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1972-04-26 第68回国会 衆議院 逓信委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年四月二十六日(水曜日)     午前十時五分開議  出席委員    委員長 高橋清一郎君    理事 内海 英男君 理事 加藤常太郎君    理事 古川 丈吉君 理事 本名  武君    理事 水野  清君 理事 古川 喜一君    理事 樋上 新一君 理事 栗山 礼行君       池田 清志君    宇田 國榮君       小渕 恵三君    金子 岩三君       亀岡 高夫君    佐藤 守良君       中村 拓道君    羽田  孜君       長谷川 峻君    林  義郎君       森  喜朗君    阿部未喜男君       武部  文君    堀  昌雄君       中野  明君    池田 禎治君       土橋 一吉君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 廣瀬 正雄君  出席政府委員         大蔵省主計局次         長       吉瀬 維哉君         郵政政務次官  松山千惠子君         郵政大臣官房長 森田 行正君         郵政大臣官房電         気通信監理官  柏木 輝彦君         郵政大臣官房電         気通信監理官  牧野 康夫君         郵政省人事局長 北 雄一郎君  委員外出席者         大蔵大臣官房審         議官      大谷 邦夫君         大蔵省理財局次         長       大蔵 公雄君         国税庁徴収部徴         収課長     山田 幹人君         日本電信電話公         社総裁     米澤  滋君         日本電信電話公         社総務理事   山本 正司君         日本電信電話公         社営業局長   遠藤 正介君         日本電信電話公         社計画局長   清水 通隆君         日本電信電話公         社経理局長   好本  巧君         逓信委員会調査         室長      佐々木久雄君     ————————————— 委員の異動 四月二十一日  辞任         補欠選任   小渕 恵三君     園田  直君   亀岡 高夫君     古井 喜實君   森  喜朗君     原 健三郎君 同日  辞任         補欠選任   園田  直君     小渕 恵三君   原 健三郎君     森  喜朗君   古井 喜實君     亀岡 高夫君 同月二十六日  辞任         補欠選任   八百板 正君     堀  昌雄君 同日  辞任         補欠選任   堀  昌雄君     八百板 正君     ————————————— 本日の会議に付した案件  電信電話設備拡充のための暫定措置に関する  法律等の一部を改正する法律案内閣提出第四  〇号)      ————◇—————
  2. 高橋清一郎

    ○高橋委員長 これより会議開きます。  電信電話設備拡充のための暫定措置に関する法律等の一部を改正する法律案議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。堀昌雄君。
  3. 堀昌雄

    堀委員 ただいまの議題質問に入ります前に、皆さんも御承知のように、現在、公共企業体に属する職員が組織しております労働組合では、賃金引き上げについての要求を企業側に出しておりまして、それに対して二十四日に有額回答が行なわれたわけでありますけれども、実は私、当委員会ではなくて、大蔵委員会で長年にわたって毎年この公労協の賃金の問題を論議してまいりました。これまではいろいろな経過はありましたけれども、何らかの形で前進をするか、場合によっては多少足踏み的なところもあったわけですけれどもうしろ向き事態が動いたというのは、実はこれまではなかったわけであります。ところが残念ながらこの間の二十四日の回答、当委員会関係がございますものは、郵政事業関係労働者と、それから電電公社に属する労働者、この二つが関係があるわけでありますけれども、いずれも定昇込み昨年の有額回答並み、こういうことでありますから、結果としては、四十七年に、四十六年から定昇部分が増加いたしました分だけは昨年の有額回答よりも減額された有額回答が行なわれた、こういう事態になったわけであります。私はかねてから大蔵省事務当局あるいは大蔵大臣に、現在のこの有額回答の姿は非常にいびつなものであるということを強く主張してまいっておるわけであります。と申しますのは、昨年の例をとりまして電電公社で申し上げますならば、昨年は四千四百八十八円という有額回答が行なわれました。その有額回答が行なわれたもとは、一昨年の四十五年の回答が四千三百八十八円でありますか。その四千三百八十八円という有額回答が行なわれたのは、四十四年のベースアップ分が四千三百八十八円であって、それと同じ額ということで実は四十五年の回答があり、その上に百円積んだのが四十六年の回答であったわけでありますが、今回はそれをはるかに下回る額になるという結果をもたらしておるわけでありまして、その場合昨年の四千四百八十八円、妥結をいたしました六千七百七十円との間には、実は二千円をこえる開きがあるわけであります。  そこで私は大蔵省事務当局に申しておりましたのは、少なくとも有額回答というのは、公社あるいは企業体労働組合との間で誠意をもって団体交渉を行なって、自主的な交渉の結果回答されることである。しかし、それだけでは問題の解決にならないし、現在の法律のたてまえからいいますと、どうしてもこれは公共企業体等労働委員会調停、そうして調停ではなおかつ予算総則及び公社法に基づく給与準則等範囲が動かせませんから、形式的にも仲裁裁定によって処理をするという手続になっている以上は、残念ながら自主的な交渉段階公労法十六条が示すような取り扱いがなされておりませんから、いまのような便法もやむを得ない、こう考えてきておるわけでありますけれども、その際に、昨年出されましたもの、あるいは本年に予想されるものといまの有額回答の間には、依然として二千円からの開きがある。こんな開きは一体何かと私は言っておるわけでありまして、公共企業体等労働委員会が、自主交渉の結果ととのわなかった額に対して、ある程度調停委員会としての裁量の働く範囲を残す程度のところまでは自主交渉で詰めた有額回答が行なわれるのが相当ではないか、こういう考え方を示しておったわけでありますが、とんでもない話でありまして、そうはなっていなかったわけであります。  そこで、まず郵政大臣にお聞きをしたいわけでありますけれども、昨年の例を引いて申し上げますならば、六千七百七十円でありますか、ちょっといま資料を持っておりませんが、それと四千四百八十八円というのは二千円以上の開きがあるわけでございますけれども、一体このような開きのある有額回答をするというのはどういう意味があるのか、ちょっと一ぺん郵政大臣からお答えをいただきたいと思うのであります。
  4. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 郵政省関係について君に聞くということでございましたけれども電電公社のほうも関係がございますから、一括して私の立場から御答弁申し上げたいと存じます。  御指摘のようにベースアップそのものから申しますと百数十円いずれも昨年に比べて減っておる、そういうような状態になっておりますことをまことに私ども遺憾に思っておるわけでございますが、ただ、ここまで私どもこぎつけるについては、御承知のように今回は特殊事情でまだ予算成立いたしておりません。それから民賃も基準になるようなものが出そろっていないというような状態でございましたけれども、とにもかくにも一日も早く有額回答をしようというようなことで関係閣僚協議いたしました結果、二、三日前にあのような回答を急いですることになったわけでございます。もちろんこれは予算成立前提としてという含みではございますけれども予算成立を待たずして回答いたしたということは、これはまあ政府の意のあるところをひとつおくみ取りいただきたい、かように考えているわけでございます。  金額についてはまさに堀先生指摘のとおりでございまして、これにつきましては、当日出そろっておりましたのは鉄鋼と船と私鉄であったわけでございますが、鉄鋼は昨年と同額私鉄は昨年よりも少し多い、船は昨年より少し少ないというような、三者がおのおの違った民賃関係にございましたから、民賃を比較するということになれば、昨年同様なものもあれば高いものもあれば低いものもあるということで、三つ突きまぜて昨年同額をとりあえず第一回の有額回答にしようじゃないかというようなことになりまして、ベースアップと今回の定期昇給を合しまして昨年と全く同じ金額提示するということになったわけでございます。  まあ私見を申しますと、ベースアップそのものを昨年並みかあるいは昨年より多少でもふやしておきますと、どうせあとではふやさなければならない金額でございますから、組合員の受け取った感情はずいぶん違うと思うわけでございますけれども、しかしいろいろ協議の結果、民賃あたりを勘案いたしましてこういうことになったわけでございます。しかし、まだただいま、御承知のように郵政電電公労委調停に入っておるわけでございますから、今後私ども努力の余地もあるかと思いますし、舞台は公労委に移っおりますけれども、われわれの配慮のところもそういうような関係に反映させるということも不可能ではない、かように考えておるわけでございますから、最終的に結論においては、ひとつ最大限に誠意をもって話し合った結果が出ますようなことに、及ばずながら微力を加えたい、私の立場でできるだけのことを考えてみたい。これは郵政についても電電についても同様でございまして、電電は直接総裁が当たっておるわけでありますけたども総裁にも十分お願いいたしまして、そういう措置をとっていただくように側面から御協力いただきたい、こういうふうに念願をいたしておるわけでございます。
  5. 堀昌雄

    堀委員 閣僚協議会がございましてそういう結論になったということでありますから、やむを得ないといえばやむを得ないのかもわかりませんけれども、実は民間賃金との比較の問題でございますけれども、いまの民間のほうは御承知のように不況の最中でございますから、鉄鋼といえども、造船その他私鉄等におきましても、例年よりは仕事の量がふえておるかといえば、例年程度の伸びあるいはそれ以下と、鉄鋼の場合には御承知のように現在不況カルテルで減産中でございますから、仕事の量は少なくなっておる、こういうことでありますが、例を電電公社にとってみますと、電電公社はかつて七カ年計画をつくりましたときに、昭和四十六年の一般加入電話というのは二百四十万個、四十七年は二百七十万個ということで七カ年計画予定いたしておりましたけれども、実際には四十六年には補正や弾力等でこれが二百六十二万個になりまして、二十二万個実は計画よりはふえておるわけでございますね。さらに四十七年におきましても、計画の二百七十万個に対して二百八十一万五千個ということですから、十一万五千個ふやしている。ここらはいま不況でありますから、高経済における設備投資を拡大することによって景気の浮揚に役立てよう、こういう政策を国がとっているわけでありますから、要するに民間のほうは仕事が横ばいかやや減っておる、公共企業体等政府政策に基づいて仕事の量をふやしておる。仕事の量のふえておるほうは全然無視をして、そうして民間賃金だけを横ににらんでああいう処置をするなどということは、やはり少なくとも企業のあり方として、そういう働く人たちに報ゆる道ではないのではないか。おまけにわずか百五十円やそこら、そこで値切ることが、四千四百八十八円というところからそれを値切ることが、一体どれだけあと交渉その他に有意義に働くのか。私はこれはたいへんマイナスに働いておると思いますね。大体公労法というのは労使間の紛争をなくすためにある法律でありますけれども、残念ながら当事者皆さんがやっておられることは、紛争を激化するための手段をとっておられるような感じがしてしかたがありません。これは単に郵政大臣お一人の責任だと私は申しませんけれども、少なくとも内閣は連帯して責任を持つわけでありますから、郵政大臣もその内閣の一員としての責任がおありになると思うのでありますが、どうかひとつこれから調停段階におきましては、いまのような仕事の量がふえておるという実態も踏まえて、やはり適切な労働に見合う賃金というものが支払われるように、当事者側としてひとつ十分配慮を願いたい。強く要望いたしておく次第でありますが、この件についてのお考え郵政大臣並びに電電公社総裁から承って本論に入りたいと思います。
  6. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 政府方針が、私も参画いたしました一人でございまして、ただいまお話しのとおりだと思います。ああいうふうに政府方針がきまりまして、電々公社もその趣旨に従ってああいう提示があったわけでありますが、総裁自身としましては、必ずしもベースアップそのものを百五十八円でございましたか、引き下げたということが方法としてよかったのじゃないのじゃなかろうかというようなお考えを持っていらっしゃるように私は推察するのでございます。ということは、非常にうまく皆さんお働きくださってやっておられますし、国鉄は今度の提示も取り残されたようなかっこうになりまして気の毒に思っておるわけでありますが、決して総裁の親心を失ったというお気持ちはないと思いますので、それもあとから総裁からお答えもあるかと思いますけれども、これはあげて私ども内閣責任であろうと思っております。しかし、御指摘のことはよくわかりますわけでございますから、将来私どもの許される範囲内で十分努力いたしまして、つとめて御期待に沿うようなことに持っていかなくちゃならぬ。郵政にしましても、電電にしましても、人が一番仕事の基幹をなすものでございまして、この労務対策従業員が気持ちよく仕事をやっていただくということが、仕事の推進の上から申しまして——機械でも何でもない、人そのものでございますから、郵政は特に電電に比べまして一そうそういうことが言えるわけであります。電電もたくさんの従業員、二十万人でございますか、三十万人でございますか、を擁しております。そういうところでございますから、人の問題が大きな問題でございますので、そういう問題は総裁格別配慮はしておられると思いますし、私どももそういうことで指導いたしておるわけでございますから、非常に重大な問題と考えて、今後も熱意と誠意信頼感を持って十分やってまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  7. 米澤滋

    米澤説明員 お答えいたします。電電公社関係労使につきましては、これまでいろんな経緯がございましたけれども、特に昭和四十一年以来労使関係近代化路線というものが動いておると思っております。ベースアップ問題等につきましても、三、四年くらい前から、特に形は仲裁裁定の形をとっておりましたけれども、実際には調停段階において、中立委員あるいは使用者側委員あるいは労働者側委員話し合いによって、そこで出てきたものを、形は仲裁裁定によって処理するというかっこうが出てきておるのでありまして、これについては、公社もそのようなルールができることについて、政府関係方面その他にもずいぶん働く、また組合組合立場でやったわけでありますが、そういうルールをつくるようにやってまいりました。ことしもいま調停段階にこの問題が移っておりますけれども、このルールができるように、また公社職員が非常によくやっているということを私がここで言うのはおかしいのかもしれませんが、ただいま御質問の中にもありましたけれども公社はわりあい生産性が上がっているのじゃないかというふうに思いますので、賃金引き上げについて努力をいたしたいというふうに思います。また先般回答いたしました、団交の段階有額回答いたしました額につきましては、私自身も少し考えがあったのでございまして、実は予算がきまらない、あるいは民賃がきまらない段階におきまして出たということでやむを得ないと思っておりますが、個人的にいいますと、もう少し中身のあるものをやったほうがよかったのではないかというふうに考えておる次第であります。
  8. 堀昌雄

    堀委員 そこで、法律案件に入るわけでありますけれども最初大蔵省の方に来ていただいておりますから、先にそのほうを済ましてから技術的な問題に入ることにいたしたいと思います。  最初にちょっと電電公社にお聞きをいたしますけれども昭和四十七年度予算特別債として千二百八十億円が計上されておりますけれども、これは内訳としてはどういう内訳になるのか、ちょっと最初お答えをいただきたいと思います。
  9. 好本巧

    好本説明員 お答えいたします。四十七年度予算案のただいま御指摘の千二百八十億円の内訳でございますが、これはもとの縁故債と称しておりましたものと、それから四十七年度に初めて発行を認められるという前提でございますところの政府保障のない公募債というものと両方合算して千二百八十億円でございますが、予算案積算上の根拠といたしましては、二百八十億円が新しい政府保証のない公募債でありまして、一千億円が縁故債ということで積算をしておるわけでございます。
  10. 堀昌雄

    堀委員 いまの縁故債でありますけれども、四十七年度ではその縁故債は、大体これまでもそのようでありますけれども発行のパターンが二通りに分かれておるようでありますね。金利の点で違いがあるようでありますが、この金利の違いに応じた配分をひとつ承りたいと思います。
  11. 好本巧

    好本説明員 ただいま御指摘の旧縁故債と称したものでございますが、これは公社共済組合、それから電電公社関連業界、それから市中金融機関あるいは雑金融機関、こういうところを引き受け対象としておるわけでありますが、いま御指摘のように、共済組合引き受けのものにつきましては、大体政府保証債発行条件と同じような率に相なっておりまして、市中金融機関あるいは関連業界に対するものにつきましては、少し利率の高いものになっています。大体地方債発行条件利率に同じということでいっております。
  12. 堀昌雄

    堀委員 過去の例から見て、いまの公社共済組合に対するこの一千億のうちの期待額といいますか、これは幾らですか。
  13. 好本巧

    好本説明員 お答えいたします。公社共済組合に対しまするものは、大体昭和四十年ごろで六十億円程度でありまして、毎年約一割程度共済組合の運用すべき資産のふえる分程度くらい伸びておりまして、四十六年度で百十億でございますので、四十七年度大体百三十億程度であるということでございます。
  14. 堀昌雄

    堀委員 そうすると、要するに残りの八百七十億というのは、地方債並みというやや高い金利発行する、こういうことのようであります。そうすると、この際、いまお話のありました新しい二百八十億の一般公募債は、大体どういうクーポンレートで、発行価格幾らで売り出されるという予定でしょうか。
  15. 好本巧

    好本説明員 お答えいたします。いま御指摘のように、旧縁故債それから新しい今度の政府保証のない公募債クーポンレートあるいは発行条件というものにつきましては、おのずから差異があるだろうというふうにも十分考えられますが、この政府原案を作成いたしますときは、何しろ四十七年度で初めての試みでありますし、発行条件等も一応積算上は縁故債クーポンレートと同じことでいたしまして、ただ発行手数料等は、政府保証債あるいは旧縁故債と比べまして、若干手数料は高くなるというふうなことで、手数料につきましては、やや事業債並み発行手数料損益勘定のほうに計上しておりますが、クーポンレートにつきましては、一応縁故債と同じことで積算しております。
  16. 堀昌雄

    堀委員 大体わかりました。そこで昨日も実は大蔵委員会政府保証債一般論というのをちょっとやったわけでありますけれども、いまここでことしの債券発行する場合に、ちょっと私よくわからないのでありますけれども、これはおそらく理財局の所管になるのかもわかりませんが、この縁故債市中金融機関に持たせる、あるいは雑金融機関に持たせる。それと一般公募債というのはどこか違いがあるのかどうか、違いを考えてこういうことを指導しておるのかどうか、ちょっと理財局のほうからお答えをいただきたい。
  17. 大蔵公雄

    大蔵説明員 お答えいたします。一般市中におきまする公募と、それから金融機関が引き受けますところの縁故債は、まあ、市中公募と申しますのは、いわゆる証券会社を通しまして、だれでもがこれを買いたいと思えばこれを手にすることができるという公募方法による消化でございまして、金融機関が引き受けます場合には、たとえば電電公社縁故債の場合には、その当該引き受け金融機関電電公社との間の話し合いによってその話がきまるという種類のものであろうかと思います。
  18. 堀昌雄

    堀委員 形は、形式は確かにいまお答えになったとおりだと思うのですけれども資金調達方法としては、これはまあ一般公募債をもし市中金融機関が買えば、市中金融機関資金一般公募債として電電公社に入る。あるいは縁故債という形で電電公社に入る。要するに、金の流れは同じです。要するに、形式上の問題にしかすぎない。  そこで、形式上の問題として、どうして債券発行をこのように複雑多岐にだんだんしなければならないのか。これは非常に私は問題があると思います。過去においては、おそらく、一般公募債というものが消化できるような金融情勢になかったから、まあそれはなかったんだ、いいと思います。しかし、一般公募債が少なくとも出せるような客観情勢になっておるときに、一々縁故債などというものを別ワクで考えて指導するというのは、一体何か特別にメリットがありますか。
  19. 大蔵公雄

    大蔵説明員 御指摘のように、電電公社がただいま発行しております各種資金調達手段としての債券種類は、私どももかなり、今回特に一般公募債券発行いたしますことによって、いろいろの種類発行されているという点はあるかと思います。しかしながら、この資金調達手段といたしまして、今日まで電電公社調達をいたしました過去のいきさつその他から申しまして、一般市中公募ができるからといって、今日まで縁のあったその金融機関との間は、ことしからはもうおまえのところとは関係を結ぶ必要はないんだということをやることも、なかなか現実問題としてはむずかしい点もあろうかと思います。しかしながら、そういった資金調達という問題に関しまして、いろいろな雑多の資金調達をする方法がいいか悪いかという点に関しましては、調達手段多様化という観点から申しますと、やはり必ずしも、絶対にこれが誤った方法であるということは言い切れない面もあるわけでございまして、金融市場が緩慢なときもございますし、あるいはタイトになるときもある。そういった際に、資金調達手段多様化をいたしておりますと、予定設備投資を行ないますのに足るその資金調達しやすくなるというメリットはあろうかと思います。御指摘のように、本年度新しく一般市中公募債というものを電電公社が行なうということになりましたのは、電電公社といたしまして、現在の金融情勢を勘案をし、かつ電電公社の力がみずから、要するに一般市中公募による市中調達をはかりましても、これをこなし得るだけの力ができてくる、こういう観点から、本年度からは一般市中公募債を電電公社におきましてはとるということになった次第ではないかと思います。
  20. 堀昌雄

    堀委員 私も、確かに市中金融機関との間に取引があるのをすぐやめろと言っているわけではありません。しかし、四十六年の縁故債は六百三十六億しか発行されておりませんね。それを今度は一千億に伸ばしたということは、少なくとも三百七十四億ですか、ふやしておるわけですね。で、片方は、金融市場のほうは、最近は軒並み電電債は七%の流通金利を割っておる。百円にプレミアムがつこうというような情勢になっておるときに、私は、そういう客観情勢の中で、何も一般公募債を二百八十億に限定をして、縁故債一千億ということは適切でないのではないのか、こういうふうな感じがするわけです。市中金融機関の引き受けが四十六年は三百九十一億というのが縁故債の引き受けのようですが、これを横ばいにしておいても問題はない。そうすれば、もし形としてそういうものを残すとしても、私は現在の情勢では、一般公募債のほうをふやすほうが、これは一般公社債の応募をするものの側にとってもきわめて望ましい姿なのではないのか、こういう感じがするわけです。特に、いま民間でそういうふうにたいへん金利が安くなっておるときに、縁故債という形で、特にそれも地方債並みのたいへん高い金利のものを、これらの関係縁故先に持たせるということは、ある意味ではプレミアムつきの債券を縁故ということによって持たせるというフェーバーを与えることになっておるのではないのか。だからそういう意味では、そんなにまでしなくても、一般的な公募をふやすということが債券発行上の原則ではないか、こう私は思うわけです。  ちょっと証券局に伺いますけれども、今年度、まあいまですから、電電公社は二百八十億しか公募債予定していないわけですけれども、現在の市況の状態、まあ国債もすでに多額に発行されることは見通しが立っておるわけですけれども、そういう現在の状態で、公募債あと五百億や千億ふえたからといって、今年の起債市場の消化は少しもそれについて問題を生ずるほどのものではない、こう私は考えておるわけですが、証券局、いかがでしょうか。
  21. 大谷邦夫

    ○大谷説明員 お答えいたします。四十七年度の市中消化の債券考えますときに、一番問題になりますのは事業債でございますが、これは公社債引受協会の取りまとめたところによりますと、四十七年度の希望が一兆百九十億と聞いております。これは希望でございまして、どの程度出てくるかわかりません。四月、五月の状況を申し上げますと、毎月四百五十億前後でございます。したがって、これが横ばいか、やはりだんだん七、八月ふえてくるかと思いますが、その辺の見通しともからみますが、まあ現在の市況がずっと続くことを考えますれば、あと数百億程度——まあ一千億ということになりますと、ちょっと条件等ともからみがございますのではっきり申し上げられませんが、まあ数百億程度の余裕はあるのではないかと私は考えます。
  22. 堀昌雄

    堀委員 私はいまこの公募債の問題を特に強調しておりますのは、この前郵政大臣も、当委員会で私ちょっと承ったところでありますけれども電電公社のようなところが債券発行するのは、たてまえとしては公募債が本来はたてまえというふうにお答えになったように聞いたのでありますが、ちょっとその点がつまびらかでありませんから、もう一ぺん——まあいろいろな、加入者債券もあります、縁故債券もあります、いろいろなものを出しておりますけれども、しかし、本来は、私は、ある企業債券を出す場合には、公募で出すのが債券の本来のたてまえだ、こう考えておるわけでありますが、大臣、いかがでございましょう。
  23. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 私、そういうようにはっきりお答えしたようには記憶いたしておりませんけれども公募債に対する考え方は、まあ債券の多様性と申しますか、今度幸いそういう新しい政府の保証のない公募債、いわゆる事業債という道が開かれましたことを喜んでおるわけでございます。従来、縁故債に依存し、政府の保証のあります債券に依存しておったという立場から申しますと、新機軸を開き得たというわけでございますが、先刻来御答弁がありましたように、過渡的には、縁故債の従来の実績もあるわけでございますからまあそういうことも必要でありましょうし、さらに新しく事業債を発行するというようなことで、これは市場のいろいろな実勢でありますとか、あるいはまた経過的ないろいろな問題もございましょうから、そういうことを踏まえて、とにもかくにも新しい方途によって債券発行ができるということになりましたことを非常に喜んでおるわけでございまして、その割合等につきましては大蔵省とも御相談を申し上げて、それで最終的な決定をするというように私はいま考えておるわけでございます。とにかくそうした道が開かれたことを最大限に活用いたしまして、建設資金の確保に努力するということにつとめなくてはならない、こういうふうに考えております。一口に申しますと、多様性を確保できたということを喜んでおるわけでございます。
  24. 堀昌雄

