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1972-06-09 第68回国会 衆議院 社会労働委員会 第36号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年六月九日(金曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 森山 欽司君    理事 小沢 辰男君 理事 谷垣 專一君    理事 橋本龍太郎君 理事 増岡 博之君    理事 山下 徳夫君 理事 田邊  誠君    理事 大橋 敏雄君 理事 田畑 金光君       秋田 大助君    有馬 元治君       伊東 正義君    大野  明君       大橋 武夫君    小金 義照君       斉藤滋与史君    澁谷 直藏君       田中 正巳君    竹内 黎一君       中島源太郎君    中村 拓道君       早川  崇君    別川悠紀夫君       向山 一人君    渡部 恒三君       大原  亨君    川俣健二郎君       後藤 俊男君    島本 虎三君       山本 政弘君    古寺  宏君       古川 雅司君    寺前  巖君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 斎藤  昇君  出席政府委員         公正取引委員会         事務局取引部長 熊田淳一郎君         大蔵省主計局次         長       長岡  實君         厚生大臣官房審         議官      曽根田郁夫君         厚生大臣官房審         議官      信澤  清君         厚生省環境衛生         局長      浦田 純一君         厚生省薬務局長 武藤き一郎君         厚生省児童家庭         局長      松下 廉蔵君         厚生省年金局長 北川 力夫君         社会保険庁年金         保険部長    八木 哲夫君         農林省畜産局長 増田  久君  委員外出席者         公正取引委員会         事務局取引部景         品表示課長   相場 照美君         環境庁水質保全         局企画課長   河野 義男君         大蔵省主計局主         計官      渡部 周治君         通商産業省公害         保安局参事官  森口 八郎君         通商産業省化学         工業局化学第二         課長      小幡 八郎君         建設省都市局下         水道部下水道企         画課長     升本 達夫君         社会労働委員会         調査室長    濱中雄太郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  廃棄物処理施設整備緊急措置法案内閣提出第  九四号)  国民年金法等の一部を改正する法律案内閣提  出第四八号)  毒物及び劇物取締法等の一部を改正する法律案  起草の件  食品衛生法の一部を改正する法律案内閣提出  第七七号)(参議院送付)      ————◇—————
  2. 小沢辰男

    小沢(辰)委員長代理 これより会議を開きます。  委員長が所用のため、指名により私がその職務を行ないます。  廃棄物処理施設整備緊急措置法案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田畑金光君。
  3. 田畑金光

    田畑委員 四十五年の六十五国会で清掃法全面改正、いわゆる廃棄物処理法案ができて、昨年の九月に施行され、この法律の裏づけということで屎尿処理施設ごみ処理施設のほか、産業廃棄物についての整備促進計画を進めるというのが今回のこの法律のねらいでございますが、四十二年度初年度とする第二次計画の途中で、今回また五十年度めどに新たな計画に移行するわけでございますが、前の計画と新しい計画との差異、あるいは今度の計画は前の計画に対して何を特に重点に置いて進めようとするのか、まず前とこの計画との異同について説明を願いたいと思います。
  4. 曽根田郁夫

    曽根田政府委員 今回は第三次計画でございますけれども、第二次計画と異なります重点と申しますか、あえて重点ということで申し上げますと、屎尿につきましてはおおむね昭和五十年をもって衛生的処理がほぼ一〇〇%達成されることになりますので、現下のごみ実情等から、投資規模におきましてもごみ整備重点を置いたというのが一つでございますし、それからもう一つ、これは第一次、第二次計画にはない産業廃棄物という問題が、廃棄物処理法によって初めて処理体系が確立されましたので、産業廃棄物を新しく取り入れたというのが特徴でございます。
  5. 田畑金光

    田畑委員 昭和二十九年の旧清掃法は汚物の衛生的な処理中心公衆衛生向上をはかる、こういう目的施行されていたわけでございますが、その後のわが国の経済の急速な成長、産業の発展、生活水準向上、こういうようなことでいわゆる都市産業廃棄物処理処分、その体系をどうするかということがこの産業廃棄物処理法の骨子であろうと考えるわけでありますが、そこで前の旧清掃法に対したときに、廃棄物処理法においては、いま答弁ありましたように、産業廃棄物、これが一番重点というか、非常に大きな地位を占めておるわけでございます。  そこで、きのうの質問にあったかとは思いますが、この産業廃棄物一般廃棄物法律用語によればその二つということになっておりまするが、一体現在どれくらいの量にこれはのぼっておるのか。一般廃棄物については厚生省答弁でけっこうでございますが、特に膨大な量にのぼるといわれる産業廃棄物については、通産省所管でもありましょうし、特にお願いしたいことは、これはマクロ的に見てラウンドでどれくらいあるのかということが一つでありまするが、同時に、これはあなたのほうで御説明願えるかどうか知りませんが、産業廃棄物といっても、第一次産業、第二次産業、第三次産業土木建築廃棄物等々にわたるわけでありまするが、まず通産省から、次に厚生省から御答弁を願いたいと思います。
  6. 森口八郎

    森口説明員 私のほうでは昭和四十五年に産業廃棄物処理処分の状況について調査をいたしております。  この調査産業と申しましても、一次産業、それから二次産業の中でも、建設業どもあるわけでございますが、当省所管製造業及び電気業について調査をいたしたものでございます。  大体従業員数で二百人以上の工場五千工場について調査をいたしましたが、回収されましたのが約半数の工場からの答えでございます。これによりますと、答えのありました工場からの排出量は約三千九百二十六万トンでございます。これを全工場ベースに直しますと、五千八百四十七万トンということになるわけでございます。これを業種別に見ますと、鉄鋼、化学工業電気業非鉄金属紙パルプ加工品というような五業種で全体の八四%の廃棄物を出しております。したがいまして、廃棄物の問題というのはいろいろ問題があるわけでございますが、この五業種重点にして考えるべきではないかというように私のほうでは考えております。  それからこの先の見通しでございますが、五十年ごろにそれではどのくらいの排出になるであろうかということをアンケートを中心にして推算をいたしてみますと、約一億一千万トンというように推定をせられるわけでございます。全体の産業をおおっているわけではございませんが、通産省所管業種については以上のような調査結果に相なっております。
  7. 浦田純一

    浦田政府委員 厚生省のほうといたしましては、すでに実態調査の完了した京浜、中京、阪神等十数県の調査結果に基づきまして、産業廃棄物排出量を推計いたしましたが、それを全国ベースに引き伸ばしますと、昭和四十六年におきまして日量約百万トンが排出されておるというふうに見込まれております。なお通産省調査結果等もあわせまして、私ども産業廃棄物実態の把握につとめてまいりたいと考えております。
  8. 田畑金光

    田畑委員 いまの両者答弁を聞いておると、いずれの調査結果も四十五年の廃棄物処理法審議のときの資料そのままですね。それ以後新しいものはない。私はこの法律がせっかくできて施行をされて、これから具体的に処理計画をどうするか、こういうことを考えてみると、やはり調査ということは一番大事な基礎ではないのか、こういうことです。この間の法律審議のときもそういう答えでございましたが、産業廃棄物はおよそ家庭廃棄物の二十倍に相当するであろう、こういうようなことを説明しておりました。また当時の資料によれば、運輸省の運輸統計によると、廃棄物トラック輸送量昭和四十二年、四億五千万トン、こういうようなこともいわれておりました。いずれにいたしましても、今回の廃棄物処理施設整備計画によれば、昭和四十七年から昭和五十年の事業計画投資計画投資規模を示しておるわけであります。そこで先ほどの答弁にもございましたが、屎尿処理施設として五百九十億、特にごみ処理施設として二千五百三十億、そして新たなものとして産業廃棄物処理施設が五百億、予備費が四百億、計四千二十億というのがそれでございますが、産業廃棄物処理施設投資額というものが意外に少ないわけです。産業廃棄物家庭廃棄物の二十倍に相当する、こういわれておるのだが、しかし廃棄物処理施設計画を見れば産業廃棄物処理施設整備予算が五十年度まで五百億だ。なぜこれが少ないのかということですね。言うなれば、私が答弁まで言うようなことになりますが、廃棄物処理法三条によれば、事業活動に伴って生じた廃棄物は、まず第一義的には事業者責務によって処理する、こういうようなこと等があって、いわゆる政府廃棄物処理施設計画の中における産業廃棄物処理施設費が少ないのかどうか、そういうような解釈もしておるわけでありますが、この点について御説明を願いたい、こう思うのです。
  9. 浦田純一

    浦田政府委員 まず、排出量日量大体百万トンであろうという推計の根拠でございますが、これは一昨年廃棄物処理法案を御審議いただいたときの数字と結果においてはあまり変わってないわけでございますが、これは法律施行後、法律に基づきまして、各都道府県実態調査をさせて報告を求めておるところでございますが、それに基づいて推計したところが百万トンであろうということでございまして、前に乏しい資料の中で推計したのがどうやら当たっておったということでございます。  それから一般廃棄物に比べまして産業廃棄物の量はなるほど十数倍と非常に多いわけでございますけれども、この整備計画の中で対象として取り上げます産業廃棄物処理施設と申しますのは、主として自治体が、都道府県あるいは市町村が実施いたします分についてのみの設備投資額でございまして、ほとんど大半は先生指摘のとおりに、企業者みずからが施設維持管理、あるいは委託ということもあろうかと思いますけれども、いわゆる企業者の直接の責任において実施する事業費というものは含まれていないのでございます。これはその割合で申しますと、大体七対三くらいの比率になろうかと思います。三のほうが自治体で実施する産業廃棄物処理比率でございます。したがいまして見かけの金額は五百億と予備費に四百億、合計いたしまして九百億で、私どもは今後五十年までに実施いたします産業廃棄物処理事業費としては、一応これで要求は満たせるというふうに考えております。
  10. 田畑金光

    田畑委員 いまお話しのように、これは法律の第三条に「事業者責務」ということがうたわれておりますが、事業者は、物の製造加工等に際し、その物が廃棄物になった場合を予想し、適正な廃棄物処理を行なうことができるよう製造加工等の時点で必要な措置を講ずべしと、こういうことになっております。したがって産業廃棄物処理施設については七、三の割で、七は事業者負担、こういうようなことで進めておるというわけでありますが、その指導監督行政あるいは実際そのような運用にあたって、事業者というものがそういう面にそれだけの投資というものをはかっておるのかどうか、この点はわれわれとしても関心事でございますが、この第三条の運用がどのようになされているか、その確保なり保障等について御説明を願いたい。
  11. 森口八郎

    森口説明員 先生仰せのとおり、産業廃棄物処理事業者が原則的にこれに当たることとなっております。ただ廃棄物は単に投棄をし、処理をするということよりも、むしろ廃棄物有効利用ないしは再生利用をはかるということを主眼にすべきであるというように私のほうは考えておりまして、有効利用再生利用の方途のないものに限って、これはたとえば埋め立てあるいは焼却処分あるいは化学処理というようなことでやらなければいけないといったふうに考えております。  廃棄物有効利用につきましては、通産省といたしましては管下にいろいろ試験研究機関がございますが、試験研究機関のほうでこの有効利用の方法を研究をさせております。また民間におきましても、そういうような意図で各種の研究が活発に行なわれております。もちろんこれに対しましては、技術開発というような考え方通産省助成金等を通じて助成をいたしておりますところでございます。ただ、残念ながら現状ではまだ技術開発のほうがおくれておりまして、そういう目的目的といたしまして、まだ相当量廃棄物をやはり埋め立てないしは焼却をしなければならないというようなことになっておるということもまた事実でございます。まあ、私のほうでいろいろ産業廃棄物処理につきましては、業者がみずから処理をするというようなたてまえからいろいろな法規制もございますし、その規制に合致するように企業内で処理をするというたてまえで企業を指導いたしておりますが、同時に、こういうような廃棄物処理施設建設につきましては、開銀融資ないしは公害防止事業団融資を通じてこの建設の援助をはかっておるというのが現状でございます。     〔小沢(辰)委員長代理退席委員長着席
  12. 田畑金光

    田畑委員 私がお尋ねしたいことは、まあ抽象的一般論としてはそれでけっこうでございますが、具体的に一体産業廃棄物再生利用もありましょうし、あるいは埋め立てもあり得ましょうが、このために一体どれくらいの投資がなされておるのか。いまお話のように、開銀融資であるとか公害防止事業団等を通ずる融資等々もありましょうが、一体企業というものは、わが国のいまの大きな企業等はこの公害防止施設投資のためにどの程度負担をしておるのか、これは廃棄物処理のためもそうであるし、あるいは広く公害防止のための投資、こういうことは当然通産省としても把握してその上に指導なされておると思うが、それについてどうなのか、さらにまた厚生省所管の——これは主として都道府県あるいは市町村地方公共団体が扱う産業廃棄物処理施設ということでございますが、いまこの提案されております産業廃棄物処理施設のための五百億の内容というものは一体どういうものなのか、あわせて説明を願いたい、こう思います。
  13. 森口八郎

    森口説明員 業界全体といたしまして、公害防止投資昭和四十七年度で、全体の産業設備投資のうち一〇%くらいの公害防止投資を行なっております。この中には当然御指摘産業廃棄物投資等が行なわれております。ちょっといま手元資料がございませんので、正確な数字は後刻お届けいたしたいと思いますけれども、一〇%のうちほとんど八%前後は大体大気あるいは水等の直接の公害防止投資でございます。残りの二%の一部が廃棄物処理投資であるかというように記憶いたしております。  手元数字の持ち合わせがございませんので、後刻報告を申し上げたいと存じます。
  14. 曽根田郁夫

    曽根田政府委員 五百億円の算出基礎といいますか、考え方でございますが、もともとこの産業廃棄物についての公共投資のスケールがどの程度と見込むかということについてもいろいろ検討いたしたのでございますけれども、私どもの予想としては、事業者責任考えもございますので、おおむね大企業は全部自己処理を行なうであろう。中小企業等につきましては、やはりいろいろと問題もございます。また集約的に処理したほうが効率的であるということも考えまして、主として中小企業対象に一応考えたわけでございます。大体廃棄物総量の中で占める割合が、先ほど申しましたように七割が大企業、三割が中小企業。で、その三割の中小企業系統のほかに都市系廃棄物、これは水道浄水場あるいは下水道終末処理場等からの汚泥等でございますけれども、そういったものをあわせまして、一応これを公共投資対象として取り上げよう。で、先ほど先生、五百億円は額が少ないじゃないかという御指摘がございましたけれども、実はこの段階でまだ各府県において産業廃棄物実態が必ずしも明らかにされていないこと、それからまた法律上、都道府県等廃棄物処理については権能を与えられておりますけれども、義務づけられておらないこと等もございまして、いまの段階で、はっきり年次計画をもって産業廃棄物施設整備考えておるのが七府県でございます。もっともこの七府県には東京、大阪、神奈川、兵庫等の大府県が入っておりますので、排出総量の中ではウエートとしては五割を上回ることになりますけれども、その中の一カ年分の事業でございますので、額としては五百億程度に落ちついておるわけでございます。事業総量としては相当多額にのぼりますけれども、一応五十年までの事業量としてはおおむね五百億程度。ただ、産業廃棄物につきましてはまだ相当流動的な面もございますし、今後もいろいろ新しい動きが出てくると思いますので、予備費四百億を実は計上をいたしておりますけれども、この予備費の四百億は主として産業廃棄物のための予備費というふうに御了解願いたいと思います。
  15. 田畑金光

