○石川
委員 私この前、
沖繩の
海洋博覧会の件ではすでに一回質問をしております。ただ、残念なのは、そのときも通産
大臣が見えておりません。きょうもやむを得ない事情ではございますけれ
ども、通産
大臣並びに私が要求しております科学技術庁長官、お二人とも見えておらないわけでございます。そこで質問をいたしましても、ちょっと最終的な結論が得られないのではないかという不安があるわけですが、きょうおいでになった方は、よく私の質問の趣旨を理解していただいた上で、
大臣にそれぞれひとつ、私の意のあるところを伝えてもらいたい。同時に機会を改めて、そのことの確認をする必要がある点がございますから、その点はあらかじめ御了承を願いたいと思います。
この前の質問で、私が伺いました結果としては、いま
松尾委員のほうからも話がありましたように
建設費は三百四十から五十億、大体
本部という
土地に二十万坪の
土地を選んで、四百億から五百億円ぐらいの
建設費を要する、関連の
費用は大体一千億円ぐらいである、たいへんな事業であります。
本部地方にこれだけの仕事をやるということは、大阪であれだけ成功をいたしましたけれ
ども、これは万博以上にたいへんな困難性があるのではないか。期間もあまりございません。したがって、相当の決意でこれに取り組まないというと、たいへんな失敗をすることになりはせぬかということを私は非常に心配をいたしております。その点は、やる以上は、成功裏にこれを開催をし、終了できるということの決意をひとつ固めてもらいたい。
沖繩の将来の
開発あるいは
振興というものと結びついての
計画としては、たとえば渡久地、運天
港湾などの拡張というような問題もあるし、
道路などの拡幅、あるいは新たに開拓するという問題もあります。それからあと地利用としては、将来
観光用にこれを供するとか、
海洋開発の研究所というものにして残すとか、あるいは
海洋青少年訓練センターとする、あるいは海底牧場をつくって残しておくというようなことで、いろいろ御
計画があると私は伺っておりますけれ
ども、これはいまのところまだ机上のプランであります。これを真に実現するということのためにはかなりの努力が要るであろう、こう
考えますので、ぜひひとつこれらの点、
沖繩の住民がやってよかったと思われるような
計画に生かしてもらいたい、こう私も強く切望するわけであります。
そこであと
一つ問題は、この前も質問をしたのでありますけれ
ども、実は
海洋開発の科学技術センターというものができて、この前もいろいろ伺いましたけれ
ども、
海洋開発は非常にむずかしい問題で、これはある意味では、宇宙
開発よりもむずかしい点が多々あるのですね。十メートル深くなると気圧が一気圧ずつかかってまいりますし、それから風速数十メートルに相当するような潮流が流れておる。それからそれ以外の点で問題があるのは、ヘリウムガスを使うということになると声が高くひずんだり、体温が非常に冷えてしまったり、電気機器が単純には動かないという非常に困難があって、これをどういうふうに開拓していくか、あるいは潜水医学をどうするかという点では、この前も申し上げましたけれ
ども、まあ、
日本では梨本教授一人しかいないというくらいにやはりりょうりょうたるものなんであります。したがって、科学技術センターといたしましては、
ほんとうに基礎中の基礎のオセアノートの養成とか、そういったものから出発するということで、私が初めこれをつくるときに要望いたしましたように、財界あるいは民間
産業で、まあ支離滅裂といいますか百鬼夜行のような形で研究が進められておるものを、何とか統合していくという力を発揮するというところまでにはいかないんじゃないか、こういうようなことを私は非常に心配をいたしておりますが、これは
海洋博の問題とは離れますので、これはまた別の機会にそういう点で質問申し上げたいと思っております。
それで、
海洋博をやる以上は、将来の
沖繩の発展に影響のあるように、まあよい影響のあるような形でぜひやってもらいたいということはもちろんでありますが、同時に、
海洋博覧会をやったことによって
海洋開発の研究が
