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1972-04-06 第68回国会 衆議院 地方行政委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年四月六日(木曜日)     午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 大野 市郎君    理事 上村千一郎君 理事 大石 八治君    理事 塩川正十郎君 理事 中村 弘海君    理事 豊  永光君 理事 山口 鶴男君    理事 小濱 新次君 理事 門司  亮君       高鳥  修君    中山 正暉君       永山 忠則君   橋本登美三郎君       村田敬次郎君    桑名 義治君       和田 一郎君    林  百郎君  出席国務大臣         自 治 大 臣 渡海元三郎君  出席政府委員         大蔵省主計局次         長       長岡  實君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部長 秋富 公正君         自治政務次官  小山 省二君         自治大臣官房参         事官      森岡  敞君         自治省行政局長 宮澤  弘君         自治省行政局公         務員部長    林  忠雄君         自治省財政局長 鎌田 要人君  委員外出席者         経済企画庁総合         開発局総合開発         課長      白井 和徳君         大蔵省主計局主         計官      加藤 隆司君         自治省財政局交         付税課長    潮田 康夫君         日本専売公社営         業副本部長   飯田 頼之君         日本国有鉄道事         業局長     速水 信一君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案(  内閣提出第六八号)  昭和四十二年度以後における地方公務員等共済  組合法の年金の額の改定等に関する法律等の一  部を改正する法律案内閣提出第七三号)  地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案  (内閣提出第一〇三号)  昭和四十七年度分の地方交付税特例等に関す  る法律案内閣提出第五五号)      ————◇—————
  2. 大野市郎

    大野委員長 これより会議を開きます。  内閣提出にかかる昭和四十七年度分の地方交付税特例等に関する法律案を議題といたします。  この際、おはかりいたします。  本案について、参考人出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 大野市郎

    大野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  なお、参考人の人選、出頭日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 大野市郎

    大野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  5. 大野市郎

    大野委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。門司亮君。
  6. 門司亮

    門司委員 きょうは交付税関係のことでお聞きをするわけですが、その前に、ほかの税制のことで一応ちょっと聞いておきたいと思いますことは、御承知のように——国鉄の方、見えていますね。
  7. 大野市郎

    大野委員長 はい、参っております。
  8. 門司亮

    門司委員 それで、私の聞こうとするのは、例の地方税の中の一つの問題になっております専売益金分配が、たばこ消費税という形で税金の中に出てきておりますが、これの分配についてですが、たとえば国鉄各駅で売られておるたばこ益金が、当該市町村におりているかどうかということ。これは法律のたてまえから言えば、当然当該市町村の収益にならなければならないはずであるが、そういう取り扱いがされておるかどうか。この点について、自治省でもどこでもいいが、一応おわかりになるところからひとつ御答弁を願っておきたいと思います。
  9. 飯田頼之

    飯田説明員 ただいまの御質問でございますが、たばこ消費税は、小売り店所在地方自治体に、その売り上げ本数によりまして一定の課税標準を設けまして、その当該地方自治体公社から直接に納付しております。
  10. 門司亮

    門司委員 大体そのとおりだと思う。ところが、現実は、結局、専売公社の扱いというのが、各駅で売られておる駅売りの場所は、これは小売り店として指定していないじゃないですか。これは弘済会かどこか、もとに仕入れられたものが出張販売という形をとっていると思うのだが、その点はどうです。
  11. 飯田頼之

    飯田説明員 たばこ販売ができます小売り店につきましては、たばこ専売法に基づきまして指定をいたしておりますが、先生指摘の駅の場合には、主として鉄道弘済会、これも膨大な組織のように承っておりますが、それぞれの単位ごと指定いたしておりまして、駅での販売はそこで行なっております。
  12. 門司亮

    門司委員 いまの答弁わからぬのですがね。私の聞いておるのは、おそらく、弘済会のどこか、まとまった拠点といいますか、そこが小売り資格を持っております。そこにおろされておると思います。そこから各駅には、全部これは出張販売の形でとっているのではないですか。各駅が全部小売り店という資格を持っているわけではないと思うのです。その間の事情をはっきりしておいてもらいたい。
  13. 飯田頼之

    飯田説明員 一般的には、先ほど申しました弘済会の各単位ごと指定いたしておりますので、一般的には各駅のそれぞれ弘済会なりに指定いたしておりまして、出張販売というケースは非常に少ないケースだと思います。
  14. 門司亮

    門司委員 そうすると、各駅小売りは全部小売り店資格を持っていますか。
  15. 飯田頼之

    飯田説明員 大体そのとおりでございます。
  16. 門司亮

    門司委員 これは、私鉄でもみな同じですか。私は、その点はどうも疑わしいのですが、各駅小売り店鑑札を持っているなら、ちゃんと小売り店にみな鑑札を出しているのですね。たばこを売っている駅の販売所に行ってみると、たくさんあるのです。どのホームにもあるのですね。あれが全部鑑札を持っているということになっていますか。指定人はだれですか。あそこへ来て販売をしている人は弘済会から来ている職員じゃないですか。たばこだけを売る、指定されている人ですか。
  17. 飯田頼之

    飯田説明員 原則といたしまして、先ほど申しましたように、一般的には各駅、非常に小さな駅は別でございますが、普通の駅ですと、たいていそこにあります弘済会が被指定人になりまして、小売人資格を持っております。同じ駅でも、大きな駅になりますと、いろいろ売り場がございます。その場合は、売り場拡張という形で、そのもとで受けております指定人である鉄道弘済会が、売り場拡張という形でホームのあちこちで売っておる。かような形です。売り場増設という形です。
  18. 門司亮

    門司委員 これは、私は、その辺の事情はどうもすっきりしないものがありはしないかと思うのです。これは私鉄も同じことですがね。どんな小さな駅でも、大体一つずつは置いておるわけです。それがたばこ小売人資格を持ってやっているところもあるかもしれませんが、しかし、取り扱っている人自身に、片っ方は許可認可の問題でうるさいことを言っておいて、駅のほうでは、どこで出張的な販売をしようと、それはよろしいのだ、弘済会が持っておるからよろしいのだという理屈は、どうしてもわからぬと私は思う。これは私鉄も同じことであります。  これは駅と私鉄だけの問題ではなくて、もう一つ現実にあるのは、たとえばおおきなデパートがある。そのデパート出張所が隣の町にできる。たばこを売る鑑札を持っておるのは、その本店のほうが資格を持っている。ここにおろされたというが、ここに配分されたものがデパート出張所で売られておる。そうすると、その税金もとのほうに行って、現実ににうりさばかれている市町村財政には何の寄与もしていない。こういう形が出てきている。この形は改めてもらいたい。そうしませんと、税法上、当該市町村でうりさばかれたものは当該市町村益金の配分にあずかるということになっておる法律がゆがめられてしまって、当然その市町村財政であるべきものがほかに行っているということは、あまりいい形でもないし、税法上から見て問題があると思う。しかし、私は、きょうあまりこればかり聞いているわけにまいりませんので、これを根掘り葉掘り聞いておるわけにはまいらぬかと思いますが、これらの問題について、いま申し上げましたことは現実にあるのであって、それあとぜひ是正してもらいたいということが一つと、それから鉄道のほうにきょう来ていただいておりますのは、弘済会との関係ですが、これは一体どういう形になっていますか。いまの専売公社お話しのようなことをそのまま承っておいていいですか。
  19. 速水信一

    速水説明員 お答えいたします。  私が伺っておるところでは、弘済会では、所管の営業所契約を、専売公社支局または主張所契約しております。それは、売店がございますところの地域を所管する専売公社支局または主張所単位契約しております。おそらく、税金関係は、先生のおっしゃるようになっておるのではないかと私は推察しております。
  20. 門司亮

    門司委員 問題はそこにあるのですがね。きょう私は、両方おいで願ってこれを詰めていこうというところまで時間も持ち合わせておりませんけれども、とにかく、国鉄国鉄として、やはり弘済会を監督されておる立場から——きょうはここへ弘済会の諸君にも来てもらえばいいと思いましたけれども、手続をしなければなりませんので来てもらうわけにまいりませんので、国鉄にお願いしたのですが、国鉄のほうも、そういう形で、専売局ですか、地方にあるいろいろなところと結びついて、どの程度になっておって——私の言っておるのは、末端の小売りをやっておる駅の売店が、私鉄も、国鉄も、当該市町村たばこ小売人鑑札を持っているかどうかということです。これはやはり問題があろうかと思う。ある場合においては、たばこ小売人鑑札を持っている人が駅で売っておることもあるかもしれないが、これは駅だけでありませんで、さっき申しましたように、デパートなんかもそういう形になって、おるのが現実にあるのであります。そういうものをひとつこの際すべて整理をしてもらいたいと思うのですがね。そうして、やはり国鉄側ともお話し合いを願って、それから私鉄も含みますが、専売局のほうでは、それをひとつ整理をしてもらいたい。そうして、やはり何といっても、当該市町村税金が入るような形をぜひひとつとってもらいたい。それにはいろいろ手続もあろうかと私は思いますが、かりに、一つの駅のほうの局と、それから弘済会の、地方一つの、あれは役所ではありませんが、出張所みたいなものとの間に契約はされておるといたしましても、いま申し上げましたような形で、各個々の駅についてこれが弘済会契約されている。弘済会所在のところにはその税金がそのまま入ることになろうかと思いますが、当該市町村のほうには入らないという、こういう不都合があってはなりません、この点は、国鉄や何かだけではありませんで、たばこ小売りをやっておる場所においては、その益金税額は必ず当該市町村に配分できるように、ひとつ処置をとってもらいたい。このことを私は強く要求をいたしまして、これ以上この問題に触れることはどうかと思いますので、きょうはこの程度に私は質問をとどめておきますが、ひとつ、専売公社のほうも、国鉄のほうも弘済会との両者の話し合いの中で、そういうことのないようにぜひしておいてもらいたい。実際私はここで資料をだしてもらいたかったのですが、どういうことになっておるのか。専売局小売り入許可証というものが駅にどの程度に出ておるのか、これは全国調べてもらえばすぐわかるはずです。あなたのほうにリストがあるはずでありますから。そして、その中にどういうものが漏れているのか、あるいは、何かそういう形で、一カ所にある程度ブロツク別におろされておって、それが市中販売という形で行なわれておるのかということのリストを全部出してもらいたいと思ったのです。このリストは出ますか。
  21. 飯田頼之

    飯田説明員 御指摘リストは、まだ時間はかかりますけれども、当然できます。  それから、いま先生のおっしゃった鉄道弘済会の問題につきまして、私ども、何ぶん事業がふくそうしておりますので、精密な調査はしておりませんけれども、ざっとした調査によりますと、関東地方で、弘済会で、いま先生指摘のような地方自治体を交錯してそういう問題があるものが四件ございます。それから、中国地方で十五件というふうなところは把握いたしております。  ついでに付言いたしますと、私のほうの専売公社営業単位が、全国で約五百ございますが、それぞれの営業単位が、自分のところの売り上げを伸ばす、つまり成績をあげようということでお互いに競争しております。したがいまして、隣の営業所自分のところの縄張りを侵すということには非常に神経質になっております。また、自治体とも協力いたしまして、地元人たち地元たばこをということを熱心にいま推進しておりますので、そういう先生指摘のような間違いはかなり大幅に改まってきておると思います。いずれにいたしましても、先生が先ほど御指摘になったような点は、われわれも重々心得て、そのようにやっていきたいと思っておりますので、国鉄ともなお相談いたしまして善処していきたいと思います。
  22. 門司亮

    門司委員 私鉄のほうは、別に弘済会というものがあるわけじゃありません。おのおのの駅の売店の人が許可を持っていることが大体多かろうと私は思うのです。ところが、国鉄のほうは、弘済会というものが一つあって、ここに集約されておって、あるいは出張販売のような形で安易に行なわれておるところがありやしないか。それから、デパートなどは、いま申し上げましたようなことが現実にあるわけでありまして、これらの問題については、ひとつ、税法の正しい解釈のもとに行なわれるようにしておいていただきたい。  たばこ地元で買えというのは、いまのお話のように、そのとおりでありますけれども、地元で買ったけれども税金はよそへ行っていたというのではどうも困りますので、地元で買ったたばこ税金地元市町村におりるようにしてもらいたい。県のほうは幅が大きいですから、県のほうにおりるほうには影響を及ぼさないのですが、小さい市町村になりますと、これがかなり大きな問題になってこようと思うので、これはぜひ配慮しておいていただくように要求しておいて、この問題は終わりたいと思います。  あとは自治省のほうに、地方税の問題とからんだ交付税の問題について伺いたいのでありますが、交村税の三二%という率がよろしいかどうかということを、自治省としてはどうお考えになりますか。
  23. 鎌田要人

    鎌田政府委員 三二%の率がいいかどうかというお尋ねでございますが、昭和四十一年度に現行の三二%に相なったわけでございます。その後経済が順調に伸びてまいったものでございますので、交付税伸びも、その後二割から二割一分ぐらいのテンポで伸びてまいった。そういうことがございまして、地方税伸びもまた二割程度伸びがございまして、地方財政全体の姿といたしましては、少なくとも、四十六年の夏以来の不況が始まりますまでは、地方団体財政運営としては、率直に申しまして、往時に比べますと比較的ゆとりのある財政運営をいうものが可能であったというふうに考えております。ただ、問題は、四十六年の夏以来の景気長期にわたります停滞ということによりまして、交付税伸びがとたんに七%しか伸びない、税もまた七%しか伸びない、こういう事態に際会いたしておるわけでございますが、先般来繰り返し申し上げておりますように、この景気停滞につきましては、少なくとも、これだけの国、地方を通ずる財政主導型の運営が行なわれまして、それを前提といたしまして、この下期以降景気回復過程に転ずるであろう。そういうことでございますれば、ある程度また交付税地方税自然増収というものか期待できるのではないだろうか、そういう意味合いにおきまして、現在の段階におきましては、この景気停滞というものがある程度慢性長期化しまして、例の交付税法の六条の三の二項に規定いたしますような状態がまいりません限りは、現在の交付税率をいまにわかに変更するというとこまでは考えておらない状況でございます。
  24. 門司亮

    門司委員 払が聞いておりますのはこういうことなんです。いまのお話のように、税収伸びが非常に悪い。税収伸びが悪ければ、三二%の率もいいわけにない。ところが、その反面に、地方財政需要額は急速にふえているのですね。これはどうにもならぬほどふえている。そうして、四十七年度の予算などを見てみると、御承知のように、借金がむやみにふえておってどうにもならぬという状態をかもし出しておる。この状態から見てまいりますと、これは大蔵大臣によくお話ししなければならぬことだと思いますけれども、今後の見通しとしては、結局、地方財政需要額は当然非常にふえてくるということです。政府の方針がまたそうだとすれば、この三二%という比率を上げない限りは、地方財政補完財源として十分ではないと言うことが私はできようかと思うのです。このかね合いを、自治省に聞くのもどうかと思いますけれども、自治省は率直にどうお考えになりますか。ことしの地方財政計画を見てごらんなさい。むちゃくちゃにふえているのです。財政計画に非常にふえているのに、交付税のほうは大体伸びていない。税収もむろん七%しか伸びない。しかし、これは、ことし限りの現象ではないのでありまして、かなり長い間この財政需要の大幅な要求という傾向は続く、そうすると、景気が幾らかよくなって、税収伸びたくらいでは地方財政はまかなえないのではないかということがどうしても考えられる。これは私がいま聞いたことでありますが、財政需要伸びについて、政府はどの程度考えられておりますか。
  25. 鎌田要人

    鎌田政府委員 財政需要長期的な展望ということになろうかと思います。これにつきましては、私ども、内部でも、例の地方財政長期ビジョンといったような形で作業いたしたこともあるわけでございますが、端的に申しまして、私ども、ここ当分、地方単独事業を中心に、地方財政需要というものは、これは申すまでもありませんけれども、景気のよしあしにかかわらず、ある程度伸ばしていかなければならぬ。  御参者までに大体申し上げますと、昭和四十一年、ちょうど現在の三二%になった年でございますが、この年の財政計画におきます規模というものは四兆一千億余りでございます。四十七年度はいま御指摘になりましたような状態でございますので、四十六年度の当初計画というもので一応比較をしてみますと、その規模が九兆七千億でございます。この間に二・四倍に規模が拡大いたしておるわけでございます。これは、先ほど申しましたような税、交付税のある程度の順調な伸びというものにささえられたこともございますけれどもその中におきまして、いわゆる地方単独事業系統、こういうものにつきましては、おおむね二二%。年によっても上下ございますが、平均して二二%台の伸びというものを確保してまいったわけでございますが、今後におきましては、私どもは、この単独事業伸び率というものにつきましては、やはり年率二二%程度のものをもって今度も推移をしていくべきものだ、そういう形で計画を策定いたしたい。こういうことを考えておるわけでございます。そうなりますと、当然そのほかに社会福祉系統の経費もございますし、いままでと同じような趨勢で伸ばしていくということになりますれば、やはり、歳入の面におきましては、税、譲与税交付税という一般財源伸びをどう見るか、どう確保するかという問題になろうかと思います。  先ほどややわかりにくいお答えを申し上げたかと思いますが、私が申し上げたいと思いましたのは、結局、現在の不況というものは、やはりある程度短期的な、と申しますか、一時的な停滞不況にとどめるべきだ。これれはもう、国全体の経済政策運営としてもそうであるべきだ。そういうことでございますれば、この景気不況からのすみやかな脱出というものがはかられるならば、ある程度現在の交付税率というものでまかなっていけるのではないだろうか。しかし、それが長期慢性化しまして、引き続き財源不足を生ずるという事態に合なる。あるいはまた、地方債公債費の重圧というものが地方財政に非常な支障を及ぼす。こういったような事態というものが出てまいりました場合には、交付税率の引き上げということを含めまして、あるいはまた、地方税源の拡充ということを含めまして、抜本的な対策というものを考えなければならぬのではないだろうか。こういう気持ちでおるわけでございます。
  26. 門司亮

    門司委員 いま答弁をいただきましたが、私が聞いておるのはそういうことではなくて、財政需要というのは、これから急速に伸びるにきまっているのであります。それから、同時に、ことしの借金がいいか悪いかということは別の問題にして、ここまで地方財政を大幅に、お金が足りなければ借金をしてでもということで伸ばしてまいりますと、これが来年度から一応のネックになって、そして、これより以上来年度は地方財政が膨張するということを考えないわけにはまいりません。国のほうの財政は切り詰めることはそうむずかしい仕事ではないと私は思うけれども、地方財政は、一ぺん伸ばしますと、それではこれはこの辺でやめようというわけにはなかなかいかないので。だから、ことしのような形で、景気のてこ入れなどという変な理屈をつけて、地方財政がまるで国家財政の中の調整関係であるみたいなべらぼうな考え方を、総理大臣をはじめとして平気で言っておるけれども、こういうばかばかしい観点に立ってことしの地方財政計画がずっと広げられてくる。金が足りないから借金でやるということになってくる。そうすると、その規模は、景気がよくなったからといってとめるわけにはいかないのです。やはり、これを基礎にして、来年度以降ずっとこれが続くということは当然であって、地方は、そういう公共事業の、いわゆる環境整備が非常におくれておるという事情は事実ですから、これを何とか直していこうとするには、結局、ある一面においては、政府がことし思い切って借金してでも地方財政お金を持ってくるという形がありますから、この状態はそうしても継続的に続くと見なければならない。また、続くはずである。そういたしますと、多少景気がよくなったからといって、税収がふえてきたからといって、あるいは交付税が少しふえてきたからといって、これで地方の自地体が安心していいというわけには私はいかないと思う。あるいは、ふえただけ起債といいますか、地方債の減額には多少なるかもしれない。ことしのように倍以上ふやすなどということはないかもしれない。その面には多少の役割りを果たしますけれども、実質的の、地方財政をまかなうだけのものには私はなり得ないのではないかと思う。そうすると、この辺でどうしても配付税率というものを上げる必要が出てくる。この点をもう少し……。  これは局長答弁をしてもらいたいということは少し無理であって、大蔵大臣でもおいでになったら、この間の事情をもう少し詳しくお話をして、地方財政に対する国の考え方を聞いておきたいと思うのですけれども、その前に、自治省意見として、一応固めておいてもらいたいと思うことは、私がいま申し上げましたように、四十七年度以降の地方財政需要額というものは、必ずしも横ばいでなくて、急速にまだ伸びるということを申し上げたほうがよろしいと思うのですが、その見通しについては、自治省はどう考えられますか。
  27. 小山省二