    田畑委員 両者からお答えがございましたが、たとえばわが国企業の中において資本投資をする場合に、一体公害防止に対する施設投資というものはどのくらいが適当なのか。ヨーロッパの国に比べてどうなのか。いまの通産省答弁によれば一〇%前後で、そのうちわずか二%が廃棄物処理施設に対する投資であるというお話でしたが、ついこの間商工石炭連合審査のときに、工業配置促進法審議の際、参考人として出席された新日鉄の副社長は、二五%公害防止のための投資に使っております、こういうような話もございました。大手の企業等についてはそういうような、それがまた当然と思いまするが、大きな投資をしておる企業体もあるわけで、そういうようなことによって初めてこの環境保全というものは確保されるものだとわれわれも考えるわけであるが、そういう点から見た場合、いま通産省が把握しておる実態というものは、この法律の趣旨にかんがみてまだまだはるかにおくれておるんじゃないか、こういうことを私は指摘をしたいと思う。  同時にまた、いま厚生省からの答弁もございましたが、確かにこの法律を見ますと、「地方公共団体責務」とあるが、それは産業廃棄物施設整備等についても、これは義務規定でないということ、そこにこの問題の今後の推進という点から見るならば考え直すべき問題があるんじゃなかろうか。また国の補助なり融資についても、これはかくあるべしという義務規定でないんで、そのときそのときの予算によって左右される、こういうこと等を考えてみますならば、私は法の不備等ということも指摘すべきではなかろうか、このように考えるわけだが、この点はひとつ厚生大臣からどのようにお考えになるかをお答えいただきたいと思うのです。
  16. 浦田純一

    浦田政府委員 予算にからむ問題でございますので、私からまずお答えいたします。  確かに御指摘のようにこの緊急措置法案におきましては、補助金その他助成については国の義務規定という形にはなっておりません。しかしながらこのもと法ともいうべき廃棄物処理法におきましては、これら一般廃棄物屎尿処理施設並びにごみ処理施設につきましては法律に基づく補助規定ということがきまっておるわけでございます。この整備計画を遂行するにあたりましては、これとのリンクにおきまして当然事業費並びにそれぞれの区分における分担額というものがきまってくるわけでございまして、したがいまして、ひとつ全体的に見ていただくようにお願いいたしたいと思います。
  17. 森口八郎

    森口説明員 昭和四十六年度は一〇%前後に達しておるわけでございますが、これは一部は設備投資の減少それから他方は公害防止投資の増大ということで一〇%というような高い数字になっておるわけでございます。私のほうで試算をいたしました限りでは、長期的には大体八%前後が防止投資数字ではなかろうかというように考えております。アメリカ等におきましては、私どもの承知しております限り大体設備投資の中で五、六%が公害防止投資の占める比率であるというように聞いております。一〇%と申しましても、これは産業間に非常に開きがございます。先生がおっしゃいましたように、鉄などというのは業種の性格上公害防止投資を非常に多額に要する産業でございます。たとえば機械などというのは御存じのとおり公害防止投資比率が少ないというわけで、私が一〇%と申し上げましたのは、当然のことでございますが、業種を平均して一〇%という意味で申し上げたわけでございます。
  18. 田畑金光

    田畑委員 その点はまだいろいろ追及したいのですが次に移りまして、この法律では、屎尿処理に関する基本計画では、計画処理区域における屎尿の衛生的な処理率昭和四十五年度末の七九%から五十年度末には一〇〇%の施設整備をはかる、こうなっております。それからもう一つごみ処理に関する基本計画を見ますと、昭和五十年には一日当たり焼却施設能力が約十一万トンのごみ焼却場を新増設することになっておる。既存の一日当たり処理能力は約五万四千トン、それを五万六千トンも上回る計画になっておるわけで、計画を立てた以上は間違いなく遂行されるものとは思うが、たとえばごみ処理施設などの問題を見ますと、私たち地方にいて、一番地方公共団体が困っておるのは屎尿処理ごみ処理施設というのがその立地が非常に困難であるということです。ごみ処理あるいは屎尿を運搬する自動車の放つ悪臭や騒音の問題等々を含めて、著しく立地条件というものが困難をきわめておる。そういうようなこと等を考えたときに、こういう屎尿処理あるいはごみ処理計画を五十年度めどにいろいろ考えなさっておるようだが、この着工のめどなどについて、四十七年度一体何カ所、何万トン予定しておるのか、その年次計画を示してもらいたいと思う。
  19. 曽根田郁夫

    曽根田政府委員 この四カ年計画の各年次ごと内訳等につきましては、本法案成立年次計画が正式に閣議決定されます際のいわば参考資料として定められることになろうかと思いまして、この段階ではまだ私どもの、厚生省限りの試案的な考えでございますけれども、一応ごみについて申し上げますと、四カ年で四万八千三百七十八トンを整備しよう、そして私ども初年度分としておおむね一万三千二百トンという年次的な考えをもって本年度予算要求に当たったのでございますけれども、本年度予算におきましては私たち考えたとおりの一万三千二百トン、個所数にいたしますと二百四十三カ所でございますけれども、これが予算に計上されておりますので、初年度のスタートとしては私ども期待どおりの成果をあげ得たというふうに考えております。  ただ、今後四カ年を通じまして四万八千トン、これによって五十年度末十一万トンの整備がはかられるかどうか。これの一番のポイントは、先生申されましたようにやはり用地問題にあろうかと存じます。今後できるだけ努力いたしてまいりたいと思います。
  20. 田畑金光

    田畑委員 四十七年度は一万三千二百トン、二百四十三カ所ということで、初年度計画は予定どおり予算化されたことはけっこうなことでございますが、二百四十三カ所の場所の選定なり確保なり配置なり、この点について一番私は問題があると思うのです。これはどうしても地方公共団体等の協力がなければ計画の遂行ということは画餅に帰すと思うのでございますが、この点について確信があるのかないのか。同時にまた、これによって五十年にはごみ処理施設等については九〇%の焼却処理率を達成する、こういうことになっておりますが、政府の立てておるいろいろな年度計画、下水道整備計画でもそう、道路整備計画でもそう、すべての計画というものが日ならずして改めざるを得ない、こういうようなことを考えてみますと、いまようやく始まろうとするこの廃棄物処理施設整備計画、ことしは初年度でありますから問題ないといたしましても、二年後等についてはまた計画の再検討も当然考え直すべき時期が来るのではなかろうか。これとうらはらの関係にある下水道整備計画等についても問題が出ておるわけでありますから、まず私は、そういう意味において、特にこの計画の成否が土地問題に帰着すると思うが、この点についての見通しについて承りたいと思うのです。
  21. 曽根田郁夫

    曽根田政府委員 四十七年度予算執行の点につきましては、実施計画等について各地方からの申請がもう受付を終わって、検討中でございますけれども、今年度におきましては二百四十三カ所、この予算の執行について用地の点での難点はないものと考えております。
  22. 浦田純一

    浦田政府委員 ちょっと補足いたしますが、少なくとも今年度の実施計画を実施するにあたっては、いま審議官のほうから御説明がありましたように、用地問題についてはさしたる支障はなかろうかというふうに見ております。また過去の例で申しますと、用地問題につきましては、実は一、二の例外を除きましては大体、当初の目標の事業額をこなすのに支障があるほどの土地問題はなかったのでございます。  五十年までどうかということでございますが、これにつきましては、さらに事業量が伸びるにつれていろいろと問題も生ずるかと思いますが、私どもがこのように長期計画を前もって地方に示すということの根底には、用地問題をできるだけ早く先行取得するようにという気持ちもこもっております。また、補助額そのものにつきましても、補助対象の中身としましても、土地問題の一つの理由である公害問題、これらについても対象として新たに取り入れて、問題のないようにつとめてきておるところでございます。  これから先、私どもは各市町村と個別に折衝していろいろと指導しておりますが、土地取得の問題についてはさらに住民側の協力を得るようにつとめてまいりたい、そのように指導してまいりたいと考えております。
  23. 田畑金光

    田畑委員 屎尿処理をこの法律に基づいて進めてまいりますと、これは私もゆうべ初めて「環境保全タイムズ」という小さな新聞を読んだわけでございますが、こういう屎尿処理業者というものが既得権を侵害される、あるいは生活権を奪われるというようなことで、いろいろ国に対する補償措置なり今後の仕事の転換等について政府当局等に対しても要請が出ておる、こう思うのでございますが、特に廃棄物処理施設整備計画が進められていく、そうしてまた海洋汚染防止法に基づく廃棄物の海洋投棄というものが規制をされていく、こういうようなことで、いわゆる屎尿処理業者等が生活権の問題でいろいろトラブルが起きてくる可能性というのがあるようでありますが、こういう問題についてどのように厚生省としては指導なさっておるのか、この際ひとつ御答弁を願っておきたい、こう思うのです。
  24. 浦田純一

    浦田政府委員 いわゆる清掃業者の、ことに屎尿処理関係の業者のこれから先の生活権の問題でございますが、これは主として下水道整備あるいは浄化槽の整備に伴いまして、くみ取り便所がなくなる、くみ取り屎尿の収集作業というものがだんだん減っていくということから、いわゆる既得のいろいろな職域、職権等のだんだんの喪失といった問題もからみまして、業者の団体等におきましては、将来の不安に対する何らかの措置をいろいろと要望してきておるということは、私ども直接その話を聞いておりますので、よく承知しております。  これらに関しましては、補償という問題は私はいかがかと思いますが、いずれにいたしましても、やはり時代の趨勢と申しますか、あるいは国家的な事業というものがその底にあるわけでございますが、そういったものに伴って職域が狭められる、あるいは仕事がなくなるといったようなことにつきましては、厚生省といたしましても、業者の将来の、ことにそこに働いております従業員の方々を含めまして、将来の不安の解消ということにつとめていきたい。  具体的に申しますと、必ずしも、屎尿収集業者あるいは運搬を業としております業者の方々のこれから先の職域というものは狭まるというふうには考えることはないのではないか。似たようなところで清掃業者の方々の、清掃事業一般にいろいろと御協力をいただく分野は多いわけでございます。むしろ業者といたしましては、いわゆる近代化と申しますか合理化と申しますか、これから先の廃棄物の多様化に伴います企業の能力の向上、こういったようなことについて考えていったらどうかというふうに、いま話し合っておるところでございます。業者の方々も私どもの意のあるところをだんだん御了解いただきまして、これらについてひとつ具体的に詰めていく、こういうことでございます。いまさしあたって補償——過去にはそういう理解不十分に基づく補償というなまの声もございましたけれども、それらは、これから将来どういうふうな方向でもって清掃事業全般に寄与していくべきかといったような観点からの話に変わってきつつあるところでございます。
  25. 田畑金光

    田畑委員 いまの問題についてはひとつ厚生省当局としても、既存のそのような清掃業者等の生活の問題なり仕事の問題等々について、この人方が困ることのないように強力なる指導なり、この人方の意見も聞きながらいろいろ善処するように、ひとつ希望しておきます。  それで、屎尿処理の問題と廃棄物処理の問題と下水道整備計画というものは、常にうらはらの関係で今日まで来ておるわけです。昭和四十六年度から昭和五十年度に至る五カ年間における下水道整備計画は、総額二兆六千億を投資して、昭和四十五年度末における公共下水道の普及率、現在の二二・八%を昭和五十年度末には三八%に引き上げる、こういう計画がいま進められて実施に移っておるわけです。しかし、この程度の下水道の普及率や達成率では河川の水質はよくならない。特に都市河川の多くはまだ環境基準の最低を割っておる、こういうようなことが指摘されて、相も変わらず死の海あるいは死の川、こういう問題が横たわっておるわけです。したがって、建設省としては、この第三次下水道整備計画についてすでにこの計画を繰り上げて第四次の計画等も考えておる、こういうようなことを聞くわけでありますが、わが国の下水道の普及の状況というものは、言うまでもなく、先進諸国に比べるとあまりにもおくれ過ぎておる。まことに社会資本の投資というのがこれからのわが国の政治の焦点であり、財政運用においては一番大事な柱として取り組むべき問題だ、こう思うのでございますが、下水道整備計画等について、現在の進行状況あるいはこれを将来どうするか、この問題等も含めて、建設省のほうからお答えを願いたいと思うのです。
  26. 升本達夫

    升本説明員 御指摘のように、下水道の長期整備計画といたしましては、二兆六千億をもちまして五十年度までに普及率三八%に高めたいということでせっかく努力中のところでございます。この二兆六千億の全事業費のうち、御参考までに申し上げますと、現在国が水質環境基準を定めております水域にかかわる整備は約一兆九千億円を見込んでおりまして、これをもちまして、まず第一に急がれます水域の水質環境基準達成に十全の努力をいたしてまいりたい。なお、この他の地域におきましても、水質汚濁の著しい地域につきましては、五カ年計画の範囲内で優先的に整備を推進してまいりたいというふうに考えている次第でございます。  五カ年計画を改定する意思があるかというおただしでございますけれども、ただいま申し上げましたような水質環境基準の汚濁状況、これに対する整備の促進とにらみ合わせまして、今後の検討課題であろうかと思いますけれども、当面私どもの努力目標は、五カ年計画を完全に遂行することによりまして御要請にこたえるように努力してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  27. 田畑金光

