運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1972-04-12 第68回国会 衆議院 商工委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年四月十二日(水曜日)     午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 鴨田 宗一君   理事 浦野 幸男君 理事 小宮山重四郎君    理事 進藤 一馬君 理事 橋口  隆君    理事 武藤 嘉文君 理事 中村 重光君    理事 近江巳記夫君 理事 吉田 泰造君       稲村 利幸君    小川 平二君       大久保武雄君    北澤 直吉君       左藤  恵君    坂本三十次君       塩崎  潤君    田中 榮一君       羽田野忠文君    八田 貞義君       前田 正男君    増岡 博之君       松永  光君    石川 次夫君       加藤 清二君    田中 武夫君       岡本 富夫君    松尾 信人君       川端 文夫君    米原  昶君  出席国務大臣         通商産業大臣  田中 角榮君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      山中 貞則君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     谷村  裕君         公正取引委員会         事務局長    吉田 文剛君         公正取引委員会         事務局取引部長 熊田淳一郎君         環境庁大気保全         局長      山形 操六君         通商産業政務次         官      稻村佐近四郎君         通商産業省鉱山         石炭局長    莊   清君         工業技術院長  太田 暢人君         中小企業庁長官 高橋 淑郎君         運輸大臣官房審         議官      見坊 力男君         消防庁次長   山田  滋君  委員外出席者         法務省民事局参         事官      田邊  明君         海上保安庁警備         救難部救難課長 村田 光吉君         建設省道路局路         政課長     宮繁  護君         消防庁予防課長 永瀬  章君         参  考  人         (石油開発公団         総裁)     島田 喜仁君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ————————————— 四月十一日  特定繊維工業構造改善臨時措置法の一部を改正  する法律案内閣提出第五二号)  熱供給事業法案内閣提出第八二号)  海水淡水化法案原田立君外一名提出参法第  四号)(予) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  小規模企業共済法の一部を改正する法律案(内  閣提出第七四号)  不当景品類及び不当表示防止法の一部を改正す  る法律案内閣提出第三四号)  石油開発公団法の一部を改正する法律案内閣  提出第三七号)  石油パイプライン事業法案内閣提出第一〇六  号)      ————◇—————
  2. 鴨田宗一

    鴨田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出小規模企業共済法の一部を改正する法律案議題といたします。
  3. 鴨田宗一

    鴨田委員長 提案理由説明を聴取いたします。田中通商産業大臣
  4. 田中角榮

    田中国務大臣 小規模企業共済法の一部左改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  小規模企業共済制度は、小規模企業者相互扶助の精神に基づいて、毎月掛け金を積み立て、廃業や死亡といった有事の事態に備えるという共済制度でありますが、経営や生活の不安定に悩まされがちな小規模企業者にとってその果たす役割は大きく、昭和四十年十月に制度発足以来すでに十五万人の加入者を得ております。  現在、制度発足後六年余りを経過したわけでありますが、本制度は、本来、経済事情変化に対応して見直していくべき性質のものであり、この法律自体におきましても、少なくとも五年ごと制度の眼目である掛け金共済金等の額の検討を行なうよう義務づけております。本年は、前回昭和四十二年にこの法律の一部改正が行なわれて以来五年目に当たるわけであります。  この改正法案は、最近における所得や物価の推移たどの経済事情変化小規模企業者から本制度に対して常日ごろから寄せられております要望などを勘案し、本制度の一そうの整備をはかろうとするものであります。  改正内容は、まず第一に掛け金月額の口数の限度を現行の十口から二十口に引き上げ、最高月額を一万円とすることであります。これに伴いまして、共済金最高額現行の二倍に引き上げられることとなります。  なお、第一種共済契約掛け金につきましては税法上その全額につき所得控除が認められることとたっておりますので、今回の改正により年額十万円まで控除されることとたり、小規模企業者にとってたいへん魅力ある制度となると考えております。  第二は、現行法におきましても小規模企業共済事業団が本制度加入者に対して融資ができることとなっておりますが、この改正法案共済金等を引き当てにした少額資金融資が行かえるようにするための必要な規定を整備することであります。すなわち、融資の償還が滞った場合に、共済金等からこれを控除することができるようにする等の規定を設けることといたしております。  このほか、現行法では、加入者契約の途中で掛け金月額変更を行ない、その変更後一年未満の間に共済事由等が発生したため掛け金納付月数が一年未満部分が生じた場合、その部分につきましては、掛け捨てとたっておりますのを今後共済金に算入するようにするなど加入者の利益と本制度の円滑な実施を確保するための改正を盛り込んでおります。  これが、この法律案提案理由および要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。      ————◇—————
  5. 鴨田宗一

    鴨田委員長 次に、内閣提出不当景品類及び不当表示防止法の一部を改正する法律案議題といたします。
  6. 鴨田宗一

  7. 山中貞則

    山中国務大臣 ただいま議題となりました不当景品類及び不当表示防止法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  不当景品類及び不当表示防止法昭和三十七年に施行されて以来、すでに約十年を経過しましたが、この間において不当な景品類及び不当な表示による顧客の誘引を防止し、事業者の公正な競争秩序を維持、促進し、一般消費者の適正な商品選択に資することにかなりの効果をおさめてまいりました。  しかしながら、不当な景品つき販売及び不当な表示は、事業者日常活動から絶えず発生するおそれがあり、また、実際に不当景品類及び不当表示防止法に違反するこれらの行為は、年々増加してきております。他方、一般消費者の不当な景品類あるいは不当な表示に関する関心は、日ごとに高まり、各都道府県に対するこれらの違反行為についての消費者の苦情の申し立ても、また増加しております。  しかるに、このように多発している不当な景品つき販売及び不当な表示につきまして迅速に対処するには、現在の公正取引委員会体制では必ずしも十全であるとは申せません。したがいまして、不当な景品類及び不当な表示に関する迅速かつ効果的な規制をはかるためには、公正取引委員会が、地域住民と密着した消費者行政を運営している都道府県知事協力して不当景品類及び不当表示防止法の運用を行なうことができることといたす必要があると考えられますので、ここに本改正法案提出いたした次第であります。  次に、本改正法案概要でございますが、第一に、不当な景品類の提供及び不当な表示につきまして、その行為を取りやめるべきこと等を指示することができる権限を都道府県知事に委任するものとしたことであります。  第二に、違反行為者指示に従わないとき、その他必要があるときは、都道府県知事は、公正取引委員会に対し、違反行為について適当な措置をとるべきことを求めることができるものとしたことであります。  第三に、指示権等の行使について必要な調査権都道府県知事に委任するものとしたことであります。  以上が、この法律案提案理由及びその内容概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、御賛同あらんことをお願い申し上げます。
  8. 鴨田宗一

    鴨田委員長 これにて提案理由説明は終わりました。  両案に対する質疑は後日に譲ることといたします。      ————◇—————
  9. 鴨田宗一

    鴨田委員長 次に、内閣提出石油開発公団法の一部を改正する法律案及び石油パイプライン事業法案の両案を議題にいたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。川端文夫君。
  10. 川端文夫

    川端委員 大臣がお見えになっておりますので、冒頭にちょっとお尋ねしてみたいことがあるわけです。  きょうの新聞報道によりますと、先日OPEC事務総長が見えておったし、あした何かOPEC経済部長との話し合いで日本側から提案するように書いてあるわけです。そこで、OPECとの包括協力に対する協定という大局的な問題に対しては、いたずらに反対とか賛成とかという軽率な議論はいたしませんけれども、とにもかくにもOPECに対して将来協力できるという問題の中から、三十億ドルばかり開発基金制度をつくって、将来OPEC産油国に対しての経済援助をするという方針も含まれていると伝えておるわけです。これが真実であるのかどうか、真実であるとするならば具体的な案があるならばお聞かせを願いたい。このことをまずお尋ねいたします。
  11. 田中角榮

    田中国務大臣 OPECとの資源協定があるような報道が一部あるようでございますが、通商産業省がいまそのような構想を固めた事実は全くありません。  それから第二は、先般OPEC事務総長が来日の際に、OPECとしては原油日本への直接販売産油国内における製油所の建設、タンカーの建造などについて日本側協力が得られるならば幸いであるというような意向が表明されたようでございますが、これは私は国会出席中で私自身が会うわけにまいりませんので、事務当局が会って話を聞いたわけでございますが、この問題に対してはまだ通産省意見を表明する段階でないということで、お話を聞いただけということでございます。
  12. 川端文夫

    川端委員 事の内容がまだ報告できる段階にないからお話しになれないのか、真実かなり進んでいるのかという問題を聞きたかったわけでありますけれども、これらの問題は別にいたしましても、問題は昨年の十二月石油連盟滝口会長参考人として来てもらって話をした当時、やはり今日までメージャーとの協力によって円滑なる原油輸入を受けていた日本としては、メージャーを抜きにした姿は必ずしも得策とは言いかねる、十分注意されたいという、何かお説教がましい発言もされておったわけですが、これらの問題に対してナショナリズム的な傾向の強いOPEC諸国の中には、やはり日本に先がけて一つ先物売り込みの形があるのではないか、こういうことも十分注意されての考え方があるのか、メージャーOPECとの関係、大消費国である日本との関係に対して今後どういうふうに考えて対処していくかという問題に対して、大臣の所感を承っておきたい。
  13. 田中角榮

    田中国務大臣 石油消費量が年間もうすでに二億キロリットルをこしておるわけでございます。五十年には三億キロリットル、六十年になれば七億キロリットルをこすということでございますので、やはりOPECメージャーとの関係を全然考えないいままでのやり方でいいというわけにはまいらないわけでございますが、しかし、これは国内需給状況の見直しもございますし、新しいいろいろな問題が起こってまいっておりますので、慎重に総合的な判断をしようということで事務当局としては検討もいたしておりますし、また、石油会社そのものもいろいろな構想を持っておりますが、これを取りまとめてどう申し上げるという段階にまだ至っておりません。しかし、いままでのような考えではなく、相当広範な立場で検訂し、しかも、長期的な一つ見通しを立てる、計画を立てるということが必要であるということは、もう御指摘のとおりでございます。
  14. 川端文夫

    川端委員 慎重にというおことばは、当面きまっていない場合におけることばとしては受け取れないわけではないけれども、ややもすると、慎重にということで、問題の経過措置等に対して国会等にある程度明らかにしながら審議を求めていくという態度に従来欠けていたのではないか、こういう点も申し上げてみたいわけです。したがって、問題がきまってから、コンクリートされてから、さあこれでどうだという、こういう審議のさせ方は必ずしも民主主義の形においては適当でない。やはり過程における経過等も随時報告するという態度が望ましい態度ではないかと思うわけです。  今回の公団法提案に対して、私の感ずるところを申し上げますと、やはり石油というものが今日エネルギー資源大宗をなすに至った。こういう状態石油資源というものを将来に見通しをつければ、ますます大消費国である日本不安定要素がふえてきたということから、公団法改正一つ強化に対する改正の案として生まれてきたのではないか、こういうふうに受け取りながら審議をいたしておるわけですが、私はこの問題を考える場合に、単に石油のみにとらわれるというあり方がいかがなものであろうか。やはり日本エネルギー資源大宗をなす石油の問題を審議する場合においては、審議会等においても総合エネルギー審議会というものがあったわけですから、それらの中からの答申に基づいて案をつくられたにしても、エネルギーという問題を全体のワクで石油をも考えていく。こういう意味において私はこの石油公団法エネルギー公団法と、たとえば仮定ですが、こういう形においてもっと幅広い強力なものになすべき必要があったのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  15. 田中角榮

    田中国務大臣 一つ考え方としては理解できますが、しかしエネルギーというもの、石炭石油、原子力その他いろいろ考えられますが、これを全部ひっくるめての公団ということよりも、やはり石油石油としても非常に大きな問題でございますから、石油公団、それから石炭石炭に対する公団、またウラン等を大量に備蓄しなければならないということになれば、当然事業団その他保有公団等一つ考え方として考えられるわけであります。これは民間九電力に保有させるとしても、その過程においては、比較論としては当然考えられなければならぬ問題であります。  ですから、企業体として幾つかの事業団その他が一つ公団としてまとまらなければならないということよりも、政策として総合エネルギー政策が確立せられなければならないということは、これは当然のことであります。これは自民党にもございますし、各党にもみな総合エネルギー対策特別委員会というようなものがありまして、長期的エネルギー調整というものを考えておるわけでございます。  審議会においてもやはり総合エネルギーとしての審議会で総合的にものは考えられることが望ましいということは、私もそう思っております。通産省はその意味においては石炭局もございますし、公益事業局もございますし、通産省でもって一つのものを考えるときには、これは各局と全部総合調整を行ない、総合的な立場で立案をされるということは事実でございます。  ただ、通産省は年次的なものを調整するには、これは間違いがないにしても、長期的なエネルギー政策エネルギー間の調整等考える場合に、もっと高度な、また詳細な検討が必要である。そういう意味で、成案を得てから法案としてお願いをするということではなく、その過程において国会その他在野の意見を集約できるような体制をとることが望ましい。そういう意味で御質問があってもなくても、これはもう中間において御報告をするようにいたします。
  16. 川端文夫

    川端委員 一つは、私はいろいろ検討されることはけっこうなことであると申し上げたいけれども、常に審議審議で、慎重審議のために後手に回っているのじゃないか。しかも資源確保という問題に対しては、やはり長期的な計画を持たないで行き詰まって走り回るという、この扱い方がかなり日本に大きな損失を与えたのじゃないかという考え方もあって、そういう意味から見て私はやはり長期的な展望を持つ計画の中に、早くしかも強力な手を打つべきものに多少は手を打っていくという意味においては、今回の公団法改正だけでは足らぬのじゃないか、弱いのじゃないか、こういう考えをもってお尋ねしているわけですが、もう一ぺんお答え願いたいと思うわけです。
  17. 田中角榮

    田中国務大臣 御指摘のとおり、私も常に通産事務当局とそういう立場で話をしておるのです。やはり政府そのものが対症療法、いわゆる石油が逼迫してくれば、これを集めるためにどうするか、石油が余ったときにはどうするか。外貨問題もそのとおりであります。余ってもなかなか、そのうちに減ります、こういうことで事態が起こってきてからばかりやる。これは行政機構はそういうふうになっておりますから、そういうところはやはり政治家責任だと思います。通産省で総合的、長期的なものに対していろいろなことがおくれておるとすれば、それは大臣責任であり、政務次官責任——政務次官もおりますが、これは大臣責任である、こういうことを申し上げます。これは積極的、長期的なものというよりも、どうしても法制が現実に即した単年度主義でありますので、そういう批判は免れない。エネルギーの問題は、エネルギーも、特に石油などは長期的に見ればだんだんと逼迫をしておるのでありますから、総合エネルギー対策というものに対しては長期的、総合的なものを早急に、焦眉の問題としてこれを審議いただくようにすべきであるという御説には賛成でありますし、そういう姿勢で努力をしてまいります。今度の公団法でもって万全ではない、足らないということもわかりますが、しかし、いまのような状態を前進させる、そして当面解決しなければならないための御審議をお願いしておるわけでございますので、どうも総合的なものが全部できないうちはということではなく、今度はひとつ御審議をいただいて、できるだけ早い機会に総合的な計画案を出せというようなことでひとつ御了承いただきたい。
  18. 川端文夫

    川端委員 大臣の時間も制約もありますから、あまり多くを詰めるわけにはいきませんけれども、ただ一言申し上げたい。  先日、一般質問でも、大臣がお留守の間に質問の中で申し上げたのですが、現在、政府手持ちの米ドルというか、外貨のいわゆる通貨調整による差損というものだけでも一兆億円をこしているというこの事実の上に立って、これは何も総理大臣お金でもなければ大蔵大臣お金でもないわけです、国民の金であるから、そういう損失に対して、先取りして、少なくとも最小限の差損で済ませるような努力が足らなかったのじゃないかということを考える場合に、いま問題になっているこの公団法改正の中では、外貨減らしというものも含めて、探鉱その他将来に期待をかけての審議をいたしておるわけでありますから、やはり政策長期ビジョンをもって先取りをしていくのが政治家の任務じゃないか。いま大臣が私の質問の前に答えられたわけですから、これ以上繰り返しませんけれども、そういう趣旨で今後進めてもらいたい、こういうことをまず申し上げておきたい。これは要望であります。  時間の制約もありますから、もう一つの問題として、このエネルギー調査会報告を見ましても、このような公団法改正に至る過程の中には、原油購入価格の引き下げ、石油企業自主性確保、貯油の増強、原油供給源分散化等々と並んで、海外原油開発を大きく考えなければならぬということをいっておるわけです。そこで、この審議をいたしております公団法の中には、公団という特殊的な性格もありますが、安定供給消費者保護かという問題に対しては、言うならば、安定供給に対しては一歩前進であることは認めるけれども、消費者保護という価格の問題に対しては、業界等に強い指導力を出せるだけの力がないではないか。こういう点を大臣はどうお考えになっているか、お答え願いたいと思います。
  19. 田中角榮

    田中国務大臣 資源確保に対しては、安定かつ低廉でなければならない。安定と低廉というものはうらはらの問題でございます。しかし、前提としては、どうしても安定供給が得られなければ、不安定の中に低廉、良質ということは確保できないわけでありますから、安定というものは低廉に通ずる一つの道であるということは言い得るわけでございます。先ほど申し上げましたように、これは通産省の試算でありますが、年率六・四%ぐらいずつ石油消費量というものはふえていくだろうというけれども、いままでの例からいうと、一〇%ぐらいふえるわけであります。そうすると、六十年度の七億キロリットル、約七億トンというものよりも、大きくなっても小さくはならない、こういう状態でございます。ところが、昨年来の国際的な情勢をごらんになってもわかるとおり、OPECの問題等非常に不安定なものがございますので、まずこれを広範な立場から安定的な輸入ができるようにしなければならない。そのためには、やはり開発多様化合弁会社その他長期的な投資というものを考えないと、なかなかその果実を得るというわけにもまいりません。しかし、計算をしてみると、単純計算をやると、いままでの大蔵省の考えなどは、物は下がるから必要なときに買ったほうがいいのだ、備蓄などをたくさんすると、また、開発投資などをすると、利息を考えるとどうしても高くなるという、私のところへ出てくるのは大体備蓄反対のような数字ばかり出てまいりますが、そんな考えでは、安定的、低廉なエネルギー供給など受けられるものではない。特に日本は九九%の石油が外国から入れるものであって、しかもマラッカ海峡を通ってくるものがその九〇%であるというような事実から考えてみても、やはり安定というものに対しては、積極的な開発輸入を行なうということでなければ、安定も低廉も期しがたい。こういうことで今度御審議をいただいておるわけでありますが、先ほども申し上げましたように、これをもって足れりなんて考えておりません。これはひとつ早急に、少なくとも六十年、七十年というものにはどうするのかということでこたえられるような制度をつくり、投資を行なうということが必要であることは、そのとおりだと思います。
  20. 川端文夫

    川端委員 私は考えるのに、自由競争による民間主導型の経済行政主導型の経済か、という岐路に石油の問題は立っているように思うので、その意味においては、従来のような民間主導型に一歩メスを入れて行政主導型に切りかえていく、その手段として、公団法の、強化を含めた法案として受け取りたい、受け取らさなければいかぬ、という考え方審議に当たっているということを申し上げておきたいと存じます。  もう一つ、時間の関係一つだけ最後にお尋ねしますが、言うならば、いろいろ審議過程において、低硫黄原油の入手はなかなか困難である。努力はしておるけれども、これのみ買いあさるということになれば、やはりアニマルという悪評も出てくるのではないか。そういう意味において、高硫黄原油を買わざるを得ないという一面も日本としてはどうしても考えなければならぬということになれば、これほど日本列島をよごしている公害の中から、石油の果たす役割りとその被害というものの比重を考えた場合に、脱硫装置等に対するプロジェクトと申しますか、研究努力がいまだに不十分ではないのか。一方においてはそういう先取りのことも必要であるけれども、国民生活立場からいうならば、公害防止立場から脱硫装置を、強力な研究を確立して実施していく時期にきている、こう考えるのだが、この点についてお答えを願っておきたいと思います。
  21. 田中角榮

    田中国務大臣 御指摘のとおり、ローサルファの石油を得ることはなかなかむずかしいということでございまして、排煙脱硫というものを研究しなければならない、これを実用化しなければならないということは、焦眉の問題でございます。四十一年度から開発プロジェクトとして研究いたしまして、四十四年度には大体研究が終わっておるわけでございます。これらは、ただ、いまの状態だけではない一いまはコストが非常にかかるということでございます。そして既存の発電所などでは敷地がないのでできないという問題もございます。そういう意味で、国が主体になって排煙脱硫というものに対しては早急に実用化するということでいかなければならない。しかも、重油をたいておりますものを全部液化ガス、可燃性ガスにかえるというような問題もございます。それによってコストが上がるという問題もありますけれども、膨大もない石油を使うのでありますので、脱硫装置研究、技術開発というものは、これはもう全力をあげて実用化させなければならないということは通産省考えております。
  22. 川端文夫

    川端委員 終わりますが、私は要望を申し上げておきます。  研究努力ということは重宝なことばでございますけれども、実際の裏づけを十分にするという決意、勇気が足りないのではないかという立場で申し上げておったので、賢明なる田中通産大臣に御検討を、御勘考を願いたい、このことを申し上げて質問を終わります。
  23. 鴨田宗一

  24. 近江巳記夫

    ○近江委員 時間が非常に短時間でありますので、簡潔にお聞きしたいと思います。  一つは、外貨が二百億ドルになるのじゃないかということで、そういうことからさらに円の再切り上げというような心配も非常に持たれておるわけであります。そうした背景の中から出てきたと思うのでありますが、特に田中大臣が第二外為等もつくって今後さらに積極的に各種の対策をやっていきたい、こうしたことをちょっとお聞きしておるわけでございます。当然第二外為の中にはこの石油公団の出資とかあるいはこの備蓄対策、さらには石油だけでなく他の資源等もお考えになっていらっしゃるのかどうか。その辺の第二外為に対する構想なりそうした点につきましてポイントをひとつお聞きしたいと思うわけです。
  25. 田中角榮