    小山政府委員 先生の御指摘のように、近年急増しつつある地方財政需要に対し、現在の交付税率でよろしいかどうかというような御批判のように承知しておるわけであります。確かに、今日までは交付税額が比較的順調に伸びてまいりましたので、この急増しておる財政需要に対処することができたわけでございますが、昨年八月以来、例のドル・ショック、円の切り上げ等、一連の問題も起こりまして、その後経済界は依然として不況から脱することができない。したがって、私どもは、一にかかってこの景気の回復ということが交付税率にも大きく影響をしておるのではなかろうかと考えております。したがって、長期的に現在の不況が続くという見通しになりますれば、当然、交付税率についても検討をしなければならない問題になると私は思うのであります。現状におきましては、一応下半期から景気は回復するであろうという前提のもとに今日の地方財政というものが構成されておりますので、本年におきましては、税率の変更というような問題でなく、当面とりあえず、特例交付金あるいは交付税の借り入れ、その他地方債の大幅増加等によって一応切り抜けよう。こういう考え方の上に立って今日の地方財政が組み立てられておるわけでございますので、御指摘のように、今後の財政需要あるいは景気の動向等を考えまして、今後の検討課題として、われわれも十分この問題について考えてみなければならないというふうに考えておる次第でございます。
  28. 門司亮

    門司委員 いまの御答弁で、私、さようでございますかというわけにはなかなかまいらぬのでありますが、そのことは、私の聞いております趣旨とは多少違ったお考えのようなところがあるわけであります。景気がよくなろうと悪くなろうと、何もそれには影響をしないのであって、地方財政需要の急増というのはそちらには何も関係がない。したがって、どんなに景気がよくなっても、いまの率で一体よろしいかどうかということについては、非常に私は疑問があると思う。だから、もし何でしたら、私のほうで調べてもわかるのでありますけれども、ことしの財政需要額伸びというのはどの辺から一体見ておるかということ、これも一つであります。私は、地方財政全体について非常に大きな疑問を持っておるのですが、財政需要伸びとか縮みとか言っているけれども、これは地方自治体要求から来たものじゃないのですね。実際は政府のさじかげんなんです。交付税の本体の姿と離れているのです。交付税の精神であり、交付税の本体であるものは、地方財政需要に応じて組まれなければならぬのであって、三二%とか幾らとかきめること自身に多少の問題があるのであって、ここでお金がこれだけあるからこういう割合でおまえのほうにやるんだと、現状は、地方要求してくる財政需要とは何にも関係がなくて、上からある金を分配するというだけなんです。ところが、交付税の本体は決してそういうものではありませんで、結局、財政需要の不足分をこれで補っていこうということでありますから、実際は、地方の自治体から、どれだけ財政需要が必要なんだ、そして税収がこれだけしかないんだ、これだけ穴があくからこれを埋めてもらいたいと言うのが法律のたてまえであります。ところが、そのたてまえがなくなってしまって、政府の御都合主義で配分されておるところに問題があるのであって、それをここで改めろと言っても、なかなかそう簡単にいかないと私は思いますが、少なくとも、自治省としては、財政需要伸びというものは絶えずデータを持っておってもらいたい。そして、その財政需要伸びがどういう形で伸びてくるかということ、これにどう対応して交付税の問題を解決するかということで、毎年毎年ここに書かれておりますが、こっちのほうがこういうふうに動く、いわゆる配分のほうの率が動くと同じように交付税の税率も動かなければならぬということが大体税法のたてまえなんです。ところが、国のほうに要求するほうは固定されておって、下のほうだけが動かされておるというところに、今日、地方の自治体の財政の独立性ということがないゆえんがあるのであって、政府の御都合主義で、金が足りなければ借金しておやりなさいというようなことになってきておる。こういう行き方自身について、ここで先ほどから申し上げておりますように、自治省にこれを責めてもしようがないと思いますけれども、大蔵大臣なり、総理大臣に、こういうことでよろしいかどうかということを、税の本質論から議論する必要がやはりあろうかと思う。そうすることが、いまの地方財政の今後の見通しについては非常に大きな問題になってくる。  それからもう一つ、この機会に、大まかな理論でなくて、時間の関係もございますし、お昼までということで、あと幾らもありませんので聞いておきますが、地方財政を今日見てみますと、財政需要に非常に大きなでこぼこというものが出てきております。特に、急速に伸びております大都市のごときは、いまの交付税法の配分の行き方では、もはや間に合わないということですね。たとえば、配付税はすべて配付の基準を既存のものに置いておるのでありますが、実際は一年に五万も十万も人口がふえてくるようなところは、配付税の基準財政需要額には入っていないということである。地方の自治体はこういうものを一体どうするかということで困っておる。それから、都市の状況におきましても、いろいろの問題で非常にたくさんの需要額がふえてきておる。たとえばごみの問題をどうするかとか、あるいは屎尿の問題をどうするかということがふえてきておる。ところが、これは人口だけで頭割りにするわけにはいかない。いわゆる昼間人口と夜間人口との開きというものがかなり大きなものがあるはずである。そういたしますと、財政需要要求しているのは、実は昼間人口が多いのでありまして、ほかから来た人が、水を飲むし、便所にも行くし、ごみも置いていくということで、こういうことになってまいりますと、財政需要の根底になっておるそういう問題が、昼と夜は違う。しかし、配付税の基準は夜の人口で、大体これが割り当てられてくるというところに非常に大きな無理がありはしないかと私は思う。こういう問題は、自治省としてはどういうふうに考えて配分されるつもりか。大都市がだんだん交付団体に転落していく原因はそこに大きな問題があるのではないかと考えておりますが、これにどう対処されるつもりですか。
  29. 小山省二

    小山政府委員 後ほど局長から詳しくお答えを申し上げたいと思いますが、問題は、財政需要をどうはかっていくかというものさしの問題にかかってくるような感じが私はいたすわけであります。いま御指摘のように、大都市におきましては、昼間人口などというような問題もございますし、一定のものさしでこの財政需要をはかることが合理的であるか、それぞれの地域によって、算定方式というものを変えていくという考え方が妥当であるかということは、今後の課題として検討しなければならない問題だろうと思います。いずれにしても、最近、地方財政需要というものが急速に増大いたしておりますので、これらに対処する新しい算定方式というものを検討しなければならないというふうに考えておる次第であります。
  30. 鎌田要人

    鎌田政府委員 御指摘になられました点は、まさに現在の交付税制度の一つの大きな問題点でございます。問題は、結局、交付税の配分基準におきまして、かつてはある程度静態的であるという批判もあったわけでございますが、それをできるだけある程度動態化するという努力が、過去の積み重ねとしてあるように私は理解しているわけでございます。たとえば、交付税の投資的経費の配分につきまして、事業費補正を導入するとか、あるいは人口急増地域につきましては、いわゆる急増補正ということで、国勢調査人口に対しまして住民登録人口を置きかえるとか、あるいは、そういう人口の急激な増加に伴います学校その他の投資的経費について、交付税の配分について重点を置いてまいりますとか、そういう努力というものはこれまでも行なってまいったわけでございますが、これからも拡大していかなければいけないだろうというふうに考えておるわけでございます。  それから、もう一つ考え方といたしましては、人口急増地域というものにつきましては、交付税だけでカバーしきれないものがある程度ある。そう言う考え方がございまして、人口急増地域におきます、特に、急速に社会資本の整備をしなければならないというものにつきまして、何らか国で補償負担率のかさ上げの道はないものだろうかということで努力をいたしておるわけでございます。ことし、その一つのあらわれといたしましては、全国的な問題ではございますけれども、特に、人口急増地域に影響を及ぼしておりますところの義務教育小学校の国庫補助負担率の引き上げもそういうことのあらわれであろうか。こういうふうに思います。  それからもう一つ、御指摘になられました夜間人口と昼間人口、要するに、時間的に昼間流入人口の多いところ、こういうところに対しまする考え方、これは交付税の面でどういうふうにこれを受けとめるかということにつきましては、なかなかむずかしい問題がございます。ごみ、屎尿、こういった問題でございますれば、ごみ、屎尿等につきまして、ある程度急速な施設の拡充については起債をつける。その起債の元利償還につきまして、交付税で、たとえばことしから、清掃関係でございますと五〇%基準財政需要額に算入するというようなことも行なっておるわけでございますが、それとあわせまして、別途税制の面におきまして、例の事務所・事業所課税、こういったものの実現をはかることによりまして、ただいまの御指摘のような点もある程度対策になるのではないだろうか。こういうふうに考えておるところでございます。
  31. 門司亮

    門司委員 交付税関係で、いま申し上げましたようないろいろの問題が出てきておる。その問題は、地方財政の中ではもはやどうしてもまかないきれない。まかないきれないから、結局借金をすればよいと言う。小学校の補助金が少しふえたということは、それはそれなりの役割りを果たすだろうと私は思う。しかし、あのくらいのふえ方では、これはどうにもならない。いまの非常にふえておりまする地方においては、これを何とか解決しなければならぬことがやはり当然出てくる。  それからもう一つの問題は過疎地帯ですね。これも同じ現象なんです。私のところの神奈川県にもありますし、また、これはどこの県でありましたか、東北の県だと思い申したが、学校において生徒が一人しかいないというようなところがあるところが、先生はやはり減らすわけにはいかない。先生は一人はどうしても必要である。神奈川県の場合などは、緑ですか、札掛の分校なんかは、中学の生徒は一人しかいないけれども先生は二人いる。こういうことになっておるのですよ。そうすると、この生徒の割合というようなものから割り出される基準財政需要額というものとべらぼうに違ってくるのです。生徒が一人で先生が二人いるのですから、結局どうにもならぬということですね。何とかならぬかとか言ったって、規則でございますということで、中学には専科があるのだから二人いなければならぬという妙なことが出てきておる。過疎といわず、過密といわず、一方はふえ過ぎてどうにもならない。一方は妙な現象が出てきておるところがあって、地方財政の全体に対する見方というものが従来と変わった見方がこの際必要となってきてはいないかということです。いずれにいたしましても、そういう新しい現象のもとに対応していくには、税金が三二%がきめられた四十一年からもう約五年ぐらいでありますが、その間の社会情勢の変化というものは著しいものであって、これに対応していくだけの処置はどうしても、交付税という形でこれをふやしていくか、あるいは、せんだって申し上げましたような思い切った税制改正をするか、ということ以外に私はないと思う。しかし、それらの問題については、ここでいま聞いてもしようのないことだと思いますが……。  もう一つ地方財政について、いま非常に大きなアンバランスが出てきておるのは、税制の面からくる一つのアンバランスであります。それはどういうことかといいますと、いまもちょっと専売公社の話をいたしましたが、たとえば観光地などに参りますと、観光地の当該市町村としては、いろいろ施設をしなければならない。ところが、施設をするお金財政需要は非常にやかましいのだが、そこから出てくる収益というものは、大体国と県に徴収されてしまうという形が現実の姿なんです。これは税制上そうなっているのであって、たとえば、よく温泉地の問題が議題になりますけれども、温泉地に行ってみれば、温泉というものを中心にして、税金を取るのは、市町村は入湯税だけであります。一人について二十円しかもらえないということになっておる。そこからくる料理飲食税は県が持っていくということであって、おみやげ屋の売り上げ税金も大体県税で、結局事業税というような形で取られる。その上は国税で、所得税として取ってしまうということで、市町村は何のことはない。レジャーブームの際に何とか施設をしなければならないが、税制の面においては非常に割りの悪い立場にすべてが立たされておる。こういう問題をどういうふうに今後解決をしていくかということは、いまの地方税の配分の基準ではもはやまかない切れない。それから逸脱した状態になっていはしないかということが考えられる。こういう問題が、態容補正というようなことばで、おそらく答弁はそういうことになろうかと思いますが、過ごされているのかどうかということなんですね。これらには、態容補正ということだけではなくて、当然の財政需要景気、不景気にかかわらざる純然たる増と見て、やはりもう少し税率をふやしていく。三二%をもう少しふやすということが当然要求されてこなければならぬというように考えるのでありますが、いまの実態は、さっきから何度も申し上げましたように、自治省としては、与えられたワクの中で、態容補正によって多少の手かげんをしておるということになろうかと私は思いますが、この辺、基本的にはどう考えられますか。  こいう問題等も含めて、私は、一つの課題として、配付税の税率を変える必要があるのだということを考えるのでありますけれども、もしはっきり言えるなら、この際ひとつそういうことをはっきりしておいてもらいたいということが一つと、ついでにもう一つ申し上げておきますのは、ことしは非常にたくさんの借金をしなければならぬようになっておりまして、借金の償還に対する交付税との割合というものがどの程度まで見られるかということ。
  32. 鎌田要人

    鎌田政府委員 前段でございますが、これは、ある意味において非常に困難を伴う作業になるかと思いますので、私の現在考えておりますところは、やはり、昨年でございましたか、地方財政長期ビジョンというものの作業を行なったわけでございますが、かなり倉卒の間にまとめたものでございますだけに、いろいろ技術的な制約もあるわけでございますが、やはり、あの考え方というものを基本的に発展をさしていきたい。結局、今後、ある程度中期あるいは短期的な目標を設定いたしまして、たとえば下水道なら下水道の普及率というものを、今後五年間に、現在の総人口比率二割そこそこのものを五割まで持っていく。こういう目標を立てまして、それに対しまして、一体どれだけの投資が必要であり、どれだけの地方財源というものの支出が可能であるか。結局、必要量と可能量というものをある程度精微にくみ上げまして、それで長期的な財政需要というものをある程度確定してまいる。これは、政府部内においてもなかなかいろいろの議論があるだろうと私は思います。しかし、やらなければならないと思います。そういう意味での長期的な需要というものをある程度確定をいたしまして、それに向けて地方財政を進めてまいりますための財源というものをどういうように調達していくか。その過程におきましては、当然景気の動向との関係もございますが、交付税率の問題ということにも触れざるを得ない。こいう感じを持っておるわけでございます。ただ、現在の段階におきましては、くどいようでございますけれども、現在の不況というものはそう続かないだろう。ある程度景気が回復してくるならば、税なり、交付税なりの増収というものもある程度期待できるのではないだろうか。そういう段階で、なおかつ、足りるか足りないかとい問題が出てくる。こういうふうに考えておるわけでございます。  それから、公債費の問題でございますが、公債費につきましては、四十五年度の決算で、一般財源の中に占めておりまする公債費の割合は六・五%でございます。一般財源の中で公債費というものがどの程度までまいれば黄色の信号であり、どの程度までいけば赤信号であるか。これはなかなか議論のあるところだと思うわけでございますが、私どもといたしましては、一応一〇%から一五%の間というものをめどに置いて判断をしてまいったらどうであろうか。そういうことで、今後の経済の成長率を、たとえばことしと同じ形式、一二・九%でございますかで推移するということにした場合、したがいまして、非常に低めに税あるいは交付税というものをはじきまして、それに対しまして、ことしの公債の発行、来年かりにことしと同じ規模の公債の発行額、こういうことになった場合、あるいは来年からある程度景気が上向いてまいるということで交付税の額を少し減らした場合、いろいろなモデルをつくって試算をいたしておるわけでございますが、いまの状況でございますれば、いま申しました一〇%から一五%の中に大体とどまるのではないだろうか。そういう意味におきまして、現在の地方債の元利償還ということにつきましてはそう心配をいたしておらないというのが現状でございます。
  33. 門司亮

    門司委員 どうも、だいぶ自治省は楽観しているというか、認識が少しおかしいのじゃないのか。景気がよくなろうと、悪くなろうと、それじゃまかない切れないと私は考えております。地方財政というのは、ことしこういうふうに大幅にワクを広げてしまうと、さっきから言っておるように、縮められないのであります。そうして、景気がよくなったからといって、たとえば一つの例を申し上げましても、地方債が去年一〇八・九%ですか、伸びているでしょう。倍とちょっと伸びているでしょう。これがかりに半分に縮まったところで、依然として、去年の四十六年度の財政計画の上から見た率と同じような形になってくる。ところが、地方財政がこれの半分には、景気がよくなったからといって、それだけ税収がふえようとはとても考えられない。四千億も五千億もふえようとは考えられない。そうすると、ことし伸ばした事業量というものは、いわゆる財政需要というものは、来年度はますますふえてくるという形をどうしてもとらざるを得ない。本年度は初年度でありまするから、結局、地方の自治体もある程度仕事はするでしょうけれども、仕事をすることのために必要なお金というのは、来年度から見ればわりあい要らないのじゃないかということが考えられる。来年度以降になりますと、あらゆる事業の完成のためには、かなり大幅な財政需要というものを見ないわけにはいかないのじゃないかと考えられる。そのものの考え方ですけれども、自治省のいまの局長の御答弁だと、えらい楽観しておるようだけれども、景気がよくなればよくなるのだというようなことで、一体地方財政はまかなえるかということを私どもは心配しておるのであって、非常に立ちおくれておるこの社会資本を充実していこうとするのには、少なくとも、いまのような、景気がよくなれば多少よくなるのだというようなものの考え方では片づかない。私は、この点は、もう少し現実の姿をひとつ知っておいてもらいたいと思う。ことに、大都市の状態というものは想像に余るものがある。いままでわれわれの常識では考えられなかった行政をやって、住民も納得しているし、行政をやっている市長さんなども、よくそれでいられるものだと思う。そんなことを言うと市長さんからおこられるかもしれませんけれども、その考え方についてちょっと奇異な感じがするのですね。そこまで地方財政は来ているのですね。たとえば、東京都のごみの問題一つをとらえてみても、これはどうにもならぬでしょう。幾ら財源があっても、このごみの問題というのは、そう端的に片づく問題ではない。しかし、お金がないから今日まで何とかごまかしてきている。ごまかすというと適当かどうかわかりませんが、処理をしてきているというのは事実である。こういう状態自治省はほんとうに現実的に把握をしておりますか。いまのような答弁を聞いているともそこからまた聞き直さなければならぬようなことになってくるのですが、かりに東京都一つを例にとってみても、東京都の財政がいまの財政規模で、東京部のごみの処理がいつできるか、あるいは、屎尿の処理が一体どういう形で、完全な文化都市としての形態を整えることができるかということ。こういうことの調査はできておりますか。実際上の問題として、たとえば東京都のいまの下水一つをとってみても、完全な処理をされておる下水というのはどれだけありますか。人口比率でいけば、わずかに三〇%内外ではないかと私は考える。五〇%にはとうていいっておらないということが考えられる。大部分は海上投棄をしなければならないという、きわめて非衛生的なことを今日やっておる。これが完全な都市の状態、たとえばイギリスの例を言いますと、外国のことをここで話してもせんないことでありますけれども、イギリスの都市は、何といっても九五%までは完全な水洗出所になっていることは事実である。フランスにおいても、大体それとたいして違いはない。約九五%程度になっているかもしれない。どこへ行っても日本のようなところはないのであって、日本は、御承知のように、まだ一二・八%でしょう。これを一体何年の間に解決するかということは、年次計画その他は別といたしまして、こういう実態の中から、地方財政需要額というものを算定しなければならない。そうしてそれは迫られている仕事である。こういう問題に対して、自治省自治省らしく、地方団体の実態をもっと十分に知っておく必要がありはしないかということです。  いう、東京都の下水の問題だけを私は取り上げたわけでありますが、その次に困っておるのは、大都市としては、大阪も同じような形をとっておりますし、名古屋も、京都も、みな同じような形をとっておりますが、特に、人口の急増を言われて、おる横浜のごときは、教育の問題などは一体どうするかということです。これはどうにもならない。これを完全にやっていこうとするには、少なくとも千六百億ないし二千億くらいの金がなければ、教育の道場という学校は建たないはずである。だから、地方の自治体はそういう問題を解決しなければならぬ責任を持っている。しかし、解決しようとしても、結局それが財政需要額の中で見られないということになって、現実とは違った姿が出てきておる。さっきから申し上げておりますように、税法上は、地方の自治体は、積み上げられたものに対するアンバランスを埋めていく。こういう形になっているが、それが固定された配付額になっているために、上からのあてがいふちと言うと少しことばが行き過ぎかもしれませんが、御都合主義になっている。この観点から考えてまいりますと、いまの局長答弁では、これはほんとうにたよりないのですね。景気、不景気地方財政需要というものを関連して考えたって、どんなことをしたって、それでは解決はつかないと私は思うのですよ。だから、ここに大臣はおいでになりませんから、無理を言うわけではございませんけれども、ひとつ政務次官のほうからでもお考えを聞かせていただきたいと思いますことは、そうした、景気、不景気とは関係なく、地方財政需要伸びのほうが、というよりも、要求のほうが大きいのだということの私の考え方に、もし間違いがあるとするならば、私も考え方を変えなければなりませんが、私はそういう考え方で大体間違いはないと考えておりますが、この点についての御見解をこの際ひとつ聞かせておいていただきたいと思います。
  34. 小山省二

    小山政府委員 各種生活関連公共施設の整備等を考えました場合、今後、地方財政需要は継続的に相当長期間悪増するものとわれわれも考えなければならないわけであります。したがいまして、先ほど局長の御答弁で申し上げましたのは、おそらく交付税に関する考え方ではなかったろうかと思うのでありますが、地方財源全体から考えました場合には、私どもも十分検討をしなければならない時期が来ておるというふうに考えております。したがって、昨年来より、事務所・事業所税の新税等についてもいろいろ検討をいたしておる次第でございます。また、一方においては、国の補助率の引き上げ等、さらには、恒久的に現在の不況感が抜け出せないといたしますならば、補助率であるとか、新税の創設であるとか、あるいは交付税率の改定であるとかをいろいろ総合いたしまして、地方財源の拡大強化をはかってまいりません限りにおいては、将来の財政需要に対処できないということについては、われわれも考え方先生と同感でございます。  しかしながら、実際的な問題になりますれば、やはり、こうした問題に対しましては、関係機関との間に相当検討を要しなければならない問題もございます。また、急増する財政需要に対して、それに要する財源等の関連を考えました場合に、一体、今後、そうした地方の自主的な財政拡大方針というものを無条件に容認できるか。それらの点もございまして、私ども、いま慎重にいろいろ検討を進めておる。そういう段階でございます。
  35. 門司亮

