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1972-04-21 第68回国会 衆議院 大蔵委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年四月二十一日(金曜日)     午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 齋藤 邦吉君    理事 宇野 宗佑君 理事 木野 晴夫君    理事 丹羽 久章君 理事 藤井 勝志君    理事 山下 元利君 理事 広瀬 秀吉君    理事 松尾 正吉君 理事 竹本 孫一君       上村千一郎君    奥田 敬和君       木村武千代君    倉成  正君       佐伯 宗義君    坂元 親男君       地崎宇三郎君    中川 一郎君       中島源太郎君    坊  秀男君       村田敬次郎君    毛利 松平君       森  美秀君    吉田 重延君       阿部 助哉君    大原  亨君       佐藤 観樹君    藤田 高敏君       堀  昌雄君    山中 吾郎君       貝沼 次郎君    寒川 喜一君       小林 政子君  出席政府委員         内閣法制局第三         部長      茂串  俊君         大蔵政務次官  田中 六助君         大蔵省銀行局長 近藤 道生君         郵政政務次官  松山千惠子君  委員外出席者         経済企画庁調整         局財政金融課長 内村  宏君         経済企画庁総合         計画局参事官  喜多村治雄君         経済企画庁総合         開発局参事官  下河辺 淳君         科学技術庁原子         力局次長    大坂 保男君         大蔵省理財局次         長       大蔵 公雄君         通商産業大臣官         房総合エネル         ギー政策課長  荒川  英君         通商産業省公害         保安局公害防止         企画課長    島田 春樹君         通商産業省公益         事業局原子力発         電課長     武田  康君         郵政省貯金局次         長       滝本 哲郎君         日本開発銀行総         裁       石原 周夫君         大蔵委員会調査         室長      末松 経正君     ――――――――――――― 委員の異動 四月二十一日  辞任         補欠選任   三池  信君     村田敬次郎君   平林  剛君     大原  亨君 同日  辞任         補欠選任   大原  亨君     平林  剛君     ――――――――――――― 四月二十日  付加価値税創設反対に関する請願(石川次夫  君紹介)(第二六二二号)  同(石川次夫紹介)(第二七二六号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 四月十九日  付加価値税創設反対に関する陳情書外一件  (第一九一号)  万国博覧会場跡地スポーツ施設設置に関する  陳情書  (第一九二号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  日本開発銀行法の一部を改正する法律案内閣  提出第一九号)  準備預金制度に関する法律の一部を改正する法  律案内閣提出第一八号)(参議院送付)      ――――◇―――――
  2. 齋藤邦吉

    齋藤委員長 これより会議を開きます。  日本開発銀行法の一部を改正する法律案及び準備預金制度に関する法律の一部を改正する法律案、両案を一括して議題とし、質疑を続行いたします。大原亨君。
  3. 大原亨

    大原委員 きょうは開発銀行法改正についての質問をいたすわけですが、開発銀行財政投融資の中でも今日までかなり重要な役割りを果たしてきたわけでありますが、しかし、これが軌道修正資金の流れについて再検討を加えるということは、全体の中において非常に必要な問題として提起をされながら、具体的にはどうこの問題を扱っていくか、こういうことにつきましては非常に問題がたくさん残っておるということを、この開発銀行法の問題を通じまして私は感ずるわけであります。今回の改正は、一言で言えば従来の惰性に流れた行き方であって、この問題は幾つかの点において重要な問題があるのではないか、こういう意見を私は持っておるわけであります。  そこで、きょう御質問いたしたい点は、財政投融資役割りについての全体的な検討が必要ではないか、その中で開発銀行法運営はどうあるべきであるか、特にその中で今回の改正にあたっての問題点はどこか、こういうふうな点を頭に置きながら逐次質問をいたしたいと思います。  財政投融資の問題につきましてはたくさんの問題があるわけでありますが、これは私ども予算委員会その他を通じまして、今日のような惰性に流れた財政投融資ワク決定のしかたや使い方をそのままにしておいたのでは、これは国民立場から見て、あるいは予算審議立場から見てしり抜けになる、第二の予算案といたしまして国会審議対象として議決の対象とすべきである、二重審議云々というような問題は問題にならない、こういう点を議論をいたしてきたところであります。その議論は最終的にすることにいたしまして、私は最初に、この財政投融資は一体一般財政民間企業に対してどういう任務を持っておるのか、どういう役割りを果たす、そういうことについて考えておるのか、こういう点をお聞きしたいと思うわけです。これは予算のぶんどりのときに漫然と一般財源の足りない点をここで穴を埋めていく、やりくりをするというふうなことで、内容を、使い方ワクをきめるということについてはきわめて問題ではないか、こう思うわけでありますが、この質問に対しましてのお答え最初にいただきたいと思います。
  4. 大蔵公雄

    大蔵説明員 ただいま先生の御指摘になりました点に関しましては、私どもといたしましても、財政投融資計画策定にあたりましては、できるだけ直接的に国民生活の安定、向上をはかる方向資金配分をいたしたい、こういう基本的な考え方のもとに策定をいたしておるわけでございまして、御承知のように、財政投融資計画全体の中にいかに資金配分がされているかということが使途別分類表の中に出ておりますが、まず、その国民生活に最も直接関連のある部分、すなわち、私どもこれを(1)〜(6)分類と称しておりますけれども、(1)〜(6)分類と申しますのは、財政投融資計画使途別分類表で掲示をいたします際に、住宅生活環境整備厚生福祉施設文教施設中小企業農林漁業、この六つを、いわゆる(1)から(6)までのものを(1)〜(6)分類と称しておりまして、さらにそれを、国土保全災害復旧であるとか、道路とか、運輸通信であるとか、地域開発であるとか、あるいは基幹産業貿易経済協力と、こういう十二の分類をいたしておるわけでございます。そのうち、(1)〜(6)分類に対しましてできるだけ重点的に資金配分をいたしたい、かような考え方のもとに、本年度四十七年度財政投融資計画全体のワクが五兆六千三百五十億円のうち、三兆二千八百三十三億、すなわち全体の構成比五八・三%を(1)〜(6)分類項目配分をいたしまして、基幹産業につきましては全体の四・七%ということで、私どもといたしましては、できるだけこの(1)〜(6)分類に対して資金重点的に配分をいたしたいという基本的な考え方のもとに配分をいたしておるわけでございます。  御参考までに過去におきまして、飛び飛びに申しますと、昭和二十八年度におきましてはその(1)〜(6)分類構成比が全体の三八・二%でございました。それから三十五年度におきましては四七・二%というように、最近におきましては(1)〜(6)分類に対する配分が五八・三%というように約六〇%に近いものになっていきつつあり、年々この比率を向上させてまいってきておるわけでございます。
  5. 大原亨

    大原委員 一、六分類とおっしゃったから、一と六を足したら七になるかと思ったら……。それは別にしまして、水田大蔵大臣も、本会議予算委員会等で、基幹産業に対しては四・七%であって少ないと、こういうことを答弁いたしておるわけですが、その中身は何ですか。
  6. 大蔵公雄

    大蔵説明員 基幹産業の四・七%の中身につきましては、開銀に対するものが二千五十二億円、その他、金属鉱物探鉱あるいは石油開発動力炉核燃料事業団電源開発、こういったようなものに対する資金配分が、基幹産業の中に組み入れられております。
  7. 大原亨

    大原委員 基幹産業の四・七%という中身について、私はもう少し詳細な資料を出してもらいたい。基幹産業の中には、たとえば貿易経済協力とか、運輸通信部門とか、使途別の分け方によって違うけれども運輸通信部門とか、あるいは道路の一部とか、そういうふうなものについては含まれてないのですか。
  8. 大蔵公雄

    大蔵説明員 基幹産業のいまの分類の中にはただいまお話しいたしましたようなものが含まれておりまして、それからさらに、貿易経済協力と申しますのは、また別の項目にして貿易経済協力という項目が立てられておるわけでございます。貿易経済協力につきましては、全体の九・六%ということでございます。さらに、運輸通信に関しましては、運輸通信という項目が別に立てられておりまして、運輸通信は一二・二%ということになっておるわけでございます。
  9. 大原亨

    大原委員 運輸通信の中には開発銀行融資対象になっている海運とか電力とか石油、そういうようなものも入っているんですか。
  10. 大蔵公雄

    大蔵説明員 運輸通信の中に含まれておりますのは、郵政、国鉄、電電、船舶公団、鉄建公団空港公団京浜外貿埠頭公団阪神外貿埠頭公団日本航空、公営公庫、これらが運輸通信の中に入っておるわけでございます。
  11. 大原亨

    大原委員 つまり、その他公団公庫銀行、そういう金融事業団体を通じまして財政投融資融資をやっておるわけですね。ですから、あなたのほうが、大蔵大臣がいつも答弁するけれども財政投融資の五兆六千億円の中で四・七%しか基幹産業には行っていないというのはうそである、そんな答弁は。私どもは、議論をする時間がなかったから言わなかったけれども、いまの御答弁をいただいてわかるように、たとえば運輸関係だってあるんです。あるいは経済協力だってあるんです。だから、経済協力基幹産業の分を足しましても一四・四%になるのです、いまのを算術計算いたしましても。ですから、運輸部門とかあるいは土建関係でしたらまた別にありますけれども、そういうものはずっと分類いたしましたならば決して少なくないわけです。四・七%だから、財政投融資は一元的に生活優先に使われているというふうな、そういう答弁をするというのは、私は、間違いだと思う。その中身を整理してやってもらいたいと思うけれども答弁できますか。
  12. 大蔵公雄

    大蔵説明員 ただいまの先生の御指摘の、中身を整理するという部面でございますが、私ども現在使途別分類表をただいまお話しいたしましたような分け方で分けておりますので、基幹産業と申しますと、私ども平生電力海運鉄鋼等のものを基幹産業というふうに理解をしておりましたわけでございまして、もちろん先生が御指摘になりますように、いわゆる道路公団なりあるいは鉄道なり、そういったようなもの、いわゆる大資本と申しますか、いわゆる大会社に対してこのお金が流れているという部面は、確かに現実問題としてはあるかと思います。しかしながらそういう分け方は、その中で、たとえば運輸通信部門の中でどれだけがいわゆる大会社と申しますものに流れているか、こういう分類はいたしておらないわけでございます。
  13. 大原亨

    大原委員 そういう分類は一応する必要があると思うです。というのは、つまり財政投融資も、これはたとえば厚生年金とか国民年金とか郵便貯金とか簡保とかの資金があるんですね。厚生年金昭和十七年に始まったわけですけれども、その当時は軍事費を調達するのが一つ目的だったんです。書いてあるとおりである。それは二十年間掛け金をかけるんですから、間に合わぬということはわかっているんです、戦争には。しかしながら戦後は産業復興時代があったわけです。そういう時代があった。今度は社会資本ということをいわれておるわけです。しかし、戦後のことをずっと見てみましても、そういう零細な国民の金というものが産業復興に使われるという必然性があった時代があったと思うんですけれども、いまやそれは高度成長輸出第一で、日本の過保護ということが国際的に問題になっているんですよ。あとで具体的に議論するけれども、過保護ということが問題になっているんです。それをいわゆるコマーシャルベースに切りかえていきながら必要なところに資金を回していくという考え方は、これは高度成長をささえてきたそういうものについての分析をしなければならぬ。これはいろいろ分析のしかたはある。  これはアメリカの政財界がドル・ショックのときにいったけれども日本国株式会社社長佐藤榮作大蔵省でしたら大蔵省支店財政金融機関その他の支店長水田三喜男。通産省は重化学工業ということで支店長田中角榮。そういうようなものが大きな企業を中心に高度成長をずっとやってきたわけですよ。大企業の場合だって社会資本とか社会開発等、たとえば住宅とか福祉問題等重点的に使うということは、これは言い得ることであります。ありますけれども高度成長を過保護の中に育ててきた。そういう問題について洗い直してみて、企業との関係あるいは実際的な使途中身、こういうものについてもう一回使途別分類のしかたを変えてみる必要がある。私はあとで逐次開発銀行の問題で申し上げますけれども、そういうことをやらなければいけないのではないか。全体的に漫然と既得権のように公団公庫銀行等運営がなっておるのではないか。その根本的な洗い直しをやるようような、私が指摘したような使途中身についてそういう考え方があるかないか。きょうは経済企画庁も来ておりますが、長期計画を立てる際には——このことは私ども国会でチェックすべしという議論の裏づけになるけれども国民の金だから、いまの佐藤総理以下水田大蔵大臣財政演説にもあったように、そういう方向に従って切りかえていく、洗い直していくべきではないか、こういう点についての基本的な大蔵省態度はどうかということをお聞かせいただきたい。
  14. 大蔵公雄

    大蔵説明員 ただいま先生の御指摘の点、全体としては私もそのとおりだと思います。ただ、問題が各公団公庫、その他のいわゆるあり方という問題と直接関連してくる問題でございまして、個々の公団なり公庫なりが今後いかなる態度をもって運営をしていくべきかということと深く関連をいたしておりますが、財投全体の資金計画といたしましては、やはり先生がただいま御指摘になりましたような方向を踏まえまして、徐々にその重点国民生活福祉に直接関連のある部門に移していきたい。かような基本的な方向をもって策定いたしておるところであります。
  15. 大原亨

    大原委員 だから私が申し上げているのは、水田大蔵大臣がきょうお見えになりませんけれども、本会議答弁したり予算委員会答弁して、財投というものは決して大きな企業に癒着して使われておりません、こういうことを言いながら、その場合に基幹産業のものに四・七%出すのです。しかしながらそれは申し上げたように、貿易経済協力項目を取り出しても運輸通信等の問題を取り出しても、場合によっては地域開発の問題を取り出しても、この問題についてはたくさんの問題があるわけですよ。ですから、ほんとうに何を重点に使っていくのか。国民の零細な金ですから、強制貯蓄あるいは税金と同じようなものですから、何をどういうふうに使うのかという観点での議論をやって、洗い直すべきであると私は思います。この点の使途別分類のしかたは観点を変えなければいかぬです。ですから四・七%ということをこれからもずっと言っていたらそういうことは許しませんよ。これは洗い直すべきであると思います。次官、いかがですか。
  16. 田中六助

    田中(六)政府委員 いつまでも基幹産業が、電力鉄鋼、造船というようなことでいっておるというようなことは過去のことでございまして、やはりこれから発想の転換とかいろんなことが要請されておるさなかでございますので、基幹産業あるいは何が大企業であるかというようなことを洗い直すことも当然必要だというふうに考えます。  ただ、大企業といいましても、これまた大企業中身が問題で、その傘下にはかなりの大きな企業体が含まれておりますので、財投が大企業だけに浸透しているかどうかということも問題でございますので、いずれにしてもそういう両面からこの企業内容産業内容を洗い直すべき時期に来ておるということは、私ははっきり言えると思います。
  17. 大原亨

    大原委員 たとえば住宅を建設する際に、大きな企業が請け負うて悪いという理由はないわけです。そういうことを言っているわけじゃないのです。  もう一つ私は、財政投融資全体の運営について、あと議論する開発銀行の問題で指摘をしたい点は、つまり既得権になっちゃうわけですよ。企業と癒着をして既得権になる。私は資料を出していただきましたが、つまり開銀やその他政府財政投融資対象となっておる金融機関コスト利子や期間やあるいは条件、そういうものと民間長期信用あるいは都銀、地銀等融資条件を見てみますと、こっちがいいにきまっているんです。つまり開発銀行輸出入銀行等がいいにきまっている。一つ企業で調べてみますと、一千億以上のばく大なものがたくさんあるわけです。五百億円以上になりましたらもうたくさんあるわけですが、そのコストということからいいますとばく大な差がある。ですから、漫然とほっておいたらそれはそういう方向へ流れるでしょう。だから、この問題について洗い直しをしない限りは、財政投融資の本来の目的を達成することはできないのではないか。問題は、当面必要なものをどういう機関において何に使うかということを、目安をつけないで漫然とやってはいけないということです。  たとえば海運等については、そういう開銀その他輸出入銀行融資をした上に利子補給をやっているわけです。一定の時期についてはその必要があったでしょう。しかし今日、輸出に対する過保護とか輸出第一主義ということの転換がいわれているときに、この問題を洗い直すことができるような機動性のある財政投融資運営のしかたを私は考えなければならぬと思う。そういう意味においては、漫然と大蔵官僚関係開発金融機関等にまかすわけにはいかぬと思うのです。国会審議対象にしろというのはこういう意味であります。だから私が申し上げているようなそういう機動的な財政投融資運営のしかたをなすべきである、こう考えるけれども、それに対する所見をひとつ明らかにしてもらいたい。
  18. 大蔵公雄

    大蔵説明員 全般的な問題といたしまして先生の御指摘になりますように、いわゆる財政資金運用あり方というものが時代とともに変わっていくべきであるということは、私どももそうであると思います。ただ、全体の海運政策なり何なりと申しますものは、いわゆる財政投融資計画の問題とは別個に、日本の国といたしましてのいわゆる海運政策なり輸出政策なり何なり、こういったような基本的な、たとえば大蔵省だけで判断のできる問題と別の問題とも深く関連をいたしてくる問題でございますので、かりに海運会社に対しましてはこれ以上の融資をやるべきではない、かようなことで国全体としての政策に基づきまして運営をしていくという面がございますので、私ども立場からいたしまして、海運はやめてほかに向けるべきであるというようなことを言うことができるような立場にはございませんが、まあ全体といたしまして、先生が御指摘になりましたように、財政資金運用あり方資金運用部資金運用あり方と申しますものも時代とともに変わっていくべきであるということは、私どももさように考える次第でございます。
  19. 大原亨

    大原委員 そういうふうに全体の硬直化を防ぎながら時代要請に従って、国民的な要請に従って内容を転回していくという、そういう考え方についての政治決定をするというか、全体のイニシアをとるのは大体どこですか。
  20. 大蔵公雄

    大蔵説明員 この問題に関しましては、私からお答えをすべき問題ではないかと思いますが、たとえば海運政策であるとすれば運輸省ではないかと思います。
  21. 大原亨

    大原委員 全体としては、どこがイニシアをとるのか。つまり、一たんきまったらずるずると軌道修正ができない。それは開銀法でも輸出入銀行法でも、これは器をきめているようなものだから、中身についてはそれぞれ各省政策とか助成行政との関係があるわけです。あるわけですが、全体としては、資金はどうあるべきか、こういうことについてチェックしたり方向軌道修正するのは、大体どこがイニシアをとるのか。経済企画庁長期計画がきめるのか、あるいは大蔵大臣か、総理大臣か。総理大臣がつまらぬからこういうふうな高度成長の大きな問題が起きているんだと思うけれども、基本は、いまのはだれがイニシアチブをとるのか、省としてはどこかということです。いかがですか。
  22. 大蔵公雄

    大蔵説明員 この問題は、やはり大蔵省各省と相談をしてきめていくべき問題ではないかと思います。
  23. 大原亨

    大原委員 予算編成権については主計局財投理財局が持っているわけですから、やはりいまの予算編成については、財政投融資については、国会審議対象にはなっていないけれども、そのイニシアをどこがとるかといえば、理財局であり、理財局を持っている大蔵大臣が、こうあるべきだということをやるとぼくは思うのです。この財政投融資を洗ってみて議論してみて、地方の起債を含めて一般財投資料をここに持って来ているわけだ、それから一般金融機関としての資料を持っているが、いわゆる政策金融と称している——これは金融政策とは違うだろう。日銀が全体を操作するのとは違うだろう。そうして大蔵省銀行局がやっているのとは違うだろう。いわゆる政策金融といわれているもの、そういうものについては大きな方針についてはどこに持っていくかということは、やはりそのイニシア大蔵大臣がとるべきだ。こういうことについて、とられていないのではないか、究極においては、総理大臣指導性政治決断がないのではないか、こう私は議論を持つわけです。この問題は、大蔵大臣がお見えになっておりませんが、基幹産業向けが四・七%という答弁を私は聞きまして、がまんならぬと思って調べた。私は、これはうそだということはわかっている。しかもみんなテレビその他で言っている。みんなそういうことを言っている。そんなものは全部うそっぱちなんだ、この中身は。だから、硬直化を防いで、政策金融としての役割り、質的にどういう役割りをするかということは機動性を持つべきじゃないか、こういう議論等に対して、私はまとめて大蔵大臣の見解を聞かしてもらいたいと思います。これは政務次官、御答弁をいただきまして、あとで協議してもらいたい。
  24. 田中六助

    田中(六)政府委員 財投の取り扱いでございますので、もちろんこれは大蔵省が一番イニシアチブをとり、また責任もあると思いますし、この総合的な問題については十分大蔵大臣ともども協議していきたいと思います。
  25. 大原亨

    大原委員 もう一つ、私は開銀の問題を追跡をしておりまして、問題点は、本年度財政投融資ワクが、前年度比三一・六%ほどふくれ上がったわけです。しかし、これは政府原案によりますと、大蔵省原案閣議査定段階でふくれ上がったわけです。約二千百七十四億円ほどふくれ上がりました、これは一般会計予算査定段階におきまして、予想いたしておったかどうか別にいたしまして。その財源は一体どこからひねり出したのか、その中身を御答弁いただきたい。
  26. 大蔵公雄

    大蔵説明員 御指摘のように、四十七年度財政投融資計画策定にあたりまして、内示から最終案決定まで、二千四百三十四億円ふえたわけでございますが、その中身といたしましては、産投会計出資が百三十九億円、それから資金運用部資金が二千百五十四億円、公募債借入金等が百四十一億円、合計いたしまして二千四百三十四億円ふえたわけでございます。
  27. 大原亨

    大原委員 二千四百三十四億ふくらんだんだな。その中で、この項目を見てみますと「その他」というところがふくらんでいるんだ。大体「その他」というところでふくれるふくれ方があるのか。その「その他」というのは、そんなに簡単にふくれることができるの。その原資の中身を私は答弁してくれと、こう言っている。
  28. 大蔵公雄

    大蔵説明員 この資金運用部資金と申しますものは、もちろん先生も御承知のとおり、郵便貯金であるとか、あるいは厚生年金国民年金の積み立て金、あるいはその他各種の特別会計からの資金運用部に対する預託金、あるいは今日まで資金運用部が各機関に貸し出しておりましたところの資金の回収金、そういったようなものがあるわけでございまして、三月末現在でその資金運用部といたしましての総資産は約十八兆円ということになっておるわけでございます。そうして金融機関のことでございますから、毎日預け入れてくるものと借りにくるものと、財政投融資計画におきましてすでに貸し出しを約束しておりますものが、現実問題といたしましては、金利のついているお金でございますから、ごく必要なぎりぎりのときまでは借りにこない、こういうようなのが実態でございまして、資金運用部の総資産がかりに十八兆近いものがあるといたしますと、常に資金運用部の中にはいろいろなお金が、これは紙幣に色がついておるわけではございませんものですから、出していくものあるいは返ってくるものというものがあるわけでございまして、「その他」の中にはそういった種類の資金が含まれておるわけでございます。金融機関といたしましては、かりに預貸率が九〇%であるということにいたしますと、常に貸し出しをするための用意をされておると申しますか、流動性があるお金と申しますものがあるわけでございまして、その中からその財投の追加原資ということで用意いたしたわけでございます。
  29. 大原亨

    大原委員 余裕金というんですか。——ちょっと待ってください。つまり、積み立て金等の余裕金という意味ですか。たとえば一つ具体的に言うならば、保険庁の政府管掌の現金会計で赤字が出たならばそれを借りてくる、いままではそういうふうにしておった。財投の表面にはほとんど出てこないけれども、実際上資金運用部の余裕資金というものがあった、それをここで「その他」という項目で浮かび上がらせたのか、いまのあなたの答弁は。一つの例を私は言ったけれども、それならばなぜ最初からそのことを表面に出さなかったのか。理財局大蔵大臣が自由かってにできるのか、いかがですか。
  30. 大蔵公雄

    大蔵説明員 いわゆる財投計画の原資見込みと申しますものは、その翌年度、たとえば昭和四十七年度財政投融資計画策定をいたします際には、翌年度入ってくるであろうところの原資を見込みといたしまして組むわけでございます。したがいまして、現在——なかなかこれは一口に御説明しにくいわけでございますけれども、要するに、たとえば郵便貯金なら郵便貯金であるにしても、現実問題として財政投融資計画に組み込むことのできる金額は、翌年度預託されるであろう金額を原資として組み込むわけでございまして、資金運用部のいまのいわゆる「その他」の中にも、翌年度各特別会計なりあるいは回収金なりから資金運用部のお金がふえるであろうというものを組み込むわけで、そこらあたり、税金等と違いまして、必ず一定のきまった金額がそこに確定をされ得るという性格のものとは、金融機関のことでございますので、性格が若干違うわけでございます。
  31. 大原亨

    大原委員 健康保険のたとえば政府管掌の赤字が出ておる。それに対して穴埋めをする。これはこれでやっておるのかと言っている。
  32. 大蔵公雄

    大蔵説明員 政府管掌の健康保険の金にいわゆる年度越し短期の貸し付けを行なっておるのは、こういう種類の金をもって融資をいたしておるわけでございます。
  33. 大原亨

    大原委員 つまりこれを表面に浮かび上がらして財投の計画の中に入れて、その他という項目を設けて四千五百四十五億円前年度よりもたくさんひねり出しておるわけだ。打ち出の小づちみたいなものだ。そういうふうに簡単にできるものかどうか。いまのお話を聞いてみて、突きとめてみれば大体わかるけれども、そういう操作というものは一体どうなんだ。かりてにそういうことをやるのはどうなんだ。こういうことにひとつ問題があるわけです。しかし、この問題だけを議論しておると、それだけで時間が終わるから進めてまいりたいと思うのです。  次の質問は、今度の改正点で、自己資本の六倍という借り入れ金の限度額を今度二十倍に引き上げたというわけですね。そういたしますと、総ワクは幾らになるのですか。その中で、本年度開発銀行ワクは表面に出ておりますね。表面に出ておる数字と考えてよろしいか、その関係……。
  34. 近藤道生

