運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1972-06-12 第68回国会 衆議院 社会労働委員会 第37号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年六月十二日(月曜日)     午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 森山 欽司君    理事 小沢 辰男君 理事 橋本龍太郎君    理事 山下 徳夫君 理事 田邊  誠君    理事 大橋 敏雄君 理事 田畑 金光君       有馬 元治君    大野  明君       小金 義照君    斉藤滋与史君       澁谷 直藏君    田中 正巳君       竹内 黎一君    中島源太郎君       中村 拓道君    向山 一人君       渡部 恒三君    石川 次夫君       川俣健二郎君    八木  昇君       山本 政弘君    近江巳記夫君       古寺  宏君    古川 雅司君       西田 八郎君    寺前  巖君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 斎藤  昇君         労 働 大 臣 塚原 俊郎君  出席政府委員         公正取引委員会         事務局取引部長 熊田淳一郎君         行政管理庁行政         管理局長    平井 迪郎君         科学技術庁計画         局長      楢林 愛朗君         科学技術庁研究         調整局長    千葉  博君         厚生政務次官  登坂重次郎君         厚生大臣官房審         議官      信澤  清君         厚生省環境衛生         局長      浦田 純一君         食糧庁次長   中村健次郎君         水産庁次長   藤村 弘毅君         労働省労政局長 石黒 拓爾君  委員外出席者         環境庁水質保全         局水質規制課長 山中 正美君         大蔵省主計局主         計官      渡部 周治君         文部省初等中等         教育局小学校教         育課長     柴沼  晋君         厚生省公衆衛生         局栄養課長   折田 貞雄君         厚生省環境衛生         局食品衛生課長 鴛淵  茂君         厚生省環境衛生         局乳肉衛生課長 神林 三男君         厚生省環境衛生         局食品化学課長 小島 康平君         厚生省薬務局参         事官      豊田 勤治君         農林省農林経済         局企業流通部長 下浦 静平君         農林省畜産局参         事官      斎藤 吉郎君         農林省蚕糸園芸         局野菜花き課長 関谷 俊作君         通商産業省化学         工業局化学第二         課長      小幡 八郎君         社会労働委員会         調査室長    濱中雄太郎君     ――――――――――――― 委員の異動 六月十二日  辞任         補欠選任   後藤 俊男君     石川 次夫君   浅井 美幸君     近江巳記夫君 同日  辞任         補欠選任   石川 次夫君     後藤 俊男君   近江巳記夫君     浅井 美幸君     ――――――――――――― 六月九日  健康保険法改正反対等に関する請願寺前巖君  紹介)(第四五七七号)  同(不破哲三紹介)(第四五七八号)  同(田代文久紹介)(第四六二三号)  同(土橋一吉紹介)(第四六九〇号)  同(東中光雄紹介)(第四六九一号)  同(山原健二郎紹介)(第四六九二号)  同(米原昶紹介)(第四六九三号)  同(寺前巖紹介)(第四七〇九号)  健康保険法改正反対及び医療保障拡充に関す  る請願浦井洋紹介)(第四五七九号)  同(林百郎君紹介)(第四五八〇号)  同(津川武一紹介)(第四五九〇号)  同(寺前巖紹介)(第四五九一号)  同(林百郎君紹介)(第四五九二号)  同(不破哲三紹介)(第四五九三号)  同(浦井洋紹介)(第四六二二号)  同(小濱新次郎紹介)(第四六六七号)  同(伏木和雄紹介)(第四六六八号)  同(小濱新次郎紹介)(第四六八七号)  同(中嶋英夫紹介)(第四六八八号)  同(伏木和雄紹介)(第四六八九号)  労働者災害補償保険補償額引上げに関する請  願(林百郎君紹介)(第四五八二号)  同(下平正一紹介)(第四七〇七号)  日雇労働者健康保険制度改善に関する請願  (土橋一吉紹介)(第四五八八号)  同(山原健二郎紹介)(第四五八九号)  同(青柳盛雄紹介)(第四六一五号)  同(石川次夫紹介)(第四六一六号)  同外一件(岡田利春紹介)(第四六一七号)  同外三件(島本虎三紹介)(第四六一八号)  同(米原昶紹介)(第四六一九号)  同(川俣健二郎紹介)(第四六四〇号)  同(辻原弘市君紹介)(第四六四一号)  同(浦井洋紹介)(第四六五一号)  同(小林政子紹介)(第四六五二号)  同(田代文久紹介)(第四六五三号)  同(寺前巖紹介)(第四六五四号)  同(土橋一吉紹介)(第四六五五号)  同(東中光雄紹介)(第四六五六号)  同(松本善明紹介)(第四六五七号)  同(小濱新次郎紹介)(第四六六六号)  同外一件(石川次夫紹介)(第四七〇六号)  要指示医薬品に係る厚生省告示第四百八号の撤  廃に関する請願外十五件(瀬戸山三男紹介)  (第四六二〇号)  同(西村英一紹介)(第四六二一号)  同外二件(本名武紹介)(第四六六〇号)  国立療養所給食内容改善に関する請願(谷口  善太郎君紹介)(第四六二四号)  元満鉄職務傷病社員等に対する戦傷病者戦没者  遺族等援護法適用に関する請願島本虎三君紹  介)(第四六二五号)  老人医療無料化における所得制限撤廃等に関す  る請願外三件(橋口隆紹介)(第四六三九号)  同(辻原弘市君紹介)(第四七〇八号)  柔道整復師試験受験資格に関する請願小金  義照紹介)(第四六五八号)  バーテンダー資質向上のための法律制定に関  する請願本名武紹介)(第四六五九号)  海外引揚者福祉施設建設等に関する請願(進  藤一馬紹介)(第四六六九号)  老人家庭奉仕員常勤化に関する請願山口鶴  男君紹介)(第四六七〇号)  シンナー、接着剤遊びを規制するための毒物及  び劇物取締法改正に関する請願門司亮紹介)  (第四六八六号) 同月十日  国立療養所給食内容改善に関する請願田畑  金光紹介)(第四七二五号)  民有林労働者労働災害防止対策等に関する請  願(津川武一紹介)(第四七二六号)  同(寺前巖紹介)(第四七二七号)  建設業退職金共済制度改善等に関する請願(寺  前巖君紹介)(第四七二八号)  日雇労働者健康保険制度改善に関する請願  (西田八郎紹介)(第四七二九号)  同(広瀬秀吉紹介)(第四七三〇号)  バーテンダー資質向上のための法律制定に関  する請願鹿野彦吉君紹介)(第四八六五号)  同(倉石忠雄紹介)(第四八六六号)  歯科技工士資格付与特例措置に関する請願  (久保三郎紹介)(第四八六七号)  同(橋本登美三郎紹介)(第四八六八号)  労働者災害補償保険補償額引上げに関する請  願(倉石忠雄紹介)(第四八六九号)  老人医療無料化における所得制限撤廃等に関す  る請願(正示啓次郎紹介)(第四八七〇号)  同(辻原弘市君紹介)(第四八七一号)  要指示医薬品に係る厚生省告示第四百八号の撤  廃に関する請願外十七件(大坪保雄紹介)(第  四八七二号)  優生保護法の一部を改正する法律案反対に関す  る請願大原亨紹介)(第四八七三号)  同(川俣健二郎紹介)(第四八七四号)  同(阪上安太郎紹介)(第四八七五号)  同外二件(土井たか子紹介)(第四八七六号)  柔道整復師試験受験資格に関する請願(仮谷  忠男君紹介)(第四八七七号)  医療事務管理士法制定に関する請願外十件(鹿  野彦吉君紹介)(第四八七八号)  小児慢性疾患療育給付全額公費負担等に関す  る請願足立篤郎紹介)(第四八七九号)  神経痛等はり、きゆう治療の社会保険取扱手続  き簡素化に関する請願池田清志紹介)(第四  八八〇号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 六月十日  上水道事業に対する援助措置強化に関する陳情  書  (第三七八号)  重症心身障害児(者)療護施設整備拡充に関す  る陳情書外一件  (第四〇七  号)  民生委員指導費増額に関する陳情書  (第四  〇八号)  難病対策基本法早期制定に関する陳情書  (第四〇九号)  国民年金制度改善に関する陳情書  (第四一〇  号)  保育所整備費補助基本額適正化に関する陳情書  (第四一一号)  保育料徴収金基準額区分の改定に関する陳情書  (第四一二号)  児童福祉施設措置費基準引上げに関する陳情  書  (第四一三号)  老人医療無料化に関する陳情書  (第四一四号) は本委員会に参考送付された。      ――――◇――――― 本日の会議に付した案件  食品衛生法の一部を改正する法律案内閣提出  第七七号)(参議院送付)  労働関係基本施策に関する件(労働協約に関 する問題)      ――――◇―――――
  2. 森山欽司

    森山委員長 これより会議を開きます。  食品衛生法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。川俣健二郎君。
  3. 川俣健二郎

    川俣委員 大臣がおらぬようですね。政務次官にあらためて前回の空気を申し上げますと、いま牛乳を、ほんとう牛乳を飲んでください、これは農林省畜産奨励からも言うし、それからほんとう牛乳を飲ませなければならないという食品衛生法、これは厚生省ほんとう牛乳を飲みたいものだという消費者、こういう話から、この間、それじゃ農協牛乳という、これもトレードマークみたいだからあまり宣伝したくないのだけれども、あれはほんとう牛乳なんだ。千ccの入れものがまたたく間に売れたのです。ところが、その入れもの商標に、ABCのAが入っておったわけです。そうしたら、それを農協牛乳の入れものに入れることはちょっと遠慮願いたいという公正取引委員会考え方だというのです。それじゃ、需給体制のためにやむを得なく加工牛乳を許しておる場合に、加工牛乳の入れものにはAというものを許していて、こっちのほうのほんとう牛乳にAというものをなぜ許さないのかということを言ったら、うしろのほうのエースのお二人がかわるがわる答弁したのだけれども、どうもわからないということで休憩になって、今日になったのです。  したがって、委員会を進める上に、この答弁からまず伺っていきたいと思います。
  4. 熊田淳一郎

    熊田政府委員 先日の先生の御質問の趣旨はよくわかりましたので、私どもといたしましては、この牛乳公正競争規約の中で時代の要請にそぐわないというような点があるように思います。そういう点につきまして、関係省とも十分に協議をいたしながら再検討をいたしたわけであります。先ほどお話のございましたAという表示をどういう牛乳につけるのが適当であるかという問題も、再検討をいたしてみたいというふうに考えております。
  5. 川俣健二郎

    川俣委員 再検討というのは、どういう意味なんですか。私は、この前の質問に対してお答えを願いたいと言っているのです。
  6. 熊田淳一郎

    熊田政府委員 この農協牛乳にAという表示をつけることの可否ということであると思いますけれども、これは農協牛乳に限らないわけでございまして、普通乳といいますか、なま乳といいますか、そういうもの消費者嗜好が重点的に移っておるという傾向、それから成分的にいいましても、製造過程というようなものから考えましても、やはり生乳中心であるべきであるという考え方、こういうような考え方を十分に私ども取り入れまして、いまございます牛乳商品名表示につきましては、関係省とも十分協議しながら再検討をしたい。現在のこの規定時代に十分マッチしていないのではないかというふうに考えますので、その点再検討したい、こういうことでございます。
  7. 川俣健二郎

    川俣委員 何だかわからないな。こういうことですよ。ほんとう牛乳を飲ませたい、飲みたいということでしょう。だから、この間の農協牛乳というのは一つトレードマークだったのだけれども、あの牛乳はよい牛乳なの。それはエースとはいえないのだな。どうなんです。
  8. 熊田淳一郎

    熊田政府委員 エースということば意味でございますけれども、他に比べて一番すぐれておるという印象を与えることばでございます。農協牛乳が他に比べていいか悪いかという問題確かにそれはございますけれども、一般的な問題といたしまして、エースというようなことばを客観的な基準を設けませんで用いるということにいたしますことは、表示の適正という点から考えまして私どもは適当ではないというふうに考えておるわけでございます。いまの公正競争規約が定めております基準、それは乳脂肪分が三・五以上だとかあるいは乳固形分が八・五以上というようなものにつきましてのみマークがつく、そういう乳脂肪分含有量という基準から考えて、すぐれたものという表示をつけてもいいのだという考え方に現在の規約はなっておるわけでございます。しかしながら、それを実質的に見てみますと、これは加工乳だけにしかAというような表示がつけれないという形になっておるわけでございます。これは結果的にそういうふうになっておる。これは先ほどから私も申し上げましたように、また先生がおっしゃっておられますように、なま乳といいますか、普通乳といいますか、そういうものの重要な性格ということから考えますと、はたして妥当な表示基準であろうかということに疑問を持つわけでございます。したがいまして、そういう点につきまして再検討をいたしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  9. 川俣健二郎

    川俣委員 加工乳しかつけられない規定になっているというのは、もう少し教えてくれない。
  10. 熊田淳一郎

    熊田政府委員 ただいま申し上げましたように、乳脂肪分が三・五%以上というような基準になっております。もちろんなま乳でも三・五をこえたものは、絶無ではございません。ございませんけれども、一般的に申しますと、乳脂肪分が三・五以上あるという牛乳、これはほとんど加工乳に限られてくる。普通乳生乳にあまりない、こういうことでございます。特にまた、生乳につきましては、時期によって、たとえば夏季には非常に乳脂肪分が落ちるというようなこともございまして、そういたしますと、常時コンスタントに三・五以上というような乳脂肪分を持った普通乳というものは、なかなかむずかしいんじゃなかろうか、こういうふうに考えるわけでございます。
  11. 川俣健二郎

    川俣委員 どうもこの前の議事録——ぼくは速記録を持っているのだけれども、これは読み上げると、この前の議事録ときょう言った議事録とが結びつかないのだよ。というのは、端的に聞きますと、農協商標をいただきに相談に行った場合、そのAを使ってもらっては困るというような、そういう考え方だったのかな。
  12. 熊田淳一郎

    熊田政府委員 それはただいま申し上げましたように、農協牛乳が常にそういう乳脂肪分が三・五以上あるという基準に合致しないということでございます。
  13. 川俣健二郎

    川俣委員 そういう基準はあるのですかというのだよ。
  14. 熊田淳一郎

    熊田政府委員 現在の公正競争規約にそういう基準を採用しておるわけでございます。しかしながら、私どもは、その公正競争規約のきめ方が現在の時代にマッチしなくなっておるおそれがございますので、その点につきまして関係省と十分に協議をして、変える方向で再検討したい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  15. 川俣健二郎

    川俣委員 それでは、これはどういうことだったの。それじゃちょっと答弁にならないのじゃないですか。再検討する時期になったのでこういう問題になったというのか、それとも問題が提起されたから再検討しなければならない、こういうことなのか。それとも加工牛乳商標を許す際と、今回農協がAをつけさせてくれといって持ってきたときとは、だいぶ時期が違っておった、こういうことかな。もう少ししゃべってくれ、基準にあることはわかるのだけれども公正取引委員会がそういう指示をしなければならないという基準がどこにあるのかということを。
  16. 熊田淳一郎

    熊田政府委員 牛乳につきましての公正競争規約ができましたのは、昭和四十三年の六月でございます。それからだいぶ時期も経過をしております。その間におきまして、普通乳に対する消費者嗜好の移行といいますか、そういうものもございます。また、先ほど申しましたように、牛乳の性質というものから考えましても、普通乳が重点であるべきであるという考え方も、最近顕著になってきておるわけでございます。したがいまして、そういう考え方に即しまして、現在の規約を再検討していきたい、こういうことなのでございます。
  17. 川俣健二郎

    川俣委員 この問題は、後日またそれではあらためて前の議事録と合わせてやってみるけれども、ただ、いま部長がおっしゃるように、再検討する時期に来たことは私も認めるのです。確かにそうだと思います。それは一つはなま牛乳、いわゆる加工乳でないものを飲ませた流通機構とか需給体制にだいぶ近づいてきたからです。それで、近づいてきたから、この間夏場にデパートでああいう売り方ができるわけだ。そこできょうは、食品衛生の中の乳等省令という問題から、それではどういうような生産需給体制があるのかという問題をめぐって、五百万トンからずっと話が出たのです。それで農林省畜産局長がこの前、担当の局長ですから、五百万トンできて、そのうち飲用向け何ぼ、加工向け何ぼということでいろいろ話が煮詰まっていって、それではどのくらいの加工牛乳が必要かというところまで進もうとしたのですよ。こういうあれは、畜産局長考え方がだいぶ反映したわけですから、しかもきょうは、この前は時間切れの散会でしたから、その委員会の継続ですから、畜産局長の話が中心にならなければだめなんですよ。そうしたら、いまそこの廊下で、ここへ入ってくる前に、どなたか知りませんが、かぜなんでちょっとかんべんしてくれぬかということをこの委員に言うというのは、ちょっと——私もきょうは六時四十二分の上野着て選挙区から帰ってきましたが、いままで待っていましたけれども、それじゃあんまりじゃないですか。十時三十五分に私に、局長かぜを引いて来れないからということは、この委員会に対してひどいじゃないですか。牛乳の問題を論議する場合には、畜産局長考え方がだいぶ出ているわけですよ、「エコノミスト」その他にいろいろPRされておるだけに、増田局長考え方というのは非常に中心になる。それをいま耳打して、理事会でそのようになったというなら話はわかるけれども、私に耳打ちして、これを何とかしてくれぬかという考え方は、どんなものでしょけか。だれに質問したらいいか知りませんが、まことに不愉快ですね。
  18. 森山欽司

    森山委員長 速記をとめて。     〔速記中止
  19. 森山欽司

    森山委員長 速記を始めて。川俣君。
  20. 川俣健二郎

    川俣委員 それでは、この次の委員会に、この問題で、五百万トン全国で生産されますと、そのうちの二百五十万トンは飲用に向けられる、あとの二百五十万トンは乳製品に向けられる、こういうことなんです。ところが、二百五十万トンの飲む牛乳に向けられるものは、生産地需要地のバランスがなかなかとれない、遠距離にはなかなか夏場には送れないので、加工牛乳をやむなく飲まさざるを得ない、こういうことなんです。それでは四十六年度でもけっこうですから、そういう輸送の実績と、飲ませている実績と、やはりやむを得ないという一つの数字をこの次までにつくっていただきたいと思います。  もう一つは、おたくのほうの局長が、非常に意味のあることを言っていると思うのです。なぜかというと、畜産局長ですから、畜産奨励から、牛乳を飲んでください、牛乳を飲んでくださいという行政指導をまずやったと思います。牛乳は確かに飲ませるといいし、それから牛乳を飲んでもらうと、日本の農業が破壊されていくことを防ぐ一助にもなるから、したがってそういうような畜産局長の立場は私は理解できるような気がするのですが、少し勇み足で、なま牛乳、いわゆる生乳、乳ぶさからとった牛乳だけを飲ませるというのは、必ずしも牛乳を飲んでください、需要を広げるということにならないんだ、いわゆるイデオロギー牛乳を飲ませようとする時代は終わったということをエロノミストに語っているのです。これは非常に意味があると思います。ただ、びん詰めのまっ白い牛乳を、これはほんとうに乳ぶさからとった牛乳だから飲んでくださいというよりは、何となく飲みたくなるような化粧をした箱に入れるというのは、これも一つのあれだろうし、それからミネラルが入っている、ビタミンが入っているということでママ方牛乳に結びつけようという努力は、わかるような気がする。ところが、それがあまり行き過ぎると、ほんとう牛乳よりも機械でつくった加工牛乳でもうけようとする明治や森永や雪印のメーカーの販売政策に引っかかるわけだ。これはイデオロギーだけで牛乳を飲ませるという時代は終わったという考え方を延長すると——そういうこともあって、とうしても局長がおなおりになるのをお待ちしますから、そういう意味においてきょうはどうかあしからず。  それからもう一つは、厚生省のほうに聞くのですけれども、いわゆる加工乳はどうしても禁止の方向だ、こういう方向づけを確認できるかどうかということ、この次の委員会でけっこうですから、加工乳はいかぬということなのか。  それから濃縮乳というのをこのごろだいぶPRされてきたんだけれども、これをどのように乳等省令としては受けとめたほうがいいか。濃縮乳をあまり奨励すると、また濃縮乳で悪いのをつくるという考え方が業者に出てくるかもしれぬから、そういう考え方。  それから公正取引委員会は、表示をやはりもう少し考えてもらいたいと思います。この間私はアイスクリームの箱を持ってきて厚生大臣に見せましたけれども、この間持ってきた八つの箱は、全部アイスクリームと思われるけれども中身アイスクリームではない。そこで町に出てアイスボックスを見ると、この前もどなたか言っておりましたけれども一つアイスクリームはなかったそうです。ところが、売るおじさんアイスクリームですよと売っているのだそうです。これはおじさんだからしようがないです。ところが、中身は全部八%以下のものだから、よくよく見るとアイスクリームじゃないけれどもアイスクリームの箱に入っている、こういう状態です。したがって、これからはやはり表示というのはよほど注意して、商品名と同じくらいのものを大きく書かないと、あなたこの間見たように、ナポリアイスクリームと書いてあるから、ナポリアイスクリームというのはアイスクリームの名前かなと思ったら、株式会社ナポリアイスクリームで、アイスクリームじゃない。うしろのほうに小さくライタアイスクリーム、こういうように書いてあるから、これはアイスクリームじゃないのだ、こういうことなんですね。そういったものをもう少し聞かしてもらいたいということ。  それからおとといの練りウニ、これは先付けですね。四十八年七月三十一日製造と書いてある。これの真意のほどを聞かしてもらいたいということ、そういったようなところを宿題にしておきます。この次の委員会は大体そういうところを中心にやります。  もう一ぺんくどいことを言うようですけれども、なま牛乳生乳でできれば一〇〇%飲みたい、飲ませたいという食品衛生法であるだけに、どうしてもできないということを解明してもらいたいということが中心課題ですから、どうかよろしく。以上です。
  21. 森山欽司

    森山委員長 次に、山本政弘君。
  22. 山本政弘

    ○山本(政)委員 もう前の委員がお話しになったと思いますけれども、冷凍食品やそれから着色剤、防腐剤、そういう添加物の判断がある。同時に農薬の残留食品なり食品公害がいわれております。食品の安全を守るということで食品衛生法がいまだんだん現状に合わなくなってきている、そういうことで今度の改正があったと思うのです。食品公害から国民の健康を守るといいますか、あるいは食卓を守るといいますか、そういう立場にある厚生省あるいは農林省、通産省あるいは経済企画庁、それぞれの省がそれぞれの現行法を手直しをしている、こう思うのですけれども食品衛生法もまたそれに漏れない。  まず第一点にお伺いしたいことは、食品問題懇談会で昨年六月、行政の一本化に取り組めということで抜本的な改正を提議したことがある。私どもの党も、四十三年に食品行政一本化の法案を出しました。そこで、食品の安全確保についての行政の一本化について、一体どうお考えになっているのか。私は、縦割り行政の欠陥というのはあちらこちらに出ているように思うのです。この際、これほど問題になっているのだったら、少なくともそういうものを統括して一本化すべきだと思うのだけれども、どうしてもそうなっておらない。まず、その点について第一点お伺いいたしたいと思います。
  23. 信澤清

    信澤政府委員 たいへん重要な問題でございますので、結論のお話は政務次官からお答え申し上げたいと思いますが、若干経緯がございますので、経緯につきまして私から申し上げたいと思います。  御指摘のような食品行政の一元化、またはそれを実現するための統一食品法をつくれ、こういう御意見は、従来から国会でも再三にわたって私どもも伺っておるわけでございますし、私どももその方向で努力をしてまいったわけでございます。たとえば四十四年以来経済企画庁に音頭をとっていただきまして、なお御指摘になりましたような農林省あるいは公正取引委員会、こういった食品に関係ございます各省が食品問題検討会というものをつくって検討をいたしたわけでございますが、結論的には、現状では行政の一元化まではなかなかむずかしい。したがって当面は各省が相協力して、先生御指摘のような、行政にそごを来たさないような、そういう体制を確立すべきである。それについても、現在各省が所管いたしておりますそれぞれの法律になお改正を要すべき点がございますので、そういった問題をともかく早く解決する。そういうような趣旨で今回食品衛生法の改正の御審議をお願いいたしておるわけでございますし、公正取引委員会関係の法律の改正案も、今国会で御審議をいただいたわけでございます。したがって、たいへん大きな問題でございますので——方向としては御指摘のような方向を目ざしております。ただいま私どもの段階で検討いたしました経緯は、以上でございます。
  24. 登坂重次郎

    ○登坂政府委員 山本委員のおっしゃるとおり、国民の健康を保持するという意味において、食品に関する行政機構の一元化というのは、ごもっともな説でございます。私も、かつて企画庁の政務次官をいたしたときに、この食品法の制定及びその検討について経済企画庁としての検討を進めたわけでございますが、農林省のJAS規格とか、あるいは厚生省食品衛生法の一部改正だとか、あるいは通産省の化学工業薬品関係云々とかという問題がございまして、にわかに行政一元化ということは非常にむずかしい状態にありましたので、それを含めて、それでは行政をどうしたら円滑にできるか、直ちにできる範囲でそれだけの効果をあげるように、ひとつ各行政機構は一致して協力すべきである、そういう結論になったことを覚えておるのでありまするが、いまなおまだその成果が得られないということは、その御趣旨に反するようではありまするが、行政機構としては、いまの厚生省食品衛生法の一部改正ということを今国会に提出いたしまして、各行政機関にもそれぞれ厳重な連絡協調をいたしまして、当面の食品衛生に対する責めを果たしたい、かように存じておるわけでございます。
  25. 山本政弘

    ○山本(政)委員 昭和四十三年四月二十五日、衆議院物価対策特別委員会の決議で「消費者保護の強化に関する件」というのが出ております。そして、ここに出ていることは、食品衛生法、栄養改善法、農林物資規格法、不当景品類及び不当表示防止法を通じて食品の表示制度が海外諸国に比しても立ちおくれているから、緊急に整備をしなさいという決議がここに出ているわけです。消費者保護基本法に対する附帯決議についても、同様の趣旨のことが出ているわけです。私は、その行政の一本化ができなければ、横の法的な問題だけでもせめてきちんとしたものはできないのか、それくらいのことがなぜできないんだろうか。なぜ私がそんなことを申し上げるかというと、要するに、少なくとも食品に関しては、安全性というもののチェックというのは、おくれているのが現状でしょう。そうでしょう。そうしてあなた方がやっているごとは、事故が起きてから対策をおとりになっているのですよ。いままでの結果を見るならば、そう言える。  同時に、これはあとからお伺いしようと思い盲すけれども、予算あるいは人員についてもきわめて不十分である。こういうことは、そう皆さんたちがやる気になれば、各省これから協議をいたしましてというようなことでなくて、いま即刻アクションがとれるはずじゃありませんか。行政の一元化がむずかしければ、せめて表示に関してだけでも、これくらいのことはやり得るはずではないか。この点はどうなんです。
  26. 信澤清

    信澤政府委員 御指摘のような状態がございましたことは仰せのとおりでございまして、とりあえず食品衛生法につきましては、現行の表示規定を最大限に読みまして、四十四年に省令を改正いたしまして、ほとんどすべての食品について、たとえば製造年月日を書かせるとか、あるいはかん詰め等で内容が不明な場合にその原材料を表示させるとか、こういう趣旨の改正は一応いたしたわけでございます。しかしながら、お話のように、今日のように加工食品がたくさん出回ってまいりますと、やはり表示によって消費者はこれを判断する、こういうことが重要な問題になろうかと思います。  そこで、今回御審議いただいております改正案の中でも、特に表示の面についてかなり従来御指摘のございました点が実行できるような改正をいたすことにいたしまして、御審議をわずらわしているわけでございます。  なお、表示事項その他、おあげになりましたようにいろいろの法律がございます。それぞれ若干その趣旨が違っておりますので、全部を合わせるというわけにまいらぬかと思いますが、少なくとも食品衛生法は、私どもの立場から申しますれは、食品に関する基本的な法律である、こういう考え方を持っているわけでございまして、たとえば公取で表示基準をおきめになるとかあるいは農林省でJAS関係について表示基準をおきめになるという場合には、最小限度食品衛生法できめておりますことは全部その中に取り込んでいただく、こういうことを現在でもいたしておるわけでございます。ただ表示の規制そのものにつきましては、先ほども申し上げましたように、私どもの法律のほうがややおくれておりますので、今回改正をお願いする、こういうことでございます。
  27. 山本政弘

    ○山本(政)委員 各省とも私は表示がおくれておると思うのです。特に厚生省がおくれておるのです。あなたのおっしゃるように、農林省とか通産省とかというものは、全部それじゃ表示がきちんとなっているかというと、なっておりませんよ。なっておらないから問題が出るだろうし、問題が出るから表示を一々、そのつど問題になって規制をしているわけです。特に、食品関係についてはそのことがはなはだしい。  重ねてお伺いいたします。つまり行政が一本化できないならば、要するに、表示についてはそういうことを速急にやる御意思があるかどうかということですね。こちらのほうが進んでいる、食品だけがおくれている、だから食品だけはとにかくここでやるとおっしゃるけれども、しかし、一般的に、全般的におくれているのでしょう。それをなぜ一体にして社会の要求に適応するようなことをなさらないのか、そのことのほうが私は疑問なんですね。重ねてちょっと聞きたいと思います。
  28. 信澤清

    信澤政府委員 私のことばが足りませんで……。  ほかの法律が完ぺきにやっておって私どもがおくれておるという意味ではございませんで、相対的に見まして、現状では私どもの法律が、先生もお認めいただいておりますように、おくれておりますので、今回改正をお願いしているわけでございまして、この機会に、全体として各省で御所管の分を含めまして表示の問題について改善をいたしたい、このように考えておるわけでございます。
  29. 山本政弘

    ○山本(政)委員 それじゃ本論に入りたいと思うのですけれども、今回の食品衛生法の改正点は、大体五点に分けられると思うのであります。  一つは、疑わしきは罰するという考え方を入れる。有害の疑いのある場合にも規制を適用する。第二番目には、石油たん白など、新しく登場して野放しになっている合成食品について、新たに規制措置を設ける。第三番目は、大量に生産されるようになった冷凍食品の衛生基準を新設する。そしてその運搬に関してまで規制を適用する。四番目は、農薬残留基準を設ける品目を大幅にふやす。そして五番目に、罰則を四倍程度に上げていく。大まかに言えばこういうことだと思うのですけれども、きょう私は主として一番の、疑わしきは罰するという考え方を入れた、そして有害の疑いのある場合にも規制を適用する、こうおっしゃっておるので、その点についてひとつお伺いしたいと思うのであります。  二十九条が改正になりますね。「第四条及び第七条の規定は、洗浄剤であって野菜若しくは果実又は飲食器の洗浄の用に供されるものについて準用する。」、こう書いておられる。それでお伺いしたいのは、家庭用品の品質表示法の規定以外に、あらためて第七条を準用なさる、そして基準、規格、使用の設定をなさる、こういうのでありますが、規格、基準、使用について一体どのように規定をなさっておられるのか、そのことについてお伺いをしたい。
  30. 信澤清

    信澤政府委員 洗剤、特に中性洗剤の問題につきましては、その安全性等をめぐりましてかなり長い間国会でも御論議がございましたし、これはまた今日でも消費者団体等からいろいろな御意見があるわけでございます。それに対する法的な規制といたしましては、ただいま先生の御指摘にありましたように、通産省が所管いたしております家庭用品品質表示法で表示基準をきめている。それできめている事項は、先生御案内のとおりでございますので、繰り返して申しません。そこで従来から、やはり飲食に関連する問題でございますので、食品衛生法でこれを規制すべきではないか、こういう御意見があったわけでございます。そこで今回、ただいまお話しのように、現行の四条の改正をお願いしておるわけでございますが、それで四条の規定と七条の規定を準用いたすということでございます。  まず、四条を準用いたしておりますのは、四条自身に書いてございますように、有害なあるいは有毒な物質等が混入することを防止するということでありまして、たとえば洗剤と申しましても、洗たく用の洗剤もございまして、便っておるものにいろいろございます。たとえば衣類の洗剤の螢光漂白剤等も入れておるわけでございますが、螢光漂白剤は食品衛生法では認めておりません。したがって、そういった有害な物質が入る場合にそれを規制するか、あるいは将来新しい洗剤が出てまいりました場合に、それが有害であるというふうなおそれがある場合にはこれを認めないようにするとか、こういうことを四条を準用することによって考えております。それから七条は、規格、基準をきめるということと、もう一つは使用上の基準をつくること、この二つのことを実は考えているわけであります。規格、基準の問題については、たとえば成分として用いることができる物質なりその含量なり、こういったようなことをきめたいというふうに考えております。それから使用上の基準としては、現在家庭用品品質表示法でいろいろ使用上の基準をきめてございますが、そういったもの中心に使用上の基準をきめるということを予定いたしております。
  31. 山本政弘

    ○山本(政)委員 そうしますと、いま審議官のお話ですと、有害な物質と、こうおっしゃいましたね。そうすると、いま厚生省で認められておる有害な洗浄剤というものがあるわけですか、あるいは洗剤というものがあるわけですか、その点ちょっとお伺いしておきます。
  32. 信澤清

    信澤政府委員 私から申し上げるのはいかがと思いますが、現在市販されておりますものについて厚生省がこれを許可するとか安全であると認定するとかいうことを、個々の商品についてやっておるわけではございません。ただ、たしか昭和三十七年でございますか、一般的に流通しておるくだもの、あるいは野菜、さらに飲食器の洗浄剤については、通常の洗剤の使用方法による限り一応害はない、こういう食品衛生調査会の答申がございますので、一応現在使われておるものについてはそういった考え方をとっておるわけでございます。
  33. 山本政弘

    ○山本(政)委員 個々の商品についていま使われておる範囲では害はないという見解をおとりになっておるということだが、私が聞いておるのはそうじゃないのです。いま使われておる洗剤の中に有害な物があるかないか、そのことだけでいいのです。
  34. 浦田純一

    ○浦田政府委員 有害という考え方あるいは定義でございますけれども、やはり物の人間の健康に与える影響いかんということになりますと、これは単に質ということだけでなくて、量との関連性も考えなくてはならないと思います。それから使用方法といったものも、当然これにからまってくるわけでございます。御指摘の洗剤に関する限りにおきましては、私どもの見解としては、やはり通常の使用方法ということで人間の健康をそこなうおそれがないという見解を申しておるのは、この意味でございます。したがいまして、毒性いかんということになりますと、これはどのような物でも、すべて毒性は何らかのレベルにおいて、つまり何らかの量において発生する、発揮するということはいなめないのでございます。
  35. 山本政弘

    ○山本(政)委員 毒性いかんということを聞いておるのじゃないのです。重ねていいますよ。いま使われておる洗剤、たとえば名前をあげれば、ライポンFならライポンFというものが、有害であるかどうかということを聞いておるのです。つまり審議官は、有害な洗剤、有害な物質と、こう言っているわけだ。有害な物質と、そう言いましたね。個々の商品についてはどうかわかりませんけれどもと、こうおっしゃったのです。一般的にはと、こうおっしゃっている。ぼくの言うのは、だから、そういうものには有害な物質が入っているのか入っていないのか。入っているなら入っている、入っていないなら入っていないという、そのことだけなんですよ。そのことだけを聞かせてもらいたいのです。一般的な使用方法とか個々の商品とかなんとかいうことではないのですよ。
  36. 浦田純一

    ○浦田政府委員 現在では、私どものほうでは人の健康をそこなうおそれがある物質というものは、網の目に漏れておる物はいざ知らず、そういうものはないと考えております。
  37. 山本政弘

    ○山本(政)委員 では確認いたしますよ。有害な物質は入っていないということですね。入っていなければ、あらためて食品衛生法の中で洗浄剤というものを規制する必要はないじゃありませんか。そういう論理が成り立つでしょう。
  38. 信澤清

