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1972-03-09 第68回国会 衆議院 逓信委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年 三月九日(木曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 高橋清一郎君    理事 加藤常太郎君 理事 古川 丈吉君    理事 本名  武君 理事 水野  清君    理事 古川 喜一君 理事 樋上 新一君       池田 清志君    宇田 國榮君       小渕 恵三君    佐藤 守良君       坪川 信三君    中村 拓道君       羽田  孜君    長谷川 峻君       林  義郎君    森  喜朗君       阿部未喜男君    武部  文君       米田 東吾君    中野  明君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 廣瀬 正雄君  出席政府委員         郵政政務次官  松山千惠子君         郵政省電波監理         局長      藤木  栄君  委員外出席者         日本国有鉄道新         幹線建設局長  高橋 克男君         参  考  人         (日本放送協会         会長)     前田 義徳君         参  考  人         (日本放送協会         副会長)    小野 吉郎君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   松浦 隼雄君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   藤根井和夫君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   野村 忠夫君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     吉田 行範君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     斎藤  清君         逓信委員会調査         室長      佐々木久雄君     ————————————— 本日の会議に付した案件  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認  を求めるの件(内閣提出承認第六号)      ————◇—————
  2. 高橋清一郎

    高橋委員長 これより会議を開きます。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので順次これを許します。林義郎君。
  3. 林義郎

    ○林(義)委員 議題になりました日本放送協会昭和四十七年度収支予算事業計画及び資金計画について質問をいたします。  きょうは、日本放送協会会長はじめ多数の方々が参考人として来ておられます。たいへん御苦労でございますので、質問の始まります前に厚く感謝申し上げておきます。  今回のNHK予算書を見ますと、八億二千万円を資本収支から事業収支に繰り入れております。これはいままでにない例であります。本来、むしろ事業収支から資本収支のほうに繰り入れるというのがNHKのあり方だろうと思うのでありますが、こういったことになりましたのは、実態的に申しますと、経常収支の赤ということであります。いわゆる赤字予算でありますけれども、これがどういうふうになったのかという点をお聞きしたい。  次に、この赤字八億二千万円というものを見ますと、本土につきましては収支とんとんである。しかし、沖繩関係ということで、赤字が全部出てくるということであります。本来全国一体で考えるべきところの予算につきまして、沖繩だけ切り離してことさらに赤字を出したというのはどういう意図でやられたのか、その点をお伺いしたい。
  4. 小野吉郎

    小野参考人 お答え申し上げます。  今回の予算で、御指摘のとおり、資本収支から事業収支のほうへ八億二千万円の繰り入れが予定されております。このことは、端的に申しますと、事業収入沖繩を含めましてすべての事業支出をまかなうのには八億二千万円足りない。したがって、これを措り入れ金によって補てんをする。通常の企業経営でございますと、民間等では運用の資金をそういった不足についても借り入れ金によってまかなうというのが常態でございます。ただNHK予算については、そのような方途がございませんので、借り入れその他の経費はすべて資本収支に計上する、こうなっておりますので、資本収支からそういった方途をとりまして、事業収支へ繰り入れる。こういう形をとっておるわけでございます。  もちろんその根源を見ますと、本土関係におきましては収支相償うわけでありますけれども沖繩にはいろいろな政府要請あるいは法律要請に従いましていろいろな特殊な措置を講じております。そういうようなことと、現在の沖繩における経営実態等から見ましてやむを得ない当分の収入不足であろうと思います。  と申しますのは、積極面につきましては、沖繩の振興を促進しよう、こういうような政府の御方針によりまして、現在本土沖繩との間には、非常にサービスの格段の格差がございます。現在の沖繩におきましては、テレビ一波しか放送をいたしておりません。しかも、その放送時間たるや本土よりも短いわけでございます。これを本土並みの時間に延ばしますと同時に、教育テレビの一波を新たに設けます。ラジオ放送は現在全然やっておりませんけれども、この三波も沖繩には急速に備えなければなりません。放送開始をしなければなりません。もちろん三波のうちFMは、約一年ばかりおくれる予定でございまして、四十八年度中にはできるわけでございますけれどもラジオ二波は復帰の年において放送を開始する、こういう格段な本土並みサービスに沿えるようにという努力をこの中に織り込んでございます。  と同時に、受信料収入につきましては、現在でも本土と比べますと、収納状況は非常に悪いのであります。契約状況あるいは収納状況は、本土よりもはるかに落ちるわけでございますけれども法律要請趣旨もございまして、沖繩には非常なそういった建設その他の関係におきまして、本土よりも格段の経費を要するわけでございますけれども収入源になります受信料関係につきましては、本土よりも安い料金を設定しよう、こういうような勉強もいたしておるわけでございまして、そういうところから、そういった全体の事業収入で完全にカバーするということが当面できないといったような事情もございまして、御指摘のような姿になっておるわけでございます。  ただ、予算一体化につきましては、私どもも当然に本土沖繩を含めました予算編成をいたしておるわけでございまして、予算書はそういった分計をいたしておりません。一体になっております。まあそのような状況になっておるわけでございますので、沖繩関係につきましては、今後の努力によりまして、積極的には営業活動活発化によって収入増加をはかりますとともに、事業計画といたしましては本土並みサービスをできるだけ早くやっていこう、こういうような考えでやっておるわけでございます。
  5. 林義郎

    ○林(義)委員 いまのお話、大体わかりました。それでは、抽象的に沖繩はできるだけ早く本土並みにしようというお話でありますが、具体的にどういうふうな計画でおやりになるおつもりなのか。これは本年度予算だけではないと思うのであります。現実の問題としては、沖繩だけをとりましたならば、受信料収入の問題その他でなかなかむずかしい問題があることはわかりますが、やはり私は、NHKの積極的な努力が必要である。単年度年度予算ではなくて、相当長期にわたってどういうふうな形でやっていくのか、その辺の具体的な計画があればお聞かせいただきたいと思います。
  6. 松浦隼雄

    松浦参考人 一日も早く沖繩放送サービス本土並みにするというのが基本的な考え方でございます。ラジオ放送につきましては、現存OHKは全くやっておりませんけれども、これは四十七年度中に那覇、宮古、八重山の三カ所にラジオ放送所を第一、第二放送とも建設いたしまして、年度内前半に一〇〇%のカバレージを達成いたします。FM放送につきましては、明年度同じく三カ所に置きまして、本島におきまして一〇〇%のカバレージをいたします。この場合、先島はまだカバーできません。  テレビジョン放送につきましては、現在OHKは一波だけを出しておりますが、大体復帰時に教育テレビ放送施設も完成いたしますので、テレビジョンにつきましては、本島につきましては復帰と同時に波といたしましては二波、本土並みになります。それから先島地区につきましては、番組を送るマイクロ回線が届かないために、現在VTRの輸送でやっておりますが、そのために、先島地区におけるテレビジョン放送本土並みになりますのは、同軸ケーブル等の手段によって完全に番組が送れるようになる時期、私どもは大体それを五十一年度と見込んでおりますが、その時期に教育テレビ局建設するとともに、FM放送局建設し、その時期で沖繩全域本土並み放送になるということでございます。  そこにかけます設備投資といたしまして、四十七年度に十億円、四十八年度FM放送局のための三億円、その以後回線の通りましたときに先島地区の六億円、合計十九億円強を投入して、本土並みサービスを一日も早くやりたいというのが基本構想でございます。
  7. 林義郎

    ○林(義)委員 沖繩のほうは、せっかく復帰したのでありますし、長年異国民族の支配のもとに置かれたのでありますから、できるだけ早くやっていただきたい、これを重ねて要望しておきます。  今回の資料を見ますと、受信料収入が、四十六年度における予算ではカラー契約増加が四百二十万件に対しまして、四十七年度予算におきましては、カラー契約増加が四百万件、こうなっております。契約増加分がだんだん停滞してくるという実態にあるのだろうと思います。この傾向はどうも今後も続いていくのではないだろうかという気が私はいたしますが、一体どういうふうな長期予測をしておられるのか、お尋ねいたします。
  8. 前田義徳

    前田参考人 お説のとおり、NHK受信料の基礎となるものは契約世帯数ですから、日本世帯数ががぜんふえるというようなことがあれば別ですけれども世帯数限界というものを考えますれば、一応そういう傾向にあるということは確実でございます。しかしながら、今日の状況からここ数年間を考えますと、いわゆる社会情勢社会生活の変化によって世帯の数がまだ増加の方向にある、これは内閣統計局その他の資料でも、あるいは国勢調査の結果を見てもきわめて明瞭であります。したがいまして、限界に来るというのは、一応原則的にそういう限界があるという意味でありまして、今日の経営の過程の中では、まだ限界には至っていないというのが私の受け取り方であります。
  9. 林義郎

    ○林(義)委員 特に具体的に、四十八年度云々というようなところを何か推測しておられるような数字があれば——別にどうだということではないのです、ここできめたから来年もそう、再来年もそうだということではありませんけれどもNHKとして当然長期計画を持っておらなくちゃならない、大体もう頭打ちに来たのだというようなことではやはりいかぬと思いますので、その辺の計画があればお示しいただきたい。
  10. 吉田行範

    吉田参考人 四十七年度以降のきわめて大まかな推定でございますけれども、私ども計算では、大体五十一年度末に三千三百十七万の契約数になる、そういうふうに想定いたしております。そしてその中でカラー契約が二千四百三十五万、そういうふうに推定いたしております。
  11. 林義郎

    ○林(義)委員 私は、そこで一つお尋ねをしたいのですが、今回の四十七年度予算審査をするにあたりまして、いままでの決算の出ている数字があります。四十三年、四十四年、四十五年と、ずっと決算で出ておりますが、受信料収入は常に予算よりも決算のほうの数字が大きく出ております。これは、予算段階におきますよりは決算段階において大いにNHK努力をしたということだろうと思います。そう解釈してもいいのだろうと思います。しかし、逆に言いますと、それだけ減るのだと最初から考えておればわりと簡単なことでできる。私は、やはり予算でありますから、やはり精一ぱい努力をしてやるという収入予算でなくちゃいけないと思います。四十六年度決算は出ておりませんけれども、どうもそういった意味予算の立て方が少し甘いのではないか。さっき三千三百十七万の契約数になるということでありますけれども、トレンドをどういうふうな形でとらえておりますか。一体受信料収入というのは予算ベースではじいておられたのか、あるいは決算数字ベースにしてはじいて、それに努力目標をつけ加えてやられたのか、その辺どういう考え方でこの受信料収入というものの根拠をはじかれたのか、お尋ねしたいと思います。
  12. 小野吉郎

    小野参考人 お答え申し上げます。  予算の見積もりにつきましては、別段に何がしかの工作を施すことはございません。翌年度を見通しまして、在来の決算状況既往実績、そういったものと将来の見通しのもとに立ちまして、このくらいが限度であろうというところで編成をいたしております。  ただ、過去を振り返ってみますと、御指摘のとおり、いままでの状況では、予算予定をいたしました収入よりも多くの収入が出ておりますことは、これは否定できません。これはやはりカラー契約、これが主体でございまして、カラー契約数幾らに見るかということが一つの問題でございます。ほとんどそういった増収の原因はカラー契約伸びにあるわけでございます。このカラー契約伸びは、それぞれ年度年度に従いまして、いろんなデータからおよそこのくらいが限界であろう、こう見ておったわけでございますけれども、いろんな国民生活向上充実等関係、あるいはメーカー筋努力、いろんな関係等もございまして、見通しました数よりも多くなっております。  過去、カラー契約料金を設定いたしました昭和四十三年度から既往状況をずっと見ますと、およそ、その当時には、四十三年度から四十七年度末の五カ年間におきまして、カラー契約件数は七百五十万件くらいにしかならぬであろう、こう見ておりました。これは何ら工作を加えたものではございません。ただ、実績は非常な伸びを示しました。この陰には、まあNHKが当時五カ年間の構想の中で想定をいたしましたカラーサービス充実を、予定計画よりもはるかに上回る計画もいたしております。カラー放送の時間にいたしましても、また全国カラー放送拠点の拡充にいたしましても、非常な計画以上の措置を講じてまいっております。たとえば、四十七年度末におきまして、カラー放送時間は総合、教育を入れまして十五時間と設定をしておったわけでございますけれども、今回の予算にありますとおり、二十二時間半と大幅な増を来たしております。と同時に全国カラー放送拠点も、どこからでも出せるような——それは当初考えておらなかったわけでありますけれどもカラーの急速な伸び等とも関連をいたし、カラー契約料金を取る以上はできるだけ当初計画を上回ってもそういったサービス向上につとめるべきだ、そういう努力もいたしておりました。それらの諸般の状況がいろいろ関係をしたと思いますけれども、当初、四十七年度末に七百五十万件のカラー契約が得られるであろう、こう見ておりましたが、それはおよそ千二百万件くらいに伸びております。その限りにおきましては確かに増収はあったわけでございます。が、おおよそ四十六年度、今年度あたりでは四百二十万件のカラー契約の増を見込んでおりますけれども、おそらくいまの状況ではこれを達成するのが精一ばいのような状況でございますし、まあ、明年度の四百万件の達成のそれも、相当、よくよくの努力をしないと達成できないのじゃないか、こういうような状況に相なっておるわけでございまして、一応そういったような意味合いから、予算実績との間には、四十三、四十四、四十五年度の三年間につきましては実績のほうが伸びておる、こういうような姿に相なっておるわけでございます。
  13. 林義郎

    ○林(義)委員 いまのお話だと、四十三年から四十四、四十五年はわりカラー伸びている、予想よりも伸びた、四十六年、四十八年はなかなかそうでない、こういう話であります。しかし、やはりその三年も続いておりますし、五十一年の数字というものがあるのですから、ずっとこう線を引いてやるかどうかというのは、計算式か何か出さないといかぬ。予算というのは現実にどうだという話と違うのだと思うのです。予算というのはやはり規範であります。こういうふうな形でやらなくちゃならないというのが、私は予算の筋だろうと思うのであります。そういった意味で、この規範をどういうふうな形で考えてつくったかという基本的な考え方を、やはりきめて出していかなくちゃいかぬのじゃないかと思うのです。  ということは、この放送法の三十七条の中に、国会承認を受けるということがあります。予算は各項目別にやらなくちゃいかぬ。放送法施行規則の八条にも、ぴしっといろいろのクラシフィケーションがありまして、やっておるわけですが、ずっと見ていますと、大体予算数字決算数字を見ますと、もう非常にでこぼこがあります。今回八億二千万円というような数字でありますが、八億二千万円というぐらいの数字であるならば、ちょっと項目をひねれば幾らでも出せるという感じが私はするのです、はっきり申し上げまして。その辺は、まあこれは沖繩の問題をはっきりするということもあるかもしれませんから、これはもうおきまして、私はひとつこれは郵政当局にお尋ねしたい。  この法律解釈の問題であります。この場におきまして予算審議をいたします。国会承認でありますから、予算審議を当然するわけですが、この予算というのは一体どういうことかと聞きたいのです。項目を立てて予算審議をやる。全体で事業収入幾らになる、支出幾らになるというだけでは予算ではないと思うのです。これだけの受信料収入がある、交付金収入がこれだけある、雑収入がこれだけある、それからさらに支出のほうでは、給与がこれだけあり、国内放送費がこれだけかかると、各項目があると思うのです。そういったのが一つ国会できめたところの基準であります。  ところが、NHK予算総則を見ますと、全くそれは、NHK経営委員会の議を経れば相当に修正をしてよろしいというふうに読めるわけであります。「本予算各項に定めた経費の金額は、予算の執行上やむをえない場合に限り、経営委員会議決を経て、各項間において、彼此流用することができる。」というのが第四条にあります。給与についてはこれは除くと、こう書いてあります。七条に、「事業量増加等により、収入予算額に比し増加するときは、その増加額は、経営委員会議決を経て、その一部または全部を事業のため直接必要とする経費支出、借入金の返還または設備の新設、改善に充てることができる。」ということが書いてあります。  こういったことで、実は予算というものが、予算をどこで審議するのかと申しますと、やはり私は、給与国内放送費国際放送費事務費という形で、それぞれを審議しているのだろうと思うのです。ところが、それは事業量増加収入予算額に比して増加する、いまの受信料収入が非常に上がってくるということになったら、幾らでも変更できるということであります。そうしたら、何でこの場でわれわれは一生懸命審議をしなくちゃならないかということであります。私はおそらくそこは、法律解釈としては、予算というものはやはり上限をきめているものだろうと思うのです。少なくとも官庁予算というものは私はそういうものではないかと思うのです。そこで、この予算総則の中でこういうふうな規定を書いておる。ここでいうところの予算というのと、この法律でいうところの予算というのは、私は同じことばだと思うのですね。同じことばであるならば、一体これだけの法律規定を全くいじっていいような——幾らでもできるわけですから、収入が上がりさえすれば。そういった形の予算総則というのはほんとうは適当ではないのではないかという気が私はするのですが、この辺につきまして、郵政当局NHKからお答えをいただきたいと思います。
  14. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 その辺は私はあまり詳しくございませんけれども林委員の御質問趣旨はよくわかるわけでありますが、ただ私ども常識的に考えますと、予算総則で流用するということができる、つまり予算をこえて収入が多かった場合は、それは他に流用できるというようなことが国会審議精神に反するじゃないかという御趣旨じゃないかと思うのですけれども、御説のように放送法三十七条で一々NHK予算については国会承認を得なくちゃならないということになっておりますわけでございますけれども、そういうような流用の規定を設けました予算総則そのものも、国会で全体として承認を得ておりますわけでございます。それで、そういうことを流用してよろしいというような精神をこの国会承認しておるということになりますと、私は差しつかえないのじゃないかというように考えておりますわけでございます。それといま一つは、NHKに対しましては相当自主性を持って運営に当たってもらいたいというような精神もあるかと思うわけでございまして、それでそういう総則が設けてあるんだというふうに考えられますけれども、こういう程度では御質問に十分の答えになっていないと思いますので、事務当局から詳細にお答えさせます。
  15. 藤木栄

    藤木政府委員 お答え申し上げます。  いま大臣から御趣旨の説明があったとおりでございまして、私どもといたしましてもこの予算総則によるたとえば第七条といったような精神は、いわゆる国ではございませんで、こういった特別会計をやっているところではほかでも認められているわけでございまして、先ほど大臣の御趣旨にもありましたNHK自主性ということも当然考えるわけでございまして、当然こういった総則規定があってしかるべきだと思いますし、それが放送法に違反しておるということは考えておらないわけでございます。
  16. 林義郎

