、こういう形式問題もありますが、それは実体を象徴する意味なんだ、こういう見解を申し上げたわけなんです。実体が戦闘作戦行動そのものであるという際には、これは事前協議の対象となるべきものである、こういう見解を申し上げたわけなんでありますが、どうもその辺がまだもやもやしておりますものですから、これも私がおさらいをする、こういう事前協議対象事項問題の協議事項の一つとして考えてみたい、かように答えておるわけでございます。
  45. 楢崎弥之助

    楢崎委員 さらに外務大臣は、B52を含めてあらゆる軍用機が、ベトナム交戦地域へ、沖繩返還後、沖繩も含めて本土基地から直接出撃の要請があったときには、事前協議でノーと言うというふうにこれまた承ったわけであります。ということは、ベトナムという地域が安保条約にいう極東の範囲に含めるのがたいへん無理だという御見解から、ベトナムに対する出撃についてはノーと言うというふうに承っておいてよろしいかどうか。
  46. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 私は、ベトナム地域は、極東の範囲の論議からは、いわゆる周辺地域に該当すると思うのです。でありますから、事前協議の対象としての論議がそこで起こってくるわけです。しかし、その事前協議に対しましては、日本はイエスと言いノーと言う立場にあるわけでありますが、ああいう遠いところでありますから、イエスと言うには、わが日本の利害に直接の関係があるか、わが国益に照らしてどういう判断をするか、こういう問題であります。そこで私は、ノーと一言いたい、こういうふうに申し上げておるわけで斬ります。
  47. 楢崎弥之助

    楢崎委員 ことばを変えれば、極東の範囲というのを安保条約で明確にしておるゆえんのものは、やはり日本の安全と照らし合わせてみて、遠過ぎるということは、やはり極東の範囲の中に入れてイエスもありノーもあるという態度では、これは無理だというふうに私どもは承るわけであります。というのは、朝鮮地域あるいは台湾海域へも、もし紛争が起こった場合には、イエスもありノーもあるということなんでしょう。どうですか、その点。
  48. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 ベトナムといえども、極東の平和というような見地から見ますと、これはあそこの戦火が重大化するということになれば、これは極東の平和、安全に重大なる影響がある。そういうような意味合いにおきまして、これはいわゆる周辺地域という理解はできると思うのです。しかし、ベトナムに向かって日本基地を使いまして米軍が出撃をする、そういう際にわが国はイエスと言うかノーと言うか、そういう選択の前に立たされる。そういう際にわが国がどういう判断をするか、その判断の基準はどこまでもわが国の国益である。つまり、この事態がわが国の安全にどういう影響を持つ問題であるか、こういうことだろうと思う。そういうことを考えますときに、このベトナム地域の問題は、今日の事態においてノーと答うべきものである、こういう見解でございます。
  49. 楢崎弥之助

    楢崎委員 私は外務大臣のそういうお考えに対して敬意を表するところはあるのですよ。ときどき吉野さんがそばへ来て何か言っておるようですが、これはなまいきなことを言うようですけれども外務省の玄関に陸奥宗光の銅像を建てられましたね。これは外交の先輩でありましょう。その陸奥宗光さんが言った有名なことばがあります。外交の要諦は条約の解釈にあらずして方針だ。まさにそうだと思うのです。命令をどこで受けたかなんというささいなことよりも、やはり事前協議をなぜつくったかというその意義あるいは目標に照らして、実体がどうなのかという観点からの外務大臣の判断は、まさに正しいと思うのです。それで、そういういわゆる実体からひとつ条約を見ていっていただきたい、このように要望しておくわけです。  そこで、台湾を極東の範囲から除外するかどうかは、日中の政府間交渉がもし始まればその中で検討するという御答弁でしたが、しかし、今度の問題も含めて、事前協議その他、日米安保協議委員会が開かれますその中で、やはり台湾を極東の地域から除外することも含め、あるいはベトナムの地域も極東の範囲とどうかかわるのかというような意味も含めて、単に直接出撃の問題だけでなしに、極東の範囲の問題についても、この安保協議委員会の中で御検討なさる意思はおありでないでしょうか。
  50. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 ただいま私が申し上げておりまする安保協議委員会におきまする事前協議の問題の協議、これは極東の範囲についてのことは考えておらないのです。特に、ただいま御指摘のありました台湾の問題ですね。これは台湾と大陸との関係がどういうふうになっていくか、これが一体なものであるというようなことになれば、これは私は当然除外さるべきものであるという主張をいたしたいと考えておりますが、今日の現実の情勢とすると、国民政府というものが現に存在しておる、こういうようなことで、そこまでまだ言い切るような状態にはないというふうに考えます。  私が申し上げておりますこの協議の主題は何であるかというと、出撃の場合にあいまいなことがあるわけなんです。そういう辺につきまして明らかにしておきたいということで、いま私が、極東の範囲まで及んで協議しますと言うと、過大の御期待を与えることになりますので、そこまでは申しかねます。
  51. 楢崎弥之助

    楢崎委員 そうすると、直接出撃の問題を協議するのは、いわゆる戦闘機あるいは軍用機の問題だけでありますか。
  52. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 戦闘機、軍用機という航空機の問題ばかりじゃありません。艦船の問題もあります。いろいろの問題を含めまして、とにかく安保条約ができて十二年もたった、そのときの体制がいま行なわれておる、こういうことでございまするし、総理からもただいま申し上げましたが、沖繩返還という問題がある。その沖繩の問題をどういうふうに処置すれば県民に御安心を願えるかという問題もある。そういういい機会でございますので、それらの問題を討議してみたい、かように考えておるわけでございます。
  53. 楢崎弥之助

    楢崎委員 先ほど大出委員の、沖繩からの核抜きの問題に関しまして、総理は非核三原則ということを言われました。四十四年でございましたか、予算委員会において、この非核三原則をばらして、つくらず、持たずは、憲法上及び原子力基本法上違法の疑いがあるから禁止するんだ、持ち込まずは政策というふうに言われましたが、いまもその御見解は変わりませんか。
  54. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 国会の決議は、ただいまの三つをばらしてそれぞれの立場できめているとは、私は理解しておりません。国会の決議は、この三つを同じ立場において行政府にそれを守ることを要求している、かように思っております。したがって、われわれのいままでの解釈も、国会の決議がある今日、これは政府の考え方と国会の決議とあわせてただいま運用すべきだ、かように私は思っております。
  55. 楢崎弥之助

    楢崎委員 私は四十四年のことを言ったのは、決議じゃなしに——決議は昨年ですから、四十四年に私はそういう質問をしたのです。そのときに総理はそのとおりだとおっしゃったわけですね。憲法上、そしてまた原子力基本法上、持たず、つくらずは違法の疑いがあるから禁止するんだ、持ち込ませずは政策の問題だ、そのように明白に私に答弁なさったのですから、それはいまもお考えは変わりませんかということを聞いておるのです。
  56. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 私の答えたのは、四十四年はそれでよかったろうと思いますが、ただいまは国会の決議ができておりますから、ただいまのような状態に変わっている、かように御理解をいただきます。
  57. 楢崎弥之助

    楢崎委員 それは、時間がないから議論はしませんが、決議は法律とは違いますから、そのお答えはたいへん変に思うのですよ。私はやはり四十四年の総理答弁を明確にしておっていただきたいと思うのです。
  58. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 四十四年に、ただいまおあげになったように私、答えたことは、いまなお私の記憶にあります。しかし、私がいま国会の決議を出したのは、政府はさような考え方を持っておったが、国会の決議でその点はもっとはっきりしている、かように申し上げてる。それが、憲法でどう書いてあろうと、憲法になかろうと、これは同じように、国会では決議をして、そうして行政府にそのことを忠実に守るべき義務を負わした、かように理解して申し上げているので、四十四年を取り消したわけじゃございません。そのとおりでございます。
  59. 楢崎弥之助

    楢崎委員 国会決議でさらにこれは明確になったというふうに私はとっておきます。けっこうです。  そこで、ABM、これはもし持つとすれば違憲になりますか。
  60. 久保卓也

    久保政府委員 従来の統一解釈では、純粋に防衛のみに使われる核兵器というものが存在するならば、それは憲法の禁止するところではないというふうになっていると思います。そこで、そういう意味では、ABMはミサイルを要撃するというものでありますから、憲法上からいえば、違憲のものであるというふうには私は解釈いたしません。
  61. 楢崎弥之助

    楢崎委員 これは失礼ですが、局長の御見解ですか。いま佐藤内閣の御見解と承ってよろしゅうございますか。
  62. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 憲法との関連における問題として私がお答え申し上げますが、ただいま……
  63. 楢崎弥之助

    楢崎委員 失礼ですが、いいかどうかということです。
  64. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 いま答弁をされました趣旨というものは、いままでも何べんか申し上げております。私が申せばもう少し詳しく申したいと思いますが、きわめて端的に言えば、さっきの答弁でよろしいと思います。
  65. 楢崎弥之助

    楢崎委員 時間がなくてたいへん残念ですが、この前の連合審査で、私は日米核部隊の問題と関連をしてCBRの問題を出しました。これを出したときに、委員席から、問題をすりかえるなというような不規則発言もあったやに覚えております。しかし、なぜ私がこれを出したか、若干説明をしたいと思います。  私が指摘したとおりその通達はありました。本物を訓練用とする通達、これは昭和四十三年三月十四日、陸幕化第二七号、「装備品等の品名の変更について」でございます。通達はあったわけであります。昨年、岩国の核を問題にいたしました。米軍は直ちに、電話帳の核部隊の名前の上にトレーニングということばをかぶせております。つまり訓練ということばを今日かぶせておる。もし米軍の筆法をもってすれば、本物をごまかす際に訓練用とするということもあり得るわけであります。あり得るということを私は立証したいためにこの問題を出したのであります。  それからもう一つ、通達の問題を出しました。これは「化学剤取扱規則」。これも本物を演習あるいは訓練用消耗品とすべて書いてある。これを指摘したら、通達を変えられましたね、去年。これは四十六年七月十二日の第一七三九号の広報に載っております。これもなぜ変えられたかというと、この中には、持ってはならない化学兵器を持っておったということになる、この通達によると。つまり化学弾頭をABCDに分けて、Aグループはびらん剤、神経剤を含む、Bグループは催涙剤、窒息剤、くしゃみ剤などを含む、こういうものがあるようになった通達である。なぜこれが変えられたか。私はあるかないかわかりません。しかしこの通達はあるようになっておる。弾薬取り扱いのこの本を見てもそうなっておる。変えられた理由は、米軍のものをそのままやった。つまり自衛隊は米軍の言っていることを何でもそのまま用いる。その例に出したのです。  さらに私は、先日の内閣委員会で出しました、十四日に嘉手納にCF130の黒い飛行機が二機来ておる。その直前に、問題の知花弾薬庫からトレーラー二台で多数の赤線の表示が入った高性能爆弾が運び込まれておる。ベトナムで戦術核を使う可能性が非常に増しておる今日、この事実関係を明白にしてくださいと申し上げた。それはわかりましたか。
  66. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 先般、御指摘のありました訓練用というものを本物の頭にかぶせるという件でありまするが……(楢崎委員「時間がないから事実関係だけ」と呼ぶ)これはすでに資料をもって申し上げましたように、催涙ガスの場合は認められておりませんし、基地の警備等々にもこれは用いておるわけでありまして、何もそういうふうにことさらに言わなくてもよかったという反省は確かにありまするが、今後ともこのあたりは厳重によく注意をしてまいりたいと思います。  それから、過去のもうすでに廃止した「化学剤取扱規則」、これも資料をもって御報告申し上げましたように、米軍側から提供を受けたときにどうかするかという配慮の上に立ったものであったことは申し上げたとおりであります。しかしこれも、そういうものを引き受ける必要がないのですから、廃止をいたした次第であります。  沖繩基地の問題につきましては、これは残念ながらまだ今日まで明らかに調査されておりません。
  67. 楢崎弥之助

