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1972-05-19 第68回国会 衆議院 社会労働委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年五月十九日(金曜日)     午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 森山 欽司君    理事 小沢 辰男君 理事 橋本龍太郎君    理事 増岡 博之君 理事 山下 徳夫君    理事 田邊  誠君 理事 大橋 敏雄君    理事 田畑 金光君       有馬 元治君   小此木彦三郎君       伊東 正義君    大橋 武夫君       梶山 静六君    藏内 修治君       小金 義照君    斉藤滋与史君       澁谷 直藏君    田中 正巳君       高鳥  修君    竹内 黎一君       中島源太郎君    中村 拓道君       別川悠紀夫君    向山 一人君       渡部 恒三君    大原  亨君       川俣健二郎君    後藤 俊男君       島本 虎三君    八木  昇君       山本 政弘君    浅井 美幸君       二見 伸明君    古川 雅司君       西田 八郎君    寺前  巖君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 斎藤  昇君  出席政府委員         文部省大学学術         局長      木田  宏君         厚生政務次官  登坂重次郎君         厚生大臣官房長 高木  玄君         厚生大臣官房審         議官      江間 時彦君         厚生省公衆衛生         局長      滝沢  正君         厚生省環境衛生         局長      浦田 純一君         厚生省医務局長 松尾 正雄君         厚生省薬務局長 武藤き一郎君         厚生省社会局長 加藤 威二君         厚生省児童家庭         局長      松下 廉蔵君         厚生省保険局長 戸澤 政方君         社会保険庁医療         保険部長    穴山 徳夫君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      渡部 周治君         厚生省保険局医         療課長     松浦十四郎君         社会労働委員会         調査室長    濱中雄太郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  健康保険法及び厚生保険特別会計法の一部を改  正する法律案内閣提出第四六号)      ————◇—————
  2. 森山欽司

    森山委員長 これより会議を開きます。  健康保険法及び厚生保険特別会計法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。二見伸明君。
  3. 二見伸明

    二見委員 昨日に引き続きまして、厚生大臣の御所見を承りたいと思います。  最初に、確認の意味も含めまして、大臣にあらためて御答弁をお願いしたいわけでありますけれども、今回の改正案に見られる弾力条項については、四十七年度は、いかなる事態がきても発動しない、適用しない、この点はいかがでございますか。
  4. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 四十七年度は発動いたしません。
  5. 二見伸明

    二見委員 ところで、政管健保医療費の問題でございますけれども、総医療費に占める政管健保医療費伸びが著しく高いということが指摘されております。たとえば昭和三十五年に政管健保の総医療費に占める割合というのは一七・一%であった。それが四十五年には二〇・六%になっている。一方、組合健保のほうは一一・八%が一三・二%になっている。政管健保のほうの伸び率というのは三・五であります。組合健保のほうは一・四であります。このように、政管健保医療費伸びが異常に高いという理由について、そして原因について厚生省はどのような御見解を持っていらっしゃいますか。
  6. 穴山徳夫

    穴山政府委員 いま先生指摘のように、政管健保の一人当たり医療費を見ましても、組合医療費よりも高いわけであります。私どもがただいま考えておりますのは、これはいろいろ原因があると思います。たとえば御承知のように、組合管掌健康保険に比べまして政府管掌健康保険というのは、中小零細企業が多く含まれているわけでございまして、たとえば政管健保におきましては、従業員が五十人未満事業所につとめております被保険者でありますけれども、これが全被保険者の五二・八%、半分以上が五十人未満事業所に集まっているというようなこともございますし、それから、事業所規模にいたしましても、十人未満というような小さな事業所が五一・七と、半数以上占めているわけでございます。それで、その結果として、医療費にどういう影響が出るだろうかということでございますが、一つの問題は、たとえば四十五年四月の調べを見ましても、五百人以上の事業所に比べまして五百人未満事業所の一人当たり医療費が、五百人以上を一〇〇といたしますと一一〇・二。結局、規模の小さいところにいる被保険者ほど医療費がかかっているというような状態もございますし、それからまた、所得が低いほど一人当たり医療費が高いというようなこともあるわけでございまして、したがって、中小零細企業をかかえている政府管掌健康保険のほうが、そういう意味支出というものも組合健康保険に比べて相当多くなる要素を含んでいるということも言えると思うわけでございます。  それから被保険者年齢構成を見ましても、五十五歳以上の高齢者の占める割合が、政府管掌のほうが一〇・八に比して組合管掌は五・六と、約半分であるというようなことから、いわゆる老齢者というものは一般若年層に対して医療費が高いわけでございますので、そういう意味からも、医療費支出が多くなるという素質を体質的に持っているということが言えるのではないかと思います。そういったようなことで、組合管掌健康保険に比べまして政府管掌健康保険のほうが医療費支出が多くなるという構造的な要素を含んでおりますので、組合管掌健康保険に比べて政府管掌健康保険の占める医療費が徐々に高くなるということが言えるのではないかと思います。
  7. 二見伸明

    二見委員 政管健保保険集団としては構造的に弱いということは私も承知しております。しかし、異常に高いという理由について、なぜ異常に高いのかという分析について、私はいまの御答弁は非常に不明確だと思います。というのは、たとえば政管健保組合健保人数を比べますと、昭和四十一年には政管健保は千二百十万六千九百七十五人です。四十五年は千三百二十九万三千二百七十九人。五年間で約百十八万人ふえているわけです。一方組合健保のほうは七百五十九万九千六百八十人、四十五年が九百六十九万六千四百九十一人。二百九万人ふえているわけです。組合健保のほうが人数からいけばふえている。労働人口は年々ふえるのですから、政管健保のほうも組合健保のほうも人数がふえるのは当然でありますが、組合健保のほうの増加率が高い。そして年齢構成については、たとえば、私はいま総医療費に占める割合は三十五年と四十五年をとりましたけれども、そうした状況は三十五年と四十五年とで著しい変化を遂げたわけではないと思います。それは多少の変化はあるだろうと思う。しかし、それがべらぼうな変化を遂げたと私は思いません。  それからもう一点、あなたは中小零細企業が多いのだとおっしゃった。確かに中小零細企業が多い。それでは、標準報酬月額というものは、これは私が計算したデータですから正確かどうかわかりませんが、四十一年と四十五年のデータを持っております。四十一年と四十五年、この五年の間に格差は縮まっていると思いますか、拡大していると思いますか。
  8. 穴山徳夫

    穴山政府委員 四十一年の政府管掌健康保険年間平均標準報酬は二万八千八百七十七円で、四十五年の年間平均標準報酬は四万六千七百七十六円でございます。それから組合のほうは、四十一年の平均標準報酬が三万九千二百六円でございまして、四十五年が六万一千九百十五円でございます。
  9. 二見伸明

    二見委員 これはあとで計算していただけばわかるのでありますけれども組合健保のほうの標準報酬月額を一〇〇といたしますと、四十一年は大体七六ぐらいだと思います。ところが四十五年には七九ぐらいになっているはずであります。これはあとで計算していただきたいと思います。いずれにしても、賃金格差というのは、多少ではあるけれども、縮まってきているだろうと思う。そうすると、政管健保のほうが異常に伸び率が高いというのは、中小零細企業だからだという賃金格差に求めるというよりも、むしろほかのところにあるのじゃないか。そして、そこにきびしい分析対策をしてこなかったことが、政管健保の異常な伸びになってきているのだろうと思う。この点にメスを入れなければ、あなた方は今度当面の措置として赤字対策をやろうとしておりますけれども幾ら赤字対策をやってみたところで、政管健保財政事情が健全化されるとはとうてい考えられない。その点はどうお考えですか。
  10. 穴山徳夫

    穴山政府委員 いま一つども考えておりますのは、先ほどもちょっと触れましたが、五十五歳以上のいわゆる老人の率の問題でございますけれども、ただいま全般的に老齢化現象が進んでおりますが、政管健保の被保険者年齢構成についても、老齢化現象というものが相当あらわれておりまして、四十一年に被保険者の中で五十五歳以上の占める割合は八・六%でありたわけでございます。   〔委員長退席橋本(龍)委員長代理着席〕 ところが、四十五年の十月には一〇・八%になりました。これに対して、組合健保のほうは、四十一年のときには四・六%であったわけでございますが、四十五年には五・六%になったわけでございまして、これから一つの推測をいたしますと、やはり政管健保の被保険者というものは、組合に比べまして老齢化現象が相当激しいというようなこともいえるのではないかと思います。これは、御指摘のように、精密に分析をし尽くしていないというのはまことに遺憾でございますけれども、私どもいま気づいている一つ原因ではないかというように考えております。
  11. 二見伸明

    二見委員 疾病予防費というのは、政府管掌健保組合健保のほうではどうなっておりますか。これは一人当たりでお願いします。
  12. 穴山徳夫

    穴山政府委員 政府管掌健康保険におきましては、疾病予防費の四十六年の総額が約九千万でございまして、被保険者一人当たりに直しますと、大体七円ぐらいになります。
  13. 二見伸明

    二見委員 疾病予防費は四十六年度は政府管掌のほうが被保険者一人当たり七円、組合健保のほうは千二百七十円。政府管掌保険者一人当たり七円というのは、四十七年度では変わりましたか。
  14. 穴山徳夫

    穴山政府委員 四十七年度におきましても約九千二百万くらいで、被保険者の数で割りますと約七円であります。
  15. 二見伸明

    二見委員 政管健保赤字赤字とおっしゃいますけれども、被保険者一人当たり七円という疾病予防費、それが四十六年度も七円である、赤字対策考えた四十七年度も七円である、ここに私は政府政府管掌に対する態度というのが明らかになっておると思うのです。ここら辺を放置しておいて幾ら赤字対策を講じてみたところで、それはその場限りの小手先の策にすぎないんじゃありませんか。厚生大臣、この点はどういうふうにお考えになりますか。
  16. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 おっしゃいますように、政管健保疾病予防費は非常に少のうございます。これは一つには、非常に小さい事業所が多いわけでございますので、したがって、そのやり方が非常にむずかしいという点もあろうと思いまするし、そういった零細企業はどちらかというと一般の地域の疾病予防というようなほうにおいてまかなわれている点が多いと、かように考えます。  それにいたしましても、今後やはり政管健保においても疾病予防というものをもっと強めなければならない、かように考えます一この点は来年度予算において疾病予防費なり、また実際の政管健保に従事する職員をふやしまして、そしていわゆるレセプトの過誤というものをいまよりももう少し、少なくとも組合健保並み過誤の発見のできるようにいたしたい、かように考えております。
  17. 二見伸明

    二見委員 私は一つは、この赤字問題を考えているときに疾病予防費が一人当たり七円という信じられないくらい低額で来たということ、これを放置しておいたことに厚生省責任というものを感じていただきたいのです。もしこれに対して事前に前向きの手が打たれていたならば、あるいは今日のこれほど大幅な赤字問題は起こらなかったかもしれない。病気にかからないための対策が、私は一番大事だったろうと思うのです。それをやらなかったところに厚生省の大きな問題がある。この点をまず御認識をしていただきたいのです。  もう一つ。きのうの公聴会でもって公述人方々から出された意見というのは、一人当たり医療給付費都道府県別格差があるという問題がありました。これはわが党の浅井委員も先日ここでこの問題については厚生大臣意見を聞いたわけでありますけれども、たとえば奈良は五万四千九百四十九円、第一位です。京都が五万四千八百六円、東京が二万八千五百二十二円、どうしてこのような差があるんだろうか。きのうは公述人方々が、厚生省に問い合わせしても厚生省ではわからぬとか、厚生省で明確な答えを出してくれないという不満意見が出されておりました。徹底的に調査してもらいたいという、そういう要求もありました。この点について、格差がどうしてあるのか、この格差を今後どういうふうにしていくのか。格差是正というのは二つやり方がありまして、高いところに合わせてしまうというやり方一つある。京都は五万四千円だ、では一番下も四万円くらいに持っていけば格差は縮まるのです。こういう縮め方もある。もう一つは、低いところに合わせていくというやり方もあるのです。東京が二万八千円だ、では奈良はもっと四万円に下げよう、下げるように努力しよう、そのためにこういう手を打とう、こういう問題もあるはずであります。こういう点についてどういうふうにされるのか、あらためて御所見を伺いたいと思うのです。
  18. 穴山徳夫

    穴山政府委員 先生がいま御指摘になりました一人当たり医療給付費は、四十五年度で見ますと奈良最高で五万四千九百四十九円、東京が最低で二万八千五百二十二円でございます。結局この格差がどうして出てきたかということを分析する場合に、一人当たり医療給付費というのは、これは一日当たり金額とそれから一件当たりの日数とそれから受診率との三つ要素が掛け合わさって出てまいるわけであります。したがって、その三つ要素がどういうような動きを示しているかということが分析の第一歩になるわけでございます。その場合になぜたとえば受診率が高いか、あるいはなぜ一日当たり金額が高いかということについての分析というのは、ただいま御指摘ございましたように、残念ながら私どももいろいろと要素考えてみましてもまだ解明するには至っておりませんで、まあよく言われておりますのは、たとえば医療機関の分布が多い、稠密と申しますか、医療機関が多いところは医療費が高いとか、あるいは生活水準が高いところは医療費が高いとかいうようないろいろなことが言われておりますが、それではもしそれがそうであったとしたらば、なぜそうなるのかという、その因果関係を私どもがまだ解明し切っていないわけでございます。今後はやはりこういったようなことについて私どもとしても分析をし、その原因を究明しなければいけないというように考えております。
  19. 二見伸明

    二見委員 これは、いつごろから問題意識厚生省は持っていたんですか。
  20. 穴山徳夫

    穴山政府委員 これはいわゆる政府管掌健康保険財政が悪化し始めたときから、どういうような原因医療費が高くなっていくのであろうかというようなことは、いろいろと考えられていたわけでございますが、いま申しましたように、いろいろな要素がからみ合っておりますので、なかなか解明し切れないままに今日に至っているというのが実情でございます。
  21. 二見伸明

    二見委員 要するに、赤字になる原因がよくわからぬわけです。厚生省のほうは調査もあまり完ぺきにされていないようです。ただ赤字になるから赤字になるからということで料率を引き上げられたり、それは被保険者の立場にとってみれば、これほど不合理な、わけのわからない話はないわけです。私はこの問題についてはくどくは申しませんけれども政管健保医療費が異常に高いということ、あるいは都道府県別格差があるということ、これについては当然厚生省でいままで問題意識があったと思います。調査もされてきたと思います。それはこれからも調査をしていただくと同時に、私はできるだけ早く、こういう原因だと思いますという、中間的な形でもいいから報告をしていただきたいと思うのです。都道府県別格差があるというのはこういう理由だろうと思う、また因果関係がはっきりしていなければ、因果関係がはっきりしてないけれども現在調査の段階ではこういう点にあると思う、医療費伸びが高いのは、あなたは年齢構成が高いと言うが、組合健保と比較してこのように年齢構成が高くなっているとか、それも一つ原因だろうと思いますが、私はそれだけじゃないだろうと思う。その要素は私は認めますよ、しかしそれだけではないだろうと思っています。厚生省側健康管理という面について、私は疾病予防費七円という問題を出しましたけれども、そういう面からも手が打たれてなかったんじゃないだろうかと思います。そういう点、厚生省の反省も含めた、きちんとした、中間的なものでけっこうでございますから、報告を出してもらいたいと思います。その点いかがですか。
  22. 穴山徳夫

    穴山政府委員 私ども政府管掌健康保険運営を預かっている者として、当然いま先生が御指摘になられたようなことについては真剣に取り組まなければいけない責任があるわけでございまして、先生がおっしゃるような方向に沿ってできるだけ努力をいたしたいと思っております。
  23. 二見伸明

    二見委員 ところで、今回弾力条項を設けたそのねらいというのは、これは端的に言って赤字対策である、こういうふうに言ってよろしいでしょうか、大臣
  24. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 赤字対策と申しますよりも、単年度赤字を出さない。また医療費に要する総額保険料収入、あるいは、過剰が起こるということはほとんどないと思いますけれども、そういった場合のことも考えて、不足の場合においてもある一定の限度内で、単年度赤字を出さないようにする仕組みをやっておく必要がある。これは、いままでの累積赤字をたな上げして今後は単年度赤字を出さないというやり方をやりますためには、単年度赤字を出さないための配慮が必要である、かように考え弾力条項を設けたような次第でございます。
  25. 二見伸明

    二見委員 弾力条項を適用いたしますと、最高限千分の八十を適用いたしますと、被保険者料率というのは四十になりますね。組合健保のほうでは、四十五年度の平均料率は二十九・一六ですね。厚生大臣政管健保組合健保との間に格差があるということ、この格差是正しなければならない、負担の公平という面から見ても是正しなければならぬということ、これは前々からいわれておりましたね。弾力条項を適用すると、この格差というのは拡大いたしますね。この格差が拡大するということについては、大臣はどういうふうにお考えですか。やむを得ないとお考えでしょうか、それともとんでもないことだというふうにお考えでしょうか、積極的にけっこうだという御認識でしょうか、いかがでしょう。
  26. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 今後ほうっておけば、弾力条項があるとないにかかわらず格差が多くなってくる、これはもう当然で、弾力条項のために格差が多くなるのじゃございません。そこで抜本改正におきまして格差のあまり生じないようなことを考えてまいらなければならない。これは保険料の公平という意味から、それからまた給付の公平という意味からも。そこでその点は抜本改正において今後格差を縮めていく考え方をとっていきたい、かように考えております。
  27. 二見伸明

    二見委員 今度、国庫補助定額制定率制になりまして五%になりました。五%というのは、格差を拡大してはいけないという観点から考えて妥当な数字だというふうにお考えでしょうか。
  28. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 国庫補助のあり方によって格差をなくしていくということも考えられないことはないと思いますが、しかしこれは国民の税金でありますから、したがって一般国民負担において格差是正するということでございましょう。今度の五%の補助は、これを定率にいたしましたのは、定額よりも定率のほうが合理的であるという意味でいたしたわけでありまして、このために格差を大いに是正をしようという考え国庫補助定率にしたというのではございません。
  29. 二見伸明

    二見委員 私は、定額定率になったということに関しては評価いたします。五%という数字にははなはだ不満であります。いま大臣のお考えは、定額定率にしたというのは、合理的だということで定率にしたのだ、国庫補助でもって格差是正しようという考えは毛頭ないのだというふうに受けとめてよろしいですか。
  30. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 毛頭ということばは過ぎるかもわかりませんが、これで格差是正をはかろうという趣旨ではございません。
  31. 二見伸明

    二見委員 あなたが格差是正したいというのは、いわゆる財政調整によって、組合健保のほうは黒字なんだから、その黒字のものを政管健保のほうへ持ってきてしまおう、そうして穴埋めしていくのが一番格差是正にいいのだ、こういうお考えですか。
  32. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 先ほどから二見委員も認めておられますように、政管健保組合健保の間には、平均をいたしますると構造上の大きな相違がございます。この構造上の相違からくる格差というものは、保険仕組みが違うから、こういう構造仕組みにしているからそうなるわけでありますから、したがってその構造上からくる格差を、これを……。   〔「構造とは何だ」と呼び、その他発言する者あり〕
  33. 橋本龍太郎

    橋本(龍)委員長代理 静粛に願います。
  34. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 財政調整によってできるだけ均衡化をはかってまいりたい、かように考えるわけでございまして、公明党の基本法で出しておられまする、健康保険組合は全部政管に統一するという基本的な考え方を表明しておられますが、こういうふうになればそういった構造によって違う格差というものは是正されるわけであります。私らの考え方も、将来はそういうような考え方でいわゆる格差というものをなくする必要があるだろう、かように考えております。
  35. 二見伸明

    二見委員 社会保障制度審議会の答申だったと私記憶しておりますけれども財政調整については、組合健保間の内部でもってまず財政調整をやって、なおかつ余裕がある場合には政管健保に回すのが筋ではないだろうか、こういう意味ことばがあったように私記憶しております。この点については、厚生大臣はそのお考え方をおとりになるのでしょうか、そういう考え方はとられないのでしょうか、いかがでしょうか。
  36. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 両審議会におきまして、財政調整という点は考え方としては考えられる、それはいいだろう、しかしながら、先ほどおっしゃいました政管健保運営というものの効率化もはかり、そして周辺の情勢も整えて、その上でやるべきだ、いますぐやるのは早過ぎるということでございますから、したがって厚生省といたしましては、指摘される政管健保運営効率化というものもはかり、その中にはいまおっしゃいました疾病予防ということもございまするし、いろいろございますが、そして運営の面においては組合健保と差異はないという状態にして格差是正をはかりたい、かように考えております。
  37. 二見伸明

    二見委員 話を国庫補助の問題に戻しますけれども大蔵省は見えておられますね——厚生大臣は、先ほど答弁をお聞きになったように、国庫補助定率という問題は格差是正ということがねらいではない、こう言われておりました。大蔵省も同じ考えですか。大蔵省国庫補助を、最終的にはあなたの管轄でもって五%にきめたのだろうと思うのです。大蔵省が五%にきめた理由はどこにあるのですか。そして、政管健保という弱い保険集団に対しては、国庫補助率を定率五%を大幅に引き上げることによって、五%じゃなくてもっと高いものにすることによって、政管健保というものを見ていくべきだというのが私の基本的な考えなんです。大蔵省はそういう考え方は今回はとらなかったわけですね。五%と出した理由を言ってもらいたいのです。
  38. 渡部周治

    渡部説明員 まず最初にお尋ねの、今度の定率五%にした際にいわゆる格差是正というねらいを持っておったかどうかというお尋ねでございますが、この点につきましては、先ほど厚生大臣がお答えになられたとおりの考えをわれわれは持っています。  それから五%の根拠でございますが、これにつきましては、われわれといたしましては、税金で充当していくか、あるいは保険料給付費の財源に充てるかということについては、いろいろ考え方があろうかと思いますけれども、わが国の場合には保険主義をとっておるという前提に立ちまして、本来であれば保険集団の自主的努力でその保険給付費をまかなうのがたてまえであろう、このように基本的には考えておるわけでございますが、政管健保につきましてはその収支が非常に悪化しておりまして、これを放置しておきますと制度崩壊の危険すらある、こういうことで、従来は予算の範囲内で定額国庫補助ということで、二百二十五億円を据え置いてきてまいったわけでございますけれども、そういう収支状況にかんがみまして、国としても税金財源からあえて応分の負担をすべきであるというたてまえにおきまして、基本的には三つの大きな柱でいたしたわけでございます。  一つ定率国庫補助ということでございまして、従来の定額国庫補助を今後は、給付費が伸びればそれに応じてスライドして国庫補助額をふやすということで、定率国庫補助に切りかえる。その五%につきましては、従来の定額国庫補助の場合の給付費に対する割合、そういったものを勘案しまして五%というぐあいにきめたわけでございます。さらに国の援助の姿勢といたしましては、累積損失を保険集団外の負担にいたしまして、これを全額一般会計から見るということにいたしましたことと、それからさらに将来におきます弾力条項の発動の際には、国もそれに見合って国庫補助率をふやす。それでこの国庫補助率をふやすに際しましては、千分の一に対しまして百分の〇・四ということでございますので、非常に限界的には大きく国庫補助が増加をいたす。こういうことで、このようなことをやり、さらに保険のサイドにおきましてもいろいろ自主的努力をされる、こういうことによりまして政管健保の収支が安定するのではなかろうか、これによってこの危機を救おう、このように考えた次第でございます。
  39. 二見伸明

