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1972-06-09 第68回国会 衆議院 地方行政委員会 第34号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年六月九日(金曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 大野 市郎君    理事 上村千一郎君 理事 大石 八治君    理事 塩川正十郎君 理事 中村 弘海君    理事 豊  永光君 理事 山本弥之助君    理事 小濱 新次君 理事 門司  亮君       高鳥  修君    中島 茂喜君       中山 正暉君    綿貫 民輔君       細谷 治嘉君    山本 幸一君       横山 利秋君    桑名 義治君       和田 一郎君    林  百郎君  出席国務大臣         自 治 大 臣 渡海元三郎君  出席政府委員         消防庁長官   降矢 敬義君         消防庁次長   山田  滋君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      加藤 隆司君         建設省道路局日         本道路公団・本         州四国連絡橋公         団監理官    伊庭 武男君         建設省住宅局建         築指導課長   救仁郷 斉君         自治省税務局固         定資産税課長  小川  亮君         消防庁消防課長 青山 満夫君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ————————————— 本日の会議に付した案件  消防法等の一部を改正する法律案内閣提出第  九〇号)(参議院送付)      ————◇—————
  2. 大野市郎

    大野委員長 これより会議を開きます。  参議院から送付されました消防法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。横山利秋君。
  3. 横山利秋

    横山委員 法案の一番こまかいところでありますが、ずばり御質問をします。  この改正法案の八条の三でありますが、要するに、防災性のものを表示をしなければならぬとしての、「同項の表示又はこれと紛らわしい表示を附してはならない。」というところがこの法案のいわゆるみそだと考えられます。これは防災性のものですよといって、どんちょうカーテン展示用合板、その他これらに類する防災対象物品について、キャバレーでも、旅館でも、病院でも、劇場でも、表示がされておるということがこの法案みそである。そうすると、その焦点からいろいろ聞きたいのですが、「紛らわしい表示を附してはならない。」ということは一体どういうことなのかという疑問なのであります。まぎらわしくない表示というのは一体どういう表示なのか。まずそこから伺いましょう。
  4. 降矢敬義

    降矢政府委員 まぎらわしくない表示、つまり、それは、自治省令表示の様式を定めるわけでございまして、当然告示をいたしますし、一般にも周知をいたします。それが本来付すべき表示でございまして、それに類似する、つまり、それにないもの、それは一切認めておらないわけでございますが、往々それと見間違うような形式で付されている場合には、それを予想いたしまして、「紛らわしい表示」という表現をしたわけでございまして、正しいものを告示いたしまして、それを十分PRをして、それをまたその基準でつけていただく、こういう考え方のものでございます。
  5. 横山利秋

    横山委員 これは防災性表示であります、それは完全な法定の表示でありますからよろしい、そのほかに、まぎらわしい表示とまぎらわしくない表示と二つある、こういう解釈に立っているわけですね。だから、まぎらわしい表示とまぎらわしくない表示との区別が一体あり得るか。私の質問はそういうことなのですよ。大体、正式な表示以外には何らかの防災関係表示をしてはならないと、なぜできないのか。どうもそこの辺が、この法律体系としておかしなことを書いているものだと、この間も来てもらいまして議論をしたのですよ。私は説明を受けたのです。これは正式の表示です、これはまぎらわしくない表示です、こちらのほうはまぎらわしい表示です——こんなことを区別しなければならぬ必要がどこにある。これは正式の表示です、それ以外には防災性表示をしてはなりませんと、なぜそれではいかぬか。消防署員が行って、これは正式な表示だ、これは何だね、これはまぎらわしい、いや、まぎらわしくないと、けんかをやる種を残す必要がどこにある。どうしても「紛らわしい表示を附してはならない。」ということを書かなければならない理由が何かあるのかというのが私の質問焦点です。
  6. 降矢敬義

    降矢政府委員 確かに先生のおっしゃるような疑問があると思いますが、これは、私たちは、防炎性を有するカーテンその他のものにつきまして、御案内のとおり、これを強制して設置させる場所は、キャバレーホテルその他に限定しております。一般消費者方々については、これをどうしても使わなければならぬという義務づけはいたしておりません。しかしながら、防炎性を有するカーテンというものを使用していただくということは望ましいことでございますが、消防職員が立ち入って検査をする場所は、義務的にそういうものを使用する場所だけでございます。したがいまして、先ほど申し上げましたとおり、一般消費者方々にもこれを知っていただくという意味PRをいたしますけれども、これに類するようなものについての判別が非常に困難でございます。したがいまして、「紛らわしい表示」ということをあえて付しまして、それについて、罰則においてこれを担保するということをしたわけでございます。つまり、全くにせものでございますと、それはまぎらわしいのでありますから、一般消費者の立場からすれば、十分PRしても、必ずしもそこのところが明確に認識されないだろうということを考えまして、罰則との関連におきましてこの「紛らわしい表示」というものをあえて付したわけでございます。
  7. 横山利秋

    横山委員 どうも納得できないのですね。この法文の中で、「同項の表示又はこれと紛らわしい表示を附してはならない。」ということを、「同項の表示を附してはならない。」というふうに明確にして、「紛らわしい」ということばを削除すべきである。消防署員が行って、これは正式な表示である、これはまぎらわしい表示である、これはまぎらわしくない表示である、と、この区別をどうやってするのですか。一々上司に、まぎらわしいか、まぎらわしくないかという伺いを立てなければならぬ。立てたときに、一体どういう基準でまぎらわしい表示とまぎらわしくない表示をあなた方は区別をなさるのか。「紛らわしい」ということばをここに書くことによって、まぎらわしくない表示があり得るということをあなた方は法律上お認めになっている。そうすると、正式の表示のほかにまぎらわしくない表示があり得るということを認めなければならぬ。なぜそれを認めなければならぬのか。そこのところが法律効果を非常に減殺する。この法律効果というものは、お店に行って、劇場に行って、キャバレーに行って、消防署員が見た場合に、表示が書いてあるな、オーケー、表示が書いてないな、これはいけませんな、これはひとつ書いてください、ここに表示が書いてありますよ、いや、これは正式な表示じゃないじゃありませんか、けれども、これはちゃんとメーカー防炎性だと言ってやっておりますよ、私の責任じゃありません——そこでメーカーを追跡する。メーカーは、自社の責任をもって防炎だと考えておりますということで、まぎらわしい、いや、まぎらわしくないとけんかの種をわざわざここへ残さなければならぬ理由がどこにあるか。法律効果はこれで全く減殺されるではないか。「紛らわしい表示」というものをここに置かなければならぬという理由が私にはわからない。なぜ「紛らわしい表示」というものをこの法文の中へ残すのか。これによって消防署員が行っても全く効果がないじゃありませんか。これはどうも少し法制局あたりの御見解を聞き過ぎているのではないかと思う。この法律案ポイントはここだけじゃありませんか。そのポイントがまぎらわしい結果になってしまっているから、ここのみそが一番はっきりしないから、これはだめだと思うのです。
  8. 降矢敬義

    降矢政府委員 先ほど申し上げましたとおり、正しい表示自治省令で告示するものでございます。しかしながら、これにまぎらわしいものとして考えておりますのは、実は正しい表示に似せて効力のあるように見せかけるという表示でございます。現在、先生も多少御案内かと思いますが、消火器につきまして、それに類するような、実は検定を受けてないものについて検定済みという表示、つまり受けたかのごとく相手錯覚を起こさせるような表示をしている向きがございます。今般の改正におきましても、二十一条の九第二項の「紛らわしい表示」、検定を受けたものと相手錯覚を起こさせるような、そういうまぎらわしい表示についても、今後罰則をもってこれを禁止するというような担保規定をあえて設けたわけでございます。それと同じ意味におきまして、この場合におきましても、正式な表示のほかに、このまぎらわしい表示というものを罰則対象とするためには、この「紛らわしい表示」という表現、つまり構成要件をあえて書かなければ、その点の罰則対象にせられるかどうか疑問があるということでございます。したがって、「同項の表示」のほかに、こういった「紛らわしい表示」という表現を用いまして、そして構成要件を明らかにしまして罰則担保に付する。こういう考え方のもとにこれを入れたわけでございます。
  9. 横山利秋

    横山委員 この表示は、第二項によって「同項の防炎性能を有するものである旨の表示」なんです。安くて、きれいで、りっぱなものでありますと書いたって、何もそれは関係ない。この表示の目的とするところは、「防炎性能を有するものである旨の表示」なんですね。そのまぎらわしい表示をする人は、火災予防に便利でありますという表示をした場合に、これは「紛らわしい表示」であるかどうかということの議論の種になる。メーカーが、これはわが社がどこそこの研究所において防炎性を持っておるものであるという鑑定をしていただきましたという旨の表示をすることも「紛らわしい表示」であるかないか。これはずいぶん議論を呼ぶわけです。  それで、この「紛らわしい」というようなことばがほかの法律にあるかないかは、私は検討はしません。けれどもこの法律が、「防炎性能を有するものである旨の表示」をすることが一番のみそであるならば、まぎらわしい表示をした春はいかぬけれども、まぎらわしくない表示をした者は差しつかえないということになれば、一体何の効果があるか。それで、「紛らわしい」ということばを削除することによって、現場における争いもなくなるであろうし、メーカーも、あるいは劇場も、どうしても表示したいというならば、正式の表示のしてあるものを買う気になるであろうし、そうすればいいのであって、わざわざまぎらわしくない表示を付しても罰則はないというふうにここで断定をされることは、まことに法律効果を減殺される。こういう席上ですから、長官も、開口一番、それはまずかったですねと言うわけにはいくまいと思うのですけれども、これは同僚諸君もお聞きになっておってどうお考えになっているか。私は、これはどこかで法律論に幻惑されて、法律効果をなくすることについて踏み切り決断が足らなかった最大のものじゃないかと思いますが、大臣、どう思いますかね。
  10. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 横山さんは法律の点につきましては御専門でございます。私、法律にはその点うといのでございますが、私は、この法律案を提案しますときに、見ましたときに、横山さんのように、正しいもの、それ以外はまぎらわしいもの、その間にもう一つまぎらわしくないものがあるという三段階じゃなくして、正しいもの、それに対して往々にしてまぎらわしいものを出す。ところが、防炎のものを付するというのは、一般に使用されるところではそういったものを使う必要がない、特定のところに必要であるということになるものですから、全部が防炎のものを付さなくてもよいということにもなりますので、たまたま防炎のまぎらわしいものによりまして、わしはこれは何も防炎でやったものじゃないのだ、間違う客が悪いのだというふうな場合のことをおそれて、正しいもの以外のまぎらわしいものはつけてはいけないのだというふうな意味でこれを書いたのだ、こう率直に受け取りまして解釈しておったのでございますが、いま言われますと、そういうふうな点もあるのじゃないかと思いましたのですけれども、私は率直に受け取りまして、そういうふうに規定されて、まん中にまぎらわしくないものというのを抜いて、正しいものとまぎらわしいものと三つに分けて、まぎらわしいものはつけてはいかぬのだ、この条文ではこういうふうに解釈してもいいのじゃないか、こう思いまして認めたのでございますが……。
  11. 横山利秋

    横山委員 大臣がおっしゃるように、正しいものという言い方は少し問題がありますが、正式の許可を受けた表示許可を受けない表示があって、許可を受けない表示の中に、この法律は、まぎらわしいものとまぎらわしくないものと区別しておる。法文上はどうしてもこういう解釈になる。裁判で争った場合には、許可は受けておりませんけれどもこれはまぎらわしくない表示でありますという立論の根拠がこの中にはあるのです。たとえば法律でよく、商工会の名称を他に用いてはならぬ、税理士会名称を他に用いてはならぬと、ずばっと割り切ってますね。これは法律論からいきますと、まぎらわしい表示をしてはいかぬ、まぎらわしくない表示ならばいいという解釈が正当ですよ。ですから、私は、他の法律にも例があるように、「同項の表示」以外には防炎性能を有する旨の表示をしてはならぬと割り切ってしまうべきだ、こういう意見なんです。これは私の意見で、ひとつ委員長同僚諸君にお聞きおきを願って、最終的に判断するときに一ぺん議論をしてもらいたいし、それから消防庁としても、これは私は消防庁のために、消防署員のためにすすめておるのですから、ひとつ行政が円満にできるように、もう一ぺん最終的に御判断を願ったほうが非常にいいと思いますよ。  その次に、同じような問題で、現実的に起こりますのが、この表示をしてあるものを買って、劇場なりどこかでつけた、ビルでつけた、洗たくした場合には洗たく屋がこれをつける、あるいは原反を買ってきて自分のところで加工した場合、あるいは縫製業者加工を依頼した場合、そういう場合がたくさんあるのですが、そういうときにはこの法律はどういうことを要望しているわけですか。
  12. 降矢敬義

    降矢政府委員 これは今回の八条の三の一番最後の規定のところにそういう関係規定を置きまして、加工をさせた場合には、その加工業者にその旨を表示させるようにするということで、「自治省令で定めるところにより、その旨を明らかにしておかなければならない。」というような規定を置いたわけでございます。したがいまして、洗たく屋さんに出して防炎性能をした場合には、その防炎性能を有する旨の表示をさせて、それを使用するということをここに書いたわけでございます。
  13. 横山利秋

    横山委員 洗たく屋洗たくした場合に防炎性が希薄になる。それを洗たく屋が染料なり何なりで防炎性をつけ加えなければいかぬ。そういうことが全部の洗たく屋ができるような状況になっておるとは思いませんね。そうすると、洗たく屋を選択しなければならぬということになるわけですね。実際問題として、この法律は、そういうことを予想してそれを要求しているわけですか。
  14. 降矢敬義

    降矢政府委員 この防炎性能、つまり防炎加工という技術がございまして、この点につきましては、いまの洗たく屋さんの例で申し上げますと、日本防炎協会がこの防炎加工技術についての講習をやり、そうしてその講習において資格、技術を認定する、こういうことを積極的にやっておるわけでございまして、そういう技術を有すると同時に、また、そのための機械設備が必要でございます。そういうところにおいて洗たくをしたあと防炎をしてもらうということになるわけでございます。ただ、先生案内のとおり、この規定におきましては、病院とか、あるいはホテルとか、劇場とかいう特殊の施設、つまり第一項の「防火対象物」というのは、主として不特定多数の人の集まる特殊の場所におけるカーテンその他のものについての防炎法律的に義務づけておるわけでございまして、この規定におきましても、その義務づけられた者がそういうものを常時使用しておかなければならぬということが八条の三の第一項でございますので、それを受けまして、洗たくをして防炎性能が希薄になり、あるいは全然なくなったという場合には、それをさせて、そしてまた継続的に防炎性能を有するカーテンにしておかなければならない。こういうことでございますので、いまの洗たく屋を選択させることを予定しているのかという御質問については、そういう技術を持つ洗たく屋さんにそれをしていただく、また、するほうにおきましても法律的に義務づけられておる、こういうところから、予定しておるといえば予定しておるわけでございますけれども、そういう関係で、特殊の技術、機能、設備を要しますので、ある程度防炎加工できるものは当然限定されてくるわけでございます。
  15. 横山利秋

    横山委員 この法律の終局的にねらうところは、この種のどんちょうであるとかカーテンであるとかを含めて、一般家庭に至るまですべて防炎性のものを使うように将来望んでおる、こういうふうに私は考える。その第一回のはしりとして、高層建築物や地下街、劇場キャバレー、人の集まるところをまずまず一番初歩的な表示をさせる。将来としては、メーカーから洗たく屋、あるいは家庭の主婦に至るまで、防炎性のものをつくり、防炎性のものを劇場にかけ、家庭カーテン防炎性のものにするように誘導しようとしておるというふうに私は考えておるのですが、まあそうでしょうね。そうだとすれば、先ほどの話に返るわけじゃありませんが、まぎらわしくない表示をしてもいいというような、一番初歩初歩からまぎらわしい法律をつくっておったならば、私は効果がないと思うのですよ。  それからもう一つ聞くのですが、こういう法律解釈でよろしいか。まぎらわしい表示をしたら一万円の罰金ないしは拘留をする。では、劇場やどこかで防炎性でないカーテンどんちょうをつけておいたらどういう処分になりますか。
  16. 降矢敬義

    降矢政府委員 この点につきましては、特殊の施設において防炎性能を有するカーテン等をつけなければならぬという第八条の三の規定は、昭和四十四年の改正において御審議をいただいたわけでございますが、その際にも、つけていなければ罰則担保するのかどうかという御議論がございました。それで、この点につきましては、実はこの種の問題は非常に初めてのものでございます。そして、やはり相当普及を見なければいけませんし、また、先ほど先生の御指摘のように、ある種の施設技術を持たなければ防炎性能の問題が前進いたしません。したがって、法律で強制して、直ちにつけてないから罰則ということについては、踏み切りがたかったわけでございます。  そこで、今回これをこういうかっこうで入れるについて、私たちの部内でも相当議論をいたしました。この点につきましては、先生案内のとおりに、問題は、その四十四年四月一日以前からある施設について用いられている合板カーテン等については、法律規定をざっくばらんに言えば、今後そのカーテンを使っている限り全然防炎性能を持たせなくともよろしいのだという規定が附則に入っております。そこで、この普及率がまことに悪うございまして、われわれ調べてみますと、防炎性能を当然持っていなければならぬようなところだけを見ましても、大体普及率が一〇%内外でございます。それはおそらく、そういうようないわば経過規定がありまして、また同時に、あとで見れば、それは古いものであったのか、当時あったものなのか、きわめて不明確でございます。そういうかっこうから、いまのような防火対象物におきましての普及率というものはきわめて悪い。そこで、今回そういった意味経過措置を廃止いたしまして、そうして今後、古いものも洗たくをする際には防炎加工をすることを、一年間の猶予規矩を設けまして義務、つけることにいたしたわけでございます。それをいたしましても、なお直ちにこれによって罰則担保すべきかどうかということについては、もう少しいまの普及を一そう早めまして、これによって担保をするかどうかということを検討したらどうかということで、今回は、四十四年の考え方をもう少し延長して実績をつくり、その上で考えようということで、今回の改正を契機に新たに罰則規定を入れることをやらなかったわけでございます。
  17. 横山利秋

    横山委員 まあ、くどくど申しわけなさそうにおあやまりになるので、痛々しくて、気の毒で、質問ができないのです。正直なところ。だけれども、常識的にまことにとんちんかんな話で、このカーテン防炎性のものであるという表示でない表示をつけておいたら、一万円の罰金ないしは拘留にします、しかし、そういう表示をつけずに、防炎性のものでないカーテンであっても、一切罪にはいたしません——まあ、これは何というふかしぎなことでしょうかね。その意味では、消防庁というところはたいへん国民に遠慮なさるというか、決断が足らないというか。なるほど、何月何日から防炎性のものを全部つけなければ承知しない、でなければ一万円の罰金だというのは強行し過ぎるような気持ちもせぬでもない。それは、全国至るところのキャバレーから全部防炎性のものにつけかえなければならぬという点は、たいへんなことだと思いますよ。思いますけれども、まぎらわしいものをやったら一万円の罰金だよ、けれども防炎性でないカーテンをしておっても何らの罰則はありませんよという法律体系というものは、いかにも法律論として説得力がない。大体私は、消防についてはしろうとでありますが、この機会にだいぶ勉強させてもらいました。勇気が足りないという気がしますな、ほんとうに。元気がない。大臣一体消防庁のことをほんとうに一生懸命にやっておるのかどうだろうかという気がしますね。それで、大きな火事さえあればわあわあと言って、がんがん言だけで、実際は、どのくらいあなたが消防のことについて蛮勇を振るってやっているのか、疑わしき限りだと思う。消防庁も、いま、申しわけないがこういうことだというよううな説明をくどくどするようなことではだめではないですか。なぜこのところを少しはっきりしないか。何もあしたからとは言いやしない。まぎらわしい表示をつけたら一万円以下か拘留だよ、しかし防炎性でないカーテンをつけておいても何にも罪はありませんよと、そんなおかしなことがありますか。どうですか、大臣
  18. 降矢敬義

    降矢政府委員 確かに、先生の言われることは、私は十分理解できるわけでございますが、この今回の考え方は、いま申し上げましたとおり、防炎性能を有するものの普及というものが非常に悪いわけでございまして、したがって今回、その表示をつけることによって、一般消費者をも含めた防炎性能に対する理解を深めなければならぬ。そのために、いま先生指摘のところの「自治省令で定めるもの」というところに罰則をつけたわけでございまして、その他のところについては罰則をあえてつけなかったわけでございます。したがって、基本的な考え方としては、いますぐということは先生も望まないとおっしゃいましたが、私たちそこは全く同感でございまして、いまのような普及率ではどうもやはりうまくいかないということで、表示をつけて、それを普及するというところに重点を置いて今回の改正をしたわけでございまして、いま御指摘のような問題をあえて回避した姿勢では決してございませんので、御答弁申し上げたわけでございます。
  19. 横山利秋

    横山委員 納得できないですな。大臣考えを聞きたい。
  20. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 現在のこの法の規制につきましては、いままでの消防法の実態というものは、特定されたところにおきましては、罰則よりも、むしろ、平素の視察その他におきましてこれを徹底させるという法体系に大体なっておった。今回、防炎性のものの普及率が悪いものでございますから、この面に対しましては罰則を設けておる。それとつり合わして、まことにふつり合いということは、その法体系の中から見たら、私も横山委員と同感でございます。ただ、従来の考え方といたしましては、そういった特定の多数の方々に対して、防火の安全を期さなければならないところに対しましては、罰則よりもむしろ現場指導という形で実施に移しておるのが実態でございましたので、今回につきましては、直ちにそれをやることができないというところから議論はありましたのでざいますが、従来の体系にしたということで、法体系の中ではふつり合いでございますが、従来の体系の中へ、一つの、今回の普及というものを奨励するためのもの、これには罰則というものがぜひとも必要であり、またそれがなければその効果を期せないというところの問題のために、法体系そのものの中ではふつり合いとなったという御指摘はごもっともでございますが、そのために、そういうふうな違ったような体系になったんじゃないかと思います。  私も、この間の火事等で参りまして、その後、至急に法的な整備も急ぐために、消防審議会等にはかりまして、いま検討を重ねておる最中でございますが、いま申されましたように、ややもしますと、現状に特に規制を加えることのむずかしさのために、法的規制というものを緩慢にする傾向なきにしもあらずだと思います。しかしながら、人命のとうとさを考えましたなれば、やはり法的規制を断固として行なわなければならないということを、あの教訓によりまして痛感した次第でございまして、関係各省にも御協力を得まして、いまその検討を進めておりますので、いまも申されましたように、消防体制に対する規制がなまぬるいんじゃないかという御指摘、まことにごもっともだと思いますので、今後そういった部面で、人命尊重ということを第一にいたしまして、必要な法的規制は、たとえ現状が困難が伴おうとも、断固としてつくっていくという方向で強力に推進してまいりたい、このように考えておるような次第でございます。
  21. 横山利秋