    門司委員 いまのお話ですけれども、これは、新税は大体悪税なりということで、私ども、税金をむやみにふやしていくことは、これ以上国民が税金を取られることはどうかと思います。しかし、まあそれはそれなりのお考えでよろしいかと思いますが、地方の自治体がこれから先どういう財政需要が必要かということは、いま一例だけ、下水の問題を申し上げましたが、これは下水の問題だけではないのですね。道路にしましても、ことに、社会保障費というものに至っては、これは国、地方を通ずる一つの大きな課題でありますけれども、実際の問題として、これも外国と比較をしてごらんなさい。一体フランスの何分の一になっているかということです。おそらく、日本の場合で、一人当たりの社会保障費と称されるものを全部ひっくるめて、六十一ドルか六十二ドルぐらいになりはしないか。フランスはこれが四百ドルをこえております。こういう実態があるのです。これは国の一つ財政、国の一つの政治姿勢というようなことで議論をすればいろいろの問題もあるし、それはそれなりでよろしいかと思いますが、それらの問題を実際に実施するのは市町村である。そういう社会保障の面についても、老人対策の面にいたしましても、身障者の面にいたしましても、あるいはそれらの諸君のいろいろな課題というようなもの等についても、市町村財政さえ豊かであれば、ある程度の補いはできるはずなんですね。やれるのです。ところが、市町村財政が非常に枯渇しておると、どんなに国がいろいろのことを施策として言っても、住民のかゆいところに手の届くようなことはなかなかできないのであって、この際、日本のそういう社会保障の問題や、あるいは環境整備の問題等を国が支配するというような考え方よりも、地方の自治体に余裕のある財源を与えることによって、自治体は自治体なりにこれを解決していくという方向のほうが、はるかに政治的には有効だということが考えられる。健康保険の問題がことしの国会では一つの大きなネックにもなろうかと思いますが、しかし、それはそれとして、地方財政が豊かである場合においては、それらの問題を緩和することは地方でできるわけでありまして、それからまた、地方の自治体はこれをやらなければならぬ立場に追い込まれているのである。国のほうは、別に自分たちの直接する仕事じゃありませんから、ある程度のんきなことを言っていられるが、地方の自治体は、目の前に病人があって、これをどうするかということ、目の前に生活の行き詰まっている人をどうするかということ、これは地方で実際に解決しなければならぬ問題であって、これは国が一つ一つの具体的な問題を解決するわけにいかない。そこに地方の政治と国の政治との大きな開きがある。  同時に、福祉国家という看板を政府が掲げているのなら、福祉行政の根幹はどこにあるのか。これを実施するのは市町村です。その市町村財政事情というものがいまのような形で、景気がよくなれば幾らかよくなるだろうというようなものの見方では、これはどうにもならぬですよ。私は、そういう自治省の見方はひとつ改めてもらって、いずれ大臣でもおいでになれば、特別に——自治大臣よりもむしろ大蔵大臣に聞いたほうがいいと考えておりますが、地方の自治体と、それから地方の住民の今日の要求にもう少しこたえられる姿を自治省はひとつ把握してみてもらいたいと考える。  そこで、私は、いやなことでありますけれども、端的に聞いておきたいと思うことは、ことしの予算の折衝にあたって、一体地方財政の見積もりをどのくらいに見ておったかということ。これは予算折衝のときに出ておるはずでありますから、おわかりになると思います。どうしてもお金がないから借金でこれを埋めたということは、抽象的にはいま言えるかもしれませんが、一体、どういうデータで、どれだけ要求されておったかということ、その中で交付税がどういう姿になっておったかということがもし——もしというよりも、資料があるはずでありますから、ひとつそれを明確にしておいてもらいたいと思います。
  36. 鎌田要人

    鎌田政府委員 お答え申し上げます前に、私の答弁のまずさで若干誤解を生じているといけませんので、重ねて答弁をさしていただきますが、先ほど私が申し上げましたのは、ことしの発行規模地方債、この元利償還というものが、将来の地方財政運営に累を及ぼす結果となるのではないかというお尋ねに対しまして、現在の、ことし見込んでおりますような経済の成長ということで、一般財源がふえてまいります場合、いろいろなモデルをつくって算定をいたしましても、現在のこの状況では元利償還というものに支障を生ずることはまずあるまいということを申し上げたわけでございまして、あるべき地方団体需要額というものにつきましては、先ほども申しましたように、地方財政長期ビジョン等を通じまして、いろいろな検討を私どももいたしておるわけでございます。たとえば、下水道を、昭和五十五年でに、現在の二三%の普及率を六二%にするならば、九兆一千億必要である。ところが、現在の投資可能な地方財源全部ひっくるめても、おそらくそこまで出すのは無理ではなかろうか。こういったようなことで、下水道なり、市町村道なり、あるいは清掃施設なり、公園なり、こういうものについての私どもなりの試算をいたし、資料を用意いたして、地方団体に対しまする財源の確保についての努力をいたしておるということは間違いのないところでございますので、誤解がもしございましたならば、御訂正いただきたいと思います。  それから、ことしの財政対策の問題でございますが、これは、昨年の夏から秋にかけまして、私ども当時推定をいたしましたところでは、これは地方のいわゆる一般財源ベースでございますけれども、一般財源ベースにおきましては、歳出で、どうしても一兆五千二百五十億程度の増加要因が見込まれるのに対しまして、税なり、交付税なり、あるいはそのほかの使用料、手数料あるいは収入、こういうものでは、地方債はプラスマイナス・ゼロで見ておったわけでありますが、五千三百九十億程度しか見込めない。そういうことから、差し引き九千八百六十億、まるめまして一兆円というものの財源不足を生ずるのではないだろうかという見通しを立てまして、これはたいへんなことである、地方財政未曽有の財政危機であるということで、私どもも、大蔵省その他関係方面に強力な折衝を開始いたしたわけでございます。  その後、予算編成の過程におきまして、歳出の面で申し上げますと、国の補助を伴う行政あるいは投資、こういうものにつきましては、おのずから、国の予算の規模の確定に従いましてこれは詰まってくるわけでございます。歳入のほうにおきましても、交付税でございますれば、国税正税の収入の見通しというものがきまってくれば、おのずからこれはさまってまいる。それから、地方税等につきましても、同じ基礎に立つわけでございますので、基礎が固まってきまして、一兆円弱と申しておりましたのが、最終的には八千億程度まで締まってきたわけであります。それに対しまする財政対策といたしましては、御案内のとおり、地方債の四千九百八億というものの増発を含めまして、ほぼそれに見合う財政措置というものかとられた。こういうことでございます。
  37. 門司亮

    門司委員 私の聞いていますのは、そういう説明でなくて、ひとつ、端的に、記録にとどめておいておきたいと思うから答えておいていただきたいと思うのですが、そうした見積もりの中で、政府財政需要額の問題をどの程度考えておるか。いまの、一兆円不足するとかなんとかということは、問題はあったかと思いますが、大体わかる。私がなぜそういうことを聞いておるかというと、ことしの場合は、特別交付税というのがあるのですね。これを要求された理由というのがどこかになければならないのですね。これはいろいろありますよ。いままでお金のあったときに、何か、大蔵省に、ありもしないお金を貸してやって、まだその清算がついていないのじゃないかと私は思う。完全についているかどうかということは疑問があるのです。まだついていないと思うのですけれども、こういうことしの地方財政の中の交付税の問題は、いろいろな問題を含んでいるのですよ。取るべきものを取らないで、何か特別なものだという感じを与えておるということ。したがって、特別に百五十億ですかのお金を、特別交付税ということで政府から出しておる。これの算定の基礎はどこにあるのですか。ただ、これはつかみ金としてよこしたものですか。
  38. 鎌田要人

    鎌田政府委員 ただいま申しました財源不足に対しまする私どもの考え方といたしましては最終段階で、これは交渉の過程のことでございますので、詳細に申し上げることはいかがかと思いますが、私どもといたしましては、臨時特例交付金、いわゆるキャッシュでもらうものを一本の柱、それから交付税特会から借り入れるというものを一本の柱、それから地方債の増発を一本の柱として、大体この三本の柱。そのほかに、沖繩対策の分があったわけでございますが、そこで、キャッシュでもらう分、臨時特例交付金というものを大体千二百億と実は要求をいたしたわけでございます。それはまあ、一応の根拠といたしましては、所得税の減税に伴いまするはね返り分が八百億程度あるであろう、それから、四百億程度のものがいわゆる経常的な義務的な経費の不足分、こういう一応の基礎を置いて千二百億というものを要求をいたしたわけでございます。それから、投資的経費に対応しまする分は、これはやはりこういうときでございますので、ある程度地方債の増発というものによらざるを得ない。それから、その中間にあるものといたしまして、交付税伸びというものが、この景気の動向によりまして伸び悩んでおる。そのものにつきましては、これは交付税会計が資金運用部資金から借り入れる。こういうことで、その額を千六百億ということで、その差額というものを一応地方債に持ってまいったわけでございます。ところが、御案内のとおり、国のほうにおきましても、来年度は、もういま新年度でございますが、五千五百億しか国税の自然増収というものは見込めない。その五千五百億の中で千四百六十億というものは、これは交付税のいわば当然増というもので出てまいる。そういうことになりますと、国もある程度、経常的な経費の増につきましては、これは一般財源をもって対処しなければならないわけでございますので、そこで、結局は、そこの配分の問題になったわけでございますが、最終的には、千二百億に対しまして、千五十億の臨時特例交付金。それから、先ほど申しました義務教育施設等の国庫補助負担金の増額、これによりまする地方負担の軽減、こういうもので百億余り。大体千二百億の線にちょっと足りませんけれども、ほぼ要求どおりの額というものを獲得をした。こういう形に相なっておるわけでございます。
  39. 門司亮

    門司委員 もう少し率直に言っておいてもらいたかったのですけれども、私がくどくど聞いておりますのは、ことしのこの書類を見てみますに、私は、自治省は正面に言ったほうがいいと思うのです。財政需要が将来どうなるかということについての多少の配慮がされていることが、臨時の交付金として千五十億ですか、ここに出てきているということですね。これは一体何でこういう問題が出てきたかということ。三二%以外にこういうものが必要なのか。沖繩の三百六十億を加えて大体千六百億という金が出てきている。こういうものはどこから出てきたかということです。私は、この状態が来年度で解消されるとは思わない。さっきも、自治省のほうでは、景気がよくなれば解消されるということを言っているのですけれども、私は解消されないと思う。そうすれば、どうしても交付税率をふやす以外に手はないのじゃないかということが考えられる。  こういう形で、臨時の特例でお金をもらってきたり、あるいはお金のあるときには政府に貸したりするようないままでの自治省と大蔵省のやりとり、これは最もけしからぬやり方であって、地方財政はのどから手が出るほど財源がほしいのに、国の財政事情で、ある場合は余っている。実際、余っているどころじゃない。足りないお金を大蔵省に使わせてみたり、また、大蔵省が、自分たちの国の一つの方針である景気浮揚のために、地方の自治体に、いま公共事業をたくさんやらせるような形をとってくる。それで足りないというなら、千五十億ばかりの金をそちらに出してやろうかという、この交付税自体に対するものの考え方が非常にゆがめられて今日まで来ている。交付税地方の自治体の財政の調整財源であることは間違いないわけで、国と地方との調整財源ではないのであります。これをあたかも国と地方との調整財源のような形で自治省と大蔵省が取引をしているところに、先ほどから申し上げておりますような、私どもの非常に大きな不安があるのである。この点はそれ以上私は聞きませんが、自治省でも、そういう問題についての将来の見通しというものがどのくらいかということについて、ひとつ考え直してもらいたい。  そこで要求をいたしておきますのは、地方の自治体の交付税法に基づく算定の基礎から、一体各自治体にどのくらいの財政需要額があるかということを、自治省が調べたことがあるかどうかということです。いつか、この厚いものを持ってきて、大体百十一兆ですかのお金が必要だということを書いたものを私ももらっていることも承知いたしておりますが、あの調査は、自治省限りの調査であって、私は、どうも市町村から集めたものではないような気がする。地方から集めれば、もう少し大きな版が出てこなければならぬはずだと考えておる。だから、この際、非常に無理な注文でありますけれども、今後急速に財政需要伸びておりますものに対処することのためには、新しい税金などを設けてみたところでたいしたものにならない。大きな数字にならない。だから、どうしても、交付税の税率を増すとか、あるいは国税で取られておる専売益金であるとか、お酒の税金であるとか、消費に関係した税金というようなものが地方に移譲されるというような、そういう確固としたものがなければならない。もはや、地方の自治体には、財源を付与しない限りは、日本の福祉国家なんて政府が言ったって、福祉国家などできるはずがない。そういう考え方の上に立って要求をしておきたいと思いますことは、各自治体別の——自治体別というと、三千幾つかも全部はできないでしょうが、たとえば五十万以上の市のあるべき姿にどのくらいのお金が要るかということの、これは年度別の問題もございましょうが、そういうものを離れて、さっき申し上げました下水の処理を一つしていこうとする問題についても、日本の平均が二一・八%くらいにしかなっておらない。これをイギリスの九五%まで伸ばすには一体どれだけのお金が必要なのか。こういう具体的な調査はできますか。これは、できればそういう資料をひとつ私は出してもらいたいと思うのだけれども、これは個々の自治体に自治省から要求されれば必ず出てくると思うのですけれども、その点は、そういうデータを出していただくことができますか。
  40. 鎌田要人

    鎌田政府委員 いまお述べになりましたような考え方で、実は、先ほど、分厚い百十兆とおっしゃいましたのが、私が先ほどから申しております地方財政長期ビジョンであるわけでございますが、それがまさに、先ほどもちょっと申しましたように、下水道の普及率を何%まで持っていくかという場合の、投資可能額と投資必要額というものの調査でございまして、これは、いま仰せになりましたように、全市町村個々の積み上げということではございませんが、作成の過程におきましては、全国知事会等の参加も得まして、意見も聞きながらやっておるわけでございます。実は、いま、この長期ビジョンというものを、もう少し何とか行政ベースに乗せられるものであればなるべく乗せるべく、検討を開始いたしたところでございます。少し時間がかかるかと思いますけれども、そういうものを早急に作成をいたしまして、御検討に資したいというふうに考えております。
  41. 門司亮

    門司委員 私は、これも非常に回りくどいことですけれども、そういうものを要求いたしておりますのは、先ほどから何度か申し上げておるように、交付税の問題については、根本的に考え直す時期に来ていやしないか、税率を急速にふやしていくか、あるいは、国、地方を通ずる税制の大改革をやるかという時期がもう来ておるのじゃなかろということが考えられるからです。それから、そういうことを私が考えますのは、税制改正は何度かやりましたけれども、何といっても、やはり根底になっておるのは、シャープの税制勧告がこの基礎になっておるということが大体言えようかと思う。したがって、もうこの辺で、あのシャープの税制勧告に基づいたものと変わった形のものがこの際必要ではないかということ。こう言うと、それは税制調査会で検討しておるからと政府はおそらく逃げられるでしょうが、先回りして答弁を言うわけにまいりませんが、そういう形になろうかと思いますが、地方の自治体は自治体なりに、やはり、財政需要というものの将来の見通しをもう少しはっきりつけてもらいたい。そういたしませんと、地方の自治体はどうにもならない事態に追い込まれてきておる。急速に伸びております関係から、財政需要が急速にふえていくと思います。それをコントロールする大事な役目である交付税が、税率が固定されたものであって、そして、その固定された税額から地方に配分していくという、税法とはおよそ逆な方向でこれが処理されているというところに私は問題がありはしないかと考えるから聞いておるのであります。  最後にもう一つだけ聞いておきたいと思いますけれども、沖繩に対しまする交付税の問題でございますが、これが三百六十五億ということに、譲与税を含めてそういうことになっておるように書いてありますけれども、この沖繩に対しまする交付税の算定の基礎というのは、本土の算定の基礎とはやや違った形のものが当然考えられなければならないじゃないかということを考えるが、これは何か特別なものをお考えになっていますか。
  42. 鎌田要人

    鎌田政府委員 沖繩の交付税の算定をいたします場合の前提といたしまして、ただいま御指摘になりましたような、沖繩の、一つは沿革的な特殊性、それから行財政上の特殊性、風土上の特殊性、こういったものをやはり加味しなければいけないわけでございまして、これは、昨年夏以来、私どものほうで、現地へ職員を派遣いたしまして検討いたしてまいりました。沖繩の場合、一つは、人員が非常に多くなるわけでございます。それから、第二の問題といたしましては、ある意味において、全体が辺地、離島的な性格がある。それから、第三といたしましては、内地との行政水準の早急な格差の是正をはかるために、思い切って国の補助負担率というものが高められておるわけでございます。そういったことを勘案いたしまして、大体財政計画ベースで一千億余りというものを積み上げまして、それに対応しまする交付税の所要額といたしまして、五百十億というものを年度間として算定をいたしました。それに対しまして、五月十五日復帰にかかるわけでございますが、それの分といたしまして、四百五十七億というものを、大体、沖繩に対しまする交付税のおおよそのワクというふうに現在考えておる次第でございます。
  43. 門司亮

    門司委員 それでは、最後にもう一つ聞いておきたいのだけれども、大蔵省に聞いておきますが、いまの自治省とのやりとりを一応お聞きになって、大蔵省としてはどういう見解をお持ちになっているか。この際聞かしておいていただきたいと思います。
  44. 長岡實

    ○長岡政府委員 地方財政の問題を考えますときに、四十七年度の情勢はやや異常な年でございまして、先ほど来の門司先生の御質問にもございましたように、景気の云々によって地方財政の問題を判断すべきではないというお考え方もあろうかと存じますけれども、いずれにいたしましても、四十七年度というのは、国と地方を通じて、財政の面では、おそらく、それほどたびたび経験したことがないほどの異常な事態であったろうかと存じます。その中で、国も地方もまあ何とか財政のやりくりをつけて予算の編成が終わったというようなことでございまして、必ずしも、地方公共団体側から見て、十分に御満足のいただけるような措置ではなかったかもしれませんけれども、しかし、いま申し上げましたような、非常にきびしい事情もとにおいては、大蔵省といたしましても、自治省と相談の上で、でき得る限りの地方財政措置を講じたつもりでございます。  なお、ことしだけの問題ではなくて、将来にわたって地方財政需要が一体どれだけふえていくか、また、それに対応するような地方財政の仕組みをどう考えていくかという問題は、これは非常にむずかしい問題であろうかと存じます。この点につきましても、門司先生のおしかりを受けるかもしれませんけれども、地方財政需要伸びていることは事実であろうかと思いますが、経済が順調に推移してくれれば、国税三税の収入も順調に伸び、したがって、その三一%分も同程度にふえていく。これによってまかなっていくことも不可能ではないというふうに考えることもできるわけでございまして、まあ、昭和四十六年度の景気の落ち込み以前の状態等を考えましても、決して地方財政にゆとりがあったとは申しませんけれども、現在に比べれば、相当財政需要に対する充足も可能であったかと存じますので、やはり、このような問題は、税制まで含めまして、長期的に検討を要する問題であろうか。かように考えております。
  45. 門司亮

    門司委員 大臣が見えるそうでありますから、くどいことは聞きませんが、大蔵省のいまの答弁は、これはほんとうに解しかねるのです。私は、何も四十七年度を議論しているわけではありませんで、地方財政需要が今後急速にふえていくということですね。それから同時に、ことしワクを広げますと、実際は地方のほうは縮められないのです。要するに、やりかけた仕事を中断するわけにいかない。ですから、ことしも地方財政のピンチというものは続くわけですね。これは国で少し考えてもらいたい。景気がよくなれば交付税がふえることは、だれだって承知しているのであって、むずかしい問題ではない。しかし、それだけでは追っつかないということであります。いままでの観念でいけばそれでよろしい。しかし、ことし政府が、景気浮揚策として、地方借金を倍以上にふやしてまでも仕事をやらせている。これが基礎になって、来年以後の地方財政計画も、これに基づいて非常に大幅に伸びてくるということであって、私が懸念しているのは、税制の伸び、あるいは景気の回復にかかわらず、地方財政は今後財政需要を急速にふやしていく。それに対処するにはどう考えるかということであって、それは少し私のほうも言い過ぎたかもしれませんけれども、税制全般を考えなければいかぬということも一つの方法ですけれども、地方の自治体がよるべきものとしては、交付税の税率を変更するということが一つの大きな課題であって、税制をどう変えてみたところで、これは国で取る分が地方に来たというだけの違いであって、たいして違いはない。しかし、これが税制調査会その他でひっかかって困難だというなら、とりあえずは、何といっても、国の税金地方に回すという考え方があるとするならば、交付税の税率をふやすということがやはり当然であって、また、そうしてもらわなければ、将来の、というよりも、来年度からの地方財政需要額に応じた仕事はできなくなる。ことに、ことし急速に伸びたものが、少しことばはよけいなことを言えば、むだになる危険性さえここに存在しているということ、やりかけておっても、来年度お金がなければ中止しなければならぬということがある。それから同時に、ことしふえてまいりました約五千億の借金、これだけ来年度交付税がふえるとはなかなか私も考えられないことであって、これはどんなに景気がよくなったって、これだけふえるということは考えられない。こういう面を考えてまいりますと、いまの大蔵省の考え方——もう少し時間があれば、大蔵省に最後の話も聞きたいと思いますけれど大臣も見えておりまして、時間でございますので、これで私はやめますけれども、私は地方の自治体のあるべき姿とだけ言っておりますけれども、やはり、いまの政府の方針の福祉国家を建設しようとするには、少なくとも、地方財政が豊かでなければ、福祉国家はどんなことをしたってできないということであります。この点だけはひとつ十分大蔵省も考えておいていただきたいということであります。      ————◇—————
  46. 大野市郎

