運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1972-06-06 第68回国会 衆議院 地方行政委員会 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年六月六日(火曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 大野 市郎君    理事 上村千一郎君 理事 大石 八治君    理事 塩川正十郎君 理事 中村 弘海君    理事 豊  永光君 理事 山本弥之助君    理事 小濱 新次君 理事 門司  亮君       高島  修君    中山 正暉君      橋本登美三郎君    三池  信君       宮澤 喜一君    綿貫 民輔君       細谷 治嘉君    山口 鶴男君       山本 幸一君    横山 利秋君       桑名 義治君    和田 一郎君       林  百郎君  出席国務大臣         自 治 大 臣 渡海元三郎君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      山中 貞則君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房審議室長   小田村四郎君         文部省管理局長 安嶋  彌君         厚生大臣官房審         議官      江間 時彦君         自治政務次官  小山 省二君         自治省行政局長 宮澤  弘君         自治省行政局公         務員部長    林  忠雄君         消防庁長官   降矢 敬義君  委員外出席者         大蔵省主計局共         済管理官    鈴木 吉之君         自治省行政局公         務員部福利課長 佐野 政一君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ————————————— 本日の会議に付した案件  消防法等の一部を改正する法律案内閣提出第  九〇号)(参議院送付)  昭和四十二年度以後における地方公務員等共済  組合法年金の額の改定等に関する法律等の一  部を改正する法律案内閣提出第七三号)      ————◇—————
  2. 大野市郎

    大野委員長 これより会議を開きます。  参議院から送付されました消防法等の一部を改正する法律案議題とし、提案理由説明を聴取いたします。渡海自治大臣
  3. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 ただいま議題となりました消防法等の一部を改正する法律案提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  今回の法律案による改正点の第一は、防炎規制徹底についてであります。  防炎規制につきましては、昭和四十三年の消防法の一部改正により、高層建築物、地下街、旅館、ホテル等において使用されるカーテンなどの特定の物品は、防炎性能を有するものでなければならないこととされました。しかしながら、その後の推移を見ますと、これらの物品防炎性能の有無の判定がきわめて困難であり、これを明確に表示する仕組みが整備されていないため、必ずしも法改正趣旨徹底していないきらいがありますので、今回、防炎性能を有するカーテンなどを助炎物品として販売する際等には、その旨を表示することを義務づけることとし、これにより、防炎性能を有するカーテンなどを使用する者の便宜をはかり、もって防炎規制のより一そうの徹底を期そうとするものであります。  なお、前述いたしました昭和四十三年の消防法の一部改正におきましては、新たに防炎規制制度が施行される際現に使用されている物品には、当該規制を適用しない旨の規定が置かれていましたが、本制度が施行されてからすでに三年を経過し、さらに今後ともこのような特例措置を継続していく必要はないものと考えられますので、今回、この規定の適用は昭和四十八年六月三十日までの間に限ることとし、その後は全面的に本制度が適用されることとなるよう所、要の改正を行なうこととしております。  改正点の第二は、消防団員等にかかる福祉施設制度実施についてであります。  公務により災害を受けた非常勤消防団員及び水防団員にかかる公務災害補償につきましては、昭和三十一年以来消防団員等公務災害補償等共済基金法に基づき市町村支払い責任共済制度実施されてまいりましたが、これらの者に対し、外科後処置、リハビリテーションを実施し、義肢、補聴器を支給する等のいわゆる福祉施設につきましては、現在なお実施されるに至っておりません。  今回、非常勤消防団員及び水防団員について福祉施設制度を創設し、消防団員等公務災害補償等共済基金市町村または水害予防組合にかわって福祉施設実施することとし、もってこれらのものに対する公務災害補償の充実をはかろうとするものであります。  以上が消防法等の一部を改正する法律案提案理由及び要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。      ————◇—————
  4. 大野市郎

    大野委員長 次に、昭和四十二年度以後における地方公務員等共済組合法年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律案議題とし、質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。塩川正十郎君。
  5. 塩川正十郎

    塩川委員 共済組合法改正は、これは歴史の積み重ねでございまして、法律改正するについての深い論理的な構成というものは比較的少ないような感じがするのであります。したがって、過去を振り返ってみることが共済組合法改正審議に一番重要な問題であろうと思うのであります。そこで、私は、まず最初に、いままでに数回にわたる国会附帯決議がいろいろとつけられておりますが、その附帯決議に対する事後措置というものが当局においてどのようにとってこられたかということを中心に聞いてみたいと思うのであります。  まず、最初にお伺いしたいと思いますのは、退職年金スライド制の問題なんでありますが、御承知のように、退職後の生活の安定をはかるためには、物価スライドした、経済成長にマッチした年金制度改正すべきであるということが長らく主張されてまいりました。それに対して、そのたびごとに、給付基準額の引き上げというものをやってまいりましたけれども、これはやはり制度的にスライド制というものを導入していくべきだという考え方に立っておる。それに対してどのように考えておられるのか。特に、最近におきすして、国民年金あるいは厚生年金等、そういうい的年金制度改正していこうという動きがございます。そこらにおいて、厚生年金国民年金調整をはかって、でき得ればスライド制に持っていきたいという考え方があるのに、共済のほうは争ういうような公的年金との関連をどのようにとっておるのか。そしてまた、その関連をとりつつ、具体的にスライド制というものを具体化していくための措置をどういうところでとっておるのか。そういうことをまず第一点お聞きいたしたいと思います。
  6. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 これらの公的年金に、年金実質的価値を維持するためにスライド制が必要であるということは、たび重なる国会附帯決議ふいただき、当局のほうもまさにその必要性を強く感じておる次第であります。したがって、御承知のとおり、公的年金制度調整連絡会議というところで、各種公的年金についてのスライド制をどうするかということをこの数年来相談をしてまいったわけでございますけれども、実は、各種公的年金が、それぞれ、できた沿革なり趣旨なり、あるいはその構成によっていろいろ違っておりますために、どうもまとまった結論がなかなか出ないということで、昨年から、公的年金を全部一緒にして相談をしておったのではなかなか結論が出ないということで、昨年の初め以降、これを四つのグループに分けて、それぞれ似たものについての関係相談をしようということで、共済については、恩給国家公務員共済公企体共済、それに地方公務員共済、これらがグループになって相談をしてまいったわけでございます。  そこで、結論としては、まだ全体の年金に通ずるスライド制結論は出ていないわけでございます。これはたびたび国会からも御質問を受け、おしかりを受けるところでございますけれども、公的年金のうちの公務員年金グループに関しましては、スライド制結論とはまいりませんけれども、一応今回は年金算定方法について大幅な簡素化をはかりまして、育ってみれば、実質的にややスライドに近い改革を加えるということまでは合意に達したわけでございます。やはり、一番難点は、厚生年金とか国民年令とか、スライドそのものよりもまだ年金内容を充実するというほうに力を注がなければならないものがございますので、年金全体を通じての結論はまだでございますけれども、共済年金に関しましては、いま申しましたように、実質的にはややスライドに近い、まあ、恩給にならうということでございますけれども、年々のベース改定と申しますか、給付内容の改善を物価あるいは生活水準上昇その他に合わせた方式で今後やってまいるということで、実質的にややそれに近いところまで持っていくことが今回できたわけでございます。さらに、国会の御意思その他もございますし、ほんとう意味スライド制というものに対してはこの調整連絡会議をさらに今後精力的に続けまして、一日も早くその結論に達したいと考えておる次第でございます。
  7. 塩川正十郎

    塩川委員 今回の改正スライド制に近いものを実施したとおっしゃるのですが、それでは、そのスライド制に近いものというのは、物価基準あるいは国家公務員給与改定、そういうものを基準にされたと思うのですが、どういうところを基準にしてやったからほぼスライド制に近い数字が出ておるのだという、そういう根拠をひとつ知らしてほしいと思うのです。これをスライド制にするとするならば、ほんとうはどのくらいであるのだけれども、そうじゃなくて、今度改正した率はこういう基準でやったので完全なスライド制にはなっておらないけれども、スライド制の要因というものについて、こういう点は取り上げてやったので、したがってスライド制に近いものという数字が出てきたのだという内容をちょっと説明してください。
  8. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 年金実質的価値を維持するという意味での改定をはかるということでございますが、それは、今回実施したというのは、その算定方法を非常に簡素化したことと、やめた方のやめたときの年金の額によって今後は一定の率で考えればいいというふうに簡素化した。その意味がややスライドに近くなったということでございますけれども、恩給に関しては、ここ両三年一つルールができております。そのルールというのは、ことしで言えば、四十五年度物価上昇と、それからさらに国民生活水準向上した部分の、その二つの要素を和み合わせて一〇・一%という数字が出ております。それは、四一五年度の、たとえば公務員ベース改定分が十何%あるとしますと、そのうちの物価上昇分はまるまる見る。それから、残り部分についてはその六割を見る。六割というのは国民生活水準向上分である。さらに残りの四割は職制が上がること、その他国家公務員生産性向上と申しますか、事務の合理化、そういうものに見合う部分なので、これは退職者の人にはその分は見ないということで、物価上昇分国民生活水準向上分を積み上げたものを恩給改定の率にするということで、ここ両三年全部見てきておる。その意味では、実質的なスライドというのは、恩給についてはある程度確立されておる。それに対しまして、地方共済のほうは、従来、恩給に準ずるということで、同じような実質はとってまいりましたのですけれども、その算定方法が非常に複雑であったり、あるいは町村長さん、市長さんのように年々の昇給がないという人については非常に不利であり、アンバランスがあったのですが、そのアンバランスを今回は解消をいたしまして、恩給のとった率がそのまま今後の年金アップ率になるという方式にいたしましたので、その意味実質的なスライドに近くなったと申し上げたわけです。  しからば、いま御質問スライド制という場合は一体どの指標をとるかということは、これはまたいろいろ議論のあるところだと存じまして、物価上昇分だけで見て十分スライドになるじゃないか、実質的な価値を維持するではないかという議論から、公務員給与改定ベースそのものをとらぬ限りは先にやめた人が損するようになるので、純粋なスライドというならばそこまでいくべきである。いろいろな議論はあると思いますけれども、物価上昇分国民生活水準向上分を加えたものという現在の方式で、やめた方の生活安定を維持するという意味でのスライドとしては一つの合理的な線ではないか、こういうふうに考えておりますので、結論としては、まだ、公的な意味の全く自動的なスライドにはまいっておりませんけれども、実質的にはややそれに近い改定をして、年金をもらっておられる方々生活水準を維持するということについては遺憾な点はない。こういうふうに考えておる次第でございます。
  9. 塩川正十郎

    塩川委員 スライド制に持っていきたいという頭がそこに走ってはおるけれども、実際には、具体的にはできなかったけれども、その精神はくんで、もしスライド制をやるとするならば、おおよそ腰だめでこの程度になるであろうという数字に近い、こういう意味に解釈していいわけですね。  そこで、二番目の問題は、六十三国会とそれから六十五国会の二回にわたりまして、「遺族給付を受ける遺族範囲については、実情に即して、すみやかに是正措置を講ずること。」となった。そこで、これは公的年金との関係アンバランスがあるのでこういう問題が出てきたと思うのです。その改正について何らかの措置が講ぜられたのかどうか。
  10. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 その附帯決議の御趣旨に従いまして、遺族範囲を緩和するという改正は実は昨年やっております。配偶者についてある程度従来よりも認定の基準を緩和する措置はとりました。  それで、いまの先生の御質問意味は、遺族受給資格が、組合員期間が十年以上でなければ発生しない、ところが、一方、厚生年金のほうは六カ月で発生しておるではないかという、その間の不均衡ということについてのお話というふうに承るわけでございます。これにつきましては、われわれもかねてから問題意識を持っておりまして、これを何とかしたいということで、関係者相談をなお続けておる次第でございます。  発生的には、前の恩給時代には二十年ないといけないということもございましたが、反面、厚生年金は、給付内容は、いま共済なり恩給には及びませんけれども、この面ではわずか六カ月という、遺族の方にとっては非常に有利な制度になっておりますので、これを短縮するという必要はいま当夢者もみな認識しておりまして、さらに関係各省検討を続けていきたいというふうに考えておる次第でございます。  残念ながら、ことしの改正にはちょっと間に合いませんでございますが、今度の法案ではその点いじっておりませんけれども、その附帯決議の御趣旨を体してさらに検討を続けてまいりたい、こう考えております。
  11. 塩川正十郎

    塩川委員 それでは、その検討見通しをひとつ聞かしていただきたいと思います。
  12. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 厚生年金との不均衡その他もあり、これが必要であるというのは当事者みんな認識しておると思いますので、おそらく何らかの結論を近々出し得るものと考えております。
  13. 塩川正十郎

    塩川委員 次の、地方議会共済組合の問題に入る前に、最後に、今回のこの年金改定で、その方法がきめられて、先ほど説明があったのですが、あなた方がこういうメリットを今回つけたのだということを端的に言えるものがあったら、それを端的に、今回のこの改正メリットはこれこれなんだということを一回明確に言っておいていただきたい。その上で地方議会議員年金制についてお聞きしたいと思います。
  14. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 年金額アップというのは、もちろん今回の改正の中心的なものでございます。年金について一〇・一%改定、これは年金を受給される方にとっては非常にプラスになる点と思います。  もう一つは、先ほどの御質問の回答の中で触れました給与改定算定方法簡素化でございます。これは、従来は、恩給に準ずるということで、その年金を受給される方の退職の時期のいかんにかかわらず、昭和三十五年三月三十一日に施行されていた給与体系、県であればそれぞれの条例市町村でも条例、それがそのままその方の退職時までつながっていたものと仮定をいたしまして、たとえば四十二年に退職された人は、三十五年の条例がそのまま改正されずに四十二年まであった、そしてその方は四十二年まで来た、そのときの退職給与幾らであったかということを基礎にしまして算定をするという複雑な方法をとっておりました。その結果、年金を受ける方々一人一人について全部別々の計算をしなければならないということで、事務的にも非常にたいへんでございますし、一方、受ける方にとっては、自分がやめたとき給与は十万円なら十万円であったとして、ところが、同じ十万円を取っていた人と違う場合があり得る。たとえば町村、長さんあたりは定期昇給というものはございませんから、いつまでも十万円のままで据え置かれる。一方、技術系統の方は、給料表給料間差額が相当大きい場合にはたいへん有利に展開していくという形で、同じ年度に同じ勤務年限をもってやめた方でも、そのあとで非常に不均衡になる。また、一体幾ら自分年金額改定があるのか、本人自身計算できないし、非常に不便である。そういうことが残っておりましたのと、もう一つ、そういう方々へのメリットとしては、そういう算定方法をとりました結果、従来はどうしても改定がおくれたが——恩給の場合は二年おくれですが、実質的には、従来の改定方法によりますと、退職してから四年から五年たたないと給与額が直らぬという結果が出てまいっておったわけでございますが、今回は、そういう従来の一人一人についての算定方法を改めまして、退職年度によって一応一定率をかけまして、それぞれのやめたときの俸給というふうに仮定いたしまして、それに単純に給与改定率をかけるという方法をいたしましたので、改定方法は非常に簡素化されますと同時に、相当たくさんの方については給与改定の時期が早まった。退職後四年も五年も待たないで三年目には改定になる。こういうふうになった点がメリットだと存じておる次第でございます。しかし、従来の方法によったほうが有利な方も、いま申しました給料表が、非常に給料間差額商い技術職の方がおられますので、本年度に限りましては、従来の算定方法によったほうが高い場合はそちらによるといった経過措置をつけましたわけでございます。これによって、一人一人の計算は、実はことし限りでいい、来年以降は現在もらっているのにそのベースアップ率だけかければ新しい改定額がわかるというふうに簡素化されるということが今回のメリットだ、こういうふうに考えておる次第でございます。
  15. 塩川正十郎

    塩川委員 メリットの問題で私は一つ心配するのですが、メリット向上は大いにけっこうなんです。それと同時にこういう心配一つある。現在の資金が、将来スライド制になり、あるいはまたそれに近い改定が毎年行なわれていくだろうと思うのですが、その際に実質的な基金不足というものが生じてくるんじゃないか。これはもうしろうとが考えても、十数年前の掛け金積み立ててきておるものを現在の給与ベースに直しました場合には、基金不足が起こってくるのは当然だろうと思うのですが、そういうものがあるのかないのか。あるとするならば、自治省が大体腰だめで考えてどの程度基金不足が実は生じておるのか。これがあるならあるということをひとつ聞きたい。おおよそのことでけっこうでありますから。
  16. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 もちろん、給付内容がよくなることは受給者の方にはけっこうでございますが、これについては、当然それに対する財源が必要であるということになる。まさにそのとおりのことと存じます。現在のところはまだ制度の発足後期間が短いものでございますから、現在の年金を受給されておられる方も、その多くの部分制度施行前の勤務にかかる分でございます。この部分は現在は追加費用という形で、満額、勤務した国なら国、地方団体なら地方団体から金を入れてもらうというシステムになっておりますので、この部分に対する不足という心配制度上ございません。しかし、これから年月がたつにつれまして、その前の部分の割合はどんどん減ってまいります。この制度が発足してからの積み立て金によって払わなければならない、いわゆる新法部分がふえてまいることは事実でございます。そしてまた、年々こういう形で給与改定がございますために、先々の予想というのが非常に立ちにくい。私は確かにそのとおりであると思います。そこで、いま腰だめでどのくらい不足である、あるいは将来どのくらいになれば赤字になるという見通しはなかなか出せないわけでございまして、制度自体としては、年々のベース改定を踏まえた上で将来必要な給付額算定し、それに必要な財源率をはじき出して掛け金あるいは負担金として課することになると思いますので、制度自体としては赤字にならないように運営できるような仕組みになっておるわけでございます。その際、赤字にならないために、掛け金なり負担金なりは非常に高くなることはあるのではないかという心配が最終的にはあり得るわけでございます。しかし、現在のところは、年々ベース改定があれば、それに伴って給与が上がりますために、財源率としてはあまり変わらなくても金頭的には上がるというところもあり、そういう大きな心配はないと考えております。正確な財源率計算というのは、実は非常に複雑な計算でございまして、まだ完全にできておりませんので、いまはっきりと積み立て準備金をどれだけにしなければならないかということはつかみがたいわけでございますけれども、現在の財源率は五年に一ぺんずつはリフレクションいたしまして改定していくという、そういう手はずになっておりますので、将来の心配は、現在はそれほどないというふに考えております。
  17. 塩川正十郎

    塩川委員 非常に苦しそうな答弁でありますけれども、実際の実情を、何かの機会がございましたら一度聞かしていただきたい。結局、スライドしていくことは当然なんだ。それに伴って肝心の根っこが枯れてしまうようなことになったらいかんので、それはそれなりの、いずれかの責任において措置していかなければならぬ。われわれはほんとうにそれを心配しておる上で質問しておるのですから、機会があったらひとつ紹介してほしいと思います。  時間がございませんので次に行きますが、地方議会議員共済年金についてでありますが、この前にこういう措置があります。「その健全化をはかるための措置検討すること。」という附帯決議がついたのです。そこで、その健全化の中で、給付制限をすることができるとか、あるいは差し押えの禁止というようなことが出てきた。ついては、国会議員年金並み制限条件を合わそうということが討論の中にあったと思うのですが、そういう措置が具体的にどのように講ぜられてきたのか。これをひとつお聞かせ願いたい。
  18. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 健全化実施改正は、昨年の臨時国会、いわゆる沖繩国会で御議決をいただきまして、実施済みでございます。その内容は、従来の掛け金百分の七を百分の九に上げるということ、それから、年金計算を離職前三年の平均額にするということ、それに加えて、従来は全く自前でやっておったものを公費負担する道を開くということ、この三つがそのおもな内容でございます。たしか、その法案を御審議いただきますときに、この地方行政委員会理事会で、公費負担が入る以上、今度は、たとえば禁錮以上の刑に処せられた者とか、あるいは除名を受けたという場合には給付制限があってしかるべきではないかという議論が出まして、それは次の通常国会共済法改正するときに考慮いたしますということを、口頭でございましたけれども、お約束したという経緯がございまして、今回この改正案を出してまいったわけでございますが、この改正を出しますについて、国会議員並みにするか、あるいは地方公務員並みにするかという議論がいろいろあったわけでございます。これは、実は、各関係の先生方とも御相談申し上げたわけでございますが、地方共済法の中にもございますし、地方公務員並みの給付制限にとどめようではないかということで、ここにございますように禁錮以上の刑に処せられた場合、その二割を給付減額をする、それから除名処分を受けた場合には、その除名処分を受けた者の任期の分の二割を支給停止しよう——大体地方公務員並みの給付制限でございまして、国会議員はある意味でもっとシビアに全額停止ということもあるようでございますけれども、共済という性質を考え、御本人の掛け金と、それとプラス公費負担ということから考えれば、地方公務員並みが一番妥当ではあるまいかということでこういう御案をおはかりいたしたわけでございます。また、それと同時に、給付制限をする以上、一方保護措置が必要であるということで、地方公務員退職年金と同様に、国税滞納処分による差し押えを受ける場合を除き、譲り渡し、担保または差し押えることができない、それから、金融公庫から融資を受ける場合に担保する以外には担保にできないという債権の保護措置もあわせて講じようという次第でございます。
  19. 塩川正十郎

    塩川委員 それから次に、今度公有地の拡大の推進に関する法律というのがいま参議院審議されておりまして、これはいずれ成立するであろうと思う。それに伴って土地開発公社というのが設立される。それから地方道路公社というのが設立される。そういたしますと、この前に住宅供給公社が共済組合に加入する場合のいきさつ等もこれあり、こういう開発公社なりあるいは地方道路公社というものも同じような扱いをしていかなければやはり行政上は不均衡であろうと思うのですが、それについて、いまこういう問題は持ち出せないと思うのでありますが、私は一つだけお聞きしておきたいと思いますのは、住宅供給公社が加入いたしますときに、自治省として、こういう公社としての性格のものとしてどのようにこれを交渉してきたのか、厚生省との間でどういうふうに話をしたのか、これをひとつ念のために聞いておきたい。
  20. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 十分御承知の問題でございましょうが、厚生省と、それからこの共済の間に横たわるたいへんむずかしい問題でございまして、住宅供給公社の場合、これを共済年金に入れることについてたいへん難色を示した厚生省にやっとしてもらったということで、その場合の折衝の態度といたしましては、住宅供給公社の仕事というのは、本来地方団体のやるべきような仕事を代行するような立場にある、いわば地方団体の分身と同じじゃないか、そういう仕事の性質から言って、ここに勤務する人たちをひとつこちらのほうに入れてもらいたいという話をしまして、一方、厚生省のほうは、こういうものが抜けていくことによって厚生年金の基礎が弱くなりますので、できるだけそれは厚生年金にとどまってもらいたいという強い要望があったのを、無理にと申しますか、何とか説得をいたしまして、納得していただいて、こちらに持ってまいったわけでございます。  実は、道路公社についてもその当時同時にありまして、道路公社も実は解決済みでございますので、今度の公有地拡大についてできます新しいあの公社、それが今度は一つの宿題として残ったかっこうになります。性質から言えば、まさにいま道路公社、住宅公社とほとんど同じようなものでございますけれども、さりとて、住宅公社、道路公社をやる場合に、もうこれっきりだぞと言わんばかりの折衝もございまして、なお、今後の問題といたしまして、土地開発公社の場合さらにまた厚生省と折衝を続けていかなければならないと思っておりますが、いま申しましたような性質であるということで厚生省にお願いをしたということがお答えになると思います。
  21. 塩川正十郎