    ○近藤政府委員 改正後の限度額を現在の数字で試算いたしますと、七兆六千百六十一億円になるわけでございます。
  35. 大原亨

    大原委員 本年度ワクとの関係……。
  36. 近藤道生

    ○近藤政府委員 四十七年度末の見込みでございますが、二兆七千五百五十億円に、ほっておけばなるはずでございます。
  37. 大原亨

    大原委員 七兆六千億円もの限度額のワクを、いままでよりも二十倍のワクを取るというのはどういう立法の趣旨なんですか。いままで貸し出しをしておるものをそのまま癒着的に固定しておいて、それについて中身を変えていくという考え方はないのですか。二十倍というのはばく大な倍率だと思うのです。どういう根拠でそれを提案しているのですか。
  38. 近藤道生

    ○近藤政府委員 二十倍ということにつきましては、実は一昨年当委員会におきまして開銀法の倍率改正を御審議願いました際に附帯決議として、制度を基本的に変えることについて検討すべきであるという附帯決議をつけられまして、その趣旨説明といたしまして、最近における状況から見て、限度を一倍ずつ上げるということはいかにも御都合主義的かつ便宜主義的である、それゆえに制度としてもっと根本的に改善を検討すべきであるという趣旨説明をちょうだいいたしたわけでございます。それに基づきまして基本的な検討を加えました結果、もちろん二十倍という数字に絶対の根拠があるわけではございませんが、わが国におきます長期信用銀行の債券発行限度その他を勘案いたしまして、一応二十倍ということで御審議をお願いしたわけでございます。
  39. 大原亨

    大原委員 七兆六千億円のワクをきめて二十倍にしたというのは、いまの答弁を聞けば根拠はないのですよ。私は、財政投融資全体について、大きな企業に流れるからといって、必ずしも反対するのではないですよ。ないけれども、どういう使途に使うんだ、こういうことを明確にしながら規制していかなかったら、既成事実の積み重ねだけだったら、幾らワクがあっても足りはせぬ。これでワクを取れば、ほかのほうはワクが少ないということになるでしょう。いまの二十倍という根拠は全然納得できない。こんなものは非常にずさんな法律である。  この問題は、時間がかかりますからあとで申し上げることにして、せっかく郵政次官の松山先生がお見えになっているから、財政投融資の全体の問題で私はお尋ねするのですが、郵便貯金や簡保の問題、厚生年金国民年金の還元融資をやるわけですが、この窓口は主として大口は郵政省が担当しておられると思うのです。郵政省と、財政投融資運用のしかたの本質に関係する問題ですから、私はこの際二間くらいに分けて質疑応答したいと思うのですが、この問題は、財政投融資の本質にかかわる問題でありますけれども、しかし一定の条件のもとにおいて行なわれる場合においては、どういう役割りを果たすかということもあるわけです。私は先般もいろいろな報道や反響やその他を聞いておって、郵便貯金の中でワクは十万円ということで、一千億円というような条件がついておるわけですけれども、庶民金融、小口金融、生活金融を郵政大臣が提案をいたしましたら、都銀やあるいは地方銀行や信用組合や金庫等の生活面の貸し出しがふえた。非常にふえたとは言わぬけれども、だんだんとふえる傾向になった。外国の例などと比べてみると、まだまだ庶民金融というものは冷遇視されておる。庶民金融などということになると、病気とかあるいは入学の資金とかいうものに切実な要求を持っておるというふうにいわれておる。しかし大蔵省や農協関係から袋だたきのようなかっこうになっておる。私のところにも農協その他から見えますが、私はそれはお門違いの議論だといっておるのです。  私は、大蔵省にまずお聞きいたしますが、そういうことでそういう反響があるんだけれども財政投融資運営のしかたで、郵便貯金の窓口をちょっとゆるめるというか、サービスをするこの制度、一千億円くらい、全体から見ればわずかなものだ。そういうことによって金融の流れを変えるというか、庶民金融に窓を開く、刺激を与えていくという大きな役割りを果たすということになれば、財政投融資役割りからいったって、資金量から見て民業を圧迫するほどのものではない。なぜ目の色を変えて反対するのであろうか。大蔵大臣はそういう点については君子豹変したらしいという話もあるけれども、私は、大蔵省はどういう見解で反対しておるのか、この際、まずお聞かせをいただきたい。
  40. 近藤道生

    ○近藤政府委員 庶民金融の問題につきましては、大蔵省といたしましては幾つかの問題点があろうかと存じます。ただいま先生が御指摘になりました問題をも含めまして幾つかの大きな問題点があるというふうに考えております。実は昨日も、郵政事務当局及び農林事務当局と、それらの問題点について論議をいたしました。また今月中にもう一回は議論をする予定にいたしておりますが、問題点のおもな点といたしましては、もうすでに御承知のことと思いますが、たとえば金利計算上の問題あるいは税制上の問題、そのほか資金運用部の一元的運用の問題、そういったような問題点につきまして、さらに今月中にもう一ぺんぐらい議論を詰めるということを考えております。
  41. 大原亨

    大原委員 松山次官にお尋ねしたいのですが、大蔵省の批判もあるわけですね、御承知だと思うのですが。それで、郵政省はそれに対してどういう見解を持っておられますか。
  42. 松山千惠子

    ○松山政府委員 いままでの御質疑の中にもちょっと出ていたようでございましたけれども、従来、また今日におきましても、わが国では産業金融は比較的整備されておりますけれども、庶民の日常生活に必要な資金の貸し付け制度は非常におくれていることは事実でございます。またこれは民間企業の採算ベースになじみがたい面もあるでしょうと思いますが、確かにまだ十分とはいえない実情にあるわけでありまして、いわゆる高利のサラリーマン金融等が広く行なわれているのもこのような事情によるものだと思われております。そこで、このような制度の創設につきましては、かねてから郵便貯金の預金者の方々をはじめ、各方面から強い要望がありまして、特にいままでにも過去四回にわたりまして、衆参両院におきましてこれのための決議をいただいております。で、いま生活資金や何かについて民間金融機関でも貸し出しを急に始めたということでございますけれども、このような庶民金融を民間金融機関が積極的に進めることはほんとうにけっこうだと思います。ただ、これはサービスエリアはその得意層に限られてしまう。それで一般民間金融機関のみですべての需要を満たし得るかといいますと、そこにも問題があろうかと思うのでございます。  いままでの庶民に対する金融機関の比較的冷淡であったことなども勘案いたしまして、また、いま申し上げますように、各方面からの御要望にこたえて、先生もよく御承知のように、先般からの郵便貯金の加入者に対する貸し付けの制度を考えたわけでございます。ですから、私ども民間金融機関の方々と協力して、それぞれの立場でお互いに足りないところを補完しつつ、それぞれの特色を発揮して努力し合うことが国民の要望にもこたえることになり、その経済生活の安定にも資することになろうか、かように考えておるようなわけでございます。
  43. 大原亨

    大原委員 それでは端的に、あなたのほうは、郵政省は郵便貯金を集めたり、簡保の資金集めをやっているわけですね。それで大蔵省へ持っていくわけですが、資金運用運用の一元化ということを答弁になりましたけれども、この小口金融を実施することによって、その財政投融資の原資が、いま言ったように少なくなるのですか。——いや、銀行局長じゃない。郵政省に聞いているのです。
  44. 松山千惠子

    ○松山政府委員 この預金者貸し付け制度は、郵便貯金の払い戻しにかわって一時的なつなぎ資金を融通する制度でございまして、これに要する貸し付け資金は、もともと資金運用部に預託されない、従来払い戻しに使われていた資金の一部が充てられるものであるわけでございます。たとえば預金者貸し付けの原資となる、いま一千億円という額になっておりますが、この一千億円の資金は、郵便貯金財投原資、四十七年度で言いませば一兆七千億円から振り向けられるものではないのでございまして、財投原資一兆七千億円は郵貯の増加分、つまり年間預入額八兆三千億円と年間払い戻し額の六兆六千億円の差額に当たるものでございます。これまでの預金者は、ですから、令の必要がありましたときには預金を払い戻して使っておるわけでございますけれども、貸し付け制度が実施されると、払い戻しをしないで金を借りてその必要を満たしてもよいということになるわけでして、これを資金の流れの面から見ますと、払い戻しに充てていたものの一部が貸し付けに回ることになるのであって、財投に影響は与えないように思います。
  45. 大原亨

    大原委員 ぼくもいろいろな反対論を聞いているのです、農協の反対論とか。しかし農協の金だって、系統金融の集まり方やその使い方については、これはかなり問題があるのです。庶民に還元されない、農民に還元されないという面において問題がある。それから一般民間金融機関が、民需を圧迫するというようなことで、局長の御答弁のようなことを一部含めながら主張しているのですが、それは理由にならない。各金融機関とも、その点はもう少しサービス精神を発揮してやるべきだ。大口のところをやる。大口のところをやればコストが安くつくというようなことだけでやったんではいけない。いまや資金の余裕はあるわけですから、そういう庶民金融の問題について目を向けるべきである。日本は貯蓄率が二〇%で世界一というけれども、しかし、貯蓄はいいことであるけれども、必ずしも大きいことがいいことではないわけです。このことは資金の流れで高度成長の問題だし、あるいは円の再切り上げの問題にも関係しておるわけです。国民生活にも関係あるわけですから、個人の消費生活水準と関係あるわけですから、私はそういう大局から考えてみたならば、財投の原資がどんどんそれで食われていくというなら別だけれども、そうでないということを松山さんもお話になっているわけです。ですから、そういうサービスをすることについて、一一寄ってたかって、けちをつけて、大蔵省の金融上の一定の権限がなくなるようなことを言うような考え方は、私は間違いだと思う。  この点は国民的な立場で、よく世論に耳を傾けてこれから議論をして——これから議論をもう一回されるそうですが、あいまいなことでなしに私はやってもらいたいと思う。(「それは自民党でもやるからいいで」と呼ぶ者あり)自民党には賛否両論あって……(「ほとんど八五%から……」と呼ぶ者あり)そこで大蔵省政務次官は、これから検討するに際して、自民党の中の意見も、銀行やその他に弱いが、そういうことについて議論をした点を十分考えて、ひとつ態度決定してもらいたい。
  46. 田中六助

    田中(六)政府委員 今後も十分郵政省とも討議をいたしまして、善処いたしたいと思います。
  47. 大原亨

    大原委員 それで私も、委員長が白い目をもって見ているから時間をできるだけ協力しますが、しかし大切な問題ですからね。  開発銀行融資の中で、海運関係に対する残高は幾らか、どういう会社に対して貸し出しておるのか、御答弁願いたい。
  48. 石原周夫

    ○石原説明員 海運関係は、これはお配りいたしてございます「日本開発銀行の概況」という資料の二ページにございます。これは四十六年九月の残高でございますが、六千五百八十八億でございます。
  49. 大原亨

    大原委員 どういう企業に、一つ企業に大体どのくらい貸しておるかということ。
  50. 石原周夫

    ○石原説明員 御承知のように、海運の先般の再建整備にあたりまして、いわゆる中核体というものを考えまして、それを中心にして集約をいたしたわけであります。それが六社ございまして、その六社を中心にして、それに系列会社というようなものをグループ化をいたしているわけであります。したがいまして、大体の数字から申しますると、中核体六社に行っておる額がその大部分を占めておるわけであります。これは四十六年九月末の数字でございますが、一番大きな会社に対しまする融資残高は九百十六億円でございます。
  51. 大原亨

    大原委員 たとえば具体的にはどういう会社なんですか、一つだけお答えいただきたいのです。
  52. 石原周夫

    ○石原説明員 日本郵船です。
  53. 大原亨

    大原委員 ずっと海運関係のものをあげてみますと、大口別に見ましたら、二十位以下のものが八つあるのです。
  54. 石原周夫

    ○石原説明員 先ほど申し上げました六中核体と申しますのが、その中核体になっております。六社のほかに系列会社のうちで大きなものが二社人っておるわけであります。
  55. 大原亨

    大原委員 これはなお、財政投融資資金の中からこういうふうに、これは九百十七億となっておるが、九百十六億円もそういう貸し出しを続けておるということについて、どういう必要性があるのですか。あるいは将来どうするのですか。
  56. 石原周夫

    ○石原説明員 御承知のように、政府海運再建整備計画を立てまして、海運業がだんだん再建をせられることになってきたわけでありますが、船復の増強の計画がございます。これが四十五年度に改定になりまして、現在新しい計画ができましてから、四十七年が二年目にあたります。御承知のような貿易の増大に伴います積み取り比率をある程度邦船でまかなわないと、いわゆる安定輸送というものが確保できないということでございます。これはもし御指摘がございますれば、運輸省からお答えすることかと思いますけれども、かわって私どもが承知しておりますところを申し上げますと、そのトン数に従いまして、たとえばコンテナ船は幾らである、あるいは定期船は幾らで鉱石専用船は幾らでタンカーは幾らである、こういうような一応の計画がございます。その計画を前提といたしまして、関係各社がおのおの自分のところはどういう船をつくりたいということを考えております。それをそのワクの中にはめまして融資をいたしておるわけであります。御承知のように、相当な規模のいわゆる大量建造が行なわれてまいったのでありますから、四十一年度以降だいぶ私ども融資額が御承知のようにふえております。  ただこれは、大原委員御承知でございますように、開発銀行融資の方法を変えてまいったものでございますから、いまごらんを願いました数字では、残高ベースでは三四%という数字になっておるわけであります。しかしながら、今年度、四十七年度海運関係融資割合は二五%、したがいまして、残高でごらんをいただきまする割合よりは、毎年融資をいたしております割合がより低くなっております。御承知のように海運は相当長期の融資をいたしておるものでございますから、したがって、残高のほうはそう急速に減らないが、融資の額のほうはウエートが逐年落ちている。そういうような結果、今日のような結果に相なっておるわけでございまして、これは一応海運の五カ年計画というのは四十九年度まででございます。したがいまして、現在はその計画の推進中でございまするが、これは政府のお考えになることでございますけれども、経済の長期計画を改定・しようかということを政府が考えておられるようであります。その機会にもう一ぺんそれを見直すことに相なりますかどうか。そういうことに相なりますれば、現在の計画の年度中にもまた何らか再改定が行なわれるかもしれませんが、現在のところは、四十五年度にきめましたそのときに、先ほど来、一昨日も申し上げたと思いますけれども利子補給を減らすとか融資割合を減らすというようなことをやったわけでございますが、その一応きめました規定路線で融資をいたします、こういうふうになっております。
  57. 大原亨

    大原委員 昭和四十六年度ワクは二四%、四十七年度は二五%、これはだんだんふえている。私はふえていると踏んでいるのだけれども、戦後の荒廃期に、貿易で立っていく日本が、海運に対してやったということはわかるのです。しかし、多々ますます弁ずるだけれども、長期銀行民間銀行が今日あるのですから、何が必要かということになれば、財政投融資の問題は、海運予算全体の補完的な意味があるわけですから、そこでどこへ使うかということについて、もう少し運輸省のワクとか、企業とのワクとかあるいは天下った役員のワクとかいうワクの範囲だけで考えるのではなしに、これはやはり考え直さなければいかぬですよ。二四%、二五%というのは、あなたはだんだん減るようなことを言っておるが、これはふえている。これはばく大な数字なんです。しかも一つ企業に一千億円もいっているというふうなのは、これは漫然と重ねておいて、財政投融資は洗い直しますとか、福祉優先でございますというような議論をしたって始まらないのじゃないか。この点私は、あなたは計画でそのワクでやれるのですから、あなたを責めあげるというような意思はないけれども大蔵大臣や総理なんかは口先だけで、社会福祉八〇年までといってだましてきたけれども、よくもだまし続けてきたものだ。内閣は一番長かったけれども、支持率は史上最低の率になっている。こういうようなことだから日本国株式会社と言われてもしかたがない。これは現に過保護だという国際的な意見があるじゃないですか。この問題は私は洗い直してもらいたいと思います。この問題は全体の中でやってもらいたいし、開発銀行も申し上げたように機動的に運営していかなければだめです。時代の必要に応じて大きな企業にいって能率的に使うということもあるでしょう。あるんだが、漫然とやっていてはいけない。しかも二十倍もワクを広げていって、七兆六千億などというのは全く根拠がないものである、こういうことはいかがですか。
  58. 近藤道生

    ○近藤政府委員 ただいま御指摘になりましたような開銀融資対象について、できるだけ時代要請に即して弾力的に考えていくべきであるという仰せは、まことにそのとおりであると考えております。過去におきましても御承知のように、たとえば電力などはピーク時は五八・八%でございましたが、現在は七%くらい、これは毎年のフォローの数字でございますが、海運につきましても、ピーク時の四四・七%が現在は三二・七%、それに比べまして、たとえば公害防止、三十五年くらいに始まっておりますが、その当時〇・三くらいでございましたのが現在は六・四あるいは技術開発が当時一・四でありましたものが現在は一六・六というような形での流動的な運営が行なわれているわけでございますが、お示しになりましたように、現在はさらに激動期にあたっておりますので、この辺の弾力的な転換ということについてはさらにさらに力を入れていくべきであるというふうに考えております。
  59. 大原亨

    大原委員 公害防止の事業費のワクは、これはもっともらしいのですが、四十六年百六十一億円、四十七年は幾らで、これはどういうところへ貸すのですか。
  60. 石原周夫

    ○石原説明員 四十七年度の公害防止の融資ワクは三百五十億でございます。公害防止の内容を大ざっぱに分けて申し上げますと、一つは重油の脱硫、これはだいぶ前からやっておりまして、重油の脱硫工事に対します融資がございます。それから同じ油の関係について申しましすると、ガソリンの無鉛化の問題、これは鉛を減らしたガソリン、これをつくります費用でございます。それから大気汚染、汚水処理、この両方の関係におきまして、排煙脱硫、煙から硫黄を抜きます排煙脱硫、あるいは製造の過程におきまする硫黄を除く方法、大体そんなものがおもなものでございます。もう一つ申し上げておきますが、海水油濁防止というのがありまして、海の水がよごれるのを防ぎますために廃油を集めましてそれをきれいにする、そういう施設でございます。
  61. 大原亨

    大原委員 貸し出し先は、企業である場合も、あるいは、たとえば自治体である場合もあるわけですね。
  62. 石原周夫

    ○石原説明員 自治体に対しまする融資はいたしておりません。
  63. 大原亨

    大原委員 工場の中の廃油の処理施設、こういうように考えてよろしいのですね。
  64. 石原周夫

    ○石原説明員 工場の中の分が多うございます。ただ、海水油濁防止の点でございますと、これは別に会社をつくりまして、それが油濁防止の、たとえば船をつくるとかあるいは廃油をきれいにする装置をするというようなものがございまするから、必ずしも工場の中というわけでもございません。ことに工業用水なんかの場合には工場の外にいくものがございますが、相手は、地方公共団体は含まれておりません。
  65. 大原亨

    大原委員 日本の国の産業の公害防止についての全体の投資はだんだんふえておりますが、その投資額について資料があればお答えいただきたい。その中で、あなたのところはどの程度を、どういうところへやるのかということです。こういう説明がつくべきであると私は思う。
  66. 石原周夫

    ○石原説明員 公害の防止関係融資額につきましては、通産省も別に資料を持っておられると思いますが、私どものほうは、毎年度アンケート調査というものをやりまして、二月、八月に、公害防止を当年度どのくらいやるつもりか、来年度どのくらいやるつもりかというアンケート調査をやっております。それによりますと、上位の石油精製、石油化学、あるいは電力、非鉄金属というようなものにおきましては、大体投資額の一割を最近におきましては上回ることになっております。全体の平均が四十七年度で、アンケート調査をいたしました何カ社でありましたか、主としてそういうような問題に関係のある会社について見ますと、大体投資額の七%ぐらいになっております。これが大体、だんだん四%、六%、七%というようにふえてまいっております。そういうような状況でありまして、そのうちで私どものほうの額が幾らになりますかという、これはちょっと調べましてお答えいたします。
  67. 大原亨

    大原委員 開発銀行の公害防止事業に対する投資は、大企業向けですか。
  68. 石原周夫

    ○石原説明員 大企業向けかというお尋ねでありますが、資本金十億円未満の、大体はいま申し上げましたようなところに公害発生の企業が多うございますから、たとえば、いま申し上げました紙・パルプであるとか、あるいは非鉄金属である、あるいは石油である、あるいは電力であるとかというようなものに主として多いものでございますから、それらの会社は大体資本集約的な事業が多うございますから、資本金の規模から申しますると大きな企業が多いということではあると思います。ちょっと数字は、わかりましたらお答えいたします。
  69. 大原亨

    大原委員 これはあなたとずっと議論してもしようがないこともあるんだけれども、しかし、運営上実際に重要だから申し上げるのですが、たとえば公害防止に対する投資に対して、政策金融でどういうように誘導していくか、あるいは助成していくか——これは一種の助成なんだから。利子からいいましても、条件から、期間からいいましても、裸の点からいいましても、これは金額で計算いたしましたらばく大な助成なんです。補助なんです、これは政策金融の中においては。そこで、たとえば中小企業等がやる共同施設、こういうふうなもの等であるならば、これはかなり意義があると思うんです、私はほんとうの意味で煮詰めていないが。しかし、公害を防止する際には、ソーシャルダンピングだといわれているのは、低福祉、低賃金、それから公害たれ流しです。そこで問題は、公害防止投資がだんだんふえていって、全体で一割に近づいておるというのはいい。いいけれども開発銀行にそういう項目を設けてやる場合にはどこへ使うかということになると、私は、あなたの答弁は問題がある。これは問題がある。なぜかといいますと、やっぱり今度はPPPの原則で、これは日本も参加して最終決定になるでしょうが、ポリューター・ペイズ・プリンシプルですね、ですから、こういう問題は税制で一般的にある程度この問題についての条件をつけるというのであるならば、これは一つ政府全体の政策でしょう。前向きに考えるかもしれない。しかし金額で大きな企業につまんでやるということになれば、これは設備投資と同じですよ。どういうところを対象にしてこの開発銀行運営されるかという、あるいは財政投融資運営されるかという議論になるんです。  そういうことをやるならば、企業責任が不明確になって、開発銀行に投資を申請しているから待ってくれとかそういうことになって、全体といたしましては汚染が急速度に進むということにもなるわけです。企業として競争する公正な条件の中に公害防止の施設、自己責任の原則があるはずなんだ。イギリスやヨーロッパ等では、特にイギリスなどでは、きれいな水を使った者はきれいな水で返せといっている。これは女王の水であるとは、そこまではいってないけれども一般的なそういう考え方である。だから企業責任を明確にしないで日本のたれ流し公害に対してどう対処するんだという姿勢を全世界に示すわけにはいかない。ましてや開発銀行等を通じて、零細な金を集めておる金を大きな企業につまんで出すような、そういうしかたというものはいままでの発想と一つも変わらぬじゃないか。百六十一億円、今年は三百五十億円の融資があるけれども、私は、いまの御答弁については全然納得がいかない。そういう点で、いままでの実績を踏まえてどういう方針でやるのかという点を大蔵省でも議論をして、これは最後にまとめて発表してもらいたいと私は思う。
  70. 石原周夫

    ○石原説明員 中小の分についてのお話がございましたが、御承知のように、公害防止事業団というものがありますので、そのほうで施設をみずからせられる場合もありますし、融資をせられる場合もある。中小の企業の問題につきましては公害防止事業団が当たっておられる。したがいまして、私どものほうはある程度の規模以上のものに相なるということであります。なお、私ども融資は、大原委員も御承知のとおり、三年間七分、あと七分五厘という金利でございますから、市中の金利に対しまして若干有利ではございますけれども、現在のような公害の非常に問題である時期でございますから、やはりできるだけ企業を誘導して早く公害の防止が全うせられるということが政府政策であろうというふうに私は承知をいたしまして、私ども融資をいたしております。
  71. 大原亨

    大原委員 問題はいまお話しになったような電気とかその他石油を使う産業ですけれども、公害ということになったら、石油コンビナートをはじめ石油産業なんです、日本は。石油があらゆる形を変えているんです。それがいろいろな食品添加物に至るまで公害の問題が起きているわけです。ですから、公害の考え方といえば、単に煙突だけの問題じゃないんです。煙突を高くするだけの問題ではないわけです、脱硫装置、いろいろな問題ありますけれども。ですから、公害防止事業団のほうからも大きな企業へ比較的回っていく。でこぼこができる。開発銀行から特別に大きな企業へ九九%は回る。そういうことを通じまして考えた場合には、日本全体の公害をよくするというふうなことにはならぬ。地域的な共同施設等において、私は、その効率的な使い方はあると思う。ただ、あまり安易な条件ではない、得な条件ではないというお話でありますけれども、であるならば逆に、なぜそういうことを対象開発銀行運営されるのかという議論になる。マンネリズムではないかという議論がある。だから使途別対象の問題と使い方の問題、それから企業に対しまして公害についてこういう融資をして、そして格差のある条件でそれに土を盛っていくような考え方は、公害について正しいのかどうかというような問題がある。これで公害防止の政策になるのかどうかという問題がある。逆ではないかという議論があるわけです。非常に決定的な議論があるわけです。この点はひとつ、答弁は私の意見を変える理由にはなりません。  もう一つ、たとえばフェリーとかホテルに使っているわけですか。
  72. 石原周夫