    大野委員長 この際、公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案昭和四十二年度以後における地方公務員等共済組合法の年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律案及び地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案を議題とし、順次提案理由の説明を聴取いたします。渡海自治大臣。
  47. 渡海元三郎

    ○渡海国務大臣 ただいま議題となりました公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案の提案理由並びにその内容の要旨を御説明申し上げます。  地方道路公社が行なう有料道路の建設を促進するため、昭和四十七年度から、新たに、地方道路公社に対する公営企業金融公庫の融資の道を開くこととし、これに伴い、同公庫の目的及び業務の範囲について所要の改正をすることとしております。  なお、別に御審議をいただいております昭和四十七年度予算案におきまして、公営企業金融公庫の地方道路公社等に対する融資ワク六十億円を措置することとしております。  以上がこの法律案の提案理由並びにその内容の要旨でございます。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。  次に、昭和四十二年度以後における地方公務員等共済組合法の年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律案について、その提案理由と、その概要を御説明申し上げます。  政府は、恩給の年額の増額をはかるため、恩給法等の一部を改正する法律案を今国会に提出し、御審議を願っておりますが、これに伴い、地方公務員の退職年金制度についても、恩給法等の改生内容に準じて所要の措置を講ずるとともに、地方団体関係団体職員共済組合が支給する年金の額を、地方公務員にかかる年金の額の改定措置に準じて改定する必要があります。このほか公務による廃疾年金及び遺族年金の最低保障額の引き上げ、年金制度施行前の職員としての在職期間で、法の施行の日に引き続いていない期間の組合員期間への通算等の措置を講ずる必要があります。これがこの法律案を提出した理由であります。  次に、この法律案の概要を御説明申し上げます。  第一は、恩給の年額の増額の措置に準じ、地方公務員共済組合が支給する地方公務員等共済組合法の規定による退職年金等についても、その年金額を増額することとしております。すなわち、昭和四十五年三月三十一日以前に給付事由が生じた退職年金等の額を、昭和四十七年十月分以降一〇・一%増額するとともに、年金改定の方法につきましても、その簡素化をはかることとしております。  第二は、恩給制度の改正に伴い、地方公務員等共済組合法の規定により支給する公務による廃疾年金及び遺族年金の最低保障額を引き上げることとしております。  第三は、日本赤十字社の救護員としての在職期間を組合員期間に通算する場合は、救護員として在職する前に退職年金権が生じていないこと及び、通算される在職期間は最短年金年限を限度とする制限が付されておりますが、この制限を撤廃することとしております。  第四は、地方公務員の年金制度施行前に職員として在職した期間で、法の施行日に引き続いていない期間は、年金の額の算定の基礎期間とせず、年金権を発生させるためのいわゆる資格期間として取り扱っておりましたが、この取り扱いを改め、一定の要件を満たすものについては、年金の額の算定の基礎となる職員期間として、組合員期間に通算することとしております。  第五は、地方会議員共済会が支給する退職年金等についても、地方公務員の退職年令等と同様に、給付の制限及び差し押え禁止等の措置を講ずることとしております。  第六は、地方団体関係団体職員共済組合が支給する退職年金等について、その年金額を地方公務員共済組合が支給する退職年金等の年金額の引き上げ措置に準じて引き上げることとしております。  以上がこの法律案の提案理由及びその概要であります。何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。  次に、地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及びその概要を御説明申し上げます。  警察官、消防吏員等は、国民の生命、身体及び財産を保護し、公共の安全と秩序を維持するという任務を有しておりますが、この任務の遂行にあたっては、その生命、身体に高度の危険が予測されるにもかかわらず、職責上あえてその職務を遂行しなければならないものであります。ことに最近は、社会情勢の変化に伴い、集団犯罪の凶悪化、災害の多様化を見ており、警察官、消防吏員等の職務遂行はますます危険性を帯びてきております。  これらの職員が、高度の危険が予測される状況のもとにおいて、その職責を遂行し、そのため公務上の災害を受けた場合には、公務災害補償上特別の措置を講ずる必要があります。このことに関しては、人事院から意見の申し出があり、この意見を受けて国家公務員について、国家公務員災害補償法の一部を改正する法律案を今国会に提出し、御審議を願うこととしておりますが、地方公務員の災害補償制度につきましても、国家公務員災害補償法の改正と同様の措置を講ずる必要があります。これが、この法律案を提出した理由であります。  次に、この法律案の概要を御説明申し上げます。  第一は、今回の措置の対象となる職員は、警察職員、消防職員その他の職務内容の特殊な職員で、政令で定めるものであります。  第二は、対象となる職務は、犯罪の捜査、火災の鎮圧その他の政令で定める職務であります。  第三は、今回の措置は、これらの職員及び職務にかかる障害補償及び遺族補償について、現行の補償額に、百分の五十の範囲内で、政令で定める率を乗じて得た額を加算しようとするものであります。  第四は、この特例措置は、昭和四十七年一月一日から実施することといたしております。  以上が、この法律案の提案理由及びその概要であります。何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  48. 大野市郎

    大野委員長 一時三十分より再開することとし、暫時休憩いたします。    午後 零時十六分休憩      ————◇—————    午後一時三十六分開議
  49. 大野市郎

    大野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  昭和四十七年度分の地方交付税特例等に関する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。桑名義治君。
  50. 桑名義治

    ○桑名委員 最初に、経済企画庁のほうに御質問いたしたいと思います。  経済企画庁は、昭和四十七年度から一応三年がかりで、新全総の計画の改定の方向で総点検にかかるというふうに聞いているわけでございますが、これは事実でございますか。
  51. 白井和徳

    ○白井説明員 新全総の総点検を行なうことは事実でございます。
  52. 桑名義治

    ○桑名委員 これらの問題は、従来の経済優先あるいは高度成長といった一辺倒の政策が、いわゆる自然破壊あるいは生活環境の悪化といったものをもたらした結果でありまして、あるいはまた、経済体制に反省を求められる全国的な住民の運動によるものである。こういうふうに考えるのが自然な考え方ではなかろうかというふうに思うわけでございます。また、昨年の暮れには、国土総合開発審議会も、こういった情勢の中から、各方面で行なわれている環境問題の検討とも関連をしながら、新全総の総点検を早急に検討すべきであるという意見書も出しているわけでございます。  これらは、先ほどから申し上げておりますように、産業優先からいわゆる住民優先への政策の転換を望む声であり、経企庁がこれを受けて、新全総の総点検の新計画に取りかかるということになったものと思いますが、そこで、私が特にここで申し上げたいのは、この総点検について、大体どういうふうな角度から総点検をするのか。あるいは、総点検のメンバーは大体どういうメンバーでやろうとなさっておるのか。そこのところをまず聞いておきたいと思うのです。
  53. 白井和徳

    ○白井説明員 総点検は、最近におきます経済成長の実績が、新全総の前提としておりましたときの経済成長から見て大幅に上回るという経済成長の問題からと、それからもう一点は、御承知のように、四十四年に新全総ができたわけでございますが、その後におきます環境問題の深刻化にかんがみまして、計画の環境問題への対応をより明確化するために新全総の総点検を行ないたい。かように考えております。
  54. 桑名義治

    ○桑名委員 メンバーはどういうことになっていますか。
  55. 白井和徳

    ○白井説明員 検討の進め方につきましては、現在内部でもってまだ検討を進めておる段階でございまして、どういうメンバーでやるか、あるいはまた、国土開発審議会の中のどういう部会をつくってやるかということにつきましては、ただいま検討中でございます。
  56. 桑名義治

    ○桑名委員 このメンバーあるいは角度につきましては、当然、環境保全あるいは産業構造、産業立地、都市政策といったさまざまな立場から検討をしていかなければならないと思うわけでございますが、いろいろと論議が重ねられた中で、現在の地方自治団体の財政が非常に危機に瀕しているというふうに言われているわけでございます。先ほどからの論議の中にもあったように、いわゆる大都市周辺の地域におきましては、特にこの財政問題は緊急を要すると言われるような事態に立ち至っているわけでございます。これは、言うならば、国の住宅政策のあおりを食ってそういうふうな形に追い込められてしまった、押しやられた、こう言っても私は決して過言ではないと思う。すなわち、国の施策のあおりを受けて、地方自治団体の財政というものが硬直化してしまうというふうな一つケースであろう。こういうふうに考えるわけでございます。  それと同じように、この新全総を実施するにあたりましては、環境の保全等もこれは当然考えていかなければならない問題でもございますが、それと同時に、この施策を遂行するにあたりまして、仕事はどこがするかといえば、当然地方自治団体がやっていかなければならない問題が山積してきます。そういうことを考えますと、地方自治団体は、いわゆる国の景気浮揚の政策の一環としてなされたもの、すなわち公共事業の大幅な拡大等によりまして、その裏負担分を当然地方自治団体が持たなければならない、調達をしなければならない、こういうふうなことになるわけでございますが、こうした例に見られますように、外交、防衛を除いたすべての国の事業は、事実上は地方自治団体がやっているというふうな状態であります。また、今後、日本の経済も、構造的変化に伴いまして、住民生活に直結した行政需要が増大していくことは、これはもうどなたも否定することはできない事実であります。こういった事実から照らしてみても、下水道の整備、あるいはまた道路の整備、あるいは住宅、学校、公園、都市開発等のすべてに、地域住民、地方自治団体の考えが反映されてしかるべきだ。また、そうされなければならない。こういうふうに私たちは思うわけでござます。  そこで、これは直接の関係はないかとも思いますが、これはある新聞にも載っていることでござまずか、開発計画の影響を受ける住民の意向を重視しなければならない、最近の成田新幹線計面に対する千葉県民や東京都民の反対に見られるように、政府の効率本位の発想から生まれた開発計画は、必ずといっていいほど地元や周辺住民の激しい抵抗にあっている、こういうふうな記事が出ておるわけでございます。しかしながら、こういう記事が出ているということは、こういうふうに一つの開発を進めていく上におきまして、いわゆる住民の意思というものが、いままでの計画の中に盛り込まれていなかったということが当然言えるのではないか。こういうふうに考えるわけです。こうしたことから考えると、従来のこうした計画は、ほとんど中央が中心できめておった。地方の意思が反映されないために、あるいは発言する場所がないために、いよいよ実施段階に入って修正をしなければならないというような事実関係がたくさん生まれているわけでございます。そういった意味からも、今度の新全総の総点検をなす場合、これは当然計画変更もあり得ると思うのですけれども、そういった場合に、資金計画はどういうふうになっているのか、あるいは地方の負担分をどういうふうにしていかなければならないのか、そういう地方との関連を十二分に織り込んでいく必要がある。こういうふうに思うわけでございますけれども、その点について、自治省あるいはまた各地方自治団体の代表をこの総点検の中に入れ、そうして、新しい計画を打ち出すためには、どうしてもこういった人を計画の中に参面をさせて、住民の意思を反映をさせていくのが当然ではなかろうかと思うわけでございますが、経企庁としてはどういうふうにお考えですか。
  57. 白井和徳

    ○白井説明員 国土開発政策の基本的な目標は、地域住民の、福祉向上ということをねらってやるわけでございますから、当然、そういう開発計画が地域住民の意思を反映するように十分考慮してやっていかなければならないと思っております。したがいまして、今回新全総の総点検をやるにあたりましては、単に経済企画庁だけではなくて、自治省を含めた関係省庁と実際上共同作業というような形をとりまして一つの案をつくっていきたい。こう思っておりまして、この案をどういう形でもって今後一般的な住民に反映さしていくかということについては、それが反映し得るようなルールを確立したいと思っております。
  58. 桑名義治

    ○桑名委員 この問題は、ただ単に計面上の問題だけではなくて、これは財政的な裏づけが必ずついていく問題でございますので、自治省としては、どういうふうにこの問題についてはお考えになられますか。政務次官にお答え願いたいと思います。
  59. 小山省二

    小山政府委員 具体的にその結果を見ませんと、この財政的問題について事前に計画を立てるというわけにもまいりません。結果を見まして、十分それに対処するように努力をいたしたいと思います。
  60. 桑名義治

    ○桑名委員 そういう政治姿勢が、自治省がいままで国の大きな計画の中から締め出されているという一つの結果を生み出しているのではないか。こういうふうに私は考える。すなわち、いま一つの大きな国の計画ができる。新全総なら新全総の計画ができる。その結果を待って、それじゃ自治省の内部では財政的処置はどういうふうにしようかという考え方ならば、これは後手になると思うのですね。だから、総点検なら総点検で、計画変更をやるなら計画変更をやるで、その場においての討議がなされなければ、いつまでたっても自治省一つのワクの中にはまり込んでしまう。そして、同じ一つのますの中で、どういうふうに配分するかという、そういうふうな財政的な処置しかとれないというような実情に追い込まれていくのではないかと考えるわけです。先ほどから、経企庁のほうでは、自治省を含めたメンバーでこの総点検をやっていきたいと考えているといお話でございますが、小山政務次官のいまのお話では、結果を待ってからというようなお話でございます。そういうようなうしろ向きの姿勢が、自治省そのものが住民本位の姿勢ではないのだというふうに私は言いたいわけですが、その点をお聞きしているわけですから、明快にお答え願いたい。
  61. 鎌田要人

    鎌田政府委員 いま政務次官が御答弁申し上げましたのは、計画策定の過程で、当然自治省もその中に入りまして、地方財政の面、あるいは地方財政だけではございませんで、この開発の仕組みということになりますと、地方行政の組織運営にもこれは大きな関係があるわけでございますので、そういった点も含めて、十分に積極的に検討に参加してまいりたい。こういう御趣旨であったと思います。
  62. 桑名義治

    ○桑名委員 新全総のこの計画が立った時点では、自治省はこの計画の中に参画しましたか。
  63. 鎌田要人

    鎌田政府委員 これは、国家意思として出ておるわけでございますので、当然私どもも参画をいたしております。
  64. 桑名義治

    ○桑名委員 そこで、ただ単に自治省がこれに参画するということだけではなくて、いわゆる地方団体の代表をこの中に入れていく。あるいはまた、今度の場合は、特に、総点検をして、一つ計画の中にはめ込まれたものを修正をするという立場でございますので、こういった新全総の計画の中に含まれている各市町村の代表を当然総点検に参画をさせて、そして住民の意思を反映をさせていくことが最も適当な方法ではなかろうか。こういうふうに考えるわけでございますが、この点について、どのようにお考えですか。
  65. 鎌田要人

    鎌田政府委員 地方団体の代表という形で、委員として参加をしておられるということは、これまでなかったようでございますが、たとえば、地方自治体の、かつての行政経験の十分おありの、いわゆる学識経験者の方々、こういった方々を通じて地方団体の意向というものは極力反映させる仕組みを私どもいままで考えてまいったつもりでございます。今後もそういう方法で万全を期してまいりたいというふうに考えております。
  66. 桑名義治

    ○桑名委員 もちろん、過去、地方自治にそれぞれ参画をなさった方がそういった計画の中に入られるということは、これは非常に歓迎すべきことではございますけれども、しかし、鎌田局長も御存じのように、地方財政というものは、現在非常に大きな変革を遂げている時期でございます。そういう追い詰められた現在の、最もいろいろな問題点の多い、その問題をほんとうに熟知し、しかも、今後、こういう方向で国の施策をやってほしいという現実の問題をかかえている代表が出るということが、すなわち住民のほんとうの意思を反映をさせることになるのではないか。こういうように思っているわけです。したがって、私がいま申し上げている事柄は、現実に現在タッチしている人、あるいはそれぞれのビジョンを持っていらっしゃる方々、そういった方々の代表をこういった計画のときには入れて、そして、今後こういうふうな大きな国全体の計画がなされる場合には、必ず住民の意思が何らかの形で反映をされていくという方向でなければならない。私はこういうふうに思うわけでございますが、この点どうでございますか。
  67. 白井和徳

    ○白井説明員 国土総合開発審議会は、いろいろな面の学識経験者並びに地域の意思を反映するような人を入れて一緒につくっていくのが本筋だろうと思います。
  68. 桑名義治

    ○桑名委員 だから、そういう考え方は一応あるというような御答弁じゃ満足できないわけですよ。というのは、先ほどから申し上げておりますように、いかに国の大きな計画が立っても、しょせんは、それの実施段階に入った場合には、地方自治団体が実施をしていかなければならない。そしてまた、その財政的なある一面の負担分も当然持たなければならない。それがひいては地方自治団体の財政の硬直化に大きく影響を与えている。こういう実情にあるわけです。それでなくてさえも、最近は、住民の福祉向上のためにはいろいろな財政の増高が見られるわけですから、そういったことを配慮をしながら計画を立てていかなければならない。あるいはまた、現在公害の問題がいろいろと論議をされておりますが、この公害の問題にしましても、財政的な処置というものは満足すべきものではないわけです。先ほども話が出ており皮したけれども、いわゆるじんかい処理の問題にしましても、あるいは交通の問題にしても、住宅の問題にしても、そういういろいろな問題が出てきます。だから、そういった面から、実際に今後の総点検の中にそういう生きた声を反映をさせるというシステムをほんとうにこの段階でつくって、いただきたいと思っているわけです。ただ、そうすることが当然だと思いますということではなくて、現実的に、入れるとか、入れないとか、あなたはそういうことを誓える立場かどうか知りませんけれども、しかし、そういう確定的ないわゆる御援助をやっていただきたい。こういうように思っているわけですよ。
  69. 白井和徳

    ○白井説明員 ちょっと誤解があるかと思いますので、一言申し上げますが、われわれ新全総をつくりましたとき、この案についてすぐに閣議決定しないで、一応新聞発表等をいたしまして、国全体の世論がこの案についてどうかというような期間を大体二、三カ月持ちまして、そういうような世論なりを反映して、できるだけその案を取り入れた上でもって閣議決定するという手続を踏んでいるわけでして、いままで、新全総を、国の段階で、政府機関だけでもって独自につくったというふうにはわれわれ考えていないわけです。したがって、そういうような国民の代表はだれであるかということは非常にむずかしい問題ですし、やはり、そういう計画を審議する場所ですから、学識経験者とか、あるいはそれに関係する政府関係行政機関というふうに法律上きまっておりますので、その範囲内において、いま先生指摘になったようなことについて努力していきたい。かように考えております。
  70. 桑名義治

    ○桑名委員 じゃ、いまの問題について政務次官の御意見を伺っておきたいと思います。
  71. 小山省二

    小山政府委員 所管が違うわけでございますから、私どものほうで主体的にいろいろの考え方を申し上げることもどうかと思うのでありますが、この計画はまだ緒についたばかりでありますから、いろいろ御指摘の動向等もございますから、庁内でもこの問題に対する考え方をよく統一いたしまして、そして関係の部課に、いろいろ地方財政等にも影響することでございますから、そういう問題について今後問題を起こさないように万全の対策を確立させたいというふうに考えております。
  72. 桑名義治

    ○桑名委員 ただ単に、住民の反対があるとかないとかいう問題でなくて、いわゆる地方財政の確立のために、こういう計画の中にはぜひ参画をさせておくべきではないか。それを強力に進めていくのが筋だと思う。これは所管は違うかもしれませんが、そういう意見を強力に推し進めていくのが自治省の役目であり、また政治的な立場から、政務次官なり、あるいはまた大臣なりは、ここに力を注ぐべきだろうと思って政務次官にお尋ねしておるわけです。決して、あなたが所管をしているのだということを私は申し上げておるのではなく、そういうふうなものの考え方の中でやってもらいたいということです。地方自治体というものは、国全体のワクの中から現在多少すみに追いやられておるようなかっこうですから、そういう国土開発計画ができた場合には、むしろその中心に居すわって、そして一切の政策が施行されていく。そういう立場に浮揚していかなければならない。そういう立場から私は申し上げておるわけですから、その立場で御答弁していただかないと、先ほどからの政務次官の御答弁は、どうも消極的で満足できないわけでございますから、そういう立場で御答弁願いたいと思います。
  73. 小山省二