    堀委員 私、大蔵委員会に所属しておりますから、こういう債券の問題というのはそれなりの専門的な取り扱いをしておるわけでありますけれども債券というかっこう資金調達するのは、本来これは市場に出て、関係者が、希望する者が買うというのが債券の本来の性格でございまして、縁故債というのは、表現は債券のようになっておりますけれども、実際はそうではなくて、これは借り入れ金なんですね。ですから形式債券という形を通じての借り入れ金をしておるのが私は縁故債だと思います。金利その他の関係からそういう債券金利を使っておるというだけであって、おそらく銀行その他に対する縁故債債券そのものも発行していないのではないかと思いますけれども電電公社いかがでしょうか。
  25. 好本巧

    好本説明員 電電公社発行しておりますところの縁故債のことでございますが、債券はもちろん発行しておりますけれども、御指摘のようにほとんどこれは登録債になっておりますから、発行している債券の部分というのは非常に小さいということでございます。
  26. 堀昌雄

    堀委員 ですから、やはり債券発行して資金調達するというのなら、一番筋の立っているのは私は公募債だと思うのです。  ここにいま議題にされております加入電話債券でありますけれども、この加入者債券というのは、要するにずっと過去の沿革を見てもよくかわるのでありますが、資金調達がその方法によらなければ困難であるという時期に、電話を急激に増加をするためにやむを得ざる手段としてとられてきたのが実はこの方法手段である。これは現在の法律の前にありました設備負担法でありますか、それのときからそういう形で処理をされてきた。私どもも日本経済の今日の経過を見ておりまして、本年度におけるように金融がゆるむようなことは過去においてありませんでしたから、これまでに比べて初めての経験でありますけれども、それでは今後の日本経済はどうかというと、非常に金融がまたがってのように締まるということにはなりにくいのではないかというのがいまの私の考え方であります。本日の新聞を見ましても、昨日私は日本銀行の短期経済観測を引きまして、昭和四十七年度における民間設備投資の動向というのを見まして、工事ベースで二・八%減、支払いベースで六・三%減、こういうふうにきのう申しておりましたのですけれども、きょう見ますと五・七%のやはり減だということで、民間設備投資は二年間引き続いて前年に比べて実は量が減る、こういうことでありますから、それだけ民間企業資金の必要性というものは下がっております。これから設備投資をしてもまだ来年はその支払いベースの資金が出ていくわけではありませんから、全体としては、まだことしから来年にかけては、なおかつ金融が非常にゆるむ情勢が続くのではないか。ですから、私が申し上げたいことは、本来いまの加入者債券というのも、加入者に一ぺん強制的に割り当てますけれども、加入者が最後まで持っておるのは少なくて、これはほとんど市中に売られて、結局雑金融機関その他に入っていく、こうなっているわけですから、ルートは違いますけれども、結局市中でそれが消化をされていることは間違いがないわけです。割引債は多少違うと思いますけれども、利付債についてはほぼそういう形を通じて、個人の所有から機関所有に移動しておる、こうなっておると思うのであります。そうすれば、結局受けるほうの、消化をする側としては、ルートは多少違えども、結果としてはそれが入ってくるということならば、そのルートを何も強制をしなくて任意の形で、買える人のほうにできるだけたくさん渡して、それが消化をされる範囲を限度として、それ以上消化をされないものはしかたがないから、これまでの加入者債券のように強制のルートを使う、こういう取り扱いをすることが、私は、そのことによって電話の資金の需要にこたえられる限り、何も加入者債券をこれまでと同じように強制的に加入者に買い取らせなくても、資金調達が可能である限りはそれでいいのではないか、こういうふうに思いますけれども、ものの考え方でございますが、郵政大臣、それについてはいかがでございましょうか。
  27. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 いまの加入者債券のことについてお答え申し上げる前に、先刻御指摘をいただきました縁故債公募債、事業債の関係でございますが、これは、さっき好本経理局長がお答えいたしましたのは、一千億円が縁故債であって二百八十億円が公募債、事業債だと現在きまっておるという趣旨で何もお答えしたのでございませんので、御指摘のように、公募債については将来だんだん利用を広げていくということを考えなくてはいかぬと思っておるわけでございます。昭和四十七年度も、電電公社といたしましては、これはできれば今後大蔵省金額とか条件等については折衝しなくてはならぬ、御協議しなくてはならぬわけでございますけれども、初年度といえども三、四百億は公募債、事業債に依存いたしたいというようなことを考えておるようでございますので、したがって、縁故債は一千億からもう少し減ってくるというようなことに実際はなろうかと思うのでございまして、一応予算面でそういうふうに考えておるということを先ほど好本経理局長が申し上げたわけでございます。はっきりした金額は今後の協議によってきまることになるということを申し添えておきたいと思うのでございます。  それから加入者債券でございますが、これはただいまお話のように昭和三十五年度からそういうような道を開いたわけでございます。と申しますことは、現在におきましても建設資金の三割、三〇%程度は加入者債券に依存いたしておるわけでございまして、非常に重要な要素を建設投資では構成いたしておるわけでございます。しかし、いまお話のような理屈はわからぬことでもございませんけれども、加入者債券というものが額面以上に売れたり、あるいは額面を割ってしか売れないというようなこともあるわけでございますから、いまのように国民の電話架設需要が非常に熾烈でございまして、大々的に建設を拡充していかなければいけないというような、したがって多額な資金を必要とするという場合でございますから、今後といえどもしばらくの間は、われわれ十カ年と考えておるわけでございますけれども、電話回線の端末を利用いたしまして、その便益を受ける受益者の立場に立っている加入者から一部御負担を願いたい、御協力いただきたい、いまの熾烈な電話架設の国民の需要にこたえるためには、御迷惑であると思いますけれども、ひとつ御協力を賜わりたいということで、今後も続けてお願い申し上げたいと考えているわけでございます。情報化、情報化というようなことを言われておりまして、だんだん電話の需要が、また国民生活の水準が上がってくるとともに、ほとんど全世帯に電話架設しなければならないというような、だんだんアメリカ流になってくる情勢でもございますから、したがって、その他の債券だけでは間に合わないというように考えますものですから、こういう無理を申しますような法律案を出しておりますわけで、ぜひ御理解を賜わりまして御協力いただきたいと思います。
  28. 堀昌雄

    堀委員 私、いまの具体的な事情ではなくて、原則的に考えて経済行為でございますから、経済行為というものはやはり合理性の上に立って行なわれるのが筋道であると思うのです。ある一つの恣意的な判断によって、要するにこうしたい、ああしたいということはありましょうけれども、やはり経済行為というものが国民と国の企業との関係である場合は、それは国民の納得できる合理的なルールがなければならないと思うのですね。そうしますと、電話債券が、この流通段階の情勢を見ますと、いま十五万円持たされた人は、これを売れば、逆に少しプラスがくるという時期がいま来ているわけですね。ふだんはたいていディスカウントして損をしておったわけですけれども、いまは多少プラスがくるのじゃないかと思います、いまの金利状態から見ると。そういうことから、私何もそんなに、プラスになるものを無理に強制するという必要があるかどうか。その分が要するにニュートラルになるところくらいまでは、公募債のほうに売っていいのじゃないか。何も加入者にもうけてもらうものまで無理に強制するというのはおかしいじゃないですか。強制する以上は、ニュートラルか多少損をするようなときだから強制するのであって、もうかるのに強制するというのは、私は経済の合理性からおかしいと思うのですが、いかがでしょうか。
  29. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 私もそういう趣旨で、経済行為という立場からお答えしたつもりでございますが、いまは非常に変則的と申しますか、額面をこえて売れるという状態でございますけれども、額面を割らなければ売れないというようなこともあるわけでございますから、そういうときのことを考えまして加入債というものを考えておるわけでございます。私は、いまは特別な現象ではないか、こういうように考えておるわけでございます。
  30. 堀昌雄

    堀委員 そこで、いまは特別な状態だとおっしゃった。私もそう思います。しかし、いまの特別な状態はごく短期間に終わるのか続くかはちょっとわからないと思うのですね。これは私もわかりませんが、どなたもそう先のことがすべてわかっていればいいですけれども、わからないのが常ですね。そうすると、特別な状態が続かないかもしれませんけれども、続くかもしれない、わからないわけですね。それならば、特別な状態の間はできるだけそれは公募債にして、売れるものは公募債で売って、そっちを少し減らしたらどうか。強制するよりは、減らしたらどうか。だから、要するに、私がいま申し上げているのは、資金調達してはならぬと言っているわけじゃないのです。資金調達方法ですから、その方法が合理性に組み合わされていいのじゃないか、だから公募で売れる範囲のものは公募で売る、そうして残ったもの、売れない残りを計画を立てて、それを加入者に持ってもらう、これで経済の合理性が達せられ、公社自体としては何ら特別の負担をするわけでもないわけでありますし、いまの縁故債のように高い金利をもってまで——ですから、いま縁故債を買わされる者はたいへんフェーバーを受けたかっこうになると思うのですね。応募者利回りで一体幾らになりますか。共済組合政府保証並みの非常に安い応募者利回りのものを売られておるけれども、その他の金融機関を含めて地方債並みというのは、現在発行されるものは応募者利回り幾らになりますか。
  31. 好本巧

    好本説明員 お答えします。ただいま発行しております地方債の応募者利回りは七・二〇七程度でございます。
  32. 堀昌雄

    堀委員 大蔵省の吉瀬次長が退席をしたいということでありますから、ちょっと先に次長にだけお伺いをして退席をしていただきます。  いま私がずっと論じておりますことは、公社予算でありますから、これは大蔵省としては主計局と理財局関係を持っておるものであろうと思うのであります。そこで電電公社予算を組む場合に、私はまず最近の経過をずっと見てみますと、一体収入が幾らになるかという一つの目安の問題が概算要求と実は予算確定の際にいつも動くわけですけれども、私、どうも見込みの話なものですから、事業量その他の関係から見て、これは必ずしも確定的なものではないんじゃないかというふうに感じておるわけですね。それに関連して、いまの債券発行というものを見ますと、いまの債券問題というものも、いまの情勢に応じた形で処理をされることが相当ではないのか。言うなれば債券そのものの問題、全体の問題もあるのですけれどもあとでちょっともう少しこまかい問題もやるので聞いておいていただきたいと思ったのですが、事情があるようでありますからやむを得ませんが、主計局として今後資金需要がまかなわれるなれば、その内部における債券の問題についてそんなにこだわる必要はないんじゃないか。これは理財局関係があると思うのでありますけれども、主計局としてはどう考えるのか。要するに、資金調達が可能であれば、可能な範囲あとは、国民の期待する方向で処理されるということでいいのではないか、こう思いますけれども、その点いかがでしょうか。
  33. 吉瀬維哉

    ○吉瀬政府委員 電電公社予算計画でございますが、おっしゃるとおりまず電電公社の電話料金収入、こういうものの見通しを立てまして、それと同時に相当旺盛なる建設投資をかかえておりますので、いかなる資金調達法をとるかということはまた資金調達サイドの分野に属しますので、特に理財局、またシステム等につきましては証券局などと相談いたしましてやっているわけでございます。  先生の御質問どおりにお答えいたしますれば、主計局としては、できるだけローコストで、しかも適切なる資金調達ができればそれでけっこうじゃなかろうか。ただ拡充関係の加入者債券の問題については、一言触れさしていただきますが、やはり先生の御指摘のとおり将来の金融がタイトであるかルースであるか、ときによりまして変動があるのではなかろうか。そういう意味で拡充法による加入者債券方法も一つのある画期的な意味を持った調達方式ではなかろうか、問題は多々あると思いますが、そう考えている次第であります。
  34. 堀昌雄

    堀委員 主計局としてはコストが低いほうがいいんだ、こういうことでありますが、結局コストが低いほうがいいということになると、いまの公募のあり方いかんによるわけでありますけれども、現在の十年で発行されておる加入者債券が売れる限りは、このほうが、縁故債を減らしたっていいんじゃないか。それは順序としては、だからもちろん公募でやっていただいておる。ですから、縁故債を減らすほうが主計局としては、コストが安くなるから望ましい、こういうことになりませんかどうでしょうか。
  35. 吉瀬維哉

    ○吉瀬政府委員 総体としてコストの安きを望むわけでありますが、反面資金調達の安定性という面がございまして、そういう面との相互比較の商量勘案じゃなかろうか、こう考えているわけであります。
  36. 堀昌雄

    堀委員 さっき証券局から、あと千億はちょっと無理かもしれないけれども、本年度の場合は千億以内ならいけるのだろうという話、さっきの話で本年度事業債が一兆一千九十億ですかの希望があるけれども、いまのベースが四百五十億ベースだということになれば、五百億ベースとして年間六千億ですから、五千億余り実はギャップがあくわけですね。私は千億か二千億今後出したって何ともないと思っているわけですけれども、そこらを勘案してみると、いまのここに提起されている問題は必ずしも合理性がはっきりしているということではない。縁故債の問題についてしかりでありますが、また加入者債券だって、ことし予想されておりますものが三千五百六十四億でありますが、この中から五百億や、場合によっては千億を削って、そうしてそれを公募債に回しても売れるのならば、そこの考量の問題というのは、私は経済の情勢に応じて処理がされてしかるべきではないのか、いろいろなこまかいことは、この法律を見ると、政令に委任されておるわけですから、そういう情勢に応じてもう少し経済合理的に考えることによって、これまでの過去における附帯決議等の趣旨を生かして処置したらどうか、こういうふうに考えるわけでありますけれども郵政大臣、その点いかがでございましょうか。
  37. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 加入者債券の問題でございますが、これは先ほど申しましたように、建設資金の三〇%という非常に大きなシェアを占めておりますし、それから昭和三十五年度から十数年にわたりまして習熟した方法でもあるわけでございますから、この国民になれた加入者債券発行するということは、引き受けていただくということは、事業の推進から申しましてもどうしても必要であるというように私は考えておるわけでございます。
  38. 堀昌雄

    堀委員 まあちょっと水かけ論になりますから話を前に進めまして伺いますが、これからの加入電話の加入者債券電話に関しては平均一加入当たり大体どのくらいになりますか。加入者債券の電話部分に対する一加入当たりの平均額。
  39. 清水通隆

    ○清水説明員 お答え申し上げます。いま私どもの一応立てておりましたものの計算によりますと、約十万円ということでございます。
  40. 堀昌雄

    堀委員 ちょっと私過去の例で計算をいたしてみました。昭和四十七年は電話の加入者債券が三千百七十一億となっておりまして、二百八十一万五千個で割りますと、一個当たりで十一万二千六百四十六円になります。それから昨年が二百六十二万個に対して二千九百九十三億でありますから、これを割り算すると、十一万四千二百円くらいになる。ですから、いま十万円とおっしゃったけれども、実際の過去の例は、四十五年はもう少し高くなって、二百十六万八千個つけるのに二千六百三十一億円の加入電話加入者債券ということで一加入当たり十二万一千二百四十四円、こうなっております。  そこで、将来計画のほうをちょっと伺っておきたいのですけれども皆さんのほうで七カ年計画というのを出しておられますね。七カ年計画では加入者等引受債券は三兆百二十億円、こうなっているわけです。  ところがこれは、四十六年、四十七年はすでに計画ではなくて実際の姿になりましたから、いま七カ年計画で残っておるのは四十八年から五十二年まで、こうなると思います。こうなるときに、これからあとの五年間というのは一体どういう形でこの加入者債券というものが取り扱われるかというのを少しこまかく分析をしてみました。七カ年計画全体として、皆さんのほうでは電話を千九百七十万個つけるのだ、こういうふうになっております。私はいまの三つの例から平均をして一応加入者債券の一加入当たりを十一万五千円と推計をいたしました。十一万五千円と推計をして、そうして千九百七十万個にかけますと、この費用は二兆二千六百五十五億ということになります。ですから三兆百二十億円の中に占める二兆二千六百五十五億円といいますと、七五%が七カ年計画の中における実は電話加入者の負担です。残りの二五%というのはその他のものの債券を購入したものですね。データ通信なり、加入電信なりその他いろいろなものがあるでしょう。そうなるのです。ところがこの二年間がすでに過ぎてきましたから、この二年間を差し引きをして計算をしますと、加入者債券の中に占める電話加入債券の割合というのはこの二年間は八九・一六%、約九〇%を電話の加入者が持っておるわけです。よろしいですか。そうすると、七カ年計画で私がさっき七五%と申し上げたのは、今後の五年間は電話の加入者は七〇%持てばいい、あとの三〇%はその他の関係の特定通信回線であるか、データ通信であるか、加入電信であるかは別としても、そのものが実は支払うようになる、こうなるのです。  そこでちょっと伺いたいのは、その他の債券の持ち方ですね。電話の場合には、さっき大体十万円とおっしゃったけれども、私の計算では十一万円五千円くらいになるのですが、その他の債券というものが、これだけ売れるということになると、加入者債券として引き当てるということになると、今後の五年間の事業計画の中身というものは四十六年、四十七年とは著しく異なる事業計画の中身にならなければ、このような債券の引き受けの状態は出てこない、こう思うものですから、今後の五年間における事業の場合に、電話に対する投資額とその他に対する投資額の関係は一体どうなるのか、四十八年から五十二年について少し詳しい説明を聞きたい。
  41. 清水通隆

    ○清水説明員 お答え申し上げます。四十八年以降の五年間につきましての部門別投資という面でながめてみますと、いま先生おっしゃいましたように、一応四十六年と四十七年の予算というものを引いたかっこうで申し上げますと、電話が五兆四千二百億円、こういう数字が出ております。ちなみにデータ通信では大体六千三百億円というような数字を考えておるわけであります。
  42. 堀昌雄

    堀委員 いまのお話ですけれども債券の引き受けの状況を見ますと、データ通信というものは実はまだ非常に小さいのですね。時間がありませんからもう私のほうから申しますけれども、データ通信は四十六年に七十七億、四十七年に七十八億、債券の引き受けというものは全体の中において非常に小さなものであります。ただちょっと私わからない点がある。それじゃデータ通信が出ましたからついでに伺いますけれども、データ通信の設備料というものは四十六年は八千六百万円、四十七年は三億六千万円、こういうことに資料をいただいておるのですが、債券のほうは七十七億、七十八億でほとんど横ばいであるのに、設備料が四倍くらいになりますね。これは一体どういうわけですか。設備料は四倍にふえて債券のほうはほぼ横ばいの額という負担の状態は何からくるのでしょうか。
  43. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 お答えいたします。設備料は大体専用線の設備料に準拠をいたしております。特定回線部分の専用設備料のもとを申し上げますと、電話の設備料が五万円に上がったものでございますから、従来専用線の設備料を片端末一万円でございましたものを二万円にいたしております。その値上がり部分と、それから需要の増加による部分とでございます。
  44. 堀昌雄

    堀委員 じゃ債券のほうはこれはどういうことですか。大体データ通信につけるときには専用線と端末とは一緒じゃないのですか。多少電話線を使うのもあるかもしれませんけれども、設備料と債券の額があまりに乖離し過ぎているのですけれども、その点はどうでしょうか。
  45. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 債券につきましては、特定回線は専用線と同じように、回線部分について債券はいただいておりません。したがいまして、そのままの状態が継続しておるわけです。今度の法律改正によりまして公衆回線が使用されました場合には、公社の提供いたしますデータ通信設備使用契約の中で公衆回線使用に該当する部分につきましては、電話と同じような、東京で申しますと十五万円の債券をいただくことになりましょうけれども、現在はいただいておりません。
  46. 堀昌雄

    堀委員 ちょっといまのお話だけでよくわからないのですが、いまの五兆四千二百億と六千三百億ということですが、要するに七カ年計画の残りの五カ年分の建設投資額というのは、一体幾らになるのですか。
  47. 清水通隆

    ○清水説明員 約六兆六千億になると思います。
  48. 堀昌雄

    堀委員 六兆六千億のうちで、電話が五兆四千二百億円ですから、八二%、電話の投資額八二%ですよ。それに対して残りは、まあ何かがあるのでしょうけれども、いま私が言ったように、債券の引き受け量が七〇%に下がる。これはどうしてこんなに下がるのですかね。これまでのところはもっと——じゃ、いまの四十六年、七年の工事の総量、建設量と、その中に占める電話投資との金額をちょっと言ってみてください。計算はここでしますから……。
  49. 清水通隆

    ○清水説明員 お答え申し上げます。四十六年度が総投資額八千七百六十億でございますが、このうち電話が八千百十億、それからデータ通信が五百五十億でございます。残り百億という数字がございますが、これはプッシュホン等の新しいサービスの分の投資ということでございます。それから四十七年度が、トータルで一兆五十億という数字のときの内訳でございますが、これによりますと、電話九千二百億円、それからデータ通信六百五十億円、新しいサービス等に二百億円、このようなことになっております。
  50. 堀昌雄

    堀委員 いまのおっしゃったのは、投資額が一兆八千八百十億で、その中に占める電話投資額一兆七千三百十億でありますから、そうすると、九二%が実はこの二年間の総投資量の中の電話の投資ですね。それに見合って、債券が私の申し上げたように八九%、約九〇%の負担になっているというのは、これはわかりますよ。しかし、あとの五年になったら、債券の投資額がすっかり変わって、要するにこれからの五年間は電話七〇%で、その他の債券三〇%ということになるのですから、そうなるのなら投資の内容が変わってこなければ——投資の内容というのは、要するに何かができた、できたものが債券に結びつくのじゃないですかね、どう考えても。これは計算ができないのですが、たいへんその点ではそうすると七カ年計画というものはずさんな計画である、この加入者債券の部分については信用ができない、こういうことになるのですが、どうでしょうか。
  51. 清水通隆

    ○清水説明員 お答え申し上げます。実は、こまかい資料を手元に持っておりませんものですから、概略のことしか申し上げられませんが、とりあえずお答えいたしますと、ただいま先生の御指摘のように、四十六年度、四十七年度、引き続き残りの五次に相当する五年間、こういったところにおきます電話に対する投資額というものは、全体の投資の中でのウエートがだんだん減ってまいるようなことは御指摘のとおりだと思います。一方、加入者引き受け債券の問題になりますと、これは別な形で、要するに電話をどういったエリアに、どういった数を大体充足していくかということの積み上げでございます。したがいまして、先ほど加入者債券の平均で大体十万円というふうに申し上げましたが、もう少しこまかい作業をいたしますと、十万円よりは幾らか上回るような数字で計算をいたしておるわけでございますが、そのような形で積み上げてまいります場合に、実はなかなか計算のしにくい面が一つございます。これはいわゆる級局別にどう充足数を割り当てるかということの変化を将来にわたりまして見通さなければならないという問題が一つございます。それからもう一つは、過去におきますいろいろな実績等から、共同電話というもので当初販売を予定したものが、現実の姿といたしましては、単独の電話というものの要望がかなり多くなってまいっております。そういたしますと、御案内のように、単独と共同との違いというふうなものによりまして、この債券の収入見通しがかなり変わってくるわけでございます。それで、私ども七カ年の作業をいたしましたときにも、かなり単独のほうのウエートを多く見て債券の見積もりもいたしておるような次第でございます。そういうふうなことでございますので、電話のほうの債券の算出根拠にいたしましても、そういった積み上げによってでき上がったものである。一方、データ通信等につきましては、これも御案内のとおりに、今度の法改正によって幾らか変わってまいるかと思いますけれども、基本的には、端末の設備に相当する部分についてこれを債券としてちょうだいするというふうな考え方でおるわけでございます。そのようなものを積み上げてまいりますと、先般から申し上げておりますような数字になっておるような次第でございます。
  52. 堀昌雄