    塩川委員 当然これは問題になると思うので、したがって、住宅供給公社が共済に加盟いたしましたときの理論的な裏づけといいますか、そういうものをひとつ整理をしておいていただきたい、このように思います。  それから最後に、資料としてほしいのですが、地方公務員の福利厚生費というものは実際どの程度支出されておるのかということ、それの明細を比較的こまかくとってほしいのです。といいますのは、研修費あるいは互助会の掛け金の負担額、そういうもの等を入れまして、市町村と府県と分けて、厚生費はどの程度支給しておるかということを資料としてほしい。そこで、その資料を比較するにつきまして、よく総理府等で統計で出ておるのでありますが、一般民間の企業の福利厚生費の統計、これが経営者協会のほうから出ておると思いますが、それとあわせて出してほしいと思います。先ほど言いましたように、研修費等も実は厚生費的なものが多分に含まれている場合があります。したがって、研修費の中で純粋な研修費というものは除いてもらって当然でありますが、そういう科目として、研修費で処理されておるもの等も含んだものでひとつ出してほしい、このように思います。それは期限はいつでもけっこうであります。
  22. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 できるだけ御趣旨に近い形で調べまして、お出しいたしたいと思います。
  23. 塩川正十郎

    塩川委員 どうもありがとうございました。終わります。
  24. 大野市郎

  25. 山本弥之助

    山本(弥)委員 ただいま塩川委員からも年金スライド制質問がありましたが、これは毎年附帯決議で促進を、要望しているわけなんですが、特に全般的な審議に支障があるということで四つの委員会を設けて、ただいま公務員部長さんからも、特に公務員関係につきましては、そのグループで推進をはかっておるということであるわけでありますが、審議の状況はいまお聞きしたわけでありますけれども、どうもはっきりしないわけたんですが、何か一定のめどをお立てになって促進をはかっているのか、あるいは来年あたりから、これはもうせっかく委員会をつくっておやりになっておるわけですから、めどをつけて改定をされるのかどうかということにつきまして、お答え願いたいと思います。  本年度は一応新方式によりまして明確になつやというか、あるいは手続上は簡素化になったということでありますけれども、必ずしも根本的なスライド制の前提として実施をするということでもないような印象を受けるわけなんですが、その辺の見通しにつきましてお聞かせ願いたいと思います。
  26. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 先ほども御答弁をいたしまして、やや繰り返し的になりまして、十分御満足か御答弁を申し上げられないかと存じますけれども、問題は、年金制全体を通じてのスライド議論する場合の、厚生年金国民年金が、スライド制よりも年金内容そのものの充実ということが実はいま先行するという、言ってみれば年金としてやや未熟な点もあって、そちらが先行するという問題がございまして、したがって、全部を通じての年金スライド制ということがはっきりした法定スライド制という形で生まれてこないという点に実はむずかしさがあるわけでございます。それで、公的年金公務員グループ部分につきましては、先ほども御答弁申し上げましたが、一応、年々の物価とそれから国民生活水準向上というものを要素にして、物価は一〇〇%見て、国民生活水準向上部分もほとんど取り入れまして改定をするというルールが、恩給についてこの両三年確立してまいりましたし、今回共済について計算方法改定することによりまして、共済を受けられる個々の方々についても、そのままその形のルールが当てはまるという形になりましたので、実質的に、そのルールに従って毎年改定が行なわれる限りはスライド制の目的を完全に達しておる、言ってみれば実質的なスライド制と同じものを持っているということが言えるのではないかということも申し上げたわけでございます。  いま御質問のような各年金全部を通じてのスライド制ということになりますと、実は、問題の所存が、厚生年金国民年金の現在の状況にございまして、なかなか確固たる先の見通しをつかまえるわけにまいりませんが、公務員年金に関する限りは、いま申し上げたようなところまで行っておるというふうにわれわれは考えておる次第でございます。
  27. 山本弥之助

    山本(弥)委員 年金制度は、ただいま公務員部長さんの御答弁がありましたように、一応、公務員グループにつきましては恩給を含めての一つ改定方式でここ何年か来ているわけですね。年金制度全体のスライド制ということになりますと、国民年金だとか厚生年金だとかの問題が関連するということの事情も私わかるわけですけれども、しかし、国民年金あるいは厚生年金を含めまして、年・金制度について、いろいろな老後の対策だとか、その他の問題を大きく転換しなければならぬ。医療保障の問題と同時にこの年金問題が大きく浮かび上がってきているわけなんですね。そういたしますと、公務員グループだけの検討を今後続けていくことも必要であると同時に、全体の年金制度についての検討を早急に立てて、早くこの問題を解決する必要があるんじゃないかという感じがするわけです。いままでの惰性で公務員グループはこれでいいんだというようなことではなくて、制度の転換といいますか、いまの経済情勢その他から考え、あるいは人口の年齢構成の問題から言いましても、早く英断的な結論を出すべきではないか。その意味におきましては、比較的一応軌道に乗ってまいります公務員グループのほうの結論を出し、均衡もあろうかと思いますけれども、厚生年金国民年金スライド制の確立というような問題も大きく含めて促進をしていく必要があるのじゃないか。そうすることによりまして、公務員制度が先行しているとか、あるいは公務員年金制度のほうが有利になっておるとかいうようなことを含めて、全般の問題を推進するというような役割りも果たしてもらいたいと私は考えるのです。そういたしませんと、審議会があり、委員会があっても、いつまでも毎年同じような議論を各委員会でも繰り返してまいっておるということでありますと、英断的に転換をはかって、年金制度全般を早く解決づける。これは社会労働委員会等でも相当論議のある問題であるわけですけれども、ですから問題は、さっき塩川委員の話にもありましたが、公務員と同じような体制にある公社の関係、公法人の関係でも、厚生省と大蔵省あるいは自治省との間で、これは入れるの入れないのというような問題でしょっちゅう論議しておるような段階ではないのではないか。大きくそれらの問題を含めて解決する時期じゃないか。こう私は思うのでありますが、政務次官、どうお考えになりますか。
  28. 小山省二

    ○小山政府委員 御指摘の点は、確かにごもっともに私どもも考えておるわけでございます。しかし、各省問いろいろ調整事項等がございまして、これがそう短期間では調整のとりにくい問題になっておる。特に、年金制度の質的な面をできるだけ早く改善をする。同時に、それとあわせて、スライド制というものをいませっかく連絡会議においてそれぞれ専門の部会を設けまして検討をいたしておりまして、実質的にはかなり審議も進みまして、言うなければ、最終的な調整を待つような程度まで審議は進んでおりますから、この問題については、できるだけ各省間の調整をはかりまして、御趣旨に沿うように最善の努力をいたしたいというふうに考えております。
  29. 山本弥之助

    山本(弥)委員 もう最終段階に近いほど調整が進み、結論が出そうだという、非常に期待すべき御答弁があったのでございますが、その目標といいますか、どういうところに結論が出そうでございますか。
  30. 小山省二

    ○小山政府委員 いまどういう程度と言って、ここで直ちにお答えを申し上げる段階に至っておりませんが、問題は、国民年金との間の調整等が最大の隘路ということになっておるわけでございますが、かねての委員会の御決議の趣旨もございますので、できるだけ御期待に沿うような方向で、いま最善の努力をわれわれはいたしております。今日直ちにこういう形になっておるという結論を申し上げる段階でないことは御理解をいただきたいと思います。
  31. 山本弥之助

    山本(弥)委員 今日直ちに結論を言えるような段階じゃないにしても、もう少し前進したような御答弁はいただけないものでしょうか。
  32. 小山省二

    ○小山政府委員 御承知のとおり、所管が私のほうというわけでもございませんので、中身について、いま具体的にお話を申し上げるという段階でないように承知いたしております。
  33. 山本弥之助

    山本(弥)委員 私ども、政務次官から、非常に期待のできるような具体的な内君の一端をほのめかしていただけるものと期待したわけなんでございますけれども、なかなかむずかしい問題でもあろうかと思いますので、いずれ他の委員にこの件はおまかせすることにいたしますが、それにいたしましても、最近、物価上昇率と、それから給与のベースアップとの差額の六割という線で来ているわけなんですね。これが一つ改定方式みたいな型になってきているわけなんですけれども、これをもう少し年々前進をさせるような御意向はないのでございますか。
  34. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 年金価値を維持するためにスライドをするときにどういう指標をとるかというのは、いろいろな立場からいろいろな議論ができると思います。それで、物価分の一〇〇%、それから公務員改定残り部分の六割というのは、一応国民生活水準向上分としてこれは積み上げる。残りの四割というのは、現職の公務員がその地位も上がるとか、あるいはその事務の合理化によって生産性向上するとか、そういうものに見合う分だという議論でございますれば、その部分は、現職ではなくて、すでに退職された方については考えなくていいのではないかという議論もここに一つある。ただし、それでありますと、年々今度は年金上昇カーブと公務員のベースのカーブが開くから、今度はあとでやめたほうが得だということになって、人員の合理化というか、そういう点に困るじゃないかという現実論もございまして、いろいろな議論があると思いますけれども、現在私どもの理解しているところでは、物価上昇一〇〇%プラス国民生活水準分というところは、一つの合理的、妥当な線ではないかと考えておりまして、恩給についても両三年この方式でやってまいりまして、この方式がいまやや確立した感じになっておるわけでございます。はたしてその六割がいいか、七割までいかなければいかぬかという部分についての検討の余地はなおあると存じますけれども、いまの考え方一つ考え方であり、それによって実質的な年金価値は維持できるというふうな考え方でわれわれは対処しておるつもりでございます。
  35. 山本弥之助

    山本(弥)委員 ちょうど六割が生活改善の部分に当たるのだ、だから、六割を加算をすることによって、年金改定としては妥当だという前提に立っておると思うのでありますが、そして、そのために、現実には、公務員のベースと退職年金との格差というのが開いておりますことは事実なんですね。ただ、六割が生活向上分だという考え方、これは、退職者はつつましやかな生活をすればいいじゃないかというようなことも私ども考えられぬこともありませんしするわけですけれども、生活向上分とその他の部分とに対しては、ここ何年かこの方式である程度までやってきているわけですけれども、これは数字的に根拠のあるものでありましょうか。あるいは、再検討する余地というものは全然ないものなんですか。あるいは、生活向上分のほうをむしろある程度まで逐次加味していくべきではないか。退職者の感情から言いますと、物価上昇分は完全に見ておるといっても、実際はもっと生活は苦しくなっているのじゃないか。と同時に、生活それ自体も、退職者といえども一般の個人生活向上ということはやはり考えなければならぬ。そういう観点から言いますと、六割をかけるというのは、さらに検討して、逐次これを生活向上分の率を高めていくという操作が必要ではないか。かように考えますが、間違っておりましょうか。どうでしょうか。
  36. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 現在のところでは物価上昇の一〇〇%プラス国民の平均的な生活向上分を見るという考え方、それは私は正しいのではないかと思っておりますが、それは公務員給与改定率の何%が物価であって、それから残りの六割が向上分だという、そこの数値については、いろいろなものの見方もあるかもしれませんし、御議論の存在する点もあるかもしれないと存じます。それからまた、年々開いていくという意味では、一〇〇%見ない限りは開いていくこと、これも避けがたいわけでありますけれども、その点数字と現実とがはたしてマッチしているかどうかというところにはいろいろな見方もあるかと思いますし、それについての今後の検討というのは、当然、毎年度の予算査定ないしはそのときの事務当局の御検討がなされると考えております。ただ、根本的な、物価上昇は一〇〇%見る、プラス国民生活の平均的な向上分を見るという考え方自体はこれでいいのではないかと私も考えている次第でございます。
  37. 山本弥之助

    山本(弥)委員 そういたしますと、今後全般的なスライド制を採用するという場合には、この方式とどういう関連を持ってまいりますか。
  38. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 それは、実は、そのときになってみないとわからぬことでございますが、スライド制というのは、年金価値を維持するために、物価の変動、国民生活の変化その他によって、完全な意味スライドは自動的に改定されるということでございましょうし、半自動と申しますか、そのたびにそれらの数字を正確に計算して改定の手続をとるということであれば半自動スライドと言えるかと思います。そのときにどういう指標をとるかということについては、やはりそのときの議論ということになると思います。そのときにいまと同じように物価上昇プラス国民生活の平均的な向上分を積み上げるというのも、それは一つの有力な考え方になるかとも思いますけれども、この方式が完全な意味スライドについての理想的な体系であるといま言うことはちょっと無理ではないかというふうに考えている次第でございます。それは、年金体系全体の整備と申しますか、今後の国民生活の中における年金というものの占める地位、そういうものについての反省もあわせて加えられて、たとえば公務員給与ベース改定とどういう関係に立つかとか、その他はそのときの御議論になると思います。いまこの方式が唯一無二であるとここでは言いかねると思います。しかし、またこの方式一つの有力な考え方であるとは、かりにそのときになってもそういう考え方は出ると私は思います。
  39. 山本弥之助

    山本(弥)委員 年金については、われわれ個人的にはどうもあまり関心を持たぬできたものですから、詳しく勉強もしておらぬわけですけれども、一応公務員関係につきましては、改定方式というのはあるわけなんですね。そうして、あわせてスライド制——一定法改正を要しないように自動的に改定になるというのがスライド制だと了解すれば、これは形式的な問題なんですね。いま公務員部長さんがお話しになりましたように、スライド制を採用するという場合には、新しい指標によって自動的に改定が行なわれるような体系をおそらく検討しておられると思うのですが、そのときの公務員のいわゆる完全スライド制、これは私どもも附帯決議をつけ、あるいは関係団体からも要望があるわけですが、その際にいろいろな要望の中に含まれている——財源問題も当然含まれると思いますけれども、いままでの恩給に準じての改定制度、これが前進しないということになれば、いわゆる自動的に改定するスライド制になりましても、あまり意味のないものになるのではないかと私は思うのです。地方公務員に対するスライド制という考え方、これは独自のものでなくて、先ほどからの御答弁にありましたように、他の年金制度との均衡あるいは総合的な方式を打ち出さなければいかぬと思うのでありますけれども、しかし、一応方式にも手をつけないで当分行くというようなお考えであれば、自治省は、地方公務員に対する検討をしておられることがどの程度に前進されるものなのかどうなのか。いわゆるスライド制というものに完全に移行するという私どもの毎年の附帯決議を通じての要望、そのことは、おそらく、現行のスライド制よりももっと配慮をしたものにしてほしいということでなかろうかと思うのでありますが、そういたしますと、この機会に、一体この改定方式よりどう前進するのか、どういうメリットがあるのか、その辺のお考えを多少ともお聞かせ願いたいと思うのです。
  40. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 先ほども繰り越し御答弁申し上げたのですが、年金体系全体を考える場合に、何と言っても給付のレベルの内容において、厚生年金ないしは国民年金というものが、スライドを考えるよりも前に、まずその給付内容を改善する。言ってみれば、公務員グループ年金に近づけるということがどうも先行するような感じを現在持っております。給付内容が、あちらのほうはまだ何といっても公務員グループに及ばない。その際に、公務員グループだけについてどんどん先を考え、自動スライドにしてしまう。さらには、その内容も、物価上昇と、あと公務員ベースの残り部分の六割なんと言わずにまるまるというふうにあまり——われわれとしては、公務員グループについてはできるだけ改善をはかることが職責でもあり、希望は持っておりましても、現在年金全体のバランスを考える場合には、そこをあまり強く私のほうで言い出してもまだなかなか実現はむずかしいのではないか。同時に、先ほど先生の御指摘のありましたように、年金全体の体系も完成していかなければいけないという意味では、厚年や国民年金の改善というものが先決ではないかというような感じを持っております。しかし、一方、公務員年金の改善ということについても常に考えてまいります関係上、今回は給与改定計算方法簡素化がそのまま年金改定の時期の繰り上げということにもつながるという形でここまでやってまいったのであります。これから先のことは、年金全体の体系の中においてバランスをとりつつ、公務員年金の改善については考えてまいりたいと思うわけでございます。あまり公務員だけの利益というものを強く主張する立場ばかりとるのもいかがかと考えておる次第でございます。
  41. 山本弥之助

    山本(弥)委員 事情はよくわかりますので、これ以上追及することもどうかと思いますが、ただ、結論的にちょっとお聞きしたいのですけれども、六割について検討されるのかどうか。あるいは、他の年金と合わせて、いわゆる完全スライド制という問題について一体いつごろ結論をお出しになるのか。やはり結論を出すめどがついていないのか。その辺のことをお聞かせ願いたいと思います。
  42. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 物価上昇プラス残り公務員部分の六割というのは、恩給一つルールができつつある制度でございますので、その恩給公務員年金、それらを全部合わせての共通の問題だと思います。数字のことでございますので、数字実情とがどこまで合っているとか合っていないとかいう議論はもちろんあるといたしましても、脚力公務員年金のみについてそこを議論することは、ちょっと近い将来やりにくいのではないかと思います。  それから、後段の、一体いつごろ全体の年金についてのスライド制結論を出すかということですが、これは毎国会質問を受け、しかられるわけでございますけれども、繰り返し申し上げますように、年金体系全体をもっと整備し、国民年金厚生年金のレベルも上げるという時期との関連もございますので、ちょっといま、来年とか再来年ということは申し上げかねるというのが実情でございます。
  43. 山本弥之助

    山本(弥)委員 今回の改正によりまして、退職地方公務員の通算の問題につきまして、恩給法の改正その他に準じまして、たとえば日本赤十字社の旧従業員の期間の通算だとか、あるいは旧日本医療団の職員期間の通算だとかいうような改善がいろいろ行なわれたわけでありますが、これもここ二、三年要望を申し上げております年金制度施行前における雇用人の問題でありますが、これも今回改正を見たようでありますけれども、ただ「政令で定める一定の要件」というふうな制限がついておると思うのでありますが、これはどういうふうな制限になりましょうか。
  44. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 現在政令で定めることを予定しております内容は、まず更新組合員であること、つまり共済法の施行のときに組合員であった者。それから過去断続期間が起きた退職について、全く本人の自由意思といいますか、自分だけの都合で退職した者は困る。そうでない、何らかの外的の事情があって退職を余儀なくされた者、たとえば町村合併によって人員整理を受けたとか、再建団体になったために定数をしぼられたとか、その他の事由で退職を余儀なくされた者等、それからさらに、原則としてでございますけれども、五年以内に、再就職をした者、それらの条件を考えております。  それからもう一つ昭和二十四年十月一日という、これは国家公務員共済の施行の日でございますけれども、この日以後の退職にかかる者について、これを拾うという考え方に現在は立っておるわけであります。
  45. 山本弥之助

    山本(弥)委員 そういたしますと、どのくらいそれで救済され、その以前の者がどのくらい残るかという数字はおわかりになっておりますか。
  46. 佐野政一

    ○佐野説明員 現在抽出して調査いたしました結果によりますと、組合員で七千三百人余り、それから年金受給者で三千百人余り、合計して一万五百人程度になっております。  それで、このうち、二十四年の十月一日以後に退職した人というふうに限定しますと、四千二百人程度が今回の措置の対象になるというふうに考えております。
  47. 山本弥之助

    山本(弥)委員 そういたしますと、三分の一ぐらいが救済されて、三分の二がまだ残るというわけですね。これらの問題は、毎年逐次通算期間については前進をして改善を加えられてきておるわけでありますが、これは、来年度以降において、その残っておる人も救済するというようなことをお考えになっておりますか。
  48. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 今回の措置によりまして、地方公務員の場合、国家公務員との間に差がなくなる。国家公務員に追いつくという意味でここに時限が一つ切られておるわけでございます。さらに、もしこれ以前に退職された方々を救済するかどうかは、今度は地方公務員だけの問題ではなくなりまして、国家公務員全部を通じての問題になりますので、関係省とさらによく打ち合わせを進めてまいりたいと思いますが、現在の段階では、ここまでについて関係機関の話し合いがついて今回の改正をお願いした次第でございます。  さらに、今後の問題といたしましては、たとえば他の制度に及ぼす影響とか、必要な財源とか、その他煮詰めてまいらないと結論が出ない問題でございまして、なるべく多くの人を救いたいという気持ちは十分持っておりますけれども、同時に、財政その他を考え、他の制度均衡を考えて、さらに今後の問題として考えたいと考えておる次第でございます。
  49. 山本弥之助

    山本(弥)委員 二十四年以前と以後に分けるということは、私は妥当でないと思うのであります。それからなお、町村合併その他本人の都合によらない事由によって、ということも、本人の個人的な都合もありますが、それぞれそのときの情勢によってやはり退職せざるを得ないという、町村合併等の事例にあまり変わらない——実際、詳細に検討を加えますとそういう事情があると思いますので、この問題は、ここまで前進したわけでございますので、今後将来にわたりまして、残った方々も通算することによって、今回処理された方と同じような救済の方法がされるように一そうの努力をお願いしたいと思っております。
  50. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 いまの二十四年十月一日以前の問題については、さらにまた今後関係省とよく打ち合わせをしてまいりたいと思います。  それから、退職の事由につきましては、これは運用ででも拾える幅も相当あると思いますので、運用上十分そういう点を配慮しながら指導してまいりたいと考えております。
  51. 山本弥之助