    小山政府委員 そうした総合的な調査が国の方針としてきまりました以上は、自治省としても、地方自治体の将来のあるべき姿、またそのいろいろな関係問題等について、この調査の中から積極的にいろいろの発言をしたり、また、具体的な対策を立てたりして、この調査の有終の美を飾れるように、私どもでも御支援を申し上げたいと思っております。
  74. 桑名義治

    ○桑名委員 ことばじりをとってまことに申しわけないのですが、御支援ではないですよ。これはわれわれの仕事ではないですか。そういうように思います。これは政務次官としてのお仕事だと思うのです。それがすなわち、国民全体の、いわゆる民主主義の確立であろう、あるいは地方自治の確立であろう、そういうふうに私は理解をしておるわけでございますので、その点については、ただ単に新全総の洗い直しの問題だけにとどまらずに、今後、いわゆる国土総合開発の計画への参画を中心的存在として必ず行なわれ、地方自治を必ず認めた上で、そこに視点を置いた立場で計画が進められるような全幅の力をひとつ発揮していただきたい。これをまず要望しておきたいと思います。  次に、交付税制度の問題でございますが、地方制度調査会の答申にもありますように、国の財政において公共事業費あるいは社会保障費、給与費の歳出が増加した場合、必然的に、これらの経費増は地方財政における負担増を招くというのは、これは一般的な見方でございます。また、一方、本来ならば、歳入面においても、あるいはまた国税の自然増収があるときは、地方交付税及び地方譲与税において増収を生じ、そうして経済動向や国税収入の状況に対応して地方税の増収をもたらすものでありまして、地方財政もその増加需要に対応することができる一応の仕組みにはなっている。こういうふうに理解しておるわけでございます。しかし、今回のように、国の財政が国債によって財政規模を拡大する場合には、それに関連して地方の歳出の増加が生ずることは、いろいろと先ほどからも論議をされておるところでございます。しかしながら、地方交付税あるいは地方譲与税及び地方税の増加は、これに対応するだけの増加が望めないというのが実情であるわけでございます。この国債による財政規模の拡大が今後も予想されるわけでございますが、この際、地方交付税制度そのものを検討する時期が来ているんではないか。このことはもうたびたび論議の的になっているわけでございますが、この問題についてどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  75. 小山省二

    小山政府委員 しばしばそういう御指摘があるわけでございますが、御承知のとおり、交付税を四十一年に改定をいたしまして以来、景気の非常な成長から、年々二〇%以上の伸びを示しておるわけでございます。したがって、今日京で、このことが地方財政に対してはいろいろな面で好影響を及ぼしておったんではなかろうかというふうに私は考えておるのでございますが、しかし、昨年以来、ドル・ショック、さらに円の切り上げ等もございまして、わが国の景気回復もそれだけ非常におくれておるわけでございます。したがって、交付税率を変更するかどうかというような問題につきましては、国のこういう基本的な経済の伸一というものが未知数の段階において軽々に変更するということも、交付税率の従来持っております使命からかんがみましていかがかと私ども考えておるわけでございます。  したがって、本年の下半期からは経済が回復するであろうというような予想のもとに一連の財政計画が組まれておるわけでございますから、もう少しそれらの結果を見まして、景気が恒久的に持続できる——不況だというような感じがいたします場合においては、また別途検討しなければならぬと思いますが、要するに、現在の景気停滞というものが一時的な現象である、この下半期からは回復するという前提に立っておりますので、今回の交付税の不足額分については、臨時過渡的な処置をいたしまして、そうして一応地方財政計画というものをつくったわけでございます。  従来から、私どもとしては、交付税率というものはそう軽々に動かすべきものでないという基本的な考え方の上に立ちまして今日に至っておるわけでございますので、したがって、そういう景気の動向あるいは将来の地方財政需要というものをもう少し長期的に見まして、それらを総合して交付税率について検討しなければならないのではなかろうかというふうに考えております。
  76. 桑名義治

    ○桑名委員 今年度のいわゆる税収の落ち込みということは、これは言うならば一時的過渡的な状況だという一つの要因もあるかとも思います。そういう見方もあるかとも思います。しかしながら、地方財政そのものが、実際に、いわゆる健全な状態にいままで置かれておったかどうかという認識の上に立って、さらにことしの動向というものを上積みしてものを考えるという立場から見た場合に、政務次官は、いままで地方財政というものは非常に順調にきたのだ、もう十分だというようにお考えなんですか。そういう立場に立って、ことしだけ特に落ち込んだというなら、あなたのおっしゃっていることもけっこうだと思うのですが、私はそういう立場はとっていないのです。先ほどからの質疑に出ておりますように、いわゆる税の伸びよりも、むしろ財政需要のほうが先行しておる。上回っておる。そこに現在の地方財政の問題点があるんだ。こういうように言われているわけですよね。そういう認識に立っていらっしゃるのか。それとも、地方財政はこれでりっぱなものだという認識に立っていらっしゃるのか。そこから、いわゆる地方交付税制度そのものをどういうふうに持っていかなければならないかという発想の視点が生まれてくると思うのですよ。どうですか、その点は。
  77. 小山省二

    小山政府委員 この財政需要をどこで見るか、どこで押えるかということは、これはそれぞれの見方によって多少違うと私は思うのでございますが、一応基準財政需要額というものを定めまして、これに対してどの程度の収入額があるかというような形の中で地方財政というものを運営して、今日に至っておるわけでございます。幸いに、景気関係もございまして、従来はそれらの需要を満たすだけの財源というものが大体あったわけでございますが、しかし、それで地方財政というものは安泰かというと、私どもも決してさようには考えておりません。もちろん、最近におきます住民生活の実態、また、過密過疎の状況、あるいは公害、交通など、地方財政としては処理しなければならぬいろいろな問題をたくさんかかえておるわけであります。しかし、それらの問題があるからといっても、やはり、地方財政能力というものにはおのずと限度があります。したがって、そういう問題を総合的に勘案しまして財政需要のものさしというものを一応はかっておるのがいままでの実情でございますのでも十分とは申しませんが、従来は、そうした需要に対して対処できるだけの財源は一応確保しておった。こういう考え方に立っておるわけであります。
  78. 桑名義治

    ○桑名委員 まあ、そういう考え方に立っていらっるので、そういう答弁になったと思うのですけれどもね。しかしながら、実際に地方自治体の実情をながめてみますと、いま政務次官がおっしゃっているような実情ではないわけですね。だから、一度私お話し申し上げたことがあるわけですが、私の選挙区の中には、産炭地をずいぶんかかえているのです。産炭地の地方自治団体の財政事情というものは、最悪の場合に立ち至っておるわけです。たとえば、屎尿処理場は、二十年間いわゆる露天掘りの穴の中に捨てておったというような実情で、これは、前の長野局長に話をして片づけていただいたわけでございますけれども、そういうような事柄がまだたくさん残っているわけですよね。こういう問題は、特に民主主義の現在の段階では、地方自治という立場から考えた場合、これは恥ずべきことだと思うのです。そういう事柄が処理できなくて、処理しなければならないということを知っておりながらやれないという、そういう実情があちらこちらに散在していることは事実でありますし、あるいは、先ほど話が出ておりますように、東京都におきましては、ごみの処理の問題をどうするかということで非常に頭を痛めておるというのが実情でございますし、あるいは、公害指定都市になったところの公害対策がまた大きないわゆる財政需要をかかえておるというのが実情であります。また、反面、今度は、そういう都心部でなくて、過疎地帯に行きますと、皆さん御存じのように、これまた財政硬直化が非常に激しくなっている。そして、なすべき仕事が山積をしている。こういう実情にある。何が問題かといえば、これはやはり財政的な問題である。そこに最後は帰着してしまう。こういった立場を考えてみますと、いままであなたがおっしゃったように、一応十分に充足してきたということは言えないんじゃないか。こういうふうに私は考えるわけですよ。政務次官、やっぱり充足していますか。
  79. 小山省二

    小山政府委員 十分に、ということばが、はたして適切であるかどうかということは、これは疑問でありますが、財政需要額に対して、それだけの収入額を一応確保しておった。こういうふうに私ども理解しておるわけであります。しかし、本年度の予算をごらんいただいてもおわかりのとおり、地方財政も困難な中でございますが、公共事業費については、二兆三千五百億、対前年比二九・三%増というように、かなり積極的にそうした懸案の問題を解決しようという意欲のもと地方財政計画が組まれておるという点については、御理解をいただきたいというふうに考えます。
  80. 桑名義治

    ○桑名委員 まあ、一応の面から言いますと、それは一応理解できるわけですが、これは前々からしょっちゅう言われていますように、借金でございますので、これは当然地方自治団体の今後の大きな負担にかかってくる。こういうふうにも言、れるわけでございます。一応、ことしは、国債の発行ということで景気の浮揚をはかっておるわけでございますけれども、この裏負担分も当然地方自治団体が持たなければならないという実情にあるわけでございますが、こういったことを考えますと、現行のいわゆる地方交付税制度を通ずる国と地方の財源配分は、国が、いわゆる税収を中心とした健全財政主義のもとにおいて定められた制度であろうというふうに私は理解をしておるわけでございますが、今日の、国が恒常的に多額の国債を発行して、その財政規模を拡大するという、いわゆる財政主導型の財政制度の仕組みのもとにおいては、地方財源の確保という機能を失って、きわめて弾力性を欠いたものになっているということはいなめない事実だと存じます。したがって、政府は、国税三税にリンクするほかに、国債発行額にもリンクする交付税制度という、そういう抜本的な考え方を持たなくてはならないのではなかろうか。こういうふうに考えるわけでございますが、どうでございましょうか。たとえば、現行のいわゆる交付税制度が、国税三税の三二%ということになっておるわけでございますが、国が国債発行をした場合には、これのたとえば三〇%をまた交付税制度の中に組み込んでいくというような制度を考えたならば、これは国と地方との均衡がある程度財政的にとれるのではないか。こういうふうに考えるわけでございますが、こういった考え方は、大蔵省としてはどうですか。
  81. 加藤隆司

    ○加藤説明員 四十一年の段階におきまして、この議論が自治省から提起されました。それから、四十三、四年に、今度は私のほうからこういう問題を自治省のほうに提起いたしました。それぞれ理由がありまして、決着がついておらぬわけでございますが、こういう経緯は一応おくといたしまして、公債の場合、資産見合いの経費を公債で出す。そうしますと、公共団体の場合には、やはり地方財政法の五条、あの精神に基づいて資産見合いのものは地方債でまかなう。国と地方との間に、この資産見合いの経費をめぐり、財源について行ったり来たりがあるということがはたして妥当なのかどうか。そういう形式的な問題もございますが、本質論としては、公債を地方財源を計算する場合の基礎に入れるという点にはいささか問題があろうかとも思うわけです。しかしながら、本年のような事態が続きますと、交付税法の六条の三にもありますように、何かのかっこうの制度の再検討ということは出てまいりますので、そういう際には、もちろん一つ考え方として検討してみなければならぬだろう。こういうふうに思っております。
  82. 桑名義治

    ○桑名委員 自治省としてはどういうようにお考えですか。
  83. 鎌田要人

    鎌田政府委員 いま、この国債発行額というものを交付税の基礎に置くべきだという議論は、実は、昭和四十一年に、私どもあるいは地方制度調査会でもそういう意見があったわけでございます。その当時の考え方といたしましては、均衡財政——それまで均衡財政でございました。均衡財政の中では、国の財政地方財政との間には、一方において歳出面でのメカニズム、それから歳入面でのメカニズムを通しましてバランスがとれておったわけでございますけれども、これが、均衡財政主義を一てきされまして、国債を発行されるということになりますと、その発行されました岡積を、この財源の引き当てとして事業をふやされる。それの地方負担分というのは当然ふえるわけですけれども、それに見合う地方財源というものはどこからも出てこない。こういうようなことから、国債の発行額とプラス国税三税、それも、その当時は二三%という数字を経験的に出したわけでありますけれども、そういうものを地方財源として付与する方式というものを考えるべきだということを主張したことがございます。  ただ、問題は、国債が建設国債ということで限定をされますと、おのずからそこに歯どめがあるわけでございますが、そこで、国債の発行額の一部を結果的には地方財源として付与することになりますと、国の税源その他一般財源がふえない場合には、赤字国債を出さなければ金の出しようがないという、実は事実上の制約があるものですから、その点につきましては、私どもも、いまにわかにそれを主張することはいかがなものだろうかという感じは持っております。ただ、むしろ、その問題とは一応別個の問題といたしまして、将来、国の税制の体制といたしまして、直接税を減税して間接税をふやしていく。あるいは付加価値税というようなものを導入していく。こういった時点になりますと、やはり、交付税のリンクする国の財源、これとのからみ合いというものはあらためて考え直す必要があるだろう。現在の段階におきましては、その国債の発行額の一定割合を直ちに地方財源として付与すべしということについては、赤字国債とのからみがありまして、ちょっと慎重に検討すべきかなという感じを私としては持っております。
  84. 桑名義治

    ○桑名委員 いままでのいわゆる地方財政というものの見方、あるいは実態もそれとことしのこういう特殊な落ち込み、それかも将来にわたる景気の浮揚、こういった中で、当然これは交付税制度というものをある程度抜本的に改正を考えていかなければならないのではないかというふうに考えるわけでございますが、自治省として、何か、この交付税制度の改正についての将来計画というものをお持ちならばお話し願いたいと思います。
  85. 鎌田要人

    鎌田政府委員 当面の問題といたしましては、これは、本日の午前の質問に対しましても御答弁申し上げたわけでありますけれども、現在の財源不足の状況というものがここしばらく持続するのかどうか、これが一つの目安になろうかと思います。これがある程度持続的な形になりますとも当然、この交付税率の引き上げの問題も含めまして、地方財政制度の改正ということが日程にのぼらざるを得ないだろうと思います。  それから、将来的な問題といたしましては、先ほど門司先生からも御指摘がありましたような地方財政長期的な展望に立ちまして、地方の行政水準というものを将来目標として、現在の低い水準からある程度目標設定をいたしまして、そこまで計画的に年次的に持っていく。こういう場合に、おそらくこれは財源の絶対額が足りないということは明らかだろうと思います。その場合に、交付税地方税地方債、これをどういうふうにからましていくか。これはもちろんそのときどきにおきます景気の動向とのからみもあると思いますけれども、その段階において、いま三つの財政手段というものを私ども持っておるわけでございますけれども、それをどういうふうにからましていくかという問題は、長期的な問題として、当然私ども取り組まなければいけないと思います。ただ、現在のところは、早急に交付税についてこうしなければならないという具体的なプログラムを私ども用意しておるところまでいっておりません。
  86. 桑名義治

    ○桑名委員 総理がたびたび言っておりますように、人間尊重の方向、あるいはまた住民福祉の方向の政治というふうに言われているわけですし、あるいは、いわゆる公害国会を一つの起点にしまして、住民福祉という問題が非常に大きくクローズアップされてまいりました。それと並びまして、いままでの高度経済成長というものをある程度抑制をしていかなければならないのではないかという、一つの国全体の大きな政策の転換がいまなされようとしているわけでございます。そういった立場から考えていきますと、いままでのようないわゆる景気浮揚というものは、当然望むべきものではないというふうに、もうある程度断定していいのではないか。私はこういうふうに考えるわけです。  そして、そういう立場から考えていきますと、先ほどから、今後の景気浮揚、景気浮揚というお話が非常に連発をされているわけでございますが、過去のそういった景気の浮揚というものはもう夢ではないか。そういった立場から考えると、この交付税制度も、景気浮揚とかなんとかいうことではなくて、当然抜本的に考えていかなければならない状態にあるのではないか。こういうふうに私は判断をしているわけでございますけれども、その点はどうでございますか。
  87. 小山省二

    小山政府委員 従来のように、二〇%以上の高度な成長ということは、あるいは御指摘のように望めないかもわかりません。しかし、今回の一連の財政措置によって、わが国の経済の回復ということが相当予想されておるわけでございますので、実際問題として、これらの動向を見定めません限りにおいては、交付税率について、軽々にこれをどうするという結論にはなりにくいというふうに考えております。いずれにしても、もう少しこの景気の動向を見定めまして、将来そういう問題については相当検討を要しなければならない。そういう時期が来ているのではないかというふうに考えております。
  88. 桑名義治

    ○桑名委員 先ほどから申し上げておりますように、私は、ただ交付税の率を引き上げるというところに視点を置いているわけではありません。交付税制度そのものに対する改革というところに視点を置いてお話しを申し上げておるわけです。その点は誤解のないようにしていただきたいと思います。それと、いま申し上げましたように、過去のようないわゆる景気浮揚は望めないということが一点と、先ほどからいろいろ論議にのぼっておりますように、財政需要が非常に増高してきたという点、この二面から考えた場合に、しょせんこれはいままでの交付税制度を抜本的に改革していかなければならないのじゃないか。こういうふうに申し上げておるわけでございます。どうか、この問題につきましては、積極的にひとつ取り組んで、今後の長期展望に立った交付税制度というものを考えていただきたい。これはともどもに私ども考えていきたい。このように考えております。  次に、交付税特別会計による借り入れ金の処置についてお尋ねをしたいと思いますが、交付税特別会計で資金運用部資金から一千六百億の借り入れ。昭和四十六年の補正において、すでに一千二百九十五億六千万円も借り入れを行なっております。今回の処置と合計しますと、その総額は二千八百九十五億六千万円というぼう大な額にのぼるわけでございます。さらに、例年行なわれております人事院勧告による給与改定の問題を大体計算に入れますと、総額は約四千億をこえるような多額な金額になるのではないか。こういうふうに思うわけでございます。今後は、これまでのように、先ほど申し上げたように、経済の高度成長ということは当然見込むべきではない。こういうふうに考えるわけでございますが、償還額が多額にのぼり、そういった時期における交付税の借り入れ金の返還について、そのために所要の財源の検討がまた特に必要になるのではないか。こういうふうに私は思うわけでございますが、この点についてはどのようにお考えでございますか。
  89. 鎌田要人

    鎌田政府委員 御指摘のように、四十七年度借り入れ分と四十六年度借り入れ分で、約二千八百九十六億円というものを、本年度以降九年度間にわたって返してまいるわけでございます。かなり大きな額になるわけでございますので、私どもの考え方といたしましては、両方ひっくるめまして、景気の動向ともにらみ合わせまして、最初に返していく額はできるだけ少なく、だんだんふやしていく。こういうことで償還計画を立てておるわけでございます。  まず、試みの一つ考え方を申し上げますと、去年からことし、四十六年から四十七年のような交付税伸び率というものは、将来を見通しましても、神ならぬ身の予測はちょっと困難でございますが、最低であろうと思うわけでございますけれども、その最低の率でかりに伸びてまいったということで、一般財源が一二・六%毎年伸びる。こういう前提を置きまして、その場合の一般財源に対して償還額が占める割合を試算をいたしてみますと、最低〇・一七%、最高〇・三三%ということでございますので、一般財源の中からこれを返していくということにつきましては、そう支障はないのではないだろうかと思うわけでございます。ただ、これはあくまでも将来のことでございますし、このほかに景気停滞長期化しまして、借り入れあるいは起債というようなものがさらにふえるというような状態になってきますと、これは、その段階において適切な措置を講じなければならないということは申し上げなければならないと思いますが、現在の状況はそういうことでございます。
  90. 桑名義治

    ○桑名委員 また、地方財政計画の歳入歳出の構成比という立場からながめてみますと、昭和四十六年度は、歳入が地方債は四・六%.歳出は公債費が三・七%。四十七年度は、歳入は八・〇%、歳出が四・〇%。こういうふうになっておるわけでございますが、これは、四十五年、四十六年、四十七年と、だんだん年数がたつに従って、その割合が増加するということが非常に自立っているわけでございます。このように公債費の占める割合が年々増高をしていく。そうして地方財政の体質がますます弱体化していく。こういうふうな傾向にあると言っても過言ではないと思います。そこで、現在、都道府県においては、すでに十八団体が赤字団体となっておりますし、市町村を含めるとかなりの赤字団体にのぼる。こういうふうに思うわけでございます。しかも、この数字というものは、比較的景気がよかった時代にこういうことでございます。昭和四十七年度以降は、この状態から考えますと、地方団体の赤字団体が急激に増加するのではないか。こういうことも考えられるわけでございます。そうしますと、このままの財政の体質でいきますと非常に問題になるわけでございますが、こういった地方財政の体質をどういうふうに変革していかれようと考えておられるか。その点を伺っておきたいと思います。
  91. 鎌田要人

