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田中国務大臣 開発途上国に対する
経済援助については、
DACの平均
数字までにならなければならないということを申し上げたわけでございます。これは量的な問題をまず申し上げたわけでございます。国民総生産の一%——現に〇・九三%ということでございますから、これを一%以上にしたい。そうすれば、
DACの加盟諸国の平均にもなるわけでございまして、この量的拡大に対しては、私は十分これにこたえていけると思います。ただ質の問題がございます。質の問題は、ほかの国々、まあ先進工業国は特殊な
事情もあるのです。これは
一つには、かつて自分の植民地であったというような関係で、植民地の間には、特別に無関税制度をとっておったというような
状態もございますし、まあ
日本とは違う面もございます。
アメリカは、これは軍事援助に付随した
経済援助ということで現ナマを出しておるということで、言うならば、
日本の海外
経済協力基金からの援助をもっとふやしなさいということでございます。輸銀中心のコマーシャルベースによるものプラスアルファでは、ほんとうに援助になるのかどうかというところが常に
指摘せられておるところでございます。言うならば、海外
経済協力基金の資金量をも
一つと拡大しなければならない。それと、海外
経済協力基金と輸銀との協調融資、これに民間との——民間の
銀行団がシンジケートをつくって、これに合わせて段階をつくれば、これは国際的になると思うのです。いま国際的には、
主要工業国はIMFがスタンド
バイクレジットでめんどうを見ることになっておりますし、SDRの制度でもってお互いが協調し合うようになっております。それから、中進国に対しては世銀が七分二厘五毛でございますかで融資をしております。それから、
開発途上国については、第二世銀が無利息、五十年ということでございます。また、それに対していろいろなことをやるのは、第二世銀が半分、世銀が半分、抱き合わせれば三分五厘か何かになるわけでございます。そういうことで、
日本が
開発途上国に出しておる援助はコマーシャルベースプラスアルファであって、これは質の問題の問題がある、こういうことでございますが、これからもひとつ質の問題も大いにやろう。私たちが
政府援助などをやると、どうも
日本がまたいろいろなことを言われるとまずいので、お互い相対ずくで話をするコマーシャルベースのほうがいろいろな国々の理解を得られると思ってウエートを置いてきたわけでございますが、そうではなく、やはり利息は安いほうがいい、償還年限も長いほうがいい、
政府ベースの援助のほうがいいんだということであれば、そのようにだんだんと切りかえていくということはもう御
指摘のとおりだと思います。ただ、だれがといいますが、とにかく去年の一月には
外貨の手持ち高は四十五億
ドルしかなかったわけでございます。そういう
意味で、あっという間に百六十四億
ドルになったのでございまして、私も
通産大臣に就任してからもうすでに半歳余の歳月を経ておるわけでございますから、そういう責任は多分にあるわけでございますので、毎日のように
大蔵省とかけ合って、とにかく何とか
経済援助というようなものをもっと効率的なものにしたいということ考えております。
ここで
一つだけ申し上げておきますのは、いまの外為法の改正を行なわないでやろうとしているところに問題があるわけでございます。円の収縮を伴わない
外貨の貸し付けはしないということでございます。そうなると、
外貨がたまるたびに国内の流通円はふえるわけでございまして、そういう問題に対しても
調整を行なわなければならないのであって、いま幾つかの案を出しまして、
大蔵省が短期証券を出してその間にやったらどうとか、ユーザンス期間をうんと延ばしたらどうとか、また場合によっては単行法を出して、ある一定の額の
長期的な
投資に対しては円の収縮も伴い、しかも金利は安くなる輸銀法の特例ができるかどうか、こういうような問題、これは通産省、外務省、
経済企画庁及び
大蔵省の四省協議でございますので、そういうことで御
指摘を受けるようなことなきにしもあらずということでございますから、今度はプロジェクトが出てきてから半年も一年もかけるような過去のような
状態はやらない。大蔵、通産、外務の三
大臣に、ある時期が来たら自動的に上がる、上がったら採決を行なってもきめよう、そうすれば、大体海外
投資には外務
大臣と
通産大臣は賛成でございますから、いつでも二対一になるわけでございます。そうすれば、特別決議もできるんだからということで、かつてもう五つか六つの大きなプロジェクトをきめておるわけでございまして、おしかりを受けないように、責任の所在等を追及されないうちに私たちもひとつこういう問題を十分効率的に処理してまいります。