    ○林(義)委員 私が申し上げているのは、受信料収入というものが、先ほど御答弁がありましたようにあまり伸びがない、昨年までほどの伸び率になっていない、そういった場合に、もしもほんとう伸びたならば一体どうするんだということであります。この辺、先ほどからの御答弁では単なる推定であるということであります。非常に悪く解釈すれば、収入を落としていけばあとでこれは事業努力である、事業努力であるといえば幾らでもできるではないかという議論が私は出てくると思うのです。したがって、私は受信料収入というのはもう少しはっきりした根拠をつくらなくちゃいかぬ、単なる推定でやっておったのでは私は非常におかしなことになると思う。国会で何の議論をするのか、こういう議論になるのじゃないかと思うのです。なぜ国会議論をするかといえば、NHK国民大衆から受信料という形で集めている、国民の名においてわれわれはそれを聞かなくちゃならない、こう思うのです。  そういったことからいたしまして、私はどうも予算というものがはっきりしてないという点があると思うのです。あの放送法施行規則、これは郵政省令でありますが、私はこういった形で単に収入予算額に比較して上がるときは云々という形じゃなくて、やはり私は経営メリットというものを入れてもらったほうがいいんじゃないか、少しこれは考えてもらいたい。施行規則でありますから、施行規則で単に建設費減価償却費とか、管理費とかという分類じゃいかぬと思うのです。この項目分類については、これだけの事業をやったならばどうするであろうとか、あるいはこれだけのものがあったならばこれだけのものをするとか、そういったようなメリットシステムというものを私は導入する必要があるのではないかと思う。NHKというのは、言うならば国民から受信料を徴収して、これは全く独占的に徴収している機関であります。こういった独占の機関に対して、あまりあいまいなことがあってはいかぬと思う。すべて独占の問題に対しましては、電気であれ、また交通事業であれ、相当きびしい政府は監督をしている。NHKにつきましては、国民に対して放送をする文化的なものである。言論の自由であるというような観点からいたしまして、私はこういったような規定が置いてあるんだろうと思うのです。しかしそれはその規定、そういったことがあるから経営をルーズにしていいということでは絶対にないと思うのであります。経営については全く厳正でなければいかぬ。  私は、この際ひとつお尋ねしておきたいのですが、受信料に関しまして未収受信料欠損償却というのがあるようであります。お話を聞きますと、いままで〇・六%というものについて欠損償却を認めている。今回から一%にしておるということであります。しかもこの金額は十五億円くらいになっておるのであります。なぜ今回からやらなければいかぬかという点、特に沖繩関係で八億も赤字を出しておる。もしもそんなことをしないでいままでどおりの欠損償却をやっておったならば、私は赤字にならないと思う。なぜそういうことをおやりになるのか。またこれは、受信料収入受信料収入としての理由があるのでしょうね。その辺の理由をはっきりしてもらわなければいかぬと思う。その点につきましてお答えいただきたい。
  17. 小野吉郎

    小野参考人 お答え申し上げます。  先ほどの予算総則の問題につきましては大臣からお答えになりましたとおりでございまして、四条の項間の流用の関係につきましては、政府予算についても有事即応と申しますか、予算実態に合うように一応国会でそのような方法を認められ、大蔵大臣の認可を受ければ各項間の流用ができるように予算の弾力性が持たれております。協会の予算といえどもその点においては同様な趣旨でございます。  七条関係のそれは、いわゆる当初予定のそれより事業量増加によって収入がふえた場合でございますけれども、その場合にもNHK収入は、やはり一々集金をして回ることによって生じるのであります。集金をいたしますためには経費が必要でございます。当初計上の経費ではそれがまかなえないのでございまして、それはそういう増収があればそれによってまかなうということで、そういった事実の必要に合致するようにできておりますし、その他は経営上の必要から借り入れ金の返還に充てて債務の負担を軽くしておくとか、あるいは施設の新設、増築、こういったものに使ってよろしい、こういうように相なっておるわけでございまして、これは事業自主性と申しますか、と申しますよりも、国民に何よりもサービスしなければならない事業の本旨に沿いまして必要に応じるようにつくられた趣旨のものであろうと思いますので、こういったものは、何も今年突如として出たものではない。長年このような予算総則によって運用をしているものでありますし、これまた大臣からお答えがありましたとおり、経営委員会が一存でやるわけでなく、国会の御承認のもとに、またその権限に基づいてやるわけでありますので、どうか御了承をいただきたいと思います。  収入関係につきまして、意図的に予算編成段階で、上げ得る予算収入を低目に見ておるというようなことがあってはならないと思います。私どももそういうような趣旨は十分に理解をいたしておりますし、またそういった意図は現実に加えておりません。収入の基本になりますものは受信料収入でございますけれども、これの収入の想定、策定にあたりましては、機器の製造の実情、これの出荷の推測、世帯の動向、こういったようなものを見て策定するわけでございまして、予算編成当時においてはおそらくそれが最高限であろう、こういうような見通しを立ててやっておるわけでございます。決算と比較いたしますといろいろなそごを来たしますけれども、これは何も意図を加えたものでないということは御理解を賜わりたいと思います。  最後に、いわゆる欠損の引き断ての関係が、在来〇・六%でありましたものが急遽ここで一%に改定したような御印象の御質問でございますけれども、これは予算づらではそのようなことになっておりますけれども、四十四年、五年、六年、これは現実には一%のそういった減少が出ておるわけでございます。予算と実情との間にそごを来たしておりますのが過去の実情でございます。四十三年、四十四年くらいまでは大体〇・六%くらいで、予算の見通しと実績は一致しておったわけでございますけれども、いろいろな事情等もございまして、ここで初めて〇・六のそれが一%を所要とするわけで、本年度もそうでございますし、前年度もそのような状況でございます。明年度におきましてもやはりそれが実情であろうということで、予算実績とが合うように、その辺のそごがないように計上したわけでございまして、ここで急遽、〇・六の実績が一になるというものではございません。
  18. 林義郎

    ○林(義)委員 そういたしますと、この欠損償却というのは四十五年、六年、七年と大体一%くらいである。そういたしますと、その欠損償却のところの数字がずっと上がってくるというのが決算のところに出てくるわけですね。そういたしますと、それはやはり収入がないということ、たまたま収入予定という形で収入のほうに書いてある。欠損のほうは欠損償却のほうへ入っておりますが、現実問題としては金が入らぬわけですから、収入のほうに立ててやるというのはおかしい。むしろ私はそういった意味受信料収入というものの中に一緒に加えてやらなくちゃいかぬと思うのですね。私はそういった考え方で、どうも受信料収入というものが甘過ぎるんじゃないかという感じがどうしてもぬぐい去れないのです。この辺は私も、いますぐにこういった形でやったならばきわめて具体的な効果が出るだろうという案は持ち合わせておりませんが、少し経営の専門家でも郵政当局で呼んで、見通しとかなんとかということもありますし、やはりしっかりしたものを出していただきたい。そしてこの委員会で審議する場合におきましては、こういう数字でありましてこうなりますという具体的な方向づけをしておかないと私は困るんじゃないかと思うのですね。特にこの予算総則にはこういうように書いてあることからしまして、特に私はそういう気がいたします。  その点は十分に御検討いただくことにいたしまして、あまり時間がないようでありますのでもう一つお尋ねしますが、今回のNHK予算を見ますと、「概説」の中でトップに「難視聴地域の積極的解消」ということが書いてあります。私、非常にけっこうなことだと思うのですが、予算の内容を見ますと、そう昨年と特に変わってない。積極的解消ということだし、一番最初に書いてあるわけですから、もっと大幅に、去年の倍くらい予算をつけてやっていいんじゃないかと思うのです。ところが内容を見ると、そんなことにちっともなっていない。この辺はどういうふうに考えておられるのか。特に私申し上げたいのは、NHKで辺地なり都市の難視聴の実態はどのようなことになっているのか、まず具体的にどの程度まで把握していられるのか、御説明いただきたい。
  19. 松浦隼雄

    松浦参考人 テレビジョンにつきまして放送電波が届いていない全国難視が、全国で四十六年度末で約六十二万、それから電波は届いておりますけれども、高層建造物、橋梁その他の構築物の関係で受信者に電波が届きにくくなっているという、いわゆる都市難視が、全国で約三十三万というふうに把握しております。
  20. 林義郎

    ○林(義)委員 それではその難視解消の具体的な計画、四十七年度予算、四十八年度、四十九年度大体どのくらいの金額でこうやっていってどのくらい解消するという具体的な計画はどうなっていますか。
  21. 松浦隼雄

    松浦参考人 四十七年度につきまして先ほどあまり従来と変わりないではないかという御指摘がございましたけれども、これは予算編成上、項目としていろいろなところに分かれておりますけれども、難視改善につきましての総合的な経費を全部まとめてみますと、四十六年度九十一億円強に対して四十七年度は百一億円というふうにふえております。ただし、先生御承知のとおり、現在のような状況の中で、技術がある程度発達した中では、急に妙薬はございません、率直に申し上げまして。したがいまして、置局という点につきましては、四十六年度と同じように二百二十局、建設費として二十四億円、救済されるべき世帯数を七万四千世帯というふうに見込んでおります。  それから辺地の共同受信施設につきましては一千施設、これによって七万一千世帯の救済をする、経費が二十二億円というのが二つの大きな柱でございますけれども、そのほかに都市難視対策といたしまして、約七万六千の世帯を救済するということも入っております。そのほかに、これは音声のほうの——いま百一億と申し上げましたのは音声のほうの、FM並びに中波の難聴、これは外国電波等によって中波で起こってまいりますが、そういうものを含めまして百一億でございます。先ほどちょっと申し上げましたように、従来いわゆる置局とそれから辺地共聴ということ、それから都市における受信指導ということで、技術協力ということでやってまいりましたけれども、さらにこれを一歩進めるために、大体四十六年度からやっておりますけれども、四十七年度についてはこの難視解消の新方式を開発して実行に移したいということで研究開発に総力を上げるという考え方でございます。  いま具体的に申し上げられますことは、一つは、いままでの置局というのは、東京の五十キロワットから微小局の一ワットに至る、大体その程度のものでございましたけれども、さらに微小電力、三十ミリワットとか五十ミリワットとか微小電力で五十世帯、百世帯以下のところについても電波で救済できる。そのほうが経費が安いというようなことから、そういう施設の開発を急いでおります。それが第一でございます。  第二に、新しい方式といたしましては、都市内においては、電波の伝わる状況が非常に複雑になっておりますので、現在のVHFあるいはUHFだけでは、将来にわたってなかなか良好な受信地点が得られなくなるおそれがございますので、もう一つ高い波、いわゆるマイクロでございますが、SHFの領域の放送の利用を開発いたしまして、良好な番組を必要な地点に届けるような一つの中継施設というようなものを開発したいというふうに考えております。  第三には、非常に陳腐なことでございますが、現在各聴視者の御家庭でお使いになっておるテレビのアンテナが、実は性能的に都市の中でゴーストが非常に多いという状況の中では、あまり適していないという状況がございます。利得、いわゆる弱い電波を受けて強い電波にするということに一生懸命であったために、横のほうからゴーストが入ってくるということを防ぐということにはあまり重点を置いていないアンテナでございましたので、多少経費は高くなりますけれども、何千円のオーダーで、アンチゴーストといいますか、ゴーストを受け付けない受信アンテナをできるだけ早く開発して、これを製品化することによって、都市難視の状況はかなり改善されるというふうに考えております。先ほど申しました六十二万の難視に対しましては、一応現在のところ五カ年間に従来のやり方、置局七百四十局、共聴四千六百施設をやることにしまして、その総経費は二百十億でございますけれども、それによって残存難視を十万台、十六万程度に押えたいというふうに考えておりますが、これは宅地造成等による住宅の移動、増加というようなことによりましてさらにふえるおそれもありますので、前に申しましたような新方式をさらに積極的に開発して、できるだけ早く難視を解消したいという覚悟でございます。
  22. 林義郎

    ○林(義)委員 いまお話がありましたとおり、五年で大体やるという、十万台くらいは残しているというお話でありますが、私は自然的な難視というか、山間部僻地の難視の問題、これはぜひ早くやっていただきたい。過疎問題というものが非常に深刻になってきている現在でありますから、何もかもみないけないということでなくて、せめて文化のかおりくらいはということで、ぜひ早くやっていただきたいと思います。これは最重点に置いてやっていただきたい。五年間という期間ですか、これは私はほんとうに縮めるくらいの気持ちでぜひやっていただかなければいかぬ問題だと思います。  ところで、そういった僻地の問題と同時に、都市の難視の実態というのがございます。さっきもお話がありましたが、ビル陰のようなところでありますとか、私は新しいいろんな難視の問題が出てくるだろうと思うのです。たとえば山陽新幹線が走る。そうすると、そこでいろいろな電波障害というのが起こってまいります。私の地元でもありますが、関門架橋という大きな橋がかかりますと、橋陰、橋で塔が建ちますと、それによって電波障害が起こるところもある。これも私は新しい電波障害だと思うのであります。どうも聞いてみますと、私のところだけではない。鳥取と島根の間の境大橋とか高知県の浦戸大橋なんかでもやはり同じような問題が起こっているという話を聞いております。そういったようなときに、これは一体どういった形でまずNHKは取り組まれるのですか。これは単にNHKが全部見るというわけにはなかなかいかないと思うのであります。やはりそういった新しい建造物ができたわけでありますから、当然建造物によるところの電波障害でありますから、やはりそちらのほうで費用を負担するということもやらなくてはいかぬ。いろんな問題があると思います。そういったいわゆる都市難視の問題について基本的にどう考えておられるのか、お尋ねしたいと思います。
  23. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 難視聴の解消、特に過疎対策から申しても非常に重要な課題だという御指摘がございまして、まことに私は同感でございます。  私、放送行政をあずかっておりいろいろ考えておりますわけでございますけれども、一審大切なことは、何といっても難視聴の解消、それと番組向上ということ、この二つを特に平素指導いたしておると申しますか、強調いたしておりますわけでございます。難視についてはこれくらいラジオ、ことにテレビ国民の日常生活に食い入っております時世でございますから、これはもうほんとうに強く強調しなければならぬと思っておりますわけでございます。ただいま専務理事から答弁がございましたけれども、私のほうで掌握いたしております難視の数は七十万世帯、いまの御説明では六十万世帯ということでございまして、そのほかに都市の難視が三十万世帯ばかりあるということで、その数字はいささか違いますけれども、それはそのうちはっきり統一しておかなければならぬかと思っております。ところが民放になりますと、また百数十万難視があるわけでございます。放送法の改正、電波法の改正は、今度は出さないつもりにいたしておりましたわけでございますけれども、その放送法の改正の一つの課題が、民放におきましてもNHK同様に、難視の解消については義務的にお考え願うというようなことに規定する必要があるのではないかというくらいに考えております。この難視の重要性でございます。  そこでNHKは、いま林先生の御指摘のように、飛躍的に難視聴の解消に大きな予算を新年度組んでいないようでございますけれども、その前向きの姿勢で、だんだん前進的に進んでおるという熱意は受け取れるわけでございます。しかも予算の説明については、特にそういうことを強調しておられますから、十分やられると思います。来年度予算が非常に苦しいものですから、思うようには予算には計上できなかったと思いますけれども、その方針だけは受け取れるわけでございます。  しかし、NHKにいたしましても民放にいたしましても、自主的に難視聴の解消に努力していただくということだけでいいだろうかという気持ちが私どもいたしておるわけでございまして、政府一つ機関としまして、何か事業団でもつくりまして、それに何らかの財源措置を講じまして、いろいろ私ども具体的に考えておりますけれども、これが難視聴の解消に、NHKに対しましてもあるいは民放に対しましても、考えるようなことにしなくていいだろうかという何となく責任を感じているわけでございます。これについては具体的に今後、御指摘のことでもございましたから十分研究してまいりたい、こういうように考えておりますことをちょっと一言申し添えておきたいと思います。
  24. 林義郎

    ○林(義)委員 山間部の問題につきましては、NHKのほうで中継局をつくる、また難視聴対策をやるということでいいと思いますが、私は都市のような問題、郵政大臣から事業団でもつくってという話がありましたけれども、都市の問題は、はたして事業団で全部やるのがいいのかどうかということも、私一つ問題だろうと思うのです。たとえばビルを建てる、ビル陰になる。これはやはり常識的に見ましてビルを建てた人が負担をすべきだろうと思うのですね。  私のところの例を申しますが、関門大橋ができまして難視聴ができる。有料道路でありますから、有料道路であがったところの収入でもって、その付近の人に及ぼしたところの不便は救っていくというのが私は筋だろうと思うのです。この辺どういうふうになっておるのか、具体的にお尋ねしますけれども、そういった関門架橋の問題、これは来年でございますけれども、そういった問題はいろいろありますから、その辺はNHKと道路公団ですかどこかと話をしておられるのかどうか、またどういうふうな話し合し合いになっておるのか、お尋ねしておきたいと思います。
  25. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 私のさっきの説明が足らなかったわけでございまして、そういうような電波障害のいままであった問題、それから新しい事象、そういうことに対しましてはもちろん原因者負担ということで、原因者が明らかにわかっておりますものは原因者に負担してもらってカバーしてもらうということは、私は当然だと思うわけでございます。その原則は貫いてまいりたい。原因者のわからないようなことについて非常に頭を痛めておるわけでございます。そういう考えでございますから、そういうことについてはNHKあるいは民放と十分打ち合わせを進めてまいっておりますわけでございます。
  26. 林義郎

    ○林(義)委員 NHKのほうは。
  27. 松浦隼雄

    松浦参考人 先ほどのお答えをちょっと補足させていただきますけれども、僻地の難視につきまして五カ年間の数字を申し上げましたけれども、実行上は前半、全国難視につきましては両、三年で解消するという考え方でございます。つけ加えさせていただきます。  それから都市の問題につきましては、御指摘のように原因者が非常にはっきりしております場合は、ことばはきついですけれども、原因者責任主義ということを貫いてまいる考え方でございます。現実にいままでにおきましても、たとえば都内において十数のビルが複合して難視を起こしておるというところにつきましても、その十数の原因者の御協力を得まして難視を改善しておる実例もございます。  そういうことで今後原因者が非常にはっきりしておる場合は、はっきりそこに協力をいただくということでございますが、御承知のとおり電波障害につきましては、いわゆる非常に日照権なんかによく似ておりまして、法的な根拠というものがいささか明確でないという点については、御指摘のようなことが実行上あるかと存じます。しかし苦しいけれども、いままでのところそういう点については、その、原因者主義というものを貫いてやってきておるというふうに考えております。
  28. 林義郎