    堀委員 全然私の質問に答えていただいておらないわけです。私がいま申し上げておりますのは、皆さんのほうで債券を買わせるというのは何かといえば、要するに新しいサービスに対して、必要な限度においてひとつ債券を買ってくださいということなんでしょう。ですから、電話の場合には一応十五万円から二万円、あるいは共同なら五万円という場合もありましょうけれども、いまある一つの数字が出ておる。そこで、これがごくわずかな問題ならば、多少の動きが非常に大きいかもしれませんが、一千万とか二百万とか三百万とかという大数計算でこれを処理しておれば、私が申し上げたように、十一万五千円というのは、皆さんより少し高いであろうと思うところで計算をしてみても、なおかつ電話以外がたいへんふえてくるのはどういうわけなんだと聞いておるわけです。ですから、私はここでこまかい計算をしてみたわけですけれども、さっき申し上げたように、四十八年から五十二年の五年間の加入者債券の総額が二兆三千二百七億になる。それから、いまの皆さん予定をされておる数字で電話加入者債券に掛け算をして、そして残った、五年間に六千八百三億円というその他の加入者債券のものが計算上出てくるわけです。そのその他の加入者債券というのは、いまの二兆三千二百七億円に対して見ると約三〇%にもなる。要するにこの七カ年の前半のほうは、私が申し上げたように、全体の債券額に占める電話の割合が八九・一六ですからね。九〇%なんですよ、この二カ年間は。電話の債券が九〇%、一〇%しかその他の債券は買っていない。あとの五年間にいったら、とたんに電話が七〇でその他のものが三〇になるということは、それだけその他のものにたくさん比重をかけた工事をしているんでなかったらおかしいのではないか、こう言っているわけなんですよ。これは単にいまの七カ年計画だけではありません。それを、昭和五十三年から五十七年度に対する加入者引き受け債券二兆五千億円と皆さん計算を出しておられる。この電話の加入数は一千三百万だと皆さん計算しておられる。まあ、かりにいまの十一万五千円が、それだけでいいと仮定をして計算してみると、二兆五千億の中に占める加入者債券の割合というのは五九・八%、電話が六〇になって、電話以外が四〇になるのですよ、この加入者債券内訳が。この四十六年、四十七年に九〇%と一〇%であるものが、次の五年間に七〇と三〇になり、次の五年間には六〇と四〇になるんだということは、皆さんのこれからの事業計画の中におけるそういうものが電話以外のものへどんどんといくんだということを、この加入者債券の姿は明示しているんじゃないですか。加入者債券とそういう設備なりの関係というものは因果関係がないというならば、そんな因果関係のないような債券のとり方は間違いだから、少なくともそれには関連がなければならない。関連があるとすれば、事業計画のほうがおかしいのではないか。この中で皆さんのいっておられることと、この債券の中に出ておる姿は違うではないか、この点の解明をひとつ明確にしてもらわなければ、皆さんがいま出しておられるこの七カ年計画及び五十三年度から五十七年度に対する加入者債券関係とあわせて、いまの事業量との関係というのは解明できないと思うのですけれども、これはどういうことでしょうか。
  53. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 堀先生のおっしゃることはわかりました。数字といたしましては、いまここで手持ちがございません。でございますが、先ほど計画局長が申しましたように、こまかい数字をまたつくる必要がありますれば、後刻お届けいたしますが、ただ、こういうことを御説明すればおわかりいただけるんじゃないかと思うのです。  加入者債と申しますのは、いまの拡充法に基づきます加入者債。この中身は、いわゆる黒電話の加入者債というものと、それからデータ通信の端末、そういったようなもの、あるいはこれから始まります、今度の改正法の中に盛られております公衆回線使用契約でございますね。データ通信の中で公衆回線を使うものにつきまして、電話と同じ、東京でございますれば、一本について十五万円の加入者債を買っていただく、こういうものがございます。これらのものは、いま私が申しました最後のものは、まだ現在までは制度もございませんし、今度の改正法によって新しくできるものでございます。したがいまして、そういったようなものが全体のデータ通信の投資額の、総体は同じでございましても、加入者債の比率としては、この拡充法が通りましたあとはふえてまいります。  それからもう一つは、拡充法によりませんで、公衆法の百八条の二で試行サービスとしてやっておるものがございます。それから、拡充法の中で新しく広域時分制施行時以降でございますけれども、付属機器という形で加入者債をとるものがございます。たとえば、黒電話でいただいておるもののほかに、最近の例で申し上げますと、先ほどちょっとお話しいたしましたプッシュホンでございますとか、ホームテレホンでございますとか、あるいは、まあ将来、画像通信というようなものが出てまいります。そういたしますと、それらのものは、従来は投資額として同じでございましたけれども、そういう端末につきまして、端末部分については債券を負担していただくことになります。そういたしますと、全体の投資額として同じでございましても、その中に占める加入者債の比率は漸次上がってまいります。この具体的な数字は、投資額と合わせてこまかいものをつくる必要があればつくらしていただきますが、考え方としてはそういうことで、黒電話の中における加入者債の比率と、それ以外のものの中に占める加入者債の比率に変化があるわけでございます。
  54. 堀昌雄

    堀委員 実は、公社からいただいている資料で、加入者債券としては一体どういう項目があるのかというので資料をいただきました。そうすると、加入電話、加入電信、データ通信、その他と、こうなっているわけであります。  そこで、四十六年度について申しますと、加入電話が二千九百九十三億、加入電信が六十五億、データ通信七十七億、その他二百十四億、こうあるわけですね。実はずいぶんとその他というのが大きいのですよ、専用線に関する債券、その他いろいろなものがあるのでしょうけれども。これで私がいま九〇%と、こう言っているわけです。しかし、幾らプッシュホンをつけるといっても、日本国じゅう全部がプッシュホンになるわけじゃないですね。これは限界があるわけです。いろいろな新しい電話が開始をされているわけでしょうけれども、これは限界がある。どう考えても、いまのこの姿で、九〇対一〇なんですよ。それが五年間に突然として七〇対三〇になるというにしては、いまのこまごましたものの債券をおっしゃったのでは、これは説得力ないですね。おまけにその先は、もっと実はさっき申し上げたように六〇対四〇になるのですね。電話の加入者債券が六〇のウエートになる、あとの五年間は。これは何か、ひとつ私が納得できるような事業計画と、それに見合った債券の負担の状態を具体的に出していただかなければ、皆さんの事業計画がここにばらっといま出されている程度のことでは納得できません。ですからこれは、もう私時間がありませんから、ひとつ資料として提出をいただいて、再度当委員会でこの問題の、加入者債券の重要な問題でありますから、審議をさしていただきたいと思うのであります。
  55. 清水通隆

    ○清水説明員 私、前に答弁申し上げました中にちょっと混乱があったと思いまして……。  私、電話というふうに申し上げましたのは、明らかに新しく電話をおつけする部分についての投資額ということでございまして、ただいま営業局長が申し上げましたように、新しいサービスについては一応別ワクで処理をいたしておりました数字を申し上げておりませんので、先生に誤解を招いたと思いますので、いまから少し数字を申し上げたいと思います。  ちょっと、四十六、四十七年度の差し引きした数字がございませんので、これは後ほど御説明申し上げることにいたしまして、七カ年計画の三兆百二十億円の内訳を申し上げたいと思いますが、これが、加入者債券の三兆百二十億円のうち、電話が二兆五千八百四十億でございます。それからデータが千三百八十億、その他の、ただいま営業局長から申し上げましたようなサービス等に対して二千九百億という数字でございます。したがいまして、先生御指摘のように、四十六年度、四十七年度はなるほどこの新電話サービス等につきますサービスは少ないわけでございますが、あとの五カ年間ではこの部分がかなり大きなウエートを占めてまいるわけでございます。そういうようになってまいりますので、先生の御指摘のように、電話の拡充だけのための債券のパーセンテージは幾らか落ちてまいるわけでございます。  なお、データ通信につきまして、いま千三百八十億という加入者債券考えておりますが、これ以外に財投等のかなりの大きな数字、約四千億ほどを期待いたしたいと思っておるわけでございまして、それによってデータ通信を進めていきたい。これは先ほど私ちょっと触れましたように、債券の部分は端末のものに限っていきたいと思っております。したがいまして、データ通信は、実施いたします場合に、端末よりもかなり大きないわゆるセンター設備が必要になってまいりますが、このセンター設備等につきましては、ただいま申し上げました財投等によりまして、この財投を財源といたしまして拡張を進めていく、そのようなことを一応公社の基本方針として考えておるわけでございまして、加入者債券は端末のお金に大体相当する部分だけをいただいて、それ以外にセンター設備としてかなり大きなものを投資いたすわけでございますが、これは決して電話等から回すわけではございませんで、いろいろな形での債券等をこれに充当するというのが考え方でございます。
  56. 堀昌雄

    堀委員 いまのお話ですけれども、私は、皆さんのほうで十万円ぐらいだとおっしゃったのを十一万五千円と一個当たりの加入者債券の単位をあげて計算をしてあるのですが、千九百七十万個と掛け合わせますと二兆二千六百五十五億円なんですよ。ですから、皆さんのほうは二兆五千八百四十億円考えていると言われているけれども、いまの十一万五千円の二兆二千六百五十五億円というのは三千百八十五億円違うわけですね。おそらくそれならば、実際にはこれは十二万円をこえるようなことになるんじゃないですか。いま最初に十万円程度だとおっしゃったけれども、中身の計算としては非常に私もおかしいと思うし、あとの話はいいのですよ、財投は両方にかかっているのだと思うのです。財投だけではなくて減価償却だって両方にあるわけですからね。だからそのことのほうに入っていけばそれもいろいろ複雑になるから、私は電話加入者債券をきめるときには、電話設備をするために必要な分の一部を持ってもらうのだ、こういうことでしょう、電話のほうは。そうすると交換機も何もかも込みにして十五万円持たせるけれども、データ通信のほうは、本体のほうは全然これはさわらないで端末だけ持たせるというなら、裏返していうと、電話のほうはデータ通信のほうにフェーバーを与えておるということになるんじゃないか。にもかかわらずあなたのほうの話を聞いていると、その他のほうが少なく出るような話をしておられるんだけれども、現実にはいまの計算から見るとその他のほうが多くなるというんだから、これはもう少しこまかいものを出してもらわなければ筋道が合いません。  時間がまいりましたから、もう一つだけ問題を指摘しておきたいと思います。この計画はいずれも電話の設備料は向こう十年間は上げないという計画ですね。
  57. 米澤滋

    米澤説明員 お答えいたします。現在設備料は先般三万円のものを五万円いただいておりますけれども、この五万円は変えないということにいたしております。
  58. 堀昌雄

    堀委員 そこで計算をいたしてみますと、電話設備料というものを、七カ年計画のほうではそれを除いたものが、電話の設備料以外の設備料が、ちょうど五百億円になりますね、この七カ年間で。それから今度は五十三年から五十七年に設備料七千億円とありますけれども、これは千三百万個つけるのだということで、五万円、掛け算をすれば六千五百億でございますから、これも五百億になりますね。このその他の設備料の五百億、五十三年から五十七年に五百億、それからこの七カ年計画も五百億、同じ金額を並べたと同じになっているわけですが、一体このその他の設備料というものはどういうものでしょうか。
  59. 清水通隆

    ○清水説明員 お答え申し上げます。設備料は実は非常にこまかいものがたくさんあるわけでございますが、七カ年計画の一兆三百五十億という設備料の内訳でございますが、一般の電話という関連で見ますと、これが電話部門で一兆二百三十億でございまして、一般加入電話で九千五百五十億、それからいわゆる事業所集団電話あるいは地域集団電話、さらにはPBX、ボタン電話、こういったふうなものを足しますと、ただいまの一兆二百三十億になるようなことでございます。  それからデータ通信部門では設備料として十億を一応想定いたしておりますが、これも法律の通ることを前提にしたものではございませんでしたので、幾らか数字が変わってくるかと思います。  そのほかといたしまして百十億の設備料を考えておりますが、この中の大きなものといたしまして、いわゆる新電話サービスとしての短縮であるとか、あるいは今年度から販売を始めようといたしておりますホームテレフォン、そういったものが大部分でございます。そのようなことでございます。
  60. 堀昌雄

    堀委員 そうすると、先のほうの五カ年間七千億の設備料、これはどういうことでありますか。
  61. 清水通隆

    ○清水説明員 非常にこまかい数字で、一応端数を整理しておりますので、足すと幾らか合わないかと思うのでありますが、一応電話で七千億をほとんど使う予定でございまして、データで計算をいたしてみますと大体二百億ぐらい、それからそのほかも二百億から三百億ぐらいというような数字でトータルをいたしますと、七千億を幾らか上回るのでございますけれども、全体の計数整理の中でトータルした七千億というふうにいたしたような次第でございます。
  62. 堀昌雄

    堀委員 まあ設備料のほうはこの加入者債券には直接関係はないわけでありますが、私の試算してみたところではずいぶんむだが多いような感じがいたしましたけれども、電話の場合にはさらに五万円だけで計算するわけにはいきませんから、五万円の分を除いた部分というのがあといろいろなものがあるのだろうと思いますが、それはそれなりでけっこうであります。  それではさっき一応お願いをいたしましたこれらの事業計画と、それに関連する加入者引き受け債券との因果関係が、工事量その他と具体的にどう結びつくのか。それがわかるような資料をひとつ御提出をいただきたいと思います。  最後に、私もう一回ここで申し上げておきたいわけでありますけれども、電話をつけることは国民が希望することでありますから、これは必要だと思います。ただこの財務計画全体を見ておりまして、実は借り入れ金の比重がどんどん高くなってくる。この計画の終わりのほうで見ると、二兆八千億の債務を償還するために、四兆七千億の借り入れ金をする。四兆七千億の借り入れ金をした中の二兆八千億というのは、半分以上は実は債務の償還にいくわけですね。私はこれを見まして、この先の五年間というのはそれじゃどういう姿になるのかということですね。要するに財務の状態から見て、ここまでで一応充足されるようです。電話というのは、人口がそうふえない限り、逆にある段階を越えれば場合によっては人口が減ってくるというようなことから、企業のほうはふえるでありましょうけれども一般電話は減るかもしれない。要するに皆さんの資料で見れば、大体ここでピークへ来るようでありますから、五十七年度以降の電電公社というのは一体どういう姿になるのかという点は、今後の問題として非常に検討を要する問題ではないかと私は思っておるのです。  きょうはもう少し準備をしてきたわけでありますけれども、時間がちょっと制約をされましたので、ここまでで取りやめますけれども、一応いま申し上げた資料の御提出をいただいて、もし時間が許せば、いまの電電公社資金調達からくるところの財務面における問題点の指摘をその際にさしていただきたいと思います。本日はこれにて終わらしていただきます。
  63. 高橋清一郎

    ○高橋委員長 阿部未喜男君。
  64. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 ちょっと大臣にお伺いしたいのですが、拡充法の質問をいたします前に、先ほど衆議院の公害対策並びに環境保全の特別委員会におきましてポリ塩化ビフェニール、いわゆるPCB汚染に関する対策の決議を行なったわけでございます。仄聞するところでは、郵政省の所有する油の中にはPCBを使用した製品が非常に多いように聞いておりますし、電電公社のほうも電気の絶縁体等でかなりPCBの製品が多いようですが、この決議は明らかに関係責任者において回収をするという方向を示しておるわけでございますが、郵政省並びに電電公社が、いま社会問題になっておるPCB汚染の問題の対策についてどう考えておるか。先にちょっとお伺いしたいのです。
  65. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 PCBのことにつきましては、御指摘のように郵政省も非常に関係があったわけでございまして、十三種類ばかりの書類をPCBに関係のあるものを使っておったようでございますけれども、これは直ちに使用を停止いたしまして、これをどう処分するかという問題でございますが、つい二十日ばかり前では、検討中ということを担当の資材部長から私聞いておりますが、その結論が出ましたかどうか、その辺はまだ聞いておりませんけれども皆さんに御迷惑をかけないように責任をもって処理をいたしたい、こういうふうに考えております。
  66. 米澤滋

    米澤説明員 お答えいたします。電電公社といたしまして今後PCBは一切使用しないという方針でございます。ただ、過去にあったものにつきましてはなるべく早く回収したい。どんなものにあるかといいますと、トランスフォーマーのオイルとか、あるいはコンデンサーの一部にありますが、量としてはそう多いものではございません。
  67. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 いま大臣もお話しになりましたが、処分にあたっていわゆる二次公害が起こらないような措置をとってもらいたいのと、もう一つはすでに買い入れておるわけで、その責任がいつも議論になるのですが、原因者に負担をさすべきものかどうかということになりますと、たとえば郵政省がすでに買い入れておる品物の処置にあたって、納入先といいますか、業者のほうに負担をさすのか、郵政省の欠損として負担をすべきものか、どうなんですか。
  68. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 もう調達して支払いをしておれば郵政省のほうで責任をもって負担をいたしまして処理しなければならない、こういうふうに考えております。
  69. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 PCBの処理の問題につきましてはまた日を改めて伺わせてもらいたいと思います。  そこで、いま議題になっております拡充法の関係ですけれども、この拡充法が、昭和三十五年第三十四国会で、それまでの電話設備負担臨時措置法から今回の設備のための暫定措置法に変えられた。そのときの附則の第二項に「廃止するものとする。」という項があるので、先般島本委員質問に答えて大臣は、なおむずかしい問題もあるようだということをおっしゃっておりましたが、法律の用語としての解釈によれば「廃止するものとする。」ということばが使われておる場合には、そのまま有効であって、必ずしも廃止しなければならないものではないというような解釈もあるように承っております。しかし、大臣の御答弁では、なかなかそのまま生かしておくというのはむずかしいのではないかというお話がありましたが、この辺の見解をもう少しはっきり聞かせてもらえませんか。
  70. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 いまの法律上の問題でございますが、何年までに廃止するという意味は、その終期を待たなくても必要がなくなればやめるという意味であろうかと解釈いたしております。私が島本委員お答えいたしましたのは、三本の法律は非常に関連性を持っておる、しかも終期は同じでございますから、十カ年延ばしましても同じ終期の法律ということになるわけでございますから、そういうところで共通性を持っておるので三つの法律を一本にしたのでございます。そういう法律案を出しておりますということを申し上げたわけでございますが、ただ、いまの期限等につきましての表現の方法が、三本おのおの違っておるようでございますので、そういうものを一本にしていいかどうかということについては前例等も考えなくちゃなりませんから、こういう点は法制局とも十分協議いたしましてお答え申し上げますということを考えましての答弁をいたしたわけでございますが、それについては法制局とその後打ち合わせました結論が出ておりますので、事務当局から答弁いたさせることにいたします。
  71. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 せんだっての御質問の際に、この三本の法律を一本に改正案で提案するについては特殊、異例なものではないかという御質問があったわけでございますが、その後過去五年間の実例等も調査いたしましたところ五つの事例がございます。その一つの例を申し上げますと、昭和四十六年法律第十号……
  72. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そんなこと聞いてない、全然違う。質問をもう少しよく聞いておってください。私の申し上げ方も悪かったかもしれませんが、私の伺っておるのは、「廃止するものとする。」という規定のある場合には、廃止法をつくらなければそのまま有効ではないかという解釈がある。それについておたくのほうでは、そういう解釈もあるということをこの前言っておったのです。そうしますと、今回これが改正されるされないは別にして、新しい改正の中にも「廃止するものとする。」となっておる。そうすると五十八年三月三十一日に至って、もう一ぺん同じことを論争しなければならなくなると思うのです。「廃止するものとする。」という場合には廃止法を別に出さなければならないのか、あるいはそのままにしておった場合には、なおそれが有効に続いていくのか、その解釈を聞いておるのです。
  73. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 失礼申し上げました。ただいまのような法律用語で法案が成立している場合には、そのような必要がなくなった場合におきましては、別に廃止法案を出すということを予定しているわけでございます。もし何かの都合でどうしてもその法案が提出できなかった、現実にはそれだけの必要がなくなっても、そういう事態になったという場合には、法律の解釈といたしましては、現在の法律は有効に存続するという例外的な事態が生ずるということに解釈しております。
  74. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 いま提起されておる暫定措置法の法律をここで改正ができなかったとしても、従来の法律はそのまま生きておる、そういうことになるわけですね。
  75. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 たとえば昭和四十八年三月まで廃止しなければ生きておるということになるわけでございます。私どもの今度の考えはそれをさらに延長したいという考えでございます。
  76. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 法律の解釈でありますが、いわゆる「昭和四十八年三月三十一日までに廃止するものとする。」となっておる。しかし「廃止するものとする。」となっておる場合には、別に廃止法をつくらなければ廃止にならないから、もしいま議案になっておる問題が可決されなくても、昭和三十五年にできた電信電話設備のための暫定措置法はそのまま有効であるかどうかと聞いておるのです。
  77. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 廃止法案が通過、成立するまでは、現在の法案がそのまま有効でございます。ところで、このたびは「昭和四十八年三月三十一日までに廃止する」というその期限月日をさらに十年延長しまして、「昭和五十八年三月三十一日までに廃止するものとする」という改正法案を提出申し上げている次第でございます。
  78. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 十年間延長したいといういまの法案が可決されなかった場合でも、なおかつ、具体的に言うならば、電電公社は加入者債券を取ることができるのかどうかと聞いているのです。
  79. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 ただいま御提案申し上げております法案が成立しなかった場合には、さらに 正法案を提案しましてそれが成立しない場合には、現在の拡充法が暫定的に有効であるという事態が続くわけでございます。
  80. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そうしますと、今度新たに出しておる十年間の延長の際にも同じことばが使われています。「廃止するものとする」ということばが使われていますから、昭和五十八年三月三十一日に至って廃止法が出ない場合には、そのままずっとこれまた続いていく可能性があるというふうに法律上は解釈できるわけですね。
  81. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 形式的にはお説のようなことになるわけでございますが、その事態を見まして、その必要がなくなれば、当然その期日到来前に廃止法案を提出申し上げるというのがこの法案の期待するところであると解釈しております。
  82. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 大臣、そこでお伺いしたいのですが、そういう事情であるならば、少なくともこの改正される十年の延長の拡充法については、「昭和五十八年三月三十一日までに廃止する」と規定すべきであって、「廃止するものとする」という、あとが尾を引くようなきめ方はいかがなものでしょうか。
  83. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 いま柏木君から御答弁したようなことのようでございますが、私は、五十八年三月までに廃止するという意味は、むしろ法律の性質の重点は、その前に必要がなくなればやめてしまうというようなことに強い意味があると考えておったのですけれども、法的に申しますと、ただいま柏木君が答弁したようなことだということになれば、廃止の法律成立しなければ延長するというようなことになろうかと思います。
  84. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 なろうかと思いますではなくて、大臣、それでは私は立法の趣旨にもとると思うのです。本来この拡充法ができたときの立法の趣旨なりその経過を振り返ってみますと、いま大臣のおっしゃったように、少なくともこの法律昭和四十八年三月三十一日までの間に廃止することが望ましいということが議論をされ、それが昭和四十八年三月三十一日以降に延びるということは、何人も想定していなかったのです。たまたま法解釈上そうなるということを奇貨としてそういう議論が成り立つとするならば、この際は明らかに次の法律については「昭和五十八年三月三十一日までに廃止する」と明確にすべきだと思うのですが、どうでしょうか。
  85. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 ただいまの拡充法は、昭和四十八年三月三十一日までに、おおむね需要に追いつく公社の電話の拡充計画ができ上がるという予定をした、その想定に基づきました法案として審議をされたわけでございまして、当時の立法の審議の過程におきましても、このような見通しをもってすれば普及率は人口当たり百分の十までは持っていける。実際その後の経過を見ますと、昭和四十八年三月三十一日でその倍の百分の二十になっても、この需要を均衡に持っていくことができないということが明らかとなりましたので、この拡充法の当初の趣旨に従って、拡充法の廃止法案をこの際御提出するということをせずに、さらに十年の期間をいただきまして、その間の経過におきまして拡充法の必要がなくなれば、その期限以前においても廃止法案が出せるというたてまえで、その考え方につきましては、現行法と同じような考え方に基づきました法案の条文の提案をしているということでございます。
  86. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 当時の議事録を調べてみますと、わが党の質問に対して大橋総裁は、私どもとしては十三年というのは最長期間であって、その範囲内においても、できるだけ早くこれが要らなくなることが好ましいと考えております、こういうふうにちゃんと答弁をされておるのです。したがって、この法律の適用が当時の考えとして短縮されることはあっても延長する意思のないことは議論の過程で明らかです。ところが、法律の用語上たまたま「廃止するものとする」ということばがあったがゆえに、今日かりに新しい延長の法律が通らなくても、そのまま有効だという解釈が成り立っているのです。これは立法の趣旨、経緯から見ればきわめて不都合な話だと思うのです。したがって、途中で廃止することが望ましいという柏木さんのお話はわかります。それならば、「昭和五十八年三月三十一日までに廃止する」としたらいいじゃないですか。「までに」が入っておればいつでも廃止できるのです。そういう法律用語はないのですか。必ず法律用語というものは前に廃止ができるが、廃止せぬときはあとまで効力を残す、そういう規定でなければならないものですか。   〔委員長退席、内海(英)委員長代理着席〕
  87. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 ただいまお示しのような文言にいたしましても、結果としては同じようなことになろうかと存じます。ただ申し上げたいことは、これを廃止しなければいつまでも無条件で居すわりができるという趣旨のものでは決してございませんで、そのような事態におきまして廃止法案を出すべきものを出さなかった、あるいは提案いたしましても成立に至らなかった、そのような特殊例外な事情におきましては形式的に法律はまだ有効であるという趣旨にとどまるものでございます。
  88. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 私、誤解しておったようですが、それでは「廃止するものとする」ということばを使おうと、「廃止する」ということになろうと、そのことによって、そこで廃止案が出ない限りはやはり効力は残る、こういうことになるのですか。
  89. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 そのように了解しております。
  90. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 その点については私ももう少し勉強させてもらわなければならぬと思いますが、私ども常識的な日本語で考えて、何月何日までに廃止するときめたものが、その日以後でも効力が残るなんという解釈を初めて聞きました。これは「廃止するものとする」が入っておるから、だから効力は残るのだという解釈であると聞いておるのですが、日本語の解釈として、廃止するときめてあるものが、その日が来てもその効力が残るなんという解釈はありますか。これは間違いありませんか。
  91. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 そのような立法の事例を私たち承知しておりませんので、現在あります立法例によりまして、そのような解釈を申し上げたわけでございます。この点につきましてはいま私が公的な解釈を申し上げるという立場にはございませんが、現在ございます法令の用語の範囲から判断してそのようになるのではないかという趣旨で御返事申し上げたわけであります。
  92. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そういう日本語がそういうことに使われるとするならば、われわれは何を取りきめても、何月何日に返しますときめておっても、その日が来ても返さぬでもいいという理屈も成り立つわけで、私は何ぼ日本の法律を曲げて解釈してみても、何月何日までに廃止するときめたならば、その日が来たら効力がなくなるのは当然であって、ここで効力が残るのは「廃止するものとする」ということばが入っているから効力が残るんだという法解釈があるやに私は聞いているんですけれども、これははっきりしておかぬと、あと新しい改正案に引っかかってくるんですよ。
  93. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 ただいま「廃止する」という一つの文言をお示しになったわけでございますが、この文言だけでは、どのような法的効果をもたらすかということにつきましては、ただいま申し上げましたようないろいろの疑念も残るわけでございます。もし、この際そのことをはっきり法的にいたすということであれば、これは「昭和五十八年三月三十一日に効力を失う」というような、その他の表現の法がございますので、そのような方法で修正をするとか提案をするのが妥当ではないかと考える次第でございます。
  94. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それで法律の用語はわかりました。それでは、「昭和五十八年三月三十一日で効力を失う」、こうきめればいいじゃないですか。なお尾を引きそうな、前と同じような疑義の残るような用語を用いなくて、そこで終わるんだということを明確にすべきじゃないでしょうか、どうでしょうか。
  95. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 とにかく御答弁申し上げておりますけれども法律の精神はいま阿部委員が御指摘のように、こういう用語を使っておりますということは、そういうようなことを一応限定しているけれども、その前に必要がなくなれば廃止するという余地を持った、それが最終の終期の期限の表示であるというように私は常識的に解釈いたしまして考えるわけでございまして、そのように御理解をくださって今度の新しい法律案は差しつかえないと私は考えております。
  96. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 前にも大橋総裁はそうおっしゃっておるんですけれども、十三年は最も長い期間であって、これより早くなるように期待をしている。しかし、だれが考えても、昭和四十八年三月三十一日前になくなるようなことはあっても、それからあとこの法律が残るということは、だれも解釈している者はないんです。しかし法解釈では、法律改正をしなくても、なお加入者に債券を負担させることができるという理屈は成り立つわけです。それなら、大臣のお考えがそうであるならば、五十八年の三月三十一日に効力を失うんだということを国民に明らかに約束すべきものだと私は思うんですが、どうでしょうか。
  97. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 それはお約束して差しつかえございません。表現についてまずい点がございますれば、私ども考え、また先生方もお考え願いたい、このように考えております。
  98. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それでは、いまの点につきましては、私は理事会に一任をしたいと思いますから、理事会のほうで御審議を願って、改正をするか、変更するかどうかについて御論議をいただきたいと思います。  次に、いままでるる説明があったんですけれども、国会とこの法律関係ですが、申し上げましたように、少なくとも昭和四十八年の三月には終わるんだということを前提にして国会で議論をしてきてできた法律が、今日になって社会情勢が変化をしたからというて、軽々にまた延長の改正案を出すというのは、国会審議を無視しておるという気が私はするんですが、政府としてそういう経過を経てきた法律についてもなおかつ軽々に変更を提案すべきものであるかどうか、国会の審議権というものをどうお考えになっておるか、伺いたいんです。
  99. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 国会の御審議を無視するような考えは毛頭ないのでございますが、昭和三十八年の三月にもう終わりたいというように考えておったのでございますけれども、どうしても先刻来るる申し述べておりますように必要性がまた新しく出てまいりましたので、これまた国会の御審議を願って、そのように御承認を賜わりたいというような考えでございます。決して国会軽視の考えはございません。
  100. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 この論争をしてもなかなか長くなりそうですから、その次に大臣にお伺いしたいんですけれども、同じくこの拡充法の審議の際に、拡充法が効力を失うと想定されておった昭和四十八年度からは国の負担、いわゆる財投が大幅に増加することを政府は了承しておるのかという私どもの党の質問に対して、当時の植竹郵政大臣は、そのとおりに了解をしておりますと、こうお答えになっております。四十八年度以降の資金調達の不足分は、この経過から見るならば、加入者債券によることなく、政府の財投等の措置でまかなうべきものであるというふうに、当時の議事録から私どもは想定をするわけですけれども、最近では、当時の植竹郵政大臣の答弁について、大臣はどのようにお考えになっておられますか。
  101. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 植竹大臣がそのようにお答えしたかと存じますが、植竹大臣ばかりでなく、私どもといたしましても、電電公社の建設投資額につきましては、財投の金をなるべくたくさんいただきたいということは絶えざる念願でございまして、そういう努力を続けておるわけでございます。ただ、これは釈迦に説法かもしれませんけれども、財投の金の使途については、国全体の経済政策と申しますか、日本はことに社会資本が非常におくれておるというようなために、社会資本増強の政策もあるわけでございまして、そういうようなこととかね合いで電電公社の財投というのがおのずからできてくる。もちろん、それはそれまでの努力がその間にはさまっておるわけでございますけれども、そういうようなことになるわけでございますので、必ずしも私どもの希望どおりにはまいらないわけでございます。ただ、昭和四十七年度におきましては、政府の保証のない一般公募債、いわゆる事業債を獲得したというようなことで新機軸を開いたわけでございますが、こういうことによって、植竹大臣の当時からの念願でございます財投のワクというものをだんだん広げていくということに努力してまいりたい、こういうように考えておるわけでございます。
  102. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 少なくとも植竹郵政大臣のほうから、政府の財投等をふやさなければならないことは十分理解しておるという答弁があっておるんですから、したがって、その後公社資金総額の中で、政府の負担すべき割合がふえてきておるならば、それが今回若干まだ加入者債が残るとしても、これはお互いに努力し合った結果ですから、やむを得ないでしょう。しかし、調べてみますと、第一次では三千四十三億の公社資金計画の中で、財投は二百八十七億で、九・四%、第二次五カ年計画では五・八%、第三次で一二・一%に上がったものが、第四次計画では七・六%とまたダウンしております。そうすると、これは植竹大臣の答弁とはうらはらに、最近は財投の占める割合は、公社資金総額の中ではだんだん減っていきつつあるのじゃないか。そう考えますと、政府公社の財政というものについて一体どういう考えをしておるのか、大臣並びに大蔵当局の考え方を聞きたいのです。
  103. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 努力目標といたしましては、さっきも私が御答弁申し上げたとおりでございます。ところが、それに対しまして実績をお示しいただきまして恐縮いたしておりますが、少なくとも私が大臣になりまして、前年度と比べますと財投の比率はだいぶ多くなっておるようでございまして、こういう努力を将来の大臣も続けてもらわなくてはならない、こういうように考えておるわけでございます。
  104. 大蔵公雄

