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1972-05-19 第68回国会 衆議院 商工委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年五月十九日(金曜日)     午前十時四十九分開議  出席委員    委員長 鴨田 宗一君   理事 浦野 幸男君 理事 小宮山重四郎君    理事 橋口  隆君 理事 武藤 嘉文君    理事 中村 重光君 理事 樋上 新一君       稲村 利幸君    内田 常雄君       小川 平二君    左藤  恵君       坂本三十次君    始関 伊平君       塩崎  潤君    田中 榮一君       八田 貞義君    松永  光君       山田 久就君    石川 次夫君       岡田 利春君    加藤 清二君       佐々木更三君    岡本 富夫君       広沢 直樹君    伊藤卯四郎君       川端 文夫君    米原  昶君  出席国務大臣         通商産業大臣  田中 角榮君  出席政府委員         通商産業政務次         官      稻村左近四郎君         通商産業省繊維         雑貨局長    佐々木 敏君  委員外出席者         行政管理庁行政         管理局管理官  梅沢 節男君         外務省アジア局         外務参事官   前田 利一君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ————————————— 委員の異動 五月十八日  辞任         補欠選任   左藤  恵君     椎名悦三郎君   楯 兼次郎君     佐々木更三君 同月十九日  辞任         補欠選任   北澤 直吉君     左藤  恵君 同日  辞任         補欠選任   左藤  恵君     北澤 直吉君     ————————————— 本日の会議に付した案件  連合審査会開会に関する件  参考人出頭要求に関する件  特定繊維工業構造改善臨時措置法の一部を改正  する法律案内閣提出第五二号)      ————◇—————
  2. 鴨田宗一

    鴨田委員長 これより会議を開きます。  この際、連合審査会開会に開する件についておはかりいたします。  本委員会において審査中の工業配置促進法案及び産炭地域振興事業団法の一部を改正する法律案について、石炭対策特別委員会から連合審査開会申し出があり、これを受諾するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 鴨田宗一

    鴨田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、連合審査会開会日時につきましては、委員長間で協議の上決定いたしますが、来たる二十三日開会予定でありますから、御了承願います。      ————◇—————
  4. 鴨田宗一

    鴨田委員長 次に、参考人出頭要求の件についておはかりいたします。  先ほどの理事会で御協議願いましたとおり、工業配置促進法案及び産炭地域振興事業団法の一部を改正する法律案審査のため、参考人出頭を求め、その意見を聴取いたしたいと存じまするが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 鴨田宗一

    鴨田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 鴨田宗一

    鴨田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人意見聴取連合審査会において行ないたいと存じますが、御了承願います。      ————◇—————
  7. 鴨田宗一

    鴨田委員長 内閣提出特定繊維工業構造改善臨時措置法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑申し出がありますので、これを許します。岡本富夫君。
  8. 岡本富夫

    岡本委員 現在議題となっておりますこの特繊法について若干質問をいたしますが、米国の一方的な繊維製品輸入制限、これによってわが国輸出繊維業界が大きく打撃を受けておるわけですが、国がこの過剰ミシン買い上げるというようなことになっておりますが、昨年、本年、日本輸出縫製品工業協同組合連合会、これにどのくらいの補助金を出したのか、これをまずお聞きしたい。補助金といいますか、買い上げ資金ですね。
  9. 佐々木敏

    佐々木(敏)政府委員 過剰設備買い上げにつきましては、今回の政府間協定買い上げ合計三百七十七億円のうちで、ただいままで実施をいたしましたものは、四十六年度の予備費で三月末までに買い上げ計画を承認して契約を結びました百三十億円でございます。その百三十億円につきましては、三月三十一日以降廃棄事務手続きを現在作業中でありまして、六月末までを目途にいたしまして廃棄を完了することになっております。業種別にはそれぞれございますが、ただいまの縫製品につきましては、買い上げ計画大臣承認分につきましては金額で八億四千二百万円でございます。
  10. 岡本富夫

    岡本委員 そうしますと、私ども調べによると、通産省設備買い上げ計画による縫製ミシン、それから仕上げ機裁断機、こういうものを合わせて約三十五億円相当、約一万七千台、こういうようになっておるのですが、これはすでに六月中に破砕あるいは買い上げの支払いが行なわれる予定になっておるということを聞いておるのですが、こういうことになっておりますか。
  11. 佐々木敏

    佐々木(敏)政府委員 ただいま先生おっしゃいました縫製品関係三十五億という数字は、実は三百七十七億の合計金額を決定いたしますときの積算業種別の内訳の縫製品金額でございます。積算でございまして、今後の買い上げは、各業種別申請状況あるいは過剰の実態を把握いたしまして、実行段階におきましては、それぞれ若干の調整があろうかと存ずる次第でありますが、現在、先ほど申し上げました百三十億の予備費のうちといたしましては、縫製品関係二十八億円の申請がございまして、それにつきましては、予備費買い上げ分としましては、ただいまのところ十九億六千万円という状況であります。
  12. 岡本富夫

    岡本委員 この特繊法ができてから、今度一部改正ということで、さらに日にちを延長しようということでありますが、それには賛成でありますけれども、こうした買い上げ金、これが組合にまかされておるわけでありますが、この協同組合連合会、こういうところがどういうようにその政府の金を使っておるか、こういうことに対してメスを入れ、また検討したことがあるのかどうか。これは国民の大事な税金ですから、野放しということはないと思うのですが、それについてひとつお聞きしたい。
  13. 佐々木敏

    佐々木(敏)政府委員 先生のおっしゃいますようにこれは国の税金の支出でありまして、私ども厳重に監督をしておるわけであります。この買い上げにつきましては、通産省といたしまして補助金交付要綱を定めまして、組合に示しておるわけであります。その要綱に従いまして、組合が厳重な管轄のもとに執行しておるのでありますが、随時通産省として、その要綱に基づきまして監察、検査等を実施しておる次第であります。
  14. 岡本富夫

    岡本委員 私どものほうの調べによりますと、この組合から業者に対して——業者は国から買い上げてもらえるというわけで、この資金再建計画の当てにしておる。ところが、組合から吸い上げ通達が来ておる。つまり国から支払う金額から事業団費として一〇%、保証金五%、これはあとで返ってくるのですが、その上に特別賦課金、こういうものが五%、そのほかに税金として持っていかれる。したがって、あなたのほうで割り当てた金は、実際に業者の手に入るのは三割か四割近くになっておる。こういうことはあなたのほうでわかっておりますか、どうでしょうか。
  15. 佐々木敏

    佐々木(敏)政府委員 通産省といたしましては、この設備買い上げ組合の責任において公平にかつ確実に実行いたしますために、一つは、買い上げ対象業者から買い上げ台数に応じまして保証金組合に納める、その限度を五%以内ということを通産省は認めております。また、組合買い上げその他の事務経費に充当いたしますために、手数料につきましても限度を定めまして認めておる次第であります。ただ先生のおっしゃいましたその他の項目につきましては、組合の了解のもとにおける自主的な運用でありまして、私ども通産省の認めていることではございません。ただ通産省といたしましては、そのような経費負担個々企業者に過重にならないように十分組合指導監督をしておる次第でございます。
  16. 岡本富夫

    岡本委員 大臣一つお聞きしたいのですが、日本輸出縫製品工業組合、これが全国の十九府県の組合を大体この理事長が牛耳っておるといううわさ、そこで日米間の輸出ワクやあるいは生産ワク、これを一人で大体かってにきめて業者圧力をかけているというような現実の姿があらわれておるわけでありますが、そこで国が支払う金額から事業団費として一〇%、あるいは特別賦課金として五%、こういうような金額の試算を私のほうでしますと、約十億円近い金がこの組合にころがり込んでおる。この使途は明らかでない、こういうような現状を私のほうで把握をしたのですが、これについて大臣の見解をひとつお聞きしたいと思うのですが、いかがでしょうか。事務的なことでわからなければあれですが……。
  17. 田中角榮

    田中国務大臣 縫製理事長近藤駒太郎氏でございますが、これは一つずつ全部通産省や通産局がやるというわけにまいりませんので、全部組合を通じて円満にやっておるわけでございます。いま一〇%というお話がございましたが、一〇%というような手数料調整費をとるというようなことはないと思います。いま御指摘がございまして、私は実態をよく承知しておりませんので繊維局から答えさせます。
  18. 佐々木敏

    佐々木(敏)政府委員 先生指摘金額はどういうものか私どもはっきりいたしませんが、ただ今回の法律改正によりまして、振興基金に対しまして民間の出損金を求めるということになっております。したがいまして、今回の政府対策対象になりますもろもろの業種団体におきまして、出指金をしかるべき方法において事業協会に納めるべくただいま検討中でございます。あるいは先生おっしゃいました個々組合に対する賦課金等措置につきましても、この事業協会への出捐金に充当されるものであろうかと考える次第であります。
  19. 岡本富夫

