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1972-04-06 第68回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年四月六日(木曜日)     午前十時五十五分開議  出席委員    委員長 鬼木 勝利君    理事 神田  博君 理事 藏内 修治君    理事 地崎宇三郎君 理事 岡田 利春君    理事 相沢 武彦君 理事 伊藤卯四郎君       有馬 元治君    佐々木秀世君       篠田 弘作君    進藤 一馬君       三池  信君    松本 七郎君       田代 文久君  出席政府委員         通商産業政務次         官      稻村左近四郎君         通商産業省公害         保安局長    久良知章悟君         通商産業省鉱山         石炭局長    莊   清君         通商産業省鉱山         石炭局石炭部長 青木 慎三君         労働省職業安定         局失業対策部長 桑原 敬一君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      徳田 博美君         通商産業省公害         保安局石炭課長 高瀬 郁弥君         通商産業省鉱山         石炭局石炭部産         炭地域振興課長 中井 富男君         通商産業省鉱山         石炭局石炭部鉱         害課長     後藤  宏君         自治省財政局財         政課長     近藤 隆之君     ————————————— 本日の会議に付した案件  臨時石炭鉱害復旧法等の一部を改正する法律案  (内閣提出第二三号)      ————◇—————
  2. 鬼木勝利

    鬼木委員長 これより会議を開きます。  臨時石炭鉱害復旧法等の一部を改正する法律案を議題として、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。相沢武彦君。
  3. 相沢武彦

    相沢委員 法律案につきまして若干の御質問をしてまいりたいと思います。  臨時石炭鉱害復旧法が施行されましてすでに二十年の年月を経過しております。かなりの鉱害量復旧しておりますが、四十六年末においてまだ全国で一千四百七十一億円にのぼる残存鉱害量を有しているということで、このたび再度十年間の延長ということで提出されておりますが、まず最初に、政府の今後の鉱害復旧に対する基本的な所信をお伺いしておきたいと思います。
  4. 莊清

    莊政府委員 鉱害復旧というのは、厳密に申しますと、鉱業法に基づきまして、石炭鉱業権者が無過失賠償責任を負っておるわけでございますが、石炭鉱業現状並びに石炭採掘に伴う鉱害の激甚さという特殊事情を考えまして、国が従来から特殊な立法及び予算措置を講じて鋭意その復旧につとめてまいった次第でございます。これは、被害を受けた国民の福祉の確保という見地から、一日もゆるがせにできない、国としての重要な事項であることは、申すまでもございません。同時に、現在各産炭地域は、産炭地域振興施策もとにおきましてもなお疲弊の度が非常に濃いわけでございます。そういう産炭地域の中にいまなお相当量の未復旧鉱害が残存しておるということは、単に被害者個人に対する救済の問題にとどまらず、当該産炭地域全体に対する地域振興、民生の安定という点から、まことにゆゆしい問題であるというふうに政府としては認識をしております。そういう姿勢に立ちまして、昨年来、石炭鉱業審議会におきまして、鉱害対策の画期的な充実強化について御審議を願っておりまして、昨年夏御答申をいただき今国会に鉱害法改正という形で御提案を申し上げている次第でございます。いろいろ改正案の中には盛り込んだつもりでございまするが、政府といたしまして、今回は十年間で鉱害の全量を復旧したいという基本的な姿勢に立ちまして、復旧長期方針というものも定め、これに基づきまして計画的に鉱害復旧したい。十年間ですべての鉱害を完全になくすということで、今後は必要な予算措置にも十分気を配りまして善処したい、これが基本方針でございます。
  5. 相沢武彦

    相沢委員 十年間で鉱害を完全に処理したいということでございますが、今回政府が考えておりますところの残存鉱害量、これは大半がすでに安定した鉱害だということで、これから新規に発生する鉱害も多少は見込んではいるようですが、復旧事業の大勢に影響がないというふうにごらんになっているようですが、それについて、新規発生鉱害の量としてはどれくらい見込んでいるのか、この点についてもしかおわかりならば、お伺いしておきたいと思います。
  6. 後藤宏

    後藤説明員 御説明申し上げます。  昭和四十四年度末の残存鉱害量調査の際に、その時点の価格、したがって四十四年度末の価格で表示した姿で試算しました数字では、その後九カ年間に発生すると予想されております鉱害量は、約三十八億円でございます。なお、その後若干の閉山が進んでおりますので、三十八億円は若干落ち込んでおりますが、ちょっとそのあたりは正確ではございません。
  7. 相沢武彦

    相沢委員 九カ年で三十八億円という新規残存鉱害量が見込まれている。さらに、四十六年度末における残存鉱害量が一千四百七十一億円、こういったものを十年間で完全に処理しようとするわけですが、やはり年々工事費の上昇等考えますと、この十年間に約二倍近くまでの復旧事業量になるのではないかと推定されますが、はたして完全に処理できるだけの裏づけのある予算措置が十分に確保されるかどうか、この点は現地被害者としても非常に心配なところであると思いますが、この点についての政府当局の明確な御答弁をいただきたいと思います。
  8. 莊清

    莊政府委員 昭和四十七年から向こう十カ年間の計画でございますが、初年度に当たります昭和四十七年度鉱害復旧事業規模は、前年度に対しまして一三%増の百六十五億を計上し、国庫補助金として百二十一億、予算総額としては百五十一億、これだけの予算を御提案申し上げておる次第であります。十年間全体といたしますと、千三百八億の残存鉱害量、当然工事費の単価の上昇というようなこともございますので、年々の予算におきましては、その点も考えまして善処をする必要が当然ございます。これが財源といたしましては、今後も引き続き、石炭石油特別会計の中の石炭勘定におきまして十年の財源措置を講ずる考えでございます。石炭財源全体の伸びがどうなるかという基本問題もございますが、原重油の輸入の伸びというものを比較的かたい目に押えて概算いたしました場合にでも、今後五年間の石炭勘定への歳入というものは、大体過去五年の少なくとも五割増しの水準はかたいというように私どもは見ております。その後におきましてもまず同様の財源伸びというものは考えられると存じますので、その中で鉱害関係予算というものは十分に確保する所存でございます。
  9. 相沢武彦

    相沢委員 石炭石油会計は、特に四十九年度以降どういう形になるかまだ未定でありますし、特に現地のほうとしてはその成り行き等を非常に心配して見守っているわけであります。先日の当該委員会において、田中通産大臣もこの点に触れられて、石炭石油会計が存続している間は、そういう形がある間は、その中で当然予算を取って処理をしていくが、もしか形が変わるにしても、鉱害処理というものはどうしてもやらなければならない必要な政府の仕事であるし、たとえば一般会計から持ってきたとしても鉱害処理をしていくということを言明されているわけでありますが、この点について、当局としても、鉱害処理に対する財源確保ということ、また必要性ということを、これからもなお大蔵省当局へよくお話しになって、認識を深めていただくような努力をしていただきたいと思います。  次に、今回改正される内容について順次御質問したいのですが、第一番目に、鉱害復旧長期計画を新たに法制化されておりますが、この法制化した理由、また、具体的にはどういったような内容のものをつくるのか、その点を具体的に御説明いただきたい。
  10. 莊清

    莊政府委員 鉱害の問題は、復旧に十年という長期間を要しますのと、地域的にも広がりを持ち、これに関係する都道府県、市町村、数も多いわけでございます。被害を受けておられる国民の数、これはもう申すにも及ばず、きわめて広い広がりを持っております。こういう、非常に期間も長く、関係者も多い、かつむずかしい問題の処理をいたします場合に、従来ややもすればおちいりがちであったように、やはりやりやすいところからやって、虫食い的に、無計画に進めていくということではこれを促進することはできないという判断に立ちまして、今回、政府責任を持ちまして、復旧長期計画というものを法に基づいて定め、これを公示するということにいたしたわけでございます。これによりまして、幅広い関係者の十分の御理解を得まして、国の施策もまた、そのみずから定めた長期計画の線に沿って責任を持って処理していくということが、この制度を法制化したねらいでございます。  内容といたしましては、まず、今後処理すべき物件ごと鉱害量が幾らか、つまり、復旧すべき予定の金額がどうなってくるかということを物件別全国的に明確にするということであります。このためには、われわれといたしましては、全国鉱害量調査等もすでに行なっておりますが、今後もまた必要があれば、情勢の推移に応じまして、常時どれだけの鉱害が発生しており、どれだけが予想され、どれだけが処理済みで、残がどれだけかということを、政府としては統一的に明確に常時把握するという姿勢が根底にあるわけでございます。  それから、それらの工事について一体いつまでに復旧をはかっていくかという目標を明らかにするという点でございます。  第三番目には、地域的な特殊事情等もありましょうし、物件別にまたいろいろな事情もございます。地域振興計画等との関係について配慮すべき事項等もいろいろ出てまいると存じますので、それらの復旧にあたって配慮すべき重要な事項についても、あらかじめ国として定めてこれを明らかにしておく、そして関係各方面の御理解と御協力を得つつこれを推進する。  大体以上の三点を内容に考えております。
  11. 相沢武彦

    相沢委員 「計画的復旧の促進」ということで、石炭鉱業審議会答申の中に、「復旧基本計画の多年度化等」という答申が出ております。「復旧長期計画に基づき、地域別復旧工事を総合的、かつ、効率的に実施するため、原則として単年度、単工種で策定している復旧基本計画を、一定地域単位として一定規模以上の多年度、多工種にわたる復旧工事対象とするものに改善するものとする。」この復旧基本計画の多年度化復旧長期計画関連性についてはどうなりますか。
  12. 青木慎三

    青木政府委員 ただいま局長から御説明しましたとおり、長期計画につきましては、全国ベースで、復旧すべき鉱害の量と、復旧にあたって配慮すべき事項をきめることになっておりますが、これに基づきまして、事業団が具体的な地域について実施する復旧工事内容とその負担関係を示すのが基本計画でございます。この基本計画は、従来単年度、単工種であったわけでございますけれども、今後計画的に処理していきますためには、長期計画方針に沿いながら、地域別に多工種、多年度にわたって、大体おおむね三年程度を予定しておりますけれども、従来の単年度、単工種というのを改善いたしまして、やや長期に見た地域別基本計画をつくるというふうに運営を改善してまいりたい、こういうふうに考えております。
  13. 相沢武彦

    相沢委員 おおむね三年程度期間ですが、一定地域ということを単位にするということで、地域の広さ、条件等も違いますので、必ずしも三年程度におさまらず、五年計画ということも起きてくるだろうと思います。そういうふうに理解してよろしいわけですね。  それから、これまで鉱害復旧基本調査対象にならなかった地域についても、必要に応じて鉱害復旧基本調査を実施すべきだ、こういう答申でありますが、この点について、予算を組んで実行する計画があるのかどうか、この点どうですか。
  14. 青木慎三

    青木政府委員 鉱害復旧基本調査は、昭和四十二年から四十四年度にかけまして、全国鉱害地約八〇%について、科学的な手法を用いまして非常に詳しい調査をいたしたわけでございますが、この対象にならなかった地域が約二〇%ございますので、これは、従来は既存の資料から推計しておりますために、若干調査の精度が十分でない面がございますのは、御指摘のとおりでございます。このような地区につきましては、今後引き続き補完調査を実施することといたしておりますが、昭和四十七年度におきましては事業団予算に約二千六百万円を計上して、これを実施していくという計画を立てております。
  15. 相沢武彦

    相沢委員 その二千六百万円の調査費で、これまで対象外だったところを全部調査できるのですか。
  16. 後藤宏

    後藤説明員 御説明申し上げます。  御指摘のとおり、先ほど申し上げました二〇%の対象漏れ地区につきまして、今後実際に精密な精査をしなければならぬものは、その一部であるとわれわれ考えております。したがって、今年度はとりあえず二千六百万円程度を計上することで財政当局と折衝中でございますが、なお四十八、九の二カ年間にわたってこういう補完調査を続けてまいりたいと考えております。
  17. 相沢武彦

    相沢委員 次に、今回の改正で、復旧適地関係処理ということが非常に大きな柱になっておると思うのですが、これを大きくこの改正案で取り上げた理由についてお伺いしたい。
  18. 莊清

    莊政府委員 御案内のように、ひどい鉱害を受けた農地、つまり、減収率が七割をこえるような重鉱害農地というふうな農地が、従来、復旧計画も立たず、また復旧方針につきましても所有者との間でなかなか円滑な意見の一致を見ずに、結果として放置されているというのが実は目立つわけでございます。家屋などでも、非常に軟弱な地盤の上にあるというふうな場合と同様の、お互いに、復旧するほうも、被害を受けたほうも、ともに手つかずで放置されているという例が実は相当数ございます。たとえば農地の場合でございますが、この問題に対処するために、私ども通産省及び鉱害復旧事業団といたしましては、広い面積を一括して処理することによって、たとえば予算面の対応をつけるとか、あるいはボタ山をくずしまして、その土地を使うことによってやりくりをつける等々のいろいろなくふうをもちろんやってまいっておりまするが、それでもそのベースに乗ってこない重鉱害農地あるいは家屋というものが現存しております。条件が許します場合には、被害者同意を得まして、いわゆるみなす復旧工事というふうな手もあるわけでございますけれども、それもなかなか円滑に進まない。結局、そういう場合には、加害者である鉱業権者のほうが十分な賠償を行なうだけの力がありますれば、その道でまた解決方途もあろうかと思いますが、ほとんどが無資力鉱害である現状では、結果として放置をされざるを得ないということが、従来非常な懸案になっておりました。  今回の改正趣旨でございますけれども、こういう従来の方途では何とも手の打ちようがないというふうなものにつきまして、これは扱いは十分慎重な扱いをした上で、適正な価格というもので補償をする。おそらくたいていの場合は無資力でございましょうから、国が大部分を負担し、地方の若干の援助を得まして補償を行なうということで、最悪の放置という状態は何とかして解決したい。この点につきましては、決して一方的な押しつけ的な打ち切りになりませんように、十分地元意向も尊重しながら、円満に最後の残された手段として行なう、こういう趣旨制度をつくったわけでございます。
  19. 相沢武彦

    相沢委員 今回の改正趣旨についてはわかるのでありますが、この不適地関係改正について、被害者の一部には非常に不安があるようですが、具体的にはどういう場合に不適地を削るつもりなのか、もう少し明確にお答えいただきたいと思います。  福岡中間市の復旧基本計画をめぐって、被害者の方と鉱害復旧事業団職員の間で、説明足らずといいますか、そういったことで紛糾した事例があるそうでありますが、こういったことも考え合わせますと、この処理にあたっては相当慎重にやらなければならないのではないかという気がしますが、この点いかがですか。
  20. 莊清

    莊政府委員 具体的な一つの例を考えますと、たとえば農地の場合で、塩水をすっかりかぶっておって、現在の技術ではそれはいかんともなしがたいというふうな場合もございまするし、それから都市計画区域の中に取り残された相当鉱害のひどい農地等がございまして、農地として復旧しても、そのあたりすっかり市街化しておりまして、たとえばかんがい排水方途もないとか、いろいろな事態の変化等も生じて、さらに鉱害原状復旧そのものが、時の移るとともにむずかしくなってきておるというふうな、いろいろなケース具体例としてはあろうかと存じます。政府鉱害復旧方針といたしましては、これは申すまでもなく、可能な限り原状復旧基本でございます。どうしてもみなす工事をやったほうが地域全体としても合理的であると思われる場合には、被害者同意条件にいたしまして、みなす復旧工事農地をまず宅地に改造いたしまして、そうして宅地としての売却なり利用を願うというふうな形のものを過去から進めてまいっておりまするが、みなす復旧工事にも、その土地事情等から申しまして、なかなか円滑に進まないというふうな、どうしても取り残される例外的な場合がございます。こういうものを放置しないという趣旨が今回のこの制度でございまして、したがいまして、取扱いにつきましては、先ほど申し上げましたように、法律の上でも、地域ごと復旧基本計画を策定いたします場合に、これは法律の規定を設けまして、明確にその際補償によって解決をしていくというふうな、いわゆる不適地がある場合、不適地として補償によって解決をせざるを得ないという場合には、そういう計画の段階でこれを明らかにし、これも一方的にするのではなくて、地元市町村長意見を十分に聞きました上で、地元の了解を得られる場合にやっていく。そうしてその予算につきましては、これは国が相当大部分の金を、無資力の場合が多うございますから、持つというふうな裏づけもとに、これは補償金額につきましても省令でいずれ基準をきめることに相なりまするが、公正妥当なものが被害者に必ず渡るような方針での基準というものを考えていく、かようにいたしておるわけでございます。
  21. 相沢武彦