    田畑委員 廃棄物処理の問題と下水道整備計画とはうらはらの関係で、廃棄物処理計画を立てるにあたっては当然建設大臣の意見を聞く、あるいは下水道整備計画にあたっては厚生大臣のそれぞれ意見を聞く等となっておるわけでありますが、生活環境整備五カ年計画、これは第一次下水道整備計画との関連で策定されておるし、また清掃施設整備緊急措置法による屎尿処理及び処理施設整備五カ年計画は、第二次の下水道整備計画と相関連しながら進められてきておるわけでありますが、そうしますと、今度の廃棄物処理法に基づくこの計画というものは第三次下水道整備計画と呼応しながら進められてきたものと思うが、下水道整備計画等についてはいまのテンポでいいのかどうか、いずれ新経済社会発展計画等の練り直しもあることだし、したがって下水道整備計画考え直さねばならぬ、そういうようなことになってまいりますと、私は、廃棄物処理計画等についても五十年を待たずして再検討する機会も当然出てくる、こう思うのでございますが、私は、この問題等については、もっと社会経済環境の急激な変化に即応しながら措置していくことを特に厚生大臣としては考えて対処されるべきだ、こう思うので、この点について大臣の所見を承ると同時に、大蔵省の主計官にも来てもらっておりますので、主計官の考えも合わせて承っておきたい、こう思うのです。
  28. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 屎尿処理ごみ処理、その他産業廃棄物の五カ年計画——ことしからいいますと四カ年計画でありますが、これは近く閣議決定をいたすことに相なっておりますが、その事業量、金額はすでにお示しをいたしておるとおりでございます。また、下水道関係も五カ年計画ができておりますが、いままでの諸般の情勢から把握をいたしまして、この程度が適当だ、かように現在は考えております。しかし、今後事態の推移その他によりまして、必要があればまたこれを、この計画内においてもさらに改定をいたして促進をはかるということが必要であろう、かように考えております。今後の施行の状況また社会推移の状態を見きわめながら実施をいたしてまいりたい、かように考えております。
  29. 渡部周治

    渡部説明員 お尋ねの点につきましては、下水道整備計画につきましては五カ年計画が設定されまして、さらに廃棄物処理整備計画につきましては、この法律施行されますると、政府環境基準を設定するという段取りになるわけでございます。われわれといたしましては、当面の実情を踏まえてこれらの計画が策定されておりますので、その計画の達成に全力を注ぐということになるわけでございますが、お尋ねのように、もちろん今後の実情をにらみ合わせながら、われわれは、必要がありましたならば計画の改定もあり得ようかと思いますけれども、当面は、われわれは十分そういう実情を踏まえまして、策定されております計画の達成に努力をいたしたいと考えております。
  30. 田畑金光

    田畑委員 都道府県市町村廃棄物処理事業というものを積極的に進めていくには、やはり国の助成というものが大きな比重を占めるであろうし、これなくしては、せっかく新たな法律で新たな計画をもって推進するにしても、きのう来の答弁を聞いておると、都道府県市町村末端の状況というものは決して芳しい状況にはきていない、私はこう思うのです。この廃棄物処理法の二十二条、二十三条を見ますると、国の補助なり資金の融通措置、こういうことをうたっておるわけでありまするが、同時に、これまたこの法律施行令の九条を見ますと、たとえば屎尿処理施設の場合は三分の一以内であるとか、ごみ処理施設の場合は四分の一以内であるとか、災害等の緊急の場合は二分の一以内、こうなっておりますが、三分の一とか二分の一といっても、やはり厚生省のつくった基準に基づいてこういうような補助を見るわけで、したがって、実際に地方自治体等で廃棄物処理施設等をつくった場合、一体何%の補助にこれは当たるのかという問題ですね。これを御説明願うと同時に、私は、まずこの法律に基づいて環境整備をはかっていく、明るい生活環境を推進していくためには、もっともっと国の補助等について考えるべきではなかろうか、私はこういう感じを強くするわけでありますが、この点ひとつお答えを願いたいと思います。
  31. 浦田純一

    浦田政府委員 確かにこの計画を遂行するにあたりまして、一番の問題は財政措置の中身でございます。従来ことにごみ処理施設につきましては、国庫補助の制度が確立しておらず、その点が計画を進めるにあたっての市町村側に対する大きな負担の困難の一つのもとになったわけでございますが、四十七年度予算におきましては、特にこみにつきましては実質国庫補助の単価を約三倍というふうに引き上げてございます。もちろんこれが十分であるというふうには考えておりませんが、従来に比べれば三倍ということで、実質の補助で申しますと、四十六年度以前におきましては、これは奨励補助ということで、実質十六分の一前後であったのでございます。それが今度は、おそらく六分の一程度というところが実際の補助率に相なろうかといま推定いたしておるところでございます。屎尿につきましては、これは従来三分の一ということでやっておりまして、ほぼ二二、三%というところの実質の補助率であったというふうに計算しております。
  32. 田畑金光

    田畑委員 いまお話がございましたが、厚生省としてはどうですか、何か十六分の一が六分の一になったとか、あるいは二三%程度になったとかいうようなことで、一体地方自治体等にこの環境整備を強力に指導していく上から見て、これでいいとお考えになっておるのか。やはりこれは逐次あるいは毎年、財政当局との予算折衝等を通じて、これがもっと向上するように努力しようというお考えがあるかどうか、そこを聞きたいのです。
  33. 浦田純一

    浦田政府委員 確かに補助金の総額あるいはその補助率を上げるということは、一つの大きな有力な促進剤になるわけでございます。従来屎尿処理施設あるいはごみ処理施設につきましては、最も地域住民に密接した市町村のサービスであるといったたてまえから、補助金制度そのものについてもいろいろと異論があったのもまた事実でございます。しかし、私ども現状を踏まえまして、少なくとも現在の行政の実態というものから、これらの施設の立ちおくれを早く取り戻したいということを強く念願しております。今年度は昨年度に比べまして、そういったことで、先ほど申し上げましたように、補助基本額も非常に上げたわけでございますが、今後ともそういった意味から緊急事態であるという意味合いにおいて、私どもはできるだけ補助金その他財政措置については、関係省とも相談いたしまして、この引き上げには努力してまいりたいと思っております。
  34. 田畑金光

    田畑委員 もうひとつお尋ねいたしますが、この法律の四条によれば、国の責務として、必要な技術的及び財政的な援助をする、こううたっておるわけです。廃棄物処理処分はどうしても高度な技術が必要である。したがって、国はその責任において立ちおくれた技術の開発がどうしても必要になってこよう、こう思うのです。昨日来議論されておるプラスチックとか廃油等の専焼炉の研究であるとか、埋め立て等々海洋還元の方法の問題であるとか、このような技術開発というものは、どうしても国の機関が取り組まなければならないし、また当然取り組むべきだ、こう思うわけですが、こういう面についてどこでどのようになされており、その成果がどうなって、それが地方公共団体等環境整備に寄与しておるのか、この点を明らかにしていただきたいと思うのです。
  35. 浦田純一

    浦田政府委員 国は従来から都市の廃棄物処理方式につきまして、厚生省中心となりまして市長会等の御協力も得まして、いろいろ研究もいたしてきて、その成果は一つ一つ局高く市町村のほうに役立っておるというふうに考えております。具体的に申しますと、厚生省といたしましては、そのほかに厚生科学研究費といったもので、産業廃棄物埋め立て処分に関する研究あるいは廃棄物の地域内移動に関する研究といったような研究を進めてきております。それから公害調査研究委託費によりまして産業廃棄物処理方法に関する研究、これらの処理処分方法並びにこれにかかる経費、運搬距離等についての実態調査といったようなことも進めてきております。それから産業廃棄物の海洋投入処分に関しましては、その生態的視点から海洋の浄化能力を究明するために、科学技術庁と共同で国立公衆衛生院で研究をいたしております。また生活環境審議会で廃棄物処理専門委員会を設置してございますが、ここにおきまして「都市・産業廃棄物にかかる処理処分体系及び方法について」ということで御検討を願い、それの答申を得ております。費用の面から申しますと、今年度におきましては廃棄物処理技術開発に関する調査研究費として約四千五百万円、それで産業廃棄物の組成分析に関する調査研究焼却技術の開発に関する研究埋め立て処分技術開発に関する研究等の推進をこの四千五百万円ですることになっております。また中小企業廃棄物処理システムの設計研究として、ほかに約二千百万円が計上されております。これは私どものほうが直接関与しておる研究でございますが、その他通産省あるいは関係の各省庁におきまして、いろいろそれぞれの所管にかかる廃棄物処理技術についての開発は進められておると承知いたしております。
  36. 田畑金光

    田畑委員 時間が来ましたから、私はまだ質問が二、三ありますけれども、これで終わりますが、これは大臣に最後に希望することは、いまいろいろ局長から技術の開発についての説明がございましたが、やはり廃棄物処理環境整備のためにはどうしても技術の開発を通じ公開をされて、それが国並びに地方公共団体あるいは関係企業等が十分に活用できるような施策を進めることが大事である、こう思うのです。同時にまた私が先ほど来質問の中で申し上げたように、産業廃棄物は最終的には、処分する土地の問題をどうするかということにかかってこようと思いますが、大企業はそれなりの土地の取得は可能であるとしても、中小企業等はなかなかそういかぬ。この問題についての配慮というものがどうしても大事だ、こう思うのです。同時にまた私は、今度の政府計画書を見ますと、屎尿処理については昭和五十年になると、海洋や山林への投棄はゼロになる、まことにけっこうだと思うのです。海洋汚染防止法に基づくいろいろな規制がこの六月二十四日から実施されるということなどもお聞きいたしましたが、ちょうどたまたまいまストックホルムにおける国連人間環境会議等においては海洋汚染の防止、こういう問題が大きな議題にのぼっておるわけであります。そしてまたきのう来の質問の中にありましたように、このワンウエイ方式であるプラスチック製品の問題等々、取り組まなければならぬ問題は幾多あるわけでありますが、これらの問題等については単に厚生大臣だけでなく、経済企画庁長官あるいは特に大蔵大臣とかあるいは通産大臣、運輸大臣、農林大臣等、政府全体がこれは取り組むことが一番緊急の課題である、こう思うのでございますが、昨日この委員会でも特に瀬戸内海の汚染の問題が取り上げられて、偶然にもきょうは読売新聞の社説に「放置できない瀬戸内海の汚染」こういうことばで具体的に指摘されておりますが、指摘されておる一番大事な点は環境の破壊に対して、高度経済成長からくるいろいろな自然環境の破壊、社会環境の破壊に対して手をこまぬいてきた政府がやはり責任を感じ、責任を取らねばならね、これが私は一番大事なことだと思うのです。  今回この法律が出て廃棄物処理計画計画的にこれから進められるわけでありますが、この計画はいろいろな計画との関連で初めて所期の目的を達成するわけでありますだけに、どうかひとつ大臣が政府全体の姿勢というものを——特に厚生大臣は国民の生命と健康、環境保全をはかる第一義的な責任を持つわけでありますから、決意を新たにして取り組まれることを私は強く希望して私の質問を終わることにいたします。
  37. 森山欽司

    ○森山委員長 寺山巖君。
  38. 寺前巖

    ○寺前委員 ただいま出されております廃棄物処理施設整備緊急措置法案というのは、計画的に昭和五十年に向かって政府が生活環境をどういうように整備していくかということでお出しになっているものであって、これは、計画的にやっていかれるということについては私は賛成です。  そこで昨日来各党の委員の皆さんから、前回の計画がうまくいっていない問題は一体何であったのだろうかとか、あるいはまた個々のケースの問題について、改善する問題について各種の面から御質問になっておりますので、私は、時間の許される範囲内において三つの問題についてきょうは聞きたいというふうに思います。  一つの問題は、いわゆる第二次計画といわれた期間中において、この廃棄物処理がもう一つうまくいかなかった問題点というのは何だったのだろうか。一昨年の暮れにつくられたこの廃棄物処理の法案において、廃棄物処理については自治体責任においてやるようになっております。清掃法もそうでしたし。しかし産業廃棄物の場合においては、そもそも原因者を明確にして原因者の責任においてやるようになっています。そういうふうに考えてきたときに、国が、地方自治体がやっていく問題についてそれがうまくいくかいかないかという配慮をどういうふうに見ているのかというのが、私は一つの問題点だろうと思う。いろいろ問題点もありますが、端的に言って地方自治体が実行する上において、金の上においての問題点がかなり大きなウエートを占めたのではないか。これが一つです。  それからもう一つは、前回の委員会において問題になりました点は、廃棄物の中に占めている、特にごみの場合にプラスチックの問題が大きな位置を占めているということであります。プラスチックの含んでいる位置が、今日では一〇%をはるかにこえ出したところの市町村が生まれてきております。そういう意味において当時プラスチックの使用について、やめさせてはどうかという話も出ました。これはいろいろ論議になった問題です。ところが現実にはこれが許されて使われているわけですが、この問題について厚生省当局がどのように指導して、そして改善されてきているのか、それとも憂慮すべき事態にあるのかという問題が、私はやはり一つの大きな問題だと思う。  それから第三次段階ともいわれるこの廃棄物計画年度において、新しい問題として、電気製品その他の製品、あるいはまた自動車などのそういう大型の粗大ごみの問題が大きな位置を占めてくると思う。こういう問題についてこの年度期間中にどういうふうに処理考えていこうとしておられるのか。私はきょうはごみの問題について以上の三点についてお聞きしたいと思うのです。  最初に、大臣にこの三つの問題についての見解をお聞きしたいと思います。
  39. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 廃棄物処理が思うとおりにいかなかった理由は、三つあるのではないかという御見解に基づくお尋ねだと思います。  おっしゃいますように、金が十分でなかったという点も確かにさようだと思いますが、これは市町村責任でやるということになっておりますが、市町村は財政が非常に苦しいというような面も多々ありまして、また国の補助も十分でなかったという点から、やりたくても十分進まなかったという点は確かに私は認めざるを得ないところだと思います。この点につきましては、先ほど政府委員からお答えいたしましたように、本年の予算におきましてはいままでよりも相当思い切った補助の率を上げることにいたしました。  第二点の廃棄物の内容、ことに家庭ごみの内容が変わってきた。プラスチックの問題が一番大きい。これもそのとおりだと思います。これが廃棄物処理に相当支障を来たした、あるいは遅延を来たしたという事実も私はいなめないというふうに考えます。プラスチックの容器の回収等の問題につきましては、相当指導をいたしてまいりましたが、しかし、これにもおのずから限度がありまするし、また、回収不可能なプラスチックの廃棄物が相当日々に多くなってまいりました。  そこで、プラスチックを専焼するについて、これに耐える専焼炉をつくるということが必要に相なり、またそういう炉ができるということになりましたので、したがって、それには普通の炉よりも相当金がかかりますけれども、しかし、そういう炉をつくることをむしろ進めてまいるという以外に道がなかろうというので、その方向に進んでおります。これはその緒についておるわけであります。  家庭から出る粗大ごみが多くなってまいった、これもまた廃棄物処理一つの支障の理由であると思いますが、これにつきましては破砕するとかその他の処置を講じて今日まいっておるわけでありまして、この粗大ごみ処理は、相当今後十分、処理の方法について研究を続けてまいる必要がある、かように考えております。
  40. 寺前巖