    ○石原説明員 ホテルに対する融資をいたしております。四十六年度の実績で三十八億でございます。
  73. 大原亨

    大原委員 フェリーはどうですか。
  74. 石原周夫

    ○石原説明員 フェリーに対する融資もいたしております。これは主として地方開発のほうの関係、私どものほうの担当しておりますいわゆる後進地域と申しますか、その地域におきまする地点、それから京浜等、阪神等あるいは後進地域その他もございます。そういうような融資もいたしております。ことに地方開発の関係におきましてこれは最近だいぶふえてきておる実情でございます。
  75. 大原亨

    大原委員 大都市再開発とか地方開発などにもデベロッパーとの関係でかなり問題が出てまいりました。しかし私は、この問題について一がいに、たとえばホテルでも一定の時期において必要な場合があるかもしれない。あるいはフェリーだってあるかもしれない。しかしながら全体の政策や開発投資の運営でどこに重点を置くのかという考え方になれば、いままでのような考え方でやっていいという理由は全然見当たらぬ。それから流通近代化の問題もこの中に入っているのかもしれません。地方開発の問題も電力会社の問題に一千億以上みな入っているけれども——私だけで質問するわけにいかぬわけですが、そういう点を考えてみまして、開発銀行というのはかなり問題があるのです。  それで、きょうは大蔵大臣いらっしゃいませんが、財政投融資というのはやはり非常に零細な金です。これはほとんどが庶民階層が出しているのですよ。どういう人が貯金をし、簡易保険に入っている率が多いかという点について郵政省の非常に消極的な遠慮がちな答弁がありましたけれども、さらにいろいろ聞いてみてもいろいろ問題がある。国民年金についても簡易保険についても、国保方式を加味して改革すべしという議論があるのです。利子をたくさんとっているから、財政効率がいいから、資金効率がいいからという考え方は、財政投融資の中であるいは積み立て金の運用の中で変えていかなければならない。なぜかといえば、物価をこんなにべらぼうに上げているのは政府じゃないか。積み立てておいて使うよりも、現在有効に使っていくということが国民の消費生活水準や生活安定に必要ではないか。こういう議論が当然起きてくる。その特徴的なものは、輸銀の問題もさることながら開発銀行の問題は他の公団公庫の問題と一緒に洗い直してみる必要があると私は思います。ですからこれを調べてみると、単に補完的、奨励的というふうになっているけれども、単に補完的なものではない。これは日本産業政策高度成長政策の中で今日の日本の非常に行き過ぎた原因をつくっている一つの問題になっておるから、全面的に私は否定するということはないけれども、この点については洗い直してみて、きびしい検討を加えていきながら資金の流れを変えていくことが必要であると私は思うわけです。ですからこの問題は二十倍のワクの拡大と一緒に、将来もそういうことでそのほうへ資金が流れるような仕組みというものは問題ではないか。大蔵政務次官、これが議決をされるまでに私の意見を十分検討してもらいたいと思いますが、いかがですか。
  76. 田中六助

    田中(六)政府委員 日本経済がここまできたのは、財政投融資関係資金が大きな役割りを果たしてきたのは事実でございますし、これからも、今度はそれに対する被害、あるいは発想の転換というようなことからこの財政投融資関係の金がまた大きな役割りをしなくちゃならぬと思いますので、洗い直すという考えを基本に置いて十分検討していきたいというふうに思います。
  77. 大原亨

    大原委員 ちょっともう一つ国会審議の議決の対象とするということ、これはしかたについてはいろいろありますが、大蔵省の事務当局は財政投融資についてはきわめて消極的である。財政制度審議会等に対する諮問のしかたも、反対の論拠を引き出すようなことばかり言うておるらしい。そういう話があるのですが、私は、この問題を洗い直すという意味国会がぴちっとチェックできるようにすべきであると思うが、その点につきまして最後に伺って終わります。
  78. 田中六助

    田中(六)政府委員 その点につきましても十分配慮していきたいというふうに考えます。
  79. 齋藤邦吉

    齋藤委員長 阿部助哉君。
  80. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 このたび開銀法改正を提案されておるわけですが、この法案の改正は、一昨日わが党の委員質問お答えになっておるわけですけれども、今度の改正は戦術的な改正でなしに戦略的な改正であるということをたしかおっしゃったように私記憶しておるんであります。私もまたこれはたいへん大きな改正であって、戦略的な改正だ、こう思うのでありますが、これをもう一度確認をしたいと思うのですけれども、いかがです。簡単でいいです。
  81. 近藤道生

    ○近藤政府委員 御趣旨のとおりでございます。
  82. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 戦略的な改正だ、こう言うならば、これほど大きな問題を金融制度調査会等の議を経ないでお出しになったというのは、これはどういうことなんですか。一体どこで論議をし、どのような審議をして出されたのか、そこがわからぬのです。
  83. 近藤道生

    ○近藤政府委員 金融制度調査会は、会長の独自の御判断によりまして大蔵大臣の諮問に沿う範囲で議題をきめられるわけでございますが、昨年の春に、国際化の進展に伴う金融面の諸問題ということを審議事項とすることを決定いたしまして、国際化の進展に関連する問題を主として議論をいたしてまいったわけでございます。しかしながらこの開銀法改正は、ただいまも御指摘のように、きわめて戦略的な重要な改正でございますので、改正の基本的考え方につきましては金融制度調査会専門委員会におきまして討論をいたしまして、その結果御賛同を得ているわけでございます。
  84. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 私は、大体調査会や審議会というのはあんまり好きしゃないんでして、これにどうのこうの言うわけじゃない。ただ私は、これだけ大きな改正をしよう、いま大原委員からも御指摘がありましたように、ある意味日本高度成長の基盤づくりの非常に大きな貢献をなすっただろうと思うのです。それがまた大きな転換をされるというならば、それなりの検討資料もあっただろうし、当然これからのいろいろな見通し等も立てられたと思う。ところが私が要求したって何一つ資料は出てこないじゃないですか。こんなことで国会が十分な審議をするなんということはできないじゃないか。一体国会をどうお考えになっておるのか。私はまず、その基本的な問題をお伺いしてから質問いたしたいのであります。一体何の資料を出されたんですか。そしてまたこれだけ大きな改正をする、たとえば財政投融資の流れだってこれは変わるだろうというような金の流れの問題もある、これからの日本の経済の動向もある。そういう問題を全然考えなしに戦略的な転回をされるなんということは私は考えられない。そうすれば、国民の負託にこたえて国会でこの問題についてもう少し十分に質問をするとするならば、役所としてはやはりそれなりの資料提出すべきじゃないか。これは私は当然のことだと思う。それがなされないのは一体どういうことなんです。私は、審議会、調査会といったのは、たとえばそういうところにおかけになれば、委員の方々に当然のこととしていろいろな資料提出されるわけです。そうすれば、その資料をわれわれにも見せよ、こうなるわけだけれども、今度の場合にはそういうものは一切ございません。一切ございませんで、戦略的な展開をされるなんということは、私は官僚の独善だ、こうきめつけても言い過ぎじゃなかろうと思うのですが、いかがですか。
  85. 近藤道生

    ○近藤政府委員 今回の改正の一番大きなねらいは、実は一昨年に、当委員会におきまして、いろいろ御審議をいただきました際の附帯決議の御趣旨に沿って始めましたことが大部分でございます。したがいまして、それらにつきまして、たまたま金融制度調査会のほうが、先ほど申し上げましたように、金融情勢の推移にかんがみまして、特に国際化という点に焦点を当てて議論を展開してまいりましたというようなことで、間に合わなかったという点から、総会にはからずに、専門委員会によって御議論を願ったということでございます。しかしながら、もし資料が不十分でございますとすれば、これはまことに申しわけない次第で、御要求に応じまして、資料は幾らでも提出をいたすつもりでおります。
  86. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 いや局長、資料幾らでも出します、こうおっしゃるけれども、私は質問の準備をする段階でくどく、しつこく資料の提供を求めておるわけです。しかし、実際、全然——会議員は何でも知っておるのがあたりまえかも知らぬけれども、そうはなかなかいかないわけです。一体どういう資料があるかということ自体が、項目自体がわからぬのだ。ほんとう言うと、これは皆さん同じだと思うのですよ。だから、どういうふうな資料でどう検討したかくらいのことは、当然これは出すべきだと私は思うのです。ところが、局長はいまそうおっしゃるけれども、皆さんの部下はそうは言っていないのですよ。専門委員会で、いろいろ話し合いでやりとりはしたけれども、メモはつけませんということで、これはやったのだ、この前の外務大臣の答弁みたいなものですね、外務省の。メモはとらないということで、フリーな、自由な討論をしていただいたので記録は何もなかったのです、こうおっしゃる。しかし、これだけ大きな開発銀行の大転換をしようとするときに、記録がないなんということは、私はこれはどうしても信じられない。一体どんなふうな検討資料検討されたのか、資料の名前だけでもいいから言ってみてください。
  87. 近藤道生

    ○近藤政府委員 先ほども申し上げましたように、実は今回の改正は金融制度調査会がイニシアチブをとったと申しますよりも、先回の本委員会の附帯決議に基づいて準備をいたしておりました関係で、金融制度調査会の専門委員会におきまする議論も、いわば懇談的な議論であったわけでございますが、ただ、その内容につきましては、後ほど資料を御質問に応じまして十分差し上げたいと思います。たまたま担当の課長が長期の病欠であった関係等で、先ほど来御指摘のような御不便をおかけ申し上げた点は、深くおわび申し上げますが、その点につきましては、十分資料提出さしていただきたいというふうに考えております。
  88. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 局長、附帯決議、附帯決議とさっきからおっしゃるのですが、これはそんなに大転換をしろみたいなことになっていないじゃないですか。私は、皆さんいろいろおっしゃるけれども、附帯決議ではなしに、これは経団連の調査会ですか、日本経済調査協議会という、いわゆる岩佐委員会、こう言われるわけですが、富士銀行の会長の岩佐さんが委員長をつとめておりますね。この「政策金融今後の課題」というのを見ますと、これは非常にラジカルな面はございますけれども方向としてはまさにこのたびの開銀の改定は、この路線に沿っている、そっくりだ、こう申し上げても言い過ぎではないと私は思うのですが、皆さんはどうお考えになりますか。
  89. 近藤道生

    ○近藤政府委員 日経調の改正案が、特に先ほど申し上げました専門委員会におきまして議論になりましたことは、実は一度もなかったと記憶しております。
  90. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 局長は附帯決議に基づいてやったと言うけれども、私はいま附帯決議を読んでみましたけれども、この中でそんなに明確な方針はないのです。しかし、この「政策金融今後の課題」という中には、まさに皆さんが今後改定する非常に基本的な方向、まさにそっくりだといって言い過ぎでない。そうすると、大体この意向で改定されたのではないかと私は思うのですが、局長がそれを否定されるなら、されるでけっこうですが、附帯決議でそんなことまで、こんな大きな抜本的な改正まで要請はしていないと思うのです。特に私はいままで高度成長の基盤をある程度つくるのに大きな貢献をしてまいりました開発銀行、同じようなパターンで新しい七〇年代に向けてさらにまた産業優先の姿勢をとるなんということをわれわれは期待をしておったわけではないのであります。そういう点で附帯決議とか云々とおっしゃるけれども、附帯決議とはだいぶ違うものが出てきておる、私はそう解釈する。そういう点で局長の意見と私の意見はだいぶ食い違うのです。  しかしそれにしてもこれだけの戦略的な展開をする、変更をするのに、何にも手元に資料もなしに討論をしたというのは、私は何としても解せないのですが、大蔵省はみんなそんなふうでやるのですか。いままでの例を見れば、改正にはそれなりの膨大な資料をもって、そして検討しておられる、今度の場合には専門委員に集まってもらって、そこでメモをとらないで、口頭でやりとりして、そこでこの方針がきまったなんというのは、これは常識ではあり得ないのではないのですか。
  91. 近藤道生

    ○近藤政府委員 くどいようでございますが、附帯決議の三項目は、第一項目生活優先融資転換せよということを勧告しておるわけでございます。それから第二項目におきまして、絶えず時代の緊急な要請に即応する分野に融資重点を指向しろということを申しておられます。第三点は、限度等に関連いたしまして、現行制度について基本的に検討せよという三項目が衆議院の大蔵委員会におきまして付せられたわけでございますが、それらにつきまして、実は先ほども申し上げましたような事情で、もっと十分時間的余裕をおいて御提出申し上げるほうが、あるいは資料の整備等においては便利であったかと思いますが、何ぶんにも時勢の転換と申しますか、変化がはなはだしく、したがいまして、またこの附帯決議の御趣旨にできるだけすみやかに沿うことが当然の要請であるという判断のもとに、今回御審議をお願い申し上げている次第でございます。
  92. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 生活重点に変わったとおっしゃるのだけれども、この点あとでお伺いをすることにして、まず第一に、第一条では「長期資金の供給を行なうこと等」という「等」が入っておりますね、それから「一般金融機関が行う金融等」という、この「等」というのは、これまたたいへん幅の広いことばでございまして、この「等」という中には大体どんなことを予定しておられるのですか。
  93. 近藤道生

    ○近藤政府委員 出資を考えておるわけでございます。
  94. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 岩佐委員会のこれを見ますと、最近は、三点をあげまして、一般金融機関政府金融機関との競合の問題を指摘しておるのですね。「政策金融対象となっていた民間企業の体質が、政策金融の効果が上って強化された」というのが一点、次には「民間金融機関自体の力がついてきてある程度長期低利の金融や若干危険性のある金融に手を拡げうる」、三番目には「政府金融機関自体の業務内容が拡張され易い」というような二点をあげまして、一般金融機関との競合の問題を指摘しておるわけですが、私もそう思うのです。特に今度これを二十倍という形で、四十七年度すぐ二十倍になるわけじゃございませんけれども、二十倍の資金量を持つということになってまいりますればなおさらでありますし、今日でもすでにそういう競合の問題があろうと思うのですが、開銀の総裁はいかがですか。
  95. 石原周夫

    ○石原説明員 御承知のように、開銀法におきまして民間金融機関の奨励及び補完ということを申しておるわけでございますから、当然民間金融機関にお譲りできるものはお譲りいたすということで従来からやってきておるわけであります。  たとえて申しますと、電力につきましてもそうでございますし、海運についてもそうでございますが、従来やっておりました資金の供給を民間機関に毎年毎年いろいろな項目においてお譲りをして、今後もそういう方向で当然政府側でもおきめいただくことになるのではなかろうかと考えております。
  96. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 方向はおっしゃるとおりだし、大筋としては私はそれは認めます。だけれども、実際に競合しておるという指摘をしておるわけですよ。また、これから資金量がそれだけ大きくなれば競合の可能性というものは一そう大きくなるわけです。そういう点で競合しておるではないか、こう言っておるのでして、大筋においては競合しないよう皆さん努力しておられるということは認めます。その点はどうですか。
  97. 石原周夫

    ○石原説明員 二十倍というのは、先ほど銀行局長もお答えをせられましたように、いままでの一倍一倍という限度をやめたらどうだという御趣旨の前回のお話でもございまするし、それではどこら辺が限度かというと、これはやはり長期信用銀行関係でありますとか、あるいは政府の農林中金とか商工中金とかいうような関係機関の限度が一つの手がかりになるだろう。先ほど銀行局長がお答えを申されましたように、現在の自己資本で二十倍といいますと七兆六千億という額になるわけでございますが、これは何も一ぺんに七兆六千億に持っていこうということを申しておるわけではございませんので、かりに年率で一五%というような伸び率で見ましても、六十年代の少し半ばというところまでかかるような計算でございます。これは今後どういうふうに伸びるかによりまして前へ来たり先へ行ったりすると思いますが、これは今日、見通しは立てがたいと思いまするけれども、これは毎年毎年そのときの需要に応じて考えてまいるわけでございますから、申すまでもなく、一ぺんに大きな額に相なる、そのために民間金融と著しく摩擦を生ずるというようなことを、立案せられた政府もお考えではないと思いますし、私どももそういうことには決してならないだろうというふうに考えております。  また、いまのいわゆる岩佐報告書でありましたか、何かのお話でございますが、末端におきましては、私どももよく支店長などに申しまして、今日、ことに金融緩慢に相なりますと、そういう問題が生じがちでございまするから、そういうような問題のありそうなときには出先の金融機関と十分に相談をしてやる、本店でやることはもちろんでございますけれども、そういうような摩擦が生じないように、ことに最近、金融緩慢になりましてから支店長会議などがありますたびに、その点をよく注意して間違いのないようにいたしておるわけであります。
  98. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 私の質問と少し焦点が合わないのでありますけれども、私は、大筋としては競合しないよう指示し努力しておることはわかるけれども、現時点でも競合しておるではないか、しておる部面があるのじゃないか、こういう指摘でして、その点を簡単に——二十倍になったあとのことは、私もちょっと言ったけれども、それはつけ足しなんでして、競合する可能性を持っているということだけで、問題は、現在でも競合しておるじゃないかという質問なんです。
  99. 石原周夫

    ○石原説明員 現在でも競合しておると申しまするが、いろいろ末端で各市中金融機関と相談しながらやっておるという状況でございまするから、全然野方図ということはございませんが、資金ワクがあるからそれでやるんだということでは、ある意味の御指摘のようなことが起こりかねません。したがいまして、私が申し上げましたのは、そういうことがないように注意いたしておることを申し上げたわけでございます。  なお、御参考に、私どものほうの融資額が産業設備資金の中でどれくらいのウェートを占めているかという点でございますが、これは大体三十年代におきましては七%、六%ぐらい、それがだんだって減ってまいりまして、四十五年におきましては三%を切るという状態に相なっておりまするから、申すまでもなく民間資金力というのは非常に増大をしてきておるわけでありますから、これは設備資金だけですが、設備資金の所要額の中で占めます私ども融資の割合は年々低減をしていく状況に相なっておるわけでございます。
  100. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 どうも私の質問とかみ合わないのですけれども、まあ競合していると言うとこれはたいへんなことになりますからね。二十二条違反ということになるからぼかしておられるのだと思いますが、その点は先へ質問を進めますけれども、皆さんから四十七年度運用計画というのをいただきましたが、この計画はどんなふうにつくられるのですか。皆さんのところで、もちろん各省政府の意見も参考にしながらおつくりになるのですか。それとも政府の方針にそのまま、皆さんはただ資金配分をされるのですか。問題は、私の聞いている焦点は、開発銀行のこの計画作成における自主性というものはどの程度なのかという点をお伺いしたいと思うのです。
  101. 近藤道生

    ○近藤政府委員 財投策定の際に大ワクが固められるわけでございますが、その際に、同時に各省間の話し合いで運用基本方針、閣議決定の骨組みになることが決定されるわけでございます。そうして閣議決定がなされまして、それに沿って開銀総裁が運営を行なわれるということに相なります。
  102. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 閣議決定運用方針に基づいて開発銀行資金配分をやる、こういうふうにお伺いしたのですが、それでいいですか。
  103. 近藤道生

    ○近藤政府委員 そのとおりでございます。
  104. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 そうすると、閣議決定運用方針が出なければこの運用計画はできないということになるのですね。
  105. 近藤道生

    ○近藤政府委員 閣議決定の基本方針が実質的にきめられます時期は、実際の閣議決定より少し前になりますので、その時期におきまして大体の計画は開発銀行としてもできるわけでございます。
  106. 石原周夫

    ○石原説明員 銀行局長のお答えになったことで尽きているのでございますが、おっしゃいますように閣議決定年度開始と同時にはきめられませんで、少し時間があるわけでございます。したがいまして、私どものほうは、先ほども銀行局長のお答えになりましたように、大体政府予算をおきめになるときに各省といろいろ折衝しまして大体の見当をつけるものでございますから、運用基本方針の決定の前におきましては暫定の運用計画というものをつくりまして、それで年度早々から仕事ができるようにはいたしておるわけであります。
  107. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 皆さんこの業務方法書の第五条では、全部読みませんけれども、「政府産業、交通及び金融に関する綜合的な政策並びにこれに基く基本計画に順応するよう遺憾なきを期する。」こう第五条にいっておるわけですね。それで私は、初めはこれはたとえば新全総であるとか経済社会発展計画であるとか、そういう長期的な政府の方針に基づいて皆さんがこれをきめるのじゃないか、こう思ったのだけれども、そうではなしに、これは一年一年でありますから閣議決定運用方針、これに基づかないで皆さんがきめるというのは順応するわけにいかないじゃないですか。しかもいまこの時点で、企画庁帰ってしまいましたけれども、企画庁のほうで聞きますと、経済社会発展計画はもう手直しする段階に入って作業を進めておる段階です。新全総もまたこれは手直しをせざるを得ないところに入っておるわけであります。そうすると長期計画自体もいま手直しの段階に入っておる。そして政府の基本方針、閣議決定のこの運用方針がまだ出てこない。どうやって皆さんは政府の方針に、基本計画に順応できるのです。第五条の皆さんの業務方法書とやり方は順序が違っておるじゃないですか、逆転しておるじゃないですか。これはどういうのです。
  108. 石原周夫

    ○石原説明員 阿部委員がお話しになりましたように、経済社会発展計画でありますとか、新全国総合開発計画というのは、これはおっしゃいますように長期の計画でございますので、大体長期の方向というものはそれによって明らかになって、われわれのほうもそういう長期の計画を当然頭に置きまして計画を策定することは申すまでもございません。ただそれでは五年——たしか新全総はもう少し先までいっていたと思いますが、そういうふうな長い計画の各年度年度をどうするかということは、先ほど来お話しのような、毎年毎年運用基本方針をおきめいただいて、それに基づいてやる。若干時間がおくれるような場合におきましては、大体それまでに大蔵省、あるいは関係省の間でお考えになっていることを承知いたしておるわけでありますから、暫定的な運用計画をつくりまして、その間のギャップを渡っておるというのが私どもの実情です。
  109. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 これは、運用基本方針というのは閣議決定をするのでしょう。この閣議決定の基本方針に基づいて、皆さんはこの第五条にいうように、それに順応するように遺憾なきを期してこの運用計画というものができるのでしょう。ところが、現在運用計画のほうが先にできておるわけですよ。閣議決定はまだなされていないわけですよ。当然ここで審議をする場合、この運用計画というものは、閣議決定が先に提出されて、そうしてそれに基づいて順応しておるかどうかというのも、これは国民のために審議するのが当然だと思うのですが、皆さんはもう先取りをして、これは運用計画はつくってしまった。閣議決定というのは、ただほんとうにあとで言う形式的なことなんですか。私はそうであってはならないと思うのです。政府の基本方針ができて、それに基づいて皆さんはやるという、業務方法書でちゃんと明文があるわけですよ。そうすると、第五条違反じゃないですか。この運用計画というのはもう一ぺん練り直さなければいかぬかもわからないということになるんじゃないですか。順序が逆転しておりはせぬですか。
  110. 石原周夫

    ○石原説明員 資料としてお配りいたしてございますのは、四十七年度当初計画と書いてございまして、これは予算のときに大体こんなことであろうかということで、大蔵省並びに各省と御相談をいたしましてきめております大筋でございます。それに対しまして、それはおのずから大蔵省あるいは関係各省も加わってお考えをきめていただいているわけでございますから、これを閣議決定という形できめますときにも、当然そういうものを前提にして閣議決定がなされると思います。しかし、当然閣議決定という新しい手順が出てくるわけでありますから、四十七年度予算編成のときと、その基本方針を閣議決定する時点とでは、何らかお考えがお変わりになることは当然あり得るわけでございます。いままでそういうことが起こったということで申し上げているわけではございません。ただ、一つの仮定の議論を申し上げているわけでございますが、そういう場合におきましては、運用基本方針のほうがこの予算のときに大体お考えをいただいた大筋のものと食い違うということはあり得るかと思います。その場合には、ここには当初計画ということが書いてございますが、これを改定せられるということになるかと思います。繰り返して申し上げますが、従来もそういうことで改定をいたしたというわけではございません。しかし、阿部委員お話しのような筋道から申しますと、そういうような筋道に相なるかと考えます。
  111. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 私は、どうも筋道だとかなんとかいうけれども、やはり皆さんが国民の金を使っていく、これにはいろいろ問題がある。一般大衆、勤労者の側からいえば、開発銀行にはいろいろ文句もある。これだけまた大きな金をお使いになる。そうすれば、私は手順を誤ってはいかぬと思うのですよ。大筋はこうだなんということでは済まされないと思うのです。なぜ閣議決定が先に行なわれないのか。そうして皆さんからもらったのは、「昭和四十七年度運用計画」と、こうなっております。こうなれば、やはり毎年の例もそのようです。昨年の基本方針も、四月の二十三日に出ておる。おそらく毎年こっちに逆転しておるのだと思うけれども、これではやはり間違いじゃないですか。やはり基本方針というものをちゃんと閣議決定をしていただいて、それに従って皆さんはこれをおつくりになるというのが、私はやはり国会に出してくる手順だと思うのです。やはり手順はこれは逆転しておるということだけははっきり認めてもらわぬと、私はこの閣議決定がない限り審議できませんよ。
  112. 近藤道生

    ○近藤政府委員 確かに、暫定計画のほうが先に出るということについては、御指摘のように問題があろうかと存じますが、実際に事務を運びますための一応の目安といたしまして、暫定計画をつくる、そうしてあとで閣議決定が行なわれました場合に、従来は閣議決定によってそれを改定するような事態はなかったわけでございますが、かりにもし両者が矛盾いたします場合には、当然閣議決定の方針が優先するということで考えられるべきものと考えております。
  113. 齋藤邦吉