    二見委員 ところで、赤字対策についてもう一度大蔵省にお尋ねしますけれども、たな上げ赤字は二千百九十四億円ですね。四十七年度で累積赤字が二千百九十四億円になる。これを今度は、改正案では全部たな上げする。たな上げするうち、一般会計に繰り入れるものと一般会計に繰り入れないものがありますね。固定資産についておよそ三百億円はこれは一般会計に繰り入れませんね。この点についてまずどういうふうにお考えになっているのか。
  40. 渡部周治

    渡部説明員 いわゆる累積赤字というものは借り入れ金の総額でございまするが、そのうち一般会計、税金で見るものは累積損失に相当するもの、こういう考え方で、いわゆる企業会計上損失に相当する額ということになりますので、いわゆる資産見合いのものを控除いたしました残額、これにつきまして一般会計から補てんすることにいたしたい、かように考えております。
  41. 二見伸明

    二見委員 たな上げされた赤字のうち、固定資産に関するものが約三百億円、それから保険料の未収が百億円ある。およそ四百億円あります。未収はともかくといたしまして、固定資産について三百億円赤字ということで、これはたな上げされましたね。しかしこれは一般会計では見てもらえないのです。これはたな上げされたけれども、いつまでもたな上げにしておくのですか、それとも償還をするのですか。
  42. 穴山徳夫

    穴山政府委員 借り入れ金の対象にはなりますので、四十七年度が過ぎましてからもその分は借り入れ金として残っていくわけでございますけれども、将来財政が安定いたしまして、恒久的にも運営が安定していけるというときに、可能な範囲でその借り入れ金について逐次償還をしていくということになると思います。
  43. 二見伸明

    二見委員 それではその安定するまでの間、三百億円についての利子がからみますね。利子は無利子になるのですか。
  44. 穴山徳夫

    穴山政府委員 その分の利子は払わなければいけないと思います。
  45. 二見伸明

    二見委員 安定するまでの間はたな上げしておく。五年かかるか十年かかるかわかりませんけれども、利子はたしか六分五厘ぐらいでしょう。六・五%ぐらいでしょう。そうですね。そうすると三百億の六・五%というと、これは約二十億円ですね。十八、九億円になりますね。それが毎年利子として重なっていきますね。これは、この三百億円についての赤字というのは、たな上げしたけれども、その赤字は結局は保険料収入で見なければならない。十年ほうっておけばその分だけ利子がついてくる。この事態からも、保険料に関しては問題が起こってくるんじゃありませんか。政管健保財政は、たな上げされたはずのうち一般会計に繰り入れられない分について、やはり問題が起こってくるんじゃありませんか。これは固定資産だからという企業べースの考え方をしないで、赤字をたな上げするのならば、むしろここまで一般会計で見たらいいじゃありませんか。そうすれば政管健保としても非常に軽くなるんじゃありませんか。厚生大臣どうですか。どうせ四十八年度予算でこれは問題になってくるでしょう。
  46. 穴山徳夫

    穴山政府委員 いわゆる資産見合いの中の三百億の分はいわゆる固定資産として保有されておりますので、その三百億自身は借り入れとして泳いでまいりますけれども、その利子分ぐらいは毎年払っていこうということにしたわけでございます。
  47. 二見伸明

    二見委員 利子分だって十八億も二十億もあるのですよ。いまでも苦しいのですから。厚生大臣、この点については大蔵省とはどういう話になっておりますか。大蔵省はあくまでもさいふのひもがかたくて、企業ベースの考え方厚生省側の言い分を認めなかったということなんでしょうか。厚生省のほうとしても、いや、これはやむを得ないというふうに最初から思っていたのですか。これはおそらく四十七年度予算折衝のときに話は出ているはずですので、これはどういうことになったのでしょうか。
  48. 穴山徳夫

    穴山政府委員 大蔵省と検討を重ねまして、いまの線で私どもとしてはきめたわけでございます。
  49. 二見伸明

    二見委員 きめたからこうなったのはわかるのです、きめなかったらそうはならないのですから。だから、こんなきめ方をすべきじゃないというのがわれわれの考え方なんです。大臣、これはどうですか。確かに今回の法律はこうきまったのです、改正案では。
  50. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 やはり健保の運営も企業べースでやるのがまあ至当であろう、かように考えます。そう考えますると、これはやむを得ない、かように考えております。
  51. 二見伸明

    二見委員 そうすると、たとえば利子分にしろ、この面からも同じように弾力条項適用の条件が備わってくるんじゃありませんか。これはどうなんですか。この面からも弾力条項の適用をする場合の一つの条件というか、要素になってくるんじゃありませんか。
  52. 穴山徳夫

    穴山政府委員 一つ要素には入ると思います。
  53. 二見伸明

    二見委員 大臣はきのう、弾力条項を適用することはあまり好ましくないというお考えだったと思います。でき得れば発動したくない、やむを得ない場合に発動せざるを得ないというふうに、きのうたしか御意見を伺ったように私記憶しておりますけれども、このたな上げされた赤字分に対して、それが弾力条項を適用しなければならぬ要素一つだといま保険部長答弁されましたけれども、こういう面からも弾力条項を適用せざるを得ない状況に私は追い込まれてくるだろうと思います。その点について厚生大臣、やはりこれはやむを得ないことだとお考えですか。
  54. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 この利子分はそう年によって変わってくるわけでもございませんし、これは要素でないとは申しませんけれども弾力条項を発動をするような、これが非常に多くなってくる少なくなってくるというような問題ではございませんので、私は、弾力条項とはほとんど無関係と、かように考えます。
  55. 二見伸明

    二見委員 もう一つこの点について伺いますけれども先ほど、安定したときに払うんだ、安定するまでの間は三百億円については償還しないんだということでしたね。安定したということは、どの段階で安定したというふうに見るわけですか。いま現在千分の七十ですね。改正案では七十三ですね。弾力条項で千分の八十だ。千分の八十の段階で収支が安定してきたならば三百億円の償還は考えようというのか、現在の千分の七十でもって収支が安定した段階で三百億円の償還については考えようというのか、どの段階でこれはお考えになるのですか。
  56. 穴山徳夫

    穴山政府委員 料率が幾つのときということになりますと、ちょっとはっきりはお答えできないわけでございますけれども、いずれにいたしましても、現在、御承知のように支出が収入を上回っているというような状態が解消されまして、しかもそれが長期にわたって確保されるというような見通しのときに、やはりこの三百億の借り入れ金についての償還というものは問題になってくると考えております。
  57. 二見伸明

    二見委員 収支がとんとんになったときに考える、これはあたりまえなんです。あなたは料率はわからないとおっしゃったけれども、収支がとんとんになるかならないかが料率の問題じゃありませんか、そうでしょう。料率が幾つというときに収支が安定するんでしょう、きまるんでしょう。弾力条項も、収支を安定させるために弾力条項を適用するのでしょう。千分の七十五でもって収支が安定する、千分の八十でもって収支が安定する、あるいは千分の七十でもって収支が安定する、全部料率がからむのですよ、この問題は。安定したというのは料率がからむのです、料率がからまない安定なんということはあり得ないわけですから。あなた方は、安定したときに払うというならば、これが千分の八十という最高の段階で収支がある程度三年、五年と安定したときに考えるというのか。弾力条項というのは緊急避難なんだ。改正案は千分の七十三なんだから、七十三がベースなんだ。七十三でもって三年、五年と安定する形でされたときに考えていこうというのか、その辺の基準は私は当然あるべきだと思うのです。ただ単に収支が安定したというばく然とした言い方だったら、料率をうんと引き上げれば収支が安定するのですから……。あるいは、もう一つ考え方がありますね。国庫補助率を、五%を大幅に引き上げて収支が安定したという場合がありますね。どちらの段階でこれは、三百億円についてお考えになるのですか。この辺、はっきりしておきませんと、最終的にはこれは被保険者にくるのですから、はっきりしていただきたいのです。
  58. 穴山徳夫

    穴山政府委員 財政の安定の問題は、結局、収入の問題と、それから医療費のこれからの動向の問題とがからみ合ってくるわけでございまして、したがって、その両者の関連の上に立って長期に安定をしているか、まだ不安定な状態であるかという見通しを立てなければいけないと思うわけでございますが、そういうことで、収支両面にわたっての見通しの上にこの問題は考えていくということになると思います。
  59. 二見伸明

    二見委員 私はどういう条件かと聞いているのですけれども、あなたはなかなかおっしゃらないようですね。大臣はどういう条件でこれはおやりになりますか。
  60. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 ただいま政府委員から答弁申し上げましたように、これなら当分の間収支は安定をするというときでございますから、どういう条件というのは、とにかく、収入と支出が将来これなら安定するだろうというときであります。それ以外に条件というものはございません。
  61. 二見伸明

    二見委員 とすれば、千分の七十五の場合かもしれないし、千分の八十の場合かもしれないということですね。いかがですか。
  62. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 さようでございます。あるいは千分の七十三で安定するか、あるいは七十七で安定するのか、医療費の状況も見てまいらなければならない、また賃金の上昇のあり方も見てまいらなければならないと思います。
  63. 二見伸明

    二見委員 私は、この問題については、一つ明らかになっただろうと思うのです。というのは、三百億というものは結局は保険料収入でもって償還しなければならない。そのためには、その条件は、千分の七十五の場合もあるし、千分の八十の場合もあり得る。ということは、逆なことばでいえば、この弾力条項を適用することによって収支を安定させて三百億円を償還される、これが私は厚生省の基本的な三百億円に対する対策と、そう考えるのですけれどもね。私はそういうふうにしか、いままでの御答弁を受け取れない。そうなんでしょう。
  64. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 これは何も弾力条項とは関係がございません。弾力条項は、とにかく、一々国会におはかりをして、そして保険料の上下をそのたびにきめるか、この範囲内はまかせていただくかということであって、保険料率とどう関係を持つかという問題であります。これは弾力条項と関係がない……   〔発言する者あり〕
  65. 橋本龍太郎

    橋本(龍)委員長代理 答弁中でありますから、静粛に願います。
  66. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 と申しますのは、私の言うのは、保険料率をどうするかという問題であって、弾力条項があれば保険料率を不必要に上げるんであろうか、あるいはないかということであって、それとは関係がないと私は申しておるのであります。保険料率とそれから標準賃金の上昇率というものと、もう一つは一方の医療費総額の問題というものと、どう見合っていくか。これが大体見合っていくというときには財政が安定したと、こういうふうに考えるわけであります。
  67. 二見伸明

    二見委員 弾力条項とは関係ないんだとおっしゃいますけれども、それでは私、大臣にはっきりしていただきたいんですけれども、たとえば弾力条項で、今度はこういう事情でもって千分の七十五にする——私はこの法案については、われわれは廃案にすべきだという基本的な考え方を一歩もくずしません。不幸にしてあなた方のほうのゴリ押しでもって通された場合ですけれども、そのときのために私ははっきりさせておきたいのでありますけれども弾力条項をあなた方が適用する場合に、今度たとえば千分の七十五にいたします、そのときに、その中身は国会に明らかに出してくれますね。そうしてそのときに、たとえば三百億円の返還が含まれているならば、三百億円についてはこの料率引き上げによってこれだけは返還いたします、このことを明らかにしてくれますね。私は、弾力条項と関係がないと言った以上は、三百億円というのはその中に全然出てこないと考える。この点はいかがですか。
  68. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 弾力条項を適用して保険料率を上下している間はそれは問題にしないという、そういう意味ではございません。弾力条項は、一定の範囲内におきましては保険料率を上下をする、また国庫負担を上下をするという仕組みでございますから、そこでこの三百億の返還をどこからやるか、いつやるかということは、これは先ほど申しました収支が適合したときにやるわけであります。これをやる段階には国会に、これは御質問が必ずあると思いますが、そう申し上げます。
  69. 二見伸明

    二見委員 それからもう一つ。この赤字たな上げについては、答申の中では、保険料収入で充てるべきではないということが明確に法文化されないと不安でならない、そういう趣旨の文句が答申の中にございますね。三百億円については事実上は保険料収入で充てるわけでありますので、この点については答申の危惧したとおりの現実が起こっているわけでありますけれども、この点については大臣はどういうふうにお考えになりますか。答申のいうことが無理なんだ、おれたちのいうことが正しいんだ、こう開き直られるお考えでしょうか、どうでしょうか。
  70. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 答申には、その資産に対応する赤字の問題には触れておりません。たな上げしたものを一般財源から払う、こういうているけれども、場合によったらやはり保険料収入から払うというようなこともあり得るのではないか、そういうことのないようにしておいたほうがよくはないか、こういう意見でございます。この点は大蔵省ともかたく約束をいたしておりますし、そういうことには絶対にいたさないという大蔵省の方針でもあり、政府の方針でもありますから、私はそれでよろしい、かように考えております。
  71. 二見伸明

    二見委員 答申は、固定資産をあの中に考えておらぬのだ、固定資産については別扱いにしているんだと、厚生大臣はそう言われているわけですね。答申は、固定資産のことについていっているんじゃないんだ、そのほかのものについては保険料収入で充てるんじゃないというのが答申の趣旨なんだ、こういうことですね。それなら、私はもう一度審議会に、この点についてはっきり意見を統一してもらいたいのです。厚生大臣認識審議会認識と、同じなのか違うのか、この点はっきりしてもらいたい。
  72. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 私の申し上げておりますのは、固定資産の問題には答申は触れておりませんし、おそらくそこまで分析しての議論はなかったんであろう、かように思います。
  73. 二見伸明

    二見委員 分析してないからそうやるんだというお考えですね。  では、時間がありませんので、先に進みますけれども、もう一度弾力条項についてお尋ねいたします。  弾力条項料率を上下させることと、それから法律改正で料率を上下させることと、実体的には、被保険者の立場から見ればどっちにしても同じですが、弾力条項で上下さぜることと法律改正で上下させることとは、私は実は大きな違いがあると思います。その違いは、法律改正であれば、たとえば二%引き上げる、二%引き下げる、これは内閣提出の法律ですから、総理大臣以下閣僚全部が料率引き上げについて、あるいは引き下げについてはそのつどそのつどの責任を持つわけです。ところが弾力条項を適用した場合には、あなたはこうおっしゃりたいと思います、八十までの上限を認めたことについて内閣は全面的に責任を負っているんだ、だからその範囲内ではかまわないんだというふうに御答弁されると思いますけれども、そう言いたいだろうと思いますけれども、私は、二%上げる三%上げる、その瞬間においては、一行政官の判断と内閣の判断ということには大きな政治的な違いがあると思います。その点、どうですか。
  74. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 これは、行政官の判断だけでなしに、政府が監督をしているわけでありますし、これをやる際には保険審議会にかけなければならないわけでありますから、そう無理なことは行なわれないと私は考えます。
  75. 二見伸明

    二見委員 そういたしますと、保険審議会にかける、それからその場合には閣議で了解を求めますか。
  76. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 別に閣議事項ではないと思いますが、場合によったら閣議に報告して了承を求めるということもあり得ると思います。
  77. 二見伸明

    二見委員 ところで、今度の赤字対策に関して、これは抜本改正の前提条件だ、抜本改正をやるためにはどうしてもこの赤字対策は必要なんだ、これがいままでの厚生大臣答弁でございましたね。それでは十六日に国会に提出された健康保険法等の一部改正、これが抜本改正という名に値するのかどうか。私はまるきり値しないと思います。たとえば医療保険の体系については今後どうするのかということについては、今度の抜本改正に触れておりません。医療保険の体系については答申が出ておりますね。しかし今回は、抜本改正の中には明確には出ておりません。この点について大臣はどうお考えになっておりますか。今後医療保険体系というものはどういう方向に持っていきたいという構想をお持ちなんでしょうか。
  78. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 将来の構想は、公明党の基本法考えておられるのと、私は考え方は変わりません。ただ公明党の基本法を読ましていただきますと、これは政管一本にしてしまうということでありますが、政管一本、さらにこまかい仕分けはどういうふうになさるのかわかりませんが、私のほうはそうなったと同じような、給付保険料も同じような効果を持つようなものにいたしてまいりたい、かように考えております。私のほうは、組合というものを活用しながら、給付保険料というものの公平をはかってまいりたい、かように考えております。
  79. 二見伸明

    二見委員 時間が参りましたので、簡単にいたします。  文部省が文教委員会に呼ばれているようでありますので、先にちょっと文部省に伺いますけれども、今回たとえば、かりに財政対策を一応認めたといたします。その場合に国民が要求するのは、医療の供給体制が確保できるのかどうか、いままで以上に医療サービスが受けられるのかどうか、こういうことに帰着するだろうと思います。その場合どうしても出てくる一つの問題が医師不足であります。医師の絶対量が不足している。また医師の配置といいますか、病院の配置に過疎過密がある、こうした問題があります。  まず私は医師不足についてお尋ねするわけでありますけれども、医者を養成する、これは基本法の要綱の中にうたわれておりますね。本来ならば医者というのは、医者を養成するためには能力のある者ならだれでも医学部に入れるという体制を、数もふやすと同時に、まずつくらなければなりません。  そこで、医師系の入学金と文科系の入学金、これは裏口じゃなくて表の金額を言ってください。その点を文部省から言っていただきたいことと、もう一つ、文部省は昭和四十六年度に医学部における入学時の寄付金についての状況を調査されましたね。その実態を明らかにしていただきたいのです。
  80. 木田宏

    ○木田政府委員 第一のお尋ねの昭和四十七年度の入学金でございますが、文科系の入学金という名称で取っておりますのは五万五千二百三十円、医師系の入学金といわれて徴収されておりますの一は十六万一千六百六十七円。  なお第二のお尋ねでございますが、入学時の寄附金としてどの程度のものを取っておるかということにつきましては、四十六年度に調査をしたものがございます。調査の対象学部十八学部でございますが、入学者二千百人ほどにつきまして寄付をした者が千三百九十三人、比率といたしまして六五%の者が寄付をしたというふうに調査の結果は出てきております。寄付者一人当たり平均金額は六百万円でございます。百万から二百万円までの寄付のところから一千万円以上の寄付のところまでとっておりますのですが、四十六年度の実態で一番数多く出てまいりましたのは三百万から六百万のところでございまして、三七%ほどの寄付者が三百万から六百万円ほどの入学時の寄付をいたしております。
  81. 二見伸明

    二見委員 この問題は、医師の養成ということについては厚生省、文部省両方で考えてもらわなきゃ困るのです。平均六百万も寄付金を取られる。これでもって優秀な医者が養成できるというふうに厚生大臣、お考えになりますか。いかがでしょうか。
  82. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 これはまことに不都合な現状であると考えております。
  83. 二見伸明

    二見委員 文部省、これはどうするのですか。ただし、いいですか、これは大学側に言わせれば、医学部には非常に金がかかるのだからどうしてもこれだけの寄付を集めなければやっていけないのだという、大学側には大学側の言い分があると私は思うのです。これは一面からいえば、文部省が医学部に対する対策というものを、いままでの観念とは変えなきゃならぬということが一つ出てきます。この点について、文部省側の明確な考えを教えていただきたい。そうしませんと、いわゆる抜本改正だ、医療基本法だと言ってみたところで、肝心のお医者さんができないのですからね。しかも現在医学部に入れるのは、ほとんどいま世襲制だといわれているでしょう。お医者さんの子弟しか学校に行かれないのだ、金持ちしか医学部に入れないのだというこの実態というものは、私は一つは文部行政に問題があると思いますよ。  それから大蔵省にもついでにお願いしておきますけれども厚生省管轄ですから、厚生省の担当ですからも予算の問題にからむと思います、私は文部省管轄じゃないとおっしゃらないで、大蔵省もこの点は考えてもらいたいのです。そうしなければいわゆる赤字対策をやって料率を引き上げたって、わが国の医療というものは国民の立場から見れば何ら抜本的には改善されないことになりますよ。お医者さんの姿ひとつ見てもそうでしょう。これはどうしてくれるのですか。
  84. 木田宏

    ○木田政府委員 現在までの段階におきましては、医学教育につきましては国立の医科大学、公立の医科大学は今日の実態から見ますとまだ過半数を占めておるところでございまして、いま御指摘がございましたように医者の子弟でなければ医科大学に入れないという、トータルとしてはそういう実態には必ずしもなってないと思います。  しかしながら、昨今医師不足ということが強く叫ばれてまいりまして、昭和四十五年から新設の医科大学が私立を中心としてたくさん出てまいりました。この私立の医科大学につきまして、いま御指摘がございましたような高額の寄付金等が徴収されております。私どもといたしましては、学生の入学金によって学校をつくるということでなくて、むしろ財政基盤の充実した学校を私立学校の場合にも考えなければなりますまい。そのためには、現在とっております審査の制度につきましてもう少し審査の体制を整えまして、私学の場合にもほんとうに財政基盤の充実したもので持っていくようにしたい。  なお、私立大学の拡充だけでこのことができるわけではございませんので、御指摘になりました実態に即応いたしますためには、公的な医科大学の拡充ということを優先的に考えるべきである。関係者の強い御意見もございますので、本年度の予算におきましても三医科大学の創設準備の経費をとりまして、公的医科大学の整備にもその手をつけ始めておるところでございます。
  85. 二見伸明

    二見委員 時間がありませんのではしょっていたしますけれども、この問題について私が聞きたかったことは、文部省が医学部について金を出すかどうか、いままで以上に金を出すかどうかということなんです。この点をはっきりしていただきたいのです。金がなければ何もできないのですから、金を出せということが私が言いたいところなのです。  それからもう一つこの問題についてお尋ねします。新しく医科大学、医学部をつくる場合に、いまの設置基準によると、付属病院をつくることが必須条件とされております。付属病院をつくるにはものすごい金がかかる。これは厚生大臣と文部省の両方にお尋ねいたしますけれども、まず付属病院をつくらなくても済む、医学部の付属病院をつくらないでもいいのだ。ほかの近所といっていいかどうかわかりませんけれども、総合病院なら総合病院に契約みたいな形でもって教育病院制度というのですか、そうした形でもいいのだ。もちろんこれでは教育が完全にできないという問題はあるにいたしましても、そういう設置基準として付属病院を設置しなければならないという、一この基準を緩和する考え方を文部省はどうお考えなのか。また、厚生大臣はそのことについてどうお考えなのか。また、どうしてもその設置基準で付属病院が必要だというならば、一体逆にそれに対しては今後どういうふうな対策を打つのか。この点をお二人から伺いたいのです。この問題はそれを伺って終わりにいたします。  もう一つ、これは厚生大臣にお尋ねいたしますけれども基本法の中では医薬分業をやることになっておりますね。この医薬分業はいままでいわれてきたことでありますけれども、これに関連してまとめてお尋ねいたします。  来年の四月からやるとおっしゃいますけれども国民は医薬分業になれておりません。この点についてのPRをどうされるかということが一つ。それに医薬分業しても済むような薬局側の体制をどう整備していくかということについては、どう考えているのか。それから政令で指定する地域というのは現在どことどこをお考えになっておるかということなんです。それから医薬分業ということになると、これは当然診療報酬体系といいますか、それとの関連が出てくると思うのです。医薬分業した場合の診療報酬というのは、いままでどおり据え置いていくのか。来年の四月までに診療報酬の体系を変えるのか。この点について厚生大臣所見を伺いたい。  もう一つ、やはり同じような国民が医療を受けるという立場からすると、公的医療機関とそれから私的医療機関との役務の分担であるとか、病院と診療所の役務の分担であるとか明確化、こういうことがいわれておりますが、このことについてはどういうふうに考えていらっしゃるのかということが一つ。  公立病院をつくる場合にはベッド規制がございます。いろいろな規制がございます。その規制については緩和してもいいのじゃないかと考えておりますけれども、その点についてまとめて御意見を伺いたいと思います。
  86. 木田宏