    楢崎委員 お聞きのとおり、私はきょう、せんだっての日米核部隊の問題について、中間的な総括を私自身申し上げたかったのです。しかし、何か私の問題は、連合審査会から内閣委員会に移された。与党の御見解によると、今度は外務委員会に持っていかれた。あちこちあちこち引き回されるだけです。だからきょうは、私はするつもりで持ってきておりましたけれども、お好みの中間のルートについても、若干明らかにしたいと思っておりました。しかし、外務委員会に移ったそうですから、ここではやめます。  しかし、いまもお聞きのとおり、こういう重要なことはなかなか時間がかかるでしょう。どうしてかかるんです。私どもが取り上げた岩国の核の問題、あるいは辺野古の核貯蔵庫の問題、公明党の皆さんが取り上げた横田などのいわゆる核の問題、あるいは共産党が取り上げられました例の核の模擬弾の演習の問題あるいは核部隊の問題全部こういうものは明らかになっていないのです。しかるに私がこの前出した問題については、もう日米双方間髪を入れずこれをにせものだと言う。そういうことを言う前に、われわれが前もって提出しているこの核に関する問題がなぜ早く調査されないのです。私はその辺に非常に作為的なものを感ずる。これだけ申し上げて、時間が来ておりますから質問を終わります。
  68. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 ちょっと補足します。  いま御質問のCF130、これは米軍のシリアルナンバーにCF130というその記号のものはあるという御指摘でありまするが、調べた時点においてはよくわからない、こういうことを申し上げたわけです。しかし、引き続いてこれについては調査をいたしておりまするので、すみやかに答弁申し上げられるような調査を進めたいと思います。
  69. 楢崎弥之助

    楢崎委員 私はそういうことを聞いておるのじゃないのです。CF130がどういう飛行機であるかということは、この前防衛庁長官から聞いておるのです。私が確認をお願いしたのは、嘉手納に十四日の午後二機飛んできておる。これはC130を改造した輸送攻撃機なんですよ。しかもそのとき、問題の赤い線のついた高性能爆弾が知花から嘉手納にトレーラー二台で運び込まれておる。赤色のマークはどういうマークかというと、防衛局長は、私岩国の問題をやったとき、赤色の表示は核だと聞いておると答弁なさっていらっしゃるのですよ。そういう事実関係を私はお伺いしたのです。それに返答ないのですよ。それだけ申し上げておきます。
  70. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 まだこれは施政権が戻っておりませんので非常に手間どっておりまするが、どうぞその点はあしからず。ひとつなお調査を続けます。
  71. 伊能繁次郎

    伊能委員長 伊藤惣助丸君。
  72. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 私は、沖繩返還を目前にいたしまして、現在、沖繩基地から、ベトナムにB52及びKC135など出撃しているようでありますが、この北爆問題と事前協議、なかんずく岡崎・マーフィー大使の書簡について、それからシビリアンコントロールの問題について、もう一つは自衛隊の沖繩配備の問題について、三点について質問したいと思います。  その前に、いままで同僚委員から核問題についていろいろ質問がございました。私もこの問題については数年間取り組んできております。いまだに政府からは何の回答もないのが実情でございます。そこで一点だけ伺っておきたいわけでありますが、日本には核部隊あるいはまた管理部隊というものが、過去において、あるいはまた現在において、来ていることを知っているのかいないのか。あるいはまた、その部隊が日本に来ることについて認めているのか認めないのか。その点だけ簡単に伺っておきたいと思います。
  73. 久保卓也

    久保政府委員 この前の予算委員会でも御質問があったわけでありますが、私ども調べましたところでは、まだ確認をいたしておりませんけれども、全般的に核を運用し得る部隊という意味では、そういうような機能を持つことはあり得ると私は思っております。
  74. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 米軍がその機能を用いることはわかっていますよ。そうじゃなくて、日本に核管理部隊がいるかいないか、またもしかそういう部隊が日本に入ることを認めておるのかどうか、その一点だけです。
  75. 久保卓也

    久保政府委員 存在しておるかどうかは、まだ確認できておりません。ただし、これは核兵器を直接持つということのつながりが必ずしも明確ではございませんので、私は外務省の所管であろうと思いますけれども、その分だけを入れるということについては認められるのではないかというふうに解釈します。
  76. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 核管理部隊が日本に来ることを認められる、こういうことですが、間違いありませんか。これは総理外務大臣お願いしますよ。きわめて大事なことです。
  77. 吉野文六

    吉野政府委員 核管理部隊と言われますが、この管理という意味が非常にはっきりしてないわけでございます。たとえば核の模擬演習をするとかあるいは核爆発が起きた場合の災害を最小限にとどめるための訓練をするとか、そういうこともいわゆる核管理部隊の中に含めるというならば、そのこと自体は核兵器の本土持ち込みとは関係ありませんから、その点についてとやかく言う必要はないと思います。しかしながら、直接核兵器を取り扱うことを任務としておる部隊があるとしましたら、その部隊は、実は少なくとも日本本土に関する限りは核兵器がないわけでございますから、必要ないだろう、こういうように考えております。
  78. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 核については、避難計画とか、あるいはまた事故に関する訓練、こういうことについて専門家がいますね。その点は考えられます。そうじゃなくて、通常、核管理部隊といいますものは、攻撃について、また核弾頭、あるいはまた核の知識について、また任務についてブリーフィングする部隊、私はこういうものはもちろん来ていないと思っておりますが、その点、明確に伺っておきたいわけです。ただいまの発言では、必要ないと思うということですけれども、それはもし来るとすれば事前協議の対象になるのかならないのか。日本に核を持ち込まないという以上は、はっきり、そういう部隊がもし来る場合には、たとえ法的に可能であっても、それは認めるべきではないし、ノーと言うべきではないか、こう思うのです。その点、総理いかがですか。
  79. 福田赳夫