    相沢委員 いまの福岡県の中間市のこの点についてどういうふうになっているのか、御説明いただきたいと思います。
  22. 後藤宏

    後藤説明員 御説明申し上げます。  現在、中間市で去る三月十日に問題になりました点は、実はみなす復旧工事をめぐる基本計画でございまして、実はみなす復旧工事につきましても、同じく農地を取り扱いますので、一応反当制限八十万円という一つ基準もと復旧計画を立て、これを変更したわけでございますが、その際に、八十万円をこえるものについては、一方的に復旧対象とならないことがあり得るという実は説明をしたわけでございます。ただいま局長から御説明しましたように、私どもといたしましては、八十万円の反当制限基準一つ基準でございまして、国の施策を遂行する一つ基準と考えておりますので、これは農地の場合でも、同じ基準につきましても、対象地域を広げたり、あるいは関連施設もある程度省いて純粋な農地だけをひとつ取り上げていくというような形の弾力的な運用を考えておりまするし、さらに、私ども事情だけで取り上げられない場合には、ボタ山処理事業等でみなす復旧工事の場合には、先に下のほうに土をまいておいてもらって、そうして私ども復旧工事を合理化いたしまして復旧するといった、あらゆる手だてを講ずるつもりでございまして、ただいま局長も御説明しておりますように、あくまでも復旧することを基本とする、その上で、どうにも復旧対象に取り上げにくいものにつきましては、被害者等とも十分実質的に話し合いまして問題を解消していきたい、こういう説明をしておったわけでございますが、その件につきましては、現地説明が、八十万円をこえた場合に自動的に不適地といった、非常に冷たい感覚でとられたために問題が起こったわけでございます。現在は実は被害者方々とも十分話し合っておりまして、被害者方々はその辺の不安がありますので、おそらく中央に向かって何らか陳情その他の動きが出るのではないかと予想しております。
  23. 莊清

    莊政府委員 いま課長から詳細な事情を申し上げたわけでございますが、現地のほうから、この制度運用についての通産省としてのはっきりした考え方を聞きたいという御意向もあるやに承っております。私、代表の方でも御上京の際がございましたら、喜んでお会いいたしまして、ここの委員会で申し述べております姿勢というものを、はっきりと地元の方にも御理解いただけますように、よく申し上げるつもりでおります。
  24. 相沢武彦

    相沢委員 この改正にあたって、事前説明会みたいなものは現地でやってなかったのですか。
  25. 後藤宏

    後藤説明員 御説明申し上げます。  実は正式な説明会といったものはいたしておりませんが、福岡県等につきましては、鉱害対策協議会といった形が、県あるいは鉱業権者被害者といった構成でできておりまして、そういった協議会等とは常時案について連絡を保ってやってきております。
  26. 相沢武彦

    相沢委員 少なくとも、実際に業務に当たる第一線の団職員に対しての訓練といいますか、事前説明というか、そういった指導の面については、もう少し力を入れてやっていただきたいと思います。  それから不適地関係で、たとえば農地について非常に適当でないという場合に、四面を宅地に囲まれた小規模農地で、しかも水当てが必ずしも円滑にできないものというものが例にあげられるわけでありますが、それでも本人がどうしてももと農地復旧したいのだという希望がある場合も出てくると思います。特に最近、これは都市においてでありますが、土に親しむ機会が非常に少なくなったということで、わずかな土地を利用して家庭菜園をつくって、そこで日曜日一日親子で土に親しみ、また、植物をつくることによって、生命というものに対する尊重の精神を養うとか、そういった家庭教育の一環にも使っている。あるいは、今度はもう少し商売的に考えて、そういったことを希望する人たちに貸し菜園をして利潤をあげていくというようなことに利用している方もいるわけで、そういったことで、どうしてももと農地復旧したいという希望が強い場合、そういうときにはどうするのかということをお伺いしておきたいと思います。
  27. 青木慎三

    青木政府委員 ただいま御指摘のような地域につきましては、市街化区域にあります農地というのは、本来、国の施策から申しましても、農地復旧することが不適当と思われる場合がありますので、それは大体そのとおりの方針で参りますけれども、御指摘のような家庭菜園というような特殊な目的に使われる場合には、必ずしも原則にこだわる必要はないと思いますので、その必要性なり、その復旧に要します費用なりその他を十分検討した上で、個別に、ケース・バイ・ケースに判断して処理してまいりたい、こういうふうに考えております。
  28. 相沢武彦

    相沢委員 復旧することが著しく困難または不適当なものの処理の場合、一つ移転復旧、これは土地は自分でさがさなくてはならないという条件がついているわけでありますが、もう一つは、不良住宅改良事業と共同してやっていくという解決方法がとられておりますが、これについてもう少し具体的に説明をいただきたいと思います。
  29. 青木慎三

    青木政府委員 家屋復旧につきましては、この法律本来の趣旨から申しますと、原状復旧するのがたてまえでございますけれども鉱害を受けた家屋の中には、非常に低湿地にあるとか、原状復旧いたしましても生活条件がよくならないといったようなケースがございます。そういう場合につきましては、この法律改正を機にいたしまして住宅改良事業とあわせて連携工事を実施するという方針処理してまいりたいと思っております。特に住宅改良事業によりまして取り除くような家屋につきましては、むしろ、被害者にその鉱害分の金銭賠償を行ないまして、新しい公営住宅に移転するのを円滑に進めていくというほうが、こういう住宅処理については適当かと存じますので、そういう方法をとってまいりたいと思っております。また、残ります家屋につきましても、住宅改良事業と連携してまいるほうが全体として合理的な処理ができるというようなケースが考えられますので、そういう方針処理してまいりたい、こういうふうに考えます。
  30. 相沢武彦

    相沢委員 住宅地改良事業と関連させてやる場合、スラム街みたいなところが多いわけですが、間引きして移転させる、それから、その間引きして移転したあと広くなるので、道路をつくったり、その他緑地をつくったりして、環境をよくするというようなことが考えられるわけでありますが、残るほうの希望、それから移転してもらうほうの希望、これはやっぱりその場所によって希望者の数が違ってくると思うのですが、その点は、たとえばどうしてもある程度人数を分けなければならないという場合、抽せんするのですか、それとも、あくまで本人の希望をとって、説得するまで時間をかけるのか、この点もう少し具体的な処理方法についてお伺いしたいと思います。
  31. 後藤宏

    後藤説明員 御説明申し上げます。  実はいま御指摘の、そこから除却される、いわば間引きされる家屋と残る家屋、あるいはその土地の道路を広げ、あるいは住宅を改良するといった一つの事業は、実は住宅地区改良法という建設省サイドの法律に基づいていろいろな計画が定まっております。私どもはそういった事業と提携することによってこの問題を処理してまいりたいと思いますし、今回の法律改正あたりまして、審議会等におきましても、建設省から非常にあたたかい御声援を受けておりますので、今後はうまく提携が進むのではないかと考えております。
  32. 相沢武彦

    相沢委員 次に、みなす工事の点につきましてお伺いしますが、去年の八月に出されました石炭鉱業審議会答申をはじめとして、今回政府の場合もみなす復旧工事を積極的に奨励をしていると思うのですが、その理由について明確に御答弁いただきたいと思います。
  33. 莊清

    莊政府委員 産炭地の多くの部分におきましては、その後の社会的な事情あるいは経済的な条件の変化に伴いまして、かつて農業地帯であったところが次第に市街化されてきておるというふうな状況が多いわけでございます。また、これに基づきまして、地方自治体のほうでも、地域全体の振興という見地から、いろいろな計画を組んでおられるというふうな実態が出てまいっております。こういう地域の実情に照らしまして、その地域全体の土地の有効利用と申しますか、発展をはかるにふさわしい土地復旧を行なうということが、やはり鉱害復旧の場合にも考慮さるべき一つの要素かと存じております。そういう見地から、従来もみなす復旧工事というのは行なってきておる次第でございますが、今後は、復旧の促進とあわせまして、復旧された土地がなるべく生かされて直ちに活用されるということが望ましいわけでございますから、みなす復旧工事につきましては、予算の充実あるいは補助率の引き上げというふうな助成策の強化とあわせまして、みなす復旧工事を促進することがふさわしい場合にはこれを取り上げていくという姿勢をとったわけでございます。従来同様、法律の上でも明確に一件一件被害者同意条件としており、同意が得られた場合にこれは行なっていくということはいささかも変更いたしておりません。
  34. 相沢武彦

    相沢委員 答申の中に「みなす工事の拡充」として、「工事対象として現行の農地宅地への転換のほか、新たに農地の草地、公共施設用地等への転換工事を追加する」とありますが、これは法律の上には出てこなくて、政令で追加されるのですか。
  35. 後藤宏

    後藤説明員 御説明申し上げます。  御指摘のとおり、この当該地目が転換すべき地目につきましては、施行政令で定めることになっておりますが、現状では宅地だけになっております。この法改正の暁には施行政令を改めまして、そういった事態に対応し得るように考慮いたしたいと考えております。
  36. 相沢武彦

    相沢委員 みなす工事対象が拡充されますと、それだけみなす工事が積極的に奨励されるということになりますが、それについて、どうしてもみなす復旧工事を強制する結果になるのじゃないかというおそれ、不安というものも一部の方は持っているのですが、この点は心配ありませんか。もう一度念のためにお伺いしておきます。
  37. 莊清

    莊政府委員 これは実施計画を組みます場合にも、従来から法律上はっきりと被害者同意条件に相なっておるわけでございます。今後も、みなす復旧工事で、その地域の実情なりあるいは被害者特殊事情というものを無視して一方的に全部押しつけるというふうなことは、計画の段階でも十分配慮して、そういうことのないように、通産省としても考え、地方も指導する所存でございます。
  38. 相沢武彦

    相沢委員 現地のほうから、鉱害二法の延長と改正に関する陳情が参ったのでありますが、その中で何点か御質問しておきたいと思います。  「鉱害家屋処理制度の充実」ということで、一つには、家屋自体の復旧を補助対象にしてほしいということがありますが、これは天災の場合でも家屋復旧は融資しかないということで、これはちょっと無理だというお話なんで、了解できますが、無資力鉱害家屋で、必ずしも地盤等の復旧工事を要しないものについては、自己復旧交付金制度的なものをつくってほしい、こういうことなんです。これについてはどういうような対処のしかたができますか。
  39. 後藤宏

    後藤説明員 御説明申し上げます。  ただいま御指摘のような、被害が非常に軽微な鉱害家屋につきましては、賠償義務者が通常有資力で存在しておる場合には、金銭賠償等によって対処されておりますのが通例ではないかとわれわれは考えております。しかるに最近、無資力鉱害が六割以上に達しました現状で、無資力家屋の場合には、そういう賠償という形での処理が不可能でございますので、今回、それにかわる適切な制度ということで、事業団の団予算の負担の中でこれを解決していくという方向で目下検討を進めております。基本点につきましては、目下財政当局に鋭意折衝中でございますので、最終的な開設時期についてはちょっとお答えできない段階でございます。
  40. 相沢武彦

    相沢委員 折衝中なんで明確に答えられないというのですが、明るい方向ですか、暗い方向ですか、それくらいの答弁はいただけると思うのですが……。
  41. 後藤宏

    後藤説明員 御説明します。  財政当局も非常に前向きで本件について検討をしていただいております。
  42. 相沢武彦

    相沢委員 それから、今後鉱害の残存の復旧にあたっては、相当無資力鉱害が増大するわけでありますが、どうしても仕事量もふえるということで、事業団の機能の強化をしなくてはならないと思うわけであります。これまで復旧の実態を見ますと、農地復旧ということが非常に主体になってきていまして、これは四十六年度あるいは四十七年度に大体ピークに達するのではないかと思われております。それで、この農地復旧に対する技術者というものはかなり人数的に確保されてきた。しかし、今後だんだん家屋復旧というものが進んでまいりますので、この点の技術者の養成、あるいは農地復旧の技術者をこの家屋復旧のほうの技術者に再訓練を要するのではないかという声もありますが、この技術者の再訓練の計画があるかどうか。  それから、地方自治体または通産省からの出向員をもう少し認めてはどうかという声もありますが、この点についての御答弁をいただきたい。
  43. 莊清

    莊政府委員 無資力鉱害は、四十二年に調べまた際には二十数%であったものが、現在では六〇%をこえ、今後、残念ながらまだその率が上がる状況にございます。そこで、御指摘のございました事業団の人員なりあるいは技術能力の向上でございますが、来年度におきましては、実は相当数職員の増加を現在財政当局とも折衝をいたしております。そして全体をふやした中で、内部で三カ月程度の実は研修制度というものを四十七年から新設いたしまして、従来農地を主としてやっておったという技術者の人について、家屋についてもできるような、そういう内部研修を四十七年度から発足をいたしたいと考えて、この点もいま大蔵省と折衝を実はいたしておる段階でございます。これと同時に、やはり先立つものは予算かと存じますので、来年度復旧費の予算全体で二二%、中でも家屋につきまして三二%程度の一番高い伸び率での確保をはかっておる。両々あわせまして十分対処いたしたいと考えております。  さらに、外部の都道府県なり市町村なりからの職員の出向という問題につきましても従来から懸案になっておりまするが、いま数はそう多くないわけでございます。審議会におきましても、昨年いろいろこの点についての御意見があったわけでございますが、やはり中央、地方を通じましての給与制度の問題等のネックが実はないわけではございませんで、そういう点で必ずしも画期的なことが直ちにできるわけではございません。何ぶん御指摘のとおりの地域の実態にも関係ございますし、人手も要るということでございますから、何とかこれを解決するように、通産省としては引き続き前向きに努力をするということをここで御答弁申し上げたいと存じます。
  44. 相沢武彦

    相沢委員 ボタ山処理対策についてですが、これは俗に一兆円事業だといわれるほど九州各地方にはボタ山が多くて、ときどきそのボタ山の流出のために非常な災害が起きているわけでございます。現在のところ、この危険ボタ山の流出防止については、ボタ山災害防止事業、まあこれは補助金で県が主体でやっている。それから、建設省関係の地すべり等防止工事、これで一部やっております。まあこれは微々たるものです。そこで地元のほうの人たち意見としては、このボタ山の流出防止工事も臨鉱法の対象にして措置をしてほしいという希望が非常に強いわけであります。このボタ山の流出防止事業については、今後どういうような見通しを持っておられますか。あるいはまた、この法律の中に組み込むことは無理ですか。
  45. 青木慎三

    青木政府委員 ボタ山が崩壊流出して人命に危険を与えるような状態が九州方面においてあるということは、御指摘のとおりでございますが、現行法では、ボタ山が流出いたしまして河川、農地等に流入して河床が上昇したり、水利施設、農地に損害等の影響を与えた場合に、この臨鉱法の対象として取り上げているわけでございます。今後は、運用上、従来の工事に加えまして、ボタ山の流出を防止する築堤とか擁壁工事等につきましては、極力この法律運用上緩和いたしまして、これを同時に実施できるように所要の改善を加えた運用をしてまいりたい、こういうように考えております。
  46. 相沢武彦