    田中国務大臣 三月末の外貨準備高は百六十七億ドルでございます。しかしこの内容をよく見てみますと、必ずしも外国から指摘されるようなものではないように思います。これは大蔵大臣でありませんから私が発言するとどうかと思いますが、どうも外国から日本外貨準備高について非常に文句を言われておりますけれども、私もかつて三年間も大蔵省に奉職しましたので、そういう立場でいろいろなものを調べてみると、これは半分ぐらいが実勢だなという感じでございます。どうも八、九十億ドルというのがほんとうの外貨であって、あとの七、八十億ドルというものは、これは政策をうまくやればこんなことにならない。これの政策をどうかというと、これは金利が高いわけです。西ドイツは三%の公定歩合、こちらはまだ四・七五%、こういう状態でございます。いままで長いこと日本は資金を借りてばかりおりましたので、外国銀行からドルを借りてMOF会計一に売っておるというふうな感じもいたします。これは私はさだかな数字ではございませんが、私の感じでは、大体これは大筋において間違っておらぬような感じがいたします。しかし現実的には百六十七億ドル、まあ百七十億ドルに近い外貨を持っているわけでございますから、先ほどから御指摘がございましたようにいろいろな問題が起こっております。石油はまず備蓄が少ないという問題が一つあります。しかも長期的、安定的、低廉な石油を得ることはむずかしい情勢にある。そういう意味でやはり開発輸入考えなければならない。権益も確保しなければならない。いま石油公団のワク内だけで解決ができるようなものではない。これはアメリカの一つ石油会社にも満たないようなものであり、ちょっともうかればすぐバランスをとって引き上げられる。こういうようなことでは、とても日本の七億キロリットル、十五億キロリットルという長期の石油輸入の基本を確保するわけにはまいらぬと思います。  もう一つは、いろいろな金属、鉱石その他でございますが、これは不況のために引き取れないで現地に積んでおって、これを引き取れないために現地とのトラブルが絶えない。しかも鉄鉱石の問題等も、西豪州において契約の九〇%しか受け取れないでいろいろ問題を起こしておる。これはしかし、世界的な情勢から見て長くこんな状態が続くとは思いません。そういう意味からいいますと、たとえば特にUNCTADで問題がいま起こるわけでございますので、どうしても海外開発輸入というものをひとついままでよりも拡大をしなければならない。ちょうどいま外為会計では非常に大きな外貨の保有をしておるわけでありますので、これを、いまに景気がよくなれば少なくなります、輸入はふえます、輸出は減ります、こう言っておりますが、どうも十カ月近く私はそういうことを言っておってもまだ下がらない。二、三日前から大蔵省も通産省も、今度はだんだんと輸出が押えられ、輸入がふえてまいりましたなどと言うのですが、とても二、三カ月の間で私がいままで申し上げたように外貨がうんと減るというような状態にはありません。外貨減らしではなく外貨の活用であります。長期的な資源確保という意味で活用する。そういう意味で、できればこの国会に第二外為法のような、臨時的なものになるか恒久的なものになるかは別にしまして、これを出そうということで私と大蔵大臣との間の話は合意に達しておりますが、事務当局同士ではなかなかまだいろいろな議論があるようでございますので、まあ参議院の総括質問が終わってちょっとでもひまができたら、私と大蔵大臣の間に事務当局をまじえて早急にひとつ詰めよう、こういう状態でございます。
  26. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから、さらに今後輸入を拡大していきたいというようなことについては大臣もずっとおっしゃっておられるわけでございますが、そういうことでこの一括法案といいますかそういうものも検討しなくちゃいけないのじゃないか、こういうこともちょっとお話しになったようなことも聞いておるわけでございますが、その辺の考え方について、また今後いつごろお出しになるのか、その辺の構想についてひとつお聞きしたいと思うのです。
  27. 田中角榮

    田中国務大臣 構想というのは、私が先ほど申し上げたような基本的構想だけで、実は私と大蔵大臣の間で合意に達しておるだけでございまして、あとはとにかく去年の春ごろから八項目として、その中で七項目は実施されましたが、残りの一項目はペンディングになっているわけです。これが外貨活用である。外貨の直接貸し、外貨の活用——円の収縮を伴わない外貨の直接貸し出しは外為法の規制によってできません。できなかったらなぜ八項目の中に入れたのだ、七項目にしておけばよかったじゃないかということになるわけです。しかしその当時はまだ六十億ドル、五十億ドルという外貨であったものが百億ドル以上も積み増しをされて、当時から言っておるように、減らないということであります。ですからあと残る方法は、いま私が端的に申し上げた百七十億ドルの中の半分は必ずしもいつでも積み重ねられたものではないと思います。だから西ドイツくらいに公定歩合をがたっと引き下げて、そして金利政策を思い切って変更してみて、そして半年間も見ていてそこでほんとうに外貨が八十億ドル、九十億ドルになったというなら別でありますが、それもしない現在においては外貨を活用するほかに方法はないわけであります。活用するとすれば外為法の改正かもう一つの第二外為法をつくるか、いずれかをしなければならぬということでありますから、これはもう当然そこまで結論はきておるわけでございます。ですから第二外為ということをどういうふうに内容を詰めるのか。私と水田大蔵大臣の間だけできめたのじゃ困るから、これはひとつ事務当局間できめなさい。それから、言ってから一カ月もたっておりますが、なかなかきまらぬ。大筋は、つくろうということはみな賛成しているのです。必要である、この国会提案をしたいということもきまっておりますが、なかなか具体的な問題が詰まらぬので、それで私としては先ほど申し上げましたように、ひとつ両大臣の間でもって詰めよう、こういうところまで申し上げておるということで、いまここで第二外為の内容を申し上げられるような段階ではないということだけは事実でございます。
  28. 近江巳記夫

    ○近江委員 それからこのパイプラインの法律がいままでも各省でいろいろ論議されておったわけですが、提出されました。このエネルギーの中でも、特に石油というものは最大でございますし、こういう点できのうも局長にはお聞きしたわけですが、いま経企庁のほうで新全総の見直しというものを作業にかかっておるわけでありますが、当然こういうエネルギーという問題は非常に大きな問題でございますし、それがこの新全総の中等においてもどういうように取り入れられるのか、この点について大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
  29. 田中角榮

    田中国務大臣 旧全総、旧々全総、新全総と、こういうものがあるわけでございますが、いまの旧全総というのを新全総ともいっておりますし、今度の改定は三回目でありますから、これは新々全総というのか、そこに混淆があります。これは原案の全国総合開発計画、それを一ぺん修正をして、公共投資二十七兆五千億を倍額の五十五兆に直した新全総、これがいまあるものであります。これをことしの夏までにはもう一回改定をしたい。改定をしたいというときに、通産省は今度相当な発言をしたい、こういうことでございます。第一の新全総というのは、やはりいままでの一〇%以上の高度成長をしてきたものの線を引き伸ばして、そしてこれから十カ年、十五カ年というものはどうであろうということが考えられたわけであります。しかし現行の総合開発計画は、この原案というものが修正を行なわれた。それはなぜかというと、民間設備投資が一二、三%だと思っておったものが、二四、五%という高い成長になり、年間一〇%ずつ成長をしてきた公共投資というものとの間には、もう全総計画では考えられなかったくらいのアンバランス、社会資本の不足というものが出てまいったわけでございます。そういう意味で、現在の全国総合開発計画に改定がされたわけです。ところが、これは率直に申し上げると、自然発生を是認して、いままでの数字をずっと引き伸ばしたら、あまりにも開きが大きかったので、その開きを縮めようとしただけであって、考え方は自然発生であります。  この新全総の計画が再改定を必要とするようになってきたのは、このままのラインでおれば、東京、大阪、名古屋というようなところの五十キロ圏合わせて全国の一%の中に三千二百万人もおるものが五千万人にもなってしまう。東京から福岡までのベルト地帯に七〇%ないし七五%の鉱工業生産が八〇%にも九〇%にもなるということになりやすいので、これは先ほども御指摘がございましたように、ここでは民間エネルギーの爆発だけではなく、政府が相当な計画をもって推し進めるという、政府介入というか行政主導型のものに切りかえなければならない。このほうが合理的でございます。そういう意味通産省でも去年から、ずっと北海道、京阪神、沖繩その他いろいろなものの計画をして、調査をしておるわけですが、今度の工業再開発計画を御審議いただくわけでございますので、この面から見ると、もう一歩別な角度から新全総計画が練り直しされなければならない、こう考えているわけです。  そういう意味からいいますと、北海道それから東北でも、やはり十ブロックの二次産業比率を六十年だったら六十年に同一にする。それから七五%も持っておるところの東海、山陽地区の鉱工業生産を六十年には五〇%に引き下げて、そしていまの一次産業比率の高いところを五〇%に引き上げるためにはどうするか。そういうものにやはり書きかえていかなきゃならないんだ。私はそういう意味で、いまの経済企画庁中心の新々全総というものに対しては、今度お出しをしております工業再配置の青写真をいまつくっておりますから、これをやはり合わせて、そしてちょうど足して二で割るようなものでなければどうも理想的な将来の展望図というものにはならない。そういう意味で、いま私がお答えをする、いままでは通産省はこうしてやってまいりましたという計画はみなございますし、予算もついておりますから申し上げられますが、しかしそういうものよりももっと拡大をした、六十年、五十五年の展望ということに合わせたものでなければならないというふうに、いま作業を別に進めておるわけであります。
  30. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから公害の問題でございますけれども、特にこれから積極的に海外でも開発を促進していく。当然今後のエネルギー考えますと、やはり原子力、いろいろな総合エネルギーというものが考えられるわけですが、しかし何といいましても石油が主力であることは、これは間違いないわけです。ところが御承知のように低硫黄というのは、二〇%ぐらいしか努力しても現実にはない。そうなってまいりますと、やはりこれは日本列島公害をまき散らす。こうなってまいりますと、きのうも申し上げたんですが、どうしても脱硫装置ですね、工業技術院でもいろいろ力を入れておられるようでございますけれども、まだ技術的にも完全に評価ができるのかどうか、やはり一面では疑問もあるわけですが、こういう問題について全力をあげてひとつ脱硫の問題にかかっていただきたいのですが、これについて大臣の、特にこれは最大の目玉としてやるんだという、そういうお気持ちがあるのかどうか、また具体的な考えがあったらおっしゃっていただきたいと思います。
  31. 田中角榮

    田中国務大臣 先ほども申し上げましたように、ローサルファの石油をたくということには、なかなかまいらないということで、結局排煙脱硫ということをやらなければならないわけです。これは技術的には一つのめどがついております。ついておりますが、新しい設備投資を行なわなければならない。もう一つは、敷地が拡大をされなければいかぬということで、既設のものにはいろいろむずかしいわけです。新しい発電所などでは敷地を確保しておりますから当然できるということ。これは私は、個人的な問題でありますが、排煙脱硫とかそういうことは考えたことがございます。私自身が研究したことがあるわけです。これは大気の中にこれを全部出すというところに問題があるのであって、どうしてそういうところに気がつかないのかな——まあ、気がついておるんですが、コストの関係があるのでありますが、これは大気の中に排煙をするということ。煙突が高いほど吸い上げる力が大きいですからいいわけですし、煙突の高さが高いほど空気汚染という問題に対しても被害は少ないわけでございます。しかしこれはファンで引っぱって自然の空気の中に排出をするというよりも、水の中を通せば簡単なわけであります。水の中を引っぱるということによってできるじゃないかということで、私自身は化学工場をやっておりましたので、こういう問題に二十年くらい前に十年くらい関係をしたことがございます。それがいまのポリエステル工業とか、いろいろなものを生む一つのきっかけになったわけであります。だから、私は必ずしも排煙脱硫というものができないという考えではないのです。この間の赤泥の問題もそのとおりでございますが、赤泥の問題など、これはなぜブロック化さないか、骨材として転用しないかという問題は、簡単に考えられそうな問題ですが、やっといま結論が出そうだ、こういうことでありますので、私は日本において立地政策とかその他いろいろな、いまのような過密地帯に無制限に許すということであるならば、これはいかんせんでございます。立地政策とあわせながら脱硫装置をつくっていくということは、私は可能な問題であり、これは相当近い機会にすべてが完成するだろう、こういう考え方であります。
  32. 鴨田宗一

    鴨田委員長 大臣は十一時半に出ますので、また……。
  33. 近江巳記夫

    ○近江委員 時間がありませんから一点だけ。実は大臣がUNCTADへ団長で行かれる、こういう予定で、われわれも実は中国との接触もありますし、非常に期待しておったわけです。いろいろな御事情は十分私わかるような気もするわけですが、差しつかえなければその辺のところをひとつお聞きしたいと思うんです。
  34. 田中角榮

    田中国務大臣 私も、行って差しつかえなかったのでございますが、私よりも外務大臣のほうがより広範な視野を持っておりますし、愛知さんのほうがみんな出席メンバーを知っておる、こういうことでは私よりもより適役だった、こういう一つ考え方はございます。  もう一つは、私が十日間留守をすると、どうもそうでなくとも予算委員会に出席が多いので、当委員会に出席の回数が少なくなる。これで十二、三も法律を上げていただいて、もう一本もっと大きな法律を御審議いただきたいということでございますので、すべては衆参両院の商工委員会に出席をするためでございますから、どうぞひとつよろしく。
  35. 近江巳記夫

    ○近江委員 それではけっこうです。  それでは、きのうの続きで法案の中身をちょっと聞きたいと思うのですが、きのう各省に来てもらっておったわけですが、特に建設省は保安の問題についてまだきのうお答えになってなかったですね。来ていませんか。
  36. 鴨田宗一

    鴨田委員長 来ています。
  37. 近江巳記夫

    ○近江委員 では、保安上の問題について、建設省として特にどういう点を配慮しておるか、お聞きしたいと思うのです。
  38. 宮繁護

    宮繁説明員 建設省の路政課長でございますが、石油パイプラインを道路に敷設する場合の取り扱いにつきましては、保安の面で他の専用物件と非常に異なるところがございまして、建設省ではただいま消防庁とか通産省、運輸省と協議いたしまして、保安の技術基準の作成を急いでおるところでございますけれども、道路に埋設する場合の保安対策につきましては、特に次のような点について十分配意をいたしたいと考えております。  一つは、埋設いたします道路の選定でございますけれども、たとえば事故の場合の消防活動その他に支障のないように、一定以上の幅員の十分管理が行き届いておるような道路に埋設させるべきだと考えております。  また、導管の設計につきましては、きのう通産省のほうから御答弁がございましたけれども、材質の面あるいは管の接合のしかた、あるいは接合した場合の検査のしかた等についても十分考えなければいけないと思っております。  それから埋設の位置とか深さにつきましても、高速道路につきましては側道に埋設する、あるいは一般の道路におきましても車道の歩道寄りに埋設いたしまして、おもに車両の荷重から安全であるような措置をするとか、あるいは埋設の深さも、たとえば一・五メートル以下に埋設してもらう。しかも埋設いたします場合に、良質の砂を十分その管の周囲に突き固めを行ないまして、不同沈下等の防止に十分留意いたしたいと考えております。  それから防護溝あるいは標識の問題でございますけれども、これは成田のパイプラインのときにもやったわけですけれども、パイプラインそのものよりも、他の工事に起因いたしますパイプラインの損傷ということが非常に問題になりますので、それを防止する意味からも、パイプラインの上に約四十センチぐらいの幅の標識のテープを一緒に埋設してもらうとか、あるいは市街地の道路の場合には鉄筋コンクリートの板を設置いたしまして、他工事によるパイプラインの損傷を防ぐ、そういういろんな面について配慮をいたしております。今後も各省で技術基準ができてまいりますので、そういうものに基づきまして、特に保安の面では十分配慮をいたしたい、このように考えております。
  39. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから消防庁も来られておると思いますが、いずれにしろ今後法案に基づいたこれだけの大がかりなパイプが敷設されるわけでありまして、一たび事故が発生した場合を考えますと、非常にいろんな点が考えられるわけです。特にわれわれとしてはこの保安の問題は一番心配なんです。その点、消防庁としてはどういう点で最も注意を払っていこうとしておるのか、ポイントをひとつお聞かせ願いたいと思うのです。
  40. 山田滋

    ○山田(滋)政府委員 ただいまお話がございましたように、石油パイプラインにつきましては、特に私ども関係省庁が最も心を砕きましたのはこの保安問題でございます。特に消防庁の立場におきましてはことさら保安が本職でございますので、従来もこういったようなパイプラインは、この事業法以前からすでに、あるいは自家用の関係であるとか、あるいは小規模なもの等につきましては消防法の危険物の取り扱いをいたしておりまして、あるいはその貯蔵所あるいは取り扱い所として、その施設の保安規制をいたしておるわけであります。その意味におきまして、特に今回相当長大なパイプライン事業につきましては、新たに事業規制をするということで、この法体系の中で私どもも協力立場にあって一緒にやろうということにいたしました。したがいまして、この法案をごらんいただきますとわかりますように、従来の消防法の危険物の章だけは、この事業法の対象の施設については排除いたしております。したがって、この新しい法体系によりまして保安の万全を期する、こういうことにいたしております。  そこで、消防審議会が昨年の十一月に石油パイプラインの保安対策に関する答申をいたしました。その中で、特にこの保安につきましてはいろんな問題点がございますけれども、いろんな計画的な都市計画その他の地域計画の関連の配慮はもちろんでございますが、あくまでも保安重視の観点を貫きつつこのパイプラインの保安対策を立てる、その具体的ないろいろな統一基準というものも関係各省で協議して、十分地方団体であるとかあるいは地域住民協力を得られるようにすべきである、こういったような答申をもらっておりまして、その意味におきまして私どもも今回各般の措置をこの法案の中に盛り込むことにいたしました。昨日も通産省等からいろいろ御説明がございましたので、具体的に申し上げませんけれども、そういったような保安の問題につきましては、消防庁としては、十分私どもの意図をくみ入れていただいたと思っております。  また、問題は、現場の消防機関が必ず何か事がありますと現場でまっ先に出てまいりまして措置をするのでございます。その場合においてやはり消防がやりいいように措置をしなければならない、そういう考え方によりましていろいろ指導に当たっておりまして、法案の作成過程ではございますけれども、関係の消防機関を集めまして、このパイプライン事業法の趣旨を十分徹底させまして、従来の消防法の内容とほとんど変わっておりませんが、多少新しい点もございますので、十分その趣旨を伝えまして、消防機関の保安対策に万遺憾のないように指導をいたしておる最中でございます。今後ともそういった方向で努力をする所存でございます。
  41. 近江巳記夫

    ○近江委員 それはいろいろ配慮していただいておることはよくわかるわけですが、非常に抽象論だと思うのですね。たとえば運輸省にお聞きした場合は、電流が流れる心配があって、腐蝕する心配がある、しかし技術的にはこのようにしておるとか、具体的なそういうお答えをなさっておるわけですね。だからもう少し、消防庁としてはどういうポイントが一番心配で、それに対してどういう手を打っておるかという中身を私聞いておるんですから。
  42. 山田滋

    ○山田(滋)政府委員 先ほど申し上げましたように、保安全般につきましては消防庁のみならず関係四省庁もしくは三省庁が統一の基準をつくりまして、保安の安全基準をつくりまして、それに基づいた指導をする。具体的には、また繰り返しになりますが、当初はやはり、この法案の中に保安というものを特に重点的に打ち出すために、基本計画というものの思想も、災害の危険を避けるということを特に重点を置くという趣旨を今度盛り入れておりますし、具体的な路線等がきまってまいります許可等の段階におきましても、自治大臣、これは消防庁の主管大臣でございますが、あるいは関係都道府県知事、これは当然関係市町村長の意見を反映した都道府県知事だと思いますが、そういうふうな意見を盛り込む。それから具体的な工事段階になりましたならば、従来の消防法の許可にかわりまして、工事の認可をこれは関係大臣で行なう。その場合におきましては、やはり十分その工事の今後のあり方というものにつきまして、保安の面から十二分な規制をして、工事の個々の施設につきましての認可を与えていく。そういった点につきまして、今後とも努力をするつもりでございますが、この法案の中におきましては、御存じのように二十八条でございますか、いろいろ緊急の場合に消防に対する一般人の通報義務等が新たに規定をされております。これに上ります場合もよりません場合も、とにかく消防といたしましては、現場の責任を持っておりますから、したがって、たとえば緊急事態が発生した場合には、これはなるほど危険物の規制は排除いたしましたけれども、一般的に火災の予防についての消防法の規定というものが、なおこの新しいパイプライン事業法にも生きておりますので、その意味におきまして、消防の立場で個々の現場においていろいろな緊急時の措置をとっていく。その事業者に対して、たとえば石油の流出等がありましたならば、その除去を令ずることもできますし、あるいは緊急の場合にはみずからかわって除去することもできる。あるいはまた必要な場合にはこの事業法によらなくても消防として立ち入り検査その他を行ないまして、保安上の規制をすることができる。そういったことで個々に総合的な規制をするつもりでございます。そこで、私どもといたしましては、そういった事態が起こらないことが何よりも望ましいのでありまして、したがって、その予防措置以前の措置については、ぜひひとつ現場におきまして、自治大臣という立場ではございますけれどもやはり現場の活動が基礎でございますので、その意見を十分聞き、またその活動を具体的に円滑に行なえるような指導をしていくつもりでございます。具体的にということでもございましたが、一応ただいまの考え方として申し上げておきます。
  43. 近江巳記夫

    ○近江委員 諸外国でどういうような事故がいままであったのですか。そういうような事故に対して消防庁としてはどう考えているんですか。やはり全般に感ずることは、そういう大がかりなパイプラインは初めてであるから抽象論になることはやむを得ないと思いますけれども、やはり非常にペーパープランという感じがしますよ。諸外国のパイプラインに関する事故は何件ぐらいあるんですか。どういう場合に起ききたんですか。
  44. 山田滋