    ○福田国務大臣 いやしくも核兵器を持つという部隊は、これは私どもは拒否したい、かように考えております。ただ、それは事前協議の対象となるという性格のものじゃございませんで、そういう際には随時協議という形でやっていきたい、かように考えます。
  80. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 外務大臣のただいまの答弁で、拒否したいということでございますから、これ以上申し上げませんが、私は当然そうなるだろうと思います。ただ問題は、随時協議でやるといいましても、随時協議ではっきりノーと言うということだろうと私は考えます。  そこで、北爆問題と事前協議について伺いますが、御存じのように、沖繩返還を間近に控えまして、非常にベトナム情勢が最近は緊迫してきております。このことはまず一九六九年の十一月の佐藤・ニクソン会談の中で、ベトナム戦争についてはおそらく終結するであろうという判断が政府にあったわけでありますが、実は逆に激化している。認識を誤った、現実の問題としてそういう一つの実態が出ております。  そこで伺いたいわけでありますけれども、当時の共同声明の第四項には、「万一ヴィエトナムにおける平和が沖繩返還予定時に至るも実現していない場合には、両国政府は、」「米国の努力に影響を及ぼすことなく沖繩返還が実現されるように、そのときの情勢に照らして十分協議する」、こういうふうにあります。これはベトナム問題の再協議事項と私たちは受け取っております。そこで、最近のベトナム情勢について政府はどういうふうに考えられているのか、まず、再協議についてはするのかしないのか、その点、明確に伺っておきたいと思います。
  81. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 伊藤君も御承知のように、ただいまのベトナム情勢、これは私もたいへん心配しております。できるだけ早く平静に帰したい、それを望んでおりますが、幸いにして北爆もやむというか、そういうような状況、ただいまちょっと小康を得ているのじゃないか、拡大の方向ではなさそうに見える。こういうことで、これはそれなりに私ども願っている方向に向いておる、かように思っております。  私どもが、沖繩祖国復帰返還について、このベトナム情勢、そういうものが非常に激しい状態ならば、これは何とか考えなければならぬだろう、こういう一応の形を整える条項がございました。しかしながら、今日祖国復帰を前にしてアメリカから協議されるかというと、全然協議はございません。したがって、ただいまのところでは、計画どおり祖国復帰、これが実現するものだ、かように考えております。このことは喜ぶべきことではないだろうか、かように思っておりますし、また、ただいまのベトナム情勢そのものがどういうように変化いたそうが、ただいまの状況では、アメリカ側から日本に、その情勢で沖繩返還がどうこうなんだとか、こういうような話はございませんから、これはそのままお取り次ぎしてもいい。また、日本のいままでの態度、これを堅持できている、かように私、思っておりますので、さように御了承いただきます。
  82. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 私は、総理がたとえそうお述べになっても、最近の新聞紙上におけるベトナムの紛争をよく見てまいりますと、いままでになかったことが次々と出てきております。たとえば、北爆の際にハノイ、ハイフォン港を四年ぶりに爆撃したとか、あるいはまた第七艦隊が高速ミサイル艇などに攻撃されて被害を受けたとか、これは新たな一つの問題点であります。そこで米側としては一こういう事態に対して、急速それぞれの基地からベトナム水域に艦艇を派遣している、こういうような報道も私、聞いております。こういう事態の中にあって、ベトナム問題については協議しない、こういうふうに総理はおっしゃいました。というよりも、おそらく話がないからわれわれはする必要はないと思っているのだということだろうと思うのですね。これは米側に発議権があって、そのことについて向こうがものを言えばこっちが応ずる、こういう形になっておるのかどうか。その点いかがですか。
  83. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 ただいまの情勢は伊藤君が御指摘のとおりでございます。海上には米艦隊が集中しておる、北爆も久しぶりにハイフォンその他重要都市に対してやられた、こういう事態でございます。しかし、ただいままたパリの会談を再開しようというような空気もございますから、それらの点で、私は、ただいまのところ小康を得ているのじゃないか、かように思っております。これはこれなりに評価すべきであろう、かように思っておりますが、このベトナムの情勢と、それでは沖繩祖国復帰の問題とどういう関連を持つか、こういうお尋ねならば、ただいまのところ何ら、沖繩祖国復帰についてのこれを変更してくれろ、こういうような話はございませんということを申し上げ、また、ただいまの情勢で私どもベトナム問題に介入する考えはございませんから、そういう話があれば、予定どおり祖国復帰は実現したい、このことをはっきり申し上げるだけでございます。
  84. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 私がその問題で心配いたしますのは、結局ベトナム問題で協議するということは、現在、沖繩を拠点として飛んでいる飛行機、あるいはまた艦艇、これが継続して同じように沖繩から発進される、こういうことを心配しているからであります。ですから、私が総理に聞いたことは、この再協議についての発議権は向こうにあって、そのときには応ずる形になっておるのかということが一つありますね。これを答弁願いたいと思います。  そしてまた、その場合、現実問題として、沖繩米軍がベトナムに対して現在重要な補給路にしておりますね。それが五月十五日返還になりますと日本本土になる。そしてまた安保条約が適用になる。そうなると、そういうベトナムについての出撃はすべて事前協議の対象になる。そこで、いままでの議論で明らかなように、事前協議の場合については、いままで十二年間という時間もあった、さらにはまた情勢も変わった、だから、日米安保協議委員会でこの問題は提起したい、このことは外務大臣から聞いております。  ただ私は、その場合、事前協議の対象となるのは三つある。一つは直接戦闘作戦行動。いままで何回かこの点は問題になりました。その点は協議しようということを言われておるのであります。すなわち、領海外において出撃命令を受けた場合には事前協議の対象にならないということでありますから、いままでの米軍の、横須賀から、あるいはまた岩国からのベトナム出撃については対象外であったわけです。しかしそのことは、領海の中において命令は受けないけれども公海で受けるということであれば、事実関係として、直接戦闘作戦行動に、現場に直行するならば、そのこと自体が形骸化ではないか、こういう指摘をしたわけであります。それは協議するとおっしゃいました。ただ問題は、その一つだけじゃない。すなわち、配置の変更また装備の変更、この二点もあります。そのことについては外務大臣はまだ話し合わない、こう言っているわけであります。  そこで私は、総理にきょう伺いたい点は、配置の変更であっても、装備の変更であっても、もちろん事前協議をもう一回根本から話し合うべきではないのか、こう指摘しているわけであります。実は前回に外務大臣に聞こうと思ったら、きょうももういなくなりましたけれども、いつも大事なときいない。アメリカ局長がかわりに答弁しますけれども、事務的な話ばかりでいつも話が進まない。そこできょうは総理に伺うわけであります。  大体この事前協議の中の配置の変更というものの考え方、これを簡単に申し上げますと、一つは陸海空三軍に分けまして、空の場合は一飛行師団、そしてまた陸の場合は一師団、また海の場合は一機動部隊、ワン・タスクフォースというんですね。それでは、このような大部隊または大飛行師団が日本基地に来ることができるのかと聞いたらば、久保防衛局長は、ないとおっしゃいました。たとえば一飛行師団、これは大体飛行機が十八機から二十五機程度で一飛行隊といわれるそうであります。それが三ないし四ないし五、すなわち数十機が動くときには事前協議の対象になるという。ではその数十機が日本の飛行場のどこに着けるか。現状の中では技術的に無理だしそんな飛行場はないと、久保防衛局長は明確にしております。さらにワン・タスクフォース、一機動艦隊、これはワン・タスクグループが数個集まっているそうであります。ということになりますと、航空母艦を中心として、そのほかに数隻、これがワン・タスクグループということになっておりますね。これが数個で機動隊である。すなわち、航空母艦が四隻ないし五隻、それに関連する艦艇が少なくとも二、三十隻同時に入る場合には、事前協議の対象になるという。そういう港があるか、これも現実問題としてない、こういうことであります。ですから、二十数年間わが国は、外務省が窓口になって、そういう陸海空三軍の移動について、配置転換について、日本基地を使う場合には事前協議の対象になるというけれども、できないことを最初から約束しておったということであります。だいぶ基地は拡大あるいは拡張されたところあります。しかしながら、最初からできないことを約束しておったわけなんですね。だから私は、この問題は、そうではなくて、もう一回根本的に話し合う必要がある、こう考えておるわけであります。  それからもう一つ、重大な装備の変更、このことについてもこの間議論しましたから、私は詳しいことを申し上げません。ただ問題はこうなっております。  藤山・マッカーサー大使の口頭了解事項によりますと、一つは、核及び中長距離のミサイル並びにその基地の建設、このこと以外は装備の変更ではないと言っているのですね。ところで、米軍の装備といいますものは、この二十数年間の間に、数々の兵器、これがつくられております。また、その中で、先ほどもCBRの話がございましたが、米軍におけるCB兵器、すなわち化学兵器及び毒ガス兵器、また生物兵器、これは米軍にとっては、一九五四年に大統領命令によって通常兵器扱いされている。こういう事実関係があります。したがってわが国においては、どこまでも毒ガスは持たない、あるいはまたCB兵器は持たないということをこの国会でも答弁しているわけでありますけれども、もし核あるいはミサイル以外のことについては事前協議の対象にならないのだというならば、通常兵器であるCB兵器は持ち込まれても、われわれは強くそれを指摘するわけにいかない、こう私は思うわけであります。もちろん毒ガス問題については、昨年暮れからもだいぶ大きな問題になりまして、事前協議以前の問題である、したがってそんなことは事前協議にはし.ないとは言っておりますけれども、現実問題として米側が考えていることはそうではない。わが国の通常兵器と考える範疇と米軍の考える問題は違う。そこで、こういうものも含めて、事前協議全般にわたってもう一回この問題を提起して、そのことを日米間において話し合うべきではないか、こう私は指摘したわけであります。その点、総理はどう考えますか。
  85. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 まず第一に、沖繩はただいまアメリカ施政権を持っております。そうして自由にしております。日本側としてはただいま祖国復帰を願っておる、これが五月十五日、その取りきめまでできたわけでございます。したがって、ベトナム問題がどうこうだといって、ベトナム条項、約束したことを働きかけてくるのはアメリカ側であることは、これはもうもちろんでございます。私ども日本側から発議するようなことはございません。ただいま、先ほども申しましたように、ベトナムの戦争にわれわれは介入する意思は毛頭なし、かようでございますから、これはもう当方から持ち出すことはございません。アメリカが、施政権下にある沖繩について、みずからの必要によって話し合いを持ってくれば、そのときにその話を全然聞かないというわけではございませんが、聞いた場合に、私どもの態度はもうはっきりしておる。これを先ほど申したのでございますから、これは誤解のないようにお願いをしたいと思います。  次に、沖繩が祖国に復帰いたしますと、これは内地における基地、米軍、これとの取り扱い方と何ら変わるところはないのでございます。したがいまして、ただいま装備並びに施設等についてお尋ねがございましたが、それはもう内地におけるとおりでございます。  ただ、いままでのところでは、伊藤君から、あらためてもう一度その点で相談をしたらどうか、実際に必要のないような、空港に入らないような空軍の配置だとか、あるいは港に入らないような艦隊の移動、そういうものは、そんなことは起こり得ないのだから、もっと小分けをして、そういう事柄はそごを来たさないようにもう一度十分相談し直したらどうか、こういうお話でございます。私も^これは考え方のいろいろの問題だと思っております。いわゆる大部隊、かようなものが、いままでも相談するような事態が起こらなかったこと、これはたいへんしあわせではないか。また、大部隊の艦艇が入るというような相談も受けることがなかったということ、これはたいへんしあわせなことだと思います。しかし、そればかりではない。ただいま言われるように、もっと大事な事柄があるはずだ、そこまでの大部隊でなくとも、最近は艦艇は小さくても、なかなか効率と申しますか、あるいは戦闘力と申しますか、非常に強くなっておりますから、もう少し、それらの点であり得る事態に対して対応するという、そういうような相談があってしかるべきだ。またCB兵器等についても、そういうことをもう一ぺんやり直したらどうだ。こういうような御注意、これはもうまさしくたいへん適切な御注意だ、かように思いますので、これらの点については私のほうでも一応検討してみます。ただいま直ちにそれによって協議する、こういう段階までに至っておりませんけれども、これはもっと政府部内で十分相談いたしまして、在来どおりの取りきめでよろしいかどうか、それらの点はもう一度検討した上で、政府の態度をきめる、こういうことにいたしたいと思います。ただいま伊藤君からいろいろ御指摘になった点、これはそういう意味で全然無視する、こういうわけではございませんが、十分検討に値するものだ、かように思いますので、しばらく時間をかしていただきたいと思います。
  86. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 総理から前向きの答弁がございましたが、私は、いまからやる、考える、これは非常におそきに失している、はっきりしてきております。  そこで、私がこの沖繩返還をめぐりまして、いままでも基地問題で数多くの問題を指摘してまいりました。たとえば一つの例で言いますとP3の問題。政府は、P3という問題については、核は持たない、こう言っておりますが、どうも私の調査では、P3には常時核を積んで飛んでいる疑いがある。またそういうブリーフィングを受けている、これを指摘しました。しかしアメリカ局長は、そのことについては、これはアメリカは、沖繩返還時においては、持ち込まないというのだからあり得ない、こういうことでいままで来ております。現にB3の核弾頭の倉庫は瀬長島にある、これは社会党の委員も指摘しております。だからそのままP3が普天間に移る、普天間のKC130が岩国、そしてまた岩国のP3が三沢、こういう玉つき移駐の問題についても、これは当然五月十五日前に、核は持っていないのだ、また持てないのだ、またそういうブリーフィングがあるなら変更すべきだ、こういう点は返還前に日米間において明確に話し合うべきじゃないか、私はそう思っております。  さらにまた、つい最近沖繩においてミサイルの発射訓練がございました。ところが、どうもこのミサイルというのは、防衛局長は、たぶんナイキハーキュリーズとか、あるいはまたホークのたぐいであるというふうにお話がありましたけれども、その基地について言いますならば、これはハーキュリーズやホーク、そういう発射台は使っていない。これは地対地ミサイル、地対艦ミサイルの発射訓練だろう、こう言う人もおります。そこで、かつてメースBがあった。撤去するということで現在はないようでございます。ただ、その後にメースBにかわる新しいミサイルというものを持ち込まれたらたいへんだ、このことは常に思っておりました。ところが、つい最近、四月六日であります。このミサイルの発射訓練が行なわれた。四発撃たれた。それで、司令官が中心となって、沖繩の米軍の各部隊の幹部が、その発射訓練を中心にいろいろ協議をしておった。そして大成功であった。  私は、そのことについて、ミサイルの場合、長距離、中距離は対象とするけれども、準長距離、すなわち、ハーキュリーズを越える、地対地あるいはまた地対艦ミサイルというものは沖繩に配備すべきではない。また、それがある場合には当然事前協議の対象になる、こう思っているわけですが、いまだにそういった質問に対して政府の見解が出ていない。そこで総理に、そういうものを含めて事前協議の対象にし、また拒否すべきではないか、こう思うのですが、その点も伺っておきたいと思います。
  87. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 御指摘の点は今後十分注意をしてまいりたいと思います。総理がさっき、事前協議をどういう形で進めるか、部内で統一見解を持ちたい、なお字句にしたい、これはまさに前向きの発言であったと思います。そういう場合に、いまお示しのあったような問題等々についでもどうするのか、十分検討の対象にしてまいりたいと思います。
  88. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 これは新聞報道でありますが、防衛庁外務省と話し合って、沖繩の本土復帰の後、沖繩の防空任務を行なう場合に、岡崎・マーフィー協定を沖繩適用をする、これを復活させて適用する、こういう報道がございます。これについていかがですか。
  89. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 これは私のほうですから私からお答えいたしますが、現在もこれは生きておるわけでありまして、復活するという意味ではありません。いわゆる領空侵犯があったときにはアメリカ側の協力を得るということを依頼したのが御指摘の書簡でありまして、現在も継続的に生きておるわけです。したがって、そういう形は当然とられるものというふうに理解しております。
  90. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 これは旧安保の時代に、日本の北海道の領空がしばしば国籍不明機に侵犯されたということで、日本側の、アメリカに北海道上空を守ってほしいという要請に対して出された書簡ですね。したがって、旧安保時代に付属するこういう問題については、私は当然死文化しておる、こういう考え方でいたわけであります。それが生きておった根拠ですね。この岡崎・マーフィーのことと、現在日本の航空自衛隊の任務について協定がありましたね。その協定との関係はどうなるのですか。
  91. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 これは、日米安全保障条約に基づきまして、昭和二十八年一月、岡崎外務大臣からマーフィー駐日大使に、領空侵犯が発生した場合に、これが排除について有効適切な措置をとるよう、こういうことで要請した、いまお話のとおりであります。そこで、沖繩のほうは、事実上自衛隊がスクランブルをかける責任に任じますのは四十八年七月一日からであります。したがって、それまでの間を米軍にゆだねよう。航空自衛隊がもっと訓練ができるようになりまして、その時点で日本の航空自衛隊が受けるわけでありますが、その間を米軍にゆだねよう、こういうわけでありまして、さっき申し上げましたように、この書簡は生きておる。事実上、本土においては自衛隊が引き受けておったわけでありますが、この書簡に基づいて、自衛隊が訓練の十全を期するまで米軍側にゆだねよう、こういう意味ですから、どうぞそのあたりはすらっと御理解願いたいものだと思うものでございます。
  92. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 どうも防衛庁長官は、対話調ですぐ、すらっと抜けてくれ。苦しい答弁でございますが、私はなぜこれを重大視するかと言いますと、先ほど言い忘れましたが、松前・バーンズ協定ですよ。日本の日米間におけるスクランブルは松前・ハーンズ協定によってその取りきめが行なわれてきたわけでしょう。この関係はどうなるのかということを伺ったわけですよ。おそらく旧安保時代はこれで来たけれども、新安保時代は松前・バーンズ協定というもので日本の上空はやるんだということではなかったかと思うのです。それがいまごろ生きてきたということについて非常に疑問を持っているわけです。  そこで、これは二十八年に、岡崎勝男とロバート・マーフィー駐日米大使との間に取りかわされた書簡ですね。その中身は、北海道上空で外国軍用機の領空侵犯がしばしば行なわれているが、日本政府は有効に排除する手段がない、こういう書簡に対して大使の返事は、十六日に、要請を了承する、米政府はこのような侵犯を排除するため、「安全保障条約の条項の下に必要且つ適当とされる一切の可能な措置」をとるよう極東総司令官に命令した、こうありますね。そしてこの中で一番問題なのは、「一切の可能な措置」という考え方であります。これは私がきわめて重視するところであります。この「可能な措置」というのはスクランブルをするのか。要するに、現在航空自衛隊がやっている緊急発進をして国籍不明機に、ここは日本の領土であると言うだけなのか。あるいはまた、一切の措置というのだから、領空侵犯した場合には、米軍はそれを迎撃するというところまでの解釈があるのか。そういった点も含めて答弁願いたいと思います。
  93. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 当然、平時におきましては、警告を発する、これにとどまるわけであります。いままで米軍側がこういう国籍不明機に対して撃墜したということを聞いてもおりません。注意を喚起することは、これは日本の場合も米軍の場合も当然でありまして、厳重注意をして退去を求める、こういう形であります。したがって、いま御指摘の点は当然常識の範囲内でありまして、戦時体制でもないときに、応答がない、すぐ撃墜、こういうことにはならないというふうに理解しております。
  94. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 そこが大事なところなんですけれども外務省に伺いますが、いわゆる常識の線というやつは、すなわち戦闘行動を含まない、いわゆるスクランブルだけである、こういうことですか。
  95. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 そういう意味を申し上げたわけです。
  96. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 外務省いかがですか。
  97. 吉野文六