    ○林(義)委員 具体的にお尋ねしますが、さっきの大橋のような場合にこれができるわけです。これは明らかに障害が起きるということになっておると思うのですけれども、そういうものを、起こってからやるのではなしに、やはり起こるということが予想されるならば当然に私はやらなくちゃいかぬと思う。この辺は一体道路公団なんかとどの程度の話をしておられるのか。話をしておられなかったら話をしておられないでいいのですけれども、教えていただきたいと思います。
  29. 吉田行範

    吉田参考人 先ほど来都市難視につきまして原因者負担主義ということにつきましては、松浦専務理事からるる申し上げたわけでございます。ただいま端的に御指摘の橋梁の問題でございますが、したがって具体的にその橋梁の問題について申し上げます。  橋梁の問題につきましてはいま三つほど問題をかかえておりますが、これらに対しましてはただいまの御質問の御趣旨もございましたけれども、私どもとしてはできるだけ事前にその実情を把握して、そして被害の実態の調査をいたしておりまして、あまり手おくれにならないような措置を講じておるわけでございます。  具体的に申しますと、境大橋につきましてはただいまもお話がございましたように、日本道路公団が設置したものでございますから、この境大橋の建設に伴いまして被害を受ける世帯は約百七十世帯でございます。私どもは道路公団と十分に折衝いたしまして、この対策としてアンテナ対策及び共同受信対策によってこれを解消するということがきめられております。  その次に浦戸大橋でございますが、これも境大橋と全く同様でございまして、これによって受ける被害世帯数は二百三十世帯でございますが、これについても境大橋同様、アンテナ対策及び受信対策でこの被害を解消するというふうに計画を立てているわけでございます。  それから最後に関門大橋でございますが、これらにつきましては九州並びに中国の電波障害防止協会とNHKが十分折衝をいたしまして、完成後約五百世帯見込まれる被害世帯に対しての現存対策を準備しております。  以上でございます。
  30. 林義郎

    ○林(義)委員 観点を変えましてお話しを申し上げますが、こういうふうな大きな企業でありまして、わりと独占的な地位にあるというところに起きますので、私一番考えなくちゃいかんのは、受信料が将来上がらない、そういうことだろうと思います。また受信料長期に安定しているということが一つの大きな要件でなければならない。ところが現実の問題といたしまして、日本におきましては、毎年毎年給与を上げていかなければならぬというのが実情でございます。NHKにも労働組合がありますが、私はどのくらいに上げるかという点につきましてとやかく言うつもりはありませんが、どうも決算数字を見ましても、給与のところでもやはり予算額をオーバーした給与の支払いになっております。先ほども申し上げましたような点もありますが、私は給与の問題について、NHKは毎年十二月ごろにいつも賃上げ交渉をやられる。地元へ、年末にNHKの支局に行きますと、ストライキ中であるというのがよくありますが、私は経営者側としてこの辺どう考えておられるか。  いろいろと資料を見ますと、毎年毎年賃金は上がってきておりますが、四十七年度では平均賃金十万九千八十円という数字を事務局のほうで調べた数、字がございます。ほかのところに比べて非常に高いのではないかという気がするのです。それは一生懸命働く人ならば払っても差しつかえないのですけれども、どうも少し高過ぎるという感じがいたします。関連のところに比べてみますと、電力会社をとりますと、東京電力あたりの、平均給与というのは八万一千円ほどでございます。それから民放のほうは、これは民放連でお調べになった数字でありますが、九万六千円、七万二千円、七万三千円、六万二千円というような数字が出ております。この辺につきまして、基本的にNHKでは賃金問題をどう考えておるか。総収入の三三%、三二%ですか、大体三分の一にも上がるような支出でありますが、これは大きな支出でありますから、この辺をどう考えておるか。それと同時に、やはり給与でございますから、一生懸命人を働かせなければならぬ。給与を払ってぶらぶらしておられたのでは困るわけです。やはり給与の中に給与体系として、単に年をとったからふえるということでなくて、メリットというか、公務員ベースでいいますと職域給的な制度を考えていかなくちゃならぬ。そういった点、毎年毎年こう上がるのを前田会長一体どういうふうに考えるか。いままで大体どのくらいのところに持っていこうということを目安にやっておられるのか、それが第一点。それから給与でありますから、その人がほんとうNHKに対して貢献したところの度合いによって払うというのが第二点だろうと思う。その点をどういうふうにやっておられるのか、この点について御説明いただきたいと思います。
  31. 前田義徳

    前田参考人 ただいま御審議をいただいております四十七年度予算では、人件費は受信料収入のおそらく約三二%になっていると思います。この水準をパーセンテージで考えますと、NHKの企業としては、賃金のパーセンテージは専業全体から見て、あるいは受信料収入から見て、不当に高いということは絶対ございません。たとえば御指摘の電力等におきましては、知識労働者はほとんどおりません。NHKの場合は一〇〇%知識労働者であります。NHK番組がよくなるというのは、職員の頭脳にたよるほか方法はございません。したがって、一般業界の中で、電力とか、ガスとか、あるいは製鉄とか、そういうものと比較されることはいかがかと思います。ただし御指摘の点では、たとえば商業放送の中の二、三の会社との比較がございましたが、これらについて考えますと、新聞社を含めますと、NHK給与は最高のものではございません。私といたしましては、昭和三十五年以来NHKの質を高めるためには給与が妥当でなければならないという考え方を持っております。ただし経営をきびしく考えるときに、給与との関係は合理化との関係においてどういう立場に立つかということを考えなければならないわけで、その前提として、私ども昭和三十五年以来、いわゆる単なる節約という意味ではなくて、企業の積極性を開発するために、一般にいわれる合理化で首を切るとかそういうものとは全く関係なしに、いわゆる人手を要しない仕事、これを機械化するという方向に来ておりまして、このNHKの機械化は、世界の放送事業界においても最も進んだ形になっております。これによりまして、明年度予算審議で御理解いただけるごとく、いまNHKは波の数ではテレビが二波、音声三波、ほかに国際放送として一日延べ三十七時間、十八方向、二十三の外国語でサービスをしておりますけれども、その総人員は一万六千五百内外でございます。これをたとえばBBC等に比較いたしますと、機械化がおくれたためにBBCでは二方五千を上回っております。しかも、BBCの事業量は、NHK事業の容量に比べて約三分の一でございます。そういう意味では私どもは、この国会の御審議を通じて、前年度は待遇改善の附帯決議はつかなかったようでありますけれども、毎年待遇改善の附帯決議を尊重いたしまして、しかし、企業の性格と社会水準とを勘案しながら、四十七年度予算の水準に到達したわけでありまして、私は将来の日本社会の発展を考えるときに、やはり今後といえども社会情勢と関連しながら、私ども事業のスタッフはすべて例外なく知能労働者であるという点では、社会生活をエンジョイし得る限界を考えるべきである、このように考えております。  そういう意味で、たとえばちょっとつけ加えて申しますと、明年度予算の帳づらが八億二千万円の赤字じゃないかということのお考えとの関連でこの点が指摘されるかと思いますが、まあ郵政大臣のお許しを得て申し上げるならば、郵政事業等は人件費が大部分である。それらに比べますと、日本全体の中で、この三二%というパーセンテージを持っている企業というのはおそらくあまりないんじゃないかというように考えます。たとえばある放送事業は九万円である。しかし、それじゃその人件費の割合はどうかということになると、かなり高度ではないか。新聞界等においてもそのように私は仄聞いたしておるわけでありますが、とにかく聴視者に対するわれわれの責任と、われわれとともに働く人々の幸福と社会の一般的傾向を勘案しながら、最もリーズナブルな水準を維持してまいりたいというのが私の基本的な考え方でございます。
  32. 林義郎

    ○林(義)委員 御趣旨は非常によくわかるのですが、私は別にNHK給与が高いから八億円赤字になるからやめろというような議論じゃないのです。将来やはり受信料という問題がどうしても問題になってくる。国民のためのNHKでありますから、NHKとしてもやはりそれに相応するようなことをやらなくちゃいかぬ。NHK経営として私は申し上げたいのは、やはりそういった国民の期待にこたえるようなNHKでなくちやならないのですから、働いている一万何千人の職員もすべてやはりそういった目的に向かっていかなくちゃいかぬ。給与というものは、単に生活の問題ではない。私は、そこに仕事に対してどれだけの貢献をしたかということについて考え方を入れていかなくちゃいかぬと思うのであります。私も、NHKの人々はやはり住民でございますから、隣の人がNHKで働いていて、非常に給与が高いとか何とかいうこともあるでしょうけれども、あの人は朝早くから晩おそくまで働いているから当然であるということは私はあると思うのです。そういった点でのメリットシステムというものをぜひやっていただきたい。経営というのは人であります。そういう意味におきまして、ほんとうにりっぱな人材をNHKが育てていかれることを——私はどれだけ給与を払ってもいいと思いますけれども、やはりそういったシステムは全体としてつくっていかなくちゃならぬ。それがほんとうNHKが公共企業として国民に報いる道だろうと思います。そういった点、どういうふうなそういったことをやっておられるのかをお尋ねしたいと思います。
  33. 前田義徳

    前田参考人 その点につきましては、担当の専務理事の藤根井君にお答えさせたいと思います。
  34. 藤根井和夫

    ○藤根井参考人 御指摘の点につきましては、そういった趣旨で、すでにもう十年前になりますが、職員制度をつくりました。この中の給与考え方につきましても、一般給とそれから職能給というふうに分かれておりまして、一般給は一般の社会的な水準といったものを基準にしまして、勤続によって上がってきますが、職能給のほうは職務遂行能力を中心として加味する。したがって、その中の内容についてもどのように能力が伸びたかあるいはどのように仕事に貢献したか、そういったものによって給与伸びていくという制度をつくっておりまして、そういった運営をいたしております。
  35. 林義郎

    ○林(義)委員 これで終わりますが、先ほど申しましたように、NHK予算というものが、NHKの特殊な性格、どうも見ておると、やはりことしとか来年とか再来年とかということではないけれども、そのときには必ず受信料というものが議論になるだろう、上げなくちゃならぬというような状況に追い込まれるのじゃないかというような予感がするのであります。非常に悪い予感でありますけれども、そういう予感がする。そのときにやはり独占的な機関としてのNHKが持っているところの性格からしていろいろとやっていかなくちゃならぬことがある。特に国民に対してこれは申しわけをしなくちゃいかぬ問題でありますから、そういった意味におきまして、先ほど申しましたように、予算の内容の問題にしましても、借って何かするというようなところはやはり何かもう少しシステムを考えていく必要があるのではないかという点。それからいま御答弁ありましたけれども、やはりNHK自体としてもほんとう国民にこたえるような経営というもの、単にいい番組を見せるということだけではない。経営自体として。また働いている従業員自体としても、ほんとう国民からいただいている受信料でやっているのだというような気持ちでやっていくようなシステムが私はぜひ必要だろうと思う。そういった意味におきまして、先ほど来申しましたが、郵政当局におきましても、またNHK当局におかれましても、そういった点でやはり改むべきところはどしどし改めていくという態度こそ必要だろうと私は思うのであります。いたずらに、長年こういうふうにやっているからこれでよろしいのだという態度ではいけないと私は思う。やはり事態が変わっておりますから、そういった事態に相応してやっていただくことを切望いたしまして、またそれにつきましての大臣及びNHK会長からの御見解を聞きまして、私の質問を終ります。
  36. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 私はあえてこの場で論争したいとは思いませんけれどもNHK会長が、郵政省は大部分が人件費じゃないかというような御指摘がございましたが、これはNHKと郵政省の仕事とは仕事の内容が違うのであります。郵政省は大部分が人の手でやっておりますものですから、人件費が全体の事業費の中において占める割合が高いことは当然なのでございます。これを例に出されては困るわけであります。  いま林先生御指摘のように、NHKは人件費がかなり高いということでございますけれども、私は日本の労働者の給与というものは非常に安いのでだんだん高くしていかなくちゃならぬ、むしろ一つの方向としてNHKが示しているというように考えるわけでございます。特にNHKは、ただいま会長が御指摘のように、全部が全部知能労働者でございますから、従業員でございますから、そのようなことになっているかと思いますけれども、林先生御心配のように、将来受信料はだんだん窮屈になってくると思います。昭和四十七年度を一応のリミットといたしまして、むしろ受信料が横ばいの状態を続けるのじゃないかというように心配をいたしておるわけでございます。と申しますのは、カラーテレビが四十七年度の末に大体全受信料の三分の二を占めることになるわけでございます。これが新しい財源であったわけでございますけれども、そういう状態になりますれば、あえて人件費とは申し上げませんけれども、先ほど会長が申されましたように、事業の合理化でありますとか、そういうようなことについては全体的に経営のあり方を十分検討されまして、公共料金受信料をあえて上げるというようなことに持っていかないように、最大の企業意欲をもって経営に当たっていただきたい、そういうような指導を私ども将来いたしてまいりたい、こういうように考えておるわけであります。
  37. 前田義徳

    前田参考人 私は、御質問の御趣旨に対しましては、経営の執行機関としては私が最高の責任者ですから、十分理解を持ち得ることを申し上げます。  私どもは、やはりNHKという放送法に基づく特殊の企業体の最高責任者として、社会的責任を痛感しながらこの経営を続けてまいりたい、こう考えております。ただ、少なくとも、私も神さまではありませんから、率直に申し上げて、三年後にどうなるか、五年後にどうなるかということは、あるいはときに神さまでもおわかりにならないかもしれませんので、私として公約していることは、四十七年度並びに四十八年度はいかなる場合にも値上げはしないということを前提として、この予算を御審議願っているわけでございます。  蛇足でございますが、今回の予算の中で、いろいろな公共料金の値上げを吸収するために、七億二千万以上の出費がかさんでおります。しかし、それにもかかわらず、私どもとしては、公共放送としての社会的責任を感じながら、ことを吸収して、なおかつ値上げはしないという決心で運営しておりますので、よろしく御支援を賜わりたいと思います。
  38. 高橋清一郎

    高橋委員長 阿部未喜男君。
  39. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 会長にちょっと伺いしたいのですけれども、先般、ニクソン大統領が中国を訪問されまして、衛星中継でテレビを見せてもらいましたけれどもNHKが中国に記者を派遣していないというのを聞いて、私、びっくりしたのですが、他の新聞社、一般にいう商業新聞でも記者が派遣されておるのに、NHKが中国に記者を派遣しない理由は一体何なのか、お知らせを願いたいと思うんです。
  40. 前田義徳

    前田参考人 この経過は、最初はNHKは、支局を開いたわけですが、その支局は、おととしの末ごろから特派員のビザの再許可が得られないという意味で、実質的に、支局は存在しておりますけれども、人がいないという実情でございます。  私どもとしては、何とかしてビザをいただきたいという考え方で、これは単に、NHK日本国民に対してのみばかりでなく、日中両国民の理解と親善を高めるためにも、またその協力を明らかにするためにも、このことは絶対に必要であるという考え方を持っております。したがいまして、自来、いろいろなルートを通じて、私どもとしては北京当局にお願い申し上げております。  私としては、近い機会に、われわれの願いを中華人民共和国もかなえてくださることを期待しているわけでありますが、私どもが仄聞しているところによりますと、ここ一年間あるいは一年半ばかりの間に、われわれの特派員が受け入れられない原因は、第一には、台湾のリポートをしたことがございます。そのときに、その映像の中に、どこかの壁の中に本土反攻というスローガンが書いてあったのがたまたま映ったという点です。これについては、私どももその問題が間接に伝えられましたので、釈明の文書を当時中難人民共和国に送りました。  その次に、私が仄聞したのは、アジア放送連合の中に台湾が入っているという点でございます。この問題は、アジア放送連合の中で、中華人民共和国との関係をどう処理していくかという問題だと思いますが、たまたま私は、アジア放送連合の会長に選任されております。したがって、アジア放送連合はNHKのものではないかというような印象と、私が理事会議長ないし会長としてこの問題を処理すべきではないかというお感じが内在しているのではないかと思いますが、これはやはり組織として解決しなければならない問題であるかと思います。  このアジア放送連合の組織は二種類ございまして、理事会と総会でございます。おそらくこの問題は、今年の理事会及び総会の中で、加盟機関からいろいろな意見が出てくるのではないか、私は個人としてはそういう予感を持っております。私としては、そういう意味で、この分野においても問題がきわめて自然にスムーズに解決されることを期待し、一日も早く放送を通じての日中関係を確立いたしたいという熱意に燃えているわけでございます。
  41. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 私聞いたところも大体そういう内容のようですが、会長のお考えは私理解ができます。ただ、努力をされておるとおっしゃっておられますけれども、きょういま、具体的にどういうことをやったかということを聞くつもりはありませんが、先般、私ども一月に中国に行く際に、ある大新聞の記者で、やはりビザがおりなかった記者があるのです。これはわれわれのほうを通じていろいろ折衝した結果、ビザがおりて、その大新聞の記者が同行したという経緯もありますので、そういう機会をとらえて、やはり可能な限りの努力を、お気持ちのとおりの努力をなさるべきではないか。いろいろなルートというおことばがありましたけれども、われわれの場合はそういうルートに入らないのかもわかりませんが、そういう先例もありますので、ほんとう努力をされておるならもっと具体的に態度で示すべきではないかという気がします。ひとつこれからの努力を、特に国民的な立場から期待をしておきます。
  42. 小渕恵三

    ○小渕委員 関連して。いま阿部先生から、NHKとされて中国の問題をより理解されるために記者を派遣したいということでの御意見がありました。それに対して会長から、しかるくべ努力中だというお話があったのでありますが、一点お伺いしたいことは、過般日中記者会なるものが日本の中で設立をされておる。その中にNHKの記者も数人入っておられるということもお聞きしておるのですが、その記者会に入会する条件として、三つの原則を認めなければ入れないというようなことが書いてあるんだそうですが、会長とされましては、NHKの記者がそこに入会することも、NHKの記者として中国の状況を十二分に理解するために、当然のこととして、そこに入ることによってより中国との接近をはかり、そしてNHKのいまの会長の御趣旨を達成させる意味で御了解の上のことであるか、一点ちょっとお伺いしておきたいと思うのです。
  43. 前田義徳

    前田参考人 私は、日中記者会の具体的な問題については、はなはだうかつで詳細報告を受けてはおりません。ただし私は、関係局長、特に報道局長に対して、私どものたてまえを理解していただくと同時に、あらゆる手段を通じて、聴視者のためにも、また日中関係のためにも、再び記者が支局に戻れるように時間がかかっても努力すべきであるという基礎的指示はいたしております。
  44. 小渕恵三