一つ促進されたというような成果を、どうしても私はおさめてもらわなければならぬということをこの前強く御要望申し上げたわけであります。私は、海水の淡水化というのは、
沖繩にとっては、三十万トンか四十万トンの北部の水を開拓するという
計画はございますけれ
ども、大きな
装置産業を
一つやると、一社でもって十万トンは使っちゃうのです。そういうようなことで、とても三十万トンとか四十万トンではこと足りない。
ほんとうに第二次
産業というものを
沖繩の将来のために
振興させていこうとするならば、さらにこの海水の淡水化ということにまで目を向けていかなければならぬのではないかということで、これをひとつ目玉にしたらどうだということを申し上げたんですが、これは、私の強い要望ではありますけれ
ども、非常に私は困難性があるんだろうと思っております。思っておりますが、これができれば、
沖繩の人にこれほど喜ばれる事業、研究の成果というものはないであろう。また、別に私はこの淡水化にそれほど固執するわけじゃございませんけれ
ども、何か研究の成果をここでもってはっきりさせる。まあ
日本は非常におくれておりますから、たとえばクストー教授のやっておるようないろんな
計画、あるいはまたシーラブ
計画、プレコンチナン
計画というふうなものに比べると、十年くらいおくれているんじゃないか。アメリカのほうはもうすでに宇宙
開発をこの
海洋開発のほうに転換するということで、思い切った金を投入しております。まあ、国防
費用が大体六割くらい占めておるわけでありますが、
日本とは
予算の
規模が全然違います。そういうことでありますから、それよりも一歩先んじたような成果をおさめるというふうなことは、なかなか
現実の問題としては困難でありますけれ
ども、ただ単なるお祭り騒ぎでもって
博覧会をやったというような形で終わらしたのでは、たいへんこの開催の意義が薄れてしまうということを心から私は懸念をいたしております。そういうことで、思い切った目玉商品なるものは一体何だということで、思い切ってこの
費用をつぎ込んで研究
開発をやって、それを中心に進めるというくらいの決意をもって、ひとつこの
博覧会というものを有意義なものに終わらしてもらいたいということを心からお願いをするわけであります。これはこの前申し上げたことですから、もうここでは触れません。
そこで、私のきょうの質問は非常に簡単なのであります。これはしかし、なかなか答弁を得ることはむずかしいと思うのでありますけれ
ども、実際は、国連の海底平和利用特別
委員会というのが一九六八年七月十日に開かれております。そこで、海底の平和利用というものについて相当いろんな
意見が出ておるわけであります。私は科学技術
振興対策特別
委員会にも所属いたしておりますが、原子力といい宇宙
開発といい、あるいは
海洋開発といい、これはいずれも、もろ刃の剣であります。原子力は原爆になる、宇宙
開発はICBMになる、それからさらに
海洋開発は海底の軍事利用という危険性が相当強いわけであります。なぜ軍事利用になりやすいかということは、これは皆さんに私からいまさら申し上げるまでもございません。それは、大陸だなへの兵器の配備というものはもうすでに可能な状態に——まあ
日本ではちょっとまだむずかしいでしょうけれ
ども、世界の先進国のレベルではなってきておる。また、近い将来は深海底のほうへ配備することも、いま研究
段階ではありますけれ
ども、可能になるであろう、こういう見通しになっておるわけであります。それで、気密カプセルにおさめて海底配備すればICBMなんかよりは安全であるし、また、潜水艦ミサイルよりもコストが安い。そういう利点がある。でありますから、どうしても軍事利用への誘惑というものは非常に強いものがあるわけです。それから、海面の下での秘匿技術、これは、海が非常に不透明であります。深くなりますと、なかなか捕捉しにくくて、これの探知技術なんかよりもどうしても優位に立つ。でありますから、そこで、あらゆる国は堅固な海底軍事基地への誘惑というものが相当強くなってきておる。海溝なんかがあればなおさらのことであります。そういうことで、軍事利用への誘惑というものはきわめて強いものがある。それから、海底の核機雷ということも
