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1972-04-24 第68回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年四月二十四日(月曜日)     午後一時十五分開議  出席委員    委員長 鬼木勝利君    理事 神田  博君 理事 藏内 修治君    理事 岡田 利春君 理事 相沢 武彦君    理事 伊藤卯四郎君       安倍晋太郎君    金子 岩三君       古川 丈吉君    湊  徹郎君       山崎平八郎君    豊  永光君       綿貫 民輔君    細谷 治嘉君       松本 七郎君    土橋 一吉君  出席国務大臣         通商産業大臣  田中 角榮君  出席政府委員         通商産業政務次         官      稻村左近四郎君         通商産業省企業         局参事官    田中 芳秋君         通商産業省鉱山         石炭局長    莊   清君         通商産業省鉱山         石炭局石炭部長 青木 慎三君         労働省職業安定         局失業対策部長 桑原 敬一君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      徳田 博美君         通商産業省鉱岩         炭局石炭部産炭         地域振興課長  中井 富男君         通商産業省鉱岩         炭局石炭部鉱害         課長      後藤  宏君         自治省財政局財         政課長     近藤 隆之君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ————————————— 委員の異動 四月二十四日  辞任         補欠選任   阿部 文男君     古川 丈吉君   篠田 弘作君     湊  徹郎君   進藤 一馬君     安倍晋太郎君   菅波  茂君     綿貫 民輔君   三池  信君     豊  永光君   田代 文久君     土橋 一吉君 同日  辞任         補欠選任   安倍晋太郎君     進藤 一馬君   古川 丈吉君     阿部 文男君   湊  徹郎君     篠田 弘作君   豊  永光君     三池  信君   綿貫 民輔君     菅波  茂君   土橋 一吉君     田代 文久君     ————————————— 本日の会議に付した案件  臨時石炭鉱害復旧法等の一部を改正する法律案  (内閣提出第二三号)      ————◇—————
  2. 鬼木勝利

    ○鬼木委員長 これより会議を開きます。  臨時石炭鉱害復旧法等の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岡田利春君。
  3. 岡田利春

    岡田委員 初めに大臣に御質問いたしたいのは、先般来、体制委員会で、第五次政策について、特に需要の問題をめぐり各般のいろいろな反響を呼んでいることは、御承知のとおりであります。そこで、当委員会宮澤通産大臣から、第五次政策について正式に諮問をしなければならない、こういう角度答弁であり、正式に諮問がなされ、その後田中通産大臣からも、第五次政策は、今後石炭の長期安定の見通しを持った答申を期待したい、また、そういう政策を、答申を受けて立てなければならない、こういう決意が述べられたわけです。しかるに、先般、体制委員会で、昭和五十年度の規模を二千万トンを下回らないようということが決議されたことは、御承知のとおりであります。しかし、第五次政策は、その初年度昭和四十八年度とするわけでありまして、当委員会大臣答弁等分析をいたしますと、第五次政策は、最低五年間の政策答申を受ける、そして、それがさらに五年ないし十年のある程度の展望をも考えながら、そういう五カ年の第五次政策答申を受けるんだ、こういう答弁であるように私は理解をいたしておるわけであります。  いま体制委員会で審議をされておりますが、いま私が述べた趣旨については、大臣もそのようにお考えになっておるかどうか、この機会に明らかにしていただきたいと思う次第です。
  4. 田中角榮

    田中国務大臣 まあ、五十年、石炭業界は、二千七百万トンないし八百万トンということでございますが、しかし、需要は千五百万トン程度ということでありますので、いろいろ検討した結果、五十年に二千万トンを下らないということを私自身考え、その意思を通じたわけでございますから、そうすれば、当然五十年度以降二千万トンは確保しなければならないし、確保するだけではなく、それを消費してバランスをとるということになるわけでございます。  石炭というものを考えてみますと、千五百万トンと二千万トンとの差額の五百万トンは、いろいろ考えてみましたが、たかないという九電力にたかせようということ自体がやはりむずかしいような気がいたします。だから結局は、その五百万トン石炭をたいて、たくことによってそれなりのメリットのあるたき方ということを考えれば、まあやはり電源開発会社石炭専焼火力というものを九州及び北海道に一つずつ設けるとすれば、二百五十万トンずつたけないわけではありません。二、三百万トンたくというようなつもりでそういう火力発電所をつくることが最も望ましいということまで考え考え考えた末、二千万トンを下らないという数字をきめてもらったわけでありますから、これはやはり確保しなければならない——ということよりも、二千万トン以上たくということが前提になっておるということとお考えいただきたいと思います。
  5. 岡田利春

    岡田委員 いまお聞きしておりますのは、昭和四十八年度を初年度として、今度の政策最低五カ年間の政策答申を受けるんだ、こういうことでよろしいですか。
  6. 田中角榮

    田中国務大臣 いま御指摘になりましたように、もう最低五カ年ということでございますから、五カ年以上は、五十年以降に対しても、私がいま申し上げたような二千万トンということをめどにして対策を立てなければいけない、そういうふうに理解しております。
  7. 岡田利春

    岡田委員 五十年というのは、三カ年なわけです、四十八年度から……。
  8. 田中角榮

    田中国務大臣 以後もずっとです。
  9. 岡田利春

    岡田委員 したがって五カ年というのは、昭和五十年度それ以降についてもという意味だ、よろしいですね。  次にお伺いいたしたいのは、第四次政策というのは、三千六百万トン程度昭和四十八年度の出炭を見込み、労務者十一万人を見込んでおりましたけれども、大なだれ閉山が続いて、今日極端にその生産規模が縮小いたしているわけです。しかし、第一次から第四次にわたる政策背景と、いま第五次政策を討議している背景は、大きく情勢が変わっておるのではないか、私はこう実は判断をいたしているわけです。と言いますのは、国際的に見てはエネルギーの不足、価格は絶対下がることはない、毎年上がっていく傾向にある、これが六〇年代と七〇年代の大きな違いであろうと思うわけです。そういう観点から国内資源を一体どう確保するのか、極端な過疎化現象の進展をどのように食いとめていくのか、こういう問題等を勘案してこれからの政策を立ててまいらなければならないと私は思うわけです。  その場合に、国際的に見ますと、ヨーロッパ三国の石炭をささえておる努力が、国際的な石炭需給バランスやあるいは価格動向について大きな作用をいたしておると私は受けとめておるわけです。もしヨーロッパ西ドイツイギリスフランス三国がわが国のように大なだれ、急速な閉山をし、規模を縮小したとすれば、これは当然米炭にたよらざるを得ないわけですから、その点でわが国米炭の確保並びに価格動向にも悪影響を与える、そういう連帯性を国際的に持っておるものと理解をいたしておるわけです。  そこで、政策の方向としては、当然、従来もそうでありましたけれども、特に私企業である西ドイツ政策、こういうものが十分参考にされてまいりましたし、今後も参考にされていかなければならないのではなかろうか、そういう点を十分踏まえて今後の石炭政策考えてまいらなければならない、こう判断をいたしているわけです。  そういたしますと、原料炭は、御承知のように、今年度不況で昨年よりも若干低下ぎみだ、こういっても、五千万トン近い原料炭輸入をいたすわけです。国内生産と合わせて実に六千万トン原料炭鉄鋼ユーザー消費をするわけです。この数字は、今後上がっても下がることはないわけです。多少停滞はするでしょう。しかし、下がることはないわけです。そのうち、いまわが国原料炭は二〇%を占めておる。国内生産は二〇%を占めておるわけです。私は、このように考えてまいりますと、本来、石炭政策財源というのは、輸入原料炭あるいは重油もしくは暖房用に供する灯油、こういうものが石炭政策財源であるべきが正しいと思うのです。しかし、関税方式わが国はとりましたから、結局、ガソリンにもナフサにも、そういうものにも税金を賦課して財源石炭が確保しておるというところが、結果的にいろいろ問題が指摘されておるのではないか、こう私は受けとめておるわけです。しかし、西ドイツでは、もし原料炭を七百五十万トン以上輸入する場合には、トン千六百円の関税割り当てを行なっておる。わが国は、これは関税割り当てを行なっていないわけです。だから、もしこの原料炭をわれわれがささえていくという場合に、一〇%程度関税——千二百万トンなら千二百万トン国内生産に見合う分までは無関税、それを上回る分は一〇%の関税をかける。今日、銅の場合でも一〇%を暫定関税としてかけて、それを財源として銅鉱山に対する政策をとっておるわけです。そういたしますと、その財源だけでも、二〇%の国内原料炭鉄鋼が引き取っても、これを価格差がたとえばトン二千円あるとしても、その補給は十分できる。いわばその程度原料炭引き取りを義務づけをすることも可能ではないか、そういう積極的な姿勢に立たなければ石炭政策は成り立たないのではないのか、こう実は考えておるわけです。  あるいは電力の場合を調べてまいりますと、最近油がずっと上がってまいりました。北電カロリー当たり四十九銭、重油は、当然内陸でありますから、八十銭。九州電力の場合には、石炭が六十七銭、これに対して重油が六十九銭。揚げ地は、石炭が九十四銭に対して、重油は七十二銭。非常に接近しているわけです。これをトータルで見ますと、九電力がたいておる油の値段石炭値段カロリー当たりで見ますと、ほとんど差がなくなってきている。石炭政策でささえておりますから。だから、カロリー価格では、もうトータルで受けとめれば問題はなくなってきている、こう申し上げても実は差しつかえないわけです。ただし、石炭をたく場合には、一〇%ないし一五%の貯炭場あるいは灰捨てのデメリット分がございます。もし電力に対して石炭引き取りを義務づける考え方に立つならば、第一次答申のように、重油消費税千円かけたのだというような観点カロリー差、これを補給する、そうしてデメリット分についても補給する、こういう立場に立って十電力トータルして計算すると、たいした財源にはならないわけです。  ドイツでは、御承知のように、油と石炭はフィフティー・フィフティーにたきなさい、油と石炭価格差は補給するという、石炭引き取りの義務づけを行なっておるわけです。問題は石炭政策の立て方にあると私は思うわけです。九州はハイサルファの炭はございますけれども、北海道の場合には、サルファ一%ないし〇・四%という非常に低いサルファエネルギーであるわけです、石炭は。ですから私は二千万トンというのは一体何ぞやという疑問を非常に持っているわけなんです。そして二千万トンというのは、北電が言うように五千カロリー以下の炭だけを供給してくれ、こういう芸当がはたしてできるのであろうか、私は専門的に検討して非常に多くの問題があると思うのです。ですから、私の試算によれば、大体二千三百万トンないし二千五百万トン程度石炭を確保して、そのうち五五%は原料炭である、原料炭は行き先はきまっている、そして残った一般炭炭種別に配分してこの関係を調整しないと、産炭消費構造というものは成り立たないであろうというのが、私の判断なわけです。そういう私自身基礎的な分析に立って、二千万トンとは何ぞやということで、私自身非常に疑問に思っているわけです。  要は、従来の発想をこの機会に第五次政策には展開してもう一度考えてみる、こういうことがなければ、大臣が言う、ほんとうに間違いのない最終的な石炭政策だといわれる第五次政策を立てることはむずかしいのではないか、こう私は判断をいたしておるのでありますけれども、この機会大臣の所見を承っておきたいと思います。
  10. 田中角榮