    ○小渕委員 私は阿部先生の御意見も賛成ですし、会長としての両国間のより正しい情報の交換ということは重要なことだろうと思いますので賛成いたしますが、やはりNHKに所属する記者の行動のことでございますので、会長とされましても十二分に御理解を持っておいていただきたい、そう思います。
  45. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 次に、郵政大臣にお伺いしたいのですが、この協会の四十七年度収支予算事業計画に対する意見でございますけれども、一番初めの項に「特に次の意見を付し、やむを得ないものと認める。」と、こう書かれております。日本語というのは非常にむずかしいのでございますが、その次のほうには「努めるべきである。」とあり、その下のほうには「配意すべきである。」と、こういうようにいろいろ出てくるのですけれども、常識的に考えて、やむを得ないものと認めるというのは、適当であるがやむを得ないということばは私はないと思うのです。そうすれば適当ではないがやむを得ない、こういうふうに常識的になると思うのですが、とするならば、適当でないならば適当であるような意見を書くのが大臣のお仕事であって、適当ではないがやむを得ぬというのはどうも納得のいかないことばだと思うのです。したがって、その次の事項が、さっき申し上げたように変更すべきであるという意見にもなっていなくて「努めるべきである。」というような変な意見になっているのは、一番初めの「やむを得ないと認める。」ということからきていると私は思うのです。したがって、基本的に私がいま申し上げたように適当ではないがやむを得ないと考えておるのか、適当だがやむを得ぬとおっしゃるのか、ここのところの解釈をひとつお伺いしたいのです。
  46. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 NHK予算に対しまして郵政大臣がつけられます意見はイエスかノーかでありません。今度の四十七年度の郵政大臣の意見といたしましてはイエスでございます。イエスでございますけれども、一〇〇%きわめてりっぱな予算だという考えではないということでやむを得ず認めるというように表現をいたしたわけでございます。  そこで、なぜそういうことになったかと申しますと、こういうような表現をしましたのは、近来何年かあるいは十何年か例はないそうでございますけれども、今度はどうしてもそういうことをつけざるを得ないということを考えてそういう意見を付したわけでございます。というのは、先刻来いろいろ御指摘がありましたように、収支予算におきまして、事業収支に対しまして資本収支から八億二千万持っていっております。いわゆる赤字補てんをやっているわけでございます。しかもそれはたまたま沖繩赤字支出いたしておるわけでございまして、これはNHK当局からいろいろ御説明がありましたように、いろいろ企業努力をされておることはわかるわけであります。あるいは合理化でありますとか、あるいは経費の節約でございますとか、あるいは受信料の徴収に大いに努力しておるわけですね。それとまた特に沖繩本土並みにいろいろ放送事業を持っていくについては非常に多額の金がかかるというような新しい事実もあるわけでございます。そういうNHKのお立場というものはわからないわけではございませんけれども、しかし、私どもといたしましては千百十四億円余の大きな予算の金額でございます。そのうちのわずか八億二千万でございますから、これはパーセンテージで申しますと〇・七四%という程度でございますから、一応予算予算としてこれをお認めするけれども、何とか一年間の実行においてその後措置できないか、そういう御努力を、十分御努力はなさっておるのでありましょうけれども、さらにひとつ御努力を願いたいという趣旨の意見書でございます。
  47. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 確かに大臣のおっしゃるように、大臣の場合はイエスかノーかだけではないでしょう。ないでしょうが、この表現からいうならば「やむを得ないものと認める。」やむを得ないならばやむを得るようになぜ変更を意見として出されないのか。やむを得ないものと認めるというのはどう考えても納得がいかないのです。やむを得ないものならばやむを得るように変更を意見として出されるべきではないか。しかも大臣のおっしゃるような、おおむね適当であるが、次の点について努力せよとかいうならば私は大体了解できます。しかし、やむを得ぬというならやむを得るように変更を意見として出すべきではないか。予算の内容はあとでいろいろ議論しますけれども、このことばの持つ意味、そこのところ、おおむね適当であるが、特に次の点について留意して運営してもらいたいとかいう意見ならばりっぱだと思うのです。しかし、やむを得ぬというならばやむを得るように、適当であると思われるように変更を意見として出されるべきだと思うのですが、そういう点についてはいかがでしょうか。
  48. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 おおむね適当であるというのが在来毎年使っておりました常套語でございまして、そういうように書けば問題がないのでございますが、私はどうもそれが納得できない。もう少し積極的に予算の実行についてはお考えを願いたいという意味ことばでございます。ただ、内容についてこうやりなさい、ああやりなさいというようなことで、予算の改善を私のほうとして要求してそのような予算を出してくれということが言えないものですから、全体としてそのような意見を持っておる、そのように御了承願いたい。おそらくあなたの言うような御意見も出るかと考えておったのでございますが、私の趣旨はそういうことでございますから、日本語としてりっぱな日本語であるかどうかわかりませんけれども、それでも十分郵政当局、郵政大臣の気持ちは表現できておる、私はかように考えております。
  49. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 気持ちとして了解はします。しかし、ことばとしては私はなかなか了解しにくいところであります。  そこで予算の内容ですけれども大臣時間がないそうでありますから、そのほうを飛ばしてもう一つお伺いしたい。  そこで、いま大臣は、大臣としてはイエスかノーでなくて意見を述べる、こうおっしゃいましたが、国会としては協会の予算について修正を求めることができるというふうに理解しておるのですが、修正権といいましょうか、修正権というときつくなるのですが、塚田郵政大臣のころからかなり論争のあったところであります。少なくとも、受信料については国会がきめる以上はその支出についても議論をして修正を求めることができないのかどうか、この点ひとつどうでしょうか。
  50. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 これも私の解釈では受信料につてそれを認めるかどうか、イエスかノーか二つしかないと思いますが、あるいは間違っておるかもしれませんので、事務当局から説明させます。
  51. 藤木栄

    藤木政府委員 お答え申し上げます。  御存じのように、放送法の第三十七条第二項というものがございまして、これには「郵政大臣が前項の収支予算事業計画及び資金計画を受理したときは、これを検討して意見を附し、内閣を経て国会に提出し、その承認を受けなければならない。」ということになっておるわけでございまして、この規定ということからしますると、法律的には郵政大臣NHK予算に対して意見を付することだけでございまして、また国会におきましては、この郵政大臣の意見を付されたNHK予算というものにつきまして、承認か不承認かという三つの道しかないものと、そういうふうに解釈しておるわけであります。したがいまして、もし不承認ということになりました場合には、NHKはこれを再検討いたしまして予算編成し、あらためて国会審議をお願いするということになろうかと思うのであります。
  52. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 いま局長は三十七条の二項について説明されたのですが、三十七条の四項にいうところの、受信料の月額は、国会が定めるというふうに規定されておると思うのです。これはどうですか。起案はもちろん協会がやるけれども受信料の月額については受信者を代表する、聴視者を代表する国会がきめるのだというふうに私はこの四項を理解するのですが、これもイエスかノーしか国会には権限がないのですか、受信料についてはイエスかノーかだけでなくて議論をしてきめる権限があるのではないですか、どうですか。
  53. 藤木栄

    藤木政府委員 お答え申し上げます。  第三十七条の四項は、おっしゃいますように受信料の月額というものは国会収支予算承認することによりまして定めるということになっておりますので、結局収支予算承認ということは先ほど申し上げた意味でございますので、それによって受信料も自動的にきまってくる、そういうふうに解釈いたします。
  54. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 政府の見解と法制局の見解は少し違うところがあるようですが、ここで議論しておってもしようがありませんのであまり議論いたしませんけれども、しかし少なくとも国会承認しないという以上は、かくかくの理由で承認しないということが明確にならなければだめですよ。ただばく然と、承認しませんとかしますとかではなくて、議論したところのイエスかノーか結論を出すとすれば、その議論の中が、ここはこうだからこうあるべきだ、ここはこうだからこうあるべきだということが出てくるはずですがね。そこで承認を求めるならば国民の世論、国民の意見を受け入れて、そういうふうに変更せざるを得ないことに私は筋の上からなると思う。そうすると、単なるイエスかノーかだけではなくて、その意味では面接修正しなくても修正を求める権限はある、こう解釈すべきじゃないですか。
  55. 藤木栄

    藤木政府委員 お答え申し上げます。  おっしゃいますように、先ほども申しましたように、国会がこういう点をここが問題であるということで不承認ということになりますれば、必然それに対しましてNHKはまたそれを再検討しまして、予算編成し直してくるということになるのでございますから、もしそれが国会の御承認ということになれば、広い意味におきまして国会予算を変更したという結果になると思います。
  56. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 結果になる、という表現はなかなかむずかしいのですが、これも私ほんとうはもっと議論したいところですけれども、時間がないからその点はまた別な機会に譲ってやりましょう。  そこで、意見書について、次の問題ですけれども、先ほど大臣もおっしゃったんですが、〇・七%ですか、八億二千万という金額は一千億のNHKの総予算からすれば、全く百円のうちの七十銭くらいにしか当たらないんですから、何とか経営努力等で資本収支からの繰り入れを押えるべきだというお考えのようですが、具体的に何か郵政大臣のほうでこういう意見を出されるにあたって指示をした内容があるんでしょうか、ないんでしょうか。
  57. 藤木栄

    藤木政府委員 お答え申し上げます。  先ほども大臣から申し上げましたように、この八億二千万という数字は〇・七%程度のものでございますので、大臣の意見書にもありますように、経営努力によって回避できるのではなかろうかというふうに考えておるわけでございまして、私どもとしましては具体的にということになりますと、いろいろ問題もあろうかと思いますので、これはNHK経営努力に待つということで期待しているわけでございます。
  58. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 結局、局長のおっしゃる経営努力という中には、ここに列挙されておるような経営の合理化、経費の節減、営業活動、こういうものも含めて、非常に抽象的ではあるがそういう趣旨だ、それ以上こまかな内容に入っていけば、やはり問題があるだろう、こういうことですね。それは、局長の考えとしてはNHK自主性を十分重んじてやっていきたい、そう理解していいですか。
  59. 藤木栄

    藤木政府委員 おっしゃるとおりでございます。
  60. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それから、将来の展望についても大臣は意見を述べられておるわけですが、先ほど、会長の決意で昭和四十七年、四十八年については絶対に受信料の値上げは考えていない、こういうお話でございましたけれども、そうすると、大臣の意見の中では非常に経営はむずかしいのではないか、楽観を許さぬのではないかという、こういうふうに述べられておりますが、その辺、NHK会長としては受信料値上げはやらないという、こういうお考えです。ところが、郵政大臣としては経営はかなり楽観を許さぬだろうとおっしゃっております。若干ここで食い違っておりますが、どういう理由で経営が楽観を許さないというように判断をされたのですか。詳細ではなく、大筋でひとつ御説明願いたい。
  61. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 私も四十七年度予算書をいただきますときに、会長から親しく、四十七年度、四十八年度、少なくともこの二カ年は受信料の値上げはいたしませんというようなことを承っておりますし、またその後におきましても、自分としては値上げをしないで済めば、国民生活関係のあります受信料の問題だから、公共料金だから値上げをしないでいきたいということを承っておるわけでございまして、これについては、非常に私は御苦衷はあるだろうと思います。そういうようなおことばをちょうだいいたしまして、私は非常に喜んでおるわけでございますが、私がさっき申しましたのは、受信料収入から申しまして、昭和四十八年度以降は、カラーテレビもあまりふえない、もう横ばいではなかろうかと思うわけでございます。しかし経費は、だんだん上がっていく、支出はだんだん増高していくことも考えられるわけでございます。私は、相当強い御決意を持っておるので、そうした御芳心だと思うわけでございます。会長がどういうことに御期待を持っていらっしゃるかということについては私存じないわけでございますけれども、必ずしも意見が不一致だというわけでは決してないのでございまして、同じことを申し上げておるわけでございます。
  62. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 わかりました。  少し具体的にお伺いしたいのですけれども、私は四十七年度の協会の予算の特徴は、何といっても一つは八億二千万円の資本収支からの繰り入れ、いわゆる赤字補てんをしたという形のもの、もう一つは、基本収支というものと沖繩地域分というのと分けて考えておられる。もちろん予算書の中で一応あげてはありますけれども計画としてはその内容を非常にこまかく分けて基本収支分あるいは沖繩分というふうに分けております。この二つは、私は、本年の協会予算の特徴だという気がするのですけれども沖繩をなぜ分けて組んでみなければならないのか。それぞれの県においては、過疎県等においては当然赤字が出る県、県域放送くらいの単位で見るならば、赤字の地域がたくさんあると思うのですが、沖繩だけをなぜ特別に切り離して予算の上でながめてみなければならないのか。これは今年度限りで終わるものなのか、将来に向かって沖繩分というものはこういうような形でいつも予算の上にあらわれてくるものなのか。これはひとつ協会のほうからお伺いしたいのです。
  63. 小野吉郎

    小野参考人 予算のていさいの上では一体予算でございまして、基本収支分とか沖繩分には分けておりません。別途にいろいろ御説明の便宜のために、一体沖繩を除いた本土の在来の領域の分はどうなっておるか、沖繩一体どうなっておるか、こういうことを区分けをして御説明の便に供したことはあるようでございますが、それは沖繩の返還に伴いまして、沖繩サービス状況本土と格段に違っております。そういった状況をできるだけ早く本土並みにしよう、こういう特殊な事情がありますし、いわんやそういう状況にありながら受信料の面では特別立法の趣旨もございますし、沖繩関係につきましては収支を度外視した本土より低額の料金を設定する、こういうことになっておりますので、沖繩返還に伴って一体沖繩地域はどうなっておるのか、これを御理解いただくために説明の便宜といたしましては、基本関係の収支ではどうなっておるか、沖繩関係はどうなっておるか、これを明示いたしますことが非常に御便宜ではないかと思いますし、そのことは本年度限りではなしに、今後におきましても沖繩にはいろいろな努力をしなければならぬ、本土とは違った特殊な面もございますので、そういう面を浮き彫りしますためにもあるいは便宜ではないかと考えております。予算書では全然そういった区分けはいたしておりません。
  64. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 どうもわれわれの側から勘ぐってみますと、八億二千万の赤字沖繩のために生まれた赤字でございます、ですから、本来の従来の本土放送の関連から見るならば別に赤字ではないのですけれども沖繩だからやむを得ないじゃありませんかというような、沖繩に便乗したような印象を受けるわけです。この「事業計画の概説」に明らかに本土分と沖繩分とを分けてはっきり説明されております。しかも、いまのお話では、今後とも分けていくのだ——今後とも分けていくというとおかしいが、説明をするためには分けたほうが皆さんにわかりやすいというお話のようですけれども、それがいつまでも本土沖繩を別個の扱いにする感じのものであって、先ほど申しましたように、おそらく過疎県などでは採算をとってみれば赤字の県がたくさん出てくるだろうと思います、聴視料の関係で。とすれば、沖繩だけ将来にわたって別個の扱いをしていくことがいいかどうか疑問を持つのですが、会長どうでしょうか。
  65. 前田義徳

    前田参考人 その点、全般的には同感であります。  今回、一般論として、予算書の形は別として、沖繩については本土内の過疎地域としからざるところとの関係、この関係とは全く異なった関係にございます。それは特別の五年間を限った法律ができているからでございます。しかもこの法律は、いろいろな意味でこの法律の施行に伴う実際的な問題も派生しているわけです。たとえばOHKは、本の本上の放送法によって設立されたものではございませんから、一切の権利、義務を継承するという場合に問題になるのは負債の問題でございます。これは一種の琉球政府が肩入れをした協会でございます。したがいまして、負債がある場合は当然負債も負担しなければなりません。それからまた聴視料についても、本土内では過疎としからざるところを問わず一本料金でございます。しかしながら、この特別立法の精神並びに行政指導、それとの関連において特別の料金も設定いたしております。さらに人員等についてもすべてこれを継承することになっております。それから、たとえば表面には出ておりませんが、沖繩からは特に経営委員も任命することになっております。以上の法律は五カ年間を限った時限立法でありますが、明年度予算はその初年度になりますので、そういう意味で御説明申したい気持ちでこういう区分けをした説明書きもつけてございます。しかしながら、私といたしましては、われわれが引き継いだあとの努力はこの問題を解消していくことになるだろう。ただし、法律上あるいは法律と関連して行政的に指導された部分は、五年間は変わりません。聴視料についても、経営委員についてもその他変わるわけがございません。しかしながら、私どもは、その法律をたてとして、このような考え方は持っておりません。ですから、簡単に言いますと、四十七年度予算を実施し、予算というのはもともと事業計画に基づく金の関係を示したものですから、その事業計画によって事業努力をすることによってどのくらい八億二千万円という数字がそうでなくなってくるかというところにわれわれの実際行動が関連してまいるわけでありまして、その意味においては、私は五年間かからなければこれが解消できないとは考えておりませんし、また一日も早く解消すべき努力をしなければならないということも考えております。
  66. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 わかりました。  沖繩関係、もう一つお伺いしたいのですが、OHKを承継する、この場合の資産と負債の関係が、これはいつの時点で評価をして、一体見通しとしてどういうことになるのか。
  67. 斎藤清

    ○斎藤参考人 お答え申し上げます。  沖繩放送協会の承継の日時は五月十五日でございます。その時点から始めまして、ほぼ三カ月間で決算をいたすことになります。決算をいたしまして、沖繩のほうにおきましてこれが認証されますと、それによって金額が確定いたします。そこでわれわれのほうで納付すべき額というものがあるのかどうか、あるいは金額的にどのくらいかということ、が確定するわけでございます。具体的にそれではどのくらいであろうかということにつきましては、現在さだかにはわかっておりませんが、現地の沖繩放送協会の経営者が試算した見込みで申し上げますと、ほぼ三千ドル以下ではないだろうかというようなことを試算いたしております。
  68. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それで承継によって資産の評価をして赤字、負債の額と相殺をしていくわけになりますが、資産のほうが多ければ、琉球政府のものですから、当然協会は国に返すわけです。逆に負債のほうが多かった場合に国からもらうわけにはいかないじゃないですか。これはどうなりますか。
  69. 前田義徳

    前田参考人 この点につきましては、私どもとしては立法化される以前に関係当局に私どもの気持ちを申し上げました。と申しますのは、沖繩放送協会は、ある意味では琉球政府機関という性格を持っておりますので、今度沖繩が返還されるということは、先ほど来御議論の点でも示唆されましたように、日本政府の一員に行政機構としてはなるわけでございますから、当然その帳じりは日本政府において負担されることが適当でないかというのが私どもの考えでございました。しかしながら、いろいろな意味でそれが成就されなかった。しかし私としては、沖繩百万の県民も同時に私どもの聴視者でございますから、多少の異論はあっても、百万の方々のために全力を注ぐべきであるという最終決心をいたしまして、多少のマイナスはあったとしても、私は本土並み放送サービスを一日も早く、実行いたしたい、こういう決心を持っているわけでございます。
  70. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 会長の決心はわかりますけれども、財政法上どうも私は納得がいかぬのは、資産と負債の評価をそれぞれ行なって相殺をして、余裕があれば、琉球政府のものだから日本政府はそれを継承したことになりますから返すということはわかりますが、逆に、負債が多ければもらうというのは常識ではないかという気がするのです。そうすると、NHKのたてまえから、国から金をもらうというのはおかしなことになってきますから、これはギブ・アンド・テークの原則からいっても、余ったら返す、足らぬものはもらうのが常識のような気がする。幸い斎藤さんの御意見では、余るほうだというので、NHKが納付の側に立つからかまわぬようですが、その議論からいくならば、別に返さぬでもいいのじゃないかという気がするわけですが、どうですか。
  71. 前田義徳