    横山委員 この法案は、大阪の火事やほかの大火事の前に立案されたものでありますから、あの大阪の火事のあとに討議する法案としては、全く一次元ずれているという感じが免れがたい。ここで、あの火事のときに議論したことが少しも生かされていないということは、物理的にはそうかもしれませんけれども、たいへん情けない話だ。あの火事のあとでこんなつまらぬ法律を、しかも、底抜けの法律を審議しなければならぬとは、国民に対して申しわけないと私は思うのです。しかも、長官がお認めになったように、防炎性が義務づけられておる、しかし、罰則はない。いま、防炎性のものがかけられておるのは一〇%ですか。あと九〇%はかけられていないですよ。不正表示さえしなければ、罰則はまだないのですからね。これは百年河清を待つようなものです。この法律効果がきわめて乏しいということを私は指摘せざるを得ぬ。  いま大臣は、行政指導、現場指導でやっておるという意味のことをおっしゃいました。私がもう一度消防法をずっと見比べてみますと、何と消防署長はえらいさまだなという感じがする。消防署長に与えられております予防活動の権限、三条、四条、四条の二、五条、七条、八条、十七条の四、それから二十一条。予防活動で消防署長に与えられている権限というのはたいしたものだなという気がしました。   〔委員長退席、中村(弘)委員長代理着席〕 それなら、実際問題として、消防署長は与えられている権限、同時に、裏返せばそれは義務ですが、義務が一体ほんとうに履行されておるのか、多大な疑問を私は持ったわけです。これらの強力な権限がほんとうに履行されているか。消防署員が管内のいかなるところへも立ち入り権まであるし、建築についての同意権まであるが、あらゆることが実際完全に履行されておるのか、どうか。私は多大の疑問を持っているのですが、長官、どうなんですか、この状況は。
  22. 降矢敬義

    降矢政府委員 立ち入り検査による消防防災体制の結果のトレースでありますが、立ち入り検査につきましては、それ自体は計画的にやっております。そのことは間違いはございませんが、その結果、指摘をしたものを実現させる段階では、必ずしも十分ではございません。その点はもちろん全部とは申し上げませんけれども、立ち入り検査をしてある設備についての指摘をする、あるいは設備がないからこれをつけなければならぬ、こういうところは、いま大臣が申し上げましたようにまず勧告というような方法によって、文書をもって提示しているのが普通でございます。その後、十七条の四の規定によって、期限をつけて命令を発するという段階までやっているところは少ないと申し上げたほうが正直だろうと思います。つまり、指導段階である程度それを改善させるという努力はありますが、とことんまでそれが全部の消防査察において実現されているかといいますと、必ずしも全部そうだということを申し上げる段階にはございません。
  23. 横山利秋

    横山委員 私は、この四十六年度消防白書をずっと見て、一体、消防署長に与えられている権限の行使はどんなふうに行なわれておるであろうかと思って見たら、何も書いてない。一体、消防庁として、この予防関係で、消防庁が年間何をやったかということが、ほんとうにまじめに行なわれておるならば、この「予防行政」の中に、勧告が何件、立ち入り検査が何件、何が何件と確実に出てこなければならぬはずですわね。何も書いてない。予防のところに何か書いてあるかというと、春季火炎予防運動、それから秋季火災予防運動、車両火災予防運動、全国山火事予防運動、文化財防火デー、こんなことしか書いてない。お祭りだ。お祭りしか書いてない。もっと着実に、町の工場、町の映画館を検査して、それに対して監督をし、行政をし、注意をし、その結果はどうであったかということがここへ出てこなければうそじゃありませんか。何をしているのか。この間の大阪の火事の中で一番私どもが気になったのは、結局、注意はあった、あるいは演説はあった、けれども、実際の防火演習というものがほんとうにかけ離れたお祭りごとであった、実態に少しも合ってなかったという経験ですね。だから、春季火災予防運動なんかとは言いませんよ。言いませんが、そのはなばなしいお祭りよりも、立ち入り検査をして、毎日回って一つ一つを注意することのほうがどんなに重要なことであるか。私は警察庁にもこの間言ったのでありますが、おまわりさんがそこに立っているだけでたいへん違うのだ。どろぼうをつかまえるよりも、街頭に立っておることが、どんなにえらいだろうと思うけれども、そういうことのほうが大事だということを指摘をしたのです。火災予防運動も、この予防活動、消防署長に与えられている膨大な権限だと私は思いますよ。ほんとうにえらい権限ですよ。こんなにたくさんあるとは私は思わなかった。これが着実に行なわれることのほうが問題だと私は思う。人が足りないなら人をふやすことですよ。金が足らないなら金をふやすことですよ。予防活動がもっといなら金をふやすことですよ。予防活動がもっと着実に行なわれて、私どもみたいなしろうとに、消防白書を読んだら年間どれだけ予防のために立ち入りをやって、住宅に対する注意をどのぐらいやってという、着実な下積みの人々の活動が浮かび上がってこなければうそだと私は思うが、どうですか。
  24. 降矢敬義

    降矢政府委員 消防署長に与えられている予防権限、これは立ち入り調査、それに基づく指示、指導、監督、こういうものになるわけでございまして、御趣旨は全くそのとおりでございます。実際、確かに、件数その他についての調査を白書の中にうたっていないという点については、私も反省いたします。しかし、実際どういうふうにやっておるか。計画的に、各消防書ごとに、劇場、旅館あるいは危険物施設、そういうものの区分に従って、それぞれある程度車町的な知識をみな持たせるわけでございまして、そういうことによって、主として不特定多数の集まるところ、あるいは危険物の集まるところについての査察は当然やっているわけでございまして、そのやり方について、先ほど御指摘がありましたように、あとの是正措置というものについてのトレースがまだ十分じゃありません。この点については私たちも反省をいたしておりますし、是正措置まで徹底的にやらなければ賢察の意味がございませんので、この点は、今後とも十分に力を入れてまいらなければならぬところでございますが、査察そのものの実行につきましては、決して手を抜いておるというようなことはありせん。件数その他については、私たちいま御指摘の点を十分反省をいたしまして、白書のほうにおいてもそういう点を明確にしていかなければならぬ、こう考える次第でございます。
  25. 横山利秋

    横山委員 手を抜いているなんて言っているのじゃないのですよ。もっと長官も率直にお答えを願わなければならぬと思うのは、一体、この消防署長に与えられている権限、これは私は逆に義務だというふうに理解をしたいと思うのでありますが、義務が完全に履行されておるかどうか。それは統計がここに出ていないから何とも言えませんが、この義務を完全に履行するために、どのくらいの事業場があり、どのくらいの視察をしなければならぬところがあり、それは実際問題として何%ぐらい現実にやっておるか。手を抜くとか抜かぬとかじゃない。現実に何%ぐらいいまやっているか。そして、それに対する勧告がどのくらい行なわれたか。勧告がどのくらい守られて、どのくらい守られなかったかということについて、私は実態を聞きたいと思っているのです。あなたの言いわけや弁解を聞くつもりで申し上げているのじゃない。この消防署長に与えられている権限及び義務が完全に履行されていないと私は思っているのですよ。いないけれども、なぜそれができないのだろうか。もしも予防消防に対して十分でなければ、ずばりそこへわれわれが視点を集中をしてやらなければだめなんで、一生懸命やっておりますという説明を聞くために私は質問しておるわけじゃないのです。どのくらい事業場があって、そしていまの陣容から言ってどのくらいこの義務が履行されておるか。そして、どのくらい勧告がされ、それがなぜ履行されないのかという点を率直に聞かなければ、これは審議になりません。
  26. 降矢敬義

    降矢政府委員 消防職員の立ち入り検査、つまり相手方から言えば、消防施設その他の法律で義務づけられているものを設置しなければならぬという個所でありますが、その点は、危険物施設では約三十万ございます。それから、いわゆる防火対象物と言われているものにつきましては、資料がございますが、たとえば、いわゆる複合ビル、千日ビルのようなものは二十二万一千件ございます。デパートその他についての資料がございますが、全体の合計につきましてはいま出します。  そういうことでございまして、それを現地の消防で、大体年二回をめどにして計画的に査察をやるのが通例でございます。もちろん、ところによっては、消防施設についての検査の結果、指摘事項のないというようなところ、あるいは軽微な指摘事項というような点については年一回ということもあると思いますが、大体、年二回を標準にして立ち入り検査をするのが通例でございます。  それから、もう一つは、検査のあと指摘をいたしまして是正をさせるわけでございますが、従来の指導は、まずその点について、文書をもって勧告ないしは指摘事項というかっこうで、これを相手方に提示をいたしまして、その後の査察においてその状況を見直すというやり方が通例のようでございます。その点は私はやはりなまぬるいと思っております。したがって、文書で指摘事項を出すについても、いつまでに何を直すのかという期限をつけて指摘事項にして出す……。
  27. 横山利秋

    横山委員 そういうことを聞いているのじゃありません。けっこうです。  大臣にも長官にも、一つ注文をしておきたいのであります。私の焦点としておるところは、先ほど申しました火災の予防に関する消防君長の権限。義務に基づいてこれが完全に履行されるとするならば、条文によるのですが、何カ所ぐらいのところが対象になるか。その計画として、いまお話しのように、年に一回なり何なりをどういうふうにやらなければならないと考えておるのか。そして、それは、実際、実施状況はそのとおりになっておるのかどうか。実施をした場合において、どのくらいいろいろな方法で権限を行使したか。行使したことによって、守られたもの、改善されたもの、改善されないものは何かという点について、どうも資料がなさそうであります。私は、そのなさそうだというところにたいへん遺憾な気持ちがあります。自後の消防白書をおつくりになるときは、そこを中心に置いてもらいたい。いま私が申し上げたことができるならば、なるべくすみやかに委員会に提出をしてもらいたい。その提出にあたって、なぜそれができないか、なぜ全国の該当の立ち入り検査、計画検査ないしは勧告の実行ができないのかという点も、ひとつ明らかにしてもらいたい。私は、この消防法を初めてずっと読んでみると、消防署長というのはずいぶん権限を持っている。これは絶大な権限ですよ。この絶大な権限が実際問題としては何らかの効果をもたらしていないのじゃないかとすら感ずるわけでありまして、これがほんとに完ぺきに行なわれているならばずいぶん火災はなくなるのではないかという感じがいたしますから、十分念を入れてそれをひとつお調べを願いたいと思います。  建設省がお待ちのようですありますから、建設省の問題について聞きたいと思うのであります。  高速道路の事故、新幹線で将来あるかもしれない事故、飛行機事故、水上事故、地震対策、林野火災等、大規模の火災がたくさんあるのですが、たとえば高速道路のまん中でおとついも七台の追突事故がありました。私の承知をいたしておりますところによりますと、高速道路のまん中で起こった事故については、その事故の起こった地点の所属する市町村の法律上の救急の責任、しかし、実際問題としては、インターの出入り口に属する市町村の責任、こういうふうに常識的に考えて、おるわけですが、そのとおりでしょうか。また、建設省は、道路公団の持つ自主的な救急体制という点について、一体どういうふうに強化をしておみえになるのか、その点を伺います。
  28. 降矢敬義

    降矢政府委員 一般的に申し上げまして、市町村の区域内における救急事故については当該市町村、つまり、救急業務をやっておる市町村が責任を持つことになります。しかし、いま御指摘のように、高速道路においては、まず入る場所が限定されておりますので、管内の関係市町村で協議会を設けまして、第一次的にはインターの所在する市町村から連絡を受けて参る、こういうようなしかけでこの高速救急の問題に対処しております。
  29. 伊庭武男

    ○伊庭説明員 お答えいたします。  高速道路上の救急の問題につきましては、いま長官からお答えいただきましたとおりでございますが、建設省といたしましても、その関係地域の市町村のみに義務があるということだけにたよるのではなくて、高速道路が、御承知のように非常に閉鎖的な性格でもございますので、当該道路の管理者であります日本道路公団に、十分の努力をいたしまして救急に遺憾なきを期するようにということで、かねがね指導しておるところでございます。  現在、日本道路公団においてやっておりますことを申し上げますと、パトロールカーと申しまして、交通管理用の車両がございますが、この車両に救急薬品等を常時配備いたします。現在やっております交通管理人に救急の訓練を一応施しまして、事故が発生いたしまして飛んでいきました場合に、一応の手当て等ができるような訓練をするということが第一でございます。  それから、次に、必要な個所には救護所を設けております。サービスエリアでございますが、大体五十キロぐらいにございますが、そういうサービスエリアには救護所を設けておりまして、ベッドを設けておりまして、一応、そういう事態が発生いたしましたときには、そこでお休みできるような措置も講じております。また、道路公団におきましては、先ほどお話しの救急業務実施市町村に対しまして救急車を提供いたしておる場合もございますし、それから、当該市町村と公団の事務所との間に専用通信施設を設置いたしましたりすることなどの協力をいたしておる次第でございます。
  30. 横山利秋

    横山委員 このように高速道路で事故が頻発するときには、またたく間に交通が渋滞をする。そして、救急体制は、道路公団の自主的なものの能力を少し越えそうだ。一方、インターの所属する市町村から応援体制をするについてはなかなか時間がかかる。だから、高速道路の事故救急体制については少し考え直さなければいかぬのじゃないか。いま、高速道路に付随するところの沿線市町村が全部協定ができておるとは私は思わない。したがって、どうしても高速道路公団自体が救急体制について飛躍的な強化をしなければ、交通は渋滞するわ、さて病人の救急医療も不十分ではないかというように私は考えるわけでありますが、それならば、新幹線については消防庁はどういうふうにお考えですか。新幹線で事故が起こった場合には、いまどういう体制が組まれております。
  31. 降矢敬義

    降矢政府委員 この点につきましては、いわゆる列車、電車衝突事故における救急、救助活動でございますので、当然、連絡を受けた市町村がそういう体制であれば参りますし、非常に大きい事故になりますれば、応援を求めるということによってそれに対処するということをやっておるわけでございまして、たとえば、先般ありました三重県の近鉄の事故等におきましても、そういうような処理体制をしておるわけでございます。
  32. 横山利秋

    横山委員 公団が行なう救急医療については、医師その他の資格のある人が全部配置されておりますか。
  33. 伊庭武男

    ○伊庭説明員 現在は配置されておりません。
  34. 横山利秋

    横山委員 消防職員が、医師としての資格のない人が救急医療をする場合がありますか。
  35. 降矢敬義

    降矢政府委員 消防職員は医師の資格を持っておりませんので、医療行為はいたしておりません。
  36. 横山利秋

    横山委員 救急現場において即座に緊急措置ができたならば生命が助かるであろうと思われる者は、停止省の先年の発表によりますと、死亡者の三分の一が、即座に救急医療が現場で行なわれたならば助かるであろうということを厚生白書で言っております。そういう点では、私は、公団で救急医療の医師の資格あるいは経験を持った人が配置をされていないということは、たいへんまずいことではなかろうかと思うのです。それから、消防職員が現に何かをしなければいかぬという場合の救急医療ということが、実際問題として必要ではないかと私は思うのであります。  手元に参りました資料によりますと、古い話でありますが、三十三年の厚生省医務局長の通達で、「消防関係救急業務に従事する消防職員が、患者を病院に輸送するに際してカンフル皮下注射を行ない、ために患者の病状を悪変させたのではないかと疑われる事件が発生したが、医師法第十七条の規定と、これら消防職員の行う救急処置との関係については、下記のとおり」、下記は「やむを得ないと認められる事情の下にカンフル皮下注射等を行なうことは、一般的には反覆継続の意思をもってするものとは考えられず、従って医師法第十七条にいう「医業」を行なうものとは解されないこと。」ということがあります。こんなことは、私はおかしなことだと思うのです。救急車の中にカンフル注射をするくらいの人が乗っておるのはあたりまえのことではなかろうか。なぜこのときに消防職員がカンフル注射をしたのであろうか。この通達は、カンフル注射を事情やむを得ずした場合においては罪にはしないよという意味であります。罪にはしないよということは、ほんとうはいいことじゃないが、ということなのであります。逆説的に言えば、カンフル注射をするくらいの人がなぜ乗っておらぬのだろうかというふうに私は考える。三十三年のことでありますから、いまはどうなっておるか知りませんが、少なくとも、救急車の中には、医師たる者、あるいは医師の資格を何かの形で持っておる人が配置されており、そして、現場で緊急医療ができれば三分の一が死なずに済むということを政府も言っておるわけでありますから、救急医療についてもう少し考え直すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  37. 降矢敬義

    降矢政府委員 要するに、消防職員が注射その他の医療行為というものをどこまでやれるかという問題になろうかと思います。  いま注射の例が出ましたけれども、たとえば副木をするとか、あるいは酸素補給器を当ててやるとか、そういうことは当然教育として十分にやっておりますけれども、それ以上のことにつきましては、やはり医療行為という考え方がありまして  要するに限界は非常にむずかしいわけでございますけれども、医療行為という考え方がありまして、私たちのほうの救急教育の中にもこれを取り入れておりません。結局、そうなりますと、お医者さんを同乗させてそこに行くということ以外にはなかなかできないのじゃなかろうかと私は思っております。
  38. 横山利秋

    横山委員 そこのところは、理想的に言うならば、とにかく毎日消防署にお医者さんを一人ずつ、嘱託でも何でもいいから、交代でもいいから、配置をするということが望ましいし、あるいは来た、いまの道路公団についても同じようなことが言えますが、とにかく、現場で緊急に応急措置をすれば三分の一の人が助かると政府が言っているのですから、そこにもう少し焦点をきちんと当ててもらいたい。これは強く要望をしておきます。  私の具体的な案もあるのでありますが、時間の関係上次へ移ります。  この消防法をすっと見ますと、危険物が置いてあり、火災の発生するおそれの常時あるところに焦点が置いてあるわけですが、そういうものを移動する場合の消防署長の権限とか、そういうものがどうも見当たらぬのでありますが、何かありましょうか。
  39. 降矢敬義

    降矢政府委員 最も典型的な例は、石油その他のものをタンクローリーで陸上輸送する場合でございます。船舶、鉄道等につきましては、消防法規定は除外されております。したがって、直接消防としていまタッチする問題としては、いま申し上げました石油類等の危険物を陸上輸送する場合でございます。  その点につきましては、昨年の改正におきまして、危険物取り扱い者の試験に合格した者を同乗させるということと、警察官と協力して、路上においてそれを停止させて検査をするという権限を与えたわけでございます。
  40. 横山利秋

    横山委員 何条ですか。
  41. 降矢敬義

    降矢政府委員 十六条の二でございます。
  42. 横山利秋

    横山委員 ちょっと読んでください。
  43. 降矢敬義

    降矢政府委員 消防法の十六条の二「移動タンク貯蔵所」これはタンクローリーのことでございますが、「による危険物の移送は、当該危険物を取り扱うことができる危険物取扱者を乗車させてこれをしなければならない。」というのが一つございます。  それから立ち入り検査につきましては、十六条の四の二項であります。「消防吏員又は警察官は、危険物の移送に伴う火災の防止のため特に必要があると認める場合には、走行中の移動タンク貯蔵所を停止させ、当該移動タンク貯蔵所に乗車している危険物取扱者に対し、危険物取扱者免状の提示を求めることができる。」という規定を昨年入れたわけでございます。
  44. 横山利秋

    横山委員 それならば、この問題について、鉄道と船舶は別だとおっしゃいましたが、米軍や自衛隊の弾薬輸送の場合には何条が該当しますか。
  45. 降矢敬義

    降矢政府委員 いわゆる消防法におきます危険物は、別表に書いてありますが、主として石油類でございます。その取り扱いにつきましては、消防法のいまの規定が適用になるわけでございますが、弾薬その他につきましては、これは火薬類でございますので、消防法の直接の適用はございません。
  46. 横山利秋

    横山委員 自衛隊や米軍が火薬数を陸上搬送する場合においては、消防法規定はない。どうも、ないでは済まされぬような気がするわけでありますが、現実にそういう危険が町をのし歩くことについて、一体どういうことになるのでありましょうか。
  47. 降矢敬義

    降矢政府委員 その点につきましては、火薬類取締法のほうの関係規定がありまして、消防法のほうには規定はございません。  しかし、いま私たち考えておることは、まさに先生指摘のとおりでございまして、LPガスにいたしましても、火薬にいたしましても、あるいは有毒劇物の陸上輸送につきましても、一たび災害が起これば、その起こった場所の住民に被害が及び、それを、一番最初に、何らかの意味で災害を除去する活動をするのが消防でございます。したがって、私たちは、総理府に陸上交通安全対策室というのがございますので、そこにいま御指摘のような問題を提示いたしまして、輸送をする場合、どういう経路、どういう時間にそれが行なわれるのかというようなことについては、少なくとも現場の消防のほうにも事前に通知するというようなことはどうしてもやってもらわなければならぬ。現に、御案内の、アルキルアルミという危険物がございますが、これにつきましては、すでにいま私が申し上げましたような通過時間、通過場所等について、事前に消防に連絡をして輸送するというような体制をとっておるところでございます。そういうことで、やはり、消防法規定がなくても、起こった場合の処置の体制というものについては、事前に消防のほうが察知しておく必要がございますので、そういうことをぜひやらなければならぬ。ことに、有毒劇物につきましては、厚生省のほうとも相談をいたしまして、そういうようなことをやるようなことを現にやっておるものでございます。
  48. 横山利秋

    横山委員 自衛隊だから、米軍だから、目のかたきにするつもりで言っているのではないのですよ。しかし、一番危険が強いものが町をのし歩いておるのに、消防法規定はなく、任意にあなたのほうでおやりになっている。それが末端の消防署長まで一体届いておるかどうかわかりません。それは権限でもない、訓示的な義務としてやっておるということであるならば、私は、これはゆゆしいことだと思うのであります。やはり、法律上の権限、義務に基づいて、米軍であろうと、自衛隊であろうと、あるいは特殊な、ここに提起されていないものであろうと、やはり実行しなければならぬ。そういう点について法律改正をすみやかにすべきではないかと思うのです。法律改正する前といえども、自治大臣と所管大臣との協定が行なわれるべきではないか。そういうふうに考えますが、大臣はどうお考えでしょう。
  49. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 いまあげられましたようなものについては、それぞれの所管の省におきまして、たとえば、火薬等でございましたなれば、通産省において、火薬取り締まりの法律によって取り扱い、または、有毒劇物につきましては厚生省におきまして取り扱い、それらの法律の作成のときには、絶えず私たち消防の立場で意見を出さしていただき、それだけでは足らぬものでございますから、いま申しましたように、絶えず関係各省庁との連絡し、幹部会議を開きまして、これの処理に対する総合的な調整をやっておるところでございますが、いま御指摘のように、法的に移送その他を消防法の中においても入れていただくという方向へもっていかなければならないのは御指摘のとおりであろうと思います。現在それらが実際において行なわれておるところもございます。私も、それらの問題について聞いたこともございますし、法的規制がまだ至っていないというのが事実でございますので、連絡会議等で話し合っておりますが、私も、法規制が一日も早くできるように、今後とも努力さしていただきたいと思います。御指摘のとおりであろうと思います。
  50. 横山利秋