    ○木田政府委員 医学教育につきましては、現状に対して、さらに一段と臨床教育を充実すべきであるという関係者の強い指摘がございます。現在まで持っております大学設置基準の付属病床数では足りない。現在大体入学定員百名で八百床のベッドという基準を置いておりますが、りっぱな教育を行ないますためには、もっと数をふやして二千床、三千床という病床が必要であるということも医学教育の関係者が指摘しております。それを全部付属病院でまかなうわけにはまいりませんから、どうしても関連病院という制度を進めなければならないということで、いま厚生省御当局も一緒になりまして、大学の教育に関連して御協力願って、教育病院の整備ということをどうすればいいかという相談を開始いたしておるところでございます。しかしながら現在の実情から、従来医学教育につきましては付属病院中心主義でやってきた経緯もこれあり、今日の時点で大学が病院を持たないで、全部地域の病院に教育を預けるに足るだけの病院が残念ながら整っておるとは考えられません。そこで、最小限どうしてもある一定の規模の付属病院は従来のような考え方で持っておる必要があります。さらにそれを関連病院としてベッド数を拡大する必要がある、こういう方向で、いま検討をいたしておるところであります。
  87. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 原則といたしましては、いまの付属病院の問題でありますが、二見委員のおっしゃるように、必ずしも専属の付属病院を持つ必要がないであろうというのが厚生省の見解でございます。また、そういう方向で文部省と話をいたしているわけでございます。もちろんそのためには、教育病院の整備をやらなければなりません。その教育病院の医療従事者とそれから大学との関係をどうするかという問題でございますが、諸外国を見ますると、必ずしも専属付属病院を持たないという制度のところもあるわけでありますから、したがって、いまおっしゃるような方向で文部省とさらに話を進めてまいりたい、かように考えます。  同時に、これは非常に大きな問題であります、医者の養成教育というものは。そこで医療基本法の制定をしていただければ、そこで医療の審議会というものが設けられます。その審議会一つの大きな審議の内容は、医師等の医療従事者の養成をどうしていくか、いまのままでいいかどうかという体系から、数の問題、内容の問題、これが  一つの大きな問題として審議会において審議をされる。今日では、厚生省と文部省との話し合いというのではまだ力が足りないわけで、もっと専門家の意見を聞いて、そしてあるべき姿を打ち出してもらいたい、かように考えております。  なお医薬分業でありますが、医薬分業はまず薬局の整備、受け入れ体制の整うたところからやってまいりたい、かように考えますが、しかしながらこれを、そういって放置しておいたのでは、なかなか受け入れ体制の整備が遅々として進まない状況でありますから、そこで健保の抜本改正の中には政令をもって指定すべし、それには期限をつけて、そして何年までの、二年ないし三年の猶予期間をもってやるというように指定をいたします。そういたしますると、いやおうなしに整備せざるを得なくなってまいります。薬局側ではこれをぜひやりたいという希望があるわけでありますから、薬局側の整備は自主的にも積極的に進められるものと考えられまするし、それは行政指導によってやってまいりたい、同時に十分PRもやってまいりたい、かように考えます。政令の指定地域は、いま申しましたようなわけでございますから、まずそのできやすいところ、これは私はやはり大都市が先であろう、かように考えております。農村地帯で薬局をつくることがむずかしいとか、薬局に遠いとか不便であるとかいうところはあと回しになってまいる、さように御了承をいただきたいと存じます。  これをやるために診療報酬制度を改正する必要がありはしないかとおっしゃいますが、これは診療報酬制度の適正化を時々やっておるわけでございまして、このために特別の改正を加えるという必要は私はないと思っております。  それからなお、公的病院と私的病院、診療所との関係、これらは各地域に応じましてその適正化をはかっていく。そのために医療基本法の中では、都道府県の中にもそういう審議会を設けてやっていくという方法をとってまいりたいと思いますし、なお公的病院にしなければならない種類のものもあるわけでありますから、それらも医療審議会にはかって、そして整備をはかってまいりたい、かように思います。  公的病院の病床規制は、これは現状に合うように、要すれば改正をしてまいる必要がある、かように考えます。
  88. 橋本龍太郎

    橋本(龍)委員長代理 次、後藤俊男君。
  89. 後藤俊男

    ○後藤委員 これはこの間の問題の続きでございますけれども、まず第一番に、五人未満事業所保険加入の問題でございますが、あとからも話は聞きました。あのとき話をいたしておりましたように、以前からもこの五人未満事業所の問題については、この委員会でも問題になっておりましたし、さらに審議会の答申の中にもこれはあるわけなんです。そこでこの間質問いたしました五人未満事業所政府管掌健康保険に入っておる被保険者、それに入っておらずに国民保険に入っておる人と、これを比較した場合に一体保険料としてどれぐらいな差があるんだろうか、これが問題になりまして、大体四万八千円ぐらいでどういうようなことになるんだろうかという質問を私したわけでございますけれども、これについてはあとからひとつ計算をしてみよう、この場ではむずかしいというような話がございましたし、さらにまた国民健康保険保険料の計算につきましては、一がいにこうだということもむずかしいと思うんです。ですから、大体こういうようなかっこうになっておりますということの御計算もなさっておられると思うのですけれども、そのことにつきましてひとつお答えをいただきたい、こう思うわけでございます。  それからさらにあわせて、この五人未満事業所の問題につきましては、建築労働者の関係なりさらに日雇い労働者の関係なり、その他関連の非常に複雑な職場の関係もこれはあるわけでございます。こういうふうな下請企業の日雇い労働者の問題あるいは建築労働者関係の問題、これらに対しまして厚生大臣として抜本改正の中でどういうふうに持っていこうとしておられるのか、この点もあわせてお答えをいただきたいと思います。
  90. 戸澤政方

    ○戸澤政府委員 初めに、先回お尋ねの報酬月額四万八千円のものを設例いたしまして、その保険料政管健保と国保でどうなるかということの計算でございますが、政管健保の年間保険料は、これは本人分だけですが、二万一千八百十九円になります。それから国保のほうは、お話しのとおり国保の保険料のとり方はいろいろ千差万別でございますが、平均的なとり方でもって計算いたしますと、国保の一世帯当たり保険料は一万九千六百五十円になりまして、政管健保のほうが約二千円ちょっと高いということでございます。
  91. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 将来五人未満の未適用の方々をどうするかという問題、早急に解決をはからなければならないと考えておりますが、抜本改正の中で家族給付や高額医療というものを見るように——家族給付を引き上げる。   〔橋本(龍)委員長代理退席、増岡委員長代理着席〕  それから高額医療も見ていくというようになってまいりますと、これは高額医療は国保のほうもそういうふうにいたしたいと思っておりますが、そういう場合に本人の負担がはたしてどうなるであろうか、いろいろな問題を検討いたさなければなりませんので、まず抜本の法案の御審議を願い、その中において、またその基礎の上に立ってできるだけ早く解決をしてまいりたい、かように考えております。
  92. 後藤俊男

    ○後藤委員 それで、いま局長が言われました五人未満事業所の適用の問題については、あなたの計算でございますと、国民健康保険に入れば一万九千六百五十円、政府管掌健康保険に入れば二万一千八百十九円。かえって政管健保に入らなくて国保に入ったほうがいい。保険料だけを比較すると、そういうことになるわけであります。ただし、国保につきましては七割・七割、政管健保につきましては十割・五割と、給付の内容も違うわけですね。それからもう一つ政府管掌健康保険に加入しておられる人は、私が言うまでもなく、中小企業のいわゆる零細企業で働いておられる労働者が多いと思うのです。いわば財産もない、ただ自分のからだ一本で家庭の生計を維持しておられる、いわば社会の底辺におきまして非常に苦しい生活をしておられる人が多いと思うのですね。そうなった場合に、政府管掌健康保険に加入をしておれば、これは傷病手当があると思うのです。これは六カ月間でございますか、さらに、厚生大臣の認める長期疾病につきましてはさらに一年半か二年の疾病手当が出ることになっております。これも標準報酬の基礎になった賃金の六割、これがあるわけですね。ところが国民健康保険のほうはそれはないと私は思っておるわけなんです。そうしますと、先ほど言いましたように、中小企業で苦労をして一生懸命に働いておられる労働者として、一たん病気になった場合に、政管健保は長期疾病の場合には二カ年間にわたって疾病手当が支給される。国民健康保険に入っておる場合にはそれがない。こういうことになりますと、同じように働いておりながら国の施策のやり方いかんによってこういう差別扱いが生まれてくるのじゃないかということが問題になると思うのです。ですから、この間の質問におきましても、最終的には、過程の話は抜きにしまして、この五人未満事業所につきましても前向きでひとつやっていきましょう、こういうことになったと私は記憶しておるのですが、前向きにやっていきましょうというのはもう五年来の話なんです、この五人未満事業所についてですね。これが現在の厚生省のスタッフで、全国に二百四、五十しかない保険事務所、これで一体五人未満事業所に対する政府管掌健康保険加入の問題について、これから具体的にどういうふうに進めようとしておられるのか。もうこの辺で政府としても、厚生省としても具体的に考える時期に来ておると思うのです。ただ努力しましょう、これからも考えましょうだけでは、抽象的なお答えでは通用しないと思うのです。この点いかがでしょうか。どういうふうに具体的にやっていきますか。それに加入しておるものとしておらないものと、私が一例として申し上げただけでも、働いておる労働者としては非常に差別になるわけなんです。病気になって一番困っておるときに、こういうことになるわけなんです。ですから、これは五人未満事業所といえども、全国全部の事業所政府管掌健康保険に加入させる。この前の大臣の話じゃありませんけれども、それは抜本改正で解決すると言われましたけれども抜本改正につきましても五人未満事業所をどうするこうするという話はなかったと思うのです。ただ給付の内容を差をつけないようにしたい、こういう話は私も聞きましたけれども、休業補償がどうこうとか、そういう差の問題につきましては大臣からも説明がなかったわけなんです。そうだとするならば、五人未満事業所には徹底して保険の加入問題を厚生省としても行政指導をして早く実現しなければいけない。しかも審議会も十年前からやかましく言っておる。さらにまたこの委員会におきましても、国会開催のたびにこの問題はたび重ねて問題になっておる点でございますが、抽象的なお答えではなしに、具体的にこうやるのだということに対する御説明をいただきたいと思います。
  93. 穴山徳夫

    穴山政府委員 五人未満の適用の問題につきましては、ただいま御指摘がありましたように約百十三万の事業所があるわけでございまして、ただいま私ども政府管掌として取り扱っております適用事業所が六十五万でございますので、約倍の新しい事業所が対象として入ってくるということになるわけでございます。したがって、これは事務量にいたしますと、現在よりもさらに、中小零細企業になりますので非常に事務量も多くなってくるわけでございまして、したがって将来五人未満の問題を解決する場合にこれをどう処理していくかということは、私どもとしても一番大きな問題になるわけでございます。もちろん現在の定員をさらにふやすというような問題も必要であると思いますけれども、労働省がことしから五人未満に若干踏み切りました前提として、中央と地方の職安その他をオンラインシステムで結ぶというような、いわゆる機械力を導入して事務を処理するというようなこともあるわけでございまして、私どももそういったものを参考としながらやはり事務の簡素化、合理化、近代化というものをはかりましてこの問題の処理を考えていかなければいけないのではないかというように考えているわけでございます。したがって、事務処理の問題については、いま申し上げましたような方向で検討してまいりたいというように考えているわけであります。
  94. 後藤俊男

    ○後藤委員 そうしますと、いま百十三万という数字を言われましたけれども、この国保の組合の中で新設組合と既設の組合とありますね。この中で、いま言われましたような五人未満で加入しておらない数は一体どういうふうなことになっておるか、この点の御説明をいただきたいと思います。
  95. 穴山徳夫

    穴山政府委員 現在、国保組合の中でいわゆる五人未満事業所に相当するものというのは約二百九十五万人いるというように推定をいたしております。
  96. 戸澤政方

    ○戸澤政府委員 国保組合の関係につきまして私のほうからお答えいたします。  ただいま部長が言いました二百九十五万というのは、国保の被保険者の中で五人未満事業所に就労している者の推計でございます。その二百九十五万人というのは本人でございますので、その家族を推計しますと、扶養率を一としまして同数の二百九十五万人、合わせて約六百万人程度に達するものと見込まれます。  次に、国保組合の被保険者の中でそういう五人未満の者がどのくらいおるかという推計でございますが、これは就労者とその家族を合わせまして、新設国保組合については約二十九万人程度、それから既設国保組合については、約八十八万人程度、合計百十七万人程度と見込んでおります。
  97. 後藤俊男

    ○後藤委員 そうしますと、いま説明されました中に、特に建設労働者関係の臨時工の問題やら、日雇い労働者の問題ですね。これは非常に複雑な、下請の下請のまた下請のというような日雇い労働者の事業所もたくさんあると思います。そういうところも、いまの計算の中に入っておるのですか。
  98. 戸澤政方

    ○戸澤政府委員 一応全部入れて推計しております。
  99. 後藤俊男

    ○後藤委員 そうしますと、私は厚生大臣にお尋ねするのですが、この問題につきましては、五人未満の強制適用については、先ほども言いましたように、これは長い間の問題になっておるわけなんです。先ほども説明がありましたように、現在の厚生省の社会保険事務所ですか、日本全国に二百四、五十あるのですが、現在までのようなスタッフで、はたしていま計算されたところの下請の下請のまた下請の、第四次から第五次の下請のところまで、政府管掌健康保険加入ということに対して行なえるのかどうか。これは私は一つの問題点だと思うのです。容易な問題ではないと私は思うのです。ただし、これに入る入らないによりまして、病気になったときの扱いがうんと違うわけなんです。国保のほうでは疾病手当がもらえない。政管健保に入っておればこそ疾病手当が、長期的疾病なら二カ年間六割の給付がある。ここに大きな開きがあるわけなんです。ですから、せっかくこういう法律がありながら、これが適用されておらぬところに、いまのような差別扱いを受ける労働者が、家族を含めれば数百万の人がおるのじゃないかと私は思うのですが、それだったら、この問題を解決するということが当面の急務だと私は思うのです。この当面の急務を、先ほどのような説明じゃ私はなかなか前進しないと思うのです。前進するとするなら、もういままでに前進しておると私は思うのです。これを具体的に一体どうおやりになるのか。これもやはり、政府管掌健康保険の問題が今日問題になっておるわけでして、それの入口の問題かもしれませんけれども、これは少なくとも厚生省として、大臣としても早急に具体的検討をして、そういうような、同じ労働者でありながら、加入不加入によっていま申し上げましたような差別を受けるというようなことに対しては、一刻も早く解消してもらう。そういう方向へ進めていただくのが厚生大臣の義務じゃないかというふうに私は思うのですが、この点いかがでしょうか。
  100. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 おっしゃるとおりに存じます。私といたしましては、歴代厚生大臣の怠慢を責められてもやむを得ない、かように考えるわけでございますが、まず当面の、現在の政管健保財政対策それから抜本の考え方というものに終始取り組んでおりましたので、いまおっしゃいます五人未満の適用をどうするかということについては、これは率直に申し上げまして、まずこれが解決して、そしてその上で考えようということでございます。事務分量から申しましても、この二つ、三つの法案で手一ぱいというので、ここ数カ月間過ごしてまいりましたが、これで一段落つけていただければ、この次にはこれに本格的に手をつけなければなるまい。いまおっしゃいますように、これをただ現在の組織のままの政管健保に入れて、一体事務的にどうさばいていくかという問題も非常に大きな問題だと思う。どう仕組んでいくかという問題、それからなるほどおっしゃいますように傷病手当、これのあるなしは相当大きな違いであろう、かように考えますが、まずこの点を考えますと、医療保険という現在の面からだけ国保との関係を考えておったのではいけないという点が出てまいります。また国保の中でも、自営業者の方にこういう疾病手当というものがなくていいかどうかという問題も検討してまいらなければならない、かように思いますので、それらもあわせまして、この次の段階には大臣はじめこれと真剣に取り組んでいくという姿勢のもとに進めてまいりたい、かように考えます。
  101. 大原亨

    ○大原委員 関連して。後藤委員の指摘された点、私もこの前質問をしたわけです。それで問題は、抜本改正抜本改正で、赤字対策をまずやっていってくれ、抜本改正はやりますからそのときにやります、厚生大臣はそういう答弁です。しかしいままでの答申や議論の筋というものは、それは違うじゃないかという議論をこの前からしたわけです。というのはどういうことかというと、生産手段を持っている自営業者を中心とした地域保険と、腕一本すね一本、いま例にありましたようなそういう労働者の立場に立てば、医療給付以外に、医療に伴う生活手当が要るわけです。政府管掌健康保険ができたとき以外に、だんだんとそういうふうに就業構造が変わっているのです。日本においては日本的な中小企業の特殊性があるわけです。非常にウエートが高いわけです。ですから後藤委員の質問があるわけですね。そのときに保険主義をとる以上は、政府管掌保険の中でも連合体をつくって、地域的にやはり組合管掌でやってもいいじゃないか、そういうこと等も含めて私どもは、被用者については連合体で保険料負担給付をバランスをとっていく、被用者の保険国民健保のバランスをとっていく、こういうことを皆保険のもとでは考えるべきである。そういう考え方の中で所得の実態、生活の実態を見て国庫補助考えるべきである、これが国庫補助の議論ではないか、こういう議論をずっとしてきているわけです。あなたは実際は頭の中でほかのことを考えている。  そこで私は関連質問でお聞きしたい点は、国民健康保険に入っておる中で、いま五人未満の数を見ると二百九十五万人ですね。その倍の家族がいますから約五百九十万だ。家族を入れましたら五百九十万人くらいの人があるわけですよ。やはり同じような生産手段なしに腕一本すね一本でやっている人は、病気になったらあとはどうにもしようがない、傷病手当がつかないとしようがないという人があるわけですよ。そういう国民の立場に立って考えるべき問題ではないかということならば、国民健康保険の中に入っておる人の中で、そういう五人未満の問題、下請の下請、孫請の労働者の問題等含めて、被用労働者は何人いるのか。自営業者は何人いるのか。   〔増岡委員長代理退席、橋本(龍)委員長代理着席〕  政管には老人は多いけれども、ずっとほかのところで働いてきて、財産その他で食べている人、そういう生産手段はない、自営業者ではないけれども、老人等は何人おるのか、そういう大体の中身ですね、中身は一体どういうふうになっておるのか。それをやっていって、地域保険とか国保というものは自営業者を中心にやるのでしょう一そうすれば老人等は、これは前も議論したように老人医療の問題で、一部自己負担分を国が負担していく、補償していく、これは公費負担でやっていく、こういうふうに整理をしていくべきだ。自営業者はどうするか、被用者はどうするか、それから老人等についてはどうするか。子供も多いけれども、子供の医療はどうするか。結核とかその他長期的疾病のものが農村に帰っているけれども、そういう難病、奇病はどうするか、こういう問題を整理していけば、被用者の保険はどうすべきかということをいままで議論してきたわけですから、もう少し具体的に一歩突っ込んだ構想が示されるのではないか、国民健康保険構造ですね、これをひとつ御答弁いただきたい。
  102. 戸澤政方

    ○戸澤政府委員 国保の世帯主の職業別構成がわかっておりますので、それを申し上げます。   〔橋本(龍)委員長代理退席、委員長着席〕  四十五年度の調査でございますが、農林業、水産、そういった関係者が、構成比だけですが三〇%、それからその他の自営業者が二五・八%、被用者、雇われている者、これが二二%、無職が五・二%、その他が九・一%それから不明というのが七・九%、合計一〇〇%、大体そんな構成比でございます。
  103. 後藤俊男

    ○後藤委員 大臣、いまも話がありましたように、自営業者なり、大臣先ほど言われました点も検討の問題点だと私思うのです。  それからさらに、繰り返しませんけれども、いままでかなり多くの人が五人未満事業所ということで適用されておらない。なるほど局長が説明されましたように、保険料だけの比較をいたしますと安くなるかもわかりませんけれども、労働者の保護という立場に立って考えるならば、一番苦しいときにやはりこれは扱いが違うわけです。ですからこの問題については、できるだけ早く五人未満事業所の労働者に対しましても適用させる、そういう方向へ持っていっていただくように、これは早急に解決してもらわなければいけないと思うのです。  あわせて、この前もちょっとお尋ねしたかもしれませんけれども抜本改正の問題がいま問題になっておりますが、これは被用者保険と地域保険ということになるのか、この辺は私は詳しくはわかりませんけれども抜本改正になりますと、政府管掌健康保険というのは、将来どういうふうなかっこうになっていくのか、現在大臣考えておられる、厚生省考えておられる方向があればひとつお示しいただきたいと思います。
  104. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 ただいま一応考えておりますのは、政府管掌健康保険も、これを管理、運営をするについてやはりもう少し地域性を入れていく必要があるのじゃないだろうか。いま都道府県という区域がありまして、そこに保健所というものも設けておりますが、その地域内における被保険者及び家族の実情をよく把握をし、この健康管理もやり、それからまた、いまのところ保険料の徴収率は非常に高いわけでありますが、レセプトの点検にいたしましてもやはりもう少し行き届いた行き方のできるように、そういった意味で、県単位あるいは地域単位でそれらを管理をするについての委員会といいますか、あるいは常務的な機関といいますか、そういうようなものをつくってまいる必要があるんじゃないか、大体そういったような考え方でおるわけであります。
  105. 後藤俊男