    田中国務大臣 第五次は、三月の末に答申をしてもらうつもりが、三月の末に決議だけいただいて、引き続いて検討していただいておる。それだけむずかしいのです。ですから、石炭産業が二千八百万トン掘って、そしてそれに見合う需要は一体どうか。千五百万トンしかない。それで、決議原案では、ほぼ二千万トンということであったわけですが、ほぼ二千万トンというと、千五百万トンないし二千五百万トンということになって、千五百万トンもほぼに入ってしまう。それではもう縮小にいく以外にないから、やはり、二千万トンを下らないというところにかんぬきを一つ入れようという、政策的な態度をそこに示したわけです。ですから、これは珍しいことをやったわけです。いずれにしても、その決議をやるときに、大臣意向として、通産省の意向として、二千万トンを下らない、二千万トン以上、そのかわりに千五百万トンから二千万トンの間の五百万トンは引き受けますと、こういうように言ったのですから、これ以上は無理なんです。実際それは、あなたの言うように二千五百万トン、三千万トンでも、これはちゃんとして五次の最終的なものとして考えられるじゃないか、確かに考えられるのです。考えられますが、それはもうすでに、一次エネルギーの中で、昭和三十七年には二八・七%もあった石炭の地位が、四十五年度では八・一%に下がっておる。しかも石炭鉱山というもの自体露天掘りが見つかったとか、あるいは機械化を非常に行なうためにこの鉱山はペイして、今度配当がちゃんとできるんですという見込みがあればいいんですが、そうじゃないでしょう。とにかく、月間継続するには、一億ずつ赤字が出る。赤字が出ないにしても、無収益でやっと維持するんです。そういう状態において、三千万トン掘る、三千五百万トン掘ろうといっても、これはなかなかむずかしい。しかも原料炭の場合で見ると、輸入炭京浜埠頭渡しトン当たり五千三百三十円であり、国内炭のそれは七千百円で、千七百七十円安く入ります。しかも炭鉱事故等の災害その他いろいろな問題が起こるし、日本においては、構造上、露天掘りをやるようなことはむずかしい。これはあなたがいま述べられたように、西ドイツとか、フランスとかイギリスとかいう立場をなぜ日本がとらないのかというのは、西ドイツやイタリアやイギリス石炭をたかしている、石炭エネルギーとして使っておるものと、日本はすべてを外国から持ち込んできておる、そういう状態において、無制限——無制限というよりも、需要が千五百万トンしかないものを、その倍の三千万トン日本でたかせよう、エネルギーとして使わせようとすると、政策的にも相当な無理が起こってくる。ですから私どもは、四十六年度は三千三百万トン、四十七年度は二千八百万トンという生産量を二、三年のうちにがたっと千五百万トンにはとても下げられない。  この間参議院でも、千五百万になると人間は幾ら減るんですかとの質問に、事務当局は、何か考えておったんでしょう、二万に減りますと、こう言ったものだから、四万人おったものが二万人に減るとはたいへんなことだというので問題になりましたが、これは取り消しましたけれども、そんなには減りません。減らないようにいたします。  こういう状態でございますから、私も前に、二十四、五年この石炭はずっと研究もしてまいりましたし、勉強もしてきたんですが、どうもなかなか政策をやっても、政策には限界がある。それで、私はアメリカへ行っていろんなことを調べてみましたが、やはり露天掘りと斜坑や縦掘りとの相違ですから、石炭国管の問題が起こった当時から考えれば、十倍も一人当たり出炭量がふえておって、それでなお配当ができないという状態ですから、そういう意味から考えると、新しい事態がくれば別ですけれども、いまの事態、第五次政策として考えるのは、やはり二千万トンかんぬきを入れて、そしてやはり掘る人もちゃんと安心をして掘れるようなこと以外にはどうも考えられない。これで四月から引き続いて検討してもらっておりますし、私に対して三月三十一日に出たのは決議だけですから、答申は正式にはもらうわけでございますが、あなたの言うように、全然新しい視野の立場角度から、石炭日本エネルギーの中において、このエネルギーの量はどんどん多くなってきますから、八・八%というウエートにかんぬきを入れて、二千万トンにはなりません、もっと大きくなりますとおっしゃる理屈はわかりますが、しかし、なかなか政策的にはむずかしい。私は長いこと考えておったが、むずかしい。だから、二千万トンというものを、また一年たったら千八百万トンになりましたというふうには絶対にしないように、具体的な政策を肉づけしよう、これが一番ではないか、現在のところ、そう思っています。
  11. 岡田利春

    岡田委員 日本石炭政策をやる場合には、アメリカとか豪州を見ても参考にならない。やはり同じ坑内掘りの、しかも坑内条件がなおかついいヨーロッパ三国を見て、そこに視点を合わせなければ、わが国石炭政策は成り立たないわけです。御存じのように、フランスの場合はわが国とほぼ同じような出炭規模でなおかつ二千五百万トンを維持するという政策をとっておりましたことは、大臣も御承知のとおりなわけです。ただ、大臣は、二千万トンと、こう言われているが、その二千万トン、もし私自身考え分析しますと、二千万トンのうち、原料炭は千百五十万トン強になるでしょう。そうすると一般炭は、煽石、無煙炭を除きますと、大体八百万トンちょっとでしょう。黙っておっても電力は百万トンをたくということになるわけです。それに一般ハウスコール及び産業用にたく石炭三百万トン、換言すれば、一般炭からすれば、ユーザーから出てきたほぼそれに合う計算になるわけです。そしてそのユーザー内容分析しますと、北電が二百二十万トン、ほしいのは五千カロリー以下ですよ。あとの電発分が五千六百カロリー程度のもの、できれば六千カロリー以上のものがほしい。数字が合わないわけです。結局、二千万トンのうち、原料炭輸入炭と含めて鉄鋼に押しつける。それで炭種構造が一体合うのか合わないのか、こういう私は分析をして、二千万トンとは何ぞやということの問いかけをいましているわけです。そういう意味で、この二千万トン考え方には非常に問題があるんだということをひとつ大臣は頭にきちっと入れておかないと、たいへんな問題を残す。火力発電所をつくる、つくらぬと、いま大臣が言われましたけれども、炭種構造から分析すれば、そうはならぬのじゃないか。そしてこの二千万トンというのは炭種構造からいえば、硬直化する内容である。弾力性をある程度持って望ましい出炭量は一体どうなのか、消費構造はどうなのか、しかも財源的にも消化のできるものということも考えなければいかぬでしょう。私は一応二千五百万トンと言いましたけれども、それは大体二千五百万トンに近いほうなのか、二千万トンに近いほうなのか、その辺にわが国のいま置かれている、これからコンパクトに政策としてささえられていく炭鉱炭種構造というものはあるんだということをぜひ理解をしておいていただきたい。必ずこれは私は問題になるということをいまから予言をいたしておきたい、こう思うわけです。  そこで、次に大臣にお伺いいたしたいのは、いま大臣は非常に外国炭を安いと言われているわけです。確かに安いわけです。しかし、単に、日本がいま豪州から、あるいはカナダから弱粘結を入手できるという面があるでしょうけれども、わが国鉄鋼業界が非常に大型高炉を築いたために、弦粘結の石炭を必要としている。バージニア州からパナマを通って入れている船舶を限定されて、そして来るという条件になる。もし、国際的にヨーロッパもこれに目をつけるとすれば、この供給は不安定におちいることは間違いない。私の専門家筋分析等から判断するところによれば、バージニア州の強粘結、特に最も製鉄の塩といわれる強粘結は、実収炭量三億トンともいわれているわけです。アメリカは六億トン石炭——五億トンをこえる石炭生産しているわけですが、三億トンというのは、三千万トンずつ十年たけばなくなるわけですから、そういう動向も私は鉄鋼ユーザーは真剣に考えていると思うのです。だから、ヤクツーク炭田開発とか、供給の分散、できるだけ良質の炭をいまから確保するひそやかな努力が続けられておることは間違いないと見ておるわけです。そういう判断で私は先ほどから議論を述べておるわけですが、油の場合だって、いままではものすごいダンピングをしていましたが、関税をかけた。もしこれを石油消費税に直せば、価格差というのは解消に近いところに来ている。大体これはいま固定化すれば解消されていく傾向にあると私は判断しておるわけです。  そういう発想考えて、しかもいま一番大事なことは、これからは大型でなかなか閉山がしにくいということです。これだけ過疎化した中で、さらに閉山していくということはたいへんなことじゃないか、こう私は見ておるわけです。そういう点から考えても、三年間で数字的にもし二千万トンに減らすとすれば、今年は二千七百五十万トン、ですから七百五十万トンを二年間で減らさなければならぬ。そうすると、大体九百万トンを減らさなければならぬ。来年四百五十万トンつぶして、そうして昭和五十年には二千万トンにする、こういう数字になるのではないかと思うのです。この量は閉山のほうを上回るわけですから、四百五十万トン閉山が容易に行なわれると考えられておるかどうか。実際には四百五十万トンを四十八年、四十九年二年間に閉山しなければ、二千万トン生産需給構造が合わない。ここにも二千万トンというのが非常に無理がある、こういうことを指摘をしたいのでありますけれども、これは、四次政策の、三年間で二千万トン閉山したわけですけれども、これに次ぐ大規模閉山を続けなければならぬ。初めから四百五十万トンずつ二年間でつぶさなければ、昭和五十年には二千万トンにならないという意味である、こう理解しておるのですが、こういう閉山がスムーズにいくという自信が大臣ありますか。
  12. 田中角榮

    田中国務大臣 私は、個々の石炭山のことはよく知らないのです。知らないのですが、とにかく三千万トン近い出炭能力のあったものが、五十年になると千五百万トンしか需要がない。だから、それではたいへんなんです。あなたは二千万トンに縮めるのもたいへんだと言うのですが、千五百万トンに縮めるのはなおたいへんです。半分にしなければならないなのですから。これでは半分維持できるかどうかわからぬ。これから二年間か三年間で半分になるのだといったら、これはもうなくなるかもしれない。そんな不安定の中におるはずがありません。ですから、そうではなくて、二千八百万トンというもの——千五百万トンより需要がつく知恵がありそうなものじゃないか。千五百万トンにしなくたって、二千万トンにやればいいじゃないか。それは、昭和五十年には二百二十万トンまで減らすという九電力が、十万トンずつしょっても九十万トンしょえるじゃないか、二十万トンしょえれば百八十万トンしょえるじゃないか。それを二百二十万トンとは何だ、こういうことです。そういうことで、いずれにしても、いまからそれを割り振ったのではなかなかたいへんなんです。ですから、通産省は、いずれにしても三千万トン近いものを半分にはできない。だから、千五百万トンという需要に対して、よくわかりました、しかし、二千万トンかんぬきいたしましょう、そして二千万トン確保すべく努力いたします、こういう意味ですから、ことしはやはり二千七百五十万トン、二千七百五十万トンで五十年に二千万トン、七百五十万トン閉山を二年間でやらなければいけない。しかし、これは算術でして、そんなにうまくいくかどうかわからないのです。その場合には二千万トンでもってちゃんと確保できるとすれば、半年分の貯炭を持つのか、一年間の貯炭を持つのか、これはそんなに算術どおりにやらなくてもいいと思うのです。そういうことは、その意味答申を求めておるわけでございますし、長い間石炭山に対して施策が行なわれてきたわけでありますから、ことし幾ら、来年幾ら、どことどこの山だと言ったら、それは不安で、そんなことをすればほんとうに千五百万トン以下に減ってしまうかもしれない。ですから、二千万トンかんぬきを入れるのだということで、石炭政策に対しては政府も相当力を入れているということで、理解いただかなくちゃならぬかと思うのです。実際二年間で、ことしは三百五十万トン、来年は四百五十万トン、こうなりましたら、ほんとうに石炭山がなくなるかもわかりません、そういう整理のしかたで勘定しますと。そうではなく、いまの状態から考えてみても、やはり二千万トンかんぬきを入れる。石炭北海道九州なんです。常磐でもって温泉をやってみたって、また温泉もうぶれちゃった。そういうことではだめなんです。やはり北海道九州でどういうふうにして使うかということで二千万トンかんぬきを入れるということですから、私は合理的な答申がもらえると思いますし、合理的な答申をもらったら、また黙っているうちに二、三年間に千五百万トンにするのだというなら、私は千五百万トンでスタートしたほうがいいぞということを通産省事務当局にも言っております。二千万トンとして、そこにかんぬきを入れたら、政策的裏づけを持たなければいけない、こういう考えでございますから、そういうことでひとつお知恵もかしていただきたいし、御協力もいただきたい、こう思います。
  13. 岡田利春