    信澤政府委員 私どもの舌が足りませんで申しわけありませんが、物質そのものが有害であるかどうかという観点から議論いたしました場合には、おそらく、いま局長から御答弁申し上げましたように、ある量によっては有害である、ある量以下では害がない、こういう判断をいたすべきだと思います。     〔委員長退席、小沢(辰)委員長代理着席〕  そこで、今回四条を準用いたしまして、そういった有害な物質が含まれている場合にこれを排除するという御答弁先ほど私申し上げたわけでございますが、そこのところが舌が足りませんで、実は四条の二号にただし書きがございまして、そういうような有毒な、あるいは有害な物質が含まれている場合でございましても、人の健康をそこなうおそれがない場合として厚生大臣が定める場合は除くと、こういうことになっておるわけでございます。この省令では、一般的にその程度なり量から見て安全であるという一応の原則はございますけれども先ほど申しましたように、基準をつくることによってその点の担保をいたしたい、こういうことでございます。
  39. 山本政弘

    ○山本(政)委員 少し明確になってきました。それではお伺いいたします。  先ほど議官のお話の中に、三十七年以来いろんな説があった、こうおっしゃいましたね。私も、速記録を拝見いたしました、いろいろな雑誌も拝見いたしました。それでお伺いしたいのは、合成洗剤の安全性について、いろいろな説がある。違う言い方をすれば、諸説紛々、こう言ったほうがいいのかもしれません。そうしますと、厚生省の立場としては、かつてそういう研究・調査をして結論が出たから、いまそういうことをあらためてやる必要がない、そういうお考えに立ってるのかどうか。この点はどうでしょう。
  40. 浦田純一

    ○浦田政府委員 中性洗剤の安全性の問題につきましては、先生御案内のとおりでございますが、昭和三十七年十一月に食品衛生調査会のほうから、洗浄の目的からはなはだしく逸脱しない限り、人の健康をそこなうおそれはないという答申が出ております。しかしながら、私ども実際問題としてその後使用者の方々からいろいろと御疑念、御不安の意見を寄せられることも承知しておりまして、さらに国立衛生試験所等におきまして中性洗剤の催奇形性等についてさらに試験を続けたのでございますが、そういっなような結果からは、催奇形性につきましてはその作用がないということがわかっております。それから洗剤の使用によって手が荒れるという報告もございましたが、これも使用方法を適切にしていただくということでもって防げるといったこともわかっております。す。  結論から申しますと、私どもは、この食品衛生調査会の答申の線は原則としてはそのままでよろしいというふうにその後も考えておりますが、なお洗剤の安全な使用方法その他ということについてのいろいろな疑問がございますので、私どもはそのことの再確認と申しますか、それらにつきましては、そのつど内外の試験研究機関、文献等に照合いたしまして安全性の確認をしてきております。しかし、現在安全性についての御疑念については、使用方法の不適正、あるいは場合によりましては誤った使い方といったようなことも関連しているようでございますので、私どもは、それらの御疑念を晴らすために、今回洗剤についての規格を十分に厳正にし、それから使用方法等についても基準を設けていくということによって、消費者の方々の不安の解消につとめてまいりたいということでございます。
  41. 山本政弘

    ○山本(政)委員 審議官にいろいろ当たるようですけれども、四条のただし書きのところで、つまり人の健康を害しないというお話がありましたね。そこで、この法文四条なら四条というものが、要するにきまりますね。そうすると、ある意味では逆に、法にきめたから心配ないじゃありませんか、こういう国民の受け取り方というのが、現実にはあるのですよ。法律にきめたからこれは安全ですよ、こうなるのですよ。消費者というものは、まだそこまでそういうことに対して、目ざめる人もおるだろうけれども、目ざめていない人もおるとすれば、そういう法を制定することによって逆に、四条それからただし書きを読んでごらんなさい、これはみな安全ですよ、こういうことになるのですよ。しかし、ほんとうに法の四条あるいはただし書きというものが安全ということを国民にきちんと納得をさせるには、それに対して、法できめたからということではなしに、研究・調査をやる必要があるのではないかというのが、私の考え方なんです。  なぜそう申し上げるかというと、三十七年にあなた方は調査なすった、そして催奇形性についてはその後も調査をなすっているとおっしゃるけれども、私がけさかいつまんで見たところだけでも、昭和三十九年WHOの機関誌九号では、ガンの原因について洗剤が関連する、そういう発表があったでしょう。昭和四十年の第三十五回日本衛生学会で田中領三博士が、妊娠している白ネズミに中性洗剤を授与すると脳仔が認められる、昭和四十三年の第六十五回日本獣医学会で山岸達典さんという方が、中性洗剤により生体に免疫を生ずるおそれがある、そういうことをおっしゃっておる。四十四年には、日本先天異常学会で三重大学の三上さんが、人体にはABS一・五ミリグラムで障害が起こり得る、こう言っている。四十四年には名古屋市立大学の佐藤教授が、ABS発ガン補助物質説を裏づけておる。四十六年にはイギリスのサセックス大学のブリッジス細胞研究所教授が、洗剤の化学薬品には遺伝的に影響がある、こう言っているのです。その後、要するにあなた方が研究をなすって安全でございますと言ったあとに、これだけのものが出ているのですよ。単に催奇形性だけじゃないじゃありませんか。遺伝も出ている、免疫も出ている、ガンも出ている。そういうおそれというものがすべて出ているとするならば、あなた方はもっとそのことに対して、行政当局者としての良心で大がかりな研究というものをなさるのが、私はほんとうだと思う。そしてその上で絶対に心配がありませんというなら、まだ話はわかりますよ。法制定をしたからということは、逆に、法が制定されたから安心じゃないか、こういって国民にある意味では押えをつけるという方向になりかねないという心配があるじゃありませんか。とするならば、三十七年度の結論が出たからということは、私は結論にならぬと思う。しいて申し上げますと、研究者というのは、新しいところへ新しいところへ目を向けられがちかもわからぬ。そしてかつて研究したことについては、もうそれはやりたくないという考え方をお持ちの方があるかもわからぬ。しかし、行政当局者は、そんなものじゃないと思うのです。これだけ食品に対して危惧があるならば、その危惧を晴らす、疑念というものを解明していくというのが、あるべき態度じゃありませんか。その点一体どうされるのか。
  42. 浦田純一

    ○浦田政府委員 中性洗剤の毒性等に関するいろいろな報告がその後もあるということは、私どもも承知しております。また、できる限り新しい知見については、情報を集めて、それの確認を行なってきたつもりでおります。  御指摘の二、三のものにつきまして私どものほうでその研究についての検討の結果を申し上げますと、たとえば催奇形性の問題でございますが、それは岩手大学の田中助教授あるいは三重大学の三上教授より提起されておる問題でございますが、国立衛生試験所においても、この試験をずっと続けております。そして私どもはまたこれらの試験研究の結果について、もう少し慎重に調査そのもの、研究そのものを続けていく必要があるのではないか。また先生御自身もそのようにおっしゃっておるところでございます。  それから、たとえば同じく催奇形性の問題にいたしましても、私どもはアメリカ等におきまするラット三代にわたる交配試験といったようなことから見まして、これはかなり権威のある研究であると評価いたしておりますが、胎児の一般的な症状、病理組織学的な所見などについては、全く異状が認められていないという結果も起こっております。私どもは、そういった観点から申しますと、疑わしきは罰するという立場から、一応いままでの中性洗剤に関する評価については、こう申しては何ですけれども、世界的にはある程度評価は定まっておるのでございますけれども、そのような新しい学説が出るたびに十分に検討は行なってきておるつもりでおります。  それから今回の法改正の趣旨でございますが、そのような疑わしいといったような場合に強力に規制をしていくということは、かえって逆に可能になるのではないか。いまでは野放しでございますので、それで御指摘のような点につきまして、さらに十分に法律の背景を持って規制を行なっていけるように、そのような不安が一切除けるようにやってまいりたいということが私どもの念願でございまして、逆ではございませんので、これはどうぞ御了承願いたいと思います。
  43. 山本政弘

    ○山本(政)委員 なぜ私がそういうことを申し上げたかというと、ここに投書があるのです。兵庫県から、小学校の五年生だというのですが、家庭科の教科書に、野菜には寄生虫、細菌、農薬がついているので、洗剤でよく洗い、あと水でよく洗う。野菜は三分間洗剤につけておき、その後水でよく洗う。こう教科書に書いてあるのです。子供さんがそれで習ってきたわけですね。それで家に帰ってきて、おかあさんにサラダをつくるからということで、キャベツでも何でも洗剤につけておいて、おかあさん時計を見てくれと言う。私が心配することは、小学生にそういう教育をしていって、今度大きくなったら一体どうなるのだろうか。つまり、洗剤を使わなければ済まないおとなといいますか、そういう者が出てくるわけですね。たいへん神経質なそういう者が出てくる。つまり、ぼくはそのことを言うのです。教科書どおりに子供さんはやっぱりやっていこうとする。現にそれがおとなになったときに、法の規制がある。そういうことを申してはたいへん失礼ですけれども、要するに法の規制というものは、逆にある意味では観念的に強制力を持つようになってしまって、無意識の中にそれがずっと人間生活の中に作用していく。そういうことを私は心配するから申し上げているのです。回虫ももういま少なくなっているという話を聞きました。私が聞きたいことは、野菜とかあるいはその他の食品に農薬とか有害物質というものを使うことが禁止されたら、洗剤は要らぬことになるわけですね。そうでしょう。結果的に。きちっと筋を追っていけば、そういうことになっていく。むしろ根元をなぜ押えないのだろうか、そういう気がするわけですけれども、その辺は一体どうお考えになっておるのか。
  44. 浦田純一

    ○浦田政府委員 野菜の洗浄に洗剤が必要かどうかというお尋ねでございますが、確かにまあその洗浄の目的が異物、ことにおっしゃるような農薬とか、あるいは有害な物質を除くということであるならば、それを使わなければ、そういった有害物質というものの使用を禁止すれば、洗剤による洗浄は必要ないという御意見はもっともでございますけれども、そういった有害物質というものの中で私どもの衛生上の観点から一番心配しておりますものは、細菌でございます。大腸菌その他——大腸菌そのものは病原性はありませんけれども、大腸菌によって代表されます細菌学的な汚染ということが、非常に心配であります。それらを除くということは、これは絶対にやはり衛生上必要であるし、有意義であると考えております。問題は、洗剤を使うことによって受ける利益といいますか、この利益、それからそれに伴って起こる他方での不利益と申しますか、そのバランスの問題に帰着するのでございますが、私どもは、不利益というものは極力少なくしていきたい、できればゼロにいたしたいという考え方でもって臨んでいるわけでございます。  それから、現行の洗剤も、もちろんいろいろと衛生上の観点から規格、基準あるいは使用の基準というものを明確化していくことは望ましいし、場合によっては必要であると考えておりますが、新しく出回ってまいりまするものには、どのような化学物質が出てくるか、それが人間の健康にどのような影響を与えるかということは不明でございます。いまのままでは、これは食品衛生法上の立場からそれらに対しての規制は十分できないという点もございますので、私どもは、洗剤の規格、基準、使用基準をきめることは有意義であるというふうに考えております。
  45. 山本政弘

    ○山本(政)委員 あなた方は、つまり洗剤を使う場合に、通常の使い方をしている限りはメリットがあるというお答えのしかたなんですよ。ところが、メーカーなり業者なりというものは違うのですよ。メリットがあるとかなんとかいうことじゃなくて、現実には全く人畜無害でありますという言い方をしているのですよ。そうでしょう。そうでないというのだったらあれだけれども、そうであるかないか、そのイエスかノーかを聞かしてください。
  46. 浦田純一

    ○浦田政府委員 人畜無害というのはどういう意味か。あるいは人間のからだに付着した場合とか、からだに取り入れた場合に害がないといったような意味だとすれば、これは少し表示としては私は行き過ぎだと思いますし、改めるようにいたしたいと思っております。
  47. 山本政弘

    ○山本(政)委員 業者から出しているいろいろなパンフレットとか、そういう宣伝文をひとつよく読んで規制をしてください。出ているのですよ。書いておる、論文か何か知りませんけれども、そういうものにも出ている。  それじゃ、これだけ確認していただけますね。きちんといまからでも研究・調査はしていただける。それからいま業者に対するそういう妙なことはひとつ——妙なという言い方はたいへん語弊かありますけれども、要するに絶対無害だということを言っているのですよ。メリットがあるとかないという言い方じゃないのです。あなた方のおっしゃるような、そういうことに対して十分規制をしてくださるということは、少なくともこれだけはぜひやっていただきたい。これだけは約束していただけますか。
  48. 浦田純一

    ○浦田政府委員 今後、洗剤をめぐる健康への障害の問題につきましては、従前もそうでございましたが、引き続き私どもとしてはできるだけ注意してまいりたいと思います。ことにこの問題につきましては、食品衛生調査会の御意向もはかりながら消費者の方々の不安の解消には、今後ともつとめてまいりたいと思っております。  それから表示の問題でございますが、これは現在御承知のように家庭用品品質表示法、通産省の所管でございますが、それによりまして使用方法とか使用時の注意等必要な事項を表示されてきておるところでございますが、不適当な表現等につきましては、私どものほうからも厳重に通産省のほうへ申し入れまして、改めさせるようにいたしたいと思います。
  49. 山本政弘

    ○山本(政)委員 取り締まり官庁はもちろん厚生省ですね。そうしますと、品質の規格、表示、広告に対しては、これはどこがやるのですか。
  50. 信澤清

    信澤政府委員 先ほど来お話がございますように、表示の問題については、家庭用品品質表示法というのがございまして、現実にそれによって表示がされておりますし、あらためて二重、三重に規制をする必要がないと考えまして、今回は、いま御指摘になっておられますような安全性の問題を主といたしまして、その部分を厚生省で受け持つ、こういうことにいたしたわけでございます。
  51. 山本政弘

    ○山本(政)委員 私、一つだけ持ってきたんですよ。これが一番、表示で大きい字です。ひどいものです。あとの表示というのは、いろいろ注意書きを書いていますけれども、私が、あるいは年のせいかもわかりません、めがねをかけないと見えぬのですよ。次官、笑っているけれども、次官だってそうなんですよ。あなたがもしもほんとうに本気で食品衛生を御心配になるなら、見てごらんなさい。私はずっときのう見て回ったんです。だけれども、一番表示がきちんと比較的に大きいのは、いま見せたあれですよ。あとはめがねかけないと見えないですよ。そんなものが、一体表示になっているかどうかということです。そういうものが、要するに家庭の主婦が見て、一体注意を引くだろうかどうだろうか。私は、広告というものの価値というものは、よくわかる気がいたします。しかし、広告と人間の健康とは、これは別問題ですよ。人間の健康のほうがはるかに大切でしょう。表示というのは非常に、できるだけもうこまかく、目につかないようにしておる。そして売らんかなということです。これはひとつよく一ぺん調査してほしいと思います。  時間がありませんのではしょることになりますけれども、たいへん残念ですけれども、次にお伺いしたいのは、先ほど局長は、量の問題がある、こうおっしゃった。そうすると、水の汚染というのが当然考えられます。水の汚染と洗浄剤との関係というのは、一つは家庭や工場で使われた合成洗剤廃液が地下水にまじっていく。そうすると、そのABSが井戸水の中に侵入をして、再び飲料に、あるいはその他に用いられる、こう考えられますね。もう一つは、下水道に流されたそういう洗浄剤が、分解されないままで浄水場から今度は上水道に回って、再び人間の口に入っていく。これも可能性として考えられますね。あるいは屎尿浄化槽の中に流れ込む。それが完全に浄化されないで、汚水と一緒に下水に流れ、汚水処理場であわに包まれて保護されたままで川に放流される。川の水が浄水場へ、浄水場の水が水道へ、こういうふうになると思うのです。そうすると、もとの話に戻りますけれども、通常の使用とそれから量というものを考えていくならば、人間の健康に害がないというものが、使用されたあとに、結局回り回って人間のからだに非常な害毒を流していくということになる。結果は、便った人に因果というものがめぐってくることになりますよ。使ったときには、人間のからだに影響はない。あなた方はかりに——私は不承知ですけれども、一歩譲ってそういう議論を承るとして、一応害がない、こういうふうにおっしゃるからそれはそれとして、しかし今度は流されたものがもう一ぺん戻ってくるわけでしょう。そうすると、洗浄剤と水の汚染との関係についてどうお考えになっているか。それに対する対策はどうなっているか。あるいは下水道五カ年計画というものがあるけれども、完全にそれがやれるかどうか、その問題とたいへん関連をしてくるわけです。
  52. 浦田純一

    ○浦田政府委員 ABSが環境衛生上問題になりましたのは、いまから十数年昔のことになると思いますが、そのころは欧米のほうでは、むしろ環境汚染に対する影響あるいは下水の浄化処理に対する影響ということについての問題点のほうが、前面に出ていたように記憶しております。わが国におきましても、中性洗剤の使用量がふえるにつれまして、御承知のように、多摩川あたりでは、すでに川の水そのものが、あの特有なあわが雪のように吹き込まれまして、風に飛ぶといったような状況まで汚染されているということも、私どもも十分承知しております。これらは厚生省といたしましては、飲み水へ与える影響ということについて非常に憂慮いたしまして、三十七、八年来、主要河川についてのABSの汚染状況について科学技術庁からの特別の調査費を支出させていただきまして、調査を水道関係で進めたことがございます。その後も定期的に進めておるのでございますが、御指摘のように、その汚染度は水準がだんだん高まってきているといったようなところでございます。これらに対しまして、私どもはまずABSのうち、従来はABSはほとんどハード型でございましたけれども、これらをソフト型に切りかえるように通産省のほうに呼びかけまして、通産省はそれに応じまして、すでにハード型からソフト型への切りかえ指導によりまして、ほとんど八〇%から九〇%ぐらい完了しておるというふうに聞いております。  それから、こういったような環境汚染に対する、あるいはことに水の汚染に対する対策はどうすればいいかと申しますと、いま申しましたように、根本的には、やはり分解しやすい型の洗剤を使うということが根本になると思いますが、もう一つ大きな柱といたしましては、やはり下水道並びにその不足しております終末処理場を完備することによってでなければ最終的には対応できないということでございまして、現在上水道のほうではどのような対策をとっておるかと申しますと、特別に薬剤の投与を多くする、あるいは活性炭を便って事前処理をやるといったようなことでもってかろうじて切り抜けておるというような状況でございまして、私どもは、下水道の処理場をこれから先あの下水道五カ年計画の促進をはかっていただいて、それをまっていかなければ、根本的にはどうも対応できないのじゃないかというふうに心配しておるものでございます。しかしながら、総体的に申しますと、ハード型からソフト型への切りかえ、それから浄水場に対する影響は、こちらとしての対応策によりまして、人体への影響は、一応いまの段階では防げておるというふうに考えております。
  53. 山本政弘

    ○山本(政)委員 すぐおわかりになるかどうかわかりませんが、四十五年度あるいは四十六年度でもいいですけれども、合成洗剤の生産量はどれくらいになっておりますか。
  54. 信澤清

    信澤政府委員 四十五年度の生産量は、これはいろいろ洗剤の形がございますので単純にはいえないと思いますが、生産量として、たしか全部で七十万トン程度というふうに伺っております。
  55. 山本政弘

    ○山本(政)委員 四十五年度ですね。
  56. 信澤清

    信澤政府委員 四十五年でございます。
  57. 山本政弘

    ○山本(政)委員 四十二年に四十万四千トンだったのですよ、合成洗剤の生産量が。四十三年に四十七万四千トンになったわけです。そして四十五年、二年後に、いまの審議官の話では七十万トンになっておる。おそらく四十七年、ことしは四十二年の倍くらいになるのじゃないでしょうか。いまのところ、人体に影響がないということを私は言えないと思うのです。人体に影響があるから、多摩川の浄水場は水を取り入れることをやめたんじゃないのですか。  もう一つは、活性炭を使っている、こう言っているけれども、活性炭を使っているところは、東京都の浄水場で何カ所もありますか。
  58. 浦田純一

    ○浦田政府委員 いま取水を停止しておりますので、実際上は使ってないと思いますけれども、一カ所、玉川の浄水場でございます。
  59. 山本政弘

    ○山本(政)委員 ですから、活性炭を使い何々を使いとおっしゃるけれども、活性炭を使っていたのは一カ所なのですよ。その一カ所がもう取水を取りやめたという現実をどうするかというのです。しかも四十二年には四十万四千トンだった合成洗剤が、四十五年に七十万トンになっておるということなのです。人体に影響がないことはないですよ。これだけ倍になってきているのだったら、ほかの浄水場だって、私はそういう結果がだんだんと出てくると思う。そういう意味からいって、それは微々たるものかわからぬけれども、せめて野菜あたりの洗浄というものは、なぜ使わないように禁止ができないのか。回り回って全部使っている人のからだにはね返ってきているわけでしょう、あるいははね返るおそれがあるわけでしょう、話がもとに戻るけれども。使え使えといって、生産しろ生産しろ、こういっておるかたわらに、とめようたって、これはとまるものじゃないのですよ。しかも水の汚染というのは、今後の最大の問題になってきますよ。あなた方のようなお考えであっては、問題は解決できないとぼくは思うのです。もう一ぺんお答えをいただきたい。
  60. 浦田純一

    ○浦田政府委員 多摩川等河川の汚濁問題は、いろいろと原因はあろうかと思います。確かに家庭から出ます雑排水の影響、ウエートというものは、かなり大きいのでございます。この中にもちろんABSが含まれておるということで、いろいろと有害な作用を及ぼすということも考えられるわけでございますが、そのほか未処理な屎尿あるいは台所の排水といったようなことが、大きく影響しておると思います。根本的に申しますと、やはり私は、これらは、環境整備の大宗である下水道の整備を一刻も早くしてもらうことであろう。また、ことばを操り返すようになりますけれども、ハード型の中性洗剤につきましては、確かにいろいろと分解しにくいので問題が起こりやすいのでございますけれども、ソフト型につきましては、これは生物学的な分解作用を受けるということが可能でございますので、問題はかなり緩和されるということは事実であろうかと思います。
  61. 山本政弘

    ○山本(政)委員 局長、こういうことなんです。私は、冒頭に安全性のチェックのことを話したのです。つまり下水道の処理とかなんとかいうのが全部完備されたということなら、それで、それを使うというならまだ話はわかるのです。ハード型がソフト型に全部かわってしまったというなら、まだわかるのですよ。しかし、それにしてもハード型がソフトにかわったから、それが一〇〇%がゼロになるということじゃないでしょう。可能性があるということだけなんですよ。分解可能性がある、分解が容易になるというだけの話であって、全くそれが心配要らぬということにはならぬわけですね。だから、先ほどから申し上げたように、事故が起こったあとから追っかけ追っかけしているわけです。しかもその事故を大きくするように、生産量というものはどんどん上がってきておるという現実があるのですよ。その現実というものをあなた方はどうお考えになっておるかですね。先ほどの数字じゃないですけれども、四十二年四十万四千トンですが、四十三年は四十七万四千トンになっているのですよ。一年間に七万トンふえているわけです。しかも二年後には、それが七十万トンになっているわけでしょう。あと二年後には、八十万トンをこすのじゃないでしょうか。ことしはハードをソフトにかえたという問題じゃないでしょう。  私にはわからないのだけれども、外国だって禁止をしておるところがあるでしょう。ありますね。ハードについて、ニューヨークの郊外でも、あるいは西ドイツでも禁止されておるところあるのですよ。だとするなら、せめてハードくらいなことについて禁止するくらいな、そういうものがあっていいと思うのですけれども、なぜメーカ−に対してそれだけの行政当局が権威をお持ちになることができないのだろうか。私は非常にくどいようにお伺いするのですけれども、どうもわからないわけですよ。生産がとまっておるなら話は別ですよ。しかし、もう売らんかな売らんかなで、どんどんメーカーがとにかくつくりにつくっているのですからね。ハードであれ、それがソフトであれ、そんなことは私は問題じゃないと思うのですよ。しかし、それを許容しておる、要するに行政当局の態度が、私はわからぬと思うのです。政務次官、どうですか。
  62. 浦田純一

    ○浦田政府委員 ちょっと事実関係についてのことでございますので、一応私のほうから御説明させていただいて、あと政務次官のほうからお答えさせていただきたいと思います。  確かに米国の一部の州で、サフォーク郡でございますが、中性洗剤の使用禁止法が施行されております。それからドイツでは、ハード型の洗剤を法律をもって使用を禁止しております。わが国では、先ほどお答えいたしましたように、通産省のほうに厚生省のほうからお願いいたしまして、現在行政指導としてハード型からソフト型への切りかえを進めておるという段階でございまして、現在約八五%がソフト型に切りかえられたということでございます。  確かに全般的な環境保全ということを遂行していくためには、ただ単に一省庁だけでなくて、全般的な立場から整斉した施策が進められることが必要だと思います。言ってみますれば、ことに三多摩地域に限って言いますならば、その辺は家庭から出てまいりますこれらABSも含めた雑排水というものの受け入れば、河川に対する受け入れももちろん、下水道が整備されておりませんので、それに対する受け入れも限度に来ており、非常に憂慮すべき問題であるというふうに私ども認識しております。一日も早くこういったような総合的な施策、ことに下水道の整備が促進さるべきであるということ以外に、私は対応する適切な施策はないのじゃないかと思います。
  63. 山本政弘

    ○山本(政)委員 ですから、私は初めから、行政の一本化をなぜやれないのだと言っておる。それがやれないと言っておる。それがわからないのですよ。  それでは、時間に追われていますから、次のほうに入ります。  要するに、食品衛生に関与している局というのは、食品衛生課、乳肉衛生課、食品化学課、この三つですね。——そうですね。それでは、私か申し上げることが間違っておったら教えてください。食品衛生課には課長一名、補佐五名、係長五名、係員五名、乳肉衛生課には課長一名、補佐三名、係長二名、係員は定員なし。食品化学課には課長一名、補佐二名、係長四名、係員二名。これは間違いありませんか。
  64. 浦田純一

    ○浦田政府委員 おっしゃるとおりでございます。
  65. 山本政弘

    ○山本(政)委員 そうすると、この法の一部改正によって洗浄剤というのが入りますね。これは一体どこの何の係になり、係員というのはどういうふうになるわけですか。
  66. 浦田純一

    ○浦田政府委員 食品化学課で所掌することにたります。その係は規格基準係ということに相なろうと思います。
  67. 山本政弘

    ○山本(政)委員 そうしますと、食品化学課には四つの係がある。総務、規格基準、指定、農薬調査とある。係員が総務に一名、規格基準、指定、農薬調査はあわせて係員一名。これは間違いありませんか。
  68. 浦田純一

    ○浦田政府委員 間違いございません。
  69. 山本政弘

    ○山本(政)委員 それじゃお伺いいたしますけれども、これほど問題になっておる洗浄剤あるいは農薬、そういう問題に対して、あるいは規格基準、指定、そういうもの一切を含めて係員一名というのは、これは多いのですか、少ないのですか。これほど食品衛生が問題になっているときですからね。
  70. 浦田純一

    ○浦田政府委員 環境衛生局が発足した当時からほとんど——発足した当時も非常に、定員法の規制を受けまして人数が十分でなかったわけでございます。その後やりくりなどいたしまして、ほかの部局からいわば定員を借りてくるといったようないろいろな苦心惨たんをして今日までやってきたことは、事実でございます。したがいまして、決して現在の陣容が十分ということは、これは申し上げるわけにはいかないと思います。  ただ、私ども担当係が、相当に肉体的、精神的な負担を受けながら一生懸命何とかがんばって仕事を続けておるということだけは、御了承願いたいと思います。
  71. 山本政弘

    ○山本(政)委員 行政管理庁の方、お見えになっていますか。
  72. 小沢辰男

    ○小沢(辰)委員長代理 平井局長が来ております。
  73. 山本政弘

    ○山本(政)委員 それでは局長にお伺いいたします。  食品の規格、規制をきびしくし、表示を充実しなければならないといったことは、消費者保護基本法が四十三年にできたときに、衆議院で附帯決議をやっております。行政管理庁もこのことを勧告をしておりますね。これはどうでしょう。
  74. 平井迪郎

    ○平井政府委員 私どもの直接の所管ではございませんが、そういう勧告があったことは伺っております。
  75. 山本政弘

    ○山本(政)委員 勧告をしておって、先ほど川俣委員質問をなされたけれども牛乳の問題については、係員なし。これほど大きく問題になっていることに対して、係員が全然おらぬ。食品化学課についても、洗浄剤について今度新しく法の規定がなる。そのことに対しても、それを担当する係員が一人もおらぬというのは、行政管理庁は一体どういうふうにお考えになっているのか。それから食品衛生について、あなたはどういうふうにお考えになっているのか。
  76. 平井迪郎

    ○平井政府委員 全体の定員の決定のしかたでございますけれども、行政管理庁といたしましては、本質的に申しますと、局内の定員の配分の問題までは必ずしも規制はいたしておりません。したがいまして、個々の係の配置状況は必ずしも私どもつまびらかにいたしておりませんが、全体として食品衛生強化のために増員が必要であるという見地から、環境衛生局につきましても、昨年度若干名の増員は認めております。ただしその配置等の問題につきましては、環境衛生局の御所管におきましてそういった面には向けられなかったということは伺っております。
  77. 山本政弘

    ○山本(政)委員 若干名とは、何名おふやしになったのですか。
  78. 平井迪郎

    ○平井政府委員 食品衛生監視関係で四名、試験研究関係で三名でございます。
  79. 山本政弘

    ○山本(政)委員 監視関係で四名、試験関係で三名ということは、おそらく食品衛生課の監視のほうにふえたのではないだろうか。——間違いなら教えてください。試験関係というのは、これはどういうふうになっているのか、私わかりませんけれども……。
  80. 平井迪郎

    ○平井政府委員 監視関係は、先生御指摘のとおりでございます。  それから試験関係は、直接これらの課で試験研究を行なうわけではございませんので、衛生試験所において行なっているわけでございますので、その関係で衛生試験所に三名の増員をいたしたわけでございます。
  81. 山本政弘

    ○山本(政)委員 監視関係で四名、試験関係の三名は衛生試験所、そうすると、乳肉衛生課には係員の定員がない。定員なし、これは一体どういうふうに説明していただけるのでしょう。あるいは食品化学課の規格基準、それから指定、農薬調査、これを全部ひっくるめて係員が一名しかおらぬという現状は、一体どうやって説明していただけるのですか。
  82. 平井迪郎

    ○平井政府委員 先ほど申し上げましたように、各課における定員ないし実員の配分という問題は、それぞれの局においてお考えになる問題でございまして、必ず係があれば係員があるという形には配置されていない状況はあちらこちらにあるわけでございまして、そういった事態がこの場合にも生じているものと考えます。
  83. 山本政弘

    ○山本(政)委員 そうすると、要するにこれほど問題になっておる牛乳の問題について、だれも係員がおらぬ、それでいいというお考えなのかどうなのか。あるいは今度法が改正されて、要するに世論として問題になっている食品衛生、特に洗浄に関してこれだけ問題になって法が改正される、特別に一項改正をするという段階の中で、だれも担当者がおらぬ。しかし、それはそういう場合もあり得るといってほおかぶりしてやっていけるのかどうだろうか。行政管理庁は、人を削減するばかりが能じゃないでしょう、極論するようで申しわけないけれども。いいですか。食品関係の営業だけ、業種別の施設数を見ますと、許可を要する施設が百六十一万八千五百二十一、許可を要しない施設というのは百三十四万一千九百四十八、合計二百九十六万四百六十九カ所になっているじゃありませんか。その中に監視員が四名ふえたということで、一体どうなるんだろう。あるいは乳製品の製造業が千八百二十二、集乳業というのがありますが、これが千二百九十七、特別牛乳搾取処理業四、乳処理業千六百五、こういうものがあるわけですね。それに対してだれも係官がおらぬ。要するに、行政管理庁は食品の衛生について何をお考えになっているんだろうか。
  84. 平井迪郎

    ○平井政府委員 私どもが申し上げるまでもないこととは存じますが、先ほどあげられました非常に多い対象件数に対する現実の監視の仕事というのは、輸入食品関係を除きますと、地方団体の所管でございまして、これにつきましては各都道庁県に食品衛生監視員が置かれているわけでございますが、この人数は毎年度若干名ながら増員か行なわれているようでございまして、私のもとでちょっと古い資料でございますが、四十五年三月現在で四千八百五名が配置されているわけでございます。したがいまして、そういった意味からいたしますと、私どもが申し上げました監視の四人の数字というのは、その全体に関連する問題ではございませんので、輸入食品の監視に関する問題でございます。これにつきましては、全体として全国の主要港十一港に約二十名の人員が配置されているわけでございます。
  85. 山本政弘

    ○山本(政)委員 四千八百五名というのは監視員だから、これは地方自治体にまかしておけばいいんだ。そうすると、中央の厚生省の行政当局としては何もしないわけですか。地方にまかしたらいいんだ。係員も何もなくたっていいんだ。それが行政なんだろうか。それなら、いっそのこと係長も補佐も課長も全部なくしなさいよ。少なくとも監視行政に対しては、そんなことは要らぬことになるでしょう、あなた方のおっしゃりようだったら。事輸入に関してのみでございます。ほんとうに輸入に関してのみですか。つまり私の申し上げるのは、行政当局の責任というものは、輸入品に関してのみ食品衛生をやるのか、やらぬのか、そのことだけですよ。あるいは国内の食品衛生に対しては何もやらないのか。厚生省はそういうふうにやるべきだというふうに行政管理庁はお考えになっているのかどうか。
  86. 平井迪郎

    ○平井政府委員 私ども申し上げておりますのは、監視の実務にあたる問題としてやっておりますのはいま申し上げたような状況でございまして、厚生省本省で行ないます仕事といたしましては、すでに御承知と思いますが、規格、基準の設定とか、あるいは添加物の指定といった一般的な行政を所管いたしているわけでございます。
  87. 山本政弘

    ○山本(政)委員 だから、一般的な行政で、これだけのことが、定員がなくて済むのか。あるいは新しく法律を改正するのに、だれもおらなくて、そういうことを担当する人が三つも四つもの職務を兼務して一人でいいのかということですよ、全国のことに対して。日本全体のことに関してそれでいいんだろうかどうだろうか。間に合うとお考えになっているのか。間に合うとお考えになっているのだったら、そうおやればいいのですよ。
  88. 平井迪郎

    ○平井政府委員 先ほど来申し上げておりますように、基本的には、局内における職員の配置はそれぞれの局においてお考えになることでございますが、私どもが承っている範囲におきましては、この配置で何とかやっていけるというふうに厚生省当局としても考えておられるように思います。
  89. 山本政弘

    ○山本(政)委員 局長は、人数が少ないのを人をやりくりして——私は断わっておきますか、厚生省のほうに味方しているわけじゃないですよ。国民のための食品衛生ということに対してそれで十分かどうかということで厚生省のほうに聞いたところが、少ない人数をともかくやりくりして今日までやってきた、こうおっしゃっているでしょう。それをあなたは、やりくりをしてやっておるようでございます、それで済みますか。それなら質問できませんよ。委員長が聞いておったって、この答弁というのはきちんとした答弁になっていますか。私どもは知りません、厚生省が適当にやっておられるのでしょう、そういう無責任なことがありますか。行政管理庁というのは、そういう定員のことに関してやるのでしょう。人間が十分でなければ、監視体制だってもちろんそうですけれども、ほかの指導だって、あるいは乳肉衛生だってできないだろう、私はこう言っているのですよ。洗浄に対しても同じだろう、農薬調査に対しても同じだろうと言っている。輸出入の検査だけに限っていますという、かりにそれはそれとして私は承ってもいいですよ。それでも係員はゼロじゃありませんか。それで何とかやりくりしているのでしょうと言う。あなた方はそれをはったらかして責任ないというふうにお考えになっているのかどうか。
  90. 平井迪郎