    ○後藤委員 これはついでに大臣にお尋ねするのですが、実はきのう名古屋で公聴会がありました。院内でもあったと思いますが、そのとき、特に専門的な医学の立場からの話を聞きますと、現在の保険というのは健康管理ができない。いわゆる予防医学という立場に立つと、いまの健康保険では全然考えられない。病気になった場合には患者は参りますけれども予防医学という立場に立つならば、現在の健康保険制度というのは根本的に考える必要がある、現在の出来高払い制等も、これは根本的に検討する必要がある、こういうような予防臨床医学といいますか、そういう立場に立っての意見を私たちは聞いたわけでございますけれども、いま、はからずも大臣健康管理の問題を言われましたので、いま申し上げました問題について、健康管理の立場に立って、しかもさらに抜本改正が問題になろうとしておるときに、どういうふうにお考えになっておるか、この点をひとつお示しいただきたいと思います。
  106. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 この疾病予防、健康の管理、これは非常に大事なことであります。そこで、これは一般的に申しますと、何といいましても地域的にやることが必要である。しかしながら、職場で昼間しょっちゅう働いているという人は、なかなかその地域の健康管理体制の中に実際上入りにくいという点もございます。もちろんやれる点もありますけれども……。したがって、やはり地域における健康管理体制、疾病予防体制を整えますと同時に、職域の中においても、これはいまおっしゃいます五人未満の職域の中における保健衛生、これは非常にむずかしいわけでございますが、これを地域だけのものでやれるかというと、やれない点もあると思いますが、しかし地域の健康管理体制と密接な連絡をとりながら、大企業であればこれは独立してある程度やれると思いますが、しかし大企業においても家族の健康管理は実際できないので、やはりこれは地域にまかせざるを得ないというわけでありますから、この両々相まっていく。そこで、大企業における企業内の健康管理を進めていくと同様に、中小企業もできるだけ進めてまいる必要がある、かように思います。いまも労災法の適用を労働省関係から労働衛生の見地からもやってもらっておりますが、それと密接な連絡をとりながら、ことに五人未満ということになりますと、その地域の健康管理と密接に連絡をとってやる仕組み考えていかなければならない、かように考えております。
  107. 後藤俊男

    ○後藤委員 いま大臣はからずしも——この下請の五人未満なり、さらに第二次、第三次、第四次の下請に働いておる労働者の健康管理というのは、この前の労働安全衛生法の場合にもこれは問題になったわけです。どうしてこれの健康管理をやっていくか。さらにまた、毎日毎日労働者が変わるという場合には、これは容易な問題ではないと私は思うのです。だから根本的に抜本改正する場合には、先ほど言いましたように、予防臨床医学というのですか、そういう面からも、この健康保険につきましては抜本的にひとつ考えてもらいたい、こういう強い要求が、きのうの公聴会における参考人からも話が出ましたもので、特に私がお尋ねしたようなわけでございます。  それから次の問題としまして、国庫負担の問題です。その国庫負担の問題に入る前に、いままでの赤字をたな上げするということになっておるわけなんですね。そうすると、あらためてもう一ペんお尋ねするわけですが、赤字金額が一体どれだけあるのか、この赤字といわれる内容は一体何なのか、さらにまた未徴収金というのもあろうと思います。これらは一体どう扱われておるのか、さらにまた固定資産もあると思うのです。これらの評価がどういう計算になっておるのか、しかも、その赤字をたな上げする以上は、何らかの法的措置に基づいてたな上げされると思うのです。どういう法律に基づいて、どういうふうにたな上げされるのか、この点をひとつ御説明をいただきたいと思います。
  108. 穴山徳夫

    穴山政府委員 たな上げと申しますか、いわゆる四十七年度末における累積赤字をたな上げするというのは、厚生保険特別会計法の十八条ノ八の改正がございまして、その十八ノ八に「政府ハ健康勘定ノ昭和四十七年度末二於ケル借入金二係ル債務ヲ弁済スルタメ必要アルトキハ同勘定ノ負担二於テ借入金ヲ為スコトヲ得」という規定がございます。したがって、四十七年度末の累積赤字は、この条文で、借り入れ金の対象になって借り入れ金を借りられる、こういうことになるわけでございます。これに対して十八条ノ九で、「政府昭和四十七年度以前二健康勘定二於テ生ジタル損失ノ額トシテ政令ヲ以テ定ムルモノニ対応スル借入金ノ償還及当該借入金二係ル経費トシテ政令ヲ以テ定ムルモノノ支払ノ財源二充ツルタメ当分ノ間一般会計ヨリ予算二定ムル金額ヲ限り同勘定二繰入ルルコトヲ得」こう規定してありまして、これで、いま申しましたたな上げになる借り入れ金について一般会計から——ただ、これはまだ具体的にはきまっておりませんが、毎会計年度逐次繰り入れて償還をしていくという形になるわけでございます。そのときに問題になりますのは、十八条ノ八で、四十七年度末における借り入れ金は借り入れることができるという規定がございまして、それから十八条ノ九で、そのうち損失の額として政令で定めるものに対応する借り入れ金の元利については一般会計から償還をするという規定になっているわけでございまして、先日来問題になっておりますように、この十八条ノ八でたな上げをする額と、それから十八条ノ九で一般会計から繰り入れて償還をする対象になる額と同じなのか違うのかという御質問もあったわけでございますが、十八条ノ八の規定と申しますのは、現在の計算では四十七年度末には約二千二百億、二千百九十四億が借り入れの対象の総額になるわけでございます。そのうち、今度は十八条ノ九の政令をもって定めるものを差し引いた分が一般会計の償還対象になる、その差し引かれる分が政令をもって定めるものということになっているわけでございまして、その政令でもって定められる予定になっておりますのが、先ほども御説明のありましたように、資産見合いの分でございます。その内訳は、固定資産の見合い分として約三百億、流動資産、これは未収金でございますが、その見合い分として約百億、総額にいたしますと四百二十八億が資産見合いとして差し引かれる。したがって、二千百九十四億から四百二十八億を引きました額が一般会計の償還の対象になる、こういう仕組みになっているわけでございます。
  109. 川俣健二郎

    ○川俣委員 関連。これはこの前十一日に質問した問題ですけれども大蔵省来ていますか。
  110. 穴山徳夫

    穴山政府委員 いますぐ……。
  111. 川俣健二郎

    ○川俣委員 それじゃそれまで部長に聞きますけれども、未徴収金百二億というのは、資産性を帯びているわけですね。取れるものなんですね。
  112. 穴山徳夫

    穴山政府委員 未収金は、いままでの経験から申しまして、一〇〇%は回収できておりませんで、いままででは約二割ぐらいが焦げつきになって、これは徴収不能ということで処理をしているような実態でございますので、その分は落として、とり得る可能性のあるものを計算いたしまして百二億ということにしたわけでございます。
  113. 川俣健二郎

    ○川俣委員 そうすると、不良資産的なものは除いて百二億。確認しますけれども……。
  114. 穴山徳夫

    穴山政府委員 そのとおりでございます。
  115. 川俣健二郎

    ○川俣委員 それから、固定資産の三百二十六億というのは、償却資産のような扱いにしているのか、それともどういう考え方で、——両建てしているのだろうけれども、その辺もう少し説明してください。
  116. 穴山徳夫

    穴山政府委員 先ほど御説明するのを落としまして失礼いたしました。  固定資産に見合っている分の三百二十六億は、これは国有財産の台帳を五年ごとに評価がえしているわけでございますが、四十六年三月三十一日で評価がえをいたしました台帳価格によりまして、いわゆる病院、診療所というような固定資産の台帳価格が載っておりますが、それを合計した額でございます。
  117. 川俣健二郎

    ○川俣委員 それではその施設、簡単に言うと病院でしょう。それは固定資産に立てているわけでしょう。それじゃ、それをなぜ赤字という範疇に入れるのです。もし補足して聞くと、厚生省赤字だと言う限りにおいては、やはりこれは返してもらいたいという気持ちがあるからおそらく赤字だと言っているんだ。ところが、会計法からいうと、資産をなぜ赤字という範疇に入れるか。最初から赤字じゃないだろう。どういう意味なの。それとも借金という意味か。
  118. 穴山徳夫

    穴山政府委員 借り入れ金でございますので、平たく言いますと赤字、一種の借金でございます。その借金で資産ができているということで、そう考えたわけでございます。
  119. 川俣健二郎

    ○川俣委員 そうすると、その辺の単式簿記のおばちゃん方の話じゃないけれども、借金したものがイコール赤字という概念で言うておるのですか、国会答弁は。そういう意味ですか。
  120. 渡部周治

    渡部説明員 法律的に申し上げますと、厚生保険特会では特に赤字ということばを使っておりませんで、今回の一般会計の穴埋めの対象になりますものにつきましては、四十七年度以前に健康勘定において生じたる損失の額、こういう考え方を示しております。従来政府の説明で赤字赤字と申し上げておりましたのは、先ほど厚生省のほうから御説明ございましたように、借り入れ金の累積で説明をしておったわけでございます。で、われわれが累積損失と呼んでおりますのは、その中で資産見合いの借り入れ金を除いた、バランスシートで逆に申しますと、繰り越し損失と四十六年度の損失見込み額を加えたもの、こういう概念になろうかと思います。
  121. 川俣健二郎

    ○川俣委員 それならいよいよ錯覚です。渡部説明員、この前私はあなたといろいろこういう論争をして、結局保障審議会が心配してこういうことを答申してくれている。「累積赤字を棚上げし、その償還財源に当てるため、一般会計より補てんする措置は、一応評価できるが、これに伴い累積赤字の解消が将来保険料収入の一部で補てんされることのないよう法文的にこれを保障し、負担者側の不安を除くべきである。」それからいろいろとあなたと論争した。いいですか、私はこういう質問をしたのですよ。いままでのやつをたな上げしてくれるというので、厚生省のほうから見れば、怠慢かどうか別として、赤字になったやつを大蔵省がたな上げしてくれるという意味大蔵省に非常に気がねしておるのだ。国庫補助五%をもっと上げろといえばいいのに、大臣は心では思っているのに。だけれども、いままでのをたな上げしてもらえるものだから非常に気がねをしている状態なんだ、この受け答えを見ると。そこで簡単に答えてくれ、一切、将来ずっと永久に、大蔵省一般会計の責任でこれを解消してくれるのかと私は言うたんだ。いままでの損失を一切将来ずっと永久に責任を持ってくれるのか。そうしたらあなたの答えは、そのとおりでございます、こうおっしゃった。どう理解すればいいのです。
  122. 渡部周治

    渡部説明員 その際の御質問につきましては、まず法的にどういう措置で担保されておるのかという御質問でございましたので、私は具体的に三つを御説明申し上げたかと思うのでございますが、今回のたな上げと、それから一般会計よりの補てんということにつきましては、累積赤字、要するに借り入れ金につきましてはたな上げということになるわけでございますが、そのうち一般会計からの繰り入れにつきましては、先ほど来申し上げておりますように、累積損失相当額である、こういうことでございまして、内容的にはその際私御説明申し上げたかと思いますが、まず一般会計の繰り入れば、厚生保険特会法の十八条の九で、四十七年度以前に生じた損失に見合う借り入れ金の償還及びその利子の支払いに充てるため一般会計から支払う、繰り入れをすることができるという規定があるというのが第一点。  第二点が厚生保険特会法の十八条の八、第二項によりまして、これはそれ以外の借り入れ金を含めまして、四十七年度末における借り入れ金の借りかえができるという規定がある。これがいわばたな上げという内容に当たろうかと思います。  それから、今後の保険料財源から充当する点についてはどうか。こういう点につきましては、健康保険法の一部改正法の附則第六項によりまして、保険料率の弾力的調整権限の発動要件につきましては、四十七年度以前に生じました不足を算入しない、こういうことのこの三つの規定で担保しておるというぐあいに御説明いたしたと思いますが、その全体の趣旨をもちまして、私は累積損失のたな上げと、それから損失についての一般会計の規定が担保されておる、こういうぐあいに御説明申し上げたつもりでございます。
  123. 川俣健二郎

    ○川俣委員 それなら大蔵省のほうは黙っていないで、厚生省のほうに注意すべきなんです。二千百九十四億、約二千二百億赤字だといってPRするわけだ。赤字のほうをPRするために、おそらく資産を入れたんだ。これは償却資産でしょう。主計官どうですか。償却資産ですか。
  124. 渡部周治

    渡部説明員 対象の資産には、償却資産以外の土地等もあります。
  125. 川俣健二郎

    ○川俣委員 それでは、これは全然赤字PRの内容じゃないですよ、二千二百億のうちの四百二十八億というのは。未徴収は絶対とれないものを落としているというようなことから。それからりっぱな土地であり施設であるなら、なぜ二千百九十四億の赤字の中に入れてPRするんだ。それは大蔵省、注意すべきでしょう。たいした赤字じゃないですよ、これは。
  126. 渡部周治

    渡部説明員 先ほど御説明しましたように、赤字という概念は、従来は累積の借り入れの概念を赤字といって説明しておったわけであります。したがいまして、たな上げと称する場合には、その分も含まれているわけでございますが、一般会計からの補てん、つまり税金財源から充当するその損失というのは企業会計上の損失である、こういうことでございますので、おっしゃるとおり赤字と損失の額とは違うということでございます。
  127. 川俣健二郎

    ○川俣委員 それじゃ、関連ですから終わりますけれども、さっき大臣二見委員でしたかの質問に対して、弾力条項赤字たな上げという問題とは直接関係がないのだということを私は耳にしたような気がしますが、どうでしたか。
  128. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 そうではございませんで、いわゆる赤字をたな上げをする、そうして単年度赤字をつくらない、このために、自動的といっては悪いですが、一定の限度内で弾力的に保険料率を上下するという必要がある。したがって、累積赤字をたな上げする以上は、これからは単年度赤字をつくらないというその保証のために弾力条項は必要でございます、こう言っているわけであります。
  129. 川俣健二郎

    ○川俣委員 保険料を上げて赤字を埋めるということは一切やらないということが確認できたわけです。赤字を埋めるために保険料を上げるということはしないのだ、それはいいですね。赤字補てんのために保険料を、弾力条項を使うということは言わないのでしょう。
  130. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 過去の赤字を解消するために保険料を上げることはいたしません。
  131. 川俣健二郎

    ○川俣委員 そうだとすれば、弾力条項赤字たな上げというのは別個に切り離して、われわれ委員会として考えていいんじゃないですか。どうです。
  132. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 それはいまおっしゃいますように、単年度赤字をつくらないために弾力条項をお願いを申し上げているわけですから、単年度赤字をつくらないということは、過去の累積赤字をたな上げをして——赤字ということばが適当かどうかわかりません、いまおっしゃいました趣旨に従いますと。そこでこれを一般会計から見る、そのかわり単年度赤字をつくらないように収支を適合させていく、それには保険料率を上げる場合もある、その場合は国庫負担も上げるということで、そういう条件のもとでひとつ弾力条項を認めていただきたい、こう言っているわけであります。
  133. 川俣健二郎

    ○川俣委員 それで、これは改正する項目に出ているから、それじゃ局長、あなたに聞きますけれども、いままでの累積赤字を、保険料を上げて埋めるなんということは一切しないわけだから、いままでの赤字たな上げと弾力条項とは関係ないだろうというのです、そうでしょう。
  134. 戸澤政方

    ○戸澤政府委員 そのとおりでございます。
  135. 川俣健二郎

    ○川俣委員 それを確認しておきます。弾力条項保険料率、いわゆる保険料率を上げ下げする問題と大蔵省にたな上げしてもらうという問題とは、同じ特会法には入っているけれどもセットのものではない、こういうようにもう一ぺん確認しますよ、いいですか。
  136. 戸澤政方

    ○戸澤政府委員 過去の累積赤字の解消のために、償還財源に充てるために弾力条項を適用するというようなことはございません。
  137. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 そういう意味で、制度としてはセットのものでございます、こう言っているのです。
  138. 川俣健二郎

    ○川俣委員 それは局長答弁とだいぶ違いますよ。理屈が合わないじゃないかと言ったら、弾力条項のほうとは全然関係ないからセットじゃないんだという。弾力条項をかけたからというんでたな上げがふいになるんじゃないだろうということです。どうですか。
  139. 戸澤政方

    ○戸澤政府委員 それは制度論としてはセットされているわけでして、過去の累積赤字は四十七年度末をもってたな上げする、そのかわりに将来にわたって単年度で収支均衡がとれるような経営をするということでございますから、その裏づけとなる制度がやはりなければ、単年度の収支均衡をとるという保証がないわけでございますので、弾力条項というのはその意味での担保ということになっているわけでございますので、制度論としてはワンセットになっております。
  140. 川俣健二郎

    ○川俣委員 関連ですからこれで終わりますので言っておきますけれども、理論的には全然結びつかないです。同じ特会法を改正するというところに条項が並んであるから関係あるように見えるけれども、いままでの局長と私の受け答えをみんな聞いたら関係ないですよ。たな上げの条項に関係する保険料、いわゆる弾力条項だというのなら関係はある、私はそう思う。それ以上あなたの答弁はいいです。  それからもう一つ大蔵省のほうでせっかくたな上げの条項を考えてくれて挿入するわけだけれども審議会で心配してくれておるように、何々することを得、と書いてある。何々することを得、じゃ、委員会としては心配でしょうがないですよ。厚生省が頭下げてあなたのほうにお願いしたらやっととれたような条項だから、やはり法律上義務づける必要があると思うのだけれども、どう思いますか。
  141. 渡部周治

    渡部説明員 厚生特会法の改正法第十八条の九の、いわゆる累積損失の一般会計からの繰り入れにつきましては、これは義務的規定にすべきではないかというお尋ねであろうかと思いますが、これはこの規定の趣旨をどう考えるかということによるわけでございます。これは法律的に申せば、過去の累積損失といえどもやはりその保険集団の損失であることに変わりがないわけであります。そういう意味でこれを税金財源から義務的に補てんすべきであるという考え方には、法律的にはなかなかならないんではないだろうか。したがいましてこれはやはり一種の政府に対する権能規定というような意味におきます法律の規定といたしましては、何々することを得、という定規にならざるを得ない。  問題は、これを実際の運用においてどのようにやっていくかということでございますが、これは先日の連合審査会におきまして大蔵大臣も申されましたように制度的には——制度的と申しますか実際の運用上は一般会計において負担するということは約束されたわけでございますから、そういうかっこうで運用してまいりたい、このように考えております。
  142. 川俣健二郎

    ○川俣委員 それじゃあなたのずっと発言、約束されたんだから。法制局来てないけれども……。厚生省のおねだりじゃないんだよ、政府責任でやるわけだから。大蔵省厚生省も含めて政府責任でこのことをやるというんだから。それを国会できめるわけだから。国民一般から取った税金を使うのですよ。「得」とは何ですか。あなたのいまの言質、ずっとの答えの言質から取り上げてみてもやはり義務うたいのような発言ですよ、「得」じゃないですよ。それじゃやらなくたっていいかということになるんですよ。そんな法律はないですよ、人の税金を使うのに。そうでしょう。
  143. 渡部周治

    渡部説明員 私の申し上げましたのは、一般会計から穴埋めをするというのは非常に異例な措置である。累積損失は本来はやはり保険集団の損失であるから、一般会計からの穴埋めはそういう意味で非常に異例な措置である、したがって、これは法律的に書く場合にいわゆる義務的な規定、当然的な規定としての、何々する、という規定にはならないのではなかろうかと思います。いわゆる法律的な権限としては何々することができるという規定になるのではなかろうか、こういうぐあいに考えておるわけであります。
  144. 後藤俊男

    ○後藤委員 いま川俣委員とは、赤字の問題がわかったような話になりましたけれども、私はわからぬわけなんです。今度の健保改正につきまして誇大に、赤字を大きく見せるような書き方がしてあるような気がするわけです。先ほども説明がありましたが、四十七年度の赤字が二千百九十四億円、この中には固定資産の三百二十六億が入っておるんですね。入っておるとするのなら、これは赤字じゃないじゃないですか、あとの計算を見るなら。二千百九十四億円の中から固定資産の三百二十六億、さらに未徴収の百二億、この百二億だって全然取れぬというものじゃないと私は思うわけです。そうすると合計して四百二十八億というのは、これは四十七年度の赤字だということは言い切れないと思うのです。だから私が考えるところによりますと、四十七年度には二千百九十四億円の赤字になるという大宣伝、PRをして、そうしてこういうふうな改正案を出してきた、こう言わざるを得ぬわけです。これは財政法的にどういうふうなことになるか私はわかりませんけれども、ただ、いまの論争を聞いておりまして、二千百九十四億の赤字の中には固定資産が入っておる、たな上げする場合にはそれを差し引いておるわけでしょう。差し引いておるなら赤字じゃないじゃないですか。そういうことなら、この厚生省から出した資料を全部直してくださいよ。  それとあわせてもう一つ聞きたいのは、この固定資産の中身なんです。これは一体どういうものであるか、この説明もあわせてしていただきたいと思います。
  145. 穴山徳夫

    穴山政府委員 二千百九十四億と申しましたのは、これは借り入れ金の額が総額二千百九十四億になるわけでございまして、したがって累積して借り入れ金が二千百九十四億になるということになっているわけでございます。  それから三百二十六億の固定資産の内容は、これは先ほど申しましたように診療所あるいは病院、こういった固定資産の土地、建物があるわけでございまして、これを固定資産税法上のきめられております台帳に登載されております台帳価額を合計して計算をしたわけでございます。
  146. 後藤俊男

    ○後藤委員 あなたはそういう説明をされますけれども、この厚生省から出した資料によりますと、昭和四十七年度末の累積赤字見込みとして二千百九十四億と書いてある。私は書いてあるとおり言っておるわけなんです。あなたのほうから出した資料ですよ。全部持っておられると思うんです。そうだとするなら二千百九十四億という赤字は、これはないわけなんです。しかもいま言われましたけれども三百二十六億という固定資産、これもこの中に入っておる。たとえば単純な話が、あなたが三百万円借金をされましたけれども二百万円のりっぱな家を持っておる。それを評価する場合に、三百万の借金と二百万の固定資産があれば、差し引き百万の借金じゃないですか。しかもあとからはそういう計算のしかたをして、たな上げ分から差し引いておるわけです。それならそれでこの厚生省から出した二千百九十四億という誇大な赤字のPR、この資料というものは全部直してもらわなければいかぬし、一歩下がってあなたが言ったとおりだとしてみても、この資料にはそういう書き方がしてないわけです。これは委員会だけじゃなしに、全部に配付されておると思うのです。これによれば、四十七年度の累積赤字は二千百九十四億になる見込みだということをはっきりここに書いてあるのですよ。借り入れ金とは書いてないのです。さらに、先ほど言いました固定資産の中身の説明、これもひとつしてください。
  147. 穴山徳夫

    穴山政府委員 二千百九十四億借り入れることになるということは、二千百九十四億借金をしているということになるわけでございまして、したがって、そういう意味赤字ということばを使ったわけでございます。ただその中で確かに固定資産というものを保有しているわけでありまして、まあそれを売るか売らないかというような問題になるわけでございますが、しかし事実上これを売るということもできませんので、結局二千百九十四億の借り入れ金は借金として残っていくという形でございます。
  148. 後藤俊男

    ○後藤委員 これは大蔵省関係かもわかりませんが、いまあなたが説明されました売るか売らぬかという話になってきますと、それならそれで、売れないということなら、なぜ一体たな上げのほうに入れないのですか。これだけの資産があるから、借金はあとから差し引いておるわけです。借金の計算は、その中に借金として入っているわけです。こんな矛盾した資料は私はないと思うのです。それならそれで、たな上げの分に三百二十六億も含めるのが当然じゃないですか。いかがですか。
  149. 穴山徳夫