    前田参考人 私ども世俗的人間としては同感でございます。
  72. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 まあそういうことになっておるならしかたがないのですが、私はそういう気がするので、ちょっとお伺いしたのです。  次に、まとめてお伺いしますが、郵政大臣の意見についてNHK会長はどう考えられておるか。特に三つの点。第一点は、この意見書で「やむを得ない」という表現を大臣がお使いになっておるわけですが、これについて会長はどうお考えか。二点目は、予算執行の段階赤字を回避すべきだという意見がついておるのですけれども一体八億二千万という資本収支からの繰り入れが企業努力によって解消できるというふうにお考えかどうか。三点目は、将来の経営が楽観を許さない、こういうふうに指摘されております。これについて会長のお考えはどうなのか。  三点、意見書についての会長のお考えを承りたい。
  73. 前田義徳

    前田参考人 はなはだデリケートな御質問に対して私が答えなければならないというのは、必ずしも気が進みませんが、━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━と申しますのは、そのやむを得ないけれどもという点で、「やむを得ない」という意味は、郵政省としては予算を修正させて出させる権限がないからやむを得ないというのか。大臣としては、しかしやはり、きのうでしたか、御審議の上御承認願いたい、こうおっしゃっておるわけですね。その辺が私にも、俗人的に申しますと、ちょっとつながりがどうなっておるか。それから第二の八億二千万円という問題だけで特別に何を合理化するのか、大臣の御趣旨で。というのは、御審議いただいておる予算でも、おおよそ業務費の二五%、約二十億を節約をした上で、さらに公共料金の値上がり分七億二千万円を消化しながら合理的にやっているつもりです。単なる印象でなく、われわれは責任感をもって実行しているわけでございます。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━しかし、これは別にそれで郵政大臣けしからぬとも思っておりません。郵政大臣には郵政大臣のお立場があるとよく理解しております。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
  74. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 大臣、そこにおられたのでこれはしかたがないのですが、いま会長がおっしゃった「やむを得ない」の御意見、私も疑問を持ったのです。大臣にその変更をさせる、修正をさせる権限がないからやむを得ないといったのだろうか、それとも、さっき大臣がおっしゃったような趣旨なのだろうかと疑問を持ったのですが、いまの会長のお考えを聞いて、大臣はどうお考えになられますか。
  75. 廣瀬正雄

    廣瀬国務大臣 どうも、阿部委員はなかなか罪な方だと思いますが……。  三点についての御意見でございましたが、第一点は先ほど申し上げたとおりでございます。第二点については、これは電波監理局長から申し上げたとおりでございます。第三点については、将来よほど警戒しないと増収というものは期待できないということは、私は言えるわけでございます。  ただこのような提案をいたしましたのは——まあこういうことを申し上げてはどうかと思いますけれども、自民党、与党の通信部会あるいは政調会あるいは総務会の議を経て、十分入念に与党の皆さんの御同意をいただいて出したわけでございますから、郵政大臣が奇怪千万だと言えば、何だか自民党を誹謗しているようなことにも受け取れるわけでございまして、この点は、私はまことにいまの前田会長の御発言は遺憾千万でございます。
  76. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 もうそれ以上あれされてもいけませんし、郵政省と協会があんまり意見の食い違いが出てきてもぐあいが悪いでしょうから……。  収入関係ですけれども、先ほど何か三千何百万件くらいになる、そのうちカラーが二千四百万件くらいになるだろうという見通しを述べておられたようでございますが、今年度カラー契約四百万件の増加と普通契約の減少を相殺して七十一万件と、こういうふうになっておるようでありますが、去年の六十八万件達成の見通しと、そして去年よりもことし四十七年度がさらに実質伸びるだろうという根拠がどこかにあってお立てになった数字と思うのですが、どういう根拠で四十六年度の実数の伸びよりも四十七年度契約伸びるというふうにお踏みになったのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  77. 吉田行範

    吉田参考人 ただいまの御質問で、四十六年度は御指摘のようにカラー契約の増を四百二十万、それから総数の増を六十八万と見込んでおります。それから四十七年度は、これも御指摘のとおりカラー契約の増を四百万、総数の増を七十一万というふうに考えているわけでございます。  それで、四百三十万と四百万との関係で申し上げますと、本年度四百二十万というのは、私ども四十六年度予算編成いたしましたときに、年度内に五百五十万のカラーが流通するということを見込んで四百二十万ということにいたしました。来年度の出荷見込みは約五百十万でございまして、したがって、出荷において四十六年度と四十七年度とは若干の差がございます。そういうこと。それから私どもは常に、どのくらいのカラー契約増ができるかという場合には、一つの方程式と申しますか、一つの方式をもってこのくらいが私ども努力目標である、最後の数はこのくらいであるということを考えて算定しているわけでございますが、そういう意味でただいまも申しましたように、五百五十万と五百十万という四十万の差に対しまして、来年度は四百万というふうに見込んだわけでございます。  それからもう一つの御質問、現状につきましては四百二十万ときわめてきびしい数字でありますけれども、おおむね三月の末には、むろん四百三十万ジャストというわけには、これは一応想定の数字でございますからいきませんけれども、その前後まで持っていきたい、そういうふうに考えております。  なお、総数の増につきましては、来年度はいわゆるベビーブームの一つのピークだということも考えまして、まれは若干むずかしい数字でありますけれども経営努力をいたしましてことしの六十八万を三万上回る七十一万にしたい、そういうふうに考えたわけでございます。
  78. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 次に、先ほど林委員からも質問がありましたが、未収欠損の償却引き当ての関係ですけれども、大体今度の方針でも、一二ページに受信契約者の維持開発、受信料の確実な収納ということを努力一つ項目にあげておられるわけでございます。ところが、逆に未収欠損の引き当てがふえていく。従来からいうと、従来はおおむね九九%を見込んで、あと一%が未収になる、その未収の六割が欠損の引き当ての額になっておった。今回は九八%を見込んで二%が未収だ、その二%の未収のうちの五割が欠損の引き当て額の算定の基礎になっておる、そういう内容のように考えられますが、こういうふうな努力をされながら、逆に未収欠損の引き当てをふやしていかなければならぬ、これは理論と非常に矛盾するような気がするのですが、なぜそういうことになってくるのか、説明をいただきたいと思います。
  79. 斎藤清

    ○斎藤参考人 未収受信料の引き当て金の問題につきましてお答え申し上げます。  ただいま御指摘のとおり、四十七年度予算におきまして欠損の見込み率を一・〇%といたしたわけでございます。これは過去の実績から、また現在の社会環境その他実態に応じまして、予算上一%にしたものでございますが、具体的に申し上げますと、過去、四十四年度受信料につきまして四十五年度末までこれを追いました結果が一・〇五%の欠損が出ました。さらに四十五年度のものにつきましてはただいま年度末まで鋭意努力中でございますが、ほぼ同様な見込みに相なります。したがいまして、二カ年間こういうような状態になりましたので、来年度につきましては、これを一%に何とかとどめたいという努力目標も込めまして予算化した次第でございます。  なお、このような事情と申しますのは、すでに御案内のとおり、最近におきます人口移動率の増大、あるいは不在率の増大、あるいはまた団地、アパート、居住世帯の増大あるいは公害的な電波障害が非常に増大しております。さような環境でございますので、営業活動を鋭意ここに集中いたしまして、収納の確保をはかってきておりますが、結果としてはただいま申し上げたような数字と相なっておる次第でございます。
  80. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 昭和四十四年で締めたところが一%を上回った、四十五年の見通しもどうもそういうことになりそうだ、しかし努力をするから従来よりも未収引き当てが少なくなりますというのなら筋が通ると私は思います。努力をするけれども未収引き当てはふえていきますというのでは、努力をしたことになるのかならぬのか、その辺が食い違いが出てきやしませんか。もうどんなに努力をしてもこれだけは出ますということなんですか。
  81. 斎藤清

    ○斎藤参考人 お答え申し上げます。  努力をいたしましてずっとやってきておりますが、最近の状況というものが、きわ立って転居とか、あるいは公害関係というものがふえておりますと、どうしても説得その他に手間ひまもかかります。そのような環境の中でやってきておりますので、放っておきますとこれが二%とかなんとかということになりますが、鋭意努力いたしまして一・〇五までいきましたが、これを一にとどめたいということにいたした次第でございます。
  82. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それから次に、公害みたいなものですが、騒音によるいわゆる減免の措置との関連です。これも協会としてはかねて明確に原因者、発生者負担だというふうに割り切って努力をされてこられた。その限りでは、私は国の機関である自衛隊であろうと何であろうと当然のことだと思っているのですが、私、非常にいま疑問を持っておる。たとえば伊丹の場合です。伊丹の場合に不払いというような意見が出まして、不払いというと契約をしないということに通ずると思うのですけれども契約をしてあれば半分減免する。その場合に、運輸省なら運輸省からそのお金を持ってきてやるからNHKには実害が出てこない、こういうような理屈になってきますが、騒音が原因で契約をしない、いわゆる不払いになる、そうすると、これはおそらく騒音防止協会からの補助を出すわけにもいかない、向こうが払わないのですから。そうすると、まるまる損をするのはNHKで、協会は全然何にも入ってこないという理屈になるような気がずるのです。この場合の原因者の責任を一体どういうふうに理解をして追及されるおつもりか、お伺いしたいのです。
  83. 吉田行範

    吉田参考人 伊丹の国際空港の電波障害という問題につきましては、昨年の十一月の当委員会でいろいろ御審議をいただきまして、その結果またいろいろ御努力もいただきまして、そうして十一月二十八日の全市不払い決議というのは幸いにして回避されたわけでございます。しかしもそれにかわって全市全免の運動というのが展開されているのは御承知のとおりでございます。これらにつきましては、私どものほうへも代表の方々がおいでになって、全市全免というのは無理であろうと思うけれども、少し範囲を拡大してほしいという御意見もございます。それからまた、御承知のことと存じますが、来年度からは運輸省が非常に大きな努力をしていただきまして、そうして従来私どもが助成しておりました金額については国において肩がわりして払っていただくという措置が講ぜられるというように、現在まだ予算段階でありますから決定はいたしておりませんけれども、たぶんなるであろうということで、これは非常に感謝しているわけでございます。  しかし、御指摘のとおり、そのお金の問題は別にいたしましても、その周囲の方々が航空騒音によって非常に被害を受けているということは事実でございます。したがって私どもとしても、そういう方一人一人が私どもの聴視者でございますから、できるだけ環境の改善といいますか、テレビの聴視がよくなるようにということで、防音のモデルハウスの建設とか、それをつくって、そうして原因者責任主義で、そういうものを見本としてこの問題の解決に進んでいただくということ、あるいはヘッドホーンとかあるいはアンテナの改善とか、そういうことによって、NHKとしてでき得る限りの努力はして、その被害の軽減にはつとめているわけでございます。  ただ、ただいま先生の御指摘は、払わない人間がいるじゃないか、NHKは原因者による一種の電波公害の被害者なんだから、その分も国から払わしたらどうかというふうに受け取れるわけでございますけれども、これはなかなかデリケートな問題だと私は考えるわけでございます。と申しますのは、現在伊丹空港周辺においても実際に不払いがございますけれども、その不払いの方々は、払っていただいている、同じように航空騒音のもとでテレビなりラジオなりを聴視しておいでになる方の中で一部分である、ほかの方々は受信料をちゃんと納めていただいている、そういう実態から申しますと、一部の不払いの方々のために国からそういう措置を受けるということに若干私は疑義を感ずるわけでございまして、原因者負担主義ということを徹底すれば、あるいは御指摘のとおりになるのではないかという考えも実はないことはございませんけれども、しかし、それによって、いつも私どもが申しております。全国民を基盤として受信料をいただいているというたてまえからいうと、どうも多少何か問題があるのじゃないかというふうに考えるわけでございます。
  84. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 これは単にいまのような国の場合に限らず、ビルの場合だって起こり得る問題だ。私のところはあのビルができてテレビが見えないのだから払いませんと言って、その原因者であるビルの建設者に言うのではなく、NHK受信料を払わない、こうなった場合に、そのビルを持っている人の責任、原因者についてNHKはどういう追及をすべきだろうかという点で私はお伺いしておるわけなんですよ。それは非常に微妙な問題でということになれば、将来の問題として検討してもらいたいと思いますけれども、私はこれからふえていくだろうという気がするわけです。  それで、不払いの問題に関連して二つ会長の意見を伺いたいのですけれども、あの伊丹でああいう問題が起こったときに、NHK受信料を不払いしようなんということは全く筋の通らない話なんです。だれが考えてもとばっちりです。それにもかかわらずテレビが見えないのだからNHK受信料を不払いしようじゃないかということで、まさに決議が行なわれるに近いところまでいった。これは一体、単なる市民の騒音に対する反発感情だけでしょうか。NHK放送内容等についても市民感情がやはり反発しておったのではないかという気がするのですが、その辺を一体会長はどうお考えになりますか。
  85. 前田義徳

    前田参考人 端的にお答えいたしまして、いろいろな原因はあると思います。しかし概括的に申し上げれば、やはりNHKというものが国家機関の一部であるという印象が先行していると思います。予算審議についてもいろいろな御議論がおありのように、どうも一般的にNHKというのは半官半民——半官半民という程度はまだよろしいかと思いますけれども、何か政府機関のように考えられる節が多過ぎるのではないか。それと同時に、この点についてはわれわれ自身の態度との関連もあるかと思います。また番組についてもわれわれは公平を期する最善の努力をいたしておりますが、それぞれの立場のお方がごらんになったときに、やはり番組がどっちかに片寄っている、そうしてただいま申し上げたように政府機関ではないかという印象のもとでごらんになると、いよいよもって政府寄りではないかというような場合もあり得るかと思います。それらをひっくるめて、私どもとしては、たてまえとしては原因者責任主義、しかし、同時にNHKも聴視者との関係においてはあらゆる面で最善の努力をすべきである、このように考えております。
  86. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 いわゆる一般の国民が見て協会が政府寄りではないかという印象は、一つにはいまおっしゃった予算との関係もありましょう。一つには姿勢の問題もあると思いますけれども、もう一つ、私は放送内容が市民の側に立っておるのか、それとも政府の側といいますか、一般にいわれるところの資本の側に立っておるのか、そういうところにやはり市民の反発が出ておるのじゃないか、それももう一つの要素ではないかという気がするわけですけれども、その放送の内容についての会長のお考えはどうでしょうか。
  87. 前田義徳

    前田参考人 NHKを運営しかつ放送法に従って番組編集の最高責任を持っている私としては、その点は放送法の示すごとく厳正な中立的立場をとる。ただし議論が沸騰すればある問題については政府関係者あるいは与党あるいは野党、すべてその議論を調和的にやはり伝えなければならない義務もあると思います。したがいまして、私どもとしては、気持ちとしてはマキシマムの厳正さをとりたい。したがって、いわゆる社会キャンペーン等については明らかに私どもとしては市民の立場に立つ、これは市民の幸福のために追求しなければならない問題です。これと政策が関係する場合には、問題は一そう微妙になってまいります。政策との関連においてはそれぞれの御意見をやはり伝えなければならないと思います。ここに、NHKばかりでなく放送事業一般の宿命的な悩みもございます。しかし、私どもとしては、この悩みを乗り越えて、放送法精神を全うしたいという努力を継続しているわけでございます。
  88. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 会長のそういう御趣旨でのあれであれば、ぼくは非常にりっぱだと思いますし、今後ともひとつそういう姿勢で努力をしてもらいたいと思います。  あわせてもう一点、最近週刊誌などで受信料不払い問題については、あれは払わなくてもいいんだとかいろいろ宣伝されておるようですが、こういう悪魔といえば語弊があるかもしれませんけれども、惑わすような世論攻勢等について何か対策をお考えでしょうか。
  89. 前田義徳

    前田参考人 私どもの対策といえば、やはり理解を求めるという点で、あらゆる手段を使ってそれに全力を注いでいるわけでございますが、放送法解釈等との関連におきましては、一般の方々とは縁遠い場所にあるという点で、完全理解を得ることは率直に申しましてかなり困難であります。それから未契約者が、何らかの思想的理由あるいは何らかの生活態度の違いで契約すらしない方々が、払う必要はないという場合も、これはもっと複雑な関係に立つ表現ですが、雑誌等に出てくる表現にはその差別はございません。そういう意味で、この問題は私どもは全力をあげて、この二種類の方々に対しても接触を保ちながら、われわれの意のあるところを御理解いただこうという努力をいたしておりますし、今後もしなければならないだろう、このように思っておりますが、雑誌の編集そのものについてはこれは別の立場にありますので、私どもとしては私どもの動き得る限界は初めからはっきりしている、私としてはこのように理解いたしております。
  90. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 いま放送内容の問題に触れましたので、もう一点会長のお考えを承りたいのですが、最近生涯教育に資する大学放送ですか、何かそういう生涯教育ということばがよくNHKでも使われておるようですが、生涯教育というものを大体どういうふうに理解をされてああいうことばを使われておるのか、お伺いしたいのです。
  91. 前田義徳

    前田参考人 この生涯教育ということばは、国連の下部機構であるユネスコの教育関係部門で実は初めに使ったことばかと記憶いたしております。簡単に言いますと、人間の一生は単なる学校教育ばかりでなく、一生を通じて勉強すべきである。その勉強の素材を放送を通じて提供するという意味で私どもとしては生涯教育ということばを使っているわけでございます。
  92. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 希望として申し上げておきますが、最近中教審の答申などの中にも出てくることばでございますし、ともすれば混同されやすい。どういうふうに理解をされておるか、それぞれ私は理解のしかたは違うと思います。思いますけれども、混同されやすい気もいたしますし、誤解を招く。いわゆる中教審のお先棒をかついでいるのではないかという誤解を招く面もありますので、この点は特に重要な報道機関であるだけに慎重を期してもらいたいということを希望としてお願いしておきます。  それから次に、収入の項で交付金収入と雑収入ですが、この内訳をちょっと知らしてくれませんか。
  93. 斎藤清