    ○平井政府委員 これまた御説明を要しないと思いますけれども、御承知のように、定員につきましては、毎年度予算の要求と並行して御要求がございまして、私どものほうで各省と御相談を申し上げて決定しているわけでございます。したがいまして、もちろん私ども各省に査定いたしまして示した定員が非常に潤沢であるとは考えませんけれども、その定員の範囲内で何とか仕事のやりくりはつくというもとに各省としても御了承をいただいているわけでございまして、ただ個々の係をとりまして、その係に一般職員がいるかいないかというところまで議論になりますと、これは私どもとしてはそれについての当否を論ずるわけにはいかない、全体として見たときに何とかやりくりのつく定員であるということで厚生省も御了承いただいたものとして、四十七年度定員はきめられているわけでございます。ただし、今後の問題として、さらに厚生省御当局で改正法案その他の実施をやられた過程におきまして、これではだめであるというふうな事態が参ってくれば、四十八年度の定員問題はあらためて提起されることは言うまでもないことでございます。
  91. 山本政弘

    ○山本(政)委員 局長、いままでそれじゃあれですか、乳肉衛生課、定員がなかった、係員、これは要求しておらぬわけですね、そうすると。要求していないわけですね。
  92. 浦田純一

    ○浦田政府委員 三課とも、毎年要求はいたしております。
  93. 山本政弘

    ○山本(政)委員 じゃ行政管理庁、要求しているじゃありませんか。そうしてしかも事態はこれほど——要するに食品衛生については世上の論議になっているじゃありませんか。
  94. 平井迪郎

    ○平井政府委員 確かに、一般の予算要求と同じように、当初要求におきまして相当数の要求があることは事実でございますが、査定並びに予算編成の過程におきましては、結果的に見て厚生省も御了承をいただいているというふうに考えております。
  95. 山本政弘

    ○山本(政)委員 了承を得ているということは、泣く泣く了承したということじゃないのだろうかと私は思うのですよ。行政管理庁は、それじゃ一体国民の健康というものをどういうふうにお考えになっているのかどうか。それ一つでいい。国民の健康をお考えにならないのか、なっているのか、それだけ聞かしてください。あとは、私はこの次に行政管理庁長官に来ていただいてその質問をしますから。
  96. 平井迪郎

    ○平井政府委員 行政需要につきましても、各般の行政需要、それぞれ重要なものがあるわけでございますが、もちろん食品衛生の問題についても、私どもは国民の健康を守る意味で重要なものであると考えております。
  97. 山本政弘

    ○山本(政)委員 重要であるものと考えているのが、厚生省が了承したということで、これはおそらく折衝の過程でそうなったのだと私は思いますけれども、人間の要求というものに対して、これだけのものにとどまっておる、ゼロにとどまっておるというのもおかしい。それから試験についても、衛生試験所わずか三名ということはおかしいのですが、大蔵省にちょっとお伺いしますよ。  四十七年度の食品衛生関係予算で、食品衛生指導員養成事業費というのがある。三十二人から四十人に食品衛生監視員がふえました。いまさっき監視員の話が出たが、その予算のふえたというのが二万四千円、そうですね、予算増は。二万四千円というのは、ぼくはふえた根拠をひとつ聞かしてもらいたい。三十二名から四十名にふえておって、そしてこれは八人増ですね。一人当たり三千円ふえたという勤定になるわけです。一体どういうわけでそういうふうになっておるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  98. 信澤清

    信澤政府委員 数字だけ、事項が違いますので……。  食品衛生指導員養成事業費というのが二万四千円増額になっているのは、御指摘のとおりでございますが、これはちょっと先生勘違いされたかと思いますが、お話しのような港の監視員の経費ではございませんので、それだけ私から申し上げておきます。
  99. 渡部周治

    渡部説明員 先生が御指摘になりました食品衛生指導員養成事業費でございますが、これは御指摘のとおり四十七年度予算は二百四十三万六千円でございまして、前年度の二百四十一万二千円に比べまして二万四千円の増でございますが、これは食品衛生指導員を養成するために講習会等をやっておるわけでございますが、その講師謝金の単価アップ分でございまして、職員増員の分とは関係ございません。
  100. 山本政弘

    ○山本(政)委員 この備考に書いている食品衛生監視員(輸入食品)四十六年から四十七年について三十二人から四十人の増員というのは、これは違うわけですね。
  101. 信澤清

    信澤政府委員 私どもから御説明の際差し上げた資料がたいへんまぎらわしい形になっておりますので、ただいまのような御質問になったと思いますが、備考の欄では単純に定員がふえましたことを示す数字を入れたつもりでございましたが、あたかも御指摘のように食品衛生指導員養成事業費の内訳であると、こういうふうな、当然そうおとりになってやむを得ない、そういう資料を差し上げたことは、たいへん申しわけないと思います。
  102. 山本政弘

    ○山本(政)委員 じゃ、これは注意してください。こんな書き方は誤解を招きますよ。  それじゃ、同じように関係予算の中で、食品化学課の中の食品添加物衛生指導取締費というのが三千円増額になっている。これは一体どうなんですか。これは大蔵省、どういうふうになっているんですか。
  103. 信澤清

    信澤政府委員 この経費は、何と申しますか、いろいろ食品化学課についてその年度年度の事業にかかわりなく、いわば一般的に必要な経費というものがございます。そういう費目でございまして、三千円の増額は、内容しかとわかりませんが、おそらく謝金とか、あるいは賃金、雇い上げの単価等のアップ等がありまして、こういう結果になっておるものと思います。
  104. 山本政弘

    ○山本(政)委員 そんなことはないでしょう。謝金が三千円、これは謝金だけでも三千円、全部済んでしまうじゃありませんか。いま厚生省、そんなことを言ったら失礼かもわかりませんが、謝金で三千円なんて、そんなことなさらぬでしょう。私が申し上げたいのは、つまりこういうのは幾らでもここに出ていますよ。二万四千円とか一万四千円とか、指導取り締まりあるいはそのほかの項目にも出ている。かりに四十万とか四百万ふやすなら話はまだわかりますが、四千円というのはどういう意味ですか。これは承認したんでしょう、大蔵省。
  105. 信澤清

    信澤政府委員 先ほど申し上げましたように、経常的に入っているいわゆる標準的な経費でございまして、今回三千円がふえておりますのは、謝金の単価が若干アップをした、その結果三千円ふえた、こういうことでございます。
  106. 山本政弘

    ○山本(政)委員 いまのやつは、謝金の単価がふえたというやつですね。それじゃ乳肉衛生課のと畜場、と畜及びへい獣処理等衛生対策費の四千円というのは、謝金がふえたんですか。
  107. 神林三男

    ○神林説明員 私もいま正確なあれは覚えておりませんが、一応標準予算の単価増ということでふえております。謝金がどうかは正確に覚えておりませんから、あとから調べて先生にお知らせしたいと思っております。
  108. 山本政弘

    ○山本(政)委員 単価がふえたというんなら、もう一つ聞きます。人畜共通疾病対策費の四千円増というのは何ですか、これも単価ですか。
  109. 小沢辰男

    ○小沢(辰)委員長代理 よく相談して答えなさい。
  110. 神林三男

    ○神林説明員 これも同じ単価増だと思います。
  111. 山本政弘

    ○山本(政)委員 それじゃ単価幾ら上がったんですか。
  112. 神林三男

    ○神林説明員 いま正確に覚えておりませんから、予算書を取り寄せましてお答えいたします。
  113. 小沢辰男

    ○小沢(辰)委員長代理 局長に申し上げますが、至急予算の資料をとって、正確に説明しなさい。山本さん、次の質問を願います。
  114. 山本政弘

    ○山本(政)委員 それじゃきちんとしてあとで……。  研究体制について、先ほど定員増が三名になったという話、それじゃちょっとお伺いしますが、慢性毒性の研究期間というのは、一体どれくらいなんでしょう。それが一点。  時間がないですから次々あれしましょう。  第二番目に、安全性について最高の科学的水準により常時点検をいたします、こうおっしゃっている。これは参議院の社会労働委員会の附帯決議であります。だけれども先ほどからの話を聞ぎますと、どうも私は安全性についての最高の科学的水準によって常時点検されておるとは思われないのです。人員も少ない、予算も少ない、そういうところから考えて、最高の要するに科学的な水準によりやっておられるのかどうか。  第三番目、慢性毒性の研究と一緒に相乗毒性というんですか、そういう研究体制をするのについて、一体期間というものがどれくらい必要なのか。毒性の相乗効果ですか、そういうことについて、要するにきちんと研究の資料をまとめるについては、一体どれくらいの期間というものが、常識的に学問的に考えられておるのか、この三点について聞かしていただきたい。
  115. 浦田純一

    ○浦田政府委員 慢性毒性に要します試験研究期間は、通常最低二年、その結果をまとめますためには三年という年月を要します。  それから、国立衛生試験所あるいはこれらの毒性の研究機関の体制は万全か、そのレベルはいかんということですが、体制つまり定員とかそういった機構につきましては、これは多々ますます弁ずという言い方が当てはまるかと思いますけれども、いま国立衛生試験所のほうに物理的な負担がかなりかかってきておるということは、この二、三年来の環境問題を考えますと、そういうことは指摘できます。しかしながら、そのレベルでございますが、そのレベルにつきましては、国立衛生試験所は日本においては少なくとも最高レベルの一つである。リーダーシップを握っておる機関である。また、そういった人々が配置されておるということは、私は心からそのように信じております。  それから、相乗毒性の検査に要する期間でございますが、これはいろいろと組み合わせがございますので、一がいに申し上げにくいのでございますが、慢性毒性よりもむしろ時間としては長年月を要する。ものによりましては、数年を要するといったものもございます。
  116. 山本政弘

    ○山本(政)委員 小島さん、いまの二年もしくは長いときには三年かかるということは間違いないですね。
  117. 小島康平

    ○小島説明員 先生御指摘のように、慢性毒性試験は二年ないし、三年かかると思います。これは動物を飼います期間が大体二年、それから先生方が顕微鏡をのぞかれて報告をまとめるのに大体三年近くかかるのかと思います。
  118. 山本政弘

    ○山本(政)委員 そうしますと、冒頭に話を戻します。三十七年に研究調査をやって、そして、洗浄剤というのは、通常の使用によっては人体に有害ではないという結論を得たのだけれども、この研究期間というのは二年もしくは三年かかっておりますが、私が承っておるところによれば、二年ないし三年はかかっていないはずですが、この点はどうです。
  119. 浦田純一

    ○浦田政府委員 三十七年に食品衛生調査会から出ました答申、これに基づいておる調査の期間は約半年ぐらいであったと聞いております。しかしながら、これのみの結果でもって判断を示したのではなくて、諸外国の文献、こういったものを含めまして広く検討して結論を出したものというふうに承知いたしております。
  120. 山本政弘

    ○山本(政)委員 そうしますと、半年で慢性毒性の試験というものを十分にやったとは、つまり安全性について最高の科学的水準によって処理をしたとは言えないのですね。これは局長でも課長でもいいです。
  121. 浦田純一

    ○浦田政府委員 あのときの答申の中身には、内外の諸資料を広く検討して、といった一文が草せられてあったと記憶しておりますが、みずからの手でもってすべて検査する、その結果に基づいて判断するということは、もちろん一番望ましいことではございますが、中にはそのような専門の学者が、自己の経験に照らしまして、他の調査研究の評価をするということは十分にできるかと思います。さらに、それらを確認するために、必要程度の調査研究をみずからの手で行なう、このようなことで通常当たられておることがあるのでございます。
  122. 山本政弘

    ○山本(政)委員 研究には追試ということもありますね。そうすると、一番望ましいことをなぜ厚生省はおやりにならないのか。つまり、私が申し上げたいことは、ほかのことは別ですよ。しかし、少なくとも国民の健康だとか国民の食卓に関することだとかいうのだったら、やはり十全を期さなければいかぬだろう、こう私は思うのです。それをおやりにならなくて、そして追試ということも含めて、いま心配ございませんというやり方は、私は国民に対して親切なあり方ではない、こう思いますけれども、その点はいかがでしょう。
  123. 浦田純一

    ○浦田政府委員 三十七年の答申をいただいた当時の状況を御説明申し上げますと、そのときまでには六カ月の試験しかしてなかったということでございまして、その後国立衛生試験所におきましては引き続き慢性毒性の研究を続行しておるわけでございます。そして、その結論から申しましても、そのおそれはないという結論を得ておるのでございまして、ただ単にそのときの調査会の御答申だけでなく、行政当局としては、続けてこれらの問題について慎重に検討を重ねてきておったということを申し上げます。
  124. 山本政弘

    ○山本(政)委員 私は根拠なしに申し上げておるのじゃありません。国立衛生試験所の毒性部では、やったことはたくさんやっております。たとえば終戦直後には有害甘味料、昭和二十八年には有害着色料、それから昭和二十二年にはズルチン、チクロ、昭和三十八年にはかん入りジュースの中毒、昭和三十年に粉乳砒素中毒、四十三年にライスオイルの中毒、二十八年、二十九年にかけて水俣病、たくさんやっておられますけれども、しかし洗浄剤について統一的にそういうことをやったかどうかということは疑問である、こう申し上げておるのです。そのときどきの派生した問題についての毒性試験をやったかもわからぬけれども、しかし、いま申し上げたようにやっておられるかどうか、これは疑問だ、それが第一点。  第二点は、繰り返し確認いたしますけれども、統一的にもう一ぺんやっていただけるかどうかということですね。  それから、研究員の人たちが最高の水準であることは私は疑いません。しかし、人手不足ということもあるだろう、財政的な問題もあるだろう、そうすると、したい実験がやれない場合もあるのじゃなかろうか、こういうことを申し上げておるので、そういうことについてぜひお答えをいただきたい。
  125. 浦田純一

    ○浦田政府委員 先ほど中性洗剤のその後の検討の場所について少し誤った御説明でありましたので、取り消させていただきます。  催奇形性は国立衛生試験所でやったのであります。それから慢性毒性につきましては順天堂大学の医学部のほうにお願いいたしました。たしか四十年をはさみまして、二年間の年月をかけて再検討いたしてございます。国内でそれぞれ分担していただいて、中性洗剤の慢性毒性あるいは催奇形性の検討をしたということでございます。  それから、今後再検討するかどうかということでございますが、これはやはり食品衛生調査会のほうにもう一度おはかりいたしまして、その必要のことについてはお聞きしたいと思いますが、一言申しますと、いままで行政当局のこれに対する正しい知識の普及その他についても欠ける点が多々あったように思います。これらについてあわせて考えてみたいと思っております。
  126. 山本政弘

    ○山本(政)委員 食品衛生調査会にやらせなくたって、あなた方は独自で行政当局の責任としておやりなさいよ。そういうことをしないと、国民の疑いは、いつまでたっても解けないですよ。なぜそれを独自におやりにならないのか、あなた方の責任でしょう。それが一点。  もう一つ、最後の質問に入りますが、いまの検査制度の充実のために、要するに国公立の検査機関の不足という実態がある。だから、民間の研究機関を指定をする、そういうお話がありますけれども、民間の指定検査機関を活用する場合に、いい技術者をどういうふうにして確保するかという問題が出てくるだろう、こう思うのですね。あるいはいま不足している食品衛生監視員をどうするんだろうか。私は、法律で幾ら規定しても、技術者とかあるいは監視員を確保しない限りは、実際の効果というものはあがらない、こう思うのですね。これは処遇の問題もあるでしょう。給与の問題もあるでしょう。そういうことに対してきちんとした予算を一体今後お組みになるのかどうなのか。要するに、なぜ私が予算のことをお伺いしたかといったら、三千円とか四千円とか単価が上がったから四千円ふえるということが、実は理解が私にはできないのです。あるいは謝金が上がったから三千円ふえたとか、そういうようなことが実は理解ができない。ほんとうならば、もっと大幅にふえるべきであるはずであるし、同時に、研究調査機関についてももっと大幅な試験員あるいは予算というものを組まなければならぬだろう、こう思うのですね。きょうは大蔵省のほうもちゃんと見えておられますし、お聞きになっておられたと思うから言うんです。どうもそういう点について、何といいますか、ほかのことについては予算をたくさんおとりになるんです。これは国全体の問題ですし、国民の健康とか安全性ということに対しては予算はおとりにならない。ですから、いま言ったようなことについてどうお考えになっておるか、聞かせていただきたいと思います。
  127. 浦田純一

    ○浦田政府委員 食品衛生調査会のほうに聞かなくて、独自にそのような中性洗剤の毒性に関することは行政庁としてやれというおことばでございますけれども食品衛生調査会は、このような食品衛生に関する重要な事項を調査審議させるために特に法律をもって設けられている機関でございまして、中性洗剤の毒性等も含めましてやはりこの食品衛生調査会で御審議を願うというたてまえでございますから、私どもはやはり従来どおりはかってまいりたいと考えております。もちろん私どものほうからいろいろ行政当局としてなすべきことに努力することは申すまでもありません。  それから、職員の確保でございますが、ことに技術系の職員の確保は、民間、国公立を問わず重要な問題でございます。ことに食品衛生監視にあたる技術職員の問題につきましては、やはり待遇、処遇の改善をはかりますと同時に、技術的な水準の向上につとめまして、技術職員の方の矜持といったものに訴えながら十分に確保につとめてまいりたい。  それから、従来どおりのやり方を踏襲するとともに、さらにそれを拡充して、たとえば厚生大臣の指定いたしました食品衛生監視員の養成施設の拡充強化をはかる。また、全般の大学等を含めての専門教育に対する当方からのそれぞれの所管に対する働きかけといったようなことについて、技術系の職員、ことに民間についても同様であると思いますけれども、これについてつとめてまいりたいと考えております。
  128. 山本政弘

    ○山本(政)委員 食品衛生調査会というのは、要するに学識経験者ですね。学識経験者がおきめになることはたいへん私はけっこうであると思うのですけれども、そういう意味では、学識経験者がきめたからといって消費者は必ずしも納得しないわけですよ。消費者代表が入っておって、そしていろいろ議論をし、消費者としての疑問なりあるいは不安なりというものがそこに反映されて、そこで納得されて、そして十分だというなら、これはまたぼくは話がわかると思うのです。しかし、学識経験者といえば雲の上になってしまって、学識経験者の集まりである食品衛生調査会できまりましたという一つの権威でもって消費者に対して押しつけていく——押しつけていくというのは語弊があるかもしれませんが、なぜ消費者というものを入れないんだ。入れることができないのか。業界の代表を入れれば消費者の代表を入れるほうがもっと緊急な問題だと私は思うのです。だから業界の代表を入れないことについては、ある意味では賛成なんです。しかし、消費者の代表をなぜ入れることができないのか、これは国民としては疑問なんです。常にそういう調査会とかあるいは何とかいうものについては、消費者代表がシャットアウトされて、そして不安なり疑念なりをいつも抱いている。そういう行政のあり方というのはやはり私は正しくないと思う。あくまでもそういう人たちに間違いがなければ、正しいのであるならば、そういうことに対して納得させる努力が必要だと思う。そういう意味でも、この中に消費者の代表を入れることをなぜしないのだろうか、これは考えてほしい。
  129. 浦田純一

    ○浦田政府委員 今度の改正法案では、食品衛生調査会の構成を学識経験を有する者で構成するというふうに改めたいと考えておりますが、先生の御指摘のように、消費者代表というものもこの中に含めたいと考えております。本来私ども食品衛生法そのもの消費者の保護の立場から運用されるべきである、またそのようにつとめてきたつもりでございます。したがいまして、食品衛生調査会そのものもそのような性格を当然有するものだと考えております。また、そのようにぜひ運営していくようにつとめたいと思います。
  130. 山本政弘

    ○山本(政)委員 最後の質問に入ります。  消費者保護基準法には「事業者は、その供給する商品及び役務について、危害の防止、適正な計量及び表示の実施等必要な措置を講ずるとともに、国又は地方公共団体が実施する消費者の保護に関する施策に協力する責務を有する。」こう書いてあるのです。そして東京都では業務委託ということでやっておるようでありますが、私は、ある意味では業界の、業界というよりか——メーカーではありませんよ、直接消費者と接触するところですね。小売りといったほうがいいかもわかりません。そういうところの自覚がなければだめだと思うのですけれども、都のほうは、講習会をやったり、あるいは指導員についていろいろな交通費を支給したりしてはおるわけですけれども、現行の食品衛生法で、営業の許可というのは、施設だけがきちんとなっておれば、それで許可するわけですね。そうして人間のほうの拘束は何もない。何も知らぬ人たちが施設だけつくって仕事をやります、商売をやりますと言ったらそれで許可するわけですね。そうすると、直接需要者の口に入る食品の企業に関することですから、これはやはり問題があるのではないかと私は思うのです。しかも食品工業というので、われわれから考えればたいへん不安な食品の種類というものがふえてきておる、取り扱いもそういう結果で複雑化しておる、こういうことになれば、やはり食品を営業とする人たちの一つの経験なり何なりを持っている人たち、そういう人たちに対してやはり立法措置を講ずる必要があるんじゃないか、こう思うのですね。もちろんその人たちに対して、ある意味では、違反があれば厳重な罰則をつけたっていいと思うのです。そういうことが一つ。  それからもう一つは、先ほど申し上げた衛生指導員ですけれども、都のほうでは講習会をやったりなんかしておるわけですけれども、そういうことについて食品衛生指導員制度の活用というものをもっとやっていいんではないだろうか。先ほど監視員は四千八百五名、指導員はたしか五千五百名くらいですね。そういう人たちが、私はいまのままではきちっとした指導員ではあり得ないと思うのです。そういう意味で、地域の保健衛生というものを頭に入れながら指導する必要があるのではないだろうか。あるいは必要であれば身分を確立するということも、私よくわかりませんが、考えているのかもわかりません。もちろん、これに対して十分な規制をやることも同時に与えるべきだと思うのですが、そういう点どういうふうにお考えになっているか、ひとつ聞かしていただきたいと思います。
  131. 信澤清

    信澤政府委員 たいへん広範なお尋ねでございますので、私からは主として前半の問題についてこの法案をつくりました経緯等を申し上げたいと思います。  御指摘のように、現在許可営業につきましては、施設の基準をきめまして、それに適合すれば許可を与える、こういうたてまえになっておるわけであります。先生お話しのように、実際にそれを管理運営する人たちの資格については、わずかに添加物とかあるいは食肉製品等について食品衛生管理者というものを置かなければならぬ、これだけの規定があるわけでございます。  そこで、一般的にそういうような者を置くべきではないか、あるいはもっと全体的に営業の運営全般について法的規制をすべきではないか、こういう御意見があることは十分承知しております。ただし、実際に置く場合に、その人を得るかどうかという問題がございますので、実は今回は、やや折衷的な考え方だというおしかりを受けるかもしれませんが、法案の十九条の十八に、従来いろいろ指導でやっておりました事項を、今後は厚生大臣なり都道府県知事が基準をきめる。特に都道府県知事においては、いまお話しのような衛生確保の見地からいろいろな基準をきめる、これを守らぬ場合に罰則がかかる、こういうような規制を御審議いただいておるわけでございます。問題を一歩前進させたつもりでございますが、先生のお話からすればなお不徹底、こういうおしかりはあろうかと思いますが、とりあえずこれによって前へ進めていきたい、このように考えたわけでございます。  後段の問題は、これは全般にわたりますので、公衆衛生局長から御答弁いただくべきかもしれませんが、お話のように監視員の講習、その他指導員、いろいろ十分ではありません。御指摘のとおりであります。今後積極的にやっていきたいと思います。
  132. 山本政弘

    ○山本(政)委員 食品衛生調査会は学識経験者といっているのですけれども、私は注文があるのです。それは学識経験者であっても、企業の役職、たとえば役員になっておるとかなんとかいうのは、はずしてもらいたいと思うのです。あるいは調査会に対して報告とか答申を求めるとかということでは行政当局はかまわぬと私思います。しかし、そのメンバーに行政当局の人がなるということは、これはやっぱりやめてもらいたいと思います。これは希望です。  もう一つは、第三者機関食品衛生調査会のメンバーを選定する場合に、きわめて公平な選定をしてもらいたい。あるいは第三者機関といいますか、たとえばの話ですけれども、学会なら学会の推薦を入れる、そういうような方向があり得ないかどうか。それから消費者代表を入れるとか、そういうことをぜひ考えてもらいたい。そういう者が十分に入れば——私は、本来なら公開の原則を確立してもらいたい、こう思うのですけれども、しかしそういうことをあわせてひとつぜひ考えてもらいたいと思います。この希望についてはどういうふうにお考えになっておりますか。
  133. 浦田純一

    ○浦田政府委員 十分に御意思に沿うように検討いたしたいと思います。
  134. 山本政弘

    ○山本(政)委員 大臣がお見えになっておるから……。  私はきょう主として三点について質問申し上げました。一つは、食品衛生法の中における洗浄剤というのが、三十七年の調査研究の結果において、一般的に使用する場合には無害である、こういっておる。私自身としては現在でも野菜等には使用すべきでないという考えを持っておるけれども、しかし、とにかくその当時の研究というものは、いまのお話によれば、二年か三年毒性の試験というものはかかる、こういうふうにおっしゃっておるのです。半年で結論をお出しになっておるようであります。しかし、いまだに諸説があって、そして消費者は疑惑を持っておる。とするならば、行政当局としては、そのことに対して基本的に系統的に調査研究をして、その結果を国民に周知せしむべきではないだろうか。おもな問題はそれなりに的をしぼって申し上げたわけであります。  第二点は、これほど食品衛生が問題になっておるけれども、当該の行政官庁である厚生省の各課の人員というのは非常にお粗末な状況でございます。乳肉関係でも、中には係員がないというようなところもある。それから、食品衛生についても、洗浄剤が今度は法が改正されるというけれども、それに対して人がおらぬ。しかも一人で係を四つも持つというような結果になっておるところがあります。行政管理庁の話によれば、これは厚生省が了承したから、そうしたのだと言いますけれども、私はそうじゃないだろうと思う。しかし、そういう意味ではもっと人員をふやして、そして行政指導なり、あるいは監督なりの体制というものをきちんとすべきでないだろうか。あわせて試験研究に対しても、研究員というものについて十分な配慮をしなければならぬだろうと思っています。  第三番目には、いまの食品衛生調査会を中心として、これの人選について、あるいは運営について十分に配慮してもらいたい。そして、民間においても指導員ですか、あるいは自主的な規制を指導しておるわけでありますけれども、都あたりでも十分に講習会を開いたりなんかしております。監視員なんかを置いたりして、そういうことに対する措置をやっておる。国のほうでも、やはりそういう意味でひとつ十分な配慮をしてもらいたい。  こういうことを大体三つに分けてお話し申し上げたのですけれども、ひとつそういう点について——これほど問題になっておるわけであります。私の前に川俣委員質問いたしました牛乳の問題も、たいへん大きな問題になっておる。とするならば、国民の健康というものを考えれば、これからいまの当該課の責任というものは非常に大きくなるだろうと思う。そういう意味でも、いま申し上げた三点について、ひとつぜひ格別の配慮をしてもらいたい、こう思うわけです。  そういうことで最後に——大臣か私の質問のいきさつを終始お聞きになっておらなかったことはたいへん残念だと思います。特に前段の一番、二番について聞いておられなかったのは、たいへん残念でありますけれども、御返事を承りたい、こう思います。
  135. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 山本委員の御質問、終始伺うことができませんで残念でございましたが、ただいまあげられました三つの点につきましては、おそらくこういう御質問であったろうということは十分想像するに余りがございます。したがいまして、洗浄剤をはじめ、これでいいというように厚生省基準をきめましても、なおかつ消費者の中に不安があるということは、洗浄剤に限らず他にも多々あると私は思います。そういう場合には基準をきめて、それにはこういうわけだから心配はないんだという、安心のできるデータを時々お知らせして安心をしてもらうように、またそういった方法等も考えてまいりたい、かように思います。  それから、食品衛生関係の機構で、ただいま厚生省の課の例をあげられましたが、これは厚生省だけでなしに、末端に至るまで、ことに監視員の話も出ておりましたが、これも十分充実をさせていく必要がある、かように考えております。今日、総定員法五%減とかなんとかいうことで、役人の数をふやすことは一般から非常にきびしく言われておりますけれども、必要なものはやはり増す必要があると考えます。ことに食品衛生問題では、非常に重要な課題が今日の経済情勢、社会情勢のもとに出現しているわけでございますから、そういう意味を踏まえまして、ひとつできるだけ機構の充実をはかってまいりたい、かように思います。  それから、食品衛生調査会のメンバーの選定のしかた等については、先ほどからも伺っておりましたが、他の議員さんからもそういう御発言が参議院でもございました。これは結局、食品衛生というものについて権威のある経験者の意見を聞いてきめるということが必要であろうと思います。したがって、業者代表であるとかあるいは受益者代表というような感じを与えるような方は委員に選ばないほうがいい。消費者代表とおっしゃいましたが、これも消費者代表という意味ではなくて、消費者の立場からの学識経験を持っておられる方を選ぶのが適当であると考えております。さように御了承いただきたいと思います。
  136. 山本政弘

    ○山本(政)委員 大臣、私は消費者代表の立場からの学識経験者というのがどうも気に食わぬのです。要するに、学識経験者の中でも、その権威の中で、消費者よ、しんぼうせよというやり方ではなくて、消費者にそういう調査を通じて納得してもらうというものがなければならぬはずなんですね。何か一段だけ自分たちが高いところにあって、学問的に心配ないんだ、こういうことで消費者が納得しているかといったら、実際は納得していないのですよ。そうすれば、この人たちを納得させなければならないという行政上の責任は、やはりおありになるのじゃないだろうか。この人たちを納得さすにはどうしたらいいか、その人選のしかたというものを考えていただきたいということが一つなんです。と申しますのは、洗浄剤というのは、私は廃止論なんですけれども、しかし、とにかくもいま使っているものがめぐりめぐって、今度は水の汚染との関係になってくる。昭和四十二年に四十万四千トンのものが、四十五年には七十万トンになっている。四十七年にはおそらく倍になるだろうと思うのですね。いまますますそういうものがふえてきているだろうし、そして水の汚染というものは、要するに環境あるいは人間の健康を破壊するほうへ、私は皆さん方がどうおっしゃろうと、行っているという気がしてならないわけです。ですから、そういうことに対して、十分なことを考えなければならぬだろう、こういう立場でお願いをしているわけですから、ぜひそういうこともあわせてお考えを願いたいと思うのです。
  137. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 ただいまのおっしゃいます意味はよくわかります。納得をしてもらうというためには、また別の機構といいますか仕組みが必要ではないだろうか、調査会は納得してもらうための機構ではない、かように私は思っております。ここできまったことについて、業者に納得してもらう必要がありますし、あるいは消費者に、なるほどそうかと思うてもらう必要があります。これはまた別によく考えてまいりませんと——それは消費者の方々の趣味、嗜好というものを取り入れるということになれば消費者代表というものが必要でありましょう。しかし、これは国民の衛生上害があるかどうか、そういう見地に立ってはっきりと、学問的にわかった人に検討をしてもらう、そしてその結果がこうだということは、消費者団体なりあるいは業者団体なりの方々に十分理解をしてもらうという方法を講じる、これがいいのではないであろうか、かように考えているわけであります。しかし、いま山本委員からたっての御意見もございますから、そういう点も考慮に入れて、食品衛生調査会のメンバーの選定の際には考えに入れたいと思いますが、基本的な考え方としては、私はさように思うわけであります。
  138. 山本政弘

    ○山本(政)委員 私は質問を終わろうと思ったのですけれども大臣がそういうお答えをするんだったら、やはり多少時間をいただきたいと思います。  学問的な結論が出たから、大衆は知らぬでよろしい、使わしむべし、よらしむべしという態度は、行政当局の態度でないと思うのですよ。なぜこれだけの問題が出るか。これをごらんなさいよ。これは見せないで黙っておったんだけれども、これが一番大きな表示の方法ですよ。それで大衆が納得しますか。私はきのう洗剤をずっと見て回ったんですよ。それが私の目についた一番大きな表示です。あとはめがねをかけなければ見えぬような表示なんですよ。どこに大衆が納得しているんですか。消費者が納得しているんですか。広告の一つとってみても、あるいはそういうレッテル一つとってみても、大衆は納得していないのですよ。小さなもので周知徹底せしめるというような方法、そういうことができるだろうかどうだろうか。私が言うのは、そういう問題が出てきているけれども、それがもし学問的に正しいものであるならば、消費者はわかってくれるだろう。あなた方が自信を持っておるなら、わかってくれるはずですよ。それを学問的に解明してやるんだったら、全部が全部、食品衛生調査会というものは要するに学識経験者でなければならないという方法はないだろうと言うのですよ。そこには、原則的にそういうものがかりにあっても、消費者を納得させる消費者の代表者があったっていいじゃないか、こう私は言ってるだけの話なんです。大臣はどうもその点について、原則だけをおっしゃっている。それでは困ると思うのです。
  139. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 まあ、一人ぐらいあってもいいじゃないかとおっしゃる点は十分考慮いたします。ただ、こういったもの食品衛生調査会にかけてきめるべき問題ではございません。したがって、こういう消費者の利便に非常に関係があるというようなものは、やはり消費者代表の意見も十分聞いてやらなければならぬと思いますが、ただいまあげられましたことに対して、私はただ例をあげてあげ足をとるわけではございませんが、食品衛生調査会は、こういった表示やなんかの点は全然関与をいたしておりません。
  140. 山本政弘

    ○山本(政)委員 大臣、私はこう言っているのです。間違わないでください。学問的なものは学問的なもので、調査会でやればいいじゃありませんか。そして大衆を、要するに消費者を納得させるには別の方法があるではありませんか。それは方法として講すればいいとおっしゃるから私は申し上げているのです。方法として講じているその講じ方について、すでに問題があるじゃないかと言うのですよ。そうしたら、消費者に納得してもらう方法というのは、調査会で学問的な立場から解明をしてもらって、消費者の代表の人に、かくかくしかじかであるからいいじゃないかという方法があるんじゃないか。それをしものけてしまうおいうことは、私は国民に対して不親切じゃないかと言っているのですよ。わかりませんか。あなたが問題を分けたから、私も分けたようにものを言っているのです。
  141. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 現在でも消費者代表の主婦連合会の副会長高田さんがお入りになっておられるわけであります。しかし、これは消費者代表ですといって、消費者に全責任を負うという地位で来ておられるのではないであろう。消費者に全責任を負うて消費者代表ということになると、これはたいへんなことになると私は思う。しかし、消費者の見地からの学識経験者ということで入っていただければ、それでいいのじゃないだろうかと思います。
  142. 山本政弘

    ○山本(政)委員 いまの消費者の中ではずいぶん勉強しておる人もおるのです。次官よりちゃんとよく知っていますよ。あるいは、場合によっては大臣よりよく知っている人もおりますよ。そういう人たちは学識経験者でけっこうです。法というものは人の運用によるものです。厚生大臣がこういう運用をすべきだというふうにお考えになったら——私は法を曲げるというのではありません。運用のしかたによっては、消費者が、高田さんが入っているからけっこうだということにはならぬと思う。四十人からのメンバーでしょう。そうすれが二人や三人入ったって一向差しつかえないのです。家庭の主婦ですら差しつかえないと思う。それが為政者のあるべき態度だと思うし、いい意味の法の運用だと思うのです。これはぜひ考えてほしいと思うのです。
  143. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 消費者の立場にあられてそういったお方はいま一名ですが、これは三名でも四名でも五名でもりっぱな人は——りっぱというか、そういうお方には入っていただくことに決してやぶさかではございませんので、そういう方向で考えていきたいと思います。     —————————————
  144. 小沢辰男