    穴山政府委員 これはいわゆる病院、診療所というような形で固定資産として保有しておりまして、被保険者のためになる一つのものでございますので、私どもとしては、この部分は先ほど御説明しましたように、将来財政が安定したときには逐次自前で返していこうというふうにしたわけでございます。
  150. 大原亨

    ○大原委員 関連。病院、保養所以外に何がありますか。
  151. 穴山徳夫

    穴山政府委員 病院と診療所と保養所でございます。
  152. 大原亨

    ○大原委員 病院と診療所と保養所以外に何がありますか。
  153. 穴山徳夫

    穴山政府委員 ほかにはございません。
  154. 大原亨

    ○大原委員 健康管理の施設はありませんか。
  155. 穴山徳夫

    穴山政府委員 いわゆる従来診療所であったものを、健康管理センターとしての機能を発揮させるようにしているものもございます。いま私が申し上げました診療所の中にはそういうものも入っております。
  156. 大原亨

    ○大原委員 この特別会計の貸借対照表の中には建物と工作物とあり、土地があるわけですね。しかし、この土地を売るわけにはいかないわけでしょう、利用しておる以上は。だから組合健保とか国民健康保険でしたら、市町村等が、管理者が健康管理をやるわけですよ。それから組合管掌だったら、事業主が保険財政の中だって多くを負担したり、事業主自体が保険財政について出したりして、そして健康管理をやるわけですよ。政府管掌健康保険の中の一番の欠点は何かといえば——健康管理センターという話があったけれども、保養所だって何だって、やはり五日制とかなんとかいうときには保養するのですよ。これは別荘持つわけにはいかぬわけですから。それから病後の人が保養するということがあるわけですから、保養所といえば一がいにすぐ罪悪視するような議論があるけれども、そうじゃないのです。そういうこと全体を考えるのがこの医療なんです。ですから、検査をするということで早期診断、早期治療という問題もあるだろうし、保養所の問題もあるだろう。病院を、施設を、設立者である政府がやるということが当然なんですよ。だからいまの議論は、一方においては赤字を誇大にしておく。それで一方においては、そういう政府がやるべき、責任者がやるべき、そういう人々がやるべきことについて、これを保険財政負担をかける。こういう仕組み、これを調整するのがいまの法律じゃないですか。ですからその点については、政府管掌健康保険の一番の欠点なんです。欠点が集中的に出ているような面があるのです。そういう問題についてはここで議論しておいて、あなたに、主計官にすぐ直せと言ってもいけないけれども、そういう観点に立って——いままであまり観念的な議論が多過ぎるのです。保養所はだめだとか……。保養所だって、病後の人が行って保養するということもいいことでしょう。ゆとりがある者が行って休むということは健康管理でしょう。都会で働いておる、あるいは四日市その他空気の悪いところにおるよりも、そこへ行くことはいいことでしょう。検査施設があるんですから、そのことは早期診断に役立つでしょう。ですから、それは保険財政で借金として残してやるんだというようなことでなしに、そこを、いま二つの面でこれは政策として非常に誤りの点があるし、ごまかしがある、こういう点を私は明確にすべきだと問題点を指摘しておきますが、これは国務大臣として厚生大臣はどうお考えになるか、お答えいただきたい。
  157. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 まず第一に、累積赤字はこれだけございますと、それを全部たな上げするような印象を与えておったとすれば、これはまことに説明が不十分であったと考えます。累積赤字二千百九十四億、そのうちでたな上げをして、そして一般会計から今後払っていくというものは千七百六十六億ですか、そういうように事を分けて御説明をすればよかったと思いますが、借り入れ金全部をたな上げするような印象をもし説明のうちに与えておったとすれば、また実際与えておったと思いますが、これはうまくなかったと思いますから、はっきり申し上げておきます。  それから、いまおっしゃいます健康管理のための施設というものは、政管にはほとんどないということは事実であります。この面については今後考えていかなければならない、かように考えます。
  158. 後藤俊男

    ○後藤委員 いま大臣は簡単に言われましたが、きのうも私は公聴会へ行きましたが、参考人の話として再三再四出ましたのは、二千百九十四億、約二千二百億の赤字ということが何べんも何べんも話に出ておるわけなんです。たいへんな赤字だ、こういうことが事実上出ておるわけなんです。出ておるということは、厚生省から出された資料全部がこういう書き方をしてあると思うのです。いま大臣が言われましたように、借り入れ金として二千百九十四億であって、その中において、たな上げして赤字を返済するのは千七百何ぼ、こういうような説明はいま一切出ておらぬわけなんです。出ておりませんよ。これは委員会ですったもんだやりまして出てきたと、私は記憶しておるわけなんです。そうだとするのならば、こういう資料につきましては、これは全部訂正してもらう必要がありますし、これは間違いなんですよ。これか間違いじゃないとするのなら、固定資産も含めてさらに未徴収の百二億ですか、これはどこまで検討されて、どれが取れない分、どれが取れる分という検討をされたのか私はわかりませんけれども、この百二億の問題についても疑問が出てくるわけなんです。だから私の言いますのは、二千百九十四億というような誇大な赤字を宣伝しておいて、たいへんなことだからこういうふうに頼むというような意図的な書き方のような気がするわけなんです。これは大臣の手元の、いまごらんになっておる資料には、四十七年度末の累積の赤字が二千百九十四億と書いてある。同じように書いてある。じゃ、これは間違いじゃないのですか。私は間違いだと思う。間違いでないとするのならば、これはたな上げ分を変更しなければいけない。いままで説明されたものを全部修正していただく必要があると思います。全部資料を修正していままでの説明を変えてもらう、こういうふうにはっきりできますか。
  159. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 私は、この表自身は間違いがございません。このとおりなんです。そこで、今後たな上げをして一般会計から全部支払うというものはこのうちの何ぼだということをもう一つ資料として出す必要がある、かように思っております。
  160. 後藤俊男

    ○後藤委員 それでは、先ほど二千百九十四億というのは赤字ではなしに借り入れ金だという説明をされましたね。あなたのほうから出されました資料には、借り入れ金という説明はしてないわけなんです。おそらく東京の、院内の公聴会でも、名古屋の公聴会にいたしましても、一般の人にいたしましても、二千百九十四億の赤字というのは、新聞でも宣伝されておると思うのです。ところが、この中には三百二十六億という固定資産が入っておるわけなんです。財産があるわけなんです。さらに、取ろうと思えば百二億。取れませんと言われますけれども、この中でどれだけかまだ取れるはずなんです。そうなると、いままで説明のために出されました資料というのは間違いであるし、いままであなたのほうで説明された内容というのは間違いである、私はそう思うわけなんです。これをどう回答されますか。
  161. 穴山徳夫

    穴山政府委員 二千百九十四億というのは四十七年度末に推計される借り入れ金の総額でございまして、従来、借り入れ金の額を累積赤字と言っておりましたので、二千百九十四億円の累積赤字が立つというように御説明をしていたわけでございます。
  162. 後藤俊男

    ○後藤委員 いまあなたは、借り入れ金というのは従来赤字という表現をしておると言うが、これは国民の皆さんはそういう解釈はしておりませんよ。しかも、ここにいらっしゃる委員の各位だって、そういう解釈をしておられない人もたくさんあると私は思うのです。特に公聴会に行って私はそのことを痛切に感じたわけなんです。財産が一方に三百二十六億円ありながら、借金の中へその分も含まれておる。しかもたな上げする場合にはそれを差っ引いておる。これは、あなたがどう言われようとも、この説明は通用しませんよ。これは全部資料を直していただく必要があると思うのです。直さないというのなら、納得のいくような説明をしていただかなければこの問題は解決できないと思うのです。
  163. 穴山徳夫

    穴山政府委員 結局、官庁会計から申しまして二千百九十四億の借り入れ金があるということは事実でございますので、それを私どもの説明として、それが適切かどうかはまた別といたしまして、二千百九十四億の累積の赤字である、こういうように御説明をしたわけでございます。
  164. 後藤俊男

    ○後藤委員 あなたは何べんも同じことを言われますけれども、これは私は累積赤字ではないというのです。二千百九十四億というのは、あなたのほうから出されました資料によると、累積赤字と書いてあるわけなんです。一般国民なり新聞をごらんになる皆さんとしては、財政法がどうとうということはわからぬわけなんです。そういう立場に立つならば、この二千百九十四億の中に建物、施設が三百二十六億円も入っておる。こんなものはなぜ一体赤字なんですか。一歩譲って赤字だとするのならば、あとでたな上げするところに三百二十六億を含めておるならば話はわからぬことはないと思うのです。赤字のほうへ三百二十六億含めて、二千百九十四億という膨大なる赤字のPRをしておいて、赤字をたな上げします、たな上げしますというときには二千百九十四億から三百二十六億を差っ引いておいて、さらに未徴収分百二億を差っ引いて、千七百何ぼしかたな上げしないということになっておるわけなんです。これは、何べんあなたの同じ返答を聞いておりましても私は納得できません。全部いままでの資料なりいままでの説明を直してもらう必要があると私は思うのです。
  165. 穴山徳夫

    穴山政府委員 二千百九十四億の借り入れ金がありまして、それを四十七年度末で一応たな上げをすると申しますか、借り入れ金の借りかえにしていくということは事実でございます。ただ、その中で一般会計から償還の対象にするのは幾らかといえば、それは資産見合いの分を引いたものをその対象にするというようにしたわけでございまして、したがって四十七年度の末に二千百九十四億という借り入れ金、すなわち借金があるということは、これは事実でございます。
  166. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 ただいま説明をいたしたとおりでございますが、借り入れ金即赤字というようなことばを使っていたのは、私は確かに適切でなかったと思います。したがって、借り入れ金の中で実質上のいわゆる赤字というものはこれである、そして一般会計から今後たな上げをして支払っていく額はこれであるというものを、一ペん資料といたしましてはっきりプリントにしてお回しいたします。
  167. 後藤俊男

    ○後藤委員 いま大臣が言われました話なら、わかりかけてきたわけなんです。ただ、先ほどからの説明を繰り返しておりますと、二千百九十四億の借り入れ金であるけれども、いままで赤字と称しておりましたから赤字と称しておりますという説明ですから、これでは私はわからぬと思うのです。借り入れ金が二千百九十四億だ、その中で固定資産が三百二十六億あり、未徴収が百二億ある、今回の赤字処理についてはとういうふうにやりたいという説明ならば、あえて私は重ねて何回も申し上げようとは思いませんけれども、今度の政府管掌健康保険につきましては、特に赤字赤字ということが大宣伝されておりますから、その大宣伝のための道具に使うようなかっこうで、意図的に、二千百九十四億円も財産を整理すればないものを、それをさながら赤字のごとく国民一般に宣伝をしておいて、そうして中身をこういうふうに持っていくんだ、こういうふうなかっこうに持っていかれるような気がするものですから、私はくどいようですけれども、この点を追及しておるわけなんです。ですから、いま大臣が言われましたように、この資料は全部間違っておるところは撤回をしていただく、いままでの説明の間違っておるところは修正していただく、新しく資料を出していただく、こういうことでこの赤字問題については、いま言いました二千百九十四億の問題については処理をしていただくということで、これはお願いしたいと思うわけなんです。
  168. 穴山徳夫

    穴山政府委員 いま大臣が御説明いただきましたような資料をつくりまして、配付申し上げるということにいたしたいと思います。
  169. 後藤俊男

    ○後藤委員 それでは、まだ問題がありますけれども、またあとに引き続いてやらしていただくということで、これで終わります。
  170. 森山欽司

    森山委員長 次に、島本虎三君。
  171. 島本虎三

    ○島本委員 きのう午後七時過ぎまでかかりましたけれども弾力条項そのものについて、それを実施することは、財政法第三条の「租税を除く外、国が国権に基いて収納する課徴金」は「すべて法律又は国会の議決に基いて定めなければならない。」という条項にもとるのじゃないか、こういうような質問に対して、もとらないという答弁がなされましたが、まさに支離滅裂であったわけでありまして、統一見解を求めたまま今日に至りました。この件について大臣は、はっきりした見解がまとまったのですか、まだですか。
  172. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 私が昨日申し上げましたように、財政法第三条では、法律に基づいて行なえということでございますので、したがって、一定の限度内において社会保険庁長官がやることができるということは、この法律に基づいてということであって、違法ではない、これには反していない、かように存じます。
  173. 島本虎三

    ○島本委員 順次、これはきのうから残しておいたままになっている点に重点を置いていきますが、では、社会保障制度審議会の答申そのものは、具体的に言っておりますが、これに沿っておりますか、おりませんか。
  174. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 たしか、この弾力条項抜本改正の中に入れるべきではないかという意見がございました。しかし、先ほどから御説明申し上げておりますように、政管健保財政対策として必要なんであって、抜本改正政管健保財政対策ということを主にしてやるものではないから、こちらに入れるのが適当である。ことに、累積赤字のたな上げということをやる以上は、単年度に赤字を出さないようにしておく仕組みがあるということで、考え方においては、赤字のたな上げとこれとは、セットとは言わなくても、お互いに関連をするということで、この財政対策の中に入れるという方針は変更いたさなかったわけでございます。
  175. 島本虎三

    ○島本委員 赤字のたな上げに対する見解は、大臣が言ったこと、それはわからないわけではありません。これは、わからないと言っているのではないのです。この答申にそむいているのじゃないかということを具体的に言っているのです。答申には「千分の八十を限度とする保険料率の弾力的調整の規定は、保険財政の長期的安定を図るためには必要なものと説明されてはいるが、少なくとも昭和四十七年度においては、すでに収支は均衡され、発動の必要はない。何故この際規定しようとするのであろうか。むしろ、抜本的対策の成立後において諸条件の変化をおりこんだうえ、長期的財政見通しにつき十分検討を加え、しかる後規定すべきである。」——「しかる後規定すべきである、」こういうふうにはっきり言っているわけです。これに対して、もとっていないという見解のようでありますが、明らかにこれにもとっていることになるじゃないか、こういうようなことです。
  176. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 この点は、先ほど申しますように、制度審議会意見とは政府意見は違います、こう言っておるわけであります。
  177. 島本虎三

    ○島本委員 じゃ、保険審議会意見はどうですか。
  178. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 保険審議会も同様趣旨の答申でございます。
  179. 大原亨

    ○大原委員 関連して。厚生大臣、いままでずっと弾力条項で議論しておるのは、この弾力条項を具体的に決定する際においては保険審議会の答申を重視いたします、つまりこれは課税と同じであるから、そういう利害関係者の審議会の議決が要るんだ、こういうたてまえで議論しておるわけです。しかし、保険審議会も制度審議会もこういう答申を出しておるのです。答申を無視しておいて、保険審議会を尊重します、そんなことを言ったって信用ならぬ、こういうことですよ。いかがですか。
  180. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 これを無視をしたから、弾力条項の際の社会保険審議会の答申も無視するのじゃないか、こういうようにおっしゃると思いますが、これはもうここでずばりきまってしまうものでございますから、重さは私は非常に違うと思うのであります。(「どういうふうにですか」と呼ぶ者あり)もう一度たとえば国会にはかって、答申はこうでございますが政府意見はこうでございますということで、最終的に法律どおりきめていただくわけでございます。しかしながら、弾力条項の発動の場合には、もうほかにきめるところはないわけでありますから、この意見を尊重しないというようなことであればこれは非常な問題であります。そういうようなことはさせないように、厚生大臣としては十分監督してまいりたいと思います。
  181. 大原亨

    ○大原委員 つまり、こういうことなんですよ。神田厚生大臣のときもそうですが、いままでずっと議論していたのは、これは、社会保険審議会とか、その上に立った制度審議会は総合的な総理大臣の諮問機関だけれども、これは普通の諮問機関じゃないのだ、こういうことなんですよ。十分審議できてそれが尊重できるような措置をとります、こういうことをいままで言ったこともあるわけですが、尊重します、尊重しますというのは、いつも、厚生大臣、あなたのずっといままで一貫した答弁ですよ。しますと言っておいても、こういうことがある。今回のこのことに関しては、単なる抽象的な政策的な答申じゃない。というのは、保険財政赤字の問題にしてもその他含めて仕組みの問題ですよ。ですから、この問題について答申を無視するようなものが、弾力条項について審議会を尊重いたしますということを言ったって信用ならぬじゃないか、こういう議論が成立するわけですよ、政治的に。法律の精神からいっても。それでは答弁になりませんから、私は了承しない、こういうことを言っておきます。
  182. 島本虎三

    ○島本委員 もちろん私も了承しない。いままでの答弁では、できない。まして、きのうからはっきりしないのは、この事務を行なう保険庁長官にこれをやらせるから、いまきめてしまえばそれでいいのだという見解のようだったのです。私どもはこの点で、これはもう全然違う。委員長はその当時おったかどうか知りませんけれども、これは全然違う。すなわちそれはあくまでも、この事務に料率の決定を一任する問題は、もしそれが適法であるとしても妥当ではないのだ。まして、社会保険審議会に諮問をしてきめるからまあいいではないか、こういうようなことも言われておったようでありますけれども、この社会保険審議会、これは厚生大臣の諮問機関です。自分の諮問機関の意見を聞いてそして自分のきめたいことをきめる、したがって、法律上義務づけるからよろしいのだというこの考え方は、あまりにも安易に過ぎる、これは公平を欠くおそれがある、こういうようなことで、いままで了解できなかったわけであります。まして、国民の側に立って適正な運用が確保されるのならば、当然社会労働委員会に十分審議をゆだねた上でこれをきめるのが一番適法です。社会労働委員会にはかってこれをきめるという点をなぜ拒否なさるのか、そして保険審議会のほうにはかればここに適正な運用が確保されるからいいのだというお考えに立つのか、この点はまさに私は国会無視につながる考え方だ、こういうふうに思わざるを得ないわけであります。なぜ社会労働委員会にはかってきめるのを拒否なさるのですか。この考えのほうが正しいじゃありませんか。
  183. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 これは単年度単年度——この程度ならば翌年度へ見送ってもいいじゃないかということでなしに、その単年度単年度で赤字を出さないようにやっていこうという仕組みでございますから、したがって、一定の限度内において上げ幅をきめて、その中において上下を認めてもらうということは必ずしも国会の軽視ではない、かように考えます。昨日も御説明申し上げましたように、昭和二十三年から四十一年までそれと同じ条項があって、そして何ら問題なくその範囲内において上げ下げをいたしておったわけであります。下げた場合もあります。上げた場合のほうが多うございますが、下げた場合もございます。そういうようなわけでございまして、初めてつくるやり方ではないというわけでございますので、私はお認めいただけるもの、かように考えているわけでございます。
  184. 島本虎三

    ○島本委員 これはやはり千分の七十から七十三まで、いわば千分の三を上げるのに、国会の議決を要するためにいま議論をしているわけです。今後これがきまってしまうとすると、千分の七十三から八十まで、いわば千分の七、いままでの二倍以上の料率の幅を今後は保険庁長官の事務に一任するという考え、これはやはり国会無視じゃありませんか。多数であれば何でもきめられるんだというような考えに立っておられるかもしれませんけれども、これは安易な考え方で、便宜主義的な考え方で、あくまでも国会無視です。まず千分のゼロまで、すなわち最低まで下げられるというきのうの御見解がありましたけれども、下げる意思は大臣あるんですか。
  185. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 もちろん余裕ができれば下げるのは当然であります。意思どころじゃない。当然下げなければならない。(大原委員「下げると書いてない」と呼ぶ)剰余を生じた場合、または不足を生じた場合に変更ができるというわけでありますから、剰余が生じておるのに変更しなければこれは怠慢である。(大原委員「そういうことがあるのか」と呼ぶ)いま御審議いただいている法律にそう書いてあります。それから、前の立法のときも、たとえば保険料率は千分の五十、しかし、長官は審議会に諮問をして五十五から四十五までの間変更することができる。これは千分の六十としたときに、さらに千分の六十五から五十五まで上げ下げできるというように、もとを押えて、そしてそれからさらに一割程度の上下を認めるというのがいままでの例であります。下のほうを押える必要はないではないか、下をもっと下げたいというときに、それはもう一ぺん本則に返って国会にはからなければならないとする必要はないじゃないか、負担を軽くする場合だから。したがって、今度は下限を書く必要がないということで書かなかったわけでございます。そういうことで御了承願います。
  186. 島本虎三

    ○島本委員 それはもう下げる時期がきたならば下げる、ほんとうに下げるならば、その場合は下げますとはっきり書いておくのが普通ですね。きのうあなたの発想で、全然書いてなかったから下げる場合だってあり得るんだという、急にその時点であなたの発想が転換したんですよ。そして、きのうのような御発言があったわけです。もし初めからそれを考えておったとするならば、もっと表現があったはずですよ。それもきのうの時点においてあなた急に霊感を得て、そんなことを言うようになったんです。全然それまで考えなかったけれども、下げた場合には全然何の規定も書いてなかったから、そういうようなこともあり得るんだという。いま桃色の幻想を与えるようなことをあなた言ったのです。やはりそれはほんとうに下げるならば、いつどういうふうな場合に下げますと、こういうようなことをはっきり書いておいたらどうですか。そうでないからこれは上げ一方、上げ一方の弾力ならぬ条項じゃないかと言っておるわけです。
  187. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 きのう私が下げる場合もあると申しましたのは、皆さんの中からこの条項は上げる一方の条項じゃないかとおっしゃいましたから、いやそうじゃありません、法律には、不足または剰余を生じた場合——剰余を生じた場合は下げるにきまっていますから、私は法律に従って申し上げたまでであって、いままでこれを上げる一方だという御発言もなしにずっときておりましたから、それはもう十分御了承いただいておることと、こう思ったわけであります。ところが、これには下限というものが書いてないから、そこで上げる一方しかこの法律には書いてないじゃないかという御疑問をお持ちのようでございましたから、そうではございませんということを私は明確に申し上げたわけであります。
  188. 島本虎三

    ○島本委員 どうもそういうようなことを答弁したのだけは事実です。それが本音であったか、前から考えてあったか、それは知るよしもございません。しかしそれにしても弾力条項財政法第三条について、この件についてはもうみなさんのほうでははっきりとした意思が統一されているんですか。または、これからもばらばらな答弁をなさるようなことはないですか。
  189. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 さらに昨日から私が御答弁申し上げたことについて間違いがあるかないか、法制局、大蔵省の三省とよく打ち合わせを事務でいたしまして、私の申し上げたところで間違いがないということでございますので、さよう御了承いただきます。
  190. 島本虎三

    ○島本委員 どういうふうに間違いないのですか。
  191. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 先ほど申し上げたように、財政法第三条は法律の定むるところによって云々ということであって、法律でこういう条項のもとに授権をすることは第三条違反ではないと考えております。
  192. 島本虎三