    相沢委員 臨鉱法の対象になるのは無理で、いま言ったようなことでやっていくとなれば、どうしても地方公共団体の財政負担をもう少し軽減しなければこの防止工事は進まないと思うのですが、いま石特会計の中で災害防止事業をやっておるわけですが、復旧工事はどのくらいの比率になっておりますか。あるいはこの補助率の引き上げとか、こういった点は考えられませんか。
  47. 久良知章悟

    ○久良知政府委員 ボタ山につきましては現在約九百をこす数があるわけでございます。堆積量にしますと四億立方メートル以上になっておるわけでございます。そのうち約半数、四百五十ボタ山については、これは鉱山保安法の対象として鉱業権者に管理をさせておるわけでございますが、残りの四百五十以上のボタ山については、現在はっきりとした管理者はいないという状態でございます。それから、鉱山保安法の対象となっておるボタ山につきましても、やはり無資力、その他管理者に力がないというものもあるわけでございます。これらのボタ山の中で、先ほど話がございました人命に対して危険のおそれありという判定をされるものにつきましては、これは国と県で防災工事をやるということにいたしまして、昭和三十九年から始めたわけでございます。三十九年から四十五年までの七年間で見ますと、佐賀県、長崎県、福岡県三県の二十五ボタ山につきまして、総額約十五億の防災工事を実施いたしました。経費の分担比率でございますが、三分の二が国、三分の一が県という割合でございます。約十億わずか切れる額の国庫補助をいままでにやってきております。それから四十六年につきましては、やはり先ほど申し上げました三県におきまして、十三ボタ山工事費が約三億ということで現在やっておるわけでございます。  対象工事が、人命、それから家屋に対して具体的な危険がある、早急にそれを除却しなければならないというものに、保安の性格から限られるわけでございまして、私ども先ほど九百というふうに申し上げたわけでございますが、こういう方式によりまして処理をしなければならないものは、大体六十くらいではあるまいかというふうに考えております。
  48. 相沢武彦

    相沢委員 六十というのは、いつの時点で調べたものですか。
  49. 久良知章悟

    ○久良知政府委員 三十九年にこの制度を始めますときに、全国にわたりまして先ほど申し上げた数字を一応洗い上げたわけでございます。
  50. 相沢武彦

    相沢委員 ちょっと年月が過ぎすぎていると思うのですが、ボタ山全部について、万一の危険を予知できる、危険と思われるところがどれくらいあるか、もう一ぺん再点検する必要があると思いますが、その点どうですか。地元のほうにいくと、相当ボタ山流出についての危険感、不安感というのが強いようですけれども、三十九年のときに調べた個所六十カ所というのではちょっと納得できないのですが、三年ごとに、条件が変わっているとか、実情が変わったとかいうことを点検する必要があるんじゃないですか。
  51. 久良知章悟

    ○久良知政府委員 先ほど全体の概数として申し上げましたので、三十九年度の数字を申し上げかわけでございますが、具体的な運用あたりましては、この三県が福岡の管内でございますので、福岡に学識経験者を中心にいたしましたボタ山対策委員会というものをつくりまして、いま先生のおっしゃいますような地元からの要望、それからその後の調査によりまして判明をいたしました危険ボタ山というふうなものをその委員会にかけまして優先順序をきめ、工事をやっておるわけでございます。
  52. 相沢武彦

    相沢委員 石炭鉱害賠償等臨時措置法についてお尋ねしますが、この法律に基づきまして、資力を有しないと認定されて納付金の減免を受けた鉱業権者が、その鉱害賠償積立金のうち、減免を受けた納付金に相当する額については取りもどすことはできないというふうに今度改正するわけでありますが、その資産は事業団に帰属させるということだと思いますが、その金額をどういうような使い方をするのですか。
  53. 青木慎三

    青木政府委員 今回の法改正によりまして取りもどしの制限を受けます積立金につきましては、事業団に所属するわけでございますが、これは従来からやっておりますように、事業団鉱害賠償または防止のために融資をしておりますので、この融資制度の原資として使うのが一つでございます。それからもう一つ被害者保護に万全を期しますために、今後無資力復旧を進める際に、復旧によっては解決できないような被害につきまして、その処理のための原資にも使う予定でございます。
  54. 相沢武彦

    相沢委員 そうしますと、この積立金は、一〇〇%事業団財源として活用されるという意味ですか。
  55. 青木慎三

    青木政府委員 そのとおりでございます。
  56. 相沢武彦

    相沢委員 次に、産炭地域振興臨時措置法についてお尋ねします。  昭和四十七年度産炭地域振興対策予算は、四十六年度の七十九億九千万円に比べますと千八百万円しか増加を見てないわけでございまして、今後の石炭をめぐるきびしい情勢等を考えますと、ますますこの産炭地域振興には力を入れなければならないものと考えます。北海道ではすでに三十五年度以降約千五百万トンに及ぶ閉山がありますし、特に最近では住友二山が閉山し、非常に地域に大きな社会不安を巻き起こしておりますし、地域経済が非常に根底からゆらぐというような大型閉山が発生しているわけであります。毎回申し上げますように、特に北海道の閉山地域というものは、九州に比べると立地条件等に恵まれてないところが多いわけでありますが、そういったことで、すでに、岩見沢の奥にあります美流渡方面なんかは、集落の崩落現象も生じているようであります。  こういった地域産炭地域振興をはかるには、相当強力な措置がとられる必要があると思うのです。四十七年度予算に盛られた額で、当局としてこれまで考えていたような対策がとれるのかどうか、だいぶ予定が狂って苦しい立場にあるのじゃないかと思いますが、その辺のところをざっくばらんにお話しいただきたい。
  57. 青木慎三

    青木政府委員 昭和四十七年度の産炭地対策予算につきましては、今回石炭対策予算全体の額が、原重油関税の収入の伸び悩み等がございまして、全体の予算の額が縮小されている事情によりまして、前年度に比べますと千八百万円増で八十億七百五十万円となっております。  こまかい数字を若干申し上げますと、その内容につきましては、産炭地域小水系用水開発事業費補助金というのがございまして、これは四十七年度五億六千四百万円でございますが、四十六年度四億九千三百万円に比べますと七千万円増額してあります。これは継続事業六地区のほかに、新たに二つの地区新規事業としてつけ加えております。それから、産炭地域振興臨時交付金という制度がございますが、これは四十七年度十三億円で、四十六年度の十四億円に比べまして一億円減少しておりますが、制度としましては、閉山後四年度目の交付金の額が従来初年度の二五%であったものを四〇%に引き上げまして、制度的な拡充をはかっておるわけでございます。さらに、産炭地域振興対策の重要な実施機関となっております産炭地域振興事業団事業につきましては、出資金は五十七億六千万円で前年度と同額でございますが、自己資金の繰り入れ増、これは前年度に比べて七億円増でございます。それから財投借り入れの増額、これは前年度に比べまして二十八億円の増額でございます。こういうことによりまして、事業規模といたしましては百九十四億円となっておりまして、前年度の百六十億円に比べますと大幅に拡充しておりまして、そういうようなことで、産炭地域振興事業そのものの規模は拡大しておりますので、こういう予算をもちまして、今後の産炭地域振興事業に差しさわりないように万全を期してまいりたい、こういうふうに考えております。
  58. 相沢武彦

    相沢委員 四十七年度予算についてはまあやむを得ないと思うのですが、この予算の中で、北海道のように地域的に恵まれない地域については、もっと弾力的活用といいますか、それによって振興施策が成果をあげるようにさらに十分な配慮をしていただきたいと思うわけです。来年度以降について、予算額の一そうの拡大充実をはかられるように、当局としても一そうの御努力をいただきたいと思います。  次に、去年の秋に、北海道の住友奔別、歌志内両炭鉱が閉山したわけでございますが、その閉山後の三笠、歌志内両市の状況についてどういうふうに把握されておるか。特に炭鉱労務者の就職状況、かなり山元に残って越年をした炭鉱労務者がいて、現地では非常な深刻な状態であります。その点と、地元商工業者の動向、また産炭地域振興対策の進捗状況、それから三笠、歌志内両市のように北海道の内陸部の立地条件の悪い地域の閉山に対して、産炭地域振興施策についても特別の配慮が必要だと思いますが、具体的に新しい何らかの施策が考えられているかどうか、ありましたら、ここでお述べになっていただきたいと思います。
  59. 莊清

    莊政府委員 住友の閉山問題というものは、昨年におきまする石炭政策上のたいへん憂うべき事態であったというふうに私は思っております。特に閉山後の国全体の経済の状況というのが従来と様相を一変しておりますだけに、まことに重大な事態であるというふうに考えております。  まず離職者の状況でございますが、奔別、歌志内両鉱で約三千三百人程度の在籍者があったものと考えます。その中で二千名をちょっとこす程度人たちが全体として就職しております。その中で、例の残りました赤平鉱への社内配転の人たちも含めまして、いま申し上げたように二千百ないし二百という程度の就職でございます。完全に現在まだ就職のめどが立たないし、職業訓練も受けるに至っておらないというふうな従業員の方が約七百名近くおる、こういうふうに現状を承知いたしております。したがいまして、やはり数百人がそういう状況にあるということでございまして、これは山が大きかっただけに、特に影響するところは、直接の従業員の人たちにも大きいし、また三笠、歌志内両市に与えております影響も非常に深刻なものがあるわけでございます。したがいまして、三笠の団地造成等も急いで実はやっておるわけでございますけれども、これにも若干時間がかかりますし、この地方への最近の企業の進出状況を見ましても、全然ないわけではございませんが、現在計画中のものも数社あるわけでございますけれども、本格的なここの地域の立て直しの目玉になるような中核的な企業については、まだ目途を得ていないというふうなことが今後の大きな課題であろうと思います。政府としても、何か団地をつくる以上は、そこへ持っていくことについて、やはり地域事情もございますから、よほど積極的に考えて努力をいたしたいと考えております。  それから、地元の商工業の関係一般でございますけれども、閉山後は停滞しておるようでございますが、地元に対する特別の融資制度あるいは信用保険制度運用等もまだそれほど大きく動いておりません。信用保証等は若干の実績は特別ワクの運用が出ておるわけでございますけれども、主として北海道庁なり市の特別の金融制度を利用された方についての保証というふうな段階にまだとどまっておりまして、中小企業金融公庫、国民金融公庫からの特別の融資制度というものはまだ動いていない。もう少し商工業のほうの立ち直りなり、移転なり、転業なりの計画というものが具体化することが先決であって、そうでないと、なかなか資金需要そのものもまだ具体的には動いてきていないというのが実態ではないかというふうに、むしろ私どもはその点を重大視して、今後実態もよくつかまえ、とにかく金が動くということ自体は決して望ましいこととは思いませんけれども、やはり目途が立たないということでは一番困りますので、再就職の問題とあわせまして、地元の商工業の問題につきましては、北海道通産局等が中心になって、いろいろいま実態を調べておるところでございます。通産省としても、今後こういう方面に深刻な事態が起こらないように、きめのこまかい配慮を行なっていきたいと考えております。
  60. 相沢武彦

    相沢委員 いまの御答弁の中で、特に産炭地域への進出企業の点なんですが、閉山の決定分として、三笠市の場合は五社、歌志内市は二社ということですが、三笠は五社のうち一社は取り消しを現在しているということです。また、決定している四社にしても、そのほとんどは、おっしゃったように、従業員五十人くらいの全く小規模なものですから、閉山のショックをあまりやわらげるほどのものでないということ、その中の一つに山菜工場があるわけですけれども、これは全員といっていいほど女子従業員ということで、炭鉱離職者を吸収するような企業の来手がないというのが現状です。したがって、通産省としても、炭鉱離職者を完全に吸収して、地方自体の再建につながるような中核企業の誘致を促進するという点については、相当の力を入れて取り組まなければならないのではないかと思います。  またさらに、閉山決定当事者である住友グループにしても、閉山後は、地元人たちに言わせると、全くなしのつぶてということで、あれだけ大きな迷惑をかけるといいますか、ショックを与えるというか、地元民に不安を与えて、何とか再建の一助になりたいという意思は当時見せたにもかかわらず、その後ほとんど地元に連絡もないということです。こういった大手の企業の場合は、今後閉山するときには、事前に、やはり撤収後の地域について、関連産業なりでこういった企業をぜひ向こうへ進出させようというようなところまでほんとうは準備をした上で撤退作戦をとらなければならないのじゃないかと私は思っているのですが、一方、通産当局としてはこういった企業誘致についてもっと協力するように行政指導すべきだと思うのですが、この点についてのお考え方を伺いたいと思うのです。特に、政務次官おいでになっているので、一言御答弁いただきたいのですが、住友歌志内鉱の事故のときには、政務次官わざわざおいでいただいて、弔問やら御激励していただいたわけですが、あのときの地元人たちの印象としては、やはり官僚に見られない、政治家の政務次官だけあって、バイタリティに富んでいるし、非常に誠実のこもったごあいさつをしていただいて、事故が閉山につながらないようにするというあのことばをたよりにがんばったわけですが、諸般の事情でとうとう閉山のやむなきに至りました。そういったことで、地元人たちは、閉山になったことはやむを得ないとしても、あれだけ心配してくれたんだから、何らかその後、産炭地の再建について、特に進出企業を持ってくるということについて住友グループあたりに相当働きかけてくれているのではなかろうか、あるいは、単なる慰めのことばで、一向動いていないのだろうか、その辺をぜひ確かめていただきたいという声があるわけでして、ぜひここで御答弁を承っておきたいと思うのです。
  61. 稻村佐近四郎

    ○稻村(佐)政府委員 局長がいろいろお答えいたしたわけでございますが、いま数字の点は、御指摘のあったように、道庁、それから地元市の協力で、三笠市が五企業、それから歌志内が二企業が進出をいたしたわけです。これは全く零細な企業でございまして、炭鉱がそこに即移りかわるということは困難なことだと思います。そこで通産省といたしましては、昨年の暮れに住友グループを督促をいたしまして、中核企業十一グループが向こうで調査をいたしました。そこで現在、先ほども局長からお答えいたしましたように、三笠市では六十万平方の工業団地を造成いたしておりまして、一部五月着工、本年度完成をいたします。そういう意味合いから、今度当省として提案をいたしておりますところの工業再配置促進法、これが成立と同時に相当動きを見せるのではないか。これは内容等についてはここで申し上げるまでもなく、この法律の成立を待っておるというのが現状でございまして、必ず御期待に沿うように努力することをここでお約束をいたしておきたいと思います。
  62. 相沢武彦

    相沢委員 きょうの御答弁の会議録を現地へ持って帰りたいと思いますので、会議録ができるまで二週間程度の時間がかかると思います。その間、何らかの具体的な行動でも示していただければ幸いだと思います。よろしくお願いいたします。  それから、臨時石炭鉱害復旧法等の一部を改正する法律案の中で、産炭地域振興臨時措置法を改正して、第六条の地方税の減免補てん措置の対象に事業税を加えることにしておりますけれども、これは産炭地域への企業誘致にはきわめて有効なものになろう、こう考えます。この点について二、三御質問しておきたいと思います。  第一点は、事業税の減免補てんの措置が講じられる期間は一体何年なのか。  第二点目は、事業税の減充補てん措置を講ずることによって、企業誘致上どの程度の効果があると見込まれておるか、そこのところを伺いたいと思います。  それから、現在事業税の減免補てん対象業種は製造の事業に限っておるわけでございますが、昨年十二月に通商産業省で定めました産炭地域振興計画においては、地域の特性に応じた適地適性産業の振興を大きな柱に掲げておりますので、今後減免補てん措置の対象業種を製造の事業以外にまで拡大する必要があると思いますが、それについて具体的な検討を進められていらっしゃるかどうか。  この三点について御答弁いただきたいと思います。
  63. 青木慎三