    ○斎藤参考人 お答え申し上げます。  交付金収入は二種類ございまして、国際放送関係政府の交付金、これが四十七年度につきましては一億四千六百四十三万五千円でございます。それからもう一つは選挙放送関係の交付金でございまして、これは来年度につきまして都道府県知事の選挙の行なわれます地域の予定がございますので、これにつきまして百六十四万四千円の交付を予定いたしております。以上が交付金収入の内訳でございます。  それから雑収入でございますが、雑収入の内容といたしましては、NHKが保有いたします資金関係を銀行に預けておりますが、この関係の受け入れ利息、これが九億五千七百万円程度見込まれます。それから雑収入金といたしまして六億一千八百万程度、この内訳の主たるものは協会の施設の貸与あるいはまた不要品の処分あるいは外部に対する技術協力の代金、こういうようなものを集積したものでございます。
  94. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 たしか前の協会の決算のときにも議論になって会長からも明確にお答えいただいたのですが、この交付金収入の中で、国際放送に関する郵政省ですか政府の交付金の関係ですが、長年にわたってほとんど上がっていない。国際放送に実際に要するお金は七億六千八百万になっておるようでございます。私が知る限りではこれは人件費などを含んでいないと理解するのです。人件費などを含むとおそらく十数億の金になるだろうと思うのですが、それだけの国際放送をしているNHKに対する国の交付金としてはあまりにもこの額が少な過ぎるのじゃないか、こういう気がするのですが、会長のお考えはこの前たしかお伺いいたしましたが、郵政当局は、監理局長、あなたでけっこうです。どうでしょうか、これは。
  95. 藤木栄

    藤木政府委員 お答え申し上げます。  現在NHKが行なう国際放送につきましてはこの前もお話しございましたように、国が命令するものとNHK独自でやるものと二通りあるわけでございますが、私どもとしましては、例年国際放送の交付金を増加するべくいつも大蔵省には要求しているわけでございますれども、残念ながらあまりその額が上がらないという状況でございます。今後もさらにその姿勢は持ち続けて要求したいというふうに考えております。
  96. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 最低、国の財政規模が伸びる程度のものはやはり上げていくというのは、だれが考えても私は常識と思うのです。とりわけ最近の技術革新等で膨大な支出を余儀なくされておる協会に対しては、もっと適切なといいますか交付が行なわれてしかるべきであると思いますので、さらにこれからの努力をお願いをしたいと思います。私は、NHKがわれわれのものであるという観点から、政府であろうとも何であろうとも、そういうものについてはかちっとNHKの運営に支障のないような措置をとっていくべきである、こう思います。  したがって、今度はNHKのほうの支出についてもやはり私は意見があるわけでございますけれども、いまNHKが最高のスタッフを集めてやっておる経営委員会です。これは放送法によると報酬を支払うようになっておるようでございますが、どのくらいの報酬を払っておりますか。
  97. 野村忠夫

    ○野村参考人 放送法に従いまして、現在日額三万円相当を経営委員会で御決定になっております。
  98. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 もう少し具体的に、日額は三万円で一カ月に何回くらい経営委員が出席されて、そしてボーナスはあるのかないのか。退職金があるのかないのか。出勤した日によって違うでしょうが、大体一人の経営委員の方が一カ月に受け取る最高あるいは、平均、そういうものをちょっと聞かしてくれませんか。
  99. 野村忠夫

    ○野村参考人 御承知のように、経営委員内閣の辞令によって国が任命されるわけで、放送法によって役員と規定されております。これは電電公社その他の経営委員と全く性格の違う役員の経営委員会でございますので、放送法で役員の報酬等は経営委員会で定めるという明確な規定がございます。現在経営委員の方々は大体経営委員会自体を月三日開いております。それから経営委員会の在京打ち合わせ会、東京に在京されている方のお集まりが四日ございます。さらに経営委員長その他個々の方によって違いますが、会長との直接の打ち合わせ会がございます。したがいまして日額に応ずる相当な額ということで一応一日三万円と定められておりますが、現況では一番たくさん出勤される方で大体約三十万円見当、その他の方はその日額に応じてそれ以下の場合がございます。  それからさらにお尋ねの、役員としての報酬という概念の中に期末手当という問題がございますが、これは経営委員会のお考えで、いわゆる賞与的なものは経営委員会は出すべきではないということで、特別報酬ということを経営委員会がおきめになりまして、現在のところはそのつど経営委員会議決で定めておりますが、予算的に見まして一期三カ月、大体経営委員さんが御出席になりました期間の三カ月分に相半する程度のものを支給されております。  それから退職金につきましては、役員に関する退職金規程、これは常勤役員である執行部とは違いますが、役員である経営委員としての退職金規程がございます。
  100. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 役員であるという名称はともかくとして、その仕事の内容からいいますと、若干のニュアンスの違いはあっても、私はやはり電電公社、国鉄あるいは郵政の審議会あるいは労働委員会等もありますが、似通ったものだという気がするのですけれども、この三日とおっしゃられたのは月に何回で三日になる。月に三回おやりになって三日なんですか。一回で三日かかるわけですか、地方の方は……。
  101. 野村忠夫

    ○野村参考人 正規の定例の経営委員会は月一回、これを三日間東京で開催いたします。  それから前段のいわゆる経営委員会の役員としての性格の問題でございますが、御承知のように昭和三十四年に放送法が改正されまして、それ以前は経営委員はいわゆるワンダラーコミッティーつまり無報酬の委員会でございました。当時の政府及び国会筋で、やはりNHK経営委員会は電電公社その他の経堂委員会とは違う。これは放送自主性を守るためのいわゆる行政委員会的な性格を加味した特別の経営委員会であろ。たとえていうならば、日銀における金融の中立性を守るために、日銀には政策委員会ができております。むしろそのほうに近い。また当時の議論としてカナダの経堂委員会が引用されたように聞いております。すなわち、それとも行政、委員会的な性格が強いということで国会がおきめになりまして、当時しからばその報酬は相当の額を出すべきではないかということで、従来の無料が改正されました。  議運でたしか論議されたと思いますが、これは国会人事でございますので、議運のほうでも討議いたしまして、国会の一致した意見として、当時、十三年前でございますが、二万円と大体そのときの論議で定められております。自来十二年間全く値上げがございませんでした。一昨年それが一万円値上げをして三万円ということで、経営委員の方々は御承知のように皆さん各界の第一線で働いております非常に多忙かつ指導的な方々でございますので、貴重な日数をさきまして、いま言ったような会合に御出席になり熱心な討議をされております。結果的に見ますと、たとえば三十万円という報酬が支給されましても、これらの方々の総合所得から考えますと、大体七割くらいが税金で差し引かれますので、手取りとしては十万円足らずというようなわずかな金額になりますので、私どもとしましては、むしろ改正当時の物価とにらみ合わせて考えますと、もっと適正な水準があるのではないかというぐあいに考えております。
  102. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 いまのお話を聞いていますと、NHK経営委員だけがずば抜けてりっぱなスタッフであり、多忙であり、たいへん収入があるようですけれども、私はやはり政府機関のいろいろな審議会の委員にしても、あるいは電電公社や国鉄の経営委員にしても、そう変わった性質の人、が出ておるというふうには考えられないのです。仕事の内容については意見の分かれるところでしょう。しかし、その衝に当たっておられる方々は、NHKだけがずば抜けたスタッフだというふうには私は考えないのです。ところが片一方は、同じ一日でも五千円とか一万円とか非常に安い額でやっておられるようです。これはボーナスの出ておるところなんかも非常に少ないようでございます。ましていわんや退職金に至ってはたいへんなことになると思うのですが、今度沖繩からも入れば十三名になると思うのですけれども、年間の旅費、日当、それから特別報酬、それに会議費、合わせてどのくらい予算を使っていますか。ちょっとこれはべらぼうですよ。
  103. 野村忠夫

    ○野村参考人 放送法のたしか十四条だと思いますが、旅費その他実費のほかに相当額ということで全部含まれまして、この四十七年度予算におきましては一応八千三百万円程度を計上しております。
  104. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 わかりました。それで私が一番初め会長議論をした国会に修正権があるかどうかという問題に返ってくるのですが、経営委員といわれるような方々は、いまもおっしゃるように三万もらっても実際は一万しかならない。いわば税金みたいなもんなんですよ。それをたくさん差し上げてみたところで、あるいは差し上げないからといって、生活に影響のあるような方々じゃないと思うのです。そういう意味合いからするならば、今日赤字予算を組まなければならないような状態になった協会としては、むしろ経営委員の方が自発的に半分にするとか、三分の一にするとかいうようなことで、まず態度で示されることが国民に対する協会の姿勢を示すものだ、私はこういうふうに思うのですが、何といっても経営委員会といえば最高機関ですから、会長もうかつにものを言えないと思うのですが、会長の感想をお伺いしたいと思うのです。
  105. 前田義徳

    前田参考人 NHK経営委員会は、第一に一番大きな仕事は会長を任命することです。あらゆる環境から独立したNHKを維持するために会長を任命する。その中で、周辺との関係ではいろいろ摩擦もあるようですが、この任務はほかのあらゆる委員会には付与されていない任務です。金の問題よりもむしろ権威の問題をわれわれはまず考えなければならないのではないかと私はひそかに考えております。  それから、ただいままで野村専務理事から御説明申し上げましたが、三十四年の放送法改正によって、国会審議を経て報酬制度が原則的にきまっているわけです。金高については、ただいま申し上げた経営委員会の特殊性からいって、たてまえとして経営委員会が決定することになっております。では一体質問趣旨との関連で事実上どうしているかといえば、経営委員の中には一種の特別報酬としての期末的なものを全額NHK助け合い運動とかその他に寄付されている方もございます。したがいまして、私は現在の経営委員会をやはりまっとうから御議論願うことが必要ではないか、そのように考えております。
  106. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 たいへん含みのあることばで、まっとうから議論したらどうかという会長お話ですけれども、私はNHKの置かれておる今日的な情勢から判断をして、さっき申し上げたような趣旨から、そのお仕事の内容はたいへんなものだと思います。思いますけれども、その報酬を受けなければ生活ができないとか、そういう方たちではないことは、いま会長もいみじくもおっしゃったように、助け合い運動等にもお金を出せる方々なんですから、まず率先してこういう予算の節減の先頭に立っていただける、それならば、権威は私は金銭とは関係のないものだと思います。会長のおっしゃるように、会長を任命するという権威はたいへんなものだと思います。しかし、日当が三万円だから高いということは必ずしも成り立たない。権威と報酬とはおのずから別個のものだという気がするわけです。むしろ無報酬——法律できまっていますからかまいませんけれども、辞退をされるというようなことによってむしろ権威は高まるのであって、高いから、ボーナスももらえるから、退職金があるから権威が高いというものではなくて、そうしたことをしなければならないような立場の方々ではないと思うけれども、これは会長の感想を承るだけにとどめます。会長もそれ以上は言えないと思いますけれども、この会議録については一ぺん経営委員会に見せていただくようにひとつお願いをしておきたいと思います。  それからさっき林委員との間でだいぶやりとりがあったようですけれどもNHK職員の給与の問題について、私は林さんとは全然違う立場で、会長と全く同じ考えなんですけれども、さっき少し比較が出ておったようですが、賃金を論ずる場合に、固定した基本給みたいなものだけで賃金を論ずるわけにいかぬだろうと思います。これはやはり年間の総収入を見なければなりませんから、ボーナス等も含めて賃金を見なければならない。もう一つは、先ほどおっしゃったその経営の中でどれだけの割合を人件費が占めるか、これも一つの基準だろうと思うのですけれども、そのいずれの側から見ても、たとえば日放労の職員の方々の年齢構成、あるいはさっき会長の言われた学歴等、そういうものを勘案して考えた場合に、他の同じような民間放送の人あるいは新聞社の方々に比べてまだはるかに低いような気がします。そうすると会長の言われる適正なということばとは、まだそこまでいっていないのじゃないか。むしろ給与についてはもっと引き上げていくべきではないかという考えを持つのですがどうでしょうか。
  107. 前田義徳

    前田参考人 原則的に、私は先ほど林さんの御質問に答えたこのたてまえは変わりません。フィーリング的には、私は先生の御質問も理解できます。たとえばボーナス等において——基準賃金の平均賃金が民放とは、九万何がしであるという御発言でございましたが、ボーナス等においてはNHKとは全く比べものにならない多額の金をお出しになっていることも事実でございます。ただ私としては、NHKの待遇が日本一であるということも理想的には必要だと思うのです。なぜかといえば、いろんな意味で厳密な社会的責任を与えられて、しかも聴視者との直結のたてまえで、NHKのその同僚の知能が、あるいは知識が、あるいは技術が、これは最高のものでなければならないということは当然のことで、それに相当する報酬が支払われることは常識上疑いのないことだと思います。  ただ今度は、経営的観点に立てば、その社会的責任は同時に経営の責任でもありまして、そういう意味では零細な、毎月マキシマム四百六十一円のお金を全国の方々からちょうだいしてわれわれの経営が成り立っているという点では、やはり社会的常識も必要である。これが今後どのような経路をたどっていくかということは、社会の実質的変化に応じて妥当な賃金制度あるいは金額を考えるべきだと私は思っております。  同時に私は、われわれの同僚にお願いしているのは、労働が緻密でなければいけない。将来の社会生活を考えますと、労働時間が減ってくることは当然だと思います、これは日本だけの問題でなく。ただ労働時間内の労働は密でなければいけない。これによってNHKが公共機関として聴視者の支持を得る方法であろうということも私は考えております。われわれの同僚は、この点では原則的に意見の相違はないかと考えておりますが、今後の賃金の動向は、いま申し上げたようないろいろなたてまえを勘案しながら、社会的動向との関連で、社会的責任の範囲でこれに善処すべきであるというのが私の考え方でございます。
  108. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 何か自民党のほうでも部会があるそうですから、まだ幾つかお伺いしたいことはあったのですけれども時間がなくなりましたので、最後に、郵政大臣の意見書にもあるように、NHK経営がかなり困難な状態に当面するのではないかという気がいたしますし、特に最近の傾向事業費を圧迫しておるという気がいたします。支払い利息などが非常に膨大になって事業費を圧迫している、いわば先行投資が多きに失したのではないかという気もいたします。そういう観点から、非常に困難であろうと想定しますけれども、ひとつ最大限の努力によって国民の期待にこたえるような運営をなさっていただくことを希望しまして、質問を終わります。
  109. 高橋清一郎

    高橋委員長 この際、午後二時二十分再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時三十分休憩      ————◇—————    午後二時二十五分開議
  110. 高橋清一郎

    高橋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  放送法第三十七条節二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題とし、質疑を続けます。樋上新一君。
  111. 樋上新一

    ○樋上委員 最初に電波障害のことについてお伺いしたいのですが、現在のわが国におけるところの電波障害とみなされるものにはどういうものがございましょうか。
  112. 松浦隼雄

    松浦参考人 地形による自然難視、それから都市等における建造物、これは高層建築物、大体四階以上の建物でございますが、それによる電波障害並びに橋梁あるいは高架鉄道等の建造物による難視でございます。
  113. 樋上新一

    ○樋上委員 それらの障害について、現在どのくらい掌握していらっしゃるか。また、それをどのように処理せられますか。
  114. 松浦隼雄

    松浦参考人 自然難視につきましては、置局並びに共聴というNHKの施設によって解消いたします。それから人工の障害に対しましては、原因のはっきりしている場合は、原因者責任主義と申しますか、原因者に協力をいただくというたてまえでございます。  なお、原因者が非常に不明の場合は、住民の方々の、たとえば共聴組合というような技術的な御協力、あるいはいろんなまわりの条件を整えることの御協力ということでやっております。  なお、そのほか、先ほど言い漏らしましたけれども、航空騒音等も問題でございますが、これについても原因者主義ということを貫いてまいりたいということで対策しております。
  115. 樋上新一

    ○樋上委員 三月十五日に山陽新幹線が開通するのですが、東海道新幹線が開通して以来、かなり多数の地区住民への電波障害があると聞いております。またこれに対する住民運動があったようにも思うのですが、山陽新幹線が開通するにあたり、どのくらいの被害あるいは被害者世帯があったかというその点をひとつお伺いしたい。
  116. 高橋克男

    高橋説明員 新幹線を建設しております高橋でございます。  ただいままで新大阪−岡山間におきましてテレビの受信障害を受けておると聞いておりますのが、約一万二千五百世帯と聞いております。
  117. 樋上新一

    ○樋上委員 それらの被害者、被害世帯に対して国鉄はどういう手を打たれていますか。
  118. 高橋克男

    高橋説明員 先ほど委員から言われましたように、東海道新幹線のときの経緯を踏まえまして、今回は、事前に手を打つということで、NHKとよく協議をいたしまして、目下その障害を取り除く工事を実施中でございます。
  119. 樋上新一

    ○樋上委員 国鉄がこれの障害に対していつごろにどのぐらいの——この解決の予定はあると思うのですが、NHKとともにこの解決に当たられると言いますけれども、この共同施設のいわゆる負担方法はどうなんですか。
  120. 高橋克男

    高橋説明員 昨年四月NHKと国鉄とで協定を結びまして、アンテナをただ上げて済むもの、それから共同で受信対策をしなければならぬものに分けまして目下工事を実施中でございまして、ただいままで一万二千五百のうち約一千世帯近くはすでに終っておりまして、あとの問題につきましては目下実施中でございますが、ケース・バイ・ケースでいろいろと変わってまいりますので、そのときそのときNHKのほうと協定をいたしまして仕事を進めておるということでございます。
  121. 樋上新一

    ○樋上委員 東海道新幹線の場合は、NHKと国鉄と住民の三者の会議による、従来はそうだったんですね。今回は、いまおっしゃったのは、国鉄とNHKのみによってこれは対策を講じられるんですか。    〔私語する者あり〕
  122. 高橋清一郎

    高橋委員長 私語について御注意申し上げます。よろしくお願いします。
  123. 高橋克男

    高橋説明員 東海道新幹線の場合は御指摘のとおりでございましたが、今回はNHKと国鉄の両者で負担をしてやっております。
  124. 樋上新一

    ○樋上委員 非常にそれはけっこうなことでございまするが、今後も予定される新幹線に対してもこの二者で、こういうような解決方法をとられて、住民は除くということが続けられるんでしょうか。
  125. 高橋克男

    高橋説明員 NHKともよく相談いたしまして、新大阪−岡山までと同じような方法で処置を、していきたいと考えております。
  126. 樋上新一

    ○樋上委員 これは電電公社に関係するかと思うのでございますけれども、新幹線の中の電話ですね。あの電話の利用度が非常に多くなってきた、こう思うんですが、電話をかけようと思ってもなかなか前のが、申し込んでおる利用者が多いので、待っている間に着いてしまうというような状態ですけれども、国鉄はこの新幹線の列車の中の電話設備に対して増加させるとか、この利用度について検討されたことがございますか。
  127. 高橋克男