    横山委員 こんなことをいまごろ私たち指摘するようなことでは、自治省としても、消防庁としても、まことにうかつなことだと私は思いますよ。だから、即刻法律改正に取りかかるべきであろうし、あるいは法律改正できない前といえども、消防署長の義務として、これが行なわれるべきためには、あるべき関係各省との協定がなさるべきだと思いますから、善処を願いたい。  次は、検定協会について少しお伺いをいたします。  日本消防検定協会の予算書、これをずっと見さしていただきたいのでありますが、時間の関係上、簡潔に指摘をしておきたいと思うのであります。  別に不正があるかどうかということを議論するわけではありませんが、総体的に見まして、こういう消防機械器具の検定をなさっておられるようでありますが、私ども、初めて見る分には、どうもえらく単価が安いなという気がする。消火薬剤の個別検定単価が大型十円、小型五円ですね。動力消防ポンプについても大型三千五百円、小型がわずか六百円で検定をし出ていらっしゃるのですね。これは民間のメーカー消防機械器具をつくって、それを国が全額出資をしておる日本消防検定協会が検定をしてやる。それには人件費も要るだろうし、あるいはそれだけの機械設備も要るだろうが、ずいぶんコストとしてはかかっておると私は思うのであります。それが、わずか十円だとか、五円の検定料というのは、国がたいへん御協力をなさっていらっしゃるものだろうなと思うわけです。しかし、一方を見ますと、これは四十六年度の収支予算をずっと逐一拝見をしたわけでありますが、総収入五億五百八十三万円の検定料。しかし、貸借対照表を見ますと、四十六年度積み立てが九億五千五百八十二万、その中で、当期利益金が三億六千万ですか。ずいぶんまた利益金があるものだな、単価が安いけれども、しかし、ずいぶん利益金の計上が多いなという感じがいたします。  検定協会のあるべき姿というものは一体どういうものだろうか、私にはよくわからないのでありますが、とにかく安く検定をしてやれ、採算割れはないのだけれども、安く検定してやれということでおやりになるのだろうが、少し民間メーカーに対する奉仕の度が強過ぎはせぬだろうか。もしも利益金が出たならば、利益金が出たように、もっと何かやるべきことが検定協会としてあるのではなかろうか。もしもそれで利益が出たならば、いろいろな考え方がここから生まれてくるべきではないかという感じが私はしてならない。もちろん、十円だとか、五円だといっても、全部を検査するわけではなく、抜き取り検査でしょう。抜き取り検査だと思います。十万、二十万、百万というものを抜き取り検査をやる。だから、コストはそうはかからぬということなのかもしれませんけれども、それにしても、たとえば、これをずっと見ますと、出張して検査をしていらっしゃる。出張して検査をするについて、旅費も全部こちら持ちで、そして向こうから検定料だけもらう。至れり尽くせりだ。検定料もまた安いのですからね。その辺、検定協会のあり方について少し疑問を私は持っておるわけです。あるべき検定協会の姿というものは、どういうことをお考えでしょうか。
  51. 降矢敬義

    降矢政府委員 三十八年に強制検定の制度に踏み切りまして、検定協会というものを新しく設置したわけでございます。いま御指摘のように、一つは各種のものについての検定をやっておりますが、検定料をどうするかという点でございます。たとえば、小型消火器等については、数が非常に多うございまして、結局抜き取り検査ということでこれを行なわざるを得ないわけでございます。そういう前提のもとに、結局、いま御指摘のような剰余金といいますか、繰り越し金といいますか、五億程度出しているわけでございます。この使用の問題が実は私たちにとっても一つの問題でありまして、これをさらに、検定をするだけでなしに、もう一つは、検定技術と同時に、新しい技術開発に対応する研究の機関というものがどうしても必要でございます。それからもう一つは、業界自身も、いろいろな開発の途上において、ここで実験をするというようなことも当然必要になってまいりまして、そういうものには、どしても剰余金というもので投資をしてそういう施設を持つべきだいう考え方で、大蔵省とも年来折衝をいたしてまいりました。  今般、消防検定協会のほうで、施設として、スプリンクラーをはじめ、新しいしかけの機械を研究、開発するようなものを新しく取得するようなことも認められるようになりました。それは、あり方としては、いまのような利益金等を、さらに、申し上げましたような技術の開発研究と検定技術の向上のために使うということが一番望ましいのではないかと考えております。  それから、手数料の問題につきましては、実は、正直に言いまして、毎年、これを引き下げてもらいたいという業界の陳情が非常に熾烈でございます。一つは、こういう繰り越し金等の問題があるからだと思いますけれども、検定協会自体としては、ある程度の人と施設をかかえて、しかも、業界の機材の生産量というものと当然関係してまいりますので、ある程度の蓄積を持たなきゃならぬということと同時に、いま申し上げたような新しいものに対する投資というものも、こういうものから向けていかなければならぬということで、何年も引き下げの陳情がありますが、全然これをいじっていないということでございます。
  52. 横山利秋

    横山委員 ここに「日本消防検定協会の概要」というものがありますが、この中にこういうことばがあります。「これは使いにくいから今度はあれにかえようとか、あるいは二度使ってみてからというようなわけにはいきません。いわば一発勝負的に使われるものですので、一個の不良品も許されないのです。そこで、これらの消防用の機械器具類については、国教が検定することによって不良品をしめ出し、いざという場合のために安心して備えておけるようにして、」という、もっともな意見が書いてあります。こういうような、責任を持って国家にかわって検定をする検定料が非常に安いということは、それなりの意味がないではないと思うのでありますが、いま、十円だとか五円だとかいうのは、あまりにもとほうもない金額ではなかろうかという感じが私はしてならぬのであります。数から言えば、十円でもたくさんになるという意見があるかもしれませんけれども、この辺が、予算を見ましても、検定のための出張旅費がずっとこまかく出ておるようでありますが、ちょっと検定協会のあるべき姿について再検討を加えるべきではないか。去年は、四十六年度ですか、土地を二億円買われるような、分譲ですか、計画が立っておる。その二億円を削除しての利益金でありますから、二億円をプラスしたならばたいへんな利益で、一応計上利益としてはたいへんだと思うのであります。しかし、それは検定協会に、業界の皆さんが、この際もうかっているのだから安くしろという御意見とは利はくみし得ないものがある。やはり検定協会に、私どもが詰めておりますいろいろな議論を見ても、社会的にこうすべき何らかの新しい役割りを負わすべきではないかということを私は痛感をします。  最後に、私の意見を踏まえて御両所に伺いたいと思うのでありますが、きょう、私は、主として予防消防について、消防署長の実際の権利義務というものが行使されていないということを指摘をしたわけでありますが、いま消防庁がやっております常備化あるいは広域化、あるいは大災害対策と、いろいろ考えてみまして、私は、庶民として、大災等が起きたときすっと頭に浮かぶのは、消防でなくして自衛隊である。そうですね。ところが、法律的な本来の任務というものは、大災害が起きたときに一番最初に処置をしなきゃならぬのは、実は、自衛隊でなくて消防だと私は思うのです。なぜそういうふうに庶民の感覚がすぐ自衛隊にいって、消防及び消防団ということに頭がいかないのであろうかということを私はあらためて自問自答してみ摂したが、要するに、消防というものは、地域に火災があったら、普通の小さい火災あるいは中かげんの火災があったら緊急的に出るだけのものであって、大災害だとか、あるいは大がかりの体制には、いろいろなことは言っておっても、いまそういう体制がないのではないか。だから、いざとなると、結局はすぐ自衛隊に頼むということになっておる。これは法律的なあり方あるいは国内の行政のあり方としては不十分なことだ。本来あるべき姿ではない。もちろん、自衛隊法にも若干の規定はありますけれども、本来的に、大きな災害があった場合、風水害があった場合に、自衛隊でなくて、実は、消防なり、消防団なり、水防団なりというものがとにかく大半をやって、それを越えるものがあったときに自衛隊が出動をすべき体制になるべきではなかろうかと思うのであります。ですから、私は、手っとり早く言って、消防予備隊なり、あるいは消防機動隊なり、そういうものが常にあってしかるべきではなかろうかということを考えるわけであります。  いま、確かに、年々歳々、大胆や消防庁長官がいろいろ努力をされて、財源だとか、あるいは人員の努力をなさっていらっしゃるけれども、ちょこちょこ富士山へ登っていくような努力であって、落差がちっともない努力ではなかろうか。消防というものに対して思いを新たにして取り組むためには、何かの一つの大きな旗じるしがなくては、これは政治的にもうまくいかないのではないかというふうに私は考えるわけであります。そうして、その意味では、国内の大災害なり、あるいは大事故なりという場合には、緊急にとにかく飛行機ででも飛んでいく、あるいは、数百人の消防予備隊なり消防機動隊というものが緊急に新幹線に乗って飛んでいくというようなことがあっていいではないかと私は思うのであります。そういう機動的なものが大都市の周辺に配置されていることによって、土地をちょっと直してもらえぬかといえば、何でもすぐ自衛隊に頼みに行くということでなくて、消防機動隊あるいは消防予備隊に、少しあそこを直してもらえぬだろうかというようなこともあっていいではないか。自衛隊はあくまで軍隊であります。消防はそうではないのであります。消防というのは、国民とともに日常生活をしているものなのであります。いまいろいろな努力をしたところで、消防を飛躍的に強化するためには一つの大きな旗じるしが必要なんです。この際、常備化あるいは広域化というふうにじわじわやっておることも大切ではあろうけれども、飛躍的な機動性を発揮するための一つの大きな柱としてそういうことをお考えになったらどうだろうか。こういうふうに考えますが、いかがですか。
  53. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 近時の社会経済情勢の変化等から考えまして、大規模な災害のために消防機動隊的なものの構想をいただいたわけでございます。私たちは、近時の人口の移動の状態その他を考えまして、従来のような消防団組織、民間の御協力を求めるところの、住民の協力を求めるところの消防団組織だけにたよることでは不十分であるという点から、常備消防の設置というものを進めておることは御承知のとおりでございます。それが常備消防隊またはそこに設けられておりまする住民の消防団等の応援だけでは困難なような場合には、できるだけその地域の消防団の協力を得、災害防除の活動に当たるというふうな体制でございますし、なお、その地域の関係住民あるいは連携をとっておりますところの常設消防団等の応援だけでは困難なような場合に、第二義的に県単位の消防団の協力を求めておるという姿になっております。その段階におきましては、いま横山委員指摘のような自衛隊の援助も得るというふうなことが行なわれておるのが今日の情勢でないか、それにかわるべきものとして消防予備隊的なものをつくってはどうかということでございますが、現在のところでは直ちに機動隊、予備隊的なものを置くよりも、現実にそれぞれの任務を持っておりますものとの連携的な応援体制によって実効があげられるということであれば、それによってやらしていただくということで現在進んでおるような次第でございまして、御意見ではございますが、検討はさしていただきますが、いま直ちにそれに踏み切ることについてはちょっと困難等があろうとも思いますので、御意見として承っておきたいと存じます。
  54. 横山利秋

    横山委員 私は、時間がなくて、消防団の現状についていろいろとお話をする時間がありません。しかし、消防団は結局本来の職務じゃないわけです。だから、本来の職務でないところにいろいろ問題が発生しがちなんであります。消防団の権限とは一体どこまであるべきか。消防団の団員がもし万一間違いを起こした場合、判断の誤りをした場合に、国民は一体どういう賠償責任を求めるだろうかという点についても、本来の常務でないだけに問題がある。それから、消防署が同時多発の火災に対して一体どれだけの対応能力があるだろうか。消防署は、大体、一時に数カ所の火災に対して対応する能力がないと私は思っています。いわんや、大火災や大事故が起こった場合に、消防署からわっとかき集めていって、あとの点について心配なしとしない。そう考えてまいりますと、一つの消防署が守り得べき限界というものがある。そして、消防団員をかき集めるといったって、いつもそこに集まっているわけではないから、それがすぐ緊急に集まり、そして指揮命令が整然としてとれるわけでもない。結局、大きなことになるとすぐ自衛隊ということになる。同時多発の問題やら、あるいは先ほどから指摘している予防体制の調査、研究なり、町の調査なり、あるいは自由訓練、自主消防、会社の自主消防の訓練なり、あるいは内部における勉強会なり、いろいろな意味を含めますと、消防学校だとか、そういうことだけではもはや能力をこえる今日的状況ではなかろうか。消防は本来国民に密着した仕事であって、大きくなれば自衛隊に頼めばいいというような考え方がまだどこかにひそんでおって、本来的な消防庁として行ない得る限界を小さく見ているのじゃないか。図面やあるいは頭の中ではいろいろな対策があっても、実際対応能力が乏しいのではないか。だから、常備化あるいは広域化ということもじわじわやっていることもさることながら、それは薄くずっとやっただけで、深みのある、大きな災害に対応できる能力を持っていないのではないか。こういうふうに考えるのですが、何も、私は、きょうがきょう、いまの現状から機動隊なり消防予備隊をつくれと言っているわけではない。いまではそんなものできやしないのです。人間がおらないのですから。ですから、消防力というものの飛躍的強化の一環として、次に構図を描くものはこれではないかというふうに検討を重ねられてはどうかと言っておるのでありますが、もう二度御返事をお願いいたします。
  55. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 消防の点につきましては、現在の大火災あるいは大震等の対策につきましも、私ども研究を進めておるところでございまして、それらに対する一つの案として、いま申されましたような本来の消防のあり方としてのものに、それらを消防の力によって克服し得るようなものを考えるべきじゃないかという御意見ごもっともなことであろうと考えます。現在、そのためには、各地域の連携プレーと申しますか、連携動作によりまして大火災のときに当たるというふうな点を強化いたしておるような次第でございますが、なお、その上に、そういった消防本来のもので機動隊なものをつくるということの必要性と、あるいは社会経済の情勢の変化によって、大都市周辺等にはある程度のそういった機動隊を必要とするようなことも考え合わせられるような姿になればもとよりけっこう、かように考えます。一応御提言として検討をさしていただきたいと思います。
  56. 中村弘海

    ○中村(弘)委員長代理 桑名義治君。
  57. 桑名義治

    ○桑名委員 最近は、災害、いわゆる火災が非常に多発的な様相を呈してまいりましたし、また、火事の内容が非常に多様化してきたと言っても決して過言ではないと思います。いままでは、火事といっても、たいていは平壌のような火事でございますけれども、最近の、ように高層建築が多くできて、その火災だとか、あるいは千日ビルのような複合ビルの火災だとか、地下道の火災といったようなものをいろいろ考えてみたときに、防災に対する認識を一そう広めていくということが大事なことではなかろうかというように考えるわけでございます。また、最近の分校を見てみましても、もとは、学校といえば、たいてい二階屋までが精一ぱいでございましたが、最近は、小学校にしましても、中学校にしましても、高層化してきた。こういった幾多の事例を考えてみたときに、交通事故の激発とともに、交通常識あるいは交通教育というものの徹底が叫ばれまして、学校でもそのような交通教育が行なわれているというのが実情でございます。そういったことからいろいろと考えてみたときに、むしろ、防災教育というものも学校の中に取り入れるくらいの積極性があってしかるべきではなかろうか。私はこういうふうに考えるわけでございますが、この点についての消防庁としての考え方をお伺いをしておきたいと思います。
  58. 降矢敬義

    降矢政府委員 この点につきましては、昨日も若干お答え申し上げましたが、私ども全く同感でございまして、すでに、ことしの五月から、東京都におきまして、一つのわれわれの研究のあらわれとして副読本的なものを——きょう持ってまいりましたが、「火災と地震の話」ということで、副読本的なものを、中学一、二年を対象にしたものを、ことしから使ってみるという試みを始めました。これはちょうど一年くらいかかりまして、いろいろな方面の知恵を借りてそういうものをつくり、これを一つのステップにいたしまして、地方のそれぞれの地域に合ったこういうものをぜひこしらえてもらう。つまり、全然地域性を無視したものはあまりぴんときませんので、こういうものを土台にしてつくっていただくという一つのステップをことしから踏み出したわけでございまして、全くお考え同感でございます。
  59. 桑名義治

    ○桑名委員 東京都におきましてはそういうような方向で現在進んでいるかもしれませんが、消防庁と、自治大臣と、文部大臣との間に、こういった事柄についてある程度の話し合いをする必要があるのではないかと私は考えているわけでございますが、その点について、大臣とお話し合いをしたようなことがありますか。
  60. 降矢敬義

    降矢政府委員 その点については、文部省の事務当局にはかねがね私どもお話し申し上げましたが、具体的のものを見せてもらいたいということで、じゃ、こういう試みをして、それを土台に研究してみたらどうかということで事務的には何回か話をしております。
  61. 桑名義治

    ○桑名委員 事務段階の話ではまとまったかまとまっていないか、その点についてはいままだ答弁がなかったわけでございますが、やはり、一つの政治の段階で話し合いを進めていくことが非常に効果的なことではないかというように考えるわけです。先ほどから申し上げましたように、高層建築が非常に多くなったということもございますし、あるいはまた、最近は住宅も高層アパートが非常に多くなってまいります。そういったことをいろいろ考えてみますと、子供のときから防災教育を徹底していくということがどうしても急務であるというように考えるわけですが、大臣としてのお考えを承っておきたいと思います。
  62. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 いま御指摘になられましたように、交通教育におきましての児童からの教育、特に、交通事故の場合、児童の場合が多いものでございますから、特にこの点に重点を置きましてやっておられる。そのために教育の一環としてやる。その効果があらわれて、交通による死亡も四十五年度をピークといたしまして減ってまいっております。  消防のほうにおける人命事故も、四十五年度をピークとして、わずかでございますが、減少の過程にあったんでございますが、四十七年度、この間の事故がございましたので、はたして減少し得るかどうか、非常に心配しておるわけでございます。そのようなことのためにも、予防ということがぜひとも大事である。これはいま横山委員が御指摘されたとおりでございまして、私も、先般、消防庁会議がございましたときに、予防消防をやってくれということを強調したのですが、火を消すことよりも出さないことが大事だということで、その予防消防の一環としての、いまの学校教育の点、ごもっともであろうと思います。従来からもそういったことをある程度学校でもやっていただいておりましたが、従来にも増してやっていただくということを事務段階でいま検討を願い、具体的な案を練って、文部当局と検討しておる最中でございますので、私のほうにおきましても、ある程度の具体案が事務段階で出ましたならば、ぜひとも強力に推進していくように所管大臣といたしましてはかってみたい、このように考えておるような次第でございます。
  63. 桑名義治

    ○桑名委員 学校教育の問題は当然ながら、大きなビルの中に雑居しているいろいろな会社は、それぞれに防火管理者がついたり、あるいは各階に班長がついたりするというお話が、千日ビルの火災のときにございました。実際にそういう防火管理者がおりながら、そういったいろいろな会社においては、防火訓練が実際に行なわれていないんではないかというところに一番問題があると私は思うのです。  先日の千日ビルの火災のときに視察に参ったわけでありますが、ああいう大きな事故が起こりますと、それぞれの会社で、緊急に避難訓練をやるとか、あるいは防火訓練をするとかいうようなことが行なわれて、バスの中から見ておりましても、救助袋がビルから下がっておるのをいろいろ見かけたりしたわけでありますが、そういう大きな事故が起こったときに、それぞれの会社で反省をして、そういう訓練をやることはいいことでありますけれども、これが常時行なわれていなければ問題にならないわけでございまして、これは、年に何回か防火訓練をやる一つの義務づけというものが必要ではないかと考えるわけですが、現在、防火訓練は防火管理者のもとに年何回行なえというふうに規定をしてあるわけでございますか。
  64. 降矢敬義

    降矢政府委員 その点は定期的にという表現規定されております。
  65. 桑名義治

    ○桑名委員 そういうところに法律のあいまいさがあるんではないかと思うのです。先ほどからもたびたび申し上げておりますように、現在、火災が起これば非常に危険な状態に置かれるわけでございますので、これはやはり、防火管理者のもとに訓練を定期的にということではなくて、年何回というふうな規定を設けて、防火訓練あるいは避難訓練を法的にある程度義務づけられて当然ではないかというふうに私は考えるわけでございますが、その点はどうですか。
  66. 降矢敬義

    降矢政府委員 その点は御趣旨のとおりでありまして、私たち、今度の問題を契機といたしまして、回数は、少なくとも年二回ということを考えております。それから同時に、訓練をする事前に訓練の届け出を現地の消防署に出していただくということも義務づけるように考えております。
  67. 桑名義治

    ○桑名委員 そこで、次にその問題に移りたいと思いますが、いわゆる千日ビルの火災の反省を行なうということは、今後の火災予防あるいはそういう火災のときの避難に対する教訓になっていくということもありますけれども、また前進になるんじゃないかというように私は考えるわけでありますが、この千日、ビルの火災の反省の一つとして、いわゆる法の不遡及ということがたびたび論議されてまいりました。建築基準法によって排煙装置やいろいろな問題が規定づけられておったにもかかわらず、この法の不遡及ということで、昔の、従来のままの建築物でも違反ではない。こういったところに問題があったわけでございますが、この問題に対して、これは自治省としても強力な反省をしたと思いますし、建設省としても、この問題についてはおそらく反省をなさったんじゃないかと考えるわけでございますが、まず、この点について、建設省の今後の方針として、どういうふうにきめられたか、また検討なさっておるのか、伺っておきたいと思うのです。
  68. 救仁郷斉

    ○救仁郷説明員 建築基準法は、御承知のように、建物の用途から建蔽率、そういった避難関係の問題等、いろいろなあらゆる問題を建築物について制限しておりまして、これを一時に全部遡及適用されるということになりますと、国民の経済に非常に大きな問題が起こるわけでございます。そういった関係から、原則的には遡及適用をしないということが法律に定められておりますが、ただ、法十条によりまして、原則ではないのですが、非常に危険であるというような建物に対しては、遡及適用をして、是正命令が出せるというような形になっております。ところが、非常に申しわけないのですが、従来そういった十条の命令というものがあまり活用されていなかったということは事実でございます。そういうことから、建設省といたしましては、今度の火災等にかんがみまして、第十条の発動を積極的に行なうようにというような指示をいたしまして、消防当局と御相談の上、一斉査察も開始しております。悪いものはどしどし十条によって是正命令をするようにというような指導をいたしておるわけでございます。
  69. 降矢敬義

    降矢政府委員 私のほうにおきましては、消防設備について従来遡及適用をしていない——四十四年に改正をいたしましたときに遡及適用をしていないものが、自動火災報知機とスプリンクラー設備でございます。その他の誘導灯、漏電警報器、非常警報設備等につきましては、全部遡及適用をいたしました。していないのは二つだけでございます。この点につきましては、私たちは、政令でこの規定ができることになっておりますので、この点を原則として遡及適用いたすという考え方でいま検討をしておるところでございます。
  70. 桑名義治

    ○桑名委員 それと同時に、今回の消防法の一部を改正する法律案の中にもございますが、いわゆる合板、新建材と化繊の問題が一応取り上げられているわけでございます。この新建材については、前々からいろいろと危険性が論議をされているわけですが、建築基準法の二条並びに建築基準法の施行令の一条で一応の制限規定ができているわけでございます。この新建材に対する考え方をさらに一歩進めるとするならば、どういう方向でいま建設省としては考えておられるのですか。
  71. 救仁郷斉