    大蔵説明員 お答えいたします。確かに先生御指摘になりますように、電電公社の事業計画に対しまして財投の割合が、他の財投対象機関に比べまして格段にふえているというような事態にはなっておりません。御承知のように、財投の原資と申しますものは一定いたしておりまして、私どもの感じといたしまして、たとえば電話と鉄道あるいは道路等の工事量といったようなものを比較いたしました場合に、確かに今日までわが国の社会資本の充実と申しますものが不足していたということでございまして、できれば電話の現状と、それから道路なり鉄道なりの現状とを比較をいたしました場合に、同じ限られた資金を配分をいたします際に、電話の場合、まあまあという感じのところまでいっているのではないか。要するに、これは優先度の問題とも関連をいたすかもしれませんが、かつ電電公社の非常な御努力によりまして、要するに、自己調達をし得る能力というものが、ほかの機関に比較をいたしまして格段に電電公社は力を持っておるわけでございます。本年度新しく市場公募債というようなものを電電公社発行をすることにしていただくことになっておりますけれども、これもほかの、たとえば小さな公団なり何なりが発行をいたそうと思いましても、市場におきまする知名度その他におきまして劣るので、なかなか自分の力で発行するわけにはいかないという事態もございまして、一兆五十億というような非常に大きな工事規模を遂行いたしますのに、電電公社の場合、その自己調達能力があるということで、財投そのものの金額は先生の御指摘のとおりでございますが、私ども、だからといって、電電公社に対しまして力を抜いているとか、あるいは軽視をしているとかいうことではございませんで、財投あるいは予算を作成いたします際に、電電公社とも協力をいたしまして、郵政省とも御相談をいたしまして、新しい資金調達方法がない場合には、またいつかの日、市場がタイトで公募債発行ができないときは、無理をいたしましても財投からお金を投入すべきともあるいはくるかもしれない、こういうような情勢で、たまたま四十七年度の財投の電電公社に対する分が二百億、こういうことに配分をいたしたわけでございます。
  105. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 大臣がたいへんお骨折りだということは数字の上であらわれております。ただ私は、この「財投等」というふうに電電公社ではことばを使っておるのですけれども、「財投」と、財投等の「等」とに分けた場合に、どれが「財投」でどれが「等」になるのか。たとえば、昭和四十七年度予算の中で一千四百八十億が公社のいう財投等になっているわけですが、この千四百八十億のうちのどれが「財投」でどれが「等」か、債券別にちょっと内訳を聞かせてください。
  106. 好本巧

    好本説明員 お答えいたします。昭和四十七年度予算案資金調達計画の例をもって申し上げますと、先ほど御指摘の一千四百八十億円というのは、財政投融資等の中に、二百億円の政府保証債と一千二百八十億円のものが特別債としてはございますが、その両方、二百億円の政府保証債とその他の一千二百八十億円合わせまして一千四百八十億円を「財政投融資等」という表示をしております。したがいまして、二百億円の政府保証債は、政府の財政投融資計画の一部をなしておるものであるという意味で財政投融資という項目でございまして、残りの千二百八十億円は財政投融資ではございませんけれども、その他という意味で財政投融資等という項にくくっておるわけでございます。
  107. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 資金調達の中には、その他という項もあるのです。それはまあしばらくおくとして、一千四百八十億の「財政投融資等」ということばの内訳を見ますと、これは、はっきりした数字じゃありませんが、それらの計画としては、縁故債の一千億、その次に公募債が二百八十億、政府の財投なんて二百億しかありゃしないじゃないですか。二百億しかない財投が柱になって「財投等」となって、一千億ある縁故債が「等」の中に入っているでしょう。日本語というものは、大体「等」ということばを使う場合は、中心を先に書いて、それから「等」ということばを使うのですよ。わずか二百億しか政府は出していないじゃありませんか、大蔵省が保証しておるのは。保証ですよ。政府保証債ですよ。財政資金そのものを政府がくれたのでもなければ出資したものでもない。単に保証してくれたのが二百億、一千四百八十億のうちの二百億だけが政府保証債になっているわけですよ。あと電電公社の自前じゃありませんか。何で「財政投融資等」になるのですか。「縁故債等」じゃありませんか。どう考えますか。総裁、あなたはこの「財投等」ということばを一体どう考えているのですか。
  108. 好本巧

    好本説明員 お答えいたします。ただいまの御指摘でございますが、資金調達計画の、調達の源泉といたしまして、慣例的に内部資金と外部資金というふうに分けておりまして、御案内のように、内部資金には減価償却引き当て金、差損償却引き当て金あるいは収支差額、資産充当というようなものを並べておりまして、外部資金という項目の中に加入者引き受け債券、設備料というものを並べております。慣例的に財政投融資等と、こういうふうなものでやってまいりまして、これは、ずっと前からのフォームを、一定しておりました関係で、財政投融資等という中のいわゆる政府保証債の比率が非常に多かった時代もございますけれども、だんだん最近様子が変わってまいりまして、確かにいま御指摘になりましたように、四十七年度を見ますと、財政投融資等の中の政府保証債以外が一千億をこえるという形に初めてなったわけでありまして、これは別に他意はございませんで、非常に古いフォームをそのまま、時系列的な意味もございまして保守的に使っておったわけでございまして、御指摘の点、今後表現その他は十分考え直したいと思います。
  109. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 いま数字を調べてみますと、昭和四十五年の七百五十億中に政府保証債は二百億ですよ。それから昭和四十六年度が、決算は済んでおらぬのかもわかりませんが、七百億中の百億でしょう。今年、昭和四十七年が、政府保証債が二百億、いわゆる財投として政府の力が電電公社に影響しておるものは、これは昭和四十五年と同じじゃありませんか。植竹郵政大臣はふえることをちゃんと予定しておるのに、何で政府保証債昭和四十五年も昭和四十七年も同じなんですか。ことしはたいへん苦労されたというけれども、財投の面から見ればちっとも苦労でも何でもない。四十五年と同じじゃありませんか。何が苦労ですか、これで。公社債券というのは、私は性格からいうならば、分けるならば、財投は財投、債券債券、その債券の中に加入者債があり、あるいは縁故債があり、公募債がある、こういう分け方で示すならば、私は数字が非常にわかりやすい。それが、政府保証債だけが、言うならばこの財投である。あなたが、何かたいへん政府をかばう意味か何かわかりませんが、財投がたいへん幅が大きくて、千四百八十億もあって、予算を調べてみたら、このうち政府責任を持っておるお金というのはわずかに二百億しかないじゃありませんか。これは、こういう姿が望ましいかどうか。先ほど大蔵省のほうでは、公社のほうとも十分協議をしてきめたんだ、こうおっしゃっていましたが、公社はこういう姿が望ましい、資金計画上いいと思っておられるのですか。どうですか、総裁
  110. 米澤滋

    米澤説明員 お答えいたします。ただいま御指摘がございましたけれども、いつも公社の建設予算の場合には、最終的には大蔵大臣郵政大臣の大臣折衝できまっているわけなんでありますが、過去におきましてこの財政資金そのものはもちろんなかなか無理なんで、政府保証債をほしいと非常に要望した時期がございましたけれども、なかなかこれまで公社予算に付加されることが非常にむずかしくて、したがって、縁故債というようなものが出て、その縁故債も、初めは共済組合公社に直接関係あるメーカー等にも持ってもらったのでありますが、その後これが、先ほど大蔵省理財局次長の話にもありましたように、公社の信用がだんだんふえてきたということもあって、金融機関が持つという形になりまして、それからまた、ことしはいわゆる政府保証なき公募債、事業債という道が開かれたわけでありまして、形が財政投融資等という形じゃなくて、予算総則等あけて見ますと、政府保証債、それからいわゆる加入電電債、それから特別債というふうになって、だんだんそういうふうに改めていくのがほんとうじゃないかというふうに私は思っております。
  111. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 これからはひとつわかりやすいように、いま総裁がおっしゃったように、分けておやりになることが望ましいと思いますけれども、そこで、その政府のほうですが、政府保証債がわずかに二百億だけで、これで電電公社の公益に配慮しておるということになるかどうか非常に疑問がありますが、もっと大蔵省としては思い切って、電電公社のほうに財投なり融資を行なうべきではないかと思うのですが、どうでしょうか。
  112. 大蔵公雄

    大蔵説明員 お答えいたします。政府保証債あるいは国債と申しますものは、先生御承知のように、政府としてほしいからというので幾らでも発行できるという種類のものではございませんので、引き受けシンジケート団との間でその翌年度発行総額、円滑なる消化に資するため国債なり政府保証債なりの量は、相手のシンジケート団との了解のもとにあらかじめ量が決定をいたすわけでございます。その際に、四十七年度の場合を例にとってみますときに、御承知のように国債が一兆九千五百億円、そのうち市中消化分が一兆七千億というように非常に急増いたしたわけでございます。ところが引き受ける側の立場から申しますると、政府保証債と国債とは両方一緒に量的に考えるわけでございまして、今年度の場合、国債を非常に多額に発行いたす必要がございました関係上、政府保証債をそう多額に発行いたすことがなかなかできませんで、結局昭和四十六年度政府保証債の総額が当初三千億円、追加が九百九十三億円ということで、合計三千九百九十三億円でございましたのを、昭和四十七年度の当初計画といたしましては政府保証債の総額が四千億ということで話し合いがついたわけでございます。したがいまして、四千億円の政府保証債の配分をいたすわけでございますが、これを国鉄なり電電公社なり道路公団なり、各財投対象機関に対して配分をいたすわけでございますが、やはりその配分をいたします際に、自己調達能力があるところの電電公社にはできるだけ自分で調達をしてほしいという配慮もございまして、昨年度当初計画におきまして電電公社政府保証債は百億円であったわけでございますが、今年度は新たに一般公募債を出しますにつきましては、政府も決して電電公社を軽視をしているわけではないという姿勢をやはり示す必要もございまして、本年度その四千億円の中から電電公社に対しまする政保債の配分を二百億円、こういうことにいたしたわけでございまして、決して私どもといたしましては電電公社を軽視をしたということでこういう配分をいたしたつもりはないわけでございます。
  113. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 公社がそれでよろしいということになれば、私は何も言うことはありませんけれども、どうも公社の気持ちが私は考えてみれば理解できないのです。たとえば損益勘定よりの受け入れ等についてはだんだん少なくなっていって、もうほとんどなくなるようです。昭和四十七年度は〇・六%ですか、いま総裁のお話では公社が非常に信用が出てきて、市中でもって債券の引き受けが多くなってきたので、縁故債で一千億、公募債二百八十億、それだけ公社の信頼が出てきたので市中で債券の消化ができるならば、いやがる加入者に押しつける必要はない。希望する者にはどんどん分けてやってけっこうです。したがってこの際加入者債は廃止をして、希望者に分けてやる、こういう方法をおとりになったほうが信用ある電電公社としては望ましいんじゃないでしょうか。
  114. 米澤滋

    米澤説明員 お答えいたします。ただいま積滞が約二百数十万残っておりますし、またいわゆる五二末の七カ年計画末で、なお二千万つけなければならない。それから、そこで積滞はゼロになりますが、さらに五十三年から五十八年にいく五カ年間につきましても、やはり千三百万ぐらいの需要が出てくる。この辺にまいりますと現在のアメリカ合衆国の電話普及率ぐらいになるし、大体九五%ぐらいの家庭に電話がつく。その辺が一つの境目になるというふうに考えまして、その資金計画をつくってみますと、現在建設投資の中で加入電電債に負担をしていただいている分が約三〇%を占めている。しかもまた残りの五十三年から五十八年にいく五カ年間につきましても約二〇%を占めているという大きな額でございまして、これを他に振りかえるといっても、これは実際問題としてなかなか困難である。安定的な資金源というものをやはりまた電話を架設する方に、受益者負担といいますか、そういうことでお願いするということをぜひやって、そうして早く電話をつける、これのほかにもっと有効な手段があれば別なんでありますが、これだけ大きな建設の資金、三〇%とか二〇%という大きな資金源にかわるものがないのでお願いする、こういうことでございます。
  115. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 ですから私が申し上げておりますのは、それは積滞が何ぼあっても、要するに公社の信用ができて市中で債券が引き受けられるようになってきた。だから政府のお金はなくても、二百億くらいでけっこうだという総裁のお考えならば、それだけ信用のある電電公社が、何もいやがる加入者に無理に債券を押しつけなくても、市中で債券を補ったらいいじゃないですか。もし加入者に、こういう法律をつくって法的な拘束をして加入債券を引き受けさせるとするならば、その前にもっと政府努力すべき筋があるではないか。一昨年と同じ二百億円の政府保証債でのうのうとしておって、加入者には強制的に債券を引き受けさせるというのは本末転倒ではありませんか。もう少し政府資金を導入するような方法公社が講じて、なおかつできないから加入者に債券をお願いするというならば私は理解ができます。ところが、政府資金のほうは一昨年と同じ二百億じゃありませんか、積滞を解消するというのに。積滞の解消は加入者の責任ではありませんよ。国全体の責任のはずです。であるならば、積滞の解消のために政府はここまで努力をして、しかもなおかつこれだけの資金が不足するから、これについてはあとで加入者の皆さんに御負担を願おう、こういう理屈ならば私は理解ができます。しかし政府のほうは全然努力がなくて、一番安易なしかも法律で縛り上げて、電話をつけたい者は債券を買いなさい、これは本末転倒じゃありませんか。公社はこれだけ努力をしたが、その結果政府全体の予算でこれだけしか方法がなかったから、この債券についても加入者にお願いしたい、こういう姿勢ならば私は理解できますけれども電電公社は信用ができてきたという。それならなぜいやがる加入者に債券を引き受けさせるのか。だから、政府のお金は従来と一緒でいい、二百億でけっこうだというならば、加入者に押しつけることはやめてください。どうですか。
  116. 米澤滋

    米澤説明員 若干ことばが不足した点がございますが、確かにおっしゃるように電電公社としてもこれまで十何年間にわたりまして、いつも財政資金につきましても融資、投資というのはなかなか実際問題としてむずかしいので、政府保証公募債ということでずっとこの十年以上お願いしてきたのでありますけれども、これはワクがあまりふえてないようなんでありまして、しかも道路とか港湾とか国鉄とかいろいろなところで最後は取り合いになっているようでありまして、事実問題として出てこない。私どもも決してそれをあきらめているわけではないのでありますが、しかし実際問題として資金計画の中にあらわれてこなければしようがないのでありまして、そういう意味で加入電電債にたよらなければならないような状態であるということを御理解願いたいと思います。
  117. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 総裁、財投は年々ふえておりますよ。財投はふえておるのに、電電公社のワクだけがふえぬというのは、これはだれが考えてもおかしいのですよ。政府の財投資金が十年前と今日と同じならば、電電公社の財投の割り当てのワクはふえなかった、保証債のワクはふえなくてもやむを得ぬでしょう。ただ財投のワクはどんどんふえておるじゃないですか。財投のワクはふえておるのに、電電公社に対する財投のワクの割り当ては従来と変わらない。しかも一方では買いたくないなんという者にまで、法的な拘束によって電話をつけるのに債券を押しつけるのは本末転倒じゃないかと私は言っているのですよ。どうですか。
  118. 米澤滋

    米澤説明員 先ほど申し上げましたが、政府保証債のワクはどうもふえてないようでありまして、この間実は私のところの経理局長に調べさしたのでありますが、どうもあまりふえてない。ふえてないからあきらめたというわけではないのでありますが、最終的にはそれが取り合いになるのでありまして、これが今後ともふえることを期待いたしますけれども、何といいましても建設投資が一兆円をこすようなものが必要になってくる。しかもなおこの五年間に、毎年三百万近い電話を架設する。これは拡充法をかつてお願いいたしました昭和三十四年に、ちょうど第二次五カ年計画の改定のときでありましたが、そのときの第二次五カ年計画全体の電話架設が二百二十万であった。それに対しまして一年間に三百万をこれからつけていくということは、量的に非常な量でありますので、確かにそういう御意見もわかりますけれども、実際問題としてこれにたよらざるを得ないということを御理解願いたい、先ほど申し上げたとおりであります。
  119. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 大蔵のほうはどうですか。いま聞けば保証債のワクはふえてないそうですが、私ども財投という場合には、単に保証債でなくて全部を含めて財投と理解するわけです。そうしますと、ほかのほうではかりにできなくても、公社については保証債をふやしてやるとか、あるいは保証債はふやさないが、ほかのほうで財投の措置がとれるとか、そういう方法はないものでございますか。
  120. 大蔵公雄