    吉野政府委員 この点は安保条約上も明白でございます。すなわち第五条によれば、武力攻撃があった場合には日米共同でこれを排除するということになっておりますが、その以前の段階であれば、当然警察行動のみにとどまるわけでございます。
  98. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 いま政府委員からちょっと資料の提供がありましたが、さっき御指摘の「一切の可能な措置」をと、こうあるわけですが、その上に「安全保障条約の条項の下に必要且つ適当とされる一切の可能な」となっております。そこで、この「適当」という意味は、いま私が御説明申し上げたようなことを「適当」という。要するにここに緩和のことばが入っておるというふうに御解釈を願いたいものです。
  99. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 松前・バーンズ協定との関連はどうなりますか。この点はいかがですか。
  100. 久保卓也

    久保政府委員 いまの岡崎・マーフィー書簡は、日米安保条約のいわば運用のための一つの書簡交換が行なわれておるわけでありますが、松前・バーンズ協定は、その書簡交換に基づきました実施細則手続であるというふうに御理解いただきたいと思います。
  101. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 松前・バーンズ協定は結局この書簡に基づいてやられた、こういうことですか。
  102. 久保卓也

    久保政府委員 おっしゃるとおりであります。
  103. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 そうしますと、松前・バーンズ協定については、これは米側は、ときの判断によって戦闘行動ができるじゃありませんか。
  104. 久保卓也

    久保政府委員 米側も申しておりますように、適当な手段である、適当な範囲であるということが一つと、それからわれわれのほうでも、念のために、本土の自衛隊の領空侵犯措置に準じて、警察行動としてやってもらうというふうに米側に話しております。
  105. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 おそらくいま御指摘のように、こういう書簡だけではだめだから、松前・バーンズ協定が新安保のもとにかわったと思うのですね。ですから私は、これは旧安保の時代で、新しいものができたんだから、当然なくすべきではないか、これが一つあります。  それからもう一つは、松前・バーンズ協定を読んでいきますと、そのときの適切な判断と言いますけれども米側が日米安保条約に基づいて適切な処置とは、場合によっては米側相手を迎撃する、撃墜する、攻撃する、あらゆる一切の措置をとれるようになっておるじゃありませんか。もしそうではないと言うならば、やはりそれを明確にすべきじゃないかと思う。  そこで、私が指摘したい点は、結局、日本の空は常に米軍と自衛隊との松前・バーンズ協定によって、これはかって社会党の同僚委員が指摘しましたように、日本が知らない間に戦闘行動をとられても、この協定ある限り文句が言えない、こういう強い指摘があったわけであります。私は、もしかこれが戦闘作戦行動は含まない、どこまでも警察行動である、どこまでもスクランブルが基準であると言うならば、やはりそういった問題も明確にすべきだ。松前・バーンズ協定はどう見ようと、アメリカの戦闘機のパイロットの、あるいはまた上官の指令によって攻撃ができるようになっておるじゃありませんか。そういう議論をしていると切りがありませんけれども、その点について長官はどう思っておるか。
  106. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 平時において戦闘行動をとる、相手を要撃、撃墜する、こういうことは許されていいはずのものではありませんし、まあこれはさっきの適切なという意味で御理解を願いたいわけでありますが、今後といえども、われわれ日本側の平和を祈念する方針に微動だにあるわけはありませんので、そういう点は常時アメリカ側も理解をしておってくれると思いますが、そういう憂いがあるならばアメリカ側に強く抗議をする。これは当然あることですし、またそうしなければならぬことだと思います。  沖繩の場面は、冒頭に申し上げましたように、施政権が戻ってまいりましても、その領空警戒に航空自衛隊が十全になるまで、この暫定措置でありますので、この点はよろしくお含み願いたいと思います。
  107. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 要するに、今度沖繩返還されますと、沖繩を中心として尖閣列島を含む防空識別圏について、いわば死文化したはずの書簡が生きて、そしてまたそれに基づいてできた松前・バーンズ協定のもとにわが国の防衛が行なわれていく。その場合、われわれの防空識別圏と米側の識別圏が違うわけであります。さらにコンピューターとかレーダーサイト、いわゆるレーダーですね、これは米軍は、本土と沖繩と韓国と台湾を一緒にして現在持っておりますね。そういう一つのことに組み込まれていく。すなわち日本は、どこまでも日本独自の、いわば平和と安全のために防空問題も考えなければならないのに、実は米側の極東における一つの戦略体制の中に組み込まれていく。したがってそれに協力する自衛隊、それに協力する防衛庁はやはり非常に危険なものになっていく、こう私は指摘せざるを得ないわけであります。  時間もありませんけれども、これはいろんな問題を含んでおります。長官のいまの答弁では私ちょっと納得できないわけであります。ですからこういう問題も明確にすべきだ。書簡適用すべきではない。そしてまた、松前・バーンズ協定についても、実際問題として、平時においてはそうだけれども、戦時になれば戦闘行動になる。であるならば、このこともやはりはっきりしておく必要がある、こう私は思います。
  108. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 御指摘の点は重要だと思います。しかし、いささかもそういう憂いのないような措置を日本政府としてはとってまいりたいと思います。  それから、これは何べんも繰り返しますように、あくまで暫定措置でありますから、どうぞこの点は御理解ください。しかし日本に危険が累を及ぼさないように十分注意します。  防空識別圏等については、四月末くらいまでに日本の航空自衛隊としての決定を見たい、こういうふうに考えております。  尖閣列島については、これは一点疑う余地のない日本の領土でありますので、当然入ることになります。舟山列島その他については避けるという方向で検討を続けております。
  109. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 それでは、もう少し詰めたかったのでありますけれども、時間がありませんので、質問を続けて申し上げますので、よく聞いていただいて、あと質問しなくても済むような答弁を願いたいと思います。  一つはシビリアンコントロールであります。今国会は四次防問題が大きく取り上げられまして、予算委員会が十七日間も空転しました。議長あっせんによって国会が再開されたわけでありますが、その中で、議長あっせんの第三項、第四項、特にこの内閣委員会において検討しろ、または詰めなさいということについて、政府は現在どのような考え方でやってるのか。たとえば、つい最近、総理は、国防会議について拡充するというか、そういうことを検討することを指示したとあります。私はこの国防会議を考えた場合、何といっても構成メンバーが問題である。この構成メンバーの中に、総理大臣を、含む五閣僚だけでは何ら意味がない。むしろ、学者あるいは評論家などの専門家、いわゆる民間のメンバーも加えるべきではないか、この点が一つあります。  それからもう一つは、シビリアンコントロールの実をあげるために適切な処置をとる、こういうことでありますが、このことについて。また、防衛の主要項目を重要事項として今後は国防会議の議題にする。これは今国会なるべく早い時期に結論を出すべき問題だと私は考えております。したがって、そういったものをいつまでに具体化し、そして結論を出そうとしているのか。少なくとも私は、今国会中にはっきりと結論を出すべき時期が来ていると思う。長年の問題であります。その点について明確な答弁を願いたいと思います。  もう一つは、自衛隊の沖繩配備の問題であります。かつて総理は、沖繩の自衛隊配備の問題については、沖繩の県民の感情を考慮して、こうおっしゃいました。沖繩においては、現在、自衛隊が行くことを、また国防会議で決定したことを、これは立川の強行移駐と同じだ、こう考えている方々もおるわけであります。そこで私が申し上げたい点は、一つは、久保・カーチス協定という原案がございますけれども、この原案に基づいて今回の国防会議における配備計画を見たわけでありますが、この配備計画というものは、少し時期をずらすだけのことであって、入り方の規模を小さくしただけであって、将来においては何ら変わっていない、そこを私は重大視するわけであります。少なくとも私は、現在の政府側に立って考えてみても、現在の沖繩県民の感情は、自衛隊に対してはきわめて強い態度を持っております。それを考えたならば、沖繩配備についてはもう少し考慮すべきではなかったのか。たとえば陸海空三軍がまっすぐ行くのではなくて……
  110. 伊能繁次郎