    ○山田(滋)政府委員 御存じのように、先生のほうが詳しいかとも思いますけれども、石油パイプラインはすでに欧米で百年の経験があるわけでありまして、その間事故発生件数はヨーロッパ全域におきまして、一九六六年から六九年まで四年間に二十二件あったというふうに聞いております。そのうちには死傷の事故はないということだそうでございます。また私どもの最もなまなましいのはかつての、昨年の二月九日のロサンゼルスを襲いました地震の際における問題でございますが、その際におきましても、パイプラインが相当敷設さておりましたけれども、事故があったというのは二件、破損があったのは二件だというふうに聞いております。しかもそれは相当前に、古い時代に埋設をされた、そういったパイプラインでありまして、最近の新しいものについてはほとんど事故が起こっていないというふうに聞いております。  外国の例はそういったことでございますが、国内につきましても、従来は特にコンビナート型の短いパイプラインにつきまして一、二の例はございますが、やはり新潟地震の際等におきましても、市内におきまして破損をした例はございます。しかしながら、これも非常に古いパイプであったというふうに聞いておりますし、最近の新しい工法によりますその材質であるとか、あるいは特に溶接技術等の進歩等を考えますと、それほどこの事故は通常考えられるような危険はない。かように考えますが、しかし私どもといたしましては、万全を期する意味におきまして、これはいろいろな意味におきまして最大の配慮をしていかなければならない、かように思っております。
  45. 近江巳記夫

    ○近江委員 ガス等も保安ということが非常に最大重要視されておったわけです。ところが大阪で起きたあの大阪の事故で皆さま御承知のように九十数名が死んでいるわけです。百何十名が重傷ですよ。一生不具者になった人が何人おりますか。そのようにガスも皆さんはまあだいじょうぶだと思っておったって一たび事故が起きればこれだけの犠牲者が出るんですよ。ですから、まあまあ心配ないという安易な気持ちで、それだけではないと思いますけれども、まあまあだいじょうぶだろうという、そういう根本的な考えが底流にあるということについて、われわれは心配するわけです。何せ初めてこれだけのことをやるのですから、あらゆることを検討して、あらゆる可能性を想定してチェックをし、あらゆることをよく監督もしていかなければ、事故が発生すると思うのです。この点今後の問題でありますから、あなたのほうにも研究所なりいろいろあると思うし、特に保安の問題については何といってもやはり消防庁が中心となって、各関係官署にびしびし言って、もちろん抵抗もあるかもしれぬけれども、きびしく言ってもらわぬと困るわけです。これ以上あまり聞きませんけれども、そういう点、これは特に要望しておきます。  それから本法対象外の石油パイプラインについての保安規制というものについてはどうするのですか、どこの省でもけっこうです。
  46. 山田滋

    ○山田(滋)政府委員 ちょっと先ほども触れましたけれども、大体本法の適用を予想いたしておりますのは、これも関係各省とさらに打ち合わせを要しますけれども、延長十六キロ以上程度の長大な事業用の施設を予定いたしております。それ未満の小さいもの、それからさらに自家用のパイプラインにつきましては、従来保安規制につきまして消防法の「貯蔵所」あるいは「取扱所」という取り扱いをいたしておりまして、その危険物施設の規制をいたしてまいりました。そういうかっこうで今後も規制をいたしていくつもりでございます。その際新しい法律ができるに際しまして、いろいろ検討が進みまして、具体的な保安基準あるいは技術基準等が検討されておりますので、そういうものに照らしまして従来の危険物規制の内容を盛っております政令なり省令の内容が、かりに不十分なものがあるとすればそれに即応いたしまして内容を充実して、かりに小さいものであっても危険性において変わりありませんので、私どもとしては補完的な措置を今後ともとっていくつもりでございます。
  47. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから非常に関係各省がたくさんあるというのはこの法案の特徴のように思いますが、一つはこの主務大臣関係各省が入っておる理由、私なりにわかりますけれども、しかし正式にその辺のことをお聞きしたいということが一点。それから権限の関係というものが複雑過ぎて、責任関係というものが明確さを欠くのじゃないか、そういう心配点があります。それからまた許可、検査等の事務処理に機動性を欠く、こういうおそれがあるんじゃないか、今後そういう点についてどのように対処していくかということが二点であります。それから国鉄あるいは空港公団について特例を置くその理由についてお聞きしたいと思うのです。  以上、三点どなたでもけっこうですからお答え願いたいと思うのです。
  48. 莊清

    ○莊政府委員 私から総括的に答弁をさしていただきます。  監督官庁が非常に多いという点でございますが、パイプライン事業の重大性とそれから社会的ないろいろな面にかかわりがあるというこの事業の特殊性から申しまして、やはりどこか一省限りですべてを監督するということでは、これは政府全体といたしまして十分といえる体制になりませんので、関係各省間で慎重に打ち合わせの結果、本法案のような形になったわけでございます。各省が多いからその意味において監督の目が届くあるいは十分な事業に対する規制とか指導が行なわれるということに当然なるわけでございますが、同時にその責任の所在が明らかにならないので事務処理がいたずらに遅滞しないかという御指摘でございます。許認可等にあたりましては、同一の事項に関しましてそれぞれ関係の各省が政府の各部局としての立場から多角的な吟味をする、そしてあらゆる面から見て十分だというときにそろって許可とか認可をするというのが、関係各省が主務大臣となっておる趣旨でございますから、各省間で今後連絡協議会式のものを結成いたしまして、相互の連絡を十分密にとりますと同時に、一つの許認可につきましても連絡協議会等の適切な運用を通じまして、各省が一つの問題についてすベて知恵を持ち寄って多角的に十分な検討を行なうという体制を整備いたしまして、そういう運用によりまして、放置すればばらばらになりかねないということがありますのでそういうことが起こらないように十分留意をする方針で、この点につきましてすでに関係各省間で官房長クラスでぜひそうやろうということが法案作成の段階において意見が統一されております。  それから国鉄と空港公団関係でございまするが、国鉄や空港公団のパイプラインにつきましても、これは国の事業でございますけれども、石油の輸送にも関係がありますし、道路の使用とな保安とかいろいろな問題がございますので、整備基本計画というものをこの法律でつくって、それに基づいて国鉄や空港公団も具体的なパイプラインをつくるということにいたしておるわけでございます。その整備基本計画を組みます場合に、国鉄や空港公団の問題につきましても、石油の需給であるとかあるいは道路の問題であるとか、保安の問題につきまして関係知事の意見も聞きまして十分思想統一をあらかじめ行なっておき、そのもとで監督大臣である運輸大臣が具体的な許認可を行なう。ただし保安の問題につきましては、国鉄、空港公団のパイプラインについても消防庁、自治省とそれから運輸省の両方で十分の監督をする、こういうふうにいたした次第でございます。
  49. 近江巳記夫

    ○近江委員 それからパイプラインを敷設していく場合に、当然地域住民とのトラブルが相当考えられるわけですが、あくまでも地域住民のそういう意思を尊重していくということが一番基本になるのじゃないかと思うのです。そういう点で地域との調和においてどういう配慮をしておるかということなんです。
  50. 莊清

    ○莊政府委員 ただいま申し上げましたように、パイプラインの全国的な整備基本計画をつくります段階から地元の意向を十分に聞くということにいたしておりまして、関係行政機関のみならず関係都道府県知事意見を聞かなければならないというふうに法律上いたしております。   〔委員長退席、進藤委員長代理着席〕 また個別のパイプラインにつきまして事業の許可申請が出てまいるわけでございますが、これの許可をするに際しましても、重ねて保安上の見地から、自治大臣が消防を持っておりますので自治大臣意見を聞く。自治大臣はあらかじめ関係知事と相談をいたしまして、その意見を吸い上げて、自治大臣の手元で許可してしかるべきかどうかという判断をする、こういうふうにいたしております。これは法規上の主務大臣に対する、そういうふうにしなければならないという義務を課しておわけでございますが、実際に事業を行ないます民間のパイプライン会社とか国鉄とかいう事業主体のほうで、当然に具体的な事業計画なりあるいは保安についてはこれだけの配慮をするというふうな点について事業者みずから進んで地元に十分の説明をし、地元の理解と協力を十分に得ながら事業を実施していく、工事をやる、これが基本でございまして、監督官庁といたしましては、事業者に対してそういう点につきまして万全の指導をする考えでございます。
  51. 近江巳記夫

    ○近江委員 もう時間がありませんからあと一間だけお聞きしておきますが、沖繩がいよいよ返還されるわけです。沖繩の軍用パイプラインについてはいろいろ問題があろうかと思うのですが、たとえば消防法のもとにおいてはどういう問題があるとかいろいろ複雑な問題があると思うので、各省からひとつお答えいただいて、一応この質問は中断したいと思うのです。
  52. 莊清

    ○莊政府委員 消防庁のほうから詳しく御答弁があると思いますが、総括的に私のほうから御答弁いたします。  沖繩に現在二種類のパイプラインがございます。一つ民間石油会社が隣の火力発電所に重油を送るためのいわゆる事業用コンビナートパイプラインでございます。これは外資系の石油会社が製油所をつくっておりまして、最近そういうものが稼働いたしております。これは全く一企業の事業用のコンビナートパイプラインでございますから、この種のものは当然御提案申し上げておりますパイプライン事業法案の対象ではございません。規制は、復帰後もっぱら消防法で行なわれるし、個別の事業用でございますから、道路の占用許可等についても特別の恩典は付与することにいたしておりません。  米軍のものが別途あるわけでございますが、この問題につきましてはもちろん本法の対象外でございます。これにつきましては消防庁のほうから御答弁をいただきます。
  53. 山田滋

    ○山田(滋)政府委員 実は米軍の使用しておる施設及び区域につきまして、外務省といまいろいろ打ち合わせをいたしておる最中でございます。まだ外務省の考え方もはっきり固まっておりませんので明確にお答えできないのでございますが、原則としては現段階におきましていわゆる行政協定の適用によって消防法の適用が停止されておるのでございまして、今後どういったかっこうで具体的な規制をするかさらに一そう検討を進めてまいりたい、かように存じております。
  54. 近江巳記夫

    ○近江委員 ひとつその辺のことも大事な問題でありますからよく検討して、また私のところに返事を持ってきてもらいたいと思うのです。きょうは、あと川端委員質問しますので、一応これで保留しておいて、あとまた時間があれば今度の機会にやりたいと思います。
  55. 進藤一馬

    ○進藤委員長代理 川端文夫君。
  56. 川端文夫

    川端委員 工業技術院の院長さんである太田さんが見えているはずですが、お尋ねしたいわけです。  先ほどから、この公団法審議過程の中でも、いろいろ努力をしていても低硫黄石油がなかなか入手困難である、需要の伸びに従ってだんだん減っていくであろう、こういうことが明らかになってきておるわけです。そうであるとすれば、一方において低硫黄原油確保する努力は必要ではあるけれども、やはり内地に入ってきた原油の中の脱硫装置というものに対する、まあ先般千葉で一つテスト的なものが完成したように承っておるのだが、昨年ですか聞いた当時は、なかなか完全な作動ができないという事情もあるということを聞いておったわけですが、現在やっている脱硫装置の技術開発というものに対する現状と、今後のスケジュール的な見通しをお聞かせ願いたいと思うのです。
  57. 太田暢人

    ○太田(暢)政府委員 お答え申し上げます。  この重油の脱硫に関する技術のことでございますが、これは大きく分けまして、一つは間接脱硫という方法がございます。これは重油をもう一回真空蒸留いたしまして、出てきたものを脱硫する。残りにアスファルトが残りますので、このアスファルトの処理がまた問題になるわけでございます。この間接脱硫のほうは、これは技術的にはほぼ完成しているというぐあいに考えてよかろうかと存じております。ただ問題は、大部分硫黄はアスファルトのほうに参ってしまいますので、重油全体の脱硫をしたということにはならない。それから、重油全体の脱硫をしますのを普通直接脱硫といっておりますが、この方法に関しましては、特に技術的にすぐれております、先行しておりますのはアメリカでございます。それから日本が次いでおるかと思いますが、日本では通産省の大型プロジェクトといたしまして、四十二年度から取りかかりまして、触媒の改造、それから特に触媒を流動さして使います新しい方法の装置を開発いたしまして、その研究をことしの五月で完了することになっております。昨年、先生あるいはごらんになりましたころに少しもたついておった時期があるかもしれませんが、現在では順調に動いておりまして、大体所期の目的を完了いたしまして、今年三月で完了する予定でございましたが、ちょっと延びまして、五月に完了することになっておりまして、私どもとしましては、その技術を今後実際の工場に適用されるようにいろいろ努力をしてまいりたいというぐあいに考えております。ただ重油脱硫に関します直接脱硫に関しましては、なお技術的に触媒の改良、あるいはあらゆる重油に適用できるというところまでまだまいっておらないようでございまして、若干その切に今後の研究課題が残っておるような状態になっております。
  58. 川端文夫

    川端委員 お尋ね申し上げているのは、やはり直接脱硫が一番有利だという見方をした上に立ってお尋ねしたわけですが、そういう意味において、いま御答弁の中においても、触媒改良等がまだ問題が残っている。それは日本の技術が足らぬのか、あるいは国際的な技術的な水準の問題として不十分なのか。また、あなたはエンジニアとして専門的な立場での御答弁ですが、資金があればできるのか、できないのか、こういう点も含めてお答え願いたいと思います。
  59. 太田暢人

    ○太田(暢)政府委員 この重油の直接脱硫といいますのは、非常に新しくソシアルニーズが出てまいりましたために、先行しておりますアメリカにしましてもまだ数年の歴史しか持っておりません。先ほど申しました触媒の研究、特に触媒の開発それから装置的な問題、これは世界全般的に見てまだ今後大いに研究する余地が残っているというぐあいに解釈してよろしいかと考えております。
  60. 川端文夫

    川端委員 直接脱硫装置に対してはまだ技術的に解明を必要とするものが残されておる、こういうお答えのようであったわけですが、私は技術者としてどうすれば促進できるかということをお尋ねしたいわけです。こういう方法をもっと強力に打てば早めることができる、こういう何か具体的な提言があればお聞かせ願いたいと思います。
  61. 太田暢人

    ○太田(暢)政府委員 これは技術の開発全般に関する問題でございますけれども、技術は最終これでいいというところはないわけでございまして、より向上する方向へ進んでいくわけでございますが、現在われわれの持っております基礎技術を延長さして開発研究をさしていってやり得るようなところは、大体大型プロジェクトでやってきたわけでございます。これからの残っております問題は、若干マイナー問題が残っておりますが、大きな問題として、触媒の研究その他は今後基礎研究からもっとじっくり取りかかっていかなければならないと思っております。ただ、それができなければ工業化ができないかというと、それはそういうことではございません。より経済性のいい、飛躍的に経済性のいい脱硫技術を開発するのには、また基礎から始めなければならぬのかもしれませんけれども、現在持っている技術の上に立つ工業的技術は、大体完成の時期に近づいているというぐあいに私どもは考えております。したがいまして、特に研究陣に研究費を投入しあるいは人員をそこに大きく投入したからといって、新しい技術が急速に進歩するとは思っておりません。これは現在基礎段階は大学あるいは国立の研究所その他で大いにやっておるわけでございますが、これは研究の質の問題その他いろいろございまして、単に研究費投入ということだけでは解決できないかと思っております。
  62. 川端文夫

    川端委員 もう一つ、これは鉱山石炭局長にも含めてお答え願いたいのですが、公害の防除ということになりますと、第一義的には企業の責任ということになっておるわけですが、一方においては、やはり消費者保護という問題点もあるし、幸いにして千葉のこの直接脱硫装置は大体完了に近いものである、もう一歩進めたい希望はあるけれども、これでもかなり成功した、というふうにお答えがあったように理解してよろしいはずだと思うのです。そこで、そこまでくれば、いまほど公害の問題が起きているときに、もう一つなり二つのプロジェクトを組んで先行させる、こういうことはできないか、考えたことはないのかということを含めて、ひとつ局長も含めてお答え願いたいと思うのです。
  63. 莊清

    ○莊政府委員 昨日も御答弁申し上げた次第でございますが、脱硫装置の技術研究を一日も早く完成して、これを実用に供するということが非常に大切でございます。それで、民間では主として化学工業等が中心になりまして、亜硫酸ガスの量もそう一工場多くございませんので、いわゆる湿式法といわれる比較的小型でしかも脱硫率の高い技術が完成しておりますので、これの設置が今年度中に十数工場で二十数基行なわれる計画になっておりまして、化学工業あるいは紙パルプ工業ではすでにこれが実際の設備投資をされる段階に入りつつございます。問題は火力発電所でございますが、これについては工技院の研究成果を踏まえまして、現在東京電力と中部電力と関西電力の中央三社が、合計で約三十万キロワットの発電機に対しまして大型の研究設備をくっつけまして、排煙脱硫の研究を行なっております。これに対しましては、政府でも、開発銀行からの国産新技術の関係融資という助成策を講じて、相当大きな規模で研究をやっております。ただこれが、いまなかなか円滑に進んでおらないというのが技術上の問題だと存じます。  別に鉄鋼関係でございますけれども、鉄鋼関係でも鉱石の焼結工場から出る亜硫酸ガスを何とかして除かなければならないということが緊急の課題になっておりまして、現在鉄鋼連盟の大手六社で、日本鋼管のたしか鶴見工場だと思いますが、そこに共同で十数億投じまして、昨年来排煙脱硫装置、これは独特の技術でございますが、神奈川県の工業試験所が開発いたしました国産技術、これを大規模な形で鶴見工場の焼結工場にくっつけましていま研究をしておるというところでございまして、これが成功すれば、各工場これをつけろという前提でやっております。こういうことでございますので、早く技術を完成して、これをつけさせる。必要な資金等の問題につきましては、開発銀行なり公害防止事業団なり、そういう制度が現にございますが、肝心のつける設備というものがまだかたまってこないということがいまの問題だろうと存じます。
  64. 川端文夫

    川端委員 いまの局長からの御答弁によると、技術はまだ不十分だという形で、資金の問題ではないというお答えがあったと私は承ったのですが、これは技術院長、いかがですか。
  65. 太田暢人

    ○太田(暢)政府委員 実際の電力業界の場合でございますと、電力の安定供給ということが非常に重要な問題になるわけでございますが、非常に大型の排煙脱硫装置を安全に連続して運転させるということに対して、まだ実績がございませんので、この間の不安がかなりまだ残っているように聞いております。
  66. 川端文夫

    川端委員 国会議員になるたけものを言わせないようにじょうずに御答弁なさらないで、言うならば石油の問題はますます需要が伸びるという形、現在ですらこのような公害で行き詰まっている国内の世論の前に、技術をやるためにはこれをやってくれればできるんだ、というものを聞きたかったんだが、あまりじょうずな御答弁で、そこまで聞けないんだが、まことに残念しごくだと思うわけです。私どもはしろうとですから、技術関係のことはお尋ねする以外に方法はないんだが、もう一度前向きに、一日も早く今後の需要の伸びと現在の公害の被害というものを考えた場合に、何とかならぬかという願いを込めての質問をしていることをひとつ御理解願って、何か、こうやってくれれば、こうやればよくなるんだが残念だ、というものが技術屋さんとしてもあるはずだと思うんで、お聞きしたかったわけですが、いかがでしょう。
  67. 太田暢人

    ○太田(暢)政府委員 いまの排煙脱硫に関しましては、工業技術院の大型プロジェクトとしては一応技術的に完了しているという見解を私どもはとっているわけでございますが、技術のほうといたしましては、まだよりコストの安い脱硫に関連します技術を大いに今後も開発しなければならないと考えております。最近になりまして、重油を燃料ガス化いたしますときに同時に脱硫をするという、そういう新しいアイデアが生まれてきまして、その方法をとりますと、従来の重油の脱硫方法でございますと脱硫率が七〇とかあるいはせいぜい八五ぐらいまでしかいかないわけでございますけれども、先ほど申し上げました重油の燃料ガス化と同時に脱硫をします方法ですとほとんど完全に取れるというような問題、そういった新しい技術も生まれてきておりますので、今年度は特にその新しい技術を取り上げまして、重要技術開発補助金の中にクローズドプロセス特別ワクというものをいま予算要求をお願いしておるわけでございますが、その中の一つのテーマといたしまして、その新しい技術の開発に取りかからしていただきたいというぐあいに考えております。いまの排煙脱硫の技術、これは先ほど申し上げましたけれども、工業技術院としては大体完成しているというぐあいに考えておりますので、その次の段階の問題として、特にコンビナートその他で燃料ガスの需要が非常に大きい場合には、今度クローズドプロセスで取り上げさしていただこうと考えておりますような方法がよりいい方法になる可能性も十分あるということで、そういうものを提案しております。
  68. 川端文夫

    川端委員 技術関係の問題も含まれるので十分な急所をついた質問ができないことを私自身まことにいらいらしているわけですが、とにもかくにも国民こぞって公害問題について心配しているやさき、これから需要が伸びざるを得ないという明らかな統計、計画もあるわけですから、どうぞひとつ思い切って勇気をもって要求すべきものは要求して、一日も早い技術完成をしていただきたいということを心から期待申し上げたいと存じます。  そこで、建設省から宮繁さんが見えておるわけですが、一つお尋ねしますが、今度パイプラインを引く場合においての一つの方向として、道路等を利用する場合のほかに、やはり計画を進める場合土地収用を認めるという法律案になるわけですけれども、土地収用を必要とする見通し、どのようないま計画をなそうとするか、関東地方の計画の中に土地収用がどれくらいの件数とどれくらいのものが必要となるであろうという何か計画がおありでしょうか、おわかりでしょうか、お尋ねしておきます。
  69. 莊清

    ○莊政府委員 国鉄のパイプラインは、これは路線を使うわけでございます。それから民間のパイプラインは、県道もしくは国道もしくは堤防の横を使います。したがいまして、パイプラインの通るところにつきましては、道路並びにそういう公共施設の使用許可の問題がございますが、原則として土地収用を発動しなければならないというふうな事態は、私は現実にまずあるまいと考えております。もっともパイプラインにはタンクも終点のところにはくっつくわけでございますから、そういう場所というのはその道路外になるわけでございますけれども、いたずらに不必要なタンクを並べるというふうなことにはなりませんし、またそういう場合にも通産省の方針といたしましては、いたずらに土地収用で事を解決するということではなくて、これはやはりきわめて長期にわたってその地域に対して事業を行なうわけでございますし、その地域に対して石油製品の供給を行なうための事業でございますから、その地域の人たちの理解と協力ということがなくてこれだけの事業が行なえるとは考えておりません。したがいまして、実際には土地収用というふうな手段ではなくて、円満に、地元の理解と御協力を得ながら、事を進めるということを旨として行ないたいと思います。どこは土地収用を計画しておるというふうなものは、現在現実にはございません。
  70. 川端文夫

    川端委員 そうであるとするならば、一応法律の中に将来を予想して入れたけれども、現在はそれを適用する必要はない、こう理解しているという答弁として承っておいてよろしいですか。
  71. 莊清

