○
道下参考人 御紹介いただきました全
炭鉱の
道下です。よろしく
お願いいたします。
五次
政策を
立案する大詰めの
段階をだんだんと迎えたわけでございますけれ
ども、いまこの
段階で私
どもの足元を見ますると、大体
炭鉱の数で
全国で七十
炭鉱、
炭鉱労働者約四万人、
閉山規模二千七百万トン台、こういうところに
石炭産業の実態というものが落ち込んでまいりました。もちろん、こういうように落ち込んでまいりましたそもそもの
原因にはいろいろあろうと思いますけれ
ども、やはり
日本には
石炭というものはもう必要ないんだ、したがって、こういうものは計画的に
閉山をしていくんだ、こういうような
考え方で計画的ないわゆる
閉山によって今日のような姿に落ち込んでしまったのであれば、これは私な
ども理解をするわけでございますけれ
ども、私
どもはそのように
判断は実はいたしておりません。いわゆる
大口需要家でありますところの
鉄鋼とかあるいは
電力、こういう
鉄鋼あるいは
電力の
需要、こういうものを考えてみますると、やはり
日本には
石炭というものは必要である、そういうような観点をわれわれは持っておるわけでございます。したがって、ここまで落ち込んでまいりました
石炭については、もうここらあたりでそろそろ
閉山の問題について歯どめをしていただく、そういうような
政策を鋭意
確立をしていただきたい、こういう点を実は考えておるわけでございます。
本日、
石特の中で
参考意見を述べよということでございますので、四、五点の内容について
重点的に
お願いを申し上げたい、実はこのように考えておるわけでございます。
まず第一点の問題でございますが、いわゆる五次
政策の
政策自体の
精神と申しますか、あるいは
姿勢と申しますか、この点について第一に
お願いをしたいわけですが、前段で申し上げますように、
石炭については、われわれ将来ともに、現在
程度の
規模というもの、あるいは現在
程度の
生産量というものは必要である、こういうような
考え方でございまするので、現在行なわれておりますところの、
スクラップ政策とわれわれは表現をいたしておりますが、四次
政策、これについてはひとつ
根本的な見直しをしていただきたい、このように考えておるわけでございます。
御
承知のように、四十五年の十一月でございますが、
中間答申が出てまいりましたが、その中の
精神というものは、われわれはこのように
理解をいたしております。いわゆる
石炭産業というものは、
日本の
産業政策上に必要な
産業である、このようにわれわれは、四十五年の十一月に出されました
中間答申については、
精神として受け取っておるわけでございます。したがって、
中間答申でいうこの
姿勢と申しますか
精神と申しますか、こういうものを今次の策定しようとする五次
政策の
精神にしていただきたい、
姿勢にしていただきたい、このように実は考えておるわけでございます。
しかし、君、そう言うけれ
ども、実際
中間答申後一年半ばかり期間の経過がございます。したがって、その間には相当の
情勢の変化があるではないか、このような
意見があろうというように私は考えます。もちろん、これについては、
鉄鋼関係、これは粗鋼減産という理由があります。それから
電力については、公害ということでいわゆる引き取り量の低下、こういう問題が実はあるわけでございますけれ
ども、たとえば
原料炭について申し上げてみますると、大体
原料炭は国内の産出量の約五倍ないし六倍、この
程度のものを外炭に依存をしておる、こういう状態でございます。したがって、現実的にいえば、
国内炭では足らなくて外炭を輸入しておるわけですから、少なくとも国内の
原料炭については一トンでも多く掘ってくれ、それは一時的な現象でいまは減産ですけれ
ども、将来の方向から見れば私はそういうものでなくて、国内の
原料炭というものを一トンでも多く
確保する方向にあるべきだ、このように実は考えておるわけでございます。国内の
原料炭を減らすことによって外炭の供給圧迫、こういうものが必ず出てくるのではないか、そういう意味から、私は将来の目で見るならば、
原料炭というものはより多く
確保する
政策をとるべきではないか、このように
原料炭については考えておるわけでございます。
それから、本来の
一般炭でございますけれ
ども、特にいままでの
体制委員会の論議の中で出てまいりましたが、いわゆる公害問題等で
電力関係の
電力炭の引き取り量、こういうものが相当落ち込んだ内容のものとしてわれわれに提示をされております。もちろん、これは公害という問題が私はあるというように考えます。考えてみますると、
鉄鋼の場合には、粗鋼を減産しなければならぬという理由による引き取り量の低下であります。しかしながら、一方、
電力を見ますると、
電力の場合は、供給力の低下、そういうものではない、むしろ
電力というものは
全国的に
需要は増大してくるんだ、そのようにわれわれは
判断をいたしております。そうなりますと、
電力の場合には
需要がふえてくるのに引き取り量を低下しなければならぬという理由についてはどうしても納得できない。したがって、こういうものは外国エネルギーでありますところの重油あるいは原油、こういうものに切りかえていって、将来ともにエネルギーを使う内容について変革をしようというのが
電力の
考え方でございましょうけれ
ども、こういうものは、むしろ、
原料炭よりも、事が国際エネルギーであるだけに、供給圧迫という問題は将来に大きな禍根を残すのではないか。したがって、
電力関係も、エネルギー資源である