    ○寺前委員 それでは、私は一つずつの問題について少し聞いてみたいと思います。  一昨年の公害国会といわれる段階において、この廃棄物が問題になりましたときに、ポリ容器の問題が非常に大きな位置を占めました。当時厚生大臣は、あれは食品衛生の観点から少し指導していきたいというような角度の答弁もありました。また、事実そういうふうに御指導なさっていると思うのですが、ポリ容器の問題については、私が言うまでもないことですが、千度以上の高熱で燃やす、空気の八〇%を占めるところの窒素が分解する、そこで大量の窒素酸化物が生まれる、これがスモッグ、なかんずく光化学スモッグの有力な原因になる、あの有毒ガスの問題が一つの問題になるし、また非常に高い温度を発しないことにはこれの処理ができないところから、炉がもたないという問題が生まれてくる。だから、自治体の面からいうならば、このプラスチックの問題、ポリ容器が大量に入ってくるという問題が続いてくると、この場合には、周辺の空気の問題から、それから炉自身の問題から、これは非常に重大な問題だ。だから、特に系統的に配られる牛乳とかあるいはその他の乳酸菌飲料というのですか、ああいうものについてはプラスチック容器はやめてほしいという意見が、かなり自治体の側から当時から出ておりました。  ところが、昨年の五月二十九日になって、厚生省は、このポリ容器について幾つかの会社に対して許可を出しております。当時の許可を見ますと、牛乳関係で七件、乳酸菌飲料が十三件という許可が出ています。ところが当時この許可を出すにあたっては、回収を完全にすることという内容があったと思います。自治体に迷惑をかけないということが条件にあったと思います。ところが、実際には、これが発表されてから、そんなのは知らなんだという自治体が生まれてきたということが当時の新聞に載っています。たとえば高知市。わしは知らなかったというような問題が生まれてきています。厚生省自身の指導では、市町村とよく話し合いなさい、過去に許可したものであっても、それについてはよく協議して今後もやりなさいというやつを出していると思うのです。ところが、実際には、その許可が出てしまってびっくりするという事態が生まれ、さらに、全国都市清掃会議においては、六月の十六日に、今回の承認に対して全国都市清掃会議に何ら事前の協議もなかったことはまことに遺憾だという決議まであげられて、そして事業者が回収責任を全うしない場合には使用承認を今後取り消せという強い決意まで出たわけです。これが私は一昨年の法案が出て以後に発生してきたこの分野の問題点だと思う。  そこで、局長さんにお聞きいたします。あのポリ容器の許可を出して、その回収状況はうまくいっているというふうに見ておられるのか、これは検討を要するというふうに見ておられるのか、この問題についての状況と見解を聞きたいと思います。
  41. 浦田純一

    浦田政府委員 昨年の五月二十九日に牛乳容器等プラスチック製のものにかえるということについての承認を与えましたのは、先生指摘のように七社十三工場でございます。現在やっておりますのは、実はこのうち一工場が操業を停止いたしましたので、結局は七社十二工場ということになっております。  それについての回収の状況を申し上げます。総体的に申し上げますと、一〇〇%回収しておると認められるものが三社で、二十のうちの二つでございます。それから九〇%以上、たとえば九六・五とか九六、こういったところが四つでございます。それから八〇から九〇までの間が七つでございます。以下、一番悪いところが六二・五%というところでございますが、全般的に申しますと、私どもは一〇〇%回収ということを大いに期待したのでございますけれども実態においては、平均しますと大体七五%から八〇%くらいのものにとどまっておりまして、これはいままでも一、二回関係の業者を呼びまして、あるいは県を通じまして、さらに回収率を上げるように指示しているところでございます。  私は、理想と申しましては一〇〇%ということもいえるかと思いますけれども、消費者の方々の御協力その他も必要でございまして、集団給食をやっておるところについては確かに一〇〇%の実績もあがっておりますけれども、一般家庭においてはできるだけそれに近い線に上げるように、さらに努力していただくということを考えております。
  42. 寺前巖

    ○寺前委員 いま各社別の数字を言われましたので、それをひとつ資料として提出していただきたいと思います。これが一つ。  それから、いま出された資料厚生省調査された資料ですか、その資料の根拠を示していただきたいと思います。
  43. 浦田純一

    浦田政府委員 これは各都道府県に私どものほうから調査を依頼いたしまして、都道府県の担当部局が調査した結果でございます。
  44. 寺前巖

    ○寺前委員 都道府県が直接調査したのですか。間違いありませんか。
  45. 浦田純一

    浦田政府委員 都道府県からの報告でございます。
  46. 寺前巖

    ○寺前委員 都道府県からの報告というのは、都道府県が直接分類をし調査をやっているのか、それとも会社の報告をもとにして報告をあげてきておるのかどっちですかということを聞いておる。
  47. 浦田純一

    浦田政府委員 個々の具体的な調査方式については、これは都道府県のほうの良識にまかしてありますが、都道府県のほうが、この調査の依頼を受けまして、必要なことについて業者のほうからの報告を求め、あるいはさらにそれを確認するやめの調査をいたしてまとめた数字でございます。
  48. 寺前巖

    ○寺前委員 それでは私は、これはほんとうに責任ある資料になるのかどうかということを明確にしてもらう必要があるだろうと思います。たとえば東京都は日本の都市の中でも一番規模が大きいでしょう。都の清掃局では製品別の分類は困難だと言っております。調査はやってない。そう気安う気安う——こんな分類を要請する以上は、保健所かあるいは清掃局がせんならぬのですよ。保健所かどっちかがやらなければならぬ。そう簡単ではないですよ、こんなこと。それで、全体としてこれについて東京都の乳肉衛生課というのですか、そこへ聞いてみたら、四十七年一月三十一日の段階では、四四%から四五%くらいしか回収はできておりません。どこも非常に低いですよ、回収の状況を話として聞いたら。ところが、さっきからのお話を聞いておったら、非常に高い数値が出てくる。実際に悩んでいる。私はこれはやっぱり問題だと思う。特に局長さんの先ほどのお話の中に出てきたのは、給食をやっているところは集団的に回収する条件がある。私もそうだと思うのです。ところが、問題になるのは個人の家に入っていく分だ。スーパーを通じて入っていく。回収の責任なんというのはそこには出てきません。だから、こういうふうに使われていく容器というのは、回収は可能だというわけにはいかぬだろう。だから、そういう意味で、もしも回収を条件とすると言われるのだったら、回収可能な条件のもとにおいてこそやっていくという方法を考えなかったら、一般的に努力してますということだけでは、ほんとうに自治体に迷惑をかけずにやっていくということにならないと思う。ところが、五月二十九日ですか、許可が出されて以後もさらに許可を出しておられるわけでしょう。そうなってくると、これはほんとうに責任をもって検討されたんだろうか。個々の自治体に聞いてみたら、分類は困難だなんということを言い出すから、それでは一体、これはどうなっているのだと私は言わざるを得ないですよ。プラスチックの問題というのは、何べんも言いますが、光化学スモッグの原因にもなるし、炉の維持にも関係する重大な問題です。その問題の調査の行くえがあいまいなままで引き続いて許可をしていくという問題については、私はこれは再検討してもらう必要があると思うのです。厚生省、緊急に検討をし直してもらって、しかるべく回収の責任が明確でないものは処置をするということを明確にしてほしいと私は思うのです。
  49. 浦田純一

    浦田政府委員 東京都におきましては、いま申し上げました七社十三工場一つも該当はございません。この牛乳容器切りかえ、あるいは乳酸菌飲料等のプラスチック製容器への切りかえという問題でございますが、昨年の五月二十九日に許可しましたものにつきましても、それからその以後新たに許可したものにつきましても、これはすべてその該当市町村の清掃当局との間の協議と申しますか、その同意を得て、それを各都道府県を通じ、わがほうにその申請がきておるわけでございまして、先ほど御指摘の高知市、私いまさだかに高知市がどのようなこの容器問題における関連を維持しているか記憶しておりませんけれども、かりに御指摘の高知市の場合におきましても、これは必ずや高知市の清掃当局とそれとの間に合意があって、そうして高知県を通じてわがほうに許可申請が出ているはずでございます。私どもは、それにつきましては一件一件各都道府県に照会いたしまして、その合意を確認いたしております。したがいまして、高知市当局がこの問題について知らないというのは、いきさつはよくわかりませんけれども、多少私としては解しかねる点でございます。  東京都が私実は逆にいま四十数%という数字を聞いてある程度驚いたのでございますが、それはこういうことでございます。東京都におきましては、おそらく既存の、四十二年に承認してしまった乳酸菌飲料の容器の回収ということに相なろうかと思います。これにつきましては、私は一昨年の公害国会あるいはその前後の委員会等においても御説明申し上げたと思いますけれども、いわば既得権ということに相なるわけでございまして、業者に対してはかなりきつく私どもは行政指導としてその回収を要請いたしました。いたしましたが、事実上の問題としてなかなか向こうが既得権といったようなことを当初振りかざしておりましたけれども、しかし、最終的にはできるだけ努力をいたしましょうということでもって回収の道を開いたのでございます。プラスチックの容器の問題は、これはワンウエーで捨てるということについては絶対反対でございます。しかしながら、これを最終の一般廃棄物の中から選別して別に処分する、あるいは再利用するということは、言うはやすくして行なうはかたしという寺前先生の御意見に全く同感でございます。したがいまして、できれば都市清掃の手をわずらわさないその前の段階においてこれを回収するという道を講ずるべきであると考えたのでございます。幸いと申しますか、食品衛生上の一つの手がかりがございましたので、今後新たにワンウエー容器に切りかえるというものにつきましては、回収の義務を課することができ、また業界のほうの御協力も得たわけでございますけれども、それをさらに進めまして、既得権を持っておる業者にも進めるという考えは、これはそのようにすれば必ずや一つ再生利用の道が開ける、それがちょうどいまビールびんやサイダーびんにおけるがごとく、あるいは古紙の回収におけるがごとく、一つの道が開けるということで、そこに何と申しますか、インセンティブが働くだろうということを期待いたしまして、あえて回収の義務を課したわけでございますから、いまやようやくその再生利用の道というものが企業的にもある程度めどがついてきているという段階でございますので、もうしばらく時間をかせば、この流れがだんだん大きくなっていって、当初期待しておりましたプラスチックの回収あるいは再利用といった問題がうまく大きく前進するのではないか。また、あるいはそれが環境汚染ということについても大きくプラスするのではないかということを念願して私はやったわけでございまして、そういった意味から申しますと、この牛乳容器の回収の問題は、むしろ業界側がその点にいわば先覚者として参加してもらったということもいえるのじゃないかというふうに考えております。  今後どうするか。私はただ単にプラスチックの問題を、牛乳等の容器に限らず全般的な問題として、このプラスチックの途中での回収あるいは資源としての再利用という道を関係の各省庁あるいは都道府県市町村とも十分に協議しながら、さらに進めていくように努力してまいりたいと考えております。
  50. 寺前巖

    ○寺前委員 大臣にその問題はあとでお聞きします。  その次に粗大ごみの問題ですが、自動車がどんどんふえていくわけでしょう。外国で——ニューヨークの例じゃございませんが、一日二百台ほったらかされるというような事態まで生まれていくというようなわけではございませんけれども、将来これは必ず問題になってくると私は思うのですよ。法律によっても、廃棄物というのは処理できるものでなければならぬということを指摘していると思うのです。ところが、いまの段階はポンコツ屋さんへ持っていって処理していますけれども、このポンコツ屋さん自身の問題が、たとえば東京都の江戸川における自動車公害という形で問題になってきている。だからこの問題は、この五十年度までの年度期間中にはどうしても考えてもらわなければならない問題だと思うのですよ。たとえば東京都の江戸川区の問題について言うならば、百五十軒の業者がそこに集まって仕事をしているけれども、そこの状況を見ていると、結局、焼却炉はない、だから近所ではそのガスでまいってしまうとか、廃油の貯留槽の問題とか、防音壁がないとかいうような問題で近所迷惑もたいへんだという事態にまで来ているわけですよ。いまの事態でこういうことになるんだけれども、——いま一年間に五百万台前後生産しているでしょう。車というのは十年ほどしたらポンコツ車として考えなければならない時代になってくると、昭和五十年ごろになると、一年間に三百五十万台やそこら、要するにいままで生産しておった工場と同じように、つぶすための工場が必要になってくるという事態が生まれてくると思うのです。それをどこかのポンコツ屋さんにというやり方では、これはたいへんな事態が生まれてくる。だから、そういう意味において、自動車の問題について、自動車をつくったところが、ポンコツになるときにも——車の型というのはさまっておるんだから、電話一本入れたら持っていって処理するというぐらいに処理責任を明確にするというようなことでも考えなかったら、この近所迷惑問題というのは解決せぬのじゃないだろうか。あるいは電気製品、テレビ、冷蔵庫その他いろいろありますが、こういう問題でも全部、いまはまだポンコツ屋さんのケースがあるけれども、電気製品その他になったら、いまは自治体責任になってきておりますが、こういう品物の責任問題を将来考えたときに、生産者が明らかであるこういう品物の処理問題というのを、方針を出さなければならない段階に来ていると思うのですが、見解を聞きたいと思うのです。
  51. 浦田純一

    浦田政府委員 この計画で破砕設備あるいは圧縮設備を整備していくということになっておりますが、これに予定しておりますのは、家庭から出てまいります通常の粗大ごみでございます。  御指摘のポンコツ車でございますが、私ども先生の御意見に全く同感でございまして、これをしも一般廃棄物として市町村一般廃棄物の清掃の体制に取り込むということは適当でないと考えております。幸いのところ、現在いわゆるカーベキューと申しますか、そういったようなことで、これから生ずる公害の問題は別といたしましても、そういった体制で処理されておるということで、この廃棄物処理法対象とはなっていないということでございます。  将来どうするかということにつきましては、通産省その他関係の省庁にも私どものほうから積極的に働きかけまして、一つ企業のサイドにおける処理の体制というものについて確立するように、またそれが間に合うようにこちらのほうから働きかけてまいりたいと考えております。
  52. 寺前巖

    ○寺前委員 それでは、もう時間があれですから、大臣に最後にお聞きをします。  最初の三つの問題にまた戻るわけですが、一つはプラスチックの問題、これが与えている影響が大きいだけに、もう一度よく実態調査をいただいて、そうして回収が可能な条件のもとにおいてだけやっていくということについて再度御検討をいただきたいという問題が一つ。  それから、ただいま問題提起した自動車、それから電気製品その他の問題、こういう問題は、粗大ごみが非常に大きくなっていく、自治体責任でまかなえる範囲ではない、したがって、製造段階において廃棄のあり方について明確にする、責任製造段階において廃棄段階まで持つという方向を御検討いただく必要があるのではないかという問題が第二。  第三番目に、第三次のごみ戦争とまでいわれている戦いに対するこの計画です。ごみ戦争に対して、ことしの国家予算を見ると八十何億です。あまりにも少ない予算ではないでしょうか。私の出身の京都で、第二次の段階ですが、三百トンの炉二つをつくって六百トンの処理工場をつくりました。そのときの予算は二十二億かかりました。土地代は別です。そのときに、国庫の補助対象になるのは炉であって、建物全体じゃないのですね。しかもその炉のほんの一部分ですよ。一億一千二百万円しか対象にならない。そして、実際に国庫の補助金が出たのは二千八百万円。二十二億かかって二千八百万円。たとえ今度の予算で三倍になったところでそれは一部分だ。ごみ戦争に対処する第三次の予算を見た場合に私は情けなくなるのです。そういう点でこれはもっと改善する必要があると思いますが、それに対する御見解を聞いて、終わりたいと思います。
  53. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 ポリ容器、粗大ごみの点は、御趣旨の点ごもっともの点もあると思います。そういったことも頭に入れまして今後対処してまいりたいと思います。  それから補助金、金目の問題、これもいま悩んでいる問題でありますが、これは国の補助金の問題、また交付税の財政需要の算定の問題等に十分配慮いたしまして、ごみ戦争に対処いたしてまいりたいと思います。
  54. 寺前巖