    岡本委員 そういうような調査不十分では、組合自主——自主的と申しましてもこの組合理事長が、私のほうの調べでは相当独裁的にやっておるのではないか、要するに国の補助金をバックにして末端組合にも非常に圧力をかけているのではないか。いろいろ話を聞きますと、愛媛県の輸出縫製品工業組合長井理事長と、この本部の近藤理事長との間で意見が対立した。そうして、とうとう折り合いがつかずに現在買い上げ予定縫製ミシンが倉庫に積み上げたままになっておる。これも実態調査をしたわけでありますが、私はこういうことを——やはり補助金を出し、またこうして買い上げ金を出して、これは何のために出したのかといえば、この政府間協定あるいは自主規制によって起こったところの、この打撃を受けた零細企業を救援するために、その趣旨でこの金を出していると私は思うのです。ところが中間において、こういう一方的な独裁的なやり方で結局業者に渡る金は三割から四割。こういうことをあなたのほうで調査せずして、そうしてもう一度この法案を通して、何といいますかあと補助金を出したところで、経費を組んだところで、結局業者には同じことになるのではないか。したがって、これはひとつ調査をきちっとやってもらいたい。少なくともこれは組合自主ではありますけれども、しかし最末端にいってそれを受けておって、そうして再建しようとするあるいはそれによってもう一度何らかの方法で生活していこうとするところの中小企業、こうした人たちに、せっかくのあたたかい国の施策がいっているかどうかということをきちっとあなたのほうは調査する必要があると思うのですが、いかがですか。
  20. 佐々木敏

    佐々木(敏)政府委員 先生おっしゃいますように、今回の政府買い上げあるいは現在実施いたしております構造改善、いずれも繊維産業、特に中小企業であります。繊維産業の救済であり、構造改善であります。したがいまして、私どもその中核母体でありますそれぞれの団体につきましては、従来とも厳重な指導監督を実施いたしておる次第であります。今後ともこの買い上げ構造改善末端企業まで十分に効果が行き届くように、組合に対しましては幹部の姿勢を正すように指導監督をしてまいりたい、かように考えます。
  21. 岡本富夫

    岡本委員 じゃ、これから指導監督をきちっとしてまいりたい、こういうことでありますから、ことばをかえて言うと、いままではそういった指導監督がはっきりいってなかったという証拠が私どもの点検によってわかってきたわけです。たとえば全国輸出縫製品の二二%を生産する今治市、ただでさえ何かと締めつけられるのが大きいのに国の買い上げ金を横取りされるとはけしからぬ、こういうようなことを言っている業者もいるわけです。したがって、これは実態調査というものを——せっかくいままで何へんか国から補助金を出し、あるいはまた実力大臣の力によって相当中小企業に対して手を打った、それが確実にいってない。途中でぶんどられたと言うのはおかしいですけれども、何だかんだと薄められて最後には三割しかいってなかった。こういう実態が明らかでなければこの法案を審議してもしかたがないじゃないですか。私はそう思うのです。
  22. 田中角榮

    田中国務大臣 ミシン等買い上げということは、全く必要やむを得ず税金をもってまかなっておるわけでございますから、御指摘のような事態が一部にあってもこれはたいへんなことでございます。自主規制のときから先般行なったものを引き続いて行なっておりますし、なお四十八年度にわたっても予算措置を行なわなければならないものもあるわけでございますから、これが効果をあげ得るように実態調査をいたします。しかしあなたがいま御指摘になったように、いかに何でも補助金の、いわゆる買い上げの代金の三割とか四割しかいっておらない、そんなことは絶対にないと思います。絶対にあるわけがありません。一台二十五万円とかいう織機はそのまま評価をされておるわけでございますし、それからいまのミシンについてもこれはもう適切に行なえるように行政的には確実に実行してまいりたい。これはまた追跡調査もいたします。これはいつでも御報告できるようにいたしておきたい、こう思います。
  23. 岡本富夫

    岡本委員 それならば申し上げますけれども全国縫製ミシン類は約五万台といわれておりますが、この設備保証料として一台につき五百円、計二千五百万円。それから台数割り賦課金として一台年千二百円、計六千万円。それから輸出証紙代として一ダース九円二十銭。このほかに組合費も取られておる。こういうことは一般の組合員にはわからない仕組みになっておる。大臣、聞いておかしいなと思うでしょう。これは上から見ているとわからないのですよ、こっちのほうから見ていると。補助金をいただいたほう、要するに買い上げ金をいただいたほうから見ますとこうなってくるのです。だからこの問題は一ぺん理事会で検討してもらって、そしてこの法案の取り扱いについてひとつ検討していただく。こればかりやっているとあれですから、一ぺん要請をしておきたいと思うのです。やってください。  時間の都合もございますので先へ進みますが、先般わが党、公明党の訪米団が行ってまいりまして、これは訪中だけでなくて、やはりわが国の姿としては中国とかあるいはアメリカというように一本立ちできない、要するに資源もあり、それからいろいろ生産もできるという自給自足できる国ではない。したがって中国一辺倒でもいかない、アメリカ一辺倒でもいけない、こういうことで両方とも等距離外交姿勢でもってやっていかなければ日本の国の将来は保たれない。要するに経済的にまいってしまうというようななにから、特にわが党としては等距離外交、これを主張しておりましたので、アメリカの招きによって行ってまいりまし一夕がいそのときの報告によりますと、ロジャーズ国務長官とかいろんな人の話を聞いておりますと、ポストベトナムベトナム戦争が終わったあとですね、さらに経済封鎖といいますか、日本に対してこの間やったような繊維製品圧力、あるいはいろんなダンピングダンピングだといって経済封鎖圧力が強まるのではないかという感じを受け取って帰ってきたわけであります。  そこでアメリカの意図をつぶさに検討いたしますと、アメリカはいまベトナムあたりでどんどん戦争をやっておりますが、そういったあとアメリカが今度は貿易を促進する相手というものを考えたときに、やはり中国に一番目をつけておるのではないか。そこで米中貿易日中貿易考えたときに、日中貿易のほうが距離も非常に近い。したがってこのまま日本中国貿易を促進したりすると、これはアメリカとしてはたいへんだというので、やはりどうしても日本中国との国交回復を妨げよう、そして日本を孤立させようというような考えが中にあるのではないか。こういうことを考えたときに、私どもが主張しておるところの日中国交回復をどうしても促進しなければ日本は孤立し、そしてアメリカから経済封鎖をされる。それで、中国とはいつまでも正常な国交回復ができない、こういうことになると、わが国としてはさらに不況になり、また特に零細企業中小企業には大きな、将来の生きていく道がなくなるのではないか、こういうようなことを非常に危惧するわけであります。  そこで、この間第二次訪中団が参りましたときに、周三原則日本政府が認めて努力するならば、直ちに日本が招くならば周総理日本に行きたい、また日本からも政府の代表に来てもらいたい、こういうような話があったわけですが、そこでどうしても一つひっかかるのはこの台湾条項になるわけであります。私は、これは外交的というよりもむしろ日本の将来の経済問題から考えたときに、論じたときに、これは通産大臣としてもおろそかにはできないし、実力大臣次期総理とも目されておるといわれておるわけでありますので、その点についての御意見を承りたいのですが、その前に外務省アジア局長、いま日中国交回復の一番ネックになっておる台湾条項の廃止、これについてのひとつ意見を承りたいと思うのです。
  24. 前田利一

    前田説明員 お答え申し上げます。  この点につきましては、昨日の参議院の内閣委員会におきましても総理外務大臣から詳しく答弁が行なわれておるわけでございますが、一九六九年の十一月二十一日の佐藤・ニクソン共同声明が発表されましたその当時の中国をめぐる国際情勢と、現在の情勢との間におきましてはかなりの変化がございますわけで、この間御承知のとおり米中会談が行なわれ、さらに双方の間に対話の道が開けてきている。こういうことで現在は両国間に改善動きがあるわけでございまして、共同声明の当時における認識を述べましたものが、この台湾地域における平和と安全の維持も日本の安全にとってきわめて重要な要素である、こういったことが声明されたわけでございますが、その間、ただいま申し上げましたような経緯がございまして、現在におきましてはそこにその当時とは情勢が変わっておる、認識が改まっておる、こういうことが申せるわけでございます。きのう大臣も答弁いたしましたように、共同声明協定でもございませんし条約でもございませんので、台湾条項が消滅するとかそういう問題はないわけでございますが、そこに情勢変化によって認識が改まっておる、こういうように大臣も答弁しておる次第でございます。
  25. 岡本富夫

    岡本委員 きめられた時間が非常に少ないので……。  通産大臣、そういうわけであなたも経済問題から見て将来の日中国交回復については相当力を入れなければならぬのですが、台湾条項はいまお話があったとおりですが、これについての御意見をひとつ承っておきたい。  第二点は、沖繩物価がいま復帰後非常に上がっておる。野菜なんかは二倍、家賃もうんと上がった。この対策をどうするか。この二つだけをお聞きしておきたいと思うのです。
  26. 田中角榮

    田中国務大臣 日中の問題については、政府が明確に申し上げておりますとおり、政府間交渉を進めるという基本的な大原則を明らかにしておるわけでございます。台湾問題は、現実問題として歴史の上に明らかに存在いたします。現実にも日本台湾との問題はあるわけでございますが、この問題は日中国交回復という大きな問題が片づくときには当然消化する問題でございます。ですから、これは日本政府がこの問題に対して研究することよりも、おのずから日中国交回復日中国交正常化という中で消化をされるものだ、このように理解をすべきだと思います。それ以上にいま具体的なことを述べてもなかなか解決しない問題でございますから、これは日中間が非常に前向きになっておるということで御理解いただきたいと思います。  それから第二の沖繩の問題は、沖繩が二十余年間の異民族統治の中から解放されて祖国に復帰をした。復帰をしたが、どうも物価問題が起こってまいりました。この物価問題は、需給のバランスが悪くて物価が上がっておるのじゃないのです。これは非常に問題のある物価問題であります。品物がなくて物価が上がるというのじゃないわけであります。いままで三百六十円レートであったものが三百五円で交換をしたという感じ、言うなれば沖繩がいままで物価が安定しておったものを本土並みになるというような感じが、いまの沖繩物価問題を起こしているわけであります。けさも閣議で問題を検討いたしました。山中総務長官を中心にしてあらゆる角度からこの沖繩物価問題を検討し、対策を立てよう。非常にむずかしい問題ではあるのです。何かムードのようなものでございます。ムード的なもので一挙に物価本土並みにするということ、そういうところに非常に大きな問題がございますが、この問題に対しては政府をあげて各省庁とも連絡を密にし、情報も十分とりながら——きょうは沖繩の知事も帰られるようでありますから、そういう意味で沖繩との連絡を十分にとりながら物価の安定に努力してまいりたい、こう思います。
  27. 岡本富夫