    大蔵説明員 御指摘のように、政府保証債資金運用部資金の間の入れかえと申しますか、そういった道が全くないわけではございません。ただ、電電公社の場合、先ほど来御説明をいたしましたように、電電公社の性格といたしまして、政府保証債による協力、要するに今日資金運用部資金もあり余るだけあるわけではございませんので、これは国民生活のすべてに財投資金と申しますものが直接福祉向上に役立つものに配分をされておるわけでございまして、年々歳々の財政投融資に対する要求と申しますものは、予算のように二五%の頭打ちがございません関係上、非常に大きな要求があるわけでございます。それを私どもが配分をし得る資金範囲内に押える作業をしなくてはならないわけでございますが、その際に、現在電電公社が毎年計画を持っております、またこれから持ちますところの非常に大きな計画と申しますものは、私どもから見ました場合に、国民生活の上におきまして占める地位からして、現在のところまあまあというところまで——いまのところ私どもの耳に入っておりますところの不平と申しますものは、電話の架設が非常に不便である。特に最近におきまして金融が非常に緩慢になっておりますると、電話をかけたいというのに、加入債券の引き受けがあるがゆえにかけられないのだ、こういう国民の不平の声と申しますものも最近におきましてはあまり起こってきておりませんで、その点電電公社にも一応がまんをして協力をしていただきまして、その資金をほかの機関に配分をする、かような結果になっておるわけでございまして、私ども決して電電公社仕事を軽視をしておる、こういう姿勢で臨んでおるわけではございません。
  121. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 電話がつかないということも、人間優先の政治から考えますと非常に重要なことでございまして、なるべく早く積滞を解消してもらいたいという国民の願望にこたえて計画を立ててみても、なおかつ公社のいまの計画でも五十二年度まではまだ積滞が解消しないというのです。一日も早く積滞の解消をはかるためにはもう少し政府も真剣にこの積滞の解消に取り組んで、その資金調達にあたっては骨を折ってもらいたいということを私は要望をしておきます。  少し皮肉になりますが、事務当局にお伺いしたいのですけれども、この資料の八一ページ、その下の四角の囲いの中に、これは昭和五十七年度まで出ておりますが、その第二次五カ年計画昭和三十三年度から昭和三十七年度、この五カ年間の最後に、計画期末の加入数は四百七十八万個になっています。そしてその次、第三次五カ年計画、三十八年度から四十二年度に五百十一万個を新たに架設をいたしましたから、合計は計画期末において九百八十九万個、こういう数字になっております。その次の第四次五カ年計画で一千七十七万個電話をつけたわけですから、第四次五カ年計画の最終年度の期末加入数は二千六十六万個にならなければならないのに二千七十四万個になっています。八万個電話が宙についたことになっていますが、この電話はどこについたのですか。
  122. 清水通隆

    ○清水説明員 お答え申し上げます。その点につきましては、実は沖繩の分の八万をそこに足したかっこうで期末の加入数を書いておるわけでありますが、実はそこを中途で追加しようかと考えたのでございますが、全体の数から見ますとそれほど大きくないということで、一応省略してたいへん御迷惑をかけました。ちなみに積滞がさらに三万ございますものですから、二千三百万の中には沖繩の分といたしまして現在加入数の八万と積滞の三万が加えられたかっこうで需要数として出ておるわけであります。
  123. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 私も八万は沖繩の電話の数に該当するとは思ったのです。思ったのですが、この表を見ますと、どう見ても八万だけ電話がどこか宙についておるのです。一般の人がごらんになったら八万個の電話がどこか宙についておる。電電公社の計算の間違いか、さもなければ期末にこれだけあったとすれば八万個ついたことになる。資料を出すならもう少し親切に、沖繩の数字が八万入ったのでこういう数字になりますということをわかりやすく出してもらわないと、これを計算するだけで何分かかるのです。もう少し親切な資料をつくってもらいたいと思います。  その次にお伺いしたいのですけれども、先ほど堀委員からもお話が出ておりましたが、八一ページに示されておりますように、昭和五十七年度末において四千八百万個の電話をつけることになっております。ちなみにおたくのほうの「電話需給の見通し」を見ますと、第五次とも呼ぶべきものといったほうが正確でしょう。第五次計画とも呼ぶべき四十八年度から五十二年度に千四百二十六万個の電話をつける。この表にちゃんと出ております。第六次とも呼ぶべきものは五十三年度から五十七年度に千三百万個の電話をつける、こうなっております。そこで、この資金調達の見込みを比較してみますと、すでに予算に計上してある四十七年度までをのけまして、四十八年度から五十二年度までの五年間の建設投資額は六兆六千億となっております。単純に電話をつける人の立場でこれを割ってみますと一個当たり電話が四十七万くらいかかるのだ、こういうことになります。その次に五十三年度から五十七年度まで、第六次とも呼ぶべき五カ年計画では九兆円になっております。これを単純に千三百万個の電話で割ってみますと電話一個当たりが七十万円という割合になってくる。電話をつける側から見ますと電話一個の値段がたいへん高いものになってくるのですが、これはどういうわけでしょうか。   〔内海(英)委員長代理退席、委員長着席〕
  124. 清水通隆

    ○清水説明員 お答え申し上げます。ただいまのように、五次の総投資額が六兆六千億でございますが、この中で電話の投資といたしましては五兆三千五百億円が電話部門としての投資になるわけでございます。ただこの数字の中には二通りのものがございまして、新しく電話をおつけしますお客さまに対応するものと、現在すでに稼働中のお客さまがございます。その稼働中のお客さまのサービスの維持分、あるいは一部改良分もあるわけでございますが、そういうものと二通りに分ける必要があるわけでございまして、そのようにいたしまして整理をいたしますと少しわかりやすくなるのでございますが、ただ単純に計算をいたしますとただいま先生がおっしゃったような数字になるわけでございまして、これらは私どもでは一応帰納単金ということばを使っておるわけでございます。その数字で申し上げますと、ただいまの五次の分は約三十九万円ほどになるのが帰納単金でございます。それから五十三年度以降の九兆円に相当しますもののうちに電話部門といたしまして五兆九千億、こう考えられるわけでございますが、これらを新しくおつけしけます電話で割りますと四十五万円ほどの数字が出てまいります。したがいまして、確かに幾ぶんずつ単金的に上がっていくわけでございますが、これはすでに稼働いたしておりますお客さまの維持改良分、特に一番大きなお金が必要になりますものは、いわゆるダイヤル即時になっておりますが、その分のサービスをダウンしないように市外回線等を十分ふやしていかなければならないというような問題とか、あるいは災害等におきましても支障のないような手をあらかじめ打っていくとか、そういうふうなものが含まれておって漸次高くなっておるわけでございます。
  125. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 かりにそういうものが含まれておって漸次高くなったとしても、その総額が少なくとも第六次ともいうべきものにおいては電話に要するものが四十五万、こういう理屈になるわけでしょう。電話に要するものが四十五万ならば、一個当たり七十万ですから、あとの二十五万は電話以外に要する資金だという理屈になりますね。
  126. 清水通隆

    ○清水説明員 お答え申し上げます。いわゆる電話以外といいますものの中に、私どもはこれからのいろんな社会の発展あるいは国民生活の向上というふうなものに見合います電話そのものに対します新しいサービスというものを考えております。これもかなりふえてまいりますし、それ以外にデータ通信であるとか、あるいは画像通信であるとか、そういったようなものがふえていくということで、電話の、先ほど申し上げましたいわゆる純拡張分のものと、それからすでにあります電話のお客さまに対するサービスの維持分というもののウエートはだんだん減ってくるということでございます。
  127. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そうしますと、私ども単純に考えるのですけれども、かりに電電公社が第六次の計画において九兆円を調達し得る能力がある、そのうちの三兆円くらいが加入者債によってまかなわれる、こう仮定をしてみましても、ほかのものを全然やらないわけではございませんけれども、極端な言い方ですが、電話以外のものをやらないとするならば、加入者債はなくても新しい電話がつき、維持ができるではないか、こういう理屈になりますか。
  128. 清水通隆

    ○清水説明員 いわば単純な計算をすれば、そういうふうなことも不可能ではないというような言い方もできるかと思いますが、電電公社考えておりますことは、四十五年の八月にお認めをいただきました七カ年計画の中の基本方針にも書いてございますように、今後の国民生活の向上であるとかあるいは経済社会の発展というふうなものに電気通信の分野で即応していく必要があるというふうに考えておりまして、そういった国民のいろんな要望というものを調和を保ってこれに応じていく必要があろうというふうに考えておりますために、それらをいろいろと分析していきますと、単に電話の増設というだけではなくて、やはり新しいサービスも当然必要になってまいりますし、また情報化社会の進展等に伴いますデータ通信等に対しましても、やはり先導的な役割りも必要であろうというふうに考えられるわけでございますし、また将来を長い目で見ますと、それらに対しまして効率的に対処するための総合電気通信網というふうなものもぜひとも必要であろう、こういうふうないろんな角度から考えてまいりますと、やはりこれらに対します投資というものを避けるわけにいかない、どうしても必要であろうというふうに考えまして、九兆円という総投資額を考えたような次第でございます。
  129. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 一つ総裁に言い忘れておったのですが、この法案の中で問題になるのは、少なくとも昭和五十七年度までは加入者に対して債券を買ってもらうという拘束をするわけです。したがって、そうなれば資金調達全体について、特に政府もこれだけ骨を折りますという数字が出てこなければおかしいわけです。財投というだけでは、さっきのように公社自体でやらなければならない縁故債から公募債まで全部財投等に入ってしまうのですから、ほんとうに政府が財投として、たとえば政府保証債なら政府保証債としてどれだけのものを公社期待をし、その資金調達全体の中で考えておるのか、これはひとつ資料にして出してもらいたい。それとにらみ合わせてはじめて、政府もここまでやるが、なおかつ国民も、加入者も負担をしてくれ、こういう数字がなければ、片方で加入者だけに負担を強制しながら、政府がどれだけの努力をするかということが明らかになりませんので、従来の経緯からしまして、政府保証債をどれだけの割合で公社考える、考える以上はおおむね政府と折衝した上で数字を明らかにしておいてもらいたい。
  130. 米澤滋

    米澤説明員 お答えいたします。先ほど政保債の話が主として出たのでありますが、今度新たに政府保証なき公募債を出す場合も、実際問題としては郵政省はもちろんですが、大蔵省理財局なりあるいは証券局の御意見をいろいろ伺い、またいろいろ御援助も得ながら発行するということになるので、これは電電だけが単独でやるというわけではない。ただイニシアチブは電電にある、こういうふうにひとつ御理解願いたいと思います。  それからいまの政保債でありますが、予算が来年四十八年度政府保証債が一体幾ら出してもらえるか、ちょっと私が、これは案はつくれますけれども、きめるわけにはいかないわけでありまして、その辺は、電電公社立場政府立場は違いますから、そこは御了解願いまして、公社としてはこの計画の中でおよそどのくらいを期待しているかということで資料を出すことにさしていただきたい、こういうふうに思います。
  131. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 大体それでけっこうですけれども、私が申し上げましたように、どうも考え方が本末転倒だ。本来これは公社なり国の責任で加入者の便宜をはからなければならないものであるのに、片方加入者についてはこれを十年間締めつけるわけでしょう。電話をつけてくださいといえば債券を買いなさい、こうなるのでしょう。それでは一方国がこの積滞の解消についてどれだけの努力をするかという姿勢が出てきてなくて、加入者だけをちゃんと法律で縛り上げるということはやはり本末転倒で、国がこれだけの努力をするが、足らないから加入者のほうでこれだけの負担をしてもらいたいのだ、そういうものの判断に立つべきだと私は思うのです。しかし現実の問題として、総裁おっしゃっているように、いまから十年先の政府保証債がどのような割合になるかということはなかなか困難でしょうが、おっしゃるように期待される額があるわけですから、まずその額について資料を出して明らかにしておいていただきたいと思います。  質問を続けますが、拡充法の第二条によりますと、「電話取扱局の種類に応じ、それぞれ次に掲げる額」の加入債を負担する、こういうふうになっておりまして、度数料金局については十五万から二万までとなっているのですが、この電話をつけていただくについて債券を負担するのになぜこういうふうに十五万から二万、七倍半というような大きな差が債券負担でついてくるのか、この事情を説明願いたいのです。
  132. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 お答えいたします。これは基本的に申し上げますと、基本料のランクと同じにいたしておるわけでございますが、電話をつけました場合の効用が、それぞれの場所によって違います。そういったようなことで主として歴史的な経緯もありまして、そういう形で現在法律上は二万円から十五万円、こういう差異になっております。しかし現実にはこれはもう二万円というところはほとんどございません。ですから法律上としては二万円でございますけれども、現在の状態ではそう大きな差はございません。
  133. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 法律というのはたいへんおもしろいので、さっきもいろいろ議論になったのですけれども、それは二万円といいますけれども法律には二万円ときめていないのですよ。二万円以下ですから、法解釈は債券は千円でもいいという理屈になるのです。二万円ときまったものではないのです。ただ、いま局長は、基本料の関係と大体合わしてあるのだというお話でしたけれども、基本料の場合ですと二万円にはならないのです。一番高いところで現行千三百円、一番安いところで七百円。ところが債券のほうは七倍半という差がついておるのです。かりに局長の言うことを百歩譲ってあたりまえだと考えてみても、なおかつその差があまりにも大きいような気がしますが、どういうわけですか。
  134. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 確かに先生のおっしゃるとおりでございます。私の申し上げましたのは、現在の状態で六段階でございますけれども、現在の加入数にいたしまして約八割、九割近い方が二段階の中に入っておられます。したがいまして、実際上はほとんど二段階の中になっておるということを申し上げます。ただ、先生のおっしゃいましたように、基本料の差と比べまして、確かに表面的に二万円以内から十五万円という間は非常に差が大きゅうございます。これは今度の法律が通りましたあと、政令で定めますときに、郵政省にもお願いをいたしまして、実質的にはその差が小さくなるようにお願いをいたしたいと私どもは思っております。
  135. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 この債券の引き受け額の差については効用を原則として考えておるようでございますけれども、そうなりますと、設備料のほうもこれからこういうふうに差をつけることが私は正しいと思いますので、この次あたりひとつ設備料も差をつけるように考えてもらえませんか。どうでしょうか。
  136. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 設備料につきましては、これは一時の金でございますし、御存じのように電話に新しくお入りになりますとき、工事をいたしますお金の一部を負担していただく、こういうことになっております。したがいまして、これもいろいろ考え方はございますが、一律にいたしております。私は、将来の方角といたしましては、全体的に一律の方角へだんだん近づいていくというのが筋ではなかろうか、こう思っておりまして、そういう意味では、結果的に先生の御意見と全く同じであろうかと思うのであります。
  137. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 私は、設備料と加入債の引き受けというのは非常に似ておるという感じがするわけです。一つの電話をつけるにあたって、公社としてたくさんの金がかかるから、それを一時的に負担をしてもらう。片方は出しきりで設備料を出してしまうのですが、むしろ私は、そういう意味では、出してしまうほうの設備料が差がついておって、そして引き受ける債券のほうが一律であるほうが筋が通るような気がするのですよ。設備料だから出し切りでしょう。ところが、いなかの電話だからといって安くつくわけじゃないですから、そういう意味では、設備料が一律だというのはわからないわけじゃありません。ところが、債券のほうは差がついておる。それならばむしろ逆に、いずれは返ってくる債券のほうを一律にして、出しきりの設備料のほうを、効用度を原則にして考えるならば差をつけるべきではないか。公社のほうでは、債券はどうせ返さなければならぬ金だから、差をつけておいてもいいけれども、もらいきりの設備料についてはこの際うんと取れるだけ取っておけという、この前五万円に引き上げまして、どんないなかでも五万円、どんな都会でも五万円、こういうことにしたようですが、いま局長のおっしゃいました趣旨からしますと、設備料のほうに差を設けて債券は一律十万円と、こうあるべきだと思うのですが、どうでしょうかね。
  138. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 お答えいたします。設備料も差がないわけではございませんで、御存じのように単独電話、共同電話その他によって差はございます。ただその差のつけ方が、基本料でございますとか債券につきましては、もちろんその差もございますが、それのほかに、先ほど申し上げましたような効用による差をつけておるということでございまして、私が先ほど申し上げましたのは、こういうような差をだんだん縮めていく。たとえば、先般来の本委員会でも御議論いただいております住宅用と事務用というようなものを一本化していくという方角に向かって進むべきではなかろうか、こういうことを申し上げたわけでございますが、設備料についても差は一応ございます。その差のつけ方が、先生おっしゃるように割り切っていえば、歴史的な経緯もございまして、現時点でながめますと確かに形式的には非常におかしな点もあることは私も承知いたしております。
  139. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それは確かに理屈からいえば、局長の言うように設備料の差があるでしょう。しかしその差は、債券にだってこのほかにだってまた出てくる差なんでしょう。たとえば共同加入の場合、この二万円がまた一万円に下がるとか差が出てくるんですから、それはほんのわずかなもの、枝葉末節であって、私は基本的な考え方についてお伺いしたわけです。私の考え方からいうならば、この債券については、これは全国一律十万円なら十万円というようなきめ方にして、むしろ設備料のほうに差をつけることが筋が通るような気がしますけれども、これは意見にとどめておきましょう。  そこでいま局長は、七級局以上ですか、七級局以上が八割方なんですか。これで、いわゆる政令できめるところの債券のそれぞれの引き受け額の構想があるようでございますが、どういう構想ですか。五段階と言いましたね。
  140. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 お答えいたします。  先ほど八割と申しましたのは、現在の六段階の場合におきましても、上位二段階に集中しておるということを申し上げたわけでございます。(阿部(未)委員「八級局以上ですね。」と呼ぶ)はい、八級局以上でございます。それは現在の加入者を全部あれしたものでございます。  それで、今度この法律が通りましたあとは、この法律の趣旨に従いまして、基本料と債券段階を一緒にいたしたい、こう思っております。したがいまして、その意味からいいますと、現在の基本料の段階は五段階でございますから、債券も五段階にいたしたい、こう思っております。そのそれぞれの段階における引き受け金額につきましては現在のところ未定でございまして、政令によって定められます。ただ、そのときの方針といたしまして、先ほど、できるだけ差を縮めるようにいたしたい、それも一つのプリンシプルとして郵政省のほうにお願いをいたしたい、こう申したわけでございます。
  141. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そこでお伺いしたいのですが、度数制によって、一応別表云々となっておるわけですから、これは法律事項でございますね。法律事項でございますから、現行でいくならば、度数制局の場合には十四級に分かれて、しかも債券払い込み額は六段階ですかに分かれておる。これを政令で変更するということになれば、その政令の内容を大体承知しておらないと、けっこうでございますとかなんとかなかなか言えないような気がするのですが、どういう額を考えておられるか。もしかりに、現行の各級に対応する債券の引き受け額よりも上がってくるということになったら、既得権を剥奪されるというとおかしいが、既得権の侵害になるような気もしますので、どういうきめ方をしても、少なくとも現行よりも高くはならないというふうな前提といいますか、原則といいますか、そういうものを考えておるかどうか、お伺いしたいのです。
  142. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 ただいまの先生の御質問の前段の部分は、この改正法案の第二条によりまして上限と下限が押えられております。それで、そのそれぞれのところの額を基準といたしまして「度数料金局の種類ごとに政令で定める額」と書いてございまして、具体的な金額は政令に譲るわけでございますが、私が政令にお願いをいたしたいといいますか、公社立場としてお願いをいたしたいプリンシプルは、一つは、先ほど申し上げましたように、先生の御趣旨もございますが、なるべく差を縮めるようにいたしたいということでございます。それから、単位料金区域内の合算という問題がやはり基本料と同じにございます。したがいまして、合算とした結果出てくる表面の額面といいますか金額は、現在の六段階を横に引っぱったものより上がらないようにいたしたい。これを一つのプリンシプルにいたしまして、総体として四十七年度の電話の販売数によって、これは六段階でやりますが、それを新しくできた五段階でやった場合に債券の収入額にあまり変動がないようにいたしたい。そういったような幾つかの原則をたてにいたしまして、政令案をつくることを郵政当局にお願いいたしたい、こう思っておるわけでござ  います。
  143. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 要望しておきますが、少なくとも現行より高くなるランクがないようにひとつ十分配慮をして、政令をつくってもらいたいと思います。  次に、総裁にお伺いしたいのですけれども公社資金調達のあり方として総体的にどういう姿が望ましいか。たとえば、減価償却の引き当て金とか、損益勘定よりの受け入れとか、設備料とか、加入者債券とか、いろいろなもので組み立てられておるわけでありますけれども、ずっと表を見ていきますと、損益勘定からの受け入れが非常に大きく、二九%もあった時期もあるようでございますが、最近では、さっきちょっと触れましたように、四十七年度では〇・六%と非常に微々たるものになってきております。それは企業みたいなものですから、ある時期には投資を大きくしなければならぬ。そのことがわからないわけではありませんけれども、すでに国鉄が非常に大きい問題を提起しておることは、総裁も御承知のとおりです。したがって、この資金計画というものは、公社の将来にとって重要な柱でなければならぬし、それが将来の公社をどうしていくかということになってくると思うのですが、この資金調達の将来のあり方としては、どういうものがどういう割合で伸びていくといいますか、負担をしていくことが望ましいとお考えになっているのでしょうか。
  144. 米澤滋