    ○寺前委員 終わります。
  55. 森山欽司

    ○森山委員長 これにて本案についての質疑は終了いたしました。     —————————————
  56. 森山欽司

    ○森山委員長 これより廃棄物処理施設整備緊急措置法案を討論に付するのでありますが、別に申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  57. 森山欽司

    ○森山委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  58. 森山欽司

    ○森山委員長 この際、竹内黎一君、田邊誠君、大橋敏雄君、田畑金光君、寺前巖君より、本案に対し附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  その趣旨の、説明を聴取いたします。竹内黎一君。
  59. 竹内黎一

    ○竹内委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党及び日本共産党を代表いたしまして、本動議について御説明を申し上げます。  案文を朗読して、説明にかえさせていただきます。    廃棄物処理施設整備緊急措置法案に対する附帯決議   政府は、本法の実施にあたっては、特に次の事項について配慮すべきである。  一、廃棄物処理施設整備計画を推進するためには、用地の確保が不可欠の前提であるので、用地確保にさらに積極的な援助の措置を講ずること。  二、一般廃棄物処理施設の設置に関し、地方公共団体の財政的負担を軽減するため、国庫補助の内容の改善充実を図るよう努力すること。  三、産業廃棄物処理については、早急にその実態をは握し、都道府県においてすみやかに処理計画を策定するとともに、不法投棄を防止するため監視体制を強化すること。  四、産業廃棄物処理事業者自らの責任で適正に行なうべきであるが、特に中小企業に対して必要な場合には適切な助成策を講ずるよう努めること。  五、廃棄物処理にあたっては、これを再生利用し、資源化することを重視し、必要な処理技術の研究開発について積極的に取り組むこと。特にプラスチック廃棄物については、関係各省庁は、緊密な連けいをとり、その処理及び再生利用技術の実用化を推進すること。  六、廃棄物処理施設整備計画の策定及び実施にあたっては、関係各省庁は、十分に協議し、他の諸計画等との調整に配意すること。 以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。(拍手)
  60. 森山欽司

    ○森山委員長 本動議について採決いたします。  本動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  61. 森山欽司

    ○森山委員長 起立総員。よって、本案については、竹内黎一君外四名提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。  この際、厚生大臣より発言を求められております。これを許します。斎藤厚生大臣
  62. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重いたしまして、一そう努力をいたしたいと存ずる次第でございます。     —————————————
  63. 森山欽司

    ○森山委員長 おはかりいたします。  ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  64. 森山欽司

    ○森山委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  65. 森山欽司

    ○森山委員長 次に、国民年金法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。田邊誠君。
  66. 田邊誠

    ○田邊委員 各委員から質問がございましたので、所得保障の中心としての年金の拡充改善についての政府考え方は明らかになってまいりました。しかし、特に来年度、国民年金もあわせて財政再計算期における大幅な改善をはかろうとする政府の意図と、これに寄せるところの国民の要望というものはきわめて熾烈だろうと思うのです。そういう意味では、政府は決意を新たにしてこれに取り組んでもらいたいと思っておるわけでして、私は、これは一大臣、一内閣の問題ではないと実は思っておるほどであります。  特にその中で、もとになるのは何といっても無拠出の福祉年金でありまして、この福祉年金の増額要望については、その支給制限の撤廃とあわせて、いわば実はいまや国民的な声である、こういうように言っても過言ではないと思うのであります、したがって、いま申し上げたような観点から、四十八年度における厚生年金、国民年金の大幅な改善の施策に取り組む際に、そのいわば最も基礎となるべきこの福祉年金、特に老齢福祉年金については、少なくとも五千円の額は当然確保されなければならない、私はこういうように思っておるのであります。  これからもちろん予算編成やいろいろな施策の検討等が行なわれる時期でありますけれども、野党のほうからも公的年金の抜本的な改正案も出ておりまする時期だけに、大臣はこの国民的な熾烈な要望にこたえて、四十八年度においては少なくとも各種の年金の大幅な引き上げやいろいろな改善策の中心に据えて、ひとつこの老齢福祉年金の五千円は、あなたの政治生命はもちろん、いわば全国会の声として、それを背負った形で実現のためにぜひともひとつ全力をふるってもらいたい、私はこういうように考えておるわけであります。  この際、最後にひとつ大臣の所信を承ると同時に、大臣がそういう御決意をお持ちであるとするならば、財政当局は当然これに関して積極的な全面的な協力をいたすべきものである。それに対していささかも足を引っぱり、あるいは他のかかわりの中でもっていろいろな意見を吐くことなしに、全面的な協力をされることを私は特に要望いたしたいと思います。大臣と、それから大蔵当局のこれに対するところの所信、決意を承っておきたい。
  67. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 私は、たびたび来年度は年金の年である、かように予算委員会、当委員会また参議院においても所見を申し述べております。私だけの意見でなくて、政府もさように考えておることと存じますし、大蔵大臣も大体そういった意見でおられます。したがいまして、来年度はこれにふさわしい案を得まして御提案を申し上げたい、かように考えております。
  68. 長岡實

    ○長岡政府委員 四十八年度予算の問題でもございますし、また、来年度予算に関しましては、財政事情の上で幾多の困難な条件が予定されますので、今日ただいまはっきりとしたお答えはいたしかねますけれども、私どもといたしましても、財政事情の許す限り、ただいま田邊先生のおっしゃいました問題につきまして努力をいたしたいと存じます。
  69. 田邊誠

    ○田邊委員 大臣、あなたは、私の具体的な数字をあげての質問に対して、基本的な考え方だけをお示しいただいたので、私はあえて追及いたしませんし、深追いをいたすつもりはございませんけれども、これは私がただ単にいままでの質問を通じて出た意見を総括するという意味でございませんで、あなた方のいわば決意というものを促す意味で、国会の側のいわば全党的な要望である、いわば国民的な要望である、こういうことを踏まえてぜひひとつあなたのそれに対するところの決断を特にお願いしたいのです。よろしゅうございますね。
  70. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 私、簡単に申し上げましたが、数回答弁をいたしております。ただいまおっしゃいました趣旨に対して、私はいつも積極的に答弁をいたしております。特に福祉年金は五千円を実現をするように最善の努力をいたす。それから拠出年金も今日のニードに見合うように改善をいたしたい。そのほか委員会においてもいろいろ申し述べられましたが、こまかい点は申し上げませんけれども、いままで申し上げた点は、年金の年だと、こういうことで御理解をいただきたいと思います。
  71. 森山欽司

    ○森山委員長 これにて本案についての質疑は終了いたしました。     —————————————
  72. 森山欽司

    ○森山委員長 ただいままでに委員長手元に、増岡博之君、田邊誠君、大橋敏雄君、田畑金光君及び寺前巖君より、国民年金法等の一部を改正する法律案に対する修正案が提出されております。     —————————————    国民年金法等の一部を改正する法律案に対する修正案  国民年金法等の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。  附則第一条の見出しを「(施行期日等)」に改め、同条ただし書中「同法」を削り、「同年五月一日」を「公布の日」に改め、同条に次の一項を加える。2 この法律による改正後の国民年金法第六十六条第一項から第三項まで並びに第六十七条第二項及び第三項の規定、この法律による改正後の児童扶養手当法第十条、第十一条及び第十二条第二項第二号の規定並びにこの法律による改正後の特別児童扶養手当法第九条、第十条及び第十一条第二項第二号の規定は、昭和四十七年五月一日から適用する。     —————————————
  73. 森山欽司

    ○森山委員長 まず、修正案の趣旨の説明を聴取いたします。増岡博之君。
  74. 増岡博之

    ○増岡委員 ただいま議題となりました国民年金法等の一部を改正する法律案に対する、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党、日本共産党の共同提案にかかる修正案につきまして、五常を代表いたしまして、その趣旨を御説明いたします。お手元に修正案が配付してありますので、朗読は省略させていただきますが、その要旨は、本法律案中、昭和四十七年五月一日施行となっております国民年金法、児童扶養手当法及び特別児童扶養手当法による所得制限に関する改正規定につきましては、公布の日から施行し、昭和四十七年五月一日から適用することとするものであります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  75. 森山欽司

    ○森山委員長 修正案について御発言はありませんか。——御発言ないものと認めます。     —————————————
  76. 森山欽司

    ○森山委員長 これより本案及びこれに対する修正案を討論に付するのでありますが、別に申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。  まず、増岡博之君外四名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  77. 森山欽司

    ○森山委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいまの修正部分を除く、原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  78. 森山欽司

    ○森山委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。     —————————————
  79. 森山欽司

    ○森山委員長 この際、増岡博之君、田邊誠君、大橋敏雄君、田畑金光君及び寺前巖君より、本案に対し附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  その趣旨の説明を聴取いたします。田邊誠君。
  80. 田邊誠

    ○田邊委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党及び日本共産党を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。  案文を朗読して、説明にかえさせていただきます。    国民年金法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議   政府は、老後保障において年金制度の果たす役割の重要性にかんがみ、次の事項について適切な措置を講ずるよう努力すべきである。  一 昭和四十八年度において、拠出制国民年金及び厚生年金につき、年金額の大幅な引上げ、自動スライド制の採用等その飛躍的な改善充実を図ること。  一 各福祉年金の年金額をさらに大幅に引き上げ、特に老齢福祉年金額については、可及的すみやかに月額五千円を実現すること。  一 老齢福祉年金の支給開始年齢を引き下げ、扶養義務者の所得による支給制限は撤廃すること。  一 年金の財政方式、特に賦課方式への移行について、将来にわたる人口老齢化の動向を勘案しつつ、積極的検討を進めること。  一 年金積立金の管理運用については、被保険者の意向が十分反映されるようにし、運用使途の明確化、有利運用確保及び被保険者の福祉のため運用する部分の拡充につき大幅な改善を行なうこと。  一 特別児童扶養手当については、養育者等が公的年金を受けている場合も併給できるみちを講ずること。 以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  81. 森山欽司

    ○森山委員長 本動議について採決いたします。  本動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  82. 森山欽司

    ○森山委員長 起立総員。よって、本案については、増岡博之君外四名提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。  この際、厚生大臣より発言を求められておりますので、これを許します。斎藤厚生大臣
  83. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議案につきましては、その趣旨を尊重いたしまして、その実現に一そう努力をいたしたいと存じます。     —————————————
  84. 森山欽司

    ○森山委員長 おはかりいたします。  ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  85. 森山欽司

    ○森山委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  86. 森山欽司

    ○森山委員長 次に、毒物及び劇物取締法等の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。  本件について、橋本龍太郎君より発言を求められております。これを許します。橋本龍太郎君。.
  87. 橋本龍太郎

    ○橋本(龍)委員 本件につきましては、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党、四党委員の協議に基づく試案がございます。各委員のお手元に配付してありますが、四党を代表して、私からその趣旨を御説明申し上げます。  最近、興奮、幻覚または麻酔の作用を有する毒物及び劇物等による事故が多発している現状にかんがみ、毒物及び劇物による危害の防止をはかるため、所要の改正を行なおうとするもので、そのおもな内容は、  第一に、興奮、幻覚または麻酔の作用を有する毒物または劇物等についてみだりに摂取し、もしくは吸入すること等を禁止することとしたことであります。  第二に、引火性、発火性または爆発性のある毒物または劇物について、業務その他正当な理由がある場合を除いては所持を禁止する等の規制を加えることとしたことであります。  第三に、麻薬取締官及び麻薬取締員に覚せい剤取締法に違反する罪等について、刑事訴訟法の規定による司法警察員としての職務を行なわせるとともに、立ち入り検査等を行なう権限についても、麻薬取締官及び麻薬取締員にこれを付与できることとしたことであります。  この際、私は四党を代表いたしまして、動議を提出いたしたいと思います。  お手元に配付してあります試案を成案とし、これを本委員会提出の法律案と決定されんことを望みます。  委員各位の御賛同をお願い申し上げます。     —————————————
  88. 森山欽司

    ○森山委員長 ただいまの橋本龍太郎君、田邊誠君、大橋敏雄君及び田畑金光君提出の動議について御発言はありませんか。——御発言もありませんので、本動議について採決いたします。  橋本龍太郎君外三名提出の動議のごとく、お手元に配付いたしました草案を成案とし、これを委員会提出の法律案とするに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  89. 森山欽司

    ○森山委員長 起立総員。よって、さよう決しました。  なお、本法律案提出の手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  90. 森山欽司

    ○森山委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。      ————◇—————
  91. 森山欽司

    ○森山委員長 次に、食品衛生法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。川俣健二郎君。
  92. 川俣健二郎

    ○川俣委員 きょうから食品衛生法の一部を改正する法律案審議されるわけですが、審議にあたって、このごろの食べものというのは——なぜ食べるかというと、健康増進、体力増強、健康保持、これが目的であるわけですけれども、このごろ、食べると害されるというどうやら逆の観念が出てきたと思います。全く不幸な日本の国になってしまいました。大石長官が国際舞台で、働き過ぎた、経済成長にだけ力を入れておったのは誤りであったという話をしておりました。そうしたら外務省が、これは少し発言に穏当を欠くじゃないかとか、言い過ぎじゃないかとか言いましたが、厚生大臣、大石長官の発言について、これは閣僚会議やったわけじゃないでしょうから、ひとつ個人的に、いいか悪いかは別として、ああいう国際舞台で率直に反省の発言があった、まわりの新聞記者はどっと笑った、こういうことですが、食品問題の主務大臣として、ああいう発言をどのように感じておられるか、まず率直に大臣の私見を伺ってみたいと思います。
  93. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 お尋ねの、大石環境庁長官が人間環境会議においてどういう発言をされましたか、私は御本人からも聞いておりませんので正確には存じません。ただいまお述べになりましたような趣旨につきましては、経済成長を主にしてきたことが誤りであった、それを反省しなければならないという、まあこれはことばのニュアンスでございますが、私は、人間の知恵というものは浅いもので、こういう結果になるということを予知しないでいたということは考えてまいらなければなりませんが、これが誤りであったかどうか、知りつつやっておったのならこれは大いに反省しなければなりませんが、やはりこういった事柄が起こってまいったいろいろな害というものは、さらにわれわれの英知をもって克服していかなければならないという新しい問題が発生してきているというように私は理解をいたしております。
  94. 川俣健二郎