    齋藤委員長 本会議散会後直ちに再開することといたし、この際、暫時休憩いたします。    午後零時二十九分休憩      ————◇—————    午後一時五十三分開議
  114. 齋藤邦吉

    齋藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。阿部助哉君。
  115. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 総裁にお伺いをいたしますけれども開発銀行ではこういう案をつくられる、計画を立てられる自主性というのはどの程度なのです。全然なくて、各省からの要求そのまままとめて出すとすれば、私それなりの質問をしますし、それともいろいろな基本方針に基づいて、そうして各省の意見等、いろいろなものを勘案しつつ、自分である程度の自主性があるとすれば、私はそういう質問をしますし、どうもその辺が政府の施策との関連が強いだけに、私もよくわからぬわけです。そこを少しはっきりしてくれませんか。
  116. 石原周夫

    ○石原説明員 自主性というお尋ねでございますが、たいへん解釈の問題、むずかしいことでありますが、三つほどの点について申し上げたいと思います。  第一は、予算をつくりますときに、開発銀行はどの程度、議員のおことばで自主性と申しますか、発言なり処置をいたすかということでございますが、予算をきめますのは、大蔵省各省との間の話しでございます。しかし、これには当然いわゆる一般会計ばかりでなく、特別会計ばかりでなく、財政投融資も入るわけでございます。これにつきましては、各省が要まする段階、折衝する段階大蔵省査定する段階、そのおのおのの段階におきまして、事実上相談を受けて、われわれの意見も十分に申して、各省側にもお考えを願う、大蔵省側にもお考えを願う。ただ、これは私どもが独断的にきめるわけにまいりかねる問題でありますから、自主性というお話でありますと、境目が少しむずかしいことに相なりますが、これは予算を要求いたします段階から査定をいたします段階まで、私どもは関与させていただいておる、こういうことであろうと思います。  第二の点は、予算ワクをきめましたあとで、これをどういうふうに分けるかという問題でございます。たとえば、都市再開発というような大きなワクがありまして、その中にはある程度一つ項目から一つ項目へ事実上その後の現実の要求というもの、需要というものを考えまして、金の調整をいたします。それが第二の点であろう。  第三の点は、これはもう私どもがほとんど専属的にやることでありますが、各個の企業に対して幾ら融資をするかということであります。これは開発銀行で金融的判断をいたしました上で、どれだけ融資をするか、これは私ども決定する、こういう三段階にお考えいただいたらいい、こう思います。
  117. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 そうしますと、「昭和四十七年度運用計画」という中のエネルギー関係で大体どれだけ、これは皆さんのところでおきめになるのではなしに、政府のほうできめられるわけですか、たとえば原子力関係が四十七年度三百十七億、ここからさらに東京電力に貸すとか関西電力に貸すというのは皆さんでおきめになるけれども、この三百十七億ということのワクの設定までは政府当局でおきめになる、こういうお話ですか。
  118. 石原周夫

    ○石原説明員 先ほど申し上げましたように、政府各省が要求し、大蔵省査定をし、結局意見がまとまるという段階の上の段階で御相談をし、また意見を申し上げているわけでありますが、政府側でおきめになりますのは、いまここでごらんのような数字のワクにつきましておきめをいただくわけであります。
  119. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 もう一ぺん、どうもくどいようですが、お伺いします。たとえば原子力関係は幾らであるときめるのは政府のほうできめるので、皆さんのほうできめるのではない、こういうことですね。
  120. 石原周夫

    ○石原説明員 政府がおきめになるということではおっしゃるとおりであります。ただ、その過程でわれわれが意見を申し、向こう側で御相談をいただく、こういうことだと思います。
  121. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 それで、休憩前に話が出ました政府の閣議決定というものは、いつごろなさるのですか。
  122. 近藤道生

    ○近藤政府委員 四月の末くらいになるのが大体通常でございます。
  123. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 そうすると、先ほどからどうもわからぬのですけれども、基本方針に基づいて、業務方法書の第五条では、これに順応する、こういうことになっておるのが、どうもこれは私はわからぬ。ほんとうは運用基本方針というものは、財投の計画と同時にでもむしろ出さるべきではないかという感じがする。開銀のこういう問題、運用計画がつくられる以前には少なくともこれはできておって、政策金融ですから、それに基づいて皆さんがおやりになるのでしょう。ところが、そっちの皆さんのほうが先行しておるというのは、これはどうしても理屈に合わないし、業務方法書というものは、皆さんがやる上には開発銀行法と同時に、これはある意味でいえば一番基本的な定めだと思うのですけれども、そう定めておりながらそれに従わないというのは……。何かそこをもう少しはっきりしてくださいよ。そうしたら次に進みますから……。
  124. 石原周夫

    ○石原説明員 繰り返して申し上げますが、従う、従わないということではございませんで、閣議決定でございますから当然従うわけでございます。ただ、先ほど来申し上げておりますように、大体予算のときに先ほどごらんをいただいたようなワクをきめるわけであります。しかしそれは閣議決定というものではございません。閣議決定というものではございませんので、各省間が了解をし、これでいこうじゃないか、それらがまとまって財政投融資計画になるわけでございますが、財政投融資計画のまた内訳になるわけでありますから、いまごらんを願っております運用計画そのものはもちろん閣議決定ではございません。ただ財政投融資計画をきめる基本になる数字でございます。しかしながら、そういう数字を文章に直しまして、これを政策として打ち出したものが基本方針でございますから、したがって、両者の間には実は数字を文章に直したという感じが率直にいえばあるわけであります。  したがいまして、大体の場合におきましては、その数字の点で各省で御合意を願ったものが、基本方針というものを四月の半ば過ぎにきめるといたしますれば、それまでの間に何らか事情の変化が起こり、政府側のお考えが変わってくれば、これは閣議決定をしたものではございませんし、また閣議決定でも直すことは差しつかえないわけでありますが、閣議決定段階で変えるということは、先ほど来申し上げておるようにあり得る。あり得ないということは申し上げられないと思います。しかしながら、その合意の内容が数字的に一応きまっておるわけでありますから、大体それを前提にして各省で御相談になって、これは企画庁が中心になられるわけでありますが、いま申し上げたような基本方針というものを閣議に請議せられて閣議でおきめになる。したがいまして、その間に若干の時日がかかることはございますが、その点は暫定的な、私どもとしては短い期間の計画をきめましてそれを実行いたす、こういう実情でございます。
  125. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 私はそこに非常に大きな疑問を持つわけです。総裁も大蔵省の役人をやられたわけでありますけれども、いまのお話を聞いていますと、行政が政治に優先しておるような感じを私は受けるのだな。数字がこうやってきまってくるのだから、閣議決定はどうせ数字を文章化しただけなんだからあとでやればいいのだ、こういうことになってくると——いまの佐藤内閣はそういう姿なのかもわからぬけれども、私は行政の上に政治がなければいかぬと思う。いまのお話を聞いておると、皆さんが官僚段階でこれはきめていく、数字をきめていく、閣議はそれを文章化すればいいのだ、こういうことに私は聞こえるのですが、ここは実際そういう運営がなされておるかもわからぬけれども、政治が行政に引き回されてあとからついていくという感じを私は受けた。私はこれは非常に重大なことだと思うのですよ。私たちはそうではないと思う。やはり基本方針、閣議という政治の場での決定があって、それを踏まえて行政が行なう。これは事態の変化が起きれば閣議決定だって変更することはあるでしょう。ましてや皆さんのこの数字を絶対これは変更しないものだなんということは私は初めから考えていない。そんなことは当然のことだ。だけれども、いまのお話を聞いておると、まさに行政が政治に優先しておるというような感じを私は受けるのですが、もう一ぺん言ってみてください。
  126. 石原周夫

    ○石原説明員 申すまでもないことでございますが、これは財政投融資計画の全体についてそうでございますけれども、その中の重要な問題は当然大臣同士でもお話になることもございます。それは御承知のように予算の最終段階で大臣折衝ということもあるわけでございますし、またもう一つ上で、もちろん閣議決定もあるわけでありますから、それはそういう段階議論をせられることがあり得るわけでありますし、少なくとも大臣折衝の段階では相当多くの財政投融資項目議論せられておるわけであります。したがって、いまお話しのような事務官僚同士できまってしまって、それが上で文章になるというような趣旨で私は申し上げているわけではございせまんし、実情もそうなっておりません。
  127. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 私は、大臣が予算折衝で話し合いをする問題と閣議決定というものとは明らかに違うと思うのですよ。閣議決定というものは、これは正式な決定ですよ。大臣が予算の折衝の間にいろいろなことを話し合ったりする、そのことはそれほど私は権威がある問題とは思いません。正式文書を取りかわしておるならまた別でありますけれども、閣議決定というものは私はそれとは違うと思うのです。もちろんそう大きく運用の基本方針が皆さんのお考えになっておることと狂ってくるとは私も思いません。思いませんけれども、いま日本の政治が憲政の常道をはずれていこうとするときに、その基本的な考え方に私は疑問を持つわけです。いまのお話は、役所同士折衝したり大臣同士折衝したのだから、どうせこれはこの数字を文章化するだけなんだ、こういう形で安直にお考えになっておるところに、私は日本の政治の混迷があると思うのですよ。そうではない。そうであってはいかぬのだ。やはり正式な閣議決定というものがあって、それを踏まえて皆さんがそれに順応するという、まさに第五条の規定に従っていくということが私はたてまえだ、こう言っておるのです。それで私は次に移りますけれども、その基本的な考えに私はどうも官僚の独善というものを強く感ずるわけでして、もう一ぺんそこを答弁してください。
  128. 近藤道生

    ○近藤政府委員 ただいまの点はお示しのとおりでございます。閣議決定というものが当然優先をすべきことであります。その前の暫定的な計画案というものは、閣議決定によって当然訂正されることもあり得るという前提で、事務的、行政的な打ち合わせよりも閣議決定のほうがはるかに重いというつもりで私ども運営に当たっておるわけでございます。
  129. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 これは今回は私はあまり追及しませんけれども、そうすると、本来はやはり基本運営方針ができて、基本方針が出て、それから皆さんの運用計画ができ上がるというのがほんとうのたてまえだということだけは間違いありませんね。
  130. 近藤道生

    ○近藤政府委員 そのとおりでございます。
  131. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 そこで私はやはり一つ気になりますのは、企画庁おられましょうか。——企画庁のほうとしては、経済社会発展計画、これの何がしかの見直し、また新全総の再検討がもう必要な段階だ、こう思うのでありますが、それについてはいまどんなふうに考えておられるのか、ちょっとそれだけお伺いします。
  132. 喜多村治雄

    ○喜多村説明員 お話しのように、現在新しい経済社会に関します長期計画策定すべく準備をしております。今年中にもその策定を終わりたい、こういう状況でございます。
  133. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 いま企画庁のほうからお話しのように、まさに七〇年代、これからの大きく変わろうとする政治課題、また岩佐委員会等でも指摘してありますように、日本の経済の大きな課題がいま変わろうとしております。私たちは立場が違うけれども、この岩佐委員会では、その大きく変わる七〇年代にマッチするような形で開発銀行は再編成をすべきだ、こう指摘しておるわけであります。皆さんはまさにそれにこたえていこうとするのだろうと思うのであります。私も、開発銀行のこれからのあり方に、反対、賛成は別にいたしましても、いままでのパターンでこれが推移すべきではない、その点だけは一致するわけであります。そうなればなおさら、私は非常にくどくこれを指摘しましたけれども、それだけに、政府の基本計画、また新全総のあり方、これからの日本経済のあり方というものが踏まえられつつ開発銀行運用計画ができていかなければならぬと思うのであります。  そういう点で、皆さんのほうとしては今度資金計画を、これは各委員から指摘をされますけれども、一挙に二十倍にするということは、私はどうしても納得ができないわけであります。いままで四倍から五倍、五倍から六倍という形でやってまいりましたが、これは二十倍にしたら、先ほどの大原委員質問にありましたように、何か七兆六千億というような膨大な資金量を予定しておる。私は先ほども大原委員質問を聞いておったのでありますが、この二十倍という理由がどうしても理解できないのです。なぜ二十倍にしなければいけないのか、そこをもう少しわかりやすく説明をしていただきたいのです。
  134. 近藤道生

    ○近藤政府委員 二十倍という数字は、絶対に二十倍でなければいけないという根拠はお説のとおり特にございません。ただ、たとえばわが国の金融機関の例をとりましても、中小公庫、北東公庫長期信用銀行、商工中金、農林中金等につきまして、債券発行の限度を二十倍にいたしております。なお、先ほども申し上げましたように、前回の附帯決議の趣旨の御説明でも、六倍から七倍というようなことは御都合主義であり、便宜主義ではないか、この際基本的に考えろという御指摘もございましたので、それを受けまして、ただいまの各種金融機関の事例にならいまして、二十倍という限度を御提案申し上げているわけでございます。
  135. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 近藤さん、この附帯決議は私もうっかりしておったのですが、これを見ましても二十倍にせいなんということは書いてないのですよ。皆さんがこの附帯決議のとおりにやっていくというなら、私は一項一項聞いていきますよ。けれども、附帯決議は、各分野に重点を指向するとかいろいろありますけれども、都合のいいところだけおとりになってやられたんでは困るのでして、附帯決議を尊重するというのなら、初めからしまいまで全部尊重するなら話はわかりますよ。これはどこに二十倍にせいと書いてあるのですか。ちょっと見てくれませんか。私は不敏にしてこの文章から、二十倍にせい、そんなに大きくせいなんということなんか、とても読みきれないのですがね。
  136. 近藤道生

    ○近藤政府委員 附帯決議の文言はそこのお手元にございますように、「経済社会環境の急速な進展に対応し、新たな融資分野において開銀の果すべき役割の重要性にかんがみ、現行制度について基本的に検討すること。」ということで、その趣旨説明といたしまして、五倍を六倍にするという改正案であるが、きわめて安易な御都合主義、便宜主義のそしりを免れない、そのような観点から根本的に検討すべきではないかという趣旨説明をいただいたわけでございます。  そこで、この倍率を根本的に改正するということになりますと、やはり内外の各種金融機関との横の関係、バランス等を研究いたしまして、そこで、基本的な問題といたしまして、もちろん二十倍というものに絶対の基準があるわけではございませんけれども、一応横の並びを考えまして、二十倍ということで御提案を申し上げているわけでございます。
  137. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 五倍が六倍になるのが便宜主義かどうかもわかりませんけれども、二十倍にこれをふやすなんということは、特にこの金は大体財投資金でしょう。民間の好きかってな企業とは違うわけです。零細な国民郵便貯金であるとか、そういう金を使っておる。ある意味でこれは非常に慎重でなければならないと思うのです。しかもそれが大量に大企業のほうに流れておるということを考えれば、いやが上にも慎重に、しかも十分な審議をすべき問題だと思う。それを一挙に二十倍にするなんというのは、これはどんなにしたところで理解ができない。  もう一つは、皆さんのたてまえからいえば、国会はいつでも好きなときに開発銀行を呼んだり大蔵省銀行局を呼んで審議をすればいいじゃないか、できるんじゃないか、こうおっしゃるかもわからない。しかし、実際にこの委員会は、けさの理事会で自民党の藤井理事からもお話があったように、法案がこうなんで、今晩じゅうにこれを上げてくれとか、税三法の質疑にきょうから入ってくれとか、これぐらい当委員会は忙しい委員会でございます。したがって、開発銀行の法案がかかった二年前には確かに審議をいたしましたけれども、昨年は法案がかからないから開発銀行審議は何一つ行なわれないままきたのが、これはいつでもの例であります。そうすると、来年すぐ二十倍にするわけじゃないのでありましょうが、何年後かに二十倍にすると、その数年後までは国会から白紙委任状をよこせ、こういうことになるのじゃないですか。私は、これが民間資金で、かってに会社の金をいじっておるならまだしも、国民の非常に零細な、しかも政府が管理をしておるところの金を、これだけ大量に使っていこうという開発銀行審議を、国会に白紙委任状をくれなんというわがままな態度は、これは許されないと思うのです。私は、二十倍というものは変更すべきだと思うのです。来年要るなら来年要る分——大体見当はついているじゃないですか。来年は大体何ぼですか。四十七年度は二兆七千五百五十億ですか、そういう大体のめどがついておる。それよりも多少の差も出てくることだろうから、その程度はわかりますけれども、二十倍にして数年分の白紙委任状を国会によこせというようなことは、国会を軽視するものだ、こう言わざるを得ないと思うのです。そういう点でこの数字は私は何としても承知ができないのでありますが、その点は変更するというお考えはありませんか。
  138. 近藤道生

    ○近藤政府委員 この倍率を二十倍にいたしますために国会審議が当分なくなって、その意味国会軽視につながるのではないかという御指摘でございますが、実は開発銀行につきまして私がこういうことを申し上げますのは僭越かと存じますが、まだまだ改正をお願いし、国会審議をお願いすべき事項はかなり多いように考えております。したがいまして、かりに倍率の改正がございませんでも、国会で御審議を願いますことは、おそらくはかなりひんぱんに出てくるのではないか。これはまことに個人的な見通しを申し上げて僭越のおしかりをこうむるかもしれませんが、そういうふうに考えております。  それからまた、二十倍というこの倍率についていわゆる御都合主義でもなく便宜主義でもなく、基本的に考えますという場合には、二十倍ということでないと落ちつきが横並びからいきましても悪いという点と、現実には一挙にここまでふくらますわけではもちろんございませんで、非常に慎重な態度運用ははかられてまいるというようなことを彼此勘案いたしまして、この際基本的な線といたしましては二十倍ということでお認めをいただければ幸いであるというふうに考えております。
  139. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 どうも私はそこは納得できないのですがね。局長、それでは来年もまた開銀法に何がしかどこかの改正があるとすれば、大体どんなところを予定しておられるのですか。
  140. 近藤道生

    ○近藤政府委員 従来開発銀行法につきましては一年おきとか二年おきぐらいに御審議を願ったわけでございますが、私が先ほど申し上げましたのは、おそらく同じようなインターバルでいろいろな問題が出てくるのではあるまいか。そこでどういう問題が出るのであろうかということにつきましては、先ほども申し上げましたように、これはきわめて個人的な考えに入ってしまいますのでまことに僭越でございますから、この場では差し控えさせていただきたいと思います。
  141. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 私は、電力の問題、特に原子力発電の問題等で、昨年も電力の問題の融資あり方について質問したかったのです。しかしそれは結局この委員会運営あり方というもので、これだけ忙しいと具体的には法案がかからぬと実際質問する場を持つということがなかなかできないのです。大体大蔵大臣が出てこないで、担当大臣が来ないで法案審議をしておるなんというのは、まあ大政務次官がおられるからいいだろうということであれば別だけれども、大臣が出てこないでそこの法案の審議をこんなに一生懸命やっておるという委員会大蔵委員会だけなんですよ。担当大臣すら出てこないでもこれだけ一生懸命やっておる。法案がかからないと、開発銀行質問をしたいから開発銀行総裁を呼んでくれなんという話は、実際問題としてとても通る話じゃないのですよ。委員長お笑いになっておるけれども、そうでしょう。実際それはできない。そうするとこれは国会に白紙委任状をよこせ、こう言ったのと私はちっとも変わらぬと思うのです。だから六倍が悪ければ八倍なら八倍でもこれはしかたがないだろうけれども、二十倍というのは局長も何らの根拠はないんだ、長期信用の何とかで二十倍というのがあったからそれに便乗したという話でありまして、二十倍というのも根拠がない。そうすればいさぎよく、国民のための審議をするわけでありますし、国会という重大な場を全然これをほおかぶりしながら通るんではなしに、国会尊重という点からも私は二十倍という数字はこの際いさぎよくこれを変更として、七倍とか八倍とかというふうに変更をすべきだと思うのですが、もう一ぺんいかがです。
  142. 近藤道生

    ○近藤政府委員 たいへんくどく申し上げて恐縮でございますが、前回の附帯決議の趣旨の御説明にも「きわめて安易な御都合主義、便宜主義」というおことばもございますので、五倍を六倍にするということについてそういうそしりを受けたわけでございますので、またそれを七倍とか八倍とかということにつきましても、安易な御都合主義、便宜主義ということになりかねないと感ぜられますので、この際やはりこういう種類の横並びの基本的な線、先ほど羅列いたしましたようにいずれもみな一応二十倍というところで考えておりますので、そこまでまいりますれば若干は先ほどのそしりを受けることも軽くなるのではないかというふうに考えている次第でございます。
  143. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 いや、局長もくどいかもしらぬが、私もだいぶくどいか知りませんが、趣旨説明にあったと言うのだけれども、附帯決議にはそんなこと書いてないですよ。そんなことこれは書いてないです。やはりこれよりも優先すべきものは、私が先ほどから声を大にして申し上げますように、国会、政治優先、これが皆さんの頭の中にもう少しきっちり入ってもらわないと困るのであります。何といっても日本は官僚国家であります。皆さんの前でたいへん失礼だけれども、官僚が大体みんなおつくりになる。それだけに、国会というものを重視して——やはり実務を担当しておる膨大な官僚機構というものが大体先行しているわけです。これはどこの国でも当然なんです。あり得ることです。しかしそれだけにこの政治の場というものを尊重していくという考えでなければいかぬと私は思う。これをやってしまえばもう政府まかせですよ。国会というものがやはりつんぼさじきに置かれていくのは当然なんです。  附帯決議、附帯決議と言われるけれども、皆さんが附帯決議をいままで尊重したためしなんてあまりないんですよ。この際だけ附帯決議云々を言うけれども、その附帯決議の中にはそんな二十倍に甘いなんということは書いてないんです。だから二十倍というのは国会軽視だ。国会を軽視してもいいんだということで二十倍にするというならこれはまた話が違いますけれども、そうではない、国会は尊重するのだ、こうおっしゃるならば、私はやはり二十倍はおやめになるほうがいいと思う。私はくどいけれども、何ぼでもこれは主張せざるを得ないのです。国会を尊重するという立場から私もくどくこれは主張せざるを得ないのです。
  144. 近藤道生

    ○近藤政府委員 「基本的に検討」ということが附帯決議にありまして、その趣旨説明として先ほど申し上げました五倍を六倍にするという改正案は「きわめて安易な御都合主義、便宜主義のそしりを免れない。」という御説明でございました。そこで、基本的に検討をするという場合にどの辺が妥当かということにつきまして横並びの例などを申し上げた次第でございますが、同時にこれを二十倍にすることによりまして国会を軽視しようなどというような意図のさらさらないことはもちろんのことでございます。先ほども申し上げましたように、今後おそらくは従来と同じような頻度において開発銀行法について御審議をお願いし、改正をお願いするというような問題はかなりたくさん出てくるのではないかと私ども考えている次第でございます。
  145. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 私がなぜくどくこれを申し上げるかといいますと、私はずばり言って、これは皆さんや自民党の先生方には気に食わないかもわからないけれども、私に言わせれば、まさにこの日本の政界と財界との癒着点は開発銀行だと私は思うのであります。これが一番の結節点じゃないか。これを国会審議する機会を奪われるということは、これはたいへん重大なことなんです。それだからこの岩佐さんの本でもいろいろと述べておるけれども、基本的に開銀はこういう役割りをしてこうあるべきなんだ、さらに七〇年代の展望を控えて二つの重大な課題があるのだ、それに対応するようこれを拡充強化するといいますか、再編成をしてやるべきだということをいっておる。まさに私はそれに合ってきておると思うのです。これは岩佐さんは財界の立場です。私は少なくとも勤労者、大衆の立場に立ってものを申し上げようと思っておるわけであります。そうしてくると、開銀の占める位置というものはたいへんに重大な問題なんであります。それを一挙に二十倍にするなんということは、私は何としてもこれは承知ができない。しかも四十七年度にすぐ十倍、十五倍が必要でないということだけは運用計画の中でも、また皆さんの御答弁の中でももうはっきりしておるのであります。これは幾ら皆さんは国会軽視でないんだと言おうと私は国会軽視だと思うのであります。これは押し問答で切りがつかないようでありますので先へ進めますけれども、この点は近藤さん何ぼここで私に言ったって、もう八月になれば栄転していなくなるんだから、また次の人が変わったことを言うにきまっておるんであって、まあこれは記録にとどめて来年国会が開かれたならば、開銀の問題は大蔵委員会でまた必ず論議する場を何らかの形でつくるということで私は先へ進めたいと思うのです。  運用計画の中で原子力発電の関係に四十七年度は三百十七億を予定してありますね。これは総裁にお伺いしたほうがいいのか政府にお伺いしたほうがいいのかちょっとわからぬので、それで先ほど聞いたわけですが、そうすると、きめたのは開銀ではなしに政府のほうでおきめになったということですか。どっちにお伺いしていいかわからぬのですが……。
  146. 石原周夫

    ○石原説明員 先ほど来申し上げておりますように、閣議決定になっておりますのは財政投融資計画であります。財政投融資計画開発銀行にどの程度資金運用の金をいただくかということが閣議決定になっておるわけでございます。その場合に、その積算の基礎としてこの数字があるわけでありますから、おきめになったということでありますと、先ほどのお話のように、閣議決定はこの数字についていたしておるわけではございませんから、そういう意味での決定ではございませんけれども、積算の根拠としてはこういう数字が、政府財政投融資の数字をおきめになるときにその前提となったというふうに御承知いただきたいと思います。
  147. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 そうすると、私はこれから質問をしますが、この原子力関係は総裁も意見を述べられただろうから、お答え願えるわけですね。
  148. 石原周夫