    伊能委員長 伊藤君に申し上げますが、だいぶ時間が超過いたしましたから……。
  111. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 一つは、民生協力であるとか、あるいは不発弾処理であるとか、あるいはまた基地の中の整理をするために施設部隊を送るとか、私は反対でありますけれども政府の側に立っても、そこから始めるべきではなかったのかと私は申し上げたいわけであります。そこで、自衛隊配備の考え方については発想を転換しなければいけない、こう考えるわけです。その点について伺いたいと思います。
  112. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 私からお答え申し上げます。  国防会議の検討事項でありますが、政府としては、先般の国防会議、すなわち十七日の日に議長である首相から、防衛庁及び国防会議事務局において、今後の国防会議の強化の問題を含め、重要事項あるいは議題に供すべきもの、こういったものの標準、いろいろな広範にわたる面を十分検討して結論を出すようにと。それで、今国会中にという話でありますが、当然、防衛庁及び事務局においても、なるべく早く、これは夏過ぎには四次防が策定せられるということで準備を進めておりますから、今国会中に間に合わなくても、その前までには確たる回答が得られなければならぬ、こういうふうに考えております。  民間人を入れるかどうか、これは御意見としては、総理ともどもいま承ったわけでありますが、このことについては、諮問機関の民間人の、もし国益に反するような秘密漏洩があった場合に、責任の所在をどう追及するか、こういう点でいろいろ議論はあるところであります。しかし、よくそのあたりも含めて検討することにいたしたいと思います。  それから沖繩配備につきましては、実は昨日、大出委員の詳細な御質問お答えしたとおりでありまして、当初六百名の人員を五月十五日の時点で配備するということであったのを四百名に訂正したのでありますが、佐藤首相が、施政権が戻されたところへ自衛隊の配備ということもなるほど重要な責任であろうが、県民感情を踏まえて、十分県民感情にのっとった配備方法、これは政治配慮としてなお優先する重大な問題であるという強い御注意一御指摘等もあって、準備要員を九十六名派遣をいたしまして、これが復帰の時点では直ちに五十万坪、二百八十三棟という広範な自衛隊基地の管理に当たり、御指摘の久保・カーチス協定がそのままではないが、これとても六カ月後には三千二百名を配備するというものをあとう限り減員をいたしまして二千九百名にした。しかも配備のテンポも約八カ月近い期間に延ばした。同時に配備の方法等についても、十分県民感情を踏まえながら対処をしてまいりたいと思います。御指摘の点はきわめて重要に認識をいたしておるつもりでございます。
  113. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 私からあまりつけ加えることございませんが、このシビリアンコントロール、これは最も大事なことでございます。そこで、ただいま構成メンバーについては、私は、どうも皆さんのおっしゃるように、あれもいれこれもいれ、こういうわけにはいかないように思います。ただ、主要項目くらいは明確にしたらどうか、こういうお話でございます。   〔委員長退席、坂村委員長代理着席〕 これも、確定できるものは確定することけっこうですが、それよりももっと、議長自身が、国防会議にかけることが適当だ、かように思うことのほうが大事ではないだろうか、かように思いますので、私がきめ得るもの、外へ出し得るものは、これはもっと範囲を拡大もいたしますけれども、相当広範に議長に権限を与えられてしかるべきか、かように思います。  それからもう一つ、沖繩自衛隊の配備の問題でございます。これは主要項目が、ただいま御指摘になったような点で、自衛隊自身が民生に協力する、あるいは不発弾の処理をする等々の必要性は、これは十分御認識のようでございますから、それは重ねて申し上げません。  ただ、先ほど来ここでも問題になりましたように、いわゆるスクランブルというか、これが日本の自衛隊ならば間違いがないが、膨大な権限を持っておるアメリカ空軍にまかしておく、こういうわけにもいかない。ここらにも私ども、やはり日本の自衛隊が沖繩の空も守る、こういう形であるべきだろう、かように思います。これはちょうど北海道におきましてもそういう事態が起こり、そして航空自衛隊が北海道で強化されておる。これらの事実もごらんになると、いまのような点が御理解いただけるのじゃないだろうか、かように思っております。  私は、最も大事なことは、県民が十分理解していただくことだ。これはさきの戦争の末期にずいぶん虐殺その他が旧軍によって行なわれた。こういうような意味で、自衛隊もその軍の一部ではないかという、どうもそういう感じがございますから、県民の十分の理解を得ることが何よりも大事ではないだろうか、かように思って、相当の期間をかけ、その間に十分理解を得るようにさらに努力する、そういうつもりでございます。  以上、お答えいたしたいと思います。
  114. 坂村吉正