    米澤説明員 ただいま資金調達の御質問ございまして、まあ、建設投資、債務償還というようなそういう角度と、それからいわゆる損益収支という問題と二つにこう分けてみたいと思います。  損益収支につきましては、これは本来ならば減価償却、これは、いま定率法をやっておりまして、きちっとこの減価償却をやっておるわけでありますが、この減価償却の耐用命数等につきましては、技術革新の進行状況というようなものを十分考えて耐用命数をきめていく。いわゆる実用寿命というものを、ときどきの技術革新の進行の状態に応じて、何年に一回、たとえば五年に一回とかそういうことで見直して、そうして耐用命数をきめて、減価償却をきめていく、これが必要だと思います。それから、じゃその損益収支の場合に、赤字にするということは、これは最も望ましくないわけでありまして、われわれといたしまして、経営を十分健全にする、能率的な経営をしてむだな支出を省くとか、あるいはそういうような面で、いろいろ新しい経営の原則、経営の原理というようなものを十分公社企業の中に入れていかなければならない。  しかし一方、国民に対するサービスを落とすわけにはいかない。たとえば、保全とか運用とかの面におきましても、電気通信事業を経営する際に、標準としてきめられている世界的な基準というものがございますから、その基準に合うようなことをやはりやらなければならない。たとえば通話の完了率等につきましても、これは規定のものをやる、そういう形におきまして、実は公共的必要余剰といいますか、ある、たとえば数%からあるいは八%というようなところまで収支差額が出てくることが望ましいのでありますけれども、なかなか現在のベースアップ状態とかその他から考えまして、まあ現在そこまでいっておりませんが、理想的な形からいうと、公共的必要余剰というようなものが損益収支の中から出てくることが望ましいのではないか。  それから建設投資につきましては、これは公社の場合には、私非常に違っておると思うのでありまして、たとえばイギリスの例なんか見ますと、積滞が十三万くらいしかない。ドイツが非常に積滞が多いといわれておっても、六十万くらいしかないのに対しまして、日本は二百数十万ある。しかも、じゃ日本は建設の速度を落としているかというと、世界最高のスピードで建設をしておる。二百八十万とか三百万というような建設をしておるわけでありまして、したがって、どうしても建設の資金が要る。そのために、今回お願いしております拡充法、加入者に負担していただく拡充法の延長をやっておるわけでありますが、そのほかの資金源として、政保債とか、あるいはまた今度新たに道を開いた、これは、初めはそう大きな額に期待できないのでありますけれども、だんだん育てていきたい政府保証なき公募債、いわゆる会社でいうと事業債に該当するようなもの、こういうようなものもあわせて育てていく。それからまたデータ通信等につきましては、わりあいに使用者が限定されるようなこともありますので、ことに中央装置等につきましてはやはり縁故債を活用していく必要があるのではないか、こんなふうに考えております。  資金等につきましては、安定、確実な、しかもできれば金利が安いものが望ましいわけでありまして、そういうものを確実に得ていく。ある年には得られたけれども、その次の年には得にくいという形ではなくて、確実なものをやはりやっていく、こういうことが必要であるというふうに考えております。
  145. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 抽象的なので私もはっきり総裁のお気持ちがわかりませんけれども、われわれとしては、ある時期には確かに、積滞の多いような時期には建設勘定がかなり大きくなってくるということはわからないわけではありませんけれども、建設勘定に、あまり建設投資をし過ぎて回収ができなくなってくると、それを急ぎ過ぎるとたくさんの利子を払わなければならない、そういう形になってきて、国鉄みたいな結果になるおそれもあるということを懸念をしておりますので、十分配意をしてやってもらいたいと思います。  それからこれは、私の一番初めの議論とは若干矛盾をするのですけれども、ちなみに、この法案が成立をした場合には、先ほど来の答弁によりますと、昭和五十八年三月三十一日で債券の引き受けは、加入者債はなくなるわけでございますけれども、データ通信等、これから需要がふえてくるようなものについても、一律にこの加入者債の引き受けについて、昭和五十七年度で打ち切っていいものかどうか、これはどうお考えになりますか。
  146. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 実は、先ほど一番最初に先生の御質問がございましたときに、この問題に関係いたしますので、やはり五十八年度までに「廃止するものとする」ということが私どもといたしましては一番望ましい姿だ、こう私は思っておるわけでございます。それは、現在時限立法のもう一つの書き方で申しますと、いま先生御指摘のように「消滅する」というぐらいな書き方しかないわけでございますから、好むと好まざるとにかかわらず、いま申されましたような点が効力を失ってしまうわけでございます。五十八年度までに廃止するものとする、あるいは廃止する、こういうぐあいにいたしますと、別の立法措置を必要とするわけでございますから、当然五十八年以前におきましても、場合によりましては加入者引き受けということを廃止をいたし、あるいは場合によってデータ通信等のものについては、先行きの需要等が見越された段階でいわゆる永久立法といいますか、公衆法の中に入れて、こういう暫定措置でない本措置をとることもできるか、そういう点もございまして、確かに先生御指摘のようにその問題ございます。いま私どもの原案でお願いをいたしております「廃止するものとする」という観点から申しますと、そういう形で消えてしまうのではございません。新たな立法措置をいたします場合に、加入者引き受けの制度についての再検討とあわせまして、ただいま申されましたようなデータ通信の関係状態等について、そのときには相当先行きの状態も明らかになろうと思いますので、債券引き受け等について考慮をすることができると思います。  ただ、現在の段階では、何と申しましても、公衆回線にいたしましても、データ通信回線にいたしましても、需要その他が非常に不確実な数字しかございませんので、ここで具体的な法律案にして永久化するということは少し無理かと思うのでございまして、そういう意味でも原案のようなことが望ましい、ぜひお願いをいたしたい、私はこういうぐあいに思うわけでございます。
  147. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 遠藤局長、おっしゃることはよく理解ができます。しかし、理解ができるとすれば、むしろ私は、これを十年という長い延長でなくて、いま公社で綿密な計画のできておる七カ年計画を踏まえて、昭和五十二年までで一応終わらせて、その時点であらためて、いまお話しになったデータ通信等をどうするかとか、あるいは特退法についても、退職手当の問題についても、その時点でなお自動化が残っておるとするならば、その時点でどうするか、そういう問題を、この今日のような目まぐるしい経済の発展の中では、五年くらいで区切ってみて、五十二年にもう一ぺん検討したほうが、正確な計画、正確な検討ができるのではないか。何ぶん、十年先を見通してやれと言われますと、いまのデータ通信一つとってみても、私どもの感じからすれば、加入者債はもうなくしてもらいたいが、そのころからデータ通信が一番需要期に入るのじゃないか。それに債券の引き受けをしなくていいというようなばかな法律になってくるおそれもあるような気もしますので、原則として五十二年までで一ぺんこれを切って、そこで決して引き受けないというのじゃありません。その際にもう一ぺん国民的な視野から検討して、再検討すべきではないか。で、十カ年計画の延長を五カ年に変更するということが非常に好ましいように思いますが、どうでしょうか。
  148. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 私申し上げましたことでまた五年説のほうへ返ってこられまして、まことに申しわけないのですが、加入電話の関係あるいは五二末における積滞解消という状態を、一時的なものでなくて恒久的なものにするためにぜひ十年延長が、加入電話についてはそういう財源としての加入者引き受け制度というものを十年間は好ましい、こういうことはもう本委員会で先週来しばしば総裁お答えをしているとおりであります。  ところで、データ通信につきましては、五二末においてはたしてそこまでこまかいあれができるかといいますと、それは私は無理だろうと思うのでございます。特に公衆回線につきましては、加入電話との関係において、御存じのように非常に変動がございます。したがって、やはりそういう意味では五十八年末あたりが手ごろではなかろうか。場合によってそれより二、三年前になることはあるかもわかりませんけれども、やはりそれが、加入電話そのものの積滞状態というものが解消された時点というものが、やはり公衆回線等についても明らかになる時点ではないかと私は思うわけでございます。
  149. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 まだお聞きしたいことが多いのですけれども公社のほうも向こうに行かなければならぬということのようですから、最後に一つ、これは遠藤局長と思いますが、いまの専用契約、特定通信回線の使用契約について、これは端末部分は債券引き受けの対象になっておるようですが、この回線使用について債券の引き受けがないように私は思うのですが、もしないとするならばその理由。これはやるならば、データと同じように回線についても取るべきじゃないかという気がしますが、どうでしょうか。これを最後にお答えを願いたいと思います。
  150. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 整理をして申し上げますと、データ通信の中で、特定回線あるいは公衆回線をお借りになりまして、端末は御自分でおつけになるというやり方のものがございます。それから公社が直営でやりますものの中で、やはり公衆回線的な使い方、つまり従量制的にお使いになるものと、それから特定回線的に使うものとがございます。いずれも公衆回線につきましては、電話と同じものをいただきます、回線部分につきまして、端末のほかに……。しかし特定回線につきましては、先生御指摘のように、回線部分については現在はいただいておりません。またこの法律でも、そういうぐあいにはいたしておりません。これは一般の専用線との見合いでございまして、専用線の場合と同じような考え方でやっておるわけでございます。
  151. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 非常に質問がたくさん残りましたが、何か公社のほうも御都合があるようでございますから、次の機会に譲って、本日はこれで終わります。
  152. 高橋清一郎

    ○高橋委員長 この際午後三時三十分、再開することとし、暫時休憩いたします。  理事各位に申し上げます。午時一時二十分理事会を開会いたしますので、理事会室に御参集願います。    午後一時十二分休憩      ————◇—————    午後三時三十三分開議
  153. 高橋清一郎

    ○高橋委員長 休憩前に引き続き、会議開きます。  電信電話設備拡充のための暫定措置に関する法律等の一部を改正する法律案議題とし、質疑を続行いたします。土橋一吉君。
  154. 土橋一吉

    ○土橋委員 私は、郵政大臣米澤総裁にお尋ねをしたいと思います。  御承知のように、明後日郵便局やあるいは電話局、電報局などにおいて拠点をきめて、交通労働者を中心としてゼネラルストライキに匹敵するような賃上げを中心とする戦いが行なわれようとしています。これは私が申し上げるまでもなく、まことに重要なことであるし、国会においても、この問題については少なくとも全面的な善処と、さような事態におちいることなく労働者諸君の要求しておる大幅賃上げ、物価に即応した賃金体系をつくることが必要だと考えております。  そこで、郵政大臣は全逓、あるいは米澤総裁電電公社の諸君に対して、一体いま要求しておる賃金というものが妥当でないと考えておるのかどうか。妥当であるとすれば、当然これは受け入れなければならないのです。御承知のように、公労委の裁定を待つまでもなく、あるいは中央労働委員会などの決定を待つまでもなく、積極的に従業員の待遇を改善をするということは、これはスト権を取り上げたときの基本的な原則であります。物価が五%程度上がれば、当然人事院は勧告しなければなりません。同時に、政府はこれを忠実に執行する責任を持つ人事院制度というものをつくったわけです。それがいれられないで、あるいはそれが見通しがないのでストライキするのは、憲法第二十八条の規定に従っての当然の働く者の権利であります。そのために郵便がとまったとか、あるいは遅滞をするとか、あるいは電話や電信がとまるということはあってはならないことである。それがいま行なわれようというような状況下にありますので、私は、大臣と総裁がどういう所信をもってこの問題に対処する考えを持っておるのか。つまり、労働者が要求しておる大幅の底上げの賃金体系やあるいはその他の問題をほんとうに解決をするという決意を持っておるのかどうか。簡単でいいです。決意があるとか、決意はない、だけでけっこうでございますので、答えていただきたいと思います。
  155. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 ただいまの御質問でございますが、政府といたしましては、これは電電も含めてでございますけれども、一昨日、関係閣僚会議方針に基づきまして、郵政省電電また全組合員に対しまして有額回答をいたしたわけでございまして、その金額は、今回の新しくやらんといたしておりますベースアップ並びに定期の昇給を含めまして、昨年と同額ということで提示をいたしましたことは、御承知のとおりでございます。組合の要求が妥当であるとかないとかいうことは、いま私どものほうから言うべきことではないのでございまして、政府のとった態度だけについて御答弁申し上げます。
  156. 米澤滋

    米澤説明員 お答えいたします。電電公社といたしましては、昭和四十一年以来、特に労使関係近代化の路線を歩んでいるわけでありまして、ベースアップ等の問題につきましても、形はここ三、四年仲裁裁定の形をとっておりますけれども、実質的には調停段階できまる、この調停段階では公益委員労働者側委員使用者側委員がお互いに話し合ってきめるということでございますから、調停段階で実質的決着をつけるというようなことで、私も政府関係閣僚にいろいろお願いしたり説明したり、そういうルールをつくりつつありますが、このルールは今後ともぜひ継続していくのが私は望ましいのじゃないかと思います。  それから、一昨日有額回答を団交の席でいたしました。これはまだ予算がきまっていないことや、また民間賃金が出そろっていないという時点におきまして、額そのものについてはいろいろ御意見もあろうかと思いますが、公社がまずしたというその事実は、私はやはり昨年の状況とほぼ似ているのではないかというふうに思っております。ただ、昨年の時点に比べますと、まだ民間賃金が出そろっていないという点におきまして、額そのものについては多少問題があるかもしれませんが、そういうことで処理をしたつもりでございます。
  157. 土橋一吉

    ○土橋委員 廣瀬郵政大臣にお尋ねをいたしますが、あなたは、昨年並みの六千八百四円のいわゆる賃金ベース引き上げの問題について回答したというような内容だと思うのです。これは日本経営者団体連盟から、御承知のように、鉄鋼労連の一発回答を中心にやろうじゃないか、それまでは一万円台以上の回答をしてはならないというような、つまり独占資本メカニズムによって、官庁の労働者までもそういう方向に押えられておるわけです。ところが実際あなたも生活をしてよく御承知だと思いますが、最近は郵便料金、電報料金、あるいはまた諸物価が非常に上がっております。ここにおられる公務員の皆さんも、みなはだをもって感じておられると思うのですが、そういう中で、昨年並み回答をして一体いいものかどうか。それは佐藤内閣労働賃金を抑圧をする体制と独占資本が考え出したそういうものにすぎないのであって、やはり労働者の生活を守るということは、事業そのものを継続したり発展させる意味において非常に重要な問題であります。ですから私は、郵政大臣が昨年並み回答をしたというような、そういう答弁ではこの郵便がおくれるとか、あるいはストライキが行なわれるというようなことについて、むしろ郵政大臣が助長しておるのじゃないか。言えば、挑発的な行動をかけておいてやらせるようなことである、かように私は考えたくはございませんけれども考えざるを得ないのであります。やはり労働者諸君の要求をまず満たす、現在の佐藤内閣の低賃金政策を打ち破るという政策をとっていただく先頭に立っていただくことを要望したいと思います。御承知のように、賃金問題というのは、人事院なんというごまかしの機関が出てきて、そしてえてかってな裁定でものが済むわけじゃないのです。これはやはり労使間におけるところのそれぞれの歴史的な経過と力関係によって決定すべきものでございまして、法律の規定にそんなものをつくったから、それでいいんだというようなことは許されないことなんです。公害問題一つとってみてもわかることなんです。ですから私は、郵政大臣が自由民主党に所属しておる議員であって、しかも郵政大臣であるという、そういういろいろな手かせはございましょうけれども、働く者の立場に立ってやはり待遇改善をするんだ、少しでも底を上げてやるんだ、少しでも物価の高騰によって苦しんでおる労働者労働力再生産のために努力をするんだという見地を、私はぜひお願いしたいと思うのです。また米澤総裁もそうです。そういう調停で事が済むだけの問題じゃないわけであります。やはり今日の、皆さん計画をして、いま発表されておるような問題は、これはすべて労働者諸君の結晶のたまものでございます。もちろん皆さんの指導よろしきも得たでしょう。しかし、中心はやはり現場において働く労働者の成果がこのような結果を生み出している。その基礎である労働者労働力再生産の力を弱めたり、物価生活でどうにもならない、こういうことを放置しておいてどんなにいい計画を出しても、私はむだだと思うのです。ですから、米澤総裁もやはり働く者の立場に立って、大きな計画や目的も非常に必要です。しかし働く者の生活を考慮しないそういう計画も、またそういう進め方はわれわれ納得できない。ぜひこの問題については、もしストライキ、そういう事態が起こる場合には、郵政大臣米澤総裁の全責任であるし、われわれ国会においてもそういう点も十分考えなければならない問題であるというふうに考えておる次第でございます。最後でけっこうですから、米澤総裁、どう考えておるのか。
  158. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 この問題につきましては、きょうの午前中のこの委員会におきましても御質問がありましたので、かなり詳しく御答弁を申し上げておいたのでございますが、私ども郵政事業並びに電電公社の事業ともに従業員がその基幹をなしておる、運営については、非常に大きな役割りを果たしておられることについては十分に認識をいたしておるのでございまして、したがいまして、労務対策あるいは処遇の改善というようなことについては、絶えず熱意と関心を持っておるつもりでございますが、今度の問題につきましては、ただいま電電公社総裁からもお話がありましたように、御承知のように、まだ予算成立いたしておりません。しかも二十四日に有額回答をいたしたわけでございますけれども、当時は民賃も三つしか出そろっていなかった。鉄鋼、それから船、それから私鉄というようなものでございまして、そのうち鉄鋼は一回限りの回答であるかと思いますけれども、これは昨年と同額でございます。それから私鉄は、去年より少し上がっておる。それから船は去年より下がっておるというような、民賃におきましては、水準になります三つが、上がったものもあれば、下がったものもある、同じものもあるというような情勢下に第一回の有額回答をいたしたわけでございますから、私ども回答は、民賃を考慮に入れなくちゃならないということになっておるわけでございまして、そこで結論におきましては、同じものもあれば、上がっておるものもあれば、下がっておるものもありますので、その中をとりまして同額回答をした。しかし、予算成立がまだない、しかも民賃の出そろいがないというのだけれども、私どもは、三公社五現業におきましては、予算成立前提とするということであっても、一日も早く、一刻も早く第一回の有額回答をやるべきだということについて、私は、微力ながら努力をいたしたつもりでございます、これは知る人は知っておりますけれども。ということは、そういうことにおいては、全く私はあなたと同じ気持ちだと思っておるわけでございますが、しかし、そういうような諸情勢下におきまして、また電電公社総裁といたしましては、この有額回答が今回のベアとそれから定期昇給と合わせまして昨年と同額であるということについては、いささか意見がある。ベアそのものを考慮してもらいたかったというような御意見もおありだということは私も推察しておるわけでございますが、しかしまあ政府方針関係閣僚協議会協議でそういうことになったわけでございますから、これはいま三公社五現業、そのうちにおきましても国鉄は取り残されたわけでございますけれども、これはまあやむを得なかったわけでございまして、それがそのまま最終的な決定になるわけでもございませんし、今後、翌日から直ちに公労委調停に入ったわけでございますから、この調停が先生のおっしゃる物価とか、あるいは料金という各種の高騰の状況等を勘案いたしまして、妥当適正な線を出していただくようなことを期待をしておるわけでございまして、その間私どもでできますことは、側面からでもひとつ微力を尽くしたい、こういうふうに考えておる衷情だけは持っておることを御推察をいただきたい、かように考えておるわけでございます。
  159. 米澤滋

    米澤説明員 ただいま郵政大臣から御答弁がございましたが、私も電電公社職員が非常に熱心に仕事をしておるということは十分に認めておりますし、また公社の事業が国民の皆さまからわりあいによくやっておるということを言われておりますのも、結局公社職員が熱心に仕事をしておる結果だというふうに考えております。  なお、現在、ことしの春闘のベースアップ問題については調停委員会に移っておりますが、私もできるだけ賃金引き上げ問題については、私なりに努力をしたいと考えております。
  160. 土橋一吉

    ○土橋委員 本日の質問は、ただいま上程をされておる電信電話設備拡充に関する法律でございますので、私は、できるだけ努力をしていただいて、そして労働者の諸君が満足をする、あるいは納得をするような賃金体系が、あるいはベースアップができまして、ストライキが未然に防止ができるということが好ましいではないか、こういう観点を貰いているものでございますので、御了承を願いたいと思います。  さて、今度上程されました法律案は、これは暫定措置に関する法律でございますが、内容はそれぞれ違うのじゃないか。たとえば電話債券といわれておる債券購入の問題、これだって内容がそれぞれ違うわけです。ですから、私たちは、その内容の違いに応じてそれぞれその関連を持って、賛成をするものもあるし、反対するものもございます。また電話交換機のいわゆる自動化に伴いまして職員の引き揚げ、過剰者をやめさせるという問題、この給与に関する問題、いま一つは、いわゆる電話債券といわれるものに対する質権設定の問題ですが、これは三つとも違うのじゃないですか、内容が。なぜこういう法律を一括して、そして国会の審議では、御承知のように、賛成か反対か、日本共産党は棄権ということがあり得るのだ、国連やあるいはフランスの国会においてもこれは認めておるのであるから、当然わが国会においてもそうすべきである、こういう観点を持って今日も進んでおるわけです。そうしますと、ここに書いてある法律案はそれぞれ違った内容のものを一括して上程しておいて、これで賛成か反対かを問うというようなことは、法律の趣旨そのものも違うし、提出のしかたが間違っておるんじゃないかというふうに私は考えますが、郵政大臣総裁は一体どう考えているのか。内容は違うのですよ。債券購入の問題については一つの系統として関連性を持っておるわけですが、従業員の退職金の問題、これは全然別個の問題です。関連は多少ありましょう。また質権設定の問題もそうです。これは民法上の規定を中心とする商取引法上の問題であります。したがって、暫定措置に関する法律と何の関係もないことなんです。なぜこんなことを一括して上程したんでしょうか。
  161. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 この一括御審議願っております三法を全く関係がない異質のものだとおっしゃいますけれども、私は非常に関係がある、かように解釈して一括して出しておりますわけでございます。と申しますのは、第一に拡充法でございますが、これは電話の需要が非常に熾烈である。それにこたえてすみやかに積滞をなくするという方針で、それにはあと十カ年間くらいは必要であろうということで提案をいたしておりますわけでございまして、そういうことによってだんだん自動化も進んでいく、進んでいくということになれば、それによって退職者も出さざるを得ないというわけでございますから、特退法にも関係を持ってくるということになるわけでございまして、さらにその需要が供給を上回るということになれば、質権抵当の問題も依然としてその必要が継続するということになりますわけでございますから、この質権法も拡充法に関係を持ってくるというようなことになってくるわけでございまして、三つが一連の拡充法に関係を持った法律案である、こういうふうに私は解釈いたしておりますわけでございます。さらに、その終期におきましても、昭和五十七年度といたしておりますわけでございまして、これは三法とも軌を一にいたしておるということで、同じ終期を持った三法でございますからこれまた一括御審議を願うことのほうがかえって御便宜ではなかろうかと考えまして、提案をいたしたわけでございます。賛成のものもあれば反対のものもあるとおっしゃいましたが、どうかより好みをなさらずに一括して御賛成を賜わりますよう、切にお願い申し上げます。
  162. 土橋一吉

    ○土橋委員 たいへんユーモアに富んだお話で、それは大根づけと奈良づけであってもそんなことはかまわないわけです。それはちゃんぽんでもいただけるわけです。しかし、この内容自身が、いま申し上げたように拡充の基本というのは電話債券を買わせるということでしょう。それから生じてくるところの問題としては、質権の問題がある。片方は、要するに交換機の自動化が進んできたために過剰の人が出たから、これを特別な金をやって退職していただくか、さもなければ奮発して別の職種につけるような、そういうことをやるという内容でしょう。電話債券を買うことと交換機の自動化に従って過員が出たというのと、何の関係がありますか。それは郵政大臣、おかしいですよ、そんな答弁をしているんじゃ。
  163. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 お答えいたします。私のことばが説明が足りませんで恐縮いたしておりますけれども拡充法と申しますのはただいま申しましたように、電話を申し込めばすぐつけられるというような状態に持っていくということでございまして、その過程におきましてだんだん自動化も進んでいくわけです。ですから、この自動化が進んでいく過程におきまして特退法が必要になってくるということでございまして、そういうかかわりがありますわけでございます。  それから質権法におきましては、もし電話が申し込めばつくというような状態になりますと、電話を質に入れて金を借りるというようなこともあるいは必要がなくなるのではないかと思っておりますわけでございますが、そういうような質に入れなければ電話の架設ができないというようなことだと質権の必要がございますわけでございますから、これもかかわりを持っておるというように私は考えて一括お願いいたしておりますわけでございます。
  164. 土橋一吉

    ○土橋委員 時間の節約上、その問題については、一応私たちは内容の違うものを一括して上程して、そうして大根づけか奈良づけかというようなわけではなくて、これは全然違った内容、それぞれ討議をすべき問題である。それを設備拡充に伴う暫定措置法律で一括して上程しておいて国会の審議が賛成か反対か。こういう機構の中でこれをやらせるということはまことに不都合千万だ。別個にこれは上程してそれぞれ国会の意思を問われるという態度が正しいのではないか、こういうことを言っておる。で、これ以上は話の内容を進めていこうと思いません。  そこで、拡充法で問題になるのは、現在の専用契約に従うところの債券購入の問題ですが、なぜ、たとえば専用回線というようなものやあるいはその債券購入が安いのか。末端器を買うだけの金でそれがつけられて、債券の購入がたしか一万円になっておるはずですが、なぜそういう安い金でサービスを提供しなければならないのか。あるいはデータ通信などの設備に関する問題では、これまたいわば私どものことばで忌憚なく言わせていただけば、資本家です。これらの諸君からはちょうだいしたらよろしい。ところが、これから電話を架設しようという千九百万台といわれておるうちの千五百万台の層というものは、どういう層であるのか、どういう層から電話債券の金を吸収していこうとしておるのかという点が非常に問題であるということを私は主張する立場から言うわけです。たとえば大体いままで電話を持っていらっしゃる方は、事業形態、あるいは裕福ないわば中小商人、あるいは働く中でもどっちかといえば裕福な人です。ほとんど大部分の人はそういう方が電話をつけているわけです。これから電話を申し込もうという人は、貧乏人あるいは非常に遠距離であって、どうしても電話をつけなければぐあいが悪いというので電話をつけるという方が多いように私は思うわけです。いいですか、そういう層がこれから多くなってくるわけです。ただし、四百万台というのは事業電話なり資本家階級がつける電話でしょうから、それはいいですよ。しかし、これからの層から考えまして、いわゆる専用契約については非常に安い料金を取っておるのは、どういうサービスであるから安いというのか、あるいはたとえば私は立川に住んでおりますが、立川は何十万という電話があるから、その人の電話がかける対象が多いから、料金が高くて、電話債券を買ってもいいじゃないかということならば、電電公社のサービスという内容が非常に疑問になってくるわけです。こういう点から、専用契約についてなぜ債券が安いのか。
  165. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 お答えいたします。専用回線につきましては、ただいま先生一万円とおっしゃいましたが、一万円は現行の設備料でございまして、債券は専用回線についていただいておりません。直営の端末部分の場合にはいただく場合がございますが、回線部分についていただいておりません。したがいまして、先生のおっしゃいますように、一般の電話に比べまして専用回線が債券をいただかない理由でございますが、これは専用線というものが公衆法に規定がございまして、私ども仕事はまず電話をつけることが主目的でございまして、専用線というのは、そういう電話をつける加入電話あるいは加入電信等の公衆電気通信役務の提供に著しい支障のないとき、あるいは支障がなくて公共の利益のためにぜひ必要だというとき、つまり余裕のあるときに専用線を認める、こういうぐあいにいたしております。私どもといたしましては加入電話のほうに全力を注ぎまして、余裕のある場合に限りまして専用線を提供する、こういうことが公衆法できめられております。したがいまして、その趣旨でただいま申し上げました債券の提供をいたしておらないわけでございます。
  166. 土橋一吉