    岡本委員 これで終わりますけれどもムード的なものであれば相当物資を送ったり、あるいは今後沖繩物価対策について、ムードのものであれば私は早く手が出るのではないかと思うのです。実質にいろいろな問題があるということになったらこれは問題でありましょうが、政府声明を出すなりあるいはまた物統令に近いような何らかの措置をしないと、沖繩皆さんはおそらく、復帰しなくてもよかった、初めよかったけれどもと、現実の自分の日々の生活になってくるとそういうことになってくると私は思うのです。私たち返還協定については反対でありましたけれども、やはり帰ってきたあと何とか沖繩皆さんをあたたかく迎えなければならぬという、そういう考えを持っておるものでありますので、政府の現在の手ぬるい沖繩物価対策については私は非常に不満である。これを一つさらにつけ加えて終わりたいと思います。
  28. 鴨田宗一

  29. 中村重光

    中村(重)委員 いま岡本君から台湾条項等についていろいろ質疑がありましたが、大臣のいまのお答えは、中国関係正常化すると自然にこれが解決をしていくのだというお答えでありましたけれども、同時に中国との関係も非常に前向きに進んでおるというようなことでございますが、この間から中国繊維調査団来日されましていろいろと日本繊維実態、実情を調査して帰ったようでありますが、中国繊維調査団調査の結果、その後どのような動きがなされておるのか、その点についてひとつお考え方を、考え方ということよりもその状況をお聞かせいただきたいと思います。
  30. 田中角榮

    田中国務大臣 お尋ねの問題、まだこまかくは調査が済んでおりませんが、中国化合繊視察団来日をいたしまして、これは関西国際貿易促進協会の招待ということで来日をしたわけでございますが、三月三十一日から四月十六日までの三十六日間にわたりまして各地を視察したようでございます。化学工場繊維工場等が中心でございますが、その結果具体的な商談がどうなっておるかということはまださだかになっておりません。おりませんが、李正光団長ほか九名の団員でございますが、非常に専門的な方ばかりでございますので、この視察の結果は非常に収穫のあるものだと思います。そういう意味で、視察団が来日をして各地を見られた結果、日本との技術交流というものを促進いたしますし、また商談も具体的に生まれるという見通しでございます。しかしこの視察の結果、どこからどういうものということはまだ明らかにされておりません。また石油化学関係、原料関係とか機械の関係とかそういう面も十分視察をしたようでございます。  なお、現時点における情報がまとまっておれば事務当局から説明をいたします。
  31. 中村重光

    中村(重)委員 日米繊維協定等の影響で深刻な打撃繊維業界は受けておるようでありますが、この点についてはあとで詳しくお尋ねをするつもりでありますけれども、化合繊メーカーの打撃は非常に深刻で経営困難な状態におちいっている。そういうことから、来日しました中国繊維調査団というものとの間にいろいろと話し合いもなされたと思うのでありますが、私が伝え聞くところによりますと、化合繊メーカーは中国に対してプラントの輸出をすることについての交渉が進められておると伺っているわけですが、その点について政府はどの程度把握をしておられるのか。また、その交渉がまとまりますと、政府はこれをお認めになる御方針なのかどうか。いかがでしょう。
  32. 田中角榮

    田中国務大臣 プラント輸出に対しては具体的な申請はありません。ありませんが、間々申し上げておりますように、申請があれば輸銀使用もいたしますし、これが実現ができるように処置を考えております。
  33. 中村重光

    中村(重)委員 そこで、先ほど岡本君の台湾条項でもって、中国との関係正常化すると自然に台湾問題は解決をするということでございますけれども、先般来台湾に対する円借款をお認めになるという御方針を決定され、それを実行に移されているのではないかと思うのでありますけれども、その点はどうなのか。事実だといたしますならば、私は、中国との正常化、友好親善、国交回復ということの実現を期待しているのは今日国民的願望であると思っているわけです。その際に中国を刺激するような円借款をお認めになるということは、私はこれは当を得た処置ではないのではないか、そのように思うわけでございます。従来いろいろな経過はありましょうけれども、この際、やはり政府は決断をすべき時期であると思うのでありますけれども大臣のお考え方はいかがでございますか。
  34. 田中角榮

    田中国務大臣 台湾への円借款に関することでございますが、これは交換公文を締結したものについてはそのとおり実施をいたしたい、こういうふうに原則的に考えております。今後新たな借款というものも生まれるわけでございますが、新たな借款につきましては、中国をめぐる国際情勢等を見きわめながら慎重に対処するということが、政府の本問題に対する基本的な統一見解ともいうべき考え方でございます。いままで申し上げますと、交換公文締結済みの総額は六百二十億八千万円、それから貸し付け済み額が三百七十六億四千万円、償還済みのものが七十三億二千万円となっております。そういう償還との見合いとか、その他いろいろなことを考えながら、また中国との情勢ということを十分前提にして考えながら、台湾との間の貿易というものを処理していくということでございます。
  35. 中村重光

    中村(重)委員 従来話しがついておったのはいたし方がない。だがしかし、新たな借款を認めるということは、これは中国との友好親善、国交回復を強力に進める上において好ましいことではないというような政府考え方であるというように理解をしてよろしゅうございましょうか。
  36. 田中角榮

    田中国務大臣 いまも申し述べましたように、中国問題は中国との間の情勢も十分勘案しながらやってまいります、こういうことでございますから、それでひとつ御理解いただきたい、こういうふうに思います。
  37. 中村重光

    中村(重)委員 私は、従来話がついておったにいたしましても、今日の情勢下において当然これは認むべきではないという考え方の上に立つわけです。ましてや新たな借款を今後認めるというような情勢が生まれるということはあり得ない。要は、政府がこれを決断するのかどうかということにかかっておると思いますから、少なくとも田中通産大臣は国民的な願望、また日本の置かれておる国際的な立場、中国の国際的な地位、それらのことを考えますならば、閣内においても勇断をもって円借款は認めない、そういう方針を貫かれることを強く要請をいたしておきたいと思います。  それでは繊維構造改善の問題についてお尋ねをいたしてまいりますが、どうも繊維工業の構造改善というのが計画のとおり進んでいない、おくれている。これは何に原因があると大臣はお考えになっていらっしゃいますか。
  38. 佐々木敏

    佐々木(敏)政府委員 構造改善につきましては、紡績業、織布業は昭和四十二年から実施をしたのであります。しかしながら、まず第一に、計画いたしました当時予想できませんでしたいろいろな国際、国内的な経済事情の変化、特に繊維産業のいろいろな事情の変化があったのでありまして、その間におきまして繊維業者の投資意欲といいますか、投資に対する態度が非常に不安であったのであります。近代化設備の投資計画が、業者の気持ちとして非常に不安であったということがまず第一の理由であったかと思うのであります。  それともう一つは、昭和四十三、四年以降におきまして繊維機械工業のいろいろな技術革新、開発が行なわれまして、当時業界におきましては、このような新しい機械設備の取捨選択に若干の戸惑いがあったというような事情かと考える次第であります。
  39. 中村重光

    中村(重)委員 繊維工業審議会、産業構造審議会の答申では、いま局長がお答えになったようなことが書いてあるわけですよ。ところが実際の原因というのはまだほかにあったのじゃないか。十六日でございましたか、繊維関係参考人においでをいただいたわけですが、その際にこういうことを言っておるのです。中小紡のおくれた原因は技術的に限界がある、そうしたことをはっきり言い切っているわけですが、そうだといたしますならば、政府は技術指導、技術の向上ということについてどの程度熱意をもって推進しようとお考えになっていらっしゃいますか。
  40. 佐々木敏

    佐々木(敏)政府委員 先生おっしゃいますように、繊維産業は伝統のある古い産業でありますが、その技術水準はまだまだ非常に低いのでありまして、特に中小紡績の技術水準は大紡績に比べまして進捗状況相当おくれておるのであります。特に最近のように近代化設備の導入に際しまして、その操作は相当高度の技術を要するわけでおりまして、特に中小紡績につきましては、そういった面で技術問題が大きな懸案の問題になっておるわけであります。私ども昨年度から構造改善事業協会の中に技術指導室を設けまして、大手紡績メーカーの技術陣の協力を得まして中小紡に対する技術指導を実施いたしておる次第であります。なお今回の改正によりまして、振興基金の重要な業務の一環といたしまして、各産地の組合等におきまして技術開発をいたします場合に、振興基金から助成をするということも考えておる次第であります。
  41. 中村重光