    ○石原説明員 必要に応じて、当然銀行局のほうからも御返事があると思います。
  149. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 原子力発電の問題につきましてはいろいろと問題があるわけです。特に必要の度合いということからいけば、エネルギー源の問題もありましょう、しかし、今日日本の一番大きな課題の一つは、私は公害問題だと思うのです。その公害という場合に、いままで日本をこれだけ公害列島のような形にやってきた大きな責任は、ほんとうはやはり開発銀行にも大きな責任があったろうと私は思うのです。高度成長にこれだけ「貢献したということは、即」公害発生にこれだけ大きな役割りを果たしてきた、こういわれてもしかたがないと思うのであります。その場合に、この原子力産業にこれだけ大きな金をつぎ込み、しかもその原子力産業の安全性というものについて総裁はどの程度の認識をお持ちになっておるのか、まずそれからお伺いしたいと思います。
  150. 石原周夫

    ○石原説明員 御承知のように、原子炉をつくります場合におきましては、原子力委員会の中に原子力の安全審査の専門委員会があるわけであります。ここで非常に詳細な調査をなさいまして、その上で安全の認定をせられるわけでありますから、専門家の多数そろっておられるそういうような場所において安全の認定があるわけでありますから、私どもといたしましては、それによりまして原子力発電関係融資をいたす、こういうことでございます。
  151. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 原子力委員会で安全だと言えばそれに従う、こうおっしゃるわけですね。しかし、その安全かいなかというものはさっぱりわからないじゃないですか。たとえば大宮の三菱原子力工場の問題が出ましても、三菱のほうでは、これは企業の秘密だ、こう言っている。住民は不安でたまらない。きょうの新聞を見ますと、昨日また東海村で何かバルブがゆるんで放射能の廃液が流れ出したなんということもある。しかも原子力の放射能の害というものはまだ十分にわかっていないわけであります。特に遺伝の問題についてはなかなかわからぬわけであります。非常に世代交代の早いハエであるとかカワズであるとかいうものの実験の結果からいくと、大体三代目になると目が一つしがなかったり足が片一方しかなかったりという奇形の子供が生まれるわけでありますけれども、放射能を与えた二代目の子供の段階ではまだそういう奇形の子供は生まれない。これは大体いままでの実験でそういわれておるのであります。しかし、人間の場合には世代交代が非常に時間がかかりますから、なかなかこれは実験するわけにはいかない、しかしその危険の度合いというものはわれわれの想像を絶するわけであります。そういう点で、発電所をつくるところの地域の住民の反対運動もまたそれなりに大きく盛り上がっておるわけであります。  そういうときに、安全度やなにかをただ日本政府の一方的な、科学技術庁がこう言ったからこうだなんということで皆さんがこれをやるということについては、私は幾つかの疑問を持つわけであります。いままでも日本産業を伸ばすということで皆さんは努力してきた。その結果がこれだけ日本を公害列島にした。そして今度は公害関係にこれだけ予算をよけい組みましたなんて言ってみたって、何のことはない、自分でやって自分でしりぬぐいしているんじゃないか。またこれ同じことを、この原子力発電の問題で再び大きな間違いを犯すということは許されないと思うのであります。そういう安全の問題、皆さんは検討されたことがおありなのかどうか。科学技術庁がこう言った、だからこれで安全だというふうな程度の皆さん方幹部のお考えなのかどうかというのをもう少し聞きたいのです。
  152. 石原周夫

    ○石原説明員 先ほどは安全審査に関しまする原子力委員会の原子炉安全専門委員会のことを申し上げたわけでありますが、原子炉の設置につきましての手順は、これは政府のおやりになることでありますが、いま申し上げました安全専門委員会における審査のほかに原子炉の規制に関する法律がございまして、その法律に基づきまして原子炉の設置についての総理大臣の許可の制度がございます。そのほかに公益事業法に基づきます通産大臣の認可の制度もございます。そういうような政府段階におきまする幾つかの審査の過程を経ましてその上で政府筋の認可が済むわけでありまして、それだけ非常に多くの手順を経、非常に慎重な手続を経ておきめになるものでありますから、私どもといたしましてはそれに基づきまして私ども融資をいたしておる、こういう実情でございます。
  153. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 私はそこで先ほど皆さんの自主性の問題を聞いたわけなんです、ほんとうは。皆さんが実際に貸し出す場合は皆さんの判断だ、こうおっしゃった。大きな政策に従っているにしても、そこで実際に東京電力なり関西電力に金を貸す場合は皆さんの御判断だ、こうおっしゃった。そのときに、いわゆる普通の銀行のようにただ返済が確実であるとか担保が確かであるから貸すというものではないはずなんです、皆さんの銀行は。そうすれば、これだけの問題で、大きなウエートを持つ原子力の問題について、皆さん自体で判断をされる何ものかをやはり踏まえておられるのだろう、私はそう思わざるを得ない。それは当然のことであります。  そうするならば、たとえばの話ですが、大宮の問題にしましても、三菱は、これは企業秘密だ、こういうのであります。これもいまの段階では私たちそれ以上わからない。企業秘密というのはウエスチングハウスと三菱との間の取りきめによる秘密なのか、日米原子力協定によるところからくる秘密なのか。この原子力関係で私のいままでいろいろと調べたところによると、大体日本政府日本企業もこの内容、技術的な面に対して発表するしないの自主的な能力を持っていないのです。アメリカの原子力法にこれはみんなくくられておって、日本では自主能力がないのです。それだけに——アメリカのほうは広いところでなるたけ住民のいないところでこれはおつくりになっているようでありますけれども日本の場合にはそうはいかない。私の新潟県の柏崎なんというのは、由中角栄さんの足元で、田中通産大臣がいろいろとあっせんしたというような話で、地元ではそれはもっぱらでありますけれども、土地も大体それらしいというようなことで問題になっておるわけでありますが、あれだけ人口の密集した地域のすぐわきで、ほんとうにすぐわきで、しかも一千万キロの原子力発電をしようなんということになったら、この放射能というのは一体どうなるのか。私の記憶が正しければ、冷却水だけでたしか毎日一万五千トンの第一次冷却水が要るわけであります。第一次冷却水は当然放射能を含んで、二次冷却水の海水にこれが薄められるだけの話なんです。薄められるけれども、毎日一万五千トンの大量の一次冷却水が出るということは、それだけ大きな放射能が海へ流されるということなんであります。信濃川と阿賀野川とを二つ合わしたより大きな流れになって、この温度差の違う、あたたかい水が海に流れるということになれば、気象条件も違ってくるだろうし、雪が降ればみんな放射能を含んだ雪が頭の上に落ちてくるということになってくる。そういう点での危険性というものを一体どのように皆さん認識しておられるのか。  本来ならばいままで——いま公害問題はこれだけ大きな日本の政治課題になっておる。ある意味では、ある程度その元凶というか基盤をつくられたのは皆さんなんです。それをまた原子力の場合に再び繰り返しておやりになろうとするのか。そんなにこの危険なものを急ぐ必要はないのです。そんなに急いで原子力発電をしなければ日本の民族は滅びてしまうというものでもない。急いでやることによって日本民族が奇形児になるかもわからない。そういう危険な、重大な問題を皆さんがどの程度の認識で、政府がこうおっしゃるからこうだといういわゆる当事者能力のないことならば、私はそれでそれなりの質問をいたします。当事者能力があるというならば、そのいまの私の質問お答えを願いたい。
  154. 石原周夫

    ○石原説明員 原子力発電の関係には、お話のようにいろいろの問題があるわけであります。私、先ほど安全審査の問題を申し上げましたのは、これは非常に技術的な問題でございますから、やはりそういうような方面の専門家の権威の方々がお集まりになってその上で御判断をなさったところを伺うのが一番いいのではないかというふうに考えるわけでありますが、なおそれ以外の、ただいまお話しになりました補償の関係というような問題がございますので、私ども融資をいたしますときには、そういうような安全審査その他の政府の認可の関係、これも確認することは当然でございますけれども、補償関係の問題がどうなっているか、その両方がどうなっているかということを十分検討いたしました上で融資をいたすことになっておるわけであります。
  155. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 日本の科学技術庁にしても、先ほど言ったように三菱にしても、実際言うて当事者能力がないのじゃないですか。企業秘密だと言って出さないけれども、出さないのじゃなしに出せないのだ。アメリカの原子力法、そうしてそれに基づいたところの日米原子力協定、こういうものをいろいろ調べてみると、実際言うて日本側には当事者能力がないのじゃないか。しかもそれを強引に、日本の、四十九カ所いま予定されておるようでありますけれども、それだけ広範なところに、しかも人口密集地のすぐわきに危険な原子力発電をやろうなんということは、まさにアメリカにとっても日本資本家にとっても、日本列島はネバタの原子力の実験場にさせられるようなものだ。ほんとうに日本人がいまモルモットにされようとしておる。この安全性の問題を、もう少し皆さん自体でこれは独自の検討をされまして、そうしてこの融資に当たってもらいたいのであって、いまここで三百十七億組んだからこれは申し出があれば出しますなんということには、私は大きな疑問を持つわけであります。  そういう点でもう一度、くどいようであります、けれども、私はこの原子力産業というものに対して幾つかの危惧の念を持っておるわけでありまして、ほんとうに日本民族の将来、まあ、一つの目玉しかないのと三つの目玉のあれがランデブーするみたいなものを想像しただけでもおそろしいのでして、ほんとうに真剣に考えなければいかぬ問題だと思うのです。もう一ぺんそこを私は念を押しておきたいのでありますが、いかがですか。
  156. 石原周夫

    ○石原説明員 御指摘になりましたような点につきましては、原子力委員会あるいは安全審査会、そういうようなところで十分に、最近のいろいろなデータも含めまして御検討いただいているように承知をいたしているわけであります。ただ、繰り返して申し上げますが、私ども融資をいたします場合には、そういうような安全審査の関係あるいは地元の補償関係、そういうようなものが片づいておる、こういうような前提のもとに融資をいたしておるわけでありますから、先ほども申し上げましたように、三百十七億あるから、これはもうそれまでは全部貸してしまうのだということではございませんで、各個の案件の審査のあるたびごとに、そこら辺は十分に見ました上で融資をいたすつもりであります。
  157. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 だいぶ時間をせかれておりますので、急いで質問をいたします。  第十八条第一項五号で、今度は融資ではなしに投資をすることになりましたね。この投資というのは大体どんなところを予定しておられるのか、まずそれをお伺いしたいと思います。
  158. 近藤道生

    ○近藤政府委員 開発銀行は今回出資機能を持つということの御審議をお伺いしているわけでございますが、出資の対象といたしまして考えておりますのは、大規模工業地帯を考えているわけでございます。
  159. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 大規模工業地帯のどういうところへ投資をするわけですか。
  160. 石原周夫

    ○石原説明員 これは御承知のように新全国総合開発計画というものがきまっておりまして、二、三の非常に広い地域に大規模な工業基地をつくろうということになっておるわけですが、御承知のように、むつ小川原地区におきましてはすでにその第一発が行なわれておるわけでございます。これは実は私ども地域開発関係には入っておりませんで、金融機関関係から申しますと、北東公庫のほうの関係になるわけでございます。同じような大規模な工業基地を九州あたりにつくろうという話があることは御承知のとおりであります。現地の地方団体を中心といたしまして案が進められておる状態だと承知いたしておるわけですが、まだ私どものほうには具体的な案として相談を受けておる段階ではございません。そういうような大規模な工業基地を造成いたしますについて、その取得の問題、造成の問題以下非常に大きな投資と非常に長期の時間を要する問題です。それに対します出資を予定しておるというのが現在の法律改正をお願いいたしております理由でございます。
  161. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 その投資をするということになりますと、これは投資というのは「一般金融機関が行う金融を補完し、」ということからはずれるのじゃないですか。ワクがはみ出すのじゃないですか。これはどうなんです。
  162. 近藤道生

    ○近藤政府委員 開銀の本来の目的はあくまでも融資でございまして、今回お願いしております出資はいわば例外的なものとして、特別の必要のある場合に限るというたてまえでございます。
  163. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 私はその前に、業務方法書の一条に「一般金融機関が行う金融を補完し、」——大体政府機関はたてまえは補完または奨励ということになっておると私は思うのです。その補完からはずれる、例外なら例外で、これは金の問題ですから、もう少し明確にしておかないと、これはかってにやられたんじゃ国民はたまらないのでして、そこは明確にすべきだと思うのです。業務方法書の第一条とこれは違っておるのじゃないか。法律のほうが優先するのでありましょうから、法律改正になればこうだということになるんでしょうが、いままでの政府金融機関あり方からいけば、これは大きく踏み出すということになると思うのですが、それでいいんですか。この業務方法書を一体直すのですか。
  164. 近藤道生

    ○近藤政府委員 改正によりまして、「一般金融機関が行なう金融等を補完し、」の「等」というところで出資機能を読むわけでございますが、それに即応いたしまして業務方法書も変更されることになろうかと存じます。
  165. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 だからほんとういいますと、こういう法案を出すときには、まあ案でもいいから、でき上がるまでは案でしょうから、やはりそういう一件書類を整えて、なるたけ国会審議がスムーズに行なわれるように、私はそれぐらいの準備をしてしかるべきだと思うのですがね。なるたけ書類は出さない、資料は出さないで、目をつぶって通してくれということなら、もう時間が来たから通してくれというなら、話は、文句のつけ方はまた別につけますけれども、その辺どうも不親切だというか国会軽視だというか、その辺私には理解ができないのですがね。私は、法律改正すれば、法律を受けて、業務方法書のこの「補完し、又は奨励」というものに何かをつけ加えるか、この第一条は当然変わってくるべきだと思うのですよ。そうすれば、その案くらい、私は政府がやるのか開銀がやるのかわかりませんけれども、やはりそれくらいのものは、大体こんなふうにしたいと思いますというくらいのものが国会に出てこなければ私はおかしいと思うのですが、お直しになるのですかならないのですか。その「等」ということだけであと一切これで押し通すつもりなんですか。
  166. 石原周夫

    ○石原説明員 ただいま銀行局長のお答えになりましたように、法律改正に伴いまして「金融等」という直し方をしなければならないことになりますが、そのほかに、出資というのは新しい業務でありまするから、出資の方法でありますとか、出資の比率でありますとか、あるいはその処分の問題というようなことにつきましては、規定を業務方法書につけ加えなければならぬと思っておりますが、現在まだ法律の御審議中の段階でございますので、まだわれわれの案といたしましても検討段階でありまして、成案を得るに至っておりません。
  167. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 成案でなくても、それならば説明のときか何かで、あらかじめこれもこういうふうに直したいくらいの案くらいはほんとうはお示しになるのが私は当然のあり方だと思うのです。これは皆さん法律を出してしまった、それを受けてやるということにはなるだろうけれども、そういうのはここでは全然出てこないわけですから、皆さん都合のいいことは閣議決定も無視しておやりになるけれども、肝心のことになるとさっぱり準備をしないということじゃ、私はどうも理解がしにくいわけです。これから大きな開発地帯に投資をしていく。土地問題というものがいまいろいろな仕事をする場合の一番大きなネックになっておるだけに、四十七年度の皆さんの計画の中では、まだ頭を出しただけで金額としてみればごくわずかでありますけれども、これはたいへんな大きな金額になっていくだろうと私は思います。と申しますのは、これはもういろいろなところで報道されておりますように、大企業、特に日本では三井物産であるとか三菱商事等が開発建設本部なんというものをつくりまして、土地買い占めの態勢を整えておるわけであります。まさに皆さんの開発銀行の発足、すべり出しと歩調を合わせて、片方では大財閥、大商社が土地買い占めの態勢をもうとっておるわけであります。私は、ここに土地問題という大きな問題にぶつかってくるだろうと思う。そうして四十七年度はなるほどまだわずかの金でありますが、行く行くはここに非常に大きな金が投入されていくだろう。私は、これがこのたびの開銀法改正、そうして二十倍という大ワクを設定された一番のねらいがあるような気がしてならないのでありますが、そうではないのですか。
  168. 近藤道生

    ○近藤政府委員 土地融資につきましては、新市街地開発と産業用地造成事業、二つに分かれることは御高承のとおりであります。  そこで、新市街地開発事業、中身は地価の安定に資するために良質の宅地を大量に供給するということを目的といたしておりますし、それからまた産業用地の造成事業は都市開発に資する流通業務団地造成事業、地方開発に資する工業用地の造成事業、そういったことを内容とした土地融資でありまして、いずれも土地の取得ということよりも土地の造成を主たる対象としているわけでございます。また、造成後の用地の使用目的がかなり明確になっております。こういうようなことによりまして、むしろ地価を安定し、生活優先という目的に沿うという方向での土地融資の余認められているわけでございますが、こういう生活優先という方向での土地融資ということは、現在の情勢から見ますと、むしろ望ましいことではなかろうかというふうに考えているわけでございます。
  169. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 そうすると、いまあげたような会社の土地買い占めといいますか、開発地帯における工場用地の整備だとか、そういうことで大きな買い占めをやろうとしているわけですけれども、そういうところには投資はしないということですか、そこをはっきりしてください。
  170. 石原周夫

    ○石原説明員 ただいま銀行局長の述べられましたのは、新市街地の造成あるいは工業用地の造成もございますけれども、そういうものでございますので、土地投機のような意味におきまして土地を取得する者に対しまして、従来も融資しておりませんし、今後も融資するつもりはございません。
  171. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 いや、この人たちは土地投機として買うのかどうかは私わかりませんよ。実際はそうだろうと思うけれども、たてまえは地方公共団体と一緒になった形での開発公社なんということで用地を確保していくだろうと私は思うのですが、そういうときにここへ出資をされないのか、こう聞いておるのです。
  172. 石原周夫

    ○石原説明員 今度の法律の案に明らかでありますように、後進地域におきます大規模工業基地ということに限定いたしておりますので、これは新全総開発計画にうたわれておりますように、きわめて限られた数の非常に大きな地域が確保できると見込まれるときに限られるわけでありますから、それは非常に限定的なものだというふうに承知をいたしておるわけであります。
  173. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 それは地域は限定されておっても、金額はたいへん大きくなるわけです。これは北東公庫の管轄かもわかりませんが、たとえばむつ小川原地帯というところでばさっと大きな土地を買うとすれば、これは金額としてはたいへん大きくなるわけです。ただその辺の新宿だとか銀座の土地を買うというところに貸さないのは当然のことなんです。私が言っておるのはそういうことじゃないのです。いま三井物産や三菱商事が考えておるのは、開発拠点において土地を取得しよう、こういうかまえで、開発建設本部なんというものをつくっておるのはそのためなんです。そういうところに金が出ないのか、こう私は聞いておるわけでして、的をはずされないように……。
  174. 石原周夫

    ○石原説明員 私が申し上げましたのは、今回の出資に関係してのお話でございますから、これはきわめて限定された数の大規模工業基地に限るということを申し上げたわけであります。  なお、それ以外の、先ほど銀行局長が申されましたように、新都市開発をする場合の土地造成の問題などもございます。そういうものにつきましての融資はわれわれいたしますが、それはやはり先ほど銀行局長が申されたような非常に優良な宅地を供給する、公共施設を十分整える、公園、緑地もあるのだというような、いわゆるスプロールでないそういうような新しい土地開発の宅地造成にはわれわれ融資をいたすつもりであります。したがって、そういうようなプロジェクトとしての目的がきわめて明らかであって、それが国として助成すべき対象になるということでなければ、われわれのほうは融資するわけじゃございませんから、だから、どういう会社がどういう土地をお買いになりましても、われわれのほうが融資をするということではございません。
  175. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 最後にもう一つお伺いしておきたいのでありますけれども開発銀行資金量がいまのようにふくらんでまいりますと、財政投融資の原資というものは非常に大きな部面がここに流れていく、そう思うのですが、その辺の流れについて大蔵省はいろいろ検討されただろうと思うが、それはどうですか。
  176. 近藤道生

    ○近藤政府委員 原資につきましては、御承知のように、現在の開銀法政府からの借り入れ金及び外貨債券に限定されておりますので、その範囲内に限っております。
  177. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 ところが、いま外貨債券なんていいましても、日本がこれだけドルがたまって困っているという現状で、なおこれから外貨債券を確保して資金源にするなんということは、ちょっと常識では考えられないのではないですか。そうすれば、勢い財投資金といいますか政府の手持ちの資金からここに操り入れざるを得ないでしょう。そうしたときに、ほかの国民金融公庫中小企業金融公庫資金が圧迫されてくるだろうと思うのです。皆さんがおっしゃるようにもし二十倍ならば七兆何ぼといったら、ことしの財政投融資金額よりも大きな金になる。財投も逐次伸びていくかもわからぬけれども、それにしても開銀資金の伸び率のほうがはるかに大きいということだけは間違いない。そうすれば、一体ほかのほうに与える影響というものはどうなるのか、私はそういう検討をした資料を見せてもらい、そして少し検討したい、こう思っておったわけです。
  178. 近藤道生

    ○近藤政府委員 その点の資料は後ほどごらんに入れますが、傾向といたしましては、開発銀行の借り入れ金の伸び率は、財投全体の伸び率よりも低いという状態に相なっております。
  179. 石原周夫

    ○石原説明員 全体の財政投融資資金のうちで資金配分構成比を見ますと、昭和四十一年が開銀の分が七・二%でございます。それが四十六年度には六・七%でございまして、全体のウエートはやや減少いたしております。  それから、ちょっと中小公庫のお話がございましたから、政策金融機関運用総額の構成比を見ますと、昭和四十一年度開発銀行一五・四%、それが四十六年度には一二・七%、いずれの場合におきましても、開発銀行のウエートは財投全体ではやや減である。それから政策金融機関の中ではそれよりもやや大きな減少でシェア・ダウンである、こういう状況でございます。
  180. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 皆さんの運用計画の中で、もう一つ公害防止というのが非常な伸び率を示しておる。しかし、公害防止とこうおっしゃるけれども、これは昨年は百億ですか、そうすると、この金もまた大半が電力であるとか石油であるとかいうところに行くわけですね。いままでさんざん皆さんが力をかして公害をまき散らさしておいて、今度公害防止だといってまたそこに金をつぎ込むわけですね。どうなんです、それは。公害防止の金はやはりまたそういう大きなところに、電力とか石油とかいうほうへ主として流れるんじゃないですか。
  181. 石原周夫

    ○石原説明員 おっしゃいますように、電力石油鉄鋼、化学というようなものが現在公害防止の設備を最も必要とする事業でございます。したがいまして、そういうようなところに金が多く出るという実情はございます。その四つで八〇%ぐらいを占めるかと思います。  なお、申し上げておきまするが、公害防止事業団というものがございまするから、先ほどちょっと申し上げましたが、やはり公害防止の政府機関として仕事に当たっておられるわけでございます。大気汚染、汚水処理の関係におきましては、四十六年六月、公害防止事業団ができました時点におきまして、それ以前の分は、これは設備投資に関連いたしますが、公害防止事業団が行ないまして、それ以後の分はわれわれのほうでやっておりますから、あの時点で切りまして、私どものほうは主として新しいほうの設備に対しまして大気に関連した公害防止事業につきまして融資をいたすということに相なっております。
  182. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 おっしゃることが私にはよくのみ込めませんけれども、結局は、皆さんで一生懸命産業を発展さして企業は伸びていった。伸びていった企業は公害をまき散らした。それで、まき散らしたのを皆さんがまた国民のお金を使って公害防止をやれ。本来ならば、その企業企業責任において公害を出さないようにするというのが私は当然の姿だと思うのです。特に先ほど指摘した原子力発電は、もうくどく私は申し上げたいのでありますけれども、またこれは公害を出すにきまっておる。しかもその公害は非常に危険なものなんです。そういうものを皆さんどんどんやらしておいて、そして公害が出てくるとまた公害の何とか防止だなんということで、また低利な金を、大量な金を貸していくという仕組みの中で、いま日本企業は伸びてきた。私はほんとうに、皆さんには失礼かもわからぬし、耳の痛い話かもわからぬけれども、まさに日本の政界、官界と財界との癒着点が開発銀行だ、私はこう指摘したいわけであります。私はもうこの辺で、日本の経済も安定成長に、そうして輸出優先の日本の経済も七〇年代で転換しよう、転換せざるを得ない、そしていま世界からはいろいろと非難を浴びておるとき、ほんとうに日本国民大衆の生活安定のためにこれが役立っていくということならばまだしも、午前中の大原委員質問にもありましたように海運、それは海運も必要だといえば必要でしょう。鉄だって必要だといえば必要であります。食料だって、食料も必要であります。それは必要な点はみんな必要なんであります。だけれども、こんな激しい勢いで高度成長をし、そうして国民の健康までそこねようとするとき、開発銀行は、あり方を別な意味からもう一ぺんほんとうに再検討するときじゃないか。しかも大企業はもう一つ悪いことには一なるほど卸売り物価は安定しています。輸出物価は安定しております。皆さんの非常な努力で日本企業は伸びてきた。そして生産性も上がってきた。そして生産性の上がったものは、これを国民全部に還元しますなんということを総理も言ってきた。さっぱり還元されないで、消費者物価はどんどん上がる。そうしながら輸出だけが伸びていく。その企業も、岩佐さんの委員会でも言っておるように、コマーシャルベースでいけるものは大銀行でやります、しかし、それに合わない採算性の悪いところは開発銀行が引き受けなさいということなんです。まさにそういう形で皆さんは低利の金を、大量の金をここへ使っていくわけであります。ほんとうにそれが使われて国民全体に奉仕をするならば、私は卸売り物価が安定しておるという日本で消費者物価がこれだけ激しく上がっていくなんということを直すことはそうむずかしいことではないのであります。生産性の上がった部面国民に還元する意味でこれを下げていくならば、当然全体の消費者物価は安定してくるはずなんであります。生産性をどんどん上げてやる。皆さんの協力で上げた。上げたものはそのまま高い値段で売って、そして輸出価格は安いなんという日本のいまの経済界のあり方に一番大きな問題があると私は思うのであります。またそれにだけ奉仕をし、そして国民生活はますます公害と物価高をかぶっていくというあり方、私は、開発銀行はもう一ぺんそういう点でのほんとうに七〇年代の日本の将来を考えた再検討をする段階へ来たと思うのでありますけれども、不幸にしてこのたびの改正案はまさにそれの逆行であるというふうに私は感ずるわけであります。しかし、この委員会での論議をひとつお考えいただいて、これからのあり方を再検討していただくことを期待いたしまして、私の質問を終わります。
  183. 齋藤邦吉