    ○坂村委員長代理 和田耕作君。
  115. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 最初に総理にお伺いいたします。  いよいよ沖繩も五月十五日に返ることになりました。あと三週間ちょっとということでございます。また、本日審議しておりますこの二つの法案が沖繩関連の最終法案でございまして、そのような意味で、大体準備は完了するという段階になっておるわけでございます。  いま総理も御答弁の中で、一番大事なことは沖繩県民が理解をしていただくことだというおことばもございました。この長い沖繩の審議を通じまして、政府、特に総理は、さまざまの重要な問題の約束をしているわけでございます。たとえば沖繩国会の最終の場合に、国会の二つの決議もある。たとえば、核は必ず撤去するとか、あるいは非核三原則の問題、あるいはまた軍事基地を大幅に削減するための交渉をしていくとか、その他の重要な約束をされておるわけでございます。また今後、自衛隊の配備という重要な課題も残っておる。これらの問題について、沖繩の人たちは、たとえば本土の沖繩化であるとか、あるいはまた自衛隊の配備という問題が、沖繩の県民意思を無視して、沖繩を再び軍事的な基地にするとかいう重要な懸念があるわけです。  そういうことですから、総理は、十五日の返環が終わった直後のしかるべき時期に、みずから沖繩に行かれて、そして誠心誠意をもって、百万の同胞に対して、沖繩復帰報告と、そしてそれについてのいろいろな疑問点をみずから解明されるというような措置が私は必要だと思うのです。もともとこの問題は、総理沖繩に行かれて、そして沖繩復帰なしには戦後は終わらないというあのことばから始まったことでございまして、長年にわたる総理の御苦労をたいへん多としたいと私は思うのですけれども、今後どうなるかという評価は、これは歴史の評価に待つよりしかたがない。   〔坂村委員長代理退席、委員長着席〕 それにしても、この段階で、ぜひとも総理は、復帰直後において沖繩にひとつ出張って、そして誠意を吐露して百万の人たちに対して御説明申し上げる、御報告申し上げる、そういうふうなことがぜひとも必要だと思うのですけれども総理の御所見をお伺いしたい。
  116. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 私は、沖繩が祖国復帰、これが五月十五日に実現するというその日を間近にして、実は感無量でございます。しかしこれは私だけが感無量ではない。おそらく日本国民全部が同じ気持ちで迎えて感無量、そういう感じでいるのではないかと思います。また私はそうあってほしいと思っております。ことに、沖繩百万県民の戦中、戦後を通じての御労苦を考える際に、日本国民全体がやはりあたたかく迎えることが、これは何よりも必要なことだ、かように思っております。  私はそういう意味で、復帰、そのこともスムーズに行なわれるように、さらにまた豊かな沖繩県をつくる、平和な沖繩県をつくり上げる、そのことに日本国民全体が一致協力して、そうして沖繩県民の皆さんと手を取り合ってりっぱな沖繩県づくりに邁進したい、かように願うべきだ、かように考えております。  私は、そういう意味からも、ただいま御審議をいただいておるこの法案、これがまことに意義のあるものだ、かように考えておりますし、私、これはどうも個人の問題としては考えることはできない、かように思っておりますので、ただいませっかくの御指摘ではございましたが、私は、問題は、だれがいつどうする、こういうことよりも、ただいま申し上げる基本の考え方、これが何よりも大事だ、かように思いますので、そのことを強く要望して、私は中央政府、さらに沖繩県、この自治体、そういうものがより緊密な関係を持つように、これを心から願っておるような次第でございます。  あるいは十分なお答えでないかもわかりませんが、以上でこの点は御了承いただきたいと思います。
  117. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 私が端的に御所見をお伺いした問題について、ことばを濁したというよりも、お答えにならないお気持ちはわからぬわけじゃないんですけれども、私、申し上げます点は、沖繩の問題についての一番の核心と思われるのは、政府の言明に対して、沖繩の島百万の人たちが、どうかなという疑問を持っておるという点なんですね。またこの疑問を解消するためには、政府、特に佐藤総理は責任がありはしないかということなんですね。また今度は自衛隊の配備という重要な問題を控えておるわけでございまして、御苦労ではございますけれども総理みずから二日、三日、長くて三日あればいいことですから、この国会の会期の問題いろいろの問題があることは承知しておりますけれども、ぜひそのような時間をとって、総理みずからが出張っていって、そうして長い沖繩審議の過程で約束されたもろもろの問題について、誠意を吐露して、百民の島民を迎えるということが必要ではないのか。あるいは総理の、もっとやかましくいえば義務ではないか、そういうふうに私は思うのです。  重ねて申し上げますけれども沖繩の問題いままでの問題もそうですけれども、特に今後の問題は、政府の意図に対する沖繩の百万の人たちの疑問あるいは不安という問題なんですから、新しいいろいろな措置をやるというよりは、その不安をなくすれば、一番この核心の問題が解消されていくわけですから、そういう意味で重ねて、お答えはできないかもわかりませんけれども、そういうふうなことを御検討になって、そしてできるだけ実現していただきたい。これは国民として総理に申し上げておるのです。
  118. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 内閣の閣僚全部が沖繩問題とは真剣に取り組んでまいっております。また、総務長官はことに理解が深いし、また信頼もかちえておる、かように私は受け取っております。最近になりまして、さっきも触れたように、戦中、戦後、忌まわしい旧軍の虐殺事件など出まして、県民としては非常な不満を抱いておる、こういう事柄もございます。それらについても、どうしても私は、県民の方々が、戦時中、戦後の事柄について、旧軍の行為についても、許せないものも許すぐらいな、そういうような気持ちにもなっていただきたい、かように思いますが、それらの点も、まだ十分そこまでの努力ができておらない、こういう今日でございますから、中央政府のなすべき事柄はうんとある。また、祖国復帰を叫んだ最初の人間、佐藤榮作の責任たいへん重い、私、かように考えます。したがいまして、ただいま和田君の率直なお話はそのままとして、十分私が胸にこたえたお尋ねでございますので、それはそのまま私は率直に御披露はいたしますが、いろいろ問題は複雑でございますから、この事柄は、私個人によってどうこうではないということを特に強く申し上げて、一億国民全体に、ただいまのような気持ちを理解してもらいたい。沖繩県民にその理解を求める前に、こうして国内にいるのですから、国内の国民の皆さんに、私どもの心境をもっと率直に受け取って理解していただきたい、かように思っております。このことが何よりも大事なことではないだろうか、かように思うのでございます。
  119. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 いまの総理の御答弁で、五月の末ということになれば、国会の問題もその他の政治状況の問題もなかなかむずかしい局面だと、私、十分承知しておりますけれども、しかし、これだけはやってもらいたいということでいま申し上げておるわけでございまして、再度御要望申し上げておくわけでございます。  次に、先ほど伊藤君の御質問にもありましたけれども、ベトナム戦争というのが意外に新しい段階に入ってきておる。いままでのゲリラ戦的なあれに対しての対応という段階から、全面的な南北のベトナムの戦争、あるいはアメリカがこれに入っているというような戦争になっているという感じがするのです。この見通しはだれもまだはっきりとつけられないと思うのですけれども、もう沖繩が帰ってくるのが三週間ちょっとということになっておるわけでございまして、やはりベトナム戦争の余波、アメリカ軍の行動というものは特別の関心を持つ必要があると思うのです。  特に安保条約の事前協議というのは、アメリカ側にとってはやっかいなしろものであるということはわかるし、しかし日本にとっては、かなめのことなんですね。独立国としての日本アメリカの安保条約の場合に、事前協議が実際に行なわれるかどうかということはかなめの点になるわけです。  それについて三項目ありますけれども、私は緊急の問題は第三の戦闘地域への出撃の問題と思うのです。せんだってから、福田外務大臣からいろいろの場で御答弁なさっておりますけれども、もともと戦闘という緊急事態に対しては、性質上、事前に相談をするということはきわめて困難な問題だと思います。それを、しかも事前協議の項目に入れているわけですから、当然この内容の問題として慎重な考慮をすべき問題であるわけです。おそらくそういうことはいろいろ議論されておると思いますけれども、現実にいま、日本の港から、あるいは沖繩の港から、いろいろな軍艦とか海兵隊とか、あるいは飛行機が出る、あるいは作戦行動ではなくて、途中で命令を受けて出たとか、いろいろなことがいわれておりますけれども、こういう問題は、私たち、今度の緊急事態に対して事前にアメリカが相談をするということは非常に少ないと思います。それでいろいろなあの手この手で協議の条項の裏をくぐる形にならざるを得ない。この問題を予想しながら、しかもこれは事前協議の対象からはずすわけにはいかないというわけでありますから、もしそういう場合には、事後的な措置として適当な措置を考える必要がありはしないか。横須賀の港から軍艦が出た、あるいは沖繩の嘉手納から飛行機が出た、行動の上からは途中で作戦行動命令ということでベトナムへ行った。出るときにはそういうことはなかったということは理解できないわけではないのですけれども、ほんとうにベトナムに行ったということが確実になってくれば、事前協議の補完として事後の協議あるいは措置が必要ではないのか。それがないと、つまり重要なかなめの事前協議というものが空洞化してしまうという批判も、これはもっともだと私は思うのです。そういうようなことを考えた場合に、事前協議すべきものが事前協議ではできないとする場合が多いとなれば、事後にその事前協議の実質を補完するような何らかの取りきめというものをする必要が私はあると思うう。それについて、外務大臣おられませんけれども総理から御所見をお伺いしたい。
  120. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 和田君のただいまの御意見は、私しごく大事なことではないかと思っております。いままで両国間できめた、こういう場合は事前協議だというその条件には、厳密に言って必ずしも合致はしてない、したがって事前協議の対象ではなかった、かように言われましても、私どもとしてはやはり、随時協議、これがございますから、もっと事前協議あってしかるべきと、かように思ったような事件、またさような疑わしい事件、また長期にわたってベトナム戦が継続されておるそういう状況下においては、私どもは戦争に介入したくないから、いわゆる事前協議の条件は満たさないけれどもどんどん立っていく、そして日本が使われる、そういうことについては関心を持っておりますから、これはもう随時協議するのは当然だろうと私は思います。そうして、なおかつただいまのような事前協議ということであれば、これはもう戦争に介入しないというはっきりした態度がございますから、将来はそういうことのないように注意もできる、かように思っております。  私、ただいま言われるように、事前協議というものが空洞化した、こう言われるのもそういう点にあるのではないか、かように思います。そういうおそれがあれば、これはもう随時協議の対象として相談をしてみる。そうして、そういうことが繰り返されないように、誤解を受けないようにその事柄を明確にすべきだろう、かように思いますから、そういう点は幸いにして、事前協議を当方から提起をするということはなくても、いわゆる随時協議はできるのでございますから、そういう点で誤解を払拭する努力はすべきだろう、かように思います。いずれにいたしましても、われわれは戦争に介入する、こういうつもりはございませんし、事前協議をされればノーと答える、こういうような状況で、それまでの返事ができるなら、これは随時協議でさらに事態を明確にしておく、こういうことが必要ではないか、かように思います。
  121. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 一つの提案としまして、たとえば海兵隊がベトナム戦域の緊迫している地帯に打った、そしてそれが実際に向こうの戦域で戦闘に入ったということがあとからわかった場合は、海兵隊の日本からの移動はある一定期間やってもういたくないのだというような申し入れをするとか、あるいはファントムがあるところから出かけていった、しかしそれが実際に戦闘に参加した。あるいはこれが基地へ帰ってきた、出るときは協議が必要だけれども、帰ったときは協議が必要でないというようなことになっても、これはおかしなことになる。だから、戦闘に参加した飛行機が帰ってきた場合には、そのときの飛行機はある一定期間これを移動してもらいたくないのだ、そういうふうな種類の抗議を含めて取りきめをしないと、この事前協議の第三の項目は、これはもともと、緊急事態の発進を、絶対に秘密にしなければならぬような問題を事前に協議するということは、非常に政治上困難なことである。したがって、事後の補完の措置がないとこの精神は生かされないということですから、ぜひともこの問題は具体的に検討していただきたいと思います。もう一度……。
  122. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 ただいま、たいへん明確に、具体的な事案としてこういう場合はどうだというようなお話でございますが、そういうことを含めて先ほど申しました事前——これは事後でも随時協議できるのでございますから、そういう機会を使って十分それを生かしていきたい。防衛庁長官も聞いておりますから、おそらく同じ考え方だろうと思います。
  123. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 いま総理からきわめて前向きのお話がありましたが、そのとおりだと思います。これはやはり、出発のときには命令を受けていなかったが洋上で命令を受けたとか、いろいろ解釈のしかたはありますが、そういったことをひっくるめまして、総理が言われましたように、まず外務大臣等々を含めた政府部内で十分検討をして、そして随時協議の方向に持ち込んでいくような段取りでいく。これは首相のおっしゃったとおりに理解いたしまして、今後進めてまいりたいと思います。
  124. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 私、こういうふうな質問をしますのは、いろいろな国会答弁で、むなしい、内容のない答弁があまり多過ぎますから、やはり必要な問題は、そういう事実をあからさまに出して、これをどうするかというふうに解決していかないと、いつまでもむなしい議論のやりとりになるという感じがするわけでございまして、重ねて申し上げますけれども、事前協議の空洞化をさせてはなりません。これは、善意であろうが、悪意であろうが、なしてはなりません。これは日本の独立国としてのかなめだからです。そういう問題について、ぜひとも総理並びに関係者の一そうの御善処をお願いしたいと思うのです。  時間もありませんので、私、この前の沖繩審議の最後のところで総理にも御指摘申し上げた、沖繩の現在の物価の問題について御質問を申し上げてみたいと思います。  いま沖繩の物価の問題を担当なさる方が、残念ながらあるようでないようでということで、総務長官には申しわけないのですけれども、そういう感じのものだと思います。しかし、そういうふうなことで済まされる問題ではないと私は考えております。  一つの例を申し上げますと、この三月の沖繩の物価は、総合の指数で、一年前の去年の三月に比べて平均して一五%上がっております。しかもこれは平均でございまして、その中の国民生活と最も関連の深い品物を拾っていきますと、主食以外のその他の食料というのは二三%上がっています。それから魚や貝類は三〇%、肉類は三五%、そして野菜は実に七二%、住宅その他は三〇%上がっている。これは一年間における沖繩のおもな消費物資の値上がりの状況です。全部をひっくるめて一五%ということでございます。  これは、きょう私、沖繩の現地からいただいた資料にそうなっているわけですけれども、このような状態は、この十五日の沖繩返還というときに円・ドルの交換が行なわれます。円・ドルの交換のときに、またまた物価を押し上げる要素が出てくると思います。というのは、当然のことでありますけれども、官公労を含めて沖繩の労働者に対する賃金は、一ドル三百六十円の換算、あるいはそれに近いところで処理されるということを総務長官しばしば言明なさっておられる。実際にマークされたドル以外のドルは三百八円から三百二円というところで、実勢相場で交換されるということになる。あるいはまた税金その他の取り立ても、いまのような実勢相場で取り立てるということになると、つまり沖繩で給与その他の形で入ってくるお金が相当のアップになってくる。いろいろな問題を含めて、沖繩の人たちは、あるいは商店の人たちも、一体円とドルとが復帰のときに交換された場合にどのような値段をつけたらいいか迷っているというのが、沖繩の人たちの率直な意見としてよく聞く意見なんです。いずれにしても物価を下げる要因ではありません。物価を上げる要素を持っております。また、今後、政府の一般会計の窓口を通じて、相当膨大なお金が沖繩に流れていきます。その数も含めてあとからお聞きしたいと思いますけれども。また、いま沖繩には民間の商社がどんどんと入っております。民間の資本もどんどん入ってまいります。  このような展望に立ちますと、昨年末の円の切り上げを契機にして物価は大きく上がってきた。今度の円・ドル交換でまたまた上がる一つの契機がある。また今年中に沖繩に膨大な資金というものが投入されていくことが予想される。こういうふうな幾つかの条件を考えますと、沖繩の物価の値上げを阻止するために、私は緊急の対策が必要だと思います。この前の沖繩国会のときには、日本じゃ設備が余っているし、日本には品物が一ぱいあるから送ればいいといっても、海上はるかに離れたところでそういう措置が緊急にとれるとは思われません。したがって、緊急の事態が起こったときにできるだけ物価を押し上げないような措置が必要だと思います。これは沖繩の人たちの民心を安定さすためにも必要な措置だと思います。こういう問題について、総務長官あるいは総理大臣の御所見はどうか。  あるいは、こういう問題をあまり重視していないのではないか。それは、沖繩の人たちに相当のお金を出しましても、物価が上がったら何にもならないことですから、そのことについてだれが責任を持っておられるのかわからないような状態では、少なくともいけない。緊急の事態が考えられますので、緊急の事態を処理するための、これは一つの省ではだめなんで、やはり総合的な、しかも緊急な実施機関が必要なんです。そういうことを含めて、どういうお考えなのか、現状認識をどういうふうにお考えになっておるのかを含めての御答弁をいただきたいと思うのです。
  125. 山中貞則