    ○莊政府委員 法制といたしましては、電気、ガス等土地収用の対象に一応なっております。それから、諸外国でもパイプラインについて、いずれの国でも土地収用の立法が、調査の結果も実はあったわけでございますから、わが国の場合にも御指摘のとおり、法制としては整備をさせていただきたいと考えております。ただし、これはどこから見てもそこの土地を使うことが必要であり、やむを得ないし、合理的だというにもかかわらず、どうしてもその円満な解決として、土地の収用なり買い上げということがいかにしてもある部分解決しないという場合には、やむを得ず公共の立場から、最終の場合には全くの例外としてそういうこともあり得るということでございまして、運用の方針といたしましては、先ほど申し上げたことがあくまで基本でございます。
  72. 川端文夫

    川端委員 それでは太田技術院長さんお忙しいでしょうから、時間もありませんから質問をこれ以上申しませんから、お含み願いたいと存じます。  そこで運輸省の見坊審議官に承りたいことが一つあるわけですが、運輸省は昭和四十四年の国鉄財政の再建に関する基本方針等において、パイプラインの輸送事業を経営することを指摘して今日に至っておいでのようでありますが、今回のことで二つお尋ねします。  一つは、国鉄財政再建のためにどれくらいの貢献ができるメリットがあるのかどうか。どういう形でそういう国鉄の用地を使わせるという御決心をされたかということと、もう一つは、鉄道は大きな人間輸送というか、今日の交通の動脈をなしているその国鉄の用地の中に危険度がないかどうか。しかも、内部でまだまだ議論があるやに聞いておるのです。国鉄内部でなかなか意見が多いようにも聞いておるのです。それらの問題点をも含めてお答え願いたいと思います。
  73. 見坊力男

    ○見坊政府委員 お答えいたします。  国鉄財政再建につきましては、御承知のように現在国会でも御審議をいただいておるわけでございますが、いまお話がございましたように、この再建計画の中におきましてもパイプラインのことを指摘をされておるわけでございます。これは輸送の合理化、近代化のために特に貢献するものについては、これを実施するという趣旨でこれが行なわれておるわけでございます。今回の横浜から八王子を経由して南埼玉に至る国鉄の行なうパイプラインにつきましては、非常に大きな理由といたしましては、輸送力がもう限界にきておりまして、現在以上にタンク車を増発する余力がないということが非常に大きな点でございまして、これをパイプラインに転換させることによりまして輸送サービスの向上を一段とあげることができるというふうに考えておるわけでございます。これが国鉄全体のサービスの向上ということにつながっていくというふうに考えておるわけでございます。  それから第二点の危険はないかという点につきましては、昨日近江先生に御答弁申し上げたとおりでございますが、国鉄内部におきましても、また運輸省におきましても、危険はないというふうに判断しております。特に国鉄の鉄道敷に敷設する場合に問題になりますのは、電気によります金属管の腐食の問題がございます。これは特にパイプラインを敷設するから起こった問題ではございませんで、国鉄が電化されていくということに伴いまして、線路を通して迷走電流が出る。それがパイプラインに伝わって、パイプラインから地中に電流が出るときに腐食が起きるということでございます。これはパイプラインに限らずかねてから検討研究を進めておったわけでございますが、特にパイプラインの敷設にあたりまして土木学会にも御相談いたしまして、昨日申し上げましたように、まず基本的にはパイプラインにアスファルト等のおおいをかける、これによって絶縁をする。さらにそのほかに、変電所近くでは一番電流がパイプから流れるわけですが、そういう場合の排流法であるとかあるいは外部に電源をつける外部電源法とか、それからもう一つ流電陽極法、こういう方法が研究されておりまして、それらを組み合わせることによりまして電気腐食の問題は完全に防止できるというふうに考えております。  それから敷設の方法といたしましても、線路敷の、線路の中心から四メートル以上離したところに埋設する。その場合に一メートル二十以上の土かぶりを行なう、また埋め戻しをするわけですが、鉄道を横切る場合とかあるいは四メートル以上とれないような場合には、コンクリートによるさや管の中をパイプラインを通すというような方法によりまして工事を進めていく、これによりまして普通の振動であれば全然影響がございませんし、かりに列車が脱線、転覆というような事態が起こりましても、パイプラインが直接それによって破れるというようなことはないというふうな研究の結果でございます。  以上によりまして、安全性につきましてはだいじょうぶであるというふうに考えられておるわけでございます。
  74. 川端文夫

    川端委員 理事会の時間が参っておるようですから、質問を保留する意味において一言だけ申し上げておきたいと思うのですが、いまの御答弁では、法案として出てきて合意ができたというけれども、幹部だけが合意されて、国鉄の内部にまだ異論がかなりあると伝わっている情報の上に立ってお尋ねしているわけですから——法案を上のほうで合意しても、職員の中には不満が多いように聞いておる、こういう立場でお尋ねしておるわけですから、安全であるならば安全、だいじょうぶだということと、もう一つはやはり財政的に寄与できる、貢献できるという問題点と、これがどうも奥歯にものがはさまったような答弁しか聞けなかったように思うのです。これは後日私どもももう少し調べた上で御質問申し上げますが、とにもかくにも今度のパイプラインは日本で初めての問題でもあるし、慎重にも慎重に考えていただかなければならないが、ただ一言繰り返していうと、鉱山局長にも申し上げておきたいけれども、いま東京都内を見ると、どうも貧乏人の普請をしているように思えてならないのです。軒先を延ばし、いろいろな仮屋を広げて、したがって地下埋設物がふえてきているということで、年じゅう普請しているように、年じゅう工事をやっているように思えてならない。こういうことから、やはり計画的に考える必要があるんじゃないか。はたして十八インチパイプぐらいで完全に将来の何年先まで輸送が完ぺきになるのかどうかという問題、これらの問題をも次の機会にまた御質問申し上げることとして、きょうは質問を終わりたいと思います。
  75. 進藤一馬

    ○進藤委員長代理 午後二時再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時三十三分休憩      ————◇—————    午後二時八分開議
  76. 鴨田宗一

    鴨田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。加藤清二君。
  77. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 お許しを得まして、私は石油開発公団法の一部改正について質問をしてみたいと思います。  いまも雑談で話がございましたが、もとより本委員会は事石油に関してはきわめて熱心でございまして、四十年以降だけですでに三回の決議をいたしているところでございます。同時にまた、かつて高碕先生が経企庁長官、通産大臣をおやりになっておりましたころに、山下太郎さんが国会へ陳情これあり、あのときに初めて石油の問題について論議が戦わされ、そこでも同じように、将来のエネルギー源は原油である、したがって日本経済の発展の基礎となるところの原油については慎重に配慮し、長期の安定策、総合策を講じなければならぬということが論議されたことでございます。  そこでお尋ねしまするが、この安定供給の問題で、一体いま備蓄というのは、原油は現在のところ何日間分ぐらいございますか。
  78. 莊清

    ○莊政府委員 原油石油精製業者が二十日分を所有いたしております。
  79. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 私は外国へ去年だけでも二度も出まして、かの地の人たちといろいろ話し合いをしてきましたが、日本経済成長について驚異の眼をもって見ていると同時に、ねたましさという感情があるようでございます。しかし、それらの方々がこう言うのです。日本殺すには刃物は要らぬ、船の十日もとめればよい、こう言うのです。日本は自分の努力だけで経済成長した、成長したと言うているけれども、もしわれわれが日本の国、あなたの国に油を供給しなかったら、いままでのような経済成長ができますか、こう言うのです。たいへんなことを言われるものだと思ったことでございまするけれども、二十日という備蓄量でございますが、これは世界の各国の備蓄と比べてみて、先進国の備蓄と比べてみて、石油輸入国の備蓄と比べてみて、多いほうですか、少ないほうですか。
  80. 莊清

    ○莊政府委員 多いほうではございません。少ないほうにはっきり属しておると思います。ヨーロッパの各国では、OECDの勧告もございまして最低六十日分以上持つという方針でございまして、ドイツが原油と製品と合わせまして大体その六十日を現在持っておるようでございます。フランスとかイギリスは八十日ないしそれ以上を現在持っておるようでございます。いずれも前年度の消費水準に対しての何日分という水準でございます。わが国の場合には、原油は先ほどお尋ねがございましたが、石油製品の関係で二十五日分程度ございます。合わせて四十五日分というのがヨーロッパのいま申し上げました数字に対応するわけでございますが、日本の場合には、翌年度の消費水準に対しての計算ということになっておりますから若干の違いはございますが、その差を見ましても六十日に現在は達しておらないという意味で、明らかに一番低いところにございます。
  81. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 今度の公団法改正によって備蓄関係が推進されるようでございまするが、公団法改正されて実行に移された場合に、一体備蓄はどの程度になる予定でございますか。
  82. 莊清

    ○莊政府委員 当面六十日まで引き上げることを目標にいたしております。四十七年から八年、九年と三年間で毎年五日分ずつ引き上げまして、四十七年度は年度末で五十日分にする、四十八年は五十五日分にする、四十九年度末には六十日分にするということを考えておりまして、そのための予算措置というものが当面の措置として財政当局との間で了解がついておるという次第でございます。
  83. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 そのとおりできますか。
  84. 莊清

    ○莊政府委員 十分これはやらねばならぬと思っておりますし、昨年の年央以来、石油精製業界と通産省との間で、これは非常に熱心に詰めた議論をいたしました。土地の問題、タンクの建造の問題等々十分に検討の上、石油業界としても供給業者の一種の義務といたしまして最低六十日は、これは政府の若干の助成のもとで必ず実行いたしますという決定をいたしております。それに基づいて今回の措置を実はとった次第でございます。
  85. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 それがほんとうに実行に移されればけっこうなんですけれども、このことは、きのうきょうの学説でもなければ、きのうきょうの要望でもないのです。もう十何年来、あの石油公団が発足するころからの話なんです。にもかかわりませず二十日程度ではいかに何でも少な過ぎる。戦前でさえも、他の石炭だとか亜炭だと木炭だとか、そういう総合エネルギー政策の時代でさえも、石油備蓄は昔は軍隊が行なっていたのです。海軍燃料廠、陸軍燃料廠、その他、その他が最低三カ月から四カ月は持っていたのです。しかも話によりますと、本年度は大体二億キロリットルの需要であったが、十五年後には七億キロリットル余になる、そういう想定が立っておるようですね。そうすると、毎年急上昇をするわけです。十五年後には今日の三倍になるわけなんです。その二十日分を六十日分にするというのは、基礎数が固定しておればまだやりやすいのですけれども、基礎数が毎年毎年上昇していくわけなんですね。それで、荘局長さんの御答弁の六十日分というのは、上昇していく逐年の当該年次の六十日分を目標としていらっしゃるのか、それとも計画当初の基準年度の六十日分とおっしゃるのか、それはいずれでございますか。
  86. 莊清

    ○莊政府委員 先生からお話がございましたとおり、逐年上昇していく、その水準に合わせての毎年の六十日でございます。一日分というのが年々ふえてまいりますから、毎年、翌年の一日の六十倍という水準を少なくとも維持するということを当面の措置としてきめたわけでございます。
  87. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 莊さん、いまあなたは六十日が世界並みだとおっしゃられましたが、私は去年アメリカの大陸の中をとことことバスで歩きました。デンバーにおりまして、ソールトレークシティまでバスの消費時間だけで十六、七時間かかります。それをとことこ歩いたのです。目的は、日本の繊維製品がかの地の国民にどの程度歓迎されているかということが調査の目的でございました。しかし、行ってみて驚いたことに、その砂漠の中を行くバスの窓の外で盛んに井戸を掘っているのですね。あれは何ですかと言いますと、石油の試掘をやっているんだ、こう言う。へえ、こんなところで石油を掘って、精製加工の工場が近くに見えないようだが——見渡す限りの果てしのない砂漠ですからね、どうするのですかと尋ねましたところ、いいえ、これは見つかったからといって直ちに掘るんじゃございません、見つけることだけが目的です、掘るのは何年先かわかりませんと言うのです。むしろ地球という倉庫の中に埋蔵して保管しておいたほうがどれだけ安全で、どれだけコストもかからぬかわからない。つまりアメリカはどういうことをやっているかというと、自分のところで発見したから直ちに掘り尽くしてしまうということをやらないですね。外国からいま買っているわけです。いま外国から買いつつも、国内で発見されたものは掘らずに備蓄していく、こういう長期の展望に立った計画が立てられているわけですね。これから見ますというと、六十日や六カ月ばかりじゃなくて、何年か先の長期計画までが立っている。こうなると、世界の産油国から供給が減った時期においても、アメリカの工業生産、アメリカの熱エネルギー源だけはある時間、ある年数確保されていく、こういうことになるのですね。私はこれを見て、さすが持てる国は違う、こう思いましたのですが、いまは二十日から六十日に延ばすということですから、それはたいへんなことでございましょうが、アメリカのこういう計画をながめてみますると、六十日ということは決して長い日取りではない。ぜひこれは、長期にして総合的な計画を練られます場合に、もっと他の衣食住と同じような保管のしかたを考えたらどうか、これは提案でございます。特にこれは島田さんにあなたの明敏な頭でもって御判断いただきたいのですが、内地の米はどれだけあるか。農林省を呼ぶまでもなく古古古米までがある。去年じゃなくて、おととしじゃなくて、その前のお米までがあるのですね。衣料はどのくらいあるか。衣料は、ことし入りました材料、ウールやコットンが商品になって出るには最低一年かかるのです。長いものは二年先になります。したがって、生産の段階において蓄積が行なわれておるのですね。染色整理の部門までいきますると、ここだけで半年の余はあるのです。しかもこのお米とか衣料は農村に行けば各家庭がたんすの中に持っているのです。これは個人が何年間分というものを備蓄しているのです。しかし、油の場合は、個人が持っているといえばせいぜい自動車の中のガソリンタンクだけだ。お米の場合でも農家でしたら最低一年間分は持っています。あれこれ入れたら二年近いものを持っています。大地主の家へ行けば三年間くらいはちゃんと持っているのです。個人の家庭も持ち、市町村も持ち、国家も持っている。しかし、事油に関する限りは二十日分しかない、これはあまりにもお粗末で、延ばし延ばし六十日になったとしても、他の物資の日本国内における蓄積と比べた場合に、あまりにも心配である。このことがやがて石油産油国やOPECやその他その他が値上げ値上げという要求をしたときに、対抗できない結果を招来している、高いものを無理やりにのまされるということにも相なっているわけなんです。したがって、この際せっかく公団法改正されるというならば、一体公団としてはどのくらいあったら理想であるか、六十日でいいとおっしゃるのか、それとも先進諸外国が、あまたあまた方法はいろいろありまするけれども、蓄積の方法をしておるのです。そういう長期の蓄積が日本も必要であるのか、ひとつ公団の総裁にあなたの今日的な理想像をお尋ねしたい。
  88. 島田喜仁

    ○島田参考人 なかなかむずかしい御質問だと思いますが、率直に言いまして、まあ多いにこしたことは実はないと思います。  公団が直接持つわけでございませんが、民間がとにかくいまの体制下ではいろいろな制約もございますので、おそらく通産省としましては目標を六十日といたしたと思いますが、おそらく欧州諸国では九十日くらいを一つの基準にしておるのじゃなかろうか、こういう意味で六十日が必ずしも十全とはいえないと思います。特に今後世界の油の需給状況がタイトになってまいりまして、安定供給というのは重点が石油の量を確保するという問題になっている点から見ましてもそうだと思いますが、やはり現状ではこの目標を六十日ということにしておりますが、できるだけこれをふやすことが安定供給からいえば望ましい、こういうふうに考えております。
  89. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 日本備蓄しまする場合には、アメリカのように地殻の中へ埋蔵しておくというわけにはまいりません。しかも、これは外国から金を払って買ったものでございます。したがって金利もかかれば、倉敷料もかかるということになるでしょう。その場合に、だからというて、国家危急存亡の場合に二十日分しかないということでは、これはきわめて国民に不安感を与えると同時に、諸外国との原料取引においてもたいへん劣った地位で城下の誓いをさせられなければならぬというような状況だ。だから、これはひとつ国家の力で備蓄をする、国家が倉庫をつくるべきではないか。毎年毎年外国から買わずに、国内でできまする米でさえも農林省は国家が倉庫を持ち、市町村の倉庫を国家が買い占めて、そこへ保管させておるということなんです。いわんや外国から買わなければならないというものについては、これは国家が責任をもって保管をさせる。どうしてもそれができない場合は企業にこれを行なわせるのだけれども、その企業が蓄積するための経費の負担増、これは当然国家が持ってしかるべきではないかと思うのですが、この点は公団としてはどうお考えでございますか。
  90. 島田喜仁

    ○島田参考人 私は常々、石油の問題、エネルギー問題というのは国の問題である、こういうふうに考えております。ただ、備蓄はもちろんただいま先生のおっしゃったように必要でございますが、同時に、私はこういうことを実は考えております。アメリカは自分の国内に資源がございますから、ただいま先生のおっしゃるとおり、探鉱して、埋蔵量の発見にできるだけつとめまして、実際の生産はある程度これをセーブしておるというのが現状でございます。ただ、日本資源がございませんので、要するに外国から原油を買ってそれを備蓄することによってナショナルセキュリティーを確保するというのが一つでありますが、同時にもう一つ大きな問題は、日本安定供給のための供給源を分散いたしまして、日本において備蓄するんでなくて、供給源を分散することによって安定供給に資するという問題も同時にあわせて考えるべきだ、私はこういうふうに考えております。ただいま御承知のように中東が日本輸入の圧倒的多数、言いかえれば中近東一辺倒であるといっても過言でないような状況になっておりますので、これの地域分散をやりまして、地域分散をやることが同時に安定供給につながるわけでございます。  と同時に、どういう方法で開発をしていくかという問題につきましても多様化を進めるべきである。話が少し余談になりまして恐縮でありますが、資源国はかつては、開発させまして税金もしくはロイアルティーということで金を得るという考え方であった。そうではなくて、自分で事業をして、そうして自分が開発するという考え方に立ちますと、開発国がリスクを負わずに、相手方が掘るのに対して融資をするという問題、あるいは外国の石油会社が開発をいたしております鉱区に参加をして、一部油の出ている油田に参加する、こういうような多様化の方法によって日本安定供給考えるべきである。ということは、日本資源がございませんから諸国の政策変化に伴ってこれに対する対応策を考える。同時にいま先生のおっしゃった備蓄考えるというふうに、安定供給の手段、方法も多様化すべきである。ただいま六十日という一つの目標は、おそらく民間がこれを備蓄するという一つの限界を考えての案であると私は想像いたしております。これは政府の政策だろうと思いますが、私が先ほど申し上げましたように、安定供給という面から見れば六十日よりももっとふやすべきであるという考え方も出てまいりますが、これをこえる場合には民間ではなかなか備蓄をしょい切れないという問題が出てくれば、これはただいま先生のおっしゃるような問題として検討すべき問題ではなかろうか、こういうふうに考えますが、これは私ども公団の問題というよりもむしろ政府の政策の問題、エネルギー政策というのは政府の政策の問題でございますので、これは政府として十分お考えいただいたり御検討されるべき問題だ、こういうふうに考えております。
  91. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 企業は慈善事業ではございませんので、損するようなことはできないわけなんです。備蓄せい備蓄せいといったって、たいへんに倉庫の建設に金がかかる。同時に備蓄すればするほど回転がおそくなって、倉敷料のみならず金利に食われる、こういうことどもがありまして、その企業にだけ責任を負わせて備蓄しろ備蓄しろといったって無理な話だと思います。だからこそ農林にその例があるように、もはや油は衣食住と同様に日本国家が永続するには欠かすことのできない貴重な存在なので、これは国家で備蓄を補うというその範をたれることが、やがて企業もまたそれにならうということになると存ます。  それじゃ、これは政府の責任のようですのでいずれ田中大臣に承りたいと思いますが、担当局長のこれについての御意見を承りたい。
  92. 莊清

    ○莊政府委員 いま総裁からお話があったとおりでございまして、具体的に申し上げますと、六十日の備蓄昭和四十九年末で一体幾らになるかと申しますと、大体五千万キロリットルになるわけでございます。現在は四十五日分で三千万キロリットル弱でございますが、六十日に引き上げると消費の伸びで五千万キロリットルになります。これはよくいわれることでございますが、霞が関ビルをますにして大体百ばい分の量であるということで、たいへんな経費のかかる問題でございます。ドイツ等では、ただいまお話が出ておりましたが、政府が予算を持ちまして備蓄をしようではないかということでいろいろ検討がなされておるやに聞いておりまするが、まだ実施には移っておらないということでございますが、そういう考え方がすでにあるようでございます。通産省でも現在備蓄についてどう対処すべきか、備蓄水準をどのあたりに設定するのが妥当かということは非常にむずかしく、意見も多数あるようでございますが、総合エネルギー調査会のほうで引き続き御検討を実は願っておる最中でございます。通産省自体も内部でいろいろと検討を実はいたしております。その結果、もしも相当量目標日数を引き上げようということになりました場合には、先生お話しのように、九十日、百日、百二十日と日数がふえるのと量がふえるのと両方でございますからたいへんな企業の負担増になり、消費者価格への問題もございます。値段が上がらなければ企業が赤字になる一因にもなりますので、政府としては六十日からふやしていく場合には、今回とりました当面の助成措置をはるかに上回る思い切った助成措置というものを用意して、それを踏まえてやっていく一政府が直接行なうか民間に油を持たせるかはまた方法論の問題もございますが、いずれにしても、政府が今回とりました措置をはるかに上回る強力な措置を用意いたしまして、それを裏づけにして実施するということがやはり必要ではないか、通産省事務当局としてはかように考えております。
  93. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 特に注意を喚起しておきたいこと、これは釈迦に説法かもしれませんけれども、日本石油精製業者は民族資本よりは外国資本のほうが多いですね。外国資本の方々は何も日本の油が十日で切れようと二十日で切れようとかまっちゃいないわけなんだ。需要と供給との関係でより高く売れさえすればいいんだから、したがってそれなどもぜひ考慮に入れていただいて、お米とか衣料のように二年分も三年分も蓄積しなさいとは言いませんけれども、日本殺すには刃物は要らない、船の十日もとめればよいというようなことを売り手側が言うようじゃ、これは売り手に実権を完全に握られちゃっているんですね。だからそれを解消する意味においても国家の力でもって備蓄をする、これをぜひいまから計画していただきまして、目標基準年度にはぜひ国家が範をたれるようにしていただきたい。六十日の目的が達成できる段階においては、ぜひそれをしていただきたい。要望いたしておきます。  次に油の質の問題についてお尋ねいたします。これ、輸入関係のほうでおわかりでしょうが、輸入石油は鉱山石炭局が担当していらっしゃるわけですね。目下輸入されまする原油、それに含まれておりまするS分含有量は平均してどんなものでございますか。
  94. 莊清

