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田中(恒)
委員 厚生省は、自分のところが委託したんだ、だからその
調査だけでというような単純なものではなくて、少なくともこれまでのあなたのところの委託をせられた
委員会等の
報告の中に、多少問題ではないかという点が尾を引いておるし、学会においてもそのことについての
意見が二つに分かれておる
段階でありますから、十分にこういうところの
意見も聞いて、全体的な観点で、いま言われたような形でこの問題についての結論を出していただきたい。このことも特に御
要請をいたしておきたいと思います。
最後に
補償の問題につきまして、当時五人
委員会という、正直いってわけのわからぬものができたわけですね。いま
政務次官は、当時としては万全な処置をとったとおっしゃったが、この五人
委員会の性格というものは、いままだなおこの
国会におられる
方々もおりますけれ
ども、
議事録に載っておりますけれ
ども一与野党を通じて、きわめて不明快なものである、こういう
指摘がなされております。この五人
委員会というのは法律に基づくものでもないし、あるいは行政組織にのっとるものではないし、ただ親切心で、両方ではやれぬだろうから、まん中でということで出てまいった。ところがその後調べてみると、五人
委員会なるものの必要経費というものは全部メーカーが持っておる。——まあ全部かどうか知りませんけれ
ども、少なくとも日本乳製品協会から、いわゆる
ミルク業界から金が出されて運営されておるような
委員会が、どうして厳正中立な
委員会だといえますかね。ともかく五人
委員会をめぐっての論議は、当時まことに釈然としないものがあったわけです。単なる第三者的な、公正妥当な
補償額を出すんだとおっしゃったが、結果的には五人
委員会の出したとおりになってしまいました。
そういう過去の
できごとをいまいろいろ申し上げてもいけませんけれ
ども、ただここで
確認をさしていただきたいのは、いま
補償の問題をめぐりまして問題になっておるのは、
森永が因果
関係にとらわれずに、道義的な
責任を負うて、
補償なりあるいは必要な治療費等の支出をしております、こういうことであります。だからその
原因、結果はまだわからない、こういっておるわけです。これは
一つは、
医学的に
砒素中毒であるのかどうかということがわからないということなのか。あるいはいま御承知のように裁判になっておりますね。いま御
報告があったように、一審で無罪、二審では差し戻し、
最高裁も差し戻しです。だからこれは多分に、単に無罪にとどまるとはわれわれは思えない。そういうことの結果によっては、単なる道義上の
責任だけでは済まない事態に発展をしていくわけでありますが、今日の
段階では、道義上の
責任を負うて処置するんだとだけしかいっていないのです。この点が
被害者との間に非常に鋭く対決しておる最大の問題であります。
被害者は、
森永の
ミルクを飲んだからこういうことになったんだ、死んだんだ、こういうようにいっておるんですね。私はこれはきわめて常識的だと思うのです。ところが、そういうふうには片一方はいっていないんですね。
そこで、もしかりにこの問題の
原因、結果というものが、たとえば裁判等の結果で明らかになって——
森永乳業でありませんけれ
ども、あれは
工場長か
製造課長ですけれ
ども、しかし
森永の
責任であるというような裁判所の
判決が出た場合には、この
補償の問題というものは、実質的な
補償に転化をしていくというふうになると理解をしてよろしいのですか。