    高橋説明員 直接の担当ではございませんので、いい返事ができかねると思いますが、御指摘のように、非常にいま新幹線の電話は込んでおります。ただし、あの電話の回線を急にふやすということは技術的になかなか困難であるということを聞いております。ただし、今後岡山まで進み、またその先まで行くということを考えますと、いま御指摘されたことを今後よく検討してまいらなければいかぬと考えております。
  128. 樋上新一

    ○樋上委員 以上で質問を終わりますから、いま私が申しました電話の件も要望事項として申し上げておきます。どうも御苦労さんでした。  午前中の質問に重復するところが多少あるか、こう思うんですが、重複をなるべく避けて御質問申し上げたいと思いますけれども、もう一度御回答願わなければならないところがあると思いますが、そこのところはどうかよろしくお願いいたします。  四十七年度におけるNHK予算は八億三千万円の赤字を計上しておる。その原因は何か。この点について、最大の原因は何かということは大体わかるのですけれども沖繩問題があるからということを午前中もよく承ったのでございますけれども、一千億円をこえる予算の中において八億ということは、ほんのわずかなものであるというようにも御答弁なさっておいでになるのですが、昨年度と比較して受信料収入が九・六%の増収が見込まれているのに赤字であるというところは、ちょっと納得ができないんですが、この点はいかがでしょうか。
  129. 小野吉郎

    小野参考人 収支不足の原因は、沖繩関係にございます。これは御指摘のとおりでございます。受信料に九十六億の増収がある。これは比率にいたしまして九・六%でございますけれども、これだけの増収があるのにこれが吸収できないかどうか、こういう御趣旨の御質問と承りますけれども明年度予算につきましては公共料金その他の影響をかぶりますものが七億二千万円ございます。これは、企業の努力によってこれに耐えていこう、と同時に既定経費の節減等の関係につきましても、あとう限りの努力をいたしまして、総計二十億の節減をいたしております。これは節減し得る対象金額に比率をとりますと約一五%でございます。そういうことで八億二千万円の収支不足沖繩関係で出たような姿になっておりますけれども、これが千億をこえる予算の中で八億二千万の非常に些少な金額でございます。それは全体予算の中で足を出さないで吸収できなかったものかどうか、こういう御指摘と思いますけれども、全体でわずかの比率とは申しましても、われわれのほうといたしましてはいろいろな努力をいたしまして最高限の努力をいたしました結果、どうしても八億二千万円は収入でカバーすることができない、こういうことで一時借り入れ金でまかなうという姿になっておるわけでございまして、可能な節減のそれを、節減費を惜しんで八億二千万円の赤字沖繩分として特に計上しておる、こういうものではございません。
  130. 樋上新一

    ○樋上委員 私は、今後受信料収入伸び率が鈍化してくるのではないか、こういうことを考えますと、いわゆる本年度以降はこの赤字が慢性化してくるのではなかろうか、こういうおそれがあると私は思うのですが、これは企業努力、いろいろな点でそれを補うようにしていかなければならないのですけれども、午前中も話がありましたように、受信料の値上げがそこについてくるのではなかろうかという一つの心配を私はするのでございます。会長はここ一、二年はしないという明言でございましたが、そうすると、いわゆる赤字の慢性化ということについて、もう少し具体的な点を御説明願いたいと思うのです。
  131. 小野吉郎

    小野参考人 赤字の慢性化は極力避けなければならないと思います。そのような努力は四十七年度予算においても最大限試みたわけでございます。また、いままでの経過から見ましても、四十三年に受信料の体系を変えまして、カラー契約料金を新たに設定し、しかし、このときも、いろいろな見方はありましょうけれどもNHKといたしましては、ただ単なる能のない値上げではなしに、白黒テレビの体系は料金の値下げをいたしております。少なくともその初年度におきましては、むしろ既定の収入が引っ込む。もちろん件数が伸びますから増収にはなっておりますけれども、同じ件数で比較をすれば、三十六億円の料金値下げをしてカラー契約のそれで増収になりますものはおおよそ十三億くらいだったわけでございます。二十数億なるものは、むしろ減収を覚悟して白黒料金の値下げをいたしております。そういうようなことで発足をいたしておりますけれども、その傾向は四十四年度にもあらわれております。その後カラー契約増加に期待をいたしまして、財政の安定を期すべく努力をしておりますけれども、将来も御指摘のような赤字慢性化になりませんように、契約あるいは受信料収納関係につきましては、非常にむずかしい社会環境ではありますけれども、最大の努力をいたさなければならないと思います。また合理化し得るもの、節約し得るものは最大限そういう努力をいたしまして赤字の慢性化にならないような努力をしなければならないと思います。  四十七年度は四十三年度からの五カ年の長期構想の最終年度でございますけれども、この最終年度を初年度として将来向きの五カ年のいろいろな構想を固めてまいらなければならないと思いますが、過去の歩みを見ますと、四十三年度から四十七年度までを想定をいたしますと、おおよそカラー料金を百五十円上のせをすると同時に、白黒料金は十五円の値下げをする、こういうことで予定の件数をいろいろ目算をいたしまして立てましたその後の歩みを申しますと、大体当初のそれでは全体の収入が四千四百十二億入る。これで必要ないろいろな計画を織り込みまして収支償っていこう、こういう歩みを続けておるわけでございますけれども、その間において、一方増収面といたしましては、カラー契約を四十七年度末七百五十万件と見ておりました。実績はかれこれ千二百万件近くなります。この関係でかなりカラー伸びがございましたので、その関係からまいります増収は確かにございます。二百四十億ばかりございます。しかし、当初の計画には入っておりませんでした、いわゆる受信者に万全のサービスをしよう、こういう事業計画から申しますと、あるいはカラーサービスの増強、これは当初考えておりませんでした時間増、当初は十五時間カラー化、こういうように考えておりましたが、すでに二十二時間半のカラーサービスの増強を計画外にはかっております。あるいはその他大電力地域内におけるUHF局の関係、これも当初の計画にはなかったわけでございますけれども、受信者、国民へのサービス関係から計画外にこれも追加をし、その他いろいろそういうような面がございますが、その関係で総計必要でありました金は二百九十億でございます。二百四十億の増収を上回ること五十億でございます。それは四十三年度以降毎年既定費を削減することによって消化をいたしております。四十三、四十四、四十五それぞれ、四十六年もそうでございますが、七億から十億近い節減をいたしておりますし、明年度予算におきましては、これも異例なそれでございますけれども、そういう節約を積み重ねた上に既定費を十五億切る。しかも諸般の物価の上昇、いろいろな面をかぶってくるわけでございますけれども、それに耐えてさらに節減をはかっておりますし、また計画といたしましては、当初大体年率物価上昇の率は三・五%ぐらいしか見ておりませんでした。これが実際の実績は、物価の上昇は平均いたしまして六%前後になっております。この差額からきますものが約六十八億、これの圧迫にも耐えてまいってきておるわけでございますし、かたがたそういうような面を考えますと、四十七年度予算におきまして本土分については収支償うわけでございますけれども、ここに異例の沖繩という現存非常に本土サービス格差のありますそれを早急に本土並みにしよう、こういう積極的な努力をすると同時に、一方その財源になります収入の面では、まだ非常に受信料制度の定着しておらない地域でございますので、その関係についてもなかなか一気に意のごとくならない、こういうようなことで、遺憾ながらそういう八億三千万の借り入れ金依存分が出たわけでございますけれども、これはやはり将来の努力によりまして積極、消極のいろいろな努力を織りまぜまして、赤字慢性化にならないような努力をしていかなければならぬ。しかも、そういうような状況において料金値上げの御要請はいたしておりませんし、四十七年度、四十八年度においてはこれははっきり値上げはしない、四十九年度以降においてもにわかに安易にそういう料金の値上げということを考えるべきでないということは真剣に考えておりますので、どうぞ御了承をいただきたいと思います。
  132. 樋上新一

    ○樋上委員 会長にお伺いするのですが、かねてよりわが党が叫び続けております白黒がオールカラーになってくれば——白黒を見ておるとほとんど下に「カラー」と出ておりますね。白黒のほうは無料化にまだ遠いですか。白黒を値引きするのじゃなしに、白黒のところは無料にしていただきたい、こう思うのですが……。
  133. 前田義徳

    前田参考人 毎回承っております。四十三年度からカラー料金というものをつくったわけですが、副会長がいま御説明申し上げた点をさらに補足いたしますと、あの時期にラジオ料金は無料になったわけです。そして白黒を十五円下げて、そして将来の方向のわからないカラー料金に百五十円をのせ、そのときにやはりカラーが普及した場合には値下げをするだろう。ちょうどラジオを無料にした中でカラー料金を設定しましたので、そのときの私の答弁を思い出してみますと、これは議事録に載っているわけですが、私はカラー契約が八〇%ないし九〇%の線にくると料金制度の問題が問題になるだろうし、そのときは研究しなければならないだろうというお答えをいたしておりますが、現状では明年度予算ではカラー収入のほうは五〇%を上回ります。それから今後の五カ年間は、先ほどお聞きいただいたか、吉田理事からも御説明申し上げましたように、契約可能の世帯の数を三千三百万として、その中で二千四百万ないし二千六百万のカラー契約を予想する。簡単に申しますと私どもが今後五カ年間に考えている聴視料の総収入は、この計算でまいりますと大体六千四百億になると思います。そのときに放送法第七条との関係で、われわれの責任としてのいわゆる建設関連の経費がどのくらいになるかということも検討しているわけです。したがいまして、現状においては残念ながらカラー料金と白黒との関係を調整する時期にはまだ至っていない。ただ御指摘のようにカラー番組に「カラー」というタイトルを入れて、そして白黒でごらんになっている方々に対する心理状態を考えますと、これは早急にやめるべきだと私は思います。したがってこの点は放送局長要請して、いままでのやり方を変えさせたいと思います。
  134. 樋上新一

    ○樋上委員 カラーのタイトルをやめてもらいたいというのは私の希望でございますし、それは考慮していただきたいと思います。それの一日も早くならんことを実は祈っておるのでございます。  ここで沖繩関係の問題についてお伺いしたいのですが、復帰時の受信機の設置の世帯数契約数はどの程度見込まれておるのか。もう一つは、契約世帯数のうちの受信料を直接徴収できる世帯数はどのくらいなのか、この二つの点についてお伺いしたい。
  135. 吉田行範

    吉田参考人 ただいま樋上先生の、沖繩復帰時における受信機を設置している世帯数はどのくらいかという御質問でございますが、私ども推定では、これは琉球政府のいろいろな資料をもとにしたわけでございますが、いま沖繩に全世帯数が二十四万あるいは二十三万といわれますけれども、この数字がございます。これに対して、現在受像機を設置しておりますものは十九万三千世帯推定されております。ただ、もう少し分析して申しますと、そのうちOHKと受信契約を結んでいるもの、が十三万ぐらいでございます。そして、そのうちの半分以下が聴取料を支払っているのが現状でございます。
  136. 樋上新一

    ○樋上委員 私が調査したところによりますと、受信機は十八万で、契約が十三万程度であって、徴収できる世帯数は大体四万ぐらいじゃないか、こう思うのです。ところが、これらの未払い者に対してどのような対策を立てておられるのか。いままで非常にこの徴収がむずかしかった。今度NHKとしては、具体的にこのむずかしい聴取料の問題をどうお考えになっておるかというようなことをお伺いしたいのです。
  137. 吉田行範

    吉田参考人 御指摘のとおりで、ただいま私は半分以下と申し上げましたが、もう少し具体的に申しますと、四万ぐらい、十三万の中の四万余りだというのが実情でございます。  そして、それではなぜ沖繩においてそういうふうに収納率も悪いし、契約率も悪いかということは、もうすでによく御承知だと思いますけれども、十年以上前から商業放送が先行していた。それから受信料制度というものに対して、いわゆる公共放送というものに対する認識が不足である。それから受信機対策、これが非常に不十分である。これは御承知のとおり、アメリカ占領下にございましたので、沖繩の人たちの受像機の大部分が、いまのOHKの電波チャンネルであるJA二チャンネルが受からないような受像機を持っていたものがOHKができたときに約八割ございました。それをOHKが、あれは一二ドルだったと思いますけれども、三ドルの改装費をもって直したのですけれども、はなはだ事務的な方法がまずかったために、一体どこへ三ドル払ったのかわからなくなっているのも実情でございます。したがって、こういう受像機の問題が一つある。  それからさらにこの受像機と関連いたしまして、受信知識といいますか、アンテナとか、そういうものに対する知識がこれもまたたいへん不足している。  それからさらにOHKにおける企業活動というものが、これは従来もNHKにおいてずいぶん応援しているわけでありますけれども実態的にはきわめて弱体である。それからそういうふうな意欲についても多少本土と比べて欠けるところがある。  それからさらに、いろいろOHK努力しておりますけれども、いわゆる離島、僻地というものもありまして、これらに対していろいろな施設も今後やっていかなければならぬ。  非常に簡単に申しますと、以上列挙しましたようなことが沖繩において受信成績、受信料収入にいたしましても、契約にいたしましても、あまり良好でない、きわめて不良であるということの理由であろうかと思います。  したがって、今後の対策は、いま申し上げた理由を全部ひっくり返せば、それに対する手当てをするということが対策だと私は思っておりますし、復帰にあたっては、OHKの職員がNHKと一緒になるわけでありますから、人間的にも補充とか、あるいはそういうふうな受信技術の普及とか、あるいはNHKに対する理解を広めるためのいろいろな普及対策とか、そういうことをいろいろ私どもは目下立案しておりまして、できれば来月あたりからは大々的にやらなければいかぬ、そういうふうに考えております。
  138. 樋上新一

    ○樋上委員 受信料カラーが四百円、白黒が二百五十円と、こういうぐあいに決定されました根拠というのはどこから出されたものですか。
  139. 小野吉郎

    小野参考人 一面には、特別立法による要請もございます。また沖繩復帰に伴います地元住民のいろいろなフィーリングもあろうと思いますが、そういうことを勘案いたしまして、本土とは違った受信料額、低額な受信料額を設定したということでございます。
  140. 樋上新一

    ○樋上委員 これはいつごろまで続けられるのかということと、もう一つは、先島の料金本島と差をつけるということをかつて佐藤総理は言明したのですが、この点についてどうお考えになりますか。
  141. 小野吉郎

    小野参考人 時期につきましては、当分の間と考えております。その終期につきましては、何年度で打ち切るか、こういうことは現在まだ確定をしておりませんけれども、当分の間、そういった別種の料金体系をとっていこうということでございますし、またお尋ねの先島と本島との関係につきましては、この案によりましては差別を設けておりません。総理大臣が、先島については別種の考慮をするというような御答弁をなさったようにただいま拝承いたしますけれども、総理大臣のきめられる問題ではなく、これはNHKが、予算審議によって国会でおきめになる問題であり、総理の権限の問題ではないと思います。
  142. 樋上新一

    ○樋上委員 OHKの職員の継承状況はどうなっておるか。また本土並み放送を行なうための建設計画、木上並みの放送ができるのはいつごろか。
  143. 藤根井和夫

    ○藤根井参考人 御質問沖繩放送協会の職員でございますが、現在百十名おります。これは、引き継ぎ時に在職する職員につきましては全員を協会の職員として引き継ぐということになっております。
  144. 松浦隼雄

    松浦参考人 サービスについてお答えいたします。  本島につきましては、FMを除きましたラジオ放送並びにテレビジョン放送は四十七年度内でございます。FM放送が四十八年度先島地区につきましては、中波のラジオ放送につきましては同じく四十七年度内でございます。それからテレビジョンは、現在の一波、これをカラー化して四十七年度内でございます。完全に三波並びにFMがそろいますのは、同軸ケーブル等番組送りの回線ができました時点、一応五十一年度を想定しておりますが、その時点で、全島本土並みになります。
  145. 樋上新一

    ○樋上委員 沖繩問題はこの辺にしまして、あとABU、アジア放送連合の問題につきまして、最初に簡単でけっこうですから、その目的というものをお伺いしたいと思います。
  146. 前田義徳

    前田参考人 アジア放送連合はアジアの放送事業者間の組織でございまして、これによって番組の交換あるいは放送技術の向上並びに職員の訓練、それからまた、開発途上国に対する先進放送機関の援助というようなものを目的とし、結成されたものでございます。
  147. 樋上新一

    ○樋上委員 通常総会は年に一回、理事会は総会と総会の間に一回開催されることになっておりますが、次の理事会について、いつどこで開催される予定になっておりますか、この点ちょっとお伺いしておきます。
  148. 前田義徳

    前田参考人 ことしの中間理事会は、五月一日から三日までオーストリアのパースで開かれることになっております。
  149. 樋上新一

    ○樋上委員 念のためにお伺いしておくのですけれども、第二条第一、「ABUは、政治的または営利的目的を有しない。」こう出てますね。そこで私はお伺いするのですが、正会員と準会員というのがございます。この点はどうなのでしょうか。
  150. 前田義徳

    前田参考人 アジア放送連合の憲章は、ヨーロッパの放送連合の憲章、その他アフリカ各地域の放送憲章とほぼ同じでありまして、アジア地域をまずどこからどこまでという規定をいたしております。それで、アジア地域以外の協力機関をアソシエートメンバーということにしておりまして、現在のところ、アジア地域の正会員は二十二放送機関、欧米からのアソシエートメンバーは三十五放送機関になっております。
  151. 樋上新一

    ○樋上委員 このアジア放送連合規約の第七条「理事会」の七項の中で、dにおいて「郵便による投票の結果、会員の四分の三以上の同意を得た加盟申請機関の加盟、および会員の脱退について必要措置を講じ、また会員の除名を総合に提議する。」とありますが、昨年の歴史的ともいえる中国の国連加盟、台湾の国連追放、また最近におけるところの米国のニクソン大統領の訪中など、世界情勢は大きく変化してきた、私はこう思うのでございまして、中国の代表は中華人民共和国であるということは、これは国際間の常識となったのですが、今回の理事会におきましてNHKはこのこと、つまり中華民国を追放するという提案をすべきであると私は思うのですが、この点はどうお考えになっておりますか。
  152. 前田義徳