    岡田委員 いまの大臣答弁の端々から聞きますと、昭和五十年度、すなわち昭和五十一年三月三十一日、五十年度末に二千万トン規模という意味なのか、五十年度二千万トンという意味なのか、これはずいぶん違いがあるわけです。一年間違うわけです。どちらの意味ですか。
  14. 田中角榮

    田中国務大臣 それはあなたも十分御承知のはずでございます。五十年度に石炭消費は幾らか、こういう調査をしましたら、これからだんだん減っていきまして、五十年には千五百万トンしか需要がありません。ですから、千五百万トンバランスをして決議をなさろうとしておりましたから、それでは通産省に石炭政策がないにひとしい、ここまで努力を続けてきたじゃありませんか、それでは困るから、二千万トンを下らない需要考えましょう、そこらを最後のかんぬきにしましょう、こう言ったわけでありまして、このままほうっておくと需要は千五百万トンしかないかもしれません。千五百万トンでもけっこうだ、自然淘汰するのだといえば、千五百万トンでなくて、千万トンにも五百万トンにもなってしまう。だから、そうではなく、五十年に千五百万トンという案に対して、ちゃんと二千万トン使うことを考え、そして二千万トン出炭されるというのですから、五十年からずっと二千万トンを維持しよう、こういう思想でございます。私の思想はあくまでそうであります。しかし、時代が変わってきて、半減すると予想された需要がまた起こるとか、いろいろなことになれば、それはそのときに変わるかもしれませんが、現時点では、五十年には千五百万トンしか需要がないということについて、こちらが通産省側の希望を述べたわけでございますから、また五十一年には千九百五十万トン、だんだん下げていってというなら——そんな考えじゃない。そういう考えなら、第五次か第六次か第七次というふうに、どうにもならなくなったときに、そういうことをまた検討されるかもしれぬが、そんなことにならないように二千万トンかんぬきを入れよう、こういう考え方です。
  15. 岡田利春

    岡田委員 大臣のいまの答弁ですが、問題は、大臣トータルでものごとを見て発言されておるわけですが、私は、分析すれば、大臣の言ったとおりにならぬと思うのです。そういう点で、この点を特に先ほど来指摘いたしておるわけです。  次にお伺いいたしたいのは、大臣はいま二千万トンというものを一応昭和五十年度に確保して、それをずっと継続的に維持していくのだ、こういう一応の仮説に立ってものごとを考えるという場合においても、いまの体制で閉山の処理をするということになれば、結局、閉山したあと始末をかぶらなければならない。かぶった山は、閉山の借金をしょってやらなければならないという私企業の宿命があるわけです。これを解決する方法を考えないで、たとえば計画的に閉山をするという場合であっても、石炭産業は安定しないのではないかと思います。たとえばA、B、C、Dと四つの山がある。二つ閉山をすると、その借金を全部かぶる。極端に言えば、ある一つの新鉱があとの借金をかぶってやれるか、そういう仕組みにならないと私は思うわけです。そうすると、その場合に、結局これを何らかの形でそれぞれ処理していく装置を考えない限り、今後の安定性のある石炭政策を確立することはむずかしいのではないか、これは避けられない道である、こう私は思うわけですが、大臣はいかがですか。
  16. 田中角榮

    田中国務大臣 いろいろなことが考えられ、言われておるわけでございますが、石炭企業というものを、どうするか、完全な私企業にしておけば、どんどん淘汰されていくわけでございます。これは自然淘汰するか、また強力に淘汰するかという問題、いろいろありますが、私企業なら当然そうなんですが、石炭の持つ立場石炭がかつて日本産業に与えた原動力、こういうものから見れば、一私企業として律するわけにはまいりません。もう一つは、石炭が国内エネルギーであって、すべてを外国から仰いでおる日本としては、石炭は自国で調達できる代表的なものである。そのためには、わずか百万トンの石油に対しても、石油資源開発株式会社をつくって、国が財政的な援助をしなければならないということさえしたのでありますから、石炭というものは、ただ高い、ペイしないというだけでもって片づけられるものではない。いずれにしても、自分のものを使うか、人からものを買って使うかであるから、自分のものを使えといっても、すべての経済原則を無視してはかかれないものである。だから、そういうような状態でいまの制度ができたわけでございますから、しかもこの制度については、審議会の御審議を願い、答申を願って今日までやってきたわけですから、この後やはり二千万トンというものを確保するということになると、なだれ現象を起こさないためにどうするか。しかも二千万トンを確保するためにいえば、魅力のない経営というものはだめだから、結局ちょうどこの間の三菱美唄のように、切り捨てるなら三分の一を切り捨てる。これをまたしょっていけば、かぶっていけば、必ず三年か五年生き延びるだけであって、全然どうにもならないじゃないかという事態を避けるために、切り捨てたらどうか。とにかく、石油というものは、上がっても石炭ほどは上がらないということになると、そうすれば、四万人という石炭の労働者は据え置きの賃金でおれるわけはないんだ、そうすれば、賃金が上がれば、一〇%ずつ上がっても、七年になれば倍になるわけですから、元利は倍になりますから、そうすると、七年後の石炭価格の中に占める人件費というものはどうなるんだ。それでは希望のないことになるから、せめてペイできるような、バランスがちゃんととれるような状態で切り捨てろということを言われるわけですが、そこまで通産省が、いま第五次の答申を受けておらないときに、やります——やらなければ困るということは私はわかりますよ。計算すればすぐわかるわけです。あまりむずかしい計算じゃないですから、これは算術計算ですから、わかりますが、まず二千万トン答申があったら、二千万トンに対して施策を考え、その過程でもってどうなるであろうというときに、いろいろな問題が考えられるわけです。これは切り捨てるといっても、担保になっておったり、いろいろなものがありますから、そういうものを切り捨てて別な処理の方法を考えるのか、これは会計上の問題ですから、会計処理の問題はそんなにむずかしい問題ではないと思いますが、しかし、いまここで通産省が、そういうものを切り捨てます、根本的な収支計算をして、同じ資本の中でそれだけ分離し、残りのものはペイできるようにいたしますということの答弁をいまできる立場にありません。しかし、これは答申が出てきて、先ほどあなたが指摘をしたように、そんなに算術的にはいきませんけれども、二千七百五十万トンから、四百万トン、来年は三百五十万トンつぶすのだ、あと二千万トン残るのだ、どこの会社が残るのだということは、いま申しませんけれども、しかし、それに近い話を、鉱山石炭局はいずれにしても持っておると思うのです。持っておらなくても、あしたからできるでしょう。こういうことになるんですから、そういう過程で検討すべき問題であるということで……そういたしますと、いまそれがよろしいと思いますとか、そういうことは通産省独自の立場では申し上げられない。これは審議会でいろいろ検討して、正式の答申が出なくても、こういう方向で検討しなければいけませんなというようなことは、全部出ておることです。あなたがいまお話しになっておるようなことは、一応過程において検討して今日まで来ておる問題ですから、もっと慎重な検討の上に結論が出きるべきである、こう思います。
  17. 岡田利春

    岡田委員 私は、まだそうした審議会というのはあれしておらないんで、審議会できまることは、事務当局考えだことが大体きまるのだという程度にしか、あまり信頼しておらないわけです。しかし、かつて石油業法をきめるときにずいぶん業界が反対をした。そこで、一手買い取り機関をつくろうということにしたら、さっさと解決して石油業法ができた、こういういきさつがあるわけです。たとえばいまの石炭特別会計法でも、輸入原料炭重油消費税、これによって同じ一千億を使うなら、その金でこのような財源のまかない方をしたならば、それは当然価格差の調整ができるわけです。価格差で調整して財源として使えるわけですから、同じお金を使っても、二重の効果を発揮するわけです。そういうもし発想をして、同じ財源を取るにしても、最もふさわしい財源の取り方に、七〇年代の情勢にあわせて切りかえていく、こうすれば、交付金を受けても同じことです。そうすると、一定量の石炭を高くても引き取ることも、消費税を取られることも、あるいは原料炭関税を取られることも、もはや同じことなんです。ですから、そういう意味では、財源の取り方を発想転換する。ある一定のものはたいてもいい。しかも電力の場合、私の試算では、昭和五十年になれば火力発電の総量の大体四%くらいになります。わずか四%くらいです。私の試算によればおそらくその程度でしょう。だから、そのことはそう重大な問題でもないわけです。そういう点をやはり考えて産業調整、産業全体の中で消化するという姿勢が私は非常に大切ではないかと思うわけであります。  時間がありませんから、最後にもう一つお伺いしておきますが、財源というのはやはり限界があると思うのです。これをふやす方法を積極的に考えてしかるべきじゃないのか。いま第一次、第二次、政府完全肩がわりをする場合にそれをやると、逃げるのじゃないかという意見がありますが、これは私もよく承知しております。しかし、単年度予算で見ると、山がなくならない限り、経営が縮小されても、肩がわり分は毎年政府が保証して返すわけです。そういうことになっておるわけですから、完全肩がわりにしても別に予算はふくらまないわけです。この問題は、担保が入っている——もちろん、工場財団的な担保は、炭鉱経営にとって必要なものであるから、これは別にしても、大手各社だけでも六百億程度近いものがある、こう言われておるわけです。したがって、これを単に野放しにやるのではなくて、すべて国の管理、経営規制もしているわけですから、よりこれを厳格に規制することによっていまの借金が軽くなるのではないか、財源をその分だけふやして使うことが可能ではないか、私はこう判断するわけです。だから、国がここまで石炭産業をキャプティブしているわけですから、管理しているわけですから、その管理の強化は大いに賛成です。強化をしながらそういう財源をふやして政策を転換する、こういうシステムも私は重要でなかろうかと思いますが、この点について最後に大臣の所見を承っておきたい。
  18. 田中角榮

    田中国務大臣 御指摘の問題は私どももよく理解しておりますが、これは、設備投資が要る、しかし担保がないから借り入れができないということではないのです。石炭鉱山が設備を必要とすれば、その道はある。これは貯炭融資というか、貯炭ではなく、とにかく売れないから、しようがないから、二カ月、三カ月の滞貨をして、滞貨融資ということでは、これは担保物件がないから、余力がないから——これは実際中小鉱の問題です。だから、そういうような問題に対しては、確かにいままでは国の税金が一番の優先権を有しており、そして民間のほうはだんだんと優先順位が悪かったというのではなく、石炭はもうどうせ国がこれほど肩入れしているのだから、国は担保を取らなくてもいいではないか、国が貸せるなら別だが、一般の民間の金融機関から融資をするなら、結局、担保の掛け目をもっと見てやるか何かしなければ、担保ははずしてやらなければみんな貸せないじゃないかというところに問題があるわけですから、私どももその問題は知っておりますが、しかし、石炭というのは、この第五次政策をやったら、これを機会に、もうそう国際的な情勢も変わりませんから、やはりちゃんとした日本石炭政策というものには限界をつけて断を下すべきだと思っております。そうでないと、石炭山を持っている人は、明治時代に、石炭山を持っていると言っていばっておったのが、このごろは逃げ回っておるということです。やったってさっぱりもうからぬということであります。月給は上がるのかといったら、月給は石油並みには確かに石炭山は上がらない、こういうことであって、しかも、民間産業に対しては最も厚い施策をして、しかも喜ばれない、こういうことであるなら、やっぱりそこに何か決断を下すべきである。あなた方はここで国有化しろということでありますが、自民党でも、一つの会社でやろうかなんという案を研究したこともあったが、さだかに結論を出すにはなかなかむずかしい、こういうことでありますから、私は、今度の二千万トンというものも、千五百万トンだと言ったら、そういうことを言ってきて、通産大臣の意見はないかと言う。非公式に、そういうような状態だったときに、二千万トンを下らないということが通産省の意向ですがと通じたのは、それなりに相当な決意を持って、五百万トンは通産省の鉱山石炭局がしょうのだ、こういうことで私も言ったわけですが、ここらでもうこの石炭問題に対しては何とか——みんなが避けて通れない。それで、ほんとうにきめ手になるようなことがないと、ただ時間の経過によってだんだんと安楽死していくというような政策は、私は必ずしもいい政策ではないと思います。だから、そういう意味で、あなたが御指摘になったような問題もありますし、私自身も研究している問題もあります。また、いろいろな方々が研究している問題もございますから、そういうようなものを全部爼上に乗っけて、この五次の答申ができましたら、日本石炭政策はこうであります、これは当分の間変わりませんというようなものを、こうして石炭特別委員会さえ持っていただいておるのでございますから、これにこたえるような責任のあるお答えをするようにいたしたい、こう思いますから、どうぞひとつそういう立場で御協力のほどをお願いいたします。
  19. 岡田利春