    山中国務大臣 円の変動相場制への移行、円の切り上げ、こういうものを踏まえた沖繩の実際の情勢は、やはり円圏の実施内においてドルを使用させられておるという二重の打撃を受けたことは、私もたびたび認識し、それに対する措置もとっております。しかしながら、先ほどお話しになりました物価指数の動向、あるいはそれのそれぞれ品目別の値上がり、そういうもの等しさいに検討いたしておりますが、一応復帰までの間に五十三億の措置をいたしました。沖繩の四百四十品目に対する差損補てんの措置、このようなものが比較的効果をあげている傾向があります。いまあげられました牛肉や野菜その他は必需品でもありますが、肉等については輸入品が大部分であって、本土からのものではありません。これらは沖繩の、昨年きわめて不幸なできごとであった干ばつ、台風の被害、そういうものの影響、あるいはアメリカの港湾スト等の影響があらわれているものと思っておるわけでありますが、これらはいずれも、ことしに入って、今後の見通しとしては、鎮静していくだろうと思います。  そこで、復帰後、円を使う円圏に、通貨の上で日本国民として復帰いたしてまいりました沖繩県、これに対して、物価の問題として別途の特別な措置を何か講ずるかという問題は、基本的にはやはり物価に関する各種の国の総合施策の範囲内において行なわれなければならぬと思いますが、今日まで沖繩県であるもべき琉球政府というものがとってまいりました措置、これはやはり都道府県の行政としても行なわれてまいった範囲の中の仕事もあるわけであります。したがってわれわれとしては、沖繩開発庁というものをお許しを願ってつくるということにするならば、その役所が、沖繩に関する物価の動向、ことに前の国会において、一人だけ注目すべき角度からの見解して和田さんが述べられました、沖繩復帰に伴う各種の措置、海洋博に向かっての公共事業等を中心とする大量の円の流入、こういうことにおける沖繩における物価の高騰、賃金の高騰というものの悪循環を起こしはしないかという問題については、その後も問題点として研究を進めておりますが、これらは、開発庁ができるわけでありますので、これらのところで絶えず沖繩県と連絡をとりながら、遠く離れた離島であるがゆえに、緊急措置等について、国の段階においても備えておくべきことがずいぶんあるだろうと思います。それらの問題の一義的な責任は、やはり沖繩開発庁が国の役所として責任を負って、経企庁、あるいはまた農林省その他の現業官庁と連絡をとるという姿勢をとってまいるつもりであります。
  126. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 時間がありませんので、最後に申し上げますけれども総理山中長官にも、この問題を私はきょう質問しようと思いまして、総理山中長官にと思ったら、長官は、物価の問題だから経済企画庁の担当官を呼んでくれ。経済企画庁担当官といっても、きわめて自信がなさそうなんですね。現在はそういう問題ではないということなんです。これはいろんな政治的な問題であれされて、物価は現に上がっているわけですから、もう野菜なんというものは緊急対策は困難ですよ。向こうでつくろうといったって、土地の悪いところでなかなかうまくつくれやしないというような問題がありますから、どうかひとつ緊急に対策の機関の設置を考慮していただきたい。どうぞよろしくお願いいたします。
  127. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 これは最も大事なことでございますから、和田君が御指摘になるまでもなく、政府としても、これに対する対策を至急に立てることにいたします。
  128. 伊能繁次郎

    伊能委員長 東中光雄君。
  129. 東中光雄

    ○東中委員 国防会議が開かれて、自衛隊の沖繩配備の方向をきめられておるわけですけれども、昨年の八月に、沖繩出身の自衛隊員で、朝霞駐とん部隊の一〇一通信教育隊の若い自衛隊員が自殺をするという事件が起こりました。それは遺書によりますと、「私はこれ以上みじめな気持を押えることはできません。毎日良心のおきどころのない生活を続けることはもういやです」ということを書いておったと伝えられておりますが、この沖繩出身の若い自衛隊員は、沖繩へ帰って、沖繩県民に、特に高等学校の後輩からいろいろ追及を受けて、そのあと華厳の滝から飛び込んで死んだということが報道されておるわけですが、今回の自衛隊の配備によって、配備命令が出される当該の自衛隊員が、いやだということを言うた場合、それが数名共同して反対し、その命令を拒否した場合には、自衛隊法の百十九条で三年以下の懲役という、わが国の公務員の転勤命令を拒否するということによって刑罰で処罰するというような規定は、この自衛隊法だけしかないわけですけれども、もしそういう事態が起こった場合は——自殺する人まで起こっておるわけですから、そういう事態が起こった場合に、この自衛隊法百十九条を適用するかどうか。そういう点について法制局なり防衛庁長官なりの意見をお聞きしたい。
  130. 江崎真澄

    ○江崎国務大臣 自衛隊の任務は、その本来の性格はきわめて厳粛なものであります。したがいまして、いま御指摘のようなことが具体的に起これば、やはりこれは懲罰対象になるということはやむを得ぬかと思います。しかし、配備にあたりましては、かりそめにも無理になりませんように、十分幹部において指導をし、注意をいたしてまいりまするので、そういう事態はまさか起こらない、また起こしちゃならぬというふうに考えております。
  131. 東中光雄

    ○東中委員 懲罰の問題じゃなくて、刑罰の問題なんです。懲罰なら公務員法できまっておるわけですけれども、自衛隊の場合は刑罰を科する。これは憲法の十七条なり十八条なり、あるいは十三条の幸福追求の権利、こういった問題から見て、明らかに私たちは憲法違反の条文だと思っているのですが、沖繩県民がこぞって反対をしておる、こういう状態での自衛隊配備を強行するということになれば、この憲法違反の規定が沖繩配備を命ぜられた自衛隊員には大きくかぶさってくるわけです。だから、こういう点は適用しないということなら、それはそれで、それなりにわかるわけですけれども、やはり事態が起これば、いま防衛庁長官が言われたように、処罰することもあるということだったら、これは非常に遺憾な事態だと思うのですが、そういう点について伺いたい。
  132. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 懲戒のことについては先ほどお答えがありましたが、お尋ねのほうは百十九条の第七号の適用問題のようでございます。この問題は憲法違反だということをまずおっしゃいましたが、この点については、どうも議論をしてもいたしかたがないと思いますが、この自衛隊法の百十九条第七号に、「上官の職務上の命令に対し多数共同して反抗した者」、これは三年以下の懲役または禁錮に処することになっておりますが、もしもこういう者に該当するものであれば、これはむろんこういう法律があるわけでありますから、おそらくこの法律の適用が考えられることは当然だろうと思います。ただ、先ほど防衛庁長官がおっしゃいましたように、そういうことが起こらないような適切な配慮というのはむろんあり得ると思いますけれども、純粋に法律上の適用問題としてはいま申し上げたとおりであります。
  133. 東中光雄

    ○東中委員 時間がありませんので詰めることができませんけれども、要するに、刑罰によって移駐も強制させられるというのが自衛隊の持っている性格なんです。沖繩県民が非常に反対している状態での沖繩配備が強行されるという中では、こういう憲法違反の問題も起こってくるということを指摘をしておきたいわけであります。  もう一点お聞きしたいのですが、佐藤総理は先ほど、ベトナム戦争にわれわれは介入する意思は毛頭ない、こう言われたわけですが、いまベトナムにおけるアメリカの戦争拡大、特にハノイ、ハイフォンヘの爆撃もやられておる、こういう状態ですけれども、われわれは介入する意思は毛頭ないと言われている総理のお考えは、いまのベトナム戦争というのは、日本の平和と安全一これときわめて密接な関係にある極東の国際平和と安全という意味で日米両国が強い関心を持っている地域、要するにその地域はフィリピン以北ということをよく言われておるわけですけれども、その中に入っていないというお考えなのかどうか。この地域はフィリピン以北といわれておって、その周辺は、周辺に起こった事態のため脅威になるような場合には、それは極東の範囲内に入るのだというふうな答弁を岸総理がやられておるわけですけれども、いまベトナムに起こっている事態は、わが国の安全にとって脅威になり、あるいはそれに密接な関係のある周辺の事態で、脅威を及ぼしているような事態になっているというふうにお考えになっているのか、その点いかがでしょうか。
  134. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 これは外務大臣も答えたと思いますが、いわゆる極東の地域ではございませんけれども、周辺地域、さように考えております。しかして、いま起きている事態、これが周辺地域だから全部日本に脅威を与えている、こういうように私は考えておらない。これは区別されてしかるべきだ、かように思います。
  135. 東中光雄

    ○東中委員 そうしますと、ベトナムでいま起こっている戦争自体は、わが国あるいは極東の安全にとって脅威になるような場合ではないというふうに認識しておるということをいま言われたと思うのですが、そういう場合は、それは安保条約にいう極東の範囲内に入らないのだ。何となれば、安保条約の極東の範囲内というのは、地理的概念じゃなくて、そういう周辺については脅威が及ぶという場合にだけなんだということを、これは国会答弁されているわけです。ところが、日本の安全及び極東の平和、安全を任務とする在日米軍というのは安保条約でおり得るわけですけれども沖繩にいるKC135、先ほど言われましたが、これはベトナムへ戦争に行き直接戦闘作戦行動をとっておるものに給油をすることが任務になっていま増強されておるわけですから、そうすると、KC135は明らかに極東の範囲外のこと——脅威を与えていないというふうにいま総理は言われているわけですから、脅威を与えていない地域は極東の範囲外ですから、範囲外での行動を任務にしてKC135というのは沖繩におるわけですから、五月十五日以後は事前協議の対象になるとかならぬとかの問題じゃなくて、行動の範囲外のことを任務にしておるこういう部隊というのは、これは存在を許されない、こう思うのですが、いかがでしょう。
  136. 高島益郎