    山本(弥)委員 こういった問題は、ぜひ今後とも引き続き御努力を願いたいと思っております。  それから、終戦以来、行政の全般にわたりましていろいろ制度改正が先行したわけなんですが、これに伴いましての財源措置というのはあと追いの財政で、そのことが地方公共団体の財政の危機を招いた時代もあったわけなんです。その一つとして、学校給食などの給食員なども、給食制度が先行いたしましてどんどんやらなければならぬ、あるいは、学校図書館なども整備をしていかなければならぬということによって、当然公共団体の負担において雇用すべき職員が安易にPTAに依存をする。六・三制のいろいろな整備によりましてPTAは非常な負担をしたわけなんでありますが、その中で、この給食要員だとかあるいは図書館の要員といったものはPTAの負担で当面糊塗してまいった。その後財政の好転に伴いまして、常用職員あるいは市の職員とか町村職員として整備をされてきたわけなんですが、これらも、外地の関係あるいは日本旧医療団との関係、赤十字の関係というようないろいろなことから考えますと、地方公共団体の退職者としては当然救済の対象にしなければならないケースではないかと考えますが、これらの問題につきましてはどうお考えになっておりますか。
  52. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 御議論の存するところと思います。ただ、学校給食に従事していた方々の場合、特にいまの御指摘のような事情で、地方団体が財政力が十分なくて、PTAが肩がわりをしてPTAが雇っている職員、仕事としてはまさに地方団体がやるべき学校給食に従事しているんだから地方公務員と同じように扱えという御議論も十分あることと存じますが、多くの場合、いまの御指摘のようなケースでは、やや非常勤的な勤務時間、八時間拘束でなくて、一日三時間か四時間というケースが比較的多いというふうに、調べた結果では出ております。そういたしますと、地方公共団体の非常勤職員との均衡その他もございますので——しかも、それが、終戦直後の混乱時代であるので、いまだにその勤務の実態がはっきりつかめないという調査の困難性その他もございます。そういうことも十分勘案しながら今後考えてまいりたいと思いますけれども、非常勤のような勤務形態であれば、そのほかの医療団とか、あるいはさらには満鉄までも一応通算の措置等をやったのに比べて、という御議論がございますが、勤務形態が非常勤などのような場合には、たとえば、土曜日は給食が要らないから土曜日は出てこなくてもよろしいとか、ほかの日も食前食後の三時間か四時間勤務であるというような場合には、ちょっと拾うということはむずかしいケースになるのではないかと思いますが、そういう事情その他を勘案して、十分調査を進めてまいりたいと思います。
  53. 山本弥之助

    山本(弥)委員 確かに、混乱の時代におきましては、PTAのおかあさん方が交代で出てやるとかいうような、いわば常勤でないような体制が出てまいったと思うのです。ある程度給食職員等が常用としてはっきりする過渡的な時代に、何人かを常用としてPTAで負担をしてまいったというケースは、ある程度までわかるのではないか。したがって、早くこれらも調査を推進せられまして——当然、地方公務員として、相当の年輩の人も雇用になっているのじゃないだろうか。その後の常用化によりまして、年金期間の問題等もぼつぼつ問題になってきておると思いますので、早急に解決の方向に進んでいただきたいと考えます。  それから、昨年も御質問申し上げたのでありますが、市町村共済組合の短期給付掛け金率の上限の制限措置につきまして昨年御質問をし、将来これについては十分考慮するような御答弁があったと思うのでありますが、その後の上限の問題はどういう状況になっておられるのか。あるいは、これに対してどういう措置を講ずることになっておるのか。お答え願いたいと思います。
  54. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 掛け金率全体の傾向といたしましては、全体が平均的には〇・何%という程度でございますけれども、低下の傾向をたどっておりますので、昨年よりも上限問題がさらにむずかしい状態になったとは実は考えておりませんが、しかし、それも平均の話でございまして、個々の市町村共済で言えば、掛け金率が現在でも相当商いというのがざっと数えても、十県ぐらいはあることは事実でございます。しかし、上限を制限するというような形には、制度のたてまえとしてやはり非常にむずかしい問題がございまして、あくまでも折半負担であるという場合に、特定のところだけに上限を制限して、それ以上公費負担を増すというのも非常にむずかしい問題でございますし、制度のたてまえをくずさずに何らかの措置をやっていくということであれば、今回は、政府管掌保険について国庫補助という制度も新たに導入されるような機会もございますし、何らかの財政援助というものを地方団体側で考える。それに対して自治省のほうも財源的にできるだけの配慮をするというような、いわば運用でものを解決していく方向にものを考えたいと思っておりますけれども、差しあたりは、政府管掌保険の制度改正は現在国会にかかっておりますので、それの成り行きを見、その後医療費が増加するか、低減するか、その傾向を見た上で今後具体的には対策を考えたいと存じております。
  55. 山本弥之助

    山本(弥)委員 どうもうかつな質問をするようでありますが、昨年あたりの、相当高い、これは青森県だとか岩手県などはその県の一つだと思うのでありますが、それらの県に対して、交付税、あるいは特交、そういうもので財源措置を考慮したという事例は全然ないわけですか。
  56. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 現在のところはまだやっておらないわけです。
  57. 山本弥之助

    山本(弥)委員 そういたしますと、いまの御答弁は岩手、青森——数字を見ますと、昨年より多少よくなっているような数字になっておるわけであります。それにしても、相当負担は大きい。これに対して、財源的に今回の政府管掌健保等の国の補助率も相当大幅に増額になる。来年あたりは相当思い切って国庫補助が増額になるわけですが、これらと関連いたしまして、当然地方公共団体に対する財源措置を考えるということでございましょうか。
  58. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 基本的な姿勢としては、先ほど申し上げましたように、この法律のたてまえ上の折半負担というのをくずすわけにはまいらないけれども、政府管掌保険でも補助の制度も取り入れられたこともあり、何らかの財源心配をすべきところにはしなければならぬという、基本的な姿勢は昨年と変わっておらないつもりでございます。ただ、今回の健康保険制度改正が、はたして組合財政にどういう影響を及ぼすかは、施行された後の推移を見る必要がある。家族の給付内容を変えるという点による、医療費の増高と、それから本人の一部負担という形で、共済財政にかかってくる部分で一部分軽減される部分がありまして、いま推定されるところではわずかながら下がるのではないかという推定もしておりますが、現実に運用の実態を見ないと、これがちょっとつかみにくい点もございますので、運用の実態を見た上で、先ほど申しました基本的な姿勢に立ち返りまして、必要なところには何らかの実態的な運用の措置を考えたい、現在はこういうつもりでございます。
  59. 山本弥之助

    山本(弥)委員 この問題と関連いたしまして、今回沖繩が返ってきたわけでありますが、当然本土の共済制度というものが適用になるわけです。向こうは給付内容それ自体も変わっておるわけですし、その上に医療機関も整備をしていないということで、受診率その他給付内容等も非常に低いわけなんです。そのために掛け金等も非常に低いのではないか。それが本土並みになることによりまして、同一の取り扱いをするということになりますと、急激に負担がふえてまいるのではないかと私は思うのであります。当然、これらにつきましては、暫定措置を講ずることによって配慮していかなければならぬのじゃないかと思うのです。現物給付になると急激に、医療費も増額になるのかどうか、その点はしばらく推移を見なければわからないにいたしましても、医療機関の分布状態その他から言いますと、やはりある程度まで本土並みにはいかぬのじゃないか、そういたしますと、暫定措置を講ずるということは当然考えていかなければならぬのじゃないか、かように考えるわけであります。当然講ぜられる、これは簡単に政令でもお出しになればいいのじゃないかと思うのですが、その辺のことはどうお考えになっておりますか。
  60. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 沖繩については、あるいは御指摘のような医療機関の未整備の点があり、従来の向こうの保険制度との関係で、ある程度経過的な措置が必要であるという御議論もあちこちから私も承っておりますし、事実そういう懸念もあるいはあるのかという気がいたしております。反面、従来のものが現金給付であり、しかも沖繩の医療費というのが本土に比べて非常に高いというようなケースがあったのが、今回現物給付になった場合は、あるいは従来よりも相当医療給付がふえるのではないかという予想もあるわけでございますので、実際は、多少現実を見ないと、その点確たるデータがとれないという心配も確かにございます。そこで、特に沖繩においても、たとえば那覇とか、都会地は医療機関の整備も内地に比べて決して劣ってもいないし、けっこういままでも受診率が高かった。沖繩でも僻地のほうに参ります場合、御指摘のような点が特に顕著に目立ったということもございます。国家公務員の場合は那覇勤務が非常に多いということから、国家公務員と地方公務員との差というものもそこに考えなければならない問題もあるいはあるかと思います。いずれにせよ、この地方共済の短期給付の問題は、国家公務員の短期給付あるいはほかの厚生省の所管の健康保険の部分、それとも均衡をとって処置をしないとなりませんので、その点について、関係省の協議の上で、結論が出ますればその措置をとりたいと思っておりますけれども、現在のところは、まだ、それについて私のほうで十分な結論を得ておりません。返ってきましてからの医療給付の状況というのをつかんでから結論を出すというのがあるいは筋かとも考えております。
  61. 山本弥之助

    山本(弥)委員 現実には掛け金はもうかけなければならぬ状態になるわけですね。五月分からかけるわけですか。——そうすると、結論を出すということになりますと、どうなるのですか。あとで掛け金結論が出たときに、五月にさかのぼって操作をすることになるわけですか。
  62. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 それは、ある程度の暫定措置を考える場合には、そのときからということでもかまわないのかとも思いますし、それからまた、一方、どうしてもそういう措置がとれない場合は、福祉施設財源か何かで特に沖繩に対して還元を考えるという方法もあると思いますので、それらのデータを集めて十分に検討を進めてまいりたいと思っておる次第であります。
  63. 山本弥之助

    山本(弥)委員 そうしますと、この問題は十分検討を加えて、そして特例措置を講ずるという方針のもとにいろいろな推移を見るというふうに了承してよろしゅうございますか。
  64. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 特別措置の必要があるということになれば、それは当然考えてあげなければいけない問題であると考えております。
  65. 大野市郎

    大野委員長 林百郎君。
  66. 林百郎

    ○林(百)委員 スライド制についてですが、これは各委員がみんな質問しているわけですけれども、調査室の資料によりましても、市町村職員組合共済組合連合会総会の決議でそのことが要求されているわけであります。「最近における物価騰貴がきわめて著しい経済情勢のもとで、退職年次によって年金額の較差が著しく、不均衡となってきていることは、他に収入のない年金生活者にとっては年金実質的な購買力の低下となっており、その生活不安はまことに憂慮されるものがある。  したがって、年金スライド制の運用については、年金生活者の生活安定のみならず公務員の将来に対する不安の解消を図り安んじて公務の能率的運営に資するためにも、退職当時の年金実質的価値が将来に向って確保されるよう、公務員給与改定に応じて年金額改定するいわゆる完全自動スライド制とし、その所要財源については、施行目前の期間部分は全額国の負担とし、施行日後の期間部分は国及び地方公共団体の負担分を増額し、この場合少くとも物価上昇にみあう部分は国の責任において負担する措置が、すみやかに実施されるようかさねて要望するものである。」という決議が御承知のとおりございます。それから、社会保障制度審議会の自治大臣あてのことしの二月九日の答申を見ますと、「公的年金スライドについては、本審議会がその必要性をつとに指摘している。恩給は、その内容に問題があるにしても、スライド制が事実上確立している。これを基礎に検討を加えれば、共済年金としてのスライド制の早急な策定はむずかしくないはずである。」と指摘しているわけです。それから、自治省で作成した「昭和四一五年度地方公務員共済組合等野業年報」の「年金種類別受給者状況」ですが、これはこちらからお聞きしてもいいのですが、私のほうで調査してありますから、時間の関係上私のほうで申しますが、退職年金受給者数が二十一万三千九百十四人、年金額が八百八十億四千二百八十四万七千円で、一人当たりの平均年金額は四十二万一千五百八十一円となっています。この四十一万一千五百八十一円は、月額にすると約三万四千三百円でありますが、これを人事院調査の標準生計費と照らし合わしてみますと、人事院調査の標準生計費は、昭和四十六年度、夫婦の場合で年間五十四万六千六百円、夫婦と子供一人が七十二万二百四十円となっているわけなんですけれども、これは言うまでもなく地方公務員法の四十三条の三項にあるところの、共済制度は「本人及びその退職又は死亡の当時その者が直接扶養する者のその後における適当な生活の維持を図ることを目的とするものでなければならない。」という規定に遠く及ばないと思うわけです。今日の物価高は、公共料金値上げと国の政策によるものであって、国が公務員年金スライド制について責任を持つのは当然であります。したがって、スライド制について、国の責任で、地方公務員についても早急に制度化して、その費用は国が負担をするという根本的な制度を確立すべきであるということは社会保障制度審議会の自治大臣あての答申にもありますし、もちろん、市町村職員組合共済組合連合会の総会の決議にもあるわけですが、いつも、恩給がこうなるから地方公務員もこうなるということでは、やはり、地方公務員の独自のスライド制というものがいつもあとへ残されているということになると思うのですが、これをもう少し根本的に考え画すお考えはないでしょうかね。これは各委員が聞いたことですが、どうも、いつも、恩給がこうだからこれだというようなことで、それじゃ恩給物価上昇率に足すことの給与上昇率引く物価上昇率かける〇・六、すなわち一〇・一%ですね、これも、恩給がそうなっておりますからこの〇・六も問題がありますがというようなことで、こっちの責任において〇・六がどうしてきまったかということも説明できないわけですね。その辺のことをどういうふうにお考えでしょうか。
  67. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 たびたび御答弁申し上げたことの繰り返しになると思いますけれども、先ほど来申し上げているように、公務員年金グループについては、この答申にもありますが、内容にある程度問題があるとしても一応スライド制は事実上できている。社会保障制度審議会からことしの二月九日に答申が出されましたが、今回の改正算定方法その他を手直しをしたことによりまして、恩給のレベルに地方公務員共済国家公務員共済とも大体くっついた。その意味では、ここにいう恩給にはスライド制が事実上確立しているというところまでは届いたというふうに実は考えております。  それから、さらに、先生のいつまでも恩給にかかずらっておらぬで、地方共済なら地方共済だけで独自にその内容を充実すればいいではないかという御指摘は十分ごもっともな点があると存じますけれども、恩給といえども、これは古い国家公務員、古い地方公務員年金制の問題でございますから、たとえその一つを有利にしましても、他との均衡を考えるということに当然、配慮が払われてしかるべきだと思います。そこで、国家公務員、地方公務員あるいは公共企業体職員、これらをひっくるめて改善をはかるにいたしましても、先ほど山本先生その他の方の御答弁に申し上げましたように、国民全体としての年金の体系の整備といいますか、充実というものもやはり国民的、要求としてあると思いますので、公務員グループが先ばしって他よりも非常に有利な体系を早々と確立しようといたしましても、そこに批判もございましょうし、そこに必要な財源についての議論もあると思いますので、やはり、全体のレベルアップの中において公務員年金のレベルアップというものは考えていかなければならないものと現在も考えております。その意味では、地方公務賃のそういう年令その他の福利厚生制度の拡張、充実をすることがわれわれの職務であるとは重々承知しておりますけれども、国全体の中で考えての全体の年金体系というものとも常に見比べつつ進んでいかなければならない立場にあるものと考えておりまして、現在は、厚生年金国民年金はまだ歴史も新しく、その内容の充実が地方公務員国家公務員年金制度に比較的にまだ及んでいないという面もあるという現在の体系をもとといたしまして、逐次御指摘のような方向に進む以外手はない。いまここだけ先立って、地方公務員並みあるいは国家公務員並み、恩給とも離れ、他の年金制度と離れてその内容の充実をしていく、さらにその充実に必要な負担を国に求めると言いましても、その点やはり問題もあるのではないかと思います。全体のレベルアップの中においてのこれらの内容の充実ということについては、今後積極的に努力してまいりたいと考えておる次第でございます。
  68. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、生活改善のための〇・六、この数字ですね。これについてはどういうようにお考えになるのですか。そして、これで足りるという根拠はどこから出てくるのですか。
  69. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 これは、現在恩給にとられております一つ方式でございまして、現実の状況をどう数字で分析するかというところにいろいろの議論があると思いますので、物価上昇を一〇〇%見る、これはこれでかりにいいといたしまして、残り部分の六割が国民生活の平均的な上昇部分であり、残りの四割は昇進していくための職務の責任の重大化とか、あるいは仕事の上の生産性合理化というようなものに見合う部分であると言えば、その六割がそうで、四割がそうであるという確固たる立証というのもむずかしいのかもしれませんけれども、一応その見方によってこういう上要素を勘案するという勘案のしかたについては、先ほども申し上げましたとおり、私、妥当なものだと思っておりますので、その六割がはたして六割なのか、六割七分なのか、七割なのかという議論はあるかもしれませんし、そこを諦める必要は当然あるとは思います。けれども、現在の物価上昇プラス生活水準向上というものの積み上げの方式については一つの妥当な考え方であり、かつ、恩給国家公務員がそういう方式をとる場合には地方公務員もこれにならうのが適正であろうという考え方に立っておる次第でございます。
  70. 林百郎

    ○林(百)委員 答弁を聞いていると、何かそこに自主性がないような答弁に聞こえるわけですけれども、そうすると、六割が生活改善のための指数として一応妥当だという根拠を、林さん自身の考えを聞かしてくれませんか。あなたの答弁を聞くと、六割という意見もあるし、六・七もあるし、七割もあるでしょうが、しかし、恩給のほうで〇・六ときまったのですから、地方公務員もこれにならって、そういう考え方基準にしてこの法律もできたのです、と、こういうことになって何か他力本願的な響きがあるので、それじゃあなた独自の考え方をひとつ聞かしていただきたい。
  71. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 私自身のこの数字に関する価値観というのは、いま申し上げるべき材料を実は持ち合わしておりません。恩給改定率をどうするかというときに、それぞれの根拠でこの分をこう見るというものがあるとすれば、先ほど申し上げましたように、公務員グループに関しては、相互の均衡をとらなければならないというものであれば、またこれによらざるを得ない。そういう意味ではまさに自主性がないとしておしかりを受けることかもしれませんが、この六割なり、物価上昇全部を見たあとの残りを六割と見るか四割に見るかというところについては、それぞれ担当の機関で議論の根拠を持っておいでになるわけでございますので、それに対する特別の異を立てるということはいままでいたしておりませんし、自主性がないとしかられれば、そのとおりかとも存じますけれども、この三つのグループ均衡ということはやはり必要な条件であるというふうに考えておる次第でございます。
  72. 林百郎

    ○林(百)委員 別に異を立てなんでもいいですから、それじゃ、何で一体合理的かという、その根拠をあなたからお示しいただきたい。そうでなければ、公務員のほうでいろいろ検討した結果そういう数字が出たのでしょうから、私のほうも別に異を唱えませんということで、はなはだ心もとないことになるわけなんです。
  73. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 正面に申しましてまさに先生の後段におっしゃったように、一応そちらでしかるべき資料でもって検討をしてそういう結論をお出しになったということで、こちらが従ったというのがまさに正直なところでございます。実際には、地方共済年金と言いましても、法の施行が新しいために、恩給部分というのがまだ相当大きな期間を占めておりますので、そちらの判断に従うという合理性がさらに一方あるわけでございます。正直なところはまさに先生の御指摘のとおりのことでございます。
  74. 林百郎

    ○林(百)委員 これ以上あなたを責めても無理だと思いますから、この点はこれで終わります。  その次に給付内容の改善の点についてですが、年金算定の基礎を、三年平均でなくて在職時の給与額にすべきであるということは、ことに最近にやめる人たちのことを考えると、確かにそう思うのですね。毎年毎年物価上昇していきますからね。公共企業体の職員等共済組合、市長村職員共済組合、これはちゃんと退職年時における給与基準として計算しているわけですけれども、これ以外は、三年平均の給与額となっていますけれども、これもしばしば問題になるわけですけれども、これについての改善の方向は考えてはおらないのですか。どうでしょうか。
  75. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 これを退職時にするとなれば、確かに、おっしゃいますとおり、かりにベース改定がなくても有利になるし、特に、最近のように毎年必ずベース改定があるという場合には、これを退職時にやることについてはたいへん有利になることは御指摘のとおりでございます。  そこで、給付内容の改善をいかなる方法でするかという、給付内容の改善の方法にはいろいろあると思いますので、これを退職時に改めることも一つ方法でございますし、改定率をよくするということも一つ方法だとも思いますけれども、現在は、いま先生、公企体と市町村とおっしゃいましたけれども、公企体はまさに退職時をとっておりますが、市町村のほうは、地方職員と同じく三年平均をやっております。厚生年金のほうになりますと、その報酬比例部分は三年どころか、全期間の、平均という、言ってみれば非常に不利な水準をとっている。それらをそれぞれ勘案いたしまして今後改善を考えてまいりたいと思いますけれども、現在、この三年平均というものを直ちに退職時に改めるという考え方は持っておりません。これらはほかの年金との均衡その他を考えて、全体の中の改善の方策の一つとしてさらに検討は重ねてまいりたいと存じます。
  76. 林百郎

    ○林(百)委員 検討を重ねていきたいと言うのですが、技術的に言うとどういうことが問題になるのでしょうか。いま言ったいろいろな要因があるということはわかりましたけれども、ネックはどういうところにあって不可能になっているのですか。もう公企体は御承知のとおり。町村職員もそうだと思いましたけれども、あなたがそれは違うという話ですから、それはそれとしておきましても、公企体で一部そういうわれわれの主張するようなことが実現しているときに、市町村職員の基準退職前三年平均ということにすると、技術的にどういうネックが出てくるのでしょう。
  77. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 結局、給付内容を改修していくということは、またそれに対する財源が必要だということで、財源との見合いということになるわけでございます。これを改善すればそれだけ給付の金額は上がりなすが、それに伴って掛け金率がふえる。それをどの辺に押えておき、どの辺でバランスをとるのが妥当かという問題でございますから、給付内枠の改善を考える場合に一つ方法ではあろうと存じますけれども、とりあえずこれをやろうという気持もは現在ないということは、先ほど申し上げたとおりでございます。それらすべてのものを、財源と見合った形で、今後その共済の財政の健全さを維持しながら給付内容を改善していくという、その一環として考えようということでございます。  実際問題として、三年平均といたしましたことの理由の一つと申しますか、退職時について特別の昇給とかいうようなことも地方団体その他で行なわれている面もありますし、そうしますと、その相互間に非常に不公平な問題も招来するという懸念もあったように聞いておりますので、給付内容を改善するのにはいろいろな方法があると思いますけれども、この辺は、三年、平均というのはある意味では現在合理性を持っているのではないか。金額をよけい出そうと思えば、そこにさらに給与改定をする、改定率を上げるというような方法もございましょうし、それらを無制限にやるというわけにいかぬので、財源との計算でもって見合わせるということでございます。  なお、公企体との均衡は、現在確かにとれておりませんけれども、一方、退職手当については、公企体のほうは国家公務員について計算したものの九七%とか、やや減額しておるというようなことで、ベースアップがない場合は退職給付としては均衡がとれているという理屈になっておるようでございます。しかし、実際はベースアップがありますために均衡がとれていないことは、まさに御指摘のとおりでございます。厚年との間には、逆に、厚年のほうがはるかに不利だという問題もございますので、全体を一つの場において考えての給付の改善ということを考えてまいりたい。特に、この三年、平均だけどうこうということはいま考えておらない、ということは、いま申し上げましたような理由でございます。
  78. 林百郎