    岡田委員 時間がありませんから、私も石炭政策ついては一つの提言をいたしておりますが、今日の審議の経過、情勢の変化等も踏まえて、再度、これは党になるか個人になるか、具体的な政策をさらに提言してみたいと思います。この点、十分ひとつ御検討願いたいと思います。  と同時に、鉱害二法などがこの委員会で審議をされているのですが、これは十年間で鉱害を解消する。しかし、これからも残ると目される炭鉱は、鉱害ゼロと言っていいわけですよ。九州は離島、北海道は、別に産炭地域振興事業団の事務所もなければ実績もないわけですから、鉱害を絶ち切れるいわゆる産炭構造になる。だから、いま審議れておるのが、既存の鉱害を完全に十年間で処理できれば、今後多少残るかと思いますけれども、今後残る炭鉱というのは、すべて、九州は離島、それから北海道、これはほとんどがそうなわけです。鉱害ゼロの地帯で炭鉱が立地することになわけです。そういう意味でも、非常に条件、基盤が変わってきているのだという点で、なおかつ、国内のエネルギーを一体どうわれわれは一定量を確保するかということに疑問があると思いますので、そういう点を踏んまえましてひとつ今後検討していただきたいことを要請して、終わりたいと思います。
  20. 鬼木勝利

    ○鬼木委員長 相沢武彦君。
  21. 相沢武彦

    ○相沢委員 大臣に対しまして、提案されております臨時石炭鉱害復旧法のうちの改正につきまして最初お尋ねをしたいと思います。  この法律が施行されましてすでに二十年の年月が経過しておりまして、かなりの鉱害が復旧してまいりましたが、四十六年末においては、まだ全国で一千四百七十一億円にのぼる残存鉱害量を有しておりますし、さらに、四十四年度末の残存鉱害量調査の際に、その時点の価格で計算したその後九年間に発生すると予想されている鉱害量約三十八億円、これに加わるわけでありまして、今後、こういった残存鉱害量を十年間で完全に処理しようとするわけですが、年々工事費の上昇等も考えると、相当膨大な復旧事業量になる、約二倍くらいになるのではないかと試算されますが、はたしてこの十年間で完全に処理できるかどうか、また、それを処理するのに裏づける予算面、これが十分に確保されるかどうか、石炭石油会計がありますが、特に四十九年度以降どんな形になるだろうか、こういう点、鉱害復旧をしている地元では心配をしておる点でありますが、この点について十年間で完全に処理できる体制でやられるのか、また、その裏づけになる予算の確保ははたしてだいじょうぶかどうか、この点を大臣からこの際明確に御答弁をしていただきたいと思います。
  22. 田中角榮

    田中国務大臣 一千億をこえる鉱害が残っておりますが、これは十年にすれば年百億ということでございますから、それほどの大ごとではない、こういうことでございまして、やはり石炭のあと地整理というような鉱害問題は、できるだけ早く除去すべきでございます。今後十年間で新しく起こるというものは少ないのですから、それもあわせて十年間で完全に鉱害復旧を行なう自信があるということでありますから、御了承いただきたいと思います。
  23. 相沢武彦

    ○相沢委員 今回の改正で大きな柱になっております復旧不適地関係の処理についてでありますが、従来の方法では何とも手の打ちようのないものについて、これを適正な価格ということで補償しろということでございます。たいていの場合は無資力ですから、国が大部分を負担して、地方の若干の援助を受けて補助を行なうということで、最悪の放置という状態は解決したいという趣旨になっておりますが、この問題につきまして、地方自治体の長から同意や意見を求めるということになっておりますが、やはり何と言っても、一番被害者の意向が十分尊重されるかどうか、この点が非常に当事者としては心配しておるところでありまして、できれば法律の条文にこれをはっきり明示してほしいという声もあるのでございますが、もし明示しないで改正されるとするならば、運用面にあたって十分慎重な対処をしなければならない。この点について、関係者の方たちの憂慮がないように、この際明らかにしていただきたいと思います。
  24. 田中角榮

    田中国務大臣 これは、鉱害復旧の責任ある者にかわって行なおうというのでございますから、この制度そのものの精神が守らるべきことは言うまでもありません。しかも、不適地ということで本人の承諾が前提となり、また、町村長の意見も聞いてということでありますので、これはもう完全に法の精神が生かされる、こう理解していただいてけっこうです。これは率直に申しますと、いまどきのことで、人のやることに手を出して中途はんぱなことをしてうんととっちめられるということをやるなら、こんなことに手を出すはずがございません。そうじゃなくて、これは国がかわってやらなければいかぬという大前提に立ってこういう仕事をやるわけでございますから、これは被害者が泣き寝入りをするとか、被害者の意思が通らないとか反映しないとかいうことは、全く予想しておりません。
  25. 相沢武彦

    ○相沢委員 次に、産炭地振興という観点から、今後商工委員会で審議されます工業再配置促進法案についてお尋ねをしておきたいのですが、産炭地域は、これまで政府のいろいろな振興施策によりまして、特に九州関係はその効果がかなりあらわれたところもございますが、しかし、また一方では、第四次政策の欠陥があらわれて、特に北海道大型閉山が昨年から続いておる、こういったことで、この産炭地域にとりましては、工業再配置促進法が一体どういう形で運用されるのかということは、非常に関心の的であります。そういったことで、今後、この促進法の中の誘導地域に対して、産炭地域をこの誘導地域に指定するということが、これまで産炭地域振興事業団法によってかなり工業団地もできておりますし、また工業用水等の配備もできておりますので、最も優先して工業用地とすべきではないか、こういう声が一番強いわけでありまして、この点について、関係大臣として——事務当局から先日御答弁いただいておりますが、大臣からこの際明確に構想を述べていただきたいと思います。
  26. 田中角榮

    田中国務大臣 法律の条文上は明確な規定はございませんが、これはもう置く必要がないくらいに当然のことでございます。工業再配置も産炭地の振興も通産大臣が所管しておりますし、また工業再配置も産炭地域振興事業も一つの公団でやるわけでございます。いままでは産炭地振興といってもなかなかうまくいかなかったのですが、工業再配置という大方針が決定をしまして、工場再配置するといえば産炭地の振興が第一号になる、こういうことでございます。  これは、私は一つの例を申し上げたのですが、三菱美唄がつぶれたために八万人が四万人になって、やがて二万人になるとしたならば、この人たちの追跡調査をしてごらんなさい。どこへ一体行くのか。まあ一割くらいは札幌にとどまるかもしれませんが、その他はみんな東京へ出てくると仮定して計算をすると、移動者の大体五分の四ぐらいは社会保障の対象人口、こういう計算が成り立つわけです。事実は追跡調査しておりませんが、私は通産省でもって追跡調査をしなさいと言っている。それなら、四万人、六万人の人がそこに定着ができるということになれば、どれだけ財政的な援助をしてもいいじゃありませんか。国家予算の立場から見れば、その方が効率的であります。それが産炭地の振興であり工業再配置である。だから、この法律が通過したら、美唄を第一号に指定したいつもりであるが、これは私だけが簡単にこうしてでききるわけではございません。しかし、この法律を提案した精神はそういうものである。こういうことを申し上げたら、なるほど、立案者の意思は非常によくわかるし、急を要する法律であるということをよく御理解いただいたわけでありますが、ほんとうにそうなんです。産炭地域振興事業団だけではどうにもなりません。だから、三菱は、一カ月に一億ずつ損をすれば、二年で二十五億損をするのだから、二十五億で三菱の関係の中から工場を持ってきなさい、持ってきます、政府が誘導政策をしてくれることが前提であれば持ってきます、こう言うでしょう。住友またしかりでしょう。いままで議論しておって全然現に実現しなかったものが、ここでようやく芽をふこうとしておる。そういうことであって、工業再配置というのは、とにかく視野の狭いものではない。第二次産業の比率の、平準化ということを考えておるわけでございますから、広範なものではございますが、いずれにしても産炭地は第一になる。それはほんとうにそうであります。  ですから、そういう意味で、工業再配置というものと産炭地域振興というものに条文上というか明文はございませんが、当然のことである。農村工業導入促進法もございますが、そういうものをあわせてこれは行なわれるべきものであって、これはこの法律案が通ったら、期して待つべきものがある、こう考えております。
  27. 相沢武彦

    ○相沢委員 いまだいぶ大臣から効能書は承ったわけでございますが、これがいま大臣のおっしゃったように実践されて初めて実力大臣の裏づけができるわけであります。こう思うわけでありまして、ひとつ運用のほうで、いま大臣が述べたとおりの実現を見るように期待をいたしておきたいと思います。  そこで、さらにいまの大臣の御答弁を裏づけておきたいと思うのですが、産炭地域振興事業団を今度工業再配置・産炭地域振興公団に改組拡充するということでございますが、今後の石炭工業の育成を考えますと、ますますきびしい情勢になる。そういったことで、いま大臣がおっしゃったように、産炭地の振興の施策というものは今後ますます重大であり、早急に手を打たなければならない。したがって、この法案が成立後公団が実際に仕事を始める場合、産炭地域振興事業を予算的にも組織的にもさらに拡大充実していくということがあって初めてそれが実現されると思うのですが、この点、大臣のお考えを承っておきたいと思います。
  28. 田中角榮

    田中国務大臣 先ほど申し上げましたように、工業再配置というものは産炭地だけを意味したものでもない、産炭地はその中の一部分にすぎない、こういうことでありますが、しかし、百五十億の工業再配置の予算をもって十月一日に発足するわけであります。十月一日に発足して、あと半年間であります。平年度三百億ということでありますが、これは雪の中に入る降雪期を前に十月、十一月ということになれば、いまから一番ものになるのは産炭地でありますから、産炭地はいままで計画しているものに付加すればいいのですから、これは非常に効率的にいくわけであります。だから私も、いやしくも国務大臣の一人として、いいかげんなことは言いません。この法律案が通過すれば予ての一号として必要なものと考えておりますと言うには、それなりの理由があるし、またそれが一番効果的だと思うのです。ほんとうにもうそれを早くやらないと、一万人の人が移動するかどうかという問題ですから、これはもう移動するということになれば、一方においては、炭住はあくし、町はとにかくあくのだから、その人たちは全部住宅を求めておるわけでありますので、これはもう早く実施するということによって投資の効果というものはあるわけであります。そういう意味で、もう法律は通るものとして、通産省には、産炭地の材料、情報を全部集めておけ、そしてこれに対することしの百五十億の中からどういうふうに予算づけができるかとちゃんと考えておきなさい、こう言っておるのです。産炭地というのは、長い時間かかったけれども、鉱害復旧は実をあげたが、産炭地域の振興というものはさっぱり実効があがらなかったのが、今度工業再配置というのが出てきて初めて芽が出る、こういうふうに理解していただけば一番よくわかると思います。
  29. 相沢武彦

    ○相沢委員 これ以上宣伝文句のほうはお尋ねしなくてもけっこうだと思いますので、話を変えまして、過疎化現象の著しい産炭地域の場合は、いま合理化ということで国鉄、私鉄ともだんだん廃線計画が進んでいます。これがあまり進み過ぎると、企業の導入に関連して工業再配置の妨げになるのではないか、こういう点を考えるのです。この点について通産省として何らか手を打つ必要があると思うのですが、この点の検討は進められておりますか。
  30. 田中角榮