    ○救仁郷説明員 四十五年の法律改正に基づきまして、従来燃えやすい建材を使っておりましたのを、特種建築物はもちろんのことでございますが、三階以上の建物には全部、部屋は燃えにくい難燃材料、それから廊下と階段、これは避難施設で一番重要なところでございますが、ここは不燃材料あるいは準不燃材料を用いるように規定を設けたわけでございます。そういった中で、建設省といたしましては、その試験方法も定めまして、そういう材料を使うようにということを義務づけて指導してまいっているわけでございます。
  72. 桑名義治

    ○桑名委員 いまの説明の中で、建築基準法の二条の九号あるいは建築基準法の施行令一条の五号、六号などで使用の制限規定というものが現実にあることは私は知っているわけです。したがって、今後の問題としてこれを取り上げていくとするならば、どういう点を考えていらっしゃるのか。今後の方向を聞いているわけですから、その点について説明していただきたい。
  73. 救仁郷斉

    ○救仁郷説明員 今回非常に問題になりましたのが有毒ガス、これは主として一酸化炭素でございますが、この問題がございます。現在の日本工業規格に基づきます試験方法の中で、判定基準の中で、「一般的に有毒ガスを多量に出さないこと」というような抽象的な表現がございまして、これは量的な判定基準がございませんでした。そういうことで、昨年来、建設省の建築研究所で、その判定基準を量的にはかるような試験方法の開発を急いでおりまして、一応私どもとしては、ことしの秋ごろまでにはそういった基準の判定の試験装置、判定基準というものがつくれるのではないかというふうに考えているわけでございます。
  74. 桑名義治

    ○桑名委員 この新建材の問題あるいは化繊の問題について、消防庁でも研究の段階にあるのではないかと思うのでありますが、こういう二つの問題は、建築の構造の問題と合わせて、やはり真剣に研究をする必要があるのではないかと私は考えるわけでございます。千日ビルの火災の視察のときに、通産省の地元の局長が、化繊が燃えた場合の有毒ガスの発生の程度というものは、いわゆる自然繊維といいますか、毛織物とそうたいした差はないというような説明をしておったわけですが、視察に行った議員の諸兄、先輩たちも、あの説明はちょっとおかしかったなというような疑問を抱いて帰ったわけでございますが、消防庁の研究の結果としては、化繊が燃えた場合と、自然繊維と申しますか、そういうものが燃焼した場合の有毒ガスの発生の程度というものは差があるのかないのか。その点をちょっと伺っておきたいと思います。
  75. 降矢敬義

    降矢政府委員 研究所で直接調べた結果は私は承知しておりませんが、私が文献によって承知しておるところでは、煙の発生の量につきましては、いわゆるプラスチック系のほうがはるかに多い。しかし、ガスの量については特に差がないということを文献で承知しておりますけれども、一つの学説かもしれませんが、したがいまして、煙の量とガスの量とにおいてはそういう違いがあるのではないかと私はこれで承知したわけでございますけれども、なお消防研究所のほうに確かめまして、後日お答えさしていただきたいと思います。
  76. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 実は、あの火災後現地に参りまして、一酸化炭素の中毒者の病院へ私もお見舞いに参りました。そして、医者にお聞きしたのですが、単なる普通の煙による一酸化炭素の中毒というだけじゃなしに、その他の有毒ガスも含まれておるのではないかという点も、はっきりと言うことはできないが、そう聞かれますとそのようななには確かにあり得ると思います、なお今後もよく調べておきますということでございました。その結果はまだ大阪市から報告を受けておりませんけれども、これは問題点の一つであろうと思います。  なお、私は、消防研究所のほうにも、いま言われましたように、そのことを研究させなければならないということで、よく申しまして、おそらくやっておるかと思いますが、通産省のほうにも、帰ってまいりまして、通産政務次官に私から面接に連絡いたしまして、新化繊等の燃焼した場合の有毒性について、通産省のほうにおいても御研究賜わりたいということをお願いしておるような次第でございます。きょうは通産省が参っておりませんので、答えを聞いておりませんが、そのような連絡をとりました。  御指摘の点、今後十分に研究してまいらなければならぬ問題の一点であると考えて、今後とも研究を進めてまいりたいと思います。
  77. 桑名義治

    ○桑名委員 先ほどからたびたび申し上げておりますように、建物の構造あるいは新建材、化繊の問題、こういったことで、最近の火災は非常に多種多様な姿になっておるわけです。そういったことから考えましても、現在の消防庁の中にある研究所をもう少し拡充、充実をさせるべきではないかというふうに私は常々考えているわけです。昨年だったか、消防庁の研究所にも私たち視察に参ったわけですけれども、何だ、こんなものかという感じがまず第一にしたわけです。現在のこういう多様な姿の中では、火災というものは現実に非常に大きな比重を占めてきているわけですから、思い切って抜本的に改造をやるなり増築をやって、充実したものにしていくことが非常に急務であると私は考えているわけですが、自治大臣、どうですか。
  78. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 私たち、微力にいたしまして、そのことを痛感していろいろ予算折衝をやっておるような状態でございますけれども、いま御指摘を受けましたような状態でございますが、今後とも努力してまいりたい。ただ、あそこにおられます技術員の方々は、不足する設備、資材の中で研究を続けていただいておるのでございますが、学術的には、あるいは専門的には、相当権威ある方もおられまして、それらの方々の能力をほんとうに十分に発揮していただくためにも申しわけないと思っておりますが、今後とも、それらの研究が十分できますように努力してまいりたい、かように考えております。
  79. 桑名義治

    ○桑名委員 技術員がどんなにりっぱでも、現在の複合火災に対しての研究というものは、ある程度の設備と研究費というものが十二分にあてがわれてこそ、初めてその能力を発揮するわけでございます。この問題もたびたび委員会で問題になっているわけでございますが、一向に前進したような研究所にはならないわけでございますが、これは努力をするとかなんとかいう問題じゃなくて、緊急課題であると私は考えるわけです。  そういった立場から、大臣は本気になってこの問題に取り組んでもらわなければならぬと同時に、長官も本気になってこの研究所の拡充に対しては努力をすべきであると考えますが、この問題についての長官としての決意も伺っておきたいと思います。
  80. 降矢敬義

    降矢政府委員 消防研究所の充実につきましてお話しがございましたが、ことしも、予算の重点としては、大震火災、それから近代ビル火災の人命安全対策、化学火災関係、林野という四点にしぼりまして、重点的に研究費の要求をいたしました。その点は大体研究費として認められたわけでございますけれども、しかし、御指摘のように、まだ全然少のうございます。したがいまして、いま言ったような項目については、今年から五十年までの研究長期計画に基づいての予算の要求をいたしたわけでございますが、その項目について、来年以降当然もっと充実した研究ができるようにぜひがんばりたいと考えております。
  81. 桑名義治

    ○桑名委員 今後の火災で特に注意をしていかなければならない問題は、いわゆる高層ビルの火災の救助体制、あるいはまた地下街の防災対策、こういった事柄が今後の大きな課題になっていくのではないかというふうに考えるわけでございます。そこで、この高層ビル火災の防災対策並びに救出体制といいますか、そういうものを拡充する上におきまして、消防庁としては、まずどれからどのように手をつけていこうと考えていられるのか。そこら辺からまず伺っておきたいと思います。
  82. 降矢敬義

    降矢政府委員 高層ビル関係の災害、火災における消防の問題でありますが、四十四年の改正におきまして、この要求される消防施設はほとんど全部義務づけるようにいたしましたし、また、防災センターというものも設置さしていただきまして、これによってコントロールするというしかけにいたしたわけでございます。問題は、消防の側から現在一番大切なことは、ああいう火災におきましての人命の損傷をなくすということで、そういうことからいたしますと、従来の消化を中心にした警防活動から、救助活動をどういうふうにするのかという、救助活動を中心にした警防戦術に思い切って転換していかなければいかぬと考えております。  そこで、私たちの立場から言えば、はしご車の使用の問題というようなものが断然その中に出てくると考えております。それからもう二つは、いろいろなものを破壊する必要がありますので、私たち、ことしも、予算措置としては、救助工作車二十台分を——とびらとか、その他のいろいろなものを破壊する道具を積んだ特殊な車が必要になってまいりました。この点も、消防活動から言えば、従来とはかなり様相の一変したものであろうと思います。しかし、何といいましても、大量の方々を同時に避難させることは、はしご車あるいは避難袋等においては不可能でございます。したがって、私たちは、建築構造の中に、屋内階段、あるいは少なくともはしご車を使うに便利なバルコニーの設置、あるいは隣のビルに渡れる避難橋の設置ということをぜひ考えていただいて、大量の方々はそういうものをもって避難してもらい、万一残った方々の救助活動は、消防が、はしご車あるいは救助活動の技術を活用して、それを使って救出をして、それから消火と、こういうように戦術転換についてぜひ考えていかなければならない、それに必要な資機材についての充実を重点的にやっていかなければならぬ、こういうふうに考えておるところでございます。
  83. 桑名義治

    ○桑名委員 端的に申しますと、さらに建築構造を改造するというようなことでございますし、あるいはまた、今後救出をする場合には救出車のようなものをつくっていこうというようなお話で、それはけっこうなことでございますが、最近のいわゆる高層建築というものは、はしご車の届かないような大きな、ビルが実際に建っているわけでございます。過日、二月の二十四日に、ブラジルのサンパウロでやはりビルの大火事がありましたが、このときには、四百名とも五百名とも言われておりますが、ヘリで救出が行なわれたという事柄が報道されております。こういったことを誓えますと、今後の救出体制というものの中に、ヘリを常備させるということが非常に大事になってきたのではないか。これは関東の地震対策にも当然適用のできるものでございまして、東京、大阪あるいは名古屋とか、大都市には必ずこのヘリを常備させるだけの体制をこしらえることが非常に大事なことではなかろうかと私は考えるわけでございますが、この点について大臣の御意見はどうでございますか。
  84. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 高層建築物は、現在の地上からの防火施設あるいは救助体制などでは行なわれない、限界があるということはごもっともでございます。そのために、いま申しましたように、建築物そのものの中で防火体制というものを厳重に規定し、建築部門の建設省関係とも相談の上完ぺきを期していただく。それ自体の中での防災体制をやっていただくというふうにしておることは、いま答弁いたしましたとおりでございます。  なお、ヘリの問題でございますが、たしか、ここ数年前からそのようなことも考えまして、東京、大阪等、それぞれ実施に移していただいておるという姿でございます。その他のところは、私、承知いたしておりませんが、いまどの程度持っておりますか、事務当局から……。ただ、夜の高層建築物からの救助というものが、実際においては、ヘリでは非常に困難であるというふうなことを、私、この間東京消防庁へ参りましたときに聞かしていただいたんですが、それらの点については、救助体制を今後なおもっと訓練、研究をせねばならない問題があると、このように考えております。
  85. 降矢敬義

    降矢政府委員 ヘリコプターは、東京、京都、大阪、神戸には設置されたわけでございまして、近く名古展市のほうにおいてもそういう計画を持っております。私のほうでは、本年も二機分補助金を予算として計上いたしておるところでございます。  それからなお、ヘリによる救助は、先ほど先生からサンパウロの火災について御指摘がありましたとおり、やはり、ああいうビルの屋上にはヘリポート的なものがないと非常に無理でございまして、先般の千日ビルの火災が起きましたときにもやはり聞いてみましたが、かりに夜やるとしても、あの地形では全くできない。   〔中村(弘)委員長代理退席、委員長着席〕 それは、地上にどの程度の高さのものがあってどういうふうになっているのかということが上空からなかなか判別しがたいそうでございまして、むしろ、飛行士の生命を失うという危険のほうがきわめて大きいということでございますので、それをうまく使うためには、サンパウロで実行されておるように、屋上にヘリポートというものを併置しないと、具体的には救助活動というものはヘリではあまりできがたいということでございます。
  86. 桑名義治

    ○桑名委員 ヘリや、あるいはヘリポート等の早急な常備が必要だと私は思いますし、この問題は、山林火災でも大いに適用できると思うのです。実際に急な山場で火事があった場合には、いわゆる山林工作車等は入れませんので、そういったときの消火活動というものは、当然こういったヘリ等を使う以外に手はないわけであります。その他のいろいろな救出作業等については、消防庁が地元として必ず出動をしているというのが実情でございますので、そういった多角的な使用方法はあるわけでございますから、少なくとも県には一機ぐらいは常備するということが消防体制としては必要ではないかというふうに私は考えているわけでございますから、この点についても長大の努力を続けていただきたいと思います。
  87. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 今後の消防体制の充実のためには、御指摘になりましたようなことは、そのとおりでございますので、特に今年度の予算におきましては、山林火災のためのそのような予算の要求をいたしまして、一応そのような試験を行なうことにいたしております。詳細につきましては消防庁長官のほうからお答えいたさせます。
  88. 降矢敬義

    降矢政府委員 飛行機の使用につきまして、実は、いま大臣からお話ありましたように、森林火災を中心にした水陸両用の特殊な飛行艇がカナダで開発されまして、ヨーロッパでも相当使われて、効果をあげております。それをヘリコプターにかわるものとしてぜひ一機チャーターをして、火災シーズンに実際使ってみようじゃないかということで、予算要求をいたしましたが、本年は認められませんでした。発想としては、いま先生のおっしゃったような発想のもとに、私たちもぜひやらなければならぬと思っております。  それから、ヘリにつきましての消火、特に山林を中心にした消火活動につきましては、林野庁、防衛庁の協力を得まして、ことしも三月に実験をやっております。それは、主として、直接消火よりも、延焼を防止するための薬剤の散布及びその効果というものについての実験もいたしたわけでございます。かなりこれは実用化できるという見通しと確信を研究者の間では得たようでありまして、薬剤と散布機についてもなお若干改良を要するという点を除いては、いまある程度実用化できるということを確信を得たようでございますので、御指摘の点は、今後ともいまの線で努力を続けてまいりたいと思います。
  89. 桑名義治

    ○桑名委員 次に、地下道の防災対策についてお伺いをしたいと思いますが、いまから先、都市も多様化してまいりますし、そうなってきますと、地下街というようなものが非常に多く続出してくるというふうに考えられるわけでございます。もちろん、ビルの地下もございますし、あるいは地下道もございますし、あるいは地下鉄もあり、東京あたりの大都市においては地下道はどんどん続出してくるとうような実情でございますので、これについていまから対策を立てておかないと、高層ビル以上の非常な災害を起こす可能性があるわけでございます。高層ビルになれば、多少の平面的な空間がございますけれども、しかし、地下街になってきますと、そういうものが求められない。あるいはまた、通気等も全部電気で通気をやっておるわけでございます。扇風機を回して通気をやるわけでございますが、火災になれば、こういった電源等についても当然切断されてしまう。そうなってくれば、これこそ完全な密室になってしまって、ここで非常に悲惨な状態が起こり得る可能性があるわけでございます。現在、地下街は全国で五十五カ所と言われておりますし、占有面積は、道路部分を合わせて二十五万八千平方メートルに及んでいるというふうに言われておるわけでございます。この点について、建設省としてはどういうふうにお考えになっているのか。
  90. 救仁郷斉

    ○救仁郷説明員 いわゆる地下街に対しましては、道路占用の問題、都市計画上の都市計画の問題、あるいは、私どもの建築基準法上の安全の問題等いろいろ分かれているわけでございますが、建設省としての考え方は、地下街というものは原則的には好ましくないものであるというような原則的な認識に立っております。ただ、御指摘のように、最近過密化いたします大都市におきましては、どうしても地下道にたよらざるを得ない部分も出てまいります。そういった意味で、やむを得ない場合には占用を認めて許可していくというような形で運用しております。ただ、その場合でも、御指摘のように、安全の問題が非常に大きな問題でございますし、そのほかにも、いわゆる環境問題も、地上のビル等から比べますと非常に条件が悪うございます。そういった意味で、建築基準法では、昭和四十四年、四十五年の二回の改正におきまして、地下道には、超高層の建物と同じように、特別な安全あるいは環境に対する規定を設けまして、現在施行している次第でございます。なお、地下街の中には相当古いものもございまして、設備等完全になっていないような両も一部ございますので、そういったものを現在一斉に点検中でございまして、先ほど申し上げました法律上の改善命令をこれに出すようにということで指導しているわけでございます。
  91. 桑名義治

    ○桑名委員 そこで、今回の四十四年の政令の改正におきましては、いわゆる防災措置として、避難階段や防火区画、非常用の照明装置、自動消火装置、排煙設備あるいは内装の不燃化というものが一応義務づけられておるわけではございますけれども、いわゆる地下街が全国で五十五あるというふうに私は一応の認識をしておるわけですが、その中で適用されていない地下街が約五十カ所ということになってくると、適用にならない地下街のほうが多いということになろうと思う。そうなってきますと、今回の千日ビルの事件が、あれが複合ビルであったためにああいう非常に悲惨な状態が起こったと同じように、法の不遡及ということがここでもまた問題になるのではないかと考えるわけでございますが、その点について、建設省としてはどう考えておられるか。
  92. 救仁郷斉

    ○救仁郷説明員 御指摘のように、地下街につきましての改正点は、四十四年、四十五年に行なわれたわけでございますが、その以前も、地下街について全然規定がなかったわけではございません。さらに、東京とか、大阪とか、名古屋とか、そういった大都市につきましては、各府県の条例で、いまの改正規定に準ずるような形の条例規定を設けておりまして、したがいまして、四十四年、四十五年の改正は、むしろ、地下街が大都市以外にももっと伸びる可能性があるので、政令段階に上げて全国適用にしたというような改正でございます。したがいまして、御指摘のような五十カ所の既存の地下街があるわけでございますが、これが全部いまの規定に合っていないかと申しますと、ほとんど大半は合っているわけでございます。ただ、しかし中には若干適用に不適格の部分もございますので、先ほど申し上げましたように、現在五十五カ所全部総点検を行ないまして、危険なものに対しましては十条の命令を出すようにというような指導を行なっている次第でございます。
  93. 桑名義治

    ○桑名委員 一五十カ所については、点検をした結果心配はないということでございますけれども、そういうところがやはり問題が起こった後に問題が残っておったというようなことで、あとから反省するというような事例が多いわけであります。この問題については、建設省としても十二分にこれを検討をして、万全の対策を整えていかなければならないと考えるわけでございます。  さらに、今度は、消防庁にお伺いをしたいわけでございますが、消防法の裏づけとしては、一応八条の二に触れている程度で、いわゆる地下街についての考え方が非常に薄弱ではないかというふうに考えるわけでございますが、消防庁としてはどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  94. 降矢敬義

    降矢政府委員 八条の二に地下街の定義がございますが、これを受けて、消防施設等をいろいろ義務づける際には、いわゆる施設単位に、面積とか、そういうものを考えるという考え方になっております。いわば雑居ビルと同じような考え方を現在とっておるわけでありまして、この点は、いわば地下街というものは雑居ビルが横に寝たようなものでございまして、やはり、全体として施設強化をするというとらえ方をしないと適用はできません。この点については、現在、政令等で明確にできる委任規定がございますので、雑居ビルと同じような考え方で、全体としてとらえて消防施設を義務づけるということにいたしたいと私たちとしては考えております。
  95. 桑名義治

    ○桑名委員 先ほどからたびたび申しておりますように、地下街というものは、事故が起こったときには非常に悲惨な状態を巻き起こすわけであります。地下街で事故が起こった場合には、電源は切れるわ、まっ暗にはなるわ、換気装置はなくなるわということになる。あるいは、地下街にはいろいろなガス管が通っている、電気の線が通っているということで、危険が一ぱいということでございますので、一〇〇%の安全を保ったところで、その四〇%、三〇%の効果しかおさめ得ない。言うならば、三〇〇%、四〇〇%という安全度をはかって、初めて地下街の安全は確保できるというふうに考えるのが当然であろうと思います。そういった意味で、今後の複合ビルの総点検と同じように、地下街についても、消防庁としては全力をあげて総点検を行なうくらいの意思がなければ、今後の都会の安全性は保つわけにはいかないと考えるわけでございますが、大臣のこの点についての決意を承っておきたい。
  96. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 ごもっともでございます。私、札幌の地下街と、それからせんだっては八重洲口の地下街を見たのですが、これは札幌の地下街の管理者自身が申しておりましたのですが、現在のできておるものよりももう一メートル、両側で半メートルずつ狭くしたいということで、ずいぶん長期にわたって折衝したが、建設省にどうしても許していただけずに、この広さになった、つくり上がってみたところ、よくこの姿にしておいたということを痛感した次第でございます、こういうふうに言っておられましたが、その点、建設省の指導に対して、視察後建設大臣にもお礼を申して、今後ともなにしていただきたいということを申したような次第でございます。防災の点につきましても、すべての点で現在相当御配慮願い、特に、防災センター等の設備も見てまいりましたが、よくできておったのではないかと思います。  ただ、問題は、いままでにできました地下街で、私たちもたびたびその辺も通っておりますが、それらと比べまして、災害が起きた場合はたしてどのような状態になるか、りつ然たるものがあるのでございまして、いま長官から申しましたように、ぜひとも、それらの地下街に、必要最小限の設備でも直ちに備えるように、総点検をしてもらいたいと、東京に対しましても、私たちと同行視察いたしました消防総監にお願いしたような次第でございまして、通達といたしましても、現在出しまして、総点検をお願いしておるという姿でございます。一日も早く新しい近代的な地下街に切りかえていくように、建設省とともに今後とも努力してまいりたい、かように考えておるような次第でございます。
  97. 降矢敬義

    降矢政府委員 総点検の点につきましては、先ほど建設省からお話しがありましたが、私たちと建設省で協議をいたしまして、現地では、建築の担当の方と消防の方と一緒になって総点検を始めております。
  98. 桑名義治

    ○桑名委員 そこで、先ほどから、現在のいわゆる既存の建築物に対する改善命令等の問題についていろいろと論議をしたわけでございますが、そういう既存の建物に対してただ改善をしろと言うばかりでは、まだこれは手落ちだと私は思います。そこで、ビルの消火設備に資金が必要である。あるいはまた、そういったビルの避難設備をするということに対しても、これはもう当然お金のかかることでございます。そういう立場から考えますと、こういった消火設備に対する中小企業金融公庫などの低利の貸し出し制度があるかどうか。これはやはり一つの問題になると思いますが、この点どうですか。
  99. 降矢敬義

    降矢政府委員 防災施設につきます中小企業金融公庫の四十六年度の融資のワクは、一億八千万ということになっております。
  100. 桑名義治

    ○桑名委員 そうしますと、消火設備あるいは屋外の非常階段や、防火区画等の構造的なものに対しても、全部融資のワクは認められているということですか。
  101. 降矢敬義

    降矢政府委員 建築設備のほうまでは点検いたしません。私は主として消防設備のほうのワクについての調査を命じましたので、そこまでは参っておりませんが、これに全部入っておるかどうかということは、ここでちょっと御答弁いたしかねます。
  102. 救仁郷斉