    ○林(百)委員 確かに、この年金制度のいろいろの基準になる指数というものは複雑なメカニズムの中で出てくるわけですから、いろいろ問題があることは私たちもわかります。ことに、地方公務員国家公務員と難いまして、いろいろの共済組合もありますから、それらの均衡等もあるからなかなかむずかしい問題があるということはわかりますが、それを一つ一つほぐしていくことが必要だと思うわけです。そこで、私としては、地方公共団体の職員の退職年金あるいは一時金等もできるだけ上げていきたいと考える立場で賛同しておりますので、どこに問題があるかということを答弁してもらいたいと思います。  その次に、年金資格期間とそれから年金資格期間をこえる加算率と最低保障額、この問題についてお聞きしたいと思うのですが、現行制度では、言うまでもなく、年金資格期間は二十年で、その後の加算率が一・五%というようになっていると思います。ところが、最高限度額は給与年額の七〇%で抑えられているのですね。この点も一つ問題があると思いますが、この給与年額も、退職時から三年さかのぼって、三年平均の、その七〇%で抑えられている。こういうように思っております。それから、最低保障額が、これは昨年の改正で十五万円に押えるということになったと思いますが、これは月額にすれば一万二千五百円ということになるわけでありますが、この退職後の生活の保障では、保障という観点から言いますとはなはだ僅少なもので、とうていその名に値しないと思うわけですが、この年金資格期間を短縮するとか、加算率を引き上げるとか、あるいは最低保障額の引き上げとか——ことに最低保障額のほうの問題ですね。最高限度額のほうの七〇%にも問題があるとしても、最低保障額の十五万、月額一万二千五百円というのは、これは年金の名に値しないものだと思います。こういうものをかさ上げするという観点からしていけば、どういうところに問題があってできないのか。あるいは、その方向はいま考慮されているのか。その辺を聞かしてもらいたいと思います。
  79. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 いま、最も重要な問題として、最低保障額の引き上げを御指摘いただきましたが、それは全く同じ認識を持っております。十五万そこらではとても最低生活の保障にもならない。現在の物価の状況では、それはもうわれわれも痛感しておる次第でございます。じゃ問題はどこかと言いますと、これはこの問題だけにはとどまりませんが、結局、この共済給付内容を充実していこうという場合に、すべてに通じての問題でございますが、財源に対する問題と、それからさらに別の制度に関する均衡の問題、この二つでございます。最低保障額を例にとって言えば、恩給はもっと低い最低額があるようでございますけれども、これは、厚生年金との関連において一応こういう金額がきまっておる。これをさらに上げる必要がある。それじゃ人並みの生活ができないから上げようという議論の場合には、当然厚年との均衡というものが政府間の打ち合わせでは問題となっていく。それじゃ、向こうもそれは低いんだから向こうも上げたらいいんじゃないかということになってくると、今度は財源との問題になってくる。常にこの二つの問題になって帰着いたしてまいりまして、その年に許された財源、そして、ほかとの打ち合わせで均衡のとれた線に従ってということで常に改善を考えていく。ですから、最低保障額のほうは、そういう問題がありましても、これは何としてでも克服して改善につとめたいという意欲は十分に持っている次第でございます。
  80. 林百郎

    ○林(百)委員 林部長の積極的な答弁が得られましたので、ひとつその方向へ努力を願いたいと思うのです。  それじゃ次の問題に移りたいと思いますが、今回の年金額改定の対象が「昭和四十五年三月三十一日以前の退職に係るもの」とあるわけですね。昭和四十四年度以前の退職にかかるものの年金を対象にしているが、それはどういうわけなのだろうか。そうすると四十五年、四十六年の退職者には適用がないということになると思いますけれども、ここで線を引いたのはどういうことだろうか。われわれが仄聞するところによりますと——これは仄聞ですが、自治省は当初、昭和四十五年の退職者も対象にするようにと考えていたけれども、大蔵省の意見でこれができなくなったんだと、まあ、いつも林さんのおっしゃる財源問題ですが、財源問題のネックでできなくなったというんですが、これは事実かどうか。そして、この点については、今後何らかの改善の方法を考えておられますか。四十五年三月三十一日以前、すなわち四十四年度以前の退職にかかるものだけを対象にして、四十五年、四十六年が入らなかったのはどういうわけなんですか。
  81. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 これは結局、これらの恩給及び国家公務員、地方公務員それぞれを所管する役所の相互の打ち合わせの結果きまった線でございまして、先生のおっしゃるようないきさつがあったとかなかったとかいま申し上げる立場にはないわけです。それで、いま四十四年度以前の退職者を対象にしたということの一つの理論としては、今回使います一〇・一%という数字が四十五年度物価上昇を基礎にした数字であるので、四十五年度退職された方は四十五年度のベースアップというものの恩恵を受けておられるから、同じ数字が二回そこに作用するというのは合理的でないので、四十五年度数字でもって出た一〇・一%というのは、その数字の恩恵を受けなかった四十四年度以前の退職者の方に適用するという理論であるということでございます。  なお、それにいたしましても、従来と同じ方法改定実施する場合は、実質的には四十二年度から四十三年度までしか救えないという意味で、今回四十四年度退職者まで対象にできたのは一歩の前通であるという考え方をとっておる次第でございます。
  82. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、四十五年、四十六年は今後どうなりますか。四十七年はことしですが、やっぱりある一定の時期になると、そこで物価上昇が一〇%というような計数——これは、物価上昇だけが一〇・一%というわけじゃありませんけれども、いろいろの計数が集まって一〇・一%になったわけですけれども、そういうように計数上一〇%というような数字が出てきた場合には、これは是正はしなければならないと思いますが、そういうことは当然考えられておられるわけですか。四十五年、四十六年、その後のある一定の時期ですね。考えられるわけですか。それは当然だと思いますがね。
  83. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 一〇・一%というのは、今年度改定のための率でございまして、この一〇・一%を出しました根拠が、四十五年度物価国民生活水準向上からはじき出される数字だということでございますので、もしこのままの方式を踏襲いたしますれば、来年、四十八年度改定については、四十六年度物価国民生活水準改定から出ました数字がかかる。その場合は、四十五年度以前の退職者についてかかるということになるわけでございます。  問題は、そこで、数字は四十五年度のものを使ったから、いま申しましたように、四十五年度退職者の方はその数字によるベースアップ改定をもう受けているのであるからという理論は、まさにそのとおりでございますけれども、それじゃ、退職年金物価上昇に応じて改まるのがいつも二年なり三年おくれていいのかという問題がやはりいつまでも残っていくと存じます。これらの改定を一体何年度退職者から適用するかという問題については、今後の物価上昇その他の事態の推移を見て、さらに来年あるいは再来年というふうに、関係各省で打ち合わせますときにまたいろいろな意見について議論が出る、こういうふうに存じておる次第でございます。
  84. 林百郎

    ○林(百)委員 当然のことだと思いますから、聞くまでもないと思いましたが、念のために聞いておいたわけです。  それから、これは山本委員が先ほどお聞きになったことですけれども、年金制度施行前に在職し、年金制度の適用を受けなかったために通算されない職員期間年金額算定の対象とすることとしているが、その際、本法によって「政令で定める要件」ということになっていますね。これは先ほど若干説明がありましたが、それでいいかどうか。補足する点があるなら補足してもらいたい。そして、本法適用の対象となる者が、昭和二十四年十月一日以後の退職者ということになっている。これも山本委員が聞かれました。そうすると、はずれる者が幾らかという数字も——山本委員の質問にはなかったですが、これは答弁のほうから出てまいりました。それをもし昭和二十四年十月一日という線を引かなくてこれを適用するということになりますと、金額にしてどのくらいになるんでしょうか。これもやはり何か大蔵省に指示されて昭和二十四年十月一日という線を引くようになったのでしょうか。まあ、聞いてもそのとおりですとは言えないと思いますけれども、この線を引いたことがわれわれにもよくわからないのです。二十四年十月一日という線がどうして引かれたのか。そして、それ以前の者にも適用するとすればどれだけの金額が必要となって、それが財源という一つのネックになるのかということを説明願いたいと思います。   〔委員長退席、豊委員長代理着席〕
  85. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 二十四年十月一日というところに引いたということが、結局結論としては地方共済制度の発足のおくれを取り戻した。国家公務員共済のほうが先に発足しておりますので、国家公務員であった雇用人はそのまま全部つながっておる。地方共済はあとから出発したために、その前の部分国家公務員であればつながっておるのですが、落ちてしまっているじゃないか、だから国家公務員並みにしてくれという要求からすれば、二十四年まですればそれでその要求は通るわけなんです。ことしの改定としては、おくれを取り戻して、国家公務員と合わせてもらったという結晶にはなるわけでございます。ただし、これからさらに先に行きますということになりますと、国家公務員、地方公務員共通の問題として、こういう本人の掛け金をもって独立採算的にまかなう社会保険制度というものを、さらにその前の掛け金をかけなかった時代の者まで全部拾って、それを一体だれがどう負担するかという、本来の社会保険制度からはみ出したところへさらに出ていく。地方公務員制度については、まさに出てしまったわけでございますけれども、国家公務員のほうはまだそこまで行っていないわけでございますから、今度は国家公務員と地方公務員を共通してそこまで手を伸ばすかどうかという問題にかかってくるということになるわけでございます。ところが、実は、この面で日。満の通算をやったということで、そこで一つ前例があるわけでございますので、理論的には克服できないのかもしれませんけれども、現実には手を伸ばしているという面もある。そこで、今後の問題として、さらに国家公務員、地方公務員を通じて、その先までを一体救う必要があるのか。あるとすればどういう範囲かということが議論になるわけでございます。ことしとすれば、国家公務員のほうについてはそういう問題に及ぼさなくて、地方公務員国家公務員のレベルまで行ったということで一つの切りができたということでございます。必要な財源というのは事務当局から……。
  86. 佐野政一

    ○佐野説明員 必要な財源は、先ほど申し上げましたが、今回の措置によって通算される対象の人が四千二百人予定しておりますが、そういたしますと、年額で七千二百万円でございます。この費用は全額地方公共団体の負担といたします。
  87. 林百郎

    ○林(百)委員 漏れた人に日・満の通算も、先ほど林部長の言われるようにあったわけなんですけれども、昭和二十四年十月一日以前にさかのぼって通算をするということになると、財源幾ら必要になるわけですか。
  88. 佐野政一

    ○佐野説明員 総額で一億八千万円程度になります。
  89. 林百郎

    ○林(百)委員 林部長、一億幾らというのはたいした額じゃないと思うのですがね。これは何とかく今後……。国家公務員のほうがそうであるから、地方公務員のほうは保険制度掛け金をかけない人にまでワクをはみ出させているのだ——いろいろの御説明が先ほどありました。わからないこともありません。しかし、二十四年十月一日の線をもっと以前にさかのぼらせても、財源としてはそんなに大きな額でないと思いますけれども、これはどうでしょうか。将来考慮されないでしょうか。
  90. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 今回ここにとどめましたのは、単なる財源だけを理由にしたわけでもないのでございまして、満・日というような例はないわけではないけれども、やはりできるだけ本来の保険制度に沿った線を守るべきであるということが——やはりこういう必要性はあるだろうと思います。そこで、これをやります場合に、財源としてはたいしたことはないというのはまさに御指摘のとおりでございますが、ほかのいろいろな私学とか、農林共済とか、ほかの年金その他の問題への波及とか、そういうこともいろいろ考慮した上での結論を出さなければならないと思いますので、現在、その対象者のうちで四割が今回の措置で救われるということを申しました半面、あとの六割の人は救えない。残りをやってほしいという要望は今後も引き続いてくると思います。それらを受けまして、もしそうやった場合には、ほかの制度に一体どんな影響を及ぼすだろうかということもすべて検討したとで、関係当局によって結論を出したいと思っております。
  91. 林百郎

    ○林(百)委員 今度も自治省としてはこの点を一応主張されたんだけれども、大蔵省のほうの指示があったということで、主として財源だったんじゃないですか。制度上の不均衡ということもそんなに重要だったんですか。われわれの仄聞するところによると、どうも、大蔵省に指示されて二十四年十月一日ですかの線が引かれたというように聞いていますが、その点は事実どうですか。
  92. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 別に大蔵省に指示されてそうなったというわけではございませんので、いろいろな意見をもちまして何度も打ち合わせを繰り返した結果、外人全部納得して今回のこういう措置にとどめたということでございます。
  93. 林百郎

    ○林(百)委員 言えないことをえらい無理に聞こうと思っても無理だと思いますが、それじゃそれはそう聞いておきます。  沖繩問題について、これも山本委員から一つ質問がありましたが、もう一つの問題として私たち考えていることは、本土と同様に昭和十八年四月一日に設立されておる旧沖繩町村吏員恩給組合というのがあるわけなんですが、その組合員が約八百人いると推定されているわけですけれども、この点は自治省で調査されているでしょうか。
  94. 佐野政一

    ○佐野説明員 私どものほうでは現在調査を進めておりますが、ただ、現地のほうの退職者の会のほうからの報告では八百人ということを言ってきております。
  95. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、この組合については、戦後の混乱の中で放置されてきておるわけなんで、組合員としては掛け金積み立てを行なっていたものであります。もし、米軍による占領というようなことがなければ、本土と同様に共済制度に引き継がれたもののように考えるわけであれますが、これは将来救済する措置は考えられないのでしょうか。掛け金をかけていたわけなんですが、それが中絶されたのも、米軍による占領というようなやむを得ない事態によって中絶されたわけなんですが、この点はどうでしょうか。
  96. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 これは現作調査中でございますが、調査の結果、そういう救済の措置が必要であるとするならば当然救済措置を考えるべきことと思います。ただ、この問題について、こういう御要求が出てきたのは比較的最近でございまして、したがって、調査も事前にはできなかったという面もございます。それから、御指摘のような事情、そとおりであればまことにお気の毒なんで、何らかの措置を考えなければいけないことと考えております。
  97. 林百郎

    ○林(百)委員 先ほどの山本委員の質問で、これは短期給付の問題になりますが、医療保険法で共済の短期絵付がいままで行なわれてきておる。本人の掛け金は本土のどのくらいになっておるわけなんでしょうか。要するに短期給付市町村の職員共済については沖繩県内で処理するとしても、県職員、公立学校職員、警察職員については本土と一本になるわけでありますから、そうなると、いままでの掛け金のどのくらいの倍率のものを掛けるようになるのでしょうか。その辺、計数的に説明願いたいと思います。
  98. 佐野政一

    ○佐野説明員 現在、沖繩のほうでは総報酬制で、いままで千分の三十の財源率でございまして、これを本俸に換算しますと千分の四十六程度になると思います。その他給付の変動等を考慮いたしますと、こちらに置き直すと千分の五十四から千分の五十五程度になるかと思います。それがこちらの組合員になりますと、沖繩県の一般職員は地方職員共済に入りますので、これが千分の六十八・六、それから公立学校職員が千分の六十一八、警察が千分の一五十七という率になってまいります。これを掛け金負担金で折半で負担するということになっております。
  99. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、掛け金の分ですと、従来の掛け金に比例として何割増しになるのですか。約倍になるというふうにわれわれの調査ではなっておるのですが、そうはならないですか。
  100. 佐野政一

    ○佐野説明員 ですから、いままでの掛け金と申しますのは……(林(百)委員「本人の掛け金」と呼ぶ)本人の掛け金は千分の三十。これは総報酬でございますので、給料に換算いたしますと千分の四十六という率になってまいります。ただ、それが、現在向こうでは、いままで現金給付でございますし、それから給付割合も七割給付でございます。そうした点からいたしまして、当然本人が十割給付になる。あるいは現物給付になる。それから給付内容についても違いがある。こうしたものを調整いたしますと、先ほど申し上げましたように千分の五十四から五十五というものが妥当な率ではないだろうかと思います。それを、先ほど申し上げましたようなこちらのほうの率に切りかえられるわけでございますから、警察共済はわずかに上がる。地方共済にいたしますと二割ちょっと上がる。こういうことになると思います。
  101. 林百郎

    ○林(百)委員 県職員、公立学校職員、要するに本土と一本化された場合でも本人の掛け金率は二割程度アップでいいのですか。
  102. 佐野政一

    ○佐野説明員 その程度かと思います。
  103. 林百郎

    ○林(百)委員 どうも私のほうの調査とだいぶ違いますので、もう少し正確に調査していただいて、もし実情が正確に把握できたら、後刻また報告願いたいと思います。私のほうもそれをここでいますぐ論駁する資料はありませんが、この県や公立学校職員、警察職員等、本土と一本になるものは、本人の掛け金率が大体倍になるのじゃないかと聞いております。  それから、先ほど林部長の言われたこと、那覇市あたりでは現物給付あるいは医療給付が本土とそう変わりないというのですが、人口比率から言って、お医者さんの比率は那覇市はどのくらいになっているのですか。——わかりますか。わからなければいいです。
  104. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 現在資料を持っておりませんけれども、しかし、那覇市における医療機関の人口比率は調べてお答えしますが、あるいは少ないかもしれませんが、医療にかかる動向と申しますか、病気になったので医者にいくという動向は、那覇市のようなところであれば、本土の県庁所在地、宮崎市なら宮崎市とそれほど変わらないだろう。そういう意味で、国家公務員の場合は那覇市が非常に多いから、医療給付を受ける率も比較的高くなるかもしれません。こちらは地方公務員市町村まで全部含んでおりますので、離島のような、かかりたくても、医者がいないというところは必然的に医療給付の率が落ちるだろうということを推定して申し上げたのでございます。
  105. 林百郎

    ○林(百)委員 それでは、たとえば那覇市の場合と、いま例に言った宮崎県ですか、その計数は出ますか。
  106. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 調査すればすぐわかると思いますので、調査を急いでさせてみみようと思います。
  107. 林百郎

    ○林(百)委員 この点は、将来、本土との間に、掛け金率あるいは医者との間の現物給付、あるいは医者にかかる率ですか、こういうものの隔絶がある場合は、一応是正をする考えはあるわけなんですか。これはこれでもうこのまま遂行していくわけでしょうか。あるいは、一定の時期を限ってそれを是正するというような方法は考えておられるのでしょうか。
  108. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 先ほども御答弁申し上げましたけれども、むしろ将来としてはやはり全国一本になるべきものと思いますので、必要とすれば、復帰直後の医療機関がまだ十分整備していないような時期における医療給付掛け金の実態とが差がある場合には、何らか講じてやらなければならぬという気持ちは持っている次第でございます。  ただ、先ほど申し上げましたように、本人が十割給付になる、それから現金給付が現物給付になる、こういう時代に返ってきまして、はたして、医療給付の実勢がどう動くかということがやはり一番重要な問題になりまして、掛け金も相当ふえますことは事実でございますし、先ほど二割と申し上げましたが、それは本人の給付が十割になるので、その分をとって二割でございますから、現に納めているのは七割給付分しか納めてないんで、現実に納める金は、本人給付が十割だから、その分も計算するとあと二割高いということでございまして、あるいはこの三割分くらいは医療給付の増加で消化してしまうかもしれないという懸念もありますので、その辺ちょっと返ってみてからの実態を見てみたいという気持ちは十分持っているのでございます。必要とすれば、確かに暫定措置でございまして、三年四年先には当然全部一本にすべき問題であると思います。
  109. 林百郎

    ○林(百)委員 それでは、その点を調査されて、本土との間に格差のないような努力をされたいと思います。  最後に、積み立て金積み立て金の運用の問題について質問したいと思いますが、地方公務員共済年金積み立て金の運用についてはわりあいに民主的に行なわれていると私も考えますけれども、念のために聞いておきたいのですけれども、一番最近の年度積み立て金総額はどのくらいになっているのでしょう。それとその運用の内容ですね。
  110. 佐野政一

    ○佐野説明員 地方公務員共済組合全体の四十五年末の資金が一兆二千百二十四億九千二百万円ということになっております。
  111. 林百郎

    ○林(百)委員 積み立て金の総額はわかりました。その運用はどういうようになっておるのでしょうか。
  112. 佐野政一

    ○佐野説明員 運用の原則といたしましては、預貯金と、それから債券類等が五五%以上、それから不動産投資が二〇%以内、それからその他福祉事業等に対する貸し付け金が二五%以内というのが一応の原則になっております。しかし、最近におけるところの福祉事業に要する資金需要等を考慮いたしまして、現在のところ、特例を設けまして、不動産につきましては、必要があった場合には二〇%をこえてよろしい、それから福祉事業に対する貸し付け金につきましては五〇%まではよろしい、ただし、不動産と福祉事業に対する貸し付け金を合わせて五五%以内ならばこれを承認する、こういうふうにして運用いたしております。
  113. 林百郎

    ○林(百)委員 貸し付け金に対する利率はどのぐらいですか。
  114. 佐野政一

    ○佐野説明員 私どものほうの指導方針としては、年五・七六%にするようにということでいかしております。ただ、一部の市町村共済では、事務費等の関係で六%のところもわずかに残って滑ります。二組合ほどありますが、この点につきましては、本年度中に五・七六%に下げるということで指導いたしております。
  115. 林百郎

    ○林(百)委員 これは共済組合のほうから、すなわち職員のほうから、積み立て金の民主的な運営についての希望が出ておりますので、念のためにお聞きしたわけであります。この利率も五分七厘六毛ですか、そう高い利率でもないと思いますが、しかし、本来、考えてみますと、自分で出した積み立て金あるいは自分の社会保障としての積み立て金に対して、また自分が、全部でないにしても、一部に対しては利息を払うということにたるので、少なくとも五分七厘六名に早急に全国的に利率を下げるように、まだ下げてないところはそれを下げるような指導をしてもらいたいし、将来は、さらに金利を引き下げる余地があるならば、金利についてもやはり考慮していただきたい、こういうように思うわけです。  それから、運営委員の構成ですが、これはどうなっていますか。
  116. 佐野政一