    田中国務大臣 御指摘の問題、起こっております。これは石炭鉱山だけでございません。製鉄等もそうですが、釜石港線などもそうです。そういう意味で、専用線的なものが、事業を縮小する、事業が行なわれなくなったために廃線する。そんなに早く廃線をする必要もないじゃないかということで、この産炭地というものをどう活用するかということがきまってから廃線すればいいじゃないか。御承知北海道でもって第一の線が廃線された。第二の線は青森の下北に行く線でありました。ところが、廃線をしてからまた新線を引くようになるから二、三年待ったらどうかと言ったら、下北半島は世に出つつあります。廃線計画もちょっとやめているわけであります。そういう意味で、朝令暮改式なことは、これはみな役所が違いますのでやりますが、やはり産炭地域には引き込み線、専用線はみな入っているわけです。石炭鉱山をやめれば、第一に無用の長物としてこれを除去しようということでありますが、単線でもキロ当たり一億も二億も、場合によると三億もかかるという鉄道ですかち、簡単に引きはがすということよりも、この鉄道は要らないのだ、ここはどうにもならないのだという結論が出るまで、半年や一年間レールをそのままにしておいて運行さえしなければ、場合によれば、運行は取りやめてもそのままレールをはがすこともないのです。まくら木を全部はがせば、まくら木は燃料にもならないという状態ですから、私は、やはりそういう鉄道というものとか、クレーン施設とか、いろいろなものがありますが、こういうものを全部スクラップとして撤去するということは非常に問題があろうと思います。これは工業用再配置をいま出しておりますから、そういう意味では歯どめをいたしておりますから、これを直ちに撤去するとかしないとかということは、一つの計画の上で処理をすべきであるというように私は考えております。
  31. 相沢武彦

    ○相沢委員 これは非常に重要な問題で、タイミングの問題もありまして、大臣、第一号が美唄にきまっておるというお話ですが、その他、線の全廃の問題が緊急課題になっている地域に対しても、早く歯どめになるように工業再配置の誘導のプラン等を、法律が通った時点で明らかになるように、あとのほうの分野についても早急に計画を進めていただきたいと思います。  次に、先日鉱業審議会が発表しました、昭和五十年度の石炭需要二千万トンを下らない程度ということの決議の問題で、若干重複するかもしれませんが、お尋ねしておきたいのですが、大臣は、かねてから、石炭政策というものは一年や二年で変更を要するものではなくて、少なくとも五年、十年後もこれでだいじょうぶだという対策でなくてはならないということをしきりに強調されましたが、そういった大臣の発言にもかかわらず、どうして石炭鉱業審議会が、五十年に限って、しかも単に需要量だけの決議を先に出されてしまったのか。これでは大臣のいままで言われていた、また、お考えになっていた意向とだいぶ食い違う、こう思うわけです。また、さきの政府答弁でも、現在の体制委員会の審議も五十年時点をめどにした対策考えているということでありましたけれども、これもまた大臣の御意向とだいぶ違うのじゃないかと思うのですけれども、この点については意思の疎通が欠けているのでしょうか。
  32. 田中角榮

    田中国務大臣 ですから、先ほど重要な発言をしておるのでございます。何とはなくさらっと述べておるようでございますが、相当勇気ある発言をしておる。石炭というのは、やはりこれは二十五年ぐらいやってきていますと、どこかでけじめをつけなければいかぬのだ。何とかいつまででもやっていけるのだという希望を持たせながら、実際は、経営者も市町村も労働者も家族も、みんな希望を持たないで、意地悪く言うと、これは長い歴史と伝統の中に育ったものだから、功績がうんとあるものだから、急激には整理できない、長い時間をかけて安楽死させるのだ、こういうものの考え方というのは、私は経済政策として必ずしも評価さるべきものではないと思っている。ですから、そういう意味で、石炭というものの位置を二千万トンなら二千万トンにきめたならば、これを二千五百万トン、三千万トンにふやせといっても、それは言うだけであって、現在の時点においてふやせるという理由づけはむずかしいと思うのです。戦争でも起こって、大量の石炭を運べなくなる、石油も運べなくなる。いやでも応でも石炭を掘らなければいかぬのだということになれば別でありますが、そういうことを予測しないで、世界の自由市場が動いておるという過程において、石炭というものを無制限にあげていくということは、言い得て可能なものではない。そうすれば、千五百万トンというのは激し過ぎるから、少なくとも二千万トンというものにかんぬきを入れよう。二千万トンに入れたら、通産省も相当な責任を持たなきゃならない。だから私は、そういう意味では、たとえば電力における石炭需要を急テンポに落とさないで、いままでどおりたかせればいいじゃないか、急転直下、七百万トン、五百九十万トン、四百万トン、三百万トン、二百万トン、これはひどいじゃないかという御意見もありますけれども、いまの時点においては石炭需要傾向はそういうものだと思うのです。石炭を二千万トンどうしてもというなら、やはり石炭専焼火力等を国がやればいい。それで本州縦貫の送電線に乗せて供給する体制を整えれば、ピーク時の発電としてちゃんとペイすることも可能になると思われます。そしてつくるのは、東京や大阪で石炭をたけといっても無理なんです。だから、石炭のできる北海道九州で、自分の庭からとれたものを——そうすれば、東京、大阪のように文句は言わぬから、そういうきちっとした、ちゃんとしたバランスのとれる政策の裏づけをもってやるべきである。それだけじゃなくて、やはり石炭の将来というものに対しても、きちっとした政策的な方向、裏づけということをきめて、五十年は二千万トンになっても、五十五年にはまた千万トンに減るのだというような、同じことを繰り返さないためには、しゃんとした計画を立てるべきであるということを、先ほど、あまりかどが立たないように申し上げたわけですが、これは相当責任のある立場だとやはり言っておかなければならぬことであるということで申し上げたわけであります。
  33. 相沢武彦

    ○相沢委員 いまの大臣の御答弁の中で、特に産炭地における石炭専焼火力の建設も考えてみなければならないという御発言、これは現地にとっては非常に一つの希望だろうと思いますし、また当然そういうふうに進めてほしいという声もあります。いまの御答弁から考えますと、要するに、今後の第五次政策を策定するにあたって、いろいろ策定のしかたがあると思うのですが、石炭をどう位置づけるのか、それから体制問題をどうするのか、そういったことと総合的に話を進めながら、大臣のおっしゃるように、五年、十年変わらない出炭、これが二千万トンという声が出てくるという行き方もあるでしょうし、今回の場合はぽかっと出炭量だけ二千万トンということで出ました。大臣のおっしゃるのは、それが出た以上は、それを維持できるだけの体制も、また需要も、政策考えるのだというお話で、考え方の相違といえばそういうことになるわけでありますけれども、今回の鉱業審業会が、ユーザー側の意見をべースにしまして、これじゃひど過ぎるから大体二千万トンというような考え方で発表をし、決議をしたということでは、第四次の政策の延長にすぎないのではないのか。また、せっかく数字が打ち出されたけれども、相当閉山が続くだろう、こういう心配をするのが当然であって、ですから、そうじゃないんだというからには、大臣相当覚悟をきめてこの決議を受けとめられていらっしゃるようでありますけれども、ほんとうに最終的な第五次政策の策定をしていただかなければならないと思うわけであります。  私はその話から続けまして、産炭地振興の問題と兼ね合わせてこの問題を考えたいのですが、五十年度に二千万トン程度ということになりますと、先ほど岡田委員からも話がありましたように、年三百万、四百万トン閉山が予想されるということでありますが、昨年閉山した住友奔別、歌志内の規模以上の山が三つも四つもつぶれてしまう、そういうことに相当するわけであります。なだれ閉山に拍車をかけるようなものだと思うわけです。大臣も御存じのように、閉山すれば、それに応じて離職者が職を求めて右往左往しなければならない。その数もおそらく一万人以上に波及するのではないか。そうなりますと、炭鉱市町村の崩壊も一そう深刻になってくる。大臣は、工業再配置を出して、とにかく産炭地を優先に誘導地域に指定してやっていくのだ、それで歯どめをするのだというお考えで、あまり深刻に受けとめられていないようなところもあると思うのですけれども、今後工業再配置の法律ができるからというだけでなくて、やはり現在ある炭鉱閉山するというその影響の大きさということを相当深刻に考えて、撤退策を明確なスケジュールのもとにやらなければならない。これはいろいろと問題点も起きると思うのです。私は前の宮澤通産大臣のときにも意見として申し上げたのですが、ある日突然に閉山して、それに対して阻止運動が起きる。条件闘争に変わって、結局は閉山になる。それから市町村が動いて企業の誘致を始める、その間に非常な影響が至るところに起きてくるということで、やはりある程度目安をつけて、政府に対して、これだけの援助等を願いたい、あと三年間なら三年間は持ちこたえる、その間に、地域の崩壊を防ぐだけの産炭地振興の施策を関係者で協議をして、対策を同時に進めていく、その間はどんなことがあったって閉山はしないという明確な政府の保証があれば、閉山の話が起きても——非常に心配される点は、そういった話が起きるとたちまち労働者が浮き足立って山からいなくなるということで、それは無理なんだという話を聞きましたけれども、やはり五十年度二千万トン程度という出炭規模が、どうしてもそれ以上動かすことができないんだということになるならば、やはりいま言ったように全部の石炭企業についてある程度総点検をして、可採炭量、または収支の状況等を、個別炭鉱に対してどの程度個別の対策がとれるかということもあらゆる点から検討した上で、それで、石炭産業としてやっていける山、また、国が保証して、何年後にはその間にこういう産炭地振興の実をあげるという計画を立ててやっていかなければならない、もうそういう時期に来たのではないか、こう考えますが、この点いかがですか。
  34. 田中角榮