    ○救仁郷説明員 消防設備につきましては、いま長官からお話しがありましたとおりでございますが、屋外階段とか、そういった建築物そのものにつきましては、現在特利で認められておりますのが環境衛生公庫の融資でございます。千日ビル以来、私どもといたしましては、ほかの政府系金融機関に全部一応当たっておりますが、中小企業金融公庫あるいは国民金融公庫といったところでも、ことしは一般のワクとしてなら融資できる、いままでも融資してきているから、その方向でことしは考えたい、来年以降は建設省と一緒に特利という形で制度化していきたいと、そういうような話を伺っております。
  103. 桑名義治

    ○桑名委員 いまの答弁で大体わかったわけでありますが、いずれにしても、消防庁もそこまで考えてもらわなければ困りますがね。消防設備という問題と同時に、非常階段等あるいは防火区画といったものを取りつけるということがやはり指導の中には当然入っていくわけですから、そこまでの配慮が必要であろうと考えます。  そこで、今度は次の問題でございますが、消防設備や非常階段を設けますと、一応建物の評価が上がって、固定資産税が高くなるのではないかと考えられるわけでございますが、この点はどうですか。
  104. 小川亮

    ○小川説明員 それはやはり評価の中に含まれまして、その分だけ高くなります。
  105. 桑名義治

    ○桑名委員 そこら辺も私は問題があると思います。公害の廃液処理施設、下水道の除害施設あるいはばい煙処理施設といったものは現在非課税になっているわけでしょう。にもかかわらず、非常に大事な消防施設や避難施設がついた場合には、評価が上がって、それに固定資産税をかけるということは非常に不合理だと私は考えるわけでございますが、その点どうですか。
  106. 小川亮

    ○小川説明員 避難設備でありますとか消火設備というものは、たとえば避難階段ということになりますと、これはやはり家屋の構造の一部を形成しておるし、それから消防設備にいたしましても、やはり家屋の構造と密接不可分の関係にあるということで、現在家屋と構造上一体となっておるというような設備につきましては、そういうものを含めて、一体の家屋として、これを課税容体というふうに見ておりまして、そういうことで現在やっておるわけでございまして、設備を分離して非課税にするということは、非常に困難な問題があると思います。そういう実情でございます。
  107. 桑名義治

    ○桑名委員 いま事務当局の一応の考え方を聞いたわけですが、しかしながら、今後の消防体制を前進させていくという意味から考えましても、これを公害対策と同一の取り扱いにするか、それ以上の取り扱いをすることが今後必要ではないかと考えるわけです。そういった立場から、いま聞いたことは一応の論理はありますが、しかし、これを特別な形で非課税の形に持っていくことが、消防設備の今後の前進に大きく寄与していくのではないかというように考えるのですが、大臣はこの点どうですか。
  108. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 この点、公害その他におきまして設備の非課税を行なっておる以上に必要であるということ、ごもっともでございまして、従来の既存の建物に特別に付加したというような立場のようなもので、分離できる場合は、そのようなことを行なうのが当然じゃないかということも、かねがね話したこともございます。ただ、いま申し上げましたように、現在の建築基準法によりまして、新しくできるものは一体的なものとしてやっております関係上、それらとの均衡上非常に困難な点もあるということはいま事務当局から申したとおりでございますが、今後なお十分検討させまして、実際行ない得る姿におきまして、もしそれが困難なる場合におきましては、法制的に非常にむずかしいようでございましたら、現場における行政の運営の面におきまして御趣旨のように持っていくように検討させてまいりたい、かように考えます。
  109. 桑名義治

    ○桑名委員 ばい煙処理施設についても、あるいは廃液処理施設についても、考え方によっては、これは本体に付随しておる客体ですよ。ところが、この問題だけは非課税対象になっている。消防あるいは避難設備については、これが切り離せない一体のものであるというふうなものの考え方は、私はどうも納得がいかない。東京あたりにつきましては、いまから先、地震対策という事柄からも非常に心配をされているわけでしょう。そういった中で、こういう消防設備や、あるいはまた消火設備や、あるいはまた避難設備をいまから先、増設をしていくという立場からは、これは当然非課税にしてどんどん前進をさせていくことが政治としての一番大事なことじゃないかと考えるのです。もう少し大臣も積極的に考えていただかないと、政治家としてこれはたいへんなことじゃないかと私は考えるわけですが、どうですか。
  110. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 増設の部分につきましては、いま申しましたように、公害の施設というものについては、公害のためにこうやるんだというふうにある程度の判然たる区別はできるのでございますが、消防の場合、新しくつくるものですから、いままで言ったようなことが言い得ると思います。ただ、建築基準法によりまして、階段を一カ所だけではいけないのだ、二カ所するのだ、どっちの階段を何するのだというふうな状態との均衡その他を考えて検討を加えておるというのが答弁であったと思います。したがいまして、それらの点を十分検討いたしまして、御趣旨に沿うように検討を加えてまいりたい、かように考えております。
  111. 桑名義治

    ○桑名委員 もちろん、いまの大臣の御答弁が行政ベースに乗っての御答弁であるので、そう言わざるを得ないと思うのですが、もう少し政治のベースに乗ったものの考え方でこの問題を処理していただかないと、これはたいへんなことになると思いますので、そういった意味からも、今後、重要な一つの課題といたしまして、ひとつ十二分に検討し、この問題を達成するような方向で最大の努力をしていただきたいことを要望して、私の質問を終わります。
  112. 大野市郎

    大野委員長 この際、暫時休憩いたします。    午後一時二分休憩      ————◇—————    午後三時六分開議
  113. 大野市郎

    大野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。門司亮君。
  114. 門司亮

    ○門司委員 私は、この際、ごく簡単なことで、しょっちゃう話すことだから、大蔵省の諸君はよくわかっていると思うのだが、お尋ねいたしたい。  御承知のように、消防関係は非常に予算が少ない。ところが、いずれも事件が起こってから、ああでもないこうでもないというようなことで議論が非常にされておる。ことに、午前中の横山議員からのお話しもありましたように、これは救急業務をやっているのに、そこにはお医者さんがいないというようなことである。完ぺきにしようと思えば、お医者さんを各消防署に、かりに昼夜交代するにしても、一人くらいは配置しておかぬと、万全な救急対策はできないだろうということも考えられる。そういうことを考えると、現在の消防に対する予算というようなことでは、これはどうにもならない。そうして、毎年ここで議論されることですけれども、消防庁から一応要求した予算というのは、大蔵省は予算を削るのが自分の仕事のように考えているかもしれないけれども、必要なものはかなり大幅に認めるということが必要である。ことに、最近のように、火災が起きて、火災があれば必ず死人を出すというような事態について、一つは、死人を出さないように、建築の問題や建材の問題等いろいろな施設の問題があることはだれでもわかっておる。しかし、一方には、それを救出するものがなければならない。こういう二つが完ぺきでないと、消防に対する処置が十分とは言い得ないのであって、その辺の考え方をまず私は大蔵省に先に聞いておきたいと思うが、大蔵省としては、消防予算に対して毎年削られるのだけれども、一体どういう気持ちでやられているのか。この際、その辺をはっきり言っておいてもらいたいと思います。
  115. 加藤隆司

    ○加藤説明員 四十七年度の予算におきましては、一般会計におきまして、前年の三六・六%の三十一億という補助金を計上いたしまして、地方債におきましては大体百億から百十億、それから交付税のほうで二千六十億、それからさらに一般会計の広域市町村圏の整備補助の中にも、消防施設とか、そういうようなものの広域化を計上しておるわけでございます。ただいまの門司委員のお話でございますが、一つは、消防関係の研究という項目、これにかなり本年力を入れて予算を計上しております。  それから、予算の金額の増額は、いま御質問の、消防技術的な研究について力を注ぎますとともに、消防関係施設についても金額を大幅にふやし、単価などにつきましても、はしご車、化学車等におきましては二割以上の単価改善をやっております。  それから、直接最近はあまり言われておりませんが、例の地震の対策、これも東京の江東地区を中心といたしまして、避難路の確保というようなことで新たな補助金を計上しております。  したがいまして、国庫当局が消防の予算を削ることばかりに専念しておるというようなことは毛頭ございませんで、地域住民のいろいろな日常公共サービスに対する配慮は、財源配分上もいろいろ意を用いておるところでございまして、消防は市町村消防を前提としてはおりますが、国の一般会計におきましても相当の意を用いているところ  でございます。
  116. 門司亮

    ○門司委員 いま一とおり聞きましたが、いろいろ言われていますけれども、交付税云々なんてことは言わぬほうがいいんですよ。交付税はひもつきでないということが法の原則ですから、もしそういうことを言われるなら、私は、大蔵省で特別の交付税を出してもらいたいと思う。それなら大蔵省がそういうことを言ってもいいと思う。しかし、交付税は、交付税法を読んでごらんなさい。これは消防の分だ、これはどこの分だとくっつけることができないことになっている。しかも限定されておる。三税の三二%がきまっている。そういうものの考え方に間違いがあるということである。  それからもう一つ考えてもらいたいのは、今日の消防施設のいかに貧弱であるかということ。その一つの裏書きをするのが、例の損保協会から年年ある程度の援助を受けて、年々自動車の補助を現実にされておるという事実。こういうことで大蔵省はよろしいのか。消防という、公のものであって、しかも国民の生命と財産に最も密接な関係があるものの設備の充実のために、いい、悪いは別として民間会社からこういう補助を——補助ということばはどうかと思いますが、補給を受けなければならぬというようなあわれさというのは、私は、世界のどこに行ってもないと思うんですよ。これは全体を考えてごらんなさい。消防庁に聞けばすぐわかるるだろうと思うんですが、ことしはどこどこの市にポンプを何台寄付したかということは、私の手元にも報告がありますから、わかるわけです。この消防の実態は、これは大蔵省も考えてもらわぬと困ると思う。私は大蔵省に反発するわけじゃありませんが、もう少しはっきりした認識の中で消防というものに対する考え方をしてもらいたい。二〇%ふえたから、三〇%ふえたからといって、幾らふえたって、それで満足というわけにはいかないと思う。今日、消防の最も遺憾なことは、この間の大阪の火事でも一部の非難があったのでありますが、七階までははしご車が届くとしても、それ以上は一体どうするんだという意見がたくさんあった。  したがって、私は、大蔵省にこの際もう一つ聞いておきたいと思うのだが、そうした諸般の情勢を見てみるのに、今日、火事があれば、必ずといっていいほど死人が出てくる。そして損害がかなり大きなものになっている。だから、大蔵省は、いまのような考え方で、補助金をふやしておるとか、あるいはまた交付税がどうとか、あるいは研究費がどうだとかいうようなことでなくして、消防庁の予算というようなものについてはもう少し考えるべきだ。消防庁自身も、予算の要求のしかたというのは非常に弱いと私は思っているんです。しかし、これは消防庁にやかましく言ったって始まらないのでありますが、この辺は来年度の予算にも関係があろうかと思いまするし、もう少しはっきりした態度を大蔵省はとるべきだと私は考えている。いま言われただけのことで、大蔵省がよくやってくれているとは私ども考えられない。  したがって、繰り返して言うようでありますが、実際に地方の自治体がそういう民間団体からの援助を受けている。そして、それによって消防の機材の充実がはかられているという今日の日本の現状、これを一体どうお考えになるかということです。
  117. 加藤隆司

    ○加藤説明員 四十六年度の消防財政の構成を見てみますと、一般財源系統が八割五分くらいになっておりまして、残りの中に、特定財源としての一種といたしまして、いまの損保が見ている分があろうかと思うのでありますが、こういうような問題は経緯的な点があろうかと思うわけであります。住宅公団の場合におきましても、損保がそういうような住宅公団の資金を引き受けるとか、あるいは団地サービスなんかについて協力をする。一つは、やはりそういうような相隣関係といいますか、お互いの密接関連のある人々の間で経費の持ち合いをやる。一つには経緯的な問題もあろうかと思うのですが、そういうようなものは決して悪いことではないと思うわけです。多々ますます弁ずるわけですから、そうして、同時に損保のほうも相当の利益があるわけですから、必ずしも、それであるから国がそれでサボつておるというようなことではないと思うわけです。消防財政は、本質的には市町村の財政負担というような制度的な仕組みがあるわけでございますので、そういう前提の上で、国としてもできるだけのことはしておる。過去十年間を見ましても、今年のように大きく国庫補助金が伸びたことはございませんので、最近のいろいろな地域住民の公共サービスに対する需要を十分認識して予算を計上したつもりでございます。
  118. 門司亮

    ○門司委員 これはもってのほかです。消防が市町村の事務であることは、だれでも知っておるのですよ。法律で。これは日本の国の外でしょうか。国民の、国の財産でしょう。あなたがそういう理論を持ってくるならば、私どもも少し開き直らなければならぬ。それなら、国と地方との財源の配分は一体どうなっておりますか。どういう形で地方の自治体に財源を付与しておるかということ。税制の面だけでも、大蔵省の考え方と現状をひとつ報告してもらいたい。
  119. 加藤隆司

    ○加藤説明員 私よりも、門司先生のほうがよく御承知のとおりでございまして、現行制度を前提にして考えてみるとそういうことになろうかと思うわけでございます。交付税制度、それから地方税、国税、そういうような地方制度を前提にし、国と地方の財政制度がセットをされておるわけでありますので、そういう現行制度を前提にして申し上げているつもりでございます。
  120. 門司亮

    ○門司委員 現行制度というのは、これは事務分担の関係である。消防というような一つの仕事は、市町村の仕事でないと運営上うまくいかないのである。事務分担の仕事ですよ。国の事業から除外するわけにいかない最も大きな仕事である。国民に最も密接した仕事であることに間違いない。一体、行政のあり方というものを大蔵省はどう考えているか。これはあなたを責めたってしかたがないと思うんですけれども、行政のあり方、国の責任というものをどう考えているのですか。これは市町村の責任だから、一切そっちでやればいいんだ、財政が足りなければ国が予算を見てやるんだという、こういうものの考え方は、国政をあずかるものとしては誤りじゃないですか。もしそれならば、私ははっきり言っておくが、この消防の事務が、市町村の固有の事務であるから、こういうことになっておるというなら、法律改正して国の事務にしてしまったら、国がめんどうを見ないわけにいかないでしょう。そして、消防行政がうまくいきますか。消防行政というようなものは最も住民に密接な関係がある。そうして、住民の協力を得なければ消防行政というのはできない仕事である。役人がどんなにおったからといって、火事がなくなるということは考えられない。住民の火事を出さないという協力、出たらすぐこれを消しに行くという協力、そのことからくるものが今日の消防の組織でしょう。その中の一番大きなものは何であるか。いわゆる今日まで言われておった消防団の組織、これなど全くの犠牲的な国民の協力である。こういう協力を全部市町村からとってのけて国がやれますか。国の行政組織の中で消防がやれるとお考えになっておるなら、言ってごらんなさい。そういうものの言い方をするものじゃないと私は考えている。大蔵省が、ことに主計局がそういうものの考え方なら、私は私なりのこれからの質問をしていかなければならぬ。いま御承知のように、これはあなたの領分でないということを必ず言うだろうと思うのです。この委員会ではしばしば論議になっている。過去において自治省も二度ぐらいは立案した経緯があるのである。いま大蔵省からも言われた損保協会の利潤というものはどこから来ているか。不特定多数の人が積み立てたお金が損保協会の資金になっていることは間違いないでしょう。しかも、これは、憲法における一つの違反事項とも考えられる。掛け金をかけたものが、そして、その利潤というものが、ことごとく特定の人に吸収されているという事実。同じ保険でも、生命保険のほうは個人の財産でありますから、人間は必ず死ぬのであるから、死ねば返ってくることになる財産である。損保協会はそうじゃないでしょう。したがって、これらのお金に対して、私は、消防の充実のために、新しい税制として消防施設税というような税金をかけることが可能だと考えている。ところが、これに積極的に反対するのは大蔵省である。そうして、その結果が、あるいは結末が、さっきから申し上げておりますように、損保協会から地方の自治体にポンプを寄付していくという化け方をしているでしょう。いまあなたが言われたように、なるほど、消防施設が充実していけば保険会社はもうかるにきまっている。だから、自分たちの利益のすそ分けを少ししょうというものの考え方でしょう。  かつての日本の消防の濫觴を見てごらんなさい。どうなっているか。火災保険会社が、明治四十二年までは自分自身で消防施設を持っておったでしょう。消防組というのがあったでしょう。これは明治十五年と私記憶いたしておりますが、そのときの東京火災の重役会議会議録を読んでごらんなさい。どう書いてあるか。火事を一件でも少なくすれば、それだけ当社の利益があるのである、だから当社は消火に協力すべきであるというのが重役会議の決議なんです。それによって保険会社が消防組織を持っておったということである。  私は、そういうことを考えてくると、大蔵省がいま言っているようなことは考えられない。だから、大蔵省の言う、民間の損保協会から寄付をもらっているということがあるならば、これをひとつ法制化してもらいたい。寄付というようなことでなくして、義務として、保険会社が当然還元すべきであるというたてまえをとるべきであるということである。しかも、これは、かつて自治省は二度くらい立案をしたことがありますが、いつでもつぶされるのは大蔵省の銀行局なんです。いま主計局のあなたにこういうことを言ってもわからぬと思うけれども、経緯だけは申し上げておく。  こういう消防自身というものとお金というものとの関係はその辺に問題がありはしないかということである。損保会社ももうかるのだから、損保会社が寄付するのはあたりまえだというような大蔵省のものの考え方でよろしいかどうかということである。受益者負担が考えられるというならば、法制化したほうがよろしい。そうでなければならないと考えている。地方の自治体ともあろうものが、市町村ともあろうものが、恩恵的に損保会社からポンプの寄付を受けて喜んでおるというようなものの考え方は非常に大きな誤りだと私は思う。だから、もし御答弁ができるならば、いま申し上げましたように、損保会社に対して、義務的に法律的に消防施設のために新しい税法を設定されるかどうかということである。そのことも、一面から言えば、消防施設の充実は損保協会の利益に還元をされるということは言い得ることである。私は、大蔵省がそういうものの考え方をしているのなら、そこまで聞いておきたいのだが、一体どういうお考えですか。
  121. 加藤隆司

    ○加藤説明員 ただいまも申し上げましたように、多分に経緯的な要素が多かろうかと思うわけであります。制度化をするかどうかというような問題は、また別途の問題ではなかろうかというふうに思います。
  122. 門司亮

    ○門司委員 一向にわからぬのですが、どういうことなんですか。制度化することは別途の問題だとおっしゃる、けれども、これは、ある意味においては不可分の問題ですよ。不可分の問題だから寄付しているのです。不可分の問題でなければ寄付などしやしない。だから、結論は、この寄付行為というものを制度化するかどうかということだけです。私はほかのことを聞いているわけじゃない。決して別の問題ではないということです。だから、もしあなたのほうで、あなた自身が主計局としてお答えできなければ、委員長に頼んで銀行局長に来てもらうということ以外にない。これを制度化するとすれば、やはり銀行局の仕事だと思う。これはどうなんですか。
  123. 加藤隆司

    ○加藤説明員 ただいまも申し上げましたように、損保のそういう寄付に類する受益者負担といいますか、そういうような問題を制度化するかどうかというような点は、最近におきましても議論したことはございませんので、われわれとしましても、多分に経緯的なことでそういうものが行なわれてきたというふうに承知しておるわけでございます。
  124. 門司亮

    ○門司委員 それでは答えにも何もなりませんが、私は、そういうことでやれるかやれないかということを聞いているのであって、これが経緯であるかどうかということはわかり切ったことである。だから、大蔵省のものの考え方が、さっきから聞いているように、これは市町村の仕事だからそれでいいんだ、国の仕事じゃないというお考えであるとするならば大きな間違いでしょう。国の仕事であることに間違いない。国家の損失であることに間違いないでしょう。だから、その損失を防ごうとすれば、財政の面において幾ぶんでもその損失が軽減されるというなら、大蔵省はやはりここでこのめんどうを見るべきである。いまのようなものの考え方、市町村の仕事だからというような考え方自身というものは非常に大きな誤りだと思う。あなたはどこまでもそれでよろしいというなら、この次には、私は、委員長に頼んで大蔵大臣に来てもらいましょう。そして、市町村の財産は国の財産であるかないかということを聞きましょう。住民の財産は国の財産である。日本国民の財産であると私どもは信じておる。市町村の財産ではない。これは、国家行政組織の中で市町村という名称があるだけのことである。あなたが、大蔵省が、そういうわからず屋なことをいつまでも言うなら、大蔵大臣に来てもらって、あなたの意見だけでは答弁はむずかしいと思いますから、市町村の住民の持っておる財産、いわゆる国民の持っておる財産というのは一体だれの財産か、どこの国の財産かということを聞きましょう。これは委員長にひとつお願いしておきたいと思います。この委員会が終わるまでに大蔵大臣にぜひ出てきてもらいたい。あなたの言ったことも会議録に出ていると思いますが、市町村の仕事だから市町村がやればいいんだというものの考え方。しかも、損保協会においても同じことで、受益者負担であって、それが寄付ができるなら、立法化して税金としていただくことは何も不可能ではないはずである。しかも、その資金はどこから来ているかといえば、国民のきわめて不特定多数の人から集めたお金が一つの営利会社に集約されておるという事実です。
  125. 加藤隆司

    ○加藤説明員 県民が国民であることは当然なんでございまして、そういう国の事務であるかどうかという議論と、市民なり県民が国民でないのかあるのかという議論とは、どうも見ている側面が違うのではなかろうかと思うわけです。もちろん、市、県の住民の財産が国の財産でないわけはございませんので、そういうことをいま議論しているのではないと思うのですが、市民なり県民の財産は当然国の財産であろうと思います。
  126. 門司亮

    ○門司委員 何を言っているのですか、あなた。さっき何と言ったか。消防は市町村の仕事だと、こう言ったでしょう。だから市町村財政でまかなうべきだと言ったでしょう。そのことのためにこういう補助金をやっている。あるいは、はなはだしい例では、何か交付税までつけているようなことを言うが、特別交付税をつけましたか。特別の歳出を出しましたか。交付税法を読んでごらんなさい。何と書いてあるか。ひもつきではいけないということをはっきり書いてあるでしょう。郵宜上いろいろのことを言うかもしれない。しかし、税法上の議論から言えばそのとおりでしょう。あなたのほうで、交付税を消防のためにどれだけ使ったかということを、数字をはっきり出してごらんなさい。ことしの予算を見てみても、国から特別交付税として消防にこれだけやれという字句はどこにもないはずであって、あってはならないはずである。あなたは、それがあると言うなら出しなさい。三税、三二%以外にどれだけ特別に出しているか。これは消防の交付金だといってどれだけ出しているか。その数字を出してみなさい。
  127. 加藤隆司

    ○加藤説明員 先ほど、交付税というふうに申し上げましたので、とょっと舌足らずでございましたが、基準財政需要上そういう見方をしているということでございます。
  128. 門司亮