    ○莊政府委員 昭和四十六年の実績で、大体一・五%ちょっとでございます。昭和四十二年、五年前では約一・九でございましたから、ある程度は下がっておるということがございます。
  95. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 あなた、たいへん低目に見ていらっしゃるようですね。それじゃお尋ねをします。アラビア石油のS分はどんなものですか。
  96. 莊清

    ○莊政府委員 三%弱、大体二・八%ないしそれを若干上回る程度と聞いております。
  97. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 そう、それが先ほどの御説明にもありましたが、一番多いようですね。一番含有量の少ないといわれておりまするミナス、この輸入量は、今日二億キロといった場合の大体一割前後と想定しておるんですが、私のこの想定にあやまちがございますか。
  98. 莊清

    ○莊政府委員 大体において御指摘のとおりでございますが、ミナス以外にもインドネシアはスマトラとかデュリーとかいろいろあるようでございまして、それらを含めますと、インドネシアで二千万キロリットル現在いっておるという意味で、一割程度というふうに御理解いただきたいと思います。
  99. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 今日電気の関係で、電気会社が発電所をつくろうとするというと、たいてい断わられるのですね。東電さんのように脱硫関係に熱心な会社でも静岡で断わられましたね。千葉でまた断わられましたね。これは県知事さんはみんな保守党の人なんですよ。その人でももはや受け入れることができなくなってきておる。この理由はどこにあるかといえば、公害ということですね。公害の電気会社が断わられるというのはSO2なんです。  そこで公害局長、大気汚染の局長、見えてまするからお尋ねいたしますが、今日公害のトラブルが方々に起きておりますけれども、そのトラブルの起きておりまする発生源は、一体どのような燃料をたいておりますか。S含有量についてお尋ねいたします。
  100. 山形操六

    ○山形(操)政府委員 お答えいたします。  硫黄酸化物の問題で、先生御指摘のとおり所々で発電所の問題が起きておりますが、いま御指摘の火力発電所が一番問題になっております。重油のS分の御質問でございますが、最近防止協定等各地でやっておりますので、まちまちでございますが、いま低いところで〇・五、それから一・二、この辺が多いというように私どもの手元の資料になっております。
  101. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 私どもが調査しました結果を見ますと、ある——あえて某と言っておきましょう、某製鉄会社は〇二二であるといっている、それを〇・二にしますというておる。某電力会社は、三年前には一・五といいました、来年は一・二にしますというておる。再来年すなわち本年度は一・〇にするとこういっておる。それが当該県並びに市との協定にうたわれている数字なんですね。それでもってもなお公害が発生しておるわけなんで、したがって協定書の将来を見てみますると、だんだん数字だけは減っておるわけなんです。新しく協定を結ぶ会社のごときは、最初から〇・四にしますといっておる。新聞見てください。〇・四にするといっておる。できますか、これ。  それでこれについて、しからば何という銘柄の油をたきますかと聞くと、心ずミナス原油なまだきとくる、A重油とくる。ミナス原油がそんなにありますか。二億キロのうちの一割足らずなんです。そこで私が心配することは、契約の場合にはこうやって書いて、でかでかとやって、にこやかに握手しておる。しかしこれが一年たち二年たつというと、ここに閉塞性呼吸器病が次から次へと発生しておる。これ一体どうしたらいいか、何が原因なのか。つまり私の言いたいところは、全部約束不履行で、から手形振り出しておるということなんです。実行に移している重油は、もっともっと含有量S濃度の高いものをたいておるということなんです。これについてどう思われますか。
  102. 山形操六

    ○山形(操)政府委員 S分の非常に低い重油を義務づけているなどの公害防止協定が当該地方公共団体と企業との間に取りかわされておって、その内容なり実効性についてどうかという御指摘でございますが、私どもそのような防止協定、先生御指摘のとおりよく拝見いたします。元来この防止協定というものは、地域の実情に応じた個別、妥当な対策を目的として、地方公共団体と企業の双方の合意に基づいて、それぞれ独自の立場で締結されておりますので、その妥当性なりについて環境庁としては意見を申し上げる立場にはございませんけれども、先生御指摘の点に関しましては、私ども都道府県を指導しながら立ち入り検査をやりまして、そうして発生源の集中している地点においては、特に重点的にばい煙発生施設に対する立ち入り検査を強化して、そのようなことのないよう指導してまいりたい、こういうふうに考えております。
  103. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 それを本気になってやってくださいよ、本気に。某工場を調べました。〇・三だとおっしゃる。あそこの工場もここの工場も、平均そんなものがたけるはずはないのです。それじゃ、県知事さんには立ち入り検査権が与えてある、だから立ち入り検査は行なわれましたかとお尋ねしましたら、それはことしになってから二回ほどやりましたという話なんです。それじゃ、やられた結果を見せてくださいと言ったのです。立ち入り検査をした結果、S含有量は何ぼになっていましたかと言ったら、答えができない。あれから半年の余になる。そうでしょう。きょうは答えができなければやむを得ません、会社が、〇・三、だけれども〇・二にすると言っている、けれども検査の結果何ぼでしたかと言ったら、答えができぬのですから、やむなく、それじゃあとで調査の結果、立ち入り検査の結果を知らしてくださいと言ったのです。あれから半年たつけれども、いまだに来ない。なぜ。持ってこれないのです。持ってくればうそを言わなければならぬ。大量消費の電気やら鉄やら、そこらが〇・三だの〇・二だの言われたら、これはみんなミナス原油以外にはないのだ。それともナフサをたくというなら別です。そうなったら日本の重油はどこへ行くのですか。通産省はマクロの立場でものを調査できる能力、機能があるはずなんです。二億キロの原油輸入された。重油に歩どまるのは一億キロなんです。重油に歩どまったときにはどうなるか。これは含有量は倍になるのだ。軽いほうへはSが入らないのですから、二・七であれば五・四になるわけなんだ。かりにあなたがおっしゃったところの平均一・七を認めたとして——私はそれを認めてはおりません、が、一・七と試算しても三・四になるはずなんです。一けた間違っておるのと違うのですか。もし大口消費の会社が一以下のものをたいておったら、それじゃ都会の中における重油は何をたいておるのです。五以上のものをたいておるのですか。それじゃ漁船は何をたいておるのですか。A重油は漁船優先、都会優先ということになっておるはずなんです。それを百も承知の上でこんなばかげた〇・幾ら、これが実行できると思いますか。スポットでしょうと言うと、いえ、コンスタントです、こういう答えが返ってくる。コンスタントに〇・四たいておって、どうして閉塞性呼吸器病が出てきます。こういうむちゃな不渡り手形が、事S分についてはどんどん発行されておる。重油もごまかしておる。しかし、私は低硫黄化の契約書、協定書が結ばれることは反対ではない。それが実行に移されないことが問題なんだ。こいねがわくは実行に移されるようにしなければならぬと思う。  そこでお尋ねするが、輸入量の見通し、二から七億に及ぶ間において、一体低硫黄すなわち一・〇以下の重油はどのように輸入される計画になっていますか。
  104. 莊清

    ○莊政府委員 硫黄分の一%以下の原油というのは、インドネシアの約二千万キロリットル程度を中心にいたしまして、全体で四十六年度で約四千万キロリットル程度の輸入でございます。総輸入に対して二〇%程度というのが実情でございます。世界全体の原油の生産の中で、一%以下の硫黄分の原油というのは非常に少ないのでございまして、三〇%以下でございます。アメリカ等も含めまして全体の数字がそうでございますから、わが国として現在において入手可能なものというのは、それよりも相当小さな世界の生産量の中からLSの原油を獲得しなければならないという現状でございます。目下わが国として海外で多数の石油開発プロジェクトがございますが、それらは原則として、すべて既存のデータ等から判断される限り低硫黄のものと推定されるものを取り上げてやっておるというのが実情でございますが、消費量の伸びということが片一方ございますので、五年先、十年先で、現在政府に明確な数字があるわけではございませんけれども、やはり低硫黄原油が全体の原油の中で占める比率は現在をさほど上回ることになることは、まず実際上としては非常にむずかしかろう、かように考えております。したがいまして、天然ガスの開発その他もろもろの総合施策ということが根本前提になると存じます。
  105. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 そのとおりです。  そこで今度は大気保全局長にお尋ねしますが、お聞き及びのとおりなんです。国内にあるものとか、買ってくればあるものならば、どんな契約書を結んだって実行に移せるわけなんだ。ところが、もとがハイサルなんですよ。ところが、たくときの契約書だけはローサルにしておいて、これは実行に移せませんね。それをあえてやろうとすれば、局所的なことはできるでしょう。日本全国のある一部、一割だけはできるでしょう。しかし、電気やガスや製鉄やというところが使う量は一割や二割ではないわけなんです。したがってうその契約が結ばれる。いや、契約時にはうそでないけれども、実行の段階でうその結果が出てくるということになっちゃう。したがって、お尋ねしたいが、総点検をすべきではないか。県にまかせておいても、遺憾ながら県には——そういう調査機能を持ち、そういう能力を持った県もあるいはあるかもしれません。しかし、ないところのほうが多い。かりにあったとしても、県知事は、失礼な言い分ですが、その企業に対して非常に弱い。なぜ弱いか。選挙にお世話になるからです。非常に弱い。だから、選挙に関係のない人が調査機能を持ってこれを調査する、総点検するということをしなければ、永久にこの不渡り手形はなおりません。総点検する気はありますか、ありませんか。
  106. 山形操六

    ○山形(操)政府委員 環境庁ができまして以来、この問題に重点を置いてやっておりますが、全般的に、検査能力と申しますかこの辺の問題と、それから検査技術方法の統一化的な問題これらについてもいろいろと方法論がございますので、現在それらの点を十分に手をそろえようということになりまして、研修等を始めたばかりでございます。したがって先生の御趣旨十分に拝しまして、近い将来、総点検をやれるように準備をしていきたいと考えております。
  107. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 総点検をすべきだと思うんです。すでに環境庁では十六の関係法が整備されて、まだ実行の段階にならぬものもあるかもしれませんけれども、そのために生まれた環境庁なんです。ところが、それが総点検をしない、立ち入り検査もしない、及び腰である。関係のお役人さんに聞いて、実際にあなた調べたことありますかと言ったら、書類審査だけやっていますという話。書類審査ならこんなものだれでもやれる。書類と同時に現物を立ち入り検査して、抜き取り検査しなければ皆さんのところはうそかほんとうかわからないわけなんです。こんなことは簡単にできるんだ。わが党はやりました。たとえば、国会でどういう冷暖房の油がたかれておるか、宿舎でどういう油がたかれておるか、抜き取り検査やりました。いまに答えが出てきます。称してA重油と契約にはなっておるんです。ところが含有量は違っておるんです。当然の話なんです。二・七のものを入れた。五・四に歩どまった。そこの脱硫装置は一割もない。しからばよそへ出るときには四前後になるに決まっているんです、脱硫装置がないんだから。あったって、それは石油精製量の十分の一以下なんですから。  さて、これが——よく聞いてください。いまの場合任意でもこんなかっこうですよ、二億キロでも。七億キロになったらどういうかっこうになります。大気汚染はどのように進展していきます。かりに今日の含有量の三分の一にS分が縮小されたとしても、なお大気中に燃える、発生するSO2は、量が三倍になるんですから同じになる結果が出てくるわけだ。しかし、見通しとして十五年後に今日の脱硫装置を現在の三倍四倍にするところの計画があるかないか。ないでしょう。ありましたらあると言ってください。
  108. 莊清

    ○莊政府委員 今後消費の伸びに応じまして製油所がまだ国内でふえていくように思いますが、それらにはすべて脱硫装置をつけさせるという方針でございます。ただし、これと同時に私ども通産省といたしましては、ユーザーの手元においてもやはりガス化脱硫とか排煙脱硫とか、目下研究中の技術を早く完成して、ユーザーサイドでも脱硫をする。両方相まちまして硫黄の発生量、亜硫酸ガスの発生量を押え、減らしていくということを同時にする必要があると考えております。
  109. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 あなたの方針たるやまことにけっこうです。しかし、いま脱硫装置をつけさせる、つけさせるとおっしゃってみえますけれども、あの石油精製段階においてつけるというのは全部じゃないですよ。たとえば二十万バーレルに対して何バーレルかと調べてみると、四万バーレル分しかないんだ。これから増設されるという姫路のあれを見たってそうなんだ。現在ある千葉を見たってそうだ。どこの設備を見たって申しわけにちょいとあるだけだ。このような比率でいった場合、脱硫装置が一億キロに対して一割もないというような、こういう比率で進んでいけばどういうことになるか。七億キロ入った場合には少なくとも三億五千万の重油が消費されることになる。そのうちの一割しか脱硫ができなかったら三億キロ余のSO2が出るという勘定になる。いま一億キロなんです。三倍余になるという答えが出てくるでしょう。これは簡単です。いまでさえも閉塞性呼吸器病がたくさん出て、あちらでもこちらでも紛争、火力発電はもうごめんというのが通用語になっている。いまの三倍にふえたらどういうことになりますか。いまから準備してかかられないと、五年たち十年たってからではもはや脱硫装置の設備の面積もとれなくなってしまうのです。  これで時間が来たようでございまするので、話はこれから佳境に入るというところでございますが、次の質問は、大臣が来られたときにこのあとをするということにして、本日はこの程度にいたしますが、総点検の時期、それから脱硫装置の義務づけ、これについての今日的計画だけを承っておきます。
  110. 山形操六

    ○山形(操)政府委員 先生のおっしゃる御趣旨は十分に承知いたしました。ただ、私ども目下地方に権限を委譲いたしまして、監視測定体制の整備を十分にいま力を尽くしておるところでございます。それらにまず主力を置き、総点検のやれる体制を整えるべく、目下力を入れておるところでございますので、御趣旨は十分に拝聴いたしました。
  111. 莊清

    ○莊政府委員 精製業者の脱硫装置は、現在約五十万バーレル・パー・デーという能力でございますが、これを四十八年には約八十万バーレルにまでふやすということはすでに決定済みでございます。通産省では総合エネルギー調査会の中の低硫黄化対策部会というのがございまして、とりあえず四十八年までの詳細な計画検討が終わっておりますが、それ以後の問題というのが重要な問題として残っております。その一環といたしまして、脱硫装置の増設も含めまして、今後検討をすることになっておりまして、これは今月中にも実は作業が開始されることに方針としてすでにきまっております。その中で、いま御指摘のございましたような問題につきましても、前向きに努力をいたします。
  112. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 ちょうど時間ですから、きょうはこれで終わります。
  113. 鴨田宗一

    鴨田委員長 次に松尾君。
  114. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 ただいまから、私は石油パイプライン事業法案について質疑をいたしたいと思います。  いままでも御説明がありましたとおりに、石油の需要が年々ふえていく、そういうことでありまして、石油の輸送というものが非常に問題になっております。特に今回この法案で取り上げられておりますのは、流通部門の中で、国内配送の点について今回は考えられておるわけでありますけれども、この国内配送自体につきましても、タンクローリーだとかまたは鉄道のタンク車が、いずれも人件費がどんどん上がっておる、それによるコストアップ、さらに交通の渋滞で輸送の回転率が非常に悪くなっている。鉄道のほうは輸送力の限界が来ている。おまけに交通災害の多発化ということで、これは社会問題になっております。そういう点から今回この法案提出されておるわけでありますが、なるほど、この石油の流通手段の合理化ということに大きくこれは寄与するということは認めることはやぶさかではありません。むしろ取り入れ方がおそかったのではないかというような反省こそなされるべきであったろう、このように思うものであります。そういうことを前提にいたしまして若干聞いておくわけでありますけれども、石油の輸送につきましてこのパイプラインによる輸送計画というものは、全体の石油類の輸送についてパイプラインの輸送というものをどのように位置づけておるのかどうか、その結果としてパイプラインによる輸送というものがどのようなシェアになっていくのか、こういうことを最初にお尋ねしたいと思います。局長にお尋ねします。
  115. 莊清

    ○莊政府委員 パイプラインは、なるべく早い時期に全国的に整備をするという方針でございますが、当面、今年度中からも本法案に基づいて整備をはかろうとするのは関東地方でございますので、それを例に引いてまず御説明申し上げたいと思います。  関東地方では、御案内のように東京、千葉、神奈川の東京湾沿岸の三県の消費量は現在非常に多いわけでありますが、この三県につきましては、製油所の立地いたしております地元でございますので、従来の輸送方式というもので輸送をする方針でございますが、今後関東地方では、埼玉以北の各県に産業も人口も当然に分散をしていくという方向でございまして、現にそれが急速に進みつつございます。そこで埼玉から以北の、茨城県は別にいたしまして、埼玉、群馬、栃木という三県に対します現在の神奈川もしくは千葉の製油所からの長距離の列車もしくはタンクローリーによる輸送というものを、このパイプラインができましたならば全部これに切りかえるということを根本前提に、パイプライン計画を現在考えております。各県の内部の配送につきましては、ターミナルをつくりまして、そこでまた近距離の陸上輸送ということはこれは不可欠でございますけれども、製油所がある東京湾から北関東各県まで多数のタンクローリーが走っていって、また長距離をからっぽで戻ってくるという、非常な混雑とむだということを、このパイプラインで解決しようというのが根本的な考え方でございます。
  116. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 いろいろの、現実に着手しようというものと、五地域にマスタープランをつくって検討しておるというものとあるわけですね。下ありますから、そういうものを通じまして、要するに石油輸送というものを、国内輸送を、このパイプラインによってどのくらいやっていこうとしておるのか、そういう位置づけ、それから大体どのくらいのシェアにしていくかということを、何かぼくはいま聞き漏らしたのかもしれませんけれども、お答えがあったかどうか、その点もう一回聞きたいと思いますが、なおこの五地域に対するいろいろの構想はあるわけでありますけれども、そういう地域における実施の段階と申しますか、この現在の三線以外に他地域に対して計画構想があるのでありますけれども、そういうものを逐次どのように整備されていこうと考えておるのかということであります。
  117. 莊清

    ○莊政府委員 関東以外の地域につきまして、通産省で従来ブロック別に予算措置が講ぜられまして、マスタープランの検討を行なっております。具体的に進んでおりますのが北海道地区とそれから近畿地区でございます。本年度からはさらに中部地区、それから瀬戸内、それから九州地区という地区についても調査を行なうことにいたしております。いずれそういう研究の結果を踏まえまして、関係各省とも御相談の上、法律に基づいて整備基本計画という形で政府の公式の計画ということにいたすわけでございますが、そのうちで、北海道のものにつきましては、ある程度路線及び輸送すべき量、長期的な見通しというものは固まってきておりますが、事業の実施主体をどういう形にするかというふうな点、その他まだこれからの検討にまつべき事項が残っておりますが、なるべく早い時期にこれはまとめまして実行に移す、できれば私どもは来年度中にも着工に入るというふうなテンポで実は考えております。近畿につきましても大体似たような状況でございますが、いろいろ過密地帯でございますだけに、これに伴う問題もまた多いわけでございます。来年から近畿地方ができるかどうか、いまのところ責任ある御答弁はいたしかねますが、これもなるべく早い時期に行なうという考え方でございます。  それから、先ほどのお尋ねに対しましての説明を若干補足させていただきたいと思いますが、関東地方の現在の石油の中で、いわゆるガソリンとか灯油とか軽油とかいう白油の消費の状況でございますが、東京、千葉、神奈川のいわゆる東京湾沿岸の三つの都県、これが非常に大きいのでございまして、地元に製油所がございますから、比較的近距離の輸送で事が足りております。東京湾の中をタンカー等も使ったりして、輸送が円滑に行なわれておりますが、これが全国の消費量の実に四分の一を現在占めておるわけでございます。石油パイプラインといたしましては、この地域に対する輸送を実は考えておるわけではございません。今後消費が大幅に伸びるであろうと思われる、北関東に対します先行的な投資をやろうということを考えておるわけでございます。それから近畿でございますが、これはやはり大阪が非常に消費量が多いわけでございます。全国の一三%ぐらい使っております。しかし、今後近畿地方でも内陸部の開発というものが相当に重要になってまいっております。国としても産業なり人口の分散ということが重要な課題になってきておりますので、関東と並びましてやはり内陸部で相当消費が長期的に伸びるということでございまして、そういうものに対して整備をしていこうというわけでございます。わが国全体の石油消費量から申し上げますと、従来の人口なり産業の集積の実績というものがございますから、大体石油の精製工場が立地しておるごく間近のところに、非常に大きな消費があるというのが実情でございます。考え方としては、先行投資を行なってより内陸部に対する輸送を考えるわけでございますけれども、こういうものが十分に成功いたしまして、国民各位から、パイプラインというのは最も合理的かつ安全な輸送であるという御理解と御支持が得られるようなふうに私どもはつとめまして、そういうふうになりましたならば、ヨーロッパでも、たとえばパリの町の中をパイプラインが走っておるということもあるそうでございますが、将来の構想としてはこういう過密な大都会の中でも幹線のパイプラインというものが引けるようになりますれば、これはもうほとんどの輸送というものがパイプラインで行なわれるというヨーロッパのような形になろうと思います。私どもは、直ちに東京、大阪のまん中からパイプラインを引こうという考えは現在のところは持っておらない次第でございます。
  118. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 逐次、今回の三ラインを手始めとして全国的な計画のある分を実現をいたしていきたい、こういうことでわかるわけですけれども、そういうことによって、結局パイプラインによる国内輸送というものは油の全国内輸送の数量のうちどのくらいになるのかという二とであります。今回関東ラインその他で約十何%、鉄道のほうで何%、このようにいわれておりますけれども、このシェアというものがやはり全国的にそのようなシェアになっていくんじゃなかろうかと私は思うのでありますけれども、総体的な輸送のシェアはどうなりますか。
  119. 莊清