    ○川俣委員 内容に入りたいのですけれども、私はスタジオ102をなま放送で聞いておりましたが、全くあのとおりだと思います。それで、誤りであったとか気がつかなかったとかいうのは論争にあるんだが、やはりものをつくるという官庁と、つくることによって害するものを取り締まらなければならない官庁といろいろあるわけなんで、それでは食品衛生法審議に入っていく方向として少し——やはりこの辺で思い切って抜本改正などやって、取り締まりを強化しなければならないという考え方でこの食品衛生法が大改正されたと思います。  私は今回出されたのは少しおそいと思いますよ。おそいと思うんだが、この改正案から見ると、やらなきゃならないという姿勢は出ているわけであります。それなりに私は評価したいんですよ。そういうことも含めて、いま一度大臣から発言を求めたいと思います。
  95. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 食品衛生の見地から考えますると、今日の経済発展あるいは新しい食品あるいは化学物質の開発というような点からいままでどおりではいけない点が多々ございます。それを思い切ってやるということが政治であろう、かように考えまして、このたび提案をいたしましたのもそういった趣旨で提案をいたしたわけでございます。おそきに失すると言われるお気持ちは十分わかります。私どもも、おそきに失したと言われてもやむを得ない、かように考えております。
  96. 川俣健二郎

    ○川俣委員 そこで、その問題と少し関連するんだが、この委員会で長年言われておった統一食品法の制定というか、それから食品行政の一元化ですね。いま、ばらばら行政であるというところにもかなり難点がある。私もそう思います。ところが、この改正法案では全く解決されていない。なぜそれが出ないのかということを参議院でもかなり突っ込んで質問しておったようですから、私はあまり深くは入りたくないのですが、一言だけ、この問題までメスを入れられなかったことを大臣からお答え願いたいと思います。
  97. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 食品に関する行政は各省にまたがっております。それをもっと統一したらいいじゃないかという御意見が前からあるわけでありますが、行政はできるだけ効率的でなければなりません。したがって、総合的に統一的にやる必要はあるわけでありますが、しかし、食品にわたる万般のものをということになりますると、その行政がまた他の面から見ると複雑になるという点もございます。したがいまして、それらの点につきましては、できるだけ各省連絡を密にしてやっていくということが必要ではなかろうか、まずその方向に努力をいたしてまいりたいというのが今日の私の考え方でございます。
  98. 川俣健二郎

    ○川俣委員 それでこの法案は、文章は非常に斬新的なものであり、積極的なものであると評価したいんだが、問題は、それに付随して、来年度そういう予算めどでも大臣が持っておられるのかという問題と、監視体制、研究機関の整備等々の裏づけがある程度ないとこの法案の充実にはならないと思います。この点、中身に入る前にいま少し聞いておきたいと思います。
  99. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 監視体制の強化は、御指摘のようにまことに必要だと存じます。来年度もさらにこの監視体制を強化いたしますように、予算その他の面において努力をいたしたい、かように考えております。
  100. 川俣健二郎

    ○川俣委員 そういう考え方があれば、それでは個々に聞いてみて理解していきたいのですが、ばらばら行政ということではだめだ。ということは、食べるというのは自然ということです。自然ということは、土地ということになると農業、そうすると農林省等々の関係がぐっと生産としては出てくるわけで、きょう参議院の農林委員会があったようですが、あえて農林省のほうの局長をわずらわしてひとつ援助、加勢していただきたくてきょう来ていただいたんです。それから輸入品がいろいろあるんで、これは外務省にも関係あり、それからだんだん通産省にも関係がある。経済企画庁の物価の問題にも関係がある。表示の問題で公取にも関係があるというふうに、食品衛生法一つ取り上げるとかなりこれが関係省庁があるわけですよ。  そこで、もう一点だけ確認して質問に入りたいんですが、食品衛生法を遂行していく上には、そういったような推進委員会というか、厚生大臣が議長格の何かを考えておられるのかどうか。さらにもう少し具体的に疑問を氷解していきたいと思います。
  101. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 官庁相互の間で常時の連絡的な機関というものはただいま考えておりません。ただ食品は製造から人の口に入るまでずいぶん各省の段階で行政があるわけですけれども、量目の点あるいは栄養の点、あるいは害がないかどうかという点もいろいろございますが、それらの点は厚生省中心になって、そして国民の健康、栄養というものからの発言は厚生省責任を持っていたしたい。経済企画庁においてそういった取りまとめをやっておりますので、私たち責任を持ってその責任ある発言者として関係各省に連絡をし、大臣としては閣議において十分その趣旨を達成をしていくというようにやってまいりたいと考えております。
  102. 川俣健二郎

    ○川俣委員 責任を持ってやるという姿勢を示されましたから、この辺でやめますけれども、国会も終末になって、私らは容認していないのですが、やはり一つ正式機関を考えないと、厚生省の担当局、担当課でもなかなか容易でないと思うのです。これが正式機関ができれば、何々事件が起きた、森永事件が起きた、集まれ、という会があって、いつ許した、どういう表示であった、どういう検査があったと、ずっと一ぺんにやってしまわないと、何しろ食べるものですから、中毒に通じますから、生命に通じますから、そういうことで私は一つ考え方を持っておったわけです。  そこで、それでは中身に少し入っていきますが、こういう問題点はまだ食品衛生法の改正の中から落ちているんじゃないか。たとえばコカコーラですよ。コーラは子供には飲ませないという、イギリスあたりをずっと歩いてみると驚いたんですが、日本の場合は逆にコーラは子供に飲ませるものだ、こういうような観念になっているのですが、これはコーラに添加されるカフェインが問題なわけです。ところが、これが合成品の場合は禁止されておるのですけれども、茶の葉っぱから抽出したカフェインは野放しでいろいろなものに添加することを許されておる。これは法第四条の解釈をどのようにするかは別として、法のたてまえからいうと精製カフェインは添加することを禁止していくべきだと思うのですけれども、どうでしょうか。
  103. 信澤清

    信澤政府委員 先生指摘のように、化学的合成品である添加物につきましては、厚生大臣が認めた場合以外は使えない、こういうたてまえになっているわけでございます。御指摘のカフェインの問題は、おっしゃるように天然品もあるわけでございます。お茶のように本来カフェインを多量に含んでいるという食品もあるわけでございます。そこで、カフェインの規制を添加物として認めて、つまりお話しのように合成のものと天然のものと二通りあるわけでございますが、合成のものも添加物として認めてしまって、そうしてその規制をすべきではないかという御意見もあるわけでございます。カフェインというのは本来天然にあるものでございますが、それを合成したり抽出したりするという場合には、添加物としての使命を持たせるようなたてまえのものではない。そこで、私ども法律的にできますことは、天然の添加物でございましても、七条でその使用の基準等をきめることができるようになっております。したがって、そういう基準をつくるとか、あるいは入っておりますことを表示をさせるとか、そういうことでいまお話しのような問題に対処していきたい、このように考えております。
  104. 川俣健二郎

    ○川俣委員 そういう考えを持っておればいいと思います。  そこで、それと似かよった問題、もう一つあなたに聞きますけれども、サイダー、いわゆるきゅっと来るもの、コーラもきゅっと来る。ところがきゅっと来るものはコーラの場合は無機なんです。サイダーの場合は有機クエン酸です。コーラの場合は、同じ来ても、あれは燐酸でしょう。燐酸というのは保健上好ましくないんだ、こういうことを専門家の国立栄養研究所の岩尾先生ですか、指摘しておるのです。これをどのように皆さん確認しておるのですか。専門家がみんな集まっていることですから聞きたいのですが、あれはコーラの上陸のとき、急いで添加物として認可したはずなんです。あれは認可していなかったはずです。どうやらこの辺は資本に押し流された厚生省というように感じているのだけれども、どうですか、この辺は非常に疑惑がある。
  105. 信澤清

    信澤政府委員 私がお答え申し上げることが適当かどうか存じませんが、お話しのようなことは実はおっしゃるとおりでございます。ただ両方とも、クエン酸も燐酸も酸味料として添加を認めているわけでございまして、私ども燐酸を添加物として認めました経緯につきましては、いま先生の御指摘のようなことがあるいはあったかもしれませんが、これは国際的にも認められている添加物でございまして、いろいろな安全基準につきましても数字その他データがございます。したがって、定められた使用法に従って使われている限り問題はない、こういうふうに考えているわけでございます。  ただ、お話に出ましたように、栄養学的にいろいろ問題があるという御意見があるようでございますので、目下研究者の方々にさらに研究をしていただくようにお願いをいたしておるわけでございます。幸いに結論が出ますれば、それによって、先ほど申し上げましたように添加については法律的にいろいろ規制ができるのでございますが、そういう規制措置を講ずることにいたしたい、こういうように考えております。
  106. 川俣健二郎

    ○川俣委員 私はそれをぜひやっていただきたいのです。生産元であるアメリカではコーラは子供に飲ませない。イギリス、西洋でもずっとそうですが、特に日本の場合は逆であるだけに、どうしても進めていただかないと、やはり食品衛生法のたてまえから考えても、健康の増進から考えても、ぜひこれは強く要望しておきます。  それから、これは食品衛生法に手をつけたのはしばらくぶりなんでしょうが、その後ちょこちょこ乳等省令に手を加えたわけですが、最近はどういう手を加えた例があるのですか。
  107. 信澤清

    信澤政府委員 お話しのように、法律は改正いたしておりませんが、省令、告示その他については、かなりひんぱんな改正をいたしております。乳等省令につきましては、ごく最近はアイスクリームの基準につきまして、たしか昨年だと記憶いたしておりますが、改正いたしたことがございます。
  108. 川俣健二郎

    ○川俣委員 そのアイスクリームというのは、どのように改正したのでしたかね。
  109. 信澤清

    信澤政府委員 従来アイスクリームの成分規格といたしましては、乳脂肪分が三%以上、たとえばの例でございますが、そういうふうな基準になっておりました。乳脂肪分については三%以上というふうな基準がございました。こういった乳脂肪分だけをとりましても、欧米でアイスクリームといわれているものに比べまして、あまりに隔たりが多過ぎる。そこで、実際問題としていろいろ価格の問題もございますので、脂肪の少ない、いわゆるアイスクリームと通常いわれるものの存在を全く認めないというわけにもまいりませんので、前回の改正におきましては、アイスクリームだということを表示をして、この製品につきましては乳脂肪分は八%以上、それから乳固形分は一五%以上、ほぼ欧米水準に近い、あるいは欧米水準と同等の規格に改めたわけでございます。それ以外の製品につきましては、乳脂肪分の含有量その他から、たとえばアイスミルクとかラクトアイスとか、そういった別の名称を使わせる、こういう趣旨の改正をいたしたわけでございます。
  110. 川俣健二郎

    ○川俣委員 そこで、今度は八%以上でなければアイスクリームといわせないということで、鬼の首をとったというほどじゃないのだが、今度はまがいものは出ないだろう、こう期待したのです。ところが逆なのですよ。その八%以上のものがアイスボックスに入っておる率が一割から二割です。子供がのぞくでしょう。これで私は、食品衛生法は何ぼ改正したって、やはり統一的な機関で取り締まらないとだめなんです。  大臣、これですよ、子供から見れば、これはだれが見たってアイスクリームですよ。ところが、 八%以上でなければアイスクリームといわないということをこの委員会の質問の中でやって、厚生省が苦労してきめて、そして業者も一応説得してきめたら、そうでないのですね。これは確かに小さくアイスミルクと書いてある。だから、これは五%で——これなんかどう見たってアイスクリームですよね。どうです、これは。それからこれはデラックス、これはうまそうに書いてあるが、アイスミルク。これは雪印三色アイスミルク、三%。まだありますよ。これは確かにソフトクリームとは書いていない、ラクトアイスと薄く書いてあります。これは違反じゃないか。これなんかひどいものですよ。これはアイスクリームと書いてある。間違いなくアイスクリームと書いてある。なぜこれは取り締まらないのかとこう言ったら、薄くどこかにアイスクリームと書いているのは、ナポリアイスクリームという株式会社の名前ですと、こうです。それでどこかにラクトアイスと書いてある。どうです、これは。まだあるのですよ。大臣、これなんか、特にこれはアイスクリームの箱ですよ。これはほんとうにひどいものですよ。こういうことを考えると、審議官せっかくさっき答弁していただいたのですが、厚生省はこれは非常に苦労したと思うのですよ。苦労したと思うから、ひとつぜひこれはどういうふうに感じ取っていますか。こういうものなんですよ。資本の力というのはこういうものなんです。どうです。これに対してもう一度。
  111. 信澤清

    信澤政府委員 現物をお持ちいただきまして、拝見をさせていただきまして、おっしゃるような状態であることはよくわかりましたが、私どもといたしましては、昨年そういうことできめました経過は、やはりアイスクリームという以上、少なくとも欧米でアイスクリームといわれている水準を確保したい。と申しますのは、やはり病人食その他としてアイスクリームは使われるわけでございますので、その場合に、十分乳脂肪分がないようなものがアイスクリームというふうに扱われますことは問題があろうということで、ああいう改正をいたしたわけでございます。  しかし、反面、先ほどもちょっと申し上げましたように、価格の問題その他を考えました場合には、当然そういうアイスクリームだけにしか認めない、それ以外の類似のものは認めないということになりますと、庶民にとって高ねの花という状態にもなるわけでございまして、そのことは、先ほど先生お話しのように、アイスボックスの中でほんとうのアイスクリームは一割くらい、生産量から申しましても、おそらくそういうことであろうと私ども考えております。したがって問題は、そういうものの存在を認めながら、しかし、ほんとうのアイスクリームとはどのように形態の上で、あるいは表示の上で区別をさしていくか、こういう問題であろうかと思います。この点につきましては、たいへん示唆に富んだ御指摘でございますので、至急検討し、善処をいたしたいと思います。
  112. 川俣健二郎