    齋藤委員長 竹本孫一君。
  184. 竹本孫一

    ○竹本委員 最初に法制局に、少しこまかい議論になって恐縮だけれども、一、二伺ってみたいと思います。  今回の法律の第一条の目的、これは先日もちょっと指摘がありましたが、順序が「産業の開発及び経済社会の発展」、文字についてはあとでまたこまかく聞きますが、「及び」でつないだ場合に、前に書くのとうしろに書くのによってどれだけの違いがあるか。これだけ聞きたい。
  185. 茂串俊

    ○茂串政府委員 今回の改正案におきましては、御承知のとおり、現行の日本開発銀行法第一条では、産業の開発及び……
  186. 竹本孫一

    ○竹本委員 いやいや、違いはどこにあるか、それだけ聞けばいいのだ。
  187. 茂串俊

    ○茂串政府委員 これはA及びBといいます場合に、その規定の趣旨によって異なると思いますけれども、通常の場合には特にどちらが優先するあるいは重いということではなくて、並列的な意味でAとBと同じような評価をしているという場合が普通であろうかと思います。
  188. 竹本孫一

    ○竹本委員 A及びBといった場合には、AもBもウエートは全く同じということですか。それから、同じとすればなぜ前にやってみたりあとにやってみたりするのか、その根拠は……。
  189. 茂串俊

    ○茂串政府委員 先ほど申し上げましたのは一般論で申し上げたわけでありまして、規定の趣旨によりましてそれぞれ異なった解釈がなされる場合もあろうかと思うのでございますが、今回の改正につきましては、現行の第一条の規定におきましては「経済の再建及び産業の開発」とございますのを、今回の改正案におきまして「産業の開発及び経済社会の発展」というふうに直そうとしておるわけでございます。  現行の規定につきまして申し上げますと、、これは日本開発銀行法ができました当初からこのような規定になっておるわけでございますけれども、これは立法の経緯があろうかと思うのであります。すなわち、開発銀行が設立されました昭和二十六年当時におきましては、政府関係金融機関もまだ未整備の状態でありまして、開銀目的に経済の再建という大目的をまず掲げたと聞いておるわけでございますが、その後、各種の政府金融機関が整備された今日におきましては、開銀の担当すべき分野は、基本的には産業の開発という点にあると考えられるという見地で、そこで今回の改正におきましては、「産業の開発」というようなことばを、用語を先に出したということに伺っております。  ただ、それではなぜ先に出したかという点でございますが、その点につきましては、ここでいう産業の開発は、単にものをつくればいいというものではないわけでありまして、公害問題等企業の社会的な責任にも十分に留意しなければ産業の発展はあり得ないという最近の情勢を踏まえた意味のものでございまして、これは言うまでもないことでございます。したがって、今度の改正におきまして「経済の再建及び産業の開発」ということばを「産業の開発及び経済社会の発展」というふうに順序を逆に、いたしましたのは、以上のような理由で、産業の開発を通じて経済社会の発展に資するという意味をあらわしたものでございます。
  190. 竹本孫一

    ○竹本委員 産業の開発を通じて経済の発展を期するという意味でという御説明だけれども、それならば旧法律、旧というか、いまの法律というか、古いものの場合だってそうじゃないかと思うのだな。だから問題は、私が聞いておるポイントは、経済の発展段階が何か特別な根拠があってこういうふうになったのか、あるいはそのほかの理由があってなったのか。いま一般的説明からいえば、産業開発が大いに進むことによって経済社会の発展が期待されるということは、旧法というか、前の法律の場合だって同じじゃないか。  それでは、いまのような解釈、定義が正しいとすれば、前の法律の表現は不十分あるいは不適当だったという意味になるかならないのか、そこを聞いておるわけです。
  191. 茂串俊

    ○茂串政府委員 その点につきましては、先ほど申し上げましたように、立法の当初の経緯を私も必ずしもつまびらかにしておりませんけれども、その立法を出されましたその当時におきましては、先ほども申し上げましたように、政府関係機関がまだ非常に未整備な状態であったということを踏まえまして、特に経済の再建ということを強調するために最初に掲げたというふうに聞いておる次第でございます。ただ、今回の場合にこの順序を逆にしまして「産業の開発及び経済社会の発展」というふうにしておるのでございますけれども、一番初めにございましたように、A及びBといった場合にどちらが優先するかという問題にも触れようかと思うのでございますけれども、その点につきましては、この開銀法の第一条の用語解釈としましては、「産業の開発」という用語と「経済社会の発展」という用語は、両者別個のものを並列したという意味ではございませんで、先ほども申し上げましたように、産業の開発を通じて経済社会の発展を促進するという、全体としての大きな目標を掲げたという見地から今回のような改正を考えておるわけでございます。
  192. 竹本孫一

    ○竹本委員 いまの御説明のようだと、きょうは時間がないのでどうもこんなところで時間をとるのは残念なんだけれども、ただ私は、法制局は法律の専門家なんだから、文字の使い方についてはもう少し厳密、厳正でなければならぬ、また、法律の条文をつくるときには特にそうでなければならぬという立場で、AとBは同じだからといってときどきひっくり返してみたりするようなことでなくて、順序を変えるなら変えるだけの根拠が、十分われわれの納得できる根拠がなければおかしいということをいま言っているのです。特に旧法の場合のほうが、むしろ産業の開発及び経済の再建か発展かは別として、あとで論議するが、いま新しい改正法でいっているような順序でいわなければならない段階であったではないか。だから、旧法の表現というのは、当時の経済の発展段階からいっても、それからいま説明されたような筋道論からいってもおかしいじゃないかということを、私は、いまあらためてその反省の上に立ってこういうふうに書き直したというならば、それはそれでまたわかる。どういう意味でございますかということを聞いているわけだ。
  193. 茂串俊

    ○茂串政府委員 たびたび同じような説明をして恐縮でございますけれども、今回、私どもがこの改正案の立案に参画をいたしました際にいろいろ議論をしたわけでございますけれども、先ほど申し上げましたような筋道で、やはり産業の開発を通じて経済社会の発展を促進するという意味合いからしますと、まず「産業の開発」を先に掲げて、その上で、そのあとで「経済社会の発展」という用語を入れたほうが、そのことをあらわすのに自然ではあるまいかという見地からこのような表現にいたしておる次第でございます。
  194. 竹本孫一

    ○竹本委員 いや、いまあなたの言われるようた根拠で私も言っているのですよ。だから、前のほうはおかしいじゃないかということを私は聞いているわけだ。あるいは現行法はおかしいじゃないか。それを反省して、これは産業の発展があってはじめて経済の安定なり発展があるのだから、そういうふうに書くのがほんとうだったという意味でこれを書かれたのか、あるいは何となく書かれたのか、あるいは順序は、AとBはウエートは同じだから、たまにはさかさまにしたほうがおもしろいというのでやられたのか、何が根拠か聞いているんだよ。
  195. 茂串俊

    ○茂串政府委員 先ほどから申し上げましたように、現行の規定は立法の当初からそのような表現になっておりまして、私そのとき参画しておらない関係ではっきりしないわけでございますけれども、おそらく私の推測するところでは、先ほど申し上げたような趣旨で経済の再建ということばを先に出しておるのではないかと思いますが、その点につきましては、今次の改正の際の検討の結果としましては、今回の改正案のほうがよりふさわしいのではないかということでいたしたわけであります。
  196. 竹本孫一

    ○竹本委員 時間の倹約のためにこの辺で終わりますが、しかし、少なくともいまあなたの言われるのは、新しい改正法の説明あるいは文字の並べ方についての説明としては正しいと思うのです。私はそれが経済の常識であるから、説明としても正しいと思うのだ。そうなれば、前にあるのはおかしいじゃないかということを言っている。おかしいという反省の上に立ってこれはこう書きましたという説明がなければ納得できないから、あとでもいいからよく説明してもらいたい。いまのあなたのは新しいものの説明だけだ。古いものがなぜ変わったのか、古いものが誤っていたから、あるいは私が言ったように何か段階が変わったから特別こういうふうにしなければならなくなったのか、その辺の説明が私の受け取る範囲においては全然なっていないと思うのですね。あらためて後日また聞きます。  それから次に行きますが、今度は経済の発展という場合と経済社会の発展という場合は、法制局の解釈ではどういうふうに中身が違うかということを聞きたい。
  197. 茂串俊

    ○茂串政府委員 先ほどもちょっと触れたわけでございまするけれども、この開銀がいろいろ融資をいたします場合に、いわゆる開発資金融資等をいたします場合に、それが日本の経済社会にどう影響を及ぼすかという問題でございますけれども、先ほども申し上げましたように、最近では非常に国民生活なりあるいは社会資本の充実ということが叫ばれておるわけでございまして、いわばその質的な面を考慮いたしまして、質的な面での充実を考慮いたしました場合には、やはり単なる経済の発展というよりも、むしろ経済社会という意味で、社会ということばを入れたほうが、現在の情勢あるいは今後開銀の進むべき方向づけという意味からしまするとふさわしいのではないかということで、今度は「経済社会の発展」ということばを使ったわけでございます。
  198. 竹本孫一

    ○竹本委員 この場合、そうしますと「経済社会の発展」というのは、経済社会という全体をつかまえたものの発展なのか、経済の発展及び社会の発展といったような意味を含めておるのか、それはどっちですか。
  199. 茂串俊

    ○茂串政府委員 これは後者でございます。経済及び社会の発展という意味に解釈しております。
  200. 竹本孫一

    ○竹本委員 そういう場合に、そこに及びを入れた場合と点を打った場合と今度のこのように打たない場合と、全部同じですか、表現の技術の上において。
  201. 茂串俊

    ○茂串政府委員 これはおっしゃるとおり表現技術の問題でございまして、たとえば安全有利といったような場合に、安全かつ有利とも申しますし、ただ安全有利というふうに使う用例もあろうかと思います。その意味で経済・社会というような使い方もあろうかと思いますが、法令の用語としましては、経済社会というように中点を打たないでもその意味は十分に読み取れるということから、表現的にもまた自然であるという意味も含めまして、「経済社会」というふうに表現しておるわけでございます。
  202. 竹本孫一

    ○竹本委員 これは大体了解できます。  次に、現行法ですね、「経済の再建及び産業の」何とかと書いてあるわけだが、法律で見ると、再建という字を使った場合と復興という字を使った場合といろいろあるようだけれども、特に終戦直後のいろいろの問題に取り組む場合に使ったことばの中で、いま突然でございますから、どういう例があるかということを一々こまかく聞きませんけれども、全体的な考え方として、経済の再建といった場合と、経済の復興といった場合と、少なくとも二つあると思うのですね。それは全く同じ意味であるか、特別に違う意味があるか。
  203. 茂串俊

    ○茂串政府委員 適例について私も十分な記憶がございませんけれども、たしか二十一年にできました復興金融公庫法におきましては、「経済の復興」ということばを使っております。また現行の日本開発銀行法の一条は、御承知のとおり「経済の再建」ということばを使っておるわけでございますが、これも私は急な御質問でございまして、十分なお答えができるかどうか自信もないわけでございますけれども、非常に一般的に申しますれば、やはり復興というのは、たとえば戦争で非常に災害を受けた場合に、その原状に復すると申しますか、それがいわば復興でございまして、再建と申します場合には、復興よりももう一歩進んだ、いわゆる成長的な要素まで含めたところの用語ではないか、こういうふうに考えております。
  204. 竹本孫一

    ○竹本委員 そうしますと、復興よりも再建のほうがさらにより前進的だということですね。もう一度伺いたい。  それからもう一つは、時間がないからあわせて聞きますが、「経済の再建」というのは、今度は取るわけですね。「経済社会の発展」と、こう書いてある。そうすると、これは少なくとも、復興とか発展とかいうものはそれぞれどういう意味があるか、どういう違いがあるかは別としても、いずれにしてもいま日本の経済は復興の段階や再建の段階ではないということははっきりしているわけですね。それで今度はこれをとられたのだろうと思うが、そう理解してよろしいか。
  205. 茂串俊

    ○茂串政府委員 その点はおっしゃるとおりであろうと思います。
  206. 竹本孫一

    ○竹本委員 そうしますと、日本の経済は、われわれのことばで言えば、あるいは外国に言わせれば、特に復興なり再建なり行き過ぎて、そこにいろいろの円の切り上げの問題その他の問題が起こってきているわけですね。そういうような客観的な情勢の変化というか、発展があったときに、それを目的とした法律というのは、開銀法だけでなくすべての法律についてその文字は私は修正しなければならぬ、あるいは改正しなければならぬと思うが、どうですか。
  207. 茂串俊

    ○茂串政府委員 他の法令も、おそらくいろいろとそういった再建とか復興ということばを使っている用例もあろうかと思うのでありますが、こういう点につきましては、先生の御指摘のとおり、機会あるごとにその点を再検討いたしまして、改むべきものは改めるという方針で進みたいと思っております。
  208. 竹本孫一

    ○竹本委員 そこで、あと資料として、いまの重要なる法律の中に復興なり再建なりということばが使ってあるというのはこんな例があるということを示してもらいたい。  それと同時に、これはいまもお話があったけれども、私はすみやかに改正をしなければおかしいと思うのだけれども、法制局としては改正の意思ありや、準備ありやという点について、もう一度はっきりと聞きたい。
  209. 茂串俊

    ○茂串政府委員 その点につきましては、私もどういう法令で使っておるかという用例もいますぐには頭に浮かんでこないわけでございまして、先生の御趣旨は十分体しまして、今後いろいろ法令の審査の面で生かしてまいりたい、かように考えております。なお、用例につきましては調査の上、お出しいたしたいと思います。
  210. 竹本孫一

    ○竹本委員 そこで、開発銀行の場合には、金を貸してやるというのだから、こういう文句が古いままであっても別に支障はない。早く改正するほうが常識として妥当であるということだと思うのですね。しかし、そういう法律でなくて、一般にもっと強い制限をしたり禁止をしたりするような、実質的な国民の権利義務に関するような問題について、前提条件なり客観情勢がまるきり変わったのに、前の法律でそのままやっていくということは、ただに政策態度としておかしいとか不当であるということでなくて、私は場合によっては違法になると思うのだけれども、第一条の法の目的というようなものは、どの程度にそれ以下の内容を限定し、規定づけるものであるか、法制局としての基本的立場を聞きたいのです。  第一条はこうこうこういう目的、たとえば現行法でいえば、経済の再建という目的のためにこれだけのことをやるのだ、あとは若干形容詞だ、再建が目的だ、そのためにすべてのことを考えて規定しておるといったような場合に、開銀に限って言えば、これが個人の権利や義務を特別に制限したりするわけでないから、不当である、そういう条文がいま残っておる法律改正をそのままやらないということは適当でないということでとどまるかもしれないけれども、私が言うのは、実質的に国民の権利義務を制限するような法律である場合には、再建の段階でなくなったときに、再建のために、と書いてある法律は、それ以下の内容規定はもう全然だめになる。したがって、それによって権利の制限その他をやればそれは違法になると私は思うけれども、法制局としての考えはどうでありますか、これはちょっと大事な点だから、ゆっくり大きな声で答えてください。
  211. 茂串俊

    ○茂串政府委員 その点につきましては、具体的にどういう用例があるか、ちょっと私も先ほど申し上げましたように十分承知しておりませんけれども、やはり法令の解釈の態度といたしまして、一般論で申し上げますと、その用語を使っておりますところの規定の趣旨、これをいわば条理で補足いたしまして、それで形式的な用語としてはこういう用語を使っておるけれども、解釈の面ではそれを実情に合わせるように条理で補足した上で解釈するということもあり得るわけでございまして、具体的にどういう法令ということを御指摘がございませんのでちょっと申し上げかねるのでございますけれども一般的にはそういったある程度の弾力的な解釈といいますか、ゆとりのある解釈がなされるのが通例でございます。
  212. 竹本孫一

    ○竹本委員 解釈、運用の問題で、時代の情勢にアダプトできる場合もあるでしょう。アダプトできない場合があると思うのだ、情勢がまるきり変わっているのですから。法律というのは一定の客観情勢を前提にし、一定の目的政策努力の目標を持ってつくるわけでしょう。ところが、客観情勢が完全に変わる、しかるに、法制局の怠慢か、各省の怠慢かは別として、それが変わっていないといった場合には、もうそ法律は死んでいる、あるいはその法律で何か適当な手を打つということは違反になる、あるいは違法になるというふうに私は思うのです。解釈、運用によって、そうやってできる場合も確かにありますよ。しかし、それを越えた場合もあり得ると思うが、それはあり得ないというようにお考えになりますか。
  213. 茂串俊

    ○茂串政府委員 先ほどの続きで、一般論でございいますけれども、その用語を使っております規定の趣旨、これは十分に生かすべきであろうかと思います。しかしながら、その用語が明らかに現状にマッチしないと申しますか、不適当であるという場合には、これをなるべくすみやかに改正するのが当然であろうかと思っております。  ただ、先ほど申し上げましたように、経済の再建と申しました場合に、これがいわゆる先ほど先生のおっしゃった復興と同じ意味かというような御質問もございましたけれども、再建という用語を解釈する場合にも、一体どこまで法律的な解釈が広げられるかという問題はありますものの、かなり広いところまでは解釈のゆとりもあるのではなかろうか、これは一例でございますが、そういうような解釈もなし得ると、かように考えておる次第でございます。  ただ、先ほどからも申し上げますように、そういった非常に実情に合わなくなった用語につきまして、これを逐次機会あるごとに見直しをして改めていくという態度、これは私どもとしても今後とも持続してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  214. 竹本孫一

    ○竹本委員 外為法の例を一つ引きますが、御承知のように、外為法は、日本の経済がまだいまのような安定成長の段階になっていなかったということで、あの中にはたしか、経済の復興に資するため、というふうに書いてあったと思うのですね。そうすると、経済の復興を目的とした——いま再建というのと同じで、全く段階が変わっているわけです。しかも、あの法律は、外貨がなくて困ったときで、いまのように外貨が余りで困っておるときとはまるきり条件が違う、客観情勢が違う。外貨予算の問題については一応議論は別としましても、外為法の根本精神というものは、日本の経済の復興をねらった段階において、特にドル為替が足らない段階においての法律である。したがって、この法律をいまのように、経済が発展し過ぎていろいろ問題を起こしておる、ドルは余り過ぎて困っておるというときに適用する、しかもそのまま持ってきて適用しようということは、法の目的からいってもおかしいし、単に不当であるのみならず違法である。先ほど言ったのはそういう意味ですが、そう思いますけれども、いかがですか。
  215. 茂串俊

    ○茂串政府委員 ただいまの御質問、おそらく外国為替及び外国貿易管理法の第一条の目的規定の点についておっしゃっているのかと思いますが、その点につきましては第一条を読みますと、一番最後のところに、「もって国民経済の復興と発展とに寄与することを目的とする。」とございます。したがって、この場合にもその「復興」ということばの適否の問題はございますけれども、一応「復興と発展とに寄与する」というふうにいっておるわけでございまして、現在外為法でいろいろ規制をしているわけでございますが、この一条の目的規定からいたしまして違法であるとかいうような問題は出ないのではないか、かように考えている次第でございます。
  216. 竹本孫一

    ○竹本委員 ところが、いまの場合に、復興と発展とたまたま両方書いておいたほうがいいというので——大体われわれもやった経験があるが、なるべく網を広く打っておけということで書くわけだ。しかし、そのときのほんとうの目的はあくまでも復興にあった。「復興と発展」と書いてあるからよろしいというなら、今度だって「産業の開発」と書いてあるのだから、何も「経済の再建」というのはあってもなくてもたいして影響ない。産業の開発が中心なんだ。開銀がどれだけそのほかの経済社会の発展に産業の開発を通じて——先ほどお話しになったように、それでやっているからこそこういう書き方をしているわけだ。ところが「発展」という字が隣にちょっとあったから、それでこの法律がいま適用されても違反ではない、違法ではないということではこじつけになるのじゃないか。復興が目的だ。現にあの場合には、ドルが不足をしたときにドルの節約のために書いてあるでしょう。そういう意味で、第一条の法の目的というのはその当時とはまるきりいまは情勢が違う。したがって、違った中で法の改正をやらないで、その法律に基づく制限や禁止をやれば、これは全く許しがたいものである、私はそう思うのです。たまたま「発展」という字があるからそこで助けられて、以下のものがまだみな生きるというならば、それじゃ目的のところは何かいろいろ書いておきさえすればどこかひっかかるだろうということになる。  しかし、法の基本的な目的というものはそんなにばく然たるものではなくて、ことにきわめて権利を制限するような場合には限定的に考えなければいかぬ。そういうことからいえば、第一条に書いてあることはきわめて厳粛に解釈しなければならぬし、かってのいいところだけつまみ食いしてはいかぬ。全部を理解した上に立って、この法の第一条は、産業の開発を通じて経済社会の発展を促進するということにあるわけだ。それから外為法の場合には、いまそういうドルが足らないという条件も変わったし、復興の段階でもないのですから、もうこの外為法は根本的に改めなければ、それに基づくいろいろの制限、禁止は全部間違いであると私は思うけれども、もう一度その点を返事してもらいたい。
  217. 茂串俊

    ○茂串政府委員 いわゆる外国為替管理法でございますが、これは昭和二十四年に制定されまして以来ずっとこの規定に基づきました規制が行なわれておるわけでございますが、いわばこの法律の一条の目的、これは立法当初の状態と申しますか、それだけに着目してこのような法令が制定されておるのではなくて、いわばこのような、先生のおっしゃったような国際収支の均衡とか通貨の安定とかそういうような問題が続く限りにおきましてはこの法律が適正に運用されていくという目途のもとに制定されたわけでございまして、一条の目的におきましても、先ほど申し上げましたように、いろいろなことが書いてございますが、この法律の続く限りにおきましては、この一条の目的規定、先ほど申し上げましたような趣旨から申しましても、この規定に基づくもろもろの規制、これは違法になるというような問題はないのじゃないかというふうに考えております。
  218. 竹本孫一

    ○竹本委員 きょうは時間がなくなりましたから、これはあらためてまた法制局とも論議をしたいし、私は、貿易管理令なんかで、御承知のように繊維の自主規制なんかやってみたりいろいろやっておるのだけれども、あれは全部間違っていると思うのです。そこで、その論議はあらためてゆっくりやりますが、きょう特に法制局に希望したいことは、第一は、法制局は、法律の第一条の目的を書くときはきわめて厳粛厳正にがっちりしたものを書いてもらいたい。第二は、それに沿っていま読み直してみればおかしいと思うところは、当然これは改正の努力をやるべきである。第三は、いま為替管理の実態に即してこれなんかはまっ先に改正しなければ今日適用すべき筋合いものではないということについて、私の意見を申し上げたのだけれども、そういう意味で、またあらためてこれは論議をいたしますので、法制局においても十分検討しておいてもらいたいということです。  それからあなたに最後にもう一つ、これは総裁、局長にもちょっと聞きたいところですが、「経済社会の発展」に寄与すると書いてある、「経済社会の発展」とはどういう意味だ、どういうビジョンを描いて「経済社会の発展」といわれておるのか、三人の方からそれぞれ説明を聞きたい。
  219. 茂串俊

    ○茂串政府委員 「経済社会の発展」とはどういう意味であるかという御質問でございますが、この経済社会の発展、これは従来のわが国経済の高度成長の反面公害その他の社会的なひずみが生じた面にも十分に配意いたしまして、これは一昨年の新経済社会発展計画にもいわれておりますように、充実した経済力にふさわしい国民生活実現のための社会的な基盤を整備いたしまして、そうして真に豊かな社会の建設を目ざすということを意味する、かように考えておる次第でございます。
  220. 近藤道生

    ○近藤政府委員 ただいま法制局から御答弁がございましたとおりでございますが、具体的な項目といたしましては、たとえば大都市の再開発とか流通近代化とか公害防止といったようなことが重点になろうかと存じますが、一般的な意味合いはただいま申し上げたとおりでございます。
  221. 石原周夫

    ○石原説明員 政府側からいま御答弁がありましたような趣旨で、私ども融資をやってまいります場合にもそういう点を十分頭に置いてやるべきだという趣旨のように考えるわけであります。
  222. 竹本孫一

    ○竹本委員 それでは私のほうから逆に聞きますが、この中には、「経済社会の発展」という場合に、先ほど公害の問題がいろいろ阿部委員から議論されましたけれども超工業化「社会というようなものへ」の展望なり方向なりというものを持っているのかいないのか、それから経済の近代化、高度化ということばが法律上もいろいろ出てきておるが、産業の近代化と高度化の問題についてはどの程度のウエートを置いて考えておるのか、この二つだけについて総裁にひとつ伺いたい。
  223. 石原周夫