    中村(重)委員 私は端的に申し上げると、政府の過剰紡機の廃棄という計画そのものがずさんであったのじゃないかとも思うのです。たとえば計画段階で、廃棄台数二百万台というのを六十万台に縮小いたしましたね。それからもう一つは、スクラップとビルドの台数比率、この点にも私は政府の見通しの誤りというものがあったんじゃないかと思うのです。ビルド紡機の生産力というものを考慮しなくてきめたというようにも言えるのではないか。生産力からきた設備というものはかえってふえているような状態になっているように思うのです。そういったようなもろもろの問題が、過剰紡機の問題を事実上解決をしていないということになっている。  いま一つは、特恵関税の場合にも同じような現象があらわれているわけですが、保税加工貿易の問題、それもまた言えると思うのですが、結局資材と金とを開発途上国に持ち込んでいって、安い労働力を使って、そして逆輸出を日本にする、そういったようなこと等もやはりこの構造改善事業というようなものがうまくいかなかった大きな圧力となった原因の一つである。  いま一つ構造改善事業をお進めになる段階で、私ども法律案の審議の際にこの点非常に強く強調したわけですけれども、実際はそのとおり実行されていないわけですが、この構造改善対象になったものはどちらかというと中堅クラスなんですよ。零細な企業というのは自己資金を持たないわけですね。自己資金を三〇%なら三〇%出さなければならない。持たないから金融機関から調達ができないわけですね。したがって構革の対象から漏らされている。そういったようなことも——零細企業がいわゆるアウトサイダーという形において存在していることは、これはそういう零細な企業自体深刻な事態におちいっていますけれども、それだけではなくて、やはり構革を推進しでいく上においてこれは足を引っぱっているというような結果になったのではなかろうか。大臣、そういったもろもろの原因があるんじゃないでしょうか、いかがでしょうか。
  42. 田中角榮

    田中国務大臣 繊維構造改善というのは非常に必要なことであり、行なわなければならないということはみな知っておるのでありますが、御承知のとおり繊維企業というものは様態が非常に多岐多様にわたっておるということと、いまも御指摘がございましたが、大企業、中企業、小企業零細企業というふうに分かれておりまして、地域的にも、地域産業として同じような仕事をやっているようでありますが、地域によっては全く違うという状態もございます。そういう意味で、政府が当初企図したように、短い間に完ぺきな構造改善が行なわれなかったということは確かにございます。これはこの事業のむずかしさからということもあると思うのであります。しかし設備の近代化もしなければなりませんし、どうしてもこの目的は達成をしたい、こう思っております。  それからあなたからいま御指摘がございましたが、去年の繊維協定の前、自主規制を行なう前は、やはり量的拡大ということでもってなんとかやってこれたという、輸出も伸びるし内需も伸びるしというような状態に対して、どうしでも構造改善をこの企図した期間内に完全にし遂げなければならないという気魄にも欠けておったかもしれません。いろいろな問題があると思いますが、この問題はどうしても成功せしめなければならない、こう考えております。
  43. 中村重光

    中村(重)委員 そこで、構造改善事業を推進するためのこの法律の期間というのを二年間延長することになってまいりました。答申を見ましても二年間といっておりますが、非常に情勢変化して、できるだけ早くこの構造改善というものを成功させなければならぬということを指摘しておるようですが、そうした情勢の中において、またこの答申に沿ってこれから構革を進めていく上において、構造改善の基本を今後どこに置くのか、これは私は非常にたいへんな問題であろうと思うわけなのでございますが、この点に対する考え方をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  44. 佐々木敏

    佐々木(敏)政府委員 先生おっしゃいますように、構造改善は早急にその目的を達成する必要があるわけでございまして、この法律に基づくもろもろの構造改善措置にあわせまして、ただいま政府救済対策によります設備買い上げも並行的に実施をしておるわけであります。この二つをもちまして、二年間でいわゆる構造改善のうちの一番大きな柱であります過剰設備の処理につきましては終了をする確信を持っております。  なお、構造改善のもう二つの、設備の近代化、生産規模の適正化につきましても、この二年間でほぼ達成する予定でございますが、これにつきましては、過剰設備の処理後における業界のいわば自主的な力によりまして、今後とも引き続き推進をすることが必要であろうかと思うのであります。構革が済みました暁には、今後の繊維産業の新しい長期ビジョンに立ちまして、質的な繊維産業の発展が期待されるか、かように考えておる次第であります。
  45. 中村重光

    中村(重)委員 繊維産業をこれからてこ入れをやって、そうして国際競争力をつけさせていくといったような、その強化策と、それから生産面での近代化というのは、繊維の需要面から考えていく必要があるのではないか。先ほど技術の面についてのお答えがあったわけでございますけれども繊維政策の中心というものを、加工であるとかデザインであるとか、この点を十分配慮していかなければ、日本繊維技術というのがそれが非常に弱い。弱いためにできている品物が非常に低級品ということになっている。そうなってまいりますと、これは低開発国で生産する品物と大して変わらないということになってまいりますと、これはコストが高くなるわけですから競争力が弱くなる。高級品でなければ、ヨーロッパであるとか先進国に対するところの競争力というものはしたがって弱い。私は、安かろう多かろうということではなくて、品物をよくしていく、ここにやはり重点を置く、いわゆる需要面から相当力こぶを入れていくということでなければならぬ、そのように考えるわけでありますけれども、これは常識的なことではございましょうけれども現実にいままでその点に対する力の入れ方が弱かったのではないかというように感じますので、考え方をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  46. 田中角榮

    田中国務大臣 御指摘のとおりでございます。これはもう量的拡大から質へと転化をしなければならない。品質とかデザインの問題で構造改善を進めるということでなければならないと思うのです。アメリカに出しておる陶器は制限を受けたり自主規制をやっておるのにまたその上に関税をかけられたりしておりますが、同じ陶器屋の中でも絵ざらがあります、絵をかいて飾りざらをやっている、これは無制限に入っているのです。なぜ入っているかというと、これは美術品として入っている。これはアメリカには競争相手がないということであります。同じ陶器でも知恵のある人はそういうように内容を転換してまいりますと、制限は全然なくて、喜ばれながら貿易を拡大していく、こういうことでありますから、日本の産業自体が重化学工業から知識集約的なものにならなければいかぬということと同じように、同じ材料を使っても、半製品とするのと一部加工するのと、一般機械にして送るのと精密機械たとえば時計にして送るのとでは全く付加価値が違ってくるということだと私は思うのです。そういう意味で、やはり特定な技術を持つもの、質の高いものということはどうしても考えなければいけない、こう思います。
  47. 中村重光

    中村(重)委員 私は繊維のことはしろうとで、正直言ってわからないのですが、わが党は加藤先輩、繊維の権威者でもあるわけですし、加藤先輩を中心にして繊維問題と取り組んでいるわけですが、いま大臣お答えになりましたように、製品の高級化ということ、技術の向上、開発ということについては、ひとつ特段の力を入れていただきたいということを要請しておきたいと思います。  具体的な改正案の内容についてお尋ねをしてまいりたいと思いますが、その前に、先日十六日、参考人からいろいろ御意見を伺ったわけです。日米繊維協定の影響というのか、これは特恵関税も同じでありますけれども、非常にいま影響が強まってきている、深刻な打撃を受けているのだということでございましたが、政府としてはどの程度、日米繊維協定わが国繊維業界に及ぼした影響、打撃ということを把握をしていらっしゃいますか。
  48. 田中角榮

    田中国務大臣 日米繊維協定というものによって一体どのくらい影響があったか。影響があるということで繊維対策もやったわけでございますが、影響ありとすれば、これからあるのだということもいえるわけでございますし、それからいままで日米繊維貿易というものがあのままでいくと考えておったら間違いであるという考え方もございます。そういう意味で、繊維協定による直接の影響というものは必ずしも把握できないわけでございます。それを数字的に申し上げますと、四十四年対四十五年幾ら伸びたかというと五、六%、対前年度五%台伸びているわけです。それから四十五年対六年、六年対七年と、こういうふうにだんだんと変わってくるわけです。去年は自主規制を行ない、日米繊維交渉をやりましたが、実質的にドルベースで対前年度一九%伸びておるわけであります。ですから、数量においては大体一九%年率伸びるということ自体が異常である、こういうことになればまた別でございますが、いずれにしても、数字で見る限りは四十六年度一ぱい、四十七年三月三十一日までの対米の輸出の状況を見てみますと、交渉によって特別減るということはないわけでございます。それから今年度のものをどうするかというので、この間日米間で専門家会議をやりましたが、これもそうショックを受けるということではなく、われわれが主張した数字というものはおおむね妥結をしているわけでございます。ですから、日米繊維交渉の直接の影響というものは、繊維交渉があってもなくても、日米間のノーマルな繊維貿易というものはどういう状態が望ましいのだ、どういう状態がノーマルなのだ、そういうことをはじき出して、それに繊維交渉による影響がどれだけあるのかという計算のしかたをしないと、なかなか日米繊維交渉の直接の影響ということを計算することはむずかしい、こう思います。いずれにしても、一五%、二〇%というような高い貿易がずっと続くわけではないわけでございますので、影響はないとはどうしてもいえない、影響があるから対策が必要であるということでございます。
  49. 中村重光

    中村(重)委員 影響はあるとして若干の対策を講じられたのだけれども、予想以上に影響は深刻である。そうなってまいりますと、いままで講じてまいりました対策ということではもう間に合わない。したがって、もっときめこまかい対策が必要になってくるであろうと私は思うのですが、その点に対しての大臣考え方はいかがでしょう。
  50. 田中角榮