    ○川俣委員 こういうように、大臣、担当宮方非常に苦労してつくるわけだ。たとえば産業廃棄物で、私の質問の時間はなかったから言わなかったのだけれども、昨年の公害国会のときに、ヤクルトの器が回収しないポリになったわけです。ところが、それをめぐってなのかどうか知らぬけれども、公害国会で廃棄物の法案をここで審議しているときに、ヤクルトの業者がそれっというので国会を目がけて攻撃しているのですよ。そうしたら、ある雑誌記者が私のところへ政治資金の一覧表を持ってきて、見てください、これは産業廃棄物を通していただきたいということだ、こういうわけです。ずっと一覧表を見たら、小沢理事以下社労には一人もいない。ところが、はっと私が感じたのは、これはどんな法律をつくったって、こういうような考え方、いわゆるこれですよ、このアイスクリーム、いま大臣にお見せしたのは、全部審議官がお答えしたアイスクリームの範疇でないものでございます。これがアイスボックスに八割入っています。アイスクリームと称するやつは、八%以上のは、二割入っておるボックスはいいほうですから、そういうことを考えますと、これはよっぽどこの法案を通したあと、観点を考えて行政指導しなければだめなんじゃないかというふうに感じます。大臣、どうです。
  113. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 御質問の点はどこにあったのか、政治資金云々と言われましたが……。
  114. 川俣健二郎

    ○川俣委員 じゃないのです。私の言うのは、厚生大臣食品衛生法をつくれば積極的にやれるし、だいぶ取り締まれるだろう。各関係官庁のあれを中心になって積極的にやろうという気持ちがあるけれども、私は食品衛生法ができたところでたいしたきき目はないのじゃないかというふうに老婆心ながら思っているわけです。  そこで、それじゃもう一つ材料をあげて申し上げますが、きょう朝の新聞、大臣も目にとまったと思うのだけれども、例のPCB。大手スーパーが、幼児の食品にPCBが入っているということになるとということで、販売のことも考えて自主的にひとつPCBの基準を自分らでつくろう、これは考えようによっては、全く厚生省にまかしておったらいつまでたったって基準はできないという、厚生省不信の考え方にとられる。そうではなくて、やはりスーパーは評判が悪くなると売れなくなるから、ひとつPCBの基準をつくってみんなで発表しようということだと思います、ほんとうのねらいは。そこで厚生省は、このPCBの基準の考え方についていまどのような作業を進めておるのか。できればきょうあたりは、食品衛生法とからんでこういうような提案があっていいと思うのだけれども、これは一応聞いておきたいと思うのです。
  115. 浦田純一

    浦田政府委員 食品中におけるPCBの許容の基準でございますが、これは実はさしあたり暫定基準ということになるかと思いますけれども、六月末を目途に食品衛生調査会にPCBの特別部会を設けまして検討中でございます。
  116. 川俣健二郎

    ○川俣委員 それにしても何らか作業の経過の過程を少し内容を知らせてくれませんか。全然ありませんか。
  117. 信澤清

    信澤政府委員 いま局長から申し上げましたように、食品衛生調査会に特別部会を設けていただいて、そこで御検討をいただいておるわけでございます。問題はさしあたり二つございます。一つは、慢性毒性が一体どの程度あるかということについてはっきりしたデータを出したい。それを基本にして、一日どの程度の摂取をしてよろしいかというような基準を考えるわけでございます。  それからもう一つは、食品別にそれをどう割り振っていくか、こういう問題がございます。いままで各地でいろいろの研究者が分析をやっておられますが、私どもの承知いたしましたところでは、魚にかなり濃度の高いPCBが検出されているように承知いたしているわけでございます。一方、私ども自身といたしましても、科学技術庁、農林省、労働省、そういった関係各省協力いたしまして、パンなりあるいは乳製品なりその他の食品についてのPCBの実態調査をいたしております。この数字も近くまとまる予定でございます。したがって、いま申し上げた実態調査と、片方における毒性の研究、これも実は昨年のちょうどいまごろから手をつけておるわけでございますので、なお一年ぐらいしかたっておりませんので、正確なデータは出ないというのが専門家の御意向でございますが、何とかここでひとつ基準をつくるための一応の目安をお示しいただく、こういうお願いをいたしておりますので、両方のデータを中心にして局長から御答弁申し上げたような暫定基準をつくる、こういう段取りを考えておるわけでございます。
  118. 川俣健二郎

    ○川俣委員 まあ、時間がないからこれ以上は……。それじゃ、そういう考え方であれば理解できますから。ただ世の中の人は、自分で基準をつくる、選定基準というかそういうようなことを厚生省が先取りというか、何か行政官庁に対するあれがあるだろうと思ってあえて言いました。これはやはり早急にやるべきだと思います。早くつくって発表すべきだと思います。  そこで、さらにアイスクリームの話がさっき出ましたが、さっき大臣が、休憩前の法案審議から食品衛生法に入る前にちょっと中座されて、小沢理事かに牛乳飲みにいったんだ、こういうお話だったのですが、牛乳ですが、牛乳というのはかなり問題になっておりますね。そこできょう農林省をわずらわして来ていただいたのは、牛乳というのはそれじゃ一体どのくらいの生産量で、どのくらいの消費量であるのか、その辺を聞かしていただけませんか。
  119. 増田久

    ○増田(久)政府委員 ラウンドで申し上げますと、大体年間の牛乳の生産量は五百万トンと御理解願えたらいいと思います。これはなまものでございますから、これは消費しなければいかぬ、そういうことでおおむね六割近いものが飲用牛乳、四割近いものが乳製品として製造されるという形によって消費されております。こういうことでございます。
  120. 川俣健二郎

    ○川俣委員 それじゃ局長、なぜ牛乳がいま問題になっているのですか。牛乳があちこちの委員会で問題にされているというのは何ですか。
  121. 増田久

    ○増田(久)政府委員 ただいま問題になっておりますのは、乳等省令との関連におきまして乳の規格の問題、特に牛乳というのは無調製のものをいうのであって、その他特に問題になります加工乳、そういったものがいろんないわゆる異種脂肪問題、あるいはその他の問題を引き起こす問題であるから、そういうものをこの際制限すべきではないかというようなこと。要するに牛乳に対する消費者の不信問題をからめて多く議論されているというふうに理解いたしております。
  122. 川俣健二郎

    ○川俣委員 そうすると、加工牛乳というのはなぜ世に出てきたのですか。
  123. 増田久

    ○増田(久)政府委員 大きく分けまして二つあると思います。一つは、御存じのとおり現在の牛乳の生産というものでは、毎日農家から出荷されてまいります牛乳の品質というものが一定をいたしておりません。脂肪も毎日変わり、無脂固形分も毎日変わっている。そういったものを一つの商品として統一の規格で、脂肪分三%以上、無脂固形分六%以上ということの形で均質的なものを出すというためには、どうしてもそこで若干の調製をせざるを得ない、こういうところに一つ問題が、技術的側面があると思います。  それからもう一つの側面は、特に関西のほうで問題があるわけでございますが、絶対的な乳の量が足りない。特に夏場において足りないという問題がありまして、その不足分というものを現在の価格関係におきましてはなかなかなま乳で持ってくるわけにはいかない。そういうことで還元乳を加えて加工乳として製造する、こういう二つの側面があろうかと思います。
  124. 川俣健二郎

    ○川俣委員 それではわかりました。それじゃ牛乳の定義ですね、この牛乳の定義はやはり一ぺん考え直す必要があるのじゃないですか。牛乳の定義を定義づけたというのは、成分とか規格とか、そういったものに対抗してつくろうとしたところに何か錯覚を起こすのじゃないですか。私は素朴な質問をしますよ。牛乳というのは牛の乳から出たものを消毒したものである、こういうふうに思っているのですが、畜産局長、どうですか。
  125. 増田久

    ○増田(久)政府委員 一つ考え方としてそういう御理解と申しますか、概念の立て方というのは私あり得ると思います。それから、やはり消費者の素朴な感じといたしまして、乳というものは、そういうしぼったものを消毒しないわけにいきませんから、そうした程度のものであるべきだという感じを持つことも、私これは当然だと思います。  しかし、先ほど申しましたとおり、現在の牛乳の生産の実態、あるいはそれを商品としてつくっていく技術的な問題、それから価格関係、そういったものを考えてまいりますと、現段階でそれだけが乳だということにはなかなか問題がありはしないか。なおそこのところに検討すべき問題が残っておる。たとえば、そういうことで価格を上げることもやむを得ないのだというふうに割り切って考える場合と、それから規格のあり方も、たとえば無調製でありましても、時期によって、あるいは場所によって、脂肪分に問題なくとも、無脂固形分に問題が出るという場合があり得ると思います。そうなりますと、やはりいまの三%、六%というやり方それ自体に、無調製とした場合にも規格の立て方に一つの問題が出てくる。そういったことを含めまして、これはいろいろの問題がございますので、そこら辺の実態、牛乳の実態、流通の実態等も含めまして、なお検討すべきものということで、いま厚生省と——厚生省のほうは食品衛生法のたてまえから、純粋な衛生的観点、保健的観点からの問題でございますけれども、われわれのほうはこちらの側から議論を立てておるわけでございます。
  126. 川俣健二郎

    ○川俣委員 それは厚生省のほうの心配でいいと思います。畜産局長としては、牛乳というのは牛の乳ぶさから出た生乳を消毒したものなんだ。乳というのは、牛によっても違うし、時間によっても違うし、食いものによっても違うし、気候によっても違う、場所によっても違うわけだ。こんなことは、牛乳の定義というもののあれに入れるべきじゃないですか。それは厚生省の食品衛生のほうで考えるべきであって、畜産局長の場合は、牛からとったなま乳です、どうかそれを飲んでください、あなたはこういう行政官でしょう。畜産局長は、なま乳をなるべくみんなで飲みましょうという行政官でしょう。これはどうですか。
  127. 増田久

    ○増田(久)政府委員 私のほうでは、やはり牛乳全体の消費が伸びていただきたいという非常に欲ばった立場もございますので、そのことだけでそういうものを定義づけた場合に、牛乳の需要というものはどういう関係になるだろうかという点を心配しているものでございます。もちろん、なま乳の牛乳の定義をどうするかということは厚生省の権限でございますから、私が最終的には決定権もあるわけではございませんけれども、私のほうとしては、牛乳の需給調整、価格の問題、需要の伸び、そういったものとの関連で十分御検討願いたいという立場で厚生省にお願いしているということでございます。
  128. 川俣健二郎

    ○川俣委員 局長考え過ぎだと思います。牛乳を多く飲んでもらいましょうということだけれども、あなたは、加工乳はなぜ必要かと言ったら、地域的に無理なんでやむを得なく必要なんだ、こういうことでしょう。不足だというから、加工乳ができるわけでしょう。そうじゃないですか。だからそれは、少しあなたは考え過ぎだ。やはり、あなたの立場は、牛の乳ぶさから出た自然牛乳だ、なま牛乳をひとつ飲みましょうという運動のあれに立つべきでしょう、畜産奨励もあって。それをどのように取り締まるかということは厚生省の食品衛生のほうでやるわけだから、そういう考え方からすると、どうも局長、まずい理解をしたな。あなたの立場というか、考え方を。  それではもう少し数字で言いましょうか。五百万トンで、そのうち約半々乳製品と飲用向けと両方ある。飲用向けは二百五十万トンくらい飲むと理解していいわけですね。どうですか。
  129. 増田久

    ○増田(久)政府委員 大体おっしゃるとおりでございます。
  130. 川俣健二郎

    ○川俣委員 それでは、その二百五十万トンのうち、どうしても無理だというのは何トンくらいあるのですか。二百五十万トンのうち、なま牛乳では飲ませられない、こういうところは何トンくらいあるのですか。
  131. 増田久

    ○増田(久)政府委員 現在いわゆる還元乳として製造されているものがその分であるというふうに理解いたしますと、年間約二十万トンでございます。
  132. 川俣健二郎

    ○川俣委員 そうすると、二百五十万トンのうち、加工乳というのは二十万トンだけなんですね。どうなんですか。
  133. 増田久

    ○増田(久)政府委員 四十六年度は二十五万トンでございまして、その分が足りないという理解でございます。
  134. 川俣健二郎

    ○川俣委員 説明員でもけっこうですから、二十五万トンというのは正確に言うと何トンのうちの二十五万トンか。四十六年度の実績は出ておるわけですね。ちょっと知らしてください。
  135. 増田久

    ○増田(久)政府委員 詳しい数字で申し上げますと、四十六年度で飲用牛乳向けの牛乳の消費量が二百六十六万四千トン、それで飲用牛乳の生産量が全体で二百九十一万九千トンでございます。その差額の二十五万五千トンという分が還元乳として加えられたものというふうに理解をしていただけばけっこうかと思います。
  136. 川俣健二郎

    ○川俣委員 そうすると、いま牛乳問題でもめておるというのは二十五万トン分のためですね。どうですか。
  137. 増田久

    ○増田(久)政府委員 そういうものがあるために、いろいろインチキ牛乳だというような非難が出るという点で問題になっております。
  138. 川俣健二郎

    ○川俣委員 そうすると、二十五万トンの中にこれが入っておりますか。森永A牛乳、何でAとつけるのか知らないが、こういう表示がしてある。これはどうです。
  139. 増田久

    ○増田(久)政府委員 加工乳という表示がしてありますれば、それは還元乳が一部含まれておるというふうに御理解願いたいと思います。
  140. 川俣健二郎

    ○川俣委員 そうすると、加工乳はどの地域に出回っておりますか。というのは、あえて聞くのは、私の見るところでは、なま牛乳よりこっちのほうが東京都では多いんですよ。だから聞きたい。
  141. 増田久

    ○増田(久)政府委員 加工乳の一番出回っておりますのは関東、東海、近畿でございます。一番多いのは近畿でございまして、その次が東海、関東の順序になるわけでございます。
  142. 川俣健二郎

    ○川俣委員 一番不足するのは近畿だということだと思いますが、では近畿は何トンくらいですか。
  143. 増田久

    ○増田(久)政府委員 数字が四十五年になってちょっとちぐはぐになりますけれども、近畿の場合になま乳の生産量が年間で三十九万七千トン、それに対してなま乳の消費量が五十二万六千トンということは、その差額であります十二万九千トンが他の地方から入ってくる。これは年間の年均でございます。  先生御存じのとおり、問題は夏場の消費量になるわけでございまして、夏場になりますとおおむね加工乳の五割は還元乳でまかなわれておるというふうに御理解願いたいと思います。
  144. 川俣健二郎

    ○川俣委員 不足するのはほんとうに夏場だと思いますね。なぜ年がら年じゅうこれがあるのだろうかということです。どうです。
  145. 増田久

    ○増田(久)政府委員 一つの商品としての銘柄を出しておりますから、そういう銘柄で年間出していくということはメーカーの立場として当然あり得るわけでございます。
  146. 川俣健二郎

    ○川俣委員 それはそうだけれども、しかし答弁にならないのだよ。東京都民はこちらのほうを多く飲まされておるというか飲む。いま大臣はどっちの牛乳を飲んできたか知りませんが、そういうことなんです。というのは、夏場だけ、ほんとうの夏場は七月、八月だと思うのですが、この二カ月だけが不足で困ったということなのかというのです。どうです。
  147. 増田久