    ○莊政府委員 石油全体の消費の中で重油が約半分でございますのと、重油の大口消費というのは大体コンビナートになっておりまして、精製工場から一キロとか二キロとかいう程度のパイプラインで現在でも送られつつあるという実態でございます。ガソリンとか灯油、軽油というふうないわゆる白い種類の、白油と申しておりますが、石油製品が残りの半分でございまして、これはもう全国のガソリンスタンドから各家庭まで全部使われるわけでございます。大体全体の半分が白油でございます。当面私ども考えておりますのでは、十五年ぐらい先の計画になりますけれども、白油の約五〇%強という程度のものが製油所からパイプラインに乗っかって出ていく、・こういう形にしたいと考えております。これが成功していけば今度は、たとえば神奈川県の端のほうとか東京都の端のほうとかそういうところに石油の置き場ができるということが前提でございますけれども、製油所からそういうところへ一回出して、またその近所に配送をするということができますから、これは量は非常に上がります。ただこれは第二段階の先の問題でございます。(松尾(信)委員「関東ライン」と呼ぶ)  関東ラインについて申し上げますと、現在の関東地方全体の中で圧倒的に多いのは東京、神奈川、千葉でございますから、当面はせいぜい一割ないし二割という程度でございます。これは消費量がけたが違いますので……。ただし今後消費の伸び率の大きいのは北のほうの地帯でございますから、長期的にはその比率はずっと上がってまいります。おそらく関東地方全体の需要の中で東京湾沿岸に対しまして北関東の比率が昭和六十年ごろで大体半分近いところまではふえていく、沿岸地方ではそうそう無限にふえるわけではございませんから、そういうものをこのパイプラインはねらっておるというふうに御理解いただきたいと思います。
  120. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 では、その問題はそのことでとどめておきます。  次に、総合エネルギー調査会から、石油パイプライン事業はノーロスまたロープロフィット原則のもとで運営されるべきである、このような答申もあります。またパイプライン自体が、行き詰まった石油の輸送手段を是正する、また低廉に輸送するという目的があるわけであります。そして石油価格を低く供給しよう、こういうものでありますけれども、このような原則というものは、この法案の中のどこに配慮がなされておるかという点でありますが、どうですか。
  121. 莊清

    ○莊政府委員 料金の問題につきましては、法案の第二十条で主務大臣石油輸送規程の認可をするという制度を設けております。そしてその認可の際に重点になりますのは、お話のございました料金の問題でございまして、その点につきましては二十条第二項で、料金というものは「能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものの範囲をこえない」こういうふうに実は規定いたしております。原価は当然に償わなければこれは事業として継続できないわけでございますが、先行投資を非常に行なうわけでございますから、償却期間におきましては非常に償却負担がかかります。長期的にならして事業として十分成り立つ、しかもできるだけ安いという料金というものをめどにこの認可を行なうという考え方でございます。
  122. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 この二十条の二項の説明がありましたけれども、「適正な原価に適正な利潤を加えたもの」というようになっておるわけでありますけれども、この「適正な利潤」という問題ですね、そういうものはどのように考えておるのかというのが一つと、ではこのパイプライン事業によりましてどのくらい輸送コストを下げていくことができるかというその見通しの問題でありますけれども、この二点について局長からひとつ説明願いたいです。
  123. 莊清

    ○莊政府委員 まずこのパイプライン事業の膨大な固定資産の償却期間でございますが、十五年と考えております。この十五年間の償却を行ないつつある期間におきましては、どうしても料金はある程度高い水準に相なりますが、その場合でも、このパイプラインの輸送費だけを取り上げますと、国鉄による輸送を一とした場合に大体その半分近いもの、タンクローリーに比べますと数分の一というふうな見通しを持っております。償却が終わりますと、いま申し上げた水準よりももう少し下げることが可能になりますので、さらに安くなるという見通しを持っております。  それから適正な利潤というのは、これは公益事業あるところのほかの事業につきまいしても、すべて法律上適正なる利潤——利潤というものは大きければいいというわけのものではない。公益事業でございますから、事業の継続実施ということが不可能になっては公共の利益を害するわけでございますけれども、利益は大きければ大きいほどその事業はりっぱであるという考え方であってはならない、したがって適正なものでなければならないということを趣旨として、法律で上限を切っておるというのが法の一般的な趣旨であります。何%の配当とか、そういう具体的なものさしが実はあるわけではございませんで、事業の実態に照らし、またその事業の運営が操業早々であるか、それとも相当償却も済んでおる時期かというふうなことで料金も高くなったり安くなったりということが公共事業として当然必要でございますので、そういう実態も見まして適正な利潤というものを考えていくということに相なるわけでございます。
  124. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 この点は先ほども申し上げましたとおりに、総合エネルギー調査会ではノーロス、ノープロフィットの原則ということを打ち出しているわけでございますね。それがそのままこのパイプライン法に生かされておるかということを一つは聞いておるわけです。そういうわけにいかぬではないか、ノープロフィットではいかぬということから、今度は新たに適正な利潤というものが法案に盛られておるとするならば、まあ利潤というものが全然ないということはそれは困るでありましょう。ありましょうけれども、普通の企業の採算ベースとは基本的に違うわけでありますが——もともとこれがパイプラインをつくっていこうという基本というものがノーロスであり、ノープロフィットであるという一つの大きな前提に立っているわけでありますから、この適正な利潤という問題はここで抽象的な問答をお互いにしておることよりも、具体的に料金算定のときにどのようにこれを加味していくかというあなたの姿勢を聞いておるわけです。あなたの考え方ですね。おまけに、これは空港公団の分もありましょう。また鉄道の分もありましょう。また民間のこの関東ラインがあるわけでありますが、三者それぞれ異なった料金が、やはり輸送の距離、輸送の量とかいうものによって料金というものがおのずからきまるとするならば、異なった料金がおのおのラインに出てくるのはあたりまえである。あたりまえであるけれども、それは調整していくのであろうかというような、調整すべきでなかろうかというような考えもわれわれは持つわけですよ。その中に今度は国鉄もあるのだし、その利潤はどうだ、公団のほうはどうだ、またこの関東パイプラインのほうはどうだ、こうなってきますと、これは非常に真剣に考えておきませんと、そこに大きな問題が必ず生ずるであろう、こう思って念を入れて聞いているわけでありますが、説明でなくてあなたの腹がまえをここでは述べていただきたいと思うのです。
  125. 莊清

    ○莊政府委員 料金の問題につきましては御指摘のようにいろいろな配慮をすべき点がございます。国鉄線で輸送する場合と、民間の線で輸送する場合との均衡の問題も当然ございます。したがいまして、この民間ラインにつきましては、通産省だけでなくて運輸大臣も監督大臣になって認可権を持っておるというふうな法制にもなっておりまして、民間のラインにつきましても、通産省と運輸省とで十分慎重に検討をして認可をするかしないか、あるいは変更命令を出すときについても同様でございます。それで、どのような考え方でやるのかというポイントの点でございますけれども、先ほど来ノーロス、ノープロフィットというお話がございましたが、これは一種のキャッチフレーズ的なことばとして欧米等でいわれておったことを調査団等が参りましたときに実は聞いてきて報告したというのがあれでございまして、その精神というものは、事業でございますからやはり利益はなくちゃいけない、利益がなければこれは新しい線一本延ばすこともできない、技術を改善することもできない、施設を取りかえたり人員を訓練するにもやはり事業でございますからそれはあるけれども、パイプラインという公的な事業から出た利潤でもって他に回して投資していくようなこと、そういう利益を考えるような料金水準というものは公の立場から否認さるべきである、こういう思想でございます。そういう考えで、償却中はほんとうは高うなりますけれども、それではやはり輸送が非常に困難になりますので、償却期間の全体をならしてまず適正な料金を考える。償却が済んだ暁には、これはかなりの幅の値下げができるという二段階の料金水準というものを考えて、なるべく低く、しかもその事業というのは長期的に見て採算はとれるが膨大な過剰利益というものは出ない、こういう方針でまいります。
  126. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 いまのあなたの答えは答えなりにわかるわけでございますけれども、やはりおのおの関東ライン、また鉄道のライン、それから公団のライン、距離も違えば運ぶ量も違いまするし、おのずから建設費も違ってくるわけであります。でありますから、おのおの料金というものがそういうものによって算定されてくるとするならば、総合的に三本の料金が違うのかという問題、それはやはり一本に——お互い話し合って、ある協定、料率というものですか、そういうものでいくのか、そういうことになりますると、国鉄のほうはどのようなことになるのか、空港公団のほうはどのようなものになってくるのか、非常に疑問を感じておるわけですよ。建設費も違う、おのずから料金は違ってくるのだけれども、それは三者おのおのが腹を打ち割って料率というものをきめていくのかどうかという点はどうですか。共通料金ですか、ばらばら料金ですか。
  127. 莊清

    ○莊政府委員 建設費にも、これは若干の違いはあろうかと存じます。それからパイプラインの長さ、太さ、輸送量等も同様ではございません。特に成田の空港公団の場合には距離も非常に短いし、ジェットの燃料だけ送るというような特殊性もございます。ですから一キロメートルあるいは一キロリットル当たり幾らというふうな料金というものが三本のパイプラインみな同じということは、これはできない相談でございまするし、またそうする必要もないと存じます。ただ国鉄のラインといわゆる民間の北関東ラインというのは大体同じような方向に同じような石油製品をそれぞれ運んでいくわけでございますから、その間に大きなでこぼこというものは非常に不都合があろうと存じます。したがいまして、その間の調整という問題は考えなければならぬと思います。千葉県にある製油所が送る場合と、それから神奈川県にある製油所が送る場合と、これはいずれも同じ石油製品でございまして、同じように北関東の人に販売されるわけでございます。そういう点は十分考えまして、妥当な料金——一銭一厘同じということには相ならぬと思いまするが、これは輸送距離も違いまするし、そういう点の違いは合理的な範囲内で考慮するというのが方針でございます。
  128. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 それで、たとえば料金に差があるという場合、そのときに高いものに片方がくっついていっては困るわけですよね。また高いほうはそれで適正な利潤ということで出た料金でありましょうから、それを下げろというわけにいかぬと思うのですね、筋道からいけば。そういうことになりますると、料金は、普通石油価格の問題になるわけでありますけれども、そのようにかりに料金——一銭一厘といまおっしゃいましたけれども、違いはあるのだということでありますけれども、違っても価格というものは、公団の分であろうと関東ラインの分であろうと鉄道のラインの分であろうとも、消費者に渡る値段というものは一定の価格で全部売られていくと思うのですよ。そういうことでありますから、私は、高いものに引きずられて総体的に上がるような傾向ではいけないということを念のために言っているわけです。その点の配慮をもう一回、ひとつ局長から答えてください。
  129. 莊清

    ○莊政府委員 考え方としては御趣旨のとおりだと思います。安くするためのパイプラインというのが一つのねらいでございますから、全く御趣旨のとおりであると存じます。ただ、特に最初の間は償却等の問題もございまして、先行投資を大幅にするパイプラインも実はございます。したがいまして、合理的な範囲での料金の差というものは認めざるを得ないと思いますが、そういう特殊事情を除いた部分につきましては、なるべくそろえていくという考え方でございます。
  130. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 では、料金につきましてはあとで納得のいく説明をできるように、ひとつしっかり考えていただきたいと思うのであります。  次は、一番大事なのは保安対策の点でございますけれども、これは二、三外国の事例等についても説明があったようであります。何といってもこの災害の最終的な処理といいますか、これは消防庁になるわけでありますけれども、消防庁のほうでおわかりになっておる事故例、なぜそういう事故によって火災になったのかというようなことを説明願いたいとと思うのですが、いらっしゃいますか。
  131. 永瀬章

    ○永瀬説明員 ただいまのお尋ねの漏洩による火災の事故例でございますが、私どもが国内につきまして知り得ております事故例と申しますと、実は新潟地震の際におきますところの日本石油の油槽所と申しますか原油タンク、貯蔵所から工場に引いていきます途中の十インチのパイプでございますが、これが切断して火災になった例がございます。これは道路下一メートルのところに埋設されておりました原油パイプでございますが、地震のために何らかの破損が起こりまして、噴出いたしました場所が日東紡績の倉庫のあります付近であり、一方片側がグラウンドであったために、その周囲に約五キロから十キロ程度の油が大体側溝に沿って、その倉庫を取り巻く形で流れ出まして、避難のために走行してまいりました自動車が亀裂に落ちまして、これの何らかの電気的原因で着火したものと考えられております。実は、この運転手が火傷をしております関係で、他に火傷を負った人がございませんので、それが原因だろうと思われます。約七時間弱燃えまして、自然消火に近い形で消えております。  それ以外の事故につきましては、パイプラインの漏洩によって起こった事故は、私どものほうに報告として入っておりません。
  132. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 ほかにはあなたのほうからは油送操作の誤りよる例——なお他の工事によるものというものも実は御報告を受けておるわけでありますけれども、このように、それぞれパイプライン自体に事故が起こっているわけであります。でありますから、今回は一つの導管で地下に埋設していくわけでありますから、地下にはまたいろいろほかのガス管だとか電話施設、水道等の工事による導管等の設置があるわけでありますけれども、そこに新たにパイプラインというものが一つ加わっていくわけです。でありますから、特にこういう石油パイプラインは事故がありますと火災にもなりますし、火災にならぬにしても油濁公害を起こすわけでありますから、これは厳重にいろいろ工事その他も見ていかなくちゃいけません。そういうことでありますので、工事計画書をどのように見ていくのか。そして工事計画というものを認可する場合には、どのようなことを特に留意して厳重にこちらで検討して認可するのか。認可したあとの工事の監督はどうするのか。でき上がった場合の全線の検査というものも残っておるわけでありますけれども、そのものを一貫しまして、この工事の計画から認可、今度は工事の着工、それに伴う工事の監督、でき上がった全線の検査、これらについて局長からひとつお答え願いたいと思います。
  133. 莊清

    ○莊政府委員 パイプライン事業法案では、第十五条で事業計画の認可の際には、それが別途監督官庁の省令で定めるところの技術上の基準に適合しておるかどうかということを厳重に審査して認可するということにいたしております。そして工事が終わりました際には、再びその技術上の基準に定められたとおりのものができておるかどうかということを監督官庁が完成検査をいたしまして、完成検査に合格したものでなければ使用してはならないということにいたしております。また運転に入りましたあとでも、いろいろ保安上の見地からの立ち入り検査等は常時行なわれるという体制を整えておりますほか、本法では特に業者として定期検査を受けなければならない、定期に主務大臣が必ず行なう年に一回とか二回とか、定期検査に関する条項も実は設けております。そのほか、国のそういう指導監督と並びまして、事業者自身がいわゆる自主保安に万全を期するということが、日常の保安の上できわめて必要であることは言うまでもございませんので、保安規程というものを認可事項にいたしまして、内部の自主保安について、認可した内容に従って事業者に義務を負わせる、そのための技術の専門家も置くことを強制する、こういうふうな手だてをいたしております。非常時の措置につきましても、別途命令とか通報義務等を整備しております。  ところで問題の中心は、認可にあたってのあるいは完成検査にあたっての技術基準というものは一体どういうことを考えておるかというのが、お尋ねのポイントの一つであったと存じます。これにつきましては大体五つの点を考えて一おりますが、現在のところ関係各省間でこの省令の案につきましてかなり膨大な案が立っておりまして、これにつきまして関係各省間でさらに検討を続けておる状況でございます。内容といたしましては、まず第一にパイプの材質をどうするか、それから肉厚を圧力等に対して一体どういうふうにきめるかというふうな基本的な事項、それから運転制御のシステムというものを一体どういうふうにするかということが基礎的な設計条件として不可欠でございます。パイプの材質につきましては、一切鋳鉄管はいけない、全部スチールパイプでなければいけないということにいたしておりまするし、肉厚につきましても長距離輸送のものは、コンビナートパイプラインよりも相当圧力をかけて長距離を輸送いたしますので、技術上安全といわれております厚さの二倍を下回らない程度の安全をさらに見込みまして、欧米の水準よりも分厚いパイプでなければいけない。世界で一番厳重な、進んだ検査基準というものにしようということを根本に考えております。  それから導管の敷設すべき位置、どういう深さのどういう場所に埋めるべきであるかということについても基準をきめる方針でございます。  それからでき上がった設備についての基本的な検査のやり方、検査方法も十分この基準で指定をする。特に溶接部分につきましては、溶接の方法も最も進んだアーク溶接でなければいけないというふうにいたしますと同時に、そのでき上がったものにつきまして高周波の検査を必ずしなければならないという義務づけをする次第でございます。これらは従来の諸外国における地震その他の事故がどこで起こってきたかという反省の上に立っておるわけでございます。  あとは、各種の地震を検知して、弁を自動的に締める装置であるとか、その他諸々の安全保安のオートメーションの装置等についてこれ、これ、これの種類の設備、装置というものを必ずつけなければならないということを明確にいたします。  最後に第五番目といたしまして、先ほど申し上げました地震保安のための保安規程というものを別途認可申請させるわけでございますけれども、その保安規程の基本的なあり方、こういう事項をきめるべきだということをこの省令の中に実はうたおう、それを手本にして各企業がそれぞれこまかく実態に即して内容を固めて、別途に認可申請させるということが指導上も望ましいのではないかということで、都合五点いま検討をいたしております。
  134. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 一番大事なのは、地盤沈下の問題といまお話しになった地震に対する対策だと思います。外国の事故の例もいまお話が出ましたけれども、これは東京都で作成したサンフェルナンド地震調査報告書でありますけれども、地震の被害のことでありまして、ここに指摘されておりますのは、すべての基準に合致した施設についてもなおかつ被害の発生を予想しなければならない、必ず地震は起こるんだ、必ず地震によって被害を受けるのだという前提に立ってやっていかなくちゃできない、このような問題点が指摘されております。  それからなお、石油パイプラインにつきましては原子力発電所並みの耐震設計を行なうとしておる。アメリカですね。アメリカでさえもこのようなことを考えておるのでありますから、地震の多い、また心配されるこの関東地区でございまするので、このような対策というものは基本的にどのように配慮されておるか。また消防庁としてもこういう点も御承知のことでありまするから、どのような要望があるのかということを、それぞれ両方からひとつきちっとした考えを聞いておきたいと思います。
  135. 永瀬章

    ○永瀬説明員 ただいまお話しの地震に対する安全性の確保の配慮でございますが、関東地方に地震の襲来がいろいろ騒がれております。この中にパイプラインが布設されることになるわけでございますが、先生御指摘のサンフェルナンド地震の場合におきましても、非常に多くのガス管が切断いたしましたが、私どもが聞いておりますのは、石油パイプラインについてはほとんど事故はなかったように聞いております。ただ、パイプとタンクとの接合部等での漏洩はあったやに聞いておりますけれども、パイプ自体についての切断はなかったような報告を私どもは受けております。しかしながら先ほどお示しいたしましたように、新潟地震におきましてはパイプの切断がございましたし、また昭和石油の構内あるいは日本石油の構内におきましてもパイプの切断が起きておりまして、このための漏洩はかなり起きております。これらのパイプが、今後使われるであろうあるいは現在新しく使われておりますパイプよりも、非常に古いパイプであったことは事実でございますが、まず第一に、私どもとしましては、先ほど御説明ございましたように、パイプの強度、材質について現在考えられますところの最高のものを使っていただくということは、これはぜひともお願いをいたしたいところでございます。  なおそのほか、布設されます場所につきまして、地すべり地帯あるいは浮動、沈下を起こすような地帯はできるだけ避けていただきたいと考えております。ただ、やむを得ず通過するような場合には、それらに対処できる工法を用いて、土質の改良等を加えていただいた上、管の損傷のないようにお願いいたしたいと考えております。  なお、新幹線に設けられておりますような地震の感知装置、監視装置と申しますか、これを設置していただきまして、一定以上の震度に対しましてはまずポンプをとめ、必要な緊急バルブを遮断する自動制御装置の設置は、私どもとしてはぜひ設けていただかなければならない施設と考えております。  そのほか、先ほど御説明ございました保安技術上の基準、この中にさらに、管の保護をいたしますところの塗覆装あるいは電気防食の装置、また漏洩を検知します検知装置、バルブとの連動装置、これらをつけていただきまして、管自体の弱くなるのを防ぐ装置をつけていただく。さらに場合によりましては、他工事によっての事故が外国及び国内においても非常に多うございますので、これによっての損傷がもとで支障が地震時に起きても平常時に起きても困りますので、布設の標識あるいは布設されましたところの配管図というものを関係の省庁及び工事関係者に配付していただいて、他工事による災害が起こらない措置をぜひともとっていただきたい。  おもな点、さように考えております。
  136. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 いま消防庁からいろいろの要望が出ておるわけでありますけれども、それを通産省としては今度はどのように取り上げてやっていこうとお考えですか。特に地盤の問題それから地震の問題、それから他工事の問題ですね。
  137. 莊清

