○竹本
委員 私は、
総理、
最初に要望をちょっと申し上げたいのですけれども、それは最近の動きを見ておりまして、行政が
政治に優先しておる、事務が
政治に優先しておるという傾向があるようにも感ぜられます。先ほど
大蔵大臣いろいろおっしゃられましたけれども、私は、通貨交渉の場合もあるいはたとえば
一つの三百六十円レートを守るという問題も、これは事務的良心からいえばもっともだと思うのです。しかし
政治的に判断をすれば、それが何日間もてるか、半月ももてないようなものを三百六十円レートをあたかも死守するかのごとき
姿勢で取り組んでみて途中で失敗してやめてみる。そのために日銀はいま四千五百八億円赤字が出たのがいいか悪いか、水田さんだいぶこじつけを言っておられたけれども、とにかく問題は、見通しのないことを一生懸命頭を突っ込んでいくというところにぼくは判断がなかったと思うのですね。これは本格的に議論すればいろいろあります。
それから最近の四次防の問題についても、これも理屈を言えば、私は防衛庁なりあるいは
政府が言われておることも事務的に説明だけすれば一応もっともだと思うのです。しかし
政治的に判断すれば、いろいろ量的な積み重ねが質的な変化を起こすような場合もありますし、あるいはいろいろな条件の中で
政治的な判断を必要とする場合もあるのでああいうふうに、こじれたと思うのです。結局これもやはり事務当局が
政治を誤ったようにぼくは思っているのです。
それからわれわれの
大蔵委員会で物品税の問題や
事業主報酬の問題等についても事務的な議論をされる、その範囲においては一応正しい理屈、理論があると私は思うのです。しかしそれにもかかわらず、全体的な判断をすればやはりわれわれは承服できない。
要するに、いろいろの問題について事務が
政治に優先しておるような
感じが非常に多いので、これはやはり
政治が事務をすべきである。サーバントは幾ら優秀でもマスターにはなれぬ、女中は幾ら優秀でも奥さんとは違うという
ことばもありますが、とにかく
政治というものは
政治自身の大きな判断が要るということを
総理に
最初に要望として申し上げておきます。
それから、第二番目といいますか第一の
質問になるわけですけれども、これは私が三月の初めの
予算委員会で要望を申し上げました。もちろん私はその前に
国会法に基づきまして
事業主報酬の問題について
質問書を出し、
政府からも御
答弁書をいただきました。それに基づいてさらに
質問をいたしまして、
総理からも前向きで前り組むという御返事をいただきました。そして事実
税制調査会においてもこれを取り上げられるということになったようであります。その点は私は高く評価しておる。
私、最近
総理に要望を申し上げた問題がもう
一つありますが、それは例の独禁法問題で、独禁法はフェアコンペチション、公正な競争ということが中心でフェアプライス、公正な価格を形成するということについては非常に大きな限界がある。したがって、独禁法の再検討を願いたい、再検討ができない前においてもいまの法の運用で、できる限り情勢にマッチした処置をお願いしたいということを申し上げました。これにつきましては、その後の動きを見ておりますと、独禁法第四十条の、調査のための強制権限という問題がありますが、それを発動して、必要な
会社から資料の
提出なんかを要求しておられるように承っております。したがいまして、これはそういう御指示があったと思いまして、高くこれを評価をいたしております。われわれは常に建設的に議論をしておるつもりでございますので、そういう
総理の御
答弁の中で約束されたことを次々に具体的に進めていただくということを非常に評価するものでありますが、それとの関連において、この
事業主報酬の問題も、税調で取り上げられた以上は、ひとつすみやかに結論を出していただきたいということをきょうは要望しておきたいのです。
この問題も、先ほど申しました事務の問題とちょっと関連があるのですけれども、御承知のように
中小企業の場合は、資本収益と勤労性
所得とがおもになっております。自分がおやじで、自分が
労働者で、自分が経営者であるといった問題が非常に多い。アメリカの場合には自己雇用経営といって、自分を雇用する経営なんですね。だから自分は雇用している主でもあるし、雇用されておる
労働者でもあるというような
意味で、自己雇用経営という
ことばがあるようですが、これは
労働者であり、経営者であるという
立場を最も端的に示しておる
ことばだと思うのです。
そこで、私がこの問題を取り上げるのは、実は二つあるのです、
考え方の根本が。
一つは、いわゆる
法人成りということで、
法人にさえなればおやじは社長になる、社長の報酬は損金で落ちる、
法人になっていなければ、そのままいまでは何らそれは見てもらえないということで、ちょっと計算しますと、百八十万円くらいの収入があっていく場合に、それがかりに
法人成りをして十万円の社長報酬ということになって、百二十万円を引いてあと六十万円の
事業所得、それを合算
所得で計算するということでやってみると、十二、三万円違うんですね。だから
法人になることをすすめる
意味で、そういう若干の利益があることはやむを得ませんけれども、ちょっと大き過ぎるというようなこともありまして、税の公正ということから考えても、
法人成りということだけで非常に差があるということはおかしいじゃないかということが
一つなんです。
これは
大蔵省に対して言いたいことなんですが、もう
一つある。それは、
中小企業の一番大事な問題は数字の観念がないんですね。いままではどんぶり勘定で、表と奥、
企業の会計と台所会計とがごちゃまぜになっておる。でありますから、
中小企業庁が最近努力をされて、それをいま指導しておられるわけですが、その指導の努力というものが
大蔵省の税の
課税という面では全然見ておられない。そこに問題があると思うんですね。で、税の公平の問題とともに、
中小企業の経営の近代化、原価計算もはっきりさせる。損益計算もはっきりさせる。いま
中小企業は、極端なことを申しますと、数字、計算の観念がないものだから、もうけておるか損しておるか、自分でよくわからないんですよ。そういうごちゃまぜ経営、どんぶり勘定をいつまでもやらしておけば、
日本経済の近代化に非常にマイナスである。だから私は表と奥とは別にして、
事業経営と台所は別にして、いま通産省が指導しようとしておられる努力のような
方向を推し進めて、そしてどう計算してみても損にしかならないような
事業はやはり産業転換をはからなければならぬ。われわれも産業の転換までちゃんと考えている。そういうことから見ても、それは通産省、
大蔵省がばらばら、分裂行進のみではなくて、やはり
政府としては一体となって
中小企業の近代化のために通産省も努力する、
大蔵省もこれをバック・アップする、プラス税の公平の問題もある、こういうことでございますから、せっかく税調に諮問された上は、すみやかにそういう
方向で取り組んでいただいて、結論を出していただきたい。
総理からもすでに
予算委員会で御
答弁をいただいておりますが、この際あらためてもう一度、そういう
意味で総合的な
立場からこの問題とも取り組むんだという御認識をいただけるかどうか。またその
意味でこの結論も早く出して、年内にでも出していただくように、時期的な見通しについてお考えはどうであるかということを、あるいは
総理と
大蔵大臣とお二人から御
答弁をいただきたい。