    田中国務大臣 工業再配置等を、産炭地振興がうまくいくために、それで全部やるというんじゃありませんから。いままでは全然産炭地域の振興がうまくいかなかった。かねや太鼓でもってやっておったけれども、さっぱりうまくいかなかった。それにはそれなりの理由があったのです。産炭地という特殊なところに工場を誘致するというのは、地方公共団体が誘致をするぐらいではとてもメリットがなかったのです、実質的には。今度は、三菱とか住友とかという、日本を代表——もしておりませんが、何か代表する、日本の中の相当大きな力を持っておるような感じのするものが、石炭鉱山閉山してしまうというんだから——一カ月に一億ずつ損をするというけれども、二年では二十五億じゃありませんか、二十五億かけて、同じ系統の中から、産炭地の一万人や五千人を収容できる工場を持ってこれないはずはないということで、それはやむを得ませんから——やむを得ないじゃなくて、当然の話なんだ、それは。そういうことに対して大臣がそういう呼びかけをしてくださればという、今度は前向きになった。しかし、政府も誘導政策をやってもらって、何か産炭地だけ特別めんどうを見てもらっているような感じで、世間から非難を受けるようでは困る、政府がちゃんと産炭地に制度上のごめんどうを見ていただけるというなら、われわれも犠牲に応じましょうと、みんなそうしなければ、産炭地の画期的な工業化などはできない、そういうためには時をちょうど得ておりますということを申し上げたわけでございます。それで、実際に、ことしは二千七百五十万トンが、四十八年度二百五十万トン、四十九年度二百五十万トン、五十年度二百五十万トンといえば、五十年一ぱいには二千万トンになります。こんなことはそんなにうまくいくわけがないのです。一年間に五百万トンもばさっとなくなると同時に、なかなか三年間たってもつぶれない場合もある。その場合に、何も強制的につぶすというんじゃありませんから。しかし、私は、業界も知っておるし、また労働者の諸君の意見も聞いておるのですが、わしの山はやはり境ですなという感じのもあるんです。二千万トンの中に入るか入らぬかですなと。これは一年か二年待ってみたところで、私はとにかく四十九だ、これが五十二、三になってからつぶれるなら困るんですという、非常に深刻な状態があるのです。とにかく、つとめている中高年齢層は非常に深刻なんです。ですから、そういう事態も、科学的に技術的に、全部山のデータを持っておりますから、やはり二千万トンというものに対してかんぬきを入れるには、やはりそれなりの数字を出して、そして、時期的に三年も五年も待っていて、もうこれじゃやむを得ない、手を尽くしてみたがだめ、だったんだと、そんなことをしないで、いまだったら、私は今度の答申がもらえれば、それによって各山別に検討をして、そして具体的にここはどうする、また労働者に対しては再教育をどうするとか、いろいろな問題が合理的にできる、また、そうしなければならない。そういう意味で、いままでは、なるべく、つぶすのは、どうにもならなくなってからつぶれるのを例としておったということでありましたが、やはり二千万トンというところにかんぬきを入れるにしても相当な困難性があるんだということであるのですから、これは二千万トンに合わせて実情調査をする。それでどうしても二千百万トンだということなら、その百万トン分は九電力に持ってもらってもいいし、石炭専焼火力を電発がつくるとするなら、電発に百万トンよけいたかせることだってできないことではないと思うのです。それは全国を縦貫する送電線の中で整備をするとすれば、石炭の三百万トンや五百万トンたくものが日本電力料金の中でもってカバーできないはずはありません。いままで、そういう思想がないから問題にされておっただけなんです。私は、もう前からそういうことを、私も神田さんもあの電源開発促進法の議員立法の提案者なんですから、ちゃんと知っておるんです、二十年たっても。ですから、電源開発株式会社をやめようという答申をもらいましたが、これは廃止しちゃいけません。今日あることを予測しておったわけであります。そういうことで、電発に石炭専焼火力、本州縦貫送電線等を敢然とやらせればいい。金は六千億円もかければできるんだ、こういうことで、もっと広域の運営になりますれば九電力の中でできるという、長い間の懸案だったものをやっと今日片づけるとすれば、二百万トンや三百万トン石炭を確保できないというはずはないということであります。そういうことも十分、二十五年分みんな洗いざらい出して一これは石炭国管法でもって議論して、日本石炭をいかにすべきかということをやってからちょうど二十五年です。だから、ちょうどここらで本格的な結論というものを出すべきだろうと、だから私は、そういう意味事務当局を督励しながら取り組んでおるわけであります。
  35. 相沢武彦

    ○相沢委員 二十五年間の石炭政策の洗い直しをして、本格的な最終案といわれる第五次政策を立てるということで、時間はかなりかかるということはいわれますが、最初三月末、それが四月か五月ごろということで、さらにここ最近では七月にまで延びるのではないかということで、非常に鉱業審議会の結論が時間がかかるそうでございますが、これまで非常にネックになっていた体制問題、業界の中でも今後の体制問題についての統一的な見解も近いうちに出されるような機運になってきた。しかも、需要量も大体この程度ということが決議されたし、政府のほうもそれに対処するんだというふうに腹をきめられている。そうなってくると、やはり結論を、督励をしていけば、もう少し、かなり早い時点に出せるのではないか、こう思いますけれども、大臣は就任当時、当局は当局でたたき台みたいなものをつくりたい、つくらせる、こうおっしゃったんですが、それがなしのつぶてで今日までずっときています。その点お尋ねをすると、まあ専門家、二十五年のうんちくを傾けてあちらこちら言われて、それに対するまともな御答弁がいまなかったわけですけれども、その最初のときのお話は撤回されたのか、事情があったのか、その点についてひとつ……。
  36. 田中角榮

    田中国務大臣 事務的に申し上げれば、六月一ぱいには答申ができそうである。三カ月おくれるわけですね。六月一ぱいにはといいますが、これは七月の初めになるかもわからぬというぐらいに、慎重にかまえているわけです。これは答申を待つ以外にはないわけです。専門家に体制委員会をつくっていただきまして答申をお願いしているときに、通産省はこれでございますなんということを、そういう失礼なことを申し上げられませんから、勉強はしておりますが、それは答申待ちである。答申待ちということで御理解いただきたい。ですから、事務当局としては、二千七百五十万トンが二千万トンになる過程において、どこの山がどういう状態になるかということはいろいろわかっております。こういうことですから、それは勉強してないことはないのです。勉強していますが、発表というものは、ましてや、それを国会で、答申をいただかないうちに、答申でやいのやいのとせっついているわけですから、一日も早くと、こう言っているときに、通産省だけで考えておりますとか、勉強しておりますということは申し上げられないわけでございます。答申待ちというのが正式のものでございますから、答申待ちで何もないことはありません。それは、ここでまた落盤をすれば、とにかくあの三菱のように半年間でがらっと変わるようなことは、いやしくも田中角榮がおるうちはやらせるな、こう言っているのです。ですから、そういう意味では真剣になって勉強している。していますが、そういうことをまだここで全部申し上げるような段階でないというくらいのことでひとつ御理解ください。
  37. 相沢武彦

    ○相沢委員 時間が参りましたので、これで終わります。
  38. 鬼木勝利

    ○鬼木委員長 伊藤卯四郎君。
  39. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 同じようなことばかり論争しておっても、どうも非常に遺憾であると感じておるのですけれども、しかし、問題が解決せぬ以上、やはり論議せなければなりません。  さっきから大臣の意見を伺っておりますと、あなたの諮問機関である審議会の答申待ちだということを盛んにおっしゃっておられる。ところが、さきに答申された答申案の中に、石炭日本の産業、経済のために必要であるという答申が出ておるのですが、その答申を受けられてどういう対策を立てられておるか、ちょっと聞かしてください。
  40. 田中角榮

    田中国務大臣 石炭が非常に重要なエネルギー源であることは申すまでもない。これは日本の歴史の中で石炭が位置した地位というものを考えれば、これはもう申すまでもないことでございます。しかし、その後いろいろ変わってまいりました。石炭に対して、石油、また外国炭が非常に安くなったとか、いろいろなことがございます。しかし、そういう事態においても、石炭日本エネルギー政策の中で除外することのできない状態であるということだけは事実でございます。それだからいろいろな施策をとっておるわけでございまして、関税還付の問題、特別会計の問題とか、いろいろな問題をとっておるわけでございますし、また、五次答申というものをもらったら、それに対してひとつ積極的な姿勢で施策と取り組もう、こういうことでございますから、石炭というものが全然無用の長物であり、もうなくなって要らないものだ、こういうことは全然考えておらない、こういうことで、ひとつ御理解願いたい。
  41. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 さきの、必要であるという答申を受けられたら、それをどのように国策として対策を持つかということが政府の責任だと私は思うが、それについてどうも大臣答弁は一向前進しておらぬようですが、もう少し具体的に、それにこたえる意味においてこういう対策を立ててやっておるのだというようなこと等があってしかるべきだと思うが、その点の答弁がどうも一向ないようですが、何もないのですか。
  42. 田中角榮

    田中国務大臣 これは四次の答申の過程においてだと思いますが、それからいろいろな政策をとってまいりましたから今日に至っておるわけでございます。至っておりますが、本格的なものは、今度の答申をいただきまして、この答申で数量も明確にしなければなりませんし、この二千万トンというものが確定をすれば、これに対して新しい施策も考えなければならないということでございますので、最終的なというか、ここでいままでの政策だけでは解決できない面の解決のために施策を考えようというのが現状でございます。
  43. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 どうも大臣もそうだけれども、政府委員の人たちも、何か窮地に立つと答申待ち、こういうことで逃げ口上の一つに使われておるようで、はなはだ私は遺憾です。  そこで、西欧諸国も石炭問題では各国とも相当苦慮しておることは御存じのとおり。英国が御存じのように、国有国営であるし、フランスは強度の国家管理をやっておる。西ドイツは、炭鉱業者が油もともにやっておる。そういう点でよろしく調整をしてやっておる。そういうところから、石炭の使用数量というものは減っていないのです。日本だけがこうむちゃくちゃに減ってしまっておるということは、やはり政府に石炭対策、それを国策として取り上げてやろうというものがないから、こういう状態にだんだんだんだん追い詰められていっておる、私はこう思うのです。だから、たとえば、さっきから議論されております、いま二千七百五十万トン石炭を必要として使っておる。ところが、三年後の五十年になると二千万トンになる。三年間に七百五十万トン需要量が減るということは、これは大きな問題なんです。そこで、それなら五十年以降にこの二千万トンが保証されるという何かがあるか、これは何も保証されるものがないのですね。そういうことについて、おそらく大臣はまたこれを審議会の答申待ちとおっしゃるだろう、秋はそう思う。それじゃ政府は一体何をしておるのだ、政府は政治をやろうとしておらぬのか、もっとそういう問題についてはやはり対策を十分持ってそうしてやっていくということが、危機におちいっておる石炭対策として一番大事ではないか、これは言うまでもないことであります。あなたに言うのは釈迦に説法みたいな気がするけれども、あなたがやらぬと言うから、私も言わなければならぬ。それはどういうわけですか。
  44. 田中角榮

    田中国務大臣 長いこと伊藤さんも私も石炭の問題を議論してまいりましたし、私よりもはるかにあなたのほうが専門家である、こう思いますが、しかし、このところ、この十年ばかり急速に石炭の事情が変わってきた。そのために、いろいろな施策、去年二千八百五十万トン石炭をたくには、それなりの政策をやってきて、三千万トン近い出炭が確保されてきたわけであります。ほっておけば二千万トンをずっと割ったし、もっと割ったと思います。これをいろいろな政策を行ない、石炭鉱山のスクラップ・アンド・ビルドという政策を十年余にわたってやってきたところに今日の状態がある。第二段の状態を迎えたと思うのは、第五次の答申を求めてここでひとつ本格的なものをやらなければならない。というのは、御承知の三菱とか住友とかいう、これなら最後まで残るであろうというようなものまでがどかどかと終閉山に及ぶ。これでは非常に不安になる。これは労働者がこんなことでたえられるはずがない。そういう意味で、ここで何らかの抜本的な洗い直しを必要とする、それが五次答申である、こういうことであります。  そうすると、そこで、業者側というか、いわゆる生産者側は、二千七百五十万トンを五十年にどうしても出炭をする。ところが、需要者側は——供給者側と需要者側に分かれるわけでありますが、需要者はこういうことでもってだんだん減ってまいります、千五百万トンしか引き取れません、こういうことでもって、答申をする前に決議をするときに——まず決議をしなければ政策は立てようがないわけであります。いまよりもよけい使おうというなら政策の立てようがあっても、三千万トン近く使っておる国内炭も、三年後に千五百万トンになる、約半分になるということになればたいへんでありますから、そこで五十年以降使う石炭を二千万トン程度ということでありましたが、二千万トンは下らない、最低二千万トンで押えなさい、こういうことで、私たち通産省の意思を通じまして、そういう御決議をいただけませんか、こういうことでやったのでございますから、これからは、五十年後は最低二千万トンを下らないということにかんぬきを入れて、たかなければいかぬ。まず、たくことが先であります。たくことが先である。その次にはどうするか。たくだけで、労働者は賃金が一銭も上がらないというんじゃ困るから、その後、賃金を上げるにはどうするか、そういう問題をだんだん積み重ねてくるというのがいまの実態でございまして、二千万トンたくにも相当やはり困難性はある。困難性はあるけれども、二千万トンたけないという状態じゃない。その中では、私は、さっき言ったように、九電力にたかせるなんという、そんなことを言わないで、政府自体がたけばいいじゃないか。政府自体がたけばいいじゃないかというのは、まあ一手が買い取れとか、一手で引き取れとか、政府管理をやれとかいう思想ではないけれども、政府が拱手傍観ということではないんだ、こういうことを述べておるわけでございます。
  45. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 大臣はスクラップ・アンド・ビルドということをおっしゃったが、政府にはビルドはないんですよ。スクラップばかりです。お葬式ばかりやっておるんです。だから、お葬式をやっておったけれども、子供を産むとか子供を育てていくということはやっていなかった。それは結局、総合エネルギーの国策というものを国益が持っておらぬからこうなってきてしまったと思うのです。それは何もあなたばかりの責任じゃないが、しかし、あなたはずっと閣僚をやっておられるんだから、したがって、閣僚の一人としてあなたは責任があるんです。同時にまた、石油と石炭はおれは専門家だとあなたはいつもたんかを切っておられたが、そういう点からしても、やはり総合エネルギー対策というものをあなたが閣議などでも強調される必要があると思う。  それから、私は時間の関係もありますからそう議論もしておれませんが、一つの提案をいたします。  結局、五十年以後二千万トンを下らないようにするというその対策としては、やはり政府の出先機関として、石炭の一手買い取りする、一手販売する。しかし、生産の問題が加わると、あの炭鉱国家管理法のときのような問題もありますから、これは私は自由にまかしておいたほうがいい。しかし、一手買い取りと一手販売、これは政府の出先機関としてやれば、戦争中はやった経験もたくさんありますから、また、各国で調整しておる資料もたくさんあるはずですから、そういう点に立って、政府の出先機関として一手買い取り、一手販売をしていく。それを五十年以後二千万トンの歯どめにするというこの私の提案に対してはどうでしょう。
  46. 田中角榮