    ○小沢(辰)委員長代理 次に、労働関係基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出があります。これを許します。八木昇君。     〔小沢(辰)委員長代理退席、山下(徳)委員長代   理着席〕
  145. 八木昇

    ○八木委員 日本エタニットパイプの不当解雇について若干の質問をいたしたい、かように考えております。と申しますのは、民間の私企業での問題でございますから、小企業あるいは零細企業の問題でありますならば、私どもとしても、いろいろな点について現実的な対処をすることを実際問題として考えておるわけで、一つ一つ国会の委員会で労働省に具体的な質問をするということをいつもやるわけじゃないのであります。ところが、日本エタニットパイプという会社は、御承知かと思いますけれども、株式でも一部に上場されておる銘柄会社であります。そして、配当もずっと一〇%やっておりますし、実際株の値段も相当いい、額面の三倍以上しておるという会社であります。しかも歴史としても昭和七年創業といいますから、古いところでありますし、事実上はその所有株のうちの三分の一は日本セメントが持っているという意味で、その系列会社でもあるし、客観的に見て他の同種企業等々と比べて経営が非常に大問題になっているというふうにも考えられません。ところが、そのようなれっきとした会社において、まことに前近代的な首切りが強行されようとしているという問題でございますので、あえてこの際質問したいと思っているわけです。  それで、通告もおとといの土曜日にしたようなことでございますが、エタパイの高松工場の解雇問題ということについて、労政局長、ある程度内容をつかんでおられるでしょうか。
  146. 石黒拓爾

    ○石黒政府委員 エタニットパイプの子会社のエタニットパイルにつきまして解雇問題がございます。先生御承知のとおりでございますが、簡単に経過を申し上げます。  四月十一日に団交の席上、パイル社の経営不振を理由に三十五名の非転勤要員の大宮、毛呂山への転勤の募集及び十七日までに希望者がないときは四月末まで指名解雇ということを組合側に提案いたしまして、組合側は、協約による協議約款があるのに、いきなり団交に持ち出したのは協定違反だということで、白紙撤回を要求。それから十三日、十七日の団交におきまして組合側は白紙撤回を要求し、会社側は転勤への協力を要請したが、結局応募者が一人も出なかったということで、十九日の団交において会社は解雇基準、条件等を提案いたしました。組合側は、その後四月二十日、二十五、二十六、二十八日から三十日までとストライキを繰り返しました。この間、会社側は二十五日に三十五名に解雇通知書を郵送いたしました。五月十五日までの賃金と解雇予告手当を送付した。組合側ではこの間、五月二日に高松地裁に解雇無効、身分保全の仮処分申請を行ない、七日以降波状ストを連続しておるというようなことで、この会社につきましては操短、休業等の場合の協議約款がございますし、また非転勤要員たる組合員の多数に所属職場の変更を命ずるときには、やはり協議約款があるという協約がございます。
  147. 八木昇

    ○八木委員 大体、平面的に経過を説明すればいまおっしゃったようなことだと思うのです。もともと日本エタニットパイプの高松工場があったわけで、これには約二百名の従業員がおりましたのが、その後、会社側の合理化提案等によって一部転勤など希望退職を募集いたしまして、エタニットパイプの高松工場をそのままエタニットパイル株式会社ということで独立をさせて、このエタ  ニットパイルには、従来のエタニットパイプ高松工場の従業員が百二十一名エタニットパイプに在籍のまま新会社のパイル会社に出向ということで、去年の六月から本格的な操業、そういう経緯のようでございます。もともとこういった経緯からいきましても、働く労働者にとっては忍ぶべからざるところを忍んで新会社に全員出向ということになった、そういう経緯であるわけであります。  そこで、いま御説明になったような非常に強引な解雇通告というものがなされているのですが、その具体的なことについてお伺いをいたします前に、労働協約が現に締結されているといなとにかかわらず、労働法上の考え方として、あるいは解釈としてでもけっこうですが、労働省は、解雇と経営権との関係といいますか、要するに企業側というのは、ともすれば経営権はわがほうにあるのであって、経営の事情に応じて雇っておる従業員を首を切るのは当然自由だということを主張しがちでございますけれども、そういった経営権と解雇の問題について、労働協約の存在の有無にかかわらず、労働法的に見てどういう解釈を労働省としては持っておられるか、それを最初にちょっとかいつまんで御説明願いたい。
  148. 石黒拓爾

    ○石黒政府委員 純法律的に申しますると、解雇の問題につきましては、たとえば労働基準法上予告期間の定めがあるとか、あるいは労働組合法上不当労働行為等の定めがある。解雇問題につきましては法律上若干の制限がございます。しかしながら、制限に触れない限りにおきましては、それは使用者側が解雇をするということ、あるいは組合側が退職するということは、現行法上は自由ということに相なっております。ただし、日本の労使慣行というような点から申しますると、必ずしもこの自由というものは無制限に認められるものでもないというふうに考えております。
  149. 八木昇

    ○八木委員 無制限になされてしかるべきものではないというお考え方だということでありますが、それはもう当然だと私思います。それならば、どうも経営者が解雇権をを乱用しているのではないかと考えられる場合はどういうような場合をいうのか。たとえば、私の考えでは、非常に動機が不純な解雇ですね、この際解雇攻勢、首切り攻勢をかけて、ある程度首を切って、そうすることによって組合を弱めよう、あるいは早計に失する場合の解雇、それから、あまり酷だ、酷に失する解雇、そういうようなもの、それから、解雇基準やその他の客観的な合理的な解釈が一応成り立つような解雇ではないそういう解雇、そういったふうなものを内容的には意味しておると思うのですが、いかがでしょう。
  150. 石黒拓爾

    ○石黒政府委員 日本の法制におきましては、解雇は正当な事由を要するという積極的な規定はございません。しかしながら、正当な事由に基づく解雇ならば、これは一応有効と認められるのが通常です。正当な理由が何にもないとか、不当な理由に基づいて解雇をしたとかいう場合には、裁判上しばしば解雇権の乱用という判決が出ておるのは御承知のとおりであります。しかしながら、解雇権の乱用がいかなる場合に認められるかという点につきまして、まだ判例あるいは学説、こうこうこういうものは乱用になるというふうに整理して申し上げるのは非常にむずかしゅうございまして、いま先生が御指摘になりましたのも一例であろうかと存じますが、系統的には、ちょっと申し上げかねる次第でございます。
  151. 八木昇

    ○八木委員 今度は内容と同時に手続問題ですね。労働協約が存在する場合には、特に労働協約には当然準拠し、従っていなければならないし、かりにまだ無協約な状態であるとしても、そこに労働組合が存在しているというような場合、そういう解雇に至る手続、そういった点についてはいかがですか。
  152. 石黒拓爾

    ○石黒政府委員 法律上の手続としては、労働基準法に定める予告の手続を経ればよろしいことに相なっております。しかしながら、日本の慣行におきましては、解雇という問題は、いわゆる終身雇用とも関連ございまして、非常に慎重な手続をとられるのが通常でございます。特に就業規則あるいは労働協約に定めがあります場合には、この手続に従わなければならない。手続に従わない解雇は、しばしば瑕疵のある解雇、あるいは時によっては解雇無効という判決もあるわけでございます。
  153. 八木昇

    ○八木委員 そこで、ちょっと具体的にお伺いをいたしたいと思うのですが、いま御説明にもありましたように、非常に強引な解雇なんですが、エタパイの会社とエタパイの労働組合との間には労働協約が締結されておりまして、そうして高松のエタニットパイルの従業員は全部エタパイからの出向者であって、そしてこの労協は全部エタパイの労使双方の間に結ばれておる労働協約を準用するということに実はなっております。その労働協約の第三条にこう書いてあるわけでございます。「会社の解散、合併、分割、事業所の閉鎖、縮少、操短、休業等、組合員の労働条件に重大な影響を及ぼす場合は、予め組合に内示、協議し了解を得るに努める。」こういう労協の第三条でございます。この意味を私どもは、当然形式的に何か提案をやって組合の同意を得られる見込みがないからもう協議はしなくてよい、そういうふうなことは考えないのでございますが、協議をするということ労働協約の文句というのはどのようにやるべきことをさしておるというふうにお考でしょうか。すなわち、私どもは会社の経営内容とか、今後の見通しとか、そういうものを相当具体的に組合に提示し、説明する、それから転勤先の工場の同じような事柄や新たな労働条件等々についても十分具体的に内容を明らかにして話し合いをする、そういうことを当然さしておる、かように考えるのですが、行政当局の労働省として、この労協第三条の読み方をどう読まれるか。
  154. 石黒拓爾

    ○石黒政府委員 私どもこの文言からだけ読みました場合に、協議の形というのがどういう形でなければならないというふうにはちょっと申し上げかねますので、これは協約のできたいきさつ及び従来の慣行等によりまして、労使が最も適当と思う形で協議をするというのが筋であろうかと存じております。
  155. 八木昇

    ○八木委員 三十五名の者に転勤せよというのでしょう。それで転勤希望者がない場合には指名解雇というようなことをやろうという場合に、協議をしなければならぬことになっておるわけですね。その協議にあたって会社が協議すべき内容について私は聞いておるわけです。いまの会社の経営内容の具体的な説明、それから、たとえば今後の経営の見通し、このように人員を減らせばどういうふうになっていき、こうなっていく、そういったふうなことは当然協議中身としてなさるべきものではないかということです。
  156. 石黒拓爾

    ○石黒政府委員 この協約による協議は三条と十九条と二つあるわけであります。十九条のほうは、これは要するに転勤のときの協議でございます。第三条のほうの協議につきましては、事業所の解散、合併等の事業の運営そのものについての協議であります。この二つの条文があるところをあわせて読みますと、やはり協議の内容というのは、会社の経理の状態がどうなっておるということから、将来どういう見込みであるというようなことを親切に話をするという趣旨を含んでおるものであろうと存じます。
  157. 八木昇

    ○八木委員 そこで、この第三条にはさらに「予め組合に内示、」と書いてございますね。今回の場合、内示ということがなされていないわけですね。春闘要求と通常言いますけれども、賃上げ要求を組合が三月にした。第一回団体交渉が四月十一日に開かれた、その席でいきなりこれを提案をしておるわけですね。内示というのはどういうことでしょう。
  158. 石黒拓爾

    ○石黒政府委員 これも内示という法律用語の解釈が確定しているわけではございませんで、当事者がどういうつもりで協約に書いたかという当事者の意思解釈の問題であろうかと存じます。しかしながら、ともかく、会社の解散ということを、きょう解散したよということをいきなり通告するのではなくて、解散される予定があるということをあらかじめ知らせるという内容を含むであろうというふうに常識的に考えられるわけであります。
  159. 八木昇

    ○八木委員 大体そんなことだろうと思うのですが、もっと具体的に言いますと、わざわざここで労働協約で内示という項目があるということは、協議といっても、会社側が一つの態度をきめて提案をしていきなり協議が始まるというようなことでは、これは労働組合の場合、多数の従業員をかかえて、全国にも組織が散っておる、時間的にもそんな提案を受けてすぐ対応できるものではありませんし、それからまた、内容というものをあらかじめ示されて、それを十分に討議して、そうしてどうするかというようなことにもなっているわけだから、そういう意味では、必要があるからして協議に先立って内示をする、こういうことになっておる、常識的に当然そのように考えるのですけれども、それもそのようにお考えでしょうか。
  160. 石黒拓爾

    ○石黒政府委員 私ども労働協約の解釈の原則は、当事者双方の意思をまず優先させて解釈する。内示、協議、了解と、こう三つ並べてございますが、協議の前にまず内示をしなければならないのか、内示が直ちに協議になるのか、その辺はどうしなければならないということを私どものほうから申し上げることはいささか困難でございます。労使の意思解釈並びに慣行によるものであります。
  161. 八木昇

    ○八木委員 それから、こまかくやっておりますと切りがございませんから……。従来の慣行が実はきちんとあるのですよ。それで、それは従来は経営のそういったものにからんでの転勤であるとか、それからいろいろなそういった問題の場合には、ちゃんとあらかじめ会社のほうから組合の書記長のほうに一つの連絡通知、そういうものがなされてそうして行なわれる、こういう先例がありますから、そこら辺のところまでは触れません。  そこで今回の場合、いま申し上げました第三条のほかに労働協約の五十六条によりますと、この転勤等の事柄——首切りの場合はもちろんのことでございますが、まずもって労使協議会で協議すべきことになっております。それから、五十七条におきましても、そうなっておりますし、転勤の問題については、十九条においてもそのようにこれは「協議する。」という表現になっておるのですが、今回のように、いきなり団交の席上でそのような提案をし、即日転勤希望を一週間の期限つぎで募集をして、そうしてもうそれで締め切って指名解雇通告を出すという措置は、明らかに五十六条にも五十七条にも十九条にも違反しておると考えるのですが、その点どうでしょうか。
  162. 石黒拓爾

    ○石黒政府委員 私、協約の解釈を一般的に申し上げましたが、本件につきましては、高松の地裁に地位保全の仮処分の申請がございます。その裁判の最大の争点は、協約の協議約款違反でないかどうかという争点に相なると存じます。したがいまして、そういう裁判所にかかっている段階におきまして、行政府が国会の場におきまして、これは違反であるとかないとかということを断定的に申し上げることは差し控えさせていただきたいと存じます。ただし、今回の協議につきまして、私従前の慣行は存じません。  それから、労使協議会というのは、ここに書いてございますのは、細則を持っておりませんもので、どういう権限を持っておるかということも存じません。協議そのものは要式行為でございませんから、協議会で協議する場合もありましょうし、あるいは非公式のルートで協議する場合もありましょうし、団交で協議する場合もあるかと存じます。いずれにしても、今回の会社の措置は、非常に急いでおるなという印象は持っております。
  163. 八木昇

    ○八木委員 それからさらにもう一つ伺いますが、労働協約の六十一条一項には、団体交渉の場合も——これはむしろ従来経営側か主張したのてすね。団体交渉をやるという場合には、あらかじめどういう事項の交渉をしたいということを相手方に通告する。これは経営側が常に強力にそのことを主張してきて、今日では労働協約の中にそういう条項が大多数の労働協約においてうたわれておる。労働者としては必ずしも好ましいとばかりも考えない条項なんです。それにもかかわらず、今度の場合、会社は春闘の交渉の席上で、このような基本的な労働者の生活そのものに関する問題を持ち出しておる。あらかじめ労働協約六十一条一項によるところの議案の通告をしていないということがいえるじゃありませんか。
  164. 石黒拓爾

    ○石黒政府委員 その点につきましては、私どものほうの調べが行き届きませんで詳細に存じておりません。
  165. 八木昇

    ○八木委員 ちょっと六十一条一項を読んでみてくれませんか。
  166. 石黒拓爾

    ○石黒政府委員 六十一条「会社及び組合は交渉に当り事前に下記の手続きをとる。」全部読むのでございますか。
  167. 八木昇

    ○八木委員 あなた御自身お読みいただけばいいのです。
  168. 石黒拓爾

    ○石黒政府委員 これは読みました。ただ現実の団交の場合に、あらかじめ通知したかどうか、事実は私は承知しないということであります。
  169. 八木昇

    ○八木委員 事実を御承知ないということだけれども、しなければならないという、これは明瞭でしょう。解釈上の争いはないと思うのです。その点どうですか。
  170. 石黒拓爾

    ○石黒政府委員 その点はもう、事前手続というものは必ず踏まなければならないものと考えております。
  171. 八木昇

    ○八木委員 そこで、四十分程度でやれということでありますから、そのくらいでは、こういった具体的な問題は、とてもやり尽くせないのですが、そこで大臣に伺いたいのです。  これまでの私とのやりとりというものを全体としてお聞きになってどのように感ぜられたか。通産省当局であれは、ぼくもまた質問する観点も多少違いますが、これは労働省ですから……。そこで、経営側のいろいろなそういった事情によって、このようなやり方で、れっきとしたこの会社がこういう無謀なやり方をやるについて、労働省として——これかここだけにとどまらない、こういうことがもしまかり通るとするならば、これは同種の産業の同じような企業に波及するのみならず、他産業にもやはりこういったあり方というものは波及する。常に資本主義の経済というものは、景気変動は幅の大小こそありましてもこれは不可避ですから、そのたびごとにそういうことをやられたのじゃたまらぬ。労働協約などというものはあったって何の意味もない、こういうことになると思うので、私は、労働協約というものは労使の自主的な協定というだけでなくて、やはりこれは相当程度法的規範性というものを持っておると考えますがゆえに、このような資本側のあり方というものについてどのような印象をお持ちになり、労働省としても、何らかの行政上のやり得べきことがあるのじゃないか。民間の労使問題にあまり行政当局がかかわり合うことは、それは労使間の問題に干渉するなどというようなきわめて平面的な意見がありますけれども、そんなことにならないと思うのですよ。こういう理不尽なる経営のやり方に対して、やはり労働者の生活権ということを一応考えた上で一定の行政的な行動があったとしても、それは労使関係の行政の干渉の行き過ぎということにならないと思うのです。そういった点、大臣として政治的にどうお考えですか。
  172. 石黒拓爾

    ○石黒政府委員 大臣への御質問でございますが、その前にちょっと私申させていただきますが、実は土曜日に先生の御質問があるということを聞きまして、会社側をけさ呼びまして、その際、労働協約というのはいかなるものであり、協議約款というものはいかなるものである、協議というものについては、こうあるべきであるということを会社側にじゅんじゅんと話をいたしまして、注意を喚起したということがございます。
  173. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 エタニットパイプの問題につきましては、私率直に言って何も存じませんでしたが、先生からの御質問があるというので労政局から報告はちょうだいいたしました。なお、いままでの質疑応答を伺っておりまして、やはりいろいろと考えさせられる問題がある。私率直に申し訂して、解雇あるいは配置転換等につきましては、労使双方が労働協約によって誠実に話し合うということがあくまでもたてまえでなければならない。今度の場合、やや性急であったかという批判、そしりも私は耳にいたしておりまするが、まだそれが何日前、どういうふうに具体的にどうなったかということを存じ上げませんから、ここでそれについての詳細を述べることは差し控えます。と同時に、先ほど石黒局長から答弁いたしましたように、裁判所においてこの問題が処理されておるいわゆる係争中の問題でありますから、労働大臣としてこれがどうであろう、ああであろうという論評は、この際は申し上げないほうがいいと考えております。しかし、いずれにしても不当労働行為——またこういった問題についていろいろ問題はあるようでありますが、労使間が話し合って円満に解決されることを私は望んでおりまするし、また事実その方向に向かっておるということは私は喜ぶべきことであろうと思う。また、それがなければ今後の日本の産業というもの、また会社自体も、それから職場の改善も何もできないわけでありますから、そういった面の行政指導はどんどん続けてまいるつもりでございます。  なお、労働省としていまどういうことをなすかということですが、地労委というような場面もございますし、その場に応じました処置をひとつ講じて、こういう問題が批判のない円満な解決が一日も早く行なわれることを労働大臣としては強く希望いたしております。
  174. 八木昇

    ○八木委員 そこで、きょう会社側を労政局としてお呼びになってお話をされたというふうなことですけれども、ここでお話し願える範囲内でけっこうですけれども、どういうような話をされ、一般的なことでいいが、どういうような態度であったか。というのは、私はこれは司法裁判所の決定を待つまでもなく——そういう決定を待ってからでは、これは長い労使関係というのは一高松工場のことだけではなくて五つの工場がある、そういう企業配置でありますから、決しておもしろくはないと思うのですよ。それでやはり近代資本主義国家においては、当然資本側にも一定の経営モラルというものがあってしかるべきだ、こう考えまするし、そういう資本主義国家の行政当局である労働省であっても、やはり一定の具体的な指導方向があっていい、かように考えるので、いずれにしてもこれは、今回の提案についてはとりあえず一応撤回する、その上に立たなければ、協議も建設的な協議にならないのじゃないかと私は考えますので、だからどういった立場でお話をされたか、この点ちょっと御説明願えませんか。
  175. 石黒拓爾

    ○石黒政府委員 私と会社側との間のやりとりというものを詳細にここで申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思いますが、私としては、協議約款というものは非常に重大な問題である、これについては協議約款違反であるということがあればこれはむしろ解雇そのものが無効になるというほどの問題である、協議というものはこういうものである、それで協議をする以上はやはり譲るべきは譲り、互譲の精神をもって十分話し合うことが必要であるということを申したつもりでございます。
  176. 八木昇

    ○八木委員 そこで、それをすんなりと経営側が近く具体的行動で受け入れて、それをあらわしてくれれば問題ないですけれども、しかし必ずしもそうともいかないのですね。私の受けておる印象では、なかなか頑迷のようでございますから。  そこで、もっと深くこの実情をせめて労働省に認識していただくという意味で申し上げるのですが、同じ三十五名の解雇をするといっても、年配者からずっと無条件に順番に三十五名指名解雇しているわけですよ。この会社は五十七歳定年。五十六歳、五十七歳の人がいなかったのでしょう、それで五十五歳から四十二歳までの人三十五名、そして、正確にわかりませんけれども、この指名解雇通知を受けた三十五名の人の平均勤続年限は約十九年。そうしてこの人たちは一名の人を除いて全員むろん世帯持ちです。子供もたくさんおる。そうして全部高松の土着の人ですね。それを埼玉県へ行け。いきなり提案して、その日から一週間で希望者は申し出ろ、なければ年の上の者からもう無条件に三十五名。その三十五名の中には、この工場で作業中にけがをしてかたわになっておる人三名も含まれておるという実情なんですよ。でありますから、これは百歩を譲って具体的な話し合いをするとしても、第一そのような整理の基準そのものについても、これはもう近代資本主義国家における経営者のモラルというか理念というか、そういうものに著しくはずれておる、これはもうめちゃくちゃだというふうに私は考えるわけです。そうして経営の内容からいきましても、昨年の六月ですか設立をいたしましたときから、六カ月後の去年の十二月に資本金は二倍にしているわけですよ。そして従業員には最低一時間の残業をさせておって、いわゆる三六協定というものがその後も結ばれておるわけですね。それで給与水準が他の同種企業に比べて著しく高いかというと、そうでなくて大体平均並み、こういうような状況にあることをひとつ御認識いただきたいと思います。そうしてさらに可能な限りにおける積極的な行政指導というものを今後ともぜひやっていただきたいと思うのですが、その点いかがでしょうか。
  177. 石黒拓爾

    ○石黒政府委員 私ども、急なことでございましたので、十分実情を把握しておりませんでしたが、先生のお話でだいぶ詳しいことがわかってまいりました。個別争議につきまして立ち入るということは、私ども原則といたしましてはできるだけ差し控えたいと思っておりますが、この件につきましては、御指摘でもございますので、さらに労使双方から十分事情を聴取いたしたいと考えております。
  178. 八木昇

    ○八木委員 約束の時間あと二、三分ですから、最後に一、二要望して終わります。  そこで、こういうようなむちゃな事態というものが起こってからでは実は労働者側にとってはおそいのですよ。起こらないように常時どういう指導を労働省直接なりあるいは労働委員会なり——これは労働省の外局ですから、指導しているかが問題だと実は私どもとしては思うのです。そこで、労働委員会というものは職権に基づくところの自主的な強制的な権限を持っておって、こういう民間のいろいろ起こっておる問題をみずからの職権によって調査する、そして一定の指導をする権限があると考えるのでありますが、そういったことを常時——特に昨年のドルショック以降いろいろな状態が起きておるときだけに、常時心がけていただかなければならぬということを強く要望をいたしたいと考えておるわけでございます。  そこで、これも民時訴訟を起こして身分保全の仮処分申請をやって——これはたいへんな経費もかかるし、時間もかかるし、それだけの労力も必要だ。仮処分の決定が出るまでに相当の期間がかかるし、本訴ということになれば、また相当のことをやらなければならぬ。そんなことは通常の中規模以下の企業では労働組合があるところでだってそんなにできないのですね。そういうことをぜひ認識してやっていただきたいと考えます。今度のこのエタパイの問題だけではなくて——特にエタパイの問題につきましては今後ともさように御努力をいただきたいと思います。そして、なお今後の推移を注意深く見守っていただき、状況に応じて私からも、委員会の場でなくてお尋ねをいたしますから、実情等をお知らせいただきたいと思います。また、必要な資料も提出を求めることがあると思いますから、よろしくお願いをいたしたいと思います。一応きょうはこれで終わっておきます。     —————————————
  179. 山下徳夫

    ○山下(徳)委員長代理 次に、食品衛生法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。古寺宏君。     〔山下(徳)委員長代理退席、委員長着席〕
  180. 古寺宏

    ○古寺委員 最初にお尋ねしたいことは、食品問題等懇談会の報告にもございますように、食品行政に関する行政機構の一元化ということが強く要請されているわけでございますが、食品行政が今日農林、通産、厚生というふうに各省にまたがっているわけでございます。この食品行政の一元化ということについて、今回のこの法案にはその精神が盛り込まれていないように考えられるわけでございますが、今後食品行政の一元化ということについて厚生省はどのように考えておられるのか、また、今回なぜこの一元化に踏み切らなかったのか、この点についてまずお尋ねしたいと思います。
  181. 浦田純一

    ○浦田政府委員 先ほどの山本先生の御質問の中にございましたが、昭和四十三年の物特委員会におきまして食品行政の一元化の議が取り上げられているわけでございますが、これにつきまして、政府といたしましては昭和四十四年の第二回消費者保護会議の決定に基づきまして、関係省庁間に食品行政の検討会を設けまして、約一年にわたり検討を行なったのでございます。そしてその結果、いわゆる統一的な食品法あるいは食品行政一元化の問題は今後も慎重に検討すべきであるが、当面の課題については、関係行政の改善とその統一的運営によって対処すべきであるという一応の結論を得まして、昭和四十五年の第三回の消費者保護会議ではこの結論が了承されておるといういきさつもございます。  しかしながら、食品衛生行政の一元化をめぐりまして、ことに社会党あるいは公明党のほうからも、食品法の改正の法案を作成され、また厚生省といたしましても、いま御指摘の食品問題等懇談会におきまして一元化の御意見についても述べておられるわけでございます。したがいまして、このような考え方で、一元化ということにつきましては、今回の法律改正は実はいろいろとたまった問題もこのほかにもございまして、とりあえず緊急のものについて改正を試みたということで、その根っこにございます一元化の問題については、確かにおっしゃったように、形の上では明確に出しておりませんが、引き続きこの統一的な食品法の検討などにつきましても関係省庁間では検討してまいりたいというふうに考えております。  では、今回の改正はその方向に乗ってないかと申しますと、それは私は、不十分ながらもその方向でもって考えてまいったということは言えるのじゃないか、それらのことにつきましては、逐次またこの法案の御審議の経過を通じまして、先生方の御質問にお答えしてまいりたいと考えております。このようないきさつで、今回につきましては、いわゆる根っこからの統一ということにつきましては、形式的には整っておりませんが、今後の法の運用につきましては、厚生省がやはり国民の健康を守るという立場から強力に発言し、また各省庁の御協力を得ながら統一的な運営をはかってまいりたいと考えておる次第でございます。
  182. 古寺宏

    ○古寺委員 参議院でこの質疑が行なわれた際に、局長答弁によりますというと「従来ややもすればこの食行衛生法の目的というものを狭義に解釈し、その運用をしてきたというきらいがあったのでございます。」、こういうことを認めていらっしゃいます。そうしますというと、今後の食品衛生法の運用という点については広義にこれを運用していく、そういうふうに理解してよろしいと思うのですが、広義に運用していくという場合にはどういうふうに運用していくお考えですか。
  183. 浦田純一

    ○浦田政府委員 従来、ともすれば、先生が御指摘のように、また私が参議院の委員会におきまして御説明申し上げましたように、食品衛生法の目的を確かに限定的に解しまして法律を狭く運営しがちであったということはいえるのではないかと思うのです。これについては、私どもは今回の法改正案を作成するにあたって、一つの従来に対する反省の資としているところであります。たとえて申しますと、現行法におきましてはたとえば第一条の目的で、いままでは単に食品に起因する衛生上の危害の発生の防止という、つまり衛生上の観点からのいろいろな取り締まりなり規制ということのみに——と申しましてはなんでございますけれども、そのような方針でもって、それ以外にはみ出る部分、たとえば国民の健康の積極的な保護あるいは福祉の増進、さらには広い意味での消費者の方々の保護と申しますか、そういったようなことについては、運用といたしましてはそこまで手を広げてきておるということはいえなかったという点がございます。今回は、現行法の立法のときの趣旨に基づきまして、そのときの立法の趣旨といたしましては、両院における審議の中でも明らかにされておりますが、積極的に公衆衛生の向上と増進に寄与していくという意図が盛り込まれておったのでございますが、その立法の精神に返りまして、先ほど申しました三点の上から、広く国民の健康の保護、向上、それから福祉の増進という点から、この法律さらには改正法につきましても運用していきたいと考えております。
  184. 古寺宏

    ○古寺委員 大臣がいらっしゃらないので政務次官にお尋ねいたしますが、この改正案が出る前のいわゆる立法の趣旨というものを十分にいままで尊重しない食品行政というものが今日まで行なわれてきたというふうに承ったわけでございます。そのために、むしろ反対に考えるならば、国民の健康あるいは消費者の保護、健康の増進、こういうものが非常に無視された食品行政というものが今日まで行なわれてきている。これに対する厚生省としての国民に対してのいままでの責任、こういうものをはっきりすべきであるし、さらにまた、今回この改正案が出ているわけでございますので、今後の厚生省としての決意というものをここではっきりと披瀝していただきたい、こう思うわけでございます。
  185. 登坂重次郎

    ○登坂政府委員 国民の食生活及び食品衛生という観点から、国民の健康を守るという立場において、厚生省当局といたしまして、現在施行されております法律の範囲において極力その責任を果たすべく努力してまいった所存ではございますけれども、今日、科学の進歩及び生活の多様化等によりまして、年々添加物あるいは化学食品あるいは包装紙等々、非常に高度な変化を示し、あるいは多様な化学製品が出てまいっております現状にかんがみまして、厚生省としては絶えず注意深く、また持てる研究機関を通じまして、国民の健康保全に役立つように努力いたしておるところでありましたが、今回、今日までの現行法においてはまだ不十分な点があるという観点から、このたびなお一そう厚生省の責任をはっきりし、また食品衛生法の中で、疑わしきものに対しまして厳然たる態度をとる、あるいはその他いままで含まれていない食品等に対しましても規制を加えるとか、輸送についても強化するとか、責任を持たせるとか、そういう方面でできるだけ健康あるいは衛生、そういう方面に重点を置いて、今度の改正の主眼といたしたわけでございます。  なお、厚生省といたしましては、今後持てる機関を通じまして、厚生省独自の調査機関、国立衛生試験所その他を通じまして、そうして今後とも絶えず食品衛生の研究調査に努力いたしてまいる所存でございます。
  186. 古寺宏

    ○古寺委員 私がお伺いしているのは、法の改正以前の問題なんです。立法の当初の趣旨というものが非常に後退して今日まで運営されてきておるわけでございます。先ほど局長さんから御説明がありましたように、国民の健康増進、福祉あるいは消費者保護という面まで食品行政が及ばなかった、こういうことについて政府としてまた厚生省としてどういうふうに責任を感じていらっしゃるか、その点を明らかにしていただきたいわけです。
  187. 登坂重次郎

    ○登坂政府委員 厚生省といたしまして、事務当局から狭義に解釈していたという、その行政上の扱い方については、私ども厚生行政を担当する者は、そういう心がまえであってはいけない、与えられた法律を忠実に厳正に施行するというのがわれわれ行政府の責任であると考えて、少なくともそういう心がまえであってはならないと私は考えております。
  188. 古寺宏

    ○古寺委員 いや、あってはならないというのでなくて、今日までそういうふうに行なわれてきた食品行政について、どういうふうに責任を感じていらっしゃるかということなんです。
  189. 登坂重次郎

    ○登坂政府委員 広い食品衛生の分野でありますから、行政当局として、われわれとして、まだ不十分な点もあったかと反省もせざるを得ないので、このたびそういう点も含めて早急に衛生の責任を持つ厚生当局として今度の法改正をお願いしたわけでございます。
  190. 古寺宏

    ○古寺委員 いまもっと突っ込んでもいいのですが、もう時間がだんだん迫ってまいりますので、前に進めますが、いままではいわゆる狭義の食品行政が行なわれてきたわけです。そのために迷惑をこうむっているのは国民であり消費者であります。そういう方々に対して、食品行政の責任官庁である厚生省がそういう面まで及ばなかった、狭義の食品行政を行なってきた、これは当然国民に対して謝罪すべき問題です。まずそういう姿勢というものを改めなければ、この法律をいかに改正いたしましても、食品行政の目的というものは達成できないわけです。そういう点を簡単にはっきり御答弁願いたいと思います。
  191. 登坂重次郎

    ○登坂政府委員 私どもといたしましては、国民の衛生、保健という観点については、これは今後とも厳重に対処すべき問題であると同時に、過去について、そういう方向で行政をやってまいったと思うのでありますが、いかんせん非常に広範なものでありますから、限られた行政機構においてあるいは今日まで必ずしも国民の納得のいくような行政ができなかったことは、反省いたしておるわけでございます。
  192. 古寺宏

    ○古寺委員 そこでお尋ねいたしますが、食品の品質というのは、一体どういうことでございますか。
  193. 浦田純一

    ○浦田政府委員 一般常識的に申しますと、食品が時間を経過するにつれて、そのものの本来持っております成分等が変化いたしまして、本来有しておる食品としての目的に合憲しない、つまり人体にそれを摂取した場合に有害、あるいは場合によっては不快な影響を与えるといったような状態になったことをいうのでございます。法律的には、これをはっきりと担保するために、一定の規格基準というものを物によっては設けているのでございます。
  194. 古寺宏

    ○古寺委員 食品の品質というのにはいろいろな考え方があると思いますが、常識といたしましては、安全性とか栄養性、嗜好性あるいは経済性、こういうものが食品の品質というふうに理解してよろしいのじゃないかとわれわれは考えているわけでございます。この食品の安全性、栄養性、嗜好性については当然厚生省に責任がある、こういうふうに私どもは考えるのですが、その点はいかがでございますか。
  195. 浦田純一

    ○浦田政府委員 厚生省といたしましては、もちろん当然食品の安全性、それから栄養の点についての最小の品質の保持ということについての責任を持っておるものでございます。嗜好性につきましては、その点は多少ニュアンスが違うかと思いますが、広い意味で、やはり国民の嗜好に合う食物を確保することは、栄養上から申しましても、したがいまして結果的には健康上から申しましても好ましいことでございますので、これらについても厚生省は責任の一半を有しておると考えております。
  196. 古寺宏

    ○古寺委員 そこで、JASでは品質の表示基準あるいは成分基準というもの表示をいたしておりますけれども、これはどういう権限に基づいて行なわれているわけでございますか。
  197. 下浦静平

    ○下浦説明員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘のございましたJASの問題でございますが、昭和二十五年に制定されました農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律というのがございまして、それに基づいてきめられておるものでございます。なお、一昨年の五月に法律改正がございまして、それに基づきまして表示の強制というものが行なわれておる次第でございます。
  198. 古寺宏

    ○古寺委員 農林省設置法からいきますと、いわゆる基準をつくる作業と申しますか、それは農林省ではどういうふうに扱っているわけですか。
  199. 下浦静平

    ○下浦説明員 農林省設置法では、農林省の権限といたしまして食品の生産、流通、加工、消費にわたりましてやっておるということでございます。
  200. 古寺宏

    ○古寺委員 そうしますと、農林省では食品の品質あるいは成分規格をきめるという権限はないと思いますが、いかがでございますか。
  201. 下浦静平

    ○下浦説明員 先ほど先生の御質問にございました衛生の面あるいは安全性と申しますか、そういった面につきましては厚生省にお願いしておるというように考えております。
  202. 古寺宏