    鎌田政府委員 ただいま仰せになりましたのは、四十五年度の決算状況であろうと存じます。御案内のとおり、四十四年の十一月でございましたか、景気の引き締めが行なわれまして、それから、景気のかげりと申しますか、というものが四十五年度の税収等にすでに出てきておることは事実でございます。その結果もございます。また、四十五年度、御案内のとおり、地方選挙等がございまして、かなり地方団体の歳出がふえておることも事実でございまして、単年度におきますというと赤字が出てきておるということでありますが、四十六年度になると、明らかに景気の下降が出てきておりますので、四十六年度の決算におきましては、さらに単年度の赤字はふえるのではないだろうかと考えております。それだけに、私どもといたしましては、この景気の下降、停滞があくまでも一時的な現象であってほしい。そういう意味で、毎々申し上げておりますように、この下期から景気回復過程に入ることを神に祈るよりな気持ちで祈っておるわけでございます。  ただ、公債の問題でありますが、これは私、あるいは先生と少しく意見を異にするのかもしれませんが、私の率直な気持ちといたしましては、これはマクロの議論でございますけれども、地方財政全体として、いままでの歳入面におきます地方債の依存度あるいは公債費の占める割合、こういうものを見ておりまして、もう少しやはり地方債というものに依存してもいいのではないだろうか。と申しますのは、やはりこれだけ社会資本のストックも低うございますし、急激に整備をはかっていかなければならないわけでございますから、それをいまの世代の人たち税金だけでまかなうということについては、負担の関係から申しましても、これはやや無理があるのではないだろうか。公債というものを、適債事業についてはある程度思い切って発行して、それによって施設の整備、充実、地域住民の生活環境の改善をはかっていくということは、私はまだ余地があるという感じがいたします。  ただ、問題は、地方団体と申しましても三千のさまざまな団体の集まりでございますから、個々の団体につきまして、公債費というものが地方財政を圧迫することのないように、毎々申し上げておりますように、比較的弱い団体は交付税を主とする。それから、比較的財政力の強い団体については公債というものを主にする。その中間にあるところは交付税地方債というものをないまぜていく。その場合でも、やはり財政カの強弱に応じまして、政府資金というものを優先的に財政力の弱いところには張りつけていく。こういったようなきめのこまかい指導をすることによりまして、体といたしましては、まだ、公債依存の余地というものは、現状をもってしてはあり得るのではないだろうか。これは大いに議論のあるところだろうと思いますが、私はそういうふうに認識をいたしておるわけでございます。
  92. 桑名義治

    ○桑名委員 だいぶ約束の時間が近づきましたで、この議論はまた別の時期にいたします。  次に、ちょっと聞いておきたいことは、公共事業債の問題でございますが、今回、地方財政対策の一環として、公共事業債というものが三千五百億増額されたことに伴いまして、これに見合う基準財政需要額を削減して、地方債に振りかえていく。その結果、いわゆる公共事業債の割り高な府県においては、交付税額が激減するということが予想されるわけでございますが、この対策をどのようにお考えになっておられますか。
  93. 鎌田要人

    鎌田政府委員 ただいま御指摘になりました三千五百億の配分につきましては、先ほども申しましたように、府県、大都市等、比較的財政力が相対的に強いといいますか、復元力のあると申しますか、そういうところに起債を張りつけていく。そういったところで、投資的経費で起債に振り向けられるものを振りかえていく。と同時に、市町村あるいは弱小の府県、こういったところにつきましては、農林漁業の経費につきましては、逆に投資的経費の増をはかりまして、それでできるだけ財政力の弱い団体に対する激変というものを緩和をいたしておるわけでございます。  それから、交付税が絶対額として前年よりも減るというところはございません。これは御案内のとおり、交付税額全体といたしましては、沖繩を除きまして、一九一六%のほぼ平年並みの伸びを確保いたしておるわけでございますので、その絶対額が減るというところはもちろんないわけでございますが、伸びが縮まりまして、その分が結局地方債と連動をして財政を回していく。そういったところに従来にない面があるわけでございますけれども、交付税が激減という現象はございません。減少という現象はございません。
  94. 桑名義治

    ○桑名委員 ちょっと最後のほうが聞こえなかったのですが、交付税の激減はないけれども、減少はあるということですか。
  95. 鎌田要人

    鎌田政府委員 これは大事な問題でございますので、もう一度繰り返して申し上げますが、減少するということはないということでございます。増加するということはもちろんございますけれども、減少することは絶対にございません。
  96. 桑名義治

    ○桑名委員 今回は、沖繩復帰に伴いまして、三百五十億ですかの財政措置が行なわれておるわけでございます。今後も恒常的に沖繩に対しましてもこうやって措置をとっていかなければならないわけでございますが、これも当然一切がっさい交付税の現在のワクの中から配分をしていかなければならないわけでございます。この問題についてどういうようにお考えになっていらっしゃるのか。  それと、もう一点は、沖繩のいわゆる財政構造ですね。これをどういうふうに持っていこうとなさっておるのか。ここのところを一応明らかにしておいていただきたいと思います。
  97. 鎌田要人

    鎌田政府委員 沖繩県の財政構造でございますが、県市町村通じまして、これは何といたしましても、税源が希薄でございますので、税のウエートというものが非常に低うございます。それだけに、交付税と国からの支出金、こういうもののウエートが非常に高い。こういう財政構造になろうかと思います。  それから、特に、現在復帰前の姿で申しますと、市町村の場合におきましては、特に、単独事業というものが非常に少ない。これは従来の琉球政府市町村との事務配分の関係もあろうかと思いますが、そういうことが特徴として考えられると思います。  そういう前提でございますので、沖繩県あるいは沖繩の市町村に対しまする交付税、これは沖繩の特殊性というものを十分に勘案をして配分をしなければならない。また、その総額の確保についても同様でございます。  これは午前中にも御答弁申し上げたところでございますが、そういう特殊事情を勘案いたしまして、来年度四十七年度は、平年度ベースで五百十億という、一応県、市町村を通じましての交付税額をはじいたわけでございます。それの十・五カ月分といたしまして四百五十七億、そのうちの八割というものを国の一般会計から交付税会計に入れる。二割は交付税会計の中から出していく。来年は、四十八年度になりますと、その五百十億をもとにしまして、交付税総額の伸び率、この伸び率にスライドしました額の六割というものを国の一般会計から入れる。残りの四割は交付税会計の中から出していく。逐次そういたしまして、四割、二割、それで五年度目からは現在の地方交付税の中に完全に吸収してしまう。こういう仕組みを考えておるわけでございます。  それから、私、先ほど、交付税の額が減少するところはないということを申し上げましたが、どうも私もちょっと不勉強のようでございまして、市町村分につきましては、この収入がふえるところがございますので、減少するところが出てくるということがあるようでございますので、つつしんで訂正させていただきます。
  98. 桑名義治

    ○桑名委員 いまの問題でございますが、またこれはあとに戻さなければならないわけですが、これはあとでまたお聞きします。  時間が参りましたので、一応資料要求をさせていただきまして終わりたいと思います。  基準財政需要算定のために、各市町村ごとの経費の種類、たとえば、都市計画費、下水道費、保健衛生費。こういった経費の種類ごとに、四十七年度は基準財政需要額をどのくらい伸ばしたのかということを、四十六年度と比較して、その額を出していただきたいと思うのです。  また、今年度総額が少なかったので、十分伸ばし得なかった、しかし、来年度はこの経費の種類については伸ばすといった、いわゆる将来の方向を、その種類と額と、その理由をあげて、資料として提出をしていただきたいと思うのですが、できますか。
  99. 潮田康夫

    ○潮田説明員 御報告申し上げます。  私どもから国会のほうに提出さしていただいておりまするところの四十七年度地方交付税関係参考資料の中に、市町村分、都道府県分ともに、各費目ごとに幾らの増加需要額が入っているかという資料を提出さしていただいております。その増加需要額の中で、おもな事項でどういうものが出てきたかという事項もつけております。もし、これでさらに御説明する必要がございましたら、御説明にあがらしていただきたいと思います。
  100. 桑名義治

    ○桑名委員 そうしていただきます。じゃ、終わります。
  101. 大野市郎

    大野委員長 山口鶴男君。
  102. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 最初に、これはどなたにお伺いしましょうか。この表紙を見ますと、昭和四十七年度分の地方交付税特例等に関する法律案と書いてありますね。従来は、地方交付税法の一部を改正する法律案という形で提案をされるのが通例だったわけですね。なぜ特例に関する法律案になったかということは承知をいたしておりますけれども、私は、これは好ましくないと思うのですね。なぜ地方交付税法の一部を改正する法律案という形にならなかったのですか。やはり、従来のような交付税法の一部を改正する法律案というのを提案をするのが私は筋だと思いますし、地方財政のことを考えましても、そうあるべきだと思うのであります。特例等に関する法律案という名前になりましたことはたいへん遺憾に思います。いかがでしょうか。
  103. 鎌田要人

    鎌田政府委員 まあ、これは法形式の問題でございますので、いろいろの御批判の余地があろうかと思うわけでございますが、四十七年度におきましては、いままででございますと、先ほど申しましたような交付税の総額については、絶対額は確保できたわけでございますので、いわば単位費用、あるいはときによりましては算定項目、測定単位、こういうものを改正をする。まさに、交付税法の一部改正で処理ができたわけでございますが、四十七年度は、まず交付税の総額から特例を設けなければならないという問題がございまして、それからもう一つは、沖繩につきまして、臨時経過的な特例措置を設ける。こういったことがございますものですから、そこを一本にして改正をいたした。こういうことでございます。
  104. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 沖繩三百六十五億でしたか、沖繩だけの特例がついたというだけで特例等に関する法律案になったとは言えませんね。それより、むしろ千五十億というような特例交付金、そちらのほうが大きいわけですからね。そういうものがありますために特例等に関する法律案にならざるを得なかった。私、そこがやはり残念だと申し上げているわけなんでありまして、念のために聞いておきますが、最近では、特例等に関する法律案という形で出したのが何年度と何年度であって、交付税の一部を改正する法律案で出たのが何年度と何年度であったか。御参考までに説明してくれませんか。
  105. 潮田康夫

    ○潮田説明員 お答え申し上げます。  今回のような特例で出しましたのが、四十一年度、四十二年度でございます。なお、四十一年度のときには、交付税率の引き上げもありましたから、本来の交付税法のほうの改正もさせていただきました。あとは、全部、地方交付税の一部改正であります。
  106. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 不況の際といいますか、四十一年にこの特例等に関する法律案で、また特例等に関する法律案が四十七年度に出た。特例等に関する法律案が出るときは、あまりいいときではないということですね。ですから、ことしもがんばって、特例等に関する法律案じゃなくて、地方交付税法の一部を改正する法律案で、できれは交付税率も引き上げ、特例措置等を講ずることなくきちっと措置する法律案としてお出しになるべきであった。こう私は思うのですが、政務次官、いかがですか。
  107. 小山省二

    小山政府委員 御指摘のとおりのように考えております。
  108. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 だから、ことしは法律の名前からして、表紙からして悪いということですね。その二とを申し上げておきます。また、いずれ、大蔵大臣、佐藤総理大臣も御出席になるそうでありますから、そういう際に、顔つきの悪いことについては十分また御意見を申し上げておきたいと思います。  それから、いま一つ法律についてお尋ねしたいのですが、ことしは、附則の五に、交付税及び譲与税配布特別会計法の一部改正が入っていますね。従来、補正予算の際に、交付税を改正いたしますときに、この交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部改正を交付税法にくっつけロケットで提案したことはありましたが、当初予算を審議する通常国会で、交付税法改正に特会法の改正をつけて出したということは、これはあまり記憶がないのですが、これはいかがですか。通常国会の交付税法改正に特会法の改正を附則で、木に竹をついだようにいたしまして出したということは例がございましたか。いかがでございますか。
  109. 潮田康夫

    ○潮田説明員 今回のように大規模なものではございませんけれども、たとえば、四十五年の法律五十一号でございますが、その附則の九項で、やはり交付税譲与税特別会計法の一部を改正いたしております。
  110. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 そうすると、四十五年に一度あっただけですね。昨年はたしか、特会法改正案が大蔵のほうに出ておったように記憶をしておりましたが、昨年はどうでしたか。通常国会ですよ。
  111. 潮田康夫

    ○潮田説明員 四十五年はいま申し上げましたようにやっておりますが、最近は特別会計法独自の改正はいたしておりません。
  112. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 最近というと、何年からですか。
  113. 潮田康夫

    ○潮田説明員 四十六年度はいま申し上げましたとおりでございます。四十五年度も申し上げたとおりでございます。いつからやりましたかは、調べて御報告させていただきます。
  114. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 四十五年以前は、特会法の改正が大蔵委員会にたしか出ておったのが通例だと私は記憶しておるのですよ。主計局次長さんがおられるから聞くのですが、特会法の改正は大蔵委員会に出すのが通例だったわけですね。どういうわけで、自治省が提案いたします交付税の改正の中に特会法を育めるようになったのでしょうか。大蔵省としても特別なお考えがあってそうされているんじゃないかと推察するのですが、いかがですか。
  115. 長岡實

    ○長岡政府委員 私、過去の経緯をよく存じておりませんので、正確なお答えになるかどうかは若干心配でございますけれども、いま聞くところによりますと、法制局の意見も取り入れまして、特別会計自体の仕組みとか、実体的な規定の改正というよりは、地方財政に対する特別の措置を受けた字句の修正であるということで、このような形をとっておるんだ。こういうふうに聞いております。
  116. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 実は、一つ法律に、木に竹をついだようにいろいろの法律をつき足して国会に出してくる。特に、今通常国会では、名前はちょっと忘れましたけれども、逓信委員会に出ている法律案、あれはたしか四つか五つくらいの法律を一本にまとめて出している。木に竹をついだ法律の一番典型的なものだと私は承知しておりますけれども、これは、各常任委員会の審議権を無視して、要するに、政府の側で提出法案の数をしぼるための、いわば国会対策上の配慮からそういう傾向が最近多くなるような気がいたしてならないのです。現在の佐藤内閣の官房長官は一名国対官房長官とも言われている人ですから、そういう方が官房長官でおるために、国会対策上の配慮が非常に強まり過ぎたのではないかという気もするのですけれども、従来、それぞれ別々の常任委員会に提案してまいりました各種法律を、木に竹をつぐというようなかっこうで、何でもかんでも一本化して、国会審議さえ簡単にいけばいいというような形で出すことは私はいかがかと思う。もちろん、ここは地方行政委員会でありますから、特に大蔵委員会のことをせん気に病む必要もないと思いますけれども、しかし、私は、国会というものはそういうものじゃないと思うのです。いままでそれぞれ分けて出してきたものを、この際とにかく提出法案を少なくしぼったほうが成立の割合がよくなるだろう、打率がよくなるだろうというようなことでやることは私はおかしいんじゃないかという気がいたします。これはひとつ、政治家としての政務次官の御見解を承っておきましょう。
  117. 小山省二

    小山政府委員 結果的から見ますと、御指摘のように、国対サイドのような感じがいたすわけでありますが、事務当局が専門的に法制局と十分相談をいたしまして、つまり、専門的な意見に基づいてこのような処置をとったんではなかろうか。私自身もまだ十分検討しておりませんから十分なお答えになるかどうかわかりませんが、そういうような感じを持っておるわけでございます。
  118. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 鎌田さんはいかがですか。
  119. 鎌田要人

    鎌田政府委員 これは、もともと交付税特別会計で資金運用部資金から借り入れる。去年、追加ではございましたけれども、交付税で千二百九十六億の借り入れをいたしましたときに、やはり附則で交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部改正を行なったわけでございますが、今度はこの交付税会計でさらに千六百億借り入れる。そこで、前の千二百九十六億に千六百億を合わせまして、償還計画を一本として出したものですから、これはこういう形で、附則で交付税特別会計法の一部を改正するほうがむしろ連動関係にあるものですから、そこのところはまたそれなりの理由があるのではないだろうかという感じがいたします。
  120. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 この点、同じようなやりとりをいたしましてもどうかと思いますから終わっておきたいと思うのですけれども、ただ、基本的に、私どもとすれば、木に竹をつぐような法律を国会対策上からおつくりになることについてはいかがかと思うという考え方を持っておることを申し上げておきたいと思います。  それから、同時に、委員長、普通でしたら、交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部改正は、大蔵委員会に大蔵省提出でかかる法案なんですねこれが出れば、大蔵大臣出席して、十分大蔵委員会で審議があるべきなんですよ。ところが、今度は、これは幸いロケットで出していただいたんですから、大蔵委員会に付託された際に大蔵大臣出席して御答弁すると同じくらいの時間を大蔵大臣出席いただいて論議しなければ、私は筋が通らぬと思うのです。本来大蔵委員会で大蔵大臣出席した上で熱心に議論すべき法律案が、幸いというか、この地方行政委員会に出ておるわけですから、したがって、私ども、交付税法の審議を行なうにあたっては、大蔵大臣出席をしてもらって当委員会で十分論議をする。こういう場をつくっていただかないと法律の趣旨にも反するということになるわけでありまして、その点ひとつ委員長におかれて十分御配慮をいただくようにお願いしたいと思いますが、委員長のお考え方はどうでしょうか。
  121. 大野市郎

    大野委員長 私もしろうとでありますから、検討いたします。
  122. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 委員長、ひとつよく検討してください。  それでは次に移りたいと思いますが、本日も、門司委員と桑名委員が、今年度の地方財政対策がきわめて不十分であるということを御指摘をされておられましたが、全く私も同様のことを考えておるわけでございまして、お二人の御主張、まさにそのとおりと思って拝聴いたしておりました。この点は、佐藤総理や大蔵大臣がお見えになる際、あるいは自治大臣がお見えの際にまたゆっくり議論をしたいと思いますが、ただ、若干ここで触れておきたいと思いますのは、今度の財政措置はいかにも不十分だということは、もうおおいがたい事実だと思うのです。先般、渡海自治大臣の所信表明に対してお尋ねしたわけでありますが、その際、渡海自治大臣は、本年国税の伸びは五千五百二十二億円である、しかるに交付税、国税三税の伸びが千百億だ——地方財政計画にそう出ておりますね。それから、沖繩の臨時特別交付金が三百六十五億である、それからさらに特別交付金として千五十億、合計二千五百十五億というものを地方財政に持ってきたんだ、国税の伸びが本年わずか五千五百二十二億、このうちの四六%に当たる二千五百十五億、計算してみましたら四六%になっておりますが、これだけ持ってきたんだから、ほぼ国税の伸びの半分を地方財政に持ってきたんだから、大いに努力した成果があらわれているではないか、と、こういうような御趣旨のことを申されたのでありますが、確かに、そういう数字の面から見ればそうですね。私も否定はいたしませんが、しかし、門司先住も御指摘されましたように、一兆円の財源不足ということを言っておった。まあ、九千八百六十億円の財源不足、これが八千億ということになり、しかも、八千億の内訳を見ると、起債が四千九百八億円。それから千六百億を借りてきた。それから、特例交付金の千五十億、臨時沖繩特別交付金が三百六十五億、合計七千九百二十三億。そのほか義務教育施設費の補助率を三分の二から二分の一に上げたというのが約百億で、八千億円の財源手当て。こういうわけですけれども、その補助率が上がったほうを抜けば七千九百二十三億です。このうち借金がどうかということになれば、起債の四千九百八億円はずばり借金。それから千六百億円も、これまた借金。合計六千五百八億円というものは借金であって、七千九百二十三億円の中に占める割合は八二%ですよ。八二%が借金。これでは、私は、いかにしても健全な地方財政対策とは言いがたい。まさに借金に抱かれた地方財政であるというようなことを言っても差しつかえないと思います。そういう姿になったことは、いかにしても残念であります。  で、私、ここでお尋ねしたいのは、少なくとも、昭和四十一年の地方財政対策では、そういうことはなかったでしょう。あのときは、少なくとも、二・五%交付税率を引き上げましたね。それからさらに、財源不足を補てんするための特別事業債の千二百億、これについては元利補給の道を当時とったですね。これが途中でしり切れトンボになりましたけれども、しかし、たてまえとしては元利補給の措置をとったわけです。それに比べますと、本年度の地方財政対策は、私は、非常にこれは後退だと思うのです。まさに後退に次ぐ後退、総退却みたいなものじゃないかと思うのですが、この点、自治省としてはいかような御感想をお持ちでありますか。いや後退ではない、決して四十一年の地方財政対策に比べて劣っていない、こう言う御自信があるならば、その根拠をひとつお示しいただきたいと思うのです。
  123. 鎌田要人