    青木政府委員 まず、事業税の減免補てん措置が講じられる期間でございますが、これは企業がその地域に進出後初めて事業税の減免を受けた年度以降三年間でございます。  それから、事業税の減免補てん措置を講ずるとどういう効果があるかということでございますが、これはどういう効果というのは非常に言いにくい、むずかしい問題でございますが、収益力のある企業にとりましてはきわめて魅力的な制度でございますので、相当の効果があると見込まれております。御参考までに、昭和四十七年度におけるこの減免額は約五億円程度と見込まれております。  それから、今度の改正法では、減免補てん措置の対象業種は製造の事業に限られておりますが、これは製造業が一番成長性もあり、雇用効果も高いためでありまして、その他、他の地域立法との横並びもありまして、当初案よりは若干業種は制限されたわけでありますが、この問題につきましては、今回の予算折衝におきまして、今後引き続き検討するということになっておりますので、来年度予算要求の際は、重ねて財政当局と交渉してまいりたいというふうに考えております。
  64. 相沢武彦

    相沢委員 最後に、関連して一般的な質問を若干させていただきたいと思います。  三十一日、鉱業審議会でまとめました昭和五十年時点での石炭需給見通し、これが二千万トンを下らないように政府は最大の努力をせよということで発表になっておりますが、この昭和五十年時点の石炭需給見通しをめぐっては、早い時点から、供給側が二千八百万トン、需要側は一千五百五十万トンというかなりのギャップが表面化していまして、それをどう埋めるかということでさんざん議論になっておりました。まあ二日前には各界の参考人を呼んで意見を聴取したわけでございますが、明確な数字を出し切れなくて、二千万トンを下らないという表現になったと思うのですが、ここで通産省が、閣議での佐藤総理の、石炭に対する需要を確保せよという指示によって、大口需要家である鉄鋼や電力業界の説得を続けてきたわけですけれども、その説得のしかたは、一体どんなような内容で需要確保についての協力を要請したのですか。たとえば、第五次石炭政策ではかなり前向きに取り組む、石油との金額の格差を相当埋めていくから安心してもっと出せ、そういうことで石炭需給の確保を頼みに行ったのか、あるいは、ただ石炭業界が困るから何とかもう少し積み上げてくれないかという、無為無策のままに説得に行ったのか、その点はいかがでしょうか。
  65. 莊清

    莊政府委員 二千万トンを下らないということは、今後昭和五十年におきます石炭需要の体制委員会の場における一応の見通しでございます。これをめどに置きましてこれの実現に必要な対策を検討し、それの実現に最大限の努力を傾けるべきであるという中間的な決議がなされた次第でございます。  需要業界から詳細に聴取いたしたところによりますと、御指摘のとおり、五十年で需要というものは千五百五十一万トンであるという調査がすでにございますが、こういう数字を前提にした場合に、いかに政府が努力いたしましても、石炭対策そのものがすでに成り立たないという点につきまして、審議会の委員の全員の一致した御認識があり、それが基礎になったわけでございます。それで、二千万トンを下らないよう最大限の努力をして、五十年における石炭需要の見通しを積み上げるようにという審議会の決議でございますが、このために、現在通産省では、私ども鉱山石炭局が中心になりまして、電力の関係では公益事業局、鉄鋼の関係では重工業局というふうに、所管は多岐にわたっておりまするが、通産省のそういう関係の全組織を使いましていま関係業界に対してこまかいヒヤリングを行なって、詰めた積み上げを行なっております。その場合に、単に、石炭がもっと売れなければ石炭会社が困るからだというふうなことではございませんで、やはり国としても、五十年時点で千五百五十万トンしか石炭を使わないというふうな消極的なことではなくて、もう少し積極的に使うべきものだと判断する。ただ無手勝ちでユーザーに全部押しつける形での需要というものは実現性がございませんから、一応二千万トンを下らないという積み上げをやってみて、それをベースに、それを実現するための万全の対策というものをこれから石炭鉱業審議会でも検討するのである。ユーザーのほうからも、これ以上値を上げてくれるなとか、供給を保証してほしいとか、いろいろな御要望が出ておることも、われわれは承知しております。そういうことも無視できませんので、対策にすべてがかかるわけだ、対策については政府は十分これから検討するから、その場合千五百五十万トンではいけない、もっと数字を出せということで実はやっておる状況でございます。
  66. 相沢武彦

    相沢委員 五十年度の石炭需要量について、協会側は最低二千二百万トンから三百万トン、労組が三千万トン、現状程度、また、需要家のほうは一千五百五十万トン以上はむずかしい、こういうふうな三様の意見が対立したまま、今回のこういった中間的な答申になったわけであります。しかも、決議そのものについても、炭労代表の二人の委員は反対を表明しておるわけでありまして、これが最終的な結論で、通産当局としてもこれを根拠にして第五次石炭政策を考えるのかどうか、この点はこれからの検討だと思いますけれども。そういった三様の内容が出されてこういった表現になったわけでありますから、通産当局としても相当これは深刻に論議をし、また、この委員会でも論議をした上で五十年度の石炭需要の確保の量についてはきめなければならないと思いますが、通産当局としては、二千万トンを下回るなという審議会の決議を、二千万トンぎりぎり確保できる政策をとれればいいのだという姿勢で今後臨むのか、それとも、少なくとも二千万トンを下回るなということは、二千万トン以上である、その以上というのは、数字で言うと、二千五百万トン以下ならば、二千万トンを下回らない、二千万トン以上という数字になるというような、いろいろな考え方があると思いますけれども、数量的にはどの辺にめどを置こうとなさいますか。
  67. 莊清

    莊政府委員 私ども鉱山石炭局の資源行政を担当しておる者といたしましては、わが国はこれから石油の開発も非常に望まれておるわけでございますが、たとえばアメリカ等、豊富な国内資源で、石油依存度が四五%程度、天然ガスが三五%、石炭が依然として二〇%というふうな、安定した国内資源の上にがっちりした基礎を置いた、しかも各エネルギーのバランスのとれたエネルギー供給、消費構造を持っておるという国がいかに強い国であるかということを、毎日身につまされて考えておるものでございます。この点、イギリス、日本、フランス、ドイツ、イタリア等、今日非常に脆弱な基礎の上に立っておるというふうに思っております。したがいまして、石炭産業は非常に苦境にございますけれども、可能な限り極力国内の資源というものは活用する、これは大臣がしばしば当委員会でも言明されておる点でございますが、その大臣の御意思というものは、われわれ事務当局としても全く正しい御方針であるというふうに体しておるつもりでございます。  それで、実はこの審議会の審議の経緯についてちょっと触れさしていただきたいのでございますが、私どもが千五百五十万トンの数字を把握いたしまして、問題の三十五火力発電所についても、ほんとうに石炭がいつになったら使えないのかということをすべて調査、検討するというふうなこともやってまいったわけでございますし、鉄鋼についてもいろいろと検討いたしました。それで、正直のところを申し上げますと、事務的な感じとしては、千七百万トンとか八百万トンとか、なかなか二千万トンの大台には手の届かないあたりが事務的には一つの限度かという感じが実はなかったわけではございません。あったわけでございます。しかし、その後大臣まで上げまして、通産省としての方針のあり方というものについて、やはり前向きの検討をいたしておったわけでございまして、体制委員会の中立委員の方から、暫定的な一つの御提案として、千七、八百万トンなんということでは問題にならぬので、ぎりぎり二千万トンに近いところというふうな御意見も途中でございましたが、鉱業審議会の全体会議では、御案内のように、二千万トン以上、二千万トン台というようなことがきまったわけでございます。二千万トン程度という中間的な声もございましたけれども、二千九百万トンでも二千万トン程度ではないかというふうな御意見もございまして、二千万トンプラスアルファである、マイナスではいけないということが、ここにはっきりと今後の検討のワク組みとして与えられたというふうに私どもは考えております。  それでは、プラスアルファで幾ら上回るのかという御指摘でございますが、これは今後やはり積み上げもやってみなければなりませんし、また今後検討さるべき対策、その内容、規模が一体どこまで政府としてはっきりするかということとの関連も実はございます。私どもとしては、なるべくたくさんというふうに当然思っておりまするが、二千五百万トンというふうな数字は、たとえば四十七年度の出炭見通しが千七百五十万トンであるというふうな現状から考えましても、なかなかこれは見通しとしては暗いのではないか。しかし、二千万トンプラスアルファの線まで何とか需要を積み上げてみまして、それの実現に必要な対策というものの検討を今後していくという、この点はすでに明確にきまった通産省としての方針でございます。
  68. 相沢武彦

    相沢委員 この問題につきましては、また日を改めて本委員会で論議したいと思います。  本日は以上で終わります。
  69. 鬼木勝利

    鬼木委員長 岡田利春君。
  70. 岡田利春

    ○岡田委員 いまの相沢委員の質問に関連して初めに伺っておきたいと思うのですが、三十一日、石炭鉱業審議会昭和五十年度における石炭需要量について決議をしたわけです。昨年の暮れに緊急対策について同様決議をいたしておりますが、大臣が諮問されておるいわば第五次政策、この石炭政策について答申せよと、こう諮問しておるのに、なぜ一体需要に限って中間的に決議をしなければならないのか。私の記憶では、第四次政策まで、部分的な決議が行なわれたという例はないわけです。今回こういう需要だけを決議する、こういうことは、体制委員会あるいは鉱業審議会の審議のしかたとして問題があると思うわけです。もちろん、委員はそれぞれ意見があるでしょう。そういう意見意見として、大勢的な意見あるいは反対の意見を併記して、さらに作業を進めて最終的に答申をする、これが本来審議会のあるべき姿ではないかと思うわけです。まして、石炭政策は全体に関連する総合的な問題でありますから、そういう意味では、昨年末の決議と今回の決議は質的に違うわけです。こういう形態をなぜとったのか、明らかにしてもらいたいと思います。
  71. 莊清

    莊政府委員 石炭を取り巻く情勢が年々刻々きびしさを加えてまいっておりまして、このままでは明らかに石炭産業は全部崩壊してしまうのではないかということが人の口にものぼるような昨今でございます。特に、需要面におきましてここ二、三年非常に大きな変化が起こりつつあるということが、そのきびしさの最も大きな要素だと考えるわけでございますが、そういうことで、コマーシャルベースでは、現在程度の政策を前提にする限り、千五百五十万トンしかどうも需要がないようだということがはっきりしてきたということは、従来の石炭対策を論じます場合にも、もちろんこういう検討もなされたわけではございますけれども、その質とその問題の持っておる事の重大さにおきまして、まことに画期的と申しますか、非常に重大な局面にきた、こういう認識審議会の各位が全部お持ちになったということが、まず第一の点だろうと思います。  それで、千五百五十万トンというこういう数字が前提である限り、いかにこれに対しての施策が講ぜられようとも、議論されようとも、これはすでに石炭対策として現実に通用しない、絵にかいたもちになる、なだれ閉山だけが予想されるというふうな強い御意見が多く出ました結果、今回のような異例の取り扱いになった。千五百五十万トン、それもむずかしいかもしれない、それだけについても相当注文があるとおっしゃるユーザーのほうの意見をむしろ審議会としては一応押えまして、二千万トンプラスアルファでなければいけない、それを前提に今後審議をすべきであるという決議ということになっておりますが、実際は、審議会の委員全員の一致した思想統一、政府としても、これが審議会の意向であるということを十分心得て今後行動するようにという自分たちの御意見の思想統一であり、それを政府にお示しになったもの、こういうことでございまして、これのよしあしはともかくといたしまして、現局面におきます石炭対策を論じます場合、審議会としては、むしろ、異例ではございましょうけれども、私どもは、一つの筋を通した正しい行動をされたといえるのではないかと思っておりますし、またそのつもりでこの決議を尊重してまいる所存でございます。
  72. 岡田利春

    ○岡田委員 逆に、千八百万トンを生産体制としていわゆる石炭産業がキャプティブするわけですから、言い方がちょっとおかしいかもしれませんけれども、千八百万トン程度しかキャプティブできないというようになった場合どうするのですか。  問題は、やはり、生産、需要、これに伴う資金をキャプティブする政策的なもの、こういうものが総合的に投射されて、政策として最終的にどうまとめるかということが石炭政策であると思うわけです。ですから、言うならば、もしここで決議をされるというならば、実際問題として、もうそういうものができ上がっていると思わなければならぬわけです。いままでもいろいろ問題がありましたけれども、そういう中間的に決議をするなんということはなかったわけです。  いま局長は、需要がないと言いましたけれども、原料炭については、ご承知のとうり、外炭が今年は七千五百万トンも契約がしてあるわけですし、年々伸びていくことは間違いないわけです。あるいは一般炭の電力についても、これは新しい新鋭火力を設置するならば、需要は出てまいるはずです。しかし、そう言っても、キャプティブしていく限界というものがあるわけだから、そうむちゃなことはできないということがまず前提にあって、それとの見合いということでもって需要というものが想定されていくのが筋でなければならない。ですから、体制委員会審議会では、そういうそれぞれのことがある程度具体的に議論されて、そして二千万トンを下回らないときめたのか。そうきめたとすれば、これからの審議はもう早いではないか、一偏千里に大体結論が出るではないかということにもなるわけです。ですから、そういう意味で、私は従来の第四次政策の経過から見ても、決議したことがわからない。なぜ決議する必要があるのでしょう。それぞれ委員が意見を述べて、大勢的な意見は二千万トンを下回らない。反対の意見もあるわけです。決議したって、反対の意見はつくわけです。そこを乗り越えて決議をしたということに、今回の第五次政策をきめるにあたって何らかの問題があるのかどうか、その点がわれわれとしては非常に理解できないところなんです。この決議がなければ今後の審議はできませんか。
  73. 莊清

    莊政府委員 決議ということばであるか、あるいは今後の検討にあたっての基本的に留意すべき事項というふうな御決定であろう——いずれでも精神は同じであり、それを尊重する政府姿勢に何ら変わりはございません。ただ、千五百五十万トンというものをフィックスし、それにこだわって、それは動かさないという前提で石炭対策を講じろと仰せられても、それは実際の政策としては考えられないということは、委員の一致した御意見でございますし、通産事務当局としても全く同感いたしております。したがいまして、この際に、これ以上の数量の実現のための政策を考えるべきだ、それ以下のことを考えてはならないというふうに、一つの土俵を設定されたということは、むしろ非常に意義があるのではないか。問題は、どのような対策をどのような姿勢でこれから審議をして実現をはかっていくかという、そちらの内容のほうによって結果が問われるのではないか、実はこう考えております。
  74. 岡田利春

    ○岡田委員 今回の石炭政策の諮問は、第五次政策、五カ年間の計画を策定して、十年ないし十五年の展望を一応考えてみる——後段のほうは別にして、第五次政策は五カ年である。その初年度昭和四十八年度になりますから、昭和五十二年度まで、したがって、昭和五十三年三月三十一日までの政策でなければならない。しかも今回行なわれました答申は、石炭の位置づけを明確にしないでこれからの石炭政策は成り立たないという、そういう確固たる情勢認識の上に立って行なわれておるわけです。  いま、決議の問題について局長が答弁されましたけれども、ではなぜ昭和五十二年度をここでは問題にしていないのか、この点についてはいかがですか。
  75. 莊清