    ○古寺委員 食品の品質あるいはその成分の規格というものは、当然食品行政の分野だと思う。厚生省がやるべきことです。こういうことをなぜ厚生省がやらないか。狭義に解釈してやるべきことをやらない、それを農林省にやらせる、そこにいろいろな問題が派生してきているわけです。一体なぜこれを厚生省はやらぬのですか、御答弁願います。
  203. 浦田純一

    ○浦田政府委員 まことに痛い点を御指摘いただいたわけでございますが、厚生省といたしまして従来、食品の規格について行政上の措置を講じておるのもあるわけでございまして、たとえば牛乳、乳製品等につきましては、いわゆる乳等省令をもってその成分規格を明定しておるわけでございます。その他、私どもはこの考え方を必要な食品については広げるという検討はいたしてきておりますが、結論から申しまして、一般食品に対する食品の規格の制定というところまでには至っていないというふうな実情でございまして、弁解がましくなりますけれども、従来食品衛生法の運用は、主として危害防止という点に専念いたしまして、そちらのほうに対しては事実上手が回りかねたといったようなこともあるのでございます。
  204. 古寺宏

    ○古寺委員 今後は国民の健康増進、また国民の健康を守る立場からも、消費者保護の立場からも、こういう一番大事な問題については、厚生省としてもひとつ積極的に取り組んでいただきたいし、また農林省も、そういう厚生省がやるべきような分野については、当然厚生省と連携をとって一元化するまでの間はやっていただかなければ困ると思うわけです。そこで次にお尋ねしたいのは、政府米の売却についてのグルーピング制というのがございます。これを見ますと、私の出身地である青森県のお米が五等米にランクされている。これは一番おいしくないという評価でございます。根拠は一体何でこういう格づけをしたのですか。
  205. 中村健次郎

    中村(健)政府委員 お答え申し上げます。  われわれが扱っております米につきましてのグルーピングの問題は、これは食糧庁で買い上げております米につきましては、消費地で非常に好まれる味の米と比較的好まれない米、こういうふうにいろいろございます。これは事実でございます。そこで、一般に物が乏しくて、量があればいいという時代には、これを一括して、区分しなくてもあまり問題がなかったわけでございますけれども、今日のように消費者の品質に対する選択が強くなってまいりますと、どうしてもおいしい米を好む、そういうものであれば少々高くても買いたい、こういうふうになってまいりましたので、そこで、食糧の売却につきましては、この四月以来物統令の適用を廃止いたしまして、価格規制をやめまして、したがって、お米屋さんは米の品質に応じた格差をつけて米を売ってよろしい、こういうことになりましたので、そうなりますと、原料になります玄米につきまして、食糧庁としては米の種類に応じて、公平に販売をしていく必要がございますので、そういう意味で全国の生産県にまたがっております米を五つのグループに分けまして、消費地へ運んでくるのになるべく均衡のとれた形で公平に持っていきたい、そういう意味で五つのグループに分けました。したがって、その根拠は消費地における消費者、さらに販売します米屋、あるいは関係しております官庁等の意見を聞きまして、それによって、大ざっぱではございますが五つのグループに分けて運送する、こういうことできめたものでございます。
  206. 古寺宏

    ○古寺委員 私は先日中国へ行ってまいりました。中国は世界の米の四〇%以上を生産している国でございます。いろいろなところの米も私は食べました。御飯も食べました。北京へ行って、非常においしいお米なんで、これは一体どこの米ですかということを聞きました。そういたしましたら、これは青森五号という米で、中国では一番おいしい御飯です、こうおっしゃっているのです。日本で一番おいしくないお米が、世界で一番米の生産量の多い中国へ行くと、一番おいしいお米になっているのです。あなたはいま、消費者のいわゆる調査によってこういう評価をきめた、こうおっしゃった。うそです、それは。いいですか。これははっきり言って、米の販売業者が損するか得するかできめた評価なんです。じゃ、厚生省にお伺いしましょう。厚生省は日本のお米の評価をおやりになったこと、おありですか。調査をやったことありますか。お尋ねします。
  207. 浦田純一

    ○浦田政府委員 米の生産量とかあるいはその他の米に関するいまの等級を決めるとかいったような点については、私どもは調査をやったことございません。
  208. 古寺宏

    ○古寺委員 一番おいしい米を一番まずい米だというふうに食糧庁が宣伝して——一生懸命汗水流して働いている生産者の気持ちになってお考えになってみなさいよ。なぜこういうような、科学的な根拠もない、こういう評価というものを割り出すんですか。それでは、あなたのほうでどういう根拠があって、基礎があって、こういうような評価をいたしましたか答弁してください。
  209. 中村健次郎

    中村(健)政府委員 米の品質につきましては、形質的な品質と、それから味という問題に大きく分ければ分かれると思います。形質的には、玄米でございますと、一等から五等までの等級をつけておりますし、精米につきましては、砕粒の混入割合、あるいは白度とか、そういったもので一定の規格を設けておりまして、食糧庁で配給しております米につきましては、それらの規格に十分合ったものでございまして、これについては差はございません。ただ味というものになりますと、これは非常に微妙なものでございますので、科学的にいろいろ研究はいたしておりますけれども、これを根拠づけるような、数字であらわすような段階にまではまだ至っておりません。したがいまして、この問題につきましては、もっぱら食べる人、扱う人が、これは非常においしいから買いたい、よく売れる、そういった評価によってわれわれとしては評価をしていく以外にないわけでございまして、したがって、こういうことにつきましては、時間がたち、あるいは米の生産事情が変われば変わっていくわけでございますので、そういった点につきましては、常にこういった調査をしながら、実情に合うように修正をしていく、こういうことで考えておるような次第でございまして、残念ながらいまのところ、しっかりとした計数的な、物理化学的な味の測定ということは不可能でございますので、どうしても食べる人の評価によってこれを区分していく以外に方法がないわけでございます。
  210. 古寺宏

    ○古寺委員 四十七年の四月十三日のサンケイ新聞に、うまい米まずい米を試食した結果が載っております。この一番最初のアミノ酸添加米というのがございます。これは青森県でつくったムツニシキという米です。それから二番目においしいと言われたのが、やはり青森県でつくったムツニシキというお米ですよ。それから十番目になっておるのが青森県のレイメイです。それから七番目になっているのがムツヒカリというお米、こういうふうに実際にきちっとデータがある。あなたのほうには根拠になる、基礎になるデータがないのです。しかも、これは最近つくったものではないでしょう。この等級はいつおつくりになったんですか。
  211. 中村健次郎

    中村(健)政府委員 このグルーピングは、四十六年産米の運送操作をする必要上、四十七米穀年度からこういった五段階のグループにいたしましたが、従来も三段階に区分をいたしまして運送の操作をいたしております。
  212. 古寺宏

    ○古寺委員 今後は品質というものは当然厚生省がきめるべき問題だと思います。これからもっと科学的に、物理的な面も、いろいろな面を加味して公平な妥当な評価というものをしなければならぬと、こう思うわけでございますので、現在出ているいわゆるグルーピングについては考え直すお考えを持っているのかどうか、もう一度承っておきたい。
  213. 中村健次郎

    中村(健)政府委員 米の品質、特に味等の評価の問題につきましては、食糧庁が当然責任を持つべき問題でございますので、私のほうでも品種別に試食会等その他、いまデータを集めて検討いたしております。  なお、このグルーピングは、先ほど申しましたように操作上の便宜でございますので、そういった調査なりあるいは消費地の評価なりを常に調査しながら、実情に合うように変更修正をいたしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  214. 古寺宏

    ○古寺委員 具体的にはどういうことをいまお考えですか。
  215. 中村健次郎

    中村(健)政府委員 具体的には、八月に各米につきましての評価の再調査をいたしまして変更をいたしたいと思っております。なお、特に問題の起こっております秋田県の由利郡のササニシキ、あるいは青森県の近く銘柄指定になりますムツニシキにつきまして、グルーピングの位置づけを変えようということで目下検討中でございます。
  216. 古寺宏

    ○古寺委員 次は、先ほど山本委員からも御質問があったわけでございますけれども、洗剤の問題についてお尋ねをしたいと思います。  最初に、まず洗浄剤という定義の内容でございますが、この中にはどういうものが含まれるか、この点についてお尋ねしたいと思います。
  217. 浦田純一

    ○浦田政府委員 洗浄剤の中には野菜及び果実用の洗浄剤といたしまして、ABSすなわちアルキルベンゼン系及び高級アルコール系の中性洗剤と、それから植物成分のみによる洗浄剤がございます。それから飲食器の洗浄剤といたしましては、いま申し上げました洗浄剤のほかに、みがき粉などがございます。これらすべてが今回の法改正の規制の対象として考えておるものでございます。
  218. 古寺宏

    ○古寺委員 そうしますと、洗浄剤の中へは石けんも入ってくるわけでございますか。石けんはどうなりますか。
  219. 浦田純一

    ○浦田政府委員 対象としては当然観念的には含まれるわけでございますけれども、これを規制するかどうかということにつきましては、いまのところ石けんについてはわざわざ規格を設けて規制する必要はないのではないか。もちろん専門家の御意見もさらに確かめていきたいと思いますが、そのように考えております。
  220. 古寺宏

    ○古寺委員 ABSについては許可をする方針でございますか。
  221. 浦田純一

    ○浦田政府委員 一つ一つについて許可を与えるということではございませんで、一定の規格基準を設けていくということでございます。
  222. 古寺宏

    ○古寺委員 ABSについてはどういう基準をお考えになっておられますか。
  223. 浦田純一

    ○浦田政府委員 考えております成分規格といたしましては微量有害金属あるいは螢光増白剤、それから有害色素につきましての規制、たとえばその含有を許すかどうか、また許すとすればそれの濃度、量等をどうするかといったようなことを考えております。
  224. 古寺宏

    ○古寺委員 そこでABSについてお尋ねしたいわけですが、食品衛生調査会が答申をいたしました。この答申によりますと、通常の使用では無害である、こういうことを局長さんもいろいろテレビ等でもお話しになっていらっしゃるし、厚生省もそういう考え方を今日なお持っておられると思うわけでございます。今後、いわゆる通常の使用ならば無害であるという、この見解が変わる可能性があるかどうかということについてお尋ねしたいと思います。
  225. 浦田純一

    ○浦田政府委員 無害ということばは私は必ずしも適切ではないと考えております。まあ、裏からの言い方をするのがどれほど論理的かという問題になるわけでございますが、洗浄の目的からはなはだしく逸脱しない限りは人の健康をそこなうおそれはないということでございまして、この見解は、私も現在までのところ専門家の御意見もお聞きしたりなどいたしまして、私としては安全というふうに出しておりますけれども先ほどからの山本委員の御質疑にもありましたように、さらに消費者の方の不安を一掃するために今後再検討を行なってまいりたいと考えております。
  226. 古寺宏

    ○古寺委員 環境庁にお尋ねしたいんでございますが、ABSによる公害というものが非常に大きな問題になっているわけでございます。水道の原水あるいは下水道の処理施設、そういうようなところでABSの問題がいろいろ起こってくると同時に、環境の破壊、環境の汚染というものが今後ますます拡大する方向にあるわけであります。この点について、環境庁としてこのABSについてはどういうふうに規制すべきであると考えているか、承りたいと思います。
  227. 山中正美

    ○山中説明員 お答え申し上げます。  先生御指摘のようにABSの問題は、発泡によります都市河川のいわゆる美観をそこねる問題と、それから先ほど厚生省からお答えがありました、いわゆる上水道に入ってきた場合の健康上の問題と、二点に分かれるわけでございまして、現在のところ、上水道のほうのいわゆる有害物質としてのABSの位置づけというのは非常に問題がございまして、これは厚生省のほうでしかるべく見解を出していただきました暁には、しかるべき処置をとりたい、こういうふうに考えております。  なお、一般的に申し上げますと、ABSの問題につきましては、機械工場のいわゆる機械洗浄用とクリーニング業でやっております業務上の洗たく排水でございますが、この問題につきましてはどのような数値規制をしていくか検討中でございまして、一応のデータを得次第規制の方向に持っていきたい、このように考えております。  ただ問題は、合成洗剤の大部分が家庭用の洗たく排水等から出てくるわけでございます。この問題につきましては、現在の水質汚濁防止法上非常になじみが悪いわけでございまして、これにつきましては下水道の整備等の対策をしなければ問置は解決しないんじゃないか、こういうふうに考えております。  以上でございます。
  228. 古寺宏

    ○古寺委員 そうしますと、環境庁はこのABSによる汚染というものをどういうふうにして防ぐわけですか。
  229. 山中正美

    ○山中説明員 業務用等で使用されておりますABSにつきましては排水規制等で対策をとる、それからその他一般家庭用のものにつきましては下水道の整備等によって対策を立てていきたい、こういうふうに考えております。
  230. 古寺宏

    ○古寺委員 水道原水についてはどうですか。
  231. 浦田純一

    ○浦田政府委員 水道原水につきましては、現在水道水の中に含まれている基準を〇・五PPMといたしておりますが、問題は原水がだんだんABS等で汚染されてくるという状況でございまして、これはむしろ一種の被害者の立場から好ましくないことでございますので、先ほど環境庁のほうからお答えのあった対策を至急にとっていただきますとともに、上水道といたしましては原水に対する監視機構をきびしくいたしまして、万一基準を上回るような水が末端に給水されるといったような危険のあります場合には、それに応じての事前の処置をとる、あるいはさらに原水そのものの取水というものについてもある程度の規制を加えることによって対応していきたいと考えております。
  232. 古寺宏

    ○古寺委員 多摩川の例で申し上げますと、ABSの原水水質三・二PPMに対して、上水道の水質基準である〇・五PPM以下になるようにするためには、活性炭を四六PPM必要とするわけです。そういたしますというと、ばく大な防除費用というものがかかるわけです。そういうことを野放しにしておいていいのかどうかという問題があるわけです。これは多摩川だけの問題じゃなくて、琵琶湖や淀川やいろいろなところで出てくるわけでございますが、こういうような公害を引き起こすような物質を、それでは今度は、厚生省ではそのまま自由に使わしていいかどうかという問題があるわけです。この点については、政務次官どういうふうにお考えでしょう。
  233. 登坂重次郎

    ○登坂政府委員 河川の汚濁ということについては、ただいま水質汚濁法という法律があるわけでございますが、そういう法律に照らして厳重に規制をし、そしてなるべくそういう危険性なものが発見された場合は厳重に改善命令をするなり停止をさせるなり、人体に被害のないようなそういう方向で善処したいと思います。
  234. 古寺宏

    ○古寺委員 そういうような公害だけじゃなしに、いろいろなメダカの実験であるとかナマズの実験であるとか、いわゆる生体に対してのいろいろな影響も考えられるわけです。そういうような危険なものを許可していいかどうかという問題があるわけです。こういう点についてはどういうふうにお考えですか。
  235. 浦田純一

    ○浦田政府委員 なかなかお答えするのがむずかしい問題でございますが、先ほど山本委員にもお答えいたしましたように、それは使用に伴うメリット、それに伴う相対的なデメリットといったようなものをどのように考えていくか。もちろん私ども人体の健康を守る立場から申しますと、健康に及ぼす障害というようなものについては、できればこれをゼロにする、あるいはゼロにできないまでも、ゼロに近づける努力をずるということが根本姿勢であることは言うまでもございません。いま御指摘のABSが、総体的に考えた場合、特に環境汚染の立場から考えた場合に、ある特定の地域、ことに大都市の近郊の地域におきましてはかなり問題は深刻化しておるということは、私は率直に認めます。しかしながら直ちにそれが使用の禁止、規制に結びつくかどうかということにつきましては、たとえばその前に易分解性のABS、つまりLBSと申しますか、そういったようなものを開発する、あるいは高級アルコール類の洗剤に切りかえる、さらには、いま環境庁のほうからも御指摘がございましたように、それぞれの処理施設を完備していくといういろいろな施策というものを総体として考えていかなければならない問題でございますので、なかなか即答のしかねる問題であると思います。
  236. 古寺宏

    ○古寺委員 当然公害が起きてくる、あるいは人体、生体に対して被害を起こすような危険のある界面活性剤については、これは許可をしない、当然規制をする、疑わしいものは使用しない、こういう体制というものが必要じゃないか、私はこう思うのですが、政務次官いかがですか。
  237. 登坂重次郎

    ○登坂政府委員 人体に有害であるというようなものがあらかじめ検出された場合、またそれが確認された場合、これは厳重な措置をとるべきだと思います。
  238. 古寺宏

    ○古寺委員 そこで、ABSの毒性についてはいろいろなことが論議されております。実際にお使いになっている主婦の方々は、手の荒れであるとか、あるいはつめの変形であるとか、いろいろなそういうような被害を受けていらっしゃるわけです。ところがいままでの石けんを使用しておった時代には、そういうような被害はなかった。〇・二五%ご使用すればそういうような被害は起きないのだ、こういうように厚生省ではいっているわけですね。その場合に、そういう危険のないような販売のしかたということもこれは考えられるわけです。国民の健康を守る立場からなぜそういう規制というものをしないのか、その点まず承りたい。
  239. 浦田純一

    ○浦田政府委員 確かに御指摘のように、ただいままでのところ厚生省といたしましては、単に表示について、使用者に誤用を起こさせないような表示をしろということを、通産省を通じてお願いし、それが実行に移されているといったことではございますけれども食品衛生法あるいは厚生省の立場からの取り締まりの対象にはなっておりませんので、今回法改正によりましてそういう点についても十分に規制ができるようにいたしたいと考えております。
  240. 古寺宏

    ○古寺委員 こういうような〇・二五%以下で使えば被害が出ないというものであっても、実際には国民はそれ以上に濃度の濃いものを使用しているために、いろいろな被害を受けているわけです。そういうような被害が出てきた原因はどこにあるかといったら、これはやはりいままでの厚生省の指導というものがそういうくせをつけてきたというふうにしか考えられないわけですね。  そこでいま一つの例を申し上げますが、小学校の教科書にそういうことが書かれてあるのです。これは広島市立観音小学校の五年四組の柳田さんというお子様からの教科書でございますが、この中に「なま野菜の調理」という項目がございます。そのつくり方の第一番目に「野菜は、中性せんざいの液(水1lをについて、液状のせんざい2CCくらい)に3分間くらいつけてあらい、そのあと流水でじゅうぶんあらい、水をきる。」それから次のページには、「使った調理用具や食器は、中性せんさいであらって、水けをふきとり」——それから、これはやはりその五年生の教科書でございますが、この中には中性洗剤で洗いますというと農薬や寄生虫、有害な細菌などがこれによってきれいになる、こういうふうに書いてある。これは最初文部省からお尋ねしたいと思うのですが、文部省の指導要領ではこれはどういうふうになっているわけですか。
  241. 柴沼晋

    柴沼説明員 洗剤の使い方の指導につきましては、小中高等学校の家庭科で被服及び食物についての指導を行なう際にこれを扱う、そういうことになっております。その指導内容といたしましては、小中学校の学習指導要領においては、児童生徒に家庭生活に関する基礎的な知識や技能を習得される目的で、衣服の洗たくに用いられる洗剤の種類、分量、使用法など、また食物については野菜や食品の洗い方などその衛生的な扱い方として取り上げてあります。高等学校においては小中学校の教育を基礎にいたしまして、衣生活、食生活に関するより高度な知識、技術、実践的な態度を養う目的で、洗剤につきましては食品衛生や保健衛生の観点も加えまして、その化学的な成分とかあるいは種類に関する指導が行なわれるようになっております。また中性洗剤の使い方につきましては、いまいろいろ御指摘がございましたような点があるわけでございますが、これを安全に弔いることが大切であるということから、実際の指導において、教科書及び教師用指導書において、使用の目的に応じた濃度とか、あるいはいま先生のお読みになりました教科書にもございますように、使用後はよく洗浄することが必要であるというようなことを述べてございます。
  242. 古寺宏

    ○古寺委員 こういうような教科書を見て、小学生でございますから、非常にすなおにこれを受け取るわけです。自分の家庭に帰りまして、自分のおかあさんが中性洗剤で野菜を洗わないと承知をしない。非常に困っておる、こういう問題がいま起きているわけです。ところが実際には、このABSというのはいろいろな毒性を持っております。私はきょうたくさんここにデータがございますが、時間の関係上申し上げませんけれども、いろいろな毒性を持っておる。こういうものを学校の教科書に、もう野菜というものは中性洗剤で洗わなければならないというような印象を植えつけるというところに、非常に大きな問題があると思うわけです。文部省は、こういう中性洗剤のいわゆる毒性、催奇形性にしてもあるいは慢性毒性にしても、染色体の異常にしても、あるいは発ガンに対する補助物質の役目にしても、いろいろなそういうような試験なりデータをお持ちになってこういう教科書に記載することを許可しているのかどうか。今後もこういうようないわゆる指導というものを続けていくお考えなのかどうか。私は当然、こういうことは非常に危険な教育でございますので、削除すべきであるというふうに考えますが、いかがですか。
  243. 柴沼晋

    柴沼説明員 中性洗剤の毒性につきましては、先ほど厚生省からも御答弁がございましたように、食品衛生調査会において、洗浄の目的からはなはだしく逸脱しない限り、人の健康をそこなうおそれがないとの結論が得られている、そういうことでございますので、現在教科書においてその使用を記述しても特に問題になるというふうには考えておりません。ただ、中性洗剤の使用について記述するかどうかということは、教科書執筆者の執筆方針の問題ではないか、そのように考えております。
  244. 古寺宏

    ○古寺委員 先ほど、これは午前中にもあったのでございますけれども、前の三十七年の答申というのは、慢性の毒性試験というものがまだ十分行なわれていないわけなんです。その後いろいろなこともわかってきているわけなんです。そういうことを、答申をそのままうのみにしてこういうふうに教科書に記載されますと、学校の児童生徒というものは全部これをそのまま受け取るわけです。将来こういうことによっていろいろな問題が発生した場合には、一体だれが責任を負うのですか。
  245. 柴沼晋

    柴沼説明員 ただいま御答弁申し上げましたことは、先生御指摘のとおり、昭和三十七年の時点のことでございますし、その後の情勢の変化もございますので、厚生省といろいろ打ち合わせをしてまいりたい、そのように考えております。
  246. 古寺宏

    ○古寺委員 そこでいま一つ厚生省にお尋ねしますけれども、このABSを服用して人間が死亡した場合に、これがABSによって死亡したかどうかということを断定するいわゆる診断方法がございますか。
  247. 浦田純一

    ○浦田政府委員 今日の医学水準をもっていたしますれば、十分に病理組織的に検索をしていった場合には、私は原因の究明は必ずしも難事ならずというふうに考えております。
  248. 古寺宏

    ○古寺委員 それではお尋ねしますが、ABSで死亡した場合には、PCBのようにまず測定ができません。それから病理的な所見もはっきり出てきません。また治療方法も確立されておりません。いまお答えがあったように、もし確実な診断方法というのがあるならば、それをひとつお答え願いたいと思います。
  249. 浦田純一

    ○浦田政府委員 診断方法と申しましても、かりに死亡事故が起こった場合には、その診断と申しますのは非常に広範な意味になってくることは、先生もお医者さんでございますから、十分御承知のところだと思いますが、的確にこれが中性洗剤による健康障害であるということを臨床的に外から突きとめるということは、私はそのものずばりの診断方法というのはないと思います。しかしながらいろいろと、臨床的にいろいろな診断、検査をいたしまして、その結果、総合的にある程度の判断を下すことは可能ではなかろうかと思います。  なお、死亡した場合におきまするその死亡事故の追及ということになりますと、これは病理組織学的にすべての関係のあると思われる臓器を検索していくということでございますので、たとえば胃壁の炎症その他による変化、あるいは各種臓器の同様変化といったようなものを追及していきまして、そして総体的に判断する問題でございます。その場合に、細胞に起こる変化と、それがどのような原因で起こったかということについては、個々の場合について、私は、その死亡者の摂取した物質並びにその量、あるいはその方法等、いろいろと総合的な、その背景になっておりますデータ等をも参照すれば、必ずしもこの診定はむずかしからずと申したのでございまして、ABSそのものをその臓器から抽出するとかいったような意味で申したのではございません。
  250. 古寺宏

    ○古寺委員 そういうふうに、現段階ではABSの問題についてはまだ解明されない問題がたくさんあるわけです。表示にいたしましても、しゃぼん玉の遊びをしてはいけないというのがございますね。こういうことを注意をしているようでございます。これはやはり危険があるからそういうような表示をしているのだと思いますが、この点についてはどうですか。
  251. 浦田純一

    ○浦田政府委員 結果論から申しますと、ごくその核心だけを申しますとそういうことになるわけでございます。いきさつを申しますと、やはり中性洗剤に関しましてその使用方法の不適切さからくる事故というものがかなり報告されており、あるいは消費者の方々の不安を招いておるという事実もございました。日本消費者連盟の方々のほうからの申し立てにもよるわけでございますが、私どもは、そういった誤用誤飲による事故を防ぐためには、やはりあらゆる手を打つべきであるという観点から、通産省のほうにも特に申し入れまして、家庭用品品質表示法に基づきまして明確にその旨を消費者にわからせるようにしろ、また文部省のほうにも特にお願いいたしまして、幼稚園、保育所あるいは小学校等で、そのような事故のおそれのあるようなことは極力防止するように徹底してほしいということを申し入れまして、そのような措置が結果においてとられたのでございます。
  252. 古寺宏

    ○古寺委員 日本食品衛生協会が、中性洗剤のパンフレットを出しております。このパンフレットの中には、非常に間違いやすいようなことがたくさん記載されているわけでございますが、こういう点については厚生省はどういうふうに指導していらっしゃるのですか。
  253. 浦田純一

    ○浦田政府委員 中性洗剤の問題に関しまする日本食品衛生協会から出ております刷りものその他につきまして、私ども先般この事実について不適切であるというふうに判断いたしましたので、食品衛生協会の責任者をお呼びしまして、自今この旨を改めるように厳重に注意し指導してございます。考えてみますと、戦後間もなくの場合には御承知のように、非常に寄生虫病その他腸管系の伝染病が蔓延いたしまして、そのような立場からも、食品を十分に洗う、野菜等を十分に洗浄するということの必要性もあり、またそれなりの効果が大きかったと思いますけれども、その後十数年、あるいは二十年以上経過してまいりまして、大きくその辺の事情が変わってきております。したがいまして、中性洗剤が野菜あるいはくだもの等に対するその洗浄の必要性と申しますか、そのウエートは、昔と比べれば低くなってきておるという事実はいなめないわけでございまして、私どもはそういった意味からも、世の中もこのように変わってきたわけでございますので、食品衛生調査会は、あるいはこの中性洗剤をめぐるその他のいろいろな表示、あるいは販売の態度について消費者の誤解のないように今後とも十分に気をつけてまいりたいと考えております。
  254. 古寺宏

    ○古寺委員 そこで、日本食品衛生協会というのがございます。この「食品衛生」という雑誌にも載っておりますが、推奨状というものを出しているわけです。これを読みますと。「野菜・果実類・食器等の洗浄に使用して食品衛生上無害である。」こういうふうに推奨状が出ております。この推奨状というものは、どういう権威のあるものなのですか。     〔委員長退席、橋本(龍)委員長代理着席〕
  255. 浦田純一

    ○浦田政府委員 この詳しいいきさつはつまびらかには承知しておりませんが、日本食品衛生協会で出しております中性洗剤に関する推薦状のいきさつは、いまから二十年ほど前、戦後間もないころでございますが、たとえば先ほど申しましたように腸管系の伝染病がはやっておる、あるいは寄生虫が蔓延しておるといった時期に、種々雑多な洗浄剤が売り出されておりまして、必ずしも中には効果が十分なものではないといった点からむしろ、国会あたりでも、積極的にいい品を推薦する必要があるのではないかといったような論議もあったように聞いております。こういったような背景を受けまして、食品衛生協会のほうで、これは内部的な規定でございますが、一定の審査機関を設け、一定の基準を設けて、優秀な中性洗剤についての推薦制をとってきておるというふうに承知しております。
  256. 古寺宏

    ○古寺委員 この日本食品衛生協会の規定を読んでみましたけれども、いろいろな規定があるわけですが、この推奨状をもらうためには手数料を払わなければいけない。しかも、この推奨状の期間というのは一年間だ、こういうわけです。一回に大体七万円から八万円というふうに聞いております、こういうような推奨状を出す以上は、やはり日本食品衛生協会というところは、もう完備された研究機関があって、そして国民の健康を保障するだけの研究を行なった上でこういうような推奨状を出している、こういうふうに考えるわけなんですが、この点についてはいかがですか。
  257. 橋本龍太郎

    ○橋本(龍)委員長代理 速記をとめて。     〔速記中止
  258. 橋本龍太郎

    ○橋本(龍)委員長代理 速記を始めて。
  259. 浦田純一

    ○浦田政府委員 日本食品衛生協会は、御承知だと思いますが、社団法人でございますが、それの付属機関として研究所を持っております。したがいまして、推薦を行なう場合には、必要があればここでもって品質の分析その他をやっておるのでございます。  なお、ちょっと先生の御質問に対してあるいは先取りになるかもしれませんけれども、この推薦制度に対して、あるいはその推薦の文言に対して、私どもは適切でないと判断いたしまして、厳重に注意し、自今改めるように申し伝えたことは、先ほど申したとおりであります。
  260. 古寺宏

    ○古寺委員 そこで薬務局にお尋ねしたいのでございますが、洗剤の毒性につきまして慢性毒性あるいは催奇形性の問題、染色体異常、いわゆる発ガンに対する補助物質としての研究、こういうようなことを現在お進めになっておられますか。
  261. 豊田勤治

    ○豊田説明員 薬務局関係の洗剤にいたしましては、いわゆるシャンプーとかそういうものに洗剤が入っているわけでございますが、先生いま御指摘のようないわゆる特殊毒性につきましての試験はやっておりません。
  262. 古寺宏

    ○古寺委員 最近何かこの毒性について新しい問題が起きていないでしょうか。
  263. 豊田勤治

    ○豊田説明員 私の聞いている範囲では、頭を洗う洗剤でございますが、それの洗い過ぎによりまして、そのあとの洗浄を十分しなかったために、頭の毛が抜けたというような事故があったことを伺っております。
  264. 古寺宏

    ○古寺委員 界面活性剤の問題でございますが、先日も一度お尋ねしたことがございますが、キノホルムといわゆる界面活性剤、乳化剤の添加によってのスモンの患者の発生状況というものが非常に相関関係があるように思われるわけでございますが、この点について厚生省はどういうような調査をなさったか、承りたいと思います。
  265. 豊田勤治

    ○豊田説明員 先生御指摘の界面活性剤に関しましては、従来から医薬品に使用されておるものには、天然品のいわゆる界面活性作用を有するものと、それから科学の進歩によりまして、最近、先ほどからお話しになっておりますいろいろな洗浄剤関係の界面活性剤等がございますが、医薬品に使用されますところの界面活性剤の中に、先ほど申しました天然品の中には、先生御存じのとおり、大豆レシチンとか卵黄のレシチンとかそういうものがございますし、あるいはまたでん粉等のようなものもございます。実際キノホルムに使用されておりましたのは、この前の委員会先生御指摘のCMCでございまして、CMC配合のものについてのデータにつきましては、札幌医大の先生の発表がございますが、その発表の実験におきましては、犬が使われております。犬に対しての実験結果につきましては、先生御指摘のように吸収速度等に影響が見られるというような発表はございます。
  266. 古寺宏

    ○古寺委員 そうしますと、界面活性剤の、あるいはCMCもございます、こういうものは無害であるというようにいわれてアイスクリーム等にも使っておるようでございます。そういうもののいわゆる毒性とか慢性毒性、こういうものについては十分ないわゆる研究というものが現在行なわれているわけでございますか。
  267. 豊田勤治

    ○豊田説明員 現在界面活性剤、合成界面活性剤として、内服用のものに使用されているものにはソルビタン脂肪酸エステル類とか蔗糖の脂肪酸エステルあるいはまたグリセリン脂肪酸エステル等がございますが、大体われわれの調査の結果では、急性毒性LD50でございますが、LD50の値が非常に高いものでございますので、安全の範囲に入るものだということと、それから界面活性剤の使用されるものにつきましては、いわゆる医薬品には製剤学上使用されるものが多うございまして、たとえて申しますと腸溶錠、腸で溶かすためにその製剤学上必要であるというようなことから合成界面活性剤等が使用されておるようでございます。
  268. 古寺宏

    ○古寺委員 たとえば避妊薬がございますね。この避妊薬にも界面活性剤というのは相当使われております。こういう界面活性剤に発ガン物質が加わった場合、あるいは精子や卵子に界面活性剤がくっついた場合、いろいろなことが想像できるわけでございます。そういうように実際に使用している界面活性剤、結合している薬品だけではなしに、実際にそれが人体に用られた場合にどういうような副作用あるいは人体被害があるかということについての研究は、どのようになっておりますか。
  269. 豊田勤治

    ○豊田説明員 先生御存じのとおり、経口避妊薬としてはまだ許可されておらないのでございますが、そのほかの……。
  270. 古寺宏

    ○古寺委員 経口避妊薬でなくて、普通の避妊薬です。
  271. 豊田勤治

    ○豊田説明員 その点、合成界面活性剤等の含有量が非常に微量でございまして、先ほど申しました、実際に製剤学上使われると申しますのは、いわゆるコーティング剤として使用されるものでございまして、一つの錠剤にいたしましても非常に微量なものでございます。しかし先生御指摘の点につきましては、昨年七月から、医薬品の承認申請にあたりまして、その制剤の吸収、排せつ等のデータをつけさすようにいたしました。こういうようなデータをその申請書につけさすようにいたしましてからの申請が非常に少なくなりまして、現在の申請では、そのデータをつけるためにいろいろと実験をやっておるようでございますので、そのデータの集積された以後、先生御指摘のようないろいろな問題が把握されるのじゃないかと思います。
  272. 古寺宏

    ○古寺委員 一つの薬品の単独の毒性だけではなしに、その薬品にプラスされたCMCあるいは界面活性剤、こういうものの毒性というものを今後洗い直す必要があると思うのです。ですから、今後の問題については、やはり慢性の毒性試験を経て承認、認可になると思いますが、いままでのものについても、乳化剤を添加しているものについては洗い直してみる必要があるのではないか、こういうふうに思うわけですが、この点はいかがですか。
  273. 豊田勤治

    ○豊田説明員 実はキノホルムにつきましても、同様、札幌医大の先生の報告以後、先生の御指摘のような実験方法は続けてやるということを研究班で申されておりますので、現在実施されているように聞いております。
  274. 古寺宏

    ○古寺委員 そこで今日、農薬にいたしましてもあるいは肥料にいたしましても、そこ中にABSあるいはCMCというものがたくさん含まれているわけです。そういうものがいろいろな食品を通してわれわれの体内に入ってくるわけです。まだその毒性が究明されていないという問題がたくさんあるにしても、今後国民の健康を守るという立場からいくならば、当然このABSに対する規制というものはいままでのような考え方ではなしに、疑わしいものは使用しない、あるいは規制をする、そういう体制で進んでいくことが一番大事な問題ではないか、こういうふうに思うわけでございます。その点について局長さんからひとつ御答弁願いたいと思います。
  275. 浦田純一

    ○浦田政府委員 ABSあるいはCMC、これだけにかかわりませず、すべて現在使用許可をしております食品の添加物、これのいわゆる相乗性毒性というものについては私どもも問題が存在しておると考えております。すでに昭和四十五年度より必要な品目について——と申しますのは、添加物の中で明らかに相乗毒性を考慮しなくてもいいというものがかなりございます。したがいまして、必要性の高いものからいまやっていっておるわけでございますが、四十五年からすでに一部着手しております。いま御指摘のABSあるいはCMCについてもその組み合わせの中に加えまして、今後至急に検討の中に入れていきたいと考えております。またABSにつきましては、やはり総体的な観点からの検討をするということは、先ほどからの御質問にもお答えしております。
  276. 古寺宏