    ○門司委員 基準財政需要額からくるものの算定の基礎になることは当然であります。これは税法上の規定である。そうだとすれば、よけい出しているわけじゃないでしょう。配分の方法だけでしょう。一体どこによけい出しているのですか。配分の方法は、きめられたものの中で、法律できまった配分の方法があるのであって、基準財政の算定の基礎はこれこれだということはちゃんと法律に書いてある。どこにもさわりもなければ、ふしぎもない。それを大蔵省が、いかにも交付税の中にそれを織り込んでおるというようなものの見方というものは、ここで言われるべきことではないと私は考えている。交付税法を読んでごらんなさい。どう書いてあるか。算定の基礎もちゃんとしているのである。しかし、それでは足りないからわれわれ話を進めていっているのである。私ども、基準財政の計画並びに本年度の交付税というようなものについては、ここで審議している。だから、よくわかっている。しかし、それは、あくまでも、その年度における交付税の額は変わってくる。そうすれば、算定の基準は変えなければならぬ。これは繁雑な手続ではあるが、そういうことで、ここでずっと毎年やってきているのである。ところが、その中のどこを見ても、そのことのために、消防のために交付税がふえたとは、どう考えても考えられない。どこにもないのだ。だから、はっきり言いなさいよ。いまのような算定の基礎がどうなるなんというのはわかり切っている。法律どおりでやっていることを、あなたの言っているのは、法律以上のことをやっている——法律にちゃんと交付税として算定の基礎があって、これだけのものは、交付税の総体のワクの中からここに入るべきお金というのはきまっている。あなたのほうからよけいくれたお金があるはずがない。あなたは最初あると言ったから、出しなさいよ。どれだけくれたか。それならわかるのです。特別交付税として消防のためにこれだけ配付しましたというのならわかる。財政需要の基準によって出したというなら、税法上の配分の関係だ。よけいもらった覚えもなければ、よけい出したということもないはずだ。このいうものの考え方で、今日の消防というものが、期待にこたえることが一体できるかどうかということだ。  私どもがいま非常に心配しているのは、人間の生命をどう守っていくかということ。財産をどう守っていくのかということ。それには、消防の研究所で幾らやっても、これが実際どういう形で出てきているかというと、きわめて遺憾で貧弱であるということ。いま、七階くらいまでのものしかはしご車がない。あるいは、せいぜいあって十階か十一階くらいだろうと思います。建築はそれ以上の建築がたくさんできておる。それ以上のものについては、おのおの規定に基づいて、火事が出た場合には避難はどうするかというように、はしごの及ばない施設に対する装備というようなものが考えられてやられておる。しかし、あれは、長いはしごも必要でありましょうし、いろいろな問題が考えられてくる。ところが、こういうものの設備というものがほとんど考えられない。いま地震の話をちょっとあなたのほうでもされたようだけれども、地震のような問題を考えてみても、地震が来れば、消防施設の上からいけば、水道はとまるのですよ。電気もとまるのですよ。消防のポンプも走れなくなる。その場合の防火施設は何にたよるかということ。いま、日本の各都市に、戦争中から残されておる多少の貯水槽は残っておると思いますが、防火の施設に十分な水がどこにもない。大震災のときに人間が助かったのは、どこで助かっておりますか。東京においても、横浜においても、水のある池においてのみ人間が助かってきておるということの事業があるでしょう。しかし、その水をいまためておく場所というのはないのである。私どもは、こういう消防という一つのものの考え方の中から出てくる人命と財産を保護するための施設というものは、どんなに金があっても、満足すべきものにはなかなかならないのじゃないかと考えておる。にもかかわらず、大蔵省がいまのような答弁でおられるということはきわめて遺憾である。次の会議にひとつぜひ大蔵大臣に出ていただいて、それから、話のついででありますから銀行局長にも出ていただいて、この損保協会に対する課税の問題をもう少し詰めていきたい。私は、決して架空のことを言っておるのではない。かつて日本にあったことだ。これを復元すればいいのであって、刑にむずかしい問題じゃないと考えておる。それ以上聞いておりますと非常に時間がおそくなりますので、これ以上は私は聞きません。  もう一つ、これは建設省と消防庁との関係の中で、現実の問題として聞いておかなければならないことは、先ほど消防庁のほうにも依頼をいたしておきましたので、大体の実態はおわかりになったと思いますが、けさの、はっきり言えば、神奈川新聞の横浜版のトップに書いてあります事件を見てみますると、横浜市立の医科大学の第二新館が建築されて、そして、その建築に対する当時の——これはきのうやめましたから当時と言ったほうがよろしいかと思いますが、名前は野口吉圀君だと思いますが、当時の院長が辞表を出しておる。そして、それがきのう聞き届けられたという情報がある。そして、これは日にちもちょうど符合するのでありまするが、大阪の千日ビルの火事があった翌日、実は、五月の十五日に辞表を出しております。その辞表を出した理由の一つというのが次のようなことである。避難用の階段であるとか、排煙装置であるとか、あるいは屋外への避難施設であるとかいうようなものについて、もう少し十分に設備をしてもらいたいということを建築中に上申しておいたが、これが実行されておらない。そして、市のほうでは、建築基準法に違反しないからという理由でこれが抹消されておる。病院長としては、あの大阪の千日ビルの火事を見て、これでは病院長として患者の生命、財産を保護することは困難だ、よって責任を持てないから辞職するということ。理由が五つばかり書いてありますが、これがその理由の中の一つなんです。こうなってまいりますと、建築基準法の関係とこういう理由があって病院長が辞職をしたということは、これだけの問題では済まされない問題にと私は考えざるを得ない。そこで、私が知っておる範囲というのはけさの新聞を見た範囲であって、これが真実であるかどうかわからぬものですから、消防庁のほうから現地の消防局長なりあるいは市の当局に、一体、実態はどうなのか聞いておいてもらいたいということを一応話はいたしておきましたので、あなたのほうにも通知が来ておると思います。それは多少の両方の食い違いはあろうかと思いますよ。新聞に書いてあることと市側の言う理由というのには、多少の食い違いがあろうかと思うわけですが、しかし現実にこういう問題がかりにあるとすると、これはゆゆしい問題である。その辺の、あなたのほうでお調べになった範囲の報告をこの際しておいていただきたいと思います。
  129. 降矢敬義

    降矢政府委員 先ほど御指摘のありました点につきまして、横浜の市の消防局に事実をお伝えをして事情を聴取いたしました。これは市の建物でございまして、これを建築するに際しましては、建設委員会というものを設けまして、建築、消防病院当局も入ってこの建設を進めてまいったところでございます。法令上、消防関係からは、避難、防火設備等は基準以上のものをつけておるということでありまして、避難袋、階段、旧館への避難橋。それからこの建物は、避難に関しては、三階を一つの単位にいたしまして、それぞれの階から避難できるような特別の廊下、階段を広くしてある。こういうことでございました。ただ、病院長はじめ一部の方から、この病院にぜひバルコニーをつくってくれという意見がこの委員会においても出されたようであります。私たちは、バルコニーは避難上非常に有効だとは思っておりますが、これにつきましては、この病院には、精神病患者あるいは重症のために入院された、いわばノイローゼになるような方がおられるので、その方々がこのバルコニーから飛びおりるという危険がありますので、検討した結果、バルコニーはつくらないようにしたということでございます。また、これにつきまして、さらに戸、壁、天井等はすべて新建材を使っておらず、不燃材料でこれを内装したのでございまして、消防当局としては、燃えるものといえばふとん類等が中心になるということであります。  それから、退職の理由につきましては、消防当局としてもはっきりわからないということでございます。この院長は、辞職をされまして後は、もちろん教授会において辞職をされておりますが、依然として教授としてとどまっておるということでございまして、いま先生から特に御指摘がありました点につきましては、消防当局のほうから特別の意見を聞くことができませんでした。  先ほど御指摘がありましたので、とりあえず電話で調査した結果を御報告申し上げたわけでございます。
  130. 門司亮

    ○門司委員 私は、調査はそのとおりであろうかと思いまするし、また、新聞の報道が必ずしも確実であるかどうかということもここで断言するわけにはまいりません。しかし、いずれにいたしましても、問題は、院長として責任が持てないという一つの理由の中に、避難の問題が十分でないというようなことがかりにあったとするならば、これは建築法上も一つの問題だと私は思うのですね。  そこで、建築の関係の建設省に聞いておきたいと思いますことと、それから消防庁のほうでもひとつ考えてもらいたいと思うことは、病院というものは、この種の病院、気違いと言うとおこられるかもしれませんが、気違い病院というのがあるわけであります。ここの火災は大体死人を伴うものであります。それは、部屋の構造がそういうふうになっている。大体逃げられないように構造ができておるということ。ところが、これに対する基準法上の問題として一体どうかという問題が必ず出てくる。そこで、ことに病院あるいは年寄りを収容しているような場所の建築については、おのおの、その内容、実態に沿った建築基準法というようなものがなきゃならないと私は思うのです。これが建築基準法という一本の柱で来ておるところに、一つのこういう問題が出てきやしないかと考えられる。建築基準法から言えば、避難の階段も十分だ、あるいは排煙設備も十分だ、それは例のこういう建材を使っていないからだというようないろいろな理屈は出てくると私は思う。しかし、それの対象になっておりまする病院自体から熱えると、病院の院長の責任においてはなかなかそうはいかないのじゃないかというようなことが考えられやしないかというようなことがどうしても出てくる。屋上についても、屋上がもし開放されればある程度の避難ができるのじゃないかということが考えられるということと、もう一つ、私がここで不審に思っておるのはその点であって、病院のほうからつくってもらいたいというのを、建築のほうから、病院の内容がこうだからつくらぬほうがいいというふうに言ったというのは、これはちょっとふに落ちないのです。建築のほうでこうやれと言ったのを、病院のほうで待ってくださいと言うならば話はわかるのですが、その辺のところが私はわからないのであります。わからない者が憶測してものを言うということはどうかと思うのですが、建設省に聞いておきたいことは、そういう実態に即した研究というものが十分なされるべきである。そうして精神病院の場合にはこうすべきだということ、普通の混合ビルの場合はこうすべきだということ、普通の住宅の構想はこうあるべきだということ、ホテルはこうあるべきだということ、そういうようなことが消防法の中には一々ずっとある程度分類して書かれておりますけれども、私は、この際こういうものの検討は十分なされるべきではないかと考えるのですが、その辺は建築屋さんとしてどういうふうにお考えになりますか。
  131. 救仁郷斉

    ○救仁郷説明員 まず、最初に、病院については、基準法上一般の建物より別な規定が必要ではないかというような御趣旨でございますが、病院等につきましては、これは非常に避難の不自由な方々が、しかも宿泊されるというようなことでございますので、現在の基準法上でも、特殊建築物の最もきびしい規定を適用するというような形で、階段、避難施設等、いろいろなそういう安全につきましては、特に病院として、普通の建物よりもきつい制限をいたしているわけでございます。さらに、これは厚生省の医療法の関係でございますが、医療法の関係でも、やはり同じような安全の問題について特別な規定が設けられております。  それから、二番目の、建築のほうから、これは基準法には合っているんだからいいんだというようなことを言ったか言わないのかということでございますが、この点は、私も、横浜市の建築行政の部長に直接電話をかけまして聞きましたところ、そういう事実は全然ないというようなことでございます。これは、御承知のように、建築基準法は最低の基準を定めたものでございまして、私どもとしては、それ以上に安全を守ってもらうということは非常にいいことでございますので、そういうことをこれでいいんだというようなはずは絶対ないというように確信している次第でございます。
  132. 門司亮

    ○門司委員 私は、そういう御答弁であろうかと思いまするが、しかし、問題は、ちょっと先ほど申しましたように、バルコニーの問題一つにしても、責任のある病院長がこしらえてくれと言うのを、基準法だからだめだと言う。この辺の話の食い違いですね。その病院の院長は、自分の病院にどういう者を収容しているかというぐらいのことはわかっているはずだ。そして、それがどういう状態にあるかということは承知していなければならぬはずであって、そういう食い違いがあったということをここで取り上げて議論してみても始まらないのですが、実際の問題として、特に、年寄りだとか、それからいま申しました精神病患者のいるところが火災になれば、必ずといっていいほど焼死者が出てくるのである。その場合にはあとの祭りであって、どこそこにかぎがかかっておったから逃げられなかったとかなんとかということが往々にしてある。これは患者自身がそういう患者ですから、日常飛び出してそこらを歩かれたら災難ですから、結局日常の自由をある程度拘束していることは容易に考えられる。しかし、だからといって、非常時にそれの開放の処置ができないというようなことでは死人を出すことは当然であって、その辺のかね合いをどうするかということ。したがって、個々の建築物に対してもう少し立ち入った、実態に即した、そしてこういう災害の起こらぬような建築関係の指導、あるいは建築法の改正をすべき点があるならば改正しなければならぬじゃないか。こういう点を聞いているのであります。
  133. 救仁郷斉

    ○救仁郷説明員 一般病院につきましては、先ほど申しましたように、建築基準法の規定の中でいろいろな、安全の規定が特別にあるわけでありますが、特に、先生指摘の精神病院、あるいは同じような種類のものといたしまして拘置所がございます。これはむしろ中からかってにかぎをあけられたら大問題になりますので、特に、そういう種類のものにつきましては、厚生省、法務省と打ち合わせいたしまして、そういうかぎを締めるときに、だれがあけるような体制ができるかというようなことで、確実に担保されるように打ち合わせをして、実際の建設にあたっては進めている次第であります。
  134. 門司亮

    ○門司委員 与えられた時間を少し過ぎておりますので、これ以上は——聞きたいことはたくさんあるのですが、大蔵省とものを言い合っておって時間がだんだんなくなってしまって弱っているのですが、その次に——。  そういうことはあろうかと思いますが、問題になりますのは、大阪の火事を見ても、どこの火事を見ても、あとで水かけ論になるのは、責任者がかぎを持っておったとか、あるいは例の処置がよくなかったとかいうような、あとの祭りのけんかで大体終わってしまうのが今日までの実例だと私は思います。これをなくするには一体どうすればいいかということであって、それにはやはりもう少し責任のある人がここに常時おる必要がありはしないかということ。大阪の場合を見てみましても、マネージャーがやればいいんだ、いわゆる支配人がやればいいんだといったって、支配人の勤務時間というのは、そう朝から晩までやっているわけじゃありませんから、大衆にある程度避難の場合の処置のわかるようにしておくこと。さらに、そこの従業員には、もし支配人がいなくても、どこに行けばかぎがあるんだということぐらいは、指導すればできないことはないと思うんですよ。大阪の場合はいろいろなことが言われておりますけれども、何か、飲み逃げされるのがこわかったから教えなかったとか、わけのわからぬような弁明等もあったようですけれども、こんなものは刑にして、もう少し監督の行き渡るような制度がなされないかということであります。ただ形式上の保管者、形式上の責任者というのでは、これはいけないのではないかということが考えられる。その辺の実態をどうするかということ等もありまするし、それから、そうするには、やはり片っ方は営業ですから、それだけに人を雇っておくというわけにはなかなかいかないかもしれない。そのことのためによけいな出費をするということもどうかと考えられる。そうなってまいりますと、結局は、こういう避難の設備その他というものをある程度オープンにして、だれでもそこに入ればすぐ承知ができる、わかる、知らされるというような設備のあり方が必要ではないかと考えられる。大阪の火事の場合、明らかにそうだと私は思う。あの二カ所のカーテンがあいておれば、そこからみんな逃げたと思う。ところが、せっかく避難の階段が、上に逃げるのと下に逃げるのと両方ついておっても、だれもこれを知らなかったというのである。あと消防署の諸君に聞いてみたら、ふしぎがっておったですね。消防署の諸君は、屋上にかなりの人がいるだろうと思って期待して上がったが、一人もいなかった。屋上に逃げるようになっていたから、消防署の諸君は、ここにたくさんいるだろうと思って行ったが、そこにいなかったと言う。こういう実態を見ますと、建築のほうの関係と両方で、こういう不特定の人がたくさん集まるところにおいては、十分わかるような制度にしておく必要がありはしないかということ。これは、ある意味では、建築基準法の関係で、そういう遮蔽するようなものは取りつけてはならないというような規定を設ける手も一つの方法だと思う。また、消防関係の人からしても、常時そういう場所のわかるような訓練をしておくことも一つの方法だと思う。  立ったついでにもう一つ申し上げておきますが、消防の訓練の問題でありますが、訓練の問題は、めんどうであっても、ある時期においては、お客を一緒に避難訓練をさせるということが必要ではないかと考える。これは一月に一回でもいいと思う。その間の一時間でもいいと思う。ここには、一年なら一年、一月なら一月に同じ人が何回か来るわけでありますから、一月に一回やっても、その人はそこに一年のうちに何回か来る人でありますから、この建物の避難路はここにある、こういう形になっておるということが大体わかると思うんです。だから、しょっちゅうやらなくてもよろしい。いま、従業員だけの避難訓練をどんなにやってみても、これはなかなかそううまいわけにはいかぬと思う。ある意味においては、一般の人を避難訓練に巻き込むというのは、営業者のほうから言えばちょっと困るということになるかもしれませんが、しかし、それは必ずしも営業者の損失にもならないし、こういう事故をある程度未然に防ぐ一つの方法ではないかと考えますけれども、こういう規定はできませんか。
  135. 降矢敬義

    降矢政府委員 前段の避難の関係について、そこに来る人たちにはっきりさせておくようにする。あるいは施錠につきましても、現在、建築基準法にも、特に内側からあけられるような施錠という規定もございますが、残念ながらそれは遡及適用はされておりません。しかしながら、そういうものについては、当然いま御指摘のようなことで、だれにでもわかり、そこへ行けば内側からあけられるという施錠をどうしても実施しなければならないというふうに考える次第でございます。  それから、消防訓練の点について、お客さんを一緒に訓練させるということにつきましては、これを規定して強制をするということについては、もう少し検討をさしていただきたいのでありまして、私も、実は、ホテルの火災に際しまして、業界ともこの点についてお話しをしました。もちろん、五分でも、十分でも、日取悪の事態としての、あかりが消えたという事態で訓練するのが一番実態に即するわけでございますが、そこをお客の理解、協力を得てやらなきゃならない。で、もちろんやっているところもありますけれども、一般的に、これを規定によって強制してやらせるということについてはなかなか困難な事情がございます。しかしながら、御趣旨は、私たちも業界の方にそういう話をずいぶん——私は一面ぐらいの会合を持っておりまして、そういうことで、今後訓練においても実際に即するようなことで実施させるようなことをぜひ考えたいと思っております。先般、千日ビル火災のあとで、さっそく東京の池袋やその他ではお客さんと一緒にやった事例がございますので、これが一つの契機となって、いま御指摘のような方向で現地の消防を指導して訓練をするようにぜひ進めてまいりたいと思っております。
  136. 門司亮

    ○門司委員 最後にもう一つだけ聞いておきますが、これは消防研究所のことですが、消防庁はこの研究所を持って、通産省は資材その他の研究ををしている。建設省は建設省で、それぞれの研究所を持っておりますが、これは定期的にでも、この三者が集まって検討あるいは研究されるようなことはございますか。
  137. 降矢敬義

    降矢政府委員 一つは、建材に伴うガス及び煙の研究の問題では、消防研究所のほうにおきましても検討をし、その結果を持ち寄る研究会のようなものを開いているということは、私は所長から聞いております。それから、火災の延焼拡大の問題で、木造家屋及び耐火建築、こういうものについては消防研究所のほうでも延焼拡大の性状といりものを検討しておりますが、こういうものにつきましては、建築研究所の同じような意味の研究員と討議をしておるということは、私は所長から直接聞いております。いま先生の言われた、ある特定のテーマについて定期的な研究会を持っているかどうかということについては、実は私聞いておりませんので、確かめて御報告申し上げたいと思います。
  138. 門司亮

    ○門司委員 これはぜひひとつ気にとめておいていただきたいと思うのです。これは特に、何年たっても、結局焼死者の多い原因が窒息だ。窒息なりそれは建材だと始終言われているんですね。そのたびごとに何とか少し改善されるかと思うと、なかなか改善されない。建設省なら建設省で建築の関係を検討されて、避難がどうだなんという基準を定められておりますし、通産省は通産省で、やはり物をこしらえる基準というものに関係を持っております。だから、しわ寄せが全部消防に来てしまって、あと始末だけを消防がやっている。そして災難を受けるのは国民だという、こういう形になってきておる。だから、こういうことのないように、こういう建材ができた、これがどういうふうに建築に使われて、それがどういうふうに火災その他のときに影響して作用するかというようなことを研究する三者の研究所がぜひ必要だと私は思うんです。そうしないと、火災のあるたびにここでこの議論をしても、ちっとも前進しないのですね。いつまでたっても窒息死なんというものがなくならないと思う。それは建材のせいだとか、いやそれは避難場所があったとかなかったとか、避難の設備が悪かったとか、議論だけしかしていないのです。何年この議論をしていれば一体そういう問題の解決がつくかということであって、これの一つの方法として、三者が集まって検討していただくというようなことがぜひ必要であろうかと思いまするし、そのためには、行政組織の中でどう変えるかということもあろうと思いますけれども、きょうはこれでひとつ質問を終わらしていただきます。
  139. 大野市郎

    大野委員長 林百郎君。
  140. 林百郎

    ○林(百)委員 市街地についての防火問題については、すでに他の同僚議員から質問があり、詳しい答弁もありましたので、私は、過疎地域における消防について切実な問題がありますのでお聞きしたいと思うのですが、現在常設消防署は市が何%、町村は何%設置されておられますか。わかりますか。
  141. 降矢敬義

    降矢政府委員 四十七年の四月一日で常備消防は千八百八十六、そのうち市が六百二十三、町が千十九、村が二百四十四、こういうことになっております。
  142. 林百郎

    ○林(百)委員 その市の数、町村の数と、その消防署のパーセントは幾らかわかりますか。市が幾らあるのに消防署はその何%ある、町村は幾らあるのにそこに消防署は何%ある、こういうことはわかりませんか。
  143. 降矢敬義

    降矢政府委員 市のうちで単独に設置しているのが五官二十六ございます。さっき、市は六百二十三と申し上げ属したが、それは細く川で設置しているものを含んだ市の数でございまして、単独で設置しているのは五百二十六ございまして、それは全部消防署があるわけでございます。市で、現在まだ常備消防になっていないのは二市ございます。したがって、市はほとんど全部消防署があるという結果になります。
  144. 林百郎

    ○林(百)委員 約一〇〇%ですね。
  145. 降矢敬義

    降矢政府委員 はい、そうでございます。
  146. 林百郎

    ○林(百)委員 町村は……。
  147. 降矢敬義

    降矢政府委員 町村は、組合としてやっておるのが千二百九十二でありまして、その内訳は、市が百六十三、町が八百八十九、村が二百四十、ここは全部消防署を持っておりまして、同時に、その個々の町村には出張所というものが設置され、あるいはこれから設置される計画になっておるわけでございます。
  148. 林百郎

    ○林(百)委員 ですから、町村数と、その消防署あるいは消防署の出張所のある、その比率はどうなっておりますか。町村数は全国に幾らあり、その中で消防署は幾らあり、あるいは消防署の出先機関というものは幾らで、それは何%に当たるか。市は約一〇〇%近いということはわかりました。
  149. 降矢敬義

    降矢政府委員 ちょっと、消防白書における統計で申し上げますと、四十五年の四月一日ですが、市町村の数が一二千二百八十、消防署が九百三十七、それから出張所が千三百八ということになっております。
  150. 林百郎