    ○佐野説明員 地方職員共済、それから公立学校共済、警察共済、これは全国組織でそれぞれ一つの組合をつくっておりますが、これにつきましては運営審議会を設けております。それから、その他の組合につきましては組合会制度をとっております。  運営審議会につきましては、委員十六人以内でございますが、各組合とも十六人の委員がおりまして、労使それぞれ八人ずつ出しております。それから、組合会議員につきましては、労使それぞれ折半構成というように法律規定されておりまして、使用者側の場合におきましては、市町村共済におきましては、これは市町村長からの選挙でございます。その他のところは、それぞれの長が使用者側の委員を任命する。それから職員側につきましては、それぞれの共済組合それぞれ選挙いたしまして組合会議員を出しております。
  117. 林百郎

    ○林(百)委員 最後に、次官にお尋ねして私の質問を終わりたいと思いますが、私のほうとしては、地方公務員共済組合制度は、一つの社会保障制度だ、だから、保険というよりは、社会保障制度的な要因を強めていかなければならないのだと思っております。参考までに、一九六一年に、モスクワにおいて、世界労働組合大会で決議されました社会保障憲章というのがございますので、この一部分を読んでみますと、社会保障の費用は「雇用主あるいは国家、またはこの双方によって保障されなければならず、労働者の拠出によってはならない……。労働者が分担しているところでは、……労働者はこのような負担をなくするために行動しなければならない」と規定しておるわけであります。この地方公務員共済制度も、私たちの考えとしては、これは社会保障制度であると考えておりますので、本来、国家並びに使用者側の自治体側がこれを負担するということを確立すべきだと思うわけであります。ところが、先ほどからの私のいろいろの質問で、スライド制の問題あるいは最低限のかさ上げの問題、あるいは二十四年十月一日に一つの線を引いたというような問題等いろいろの問題を質問して答弁をお聞きしますと、それは、他の制度関係との公、平さということもありますが、財源の点で一つの大きな壁に当たっているように、これは林部長も口を濁して正直には言いませんけれども、やはり大蔵省側のいろいろの指示や圧力——とまでは同じ公務員の間ですから言わないにしても、大蔵省側の圧力あるいは指示が相当ものを言うのではないかと思うのですが、しかし、組合員側、職員側から言えば、本来国家と使用者側が負担するのが社会保障制度の原則だということになっておりますので、今後、やはり地方公務員共済組合制度につきましても、使用主、すなわち地方自治体あるいは国家の負担において見る。あるいは、地方自治体の負担については、国が、またこれを交付税なりあるいは特別交付金なりで見るという手段もあるでしょうけれども、そういう要因を多くして、本人の掛け金というような部分をなるべく少なくしていく。そして、この共済制度が、真に生涯を地方自治体の職員としてささげた地方公務員の皆さんの、死亡後にも資し、あるいは老後の生活の安定に資するような制度になるようにこれを向上させていくという方向へ努力されるのが、職員側から言っても、また世界労働組合大会の決議等から見ても、世界的な労働組合側の要請だと思いますので、そういう方向へ努力を重ねるべきだと考えますので、次官の見解を聞いて私の質問を終わりたいと思います。
  118. 小山省二

    ○小山政府委員 いま御指摘になりましたように、共済制度もある意味において社会保障制度の一環をなすものかは存じません。その辺は、広義に解するか、狭義に解するかで多少違うと思いますが、私もそのように承知しております。しかしながら、御承知のとおり、わが国の共済制度は、労使折半でそれを負担するというような制度をいままで踏襲いたしてきております。したがって、他のいろいろな諸制度とも関係がございますので、私どもも、将来、方向としてはそういう方向に努力しなければならぬかは存じませんが、現状においては、労使折半でその要する費用を負担するというような制度は、やはり当面堅持していかなければならないのではないだろうかというふうに考えておる次第であります。
  119. 林百郎

    ○林(百)委員 じゃ、これで終わりますが、当面堅持というところにアクセントをそんなにつけなくてもいいじゃないですか。社会保障制度なら、労使折半ということについては、やはり使用者側の負担、すなわち国あるいは地方自治体の負担——地方自治体としての財政的な実情は私たち十分知っておりますけれども、やはり国の負担の方向へ努力されるという答弁はできないでしょうか。どうしても折半を堅持ということはこだわるわけですか。小山さん、どうでしょうか。
  120. 小山省二

    ○小山政府委員 堅持ということばが表現が悪うございましたが、いま直ちに変えられないというような意味でございます。
  121. 林百郎

    ○林(百)委員 じゃ、まあ、これでけっこうであります。
  122. 豊永光

    ○豊委員長代理 この際、暫時休憩いたします。    午後零時五十分休憩      ————◇—————    午後二時三十四分開議
  123. 大野市郎

    大野委員長 休息前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。山口鶴男君。
  124. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 地方公務員等共済組合法につきまして、幾つかの点をお尋ねをいたしたいと思います。  山中総務、長官と渡海自治大臣がまだお見えでありませんから、政治的な議論のほうはあとにいたしまして、事務的な問題を最初にお尋ねをいたしたいと思いますが、まず第一は、今回の改正案によりまして、昭和四十四年四月一日から昭和四十五年三月二十一日まで、いわゆる昭和四十四年度退職された方については、年金の額を一〇・一%改善をするということが提案をされておるわけであります。この問題につきましては、与党の塩川委員もお尋ねになっておったわけでありますが、昭和四十五年度の消費者物価上昇が七・三%、そしてまたその年における公務員給与の改善が一二・〇%。したがって、七・三%プラスカッコ一二・〇%、マイナス七・三%カッコ閉じ、かける十分の六という数式によりまして、一〇・一二%、小数点以下二けた目を四捨五入いたしまして一〇・一%、これを改善をする。こういう計算に基づいて今回の改善をおやりになるようでありますが、これに対して、この一二・〇マイナス七・三に十分の六をかけるというのが国民生活向上分だ、こういうふうに言っておられるわけですね。はたしてこの数式がほんとう国民生活向上分というものを正しく反映をしているかどうかということについては問題ではないかと私も思います。与党の塩川委員もその点について若干疑念をお持ちの立場からいろいろとお尋ねをいたしておったわけでありますが、これはどなたに聞いていいのかわかりませんが、公務員部長さんにでもお尋ねいたしましょうか、ほんとうにこの数式で国民生活向上分というものはすなおに反映されておるとお考えでございますか。いかがでしょうか。
  125. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 一応恩給の改善をするについて、そういう数字で、しかもいま先生のお話しいただきましたような説明でやるという考え方に統一されておりますので、こちらも恩給及び国家公務員に関する共済の改善について、同じ足並みをとるという意味から、その数字でもって御提案をした次第でございます。数字について、これはほんとう国民生活のあれを反映しているか、あるいは物価上昇七・三についてどうかということには、いろいろなデータからいろいろな議論はあろうと存じますけれども、その根拠をこまかく洗い立ててやったというよりも、一応恩給についてそういう線が出たのでそれにならったというのが正直な話であります。
  126. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 いまの答えが正直なお答えであろうと思います。  年金スライドの問題につきましては、私も当委員会で何回もお尋ねをいたしておるわけでありますし、そのつど山中総務長官からのお答えもいただいておるわけでありまして、この点はひとつ山中総務長官が参りますまで保留をいたしておきたいと思います。  問題は、その恩給のあと追いでもって今日までやってきたということですね。そこで、いま国民各層から要望されているところの、わが国を福祉国家として確立をしてもらいたい、そういう立場から年金の改善に政府として十分取り組んでいただきたいというそういう国民の側の希望にこういう方式がはたしてこたえているかいないかという問題であろうかと思います。その点はあとで議論をするといたしまして、一応おきましょう。  さて、そこで、今回の法律改正は、公的年金制度調整連絡会議のうちの公務員グループで五回にわたり会合を持った。そういう中でいろいろ審議をされたようでありますが、この審議の中で、国家公務員、地方公務員、公企体職員の共済制度に関し、相違点の調整の可否及びそのスライド制実施への影響等について検討し、さらに、当面する年金額改憲の事務の簡素化の具体的方法と、その年金受給者への影響等について検討を行なったそうであります。その一応の結果が今度の改定にあらわれておるようであります。ただ、ここで申し上げたいのは、従来四年ないし五年の据え置き期間があって、今回は、昭和四十四年度退職された方が一〇・一%の改善の対象になりますから、結局、四十五年度、六年度及び昭和四十七年度の四月から十月まで六カ月間、二年半のおくれということになったわけですね。この点は確かに私は一歩前進だと思うのです。この点は、公務員グループの一応の検討の結果が簡素化となり、さらにまた据え置き期間の短縮となってあらわれたことは、私は認めるのにやぶさかではありませんが、とすると、二年半も据え置くというのはやはり少し酷ではないだろうか。せめてもう一年ぐらい短縮するということが当然考えられてよかったのではないかと私は思うのですが、いかがですか。
  127. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 その点については、いろいろな案がありまして、関係当局の間でいろいろな点で打ち合わせが行なわれて、結論はいまこういうふうになった次第でございます。御指摘のように四十四年度退職者までが今回の改定の恩恵にあずかるという形になるわけでございます。これについてはいろいろな意見はあるわけでございますが、理屈の一つとしては、今回の改定措置になっておる一〇・一%という数字が四十五年度物価アップを含めた数字であるので、四十五年度退職されたということは、すでにその部分ベース改定ということで恩恵にあずかっておる。そこで、その数字にあずかっていないところまでの数字を拾うというのが一つの理屈になっておりまして、完全無欠にどこへでも通る理屈だというわけにはまいりませんでしょうが、一つのよりどころをそこに求めて、今回それを出したという次第でございます。ですから、その過程ではいろいろな議論がございましたことは事実でございますけれども、結論としては今回はここまでになった。それでも、いま御指摘いただきましたように、従前よりは一歩前進という形で進んでまいったというふうに考える次第でございます。
  128. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 せっかく山中長官がお見えですから、お忙しいでしょうから長官に対するお尋ねをいたしたいと思いますが、実は、山中総務長官に当地方行政委員会共済の問題について御出席いただくのは三回目であります。一昨年の地方行政委員会ですが、かつての藤枝自治大臣の際に、公務員共済組合の長制給付、いわゆる年金スライドについて、三年以内に結論を出したいと約来されたが、それがいよいよ三年目が来たから、これについて一体どうだというようなお尋ねをいたしまして、当時の秋田自治大臣が、いや、そういう話があったことも知らなかったというようなことになりまして、山中総務長官のほうでは、特に恩給について十分な方式だとは私どもは思いませんが、ともあれ、消費者物価上昇分は完全に見る、それからその年の公務員給与改定の率と消費者物価上昇率との差を見て、その差の十分の六を見るという一つ方式ルールとして確立をした、これによって一歩前進ではないかというようなお話があったわけであります。問題はこの方式がいいか悪いかという議論一つあると思うのです。この方式がはたして国民生活向上分というものを十分反映しているかどうか、こういう議論一つあろうかと思います。それから、いま一つは、恩給の場合付加方式であります。年金の場合は積み立て方式です。方式が変わってきているわけでありまして、この年金がいつまでたっても恩給のあと追いであるということについては、やはり問題があるのではないか。欧米各国は、それぞれの国においてそれぞれの態様でもってスライド制を現に実施している。こういう中にあって、わが国として、公的年金スライド制に対して、一日も早くその方式を確立すべきではないのかという問題がその次にあるだろうと思うのです。この点につきましては、昨年も実はお尋ねいたしました。公的年金制度調整連絡会議というものを構成し、その中に、民間グループ公務グループ、私学、農林グループ、四つ目に災害補償グループと、四つのグループをつくりまして、その各グループごとに熱心に審議を進めて、一日も早く結論を出すようにしたいというようなお答えがあったわけであります。私のほうから、さらに、事務レベルで検討することも必要だろうが、それだけではいつまでたっても答えは出ないだろう、要は、スライド制実施した場合に、その財源を一体どこに求めるかということになれば、当然政治的な判断にゆだねるべき課題である、したがって、事務レベルでの詰めを早急に急いでいただきますと同時に、ある程度事務レベルの案が固まった状況の中で、当然給与関係閣僚会議というような大臣レベルの会議に移してもらって、これに対して断を下すべきではないのかということを実は申し上げたわけであります。それから一年たったわけでありますが、今日まで、この公的年金制度調整連絡会議がどのような審議をし、そしてまた、公的年金スライド制に対して、いま長官としてはどの程度までの考え方を持っておられますか。この点をまずお答えをいただきたいと思います。
  129. 山中貞則

    ○山中国務大臣 四つのグループに分かれた各グループごとの検討の問題点摘出等について、詳細は、必要ならば審議室長から答弁いたさせますが、問題は、現在の恩給ルール化された方式を持っておる。その方式が、すでにことしの予算編成において、これは編成のテクニックの問題ですけれども、俗に言う当初の内示案に、私どもと恩給要求当局と全然狂いなく全額合意した金額が内示された。このことで、大体今後これを破ることはたいだろうと思います。ところで、いまおっしゃったように、公務員給与にそのままスライドしろという附帯決議は、先般また恩給法の改正をいたしましたから、もう二年も国会で与野党附帯決議をつけておいて、なおかつそれが前進しないという問題は、政府としても十分気をつけなければならないことでありますから、今後さらに結論を進めるために努力いたしますが、その問題と、たまたま私が入りましたときにちょうど議論になっておりました恩給の場合は、十月給付だと、一年半ずれるという問題もあります。そして、いわゆる職務給和的なものをカットする問題がはたしていいのかどうか。あるいは、物価公務員給与と言っても、公務員給与そのものが、物価というもの、民間の動向を勘案したものをもってアップがなされてれているのだから、恩給法二条ノ二のそういうことは、公務員給与一本とればよろしいのだという意見もあります。しかし、いまの御指摘のように、国民生活向上という部門は、すでに退職をされておる人々の現実の生活の面から見て、国民生活全般の所得の向上水準向上と、はたしてそれが一体どのような指数でバランスがとられようとしておるかというと、現在の計算方式は、それは実は方程式の中には入っていないという問題があります。結果においてややあと追いの形ながら、それに近づいていっている現象でありますから、私は、これは目的を達成し得たものとは思っておりません。しかし、過去の予算編成の際における恩給の取り扱い方が、受給権者の権利に対する国家の給付の義務というものの問題がどこかに置き忘れられた問題であったのが、一次査定できちんと出るようになったことは前進であると思います。そこで、いまの公務員グループ、民間グループ、私学共済、農林漁業団体職員グループ、そして周辺部門であり、やはりほおっておけない問題の災害、ことに労災等の問題、こういう検討をいまいたしておりますが、共通点の完全にない問題点もあり、あるいは共通点のある問題もあり、これをやる場合に、スライドの場合は何にスライドするかという問題もありますが、その財源措置はそれぞれの保険なり共済なりの中でだれがそれを負担するのか、全部国威負担でそれを負担するのかという問題等になりますと、やはりこれは関係省庁の連絡調整会議でありますから、これをみんな、財源省も含めて異論なく認めるというのはなかなか問題もあろうかと思います。その問題のある段階で閣僚協に上げるということは、異論のある役所の大臣は当然賛成をいたしませんから、醜態を演ずることはできませんので、閣僚協議会を開くのには、やはりそれだけの素地をつくらなければなりません。  そこで、客観情勢を見ますと、ことしは予算は福祉型予算である。一応私どもはそういうことで編成をいたしておりますが、厚生省も、これからの新しいあるべき社会保障制度その他を検討しつつ、来年度の予算編成あたりにおいては、厚生省の関係する年金等については、スライド制を採用したいというようなことをいま検討しておるようであります。そうすると、やはり恩給の問題が先行する。ある意味ではこれは機関車的な存在でありますので、恩給も含め、これをどのような形でやるかについては、そろそろ結論を出す時期に来ておる。来年度の予算等においては、その問題をどうするかを早急に詰めたいというふうに考えております。
  130. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 ともあれ、予算を編成された自由民主党並びに政府におきましても、本年度予算は福祉型予算なんだ、福祉国家を目ざすのだということを大いに主張しておられるわけです。私ども野党の側でもそういった方向にはもちろん賛成であるが、ただ、福祉国家実現という目標から見て、まだまだ本年度の予算は不足なのではないかということを私ども一致して言ってまいってきたわけであります。そういう中で、私どもとしまして、当面、公的年金制度調整連絡会議で早急にこのスライド制に対する考え方というものを取りまとめていただきたいということを強く願ってきたわけであります。そういう立場でいま大臣の御答弁を聞いたわけでありますが、恩給については一応ルール化した方式がある。これは、昭和四十四年の恩給制度器議会の答申に基づいて、四十五年から実は実施をされたということですね。昭和四十四年、四十五年の当時を振り返ってみれば、福祉国家ということについての全国民的なコンセンサスというものは、当時はまだいまほどはなかったと思うのです。現在のほうが、福祉国家を目ざそうということについての国民の気持ちというものは大きく高まっていると思うのです。  まず、恩給について、明年度予算編成までにある程度考え方を詰めたいと言われたわけですが、そうしますと、新たに恩給制度審議会等をつくって答申を求めて、そうして恩給改定ルールを変えるという考え方をお持ちなのか。それとも、そういった審議会というものはつくらぬで、いわば政府部内で議論を詰めることによって、昭和四十四年度恩給審議会の答申よりさらに前進をした一つ方式というものを打ち立てたいというふうにお考えになっておられるのでありますか。その点はいかがですか。
  131. 山中貞則

    ○山中国務大臣 恩給については、どういうファクターをとって計算していくのが一番いいのか。ことに、恩給受給者方々はもう大体高齢化されておりますから、これから対象者がふえてくるわけではありませんし、やはり方式が安心できる方式になったといっても、今度は中身の問題になるだけでありますから、これは別段審議会をつくらしてまでお願いしなくても問題点はわかっております。どの方式をとるかだと思うのです。ですから、これは別段要りませんが、公的年金制度調整連絡会議をいまやっておりますけれども、この調整がはたしてどこまでできるかという問題等について、場合によってはそういう民間有識者の意見を含めたものを入れないと、各役所だけでは、セクト的な意見ばかりでまとまらない可能性もあるかもしれない。その点は、これは私の所管以外のこともありますけれども、各省庁にまたがっていることを私が預かって調整するわけですから、私の意向として、そういうこともあり得るかもしれないと思っておりますが、いまのところ洗い出されました問題点は、当初予測しておった以上の問題点はあまりありません。問題になるだろうと思っていたところはやはり問題になっておりますし、また、諸外国のスライドの例等を見ても、イギリス、アメリカ、西ドイツとか、それぞれ特色がありますが、日本がまねをしてみてもかえってまずいようなこともあります。これはやはり、日本として特色のあるもの、そしてまた、恩給として、かつて国家に貢献した人に対して国家が報いる姿として、諸外国から見てもおかしくない制度というものを求めれば、あと、各種公的年金グループをどうするかという問題は、場合によっては、そういうような第三者の意見等も冷静な立場で述べてもらって貢献してもらうことがあるかもしれない。そういうふうには考えておりますが、いまのところそういうものを発足させるということは予定をいたしておるわけではありません。
  132. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 そういたしますと、長い間わが国に貢献をされた年金受給者、この方については、昭和四十五年以来とってまいりましたところの、現在ルール化された方式というものを、明年度予算の編成までにはある程度改善をしたいということで受け取ってよろしいわけですね。その点を明確にお答えいただきたいのが一つと、それからさらに、わが国の社会保障については、外国から比べますと非常におくれている点は、これは大臣も十分御存じだろうと思うのです。数字をあげるまでもありませんが、振替所得ですね。わが国の場合はせいぜい六%程度でありますけれども、諸外国の場合、西ドイツが二〇・〇%、フランスが一九・三%、イタリアが一六・四%、それからスウェーデンが一五・二%、イギリスが一三・八%というような数字でありまして、わが国の国民所得の中に占める社会保障給付費の額というものは非常に少ない。ところが、わが国が、国民総生産は大きくなったが国民一人当たりの所得はまだ低かったという時代なら、まだそういうこともあり得たと私は思うのですが、最近、わが国の国民一人当たりの所得の向上の結果、大体イタリアの水準をわが国は抜いている。一人当たりの所得でもそういう状態である。そのイタリアが振替所得が一六・四%という状態でありまして、わが国が六%程度ということでは、いかにしても残念ではないのか。したがって、わが党としては、本会議に、公的年金年金額等の臨時特例に関する法律案というものを提案いたしまして、この際年金の底上げをもっとやるべきだ、同時に、スライド制を、労働者の賃金にスライドする方式でもって確立をせよというようなことを実は申し上げておるわけであります。したがって、わが国が社会福祉国家を目ざすという考え方があります以上は、かつて言われたような年金亡国とか恩給亡国というような考えは間違いであって、いまこそ年金を充実させていくということこそがわが国の社会をりっぱにする道なんだというふうに割り切って、この際、公的年金制度調整連絡会議におきましても、すみやかに年金スライド制について答えを出すという意気込みで対処をいただきたいと思うのであります。大臣、お忙しいようでありますから、この答弁だけ承れば、けっこうです。
  133. 山中貞則