    田中国務大臣 日米繊維交渉というものもおのずから限度がございます。日米貿易にもおのずから限度があるわけでございます。これは日本と共産圏等の貿易考えれば、年間を通じて大体バランスをとらなければいかぬ。そういう面からいうと、日米間は去年の九月現在で二十億ドルぐらい日本からアメリカに出超であり、その後年間を通じたら対米貿易は三十億ドルになり、きのうエバリー氏と私と会談をいたしましたら、四十七年は四十億ドルぐらい片貿易になるのじゃないか、これで一体いいと思いますか、こういうことでございましたが、確かに日米間はアンバランスでございます。特殊な要件があるにしてもアンバランスである。そういう中から計算をしますと、対米繊維協定をしながらも一九%もふえておるということでございますから、まあ実際的には好調であったといえるわけです。そうして二千億余の繊維対策をやりましたが、日米間の年間の貿易量全部、日本が輸出をするものが二千億でございますから、それと匹敵する繊維対策をやったということであるので、対策は、私は言うならば万全である、こういわざるを得ないと思う。だから、あと繊維対策が必要であれば、それは日米繊維交渉に基づくということが原因ではなく、日本の長期的展望に立った繊維企業構造改善繊維産業というものに対する政策ということで、引き続いて政策は必要である、こう考えるべきだと思います。
  51. 中村重光

    中村(重)委員 ともあれ、日本繊維産業というのが好調であった。なぜに好調であったのか、これはやはり、労働者の低賃金であるとか、労働条件というものが非常にヨーロッパ諸国と比較をして悪いとか、あるいは零細中小企業、そういったようなものに対して、より大きな犠牲がしいられておるとか、先進諸国と比較にならないようないろいろな条件の中に日本繊維産業が一応好調というような形であった。ところが、こういう日米繊維協定であるとかあるいは特恵関税であるとかいうようなことで強い圧力がかかってまいりますと、その打撃、いままでそういう無理をしていただけに、非常に深刻な打撃というものが出てくるわけですから、そこのところを十分考えた、手厚い、きめこまかい対策を講じていくのでなければならない。日本の業界というものは不死身なんで、これからまた立ち上がるのだなんというような荒っぽい考え方を持ってやるということはたいへんな問題を起こすであろう、私はそのことを考えますから、注意を喚起しておきたいと思います。  これらの問題については同僚議員からいろいろとお尋ねをしているわけでありますし、また法律案以外の問題でありますから、他日質問の機会も実はあるわけであります。時間の関係もありまして、できれば一時までに法律案をあげるために御協力を申し上げたい、そういう考え方でいるわけでありますから、はしょってまいりますが、ただ一点、繊維業界が日米繊維協定に対して政府を相手に提訴いたしておるわけでありますから、これに対しては政府は受けて立ってどこまでも争う、こういう態度であるのかどうか。そうではなくて、何か解決点を見出していくというような、そういう考え方であるのか、この際大臣から、この点に対してははっきりした考え方をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  52. 田中角榮

    田中国務大臣 私は率直に申し上げて、日米繊維交渉というものは必要であってやったわけでございますし、それは理解していただけると思うのです。それに対して、日米貿易量が年間二千億であるものを、その金額に匹敵する以上の対策も行なっておる政府の施策というものの誠意も認めてもらわなければいかぬと思うのです。まあ一部においては、しかしここで法律的判例を求めるのだという議論もございますし、こうしておくことが通産大臣がやりやすいだろうといういろいろ御同情のあるお話もございます。しかし私は、やはりこれだけ努力をしても裁判を受けなければならぬのかということ、これは公の立場でやむにやまれぬかもわかりませんが、どうも私自身釈然といたしておりません。それで、すなおに考えれば貿管令というものもありますし、それから為替管理法もありますし、いろいろな法律がありまして、それは必要であって、国会の議決を経てその法律が法律として存在をしておる。これはこの現行法は違憲ではない。これはもう日本の産業のために必要である。輸出の長期的な目から見たら、正常な輸出をするためには必要なんだということで貿管令もあり、いろいろな法律があるわけですから、この法律の存在を認めながら、やむにやまれぬ、外交交渉による——それも日本の、長期的に見たらそのほうが合理的であり得なんだ、これは利益を守るために真にやむを得ざる日米繊維協定だ。この協定が無効であるという考え方の、どうも実効のない裁判提起ということも考えられますし、まあこれは私の立場を求めておられますから私の立場で申し上げるのですが、どうも私は通産大臣をやめてから考えてみても、もうここらで片づけてもらいたいものだ、こういう感じがいたします、ほんとうに。私はそういう意味で……(「破棄したら片づく」と呼ぶ者あり)これはまた破棄できるものでもないんです、実際。そういうことを考えますと、まあこの裁判は早く取り下げてもらうことによって、もっと業界も私もみんな一緒になって現実的な繊維産業というものに取り組む方法は幾らもあるのであって、まあ私としては、どうもあまりいい感じじゃございません。こういうことでどういうメリットがあるのかな、どうもそこがはっきり——私はメリットがあればまたそれなりの評価をいたしますが、どうもこの裁判を提起して、この裁判が一体どういうメリットがあるのか、ちょっと理解しかねるということでございます。
  53. 中村重光

    中村(重)委員 まあこの問題についてあまりきょうは議論はいたしません。ですけれども日米繊維業界の実態、国会の決議、さらに政府・与党が繊維業界にもろもろの約束をしてまいりました経過、いろいろな点からいたしまして、私は政府間協定は、これは自由貿易を守るという点からもやはり無理であった。これは廃棄すべきであるという繊維業界の主張は正しい、そのように考えています。だがしかし、田中大臣が全く努力をしなかったと私はきめつけるのではない。それはあなたはあなたなりにおやりになったんでしょうが、しかしながら、当然あなたがおやりにならなければならなかったのだが、そのおやりになることを、もう少し繊維業界を守るという方向に力こぶを、ウエートをかけるべきではなかったのか。それが逆に、日米繊維協定はやむを得ないものである、そういったような方向にウエートをかけ過ぎたところに私は問題があった。あなたに対するところの憤激というようなものも、これはあなたにとってはまことに残念でありましょうけれども繊維業界ががまんができないところである。われわれも、決議をいたしました立場からいたしまして、政府に対しまして非常な憤りを持っておることも事実であるわけです。あらためてこの問題についてはまた、議論をしていきたい。問題解決のために、これは廃棄が一番的確に問題解決になるわけでありますが、どこまでも争うといったような、いまお答えになりましたように、繊維業界の提訴なんということは私はどうもわからぬなんというようなことでは、火に油を注ぐことになるであろうということをあなたに御警告申し上げて、具体的な法律案の中身についてお尋ねをしてまいりたいと思います。  局長でけっこうですが、この特定精紡機の処理にかかる規定が削除されるわけですが、今後過剰精紡機が生じた場合は、これはどう扱うのですか。
  54. 佐々木敏

    佐々木(敏)政府委員 特定精紡機につきましては、四十三年度におきましては、先生御承知のように百十二万錘を業界の共同行為で解消、破棄したのであります。当時はそれでもってほぼ需給バランスから見た適正規模になると考えておったのでありますが、その後の情勢変化によりまして、今回政府間協定に伴う救済対策といたしまして、現在別途精紡機の買い上げを実施中でございます。したがいまして、共同行為によります精紡機の買い上げの規定は必要でございませんけれども政府買い上げに基づきます希望者の中小紡績業の買い上げにつきましては、政府協定による買い上げ措置によって実施をしていく方針でございます。
  55. 中村重光

    中村(重)委員 現在八万台あるといわれているこの無籍織機をどう処理するのか、処理する方法をこの際明確にしておいていただきたい。
  56. 佐々木敏

    佐々木(敏)政府委員 無籍設備につきましては、これまで常時無籍設備の取り締まりを実施しておったわけであります。特に昨年八月、自主規制の救済対策といたしまして、政府買い上げを実施をいたしました関係から、昨年八月以降強力な無籍取り締まり体制を整備しておるのであります。ただいま各通産局ごとに監視委員会を置きまして、また各産地にも監視委員会を置きまして、専任の監視員が監視をしているわけであります。現在八万台程度と推定されておりますけれども、まずこれを厳格に、厳密に実態把握をする必要がある、かような観点から、ただいま全国的に無籍設備の実態調査を実施をいたしております。その結果、登録台帳、無籍設備の実態確認台帳を、まず台帳をつくりまして、登録、無籍の区別を明確にする、かように考えておる次第であります。その台帳ができました暁、今後さらに一そう抜本的な無籍対策について十分実効を期したい、かように考えております。
  57. 中村重光

    中村(重)委員 ともかく無籍織機の問題については、政府の怠慢というのか、的確な処置がなされないということで鋭く政府の責任は追及されてきたし、また私どもは数回にわたって附帯決議もつけてきたという記憶を実は持っている。だから無籍織機の問題については、政府の処理というものは全く不的確であった、怠慢であった。それが今日無籍織機を生み出している。にもかかわらず政府は、その無籍織機があるということ、やみがあるということは業者が悪いんだといって、業者ばかりきめつけるという傾向がある。私は、それは改めなければならぬ。そこで現状というものを十分踏まえて、これから新たに無籍織機が発生をするということを防止していく。同時に現在の無籍織機については十分調査をして、台帳でもって、登録したものあるいは無籍、これを明確にする。そこで登録をすべきものは登録をする、あるいは廃棄消滅をすべきものは消滅をする、そういうことで、すっきりした形で繊維業界のこれからの保護、育成、強化、そういう適切な措置を講じる必要があると私は思う。この点は、もう局長の答弁ということよりも大臣の答弁を伺わなければならないのですが、いま戻ってこられた。ですけれども、ちょっとお聞きになって、これは大臣から、この点については附帯決議をつけますから、ひとつ明確にお答えを出しておいていただきたい。
  58. 田中角榮