    ○莊政府委員 消防庁から詳細な御説明があったわけでございますが、通産省ではパイプライン事業を今後推進する場合に、最も重要なことは当然保安問題であるという考えから、昨年度予算措置を講じてもらいまして委員会をつくりまして、この技術基準のあるべき内容につきまして委員会で一年ばかり鋭意検討を実は続けてまいりました。それで、でき上がりました約二百ページほどの素案がございますので、これを現在消防庁のほう、あるいは運輸省、建設省のほうで、それぞれのお立場から詳細に検討していただいておる段階でございます。いずれ消防庁では、消防審議会の専門の先生方の御意向もまた聞いていただきまして、その上で、より十分なものにした上で共同省令に持っていくという考えでございます。  パイプの材質のあり方、溶接の方法あるいは検査の方法、肉厚等につきましても相当専門家から安全の上に安全という理想的な線でひとつやろうという方針で、詳細に一年検討をいただきまして、数字的なめども実は持っておりますので、そのあたりにつきまして、いま申し上げましたような関係各省において、あるいは消防審議会の御専門の方のさらに突っ込んだ御検討を実はいただきつつある次第でございます。  地盤の問題等につきましても、これは道路に埋めるということにいたしておりますので、道路をつくります際に建設省でも地盤問題については当然へ国道あるいは県道でございますから十分の調査がなされておるわけではございますけれども、通産省の地質調査所という国の地質についての専門調査機関がございましてこのルートにつきましての地質調査はすでに十分行なわれておりますので、そういう資料等も実は内部で検討いたしております。  それから他工事の関係、これがお聞き及びかと存じますが、欧米でも事故の中で一番多いという驚くべき結果が実は出ておるわけでございます。わが国の場合に、道路の側線は今後ガス、電気、水道等多く利用されてこようかと存じますので、これはまず第一にやはりパイプラインを布設いたします場合に、それぞれの関係の監督官庁なりあるいは企業が別途電力会社、ガス会社等々あるわけでございますから、パイプラインを先に布設いたしましたならば、それの図面をそういう関係の監督官庁及び関係企業に送付をしておくという横の連絡をまずやりませんといけないと思います。  そういう連絡体制と並びまして、今度はパイプライン自体につきまして、布設してある道路には一定の間隔で標識を立てなければならないということを先ほど来の技術基準の中にうたおうと考えております。  またパイプを埋めます際に、先ほどお話があったかと思いますが、かりに間違って掘り始めたときにでも、この下に石油パイプラインが通っているということが明確にわかるように、パイプの二百キロメートル全路線にたとえば赤なら赤のビニールを上のほうに敷き込みまして、そしてそこにパイプラインが入っておるということがわかるように敷いて入れておく。これは土の中でも変質いたしませんので、こういうような、ちょっと奇異にお聞き及びかもしれませんが、あらゆる実際的な方法を講じさせることを考えておりますし、またパイプライン会社には、毎日沿線のパトロール、実際人間が車に乗ってパトロールをするというふうなことを保安規程自体の中にきめさせる、・そうして認可をしておくことによりまして、もしも近所で工事が起こりそうならば直ちに目で見てわかる、念のためにそこでまた注意もする、連絡もするというふうな、これは日常すべてのチャンスをとらえてやるということが大事だと思います。そういう考え方でいま検討を進めております。
  138. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 この石油パイプラインというのは専用溝ではないのですか。パイプラインだけ通っている、ほかの管は通っていない。共同溝になるのですか。専用溝なんですか。まずそこが一点ですね。専用溝であるべきだという立場から言っているわけであります。そうしますと他工重の問題は、普通の道路でやっているようなガスもある電気もある水道もあるというふうなものとは相当違ってくるのじゃないかと思うのですけれども、いかがですか。
  139. 莊清

    ○莊政府委員 現在計画されておりますのはすべて専用でございます。国鉄線は路線に入れるということでございますし、それから関東パイプライン会社のも専用でございます。ただし、外国の例を調べますと、専用であるにもかかわらず、ほかの電線を埋めるとかガス線を延ばしていくというふうな土木工事が行なわれます際に、最近の大きな土木機械を持ってきて土地を深く掘り下げるという場合に、うっかりしてパイプラインがあることを知らずにそこに打ち込んだということが非常にあるようでございます。そういうものを防ぐ意味で、先ほど来申し上げましたような万全の措置を講じておきませんと、単独で入っておっても知らずに事故に巻き込まれる、こういう点の注意でございます。
  140. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 他工事の分はよくお互いに事前に連絡とってやる。  次は、この災害に関連しまして、発ステーションのほうはある程度やむを得ないと思うのでありますけれども、終着のほうですね。着地のターミナルにおける貯蔵タンク問題でありますけれども、これが飛行場であれば相当密集している、また大事な飛行機が発着しているということであります。関東パイプラインの終着点というものはどういうどころを考えて、どういうところに貯蔵タンク群をつくっていこうとしておるのか。また鉄道からは結局またそのような終着ターミナルに油を貯蔵していかなくちゃできないわけでありますけれども、その場所のあり方ですね。これは消防庁としても私は大きな希望があると思うのです。要望があると思うのです。一たん飛行場等で災害が起こった、このタンクがどんどん燃えてきたということになりますと、これはたいへんな事故が起こりますから、そういう場所的な配慮、特に終着ターミナルにおけるタンク群の設置に関する配慮というものを聞いておきたいと思います。
  141. 莊清

    ○莊政府委員 終着のターミナルはそこにタンクを置きまして若干の貯蔵をして、そこから配送を行なうという一つの基地でございますから、どうしてもタンクが必要になります。これは当然に路面の外に整備するほかはございません。したがいまして、その置きます場所は、当然に人家からかなり離れた郊外のような場所に保安上の配慮を十分にいたしまして整備をすることが必要でございます。タンクにつきましては、これは消防法の上でも危険物という扱いでございまして、現在でもきわめて厳重な規格がございますし、またタンクがかってに事故を起こしたということはあまり聞かないのでございますが、大体どれくらいのタンクを一体置くのだろうというお尋ねも含まれておったように思いますので、申し上げますと、大体輸送します数量の十日程度の分、これはどうしても運転上の必要から置かざるを得ない。ターミナルに半年分も一年分も貯油をするというふうな考え方ではございません。これは円滑な輸送をされてきた油の受け入れと、それの再輸送というものの中継として必要な限度のものでございます。
  142. 永瀬章

    ○永瀬説明員 終着点におきますタンクによる貯蔵でございますが、現在消防法の規定によりまして、貯蔵タンクにつきましては周囲の空地、それから周囲に防油堤あるいはタンクから学校、病院等へ対します離隔距離、これらをとらせております。これは数量、大きさによりまして数値は違っておりますが、その同じ数値は少なくとも今度のパイプラインの終着におきます貯蔵タンクにはとっていただくということは当然考えております。そのほか消防法で現在タンクに対して規定いたしております諸規定、これはすべて終着ターミナルのタンクには適用するようしていただくつもりでございます。
  143. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 していただくのではなくて、必ずそういうふうにきちっとしていくべきだと思います。  次はこの建設費等の予算関係でございますけれども、これは関東パイプラインだけでけっこうでありますけれども、説明を聞きますと総計三百三十四億、このようなことでありますけれども、総計三百三十四億の資金調達はどのようになっておるのか。特にその中で工事費というものが工事期間約二年半と書いておりますが、これを少し早めたいという考えのように聞きましたけれども、そういう工事費の問題ですが、これは百四十億ですか。それから自己資本でどうするのか、また借り入れ等がどのようになってくるかという問題であります。それから二番目は、この石炭及び石油特別会計から七億円余の流通合理化技術対策費として予算に計上されておるわけでありますけれども、その内容はどうなっているのか。この二点を説明してください。
  144. 莊清

    ○莊政府委員 今年度実は関東パイプライン会社に対しましては、日本開発銀行からの融資二十五億円を財投計画で計上いたしておりますが、今年度は工事期間も非常に短いので、所要資金が少ないのでこういう形になっておりますが、すべての投資計画、二年余でございますが、これを対象にいたしました場合には、財投資金は少なくとも三〇%程度これを開銀から長期融資を行なう。それから残りの二〇%につきまして、これはとりあえず授権資本二十五億でございまして、払い込みが七億弱でございますが、これは工事の進行に伴いまして、漸次授権資本、払い込みともふやす方向でございまして、全体の所要資金の約二〇%、これを自己資金でまかなう出資でございます。これは全体で十四社でございますから、一社にいたしますとそれほどの実は負担にはならないかと存じます。残りにつきましては十四社の連帯保証の形で、これは市中銀行から長期の設備資金としての融資が実は話がまとまっておりまして、こういう意味で資金ソースとしては計画考えたいということでございます。ただ、全体の輸送費を極力下げるという意味におきましては、できればもう少し自己資本が多くかつ財投からの融資が多ければ多いほど、これは低利でございますから望ましいのでございますけれども、やはり計算を置いてみますると、この程度の債務構成、借り入れ構成で、現在のタンクローリー輸送に比べますときわめて安い、国鉄のタンク車輸送に対しましても安いという計画が実は出ております。  それから七億円の石油特別会計からの補助金の問題でございますが、これはほとんど全額が保守関係の技術の調査研究費でございます。ここの成果というものは、今後わが国におきまする各種のパイプライン設置の場合にもこれを活用していく、データなどは利用するという前提での補助考えております。
  145. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 いま簡単な説明がありましたけれども、保安技術の対策関係にもっぱら使う、それは項目別に計画はありますか。
  146. 莊清

    ○莊政府委員 この内訳は実は数項目に予算としては分かれておるのでございまして、それぞれに積算もございまするし、説明も申し上げたいのでございますが、後ほど表にして差し出します。
  147. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 先ほどちょっと触れられたのでありますけれども、石油パイプラインというのは独占的な性格を持っておるわけであります。でありますから、通産省、また国の監督というものは厳重でなければいけませんし、あくまでも公共性という特質を伸ばしていかなければできないわけでありますから、新規石油企業の利用する場合だとか料金の見直しの問題、先ほどちょっと触れられました先行投資だとか、また償却等の年限等もあるものだから最初高いということもありますけれども、料金をいつも見直していく。でありますから、それぞれの年度における石油パイプラインによる収支のチェックというものはどのように考えておるか。だんだん輸送費というものを低減していくという方向に——どのように考えておるかということでありますが、いかがですか。
  148. 莊清

    ○莊政府委員 事業許可の際に事業計画と並びまして収支見通し、その他財務関係のすべての計画提出させるということにいたしておるのは当然でございますが、これと同時に一般的な報告徴収規定というものを整備いたしておりまして、財務状況に関しても必要な報告を、これは別途省令等で内容を定めることに相なると思いますが、そういうことをいたします。それで、そういうデータに基づきまして毎年的確に企業の経営状況というものを把握いたしまして、料金を下げることが妥当であり適当であるという判断に立ちましたならば、企業みずから変更認可を申請すべきでございますけれども、監督官庁としても必要ならば、最初の場合には命令権まで持っておりますので、十分平素も指導をするという考え方でございます。
  149. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 大体以上で国内輸送の問題を終わるわけでありますけれども、やはり石油の輸送ということは、単に国内輸送の問題だけじゃなくて、沿岸運送、内航船、そういうものにとっていろいろ港湾事故等が起こっておりますけれども、東京湾における船舶航行と海難の事故の発生の状況につきまして、海上保安庁のほうから御説明願いたいと思います。
  150. 村田光吉

    ○村田説明員 東京湾に入ってまいりますタンカーにつきまして、いま手元にございます資料によりますと、四十三年度では、五万重量トン未満で三百三十九隻、五万トンから十万トンの間が六百七隻、十万トンから二十万トンの間のタンカーが二百二十六隻、二十万トン以上が五隻、合計いたしまして千百七十七隻となっております。四十五年度では、五万重量トン未満が三百三十隻、五万トンから十万トンの間が四百八十二隻、十万トンから二十万トンの間が四百二十二隻、二十万トン以上が百六十六隻、合計千四百隻になっておりまして、四十三年から四十五年までの間には一・二倍という入港隻数の伸びになっております。  これに伴いまして、東京湾における海難の発生件数も逐年ふえておりまして、昭和四十二年度には衝突、乗り上げ、機関故障、火災、転覆等、海難の種類はいろいろございますが、合計にいたしまして四十四隻、四十三年度が三十八隻、四十四年度が四十三隻、四十五年度が二十九隻、四十六年度四十隻、このような海難の発生件数になっております。
  151. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 それは石油事業だけでそのような件数であります。その他のやはり運送船舶の事故を加えますと相当の東京湾口における事故が発生しておるというのは、これは間違いのない事実でありますね。でありますから、これは瀬戸内海のほうでもだんだんと事故が増加しつつございます。   〔委員長退席、小宮山委員長代理着席〕 でありますから、この国内の輸送に対する安全対策と同時に、やはり沿岸における安全対策、特に東京とか、年間千何百隻というような油船が出たり入ったりするわけでありますけれども、そういうものの安全対策というものをどのように考えておるか。これは早急に国内の輸送を石油パイプラインにして、いろいろ事故の絶滅だとか輸送の問題等考えておるわけでありますけれども、これはやはり並行的に沿岸部門もやりませんといけない、このように思うわけでありますけれども、考えはいかがですか。
  152. 村田光吉

    ○村田説明員 おっしゃるとおり、タンカーの事故は、先般新潟で起きましたジュリアナ号、これは約七千キロリットルの油が流出したわけですが、たいへんな騒動をもたらしたわけでございます。それで、東京湾だけの大型タンカーについて御報告いたしますと、海上保安庁では、現在東京湾内で海上保安部署に巡視船五隻、巡視艇二十三隻、航空機六機を配置してございます。それで油が流出した場合には直ちにこれらの船艇、航空機を出動させまして付近の航行船舶及び関係者に警告、通報を行なう一方、災害を局限するために事故船舶に対して流出防止措置等の指導を行なう。それとともに、海上保安庁自体がオイルフェンス——オイルフェンスといいますのは海上における油をせきとめるものでありますが、これを展張いたしまして油除去剤を散布いたします。そのような応急措置をとることとしております。東京湾のようなところで油が流れた場合には、おっしゃるとおり沿岸に対して非常な災害をもたらすおそれもございますので、これは官民一体となりまして必要な資材、人員を迅速かつ組織的に動員し得るよう、すでに東京湾におきましては東京湾内流出油災害対策連絡協議会という官民協力体制を設けまして、防災資機材の備蓄整備をはかるとともに、事故対策を講ずることにいたしております。海上保安庁ではすでに東京湾内におきまして、先ほど申し上げましたオイルフェンス千五百メートル、油除去剤四十トン、これをすでに整備いたしております。  以上のような防災体制をいま東京湾だけで整えております。
  153. 松尾信人

    ○松尾(信)委員 いまは事故が起きてからどうするのだ、こうするのだというお話でありますけれども、東京湾自体がもう非常に船舶がふえ過ぎまして収容能力がない、接岸しようと思っても自由につけられない。また、すれ違いが非常にひんぱんに行なわれておって事故が起こるとか、もう東京湾自体の物理的な要素からたくさんの事故が起こっておるのではないか、こう思うのです。瀬戸内海もそうです。船舶航行がふえる、そこで衝突事故だとかいろいろの事故が起こっている。これをどうするかということでありますけれども、いきなり東京港みたいなものを新たにつくるということもむずかしいものでありますけれども、やはり船舶の運航の問題からいろいろ事故の起こらないような安全対策を考えていかないといけないのではないか、このように思うのです。急に港はふえませんけれども、やはり第二何とか港とか、またはあんまりふくそうして困る場合はどうするかとかというような配慮がなくては、事故が起きてからこうしますでは、だんだん船はふえてきますし、ですから事故はふえてくる、その対策だけで精一ぱいということでは、やはりこれはあと向きである、こう思うのですよ。何かそこに、ひとつ今後は抜本的な対策をお考えになって、そして関係各省と煮詰めてもらって、そして特に石油輸送に関しまして事故の起こらないように、事故が起こった対策でなくて事故の起こらないような方策をひとつしっかり考えていただきたい、こう思うのですが、もう一回あなたの答えを聞いて私の質問を終わりたいと思います。
  154. 村田光吉

    ○村田説明員 先生仰せのとおり、タンカーのわが国周辺にやってまいります際の第一番のネックは狭水道でございまして、東京湾で例にとりますと浦賀水道、伊勢湾でございますと伊良湖水道、大阪湾の友ガ島水道、いずれも狭水道がネックになっておりまして、ここでの衝突あるいは乗り上げ、そういったものが非常に多うございます。いま先生がおっしゃるとおり、予防対策としましては、いま東京湾の浦賀水道では、大型タンカーについては必ず入湾する三時間以前に海上保安部署に連絡する、そしてその狭水道を通過する場合には前後をタグボートあるいは当庁の消防船でエスコートする、そういうふうな予防対策をとっておりますが、抜本的にはやはり海上交通のルールを設けなくてはならないということになっておりますので、いま海上交通安全法、こういうものを海上保安庁では考えておりまして、今国会にお願いしたい、このように考えて、いませっかく準備いたしておる最中でございます。   〔小宮山委員長代理退席、委員長着席〕
  155. 鴨田宗一

    鴨田委員長 岡本君。
  156. 岡本富夫

    ○岡本委員 石油開発公団法について少しお尋ねをいたします。  この法律の目的の中に、低廉かつ安定というようなことがありますが、先ほども松尾委員から、低廉について、どういうことが低廉というのかという質問がありましたから、その基準について局長からお聞きいたします。
  157. 莊清

    ○莊政府委員 たいへんむずかしいお尋ねではないかと存じますけれども、ここで「低廉」と述べておりますのは、まず基本になりますのは、やはりこれだけの消費国であり資源がない国では、安定を考えなければならない。安定なくしては価格もまた非常に高くなるわけでございますから、安定と低廉というのは車の両輪でございますが、昨今のOPECの動向等から見ました場合には、世界的に原油価格というのは当然上がってまいっておるわけでございますが、そういう環境の中において、可及的低廉にという趣旨でございます。
  158. 岡本富夫

    ○岡本委員 ちょっとむずかしい質問だから。これは政治的配慮が必要だから政務次官ちょっと聞いていてくださいよ。  佐藤総理がこういうことを言っていますね。円の切り上げの後の発言で、円の切り上げによってリスクのあると予想される資源輸入等は、たとえば石油などは絶対に値上げしてはならない、こういうように言っておるわけであります。ということは、円の切り上げがあってむしろ下がるのがあたりまえだ、こういうように見るべきでありますが、ところが一向に円の切り上げ後それだけのものが下がっていない。それについて政府はどういう見解をとっておるのか、お聞きしたいと思います。   〔委員長退席、小宮山委員長代理着席〕
  159. 稻村佐近四郎

    ○稻村(佐)政府委員 ほかの資源と違いまして、石油に限っては円の切り上げ後も値上がりをしておるという現状でございまして、今後の問題については、きょうは長い間供給安定問題についていろいろ御質問があり、各局長がこれにお答えをいたしておるわけでございますが、できるだけ低廉かつ安定供給という面に全力を注いでまいりたい、こういうふうに考えております。
  160. 岡本富夫

    ○岡本委員 できるだけということになりますと、佐藤総理はそういうようなことを計算せずにただ感じだけで言ったのか、何も確信を持たずにそう言ったのか、これは総理に聞いてみないとわからぬということになるでしょうけれども、これに対して局長のほうから……・。  それからもう一つは、二八・八%の円の切り上げがあって、それから後に灯油なんかは卸売りが値上がりしているわけですね。小売り業者が非常に反対しているわけですよ。こういう点について——中には通産省主導型の値上げだというようなことを言う人もいるわけですが、これでは低廉というこの趣旨にマッチしないのではないか、こういうことも考えられるわけですが、それについての御意見があれば承りたい。
  161. 莊清

    ○莊政府委員 わが国の原油輸入価格でありますが、CIFの日本に着いたときの価格で申し上げますと、一昨年の九月、十月ごろ、まだOPECの値上げが行なわれる以前のCIF価格でございますが、大体キロリットル当たり四千円くらいでございました。当時はレートは三百六十円レートでございます。その後OPECの値上げでFOB価格のドル建ての価格では四〇%は優に値上がりしておりますが、御指摘のように切り上げも相当ございました。それで、結局現在どうなっておるかということでございますが、現在は三百八円レートでございますけれども、原油のCIF価格というのはかつての四千円から約二割値上がりした価格でございます。したがいまして、日本に入っておる原油価格というのはOPECの値上げ前よりもかなり高くなっておるというのが事実でございます。  それから灯油の卸売り価格というお話がございましたが、一ときは非常に上がるのではないか、OPECが値上げしたからメーカーも上げるという騒ぎを起こし、たいへんな騒動になったわけでございますが、これは現状におきましてはその当時の値上げ前の価格よりも、精製業者の出し値で、キロリットル当たり約千円ぐらい値下がりを同じ時期でしておるわけでございます。最盛期の需要期においてそれぐらい値下がりをしておる。これは通産省におきまして極力必需物資について値上がりを防ぐという意味で、昨年の夏十分な生産を行ない、在庫をふやすということを企業のほうに強く要請してやってもらったのでございますが、暖冬でその在庫も大部分売れ残った、一部は外国に輸出もしたというぐらいの、そういう事情もいろいろございまして、結果としてOPECの値上げ前よりも同じ月の値段でキロリットル千円ぐらい下がっておるというのが実態でございます。   〔小宮山委員長代理退席、委員長着席〕
  162. 岡本富夫

    ○岡本委員 先ほども低硫黄原油についての話がいろいろとありましたが、電力会社のように多量に使用するところは、石油業者ばかりたよらずに直接輸入をさせてもらいたいというような意見も、私どもが視察に行くと出てくるわけですが、それに対して、通産省はさせないというような状態だということを聞いたわけですが、それはどういうわけでそういうことになっているのか。これは通商局のほうで、あなたではないと思うけれども、一応……。
  163. 莊清

    ○莊政府委員 火力発電所等で使います低硫黄のなまだきの原油でございますとかあるいは輸入の重油というものが非常に盛んでございますが、実は必要な量を獲得するのに日本の国全体としてきゅうきゅうとしてなかなかほしいだけの量が入手できてないというのが全体としての置かれておる状況であるということをまず申し上げたいと存じます。  それで、その乏しい中で輸入が行なわれておるわけでございますけれども、輸入する場合の扱いの窓口というものは、現在精製用の原油というものはすべて精製業者が輸入いたしておりますので、精製業者が扱うようにという指導はいたしております。これはどういうことかと申しますと、かりにある電力会社なら電力会社が、国内でも低硫黄の重油などを精製業者から買っておるわけでございます。それと全く無関係に外国から輸入をどんどん競争でするという状態というのは、これは国全体として実は決してプラスになるわけでもございませんし、またそれが極端に行なわれますと、ある精製業者の手元では、せっかくつくった重油というものが売り先を失って非常にだぶついてしまう。その結果、結局苦しまぎれに灯油とかガソリンとかの値上げということを考えなければ全体の精製企業としても立ち行かないというふうな、いろいろな意味でのマイナスも予想されますので、わが国全体としての一つの秩序づけという意味で、そういうことを行政指導の形でやっておるわけでございます。  外国から低硫黄原油輸入可能な場合あるいは低硫黄の重油が入手可能な場合には、これは精製業者も商社も国も全部が進んで調達に努力しておるわけでございまして、入手可能なのに輸入しないというふうなことはこれは全然ございません。
  164. 岡本富夫