    ○山中国務大臣 来年度予算要求で恩給制度改定する意思があるかということでありますけれども、これは意思はあります。しかし、改定方式をどこまで変えるかという問題については、たとえば公務員給与を当初そのままかけるという案でやってみまして、やはり物価というものも採用して掛け算をしてみたのですが、これは分子と分母の置きかえみたいなもので、出てきた数字は同じだったのです。ですから、公務員給与そのものをとるということになると、問題は、実績というものが、その前年の公務員の実績をとりますから、ことしであれば、四十五年の公務員給与の実績、物価というものを四十六年の八月末にはじき出して要求するわけですね。したがって、それが一年半おくれになるという実態的な問題。これについては二つの問題があって、これを四月から給付ということにすればいいじゃないかということ。それは確かに、それぞれ証書を書きかえる膨大な数の作業もありますが、しかしながら、それをさかのぼって給付するということが可能であれば、当該年度の当初からということでありますので、そういう点は大蔵の財源の問題とも関係がありますが、そういう検討も必要であろう。さらにまた、いまの六割という問題も、はたして職務給的なものが何割に相当するのであろうか。実際上は、退職した人たちは、むしろ物価そのものというものが生活を追っかけてきているのだというようなことを考えると、現職の公務員と、退職されて現職でない人の問題を、はたして何割が正当であると理論づけられるものかどうか。そこらの問題は検討の要素があると考えておりますから先ほどのような答弁をいたしました。  なお、その他の各種公的年金制度調整の問題は、これは大臣レベルの一応の了解も要り、場合によっては最終的な決断も要りますけれども、積極的になるべく早く実現するように努力いたします。
  134. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 ただいまの御答弁をいただきましたが、ひとつ御答弁どおり実施をいただくように強く要請をいたしておきたいと思います。  じゃ、次の問題に移りますが、いま大臣も述べられたわけですが、昭和四十四年度にやめた方を今度昭和四十七年の十月から改定をするというわけです。そうして、その場合とりますものさしとしては、昭和四十五年度の消費者物価上昇率と昭和四十五年度公務員賃金の改定率、それを先ほど来申し上げたような方式でもって計算をして実施をする。で、確かに、実施するのは昭和四十七年の十月一日ですが、予算要求をするのは、その前年の昭和四十六年の夏だということから、どうも二年半据え置き期間になると言われても、予算要求をする段階から見れば、これは一年半のおくれであって、それ以上詰めるのはなかなかむずかしいというような議論もすれば、できないことはないと私は思います。それからまた、恩給の額の決定に使いますところの給与につきましては、過去三年間の平均だというようなこともあるということも一つの要素かもしれませんが、しかし、この問題につきましては、二年半の据え置きというのはいかにも過酷ではないか。こういうことをやっている。しかも、改定率が十分の六方式というのを来年改められればもちろんけっこうなんでありますけれども、これが今日までこう続いてまいりましたから、前にやめた方の年金というのは非常に少ないわけですね。ですから、結局、公務員の諸君とすれば、早くやめればやめるだけ損だ、とにかく、できるだけがんばってやっているほうが、給与もそうだし、将来の年金を考えてもそうだという気持ちを持たれることはやむを得ないだろうと思うのです。したがいまして、この据え置き期間につきましては、さらにあと一年は短縮することは技術的にも決して不可能ではないと私は思うのですが、公務員部長、この点はいかがですか。少なくとも来年——本日すぐ法律を直すとお答えいただけばけっこうなんでありますが、なかなかそうはいかぬといたしますならば、せめて来年は据え置き期間をさらに一年短縮する方向で、その努力をしてみたいというくらいのことはお答えいただいても差しつかえないのじゃないかと私は思うのですが、いかがですか。
  135. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 公的年金制度をできるだけ充実し、その給付内容を充実するというのは、本来私たちに課せられた仕事でございまして、その方法にいろいろな方法があり、予算要求するときには、いろいろな意見を持ち寄って関係省で調整するわけでございます。今回、四十四年度退職いたしましたのは、先ほどの御質疑にもちょっと御答弁申し上げたのですが、一つの理屈として、一〇・一という数字が、四十五年度物価上昇率及び国民生活向上というものをはじき出した数字だということで、四十五年度のベースアップによってすでに恩恵を受けている方々に再び四一五年度数字を使うということは合理的ではないということからして、一応こうなりましたのですけれども、現実としては、まさにこういうふうにいたしましたのが、御指摘のとおり、まさに二年半おくれているということでありまして、退職してから二年半、あるいはまたもっと早く退職された方は三年間というものは全く年金を据え置かれている。その三年間に物価上昇は遠慮なく押しかけてくるという現実は確かにございます。また、御指摘のように、したがって早くやめると一方は三年間据え置かれ、一方は三年間がんばっていれば毎年一〇%くらいのベースアップがあり、それがもとになって年金がきまるということで、早くやめたら損だという判断も確かにできるもとになると思います。そこでことしはこういうふうにいたしましたが、来年はどうかということでございます。  年金内容の充実ということについては、私もさらに関係省とよくお話をし、努力をしたいと思いますが、一方、こういうものは、給付内容をよくすれば当然財源が必要だということで、さらに将来の財源率計算でもはね返るので、これを健全に維持するためにはどうかということにも考慮を払わなければならないし、また、同時に、他の公的年金、たとえば国民年金厚生年金内容の充実ということも、その辺はほったらかしておいて、公務員グループばかり先行するということも、国民的なコンセンサスが得にくいという点もあると思いますので、他の制度とのいろいろな均衡とかということも考えた上で来年のことも努力はいたしたいというふうに存じます。
  136. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 他の年金との振り合いと言われるのですが、この点は、他の年金と比較いたしましてどうだこうだと言えば、いろいろあるわけですね。たとえば短期給付、これも自民党の塩川委員質問されておられましたし、また、共産党の林委員もお尋ねになっておられたようでありますが、折半負担という原則になっていますが、しかし、今度の健康保険法の改正参議院を通るかどうかはわかりません。廃案になる可能性大いにありと私ども思っておりますが、それはさておきましても、五%国が負担をする。それも、委員会の場において、一〇%持つというふうに修正をしているわけです。さらに、国民健康保険を考えれば、四五%は国が補助を出しておるわけです。ですから、短期給付について折半負担というもの々いつまでもがんばっておるというのは全く筋違いだろうと思うのです。これはまさに民間レベルの国民健康保険あるいは政府管掌の健康保険のほうが先行しておって、そして共済のほうが折半負担ということで、制度としてははるかにおくれているということが言えると思うのです。それからまた、長期給付につきましてもそうでありまして、いまのところ政府の持つ分が一五%ですね。しかし、これを一八%持っているものもあるわけでありまして、私ども、そういう立場から、二〇%持つようにしなさいという法律改正も何度か国会に出したことがございますが、いまなお実現をしていない。こういうことであります。そういうことを考えてまいりますと、せめて今回の共済組合改定方式、新しい方式と古い方式とあって、いずれかで計算して、とにかく有利なほうをとりなさいという形で、いままで非常に複雑だったものが、新方式では非常に簡素化されている。わかりやすい。それから、従来よりも据え置き期間が短縮になったという点は前進だと思うわけでありますが、さらにもう一年ぐらい短縮をするという努力はぜひともやっていただきたい。聞くところによりますと、自治省のほうはこの問題についてもたいへん熱心のようであります。過般大蔵委員会で質疑をいたし、ましたときに、自治省のほうは熱心だがというようなことを主計局次長が言っておったのでありますが、ということは、大蔵省はどうもいつまでもものわかりが悪い、熱心でないということに裏を返せばなるわけでありまして、そういうことでは困ると思うのです。本日は主計局次長をお呼びしたのですが、お見えにならぬで残念ですが、幸い鈴木共済管理官がお見えですから、据え置き期間をもう一年短縮するということぐらいは明年から当然実施してもよろしいというぐらいのお答えは出ませんか。いかがですか。
  137. 鈴木吉之

    ○鈴木説明員 現在の共済年金改定のやり方につきましては、先ほど来公務員部長がお答え申し上げましたとおり、恩給改定方式に準じて公務員関係共済年金についても改定を行なってまいっておるわけでございます。そこで、総務長官から先ほどお答えがございましたとおり、概算要求等の関係からまいりまして、改定基礎となるデータを、四十五年度物価並びに四十五年度公務員給与アップというものを基礎にいたしまして考えます限り、先年がおっしゃるような、さらに進めるということはなかなかむずかしいというふうに考えるわけでございます。ただ、このデータがさらに最近時点までとり得るというようなことにでも技術的になりますれば、当然、恩給改定もその方向にまいるというふうに考えます。したがいまして、公務員関係共済年金につきましてもさらに引き上げることは可能になろうかと思いますが、現在の状況から見ましてはなかなかむずかしい問題ではなかろうかというふうに考えております。
  138. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 どうも期待に反する御答弁で残念でありますが、大蔵省というのはそういうことを言わなければならぬ一つのお役所なんだろうと思いますので、やむを得ないというような気もするわけでありますが、しかし、それじゃ困るわけでして、せっかく大臣も、たとえば恩給ルールのあと追いだったならば、十月一日実施を四月一日実施というようなかっこうで、さらに実施をさかのぼらせることによって詰めることも可能じゃないかというような考え方も漏らしておられたわけですね。ですから、方式はいろいろあろうと思うのです。明年は、四十六年度物価上昇、それから四十六年度公務員賃金の改定というものを基準にいたしまして、そうして例の方式でもって計算をして、それを昭和四十八年の十月一日から実施というようなことを考えるのではないかと思うのであります。しかし、昭和四十七年の夏に予算要求をするといたしましても、おおよそその時点では昭和四十七年度公務員給与改定は確定いたしますね。これはわかるわけでしょう。しかし、昭和四十七年度消費者物価がどう動くかということが、本年の夏の段階ではまだ確定をしていないということだけは言えると思うのです。しかし、物価につきましては毎年毎年上がっているわけでありまして、大体八月ごろ、どういうカーブで上がってきた場合には年間どのくらいになるかということは、推定すれば推定できないことはないはずだと思います。それから、若干の推定を加えた要素でもって予算要求をやっておいて、そうして予算の否定というのは大体十二月の末か一月になってくるわけなんでありますから、そのときの時点で、昭和四十七年の物価は一体どうなるだろうかという見当をつけて、そこで補正をして計上するという方法もあるわけでしょう。ですから、もう一年短縮するということは、やる気さえあれば決して不可能なことではない。公務員賃金は確定するわけなんですから、あとは物価がどうなるかということだけであって、それに対してどの程度の配慮をするかということだけで、技術的には問題は解決すると思うのです。とすれば、一年短縮することは全く不可能だというような議論をすることは、私は、やはり間違いじゃないかと思うのです。どうですか。いま言ったようなことを考えまして、いま一年短縮するということは何とか前向きで検討してみましょうということくらいはひとつお答えできませんか。大蔵省、いかがですか。
  139. 鈴木吉之

    ○鈴木説明員 現在の改定方式についてはただいまお答え申し上げたとおりでございますが、先生がおっしゃいます年金受給の実質価値をできるだけ最近時点まで維持するようにというお考えにつきましては、できるだけそういう方向で今後も検討はいたしてまいりたいというふうに考えております。
  140. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 検討をし、さらに実現に移すようにひとつ努力をいただくように強く要請をいたしておきましょう。これ以上こういうふうにしゃべってくれと言っても、これはやはりおたくのお立場もあることでしょうから、強くそういう希望を申し上げておきたいと思います。当然、当委員会で、理事会等で附帯決議等も御検討いただくわけでありましょうから、その際に、私の意のあるところを十分委員長のほうでおくみ取りいただきますようにお願いをいたしておきたいと思います。  それでは、次は、今度の法律改正で出てまいっております雇用人通算の問題であります。これにつきましても、考えてみればずいぶん長い道中を経て、やっと本年度法律改正案に出てきたということでありまして、そういう意味では、この法律改正案が出てまいりましたことがあまりにもおそきに失したという気がしないわけではありません。実は、当委員会では、この問題については、私の記憶に誤りがなければ、もうここ三年間ぐらい続けて附帯決議をつけておったはずだと思います。私ども地方行政委員会が、この雇用人の通算についてなぜ附帯決議をつけたかといえば、これは大蔵特にはよく聞いておいていただきたいと思うのですが、満・日雇用人通算の問題なんですね。満・日雇用人通算というものを大蔵委員会で実施をせられたとなれば、本土の中にあって、雇用人で断続期間をお持ちの方を通算するということはあたりまえじゃないかということで、私ども繰り返し繰り返し附帯決議をつけてまいりました。ところが、なかなか実施に移されなかったわけでありますが、昨年の暮れの沖繩国会の際に、当委員会といたしまして、地方議員の方々共済に対して公的負担を出すという形での議員立法をいたしました。その際にこのことが問題になりまして、渡海自治大臣から、これが通算措置を講ずるための地方公務員共済組合法法改正をぜひとも次の通常国会には提案をいたしたいということを申されました。その公約が実行されて、やっと今度の国会にこの法律改正が出た。こういう経過であります。ところが、それではどういう方々の断続期間を通算するかということになりますと、これまた、大蔵省のほうではいろいろなお考え方をお出しになりまして、結局、旧長期が施行された日、昭和二十四年十月一日、それ以降の断続期間については通算をしましょう、しかし、それ以前はだめだ、こういうような御見解を承っておるわけでありますが、そうですか。鈴木さんにお尋ねをいたしたいと思います。
  141. 鈴木吉之

    ○鈴木説明員 現行の共済制度は、先生よく御存じのとおりに、公務員の職域保険として発足している制度でございます。したがいまして、その給付掛け金をかけた期間に見合って支給されるというのが本来のたてまえであろうというふうに考えております。  ところで、公務員、特に国家公務員関係について申し上げますれば、昭和二十四年にいわゆる旧共済制度ができておりますので、ただいまお話のございました地方公務員との関係においてその処遇を考慮する際には、やはり、公務員としては、制度の発足した二十四年の時点についてものを考えるのが適当であろうというふうに考えておる次第でございます。
  142. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 それならば伺いますが、年金制度、たてまえはよく承知しています。いまおっしゃることもお話としてはわかります。それならば、私反論したいのですが、満・日の雇用人通算を実施をしたわけですね。これは一体いかなる考え方で政府のほうは同意をされて、実施をされたのですか。
  143. 鈴木吉之

    ○鈴木説明員 国家公務員共済制度ができました旧共済の二十四年の発足時点における考え方といたしましては、引き続かない公務員としての在職期間につきましては、年金制度の発足をできるだけ早くするという考え方から、引き続かない期間につきましては、資格期間として考えて、年金の成熟をなるべく早めようということでたてまえを考えてまいっておることは先生よく御存じのことと存じます。  ところで、満・日のお話がいまございましたが、旧満州国等から引き揚げられました方々につきましては、敗戦という現実にかんがみましてその処遇を考慮することにいたした、その取り扱いでございますが、その際にも、共済のたてまえ、考え方といたしまして、引き続く期間としてこの処遇を考えるというたてまえでその処理をいたしてまいりております。したがいまして、法令の上でも引き続くということばは明確に出ておるわけでございますが、前後一体性のある期間として考えられるもの、並びに共済のたてまえから見てこれは救い得る範囲であるという考え方から処遇をしてまいりておるということでございます。
  144. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 たてまえを貫くとすれば、満・日雇用人通算は、そのたてまえからはずれていることは鈴木さんもよくわかっているわけですね。そうでしょう。ですから、いまのような持って回った御答弁をされておるわけなんでありまして、共済のたてまえということはある。あるけれども、しかし、敗戦というような特殊な事情もこれあり、共済のたてまえからはなじまぬけれども、しかし、満・日雇用人通算はやったということでしょう。とすれば、昭和二十四年十月一日というものを政令で切る、共済のたてまえということを考えればそれは一つ考え方だと私は思うのですけれども、しかし、この厚生年金は、あれは昭和十七年だったですか、実施をされているわけであって、厚生年金に当時入っておってずっと引き続くという状況等を考えまするならば、この雇用人の継続期間の問題については、当時厚生年金に入ろうと思えば当然入っておられたのに、公務員の雇用人だから別に入っていなかったということで、断続期間があったというものについて、さかのぼってみても、満・日の雇用人通算ということをやったということから考えれば決しておかしいことはない、私はかように考えるわけです。  文部省の管理局長さんにも来ていただいておりますし、自治省の公務員部長さんもおられるからお尋ねしたいと思うのですが、大体、戦争中、それから戦後、小中学校の先生が足らなかったわけですね。そうして、当時校長先生がどうしたかといえば、結局、その村で女学校を卒業した者はいないか、旧制中学を卒業した者はいないかというので、ウの目タカの目でさがして、たまたまいた、ぜひ学校の先生になってくれ、足らないで困っているというので、おがみ倒して、いやがるのを無理に先生になってもらったというようなケースはずいぶんあるはずですね。その方がやむを得ない事情等で一たんおやめになって、またその後おつとめになった。そして、助教としてその後認定講習をとるなり、あるいは通信教育を受けられる等いたしまして、現在の教諭の資格をお持ちになって教職におつとめになっているという方は多数おると思うのですね。それから自治省等の場合もそうだろうと思うのですが、たとえば旧制中学を卒業して、県庁なら県庁にお入りになる。これは当然雇用人ですよね。そうして、いまテレビで「藍より青く」というのをやっていますが、一月一日入営が十二月一日入営に一カ月早まったというようなことで、いろいろドラマが展開しておるようでありますけれども、ともかく、当時は、通常のからだを持っておる者ならば徴兵があるということは当然のことです。旧制中学を卒業して県庁につとめた、徴兵になったものですから兵隊に行かなければならぬ、そういう場合は、当時の例はどうだったのでしょうか、林さん。みんな退職をして兵隊に行かれたのじゃありませんか。それで幸い命を長らえて帰ってきた。そうしてまた、戦後も地方自治法の制度が大きく変わったために、県の仕事が非常に大きくなったでしょう。あなたは前に県庁におったのだからまた来ないかというようなことで県庁に入ったという人が、その後おつとめになって、そのまま雇用人でおる方もおるかもしれませんけれども、雇用人でなくて、現在は当然吏員として勤務されておるという方も相当あると思うのです。ところが、今度の政令でいけば、そういった雇用人の方の断続期間というものは通算にならぬのじゃありませんか。鈴木さん、そうでしょう。  当時の学校の状況を考え、あるいは当時の県庁の状況等を考えて、いま「藍より青く」というテレビドラマをやっているのですから、ひとつああいうテレビも見ていただいて、そういう中で、この「昭和二十四年十月一日」というようなかきねが、はたして、当時戦争その他で苦労した世代の人たちの御苦労に報いる道であるかないかくらいのことは、ひとつ夜静かに考えていただきたいと私は思うのです。この点、そういう状況であったかどうかということを文部省と自治省の方から御答弁いただきますと同時に、それに対する大蔵省としての御見解を鈴木さんから承っておきたいと思うのです。
  145. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 実は、具体的な数字はただいま持ち合わせておりませんが、ただいま山口先先が御指摘になりましたようなケースはあり得たかと思います。ただ、御承知のとおり、公立学校の教職員につきましては、二十四年十月一日以前は恩給法が適用されておりました関係上、御指摘のようなものでございましても、引き続き教育職員として任用された場合には、義務教育職員の期間は二分の一通算ということで行なわれておるわけでありまして、それに該当しないものがいま問題として御指摘の部分でございます。これにつきましては、ただいま資料を持ち合わせておりませんということを申し上げたわけでございますが、その者の処遇をどうすることが適当かということにつきましては、私ども文部省の気持ちといたしましては、非常に同情する気持ちは十分にございますけれども、一方、鈴木管理官からの御答弁もございましたように、共済のたてまえというものも他方にはあるわけでございますから、なかなか困難な課題ではないかというふうに考えます。
  146. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 中学校を卒業して県庁に入り、兵役に行くために、当時は、御指摘のように、退職をして行ったというケースが相当多いようでございます。この問題については関係省それぞれ打ち合わせをしておりますけれども、いまの共済のたてまえと申しますか、それらも維持しなければならないということから、今回はこういう線で話がついたということでございます。
  147. 鈴木吉之

    ○鈴木説明員 ただいま文部省、自治省からお答えのございましたとおり、たてまえを考えますれば、やはり、現在考えておりますようなことが適当であろうというふうに考えております。
  148. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 それは話が逆なんであって、自治省や文部省のほうは何とかしたいと希望を表明された。ところが、大蔵省の鈴木さんですか、古瀬さんですか、わかりませんが、がんとしてがんばったので、結局「昭和二十四年十月一日」でやむを得なかろうということになった。そういうように政府部内としての見解が不承不承ながらまとまっている段階では、文部省も自治省もそれ以上のことは、甘えないというのが実態じゃないですか。鈴木さん、そうでしょう。ですから、やはり、安嶋管理局長さんが言われたような気持ちを生かす努力というものをぜひともやっていただきたいものだと私は思うのです。  この点、私は、山中総務長官がおればお尋ねしたいと思ったのですが、おりませんからお尋ねすることはできませんけれども、特に、問題は沖繩ですよ。それでは、沖繩が、昭和二十一年、二十二年、二十三年というような段階では一体どういう状況であったかということですね。当委員会のここにおいての門司先生がその点は一番お詳しいわけでありますが、とにかく、一応アメリカの施政権下にあり、しかもまだ戦争直後でありまして、行政府というものもまだていをなしていなかった。そういう中で、当時の沖繩というのは非常に混乱をきわめておったわけですね。そういう状況を考えれば、沖繩の方々が今度祖国に復帰をされたわけだが、当時やはり学校もあったし、それから、ある程度住民サービスをするための役所というものもあったわけですね。それにつとめる公務員の諸君というものもあった。しかし、世相が混乱し、暮らしもたいへんだったわけですから、学校の先生をやめて他の商売に移り、また戻って学校の先生になったとか、あるいは、公務員をやっておったが、他の職にやむを得ない事情で移り、また公務員に戻った、身分は国家公務員だというような方は相当おったろうと思うのです。そういうときに、本土の場合は旧長期というものがある。それは昭和二十四年十月一日施行になったということはあるでしょうが、沖繩の場合はそうではなかったわけでありますから、せめて沖繩については、この政令の昭和二十四年十月一日という施行日を改めて、たとえば沖繩の場合は、国政分離の日である昭和二十一年一月二十九日にするとかいうことぐらいは当然考えてしかるべきではないだろうかと、かように私は思うのですが、この点、鈴木さんいかがでございますか。
  149. 鈴木吉之