    ○島本委員 きのう何回も言ったように、やはり大臣、これは抜本改正の際にやればいいことですね。もしそういうようにやると、これは何も問題ないのだ。いま急にやって財政の足がためだけをしようとするところに、発想の無理があったんだ。また、この制度審議会並びに保険審議会のこの意向を無視してでも、変な理屈をつけてもこれをやらざるを得ないようになってしまったわけです。私はそういうような観点からして、どうもこれはいまやるべきじゃない。あくまでやるべきじゃない。いかに大蔵省並びに内閣法制局並びに厚生大臣、この三者の意思がここに統一したとしても、これは発動すべきじゃない。なぜならば、これはもうはっきり抜本改正をやったあとでやるべきだ、これは国民の声だからであります。まして、あなたの諮問機関である保険審議会もそういうことを言っている。内閣総理大臣の諮問機関である社会保障制度審議会、そこでも明らかにこの点を具体的に述べている。それに対して、いま統一見解ができたからこれを強行するんだ、この考え方は少し私は納得できかねる。多数であれば何でもやってもいいんだ、やれるんだ、こういうような大それた考え方をお持ちなんじゃないか。もっと国民意見を尊重して、そうして制度審議会その他を尊重するというならば、抜本改正、これができたあとでこの問題について総合的に検討すべきではありませんか。それこそ正しいのです。それこそ厚生大臣として国民の前に立ってやるべきなんです。いま急にそれを理屈をつけながらやるところに無理があるのです。ですから、きのうみたいに、それは完全に第三条に違反するのだ、あなたは違反しないのだ、こう言っておるような状態になった。ようやくこれは統一見解ができたにしても、その統一見解は、実施するものはこれはもう早くに実施に移す。ほんとうにこれは統一見解はできたんですか。間違いないですか。
  193. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 統一見解といって、何も初めからばらばらに言うておったのを統一したのではなくて、私はそう解釈をする、これが正しいと思う、こう言っておったわけで、それじゃ法制局はどうだ、大蔵省はどうだというお話でありますから、そちらもみな同意見でございますと、こう申し上げておるわけであります。  それから、抜本改正をやっても政管健保というのは残るわけです。私どもは、抜本改正をしたら直ちに政管健保をやめてしまうという考えは持っておりません。これは残るわけであります。そこで抜本改正政管健保財政対策をさらにその中で考えるということは考えておりませんので、政管政管として財政対策考えていく、抜本は抜本として医療保険全体について考える、こういう割り切り方でございますので、両審議会からそういう答申がありましたけれども、これだけは所見を全く異にしておりますので、従うわけにはまいらなかったということでございます。
  194. 島本虎三

    ○島本委員 最後に、その点については私は納得できない、それだけはっきり申し上げまして次に進ましてもらいます。納得できません。  今後、厚生省としては財政対策は講じるようにいま盛んに努力されておりますが、各種の医療担当者の必要数はどのように推計しているのか。その積算の根拠となるものはどういう考えなのか、これを少しこの際発表できましょうか。
  195. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 医師につきましては、大体昭和六十年末における人口十万単位の医者の比率、これは大体一五〇を目標にするということで最低限度の目標というふうに考えております。  それから歯科医師につきましては、世界的に見て、一般の医師の大体三分の一というのが普通の常識とされておりますので、ただいま申しました一五〇という線から見れば、大体人口十万単位五〇というのを目標にしております。  それから理学療法、作業療法関係、これは御指摘のように、たいへんいま少ないような段階でございます。これはいろいろな一般病院あるいは精神科あるいは各種の社会福祉施設等の身体障害者、こういったものの状況から見て、大体どれくらいの程度の対象者があり、それにどれくらいの回数のものをやっていけばいいかということを一応の基礎に置きながら、そういったことから推定いたしますと、これはすぐには到達はできませんけれども、そういう推定だけをいたしますと、昭和五十一年末で理学療法士が約七千、作業療法士が約七千、ほぼ同数のものが必要であるというふうに見ております。  それから臨床検査技師関係、これはそういう数字的にはなかなかむずかしいのではございますけれども、大体の臨床検査の頻度というようなものから見て、五十一年末に約五万四千程度の必要数になるであろうというふうに考えております。  それから看護婦関係につきましては、前にもいろいろと申し上げたところでございましたけれども、この計画は、例の制度改正という問題が一応御破算になっておりますので、その後の需給計画については多少手直しをしなければならぬ、かように考えております。少なくとも昭和五十年末にわれわれのいまの養成力、いままでやってきましたものの集積効果といたしましては、就業人員は約四十三万四千人程度になるだろう、大体こういうようなことを予想いたして進めておるわけでございます。
  196. 島本虎三

    ○島本委員 たとえば看護婦の場合は、医療法上の一般病床では四対一、結核、精神では六対一、こういうような数字を基礎にしているわけですが、これを達成した場合に、二人夜勤の月八日以内という、いわゆる二八勧告、これは実行できますか。
  197. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 いわゆる二八問題は、医療法の標準とされている四人に一人という、その数だけあればやれるというものではございません。これはもっと頻度の高いといいますか、密度の高い看護婦配置ということにならなければ、いわゆるほんとうの意味の二八というものはできません。ただ人事院勧告にもございますように、すべてすみからすみまでそういうことが必要だという趣旨ではございません。やはり必要な病棟においては二八をやらなければならぬ。二人夜勤であるということでございますので、この辺は多少病院によっては弾力があると思いますが、四人に一人あればいいのだというようなことではございません。
  198. 島本虎三

    ○島本委員 やはり人事院勧告を受けたならばその趣旨に沿うように努力するのが当然であって、これはもう、勧告を受けたけれどもそんなことしなくてもいいのだという、この考え方こそ大それている。前に言った需要測定の基準、こういうようなものは、ここに大原先生もいるけれども、社会党案をよく見たらいいじゃありませんか。まことによくりっぱに行き届いている。それこれ参考にしなさい。全くもってその点なんかだったら、厚生省は、大臣をはじめ、勉強不足である。いつも、おとめのように希望的願望ばかり述べているのだ。あまりにも現実的でないがために、赤字になって、あとを追っかけて歩くような行政しかできない。いまのような医療担当者の需要測定だってそうじゃありませんか、この計画の面とあわして。こうしたい、ああしたい。したいのは、だれでもしたいのですよ。したがって、その根底となる需要測定と計画、こういうようなものがしっかりしているのかと聞いているのに、ああしたい、こうしたい。幻想ばかり追っかけている。全くそれではなっておりません。困る。まして、いま、高額保険料を取ろうとするときに、こういう計画がないというのは、国民を瞞着した考えです。  できないということはわかりましたけれども、これは当然医療法の基準だけではありませんで、二八勧告の実施、こういうようなことを念頭に置いて今後の計画を厚生省としては立てるべきであります。当然そうではないということは言えないと思うのですけれども、各種の計画、そういうようなものに対しても、いま私が言ったことを十分念頭に置いて今後計画の基礎としますか。
  199. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 まず二八問題については、勧告を受けました国立の医療機関、これは先生も御承知かと思いますが、三カ年計画で増員措置をとって、それは一応できるような体制をとっておるわけでございます。それから、全般的には、そういうものについて、これが勧告を受けた設置主体でなくても当然こういうものが波及する。したがって、そういうものを前提に置いて、念頭に置いて、やはり養成計画を立てなければならぬ、これがわれわれのいき方でございまして、またそのために各種の養成施設、看護婦等の養成施設についても特別のてこ入れをして進めていく、こういうことでございます。  なお、いま御指摘のように、いろいろな標準となりますような算定の基礎、これはいろいろな指数もあろうと存じます。われわれは十分いろいろな意見を尊重して、そして検討してまいりたいと思います。
  200. 島本虎三

    ○島本委員 質と量をもっともっと深く考えないといけません。各種の医療担当者の確保のためでも、厚生省は万全だとお考えでありましょうかどうか。少なくとも国立及び公的医療機関では、診療要員だけではなくて、教育研究要員を置かなければこれは医療水準は高まらない、当然こういうようなことはいわれておるのですが、今後これを見込むべきだ、こう考えておりますか。これはどうでしょう。
  201. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 教育病院という問題が先ほどから出ておったわけであります。いわゆる教育病院といったものにおきましては、単に診療だけをやる要員がおればそれで済むというものではございません。当然それにプラスいたしまして教育のためにさける人手というものがなければ、これは成り立たないのは当然のことでございます。したがって、私どもがいま文部省といろいろ詰めております点も、単に診療要員を基礎にした従来の病院でなく、その上にそういう教育的あるいは研究的な機能を持った病院というものはどういうふうな姿であるべきかということを、具体的にいま詰めておるところでございます。
  202. 島本虎三

    ○島本委員 時間が迫っていますから、わりあいに的確にイエスと言うようにしたらいい質問です。  医学、医術は日進月歩だ、こんなこと言わぬでもわかっているわけですが、それに対応して各種の医療担当者、これはやはり不断に再研修を受くるべきであり、そういうような要望が国民の間から強い。これを配慮して推計すべきじゃないかと思っておりますが、これも当然考えているんでしょうね。
  203. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 いわゆる生涯教育という体制は、これからぜひ確保しなければならぬ問題だと思います。
  204. 島本虎三

    ○島本委員 病院の栄養士の義務設置、これに対してどう考えておるか。いまのところでは百床以上の病院に一名置くということにはなっておりますが、その業務内容はどういうふうになっているんですか。いま、栄養士法に基づいてはっきり答弁してもらいたいわけですけれども、設置はしている、設置はしているけれども、はたしてその内容はどうなっているのかわからない、こういうような運営にしてはならないと思いますが、これはひとつ御存じでしょうから……。
  205. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 栄養士の病院における仕事でございますが、端的に申して、調理その他の栄養士本来に病院で活動すべき業務以外のことに比較的時間をとられておりまして、今後の問題といたしましては、むしろ慢性疾患その他患者の栄養指導の業務にもっと時間をさけるように、方向としては考えるべきだと思っております。
  206. 島本虎三

    ○島本委員 いまさら、考えるべきであるなんというのはおそいですね。百床以上の病院に一人置いて何をしているのか。具体的な指導は何なのか、これらもはっきりしておらない。よう聞いておいてください。病院の栄養士は、栄養士法の任務であるところの疾病管理、それから患者の栄養指導、こういうようなのを行なわなければならないのですが、行なっておりますか。今後改革する必要は断じてあると思うのですが、栄養士法があり、栄養士があっても、これをていさいにつけておくだけでは何にもならない。今度料率を上げてごっそり国民から取って、こんなところを改善しないでどこを改善するというんですか。これなんか簡単にできるが、やりますか。
  207. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 この栄養士の業務で、本来の患者に対する指導という部分については、全体の約一〇%程度の業務しかできていない業務分析表がございます。栄養士の数につきましては、医療法に最小限百床以上一と規定されております。しかしながら実態としては、大体全国の病院教八千に対して一万八千人の栄養士かおりまして、約二・二という数字が出ておりまして、実態は規定の最小限である一を上回っております。
  208. 島本虎三

    ○島本委員 上回っておる、上回っておるというが、ほんとうに具体的に病院に行ってやってごらんなさい。ほとんどふっ飛んで歩いて、何をやっているかわからぬような状態なんです。数の上だけで上回っているというのはあなたの幻想だよ。これを具体的に病院に行って見てごらんなさい、栄養士の実態を。栄養士は病院では医師と一体となって、食餌療法その他栄養指導を行なうべきものなんでしょう。そうして、保健所では開業医などと一緒になって、医療機関と連携して訪問、栄養指導、集団指導、こういうようなのを行なうのがたてまえなんでしょう。これを徹底さしていままでおらないでしょう。やっていますか。これを徹底してやれば、いま問題になっている薬剤医療依存的な医療の一角がくずれることになるじゃありませんか。いい結果を得るじゃありませんか。ですから、栄養士法、栄養士の活用、こういうようなことはいまほんとうに大事なんです。この方針を実行するために栄養士はどれだけ必要なのかというような推計ができているかどうか。診療報酬の点数もいまいわばほとんどゼロになっておりますが、これを十分考えてやる必要があるか、この二点についてはっきりした答弁を願いたい。
  209. 滝沢正

    ○滝沢政府委員 栄養士の指導の方向は先生のおっしゃるとおりでございまして、われわれといたしましても、研修会等をいたしまして、病人の病態栄養いわゆる病人の指導に役立つ栄養の業務ということに今後重点を向けるつもりでございます。  それから栄養士の必要数については必ずしも的確な資料は持ち合わせておりませんが、現在の一という医療法の規定を上回って二・二おりましても、なおかつ本来の業務の一〇%程度であるということを考えますと、少なくとも現在の数字の二倍程度の栄養士の設置が将来望ましいのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  210. 島本虎三

    ○島本委員 バラ色の幻想に終わらないように、これを厳重に今後推計するように、またそれを基礎にして実行するように、これは強く要望しておきます。そうでないと、保険料率の変更なんか何も意味がない。  あと五分ぐらいでありますけれども、時間が惜しいからもう一つ聞きます。これは中途はんぱになってしまうのをおそれます。しかしながらこれは重要な問題です。と申しますのは、PCBの問題とからんで、最近環境庁長官が、被害者の医療救済をするためには、重要性にかんがみて今後原因物質に指定しなければならないのだということを日本テレビの「奥様コーナー」で発表されておられたようでありました。ともかく最近厚生省の児童家庭局から出された「母乳中の有機塩素剤の残留に関する調査結果表」これを見たわけであります。これによりますと、どうも厚生省の態度はこういうようなものから逃げよう逃げようとする傾向があるのじゃないか。これはほんとうに指摘せざるを得ないと思うのです。またこれは先般、四十七年五月、一週間ほど前に発表されたのですが、「BHC、DDTなど有機塩素剤による母乳汚染の疫学的調査研究について」では、「β−BHCおよびDDTは、今回も全例に検出された」こうしながらも、「健康上の異常は認められていない」とか、前回と比較して「β−BHCは一六・八%、総DDTは六・六%低下していることなどからも母乳栄養による乳児の健康障害を生ずるおそれはない」、こういうふうに調査資料を結んでおるわけです。そうなると、ほんとうに自信があってこういうようなことを結んだのか、自信ありとするならば根拠をここにはっきり申し述べることができるかどうか、私は重大な関心を持っておりますが、この点事務当局、はっきりしておりますか。
  211. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 事務当局が参っておらぬようでございますから便宜私から御答弁申し上げますが、私も厳重に言ってチェックをさせております。一面、母乳がいかに大事であるかということを忘れることはできません。したがって、育児に差しつかえのない限りはやはり母乳をすすめるべきであるという観点に立ちまして、しかしながらその母乳が乳児に影響があっては相なりませんから、この点は厳重に、外国の文献なりまた日本の関係の学者、医者等を動員いたしまして、その結果、この程度では支障がないという結論を出しておるわけであります。これは何といいますか、そういうものをおろそかにしているというのではなくして、非常に神経を使ってやっておるわけでございます。
  212. 島本虎三

    ○島本委員 そんな答弁をしても、具体的な調査をしてみるとそうじゃないんです。逃げよう逃げようとしているのです。今度またPCB、この方面の調査に全力を注ぐと、あとDDTやBHCの調査からはのがれようとしている。また、この考え方もずさんだ。これは二十二県について行なっているわけです。前回の検査例が各県二十例、今回は同じ検査例が十例。サンプルです。こんなわずかなもので結論を出せるのですか。結論なんです、これは。これでもう影響ないから飲ましてもいい。前回二十例で今回十例、都道府県も違っている、こんなものが比較になりますか。これが科学的なデータですか。全くおかしいのです。
  213. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 さらに全国的に引き続いて母乳の検査をいたしているわけでございます。これでもういいということで放置しておるわけでは決してございません。
  214. 島本虎三

    ○島本委員 まず、この検査のしかたがずさんである、これは調査に値しない、そういうようなこと、それとほんとうに母乳に影響ない、こういうようなことをはっきりデータに出せますか。
  215. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 いままでの検査の結果では影響がない、かように言い切れると思います。これはわれわれしろうとが言っているのではなくて、専門家の学者、経験者の総合的な審議の結果、結論を出しているわけでございます。
  216. 島本虎三

    ○島本委員 これはほんとうに国民が安心するという立場に立った資料じゃないのです。この資料によって私が驚いたことは、めんどうくさいところはみんな切り捨てている。これは一体どういうことですか。私はこの資料を見てほんとうは、もう厚生省不信が当然あります。大臣も見てもらいたい、こういうことなんです。これは「地域別にみた母乳中のβ−BHCの濃度別分布」、これは〇・〇五PPM未満、これを低とするのです。それから〇・〇五から〇・一〇PPM未満、これを中としているのです。〇・一〇PPMから最高値の〇・九〇PPMまで、これを高としているのです。その数字を処理してここにあらわしているのです。ところが、この数字を見ると、高の部分が広過ぎるのです。上から下までずっとあるのです。そしてそれが当然希薄になる。高の部分が広過ぎるし、汚染者の厳密な分析が、希薄になりますからできなくなります。異常に高いもの、やや高いもの、こういうようなものを一緒にしてしまっている例が、〇・一〇から〇・九〇までずっと一緒にしてしまっている。こういうようなことでほんとうの調査になりません。私は、こういうようなことで安心だという厚生省考え方は、最も安心でないと思うのです。安心できないです。これはまとめてあとらか答弁してください。
  217. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 とにかく分析学者その他が寄って、そしていまおっしゃったものをきめて、やってもらっておりますので、私は間違いがない、かように思いますが、さらに専門の者に後刻時間があれば答弁いたさせます。
  218. 森山欽司

    森山委員長 この際、暫時休憩いたします。本会議散会後直ちに再開いたします。    午後二時四分休憩      ————◇—————    午後五時五十七分開議
  219. 森山欽司

    森山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  休憩前の質疑を続けます。八木昇君。
  220. 八木昇

    ○八木委員 大臣にお伺いしたいと思っておるのですが、といいますのは、最近の数年間の政府管掌健康保険支出状況をずっと見ておりますと、たいへんな支出の増加の状況でございます。  そこで、これは昭和四十六年版の厚生白書でありますけれども、これによりますと、昭和四十年度の政府管掌健康保険支出総額が二千七百四十億円であります。それに対して、数年後の昭和四十五年度の支出総額は実に五千八百五十四億円ということになっております。ということは、六カ年間に政府管掌健康保険の場合支出総額が二倍以上、二・二倍くらいになるのではないでしょうか。こういうたいへんな角度での支出の増加であります。なぜ一体、こういう支出の増加になるのであろうかということが、何といっても、やはり当面の政管健保の最大問題だと考えるわけでございます。  そこで、では一体これだけ医療費というものの支出がふえ、したがって給付がこんなものすごいスピードでふえるということについては、この数年間に医療費の単価についての値上げが再三にわたって行なわれたとするならば、それは当然そのように支出がふえるわけでございますけれども、ではこの六年間に診療報酬の値上げ改定が何回、どれだけ行なわれたかということを見てみまするというと、昭和四十二年の十二月に七・六八%の診療報酬の値上げ、それから昭和四十五年の二月に八・七七%の診療報酬の値上げ改定ということが、二回行なわれておるだけであります。しかも一方、その間において、昭和四十二年の十月と四十四年の一月と四十五年の八月には、それぞれ薬価基準は逆に引き下げが行なわれております。このことを考えてみまするというと、結局、診療報酬の引き上げは、わずか十数%にすぎないのに、医療費の支払い額というものは倍以上になっておる。これがやはり最大の問題点である、こう私としては認識をいたしますので、その原因は一体何であるかということを的確にお答えをいただきたいと思います。
  221. 穴山徳夫

    穴山政府委員 いま先生おっしゃいますように、政府管掌健康保険支出は、四十年度から四十五年度を比較いたしますと、約二倍になっておるわけでございまして、この間の、なぜこういうような傾向をたどったかということにつきましては、いま御指摘のように、医療費の改定もございますし、それからまた医学、医術が進みまして、そういったようなことでもって、年々一〇ないし一一%、自然増というものもあるわけでございまして、そういったようなものが相乗作用と申しますか、影響いたしまして、医療費支出総額を非常な勢いでもって引き上げているというように考えるわけでございます。
  222. 八木昇

    ○八木委員 いまの答弁では、だれが聞いてもさっぱりわからぬですな。  このように、医療費の値上げは、わずか六年間で十数%にすぎないのに、医療費給付総額、その支出が二・何倍にもなっておる原因は、具体的に何であるかという私の質問に対する答えになっておらぬじゃないですか。科学的に分析した結果を端的に答えてほしいという質問です。
  223. 穴山徳夫

    穴山政府委員 医療費の増減につきましての影響は、普通分析いたしますと、一日当たり金額と、それから一件当たりの日数と、それから受診率、これがいわゆる三要素といわれておるものでございますが、これがかけ合わさって医療費が出てくるわけでございます。  それで、一人当たりのいわゆる受診率を見ますと、昭和四十年が、これは政府管掌保険者でございますが、約五・六、それが四十五年は六・〇と受診率が除々に上がっているという事実が一つございます。それからもう一つは、一日当たりの診療費が、被保険者につきましては、四十年が約六百二十三円、それが四十五年には千二百円というように高く上がってきておるわけでございまして、そういったようなものがかけ合わさって、現在の医療費の増高傾向をつくっているということになると思います。  したがって、一番の問題は、やはり一日当たりの診療費が高くなっているというところに問題と申しますか、原因があるというように私ども考えております。
  224. 八木昇

    ○八木委員 それも全然答えにならないですよ。三角はイコール表現のしかたを変えて三角でありますというだけの答えであって、それは答弁になっていませんよ。  そこで、あなたがおっしゃるように、私もこの表をずっと読んでみました。そうしますると、この政管健保の場合、被保険者の一人当たりの受診件数、一年の間に何回受診をするか、医者にかかるかという件数の表を見ると、これはおたくの厚生省の表ですが、全く線は横です。横にはっています。一つも上がっていません。それで、ある時期は下がっております。昭和四十年が五・六三%でありまして、それからこれが五・九一になりましたが、さらに次の昭和四十二年には下がって五・八七、昭和四十三年にはさらに下がって五・八一、それからやや上がって昭和四十五年に六・〇八ですね。でありますから、昭和四十年から昭和四十五年までの間に一人当たりの一年間平均の受診件数というものは、完全に横ばいといっていいのです。下がっているときもある。  それからもう一つは、その受診をされた方の一回当たり何日間という受診日数を見ますると、これはこの表のとおりですね、逆に下がりっぱなしに下がっておりますよ。昭和四十年は四・九七日平均です、一件当たりの受診日数は。それが昭和四十五年には、ぐっと下がりまして、四・五八日に下がっておる。そうすれば、結局、受診件数がふえたとか、受診日数がふえたとかいうことはないわけですから、それは全然この医療費の支払い額の増加には関係ないということですね。  それから、被保険者並びに家族の数ですね、これが、じゃ、ふえておるのであろうかと思って、ずっと先のほうを見ましたところが、これまたふえていない。これまたおたくの表によりますというと、被保険者の家族が、昭和四十年千二百三万人が昭和四十五年千二百八十四万人にしかなっていない。それから被保険者については、ややふえておりまするけれども、それはもう一〇%前後ぐらいしかふえていない。それなのに医療費の支払いが倍以上になるということの原因は、おっしゃったように、一日当たりの診療費というものが年々ものすごい角度、四十七年度の角度で上に上がりっぱなしに上がっている。昭和三十七年以来、こんな上がり方を年々している。なぜこれがこのように上がるのか、それを説明しなければ答えにならぬじゃないか。
  225. 戸澤政方