    莊政府委員 一応五年という、よくある年限をものさしにして審議をしろということであれば、仰せのとおり、当然五十二年という線が出てまいるわけでありますが、一方、現在国会に出しております特別会計法、これは五十一年度までというふうなことで、そのあたりがいろいろ時点は異なったものもあるわけでございます。  それで、今度は需要問題というのが審議会でも当初から問題意識としてあったわけでございますが、正直なところを申し上げまして、ほんとうは五年、十年の長期まで見通してできればそれにこしたことはございません。残念ながら、現在の情勢では、経済の先行きについては、国としてもはっきりした経済見通し等がこれからことし一ぱいかけて検討されるというふうな状況であるとも聞いておりますし、それぞれの需要業界のほうにおきましても、したがいまして、そこの点について業界なりの確たる見通しというものをまだ立てがたいというふうな状況にあるという実情にございまして、実は私ども審議会の事務当局としてもその点非常に苦慮したのでございますが、とりあえず、一応何とか現実性のある見通しの立ち得るなるべく遠い時期というものとして、切りのいい五十年というのをかりに置いたわけであります。やはりエネルギーの問題というのは、三年とか四年とかという時期よりも、たとえば五年あるいは七年とか十年とか、こういう見通しを持つべきでございましょうし、それからまた、長期の見通しと比較的短期の四、五年の計画というものの両建てで、たとえば、現在石油についてはそういう制度がございますが、そういうものでもって対策を講じていくということが、政策のあり方として一番正しいのだという認識は十分ございます。今風はやはり需要を固めて、少なくともこれ以上の需要だ、これを達成するのだということを意識をいたしませんと、議論の根底がくずれるというほどの深刻な事態が予想されるというところから、申し上げましたような五十年までといいますか、短い時点にせざるを得なかったということでございまして、今後情勢が許しますならばさらに長期のものを検討するという気持ちはいささかも変わっておりません。
  76. 岡田利春

    ○岡田委員 端的に聞きたいのですが、どうも私は、大臣にこの委員会で答弁をいただいて大臣が審議会に諮問した趣旨からいって、何かいま審議していることは一つのはめ手の審議をしているのじゃないか、端的に言って、そういう気分があるわけです。だから、第五次政策は五カ年の政策を出すのか出さないのか、これはどうですか。
  77. 莊清

    莊政府委員 現在の体制委員会審議の方向といたしましては、五十年という時点をめどにした対策を考える、こういうことに相なっております。
  78. 岡田利春

    ○岡田委員 これは大臣の諮問趣旨と違うのではないですか。これは、田中大臣にかわりましたけれども、前の大臣は、少なくとも五年の計画を立てる、さらに田中通産大臣は、五カ年では不十分だ、やはりさらに先を展望したことを考えなければ、毎年毎年石炭問題をやらなければいかぬではないか、したがって、思い切ってとにかくそういう展望を持ちながら今度の場合には答申を求めている、こう述べているわけですよ。審議会は答申を求めた趣旨に従って審議をして、そして答申をすべきではないかと思うのです。どこで、どうして、いつ、こう変わっていくのでしょうか。これは明確な答弁になっていますよ。しかも、ほんとうは去年の十二月に答申することになっているのですよ。それが一年延びたから——当初は四十七年から五十一年度、こう展望しておったわけです。私は、いまの問題はきわめて重大な問題だと思うのです。ですから、体制委員会でいつこれを五十年にしたのですか。大臣のそういう趣旨について、できないということを、体制委員会あるいは石炭鉱業審議会は確認しているのでしょうか。
  79. 莊清

    莊政府委員 大臣の石炭対策に対するお考えというものは、やはり一年二年で対策がネコの目のように変わり、対策の決定をした翌年にはまた次の対策が抜本的に議論されるというふうなことではいけない、やはり五年十年通用するようなビジョンでの石炭対策というものを抜本的に考えろという御趣旨である、こういうふうに理解し、審議会でもそういうふうに了解がなされているわけでございます。ただ、実際に対策を考えます場合には、これは予算の規模の問題もございまするし、その予算運用をどう改めるかというこの問題を離れて対策は実は立たないわけでございまするし、その場合には、やはり実際の需給というものの前提がなくて、これは予算のほうもしたがって検討が事実上できないということでございます。したがいまして、五十年という時点での需給というものを一応想定いたしまして、それが間違いなく実現できるようなそういう対策というものが検討されるわけでございますけれども、それではその対策というのは、五十一年になったら全くもう通用しない、むだなものになるというふうなことであってはならないということは、明らかな事実でございます。大臣としては、そういうものを考えちゃいけない、こういう御指摘をなさっておると思います。今後講ぜられるべき石炭対策、予算規模等につきましては、とりあえずは特定の五十年の需給というものをめどに議論はいたしますけれども、その政策の意味合いというものは、五十年でもうほごになってしまう、それ以降は全く通じない、五十一年になったら石炭産業は全部崩壊する、こういう政策であっていいはずはございません。そういう意味で審議会でも御検討いただいておるわけでございまして、必ずしも、五年がないから、したがって政策としておかしいというふうには私どもは考えておらない次第でございます。
  80. 岡田利春

    ○岡田委員 五十年を見通せて、どうして五十二年を見通せないのですか。五十年を見通せて五十二年を見通せないで、どうして石炭政策ができるのですか。
  81. 青木慎三

    青木政府委員 今度の政策の立案にあたりまして、五十年の需給想定をいたしました理由一つは、特に電力の需要につきまして、公害を理由とする需要減というものが非常に大きな要素を占めておりまして、そのために、私どもといたしましては、各発電所ごとの燃料計画を出してもらいまして、それでどこまでたけるかという詰めをしたわけでございますが、そういうふうに詰めをいたしますためには、あまり先のことではなかなか電力業界の需要想定がむずかしいという事情もございまして、各発電所別の燃料計画まで出せるという一番遠い時点を選びましたので、五十年という時点を選んだわけでございます。
  82. 岡田利春

    ○岡田委員 それでは政策ではないのではないですか。少なくとも、今回答申を求めたという大臣の趣旨は、われわれのこの委員会答弁でそういう決意をきめて諮問いたしたのでありますから、だからこそ私は、少なくとも最低五年の展望がなければいかぬじゃないか、こう言っているわけですよ。たとえば、何らか政策でささえていくという装置をする場合、何年かかるのですか。たとえば、もしかりに電発で一基の発電所をつくるという場合、何年かかるのですか。ことしかかって来年できるものではないわけですよ。そういうものがなくて一体政策と言えるのかどうか。少なくとも、大臣が本委員会でわれわれに答弁をして諮問をしたその趣旨からいって、それを避けて通って一体その諮問の趣旨に合致する答申になるのだろうか。私はそう理解できないわけです。この点、私は今度の決議を見て、これは五十二年になっておれば、まだ審議のしかたについていろいろまああるでしょうから、これは問題を別にしておいても、五十年ということで、しかも異例な決議を行なって、そして五十二年というものを、五年間というものを展望もしない。これは石炭の位置づけをしなければ労働者も確保できないではないか、労務倒産も起きるではないか。だから、せめて五年くらいの位置づけをしておいて、もちろん、その場合においては量についてはいろいろ検討されるでしょう。しかし、やむを得ぬではないかと思う。勇気を持って、勇断を持って今回の場合にはやろうではないか、これが私は今度の趣旨だと思うわけです。しかも、いままでのわれわれの委員会における答弁は、すべてそれが常識化されている、それが前提になっておるわけです。だから、途中でころころ変わってしまうという感じが今回の場合にはしてならないわけです。この点は、事務当局としてそう考えておられるようですけれども、それは既定の方針としてもう堅持をし、変えないということなのか、どうなのか。もしそうであるとするならば非常に問題で、私は、委員長が石炭委員会委員長をずっとされておって、私どもの質問はよく聞いておると思うのです。この際委員長に、私の質問が間違いがあるのかどのか、できるならば委員長から見解をも承っておきたいと私は思うのです。
  83. 莊清

    莊政府委員 一言答弁に補足をお許しいただきたいと思います。  五十年、五十年ということを私繰り返し申し上げましたのですが、同時に、対策を検討するために、一応五十年という時点での需給というものを想定して考えるのであるということを申し上げております。また、この対策というものは、五十年までは通用するけれども、五十一年になったらもう全然役に立たなくなってしまって、石炭産業が崩壊してしまうかもしれない、そういう意味の対策というものであってはならぬということを大臣は常々おっしゃっておるということも申し上げたわけでございます。今後審議会でいろいろ対策の検討に入るわけでございますが、これは政府及び審議会の一致した姿勢といたしましてここではっきり御答弁申し上げたいのですが、二千万トンを下らざる石炭の生産規模というものは、すでに審議会としても決議という形でお出しになっておるわけでございまして、五十年というものを念頭に置いた具体的な数字の積み上げ等の対策が検討されるわけでございますけれども、五十一年以降の石炭の規模というものは、そこの五十年時点において実現さるべき生産から、その後のやむを得ざる自然条件の不可抗力的な悪化というふうなものによって、これは資源産業でございますから、どうしても資源として枯渇していくというふうなものはその後も出るかと思いますが、そうでない限り、その生産水準というものが国として維持さるべきなんだというそういう基本的な姿勢というものを持ちまして、それを踏まえて対策を議論するのである、こういうふうにひとつ御理解をぜひお願いいたしたいと存ずるのでございます。
  84. 岡田利春

    ○岡田委員 もし五十年までしか政策を出さぬとすれば、四十八年に審議会をもう一回やらなければいかぬでしょう。いまのタイムリミットからいって、四十八年にスタートして、すぐ暮れにはまたやらなければならぬということになるわけです。こういうようなことはないと思うわけですね。今回の産炭地振興改正法律案は、すべて十年の延長ですから、こっちだけは従来の五年間をさらに縮めてしまうということになれば、諮問の趣旨から大きくはずれるわけです。  私はこれ以上事務局に質問してもどうかと思いますから、これはとどめておきますけれども、ただ私は明確に申し上げておきたいのは、今回の答申を受ける大臣の諮問の趣旨というのは、長期的な見通しの上に立ち、しかも五年なら五年、最低五年の確固たる答申をいただきたいというのが大臣の諮問の趣旨である。宮澤大臣が諮問したのでありますが、その後田中通産大臣にかわっておりますけれども、そんな趣旨である。したがって、審議会は、できるかできないか、それに従って答申をすればいいわけですよ。できなければ、できませんと言えばいいわけです。その点を今後明確にしていただきたいと思いますので、いまの問題は非常に基本的な重大な問題でありますから、以上の点を明確にしておいて、とどめておきます。  それから第二は、二千万トンを下らないということと、二千万トンを割らぬということと、二千万トンを最低とするということと、意味はどう違うんでしょうか。
  85. 莊清

    莊政府委員 先ほど申し上げましたように、審議会の審議過程では、二千万トンに近いというふうな御意見がございました。結果としては、二千万トンを下ってはならないというふうに相なったわけでございます。これは数字の上で百トン、二百トンというふうなことではなくて、考え方といたしまして、最低どんなことがあっても二千万トン台、しかも、対策の関連はございましょうけれども、少しでも多く、これを今後の石炭対策の基調に据えて検討を続けるべきであるというふうに姿勢の変更があった、かように私ども理解いたしております。
  86. 岡田利春

    ○岡田委員 そうしますと、少なくとも決議の趣旨は、昭和五十年度二千万トンを最低とする、こういう意味だと思うのですが、そういう理解でよろしいですか。
  87. 莊清

    莊政府委員 これをめどに置いて、今後それの実現に必要な対策を検討しろ、こういう趣旨でございます。
  88. 岡田利春

    ○岡田委員 二千万トンを最低にするということをめどにするんですか、二千万トンをめどにするんですか。
  89. 莊清

    莊政府委員 二千万トンがめどではございません。二千万トンプラスアルファにして、アルファのついた数字をめどにしよう、こういう趣旨でございます。
  90. 岡田利春

    ○岡田委員 私は、この二千万トンの場合、大体の議事録を読んでみたのですけれども、各委員の頭に何が考えられているかということが鮮明でない面があるんです。たとえば露頭炭を二百万トン、掘っても、一〇%ですよ。あるいは雑炭は、現在の二千七、八百万トン体制でも百七、八十万トンの雑炭があるわけですね。石炭というものはこの際何なのか、この点については、この目途をきめられるときに議論されておりますか、あるいは大体どのような理解をされてそうなっておるか、伺っておきたいと思います。
  91. 青木慎三

    青木政府委員 二千万トンを下らない需要を確保するという意味でございますので、私どもといたしましては、露頭炭も雑炭も一応含んだ需要というふうに理解いたしております。
  92. 岡田利春

    ○岡田委員 雑炭は、これは掘れば出てまいりますから、指定統計でも従来あまり厳格でなかったものを、政策の中で厳格に把握する方向に変えてきたわけです。露頭炭は、いわば従来の政策態度で露頭炭に対処していくという方針か、それとも、露頭炭採掘に対して政府はこの際一つの明確な方針を出すという考え方なのか、この点、私は非常に重大問題だと思うわけです。この点についてはいかがですか。
  93. 青木慎三

    青木政府委員 露頭炭につきましては、現在どういう方針を立てているということではございませんが、二千万トンを下らない需要量をめどの政策を論ずる場合には、当然、露頭炭に対してどう考えるのかということも、政策論議としてやっていただくつもりでございます。
  94. 岡田利春

    ○岡田委員 炭鉱の規模が小さくなってまいりますと、露頭炭を無原則に掘っておりますと、これは二〇%にも二五%にもなるわけです。しかし、露頭というのは、そのままにしておいてもいつでも掘れるのですよ、これは土木事業ですから。そういう意味で非常に注目をしなければならない段階に来ているという点について、新たな認識をひとつ持っていただきたいということをこの機会に申し上げておきたいと思います。  それと、もう一つの問題でありますが、今回の体制委員会がこれからこの決議に基づいて審議を進められていくわけでありますけれども、大体これからの審議の予定、及びできるだけ早く答申を求めるという趣旨、こういう面と関連いたしまして、この決議以降どういう審議会の日程を考えられておるか、事務当局の一応の予定を聞かしておいていただきたいと思います。
  95. 青木慎三

    青木政府委員 今後の審議日程につきましては、部会長とも御相談の上、体制委員会を開いてきめていただくつもりでございますが、私どものほうの予定としましては、今月の二十日ぐらいに体制委員会を再開いたしまして、その問題を小委員会でずっと詰めてまいりますと、そこで一月なり一月半なりの時間の経過は必要かと思っております。その後、そこである程度の結論を出した上で審議会の答申という段取りになる予定でございます。
  96. 岡田利春

    ○岡田委員 いままで議論して問題を置いておいたのでありますけれども、今回の体制委員会でもう一つ議論しなければならぬのは、石炭の今日の経営体制がこのままでいいのかどうか、もちろん、総合的な判断の中から最終的にきめていくわけでありますけれども、私は、そういう点についての先ほどからの議論のやりとりで非常に心配な面を感じておるわけですが、当然、体制的な問題について今度答申を得るということについては変わりがないのかどうか、いや、そうではなくて、問題は現在の石炭の体制、こういうものを一応前提にしてこの決議を行なって、これから審議をしていこうという考え方なのか、この点の変更はあるのかないのか、承っておきたいと思うのです。
  97. 青木慎三

    青木政府委員 体制委員会としましては、今後の体制問題に対する各方面の御意見を一応昨年の秋に伺っておりますので、これを含めまして体制問題を含めた政策論をしていただく、こういうつもりでございます。
  98. 岡田利春

    ○岡田委員 いま付託になっている法律案があがるまで委員会がございますので、いま申し上げました点は非常に重大な問題でありますので、特にさらに明確に解明をしておきたい、こう思っております。この点を申しておいて、この項はこれで終わります。  第二の問題は、産炭地振興の問題についてお伺いいたしたいと思います。  今回、事業税の減免措置が改正案として出されておるわけです。これは昨年当委員会でも議論になっていていろいろ検討され、今回こういう改正案が出たことについては私どもとしても賛成であります。ただしかし、昨年の場合にもう一つ問題になりましたのは、産炭地の十一条の問題がたいへんな論議の中心課題であったわけです。このことが今度の改正案に盛られていないことは非常に不満であり、また審議の経過からいって、極端なことばを使えば、どうも議会軽視ではないかと思うくらいのショックを実は私どもは受けておるわけです。  そこで、第一にお伺いいたしたいのは、産炭地の十一条の公共事業の補助について、昨年それぞれの町村別の実績をお伺いいたしました。この傾向は今年も来年も変わりがないと思うのですが、変わりがあるとすれば御答弁いただきたいし、変わりがないとすればそれでけっこうですが、変わりありますか。
  99. 中井富男