    田中国務大臣 一手販売ということも含めて将来検討さるべきですが、しかし、まあ専門家のあなたに、できないことをできるような答弁などできません。そういう意味で、理論的には一手販売等も含めて考えて、いろいろな合理的なものを出すわけですが、それよりも、二千万トンを下らないといえば、二千万トン、どこの山で掘って、どういうところで使うんだということで、ぴしっとバランスを合わせなければいかぬわけですから、これはもうそれ自体がその分野に関しては政府管理みたいなものであって、あとは、輸送したり、送りつけたり、検収したり、そんなことを政府がやる必要はないんです。これはもう五十年度の出炭はどこの山で幾ら、どことどこに幾らずつ納める、こういうことでもって全部きまるわけでございますので、現実問題としては一手販売を行なう。かつて石炭国管をやったときのそういうような制度、窓口を一つにしなければならぬというんじゃなくて、そのときには、不時にどうしても貯炭増が起こる、その場合に貯炭融資をどうするかという制度上の問題であって、機構の問題ではないような気がいたします。しかし、これは絶対ないというんじゃありませんで、そういうものも含めてこれから検討されるべき問題だということで御理解願いたいと思います。
  47. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 実はきょう午前中、私ども、石炭協会の大槻という会長に来てもらいましていろいろ意見を聞いた。そのとき、石炭の安定化をはかってもらうためには、第一は、やはり石炭の管理機関をつくってもらいたいということを言っておりましたから、管理機関というのは、結局、具体的に言うと、いま私があなたに伺っておるような一つの調整機関ではないか、私はこう受け取ったわけです。炭鉱業界でもその点では統一できるかと言ったら、それは統一できますということで、おそらく思案の末そういうことを考えたのじゃなかろうかと私も思ったわけです。でありますから、炭鉱経営者が、いろいろ山の条件は違うけれども、しかし石炭の安定化のために、炭鉱経営を何とかして死滅させないようにするためにはもうこれよりほかないじゃないかという、思い余った一つの考えではなかろうかと私は思ったわけです。その他、いろいろ炭価の問題やら何か、たくさん陳情しておりましたけれども、根本的な問題の解決はいまのこの問題だろうと思うのです。そういう点について、業界もそういう状態ですから、さらにひとつ大臣——まあ私が一を言えばあなたは二も三も悟っておるわけだから、そういうことについて、業界もそうなっておりますから、どうですか、ひとつそういうことを検討されるかということを聞いておきます。
  48. 田中角榮

    田中国務大臣 わかりました。それは、石炭鉱山というものを国家管理にしなさい、国有にしなさい、国の機関、一つの会社でまとめなさいというものと、いまとの中間においてどうしようかと一これは、石炭協会そのものを法律でもってどうするか、石炭協会そのものを法律条文で整理をしなくても、石炭協会に、そういう輸入組合のような実質的なものを認める、認めるだけではなくて、銀行も金融機関も全部、そういうものに対しては、どうせ石炭の山に対する鉱業権とかその他一切の財産は一つの窓口に統合したほうがいいということになれば、いまの主張は採用できない問題ではないわけです。これは、私企業はあくまで私企業であるが、私企業は石炭協会でもってすべてのものを統一して運用する、こういうことになれば、これは確かにできます。国管にしなくても、特殊会社にしなくても、できますから、そこまでいくのがほんとうだと思います。そうでないと、いままではいろいろなことを言っても、まあ長いつき合いでもあって、そこは自分だけでもって山を掘って納めるという問題も、その会社がつぶれれば貯炭は一年分一ぺんに抱いてしまうというような問題もあったわけですから、そういう意味では、担保の問題とか、掛け目の問題とか、運転資金の問題とか、そういう問題は相当片づくと思います。そういう問題は、御提案でありますから、よく業界の意向も聞いたり、勉強いたします。
  49. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 私、注文しておきました。あなた方の一つの試案ができたら、それを政府に出せ、承知しました、こういうことになっておりますから、おそらくあなたのところへ出してくるだろう。出してさましたら、ひとつ——あなたがなお通産大臣でおるかどうか、これはちょっとわかりませんがね。内閣がかわれば、あなたも何になられるのか知らぬが、私もここでよけいなことをしゃべるのもいかぬが、ひとつあなたがまだおられるうちに出してくるように私は督励しておきますから、局長やら部長、事務当局に、真剣になって君たちも取り組んで一つの試案をつくれということをやってもらうように私は注文をしておきます。  それからいま一点伺っておきたいのは、これも実は繰り返しのことですから、私も実は熱意がないのです。ほんとうは、また同じことを、伊藤君、あなたは言っておるじゃないかということを言われるだろうと思うから……。しかし、解決しない以上、言わなければならぬ。  そこで、炭鉱の経営資金の問題です。これはあなたにこの前お話ししたんじゃないかと思うが、政府の金融機関である開発銀行と、それから石炭合理化事業団、この二つに炭鉱というものは全部抵当を入れてしまっているんですね。もう抵当ないんです。したがって、民間金融機関から金を借りるといったって、一万円の金も実はもう借りるところはないのですよ。   〔委員長退席、岡田委員長代理着席〕 そこで、炭鉱経営者たちは、政府の出先機関である開発銀行と石炭合理化事業団に入れている抵当、これを除いてもらえば、三、四百億円くらいは金が借りれるであろう。しかし、これもいまのままの炭鉱状態で金融機関からそういう金を三、四百億借りたとしても、カンフル注射をしておるにすぎないけれども、もうおぼれる者はなわでもつかむという話があるように、そういうことをやってもらえば、一つの金融の道ができて、何とか生き延びていけるからということを言っておるわけです。あなたのところの局長、部長もこの問題では非常に頭を痛めて苦労されておることを私もよう知っております。そこで問題は、あなたがこういう問題を解決するために、ひとつ君たちもこういうようにして案をつくってやってみろということを指示されれば、局長や部長も非常にやりやすくなってくる、こう思う。そういうことについてこの問題を解決してやる、これも私の一つの案であり、炭鉱経営者のまた切なる願いでもあるのですが、この点どうです。
  50. 田中角榮

    田中国務大臣 それはもう各業者が全部陳情に来ておる問題でございますし、私自身内容をよく知っております。それで、初めは、だんだんと返しておるのだから、返済をした部分くらいはひとつ除いてくれ、こういうことだったのですが、そんなに石炭業者がうまくいってないのです。返済した部分よりももっとよけい資金が要るというのでありますから、それは新しい制度でないと、返済をした部分くらいを解除してもどうにもならない問題である。結局、どうするかというと、いま政府関係機関に担保になっておるものの何割かを掛け目を多く見てやって、何割かを民間の金融機関に提供するようにできるのかどうかという問題が一つ。そうでなければ、担保さえ出せばというなら、共同担保として多少民間の資金を入れるというか、民間もあまり貸したくはないけれども、明治からの長い間のつき合いでございますから、やはり地元の炭鉱にいよいよというときに貯炭融資の二カ月や三カ月分断わるわけにいかぬ、担保を持っていらっしゃいということも言っておるわけですから、そういう意味で共同担保でできないかなということが第二。第三は、そこまできたら、もう政府関係機関自体が、貯炭融資とか、そういう融資をすべて二カ月分だったら二カ月分まかなうかという三つしかないのです。   〔岡田委員長代理退席、委員長着席〕  ところが、第三の道をやると、事実上国が全部責任を負うということになりますので、この融資はなかなかできない。できないとしたならば、第二か第一の状態でもってつなぎ融資とか貯炭融資とかいうものをしてやらなければ、これはもうつぶす以外にないじゃないかということで、いま検討しておるわけでございますので、これも五十年のかんぬきが二千万トンになるのか二千五百万トン、そういう中には当然政策考えてやらなければ現実的には動かないという問題が出てくるので、黒字倒産というようなことは石炭ではないように思いますから、そういう過程で何とか考えなければならない問題だ。考えられる問題じゃなく、考えなければどうにもならない。つぶすということにつながりますので、そういう問題で何かひとつ検討をしたい、こう思います。
  51. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 健全経営ができればこんな問題出さぬでもいいのです。健全経営ができないから、全く赤字経営というか、風前のともしびみたいな状態になっておるから、そこで、これは全く窮余の一策というか、これは実はもう末期の水みたいな融資のことですよ。おそらく、開発銀行でも石炭合理化事業団等でも、これは私は抵当を取り過ぎておるように思うのです。やはり国の機関から金を借りるのには、注文どおり抵当を出さないと貸してくれないからというので、抵当は確かに取り過ぎておる傾向がある。こういう点でもおそらく局長や部長も検討をしておられるのじゃないかと私は思っております。これも非常に窮余の一策のようなことですが……。  そこで、この金融の問題も、ほんとうはこういう融資をあせってあせってやってみても、これでは健全経営にならぬ、立て直りにもならぬかもしれぬけれども、しかし、いま死滅してしまうより、何とかという、これは全く窮余の一策の末期の水みたいなものですからね。この点も、やはり時間をおくことによって、私はなだれ閉山が一そう激しくなってくると思う。だから、根本的対策を立てる一策として、この資金問題も何とかしてやらなければ、これはもうやっていけないのです。  そこで、この資金問題について、これは大蔵省の問題ですね。あなたも大蔵大臣をしておられたから、相当大蔵省側でしぼったいろんなことを、あなたもそれに判こを押しておられるから、よう知っておられるわけだ。したがって、通産大臣と大蔵大臣との間で、局長、部長がともかく苦心をしておるこの問題はやはり解決してやるようにあなたが努力されないと、私はこの道をあけることもなかなか容易じゃないと思うが、そういう点についてひとつ、伊藤君、そんな心配せぬでもよろしい、大蔵大臣とおれとで話して、大臣同士でその道をあけるように、また局長、部長等でつくった案を生かすようにおれはやってやるから、心配するな、あなたはそういう発言、確約できますか。
  52. 田中角榮

    田中国務大臣 確約するということでなく、よくその実態を承知しておりますので、十分勉強したり、大蔵省や財政当局、及び銀行にも、どうすればいいのか、また、どうなさなければならぬかという問題に対して、検討も努力もいたします。
  53. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 そこで、なお局長、部長に進言をしておきたいのは、大臣もああいうことを言っておられましたから、あなた方のほうでもひとつ、これでなければだめだというような点等を、やはり思い切ってこの金融問題に対しても解決案をつくってもらう。それで大臣に出してもらう。それでなお大臣が優柔不断だったら、私はまた大臣と談判をいたしますから、そういうことでひとつ局長、部長にこの点を私は強く注文しておきます。  時間が来ましたから、以上で私の本日の質問を終わっておきます。
  54. 鬼木勝利