    ○石原説明員 超工業社会とか脱工業社会というようなことを申されるわけでありますが、それが具体的にどういうような構図になるかということにつきましては、まだ非常に不十分な理解しかないかと思います。ただ先ほど来お話がございますように、経済の成長ということじゃなくて、環境とか国民生活福祉という問題を含めた全体としての経済というものが伸びてまいるということが一つ政策の目標であるという点につきましては、いま竹本委員がおっしゃいましたような一つの超工業社会ということの意味であろうかというふうに考えるわけでございます。  第二番目におっしゃいました近代化、高度化という問題でございますが、そういうような環境問題、福祉問題、生活問題というものは非常に大事であり、それを前提として考えることではございますけれども、やはり産業そのものがいわゆる知識集約産業ということも申されるわけですけれども、これが高度化し技術開発が行なわれていくということは、今後も非常に重要な問題だと思いますので、やはりそういうことが第一条に書いてあります「産業の開発」ということの一つ内容であるというふうに考えています。
  224. 竹本孫一

    ○竹本委員 これからほんとうは開銀の問題のほうに入りたいところだけれども、ちょっと予定の時間が参りましたから、質問は若干留保しなければならぬかと思いますけれども、もう五分ほど伺います。  一つは、先ほど来これも議論がありましたが、開銀の機能というものは、民間金融機関の機能を「補完し、又は奨励する」こう書いてある。「補完」というのはどの程度のことをいま考えておられるかという問題なんです。これは、日本政府関係機関というものは、大体において「補完」というように非常に遠慮をして表現も書いてある。もちろん民間金融機関があるんだから、それを立ててその足らざるところを補うというのも一つ考え方であります。しかし、今日の公害対策にしましてもその他の構造改善にいたしましても都市の再開発にいたしましても、こういうものは民間企業民間金融機関が先頭に立ってやるはずはない。だから国策金融機関が必要なんだ。この国策金融機関は「補完」するというまあ美名のもとに遠慮し過ぎている面もあるし、行き足らない面もたくさんあると思うので私はお伺いするわけなんだけれども、補完とはどのくらいのことを考えておるか。たとえば融資のシェアからいって、一〇%も補完であろう、二〇%も補完であろう、あるいはそれ以上いくことも補完といえるかもしれない。だから補完という意味においてどの範囲のことまでやろうとしておられるのか。これは開発銀行のになう社会的な使命とか課題というものが大きければ大きいだけその補完のパーセンテージはふえていかなければならぬと思うのですね。その点についての局長並びに総裁の御意見を伺いたい。
  225. 近藤道生

    ○近藤政府委員 ただいまお述べになりましたとおり、補完の割合が幾らであるべきかということは、絶えず一定しているわけではなしに、そのときどきにおきまして、政策的な要請がどのくらい強いか、またそれを受けて立つべき民間金融機関の実際上の働きがどの程度であるか、それらの相関関係によってきまってまいると思います。したがいまして、現在のように社会開発に関するたとえば生活優先というような観点からのかなり大きな転換を必要といたしますような時代におきましては、開銀の質的補完の分野はかなり広くなってしかるべきではなかろうかという感じがいたすわけでございます。
  226. 石原周夫

    ○石原説明員 具体的な融資比率の問題でお答え申し上げますが、当該年度融資の全体を総合いたしました融資比率は四十五年度におきまして三〇・五%であります。このうち電力及び海運につきましては特別に高い融資比率になっておりますから、その二つを除いてみますると二三・六%、大体二割を少々上回ったくらいのところが、電力海運以外の融資であります。ただ、これは一率に二割何分とか三分という融資をしているわけじゃございませんで、たとえて申しますと、都市開発のための私鉄の都心乗り入れあるいは立体交差、そういうような工事につきましては五割、あるいは原子力発電の場合には五割、そういうような内容あるいは収益性あるいはリスク——公害防止などでは五割というようなことになっております。そういうふうに、その融資の具体的な内容によりまして差等を設けておるというわけでございます。
  227. 竹本孫一

    ○竹本委員 時間が参りましたので、あとまだ少し質問があるのですが保留しておいて、きょうはこれで終わります。
  228. 齋藤邦吉

    齋藤委員長 貝沼次郎君。
  229. 貝沼次郎

    貝沼委員 私が聞きたいと思っていたことが、いままでかなり出ておりますので、なるべく重複を避けていきたいと思いますが、質疑をしていく関係上、一部ダブる点もあると思いますけれども、よろしくお願いいたします。  そこで、この日本開発銀行法の一部を改正する法律案でありますが、第一条で、目的の一部が変わったのでなくて、目的がほとんど変わってしまったというかっこうになるわけですけれども、こういう場合、私は、法律の一部が変わるということよりも法律自体が変わってしまうのではないかという感じを受けておりますけれども、どうしてこれを「一部を改正する法律案」としなければならなかったのか。むしろ、たとえば、この改正案から見ると、「経済社会開発銀行法」とかなにか全然別個なものに変わったような感じを受けるのですが、この点はいかがでしょう。
  230. 近藤道生

    ○近藤政府委員 これはむしろ法別局からお答えになる問題かもしれませんが、「一部を改正する法律案」という場合ですが、通常、全文改正でない場合に「一部を改正する法律案」ということで御審議をお願い申し上げているわけでございます。ただ、ただいま仰せのとおり、第一条の目的中身が変わったということは、非常に重要な変わり方であります。先ほど阿部委員が戦略的な変更ではないかとおっしゃったのもまさにそういう意味であろうかと思います。ただ、この中身につきましては、今日すでに「経済の再建及び産業の開発」ということばでは実態に合わなくなってからかなり久しい、そうしてまたそのことをたびたびの当委員会における御審議でも常に御指摘を受けてまいったわけでございますので、実態的には現在の開発銀行の実態にふさわしいような表現を第一条の目的において新たに採用するという形での変更でございまして、実態面ではそういう意味で「一部を改正する法律案」ということになろうかと存じます。
  231. 貝沼次郎

    貝沼委員 そこで、これも前に出ておったのでダブると思いますけれども、「産業の開発及び経済社会の発展」こう変えなければならなかったその背景はいろいろあると思いますけれども、特に大きな影響を及ぼしているものは、具体的にどういうものがありますか。
  232. 近藤道生

    ○近藤政府委員 大都市再開発、流通近代化合理化、公害防止という、いわゆる社会開発関係の問題が大きくクローズアップされてまいっておりますので、そういう方向での改正という意味におきまして、先ほど法制局から御答弁がございましたように、産業の開発を通じまして経済社会の発展を促進する、産業の開発を通ずるということを先にうたいましたゆえんのものは、かつては政府関係機関が未整備であったときに、開発銀行というものは経済再建の大役を主としてになってもらうという意味で「経済の再建」ということばが先に出ておりましたのに対しまして、今回は他の中小金融機関等も整備されてきておりますので、産業の開発を通ずる機能がまさに開発銀行の機能であるという意味で、産業の開発を通じましての経済社会の発展という規定に変えられたわけでございます。
  233. 貝沼次郎

    貝沼委員 もう少し語句のことを聞きますが、この「産業の開発」というのは具体的な項目としてはどういうことになるのか。それから「経済社会の発展」ということは具体的にどういう項目になるのか、その点についてお願いします。
  234. 近藤道生

    ○近藤政府委員 「産業の開発」ということは全体といたしましての産業の開発ということばで文字どおりの意味でございますが、「経済社会の発展」につきましては、先ほど法制局から御答弁申し上げましたように、経済及び社会の発展を促進いたしますためということで社会開発的な融資全般についての概念を述べているわけでございます。
  235. 貝沼次郎

    貝沼委員 そうしますと、この「産業の開発及び経済社会の発展」を促進するということですけれども、ただそういうばく然としたことではなく、たとえば、この資料によっても、「概況」によっても貸し付け計画などをみますと、先ほどから議論がありますように、たとえばエネルギーとか海運とかいろいろありますね。こういうようなものが主として考えられるというふうに解釈してよろしいですか。
  236. 近藤道生

    ○近藤政府委員 内容といたしましては、先ほどの大ワクが定められておりますエネルギー、その他四、五項目、これらが中心になりますことはそのとおりでございますが、ただ、「産業の開発及び経済社会の発展」ということばに変えられましたゆえんのものは、先ほども申し上げました公害防止とか大都市再開発とか流通近代化とか、いわゆる社会開発的な要素、そういうものがかなり表面に出てまいっているということでございます。
  237. 貝沼次郎

    貝沼委員 それで、まずこの計画の中で、ずっと四十七年度当初計画などを見てまいりますと、四十六年度の当初計画から改定計画に移ったところで、かなりふえておるわけですが、この中でも公害防止がかなりふえておる。これはそれでいいと思うのですけれども、今度改定計画から、たとえば四十七年度当初計画の移りぐあいをみますと、エネルギー部門が非常にふえておるわけですね。それから産業開発というのがむしろ減っておるわけですね。それからさらに大きなのとしては、公害、それからその他というのがありますけれども、このエネルギー関係のところが特にこれだけふえなければならないという理由はどういう理由ですか。
  238. 石原周夫

    ○石原説明員 一つは原子力発電の関係が増加してまいりました。融資内容は若干、たとえばタービン・ジェネレーターをはずすというようなことをやったわけでございますが、しかもなお相当の額の増加になりましたことと、ガスの関係で、これは特定導管ということばを使うわけでございますが、東京、大阪、この近辺の周辺に大きなパイプを通じまして、それによってガスが供給できるようにいたしまする関係と、その場合に無公害燃料といたしまして天然ガスを使うことになったわけでございまするが、液化して運んでまいりました天然ガスを貯蔵するタンク、気化する装置、そういうようなもので新しくガスの関係がございます。その二点がエネルギーワクが増加をいたしておるゆえんでございます。
  239. 貝沼次郎

    貝沼委員 そうすると、かなり原子力発電というものの必要性を考えた上でこういうものが必要だという判断に立ったということですか。それならば、この原子力発電というものが今後どれだけ必要と考えられておるのか、たとえば新経済社会発展計画あたりの考え方あるいはまた総合エネルギー調査会ですか、その辺の考え方、いろいろあると思いますけれども、大体どういうスケジュールのもとに今回こういうものが特に必要だと考えられたのか、その点はどうですか。
  240. 石原周夫

    ○石原説明員 現在の原子力発電の計画といたしましては、昭和六十年差までに六千万キロワットという一応の計画がございます。昭和五十五年、今後十年間で大体三千万キロワットでございます。いずれにいたしましても、六十年に六千万キロワットいうのが現在の計画でございます。ただ、それも全部が現在具体的な計画化をせられているということではございませんで、いま貝沼委員がお話しになりましたように、総合エネルギー計画をどうするかというところから、一つ一つ詰めてまいりますと、原子力発電にそれくらいのウエートを置かざるを得まい、こういうことでありますが、いまのところはその長期の計画と、それから現在具体的に着手しております地点、それの計画、その二つがございまして、六十年に至りますまでの全部をどこで幾らどういう発電をつくるというところまでは至っておらぬわけであります。私どものところといたしましては、昭和四十七年度に具体的に着手をし、あるいはすでに着手をして進行いたしておる、それに必要な金額を計上いたしておるわけでございます。
  241. 貝沼次郎

    貝沼委員 そこで、通産省にお尋ねいたしますけれども、これは通産省公益事業局から出されている資料でありますが、それによりますと、昭和五十年に原子力発電による、原子力によるエネルギーが全体の八・六%であり、六十年には二四・八%である、こういうふうになっております。ところが、現在すでに四十七年でありますから、これは実は脅威的な伸びを示さなければならないということになると思うのでありますけれども、はたしてこれは可能なんでしょうか。
  242. 荒川英

    ○荒川説明員 六十年度六千万キロワット、これを目標にいたしまして、現在非常にハイスピードで原子力発電所の建設をはかっております。いろいろな助成策等も講じまして、その手当てをするように極力努力しております。むしろできることならば六千万キロワットあるいはそれ以上に達するように、いろいろな施策で努力中でございます。
  243. 貝沼次郎

    貝沼委員 よく聞こえなかったんですけれども、要するにこれはできるということですか。
  244. 荒川英

    ○荒川説明員 できるように努力しておるわけでございます。
  245. 貝沼次郎

    貝沼委員 そこで、この原子力発電をやる場合に、ただこれはつくればいいというものではないと私は思うのです。やはり原子力発電をやっていくそのスケジュールは、新経済社会発展計画であるとかあるいは新全総であるとか、そういうような日本全体の再開発ということを基本にした上で、この原子力発電の場所とかあるいは出力というものは考えておると思うのですが、この計画は全部できあがっているんでしょうか。
  246. 荒川英

    ○荒川説明員 現在は通産省のほうでやっております総合エネルギー調査会においては、これは各地点、各地点の検討については直接触れておりませんで、総合した六千万キロワットの全体ワクをきめております。さらに昨年の十二月、 エネルギー調査会の中に原子力部会がございますが、ここでいっております点は、今後やはり原子力発電の地点では二十数カ所というものがこれから必要になってくる。それから、立地の選定という問題につきましても、電気事業者が本来やられることでございますが、政府側といたしましても、こういったものの立地が円滑にいくようにいろいろな施策を講じていきたいというふうに思っております。
  247. 貝沼次郎

    貝沼委員 日本の再開発が叫ばれておるわけですね。したがって、それに伴ってエネルギー源というものは必要になってくるわけでしょう。それに対して、政府としては全体として総額これくらいは必要であろうということは私も書類で見えますが、この圏内においては、この辺にこれだけのものが必要だというふうな、もう少しこまかいそういう計画というものはできておりますか。経企庁どうですか。
  248. 下河辺淳

    ○下河辺説明員 原子力発電所の必要量についてはいろいろと検討しておりますが、地区別について明細にはきめておりません。
  249. 貝沼次郎

    貝沼委員 私も原子力発電というものは将来これはどうしても必要だと思います。必要だと思いますが、ただこれだけ必要な——昭和六十年といってももうすぐですよ。昭和五十年といったってもうすぐなんですから、こういうときに、大体これは必要なんだ、必要に迫られるのだ、やむを得ないのだ、あるいはそうせざるを得ないでしょう、さっきからいろいろな答弁が出ておりますけれども、それだけではやはり理想的なものはでき上がらないのではないか。もっと積極的にそういうプランというもりはつくっていいのじゃないかと私は思うのです。その上で今度は国民の世論というものを聞いて、また直すこともこれは必要かと思いますけれども、いま何もなくて、ただ日本再開発なんだ、いかにも再開発がぴしゃりとできているような、青写真が見えるような感じがいたします。特にこの新全総など見ますと、昭和六十年になるとバラ色の日本列島がぱっと見えるような感じがいたしますけれども、何か詰めてちょっと考えてみると、そういうふうにならないわけですよ。私はこの点非常に残念というか、無責任というか、非常に困るわけですけれども、経企庁としては、この新全総あるいは新経済社会発展計画、こういうものを今度は改定するのか、あるいはつくり直すのか、その辺はわかりませんが、総点検をするといっておりますけれども、しかもこれが先ほどの答弁では、新経済社会発展計画はなるべく年内にというようなことですが、新全総についても年内にちゃんとできあがるのですか。
  250. 下河辺淳

    ○下河辺説明員 新全国総合開発計画につきましては、ただいま総点検をするということで、省内もしくは関係省庁と総点検のしかたの相談を始めたところでありまして、具体的にはまだなっておりませんが、私どもといたしましては経済計画が年内に作業が終わるという予定で、そのでき上がりました経済計画との調整も必要であろうということを考えておりますが、また一方で、先ほどから御指摘いただいておりますような具体的な地域について、構想として新全総できめておりますけれども、これを実現するためには、実はその地域の基礎的な調査であるとか、あるいは地域の方方との話し合いということが一つ重要なことでございますから、計画だけ直ちに改定するということにはいたしておりませんで、その間の調査あるいは県との話し合い、あるいは各省との話し合いを重視して、総点検を進めてまいりたいと思っております。
  251. 貝沼次郎

    貝沼委員 そうしますと、ことしじゅうはとても無理だと思いますが、目ざすのは大体何年以内ぐらいにその結論を出すということですか。
  252. 下河辺淳

    ○下河辺説明員 新全総全文をいつまでに改定するというやり方ではむしろなくて、その事項別に早くできるものは早く点検をして結論を得たいと思っておりまして、長くかかるものは三年程度かかるのではないかと予測しております。
  253. 貝沼次郎

    貝沼委員 それからもう一言。これは総合エネルギー調査会の答申、四十二年の分ですけれども、これによりますと、原子力発電についていろいろ述べておるわけですが、「わが国における原子力発電の実用化は、いよいよ本格的段階に達しつゝあるが、それに関連する技術および産業体制は諸外国に比しおくれており、さらに核燃料資源にも恵まれず、原子力発電所建設については立地条件等の制約もある。また原子力は国際的な協力、調整を要することが多い。従って、わが国における原子力発電開発を円滑かつ積極的に推進するためには、これらの諸問題を早急に解決する必要がある。」こういうふうな答申が出ておるわけでありますが、実際に原子力発電所をつくろうという計画が出ますと、それに対していろいろとトラブルが起こって、そして予定どおりなかなか進まないというのが実は実情であろうと思うのですが、こういう問題については具体的にどうすべきであるかということを計画を立てているわけですか。
  254. 武田康

    ○武田説明員 ただいま御指摘の幾つかの問題点を早急に解決しなければならないというエネ調の原子力部会の答申でございますけれども、先ほどのエネルギー政策課長の話の中にもありましたが、昨年の暮れに新しい原子力部会答申をまとめていただいたわけであります。そこでもいま先生指摘ございましたような幾つかの問題点項目としては同じものを指摘されておるわけであります。立地点を定めまして、それでもそこでトラブルが起こってなかなか予定どおり進まない、その辺についての具体的なプランでございますけれども、個々の原子力地点につきましては個々の電気事業者が当該地域の住民の方々の理解と協力を得るというようなことを個々に努力しているわけでございます。国といたしましても関係の地方自治体あるいは周辺地域の住民多数の方々、こういった関係者の理解と協力を得て、原子力の立地を行なうことが必要だと考えておりまして、また必要な場合には海岸にも立地いたしておりますものでございますので、周辺との漁業の調整も必要でございます。こういったことを個々具体的に検討いたしまして、地域の理解と協力を得て立地を進めていくというような考え方でございます。
  255. 貝沼次郎

    貝沼委員 私は、結論的に申しますと、地域の人とのコンセンサスが得られないうちはやはりやらせてはいけないと思う。それはいろいろと説明することもあるかと思いますけれども、やはり納得ずくでやらないとうまくない。ところが私たちが見ている範囲では、かなり強引なところが相当見受けられる。そのためにトラブル等が起こっていると私は思うのです。そこでまず先ほど読みました中で、たとえば幾ら原子力発電をやるやるといってみても、あるいはその発電機を購入する場合に、開銀のほうから融資するということなんでしょうけれども、たとえそういうようなことをやってみても、その原子力発電所の発電機が動くためにはどうしても原子燃料が必要なわけですね。その原子燃料は将来あるいは現在から、日本政府として、あるいは国として基本的な考え方ですね、要するにどういう方法をもってそれを確保しようとするのか、この何といいますか基本的な考え方、これはどういうふうなことですか。
  256. 荒川英

    ○荒川説明員 昨年の、先ほど申し上げました原子力部会の答申で示されておりますが、やはりウラン資源の確保につきましては非常に長期の展望に立ちましてこれを確保していくということが必要でございますので、現在やっております民間の探鉱活動がございますが、これを一そう助成するというために今年度からは探鉱の場合に成功払いという融資制度を置きました。こういうようなやり方をいたしまして、昭和六十年度におきまして年間利用量のほぼ三分の一を自主的に確保できるというようなことをめどに、これから資源の確保をはかってまいるというふうにいたしたいと思っております。
  257. 貝沼次郎

    貝沼委員 将来は原子力発電にならなければならぬと思うのです。ところが、日本の国にあるウランの埋蔵量というのはごく微々たるものであって、それを掘ればむしろ採算が合うか合わないかわからないという状態だと私は思うのですね。むしろ合わないと思うのですけれども。そこで結局ウランというのは海外に資源を求めなければならないわけですね。ところが、いま石油問題で一番困っているのは、ある一定の少ない産油国から石油を買わなければならぬということで、非常に不安があるわけですけれども、ウランの場合はまだ各国にずいぶん産地があるわけですね。そういう場合に、日本の国としてはその原子燃料を確保するために、ある一つの国からだけ、たとえばカナダからだけ買うとか、あるいはそうしないで別々の国から少しずつ輸入をするというふうに考えるとか、あるいはまた日本が自主開発をして、そうしてそこでとれたウランならウランを今度日本がそこで精製して持ってくるとか、イエローケーキにして持ってくるとか、あるいはイエローケーキは日本に来てやるとか、いろいろなことがあると思うのですけれども、基本的な日本考え方というのはどうなんですか。
  258. 荒川英

    ○荒川説明員 原子燃料の安定確保から申しますと、先ほど先生の御指摘になりましたような石油の問題と同じようなことがございまして、したがいまして、やはり供給先としてはできるだけ分散して供給源の多角化ということをはかってまいることはもちろん大事でございます。それから、やはり自主的に確保する。この自主的確保にはいろいろな形があるかと思いますが、それはそのときの具体的な鉱山プロジェクトとの関係で個別にきめることだと思いますが、そういう自主的に原料を確保できるということをやはり基本線としてやってまいりたいというふうに思っております。
  259. 貝沼次郎

    貝沼委員 加工はどうでありますか。
  260. 荒川英

    ○荒川説明員 燃料加工につきましては、現在やってはおるわけでございますが、まだ非常に日本企業の体質としては弱いわけでございます。これはやはりもっと強くしていくということがどうしても必要でございまして、このためのいろいろな税制、金融上の助成措置をさらにこれからも強めてまいりたいというふうに思っております。
  261. 貝沼次郎

    貝沼委員 いまのやっているというのは、日本の国でイエローケーキをつくっているのですか。それをこれから強くしていくということですか。
  262. 荒川英

    ○荒川説明員 燃料を最終的に加工する段階でございます。濃縮ウランではございません。
  263. 貝沼次郎

    貝沼委員 イエローケーキはどこでつくりますか。
  264. 武田康

    ○武田説明員 お答え申し上げます。  先ほどエネルギー政策課長から加工とお答え申し上げましたのは、最終の燃料体を加工するということでございます。
  265. 貝沼次郎

    貝沼委員 そうしますと、濃縮ウランをつくるわけですよね。たとえば酸化ウランをとってきて、それでもって濃縮しますね。そしてイエローケーキをつくりますね。この工程はどこの国でやりますか。
  266. 武田康

    ○武田説明員 濃縮ウランをつくる過程につきましては、現在のところアメリカのAECに賃加工を委託してやっております。
  267. 貝沼次郎

    貝沼委員 将来もこれはその産地の、鉱山のある国ですね、要するにとれる国、その国でイエローケーキをつくったものを、日本はそれを購入していく、こういう姿勢をとっていくのか、それとも日本でイエローケーキをつくるという姿勢をとろうとするのか、この点はいかがですか。
  268. 武田康

    ○武田説明員 御承知のとおり、また先ほど先生からお話がございましたとおり、日本の中では鉱石はほとんど出ないというのが現状でございます。したがいまして鉱石は将来に向かいましてずっと外国で確保する必要がございます。したがいましてイエローケーキの形もそれが主体になる、ほとんど全部になるのではなかろうかと想像いたしております。
  269. 貝沼次郎

    貝沼委員 いまの答えは、ウランのとれた国で濃縮ウランをつくる、それを日本が購入するという形になるという意味ですか。
  270. 武田康

    ○武田説明員 お答え不十分であったようでございますので補足させていただきますが、濃縮ウランの形は、現在のところはアメリカから購入いたしておりますが、将来につきましては、たとえば国際共同事業であるとかそういうような構想を昨年来いろいろ議論されておるわけでございまして、また日本国内ではこれは原子力委員会が中心になりまして、動燃事業団等でいろいろ技術開発をいたしておるわけでございます。したがいまして、そういったいろいろな可能性を組み合わせまして、何が最もいい形であるかということを原子力委員会が中心になりましていろいろ検討しているのでございますし、また、総合エネルギー調査会におきましても同じような検討を今後も続けることになる。その結果によりまして、将来の方向がはっきりしてまいるということでございます。
  271. 貝沼次郎

    貝沼委員 ぼくはこの問題は非常に大事な問題だと思うのです。これがどっちになるかによって、たとえばさっきから自主開発とかあるいはいろいろ言っていますけれども、この方法ががらっと変わってくるわけですね。だからこの基本的な点、まあそれはいろいろ政治的な問題があることはわかりますよ。濃縮するということはすなわち核兵器に関係するとかいろいろあるわけですけれども、それはそれとしてまた議論は別なんですけれども、とにかくその辺の基本的な考え方がちゃんとできておらないと、幾ら自主開発だ、あるいはたくさんの国に分けてこれを購入していくというふうに言ってみても、じゃ具体的にそれならばどこの国を一応対象に考えておりますか、目ぼしいものとして。幾つかに分けるというわけですが……。
  272. 武田康

    ○武田説明員 御指摘のとおり、非常に将来のために重要なことでございます。鉱石の場合と濃縮の場合と両方いろいろ態様も少し違っておりますけれども、たとえばアメリカ、たとえばフランス、あるいは鉱石についていいますと、カナダとかオーストラリアいろいろな国からいろいろな提案があるわけであります。そういった諸事情をいろいろ考えながら、先ほど申し上げましたような組織でその具体的な検討を詰めてまいりまして、その結果どういう方向に進むかというてとがはっきりしてまいるということでございます。現在の段階はそういう検討をそういう機関が中心になって続けているわけでございます。
  273. 貝沼次郎