    ○土橋委員 私は間違っておりましたので訂正いたします。機械一台について一万円です。債券は買わせないようになっておるわけです。私は逆ではないかと思うわけです。それは専用回線をつけて四六時中電話を使っておる諸君が、いわば電話を重要な一つの営業上あるいは仕事上の武器としておるわけです。たまたまラーメン一丁くれとか、友人のところに電話をかけるとか、こういう人は十五万円の債券を買わなければいかぬ、そして専用で使っておって四六時中使っておるものは電話債券を買わなくてもいいというのは、一体サービスの関係からそういうことになってくるのか。当然そういう人は事業をやっておる人でしょう。一定の経済的余力を持っております。ですから私は電話債券でもどんどん買っていただいて、大いに公社資金調達の面にも御尽力を願うというのがあたりまえじゃないですか。それなのに、電話債券も買ってもらわない。そしてこれから千五百万という貧乏な人に十五万なら十五万、十三万なら十三万の債券を売りつけていくということは酷なことじゃないですか。いかがですか。法律がそうなっておるといっても、なぜそういう専用回線を利用する人に対して債券購入などをやってもらわないのか。
  167. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 お答えいたします。ことばをかえて申し上げますと、私ども債券を引き受けていただきます関係で、引き受けていただきます以上は、先ほど申し上げましたように、できるだけ全力を注ぎまして、少なくとも五十二年度末までには積滞を解消したい、こういう努力の基盤が生まれるわけでございます。専用回線につきましては、債券をいただきますと、やはり同じように専用線の申し込みにつきましては先ほど公衆法にきめられているように、余裕があれば貸すという程度では済まなくなるだろうと思うのであります。やはり私どもの第一目標といいますものは黒電話の、先生のおっしゃいますような大衆の電話に主力を注ぐべきでございまして、余裕がありますれば専用線としてお貸しをする、こういうたてまえになっております関係で、そういうたてまえを貫くためにいま言ったような措置になっておるかと思っております。
  168. 土橋一吉

    ○土橋委員 委員長もお聞きになってわかりますように、これは特定の間において通信をやっておる。したがって、対象が多くの対象になっていない、こういう観点が多いと思うのです。電話債券を購入する場合もそうでしょう。つまり加入地域が非常に電話の数が少ないところは、債券の購入の額が少ないわけです。対象地域で多いところに住んでおれば、やはりランクをきめまして、たくさんの高い債券を買う、こういうことになっておるわけです。ところがいま申し上げまするように、公衆電気通信法というのは、要するに特定の人のサービス、そういう電気通信を利用して通信をするというのが基本の業務であるわけです。ですから専用の方々からこそいただきませんと、広域時分制をつくった問題と電話の専用線の問題が一緒になってまいりますと、これは将来電電公社の業務上に大きな問題を残すし、禍根を残すというふうに私は見ておるわけです。ですからここをしつこく質問するわけなんです。この点は御了承願いたいと思うわけです。  次に、今度の計画で、加入電話増設は住宅電話が大体八〇%ぐらいじゃないかというふうに私は思うのですが、いかがでしょうか。
  169. 清水通隆

    ○清水説明員 お答えいたします。四十八年度から五十二年度までの五カ年間の新規需要千二百万と考えておりますが、そのうち住宅用が八一%の九百七十万と考えております。
  170. 土橋一吉

    ○土橋委員 それに要する総工事費は、四十六年と四十七年はどれくらいな割合になっておりますか。工事総額のうちどれくらいの比率を占めておるのですか。
  171. 清水通隆

    ○清水説明員 こまかい数字はちょっと分計いたしておりませんが、事務用も住宅用も設備にかかりますお金としましては、それほど大差がないというふうに考えております。
  172. 土橋一吉

    ○土橋委員 私のほうの調べた資料によりますと、四十六年度は七千九百四十一億円の工事総額のうち、四百四十三億円が要するにいまの電話に使われるお金、また四十七年度の場合は九千八百十五億円のうち五百二十一億円、つまり前者は五・五%、後者は五・三%の比率にすぎないというふうに私どもの資料では調べておるのですが、間違いないのか。
  173. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 お答えいたします。いま先生のおっしゃいました数字は、工事総額のうちの何の工事が五%でございましょうか。
  174. 土橋一吉

    ○土橋委員 これは工事総額というふうに私のほうは記録しておりますが。
  175. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 工事総額はわかりますのですが、その五%に該当いたしますのは工事総額のうち何の……
  176. 土橋一吉

    ○土橋委員 おもな点は黒電話。
  177. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 黒電話でございますか、それはちょっと違うかと思いますが……。
  178. 清水通隆

    ○清水説明員 ただいまの御質問に直接お答えしておるかどうかちょっとわかりませんが、四十六年度では八千七百六十億を相当額としておりまして、そのうち八千百十億円を電話の投資というように考えております。
  179. 土橋一吉

    ○土橋委員 この数字の内容についてはまだ私のほうで習熟いたしておりませんので、この内容の質問はこれで打ち切らしていただきます。  ただ問題は、電話債券購入に伴いまして、たとえばデータ通信の建設の費用であるとか、あるいは同軸ケーブルの敷設の費用であるとか、マイクロウエーブさらに市外ケーブルなどのそういう予算が、この電話債券の購入を中心として支出せられるのではないか。もちろん先ほど阿部委員のいろいろな設備費用のいわゆる財投の問題なども出ましたけれども、こういう点について私たちは非常に疑義を持っておりますので、わかりやすくその内容を説明していただきたいと思うのです。
  180. 清水通隆

    ○清水説明員 ちょっと質問の御趣旨わかりかねてあれでございますが、一応現在七カ年計画等で使っております数字を申し上げますと、新しくおつけいたします電話、一加入当たりの総合単金としては約三十八万円から九万円という数字でございますが、現実に電話をおつけいたしますときに、新しいお客に対します投資という面では約二十六万円ということでございます。ただすでに現在かなりの稼働しております電話がございまして、このお客に対します維持、改良分、特にダイヤル即時等を維持していきますためにかなりのお金が必要でございますので、先ほど申し上げたように、必要な電話の投資額を、新しくおつけするお客さまで割りますと、約三十八万円とか九万円、こういう数字になるわけでございます。
  181. 土橋一吉

    ○土橋委員 それでは、この内容については私どもでもまだ習熟しておりませんので、この質問を打ち切りまして、これから電話をつけるという千五百万台なり千三百万台の層というのは、私が先ほど申し上げたような層に間違いないのかどうか。
  182. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 お答えいたします。非常に貧乏であるというおことばがございましたが、そういう点を除きましては、いわゆる住宅電話が中心になりますという意味では、確かに先生のおっしゃるとおりでございます。
  183. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうしますと、平均して電話債券は大体どの程度債券になりますか。
  184. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 これは午前中の御質疑でも出ましたように、大体十万円強、十一万円弱になろうかと思います。
  185. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうしますと、率直に申しまして、電話をつけてくださいということを頼めば、架設料が五万円と十一万円足らずの電話債券を買う、こういうことになりますか。
  186. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 お答えいたします。そのとおりでございます。ただ、債券につきましては御存じのように一時お金を拝借するわけでございますから、換金性も十分ございます。
  187. 土橋一吉

    ○土橋委員 換金性の問題は電話債券を買った人の意思によることであって、経済状態によることであって、法律の規定でいま申し上げるように多くの方々が五万円と十一万円何がしの金がなければ電話がつかないというところに問題があるわけです。先ほど申し上げたように、データ通信とかあるいは専用回線などをお使いになっておる、そういうかなりの資産を持っている方には大いに協力をしていただいてもけっこうです。しかし、法律できめまして、電話債券を購入しなければ電話が架設されないというこの問題が中心であるわけです。これからますますそういう層の方が多くなるということと、それから営業上の都合によってさらに電話がどうしても必要だという層がだんだんふえてくるわけです。営業上必要であるとか、事務上必要であるという方は、電話債券でも買っていただくし、大いに協力していただいてけっこうなんですよ。ところが、隣のうちも電話を買ったからうちも買わなきゃいかぬ、そういうことでつけようという方も多いわけです。そうなってまいると、一般の勤労者、大衆から、債券を直ちに売ることができるとか、質権設定ができるという問題から、逃げてはならない問題であって、やはり経済的に困っておる人が、電話はつけたいけれども債券も買わなければいかぬし、架設料は五万円だ、ここに問題があるわけです。ですから今度の債券購入に関する問題は、要するに事業を営んでおる人や、また相当経済的に余裕のある方からは十分いただく体制をとっていいと思うのです。できるだけランクを下げるなり、あるいは電話債券を購入させないで要求があれば直ちに電話はつくのだという、これから十何年あとのような時代をいまつくっても間違いではないというふうに私は考えておるわけです。いかがですか。
  188. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 お答えをいたします。いま先生のおことばの中に、隣にも電話があるから自分のところも電話がほしいというような一種のぜいたく品と申しますか、そういう意味で電話をつけられる方ではなくて、これからの電話というのは、やはり住宅における生活必需品のようなものになろうかと思います。したがいまして、それに対しまして五万円の設備料あるいは平均十一万円の債券を引き受けていただくということが、非常に負担が多いかどうかという問題であろうかと思います。それをあらわします一つのバロメーターといたしましては、現在すでに五万円の設備料と十一万円の債券をいただいておりますけれども、ただいま積滞として残っております、現在時点で約二百五十万の積滞のうちの大半は住宅電話でございまして、現にありますそういう条件にもかかわらず、住宅電話の需要はどんどんふえて、私ども電話局のほうへお申し込みが殺到しておるような状態でございます。さらに負担がふえるというのではなくて、現状でそういう状態でございますから、私どもといたしましてはいまの時点でそういうことがいえないのではないか。したがいまして、将来におきましても、先生のおっしゃいますような住宅電話に対しまして、そう過酷な負担というふうには一般経済的には見るべきでないのではないかというふうに思っております。
  189. 土橋一吉

    ○土橋委員 遠藤さんにお尋ねしますけれども、あなたのように高給の職員になれば電話の料金なんかそんなに問題ではないと思うのです。また架設料もそんなに問題ないと思っております。ところがいま多摩ニュータウンでも問題が起こっておりますように、見たところは非常にりっぱな多摩ニュータウンに入るわけです。入るにあたりましても、相当むずかしいいろいろな条件をつけて入っておるわけです。ところが実際は経済はそう思わしくいっていない。家賃も高い。そこでお隣さんが電話をつけるといえばやはり自分のうちも電話がなければ何かさみしいような、何かしらん肩身が狭いような、これは実際問題としてそうなんです。そこでそういう人が十五万、十六万くらいですか、その金を用意しなければ要するに電話がつけられないということになってくる事態が間間あるわけです。私も十年くらい前には電話がなくて困っておった。知り合いのうちに行って電話をかける。どこへ行きましてもなかなかそう——電話も君は持っていないのかということでは、世帯を持っておる者としてはまことに気の毒なことです。こういう経験から考えまして、今度の電話債券の購入の問題については、できるだけランクを下げて、建設の投資は先ほど大蔵省の説明にもありますように、また電電公社が自前で一定の借り入れができるというだけ発展をしておるのですから、そういう大衆収奪的な面で建設をするのではなくて、建設資金は別に国家なりあるいは借り入れ金によってやって、そういうことをしないでもやっていけるようになってほしいということを私は願っておるわけです。つまり働く人たちが苦しんで電話をつけるのではなくて、楽々と電話がつけられる、そういう方向にやっていただきたいというのが私の主張の眼目であるわけです。ですから、あなたの生活体系から見るのではなくてもっともっと貧しい、世間ていはりっぱなように見えても経済的にはもっと困難をしておる、こういう事情の人が電話債券を買うことが大きな問題だということを言っておるのです。先ほどのあなたの説明によっても、ましてこれからつける電話はそういう階層の方が多いわけです。そうすればランクを下げるか、あるいは電話債券というものはここで廃止をするような体制をとるべきであって、この前の約束でも一応そういうふうになっておるわけですから、私はそういう点を質問しておるわけです。質問の趣旨はおわかりになるでしょう、いかがですか。
  190. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 お答えいたします。どうも答弁がまずくて御迷惑をおかけいたしましたが、私が申し上げましたのは、先ほど計画局長が申しましたように、事務用の電話でございましょうと住宅用の電話でございましょうと、建設のお金は同じだけかかるわけでございます。したがいまして、資金といたしましてどこからか資金を持ってこなくては、これだけたまっておる需要を充たすことができない。もちろん先生がおっしゃいますように、いろいろな方面からの資金努力いたします。しかし、今日の加入者債というものが、ことばが悪いかもしれませんけれども、それほど負担になっておるかということをあらわしますバロメーターといたしましては、需要がそれによって減退をしておるかということを申しますと、幸か不幸か現在の加入者債と五万円の設備料になりましても需要のペースは少しも落ちておらないということもひとつ御参考になるのではないかと思います。この法律ができました十三年前の十一万ないし十五万というお金と、今日の十一万、十五万という貨幣価値の問題もあろうかと思います。またあの当時は十万円の債券を買いまして、ほんとうに買うお金がないという方もずいぶんおいでになりました。さればこそ先ほど先生がおっしゃいましたように、質権法と無関係ではないかとおっしゃいましたが、そういう方のためには新しい電話を質に入れて銀行から御用立てするという道も、この関連で法律ができておるわけでございます。そういう道は現在でも残っております。またあのころは電話局で十万円の債券を買いまして表へ出ると、もうすでにエプロンをしたおばさんが待っておって、六万とか五万とか、足元を見透かして買いたたく、こういうこともございました。しかし、今日では債券の価格も安定をいたしまして、十万円でお買いになった債券が、先ほどお話が出ましたように最近千円くらいプレミアムがつく、これは異常な状態でございましょうが、決して何割も買いたたかれるということではなくて、換金性も、大証券に持っていきますればすぐ換金できる。五%くらいのあれで換金できるような状態が相当長期にわたって続いております。そういったような意味から申しますと、いま新しくつくります制度ではなくて、この十三年の経緯を見まして、この状態で住宅電話というものに対して私どもはあまりそう特段と過酷な条件というようなぐあいには解しておらない、こういうお答えを申し上げたわけでございます。
  191. 土橋一吉

    ○土橋委員 私は納得しかねるのですけれども、あなたの御説明の、たとえば物価高騰によって昔の十何万といまの十何万とは違う、これも私はよくわかります。また、電話が必要で、積滞が二百九十万とか、今日は二百五十万もある、その点もよくわかります。しかし、沖繩県の場合は、御承知のように二十六ドルで電話をつけておったわけです。三百六十円レートの場合でも、御承知のように二十六ドルの場合は大体九千円足らずで電話をつけておったのですね。それで御承知のように、沖繩というのは非常に小さい地域でございまして、経済力も非常に乏しいといわれておるところなんです。高度に発展をした日本において、しかも電電公社がいま発展をしておるような状況下において、電話債券を買えということは、沖繩のあの公社が、貧しい経済の中で二十六ドルで電話をつけておる、日本では架設料が三万であるとか、電話債券がどうであるとかいうことになっておるからして、この沖繩と比較してみても電電公社のやり方は少しむごいではないか、少しひど過ぎるではないか、こういう点が私の頭から離れないわけです。こういう点を私は考えておってそういうことを申しておるので、私どもの言い分も一応了解していただきたい。  さて、次は、交換機の自動化によって職員が過剰になってきたという場合に、どういう条件の人にこの交付金を出すのですか。つまりいわゆる特別の退職金と申しましょうか、それを出すようになっておるのですか、その基準はどういうところにあるわけでしょう。
  192. 山本正司

    ○山本説明員 電話の自動化に伴いまして、電話取り扱い局におきまして一時に多数の電話交換要員が過剰となる場合に、本法を適用いたしまして特別の給付金を支給するわけでありますが、その手続は法三条に書いてあるわけでございますけれども、配置転換及び職種転換ができない場合あるいは郵政省または公社の常勤の職員として雇用されない場合、それから以前に特別の給付金の支給を受けた者を除く、こういった場合に、あらかじめ郵政大臣あるいは公社総裁が指定しました自動改式をやります局所において指定した日までに退職を申し出た先ほど申しました三つの条件に合致するものに対して、特別の給付金を支給するわけであります。
  193. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうしますと、いまのお話のように、どうしてもやめなければならないような、たとえば地方局におきまして、非常に遠いところの局にいるわけです、他の特定局につとめるのも困難だというのでどうしてもつとめられないという条件の場合、あるいは上級職に上がっていくことができない、もう私はここでやめるという条件の方だけに支給しておるのですか。
  194. 北雄一郎

    ○北政府委員 配置転換とか、職種変更とか、あるいは公社へ行くというようなことができない、そういった人、概括して申し上げればそういうことになります。
  195. 土橋一吉

    ○土橋委員 この表を見ますと、やめた方の合計が三十九年から四十五年まで一万七百十五名になっておるのですが、四十六年と四十七年に予想される人は何名くらいですか。
  196. 北雄一郎

    ○北政府委員 両年度ともそれぞれ約三千名、こう相なっております。
  197. 土橋一吉

    ○土橋委員 私これは計算しておりませんが、平均して大体どの程度の金をもらうわけでしょうか。
  198. 北雄一郎

    ○北政府委員 ただいま申し上げましたのはちょっと間違いました。郵政だけでとりますと四十六、四十七年度それぞれ解任になる人が三千名でございまして、現行の率で申しますと、そのうち給付金をもらいましてやめる人がそれぞれ約一千名、こう推測しております。  それからどのくらいもらうかという御質問でございますが、この人たちは国家公務員等退職手当法の適用もございますので、その五条の関係と、それから本法によりますところの特別給付金と、両方合わせてもらうことになります。合わせまして大体百二十万円、こういうふうに踏んでおります。
  199. 土橋一吉

    ○土橋委員 この給付金は勤続年限とかいろいろな内容によって違うわけですが、ここにもいろいろ書いてありますけれども、平均してどの程度の給付金が出るのですか。平均してでけっこうです。
  200. 北雄一郎

    ○北政府委員 ただいま四十六年度におきまして両方合わせて大体百二十万と申し上げましたが、そのうち特別給付金だけをとりますと約五十万、こういうことでございます。
  201. 土橋一吉

    ○土橋委員 全日自労という労働組合で手帳を職安に返してしまうという場合に、手帳一つが大体三十万円であるとか、あるいは三十何万円であるとかいう話を聞いておるわけです。まあ条件がいろいろ違いますけれども、しかし五十万円平均で、たとえば勤続年数が、ここにもございますように相当高い人は最高で大体どの程度出しておるのですか。
  202. 北雄一郎

    ○北政府委員 一番長い、すなわちたくさんもらうのがどれくらいかという御質問でございますが、ちょっとそれは的確に調べておりません。ただ特別給付金法に関して申し上げれば、勤続五年以上の者は勤続一年について十カ月分でございますから、かりに二十年勤続でやめる人がありますれば——失礼しました。五年以上の者は十カ月分でございますから、結局十倍でございます、ですから、二十年勤続で、やめますときの俸給が、かりに八万円であるといたしますれば八十万円、こういうことに相なるわけでございます。
  203. 土橋一吉

    ○土橋委員 これは現在の物価高の中ではいろいろ問題もございますけれども、先ほど申し上げた職安の労働者、それですらも手帳返上、もちろんいろいろな問題はございますが、いま申し上げるような状況でありますので、私はやはりこの底を上げる必要があるというふうに考えておるわけです。職をやめるということは、退職することなんです。ですから、できることならば相当の待遇改善をしなければ、いまお話しになったように退職金も出るでしょうけれども、とてもじゃないが百万や百五十万の金をもらったのではどうにもできない。やはり少なくとも三百万以上の金が出なければ、今日退職をしたという場合にはなかなか困難であるというふうに私は考えておるわけです。私はこの底上げを要求したいのです。できるだけこういう方々には、やめてもらうわけですから、御本人がやめるというのではないのですから、要するに、局の都合で、機械化によってやめざるを得ないという人に対しては、まことにお気の毒なんです、特に地方において局が遠いためにどうしても行けない、交通の便もないというようなところについては相当配慮して、やはり底を上げてやる必要があると考は考えておる。いかがですか。
  204. 北雄一郎

    ○北政府委員 先ほどの私の説明、ちょっと不的確でございましたが、一つ試算したものがございます。勤続二十年といたしまして、一応七万八千八百円、こういうのが一つの標準の形でございます。勤続二十年としまして、やめますときの基準内給与が七万八千八百円、この場合、十カ月分でございますから、給付金としては七十八万八千円に相なります。と同時に退職手当法の五条の適用がございますので、こちらのほうで二百四十万円出ます。合わせますと約三百二十万円という金額に相なるわけであります。これは民間のそういった整理退職の際の給付額と大体均衡がとれておる、こういうふうに考えておる次第でございます。
  205. 土橋一吉

    ○土橋委員 三百何十万入って税金は一体どの程度取るのですか。
  206. 北雄一郎

    ○北政府委員 これは的確に存じませんが、退職給付の場合は、たしか普通の所得と若干違いまして相当高額の控除金額がありまして、その控除をこえた分だけに対してかかるようになっておると存じております。的確にはただいまちょっと存じませんが……。
  207. 土橋一吉

    ○土橋委員 国会議員の皆さんはよく御承知のように、私たちは累積して取られるわけですよ。ですから私のような役も何も持っていない国会議員でも約二百万近い税金を取られるわけだ。百九十何万だったと思います。そうすると、いまの税法によれば、三百二十万円もらっても税金が、いまのことばでいえばがっぽりかかってくるでしょう。これをやはり大蔵省と折衝し、そういう貧しい退職者に対する救済を考えておきませんと、税金でごそっと持っていかれてしまうということが起こってくるわけですね。そういう対策をお考えになったことがありますか。
  208. 北雄一郎

    ○北政府委員 申しわけありませんが、たいへんその点うとうございますので、よく検討した上で考えたいと思います。
  209. 土橋一吉

    ○土橋委員 もう時間が来たようでございますので、もう一、二聞いておきます。  電話の債権の、質権というのは、一体どういう根拠に基づいてそれが設定されるのですか。民法の六百四十三条の規定ですか。
  210. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 御承知のように電話の質権は電話の加入権に対する質権ということになっております。一般に質は物を預って、それに対しての保証契約ということになるわけでございますが、このような一般の債権につきましても、民法でも権利質等の規定がございまして、債権質という質の担保の方法の道を開いているわけでございます。しかし電話の加入権というのは非常に特殊な要件を備えているものでございますし、そのために、公衆電気通信法におきましては質権の設定を一般に禁止していたわけでございます。しかし、この電話の加入権というものが需給不均衡ということもございまして、一般的な市場価値を持つというようなことになりましたし、また電話の拡充法によりましてやはり新規の加入者に対して融資の道も開く必要があるという国会の附帯決議もございまして、特に簡易な方法で質権を設定する道を特別法として開いているということでございます。
  211. 土橋一吉

    ○土橋委員 私の知っておる常識から申しますと、これは債権に対する質権だと思うのです。そうすると、債権に対する質権は、普通質権というのは物件に対するものなんですが、有物に対する質権を設定する場合には、これは一種の債権契約上の権利に対する質権の設定だと思うのですよ。いかがですか。
  212. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 公社に電話の架設をしてもらいまして、その電話によりまして、継続的にサービスを受けるというそういう債権、これが加入権でございますが、こういう債券に対しまして担保の道を開いたというわけでございますので、これは一種の債権質というふうに理解していいかと存じます。
  213. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうしますと、たとえば質権者が他の債権者に負債を売って、その第三者が、質権支払いができないために電話加入権にたとえば抵当権を設定するとかあるいは差し押えをするというような場合にどういうことになるのですか。
  214. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 先ほど申し上げましたように、電話の質権は加入権という特殊の債権につきまして、一般的な禁止規定を、臨時的に、特例的に排除したということで成り立っているわけでございますので、この債権の実際の契約関係につきましてはいろいろ特例を設けておるわけでございます。したがいまして流質を禁止するとか、転質を禁止するとかという配慮をしながら、また質権の実行につきましては簡易確実な方法を別途考えている、法定しているというようなことで、加入権者としての利益を十分保護をするという立場でこの特別法ができているわけでございます。
  215. 土橋一吉

    ○土橋委員 要するに質権というのは他人の物件を登記をするか、さもなければ自分のところに持ってきて担保にしておいて、それに対して——要するにそれが質権なんですよ。有価証券の場合なら、有価証券を自分が預かって、そうして抵当状態にして担保にするわけですね。要するに他人の債権の担保になるわけでしまう。そうしますと、その担保になる質権者からいうと、何か証書をもらうとか、あるいは電話機を自分のところに持ってきておくとか、こういうことにならなければ質権にはならないわけですね。それ以外の場合だったら抵当権になってしまうわけですね。どういう形をとって質権というものを起こしているのですか。
  216. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 電話の質権につきましては、電話の加入者は自分が加入者として依然電話の使用ができるわけでございます。しかし、こういう質権があるという対抗要件その他法律関係は明確にしておく必要がありますので、これは電話局のほうが質権の登録事務を行なうということで、電話局がそのような原簿を持ちまして権利関係をはっきりさせておくという仕組みをとっておるわけでございます。
  217. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうでしょう。私は質権設定の問題は賛成です。これはやはり近代的な一つの流通過程においては有価証券であれ、あるいは債権契約であれ、あるいは動産不動産にかかわらず質権を設定して金融の便をはかる、あるいはその人の営業の手伝いをする、まことに必要なことです。この規定が延長されることは、その点については私は賛成です。しかしながら、先ほど申し上げるように、データ通信とか専用回線なんかについてはやはり相当の協力を願う、しかし、一般の貧しい人に電話債券を購入させることについては、私は賛成できない。どうしても、どう考えても私は賛成できない、こういう観点を持っております。ですから一括上程されますと、そういう内容が違うことを賛成か反対かということで結論するようなことは、審議全体から見ても非常にまずいことでございますので、私はその点を記録にとどめて私の質問を終わります。
  218. 高橋清一郎