    ○鬼木委員長 細谷治嘉君。
  55. 細谷治嘉

    ○細谷委員 二点ばかり通産大臣にお尋ねしたいと思います。  第一点は、実は昨年の通常国会の際に、産炭地域振興問題に関連いたしまして、法律の第六条と第十一条を改正すべきである、こういう委員会の総意によりまして、当時の宮澤通産大臣から、必ずこの国会までには対処いたします、こういう約束をいただいておったわけでございますけれども、今度出されました法律案では、六条の事業税についての交付税の裏づけの問題は、委員会の要望どおり解決いたしましたけれども、十一条の改正の問題については何ら触れられておりません。  すでに大臣承知かと思いますけれども、十一条の問題というのは、産炭地域の市町村が一定の公共事業をやった場合に、その一定の水準を越えた部分について補助率をかさ上げをする、こういうことになっております。この算式に、いわゆる標準算式というものと特別算式というものがございまして、その特別算式というのは六条市町村にのみ適用される、こういう内容になっております。ところが、四十四年度、四十五年度の補助率のかさ上げの実績を見てみますと、たとえば四十五年度では、全体として二十一億円の補助率の引き上げに基づく補助金が支出されておるのでありますけれども、そのうちの十四億円というのは十条指定の市町村でありまして産炭地で直撃を受けた六条指定の市町村はわずかに七億円で、全体の三分の一しか補助率のかさ上げを受けておらない。まさしく、法律が期待した、疲弊した市町村が立ち上がるために事業に取り組んだ場合には国として助成してやろうという期待とは、逆の結果になっております。そこで、これは合理的ではないのではないか、こういうことでございまして、今度の予算編成でも、大臣が最終的に大蔵大臣と折衝をしていただいたようでありますけれども、残念ながら、これには結果として手が触れられておりません。そういうことでございますので、私は、やはり産炭地域の中で一番疲弊をしておる六条市町村が、指定された公共事業をやったならば補助率のかさ上げを受ける特別算式を、いまや改めなければならないところに来ておるのではないか、こう思うのであります。これは産炭地の実態からいって、何年か後にそういうことをしよう、来年まで待ってくれや、こういうことにまいりませんので、ひとつこれについて大臣のしかとした答弁をいただきたい、こう思うのです。
  56. 田中角榮

    田中国務大臣 御指摘の六条市町村につきましては、大蔵大臣大臣折衝を行ない、しかもその後引き続き検討いたしてきたわけでございますが、その結果としましては、公共事業の実施額にかかわらず補助率の引き上げが行なわれるよう、次期通常国会において法律改正を行なうか、または実質的に同様の効果を持つ措置を本年度中に講じようということになっております。  なお、四十八年度予算におきましても、これに準じた措置が行なえるよう努力をいたしますということであります。  つまり、産炭地域振興臨時措置法第十一条に掲げる算式は、特に疲弊が著しく、公共事業の遂行能力のない市町村に対し適用されないという問題点があるので、六条市町村については、公共事業の実施額にかかわらず補助率の引き上げが行なわれるよう、次期通常国会において法律を改正する、または実質的に同様の効果を持つ措置を本年度中に講ずることとしたわけです。  また、四十八年度予算においても、これに準じた措置、これは大蔵省側との間には話が詰められると思います。これはまだ、こうなりましたということではなく、そういたすべく努力をいたしますということでひとつ……。これは四十七年度予算の編成の過程においては、引き続いて検討しようということになって、それで引き継がれて検討いたしておるわけでありますから、四十八年度からはそういう問題に対しては措置をいたすべく折衝いたしておりますということで御理解いただきたいと思います。
  57. 細谷治嘉

    ○細谷委員 いまの大臣の御答弁で大筋としては理解できますが、経過もあることでございますから、ひとつ事務当局に、いまの大臣の御趣旨について具体的にお尋ねしておきたいと思うのです。  いま大臣が答えられたことは、六条市町村については公共事業の実施額いかんにかかわらず補助率の引き上げが行なわれるよう、次期通常国会において法律改正を行なうか、あるいは実質的に同様の効果を持つ措置を本年度中に講ずるか、いずれかの道をとりましょう、これは事実上は四十八年度の公共事業に対して補助率のかさ上げが行なわれるということでありますから、四十九年度の予算で支出される、こういうことになるわけですね。そこで、大臣がお答えになった、四十八年度予算においてもこれに準じた措置を行なうよう努力するという意味は、四十七年度分の、いわゆる今年度分の公共事業については、四十八年度予算において、法律改正するか、あるいは別途の方法でやるわけでありますけれども、四十九年度以降のそれと同じような内容の措置を講ずるということを努力する、こういうことになるわけです。ですから、平たく言いますと、四十七年度の公共事業から、清算補助という形で、一年おくれて補助率の引き上げが、法律改正か、あるいはそうでない方法によって行なわれる、こういうように理解してよろしいわけですね。
  58. 莊清

    ○莊政府委員 そのとおりでございます。
  59. 細谷治嘉

    ○細谷委員 そこで、大臣大臣を目の前に置いてたいへん恐縮でありますけれども、ここで本年度中に講ずることとするということでありますから、これは明瞭に四十八年度の事業については大臣がお約束いただいた、こう理解するわけです。なお書きが、四十八年度予算においてもこれに準ずる措置を行なうよう努力するということでありますから、おそらく、大臣努力するということで、努力したけれどもものにならなかったということは、私は、もう通産大臣に限り、ないと思いますけれども、ひとつその点は大臣において責任を持って善処していただくよう心から要望をしておきたいと思います。いかがでございますか。
  60. 田中角榮

    田中国務大臣 四十八年度予算につきましては、貴意に沿うごとく善処いたします。
  61. 細谷治嘉

    ○細谷委員 もう一点、先ほども御質問をお聞きしておりまして、今度通産大臣の目玉といわれる工業再配置の法律案が出ておりますが、これを推進いたしますために、現在あります産炭地域振興事業団というものを改組して、工業再配置・産炭地域振興公団という形で発足することになっております。いろいろと地域開発が行なわれましたけれども、ずばりそのもので工業再配置の計画をされたことについて敬意を表するわけです。ただ、先ほど来、いま一番誘導地域として条件の整っているのは産炭地域だから、具体的な例まであげて、そういうところを工業再配置の誘導地域とする、こういうおことばでございますが、実はこの法律案を読んでみまして、この公団は、名前は工業再配置・産炭地域振興公団でありますけれども、この法案はまだ商工委員会の審議になっておりませんが、拝見いたしますと、工場立地及び工業用水審議会の意見は聞くけれども、産炭地域振興審議会というのがあるわけでありますが、こういうものの意見を聞くという条項は一つもありません。同じ第三条の条文を見ますと、全国総合開発計画とか、いろいろ開発地域はあげられておりますけれども、産炭地域に対する審議会の答申というのは、いま私が申し上げたように、一番受け入れ体制ができているのだから、それと密接不可分の——全部そこに産炭地域にボールを投げろ、そしたら産炭地域がこれを受けるということではありませんけれども、今後、工業再配置についてのボールは、条件の整っている、もうキャッチミットをかまえておる産炭地に投げてやるということが、法律的に何らかのつながりを持っておることがその裏づけになるのではないか、こういうふうに思うのであります。こういう点について、言ってみますと、おもやがあったけれども、おもやをごっそり、ひさしのほうに、工業再配置というところに取られてしまったということではやはり困るのであって、せっかくいままでやってまいりました産炭地域振興事業団の成果というものを踏まえて、それを十分活用していただく、こういうことが必要であろうと思うのであります。この点についてどうお考えか、お尋ねしたい。
  62. 田中角榮

    田中国務大臣 この産炭地域振興審議会におきましても十分審議を行なってまいったものでございますし、これはもういままでの産炭地振興だけではできなかったことに目が入ったということで非常に喜ばれて、全会一致でこの工業再配置というものを審議していただいたわけであります。それで、これは異例ではございますが、この公団には副総裁を二人置くことになっておる。一人は、全国的視野に立つ工業再配置、もう一人は、産炭地専門の副総裁、こういうことであります。総裁は一人でありますし、上ておる通商産業大臣もまた一人でございますから、そういう意味では、その間にそごを起こすなどということは全くありません。ですから、私が先ほども申し上げたように、この工業再配置というものの第一号は美唄にひとつ指定したいと思います、こう言っておるわけですから、これは審議会にも何もかけないうちに、まだ法律ができないうちに、国会でも私はそういう方針を述べておるわけでございます。そういう意味では、審議会というものがどうの——どうのということはありません。審議会という問題に、産炭地と二つあるということを言われておりますが、しかし、これは全く重点的に産炭地というものは産炭地域の振興がなされるのだということでひとつ御理解をいただきたい。これは条文とか、そういうものではなく、十分できまずから、従来もそうでなく細谷さんにはこの問題お答えしておりますから、この法律が通って、第一、第二、こういうことになれば、そんなことにならなければとても運用できなくなりますから、そういうことはございません。それはもう貴意のとおり運用されるものである、こういうことであります。
  63. 細谷治嘉

    ○細谷委員 大臣おっしゃるように、御配慮——副総裁を二人置いておる、これも承知しておるのですよ。ただ、この公団がやることは、いままでの産炭地域振興法というものを受け持っていくというものと、新しく今国会に提案されておる工業再配置法というもの、この二つを推進する公団ですよ。その後段の工業再配置法のほうはだれがやるかといいますと、工場立地及び工業用水審議会の意見を聞くということになっておる。産炭地域振興法のほうは、産炭地域振興審議会の意見を聞くということになっておるわけです。この二つを一緒にしてそして今度の公団でやろうということでありますから、法律上の形としては、第三条に、一つのほうの意見ばかりでなしに、産炭地域振興審議会の意見を聞くというのを入れるのが、バランスのとれた筋合いじゃないか、こういうふうにも言えると思うのですよ。私はこれを読みまして、大臣おっしゃるように、産炭地域振興ということを長年やってきたけれども、どうも成果があがらなかった、今度は工業再配置でボールを投げてやるのだから、十分効果があがるだろう、こういうことでありますから、これはもうそういうふうにぜひしていただかなければいかぬのでありますけれども、私のほうは、法律のたてまえからいくと、産炭地域振興審議会のほうの意見を聞くということを入れるのが筋である、それのほうが、副総裁を二人置くわけですから、よろしいのではないか、こういうことである。問題は、大臣の言うように運営でありますけれども。運営には、せっかく法律をつくるわけですから、法律の背景が必要じゃないか、これが私の主張であります。
  64. 田中角榮

    田中国務大臣 あえて条文中には例示しないということでございますが、産炭地は、工業再配置の中の地方開発の面から見れば、重要な問題でございます。ですから、例示をする必要はない、こう思っておりますし、通産大臣が一人で両方の仕事をやるわけでありますから、これはもうそれでいいと思いますが、しかし、具体的には、産炭地に関する学識経験者というものを委員に加えたい、こういう考えを持っています。そういうようなものを例示をしなければならないかどうかという問題、これはまた工業再配置法を御審議いただきますから、そのときにどういうようになるか、私は、そういう条文の挿入まで必要かどうか、しなくても十分やれる、こう思っておりますが、あした提案理由をやるわけでございますから、あしたからそこでまたひとつ御審議をいただくことにして、御了承をいただきたい、こう思います。
  65. 細谷治嘉

    ○細谷委員 終わります。
  66. 鬼木勝利

    ○鬼木委員長 他に質疑の申し出もありませんので、これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  67. 鬼木勝利

    ○鬼木委員長 これより討論に入るのでありまするが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。  臨時石炭鉱害復旧法等の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  68. 鬼木勝利

    ○鬼木委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。(拍手)  ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  69. 鬼木勝利

    ○鬼木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  70. 鬼木勝利

    ○鬼木委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後三時三十二分散会