    ○鈴木説明員 今回のいわゆる断続期間の取り扱いにつきましては、地方公務賃の場合に、町村合併とかあるいは財政再建整備というような事情のために、本人の意思に基づかずに退職させられたというような事例が非常に多い。しかも、もしも制度が早くから発足しておったとするならばこれは救われておったであろうというような事情からこの問題を検討してまいったことは、先生よく御存じのとおりでございます。そこで、国家公務員共済制度と地方公務員共済制度との期間のおくれというようなことを考慮いたしまして、ただいま申し上げましたような二十四年の旧共済法ができた時点でそろえようということで、関係省と相談をいたしたわけでございます。  ところで、沖繩の問題につきましては、その際にも実態がよくわかりませんので、まず、本土の現行の制度のたてまえとしてどのような調整ができるかということで考えましたのが、ただいまお話しがございましたとおり、特別な事情に基づいて昭和二十四年以降に退職し、さらに一定期間内に再就職したような人について救済の措置を考えようということでいま考えておるわけでございまして、沖繩の問題については、今後、その調査を進めた上でさらに検討をしてまいりたいというふうに考えております。
  150. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 沖繩は、いろいろな事情がありますから検討するというわけですね。ひとつ、よい方向で検討してください。  それからまた、本土の場合におきましても、先ほど来私もお話ししましたし、また、政府の内幕はたぶんそうではないかということで推定をいたしまして、申し上げた事情もあるやに想像されますので、そういう点も十分ひとつ勘案されまして、本土の場合におきましても、将来これが改善について御検討いただきますように、強く要請をいたしておきたいと思います。  これもまた、ひとつ、当委員会の附帯決議その他の課題として、委員長さんに十分配慮いただきたいと思うわけです。  それでは、これに関連してお尋ねしたいのは、PTA等に雇用されておりました職員の方々の問題であります。たとえば学校の給食婦さんというのがありますね。現在は、その後国会等でも問題になりまして、交付税の基準財政需要額の算定にあたりまして、給食婦さんについては、標準規模の学校では何人というような形で算定をいたしておりますから、現在の学校給食に従事しております方々は、これは地方公務員であって、そうして市町村がその給与を支弁をしておるという形になっていると思います。しかし、学校給食発足の当時は、そういう形で基準財政需要額への算入もなかった。やむを得ずどうしておったかといえば、PTAがこの給食婦さんを雇用する、そうして学校の給食に働いてもらうというような形をやむなくとっておった時代があったと思うのですね。そういう方が、その後、先ほど来私が申し上げたような基準財政需要額の算入にも対象になり、現在は地方公務員だということになっておる。ところが、このPTA雇用期間だった方が引き続いて地方公務員になっているのですが、PTA雇用期間というものは当然年金の対象にはならない遺物だと思うのですね。しかし、年金については、掛け金をかけているのがたてまえだ。これは共済のたてまえです。しかし、掛け金をかけていなかった場合は、掛け金をかけている分だけを減らして通算をするという措置があることは、これは皆さん御存じのとおりだろうと思うのです。ですから、したがって、このPTA雇用期間につきましても、共済組合員期間としての通算措置をとるということは決してできがたいことではないのではないかと私は思うわけでありますが、この点は、自治省と文部省の御見解を承っておきたいと思います。
  151. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 戦後の地方財政が非常に苦しいのに新しい仕事がぐんぐんふえた時代には、確かに、御指摘のように、PTA雇用でもって学校給食の仕事に従事した方々があるということは事実でございます。ただ、現在から見て、そのときの勤務形態が、大多数の方々はいわゆる常勤的でないという感じが多いように承っておるわけでございまして、たとえば、土曜日は給食がないから出勤しなくてもいいとか、普通の日も食事の前後三時間か四時間にわたっていて、いわば非常勤職員と同じ形態である場合には、たとえ、やっておる仕事が本来は公共団体がやるべき仕事であるのにたまたまそのときにPTAが雇ったということでありましても、勤務形態がそういうことであった場合には、これを通算することはむずかしいのではないか、その辺の実態を確かめないとちょっと結論が出しにくい問題ではないか、と、かように考えておる次第でございます。
  152. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 ただいま自治省のほうから、実態がわからなければお答えしがたいということでございましたが、私も、それにさらにつけ加えまして、どういうふうに判断をしていいのか、ただいまちょっと、先生の御質問を消化してお答えするのに用意がございませんので、さらに実態並びにその制度のたてまえ等を十分検討させていただきたいと思います。
  153. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 学校給食は文部省がお始めになったのですから、自治省よりは文部省のほうが実態に詳しいということでないと実は困るのじゃないかと思うのですが、それはいいです。それはその当該町村によって実はいろいろな形態もあっただろうと思うのです。通算になじむような形態もあっただろうし、なじますことが無理のような雇用形態もあったかもしれません。ですから、これはひとつ実態を御調査をいただきまして、そうして、常勤的職員としての勤務をやっておったが、ただ、雇用関係がPTA雇用であったという者については、ひとつこの年金通算の措置を講ずるように御検討いただきたい。  同じような趣旨で、学校に学校図書館の関係の職員がおられますね。これも学校教育法がちゃんとしておればいいのだが、そうでもない。ただ司書教諭を置くことができるというかっこうになっている。そうすると、県や市町村給与を支弁しない。やむなく、高等学校のPTAだとか、あるいは中学校のPTAで雇用をして、そうして常勤的に学校図書館の仕事に携わっておったというような方々もおられたと思うのですね。そういう方についても、ひとつ実情を調べて前向きに御検討いただくように強く要請しておきたいと思います。  時間の関係もありますからその次に進もうと思いますが、次は短期給付の問題であります。これも山中総務長官がおるところで議論をすればよかったと思うのですが、沖繩の問題であります。  沖繩におきましては、医療施設が非常に貧弱である。現に沖繩特別措置法におきまして、本土にはない介輔というような制度実施をしなければならぬという状況であります。それから、沖繩におきましては、短期給付の場合は、現物給付ではなくて、一たんお金を払って、あとから払った分に対してそのお金が戻ってくるというような、本土でもかつてそういう時代がありましたが、そういう方式を現在も実施をしておったという二つの関係がございまして、この短期給付掛け金が非常に安いわけですね。千分の二三十。ただし、これは、ボーナスその他も全部ひっくるめておりますから、総報酬制でありますので、本土の短期給付とは若干方式が違います。政府管掌の国民健康保険につきましては、従来千分の七十、今度の衆議院を通った法案では千分の七十三ということになっておりますが、これは標準報酬制である。ところが、共済組合の短期給付については、これは本俸に対する割合であります。そういうことで  ルールが違っておるから一がいに比較はできませんけれども、たとえば千分の三十。総報酬制。これを政府管掌の国民健康保険の標準報酬制に直せばたしか千分の四十程度ではないかと思います。それから、これを短期給付に直しますと、これは本俸ですから、さらにこれが千分の四十五ぐらいになるのですか、五十ぐらいになるのですか、そういう形になるでしょう。で、これを本土の制度をそのまま適用することになれば、民間の諸君はこの千分の三十、標準報酬で千分の四十程度のものが千分の七十三ということになれば、非常に掛け金が上がるというかっこうになります。また、公務員の諸君に例をとりましても、まあ、公立学校共済は先生方の給与が高いということもあるかもしれませんが、たしか、短期給付の場合、財源率が千分の六十あるいは六十四ですか、ということでありましても、従来の率から見れば高いわけですね。ですから、そういうことを考えますと、少なくとも沖繩の公立学校の先生方、沖繩の市町村の職員の方々あるいは沖繩県庁の職員の方々、こういう方々の短期給付については、当然特例を設けて低くしなければ実情に合わないし、また、自民党さんが方々にポスターを張られましたような、沖繩をあたたかく迎えようという公約にも相反する結果になるのじゃないだろうかと、私はこういうふうに思うのです。したがいまして、結局、沖繩をあたたかく迎えようというようなポスターをお張りになった自由民主党の政府のもとにある自治省、厚生省、文部省でありますから、当然、特例を設けてこれは下げるのではないかと私は推察をするのですが、これはいかがでございましょうか。
  154. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 御指摘のように、医療機関が非常に未整備であるということ、したがっていままでの受診率も低いということ、受診率が低いがために、いままでの、医療費についての負担金が少なかった。今度本土並みになれば、倍とまでは申しませんけれども、何割か上がるという事実は確かでございます。そういう意味で、何らかの経過的措置が必要であるという声も現在相当あがっておることも事実でございます。しかし、反面、今度は、従来の現金給付が現物給付になるだろうということもございます。それから、今回の健康保険法の改正の影響もございまして、受診率がいままでよりもさらに上がるのではないかという推察もされておる次第でございます。これをどうすべきかということについては、いろいろな議論が政府部内で現在ございますけれども、まあ、地方共済といたしましては、政府管掌健康保険の行なう方法ということの均衡も考え、かつまた、国家公務員との均衡も考えなければいけないので、返ってきた後の受診の状況その他のデータも少しとらえた上で、さらに検討を、重ねてまいりたいという考えで現在おります。
  155. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 新たにできた沖繩の市町村職員共済、これの短期給付につきましては幾らということにいたしましたか。
  156. 佐野政一

    ○佐野説明員 これは、短期給付のほうが千分の五十、それから福祉の財源率として別に千分の五、合わせて短期の掛け金負担金は千分の五十五でございます。
  157. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 市町村職員の短期給付につきましては非常に醜いのがあるわけですね。これはあとでまた議論したいと思うのですが、たとえば、青森のごときは千分の九十七ぐらいになっているでしょう。とにかく、百近いものがあるわけですね。そういうものがある。しかし、沖繩の場合には、介輔というような本土にない制度もある。医療機関の充実をしていない状況の中で、千分の五十でできる、福祉の財源を含めて千分の五十五でよろしい、こういうことになっておるわけですね。とすれば、やはり、自治省として、自治省がみずから判断できる市町村共済の短期給付については、低いものでやれるという判断をやったわけでしょう。とすれば、もし特例を設けなければ、今度は、沖繩県庁の職員なんかは、ずばり高いものを適用しなければならぬということになる。  それから、鈴木さん、今度は結局沖繩開発庁というのができた。そうすると、当然各省の国家公務員が大ぜい沖繩に行くわけですよ。短期給付を見れば、財源率はたしか千分の七十とか八十とかいう状況でしょう。市町村職員のほうは千分の五十で間に合うのが、沖繩に行った開発庁の国家公務員は短期給付千分の八十というようなことでは非常に不均衡になるでしょう。ですから、そういうことを考えれば、当然この特例を設けて、沖繩の県庁の職員、それから沖繩の国家公務員諸君の短期給付については安くすべきだと私は思うのですよ。  それから、厚生省のほうにお尋ねいたしますが、何といいましても、政府管掌の健康保険法がいわば母法であって、これが中心なのであって、沖繩の民間の諸君のことを考えれば、本土では当然料率が千分の七十三になるということになっても、沖繩は、暫定的に、たとえば千分の四十五にするとかいうような形にしなければ実情に合わないと私は思うのです。この点を実は大蔵委員会で議論をいたしまして、あまりいい御答弁をいただかなかったのですが、その後、大蔵委員会では、理事会を開いて、附帯決議についても相談をされて、沖繩の短期給付については特例指貫を設けて暫定的に低くしたらどうか、そのように検討せいというような附帯決議もつけたという新しい状況もあるわけですね。厚生省の方も、私が大蔵委員会でお尋ねしたものですから、大蔵省の主計局次長以下大蔵省の人が大ぜいおったのでどうもいい答えをしにくかったという客観的な事情はわかりますよ。そう思って拝聴しておったのですけれども、きょうは大蔵委員会じゃなくて地方行政委員会であって、大蔵省は鈴木さんしかおらぬ。それから、大蔵委員会では附帯決議をつけたという新しい客観的な事情もあるのですから、ここでは政府管掌健康保険について、沖繩については特例措置を設けるつもりだというくらいの御答弁があってしかるべきだと思うのですが、いかがですか。
  158. 江間時彦

    ○江間政府委員 先日大蔵委員会で先生から御質問を受けまして、また、それに関連した附帯決議も出たということは私もよく存じております。その後さらにいろいろとわれわれは検討を重ねて去る次第でございますが、現在の段階におきましては、先日大蔵委員会でお答えしたこととあまり建ったことを申し上げるというところまでは来ておらぬわけでございまして、先日も申し上げましたけれども、政府管掌健康保険といいますのは、収人、支出とも、各県ごとそれぞれ実態は違うのですけれども、全国一本プールで運営しておるという関係から見まして、例外なく全国一本の保険料率であるというたてまえになっております。  それから、先生のおっしゃるように、保険料率がいままでに比べると相当上がるということも確かに事実でございます。これまた先日申し上げたところでございますけれども、現金給付から現物給付に変わるということは、やはり、給付の質的な大きな転換を意味するものでございまして、たとえて言いますと、現物給付体制のもとである一時期に現金給付が行なわれるということになりますと、受診率の低下が非常に目に見えて違ってくるということも事実でございまして、われわれの予想といたしましては、おそらく先生のおっしゃったような医療供給体制の不備という実態は若干ございますけれども、しかし、やはり、私らの考え、では、相当受給率が高くなるということも予想いたしております。先生がおっしゃったように、確かに医療供給体制の面については問題がございまして、これはわれわれ別の面で考えなければならないというふうには思っておりますし、保険料で考えるというよりも、むしろこれは医療行政のワクの中で十分考えてまいりたいと思っております。まあ、いずれにせよ、現在の段階では検討中でございますけれども、それほど変わっておらぬわけでございます。
  159. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 まあ、検討の結果の歩みがおそいということであって、牛の歩みのような検討を、馬の歩みくらいに少し変えていただきまして、いい方向を出していただくように、また、大蔵委員会の附帯決議趣旨もあるわけでございますし、当委員会でもたぶん同じような附帯決議をしていただけるものと期待をいたしておるわけでございますから、そういう中で前向きな御検討をいただくように強く要請をしておきたいと思います。大蔵省の鈴木さんのほうも、大蔵委員会で附帯決議がついたんですから、そうそうあまりこだわらないで、ひとつ前向きに解決できますように、これまた強く、要請をいたしておきたいと思います。  ちょうど大臣が参りましたので、早速で恐縮ですが、お尋ねしますが、いま、沖繩の、医療供給体制が悪い、介輔というような本土にない制度もある、それを今度本土並みの短期給付財源率を適用しますと、掛け金が非常に上がる、これくらいはせめて実情に応じて特例措置を講じたらどうか、ということを実は申し上げておるわけであります。自治省のほうはその点たいへん御理解がございまして、自治省のほうできめることのできる市町村職員共済のほうは財源率千分の五十、他よりも著しく低い財源率でおきめいただいておるわけでありますが、そうすると、市町村職員のほうは掛け金が少なくて済むけれども、沖繩の県庁職員は痛くなる、それから沖繩に行く国家公務員の誰君、開発庁の職員が大ぜいおるわけですから、こういう方々掛け金も高いということではたいへんまずいだろう、また、民間の諸君も本土と同じ政府管掌の料率千分の七十あるいは千分の七十三を適用されるのでは掛け金が非常に上がる、こういうことについては、ひとつ政令で各段階において十分実情に沿った措置を講じていただきたい、大蔵委員会もそういう附帯決議をつけたという中でひとつ判断をいただきたい、こう申してきたわけでありますが、大臣、要するにそういうことですから、こまかいことはいいですから、できるだけ大蔵委員会のこの意向に沿い、あるいは本委員会でも附帯決議をつけるかと思うのですけれども、そういう意向に沿って、沖繩の諸君の短期給付掛け金が著しく上がらぬように努力をしようというくらいのお気持ちをぜひ持っていただきたいと思うのですが、いかがですか。
  160. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 ただいま来たところでございまして、事務当局から、この点につきましてどの程度の話し合いが進んでおりますか、十分まだ承知いたしておりませんが、たしか、沖繩の国会のときにも非常に問題になりまして、いま山口委員御指摘になりましたような趣旨で私も答弁さしていただいたと思いますので、今後とも御趣旨に沿うように努力いたしたい、かように考えます。
  161. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 これはぜひお願いいたします。  それから、これまた沖繩の問題でお尋ねしたいのですが、実は、昨年の沖繩国会で、私が特に大臣にお尋ねをした問題です。沖繩にある放送局、OHK、今度祖国に復帰をいたしまして、これはNHKに統合されるわけですね。その場合、NHKの経常委員というのがおりますが、各ブロック八人か九人で構成されておるようでありますが、これに対してOHKが、NHKに統合されたということも考えて沖繩からNHKの経常委員を一人ふやして経常委員に任命をするということで、政府のほうは態度をおきめになった。しかるに、同じような意味での公立学校共済組合運営・審議会の委員が十六名ですね。労使折半、八人、八人というかっこうでできております。それから県庁職員の場合、これは地方職員共済組合、これまた運営審議委員は十六名ですね。これまた八人、八人の構成です。それから市町村職員の場合は、市町村職員の市町村組合連合会、この組合会議員というのがおるわけですね。これは各県の連合会の理事長さんが全部御出席になるわけですね。これが四十六名。今度沖繩が入りますから四十七名ということになるでしょう。これに対して、職員を代表する者が組合員から互選でもって選ばれるようでありますが、現在十一人ですね。こういう状態。それを考えますと、少なくとも沖繩において公立学校の理事会のほうを代表する人、公立学校共済組合運営審議会委員を十八名にして、使用者側の代表の人も一人ふやし、それから現場の先生方の代表も一人ふやして、九人にする。それから地方職員共済の場合も、これまた九人、九人というふうに一人ふやしたらどうか。それから市町村組合連合会の組合会議員、これは沖繩県になるわけですから、四十七人になるから、そちらはいいわけでありますが、組合を代表する諸君が十一人、これを一人ふやして十二人というような形で、この共済組合の運営に、せっかく沖繩をあたたかく迎えようというスローガンもしいたわけでありますから、そういうことを現在の政府がおやりになりたいというお気持ちを持っておるならば、せめてそのくらいのことをやったらどうかということを実は沖繩国会でお尋ねをいたしたわけであります。何とか検討してみようというお話だったわけでありますが、残念ながら、今度の法律改正拝見をいたしますと、その点が出ておりません。これはどうも非常に残念であります。何とかなりませんか。いかがでしょう。
  162. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 いま山口委員御指摘のとおり、沖繩を審議しましたときの国会におきまして、検討させていただくことをお約束した次第でございますが、その後、私の聞いておりますところでは、各関係方面とも十分協議させていただきまして、法そのものは、現在の制度によりまして全般的な意見を取り上げさせていただくことについては、改正するまでもなく、全体の意思を代表して運営できるであろうということでございましたが、経過的な措置でもございますので、沖繩に対しましては、特別に審議会等にも出席を願うということで、事実上は運営面において措置をするということで協議願ったと聞いておりますので、今後ともそのような運営で、山口委員御指摘のような実があがりますように、審議会等の運営を見守ってまいりたい、かように考えます。
  163. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 そうしますと、法律改正して運営審議会委員なり組合会議員の人数はふやさないけれども、運営審議会が開かれる際、あるいは連合会の組合会議が開かれる際、必ず沖繩の代表をお呼びをして、オブザーバーとして大いに発言をしていただいて、沖繩の事情が運営審議会なり連合会の組合会議に反映するように措置をいたしたいというふうに了解してよろしいわけですね。
  164. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 そのような関係者の皆さま方との話し合いで措置させていただくことにしたと思いますが、具体的な問題でもございますので、一応事務当局からも答弁させていただきます。
  165. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 そのとおりでございます。
  166. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 文部省にもお尋ねしたいと思うのですが、文部省も、公立学校共済組合運営審議会がありますね。その場合、やはり沖繩の教育組合の代表を一人出席をするように手配をする、それからまた、沖繩の教育、長さんが共済組合の支部長になるでしょうから、その支部長にも御出席をいただくように手配をするという形で、沖繩現地の実情が十分公立学校共済組合審議に反映するように、文部省においても責任をもって措置する、かように了解してよろしゅうございますね。
  167. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 そのとおり準備を進めておりまして、公立共済の運審は年二回ということであります。必要な旅費といたしまして、約三十万円用意するようにいたしております。
  168. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 ほんとう法律改正して、せめてOHKとNHKのような状態にしていただきたいと強く希望しておったわけでありますが、残念ながら実現をいたしませんで、力の足らざるところを反省しておるわけでありますが、沖繩の方々の意向が各種共済組合の運営に十分反映するように、今後とも十分配慮をいただくように要請をしておきたいと思います。  以上で厚生省と文部省の方はけっこうです。あとは自治省と総理府と大蔵省の方に若干お尋ねをいたします。  短期給付の問題なんですが、沖繩は千分の五十で財源率が済むというわけですね。掛け金はしたがって労使折半、千分の二十五で済むということなんですが、東北の市町村共済、短期給付財源率を見ますと、千分の百をこえるものがあった。その後若干低下をしつつあるようですけれども、いま聞きましたら、青森が千分の九十七ですか、という状況ですね。非常に高いのがあるわけなんです。そこで、千分の九十をこえる県はどこであって、その率は幾らかということをひとつ事務当局から示してください。その上でまた大臣にお伺いしたいと思いますから。
  169. 佐野政一