    鎌田政府委員 これは、今度の地方財政対策をどう評価するかということにつきましては、いろいろの御意見があるだろうと思います。私どもの考え方といたしましては、交付税率の引き上げということは、これはやはり当然最初から強く希望いたしておったわけでありますが、ただ、ここで問題は、昭和四十一年のときを考えてみますと、あの当時におきましては、その前の四十年に交付税率を二八・九から二九・五に引き上げております。それからまた、その前、三十七年に二八・五から二八・九に引き上げておる。やはり地方交付税法の第六条の三に規定をいたしておりますところの引き続き地方財源の——正確に申しますと、要するに、基準財政収入額が基準財政需要額に及ばざる状態というものが引き続いた状態になったということが一つの前提であったろうと思うわけであります。ところが、四十一年に、当時これはたいへんな努力をしていただいたと思うわけでございますが、二・五%の交付税率の引き上げによりまして、その後の経済の順調な伸びというものにささえられまして、少なくとも四十六年度当初の段階まではかなり交付税伸びて、地方財政は、もちろんこれは絶対的に足りるわけはございませんけれども、従来に比較いたしますと、相対的にゆとりのある状態というものが実現できたことは、私は、これはやはり事実であろうと思うわけであります。  そこで、四十六年以降景気停滞という状態に相なり、国におきましても、五千五百二十億余りの国税の自然増収、一兆九千五百億という国債の巨額の発行を行ないまして、かろうじて国の予算も組めた。こういう状態の中でございますので、私どもといたしましては、交付税率の引き上げということにつきましては、毎々申し上げておりますように、今般の景気停滞というものは、少なくともこの秋からは上昇過程に転ずるであろうという、そういう見通しというものとの関連において、交付税率の引き上げということは慎重に考えるべきであろうということが第一点でございます。  ただ、その場合におきまして、端的に申しまして、自治、大蔵との財政対策の折衝の過程におきましては、国も財政が苦しくて国債を超大幅に発行するのだから、地方団体地方債を発行してこの危機というものを乗り切ってもらいたいと、非常に強い要望がありました。その地方債交付税、特会借り入れ、この二本の柱で地方財政の対策を講じてもらいたいということが、大蔵側の強い要望としてあったわけであります。それに対しまして、自治省といたしましては、大臣以下、俗にキャッシュの柱と申しておったわけでありますが、やはり、借り入り金でない、あるいは地方債でない一般会計からの繰り入れというものを、どうしても柱を一本立ててもらいたいということでございました。これは異例の両大臣の数次に及ぶ折衝で、最後は昨年の大みそかの午後四時までかかりましての折衝の過程におきまして、この千五十億というキャッシュの柱というものが実現をした。こういうことでございまして、私は、現在の経済諸情勢、あるいは国地方財政状況というものからいたしますと、やむを得ないといいますか、努力の最高限度という感じが率直に申しましてするわけでございます。
  124. 小山省二

    小山政府委員 地方財政計画に対する中身が後退に次ぐ後退だ、こういう御批判でございますが、確かに、私、見方によってはそういうふうな見方もあるのではないかというふうに考えますが、御承知のとおり、昨年とことしは、わが国経済も、従来のような高度成長というような実情下に必ずしもございません。言うならば、たいへんな不況の中において地方財政計画を組まなければならなかった。まず、こういう前提に立ってお考えをいただきたいと思うのでございますが、そういう中で、言うならば、前年度に比較してそう支障のない財政計画を組ましていただいた。もちろん、その中には、一部地方債に振りかえるというような処置をとりまして、結果においては借金ではないかということに相なるわけでございますが、この地方債が後年度における地方財政計画にいろいろ支障を来たすというような大きな金額ではない、したがって、一応当面する各種の財政需要にこたえるためには、今日のような場合においては、ある程度そうした起債を活用するという考え方をとらざるを得なかった。こういうふうに実は私は理解をいたしておるわけでございます。幸いに、大蔵当局も地方財政について深い理解を示していただきまして、国の財政もかなり困難な中から、一千五十億の特例交付金であるとか、あるいは千六百億の借り入れでありますとか、さらには、沖繩の三百六十五億の特別交代金等、一連の財政措置をしていただいて、かろうじて前年度並みの財政規模を持つ地方財政計画というものが確立をされたというような実情でございます。したがって、今後におきます景気の回復等を考えますれば、これから先は、今日よりも幾らか明るい状態の中で明年度は地方財政計画というものを編成することができるのではなかろうか、というように考えておる次第でございます。
  125. 潮田康夫

    ○潮田説明員 御報告させていただきます。  ただいまの特別会計の改正と地方交付税の改正を一本にいたしましたのは、四十四年の当初までは、そういう必要がある場合には二本立てでやって、おりましたが、四十四年の補正の以降、いまのような一本の形にいたしております。
  126. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 四十四年の当初までは特会は別に出した。それ以降は一緒にしている。こういうことでありますから、昭和四十五年以降は、大蔵大臣が当委員会に出席する必要性が高まったというように理解をいたしておきましょう。  それで、いまのお二人の御答弁でありますが、次官、確かにことしは異例な不況の中で、きわめて悪い条件の中で予算編成をせざるを得なかったということは、私もこれを認めるにやぶさかではありません。ですから、私が申し上げたのは、同じような不況のさなかで予算編成を行なわれた昭和四十一年度の地方財政対策、この四十一年度の予算編成や地方財政計画の策定にあたっては、交付税率を二・五%上げ、千二百億の特別地方債については、元利償還の措置も行なったんだ。しかるに、ことしは、確かに、沖繩の三百六十五億及び千五十億という特別な交付金を確保することができたが、しかし、本来なら、当然交付税率の引き上げを行なうべき事態であるのに、交付税率の引き上げはとうとう実施することができなかった。それからまた、四千九百八億円にのぼる膨大な起債の増を行なった。この起債に対して、特別地方債と同様に元利償還の措置をすべきであるのに、その措置もとることができなかったということは遺憾ではないのかということを申し上げているわけです。ですから、好況のときの地方財政対策とことしとを比べてけしからぬと私は言っておるわけではないのです。次官が言われたような、異例の不況の中で編成された昭和四十一年度の地方財政対策に比べて、本年が後退していることが残念であったということを申し上げているわけでございまして、この点はひとつ、私の申し上げている趣旨を十分御理解をいただきたいと思うのです。  それから、鎌田さんは、借金もやむを得ぬ、本年度の後半には景気回復があるだろうと言っておられるわけですが、大蔵省、これからの景気見通しはどうなんでしょう。ことし起債をふやした。借金をふやした。そして、昨年の千二百九十五億の借り入れ、ことしの千六百億円の借り入れ、合計二千八百九十五億の借り入れがございます。これを昭和五十五年度まで逐次返済をしなければならぬ。そういう借金も負っている。しかも、起債は伸びて、そうして公債費も将来相当伸びるだろう。それは、景気がどんどん上向いて国税三税もどんどん伸びる、したがって、交付税もどんどん伸びる、地方税も、従来と同じように、二〇%をこえる自然増がどんどんあるというときならば、ある程度心配ないと言ってもいいと私は思うのですけれども、昭和三十年代あるいは四十年代の、昨年、一昨年までのような経済の高度成長が今後とも行なわれると見ることは、いろいろな面から言って不可能じゃありませんか。とすれば、私は、これから景気がよくなるだろうから、いまのところ借金は心配ないという、ようなことは、少し暴論ではないだろうかと思いますが、大蔵省の御見解はいかがですか。
  127. 長岡實

    ○長岡政府委員 政府といたしましては、四十七年度の下半期には、景気は、この停滞を切り抜けて回復の方向に向かう、また向かわせなければならないという前提のもとに今回の予算の性格づけも行なわれておりますし、あらゆる施策を総合的に実施いたしまして、そのような状態を実現するように努力してまいらなければならないと考えております。  もちろん、山口先生のおっしゃいますように、昭和三十五、六年ごろからの高度成長のような状態、非常に異常な経済成長の伸びが今後期待されるとは思っておりませんけれども、一応、政府見通しといたしましても、四十七年度の経済見通しは、国民総生産は、前年度に対しまして、名目では一二・九%伸びるということを予定いたしておりますし、また、これが一つの目標として、この数値を実現するために努力をしてまいらなければならない。かように考えております。
  128. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 私は、昨年の本会議で、地方財政計画交付税法の改正について、党を代表して質問をいたしました。また、当地方行政委員会でも同じ趣旨のことをお尋ねしたんですが、そのとき私が本会議で申し上げたことは、昨年の昭和十六年度の国の予算の中では、景気対策、景気が落ち込んだ場合の措置というのが一応ありましたね。公社、公団等の資金を、景気が落ち込んだ場合に、ある程度の限度額をあらかじめふやして設定しておいて、そうしてこの事業がこなし得るという形で景気対策をやっていこうというのが国の予算の中にはあった。ところが、地方財政には、そういった厭気対策の配慮というものが全くないじゃないか、将来景気が異常に落ち込んだ場合には一体どうするのかということを、実は、昨年の本会議質問で申し上げ、また、委員会でもお尋ねをいたしたのであります。別に、私の言ったことが当たったとか当たらぬとかいうことを私は申し上げるつもりはないわけですけれども、不幸にして、私が懸念したような事態が昨年起きたわけです。そういう中で、国も公債を発行しなければなりませんでしたし、また、地方財政もたいへんなことになりまして、五千億円にのぼる財源手当てを一体どうするかということで四苦入善いたしたことは私どもの記憶に新しいわけであります。ですから、昨年もやはり地方財政に厭気が落ち込んだ場合の措置というものを何ら考えていなかったということは、私は、手落ちであったと思います。ことしはことしで、ことしの下半期は景気がよくなるだろう。それは、経企庁や大蔵省や政府が願望を持っておられることはわかりますよ。ですけれども、それがそのとおりいくかいかぬかということは将来の問題なんですから、そういったバラ色の幻想を抱いて、だからことしは借金をしてもだいじょうぶなんだ、ことしは借金が異常にふえても心配ないんだと言い切ることはやや問題があるのじゃないかという気が、私は、昨年の例を通じてするわけであります。  これは、これ以上同じような問題を蒸し返して議論してもしかたがありませんから、これ以上多くは申し上げませんけれども、ただ、そこで私が申し上げたいのは、いま国会は、例の日米密約が大きな問題になっています。この日米密約の問題、特に昭和四十六年五月二十五日の愛知・マイヤー会談で請求権の問題を取り上げた。例の四百万ドル復元補償の問題ですね。このときに、私ども社会党が提示をいたしましたこの秘密電報文書によれば、愛知・マイヤー会談の中で、マイヤー大使は、「財源の心配までしてもらったことは多としている」「問題は実質ではなくて、APPEARANCEである」ということを言っているのですね。今度の地方財政対策、まさにアピアランスではありませんか。外見だけ、見せかけだけはとにかく二〇%ばかり伸びて、しかも、一般行政費の単独事業、それから投資的経費の単独事業についても、まあまあ伸びている。外見はまあいいですよ。しかし、実質というのは非常に悪化していると私は思うのですね。今度の地方財政対策は、マイヤー大使じゃないけれども、まさに見せかけ、外見だけのていさいを考え地方財政計画である。アピアランスの地方財政計画である。たまたま密約問題にからんで、そういう感じを持たざるを得ないわけであります。将来の見通し等を考えたとき、自治省、安心してよろしいのですか。将来よくなるだろうから、借金はいまあってもだいじょうぶだ、とにかく外見だけ、見せかけだけ整えていればよろしい。こういうことで安心してよろしいかどうかだけ、いま一度念のためにお伺いしておきましよう。
  129. 鎌田要人

    鎌田政府委員 非常に痛いところをつかれておるような気持ちがするわけでございますが、私どもは、やはり、何と申しましても、地方財政全体のあるべき姿といたしましては、終始一貫、地方自主財源というものを高めてまいる、あるいは、交付税も含めましての一般財源のウエートを高めてまいる、これが私どもといたしましての、常に変わらざる目標といいますか、悲願であるわけでございまして、ことしのこの財政対策をもって手放しで先行きを楽観しておるということでは毛頭ないことは御理解いただけるだろうと思うわけでございます。ただ、現在の経済の情勢の推移、あるいは国、地方財政というものをながめ渡してみまして、四十七年度の地方財政対策といたしましては、他からもいろいろ御批判があるかもしれませんが、私ども最善を尽くして、いわば、地方財政全体として、何とか支障なく運営ができるという確信は持っておるわけでございますが、もちろん、四十八年度以降の地方財政のあり方は、今日のような経済情勢の推移のままでありましたならば、四十七年度よりもさらに深刻な地方財政の危機に直面するわけでございますので、明年度の財政対策、あるいは明年度以降の財政対策というものについて、いわば応急的な手を打ちますと同時に、今朝以来いろいろ御議論がございましたけれども、長期的な観点に立っての地方財政対策と申しますか、地方財源確保のための措置というものについては、これはもう今日ただいまから取り組んでまいらなければならないというふうに考えておるところでございます。
  130. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 尊敬する鎌田さんのことでありますから、御決意は十分多といたしまして、本年度補正以降さらにひとつ御検討されますように期待を申し上げておきましょう。そこで、大蔵省主計局次長さんにかさねてお伺いいたしますが、四十一年度の地方財政対策よりも、同じ時不況下でありながら、ことしは非常に渋いわけですにね。もうるる申し上げましたから繰り返しませんよ。四十一年のとき、福田大蔵大臣、それから自治大臣はたしか永山さんのときだったと思うのでありますけれども、あのときにああいった措置をおとりになったわけですね。ことしはどうも、せっかく渡海さんが臨時大蔵大臣代理もやっておったのにもかかわらず、たいへん後退した措置しか組まなかったということは非常にけしからぬことじゃないか。私はこう思うのですが、四十一年不況にはあれだけの措置をしながら、ことしは大蔵省は何で非常に渋いことをおやりになったのでしょうか。その違いをひとつお答えいただきたいと思うのです。
  131. 長岡實

    ○長岡政府委員 地方財政につきまして、何らの特別措置を講ずることなく行なえるということが一番望ましい状態であるということは申すまでもございません。したがいまして、特別の措置をとっておりますのは、いま先生がおっしゃいましたように、四十一年度あるいは四十七年度のように、異常な経済状態が国の財政及び地方財政に反映された場合に、どういう特別の対策を講ずるかということで行なわれてまいったものでございますが、そのような特別措置は、考えられるいろいろの方法がございますけれども、その時点における諸般の情勢を勘案して、いかなる措置をとるかということを考えてまいってもいいんではないかと思います。  そこで、御質問の、四十一年度と四十七年度でどうしてとった内容が違うのだという点でございますけれども、私ども認識しておりますところでは、前回と今回とでは。一つは、地方財政そのものの体質といいますか、基調といいますか、そういうものに若干の相違があるのではなかろうか。たとえば、地方財政の普通会計の決算の推移を見ましても、昭和、十六年度をピークといたしまして、三十七、八、九と下降傾向をたどっておった時期でございます。そういうような時点において、四十年度に、翌年度四十一年度の不況下における地方財政対策を考えておったという事情がございます。一方、今回の場合には、四十三、四、五と、決算上の黒字は上昇傾向にあったということも一つの要素に入っておったのではないかと思います。また、四十二、三、四、五の決算上の黒字が積み車なりまして、私どもの認識といたしましては、四十年度当時よりも、地方財政そのものは非常に体質が強くなっておるという認識があったことも事実でございます。  それからもう一つは、地方財政の逼迫の度合いでございますが、四十一年度には、地方財政に対して何らの特別措置を講じなかった場合には、もちろんもう山口先生よく御存じでございますけれども、交付税の額そのものが前年の当初額よりも落ち込んでしまうという状態にあったわけでございます。今回は、わずかではございますけれども、千数百億、何らの措置を講じなくても、前年度よりは上回っておる。もちろん、それでは足りないために特別の措置を講じたわけでございますけれども、そういった地方財政の逼迫度合いに対する認識も、四十一年度とは若干今回は異なっておる。その認識が間違っておるんだというおしかりを受けるかもしれませんけれども、私どもは、希望的観測まで含めまして、四十七年度の地方財政の状況は異常な、異例な状態であるというふうに認識をいたしまして、四十一年度とは違った措置を、自治省と御相談の上でとったような次第でございます。
  132. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 体質が当時よりは今回のほうが強くなっているというようなお話がありましたが、ここに門司先生もおられますが、先ほど来清掃の問題その他を取り上げていろいろ強調しておられましたが、現在の過密、過疎の激化、大都市問題の大きな行き詰まりといった中で、アビアランス、見せかけだけは財政規模は大きくなっていることは確かに事実ですけれども、しかし、地方財政の体質というものが当時より健全化されているかどうかという問題は、これは大いに議論のあるところだろうと私は思います。しかし、その問題については、今後の議論の課題として残しておきましょう。とにかく、四十一年の対策から見ればたいへん後退していることは残念であるということを申し上げて、大蔵大臣が参りましたときにまたこれらの問題については議論をいたしたいと思っております。  さて、そこで、次に、ことしの地方財政対策で遺憾な問題をお尋ねしたいと思うのですが、国鉄の問題です。いわゆる国鉄の閑散線に対して、特に維持費を自治体に持たせる。三分の一を地方に持たせる。聞くところによると、府県が六分の一、当該市町村が六分の一というようなことのようであります。問題は、閑散線が問題になるようなところの市町村というのは、非常に財政力指数の弱いところですね。こういうところに国鉄の赤字のしりぬぐいを押しつけるということは非常に私は問題だと思います。これは私は明日議論したいと思っておりますが、そうでなくても自治体みずからが責任を負わなければならない地方公営企業、わけても、交通事業、病院事業は非常な累積赤字が出ているでしょう。公営交通だけでも、昭和四十五年度累積赤字は千六百億をこえている。そのときの国鉄の累積赤字は五千六百億ですよ。全国の国鉄をカバーして五千六百億の赤字、これに対して、二十ばかりの自治体に限定をされ、しかもその赤字を出しているところは、さらにそのうちの十かそこらですよ。そこの自治体が経営しております公営交通が一千六百億からの累積赤字を持っているということは、私は、むしろ、国鉄財政危機よりは、地方公営交通の財政の危機のほうが深刻だと思うのです。そういう深刻な状態地方みずからが、自治体みずからがかかえておりながら、しかも国鉄の赤字に対して、その三分の一を持たなければならないということは、まさに財政秩序の面から言っても問題だと私は思うのです。この点は、大蔵省はいかにお考えですか。自治省はいかにお考えですか。地方財政法を拝見すれば、あれは第二条ですか、「地方財政運営の基本」というのがある。「国は、地方財政の自主的な且つ健全な運営を助長することに努め、いやしくもその自律性をそこない、又は地方公共団体に負担を転嫁するような施策を行ってはならない。」これは国です。国鉄は国ではなくて国有鉄道であると言うかもしれませんけれども、しかし、国が責任を負っている機関であることは間違いないでしょう。なぜ地方財政法第二条に違反してまで、しかも、その自治体みずからが責任を持たなければならぬ公営交通が非常な財政危機に直面しておるのに、しかも、財政力指数の低い市町村に対して、この過重な負担を転嫁するのですか。私は、  この点は問題だと思うのです。いかがですか。
  133. 鎌田要人

    鎌田政府委員 国鉄閑散線の問題につきましては、私ども、基本的には、国鉄自身の使命と本来の存在理由というものから見まして、あくまでも国鉄がみずからの責任に基づいて経営をせらるべきものだと思いますし、この基本の点については全く同感でございます。ただ、問題は、国鉄としての使命というものをすでに喪失をいたしており——まあ、後ほどこれは国鉄、運輸当局のほうからも御説明があろうかと思いますが、かつ、代替の交通手段というものが十分確保できるという見通しのついたところにおきましては、したがいまして、国鉄としてはやめたい。国鉄としてはやめたいけれども、地域の反対が強くてやめられない。こういうものについて、国鉄の立場に立っての閑散線の廃止ということを行なってまいりたい。その場合において、地元地方団体の意向というものが当然前提になるわけでありますけれども、一に廃止をするということになりますと、あとの措置というものが十分に円滑にいかない。こういうこともありまして、五年間を限度として存置をする。その場合においては、その経営赤字について、地方団体としても一部を持ってもらえないか。こういう話であります。でありますから、私どもの認識といたしましては、その廃止路線というものは、あくまでもこれは国の責任において廃止をきめられた線。これはもちろん地域住民の意向というものを十分反映される機会があるわけでありますが、それを廃止する。すぐ廃止するわけにいかぬから、廃止しやすいように五年間を限度としてそれを存置をする。それに対しまして、地方団体が、この欠損赤字について何がしかの補助をする。これは、大局的な判断に立って考える場合には、やむを得ないのではないだろうか。ただ、その場合におきましては、あくまでも前提になりますのは、その地域住民の足というものが十分に確保されるということが必要であろうと思います。それから、かりにそういうことで廃止が決定されまして、そして、五年を限度として存続をする場合、いま御指摘にありましたように、そう  いう地方団体はまことに財政力の非力な団体でございますから、これにつきましては、特別交付税によりまして財源の手当てをいたしたいというふうに考えておるところでございます。
  134. 長岡實