    ○古寺委員 そこで外国では、野菜、くだもの等は中性洗剤、ABSで洗ってないわけですね。こういうことで、当然わが国でもやめるべきたと思うのです。日本だけが安全だと称して野菜、くだものを洗っているわけです。これはもう非常に危険なことだと思うのです。この調査会の答申は、外国の資料等に基づいてそういうふうな結果を出したという御答弁先ほどありましたけれども、外国の実情から言うならば、当然野菜、くだもののABSによる洗浄ということはやめなければいけない問題だと思う。この点についてはいかがですか。
  277. 浦田純一

    ○浦田政府委員 私どもアメリカあるいはヨーロッパでABSの使用状況については実情を調査したのでございますけれども、やはりアメリカでも、ABSにつきましてはその使用基準をきめておるということもございまして、これは使用を禁止しているということではございませんで、使用はされているというふうに聞いております。どちらかといえばむしろ農場から出荷するときに使って、一般家庭における使用状況というものは、日本に比べればそれだけ必要性が少ないということは言えるだろう、そういった実情の違いはあるだろうと思います。また昭和三十七年に食品衛生調査会から御答申をいただきました経過におきまして、あるいはその後におきましても、欧米のABSに聞する慢性毒性あるいは催寄形性等の研究調査につきましては、集められるだけの資料は集めて十分に研究させていただいたつもりでございます。
  278. 古寺宏

    ○古寺委員 その点については外務省を通して照会した回答もございます。ですから今後そういう点についてはさらに厚生省としても調査をいたしまして、野菜、くだもの等こういうものに対するABSの規制というものをひとつ行なっていただきたいと思うわけです。  時間がないので前に進みますが、昭和四十六年六月一日に「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」、こういう厚生省の薬務局長からの通達が出ているわけでございます。  そこでお尋ねしたいのは、この指導、取り締まりの対象となるものは、一体どういうものが目的でこういう通達を出したのか、まずその点について承りたいと思います。
  279. 豊田勤治

    ○豊田説明員 昭和四十四年六月にも、局長通知でございますけれども、これは医薬品まがいの食品というものが非常に市販されまして、その関係上薬務局が担当いたしております薬事法の範囲内におきまして、その本質、形状、表示された効能効果、用法用量等から判断いたしまして医薬品とみなされるべきものが食品の名目のもとで製造、販売されているような事例が先ほど申しましたように見受けられましたので、これらのもの消費者が医薬品と誤認して服用するようなことがあって保健衛生上の弊害が生ずるようなおそれがありましたので、その点を明確にするためにこの基準を示しまして、そして指導取り締まりの強化をはかったものでございます。
  280. 古寺宏

    ○古寺委員 そういしたますと、その取り締まりの、いわゆる指導の対象というものは、これは食品でございますか、それとも医薬品でございますか。
  281. 豊田勤治

    ○豊田説明員 医薬品の範疇に入るものでございまして、したがいましてこの通知によりまして、いわゆる自然食品等の販売を押えることを目的としておるものでございません。
  282. 古寺宏

    ○古寺委員 そこで実際にこの通達によっていろんなことが行なわれたわけでございます。これは「えんめい茶」というお茶でございます。これは前には漢字で書いておった。「延命」と漢字で書いておった。それからこれは「赤松の精」と書いてあった。それから「梅丹」という健康食品は錠剤になっておったわけですね。それがこの指導通達によってこういうような形に改めさせられたわけです。よろしいですか。そこでお尋ねしたいのですが、この「赤松の精」というこの「精」をとった。あるいは「延命茶」の漢字をひらがなに直した。あるいは「梅丹」のまるい形をそういう非常に変わった形に変えた。それだけで医薬品というものと食品というものの区別がつくわけですか。
  283. 豊田勤治

    ○豊田説明員 ただいま先生の御指摘の中の「えんめい茶」でございますが、まさしく「延命」という字をひらがなに直すように指導したわけでございますが、「えんめい茶」の指導前の製品でございますけれども、成分といたしまして、イカリソウ、これは生薬でございますが、イカリソウを配合いたしておりまして、このイカリソウ等を抜くような指導もいたしまして、さらにそのイカリソウを入れておりました関係上効能効果等をうたっておりました。そういう点で効能効果の表示等につきましては、やはり薬事法の第二条に規定いたしております医薬品の範疇に入るものとしてその効能効果をうたわないように、さらにまた「延命茶」というようなものは、命を長らえるというようなことで誤解を招くおそれがあるということで、ひらがなに変えさせたわけでございます。それから先ほど先生御指摘のような錠剤を、こういうような形に指導したことは事実でございます。
  284. 古寺宏

    ○古寺委員 通達の判定表を拝見いたしますと、もっぱら医薬品として使用されているもの、こういう条項があるのです。これを見ますと、一般に食品として使用されているものがたくさんあるわけです。たとえばハマボウフラであるとかあるいはゴカヒであるとかあるいはジュウヤクですか、ドクダミの一種ですね。いろいろなものが入っているのですね。それから今度は主として医薬品として使用するものの効能の中にもクコシ、いわゆるクコですね。ヨクイニン、ハトムギですね。こういうような普通の食品として常用しているようなものも医薬品として見なされているわけです。こういう点について、これは食品でございますから、当然食品行政の中で指導監督していくべきものであって、医薬品としてこれを取り締まる、あるいは指導監督すべきものではない、こういうふうに考えられるのですが、どういうわけでこういうふうに漢字をひらがなに直させたり、あるいはまるい錠剤をわざわざ変形させてみたりして、医薬品と食品の区別をしなければならぬのか、非常に理解に苦しむのですが、この点について承りたいと思います。
  285. 豊田勤治

    ○豊田説明員 先ほど申しましたように、薬事法の第二条第一項第二号におきまして、医薬品の定義がさせております。その定義は「人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物」という規定がございます。先生御指摘のようなものが食品として売られておる場合は何ら医薬品としての範疇に入るものではないのでありますけれども、それに効能効果等をうたいまして、そしてこの薬事法の第二条第一項第二号に規定する範疇に入るような形で販売されておるものについての範疇を薬事法で示したものでございます。消費者のほうがそれをもちまして医薬品として用いないような形であってほしいというものでございますので、その点で薬事法に基づく医薬品としての範囲をきめた通達でございます。
  286. 古寺宏

    ○古寺委員 昭和三十六年二月七日に厚生省から出ております第五十一号厚生事務次官の通達によりますと、「医薬品の中の食品を除く」というふうに規定しておりますね。こういうものは薬剤としての表示、あるいは薬としての薬効というようなもの表示も何も全然していないわけです。これは当然この通達からいっても食品として扱うべきものであって、先ほど一番最初に申し上げましたが、食品行政を狭義に解して、いままでの食品行政というものは非常に狭い食品行政が行なわれてきたために、薬務局のほうから見ていられなくて食品行政のほうまで手を伸ばしたのじゃないかと思いますが、しかしこれは少し行き過ぎじゃないかと思う。ですから今回この食品衛生法が新しく改正になって提案されているわけでございますので、この通達につきましては、これは当然撤回すべきである、こういうふうに考えるわけですが、いかがでございますか。
  287. 豊田勤治

    ○豊田説明員 私たちの考え方におきましては、通達以前に、先生御指摘の医薬品から食品ではなくて、食品から医薬品のほうの範疇に入るような食品の売り方というものがございましたので通達を出したわけで、その通達以後は食品として正しく販売されておるように伺っております。
  288. 古寺宏

    ○古寺委員 しかもこの指導通達が出ましてからいろいろな現象が起きているわけです。たとえば、東京ではこのままでよろしい、大阪のほうに行くといけない、こういわれたり、あるいは家宅捜索までされてたいへんな社会問題にまでなっていることもあります。こういうことは行き過ぎだと思う。これは厚生大臣も慎重にという特に御要望があったそうでございますが、実際には慎重に行なわれていないわけです。こういうことについては、特に最近は食品公害によって健康食品あるいは自然食品というものに対する国民の要望が非常に強いわけです。なぜこういうふうにいろいろな問題が起きるかということについて、国民は不安を持つわけですね。ですから、今後こういう点については当然薬務局のやるべき仕事ではなくて、それは当然食品行政の一環としてやるべきことであって、人のなわ張りまで薬務局が乗り込んで行った形になっている。薬務局のほうは、先ほど申し上げましたように、やっていただかなければならない仕事が山積しているわけでございます。そういう本来の国民の健康を守る立場からやるべきことを一生懸命おやりになっていただいて、そして食品行政のほうでやるべきことは食品行政におまかせする、こういう姿勢で進んでいきたいと思うわけでございますが、これは政務次官からひとつ……。
  289. 登坂重次郎

    ○登坂政府委員 お説の御趣旨はよくわかります。ただ、国民一般の消費者が理解に苦しむような、医薬品か食品か、そういう範疇を規制するのもやはり厚生省の職務の一環でございますから、それが食品衛生法に基づくりっぱな食品である、医薬品でないのだということがはっきりわかるような表示、あるいはそういう製造方法、販売方法がとられているとするならば、さようにすべき問題だと思います。
  290. 古寺宏

    ○古寺委員 そのように行なわれておったわけです。こういうふうに、ごらんになればわかるでしょう。健康食品と、こう書いてあります。いろいろごらんになってもわかります。ですから、これは当然行き過ぎであると思いますので、今後撤回をするようにしていただきたい、こう思うわけです。いかがですか。
  291. 登坂重次郎

    ○登坂政府委員 今後問題をよく研究すると同時に、また表示の方法についてもそれぞれ何かくふういたしまして、一般消費者に正しく理解されるように、そういう指導をしてまいりたいと思います。
  292. 古寺宏

    ○古寺委員 これは何べんもいままでいわれてきたことでございますが、食品監視員の数が非常に足りないわけです。したがいまして、食品監視の回数も都道府県によって非常に差がございます。また監視、測定のいろいろな機関でございますが、分析機器等も十分にない、こういうような実情でございますので、今後の食品行政を推進するにあたっては、こういう点については特に積極的に取り組みませんと、いかに法律を改正してもいままでと何ら変わりのない食品行政になる、こう思うわけでございますが、この点については今後どういうふうに対処されるお考えか、承っておきたいのであります。
  293. 浦田純一

    ○浦田政府委員 食品衛生監視員は昭和四十五年度末現在で五千四百九十五名という数になっております。それに対します対象の食品関係営業施設は同じ年度末で二百九十六万余あるわけでございます。これに対しまして、現在の監視回数は延べで六百六十三万回ということで、施設についてやっと二回やっているという状況でございます。御指摘のように監視力は非常に手不足を感じておるというのが実態でございます。  これに対しまして、これらの食品衛生監視員の数は地方交付税の算定の基礎の中にきめられておりまして、毎年かなりの数、増員が認められてきておりますが、今後ともさらにこの増員を要求し実現さしていきたいと考えております。なお一方からいきますと、これら食品衛生監視員の技術的水準の向上、あるいはそれを裏づけとする待遇の改善等を広く検討するようにつとめたいと思っております。  それから検査方法の効率化と申しますかあるいは機動力の発揮と申しますか、そういったことについても、従来からくふうしてまいりましたけれども、たとえばパトロールカー等について、そのくふうの一端として実施に移したところがございますが、今後も総体的に監視体制の強化にはつとめてまいりたいと思っております。  これをさらに裏づけする検査施設でございますが、国におきましては国立衛生試験所、都道府県におきましては地方衛生研究所、さらには保健所の検査室ということでございまして、検査機器具につきましては、逐次地方交付税等の中身改善によってその向上につとめてき、ほぼ全都道府県において、たとてばガスクロマトグラフィーのセット等漏れなく配置できる、またそれを操作できる技術員も養成できたというようなことで改善につとめております。来年度におきましては、これから先さらに来年度予算要求の作業に入りますので、飛躍的な拡充が行なわれるように努力してまいりたいと考えております。
  294. 古寺宏

    ○古寺委員 今回のこの法案の中に食品事故による被害者を救済する、そういう制度が全然盛り込まれていないわけですが、これはどういうわけでございますか。
  295. 信澤清

    信澤政府委員 お話のように、入っておりません。これにつきましては前々からお話がございましたし、特に先ほど先生も御引用になりました食品問題懇談会等からさような意見が出ておるわけでございます。ただ実際問題といたしまして、どういう仕組みでやるか、どういう範囲でやるかということについては必ずしも煮詰まっておりません。たとえば今回の答申を拝見しますと、まず原因者が判明しない場合に、それから被害の範囲が広い場合、さらに治療に長期を要する場合、こういう場合に援助をすべきであって、加害者が特定している場合には、これらは企業の責任でやるべきだ、こういう御意見でございます。まあ御意見としてはそのとおりだと私ども思うわけでございますが、これの具体化につきましてはやはり法律的にもなお検討する必要がございまするし、さらにまた食品のみならず、先ほど先生もお触れになりましたスモン病のような問題についても同じような被害救済の問題があるわけでございまして、そういうものを一元的に制度化をするということで検討したらどうかというのが、大臣の御趣意でございましたので、今回の改正案には入っておりません。
  296. 古寺宏

    ○古寺委員 いままで立法以来、食品行政というものが狭義に解釈されて、国民はその犠牲になってきたといっても過言ではございません。当然、厚生省としては被害者を救済するための措置というものは、これはもう最重要事項として取り上げなければならない問題だと思うわけなんですむしたがいまして、今後この食品事故による被害者の救済については、積極的にその制度を一日も早く実現をするように取り組んでいただきたいと思います。  次に栄養改善法という法律がありまして、これによりますと特殊栄養食品というものが定められているのですが、これのみならず、やはりWHO等でもいろいろな病人食あるいは健康食等の基準もいま検討しているわけでございますので、わが国におきましても当然そういうような新しい食品というものを国民の要望にこたえて基準をつくり、そういう食品をつくるべきである、こういうように考えるわけでございますが、そういう点について現在厚生省はどういうふうに取り組んでいらっしゃるのか承っておきたいと思います。
  297. 折田貞雄

    ○折田説明員 ただいまの先生の御指摘になったのは、特殊栄養食品の中の特別用途食品だと思います。特殊栄養食品の中には御存じのように強化食品等、特別用途食品がございますが、特に最近糖尿病、心臓病それからじん臓病等、いわゆる各種の慢性代謝系の疾患が増加しておりますので、これらの予防及び治療に対しまして食餌療法がきわめて重要な意義を持つようになってきております。したがいまして、このような特別な患者に、病者に用いる特別な用途食品の必要性が高まってきております。いま先生御指摘されましたように、わが国におきましてもそのような必要性が高まっておりますので、栄養改善法に基づいて現在実施しております特別用途食品制度の充実をはかるために、昨年五月じん臓学会並びに糖尿病学会それから小児科学会等に対しまして、これらの食品の必要性につきまして御意見を拝聴いたしました。昨年十二月に栄養審議会におきまして各関係学会の代表者等に入っていただきまして、学識経験者からなりまする特殊栄養食品小委員会を設けまして特別用途食品の基準につきまして検討をしております。これらの特別用途食品につきましては、国民の栄養改善、体力維持向上をはかるという見地から今後とも医学的、栄養学的な管理のもとに、適正な予防食並びに治療食としての普及をはかるようつとめてまいりたいというふうに思います。
  298. 古寺宏

    ○古寺委員 それでは時間でございますので、最後に、いろいろな洗剤の問題あるいは監視体制、被害者の救済の問題、いろいろな問題があるわけでございますが、今後国民の健康増進、国民の福祉、また消費者保護という立場からも、いままでのような狭義の食品行政ではなくて、広義のいわゆる食品行政をどういうふうにお進めになる決意か、政務次官から承って質問を終わりたいと思います。
  299. 登坂重次郎

    ○登坂政府委員 古寺先生から専門的なこまかい、また幅の広い御質問をいただいたわけでございますが、私ども厚生行政をあずかる者といたしましては、国民の健康を積極的に守るということが第一義的な目的でございますので、日常われわれの生活にまず必要な洗剤及び食品衛生を通じましてわれわれの健康が正しく守れますように、政府としてあらゆる機関を動員し、各行政機関の一元化をはかりつつ、またそういう今後の責任体制についても積極的に検討を進めてまいりたい、かように考えております。
  300. 橋本龍太郎

    ○橋本(龍)委員長代理 石川君。
  301. 石川次夫

    石川委員 食品衛生法の改正についての質問に入るわけでありますけれども、実は関係大臣が一人も出ておりませんで、私としては非常に遺憾であります。厚生大臣は、聞くところによると、参議院における健康保険法の改正という重要な課題を控えておりましてやむを得ないと思いますけれども、しかし私は、食品衛生法の問題は、次元は違うけれども、それに負けず劣らずのきわめて重要な課題だと思っておるわけであります。きょうはやむを得ませんのと、それから実は連合審査会を要求をしたのでありますけれども、時間の関係でとりやめて、きょうは委員の差しかえでもって私は科学技術委員会のほうから出てきたわけであります。ところで時間が一時間十分ということでありますが、とうてい一時間十分ではおさまりそうもないので、極力一時間十分におさめるようにはいたしますけれども、多少のところは委員長ひとつお認めを願いたいと思います。というのと、その時間を節約するために意見を申し上げることが多いと思うのです。その意見に対してそちらのほうで弁駁する余地があればどんどん弁駁をしてもらう、こういう形式で話を進めてまいりたい、こう思っております。  まず最初に申し上げたいのですが、実はこれはえらい次元の高いような話になって恐縮なのでありますけれども、実は総理大臣あたりに聞いてもらいたいのです。というのは、ローマ報告というのが御承知のようにございます。これはマサチューセッツ大学だったと思いますが、中心になりまして、大体三千通りか四千通りのシミュレーションに従って、二十一世紀に人類が生き残れるかどうかということを検討したわけでありますが、どうしても二十一世紀には人類が生き残れるという見込みは少ないという結論が出ております。  ところで、公害の先進国の大日本がこれに先がけて絶滅するであろうという資料があちらこちらから出ておることは、これは皆さんも関係者でありますから御存じのとおりだろうと思うのです。その一つ農林省の食糧研究所の官能検査研究室長西丸さん、この人は紀元二千年になったときの日本人の人口を推定しております。驚くなかれ三千九百万であります。この資料が一つ出ております。これは私面と向かってじゃなくて、電話でいろいろなお話を聞いただけで、その内容は詳しくはつまびらかにいたしませんけれども、資源とかあるいは食品公害、大気汚染その他の公害の問題と、気象の変化あるいはエコロジーの問題、こういうような問題をひっくるめて、どう考えてもそうならざるを得ない、こういう結論を出しておるわけであります。それから、この間科学技術庁の資源調査会のほうから発表されたことは、御存じのように東京の木は五十年で全部枯れます、その中で最も公害に強いといわれているシイの木も全部現状において復元不可能である、こういう結論が出ておるわけであります。それから文部省の中にある国立遺伝学研究所の所長さんが、御承知のように、これからも奇形児がどんどん出るだろう、こういう不気味な警告を発しておることはすでに御案内だろうと思うのです。その中で私は最近いろいろな統計を見て驚いたのでありますけれども厚生省の厚生統計協会、ここで出しております統計の中で、乳幼児と新生児の死因が出ております。昔は、私の記憶する範囲では、乳幼児と新生児の死因の第一位というのは呼吸器か胃腸病であったはずであります。ところが、いまこれは第五位です。一、二、三、四と全部これは先天性異常に関連する病気で死んでおります。この統計に基づいて厚生省に伺いたいのでありますが、こういうふうな現象が出たのは一体どこに原因があると考えるか、また、この原因を追及するという何らかの努力、研究というものをなしておるかどうか、その点、最初にお伺いします。
  302. 浦田純一

    ○浦田政府委員 ローマクラブを中心とする世界の将来に対する見通しというものについては、私も非常に興味を持ち、かつ深刻な受けとめ方をして、いろいろ勉強さしてもらっておるところであります。その他農事試験場あるいは国民遺伝研あたりからいろいろと警告が出されていることにつきましては、私は日本民族あるいは人類の将来を信じつつも、しかし警告は警告として、慎重にその対策を講じていくべきであると考えております。  御指摘の乳幼児、新生児の死因等につきましても、これは確かに近年に至りまして先天性の異常というものが死因の主位を占めてきておるということも承知しております。私どもはこのような事実につきまして、少なくともわが局といたしましては、食品衛生という立場から、人間の口を通じてこれらの種々の原因とも目されるべき物質が入ってくるということにつきましては、絶対にそのようなことがあってはならないというたてまえで、いわば疑わしきは罰するというたてまえで未然に防いでいくということをこれからの基本的な姿勢にしなくてはならないと考えております。  今回の法改正の中身につきましても、従来とても人間の健康に与える影響の防止、いわゆる危害防止という点につきましては、これを第一の目標として掲げて努力してまいったところでございますけれども、これは今後ももちろん第一の力点として考えることは言うまでもありませんが、さらに、先ほどるるお述べになりました人類の将来に対するいろいろな不安、不吉な様相を未然に防ぐ種々の方策を行なっていくことはもちろんのこと、さらには積極的に健康の増進、向上という点等を目ざして努力していかなくてはならない、かように考えております。  なお、個々の、先生がおあげになりました事実につきましては、それの原因等につきまして一々御説明することもやぶさかではございませんけれども、また議論のあるいは御質疑の進展に伴って触れてまいりたいと考えております。
  303. 石川次夫

    石川委員 答弁は簡潔にしていただきたいと思います。  こういうふうな不気味なといいますか、とにかく二十一世紀に日本が世界に先がけて絶滅するとか、先頭を切ることは、これは明らかです。その中で、大気汚染の問題もありますけれども食品衛生の問題が大きなかかわり合いを持つ。この問題をほんとうに肝に銘じてひとつ考えてもらわなければならぬ。今度食品衛生法の改正で、疑わしきは罰するということを言っておりますが、こんな中途はんぱな疑わしきは罰するというやり方で、はたしていいのか。私は全面的にこれに対して弁駁をしたいのです。  それはともかくといたしまして、日本人が二十一世紀に生き抜けないだろう、西丸室長の言うように、たとえば三千九百万になるだろうというようなことが、全然荒唐無稽なことではないわけなんです。そういうことになると、日本人が生き抜くために一体どうしたらいいんだということの観点に立って、発想の大転換をはからないととんでもないことになる。こういうことで、発想の着眼点というものを変えてもらわなければならぬと私は思うのです。いま先天性異常に属するものが一、二、三、四と位して、戦前の第一位である胃腸病、呼吸器疾患によるところの乳幼児の死亡が第五位にも下がっておるというようなことは、いまの御説明ではしなくもみずから認めたようなかっこうですが、食品の関係が大いに影響する。これは大気汚染とはちょっと考えられない。どうしても食品衛生の関係であろう、こう私は思わざるを得ないのです。そういう観点でこれから話を進めてまいりたい。  厚生省の試験研究費でありますが、大蔵省の方来ておると思うが、どなたが来ておりますか。
  304. 橋本龍太郎

    ○橋本(龍)委員長代理 いま呼んでおりますが、大蔵省はまだ参っておりません。
  305. 石川次夫

    石川委員 話を進めてまいりますけれども、実はPCBの問題で私も二日間ばかり質問いたしましたが、そのときに予期せざるいろいろな公害が出てくるわけです。私はそのときにアスベスト公害という公害を提示いたしました。東京で初めてアスベストの小片が空気中から検出された問題があります。世界じゅうのどこでも検出されなかった。アメリカでは、死体解剖をいたしますと、アスベストの小片が必ずといっていいくらい人間のからだの中に入っておる。これが病気の相当な原因になるのじゃないか。ことに、日本の場合には特に問題になるのじゃないか。こういう問題の提起はどこでするこかという質問をしたのに対して、厚生省が問題の提起をいたします、こういう答弁であったわけであります。そこで、厚生省が何といっても人間の生命を守るための中核になるべき省庁であることは申すまでもないわけです。そういう観点からいいますと、食品関係の予算が一億六千二百万なんというていたらくで一体いいんだろうか。この点はだれに質問していいかわからない。大蔵省が来てないんだけれども……
  306. 橋本龍太郎

    ○橋本(龍)委員長代理 いま大蔵省の主計官、とりあえず参りました。
  307. 石川次夫

    石川委員 大蔵省、主計官しかおいでにならぬというので不満なんですけれどもほんとうは大蔵大臣に出てもらいたかったんです。  日本人は二十一世紀に四千万人を割るであろうというような不気味な警告が、非常な根拠をもって提示されておる。それで人間の生命を守る中心になるのは厚生省でなければならぬ。厚生省食品衛生というものが相当大きな影響があるだろう。その食品衛生の予算がわずかに一億六千万円、これでいいのかという問題を提示したわけであります。大蔵省、どうお考えになりますか。
  308. 渡部周治

    渡部説明員 食品衛生対策関係の予算につきましては、食品の安全性の確保ということが国民の食生活にとりまして緊急かつ重大な問題であるというぐあいにわれわれ財政当局も認識しておる次第でございます。予算額といたしましては、総額は御指摘のように一億六千七百万円でございますが、前年度の一億三千万円に比べますと二八%の増という、増額の率といたしましては非常に大きな率を計上しておるわけでございます。その内容で十分か、こういう御指摘でございますけれども、その内容につきましては、予算折衝の段階で厚生省当局と十分協議を重ねまして、当面必要な諸問題につきましてはできる限りの配意をしたつもりでございます。
  309. 石川次夫

    石川委員 官僚の発想は、前期よりも三割ふえたとか二割ふえたとかということをよく基本にするわけですが、そんなことは問題にならぬと思うのですよ。人間の健康に重大な影響があって、日本人がどうなるんだという、いわば危急存亡のときといいますか、こういうときにあたって、前の年よりも三割ふえました、二割ふえました、それだからいいんじゃないかというような考え方であっては困る。そのことをはっきり申し上げたいと思う。  それとあと一つは、それに関連いたしますけれども、慢性毒性の検査というものがほとんど行なわれていない。先ほどは二年間やっておると言うけれども、この実態を私調べました。ほとんどネズミで調べているだけですよ。ところが、バイエル薬品で出しているネズミ殺しの薬で、ネズミは足についただけで死んじゃう。それを茶わんに一ぱいネコに食わせると全然死なないのです。そのくらい動物によって全然耐毒性というものが違ってくるのです。ネズミの慢性毒性から見て毒性検査が終わったなんという、こういう現状じゃ困ると私は思う。アメリカあたりではまず仮許可を与え、それでこれはというものをみんな、サルまで動物を五種類使います。ですから一つの薬品を許可するのに大体少なくとも二年くらいかかって、大体五千万円ぐらい予算を使います。日本の場合だと、たった百万円ぐらいですよ。こんなことで慢性毒性検査をやったということはとうてい言い得ない。この姿勢にまず問題があると思う。  そこで伺いたいのでありますけれども厚生省の研究機関の予算であります。これは昭和三十五年を起点にいたしますと、国の予算は大体六倍になっておる。六〇〇%。それから厚生省の試験研究予算というのは四〇五%です。国の予算よりはるかに下回っています。いいですか、これが一つの資料。その次三十七年を起点として、国の予算は昭和四十五年には大体四〇〇%になっている、四倍にふえております。これに対して国立研究機関全体の予算が二四一%であります。国の予算よりはるかに少ない。私はここで科学技術研究のことを言おうと思っていませんけれども、ほかの国に比べてこの研究予算というものは非常に少ない。特に基礎研究の部門についてはお話にならぬ。ほとんど民間に依存をしている。こういうかっこうになっている。こういう状態を脱却しなければならぬと思っているのでありますけれども、その中で、特に日本人の生命、健康に重大な関係のあると思われる厚生省の予算というのは、厚生省の研究機関というのは二二五%です。国の予算の半分ぐらいしか伸びておりません。こんなていたらくであって一体いいんだろうか。これでほんとうに国民の健康というものは守られ得るだろうか。私は工業関係その他の関係の研究予算だって少ないと思っているのですよ。しかし一番問題なのは人間の健康ではないだろうか、またそれに対する研究開発ではないだろうか。それが国の予算の四〇〇に対してわずかに二二五%で、国の全体の研究予算の二四一%より低いという状態は、これは一体何を意味するかを疑わざるを得ないのです。  それからあと一つデータを出します。研究者一人当たりの試験研究庁費、これの一覧表というもの——遠くてこらんになれないでしょうか、経済なんというのは群を抜いて高いんです。経済研究所、これはコンピューターなんか使うとかなんとかということはあるかもしれません。それから工業関係がその次にずっと並んでおります。これもいろいろな研究機関が要るんだということになるんでしょうが、ある程度わからないということもありません。しかし、厚生省関係は末端のほうにずらっと並んでおります。お話になりません。これでは慢性毒性の試験をやるとかなんとかいったって、とてもじゃないが問題にならぬ。こういうふうに厚生省の研究機関に対する態度というものを、まず大蔵省、変えてもらわなければならぬと思うのです。これは主計官に返答を求めることは無理でしょうけれども、しかしこれは国民の健康に対するたいへんな発想の大転換をやらなければならぬという現時点に立った場合には、ほんとうに、前の予算の三割増しだとか二割増しだとかで済む問題ではないと思うのです。健康を大事にするための研究開発というものをまず重点に考える。もちろん工業開発を全面的に否定するつもりはありませんけれども、発想の大転換をするという観点から考えて、現在の惰性の上に立った考え方であっては困る。その点は主計官どうお考えになりますか。
  310. 渡部周治

    渡部説明員 厚生省関係の試験研究費の伸び率が、一般会計のそれに比べて劣っておるというような御指摘でございました。私ども、三十七年あるいは六年というところをベースといたしました数字を持ち合わせておりませんので、恐縮でございまするが、一応四十七年度予算の数額について申し上げるわけでございますが、われわれ厚生省関係の予算、試験研究関係の予算としましては、総額が五十四億でございます。これは健康被害の原因であるとかあるいは治療、予防方法等の試験研究の推進ということについて配慮をするという趣旨でつけたわけでございます。  厚生省関係の試験研究につきましては、これは先生十分御存じだと思いますけれども厚生省の試験研究機関である国立衛生試験所とか予防衛生研究所というようなところで行なわれます試験研究と、それから外部に委託なさる調査研究的なものと二つございまして、厚生省の従来の試験研究のタイプといたしましては、後者の外部委託のウェートが非常に大きいわけでございます。これは従来からそういう外部の学者なり、あるいは外部のいろいろな試験研究機関へ委託するということで、これは厚生省が自分で持っておられる研究機関と両々相まちながら国民の健康を守るための研究を続けておられるわけでございまして、この厚生省の従来からやっておられます方針にわれわれも従って予算をつけたわけでございます。伸び率で申し上げますとまたおこられるかもしれませんが、数額におきましては前年に比べまして四二%ふやしているわけでございまして、われわれといたしましては格段の配慮をいたしたつもりでございますが、御指摘のとおり、厚生省関係の試験研究費が国民の健康と生命を守る上で非常に重要なものであるということはわれわれも十分存じておりますし、今後とも厚生省のお話をよく承りまして、この関係の予算の改善、充実に前向きに善処したいと考えております。
  311. 石川次夫

    石川委員 このことは大蔵省の主計局長あたりに私は十分言ってもらいたいと思うのです。というのは、たとえば国立衛生試験所の実態も私よく調べましたけれども、慢性毒性試験の研究技術員というのはわずか二十名です。二十名で一体何ができるか。何にもできはしません。ですから、地方関係の衛生研究所のほうが、はるかにいい研究ができている。そんなことでは困るのですね。国全体の国民の健康をどう維持するかという観点からは、やはり厚生省にスタッフを集めて、厚生省が十分に対応策を考えるということでなければならないはずだと思うのです。今度は国立衛生試験所のほうは食品、医薬品の安全センターをつくるそうです。これは競輪か何かの益金を二十四億円ばかりもらってやるという発想になっておりますけれども、たてまえとしては独立採算制ですよ。独立採算というのはどういうことかというと、薬屋から委託されるわけですね。薬屋から金をもらってやるんですよ。薬屋から金をもらって、慢性毒性検査とかあるいは代謝研究だとか急性の毒性検査とかやってみたところで、期待はできません。いままでの実績がそれを立証しているのです。こんなものはあまり多くなってどうにもならぬというので、苦肉の策として独立してやっていくのでしょうが、輸入食品の一万件ぐらいが対象になって、そのうちの五百件程度を扱うにすぎないだろうという推定です。それから慢性毒性検査をやっているのは、国立衛生試験所では大体二十名程度であります。学者や部外者を集めてその日その日を食いつないでいるかっこうで、しかも、五通りの動物を使うどころではない、マウスだけの検査で糊塗してしまっているという実態なんです。こんなことで日本人の健康というものがはたして維持できるのか、まことに寒心にたえません。この点を抜本的に、独立採算でもって薬屋から金をもらって検査するなんて、こんなあてにならないやり方じゃなくて、厚生省独自でりっぱに慢性毒性試験をやります、代謝試験もやります、こういう形にならなければ、ほんとうに国民の命と健康を守るという形にはならないじゃないですか。まことに私は寒心にたえないので、この点は来年度の予算編成からは十分に考えてもらわなければいかぬ。  あと一つは、経常研究費というものが一人当たり幾らになっているかというとA、B、C三段階に分けていますね。工業が第一位ですね。厚生省関係がB、人文科学か何かがCなんでしょう。こういう分け方もおかしい。厚生省関係も生命と健康を守るという立場に立って、ABCという差をつけないで、同列に扱うべきではないのか。工業関係は多少機械設備が要るのだ、実験設備が要るのだということがあるかもしれませんけれども、もうそういう事態ではなかろうと思う。人間の健康を守るためには試験も実験もやるという体制をつくるために、段階を取るということが必要なのではないか、どうでしょう。
  312. 渡部周治

    渡部説明員 一般の試験、研究機関の庁費におきまして、ランクづけを行なってやっておりますことは、御指摘のとおりでございます。そのA、B、Cというランクにつきましては、御指摘のように、試験研究機関等につきまして、工業関係の研究機関にはかなりの基礎的な設備がございまして、そういうものに伴って庁費等がかかるというような実態を勘案して、そういうようなランクがつけられたと考えておるわけでございます。問題は、厚生省関係の試験研究機関につきましての庁費をどういうかっこうで充実さしていくかということにつきましては、御指摘のような一般的な庁費の格づけを達成するというようなかっこうで充実することも考えられますし、別の方法といたしましては、個別の研究等につきましての経費を見るというかっこうで考えることも考えられます。しかし、いずれにいたしましても、この問題も、来年度の予算編成の段階におきまして、厚生省とよく御相談いたしまして検討いたしたい、かように考えております。
  313. 石川次夫

    石川委員 A、B、C段階の区別を取れということは、科学技術庁のほうでもそういう意見を持っておるというふうに私は聞いております。この点は、後世の人類が生き残れるかどうか、日本人が最初に絶滅をするかどうかというような危機感を持っておる現状においては、工業第一、厚生第二というような考え方はやめるべきだ、この点は強くお願いをいたしておきます。  それで、大気汚染のことを抜かしてしまったので、結論だけ申し上げます、せっかく大気汚染の関係の方がいらっしゃっておりますから。  東京の木が五十年で絶滅する原因は何かというと、これは大気汚染でありますが、東京は吹きだまりになっておるというようなことなので、公害に一番強いといわれたシイの木までも復元不可能だという状態になっております。そういう木が不可能なところに人間が一体生き残れるのかということもまた大きな課題になるでありましょうが、そういうことでありますから、まず木を復元させる、五十年で滅亡はしないで、すくすくと緑にもえておるのだという状態にするために一体どうしたらいいのだということを、政府全体が考えてもらわなければいかぬと私は思うのです。ここからいろいろな問題の解明が出てくるのじゃないか。ガソリン、重油の使用を凍結しろといっておるが、凍結をしろといったって、生産が伸びるからこれが伸びるわけじゃないのですよ。われわれの生活が向上すれば生産が多くなる、少なくなる、景気がよくなる、よくならないということに無関係にふえる部分が半分はあるのです。でありますから、このままではいかぬといったって、このままでふえざるを得ない、凍結はできないのです。だからよほど真剣に対策を考えなければならぬ。私は結論的に言いますけれども、大気汚染に対しては排煙脱硫を徹底的にやる、どんなに金がかかってもしかたがないと思います。それからガソリンのほうの関係、排気ガスの関係は、やはりマスキー法か何か出すべきだ。一割か二割に押えるという目標を立てるこれはやはり政府としてやるべきだと思うのです。この点厚生次官はどうお考えになりますか。
  314. 登坂重次郎