    ○中井説明員 お答え申し上げます。  前回の国会におきまして御質問ございましたときにお答えいたしましたのは、四十四年度の確定額でございます。四十五年度につきましては、現在確定作業を急いでおる最中でございまして、まだ数字を申し上げるわけにはまいりませんが一応概算額といたしましては、適用市町村の数が八十一でございます。そのうちの六条の市町村数が五十九ございます。なお、引き上げ額につきましては、全体額が十八億、そのうち六条市町村が六億という数字になっております。
  100. 岡田利春

    ○岡田委員 私は、この問題が改正にならないということはどういう意味なんだろうかということでいろいろ考えてみたのですけれども、わからないわけです。おそらくいろいろな関連法案の関係、そういうものの流れ、それにただ唯々諾々としているということではないかと思うのです。現状は、御承知のように、むしろ非常に財政支出からいっても低いし、そしてまた、何をやるにしても非常に困難を感じておる。しかし、該当公共事業がその部面にはございませんから、むしろ六条指定は非常に薄くて、圧倒的に六条指定でない二条指定の町村が対象になるのです。九州で見れば、北九州がもう圧倒的に多いわけです。あとの市町村はきわめて少ないわけです。それで産炭地振興をしなければならない、鉱害をやらなければならない、こういう実情に置かれているわけです。これは不公平ではないかと思うのです。産炭地振興法の目的と精神からいって、合致しない政策であるということを長年指摘をしてまいったわけです。今回は、もう十年を経過した今日の段階で、是正されるもの、そういう提案がされるものと実は期待をしておったわけです。いま私が申し上げました認識でやむを得ない、当然だと思いますか。これは通産省と自治省、大蔵省から、産炭地振興法の目的と精神によってできているこの施策が、今後も十年間延長している産炭地振興政策として妥当であるという確信があるでしょうか、承っておきたいと思います。
  101. 莊清

    莊政府委員 産炭地域振興というのが、地域振興対策の中でも従来から特に緊急性が高いという点は、政府としても十分認識をしておる所存でございますが、実際の問題といたしまして、産炭地域にも、最もひどい打撃を受けておるところもございますし、あるいは地域によりましてはかなり工業集積がございまして、影響はないとは申しませんが、著しく被害を受けておるところに比べれば、その度合いが、いろいろな指標を見ましても、かなり軽易であるというところも事実ございます。したがいまして、これは地域振興対策全体の問題になろうかと思いますけれども、やはり拠点というものを中に置きまして、限られた財源でございますから、そこに重点的に施策を講じていくということは、政策の進め方としても、最もひどい疲弊のところを食いとめ、それを向上させることによって、それを含んだところの地域全体の発展につなぐという現実的な政策、手段でもあろうかと存じます。地域の指定につきましては、つぶさに見ますれば、なお必ずしも万全でないという点が正直言って、あろうかと存じます。そういう点につきましては、政府としても十分な調査検討の上、直すものがあれば直していくということが私は正しい姿勢だと思いますが、産炭地域振興対策全般としては、やはりある程度の重点主義ということは、問題の解決にプラスになる面が実はありはせぬか、かように考えております。
  102. 近藤隆之

    ○近藤説明員 産炭地の地方団体の、特に市町村におきましては、歳入のほうが客観情勢から思うにまかせず、そしてまた財政需要のほうは膨大なものをかかえておりまして、財政状況はおしなべて悪いわけでございます。自治省といたしましては、御承知のように、地方債の特別のかさ上げとか、あるいはその元利償還金の一部を地方交付税に算入するとか、あるいはまた、税の減収に対しまして交付税で補てんするとかいうような措置を、われわれのできる範囲ではやっておりますけれども、先ほどお話がございましたような十一条の国庫補助のあり方は、この程度のものでいいのかどうか、われわれとしても疑問を持っております。通産省でもいろいろ検討されておるようでございますので、相協力して、市町村が財政不振のために事業ができないというようなことがないようにしていきたいと思っております。
  103. 徳田博美

    ○徳田説明員 先生御指摘の、産炭地域振興臨時措置法第十一条につきましては、確かに、公共事業の市町村負担額が一定以上にならないと適用にならないから、疲弊度が著しい市町村が必ずしも適用にならないという不均衡のあることは、御指摘のとおりでございます。しかしながら、これを離島あるいは過疎地域並みに、たとえば一律補助引き上げ方式に改めるという方式につきましては、それぞれの法律の目的に従いましてそれぞれの措置をとるということもございますので、この点いろいろ問題があると思います。それからまた、産炭地域にございます市町村の相当部分が、過疎地域対策緊急措置法の対象になっておるということもございますし、また、産炭地域につきましては、御存じのとおり、産炭地振興事業団あるいは産炭地域臨時交付金というような、いろいろ手厚い制度があるわけでございます。こういうことを勘案いたしますと、にわかにこの問題をどのように扱うべきかということの結論を出すことはできない、このように考えます。しかしながら、まさに先生御指摘のとおり、最近のように閉山がかなりの水準で進んでおりますと特に六条関係市町村に問題があるということは、これは確かに疲弊度の著しい市町村はなかなか回復がむずかしいという問題もございますので、今回の四十七年度予算におきましては、産炭地域臨時交付金の交付率を改正いたしまして引き上げをいたしまして、一億六千万の金額をこれによって増額したわけでございます。これの適正な配分によりまして、その不均衡がかなり是正されることをわれわれは期待しておるわけであります。
  104. 岡田利春

    ○岡田委員 いままで閉山になっておるところは、実績でみなさんおわかりだと思うのです。最近は北海道に閉山が集中いたしておるわけです。それぞれ炭鉱の所在地というのは内陸の沢地帯にあるわけです。したがって、炭鉱が閉山になれば、その町は半分以上も、人間も施設も商店、商業その他の関係もスクラップされるという実情にあるということは、御承知のとおりなんです。もちろん過疎地域と重なっておるところも一部ございます。しかし、これは全般的に重なっておるわけではないわけです。あるいは産炭地自治体に対する特別交付金というのは、突如閉山が起きるわけですから、まあいわば予期しないときに爆撃でもされたようなものであって、それを整備するために地域がスクラップするわけですから、特別の相当な費用がかかるわけです。学校が廃校になった、その点については交付金で自治省で見るということがありますけれども、それ以外の整備しなければならぬ面が非常に多くて、これが処理し切れないという趣旨から、地方自治団体に対する特別交付金制度が生まれたのだと思う。そして、いま主計官が言われた、第四年度二五%を四〇%に上げた、逓減した最終年度の四年目の二五%、これを四〇%に上げたわけですから、一五%上げたというのが今度の予算措置であるだけにしかすぎないわけです。また、産炭地振興事業団で団地をつくるといっても、実際問題として山の中に団地はできないのですよ。しかし、それぞれの町村では死にもの狂いになって、いわば、つけもの工場をつくるとか、考えてみれば幼稚なことであっても、そこに雇用力を何とか増していくということを創意しながらがんばっているわけです。しかし、なかなか成績があがらないというのが実情なわけです。その実情をほんとうに把握されて考えられれば、少なくとも十一条の適用が、北九州のように大工業地帯がもう半分以上もこの恩恵を——金額的にいえば恩恵を受けて、あとはトータルで各町村はほんとうに微々たる恩恵しか受けていない。これは、やはりこの制度は産炭地の実情に合っていないわけです。しかし、なかなかこの算式がむずかしくて、手をつけるということになるとむずかしいというので、なかなか手をつけたがらないのです。私はそれが実態ではないかと思うのです。しかし、少なくとも改善をするということだけはやはりもう否定できないのではないか。ですから、法の趣旨やあれからいって、いろいろな関連立法からいっても——産炭地のこれが当然今後十年間このままでいいですよ。そう不合理はない。ある程度不合理があっても、そう不合理があるとは言い切れないと思うのですね。そういう意味で、私は、この点の是正を昨年当委員会では、来年度国会においてできれば修正するようにしたいという明快な答弁を実はいただいておるのでありますが、残念ながら、今度産炭地振興法の事業税、これは都道府県でありますけれども、この改正が出されなかったということについて、非常に遺憾だと思っておるわけです。これは、少なくとも法の改正が少しでも手を触れられるとするならば、この面の改正は当然出されるものというのが常識だった、こう申し上げてもいいのではないかと思うわけです。いろいろいま答弁がありましたけれども、これは通産省サイドでもできる問題ではございませんし、どうしてもやはり自治省、大蔵省三省にまたがる。またがってどうするかという問題でありますが、早急にひとつ結論を出していただきたい。  実は、議員立法でこの面だけを修正することができないか、あるいは今回の改正についてさらに付加して修正できないか、こういう気持ちを持っておるわけです。しかし、私どもも、この内容を検討すれば、いろんな関係もございますし、一応修正案をつくることはいとやさしくできても——それは慣例もございますから、そういう面でより妥当なものとして検討しなければならない、こう受けとめておるわけです。したがって、この面の改正についてさらに検討していくということかどうか。これから検討してみましょうという時期は、私は過ぎたと思うのです。この点の是正をはかるために鋭意検討し、できるだけ近いうちにこの結論を出す、こういう点の姿勢がお持ちになれるかどうか、明確に承っておきたいのです。
  105. 莊清

    莊政府委員 御指摘の補助率アップの問題につきましては、重要事項でございまして、関係各省間で鋭意検討したわけでございますが、遺憾ながら今回は間に合わなかったというのが実情でございます。したがいまして、今回の御提案申し上げておる法案の中にはそれは具体化いたしてはおりませんが、先般の予算閣議直前のお話し合いで、通産大臣、大蔵大臣の間で、この問題は重要であるから、今後も引き続きひとつ実現の方向——ということは当然でございますが、検討を必ずしようというお約束が実はできております。法案には入っておりませんが、そういう次第でございますので、私ども通産省といたしましては、十分の資料も整え、検討を加えた上、自治省なり大蔵当局と十分の詰めの折衝を今後行なう、こういうことで御了承いただきたいと思います。
  106. 岡田利春

    ○岡田委員 私はいまの問題について質問したのですが、私ども自身が、産炭地の各市町村から、一体政治は何をしているのかと問われておる問題なんです。そういう点を、ぜひもう一度問題点を認識を深めていただきたい、こう申し上げておきたいと思います。  次に、六条の問題ですが、六条は、財政力指数、生活保護率など三つの要素で六条指定が行なわれて、十年間経過してこの変更は全然行なわれてきていないわけです。現在炭鉱も非常に少なくなりましたけれども、炭鉱の所在地でもなおかつ六条の指定を受けていないという面があるわけです。しかし、周囲の炭鉱が閉山されてきますと、産炭地振興の場合でも、大体町村別単位でなくて、ある程度市町村ブロックといいますか、そういう中で産炭地振興をやっていくという方法以外には、各町村ごとに団地をつくって産炭地振興をやるというわけにはまいらないわけです。これが今日の産炭地振興現状であるわけです。ですから、いわば二条のところにも団地が——二条と六条通じて団地ができるという、こういう形態も出てまいるわけです。あるいは離島のように、これは、たとえば六条にしたからどれだけのメリットがあるか別にして、もう炭鉱だけの島ですから、これは指数だけの関係でいわば六条となり、大島なんかもそうだったのですが、ようやくこれだけは閉山になって六条に直したという一件だけあるわけですが、高島のような場合はまた六条の指定を受けていない。釧路のような場合も受けていない。しかし、釧路炭田でいま二百五十万トンの石炭を出す太平洋炭礦というのが釧路市にある。結局、北海道は広うございますから、五市町村がブロックとして産炭地振興をはかっていくという現状に置かれておるわけです。そして先ほど答弁がありましたように、今回の決議では、昭和五十年にはさらに二千万トンという目途が出されておるわけですが、二千万トンということは、いまの出炭規模で計算して大体一千万トンちょっと閉山をするということになるでしょう。それが続くわけですから、トータルしても、本年三百万トン、あるいは来年三百万トン、とにかく三百ないし四百万トンの山が三年間閉山されていくということに予想つくわけです。こういう情勢の中で、やはり炭鉱のあるところは六条の指定をこの際すべきではないのか。いわば、ほかの場合と違って突然大きな変化が起きるわけですから、この変化の起きる前に、これから大型炭鉱になりますから、前にやはりそのショックをできるだけ防ぐという意味で、産業構造なり配置の適正化を進めさせる、そしてできるだけそれを緩和をするという姿勢が大事ではないか、そういう意味で、六条の問題については大型炭鉱に残っていないわけですから、炭鉱の所在地は六条にしていいのではないか、こういう意見を持っております。この点はいかがでしょうか。
  107. 莊清

    莊政府委員 お話の趣旨は、私、個人として了解できないわけじゃございません。しかし、現在の六条地域の指定は、何ぶんにも時代もだいぶん以前でございます。そのあたり、時勢での判断でものごとがなされたということは事実でございまするけれども、石災鉱業の内外の情勢は常に決して安易ではないわけでございますから、すべての炭鉱所在地を六条地域というふうにも直ちにまいらぬかと思いますけれども、やはり従来考えておりましたような財政力指数あるいは鉱産税率あるいは雇用構成問題等、三つ、四つの基準で指定をしておるわけでございますが、そのあたり、御指摘もございましたような点も勘定に入れて、ひとつ弾力的に実態に即してやるという考え方、これは非常に大切じゃないかということは非常によくわかるわけでありますので、そういう姿勢で検討させていただきます。
  108. 岡田利春

    ○岡田委員 炭鉱があって六条になっていないというのは二カ所しかないのですよ。ですから、これが十も十二もある問題ではないわけです。そ、して、さらに災鉱が閉山されていくということですから、この点、基準といったって、あと二カ所しかないわけですね。そして情勢は、周囲が閉山されて、全体として把握をして、ブロック別、地域別市町村のワクを越えて振興策をはからなければならないという段階にきておる。またそういう団地が構成されている。そのうちの一つは九州の高島町ですよ。これは島でしょう。軍艦島でしょう。これは六条になったからどうかという問題は別にして、とにかくそういうところですよ。一つは釧路炭田で、最後に一つの山しか残らなかったわけです。かつて四百万トン程度の出炭をしたのが、今度親炭鉱が閉山をして、いま団地は釧路市と白糠にまたがっておる。あらゆる町が、阿寒町、白糠町、音別町、それから釧路市も小さい山が残っておったが、つい最近閉山が行なわれた、つぶれたということで、結局ブロックとしてやらなければ産炭地振興はやりようがない。そうしてそういう連関をつけながら地域開発計画を考えていく以外にないわけです。ですから、そうむずかしい問題ではないと思いますので、この点をひとつ、自治省からも出ておられますから、そういう点の認識を正確にとらまえられて、これからの情勢に適応するように対処してもらいたいということを強く要望いたしておきます。自治省と大蔵省はよろしゅうございます。  次に労働省に承りますが、いよいよ閉山というものが九州から北海道にずっと移ってきたわけです。先ほど相沢議員の質問に対して局長から答弁がありましたけれども、本来ならば労働省が答弁することでもあると思うのですが、美唄はまだ決着がついておりませんが、美唄に続いて新夕張の閉山提案が行なわれました。そういう点で依然として閉山が続いておるわけですが、その結果離職者の滞留数も年々上がっていく。しかも炭鉱労働者の平均年齢が高うございます。新夕張は、私は資料を正確に見ておりませんけれども、聞いた話では、平均五十二歳くらいになっているんではなかろうか、こういわれておるわけです。ですから、従来の炭鉱離職者と違って五十歳をこえる、こういうことでございますから、これもまた特異な対策を立てなければむずかしい、こういう状況にあるわけです。  一方、雇用の情勢は非常に見通しが暗くなってきている。北海道の環境を申し上げますと、これは人口の二〇%が札幌に集中して、いわば新産法の道央ブロック、北海道の全面積のわずか四%でありますが、ここには人口が過半数集中いたしておるわけです。道内で受け入れるとすれば、そういうところに近接して住宅を配置し、訓練をし、そうしてある程度こういう高年齢層の者は消化をしなければならないという宿命下に置かれておるわけです。  先般、私は理事会で指摘をいたしましたけれども、石炭特別会計の労働省の予算のうち六五%は開就と緊就の予算である。これを除きますと、あと予算は三五%よりないわけです。ですから、いまの予算の六五%は北海道には縁もゆかりもない予算だ。三五%が全国にかかわる労働省関係予算であることは、もう御承知のとおりだと思うのです。そういう意味で第二の筑豊の傾向に入ってきている北海道の雇用対策というのは、草の根方式で、じみちに着実に、ともかく一人でもやっていくという努力と、国がそれの雇用を全国的に考えていくという面、あるいはそれぞれの企業グループ等の進出によって雇用を考えていくというような積極面、そうして、時間はおくれますけれども、産炭地振興によって吸収していく、あらゆる面をやらなければならないと思うのです。  私は、特に人口が集中している札幌地区などを考えてみますと、江別あたりにいま移転者用の住宅がございますけれども、そこに全部が入って通うということにはならないものですから、概して移転者の住宅があいている。したがって、できればやはり近いところに思い切った住宅を建てなければならないというときに北海道は入ってきているのではなかろうか。もちろん、北海道の賃金は、中小企業が対象でありますから、安うございますから、それではなかなか生活ができない。奥さんも結局働かなければならない。奥さんも働くということになれば、やはり近いところでなければならない。こういう意味で、先般来高層住宅の建設等についてもいろいろ御検討は願っておりますけれども、これを一歩進めて、やはり北海道独特の離職者対策というものをぜひひとつ昭和四十七年度にやっていただきたい。そうたいした予算ではないんですから、この面は、今年は補正予算も組むということは、予算はまだ成立してないけれども、間違いのない情勢でありますし、あるいは一歩進めて、雇用促進事業団、労働省全体としてのワイドな中でも消化不可能ではないのではないか、こう思いますので、そういう点の認識と、私もある程度具体的に述べたわけでありますが、北海道において集中的に発生する離職者対策をどう進めるかという点について、この際承っておきたいと思います。
  109. 桑原敬一

