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広瀬(秀)
委員 とにかくそういうみみっちい、けちくさいことばかりやって専売益金ばかり確保しよう、財政専売だからしようがないのだ、これこそがまさに守るべき至上のとりでであるという頭で耕作農民不在の政策を展開していっては、総裁のきわめて楽観的な見通しにもかかわらず、必ずやがて
日本のたばこ耕作者は滅びていくといわざるを得ないのであって、この問題はいま監理官も大蔵省を
代表して言ったけれども、大蔵省も財政、財政、財政専売なんだからということで国庫納付金の多からんことだけを願って耕作者に犠牲と忍従ばかりしいたのでは、もうたばこ専売制度も崩壊せざるを得ないようなことになってくる、こういうふうに警告をしておきますから、私の警告が当たらないように、ぜひひとつあなた方も
十分検討するように要請をしておきます。
そこで、たばこ生産者の収納価格の算定は、今日
生産費方式がとられておるわけであります。
生産費のとり方も、平均
生産費がとられておると思うのですが、この平均
生産費というのは、平均より以下のところは
生産費すらカバーされないという事例が出るわけであります。しかもそういうところがどんどんやめていってしまうということになるわけですから、少なくともかつて米価算定においてとられたあのような方式、少なくとも八〇%バルクというくらいの頭で
生産費のとり方も
考え直さなければいかぬだろう、このように思うのですが、この平均
生産費というものを八〇%バルクにもっていったらどうかということが一つ。
それから、いわゆる
生産費及び
所得補償方式の
所得の補償でありますが、今日米価の場合には、中都市あるいは小都市の十人から三十人くらいのところの賃金というものが一応目安にされている。ところが専売公社の場合には、労賃分として見るのは、一番安く出る農村日雇い賃金を適用している。こういうところに非常に問題がある円したがって、米の場合には一人一日当たりの労賃は大体二千四百四十円になる。たばこの場合には千百三十四円にしかならない。こういうような結果が出るわけであります。したがって、どうしてもこの耕作者を維持していく
——もちろん近代的な大
規模化にスムーズに移行するならば、それなりに省力もできていくわけだけれども、いずれにしても、たばこ耕作者が都会の労働者と比較してもそう劣らないのだ、同じ人間が同じ時間働いて、片方は生産工場で働いているがゆえに倍近い賃金を取っている。片方はたばこ耕作に従事して同じ時間働いても半分程度の賃金だということになれば、たばこ耕作に従事するものはどんどん減少してしまうということにならざるを得ないと思う。そういう
意味で、この
生産費のとり方について八〇%バルクをやって、八〇%は少なくともそのワク内におさまるというような形にし、
所得補償としてはせめていままでの米並みの、中都市の三十人
規模くらいの労賃とほぼ見合うもの、こういうものをこの価格算定の基礎に入れて葉たばこ収納価格に対して
生産費・
所得補償方式を導入する機である。
なるほど
昭和三十九年ですか、たばこ調査会というものを設けてその問題を専門に議論してもらいました。その際は、それをやることは財政専売からいって望ましくないという答申は確かに得たけれども、いまやたばこ専売事業というものを健全に維持していくためには、もうそんなことを
考えておられる時期ではないではないか。先ほどから申し上げておるような耕作の
状況を見ますならば、ここでもう思い切った価格算定方式について大転換をして、農民が喜んで耕作に従事する、専売公社の欲する品種を、専売公社が期待されるような耕作に喜んで従事できる、やはりそれだけの待遇というものは耕作者に与えなければならぬという発想の大転換を行なうという
意味で、いまこそそれが行なわれるべきだ。三十九年当時の事情とはもうかなり
状況は違っているのだ。こういうことを踏まえて、これについての御所見を伺いたいと思うのです。