    ○戸澤政府委員 医療費はお話のとおり、受診率と、一件当たりの診療日数と、それから一件当たり金額と、その相乗積できまるわけですけれども、それぞれの上がり下がりの原因というのは的確につかめないのでございますけれども、それを推定する一つ要素としまして、診療行為別に一人一日当たりの点数を分析したものがございますので、それをちょっと申し上げてみますと、四十一年五月と、四十五年五月を比較して見ますと、診察料とか、手術料とか、処置料とか、こういったものは医療費改定、診療報酬の改定がなければ上がらないわけでございます。ところが、その診療報酬の改定に関係なく上がるもの、薬剤とか注射の中に含まれる薬剤費、こういったものは診療報酬の改定に関係なくふえるわけでございます。そのふえる率が非常に大きいということが統計の結果出ております。四十一年五月と四十五年五月を比較してみますと、一人一日当たり点数が、投薬が四十一年五月が二四・一六点、四十五年五月が四二・二四点と約五割くらいふえております。それは注射の中の技術料と薬剤料と両方含まれておるわけですが、四十一年五月一一・七〇が四十五年五月の一八・四一と四割四分ほどふえております。ほかの検査とか手術とか、入院料とか、それぞれふえておりますが、特にいま申し上げたようなもののふえ方が大きいというところから、これが医療費の非常に増高している大きな要素をなしておるということはいえると思います。
  226. 八木昇

    ○八木委員 そこで、薬価基準そのものは三回にわたって六年間で引き下げられているわけですね。それなのに、薬剤並びに注射というものがそんなスピードでふえるというのは、どういうわけですか。
  227. 戸澤政方

    ○戸澤政府委員 薬価基準はお話しのとおり、毎年のように薬価調査をやりまして、つとめて実勢価格に合わせるように改定をしておりますけれども、しかし薬価そのものは全体として毎年新薬の開発、登載等によって単価もふえてきておりますし、それから医学、技術の進歩によって薬を使う量というものも、だんだんふえてきておるということでございますから、どうしても薬価基準の改定にもかかわらず、薬剤費に占めるウエートというのは、だんだんと多くなっていくんだろうと思います。
  228. 八木昇

    ○八木委員 それは最大の問題だと私は思いますから、さらにその点はあとのほうで突っ込んでお聞きをいたします。  そうしますと、医療費総額の中で薬剤代が四二・二五%、注射代が一八・四一%、そこで全体として薬代と注射代合わせて六十何%になる、こういうことですか。
  229. 戸澤政方

    ○戸澤政府委員 パーセントではありませんで、一人一日当たりの点数でございます。だから四十二点、つまり四百二十円ということでございます。比率でなくて点数でございます。
  230. 八木昇

    ○八木委員 それでは診療費全体の中で占める薬剤代、それから注射代の割合をちょっと説明してくれませんか。
  231. 戸澤政方

    ○戸澤政府委員 まず投薬と注射の薬剤費、それを合わせましたものの総点数中に占める比率を申し上げますと、四十年五月が三八・二%、四十一年同じく五月が三八・九%、四十二年が四二・二%、四十三年が三九・六%、四十四年が四一・九%、四十五年が四三・二%になっております。
  232. 八木昇

    ○八木委員 四十六年までわかっていますか。
  233. 戸澤政方

    ○戸澤政府委員 六年はまだわかっておりません。
  234. 八木昇

    ○八木委員 全体の診療費の四十数%にいまや及んでおる。しかも診療費総額が数年間で二・二倍にも上がっておるということは、数年間で薬剤代は二・二倍どころか二・数倍に上がっておるということを意味しておるのだろう、かように理解をするわけであります。そこで、この問題はたいへんな問題だ、こういうふうに私は考えております。  これを金額の点で言いますと、薬剤の——それの前に一人当たりの診療費そのものは、どういうふうに推移しておりますか。
  235. 戸澤政方

    ○戸澤政府委員 政管の被保険者本人の一人当たり診療費を申し上げますと、四十年度が一万七千四百二十八円、四十一年度が一万九千七百六十円、四十二年度二万一千八百二十九円、四十三年度二万四千八百四十一円、四十四年度二万八千二百九円、四十五年度が三万三千四百十円となっております。
  236. 八木昇

    ○八木委員 そういうようなスピードで上がっていきますと、それから大体類推をして、いろいろな条件で政管健保の将来を、当然の任務として皆さんのほうでは予測をしておられると思うのですが、そこでどういうことになりますか。いまから四年後ということにいたしましょう。昭和五十年には医療費の支払いといいますか政管健保支出総額は、幾らになる見込みでありますか。
  237. 穴山徳夫

    穴山政府委員 普通、医療費は自然増が一〇%ないし一二%程度といわれておりますが、いまちょっと五十年に幾らという推定は、いままでしたことはございませんので、数字をここに持ち合わせていないわけでございます。
  238. 八木昇

    ○八木委員 それをやらぬで、こういう法改正案というものは出せないでしょう。たとえば、きのうあたりでも答弁をしていましたけれども保険料率をこのくらい引き上げれば当面赤字問題は解消するとか、云々とかいうような、そういう答弁は出てこないでしょう。  そこで、少なくとも過去の実績だけに照らして判断をしてみましても、昭和四十年度に二千七百四十億円でありましたものが、六年後には、それの倍以上の五千八百五十四億円になっておる、これは昭和四十年から昭和四十五年までの六年間だけではなくて、先ほど私が申し上げましたように、表によりましても、昭和三十七年以来こんなカーブで上がっているわけですから、これと同じカーブで、大体そんなに変わらないカーブで上がると思わなければならぬ、上がるとすれば、昭和五十年は幾らになるのかということを私あたりが大ざっぱに考えますと、これは現在のさらに二倍以上になりますね。でありますから、昭和五十年には、これは一兆何がしかの政管健保の支払いということになるのでしょう。
  239. 穴山徳夫

    穴山政府委員 四十年から四十五年までの問には何回か医療費の改定が行なわれているわけでございまして、医療費の動向と申しますのは、そういった改定、あるいは新薬とか、あるいは新しい技術の開発というようなことによって影響されてまいりますので、相当伸びていくということは想定されますけれども、どのくらいになるのかということは、ちょっとこの席で、いますぐにお答えすることはできないわけでございます。
  240. 八木昇

    ○八木委員 そういうようなことの想定なしに、この被保険者にかける保険料料率問題の審議はできないですよ。昭和四十四年は四千八百五億円の支出でありましたのが、たった一年後の昭和四十五年には五千八百五十四億円と、一年間で千億ずつ支払いがふえているのでしょう。一千億円という金は被保険者にかける保険料率の千分の何十というあれからいけば、千分の一というのは幾らに当たるのですか、八十億ぐらいでしょう。
  241. 穴山徳夫

    穴山政府委員 大体千分の一が百億でございます。
  242. 八木昇

    ○八木委員 そうすると、昭和四十四年から昭和四十五年、一年間で政管健保の支払いは一千億円ふえているのでしょう。そうすると、それを全部被保険者にかぶせるとすれば、一年間で一〇%ずつ保険料の徴収率を上げなければならぬ。これは昭和四十四年と四十五年の間の数字の上からだけでも、単純計算をすればそうなるでしょう、それを否定できますか。
  243. 穴山徳夫

    穴山政府委員 確かに医療費だけの差からいえば、そういう計算になりますが……。
  244. 八木昇

    ○八木委員 医療費だけじゃないですよ、支出総額を言っているのですよ、政管健保の。
  245. 穴山徳夫

    穴山政府委員 結局、支出の面もふえますけれども、収入の面もふえてくるわけでございまして、そういうことで収支を見て、どうなるかということでありますが、いまの先生のおっしゃったのは、支出の面での御計算だと思いますけれども、実際の財政の問題になりますと、これは収支の問題になりますので、またその辺がどうなるかという計算になってくると思います。
  246. 八木昇

    ○八木委員 それは大した大きな額でないですよ、一年間にベースアップを三〇%も五〇%もするわけはないのだから、収入増というものは。そうでしょう。
  247. 穴山徳夫

    穴山政府委員 従来は標準報酬の年間の伸び率が、四十五年度が一四・七、四十六年度一三・六の伸び率がございまして、それで四十七年度は、私どもの推定では一二・四%くらい伸びるのではないかというように推定をいたしております。
  248. 八木昇

    ○八木委員 その程度のものですよ。だから自然増収というものも、その程度のパーセントしかふえないけれども、支払いの側は二〇%以上支払い増が幾何級数でふえているわけですよ。でありますから、昭和五十年に支出総額がいかほどになるかということの一定の——誤差は出るでしょう、多少の誤差は、人間がしておる作業の想定ですから。それなしに保険料率の改定の提案は出せないでしょう。だから昭和五十年幾らになる見込みかと聞いておる。
  249. 穴山徳夫

    穴山政府委員 確かに医療費も相当の伸び率でもって伸びますけれども標準報酬も、いま申し上げましたような伸び率伸びてまいるわけでございまして、いわゆる医療費の自然増は一〇ないし一二%、それから将来を見通します場合には、いつどのくらいの医療費改定があるかということも一つ要素に入るわけでございます。したがって、それはいまちょっとここでは推測できませんので、五十年度にどのくらいになるかということは、ちょっと予測することはできないわけでございます。
  250. 八木昇

    ○八木委員 そうしますと、私の勘の判断でものを言う以外にないのですね、それがないということだとすれば。そうすると、従来の十何年来の趨勢のグラフの表で明らかなように、角度が一つも変わっていない、先ほど私が申し上げましたように。多少のでこぼこがあっても、この角度でしょう。この角度で上がっていますから、この角度どおりに上がる、こう見なければならない。この角度どおりに上がると見なければならないでしょう。おたくのほうでつかんでいないというなら、過去の実績に照らして、このカーブどおりいくと考えなければならない。そうすると、これは無限に料率の引き上げというものを毎年、しかもたいへんなテンポでやらなければならぬということですか、私はそうしかならないと思っているけれども、いまのままで何の対策もしなければ。
  251. 穴山徳夫

    穴山政府委員 いま大体の、これは大まかな推計でございますけれども先生がさっきおっしゃいました、いわゆるカーブに沿って計算をした結果は、大体五十年度は一兆一千億くらいになるのではないかというような計算でございます。
  252. 八木昇

    ○八木委員 そこでこれはたいへんなことだと私は思っておるのですよ。それで、そういうことになったのでは、保険料率の引き上げやその他じゃ、これはとてもどうにもならないことに遠からずなることが目に見えている。そうすると、ばく大に年二〇何%の幾何級数で政管健保支出がふえるというその問題に、何とか手を加えなければならない。しかもそれのふえる原因が、投薬、注射代が最大の原因であるとするなら、そこについての何らかの現実的な、科学的な処方せんというものなしには、問題解決にならないというふうにぼくは思うのですけれども大臣、政治的な判断として、どう思っておられますか。
  253. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 先ほどからの御意見、御質問、またこちらの答弁を聞いておりまして、大体いままでの傾向といたしましては、ここ最近は医療費が一二、三%伸びております。毎年一二、三%伸びるということは、大体五カ年で倍になる。複利計算でいきますから、五カ年で倍になります。——複利計算でいきますと、七%の伸びで十カ年でちょうど倍になるので、一二、三%でちょうど倍になると思います。同時に標準報酬伸びてまいります。賃金ベースがどのくらい伸びていくか、これもここ最近一一、二%伸びておりますから、その差額だけは、これは場合によったら、保険料の引き上げをしなければならない。それは年間せいぜい一、二%であり、今後経済界の状況いかんによって、この標準賃金がどう伸びていくか、いわゆる賃金べースがどう伸びていくかということによって変わりますけれども、そういたしますと、いまおっしゃいますような、非常にとてつもなく、保険料率を天井知らずに伸ばしていかなければならぬという問題ではない、かように考えます。  ことに最近の伸びは、御指摘のように薬剤の使用量が非常にふえてきた。これは御承知のように、特に最近の治療は薬剤治療が非常に多くなってまいりましたから、以前と違いまして薬剤の使用量が、これは日本だけでなしに国際的な傾向であり、治療方法が変わってきたということでありますが、この薬剤費の伸びがいままでのような伸び方で、その割合伸びていくというようには私は大まかに判断をいたしまして考えません。この治療方法、薬剤治療が非常にふえたという、そのふえ方が今後もふえていくかというと、そうではない、私はさように考えるものでございますので、したがって、とてつもなく今後保険料率を増さなければ、何ともならなくなるではないかという心配はいたしておらないのでございます。
  254. 八木昇

    ○八木委員 それはことばの上のあやであって、全然信用できません。過去のカーブが一定しているのですよ。まさに一直線なんですよ。若干のこういうあれはありますけれども……。したがって、過去ずっと保険料率を上げっぱなしに上げてきたわけです。それでないと、自然増収でまかなえなかったわけです。過去のカーブは一定のカーブ、過去においてそうだったわけです。そのカーブが鈍化するきざしが一つも出ていない。だから鈍化する方向がない限りは、過去と同じように保険料率も無限に上げていかざるを得ないというのは、過去の実績に照らして、これは自然の判断だと私は思います。  そこで、もう一つ伺いますが、政管健保の場合、「一日当たり診療費」この表ですね。政管健保のカーブはこのカーブであります。ところが、国民健康保険のカーブはカーブがもっとゆるやかであります。したがって、年を追うごとにその幅が出てきておる。これはどういうわけですか。国民健康保険のほうは、政管健保ほどには診療費がそんなにふえていない。
  255. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 国民健康保険のほうは、これは本人も家族も七割給付ということで、三割の自己負担があるということで、私は若干の受診の抑制になっているのであろうと思います。政管健保組合健保との比較を見ていただければ、この伸び方はほとんど変わりがございません。政管健保組合健保もこれは本人十割、家族は五割でありますけれども、したがって、本人の医療費というものは非常に伸びていって、国保のほうは全部三割の自己負担がありますから、したがって、あまり伸びないということが一つの大きな原因だろう、かように考えます。
  256. 八木昇

    ○八木委員 私は診療費について言っておるのです。「一日当たり診療費」のこの表で言っているのです。それで、政管健保の場合は、昭和三十七年が、一日当たり診療費が、平均三百七十五・二円であったものが、昭和四十五年には千二百・六円に急カーブで上がっておる。ところが国保の場合は、昭和三十七年に三百五十三・六円であったものが、八百七十三・八円、すなわち、政管健保が国保よりもはるかに上昇率が高いのは、なぜかということを聞いておるのです。
  257. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 この診療費というのは、これはいわゆる受診率が国保のほうが少ないからで、なぜ少ないかというと、先ほど申しましたように、自己負担があるからということだと思います。
  258. 八木昇

    ○八木委員 そうじゃないんですよ。一日当たりの診療費、それのべースについてはいろいろございましょうが、それの上昇率を言っているのですよ。おわかりでしょうか。
  259. 戸澤政方

    ○戸澤政府委員 一日当たり診療費につきまして、政管健保の被保険者と国保のそれを比較してみますと、政管健保では、四十年が六百二十二円、それが四十五年は千二百円、それから国保が、四十年が五百五十八円、それが四十五年は千二十八円、ですから伸び方は両方とも一・七近くですから、それほど大きな違いはなかろうと思います。   〔委員長退席、増岡委員長代理着席〕  しかし、その診療費について格差が出てくるという理由としましては、いま大臣が申されましたように、国保のほうは一部負担があるということによって、それが受診率にも影響してくるというようなところから、やはりそういう差が出てくるという一つの大きな要因になっているであろうと思われます。
  260. 八木昇

    ○八木委員 それでは政管家族の場合はどうなるか、こういうことにならざるを得ない。  ですから、いまあなたは昭和四十年のところからおっしゃったけれども昭和三十七年の時点でも一部負担はあったわけですから、昭和三十七年のところからいきますと、昭和三十七年の時点では、国保は三百五十三円でしょう。政管健保は三百七十五円でしょう。ほとんど違わないですよ。それが昭和四十四年になると、政管は診療費が千四円になっておる、国保は八百七十三円でしょう。いまのあなたの説明では説明はつきませんよ。七年後には千四円と八百七十三円の開きになっているでしょう。
  261. 戸澤政方

    ○戸澤政府委員 ちょうどその年次の間に国保のほうの七割給付という制度改善が行なわれたわけでありまして、初めは世帯主、それが全員といったふうに給付改善が行なわれましたので、その影響も大きくあらわれているのではなかろうかと思われます。
  262. 八木昇

    ○八木委員 それは、政管家族のこのカーブを見ても、いまの説明は私には納得できません。  そこで、これだけのことを私聞きましたのは、どうもお互い抽象的なやりとりで、ことばの上で厚生省のほうが、いろいろ過去の社労委員会の健保の審議においても同じようなことを言ってこられたが、実績をたどってみると、そのとおりに一つもなってきていないので、そこで少し回りくどかったのですが、具体的な数字をあげて私は聞いたわけなんです。  そこで、結局これは薬剤代というものが、注射をも含めて単価は若干引き下げておるのに、それの薬剤代の支出が年々二〇%ずつもふえているというところに、政管赤字の直接的な原因の一番大きな部分がある、こう私は認識するのですけれども、その点いかがでしょうか。
  263. 戸澤政方

    ○戸澤政府委員 確かに診療費に占める薬剤の率、これが大体四割ぐらいという大きな比率を占めておりますので、それが診療費の増高に大きく影響している要素であることは間違いないと思います。しかし薬剤費がふえてきたということは、やはり診療の内容の充実と結びつくもので、それがほんとうに新薬の開発その他によって、必要な薬が使われることによってふえてきたならば、これは必ずしも批判すべきものではなかろうと思いますが、もし薬の一部に多用、乱用というような傾向があるとしますれば、これは改めていかなければならないことであろうと思います。同時に、その薬価基準と実際の実勢価格というものの間にまだ差があるということも事実であろうと思いますので、これは毎年の薬価調査を厳格に施行することによりまして、よく実勢価格に合わせるように持っていかなければならぬというふうに考えているわけであります。
  264. 八木昇

    ○八木委員 それは全然私は納得できないのですね。それはいろいろな進歩もあるでしょう。あるでしょうけれども、一年前と比べて、ことしは二〇%薬剤代がふえているわけですよ。前年よりも二割から支払いがふえているわけです。それで、しかも薬そのものの単価、医者が受け取る薬剤代というものの単価は変わってないわけです。逆に下げられておるのに、支払いが一年間に二割ずつもふえるというのは、これは結局もうけ主義で過度に高い薬を使っておるとしか考えられないじゃないですか。しかもその傾向が年々増高している。  ちなみに、社会主義国は別といたしまして——社会主義国ではもう注射とか薬とかはごく最小限度のようですけれども、それは私はよくわかりませんが、西欧各国あたりでの注射をも含めての薬剤代というのは、全体の診療費の何%でしょう。おもな国だけでいいです。三、四カ国。
  265. 戸澤政方

    ○戸澤政府委員 診療費の中で占める薬剤の割合が大きいという一つ原因としましては、わが国の診療報酬の技術評価というようなものが十分になされておらない、全体の診療報酬の体系整備がまだ不備があるというところから、ほかの技術上の面が少ないために、薬剤の占める比率が大きくなるという事情もあろうかと思います。薬剤の占める比率が大きいということが、即医者のもうけになるかといえば、それはそういうことではありませんで、幾ら薬が高くても、それが正しく薬価基準どおりに使われておれば、そのさやというものはあり得ないわけです。それで、いわゆる薬剤添付の問題、あれなどもそういう不合理を是正するために添付禁止というようなことをおととしから厳格にやっている。薬による不当な利潤というようなものを抑制するようないろいろな努力をしているわけでございます。  それから最後に、外国の診療費に占める薬剤の割合ですが、これは各国制度が違いまして、日本のように皆保険ですと、保険診療費全体を的確につかめますし、その中で占める薬の比率というようなものがわかるのですけれども、外国ではそういう保険の制度——それから薬のほうにつきましても、医薬分業とかいうようなことでもって、医療費に占める薬の割合というものを的確に、正確にとっている国はございませんが、大体いろいろな資料から推計いたしますと、一三ないし二〇%程度といわれておりますが、正確な統計はございません。
  266. 八木昇

    ○八木委員 そこで、あなたのおっしゃりたい点は、全体の診療費の中で四三・二%も投薬、注射代が含まれている。しかも、そういう状態の中で年々たいへんなカーブで政管健保支出が、いまの状況からいけば無限大に、従来のカーブがほとんど変わらないまま進む趨勢であるけれども、それは日本の現状においてはいたしかたないのだ、こういうお考えですか。
  267. 戸澤政方

    ○戸澤政府委員 決してそうではございませんので、医療費のこの点に問題があり、また薬価基準と実勢価格の間にも差があるというようなことも事実でございますから、今後是正しなければならぬ点はたくさんあると思いますけれども、ただ、医療費に占める薬剤費の比率が大きいということだけをもって、そこに薬剤の乱用が行なわれておるというふうに、簡単にきめつけることもできないのではないかというふうに考えております。
  268. 八木昇

    ○八木委員 そこで、去年の十二月一日の朝日新聞によると、欧米諸国では薬剤費の割合はたかだか二〇%どまり、イギリスあたりは二二%、こう書いてあるのですが、こういうあれはそう当たらずとも遠からずでしょうか。
  269. 戸澤政方

    ○戸澤政府委員 いま申し上げましたとおり、大体一三%ないし二%というふうにいわれております。イギリスは二二%ぐらいといわれておりますけれども、あそこは医薬分業ですから、これは処方せんの分のみで、病院で直接使っている分は含まれておらないということで、正確な統計はございませんが、大体そんなところであろうと思います。
  270. 八木昇

    ○八木委員 やはりわが国では、この問題がたいへんな問題であるということは明らかであると私は思うのです。  そこで、薬価基準は、病院や診療所が購入するところの実際の薬や注射薬の値段との間に、さしたる開きはないというふうにお考えになっておる立場からの、先ほどの御答弁であったようであります。そんなに薬をたくさん使っても、注射をたくさん使っても、何も医者のもうけになるわけではないというような意味のことをおっしゃったわけですけれども、そうじゃないんじゃありませんか、実際は。  それで、もう時間もだんだんたってきますから、私のほうで申し上げますけれども、自治体病院は共同購入というような形をやっておりますね。全部の薬を、全自治体病院がそうやっているというわけじゃないのでしょうが、それは御存じでしょうか。
  271. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 ただいま自治体病院が全部一括購入というような御指摘がございましたが、私どもの知る範囲では、そういうことはほとんどございません。きわめてわずかな部分を共同購入をしようという動きがあることは事実でございますが、とても全体を一括するようなことはしておりません。
  272. 八木昇