    ○登坂政府委員 今後、大気汚染その他環境汚染の問題について、ガソリンを含めてそういう問題について真剣に考え、また、厚生省といたしましても、人命を守るという見地から、そういう方面に強力に研究を進めてまいりたいと思います。
  315. 石川次夫

    石川委員 ことばだけでなくて、ぜひマスキー法などという、突拍子もない、考えられない、誇大であるといっておりましたけれども、最近になって、あれくらいのことをやらなかったらたいへんだ、こういう認識に変わってきているのです。ところが日本ではそれに対して、何ら手を打とうといたしません。アメリカあたりよりも、単位当たりのエネルギーの消費量がはるかに多いという日本において、まずそれが考えられなければいけないと思うのでありますが、何ら考えられていないということは、政府の非常な怠慢だと私は思っております。きょうは食品衛生法の関係ですから、それ以上そのことには触れません。これはぜひひとつ関係官庁か集まって——私は、科学技術庁長官が来たところでお願いしたがったのでありますけれども、必ずこの対策は考えるということでなければならぬと、その確約をとりたかったわけなのです。これは研究調整局長、このことについてぜひひとつお願いいたします。
  316. 千葉博

    ○千葉政府委員 石川先生からはたびたび御指摘でございまして、当庁の長官も、本件については、これはまっ正面から取り組む、こういうように申しておりますので、先生の御趣旨は十分長官に伝えまして、今後私どものほうも全力をあげて、関係各省とも十分連絡をとりながら、これの対策を確立したい、かようにいま考えておる次第でございます。
  317. 石川次夫

    石川委員 それから今度の食品衛生法の改正については、新聞ではかなり好評のようでありますが、私はすこぶる不満なんであります。表示を充実させるということの評価が一つあります。それから表示を充実させるということは、外国ではこんな小さなあめ玉でも、この構成の内容についてこまかく書いてあるあめ玉がございます。ああいうことをおやりになるつもりでしょうか、食品添加物でも何でも全部それに表示する、これは食品添加物が入っておりますよということを全部明示するというところまで表示を徹底するのでしょうか、その点まず伺いたい。
  318. 浦田純一

    ○浦田政府委員 できるだけそのような方向をとりたいと思います。たとえばバラ積みのものにつきましては、そのワクにはっきりとその添加物なり何なりの使用が行なわれておるということを明示させる等、できるだけ全商品に徹底する方向につとめてまいりたいと考えております。
  319. 石川次夫

    石川委員 それから新開発の食品については、慢性毒性検査の研究を得るまでは、私は許可をすべきではない、こう思うのですが、いままでそれが行なわれておるかどうかということになると、残念ながら行なわれておりません。一つの例でいいますと、流動パラフィンというのがございます。流動パラフィンは天然のもので、規制しなくてもいいのだと、小島さん、あなたは前に私が質問したときにお答えになりました。流動パラフィンは天然のものですか、一体。石油製品だから天然のものだと言う、人をばかにするにもほどがある。天然のものだから規制しないという答弁だったのですよ。それが厚生省の態度だった。何なら速記録をあとで持ってきてもよろしいですよ。石油製品だから、まさに天然に存在しているから天然のものだということをいえばいえるかもしれませんけれども、それを天然のものというのはちょっとおかしいのではないかと私は思うのです。だから規制しないと言ったのを、最近規制するようになりましたね、それも最近ですよ。私はこういう厚生行政の姿勢というものほんとうに疑わざるを得ない。  それからPCBのときに厚生省の係官は何と言いましたか、〇・七の母乳は六カ月飲んでも差しつかえない、こういうことを言ったでしょう。ところがあれを乳幼児の場合に適用すると、優に三カ月でカネミ油症のところに達するということがはっきりしておる、それをどういう形かしれぬけれども厚生省ではそれを隠蔽して、六カ月飲んでも差しつかえございませんというような、まことに無責任な発言がある、こういう厚生行政の姿勢というものをまず私は直してもらわなければならぬと思うのです。  それでこの流動パラフィンというのは一%の使用許可がされておりますけれども、強力な発ガン物質だということは——これは発ガン物質というのは、簡単に証明されるものではないのですが、そういう説がいまのところは強いわけです。パンの離型剤で、形がふわっとする、そのために使われているわけですけれども、こんなものが、ベンッピレンというのが入っておりまして、大手メーカーで自動的にどんどんパンをつくるところはほとんどこれを使っておる、だから手づくりのパンは一日でこんなようになるが、ああいうものはふわっとした形がそのまま残る、だから一%は石油をわれわれは食べさせられておる。天然のものかもしれませんけれども、流動パラフィンというのは石油そのものです。こんな許可のしかたが一体いいのだろうか、新開発の食品については、慢性毒性の検査をやらないで、こうやってどんどん許可が出ていたというのが過去の実態だろうと思います。許可になった内訳をいいますと、これはたとえば昭和三十二年七十一品目、三十四年が三十で、三十五年十八、三十六年十八、三十七年三十四、三十八年二十品目、三十九年四十二、こんなに慢性毒性の検査ができるはずがない。私は前に、水銀をいもち病対策でもって農薬として使うことを徹底的に攻撃をいたしました。これはすでにもう取りやめになりました。いままで使っていたら、とんでもないことになっただろうと思うのです。あんな毒薬と同じようなものを手でもってつかんでまかせるようなことはまかりならぬというようなことで、あれは取りやめになりましたけれども、そのとき、私は農薬の許可の基準を見て驚いたのです。正常な道具をつけて、正常に使って、そして被害があったら許可を取り消すというのです。こんなばかなことがあっていいのだろうか、これじゃまるで業界代弁者じゃないか、私はこういうふうな気持ちがしてならなかった。それと同じ姿勢が厚生省には残っているといわざるを得ない。まずとにかく許可をする、そうして、あとで疑わしいものは今度は規制するようにいたしましたよ、疑わしいものを規制するようになったのは、一歩前進だと新聞では評価されておりますけれども、初めから疑わしいのですよ。許可すること自体に誤りがある。食中毒が出て、それが原因ではないかと疑わしいときにこれを規制をするというのは、私はまことにうしろ向きだと思うのです。許可の初めから、これは疑わしいと思ったら許可すべきじゃないと思うのに、全面的にどんどん許可をしておいて、問題が出ないから——検討は若干進めておるようですが、これだってこれだけの品目について、三百四十もあるのですから、全部についてやることは不可能でしょう。こういうふうな厚生省の姿勢というものほんとうに問い直さなければならぬと私は考えております。  そういう点で、疑わしきは規制する。疑わしいというのは、私をして言わしめれば、全面的に疑わしい、奇形児がたくさん出るということの要因の大きな一つにこれがあるのではないか。PCBだって、あれだけの騒ぎになったでしょう。あんなのは九牛の一毛ですよ。いま開放系というものは三万トンあるというのですが、いま残されて害を与えるのは一万トン、結局、大気中からプランクトンに移って、それを魚が食って、それを人間が食うという循環系統で、それが野鳥や人間にどれだけ影響を与えるかということで、毎日のようにPCBで大騒ぎしました。ところが、食品添加物はそれどころじゃないのですよ。そういうことで、ほんとうに基本的に私は姿勢を正してやってもらわなければならぬと思うのです。  端的に一つだけ例をあげて申し上げますが、流動パラフィンなんか、これを許可するおつもりでしょうか。
  320. 浦田純一

    ○浦田政府委員 食品添加物についての広範な御意見でございますが、また今回法改正において疑わしきは罰せずということについての御意見の開陳でございますが、まず、私どもの添加物に対する規制についての根本的な考え方を述べてみたいと思います。  結論から申しますと、全く先生の御指摘のとおりの考えで従来とも動いておったつもりでございますが、それを申し上げますと、たとえば、添加物については十分安全性の確かめられたものについて最小限に使用を認めるべきであると考えております。ことに化学合成品である添加物については、法の考え方は原則として禁止でございます。すなわち、先生の御指摘になっております疑わしきは罰するという考え方に立って指定をしてきておるのでございます。そのもととなりますものは、FAOあるいはWHO等の定めました基準というものが大もとになるわけでございますが、さらに、これに加えまして内外の文献を集め、またさらに必要があります場合には、国内でこれを追試する等を行ないまして、そうして確信を得た上で、その指定をしてきておるということでございまして、根本の考え方は全く疑わしきは罰するという  ことでございます。  それから、なるほど経過的に見ました場合に、先生の御心配なさいましたように、その後の科学技術の進歩によりまして、この安全性について多少疑問が出てきているものもあるというようなことでございまして、これについては逐次指定の取り消しを行なってきております。また、新たなる慢性毒性あるいは催奇形性等の再点検と申しますか、これらについても現在年次計画を立てて当たっておるところでございます。  御指摘の流動パラフィンでございますが、これは天然物であるということについては、私は先生もお認めではなかろうかと思いますが、ただ天然物であるからといって、それではもう無制限に許してよいかということは、これはその後、私どもがさらにきびしく考えまして、たとえ天然物であっても、添加物として使う場合には安全性のチェックをすべきである、その確信を持ってから出すべきであるというふうにいたしてきております。今回の法改正に伴いまして、さらにその点を明確にしていきたいというふうに考えております。したがいまして、流動パラフィンにつきましては、その規格及び使用基準につきましては、一昨年、昭和四十五年の十一月二十日に定めまして規制を強めているものでございます。  立ったついでと申してはなんでございますが、先ほど乳幼児の死因に関しまして御説明を省いた点がございます。それがいまの御議論にもからんでくる点もあるようでございますので、少し説明を加えさせていただきたいと思います。  乳幼児の死亡率につきましては、これは戦後の公衆衛生あるいは育児知識の進歩普及によりまして、わが国の乳幼児の死亡率の減少傾向というものは世界的に評価されていることは先生御案内のとおりでございます。したがいまして、相対的に見た場合に、非常に乳幼児が元気で育つようになったということでございまして、それらの改善中身を見ますと、従来乳幼児の死因として赤痢とか肺炎とか気管支炎、あるいは結核、胃炎、腸炎とかいったような伝染性の疾患が非常に大きな役割りを占めておったのでございます。     〔橋本(龍)委員長代理退席、小沢(辰)委員長代   理着席〕 これらが先ほど申しましたような理由から大幅に改善されまして、新生児の生存期間あるいは乳幼児の生存期間が延びてきております。それと同時に、一方では診断の技術の発達に伴いまして、従来不明であった先天異常あるいは悪性新生物等が診断可能になってきたものも入ってくるのでございます。  それで、御指摘の食品添加物等の影響でございますが、私が先ほど御説明申し上げましたように、次の世代に及ぼす影響等に関します試験を行ないまして、催奇形性等の有無を確認した上で指定いたしておりますので、食品添加物等からの影響というものは無視し得るのではないか。その点につきましては、国民の皆さまに万一不安があっては困りますので、明確にしておきたいと考えます。
  321. 石川次夫

    石川委員 いまのことは議論になるから言いません。言いませんけれども、私はその意見には意見があるのですよ。ということはどういうことかというと、戦前は届けなくていいのが七日間だったのですが、いまは十四日に延びているんですね。その点で乳幼児の死亡というのはうんと減ったような計算になっているのです。そういう計算の違いというものは統計上に出てこない。それは確かに医学の進歩によって助かっている人が多くなったということは事実でありましょうけれども、いずれにいたしましても、四歳までは先天性の異常に起因する病気というものが上位を占めておるという事実は隠せない事実だろうと思うのです。  それから催奇性のものについては、どうのこうのと言っておりますが、あなたのほうの遺伝学研究所の所長さんが、このままいったら、かたわがたくさん出ますよ。それから四十歳以上の妊婦が出産した場合は、かたわが非常に多いという統計が出ています。若い人には少ないけれども、年とった人に非常に多い。一体何が原因だろうか、どうも食品添加物と関係がないとはいえないんじゃないか。それから、催奇性のものについてはすでに研究しているというけれども、私がさっき言ったことをお聞きになりましたか。三十二年に七十一品目、それから三十、十八、十八、三十四、二十というふうに許可して、これで催奇性の対策等も十分考えた上で許可しているなんていうことは、とうてい言えないのです。それは私は詭弁だと思うのです。それを明らかにしておきたいと思います。  ちょっと質問方向を変えたいと思うのですけれども、ところで、いま食品添加物というものはどのくらい生産されておりますか。
  322. 浦田純一

    ○浦田政府委員 個々の生産数量はちょっと調べさしていただきますが、種類といたしましては三百四十種類でございます。——食品添加物の総生産量でございますが、これは一部医薬品として使われているものも含まれておりますので、なかなか正確な数はわかりませんが、そういった一部含まれておるものも加えまして、昭和四十一年で厚生省が行なった調査によりますと、約百四十七万三千トンという数字が載っております。それから一方科学技術庁の行ないました調査では、四十一年−四十二年間の調査でございますが、九十一万五千トンというふうになっております。これも同様に全部が添加物として使用されているものでなくて、洗剤の助剤とか、あるいは繊維工業用あるいは医薬品の原料、たとえばビタミンなどでございますが、そういったものや、工業用の原料等に使われているものも、かなり入っているようでございます。しかしながら、最終的な使用の形態はちょっと私どものほうでは明らかにしておりません。それから総生産の八〇%を占めておるとみられます食品製造用薬品の中の硫酸あるいは水酸化ナトリウムのように中和、除去するものもございますので、いろいろと実際に人体に取り入れる採取量というものにつきましては、なかなか数字はむずかしいのでございます。
  323. 石川次夫

    石川委員 おたくのほうの統計で百四十七万トン、これはちょっと多過ぎるのじゃないかと思って私のほうも調べてみました。大体九十万トン、これはほかのものに使われるのを除去してますよ。食品添加物です。そうしますと、これは少ないほうの数字で九十万トンとしまして一人一日三十グラムになります。PCBだったらたいへんですよ。一グラムだってとんでもないことになります。百四十七万トンということになれば四十二グラムくらいになる。少ないほうの数字をとってもこれより数字がまだ伸びていると思うのです。九十万トンといったときより飛躍的に数字は毎年伸びておると思いますが、それでいくというと大体三十グラムぐらいになる、これはいろいろな劇物、毒物を含んでの食品添加物が大体一日三十グラム、六十種類以上もわれわれは知らずに飲まされているのです。大気汚染もそれはたいへんな問題だと思いますけれども、大気汚染は都会地だけの問題です。ところが食品添加物の問題は、山紫水明の山の中までこの影響があると思わなきゃならぬ、そういう点で私はきわめて注目を要すると思っておるのです。そういうことで、一日三十グラムも、六十通り以上も飲まされているというのが大体明らかになっておるというと、それが人体に何らの影響も及ぼさないということはあり得ない、たいへんな問題じゃないか、こう思わざるを得ないのです。流動パラフィンについては、先ほど一般的な御質問の中で消え去ってしまったようなかっこうになっておりますけれども、これなども明らかに石油そのものですからね。それで一%は許可されているのですから、これは毎日毎日食わされている。だから、山崎製パンの社長さんに聞いてごらんなさい、自分のところのパンを食べませんよ。あぶなくて食えないと思っていますよ。自分のところでつくったものを自分のところで食わないという人がたくさんいますよ。  この統計の中で、たとえば私が前から言っておるのですが、ニトロフラン誘導体の数量はなぜ出てないのですか。AF2です。
  324. 浦田純一

    ○浦田政府委員 調査時点ではまだ使用許可が行なわれていなかったので、調査対象に入っておりません。
  325. 石川次夫

    石川委員 そういう逃げ口上はやめてくださいよ。これはとっくに許可になっています。それならこれはなぜ品目に入っているのですか。品目に入っていて数字だけは入っていないのですよ。
  326. 浦田純一

    ○浦田政府委員 先ほど申しました、厚生省が行ないました調査の時点は四十年でございます。この調査を計画した時点、つまり前年の三十九年になるわけでございますが、その時点では「(2・フリル)・3・(5・ニトロ・2・フリル)」につきましては、——その「(2・フリル)アクリル酸アミド」につきましては、その許呼は昭和四十年七月でございます。したがいまして、ちょうどこの調査計画を立てます時点では、まだ調査の品目として入っておりませんでしたので、調査対象として取り上げなかったということでございます。
  327. 石川次夫

    石川委員 どうも納得いかないですね。これはいつの調査ですか。あまりこだわりたくないのですが、一応念のため聞こうと思ったのですが、そういうあいまいなことになったので私も聞かざるを得ない。これは一九六八年ですから、一九六七年現在です。それから科学技術庁のほうは品名だけ載ってます。品名だけ載って数量は載っておりません。これはまことに疑わしいと私は思っておるのです。  あと一つ、次に移ります。疑わしいといえば、体重一キログラムに対して〇・一グラムで即死するのが毒薬、〇・三グラムで大体致死量になるであろうと思うのが劇薬、劇薬に類するものは、硫酸銅、亜硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、塩酸、過酸化水素、硝酸、水酸化ナトリウム、これは苛性ソーダですね。硫酸、それだけが食品添加物として、あるいは食品の加工分解用その他に使える。いいですか、これは劇薬に類するものですよ。使用量はうんと制限してとおっしゃるかもしれません。しかし、使用量をうんと抑制しているかどうかなどということは、日本の食品加工業者というのは九〇%以上は零細企業です。ですから、きめられたとおりに少なく使っているかどうかなどということは何も保障がない。また立ち入り検査権もないでしょう、幾ら食品衛生法を改正しても。いろいろな疑わしいものが出てきたときはということであって、どこでもかしこでも入っていって調べるということはできないのですよ。私はそれをやるべきだと思っておるのです。食品衛生法の改正でもそれはあがっていない。  それから消防法による指定危険物の酢酸ビニール樹脂、フタル酸ジブチル、その他爆発物で危険指定されたものが九つあるのです。たとえばフタル酸ジブチル、これはこの間問題になりましたPCBにかわる非常な害毒を流すのではないか。これはチューインガムの原料に使われています。しかしおそらくこういうものは予期されなかったでしょう。ところが、最近では朝日新聞あたりで大きく取り上げている。PCBにかわるものではないか。PCBだって、これだって予期されておらなかったはずです。これの製造過程を調べてみましたけれども、チューインガムとしては明らかに四%使っていますね。  こういうふうなことは、あなた方はこの事件が起こる前だったら、絶対心配ありませんと答えているに間違いないですよ。予期せざることが、あとからあとから出てくる。これを材料にした注射器でもって注射をしたところが、その容器が溶けて血液に変化を起こしたという実験例が出てまいりましたね。これはもう許可になっています。これは危険物のほうに入っております。劇薬に入っておるのは、そのほか私が申しましたとおり八通りあります。これは全部食品加工の過程、あるいは食品添加物そのものとして許可されております。幾ら数量を制限したところで、数量を制限されたとおりに実行されているという保証はないのです。こういうものは直ちに許可を取り消すというお気持ちはありませんか。次官にも伺います。
  328. 浦田純一

    ○浦田政府委員 食品添加物あるいはその後出てまいりました新しい化学合成品、これらにつきましては、まず既存のものにつきましては、先ほどから申しましたように、その慢性毒性については目下総点検しておりますし、また指定のその時点におきまして国際的な評価のあったもの、またさらにそれを確認するための追試等を行ないまして、私どもとしては十分に安全性を確認した上でその許可をいたしておりますが、さらに今後の問題といたしまして、新しい物質、これらにつきましては、むしろ工業化される前にその慢性毒性なり、あるいは催奇形性等、人間の健康に与える影響というものを十分にチェックいたしまして、安全性を確認した上で指定することにいたしたいと思います。  また全般的には添加物、ことに化学合成品である添加物につきましては、できるだけ使用を差し控えるように、不要のものはもちろんでございますけれども、全体として使用を規制し、さらに削除するという方針でもって今後とも厳格に臨んでまいりたいと考えております。
  329. 登坂重次郎

    ○登坂政府委員 石川委員の仰せのとおり、既存のもう許可したものについては、私のほうとして、できるだけただいま総点検をいたしております。また今後の問題について、非常にこれは重要な問題でございまするから、添加物等の新たな許可という問題については広く研究し、また絶対保証できるという確認を得るまでは許可しない方針で進めたい、かように存じます。
  330. 石川次夫

    石川委員 次官、そうおっしゃいますけれども、もうすでに許可しちゃったものはどうするのかということを聞きたいのです。めちゃくちゃに許可してしまっているのですよ、三百四十種類も。はっきり申し上げますと、こういう公開の席で言いたくはないのですけれども厚生大臣の在任中は言わないんだ。厚生大臣をやめてからみな異口同音に嘆息していますよ、あれは何とかしょうと思っているのだけれども、どうにもならぬということを。その中身についてはあえて申し上げません。困ったものだと言っているのが実態なんです。それは研究所の人が非常に少ない。研究費も少ない。それから給料も安いということもあるでしょう。いろいろな関係でいろいろなかかわり合いができてしまってどうにも強い態度に出られない。出ればすぐに許可するという体制になっている。  それで、たとえばいま申し上げたのは、劇物としてのものが八通りもあって、危険物取り扱いの対象になっているものは相当ある。そのほかにほかの国で認められていなくて、日本でだけ認められているものはたくさんありますね。ニトロフラン誘導体、先ほど申し上げたこれはとうふにおもに使われておりますが、あんこやようかん、かまぼこ、ハム、ソーセージ、全部使われております。これは急性致死量は〇・四グラム。それから保存料にサリチル酸、デヒドロ酢酸ナトリウム。発色剤に亜硝酸ナトリウム、それから硝酸カリウム、このうちどっちかが取り消しになったと思います。それからニコチン酸アミド、硝酸ナトリウム、硫酸第一鉄。漂白剤として、一々申し上げるのはややこしいから言いませんけれども、漂白剤として十五、被膜剤として四、醸造用添加物として二、着色剤として悪名高いタール系色素、この関係で五、それから硫酸銅、銅クロロフィリンカリウム、銅クロロフィリンナトリウム。香料としてクマリン、クマリリンは中止になりましたね。これは小島さんの学位をとった対象らしいですけれども、これは禁止になりました。それからインドール、サフラン。香料だけ除いて大体三十六品目外国では許可になっておりません。日本だけ許可になっております。これをどうお考えになりますか。
  331. 浦田純一

    ○浦田政府委員 食品添加物の許可品目でございますが、各国ともその適用が異なっております。また食習慣等の相違から自国の食品に適応する添加物を許可しているというような実情もございます。したがいまして、なかなか比較するということはむずかしい面があるのでございます。確かに御指摘のように、日本で許可されておって、外国で許可されていないというものもございます。しかしながら、外国で許可されておって日本で許可していないというもの、これもまたかなりあるわけでございます。  御指摘のタール系の色素などにつきまして、これは品目数で申し上げますと、結論から申しますと、アメリカが十二品目、ヨーロッパ諸国では十七品目、イギリスでは二十四品目、それに比較しまして日本が十二品目といったようなことで、必ずしも日本のみが添加物についてルーズであるということではございませんで、むしろ国際的に比較した場合に、日本の食品添加物についての規制は、一番きびしいほうの部類に属しておるというだけの自信と自負を持っておるものでございます。
  332. 石川次夫

    石川委員 外国のことを言い出しますと、またこれは時間がないので言えないのですが、向こうは相当慎重に検討している。そんなに有毒なものはあってはならないと私は思っております。それでたとえば過酸化ベンゾイル、これはヨーロッパでは漂白に使うと懲役になりますね。特に英国なんかはきびしいです。日本ではこれは明らかに石油製品ですから、これはビタミンが破壊されるということは明らかであるし、栄養がそれでもって全然なくなってしまうということになっておりまして、小学校の給食では、これは禁止したんです。いいですか。おとなは食べてもよろしいということで、これは一般は許可になっているのです。ところが文部省は通達を出して、この許可は取り消しになっている。使ってはいかぬ。ところがヨーロッパでは、これによって懲役になります。そういうものが認められております。これはどうお考えになりますか。
  333. 浦田純一

    ○浦田政府委員 ヨーロッパで過酸化ベンゾイルの使用はきびしく取り締まられておるという説でございますが、一方アメリカ、カナダ、オーストラリア、イギリスなどで使用が認められているようでございます。FAO、WHOからの意見といたしましても、これは使用について規制はしなくてはなりませんけれども、一応認めておるものの範疇に入っておるものでございます。したがいまして、現状におきましていろいろと各国でまちまちな状況にあると思いますけれども、私どもは従来もそのつもりでございましたが、多少先生御指摘のようにいろいろと御批判もあるようでございますし、今回の法改正を一つの契機とし、さらに食品添加物については、その有用性を考慮しつつも、厳格な規制を適用していくようにつとめてまいりたいと考えております。
  334. 石川次夫

    石川委員 過酸化ベンゾイルは、アメリカでは許可されておりますけれども、ヨーロッパでは許可されておりませんし、英国では懲役ですよ。これはあとで私、原文を持ってきて見せたいと思うのです。こういうふうにきわめて危険なものが許可されておるという例が多い。  それであとたくさんあるのですけれども、時間がだいぶ迫ってまいりましたから、省略をしたいと思いますが、防腐剤は、サリチル酸は酒に入れたのが、今度はなくなりましたから、だいぶ減ったと思います。しかし、サリチル酸がなくなるというときに、消費者がだいぶ騒いだときに、厚生省のお役人が何と言ったかというと、そんなことを言ったら酒を飲めなくなるぞというようなことを言ったのが、厚生省のお役人。こんなものがなくても、酒は幾らでも飲めるのですよ、ちょっと腐りやすいだけです。  それから、ひとつ記憶にとどめていただきたいと思うのですけれども、食品添加物というのは、社会主義の国ではございません。これは全然ないわけではありませんけれども、そういう制度がないのです。日本は、これは着色剤まで精巧にできておりますから、スイカを割ってまっかにできているが、着色をしたので、味はさっぱりよくないという例が間々ある。これは売らんかなの営業用として、こういうものがどんどん許可されているということは、私はまことに嘆かわしいと思うのです。防腐剤の関係は、サリチル酸のほうは激減はいたしましたけれども、安息香酸は十年間で八十二倍になっています。それから、安息香酸ナトリウムは三十一倍、ソルビン酸系は五倍になっています。こういうふうに防腐剤というものはどんどんどんどんふえております。  こういうふうな状態で私たちは日本国民の健康の将来に対しては、まことに不安でならないのであります。いまは今度の食品衛生法の改正によってこれからのもの検討するとかなんとかおっしゃっておりますけれども、いまのような陣容で一体できますかと私は言いたい。できっこないのですよ。たとえば四十六年までに調べると言ったデヒドロ酢酸、サリチル酸、それから赤色一〇二号、一〇三号、一〇四号、一〇五号、一〇六号、これはどれも外国では認められておりません。そのほかに塩化アルミニウム、これも外国では認められておりません。外国で認められておらないものをあぶないといって調査の対象にしているのですから、外国よりもきびしくやっているということは言えないのですね。  それから紫色一号、これは四十六年中に試験かするというふうに言っておりまして、催奇性の問題、代謝障害の問題慢性毒性の問題、それを調べることになっておりますけれども、これはどうなっておりますか、結果は。
  335. 浦田純一

    ○浦田政府委員 添加物の総点検ということで、実は昭和三十七年から着手しておったのでございますが、それが当初五十二年までの計画ということで多少のんびりし過ぎると言われて七、御指摘されても、弁駁のしようがないテンポで進んでおったのでございますが、昨年食品添加物の問題の重要性にかんがみまして、その年次を繰り上げまして、     〔小澤(辰)委員長代理退席、山下(徳)委員長代   理着席〕 四十八年度までにさしあたり最も重要な品目についての再点検を終わりたいということで、御指摘の紫色一号、赤色一〇二号等につきましての点検はいま続行中でございます。  それから、その際、数字に関することでひとつこちらで弁駁するのも恐縮でございますけれども、新しい資料が手元から見つかりまして、御説明に加えさせていただきたいのでございますが、人体に摂取する添加物の全摂取量につきまして、昭和四十一年に兵庫県において特別の調査を行なっております。これによりますと、最低〇・六一八グラムから最高三・七五五グラムということで、これは一日平均でございますが、平均して一・七グラム、そのうち一グラム以上が燐酸塩ということでございました。したがいまして、マクロのほうからの調査では、かなりの量が市場に回っておるということになるかもしれませんけれども、大部分は食品添加物以外のもので使用されているということも言えるのではないかと思います。  それから、さらに食品添加物が社会主義諸国では認められていないという御意見でございますが、これは、私は御記憶違いではなかろうかと思います。現にFAO、WHOのエビスパートコミッティを中心といたしまして、世界的な添加物等の統一的な基準を作成しょうという計画が進んでおりますが、それにはソ連のほうからも参画しておりますし、また、ポーランドにおきましても、添加物等の使用については認められておるというふうに承知しております。
  336. 石川次夫

    石川委員 いまの数量が人の口の中に幾ら入るかということは、これはちょっと議論の余地がありそうですから、私も検討いたしますけれども、たとえば過酸化水素なんかは水素と酸素に分解されてしまうからいいのだということで許可されておりますけれども、これは過酸化水素のままで残るということを学者が証明しておるのですね。これなんかも非常に危険だということになっております。それから加工分解の過程でやるのだからいいじゃないか、それは口に入らないという計算になっておりますが、それも食品のほうにどうしても多少入らざるを得ないというようなこともいわれております。  それから、いまの共産主義国でも除々にそういうことを検討し始めているということはありますけれども、私は社会党だから、社会主義を全面的に謳歌しようなんという、そういうけちな考えは毛頭ございません。しかし、少なくとも製薬業者の利益のためにばんばん許可をしていこうという体制にはない。ほとんど現在の時点では許可になっておらないということも、これまた事実であります。そういうことでありますから、よほどの慎重な検討の結果でなければ許可にならぬであろう。これから用いるにしても、相当こういうことについては万全の注意を払うということだけはいえる。日本の場合はまず許可するのですよ。まず許可をして、何か問題ができたら、何とかすればいいのだ、そこまで考えていないかもしれないけれども、結果的にそうなっている。こういう体制はいけないと私は言っているのです。  それで、もう時間が幾らもなくなってしまって、非常に申し上げたいことはたくさんあるのですけれども一つだけ具体的に申し上げますと、ニトロフラン誘導体の問題であります。これはとうふにはみんな入っています。大体三分の二は使っておりますね。あまり言うと、とうふが売れなくなっちゃうからという心配があるのですよ。とうふ、やっこどうふを食うのは日本の味だと言って食っているが、私が注意するのは、ニトロフラン誘導体が入っているから気をつけたほうがいいよと言うのです。これはなぜこんなものが許可になったのだろうかという感じがしてならないのです。  さっきと同じように、またはぐらかした答弁になってしまうと思うけれども、これについてはアメリカあたりの実験でもこういうことになっていますね。二〇・一マイクログラム/ミリリットルでも菌が死ぬという、非常な殺菌性がある。皮膚炎を起こす。肺浸潤を起こす。アルコールその他の六つの食品との併用は危険である。精子を減少させる。溶血性貧血を起こす。妊婦に安全というデータがない。これだけのデータがアメリカから出されております。それから、これを許可されるときのいきさつが非常に私は不満なんですけれども、十人の学者が集まっていろいろこれについて検討を加えましたね。そのときに、これはいま言ったような条件とはまた違った条件でこれは相当検討しなければならないということになっておったはずなんです。たとえば、現在までの毒性試験では指定することはできない。発ガン試験を行なわなければならない。肝臓が一年で二倍に肥大するけれども、二倍、三倍になってから発ガンすることがあり得る。途中で死亡した動物の観察を行なっていない。それから投与量の適切なところが抜けている。その他、生殖腺その他に対し、あるいは尿の試験なんかに対し、相当の危険性がある。こういうことを日本の学者がまずニトロフラン誘導体の研究で十人ばかりやって、そういう検討をしたのが、そのあと一年ばかりもたたないうちに三人ばかり集まって許可しちゃったのです。どういういきさつかわからない。これは〇・四グラムでもってもう致死量ですから、劇物に近い。でありますから、これは私の中学校の一年先輩の郡司さんという方が、やはり私と同じ水戸っぽですから、当たるを幸い、とにかく食品添加物については、これはたいへんなことだというので懸命に努力して、厚生省にも製薬会社にもものすごくかみついています。相当憎まれているんでしょう。NETのアフタヌーンショーに出て、これは水に溶けないからアルコールで溶かしますよ、量も少し多くしますよということで金魚の中に入れた。入れたら金魚は目の前でばたばた死んでしまった。そうすると製薬会社が、これはたいへんだというので告訴して、裁判で争われることになっていますから、私はそのことについて触れたいとは思わないのですけれども、その後いろいろな人に聞いてみると、アルコールで死んだというけれども、アルコールで金魚を殺そうと思ったら、六〇%なければ金魚は死なないそうです。ですからニトロフラン誘導体で即死したことは明らかだ。しかもこれは事前に了解を得てやっている。こういう迫害の手が伸びて、ああいう純朴な人がペテン師みたいな扱いを受けることはまことに慨嘆にたえない。  非常に問題になるので、その根源にさかのぼって、ニトロフラン誘導体というもの、こんなものか許可になる——ここに写真も持ってきておりますけれども、とうふ屋さんの手が、皮膚が荒れてぼろぼろになってしまうんですね。皮膚がぽろぽろになるようなものを人間が飲んでいいなんということはないのです。ところがこの使用法には、皮膚が荒れる危険性があるから注意して使えということが書いてあるから、注意して使わなかったのが悪いんだというんでしょう。しかし先ほどたとえば中性洗剤の話がありましたけれども、皮膚が荒れることは確かです。しかしあれは飲むものではないのです。またニトロフラン誘導体のように皮膚を荒らすということにはならない。ところがこれについては絶対にだいじょうぶだということを言い張って、あなた方は聞かないのですけれども、私はここに荒れた手の写真を持ってきておりますが、とうふ屋さんがぞっとしております。もうニトロフラン誘導体を使わない、手がめちゃめちゃに荒れてしまっている。こんなひどいものがどんどん許可になって、誘導パラフィンだとか過酸化ベンゾイルだとか、そういうものが許可されておって、しかもこれから検討しますということでは、どう考えてもちょっとおそ過ぎるのではないか。私はたいへんな問題だと思っております。     〔山下(徳)委員長代理退席、委員長着席〕  それから話は違いますけれども、これは前にも示したことがありますが、読売、朝日、毎日——コカコーラ、全然添加物は便っておりません。これは問題の次元が違いますよ。チクロは便っておりません。私の調べたところでは、添加物は四つ使っております。特に燐酸の許可というのは、コカコーラが入ってくる寸前に許可されている。燐酸は、御承知のようにカルシウムを破壊します。ネズミの実験では、六カ月で完全に歯がなくなってしまいます。これにはカフェインが入っています。こういうものが、コカコーラが入ってくる前にいかにも政治的に許可されている。言語道断だと思うのです。こういうように、いまの厚生行政の、食品添加物の認可の姿勢というものには根本的に私は疑いを持たざるを得ない。だからいままでのものにさかのぼって全部手直しをするのだというふうなことでは間に合わない。そこで私の個人の意見でありますが、これは参議院のほうを賛成で通ってきたというので、私個人がとやかく言ってもしかたがないのでありますけれども、いままでの許可を全部取り消して出直せ、こういうことでなければ日本人の健康をほんとうに守るということにはなり得ないのじゃないか、私はこう痛感いたしておるわけです。このほか申し上げたら、切りがないのですよ。幾らでもあるのです。こういう点、きょうは大臣が一人もいないので張り合いがないのですけれども、厚生次官、どうお考えになりますか。
  337. 登坂重次郎