    ○岡本委員 この問題についてはやはり若干その点をゆるめて、特に公害問題でいまやかましく言っておるときですから、また脱硫装置にしましても、排煙脱硫にしましても、これはなかなか——工業技術院でもう技術はできた、しかし、そのあと電力会社にいろいろと試験をさしているわけですが、これをつけるとコストも上がる、あるいはまた金がかかることですから、なかなかやらないわけですよね。去年からやっているわけですけれども、なかなかやらない。結局まだまだ試験中、試験中ということ。通産省に聞くと、もうちゃんと技術はできております、こう言うのですね。これでお互いに押し合いしておって、結局被害を受けるのは住民あるいは国民になるわけですがね。したがって、この低硫黄に限っては若干ゆるめて、そして直接買えるものがあれば買わしてあげるというところも私は配慮をしなければならぬ時代が来たのではないか、こう考えるわけですが、それについての一点と、それから、ことばを返して悪いのですが、どんどん輸入されると精製業者が困る、売れ口がなくなるわけですから。そうすると、価格を上げなければならぬ、売れ口がなくなればこれは下がるのですね。ですから、もう少し自由経済というものを尊重しなければならない。しかも、そうしてこそ私はもう少し互いに技術開発、あるいはいろいろなことによってもう少し前へ進むのではないか。いまの精製業者ですか、輸入業者だけがちゃんと組んでおって、そうして全部値段から何から操作することになっておるから、結局消費する一般消費者、そういうものはそこで全部チェックされてしまうということで、何か統制経済みたいになっておるというとは不満であると私は思うのですね。それが一つと、それからもう一つは、昭和六十年、このときの日本の総需要量というのは大体七億キロリットルというのが通産省から出ているわけですが、この七億キロリットルの重油をまず中近東なら中近東に依存すると仮定すれば、二十万トンクラスのタンカーが四十キロ間隔に一隻というような割合に浮かばないと運び切れないということになっておるわけでありますが、こういうような先の見通し通産省としては立てておるのか、この点ひとつ聞きたい。
  165. 莊清

    ○莊政府委員 最初にお尋ねございました電力会社での排煙脱硫というのを早くやれという御指摘でございます。全く同感でございます。これは現在東京電力、中部電力、関西電力の三社でかなり大きな規模で研究をやっておりまするが、技術としては、小規模のものの技術としては、工業技術院が、かねがね申し上げておりますとおりに、一応完成はしておるようでございます。ただこれを大きな規模にいたしまして、現在やっておるのはこれの二倍くらいにすれば実用の規模になるといわれる程度の大規模の最終段階研究プラントのようでございまするが、連続運転という点でどうも触媒が焦げついたりということで難があるというところがネックになっておるようでございますが、鋭意研究いたしておりまするので、これはぜひ成功させた上で通産省責任をもってつけさせるようにせねばいかぬと、私ども石油を担当しておる者としても考えております。  それから、低硫黄の重油等はもう大いに自由に輸入すべきであるということでございまするが、可能な限りの量というものは一生懸命かき集めてなおかつ足りないということで、むしろしょっちゅうおしかりを受けておるかと思いまするが、たとえば最近の例でございまするけれども、日本からインドネシアに製油所をひとつ長期延べ払いで輸出いたしまして、そして相手国の石油公社がその工場を使いまして、そして、できてきた重油、これは低硫黄でございます、それを日本に最優先的に輸入さしてくれということで、長期延べ払いの製油所をインドネシアの石油公社ペルタミナに出した。そして昨年の暮れから、少量でございますが、そういう貴重なものが入ってきた。あの手この手で苦心惨たん、確保につとめておるという現状が実はございます。これでばらばらに実はあまり多くのものが殺到いたしますと、これは相手国は主としてメージャーでございます。海外に製油所を持っておる、それから世界じゅうにいろいろな原油も持っておれば製品等も持っておるわけでございまするが、無秩序な競争でラッシュいたしますると、値段というものはこれは上がる一方でございまするし、低硫黄を売ってやるから、そのかわりにこれだけこういうようなものを買え、世界的にこういうようなものが大部分でございますから、そういうふうな形でのよけいな抱き合わせみたいなことも、商談の実態としては過去においても実はなかったわけではございません。そのあたりのところをこれはやはり考えながら私どもとしても努力をしておるつもりでございまするが、御指摘のとおり低硫黄のものというのは、やはりこれは一番要望されておるわけでございまするから、原油の形のみならず、重油の形ででも最大限に入手につとめるということをここではっきり申し上げておきたいと存じます。  次に、六十年七億キロリットルの場合の、一体輸送等についてどういう見通しかというお説でございまするが、タンカーもこれからは三十万トンクラスの超大型が主力になっていくということで、一部もう建造も進んでおると聞いておりまするが、いずれにいたしましても、相当数の船舶が日本との間を往復するということでございます。はたして六十年の七億キロリットルの消費量全体を原油の形で日本へ持ち込んで処理できるかどうか。それだけのはたして土地なり水なりというものが可能かどうかという点は、実は七億キロリットルという数字になりますると、私どもも考えております。そういう問題が当然出てくると存じますが、いずれにいたしましても、石油製品で輸入してくるにしても、現地に製油所を建てて持ってくるにしても、消費が無限に伸びますれば、それだけの量はわが国に持ってくるということでございます。今後はやはり日本に——海の上は船は何列でも走れるかと存じまするが、日本に近づいてきてから海難事故等を起こさないように、やはり集中的にCTS等に荷役をいたしまして、そこからゆっくり小運送で運ぶとか、あるいはさらにパイプラインで製油所なり消費地に持っていくというふうな輸送方法の近代化を考えませんと、すべての原油あるいは石油製品を積んだ船が東京湾や瀬戸内海の奥深くまでどんどんいまのように入るということは、もう早晩規制せざるを得ないというふうな時代が来ると思います。こういう点につきましては、運輸省のほうからもかねがね通産省にもお話が実はございまして、内部でも両省でいろいろ検討しておる。それに伴いましてCTSの問題等についても緊急の課題として取り上げて、具体的に考えを進めておるという状況でございます。
  166. 岡本富夫

    ○岡本委員 問題は、もう少しこまかく詰めたいと思ったのですが、あんまりおそくなるといけませんので、これはよく政府のほうで将来の見通しを立てて、そうして輸送あるいはまたいろいろな問題をきちっとひとつやらなければならないということを要望しておいて、備蓄の問題いろいろございますが、そこで私提案があるのですがね。  たとえば六十年を待たず、五十五年でも年間約五億キロリットル、こういうことになりますと、しかもまた備蓄をしていこう、そういうことになると、この備蓄する個所ですね。貯蔵タンク、十万トンのタンクが約千本、このコストは土地代だけでも、坪二万円としても二千億円、それからタンク代が一本三億円として三千億円、中に入れる原油がキロ当たり五千円として五千億円、こうなってくると、もう一兆円をこすような大きな金額になってくるわけですから、私は、やはりどうしても各省合わした大きなきちっとしたプロジェクトチームをこしらえなければ、これはもうとてもいろいろな運営がうまくいかなくなるのじゃないかということも考えておるのですが、そういう考えを持っていないかどうか、ひとつこれは政務次官いかがですか。これはちょっと提案なんですけれども、政務次官局長と相談して……。
  167. 莊清

    ○莊政府委員 原油備蓄は、仰せのとおり今後非常に量的にふえてまいります。同じ六十日分と申しましても、消費が伸びれば、一億キロリットルにでもそれ以上にでもなってまいるわけでございます。私ども通産省で詳細に検討したことがございまするが、原油の一キロリットルを備蓄するには大体二千五百円近いコストがかかるわけでございますが、一年分備蓄すれば二千五百円だけ石油の値段が上がるというわけでございます。六十日分でございますから、一年のうちの二カ月でございますからそれの六分の一になります。そうすると二カ月備蓄では、二千五百円に対しまして、大体内需に全部経費をぶっかけますと、キロリットル当たり四百円ぐらいがコストになるということかと存じます。さらに、この備蓄量というものを六十日から九十日、九十日から百二十日と上げれば、四百円であるものが五百円になり、あるいは六百円に上がっていくということかと存じます。これは消費が伸びますので、内需の伸びに応じまして全体のコストが上がりましても、キロリットル当たりに割り掛けてみますと、大体二月で四百円程度ということでございまするが、何ぶんにも一番の大きな問題は、適正な土地というものをいかに手当てするか、そこでいかに公害が出ないようにきちんとしたものを先行的にやっていくかという点が非常に大きい問題だと存じます。これは単にドルがあれば備蓄ができるとかいうふうなことではございませんで、国全体の立地計画の問題、港湾の問題、輸送の問題等すべてとからむわけでございます。また備蓄日数をふやしていけば、財政措置強化しなければ石油製品のコストに非常にはね返るという問題もございます。仰せのとおり、まさに総合的な問題でございます。現在通産省の中で、総合エネルギー調査会の場でいろいろ御検討いただいておりますが、これを実施に移す場合には、御指摘のとおり通産省だけではなかなか踏み切れません。これは運輸省も自治省も、いろいろなところに関係が出てくる問題でございますから、御指摘の点を十分体しまして勉強さしていただきます。
  168. 岡本富夫

    ○岡本委員 そうなってくると、どうしてもここで大きく力を入れてこなければならぬのが石油開発公団だと思うのですよ。要するに、今度の法案を見ましても、日本が海外で独自に開発をして、そしてどんどん需要を満たしていくために、公団に対しては相当力を入れてやっていかなければこれだけの量が満たされないし、あるいは備蓄もできない。こういうことを考えるときに、私は石油開発公団役割りというものは大きいものになると思うのですよ。そこで技術導入あるいは研究開発及び技術者の養成、新しい技能、こういった新しい職能といいますか、機能ですか、こういうものをやはり公団に持たせなければならぬ、公団強化というものが必要であろう、こういう観点から非常に期待もし、また、この公団の拡充あるいはまた公団の仕事のやりやすいようにやっていかなければならぬ、こういう考えからちょっとお聞きしたいのですが、そのためには公団に対する仕事の育成と同時に、今度は監視ということも必要になってこようと思うのです。そこで、この公団法の細則ですか、業務方法書ですか、この公団からは、各法人に対して、出資の基本条件としては資本金の五〇%が原則になっている、こういうことを聞いておりますが、それは間違いありませんか、どうですか。
  169. 莊清

    ○莊政府委員 御指摘のとおりでございます。法律あるいは業務方法書の上の明文でそういう制限があるわけではございません。これは機動的にやっておりまして、イランの石油開発の場合には七〇%弱の出資が現に行なわれたりいたしておりまするが、過去においては実は四〇%程度のものもございます。わが国が石油開発公団をつくりました本来の趣旨といいますものが、政府の積極的な助成が必要であるけれども、同時に民間の創意くふうというものを十分生かしながらこれを助成してやっていこうというふうな考え方から、お話のございましたように五〇%、半分半分というのが一応のめどというふうなことで運用はいたされておりまするが、弾力性はございます。現に六割以上出した例がございまするし、通産省といたしましては非常に重要な、しかも、希望が持てるけれどもリスクの高いような場合、こういう重要なプロジェクトにつきましては、七割以上でも出資を実行するという考え方を従前から持っております。
  170. 岡本富夫

    ○岡本委員 そこで、五〇%というのは別にきまってないのだ、七〇でも八〇でも一〇〇でも——一〇〇というのはおかしいですけれども、何ぼでもいいのだというのが通産省考え方ですね。
  171. 莊清

    ○莊政府委員 これは財源とのかね合いももう一つ事実上はございますけれども、必要な場合には、積極的な助成を弾力的に行なうということが基本方針であると私どもは考えております。
  172. 岡本富夫

    ○岡本委員 そこで、先ほど話のありましたイラン石油について、昨年の九月二十八日の設立からことしの三月までに六カ月、五十一億四千万ですか、になっておるのです。こんな多額になっておるのですけれども、公団の総裁にひとつお聞きしたいのですが、出資するにあたって、その評価は、こんな大きな出資をするについて、公団が一応技術者によるところの審査もしておるようでありますが、現地のほうにはお行きになって調査をなさっておるのか、ただ書類審査だけなのか、これをひとつお聞きしたいのですが、総裁見えておりますか。
  173. 島田喜仁

    ○島田参考人 イランはお話のように非常に大きなプロジェクトでございます。現在公団から技術陣を二回にわたりまして出しております。現在も行っております。
  174. 岡本富夫

    ○岡本委員 現地調査はもうなさっておるのかと聞いているのですよ。ただ書類審査だけで……。
  175. 島田喜仁

    ○島田参考人 本人が現在空中写真をとったり、現地に行っております。イラン石油会社と一緒にすでに現場で調査をいたしておりまして、一度はすでに帰ってまいりまして、私どもの技術陣と相談をいたしております。
  176. 岡本富夫

    ○岡本委員 現地に派遣したのはいつですか。
  177. 島田喜仁

    ○島田参考人 向こうの利権協定ができる段階では、私ども公団から理事が現地に参りまして、向こうの政府並びに公社と交渉いたしました。それから昨年の八月から約五カ月にわたりまして、現地で空中磁力、空中写真等要するに本人がやったわけでございますが、またこの一カ月前から現地に技術陣が行っております。本人が行っております。
  178. 岡本富夫

    ○岡本委員 間違いございませんね、これだけの大きな出資をするのでありますし、私は公団に対しては今後も大きくなっていくように期待もし、石油の問題については大切なものであるから聞いておる。また慎重にやらなければならない。わずか二週間くらいの書類審査で五十何億の金が出てくるというようなことでは——中小企業がちょっと借りようと思っても相当かかるわけですからね。相当審査もしあるいはまた直接現地も調査をして、そして間違いのないようにやっていただかなければならないということをまず申し上げておきます。  次に、法務省来ておりますか——法人、会社というのは、発起人が集まって会社の登記、法人の登記をする前にこれを法人とみなすのか、あるいはまた登記してからがほんとうの法人なのか、これについてひとつ。
  179. 田邊明

    ○田邊説明員 法人と申しますのは、原則はおっしゃるように一般には登記によって成立するものでございますが、法律的には設立準備中のものを含めて法人と考えております。正確には、設立中の法人、会社の場合には設立中の会社というふうに表現しております。
  180. 岡本富夫

    ○岡本委員 そうすると、設立前も発起人が集まっただけで、もうそれで法人としての資格があるわけですか。
  181. 田邊明

    ○田邊説明員 法人としての実体はまだ備えておりません。そこで設立中の法人という表現をいたしますように、法人をつくるためにその実体を形成しつつある一つの集団、法律的にはそう考えております。先生のおっしゃるように、登記がなされませんとその実体は法律的には備えないものでございます。しかし、法人をつくるために必要不可欠な行為をいたしますために、発起人といういわば一つの機関を設けてそういうものをつくり上げる仕事をやっている、その段階も法人に準じた一つの団体としてながめております。
  182. 岡本富夫

    ○岡本委員 法人に準じた法人、おかしな話だね。法人というのは、その前の準備があっても、これは発起人が集まっていろいろ相談しておるだけであって、これはほんとうの法人とはいえないのじゃないか。やはり法務省に登記されて初めて法人の資格ができるのと違いますか。
  183. 田邊明

    ○田邊説明員 おっしゃるとおりでございます。
  184. 岡本富夫

    ○岡本委員 法人というのは、設立前は法人とはいえないのですよ。  そこでもう一つ聞いておきたいことは、公団の業務方法書の中に「公団の出資および資金の貸付けの相手方は、海外において石油の探鉱を行なう本邦法人または本邦人もしくは本邦法人が出資しかつ経営に参加している外国法人」こういうように法人かあるいはまた本邦人というふうに出ているわけです。ところが公団の出資状況を見ますと、たとえばエジプト石油ですか、これが設立は四十五年の七月十七日、ところが出資したのはその前の七月の九日に出資しておるということになりますと、この公団の業務方法書の六条と違うのではないかということを私は考えるわけですが、その点について総裁からひとつ……。
  185. 島田喜仁

    ○島田参考人 普通の場合は、設立登記が完了して会社が設立されてから出資をするのが私は原則だと思います。しかしながら、御承知のように石油の利権交渉、契約等は非常にタイミングを要する関係から、ただいま私どもの考え方といたしましては、やむを得ない場合には、すでに発起人総会が開かれまして定款がきめられ、あるいは発起人が株を引き受けたという時点では、タイミングを要する場合には出資をするほうが石油開発の目的を達するという意味で出資をいたしております。
  186. 岡本富夫

    ○岡本委員 この業務方法書というのは通産省検討しているわけですね。それならそれで、そういう便法を使うなら便法を使うというような、ここに規定がなければおかしいのではないかと私は思うのですね。だから、この六条にやはりそのことがはっきりうたってなければ、これはちょっと業務方法書——要するに最初に公団法ができたのですから、このときの精神と便法を使っている。それであればそのように私は改正が必要であろうと思うのですが、通産省いかがですか。
  187. 莊清

    ○莊政府委員 学説上の通説といたしましては、先ほど法務省からお話があったように、会社の設立手続でもそれが相当に段階が進んで熟してきた場合には、いわゆる設立中の会社という法律上の概念をもって一つの社会的な存在として考えて適当であるということが通説としてあるということは、私どもも承知いたしております。したがいまして、業務方法書の上で本邦法人という場合に、その学説によりますれば、そういう設立中のものも、手続がほとんど進行して設立が確実という場合には含み得るという意味におきまして、いま総裁がおっしゃいましたようなやむを得ない事情がある場合には、従来、全くの例外でございますけれども、二、三そういう例がないわけではございません。仰せのとおり、これは解釈、運用でやってもいいかもしれないけれども、政府機関であるから、かつ相当大きな金額が出資されるのであるから、そこのところは業務方法書上も明確にしろ、それを認めるなら認めるでどういう場合にどういう手続で認めるかというふうなことをはっきりしたほうがいいではないかという御指摘、私は全くごもっともであると思って拝聴しておりました。そういう方向でひとつ検討させていただきます。
  188. 岡本富夫

    ○岡本委員 二、三ありますというけれども、ぼくの調べただけでも三カ所、三カ所というのは二十二社のうち三カ所ですよ。百カ所のうち三カ所じゃないのだから。いまあなたが答弁されたからよろしいけれども、そういったはっきりしたことをわれわれが見てわかるようにしてもらわぬと困る。  次に、通産省それから公団から資料をもらったのですが、この中で、所要資金に対して公団から投融資資金を出しておる。海洋石油、これは所要資金が一千万しか要らない、それに一億二千万の投融資資金を出しておるのですが、これは資料が間違いなのか、どうですか。
  189. 莊清

    ○莊政府委員 海洋石油は現在資本金が全体で二億三千万円だったと記憶いたしておりますが、公団からの出資金はちょうどその五〇%、一億一千五百万円でございます。この会社は三井、三菱それから伊藤忠、日商岩井等、商社が中心になりまして石油開発に乗り出すプロジェクトが具体的にあったわけではございませんが、広くチャンスを求めて機動的に動くという必要もあってできた組織でございますけれども、その中で的確な利権情報あるいは地質図等を入手するということが仕事を行なう場合に基本前提になりまするが、これが非常に国際的に高いわけでございます。資料費と申しましても決して一千万円ではございませんで、一億何がしの出資といいますものは非常に高い資料費、どうしても要りますので、そういうものを考えての出資でございます。
  190. 岡本富夫

    ○岡本委員 これは総裁、あなたからもらった資料ですが、その他の会社、たとえば海洋石油の上の合同石油、これですと所要資金が三十五億五千万。ところがその下の海洋石油、これは一千万しか要らない。三十五億五千万の合同石油開発では十六億、それから海洋石油会社では所要資金が一千万しか要らないのに一億二千万、こういうような資料が出ておるわけです。これは間違いなのかどうか。これは時間の関係であれですが、どうなんですか。
  191. 島田喜仁

    ○島田参考人 実はその資料は公表をいたしておりませんが、もしいま一千万ということであればそれは間違いであると思いますので訂正をさせていただきます。
  192. 岡本富夫

    ○岡本委員 最後に一問、これは外務省ですか、日韓大陸だな話し合いがあったのですが、この話し合いは第一回が一九七〇年十一月四日、五日ですか、第二回が一九七一年、一九七二年とこういうふうにやっておりますけれども、これについて実は私、疑問の点があるのです。日本石油開発に鉱区の指定をさせておるわけですが、鉱区の指定をして日本石油開発に五千万の出資をさせて国がそれをとっておるわけですが、この鉱区が韓国の言うところと同じように重複している。大体この時期を見ますと、韓国と話し合いがまだついていないころに、こういう鉱区に出資をさせておるというような実例があるのですが、この点についていかがでしょうか。これは通産省とどこですか。
  193. 島田喜仁

    ○島田参考人 公団は出資をいたしておりません。
  194. 莊清

    ○莊政府委員 御指摘の鉱区は実は韓国とわが国と大陸だなの所管につきまして紛争のある地域でございまして、一昨年来外交ルートを通じまして法律論争をじみちにやっております。何とか両方円満に納得できる形で解決しようということであらゆる議論を尽くしていまやっておる最中のところであります。まだボーリングなど行なっておりませんし、公団の出資も総裁の御答弁のとおりございません。
  195. 岡本富夫

    ○岡本委員 公団の出資ではなくて、日本石油開発が鉱区を購入するため国に対して五千万を出して、日本政府に五千万を支払いをしてこの鉱区の権利をとっているわけです。ただ、韓国との話し合いがまだできていない、ちょうど話し合いのころに、日本政府が日本石油開発に対して五千万をこっちが出資したのではなくて支払いさせて鉱区の権利をとらせておる、こういうことが私の手元に出ておるわけですが、この点についてひとつ最後にお聞きして終わりたいと思うのですが、いかがですか。
  196. 莊清

    ○莊政府委員 福岡の通商産業局長に対しましてその会社は鉱業権の設定の出願を現在いたして、願書は受理されておりまするが、まだ鉱業法に基づく権利の設定は行なわれておりません。御指摘のような事実は私存じませんので、調査をさせていただきたいと存じます。
  197. 岡本富夫

    ○岡本委員 これは調査をして——私のほうにはそういう資料が入っておるわけですから、韓国との間でまだはっきりしていないというときに鉱区の指定をして、そうして先にその権利を渡すというのもちょっとどうもおかしいように感ずるわけです。ですから、それはひとつ調査をして、あとで御返事をいただきたい。  このあとまだだいぶあるのですけれども、時間ですから次の機会にいたしまして、きょうはこれで終わります。
  198. 鴨田宗一

    鴨田委員長 次回は、来たる十四日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十一分散会