    ○桑原政府委員 先生御指摘のように、最近の炭鉱離職者の中心はやはり北海道に変わってきていると思います。一昨年、昨年くらいまでは、離職者の就職も北海道地域におきましては比較的順調にまいってきたと私は思っております。ただ、いま先生の御指摘のように、最近の炭鉱離職者は年齢が非常に高くなってきておる。特に北海道の場合におきましては、道内求人というものが、最近の雇用情勢等も反映いたしまして、必ずしも離職者に見合うものがあるかどうかということもあります。結局、先生御指摘のように、きめこまかな一人一人の就職対策が一つと、それからお話しのような産炭地振興の問題等々、御指摘のそういう方式がやはり基本になるだろうと思います。特に北海道の離職者対策につきましては、やはり新しい観点からいままでのやり方を少し考えて見直さなければならぬと思っております。特に、いままで比較的に就職がうまくいっておったのは、山から山へ就職される方が比較的多かった。しかし、最近は、山から山へも必ずしもスムーズにいくかどうかという問題もございますので、やはり閉山の予定された山につきましては、事前にきめこまかな再就職計画というものをきちっとつくるべきでないだろうかと思います。特にその場合には、事前に就職相談というものを十分やりまして、そうして就職の希望者あるいは訓練に入りたいという希望、そういうものをきちっととらまえまして、特に訓練につきましては、いますぐ入るというわけにはまいりませんので、少しは訓練の受け入れ計画というものをつくるべきじゃなかろうかと思います。もし定員が足りない場合には定員を弾力的にふやしていく、あるいは施設が不十分でございますれば、民間の施設を借り上げてでも委託訓練なりあるいは速成訓練なり、そういった機動的な、いつでも入れる体制をつくっていかなければならぬ、こういうふうに思います。  それから、第二に重要なことは、北海道の求人につきまして、非常に動きにくい方につきましては、そういう方に当然振り向けていかなければなりませんけれども、動きやすい方につきましては、やはり住宅対策を十分裏づけしながら、道外の求人を、求職者の数の数倍の求人を持ってきて、できるだけ職業選択の幅の中で御希望の安定雇用についていただきたいと思います。特に道内求人につきましては、お話しのように特に札幌がやはり中心になると思います。そういう意味におきまして、道内の、特に札幌地域周辺に住宅を、今後労働省あるいは雇用促進事業団と寄り寄り相談をいたしまして、積極的にその建設に努力をしなければならぬ、こういうふうに思います。  それから今後の問題といたしましては、産炭地域振興をはかりながら、離職者が滞留しないような形でどうしたらいいかという問題については、非常に示唆の多い御指摘でございますので、私どもとしては真剣に検討さしていただきたい、こういうふうに思います。
  110. 岡田利春

    ○岡田委員 北海道の人間は、もともと北海道に住んでおったわけではないわけです、フロンティアですから。私どもは、そういう意味で、閉山があっても、いままで需要先もありましたから、どんどんさらにまあほかに出ていく。これは北海道開拓の延長みたいなものだと思えば割り切れるわけですけれども、最近はなかなかそうもまいらない状況でございますから、私はそのことを固定的に考えないわけです。やはり開発就労をやれ、開発就労をやれば、冬は失業保険制度を認めなければならないという問題もございますし、あるいは緊就を筑豊炭田のあの場合には行なってきたのであるから、北海道もやれという場合もあるでしょう。固定的にものごとを考えないで、総合的に有機的に考えて、この集中閉山の傾向を深めている北海道の離職者対策を進めていくという点で、しごく広範な協力体制を引き継ぎながら努力すべきだと思いますので、いまの御答弁にもありましたけれども、ぜひひとつ早急に北海道の離職者に対する方針、政策を出していただきたいということを強く希望しておきます。  時間がございませんから、鉱害の問題、入り口の一点だけ伺っておきたいと思います。  今度の改正案をずっと読んでまいりますと、答申に基づいてほぼ答申の方向を消化した、こういう改正案であると私は理解をいたしております。そして多年の懸案事項が、それぞれ今度の改正案に消化をされておるという面も、私どもは評価をいたしております。もちろん、公共団体の負担割合だとか、いろいろ問題点も残っております。そこで、十年間で鉱害復旧をやる。したがって、今回の改正案で出されておる長期計画というのは——この復旧計画は十年間と定められるもの、こう思います。しかし、十年間を定める場合に、先ほど質問もございましたけれども、私はまた私で一つの観点を持っておるわけです。これからの十年間を展望する場合に、現在のいろいろな問題点というものが十年間の計画の中でどう消化をされていくかという場合には、やはり原則としては、被害者の権利を最大限尊重するというこの原則は不変でありますけれども、その上に立って、社会情勢の変化に対応するという姿勢はあってしかるべきではないのか。どうしてもいやだというものを、無理やり首になわをつけて、言うことを聞けというわけにはもちろんまいらないわけですから、そういう原則を明確に踏まえながらも、せっかく産炭地域振興事業団が一方にあり、あるいはまた、新しい農業政策という問題についてもいま模索されているという傾向もあり、あるいはまた、それぞれ開発就労という事業も産炭地域内には存在をしているという実態もございます。ですから、私はそういう意味において、復旧計画を立てる場合には、長期計画を立てるのには、そういう面においてもやはり長期であり、かつ具体的であり、かつ地域開発に効果的なものというものも当然考えていかなければならないのではないか。あまりにもそういうことを言うことは個人の権利を侵害するのではないかというのではなくして、被害者の権利というものを尊重するたてまえに立って、そういう方向で連関性を持ちながら、また、計画を立てる場合には、そういう関係各方面も含めながら進めていく。私は、たとえば、そのためにある程度制度は——これは少しよ過ぎるのではないか、こういわれる制度であっても、被害者が納得するならば、そういう方向のほうが前向きであり、とるべき道ではないのか。ですから、そういう点で私は積極的なものごとの考え方を持っておるわけです。したがって、いろいろ現地等の意見もございますが、私どもそういう観点等も含めて、特に長期計画並びに多年度計画を立てるにあたってどう考えられていくのか、この点についてもう少し、答申内容を消化した法律案改正点でありますから、ひとつ明確に御説明をいただきたいというのが第一点であります。  それから第二点の問題でありますけれども、先ほど問題点として出されたボタ山の問題でありますが、これは保安局長からそれぞれ説明がありました。今度の復旧事業工事対象にはなっておりませんけれども、いまここですぐ対象工事にできるかどうか、千近くあり、なかんずく無資力が半分を占めておるという現状、こういう面から考えて多少問題はありますけれども、一方においては、産炭地振興のような場合にはこのボタ山を活用していくという政策もとられておりますし、あるいはまた、一方においては、特に長崎の松浦炭田あるいは佐賀のように、これが鉱害となって実際田畑を埋めている、あるいは被害を及ぼしているという現状もあるわけです。したがって、私は、やはりこの面は、もう少し鉱害復旧と同じように——もちろん、保安局が防止事業は担当いたしているわけですから、公害保安局と石炭局でやはり実態を明らかに把握すべきではないのか。保安局はいまの法律のたてまえだけでやっておりますけれども、やはり鉱害を担当している鉱山石炭局としては、その立場からこの点を把握すべきではないのか。特に、これから科学的な調査をするということで今年度予算も組まれているわけですから、そういう姿勢が大切である。そしてそれが集積的、連関的に復旧をはかっていくという面が効果的な面については、これを加えていくということも必要ではないか、私はこう思うわけです。この点についてこの機会に見解を承っておきたいと思います。
  111. 青木慎三

    青木政府委員 鉱害復旧あたりましては、より広い見地から、いろいろな計画地域における都市計画、農業振興地域に指定されているところの土地利用計画等と関連を持たしてやらなければならぬという御指摘は、まことに適切だと思いますので、私どもも、長期計画をつくるにあたりましては、当然そういうものと十分関連を持たして行なう所存でございますし、産炭地振興との連携も当然今後深めていくという運用方針でまいりたいというふうに考えます。  それからボタ山につきましては、私ども全然無関心なわけでございませんで、公害保安局のほうと共同しながら今後の対策を考えていかなければいかぬと思いますが、何ぶんにも非常に膨大な量を持っておりますので、今後少し組織的な調査を行ないながら今後の対策を考えてまいりたいというふうに、前向きに考えてまいりたいと思います。
  112. 岡田利春

    ○岡田委員 時間ですからこれで終わりますが、無資力ボタ山は、これは所有者があるのかないのか。無資力であるということは、われわれの常識では、所有者がないのではないか。そうすると国籍不明の国土であるということになると思うのですが、これはどちらの担当か知りませんけれども、もしわかっていたら、その点、ひとつ聞いておきたいと思います。
  113. 高瀬郁弥

    ○高瀬説明員 お答えします。  ボタ山は一応動産ということになっておりまして、したがいまして、いろいろ調べてみますと、権利関係がきわめて複雑でございます。しかも登記という方法がございませんので、無資力という実態は客観的にわかるわけですけれども、その間にどういういきさつでだれが持っておったか、その辺の権利関係は全くわかりません。そういうことで、一応動産ということで、権利関係は、個々の問題が起きたごとにこれを調べていかないとわからぬということでございます。
  114. 岡田利春

    ○岡田委員 無資力ボタ山の場合はそこがポイントになると思いますので、その点指摘だけをしておいて、終わりたいと思います。
  115. 鬼木勝利

  116. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 石炭問題の当面する点は非常に重大でありますから、これは次の委員会で十分伺うことといたします。きょうは、提案されてあります鉱害法の一部改正についてのみ五、六点お伺いしますが、炭鉱側が負担をしておる分、自治体が負担する分、国の負担する分、その色分けをひとつお聞かせ願いたい。
  117. 後藤宏

    後藤説明員 お答え申し上げます。  正確な資料はちょっといまこの時点で持ち合わせておりませんが、たとえば四十七年度復旧にあたっての負担関係で申し上げますと、全体所要規模百六十五億円程度と予定しておりまして、それに対して国の補助金は百二十一億程度でございます。したがいまして、残りのほぼ四十四億くらいの半々くらいの感じが、地方自治体と権者の負担に分かれるはずでございます。
  118. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 あとでよろしゅうございますから、もう少し正確なことを資料として出してください。  それから、十年間にやる鉱害完全復旧というこの総予算の中で、耕地、道路、河川、その分に使う工事費、それから個人の住宅、公共物に使う分、この分け方がわかっておればお聞かせ願いたいし、その分け方がはっきりしていなかったら、これもあとで資料として出していただきたいと思います。
  119. 後藤宏

    後藤説明員 御説明申し上げます。  先ほど説明しております全国残存鉱害量千三百八億のうち、農地関連につきましてはその六六%を占めております。あと二〇%が家屋になっておりまして、残りの二二・四%が公共施設といった分かれになっております。
  120. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 この自治体が負担する分についてですが、炭鉱がなくなってしまっておるのであるから、したがって税金はとれなくなってしまう。それで、自治体側のある市では一ある市というよりも、むしろ鉱害のあるところ全体と見ていいのですが、炭鉱側は三つの貧乏神を置いていってしまったと言って、非常に悩んでおるわけです。それは、一つ鉱害一つは失業者、一つは生活貧困者、こういう状態でありますから、ある市では、ほとんど税収がない。その九〇%以上を地方交付税その他国からの支出の分によって、かろうじて市を維持しておるというようなところがあります。九〇%以上というのはこれは少ないのですけれども、あるいは七〇%、八〇%を国からのそうした支出によって市を維持しておるという状態です。ですから、こういうところに鉱害復旧の分担金を出さすということは、理論的にもこれはおかしいし、実際的にもこれは無理ですが、そういう点から、鉱害復旧の自治体負担分を免除して、国費ですべて、無権者鉱害というか、あるいは無資格鉱害でやるというようなことについてのお考え方をひとつ……。
  121. 後藤宏

    後藤説明員 御説明申し上げます。  実は私ども復旧事業の体系の中で、公共施設の負担関係はきわめて特異な体系になっておりまして、公共負担につきましては、有資力の場合には国と賠償義務者とがほぼ半々の負担をして復旧をしております。しかるに、これが無資力化いたしますと、実は当該公共施設の維持管理者と国との間で、賠償義務者が本来持つべき負担分を半々持ち合うという関係になってまいりまして、結果的に申しますと、無資力になりますと、その段階で公共施設の負担というものが突如として地方公共団体に生ずるような仕組みになっております。その公共施設の中で、相当な部分は、実は公共施設を維持管理する市町村となっておりまして、先ほど来るる産炭地振興問題の重要性をいろいろ御指摘いただいておりますが、産炭地の市町村、非常に財政力が弱い状況にございまして、この上鉱害復旧についての無資力復旧の負担分を負わせることは非常に酷であろうかと考えまして、今回、その負担軽減にいろいろつとめた次第でございます。その結果、必ずしも十分なものではございませんが、従前に比して、六条地域市町村、財政力の弱い市町村につきましては、かなりの程度の補助率アップをしたつもりでございます。
  122. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 耕地その他の鉱害復旧というのはずいぶん進められてきておるわけです。ところが、個人の住宅、これはずっと取り残されてきてしまいまして、最近これを取り上げてやることになったのですが、それでも個人の住宅については、いや鉱害であるとかないとか、そういうことの認定を、地方通産局の鉱害部などでは、これを炭鉱側が出しておるそれによって認定されようとする。炭鉱側は、そこの下は掘っていないのだ、掘っていないのに家が鉱害を起こすことはあり得ないことですから、そういう場合においては、炭鉱側がどういう採掘をしたかということは、通産局のほうで採掘図面というのがあるのですから、それによって、鉱害であるかないかということは、通産局の鉱害部のほうで認定が十分できるわけです。それを、なくなってしまった炭鉱側に意見を求めて、それによってやろうとする。あるいは、ある場合には大学あたりの専門家にそこを見てもらってやろうとする。これは役所側としてはまことに不見識な話であるが、こういうことで住宅復旧というものが非常に取り残されてしまっておるというのであります。こういう点でとかくの問題を起こしてきておるわけです。この認定をする場合に、そういう複雑な認定ということでなくて、役所側自体で認定ができるはずですから、そういうことについて早急に認定をして、復旧工事に着手してやるべきであると思うが、この点どうです。
  123. 後藤宏