    ○林(百)委員 ですから、パーセントにすると幾らになるのですか。消防署のあるのが何%、出張所があるのは何%……。
  151. 降矢敬義

    降矢政府委員 それは町村単位ではちょっとわかりません。
  152. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 はっきりした数字はわからないのでございますが、いま答え属した数字は沖繩が入らないときの現在だろうと思いますが、沖繩が入らない町村の数字が大体三千六百十四だと思いますので、それに対して町村合わせまして千二百二十三でございますから、五〇%弱じゃないか。私が先般確かに記憶いたしましたのは、市町村を合わして、市町村の数にいたしましては約六〇%。ところが、人口にいたしましては、確かに九〇%ぐらいの人口になっておる。残された町村は非常に人口が少ない。八八%か何ぼかというふうに記憶しております。違っておりましたらお許し願いたいと思います。
  153. 林百郎

    ○林(百)委員 それじゃ、私のほうの調査の数字を申し上げますと、消防署は、市で九一・四%、町村では、消防署のあるところは一七・二%という数字が出ておるわけです。これは消防署です。さっき言った出張所とかなんとかは別にして。こういうように町村の常設消防署が少ない。特に過疎地域での消防が少ないわけですね。こういう過疎地域で消防署のないようなところの消防の実情はどうなっているのでしょうか。どういう方法でやるのでしょうか。消防署もない、あるいは、あなたの言った消防署の出張所ですか、そういうものもないというのが五〇%ぐらいあるのですが、そこでは消防はどういう体制をとっているのですか。
  154. 降矢敬義

    降矢政府委員 つまり、御指摘のような地域は常備消防という体制を持っていない地域でございまして、それは消防団地域とわれわれ呼んでおりますが、消防団組織によって防火体制をとっておるということでございます。
  155. 林百郎

    ○林(百)委員 政府の広報紙の「今週の日本」のことしの三月十二日付の投書にこういう投書があるのですね。「地方自治体のうち町村には、常設消防署が設置されていない。いずれも非常勤の消防団によって消防業務が行なわれている。ところが、農家の出かせぎが多くなって、団員のほとんどは出払っている。だから、いったん火災が発生すれば、機械力があっても出動がおくれ、大事にななることは必至である。私の町では、役場職員による消防隊を設け、火災出動と救急業務を兼ねているが、これとても、常設消防署設置までの過渡的な措置にすぎない。当番に当る役場職員の労苦は大変だと思われる。」という記事があるのです。これについて、竹下官房長官との問答形式で「広域市町村圏方式で推進」という記事が別の欄に出ておるわけですけれども、茨城県茨城町の佐久間貢さんという方が投書でいま言った「常設消防署の設置を急げ」と訴えているのに対しての竹下官房長官の答えが「常設消防署は、現在市では九一・四%、町村で一七・二%、全く投書の主張のとおりの状況だ。そこで町村などで奉仕的、犠牲的な消防に頼っているわけだが、何とか前向きに解決していきたい。いまのところ政府は広域市町村圏でやっていく方向を推進しているが、せっかく努力してもらいたいと考えている。」と言っているのだが、この「広域市町村圏でやっていく方向」というのはどういうことを意味するのでしょうか。
  156. 降矢敬義

    降矢政府委員 市町村の仕事を共同処理する。屎尿処理とか、あるいはスクールバスとか、小中学校というものについて、組合という制度をとって共同処理しております。その一環、そういうものと同じような考え方に基づきまして、常設消防を数カ町村が共同してこれを持つ。組合というものをつくって、常設消防を設置していくという考え方でございます。これを「広域圏構想に基づく常備化の推進」と私どもは呼んでいるわけでございます。
  157. 林百郎

    ○林(百)委員 これは長官もいなかの実情は御存じでしょうし、大臣も御存じでしょうが、さて、そういうような広域市町村圏による消防によって、過疎地域下の消防をある程度補完することはできるけれども、広心域にわたることで、また、山間地などで消防隊が現場に着くまでには相当な時間がかかるわけですね。山を越え谷を越えて行かなければなりませんから。たとえば、ことしの三月二十七日の岩手県の二月町の火災では、出かせぎの留守をしていた年寄りたちが出火に気づいて騒ぎだしてから、消防車が到着するまで三十分かかっている。山間の、しかも雪が積もった難路を行くので、どうしても時間がかかる。その間部落の中心部五軒が、風がなく、しかも昼間にもかかわらず被災しているということになっておるわけなんでして、これは何とか改善しないといけない。広域市町村圏での消防署は、中核的なところに一つ設置しても、それが機動するといっても、舗装されている道路があるわけじゃない。山を越え、谷を越え、しかも雪が積もっているというようなことで、騒ぎだしてからポンプが来るまで三十分もかかる。その間には五軒も焼けているということになっているわけですが、これについては、何とか前向きにこういう方向で解決していきたいというう道はないでしょうか。もし財政的なことが問題ならば、それは財政的な問題として、当委員会でも考慮しなければならないのです。どういうところに住んでいようと、その人が火災によって被害をこうむる者の苦しみというものは同じなのですから、その人たちも近代的な消防の恩恵にあずかる権利があるわけなのですから、どういうように処置していったらいいと思いましょうか。大国と長官に、前向きの考え方を聞いて、それに基づいて当委員会も協力をしていきたいと思いますので、ひとつ聞かせていただきたいと思います。
  158. 降矢敬義

    降矢政府委員 確かに、広域市町村による常備化を進めましても、具体の地域、具体の場所で火災の起こりました場合、消防署あるいは出張所からそこに参りますのに時間がかかる。あるいは冬季の問題があります。そこで、私たちは、こういうところにおきましての対策としては、そこでとにかくある程度消火活動ができるような体制を、平たく言えば、部落単位に何とかつくっていかなければならない。そこで、過疎市町村に対しましては、補助金三分の二の高率、普通の団体の場合の約二倍の補助金をもって、部落単位に防火水槽と小型の動力ポンプを配置していく。そこで、ある程度初期消火のことをやれる。これについては、小型動力ポンプについてはもう少し軽量化をする。一番軽いのは六十キロでして、重いのが百キロぐらい。六十、八十、百とございますが、研究所のほうにおきましては、もう少し軽いものをつくれぬかということで検討しておりますが、いずれにしても、動力ポンプと防火水槽を組み合わせたセットで部落単位に初期消火が行なえるような対策と、それとあわせて広域市町村による常備消防の育成の二つでこういうものに対処していきたいという考え方のもとに現在施策を進めておるところでございます。
  159. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 私、何の統計で見たか忘れたのでございますが、確かに統計を読みましたときに、火災の件数はふえておりますが、消防力の充実とともに、一件当たりの被害というものが順次縮小してきて、まことによい傾向だと思っております。その消防力が充実しておると思われる都市での件数は下がっておりますが、いなかの場合は、被害額が、一件当たりの分が減少が少ないというのを実際見せつけられまして、統計的にも、いま林委員御指摘のような問題が起きておる。確かに過疎地域の問題は重要な問題でございますが、昔のような消防団員をやる者が少なくなったものですから、あるいは女子の消防団等をやっておられるところももございますけれども、何としても、常備消防と申しますか、そういうものをつくらなければならない。しかし、いなかの町では、そういう一町でできぬものでありますから、いま申しました広域市町村圏で共同してこれをやり、その常備消防のもとに、いま申しましたとおり、各地の初期防火に当たるような施設を持っていくということで、いま充実を期してもらっておるような次第でございます。ことしもだいぶふやしましたが、今後も常備的な消防をぜひともふやしていきたい。また、その常備消防の中にも、地域が広いのでありますから、いま申しましたようないろいろの施策で過疎地域の初期消防の充実を期していくというような方向で進んでまいりたい、かように考えております。
  160. 林百郎

    ○林(百)委員 これは当委員会の調査室の資料ですが、大臣の言われますように、昭和四十六年の出火件数は、戦後最高であった前年に比べて百十八件減少しておる。確かに大臣の言うとおりです。死者も千四百七十七人、負傷者九千十九人、いずれも前年に比べて百十八人、七百六人減少している。さらにわれわれが関心を持たなければならないことは、日本は、人口二万人当たりの出火件数で見れば、米国はじめ諸外国に比べて圧倒的に低い。ところが、ここまではいいのですが、火災一万件当たりの死者は諸外国の倍、米国の五倍近くもある。同時に、米国などでは、出火率も死亡率もほとんど横ばいなのに、日本では上昇ぎみである。これは調査室の資料ですが、こういうことがあるということで、ただ数が少なくなったということで消防行政に対する楽観は決して許されないということを念のために申し上げたいと思います。  そこで、その過疎地帯の消防問題でございますが、ことしの三月消防庁長官から表彰されて、以前にも建設大臣から感謝状を受けておる富山県の上市町には婦人消防隊というのがあるのですが、これは長官の表彰も出ておるから長官御存じかと思いますが、その婦人消防隊のあるあの町の消防体制は、ことしの二月末現在で、常備消防署員が十七人、公設消防団員が二百九十三人です。ところが、消防法による基準によりますと、常備消防署員が十七人というのは、本来四十二人なければならないし、公設の消防団員は二百九十三人ですが、これは四百十人なければならない。こういうような数字が出てきておるわけなんですね。この基準と現状との間に大きな差があるわけなんですが、これはどういうわけでそういうことが出てくるのでしょうか。この差を婦人消防隊で補完するということになりますと、本来法律できまった人数が事実上整わないのを婦人に補完の責任を負わせるということになりますが、これはどういうわけでしょうか、長官
  161. 降矢敬義

    降矢政府委員 昭和三十六年に消防力の基準というものを長官の告示できめたわけでございますが、その後、四十六年の六月に、道路事情あるいは消防機材の能力が非常に進歩したということから、さらにこれを改定いたしまして、都市においては、普通消防力については、従来よりも機材等については若干相互援助ができますので、この点を考慮し、山間部においてはさらに一そう機材等を充実するということで一応きめました。その基準に照らしましてのただいまのお話だろうと思いますが、この点につきましては、実は、私たちも、四十七年を初年度にした消防力整備五カ年計面を目下策定中でございます。これは各市町村ごとにそれぞれ原案をつくっていただきまして、それを県の段階でまとめて、私のほうでいまヒアリングの最中でございます。これに基づきまして、予算措置等私たちのできることをやるとともに、市町村自身も、これを基準にして消防力の充実につとめる。こういうことを、ことしを初年度にしたものを実行していく考えでございます。
  162. 林百郎

    ○林(百)委員 この基準と現状との間に大きな差がある。これは、基準については長官の告示できめられたわけですね。実際と告示の数とでは非常に違いがある。先日表彰されました上市町の婦人消防隊は、実は、私のほうで調べてみたところ、この上市町の中心部から六・五キロ山に入った二十六世帯約八十人の五位尾部落というところにあるわけですが、この場合は、この基準と現状との差をこの婦人消防隊が補完しているということになるわけですが、婦人消防隊が活躍するということ自体には意義があると思いますけれども、しかし、本来せっかく消防庁長官が告示を出して消防力の基準をきめられた、その約半分しか実情はない。それを、二十六世帯約八十人、町の中心地から五・六キロも離れたところにある婦人消防隊が補完する役割を果たすということは、これは正常ではないと思うのですね。やはり、公設の消防として、機材等の開発も含めての常備消防隊の充実、そのもとでの過疎地域での消防の強化が行なわれるべきだと思うのですね。ところで、上市町の財政を見ますと、昭和四十五年度で一般会計が十三億円という町でありますが、この一例を見ましても、国から大幅な財政措置が必要であると思うわけであります。消防庁としては、そのような努力はされていると思いますが、さらに財政的な援助が必要だと思います。  そこで、大蔵省の加藤主計官がちょうどおいでになりまして、先ほど門司さんから激しい質問を受けていたわけですが、実情はこういうわけで、長官の告示と、実情と非常にかけ離れておりまして、それを婦人消防隊が補完しているというような状態ですけれども、この消防に従事する人員とか機材の充実が非常に重要だと思いますけれども、現在の補助率を引き上げるとか、あるいは対象となるものを引き上げるなどして、消防関係等の予算を引き上げる必要があると思いますが、いま消防関係の予算は、大蔵省としてはどういう計算の方法ではじき出しているわけなんでしょうか。そして、それを引き上げるような方向というものは大蔵省としては考えられないでしょうか。その辺をちょっと説明していただきたいと思います。
  163. 加藤隆司

    ○加藤説明員 過疎地域の消防関係でございますが、一つは、先ほど消防庁のほうからお話しがありましたように、水槽と運搬できるポンプ、これが御承知のように二、三年前に補助率が三分の二になりました。それからもう一つは、過疎債でございますが、あの中に消防施設対象になりまして、交付税に算入されることになっております。もう一つは、先ほどお話しがありましたが、広域市町村圏の補助金がございますが、その中で、消防署、消防ポンプ、消防専用電話、救急自動車というようなものについて、現在広域消防の実施計画が百二十八圏域対象になっておりまして、これについては一般会計から補助が行なわれるということになっております。これはたしか過疎の問題が問題になりました昭和四十四、五年でございますが、そのころから、いま林委員の御指摘の問題を消防庁のほうでいろいろ研究されまして、こういうような措置をとられているわけでございます。昨年の予算のときも、われわれのほうといたしましては、先ほど申しましたが、二六・六%の一般会計の補助金を増額しておるわけですが、その中から、消防庁のほうが、今年度配分にあたってかなり留意をされるというふうに聞いております。足りるか足りないか、そういう問題はございますが、質的にも量的にも相当思い切った措置をしておるつもりでございます。
  164. 林百郎

    ○林(百)委員 大蔵省としても非常に好意的に努力をしているというお話しを聞いたわけですが、もう少し突っ込んで聞きたいと思うのですが、長官、各地方自治体から国に対して消防車や救急車の設置について要求があると思うのですが、これは損保の無料交付ですか、あれしかないということではないでしょうね。これはいまどういう実情になっているんでしょうか。ちょっとこの点を御説明願いたいと思うのです。
  165. 降矢敬義

    降矢政府委員 これは、私のほうはタッチしておりませんが、各地域に、ブロック単位ごとに、損保の支部がありまして、そこに各市町村で申請をして、その支部で申請したものを本部にあげてきて、先ほど門司先生が言われましたように、どこに寄付をするかということを損保としてきめておる。これは寄付であります。しかし、私のほうでは、市町村の整備計画と要望に基づきまして、予算で認められた消防施設についての配分は県を通して直接私のほうに受けるという企画にしてあるわけでございます。
  166. 林百郎

    ○林(百)委員 これは加藤さんにも聞いていただきたいのですが、いまの消防署の消防車のことですけれども、東京都の最近の例を見ますと、一台八百八十万の化学消防車について、国の補助率が三分の一、すなわち二百九十三万円が補助率で来るというのですね。ところが、実際には国の基準額は一台三百七十八万円としか見積られない。実際は八百八十万円かかるのが、三百七十八万円しか見積られない。したがって、その三分の一ですから、百二十六万円となっており、一台当たり百六十七万円の超過負担になる。こういうことを聞いておりますが、これは事実どうなっているんでしょうか。せっかくの補助が実情に合わないために、ないよりはましにしても、超過負担が出るという状態ですが、これについてはどうでしょうか。加藤さんと、それから長官からも、この実情について御説明願いたいのです。
  167. 加藤隆司

    ○加藤説明員 補助金の問題でございますが、これが先ほどの門司先生のときに、先生からいろいろお話しがあったのでございますけれども、義務的なものと考えるかどうかというような問題もございまして、それで、実は、ことし予算のときに見ましたら、確かに、実際に買う価格と見積もりとが差があるわけです。それで、奨励補助的な考え方で、考え方はいろいろございましょうけれども、ただ、あまりにも差が多過ぎるのじゃないか。過去相当長い間据え置きになっておりましたので、消防庁のほうと——要求はもちろん毎年単価アップの要求があったようでございますが、かなりパンフレットなど取り寄せまして、いろいろ勉強をいたしまして、化学車、はしご車が一番実情にそぐわないというふうな認識に立って、このごろはいろいろな付属物をつけることがはやってまいりましたので、スタンダード的なものの単価を拾いまして、本年は二割何分かの単価アップをやりました。あまりにも現状から遊離しておりますので、補助金の考え方はいろいろあるものですから、奨励補助的なことでそういうことになってきたのだろうと思うのですが、それにしても、これではいかぬと思ったので、私としては、できるだけ現実に近づけたつもりなんです。
  168. 林百郎

    ○林(百)委員 長官の答える前に、加藤主計官としては、できるだけ実情に沿うようにことしは二割アップ計算をしたと言いますが、補助金の三分の一というのは、この補助がどういう性格のものにしてもきまっておりますので、これは自動車ですから、デラックスとかなんとかいっても、学校の建設やいろいろなものとは違うわけで、いろいろなものが付属品としてかりについていたとしても、おそらくそれは必要欠くべからざるものだと思うのです。それが実際八百八十万円かかるのが三百七十八万円としか評価されない。その三分の一ということになるとだいぶ違ってまいりますので、その点は、われわれもまた大蔵省にも話をするべきことは話をしなければならないのですが、どうしてこんな違いが出てくるのか。さっき門司先輩が私にかわって大蔵省もおしかりになったから、私は別に大蔵省をあらためてしかりはしませんけれども、その補助が義務的なものかあるいは任意的なものかという性格は違うにしても、率はきまっておるのですから、この違いではどうも少し違い過ぎると思いますが、長官のほうではどうお考えになりますか。
  169. 降矢敬義

    降矢政府委員 この消防施設の補助につきましては、消防施設強化促進法というのがございまして、「予算の範囲内で、」しかも「基準額の三分の一以内とする。」という規定になっております。しかし、精神としてはやはり三分の一、しかも実勢に近いものということであろうと私は考えております。この点については、長年単価アップの問題について努力をしてまいりまして、先ほど主計官からお話しがありましたとおり、これは、ほんとうにことしになって初めて、この大きな化学車とかはしご車について、二割余の単価アップを実現することができたわけでございます。確かに、実勢価格というものについて——実は、実勢価格と市町村が言っているものについては、先ほどお話しがありましたとおり多少好みがありまして、いろいろな付属品を刑に要求しておるようでございます。そういうものは、結局、たとえば消防。ポンプについては標準車的なものがございましょう。そこで、私が就任以来、ポンプにつきましては、三通りくらいな標準車というようなものをつくれないだろうか、そうすれば、それを基準にして選択していただけばいい、そうすれば、実勢価格というものについての判断も、ある程度、そうばらばらでなくできるのではなかろうかということで、この点については業界といろいろ協議をし、消防研究所が中心になってややまとまりかけた段階に来ております。こういうことによって、ふだん実勢価格、実勢価格と言っているものについても、一定の基準のもとに考えるようなことによって、実態に即するような補助を考えていくということを軌道に乗せていきたいと考えております。
  170. 林百郎

    ○林(百)委員 加藤主計官に質問いたしますが、消防庁のほうも、実情に沿った最低限度の装備を持ったスタンダードの消防車三式ぐらいをつくって、そして、その価格を基準に沿うように努力しているということですが、それにしても、あまりに違い過ぎる。しかし、ことし二割補助アップしたということは一歩前進ではありますけれども、さらに実情を調べられまして、これはやはり都民や地域住民の生命を守り財産を守るためにはなくてならないものなんですから、この点については一そうの努力をされたいというように思うわけで、ひとつ、ぜひ実情を調査の上、補助すべきものはやはり補助するような努力をされたいというように期待いたします。加藤さん、当然大蔵省としてはそういう努力はしてくださるのでしょうね。聞くまでもないと思いますが……。
  171. 加藤隆司

    ○加藤説明員 もちろん、そういう努力はいたさなければならぬと思います。
  172. 林百郎

    ○林(百)委員 その次に、都市火災についてですが、これも同僚の桑名議員が詳しく聞かれましたので、残っている問題だけをお聞きしたいと思いますが、それは地下埋没になっているガス管理ですけれども、東京都を例にとってみますと、東京都の地下には東京ガスだけで何キロメートルのガス管が張りめぐらされているか。これは数字をお握りですか。
  173. 降矢敬義

    降矢政府委員 いまのところ承知しておりません。
  174. 林百郎

    ○林(百)委員 それではやむを得ません。私のほうの調査の数字を出しますが、私のほうの調査ですと、東京の地下には東京ガスだけで千八百三十二キロのガス管が張りめぐらされている。このガス管が、自動車の振動、地下鉄の工事、地震、地盤沈下などによって絶えず事故発生の危険にさらされているということが想像できるわけですね。しかも、ガス管というのは、一たび事故が起これば非常な惨事になるということは、一昨年四月の大阪のガス爆発で四百九十九人の犠牲者を出したことでもおわかりだと思いますが、このガス管の保安業務は現在どういうように消防庁としてはされておるわけですか。
  175. 降矢敬義

    降矢政府委員 ガス管の保安業務はガス事業法によって行なうことになっておりまして、消防庁が直接この保安業務にタッチするというかっこうにはなっておりません。ただ、先生指摘のように、大阪のガス爆発がありました直後に、関係者が寄り合いまして協議した事項の中に、道路工事中にガス管を折損し、あるいは痛めてガスを吹き出しているという場合、去年品川でそういう事故があったわけでありますが、結局、それは工事をやる人間とそれを管理する道路関係、ガス関係消防関係というものに、どういうところにどういうガス管の配置がしてあるのかというようなことを、事前にお互いに通知をするということで承知しておくというような方法をとったわけでありまして、したがって、火災でございますので、そういう事後処置的なものについては、当然消防は出動いたしますので、そのために必要な資料等は消防署のほうでいただくが、しかし、直接の保安の業務は消防では直接タッチしておりません。
  176. 林百郎

    ○林(百)委員 そこのところが問題だと思うのです。万一そのような事故が起きれば、何百人という人の犠牲者が出るようなガス管の地下埋没についての管理が営利会社だけに全面的にまかされているというのではまずいと思うのですね。ですから、ガス管の保安業務については、消防当局が相当強い権限を持ってこれを監視し、監督して、そして事前にいろいろの情報も出させるということで、この管理権限をもっと強力に消防署が掌握されて、予防的な監督をされる必要があるのじゃないかというように私たち考えるわけですが、その点はさらに改善されることを要望するわけなんですが、いまのように、ガス管を埋めている自身であるガス会社に全面的にまかしたんでは、償却された後のガス管もなるべく使えるだけ使えということで、漏ったって、部分的な修理だけで終わらせるという危険もありますので、この管理権限については、予防的な意味も含めて、やはり消防庁がもっと強力な指導、監督の権限を持つべきだと思います。この点のお考えはどうでしょうか。万一事故が起きたら取り返しがつかないようなことになりますからね。
  177. 降矢敬義