    ○長岡政府委員 地方閑散線の存置に対する地方団体財政負担の問題につきましては、ただいま財政局長のお答えのとおりだと存じますが、経過的には、国鉄財政再建の立場からいたしますれば、採算のとりがたい地方閑散線の撤去というのが一つの大きな問題であるということは申すまでもございませんけれども、四十六年七月に、運輸政策審議会で、「総合交通体系に関する答申」というものが出まして、地方のいわゆる交通体系と申しますか、地方住民の足の確保につきましては、当該地方の実情に応じて、また当該地域の住民の選択に応じた措置をとる。そういう一種の選択的な方法によって、不便な地域に住んでおられる住民の方の足を確保していくべきであろう。その選択の一つとして、代替的な交通手段の確保がなかなかできないという場合には、地元住民の意思を尊重して、地方閑散線を存置させる。こういうような仕組みができ上がってきたように私ども伺っております。その点につきましては、国といたしましても、その経費の一部を負担することにいたしますし、地方の負担につきましても、これが具体化してまいります過程において、たとえば特別交付税その他の面で配慮ができないだろうかと、自治省とも御相談をしてまいりたい。かように考えております。
  135. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 そういう実態的なことは、お話を聞けば、私も全く理解しないわけじゃないのですが、問題は、地方財政法第二条というものがあって、国は、いやしくも、地方公共団体に負担を転嫁させるような施策を行なってはならぬとなっているのですね。自治体みずからが千六百億の累積赤字、国鉄よりもむしろ深刻な公営交通の危機を持っておるわけですよね。そういう状況がある。しかも、国鉄は、給与改定は年々きちっとやっておるでしょう。ところが、公営交通のほうは、これは御案内だと思うのですけれども、過去二年にわたり、公務員の給与改定は実施されてはいないのですよ。それほど深刻な危機の状況に地方公営交通はある。しかるに、国の責任を負うべき国鉄に対して自治体が負担を転嫁させられるということに対しては、これは明らかに地方財政法第二条違反じゃありませんか。私はそのことを問題にしているのですよ。  それからさらに、特別交付税で措置すると言われますけれども、ことしは、特別交付税は、内地分はわずか八十二億しかふえぬでしょう。特別交付税は八十二億しかふえぬという中で、そういう特別交付税で措置するというものがどんどん出たら、一体そんなものをまかなうことができるのですか。そういうこともやはり考えなければいかぬだろうと私は思うのです。そういった地方財政法違反の問題はどうなるかということを大蔵省に伺い、特別交付税、特別交付税と気やすく言われるけれども、昭和四十七年度の特別交付税はきわめてきびしいという中で、その点についてどうお考えなのか、自治省に聞きたいと思うのですがね。
  136. 長岡實

    ○長岡政府委員 地方財政法の原則は山口先生のおっしゃったとおりだと思います。国鉄はもちろん国の企業と言えると思いますけれども、一方においては、公社の形態をとりました独立採算制と申しますか、企業採算をとる企業体であることも事実でございまして、企業体の立場からすれば、採算に合わない地方の閑散線を撤去するのは、そろばんの上から言えば当然であるという結論が出ますところを、国鉄のいままで果たしてまいりました使命とか、それから、非常に不便な地域の住民の方々の足の確保というような問題とあわせ考えまして、このような一種の、表現は悪いかもしれませんけれども、妥協的な案ができたということではないかと存じます。
  137. 鎌田要人

    鎌田政府委員 公営交通の赤字を、私、議論の過程で申したわけでありますが、公営交通の赤字対策というものは、やはりこの問題と切り離して考えるわけにいかないということでございまして、これは、特に、予算編成の過程におきまして、この問題とあわせて、自治大臣から、大蔵、運輸両大臣に申し入れをいたしました。公営交通の抜本的な対策についてもあわせて相談をする。こういうことに相なっておるということを御報告申し上げておきたいと思います。  それから、特交の総ワクが来年ほとんどふえない。事実でございます。内地ベースでは八十二億しかふえないわけでございまして、その中で、特交を打ち出の小づちみたいに言うのはおかしいではないかということ、そのとおりであります。ただ、私、来年の特交の配分につきましては、ある意味におきましては、非常な悲壮な決意をいたしておるわけでございまして、それだけに、千五十億なり千六百億の特別措置は、全部普通交付税に取り込んだわけでございます。普通交付税でこの措置のまかなえるものはできるだけまかなってまいりたい。特別交付税のふえるのは八十二億でございますが、総額は千二百二十八億でございますので、特別交付税の配分については、そういう緊急度の高いものから万全を期してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  138. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 国有鉄道公社だからというよようなことで、次長さんお答えになりましたが、国鉄が国と地方との財政秩序を乱す問題はこのことばかりでないから私は言っているのです。特に、これから実施しようとする東北、上越、成田の新幹線の鉄道利用債はどうなんですか。これは委員長さんも新潟ですから大いに御関係あると思うのですが、聞くところによりますと、この三つの新幹線事業費の総額が一兆五千六百億円だそうですね。そうして、そのうちの二〇%はこの鉄道利用債でまかなう。二〇%ということになりますと、三千百二十億円になります。この三千百二十億円を、三つの新幹線が通るところの府県、東京、埼玉、群馬、新潟、千葉、栃木、福島、宮城、岩手九県で負担しなければいかぬということになります。  そこで、まず、事務的にお尋ねしたいと思うのですけれども、この鉄道利用債に対して国鉄が払います金利は何ぼですか。それから、現在金融緩和されておりますから、ある程度金利は下がっているとは思いますが、この鉄道利用債を自治体はいずれも銀行に引き取ってもらうわけですね。そして、その市中金利と鉄道利用債の利子との差額を自治体が負担をするというかっこうになります。その差は一体何%くらいになる見通しであり度すか。これは、国鉄並びに大蔵省、自治省、いずれでもけりこうですから、お答えをいただきたいと思います。
  139. 秋富公正

    秋富政府委員 お誓えいたします。  鉄道建設公団につきましては、利用債は、四十六年度に始めて三億ございましたわけでございます。それから、新幹線につきまして、四十七年度上越、成田両線を担当いたしております鉄道建設公団におきましては九十億、東北新幹線を担当いたしております国鉄員、四十七年度における利用債は百億でございます。従来、地方公共団体の引き受けます際の金利は六・七%でございます。
  140. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 そして、自治体が市中銀行にこれを引き取ってもらうわけですね。その場合、差額を一体どのくらい負担しているのですか。自治省は、これはおわかりでしょう。
  141. 鎌田要人

    鎌田政府委員 これを引き取ります場合に、各地方自治体も、俗に申します金庫、銀行の約定にもよりますけれども、現在でもだいぶ金利が下がっておりますけれども、七分二厘から三厘くらいで引き取らしているのではないかと思います。でありますから、その差というものは、七分二厘でありますれば、〇・五%逆さやとして払う。あるいは、三厘でありますれば、〇・六%ということになります。
  142. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 そうしますと、四十七年度、成田と上越で九十億、東北で百億ですね。二の差の〇・五%ということになりますと、五千万と四千五百万ですから、約一億円近い負担を四十七年度自治体が負わなければならぬというかっこうになりますね。しかし、将来を見渡した場合、事業費が一兆五千六百億円だと言われておるのですから、これは将来ふえることはあっても、減ることはないでしょう。物価の上昇の傾向が続く限り。そうなりますと、少なくとも、自治体が引き受けなければならぬ鉄道利用債というのは、三千百二十億円を上回ることはあっても、下回ることはない。そうしますと、これに対して、まあ、逐次出ていくわけですが、全部これを引き受けた場合にどうなるかといえば、〇・五%ですから、少なくとも十五億になりますか。十五億程度の負担をこの九県が負わなければならないというかっこうになります。しかも、これは、相当な期間にわたって負担しなければいかぬ。群馬県は一体利用債をどのくらい引き受ければならぬのかと聞きましたら、八十億ぐらいの利用債を持たなければならぬと言うのです。新潟のごときは距離が長いからこれに数倍する。新潟は、群馬が八十億とすれば、二百億くらいきっと利用債を持たなければならぬでしょう。そういうことになれば、自治体の負担たるや、私は相当なものだと思うんですね。  運輸省、私が問題にしたいのは、いままで、東海道新幹線、山陽新幹線、ディスカバー・ジャパン、「ひかりは西へ」なんて書いてありますが、岡山までできたようですけれども、あそこは利用債を持たしたようですか、持たさなかったのですか。
  143. 秋富公正

    秋富政府委員 東海道新幹線はすでに完成しておりますが、これにつましては、地元に利用債の負担はございませんでした。  それから、山陽新幹線は、岡山まで先般開業したわけでございます。あとは四十九年度完成の予定でございますが、これにつきましては、まだいろいろと具体的には現実になっておりません。
  144. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 私は、これは問題だと思うのですね。とにかく、東海道新幹線の沿線といえば、東京、神奈川、静岡、それから愛知、岐阜がちょっと、それから滋賀、京都、大阪、こういうわけで、このうち岐阜と滋賀、京都は別としましても、あとはいずれも財政力指数がきわめ高い府県じゃありませんか。そうでしょう。そこがとにかく鉄道利用債を一銭も引き受けぬ。これからできるところはどうですか。東京は一応おくといたしましても、とにかく、埼玉、群馬、新潟、千葉、栃木、福島、宮城、岩手。特に、これからさらに東北新幹線も延びるんでしょうから、そうなれば、非常に財政力指数の低いところには膨大な利用債を持たせる。財政力指数の高いところには持たせない。そういうアンバランスもありますが、だから、いままで、東海道新幹線の沿線の静岡から取れと私は言っているんじゃないですよ。しかも、そういうところからだって取らなかったんですからね。地方財政法の第二条から言っても、国と地方公共団体の財政の秩序は守らなければならぬ。こういう財政力指数の低いところにどさっと利用債を持たせるなんてことは、まさにこれは地方財政法違反じゃないかと思うのですよ。そうじゃありませんか。特に、先ほど来問題にしたように、閑散線の問題にしても、財政力指数を無視して利用債を持たせる。私は、運輸省というのはどうかしているんじゃないかと思うのですが、どうですか。
  145. 秋富公正

    秋富政府委員 全国新幹線鉄道網の整備につきましては、もちろん、これは国のナショナルプロジェクトといたしまして、国といたしまして大いに努カいたすべきことは申すまでもありませんが、同時に、その地方におきましても、その地域の開発にあるいは発展、あるいは地元住民の福祉の向上にも貢献するわけでございまして、全国新幹線鉄道整備法を議員立法で御制定いただきました際にも、その第十三条に、御承知のとおり「地方公共団体は、新幹線鉄道当該地方の開発発展及び住民の生活の向上に果たす役割の重要性にかんがみ、新幹線鉄道に関し、その建設のため必要な資金についての援助、その建設に要する土地の取得のあっせんその他必要な措置を講ずるよう努めるものとする。」というふうにございまして、東海道新幹線ができました時点におきましては、御承知のように、これは三十九年にできましたので、まだ法律もなかったわけでございます。また、そのときは、全国でただ一本でございましたが、今後全国各地に新幹線鉄道を整備してまいるとなりますと、一番問題になりますのは、やはり、資金の確保、用地の取得、この二点でございます。で、国といたしましても、新しい再建整備計画におき産して、十カ年間に七兆の工事規模考えておるわけでございますが、おおよそその三、四割というものは新幹線に充てるということになっております。また、その新幹線につきましては、金利を四・五%までは差額を補助する。こういうふうな助成対策を講じておるわけでございますが、地方におきましては、やはり、その趣旨に沿いまして、ひとつ御協力をいただきたい。こう思っておるわでございます。  ただ、先ほどおっしゃいましたように、たまたま四十七年度におきましては、工事規模の二割ということになっておりますが、これは今後ずっとそういう規模でいくかどうかということは、まだ全然きまっていない問題でございます。また、地方財政がきわめて悪化していることは、私たちも十分承知をしておる点でございまして、現在、私たちといたしましては、地方公共団体に直接お引き受けいただくという以外に、地元の金融関係機関にもこれをお引き受けいただくというふうな問題、あるいは、発行条件につきましても、ただいま、私、地方公共団体引き受け分六・七%と申しましたが、これの金利も極力引き上げていただくように、現在財政当局とも種々交渉中でございまして、その点につきましては私たちも十分努力いたしまして、地元におきましてもお引き受けいただきたい。こういうふうに考えております。
  146. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 全国新幹線整備法の中に、その「援助」ということばがあるのは私も承知しておりますが、「援助」いうことか書いてあるからといって、鉄道利用債をずばり二〇%持たせなければならぬということにはならぬでしょう。  そこで、自治省にお伺いしたいと思うのですが、別に三割持てなんて書いてあるわけじゃない。要するに援助をするということが精神訓話的に書いてあるわけですから、それは大いに援助するのもけっこうでしょう。ただ援助というのは、その鉄道利用債二割を持たなければならぬたいうことにはならぬわけですね。したがって、先ほど来、昭和四十七年度の地方財政対策がきわめて不備だと私どもも言い、自治省もその点はお認めになっいるわけですが、第一、表題からして、特例等に関する法律というので、顔つきから悪いということが問題になっているわけです。そういうときに、九十億、百億であっても、二割の利用債を自治体が持つ、持たせるいうことについて、自治省が同意するということは万々あり得ないと私は思うのですが、どうですか、これは。
  147. 鎌田要人

    鎌田政府委員 新幹線の建設利用債につきましては、私ども、まだどこからも相談をいただいておりません。この新幹線鉄道整備法とういのにそういう資金の援助という規定があるということは、私ども承知いたしておるわけでございますが、やはり、法律であるます以上、その趣旨は尊重しなければならないと思いますけれども、新幹線のような、国家的なプロジェクトとして行なわれ、また、国家的な要請に基づいて行われるものにつきまして、地方団体に、しかも、財政力の弱い団体に利用債を引き受けさせるということにつきましては、これは私どもは、何としても同意しがたいというふうに考えておるところでございまして、この点は、運輸当局におかれましても私どもの考え方というものを十分吟味いただきまして御検討いただきたいという気持ちでございます。
  148. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 たいへんけっこうです。大蔵省は聞いておるのですか。二割利用債を持たせるということについては。
  149. 長岡實

    ○長岡政府委員 実は、私の担当でないものでございますから、あまり責任を持ったお答えができないわけでございますけれども、そういうお話があるということは、間接的には私も承っております。地方財政の原則と、それから、新幹線といったような大規模な開発事業が地元の開発に貢献する度合いとのかね合いの問題であろうかと存じます。
  150. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 自治省は全く相談にあずかっていない。そういうことになりますと、自治体が九団体、いずれも各地区で拒否をするということを申し合わせますね。拒否したということになれば、新幹線はどうなるんですか。拒否したということになっても二割持たせると言たって、持つほうがいやあだと言って、しかも自治省は、同じ政府間で全然相談がない。こんなことで実行されるはずがないじゃないですか。大蔵省は話をかすかに聞いたようだという程度では、これは話にならぬと思うんですね。そんな状態で、運輸省は、利用債を二割持たせるつもりなんですか。
  151. 長岡實

    ○長岡政府委員 大蔵省がかすかに聞いた程度と申し上げたわけではないのでありまして、私個人が直接担当しておりませんために、結果的にお答えできないわけでございます。
  152. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 それはわかっておりますけれども、都合よく聞いたんだ。
  153. 秋富公正

    秋富政府委員 先ほど申しましたように新幹線につきましては、一番問題は、資金調達と土地の取得でございます。私たちといたしましては、この新幹線の意義ということを考えまして、一刻も早く予定どおり完成すべきものだと思っておるわけでございますが、そのためには、やはり、資金の確保は絶対必要でございます。この点につきましては、地方財政が悪化していることも承知しておりますが、ただいま申しましたように、その引き受け先、あるいは発行条件といったものにつきまして、できるだけお引き受けしやすいように、なお財政当局とも相談しておりますし、また、自治省財政当局にもお願いいたし、また、地方の公共団体にもお願いして、これの消化をはかり、同時に、早期に完成いたしたいというふうに考えております。
  154. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 明日、運輸政務次官にも御出席いただけるようにお願いしておりますので、またこれは明日議論するといたしまして、大蔵省のほうは、そちらのほうは、明日また主計局次長さんに来ていただいて議論いたしましょう。そういうことで、きょうはよく正確に聞いた方がおられぬそうですから、やめておきましょう。  しかし、少なくとも地方財政法二条があるのに、地方閑散線の維持については、この地方財政法二条を無視して負担を持たせる。そこへ持ってきて、全国的なプロジェクトである新幹線を、財政力支出の低い地域にたいして援助という義務を持たせる。それは法律はあるかもしれませんけれども、何も二割もらえるというふうに書いてあるんじゃないですから、こういうものを、しかも非常に危機に立っている現在の地方財政の状況の中において自治体に持たせるということは、これはもう全く誤りであるという私の考え方だけははっきり申し上げておきたいとおもいます。  最後に鎌田さんにお伺いしたいと思うのですが、私は、ことしの地方財政計画は改めていただきたいとおもうのです。と申しますのは、当地方行政委員会で、農地の宅地並み課税につきましての法律案委員長提案で可決いたしました。参議院のほうも通りまして、成立を見たわけであります。聞くところによりますと、農地の宅地並み課税による増収分として、七億八千万円を見込んでおるそうであります。ことし、航空燃料譲与税九億についても、地方財政計画歳入の中にちゃんと入っておるわけです。固定資産税は、総額で七千五百三十一億円、この土地が二千二百八十八億円。このうち、国会において法律が通ったのでありますから、七億八千万のうち全部とは言いませんけれども、七億なり、あるいは六億なり、これは減収になることはもう明確であります。私は、かつて、昭和三十五年か三十六年だったと思いますが、当時の財政局長は奥野さんでございましたが、都道府県会議員の議員算出の根拠が、当時、財政局で計算したのが実は違っておったんです。どういうわけで公職選挙法に書いてある人数を間違えたのか知りませんが、とにかく間違いをお認めになりました。お認めになって、地方財政計画をそれでは直すかということになったんですが、計算をしたところが一億以下の違いであった。一億以下でありますから、地方財政計画の数字の上からは出てこない。したがって、当然その額は減額すべきであるが、一億以下であるから、計数に載らないからひとつかんべんしてくれということで、地方財政計画を直すかどうかという議論になったものが、まあ、奥野さんのたってのそういう御説明であり、お話でありましたから、私どもは了解したという経過があります。今度は、七億八千万全部とは、言いませんが、少なくとも七億ないし六億は違ってくるのでありまして、これは国会の議決事項じゃありませんが、法律が通っあ明らかに減額されるという自体が明確になれば、財政計画を修正して国会に説明をすべきだと私は思う。この点いかがですか。
  155. 鎌田要人

    鎌田政府委員 これはちょっと、降ってわいたような話でございまして、私も、素直に申しまして、ちょっと判断がつかないところががざいます。地方財政計画は、予算と違う、いわば地方団体の標準規模におきまする歳入歳出の姿というものを示すことによりまして、地方団体財政需要的な役割と同時に、財源措置の適正であるかどうかを判断する材料にする。こういうことを役割りとしておるというふうに理解をいたしておるわけでございます。  確かに、この農地の宅地並み課税を税収の中に織り込んで、この税収全体ができておる。それをもとにいたしまして財政計画をつくっておるわけでございますので、厳密にもうしますと、その宅地並み課税の分だけは明らかに減が立つのだから、それは修正してだすべきじゃないか。おっしゃるとおりに思います。ただ、この農地の宅地質並み課税の税収というものが、この減収がはたして幾らに立ちますのやら、これから税の執行をしてまいるわけでございますので、いまここで、明らかにこれだけのものが減が立つということが確定しがたいように思います。ちょっと急な話でございまして、私も、実は、全くそれは予想いたしておりませでしたので、なお、内部でよく検討させていただきたいと思いますが、財政計画の趣旨、性格というものにかんがみまして、予算ほどの厳密な税収のプラスマイナスということまでの厳密さということについては、何とか御理解をいただいて、できれば修正はしないでやれないものかという感じがございますので、なおよく検討いたしま
  156. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 これでやめておきますけれども、そういういいかげんなことではいかぬと私は思うのです。少なくとも、奥野さんが財政局長のときには、地方議員、都道府県会議員の定数の算定の誤りが明確になったのです。当委員会で私が質問しまして、違ったことを認めた。それでは財政計画を訂正するかという話になったのですが、計算してみたところが一億以下であった。したがって、この財政計画の計数の上は、大もとになりますと億単位でできているわけですから、その中の算定の基準が違ってくる。これは百万単位のものもありますから違ってくるけれども、全体の地方財政計画の大ワクは億単位の歳入歳出、これが変わってくるからひとつかんべんしてくれというので、了解したという経過があるのです。奥野さんに聞いていただけばよくわかります。覚えているかどうか知りませんが、私のほうは覚えています。そういう経過があった。今度の七億八千万円が一体幾らに減るかということは、財政局長にはよくわからぬことは了解します。これは税務局で調べれば、大体どの程度の減が立つかということはある程度見込みが立つわけですから、それはひとつ税務局のほうにただしていただいて、そして、減の見通しを立ててもらって、その見通しの立ったものについては、これは億以上なんですから、やはりはっきり地方財政計画を改めていただかなければならぬ。私は国会の議決事項じゃないことは百も承知です。そのことは奥野さんもよく承知だった。ただ、問題は、億以下だからひとつかんべんしてくれという経過もあるんおですから、それから考えれば、今度は、少なくとも億以上の金が動くことは確実ですから、国会の議決事項じゃありませんが、明らかに法律が変わった。そして、減の見通しが明確だというものについては直すのが私は至当だと思います。これは検討課題で、預けておきますから、当委員会で、この交付税法審議中にひとつ政府の見解をきちっと表明をいただきたいと思います。私どもの要求からすれば、従来の経過から言って、当然これは改むべきであるということを主張しておきたいと思います。
  157. 大野市郎

    大野委員長 次回は、明七日金曜日午前十時から理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後四時九分散会