    田中国務大臣 無籍織機につきましては、団体法違反のものでございますので、無籍織機そのものははなはだ遺憾である、こういわざるを得ないのでございますが、現に七万台ある、八万台ある、こういうふうにいわれておるわけでございますし、現にあるものをそのまま放置しておって、ほんとうに繊維産業対策が実効をあげるわけはないと思いますので、五月十一日から一カ月間の予定でまず実態を把握するということにいたしたわけでございます。この実態を把握して、その後この織機をどうするのかという具体的な問題が今度起こるわけでございます。その織機をどうした結果、将来かかるものが再び起きないようにどうするのかという問題が第三に起こってまいります。そういうような問題でございますので、やはりまず第一の実態把握という段階を追って、それがつかめたら第二には、いわゆる無籍でございますからこれはもうかまいませんといっておったならば産業政策の実効はあがらないわけでございますから、これは第二の段階、第三の段階、具体的な困難な問題であっても何らかの結論を出してまいるという姿勢でございます。
  59. 中村重光

    中村(重)委員 そのとおりだと思うのです。ただ無籍織機はけしからぬ、これは法律違反だ、そういう何か業者が悪いんだというような考え方では問題の解決にならぬ。やはり無籍織機がどうして発生したのか、その原因を究明する。それから無籍織機の内容はどうなのか。先ほど私が申し上げましたように、構造改善事業の中で中堅クラスというようなものを対象にして、雰細な業者というものを締め出してしまったといったようなことも、私は無籍織機が出てきている原因の一つだと思う。無籍織機としてもいろいろな事情というものがあるだろう。だから十分調査をし、的確な措置を講じていく。附帯決議をあとでつける予定でございますから、それに対しましても十分目を通されて、それに対応する措置を講じてもらいたいということを要請をしておきたいと思うのです。ともかくいまのような混迷しているような状態を一掃してしまうということが私は必要であろう、こう思います。そして新たな決意で出発していく、そこに繊維業界を確固不動なるものにしていかなければならぬと思います。  次にお尋ねしたいことは、政府は四十七年度振興資金を十億円出資することになっております。ところが業者はこれに対して、四十七年度六億から七億、七年間でもって三十八億ということでございますが、ところが法律案の中身を見てみますと、「第一項に規定する者その他繊維工業に属する事業を営む者又はその組織する団体から出えんされた金額の合計額に相当する金額をもってこれにあてるものとする。」こうあるわけです。これはどう解釈したらばよろしいのか。四十七年度十億円を出すきりで、あとは出さないということを意味するのか。四十七年度だけを見ますと、業界の出指金は六億から七億といわれ、七年間で三十八億というようなことを一応予定をいたしておるようでございますから、その合計額、大体業界が出損する金額に見合う程度を政府が出資をするということをこの四十二条の二は意味するのか、この点必ずしも明確でございません。したがいまして、この点について明確に考え方をお示しいただきたいと思う。
  60. 佐々木敏

    佐々木(敏)政府委員 四十七年度におきましては政府出資が十億円予定されておるのであります。元来、この振興基金は、政府出資と業界の出損金との合計で充てるわけでありますが、ただいまその業界の出損金の期待見通し額といたしましてはほぼ五、六億円という見通しであります。業界の今後の経理内容、振興基金に対する事業の期待度等考えまして、今後の計画見通しといたしましては三十数億円を業界から出損をしていただく。それをほぼ七年間程度の分割で逐次出損をしていただく。したがいまして四十七年度は五億程度であろうかと考える次第であります。
  61. 中村重光

    中村(重)委員 そうすると、いま初めのお答えはちょっと聞き落としましたが、第一年度、四十七年度は五億程度だ。そうすると政府は四十七年度十億ですね。業界は七年間で分割をして三十七、八億、こういっておるわけです。この間繊維局長も参考人意見なりあるいは私どもの質問に対する答弁をお聞きになっておられたのだが、政府に対する期待は業界の出捐金を上回る程度にしてもらいたいということを言っている。これは必ずしも業界のそういった要望に沿うようなことができるかできないか、その実態というものを十分踏まえて政府は態度を決定すべきであると私は思うのでありますけれども、現在の考え方としては十億円ということでなくて、やはり出捐金の状態等見ながら政府の出資もふやしていく、そういう考え方であるとお答えでございましたか。
  62. 田中角榮

    田中国務大臣 大体そういうことでございます。四十七年度には十億円政府は出資をいたしますが、業界はまた年に五、六億円ずつしか出せないということでございますから、これでずっと続けてまいって、最終的に五十億円ぐらいにしたい。五十億円というのは、いまの段階において五十億円ぐらいということでございますが、しかし業界の状態の変化によってはこれで済まない場合もございますが、そういう場合にはまた審議会におはかりをしたりいろんな議論をしなければならぬと思いますが、これは実効をあげるものでなければならない、こう思います。そういう意味で、いまさしあたり政府も十億出しますから財界は二十億出しなさいというようなことが普通でありますが、とても業界ではいますぐそういうわけにいかないということで、政府もまず十億円だけ出資をしておいて、これを理想的な姿にまで持っていこうということであります。ですから産業界からの拠出の状態を見ながら、その状態において政府の出資金の増額ということを考える、こういうことでありますから、政府はまずさしあたり十億円出した、これで打ち切りというのじゃありません。これはその後の状態、業界の出しっぷりというようなものを見なければ、国民の税金でございますから、業界は全然出さないで政府ばかりが出しておるというわけにまいりません。ですからまず四十七年度政府が十億円出して、あと業界は五、六億円ずつ毎年出していく以外にないと思います。こういう状態でありますので、その状態を見ながら政府がどの程度増額出資をしなければならぬかということをきめればいいのだ、こういうことでございます。
  63. 中村重光

    中村(重)委員 相当大きい金額になることがいまの大臣お答えの中から予想されるわけです。いままで政府繊維業界——これだけではありませんけれども、業界に対する政府の助成というものはあまり大きな効果を発揮していない。したがって、いま大臣お答えのようにこれは国民の貴重な税金であるわけであります。出しました金が繊維業界の技術の向上発展並びに業界の健全な発展につながるものでなければならないと考えます。そういった点から考えまして、この振興資金の運用をどうするのかということがきわめて大切な問題である。必ずしも明確な方針というものが示されておりません。あらためてこの運用についての具体的な考え方、それを決意を含めてひとつお答えをいただきたい。
  64. 佐々木敏

    佐々木(敏)政府委員 先生お話のように、この振興基金は、今後の繊維産業の発展のためにきわめて重要な意味を持つわけであります。ただいま、私ども業界と協議をいたしまして定めております運用の方法につきましては、まず、学識経験者、関係業界、関係の官庁等からなりますプロジェクトの選定のための委員会を、事業協会内部に設置いたしまして、その個々のプロジェクトに対しまして通産大臣が承認ををする。もちろん、その場合には、事業協会の業務方法書の中で、プロジェクトの決定を通産大臣の承認事項に掲示をするということで考えておる次第でございます。運用の対象個々のプロジェクトにつきましては、たとえば新規商品の開発とか新技術の開発とか、あるいは先生先ほどおっしゃいましたような海外、国内の需要動向の正確な把握とか等々の業界が行ないます事業に対しまして、事業協会から補助するという形になるわけでございます。
  65. 中村重光

    中村(重)委員 方法というのは、いまお答えになったとおりであろう。しかし、たてまえはそうでありますが、実際の運用は、生きた運用がなされなければいけないということです。その点が非常に重要でありますから、まあたてまえがこうなっておるから、たてまえのとおりやっていけばよろしいなんという事務的な形でこの基金の運用をしていくというようなことであってはならない。出した金がどう効果を発揮しているか追跡調査をやりながら、この金を十分生かしてもらいたいということを重ねて申し上げておきたいと思います。  これで私の質問を終わりますが、この法律案に対しましては、賛成をいたすつもりであります。四十六年度で、この構造改善事業はその目的を達成するというような見通しでありましたが、あらためてまた二年間延長することになってまいりました。時限立法というものが、次から次に期間を延長するということは好ましいことではございません。目的を達成し、さらにこれを大きく前進をするという形において期間を延長するというのなら好ましいわけでありますけれども、目的のとおりいかなかった、むしろうしろ向きになった、そういう形において、これが終わっていないからまた延長するのだというようなことは、田中通産大臣に厳に下げていただきたいということを強く要望し、この二年の間に十二分に目的を達成するような諸施策を遺憾なく講じていただきたいということを強く要請をいたしまして、私の質問を終わります。
  66. 鴨田宗一