    ○佐野説明員 高いところから申しますと、千分の百が熊本と徳島でございます。それから千分の九十八が秋田、その次に、青森が九十七、岩手が九十六、岡山が九十六、香川が九十四、北海道が九十四それから高知が九十二・五、愛媛が九十一でございます。以上でございます。
  170. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 そういうわけで非常に高いわけですね。実は、私、野田自治大臣のときにもこの問題をお伺いをいたしたのですが、これは自治省限りで措置をとろうとすればできるわけですね。ですから、たとえば、岡山、岩手あたりの千分の九十六なら九十六というものを押えて、それ以上荷いものについては、その分は使用者のほうで持ちなさい、市町村のほうで持ちなさい、その必要な経費については自治省として財源手当てをする、と、こういうような方式をとれば、一応の最南限度を押えて、組合員の掛け金一定以上のものはカットして下げるということは可能なわけなんですね。そういう質問をしたら、それについて野田自治大臣は、これは自治省でできるものですから努力をしますと言い切ったわけなんです。その後、秋田さんにもお尋ねをいたしまして同じような趣旨の御答弁をいただいておるのでありますが、実情を調べましたところ、昭和四十六年九月に省令を出して、何とか最高限度を押えて安くしようと思っておられたようでありますが、たまたま政府管掌健康保険の料率の改正等が政府部内でも問題になり、国会の問題にもなったわけでありますけれども、そういう状況を見てということで、一応最高限度を押えて、その分は何とか措置しようということはそのまま、いわば実施をされないまま今日に至っておるというお話であります。野田自治大臣の際からの自治省の公約なんですから、これはいままで実施をされないということは非常に遺憾だと私は思うのです。怠慢だと言っても差しつかえないと思いますし、あえて形式ばって言えば、国会軽視ということにもなるわけであります。どうなんですか。これはひとつ勇断をふるって、せめて最高限度を千分の九十くらいに押えて、それ以上のものについては何とか措置するというくらいのことをやったらいかがですか。
  171. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 当時、野田自治大臣のころ、お約束といいますか、そういう意思を申しました。その意思はいまも同じように持っております。やめたということではございません。いま先生御指摘のとおり、たまたま健康保険の抜本改正の問題がございましたので、その成り行きを見ているというような実情でございますが、今度の健康保険法の改正によりまして、医療費が上がる部分と、一部負担その他で下がる部分がございますので、どういう影響があるかということをちょっとつかみかねておりますけれども、両方相殺いたしますとやや下がるのではないかという予想が立つ。いま事務当局のほうではじき出しますと、そういうのが出てまいります。しかし、それも、〇・一%とか、言うに足りない数字でございますので、この成り行きを見た上で、この前お約束しました措置ははっきりとっていきたいという考えを現在も持ち続けておるわけでございますので、御了承を願いたいと思います。
  172. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 意思は持っているけれども実行しないということは、する気がないのと同じなんですよ。そうじゃありませんか。大臣、そういうことでは困ると思うのです。野田自治大臣から秋田自治大臣になり、自動延長で二回にわたって秋田、自治大臣がおやりになって、それから渡海自治大臣になられたわけなんですね。もうずいぶん前の話なんです。ですから、野田自治大臣が当委員会においてお約束をいたしましたこと、その気持ちはそのまま持っているけれども実施はしないということは、これはやはり困るわけでありまして、ひとつ、最樹限度を押えて、そのものについては措置をするということを、気持ちを持っているだけじゃなくて、実行するということをお約束いただきたいと思うのですが、いかがですか。
  173. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 私もどういうふうなところにこの問題の根本があるかということをいまちょっと思いかねておるのですが、確かに、この問題と真剣に取り組んで検討さしていただいたこともありまして、その実情はよくわかっております。ただ、そのときに感じましたのは、いま言われましたように、掛け金から見まして非常に財源率の、悪いところでは、最高限度を設けて押えるべきじゃないかという議論は当然でございますが、それでは、どの程度を最高限度にするかという点は、他の保険関係等と給付内容が非常に違う点もある。それらの適正化といいますか、そういうような点で非常にむずかしかったように考えております。しかしながら、いま言われましたような問題は、ある程度その適正化と均衡化とをねらって最高限度を押えるべきであるということは、これはその当時も議論になっておりました問題でございまして当然のことであろうと思います。野田大臣、秋田大臣等が言明されましたのも、おそらくそれらの点を考慮して、し得るという自信を持って省令作成にかかったのではなかろうかと思います。  たまたま今日健康保険がどこともに赤字のような姿になっておる。その根本が保険給付の単価等の問題にあるということは事実でございまして、この問題がいま審議され、解決の方向に向かっておりますので、いま事務当局が答えました線で、約束が果たせずにまことに申しわけないのでございますが、そういう推移をながめまして、いかようになりましても、御趣旨の点におきまして解決をいたしますということだけは、私もお約束をさせていただきたいと思います。また、しなければならぬと思っておりますので、よろしく御了承賜わりたいと存じます。
  174. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 ぜひとも実行をお願いいたします。  公務員部長、政府管掌の健康保険は、現行は千分の七十ですね。これが衆議院を通った案では七十三ということになっておりますが、これは標準報酬ですから、本俸に直せば若干狂ってくると思いますが、政府管掌健康保険の千分の七十ないし七十三を本俸に引き直した場合の財源率、それをこえるものについては最高限度を設けて抑えるいうくらいは約束できるんじゃありませんか。どうですか。
  175. 佐野政一

    ○佐野説明員 いまの政府管掌健保の制度とこちらのほうの制度と比較いたしまして財源率をはじきますと、給料と標準報酬の違いで直しますと、これが八十・七五になります。千分の七十を給料に直しますと、千分の八十・七五でございますが、そのほかに、法定給付でこちらのほうが有利になっておる部面、それから付加給付がございます。そうしたものを織り込みますと、付加給付を従前の法定給付の、百分の十で算定いたしましたのが千分の九十二でございまして、現在付加給付は百分の十五まで認めておりますので、そういたしますと、千分の九十六になります。  それから、千分の七十三で計算いたしますと……。
  176. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 いいです。
  177. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 この前これを実施に移そうという場合の目安も、一応政府管掌のものに比べて、それよりもさらに上回る部分くらいはという議論になっておりまして、実施するときは当然それを配慮するということになっております。
  178. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 それでは、あと若干お尋ねをしたいと思いますが、小田村審議室長さんにお尋ねいたしますけれども、公的年金制度調整連絡会議はそれぞれ御検討いただいておるようでありますが、全部お伺いしましても時間がたいへんですから、この中で、公務員グループにおいては一体どのような審議を今日までやってこられましたかということをひとつ御報告をいただきたいと思います。
  179. 小田村四郎

    ○小田村政府委員 先生御存じのとおり、昨年一月に公的年金制度調整連絡会議といたしまして中間取りまとめを行ないまして、四つのグループに分類したわけでございます。そのうちで公務員グループでございますが、公務員グループは、国家公務員共済組合を所管いたしますところの大蔵省、それから地方公務員共済組合を所管いたします自治省、並びに公企体の各共済を所管する各省がございますけれども、それの代表といたしまして運輸省、この三省で構成することにいたしました。この三省の中で大蔵省が一応座長という形で審議が進められておりまして、昨年一月以来今日まで五回の会合が持たれております。  審議内容について申し上げますと、まず、恩給の年額の改定方法及びその改定率の算定方法につきまして、共済年金との関連性を検討いたしました。次に、国家公務員、地方公務員、公企体職員の各共済制度につきまして、相違点を調整することの可否、それからスライド制実施いたします場合の影響等についての検討が行なわれました。さらに、当面する年金額改定につきましての事務の簡素化、これを具体的にどういう方法で行なうか、及びその簡素化を行ないました場合の年金受給者への影響、こういうものにつきまして検討が行なわれたわけでございます。  以上の検討を行ないました結果、事務の簡素化措置につきましては一応の結論が出ましたので、今国会において現在御審議をいただいております各共済組合法改正法案にこれは織り込むことにいたしたわけでございます。  なお、本年度におきます年金額改定につきましては、昨年と同様に、恩給改定に準じて行なうということにいたしたわけでございます。  なお、公務員グループ審議の詳細につきましては、一応以上申し上げました三省が審議いたしておりますので、大蔵省あるいは自治省のほうからお答え申し上げることが適当かと思います。
  180. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 大蔵省も自治省もおられるわけでありまして、公務員グループが今日まで審議をしてまいりました経過の詳細について、資料として、当委員会のほうにぜひ御報告をいただきたいと思います。各党ともいずれも、年金スライドは一体どうなっておるという質問がみな集中しているわけでありますから、その意味で、公務員グループ審議経過の詳細を、文書で、委員会資料として提示をいただくようにお願いをしたいと思います。
  181. 大野市郎

    大野委員長 承知いたしました。
  182. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 その上で大臣にお尋ねしたいのですが、実は、山中総務長官がおりますときにも申したのですが、この問題は、藤枝さんが自治大臣でありますときに、先進国みなスライド制実施しているじゃないか、したがってこれは一日も早く実施をせよということをお尋ねいたしまして、藤枝さんが、それじゃ三年以内に結論を出しましょうという明確な御答弁を実はなされたわけなんです。ところが、その後自治大臣がかわりましたのですが、なかなかはかばかしくいかない。三代目になりました際にも、たしか秋田自治大臣だったと思うのですが、一体どうなっていると言いましたら、そういう御答弁があったことも忘れておったということで、非常にがっかりしたわけでありますが、その後、山中総務長官に当委員会に毎年御出席をいただきまして、少なくとも恩給年金等の中心になっている総務長官が中核となって、スライド制について一日も早く答えを出すべきじゃないかということで質問を続けてまいったわけです。本日も同様の趣旨でお尋ねをいたしまして、恩給については、明年度予算編成の際に、従来のルールを一歩改善する方向で努力をしてみようというような趣旨の御答弁もあったわけであります。このスライド制をどうするということになれば、総理府ももちろんそうでありますが、大蔵省、自治省等が、国家公務員共済地方公務員共済を握っている立場から、やはり大きな影響力を持っているわけであります。藤枝自治大臣のかつての答弁を頭に置かれて、自治大臣として、この問題について積極的な対処をいただきたいと思うのですが、いかがですか。
  183. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 実は、きょう閣議の際に、当委員会におきまして山中総務、長官御出席の上答弁願うという連絡がございまして、私もよろしくお願いしておいたような次第でございます。  山中総務長官がどのような答弁をされましたか、私お聞きしていないのでございますけれども、スライド制の問題は、当面するわが国の共済制度の一番大きな問題であろうと思います。当然何らかの形でこのような制度に持っていかなければならないという姿で、三年間という期限を切って、藤枝大臣は御決意のほどを申されたのであろうと思いますが、同時に、これは、公務員関係のみならず、他の方面におきましても、スライド制の問題が年金制度等につきまして問題になっておるような実情でございます。各個ばらばらになっております財政でございますが、一日も早く、現在のわが国の実情に合った共済制度の中からスライド制を持ち出す道を考えなければならぬという必要性についての考え方は、私も藤枝大臣と気持ちは変わらないものでございます。ただ、いま申しましたように、それだけにむずかしい問題が存在しておるのではないかと存じますが、藤枝大臣のお答えを念頭に置きまして、私なりに、早期実現のために全力を尽くすことをこの際お誓いさせていただいて、答弁にかえさせていただきたいと思います。
  184. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 あと、事務的な点を幾つかずらっとお尋ねをしたいと思います。  在職中死亡されました非公務の場合——公務の場合は、当然地方公務員災害補償法が適用になるわけでありますが、非公務の場合は、十年以上の在職者でなければ遺族年金が支給されないという仕組みになっております。ところが、民間の厚生年金におきましては、六カ月以上在職をすれば、非公務でなくなりました場合も遺族年金が支給になる。こういうことであります。六カ月と十年ではあまりにも差がひど過ぎるわけでありまして、これは当然十年を短縮すべきではないかと考えます。この点、次の法改正においてぜひとも短縮を実施していただきたい。これも塩川委員がお尋ねをしておったわけでありますが、当委員会も、何回も附帯決議をつけておりますので、その附帯決議に沿った法改正をしていただきたいと思いますが、いかがでありますか。  それから、最低保障ですが、十五万であります。これをせめて二十五万くらいに引きしげたらどうかと考えております。最低保障十五万を引き上げる考え方はいかがでありますか。  それからまた、高級公務員方々の場合ですが、これはかつて十五万頭打ちでありまして、これは実情に合わぬ。そういうことをするから高級官僚の、大下り等が問題になるのだ、したがって、十五万をもっと引き上げたらどうかということを私どもは繰り返し主張いたしました。昨年これが十八万五千円に改善をされましたが、しかし、ここにおいでの宮澤行政局長さんとか林公務員部長さんの給料は十八万五千円をはるかにこえるのではないかと推察をいたします。そういう頭打ちをするということもいかがか。また、これは、地方議員の頭にもこれが右へならえになるわけなんですね。そういう事情も考えて、これを改善することは必要ではないかと思うわけでありますが、それに対するお考えはどうか。  それから昭和三十三年の十二月以前の退職者におきましては、市町村の職員の場合、最低保障の十五万も対象になっていないわけなんです。そうすると、非常に低い年金を受給している方もおるわけです。したがって、最低保障をすべての退職者に適用したらどうかと思います。これに対する考え方をあわせてひとつお答えをいただきたいと存じます。
  185. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 御指摘をいただきました点、いずれも従来から懸案の問題になっておりますし、しばしば附帯決議でも御指摘をいただきました点で、私たち事務当局も当然考えなければならない問題だと考えておるわけでございます。要するに、給付内容をよくしていくという方向の努力は、必ず、財源の問題と、もう一つは他の制度との均衡というところにぶつかりまして、一つ一つをそういう観点から洗い直し、そして協議をしてまいるわけでございますが、いま御指摘いただきましたところの、まず、遺族年金の十年の問題、それから最低保障の問題、さらには十八万五千円頭打ちの問題、いずれもしかるべき時期に措置をしたいということで、前向きな態度で検討いたしておる次第でございます。  それから、最後の三十三年以前の問題も、これは恩給法との関係で、十五万よりももっと低い最低保障でしかないようでございますけれども、これも同様に、これでは年金化活の方々生活の最低を見るにもならないという現実であることは認識いたしておりますので、これらを全部ひっくるめて前向きに検討してまいりたい、こういうふうに思っております、
  186. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 大蔵省いかがですか。前向きに御検討するお気持ちは変わりないでしょうね。
  187. 鈴木吉之

    ○鈴木説明員 十年の遺族年金の問題につきましては、旧共済法時代に二十年であったというような沿革もあるわけでございまするが、現在の新共済法ができます際に、共済制度全体として、どの程度の在職期間があった者については職域として保障していこうという考え方に立ってでき上がっておるのが現行制度でございます。  ところで、先生御指摘のとおり、現在、他の年金制度におきましては、半年とか、あるいは一年というようなものもあることは事実でございまして、実は、私どもの国家公務員共済組合審議会のほうでも、この問題について検討すべく取り上げるようにいまやっておりまするので、その結果等も考慮しながら今後検討を進めてまいりたいというふうに考えております。  なお、最低保障の問題につきましては、他の年金制度恩給等との関係から、現在、共済制度についても最低保障ができておるわけでございますが、これも、今後とも他の制度との関連を考慮しながら検討を当然進めていかなければいけないというふうに考えております。  もう一点、最高限度の問題につきましては、過去十一万を十五万に引き上げ、昨年、先生御存じのとおり十八万五千円に引き上げてまいったわけでございまするが、今後とも、公務員給与の実態を考慮しながら検討をしてまいりたいというふうに考えております。
  188. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 最後に二点お尋ねしたいと思うのですが、沖繩の共済制度と本土の制度とだいぶ違うところがあるわけであります。たとえば、雇用人通算の問題もそうでありましたし、それから、額の計算の特例におきまして、雇用人の場合、雇用人相当であった期間にあっては百分の一・一五もしくは六十分の一というのが、本土の方式では百二十分の一・一ということで、下がります。それから、すでに支給されている現給等の控除の場合でありますが、木上におきましては二分の一方式でありますが、沖繩は十分の一方式であるとか、あるいは恩給公務員相当の者の取り扱いでありますとか、あるいは臨時職員期間の取り扱い等におきましても、沖繩からいろいろな要望も出ております。水道公社の職員の期間の通算の問題につきましては、これは自治省の御努力で解決をいたしまして感謝をいたしておりますが、いま申し上げたように、本土の制度と沖繩の制度が違ったために既得権を確保されたいという意味での要望、あるいは取り扱い方式が違うために沖繩側から出ておりますところの各種の要望、こういうものにつきましてはできるだけひとつ考慮をいただきたいものだと思っている次第であります。それに対する御見解を承りたい。  それからさらに、今度当委員会に公有地拡大推進法案が提案をされました。衆議院を通りまして、本日参議院地方行政委員会で可決をされたと承っておるわけでありますが、当然、今国会でこの法案が成立をすると思います。そうしますと、土地開発公社というものが公法人として設立をされるわけですね。各自治体から出向する方もおありだと思うのですが、公社自体の職員というものも当然これから採用になる可能性はあると思います。そういたしますと、さきに住宅供給公社の場合、わざわざ法律改正いたしまして、地方職員共済でくくったわけですね。その際に、厚生省の側から相当クレームがついた。しかし、そういう中で法改正をすることによって住宅供給公社の職員の要望にこたえることができたという経過がございました。今度の場合、一たんできてしまって、土地開発公社の職員が採用される。そうすると、当然、この場合は厚生年金のほうに普通だったら行くわけですから、一たん厚生年金へ行ってしまってからこちらへ移せと言うと、また、住宅供給公社と同じように厚生省のほうが盛んにクレームをつけるということであってはまずいと私は思うのです。したがって、この際、法律改正いたしまして、住宅供給公社と同様に土地開発公社の職員についても、これは地方職員共済でくくってしまうということにしたほうが自治省としてもいいんではないか、かように私は思うわけでありますが、この点事務当局の御見解はいかがですか。
  189. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 まず、前段の、沖繩の復帰に伴いまして、沖繩の従来の共済法によって、本土とのいろいろな点で、有利な面、違う面で、ことに有利な面も相当あるものでございます。これについての扱いは、本土の他の組合員との均衡があまりにもとれなくなる、あるいは本土の他のこの種の制度に影響を及ぼすという点考慮いたしまして、原則といたしましては、本土に返りましたならば本土並みになっていただくという原則で貫いております。ただ、既得権の保障という意味で、もちろん、復帰前に退職されました方は、復帰前の給付がなされるのは当然でございますが、復帰後も、三年間に限って、退職をされた方に対する給付は、もし復帰の前日に退職したならば、そのほうが有利であるという場合はそれを保障するということで措置をすることにいたしております。向こうの制度、それから向こうの中においても、公立学校職員の制度と一般の公務員制度との間の相違その他がありまして、調整をとるのが非常にむずかしかったということで、いま申しましたような措置をとることにいたしましたので、これは御了承いただきたいと思っております。  それから、土地開発公社につきましては、その問題については、山口先生は従来のいきさつを十分御承知の上でお聞きになっていらっしゃると思うのでございますけれども、道路公社と住宅供給公社につきましては、すでに昨年解決をいたしました。昨年解決をいたしましたについては、厚生省とたいへんな折衝をいたしまして、これが最後だぞと言わんばかりの約束の上で解決をしたいきさつもございます。さりとて、今度できました土地開発公社は、仕事の性質で言えば、住宅供給公社と同じような、本来公共団体がすべき仕事を、肩がわりというか、代行してやるような、いわゆる公の性質の非常に強い性格のものでございますから、当然この職員は同じに扱うべきだという議論が起こるのは当然だと思っております。こちらのほうにまとまれば、こちらのほうとして、確かに都合がいいことは御指摘のとおりでございますが、厚生省としては、厚生年金の基礎という問題で、やはりこれについては相当議論があると思っておりますので、土地及び住宅についても、問題が起きましてから実は数年を費やしてやっと解決した状況でございますが、今度できました土地開発公社については、さっそくそういう努力はいたしたいと思いますけれども、従来のいきさつからして、話をつけるまでになかなか困難が伴う、時間がかかるということも考えられる次第でございますが、私たちのほうとしては、その努力を惜しむものではないということをお約束いたします。
  190. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 この点は、ことし思い切って、国会で、この共済組合法審議の際に修正してしまったらどうかと私は思うのですよ。いまお話しのありましたように、住宅供給公社、地方道路公社は、自治体の職員と全く同じような仕事をしているわけですね。しかも、出向している職員も多いわけですから、そういう出向している職員と公社本来の職員との間に共済関係で著しく差があるということでは非常に問題があるだろうと思うのです。ところが、厚生省のほうは、やはりなわ張り根性がありまして、うちの厚生年金のほうのものをやたら共済で持っていくのはけしからぬと言うわけです。ですから、政府提案でこの問題を来年度なら来年度にいってまとめるといっても、非常に苦労が要るだろうと私は思うのです。しかも、住宅供給公社と地方道路公社をくくるときに、これが最後だということを念を押されておる事情があるということを考えれば、与党である自由民主党の方々さえ決意をするならば、思い切ってこの国会で修正をするというふうにしておけば、これは一番問題なく片づくのじゃないかという気が私はいたすのであります。この点は、当委員会の理事会等のお話し合いの際に十分念頭に置かれて対処をいただくことを特にお願いをいたしておきたいと思います。
  191. 渡海元三郎

    渡海国務大臣 力強い御鞭撻をいただきまして、まことにありがたいのでございます。私、事務当局との連絡もなしに立ち上がりまして、答弁いたしまして、いかがかとも思いますが、従来、このような問題等につきまして、厚生省等とも折衝してまいりました一人でもございますので、その間の事情等につきまして、私も、いま事務当局から答弁さしていただきましたように、この問題解決は当然のことだと思います。将来、両省間で、いろいろの問題で関係する面も相当多いと思いますので、円滑なる事務折衝という点も顧慮しなければならない点もあるのじゃないかと思いますから、ちょっと検討さしていただきまして、御趣旨のような御激励を心に秘めて努力さしていただき、経過を見守っていただきたいと思っておりますので、一言だけひとつ……。
  192. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 これで終わりにしようと思ったのですが、一つ忘れておったので、恐縮ですが、それを質問して終わります。  宇都宮、秋田あるいは大阪等の市におきまして、四十一ばかりですが、この短期給付を健保でやっている団体があるようですね。そうなりますと、これらの団体の福祉事業は、他の自治体の福祉事業と違って非常に制約があるようであります。これについては、組合会の定款で福祉事業ができるというふうに書けば、共済の上長期組合においても福祉事業が他の団体と相違なくできるというふうに、何とかならぬものでありますか。聞くところによりますと、四十一もの市においてこういうところがあるそうでありまして、これらの点を考慮することも必要ではないかと思うわけでありまして、この点について最後に御答弁を求めておきたいと思います。  さらに、立ったついででありますから申し上げておきますが、以上、私が指摘をいたしました年金スライド制の問題、それから、改定方式におきまして、抑え置き期間二年半をせめて一年さらに短縮をする問題、雇用人通算を行ないます場合、昭和二十四年十月一日という制限でなしに、特に沖繩については十分配慮をいただきたい、また、本土におきましても将来これが改善に努力をされたいという問題、短期給付における沖繩の特例の問題、それから、市町村共済で、特に短期給付財源率が著しく高くて、組合員の掛け金が非常に高いというものについて、上限を設けて軽減の措置を講ずるという問題、それから、在職中の死亡に関して、十年を短縮をするという問題、さらに、最低保障額十五万円を引き上げる、さらには十五万円が適用になっていないものについて、最低限度十五万円を適用するという問題、沖繩の既得権を配慮する問題、さらに、土地開発公社の職員の扱い等につきましては、質疑応答につきましても、委員長にも十分お聞きいただいておるわけでございまして、当委員会として、附帯決議その他において十分配慮いただきたいという問題、以上のことをお願いをいたしまして、質問を終わっておきたいと思います。
  193. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 最後の御質問の、健保組合の事業を現在やっておるために、短期給付のほうで福祉事業ができない、組合が福祉事業をできるようにするという問題につきましては、やはり、他の組合との均衡というような面から非常に困難がございまして、たびたび附帯決議もいただいておりまして、いろいろ検討しておるわけでございますが、向こうの健保組合の事業のうちで、向こうは医療の短期給付だけやって、福祉事業をこちらでやるという方法については、主管省と調整がとれない、あるいは全くそれを競合してやるということになれば、他の国家公務員、地方公務員の組合と著しく均衡を失するという点、その他もございまして、なお解決の困難な問題でございます。現在は非常にむずかしいと考えます。
  194. 大野市郎

    大野委員長 次回は、明後八日木曜日、午前十時から理事会、午前十時三十分から委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。    午後四時四十九分散会