考えられる対象になっておるわけであります。これは遠くのほうからコントロールして、使用の際には適当な深度にまでこれを浮き上がらさせるということもこれは簡単にできるわけであります。こういうことも現在もう研究
段階の域を脱しておる
現実であります。それから、海底のABMだってできる、こういうことになっております。仮想敵国に近接して配置をすれば、発射直後に迎撃ができるんだということになりますから、これはまた軍事利用にはきわめて好都合の兵器配置ということになるわけであります。ただ、いろんな点でこの深海の場合に問題がありますのは、指揮、統御というものが非常に困難だということでありますけれ
ども、しかし、オセアノートというものがだんだんに訓練され、養成をされれば、そのほうの問題も解消するであろう。こういうことで、国連で特に平和利用ということが強調されるゆえんのものは、軍事利用の誘惑がきわめて強いということであります。
したがって、この
海洋開発の目的といたしましては、水産資源とか
エネルギーあるいは海底鉱物資源ということになりますが、生活圏の拡大として、海底居住、海底トンネル、海中公園というふうなことがありますけれ
ども、私はまあ、海中公園というふうな
観光資源ということならよろしいのでありますが、海底生活というようなことは、きわめて軍事利用というものの誘惑を強くさせることにつながってくるのではなかろうかという懸念を非常に強く持たざるを得ない。私一方的にお話ばかり申し上げて、たいへん恐縮なんでありますけれ
ども、科学技術
委員会のほうでは再三このことについては討論をいたしております。
そこで問題は、公明党さんが非常に熱心なんでありますけれ
ども、もう海底資源
開発なんかでも、大陸だなの問題でいろいろ各国との紛争も出てくる危険性もあるわけであります。そういう場合に、
日本がこの
海洋開発を行なっても、軍事利用はしないのだ、あくまでも平和に徹するんだということがなければ、円満な海底資源の
開発も不可能であるということは明瞭であります。そこで公明党さんのほうでは、
海洋開発基本法というものをすでに提案をされておるわけであります。宇宙
開発につきましては、宇宙
開発事業団というものができましたときに、これは平和利用に限るんだということはわれわれの要求でもって入れてもらいました。まだこの宇宙
開発については完ぺきだとはいえませんが、一応
国会の決議といたしましては、大気圏の大部分を越えた外に出るところの物体、あるいはその物体を発射する装置というものは平和利用に限るんだということで、
国会の決議も出ておるわけであります。しかし、
海洋開発はいまだかつてそういうことが全然ないわけなんです。で、私個人の希望でありますけれ
ども、どうしても、この
海洋博覧会をやる前に、
海洋開発の平和利用というものを中心とした
基本法というものができなければならず、また、そうすることによってこの
博覧会の意義というものが大きく生きてくるのではないか、こういうことを私は常々
考えております。
きょうは
大臣いらっしゃらないので、ここで回答いただくということはちょっとむずかしいのじゃないかと思いますけれ
ども、これは野党としての強い一致した要望であります。したがって、きょうは千葉さんがおいでになっておりますが、この点についてどうお
考えになっているか。まあ善処しますというふうなことではなくて、一歩進んで、どうしても
海洋博をやるんだったら、その場合には、
基本法で平和利用に限るんだという、こういう
日本の
姿勢をき然として打ち出すということでなくては、
海洋博覧会をやるということは非常な混迷と疑惑を持たせるということになりはしないかということを
考えますので、その点どうお
考えになっているか。
局長段階でなかなか御答弁ができないことがあると思うのでありますけれ
ども、その場合には科学技術庁長官あるいは
関係大臣、
関係省庁、そういうところと十分話し合っていただいて、ぜひこの
海洋開発の
基本法というものをつくってもらうということに対しては、どうお
考えになっておりますか、御答弁を願いたいと思うのです。