    降矢政府委員 確かにそういうお考えもあろうかと思います。たとえば、先ほど述べました火薬とか、LPガスとか、高圧ガスとか、そういうものについても、結局災害が起これば、現場の消防方々がそれを鎮圧し救助するという実際の作業をやるわけでございまして、それを、起こる前の保安について全部消防でやる、あるいはもっと強い権限を持たせるというお考えは全くごもっともだろうと思います。この点について、実は、ガスについては通産局で保安業務をやっておるわけでございますが、全面的に消防にこれを委譲をする、あるいは消防が全く全部やるということになりますれば、いまの体制ではとてもできないと私は思います。それが第一点でございます。したがって、たとえば、むしろ建築工事中に消防側が気がついたことを意見として申し出るというようなことは当然やっておりますけれども、お考えとしては十分理解できるわけでございますが、現実の問題として、それを一手に全部保安業務まで引き受けるということについては、ちょっと困難ではなかろうかと思います。だから、具体の問題として、具体の事項についてどうするかということについてはきのう御答弁申し上げましたが、LPガス、火薬というものも含めまして、都市消防の現場における意見として私たちいま研究会を開いて聞いております。したがって、具体の問題を具体的にとらえながらどうするかというようなことについて、つまり、狭い範囲ではありますけれども、やれるものを担当するというようなことでやりたいと思っております。
  178. 林百郎

    ○林(百)委員 異常状態が発生した場合に、その異常状態を消防署へ報告して、そしてそこだけ応急処理をするということだけでは根本的な対策になりません。当委員会にも消防小委員会が設けられておりますので、もし、東京都における埋没ガス管の保安管理まで消防署がしていくとすれば、とりあえずこういう措置と権限を消防署に与えられたい、あるいは財政的な措置を与えられたいということを当委員会にも要請していただけば、当委員会でも消防小委員会の同僚委員の皆さんが熱心に討議されると思いますし、ことに、東京都のような人家の密接しているところでもし事故でも起きますれば、これはたいへんなことになりますので、そういうことは遠慮なく、消防署としても当然委員会へ実情を報告していただきたいと思うわけです。この点はそれじゃそういうことにしておきますけれども、消防長官、そういうもっと積極的な前向きな姿勢をとって、遠慮なくそういう審議をするところへも実情を知らせるということが必要だと思いますが、どうでしょうか。
  179. 降矢敬義

    降矢政府委員 その点につきましては、先ほど申し上げました現地の消防方々と研究会を開いております。そういう問題も討議の課題にしておりますので、当然そういうことをさせていただきたいと私は思っております。
  180. 林百郎

    ○林(百)委員 それから、このたびの法案についてひとつ具体的にお聞きしたいのですが、大阪の千日ビル火災のときも、化学繊維が燃えたということと同時に、それから発生する有毒ガスによって窒息して人命を失っているということが非常に多いわけですね。プレイタウンでなくなられた方々は、焼け死んだというよりは、むしろ窒息死しているということのほうが多いわけなんですね。したがって、このたびの改正法で化学繊維を難燃化する、要するに燃えがたいようにするということですね。こういうことは、それはそれで私は意義があると思いますけれども、しかし、化学繊維が燃えた場合、有毒ガスを発生して、そのために窒息死をするということに対しての消防庁側の積極的な改善方法が必要ではないでしょうか。そういう意味で、このたびの法案で、防炎規制なりあるいは防炎物質についての一定の改善をしようとする努力は見られますけれども、そこから出てくる人命にかかわる有毒ガスの発生を阻止するという点については改正しないでいいのでしょうか。
  181. 降矢敬義

    降矢政府委員 消防庁の立場から言いますと、ものが燃えないような防火管理の徹底、これが第一であります。第二は、燃え始めた初期の段階ですみやかに消火をすること。そのために必要な施設を整備する。たとえば、スプリンクラーというのがその一例でございます。同時に、いま言いましたような初期の段階で早く警報を発して避難させる。これによって人命を守る。と同時に消火は当然でございますけれども、そういう仕組みを考えるわけでございます。もとより、天然繊維であろうと、化学繊維であろうと、燃えれば一酸化炭素はどんな物質でも出るわけでございます。そのほかに、塩化ビニール系統であれば、塩素ガスというものを当然出しますし、また、シアン化ガスというものも出るわけでございます。この点につきましては、やはり密室になりますので、どうしてもそれが室内にこもってしまう。同時に、建材等あるいはそういう繊維等は発煙量が多うございますので、つまり酸素不足という状態もあわせて生ずるわけでございます。したがって、施設としは、同時に、建築構造の中で建築設備として考えられます排煙というようなものを当然考えなければならぬというふうに思うわけでございます。いずれにいたしましても、理想的に言えば、火が出ても燃えない繊維、燃えない建材ができればいいわけでございますけれども、繊維についても、そんなことはいまの段階ではなかなか困難でございます。したがって、防火、消火と、出た場合の排煙、避難ということを組み合わせて人命の安全を守るということを考えなければならぬと思っております。
  182. 林百郎

    ○林(百)委員 われわれが常識的に考えれば、燃えるというのは、炎が出て燃えるのですけれども、炎が出て燃えなくても、いぶる程度でも非常に有毒ガスを発生する繊維製品やあるいは建材があわけですね。そういうものの規制を、新しい観点での消防行政として考えなくていいのでしょうか。燃えないもの、燃えないことだけの消防行政というだけでは、最近の建材や最近の繊維製品の実情から言って、実情に沿わないのじゃないでしょうか。燃えるというのは、炎を出してどんどん燃えるのですから、それは一酸化炭素も出るでしょうけれども、しかし、一酸化炭素を出して、炎を出して燃える前に、いぶって出る煙を吸えば窒息する。有毒ガスがそこから出るわけですから、そういうものも注意の表示をするなり、あるいは、あるやむを得ない場合の個所は別として、そういうものを建材として使わせない方向に規制していくということが大鵬じゃないでしょうか。そういう点、新しく化学的な観点から消防の対策を講じていくという姿勢が必要だと思いますが、どうでしょうか。
  183. 降矢敬義

    降矢政府委員 いま、千日ビルの火災に関連した繊維の問題をお話しいたしましたが、確かに、いまの建材の問題につきましては、廊下等を中心にして、たとえば石こうパーライトとか、石綿のスレートとか、そううい不燃材料で内装するということはすでに実施されておるところでございます。それからまた、準不燃材料と申しまして、石こうボードとか、木目のセメント板とか、たとえば高い建物においては、火を使うところの部屋はそういうもので内装しなければならぬというような規定も設けられ、また実行されているところでございます。  いずれにいたしましても先生のおっしゃるように、材料そのものの不燃化を推進するということは当然でございまして、さらにこの普及につきましても、昨年来、建設省と私のほうで共同で協力をいたしまして、いろいろなパンフレット、ポスターその他を通じて、この不燃材料、難燃材料の問題をずいぶん普及したわけでございます。御趣旨のように、建材そのものについてそいう方向で努力しておりますが、燃えないということは、つまり不完全燃焼もなかなかしないということでございまして、煙とガスを同時に出さないようなものをもっと研究する。これは当然でございます。
  184. 林百郎

    ○林(百)委員 そういう問題について積極的に化学的な研究をされて、消防行政がそういう面にまで手が届くような措置をされることを私は強く要望したいと思います。最近の火災の現状を見ましても火で焼け死ぬというよりはむしろそういうものから発生するガスによって窒息死するということがありますので、十分注意されたいと思います。  あと二点ほどお尋ねしたいのですけれども、消防団員ですが、私の出身地で最近火事が起きまして、消防団員がホースを持って水をかけている間に、高圧の電気を通じている線に水がかかってしまって、そこから電気が逆流してきて団員が一人死んでいるわけですけれども、非常に気の毒だと思っております。そこで私はお聞きしたいのですが、消防団員というのは手当は一体どのくらい受けるのですか。こういう命がけの仕事をするのに、職員でない普通の団員というのは、一度火事があって出れば、幾らの手当がもらえるのですか。
  185. 降矢敬義

    降矢政府委員 出動手当につきましては、地方交付税の基準財政需要額に算定している額は、一回千二百円でございます。しかし、個々の市町村におきまして条例でこれを定めることになっておりますので、かなり千差万態で、高いところは二千円あるいは二千五百円というところもありますけれども、安いところは四百円というようなところもございます。私たちの指導は、この交付税の基準財政需要額に算定している額を標準として条例で定めるようにということで、私が就任して以来も、この引き上げ方を——ずいぶん低かったわけでございまして、これについての指導をやっております。しかしながら、まだ相当千差万態のような状況でございます。
  186. 林百郎

    ○林(百)委員 それから、いま言ったように、不慮の事故で、たまたま水が高圧電線に行ったために死んでしまったというような場合ですね。そういうこともあるのかと思って私も非常に驚いたわけですが、そういう場合の、なくなった消防団員の遺族に対する一時金あるいは年金の制度ですが、消防団員等公務災害補償等共済基金の制度もあるわけなんですが、それから市町村で条例もあるわけですが、条例できまっているだけなんですか。条例のほかに、死んだ場合には、消防庁とかあるいは国からも出るのでしょうか。条例の範囲でとどまるのでしょうか。それで、年金というものは一体つくのでしょうか。つかないのでしょうか。
  187. 降矢敬義

    降矢政府委員 たてまえは、公務災害補償でございますから布町村の条例によって、公務災害としての、ただいまの事例でありますと、遺族補償金が年金としてつくはずでございます。もとより、この条例は、いま先生がおっしゃいました政令に基づいて、政令に定めておる額を基準として条例を定めるということにしてありまして、各市町村、その点は共通の条例を定めております。したがって、補償額は全く同額になるわけでございます。
  188. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、年金はどのくらいについて、一時金はどのくらい下がるものなんでしょうか。どういう制度からどのくらい下がるものなんでしょうか。
  189. 降矢敬義

    降矢政府委員 これは、ただいま先生がお話しになりました消防職員の職員としての勤務年限……。(林(百)委員「普通の団員のことを聞いております」と呼ぶ)だから、団員という身分における勤務年数その他によって額が変わってまいりますので、具体の計算は、その人の条件を見ないと、どのくらいかということはちょっと申し上げられません。
  190. 林百郎

    ○林(百)委員 それで、最低の場合と最高の場合を説明してくれませんか。最低の場合はどのくらいになりますか。あるいは年金のつかないという場合も、あるでしょうか。
  191. 青山満夫

    ○青山説明員 消防団員の公務災害の補償額につきまして、一つのモデルをつくりまして試算いたしますと、たとえば本人が階級は団員でありまして、勤務年数が十年未満、それから妻、子供が二人というような家族構成を一応考えました場合に、遺族の補償年金額は、現行制度では三十八万一千円程度でございます。ただいま、今年度からさらに基礎額を改定する予定になっておりまして、それを改定いたしますと、年金額が四十三万一千円程度というのが一つのモデルでございます。
  192. 林百郎

    ○林(百)委員 それから一時金の場合はどうなるのですか。一時金というのは下がらないのですか。——質問がわからないようですが、年金がつく場合は、一時金というのは下がらないのですか。年金だけですか。
  193. 青山満夫

    ○青山説明員 年金だけです。
  194. 林百郎

    ○林(百)委員 それでは、年金がつかない人には一時金がつくのでしょうか。そういう場合は一時金が幾ら下がるのでしょうか。
  195. 降矢敬義

    降矢政府委員 ただいま課長が申し上げましたモデルで、遺族補償年金というものがつきますから、その公務災害としての一時金はないわけでございます。ただ、先生がおっしゃるのは、これは私の推測でございますが、いわゆる消防賞じゅつ金のことではなかろうかという気がいたします。これにつきましては、国、県、市町村という段階でそれぞれ支給することになっておりまして、県、市町村で条例でこれをきめておるものでございます。
  196. 林百郎

    ○林(百)委員 じゃ、それでいいでしょう。これは、年金が四十万程度で、子供二人、母親一人というと、月に約三万七、八千円ですか、四万足りないわけですね。人事院の標準生計費だと七、八万かかるというのですから、その半分しか出ないということで、非常に気の毒だと思います。賞じゅつ金制度がどうなっているか、私もくにへ帰って少し調査してみたいと思います。  さて、その次に、千日ビルの火災でございますが、この千日ビルについての賠償金のほう、補償金のほうは目下どうなっているのでしょうか。
  197. 降矢敬義

    降矢政府委員 私、最近その事情を聞きましたが、この前合同慰霊祭を二十五日にやりまして、それを終了してから、いわゆる関係者四団体、こちらの千日ビルの関係者でありますが、それと遺族の間で話を始めたということを聞いておりますが、まだ糸口であります。そういう状況でございます。
  198. 林百郎

    ○林(百)委員 そこで、雇用関係があって、働いている人たちは、労働基準法が適用があるかもしれませんが、たまたま客としてそこへ行っていた人は、労働基準法も何も適用がない。たまたまああいう不幸な事態にあってなくなったにもかかわらず、いまもって補償金もやっと糸口へついただけだということでは、はなはだ気の毒で、遺族の人たちもさぞ——これは五月の十三日ですか、もう一カ月にもなんなんとしているときに、まだ補償金もつかないということでははなはだ心外にたえないわけですが、こういうことについては、消防庁としては、何らの指導権限も行政的な指導というものもないものでしょうか。
  199. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 実は、私、翌日さっそく現地へ参りました。ちょうどそのときに、プレイタウンの責任者と、発火されましたニチイ千日前店ですかの責任者もおられまして、補償の問題その他について万全を期せられたいということをよくお願いをしておきました。たまたま大阪市長も知事も一緒でしたが、市長さんにもそのことをよくお願いしたいと言うと、市長も、それらの代表者の方々に必要とあればいつでもあっせんするからということを言っていただいた次第でございます。その後の市長からの報告によりますと、市長自身が、この千土地の社長の松尾さんと、それからニチイ千日前店は社長が入院中でございまして、専務か常務か、責任者に会って、その話をよくしておいたということでございました。その後私が聞きましたところによりますと、当日は、遺体の引き取りその他全部、会社側がそれらの話し合いをつけてお送りするということにし、なお、遺族の皆さん方の合意を得て合同慰霊祭を行なった。一億五千万だったと思いましたが、見舞金としてとりあえず出し、合同慰霊祭の後に、遺族代表をきめていただいて、いま長官からお答えしましたとおり、話し合いに入っておる。それが今日まで私が聞いております市長からの連絡でございまして、おそらく、市長の手元におきまして、必要があればあっせんしていただくという姿で私たちのほうへも連絡していただいておる。そういうような点もございましたので、先般も、特に軽傷者の後遺症の件についてもよく調べていただきたいというふうなことを市当局に対してお願いしたような次第でございまして、市と連絡をとりながら円滑なる補償ができるように見守っておるというのが本日の状態でございます。
  200. 林百郎

    ○林(百)委員 渡海自治大臣も、隣の大阪府のことですから、ひとつぜひ力を入れて、あなたの自治大臣をしている間に——あとどのくらいになるかわかりませんが、このような悲惨なことのあと始末はあなたの代にぜひ片づけておいていただきたい。  いまも聞いた額ですけれども、これは全員に割ってみますと約百万円前後で、これではとても遺族の生活保障にも何にも足らないわけなんでございます。見舞金にちょっと毛のはえた程度でございますから、ぜもひとつ至急にこれは処理していただきたい。一カ月の間未亡人が子供をかかえて生活に耐えていくということは、これは容易じゃないことだと思うのですね。ですから、そのことをよくくんでいただいて、至急処理するようにしていただきたいと思います。  消防庁長官にお尋ねしますが、ここは、防火管理者は、各寄り合い世帯の中にそれぞれあったんでしょうか、なかったんでしょうか。防火管理者があったにしても、それがそれぞれ協議して、統括防火管理者というのはきまっていたんでしょうか。何かその辺のところが非常にあいまいで、結局、あすこのビル全体に対する防火責任者がだれだかはっきりしない。そうして、お互いにあすこに出張っている各パート、パートの寄り集まりの人たちの防火管理者の協議もされておらない。したがって、火事が起きてしまえばてんやわんやになってしまう。こういう状態に放置されていた。これははなはだ遺憾でございますけれども、これは大防市の消防署の責任になるかと思いますが、この防火管理者、そしてそれの協議の有無、それから統括防火管理者の選任、ことに、消防法によれば、消防設備士というものがあって、そういうことも監視していかなければならないということがあるにもかかわらず、全然そういうことがなされておらないということは、これはやはり消防署の手落ちだったと思いますが、この点はどうなっているんでしょうか。
  201. 降矢敬義

    降矢政府委員 最初の防火管理者の件でございますが、あすこのニチイ、それからキャバレー、それからもう一つ下のほうに百貨店がありますが、これはそれぞれの防火管理者は指名されて、消防署のほうに届け出てありました。  それから、それぞれが協議をして定めるべき統括防火管理者というものはまだ定められておりませんでした。その時点においてはございませんでした。  経過を申し上げますと、このための協議会を消防署が主張いたしまして、やりました。これで総括防火に関する協議の規約案までできております。ところが、あそこの六階にボウリング場をつくるということで、その工事を始めましたので、そのボウリング場が完成しましたときに、それをあわせて一緒にやろうということで、総括共同防火管理の協議会案なるものまでは作成されておりましたが、結局、総括防火管理者というものは火災の時点では定まっておりませんでした。
  202. 林百郎

    ○林(百)委員 三つのパートの防火管理者はあった、そして、消防署が一度協議会を招集して、共同防災の案まではあったと言いますが、しかし、その三人を統括して、どこにどのように火が出た場合にはどこがどう協力するとか、そういう最南の総括防火管理者がいないということになりますれば、これは頭のないものになりますので、これは至急きめさせて、そして防火管理者の上に立って防火管理者を監督するなり、いざという場合には防火管理者の防火上の業務について目をちゃんと届かせるという措置をしなければならぬ。これがいなかったためにてんでんばらばらになってしまって、その上、ある防火管理者のごときは、自分が先に逃げてしまって、あとは野となれ山となれという態度だった。あるいはプレイタウンのごときは、せっかく客が逃げようとしたって、飲み逃げされちゃいけないからということで、、逃げ道をふさいで錠をかってしまったというようなことまで起きております。これは消防署の責任だと思いますので、今後こういうことのないように、ああいう寄り合い世帯のビルの防火管理については、ひとつ事前の厳重な指導をぜひ十分にしていただきたいと思います。  時間がありませんので、最後に一つだけお聞きしておきますが、救急医療措置について、私のほうに資料があります。今月の五日の「国民生活審議会消費者保護部会長所見」というのがありますが、これを見ますと、「救急医療に関する消費者保護対策について」という提言がなされ、その内容はもちろん厚生省所管に属する部分も多くありますが、直ちに消防庁のみで言えることがございます。もちろん、厚生省所管に属する部分が多いので、消防庁だけでということは言えませんけれども、この提言の内容について考えてみますと、前文に、「本来、一体的にとらえられるべき救急医療が、搬送は消防庁、治療行為は厚生省と所管が分れ、その間に十分な連携がなく、救急医療体制整備についての国、都道府県および市町村の分担関係が明らかでない」とあります。運ぶのは救急車で消防署が運ぶ、治療行為は厚生省というようなことで、救急医療に関する消費者保護対策がはなはだちぐはぐになっているという意見が出ておるわけですが、それに対しての消防庁の御意見を伺いたいのと、並びに、こういうちぐはぐのために救急医療が非常にそごを来たしているということに対して、自治大臣も改善しなければならないと思うのですけれども、どういうようにお考えになっているか。まず、消防庁の御意見を伺いたい。
  203. 降矢敬義

    降矢政府委員 確かに、現場におきます搬送は消防が担当し、そして、どこの医者に、どこの病院に運んだらいいのかということにつきましては、消防本部に救急指令センターを持っているところは、そこに病院のベッド数あるいはどういう  医者がおるかということの表示がありますので、そこの指示を受けるのをたてまえとしております。  結局、いま御指摘の中央における連絡体制というものにつきましては、私たち、いまお話しがありました消費者保護部会長所見が出る前から、厚生省との間に救急に関する協議会を設けておりまして、現場においての処理が意思の疎通を欠くためにうまくいくところがだめになるということは、住民の立場から言いまして非常に困ったものでありますので、その点の改善については、定期的な会合を持って、逐次問題点を持ち寄って改善につとめているところでございます。したがって、御指摘の点については、すでに私たちは実行しておりますので、今後ともこういう方向を深めてまいりたいと考えておるところでございます。
  204. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 私も、中央交通安全会議へ参りまして、いろいろなまの声を聞かしていただいたのでございますが、搬送は消防がやらなくちゃいけない。治療は厚生でやらなくちゃならない。二つの場面がそれぞれの担当でございますから、両方あわせてやることはできないことである。ただ、問題は、いま申しましたように、現場における日ごろからの意思の密接なる連絡が一番必要ではないかと考えております。ただ、そのような声が出てまいりますのも、救急病院の体制がまだ非常に完備していない。特におくれております脳外科等が、必要となる場合が、交通事故では多いのでございます。そういったものの整備がおくれておる。それが消費者の声としてそういうふうに出てきたのじゃないか。この面につきましては、厚生省当局においても、できるだけそういった面を地区的にも充実するように努力していただいておりますが、今後とも連絡をとりまして、救急病院施設等の整備を急ぎ、なお連絡を密接にしていきたいと考えておりまます。
  205. 林百郎

    ○林(百)委員 大蔵省と長官大臣に要請をして、私の質問を終わりたいと思いますが、近代的なわれわれの生活の中で、消防行政というのは非常に重要なウエートを占めていると思うのですね。しかし、非常に重要な行政部門であるにもかかわらず、それに対する財政的な措置だとかそれに従事している職員の待遇というようなものは、依然として江戸時代の火消し消防手というような観念で、おくれた部門も非常にあると思うのです。万一災害が起きれば、調査室の資料にもありますように、最近では、死亡率に至ってはアメリカの五倍もの死亡率を日本では出しているというような災害が起きるわけでございますので、ぜもこれを近代的な消防施設として完備し、そして、そこで働いている人たちが安心して消防職員として生活ができるような財政的な措置も講じて、近代社会にふさわしい近代的な消防として生まれかわることが絶対に必要だと思うのです。警察などははでにいろいろやりますけれども、どうも、消防のほうはみんなおとなしいし、答弁を聞いてみても、非常に遠慮しがちな答弁を当委員会でもしておるので、大蔵省との交渉でも、加藤さんあたりに言われると、おそらくみんなしぼんでしまうのではないかというような気がしますので、ひとつ、加藤さんのほうも、近代的なわれわれの生活にとって消防行政が非常に重要だということを理解されて——たぶん御理解されていると思いますが、あるいは、林さんの言うことは誤解だ、私は非常に協力しているのだと言うならそれでけっこうでございますが、大蔵省にも、消防が近代的な消防として生まれ変わるような思い切った財政的な処置もぜひしていただき、そして、消防庁長官には、部下の消防職員が安心して、危険な消防の仕事に身をまかせて働くことのできるような待遇や処置を考えてもらうと同時に、施設の近代化に努力してもらい、渡海大臣は、国務大臣として、内閣の政策としてそういう方向にぜひ努力していただきたい。これは私の要請でございますが、ひとつ責任ある答弁をお聞きして、私の質問を終わらしていただきたいと思います。
  206. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 御要請ごもっともでございますので、御要請に応じるように、私たち今後とも全力をあげて努力させていただきたいと思います。
  207. 加藤隆司

    ○加藤説明員 できるだけのことをいたしたいと思います。
  208. 大野市郎

    大野委員長 次回は、来たる十五日木曜日、午前十時から理事会、午前十時三十分から委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時二十一分散会