    鴨田委員長 川端文夫君。
  67. 川端文夫

    ○川端委員 いま提案されておりまする繊維構造改善の二年間延期を中心とするこの法案の問題に対しては、多くの同僚からかなり詳細に質問が繰り返されてまいって、お尋ねするほどの問題はもう残っておらぬようにも思いますけれども大臣がお見えでありますから、ただ一、二点お尋ねして、この質問の締めくくりをいたしたいと私は思うわけです。  そこで、先ほどからいわゆる政府間交渉をいたした繊維の問題に対しては、これが一番よかったという大臣お話であり、民間がこれに対して行政訴訟を起こすのはどうも納得できないということでいろいろお話がありましたけれども、まずもって、どうもこれは長いものに巻かれるという考え方のようにしか受け取りにくいという感じを持ちながらお聞きしておったということを申し上げておきたいと思うのです。特に、この繊維の問題で政府間交渉をしなければならなかったとしいう背景の問題の中に、日本貿易においては大きな転換期を迎えて、その転換期の先駆的な問題点をこれにあらわしているのではないか。一九六〇年代というか、長い間貿易振興というか保護貿易主義であった日本が、国際的な自由主義貿易に変わらざるを得ない転機もこの中に含まれておるのであり、通貨問題にあらわされている日米間の問題も含めて、ここでアメリカにこれ以上無理をいわしたくない、そういう意味において、国策として繊維にまずもって忍んでもらうという立場に立って協定をお結びになったんだろうと私は善意に解釈しておったんだけれども、これがよかったんだという解釈のしかたでは、あまりにも業界に無理を押しつけたんじゃなかろうかという感じを持つんだが、大臣いかがでしょうか。
  68. 田中角榮

    田中国務大臣 よかったんじゃないかと言っておるのではないわけでございます。日米間の正常な貿易発展をはかっていくためには真にやむを得ざる処置であった、こう述べておるわけでございます。これは自主規制でいくのが一番いいのです。これはもう二国間協定などということをやらないで、自主規制でいくのが一番よろしいのです。ですから、日本はもうすでに繊維自主規制に入っておったわけでありまして、しかもその間に、一年間か半年間、実情も見ないで、自主規制の結果さえも確認するいとまもなくして協定を結ばざるを得ないことははなはだ遺憾である、こう申し述べておりまして、それは全くよかったということじゃないわけでありますから、そこのところはひとつ誤解のないようにしていただきたい。真にやむを得ざることであった。その真にやむを得ざることとはどういうことか。これをもし結ばなければどうなるかといったら、もっと悪い状態になったろう。それはもう実績中心で、一方的に輸入制限を行なう、こういうことになっているわけでございます。これはいまでもそういう問題がございます。陶器に対して関税をかけたり、またきのうは相殺関税の問題が家電製品において起こりましたし、またダンピング問題として取り上げられたり、また話し合いを続けなければならない。続けてまいりますからいいようなものの、すべてがこういう状態になることは、日米間では望ましくないわけであります。そういう意味で私は、実際、日米の問題を処理しながら、そうはいってもこれは自主規制よりもうんと詰められるとたいへんだと思っておったんです。対前年度実績の五%という自主規制並みで年間を通じて押えられたら、これはもう国会でどう答弁しようかと思っておったら、先ほども申し述べましたとおり、対前年度実績では一九%伸びておる、こういうことでありますので、まあ日米間では、正常な貿易を確保するための協定であるといったあの前文が確認をされたといっても強弁ではなかろう、こう申し上げておるのでございます。
  69. 川端文夫

    ○川端委員 大臣の苦心のあったことは、相手国もあることですから否定の立場でものを聞こうとしているわけじゃないけれども、いま言われているような陶器なりその他のものの影響をも考えて、ここらでひとつ日米間の貿易の破局を避けたい、調和したいというお考えに立って、繊維の問題でかなり犠牲的立場に立って、涙をのんで協定をされたと、私は大臣を信頼して、そのように理解してきょうまできたんだが、先ほどの話を聞いておって、どうもそうでもないらしいという感じを受けて、大臣は少し甘いのではないかということを申し上げておるわけです。  そこで、このことはこれからまだほかに機会もありますから、この問題ではこれ以上申し上げませんけれども、局長、この時限立法というものの性格からいって五年、十年という時限立法はありませんからやむを得ないと思うけれども、今日立っておる日本繊維業界の実態からいって、この二年間ではたしてこの構造改善の所期の目的が達成できるのかどうか。いろいろな意味で、先ほどからも話がありましたように、従来の量的時代から質的な時代に転換もしなければならぬし、さらに、従来行なわれてきた構造改善というものは、おもに設備を中心にした構想で構造改善を指導してきておる実態から、これからはやはりファッション的ないろいろな構想を描いた構造改善をも含めていこうというのに、はたして二年でできるのかどうか。後ほどお尋ねする振興基金の問題に対しては業界は七年というのだから、業界みずからが二年で目的完成できるとは思っていないのを、政府が二年とせざるを得なかった。他の立法のしかたがあったのではないかということも考えられたのではないかと思うのだが、この辺いかがでしょう。
  70. 佐々木敏

    佐々木(敏)政府委員 構造改善は、現行法におきましては過剰設備の処理、設備の近代化、生産規模の適正化、いわば量的な色彩の強い構造改善であります。特に、中心になります過剰設備の処理につきましては、この法律に基づく措置と、他方政府買い上げ等によりまして、二つ合わせまして二年間で達成できる所存であります。設備の近代化、生産規模の適正化につきましては、このような過剰設備の処理が済みました暁、むしろ業界の自主的な力によりまして今後とも引き続き継続するということになろうかと思うのでございます。したがいまして、私どもは四十七年、四十八年度におきまして、先生おっしゃいましたような量的な意味の構造改善を終了いたしまして、四十九年度以降は高級化、ファッション化に伴う需要構造の変化に即した質的な繊維産業の体質改善考えている次第であります。近く産構審、繊維工業審議会等を開催いたしまして、長期にわたる質的な繊維産業の発展の方向を検討いたしまして、次の施策に当てたい、かように考えている次第であります。
  71. 川端文夫

    ○川端委員 それでは局長、こういうふうに理解してよろしいですか。二年間の期間というものはこれから変化していく繊維業界に対する新しい発想の模索時代であって、準備時代と考えて、とりあえずはこれをやっておく必要があるという考え方で提案されていると承っておいてよろしいかどうか。
  72. 佐々木敏

    佐々木(敏)政府委員 すべての産業におきまして同様であろうかと存ずるのでありますが、特に、繊維産業のように過剰設備をかかえております産業の体質改善のためには、まず設備の適正化ということが前提になるわけでございます。その意味におきまして、構造改善の一番の中核になります過剰設備生産の規模の適正化、これを二年間でまず終了いたしまして、その後におきましては、その適正化されました設備を踏まえまして業界の質的な体質改善という方向に向かうべきであろう、かように考えるわけであります。決して模索とかそういう意味ではなくて、将来にわたる繊維産業の土台をまず固めるというのが今後二年間で終了するというふうに考えている次第であります。
  73. 川端文夫

    ○川端委員 時間もないから一応承っておきますが、いま強調されている過剰設備の問題に対して、そうなるならば、無籍織機の問題に対しては二年間でどうするのか、先日来質疑の中においても、この無籍織機に対してはすでに別の角度の税金を取っておるではないか、許して認めてきておるではないか、したがってこれを廃棄せしめるという方向に行くのか、既存のものを暫定的に認めるのか、これをどうするのかということが問題として質疑されておるのだが、まだ明らかになっておるように承れないのですが、これはどういうふうに政府考えておるかということを、私どもが理解する、わかりやすい端的なことばでひとつお答え願いたい。
  74. 佐々木敏

    佐々木(敏)政府委員 無籍の問題につきましては、ただいま実態全国的に調査確認中であります。それに基づきまして台帳を整備いたしまして無籍の実態全国的に把握をするつもりであります。その後におきます対策につきましては現在検討中でありますけれども、まず台帳の把握、整備、それによって無籍、登録設備の実態、これまでのいろいろな事情を踏まえました実態を全面的に把握いたしまして次の施策を十分検討する、かように考えておる次第であります
  75. 川端文夫

    ○川端委員 局長、調査をして台帳に載せるというのなら、台帳に載せれば一応戸籍が認知された、こういうふうに受け取るのが人情だと私は思うのですね。したがって、それをどうするかという方向を持たずに、台帳をつくって調査だけするというのでは政策にならぬのじゃないかと思うのですが、いかがです。
  76. 佐々木敏

    佐々木(敏)政府委員 台帳をつくります意味は重要な意味が二つございまして、一つは、その台帳によりましてこれまで現存いたしております無籍の実態がはっきりする。それによって登録、廃棄、滅失等の計画的な措置ができるということが一つであります。それともう一つは、一時点におきます無籍の台帳ができるわけであります。したがいまして今後発生する無籍につきましては、絶対にこれを逃がさないというような取り締まり体制がしけるわけでありまして、その両面から台帳は大きな意味があろうかと考えておるわけであります。
  77. 川端文夫

    ○川端委員 話がどこにポイントを置いて答弁されておるのか、私は頭が悪いからまだのみ込めないのですが、それはそれとして、いよいよこれをわれわれも承認するという立場で、時間も迫っておりますから多くを申しません。ただ要望申し上げておきます。言うならば、無籍機をこの際台帳にあげる結果、正直者がばかをみないというこの制度だけは確立してもらいたい。いままでまじめに国策に順応して廃棄にも踏み切った、構造改善にも賛成した人々と無籍のものと同一の扱いをされることば、これは許すべきではない。したがって、たびたび大臣にも答弁されておるけれども、政策メリットでこれをカバーしていく以外にないと言われるけれども、政策メリットではまだまだ日本企業に対して政策の恩典だというほど、ありがたがるほど手厚い保護にはなっていない。このことを考えた場合に、少なくともこれから、現実動いているこの無籍織機を一律に廃棄しろとは申しませんけれども、この政策メリットとの区別をちゃんとつけた上に立っての処理は当然行なわれてしかるべきものだと思うのだが、そういう考え方はお持ちですかどうか。
  78. 田中角榮

