○阿部(未)
委員 有線テレビジョン放送法案に対する附帯決議案の
趣旨を御説明申し上げます。
まず、案文を朗読いたします。
有線テレビジョン放送法案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行にあたり次の各項に十分留意すべきである。
一、
憲法及び
放送法等に規定する
言論の自由及び政治的中立の確保を徹底し並びに独占による弊害を防止するとともに、
有線放送審議会の
構成にあたっては、中立的かつ民主的に運営できるよう
配慮すること。
一、情報化の急速な進展に伴い、情報に関する基本法を早急に策定し、情報通信における民主的管理、生活優先及びプライバシーの保護などの諸原則を確立すること。
一、本法は、今後開発される双方向通信には適用するものではないこと。
一、日本
放送協会が負っている
放送の全国普及
義務にかんがみ、主として都市難
視聴を
解消するための協会による
有線テレビジョン放送施設の
設置が、他の有線テレビジョン
放送事業によつて阻害されることなく円滑に行なわれるよう十分に
配意するものとすること。
右決議する。
この決議案は、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党の四党共同提案にかかるものであり、また、この案文は先般来の審査の経過を参酌して起草いたしたものでありますから、あらためて御説明するまでもないとは存じますが、簡単にその要旨を申し上げます。
第一は、さきの修正案の
趣旨説明においても述べられましたように、この
法律は何ら
言論の自由を制限するものでないことは明らかでありますが、
政府はこの
法律の運用にあたっては、有線テレビジョン
放送の
言論機関としての
性格にかんがみ、
放送と同様に
言論の自由と政治的中立の確保を徹底すべきであるというのであります。また、
受信者の
利益を保護するために、独占による弊害を防止するとともに、
有線放送審議会が中立的かつ民主的に運営できるよう、その
委員の選定については
十分配慮すべきであるというのであります。
第二は、わが国においても
情報化社会の急速な進展が見られるわけでありますが、これに対処するためには、
政府は情報に関する民主的な基本法の早急な策定をはかるとともに、この基本法においては、情報通信における国民生活
向上の優先、プライバシーの保護、国民の知る権利を確保するための公開及び情報の伝達の方法処理に関する機構の民主化等の諸原則を確立すべきであるというのであります。
第三は、本法は有線テレビジョン
放送についてのみ適用されるものであって、双方向通信には適用されるものでないことは、
政府答弁によっても明らかでありますが、あらためて確認しておこうというのであります。
第四は、NHKは
放送法により、その
放送をあまねく全国的に普及させるという
義務を負っております。このことから、NHKが辺地難
視聴と同様、都市難
視聴についてもその
解消に努力すべきことは申すまでもないことであります。ところで、本法の施行に伴い、NHK以外の有線テレビジョン
放送事業者が
施設の
許可を受けて
業務を行なうことになるわけでありますが、その場合、その
事業者の
業務区域内においても、NHKの本来
業務である難
視聴解消対策までが排除されることを意味するものではありません。難
視聴解消対策は、単にNHKと有線テレビジョン
事業者の間の問題としてとらえるべきではなく、その
地域内の
受信者の
利益を
考えて両者協力して行なわれるべきものでありますから、その
地域内の
受信者の要望により、早急に難
視聴解消の必要がある場合には、NHKが有線テレビジョン
放送の
施設を円滑に
設置できるよう、
政府は十分に
配慮すべきであるというのであります。
なお、これに関連し、NHKの行なう難
視聴対策は、民間
事業者の行なう難
視聴対策とは形を異にしておるものでありますから、民間
事業者の
施設によって受信している
地域においても、受信料は徴収されるべきものであります。また、NHKに対して出資
条項が認められたことにつきましても、NHKは
有線放送事業に対して、必ず出資しなければならないということではないということを、この際明確にしておきたいのであります。
以上、簡単に
趣旨を御説明いたしましたが、全会一致御賛成くださいますようよろしくお願いいたします。(拍手)