    後藤説明員 御説明いたします。  先生御指摘のように、私ども対象としております鉱害につきましては、基本的に、鉱業法百九条の損害賠償関係が成立した鉱害といったものに限定されております。したがいまして、炭鉱が生きております段階、有資力の段階におきましては、そういう被害者と有資力賠償義務者との間の当事者関係というものを第一義的にはある程度優先して有資力のものを処理しなければならないということでございます。そういった段階におきましては、あるいは一時的に炭鉱側の言い分を聞くということもわれわれとしてあろうかと思いますが、ただ、現実の鉱害認定の行為につきましては、これは通産局で現実に処理しておりまして、いわば炭鉱の言い分も聞き、被害者の言い分も聞いて認定しておるというのが実態でございます。  ただ、先生御指摘のように、それでは通産局に採掘図がある、だから、採掘図だけで、通産局だけで認定すればいいではないかといったような御意見につきましては、実は戦争といった関係で戦前の採掘図が焼失しておるという致命的な欠陥が通産局の行政資料の中にございます。そういったものを補うために、私どもといたしましては、鉱害認定が被害者加害者とに分かれた場合には、政府の国費をもってボーリングその他をいたしまして、科学的にいずれに責任があるかということを究明する科学認定調査というような制度を用意しておりますし、また、現実的に被害者加害者との間でいろいろな議論が生じた場合には、第一義的には通産局がいろいろなあっせんをし、それでも片づかない場合には、鉱業法に基づく通産局長の和解の仲介といったような形の行為、それから、さらにできない場合は、実は今回御審議をいただいております賠償等臨時措置法にございます第三者裁定制度という形で最終的な意見の確定を待って、鉱害であるかいなかを判別して処理しているというのが実態でございます。
  124. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 それから、一つの鉱区内に石炭の炭層が二層も三層もあるわけですね。ところが、上のほうの炭層はAの炭鉱、その中にある炭層はBの権利者が持っておる、あるいは一番底にあるのをCの炭鉱会社が持っておる、そういう場合に、上のほうの鉱害が起こってくる、その鉱害が起こった場合に、一体だれの鉱害であるかということ、これがずっともめてきて、いまなおその加害者である炭鉱の認定ができないので、鉱害が置き去りを食っておるということがあるわけです。こういう場合に対する鉱害の認定、鉱害を起こした加害者の認定というものは、これは当然役所側できめなければきまらぬわけだが、こういう場合に対してそのきめ方をどういうように指示しておられるか、お聞かせ願いたい。
  125. 後藤宏

    後藤説明員 御説明いたします。  先生の御指摘のような累層採掘で、しかも同一鉱区内に各種の鉱業権が設定されておったというような場合の鉱害の認定は、実は非常に困難なケースがございます。ただ私どもは、鉱業法百九条に基づいて、いわば画一的にこれを定めるという仕組みになっておりますので、採掘の時期とか、あるいは持っておった権利の内容といったものを見まして実は調整をして加害者をきめておる次第でございます。
  126. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 いまのあなたの答弁では、実情をよく知っておる私としては納得できないのです。だから、私がこういうことを例をあげて質問をしてみたのです。したがって、現地のほうでは、そういう三人の鉱業権者がある場合には、やはり役所側でそれを呼んで、どういうような解決をしてやるか、裁定をしてやるかということは、これは役所側でやらなければ実際上できないわけですから、そういう場合には、役所が主導権をとってすみやかに解決をして鉱害復旧ができ得るようにやれということを指示してもらいたいことを私は要請をいたしておきます。  それから不適地鉱害ということですが、このことばはどこから出たのか知らぬ。おそらく役所側から出たんじゃないかと私は想像するのですが、被害者が自分の鉱害地を不適地と言うはずはないのですから、したがって、不適地とは何ぞやということで、被害者側は非常に憤慨しておることを御存じだと思うのです。だから、不適地の認定というもの、これはあり得ないと私は思うんだが、役所側のほうでは、もしそれがあるんだとおっしゃるなら、不適地の認定をどういうようにして、どういうところを不適地と認めて言われるのか、それをお聞かせいただきたい。
  127. 後藤宏

    後藤説明員 御説明申し上げます。  確かに、不適地という名前は非常に響きが悪うございまして、私どもこれを使うのは必ずしも好んではおりませんのですが、現行法七十九条に、復旧適地処理という名前で不適地という制度がございます。これに伴いまして不適地という制度が実は出てきておるわけでございます。私ども現在考えておりますのは、先ほど来局長あるいは部長が御説明しておりますように、原則として、臨時石炭鉱害復旧法というものは、その鉱害については復旧することを基本としておる。そういう前提に立ちまして、農地あるいは家屋等につきましては復旧にあらゆる努力を行なう。ところが、政府のいまやっております公共事業の一環といたしまして鉱害復旧事業に、おのずからどうしても事業として採択できないようなケースもございます。一例を申し上げますれば、先ほど来御説明に出ておりましたように、塩水をかぶったたんぼというのは、いまのいろいろな技術ではなかなか昔のようなたんぼにならない。こういった場合には、どうしても農地として復旧することは非常に困難であるといったようなケースもございますし、あるいは、都市計画といったものが定められまして、市街化区域の中に取り残されたいわば水当てもできないような農地、しかもその農地をみなす復旧工事とするという形で転換復旧するについては加害者方々がどうしても同意なさらない、そうなると、第二段の手段である復旧工事ができない、そういったようなどうにもならないケース、こういったものにつきまして、不適地処理というものを、全体鉱害処理するという観点で実は取り上げた次第でございます。
  128. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 もう一つよく問題になりますのは、炭鉱が経営をやっております当時、炭鉱側では、個人の住宅にとかく文句を言わさないために賠償金を出す。そうすると、賠償金を出すときに、以後再び鉱害の問題を会社側に持ち込むようなことはいたしません、そういう一札を過去において入れたのがたくさんあるのです。ところが、時代はまさにその時代といまは変わっておりますが、その時代に一札をとっておるものであるから、炭鉱はやめてしまっておるけれども、残務整理の事務所をどこもほとんど置いておりますので、残務整理を担当しておる炭鉱側の責任者から、とかく、こういう一札が入っておるじゃないかということが持ち出される。そうすると、役所側のほうでも、あなたたちはすでに再び苦情を言わないという一札を入れておるじゃないか、そういうことを取り上げられて、その個人住宅復旧がなされない。それでいざこざもめておるということもかなりあるんですが、私は、そういう古い時代の一札を炭鉱としては言いたいだろうが、役所側としては、すでにいま無資格者無権者鉱害、いわゆる国費で負担して鉱害復旧をしてやるという時代になってきておるのですから、そういう古い時代の、炭鉱側に出した個人住宅復旧の一札というものを役所側が取り上げるということは、はなはだもって不合理な話だと思うんですけれども、こういう点どうです。
  129. 莊清

    莊政府委員 お話のございましたその問題は、鉱害復旧をめぐる非常にむずかしいめんどうな問題だと存じます。一度かりにそういう当事者間での話し合いがついた場合でも、先ほどもお話ございましたように、二重、三重に坑道が掘られて、結局は鉱害が発生しておるというふうな場合とか、あるいは農地でも、一部分復旧工事されたために、かえってその周囲のところが水が流れてくるように低いところになったとか、そういう実態もあるやに聞いております。こういう場合につきましては明らかに鉱害でございまして、この法律制度もと復旧工事を行なうということは当然でございますが、そうではなくて、一つだけ炭鉱があって、その上の農地あるいは家屋というものが被害を受けたから、そこで金銭の賠償というものが行なわれる、それは一応鉱業法の無過失賠償責任の規定を体しての当事者間の解決だと思いますが、そういうものがすでに行なわれておるという場合には、これはまことにめんどうな問題でございますが、鉱業法の上の賠償責任というものは消えてくる。したがいまして、現在の制度の上にはつながってこないということにならざるを得ないかと存じます。ただ、当事者間の話といいましても、私思いまするに、話の中身によりけりでございまして、全く賠償にも値しないというふうな形で、かりに話が、泣き寝入りと申しますか、そういうかっこうでついておるような、ほんとうにそういう実態がある場合には、おそらく裁判等でも問題になり得るような場合もあろうかと思います。そういうふうな場合には、やはりまた別途の判断というものがあっていいんじゃないかというふうに実は私は考えております。非常に複雑な問題でございますから、これはやはり実態に即しまして判断をしていく、一応は法律制度には乗らないというふうにお答えをしておきたいと思います。
  130. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 局長が、かなり突っ込んだ、苦慮しておられる点を述べられたが、まさにそのとおりです。で、私はあまり深入りして追及するのもどうかと思って実は遠慮していたんですが、せっかく局長がいま問題を、自分もなかなか苦慮しているんだということを言われたから、ついでながらもう一つ私言っておきますが、炭鉱はほとんどやめてしまっておる。そこで、炭鉱側が石炭を出しておるときなら、トン当たり幾らという鉱害復旧の積み金をしておるわけですね。ところが、全部炭鉱側の負担分だけ出炭トン数によっての積み金をしておるところはわりあいに少ないので、その炭鉱が負担しなければならぬのがまだ残っている。そこで、ちゃんと国が幾ら、炭鉱が幾ら、自治体が幾らという比率がきまっていますから、炭鉱側の負担分が足らないというと、炭鉱側はいま炭鉱をやめてしまっておる、しかしながら、どこかに隠し財産を持っておりはせぬかと、あるいはどこかの市にほかの工場をやっておる、何か事業をやっておる、それは炭鉱時代のその資金でやっておるんじゃないか、だからこれは負担金として取り得る資格を持っておるんじゃないかというので、そこでそれを負担さすために、隠し財産を、あったらひとつ調べ上げてそれから取り上げてやろう、こういうことがやられておる。ところが、またこの認定というのがなかなかたいへんなんです。あるいは炭鉱時代のその資金でやったかもしらぬけれども、炭鉱側は、そうじゃない、これは全然別個なものだ、こういうことになってくると、その隠し財産として、炭鉱が当然出すべき金としてその財産を押えてその炭鉱側の負担金にするということがなかなかたいへんなんです。そういうことで何年も何年もそれが問題になって鉱害復旧がおくれてきておるということがたくさんあるわけです。だから私は、もう無資格無権者鉱害として国が鉱害復旧をやるという現段階になってきてしまっておるのだから、その隠し財産を調べてそれから取り上げようとするために何年も何年も年数をかけて鉱害復旧をおくらしておるということは、これは被害者に対してはなはだ迷惑な話です。また国としても、そういうことで鉱害復旧をおくらしていることは、これは被害者に対してはなはだ相すまぬわけであるから、そういうことについてのこの隠し財産調べということは、もう無権者無資格者鉱害として国がやるという今日になっているんだから、その問題をあまり追及してそれで鉱害復旧をおくらしているということは、これは私はとるべき賢明な処置ではないと思っておるが、この点どうです、局長
  131. 後藤宏

    後藤説明員 御説明申し上げます。  実は私ども臨時石炭鉱害復旧法基本的な仕組みが、鉱業権者から金銭賠償相当額を納付金として徴収いたしまして、原状復旧に足りない分を国と県が補助するというたてまえになっておりまして、金銭賠償相当額自身を取る考え方の根拠は、鉱業法百九条に基づく当事者間のいわば民事的な色彩の強い責任関係になっておるわけでございます。したがいまして、いま御指摘のように、閉山したあとで、実際の営業しておった当時の資産というものはないにしても、たまたま個人の鉱区といったようなことになると、個人財産が残っておる限り、どうしてもその賠償責任は追及せざるを得ないというのがいまの仕組みでございます。これを変えるということになりますと、法律基本的なフレームワークに触れる観点になりますから、なかなかこの辺の無資力無権者鉱害という扱いというのは、非常にむずかしい技術的問題を蔵しております。
  132. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 一ついま私が意見を出しておりますが、この点は、鉱害復旧の上からいって非常に重要なことなんです。しかも、無資格者として国がやるということに被害者たちも大きな期待なしておるんですから。ところが、いま局長の言われたように、その隠し財産追及ということで、それは法律の上からいけばわからぬことはないけれども、個人財産であるかどうかということはなかなか容易にわかりにくいのです。だから、とにもかくにもひとつこの無資格無権者鉱害として国が鉱害復旧をやる、これをすみやかにやってやるということのたてまえを、これはやはりこういうように時代が変わってきているんですから、推進して、それからまた、炭鉱のなくなったあと、炭鉱も経営していないで、ほとんど——ほとんどと言っていいと思うのです。炭鉱はもう失敗に失敗をして、逃げるようにしていってしまっておる。私の知る限りにおいて、あるいは五十年、八十年長くやっておる炭鉱屋で、三井、三菱をはじめとしても、炭鉱屋でもうけた炭鉱というのは見当たりません。もうけているときもあるが、必らずあとでだんだんそれを食い詰めてしまっておるというのが、炭鉱の現状です。だから、いわんや、中小というか、そういうところはなおさらのこと、そういう負担能力ないんです。だから、法のたてまえがそうなっておるからといって、その隠し財産調べのために時間をかけて被害者に迷惑をかけるということは、これはまことに遺憾なことですから、そういう点を十分ひとつ——炭鉱がなくなった、国が復旧をしてやらなければならぬ現段階に至っては、もう国が一応鉱害だけはとにかく復旧してやるということでやられなければ、このごたごたの問題はなかなか長引いていってしまって、鉱害のみが残るということになりますから、こういう点は、新しい段階に立って鉱害復旧事業をやられることを強く私は要請をしておきます。  それからいま一点、これは数としてはあまり多いとは私は思っておりませんけれども、これもやはり一応は政府としても取り上げられなければならない問題だと思うのは、個人の住宅の場合、それを復旧してやろうという場合に、あるいは商売をしておる、あるいはそこに住んでおった、それがどうも炭鉱がなくなったのでもう商売もだめだ、それから仕事もなくなった、だから、自分の家を復旧してもらっても、自分はもうこれじゃしかたがない、そういうところから、個人の住宅を持っておる人が、もう復旧してもらわなくてもいい、私は、商売や仕事のできる、あるいは親族のところをたよって行きますから、もうこの家は鉱害復旧してもらわぬでいいから、これをひとつ買い取ってください、こういうのがあるのです。こういうのは最近になって特にだんだん出てきておるのです。これは新しいケースといっていいのですが、こういう場合に、買い取るということはちょっと問題があろうと思うのですが、この点どうです、そういう場合に買い取って片をつけてやるということはできますか。
  133. 後藤宏

    後藤説明員 御説明申し上げます。  いま御質問の点でございますが、実は個人住宅につきましては、まだ買い取りという手段は用意しておりません。しかしながら、今回の制度改正で、まず法律の側面につきましては、そういった事情であって特に家屋被害が激しいものにつきましては、復旧という家屋処理ということで、いわば鉱害によっていたんだ分につきまして手当てすることができるようになりましたし、さらに、先ほど御説明しておりますように、被害の軽微な家屋につきましては、無資力自己復旧奨励交付金ということで、無資力の方に対してもある程度金銭を支払うというような制度もあわせ用意しております。もちろん、有資力の場合には、そういった事態におきましては、通常の賠償のやり方といたしまして、金銭賠償なり、場合によっては買い取りということも行ない得るのではないかと考えております。
  134. 伊藤卯四郎

    ○伊藤(卯)委員 以上でよろしゅうございます。
  135. 鬼木勝利

    鬼木委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。  午後二時五分散会