    ○登坂政府委員 石川委員の御意見を交えてのいろいろの御示唆、われわれも傾聴し、そうしてわれわれ国民生活の今後の食生活について、食品添加物の重要性、また今後の対策等については十分検討し、改むべきものを含めて、ただいま検討中でございますが、その結論の出次第、またできるだけ早く対策を講じ、そうして国民に安心願えるような対策を講ずべきである、かように考えます。
  338. 石川次夫

    石川委員 非常に残念ですが、時間がありませんので、協力する意味でこれで終わりたいと思いますけれども、最後に申し上げたいのは、私が最初に言いましたようにローマクラブの報告といい、遺伝研究所の所長の発表といい、食糧研究所の発表といい、それから資源調査会の、五十年で東京の木が全滅をすることといい、どう考えても、このままいったならばとんでもないことになる、そういう観念で行政自体の姿勢を根本的に切りかえなければならぬ。その中核に食品行政がある。したがって、これに対する厚生行政の予算も少ない、特に研究機関の予算は問題にならない、こういうようなことから出直して、私の個人の気持ちとしては、食品添加物については全部取り消して出直すという姿勢でいってもらいたい。そういうことでなければ、これから日本人が絶滅することは防ぎ得ないのではないかという危惧の念を持って、私の質問を終わりたいと思います。
  339. 森山欽司

    森山委員長 石川さん、ありがとうございました。  次に、近江巳記夫君。
  340. 近江巳記夫

    ○近江委員 科学技術の私も理事としまして、連合審査を申し入れたわけでありますが、しかし審議の時間の関係もありまして非常に無理な点もあったようでございます。そういうことできょうは私も社労委員に入れていただいて、そうして質問をさしていただく、こういうことで、きょうは時間も非常に限られた中での質問でございます。何点かにしぼって御質問をしたいと思うわけであります。  まず初めにお伺いしたいことは、農薬のBHCによる食品汚染、これに続きましてPCBあるいはフタル酸エステル、各種の化学物質の環境汚染を通じての人体への影響というものが最近は非常に心配されるようになってきたわけです。現在主要なものだけでも四千種類以上の化学薬品が使用されておるということを聞いておるわけです。そういたしますと、これらの中には第二、第三のPCBの心配があるんじゃないか、このように思います。こういう点につきまして、きょうは関係各省も来られておるわけでありますから、まず厚生省、それから通産省にお聞きしたいと思います。
  341. 浦田純一

    ○浦田政府委員 厚生省といたしましては、まず食品添加物に使われます化学合成品につきましては、従来から国際的にも認められたきびしい基準を用いて、許可する場合には許可する。考え方としては、むしろ化学合成品である食品添加物は、根本的、原則的には禁止するという考え方でもって臨んできておるところでございます。  また、農薬等の環境汚染を通じまして食品が汚染された場合にどうするかということでございます。これにつきましては、私どもは本来食品にこういったものが含まれてはならない、ゼロであるべきであるというたてまえから、大もとにおいてひとつ対策を立てていただくということで、BHC、DDT等につきましてはすでに農林省にもその旨を申し入れ、農林省もそれに協力いたしまして、使用の制限、さらには製造の禁止というところまで手を打ってきたことは先生御案内のとおりであります。  さらに、このような事例にかんがみまして、将来の問題といたしまして、新たに農薬類を登録するという場合には、従来の許可基準にも増して、人間の健康に最終的に与えるいろいろな影響、慢性毒性あるいは催奇形性等についても十分安全性を確認した上でなければ登録を許可しないということでございまして、その意見については厚生省側から申し入れるというふうな取り扱いでもって現在臨んでおるところでございます。  PCBの問題でございますが、これとても大同小異、大体同じような考え方で対応できるのではないかと考えておりますけれども先生この点についてはお詳しいわけでございますが、現状から申しますと、すでに環境中に拡散されてしまいました、あるいは流通過程において家庭等に入り込んでしまいましたPCBにつきましては、残念ながらこれが環境汚染の因子として働くということを有効的に防止する方策はございません。したがいまして、これの汚染の状況というものの把握につとめながら、最小の担保として、食物から人体内に忍び込むであろうPCBの量を最小限に押えるという意味におきまして、必要な薬品等に対する、いわゆる許容基準というものを至急に設定してまいりたいということで、いま作業を進めておるところでございます。  また、新しく化学合成品等が製造されるというような情報につきましては、各省にも十分お願いいたし、連絡をとりまして、それが工業化される、あるいは一般の消費に回わるという前の段階において、これらの安全性についての確認というものをした上でなければ、それらの製造なり販売なりを許可してはならないというかっこうでもって取り組みたい。これらについて関係各省とも十分に協議してまいりたいと考えております。
  342. 小幡八郎

    ○小幡説明員 現在、化学品の取り締まり法規といたしましては、毒劇法、薬事法、食品衛生法等、数々の法律があるわけでございますが、御指摘のPCBにつきましては、取り締まり法規がないわけでございます。そういった取り締まり法規のないPCBが非常に危険なものであるということがわかったわけでございますが、それはどういうことかと申しますと、急性毒性の点におきましては、毒劇法の対象となるほど高いものではない。しかし、分解性が非常に低いということ、蓄積性が高いということで、自然環境に出た場合に、それがいつまでも環境の中に残り、魚類等を経て人間に蓄積される、なかなか排せつされない、そういう危険性のパターンであるということがわかったわけでございます。  御指摘のように、それでは第二、第三のPCBがほかにもあるのではないかということでございます。私どももこの点については今後十分に検討しなければならないと思っておりますが、さしあたり、ただいま申し上げましたような、低毒性ではあるけれども、他の法律の対象とならない空白の中にある物質ではあるけれども、分解性、蓄積性の点で問題があるというようなものを拾い上げて、それを規制の対象とするということで、ただいま検討を進めておるわけでございます。  それで、私どもといたしましては、もちろんそれらの化学物質の人体に与える影響、たとえば催奇形性とか神経障害とか内臓障害とか慢性毒性、そういったようなものにつきまして十分な検討をする必要はあるかと思いますけれども、これにつきましては非常に時間がかかるものであろうかと思います。したがって、それの結論を待って規制をするということでは時期を失するということもあるかと思いますので、さしあたりは、難分解性あるいは構造上から見た蓄積性というものに着眼して、できるだけ早い機会に立法措置を含めて規制を考えたいと思っております。
  343. 近江巳記夫

    ○近江委員 こういう食品汚染の危機というものが拡大されてきておるわけでございますが、いままで見ておりますと、調査にしても、環境庁がばたばたやってみたり、あるいは通産省がやってみる、厚生省がやってみるというようなことで、一貫しておらぬと思うのです。そういう点、調査体制というものを早急に軌道に乗せなければいけないのじゃないか。被害が起きてからばたばたする、そういう後手後手に行政がなっている。これは非常によくないと思う。厚生省としては、そういう調査体制ということについて、早急に樹立をしなければいけないのじゃないか、このように思うのですが、その辺について、ひとつ簡潔に要点をお願いしたいと思うのです。
  344. 浦田純一

    ○浦田政府委員 まことに先生の御指摘のとおり、この問題につきましては、従来ややもすれば、政府として各省庁間の連絡が不十分である、ばらばらである、打つ手が後手に回ったという事実もあったかと思います。私どもは、BHC、DDT等の農薬汚染といった問題等を通じまして、今回のPCBにおきましては、昨年問題が提起されましたときに、即座に科学技術庁の特別研究調整費を用いまして、その分析法あるいは実態の究明等にかかったのでございますけれども、現在までそれに対する適切な結果というものが出てこないということは、まことに残念でございます。しかしながら、現在、環境庁を中心といたしまして、PCBの問題については、いわば各省間を通じまするプロジェクトチームという形でもって、その対策に取り組んでいるところでございます。また、関連いたしまして、将来起こるであろうという問題につきまして、先取りして、いま通産省の課長のほうからも御説明がありましたが、事前に安全性をチェックするという体制をとるべく、これも検討課題として現在各省間で協議しているところでございます。
  345. 近江巳記夫

    ○近江委員 きょうは環境庁さんも来られておるわけですが、このようにいろいろな経路を通じて食品が汚染されている、そうして人間に入っているというような、そういう公害の一つのパターンがあるわけですが、それについてどういうように規制をなさっていくのか。具体的に現在心配な物質として何を考え、どういうように取り組んでおられるのか。たとえば重金属とか、あるいは熊本の水俣工場から出ているといわれています砒素の問題など、どういうように今後対処していかれるのか、これを環境庁にお聞きしたいと思います。
  346. 山中正美

    ○山中説明員 お答え申し上げます。  まずPCBの問題でございますけれども先ほど厚生省局長のほうから御答弁がございましたように、PCBの問題は、非常に複雑であり、かつ環境に相当大量にもう流れてきているわけでございます。現在私どもといたしましては、PCBの廃液の分析方法というものは全然確立していないわけでございますけれども、すでに、先ほどもやはり厚生省局長から答弁がありましたように、食品あるいは清浄な水等の分析法というものは一応できているわけでございます。こういう分析法を利用いたしまして、排水の分析法が確立していないので水質汚濁防止法上の排水規制というのは非常にむずかしゅうございますけれども、当面暫定的な対策といたしまして、暫定基準というものを少なくとも来月初旬近くまでの間にはきめたい、こういうふうに考えております。  それから、今後追加すべき問題として、いろいろございますけれども、現在私どもの考えておりますのは、六価のクロームは現在いわゆる有害物質として対象になっておりますけれども、単価のクロームにつきまして、その有害性というものは説がいろいろたくさんございますけれども、われわれとしては早急に対象に加えていきたい、こういうふうに考えている次第でございます。  それから、水俣の砒素の問題でございますけれども、一昨日ですか、新聞に報道されましたのは、昭和四十五年度の時点において分析されました結果でございまして、四十六年度のわれわれの水質調査におきましては、砒素は出ておりません。かつ、水俣のチッソの工場でございますけれども、砒素を発生する、いわゆる硫酸工場は、すでに四十六年の三月に閉鎖しておりまして、そういう意味で、砒素の汚染というのは今後水俣には追加されないと思いますけれども、現在いわゆるヘドロといいますか底質には砒素、水銀等も残留しておりまして、この対策につきましては、現在熊本県のほうで熊本大学のほうに委託いたしまして、その除去方法を検討中でございますので、その結果を待ちまして熊本県と協力の上、所要の対策を講じたい、こういうふうに考えております。  以上でございます。
  347. 近江巳記夫

    ○近江委員 それでは通産省は分解性の問題とかあるいは蓄積性の問題等、全般的によく考えてチェックをしていくということを先ほどおっしゃったわけですが、この化学物質全般の総点検をほんとうにされておるのかどうか、これについてもう一度確認をしておきたいと思うのです。
  348. 小幡八郎

    ○小幡説明員 化学物質について私ども考えておりますことは、他の法律の規制のない物質につきまして一応三つくらいのカテゴリーに分けたらどうかということを考えております。と申しますのは、PCBのようにすでに安全でないということがはっきりしているもの、それから主として化学構造上から安全でないおそれがあるというもの、それから一応安全とされるもの、この三つくらいのカテゴリーに分けたらどうか。これを分けますのには、とても私どもが分けるというわけにまいりませんので、専門家の意見を十分聞いた上でカテゴリーに分けまして、そしてPCBのようなものは、もちろんこれは現在は行政指導で規制しておりますが、立法化すれば当然その対象として規制をする。それから安全でないおそれのあるものにつきましては、これは分解性等につきまして検査を受けさせる。そして検査の結果、やはり難分解性で自然環境を汚染するということがはっきりしているものについては、これはやはり規制しなくちゃいかぬ。それから一応安全とされるものについては、これは直ちに検査の義務を課すのは妥当でないかと思いますが、必要に応じて規制するあるいは検査を行なわせるというようなことにいたしたいと考えておるわけでございます。  もちろん今後の新製品につきましては、これらの考え方を適用いたしまして生産、販売の前に必要なチェックを行なうということをするわけでございますけれども、既存の化学品につきましても、この分類によりまして検査を要するものは検査を行なわせるということを、これは私どもの審議会で検討するわけですが、この審議会の答申を受けますれば、行政指導によって立法化前は検査の措置をさせたいというように考えております。
  349. 近江巳記夫

    ○近江委員 厚生省農林省はじめ関係各省といろいろ連携をとって手を打っておられるわけですが、きょうは農林省も来られておるわけですのでお聞きしますが、汚染地域の作物の栽培について、農薬の場合農薬取締法によって規制しておられるわけですが、その他の化学物質の汚染についても同じような作物栽培の規制を考えるべきじゃないか。たとえばPCB汚染のひどい地域、琵琶湖周辺の地区のようなところで、野菜の栽培等についてどういうような規制、指導をやっておるか、あるいはまた水産庁の場合であれば、汚染水域でのそういう漁業について全然野放しでいいのかどうか、何らかの規制をしていくのかどうか、こういう問題もあるわけです。そういう点、農林省と水産庁にお聞きしたいと思います。
  350. 関谷俊作

    ○関谷説明員 野菜等の栽培とPCB汚染の問題につきましては、現在のところPCB等が一部の地域におきまして野菜に、比較的含有度は薄うございますけれども、検出された例もございまして、これからの問題としましては、その汚染経路、いわばPCBが野菜その他の作物に含まれてまいります汚染の経路をつまびらかにいたしまして、その実態が明らかになりましたところで必要な対策を講じてまいりたいと考えております。
  351. 藤村弘毅

    ○藤村政府委員 ただいま水産庁といたしましては、PCBの汚染状況を調査いたしておりまして、近々に出されるはずでございます暫定基準値というものとの関連をどのように考えていかなければならないかということで、現在水域にいたしまして汚染を予想されております東京湾、大阪湾あるいは琵琶湖南湖というところ、八カ所の魚介類についてのPCBの調査を実施いたしております。と同時に、現在一番一般的に食用とされております魚介類につきまして、市場からサンプルをとりまして、これのPCBの含有量を調査いたしまして、これと漁場との関連がどのようになっておるかを調べまして、暫定基準値が出ましたところで、今後漁場に対してどのような措置をとるかを検討いたしたいと思います。
  352. 近江巳記夫

    ○近江委員 非常にむずかしい問題もあろうかと思いますが、事、人の健康、生命にかかわる問題でありますし、ひとつ勇気をもってやっていただきたいと思うのです。  それから、こういう対策というものにつきましては、関係機関の総合的な協力ということが一番大事になってくるわけです。各種のそういう研究試験機関の人員となり、また内容というものにつきまして、ほんとうに充実をしなければならぬわけです。こういう点、研究調整機関として科学技術庁はどのように考えておられるか、科学技術庁にひとつお聞きしたいと思います。
  353. 千葉博

    ○千葉政府委員 ただいま御指摘の、食品に関するいろいろな添加物とか、それから慢性毒性のある微量化学物質についてのいろいろな試験研究、こういったようなものを行なうような機関でございますけれども、御案内のとおり当庁は、昨年からいわゆる産業科学技術の振興という点から、さらに社会科学技術と申しますか、要するに健康で安全な国民生活を確保するための技術、こういったものに対して重点を移していくというようなことで、この面の関係試験研究機関の充実をはかるのに、いろいろ努力しておるわけでございます。全体的に見まして、こういった面の充実はまだ必ずしも十分とはいえないのでありまして、今後一そうこういった面の充実をはかるように、各省と十分に協力をいたしまして進めていきたい、かように考えておるわけでございます。
  354. 近江巳記夫

    ○近江委員 新たな公害源として食品汚染を起こす、そういう化合物の規制とかいろいろな問題があるわけですが、こういう問題に関連して、今回のこういう食品衛生法の改正案によってどういう配慮が行なわれておるのですか。厚生省にお聞きします。
  355. 浦田純一

    ○浦田政府委員 一つは輸入食品等の問題並びにこれは国内の製品についても言われることでございますけれども、今度は新たな規定を設けまして、新たにこちら——といいますのは、都道府県知事ということになるわけでありますが、こちらのほうから必要な検査を受けさせまして、データを提出させるといったようなことでもって検査の実効をさらに期したいと思っております。  それから、もう一つの点といたしましては、現在の法律では食品または添加物によりまして事故が生じた場合、その原因物質が特定できなければ措置がとれなかったわけでございますけれども、今回の改正におきましては、それを事前の段階において食品または添加物に有害な物質等が含まれておる、あるいは付着しておるという疑いのある段階で、販売等の禁止の措置をとれるといったような措置をとろうと思っております。  それから食品衛生行政全般の体制の問題でございますが、これらのような改正を含みながら、やはり実施機構の整備というものにつきましては、ちょうど来年度の予算編成期にもあたっておりますので、先ほど問題になりましたような事前のチェック体制ができるように研究機関の充実、監視機構の強化等について特に配慮してまいりたいと考えております。また地方の監視行政機構につきましては、これは地方交付税によって見られているというたてまえになっておりますが、これらにつきましても人員の増員はもとより、検査機器具等の強化、拡充につきましても、さらに一段の努力をしてまいりたい、このように考えております。
  356. 近江巳記夫

    ○近江委員 お話を聞いていますと、今後は相当充実するように思うのですけれども、しかし、これは話だけであってはならぬわけです。いままでの政府の答弁は、今後こうやりますやります。ところが実際毎年のそういう予算を見ても、ほんとうにスズメの涙のような前進しか見られなかったわけですが、いまやこれだけ大きな問題になっているわけですから、そういう微々たる前進であってはならぬわけです。したがって、皆さんがそういうように前向きにおっしゃった以上は、それをほんとうに本気になって実行してもらわなければ困るわけです。いままでの姿勢というものは私は非常によくないと思う。もっと国民の健康なり、そういうことを真剣に考えてもらいたい。必ずそういう結果を出す方向でやっていただきたいと思う。これについての次官の決意をお聞きしたいと思います。
  357. 登坂重次郎

    ○登坂政府委員 近江委員の数々の御意見及び御質問に対しまして、行政当局からそれぞれの立場において答えたのでありますが、要は実効のあがるように、また厚生省としては国民の健康と食品衛生という見地からして、どうしてもこれは、ぜがひでも国民の疑惑を解くと同時に、またそれの実効があがるように、安心してそういう食品を摂取できるように、しかもそれがいろいろな汚染があったのでは申しわけないので、今後は厚生省といたしましては全力をあげて既存の添加物についても総点検をすると同時に、今後また許可申請を出されたような場合は、これが確認できるまでそういうものに対する許可を慎重に取り扱って、そして今後国民の生活がより向上されるように、ぜひともこれは厚生省の面目にかけても努力しなければいけない、かように存じておる次第でございます。
  358. 近江巳記夫

    ○近江委員 次官が厚生省の面目にかけてもやるという非常に力強い決意を申されたわけですが、それをほんとうに私たちも期待をしたいと思います。  それで、次官がそういう決意をおっしゃったので、重ねて言うのは何ですけれども、この行政機構なり研究機関、こういうものが弱くては実効があがらない。これは先ほどおっしゃったとおりですが、たとえば外国の例と比べて、アメリカなどと比較した場合、日本の実情というものは、人員なりあるいは予算等でどういう違いがあるか、この辺のところからもう一度確認して、それで一そう深く今後の皆さんのそういう姿勢というものをやはり考えていただきたいと思うのです。その辺は厚生省はつかんでいますか。
  359. 浦田純一

    ○浦田政府委員 合衆国におきましては、先生もすでに御案内のとおりでございますが、食品行政は保健教育福祉省の中に食品薬品庁、いわゆるFDAというものが設けられておりまして、これが連邦レベルでの食品、薬品の行政を一手に掌握して実施しております。そのために合衆国全域に直轄の事務所が十八カ所設けられておりまして、それぞれ連邦政府の職員がそこへ駐在しております。これらを含めまして人員といたしましては、薬品も入っておるわけでございますが、全部で約四千六百人という人員が当たっておるように聞いております。また予算の額でございますが、一九六七年の数字でございますけれども、現行レートの数字に直しまして約百八十五億円、六千万ドルという予算が計上されているようでございます。このほかに各州では、それぞれの状況に応じまして州としての食品行政の機構を持っておるという状況でございます。  日本におきますることは、るる説明を要しないと思いますけれども、食品行政は、食品の監視と食品衛生という面から厚生省の環境衛生局の食品三課が当たっておるわけでございまして、その定員としては三十名、地方のこれは輸入食品の監視員等でございますが四十名。比較するのは両国の国内情勢が違いますので、むずかしい点もございますが、このほかに薬務局の職員としては百五十一名の定員、また試験研究機関は国立衛生試験所としては三百五人といったようなことで、中央の、いわゆる連邦政府レベルでの人員としては、総計いたしても五百人を多少上回るという数字でございます。  全国の都道府県におきまする職員の数につきましては、先ほどお話しいたしたと思いますが、昭和四十五年では五千四百九十五名の食品衛生監視員がおるということに相なっておりまして、予算の面で申しますと、薬務局、食品衛生関係合わせまして、内局分といたしましては二十五億六千九百万円余りでございます。ただし、内局分といたしましては、人件費は別額、ちなみにいまの数字は昭和四十七年度、本年度の数字でございます。なお、全国の都道府県の食品行政あるいは薬品行政の関係の予算につきましては、なかなか統計がむずかしいのでございますけれども、各都道府県の予算として私どものほうで一応概算いたしますと、衛生部全般で約二千六、七百億、これは昭和四十七年度でございます。そのうちで食品衛生関係だけ抜き出しますと、これもなかなかむずかしい条件がございますが、一応概算としては十数億、二十億を欠けておる。いずれも人件費を除いた数字でございます。  このような状況でございます。
  360. 近江巳記夫

    ○近江委員 この行政も別ですし、国の大きさも違うといういろいろなことはありますけれども、しかし相当な開きがあるように思うわけです。そういう点でわが国としてもさらにこういう面の内容というものをアップしていかなければならない。これは言うまでもないわけです。それでいままでのわが国のこういう政府関係の試験研究機関等を見てみますと、非常に生産第一主義といいますか、国民の安全とか健康に関した面というものが軽視されてきたように私は思うのです。たとえば十年間の生産技術関係の試験研究機関の予算とか、あるいは人員、研究費の伸びですね。あるいは機構の新設と国民の安全、健康に関係する研究機関、こういう伸びを比較してみますと、どういうことになるかということなんです。科学技術庁では、これは調整機関でもあるわけですから、つかんでおられると思うのですけれども、あまりこまかいことは要りませんので、ひとつわかりやすく簡潔に要点をお答えいただきたいと思うのです。
  361. 千葉博

    ○千葉政府委員 ただいま御指摘のとおり、それから先ほど石川先生御指摘になりましだ、確かに通産省を中心といたします試験研究費でございますが、そういったものの伸びは厚生省中心とするようないわゆる社会科学技術、こういったものに対しまして相当差がございます。しかしながら、実はごく最近をとりましても、四十六年度から四十七年度にかけましては、厚生省の科学技術振興機関関係でございますが、約三一%でございまして、通産省も約三一%、平均いたしまして科学技術振興費は約二五%でございますので、四十七年度の伸びにつきましては、厚生省関係の伸びが必ずしも少ないとはいえないわけでございます。各省関係の中では最も伸びのよろしい部類に入っております。  ただ、内容を見ますと、いま先生のいろいろ御指摘になっております食品衛生関係の点につきましては、これは比較的少ないということは先ほど厚生省の側から答弁したとおりでございます。どちらかといいますと、みずからやる試験研究ではなしに委託費系統のものがたいへんな伸びを示している。前年度に比べまして約倍増近い伸び方をいたしております。そういう点が特色がございまして、いわゆる厚生省の、みずからの試験研究機関、いろいろな試験研究費を伸ばすというよりも、いわゆる助成系統のほうに大いに力を入れておるということがわかるわけでございます。
  362. 近江巳記夫

    ○近江委員 非常に厚生省関係も伸びておるということをおっしゃっておるわけですが、私がもらっているデータで、たとえばこういう食品添加物をはじめとしてそういう研究機関の中心である国立衛生試験所、これの人員とか予算の経緯を見ますと、昭和三十七年に二百九十人、三十八年度三百人、三十九年から四十三年までは全然変わらずずっと三百十一人です。四十四年度三百八人、四十五年度三百五人、四十六年度三百二人、四十七年度三百人となっております。局長先ほど三百五人ということをおっしゃっておるわけですが、いずれにしても何にも変わってないでしょう。減っているじゃないですか。こういういいかげんな——国の一番の中枢機関である国立衛生試験所の人員だってずっと下がっているわけですよ。予算は若干伸びておりますけれども、これは物価高のことで、またその物価高の伸びからしたって少ないくらいですよ。実際は、こういういいかげんなことをやっておって、しかし、最近は力を入れております。でたらめもいいかげんにしてもらいたい。どう考えますか。こういうことを幾ら皆さん方が今後力を入れるとおっしゃったって、こんな貧弱な内容で何の伸びもないことで、これから多種多様な、いろいろなことを研究しなければならない。人員においても、予算においても、これでいけますか。ことばだけで言うのはやめてもらいたいというのは、私これなんですよ。これについてどう考えますか。厚生省と科学技術庁と両方言ってください。
  363. 浦田純一

    ○浦田政府委員 これはまことに先生の御指摘のとおり、私ども過去におきまして、厚生省関係の試験研究機関をはじめとして、試験研究に対する予算の額、それの拡充に対する取り組み方、確かに結果でございますけれども、熱意に欠けるところがあった。いろいろと伸びるべきものについて私どもとしても十分に取り組まなかったという点は、私は率直に反省しております。御指摘の数字、これは全体的な、いわゆる行政整理という関連がございまして、このような結果に相なっておるわけでございますが、今後私どもの立場からも、厚生省全体としてこの種の試験研究費並びに試験研究機関の拡充について、従来の発想とは異なりまして、ひとつ全省的な立場から、またさらに科学技術庁あるいは環境庁等にも十分にお願いいたしまして、これらの拡充に全力をあげて取り組みたいというふうに考えております。
  364. 千葉博

    ○千葉政府委員 いま厚生省のほうから、いままでのポリシーを転換いたしまして、いわゆる助成中心というよりは、食品衛生部門などのございます国の試験研究機関、こういった面を十分充実していくように努力するということでございますが、私のほうといたしましては、御案内のとおり、先ほど申し上げましたとおり国民の健康に関します、こういったような試験研究につきましては、大いに重点的に伸ばしていきたいというのが、私のほうの基本方針でございます。その線に全く乗っておるようないまの厚生省の行き方につきまして、私どものほうといたしましては十分に今後協力いたします。それで、いまの金の話だけ出ておりますけれども、いわゆる体制の問題も、いろいろ私のほうでは問題だと思います。全体を見ますと、試験研究機関の中で、御指摘のとおり非常に弱体というような気もいたします。それですので、私のほうといたしまして十分に協力するつもりでおります。  また緊急にという面につきましては、特別研究の促進調整費もございますので、こういった面の活用によりまして、PCBほか慢性毒性に関する化学物質ですか、こういったものの試験研究にとどまらず、食品添加物などにつきましても試験研究する必要があるものにつきましては、これに関しまして先ほど申し上げました特調費の活用などもはかって推進していくということも、いま考えておるわけでございます。
  365. 近江巳記夫

    ○近江委員 非常に前向きな答弁ではあったわけですが、きょう大蔵省来てないのは、私は非常に残念ですけれども、研究調整に当たられる科学技術庁として、いま厚生省の意向もそういうようにおっしゃったわけですし、来年度予算等におきましても格段に、これはバックアップしてもらわなければ困ります。こういう問題は次官会議においても、閣僚会議においても、大いに訴えていただかなければ困ります。これはひとつ次官やっていただけますか。
  366. 登坂重次郎

    ○登坂政府委員 今日非常に食品衛生について各方面の熱心な、また非常にこれに対する危機感というものが社会的にも発生いたしております。厚生省としては、当然それの対策を講じなければならない役所でありますし、また政府全体のかまえからしても当然そうしなければならない問題である。仰せのとおり、真剣にこれを検討し、またその成果を期して、ひとつ来年度予算に取り組みたいと思います。
  367. 近江巳記夫

    ○近江委員 では、その点は特に強く要望しておきます。必ず結果を出してくださいよ。結果が出なければ、皆さん方が努力か足らない——それは大蔵省は財布を握っておるのですから、これはなかなか出さないのは定評なんです。その厚い壁をぶち破るかどうか、これは皆さん方の熱意ですよ。ですから、ほんとうに国民を思う皆さんのそういう真剣な姿勢ということが、壁をぶち破る大きな武器だと私は思います。ほんとうに結果の出る戦いをやっていただきたいと思います。  それから、この前食品包装紙の中でPCBが非常に大量に検出されたということが出ておったのですが、これは私考えてみますと、包装紙のメーカーとか印刷屋、これは直接食品にあまり関係がないように思うのです。そこで、食品衛生監視員が実際に立ち入り検査をやっておるのかどうかということです。あるいは、それはやらないとすれば、そういう調査権限というものが与えられてないんじゃないか。こういう点が、私は今回のそういう事件が発生した盲点になっているのじゃないか、このように思うのです。この点について、これは通産省にも関係があるわけですから、これは厚生省と通産省から、ひとつお聞きしたいと思うのです。
  368. 浦田純一

    ○浦田政府委員 近江委員御指摘のように、食品包装紙の中のPCBの取り締まりでございますが、これは現行の食品衛生法からいきましても、あるいは食品衛生法のたてまえそのものからいきましても、おのずからその検査に限度がございます。直接食品を取り扱っている業種につきましては、私どものほうとして立ち入り権もございますけれども、さらに間接的に、その源というふうになりますと、立ち入り権というものは、認められていないのでございます。したがいまして、これにつきましては、私は直接の所管である通産省のほうにお願いいたしまして、その点の遺憾なきを期するようにいたしていきたい。今回の事件に際しましても、通産省のほうにその旨こちら側から連絡し、強く要請いたしまして、その販売ルート、製造元まで調査をしていただくように連絡いたしたのでございます。
  369. 小幡八郎

    ○小幡説明員 PCBの問題、特に最近問題になりました食品の包装紙中のPCBの問題につきましては、厚生省と十分連絡をとって対処しておるわけでございますが、ただいまの立ち入り検査の問題でございますけれども、通産省といたしましても、法律をもって規制をしておるわけでございませんので、直接立ち入って検査するということはできないわけでございますけれども、しかし、どこでインクが製造されたか、そのインクがどこで印刷に使われたか、その印刷物がどういう販売ルートを通って最終のユーザーに販売されたかということにつきましては十分調査をいたしまして、厚生省にも連絡をとっている次第でございます。
  370. 近江巳記夫

    ○近江委員 今回のこういう事件は、結局そういうたまたま領域の盲点から起きた問題だと私は思うのです。ですから、そういうところをほんとうにカバーしてチェックをし、監視をしていかなければ、同じような事件というものは続々と起きると私は思うのですよ。ですから、各省がこんな変ななわ張りというか、セクトを持って、そしてお互いがあまり協力をしない、こういうことがいままでの行政ではよくあるのですよ。ですから、皆さんがもっと幅広い気持ちになって、お互いが協力をしてカバーをしていく。変な根性を捨ててもらって漏れなくチェックをしていく、こういう体制をとってもらいたいと思うのです。これは関係各省みなにまたがる問題ですから、十分今後は力を入れていただきたいと思う。こういう問題は、次官、やっていただけますか。
  371. 登坂重次郎

    ○登坂政府委員 行政官庁の間の相互連絡というのは、これは行政の最も大事な問題でありまして、特に食品衛生法をつかさどる厚生省といたしましては、当然関係各省との協力連絡を願っていく、早急に実施できるような、そういう体制を整える私どもの責任がございますので、今後早急に、またつとめて絶えず前向きに検討し、またその定期的な会合を持つように、そうして各省庁間の連絡が十分とれるように事務当局に指示する所存でございます。
  372. 近江巳記夫

    ○近江委員 こういうことがあるから、私はいままで科学技術委員会等におきましても、特に食品行政の一元化というようなことを言ってきたわけです。そういうことで、今回の法改正にその一元化ということは盛り込まれているのですか。われわれはそういう点を心配しておったので、党としても、この食品衛生法を食品法と改めて、そういう一元化ということを盛り込んだ改正案をいままで出しておったわけです。これはそういうことを皆さん、取り入れているのですか。一体行政の一元化ということを真剣に考えていますか。これについて、ひとつ考えを聞きたいと思います。
  373. 浦田純一

    ○浦田政府委員 いわゆる統一食品法の制定あるいは食品行政の一元化の問題でございますけれども、これは公明党のほうで食品法ということでもって統一化した案を提出しておられることも承知いたしております。また昭和四十四年の第二回消費者保護会議の決定では、関係省庁間に食品行政検討会を設けて食品行政の一元化について検討するということが申し合わされておりますが、その結果から申しますと、ここでは多少時期的な問題もございまして、今後も引き続き慎重に検討すべき問題であるとしながらも、当面山積している課題につきましては、関係行政の改善と、その統一的運営によって対処しろという一応の結論でございました。しかしながら、一昨年厚生大臣の私的な諮問機関といたしまして設けられました食品問題等懇談会におきましても、再度食品行政の一元化についての御指摘がございました。ただ、この際、やはりその困難性についての一応の御意見もあったのでございます。  私どもは、このような情勢から、関係省庁間で定期的に事務ベースでの連絡協議を行ないながら、当面必要な各省庁間の連携強化を進めながら、さらに法の整備の面では、昭和四十五年に農林物資規格法の改正、これに引き続きまして今国会では、いわゆるうそつき食品等の取り締まり強化を目的といたしました不当景品類及び不当表示防止法の改正案並びに、わがほうの関係といたしましては食品衛生法の改正案というものを提出いたしておるわけでございまして、これらによって御指摘の一元化という機構上の問題はあるいは法律上の問題は、さらに今後の検討に待つとしながらも、現行の法律のとりあえずの整備によりまして、消費者保護の実が一段とあがっていくということについて努力をいたしていくつもりでございます。  なお、今後とも引き続き食品法の検討あるいは法制の一元的な運営という面につきましては、御趣旨に沿いながら、十分に関係各省とも検討を進めてまいりたい。今後に問題が残ったことは残念でございますけれども、種々検討をいたしたいというふうに考えております。
  374. 近江巳記夫

    ○近江委員 時間がありませんから、これで終わりますけれども、いま私が最後に申し上げた点は、これは非常に重要な問題なんです。そういう点で、それをまとめていくということは確かにたいへんな困難であることは私よくわかりますけれども、しかし そういう法整備においても、あるいは機構の面においても、ばらばらな中に非常にそういうむだがあるし、ほんとうの効果というものがあがっておらない。ですから、そういう点においては、実際に困難があることはわかりますけれども、そういう一元化という方向考え方中心を置いて、そして皆さんがやっていかれることがほんとうに効果があがる、そのように努力していただきたい。これを強く要望いたします。  最後に、この問題について、次官の決意をお聞きして終わりたいと思います。
  375. 登坂重次郎

    ○登坂政府委員 近江委員のおっしゃるとおり、行政がばらばらであったのでは非能率的でありまするから、これは国民の健康を保持するという見地において、われわれ厚生省が最高の責任の役所でありまするから、御趣旨を体しまして、さらにまた厚生省としても当然のつとめとして、今後厳重に食品監視の体制を強化して、そして国民の健康を守り、また国民の不安を除くように努力いたしたいと思います。
  376. 近江巳記夫

    ○近江委員 これで終わります。
  377. 森山欽司

    森山委員長 次回は、来たる十五日木躍日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時十二分散会