    前田参考人 これは国際機関でございますので、NHKが提案するか、ほかの国が提案するか、これはおそらくパースの理事会でどういう措置をとるか、根本原則との関連でいろいろな形が出てくるかと思います。昨年の総会は十月の末にフィリピンのマニラで開かれましたが、この時期におきましてはそういう問題は出ませんでした。と申しますのは、中華人民共和国が国際連合に加盟したのはその後でございます、直後ですけれども。しかも、このアジア放送連合の正式メンバーの中には、中華人民共和国承認国がたくさんございます。たとえばトルコ、イラン、アフガニスタン、パキスタン。そういう国がたくさんございますにもかかわらず、昨年の総会及び理事会ではこの問題は出ませんでした。今回、先ほど申し上げた五月一日から三日間オーストラリアのパースで開かれる放送連合の中間理事会では、私の感触ではこの問題が一応何らかの形で討議されるのではないかというような予感を持っております。
  153. 樋上新一

    ○樋上委員 そういう問題が提案され、提起されたときには、会長としてはどういうお考えでいらっしゃいますか。
  154. 前田義徳

    前田参考人 私は、会長であると同時に議長をつとめますので、先ほど先生もお読みになりました憲章に従って公正な判定を下したい、このように思っております。
  155. 樋上新一

    ○樋上委員 私もそれを望んでおりますので、最初申し上げたのでございますけれども、このアジア放送連合規約の第三条「会員の資格」、この四項において「独立国における国民的性格の放送機関にかぎり正会員となることができる。」とありますが、中国が国連に加盟した以上、NHKとしても中華人民共和国は認めるべきであると私は思うのでございます。また、同条の七項に「一国から加盟する正会員は一に限る。」とあるのです。当然北京放送を認めるべきであるし、またNHKが公共放送であることを考慮するならば、同規約の第二条にあるように「政治的または営利的目的を有しない。」原則にのっとり考えるべきではなかろうか、こう私は思って会長にお伺いしたのでございますが、会長はその憲章に従ってやるとおっしゃいましたので、私はそういう観点からやっていただきたいと思います。  その次にお伺いしたいのは、NHKがアジア放送連合に分担している分担金というのはどのくらいになるのでしょうか。
  156. 前田義徳

    前田参考人 昨年私どもがフィリピンのマニラ総会で決定したアジア放送連合の新年度予算は十三万ドル強、十四万ドルに近いのですが、その中でNHKが負担する分掛金は二万ドルでございます。十三万ドルに対して二万ドルでございます。
  157. 樋上新一

    ○樋上委員 全体から見て何%になるのですか。
  158. 前田義徳

    前田参考人 いまの為替レートでいいますと一〇・八%弱になるかと思います。
  159. 樋上新一

    ○樋上委員 この費用は予算項目のどこに出ておるのですか。
  160. 前田義徳

    前田参考人 これは、放送連合は主として会費で成り立っておりまして、正会員の会費の総額と準会員の会費の総額はほぼ似通っております。その正会員の会費の中で、お読みいただいた規約のあれに従って、それからその年の経済情勢に従って次年度の新しい分担レートをきめるわけですが、その分担レートのきめ方においてNHKは三万ドルということになったわけでございます。
  161. 樋上新一

    ○樋上委員 そのNHKの二万ドルですね、いまおっしゃった予算の、項目はどの、項目なのかということをお伺いしておるわけです。
  162. 前田義徳

    前田参考人 構成員の会費の項目です。
  163. 樋上新一

    ○樋上委員 それは国内放送の欄にあるわけですね。
  164. 前田義徳

    前田参考人 国内放送の欄にあります。
  165. 樋上新一

    ○樋上委員 このアジア放送連合に関する業務は、放送法第九条二項の何号に相当するのですか。
  166. 前田義徳

    前田参考人 私の記憶では第九条の2の第七という数字がある項と、それから三十四年放送法が改定された際の九条の二、国際放送との関連でございます。
  167. 樋上新一

    ○樋上委員 私は、これは第十号に相当するのじゃなかろうかと思うのですけれども、七号とおっしゃいましたね、会長。これは十号じゃないのですか。
  168. 前田義徳

    前田参考人 それはどこからそういう解釈が出てきたか、私にはわかりませんけれども、私が申し上げた九条2の七は当然業務を遂行するために外国との関係番組及び協力について規定されており、これは大臣認可を必要といたしておりません。
  169. 樋上新一

    ○樋上委員 これは、私は郵政大臣の認可が必要ではなかろうか。「前各号に掲げるもののほか、放送及びその受信の進歩発達に関し特に必要と認められる業務で郵政大臣の認可を受けたものを行なうこと。」この項に該当すると思いますが、どうでしょうか。
  170. 前田義徳

    前田参考人 たとえば、イタリア賞とかいろいろな番組コンクールがありまして、これに参加する場合も、私としては九条の2の七と関連する、それから本来業務としては、二十四年に改正された九条の二に該当すると、このように考えており、従来郵政省もその点は別に御異議ありませんでした。ただNHK昭和三十二年ないし三十三年の際に、放送法も九条の二はございませんでしたが、そのときにアジア放送事業会議を開いた際には、特に郵政大臣お話しして、文書による認可はございませんでしたが、御賛同をいただいた前歴はございます。
  171. 樋上新一

    ○樋上委員 この点は、私、ちょっと見解を——もう少しはっきりしないのですけれども、前例がそういうこともあるというのならば、その前例、慣例に従っておやりになったと思うのです。  そこで、話題を変えまして、このABUのためにNHKの北京特派員が入国を許されないとも聞いておるのですが、事実は何が原因なのか。公共放送NHKが中国に特派員を送れないというようなことは、どうも中国の事情を取材することができないとなれば聴視者に対する怠慢ではなかろうか。また、入国許可の努力をしていると思うのですが、その点はいかがでございましょうか。
  172. 前田義徳

    前田参考人 アジア放送連合ができたあとでも、ある期間は中華人民共和国の北京政府は、NHKの支局の開設を許し、特派員の駐在を許しておりました。率直に申し上げて、約一年半ぐらい前からいろいろな政治環境の中で、この問題が新しい観点から論ぜられたかに仄聞いたしております。なぜ私が仄聞と申しますかと言いますと、直接にその理由については、残念ながらまだ北京政府の御説明を伺っておりません。そういう意味で、私としては、そういう経過の中で、NHKは、やはりきょう午前の御質問にも答えたわけですが、単にNHKの聴視者、日本国民のためだけでなしに、日中関係国民間の理解を高めるためにも、また深めるためにも、それから国交から見て、両国の親善を増進するためにも、私としては、特にNHK会長としてはこの問題が早急に解決されることを強く期待いたしておりますし、いろいろな方法で、間接ではございますが、われわれの見解は、中華人民共和国にもお伝えを申し上げており、今後もそれをお願いしたい、このように思っております。
  173. 樋上新一

    ○樋上委員 ある雑誌の報ずるところでございまして、これは確証はどうかと思うのですが、電波による中国封じ込め、いわゆる「中国がNHKに対して、急に態度を硬化させたのは、一九七〇年ごろからだといわれている。それまでは在北京NHK特派員の滞在を認めていた。だが、その年の九月、NHK北京特派員の滞在期限が切れてからは、再入国申請が許可されず、それ以降、事実上入国を拒否されている恰好なのだ。」またほかのところには、「アジア放送連合に関する前田会長自身の発言はどうか。アジア放送連合に中国を入れることの可能性を質され、前田会長は当初こう答えている。「ABUには、中国を承認し、貿易をしている国々もはいっており、中国が統一国家、“一つになった中国”としてABUに入りたいといえば、総会や理事会で審議することになろうし、拒否する理由は何もないだろう」これでわかるとおり、前田会長は、あくまで″一つになった中国″を前提として語っており、まさかABUへの加入を申しこむ事態はあるまい——と予想していたかのようである。その後の記者会見で、ABUの中国への態度を質された前田会長は、「ABUは政治団体でなく国を構成単位にしているので、同じ国が二つの席を占めるわけにはいかない。中華人民共和国が一つの国の代表であると国連で決まれば、ABUとしても憲章に従って中国に参加を要請することになるだろう。その際、台湾は正式メンバーとしては失格することになる」と答えている。」のですが、これはこのとおりですか。
  174. 前田義徳

    前田参考人 その雑誌そのものにつきましては、私の責任とは関係ございません。その引用された部分の表現の中では、私が語ったことと同じ部分もございます。しかしそれ以外の、それと関連する、まあ拡大解釈的な引用につきましては、私の記憶にはございません。
  175. 樋上新一

    ○樋上委員 私は、あくまで会長が、第一条に示されたようにやっていただきたいと思いますし、政府のいろんな圧力といいますか、そういうものに屈することなくNHKほんとうの公共性という立場からいわゆる中国は一つであるというならば、当然中難人民共和国を加盟すべきであり、台湾を追放すべきである、こう私は申し上げまして、この問題を終わりたいと思いますが、ABUの放送衛星の構想とはどういうことなんでしょうか。
  176. 前田義徳

    前田参考人 前段の問題につきましては、政府からの圧力は全くございません。こまかい番組政府寄りでないとか、野党寄りであるとか、あるいは金を使い過ぎるのじゃないかという点では間接の圧力があることは事実でございます。しかし、中共問題について、中華人民共和国の問題とアジア放送連合との関連において圧力をいただいたことは一回もございません。  第二段のアジア放送連合衛星につきましては、何といいましてもアジア放送連合の中で衛星をつくって打ち上げ得るという可能性を持っているのは日本しかございません。その日本の国内政策が、アジア放送連合というもの、あるいはまた放送衛星自体に対して消極的な考え方を持つならば、これは実現の可能性はないと思っております。ただ、一つ申し上げられることは、郵政省が中心になって関係機関NHKもその中に含まれておりますが、その御指示によって放送衛星の研究開発を継続していることは事実です。御審議いただく明年度予算の中でも七千万円をその研究費に計上いたしております。
  177. 樋上新一

    ○樋上委員 資料によると、打ち上げ計画を検討しているようであるというのですが、実現の可能性はあるのかないのか、こういうことの一つの危惧と、それからまたニクソン訪中で上海にインテルサットの地上局をつくるというような約束ができたと聞いているのですが、これもどうかと私は思います。わが国でさえまだ放送衛星というものは打ち上げに至っていない現状ですね。はたしてアジアの加盟諸国が衛星を打ち上げることができるかどうか、はなはだ疑わしいと思うのです。また、この機会に前田会長放送衛星について、わが国のあり方、また電波通信行政の一つとしてどう考えていらっしゃるかという御所見を承りたいと思います。
  178. 前田義徳

    前田参考人 先ほど明年度予算放送衛星開発研究費が七千万円と申し上げたかと記憶いたしますが、これは八千万円の間違いでございます。八千万円出しております。  先ほど申し上げたように、アジアで少なくとも放送衛星を打ち上げるという点からいえば、財政的にも技術的にも日本、したがって、放送機関の名前でいえばNHK関係で打ち上げない限り不可能だと思っております。ただし、インテルサットの地上局は、この正会員二十二カ国の中でもずいぶんたくさんできてまいりました。今回のニクソンさんの北京訪問と関連して、RCAのパラボラが北京と上海につくられ、それを中華人民共和国がお買いになる。これを何にお使いになるかは私どもにもわかりません。しかし、たとえば私は去年のアジア放送連合のジャカルタの理事会で、インドネシアでもジャカルタの南方にインテルサットの受信基地ができておりましたが、驚くことに、その所長はカナダ放送協会の技術者でありました。  こういう点から見て、御当局におかれても、アジア地域はもちろんのことですが、世界全体の形勢をもう少しお考えになる必要があるのではないか。私自身は、その点に関連して申し上げますと、実は歴代の外務大臣、それから郵政大臣に対しまして、この問題を真剣に御検討いただくよう、要請いたしました。そのときの最初の外務大臣は小坂善太郎さんです。それから三木外務大臣、福田さんにも申し上げております。郵政大臣にも歴代申し上げております。私は放送事業者としてばかりでなく、日本と開発途上国との関係を考えますときに、これは会長答弁としてはちょっと逸脱するかもしれませんのでその点はお許しいただきたいと思いますが、やはり一言にいって東南アジアの政治的あるいは経済的安定をお助けするためにも、やはり一般教育の普及、その国における義務教育の普及が一番大きな問題だと考えており、アジア放送連合加盟各国は、その点を指摘しながらアジア放送迎合の衛星を打ち上げることによってこれをレベルアップしたい。明治維新のときでしたら、まず先生を養成して、印刷によって教科書をつくり、建設によって学校を建て、二十年かかっても三十年かかっても、それは非常な効果をおさめて今日に至っております。しかし現在の世界情勢で、開発途上国が政治的にも不安定、経済的にも非常に窮乏している中で、このような百年前の措置をとることはおよそ意味がなく、また実際にできない。そういう状況では、アジア放送連合の先進国は日本ばかりではありません、オーストラリアも入っておりますし、インドも入っておりますし、ニュージーランドも入っております、これらが協力して、要望している国に、やはり教育放送という点からも協力すべきではないか。  これはだいぶ前の話ですが、その当時の計算によりますと、非常に単純な放送衛星を四つぐらい、予備も必要で、つくるとすれば、その総額は約六十億円です。そうして地上設備は、大体普通のインテルサットの地上設備の半分、百万ドル。そしてこの百万ドルは、かりにアジア放送連合の正会員二十二カ国に経済援助の形で提供するとしても、わずかに二千二百万ドルです。こういうことで、やはり日本が積極的に協力することが日本に対する価値判断を正しい方向で理解していただくことになると同時に、ほんとう意味での次のゼネレーションに対するアジア諸国民への協力という事実があらわれてくる。そういう意味で、私は依然としてこの放送衛星の打ち上げには熱意を持っております。しかし現在の国内行政あるいは国内指導者の考え方を考えますと、残念ながらこれは実現しがたい。そのうちに国際的には波の割り当ても全部きまってしまう。  ですから、日本では、言い方は悪いですが、おまえの言うことは夢のようだと言われておりますが、たとえばカナダを見てももうその方向に踏み切っております。ごく最近、一月前にも、アメリカの最も権威ある人から、NHKにその気があれば、そうして日本にその気があれば放送衛星を打ち上げることに力をかすという問い合わせがあらためてありましたが、私はもうこの問題は外には持ち出さない、かえって混乱するばかりだ、こういう考え方で、いまは残念ながら消極的な気持ちでおります。
  179. 樋上新一

    ○樋上委員 いま私が尋ねようと思っておるところを先に答えられて、各演説を聞かしてもらったのですが、ABUをもっとほんとう充実していかなければならない、また実のある成果を得るためにはどのようにしたらよいか。言語の問題、いわゆる開発途上国との関係、いろいろな障害があって、実際には大きな業績を期待することはできないだろう、こういうぐあいにも言われるのです。そこでいま会長もおっしゃったように、あなたの夢を実現し、そうしてあなたの理想を実現する上においては、私は積極的に発言もしていただかなければならないと思いますし、そういうことについては私もいまの御所見には賛成するものの一人でありますし、あなたの御構想については、政府みずからもこういったABUを発展充実させるというところにほんとうに協力していかねばならぬ、こう私も思っております。せっかくあなたの、会長として、またABUの会長として、今後の実のある成果を私は期待するものである、こう思う次第でございます。  この問題はこのくらいにいたしまして、あと国際放送のことにつきまして、これは郵政省のほうにお伺いするのですが、四十七年度予算における国際放送の規模はどうなっていますか。また、その内容を説明していただきたい。簡単でよろしゅうございます。
  180. 藤木栄

    藤木政府委員 お答え申し上げます。  四十七年度の国際放送の規模は、実は先ほどもお答え申し上げたわけでございますけれども、私ども努力が足りなかったと申しますか、の結果によりまして、四十六年度と全く同じ規模でございます。これは、私どもとしましてもはなはだ不本意なんでございますけれども、現在のところそういうことでございます。
  181. 樋上新一

    ○樋上委員 私は、全く同じということは、積極性がないのであって、これは、この経費の増額をはかるべきではないか、こう思うのですが、会長はこの国際放送のいわゆる政府の補助、そういう経費の増額について、かつてそういうものを政府から出してもらう必要がないようなことをおっしゃったことはございませんか。
  182. 前田義徳

    前田参考人 それは、昭和三十四年に放送法一部改正のときに、私は、まあ最近もそういう空気が出てきているようですが、国際放送は全部政府放送にせよ、これは時代の逆行でありまして、各国とも逆に政府放送から自主的放送に変わりつつある段階で、政府放送であれば聞く者がいなくなるだろうと思います。これは官製放送になりますからね。そういう意味で私は、全額国庫の支弁によってNHKが国際放送を行なわなければならないというのであれば抵抗を感ずることを申し上げました。したがって、九条の二になりますが、その改正によって、原則として国際放送NHKの本来業務ということになったわけです。そして別の条項で、政府は命令放送を行なわせることができる。その命令放送との関連で政府は金を出す、こういう形になったわけです。したがって、私どもは現在も命令放送を一部実施しております。この命令放送の、少なくとも昭和三十五年以来、正確に申し上げますと昭和三十二、三年には、NHKは財政の危機がございました。それは、テレビ全国網をつくらなければならない時代でありますから、したがってそのときに、ラジオ料金の増額を要請したことがございます。そのときには、私の記憶では、現在の田中通産大臣が郵政大臣でございました。そしてこのときには、値上げはストップいたしましたが、三十五億円の財政投融資をいただいたわけです。それはもう完済いたしましたが、そのころの財投というのは非常に金利の安いものでした。今日はいろいろな種類の財投がございますが、われわれを対象とするものは金利の高いものでございます。したがいまして、そういう意味とは関係なく、私は当時の政調会長と直接談判いたしまして、海外放送の部分について初めて一億円以上の交付金を得ることができました。それ以来、私の記憶では、あるいは多少の増額があるかもしれませんが、一億円台というのは十年以上にわたって全く変化のない金額であり、命令放送という分野ではこれは増額していただきたいものであるということを考えております。
  183. 樋上新一

    ○樋上委員 いま会長のおっしゃった点について、監理局長はどうお考えになりますか。
  184. 藤木栄

    藤木政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、あるいは会長からもお話がありましたように、現在の国際放送政府の命令の部分とNHK独自でおやりになる部分、二つに分かれておるわけでございますが、私どもその政府の命令というものはどういうものをやっているかと申し上げますと、いわゆる時事あるいは国策あるいは国際問題に関する政府の見解というものにつきましての報道、解説というものをお願いしているという状態でございます。まあ、政府としましては、やはりそういったものは当然必要であろうと思うわけでございまして、私どもとしましても、できるだけ多くそういう放送をお願いするために、予算要求は相当、いまの一億数千万円よりもオーバーした相当なものを要求しておるわけでございますけれども、実際問題として、先ほど申し上げましたようになかなか大蔵省から要求どおりの予算が認められない、そういう状態でございます。
  185. 樋上新一

    ○樋上委員 終わります。
  186. 高橋清一郎

    高橋委員長 次回は来たる三月十五日午前十時二十分理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十六分散会