    ○高島政府委員 お答えいたします。  新安保条約の国会審議の際に政府側が答弁いたしました極東の範囲に関しまして、米軍の行動の範囲は必ずしも極東の範囲に限られない場合がある、そういう意味で、極東の周辺に起こった事態のために極東における国際の平和及び安全の維持に脅威が生じた場合には、これに対しまして、この周辺地域に対しまして米軍が行動することがあるということを、政府側がしばしば申したはずでございます。ただいま総理大臣がお答えいたしましたのは、ベトナムにおける事態が日本の安全に直接脅威を及ぼすような事態ではないというふうにおっしゃったと、私、理解しております。しかし、ベトナムにおける事態が極東における国際の平和及び安全の維持に全く関係がないということではないと思います。そういう意味におきまして、米軍の行動が、このベトナムの事態に対しまして、極東の範囲外に及んでいるということは、その点からも十分理解されるものかと思います。
  137. 東中光雄

    ○東中委員 これはいままでの答弁のすりかえをやって変更しています。極東の範囲は地理的条件ではない、フィリピン以北わが国の周辺といふううに一般に規定づけておるけれども、それは地理的範囲ではないので、その周辺であっても、その周辺地域に起こった事態が脅威になるような場合には、これは極東の範囲内に入って安保条約の適用の中へ入ってくるのだ、こう言っているわけです。いま総理は、脅威にならないんだと言っておられるのだから。しかも、地理的範囲としてのフィリピン以北という外にある周辺地域であっても、それは脅威を与えるような事態が起こった場合に入るんだ、これは岸総理の明確な答弁です。この答弁は一貫していますよ。いま条約局長の言っているのは、明らかにその範囲をいままでと解釈を変えています。いままでの政府が説明してきたことと明らかに違います。総理、その点どうでしょう。
  138. 高島益郎

    ○高島政府委員 お答えいたします。  ただいま私がお答えしましたことが、従来の政府答弁と食い違っておるというお話でございますが、当時政府側が申しました極東の範囲についての統一見解をお読みいたします。ここで該当の部分についてだけお読みいたします。「新条約の基本的な考え方は右のとおりであるが、この区域に対して」——「この区域」と申しますのは極東の区域でございますが、「に対して武力攻撃が行なわれ、あるいは、この区域の安全が周辺地域に起った事態のため、脅威されるような場合、米国がこれに対処するため執ることのある行動の範囲は、その攻撃又は脅威の性質いかんにかかるのであって必ずしも前記の区域に局限されるわけではない。」ここで申しておりますのは、そういう周辺地帯に起こった事態のために極東の安全が脅かされる場合に、米軍の行動の範囲が極東の周辺に及ぶことがあり得るという意味だろうと思います。したがいまして、いま先生のおっしゃいましたように、その周辺地域が極東の範囲に入るということではございませんで、もともと極東の周辺は依然として極東の周辺ということであって、極東自体ではございません。
  139. 東中光雄

    ○東中委員 いま言われたことの中にはっきりあるじゃないですか。周辺に起こった事態が脅威を与えるような場合には周辺地域は入る、こう言っておるのです。脅威を与えないと総理はいま言っているじゃないですか。地理的条件でない。いま言われた統一見解自体のワクを変えているじゃないですか。明らかに変えていますよ。  時間がありませんので、KC135については事前協議の対象になるかならないか。あの三条項の問題だけじゃなくて、そもそも安保条約の適用の範囲内に入らないという問題なんだということ、これをはっきりさしておく必要があると思うのです。総理は現にはっきりと、われわれが介入する意思は毛頭ない、それは脅威を与えておるという問題じゃないからだ、こう言われておるのですから、それなら、在日米軍がそこへ出ていくことを任務にしておるというようなことは、これは絶対に許されない、その点をはっきりとしていただきたいと思うのですが、時間がありませんので、御見解をお聞きして私の質問を終わりたいと思います。総理、どうでございますか。
  140. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 私から答え、また条約局長が答えたように、わが国に対する直接の脅威ではない。これはもう条約局長もはっきり申しておりますから、私が答えたことと同じでございます。それが極東に脅威があるかないか、そういうことはまた別ですね。そのことは区別されてしかるべきだ。しかし、現にベトナム、これは極東だ、安保の範囲でも周辺地域だ、かように言われているところで戦争が起きていること、これは事実ででざいますから、これは全然無関心ではあり得ない。だからこそ、われわれはそれに介入はしない、かように申しておるわけです。全然関心がないと言っておるわけではございませんよ。介入はしない、不介入である。そのことは、関心は全然ないというものとは違いますから、これは東中君、御了承いただけるだろうと思います。
  141. 東中光雄

    ○東中委員 質問を終わりますが、日本の安全の脅威になるような範囲で極東の安全、平和ということが問題になってきておる。その極東のまた脅威になるかということで、今度は周辺地域まで広げていくという論理になりますと、何ぼでも広がっていきます。  それと、いま私が申し上げているのは、日本は関心があるけれども、在日米軍がそこへ行くことを任務にして安保条約の適用の中におるというふうなことは、これは許されない。KC135はそれを任務にしておるということを申し上げているわけですので、きょうは時間がありませんから、検討して、こういう問題についての事前協議の問題でないということをはっきりしておいていただきたい、こう思うわけであります。
  142. 伊能繁次郎

    伊能委員長 ただいま議題となっております各案中、内閣提出にかかる沖繩開発庁設置法案及び沖繩復帰に伴う防衛庁関係法律適用特別措置等に関する法律案の両案に対する質疑は、これにて終了いたしました。  午後二時委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。    午後一時三十分休憩      ————◇—————    午後二時十分開議
  143. 伊能繁次郎

    伊能委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  内閣提出にかかる沖繩開発庁設置法案及び沖繩復帰に伴う防衛庁関係法律適用特別措置等に関する法律案の両案を議題といたします。  ただいま委員長の手元に、塩谷一夫君より沖繩開発庁設置法案に対する修正案及び沖繩復帰に伴う防衛庁関係法律適用特別措置等に関する法律案に対する修正案が提出せられております。
  144. 伊能繁次郎

    伊能委員長 両修正案について趣旨の説明を聴取いたします。塩谷一夫君。
  145. 塩谷一夫

    ○塩谷委員 ただいま議題となりました沖繩開発庁設置法案並びに沖繩復帰に伴う防衛庁関係法律適用特別措置等に関する法律案の両法案に対するそれぞれの修正案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  両修正案の案文はお手元に配付いたしてありますので、朗読は省略させていただき、その要旨を申し上げます。  まず、沖繩開発庁設置法案に対する修正案は、第一に、法律番号の字句を整理することであります。本法案は、昨年の第六十七回国会から継続審査となっている法案でありますので、本法案で引用している他の法律等の法律番号について、「昭和四十六年」を「昭和四十七年」に改めるなど、その字句を整理しようとするものであります。  第二は、沖繩復帰に伴う関係法令の改廃に関する法律、以下「改廃法」と略称いたしますが、その第三十条について、地方公安調査事務所の名称を改めることであります。  現行公安調査庁設置法は、公安調査庁の地方支部局として、公安調査局及び地方公安調査局を置くこととしておりますが、改廃法第三十条は、沖繩復帰に伴い、同地に公安調査庁の地方支分部局として沖繩地方公安調査事務所を置くこととしております。  このように、沖繩に設置される公安調査庁の地方支分部局の名称が「地方公安調査事務所」とされ、現行の名称と異なるのは、改廃法の国会提出前すでに提出されていました行政管理庁設置法等の一部を改正する法律案において、公安調査庁の地方支分部局である地方公安調査局を地方公安調査事務所と改めることとしていたことによるものでありますが、同法律案は、なお、慎重に審議することとしておりますので、この際、改廃法第三十条中の「地方公安調査事務所」を「地方公安調査局」に改めようとするものであります。  次に、沖繩復帰に伴う防衛庁関係法律適用特別措置等に関する法律案に対する修正案は、本法律案が昨年の第六十七回国会から継続審査となっている法律案でありますので、本法律案で引用しているすでに成立した他の法律等の法律番号について、その字句を整理しようとするものであります。  以上が両修正案の趣旨であります。よろしく御賛成をお願い申し上げます。
  146. 伊能繁次郎

    伊能委員長 これにて両修正案の趣旨の説明は終わりました。     —————————————
  147. 伊能繁次郎

    伊能委員長 これより、沖繩開発庁設置法案及びこれに対する修正案、並びに沖繩復帰に伴う防衛庁関係法律適用特別措置等に関する法律案及びこれに対する修正案を一括して討論に入るのでありまするが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。  沖繩開発庁設置法案について採決をいたします。  まず、本案に対する塩谷一夫君提出の修正案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  148. 伊能繁次郎

    伊能委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいまの修正部分を除いて、原案について採決をいたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  149. 伊能繁次郎

    伊能委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。  次に、沖繩復帰に伴う防衛庁関係法律の適中の特別措置等に関する法律案について採決いたします。  まず、塩谷一夫君提出の修正案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  150. 伊能繁次郎

    伊能委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいまの修正部分を除いて、原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  151. 伊能繁次郎

    伊能委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。     —————————————
  152. 伊能繁次郎

    伊能委員長 ただいま修正議決いたしました両案に対し、塩谷一夫君外三名より附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。塩谷一夫君。
  153. 塩谷一夫

    ○塩谷委員 ただいま議題となりました自由民主党、日本社会党、公明党、民社党、四党共同提案にかかる附帯決議案につきまして、提案者を代表してその趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。   沖繩開発庁設置法案及び沖繩復帰に伴う防衛庁関係法律適用特別措置等に関する法律案に対する附帯決議(案)  政府は、次の諸点について配慮すべきである。  一 振興開発計画の実施その他国の事務の処理に当たっては、地方自治の本旨に沿って実施すること。  一 沖繩振興開発審議会委員の人選及び運営等については、沖繩県の民意を十分に反映しうるよう適正を期すること。  一 沖繩の振興開発を円滑に推進するため、土地所有権の確定等土地問題解決のための措置を早急に検討すること。  一 沖繩における物価の特殊な現象にかんがみ、物価対策について慎重を期すること。  一 公務員給与の換算保障について、適切な措置を講ずること。民間労働者の賃金については、企業に対する金融、税制面等を含めた適切な対策を講ずること。  一 特別の手当の減額方法については、職員の給与に急激な変動をきたさないよう適切な措置を講ずること。  一 積立年次休暇の取扱いについては、職員に不利益とならないよう適切な措置を講ずること。  一 重要産業及びこれに準ずる産業に従事する第四種被用者に対する特別給付金の支給については、業務の実態等を考慮して適切な措置を講ずること。   右決議する。  本附帯決議案の趣旨につきましては、先般来の当委員会における質疑を通じましてすでに明らかになっておることと存じます。  よろしく御賛成をお願い申し上げます。
  154. 伊能繁次郎

    伊能委員長 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  155. 伊能繁次郎

    伊能委員長 起立総員。よって、本案に対する附帯決議を付することに決しました。     —————————————
  156. 伊能繁次郎

    伊能委員長 なお、ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  157. 伊能繁次郎

    伊能委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  158. 伊能繁次郎

    伊能委員長 次回は、来たる二十五日火曜日、午前十時理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後二時十九分散会