    ○八木委員 これはもう保険登載薬は七千何百ですかあるものの全部を、それからまた製薬会社もたくさんあるし、卸売り、小売りのいろいろな系統がいろいろ複雑にあるわけですから、全部が行なわれておるなどと言っておるわけじゃないのですが、事実相当の主要な薬剤、それからおもだった製薬会社の製品、そういうものを現に扱っておりますね。そしてあっせんをしておりますね。
  273. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 確かに自治体病院協議会というのがございます。その協議会で、従来から厚生関係と申しますか、いろいろな物資をあっせんしようという動きがあったものが独立をいたしまして、それでたしか、ことしの二月であったと思いますが、そういう一つの機構というものをつくっております。私どもが知っております範囲では、そこの取り扱いました購入金額というのは、たしか一億程度、非常に少ないものでございます。私どもも一応そういうことを調べたわけでございますが、いま御指摘のような大量のものを扱っているということは、いままではなかったように存じております。
  274. 八木昇

    ○八木委員 これはいろいろとその出所とかなんとかいつも政府は圧力をかけますから、それを言うわけにいきませんが、これはもう間違いなく病院側で通知を受けて、そしてそのような行為を実際にやったものの一覧表です。これによりますと、あっせん基準の価格というものが通知がされておりまして、大体その線によって購入をされておる。三十社について百二十七品目、主要な製品ですね。三十社というのは武田、三共、山之内、塩野義、田辺というような主要な三十社。これによりますと、たとえば武田薬品のアリナミンF25というものについて言いますと、価薬基準の六三・七%で購入しておる。アリナミンF50については七〇・五%。それからいろいろございますが、私も薬のことはわかりませんが、ブレドニゾロンというのがあるのですが、副じん皮質ホルモン剤などというものは三六・四%。抗生物質の例のアクロマイシンVというのは四〇・九%。全部一覧表が出ております。実情はどうでしょう。
  275. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 確かにいまのようなそういうものをこの協議会でつくって出したのだろうと思います。先生お持ちでございますから、そのとおりだろうと思います。  ただ先ほど私が申したのは、自治体病院が全部それに乗っかって大幅にやっているだろうかという最初の御質問でございましたので、どうもそこまではいっていない、もちろんそういう価格で購入しているには違いないだろうと思いますけれども、しかし全部の自治体病院が一斉にそのためにそちらに頼んで購入したというところまでは、私はいっていないということを先ほど申し上げたわけでございます。
  276. 八木昇

    ○八木委員 いずれにせよ、現実にこういった取引が行なわれておることは間違いないわけですね。否定をなさることはできないはずだ、これはもう実際の現物を入手してきているわけですから。そういう実情にありますね。  そこで、私さらに伺いたいのですけれども、薬価基準をお定めになるについては、実際に幾らぐらいで取引をされておるかということの把握は、どういう方法でやっておられますか。
  277. 戸澤政方

    ○戸澤政府委員 現在の薬価基準のきめ方、把握のしかたは、毎年一回薬価調査を一定の時期に行ないまして、市場価格を調査して、それをもとに、いわゆる九〇バルクラインの線でもってきめているのが現状でございます。
  278. 八木昇

    ○八木委員 実際の取引の病院なら病院の、具体的に支払った代金の領収書から何から、そういうものをずっと実態的に調査なさっているのでしょうか。
  279. 武藤き一郎

    ○武藤政府委員 薬価調査につきましては、全部の卸を調査する、それから病院、診療所につきましては、抽出をいたしまして調査をする。それにつきましては、卸並びに診療所、病院が自計をする、つまり自分で書き込んで提出していただくという方法をとっております。
  280. 八木昇

    ○八木委員 卸屋側でなくて、それを買った病院、診療所側はどういう調査をしていますか。
  281. 武藤き一郎

    ○武藤政府委員 病院、診療所につきましては全部でございませんで、一部を抽出調査をしまして約千だったと思いますが、調査をいたしております。
  282. 八木昇

    ○八木委員 私の聞いておるのは、その抽出調査の中身を言っているのですよ。どういうやり方調査しているのか。
  283. 武藤き一郎

    ○武藤政府委員 病院につきましては十分の一、それから診療所につきましては百分の一で、両方で合計千二百の診療所、病院を調査いたしております。
  284. 八木昇

    ○八木委員 ぼくが聞いているのは、その調査やり方を聞いているのですよ。
  285. 武藤き一郎

    ○武藤政府委員 ですから調査表を配りまして、それに薬価調査の月に購入した薬の購入金額を記入する。自計でございます。
  286. 八木昇

    ○八木委員 そうすると、どの薬はどこの会社から、どこの卸屋から、かくかくしかじかの量をどれだけで買い入れましたというのを、医者がかってに書いものを、そっくりそのままそれが実勢だ、こうしているのですか。
  287. 武藤き一郎

    ○武藤政府委員 病院、診療所につきましては、つまりAという薬を幾らで何ぼ買ったということを自計をさしております。自計、つまり自主的に書かしております。
  288. 八木昇

    ○八木委員 そんなもので、それが文字どおり実態だと思っておられるのですか。
  289. 武藤き一郎

    ○武藤政府委員 別に法律に基づきます強制的な調査でもございませんから、調査表にお書きになったものを、卸側でも病院側でも、それを私どもは全部信じて集計をしているわけでございます。
  290. 八木昇

    ○八木委員 現行法上では、それしかやりようがないから、もういたしかたない、それしかないんだ、残念だけれどもしようがないということですか。   〔増岡委員長代理退席、山下(徳)委員長代理着席
  291. 武藤き一郎

    ○武藤政府委員 法律に基づくものではございませんで、行政的に調査をいたしておりますから、それ以上のことはできないわけでございます。
  292. 八木昇

    ○八木委員 それでいいとお思いですか。
  293. 武藤き一郎

    ○武藤政府委員 正確であれば、それでけっこうだと思います。
  294. 八木昇

    ○八木委員 そんな人をなめたような答弁をしてもらっちゃ困りますよ。正確であるかないかを、それで確かめられるのかと聞いているのです。
  295. 武藤き一郎

    ○武藤政府委員 自主的に調査をするような仕組みでございますから、それを私どもは信じております。
  296. 八木昇

    ○八木委員 そういう答弁態度はけしからぬですぞ。そういう調査でいいと、あなたは思っているのかいないのかと聞いているのです。
  297. 武藤き一郎

    ○武藤政府委員 この調査方法は中医協できめられておりまして、それにのっとって私ども調査をやっております。
  298. 八木昇

    ○八木委員 あなたは、どう考えているのかと聞いているのですよ。
  299. 武藤き一郎

    ○武藤政府委員 現在では、それによるほかはないと思っております。
  300. 八木昇

    ○八木委員 いや、ほかはないとかあるとかでなくて、そういう調査方法で実勢がつかめると、あなた自身行政事務当局として、それで実勢がつかめると、お思いになっているかどうかと聞いているのです。
  301. 武藤き一郎

    ○武藤政府委員 私どもは行政当局でございますから、きめられた方法で調査するほかございません。
  302. 八木昇

    ○八木委員 そういう仕事をしておる人は、体験に照らして、こういうふうにすべきであるという意見を出さなければいかぬでしょう。むしろ、そういう義務も一方においてあるのでしょう。だから聞いているのですよ。
  303. 戸澤政方

    ○戸澤政府委員 ただいまの実施しております薬価調査は、一応いままで中医協のほうでもってそのやり方、中身をきめていただいて実施しておったわけでございますけれども、私ども、いまの調査やり方が十分完全であるとは思っておりません。  それからまた、その結果も的確に実勢価格を反映しているというふうにも思われません。それで、しかし、いま薬務局長言いましたように、強制権に基づく調査でありませんので、立ち入り調査をするとか、ずっとメーカーから出たあとフォローして追及していくというようなこともできないために、非常にやりにくい面があるのでございますけれども、しかし、行政上の調査にしても、できるだけ、より以上厳格な方法でもってやらなければいかぬと思っておるわけでございます。  本年の調査も、そういうふうな意味で、中医協のほうからもいろいろ建議、意見をいわれておりますので、従来の方法を改善しまして、さらに正確な結果を得られるような調査をやりたいと思って、いま検討している最中でございます。
  304. 八木昇

    ○八木委員 それは公式の場での公式な答弁として、言いずらい面も、それはあるかもしれませんけれども、医者なんというものが信用できないことは、もう税務署が言っているのですよ。脱税のどえらいことをやっている人の中にたくさん医者がおるのですよ。その医者が薬価の購入価格についてだけは、あなた、まさしく事実どおりを厚生省調査に対して答えておるなどと考えている者は、どこもおりはしませんよ。そうでしょう。  そういう理論とか、理屈とかは別にして、あなただって、私ら各委員お互いだっても、そうですよ。自分の兄が医者であったり、自分の妹の婿が医者だったりしているのですよ。私の親戚にも医者がおります。おいっ子の中にも、旧制中学時代の同級生が医科、歯科医師が三十七名おりますよ。だから、それは一ぱいやるときには、ほんとうのことを言っていますよ。ちゃんとわかっている、そういうことはだれだって。  そこで、大臣にお答えいただきたいのですが、こういう調査方法というものは、ほんとうに被保険者、そういう人の立場に立って考えれば、もっと厳正な調査方法をやるようにしなければならぬのじゃありませんか、その点どうです。
  305. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 そういう調査方法ができると非常にいいと思うのですが、職権で帳簿を調べて、そうしてやるということができると非常にいいと思うのですけれども、これが御承知のように非常に困難です。  そこで、やはりこれは医薬分業というものを進めていくことが一番の早道ではないだろうか、こう考えております。いまの薬価基準の調査のしかたも政府委員が答弁いたしましたように、これは中央医療協議会できめておりますやり方でやるということをきめてやったわけです。なかなか中央医療協議会でもそのやり方をきめることが非常にむずかしいということで、それでこのやり方でいくということで、中央医療協議会で、このやり方でやったらいいということで、いまやっておるわけであります。  これで毎年四、五%薬価が下がっておりますから、したがって、これもある程度の効果はあげていることは事実でございます。したがって、これを強権をもって調査をできるというようになれば、いまおっしゃるような御趣旨にかなうのではないかと思いますけれども、これはきわめて困難だということは、いま政府委員が御答弁申し上げたとおりでございます。   〔山下(徳)委員長代理退席、委員長着席〕
  306. 八木昇

    ○八木委員 これはあまり長い時間やってもいかぬかと思いますから、結論を急ぎたいと思うのですけれども、ぐあいが悪いものについては、政府は中央医療協が、社会保険審議会がなんというようなことにおっかぶせて、そうして一方においては医療協やあるいは社会保険審議会やその他の答申や、その他ぐあいが悪いやつは、一向それは取り入れない、そのとおりにはやらないという、そういう使い分けをしているので、いまのような御答弁で、われわれ納得して引き下がるわけにはいかぬのですわ。  それはそれとして、それは医療協やその他が、どういうそれに対しての論議をするかは別として、やはり問題を積極的にお出しになる必要があるのじゃないですか。これは立ち入り検査をやるというようなふうに法改正が必要なら法改正、法制当局の意見はどうであれ、実際の実態から言うて、そういう必要性があると考えるなら、やはりそういう考えを打ち出すべきじゃないですか。この立ち入り検査は、やはりそれはぐあいが悪いのですか、法制上。そんなことはぼくはないと思いますよ。  たとえば、あの企業はPCBをどうも流しているようだ。そうして、そんなものは流していないなんということを言い張っておるけれども、回りの状況証拠から、これはそういうようなことがあり得るというような場合には、これは当然立ち入り検査をしますね。税金の問題にしたって、これはあなた、税務署は抜き打ち的にやります。ところが、被保険者保険料は、これは強制加入なんですからね、好むと好まざるとにかかわらず、きめられるやつを払わさせられておる。それが不誠意に、事実上いろいろなごまかしが行なわれるというようなことは許されない。しかも政府管掌健保ですから。  ですから、そういう医薬品の実際購入の実勢を調査するために、必要に応じては抜き検査で立ち入って、そうして幾つかを摘出して受領証その他をなにするということをしては、法制上ぐあいが悪いのですか。その点をお答えいただきたい。
  307. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 これは法律的に非常に私はむずかしいのじゃないか、かように思います。  幾らで買ったかということを、これを強権をもって調べる、うそをついたら処罰するということは、いまの法制上、憲法上、非常にむずかしいのじゃないかと私は思います。
  308. 八木昇

    ○八木委員 これは税務署の場合でもそうですよね。非常にむずかしいです。抜き検査であれしたからといって、実態がすぐわかるわけじゃないです。それは警察なんかが、いろいろな犯罪の場合の家宅捜索をする場合でもそうですよね。しかし、千なら千の医者の家を抜き検査をすれば、必ず出てきますよ。三つか四つか五つか、必ず出てくる。そして、ある医者が、ある会社のある薬を幾らで買っているとするなら、そこの医者がその場合だけ特別安く買ったのではなくて、大体において類推できるのですよ。すべてそういうものでしょう。だから、技術的にどうこうなんというのは言いわけですよ。そういったことをやる気がないのじゃないですか。どうでしょう。
  309. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 税務署も、脱税で相当疑わしいものがあって、そして検察庁か何かのあれがなければやれません。ただ、おまえのところは薬を幾らで買っている、それをこっちで強制捜査をするということは、これは私は、ちょっとどうかと思いますよ。
  310. 八木昇

    ○八木委員 税務署のケースと同じというふうに私の発言を、あるいはそういう印象を与えたかもしれませんが、それを言っているわけじゃないのです。いまのようなことでは全然実勢をつかんでいないというのは、だれの常識から見ても明らかなんだから、もっと立ち入って、実際の帳簿であるとか、あるいは証憑書類とかいうようなものを見ることができるような法制上の措置ということを、前向きに検討してみる意思はないのかということなんです。
  311. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 先ほど申しますように、そういう法制をつくるということは、いまの法制のたてまえ上……(八木委員「いまの法制ではない」と呼ぶ)いまの憲法上、立ち入って強制的に調査をするということは適当でない、私はかように考えます。
  312. 八木昇

    ○八木委員 抜き打ち的に急襲してやることが適当でないとすれば、あるいは予告してでもいいでしょうね。いずれにせよ、いまの状況のもとでは実勢が実際にはつかめていないということ、それはお認めになっているのですか。
  313. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 これでも大体の傾向はつかめていると私は思っております。毎年四、五%ずつ下げていくということは、その傾向は認められる、私はかように思います。しかしながら、実際、薬の添付はやらないように指導をした。添付をやったって犯罪になるわけではないのです。しかし、やらないように指導をしている。添付はやめた。それでは、競争で値下げということを禁止をするわけにはいかない。ある薬の販売店と、どういう契約で他よりも安く買うているかということを一々調べることは私は困難であると思う。しかし、大体の傾向というものがわかりますから、その傾向によって下げていくという、いまの行き方が、まず妥当なやり方ではないか、かように考えております。
  314. 八木昇

    ○八木委員 これは実際のお互いの体験の中からは、とうていそれでは承服できないのですね。  だから、調査方法について、もう少しく何らかの前向きの立場で研究し、そして実態把握につとめると同時に、いまのような、ただ本人から自書したもののバルクライン九〇なんというようなことは、承服できないのですよね。それで実勢というものを考えるならば、そのバルクライン九〇%というパーセンテージも問題である。そしてまた、そのことについての積極的な対策と前向きの姿勢、方策というものを抜きに、いまのようにやっておりましても、先ほど来の私の質問のように、これは結局どうにもならないようになって、また料率の引き上げ、料率の引き上げ、しかもそれは頭を打つ、こういうことになると私は考えますし、十分納得のいく御説明がない以上、いまの政府提案のこういった法改正に、私は賛成をすることができないわけであります。  最後に一点だけお伺いをしたいと思いますが、リハビリテーションというのが、今日では非常に重要視されてきておるわけであります。そこで、特に作業療法士について、作業療法を健保でもってやることを認めておるものは、これは全部あげていただく必要はありませんが、どういうような行為を健保患者に作業療法としてやることを認めておるのでしょうか。
  315. 戸澤政方

    ○戸澤政府委員 ちょっと専門的なことですので、医療課長から説明させます。
  316. 松浦十四郎

    ○松浦説明員 現在健康保険では、特に作業療法に関しますところの点数の設定は、これということはございませんが、どのような作業療法関係の医療行為を行なってもよろしい。現在の考え方といたしましては、そのような作業療法に関しますところの費用は入院料等に含まれているという考え方になっております。
  317. 八木昇

    ○八木委員 そうすると、作業療法をやってもやらなくても、極端にいいますと、医者側の収入は同じということですか。
  318. 松浦十四郎

    ○松浦説明員 それが医師の指導のもとに現在点数表にございますところの理学療法に合致しておりますものであれば、その点は認めます。
  319. 八木昇

    ○八木委員 ぼくが聞いておるのは、作業療法を聞いているのです。
  320. 松浦十四郎

    ○松浦説明員 理学療法と申しますのは、たいへん微妙でございまして、たとえばいろいろな作業療法的な道具を用いましても、それがたとえば器具によります運動機能訓練というふうなことにもなるわけでございます。たとえば単純に、全く作業と関係のない理学療法的な機械を用いる運動機能訓練というのもあるわけでございますが、別の言い方をしますれば、機織り機を使って理学療法をやるということは、これは一面から見れば作業療法でございますし、一面から見ますと、運動機能訓練の一部でございます。そういうことで、運動機能の回復ということで機械器具を使ったというような場合には、機械器具によりますところの運動機能訓練の点数というものがあるわけでございます。
  321. 八木昇

    ○八木委員 私が聞いているのは、そういったふうな理学療法とからみ合うようなものについて言っているわけじゃないので、結局作業療法というのは、それでは病院側、診療所側、要するに医者の良心にまかせてあるのですか。こういうような作業療法を、この患者にはやったほうがいいのだと医者が判断する場合には、作業療法をやる。しかし、作業療法をやったからといって、その分について何らの診療報酬が得られるわけじゃない。そうすると、不親切な医者は、作業療法をやったほうが、この患者にはいいのだけれどもと思っていても、そういう労力を施してやってみたって、一銭も病院側の収入になるわけじゃないから、非良心的な者はやらぬでうっちゃらかしておく。そういうこともしかたないという状況になっている。われわれはそう理解するのですが、そうでしょうか。
  322. 松浦十四郎

    ○松浦説明員 まず原則的に、先生指摘のように、どのような療法を行なうかというのは、医師の判断によるということが原則になっております。  先生のおっしゃいましたような、点数がないからやれないというようなことがあるかないかということでございますが、それは私どもとしては、医療機関のそういう医療に対する良心を信頼する以外はないと思います。
  323. 八木昇

    ○八木委員 医は仁術、昔から医者が全部そういう聖人君子であったと私は思いません、人間はひとしく人間なのですから。ましてや、昨今の世相のように、医者の免許すら持たないで患者の治療をやっておる人もたくさんおるような世の中です。そしていまの私立の医科大学なんかで、あんな不道徳な不正がまかり通っておる。そういうようなことが行なわれておる医者の現状というものを考えるときに、あなたのおっしゃることは、行政当局の措置として納得いきませんな。  そこで、作業療法士というものがちゃんと法定化され、それから健保患者においても作業療法というものを実施するということになっておりながら、理学療法については報酬の点数単価がちゃんと支払われることになっているのに、作業療法については全然この点数表にない、一銭も金を払わぬというこの状況、このままでいいと大臣考えなんでしょうか。
  324. 松浦十四郎

    ○松浦説明員 ちょっとつけ加えさせていただきたいのでございますが、現在保険で取り扱いますのは、いわゆるメディカルリハビリテーションの範囲内という考え方であります。いわゆる職業訓練のところまでは、健康保険給付するというたてまえをとっておりません。そのために、先ほど申し上げましたように、その訓練が、いわゆる理学療法の範囲内におさまるものであれば、それは理学療法としての点数を算定する、こういうふうに申し上げたわけでございます。
  325. 八木昇

    ○八木委員 ちょっと直接的な答えになっておりませんから、直接的に私の問いに答えてくれませんか。作業療法について点数をあげる必要はないというお考えなんですか。
  326. 松浦十四郎

    ○松浦説明員 現在やっておりますメディカルリハビリテーションの範囲の中で行なわれておりますものは、先ほど私が申し上げました理学療法の範囲内に入るものは点数がある、こういう意味合いでございます。
  327. 八木昇

    ○八木委員 作業療法については、点数をあげる必要はないというお考えでございますか。
  328. 松浦十四郎

    ○松浦説明員 たとえば機織り機を使った運動機能訓練であるということであれば、それが医師の指示のもとにそうやって行なわれる理学療法であるならば、それはそっちの側面から見た場合に、理学療法であるという場合に点数があるということでございます。  ですから、作業療法ということばが、たいへん不分明なことばでございまして、いま申し上げましたように、同じあることをやりましても、一方の側面から見れば理学療法でございますし、一方の側面から見れば職業訓練になってしまうわけでございます。ですから、理学療法という目的で行なわれるならば、それは器械器具を使った理学療法の範囲内というふうに考えられるものであるならば、これは現在の保険点数でもとれる、こういうことであります。(大原委員「作業療法士がやったのは」と呼ぶ)医師の指示のもとであれば、けっこうであります。
  329. 八木昇

    ○八木委員 職業訓練とかなんとかじゃない観点から、純然たる治療という面から作業療法が必要な場合があるから、これはわざわざ作業療法ということがあげてあると、ぼくは理解しておる。そこで労災病院やその他で——労災病院に限ってないと思うのですね。一般の民間の病院も一定の指定をしておりますが、労災保険の場合は、これは作業療法についてちゃんと医療料金表が定まっておって、そうして点数が全部きめられておるわけですよ。しかもその点数は、理学療法よりもはるかに大きな点数なんです。  理学療法の場合には「器械・器具を用いた機能訓練」というのが二十五点というようなふうになっております。「温熱療法 熱気浴」とか、いろいろなのが十八点とか、「超短波」それから「極超短波」が五点とか、そういうのに対して、作業療法の場合には、ここに書いてありますように七十五、七十五、百、百二十五、百五十、五十、五十、五十なんです、点数が。それは業務上でけがをする場合も業務外でけがをする場合も、起こるけがの現象そのものは全く同じものもあるわけなんですからね。ですから、そういう点からいくと、それが業務上で同じような障害を受けたり病気になったりの場合と、業務外であれば、政管健保という場合で、同じ病気の症状であっても、労災保険のほうで治療を受ける場合と、政管健保で治療を受ける場合では、私は事実上異なってくると思うのです。  そういう点からいきますと、これは政管健保にも作業療法についての点数をあげるべきだと私は思うのですけれども、その点を直截に答えてくれませんか。必要なしと考えておられますか。
  330. 戸澤政方

    ○戸澤政府委員 作業療法のとらまえ方は非常にむずかしい問題があると思いますが、このリハビリの問題は、今後の診療報酬の重要な問題として、中医協でも問題意識を持っておりますので、この作業療法の問題につきましても、今後前向きでもって検討してまいりたいと思っております。
  331. 八木昇

    ○八木委員 それじゃ終わります。
  332. 森山欽司

    森山委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  333. 森山欽司

    森山委員長 速記を始めて。  次回は、来たる二十二日月曜日午後零時三十分理事会、午後一時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後七時二十九分散会