石炭については、いわゆる安全弁のためにも
現状程度の
確保というものはぜひ
お願いをしたい。
こういうことを考えてみますると、私は、むしろ、
石炭の
撤退ではなくて、積極的に国内の
石炭産業というものは育成しなければならぬ、積極的に
石炭政策は
強化しなければならぬ、こういうような
考え方を実は持っておるわけでございます。したがって、そういう内容のものを考えてみますると、やはり
中間答申でいう、われわれが
精神として受け取りましたところの前向きの
姿勢というものをくずすべきでない、こういう点を考えておりますので、五次
政策の
精神と申しますか、
姿勢については、積極的な前向きの
対策をとっていただきたい、こういう点を第一点として
お願いをしたいと思います。
それから第二点の問題につきましては、やはり五次
政策の
基本となるもの、いわゆる土台でございますけれ
ども、これは、何といっても
国内炭の
位置づけにあると考えております。先ほど申しますように、現在
程度の
規模というものをひとつ最低限として
国内炭の
位置づけの内容のものを確定をしていただきたい、このように実は考えております。もちろん、これはただ単に、掘り出すわれわれと、使う
電力、
鉄鋼、この双方の話し合いで解決する問題ではございませんので、国家の
政策として、
政策需要の
確保、これとあわせて、供給力が維持できるような
政策、こういうものを
政策の
基本として策定をしていただきたい、これが第二点の問題でございます。
それから第三点は、五次
政策の仕組みと
政策の骨格の問題でございます。
仕組みにつきましては、現在まで四回の
石炭対策を行なってまいりましたが、大体一般的にいわれますように、今回作成する五次
政策は最終
対策であろう、われわれもこのように受け取って取り組んでおるわけでございます。したがって、最終
対策だという
判断のもとに、今後長期にわたって手直しを要しない
政策としていただきたい、このように考えておりますが、そのためには、
経済情勢の変動に応じた補強策というものを弾力的な方法で考えるべきではないか、弾力的な仕組みに考えるべきではないか、このように実は考えておるわけでございます。
それから
政策の骨格といたしましては、マクロ的になりますけれ
ども、
炭価と国の補給金、これの調整によって手取り
炭価が維持できるような制度の骨格としていただきたい、このように考えておるわけでございます。
あわせて、仕組みと骨格をそのように考えた場合には、おのずから財源というものは、天井知らずという内容のものじゃございません、一定のワクがございますから、
石炭対策の財源につきましては、個別の
炭鉱の
段階で効率的に運用できるような資金運用、財源運用、こういうものをひとつ考える必要があるのではないか、このように考えているわけでございます。
それから第四点目の問題といたしまして、そのように
政策の仕組みあるいは骨格、財源運用、こういうものを考えてみますると、現在のような
石炭産業の私
企業の体制では今後うまくいかないのではないか。したがって、この問題については、合理的な
石炭産業の管理体制というものを
確立すべきではないか、このように考えているわけでございます。しかし、全
炭鉱の場合には、今後問題になりまするところの管理体制について、このようにしたらどうかという具体的な試案というものは、いまのところ持ち合わせはございません。もちろん、これの
基本的な考えといたしましては、まず、具体的な
石炭の五次
対策の
政策の細部について、そういう中身の論議の決着を見た上で、
政策をカバーするのが体制の問題になりましょうから、中身の論議を経た上で、それをささえるより効果的な管理体制を考えたい、実はこのように考えております。一口で言えば、もちろん
業界の
共同体制、こういうものは
強化をしなければならぬ、このように実は考えているわけでございます。
それから第五点目の問題として、これは
特段の御
配慮をいただきたい点でございますけれ
ども、やはり一番われわれが関心を払っておりまするのは、問題になっておりまするところの
需要の
確保の問題でございます。これは先刻申し上げましたが、たとえば、
石炭サイドのわれわれと、使っていただく側との立場の話で解決する問題ではございませんので、これは、やはり何と申し上げましても、国の
政策として、
需要の
確保ができる
対策というものをぜひ考えていただきたい、このように実は考えておるわけでございます。
それとあわせて、もう
一つ大きな問題は、
石炭対策の財源にあろうと思います。幸いにして、
昭和五十年度までは、
石炭石油特別会計、こういうものが存続できる見通しになりました。しかしながら、問題は、四十九年以降の
石炭対策財源を
石炭勘定分としてどれほど
確保できるか、こういうことが今後の
石炭産業の寿命に関連する重要な問題だというふうに考えております。したがって、四十九年以降、現在の十二分の十という
石炭勘定分については、ぜひ
確保できるように、
特段の御
配慮を
お願いしたい、このように実は考えております。
以上、要約して五点を申し上げましたが、私
どもは労働組合でございますので、特に労務
対策、労働問題、こういう点につきましても
お願いを申し上げたいわけでございますけれ
ども、特に労働問題につきましては、
機会を設けていただいて、いままでも何回も
先生方にも
お願いを申し上げておりますので、この問題についての
意見については今回の場合は差し控えたい、このように実は考えております。
以上、五点に要約して
お願いを申し上げましたが、よろしく
お願いを申し上げたいと思います。