    ○増田(久)政府委員 これは一番最初に申し上げましたとおり、商品として牛乳を出すわけでございますから、どうしても商品としての均質性という問題が問題になるわけであります。それからもう一つは、品質を保証するということがどうしても必要なわけであります。そういうことで、普通の場合におきましても牛乳の調製をする場合が当然あり得るわけでございます。そういうことで、冬場におきましても加工乳はなくならない。そういうことで、調製する場合は当然あるというふうに御理解願いたいと思います。
  148. 川俣健二郎

    ○川俣委員 それでは畜産局長は、畜産奨励その他農林省の局長として、なるべく食品衛生法にひっかからない、乳等省令にひっかからない範囲内で生乳を飲んでもらいたいという姿勢でいると理解していいですか。どうです。
  149. 増田久

    ○増田(久)政府委員 これも先ほど申し上げましたとおり消費者の素朴な感覚として、なまの、しぼったままの牛乳を飲みたいという感覚がありますので、私はやはり指導奨励という立場に立ちますれば、そういうものが一番望ましいということを言うのは当然でございます。     〔委員長退席、増岡委員長代理着席〕 ただ、それを法律までに縛るかどうかということは、現実に価格問題とか需給問題にいろいろと問題がございますので、指導としては私は当然だと思っておりますけれども、省令で縛ることについてはなお検討をすべき問題が多々ある。特に、先ほども何度も申し上げますとおり、価格問題というものにこれは直に響いてまいります。現実に、全体としては牛乳の需要が停滞している。停滞する一番大きな原因というものはやはり価格関係にあるわけでございますが、そういう点で規格問題とは離れた問題ではありますけれども、もう少し厚生省にお願いをしたい、かように考えておるわけであります。
  150. 川俣健二郎

    ○川俣委員 局長は盛んに価格、価格と言うのだけれども、価格は二円高いのだよ、こっちは。加工するから高いのはあたりまえだと言うのだ、おれは。ある人から言わせると、ほんとうの牛乳は安くて、まがいものは高いのはどういうわけだと、こういう質問をする人がいるけれども、それは違うよ、経済の法則から言えば、加工すれば高くなるのはあたりまえなんだよ。なぜ加工しなければならぬかといったら、不足だからでしょう。ところが、不足だというのは七月、八月分だけでしょう。だから畜産局長としては、不足でない範囲内においてはやはりなま牛乳を飲ませるべきだという考え方に立つわけだろうと言うのだ。価格その他なんということは、ちょっと畜産局長言わせないよ。二百cc二円高いのだから、加工牛乳は。そうでしょう。どうです。
  151. 増田久

    ○増田(久)政府委員 おっしゃるとおりで、私どもはできるだけなま乳に持っていけという指導は従来もとってまいりましたし、現に学校給食等は全部なま乳に切りかえているわけでございまして、われわれは一貫してそういう姿勢をとってまいってきているつもりでございます。
  152. 川俣健二郎

    ○川俣委員 それじゃ価格の問題が出てきたから、これはどういうわけですかね。生産者のほうからいわせますと、これは私からよりも畜産局長の分野だけれども、牛乳、まあ酪農家だな、農民が乳をしぼって、ところがこれは生乳のほうへ行くものだというと一キロ五十円なら五十円だ。ところが、加工用のほうに行くものだということになると、国家が補助して四十四円何十何銭。これはどういうわけだろうかね。
  153. 増田久

    ○増田(久)政府委員 御存じのとおり、牛乳につきましてはどの国におきましても用途別取引というものが行なわれておるわけでございます。したがって、飲用牛乳というものは地域需給ということで価格がきまります関係上、現在たとえば東京周辺では六十円ないし六十一円という価格が出ているわけでございます。それに対しまして、乳製品というものは一物一価と申しますか、全国の需給あるいは世界の需給との関係においてきまってまいる商品でございますので、それはいま不足払いを入れて四十四円四十八銭、こういうことになっているわけでございます。
  154. 川俣健二郎

    ○川俣委員 それじゃ、なま牛乳について全国全部飲ませるのだということになれば、不足払いが必要がないんだと思っていいですか。
  155. 増田久

    ○増田(久)政府委員 おっしゃるとおりでございます。
  156. 川俣健二郎

    ○川俣委員 おれは違うと思うよ。いいですか。私はこう思うのだよ。二百五十万トン牛乳を飲むわけでしょう。二百五十万トンの数字の上では一割にも満たないものでしょう、不足な分は。ところが、そうじゃないんだよ、加工牛乳の出回りは。どういうわけかということでずっと追跡調査すると、まず第一番目、業者が農民から買ってくるときには十四円安くて済むんだよ、あと七円は国家が補助するのだから。もうとにかくキロ十二、三円安く買ってこられる。今度は牛乳をわざわざ定義づけたものだから、まず三%のところまで脱脂する。使った脱脂はどこかで加工用に使うのだ。これは資本の意欲として当然だろう。今度は売るときには加工したほうが、小売り販売のほうは加工牛乳を売った人のマージンが高いんだよ。どうです。これはどこですかな、公正取引委員会ですか。これはどういうわけですか。
  157. 増田久

    ○増田(久)政府委員 御説明する前に、先ほどちょっと数字の誤解があるといけませんので、私の説明が不十分でしたので訂正させていただきたいと思いますけれども、還元乳として脱脂粉乳とバターから還元したものが二十五万五千トン、これが一部でも入りますと加工乳ということになりますので、一部でも入ると加工乳ということで、いま全体の飲用牛乳の四五%は加工乳であるというふうに御理解願いたいと思っております。ですから、約百十何万トンは加工乳が出回っておる、そういうことでございます。
  158. 川俣健二郎

    ○川俣委員 それならわかるのだよ。
  159. 増田久

    ○増田(久)政府委員 それから第二の点は、現在の価格から還元乳というものをつくりますと、現在の保証価格からやりましても、実は還元乳のほうが高くつくわけでございます。従来は、二円か三円ぐらいの価格差が、還元乳のほうが高くつく。これは日本は残念ながら一番高い脱脂粉乳、バターでございますとか、そういうことに相なるわけでございます。昨年、牛乳が六円値上げがございました。それで市乳地帯と原料乳地帯が価格差が縮まってまいりましたけれども、現在でも五十銭から一円ぐらいの価格差はまだ依然として消えてないという段階で還元乳をやりますと、それだけどうしても割り高になるというのは事実でございます。
  160. 川俣健二郎

    ○川俣委員 答えてくれてないのだよ。それじゃ端的に聞くよ。加工牛乳を売る店はなぜ小売りマージンが高いのかというのだ。同じ二百ccを売るにしても、はいこんにちは、買いにくるでしょう。一体鮮度のいい、健康にいいなま牛乳のほうがマージンが低くて、加工牛乳を売る場合は高いのはどういうわけだというのだ。
  161. 増田久

    ○増田(久)政府委員 従来の例といたしまして、やはり加工乳を扱ったほうが小売りのマージンが高かった。したがって、そのほうを売ることに熱心になっていたということは、私も否定できないと思います。小売り店もメーカーもそういう点に力を入れているということは事実で、特に四十一年、四十二年のときに爆発的になって、特にこれが宅配を中心に売られていたということは事実だと思います。ところが、最近に至りまして、先生御存じだと思いますが、どんどん普通牛乳が伸びてまいりまして、加工乳は対前年比九〇%ぐらいの伸びで、絶対量も対前年比で十万トン近く割っている。それに対して普通牛乳はどんどん伸びまして、毎年平均年率八%ぐらいずつ伸びておるという事実があるわけでございます。その間に当然、これは私は一つは消費者がそういうものに目ざめてきたということが一つと、それからこのごろの牛乳の伸びというものがスーパーで伸びる。宅配で伸びるのではなくて、スーパーで伸びてきておる。スーパーで扱われるものはおおむね普通牛乳が中心でございますので、そういうことが中心となって普通牛乳が伸びてきたということで、この傾向は非常にうれしい傾向である、かように考えておるわけであります。
  162. 川俣健二郎

    ○川俣委員 そういう考え方なら、だいぶ私もそう思うのだ。そう思うのだけれども、どうも東京新聞の局長の発言とかいろいろ——東京新聞見たですか。ごらんになったでしょう。その発言とか、どうも加工牛乳を奨励している局長に見えてしょうがないのだよ。  それじゃもっと聞くよ。農協牛乳というのがだいぶ宣伝されましたね。こういうものはやはり奨励すべきだという考え方は当然だろう。これは聞くのはやぼだと思うのですよ。畜産局長に失礼かもしれないけれども、確認したいのだ。
  163. 増田久

    ○増田(久)政府委員 おっしゃるとおりでございます。
  164. 川俣健二郎

    ○川俣委員 それでは、これはどういうわけでAというマークをつけるか。Aミルクという加工牛乳、こんなものは、ほんとうはないほうがいいわけだ。需給体制がうまくいけば、ないほうがいいわけだ。官庁、農林省はもちろん、厚生省はもちろん、とにかく全部こういう加工牛乳はできれば生乳にかえるという姿勢で食品衛生法を検討しているわけだ。だとすれば、これは公取ですか、乙の表示、Aというのを農協の場合これを使うのけどうもということだったそうだが、これはどういうわけなんだ。加工牛乳のほうはちゃんとAを詐しておいてだな。
  165. 熊田淳一郎

    ○熊田政府委員 Aというのは、ちょっとエースという意味にとられやすいということは、エースといえば非常にすぐれておるという意味に解せられますので、それで適当でないというふうに考えておるわけでございます。
  166. 川俣健二郎

    ○川俣委員 それはわかるのだよ。エース、エース川俣といわれたことはないのだけれども、私の言うのは、加工牛乳の森永にも雪印にもAというのを許しているんだよ、加工牛乳ですら。それをほんとうの牛乳を持ってきたとき、なぜAはそれはそのとおりだとすぐ許さないかというのだよ。これはほんとうのエースだよ。われわれから言えば、これがほんとうのエースだ。どうなんだ、これは。答弁にならないよ。冗談じゃない。
  167. 熊田淳一郎

    ○熊田政府委員 牛乳の公正競争規約では、「優良という印象を与える名称」この中にAというものをあげまして、こういうものは適当でないということにしておるわけでございます。これは加工乳、普通乳を問わずそういうことになっておりますので、現在の使われておりますAという表示、これについては改めるように指導をしたと思います。
  168. 川俣健二郎

    ○川俣委員 私の言うのは、農林省の畜産局長も、できれば生乳を飲ませたい、飲んでもらいたいと言っているのだよ。これは畜産奨励からいったって当然だよ。もしそうでなかったら、畜産局長、できない。だけど、いま確認したら、そういう姿勢だ。イデオロギーで——いやいや、それは畜産局長笑っているけれども、冗談じゃないよ。こういうふうに畜産局長が発言しているのだ。生産者団体がフレッシュ牛乳だというのだけれども、牛乳は自然のままで白いもの、そういうイデオロギーで牛乳を飲ませようとする時代は終わった、こう書いてあるのだ。だからこれは危険な局長がすわっていると思ったが、いまいろいろ聞いてみると、それは必要悪であって、できれば生乳を飲んでもらいたいと言う。これは当然だ。それは確認できた。今度は厚生大臣のほうは、やはり食品衛生法なんというめんどうなものにひっかからない生乳を飲んでもらいたいのは当然だ。それから消費者のほうは生乳を飲ましてくれと叫んでいる。そういうときに公取のほうで、いまのは加工のほうは二つともAを許しておいて——そんなものはいまのは答弁じゃないですよ。冗談じゃないですよ、あなた。どうですか。
  169. 相場照美

    ○相場説明員 御説明いたします。  牛乳につきましては、いろいろキャッチフレーズといいますか、一つは濃縮とかあるいは濃厚、あるいはほかの牛乳と比べて非常にいいというようなことばが各社によって非常によく使われております。いろいろなことばが使われております。規約制定当時でございます。たとえばウルトラ牛乳、ダイヤ牛乳、ゴールド牛乳、スペシャル牛乳、これが優良だといわれております。それから濃厚ということを意味することばとしましては特濃、特に濃厚というもの、あるいは高脂肪、それからリッチ、ジャージーというようないろいろなことばが、実は各社において、それぞれまちまちに使われていたわけでございます。こういうことばを、私どもこの規約を制定するにあたりまして、特定の品質以上のものでなければこういうものを使うことは適当でないであろうという指導をいたしまして、一定の基準というものを公正競争規約の実施に関する規則におきまして業界での申し合わせができたわけでございます。  これをちょっと御紹介いたしますと、牛乳または加工乳に濃厚、特濃あるいは特にすぐれているということをいう場合には、乳脂肪分が三・五%以上なければいけない。したがって三・五%以上ないものについて、特に濃厚とかいうようなことばを使ってはいけません。     〔増岡委員長代理退席委員長着席〕 したがいまして、Aというのはいわゆるエースという意味で好んで用いられたことぼでございますが、こういった基準以下のものに対しましてAということばは適当でないであろうという指導をいたした経緯がございます。  今回、農協牛乳につきまして実は私ども相談をお受けしたわけでございます。これは特にAということばを使いたいという趣旨は、これはいわゆる英語のアグリカルチュアということで、いわゆる農協というキャッチフレーズ、これにAということばが適当であろうというようなことでAということばを何とか使いたいのだというようなお申し出といいますか、御相談を受けた経緯がございます。ところが、私どもといたしましては、Aということばを使うについては、やはり一定以上の規格が必要だし、また、そのような形で業界においては指導され、ほぼそれが定着しつつあるという状態の中で、それ以下のものについては使っていただきたくないということを強く申し上げた経過はございます。以上でございます。
  170. 川俣健二郎

    ○川俣委員 それじゃ全然わからないよ。
  171. 森山欽司

    ○森山委員長 速記をとめて。     〔速記中止〕
  172. 森山欽司

    ○森山委員長 速記を始めてください。熊田取引部長。
  173. 熊田淳一郎

    ○熊田政府委員 公正取引委員会といたしましては、表示の問題を担当いたしておるわけでございますが、ただいまの先生の、生乳に重点を置くべきであるというお考え、これは私どもも全く同感でございます。これを表示の点でどういうふうに指導していくかという問題でございます。そこで私どもは、農林省あるいは厚生省とも十分に連絡をとりまして、この加工乳あるいは普通乳、これの規格等につきまして、どういうふうに適当な表示をさせるかということについて、これから十分検討をいたしてまいりたいと思います。
  174. 川俣健二郎

    ○川俣委員 だいぶ答弁が曲がってきたから、私はもっと端的な、いいというしるしを、こっちは許して、こっちは許さないということから始まったのです。だいぶ答弁がそれてきたので、たいへん恐縮なんだけれども理事会にお願いして、この続きを次回にお願いしたいと思います。
  175. 森山欽司

    ○森山委員長 次回は、来たる十二日月曜日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時五十六分散会