    ○高橋委員長 樋上新一君。
  219. 樋上新一

    ○樋上委員 前回保留いたしておきました質権設定の問題でございますが、それを今回はさらに質問をいたしたいと思います。  公衆法の三十八条で質権設定を禁止しておりますが、その禁止の理由は何かお伺いしたいと思います。
  220. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 公衆法ができます以前から実は加入権につきましての財産権的な取り扱いが行なわれ、これが市場価値を持つというようなことによりまして、従来は質権の形じゃない形での譲渡担保、あるいは白紙委任というようなことで金を貸すというような手段が半ば公然と行なわれていたというようなこともあったわけでございますが、要するに電話の加入権というものは当時は逓信省、国が利用者の便利のためにつくった一種の利用関係ではございますが、やはりこれについては国がめんどうを見た資金等をつぎ込んでおりますので、これについて質権をさらに認めていくと、その法律関係等の管理について相当やっかいになるというような消極的な意見が強くて、この質権の設定ということを法律上は禁止をしていたという沿革があったと思います。しかし、さっき申しましたような現実の必要性からいたしまして、特に高利の不当な金融の犠牲になるというような事例も間々ありましたものですから、むしろ特例的な措置としまして、この質権を特別のワクをはめて新しく認めたほうがいいだろうということで、質権を臨時的に法制化したということでございます。
  221. 樋上新一

    ○樋上委員 米澤総裁にお伺いするのでございますが、この法案と拡充法との関連性について述べていただきたいのです。
  222. 米澤滋

    米澤説明員 お答えいたします。この拡充法は、電話の需要が非常にたくさんある、旺盛なる需要に対しまして、電話を架設する方に額をきめまして債券を負担していただくというのでございまして、拡充法については昭和三十四年の第二次五カ年計画を改定したときに、十三年間の時限立法としてお願いしたということでございます。質権のほうは、先ほど監理官もお話しがございましたが、もともと公衆電気通信法では質権というものはやれないことになっておるわけであります。しかし電話を架設する場合に、やはり架設する方にある程度負担をしていただく、その負担していただく際に幾らかでも庶民金融といいますか、そういうような面におきまして負担を軽減できる道を講ずるということにおいて臨時にこういう道を講じた。現在見ましても約四十万件くらいこれを利用されている方があるということは、国民の一部の方ではありますけれども、やはりこれが相当広い範囲に利用されているということを示しているのではないかと思います。そういう意味において電話の架設を容易にし、なるべく広い範囲の方が電話を早く架設できるような道を開くということにおいて関連があるというふうに思っております。
  223. 樋上新一

    ○樋上委員 電話加入権に質権を設定できる、いわゆる期限を延長する理由として、加入申し込み者が電話の設置に要する費用に充てる資金調達等に資するため、といっておりますが、その実情は一体どうなっておるのか。二つお伺いするのですが、電話設置と資金金融の件数はどのくらいかということと、二つ目には一件当たりの平均融資額はどうなっておるのかということをお伺いいたしたい。
  224. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 お答えいたします。ただいま残高で件数として約四十万ということを総裁が申しましたが、大体一年間に設定されます質権の数は全国で二十万件弱でございます。このうち銀行等と、その他のいわゆる事業協同組合というものとに分けまして、銀行等の件数で申しますと約一万九千件でございました。大半のもの、つまり十七万何千件というものは事業協同組合を通じて質権を設定しております。したがいまして、銀行等にありましては明確に加入申し込みの際の質権設定、つまり加入のための資金を獲得するための質権設定ということでございますが、この件数は大体一年で二千件程度でございます。それから事業協同組合のものは、これは若干推定が入りますが、質権設定数と電話加入数との関係から推定をいたしまして、大体一年間に一万六千件がそうではなかろうかと思っております。なお、その場合の融資金額は、債券金額を含めて、たとえば東京で申しますと約二十万円前後と聞いております。
  225. 樋上新一

    ○樋上委員 電話加入権に対する差し押えの中に民事訴訟法によるものがありますが、これらの件数はどのくらいありますか。
  226. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 お答えいたします。ちょっといま手元に数字がございませんのでわかりかねますが……。
  227. 樋上新一

    ○樋上委員 今度国税滞納処分及びその例によるもの、その件数はどのくらいありますか。
  228. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 それもちょっといま手元に数字がございませんので、後刻調べまして御報告をいたします。
  229. 樋上新一

    ○樋上委員 こちらで調べましたのは、この加入権の民事訴訟法によるものは全国で一万七千四十六件、四十五年度末でございます。それからまた国税滞納処分及びその例によるものの件数は全国で三十二万五千百五十七件、これが四十五年度末、こういうぐあいに調査しているのですが、間違いないかという点でお伺いしたのですが、大体このくらいだと思うのです。  そこで、なぜ私がこういうことをお伺いしたかというと、これは少し数字が多過ぎるのではないか。これに対してどのような処置がとられておるかということをお伺いしたいのです。
  230. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 御通知いただきましたときに電話局でその記録をいたしまして、名義変更できないようにいたします。
  231. 樋上新一

    ○樋上委員 これは大臣にお伺いいたしますが、この質権制度を実施した場合、質権の設定日をもって債権の調整に関する法律によって質権者が保護を受けているにもかかわらず、国税徴収法に基づいて質権法が侵害されているように私は思うのでございますが、この点について国税庁に対して郵政省として、これはもっと善処してもらうべきではないかということを私は申し上げるのでございますが、これは国税徴収法第十五条に「国税と被担保債権との調整」というところに「法定納期限等以前に設定された質権の優先」、こうありますが、この点はどうでしょうか。国税庁のほうにも来てもらっておるので、これはあとでお伺いするのですが、大臣の御見解を承りたいのですが……。
  232. 柏木輝彦

    ○柏木政府委員 この国税徴収法によりまする債権の差し押えといたしまして、電話の加入権の質権に手をつけるということはたいへん有効な手段でございますので、また簡便にそういうことができるということで、最近国税庁のほうで各税務署の現場の様子を聞いてみますと、この件数が非常にふえているようでございます。これは電話局のほうの手数といたしましてもかなりやっかいなことになっておりますし、なるべくこういうものはいまお示しのような趣旨にも従いまして、改善することを要するのではないかということを考えておりまして、この点につきましてはさらに公社ともよく相談の上、改善措置を国税庁のほうとも進めるようにいたしたいと考えておる次第でございます。
  233. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 ただいま事務当局から御答弁申し上げたとおりでございまして、ひとつ十分研究してみたいと思っております。
  234. 樋上新一

    ○樋上委員 この点について国税庁のほうの御答弁をお伺いしたいのです。
  235. 山田幹人

    ○山田説明員 お答え申し上げます。先生がお話しになりました十五条には、おっしゃいますように、法定納期限後、更正を打ちます場合には、その納税告知書を発した日と質権設定の日でどちらが古いかということで、差し押えがあとからでありましても国税のほうが優先する場合があることはお説のとおりでございます。それで、私どものほうで滞納処分によりまして電話加入権の差し押えをどの程度やっておるかということにつきましては、確たる統計を有しておりませんけれども、全体の業務統計から推計いたしますに、昭和四十五年度中における国税関係の電話加入権の差し押え件数は約五万件前後ではないかと推定しております。残りは、地方税あるいは国税滞納処分の例によりますものとして、最近多くなっておりますのは、各種社会保険による差し押えではないかと考えております。
  236. 樋上新一

    ○樋上委員 昭和四十五年度の資料によりますと、国税滞納処分及びその例によるものは全国で三十二万五千百五十七件となっておるのですが、この点はどうでしょうか。
  237. 山田幹人

    ○山田説明員 全体の数字は私どもでつかんでおりませんので、何ともお答えいたしかねます。
  238. 樋上新一

    ○樋上委員 東京、関東信越、東海、北陸、近畿、中国、四国、九州、東北、北海道と、こうずっと処分の数字は出ておるのですけれども、非常に多いのです。  そこで、昭和四十二年に「電話加入権質の差押え改善に関する請願」というものが採択されております。これはこういうことなんですね。「電話加入権質の差押え改善に関する請願。請願の要旨及び目的。現在、電話加入権質の臨時特例法が実施されているが、同法による加入権質百万件の設定中、二十万件余の国税徴収法適用の差押えがあり、この中には威嚇的な差押えもある現状である。これは大蔵省日本電信電話公社の協定に基づく作業によって行なわれているが、このような通信行政に関するものは郵政省においても検討の上改善されることが望ましく、とくに中小企業等の通信阻害の素因を排除するため、加入権質差押えの改善について措置されたいというのである。」そこで今度は、請願を議決しております理由といたしましては、「当該者の実情等を勘案し、なお検討すべきものと認め、よって本請願はこれを議院の会議に付して採択すべきものと議決した。なお、本請願はこれを議院において採択の上は、内閣に送付すべきものと認める。右報告する。」昭和四十二年八月十八日にこういう採択されておるものがあるのですが、大臣、この点はいかがでございますか。こういうように非常に威嚇的な徴収法は、先ほど申し上げましたように、十五条をもって国税庁がどんどんそれをやっていくというような問題が今後も私は感じられるので、この問題について御所見を承りたいと思うのです。
  239. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 先刻お答え申し上げましたとおり、十分研究してみたいと思っております。
  240. 樋上新一

    ○樋上委員 公社のこの資料によると、積滞数は年々累増し、四十八年三月末には二百五、六十万個に達するものと見込まれているが、一方質権の設定を見ると、四十六年度の設定件数は約二十三万件である、——年度末の設定件数は四十六万件に達していますが、昭和三十八年法改正時において、四十八年度末を積滞解消の目標として建設を進められた。これに伴って質権の制度の必要性をこのころに解消するとした当局の見込みが大きくはずれたことを示すものと思われますが、かような結果になった事情はどうなんでしょうか。
  241. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 お答えいたします。  いま先生おっしゃいましたように、この拡充法と質権との関連にもなりますが、四十七年に需給が均衡を維持する、俗にいう積滞がなくなるという状況を考えた臨時措置であったわけでございます。したがいまして、質権法も四十八年三月三十一日までの臨時措置という形でつくられておったわけでございますが、需給均衡そのものが、先般来るる御説明をいたしておりますように先へ延びました。したがいまして、この関係で質権の設定件数もふえ、またこういう状態が継続をしておる、こういうように理解をいたしております。
  242. 樋上新一

    ○樋上委員 私は、今回十年延長した場合、今度はほんとうに解消されるのか、こういう点に非常に不安を持っている一人でございますのでお伺いしたのですが、今度は、四十一年度以降における東京都区内における質権の設定状態を示していただきたい、こう思うのでございますが、どうでしょう。
  243. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 約一万八千件と伺っております。
  244. 樋上新一

    ○樋上委員 いわゆる都内でも、積滞のない区域にでも質権設定が盛んに行なわれているように思うのですが、その実情はどうでしょうか。
  245. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 確かにそのとおりだろうと思います。数字はまあ数万でございましょうが、確かにいわゆる即時架設区域といわれている中でもそういう状態があるように伺っております。
  246. 樋上新一

    ○樋上委員 積滞のない東京都内のいわゆる電話の市価は、幾らぐらいになっているのですか。
  247. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 これは四十六年度末の電話市価でございますが、いわゆる東京二十三区内、これで大体四万八千円でございます。
  248. 樋上新一

    ○樋上委員 いま私がお伺いしているのは、その根本的なことを聞きたいと思うのですが、この地域の積滞のないところでも電話の質権設定が盛んに行なわれているという現在の状態でございます。積滞の解消と、担保価額ないしは電話の質権設定の減少していくという話が私は結びつかなくなると思うのでございます。いわゆるこれがそういうぐあいに解消したって、この電話質権というものはなくなるんだということはないと思うのです。ですから、この質権ということについては、庶民がいかにこれを利用しているかということは、私は考えなければならぬと思うのでございまして、現状を見ると、この質権制度を現在の臨時的なものでなく、恒久的な制度にするということを私は考えておるのです。でありますから、電話拡充法と質権設定とは別に考えるべきではなかろうか、こう私は思うのですが、この点はいかがでしょうか。
  249. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 確かに局部的な即時架設、いわゆる積滞解消ということと質権というものとの関係は、私は、いま東京二十三区の中で申しましたように、非常に問題な点があろうかと思います。と申しますのは、これはまあ経済行為でございますからあれでございますけれども、加入権というものに財産権がつくという意味では、端的に申しまして、五万円の設備料をいただいている以上は、その電話加入権というものに五万円程度の価値があるのは、これはどこへいってもそうだろうと思うのでございます。ただ、それが質権という形で設定をされるというのは、その質権がやがてよその人に移ることによって価値があるということでございまして、これは新規の電話がつかないということのほかに、あるいはこういうケースもあろうかと思うのですが、移転をいたしますのがやはり新規架設より手続的に非常に早い、設置場所の変更でございますね、そのほうが新規架設よりも手続的に簡単であるとかあるいは早いということによって、質権を設定する意味も出てくると思うのでございます。ですが、ただ先生のおっしゃいましたように、簡単に、その積滞がなくなれば質権の設定件数が減るということは私はないと思います。ただ、現在全国で積滞のない状態というのは東京二十三区だけでございまして、これをあっちこっち持っていきます場合には、やはりすぐ目の前に積滞の非常に多い周辺地区もございます。そういう意味からいいますと、やはり全国的な規模で積滞の解消をされるまでのいわゆる五十二年ないしそういう状態が継続して安定をいたします五十八年までの期間と、それ以後の関係とでは、質権の内容にも相当変化がくるのではないかと私は思うわけでございます。そういう意味で、前回の質権法のときも四十八年の三月三十一日を一応の時限といたしまして、それから先において、確かに当時の方々も、公衆法の中で質権を設定するととを禁止していくことが日本の状況としてどこまで永続性があるものか、あるいは先生おっしゃいますように、公衆法の中にある規定そのものを改めるべきじゃないかということを考えられたのだろうと思います。しかしながら、やはりこれには二段階がありまして、今日もう十年までの状態と、それ以後の状態とでは、私はやはり相当質権についても変化があろうと思いますので、一応十年の臨時措置で経過をいたしましたあと、全体の需給状態が安定をいたしました後に、その基本的な考え方を整理をして考えるべきではなかろうか、こういうぐあいに思っております。
  250. 樋上新一

    ○樋上委員 いま局長、積滞のないのは東京だとおっしゃいましたが、その質権の問題とこれは関連する問題ですけれども、その電話を移転した場合、積滞のあるところへその電話を持っていく場合、すぐにその電話がつけられるのか、それともその土地のところの順位を待たなければならないのかというところに、私は大きな差があると思うのですよ。北海道なら北海道へ移転しますね、東京で。そうするとすぐにその電話を、その積滞より先につけられるのか、それともその順位を待っていかなければならないのか、こういう点はどうでしょう。
  251. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 お答えいたします。昨年六月に設備料を五万円に上げていただきました機会に、いわゆる全国場変と申しますか、全国どこへでも移転できる、設置場所が変更できる、こういうぐあいにいたしております。これは主として経済的な問題でございまして、順序といたしましては、やはりその土地で新しい、非常にこんでおるところでございますれば、その土地における優先順位によってお待ちを願う。ただ、経済的な問題としては二度いただかない、こういうぐあいにいたしたわけでございます。したがいまして、先ほど私が申し上げましたのもその点に関連するわけですが、そういう点が全部あれいたしまして、優先順位というものも事実上なくなり、文字どおりの積滞解消される状態が全国的規模において完成をいたしました場合のこの質権の動きというものが、一つの新しいフェーズとしてどういう状態が出てくるかというまでは、やはり臨時措置をつないで検討していくべきではなかろうか、こういうぐあいに申し上げたわけでございます。
  252. 樋上新一

    ○樋上委員 今度は、北海道から東京へ持ってきた場合、逆の場合もあろうかと思います。ですから、電話の権利ということは、その早くつくかつかないかというところにも大きな都市と農村との違いがそこに出てくる、こう思うのでございますが、この点はどうお考えになりますか。
  253. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 いまちょっと聞き漏らしましたのですが、おそれ入りますが、もう一ぺんひとつお願いいたします。
  254. 樋上新一

    ○樋上委員 東京の積滞のないところから、私は北海道を例にとって言いましたが、今度は北海道から東京へ持ってきた場合はどうなるのですか。
  255. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 その場合はもちろん、経済的なことのほかに、優先順位というものが事実上ございませんから、それはすぐつくことになります。
  256. 樋上新一

    ○樋上委員 大臣にお伺いするのですが、庶民金融、これはもうほんとうに庶民が待望しておるのですが、どうもまだ何かもたもたしておるような状態ですね。われわれといたしましては、社公民といたしましては、何といたしましても、議員立法でもやっていきたい、こういうぐあいにがんばっておるのですけれども、その後一向政府のほうからうんともすんとも音さたがないのですが、これはもうおあきらめになったのですか。
  257. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 御鞭撻、まことにありがたく御礼を申し上げます。うんともすんとも言わないわけじゃ決してございませんので、やっと最近大蔵省との折衝の場が開けてまいりまして、今月の十日に私と大蔵大臣と会談をいたしたわけでございますが、相当長い間にわたりましてそのことを要請してまいりましたけれども大蔵大臣が国会のため、予算を担当いたしておりますので御多忙であったせいだと思いますけれども、そういう機会を与えられなかったわけでありますけれども、やっとそういうチャンスができてまいりまして、その結果、あらためて事務段階から話を進めていこうということで、その後四月二十日に事務レベルの協議が始まったわけでございます。まだ一回だけしか事務段階の相談をいたしておりませんけれども、これまたこちらのほうから盛んに二回目、三回目と引き続きやってもらいたいということを要請いたしておりますけれども、向こうのほうも予算関係がございますし、法律案をいろいろかかえて、大蔵委員会関係があるというようなことでまだ一回きりなのでございますが、まあいろいろ諸情勢を判断いたしますと、私は、今度の国会にどうしてもおのせしなければならないという熱意は依然として持っておるわけでございまして、そういう立場から申しますと、今度の国会に政府提案として出すことができるかどうかということについては、まことに申しわけないことでありますけれども、おぼつかなく考えておるわけでございまして、幸いに、ただいま先生おっしゃったような野党三派のこの庶民金融について深い御理解を持ってのお立場から、三党共同で議員提案でもしようかというような動きがかなり能動的に動いておりますように承っておりますし、また与党は与党といたしまして非常に多数、過半数の方が、非常に大きな過半数の方が推進議員連盟というものをつくりまして、推進をいただいておりますようなことでございます。したがって、理想的に申しますと、政府提案で今度の国会に出すということ、その希望を捨てておりませんけれども、事実上はたしてそういうことができるかどうかについては、私は非常に懐疑的な考え方を持っております。まことに残念ながら、強い希望が持てないという状況でありますわけでありますが、私といたしましては、政府の提案であろうと議員提案であろうと、こういうようないわゆる庶民金融、正確に申しますと、郵便貯金の預金者貸し付け、この道が開かれれば非常にけっこうだと思っておりますわけでございまして、決してその後何にも努力していない、うんともすんとも言わないというわけじゃございませんで、盛んにしゃべってもおりますし、努力も続けておりますわけでございますけれども、現実は私の力足らずで、ただいま申したとおりでございます。この点、まことにざんき千万に思っているわけでございますけれども、しかし最後まで希望を捨てずに努力いたしたいと思いますが、実勢はただいま申しましたとおりでございまして、どうかひとつこの辺を御推量賜わりまして、強力な皆さん方の御推進をいただきましたならばまことに幸いだ、このように考えておるわけでございます。
  258. 樋上新一

    ○樋上委員 実情を承りまして、うんともすんとも言わないわけじゃない、非常に気にかけていらっしゃるというので、こちらも、社公民がやりごたえがあるように、これを成立さしてみたい。努力いたす決意でございます。  そこで、それができた場合、これは将来のことですよ。これができた場合、あなたの在任中にみごとにこれが成立した場合、今後定期預金の範囲内で金融をされるということでしょう、その額の以内で、九〇%か……。ところが、定期預金を持たない庶民が、今度は電話を担保に貸してくれと言うていった場合はどうなさいますか。そういう点、庶民金融と名前をつけたんだったら、庶民が使うんだから、定期預金もできぬ、財産は電話だけだが、これで少し金を貸してくれないかと言った場合は、庶民金融という名前をつけた場合には、あなたはこれに対してどういう処置をされますか。
  259. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 ただいま非常に御熱心な樋上委員の御決意、これを承ったことをまずもって心からお礼を申し上げます。  次いで、電話加入権、質権の問題と関連いたしまして、それに融資せぬのかというお話でございますけれども、ともかくあまり大きなことを最初から考えておりますと、できることもできないことになってくるわけでございますから、いまの私ども考えは、御承知のように郵便貯金の預金者に対しまして、預金の範囲内で、まあ上限は、私ども最初三十万と考えておりましたけれども、自民党の中では十万という線が出ておるようでございますが、社会党のほうでは三十万というようなことに御要求をいただいておるようでございまして、内容についてはまだいろいろ論議しなければならない余地があるかと思っておりますわけでございますけれども、ただいまのところ、電話の加入権を担保にいたしまして金融するということなんかは全く考えておらないわけでございまして、郵便貯金の範囲内で貸し付けをする。引き出すかわりに、それをおやめいただきましてお立てかえをするという程度の庶民金融を考えておりますわけでございます。
  260. 樋上新一

    ○樋上委員 わかりました。最後になりましたが、私は先ほど来から質権の問題について質問をいたしておりますのは、庶民がほんとうに電話を質に、質権なり、また金融業界から一時借り入れという法案に対して、この成立は、私は賛成するものであります。ところが、電話拡充法は問題が多くあって、すっとは賛成できかねる。できかねるのと賛成するのと特退法と一緒に持ってきてあるところに私は非常に疑問があって、電電公社もなかなか巧妙にこれを三つ組み合わせてやられたな、こう思うのでございますが、これはこれといたしまして、私は、この質権、また特退法は、何とかこれは成立さしたい、こういう考えでおります。  それで終わりまして、最後に電電公社に一言、これは質権の問題じゃないのですけれども、この席をかりましてお伺いするのですが、四月十三日の新聞報道によりますと、「関東一円で公衆電話荒し 料金ドロ“北上” 静岡→神奈川→茨城」こう北へ北へと北上してきた。これは「電電公社栃木電気通信部は「栃木県内で七カ所の公衆電話ボックスの電話機がこじあけられ、中の料金箱が盗まれた」と十二日、同県小山署に届けた。同公社関東電気通信局が調べたところ、静岡県を皮切りに神奈川、埼玉、茨城と被害が“北上”。栃木の被害も含めると、一週間で八十二カ所の公衆電話ボックスが荒され、料金約三十万円が盗まれたことがわかった。」また別の新聞には「電話機荒し北へ北へ 福島、宮城で一夜に十六軒」。これは同一犯人であるように思うのですが、これをいつまでも北へ北へと草木もなびくようにほっといていいのか悪いのか、もっと手を打てないのか、この点はひとつ総裁からお伺いしたいのですが、どういう手を打たれているのですか。
  261. 米澤滋

    米澤説明員 お答えいたします。ただいま新聞記事で御質問がございましたが、たしかその後二、三日あとに盛岡でこの犯人がつかまりまして、そして新聞記事によりますと、たしか夜中の一時ごろか何か駅のところで公衆電話をいじっているときに警察につかまった次第でございまして、そのときに持っている金が何か三十何万円とか言っておりました。私どもといたしましてはこれを契機に実は保全局長に指示したのでありますが、鍵をもっと強くするということと、それから万一あいた場合にはそこで大きなアラームでも鳴るように装置するように、かように言ってございます。そういうことにつきまして、そういう設備面におきましても十分今後研究さしていただきたいと思います。
  262. 樋上新一

    ○樋上委員 終わります。
  263. 高橋清一郎

    ○高橋委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十二分散会