    田中国務大臣 まず無籍の調査をする。そして調査をすれば、これに対して的確な処置をしなければなりません。これはまた同じようなことをやるような処置ではだめでありますから、完全な処置をやはりせざるを得ないと思うのです。その処置をするときに正直者がばかをみないような処置をしなければならぬ。それは御説のとおりでございます。第三点目は、先ほども申し上げましたように、この処置が行なわれた場合にまたぞろ出てくるということでは困るので、その後絶対出てこないためにはどうするかという問題、これは全部具体的な政策を掲げておるわけにはまいらないのです。まず第一段をやりましたら第二段、第二段をやるときには第三段とあわせてやるということでないと、何かするということをもし仮定してやれば、何かするならもう少しつくろうかということもありますし、これは実際なかなかめんどうな問題なんです。ですから、そういう意味でも、将来は少なくともかかることをさいの川原のようにやりません、こういうことでなければなりませんので、そうでなければ、結果的にほんとうに正直者がばかをみるわけです。だから、そういうふうに統制でがんじがらめにしてしまって、法律でもって全く国家管理と同じようにもできませんが、しかしやはり相当な処置をして、もう無籍というものは再び問題にはなりません、国会で議論にはなりませんというぐらいな保証がなければ、とても無籍に対してやすやすたる処置をとるわけにはまいりません。ですから、まず第一の段階をすべり出しておる。第二の問題は、お互いにみないろいろな案が腹の中にあるでしょうけれども、それはやはりもう少し実態が明らかにされた後にだんだんと具体化していくべき問題だろう、このように理解をいただきたいと思います。
  79. 川端文夫

    ○川端委員 大臣の決意のほどを承って、本来ならばこれで了承すればいいのですが、大臣はやがて総理大臣か何かになられて、通産大臣をおやめになる日もそう遠くないのじゃないか、こうも考えてみると、この考え方はやはりちゃんと通産省の中に定着するようにきちっとしておいてもらいたいことを特にお願いしておきたいと思います。  もう一つ振興基金に十億、先ほどもいろいろ答弁がありましたり質疑がありましたから、これもなにですが、端的に申し上げて、百貨店の宣伝のように、小間切れにあれもやるこれもやるということをやるよりは、先ほどからも御答弁があったプロジェクトを組んでも、やはりこれが一番もとになるという重点的な資金を流すというやり方でなければ、何かしろうとを喜ばせるようなことばを並べるような、あれもやるこれもやるというやり方で、小間切れな資金の使い方では、繊維産業という日本貿易界において貢献度の高かった産業に対しては申しわけないと思うので、重点的な——十億といえばわれわれ個人から見れば大きいけれども日本繊維産業全体から見れば——大臣も何か先ほど一年間の貿易量に近いほどの金を出したじゃないかとおっしゃったが、繊維を一年で見るという見方は残酷じゃないか。やはり戦後だけから考えても、二十六、二十七年の間苦労して今日のような繊維業界を確立してきた人々が転換せざるを得ないときに、わずか十億円で、しかもその金が、単なるだれかに宣伝するような金の使い方にしてもらいたくないということを考えておるのだが、大臣の決意をもう一ぺん伺っておきたい。
  80. 田中角榮

    田中国務大臣 振興基金が効率的に運用されなければならぬことは申すまでもありません。また業界も拠出をし、政府は十億といえども、これだけで終わりというのではありません。将来、業界の拠出の状況にもまって増額等も検討いたします。こういう国民の血税を使うわけでございますから、これを使ってそれなりのメリットがあって、日本の将来の繊維産業史の中に光るような使い方をしなければいかぬ。これはそのとおり、真剣に検討いたします。
  81. 川端文夫

    ○川端委員 それでは、行管からだれか見えておりますね。  先日この委員会において田中委員からも認定法人の問題と特殊法人の問題で質問があったわけです。この繊維協会における振興基金に対する国の十億の出資は違法ではないか、適切ではないのではないかという立場からの質問があったわけです。そこに一つの統一見解的なものを文書をもって出されておりますけれども、これは財政法的な問題といわゆる特殊法人と認定法人をどのような見識をもって区分けして見守っておいでになるのか。これはおれのほうではないから関係ないという見方か。その点の考え方をひとつお尋ねしておきたいと思うのです。
  82. 梅沢節男

    ○梅沢説明員 いま先生お尋ねの件は、私ども行政管理庁設置法の二条に規定がございまして、いわゆる特殊法人と申しますものは、本来国が行なう事業である、ただそれを行政組織で行なわせるよりも、別の法人をつくってやらせたほうが能率的でいいじゃないかという場合に国が特別の設立行為によって法人を設立する、そういう場合特殊法人と申しておるわけでございますけれども、本件の法人の問題につきましても、これは法律が通りましたときからそういう政府の見解でございまして、事柄の性質上、企業と申しますか民間の自主的な調整にかかわる問題でございまして、本来特殊法人になじまないものである。したがいまして、いまお尋ねの件でございますけれども、私ども特殊法人を所管する行政管理庁といたしましては、本件の法人組織についていろいろ意見を申し上げる立場にないということを御了承願いたいと思います。
  83. 川端文夫

    ○川端委員 言うならば、この出資金を出すということ、本法は国会の承認を経て、その上に立って今度の基金制度というものができたわけでありますが、やはり法律的にそこまで言われると、われわれも迷わざるを得ない。こういう一面も出てくる。しかしながら必要だ、こういう立場で苦労している立場から見て、かりに国が全額持つ特殊法人と違っても、それぞれの事業所がこれを認可、監督するだけではなしに、行管が監督することのできるような幅を広げることはできないかできるかということをお答え願いたいと思います。
  84. 梅沢節男

    ○梅沢説明員 行政管理庁は、設立の目的から申しましても、広い意味での国の組織全般を審査し、あるいは全般的に見る立場にあるわけでございまして、先ほどから同じようなお答えで非常に恐縮でございますけれども、本件法人の場合は、民間の自主的な設立行為によってつくられました民間的な性質の法人でございますので、行政管理庁といたしまして、これについて監督するとかあるいはとかくの意見を申し上げるという立場にはございませんので、御了承願いたいと思います。
  85. 川端文夫

    ○川端委員 この問題はわれわれも十分勉強するということで、質問を打ち切りたいと存じます。
  86. 鴨田宗一

    鴨田委員長 以上で、本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  87. 鴨田宗一

    鴨田委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決いたします。  内閣提出特定繊維工業構造改善臨時措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  88. 鴨田宗一

    鴨田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。     —————————————
  89. 鴨田宗一

    鴨田委員長 この際、本法律案に対し、武藤嘉文君外三名より、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党、四党共同提案にかかる附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。武藤嘉文君。
  90. 武藤嘉文

    ○武藤委員 提案者を代表いたしまして、附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。  まず案文を朗読させていただきます。    特定繊維工業構造改善臨時措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行にあたり、我が国繊維産業を取りまく厳しい経済環境に対処し、今後あるべき繊維産業のビジョンを早急に確立して、その健全な発展を図るとともに、今後二年間において構造改善事業の所期の目的が達成できるよう次の諸点につき適切な措置を講ずべきである。  一、織布業の構造改善事業を円滑に推進してその効果をあげるため、織機の台帳を整備し、登録・無籍を明らかにするとともに、これが登録・廃棄・消滅等については適切な処理を行なうこと。  二、繊維工業の設備の近代化を推進するため、関連機械産業の発展を図り、繊維工業との協調体制の確立を図ること。  三、繊維製品の健全な輸出の振興を図るため、競争力の弱い中小企業の育成、輸出市場の多角化に努めるとともに、秩序ある輸出体制を確立すること。    なお、当面する米国の関税評価差止めによる関税の賦課等に対しては、極力これを回避するよう万全の措置を講ずること。  四、振興基金については、繊維製品の高級化・多様化等の要請に対応してその充実を図るとともに、重点的・効率的に運用すること。  五、繊維工構造改善事業協会等のいわゆる認可法人への政府出資については、慎重に行なうとともに、出資後の管理についても万遺憾なきを期すること。 以上でございます。  附帯決議案のこの内容は、審査の過程において詳細に論議されたところでございますから十分御理解いただけることと存じますが、特に第五項につきまして、補足して簡単に御説明申し上げますと、最近いわゆる認可法人に対する政府出資の例がふえておる傾向が見られます。本来これらのいわゆる認可法人に対する政府出資につきましては、財政処理の根本原則にさかのぼるまでもなく、公正な運用をはかることが必要であります。したがって、繊維工構造改善事業協会等への政府出資にあたっても、その必要あるものは配慮しなければならないが、前記の原則にのっとり、法の運用を誤ることのないよう慎重に行ない、かつ出資後の管理についても万遺憾なきを期すべきであります。  委員各位の御賛同をお願い申し上げる次第でございます。
  91. 鴨田宗一

    鴨田委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  直ちに採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  92. 鴨田宗一

    鴨田委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、附帯決議について政府から発言を求められております。田中通商産業大臣
  93. 田中角榮

    田中国務大臣 ただいま御決議いただきました附帯決議に対しましては、政府といたしまして、その趣旨を尊重し、万遺憾なきを期する所存でございます。  特に認可法人への出資問題につきましては、委員会の御意見を十分にしんしゃくし、御決議の趣旨を体して、今後慎重に対処してまいる所存でございます。
  94. 鴨田宗一

    鴨田委員長 おはかりいたします。  本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  95. 鴨田宗一

    鴨田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  来たる二十三日は、午前十時三十分から石炭対策特別委員会連合審査会開会する予定であります。本日は、これにて散会いたします。    午後雰時五十四分散会