    貝沼委員 そうしますと、とにかくそれは非常にむずかしい問題である、検討中であるということですから、しばらくの間何年間かはとにかくイエローケーキをそのまま日本が購入する形をもって原子力発電は進められていく、こういう意味でありますか。
  274. 武田康

    ○武田説明員 当分の間は外国で鉱石を取得し、それをアメリカに送りまして、アメリカで濃縮してもらって、その製品を日本に持ってまいる、そこで燃料にする、そういう体制が当分の間は続くと思います。
  275. 貝沼次郎

    貝沼委員 ちょっといまはっきりしないところがありましたが、アメリカに送るというのは、よその国のものも全部アメリカへ送って、それで日本へ持ってくるということですか、日本が買ってきたのをまたアメリカに送って、濃縮ウランにしてもらって、それを日本に持ってくるということですか、どっちですか。
  276. 武田康

    ○武田説明員 鉱石は日本が買いまして、それをアメリカで濃縮してもらって、濃縮ウランになったものを日本に送ってくる、それが大半であるということであります。
  277. 貝沼次郎

    貝沼委員 その鉱石のとれる国で濃縮できる国はないからそういうふうにするわけですか、それとも、あるけれども、アメリカまで持っていかなければならないという何かがあってそうするわけですか、どっちなんですか。
  278. 武田康

    ○武田説明員 現在のところ、濃縮の賃加工を頼める国がアメリカのみでございますので、したがいまして、濃縮ウランの形の取得は、現在のところ、AECに依頼するということになっているわけでございます。
  279. 貝沼次郎

    貝沼委員 大体そういうふうに燃料のほうはいわば非常に窮屈な形になっているわけですね。ところが、先ほどから言っておりますように、昭和六十年のときは、これはもう膨大な原子力発電が実はでき上がっておらなければならない。バラ色の日本ができあがるために必要なわけです。そこで私は、はたしてこれができるのかどうかということで実は疑問であったわけです。ところが、努力をして一生懸命やるというのですから、やるならば、それだけのちゃんと根拠があってやるのだろうと思ったら、案外抜けているところがかなりあるということですね。  そこで、ただエネルギーが必要であるから原子力発電をすればいいという単純なものではなくて、私は、先どから話が出ておりますように、それに伴って心配されることは、公害問題があるわけですね。この公害問題は、通産省の公益事業局のこの書類によりますと、要するに、ないということが書いてあるわけですけれども、このパンフレットに書いてあるように、公害はほんとうに何もないのでしょうか。
  280. 武田康

    ○武田説明員 いわゆる公害基本法その他で定められております公害問題と離れまして、原子力のほうは放射能の問題がございます。この辺につきましては、原子炉等規制法に基づきまして、原子力委員会が中心になり、科学技術庁等が中心になられまして、厳重な規制をいたしております。  あともう一つ、公害対策の関係で共通問題として考えられますのは、温排水の問題でございます。温排水の問題につきましては、海面の温度の上昇につきましても水質汚濁の一つということになっておりますので、その関係ではある意味の公害問題があり得るということでございます。   〔「公害はあるよ。」と呼ぶ者あり〕
  281. 貝沼次郎

    貝沼委員 いまも声が出ておりましたけれども、私は、公害はあると思うのです。それで、例をあげましょう。これはきょうの新聞ですね、先ほどからも話が出ておりましたけれども、茨城県東海村の日本原子力研究所東海研究所で問題が起こっておりますね、これは科学技術庁よく知っていると思います。それからさらに、北海道水産部が調査した結果がきょうの新聞に出ております。これは確かに私は公害だと思うのですけれども、これについての科学技術庁の見解はどうですか。
  282. 大坂保男

    ○大坂説明員 ただいま先生指摘の東海村の廃液の漏れにつきましては、不注意に基づくものとは申しながらはなはだ遺憾に思っております。  内容は、すでに先生御承知のように、ホットラボから廃液を三・三立米ほど廃液処理場にパイプで流すにあたりまして、関係のないJRR2の前にございますバルブが若干ゆるんでおったためにそこから流れ出たということでございますが、幸い人的、物的損害はございませんでしたけれども、そういう事故が起きたということ自体が問題だということで、きのう原研の責任者に対し厳重な注意を与えたわけでございますが、ただ、原研のために一言説明申し上げますと、バルブの使用いたしましたといいますか、最終的な点検をいたしましたのが四月の七日でございまして、それ以降使用いたしておりませんので、どうしてそれがゆるんだのか、その辺につきましてはさらに調査をいたしておりますけれども、点検は十分行なったと聞いておりますので、全くの不注意によるものというわけではないかと思いますが、いずれにしましても、そういう事故の起きましたことははなはだ申しわけなく思っております。  それから、北海道の水産部が発表いたしましたと称する新聞記事でございますけれども、その内容は若干不審な点もございますので、現在、水産庁あるいは北海道関係に照会いたしている次第でございまして、内容はよくわかっておりません。
  283. 貝沼次郎

    貝沼委員 いまいろいろ話がありましたけれども、うっかりしておる。うっかりしたことが公害につながってもらっちゃあ実は困るんでありまして、人間ですからうっかりすることがあろうかと思いますけれども、たとえそういうようなうっかりする人がおっても、ちゃんとそれが防がれていくように設備がなされていなければならないはずですね。そうでなければほんとうの保安というものは私は確保されていないと思うのです。あるいはだれかが入ってバルブをゆるめたんじゃないですか。四十五度ですか、何かちょっと書いてありますけれども、そのだれかが入れるような体制そのものも問題であるし、しかもいま政府がこうして昭和六十年を目ざして原子力発電が必要だというふうなことを一生懸命言っているときに、こういったことが起こるということは、いよいよ原子力発電そのものに対して、どうもこれはあぶない、やっぱりもう一回確めて、あるいはそう急がなくとももうしばらく研究をしてから発電したほうがいいんじゃないかと地元の人が思うのは、私は当然だと思うのです。  そこで、一つの保安管理の問題もあると思いますし、あるいは公害が起きないための設備ということもあると思いますけれども、いまつくられようとする原子力発電所、そういうものについては、こういうことは今後あり得ないと考えますか、場合によってはあり得ると考えますか。
  284. 大坂保男

    ○大坂説明員 ただいま先生のおことばのとおり、うっかりでもいかぬということで、その原研の件につきましては、使用してない期間中は完全に他人がいたずらしても開かないようにロックするというようなことを、昨日全部のバルブにつきまして行なったわけでございますけれども、原子力発電所の関係につきましても、設計面あるいは施設面におきましては、安全審査で厳重な審査をいたしまして、事故の発生することはないというふうに考えておりますが、ただ、全くその不注意によるものがない——事故というものに引っかかるようなものはおそらくは起こり得ないと思いますけれども、ただ、過去におきまして、原子力発電会社で、たとえば燃料を引き抜いたりする機械を棒でつついたとか、ほんとうに、ちょっと考えられないような不注意なことを行なって被曝をした例がございますので、そういう例がないように、安全教育、その他保安の関係で十分な留意をいたしておりますけれども、そういう事故とか、あるいは原子力損害というようなものにつながらないような微小な問題につきまして、絶対に起きないということは申し上げかねると思いますが、そういう不注意によるものでも起きないように、一そうの徹底をはかってまいりたいというふうに思います。
  285. 貝沼次郎

    貝沼委員 どうも不安げな答弁なので、それでは原子力発電をうんと奨励するということは、私は非常にむずかしいと思うのです。開発銀行総裁、先ほど阿部委員のほうから、一体銀行当局はしこういったことをわかっていてやっているのか、金を貸しさえすればいいというようなものじゃないぞという話がありましたけれども、こういうことだと思うのです。しかも、通産省のこのパンフレットは放射能障害はないということをはっきり、しかも堂々と出しておりますけれども、実はそうではなくて、専門家の集まっておる、たとえば原子力委員会の「原子力年報」、これによりましても、いろいろ書いてありますね。「近年の発電用原子炉の急速な増加に伴なって、濃縮廃液、雑固体等の放射性廃棄物は、今後多量に発生すると予測されるので、その適切な処理処分、および今後行なう必要のある研究開発等について、原子力局に設置された放射性固体廃棄物処理処分検討会は昨年度にひきつづき精力的な検討を進めており、近々報告書をまとめることとしている。」これはまだまとまっておらないですね。さらに、そのあと「原子力開発利用の一層の進展に応じて今後、放射性物質の食物連鎖、低放射線被ばくの影響などについて、さらに綿密な研究を推進し、適切な対策をとる必要がある。」こういうふうに指摘されておる。だから決して公害がないとか、そういうことは私は言えないと思うのです。  そこで通産省のほう、公害がないと書いてありますけれども、これはだいじょうぶですか、これちょっと違うのですけれども
  286. 武田康

    ○武田説明員 御指摘の廃棄物処理処分等につきましては、先生指摘のとおり、放射性固体廃棄物処理処分検討会でいろいろ検討しております。ただ、その結論が出ますまでの間につきましては、発電所のサイド内で厳重な管理のもとに保管をしておりますので、それが外部に影響を及ぼすことはないというわけでございます。  それからまた、放射性廃棄物以外の、発電所から外部に対して放射能が出るというような問題につきましては、これまた原子炉等規制法のきびしい規制のもとで厳重な管理をいたしております。その辺についても問題はない、こう考えております。
  287. 貝沼次郎

    貝沼委員 実はそういう管理をしておっても、きょうの新聞に出ておるように出ておるわけです、さらにこれだけではないのですね。先ほど、人的な被害がなかったので幸いであったというふうな話がありましたけれども、これは出ておるものを見ますと、たとえば「濃度は一ccあたり約〇・〇〇八マイクロキュリー。人体が摂取した場合、影響のある許容濃度の約十倍の濃さ」ですよ。これがたまたま当たらなかったからよかったようなものの、数字についてはこれは新聞の数字でありますから何もこれがすべて正しいと私は言いかねますけれども、かなりのものがとにかく出ておったと思うのですよ。そこでこういうような事件が事実あったわけでありますから、今後科学技術庁として、たとえば原子力発電機の開発というか、あるいはこういう公害が起きないための設備の開発というか、こういうものに対する研究というものはどういうふうに進めておられますか。
  288. 大坂保男

    ○大坂説明員 ただいまお話しの——その前に原研の事故に関しまして、新聞では許容量の十倍の濃度であるというふうに書いてございますが、これは私が御説明申し上げたものでございますけれども、許容量というものは、その場合におきましては全く人体に影響のない程度のものということでございますので、それの十倍であっても別に影響はないと申し上げてよろしいような濃度でございます。  それから、安全性の研究でございますけれども、先ほどから先生の御指摘のように、原子力の安全性につきましては、何か六十年度六千万キロワットの開発を目ざす場合におきましても、安全性の確保と環境の保全ということが最も大事であるという認識に立ちまして、研究開発をする必要があるということで、実は環境安全専門部会というものを原子力委員会の下に置きまして、徹底的に議論していただき、どういう研究をし、どういう開発をする、あるいはどういう心がまえでやっていくか、あるいはどういう規制をやるかというような問題につきまして討議してもらっているわけでありますけれども、本日その第二回目をやってもらったわけでございますが、そういうように今後研究、開発及び規制の方法につきまして、さらに万全を期していくというふうに考えておる次第でございます。
  289. 貝沼次郎

    貝沼委員 それで通産省の公害保安局のほうとしては、これについて何らかの関係はありますか。
  290. 島田春樹

    ○島田説明員 お答えいたします。  原子力公害の関係は、基本法の中に規定がございますように、これだけは公害基本法の関係から除かれておりまして、原子力関係法律の規制の関係で、保安、公害という部面をやっておりますので、私のほうでは直接は担当いたしておりません。
  291. 貝沼次郎

    貝沼委員 そうしますと、これは科学技術庁で全部原子力関係は責任持ってやるということになるのですか。
  292. 大坂保男

    ○大坂説明員 科学技術庁でやっておりますのは、原子炉の建設の申請がございますと、原子力委員会に設けられております原子炉安全専門審査会という三十人の権威者によって構成されております専門の機関でもって厳重な審査をいたしまして、その上で安全だという答申を得ますと、内閣総理大臣が許可いたします。そのとき同時に通産大臣の許可も出るわけでございますが、商業用の原子炉につきましては、それ以後の段階につきましては、たとえば設計及び工事方法の認可とか、あるいは検査等につきましては、通産省の監督によってやってまいりますし、それ以外の研究用の原子炉等につきましては科学技術庁で監督していくということでございますが、そのほか若干重複しておる点がございまして、保安規定の関係、その他の関係につきましては、科学技術庁も監督に参るというようなことで、通産省と科学技術庁とで共同して監督している次第でございます。
  293. 貝沼次郎

    貝沼委員 何かごちゃごちゃしているようですが、たとえばある発電所において事件が起きた、こう仮定しますね、その場合、責任は通産省ですか、科学技術庁ですか。
  294. 大坂保男

    ○大坂説明員 ただいま申しましたように、若干重複しておりますので、たとえば事故の起きましたときには原子力事業者からすみやかに科学技術庁及び通産省に報告がございまして、そして共同で調査し、前後措置を講ずるということになるかと思います。
  295. 貝沼次郎

    貝沼委員 その仕事はわかるのですけれども、責任の所在はどこにあるのですか。
  296. 大坂保男

    ○大坂説明員 その場合は両省にあるかと思います。
  297. 貝沼次郎

  298. 田中六助

    田中(六)政府委員 責任は政府全体にございますし、これはワンキャビネットでそういう事故が起きた場合には、内閣が全責任を負うべきでございますが、当面、やはりこれは共管でございますので、別に責任のなすり合いという意味じゃなくて、両方に責任があるというふうに事務当局は言っているのだと思いますが、私は、これは政府そのものの責任だというふうに思っております。
  299. 貝沼次郎

    貝沼委員 政務次官政務次官大蔵政務次官ですけれども政府委員ですから、私は政務次官にお願いしたいのですけれども、これは議題にしてちゃんと責任の所在というものをはっきりすべきだと私は思うのです。その点はいかがでしょうか。
  300. 田中六助

    田中(六)政府委員 私はここでどっちに責任があるということは言えないのですが……
  301. 貝沼次郎

    貝沼委員 いや、そうじゃない。議題にするかどうかだ。
  302. 田中六助

    田中(六)政府委員 もちろんこれは議題にしていいと思うのです。
  303. 貝沼次郎

    貝沼委員 そういうようなことで、まだ原子力発電の問題は、そのほかたとえば原子力発電に使った燃料の廃棄物、これを今度どこへ持っていくかとか、持っていく経路、こういうようなこともあります。それからさらに冷却水の問題で海水の温度が上がる。ただ温度が上がるだけで何にも変なものは流れるわけじゃありませんという説明をよく聞くのですけれども、たとえば温度が一度上がることによってノリなどが全滅してしまうということはあるわけでありますから、そういうようなところから漁業問題にずいぶん影響もあるわけであります。原子力発電がそうたいした害はあるものではありません、公害などおそらく心配する必要はありませんというような、こういう説明は政府のほうとしてやらないでいただきたいと思うのです。やはりはっきりと、現実はこういうものでありますということを国民に訴え、そしてその土地の人たちのコンセンサスを得るような方法でいかないと、私は原子力発電の実現というのは非常にむずかしいと思うのですけれども、この辺はいかがでしょうか。
  304. 武田康

    ○武田説明員 先ほど先生から御指摘ございました、当通産省がまとめました原子力発電の資料の中で、公害はないというような表現があるわけでございますが、そこは、実は私どもの説明の不足があるかと思いますが、放射能公害というようなものはない、こういうことでございます。もう一つ、いま御指摘のございました温排水が出まして、一度なり二度なり温度が上がった場合にノリ等が死滅をする場合がある、これまた当該地域の実情等にもよりますので一がいに言えませんが、先生指摘のようなことがあるわけでございます。現在それは漁業補償等の問題といたしまして、いままでのところ解決いたしておりますけれども、しかし、そういった影響等ができるだけ少なくなるような、あるいはできるだけ局限するような努力を今後私どもしていかなければいけないのではないかというふうに思っているわけでございます。
  305. 貝沼次郎

    貝沼委員 そういうことでありますから、開発銀行総裁、これは実は非常に意味深なものなんです。そこで、ここに原子力発電所をつくりたいからすぐ融資していただきたいといったら、それはもうかるというのでばんと出していくというやり方は、これは私はほんとうの日本の開発という立場から考えると、先ほどの阿部委員の話にありましたように、何もそんなに予備知識なくして金を貸すという、そういう態度ではなくて、やはり一たん金を出そうとする場合には、少なくともこれは開発なんですから、一つ政策金融なんですから、やはりチェックするだけの心がまえというものが開発銀行側にあってしかるべきではないか、こう私は思うのですが、この点はいかがでしょう。
  306. 石原周夫

    ○石原説明員 先ほど阿部委員の御質問にもお答え申し上げたわけでありますが、先ほど来いろいろお話がございますように、原子炉の安全審査につきましては、安全審査の専門委員会あるいは総理大臣の許可や、公益事業法に基づきます通産省の許可というものがございまして、それらにつきましてはおのおの専門家の御意見に基づきました決定をしておられるわけでありますから、そこら辺は十分われわれも確認をいたしました上でやっております。なお、そのほかに先ほど来お話がございましたような地元の問題あるいは漁業権などの補償の問題、そういう点につきましての見通しをちゃんとつけました上で融資をいたしているわけであります。  安全審査というような問題になりますと、これは技術的に非常に高度の知識を要するものでございますから、その内容に立ち入ってどうということになりますと、なかなかそこまでまいりかねる点がございますが、その安全審査の過程の問題あるいは許可の確認の問題、あるいは地元の補償の落ちつきの問題、そういう点は十分に見通しをつけました上で、私ども融資をいたしたいということは、お話のとおりであります。
  307. 貝沼次郎

    貝沼委員 それからもう一つ項目の中に、公害防止というのがカッコをしてずいぶんあります。この公害の防止の内容につきましては、先ほど幾つか具体的に話が出ておったようでありますけれども、たとえば重油脱硫装置というものはどんどんふやしていくという考え方を通産省は持っておるのか、それともなるべく低硫黄の原油を開発するという方向にむしろ持っていこうとするのか、この点はいかがですか。   〔委員長退席、山下(元)委員長代理着席〕
  308. 荒川英

    ○荒川説明員 主として亜硫酸ガス関係の公害防止関係のことかと思いますが、やはりいろいろな手段を併用していかなければいけないというふうに、結果的に考えます。低硫黄の原油をまずなるべく多く獲得する。それから入れてまいりましたものを重油脱硫で、製油段階でローサルファにするということもございます。それから火力発電等で排煙の段階で脱硫する。それから東京ガス等でやっておりますような、液化天然ガスを導入する。いろいろな方法で低硫黄関係の対策を併用していくというふうに考えております。
  309. 貝沼次郎

    貝沼委員 この問題も、突き詰めていきますと、低硫黄原油の開発ということが問題になってくるわけです。やはり硫黄の多いものを購入してきて、そうしてそれを脱硫して一生懸命金をかけるよりも、むしろ低硫黄の原油をちゃんと購入できるように自主開発するということが一番の問題になるわけです。ところが、その辺の計画が、通産省のいろいろな計画を見ましたけれども、まだまだ私はちょっと不備な点が多いのじゃないかという気がいたします。それからさらに煙突の話でありますが、たとえば、私の住んでおるところなどは、実は集合煙突がたくさんあるわけでありますけれども、これは高くなればそれだけ拡散が大きくなるから、したがって薄くなるであろう、こういう理論によるものでありますけれども、風はある一定の方向に吹くのであって、この煙突を中心にして風が一斉に四方八方に吹くということはまずないわけですね。まず片方から片方のほうに吹いていくというようなことから、煙突を幾ら高くしてもやはり出るものはある程度まとまってずっといくわけであります。そういうようなところから確かに煙突の下のものは、これはそういうガスはなくなる。しかし、遠くのほうでそれがやはりあるのです。だから、こういう公害の対策のやり方というのは、私はほんとうにちょっと問題なんですけれども、これは環境庁に聞かなくちゃぐあいが悪いと思うのですけれども、いずれにしてもきょうは私はそれはやりません。やりませんが、しかし、設備だけ整えばいいというのじゃなくて、その効果をもちゃんと指導しながら、しかもその煙突をつくったにもかかわらず今度はそのとおり、その工場なら工場できちんとやればいいのですけれども、やらない場合もあるのですね。私たちがこれを抜き打ちに調査に行きます。しかし、何か知らぬけれども、ある人の話によりますと、バルブが二つあって、だれかが来ると、ちゃんと公害設備のほうを倒して、そうでないときは別のほうへ倒してあるという話があるのです。確かに監視所みたいなものができていることは間違いない。きちんとできておる。  こういうようなところから、私はただ設備ができればいいというだけではなくて、それをほんとうに使って、そうしてその会社が積極的に公害対策をやっているかどうかという監督、これはどこでされているのですか、通産省でしょう。
  310. 島田春樹

    ○島田説明員 お答え申し上げます。  先生指摘のように、設備だけできましても、実際にそれを動かす工場の実際の動かし方が非常に問題でございます。また、それに取り組む企業の姿勢も非常に問題だと思います。御案内のように、規制の面につきましては、現在環境庁、都道府県知事ラインで各種の規制法ができておりますし、常時監視体制、その他規制につきましてはシビアな規制措置を講じているわけでございますが、それと一方それを実施する企業のほうでも十分それを自主的にやるような体制を整えなければならないと思います。したがいまして、これにつきましては、最終的には企業の心がまえ、認識の問題になりますが、ある程度それを担保する方法といたしまして、現在私どものほうでは特定工場の公害防止組織の整備に関する法律というのをつくりまして、ことしの九月から実施に入るわけでございますが、各工場にそれぞれ公害の施設あるいはオペレーションの関係、測定といった関係の責任者を専門の技術者をもって充てるといったような組織を法制で整備いたしまして、この監督は都道府県知事が行なうということで規制と合わせてございますが、そういったかっこうで企業みずからがそういう自主的に公害防止の管理をするという体制を整えるように現在指導しておるところでございます。
  311. 貝沼次郎

    貝沼委員 それはまた私も今後、私の近くにはたくさんのそういう工場がありますから、具体的な実例が幾つかあるのです。それをもってまた議論することとして、きょうはやりません。ただそういうようなものなんです。公害防止といっても、総裁にこういうことを知ってもらいたいから、私は言っておるのです。それ自体の議論なら公害のところへ行ってやればよろしいわけですね。  さらに開発銀行法そのものに関する問題でありますが、この補完的ということが先ほどから話になっておりますけれども、ある新聞報道によりますと、資金が余り過ぎて融資先をめぐって政府系と民間金融機関が衝突をしておるというような記事が出ておるわけでありますけれども、この点はどのようにお考えですか。
  312. 石原周夫

    ○石原説明員 先ほど申し上げましたように、民間金融機関で十分おやりになれる点は従来もいろいろな項目についていろいろな機会にそういう点の修正をいたしまして、こちら側の融資対象からはずす、あるいは融資率を落とす、対象を削るというようなことをやってきているわけでありまするが、金融が著しく緩慢になりました状況におきましては、そういうような一つの筋道の話とは別に、現実に個々の融資の面で市中金融機関との間に調整を要する問題が起こり得るわけであります。したがいまして、これは午前中にもお話を申し上げたわけでありまするが、私どものほうといたしましては、各個の融資の問題につきましておのおの関係の市中金融機関と御相談いたしまして、その点で摩擦が起こらないようにいたしております。これは本店におきましてもそうでございまするが、各支店ごとにそういうことをやっておるわけであります。  なお、今後とも十分にそういう点は気をつけまして、そういうような摩擦が起こりませんように注意をしてまいるつもりでございます。
  313. 貝沼次郎

    貝沼委員 それで、たとえば現在融資をしていきます、公害があるために公害の設備に融資をしたその先というものは、先ほど話が出ておりましたように、かなり大きな資本を持っている会社がまあ大部分であろうと思いますね。そういうようなところから、一たん融資をしますと、これは開銀の岡田さんの話として出ているのですが、一たん開銀融資をすると、その会社からいつまでも融資を続けてほしいと頼み込まれ、断わり切れないといった例がある、こういうようなことが載っておるのですけれども、こういう一たん融資したことが一つの例になって既得権的な考え方を持たれたら、ちょっと問題があるのじゃないかと思いますが、この点は総裁いかがでしょう。
  314. 石原周夫

    ○石原説明員 その新聞記事につきましては、私よく承知をいたしておりませんけれども融資をいたしておりますると、引き続き融資を受けたいと申しまするか、そういうような気持ちがある程度あるということは、これはやむを得ないのかもしれません。しかしながら、それはまた別の話でございまして、貝沼委員お話しのように、政府金融機関というものはやはり筋道を通した融資をいたしますというのが本来の筋でございまするから、そういうことのないようにいたしておりまするし、また今後とも気をつけてまいりたいと考えております。
  315. 貝沼次郎

    貝沼委員 大体これで終りたいと思いまするが、最後に要望だけ申し上げておきたいと思います。  日本開発銀行である以上、やはり一部の大企業の御用銀行になっては私はならないと思います。やはり根本的には日本の再開発というか、あるいは開銀法目的にあるように、この目的がきちっと達成される方向を根本的にしていかないといけないと思いますね。そういう面から見れば、きょうは話は出しませんでしたけれども、たとえば海運関係の問題であるとか、こういうのは相当の疑問があります。もっともっと手直しをしていいのではないかという感じがいたします。こういったことを特に今後注意されまして運営に当たっていただきたい。このことを要望いたします。
  316. 山下元利

    ○山下(元)委員長代理 次回は、来たる二十五日火曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することといたし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時八分散会